(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】慢性副鼻腔炎を治療するためのある特定のN-(1-シアノ-2-フェニルエチル)-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド
(51)【国際特許分類】
A61K 31/553 20060101AFI20241024BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20241024BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241024BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241024BHJP
A61P 11/08 20060101ALI20241024BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20241024BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241024BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20241024BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20241024BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/7052 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K31/553
A61P11/02
A61P11/00
A61P31/12
A61P37/08
A61P11/08
A61P31/18
A61P37/02
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/56
A61K31/58
A61P1/00
A61P27/16
A61K39/395 N
A61K31/7048
A61K31/7052
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525528
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022048249
(87)【国際公開番号】W WO2023076615
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513204012
【氏名又は名称】インスメッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】テパー,アリエル
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】シポラ,デビッド
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA122
4C084ZB322
4C084ZC032
4C084ZC412
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB17
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC75
4C086DA08
4C086DA12
4C086EA12
4C086EA13
4C086GA09
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA59
4C086MA60
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA34
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZB07
4C086ZB13
4C086ZB21
4C086ZB33
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、有効量の式(I)のN-(1-シアノ-2-フェニルエチル)-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドDPP1阻害剤化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を含む組成物で、慢性副鼻腔炎を治療するための方法に関する。一実施形態では、式(I)の化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(ブレンソカチブ)である。
【化1】
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性副鼻腔炎(CRS)を有する対象、又はCRSを発症するリスクがある対象においてジペプチジルペプチダーゼ(DPP1)を阻害する方法であって、
前記対象に、投与期間中に、有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与し、
【化1】
式中、
R
1は、
【化2】
であり、
R
2は、水素、F、Cl、Br、OSO
2C
1-
3アルキル、又はC
1-
3アルキルであり、
R
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF
3、SO
2C
1-
3アルキル、CONH
2、又はSO
2NR
4R
5であり、
R
4及びR
5は、それらが付着している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成し、又は
Xは、O、S、又はCF
2であり、
Yは、O又はSであり、
Qは、CH又はNであり、
R
6は、C
1-3アルキルであり、前記C
1-3アルキルが、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、かつOH、OC
1-
3アルキル、N(C
1-3アルキル)
2、シクロプロピル、及びテトラヒドロピランからなる群から選択される一つの置換基によって任意選択的に置換され、
R
7は、水素、F、Cl、又はCH
3であり、
それによって、前記対象においてDPP1を阻害することを含む、方法。
【請求項2】
前記対象がCRSを発症するリスクがある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CRSを発症するリスクがある前記対象が、以下:急性鼻副鼻腔炎、ウイルス性気道感染症、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、喘息、気管支炎、肺炎、胃食道逆流症、アデノ扁桃炎、睡眠時無呼吸症候群、中耳炎、アレルギー性又は非アレルギー性上気道疾患、アレルギー性又は非アレルギー性下気道疾患、上皮細胞障害、分類不能免疫不全症、HIV感染症、嚢胞性線維症(CF)、線毛機能不全症、ウェゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、及び慢性閉塞性肺疾患のうちの一つ又は複数を有するか、又は有していた、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象が、たばこの煙に繰り返し曝露されている、又は曝露された、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
慢性副鼻腔炎(CRS)の治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、
前記対象に、投与期間中に、有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与し、
【化3】
式中、
R
1は、
【化4】
であり、
R
2は、水素、F、Cl、Br、OSO
2C
1-
3アルキル、又はC
1-
3アルキルであり、
R
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF
3、SO
2C
1-
3アルキル、CONH
2、又はSO
2NR
4R
5であり、
R
4及びR
5は、それらが付着している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成し、又は
Xは、O、S、又はCF
2であり、
Yは、O又はSであり、
Qは、CH又はNであり、
R
6は、C
1-3アルキルであり、前記C
1-3アルキルが、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、かつOH、OC
1-
3アルキル、N(C
1-3アルキル)
2、シクロプロピル、及びテトラヒドロピランからなる群から選択される一つの置換基によって任意選択的に置換され、
R
7は、水素、F、Cl、又はCH
3であり、
それによって、前記対象において慢性副鼻腔炎を治療することを含む、方法。
【請求項6】
前記CRSが、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、喘息、尿路感染症、皮膚感染症及び軟組織感染症からなる群から選択される一つ又は複数の状態の存在又は発症に関連する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象が、二つ以上のCRS症状を有するCRSを有する成人であり、前記症状のうちの一つが、鼻閉、鼻閉塞、鼻づまり、又は鼻汁である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記二つ以上のCRS症状が、顔面痛又は圧迫感を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記二つ以上のCRS症状が、顔面痛又は圧迫感を含まない、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記二つ以上のCRS症状が、嗅覚の低減又は喪失を更に含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記二つ以上のCRS症状が、嗅覚の低減又は喪失を含まない、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記鼻閉、鼻閉塞、鼻づまり、又は鼻汁が12週間以上存在する、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記鼻汁が、前鼻漏又は後鼻漏を含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、二つ以上の症状を有するCRSを有する子供であり、前記症状のうちの一つが、鼻閉、鼻閉塞、鼻づまり、又は鼻汁である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記二つ以上のCRS症状が、顔面痛又は圧迫感を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記二つ以上のCRS症状が、顔面痛又は圧迫感を含まない、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記二つ以上のCRS症状が、咳を更に含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記二つ以上のCRS症状が、咳を含まない、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記鼻閉、鼻閉塞、鼻づまり、又は鼻汁が12週間以上存在する、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記鼻汁が、前鼻漏又は後鼻漏を含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が、治療が困難なCRSを有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記CRSが、鼻ポリープを伴わないCRS(CRSsNP)、又は鼻ポリープを伴うCRS(CRSwNP)である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記CRSがCRSsNPである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が、前記投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記CRSがCRSwNPである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記CRSが、難治性CRSである、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記CRSが、ステロイド難治性である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記難治性CRSが難治性CRSsNPである、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記難治性CRSが難治性CRSwNPである、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項30】
前記対象がCRSを発症するリスクがあり、前記治療がCRSに対する予防を提供することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項31】
前記対象のCRSの一つ又は複数の症状の重症度を、前記投与期間前のCRSの前記一つ又は複数の症状と比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、減少させることを更に含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記投与期間中又は前記投与期間後に、CRSの一つ又は複数の症状の発症が遅延する、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
CRSの前記一つ又は複数の症状は、鼻づまり、鼻閉塞、鼻汁、後鼻漏、顔面圧迫感、顔面痛、顔面膨満感、嗅覚の低減、うつ病、粘膜浮腫、粘液膿性分泌物、中鼻道閉塞、中鼻道自然口ルート及び副鼻腔内の粘膜変化、鼻漏、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記鼻漏が、前鼻漏である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記鼻漏が、後鼻漏である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、前記対象のLund-Mackayスコアを、前記投与期間前の前記対象のLund-Mackayスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に減少させることを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記投与期間中又は前記投与期間後の前記対象の前記Lund-Mackayスコアが、4未満である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、前記対象の前記Lund-Mackayスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記Lund-Mackayスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約100%減少させることを含む、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記方法が、前記対象の前記Lund-Mackayスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記Lund-Mackayスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24減少させることを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記方法が、前記対象の前記Lund-Mackayスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記Lund-Mackayスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、1~24、1~20、1~16、1~12、1~8、又は1~4減少させることを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、前記対象の前記Lund-Mackayスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記Lund-Mackayスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、4~24、8~24、12~24、16~24、又は20~24減少させることを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記投与期間前の前記Lund-Mackayスコア、及び前記投与期間中又は前記投与期間後の前記Lund-Mackayスコアが、前記対象のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンに基づいて計算される、請求項36~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記CTスキャンが、前記対象の副鼻腔、前記対象の中鼻道自然口ルートの一方若しくは両方、又はそれらの組み合わせに対して実施される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記CTスキャンが、前記対象の右中鼻道自然口ルート、前記対象の左中鼻道自然口ルート、又はそれらの組み合わせに対して実施される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記CTスキャンが、右前頭洞、左前頭洞、右前篩骨洞、左前篩骨洞、右後篩骨洞、左後篩骨洞、右上顎洞、左上顎洞、前記対象の右蝶形骨洞、前記対象の左蝶形骨洞、又はそれらの組み合わせのうちの一つ又は複数に対して実施される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記投与期間前の前記対象の前記Lund-Mackayスコアが、4以上である、請求項36~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記方法が、前記対象の鼻鏡検査合計スコアを、前記投与期間前の前記対象の鼻鏡検査合計スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に減少させることを含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記投与期間前の前記対象の前記鼻鏡検査合計スコアは、CRSを有していない対照対象の鼻鏡検査合計スコアよりも大きい、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記投与期間前の前記対象の前記鼻鏡検査合計スコアが1よりも大きい、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
前記投与期間中又は前記投与期間後の前記対象の前記鼻鏡検査合計スコアが、1以下である、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記方法が、前記対象の副鼻腔転帰試験-22(SNOT-22)スコアを、前記投与期間前の前記対象のSNOT-22スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に減少させることを含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記投与期間前の前記対象の前記SNOT-22スコアが、CRSを有していない対照対象のSNOT-22スコアよりも高い、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記投与期間前、前記対象の前記SNOT-22スコアが20以上である、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
前記投与期間前、前記対象の前記SNOT-22スコアが30以上である、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記投与期間中又は前記投与期間後の前記対象の前記SNOT-22スコアが、30未満である、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記投与期間中又は前記投与期間後の前記対象の前記SNOT-22スコアが、20未満である、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記方法が、前記対象の前記SNOT-22スコアを、前記投与期間前の前記対象の前記SNOT-22スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約100%減少させることを含む、請求項51~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記方法が、前記対象の前記SNOT-22スコアを、前記投与期間前の前記対象の前記SNOT-22スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、8点以上、9点以上、又は10点以上減少させることを含む、請求項51~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記方法が、前記対象の前記SNOT-22スコアを、前記投与期間前の前記対象の前記SNOT-22スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約8~約20点、約8~約18点、約8~約16点、又は約8~約14点減少させることを含む、請求項51~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記対象のペンシルバニア大学嗅覚識別試験(UPSIT)スコアを、前記投与期間前の前記対象のUPSITスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に増加させることを含む、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記投与期間前の前記対象の前記UPSITスコアが、CRSを有していない対照対象のUPSITスコアよりも低い、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記投与期間前の前記対象の前記UPSITスコアが、33未満である、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
前記投与期間中又は前記投与期間後の前記対象の前記UPSITスコアが、33よりも大きい、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記投与期間中又は前記投与期間後の前記対象の前記UPSITスコアが、18よりも大きい、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記方法が、前記対象の前記UPSITスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記UPSITスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%増加させることを含む、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記方法が、前記対象の前記UPSITスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記UPSITスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40増加させることを含む、請求項60~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記方法が、前記対象の前記UPSITスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記UPSITスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約5~約40、約10~約40、約15~約40、約20~約40、約25~約40、約30~約40、又は約35~約40増加させることを含む、請求項60~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記方法が、前記対象の前記UPSITスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記UPSITスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約1~約5、約5~約10、約15~約20、約5~約15、約5~約20、約10~約20、又は約10~約25増加させることを含む、請求項60~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記対象の修正版Lund-Kennedy(MLK)スコアを、前記投与期間前の前記対象のMLKスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に減少させることを含む、請求項1~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記投与期間前の前記対象の前記MLKスコアが、4以上である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記投与期間前の前記対象の前記MLKスコアが、CRSを有していない対照対象のMLKスコアよりも大きい、請求項69又は70に記載の方法。
【請求項72】
前記投与期間中又は前記投与期間後の前記対象の前記MLKスコアが、4未満である、請求項69~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記方法が、前記対象の前記MLKスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記MLKスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約100%減少させることを含む、請求項69~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記方法が、前記対象の前記MLKスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記MLKスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12減少させることを含む、請求項69~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記方法が、前記対象の前記MLKスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記MLKスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約2~約12、約2~約10、約2~約8、約2~約6、又は約2~約4減少させることを含む、請求項69~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記方法が、前記対象の副鼻腔排液を、前記投与期間前の前記対象の副鼻腔排液と比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に促進させることを更に含む、請求項1~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記対象の二つ以上のCRS症状の複合重症度スコアを、前記投与期間前の前記対象の複合重症度スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に減少させることを含む、請求項1~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記方法が、前記対象の前記複合重症度スコアを、前記投与期間前の前記対象の前記複合重症度スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%減少させることを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記投与期間中又は前記投与期間後に、前記対象の前記複合重症度スコアを少なくとも約10%減少させることを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記投与期間中又は前記投与期間後に、前記対象の前記複合重症度スコアを約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、又は約10%~約20%減少させることを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記対象の前記複合重症度スコアを、前記投与期間前の前記対象の前記複合重症度スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、又は約9点減少させることを含む、請求項77~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記対象の前記複合重症度スコアを、前記投与期間前の前記対象の前記複合重症度スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約1~約9点、約2~約9点、約3~約9点、約4~約9点、約5~約9点、約6~約9点、約2~約7点、約2~約6点、又は約2~約5点減少させることを含む、請求項77~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記対象の副鼻腔総症状スコア(sTSS)を、前記投与期間前の前記対象のsTSSと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に減少させることを更に含む、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記対象が、前記投与期間前に5以上のsTSSを有する、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記方法が、前記対象の前記sTSSを、前記投与期間前の前記対象の前記sTSSと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%減少させることを含む、請求項83又は84に記載の方法。
【請求項86】
前記対象の前記sTSSを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約10%減少させることを含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記対象の前記sTSSを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、又は約10%~約20%減少させることを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記対象の前記sTSSを、前記投与期間前の前記対象の前記sTSSと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、又は約9点減少させることを含む、請求項83~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記対象の前記sTSSを、前記投与期間前の前記対象の前記sTSSと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約1~約9点、約2~約9点、約3~約9点、約4~約9点、約5~約9点、約6~約9点、約2~約7点、約2~約6点、又は約2~約5点減少させることを含む、請求項83~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記対象の鼻づまりスコア(NCS)を、前記投与期間前の前記対象のNCSと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に減少させることを含む、請求項1~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記投与期間前の前記対象の前記NCSが、2以上である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記対象の前記NCSを、前記投与期間前の前記対象の前記NCSと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%減少させることを含む、請求項90又は91に記載の方法。
【請求項93】
前記対象の前記NCSを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約10%減少させることを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記対象の前記NCSを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、又は約10%~約20%減少させることを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記対象の前記NCSを、前記投与期間前の前記対象の前記NCSと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、又は約3点減少させることを含む、請求項90~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記対象の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを、前記投与期間前の前記対象の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に減少させることを含む、請求項1~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記対象の前記前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを、前記投与期間前の前記対象の前記前鼻漏/後鼻漏重症度スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%減少させることを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記方法が、前記対象の前記前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約10%減少させることを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記対象の前記前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、又は約10%~約20%減少させることを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記方法が、前記対象の前記前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを、前記投与期間前の前記対象の前記前鼻漏/後鼻漏重症度スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、又は約3点減少させることを含む、請求項96~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記対象の顔面痛/圧迫感重症度スコアを、前記投与期間前の前記対象の顔面痛/圧迫感重症度スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に減少させることを含む、請求項1~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記対象の前記顔面痛/圧迫感重症度スコアを、前記投与期間前の前記対象の前記顔面痛/圧迫感重症度スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%減少させることを含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記対象の前記顔面痛/圧迫感重症度スコアを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約10%減少させることを含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記対象の前記顔面痛/圧迫感重症度スコアを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、又は約10%~約20%減少させることを含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記対象の前記顔面痛/圧迫感重症度スコアを、前記投与期間前の前記対象の前記顔面痛/圧迫感重症度スコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、又は約3点減少させることを含む、請求項101~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記対象の視覚的アナログスケール(VAS)スコアを、前記投与期間前の前記対象のVASスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に減少させることを含む、請求項1~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記対象の前記VASスコアを、前記投与期間前の重度のスコアから、前記投与期間中又は前記投与期間後の中等度のスコアまで減少させることを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記対象の前記VASスコアを、前記投与期間前の重度のスコアから、前記投与期間中又は前記投与期間後の軽度のスコアまで減少させることを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記対象の前記VASスコアを、前記投与期間前の中等度のスコアから、前記投与期間中又は前記投与期間後の軽度のスコアまで減少させることを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項110】
前記対象の前記VASスコアが、前記投与期間前に5以上である、請求項106~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記対象の前記VASスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記VASスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%減少させることを含む、請求項106~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記対象の前記VASスコアを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約10%減少させることを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記対象の前記VASスコアを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、又は約10%~約20%減少させることを含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記対象のピーク鼻吸気流量(PNIF)を、前記投与期間前の前記対象のPNIFと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に増加させることを含む、請求項1~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記対象の前記PNIFを、前記投与期間前の前記対象の前記PNIFと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%増加させることを含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記対象の前記PNIFを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約10%増加させることを含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記対象の前記PNIFを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、又は約10%~約20%増加させることを含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
CTスキャン容積測定によって測定される前記対象の副鼻腔混濁の割合を、前記投与期間前の前記対象の副鼻腔混濁の割合と比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に減少させることを含む、請求項1~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記対象の患者全般重症度印象(PGI-S)スコア又は患者全般変化印象(PGI-C)スコアを、前記投与期間前の前記対象のPGI-Sスコア又はPGI-Cスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に改善させることを含む、請求項1~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記対象の前記PGI-Sスコア又は前記PGI-Cスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記PGI-Sスコア又は前記PGI-Cスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%改善させることを含む、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記対象の前記PGI-Sスコア又は前記PGI-Cスコアを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、少なくとも約10%改善させることを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記対象の前記PGI-Sスコア又は前記PGI-Cスコアを、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、又は約10%~約20%改善させることを含む、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記対象の前記PGI-Sスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記PGI-Sスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、又は約4.5点改善させることを含む、請求項119~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記対象の前記PGI-Cスコアを、前記投与期間前の前記対象の前記PGI-Cスコアと比較して、前記投与期間中又は前記投与期間後に、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5点、約5、約5.5、約6、又は約6.5点改善させることを含む、請求項119~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記対象の全身性コルチコステロイド、抗生物質、又は鼻手術によるレスキューの最初の使用までの期間を、対照対象と比較して延長することを含み、前記対照対象がCRSを有し、前記医薬組成物を投与されない、請求項1~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
CRS症状の悪化による前記対象の全身性コルチコステロイド、抗生物質、又は鼻手術によるレスキューの頻度を、対照対象と比較して減少させることを含み、前記対照対象がCRSを有し、前記医薬組成物を投与されない、請求項1~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記投与期間前に前記対象から得られた生体サンプル中の好中球数が、CRSを有していない対照対象から得られた対応する生体サンプル中の好中球数よりも多い、請求項1~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記投与期間前に前記対象から得られた生体サンプル中のICAM1のレベルが、CRSを有していない対照対象から得られた対応する生体サンプル中のICAM1のレベルよりも高い、請求項1~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記投与期間前に、前記対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベルが、約1ng/mL~約100ng/mLの範囲内である、請求項1~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記投与期間中又は前記投与期間後に前記対象から得られた生体サンプル中のDPP1の活性が、(a)前記投与期間前に前記対象から得られた対応する生体サンプル中のDPP1の活性、及び/又は(b)対照対象から得られた対応する生体サンプル中のDPP1の活性よりも低く、前記対照対象がCRSを有し、前記医薬組成物を投与されない、請求項1~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記投与期間前に、前記対象から得られた生体サンプル中の好中球セリンプロテアーゼ(NSP)のレベルが、約1ng/mL~約1000ng/mLの範囲内である、請求項1~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記投与期間中又は前記投与期間後に前記対象から得られた生体サンプル中の好中球セリンプロテアーゼ(NSP)の活性が、(a)前記投与期間前に前記対象から得られた対応する生体サンプル中の前記NSPの活性、及び/又は(b)対照対象から得られた対応する生体サンプル中の前記NSPの活性よりも低く、前記対照対象がCRSを有し、前記医薬組成物を投与されない、請求項1~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記NSPが、好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CatG)、好中球セリンプロテアーゼ4(NSP4)、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項131又は132に記載の方法。
【請求項134】
前記投与期間前に、前記対象から得られた生体サンプル中の好中球細胞外トラップ(NET)のレベルが、約1ng/mL~約1000ng/mLの範囲内である、請求項1~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記投与期間中又は前記投与期間後の前記対象から得られた生体サンプル中の好中球細胞外トラップ(NET)のレベルが、(a)前記投与期間前に前記対象から得られた対応する生体サンプル中のNETのレベル、及び/又は(b)対照対象から得られた対応する生体サンプル中のNETのレベルよりも低く、前記対照対象がCRSを有し、前記医薬組成物を投与されない、請求項1~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記生体サンプルが、血液、副鼻腔組織、又はそれらの組み合わせを含む、請求項127~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記生体サンプルが血液を含む、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
前記生体サンプルが副鼻腔組織を含む、請求項136に記載の方法。
【請求項139】
前記生体サンプルが、血液と副鼻腔組織の組み合わせを含む、請求項136に記載の方法。
【請求項140】
DPP1が好中球によって発現される、請求項1~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記対象が、Ring1A及びYY1結合タンパク質(RYBP)、アシルオキシアシルヒドロラーゼ(AOAH)、IL-1受容体関連キナーゼ4、IL-1受容体様1、Toll様受容体(TLR)-2、TLR-1、TLR-5、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)、及び形質転換成長因子ベータ-1からなる群から選択されるタンパク質をコードする遺伝子に一つ又は複数の変異を有する、請求項1~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記一つ又は複数の変異が、一塩基多型である、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
前記一塩基多型が、AOAHをコードする前記遺伝子ではrs4504543、又はRYBPをコードする前記遺伝子ではrs4532099である、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
二次療法を前記対象に投与することを更に含む、請求項1~143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記二次療法が、ステロイド、抗ヒスタミン剤、抗生物質、抗うつ剤、生物学的製剤、抗ロイコトリエン薬、鼻腔生理食塩水洗浄、及び外科的介入のうちの一つ又は複数を含む、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記外科的介入が、機能的内視鏡副鼻腔手術(FESS)である、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
前記ステロイドが、プロピオン酸フルチカゾン又はフロ酸モメタゾンである、請求項145に記載の方法。
【請求項148】
前記ステロイドが、局所、鼻腔内、全身、又は経口投与される、請求項145又は147に記載の方法。
【請求項149】
前記生物学的製剤がデュピルマブ、オマリズマブ、ベンラリズマブ、レスリズマブ、又はメポリズマブである、請求項145に記載の方法。
【請求項150】
前記抗生物質がマクロライド抗生物質である、請求項145に記載の方法。
【請求項151】
前記マクロライド抗生物質が、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシン、又はクラリスロマイシンである、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
前記投与期間前が、前記投与期間直前である、請求項1~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記投与期間前が、前記投与期間の約1日~約14日前である、請求項1~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記投与期間前が、前記投与期間の約1日~約10日前である、請求項1~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記投与期間前が、前記投与期間の約1日~約7日前である、請求項1~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記投与期間前が、前記投与期間の約1日~約4日前である、請求項1~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩が、S,Sジアステレオマーである、請求項1~156のいずれか一項に記載の方法。
【化5】
【請求項158】
前記式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩が、S,Rジアステレオマーである、請求項1~156のいずれか一項に記載の方法。
【化6】
【請求項159】
前記式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩が、R,Sジアステレオマーである、請求項1~156のいずれか一項に記載の方法。
【化7】
【請求項160】
前記式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩が、R,Rジアステレオマーである、請求項1~156のいずれか一項に記載の方法。
【化8】
【請求項161】
前記医薬組成物が、式(I)の化合物のS,Sジアステレオマーと、式(I)の化合物のS,Rジアステレオマーとの混合物を含む、請求項1~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記医薬組成物が、式(I)の化合物のS,Sジアステレオマーと、式(I)の化合物のR,Sジアステレオマーとの混合物を含む、請求項1~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記医薬組成物が、式(I)の化合物のS,Sジアステレオマーと、式(I)の化合物のR,Rジアステレオマーとの混合物を含む、請求項1~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
式中、
R
1は、
【化9】
であり、
Xは、O、S、又はCF
2であり、
Yは、O又はSであり、
Qは、CH又はNであり、
R
6は、C
1-3アルキルであり、前記C
1-3アルキルが、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、かつOH、OC
1-
3アルキル、N(C
1-3アルキル)
2、シクロプロピル、及びテトラヒドロピランからなる群から選択される一つの置換基によって任意選択的に置換され、
R
7は、水素、F、Cl、又はCH
3である、請求項1~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
式中、
R
1は、
【化10】
であり、
Xは、O、S、又はCF
2であり、
Yは、O又はSであり、
R
6は、C
1-3アルキルであり、前記C
1-3アルキルが、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、かつOH、OC
1-
3アルキル、N(C
1-3アルキル)
2、シクロプロピル、及びテトラヒドロピランからなる群から選択される一つの置換基によって任意選択的に置換され、
R
7は、水素、F、Cl、又はCH
3である、請求項1~164のいずれか一項に記載の方法。
【請求項166】
R
1が、
【化11】
である、請求項1~165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
XがOであり、R
6がC
1-3アルキルであり、R
7が水素である、請求項166に記載の方法。
【請求項168】
式中、
R
1は、
【化12】
であり、
Xは、Oであり、
R
6は、C
1-3アルキルであり、前記C
1-3アルキルが、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、
R
7は水素である、請求項1~165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項169】
式中、
R
1は、
【化13】
であり、
Xは、Oであり、
R
6は、C
1-3アルキルであり、
R
7は水素である、請求項1~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項170】
前記式(I)の化合物が、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-y-l)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド
【化14】
又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項157に記載の方法。
【請求項171】
前記式(I)の化合物が、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-y-l)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドである、請求項157に記載の方法。
【化15】
【請求項172】
前記式(I)の化合物が、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-y-l)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドの水和物である、請求項157に記載の方法。
【化16】
【請求項173】
前記式(I)の化合物が、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,7-ジメチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
4’-[(2S)-2-シアノ-2-{[(2S)-1,4-オキサゼパン-2-イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル-3-イルメタンスルホネート、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(3’,4’-ジフルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(6-シアノピリジン-3-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-7-フルオロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4-{3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル}フェニル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(シクロプロピルメチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(5-シアノチオフェン-2-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-2-(4’-カルバモイル-3’-フルオロビフェニル-4-イル)-1-シアノエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-7-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(7-クロロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(メチルスルホニル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4’-(アゼチジン-1-イルスルホニル)ビフェニル-4-イル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
及びその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、請求項157に記載の方法。
【請求項174】
前記式(I)の化合物が、(2S)-N-{(1R)-l-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【化17】
又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項158に記載の方法。
【請求項175】
前記式(I)の化合物が、(2R)-N-{(1S)-l-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【化18】
又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項159に記載の方法。
【請求項176】
前記式(I)の化合物が、(2R)-N-{(1R)-l-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【化19】
又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項160に記載の方法。
【請求項177】
前記医薬組成物が、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩と、(2S)-N-{(1R)-l-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化20】
又はその薬学的に許容可能な塩との混合物を含む、請求項1~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項178】
前記医薬組成物が、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩と、(2R)-N-{(1S)-l-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化21】
又はその薬学的に許容可能な塩との混合物を含む、請求項1~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項179】
前記医薬組成物が、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩と、(2R)-N-{(1R)-l-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化22】
又はその薬学的に許容可能な塩との混合物を含む、請求項1~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項180】
前記医薬組成物が、前記投与期間中に、一日一回、一日二回、又は隔日投与される、請求項1~179のいずれか一項に記載の方法。
【請求項181】
前記医薬組成物が、前記投与期間中に、一日一回投与される、請求項1~180のいずれか一項に記載の方法。
【請求項182】
前記医薬組成物が、前記投与期間中に、経口投与される、請求項1~181のいずれか一項に記載の方法。
【請求項183】
前記医薬組成物が、前記投与期間中に、非経口的に、経腸的に、又は経鼻胃管を介して投与される、請求項1~182のいずれか一項に記載の方法。
【請求項184】
前記式(I)の化合物が、前記医薬組成物中に約1mg~約100mgで存在する、請求項1~183のいずれか一項に記載の方法。
【請求項185】
前記式(I)の化合物が、前記医薬組成物中に約10mgで存在する、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記式(I)の化合物が、前記医薬組成物中に約25mgで存在する、請求項184に記載の方法。
【請求項187】
前記式(I)の化合物が、前記医薬組成物中に約40mgで存在する、請求項184に記載の方法。
【請求項188】
前記式(I)の化合物が、前記医薬組成物中に約5mg~約50mgで存在する、請求項184に記載の方法。
【請求項189】
前記式(I)の化合物が、前記医薬組成物中に約10mg~約40mgで存在する、請求項184に記載の方法。
【請求項190】
前記式(I)の化合物が、前記医薬組成物中に約10mg~約25mgで存在する、請求項184に記載の方法。
【請求項191】
前記投与期間が、約30日、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約12か月、約18か月、約24か月、約30か月、約36か月、約4年、約5年、約10年、約15年、又は約20年である、請求項1~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項192】
前記投与期間が、少なくとも約30日間、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約12か月、少なくとも約18か月、少なくとも約24か月、少なくとも約30か月、少なくとも約36か月、少なくとも約4年、少なくとも約5年、少なくとも約10年、少なくとも約15年、又は少なくとも約20年である、請求項1~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項193】
前記投与期間が、約6か月である、請求項1~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項194】
前記投与期間が、約12か月である、請求項1~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項195】
前記投与期間が、約6か月~約36か月である、請求項1~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項196】
前記投与期間が、約12か月~約36か月である、請求項1~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項197】
前記投与期間が、約18か月~約36か月である、請求項1~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項198】
前記投与期間が、約1年~約50年である、請求項1~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項199】
前記投与期間が、約1年~約40年である、請求項198に記載の方法。
【請求項200】
前記投与期間が、約1年~約30年である、請求項198に記載の方法。
【請求項201】
前記投与期間が、約1年~約25年である、請求項198に記載の方法。
【請求項202】
前記投与期間が、約1年~約20年である、請求項198に記載の方法。
【請求項203】
前記投与期間が、約1年~約15年である、請求項198に記載の方法。
【請求項204】
前記投与期間が、約1年~約10年である、請求項198に記載の方法。
【請求項205】
前記投与期間が、約1年~約5年である、請求項198に記載の方法。
【請求項206】
前記投与期間が、約1年~約3年である、請求項198に記載の方法。
【請求項207】
前記投与期間が、約1年~約2年である、請求項198に記載の方法。
【請求項208】
前記投与期間が、約2年~約15年である、請求項198に記載の方法。
【請求項209】
前記投与期間が、約2年~約10年である、請求項198に記載の方法。
【請求項210】
前記投与期間が、約2年~約8年である、請求項198に記載の方法。
【請求項211】
前記投与期間が、約2年~約5年である、請求項198に記載の方法。
【請求項212】
前記投与期間が、約2年~約4年である、請求項198に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月29日に出願された米国仮特許出願第63/273,540号の優先権を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
慢性副鼻腔炎(CRS)は、世界中の5,000万人以上の人々の身体及び精神の健康に影響を及ぼす一般的な上気道状態である。CRS患者は、鼻づまり、顔面痛又は圧迫感、鼻閉塞、鼻汁、及び嗅覚喪失などの症状を有し、12週間以上持続し得る。したがって、CRSは、健康、活力、及び社会的機能に対するその有害作用により生活の質の低下をもたらし、また鬱病及び抗鬱剤の使用率の増加と関連している。
【0003】
現在の治療には、鼻腔内又は経口ステロイド、抗ヒスタミン剤、経口抗生物質、及び内視鏡副鼻腔手術(ESS)が含まれる。CRS患者のわずかな割合(約20%)が鼻ポリープ(鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎又はCRSwNPと呼ばれる状態)を発症する一方で、ほとんどのCRS患者は鼻ポリープを発症せず、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)を有する。慢性副鼻腔炎、特にCRSsNPは、好中球性炎症の優勢な偏った1型免疫応答と関連しており、CRS患者の治療転帰に影響を与え得る。好中球増加は、コルチコステロイド療法に対する反応不良と関連している。
【0004】
CRSsNPは、最も一般的な鼻副鼻腔炎のタイプであり、副鼻腔粘膜及び副鼻腔の慢性炎症を特徴とする。最も一般的な症状には、鼻づまり、鼻からの粘液排出又は喉の奥に滴下する粘液、鼻又は粘液は、顔面痛、及び嗅覚の低下が含まれる。現在、CRSsNPに対する承認された治療法はなく、重大なアンメットメディカルニーズが残されている。
【0005】
したがって、慢性副鼻腔炎、特に難治性慢性副鼻腔炎並びにCRSsNPを有する患者に対して効果的な介入を直ちに開発する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、一態様では、慢性副鼻腔炎(CRS)を治療する方法であって、対象に、投与期間中に、有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与することを含み、
【化1】
式中、
R
1は、
【化2】
であり、
R
2は、水素、F、Cl、Br、OSO
2C
1-
3アルキル、又はC
1-
3アルキルであり、
R
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF
3、SO
2C
1-
3アルキル、CONH
2、又はSO
2NR
4R
5であり、
R
4及びR
5は、それらが付着している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成し、
Xは、O、S、又はCF
2であり、
Yは、O又はSであり、
Qは、CH又はNであり、
R
6は、C
1-3アルキルであり、該C
1-3アルキルが、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、かつOH、OC
1-
3アルキル、N(C
1-3アルキル)
2、シクロプロピル、及びテトラヒドロピランからなる群から選択される一つの置換基によって任意選択的に置換され、
R
7は、水素、F、Cl、又はCH
3である。
【0007】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、CRSは、鼻ポリープを伴わないCRS(CRSsNP)である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。別の実施形態では、治療されるCRSは、ステロイド難治性CRS、例えばステロイド難治性CRSsNPである。
【0008】
一実施形態では、CRSを治療するための方法は、対象のLund-Mackayスコアを、投与期間前の対象のLund-Mackayスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。
【0009】
別の実施形態では、方法は、対象の鼻鏡検査合計スコアを、投与期間前の対象の鼻鏡検査合計スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。
【0010】
別の実施形態では、方法は、対象の副鼻腔転帰試験-22(SNOT-22)スコアを、投与期間前の対象のSNOT-22スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。
【0011】
更に別の実施形態では、方法は、対象のペンシルバニア大学嗅覚識別試験(UPSIT)スコアを、投与期間前の対象のUPSITスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に増加させることを含む。
【0012】
更に別の実施形態では、方法は、対象の修正版Lund-Kennedy(MLK)スコアを、投与期間前の対象のMLKスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。
【0013】
一実施形態では、方法は、対象の二つ以上のCRS症状の複合重症度スコアを、投与期間前の対象の複合重症度スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。
【0014】
一実施形態では、方法は、対象の副鼻腔総症状スコア(sTSS)を、投与期間前の対象のsTSSと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。
【0015】
一実施形態では、方法は、対象の鼻づまりスコア(NCS)を、投与期間前の対象のNCSと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。
【0016】
一実施形態では、方法は、対象の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを、投与期間前の対象の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。
【0017】
一実施形態では、方法は、対象の顔面痛/圧迫感重症度スコアを、投与期間前の対象の顔面痛/圧迫感重症度スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。
【0018】
一実施形態では、方法は、対象の視覚的アナログスケール(VAS)スコアを、投与期間前の対象のVASスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。
【0019】
一実施形態では、方法は、対象のピーク鼻吸気流量(PNIF)を、投与期間前の対象のPNIFと比較して、投与期間中又は投与期間後に増加させることを含む。
【0020】
一実施形態では、方法は、CTスキャン容積測定によって測定される対象の副鼻腔混濁の割合を、投与期間前の対象の副鼻腔混濁の割合と比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。
【0021】
一実施形態では、方法は、対象の患者全般重症度印象(PGI-S)スコア又は患者全般変化印象(PGI-C)スコアを、投与期間前の対象のPGI-Sスコア又はPGI-Cスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に改善させることを含む。
【0022】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、式(I)の化合物は、S,Sジアステレオマーであり、すなわち、式(I)の化合物は、以下の立体化学を有する。
【化3】
【0023】
いくつかの実施形態では、R
1は、
【化4】
である。更なる実施形態では、XはOであり、R
6はC
1-3アルキルであり、R
7は水素である。
【0024】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンズオキサゾール-5-y-l)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドであり、本明細書においてその国際一般名称(INN)である、ブレンソカチブ(以前はINS1007及びAZD7986として知られた)と呼ばれ:
【化5】
又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0025】
一実施形態では、医薬組成物は、投与期間中に一日一回投与される。
【0026】
一実施形態では、医薬組成物は、投与期間中に経口投与される。
【0027】
一実施形態では、式(I)の化合物は、医薬組成物中に約1mg~約100mg、例えば、約10mg、約25mg、又は約40mg存在する。更なる実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブである。
【0028】
一実施形態では、投与期間は、CRSの初期診断後の対象の全生存期間である。別の実施形態では、投与期間は、約1年~約50年、約1年~約30年、又は約1年~約10年である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、実施例1に記載の試験設計の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎(CRSsNP)などの慢性副鼻腔炎を治療するための、カテプシンCとしても知られるジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)の可逆的阻害剤を使用する方法を提供する。DPP1は、タンパク質基質及びペプチド基質のN末端からのジペプチドの除去を触媒する。この酵素機能を通して、DPP1は、好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CatG)、及び好中球セリンプロテアーゼ4(NSP4)を含む、好中球セリンプロテアーゼ(NSP)などの免疫/炎症細胞において多くのセリンプロテアーゼを活性化する。好中球セリンプロテアーゼは、好中球性炎症を媒介することがあり、これは慢性副鼻腔炎、例えばCRSsNPを有する患者にしばしば見られる。したがって、いくつかの実施形態では、使用方法は、慢性副鼻腔炎(CRS)、例えば、CRSsNPを治療する方法である。更なる実施形態では、治療されるCRSは、ステロイド難治性CRS、例えばステロイド難治性CRSsNPである。
【0031】
理論に束縛されることを望むものではないが、開示されたDPP1阻害剤によるDPP1機能の阻害は、NSPの阻害をもたらし、及び/又は好中球性炎症を低減させ、したがって慢性副鼻腔炎を治療することができると考えられる。制御不良のCRS、例えばCRSsNPでは、好中球がリモデリング及び炎症プロセスの主な推進力である。好中球の活性化及び浸潤を標的とすることは、好中球性炎症又は好酸球性-好中球性混合型炎症を特徴とするステロイド難治性CRSを有する患者の臨床転帰を改善する潜在的な治療アプローチを提供し得るため(Ahern and Cervin(2019).Medicina(Kaunas)55(4),95;Cho et al.(2016).J Allergy Clin Immunol Pract.4(4),575-582;De Greve et al.(2017).Clin Transl Allergy.7,22;and Delemarre et al.(2020).J Allergy Clin Immunol.146(2),337-43.e6を参照のこと。それら各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、開示されたDPP1阻害剤を投与することによってDPP1の阻害は、NSP活性を低下させることができ、その結果、CRSsNP患者における好中球媒介性炎症、組織損傷、及び粘液産生の減少をもたらし、症状(例えば、鼻づまり、顔面痛、鼻汁)の改善及び炎症カスケードの有意な減少をもたらす。
【0032】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、概して、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、本出願の実施又は試験に使用することができるが、代表的な方法及び材料を本明細書に記載する。
【0033】
長期特許法の規則に従って、用語「a」、「an」、及び「the」は、特許請求の範囲を含む本出願で使用される場合、「一つ又は複数」を指す。したがって、例えば、「担体」への言及は、一つ又は複数のキャリア、二つ以上の担体などの混合物を含み、「方法」への言及は、当業者に公知の同等の工程及び/又は方法への言及を含む。
【0034】
別途示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分、反応条件等の量を表す全ての数は、全ての場合において「約」という用語によって修正されるものとして理解されるべきである。したがって、特に断りのない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは近似値であり、本出願によって取得されることが求められる所望の特性に応じて変化し得る。概して、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、重量、時間、用量などの測定可能な値を参照して、当技術分野で許容可能な変動の程度内の値を包含することを意味する。いくつかの実施形態では、変動の程度は、FDAガイドラインに基づく。
【0035】
また、本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの一つ又は複数のあらゆる可能な組み合わせを指し、並びに代替(「又は」)で解釈される場合には組み合わせの欠如を包含する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「C1-3」は、1つ、2つ、又は3つの炭素原子を有する炭素基を意味する。
【0037】
「アルキル」という用語は、別段の記載がない限り、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基の両方を含み、置換又は非置換であってもよい。「アルキル」基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチル、ペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
「薬学的に許容可能な」という用語は、別段の記載がない限り、部分(例えば、塩、剤形、又は賦形剤)を、健全な医学的判断に従って使用するのに適切であると特徴付けるために使用される。概して、薬学的に許容可能な部分は、その部分が有し得る任意の有害な効果を上回る一つ又は複数の利益を有する。有害な効果としては、例えば、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、並びに他の問題及び合併症が挙げられ得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「治療」又は「治療する」又は「改善する」は互換的に使用される。これらの用語は、治療的利益及び/又は予防的利益を含むがこれに限定されない、有益又は望ましい結果を得るためのアプローチを指す。治療的利益は、治療中の一つ又は複数の疾患、状態、又は症状に対する、任意の治療上関連する改善、又は効果を指す。一実施形態では、用語「治療する」は、(1)状態、障害、若しくは病態に苦しむ又は罹患する可能性があるが、状態、障害、若しくは病態の臨床症状又は亜臨床症状をまだ経験していないか又はまだ示していない患者において発現する、状態、障害、若しくは病態の臨床症状の出現を防止又は遅延させることと、(2)状態、障害、又は病態を阻害することと(例えば、少なくとも一つのその臨床症状又は亜臨床症状に関し、疾患の発現を停止、低下、若しくは遅延させるか、又は維持治療の場合においては、その再発を停止、低下、若しくは遅延させること)、(3)病態を緩和することと(例えば、状態、障害若しくは病態、又はその臨床症状若しくは亜臨床症状のうちの少なくとも一つの退行、又は重症度の軽減をもたらすことによって)、を含む。
【0040】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、例えば、有益な結果又は所望の結果をもたらすのに充分な薬剤の量を指す。治療有効量は、治療される対象及び疾患状態、対象の体重及び年齢、疾患状態の重症度、投与方法などのうちの一つ又は複数に応じて変化し得る。
【0041】
本明細書において、「対象」、「個人」、及び「患者」という用語は、哺乳類などの脊椎動物を指すために互換的に使用される。哺乳類は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ウマ、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、チンパンジー)、又はヒトであってもよい。インビボで得られたか、又はインビトロで培養された対象の組織、細胞、又はその誘導体も包含される。ヒト対象は、成人、十代、小児(2歳~14歳)、乳児(1か月~24か月)、又は新生児(1か月まで)であってもよい。いくつかの実施形態では、成人は、約65歳以上、又は約60歳以上の高齢者である。いくつかの実施形態では、対象は、妊婦又は妊娠を意図する女性である。一実施形態では、対象は18歳以上~85歳以下である。
【0042】
一態様では、慢性副鼻腔炎(CRS)を有する対象、又は慢性副鼻腔炎を発症するリスクがある対象においてジペプチジルペプチダーゼ(DPP1)を阻害するための方法が提供され、方法は、投与期間中に対象に、有効量の式(I)の化合物を含む医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、DPP1は、好中球によって発現される。いくつかの実施形態では、投与は、対象におけるCRSの発症の遅延をもたらす。
【0043】
別の態様では、慢性副鼻腔炎の治療を必要とする対象において、これを治療する方法が提供される。方法は、一実施形態では、対象に、投与期間中に、有効量の式(I)の化合物を含む医薬組成物を投与することを含む。更なる実施形態では、方法は、対象における好中球性炎症を低減することを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、CRSは、鼻ポリープを伴わないCRS(CRSsNP)である。いくつかの実施形態では、CRSは、鼻ポリープを伴うCRS(CRSwNP)である。いくつかの実施形態では、CRSは難治性CRSである。いくつかの実施形態では、難治性CRSは、鼻ポリープを伴わない難治性CRS(CRSsNP)である。いくつかの実施形態では、難治性CRSは、鼻ポリープを伴う難治性CRS(CRSwNP)である。
【0045】
一態様では、CRSの治療を必要とする対象においてこれを治療する方法が提供される。方法は、対象に、投与期間中に、有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与することを含み、
【化6】
式中、
R
1は、
【化7】
であり、
R
2は、水素、F、Cl、Br、OSO
2C
1-3アルキル、又はC
1-3アルキルであり、
R
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF
3、SO
2C
1-3アルキル、CONH
2、又はSO
2NR
4R
5であり、R
4及びR
5は、それらが付着している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成するか、又は
R
6は、C
1-3アルキルであり、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、及び/又はOH、OC
1-3アルキル、N(C
1-3アルキル)
2、シクロプロピル、又はテトラヒドロピランによって任意選択的に置換され、
R
7は、水素、F、Cl、又はCH
3であり、
Xは、O、S、又はCF
2であり、
Yは、O又はSであり、
Qは、CH又はNである。
【0046】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、式(I)の化合物は、S,Sジアステレオマーである。言い換えれば、式(I)の化合物は、以下の立体化学を有する。
【化8】
【0047】
他のジアステレオマー形態も本発明によって企図される。例えば、一実施形態では、式(I)の化合物は、R,Rジアステレオマーである。
【化9】
【0048】
別の実施形態では、式(I)の化合物は、R,Sジアステレオマーである。
【化10】
【0049】
更に別の実施形態では、式(I)の化合物は、S,Rジアステレオマーである。
【化11】
【0050】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、R
1は、
【化12】
であり、Xは、O、S、又はCF
2であり、Yは、O又はSであり、Qは、CH又はNであり、R
6は、C
1-3アルキルであり、該C
1-3アルキルは、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、かつOH、OC
1-
3アルキル、N(C
1-3アルキル)
2、シクロプロピル、及びテトラヒドロピランによって任意選択的に置換され、R
7は、水素、F、Cl、又はCH
3である。
【0051】
一実施形態では、R
1は、
【化13】
であり、R
2は、水素、F、Cl、Br、OSO
2C
1-3アルキル、又はC
1-3アルキルであり、R
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF
3、SO
2C
1-3アルキル、CONH
2、又はSO
2NR
4R
5であり、R
4及びR
5は、それらが付着している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成する。
【0052】
更なる実施形態では、R
1は、
【化14】
であり、R
2は、水素、F、Cl、又はC
1-3アルキルであり、R
3は、水素、F、Cl、CN、又はSO
2C
1-3アルキルである。
【0053】
更なる実施形態では、R
1は、
【化15】
であり、R
2は、水素、F、又はC
1-3アルキルであり、R
3は、水素、F、又はCNである。
【0054】
【0055】
Xは、O、S、又はCF2であり、Yは、O又はSであり、Qは、CH又はNであり、R6は、C1-3アルキルであり、C1-3アルキルは、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、かつ/又はOH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピル、又はテトラヒドロピランによって任意選択的に置換され、R7は、水素、F、Cl、又はCH3である。
【0056】
【0057】
別の実施形態では、R
1は
【化18】
であり、XはOであり、R
6はC
1-3アルキルであり、R
7は水素である。更なる実施形態では、R
6は、メチルである。
【0058】
一実施形態では、R
1は
【化19】
であり、Xは、O、S、又はCF
2であり、Yは、O又はSであり、R
6は、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、かつOH、OC
1-3アルキル、N(C
1-3アルキル)
2、シクロプロピル、又はテトラヒドロピランによって任意選択的に置換されたC
1-3アルキルであり、R
7は、水素、F、Cl、又はCH
3である。
【0059】
別の実施形態では、R
1は
【化20】
であり、Xは、O、S、又はCF
2であり、R
6は、C
1-3アルキルであり、C
1-3アルキルは、1つ、2つ、又は3つのFで任意選択的に置換され、R
7は、水素、F、Cl、又はCH
3である。
【0060】
一実施形態では、XはOであり、R6はC1-3アルキルであり、R7は水素である。
【0061】
一実施形態では、R
1は、
【化21】
である。更なる実施形態では、XはOであり、R
6はC
1-3アルキルであり、R
7は水素である。
【0062】
一実施形態では、R
1は
【化22】
であり、XはOであり、R
6はC
1-3アルキルであり、R
7は水素である。
【0063】
別の実施形態では、R
1は、
【化23】
であり、Xは、Oであり、R
6は、C
1-3アルキルであり、C
1-3アルキルは、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、R
7は、水素である。
【0064】
一実施形態では、R2は、水素、F、Cl、Br、OSO2C1-3アルキル、又はC1-3アルキルである。
【0065】
更なる実施形態では、R2は、水素、F、Cl、又はC1-3アルキルである。
【0066】
更に更なる実施形態では、R2は、水素、F、又はC1-3アルキルである。
【0067】
一実施形態では、R3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO2C1-3アルキル、CONH2、又はSO2NR4R5であり、R4及びR5は、それらが付着している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成する。
【0068】
更なる実施形態では、R3は、水素、F、Cl、CN、又はSO2C1-3アルキルである。
【0069】
更に更なる実施形態では、R3は、水素、F、又はCNである。
【0070】
一実施形態では、R6は、C1-3アルキルであり、該C1-3アルキルが、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換され、かつOH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピル、及びテトラヒドロピランからなる群から選択される一つの置換基によって任意選択的に置換され、
【0071】
更なる実施形態では、R6は、C1-3アルキルであり、該C1-3アルキルは、1つ、2つ、又は3つのFによって任意選択的に置換される。更に更なる実施形態では、R6は、メチル又はエチルである。更に更なる実施形態では、R6は、メチルである。
【0072】
一実施形態では、R7は、水素、F、Cl、又はCH3である。更なる実施形態では、R7は、水素である。
【0073】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、患者に投与される組成物は、有効量の(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(その国際一般名(INN)ブレンソカチブによって本明細書で言及される)、
【化24】
又はその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0074】
一実施形態では、式(I)の化合物は、
【0075】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0076】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0077】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,7-ジメチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0078】
4’-[(2S)-2-シアノ-2-{[(2S)-1,4-オキサゼパン-2-イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル-3-イルメタンスルホネート、
【0079】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0080】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0081】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(3’,4’-ジフルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0082】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(6-シアノピリジン-3-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0083】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0084】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0085】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0086】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-7-フルオロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0087】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4-{3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル}フェニル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0088】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0089】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0090】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0091】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(シクロプロピルメチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0092】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0093】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0094】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0095】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0096】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(5-シアノチオフェン-2-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0097】
(2S)-N-[(1S)-2-(4’-カルバモイル-3’-フルオロビフェニル-4-イル)-1-シアノエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0098】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-7-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0099】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0100】
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(7-クロロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0101】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0102】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0103】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0104】
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(メチルスルホニル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0105】
(2S)-N-{(1S)-2-[4’-(アゼチジン-1-イルスルホニル)ビフェニル-4-イル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0106】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
【0107】
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、若しくは
【0108】
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
又は前述の化合物のうちの一つの薬学的に許容可能な塩である。
【0109】
式(I)の特定の化合物が、溶媒和形態、例えば、式(I)の化合物の薬学的に許容可能な塩の溶媒和物を含む水和物中に存在し得ることも理解されたい。
【0110】
一実施形態では、本明細書に記載の方法で提供される式(I)の化合物は、水和物である。更なる実施形態では、化合物は、ブレンソカチブの水和物である。
【0111】
一実施形態では、式(I)の化合物は、ラセミ体、ラセミ混合物、単一エナンチオマー、個々のジアステレオマー、又はジアステレオマー混合物である。本開示は、全てのそのような異性体形態、例えば、本明細書に開示されるS,Sジアステレオマー、S,Rジアステレオマー、R,Sジアステレオマー、及びR,Rジアステレオマー、並びに前述のジアステレオマーのうちのいずれか二つ以上の混合物を包含することが理解されるべきである。
【0112】
したがって、一実施形態では、式(I)の化合物は、以下に示される(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(すなわち、ブレンソカチブ)、
【化25】
又はその薬学的に許容可能な塩である。一実施形態では、ブレンソカチブは、水和物である。
【0113】
一実施形態では、式(I)の化合物は、以下に示される(2R)-N-{(1R)-l-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(すなわち、R,R異性体)、
【化26】
又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0114】
一実施形態では、式(I)の化合物は、以下に示される(2S)-N-{(1R)-l-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(すなわち、S,R異性体)、
【化27】
又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0115】
一実施形態では、式(I)の化合物は、以下に示される(2R)-N-{(1S)-l-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(すなわち、R,S異性体)、
【化28】
又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0116】
一実施形態では、組成物は、前述の立体異性体のうちの一つ又は複数の混合物を含む。一実施形態での混合物は、式(I)の化合物のS,S異性体(ブレンソカチブ)とS,R異性体との混合物を含む。別の実施形態では、組成物は、S,S異性体(ブレンソカチブ)とR,S異性体との混合物を含む。更に別の実施形態では、組成物は、S,S異性体(ブレンソカチブ)とR,R異性体との混合物を含む。
【0117】
式(I)のある特定の化合物はまた、連結(例えば、炭素-炭素結合、アミド結合などの炭素-窒素結合)を含有してもよく、結合回転は、その特定の連結について制限される(例えば、環結合又は二重結合の存在から生じる制限)。したがって、本開示が、全てのそのような異性体を包含することを理解されたい。式(I)のある特定の化合物はまた、複数の互変異性型を含有してもよい。本開示が、全てのそのような互変異性型を包含することを理解されたい。立体異性体は、従来の技術、例えばクロマトグラフィー若しくは分別結晶化を使用して分離されてもよく、又は立体異性体は、立体選択的合成によって作製されてもよい。
【0118】
更なる実施形態では、式(I)の化合物は、式(I)の化合物の任意の同位体標識(又は放射標識)誘導体を包含する。そのような誘導体は、一つ又は複数の原子が、自然界で典型的に見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられる、式(I)の化合物の誘導体である。組み込まれ得る放射性核種の例としては、2H(重水素については「D」としても表される)が挙げられる。したがって、一実施形態では、一つ又は複数の水素原子が一つ又は複数の重水素原子によって置き換えられ、重水素化化合物が、本明細書に提供される方法のうちの一つで使用される、式(I)の化合物が提供される。
【0119】
更なる実施形態では、式(I)の化合物は、プロドラッグの形態で投与され、ヒト又は動物の体内で分解されて、最終的に式(I)の化合物を提供する。プロドラッグの例としては、式(I)の化合物のインビボ加水分解性エステルが挙げられる。
【0120】
カルボキシ基又はヒドロキシ基を含有する式(I)の化合物のインビボ加水分解性(又は切断可能)エステルは、例えば、ヒト又は動物の体内で加水分解されて親酸又はアルコールを産生する、薬学的に許容可能なエステルである。エステルプロドラッグ誘導体の例については、例えば、Beaumont et al.(2003).Curr.Drug.Metab.4,461-485(全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0121】
様々な他の形態のプロドラッグが当該技術分野で公知であり、本明細書に提供される方法で使用され得る。プロドラッグ誘導体の例については、例えば、Rautio et al.(2008).Nature Reviews Drug Discovery,7,255-270(全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0122】
式(I)の化合物の用量は、用いられる化合物、投与様式、所望の治療、及び治療されるCRSのタイプ、症状、又は重症度によって変化する。いくつかの実施形態では、対象は、投与期間中、約10mg~約100mg、例えば、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、又は約100mg(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)の一日用量で式(I)の化合物を投与される。いくつかの実施形態では、対象は、約10mg~約65mgの一日用量で式(I)の化合物を投与される。一実施形態では、対象は、約10mgの一日用量で式(I)の化合物を投与される。別の実施形態では、対象は、約40mgの一日用量で式(I)の化合物を投与される。更なる実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブである。
【0123】
いくつかの実施形態では、投与期間中の式(I)の化合物の一日用量が、体重1キログラム当たり0.01マイクログラム(μg/kg)~体重1キログラム当たり100ミリグラム(mg/kg)の範囲内、例えば、約0.05μg/kg、0.1μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、20μg/kg、30μg/kg、40μg/kg、50μg/kg、60μg/kg、70μg/kg、80μg/kg、90μg/kg、100μg/kg、200μg/kg、300μg/kg、400μg/kg、500μg/kg、600μg/kg、700μg/kg、800μg/kg、900μg/kg、1mg/kg、20mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、又は100mg/kg(その間にある全ての値及び部分範囲を含む)である。
【0124】
一実施形態では、有効量の式(I)の化合物を含む組成物は、経口剤形である。更なる実施形態では、式(I)の化合物は、10mg~50mgの剤形、例えば、5mgの剤形、10mgの剤形、15mgの剤形、20mgの剤形、25mgの剤形、30mgの剤形、35mgの剤形、40mgの剤形、45mgの剤形、又は50mgの剤形として投与される。更なる実施形態では、剤形は、10mg、25mg、又は40mgの剤形である。更なる実施形態では、剤形は、一日一回投与される。更なる実施形態では、化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0125】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物はブレンソカチブであり、約1mg~約100mgの範囲内、例えば、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、又は約100mg(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)で医薬組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中のブレンソカチブの量は、約10mg~約40mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、医薬組成物中のブレンソカチブの量は、約25mg~約40mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、医薬組成物中のブレンソカチブの量は、約10mg~約25mgの範囲内である。
【0126】
好ましい一実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブであり、約10mgで医薬組成物中に存在する。更なる実施形態では、医薬組成物は、投与期間の間、対象に一日一回投与される。
【0127】
好ましい別の実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブであり、約25mgで医薬組成物中に存在する。更なる実施形態では、医薬組成物は、投与期間の間、対象に一日一回投与される。
【0128】
好ましい別の実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブであり、約40mgで医薬組成物中に存在する。更なる実施形態では、医薬組成物は、投与期間の間、対象に一日一回投与される。
【0129】
本明細書に提供される方法は、投与期間中、CRSの治療又は予防を必要とする患者への、有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を含む組成物の投与を含む。式(I)の化合物は、ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)活性の阻害剤である。一実施形態では、化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。更なる実施形態では、化合物は、ブレンソカチブである。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される治療方法のうちの一つを受けている対象は、CRSの一つ又は複数の症状を示す。更なる実施形態では、CRSの一つ又は複数の症状は、(a)鼻づまり、(b)鼻閉塞、(c)鼻汁、(d)後鼻漏、(e)顔面圧迫感、(f)顔面痛、(g)顔面膨満感、(h)嗅覚の低減、(i)うつ病、(j)粘膜浮腫、(k)粘液膿性分泌物、(l)中鼻道閉塞、(m)中鼻道自然口ルート及び副鼻腔内の粘膜変化、(n)鼻漏、又は(o)それらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、中鼻道の閉塞は、粘膜閉塞、浮腫性閉塞、又はそれらの組み合わせである。
【0131】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、CRSの一つ又は複数の症状を軽減、重症度を低減、発症を遅延、又は消失させる。更なる実施形態では、CRSの一つ又は複数の症状は、(a)鼻づまり、(b)鼻閉塞、(c)鼻汁、(d)後鼻漏、(e)顔面圧迫感、(f)顔面痛、(g)顔面膨満感、(h)嗅覚の低減、(i)うつ病、(j)粘膜浮腫、(k)粘液膿性分泌物、(l)中鼻道閉塞、(m)中鼻道自然口ルート及び副鼻腔内の粘膜変化、(n)鼻漏、(o)又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、副鼻腔排液を強化する。いくつかの実施形態では、対象によって呈されるCRSの一つ又は複数の症状は、本明細書に記載される、又はCRSに関連することが当該技術分野で公知の任意の症状であってもよい。いくつかの実施形態では、CRSの一つ又は複数の症状は、鼻づまり、嗅覚の低減、鼻漏、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、鼻漏は、前鼻漏である。いくつかの実施形態では、鼻漏は、後鼻漏である。
【0132】
本明細書に提供されるCRSを治療するための方法のいくつかの実施形態では、対象の症状、生活の質、又はその他の特徴は、(i)医薬組成物の投与期間前、(ii)医薬組成物の投与期間中、(iii)医薬組成物の投与期間後、又はそれらの組み合わせで評価される。例えば、一実施形態では、対象の症状、生活の質、又はその他の特徴は、(i)医薬組成物の投与期間前、及び(ii)医薬組成物の投与期間中に評価される。別の実施形態では、対象の症状、生活の質、又はその他の特徴は、(i)医薬組成物の投与期間前、及び(ii)医薬組成物の投与期間後に評価される。
【0133】
投与期間前に対象の症状、生活の質、又はその他の特徴を評価する場合、投与期間の直前に評価を行うことができる。本明細書で使用される場合、「投与期間の直前」は、式(I)の化合物を含む医薬組成物の対象への初回投与の0~24時間前を指す。一実施形態では、投与期間前に対象の症状、生活の質、又はその他の特徴を評価する場合、評価は、投与期間の1~14日前、投与期間の1~13日前、投与期間の1~12日前、投与期間の1~11日前、投与期間の1~10日前、投与期間の1~9日前、投与期間の1~8日前、投与期間の1~7日前、投与期間の1~6日前、投与期間の1~5日前、投与期間の1~4日前、投与期間の1~3日前、又は投与期間の1~2日前に実施される。更に別の実施形態では、投与期間前に対象の症状、生活の質、又はその他の特徴を評価する場合、評価は、投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前に実施される。
【0134】
一実施形態では、対象の症状、生活の質、又はその他の特徴の評価は、二回以上、例えば、(i)投与期間前に二回以上、(ii)投与期間中に二回以上、及び/又は(iii)投与期間後に二回以上実施される。これらの実施形態では、二つ以上の評価の平均出力を使用して、対象の症状、生活の質、又はその他の特徴を決定する。例えば、評価は、二日以上連続して、例えば、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、又は10日間連続して行われ得る。別の実施形態では、評価は二回以上、隔日、又は三日毎に実施される。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療するための方法は、CRSの二つ以上の症状の複合重症度スコアを低減することを含む。本明細書で使用される場合、「複合重症度スコア」は、対象が呈するCRSの症状の定量的スケールである。一実施形態では、複合重症度スコアは、対象によって示される全ての日常症状の合計である。一実施形態では、複合重症度スコアは、鼻づまり、前鼻漏及び/又は後鼻漏、並びに嗅覚の喪失の症状に基づく0~9点スコアである。例えば、Bachert et al.(2019).Lancet 394,1638-1650、特にp.1641右列及び表2を参照されたい。いくつかの実施形態では、複合重症度スコアは、投与期間前に測定された複合重症度スコアと比較して、投与期間中又は投与後に低減される。
【0136】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与期間中又は投与期間後の対象の複合重症度スコアは、投与期間前(例えば、投与期間の直前)の対象の複合重症度スコアよりも低い。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象の複合重症度スコアは、投与期間前、例えば、投与期間1日前、2日前、3日前、4日前、5日前、又は複数の日の平均の対象の複合重症度スコアよりも、少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低い。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与期間中又は投与期間後の対象の複合重症度スコアは、投与期間前の対象の複合重症度スコアよりも、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、又は約9点低い。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。別の実施形態では、対象は難治性CRS患者、例えば難治性CRSsNP患者である。
【0137】
一実施形態では、投与期間前、又は投与期間中/投与期間後の対象の複合重症度スコアは、対象の平均複合重症度スコアであり、二日以上連続して、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間連続して取得され、複合重症度スコアは、これらの測定値の平均、すなわち、一日平均複合重症度スコアとして計算される。一実施形態では、投与期間前、又は投与期間中/投与期間後の複合重症度スコアを評価するために、複合重症度スコアは、二日以上、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間毎日評価され、複合重症度スコアは、対応する期間におけるこれらの測定値の平均値、すなわち、投与期間前、又は投与期間中/投与期間後の一日平均複合重症度スコアとして計算される。
【0138】
CRSを治療するための方法の一実施形態では、治療は、CRSの二つ以上の症状の複合重症度スコアを低減することを含み、複合重症度スコアは、副鼻腔総症状スコア(sTSS)である。一実施形態では、sTSSは、CRSsNPを有する患者の兆候及び症状を反映し、明確に定義され、信頼できる患者報告鼻症状スコアとみなされる。一実施形態では、sTSSは、過去24時間にわたる以下の項目から導出される:鼻づまり、前鼻漏及び/又は後鼻漏、並びに顔面痛/圧迫感。一実施形態では、sTSSに含まれる各症状の重症度は、例えば、電子装置において、対象によって毎日スコア付けされる。一実施形態では、評価は、午前(AM)に実施される。一実施形態では、治療前(すなわち、投与期間前)に、対象は5以上のsTSSを有する。
【0139】
一実施形態では、sTSSを評価するために、対象は、0~3のカテゴリースケール(0=症状なし、1=軽度の症状、2=中等度の症状、及び3=重度の症状)を使用して、過去24時間にわたって以下の症状を評価する:(i)つまり及び/又は閉塞;(ii)前鼻漏/後鼻漏(鼻水);(iii)顔面痛/圧迫感。Fokkens et al.,(2020).Rhinology 58(2),82-111を参照されたい。その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
一実施形態では、sTSSを評価するとき、投与期間前に、対象は、投与期間直前の二日以上、例えば、投与期間直前の2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間、sTSSを毎日自己評価し、sTSSは、これらの測定値の平均として計算される。更なる実施形態では、sTSSを評価するとき、投与期間前に、対象は、投与期間直前の二日以上連続して、例えば、投与期間直前の2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間連続して、sTSSを毎日自己評価し、sTSSは、これらの測定値の平均として計算される。別の実施形態では、一日一回sTSS評価が、例えば、投与期間直前の1日、2日、又は3日前に実施され、一回のスコアが、投与期間直前の一日sTSSとして使用される。一実施形態では、投与期間中又は投与後のsTSSを評価するために、対象は、sTSSを二日以上、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間毎日自己評価し、sTSSは、これらの測定値の平均、すなわち、投与期間中又は投与後の平均一日sTSSとして計算される。更なる実施形態では、投与期間中又は投与後のsTSSを評価するために、対象は、sTSSを二日以上連続して、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間連続して毎日自己評価し、sTSSは、これらの測定値の平均として計算される。別の実施形態では、一日一回sTSS評価が実施され、一回のスコアが、投与期間中又は投与期間後の一日sTSSスコアとして使用される。
【0141】
一実施形態では、本明細書に開示されるCRSを治療するための方法は、CRSsNP対象の一日又は一日平均のsTSSを、投与期間前の対象のsTSSと比較して、投与期間中又は投与期間後に低減することを含む。一実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。別の実施形態では、対象は以前に鼻手術を受けたCRSsNP患者である。別の実施形態では、対象は以前に鼻手術を受けていないCRSsNP患者である。別の実施形態では、対象は、投与期間前に5以上のsTSS(鼻づまり、前鼻漏/後鼻漏、顔面痛/圧迫感を含む)を有するCRSsNP患者である。
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるCRSを治療するための方法は、対象のsTSSを、投与期間前の対象のsTSSと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低下させることを含む。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象のsTSSは、医薬組成物の投与前(すなわち、投与期間前)の対象のsTSSよりも、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、又は約9点低い。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。別の実施形態では、対象は難治性CRS患者、例えば難治性CRSsNP患者である。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療するための方法は、対象の鼻づまりスコア(NCS)を、投与期間前の対象のNCSと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。一実施形態では、投与期間前にNCSを評価するとき、対象は、二日以上、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間、NCSを毎日自己評価し、NCSは、これらの測定値の平均として計算される。更なる実施形態では、投与期間前にNCSを評価するとき、対象は、二日以上連続して、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間連続して、NCSを毎日自己評価し、NCSは、これらの測定値の平均として計算される。別の実施形態では、一日一回NCS評価が実施され、一回のスコアが、投与期間前の一日NCSスコアとして使用される。一実施形態では、投与期間中又は投与期間後にNCSを評価するために、対象は、二日以上、例えば、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間、NCSを毎日自己評価し、NCSは、これらの測定値の平均として計算される。更なる実施形態では、対象は、二日以上連続して、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間連続して、NCSを毎日自己評価し、NCSは、これらの測定値の平均として計算される。別の実施形態では、一日一回NCS評価が投与期間中又は投与期間後に実施され、一回のスコアが、投与期間中又は投与期間後の一日NCSスコアとして使用される。
【0144】
一実施形態では、NCSは、24時間の期間(すなわち、一日NCS)にわたる鼻づまり/閉塞重症度スコアである。更なる実施形態では、NCSは、対象によって評価される一日副鼻腔総症状スコア(sTSS)の一部である。NCSスコアは、一実施形態では、以下のスケールで評価される:
0(=症状なし)、
1(=軽度の症状(症状は明らかに存在するが、自覚症状はほとんどなく、容易に耐えられる))、
2(=中等度の症状(煩わしいが耐えられる程度の明確な自覚症状))、及び
3(=重度の症状(耐え難く、活動又は日常生活に支障をきたす症状))。
【0145】
一実施形態では、NCSは、一日NCSとして評価される。別の実施形態では、NCSは、例えば、2日以上、例えば、2日以上連続した日数の期間、一日平均NCSとして評価される。
【0146】
一実施形態では、対象は、ベースラインNCSが2以上あるCRSsNP患者である(すなわち、投与期間前の対象のNCSは2以上である)。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象のNCSを、投与期間前の対象のNCSと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低下させることを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与期間中又は投与期間後の対象のNCSは、投与期間前の対象のNCSよりも約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、又は約3点低い。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。別の実施形態では、対象は難治性CRS患者、例えば難治性CRSsNP患者である。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療する方法は、対象の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを、投与期間前の対象の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。一実施形態では、投与期間前の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを評価するとき、対象は、2日以上、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間、毎日前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを自己評価し、前鼻漏/後鼻漏重症度スコアは、これらの測定値の平均、すなわち、投与期間前の一日平均前鼻漏/後鼻漏重症度スコアとして計算される。更なる実施形態では、一日平均前鼻漏/後鼻漏重症度スコアは、2日以上連続して取得されたスコアの平均である。別の実施形態では、一日一回前鼻漏/後鼻漏重症度スコア評価が実施され、一回のスコアが、投与期間前の一日の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアとして使用される。一実施形態では、投与期間中又は投与期間後の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを評価するために、対象は、2日以上、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間、毎日前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを自己評価し、前鼻漏/後鼻漏重症度スコアは、これらの測定値の平均、すなわち、投与期間中又は投与期間後の一日平均前鼻漏/後鼻漏重症度スコアとして計算される。更なる実施形態では、一日平均前鼻漏/後鼻漏重症度スコアは、2日以上連続して取得されたスコアの平均である。別の実施形態では、一日一回前鼻漏/後鼻漏重症度スコア評価が実施され、一回のスコアが、投与期間中又は投与期間後の一日の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアとして使用される。
【0148】
一実施形態では、評価される前鼻漏/後鼻漏重症度スコアは、一日の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアである。別の実施形態では、評価される前鼻漏/後鼻漏重症度スコアは、一日平均の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアである。一実施形態では、対象はCRSsNP患者である。
【0149】
一実施形態では、前鼻漏/後鼻漏重症度スコアは、sTSSスコアの構成要素である。一実施形態では、前鼻漏/後鼻漏重症度スコアがsTSSスコアの構成要素であるかどうかにかかわらず、前者は以下のように評価される。
0(=症状なし)、
1(=軽度の症状(症状は明らかに存在するが、自覚症状はほとんどなく、容易に耐えられる))、
2(=中等度の症状(煩わしいが耐えられる程度の明確な自覚症状))、及び
3(=重度の症状(耐え難く、活動又は日常生活に支障をきたす症状))。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアを、投与期間前の対象の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低下させることを含む。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアは、投与期間前の対象の前鼻漏/後鼻漏重症度スコアよりも約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、又は約3点低い。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。別の実施形態では、対象は難治性CRS患者、例えば難治性CRSsNP患者である。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療する方法は、対象の顔面痛/圧迫感重症度スコアを、投与期間前の対象の顔面痛/圧迫感重症度スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。一実施形態では、投与期間前に顔面痛/圧迫感重症度スコアを評価するとき、対象は、二日以上、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間、毎日顔面痛/圧迫感重症度スコアを自己評価し、顔面痛/圧迫感重症度スコアは、これらの測定値の平均、すなわち、投与期間前の一日平均顔面痛/圧迫感重症度スコアとして計算される。更なる実施形態では、一日平均顔面痛/圧迫感重症度スコアは、2日以上連続して取得されたスコアの平均である。別の実施形態では、一日一回顔面痛/圧迫感重症度スコア評価が実施され、一回のスコアが、投与期間前の一日顔面痛/圧迫感重症度スコアとして使用される。一実施形態では、投与期間中又は投与期間後に顔面痛/圧迫感重症度スコアを評価するために、対象は、二日以上、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10日間、毎日顔面痛/圧迫感重症度スコアを自己評価し、顔面痛/圧迫感重症度スコアは、これらの測定値の平均、すなわち、投与期間中又は投与期間後の一日平均顔面痛/圧迫感重症度スコアとして計算される。更なる実施形態では、一日平均顔面痛/圧迫感重症度スコアは、2日以上連続して取得されたスコアの平均である。別の実施形態では、一日一回顔面痛/圧迫感重症度スコア評価が実施され、一回のスコアが、投与期間中又は投与期間後の一日顔面痛/圧迫感重症度スコアとして使用される。一実施形態では、評価される顔面痛/圧迫感重症度スコアは、一日顔面痛/圧迫感重症度スコア、すなわち、過去24時間にわたる顔面痛/圧迫感重症度に基づいて評価されるスコアである。別の実施形態では、評価される顔面痛/圧迫感重症度スコアは、一日平均顔面痛/圧迫感重症度スコアである。一実施形態では、対象はCRSsNP患者である。
【0152】
一実施形態では、顔面痛/圧迫感重症度スコアは、sTSSスコアの一部である。一実施形態では、顔面痛/圧迫感重症度スコアは、以下のように評価される。
0(=症状なし)、
1(=軽度の症状(症状は明らかに存在するが、自覚症状はほとんどなく、容易に耐えられる))、
2(=中等度の症状(煩わしいが耐えられる程度の明確な自覚症状))、及び
3(=重度の症状(耐え難く、活動又は日常生活に支障をきたす症状))。
【0153】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象の顔面痛/圧迫感重症度スコアを、投与期間前の対象の顔面痛/圧迫感重症度スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低下させることを含む。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象の顔面痛/圧迫感重症度スコアは、投与期間前の対象の顔面痛/圧迫感重症度スコアよりも約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、又は約3点低い。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。別の実施形態では、対象は難治性CRS患者、例えば難治性CRSsNP患者である。
【0154】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療する方法は、対象のLund-Mackay(LMK)スコアを、投与期間前の対象のLund-Mackay(LMK)スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0155】
LMK合計スコアは、対象の各副鼻腔領域に対するコンピュータ断層撮影(CT)スキャン所見の評価に基づく。不透明化の程度は、0(正常)、1(部分的不透明化)~2(完全不透明化)の間で評価される。次いで、これらの点は、各側の上顎洞、前篩骨洞、後篩骨洞、蝶形骨洞、及び前頭洞に適用され得る。中鼻道自然口ルートはまた、LMKスコアにおいて、0(閉塞なし)又は2(閉塞あり)として評価され得る。したがって、次に、側方当たり12の最大スコアが、24の総スコアについて導出される(Lund and Mackay(1993).Rhinology 31,183-184を参照のこと。その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0156】
いくつかの実施形態では、CTスキャンは、対象の副鼻腔、対象の中鼻道自然口ルートの一方若しくは両方、又はそれらの組み合わせのものである。いくつかの実施形態では、CTスキャンは、対象の右中鼻道自然口ルート、対象の左中鼻道自然口ルート、又はそれらの組み合わせのものである。いくつかの実施形態では、CTスキャンは、(a)右前頭洞、(b)左前頭洞、(c)右前篩骨洞、(d)左前篩骨洞、(e)右後篩骨洞、(f)左後篩骨洞、(g)右上顎洞、(h)左上顎洞、(i)対象の右蝶形骨洞、(j)対象の左蝶形骨洞、又は(k)それらの組み合わせのうちの一つ又は複数のものである。
【0157】
いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のLMKスコアは、CRSを有していない対象のLMKスコアよりも大きい。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与期間前の対象のLund-Mackayスコアは、4以上である。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与期間前の、治療を必要とする対象のLund-Mackayスコアは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24である。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療するための方法は、対象のLund-Mackay(LMK)スコアを、投与期間前の対象のLMKスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。更なる実施形態では、治療することは、LMKスコアを4未満に減少させることを含む。いくつかの実施形態では、治療することは、投与期間中又は投与期間後の対象のLMKスコアを0、1、2、又は3に減少させることを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象のLMKスコアを、投与期間前、例えば、投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前の対象のLMKスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低下させることを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、投与期間中又は投与期間後に対象のLMKスコアを1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24減少させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0159】
CTスキャンは、副鼻腔粘膜の変化を評価するのに有用である。CT上の粘膜肥厚は現在、CRSの客観的診断基準とみなされる。CT画像から疾患体積の割合を決定する3次元評価は、CT画像上の疾患の重症度について得ることができる最も包括的かつ正確な情報である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療する方法は、CTスキャン容積測定によって測定される対象の副鼻腔混濁の割合を、投与期間前の対象の副鼻腔混濁の割合と比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前、例えば、投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0160】
いくつかの実施形態では、CRSの一つ又は複数の症状は、鼻鏡検査によって対象において評価される。一実施形態では、対象の鼻鏡検査により、(i)鼻の乾燥、(ii)乾燥した鼻粘液、(iii)フィブリン沈着、(iv)鼻閉塞、又は(v)それらの任意の組み合わせのうちの一つ又は複数を明らかにすることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療する方法は、対象の鼻鏡検査合計スコアを、投与期間前、例えば、投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前の対象の鼻鏡検査合計スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。本明細書で使用される場合、「鼻鏡検査合計スコア」は、(i)鼻の乾燥、(ii)乾燥した鼻粘液、(iii)フィブリン沈着、及び(iv)鼻閉塞に基づいて、客観的に記録された臨床内視鏡所見から達成される合計スコアを指す。鼻鏡検査の粘膜所見に関する全ての変数を、以下のように4点スケールを使用して評価する:なし=0、軽度=1、中等度=2、及び重度=3。鼻鏡検査合計スコアの更なる詳細は、Gouteva et al.(2014).J Allergy(Cairo).2014,635490に提供されている。その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象に対して鼻鏡検査を実施することを含み、鼻鏡検査は、(I)投与期間前、及び(ii)投与期間中又は投与期間後の両方で実施される。
【0161】
いくつかの実施形態では、投与期間前の対象の鼻鏡検査合計スコアは、CRSを有していない対照対象のそれよりも大きい。いくつかの実施形態では、投与期間前、例えば、投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前の対象の鼻鏡検査合計スコアは、1よりも大きい。例えば、いくつかの実施形態では、投与期間前、例えば、投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前の対象の鼻鏡検査合計スコアは、2又は3である。
【0162】
いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象の鼻鏡検査合計スコアは、1以上である。更なる実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象の鼻鏡検査合計スコアは、0又は1である。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRS治療方法は、対象の副鼻腔転帰試験-22(SNOT-22)スコアを、投与期間前、例えば、投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前の対象のSNOT-22スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。「Snot-22」は、鼻ポリープの有無に関わらず、CRSで使用するために開発された患者報告式の転帰測定法であり、5カテゴリースケールで22の個別の質問を含む。質問は、身体的問題、機能的制限、及び感情的影響など、健康及び健康関連の生活の質に関する幅広い問題を対象としている。SNOT-22スコアの範囲は0~110であり、臨床的に重要な最小差(MCID)は8.9点以上である。スコアが低いと、影響が小さく、生活の質が良好であることを示す。SNOT-22スコアを報告する対象の想起期間は、過去2週間である。SNOT-22の22の個別の質問は、五(5)つのドメインにグループ化され、鼻、耳、睡眠、一般/実用、及び感情ドメインを含む。SNOT-22の更なる詳細は、Hopkins,et al.(2009).Clin.Otolaryngol.34,447-454,and Kennedy et al.(2013).Ann Allergy Asthma Immunol.111(4),246-251に提供されており、その各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0164】
いくつかの実施形態では、CRSを治療するための方法は、対象のSNOT-22スコアを、投与期間前の対象のSNOT-22スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に8点以上、9点以上、又は10点以上低減することを含む。一実施形態では、SNOT-22スコアは、治療方法を受ける直前に測定される。別の実施形態では、SNOT-22スコアは、投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前に測定される。
【0165】
いくつかの実施形態では、CRSを治療するための方法は、対象のSNOT-22スコアを、投与期間前の対象のSNOT-22スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に約8~約40点、約8~約30点、約8~約20点、約8~約18点、約8~約16点、又は約8~約14点低減することを含む。いくつかの実施形態では、CRSを治療するための方法は、対象のSNOT-22スコアを、投与期間前の対象のSNOT-22スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に約9~約40点、約9~約30点、約9~約20点、約9~約18点、約9~約16点、又は約9~約14点低減することを含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のSNOT-22スコアは、CRSを有していない対照対象のそれよりも大きい。いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のSNOT-22スコアは、30以上である。例えば、いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のSNOT-22スコアは、約30~約110、約30~約100、約30~約90、約30~約80、約30~約70、約30~約60、又は約30~約50である。別の実施形態では、対象のSNOT-22スコアは、約40~約110、約40~約100、約40~約90、約40~約80、約40~約70、又は約40~約60である。更に別の実施形態では、投与期間前の対象のSNOT-22スコアは、約50~約110、約60~約110、約70~約110、約80~約110、又は約90~約110である。
【0167】
いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のSNOT-22スコアは、CRSを有していない対照対象のそれよりも大きい。いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のSNOT-22スコアは、30以上である。例えば、いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のSNOT-22スコアは、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、又は110である。いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のSNOT-22スコアは、20以上である。
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療するための方法は、対象のSNOT-22スコアを、投与期間前の対象のSNOT-22スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低下させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療するための方法は、投与期間中又は投与期間後に対象のSNOT-22スコアを少なくとも約10%低下させることを含む。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象のSNOT-22スコアは、30未満である。例えば、いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象のSNOT-22スコアは、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0である。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象のSNOT-22スコアは、20未満である。CRSの治療が対象のSNOT-22スコアを低下させることを含む一実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療する方法は、対象の視覚的アナログスケール(VAS)スコアを、投与期間前の対象のVASスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に減少させることを含む。一実施形態では、対象は、例えば、治療方法の直前、又は投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前など、投与期間前に5以上のVASスコアを有する。別の実施形態では、対象はCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0171】
VASは、CRSを有する成人における使用について検証され、疾患の総重症度を評価する。Fokkens et al.,(2012).Rhinol Suppl.;50(23),1-298に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。参加者には、「鼻副鼻腔炎の症状はどの程度煩わしいですか?」という質問に答えてもらう。VASは、0(煩わしくない)から10(思いつく限り最も煩わしい)までランク付けされる。VASスケールを使用して、疾患の重症度(軽度、中等度、又は重度)を決定することができる。5未満のVASスコアは、生活の質に影響を及ぼすとみなされ(すなわち、制御不能な症状)、2超~5以下のVASスコアは、部分的に制御された症状とみなされ、2未満は、良好に制御された症状とみなされる。Mullol et al.(2022).J Allergy Clin Immunol Pract.10(6),1434-1453に記載され、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。総重症度に基づいて、VASスコアは以下の通りである。
【0172】
軽度=VAS 0~3
【0173】
中等度=VAS 3超~7
【0174】
重度=VAS 7超~10
【0175】
一実施形態では、VASスコアを使用して、過去24時間にわたる対象の症状を評価する。更なる実施形態では、VASは、対象によって自己投与される。更なる実施形態では、VASは、電子的に自己投与される。
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療するための方法は、対象のVASスコアを、投与期間前、例えば、治療方法の直前、又は投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前の対象のVASスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低下させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0177】
一実施形態では、CRSを治療するための方法は、対象のVASスコアを重度のスコアから中等度のスコアに低減することを含む。別の実施形態では、CRSを治療するための方法は、対象のVASスコアを重度のスコアから軽度のスコアに低減することを含む。更に別の実施形態では、CRSを治療するための方法は、対象のVASスコアを中等度のスコアから軽度のスコアに低減することを含む。
【0178】
一実施形態では、投与期間前、対象のVASスコアは5以上である。
【0179】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象のピーク鼻吸気流量(PNIF)を、投与期間前の対象のPNIFと比較して、投与期間中又は投与期間後に増加させることを含む。PNIFは、毎分リットルで表される強制吸気中の両方の鼻腔を通る空気流を測定することによる鼻腔閉塞の評価である。PNIFは、鼻を通る鼻流を評価するための十分に検証された技術である(Scadding et al.(2011)。Clin Transl Allergy 1:2、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。一実施形態では、PNIFは、インチェック携帯型鼻吸気流量計を使用して測定される。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0180】
一実施形態では、一日以内に三つのPNIF読み取り値を取得し、最も高い読み取り値を評価に使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象のPNIFを、投与期間前の対象のPNIFと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)増加させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0181】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象の患者全般重症度印象(PGI-S)スコア又は患者全般変化印象(PGI-C)スコアを、投与期間前の対象のそれぞれのスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に改善させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。PGI-S及びPGI-Cは両方とも、CRSの重症度を参加者に評価するように求める、バランスの取れたリッカートスケールを使用した1項目の質問票である。具体的には、PGI-Sは、単一状態の5点カテゴリースケールを使用し、スコアが高いほど、CRSが重度であることを示す。PGI-Cは、特定の時点で、移行7点カテゴリースケールを介した治療に応答したCRS状態の知覚される変化を評価するために使用される。PGI-Cの場合、スコアの減少はCRSの改善を示し、スコアの増加はCRSの悪化を示す。
【0182】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象のPGI-Sスコア又はPGI-Cスコアを、投与期間前の対象のPGI-Sスコア又はPGI-Cスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)改善させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象のPGI-Sスコアを、投与期間前の対象のPGI-Sスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、又は約4.5点改善させることを含む。一実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象のPGI-Sスコアを、投与期間前の対象のPGI-Sスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、約0.5~約4.5点、約1~約4.5点、約1.5~約4.5点、約2~約4.5点、約2.5~約4.5点、約3~約4.5点、約0.5~約4点、約0.5~約3.5点、約0.5~約3点、約0.5~約2.5点、約0.5~約2点、約1~約4点、約1~約3.5点、約1.5~約3点、約1.5~約2.5点、約1.5~約2点改善させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0184】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象のPGI-Cスコアを、投与期間前の対象のPGI-Cスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、又は約6.5点改善させることを含む。一実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象のPGI-Cスコアを、投与期間前の対象のPGI-Cスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、約0.5~約6.5点、約1~約6.5点、約1.5~約6.5点、約2~約6.5点、約2.5~約6.5点、約3~約6.5点、約3.5~約6.5点、約4~約6.5点、約4.5~約6.5点、約5~約6.5点、約0.5~約6点、約0.5~約5.5点、約0.5~約5点、約0.5~約4.5点、約0.5~約4点、約1~約6.5、約1.5~約6、約2~約5.5、約2.5~約5、約3~約4.5点改善させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0185】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、対象の全身性コルチコステロイド、抗生物質、又は鼻手術によるレスキューの最初の使用までの期間を、対照対象と比較して延長することを含み、対照対象はCRSを有し、医薬組成物を投与されない。更なる実施形態では、対象及び対照対象はそれぞれ、CRSsNP患者、例えば難治性CRSsNP患者である。一実施形態では、レスキューの最初の使用までの期間は、約1日、約3日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、又は約6週間増加する。別の実施形態では、レスキューの最初の使用までの期間は、少なくとも約1日、少なくとも約3日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、又は少なくとも約6週間増加する。別の実施形態では、レスキューの最初の使用までの期間は約20日~約100日、約30日~約100日、約20日~約75日、約20日~約50日、又は約20日~約40日増加する。別の実施形態では、レスキューの最初の使用までの期間は、少なくとも1か月、例えば、約1か月~約6か月、約1か月~約4か月、又は約1か月~約3か月増加する。
【0186】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療する方法は、CRS症状の悪化による対象の全身性コルチコステロイド、抗生物質、若しくは鼻手術によるレスキューの頻度を、対照対象と比較して減少させることを含み、対照対象はCRSを有し、医薬組成物を投与されない。更なる実施形態では、対象及び対照対象はそれぞれ、CRSsNP患者、例えば難治性CRSsNP患者である。一実施形態では、レスキューの頻度は、約1週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、約12か月、約15か月、約18か月、約21か月、又は約24か月の期間にわたって計算される。一実施形態では、対象のレスキューの頻度は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、又は約50%低減される。別の実施形態では、対象のレスキューの頻度は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、又は少なくとも約50%低減される。
【0187】
いくつかの実施形態では、方法は、対象のペンシルバニア大学嗅覚識別試験(UPSIT)スコアを、投与期間前、例えば、治療方法直前、又は投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前の対象のUPSITスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に増加させることを含む。「UPSIT」は、個人の嗅覚システムの嗅覚識別機能を評価するための市販の試験である。UPSITスコアの理論範囲は、0~40の範囲に収まる。更なる詳細は、Doty et al.(1989).Perception&Psychophysics 45,381-384 and Saltagi et al.(2021).Allergy&Rhinology,12,1-17に提供されており、その各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0188】
いくつかの実施形態では、CRSを治療する方法は、対象のUPSITスコアを、投与期間前の対象のUPSITスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に増加させることを含む。いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のUPSITスコアは、33未満である。一実施形態では、投与期間前の対象のUPSITスコアは、18未満である。いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のUPSITスコアは、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0である。
【0189】
いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象のUPSITスコアは、投与期間前の対象のUPSITスコアよりも大きい。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象のUPSITスコアは、33超である。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象のUPSITスコアは、18超である。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象のUPSITスコアは、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、投与期間中又は投与期間後に対象のUPSITスコアを、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40増加させることを含む。別の実施形態では、本明細書に提供される方法は、投与期間中又は投与期間後に対象のUPSITスコアを、約1~約40、約1~約30、約1~約20、約2~約30、約2~約20、約5~約40、約5~約30、約5~約20、又は約5~約10増加させることを含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、方法は、対象のUPSITスコアを、投与期間前、例えば、治療方法の直前、又は投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前の対象のUPSITスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低下させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。別の実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0191】
いくつかの実施形態では、方法は、対象のUPSITスコアを、投与期間前、例えば、治療方法の直前、又は投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前の対象のUPSITスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2倍、例えば、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、又は約40倍(その間の全ての値及び部分範囲を含む)増加させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。別の実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0192】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるCRSを治療するための方法は、例えば、修正版Lund-Kennedy(MLK)内視鏡スコアリングシステムを介して、対象の副鼻腔内視鏡スコアを決定することを含む。本明細書で使用される場合、「MLK」内視鏡スコアリングシステムは、Psaltis et al.(2014)The Laryngoscope 124,2216-2223に記載され、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。MLK内視鏡スコアリングシステムの理論範囲は、0~12である。
【0193】
それを必要とする対象においてCRSを治療する方法の一実施形態は、対象のMLK内視鏡スコアを、投与期間前、例えば、治療方法の直前又は投与期間の1、2、3、4、5、6、又は7日前の対象のMLK内視鏡スコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に低下させることを含む。いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のMLKスコアは、4以上である。例えば、いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のMLKスコアは、5、6、7、8、9、10、11、又は12である。別の実施形態では、投与期間前の対象のMLKスコアは、約5~約12、約6~約12、約7~約12、約8~約12、又は約10~約12である。いくつかの実施形態では、投与期間前の対象のMLKスコアは、CRSを有していない対照対象のそれよりも高い。
【0194】
いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象の副鼻腔内視鏡のMLKスコアは、4未満である。例えば、いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象の副鼻腔内視鏡のMLKスコアは、3、2、1又は0である。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象のMLKスコアは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12減少する。別の実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象のMLKスコアは、約1~約12、約2~約12、約3~約12、約4~約12、約5~約12、約6~約12、約7~約12、約8~約12、又は約9~約12減少する。更に別の実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象のMLKスコアは、1~約12、約2~約11、約3~約10、約4~約9減少する。
【0195】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象においてCRSを治療するための方法は、対象のMLKスコアを、投与期間前の対象のMLKスコアと比較して、投与期間中又は投与期間後に、少なくとも約2%、例えば、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)減少させることを含む。更なる実施形態では、対象はCRSsNP患者である。更なる実施形態では、対象は、投与期間前に好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNP患者である。一実施形態では、対象は難治性CRSsNP患者である。
【0196】
いくつかの実施形態では、投与期間前の対象から得られた生体サンプル中の好中球数は、CRSを有していない対照対象から得られた生体サンプル中の好中球数よりも多い。いくつかの実施形態では、投与期間前に対象から得られた生体サンプル中の好中球数は、CRSを有していない対照対象から得られた生体サンプル中の好中球数より少なくとも約1.2倍、例えば、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、又は約30倍(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)多い。いくつかの実施形態では、投与期間前に対象から得られた生体サンプル中の好中球数は、CRSを有していない対照対象から得られた生体サンプル中の好中球数より少なくとも約2%、例えば、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、又は約1000%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)多い。
【0197】
いくつかの実施形態では、投与期間前の対象から得られた生体サンプル中の細胞間接着分子1(ICAM1)のレベルは、CRSを有していない対照対象と比較して大きい。いくつかの実施形態では、投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のICAM1のレベルは、CRSを有していない対照対象から得られた生体サンプル中のICAM1のレベルより少なくとも約1.2倍、例えば、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、又は約30倍(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)大きい。いくつかの実施形態では、投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のICAM1のレベルは、CRSを有していない対照対象から得られた生体サンプル中のICAM1のレベルより少なくとも約2%、例えば、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、又は約1000%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)大きい。
【0198】
いくつかの実施形態では、一つ又は複数の遺伝子の発現は、CRSを有していない対照対象から得られた組織における一つ又は複数の遺伝子の発現と比較して、投与期間前の対象の組織において変化する。いくつかの実施形態では、一つ又は複数の遺伝子の発現は、CRSを有していない対照対象と比較して、投与期間前の対象の組織において増加する。いくつかの実施形態では、投与期間前に対象から得られた組織における一つ又は複数の遺伝子の発現は、CRSを有していない対照対象から得られた組織における一つ又は複数の発現と比較して、少なくとも約1.2倍、例えば、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、又は約30倍(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)高い。
【0199】
いくつかの実施形態では、投与期間前に対象から得られた組織における一つ又は複数の遺伝子の発現は、CRSを有していない対照対象から得られた組織における一つ又は複数の遺伝子の発現と比較して、少なくとも約2%、例えば、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、又は約1000%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)高い。
【0200】
いくつかの実施形態では、一つ又は複数の遺伝子の発現は、CRSを有していない対照対象と比較して、投与期間前の対象の組織において減少する。いくつかの実施形態では、投与期間前に対象から得られた組織における一つ又は複数の遺伝子の発現は、CRSを有していない対照対象から得られた組織における一つ又は複数の遺伝子の発現より、少なくとも約2%、例えば、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)少ない。
【0201】
いくつかの実施形態では、組織は副鼻腔組織である。いくつかの実施形態では、一つ又は複数の遺伝子は、T-bet、GATA結合タンパク質3(GATA-3)、RAR関連オーファン受容体C、IFN-γ、インターロイキン(IL)-5、IL-17A、IL-22、IL-23、IL-8、TLR-2、及びIL-10からなる群から選択されるタンパク質をコードする。
【0202】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象は、CRSを発症するリスクがある。したがって、治療を必要とする対象がCRSを発症するリスクがある場合、本明細書に提供される方法は、予防的とみなされ得る。いくつかの実施形態では、CRSを発症するリスクがある対象は、以下の状態のうちの一つ又は複数を有するか、又は有していた。急性鼻副鼻腔炎、ウイルス性気道感染症、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、喘息、気管支炎、肺炎、胃食道逆流症、アデノ扁桃炎、睡眠時無呼吸症候群、中耳炎、アレルギー性又は非アレルギー性上気道疾患、アレルギー性又は非アレルギー性下気道疾患、上皮細胞障害、分類不能免疫不全症、HIV感染症、嚢胞性線維症(CF)、線毛機能不全症、多発性血管炎を伴う肉芽腫症、サルコイドーシス、及び慢性閉塞性肺疾患。
【0203】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象は、たばこの煙に繰り返し曝露されているか、又は曝露されていた。本明細書で使用される場合、タバコの煙への「反復曝露」は、タバコの煙を吸入することによる一つ又は複数の有害作用と関連する、これを結果的に生じる、又はこれを発症するリスクを増加させるのに十分に頻繁である曝露に関する。たばこの煙を吸入する非限定的な有害作用は、癌(例えば、肺癌)、冠動脈心疾患、呼吸器感染症、脳卒中、肺疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、慢性気管支炎、結核、眼疾患、免疫機能不全、及び関節リウマチである。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも月に一回、例えば、少なくとも二週間に一回、少なくとも一週間に一回、少なくとも一日おきに、少なくとも毎日、又は一日数回、たばこの煙に曝露される。いくつかの実施形態では、対象は、紙巻たばこなどのたばこ含有製品の能動的喫煙者である。いくつかの実施形態では、対象はたばこの煙に受動的に曝露される。
【0204】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象は、Ring1A及びYY1結合タンパク質(RYBP)、アシルオキシアシルヒドロラーゼ(AOAH)、IL-1受容体関連キナーゼ4、IL-1受容体様1、Toll様受容体(TLR)-2、TLR-1、TLR-5、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)、及び形質転換成長因子ベータ-1からなる群から選択されるタンパク質をコードする遺伝子に一つ又は複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、一つ又は複数の変異は、一塩基多型である。いくつかの実施形態では、一塩基多型は、AOAHをコードする遺伝子ではrs4504543、又はRYBPをコードする遺伝子ではrs4532099である。CRSに関連する変異及びリスク因子に関する更なる詳細は、Cho et al.,J Allergy Clin Immunol Pract.2016に提供され、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0205】
本明細書に提供されるCRSを治療する方法のいくつかの実施形態では、CRSは、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、喘息、尿路感染症、及び皮膚/軟組織感染症からなる群から選択される一つ又は複数の状態の存在又は発症に関連する。
【0206】
一実施形態では、治療を必要とする対象は、鼻閉、鼻閉塞、鼻づまり、又は鼻汁(前鼻漏/後鼻漏)のいずれか一つ、(i)顔面痛及び/又は圧迫感の有無、及び(ii)嗅覚の低減又は喪失の有無を問わず、二つ以上の症状を12週間以上有するCRSを有する成人である。
【0207】
一実施形態では、治療を必要とする対象は、鼻閉、鼻閉塞、鼻づまり、又は鼻汁(前鼻漏/後鼻漏)のいずれか一つ、(i)顔面痛及び/又は圧迫感の有無、及び(ii)咳の有無を問わず、二つ以上の症状を12週間以上有するCRSを有する子供である。
【0208】
一実施形態では、治療を必要とする対象は、治療が困難なCRSを有し、すなわち、推奨医薬品(例えば、鼻腔内コルチコステロイド治療、及び過去一年間に最大二回の抗生物質又は全身性コルチコステロイドの短いコース)及び手術で治療されているにもかかわらず、CRSの持続性症状を有する。治療困難CRSは、本明細書では「難治性CRS」とも呼ばれる。
【0209】
一実施形態では、治療を必要とする対象は、原発性CRSを有し、これは局所原発性CRS又はびまん性原発性CRSであり得る。別の実施形態では、治療を必要とする対象は、局所性二次CRS又はびまん性二次CRSであり得る二次CRSを有する(Fokkens et al.(2020)。Rhinology.58(2),82-111に記載され、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0210】
いくつかの実施形態では、対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベルは、投与期間前の約1ng/mL~約1000ng/mLの範囲内である。本開示は更に、それを必要とする対象においてCRSを治療する方法を提供し、当該方法は、(a)対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベルを決定すること、及び(b)当該対象に、有効量の本明細書に開示される化合物のいずれか一つを含む医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、工程(a)で決定されたDPP1のレベル、又は投与期間前の対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベルは、約1ng/mL~約1000ng/mLの範囲内であり、例えば、約3ng/mL、約5ng/mL、約7ng/mL、約10ng/mL、約13ng/mL、約15ng/mL、約17ng/mL、約20ng/mL、約30ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約150ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、約300ng/mL、約350ng/mL、約400ng/mL、約450ng/mL、約500ng/mL、約550ng/mL、約600ng/mL、約650ng/mL、約700ng/mL、約750ng/mL、約800ng/mL、約850ng/mL、約900ng/mL、約950ng/mL、又は約1000ng/mL(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態では、工程(a)で決定されたDPP1のレベル、又は組成物の投与前の対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベルは、約5ng/mL~約20ng/mLの範囲内である。いくつかの実施形態では、工程(a)で決定されたDPP1のレベル、又は組成物の投与前の対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベルは、約1ng/mL~約100ng/mLの範囲内である。
【0211】
いくつかの実施形態では、工程(a)で決定されたDPP1のレベル若しくは活性、又は投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベル若しくは活性は、CRSを有していない対照対象のDPP1のレベル若しくは活性より、それぞれ少なくとも約1.2倍、例えば、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、又は約30倍(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)高い。
【0212】
いくつかの実施形態では、工程(a)で決定されたDPP1のレベル若しくは活性、又は組成物の投与前に対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベル若しくは活性は、CRSを有していない対照対象のDPP1のレベル若しくは活性より、それぞれ少なくとも約2%、例えば、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、又は約1000%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)高い。
【0213】
いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象から得られた生体サンプル中のDPP1の活性は、(a)組成物の投与前に対象から得られた生体サンプル中のDPP1の活性、及び/又は(b)対照対象から得られた生体サンプル中のDPP1の活性よりも小さく、対照対象はCRSを有し、組成物を投与されない。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後に対象から得られた生体サンプル中のDPP1の活性は、(a)投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のDPP1の活性、及び/又は(b)対照対象から得られた生体サンプル中のDPP1の活性より、少なくとも約2%(例えば、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低く、対照対象はCRSを有し、医薬組成物を投与されない。
【0214】
いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベルは、(a)組成物の投与前に対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベル、及び/又は(b)対照対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベルよりも低く、対照対象はCRSを有し、組成物を投与されない。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後に対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベルは、(a)投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベル、及び/又は(b)対照対象から得られた生体サンプル中のDPP1のレベルより、少なくとも約2%(例えば、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低く、対照対象はCRSを有し、医薬組成物を投与されない。
【0215】
いくつかの実施形態では、DPP1及びそのレベルは、例えば、ウェスタンブロッティング及び酵素活性アッセイなどの方法を使用して検出及び/又は定量化され得る。更なる詳細は、Pham et al.(1999).Proc Natl Acad Sci 96(15),8627-32;Chen et al.(2021).J.Med.Chem.64,11857-11885;Hamon et al.(2016).J Biol Chem.291(16),8486-99、及び国際特許出願公開第2021/154812号に提供され、それら各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0216】
いくつかの実施形態では、対象から得られた生体サンプル中の好中球細胞外トラップ(NET)のレベルは、投与期間前の約1ng/mL~約1000ng/mLの範囲内である。本開示は更に、それを必要とする対象においてCRSを治療する方法を提供し、当該方法は、(a)対象から得られた生体サンプル中のNETのレベルを決定すること、及び(b)当該対象に、有効量の本明細書に開示される化合物のいずれか一つを含む医薬組成物を投与期間にわたって投与することを含む。いくつかの実施形態では、工程(a)で決定されたNETのレベル、又は投与期間前の対象から得られた生体サンプル中の好中球細胞外トラップ(NET)のレベルは、約1ng/mL~約1000ng/mLの範囲内であり、例えば、約3ng/mL、約5ng/mL、約7ng/mL、約10ng/mL、約13ng/mL、約15ng/mL、約17ng/mL、約20ng/mL、約30ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約150ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、約300ng/mL、約350ng/mL、約400ng/mL、約450ng/mL、約500ng/mL、約550ng/mL、約600ng/mL、約650ng/mL、約700ng/mL、約750ng/mL、約800ng/mL、約850ng/mL、約900ng/mL、約950ng/mL、又は約1000ng/mL(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)である。
【0217】
いくつかの実施形態では、工程(a)で決定されたNETのレベル、又は投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のNETのレベルは、CRSを有していない健康対象のNETのレベルより、少なくとも約1.2倍、例えば、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、又は約30倍(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)高い。
【0218】
いくつかの実施形態では、工程(a)で決定されたNETのレベル、又は投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のNETのレベルは、CRSを有していない対照対象のNETのレベルより、少なくとも約2%、例えば、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、又は約1000%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)高い。
【0219】
いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象から得られた生体サンプル中の好中球細胞外トラップ(NET)のレベルは、(a)投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のNETのレベル、及び/又は(b)対照対象から得られた生体サンプル中のNETのレベルよりも低く、対照対象はCRSを有し、医薬組成物を投与されない。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後に対象から得られた生体サンプル中のNETのレベルは、(a)投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のNETのレベル、及び/又は(b)対照対象から得られた生体サンプル中のNETのレベルより、少なくとも約2%(例えば、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約100%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低く、対照対象はCRSを有し、医薬組成物を投与されない。
【0220】
いくつかの実施形態では、NETのレベルは、循環血漿NETのレベルである。いくつかの実施形態では、NETのレベルは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して、ミエロペルオキシダーゼ(MPO-DNA)又は好中球エラスターゼ(NE-DNA)などのNET分子と複合体化されたDNAを測定することによって、蛍光顕微鏡法によりシトルリン化ヒストンの存在を測定することによって、フローサイトメトリーによるNET成分の検出、免疫蛍光法によるNET関連分子(NE、MPO、CitH3)と細胞外DNAとの局在化の検出、又はフローサイトメトリー若しくは共焦点顕微鏡ベースの方法を使用して決定される。NETのレベルの決定に関する更なる詳細は、Arends et al.(2019).J.Vis.Exp.143,e59150;Gal et al.(2020).Sci Rep 10,4320;and Thalin,et al.(2019).Arteriosclerosis,Thrombosis,and Vascular Biology 39,1724-1738に提供され、それら各々は、全ての目的のためにその全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0221】
いくつかの実施形態では、対象から得られた生体サンプル中の好中球セリンプロテアーゼ(NSP)のレベルは、投与期間前の約1ng/mL~約1000ng/mLの範囲内である。本開示は更に、それを必要とする対象においてCRSを治療する方法を提供し、当該方法は、(a)対象から得られた生体サンプル中のNSPのレベルを決定すること、及び(b)当該対象に、有効量の本明細書に開示される化合物のいずれか一つを含む医薬組成物を投与期間にわたって投与することを含む。いくつかの実施形態では、工程(a)で決定されたNSPのレベル、又は投与期間前の対象から得られた生体サンプル中のNSPのレベルは、約1ng/mL~約1000ng/mLの範囲内であり、例えば、約3ng/mL、約5ng/mL、約7ng/mL、約10ng/mL、約13ng/mL、約15ng/mL、約17ng/mL、約20ng/mL、約30ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約150ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、約300ng/mL、約350ng/mL、約400ng/mL、約450ng/mL、約500ng/mL、約550ng/mL、約600ng/mL、約650ng/mL、約700ng/mL、約750ng/mL、約800ng/mL、約850ng/mL、約900ng/mL、約950ng/mL、又は約1000ng/mL(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)である。
【0222】
いくつかの実施形態では、工程(a)で決定されたNSPのレベル若しくは活性、又は投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のNSPのレベル若しくは活性は、CRSを有していない対照対象のNSPのレベル若しくは活性より、それぞれ少なくとも約1.2倍、例えば、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、又は約30倍(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)高い。
【0223】
いくつかの実施形態では、工程(a)で決定されたNSPのレベル若しくは活性、又は投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のNSPのレベル若しくは活性は、CRSを有していない対照対象のNSPのレベル若しくは活性より、それぞれ少なくとも約2%、例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、又は少なくとも約1000%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)高い。
【0224】
いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象から得られた生体サンプル中の好中球セリンプロテアーゼ(NSP)の活性は、(a)投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のNSPの活性、及び/又は(b)対照対象から得られた生体サンプル中のNSPの活性よりも低く、対照対象はCRSを有し、医薬組成物を投与されない。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後に対象から得られた生体サンプル中のNSPの活性は、(a)投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のNSPの活性、及び/又は(b)対照対象から得られた生体サンプル中のNSPの活性より、少なくとも約2%(例えば、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低く、対照対象はCRSを有し、医薬組成物を投与されない。
【0225】
いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後の対象から得られた生体サンプル中の好中球セリンプロテアーゼ(NSP)のレベルは、(a)投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のNSPのレベル、及び/又は(b)対照対象から得られた生体サンプル中のNSPのレベルよりも低く、対照対象はCRSを有し、医薬組成物を投与されない。いくつかの実施形態では、投与期間中又は投与期間後に対象から得られた生体サンプル中のNSPのレベルは、(a)投与期間前に対象から得られた生体サンプル中のNSPのレベル、及び/又は(b)対照対象から得られた生体サンプル中のNSPのレベルより、少なくとも約2%(例えば、少なくとも約3%、約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)低く、対照対象はCRSを有し、医薬組成物を投与されない。
【0226】
いくつかの実施形態では、NSPは、分泌型NSP、又は細胞質顆粒内のNSPである。いくつかの実施形態では、NSPは、NSPのプロフォームである。いくつかの実施形態では、NSPは、NSPの活性形態である。いくつかの実施形態では、NSPは、NSPの分泌型プロフォームである。いくつかの実施形態では、NSPは、好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CatG)、好中球セリンプロテアーゼ4(NSP4)、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、NSPは、細胞表面局在化NSP、細胞内NSP、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、細胞表面局在化NSP又は細胞内NSPのレベルは、フローサイトメトリーを使用して測定される。
【0227】
いくつかの実施形態では、好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CatG)、又はそれらのレベルは、例えば、ウェスタンブロッティング、ELISAアッセイ、酵素活性アッセイ、又はそれらの任意の組み合わせなどの方法を使用して検出及び/又は定量化され得る。ELISAアッセイの非限定的な例としては、ProAxsis社(ベルファスト、北アイルランド)からのProteaseTag(登録商標)Active NE Immunoassay、ProteaseTag(登録商標)Active PR3 Immunoassay、及びProteaseTag(登録商標)Active CatG Immunoassayが挙げられる。活性アッセイの非限定的な例としては、NE酵素動態アッセイ、PR3酵素動態アッセイ、及びCatG酵素動態アッセイが挙げられる。いくつかの実施形態では、NSP4及びそのレベルは、例えば、ウェスタンブロッティング及び酵素活性アッセイなどの方法を使用して検出及び/又は定量化され得る。更なる詳細は、Perera et al.(2012).PNAS 109,6229-6234;Perera et al.(2013).J Immunol 191,2700-2707;Kasperkiewicz et al.(2015).PLoS One 10(7):e0132818に提供され、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0228】
いくつかの実施形態では、生体サンプルは、副鼻腔組織、血液、血清、白血球(WBC)、好中球、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0229】
本明細書に提供されるCRSを治療する方法では、医薬組成物は、好適な投与経路によって投与される。投与経路としては、経口、経腸、経粘膜、直腸、経鼻、吸入(例えば、エアロゾルを介して)、頬(例えば、舌下)、膣内、髄腔内、眼内、経皮、子宮内(又は胎内)、非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、筋肉内(骨格筋、横隔膜の筋肉、及び/又は心筋への投与を含む)、皮内、胸膜内、脳内、関節内、血管内、又は注入を介して)、局所(例えば、気道表面を含む、皮膚表面と粘膜表面の両方に、及び経皮投与)、リンパ内など、並びに組織又は器官への直接注射(例えば、肝臓、骨格筋、心筋、横隔膜の筋肉、又は脳に)が挙げられる。いくつかの実施形態では、投与は、中枢神経系への注射による。一実施形態では、投与は経腸経路を介し、経鼻胃(NG)管を介して行われる。
【0230】
好ましい実施形態では、投与経路は経口である。更なる実施形態では、投与は、一日一回、経口投与される。より更なる実施形態では、医薬組成物は、10mg、25mg、又は40mgの式(I)の化合物を含む。なおもより更なる実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブである。
【0231】
任意の所与の事例における投与期間の長さは、治療又は予防されるCRSの性質及び重症度に依存してもよく、処方医師によって決定されてもよい。いくつかの実施形態では、投与期間は、約30日、約35日、約40日、約45日、約50日、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約12か月、約13か月、約14か月、約15か月、約16か月、約17か月、約18か月、約19か月、約20か月、約21か月、約22か月、約23か月、約24か月、約30か月、約36か月、約4年、約5年、約10年、約15年、又は約20年である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物又は組成物は、約24週間投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物又は組成物は、約52週間投与され得る。更に別の実施形態では、投与期間は、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約12か月、少なくとも約13か月、少なくとも約14か月、少なくとも約15か月、少なくとも約16か月、少なくとも約17か月、少なくとも約18か月、少なくとも約19か月、少なくとも約20か月、少なくとも約21か月、少なくとも約22か月、少なくとも約23か月、少なくとも約24か月、少なくとも約30か月、少なくとも約36か月、少なくとも約4年、少なくとも約5年、少なくとも約10年、少なくとも約15年、又は少なくとも約20年である。
【0232】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法の投与期間は、少なくとも約30日、少なくとも約35日、少なくとも約40日、少なくとも約45日、少なくとも約50日、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年間、少なくとも約4年、少なくとも約5年である。別の実施形態では、本明細書に提供される方法に対する投与期間は約30日~約180日である。別の実施形態では、投与期間は、約30日~約36か月、約30日~約30か月、又は約30日~約24か月、又は約30日~約18か月、又は約30日~約12か月、又は約30日~約6か月、又は約6か月~約30か月、又は約6か月~約24か月、又は約6か月~約18か月、又は約12か月~約36か月、又は約12か月~約24か月である。
【0233】
一実施形態では、投与期間は約1年~約50年である。例えば、投与期間は、一実施形態では、約1年~約40年、約1年~約25年、1年~約20年、約1年~約15年、約1年~約10年、約1年~約5年、約1年~約3年、約1年~約2年、約2年~約15年、約2年~約10年、約2年~約8年、約2年~約5年、約2年~約4年、又は約2年~約3年である。
【0234】
一実施形態では、対象は、医薬組成物を慢性的に投与される。すなわち、対象は、CRSの治療が開始されると、その全生涯にわたって組成物を投与される。
【0235】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、投与期間中、一日一回又は一日二回以上対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、投与期間中、一日二回対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、投与期間中、毎日、隔日、三日毎、四日毎、五日毎、又は六日毎に対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、投与期間中、毎週、隔週、又は三週間毎に対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、投与期間中、毎日ほぼ同じ時間に投与される。
【0236】
好ましい実施形態では、医薬組成物の投与は、一日一回である。別の実施形態では、医薬組成物の投与は、一日二回である。別の実施形態では、投与は週に一回、週に二回、週に三回、週に四回、週に五回、又は週に六回である。
【0237】
式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩は、それ自体で、又は治療医師によって投与される標準治療と併せて使用され得る。任意の標準治療剤を、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、対象は、CRSを治療するための手術をすでに受けているか、又はこれから手術を受ける。
【0238】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩は、対象に二次療法と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、二次療法は、ステロイド、抗ヒスタミン剤、抗生物質、抗うつ剤、生物学的製剤、抗ロイコトリエン薬、鼻腔生理食塩水洗浄、及び外科的介入のうちの一つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、ステロイドは、プロピオン酸フルチカゾン又はフロ酸モメタゾンである。更なる実施形態では、ステロイドは、フロ酸モメタゾンである。いくつかの実施形態では、ステロイドは、局所、鼻腔内、全身、又は経口投与される。抗ヒスタミン剤の非限定的な例としては、プソイドエフェドリン、ロラタジン、セチリジン、及びジフェンヒドラミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、抗生物質はマクロライド抗生物質である。いくつかの実施形態では、マクロライド抗生物質は、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アジスロマイシン、又はクラリスロマイシンである。いくつかの実施形態では、抗うつ剤は、デシプラミン、又はフルオキセチンである。いくつかの実施形態では、生物学的製剤は、デュピルマブ、オマリズマブ、ベンラリズマブ、レスリズマブ、又はメポリズマブである。抗ロイコトリエンの非限定的な例としては、モンテルカスト、ザフィルルカスト、及びプランルカスト、並びに5-リポキシゲナーゼ阻害剤(例えば、ジロートン)が挙げられる。いくつかの実施形態では、外科的介入は、機能的内視鏡副鼻腔手術(FESS)である。
【0239】
本明細書で使用される場合、「組み合わせて」投与されるという用語は、対象が障害(CRSなど)に罹患している間に、二つ(又はそれ以上)の異なる治療が対象に送達され、その結果、患者に対する治療の効果がある時点で重複することを意味すると理解される。特定の実施形態では、第二の送達が開始した時に一つの治療の送達がまだ行われているため、投与の点で重複がある。これは、本明細書では、「同時(simultaneous)」又は「同時(concurrent)」送達と呼ばれることがある。他の実施形態では、一方の治療の送達は、他方の治療の送達が始まる前に終了し、これは、「連続(sequential)」又は「連続(serial)」送達と呼んでもよい。
【0240】
いくつかの実施形態では、併用投与により、治療はより効果的である。例えば、第二の治療はより効果的である。例えば、第一の治療なしで第二の治療が投与された場合よりも、第二の治療がより少ない量で同等の効果が見られるか、又は第二の治療が症状をより大幅に低減するか、又は第一の治療で類似の状況が見られる。二つの治療の効果は、部分的に相加的、全体的に相加的、又は相加的(相乗的)よりも大きい場合がある。
【0241】
本明細書で使用される組成物は、本明細書に開示される化合物のうちのいずれか一つ又は複数、又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含む。
【0242】
式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩は、それら自体で使用されてもよいが、概して、式(I)の化合物/塩(活性医薬成分(API))が、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤、及び/又は担体を含む医薬組成物中にある医薬組成物の形態で一般的に投与される。一実施形態では、医薬組成物は、国際出願公開第2019/166626号に記載される医薬組成物のうちの一つであり、この開示は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0243】
好適な医薬製剤の選択及び調製のための従来の手順は、例えば、“Pharmaceuticals-The Science of Dosage Form Designs”,M.E.Aulton,Churchill Livingstone,2nd Ed.2002(全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。適切な担体、希釈剤、賦形剤などは、標準的な医薬テキストに見出すことができる。例えば、Handbook of Pharmaceutical Additives,2nd Edition(eds.M.Ash and I.Ash),2001(Synapse Information Resources,Inc.,Endicott,New York,USA),Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th edition,pub.Lippincott,Williams&Wilkins,2000;and Handbook of Pharmaceutical Excipients,2nd edition,1994を参照されたい。
【0244】
投与方法に応じて、医薬組成物は、約0.05~約99重量%、例えば、約0.05~約80重量%、又は約0.10~約70重量%、又は約0.10~約50重量%のAPIを含み得、全ての重量パーセントは、医薬組成物の総重量に基づく。本明細書に別段の記載がない限り、本明細書に提供されるAPI重量パーセントは、式(I)の化合物のそれぞれの遊離塩基形態に対するものである。
【0245】
一実施形態では、医薬組成物は、フィルムコーティング経口錠剤の経口剤形である。別の実施形態では、経口剤形は、インビトロ試験条件下での急速な溶解特徴を有する即放性剤形である。一実施形態では、経口剤形は、本明細書に開示される一日用量に達するように一日一回投与される。更なる実施形態では、経口剤形は、毎日ほぼ同じ時間に、例えば、朝食前に投与される。別の実施形態では、経口剤形は、本明細書に開示される一日用量に達するように一日2回投与される。
【0246】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、式(I)の化合物の薬学的に許容可能な塩を使用して製剤化される。薬学的に許容可能な塩としては、例えば、無機酸、例えば、塩酸若しくはリン酸、又は有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などに由来する酸付加塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、塩は、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化第二鉄)、又は有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン)などに由来し得る。
【0247】
本開示は、本明細書に提供される方法で使用するための、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の有効量を含む組成物を提供する。本明細書に提供される化合物のいずれかは、本明細書に提供される方法のうちの一つを介した送達のために、組成物で使用され得る。
【0248】
いくつかの実施形態では、組成物は、再構成に適した凍結乾燥粉末、液体溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル、徐放性製剤、又は粉末などの固体形態である。いくつかの実施形態では、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、マイクロスフェア、脂質粒子、小胞などの送達ビヒクルが使用され得る。
【0249】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、少なくとも一つの薬学的に許容可能な担体、賦形剤、及び/又はビヒクル、例えば、溶媒、緩衝剤、溶液、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤を更に含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、及び/又はビヒクルは、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、滅菌等張水性緩衝液、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、及び/又はビヒクルは、リン酸緩衝生理食塩水、滅菌生理食塩水、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、デキストラン、寒天、ペクチン、ピーナッツ油、ゴマ油、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、又はそれらの適切な混合物を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、少量の乳化剤若しくは湿潤剤、又はpH緩衝剤を更に含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、防腐剤などの他の従来の医薬成分、又はクロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、没食子酸プロピル、パラベン、エチルバニリン、グリセリン、フェノール、パラクロロフェノール、若しくはアルブミンなどの化学安定剤を更に含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、若しくはチメロサールなどの抗菌剤及び抗真菌剤、糖類若しくは塩化ナトリウムなどの等張剤、及び/又はモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収遅延剤を更に含み得る。
【0251】
いくつかの実施形態では、医薬組成物中に存在する式(I)の化合物の量は、投与様式に依存する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.05重量%~約99重量%(重量パーセント)、例えば、約0.5重量%、約1重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、約98重量%、又は約99重量%(その間に存在する全ての値及び部分範囲を含む)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.05重量%~約80重量%、又は約0.10重量%~約70重量%、又は約0.10重量%~約50重量%の活性成分(式(I)の化合物)を含み、全ての重量パーセントは、総組成物に基づく。
【0252】
いくつかの実施形態では、医薬組成物中に存在するアジュバント、希釈剤、又は担体は、投与様式に基づいて選択される。例えば、経口投与については、本開示の化合物は、アジュバント、希釈剤、又は担体、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール;デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、若しくはアミロペクチン;セルロース誘導体;結合剤、例えば、ゼラチン若しくはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、セルロース誘導体、及び/又は滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ろう、パラフィンなどと混合され、次いで、錠剤に圧縮されてもよい。コーティング錠剤が必要とされる場合、上述のように調製されたコアは、水又は容易に揮発性の有機溶媒中に溶解又は分散される好適なポリマーでコーティングされてもよい。あるいは、錠剤は、例えば、アラビアガム、ゼラチン、タルカム、及び二酸化チタンを含有し得る濃縮糖溶液でコーティングされてもよい。
【0253】
軟質ゼラチンカプセルの調製のために、本開示の化合物は、例えば、植物油又はポリエチレングリコールと混合されてもよい。硬質ゼラチンカプセルは、錠剤のための上述の賦形剤のような薬学的賦形剤を使用して、化合物の顆粒を含有してもよい。また、本開示の化合物の液体又は半固体製剤が、硬質ゼラチンカプセルに充填されてもよい。
【0254】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の形態は、投与様式に依存する。例えば、一つの経口投与実施形態では、経口剤形は、フィルムコーティング経口錠剤である。更なる実施形態では、剤形は、インビトロ試験条件下での急速な溶解特徴を有する即放性剤形である。
【0255】
一実施形態では、組成物は、口腔内崩壊錠(ODT)である。ODTは、丸ごと嚥下されるのではなく舌上で溶解されるように設計されているという点で、従来の錠剤とは異なる。
【0256】
一実施形態では、組成物は、口腔内薄型フィルム又は口腔内崩壊フィルム(ODF)である。そのような製剤は、舌上に配置されたとき、喀痰との相互作用を介して水和し、剤形から活性化合物を放出する。ODFは、一実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、プルラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ペクチン、デンプン、ポリ酢酸ビニル(PVA)、又はアルギン酸ナトリウムなどのフィルム形成ポリマーを含有する。
【0257】
経口投与のための液体調製物は、シロップ、溶液、又は懸濁液の形態にあってもよい。溶液は、例えば、本開示の化合物を含有してもよく、均衡は、糖、並びにエタノール、水、グリセロール、及びプロピレングリコールの混合物である。任意選択的に、そのような液体調製物は、着色剤、香味剤、サッカリン、及び/又は増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを含有してもよい。更に、経口使用のための製剤を作製する場合、当業者に公知の他の賦形剤が使用されてもよい。
【0258】
本開示の化合物は、公知の様式で、様々な方法で調製され得る。例えば、一実施形態では、式(I)の化合物は、米国特許第9,522,894号(全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される方法に従って調製される。
【0259】
全体を通して提供されるように、本明細書に提供される方法に従って、式(I)の化合物は、薬学的に許容可能な塩として投与され得る。式(I)の化合物の薬学的に許容可能な塩は、異なる温度及び湿度における安定性、又はH2O、油、若しくは他の溶媒における望ましい溶解度などの、その化学的又は物理的特性のうちの一つ又は複数により有利であり得る。いくつかの場合では、式(I)の化合物の単離又は精製を補助するために、塩が使用されてもよい。
【0260】
式(I)の化合物が十分に酸性である場合、薬学的に許容可能な塩としては、アルカリ金属塩、例えば、Na若しくはK、アルカリ土類金属塩、例えば、Ca若しくはMg、又は有機アミン塩が挙げられるが、これらに限定されない。式(I)の化合物が十分に塩基性である場合、薬学的に許容可能な塩としては、無機酸又は有機酸の付加塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0261】
荷電した官能基の数及びカチオン又はアニオンの原子価に応じて、二つ以上のカチオン又はアニオンが存在し得る。好適な塩、及び本明細書での使用に適している薬学的に許容可能な塩に関するレビューについては、Berge et al.(1977).J.Pharm.Sci.,66,1-19、又は“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,selection and use”,P.H.Stahl,P.G.Vermuth,IUPAC,Wiley-VCH,2002(全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。式(I)の化合物は、その塩と共結晶形態との混合物を形成し得る。本明細書に提供される方法が、式(I)の化合物のそのような塩/共結晶混合物を用いることができることも理解されたい。
【0262】
塩及び共結晶は、周知の技術、例えば、X線粉末回折、単結晶X線回折(例えば、プロトン位置、結合長さ、若しくは結合角度を評価するため)、固体NMR(例えば、C、N、若しくはP化学シフトを評価するため)、又は分光技術(例えば、O-H、N-H、若しくはCOOH信号、及び水素結合から生じるIRピークシフトを測定するため)を使用して特徴付けられてもよい。
【0263】
方法の別の実施形態では、患者に投与される医薬組成物は、
(a)約1~約30重量%の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩と、
(b)約45~約85重量%の医薬希釈剤と、
(c)約6~約30重量%の圧縮補助剤と、
(d)約1~約15重量%の医薬崩壊剤と、
(e)約0.00~約2重量%の医薬流動促進剤と、
(f)約1~約10重量%の医薬滑沢剤と、を含む組成物(A)であり、
構成成分は、合計して100重量%になる。
【0264】
更なる実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブである。一実施形態では、ブレンソカチブは、米国特許第9,522,894号に開示される多型形態Aである。別の実施形態では、ブレンソカチブは、国際出願公開第2019/166626号に記載のX線粉末回折パターンのうちの一つによって特徴付けられる。
【0265】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約1~約25重量%、約1~約20重量%、約1~約15重量%、約1~約10重量%、約1~約5重量%、又は約1~約3重量%の量で、式(I)の化合物、例えば、ブレンソカチブを含む。
【0266】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約1.5~約30重量%、約1.5~約25重量%、約1.5~約20重量%、約1.5~約15重量%、約1.5~約10重量%、又は約1.5~約5重量%の量で、式(I)の化合物、例えば、ブレンソカチブを含む。
【0267】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約3~約30重量%、約3~約25重量%、約3~約20重量%、約3~約15重量%、約3~約10重量%、又は約3~約5重量%の量で、式(I)の化合物、例えば、ブレンソカチブを含む。更なる実施形態では、式(I)の化合物は、組成物の総重量の約3~約10重量%で存在する。更なる実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0268】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、又は約30重量%の量で、式(I)の化合物、例えば、ブレンソカチブを含む。
【0269】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸セルロース、エリスリトール、エチルセルロース、フルクトース、イヌリン、イソマルト、ラクチトール、ラクトース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、プルラン、シメチコン、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、スクロース、トレハロース、キシリトール、及び前述の組み合わせからなる群から選択される、一つ又は複数の医薬希釈剤を含む。一実施形態では、組成物(A)は、二つ以上の医薬希釈剤を含む。別の実施形態では、組成物(A)は、一つの医薬希釈剤を含む。更なる実施形態では、医薬希釈剤は、微結晶セルロースである。微結晶セルロースは、経口錠剤及びカプセル製剤中の結合剤/希釈剤であり、乾式造粒、湿式造粒、及び直接圧縮プロセスで使用され得る。
【0270】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約45~約80重量%、約45~約75重量%、約45~約70重量%、約45~約65重量%、約45~約60重量%、又は約45~約55重量%の量で、一つ又は複数の医薬希釈剤を含む。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬希釈剤は、微結晶セルロースを含む。なお更なる実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0271】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約50~約85重量%、約50~約75重量%、約55~約85重量%、約55~約70重量%、約60~約85重量%、約65~約85重量%、約70~約85重量%、又は約75~約85重量%の量で、一つ又は複数の医薬希釈剤を含む。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬希釈剤は、組成物の総重量の約55~約70重量%で存在する。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬希釈剤は、微結晶セルロースを含む。なお更なる実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0272】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、又は約85重量%の量で、一つ又は複数の医薬希釈剤を含む。
【0273】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬希釈剤は、微結晶セルロースである。他の実施形態では、一つ又は複数の医薬希釈剤は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸セルロース、エリスリトール、エチルセルロース、フルクトース、イヌリン、イソマルト、ラクチトール、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、プルラン、シメチコン、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、スクロース、トレハロース、及びキシリトールを含む。
【0274】
本開示では、「崩壊剤(disintegrant)」及び「複数の崩壊剤(disintegrants)」という用語は、医薬製剤科学の文脈で解釈されることが意図される。したがって、組成物(A)中の崩壊剤は、例えば、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、キトサン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリシン、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0275】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである。一実施形態では、組成物(A)中に存在する崩壊剤の量は、組成物の総重量の2%~8%である。更なる実施形態では、崩壊剤の量は、組成物の総重量の約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、又は約4.5重量%である。デンプングリコール酸ナトリウムの物理的特性、及びしたがって、崩壊剤としてのその有効性は、架橋の程度、カルボキシメチル化の程度、及び純度の影響を受ける。
【0276】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムを含む。
【0277】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約2~約14重量%、約2~約13重量%、約2~約12重量%、約2~約11重量%、約2~約10重量%、約2~約9重量%、約2~約8重量%、約2~約7重量%、約2~約6重量%、約2~約5重量%、約3.5~約4.5重量%の量で、一つ又は複数の医薬崩壊剤を含む。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬崩壊剤は、医薬組成物の総重量の約3.5~約4.5重量%で存在する。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬希釈剤は、微結晶セルロースを含む。なお更なる実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0278】
本開示では、「流動促進剤(glidant)」及び「流動促進剤(gliding agent)」という用語は、医薬製剤科学の文脈で解釈されることが意図される。したがって、組成物(A)中の流動促進剤は、例えば、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、粉末セルロース、疎水性コロイド状シリカ、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、及びタルクであってもよい。
【0279】
したがって、方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬流動促進剤は、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、粉末セルロース、疎水性コロイド状シリカ、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、タルク、又は前述の組み合わせから選択される。一実施形態では、流動促進剤は、二酸化ケイ素である。その小さな粒径及び大きな比表面積は、錠剤成形及びカプセル充填などの多数のプロセスにおける乾燥粉末の流動特性を改善するために利用される望ましい流動特徴を与える。本明細書で使用するための典型的な二酸化ケイ素濃度は、約0.05~約1.0重量%の範囲である。多孔質シリカゲル粒子もまた、流動促進剤として使用されてもよく、これは、0.25~1%の典型的な濃度で、いくつかの製剤にとって有利であり得る。
【0280】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約0.00~約1.75重量%、約0.00~約1.50重量%、約0.00~約1.25重量%、約0.00~約1.00重量%、約0.00~約0.75重量%、約0.00~約0.50重量%、約0.00~約0.25重量%、約0.00~約0.20重量%の量で、一つ又は複数の医薬流動促進剤を含む。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬流動促進剤は、二酸化ケイ素を含む。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬希釈剤は、微結晶セルロースを含む。なお更なる実施形態では、組成物(A)中の式(I)の化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0281】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約0.05~約2重量%、約0.05~約1.75重量%、約0.05~約1.50重量%、約0.05~約1.25重量%、約0.05~約1.00重量%、約0.05~約0.75重量%、約0.05~約0.50重量%、約0.05~約0.25重量%、又は約0.05~約0.20重量%の量で、一つ又は複数の医薬流動促進剤を含む。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬流動促進剤は、組成物の総重量の約0.05~約0.25重量%で存在する。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬流動促進剤は、二酸化ケイ素を含む。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬希釈剤は、微結晶セルロースを含む。なお更なる実施形態では、組成物(A)中の式(I)の化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0282】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約0.05~約2重量%、約0.10~約2重量%、約0.2~約2重量%、約0.3~約2重量%、又は約0.40~約2重量%の量で、一つ又は複数の医薬流動促進剤を含む。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬流動促進剤は、二酸化ケイ素を含む。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬希釈剤は、微結晶セルロースを含む。なお更なる実施形態では、組成物(A)中の式(I)の化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0283】
本開示では、本明細書で使用される場合、「滑沢剤(lubricant)」及び「複数の滑沢剤(lubricants)」という用語は、医薬製剤科学の文脈で解釈されることが意図される。したがって、滑沢剤は、例えば、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリセリンのベヘン酸エステルの混合物(例えば、グリセリルビヘネヘート(glyceryl bihenehate)、トリベヘニン、及びベヘン酸グリセリルの混合物)、ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、トリベヘニン、及びステアリン酸亜鉛であってもよい。
【0284】
したがって、方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリセリンのベヘン酸エステルの混合物(例えば、グリセリルビヘネヘート(glyceryl bihenehate)、トリベヘニン、及びベヘン酸グリセリルの混合物)、ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、トリベヘニン、及びステアリン酸亜鉛からなる群から選択される。他の実施形態では、一つ又は複数の医薬滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリセリンのベヘン酸エステルの混合物(例えば、グリセリルビヘネヘート(glyceryl bihenehate)、トリベヘニン、及びベヘン酸グリセリルの混合物)、ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、トリベヘニン、及びステアリン酸亜鉛からなる群から選択される。
【0285】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、一つ又は複数の医薬滑沢剤を含み、滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウムではない。更なる実施形態では、組成物(A)中の式(I)の化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0286】
方法の一実施形態では、組成物(A)は、滑沢剤としてベヘン酸グリセロールを含む。
【0287】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬滑沢剤は、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はそれらの組み合わせを含む。
【0288】
方法の一実施形態では、組成物(A)中の滑沢剤は、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、又はそれらの組み合わせである。
【0289】
方法の一実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウム及び/又はグリセリンの一つ又は複数のベヘン酸エステルを含む。
【0290】
方法のいくつかの実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約1重量%~約9重量%、約1重量%~約8重量%、約1重量%~約7重量%、約1重量%~約6重量%、約1重量%~約5重量%、約2重量%~約10重量%、約2.5重量%~約10重量%、約2重量%~約8重量%、約2重量%~約7重量%、約2重量%~約6重量%、約2重量%~約5重量%、約2重量%~約4.5重量%、又は約2.5重量%~約4.5重量%の量で、一つ又は複数の医薬滑沢剤を含む。更なる実施形態では、一つ又は複数の医薬滑沢剤は、組成物の総重量の約2.5~約4.5重量%で存在する。更なる実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬滑沢剤は、ベヘン酸グリセロールである。更なる実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬流動促進剤は、二酸化ケイ素を含む。更なる実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである。更なる実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬希釈剤は、微結晶セルロースを含む。なお更なる実施形態では、組成物(A)中の式(I)の化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0291】
方法の一実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウム及び/若しくはグリセリンの一つ又は複数のベヘン酸エステル、又はそれらの混合物からなる。
【0292】
方法の別の実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウム、ジベヘン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、トリベヘニン、又はそれらの任意の混合物からなる。
【0293】
方法の一実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウムを含む。別の実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウムからなる。
【0294】
方法の一実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬滑沢剤は、グリセリンの一つ又は複数のベヘン酸エステル(すなわち、ジベヘン酸グリセリル、トリベヘニン、及びベヘン酸グリセリルのうちの一つ又は複数)を含む。
【0295】
方法の一実施形態では、組成物(A)中の圧縮補助剤は、リン酸二カルシウム二水和物(二塩基性リン酸カルシウム二水和物としても知られる)(DCPD)である。DCPDは、賦形剤として、並びに栄養補助食品中のカルシウム及びリンの供給源として、錠剤製剤中で使用される。
【0296】
方法の一実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約10~約30重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、又は約24重量%の量で、圧縮補助剤、例えばDCPDを含む。更なる実施形態では、圧縮補助剤は、組成物の総重量の約20重量%で存在する。
【0297】
方法の一実施形態では、組成物(A)は、組成物の総重量の約10~約25重量%、約10~約20重量%、約10~約15重量%、約15~約25重量%、又は約20~約25重量%、又は約18~約22重量%の量で、圧縮補助剤、例えばDCPDを含む。更なる実施形態では、圧縮補助剤は、組成物の総重量の約18~約22重量%で存在する。更なる実施形態では、圧縮補助剤は、DCPDである。更なる実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬滑沢剤は、ベヘン酸グリセロールである。更なる実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬流動促進剤は、二酸化ケイ素を含む。更なる実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである。更なる実施形態では、組成物(A)中の一つ又は複数の医薬希釈剤は、微結晶セルロースを含む。なお更なる実施形態では、例示的な組成物中の式(I)の化合物は、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0298】
方法の一実施形態では、患者に投与される医薬組成物は、
(a)約1~約30重量%の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩と、
(b)約55~約75重量%の医薬希釈剤と、
(c)約15~約25重量%の圧縮補助剤と、
(d)約3~約5重量%の医薬崩壊剤と、
(e)約0.00~約1重量%の医薬流動促進剤と、
(f)約2~約6重量%の医薬滑沢剤と、を含む組成物(B)であり、
構成成分は、合計して100重量%になる。
【0299】
組成物(B)が患者に投与される方法のいくつかの実施形態では、組成物中の医薬希釈剤、圧縮補助剤、医薬崩壊剤、医薬流動促進剤、及び医薬滑沢剤の同一性は、組成物(A)について上述したもののうちの一つであってもよい。他の実施形態では、組成物(B)中の医薬希釈剤、圧縮補助剤、医薬崩壊剤、医薬流動促進剤、及び医薬滑沢剤の量もまた、その量が組成物(B)について上に列挙した対応するより広い範囲内にある限り、組成物(A)について上述したもののうちの一つであってもよい。
【0300】
組成物(A)及び(B)を含む本明細書に開示される医薬組成物は、ヒトへの経口投与に適した固形剤形にあってもよい。例えば、医薬組成物は、医薬錠剤である。医薬錠剤は、例えば、国際出願公開第2019/166626号に記載される乾式混合/直接圧縮プロセスを含む、当業者に公知の方法を使用して調製されてもよい。いくつかの実施形態では、医薬錠剤は、錠剤コアを含み、錠剤コアは、本明細書に開示される医薬組成物を含み、錠剤コアは、コーティングを有する。いくつかの実施形態では、コーティングは、フィルムコーティングである。フィルムコーティングは、当業者に公知の従来の方法を使用して適用され得る。機能性コーティングを使用して、例えば、湿気侵入又は光による劣化に対する保護を提供することができる。更に、機能性コーティングを使用して、組成物からの式(I)の化合物、例えばブレンソカチブの放出を改変又は制御し得る。コーティングは、例えば、医薬組成物の総重量の約0.2~約10重量%、例えば、医薬組成物の総重量の約0.2~約4重量%、約0.2~約3重量%、約1~約6重量%、又は約2~約5重量%を含んでもよい。
【実施例】
【0301】
本開示は、以下の実施例を参照することにより、更に解説される。しかしながら、実施例は、上述の実施形態のように、例示的なものであり、本発明の範囲を何ら制限するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0302】
実施例1-鼻ポリープを伴わない中等度から重度の慢性副鼻腔炎(CRSsNP)を有する参加者における、ブレンソカチブの有効性及び安全性の第2b相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設試験
式(I)の化合物であるブレンソカチブは、経口可逆性DPP1阻害剤である。DPP1は、骨髄における好中球成熟中に、好中球における好中球セリンプロテアーゼ(NSP)の活性化を触媒する。NSPは、好中球媒介性炎症、組織損傷、及び過剰な粘液産生の主要な薬剤である。DPP1を阻害することにより、ブレンソカチブはNSPの活性化を防止し、好中球が成熟し、活性NSPなしで放出されることを可能にする。したがって、ブレンソカチブは、DPP1を遮断することによって、CRSsNPに関連する好中球性炎症成分を阻害する可能性がある。
【0303】
本実施例は、鼻ポリープを伴わない中等度から重度の慢性副鼻腔炎(CRSsNP)を有する参加者における、ブレンソカチブの有効性及び安全性を評価するための、第2b相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験を説明する。ブレンソカチブは、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドの国際一般名であり
【化29】
中等度から重度のCRSsNPを有するおよそ360人の成人男女参加者(18歳以上~85歳以下)において、一日一回(QD)24週間投与し、その後、4週間の追跡期間を設ける。適格参加者は、1:1:1の比率で三つの治療群に無作為化され、治療群当たり約120人の参加者は、それぞれ10mgのブレンソカチブ、40mgのブレンソカチブ、及び対応するプラセボの一日一回の経口投与を24週間受ける。約180人の参加者は、血中好酸球数が300細胞/μL未満(一次的集団)であり、結果として一次的集団の治療群当たり約60人が参加し、約180人の参加者は、血中好酸球数が300以上であるが750細胞/μL以下である。参加者は、現在、モメタゾンフロエート経鼻剤使用、又はモメタゾンフロエート経鼻剤の使用歴の欠如に関係なく、試験登録のためにスクリーニングされ得る。スクリーニング来院では、使用歴にかかわらず、全ての参加者は、治療期間を含む試験期間を通して、モメタゾンフロエート経鼻剤200μgの一日二回(BID)、又はBIDに耐えられない場合、一日一回(QD)の治療を開始する。
【0304】
ブレンソカチブ経口錠剤を試験で使用する。錠剤は、丸く、両凸で、褐色のフィルムコーティングされており、即放性剤形とみなされる。錠剤は、10mg又は40mgのブレンソカチブ原薬と同等物を含有し、サイズ及び外観が同一である。各フィルムコーティング錠剤は、ブレンソカチブ原薬の活性成分及び公定成分:微結晶セルロース、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、デンプングリコール酸ナトリウム、二酸化ケイ素、及びベヘン酸グリセリルを含有する。活性成分を含まない対応するプラセボは、ブレンソカチブフィルムコーティング錠剤の形状、サイズ、及び色と同一のフィルムコーティング錠剤である。
【0305】
有効性パラメータには、鼻症状を評価するための副鼻腔総症状スコア(sTSS)、CT副鼻腔混濁を評価するためのLund-MacKay(LMK)コンピュータ断層撮影(CT)スキャンスコア及びCTスキャン容積測定、生活の質を評価するための副鼻腔転帰試験(Snot-22)、鼻づまりを評価するための鼻づまりスコア(NCS)、(eDiary)鼻症状を評価するための視覚的アナログスケール(VAS)スコア、ピーク鼻吸気流量を評価するための鼻吸気流量(PNIF)、及び臨床的悪化/急性鼻副鼻腔炎を評価するために、全身性コルチコステロイド、抗生物質、又は鼻手術によるレスキュー療法の使用が含まれる。理論に束縛されることを望むものではないが、ブレンソカチブの投与は、炎症及び粘液分泌過多の減少を介してCRSsNPに罹患している患者に有益な効果をもたらし、症状(例えば、鼻づまり、顔面痛、鼻汁)及び生活の質の改善をもたらし得る。ブレンソカチブはNSPの成熟を阻害するため、理論に束縛されることを意図するものではないが、ブレンソカチブは炎症カスケードの有意な減少をもたらし得る。
【0306】
対象適格性基準
以下の表1は、試験についてのある特定の選択基準を提供する。
【表1】
【0307】
試験デザイン
図1は、試験デザイン及び治療期間の概略図を提供する。この無作為化、二重盲検、並行群、プラセボ対照試験では、中等度から重度のCRSsNPを有するおよそ360人の成人男女参加者(18歳以上~85歳以下)に、ブレンソカチブを一日一回24週間投与し、その後、4週間の追跡期間を設ける。治験責任医師(参加者に治療を提供する臨床医を含む)、スポンサー、及び参加者/医療提供者は、治験薬について盲検化される。約180人の参加者は、300細胞/μL未満の血中好酸球数を有し、約180人の参加者は、300以上であるが750細胞/μL以下の血中好酸球数を有する。
【0308】
無作為化は、スクリーニング前のCRSsNPの手術歴(あり/なし)、地域(北米、欧州、及び他の地域)、及び合併症としての現在の喘息の診断によって層別化される。次いで、好酸球数300細胞/μL以上の集団に対する追加の層別因子は、それらの細胞数に基づく(300~500細胞/μL対501~750細胞/μL)。好酸球数の層別化は、スクリーニング時に取得された血中好酸球数に基づく。
【0309】
本試験には、以下の3つの試験期間が含まれる:
【0310】
スクリーニング期間-参加者の適格性は、少なくとも2週間~最大4週間のスクリーニング期間中に決定される。
【0311】
治療期間-適格参加者は、二重盲検でブレンソカチブ10mg、ブレンソカチブ40mg、又はプラセボフィルムコーティング錠剤を、一日一回、24週間経口投与されるように無作為化される。
【0312】
追跡期間-参加者は、治験薬の最終投与後4週間追跡される。
【0313】
参加者は、現在、モメタゾンフロエート経鼻剤使用、又はモメタゾンフロエート経鼻剤の使用歴の欠如に関係なく、試験登録のためにスクリーニングされ得る。スクリーニング来院では、使用歴にかかわらず、全ての参加者は、バックグラウンド療法として、治療期間を含む試験期間を通して、モメタゾンフロエート経鼻剤200μgをBID、又はBIDに耐えられない場合、QDで治療を開始する。
【0314】
PDサブスタディは、参加者のサブセットで実施される。鼻汁サンプルは、スクリーニング時に血液好酸球数が300細胞/μL未満の集団から30人の参加者、及び血液好酸球数が300細胞/μL以上の集団から30人の参加者を含む、約60人の参加者から採取される。サンプルは、1日目、4週目、及び24週目にクリニック来院で採取される。
【0315】
最大試験期間は、最大4週間のスクリーニング期間、24週間の二重盲検治療期間、及び4週間の追跡期間を含む、個々の参加者について約32週間である。
【0316】
結果評価
試験の目的及び評価項目が表2に示される。別段の記載がない限り、主要有効性推定の集団属性は、ベースライン好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNPを有する参加者である。CRSsNPを有する参加者の集団全体は、有効性推定については二次的であり、安全性、薬物動態、及び薬力学の推定については一次的である。全ての推定について、治療レジメンは、無作為化された試験治療(すなわち、ブレンソカチブ10mg QD、ブレンソカチブ40mg QD、又はプラセボQD)である。PK目的は、CRSsNPを有する参加者におけるブレンソカチブの全身曝露を評価することである。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0317】
有効性評価
1.sTSS
参加者は、28週目(試験終了(EOS))まで試験全体を通して、毎朝eDiaryでsTSSを自己管理する。
【0318】
参加者は、スクリーニング時、及び無作為化前の週の週平均スコアにおいて、sTSS(鼻づまり、前鼻漏/後鼻漏、顔面痛/圧迫感)が5以上であり、これは治験責任医師によって適格性を判断するために使用される。治療終了(EOT)解析については、症状スコアの4週間平均を使用する。
【0319】
毎日、参加者はeDiaryを使用して、朝の個々の鼻副鼻腔炎の症状の質問に、0~3のカテゴリースケール(0=症状なし、1=軽度の症状、2=中等度の症状、及び3=重度の症状)を使用して回答し、過去24時間にわたる症状を評価する。
【0320】
つまり及び/又は閉塞
【0321】
前鼻漏/後鼻漏(鼻水)
【0322】
顔面痛/圧迫感
【0323】
2.Lund-MacKay(LMK)CTスキャンスコア
LMK合計スコアは、各副鼻腔領域についてのCTスキャン所見の評価に基づく。不透明化の程度は、0(正常)、1(部分的不透明化)~2(完全不透明化)の間で評価される。次いで、これらの点は、各側の上顎洞、前篩骨洞、後篩骨洞、蝶形骨洞、及び前頭洞に適用される。中鼻道自然口ルートは、0(閉塞なし)又は2(閉塞あり)として評価される。次いで、側面当たり12の最大スコアが導出される。
【0324】
CTスキャンは、無作為化前のスクリーニング期間中いつでも、及び24週目(EOT)に再び実施される。参加者は、無作為化前に両側の篩骨洞不透明化を有していなければならない。
【0325】
3.CTスキャン容積評価
スクリーニング期間中及び24週目に実施されたCTスキャンは、CTスキャン容積評価に使用される。
【0326】
4.SNOT-22
SNOT-22は、検証済みの患者報告結果(PRO)質問票である。質問票は、5カテゴリースケールで22の評価項目を含む。スコアは0~110の範囲であり、より高いスコアは鼻副鼻腔炎に関連するより大きな健康負担を示す。
【0327】
SNOT-22には、副鼻腔状態及び外科的治療に適用される5カテゴリースケールの22項目がある。グローバルスコアの範囲は0~110であり、臨床的に重要な最小差(MCID)、つまり重要であると解釈される、ベースラインからの臨床試験群間の平均変化(点推定値)の最小の差は、8.9点以上である。スコアが低いと、影響が少なくなり、リコール期間は過去2週間である。鼻、耳、睡眠、一般的/実践的、及び情動を含む、SNOT-22内に説明できる5つのドメインがある。
【0328】
SNOT-22 PROは、過去2週間にわたる症状を評価するために、28週目(EOS)まで試験全体を通してeDiaryで完了される。参加者は、スクリーニング及びベースライン来院時のSNOT-22スコアが20以上なければならない。
【0329】
5.鼻づまりスコア(NCS)
鼻づまり症状重症度スコアは、参加者によって毎日評価される。各24時間にわたる鼻づまり/閉塞症状の重症度は、以下のように参加者によってスコア付けされる。
【0330】
0=症状なし
【0331】
1=軽度の症状(症状は明らかに存在するが、自覚症状はほとんどなく、容易に耐えられる)
【0332】
2=中等度の症状(煩わしいが耐えられる程度の明確な自覚症状)
【0333】
3=重度の症状(耐え難く、活動又は日常生活に支障をきたす症状)
【0334】
NC症状重症度スコアは、sTSSの一部として、毎朝28週目(EOS)までeDiaryに記録される。参加者は、スクリーニング前に少なくとも12週間連続してNC/閉塞の症状が進行中であり、スクリーニング時及び無作為化前の週の週平均スコアでNCSが2以上でなければならない。
【0335】
6.VASスコア
参加者は、VASを電子的に自己管理し、過去24時間にわたる症状を評価する。参加者は、スクリーニング及びベースライン来院時のVASスコアが5以上なければならない。
7.ピーク鼻吸気流量(PNIF)
【0336】
PNIFは、インチェック携帯型鼻吸気流量計を使用して測定される。スクリーニング時、参加者には、PNIFメーターが提供され、朝の吸気流量測定値を記録する。参加者は、デバイスの使用について指示され、治験責任医師は参加者に、毎日のeDiaryに以下の変数を記録する方法を指示する。
【0337】
朝のPNIFは、モメタゾンフロエート鼻腔スプレーを摂取する前に、起床から15分以内に実施される(正午前)。
【0338】
三つのPNIF読み取り値が参加者によって実行され、3つの値全てが参加者によってeDiaryに記録される。3つの記録された値の最高値が評価に使用される。
【0339】
ベースラインの朝のPNIFは、治験薬(IMP)の初回投与前の7日間に記録された朝の平均測定値である。PNIFは、28週目(EOS)まで毎日実施される。
【0340】
8.PGI-S及びPGI-C
PGI-S及びPGI-Cスケールを使用して、CRSsNP状態の重症度及び変化に関する参加者の全体的な認識を評価する。これらのスケールは、sTSS及び他の関連評価項目について、意義のある変化閾値を確認することを目的としている。
【0341】
参加者は、PGI-S及びPGI-Cを完了し、過去2週間にわたる症状を評価する。
【0342】
9.レスキュー治療を受けている参加者の割合
CRS症状の悪化によりレスキュー治療を必要とする参加者は記録される。レスキュー治療には、抗生物質、ステロイド、及び/又は鼻手術が含まれる。
【0343】
10.前鼻漏/後鼻漏重症度スコア
前鼻漏/後鼻漏重症度スコアは、sTSSの一部として毎日記録される。
【0344】
11.毎日の顔面痛/圧迫感重症度スコア
毎日の顔面痛/圧迫感重症度スコアは、sTSSの一部として毎日記録される。
【0345】
12.ペンシルバニア大学嗅覚識別試験(UPSIT)スコア
UPSIT試験は、嗅覚機能を40項目で評価する迅速で実施しやすい検査である。UPSITは、高い試験-再試験の信頼性(r:0.981)を示し、この試験のスコアは、同じ個体におけるフェニルエチルアルコールの検出閾値と強く相関する。UPSITを標準化された方法で実施すると、臨床参加者は、異なる実験室で試験した場合、UPSITの性能に高い均一性を示す。この試験の特定の強みは、患者の試験スコアと標準データの比較に基づいて嗅覚診断が提供され、同年齢の正常群に対する個人のパーセンタイルスコアが提供されることである。UPSIT試験スコアによって、正常な嗅覚を有する患者(「正常な嗅覚」)、嗅覚が低下した患者(「軽度、中等度、重度の嗅覚不全」)、又は嗅覚が完全に失われている患者(「無嗅覚症」)を区別することができる。
【0346】
試験は4つの小冊子から成り、それぞれが10種類の臭気剤を含む。刺激は、各ページの下部にある褐色の細片上の直径10~50(mu)のプラスチックマイクロカプセルに埋め込まれる。参加者は、埋め込まれた臭気剤を擦ることによって臭気剤を放出する。各臭気剤の上には、その臭気を説明するための4つの単語を用いた多項選択式問題がある。この研究で利用されるUPSIT試験の臭気剤は、文化の違いを考慮に入れる。参加者は、40通りの正解の中からスコアを受け取る。
【0347】
13.修正版Lund-Kennedy内視鏡スコア
Lund-Kennedy内視鏡スコアリングシステムは、ポリープ、分泌物、浮腫、瘢痕化、及び痂皮形成を含む、鼻及び副鼻腔内の病理学的状態を視覚的に評価する。瘢痕化及び痂皮形成のサブスコアを除く修正版LKシステムは、患者の報告結果との信頼性を改善する。Psaltis et al.,Laryngoscope 124(10):2216-23(2014)を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0348】
修正版Lund-Kennedy評価システムは以下の通りである。
【表3】
【0349】
評価項目解析については、スクリーニング時の内視鏡読取値を24週目の読取値と比較する。
14.鼻手術を必要とする参加者の割合
【0350】
CRS症状の悪化のために鼻手術を必要とする参加者は、手術の種類、手術の理由、手術日、及び手術の結果を含めて記録される。
【0351】
薬物動態評価
ブレンソカチブの血漿濃度の測定及びPK分析のために、それぞれ約6mLの血液サンプルを収集する。PKサンプル収集のための時点には、1日目の投与前、1時間(±5分)、2時間(±10分)、及び6時間(±2時間);4週目の投与後;8週目の投与前;12週目の投与後;16週目の投与前;20週目の投与後;及び24週目の投与前が含まれる。
【0352】
薬理学的評価
1.PDバイオマーカー
血液サンプル及び鼻汁を収集して、NSP及びNET活性に対するブレンソカチブの効果をプラセボと比較して評価する。バイオマーカーには、NE、CatG、PR3、及び他の関連するバイオマーカーが含まれる。サンプルは、以下の時点で採取される:1日目、並びに4、8、12、16、20、24、及び28週目。
【0353】
ベースラインからの変化は、バイオマーカーに対するブレンソカチブの阻害効果について調査される。
【0354】
2.PDサブスタディ
PDサブスタディは、参加者のサブセットで実施される。鼻汁サンプルは、約60人の参加者:スクリーニング時に血液好酸球数が300細胞/μL未満の集団から30人の参加者、及び血液好酸球数が300細胞/μL以上の集団から30人の参加者から採取される。サンプルは、1日目、4週目、及び24週目にクリニック来院で採取される。
【0355】
副鼻腔パックを両側の鼻腔に5分間挿入する。二つのパッキングを管に移し、3mLの生理食塩水(0.9%NaCl)を添加し、続いて遠心分離することによって、吸着した分析物をパッキングから溶出する。上清アリコートを-70°Cで保存する。
【0356】
集団PK及びPK/PD評価
本研究からの血漿中濃度データは、探索的スケールとして集団PK解析で利用される。Cmax、Tmax、AUC0~24、消失t1/2、CL/F、及びVd/Fなどの個々のPKパラメータは、集団PKモデルを使用して決定される。
【0357】
集団PKモデルから予測される全身曝露に基づいて、有効性(例えば、sTSSなど)、安全性(AESI)、及び血液NSP活性(NE、CatG、PR3)の反応指標など、PK有効性及びPK安全性の関係が評価される。特定されたPK-PD関係は、モンテカルロシミュレーションによる臨床転帰を予測するために使用され、将来の臨床試験の用量及び投与レジメンの選択をサポートする。
【0358】
主要有効性推定の集団属性は、ベースライン好酸球数が300細胞/μL未満のCRSsNPを有する参加者である。CRSsNPを有する参加者の集団全体は、有効性推定については二次的であり、安全性、薬物動態、及び薬力学の推定については一次的である。全ての推定について、治療レジメンは、無作為化された試験治療(すなわち、ブレンソカチブ10mg QD、ブレンソカチブ40mg QD、又はプラセボQD)である。
【0359】
安全性パラメータ
安全性パラメータには、AE、臨床検査結果、バイタルサイン測定値、ECG測定値、及び身体検査結果が含まれる。特に注目すべき有害事象(AESI)には、過角化症、歯周炎/歯肉炎、及び重度の感染症が含まれる。
データ解析
【0360】
解析セット
スクリーニングされた解析セット-書面によるインフォームドコンセントを提供する全ての参加者を含む。
【0361】
全解析セット-無作為化された全ての参加者を含む。参加者は、割り当てられた治療に従って分析される。
【0362】
安全性解析セット-少なくとも1用量の試験治療を受ける無作為化された全ての参加者を含む。参加者は、受けた治療に従って分析される。
【0363】
PK濃度解析セット-ブレンソカチブを少なくとも1回投与され、かつ投与後の濃度値を少なくとも1つ有する全ての参加者を含む。
【0364】
PD解析セット-割り当てられた試験治療の投与を少なくとも1回受け、かつバイオマーカーの測定を少なくとも投与前1回及び投与後1回受けた全ての参加者を含む。
【0365】
有効性解析
有効性の推定は、レスキュー(すなわち、全身性コルチコステロイド、抗生物質、又は鼻手術)に関連する介入性事象(ICE)の取り扱いのための複合戦略を利用する。鼻手術のICE後のデータは、可能な限り最悪のスコアを使用して帰属させ、レスキュー薬(全身性コルチコステロイド又は抗生物質)のICE後のデータは、今後の最悪の観察(WOCF)を使用して帰属させる。レスキューに関連するICEを伴わない治療を早期に中止する場合は、治療方針戦略を使用して対処する。
【0366】
主要有効性評価項目は、ベースラインの好酸球数が300細胞/μL未満であるCRSsNPを有する参加者における、ベースラインから24週目での一日のsTSSの28日間平均までの変化であり、治療の主効果、ベースラインの日平均値の連続共変量、及びCRSsNPの手術歴(あり/なし)、地理、及び現在の喘息の診断(あり/なし)に関する無作為化層別因子を用いた共分散分析(ANCOVA)モデルを使用して解析する。ブレンソカチブ10mg対プラセボ、及びブレンソカチブ40mg対プラセボについて、最小二乗平均差、両側95%信頼区間(CI)、並びに対応するp値を要約する。
【0367】
主要評価項目の二次的解析は、CRSsNPを有する参加者集団全体を対象とし、同様のANCOVAモデルを用いて解析する。しかしながら、ベースラインの血中好酸球数の連続共変量が追加される。更に、喘息の診断と血中好酸球数との間の交絡の確認を行う。
【0368】
24週目に評価される二次的変数(すなわち、LMK CTスコアのベースラインからの変化、容積測定により測定された副鼻腔混濁の割合のベースラインからの変化、及びSNOT-22のベースラインからの変化、一日のNCSのベースラインから28日間平均までの変化、一日のVASスコアのベースラインから28日間平均までの変化、及び一日のPNIFのベースラインから28日間平均までの変化)については、別個のANCOVAモデルが、各変数のデータに適合される。一次的集団のモデルは、治療に対する主な効果、対応するベースライン値に対する連続共変量、及びCRSsNPの手術歴(あり/なし)、地理、及び現在の喘息の診断に対する無作為化層別因子を含む。集団全体の分析モデルには、ベースラインの血中好酸球数に対する連続共変量も含まれる。ブレンソカチブ10mg対プラセボ、及びブレンソカチブ40mg対プラセボについて、最小二乗平均差、95% CI、並びに対応するp値を要約する。
【0369】
レスキュー(全身性コルチコステロイド、抗生物質、又は鼻手術)の最初の使用までの時間を、Cox比例的危険回帰を使用した治療間で比較する。対応する95%信頼限界及びCoxモデルからの両側Wald p値を有する推定ハザード比を、各比較について報告する。Kaplan-Meierプロットは、経時的な治療ごとの各レスキュー事象(全身性コルチコステロイド、抗生物質、又は鼻手術)の確率を要約する。
【0370】
レスキュー(全身性コルチコステロイド、抗生物質、又は鼻手術)を必要とする参加者の割合を、ロジスティック回帰を使用した治療間で比較する。ブレンソカチブ10mg対プラセボ、及びブレンソカチブ40mg対プラセボの比較について、ロジスティック回帰モデルからの対応する95%信頼限界及び両側Wald p値を有する推定されたオッズ比を報告する。
【0371】
薬物動態分析
ブレンソカチブの血漿中濃度は、記述統計を使用して、予定された各サンプリング時点における用量レベルごとにリスト化され、要約される。個々の血漿中濃度データ対時間は、線形スケール及び半対数スケールで提示される個々の及び平均血漿中濃度-時間プロットのグラフプロットと共に、リスト化される。
【0372】
薬力学分析
血液及び鼻汁(NE、CatG、及びPR3)中のNSP活性を、ベースラインからの阻害率として評価する。データは、記述統計を使用して、予定された各サンプリング時点における治療群ごとにリスト化され、要約される。サンプルサイズが許す場合、モデルベースの分析を実施することができる。他のバイオマーカーを評価してもよい。
【0373】
安全性解析
安全性解析は、SAE及びAESIを含む、治験薬投与後に発現した有害事象の頻度及び重症度、臨床検査結果のベースラインからの変化、及びバイタルサイン、並びにECGを評価する。全ての安全性解析は、安全性解析セットで受けた治療ごとに実施される。
* * * * * * *
【0374】
本明細書に引用される全ての論文、刊行物、及び特許は、各個々の論文、刊行物、又は特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれ、引用された刊行物に関連する方法及び/又は材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本明細書に引用される任意の参考文献、記事、刊行物、特許、特許公開、及び特許出願の言及は、それらが有効な先行技術を構成するか、又は世界中のどの国においても共通の一般知識の一部を形成するという承認、又はいかなる形態の示唆ではなく、またそのように受け取られるべきではない。
【0375】
本明細書に記載され論じられた実施形態は、本発明を実施かつ使用するために、発明者に公知の最良の方法を当業者に教示することのみが意図される。上述の本発明の実施形態は、上記の教示に鑑みて当業者によって理解されるように、本発明から逸脱することなく修正及び変更することが可能である。したがって、本発明が、本特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、具体的に記載された以外の方法で実施され得ると理解される。
【国際調査報告】