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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ハイブリッド駆動モジュール
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/40 20071001AFI20241024BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20241024BHJP
   F16D 41/08 20060101ALI20241024BHJP
   F16F 15/134 20060101ALI20241024BHJP
   B60K 6/383 20071001ALI20241024BHJP
   B60K 6/405 20071001ALI20241024BHJP
   B60K 6/26 20071001ALI20241024BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20241024BHJP
   B60K 1/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60K6/40 ZHV
B60K17/04 G
F16D41/08 Z
F16F15/134 A
B60K6/383
B60K6/405
B60K6/26
B60K6/48
B60K1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525543
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2022015892
(87)【国際公開番号】W WO2023075272
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0144505
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519225255
【氏名又は名称】ヴァレオ、カペック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VALEO KAPEC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100224856
【弁理士】
【氏名又は名称】朱牟田 奏人
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジンス
【テーマコード(参考)】
3D039
3D202
3D235
【Fターム(参考)】
3D039AA02
3D039AA04
3D039AA31
3D039AB27
3D039AC06
3D039AC32
3D039AD02
3D039AD23
3D039AD53
3D202AA08
3D202EE00
3D202EE02
3D202EE15
3D202EE23
3D235AA01
3D235BB18
3D235BB19
3D235CC12
3D235CC32
3D235FF32
3D235GB02
3D235GB19
3D235HH52
(57)【要約】
ハイブリッド駆動モジュールが開示される。本発明の実施形態によるハイブリッド駆動モジュールは、エンジンとモータから伝達される回転動力を変速機に選択的に伝達するためのハイブリッド駆動モジュールであって、作動流体の流入口と排出口とを備える内部チャンバーと、前記エンジンに回転的に固定されたトルク入力部、およびトルク出力部を備えるトーションダンパーと、前記トルク出力部に連結されるワンウェイクラッチと、を含み、前記トーションダンパーおよび前記ワンウェイクラッチが前記内部チャンバー内に配置されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンとモータから伝達される回転動力を変速機に選択的に伝達するためのハイブリッド駆動モジュールであって、
作動流体の流入口と排出口を備える内部チャンバーと、
前記エンジンに回転的に固定されたトルク入力部、およびトルク出力部を設けるトーションダンパーと、
前記トルク出力部に連結されるワンウェイクラッチと、
を含み、
前記トーションダンパーおよび前記ワンウェイクラッチが前記内部チャンバー内に配置される、ハイブリッド駆動モジュール。
【請求項2】
前記エンジンに回転的に固定されたパイロットハブと、
前記変速機に回転的に固定された変速機ハブと、
前記変速機ハブに回転的に固定されたカバー部と、
を含み、
前記トルク入力部が前記パイロットハブに回転的に固定され、
前記パイロットハブ、前記変速機ハブおよび前記カバー部が前記内部チャンバーを形成する、請求項1に記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項3】
前記ワンウェイクラッチは、
前記トーションダンパーのトルク出力部に回転的に固定されるドライブキャリアと、
前記ドライブキャリアに結合されるインナーレースと、
前記カバー部の内周面に結合されるアウターレースと、
前記インナーレースと前記アウターレースとの間に設けられ、前記インナーレースに対して前記アウターレースを一方向に回転自在に支持するクラッチ要素と、
を含む、請求項2に記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項4】
前記アウターレースと前記クラッチ要素は、
前記カバー部に結合されるリテーナによって前記カバー部に固定される、請求項3に記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項5】
前記トルク入力部は、半径方向内側がパイロットハブに回転的に固定されるダンパードライブプレートを含み、
前記トルク出力部は、前記ドライブキャリアに回転的に固定されるカバープレートを含み、
前記トーションダンパーは、前記ダンパードライブプレートの半径方向外側で配置され、前記ダンパードライブプレートによって円周方向に弾性的に支持される複数のばね部材を含み、
前記カバープレートは、前記ばね部材によって円周方向に弾性的に支持される、請求項3に記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項6】
前記カバー部の一端部が前記変速機ハブに回転的に固定され、
前記カバー部の他端部は、前記パイロットハブに回転自在に連結される、請求項2に記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項7】
前記カバー部の他端部と前記パイロットハブとの間にシール部材が取り付けられる、請求項6に記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項8】
前記パイロットハブと前記変速機ハブとの間にベアリングが介在し、
前記ベアリングを経由して前記内部チャンバーが前記変速機と流体可能に連通する、請求項2に記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項9】
前記カバー部の半径方向外側に前記モータのロータが取り付けられる、請求項2に記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項10】
前記ワンウェイクラッチは、
前記エンジンが作動する場合、前記エンジンの回転速度が前記モータの回転速度よりも速く回転し始める時点から、前記エンジンの回転動力を前記変速機に伝達する、請求項1に記載のハイブリッド駆動モジュール。
【請求項11】
エンジンとモータから伝達される回転動力を変速機に選択的に伝達するためのハイブリッド駆動モジュールであって、
前記エンジンの回転によって引き起こされる振動を減衰させるためのトーションダンパーと、
前記トーションダンパーの出力を変速機に選択的に伝達するためのワンウェイクラッチと、
を含み、
変速機から供給された作動流体が前記トーションダンパーの潤滑に使用されることを特徴とする、ハイブリッド駆動モジュール。
【請求項12】
前記ワンウェイクラッチは、
前記モータのみ作動する場合には、自由回転しながら前記モータの回転動力を前記変速機に伝達し、
前記エンジンが作動する場合は、前記エンジンの回転速度が前記モータの回転速度よりも速く回転し始める時点から、前記エンジンの回転動力を前記変速機に伝達する、請求項11に記載のハイブリッド駆動モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド駆動モジュールに関し、より詳しくは、内燃機関とモータから入力された回転動力を変速機に伝達させるハイブリッド駆動モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両における環境に優しい技術は未来自動車産業の核心技術であり、自動車メーカーは環境および燃費規制を達成するための環境に優しい自動車開発に総力を注いでいる。
【0003】
将来の自動車技術は、電気エネルギーを利用する電気自動車(EV:Electric Vehicle)、ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、効率と利便性を向上させたダブルクラッチ変速機(DCT:Double Clutch Transmission)が例として挙げられる。
【0004】
前記ハイブリッド電気自動車は、2つ以上の動力源(Power Source)を使用する自動車であり、様々な方法で組み合わせることができるが、通常、既存の化石燃料を使用するガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンと、電気エネルギーによって駆動されるモータ/ジェネレータが混合(Hybrid)されて構成される。
【0005】
このようなハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle)は、内燃エンジンとモータを同時に装着するため、一般車両に比べて有害ガス排出量と燃費を画期的に削減することができる。
【0006】
このようなハイブリッド電気自動車は、エンジンとモータの回転動力を変速機に効果的に伝達して効率を高め、燃費を最大化するように効果的な動力伝達やサイズおよび部品の縮小などを可能にするエンジンクラッチとトルクコンバータを備えた駆動モジュールの開発が求められてきた。
【0007】
これにより、ハイブリッド電気自動車(HEV)におけるエンジンとモータの駆動力を効率的に組み合わせ、および伝達するように、エンジンクラッチとトルクコンバータの機能を含めて、ハイブリッド電気自動車のモータと共にモジュール化させたハイブリッド駆動モジュールの研究開発が継続して行われている。
【0008】
この背景技術の部分に記載された事項は、発明の背景に対する理解を促進するために作成されたものであり、この技術が属する分野で通常の知識を有する者に既に知られている従来技術でない事項を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、前記のような問題点を解決するために発明されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、エンジンクラッチの構造を変更して全体構成要素および結合構造を簡素化して製作コストを低減し、エンジンの回転速度に応じて動作することによって、別々の油圧ラインとアクチュエータを除去することができるようにする、ハイブリッド駆動モジュールを提供しようとする。
【0010】
本発明の他の目的は、作動流体が流入する内部にエンジンクラッチとトーションダンパーを一緒に搭載してエンジンクラッチと連結されるトーションダンパーの配置を最適化し、全体の外径および軸方向の全長を縮小することを可能にする、ハイブリッド駆動モジュールを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するための本発明の実施形態によるハイブリッド駆動モジュールは、エンジンとモータから伝達される回転動力を変速機に選択的に伝達するためのハイブリッド駆動モジュールであって、作動流体の流入口と排出口とを備える内部チャンバーと、前記エンジンに回転的に固定されたトルク入力部、およびトルク出力部を含むトーションダンパーと、前記トルク出力部に連結されるワンウェイクラッチと、を含み、前記トーションダンパー、および前記ワンウェイクラッチが前記内部チャンバー内に配置されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態では、前記エンジンに回転的に固定されたパイロットハブと、前記変速機に回転的に固定された変速機ハブと、前記変速機ハブに回転的に固定されたカバー部と、を含み、前記トルク入力部が前記パイロットハブに回転的に固定され、前記パイロットハブ、前記変速機ハブ、および前記カバー部が前記内部チャンバーを形成してもよい。
【0013】
本発明の他の実施形態では、前記ワンウェイクラッチが前記トーションダンパーのトルク出力部に回転的に固定されるドライブキャリアと、前記ドライブキャリアに結合されるインナーレースと、前記カバー部の内周面に結合されるアウターレースと、前記インナーレースと前記アウターレースとの間に設けられ、前記インナーレースに対して前記アウターレースを一方向に回転自在に支持するクラッチ要素と、を含んでもよい。
【0014】
本発明のまた他の実施形態では、前記アウターレースと前記クラッチ要素とが前記カバー部に結合されるリテーナによって前記カバー部に固定されてもよい。
【0015】
本発明のまた他の実施形態において、前記トルク入力部は、半径方向内側が前記パイロットハブに回転的に固定されるダンパードライブプレートを含み、前記トルク出力部は、前記ドライブキャリアに回転的に固定されるカバープレートを含み、前記トーションダンパーは、前記ダンパードライブプレートの半径方向外側に配置され、前記ダンパードライブプレートによって円周方向に弾性的に支持される複数のばね部材を含み、前記カバープレートは、前記ばね部材によって円周方向に弾性的に支持されてもよい。
【0016】
本発明のまた他の実施形態では、前記カバー部の一端部が前記変速機ハブに回転的に固定され、前記カバー部の他端部は、前記パイロットハブに回転可能に連結されてもよい。
【0017】
本発明の他の実施形態では、前記カバー部の他端部と前記パイロットハブとの間にシール部材が取り付けられてもよい。
【0018】
本発明のまた他の実施形態では、前記クラッチハブと前記変速機ハブとの間にベアリングが介在し、前記ベアリングを経由して前記内部チャンバーが前記変速機と流体可能に連通してもよい。
【0019】
本発明の他の実施形態では、前記カバー部の半径方向外側に前記モータのロータが取り付けられてもよい。
【0020】
本発明のまた他の実施形態において、前記ワンウェイクラッチは、前記エンジンが作動する場合、前記エンジンの回転速度が前記モータの回転速度よりも速く回転され始める時点から、前記エンジンの回転動力を前記変速機に伝達してもよい。
【0021】
本発明に係る実施形態では、エンジンとモータから伝達される回転動力を変速機に選択的に伝達するためのハイブリッド駆動モジュールであって、前記エンジンの回転により引き起こされる振動を減衰させるためのトーションダンパーと、前記トーションダンパーの出力を変速機に選択的に伝達するためのワンウェイクラッチと、を含み、変速機から供給された作動流体が前記ダンパーの潤滑に使用されてもよい。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記ワンウェイクラッチは、前記モータのみ作動する場合は、自由回転しながら前記モータの回転動力を前記変速機に伝達し、前記エンジンが作動する場合は、前記エンジンの回転速度が前記モータの回転速度よりも速く回転し始める時点から、前記エンジンの回転動力を前記変速機に伝達してもよい。
【発明の効果】
【0023】
前述したように、本発明の実施形態によるハイブリッド駆動モジュールによれば、エンジンクラッチの構造を変更して全体の構成要素および結合構造を簡素化し、製作工数および製作コストを低減する効果がある。
【0024】
また、本発明は、車両の運行条件に応じてエンジンクラッチが自由回転(free-wheeling)されて、エンジンに負荷無しでモータの動力を伝達して、車両走行および回生制動を行う効果もある。
【0025】
なお、本発明は、エンジンの回転速度に応じてエンジンクラッチが作動することにより、別途の油圧ラインとアクチュエータを除去することができ、設計自由度を向上させることができ、発熱を最小化して耐久性および作動制御性を向上させる効果もある。
【0026】
また、本発明は、作動流体が流入する内部にエンジンクラッチとトーションダンパーを一緒に搭載してエンジンクラッチと連結されるトーションダンパーの配置を最適化し、全体の外径および軸方向の全長を縮小できる効果もある。
【0027】
さらに、本発明は、トーションダンパーに作動流体を供給することにより、トーションダンパーの潤滑を図ることで、性能および耐久性を向上させることができ、全体的な商品性を向上させることができる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態によるハイブリッド駆動モジュールを軸方向に切断して眺めた断面図である。
図2図1のA部分に対する拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明すれば以下のとおりである。
【0030】
本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、様々な変更を加えることができ、異なる様々な形態で具現されることができる。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。
【0031】
したがって、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、いずれかの実施形態の構成と他の実施形態の構成とを置換または追加することはもちろん、本発明の技術的思想と範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0032】
添付の図面は、本明細書に開示された実施形態を容易に理解できるようにするためのものであり、添付の図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0033】
本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体を通して同一または類似な構成要素には同一の参照符号を付す。
【0034】
図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示されたため、本発明が必ずしも図面に示されたものに限定されず、様々な部分および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
【0035】
図面の構成要素は、理解の便宜などを考慮してサイズや厚さを誇張して、大きくまたは小さく表現することがあるが、これにより本発明の保護範囲が制限的に解釈されてはならない。
【0036】
本明細書で使用される用語は、単に特定の具現例や実施形態を説明するために使用されるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。そして単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0037】
本明細書において、「含む」、「からなる」などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在することを指定することを意図している。言い換えれば、明細書において、「含む」、「からなる」などの用語は、1つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことを理解すべきである。
【0038】
第1、第2などの序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用され得るが、前記構成要素は、前記用語によって限定されない。前記用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別するための目的だけで使用される。
【0039】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されている」または「接続されている」と言及されている場合、他の構成要素に直接連結されているか、または接続されていることもあるが、それらの間に他の構成要素が存在することもあると理解すべきである。
【0040】
一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接接続されている」または「直接接続されている」と言及されている場合は、その間に他の構成要素が存在しないことを理解すべきである。
【0041】
ある構成要素が他の構成要素の「上部にある」または「下部にある」と言及されている場合は、他の構成要素のすぐ上に配置されている場合だけでなく、その間に他の構成要素が存在してもよいことを理解すべきである。
【0042】
他に定義されない限り、技術的または科学的用語を含めて、ここで使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0043】
一般的に使用される辞書で定義されているのと同じ用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願において明確に定義されない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0044】
便宜上、本明細書において、方向は次のように定義する。
【0045】
前後方向または軸方向は、回転軸と並んだ方向であり、前方(前側)は動力源のある一方向、例えばエンジン側に向かう方向を意味し、後方(後側)は他の一方向、例えば変速機側に向かう方向を意味する。したがって、前面とは、その表面が前方を眺める面を意味し、後面とは、その表面が後方を眺める面を意味する。
【0046】
半径方向または放射方向とは、前記回転軸に垂直な平面上で前記回転軸の中心を通る直線に沿って前記中心に近づく方向または前記中心から離れる方向を意味する。前記中心から半径方向に離れる方向を遠心方向といい、前記中心に近づく方向を求心方向という。
【0047】
円周方向とは、前記回転軸の円周を囲む方向を意味する。外周とは外側の周り、内周とは内側の周りを意味する。したがって、外周面とは、前記回転軸を背く方向の面であり、内周面とは、前記回転軸を眺める方向の面を意味する。
【0048】
円周方向側面とは、その面の法線が略円周方向に向かう面を意味する。
【0049】
なお、明細書に記載の「…ユニット」、「…手段」、「…部」、「…部材」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作をする包括的な構成の単位を意味する。
【0050】
図1は、本発明の一実施形態によるハイブリッド駆動モジュールを軸方向に切断して眺めた断面図であり、図2は、図1のA部分の拡大図である。
【0051】
図1は、本発明の実施形態を説明するための半断面図であり、本発明の実施形態によるハイブリッド駆動モジュール100を図示している。
【0052】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるハイブリッド駆動モジュール100は、エンジン2とモータ6から伝達される回転動力を変速機4に選択的に伝達するためのものであり、前記エンジン2と前記変速機4との間に配置される。
【0053】
前記モータ6は、一般の電気自動車に適用されるように、ロータRとステータSとから構成され、モータおよびジェネレータ機能を同時に行うことができる。
【0054】
ここで、本発明の実施形態によるハイブリッド駆動モジュール100は、ドライブプレート110、パイロットハブ120、カバー部125、トーションダンパー140、変速機ハブ152、およびワンウェイクラッチ160を含んでもよい。
【0055】
この際、前記パイロットハブ120、前記カバー部125、および前記変速機ハブ152は、互いに結合されて内部チャンバーを形成してもよく、前記トーションダンパー140および前記ワンウェイクラッチ160は、このように形成された内部チャンバー内に配置されてもよい。
【0056】
前記内部チャンバーは、作動流体が流入する流入口と排出口とを備えてもよく、本実施形態では、前記変速機ハブ152に排出口が形成され、前記パイロットハブ120と前記変速機ハブとの間に流入口が形成されてもよい。以下、具体的に説明する。
【0057】
まず、前記ドライブプレート110は、前記エンジン2と連結され、前記エンジン2の回転動力が入力される。
【0058】
前記パイロットハブ120は、前記ドライブプレート110の半径方向内側で回転中心に配置され、前記ドライブプレート110にボルト締めを介して取り付けられる。
【0059】
本実施形態において、前記カバー部125の一端部は、前記変速機ハブ152に回転的に固定されることができ、前記カバー部125の他端部は、前記パイロットハブ120に回転自在に連結されてもよい。
【0060】
図示の実施形態と同様に、カバー部125は、前記トーションダンパー140側に位置するダンパーカバー130、および前記ワンウェイクラッチ160側に位置するクラッチカバー150を含んでもよい。
【0061】
このような場合、前記クラッチカバー150の一端部は、前記変速機ハブ152に回転的に固定されてもよい。
【0062】
また、前記ダンパーカバー130の一端部は、前記クラッチカバー150の他端部に回転的に固定されてもよい。そして、前記ダンパーカバー130の他端部は、前記エンジン2側で前記パイロットハブ120に回転自在に取り付けられてもよい。
【0063】
ここで、前記ダンパーカバー130の内周面には、前記ダンパーカバー130と前記パイロットハブ120との間をシールするためのシール部材132が装着されてもよい。
【0064】
前記シール部材132は、前記パイロットハブ120と前記ダンパーカバー130との間で内部の作動流体が外部に漏れることを防止することができる。
【0065】
一方、前記トーションダンパー140は、相互結合された前記ダンパーカバー130と前記クラッチカバー150の内側で前記エンジン2側に配置され、前記パイロットハブ120と一緒に回転するように、前記パイロットハブ120に固定される。
【0066】
ここで、前記トーションダンパー140は、前記エンジン2に回転的に固定されるトルク入力部と、回転動力を出力するトルク出力部とが備えられてもよい。
【0067】
このようなトーションダンパー140は、前記ドライブプレート110を介してトルク入力部に伝達された前記エンジン2の回転動力で軸の回転方向に作用するねじり力を吸収して振動を減衰させる機能を果たす。
【0068】
ここで、前記トーションダンパー140は、ダンパードライブプレート141、ばね部材142、第1カバープレート143、および第2カバープレート144を含んでもよい。
【0069】
まず、前記ダンパードライブプレート141は、前記パイロットハブ120に結合される。前記トルク入力部は、前記パイロットハブ120に回転的に固定されてもよい。つまり、前記トーションダンパー140のトルク入力部は、前記ダンパードライブプレート141となってもよい。
【0070】
これにより、前記ダンパードライブプレート141は、前記エンジン2の回転動力から軸の回転方向を作用するねじり力と振動の伝達を受けることができる。
【0071】
前記ばね部材142は、回転中心を基準に円周方向に多数配置され、前記ダンパードライブプレート141によって弾性的に支持される。このようなばね32は、圧縮コイルばねで形成されてもよい。
【0072】
本実施形態において、前記第1カバープレート143と前記第2カバープレート144は、前記ばね部材142を包むように配置され、前記ばね部材142を弾性的に支持することができる。
【0073】
ここで、前記第1カバープレート143と前記第2カバープレート144とは対向して配置されてもよい。また、前記第1カバープレート143は、前記トーションダンパー140のトルク出力部となってもよい。
【0074】
すなわち、前記ダンパードライブプレート141に伝達された駆動力は、前記ばね24を介して前記第1および第2カバープレート143、144に伝達されることができる。この過程で、前記ばね部材142は、回転方向の振動および衝撃を吸収することができる。
【0075】
このように構成される前記トーションダンパー140は、前記ダンパーカバー130の内部で軸方向を基準として前記エンジン2側に配置され、前記パイロットハブ120に結合され、前記エンジン2の回転動力から軸の回転方向を作用するねじり力と振動を効率的に吸収することができる。
【0076】
このようなトーションダンパー140は、相互結合された前記ダンパーカバー130と前記クラッチカバー150の内部に流入する作動流体によって潤滑されることにより、各構成要素の接触による摩擦を低減し、前記ばね部材142の疲労度を減らし、全体の耐久性を向上させることができる。
【0077】
一方、前記ロータRは、前記ダンパーカバー130または前記クラッチカバー150の半径方向外側に取り付けられる固定手段により、前記ダンパーカバー130または前記クラッチカバー150に固定されることができる。本発明の一実施形態において、前記固定手段は、前記クラッチカバー150に取り付けられる固定リング151から構成される。
【0078】
これにより、前記ロータRは、互いに組み立てられた前記ダンパーカバー130と前記クラッチカバー150との径方向外側で外周面に内周面が安着した状態で、前記固定リング151によって固定される。
【0079】
ここで、前記ロータRの半径方向外側には前記ステータSが配置される。
【0080】
一方、本実施形態では、前記固定リング151が前記クラッチカバー150に取り付けられたことを一実施形態として説明しているが、これに限定されず、前記固定リング151は、前記ダンパーカバー130の外周面に取り付けられてもよい。
【0081】
本実施形態において、前記変速機ハブ152は、前記パイロットハブ120に回転自在に連結される。このような変速機ハブ152には、前記クラッチカバー150の内周面が溶接などにより固定されてもよい。
【0082】
一方、図1を参照すると、前記パイロットハブ120と前記変速機ハブ152との間にはベアリング8が介在する。
【0083】
ここで、前記ベアリング8は、半径方向内側で前記パイロットハブ120の内周面に形成された第1段差溝122に、軸方向を基準として前記エンジン2側に向かう一端部が支持される。
【0084】
このようなベアリング8は、半径方向内側で前記変速機ハブ152の外周面に形成された第2段差溝154に軸方向を基準として前記変速機2側に向かう他端が支持されることができる。
【0085】
これにより、前記ベアリング8は、前記パイロットハブ120と前記変速機ハブ152との間で、前記第1および第2段差溝122、154によって軸方向への離脱が防止され、前記パイロットハブ120に対して前記変速機ハブ152を安定して回転自在に支持することができる。
【0086】
さらに、前記内部チャンバーは、前記ベアリング8を経由して前記変速機4と流体連通可能に連結されてもよい。
【0087】
本実施形態において、前記ワンウェイクラッチ160は、図1図2に示すように、相互結合された前記ダンパーカバー130と前記クラッチカバー150の内部で前記変速機4側に配置され、前記トーションダンパー140のトルク出力部に連結される。
【0088】
このようなワンウェイクラッチ160は、前記ドライブプレート110を、前記クラッチカバー150を直接連結して、前記エンジン2の回転動力を、前記クラッチカバー150を介して前記変速機ハブ152に選択的に伝達することができる。
【0089】
前記ワンウェイクラッチ160は、前記エンジン2が作動する場合に、前記エンジン2の回転動力を前記変速機4に伝達することができる。
【0090】
ここで、前記ワンウェイクラッチ160は、前記エンジン2が作動する場合、前記エンジン2の回転速度が前記モータ6の回転速度よりも速く回転し始める時点から前記エンジン2の回転動力を前記変速機4に伝達することができる。
【0091】
また、前記ワンウェイクラッチ160は、前記モータ6のみ作動する場合には、自由回転しながら前記モータ6の回転動力を前記変速機4に伝達することができる。このように構成される前記ワンウェイクラッチ160は、ワンウェイクラッチで構成されてもよい。
【0092】
本発明の一実施形態において、前記ワンウェイクラッチ160は、ドライブキャリア162、インナーレース163、アウターレース164、およびクラッチ要素165を含んでもよい。
【0093】
まず、前記ドライブキャリア162は、前記トーションダンパー140のトルク出力部である前記第1カバープレート143に回転的に固定されてもよい。ここで、前記ドライブキャリア162は、前記トーションダンパー140にリベットされて固定結合されてもよい。
【0094】
前記インナーレース163は、前記ドライブキャリア162の外周面に結合されてもよい。
【0095】
ここで、前記インナーレース163は、前記ドライブキャリア162の外周面に取り付けられるスナップリング167によって前記ドライブキャリア162に固定結合されてもよい。
【0096】
本実施形態において、前記アウターレース164は、前記インナーレース163から半径方向外側に離隔した位置に配置されてもよく、前記クラッチカバー150の内周面に結合されてもよい。
【0097】
すなわち、前記アウターレース164は、軸方向を基準に前記変速機4側で前記クラッチカバー150の内周面に固定されてもよい。
【0098】
そして、前記クラッチ要素165は、前記インナーレース163と前記アウターレース164との間に設けられてもよい。このようなクラッチ要素165は、前記インナーレース160に対して前記アウターレース164を一方向に回転自在に支持することができる。
【0099】
ここで、前記アウターレース164と前記クラッチ要素165は、前記クラッチカバー150に結合されるリテーナ166によって前記クラッチカバー150の内周面に固定されてもよい。
【0100】
すなわち、前記リテーナ166は、前記アウターレース164と前記クラッチ要素165の軸方向の両側を前記クラッチカバー150と共に支持して固定させることができる。このようなリテーナ166は、前記クラッチカバー150の内周面に取り付けられるスナップリング167によって前記クラッチカバー150に固定されてもよい。
【0101】
このように構成される前記ワンウェイクラッチ160において、前記インナーレース163は、前記ドライブキャリア162によって前記エンジン2の回転動力が伝達されると、前記アウターレース164と同じ方向に一緒に回転しながら、前記エンジン2の回転動力を前記変速機ハブ152を介して前記変速機4に伝達することができる。
【0102】
すなわち、前記ワンウェイクラッチ160は、前記モータのみ作動する場合、前記インナーレース163に対して、前記アウターレース164が前記クラッチ要素165によって自由回転しながら、前記モータ6の回転動力を前記変速機4に伝達することができる。
【0103】
一方、前記ワンウェイクラッチ160は、前記エンジン2が作動する場合、前記インナーレース163と前記アウターレース164とが前記クラッチ要素165によって同じ方向に一緒に回転してから、前記エンジン2の回転速度が前記モータの回転速度よりも速く回転し始める時点から、前記エンジン2の回転動力を前記変速機4に直接伝達することができる。
【0104】
一方、本発明の実施形態によるハイブリッド駆動モジュール100において、作動流体は、前記パイロットハブ120と前記変速機ハブ152との間で前記ベアリング8を通過し、相互結合された前記ダンパーカバー130と前記クラッチカバー150が形成する内部チャンバーを流動した後、前記変速機ハブ152に形成された排出口152aを介して前記変速機4に循環することになる。
【0105】
また、前記内部チャンバー内部の作動流体は、内部圧力調節に応じて内部チャンバーから前記ベアリング8側に流出されることができる。
【0106】
すなわち、前記ダンパーカバー130と前記クラッチカバー150によって形成された内部チャンバーに流入した作動流体は、前記トーションダンパー140と前記ワンウェイクラッチ160に供給されることにより、前記トーションダンパー140の潤滑と前記ワンウェイクラッチ160の冷却を図るとともに、前記ベアリング8を通過して流動することにより、前記ベアリング8の潤滑に寄与することができる。
【0107】
一方、図には示されていないが、前記変速機ハブ152は、トルクコンバータや流体カプラーを介して前記変速機4と連結されてもよい。
【0108】
したがって、前記のように構成される本発明の一実施形態によるハイブリッド駆動モジュール100を適用すると、前記ワンウェイクラッチ160の構造を変更して全体の構成要素および結合構造を簡素化し、製造工数および製作コストを削減することができる。
【0109】
また、前記ハイブリッド駆動モジュール100は、車両の運行条件に応じて前記ワンウェイクラッチ160が自由回転(free-wheeling)されながら、前記エンジン2に負荷無しで前記モータ6の動力を伝達し、車両走行および回生制動を行うことができる。
【0110】
また、本発明は、前記エンジン2の回転速度に応じて前記ワンウェイクラッチ160が作動することにより、別途の油圧ラインとアクチュエータを除去することができ、設計自由度を向上させることができ、発熱を最小化して耐久性および作動制御性を向上させることができる。
【0111】
また、本発明は、相互組み立てられた前記ダンパーカバー130と前記クラッチカバー150とが形成する内部チャンバーに前記ワンウェイクラッチ160と前記トーションダンパー140を一緒に搭載して前記ワンウェイクラッチ160に連結される前記トーションダンパー140の配置を最適化し、全体の外径および軸方向の全長を縮小することができる。
【0112】
また、本発明は、内部チャンバーに設けられた前記トーションダンパー140に作動流体を供給することにより、前記トーションダンパー140の潤滑を図り、性能および耐久性を向上させることができ、全体的な商品性を向上させることができる。
【0113】
以上のように、本発明は、限定された実施例と図面により説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と以下に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正および変形が可能であることは勿論である。
【0114】
なお、先に本発明の実施例を説明しながら本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、当該構成により予測可能な効果もまた認められるべきであることは当然である。
図1
図2
【国際調査報告】