(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】耐フラッシュバック・バーナ
(51)【国際特許分類】
F23D 14/82 20060101AFI20241024BHJP
F24C 3/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F23D14/82 A
F24C3/08 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525570
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 US2022079024
(87)【国際公開番号】W WO2023077142
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523014810
【氏名又は名称】ゼロ・エミッション・インダストリーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100107674
【氏名又は名称】来栖 和則
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・プラット
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン・トゥルース
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ターリップ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エム.・モトロー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ディー.・アインスコフ
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017DE05
(57)【要約】
耐フラッシュバック性を有するバーナが開示されている。一具体例においては、当該バーナが、自身のうちの閉塞容積室内に燃料ガスを収容するように構成される壁部を有する。当該バーナは、前記壁部内に形成された複数の開口部を有する。それら開口部は、前記閉塞容積室から、当該バーナを包囲する環境までの流体連通を実現する。前記複数の開口部は、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ(burner、燃焼バーナ、燃焼装置、など)であって、
当該バーナのうちの閉塞容積室内に燃料ガスを収容するように構成される壁部と、
その壁部内に形成される複数の開口部と、
複数のアクチュエータであって、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部を経由して、当該バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通を形成しまたは遮断するように選択的に起動させられるように構成されるものと
を含み、
前記複数の開口部は、前記燃料ガスが前記閉塞容積室にフラッシュバックすることを抑制するように構成されるバーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のバーナであって、前記複数の開口部は、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有するバーナ。
【請求項3】
請求項1に記載のバーナであって、前記流体連通は、前記燃料ガスの流れであって火炎を維持するのに適したものを実現するように構成されるバーナ。
【請求項4】
請求項1に記載のバーナであって、火炎が、各アクチュエータの起動に応答して、各開口部に隣接する位置に形成されるバーナ。
【請求項5】
請求項1に記載のバーナであって、前記複数のアクチュエータは、ソレノイド、モータ、ソレノイド、ダッシュポット、サーボ、ねじ機能、弾性部材またはステッピング・モータのうちの少なくとも1つを含むバーナ。
【請求項6】
請求項1に記載のバーナであって、当該バーナは、ユーザによって定義されるユーザ定義パターン(user-defined pattern、火炎によって形成されるパターンとしてユーザによって定義されるもの、など)を、前記複数の開口部が前記複数のアクチュエータによってそれぞれ選択的に開口させられることに応答して前記複数の開口部のうちの1または複数の位置に形成される1または複数の火炎を用いて形成するように構成されるバーナ。
【請求項7】
請求項1に記載のバーナであって、さらに、イグナイタを含み、
当該バーナは、前記複数のアクチュエータのうちの1または複数についての選択的な作動により、火炎を、前記イグナイタに隣接するパイロット開口部(pilot aperture、点火用開口部、など)からパターン位置(pattern location、火炎パターンが形成されるべき位置または開口部、など)まで伝播させるように構成されるバーナ。
【請求項8】
請求項1に記載のバーナを含むシステムであって、
前記バーナを有する調理機器と、
コントローラであって、前記複数のアクチュエータと電気的に連通する状態にあるとともに、前記複数のアクチュエータについての選択的な作動により、前記複数の開口部を選択的に開閉させるように構成されるものと
を含むシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって前記バーナを含むものであって、さらに、ユーザ・デバイス(user device、ユーザによって使用されるデバイス、など)を含み、
そのユーザ・デバイスは、前記コントローラと電気的に連通する状態にあるとともに、前記ユーザ定義パターン(user-defined pattern、火炎によって形成されるパターンとしてユーザによって定義されるもの、など)を前記コントローラに通信するように構成されるシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のバーナであって、さらに、複数のデフレクタを含み、
それらデフレクタは、それぞれ、前記複数の開口部のうちのいずれかに隣接する位置に配置され、
前記複数のデフレクタの各々は、それぞれの開口部に隣接する位置に火炎が形成される場合に、スラスト(thrust、推力、など)を付与するバーナ。
【請求項11】
請求項10に記載のバーナであって、前記スラストは、当該バーナを回転させるバーナ。
【請求項12】
請求項1または10に記載のバーナであって、前記壁部は、環状(toroidal)形状を有するバーナ。
【請求項13】
請求項1に記載のバーナであって、前記複数の開口部のうちの各開口部は、前記複数の開口部のうちの第1開口部に位置する火炎が前記複数の開口部のうちの第2開口部まで伝播することが可能であるように、前記複数の開口部のうちの他の開口部との間にすき間を有するバーナ。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって、
燃料ガス源と、
その燃料ガス源との間で流体連通する状態にある導管と、
その導管内に少なくとも部分的に配置されるとともに、前記燃料ガス源から前記バーナに向かう前記燃料ガスの流れを制限するように構成されるフロー・リストリクタと
を含むシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のバーナであって、前記複数の開口部の前記開口部は、約0.4mmの直径を有するバーナ。
【請求項16】
請求項1に記載のバーナであって、前記燃料ガスは、水素であるバーナ。
【請求項17】
請求項1に記載のバーナであって、前記燃料ガスは、前記閉塞容積室内において酸化剤と混合しないバーナ。
【請求項18】
請求項17に記載のバーナであって、前記閉塞容積室内における前記燃料ガスの圧力は、前記酸化剤が前記閉塞容積室内に進入しないように、前記外気の圧力より高圧であるバーナ。
【請求項19】
食べ物(food item、食品、食材、など)をパターニングする(patterning、模様付けする、など)方法であって、
ユーザ定義パターン(user-defined pattern、火炎によって形成されるパターンとしてユーザによって定義されるもの、ユーザによって定義される火炎パターン、など)を受け付ける工程と、
燃料ガスをバーナに提供する工程と
を含み、
前記バーナは、
当該バーナのうちの閉塞容積室内に燃料ガスを収容するように構成される壁部と、
その壁部内に形成される複数の開口部と、
複数のアクチュエータであって、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、作動的に相互に関連する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部を経由して、当該バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通を形成するように選択的に起動させられるように構成されるものと
を含み、
前記複数の開口部は、それぞれの火炎をそれぞれの開口部に隣接する位置において維持するように構成され、
それぞれの火炎は、前記食べ物に近接する位置において前記ユーザ定義パターンで配置される方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記開口部は、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有するとともに、前記周囲環境内において前記燃料ガスに点火させる方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、前記複数の開口部のうちの各開口部は、前記複数の開口部のうちの第1開口部に位置する火炎が前記複数の開口部のうちの第2開口部まで伝播することが可能であるように、前記複数の開口部のうちの他の開口部との間にすき間を有する方法。
【請求項22】
システムであって、
交流電源から電気的パワーを受け取るように構成される給電部と、
その給電部と電気的に連通する状態にあるとともに、前記給電部から電気的パワーを受け取ることに応答して水素ガスを発生させるように構成されるエレクトロライザと、
前記水素ガスを収容するように構成される容器と、
バーナであって、そのバーナ内に形成された複数の開口部を有するものと
を含み、
前記複数の開口部は、前記閉塞容積室から前記バーナの周囲の環境までの流体連通を実現し、
前記複数の開口部は、前記燃料ガスが前記閉塞容積室にフラッシュバックすることを抑制するように構成されるシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムであって、前記複数の開口部は、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有するシステム。
【請求項24】
請求項22に記載のシステムであって、前記給電部に提供される電気的パワー(electrical power、電気エネルギー、など)の最大レート(rate of electric power、電気的パワー時間変化率、仕事率、電力、など)は、前記バーナの最大発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)より低いシステム。
【請求項25】
システムであって、
バーナと、
電気的パワー供給部(electrical power supply)と、
その電気的パワー供給部から電気的パワーを電気的パワー入力レート(electrical power input rate)で受け取るとともに、前記電気的パワーの受け取りに応答して水素ガスを発生させるように構成されるエレクトロライザと、
前記水素ガスを収容するように構成される貯蔵機器と
を含み、
その貯蔵機器は、水素ガスを前記バーナに前記電気的パワー入力レートより高い発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)で供給するように構成され、
前記バーナは、前記水素ガスを前記発熱レートで燃焼させるように構成されるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の開示事項は、燃料ガス・バーナに向けられており、より具体的には、水素と共に用いられる燃料ガス・バーナを開示している。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国仮特許出願第63/274,264号であって、2021年11月1日に出願され、かつ、発明の名称が、「耐フラッシュバック・バーナ(Flashback Resistant Burner)」であるものに付与された優先権の利益を主張し、その出願は、全体的にかつあらゆる目的のために、引用により本出願書類に合体させられる。
【背景技術】
【0003】
現在、多くの産業において、汚染性および毒性を有する(toxic)燃料を用いる燃焼プロセスから熱が発生させられ、例えば、天然ガス(natural gas)は、発がん性化合物を包含し、温室効果ガス(greenhouse gas)であり、そして、毒性を有するとともに温室効果ガス(例えば、一酸化炭素、二酸化炭素)でもある燃焼生成物(combustion products)を作り出す。これら燃料ガスの燃焼の結果(The result of combustion、燃焼生成物、など)は、有害な効果をもたらし得る。例えば、一酸化炭素は、有毒(poisonous)ガスであり、また、二酸化炭素は、環境に対し負の影響を与える。発熱に関する改善策(Improved heating solutions)が要望される。
【0004】
水素は、無毒にして汚染性を有しない(non-polluting、無公害な)燃料であり、また、水素のみの燃焼によって生じる主たる生成物は水である。これらの特性のおかげで、水素が、人間の健康および環境に対する影響が優先される用途(applications、アプリケーション、場面)にとって理想的な燃料となる。それら用途のいくつかの例として、食品調理(cooking food)、室内部屋暖房(indoor space heating)および室内温水暖房(indoor water heating)があるが、これらに限定されない。
【0005】
燃料としての水素の別の利点は、極度に軽い(extreme buoyancy、顕著な浮揚性)ということである。燃料は、本来、可燃性であるから、意に反して放出されて高濃度化される(concentrated、密集する)と、制御不能な点火(uncontrolled ignition)が発生するおそれがある。水素は、空気より軽く、空気の重さの約14.4分の1の重さであり(Hydrogen is about 14.4 times lighter than air)、大気中に放出されると、急速に拡散することになる。このことは、いずれも空気より重いプロパンおよびブタン、または、空気より軽いがせいぜい空気の重さの約1.8分の1の重さである(only about 1.8-times lighter than air)天然ガスの如き通常の燃焼とは事情が異なる。したがって、水素バーナは、プロパン、ブタンまたは天然ガスを用いるバーナより顕著に安全であり得、なぜなら、水素であれば急速に拡散することになるからである。
【0006】
しかしながら、通常の炭化水素燃料、例えば、プロパン、メタン、天然ガス、プロピレンおよびそれらと同様なものに用いられるバーナは、水素と共に用いられることに適しておらず、なぜなら、水素が、通常の燃料と比較して非常に高速である火炎速度(flame speed)を有するからである。通常の燃料に用いられるバーナは、燃焼のために燃料/酸化剤混合物を1または複数の開口部から排出させる前に、当該バーナの閉塞容積室の内部において、酸化剤、例えば、酸素または空気を、前記燃料と混合させる。水素の火炎速度(flame speed、固定座標系における火炎の移動速度、など)が高速であることを理由に、それ(it、水素、など)はフラッシュバック(flashback、逆火、など)が起こり易いという性質を有し、このことは、前記火炎が、当該バーナの前記閉塞容積室内への前記燃料ガスの流れ(flow、フロー)に逆らって後方に伝播して爆発する(detonate)可能性があることを意味する。このように、燃焼前に空気および燃料を予め混合する行為(the practice、慣例、など)であって通常の燃料にしばしば用いられるものは、水素が燃料である場合には適していない。したがって、改善されたバーナ設計構造(burner designs)が要望される。
【発明の概要】
【0007】
バーナ(burner、燃焼バーナ、燃焼装置、など)は、当該バーナのうちの閉塞容積室(volume、容積部、など)内に燃料ガス(fuel gas)を収容するように構成される壁部(wall)と、その壁部内に形成される複数の開口部(apertures、孔、炎孔、バーナ孔、貫通穴、アパーチャ、など)と、複数のアクチュエータであって、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、作動的に相互に関連する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部(the respective apertures、各アクチュエータに対応する開口部、など)を経由して、当該バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通(fluid communication)を形成し(establish)または遮断する(sever)ように選択的に起動させられるように構成されるものとを含むものである。前記複数の開口部は、前記燃料ガスが前記閉塞容積室にフラッシュバックすることを抑制する(prevent、防止する、抑止する、阻害する、など)ように構成される。
【0008】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数の開口部が、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径(effective diameter、火口、炎口、火炎口の有効直径、有効孔径、など)を有する。
【0009】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記流体連通が、前記燃料ガスの流れ(flow、フロー)であって火炎(flame)を維持する(support、保持する、保炎する、など)のに適したものを実現するように構成される。
【0010】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、火炎が、各アクチュエータの起動に応答して、各開口部に隣接する位置に形成される(established)。
【0011】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数のアクチュエータが、ソレノイド(solenoid、電磁弁、円筒状コイル、電磁石、電磁式アクチュエータ、コンバータ、など)、モータ(motor、電動モータ、流体圧モータ、回転モータ、リニア・モータ、など)、ソレノイド、ダッシュポット(dashpot、緩衝器、動作緩和装置、など)、サーボ(serbo、サーボ・モータ、サーボ機構、自動フィードバック制御システム、など)、ねじ機能(power screw、運動変換機構、など)、弾性部材(resilient member)またはステッピング・モータ(stepper moter、パルス・モータ、など)のうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、当該バーナが、ユーザによって定義されるユーザ定義パターン(user-defined pattern、火炎によって個別に形成される個別火炎パターンもしくは個別火炎形状、または、複数の火炎の共同によって形成される全体火炎パターンもしくは全体火炎形状としてユーザによって定義されるもの、ユーザによって定義される火炎パターン、など)を、前記複数の開口部が前記複数のアクチュエータによってそれぞれ選択的に開口させられることに応答して前記複数の開口部のうちの1または複数の位置に形成される1または複数の火炎を用いて形成するように構成される。
【0013】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記バーナが、さらに、イグナイタ(igniter、点火器、など)を含む。前記バーナは、前記複数のアクチュエータのうちの1または複数についての選択的な作動により、火炎を、前記イグナイタに隣接するパイロット開口部(pilot aperture、点火用開口部、前記複数の開口部のうち、火炎パターンを形成する際にガイドとなる開口部、など)からパターン位置(pattern location、火炎パターンが形成されるべき位置または開口部、など)まで伝播させる(carry)ように構成される。
【0014】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、システムが、バーナと、そのバーナを収容する(housing)調理機器(cooking apparatus)と、コントローラであって、前記複数のアクチュエータと電気的に連通する(electrical communication、電気的に導通する)状態にあるとともに、前記複数のアクチュエータについての選択的な作動により、前記複数の開口部を選択的に開閉させるように構成されるものとを有する。
【0015】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記システムが、ユーザ・デバイス(user device、ユーザによって使用されるデバイス、など)を含み、そのユーザ・デバイスは、前記コントローラと電気的に連通する(electrical communication、電気的に導通する)状態にあるとともに、前記ユーザ定義パターン(user-defined pattern)を前記コントローラに通信するように構成される。
【0016】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記システムが、複数のデフレクタ(deflectors、変向機、など)を含み、それらデフレクタは、それぞれ、前記複数の開口部のうちのいずれかに隣接する位置に配置され、前記複数のデフレクタの各々は、それぞれの開口部に隣接する位置に火炎が形成される場合に、スラスト(thrust、推力、物体を特定の方向に動かす外力、軸力、など)を付与する。
【0017】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記スラストが、前記バーナを回転させる。
【0018】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記壁部が、環状(toroidal)形状を有する。
【0019】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数の開口部のうちの各開口部が、前記複数の開口部のうちの第1開口部に位置する火炎が前記複数の開口部のうちの第2開口部まで伝播する(propagate)ことが可能であるように、前記複数の開口部のうちの他の開口部との間にすき間を有する(spaced apart、すき間を隔てる)。
【0020】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記システムが、燃料ガス源と、その燃料ガス源との間で流体連通する状態にある導管(conduit、コンジット、流路管、など)と、その導管内に少なくとも部分的に配置されるとともに、前記燃料ガス源から前記バーナに向かう前記燃料ガスの流れ(flow、フロー、など)を制限するように構成されるフロー・リストリクタ(flow restrictor、流れの断面積を減少させて流路内に抵抗を持たせる機構、流量制限器、流れ制限器、オリフィス、など)とを含む。
【0021】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数の開口部が、約0.4mmの直径を有する。
【0022】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記燃料ガスが、水素である。
【0023】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記燃料ガスが、前記閉塞容積室内において酸化剤と混合しない。
【0024】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記閉塞容積室内における前記燃料ガスの圧力が、前記酸化剤が前記閉塞容積室内に進入しない(not infilterate)ように、前記外気の圧力より高圧である。
【0025】
いくつかの具体例においては、食べ物(food item、食品、食材、など)をパターニングする(patterning、模様付けする、焦げ模様をつける、焼き模様をつける、焼き跡をつける、焼印を付ける、など)方法が、ユーザ定義パターン(user-defined pattern)を受け付ける工程と、燃料ガスをバーナに提供する工程とを含む。前記バーナは、当該バーナのうちの閉塞容積室内に燃料ガスを収容するように構成される壁部と、その壁部内に形成される複数の開口部と、複数のアクチュエータであって、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、作動的に相互に関連する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部(the respective apertures、各アクチュエータに対応する開口部、など)を経由して、当該バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通を形成するように選択的に起動させられるように構成されるものとを含み、前記複数の開口部は、それぞれの火炎をそれぞれの開口部に隣接する位置において維持するように構成され、また、それぞれの火炎は、前記食べ物に近接する位置において前記ユーザ定義パターンで配置される。
【0026】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記開口部が、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有するとともに、前記周囲環境内において前記燃料ガスに点火させる。
【0027】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数の開口部のうちの各開口部が、前記複数の開口部のうちの第1開口部に位置する火炎が前記複数の開口部のうちの第2開口部まで伝播することが可能であるように、前記複数の開口部のうちの他の開口部との間にすき間を有する(spaced apart、すき間を隔てる)。
【0028】
いくつかの具体例においては、システムが、交流電源(alternating current source、交流源など)から電気的パワーを受け取るように構成される給電部(power supply、電源回路、電力供給源、パワー・サプライ、など)と、その給電部と電気的に連通する(electrical communication、電気的に導通する)状態にあるとともに、前記給電部から電気的パワーを受け取ることに応答して水素ガスを発生させるように構成されるエレクトロライザ(electrolyzer、電解槽、など)と、前記水素ガスを収容するように構成される容器と、バーナであって、そのバーナ内に形成された複数の開口部を有するものとを含む。前記複数の開口部は、前記閉塞容積室から前記バーナの周囲の環境までの流体連通を実現し、前記複数の開口部は、前記燃料ガスが前記閉塞容積室にフラッシュバックすることを抑制する(prevent、防止する、抑止する、阻害する、など)ように構成される。
【0029】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数の開口部の前記開口部が、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有する。
【0030】
いくつかの具体例においては、前記給電部に提供される電気的パワー(electrical power、電気エネルギー、など)の最大レート(rate of electric power、電気的パワー時間変化率、仕事率、電力、など)が、前記バーナの最大発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)より低い。
【0031】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、システムが、バーナと、電気的パワー供給部(electrical power supply)と、その電気的パワー供給部から電気的パワーを電気的パワー入力レート(electrical power input rate)で受け取るとともに、前記電気的パワーの受け取りに応答して水素ガスを発生させるように構成されるエレクトロライザ(electrolyzer、電解装置、電解槽、など)と、前記水素ガスを収容するように構成される貯蔵機器とを含む。その貯蔵機器は、水素ガスを前記バーナに前記電気的パワー入力レートより高い発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)で供給するように構成され、また、前記バーナは、前記水素ガスを前記発熱レートで燃焼させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】
図1Aは、本書類に開示されるバーナと共に使用されるためのバーナ・システムの一例を簡略的に示すブロック図である。
【0033】
【
図1B】
図1Bは、本書類に開示されるバーナと共に使用されるためのバーナ・システムの一例を簡略的に示すブロック図である。
【0034】
【
図1C】
図1Cは、本書類に開示されるバーナと共に使用されるためのバーナ・システムの一例を簡略的に示すブロック図である。
【0035】
【
図1D】
図1Dは、本書類に開示されるバーナと共に使用されるためのバーナ・システムの一例を簡略的に示すブロック図である。
【0036】
【
図1E】
図1Eは、本書類に開示されるバーナと共に使用されるためのバーナ・システムの一例を簡略的に示すブロック図である。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【
図5B】
図5Bは、
図5Aのバーナが第1の状態にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0048】
【
図5C】
図5Cは、
図5Aのバーナが第2の状態にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0049】
【
図5D】
図5Dは、
図5Aのバーナが第3の状態にあり、かつ、第1時刻にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0050】
【
図5E】
図5Eは、
図5Aのバーナが第4の状態にあり、かつ、前記第1時刻より遅い第2時刻にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0051】
【
図5F】
図5Fは、
図5Aのバーナが第5の状態にあり、かつ、前記第2時刻より遅い第3時刻にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0052】
【
図5G】
図5Gは、
図5Aのバーナが第6の状態にあり、かつ、前記第3時刻より遅い第4時刻にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【
図6B】
図6Bは、イグナイタの詳細図であって
図6Aの線6B-6Bにおいて取り出されたものである。
【0058】
【
図7A】
図7Aは、本書類に開示されたバーナ設計方法の一部を示す。
【0059】
【0060】
【
図8】
図8は、コントローラすなわちユーザ・デバイスの複数のコンポーネントを簡略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本書類に開示されるバーナ(burner、燃焼バーナ、燃焼装置、など)は、多くの用途のために、可燃性ガス(例えば、水素)の燃焼の制御および促進を行い、その燃焼を、利用可能な熱源(heat source、ストーブ、グリル、レンジ、など)に転換する(into、移行する、など)デバイスである。例示的ないくつかの用途は、料理用ストーブ、バーベキュー、ファーネス(furnaces、炉、など)、スペース・ヒータ(space heaters、室内用暖房具など)、プロセス・ヒータ(process heaters)、可視光源/赤外線/紫外線放射、および装飾用ファイヤー展示物(decorative fire displays)である。一具体例においては、水素ガスがガス源100から供給される。前記水素(The hydrogen、水素ガス、など)は、タービン、導管(conduit、コンジット)、および、任意選択的に、1または複数のバルブまたは他の機器(instrumentation、計器類など)が配置されて成る構成(arrangement)を経由して燃焼領域(combustion area)に導入されることが可能であり、ここに、前記1または複数のバルブまたは他の機器は、例えば、フィルタ104、ニードル・バルブ106、フロー・リストリクタ(flow restrictor)すなわちオリフィス108、圧力レギュレータ116、シャットオフ・バルブ118、または圧力センサ120である。前記燃焼領域内においては、1または複数のバーナ101が存在してもよく、そこにおいては、前記水素に点火されて火炎を生成する。
燃料ガス源100
【0062】
本書類に開示されるいくつかのバーナ関連具体例(burner embodiments)のための水素燃料ガス源110は、圧縮ガス容器、エレクトロライザ(electrolyzer、電解装置、電解槽、など)、液体水素貯蔵タンクからの気化器、メタル・ハイドライド貯蔵容器、もしくは、分離プロセス(a separate process、化学物質を水素に変換するプロセス、など)、例えば、改質プロセス(reformation processes、化石燃料を燃焼させてガスにし、そのガスの中から水素を取り出すプロセス、など)、バイオロジカル・プロセス、アンモニア・クラッキング(ammonia cracking)もしくは他の化学プロセスのようなものから水素を発生させるデバイス、またはそれらの組合せであってもよいが、それらに限定されるわけではない。前記バーナによって生成される熱は、燃料ガス源110と共生するように作用する(works symbiotically、相互依存的に作用する、共存的に作用する、など)エネルギー源として使用されてもよく、そのようなエネルギー源は、例えば、メタル・ハイドライド水素貯蔵庫のために用いられ、より多くの水素ガスが遊離する(liberate、解放される、など)ことを可能にするように前記貯蔵庫を加熱する熱源である。前記バーナは、エレクトロライザ(electrolyzer、電解装置、電解槽、など)と共に使用されるとき、火(fire)または火炎(flame)の生成を、電気のみが他の方法で利用可能である(otherwise available)場合に、可能にする。これは、規制要求事項(regulatory requirements、規制上の要件)および/または基盤施設(infrastructure、社会の基盤となる施設、など)の欠如に起因して特定の場所、住宅または建物においては利用できない可能性のある通常の燃料を超える固有の利点である。
【0063】
図1Eに例示するように、いくつかの具体例においては、燃料ガス源110が、給電部(power supply、電源回路、電力供給源、パワー・サプライ、など)126を有してもよく、その給電部126は、パワー(power、電力、電気エネルギー、など)を(例えば、1または複数のバッテリによって)生成するか、またはグリッド給電部(grid power source、系統電源、商用電源、など)128から交流電流を受け取る。いくつかの例においては、例えば、前記パワーが交流電流(「AC」)パワーである場合、そのACパワーは、例えば、エレクトロライザ(electrolyzer、電解装置、電解槽、など)122によって使用されるために、直流電流(「DC」)パワーに変換されてもよい。エレクトロライザ122は、給電部126からの電気的パワー(electrical power、電気エネルギー、など)の受け取りに応答して水素ガスを生成してもよい。例えば、エレクトロライザ122は、水分子を触媒を用いて水素ガスと酸素ガスとに分離してもよい(catalytically split)。それら水素ガスおよび酸素ガスは、エレクトロライザ122の1または複数のエレクトロケミカル・セル(electrochemical cells、電気化学セル)より成る別々の複数の電極上に形成され、そして、バーナ(a burner)内での使用のために収集されてもよい。いくつかの具体例においては、前記酸素ガスが、大気(atmosphere、外気)に排出され(vented、ベントされ、排気され)てもよい。燃料ガス源110は、任意選択的に、前記生成された水素ガスを例えば、50バール、100バール、250バール、350バール、700バールまたはそれより高い圧力というような高圧(elevated pressure、昇圧された圧力など)で貯蔵するのに適したものとして圧力容器(a pressure vessel、圧縮型の貯蔵容器、高圧の貯蔵容器、など)124および/またはコンプレッサ130を有してもよい。例えば、燃料ガス源110は、前記バーナが使用中でないいくつかの場合(in times、いくつかの時間帯)に水素ガスでチャージされて(charged、充填され)てもよい。必要に応じ、燃料ガス源110内に貯蔵される前記エネルギー(The energy、水素ガス、など)がパワー(power、仕事率、熱エネルギー/時間、など)をバーナ(a burner)に供給してもよい。前記圧力容器(the pressure vessel)および/またはコンプレッサ130を有することにより、燃料ガス源110は、給電部126への電気的供給レート(an electrical supply rate、給電部126に提供される電気的パワーの時間変化率、仕事率、電力、など)より実質的に高い発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)を有するバーナ(a burner)を提供することを可能にする。例えば、典型的な115ボルトで15アンペアの家庭用回路(circuit、電源回路、など)が、約1800-約2000ワットの電気的パワー(electrical power、電気エネルギー、など)の範囲内の最大値(a maximum、最大ワット値、など)を提供するかもしれない。一方、天然ガスまたはプロパンを動力源とする(powered)典型的なグリルが、約55,000BTU/hr(BTU/hr、英熱量毎時)(約16kWに相当する)の発熱レート(a heat rate)を有するかもしれない。このように、15アンペア回路を有する抵抗加熱(resistive heating、抵抗加熱器、発熱体によって電気から熱を発生させる器具、など)を、天然ガスを使用する典型的なバーベキュー・グリルに相当するものとして簡単に提供することは可能ではない。このようにして、既述された燃料ガス源110は、火炎を主体として用いる調理(flame-based cooking、炎を使う調理、直火調理、火あぶり料理、火炎型の調理法、など)を提供するとともに、適切な発熱レートを、炭化水素を動力源とするグリル(hydrocarbon-powered grill)の発熱レートと同等でありながら、タンク(tanks)の交換も、専用の天然ガス・ラインの敷設(run)も、220ボルトまたは3相方式の高価な電気工事(electrical service)の利用も必要とすることなく提供することが可能である。さらに、火炎を主体として用いる調理(flame-based cooking)は、電気加熱(electrical heating、電熱、など)に勝るいくつかの利点を有しており、それら利点は、例えば、電気的要素(electrical element、電気部品、など)の緩速な加熱(the slow heating)とは異なり実質的に瞬時に火炎を提供すること、熱を良好にして迅速に調整すること(better quick adjustment of heat)およびそれらと同様なものである。火炎を主体として用いる調理であって水素を用いるものは、本書類に開示されるバーナにおけるのと同様に、炭化水素を主体とする火炎型の調理(hydrocarbon-based flame cooking)に勝る多数の利点を有しており、それら利点は、例えば、有害な一酸化炭素も温室効果ガスとしての二酸化炭素も発生しないこと、火炎の制御が容易であるうえに直火であること、および、炭化水素燃料が高価であるかまたは容易に利用可能ではないいくつかの地域(areas)において、火炎を主体として用いる調理(flame-based cooking)を提供することである。
バーナ
【0064】
前記可燃性ガスの燃焼による熱(the heat)は、1または複数のバーナ、例えば、バーナ102、バーナ202、バーナ302、バーナ402および/またはバーナ502を用いて分布させられる(distributed、分配される、分散される、など)。当該バーナ(burners、1または複数のバーナ)は、1または複数の壁部204であって、前記可燃性ガスを収容する閉塞容積室(volume、容積部、など)206を形成するものを有することが可能である。壁部204は、プレートまたはチューブという形態(form、フォーム、形態上の種別、など)を有してもよく、また、円形状、球状、長方形状、環状(toroidal)または他の断面形状を有してもよく、また、直線状、曲線状、円形状、螺旋状または他の形状のパターン(pattern、全体形状、全体レイアウト、など)で展開され(laid out、2次元展開され)てもよい。例えば、いくつかの添付図面においては、バーナ202および302が、一具体例として、直線チューブ(straight tube、直管)という構成態様(configulation、全体形状、形態、など)を有するものとして示されている。バーナ402は、環状(toroildal)という形状を有し、一方、バーナ502は、平面という形状を有している。当該バーナの形状、サイズおよび構成態様(configulation、全体形状、断面形状、など)は、当該バーナにとって要求される(desired、目標となる、など)熱出力またはエネルギー出力に基づいて異なることが可能であり、例えば、業務用厨房(commercial kitchen)に使用されるバーナは、住宅用アパートメント(residential apartment、居室、居宅、など)での使用のために構成されたバーナより実質的に大形になるかもしれない。
【0065】
本書類に開示されるバーナは、1または複数の開口部112を、当該バーナの壁部204を貫通するものとして有している。いくつかの具体例においては、異なるサイズを有する複数の開口部の配置を可能にするために、いくつかのノズル(nozzles、中空部材、管先、吹き口、筒口、着脱式オリフィス、など)が、前記壁部に対し、例えば着脱可能に、連結されてもよい。このような交換可能ないくつかのノズルは、バーナの全体を交換することなく、当該バーナの発熱レートのカスタマイズ(customization、個別設定、個別調整、など)を可能にするという利点を有するかもしれない。閉塞容積室206は、前記燃料ガスを収容し、また、その燃料ガスが各開口部112から排出されて空気または別の酸化剤と混合する際にその燃料ガスは火炎として燃焼される。本書類の開示事項のバーナは、水素の如き燃料ガスに、前記燃料と空気とを予め混合させることなく、点火させる一方で、フラッシュバックを抑制することも行うように設計される。例えば、本書類の開示事項のバーナは、燃料ガス源110からちょうど開口部112の外側まで閉じられたシステム(a closed system、燃料ガスの存在下でバーナ内への酸素の進入を防止して燃料ガスと酸素との予混合がバーナ内で行われることを防止するシステム、など)を有し、それにより、前記燃料ガスが前記開口部から退出するまで、空気の如き酸化物が前記燃料ガスに導入することが抑制されてもよい。さらに、本書類の開示事項のバーナは、燃料ガス圧力を、導管(the conduits、1または複数の導管、コンジット、流路、流体通路、など)114および/または内側容積室(internal volume、閉塞容積室、など)206内において、周辺外気圧力(surrounding atmosphere pressure、当該バーナを包囲する外気の圧力、周囲気圧、周囲大気圧、など)より高い圧力として有し、それにより、前記バーナへの空気の進入を減少または阻止するものであってもよい。本書類の開示事項のバーナは、前記燃料ガスが1または複数の開口部112を通過した後に、前記燃料ガスが前記バーナの外側で酸化物と混合し、それにより、燃焼を維持することを可能にする。しかしながら、前記バーナは、当該バーナ内において前記燃料ガスが酸化物と混合することを防止し、フラッシュバック、偶発的点火(inadvertent ignition)および/または早期点火(early ignition、バーナ内で燃料ガスの点火が行われる異常現象、など)を防止または軽減し、さらに、当該バーナを、高速の火炎速度(high flame speeds、他の燃料ガスより高速の火炎速度または燃焼速度、など)を有する水素の如き燃料ガスと共に使用することを可能にする。したがって、本書類の開示事項のバーナは、通常のバーナの欠点に対処する。予混合燃焼(premixed combustion)を見込んで設計されない場合でさえ、ヒータ、ストーブ、バーベキュー(barbecue、バーべキュー・グリルを用いる料理、など)またはディスプレイ・ファイヤ(display fire、調理のためにではなく装飾のためにバーナを用いること、など)などのものの内部において間欠的に(intermittently、連続運転ではなく、不使用期間を有するように、など)使用されるバーナは、いくつかの不使用期間であって前記バーナ内に燃料と空気との混合気を招来する(leading to、を誘発する)期間中に当該バーナ内に拡散(diffuse)することが可能である周囲空気に曝されてしまう(exposed to、接触してしまう)かもしれない。水素が燃料として通常の(conventional)バーナと共に使用される場合、前回の点火に引き続いて前記バーナに点火される次回の点火においては、前記火炎が、前記バーナ内に逆向きに伝播してデトネーションの原因となることがあり得る。フレーム・アレスタ(Flame arrestors、逆火防止装置、火炎防止器、爆発防止器、ガス混合物の通過は許可するが火炎の通過を遮断または阻止する装置、など)が、大きな開口部(large openings、大径の炎孔を有する開口部、など)についてのフラッシュバックを防止するために一般に使用される。しかしながら、フレーム・アレスタというものは、効果的な(effective、高い実効性を有する、実用的な、使い勝手のよい、など)バーナに必要とされる多くの小さな開口部(small apertures、小径の炎孔を有する開口部、など)にとっては実用的で(practical、現実的で、実践的で、など)はない。
【0066】
水素を燃料源として用いて一緒に使用されることを阻害するであろう通常の燃料バーナが有する問題に取り組むために、本書類の開示事項のバーナは、1または複数の開口部112を有しており、その開口部112は、燃料/火炎(例えば、水素火炎)の消炎距離より小さい有効直径を有するサイズを有する。水素火炎は、前記有効直径が前記消炎距離より小さい場合には、ここに開示されているバーナの開口部を通過して伝播することが不可能である。前記消炎距離は、燃焼火炎速度(combustion flame speed)および伝熱特性(heat transfer characteristics)の関数(a function、に応じて変化するもの)であり、さらに(in turn)、主に、ガス組成、等量比(equivalence ratio)ならびに上流(未燃ガス(unburned gas))の圧力および温度に依存する。前記消炎距離は、実験データ、経験則を表す式または解析のための式から求めることができる。一例が、水素火炎の消炎距離(d)に関し、下記の式1に示される。
【0067】
【数1】
ただし、自然対数の底eは約2.718、βは無次元活性化エネルギー・パラメータ(a non-dimensional activation energy parameter)(温度および反応特性に依存する)、αは熱拡散率(thermal diffusivity)、および、S
Lは層流燃焼速度(laminar burning velocity)である。
【0068】
例えば、水素および空気のストイキオメトリ混合気(a stoichiometric mixture、理論混合気、化学量論的混合気、化合物を構成している原子数の比(組成)が化学式どおりに存在する混合気、など)であって、温度が300Kであり、かつ、圧力が大気圧であるものは、約0.8mmの消炎距離を有する。この消炎距離は、上流(upstream、火炎上流)圧力が2.5atmに到達するとき、約0.4mmに減少する。例えば、
図2Aから
図3Cまでの図面の複数の具体例であって前記開口部の直径(diameter、有効内径、など)が約0.4mmであるものを参照されたい。いくつかの例においては、開口部112が、約0.05mm、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mmまたは約0.8mmであってもよい。典型的には、前記消炎距離は、前記混合気がストイキオメトリ(stoichiometric、化合物を構成している原子数の比(組成)が化学式どおりに存在する、など)であるときに最小となる。対比すると、典型的なプロパン・バーナにおける開口部は、約3mmの直径を有し、仮にそれが水素のために使用されると、危険な状況を引き起こす原因となり、なぜなら、それら(they、前記開口部)はフラッシュバックを防止できないであろうからである。これに対し、本書類の開示事項のバーナにおける開口部は、当該用途(the application、当該適用例など)に関して水素の消炎距離より小さい有効直径(an effective diameter、有効内径、など)を有することにより、水素のフラッシュバックを防止するための特別なサイズ(size、孔径、など)を有しており、前記有効直径は、当該用途(the application、当該適用例など)の物理的な条件に対応する解析的方法および実験的方法によって本出願人により決定されたものである。
【0069】
図4A-
図4Cを参照すると、バーナ402が開示されている。このバーナ402は、環状の壁部(a toroidal-shaped wall、1つの環状の壁部、少なくとも1つの環状の壁部、など)204を有している。バーナ402は、他の形状、例えば、正方形、長円形、円板(disc)などの形状で形成された壁部204を有してもよい。壁部204は、1または複数の導管114によって支持されてもよく、その1または複数の導管114は、前記燃料ガス源を、壁部204によって形成された容積室206に分配する(distribute、割り当てる、など)。1または複数の導管114は、さらに、壁部204を支持してもよい。
図4Cを参照すると、例えば、1または複数の導管114は、壁部204により形成された環状リング(toroidal ring、1本の環状リング、少なくとも1本の環状リング、など)の内部において、平面的に(in a planar fashion)配置されてもよい。導管114は、流体連通を他の導管114との間で、および/または、バーナ402の容積室206との間で行う状態にあってもよい。導管114は、実質的に垂直方向に配向された(oriented、方向付けされた)導管(a conduit、1本の導管、少なくとも1本の導管、など)410によって支持されてもよく、その導管410は、1または複数の導管114と流体連通を行う状態にある。導管410は、前記燃料ガスを1または複数の導管114、容積室206、最終的には1または複数の開口部112に供給して火炎を発生させるように構成され(adapted to)てもよい。
【0070】
バーナ402は、動く(move、可動である)ように構成され(adapted to)ており、このことにより、バーナ402からの熱が食べ物(food item、食品、食材、など)の上に(on、表面に)またはポット(pot)もしくは鍋(pan)の上に(on、表面に)均一に分布することが可能となる。例えば、
図4Cに示すように、バーナ402は、軸(axis、実体のない軸線、実体のあるシャフト、導管、など)412を中心に回転し、例えば、バーナ402からの熱が食べ物の上または調理器具の上により均一に分布するように構成される(adapted to)。いくつかの例においては、バーナ402が、1または複数の火炎の位置においてスラスト(thrust、推力、物体を特定の方向に動かす外力、軸力、など)を発生させてもよく、そのスラストは、バーナ402を自転させる(spin、回転運動させる)かまたは並進運動させる(translate、回転運動以外の運動を行わせる、など)原因となる。他の例においては、バーナ402が、モータ、ギアボックス、滑車(pully、プーリ)などにより動かされてもよい。例えば、
図4Aに示すように、バーナ402は、1または複数の開口部112を有してもよい。複数の開口部112は、1または複数のデフレクタ(deflectors、変向機、など)404の各々に隣接する位置に配置されてもよい。デフレクタ404は、開口部112によって形成された火炎により発生させられたスラストを特定の方向に向けるように構成されてもよい。前記スラストは、バーナ402の壁部204の一部に少なくとも部分的に接するように(at least partially tangential to、壁部204の一部における接線と共通の力方向成分を少なくとも部分的に有するように)方向付けられてもよい。
図4Cに示すように、導管410は、1または複数のベアリング406によって支持されてもよく、その1または複数のベアリング406は、前記火炎によって発生させられたスラストが、バーナ402が導管410を中心に回転させる原因となることを可能にする。導管410は、軸412の全部または一部を形成してもよい。
【0071】
他のいくつかの具体例においては、バーナ402が、モータ、多関節アーム(articulated arm)、ガントリー(gantry)(例えば、3軸、4軸、5軸、6軸または7軸の運動機構)または手動入力(manual input)によって動かされてもよい。例えば、バーナ402(または本書類に開示される他のバーナ)は、食べ物を動かさないまま、その食べ物の周りに沿って(around、その表面に沿って、など)動くように構成されてもよい。当該バーナは、例えば、前記食べ物のサイズまたは形状に基づき、その食べ物を均一に加熱調理するためにその食べ物の周りに沿って(around、その表面に沿って、など)動いてもよい。
【0072】
図5A-
図5Fを参照すると、バーナ502が開示されている。このバーナ502は、複数の開口部112を有しており、それら開口部112は、あるパターンで(in a pattern、ある配列パターンで)配置されるとともに、選択的にアクティブ化される(activated、有効化される、作用させられる)(例えば、開放される)かまたは非アクティブ化され(deactivated、無効化され、停止させられ)(例えば、閉塞され)てもよく、それにより、前記開口部に近接した位置において火炎を形成する(establish、確立する)かまたは消失させる。バーナ502の開口部112は、選択的にアクティブ化されるかまたは非アクティブ化され、それにより、バーナ502の1または複数の開口部112の位置において形成されたいくつかの火炎516により1または複数の形状(shapes、図形など)、文字(words)または記号(symbols)(包括的におよび個別的に「パターン」と称する)を形成してもよい。バーナ502は、パターン508を食べ物514に転写し(transfer)、例えば、パターン508を一切れの肉に焼き付ける(searing into)ように構成されてもよい。例えば、
図5H-
図5Jを参照されたい。
【0073】
図5Aに例示するように、複数の開口部112は、1または複数の行(rows)504または列(columns)506で配列されてもよい。このように、複数の開口部112は、水素火炎516が形成されてもよい複数の位置より成る配列(array)またはグリッド(grid、格子)を形成してもよい。複数の開口部112は、バーナ202および/またはバーナ302の複数の開口部112に関して記載されるようなものであってもよく、および/または方法700に従って設計されるようなものであってもよい。言い換えると、開口部112は、フラッシュバック(flashback、バックファイア、逆火、など)に対して耐性を有する(resist、抵抗する、阻止する、など)ように前記燃料ガスの消炎距離より短い直径を有してもよい。壁部204は、実質的に平面的であるシート、マニホールド(manifold、多岐管、集合管、など)、またはプレナム(plenum、空間、物質で充満した空間、など)であって容積室206を画定するものという形状を有してもよい。前記燃料ガスは、容積室206を経由して複数の開口部112に分配されてもよい。前記燃料ガスの複数の開口部112への分配は、容積室206内の前記燃料ガスの複数の圧力勾配(pressure gradients、開口部112間の圧力差、など)が最小化されるように、実質的に均一であってもよい。複数の開口部112の各々(アクティブ化された場合、すなわち、開放された場合)を通過する前記燃料ガスの流れ(flow、フロー)は、他の任意のアクティブ化された開口部(activated aperture、開放された開口部)を通過する前記流れと同じものであってもよい。
【0074】
図5Bおよび
図5Cを特に参照すると、複数の開口部112の各々は、1または複数のアクチュエータ518の各々により選択的に閉塞されることが可能であってもよい。開放された開口部112であってその開口部112を通過して前記燃料ガスが流れて火炎516を維持する(support)ことが可能であるものは、アクティブ開口部(active aperture)512として記載されてもよい。閉塞された開口部112であってそれぞれのアクチュエータ518によって遮断され、かつ、その開口部112を通過して燃料ガスが流れることがないものは、非アクティブ開口部(inactive aperture)510として記載されてもよい。前記複数のアクチュエータは、プロセッシング・エレメント802であって、コントローラ608内に配置されるようなものであるとともに、後述されるものによって制御可能なものであってもよい。いくつかの例においては、アクチュエータ518が、モータ(motor、電動モータ、流体圧モータ、回転モータ、リニア・モータ、など)、ソレノイド(solenoid、電磁弁、円筒状コイル、電磁石、電磁式アクチュエータ、コンバータ、など)、ダッシュポット(dashpot、緩衝器、動作緩和装置、など)、サーボ(servos、サーボ・モータ、サーボ機構、自動フィードバック制御システム、など)、ねじ機能(power screw、運動変換機構、など)、ステッピング・モータ(stepper moter、パルス・モータ、など)、弾性部材(resilient member)(例えば、スプリング)、これらのうちの2つまたは複数のものの組合せ、または他の任意の機構であって開口部112を通過して前記燃料ガスの流れ(flow、フロー)を制御するのに適したものであってもよい。例えば、アクチュエータ518は、シャフト520を有してもよく、そのシャフト520にシール(a seal、封止体、栓体、など)522が連結される。開口部112をアクティブ化させるために、アクチュエータ518は、シャフト520およびシール522を、壁部204のうち、開口部112に隣接する部分から離れる向きに壁部204から離れて移動してもよく、それにより、前記燃料ガスが開口部112を通過して流れて火炎516を形成することが許可される。逆に、アクチュエータ518は、シャフト520およびシール522を動かして開口部112を閉栓し、それにより、前記燃料ガスが開口部112を通過して流れることを実質的に防止するとともに火炎516の形成(formation)を防止する。いくつかの例においては、アクチュエータ518が、実質的に2値演算モード(binary mode of operation)で動作するかもしれない(例えば、オンまたはオフ)。いくつかの例においては、アクチュエータ518が、比例制御能力(a proportional control ability)を、ある開口部(an aperture)からの前記燃料ガスの流れが低値(a low value、制御範囲の下限値など)と高値(a high value、制御範囲の上限値など)との間において制御されるように有するかもしれない(例えば、リニア流れ制御(linear flow control、比例流れ制御、線形流れ制御、など))。この種の複数の例においては、バーナ502における少なくとも1つの開口部112の発熱レートが、他の複数の開口部112のそれぞれの発熱レートから独立して制御されるかもしれない。この種の比例制御の利点は、パターン508の一部分にはより多くの熱を適用し、そのパターン508の他の部分にはより少ない熱を適用し、それにより、例えば、シェーディング効果(shading effect)、ハーフトーン効果(halftone effect)、点描効果(pointillism effect)またはそれらと同様なものを生み出す能力であってもよい。別の利点は、食べ物514の一部分(例えば、より厚い部分)にはより多くの熱を提供し、他の部分(例えば、より薄い部分)にはより少ない熱を提供し、それにより、食べ物514についての実質的に均一な加熱調理(cooking、焼き目、など)を可能にする能力であってもよい。
【0075】
本書類において議論されるように、水素ガスに炭素が存在しないことは、結果的に、炭化水素燃料、例えば、メタン、プロパン、ブタンなどを燃焼させるように構成されたバーナから形成された火炎と比較すると、実質的に放射が少ない(less radiative)火炎516が生じる。さらに、開口部112についての比較的小さいサイズ(例えば、フラッシュバックを防止するために選択される)は、食べ物514の上に(on、その表面に)1または複数のパターン508を生成する(generate)ことに適したものであってもよく、例えば、その理由は、前記小さい開口部サイズ(size、直径、孔径、断面積、周長、など)、密度(density、開口部の高密度配置、など)および、水素火炎の低レベルの放射エネルギーである。熱によって発生させられるこの種のパターンは、当該パターンが通常の炭化水素バーナ(仮に、そのバーナが小径の開口部を有していたとしても)による場合には、一般には、不可能であり、その理由は、炭化水素から生成される放射火炎(a radient flame)は、拡散性(diffuse)が強すぎて食べ物514の上にパターン508を形成することができないとともに、解像度が低く(low-resolution)、すなわち、ぼやけた(blurred)パターン508が生じることになるであろうというものである。
【0076】
食べ物についてのパターン、例えば、パターン508(星形または他の形を有するかもしれない)を食べ物514に焼き付け(seared into)、それにより、例えば、食べ物514の飾り付け、顧客のイニシャルの追加、および/または注文の混乱を避けるために前記肉(the meat)に焼き付けられる(seared into)注文番号の追加を行ってもよい。それに加えるかまたはそれに代えて、料理人は、バーナ502を使用して、例えば、前記料理人のイニシャルをステーキの上に配置することにより、食べ物514に「サイン」をすることが可能となる。他の例においては、メッセージ、例えば「ハッピーバースデイ」が、前記食べ物の上に提供されることが可能となる。他の例においては、食べ物514のうち他の部分より厚い部分が、より多くの熱またはより少ない熱を適用され(applied)、それにより、食べ物514の一様な加熱調理が制御されるかもしれない。
【0077】
それに加えるかまたはそれに代えて、バーナ502の複数の開口部112は、ポット、鍋、スキレット(skillet、小鍋、フライパン、など)のような調理器具(cooking utensil)と同様なサイズ(size)および形状(shape)を有するアクティブ領域(active region、加熱領域、など)を形成するように構成されてもよい。そのバーナ502の利点は、1または複数の開口部112が開放されて火炎516を形成する場所である前記アクティブ領域(active region)が、調理器具(a cooking utensil)と一致するサイズおよび形状を有し、それにより、前記調理器具を加熱しない領域においてアクティブ化する(activating、対応する開口部をアクティグ化する、対応する開口部を開放させる、など)よりむしろ、無駄なく効率的に前記調理器具を加熱し、それにより、燃料を節約し、それに加え、調理時間の短縮または一人ひとりの料理人のためのカスタマイズが可能となるかもしれない。さらに、そのバーナ502は、実質的に任意であるタイプもしくはサイズの調理器具(cookware)、レシピまたはユーザの好みについて(for、合わせて)カスタマイズすることが可能である。
【0078】
図6Aは、システム600の一例を示しており、そのシステム600は、バーナ500を有する調理機器(cooking apparatus)602を含む。システム600は、本書類に開示される他のバーナと互換性を有してもよく、バーナ202、バーナ302および/またはバーナ402を含む。
【0079】
調理機器602は、食べ物514または調理器具(cooking utensil)(例えば、ポット、鍋、スキレット(skillet、小鍋、フライパン)、など)を支持するように構成された火格子(grate、通風可能な鉄製の格子、鉄製のすのこ、穴あき板、など)604をバーナ502の上方に有してもよい。調理機器602は、それのフード内に通気口(vent)618を有してもよい。その通気口618は、ルーバ式通気口(louvered vent、鎧板のついた通気口)または他の適した装置であってもよく、それらは、調理機器602の前記フードの閉塞時に熱を前記フード内に封じ込めることが可能であるが、例えば、イグナイタの故障時には、未燃水素が当該調理機器から排気されることを可能にし、それにより、有益で安全な特徴部を提供する。調理機器602は、バーナ502のコントロール・アイテム(control item、制御項目、制御条件、など)を操作するのに適しているアクチュエータ(actuator、操作部、など)606を有してもよい。例えば、アクチュエータ606、例えば、ノブまたはレバーは、ユーザが、ニードル・バルブ106、圧力レギュレータ116、シャットオフ・バルブ118などを制御することを可能にしてもよい。いくつかの具体例においては、複数の(more than one、2以上の)アクチュエータ606が、バーナ502の異なる複数のアスペクト(aspect、制御因子)、例えば、燃料ガスの圧力および/またはフロー・レート(flow rate、流量)を制御するために提供されてもよい。
【0080】
システム600は、コントローラ608を内蔵するか、またはコントローラ608と通信する状態にあってもよい。そのコントローラ608は、調理機器602と共に物理的にパッケージ化され(packaged、組み込まれ、一体化され、一体品として構成され)てもよいか、または、それぞれ別物として、調理機器602に通信可能に接続されてもよい。システム600は、任意選択的に、ユーザ・デバイス612および/またはネットワーク614を有してもよい。ユーザ・デバイス612は、スマートフォン、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、スマートウォッチまたは他のコンピュータ・デバイスであってもよい。ネットワーク614は、ユーザ・デバイス612とコントローラ608との間の電子的連通(electronic communication、通信、など)が可能である限り、実質的に任意のデバイスまたはシステムであってもよい。例えば、ネットワーク614は、有線またはワイヤレス・ネットワークであってもよい。ネットワーク614は、イーサネット(Ethernet)(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Max(登録商標)、Zigbee(登録商標)または他のデータ転送ネットワークであってもよい。いくつかの具体例においては、ユーザ・デバイス612が、ネットワーク614を経由して前記コントローラと通信可能であってもよい。いくつかの具体例においては、ユーザ・デバイス612が、コントローラ608と直接的に通信可能であってもよい。いくつかの具体例においては、ユーザ・デバイス612が、任意選択可能な(optional、必須ではない)ものであってもよく、また、ユーザ610が、入力/出力インターフェース(I/Oインターフェース)810を経由してコントローラ608とインターフェース接続され(interface with)てもよい(例えば、
図8を参照されたい)。
【0081】
ユーザ610は、バーナ502の複数の開口部112の作動を、直接的にかまたはユーザ・デバイス612を経由して、コントローラ608を介して制御してもよい。例えば、コントローラ608および/またはユーザ・デバイス612は、プロセッシング・エレメント802を含んでもよく、そのプロセッシング・エレメント802は、前記ユーザが、パターン508を入力するかまたは選択することを可能にするアプリケーション(an application、コンピュータ・プログラム、など)を実行し、前記パターン508は、それぞれのアクチュエータ518を用いて燃料ガス(例えば、水素)の流れ(flow、フロー)を開放させたり(opening、開口させたり)またはモジュレートして(modulating、開口部の開口度を3段階以上の段階で離散的にまたは連続的に変調またはチューニングして)、パターン508(the pattern 508、食べ物514)の上に複写される(replicated、複製される)べきものである。いくつかの具体例においては、ユーザ・デバイス612のメモリ・コンポーネント806またはコントローラ608が、パターン・ライブラリ(a pattern library、パターン保存部、など)を有しており、そのパターン・ライブラリは、バーナ502によって再現される(replicated、複製される、模写される)ことが可能である1または複数のパターンを有する。例えば、
図6に例示するように、ユーザ610は、ユーザ・デバイス612を介して星形パターン508を選択してもよい。ユーザ・デバイス612は、その目標の(desired、要求される)パターン508をコントローラ608に通信してもよい。コントローラ608は、その後、複数の適切なアクチュエータ(the appropriate actuators 518、全数のアクチュエータ518のうち、目標の(desired)パターン508を作成するために選択されたもの)を作動させ、それにより、ある星形パターン(a star pattern)が、それぞれ互いに独立した(individual)複数の火炎516を用いて再現される(replicated、複製される)ように、それぞれの開口部(respective apertures、全数の開口部112のうち、前記複数の適切なアクチュエータ518に対応する各開口部112)を開放させてもよい。いくつかの具体例においては、ユーザ610が、ユーザ・デバイス612またはコントローラ608の入力/出力インターフェース810を用いて(例えば、タッチスクリーンを用いて)、またはユーザ・デバイス612もしくはコントローラ608のディスプレイ804を用いてパターン(a pattern、模様、形状、など)を描画し、そのパターン508がバーナ502上に再現される(replicated、複製される)ようにコントローラ608を設定することができる。いくつかの具体例においては、ユーザ610が、ユーザ・デバイス612のカメラを用いて写真を撮影し、その写真がバーナ502によってパターン508として再現される(replicated、複製される)ようにしてもよい。
【0082】
後述のように、耐フラッシュバック・バーナ(flashback resistant burner、フラッシュバックに対する耐性を有するバーナ、など)の複数の開口部112が相互に離れすぎている場合には、1つの開口部112のある火炎(a flame、1つの火炎、など)516が、それに隣接する開口部112の位置における前記燃料ガスに点火させることが困難であるかもしれない。耐フラッシュバック・バーナのこの特徴(This feature、複数の開口部が相互に離れて配置されること、など)は、
図6A-
図6Bに例示され、かつ、後述されるように、特に、1個のイグナイタ616がバーナ502の周囲(the periphery、周縁、外周、など)に配置される状態において、パターン508を形成する複数の開口部112に点火することを困難にするかもしれない。この問題を克服するために、いくつかのアクチュエータ518が、逐次的に(in sequence、シーケンシャルに)作動させられ(operated、オンオフ動作させられ、など)、それにより、火炎(a flame、1つの火炎、など)516が、イグナイタ616に近接する位置(a location)から、バーナ502を横切り(across、を横切る方向に)、パターン位置(a pattern location、バーナ502のうち、パターン508が形成される領域の位置)526まで「伝播し(carry)」、パターン508を形成する複数の開口部112(the apertures 112 forming the pattern 508、全数の開口部112のうち、パターン508を形成する、一部の複数の開口部112)の位置において前記燃料ガスに点火させてもよい。
【0083】
図5D-
図5Gに示すように、いくつかの具体例においては、パターン508をパターン位置526において形成する複数の開口部112を通過して流れる前記燃料ガスに点火させるために、コントローラ608は、イグナイタ616(例えば、圧電型イグナイタ(piezoelectric igniter)、スパーク・イグナイタ(spark igniter、スパーク・プラグで火花を発生させてバーナの燃料に点火させる装置、など)、ホットサーフェス・イグナイタ(hot surface igniter、高温表面点火装置、など)、種火(pilot light、パイロット・ライト、常時点灯し、必要に応じて迅速にバーナを起動できる小さな炎、など)などのイグナイタ)に近接する位置にある1または複数の開口部112を一時的に開放させてもよい。例えば、
図5Dに示すように、1または複数の開口部112は、1個のイグナイタに隣接する位置において開放させられ、アクティブ開口部(active aperture)512となり、それぞれ対応する1または複数のパイロット火炎(pilot flames、種火、点火用火炎、など)524を維持する。
図5Eに例示するように、
図5Dに示す時刻より後の時刻(time、タイミング)において、1または複数の開口部112は、アクティブ(active、開放状態にある、アクティブ化された、有効化された、など)開口部512として、パイロット火炎524をパターン位置526に向かって伝播させるように構成されてもよい。この最初の(initial、初期の)アクティブ開口部512であってイグナイタ616に隣接するものは、非アクティブ化され(deactived、閉塞させられ、無効化され、など)、非アクティブ開口部(inactive aperture)510となってもよい。
図5Fに例示するように、
図5Dまたは
図5Eに示す時刻より後の時刻(time、タイミング)において、1または複数の開口部112は、アクティブ開口部512として、パイロット火炎524をパターン位置526に向かって一層前方に(further、これまでと同じ向きに、など)伝播させるように構成されてもよい。反復するに、複数のアクチュエータ112のうちの後端部(the trailing edge、複数のアクチュエータ112が成す列の両端部のうち、アクティブ開口部512が進行(前進)する向きとは逆向き(後退する向き)に存在する端部、後退側端部、後側部、など)は、パイロット火炎524がパターン位置526に向かって通過する(passes、現位置から離れる向きに移動する、など)につれて、非アクティブ化され(deactived、開口部閉塞のための作動を行う、オフ動作を行う、など)てもよい。
図5Gに例示するように、パイロット火炎(the pilot flames、1または複数のパイロット火炎)524は、パターン508を形成するアクティブ開口部512の位置において前記燃料ガスに点火させてもよく、また、パイロット火炎524を維持する(support)複数の開口部112は、非アクティブ化され(deactive)、パイロット火炎524を消失させ(distinguish、消火し)てもよい。パターン位置526において前記複数の開口部に点火させるというこの方法は、コントローラ608により、複数のアクチュエータ518を相互に調整された順序で(in a concerted sequence、相互に同期する順序で、など)作動させるように実行されてもよい。このようにして、バーナ502は、1個のイグナイタを用いて前記複数の開口部のうちの任意の開口部の位置において高い信頼性で前記燃料ガスに点火させるという利点を有する。火炎516のバーナ502を横切る向きの「伝播」は、
図5D-
図5Gに示す、直線的である単純な例(simple linear example、作動が直線的または線形である単純な例、など)に限られることはなく、これは、本質的に単なる例示であり、決して限定的なことを意味しない。むしろ、火炎516は、バーナ502を横切るように任意の向きに、1次元的に、2次元的におよび/または3次元的に、かつ、様々な速度(a variety of speeds、パターンごとに異なる速度、時間的にまたは場所ごとに異なる速度、など)で移動させられてもよい。例えば、本書類に開示される方法およびデバイスは、1または複数のアクチュエータ518を時間の経過につれて、相互に調整された状態(in a coordinated manner、相互に同期する順序で、など)で、選択的に開放と閉塞とを行うか、または、比例的にモジュレートする(proportionally modulating、比例制御する、など)ことにより、バーナ502においてアニメーション効果を実現するために使用されてもよい。
【0084】
図7A-
図7Bを参照すると、耐フラッシュバック・バーナを設計する方法700が開示されている。本書類の開示事項のバーナは、所定の用途に合致するために複数の競合要因(competing factors、相反する複数の要因、変数、など)を適合させる(accommodate、調整する)ように設計されてもよい。例えば、開口部が小さいほど、火炎速度が高速であるガス、例えば、水素を用いる場合のフラッシュバックのリスクが軽減するが、開口部が小さいほど、所定の用途につき、ガス・フロー(gas flow)、ひいては、発熱レート(heat rate)が制限される。このような困難を克服するために、バーナ102、202、302、402および/または502は、フラッシュバックのリスクを軽減するために複数の特徴を有し、一方、同時に、発熱レートの如きアプリケーション・パラメータ(application parameters、用途関連パラメータ、バーナから出力される熱を制御したり、その熱の状況を評価するための物理変数、など)の目標値(desired、要求値、など)を満たす。本出願のバーナを設計する方法の一例は、以下のとおりである。
【0085】
方法700は、処理工程(operation)702において開始され、バーナの熱出力(heat output)の目標値(desired、要求値、など)が、当該用途につき、複数のパラメータに基づいて決定されてもよい。例えば、あるグリルが、グリル・エリア(grill area、加熱領域、など)における約3.5W/cm2から約4.5W/cm2までの範囲内の熱出力を有するように設計されてもよい。
【0086】
方法700は、処理工程704に移行し、水素供給源と、運転中に発生し得る圧力範囲とが決定されてもよい。圧力範囲は、前記水素供給源に少なくとも部分的に基づくものであってもよい。例えば、圧縮ガス・シリンダが、ガスを約750バールを超えない圧力で供給する能力を有してもよい。一方、エレクトロライザ(electrolyzer)が、約10-約60バールの範囲内の圧力で作動させられてもよい。
【0087】
方法700は、処理工程706に移行し、その工程において、ライン・オリフィス(a line orifice、バーナのうち開口部にではなく燃料ガス・ラインすなわち導管114内に配置されるオリフィス、インライン・オリフィス、管内オリフィス、など)108を利用すること(the use、利用態様、利用条件、など)が決定され(determined)てもよい。例えば、圧力レギュレータおよびライン・オリフィス108の両方を利用するシステムが、当該システムのための柔軟性および安全性を実現するように要望されるかもしれない。
【0088】
ライン・オリフィス108が利用される場合、方法700は、処理工程708に移行し、その工程において、ライン・オリフィス108を通過する流れ(flow)の特性が、チョーク状態(choked)(例えば、音速(sonic)または超音速(supersonic))または非チョーク状態(unchoked)(例えば、亜音速(subsonic))になるように決定されてもよい。
【0089】
ライン・オリフィス(the line orifice、ライン・オリフィス108)を通過する流れ(flow)がチョーク状態にある(choked、チョーク状態にあるように設計される、など)場合、方法700は、処理工程710に移行するかもしれず、その工程において、ライン・オリフィス108が、チョーク流れケース(choked flow case、チョーク流れ(背圧を上げても流量が変化しない流れ)の事例、など)においてサイズを有するかもしれず(may be sized in a choked flow case、そのサイズ(例えば、炎孔径、など)がチョーク流れケース用のものに決定されるかもしれず)、その決定は、例えば下記の式2を用いて行われ、ここで、pi,LOは、前記ライン・オリフィスに至る入口圧力(the inlet pressure to the line orifice)であり、SLO は、ライン・オリフィス108のオリフィス断面積(the orifice cross sectional area)、および、Cdは、ライン・オリフィス108の流出係数(the coefficient of discharge of the line orifice 108、流量係数)であり、 γ は、定容比熱と定圧比熱との比(the ratio of constant volume and constant pressure specific heats、比熱比)であり、Mは、分子量であり、Zは、圧縮率因子(the compressibility factor)であり、ならびに、Tは、前記ライン・オリフィスから排出される前記ガスの温度(the temperature of the gas exiting the line orifice)であり、Qは、バーナの目標熱出力であり、および、LHV は、前記ガスの低位発熱量(the lower heating value of the gas)である。
【0090】
【数2】
前記ライン・オリフィスを通過する流れが非チョーク状態にある(unchoked、非チョーク状態にあるように設計される、など)場合、方法700は、代わりに(instead、処理工程710の代わりに)、処理工程712に移行するかもしれず、そして、前記ライン・オリフィス・サイズ(the line orifice size、ライン・オリフィス108の流路の直径、断面積、など)が、非チョーク流れ用のものに決定される。いくつかのケース(cases、事例)においては、前記入力圧力(the input pressure、前記入口圧力、など)が非常に低いため前記ライン・オリフィスを通過する流れが非チョーク状態にあるかもしれず、また、下記の式3が用いられるかもしれない。前記複数の変数(The variables、その式における複数の変数)は、上述の式2におけるものと同じであり、また、p
o,LOが、前記ライン・オリフィスの出口圧力(the outlet pressure of the line orifice)を表すために追加される。
【0091】
【数3】
ライン・オリフィス108のサイズが決定される場合、または、いずれのライン・オリフィス108も使用されない(is not used、当該バーナの開口部がいずれのライン・オリフィス108も有しない)場合、方法700は、処理工程714に移行するかもしれず、そして、バーナ開口部孔サイズ(the burner aperture hole size、バーナの各開口部の孔(hole)のサイズ、孔径、炎孔径、など)およびバーナ開口部数(quantity、バーナにおける開口部の合計数量、開口部数、など)が決定される。前記バーナ開口部孔サイズは、目標(desired)火炎長、消炎距離および目標(desired)熱出力に基づいて決定されてもよい。前記バーナ開口部数は、前記目標(desired)熱出力および目標(desired)開口部間すき間(spacing、距離、すき間、間隔、など)によって決定される。
【0092】
方法700は、処理工程716に移行してもよく、その工程において、前記バーナの(複数の)開口部を通過する流れの特性が、それら開口部を通過する流れ(flow therethrough)がチョーク状態にあるか非チョーク状態にあるかを知る(see、調査する、など)ために検査される(checked、測定される、検証される、理論値と比較される、など)。
【0093】
前記バーナの(複数の)開口部を通過する流れがチョーク状態にある場合、方法700は、処理工程718に移行し、その工程において、前記バーナ内の圧力が、チョーク流れケースにおいて決定されるかもしれず、その決定は、例えば、下記の式4を用いて行われ、ここで、pBは、前記バーナ内の圧力、SBは、前記エリア(the area、前記バーナの断面積、炎孔面積、など)、および、Cdは、バーナの各開口部の流出係数(the coefficient of discharge of each burner aperture(s))、nは、バーナ開口部数、γ は、比熱比(the ratio of specific heats)、Mは、分子量、Zは、圧縮率因子(the compressibility factor)、および、Tは、バーナ開口部から排出される前記ガスの温度(the temperature of the gas exiting the burner aperture)、Qは、前記バーナの目標熱出力、および、LHVは、前記ガスの低位発熱量(the lower heating value of the gas)である。
【0094】
【数4】
前記ライン・オリフィスを通過する流れが非チョーク状態(unchoked)にある場合、方法700は、代わりに(instead、処理工程718の代わりに)、処理工程720に移行するかもしれず、その工程において、前記バーナ内の圧力(the pressure within the burner、前記のp
b、など)が、非チョーク流れケースにおいて決定されるかもしれず、その決定は、例えば、下記の式5を用いて行われ、開口部サイズ(an aperture size、孔径、火炎径、開口部の断面積、など)が、非チョーク流れ用のものに決定される。いくつかのケース(cases、事例)においては、前記入力圧力(the input pressure、前記入口圧力、など)が非常に低いため前記開口部を通過する流れが非チョーク状態にあるかもしれず、また、下記の式5が用いられるかもしれない。前記複数の変数(The variables、その式における複数の変数)は、上述の式4におけるものと同じであり、また、p
aが、外気圧(the atmospheric pressure、大気圧、周辺気圧、など)を表すために追加される。
【0095】
【数5】
方法700は、処理工程722に移行してもよく、その工程において、ライン・オリフィス108が使用される(is used、当該バーナがライン・オリフィス108を有する、など)場合には、上記の式4または式5から決定された前記バーナ内圧が、ライン・オリフィス108の下流の圧力と比較され、また、必要であれば、方法700は、処理工程706に戻り、それにより、上述の先行する複数の工程を収束(convergence、複数の処理工程における達成基準がすべて満たされる、など)まで反復する。
【0096】
方法700は、処理工程724に移行してもよく、その工程において、前記複数の結果(the results)が、前記バーナの複数の物理的制約条件(physical constraints、物理的拘束条件、など)であって、全体サイズ(overall size、前記バーナの物理的サイズ、発熱レート、など)、目標火炎長およびバーナ開口部間の距離を有するものに対して比較され、それにより、クロス点火(cross-ignition、各開口部から隣の開口部に火炎が伝播して点火位置が移動すること、横切り点火、横移動点火、隣接点火、など)(後述する)を見込む(allow for、想定する、可能にする、など)。方法700は、処理工程706-724を繰り返すことにより反復されてもよく、その反復は、下記の複数の項目(the following、下記の複数の物理量、など)が許容限度内となるまで続けられ、それら項目は、例えば、
a.バーナ熱出力。例えば、定格値(nominal、標準値、ノミナル値、など)が2kWであるバーナについては、+/-100W
b.バーナ内圧(前記バーナの構造的収容能力の範囲内)。例えば、直径が0.5インチのステンレス・スチール筒体(tubing、チューブ)であって壁厚が0.02インチであるものから製作されたバーナについては、異常(failure、燃焼異常、など)シナリオにおける最大圧力が1,300psig未満であること。
c.火炎長。例えば、バーべキュー・グリルについては、2-4センチの範囲内であること。
d.開口部数(Number of apertures、孔数、炎孔数、など)。例えば、機械加工性(machinability)のために、1リニアセンチメータあたり5個未満であること。
e.開口部サイズ(Size of aperture、孔径、炎孔径、口径、など)(想定される複数の運転値のレンジ(the range of expected operating values、バーナに通常発生することが予想される複数の運転値(圧力値、温度値、パワー値、など)の範囲、など)について、消炎距離未満である)。例えば、前記バーナ内圧が大気圧であるとき、0.8mm未満であり、また、前記バーナ内圧が2.5atmであるとき、0.4mm未満であるが、製作容易性(constructability)のために、0.1mmより大きい。
f.開口部間距離(クロス点火(cross-ignition)を可能にするために)。例えば、10mm未満であること。
【0097】
方法700は、処理工程726に移行してもよく、その工程において、遷移状態(transient conditions、過渡状態、バーナの各状態値が変動している状態、など)が検査され(checked、前記遷移状態が基準範囲内にあることが確認され、など)てもよい。例えば、当該システムが、前記熱出力(the heat output、前記バーナ熱出力、など)を調整する(例えば、バルブを絞る(throttling)ことによるか、または、圧力調整器による)能力を有する場合には、当該システムがあらゆる条件(conditions、運転条件)において満足のいくように継続運転するように運転レンジ(the range of operation、前記想定される複数の運転値のレンジ、など)が検査され(checked、当該バーナの実際の運転条件が、前記想定される複数の運転値のレンジすなわち許容範囲内にあることが確認され、など)てもよい。このこと(This、処理工程726、など)は、入力される(input、外部環境から入力されるか、または、ユーザによって入力される、など)温度または圧力が変化しても、開口部サイズ(the aperture size、火炎径、炎孔直径、開口部の内部流路の有効直径、など)が前記消炎距離より小さいことを検査する工程(checking、開口部サイズが消炎距離より小さいことを確認する工程、など)を含む。
【0098】
それに加えるかまたはそれに代えて、処理工程726において、安全条件が検査され(checked、安全条件が満たされることが確認され、など)てもよい。主として、前述の計算(the calculations、複数回の数値計算、など)が、最悪のシナリオ、すなわち、レギュレータ(regulator、前記レギュレータ116、など)が故障して圧力源の全圧が前記ライン・オリフィス(the line orifice、前記ライン・オリフィス108)の上流に導入されること(leading to full source pressure upstream)について反復されてもよく、また、前記バーナが、そのようにして昇圧された内側圧力に破損を伴うことなく対処するように設計されているか否かの検査が行われてもよい。この方法700は、複数の結果が許容範囲内となるまで反復されてもよい。この方法700の前記複数の処理工程は、本書類において説明される順序とは異なる順序で実行されてもよく、いくつかの処理工程は、並列的に実行されてもよく、いくつかの処理工程は、省略されてもよい。この方法700は、処理工程728において終了してもよい。
【0099】
本書類の開示事項のバーナにおいては、前記上流圧力が大気圧より高いがその差がわずかにすぎない場合でさえ、水素が開口部から細い噴流(a narrow jet、細いジェット、小孔から速度を持って空間中に噴出する流体の流れ、など)として噴出される(exit)。上流圧力が高いほど、噴流の長さが長くなる。質量フロー・レート(the mass flow rate、前記開口部内の流れの質量フロー・レート、質量流量、など)が、所与の熱関連要求事項(heat requirement)につき、上昇するにつれて、前記バーナ内の圧力(上流圧力)は、所与の開口部サイズおよび所与の開口部数につき、上昇する。したがって、所与の熱関連要求事項につき、開口部数が少ないほど、バーナ内圧が上昇し、その結果、当該用途につき、高すぎる(too high、炎口から離れすぎる、など)かまたは長すぎるかもしれない火炎が発生することになる。要求(desired、目標)質量フロー・レート(Wg)について要求上流圧力(p)を達成するための開口部数(n)は、バーナ開口部を通過する流れがチョーク状態にあるとき、式6により導き出されることが可能である。
【0100】
【数6】
数回の実験が、当該用途についての要求火炎長を与える最適な上流(バーナ)圧力を見い出すために行われた。例えば、調理用ストーブ(cook stoves、クック・ストーブ、料理用コンロ、料理用レンジ、など)用の火炎長は、概して約1cmであるとともに、熱を1つの調理具(cookware)の底面に、2cm未満手前の位置まで移動させるために最適化され;バーベキュー用の火炎長は、約2-約4cmの長さであるとともに、熱をグリルに、約15-約20cm手前の位置まで移動させるように設計され;また、装飾作業用バーナ(decorative burner)用の要求火炎長は、30cm以上であってもよい。上記の式6は、nの値について解かれる場合に、開口部数を決定するために用いることができる。例えば、4.5kW(約15,000BTU/hr)の目標熱出力が、例えば、バーベキューのために要求される場合、本出願人により見い出されたことは、2つのバーナであって、それぞれ、直径(diameter、火炎径、など)が0.4mmである開口部を60個有するものであれば、各バーナにおいて106kPaの上流圧力に到達し、その後、火炎が、約2-約3cmの長さとなったということであり、このことは、今回の用途に適していたということである。
【0101】
複数の開口部の配置位置(placement、位置、位置決め、など)および配向(orientation、向き、方向付け、など)についても考慮対象とされてもよい。水素は、炭素を含有しておらず、そのため、その火炎は、通常の炭素含有燃料、例えば、ブタン、天然ガスまたはプロパンから生じる火炎より少ない放射熱を生成する。これは、通常の燃料ガスと比較すると、水素火炎からの熱が、実際の火炎ゾーン(real flame zone)に、より一層局在化する(localized、前記実際の火炎ゾーンの外側に存在しない傾向がある、など)ことを意味し、また、上述のように、水素噴流(a hydrogen jet)からの火炎は、細い(narrow、狭い、小径である、など)。水素を用いるバーナの利点は、その生成された熱(the heat produced)が、容易に方向付けされ(directed、狙いが定められ)るとともに容易に捕捉され(captured、集められ、など)、それにより、当該システムの全体が効率化され、なぜなら、周辺部への熱損失量が少ない、すなわち、熱が当該システムによって使用されない(i.e., is unused by the system、バーナによって発生させられた熱がそのバーナ自身に使用されず、本来の目的に使用される、など)からである。したがって、前記複数の開口部は、熱を効率的に目標エリアに移動させる手法(a way、方法、視点、など)で前記バーナ上に位置決めされる(placed、配置される)とともに方向付けされる(oriented、配向される)べきである。本出願人により、実験が、円形断面を有する所与のバーナ・チューブ(a given circular cross-section burner tube)上における複数の開口部の最適配置(placement、位置決めおよび方向付け、など)を見い出すために行われた。見い出されたことは、例えば、円形断面を有する直線(linear)バーナ上において同じ向きを向いた複数の開口部より成る1つの列が、熱のうちの直線的(linear)高温ゾーン(hot zone of heat、高温熱ゾーン、など)を生成することになるということである(例えば、バーナ302を参照されたい)。この配置構成は、集中配置される(focused)かまたは方向付けて配置される(directed、指向性を有する、など)複数の熱源を用いるいくつかの用途、例えば、プロセス・ヒーティング(process heating)または専門化された(specialized、特別の)調理に望ましい可能性がある。さらに見い出されたことは、例えば、各々、複数の開口部より成る2つの列であって、それら2列を成す複数の開口部は、両列間で中心位置が食い違う状態にある(staggered off-center)とともに、90度を成すように配向される(oriented at 90 degrees、正面視において、直交配置される、など)ものが、グリル・プレートから約20cm手前の位置において均一加熱を実現したということである(例えば、バーナ202を参照されたい)。この配置構成は、例えば調理グリルまたはスペース・ヒータのような均一発熱体を用いる用途に望ましい可能性がある。本書類の開示事項のバーナにおいては、要求される熱分布を達成するための前記複数の開口部の位置(location)および配置(placement、配置位置、配向、など)が、最終的な用途(end application)の必要性を満たすようにカスタマイズ可能なものであってもよい。
【0102】
複数の開口部112の配置における他の要因は、開口部112間の距離208である(
図2Bおよび
図3Bを参照)。バーナ上では、1つの開口部の火炎が、隣接する開口部から放出される燃料ガスに点火することが可能であることが便利である。このようにして、1つの開口部における燃料ガスの点火がすべての開口部に伝播するであろう。1つの開口部からの火炎が、隣接する複数の開口部から噴出される燃料ガスに点火することが可能であることは、点火を単純化し、また、そのことは、例えば、前記燃料ガスにおける不活性不純物または突風が原因でどういうわけか1または複数の開口部が燃焼を停止しようとすることがあると、その場合に、安全特徴部としても作用する。上述のように、水素噴流火炎(hydrogen jet flame)は、細く(narrow、狭く、小径で)、さらに、放射エネルギーをほとんど放出せず、そのことは、そのような開口部間伝播を困難にさせ得る。本出願人による実験において、見い出されたことは、開口部112間の距離208が大きすぎ、例えば、開口部間が約20mmである場合には、1つの開口部からの火炎が、隣接する開口部から放出される燃料ガスに点火しないであろうが、距離208が、例えば、開口部間の約6mmに減少させられる場合(例えば、
図2Bを参照されたい)には、1つの開口部からの火炎は、隣接する開口部から放出される燃料ガスに点火するであろうということである。他のいくつかの具体例においては、開口部112間の距離208が、約3mmである(例えば、
図3Bを参照されたい)。他のいくつかの具体例においては、距離112(the distance 112、距離208)が、他の値、例えば、1mm、2mm、4mm、5mm、7mm、8mm、9mm、10mm、12mm、13mm、14mmまたは15mmであってもよい。
【0103】
水素固有の物理的特性および燃焼特性は、例えば、天然ガス、プロパンまたはブタンのような通常の燃料ガスに都合のよいバーナ設計構造は、それが水素のために用いられる場合、非効率である(ineffective)かまたは危険な(unsafe)状況に至る(lead to、を誘発する)かもしれない。本書類の開示事項のバーナは、水素バーナを各用途のために最適化するために必要とされる複数のアスペクト(aspects、因子、要因、など):すなわち、開口部のサイズ、数、向きおよびすき間(spacing)を有する。一例として、バーべキュー(a barbecue)に関する一具体例においては、2本のバーナ・チューブがあり、各バーナ・チューブ(burner tube、バーナを有する中空体、筒体、など)は、30個の開口部より成る列を2つ有し、それら2列を成す複数の開口部は、90度を成すように配向され(oriented at 90 degrees、直交配置され)、開口部間に6mmのすき間があり、各開口部は0.4mmの直径を有しており、それらバーナ・チューブは、バーナ・チューブ圧力が106kPaであるとき、2-3cmの火炎長を実現し、また、約4.5kWの熱を放出し、それにより、15,000BTU/hと同サイズの標準的なプロパン利用型バーベキュー装置の性能と、前記グリル表面での均一な熱分布とを満たす。
燃料分布(Fuel Distribution)
【0104】
いくつかの具体例においては、導管114、バルブ構成(valving)および器具類(instrumentation)が、燃料ガス源110から複数のバーナ、すなわちバーナ102,202,302,402,502などまで、水素の伝播と制御とを行うために用いられることが可能である。
【0105】
フロー・リストリクション部(flow restriction、流量制限部)が、前記バーナに向かう前記可燃性ガスのフロー・レートを制御するために用いられることが可能である。一具体例においては、フロー・リストリクタ108、例えば、オリフィス(an orifice)が、流れ(flow)を制限し、燃料ガス源110の圧力にのみ依存する(that depends only upon、その圧力以外のものには依存しない、など)フロー・レート(a flow rate)を前記バーナに提供する。これは、燃料ガス源の圧力が固定される場合、固定された(fixed、変動しない)フロー・レートを実現するために便利で、単純で、信頼できる方法である。これは、例えば、炉(furnace)またはヒータであって、前記ソース圧力(the source pressure、燃料ガス源圧力)および熱出力が固定される場所にあるものに用いられることが可能である。シャットオフ・バルブ(shut-off valve、遮断弁)118が、前記流れをオンにしたりオフにする能力を実現するためにライン・フロー・リストリクタ(line flow restrictor、インライン・フロー・リストリクタ、バーナのうち開口部にではなく燃料ガス・ラインすなわち導管114内に配置されるフロー・リストリクタ、管内フロー・リストリクタ、など)108に関連付けて用いられることが可能である。この例は、
図1Cおよび
図1Dに示されている。シャットオフ・バルブ118は、手動で制御されるかまたは遠隔的に作動させられることが可能である。
【0106】
いくつかの場合においては、前記熱出力を制御することが望ましいかもしれない。これは、例えば、ニードル・バルブ(needle valve、流量調整弁)106および/または圧力レギュレータ(pressure regulator、圧力調整弁)116のような調節式フロー制限器(adjustable flow restriction)を用いて行うことが可能である。前記バーナによって達成される(delivered)熱の量(amount)は、前記フロー・リストリクタ(the flow restrictor、フロー・リストリクタ108)を調整することによって比例的に(in proportion)調整されてもよい。前記バーナ・チューブおよびフロー・リストリクタは、前記複数のアプリケーション・パラメータに従うサイズを有し:開口部(opening)が大きいほど、多くの流れがそこを通過することが可能となってより大きな熱出力が生じるに至る。
【0107】
いくつかの場合においては、前記燃料ガス源が、目標バーナ圧力より高圧になるであろう。例えば、前記目標バーナ圧力が106kPaであり、前記ソース(the source、前記燃料ガス源)は、35Mpaの圧縮燃料ガスのタンクである。これらの場合においては、1個のニードル・バルブまたは1個の圧力レギュレータでは、ユーザによって要求される程度まで前記バーナ流れ(the burner flow、前記バーナ内の流れ)を制御するのに十分な精度を有しない可能性があるであろう。これらの場合においては、前記フロー・リストリクタの下流側に前記ライン・オリフィス108を設けることが望ましい。前記フロー・リストリクタは、その後、前記ライン・オリフィスの上流側の圧力を制御するために使用され、続いて、最終的なバーナ圧力(the final burner pressure)およびフロー・レートを制御する。前記ライン・オリフィスのサイズは、前記バーナの燃料ガスのフロー・レートおよび熱出力のそれぞれの目標値によって決定される。例えば、0.23mmの(of 0.23 mm、内径が0.23mmである)ライン・オリフィスであって1.2Mpaの上流側圧力を有するものは、約2.25kWの熱負荷(heat load)に対応する水素フロー・レートを実現するであろう。
【0108】
前記ライン・オリフィスは、安全機能をも提供する。あるコンポーネント(a component、構成要素)(例えば、ニードル・バルブ106、圧力レギュレータ116またはシャットオフ・バルブ118)が故障して圧力未調整という事態に至る(leading to、を誘発する)場合、フロー・リストリクタ108(the flow restrictor 108、ライン・オリフィス108、など)は、前記流れをチョークして(chokes、チョーク流れにして、など)、バーナ102のために設計された圧力より高い圧力をバーナ102が経験することを防止する。この配置構成(This arrangement)は、安全な運転を維持するために、安全性を有するコンポーネント、例えば、圧力リリーフ・バルブを追加することを必要としない。これは、費用対効果が高く、信頼性があり、安全で、効果的なシステムを、いなかる用途についても適しているシステムとして生じさせる。
【0109】
フィルタ104が、前記フロー・リストリクション部(the flow restriction、流量制限部)の手前に(before、上流側に)、異物(foreign material)の流入を防ぐために設置されることが可能である。前記フィルタは、例えば、1ミクロン(マイクロメータ)、2ミクロン、5ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、80ミクロン、100ミクロンまたは他の開孔サイズ(opening size、開口サイズ)を有することができる。これは、水素バーナにとって特に重要なことであり、なぜならば、前記開口部が非常に小さく、例えば、0.4mm(400ミクロン)であるかもしれず、さらに、多くの異物が、前記開口部またはライン・オリフィス108を容易に詰まらせてしまう可能性があるからである。このことはさらに重要であり、なぜなら、異物が存在する場合、フロー・リストリクタ106または116の性能が損なわれる(compromised)(例えば、流れを適切に制限することも完全に閉じることもできない)可能性があるからである。
【0110】
火炎が熱出力(heat output)、火炎長または他の関連パラメータ(othre parameter of interest)との間で相関関係を有する場合にユーザにフィードバックを提供するために、器具類(instrumentation)、例えば、1または複数の圧力センサ120が、燃料ガス源110と前記バーナとの間に設置されることが可能である。これは、火炎自体がユーザに見えないかもしれない立場(stances、姿勢、など)において特に有用であるかもしれない。
【0111】
別の複数のバーナが、前記ライン・オリフィスの下流においてマニホールド化される(manifolded、多岐管化される、複数の分岐管として構成される、別の複数のバーナが、導管のうち前記ライン・オリフィスの下流の位置から分岐して延びるように一体化されるように構成される、など)ことが可能であり、それにより、複数のバーナのすべてが同時に同じ熱出力を有することが可能となる。異なる複数のバーナにおいて異なる複数のフロー・レートが要望される場合、別の複数のライン・オリフィスおよび別の複数のバーナが、前記フロー・リストリクタの下流においてマニホールド化されることが可能であり、そして、それらライン・オリフィスがサイズに関して互いに異なる場合には、各バーナを通過する流れのフロー・レートが互いに異なるものになる。別の複数のフロー・リストリクタ、別の複数のライン・オリフィスおよび別の複数のバーナが、前記フィルタのうちの上流または下流のいずれかにおいてマニホールド化されることが可能であり、これにより、各バーナが完全に独立して制御されることになる。
【0112】
図8は、コントローラ608またはユーザ・デバイス612についての簡略ブロック図を示している。図示されるように、上述の種々のデバイス(the various devices)は、1または複数のプロセシング・エレメント802、任意選択的なディスプレイ804、1または複数のメモリ・コンポーネント(memory components、メモリ部品)806、ネットワーク・インターフェース808、電源(power supply、パワー供給源、電源回路など)126、入力/出力インターフェース810および/またはアクチュエータ・ドライバ812を有してもよく、ここでは、それら種々のコンポーネントは、それぞれ、互いに直接的に接続される状態にあっても、互いに間接的に、例えば、1もしくは複数のシステム・バス、コントラクト・トレース(contract traces、電気的接続部、など)、電気配線(wiring)を介するか、またはワイヤレス・メカニズム(wireless mechanisms、ワイヤレス機構部、無線機構部など)を介して接続される状態にあってもよい。
【0113】
1または複数のプロセシング・エレメント802は、実質的に任意の電子デバイスであってもよく、その電子デバイスは、命令(instructions)を処理し(processing、実行し、プロセシングし)、受け取り、および/または送出することが可能である。例えば、プロセシング・エレメント802は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、グラフィックス・プロセシング・ユニットまたはそれらと同様なものであってもよい。さらに注目すべきことは、プロセシング・エレメント802は、1または複数のプロセシング・エレメントまたは1または複数のプロセシング・モジュールであって、それぞれ、互いに通信する状態にあってもなくてもよいものを有してもよいということである。例えば、第1のプロセシング・エレメントが、当該コンピューティング・デバイスのうちの第1のコンポーネント・セット(set of components、当該コンピューティング・デバイスを構成する複数のコンポーネントの一部より成る1つのセット、など)を制御してもよく、また、第2のプロセシング・エレメントが、当該コンピューティング・デバイスのうちの第2のコンポーネント・セット(set of components、前記複数のコンポーネントのうち別の一部より成る1つのセット、など)を制御してもよく、ここに、それら第1および第2のプロセシング・エレメントは、それぞれ、互いに通信する状態にあってもなくてもよい。それに関連して、前記いくつかのプロセシング・エレメントは、1または複数の命令(instructions、プログラミング命令、ステートメントなど)を局所的に(locally、一か所で、など)かつ互いに並行して実行されるか、および/または、ネットワーク614上で(across)、例えばいくつかのクラウド・コンピューティング・リソースを用いて実行するように構成されてもよい。
【0114】
ディスプレイ804は、任意選択的なものであってもよく、また、コントローラ608および/またはユーザ・デバイス612のための入力/出力メカニズムを、例えば、視覚情報(例えば、イメージ、グラフィカル・ユーザ・インターフェース、動画、通知およびそれらと同様なもの)をユーザに表示することなどを目的として提供し、また、具体的ないくつかの例においては、ディスプレイ804が、さらに、ユーザ入力を(例えば、タッチ・スクリーンまたはそれと同様なものを介して)受け取るために作用してもよい。前記ディスプレイ(The display、ディスプレイ804)は、LCDスクリーン、プラズマ・スクリーン、LEDスクリーン、有機LEDスクリーンまたはそれらと同様なものであってもよい。いくつかのディスプレイの種類および数は、いくつかのデバイスの種類(例えば、スマートフォン対デスクトップ・コンピュータ)に応じて異なってもよい。
【0115】
いくつかのメモリ・コンポーネント806は、コントローラ608および/またはユーザ・デバイス612により利用されてもよい電子データ、例えば、オーディオ(audio、音声、聴覚)・ファイル、ビデオ(video、画像、映像、視覚)・ファイル、ドキュメント(document、文書)・ファイル、プログラミング命令(programming instructions)、バーナ502のためのいくつかのパターン・ライブラリ(pattern libraries)およびそれらと同様なものを格納する(store、保存する)。いくつかのメモリ・コンポーネント806は、例えば、不揮発性ストレージ、磁気記録媒体、光学記録媒体、光磁気記録媒体、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(読み書き可能メモリ)、書き込み・消去可能メモリ、フラッシュ・メモリ、または1もしくは複数の種類のメモリ・コンポーネントの組合せであってもよい。
【0116】
ネットワーク・インターフェース808は、任意選択可能なものであってもよく、また、データをネットワーク614からコントローラ608に、また、コントローラ608からネットワーク614に送受信し(receives and transmits)てもよい。ネットワーク・インターフェース808は、ネットワーク614に対してデータを直接的または間接的に転送するとともに送信してもよい。例えば、ネットワーク・インターフェース808は、ネットワーク614を通ってデータを他のコンピューティング・デバイスに対して伝送し(transmit、送受信し、など)てもよい。いくつかの具体例においては、ネットワーク・インターフェース808が、さらに、種々のモジュール、例えば、ネットワーク614を通して複数の要求を前記特定のデバイスに仲介したり(interfaces)および変換したり(translates、移動させたり、など)するアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を含んでもよい。
【0117】
コントローラ608またはユーザ・デバイス612は、さらに、給電部126を含んでもよい。給電部126は、コントローラ608またはユーザ・デバイス612の種々のコンポーネントにパワーを供給する。給電部126は、1または複数の充電式、使い捨て可能なまたはハードウェア・ソース、例えば、バッテリ、電源コード、AC/DCインバータ、DC/DCコンバータ、またはそれらと同様なものを含んでもよい。加えて、給電部126は、1または複数のタイプのコネクタまたはコンポーネントであって、異なる種類のパワーをコントローラ608またはユーザ・デバイス612に提供するものを含んでもよい。いくつかの具体例においては、給電部126が、少なくとも1つのコネクタ(例えば、USB)を含んでもよく、そのコネクタは、パワーを前記コンピュータまたは前記コンピュータ内のバッテリに提供し、さらに、データを前記デバイスから他のデバイスに、また、他のデバイスから前記デバイスに伝送する(transmits)。
【0118】
I/Oインターフェース810は、コントローラ608またはユーザ・デバイス612がユーザ610から入力を受信するとともにユーザ610に出力を提供することを可能にする。いくつかのデバイスにおいては、I/Oインターフェース810が、任意選択可能なものであってもよい。例えば、I/Oインターフェース810は、静電容量方式タッチスクリーン、キーボード、マウス、スタイラスまたはそれらと同様なものを含んでもよい。I/Oインターフェース810を経由して(via、介して)相互作用する(interact)タイプのデバイスは、必要に応じて異なるものであってもよい。
【0119】
ユーザ・デバイス612は、アクチュエータ・ドライバ812を含んでもよく、そのアクチュエータ・ドライバ812は、バーナ502における複数のアクチュエータ518を作動させるように構成される。例えば、アクチュエータ・ドライバ812は、1または複数のアクチュエータ518と電気的に連通する(electrical communication、電気的に導通する、など)状態にあってもよいとともに、1または複数のアクチュエータ518に、それぞれのアクチュエータ518に相互連携状態で関連付けられるそれぞれの開口部112を通過する前記燃料ガスの流れの開放(open)、閉塞(close)またはモジュレーション(modulate、開口度を変調させること、など)を行わせるように構成されてもよい。
【0120】
本書類中に含まれる特定のいくつかの具体例についての説明は、本質的に、単なる例示であり、開示されている事項の範囲を限定することもその事項の適用例または使用例の範囲を限定することも決して意図されていない。本発明についてのシステムおよび方法についてのいくつかの具体例についての詳細な説明であって本書類中に含まれるものにおいて、それらの一部を形成する何枚かの添付図面が参照され、それらは、前記説明されたシステムおよび方法が実施されるかもしれないいくつかの具体例に特化された例示的な図解として図示されている。それら具体例は、本書類中に開示されたシステムおよび方法を当業者が実施することを可能にするのに十分に詳細に記載されており、また、理解されるべきことは、他のいくつかの具体例が利用されてもよいということと、この開示事項の主旨および範囲から逸脱することなく、構造的な変更や論理的な変更を施してもよいということとである。さらに、明瞭化のため、いくつかの具体的な特徴についての詳細な説明は、この開示事項のいくつかの具体例についての説明を曖昧にしないことが当業者にとって自明であるときは、議論されることはない。したがって、本書類中に含まれる詳細な説明は、限定を行うという意味で採用されるべきではなく、また、この開示事項の範囲は、添付された複数の請求項によってのみ画定される。
【0121】
前述されたことから理解されることは、本発明の具体的ないくつかの具体例が本書類において例示のために記載されているとはいえ、種々の変形が本発明の主旨および範囲を逸脱することなく行われてもよいということである。
【0122】
本書類中に示されているいくつかの細部は、例示として、かつ、本発明についての前述の望ましいいくつかの具体例についての例示的な議論のみを目的として存在し、また、本発明についての種々の具体例についての原理および概念的側面についての最も有用にして容易に理解される説明であると信じるものを提供するという理由のもとに存在する。この点、試行されないことは、本発明を基本的に理解するのに必要なものを超える程度の詳細さで本発明の構造的な細部を示すこと、前記図面を考慮して前記説明が解釈されること、および/または本発明のいくつかの形態が実施において具体化される仕方が当業者に自明なものとなるいくつかの例を示すことである。
【0123】
本書類中において使用されるように、かつ、それを排除することを特記しない限り、「ある(a)」、「ある(an)」および「多数の(a number of)」という各用語は、「1つ」、「少なくとも1つ」または「1または複数」を意味すると解釈される。文脈がそれを排除することを要求しない限り、本書類中に単数として表現された用語は、複数性を含み、また、複数として表現された用語は、その単数性を含むべきである。
【0124】
文脈が明確にそれを排除することを要求しない限り、明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、「含む(comprise(有する)」、「含む(comprising(有する)」およびこれらと同様なものは、排他的または独占的な意味ではなく非排他的な意味で、すなわち、「含むが、それに限定されない(including, but not limited to)」という意味で解釈されるべきである。単数または複数の数を用いる単語は、それぞれ、複数の数を用いる単語および単数の数を用いる単語も包含する。さらに、「本書類」、「前述の(above)」および「後述の(below)」という単語ならびにそれらに類似する意味を有する単語は、この出願書類中に用いられる場合、この出願書類の全体を意味し、この出願書類のうち特定の一部しか意味しないということはない。
【0125】
もちろん、理解されるべきことは、本書類中に記載されているいくつかの例、具体例または方法のうちのいずれも、他の1つないしは複数の例(examples)、具体例(embodiments)および/または方法(processes)と組み合わされてもよいし、または、本書類中に記載されているいくつかの例、具体例または方法は、本書類に開示されているシステム、装置および方法に従い、分離される(separated、複数の部分に分離される)か、および/または、互いに分離された複数のデバイス(devices、全体デバイス、完成品など)もしくはデバイス部分(device portions、部分デバイス、半完成品など)の中で、本書類に開示されているシステム、装置および方法に従い、実施されてもよいということである。
【0126】
最後に、上記の議論は、本書類中に記載されているシステムを単に例示的に説明することを意図されており、また、上記の議論は、添付された複数の請求項を、特定の具体例に限定するものとしても、複数の具体例より成る1つの群に限定するものとしても解釈されるべきではない。よって、本書類中に開示されているシステムは、典型的ないくつかの具体例を参照しつつ特に詳細に記載されているが、さらに理解されるべきことは、多数の変更および他の具体例が、後続する複数の請求項に記載されている本システムの主旨および範囲であってより広いものおよび意図されたものから逸脱することなく、当業者によって発案されてもよいということである。したがって、それら明細書および図面は、例示的な手法でされたものであると考慮されるべきであって、添付された複数の請求項の範囲を限定することを意図されていない。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ(burner、燃焼バーナ、燃焼装置、など)であって、
当該バーナのうちの閉塞容積室内に燃料ガスを収容するように構成される壁部と、
その壁部内に形成される複数の開口部と、
複数のアクチュエータであって、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部を経由して、当該バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通を形成しまたは遮断するように選択的に起動させられるように構成されるものと
を含み、
前記複数の開口部は、前記燃料ガスが前記閉塞容積室にフラッシュバックすることを抑制するように構成されるバーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のバーナであって、前記流体連通は、前記燃料ガスの流れであって火炎を維持するのに適したものを実現するように構成されるバーナ。
【請求項3】
請求項1に記載のバーナであって、火炎が、各アクチュエータの起動に応答して、各開口部に隣接する位置に形成されるバーナ。
【請求項4】
請求項1に記載のバーナであって、前記複数のアクチュエータは、ソレノイド、モータ、ダッシュポット、サーボ、ねじ機能、弾性部材またはステッピング・モータのうちの少なくとも1つを含むバーナ。
【請求項5】
請求項1に記載のバーナであって、当該バーナは、ユーザによって定義されるユーザ定義パターン(user-defined pattern、火炎によって形成されるパターンとしてユーザによって定義されるもの、など)を、前記複数の開口部が前記複数のアクチュエータによってそれぞれ選択的に開口させられることに応答して前記複数の開口部のうちの1または複数の開口部の位置に形成される1または複数の火炎を用いて形成するように構成されるバーナ。
【請求項6】
請求項1に記載のバーナであって、さらに、イグナイタを含み、
当該バーナは、前記複数のアクチュエータのうちの1または複数についての選択的な作動により、火炎を、前記イグナイタに隣接するパイロット開口部(pilot aperture、点火用開口部、など)からパターン位置(pattern location、火炎パターンが形成されるべき位置または開口部、など)まで伝播させるように構成されるバーナ。
【請求項7】
請求項1に記載のバーナを含むシステムであって、
前記バーナを有する調理機器と、
コントローラであって、前記複数のアクチュエータと電気的に連通する状態にあるとともに、前記複数のアクチュエータについての選択的な作動により、前記複数の開口部を選択的に開閉させるように構成されるものと
を含むシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のバーナであって、さらに、複数のデフレクタを含み、
それらデフレクタは、それぞれ、前記複数の開口部のうちのいずれかに隣接する位置に配置され、
前記複数のデフレクタの各々は、それぞれの開口部に隣接する位置に火炎が形成される場合に、スラスト(thrust、推力、など)を付与し、そのスラストは、当該バーナを回転させるバーナ。
【請求項9】
請求項1に記載のバーナであって、前記複数の開口部のうちの各開口部は、前記複数の開口部のうちの第1開口部に位置する火炎が前記複数の開口部のうちの第2開口部まで伝播することが可能であるように、前記複数の開口部のうちの他の開口部との間にすき間を有するバーナ。
【請求項10】
請求項1に記載のバーナであって、前記燃料ガスは、水素であるバーナ。
【請求項11】
請求項1に記載のバーナであって、前記燃料ガスは、前記閉塞容積室内において酸化剤と混合しないバーナ。
【請求項12】
食べ物(food item、食品、食材、など)をパターニングする(patterning、模様付けする、など)方法であって、
ユーザ定義パターン(user-defined pattern、火炎によって形成されるパターンとしてユーザによって定義されるもの、ユーザによって定義される火炎パターン、など)を受け付ける工程と、
燃料ガスをバーナに提供する工程と
を含み、
前記バーナは、
当該バーナのうちの閉塞容積室内に燃料ガスを収容するように構成される壁部と、
その壁部内に形成される複数の開口部と、
複数のアクチュエータであって、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、作動的に相互に関連する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部を経由して、当該バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通を形成するように選択的に起動させられるように構成されるものと
を含み、
前記複数の開口部は、それぞれの火炎をそれぞれの開口部に隣接する位置において維持するように構成され、
それぞれの火炎は、前記食べ物に近接する位置において前記ユーザ定義パターンで配置される方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記複数の開口部のうちの各開口部は、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有するとともに、前記複数の開口部は、前記周囲環境内において前記燃料ガスに点火させるために使用される方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、前記複数の開口部のうちの各開口部は、前記複数の開口部のうちの第1開口部に位置する火炎が前記複数の開口部のうちの第2開口部まで伝播することが可能であるように、前記複数の開口部のうちの他の開口部との間にすき間を有する方法。
【請求項15】
システムであって、
交流電源から電気的パワーを受け取るように構成される給電部と、
その給電部と電気的に連通する状態にあるとともに、前記給電部から電気的パワーを受け取ることに応答して水素ガスを発生させるように構成されるエレクトロライザと、
前記水素ガスを収容するように構成される容器と、
バーナであって、そのバーナ内に形成された複数の開口部を有するものと
を含み、
前記複数の開口部は、閉塞容積室から前記バーナの周囲の環境までの流体連通を実現し、
前記複数の開口部は、前記燃料ガスが前記閉塞容積室にフラッシュバックすることを抑制するように構成されるシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記給電部に提供される電気的パワー(electrical power、電気エネルギー、など)の最大レート(rate of electric power、電気的パワー時間変化率、仕事率、電力、など)は、前記バーナの最大発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)より低いシステム。
【請求項17】
システムであって、
バーナと、
電気的パワー供給部(electrical power supply)と、
その電気的パワー供給部から電気的パワーを電気的パワー入力レート(electrical power input rate)で受け取るとともに、前記電気的パワーの受け取りに応答して水素ガスを発生させるように構成されるエレクトロライザと、
前記水素ガスを収容するように構成される貯蔵機器と
を含み、
その貯蔵機器は、水素ガスを前記バーナに前記電気的パワー入力レートより高い発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)で供給するように構成され、
前記バーナは、前記水素ガスを前記発熱レートで燃焼させるように構成されるシステム。
【請求項18】
請求項1に記載のバーナであって、前記複数の開口部は、火炎(a flame、1つの火炎、少なくとも1つの火炎、など)が形成される可能性のある複数の位置の集まりとして配列されるバーナ。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムであって、前記複数のアクチュエータは、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部を経由して、前記バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通を形成しまたは遮断するように選択的に起動させられるように構成されるシステム。
【請求項20】
請求項17に記載のシステムであって、さらに、
前記バーナのうちの閉塞容積室内に前記水素ガスを収容するように構成される壁部と、
その壁部内に形成される複数の開口部と、
複数のアクチュエータであって、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部を経由して、前記バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通を形成しまたは遮断するように選択的に起動させられるように構成されるものと
を含み、
前記複数の開口部は、前記燃料ガスが前記閉塞容積室にフラッシュバックすることを抑制するように構成されるシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の開示事項は、燃料ガス・バーナに向けられており、より具体的には、水素と共に用いられる燃料ガス・バーナを開示している。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国仮特許出願第63/274,264号であって、2021年11月1日に出願され、かつ、発明の名称が、「耐フラッシュバック・バーナ(Flashback Resistant Burner)」であるものに付与された優先権の利益を主張し、その出願は、全体的にかつあらゆる目的のために、引用により本出願書類に合体させられる。
【背景技術】
【0003】
現在、多くの産業において、汚染性および毒性を有する(toxic)燃料を用いる燃焼プロセスから熱が発生させられ、例えば、天然ガス(natural gas)は、発がん性化合物を包含し、温室効果ガス(greenhouse gas)であり、そして、毒性を有するとともに温室効果ガス(例えば、一酸化炭素、二酸化炭素)でもある燃焼生成物(combustion products)を作り出す。これら燃料ガスの燃焼の結果(The result of combustion、燃焼生成物、など)は、有害な効果をもたらし得る。例えば、一酸化炭素は、有毒(poisonous)ガスであり、また、二酸化炭素は、環境に対し負の影響を与える。発熱に関する改善策(Improved heating solutions)が要望される。
【0004】
水素は、無毒にして汚染性を有しない(non-polluting、無公害な)燃料であり、また、水素のみの燃焼によって生じる主たる生成物は水である。これらの特性のおかげで、水素が、人間の健康および環境に対する影響が優先される用途(applications、アプリケーション、場面)にとって理想的な燃料となる。それら用途のいくつかの例として、食品調理(cooking food)、室内部屋暖房(indoor space heating)および室内温水暖房(indoor water heating)があるが、これらに限定されない。
【0005】
燃料としての水素の別の利点は、極度に軽い(extreme buoyancy、顕著な浮揚性)ということである。燃料は、本来、可燃性であるから、意に反して放出されて高濃度化される(concentrated、密集する)と、制御不能な点火(uncontrolled ignition)が発生するおそれがある。水素は、空気より軽く、空気の重さの約14.4分の1の重さであり(Hydrogen is about 14.4 times lighter than air)、大気中に放出されると、急速に拡散することになる。このことは、いずれも空気より重いプロパンおよびブタン、または、空気より軽いがせいぜい空気の重さの約1.8分の1の重さである(only about 1.8-times lighter than air)天然ガスの如き通常の燃焼とは事情が異なる。したがって、水素バーナは、プロパン、ブタンまたは天然ガスを用いるバーナより顕著に安全であり得、なぜなら、水素であれば急速に拡散することになるからである。
【0006】
しかしながら、通常の炭化水素燃料、例えば、プロパン、メタン、天然ガス、プロピレンおよびそれらと同様なものに用いられるバーナは、水素と共に用いられることに適しておらず、なぜなら、水素が、通常の燃料と比較して非常に高速である火炎速度(flame speed)を有するからである。通常の燃料に用いられるバーナは、燃焼のために燃料/酸化剤混合物を1または複数の開口部から排出させる前に、当該バーナの閉塞容積室の内部において、酸化剤、例えば、酸素または空気を、前記燃料と混合させる。水素の火炎速度(flame speed、固定座標系における火炎の移動速度、など)が高速であることを理由に、それ(it、水素、など)はフラッシュバック(flashback、逆火、など)が起こり易いという性質を有し、このことは、前記火炎が、当該バーナの前記閉塞容積室内への前記燃料ガスの流れ(flow、フロー)に逆らって後方に伝播して爆発する(detonate)可能性があることを意味する。このように、燃焼前に空気および燃料を予め混合する行為(the practice、慣例、など)であって通常の燃料にしばしば用いられるものは、水素が燃料である場合には適していない。したがって、改善されたバーナ設計構造(burner designs)が要望される。
【発明の概要】
【0007】
バーナ(burner、燃焼バーナ、燃焼装置、など)は、当該バーナのうちの閉塞容積室(volume、容積部、など)内に燃料ガス(fuel gas)を収容するように構成される壁部(wall)と、その壁部内に形成される複数の開口部(apertures、孔、炎孔、バーナ孔、貫通穴、アパーチャ、など)と、複数のアクチュエータであって、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、作動的に相互に関連する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部(the respective apertures、各アクチュエータに対応する開口部、など)を経由して、当該バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通(fluid communication)を形成し(establish)または遮断する(sever)ように選択的に起動させられるように構成されるものとを含むものである。前記複数の開口部は、前記燃料ガスが前記閉塞容積室にフラッシュバックすることを抑制する(prevent、防止する、抑止する、阻害する、など)ように構成される。
【0008】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数の開口部が、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径(effective diameter、火口、炎口、火炎口の有効直径、有効孔径、など)を有する。
【0009】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記流体連通が、前記燃料ガスの流れ(flow、フロー)であって火炎(flame)を維持する(support、保持する、保炎する、など)のに適したものを実現するように構成される。
【0010】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、火炎が、各アクチュエータの起動に応答して、各開口部に隣接する位置に形成される(established)。
【0011】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数のアクチュエータが、ソレノイド(solenoid、電磁弁、円筒状コイル、電磁石、電磁式アクチュエータ、コンバータ、など)、モータ(motor、電動モータ、流体圧モータ、回転モータ、リニア・モータ、など)、ソレノイド、ダッシュポット(dashpot、緩衝器、動作緩和装置、など)、サーボ(serbo、サーボ・モータ、サーボ機構、自動フィードバック制御システム、など)、ねじ機能(power screw、運動変換機構、など)、弾性部材(resilient member)またはステッピング・モータ(stepper moter、パルス・モータ、など)のうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、当該バーナが、ユーザによって定義されるユーザ定義パターン(user-defined pattern、火炎によって個別に形成される個別火炎パターンもしくは個別火炎形状、または、複数の火炎の共同によって形成される全体火炎パターンもしくは全体火炎形状としてユーザによって定義されるもの、ユーザによって定義される火炎パターン、など)を、前記複数の開口部が前記複数のアクチュエータによってそれぞれ選択的に開口させられることに応答して前記複数の開口部のうちの1または複数の位置に形成される1または複数の火炎を用いて形成するように構成される。
【0013】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記バーナが、さらに、イグナイタ(igniter、点火器、など)を含む。前記バーナは、前記複数のアクチュエータのうちの1または複数についての選択的な作動により、火炎を、前記イグナイタに隣接するパイロット開口部(pilot aperture、点火用開口部、前記複数の開口部のうち、火炎パターンを形成する際にガイドとなる開口部、など)からパターン位置(pattern location、火炎パターンが形成されるべき位置または開口部、など)まで伝播させる(carry)ように構成される。
【0014】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、システムが、バーナと、そのバーナを収容する(housing)調理機器(cooking apparatus)と、コントローラであって、前記複数のアクチュエータと電気的に連通する(electrical communication、電気的に導通する)状態にあるとともに、前記複数のアクチュエータについての選択的な作動により、前記複数の開口部を選択的に開閉させるように構成されるものとを有する。
【0015】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記システムが、ユーザ・デバイス(user device、ユーザによって使用されるデバイス、など)を含み、そのユーザ・デバイスは、前記コントローラと電気的に連通する(electrical communication、電気的に導通する)状態にあるとともに、前記ユーザ定義パターン(user-defined pattern)を前記コントローラに通信するように構成される。
【0016】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記システムが、複数のデフレクタ(deflectors、変向機、など)を含み、それらデフレクタは、それぞれ、前記複数の開口部のうちのいずれかに隣接する位置に配置され、前記複数のデフレクタの各々は、それぞれの開口部に隣接する位置に火炎が形成される場合に、スラスト(thrust、推力、物体を特定の方向に動かす外力、軸力、など)を付与する。
【0017】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記スラストが、前記バーナを回転させる。
【0018】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記壁部が、環状(toroidal)形状を有する。
【0019】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数の開口部のうちの各開口部が、前記複数の開口部のうちの第1開口部に位置する火炎が前記複数の開口部のうちの第2開口部まで伝播する(propagate)ことが可能であるように、前記複数の開口部のうちの他の開口部との間にすき間を有する(spaced apart、すき間を隔てる)。
【0020】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記システムが、燃料ガス源と、その燃料ガス源との間で流体連通する状態にある導管(conduit、コンジット、流路管、など)と、その導管内に少なくとも部分的に配置されるとともに、前記燃料ガス源から前記バーナに向かう前記燃料ガスの流れ(flow、フロー、など)を制限するように構成されるフロー・リストリクタ(flow restrictor、流れの断面積を減少させて流路内に抵抗を持たせる機構、流量制限器、流れ制限器、オリフィス、など)とを含む。
【0021】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数の開口部が、約0.4mmの直径を有する。
【0022】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記燃料ガスが、水素である。
【0023】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記燃料ガスが、前記閉塞容積室内において酸化剤と混合しない。
【0024】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記閉塞容積室内における前記燃料ガスの圧力が、前記酸化剤が前記閉塞容積室内に進入しない(not infilterate)ように、前記外気の圧力より高圧である。
【0025】
いくつかの具体例においては、食べ物(food item、食品、食材、など)をパターニングする(patterning、模様付けする、焦げ模様をつける、焼き模様をつける、焼き跡をつける、焼印を付ける、など)方法が、ユーザ定義パターン(user-defined pattern)を受け付ける工程と、燃料ガスをバーナに提供する工程とを含む。前記バーナは、当該バーナのうちの閉塞容積室内に燃料ガスを収容するように構成される壁部と、その壁部内に形成される複数の開口部と、複数のアクチュエータであって、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、作動的に相互に関連する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部(the respective apertures、各アクチュエータに対応する開口部、など)を経由して、当該バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通を形成するように選択的に起動させられるように構成されるものとを含み、前記複数の開口部は、それぞれの火炎をそれぞれの開口部に隣接する位置において維持するように構成され、また、それぞれの火炎は、前記食べ物に近接する位置において前記ユーザ定義パターンで配置される。
【0026】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記開口部が、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有するとともに、前記周囲環境内において前記燃料ガスに点火させる。
【0027】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数の開口部のうちの各開口部が、前記複数の開口部のうちの第1開口部に位置する火炎が前記複数の開口部のうちの第2開口部まで伝播することが可能であるように、前記複数の開口部のうちの他の開口部との間にすき間を有する(spaced apart、すき間を隔てる)。
【0028】
いくつかの具体例においては、システムが、交流電源(alternating current source、交流源など)から電気的パワーを受け取るように構成される給電部(power supply、電源回路、電力供給源、パワー・サプライ、など)と、その給電部と電気的に連通する(electrical communication、電気的に導通する)状態にあるとともに、前記給電部から電気的パワーを受け取ることに応答して水素ガスを発生させるように構成されるエレクトロライザ(electrolyzer、電解槽、など)と、前記水素ガスを収容するように構成される容器と、バーナであって、そのバーナ内に形成された複数の開口部を有するものとを含む。前記複数の開口部は、前記閉塞容積室から前記バーナの周囲の環境までの流体連通を実現し、前記複数の開口部は、前記燃料ガスが前記閉塞容積室にフラッシュバックすることを抑制する(prevent、防止する、抑止する、阻害する、など)ように構成される。
【0029】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、前記複数の開口部の前記開口部が、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有する。
【0030】
いくつかの具体例においては、前記給電部に提供される電気的パワー(electrical power、電気エネルギー、など)の最大レート(rate of electric power、電気的パワー時間変化率、仕事率、電力、など)が、前記バーナの最大発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)より低い。
【0031】
任意選択的に、いくつかの具体例においては、システムが、バーナと、電気的パワー供給部(electrical power supply)と、その電気的パワー供給部から電気的パワーを電気的パワー入力レート(electrical power input rate)で受け取るとともに、前記電気的パワーの受け取りに応答して水素ガスを発生させるように構成されるエレクトロライザ(electrolyzer、電解装置、電解槽、など)と、前記水素ガスを収容するように構成される貯蔵機器とを含む。その貯蔵機器は、水素ガスを前記バーナに前記電気的パワー入力レートより高い発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)で供給するように構成され、また、前記バーナは、前記水素ガスを前記発熱レートで燃焼させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】
図1Aは、本書類に開示されるバーナと共に使用されるためのバーナ・システムの一例を簡略的に示すブロック図である。
【0033】
【
図1B】
図1Bは、本書類に開示されるバーナと共に使用されるためのバーナ・システムの一例を簡略的に示すブロック図である。
【0034】
【
図1C】
図1Cは、本書類に開示されるバーナと共に使用されるためのバーナ・システムの一例を簡略的に示すブロック図である。
【0035】
【
図1D】
図1Dは、本書類に開示されるバーナと共に使用されるためのバーナ・システムの一例を簡略的に示すブロック図である。
【0036】
【
図1E】
図1Eは、本書類に開示されるバーナと共に使用されるためのバーナ・システムの一例を簡略的に示すブロック図である。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【
図5B】
図5Bは、
図5Aのバーナが第1の状態にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0048】
【
図5C】
図5Cは、
図5Aのバーナが第2の状態にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0049】
【
図5D】
図5Dは、
図5Aのバーナが第3の状態にあり、かつ、第1時刻にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0050】
【
図5E】
図5Eは、
図5Aのバーナが第4の状態にあり、かつ、前記第1時刻より遅い第2時刻にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0051】
【
図5F】
図5Fは、
図5Aのバーナが第5の状態にあり、かつ、前記第2時刻より遅い第3時刻にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0052】
【
図5G】
図5Gは、
図5Aのバーナが第6の状態にあり、かつ、前記第3時刻より遅い第4時刻にあるときに、そのバーナの断面図であって
図5Aにおける断面線5B-5Bに沿って取られたものである。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【
図6B】
図6Bは、イグナイタの詳細図であって
図6Aの線6B-6Bにおいて取り出されたものである。
【0058】
【
図7A】
図7Aは、本書類に開示されたバーナ設計方法の一部を示す。
【0059】
【0060】
【
図8】
図8は、コントローラすなわちユーザ・デバイスの複数のコンポーネントを簡略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本書類に開示されるバーナ(burner、燃焼バーナ、燃焼装置、など)は、多くの用途のために、可燃性ガス(例えば、水素)の燃焼の制御および促進を行い、その燃焼を、利用可能な熱源(heat source、ストーブ、グリル、レンジ、など)に転換する(into、移行する、など)デバイスである。例示的ないくつかの用途は、料理用ストーブ、バーベキュー、ファーネス(furnaces、炉、など)、スペース・ヒータ(space heaters、室内用暖房具など)、プロセス・ヒータ(process heaters)、可視光源/赤外線/紫外線放射、および装飾用ファイヤー展示物(decorative fire displays)である。一具体例においては、水素ガスがガス源100から供給される。前記水素(The hydrogen、水素ガス、など)は、タービン、導管(conduit、コンジット)、および、任意選択的に、1または複数のバルブまたは他の機器(instrumentation、計器類など)が配置されて成る構成(arrangement)を経由して燃焼領域(combustion area)に導入されることが可能であり、ここに、前記1または複数のバルブまたは他の機器は、例えば、フィルタ104、ニードル・バルブ106、フロー・リストリクタ(flow restrictor)すなわちオリフィス108、圧力レギュレータ116、シャットオフ・バルブ118、または圧力センサ120である。前記燃焼領域内においては、1または複数のバーナ102が存在してもよく、そこにおいては、前記水素に点火されて火炎を生成する。
燃料ガス源100
【0062】
本書類に開示されるいくつかのバーナ関連具体例(burner embodiments)のための水素燃料ガス源110は、圧縮ガス容器、エレクトロライザ(electrolyzer、電解装置、電解槽、など)、液体水素貯蔵タンクからの気化器、メタル・ハイドライド貯蔵容器、もしくは、分離プロセス(a separate process、化学物質を水素に変換するプロセス、など)、例えば、改質プロセス(reformation processes、化石燃料を燃焼させてガスにし、そのガスの中から水素を取り出すプロセス、など)、バイオロジカル・プロセス、アンモニア・クラッキング(ammonia cracking)もしくは他の化学プロセスのようなものから水素を発生させるデバイス、またはそれらの組合せであってもよいが、それらに限定されるわけではない。前記バーナによって生成される熱は、燃料ガス源110と共生するように作用する(works symbiotically、相互依存的に作用する、共存的に作用する、など)エネルギー源として使用されてもよく、そのようなエネルギー源は、例えば、メタル・ハイドライド水素貯蔵庫のために用いられ、より多くの水素ガスが遊離する(liberate、解放される、など)ことを可能にするように前記貯蔵庫を加熱する熱源である。前記バーナは、エレクトロライザ(electrolyzer、電解装置、電解槽、など)と共に使用されるとき、火(fire)または火炎(flame)の生成を、電気のみが他の方法で利用可能である(otherwise available)場合に、可能にする。これは、規制要求事項(regulatory requirements、規制上の要件)および/または基盤施設(infrastructure、社会の基盤となる施設、など)の欠如に起因して特定の場所、住宅または建物においては利用できない可能性のある通常の燃料を超える固有の利点である。
【0063】
図1Eに例示するように、いくつかの具体例においては、燃料ガス源110が、給電部(power supply、電源回路、電力供給源、パワー・サプライ、など)126を有してもよく、その給電部126は、パワー(power、電力、電気エネルギー、など)を(例えば、1または複数のバッテリによって)生成するか、またはグリッド給電部(grid power source、系統電源、商用電源、など)128から交流電流を受け取る。いくつかの例においては、例えば、前記パワーが交流電流(「AC」)パワーである場合、そのACパワーは、例えば、エレクトロライザ(electrolyzer、電解装置、電解槽、など)122によって使用されるために、直流電流(「DC」)パワーに変換されてもよい。エレクトロライザ122は、給電部126からの電気的パワー(electrical power、電気エネルギー、など)の受け取りに応答して水素ガスを生成してもよい。例えば、エレクトロライザ122は、水分子を触媒を用いて水素ガスと酸素ガスとに分離してもよい(catalytically split)。それら水素ガスおよび酸素ガスは、エレクトロライザ122の1または複数のエレクトロケミカル・セル(electrochemical cells、電気化学セル)より成る別々の複数の電極上に形成され、そして、バーナ(a burner)内での使用のために収集されてもよい。いくつかの具体例においては、前記酸素ガスが、大気(atmosphere、外気)に排出され(vented、ベントされ、排気され)てもよい。燃料ガス源110は、任意選択的に、前記生成された水素ガスを例えば、50バール、100バール、250バール、350バール、700バールまたはそれより高い圧力というような高圧(elevated pressure、昇圧された圧力など)で貯蔵するのに適したものとして圧力容器(a pressure vessel、圧縮型の貯蔵容器、高圧の貯蔵容器、など)124および/またはコンプレッサ130を有してもよい。例えば、燃料ガス源110は、前記バーナが使用中でないいくつかの場合(in times、いくつかの時間帯)に水素ガスでチャージされて(charged、充填され)てもよい。必要に応じ、燃料ガス源110内に貯蔵される前記エネルギー(The energy、水素ガス、など)がパワー(power、仕事率、熱エネルギー/時間、など)をバーナ(a burner)に供給してもよい。前記圧力容器(the pressure vessel)および/またはコンプレッサ130を有することにより、燃料ガス源110は、給電部126への電気的供給レート(an electrical supply rate、給電部126に提供される電気的パワーの時間変化率、仕事率、電力、など)より実質的に高い発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)を有するバーナ(a burner)を提供することを可能にする。例えば、典型的な115ボルトで15アンペアの家庭用回路(circuit、電源回路、など)が、約1800-約2000ワットの電気的パワー(electrical power、電気エネルギー、など)の範囲内の最大値(a maximum、最大ワット値、など)を提供するかもしれない。一方、天然ガスまたはプロパンを動力源とする(powered)典型的なグリルが、約55,000BTU/hr(BTU/hr、英熱量毎時)(約16kWに相当する)の発熱レート(a heat rate)を有するかもしれない。このように、15アンペア回路を有する抵抗加熱(resistive heating、抵抗加熱器、発熱体によって電気から熱を発生させる器具、など)を、天然ガスを使用する典型的なバーベキュー・グリルに相当するものとして簡単に提供することは可能ではない。このようにして、既述された燃料ガス源110は、火炎を主体として用いる調理(flame-based cooking、炎を使う調理、直火調理、火あぶり料理、火炎型の調理法、など)を提供するとともに、適切な発熱レートを、炭化水素を動力源とするグリル(hydrocarbon-powered grill)の発熱レートと同等でありながら、タンク(tanks)の交換も、専用の天然ガス・ラインの敷設(run)も、220ボルトまたは3相方式の高価な電気工事(electrical service)の利用も必要とすることなく提供することが可能である。さらに、火炎を主体として用いる調理(flame-based cooking)は、電気加熱(electrical heating、電熱、など)に勝るいくつかの利点を有しており、それら利点は、例えば、電気的要素(electrical element、電気部品、など)の緩速な加熱(the slow heating)とは異なり実質的に瞬時に火炎を提供すること、熱を良好にして迅速に調整すること(better quick adjustment of heat)およびそれらと同様なものである。火炎を主体として用いる調理であって水素を用いるものは、本書類に開示されるバーナにおけるのと同様に、炭化水素を主体とする火炎型の調理(hydrocarbon-based flame cooking)に勝る多数の利点を有しており、それら利点は、例えば、有害な一酸化炭素も温室効果ガスとしての二酸化炭素も発生しないこと、火炎の制御が容易であるうえに直火であること、および、炭化水素燃料が高価であるかまたは容易に利用可能ではないいくつかの地域(areas)において、火炎を主体として用いる調理(flame-based cooking)を提供することである。
バーナ
【0064】
前記可燃性ガスの燃焼による熱(the heat)は、1または複数のバーナ、例えば、バーナ102、バーナ202、バーナ302、バーナ402および/またはバーナ502を用いて分布させられる(distributed、分配される、分散される、など)。当該バーナ(burners、1または複数のバーナ)は、1または複数の壁部204であって、前記可燃性ガスを収容する閉塞容積室(volume、容積部、など)206を形成するものを有することが可能である。壁部204は、プレートまたはチューブという形態(form、フォーム、形態上の種別、など)を有してもよく、また、円形状、球状、長方形状、環状(toroidal)または他の断面形状を有してもよく、また、直線状、曲線状、円形状、螺旋状または他の形状のパターン(pattern、全体形状、全体レイアウト、など)で展開され(laid out、2次元展開され)てもよい。例えば、いくつかの添付図面においては、バーナ202および302が、一具体例として、直線チューブ(straight tube、直管)という構成態様(configulation、全体形状、形態、など)を有するものとして示されている。バーナ402は、環状(toroildal)という形状を有し、一方、バーナ502は、平面という形状を有している。当該バーナの形状、サイズおよび構成態様(configulation、全体形状、断面形状、など)は、当該バーナにとって要求される(desired、目標となる、など)熱出力またはエネルギー出力に基づいて異なることが可能であり、例えば、業務用厨房(commercial kitchen)に使用されるバーナは、住宅用アパートメント(residential apartment、居室、居宅、など)での使用のために構成されたバーナより実質的に大形になるかもしれない。
【0065】
本書類に開示されるバーナは、1または複数の開口部112を、当該バーナの壁部204を貫通するものとして有している。いくつかの具体例においては、異なるサイズを有する複数の開口部の配置を可能にするために、いくつかのノズル(nozzles、中空部材、管先、吹き口、筒口、着脱式オリフィス、など)が、前記壁部に対し、例えば着脱可能に、連結されてもよい。このような交換可能ないくつかのノズルは、バーナの全体を交換することなく、当該バーナの発熱レートのカスタマイズ(customization、個別設定、個別調整、など)を可能にするという利点を有するかもしれない。閉塞容積室206は、前記燃料ガスを収容し、また、その燃料ガスが各開口部112から排出されて空気または別の酸化剤と混合する際にその燃料ガスは火炎として燃焼される。本書類の開示事項のバーナは、水素の如き燃料ガスに、前記燃料と空気とを予め混合させることなく、点火させる一方で、フラッシュバックを抑制することも行うように設計される。例えば、本書類の開示事項のバーナは、燃料ガス源110からちょうど開口部112の外側まで閉じられたシステム(a closed system、燃料ガスの存在下でバーナ内への酸素の進入を防止して燃料ガスと酸素との予混合がバーナ内で行われることを防止するシステム、など)を有し、それにより、前記燃料ガスが前記開口部から退出するまで、空気の如き酸化物が前記燃料ガスに導入することが抑制されてもよい。さらに、本書類の開示事項のバーナは、燃料ガス圧力を、導管(the conduits、1または複数の導管、コンジット、流路、流体通路、など)114および/または内側容積室(internal volume、閉塞容積室、など)206内において、周辺外気圧力(surrounding atmosphere pressure、当該バーナを包囲する外気の圧力、周囲気圧、周囲大気圧、など)より高い圧力として有し、それにより、前記バーナへの空気の進入を減少または阻止するものであってもよい。本書類の開示事項のバーナは、前記燃料ガスが1または複数の開口部112を通過した後に、前記燃料ガスが前記バーナの外側で酸化物と混合し、それにより、燃焼を維持することを可能にする。しかしながら、前記バーナは、当該バーナ内において前記燃料ガスが酸化物と混合することを防止し、フラッシュバック、偶発的点火(inadvertent ignition)および/または早期点火(early ignition、バーナ内で燃料ガスの点火が行われる異常現象、など)を防止または軽減し、さらに、当該バーナを、高速の火炎速度(high flame speeds、他の燃料ガスより高速の火炎速度または燃焼速度、など)を有する水素の如き燃料ガスと共に使用することを可能にする。したがって、本書類の開示事項のバーナは、通常のバーナの欠点に対処する。予混合燃焼(premixed combustion)を見込んで設計されない場合でさえ、ヒータ、ストーブ、バーベキュー(barbecue、バーべキュー・グリルを用いる料理、など)またはディスプレイ・ファイヤ(display fire、調理のためにではなく装飾のためにバーナを用いること、など)などのものの内部において間欠的に(intermittently、連続運転ではなく、不使用期間を有するように、など)使用されるバーナは、いくつかの不使用期間であって前記バーナ内に燃料と空気との混合気を招来する(leading to、を誘発する)期間中に当該バーナ内に拡散(diffuse)することが可能である周囲空気に曝されてしまう(exposed to、接触してしまう)かもしれない。水素が燃料として通常の(conventional)バーナと共に使用される場合、前回の点火に引き続いて前記バーナに点火される次回の点火においては、前記火炎が、前記バーナ内に逆向きに伝播してデトネーションの原因となることがあり得る。フレーム・アレスタ(Flame arrestors、逆火防止装置、火炎防止器、爆発防止器、ガス混合物の通過は許可するが火炎の通過を遮断または阻止する装置、など)が、大きな開口部(large openings、大径の炎孔を有する開口部、など)についてのフラッシュバックを防止するために一般に使用される。しかしながら、フレーム・アレスタというものは、効果的な(effective、高い実効性を有する、実用的な、使い勝手のよい、など)バーナに必要とされる多くの小さな開口部(small apertures、小径の炎孔を有する開口部、など)にとっては実用的で(practical、現実的で、実践的で、など)はない。
【0066】
水素を燃料源として用いて一緒に使用されることを阻害するであろう通常の燃料バーナが有する問題に取り組むために、本書類の開示事項のバーナは、1または複数の開口部112を有しており、その開口部112は、燃料/火炎(例えば、水素火炎)の消炎距離より小さい有効直径を有するサイズを有する。水素火炎は、前記有効直径が前記消炎距離より小さい場合には、ここに開示されているバーナの開口部を通過して伝播することが不可能である。前記消炎距離は、燃焼火炎速度(combustion flame speed)および伝熱特性(heat transfer characteristics)の関数(a function、に応じて変化するもの)であり、さらに(in turn)、主に、ガス組成、等量比(equivalence ratio)ならびに上流(未燃ガス(unburned gas))の圧力および温度に依存する。前記消炎距離は、実験データ、経験則を表す式または解析のための式から求めることができる。一例が、水素火炎の消炎距離(d)に関し、下記の式1に示される。
【0067】
【数1】
ただし、自然対数の底eは約2.718、βは無次元活性化エネルギー・パラメータ(a non-dimensional activation energy parameter)(温度および反応特性に依存する)、αは熱拡散率(thermal diffusivity)、および、S
Lは層流燃焼速度(laminar burning velocity)である。
【0068】
例えば、水素および空気のストイキオメトリ混合気(a stoichiometric mixture、理論混合気、化学量論的混合気、化合物を構成している原子数の比(組成)が化学式どおりに存在する混合気、など)であって、温度が300Kであり、かつ、圧力が大気圧であるものは、約0.8mmの消炎距離を有する。この消炎距離は、上流(upstream、火炎上流)圧力が2.5atmに到達するとき、約0.4mmに減少する。例えば、
図2Aから
図3Cまでの図面の複数の具体例であって前記開口部の直径(diameter、有効内径、など)が約0.4mmであるものを参照されたい。いくつかの例においては、開口部112が、約0.05mm、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mmまたは約0.8mmであってもよい。典型的には、前記消炎距離は、前記混合気がストイキオメトリ(stoichiometric、化合物を構成している原子数の比(組成)が化学式どおりに存在する、など)であるときに最小となる。対比すると、典型的なプロパン・バーナにおける開口部は、約3mmの直径を有し、仮にそれが水素のために使用されると、危険な状況を引き起こす原因となり、なぜなら、それら(they、前記開口部)はフラッシュバックを防止できないであろうからである。これに対し、本書類の開示事項のバーナにおける開口部は、当該用途(the application、当該適用例など)に関して水素の消炎距離より小さい有効直径(an effective diameter、有効内径、など)を有することにより、水素のフラッシュバックを防止するための特別なサイズ(size、孔径、など)を有しており、前記有効直径は、当該用途(the application、当該適用例など)の物理的な条件に対応する解析的方法および実験的方法によって本出願人により決定されたものである。
【0069】
図4A-
図4Cを参照すると、バーナ402が開示されている。このバーナ402は、環状の壁部(a toroidal-shaped wall、1つの環状の壁部、少なくとも1つの環状の壁部、など)204を有している。バーナ402は、他の形状、例えば、正方形、長円形、円板(disc)などの形状で形成された壁部204を有してもよい。壁部204は、1または複数の導管114によって支持されてもよく、その1または複数の導管114は、前記燃料ガス源を、壁部204によって形成された容積室206に分配する(distribute、割り当てる、など)。1または複数の導管114は、さらに、壁部204を支持してもよい。
図4Cを参照すると、例えば、1または複数の導管114は、壁部204により形成された環状リング(toroidal ring、1本の環状リング、少なくとも1本の環状リング、など)の内部において、平面的に(in a planar fashion)配置されてもよい。導管114は、流体連通を他の導管114との間で、および/または、バーナ402の容積室206との間で行う状態にあってもよい。導管114は、実質的に垂直方向に配向された(oriented、方向付けされた)導管(a conduit、1本の導管、少なくとも1本の導管、など)410によって支持されてもよく、その導管410は、1または複数の導管114と流体連通を行う状態にある。導管410は、前記燃料ガスを1または複数の導管114、容積室206、最終的には1または複数の開口部112に供給して火炎を発生させるように構成され(adapted to)てもよい。
【0070】
バーナ402は、動く(move、可動である)ように構成され(adapted to)ており、このことにより、バーナ402からの熱が食べ物(food item、食品、食材、など)の上に(on、表面に)またはポット(pot)もしくは鍋(pan)の上に(on、表面に)均一に分布することが可能となる。例えば、
図4Cに示すように、バーナ402は、軸(axis、実体のない軸線、実体のあるシャフト、導管、など)412を中心に回転し、例えば、バーナ402からの熱が食べ物の上または調理器具の上により均一に分布するように構成される(adapted to)。いくつかの例においては、バーナ402が、1または複数の火炎の位置においてスラスト(thrust、推力、物体を特定の方向に動かす外力、軸力、など)を発生させてもよく、そのスラストは、バーナ402を自転させる(spin、回転運動させる)かまたは並進運動させる(translate、回転運動以外の運動を行わせる、など)原因となる。他の例においては、バーナ402が、モータ、ギアボックス、滑車(pully、プーリ)などにより動かされてもよい。例えば、
図4Aに示すように、バーナ402は、1または複数の開口部112を有してもよい。複数の開口部112は、1または複数のデフレクタ(deflectors、変向機、など)404の各々に隣接する位置に配置されてもよい。デフレクタ404は、開口部112によって形成された火炎により発生させられたスラストを特定の方向に向けるように構成されてもよい。前記スラストは、バーナ402の壁部204の一部に少なくとも部分的に接するように(at least partially tangential to、壁部204の一部における接線と共通の力方向成分を少なくとも部分的に有するように)方向付けられてもよい。
図4Cに示すように、導管410は、1または複数のベアリング406によって支持されてもよく、その1または複数のベアリング406は、前記火炎によって発生させられたスラストが、バーナ402が導管410を中心に回転させる原因となることを可能にする。導管410は、軸412の全部または一部を形成してもよい。
【0071】
他のいくつかの具体例においては、バーナ402が、モータ、多関節アーム(articulated arm)、ガントリー(gantry)(例えば、3軸、4軸、5軸、6軸または7軸の運動機構)または手動入力(manual input)によって動かされてもよい。例えば、バーナ402(または本書類に開示される他のバーナ)は、食べ物を動かさないまま、その食べ物の周りに沿って(around、その表面に沿って、など)動くように構成されてもよい。当該バーナは、例えば、前記食べ物のサイズまたは形状に基づき、その食べ物を均一に加熱調理するためにその食べ物の周りに沿って(around、その表面に沿って、など)動いてもよい。
【0072】
図5A-
図5Fを参照すると、バーナ502が開示されている。このバーナ502は、複数の開口部112を有しており、それら開口部112は、あるパターンで(in a pattern、ある配列パターンで)配置されるとともに、選択的にアクティブ化される(activated、有効化される、作用させられる)(例えば、開放される)かまたは非アクティブ化され(deactivated、無効化され、停止させられ)(例えば、閉塞され)てもよく、それにより、前記開口部に近接した位置において火炎を形成する(establish、確立する)かまたは消失させる。バーナ502の開口部112は、選択的にアクティブ化されるかまたは非アクティブ化され、それにより、バーナ502の1または複数の開口部112の位置において形成されたいくつかの火炎516により1または複数の形状(shapes、図形など)、文字(words)または記号(symbols)(包括的におよび個別的に「パターン」と称する)を形成してもよい。バーナ502は、パターン508を食べ物514に転写し(transfer)、例えば、パターン508を一切れの肉に焼き付ける(searing into)ように構成されてもよい。例えば、
図5H-
図5Jを参照されたい。
【0073】
図5Aに例示するように、複数の開口部112は、1または複数の行(rows)504または列(columns)506で配列されてもよい。このように、複数の開口部112は、水素火炎516が形成されてもよい複数の位置より成る配列(array)またはグリッド(grid、格子)を形成してもよい。複数の開口部112は、バーナ202および/またはバーナ302の複数の開口部112に関して記載されるようなものであってもよく、および/または方法700に従って設計されるようなものであってもよい。言い換えると、開口部112は、フラッシュバック(flashback、バックファイア、逆火、など)に対して耐性を有する(resist、抵抗する、阻止する、など)ように前記燃料ガスの消炎距離より短い直径を有してもよい。壁部204は、実質的に平面的であるシート、マニホールド(manifold、多岐管、集合管、など)、またはプレナム(plenum、空間、物質で充満した空間、など)であって容積室206を画定するものという形状を有してもよい。前記燃料ガスは、容積室206を経由して複数の開口部112に分配されてもよい。前記燃料ガスの複数の開口部112への分配は、容積室206内の前記燃料ガスの複数の圧力勾配(pressure gradients、開口部112間の圧力差、など)が最小化されるように、実質的に均一であってもよい。複数の開口部112の各々(アクティブ化された場合、すなわち、開放された場合)を通過する前記燃料ガスの流れ(flow、フロー)は、他の任意のアクティブ化された開口部(activated aperture、開放された開口部)を通過する前記流れと同じものであってもよい。
【0074】
図5Bおよび
図5Cを特に参照すると、複数の開口部112の各々は、1または複数のアクチュエータ518の各々により選択的に閉塞されることが可能であってもよい。開放された開口部112であってその開口部112を通過して前記燃料ガスが流れて火炎516を維持する(support)ことが可能であるものは、アクティブ開口部(active aperture)512として記載されてもよい。閉塞された開口部112であってそれぞれのアクチュエータ518によって遮断され、かつ、その開口部112を通過して燃料ガスが流れることがないものは、非アクティブ開口部(inactive aperture)510として記載されてもよい。前記複数のアクチュエータは、プロセッシング・エレメント802であって、コントローラ608内に配置されるようなものであるとともに、後述されるものによって制御可能なものであってもよい。いくつかの例においては、アクチュエータ518が、モータ(motor、電動モータ、流体圧モータ、回転モータ、リニア・モータ、など)、ソレノイド(solenoid、電磁弁、円筒状コイル、電磁石、電磁式アクチュエータ、コンバータ、など)、ダッシュポット(dashpot、緩衝器、動作緩和装置、など)、サーボ(servos、サーボ・モータ、サーボ機構、自動フィードバック制御システム、など)、ねじ機能(power screw、運動変換機構、など)、ステッピング・モータ(stepper moter、パルス・モータ、など)、弾性部材(resilient member)(例えば、スプリング)、これらのうちの2つまたは複数のものの組合せ、または他の任意の機構であって開口部112を通過して前記燃料ガスの流れ(flow、フロー)を制御するのに適したものであってもよい。例えば、アクチュエータ518は、シャフト520を有してもよく、そのシャフト520にシール(a seal、封止体、栓体、など)522が連結される。開口部112をアクティブ化させるために、アクチュエータ518は、シャフト520およびシール522を、壁部204のうち、開口部112に隣接する部分から離れる向きに壁部204から離れて移動してもよく、それにより、前記燃料ガスが開口部112を通過して流れて火炎516を形成することが許可される。逆に、アクチュエータ518は、シャフト520およびシール522を動かして開口部112を閉栓し、それにより、前記燃料ガスが開口部112を通過して流れることを実質的に防止するとともに火炎516の形成(formation)を防止する。いくつかの例においては、アクチュエータ518が、実質的に2値演算モード(binary mode of operation)で動作するかもしれない(例えば、オンまたはオフ)。いくつかの例においては、アクチュエータ518が、比例制御能力(a proportional control ability)を、ある開口部(an aperture)からの前記燃料ガスの流れが低値(a low value、制御範囲の下限値など)と高値(a high value、制御範囲の上限値など)との間において制御されるように有するかもしれない(例えば、リニア流れ制御(linear flow control、比例流れ制御、線形流れ制御、など))。この種の複数の例においては、バーナ502における少なくとも1つの開口部112の発熱レートが、他の複数の開口部112のそれぞれの発熱レートから独立して制御されるかもしれない。この種の比例制御の利点は、パターン508の一部分にはより多くの熱を適用し、そのパターン508の他の部分にはより少ない熱を適用し、それにより、例えば、シェーディング効果(shading effect)、ハーフトーン効果(halftone effect)、点描効果(pointillism effect)またはそれらと同様なものを生み出す能力であってもよい。別の利点は、食べ物514の一部分(例えば、より厚い部分)にはより多くの熱を提供し、他の部分(例えば、より薄い部分)にはより少ない熱を提供し、それにより、食べ物514についての実質的に均一な加熱調理(cooking、焼き目、など)を可能にする能力であってもよい。
【0075】
本書類において議論されるように、水素ガスに炭素が存在しないことは、結果的に、炭化水素燃料、例えば、メタン、プロパン、ブタンなどを燃焼させるように構成されたバーナから形成された火炎と比較すると、実質的に放射が少ない(less radiative)火炎516が生じる。さらに、開口部112についての比較的小さいサイズ(例えば、フラッシュバックを防止するために選択される)は、食べ物514の上に(on、その表面に)1または複数のパターン508を生成する(generate)ことに適したものであってもよく、例えば、その理由は、前記小さい開口部サイズ(size、直径、孔径、断面積、周長、など)、密度(density、開口部の高密度配置、など)および、水素火炎の低レベルの放射エネルギーである。熱によって発生させられるこの種のパターンは、当該パターンが通常の炭化水素バーナ(仮に、そのバーナが小径の開口部を有していたとしても)による場合には、一般には、不可能であり、その理由は、炭化水素から生成される放射火炎(a radient flame)は、拡散性(diffuse)が強すぎて食べ物514の上にパターン508を形成することができないとともに、解像度が低く(low-resolution)、すなわち、ぼやけた(blurred)パターン508が生じることになるであろうというものである。
【0076】
食べ物についてのパターン、例えば、パターン508(星形または他の形を有するかもしれない)を食べ物514に焼き付け(seared into)、それにより、例えば、食べ物514の飾り付け、顧客のイニシャルの追加、および/または注文の混乱を避けるために前記肉(the meat)に焼き付けられる(seared into)注文番号の追加を行ってもよい。それに加えるかまたはそれに代えて、料理人は、バーナ502を使用して、例えば、前記料理人のイニシャルをステーキの上に配置することにより、食べ物514に「サイン」をすることが可能となる。他の例においては、メッセージ、例えば「ハッピーバースデイ」が、前記食べ物の上に提供されることが可能となる。他の例においては、食べ物514のうち他の部分より厚い部分が、より多くの熱またはより少ない熱を適用され(applied)、それにより、食べ物514の一様な加熱調理が制御されるかもしれない。
【0077】
それに加えるかまたはそれに代えて、バーナ502の複数の開口部112は、ポット、鍋、スキレット(skillet、小鍋、フライパン、など)のような調理器具(cooking utensil)と同様なサイズ(size)および形状(shape)を有するアクティブ領域(active region、加熱領域、など)を形成するように構成されてもよい。そのバーナ502の利点は、1または複数の開口部112が開放されて火炎516を形成する場所である前記アクティブ領域(active region)が、調理器具(a cooking utensil)と一致するサイズおよび形状を有し、それにより、前記調理器具を加熱しない領域においてアクティブ化する(activating、対応する開口部をアクティグ化する、対応する開口部を開放させる、など)よりむしろ、無駄なく効率的に前記調理器具を加熱し、それにより、燃料を節約し、それに加え、調理時間の短縮または一人ひとりの料理人のためのカスタマイズが可能となるかもしれない。さらに、そのバーナ502は、実質的に任意であるタイプもしくはサイズの調理器具(cookware)、レシピまたはユーザの好みについて(for、合わせて)カスタマイズすることが可能である。
【0078】
図6Aは、システム600の一例を示しており、そのシステム600は、バーナ500を有する調理機器(cooking apparatus)602を含む。システム600は、本書類に開示される他のバーナと互換性を有してもよく、バーナ202、バーナ302および/またはバーナ402を含む。
【0079】
調理機器602は、食べ物514または調理器具(cooking utensil)(例えば、ポット、鍋、スキレット(skillet、小鍋、フライパン)、など)を支持するように構成された火格子(grate、通風可能な鉄製の格子、鉄製のすのこ、穴あき板、など)604をバーナ502の上方に有してもよい。調理機器602は、それのフード内に通気口(vent)618を有してもよい。その通気口618は、ルーバ式通気口(louvered vent、鎧板のついた通気口)または他の適した装置であってもよく、それらは、調理機器602の前記フードの閉塞時に熱を前記フード内に封じ込めることが可能であるが、例えば、イグナイタの故障時には、未燃水素が当該調理機器から排気されることを可能にし、それにより、有益で安全な特徴部を提供する。調理機器602は、バーナ502のコントロール・アイテム(control item、制御項目、制御条件、など)を操作するのに適しているアクチュエータ(actuator、操作部、など)606を有してもよい。例えば、アクチュエータ606、例えば、ノブまたはレバーは、ユーザが、ニードル・バルブ106、圧力レギュレータ116、シャットオフ・バルブ118などを制御することを可能にしてもよい。いくつかの具体例においては、複数の(more than one、2以上の)アクチュエータ606が、バーナ502の異なる複数のアスペクト(aspect、制御因子)、例えば、燃料ガスの圧力および/またはフロー・レート(flow rate、流量)を制御するために提供されてもよい。
【0080】
システム600は、コントローラ608を内蔵するか、またはコントローラ608と通信する状態にあってもよい。そのコントローラ608は、調理機器602と共に物理的にパッケージ化され(packaged、組み込まれ、一体化され、一体品として構成され)てもよいか、または、それぞれ別物として、調理機器602に通信可能に接続されてもよい。システム600は、任意選択的に、ユーザ・デバイス612および/またはネットワーク614を有してもよい。ユーザ・デバイス612は、スマートフォン、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、スマートウォッチまたは他のコンピュータ・デバイスであってもよい。ネットワーク614は、ユーザ・デバイス612とコントローラ608との間の電子的連通(electronic communication、通信、など)が可能である限り、実質的に任意のデバイスまたはシステムであってもよい。例えば、ネットワーク614は、有線またはワイヤレス・ネットワークであってもよい。ネットワーク614は、イーサネット(Ethernet)(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Max(登録商標)、Zigbee(登録商標)または他のデータ転送ネットワークであってもよい。いくつかの具体例においては、ユーザ・デバイス612が、ネットワーク614を経由して前記コントローラと通信可能であってもよい。いくつかの具体例においては、ユーザ・デバイス612が、コントローラ608と直接的に通信可能であってもよい。いくつかの具体例においては、ユーザ・デバイス612が、任意選択可能な(optional、必須ではない)ものであってもよく、また、ユーザ610が、入力/出力インターフェース(I/Oインターフェース)810を経由してコントローラ608とインターフェース接続され(interface with)てもよい(例えば、
図8を参照されたい)。
【0081】
ユーザ610は、バーナ502の複数の開口部112の作動を、直接的にかまたはユーザ・デバイス612を経由して、コントローラ608を介して制御してもよい。例えば、コントローラ608および/またはユーザ・デバイス612は、プロセッシング・エレメント802を含んでもよく、そのプロセッシング・エレメント802は、前記ユーザが、パターン508を入力するかまたは選択することを可能にするアプリケーション(an application、コンピュータ・プログラム、など)を実行し、前記パターン508は、それぞれのアクチュエータ518を用いて燃料ガス(例えば、水素)の流れ(flow、フロー)を開放させたり(opening、開口させたり)またはモジュレートして(modulating、開口部の開口度を3段階以上の段階で離散的にまたは連続的に変調またはチューニングして)、
食べ物514の上に複写される(replicated、複製される)べきものである。いくつかの具体例においては、ユーザ・デバイス612のメモリ・コンポーネント806またはコントローラ608が、パターン・ライブラリ(a pattern library、パターン保存部、など)を有しており、そのパターン・ライブラリは、バーナ502によって再現される(replicated、複製される、模写される)ことが可能である1または複数のパターンを有する。例えば、
図6に例示するように、ユーザ610は、ユーザ・デバイス612を介して星形パターン508を選択してもよい。ユーザ・デバイス612は、その目標の(desired、要求される)パターン508をコントローラ608に通信してもよい。コントローラ608は、その後、複数の適切なアクチュエータ(the appropriate actuators 518、全数のアクチュエータ518のうち、目標の(desired)パターン508を作成するために選択されたもの)を作動させ、それにより、ある星形パターン(a star pattern)が、それぞれ互いに独立した(individual)複数の火炎516を用いて再現される(replicated、複製される)ように、それぞれの開口部(respective apertures、全数の開口部112のうち、前記複数の適切なアクチュエータ518に対応する各開口部112)を開放させてもよい。いくつかの具体例においては、ユーザ610が、ユーザ・デバイス612またはコントローラ608の入力/出力インターフェース810を用いて(例えば、タッチスクリーンを用いて)、またはユーザ・デバイス612もしくはコントローラ608のディスプレイ804を用いてパターン(a pattern、模様、形状、など)を描画し、そのパターン508がバーナ502上に再現される(replicated、複製される)ようにコントローラ608を設定することができる。いくつかの具体例においては、ユーザ610が、ユーザ・デバイス612のカメラを用いて写真を撮影し、その写真がバーナ502によってパターン508として再現される(replicated、複製される)ようにしてもよい。
【0082】
後述のように、耐フラッシュバック・バーナ(flashback resistant burner、フラッシュバックに対する耐性を有するバーナ、など)の複数の開口部112が相互に離れすぎている場合には、1つの開口部112のある火炎(a flame、1つの火炎、など)516が、それに隣接する開口部112の位置における前記燃料ガスに点火させることが困難であるかもしれない。耐フラッシュバック・バーナのこの特徴(This feature、複数の開口部が相互に離れて配置されること、など)は、
図6A-
図6Bに例示され、かつ、後述されるように、特に、1個のイグナイタ616がバーナ502の周囲(the periphery、周縁、外周、など)に配置される状態において、パターン508を形成する複数の開口部112に点火することを困難にするかもしれない。この問題を克服するために、いくつかのアクチュエータ518が、逐次的に(in sequence、シーケンシャルに)作動させられ(operated、オンオフ動作させられ、など)、それにより、火炎(a flame、1つの火炎、など)516が、イグナイタ616に近接する位置(a location)から、バーナ502を横切り(across、を横切る方向に)、パターン位置(a pattern location、バーナ502のうち、パターン508が形成される領域の位置)526まで「伝播し(carry)」、パターン508を形成する複数の開口部112(the apertures 112 forming the pattern 508、全数の開口部112のうち、パターン508を形成する、一部の複数の開口部112)の位置において前記燃料ガスに点火させてもよい。
【0083】
図5D-
図5Gに示すように、いくつかの具体例においては、パターン508をパターン位置526において形成する複数の開口部112を通過して流れる前記燃料ガスに点火させるために、コントローラ608は、イグナイタ616(例えば、圧電型イグナイタ(piezoelectric igniter)、スパーク・イグナイタ(spark igniter、スパーク・プラグで火花を発生させてバーナの燃料に点火させる装置、など)、ホットサーフェス・イグナイタ(hot surface igniter、高温表面点火装置、など)、種火(pilot light、パイロット・ライト、常時点灯し、必要に応じて迅速にバーナを起動できる小さな炎、など)などのイグナイタ)に近接する位置にある1または複数の開口部112を一時的に開放させてもよい。例えば、
図5Dに示すように、1または複数の開口部112は、1個のイグナイタに隣接する位置において開放させられ、アクティブ開口部(active aperture)512となり、それぞれ対応する1または複数のパイロット火炎(pilot flames、種火、点火用火炎、など)524を維持する。
図5Eに例示するように、
図5Dに示す時刻より後の時刻(time、タイミング)において、1または複数の開口部112は、アクティブ(active、開放状態にある、アクティブ化された、有効化された、など)開口部512として、パイロット火炎524をパターン位置526に向かって伝播させるように構成されてもよい。この最初の(initial、初期の)アクティブ開口部512であってイグナイタ616に隣接するものは、非アクティブ化され(deactived、閉塞させられ、無効化され、など)、非アクティブ開口部(inactive aperture)510となってもよい。
図5Fに例示するように、
図5Dまたは
図5Eに示す時刻より後の時刻(time、タイミング)において、1または複数の開口部112は、アクティブ開口部512として、パイロット火炎524をパターン位置526に向かって一層前方に(further、これまでと同じ向きに、など)伝播させるように構成されてもよい。反復するに、複数のアクチュエータ112のうちの後端部(the trailing edge、複数のアクチュエータ112が成す列の両端部のうち、アクティブ開口部512が進行(前進)する向きとは逆向き(後退する向き)に存在する端部、後退側端部、後側部、など)は、パイロット火炎524がパターン位置526に向かって通過する(passes、現位置から離れる向きに移動する、など)につれて、非アクティブ化され(deactived、開口部閉塞のための作動を行う、オフ動作を行う、など)てもよい。
図5Gに例示するように、パイロット火炎(the pilot flames、1または複数のパイロット火炎)524は、パターン508を形成するアクティブ開口部512の位置において前記燃料ガスに点火させてもよく、また、パイロット火炎524を維持する(support)複数の開口部112は、非アクティブ化され(deactive)、パイロット火炎524を消失させ(distinguish、消火し)てもよい。パターン位置526において前記複数の開口部に点火させるというこの方法は、コントローラ608により、複数のアクチュエータ518を相互に調整された順序で(in a concerted sequence、相互に同期する順序で、など)作動させるように実行されてもよい。このようにして、バーナ502は、1個のイグナイタを用いて前記複数の開口部のうちの任意の開口部の位置において高い信頼性で前記燃料ガスに点火させるという利点を有する。火炎516のバーナ502を横切る向きの「伝播」は、
図5D-
図5Gに示す、直線的である単純な例(simple linear example、作動が直線的または線形である単純な例、など)に限られることはなく、これは、本質的に単なる例示であり、決して限定的なことを意味しない。むしろ、火炎516は、バーナ502を横切るように任意の向きに、1次元的に、2次元的におよび/または3次元的に、かつ、様々な速度(a variety of speeds、パターンごとに異なる速度、時間的にまたは場所ごとに異なる速度、など)で移動させられてもよい。例えば、本書類に開示される方法およびデバイスは、1または複数のアクチュエータ518を時間の経過につれて、相互に調整された状態(in a coordinated manner、相互に同期する順序で、など)で、選択的に開放と閉塞とを行うか、または、比例的にモジュレートする(proportionally modulating、比例制御する、など)ことにより、バーナ502においてアニメーション効果を実現するために使用されてもよい。
【0084】
図7A-
図7Bを参照すると、耐フラッシュバック・バーナを設計する方法700が開示されている。本書類の開示事項のバーナは、所定の用途に合致するために複数の競合要因(competing factors、相反する複数の要因、変数、など)を適合させる(accommodate、調整する)ように設計されてもよい。例えば、開口部が小さいほど、火炎速度が高速であるガス、例えば、水素を用いる場合のフラッシュバックのリスクが軽減するが、開口部が小さいほど、所定の用途につき、ガス・フロー(gas flow)、ひいては、発熱レート(heat rate)が制限される。このような困難を克服するために、バーナ102、202、302、402および/または502は、フラッシュバックのリスクを軽減するために複数の特徴を有し、一方、同時に、発熱レートの如きアプリケーション・パラメータ(application parameters、用途関連パラメータ、バーナから出力される熱を制御したり、その熱の状況を評価するための物理変数、など)の目標値(desired、要求値、など)を満たす。本出願のバーナを設計する方法の一例は、以下のとおりである。
【0085】
方法700は、処理工程(operation)702において開始され、バーナの熱出力(heat output)の目標値(desired、要求値、など)が、当該用途につき、複数のパラメータに基づいて決定されてもよい。例えば、あるグリルが、グリル・エリア(grill area、加熱領域、など)における約3.5W/cm2から約4.5W/cm2までの範囲内の熱出力を有するように設計されてもよい。
【0086】
方法700は、処理工程704に移行し、水素供給源と、運転中に発生し得る圧力範囲とが決定されてもよい。圧力範囲は、前記水素供給源に少なくとも部分的に基づくものであってもよい。例えば、圧縮ガス・シリンダが、ガスを約750バールを超えない圧力で供給する能力を有してもよい。一方、エレクトロライザ(electrolyzer)が、約10-約60バールの範囲内の圧力で作動させられてもよい。
【0087】
方法700は、処理工程706に移行し、その工程において、ライン・オリフィス(a line orifice、バーナのうち開口部にではなく燃料ガス・ラインすなわち導管114内に配置されるオリフィス、インライン・オリフィス、管内オリフィス、など)108を利用すること(the use、利用態様、利用条件、など)が決定され(determined)てもよい。例えば、圧力レギュレータおよびライン・オリフィス108の両方を利用するシステムが、当該システムのための柔軟性および安全性を実現するように要望されるかもしれない。
【0088】
ライン・オリフィス108が利用される場合、方法700は、処理工程708に移行し、その工程において、ライン・オリフィス108を通過する流れ(flow)の特性が、チョーク状態(choked)(例えば、音速(sonic)または超音速(supersonic))または非チョーク状態(unchoked)(例えば、亜音速(subsonic))になるように決定されてもよい。
【0089】
ライン・オリフィス(the line orifice、ライン・オリフィス108)を通過する流れ(flow)がチョーク状態にある(choked、チョーク状態にあるように設計される、など)場合、方法700は、処理工程710に移行するかもしれず、その工程において、ライン・オリフィス108が、チョーク流れケース(choked flow case、チョーク流れ(背圧を上げても流量が変化しない流れ)の事例、など)においてサイズを有するかもしれず(may be sized in a choked flow case、そのサイズ(例えば、炎孔径、など)がチョーク流れケース用のものに決定されるかもしれず)、その決定は、例えば下記の式2を用いて行われ、ここで、pi,LOは、前記ライン・オリフィスに至る入口圧力(the inlet pressure to the line orifice)であり、SLO は、ライン・オリフィス108のオリフィス断面積(the orifice cross sectional area)、および、Cdは、ライン・オリフィス108の流出係数(the coefficient of discharge of the line orifice 108、流量係数)であり、 γ は、定容比熱と定圧比熱との比(the ratio of constant volume and constant pressure specific heats、比熱比)であり、Mは、分子量であり、Zは、圧縮率因子(the compressibility factor)であり、ならびに、Tは、前記ライン・オリフィスから排出される前記ガスの温度(the temperature of the gas exiting the line orifice)であり、Qは、バーナの目標熱出力であり、および、LHV は、前記ガスの低位発熱量(the lower heating value of the gas)である。
【0090】
【数2】
前記ライン・オリフィスを通過する流れが非チョーク状態にある(unchoked、非チョーク状態にあるように設計される、など)場合、方法700は、代わりに(instead、処理工程710の代わりに)、処理工程712に移行するかもしれず、そして、前記ライン・オリフィス・サイズ(the line orifice size、ライン・オリフィス108の流路の直径、断面積、など)が、非チョーク流れ用のものに決定される。いくつかのケース(cases、事例)においては、前記入力圧力(the input pressure、前記入口圧力、など)が非常に低いため前記ライン・オリフィスを通過する流れが非チョーク状態にあるかもしれず、また、下記の式3が用いられるかもしれない。前記複数の変数(The variables、その式における複数の変数)は、上述の式2におけるものと同じであり、また、p
o,LOが、前記ライン・オリフィスの出口圧力(the outlet pressure of the line orifice)を表すために追加される。
【0091】
【数3】
ライン・オリフィス108のサイズが決定される場合、または、いずれのライン・オリフィス108も使用されない(is not used、当該バーナの開口部がいずれのライン・オリフィス108も有しない)場合、方法700は、処理工程714に移行するかもしれず、そして、バーナ開口部孔サイズ(the burner aperture hole size、バーナの各開口部の孔(hole)のサイズ、孔径、炎孔径、など)およびバーナ開口部数(quantity、バーナにおける開口部の合計数量、開口部数、など)が決定される。前記バーナ開口部孔サイズは、目標(desired)火炎長、消炎距離および目標(desired)熱出力に基づいて決定されてもよい。前記バーナ開口部数は、前記目標(desired)熱出力および目標(desired)開口部間すき間(spacing、距離、すき間、間隔、など)によって決定される。
【0092】
方法700は、処理工程716に移行してもよく、その工程において、前記バーナの(複数の)開口部を通過する流れの特性が、それら開口部を通過する流れ(flow therethrough)がチョーク状態にあるか非チョーク状態にあるかを知る(see、調査する、など)ために検査される(checked、測定される、検証される、理論値と比較される、など)。
【0093】
前記バーナの(複数の)開口部を通過する流れがチョーク状態にある場合、方法700は、処理工程718に移行し、その工程において、前記バーナ内の圧力が、チョーク流れケースにおいて決定されるかもしれず、その決定は、例えば、下記の式4を用いて行われ、ここで、pBは、前記バーナ内の圧力、SBは、前記エリア(the area、前記バーナの断面積、炎孔面積、など)、および、Cdは、バーナの各開口部の流出係数(the coefficient of discharge of each burner aperture(s))、nは、バーナ開口部数、γ は、比熱比(the ratio of specific heats)、Mは、分子量、Zは、圧縮率因子(the compressibility factor)、および、Tは、バーナ開口部から排出される前記ガスの温度(the temperature of the gas exiting the burner aperture)、Qは、前記バーナの目標熱出力、および、LHVは、前記ガスの低位発熱量(the lower heating value of the gas)である。
【0094】
【数4】
前記ライン・オリフィスを通過する流れが非チョーク状態(unchoked)にある場合、方法700は、代わりに(instead、処理工程718の代わりに)、処理工程720に移行するかもしれず、その工程において、前記バーナ内の圧力(the pressure within the burner、前記のp
b、など)が、非チョーク流れケースにおいて決定されるかもしれず、その決定は、例えば、下記の式5を用いて行われ、開口部サイズ(an aperture size、孔径、火炎径、開口部の断面積、など)が、非チョーク流れ用のものに決定される。いくつかのケース(cases、事例)においては、前記入力圧力(the input pressure、前記入口圧力、など)が非常に低いため前記開口部を通過する流れが非チョーク状態にあるかもしれず、また、下記の式5が用いられるかもしれない。前記複数の変数(The variables、その式における複数の変数)は、上述の式4におけるものと同じであり、また、p
aが、外気圧(the atmospheric pressure、大気圧、周辺気圧、など)を表すために追加される。
【0095】
【数5】
方法700は、処理工程722に移行してもよく、その工程において、ライン・オリフィス108が使用される(is used、当該バーナがライン・オリフィス108を有する、など)場合には、上記の式4または式5から決定された前記バーナ内圧が、ライン・オリフィス108の下流の圧力と比較され、また、必要であれば、方法700は、処理工程706に戻り、それにより、上述の先行する複数の工程を収束(convergence、複数の処理工程における達成基準がすべて満たされる、など)まで反復する。
【0096】
方法700は、処理工程724に移行してもよく、その工程において、前記複数の結果(the results)が、前記バーナの複数の物理的制約条件(physical constraints、物理的拘束条件、など)であって、全体サイズ(overall size、前記バーナの物理的サイズ、発熱レート、など)、目標火炎長およびバーナ開口部間の距離を有するものに対して比較され、それにより、クロス点火(cross-ignition、各開口部から隣の開口部に火炎が伝播して点火位置が移動すること、横切り点火、横移動点火、隣接点火、など)(後述する)を見込む(allow for、想定する、可能にする、など)。方法700は、処理工程706-724を繰り返すことにより反復されてもよく、その反復は、下記の複数の項目(the following、下記の複数の物理量、など)が許容限度内となるまで続けられ、それら項目は、例えば、
a.バーナ熱出力。例えば、定格値(nominal、標準値、ノミナル値、など)が2kWであるバーナについては、+/-100W
b.バーナ内圧(前記バーナの構造的収容能力の範囲内)。例えば、直径が0.5インチのステンレス・スチール筒体(tubing、チューブ)であって壁厚が0.02インチであるものから製作されたバーナについては、異常(failure、燃焼異常、など)シナリオにおける最大圧力が1,300psig未満であること。
c.火炎長。例えば、バーべキュー・グリルについては、2-4センチの範囲内であること。
d.開口部数(Number of apertures、孔数、炎孔数、など)。例えば、機械加工性(machinability)のために、1リニアセンチメータあたり5個未満であること。
e.開口部サイズ(Size of aperture、孔径、炎孔径、口径、など)(想定される複数の運転値のレンジ(the range of expected operating values、バーナに通常発生することが予想される複数の運転値(圧力値、温度値、パワー値、など)の範囲、など)について、消炎距離未満である)。例えば、前記バーナ内圧が大気圧であるとき、0.8mm未満であり、また、前記バーナ内圧が2.5atmであるとき、0.4mm未満であるが、製作容易性(constructability)のために、0.1mmより大きい。
f.開口部間距離(クロス点火(cross-ignition)を可能にするために)。例えば、10mm未満であること。
【0097】
方法700は、処理工程726に移行してもよく、その工程において、遷移状態(transient conditions、過渡状態、バーナの各状態値が変動している状態、など)が検査され(checked、前記遷移状態が基準範囲内にあることが確認され、など)てもよい。例えば、当該システムが、前記熱出力(the heat output、前記バーナ熱出力、など)を調整する(例えば、バルブを絞る(throttling)ことによるか、または、圧力調整器による)能力を有する場合には、当該システムがあらゆる条件(conditions、運転条件)において満足のいくように継続運転するように運転レンジ(the range of operation、前記想定される複数の運転値のレンジ、など)が検査され(checked、当該バーナの実際の運転条件が、前記想定される複数の運転値のレンジすなわち許容範囲内にあることが確認され、など)てもよい。このこと(This、処理工程726、など)は、入力される(input、外部環境から入力されるか、または、ユーザによって入力される、など)温度または圧力が変化しても、開口部サイズ(the aperture size、火炎径、炎孔直径、開口部の内部流路の有効直径、など)が前記消炎距離より小さいことを検査する工程(checking、開口部サイズが消炎距離より小さいことを確認する工程、など)を含む。
【0098】
それに加えるかまたはそれに代えて、処理工程726において、安全条件が検査され(checked、安全条件が満たされることが確認され、など)てもよい。主として、前述の計算(the calculations、複数回の数値計算、など)が、最悪のシナリオ、すなわち、レギュレータ(regulator、前記レギュレータ116、など)が故障して圧力源の全圧が前記ライン・オリフィス(the line orifice、前記ライン・オリフィス108)の上流に導入されること(leading to full source pressure upstream)について反復されてもよく、また、前記バーナが、そのようにして昇圧された内側圧力に破損を伴うことなく対処するように設計されているか否かの検査が行われてもよい。この方法700は、複数の結果が許容範囲内となるまで反復されてもよい。この方法700の前記複数の処理工程は、本書類において説明される順序とは異なる順序で実行されてもよく、いくつかの処理工程は、並列的に実行されてもよく、いくつかの処理工程は、省略されてもよい。この方法700は、処理工程728において終了してもよい。
【0099】
本書類の開示事項のバーナにおいては、前記上流圧力が大気圧より高いがその差がわずかにすぎない場合でさえ、水素が開口部から細い噴流(a narrow jet、細いジェット、小孔から速度を持って空間中に噴出する流体の流れ、など)として噴出される(exit)。上流圧力が高いほど、噴流の長さが長くなる。質量フロー・レート(the mass flow rate、前記開口部内の流れの質量フロー・レート、質量流量、など)が、所与の熱関連要求事項(heat requirement)につき、上昇するにつれて、前記バーナ内の圧力(上流圧力)は、所与の開口部サイズおよび所与の開口部数につき、上昇する。したがって、所与の熱関連要求事項につき、開口部数が少ないほど、バーナ内圧が上昇し、その結果、当該用途につき、高すぎる(too high、炎口から離れすぎる、など)かまたは長すぎるかもしれない火炎が発生することになる。要求(desired、目標)質量フロー・レート(Wg)について要求上流圧力(p)を達成するための開口部数(n)は、バーナ開口部を通過する流れがチョーク状態にあるとき、式6により導き出されることが可能である。
【0100】
【数6】
数回の実験が、当該用途についての要求火炎長を与える最適な上流(バーナ)圧力を見い出すために行われた。例えば、調理用ストーブ(cook stoves、クック・ストーブ、料理用コンロ、料理用レンジ、など)用の火炎長は、概して約1cmであるとともに、熱を1つの調理具(cookware)の底面に、2cm未満手前の位置まで移動させるために最適化され;バーベキュー用の火炎長は、約2-約4cmの長さであるとともに、熱をグリルに、約15-約20cm手前の位置まで移動させるように設計され;また、装飾作業用バーナ(decorative burner)用の要求火炎長は、30cm以上であってもよい。上記の式6は、nの値について解かれる場合に、開口部数を決定するために用いることができる。例えば、4.5kW(約15,000BTU/hr)の目標熱出力が、例えば、バーベキューのために要求される場合、本出願人により見い出されたことは、2つのバーナであって、それぞれ、直径(diameter、火炎径、など)が0.4mmである開口部を60個有するものであれば、各バーナにおいて106kPaの上流圧力に到達し、その後、火炎が、約2-約3cmの長さとなったということであり、このことは、今回の用途に適していたということである。
【0101】
複数の開口部の配置位置(placement、位置、位置決め、など)および配向(orientation、向き、方向付け、など)についても考慮対象とされてもよい。水素は、炭素を含有しておらず、そのため、その火炎は、通常の炭素含有燃料、例えば、ブタン、天然ガスまたはプロパンから生じる火炎より少ない放射熱を生成する。これは、通常の燃料ガスと比較すると、水素火炎からの熱が、実際の火炎ゾーン(real flame zone)に、より一層局在化する(localized、前記実際の火炎ゾーンの外側に存在しない傾向がある、など)ことを意味し、また、上述のように、水素噴流(a hydrogen jet)からの火炎は、細い(narrow、狭い、小径である、など)。水素を用いるバーナの利点は、その生成された熱(the heat produced)が、容易に方向付けされ(directed、狙いが定められ)るとともに容易に捕捉され(captured、集められ、など)、それにより、当該システムの全体が効率化され、なぜなら、周辺部への熱損失量が少ない、すなわち、熱が当該システムによって使用されない(i.e., is unused by the system、バーナによって発生させられた熱がそのバーナ自身に使用されず、本来の目的に使用される、など)からである。したがって、前記複数の開口部は、熱を効率的に目標エリアに移動させる手法(a way、方法、視点、など)で前記バーナ上に位置決めされる(placed、配置される)とともに方向付けされる(oriented、配向される)べきである。本出願人により、実験が、円形断面を有する所与のバーナ・チューブ(a given circular cross-section burner tube)上における複数の開口部の最適配置(placement、位置決めおよび方向付け、など)を見い出すために行われた。見い出されたことは、例えば、円形断面を有する直線(linear)バーナ上において同じ向きを向いた複数の開口部より成る1つの列が、熱のうちの直線的(linear)高温ゾーン(hot zone of heat、高温熱ゾーン、など)を生成することになるということである(例えば、バーナ302を参照されたい)。この配置構成は、集中配置される(focused)かまたは方向付けて配置される(directed、指向性を有する、など)複数の熱源を用いるいくつかの用途、例えば、プロセス・ヒーティング(process heating)または専門化された(specialized、特別の)調理に望ましい可能性がある。さらに見い出されたことは、例えば、各々、複数の開口部より成る2つの列であって、それら2列を成す複数の開口部は、両列間で中心位置が食い違う状態にある(staggered off-center)とともに、90度を成すように配向される(oriented at 90 degrees、正面視において、直交配置される、など)ものが、グリル・プレートから約20cm手前の位置において均一加熱を実現したということである(例えば、バーナ202を参照されたい)。この配置構成は、例えば調理グリルまたはスペース・ヒータのような均一発熱体を用いる用途に望ましい可能性がある。本書類の開示事項のバーナにおいては、要求される熱分布を達成するための前記複数の開口部の位置(location)および配置(placement、配置位置、配向、など)が、最終的な用途(end application)の必要性を満たすようにカスタマイズ可能なものであってもよい。
【0102】
複数の開口部112の配置における他の要因は、開口部112間の距離208である(
図2Bおよび
図3Bを参照)。バーナ上では、1つの開口部の火炎が、隣接する開口部から放出される燃料ガスに点火することが可能であることが便利である。このようにして、1つの開口部における燃料ガスの点火がすべての開口部に伝播するであろう。1つの開口部からの火炎が、隣接する複数の開口部から噴出される燃料ガスに点火することが可能であることは、点火を単純化し、また、そのことは、例えば、前記燃料ガスにおける不活性不純物または突風が原因でどういうわけか1または複数の開口部が燃焼を停止しようとすることがあると、その場合に、安全特徴部としても作用する。上述のように、水素噴流火炎(hydrogen jet flame)は、細く(narrow、狭く、小径で)、さらに、放射エネルギーをほとんど放出せず、そのことは、そのような開口部間伝播を困難にさせ得る。本出願人による実験において、見い出されたことは、開口部112間の距離208が大きすぎ、例えば、開口部間が約20mmである場合には、1つの開口部からの火炎が、隣接する開口部から放出される燃料ガスに点火しないであろうが、距離208が、例えば、開口部間の約6mmに減少させられる場合(例えば、
図2Bを参照されたい)には、1つの開口部からの火炎は、隣接する開口部から放出される燃料ガスに点火するであろうということである。他のいくつかの具体例においては、開口部112間の距離208が、約3mmである(例えば、
図3Bを参照されたい)。他のいくつかの具体例においては、距離
208が、他の値、例えば、1mm、2mm、4mm、5mm、7mm、8mm、9mm、10mm、12mm、13mm、14mmまたは15mmであってもよい。
【0103】
水素固有の物理的特性および燃焼特性は、例えば、天然ガス、プロパンまたはブタンのような通常の燃料ガスに都合のよいバーナ設計構造は、それが水素のために用いられる場合、非効率である(ineffective)かまたは危険な(unsafe)状況に至る(lead to、を誘発する)かもしれない。本書類の開示事項のバーナは、水素バーナを各用途のために最適化するために必要とされる複数のアスペクト(aspects、因子、要因、など):すなわち、開口部のサイズ、数、向きおよびすき間(spacing)を有する。一例として、バーべキュー(a barbecue)に関する一具体例においては、2本のバーナ・チューブがあり、各バーナ・チューブ(burner tube、バーナを有する中空体、筒体、など)は、30個の開口部より成る列を2つ有し、それら2列を成す複数の開口部は、90度を成すように配向され(oriented at 90 degrees、直交配置され)、開口部間に6mmのすき間があり、各開口部は0.4mmの直径を有しており、それらバーナ・チューブは、バーナ・チューブ圧力が106kPaであるとき、2-3cmの火炎長を実現し、また、約4.5kWの熱を放出し、それにより、15,000BTU/hと同サイズの標準的なプロパン利用型バーベキュー装置の性能と、前記グリル表面での均一な熱分布とを満たす。
燃料分布(Fuel Distribution)
【0104】
いくつかの具体例においては、導管114、バルブ構成(valving)および器具類(instrumentation)が、燃料ガス源110から複数のバーナ、すなわちバーナ102,202,302,402,502などまで、水素の伝播と制御とを行うために用いられることが可能である。
【0105】
フロー・リストリクション部(flow restriction、流量制限部)が、前記バーナに向かう前記可燃性ガスのフロー・レートを制御するために用いられることが可能である。一具体例においては、フロー・リストリクタ108、例えば、オリフィス(an orifice)が、流れ(flow)を制限し、燃料ガス源110の圧力にのみ依存する(that depends only upon、その圧力以外のものには依存しない、など)フロー・レート(a flow rate)を前記バーナに提供する。これは、燃料ガス源の圧力が固定される場合、固定された(fixed、変動しない)フロー・レートを実現するために便利で、単純で、信頼できる方法である。これは、例えば、炉(furnace)またはヒータであって、前記ソース圧力(the source pressure、燃料ガス源圧力)および熱出力が固定される場所にあるものに用いられることが可能である。シャットオフ・バルブ(shut-off valve、遮断弁)118が、前記流れをオンにしたりオフにする能力を実現するためにライン・フロー・リストリクタ(line flow restrictor、インライン・フロー・リストリクタ、バーナのうち開口部にではなく燃料ガス・ラインすなわち導管114内に配置されるフロー・リストリクタ、管内フロー・リストリクタ、など)108に関連付けて用いられることが可能である。この例は、
図1Cおよび
図1Dに示されている。シャットオフ・バルブ118は、手動で制御されるかまたは遠隔的に作動させられることが可能である。
【0106】
いくつかの場合においては、前記熱出力を制御することが望ましいかもしれない。これは、例えば、ニードル・バルブ(needle valve、流量調整弁)106および/または圧力レギュレータ(pressure regulator、圧力調整弁)116のような調節式フロー制限器(adjustable flow restriction)を用いて行うことが可能である。前記バーナによって達成される(delivered)熱の量(amount)は、前記フロー・リストリクタ(the flow restrictor、フロー・リストリクタ108)を調整することによって比例的に(in proportion)調整されてもよい。前記バーナ・チューブおよびフロー・リストリクタは、前記複数のアプリケーション・パラメータに従うサイズを有し:開口部(opening)が大きいほど、多くの流れがそこを通過することが可能となってより大きな熱出力が生じるに至る。
【0107】
いくつかの場合においては、前記燃料ガス源が、目標バーナ圧力より高圧になるであろう。例えば、前記目標バーナ圧力が106kPaであり、前記ソース(the source、前記燃料ガス源)は、35Mpaの圧縮燃料ガスのタンクである。これらの場合においては、1個のニードル・バルブまたは1個の圧力レギュレータでは、ユーザによって要求される程度まで前記バーナ流れ(the burner flow、前記バーナ内の流れ)を制御するのに十分な精度を有しない可能性があるであろう。これらの場合においては、前記フロー・リストリクタの下流側に前記ライン・オリフィス108を設けることが望ましい。前記フロー・リストリクタは、その後、前記ライン・オリフィスの上流側の圧力を制御するために使用され、続いて、最終的なバーナ圧力(the final burner pressure)およびフロー・レートを制御する。前記ライン・オリフィスのサイズは、前記バーナの燃料ガスのフロー・レートおよび熱出力のそれぞれの目標値によって決定される。例えば、0.23mmの(of 0.23 mm、内径が0.23mmである)ライン・オリフィスであって1.2Mpaの上流側圧力を有するものは、約2.25kWの熱負荷(heat load)に対応する水素フロー・レートを実現するであろう。
【0108】
前記ライン・オリフィスは、安全機能をも提供する。あるコンポーネント(a component、構成要素)(例えば、ニードル・バルブ106、圧力レギュレータ116またはシャットオフ・バルブ118)が故障して圧力未調整という事態に至る(leading to、を誘発する)場合、フロー・リストリクタ108(the flow restrictor 108、ライン・オリフィス108、など)は、前記流れをチョークして(chokes、チョーク流れにして、など)、バーナ102のために設計された圧力より高い圧力をバーナ102が経験することを防止する。この配置構成(This arrangement)は、安全な運転を維持するために、安全性を有するコンポーネント、例えば、圧力リリーフ・バルブを追加することを必要としない。これは、費用対効果が高く、信頼性があり、安全で、効果的なシステムを、いなかる用途についても適しているシステムとして生じさせる。
【0109】
フィルタ104が、前記フロー・リストリクション部(the flow restriction、流量制限部)の手前に(before、上流側に)、異物(foreign material)の流入を防ぐために設置されることが可能である。前記フィルタは、例えば、1ミクロン(マイクロメータ)、2ミクロン、5ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、80ミクロン、100ミクロンまたは他の開孔サイズ(opening size、開口サイズ)を有することができる。これは、水素バーナにとって特に重要なことであり、なぜならば、前記開口部が非常に小さく、例えば、0.4mm(400ミクロン)であるかもしれず、さらに、多くの異物が、前記開口部またはライン・オリフィス108を容易に詰まらせてしまう可能性があるからである。このことはさらに重要であり、なぜなら、異物が存在する場合、フロー・リストリクタ106または116の性能が損なわれる(compromised)(例えば、流れを適切に制限することも完全に閉じることもできない)可能性があるからである。
【0110】
火炎が熱出力(heat output)、火炎長または他の関連パラメータ(othre parameter of interest)との間で相関関係を有する場合にユーザにフィードバックを提供するために、器具類(instrumentation)、例えば、1または複数の圧力センサ120が、燃料ガス源110と前記バーナとの間に設置されることが可能である。これは、火炎自体がユーザに見えないかもしれない立場(stances、姿勢、など)において特に有用であるかもしれない。
【0111】
別の複数のバーナが、前記ライン・オリフィスの下流においてマニホールド化される(manifolded、多岐管化される、複数の分岐管として構成される、別の複数のバーナが、導管のうち前記ライン・オリフィスの下流の位置から分岐して延びるように一体化されるように構成される、など)ことが可能であり、それにより、複数のバーナのすべてが同時に同じ熱出力を有することが可能となる。異なる複数のバーナにおいて異なる複数のフロー・レートが要望される場合、別の複数のライン・オリフィスおよび別の複数のバーナが、前記フロー・リストリクタの下流においてマニホールド化されることが可能であり、そして、それらライン・オリフィスがサイズに関して互いに異なる場合には、各バーナを通過する流れのフロー・レートが互いに異なるものになる。別の複数のフロー・リストリクタ、別の複数のライン・オリフィスおよび別の複数のバーナが、前記フィルタのうちの上流または下流のいずれかにおいてマニホールド化されることが可能であり、これにより、各バーナが完全に独立して制御されることになる。
【0112】
図8は、コントローラ608またはユーザ・デバイス612についての簡略ブロック図を示している。図示されるように、上述の種々のデバイス(the various devices)は、1または複数のプロセシング・エレメント802、任意選択的なディスプレイ804、1または複数のメモリ・コンポーネント(memory components、メモリ部品)806、ネットワーク・インターフェース808、電源(power supply、パワー供給源、電源回路など)126、入力/出力インターフェース810および/またはアクチュエータ・ドライバ812を有してもよく、ここでは、それら種々のコンポーネントは、それぞれ、互いに直接的に接続される状態にあっても、互いに間接的に、例えば、1もしくは複数のシステム・バス、コントラクト・トレース(contract traces、電気的接続部、など)、電気配線(wiring)を介するか、またはワイヤレス・メカニズム(wireless mechanisms、ワイヤレス機構部、無線機構部など)を介して接続される状態にあってもよい。
【0113】
1または複数のプロセシング・エレメント802は、実質的に任意の電子デバイスであってもよく、その電子デバイスは、命令(instructions)を処理し(processing、実行し、プロセシングし)、受け取り、および/または送出することが可能である。例えば、プロセシング・エレメント802は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、グラフィックス・プロセシング・ユニットまたはそれらと同様なものであってもよい。さらに注目すべきことは、プロセシング・エレメント802は、1または複数のプロセシング・エレメントまたは1または複数のプロセシング・モジュールであって、それぞれ、互いに通信する状態にあってもなくてもよいものを有してもよいということである。例えば、第1のプロセシング・エレメントが、当該コンピューティング・デバイスのうちの第1のコンポーネント・セット(set of components、当該コンピューティング・デバイスを構成する複数のコンポーネントの一部より成る1つのセット、など)を制御してもよく、また、第2のプロセシング・エレメントが、当該コンピューティング・デバイスのうちの第2のコンポーネント・セット(set of components、前記複数のコンポーネントのうち別の一部より成る1つのセット、など)を制御してもよく、ここに、それら第1および第2のプロセシング・エレメントは、それぞれ、互いに通信する状態にあってもなくてもよい。それに関連して、前記いくつかのプロセシング・エレメントは、1または複数の命令(instructions、プログラミング命令、ステートメントなど)を局所的に(locally、一か所で、など)かつ互いに並行して実行されるか、および/または、ネットワーク614上で(across)、例えばいくつかのクラウド・コンピューティング・リソースを用いて実行するように構成されてもよい。
【0114】
ディスプレイ804は、任意選択的なものであってもよく、また、コントローラ608および/またはユーザ・デバイス612のための入力/出力メカニズムを、例えば、視覚情報(例えば、イメージ、グラフィカル・ユーザ・インターフェース、動画、通知およびそれらと同様なもの)をユーザに表示することなどを目的として提供し、また、具体的ないくつかの例においては、ディスプレイ804が、さらに、ユーザ入力を(例えば、タッチ・スクリーンまたはそれと同様なものを介して)受け取るために作用してもよい。前記ディスプレイ(The display、ディスプレイ804)は、LCDスクリーン、プラズマ・スクリーン、LEDスクリーン、有機LEDスクリーンまたはそれらと同様なものであってもよい。いくつかのディスプレイの種類および数は、いくつかのデバイスの種類(例えば、スマートフォン対デスクトップ・コンピュータ)に応じて異なってもよい。
【0115】
いくつかのメモリ・コンポーネント806は、コントローラ608および/またはユーザ・デバイス612により利用されてもよい電子データ、例えば、オーディオ(audio、音声、聴覚)・ファイル、ビデオ(video、画像、映像、視覚)・ファイル、ドキュメント(document、文書)・ファイル、プログラミング命令(programming instructions)、バーナ502のためのいくつかのパターン・ライブラリ(pattern libraries)およびそれらと同様なものを格納する(store、保存する)。いくつかのメモリ・コンポーネント806は、例えば、不揮発性ストレージ、磁気記録媒体、光学記録媒体、光磁気記録媒体、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(読み書き可能メモリ)、書き込み・消去可能メモリ、フラッシュ・メモリ、または1もしくは複数の種類のメモリ・コンポーネントの組合せであってもよい。
【0116】
ネットワーク・インターフェース808は、任意選択可能なものであってもよく、また、データをネットワーク614からコントローラ608に、また、コントローラ608からネットワーク614に送受信し(receives and transmits)てもよい。ネットワーク・インターフェース808は、ネットワーク614に対してデータを直接的または間接的に転送するとともに送信してもよい。例えば、ネットワーク・インターフェース808は、ネットワーク614を通ってデータを他のコンピューティング・デバイスに対して伝送し(transmit、送受信し、など)てもよい。いくつかの具体例においては、ネットワーク・インターフェース808が、さらに、種々のモジュール、例えば、ネットワーク614を通して複数の要求を前記特定のデバイスに仲介したり(interfaces)および変換したり(translates、移動させたり、など)するアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を含んでもよい。
【0117】
コントローラ608またはユーザ・デバイス612は、さらに、給電部126を含んでもよい。給電部126は、コントローラ608またはユーザ・デバイス612の種々のコンポーネントにパワーを供給する。給電部126は、1または複数の充電式、使い捨て可能なまたはハードウェア・ソース、例えば、バッテリ、電源コード、AC/DCインバータ、DC/DCコンバータ、またはそれらと同様なものを含んでもよい。加えて、給電部126は、1または複数のタイプのコネクタまたはコンポーネントであって、異なる種類のパワーをコントローラ608またはユーザ・デバイス612に提供するものを含んでもよい。いくつかの具体例においては、給電部126が、少なくとも1つのコネクタ(例えば、USB)を含んでもよく、そのコネクタは、パワーを前記コンピュータまたは前記コンピュータ内のバッテリに提供し、さらに、データを前記デバイスから他のデバイスに、また、他のデバイスから前記デバイスに伝送する(transmits)。
【0118】
I/Oインターフェース810は、コントローラ608またはユーザ・デバイス612がユーザ610から入力を受信するとともにユーザ610に出力を提供することを可能にする。いくつかのデバイスにおいては、I/Oインターフェース810が、任意選択可能なものであってもよい。例えば、I/Oインターフェース810は、静電容量方式タッチスクリーン、キーボード、マウス、スタイラスまたはそれらと同様なものを含んでもよい。I/Oインターフェース810を経由して(via、介して)相互作用する(interact)タイプのデバイスは、必要に応じて異なるものであってもよい。
【0119】
ユーザ・デバイス612は、アクチュエータ・ドライバ812を含んでもよく、そのアクチュエータ・ドライバ812は、バーナ502における複数のアクチュエータ518を作動させるように構成される。例えば、アクチュエータ・ドライバ812は、1または複数のアクチュエータ518と電気的に連通する(electrical communication、電気的に導通する、など)状態にあってもよいとともに、1または複数のアクチュエータ518に、それぞれのアクチュエータ518に相互連携状態で関連付けられるそれぞれの開口部112を通過する前記燃料ガスの流れの開放(open)、閉塞(close)またはモジュレーション(modulate、開口度を変調させること、など)を行わせるように構成されてもよい。
【0120】
本書類中に含まれる特定のいくつかの具体例についての説明は、本質的に、単なる例示であり、開示されている事項の範囲を限定することもその事項の適用例または使用例の範囲を限定することも決して意図されていない。本発明についてのシステムおよび方法についてのいくつかの具体例についての詳細な説明であって本書類中に含まれるものにおいて、それらの一部を形成する何枚かの添付図面が参照され、それらは、前記説明されたシステムおよび方法が実施されるかもしれないいくつかの具体例に特化された例示的な図解として図示されている。それら具体例は、本書類中に開示されたシステムおよび方法を当業者が実施することを可能にするのに十分に詳細に記載されており、また、理解されるべきことは、他のいくつかの具体例が利用されてもよいということと、この開示事項の主旨および範囲から逸脱することなく、構造的な変更や論理的な変更を施してもよいということとである。さらに、明瞭化のため、いくつかの具体的な特徴についての詳細な説明は、この開示事項のいくつかの具体例についての説明を曖昧にしないことが当業者にとって自明であるときは、議論されることはない。したがって、本書類中に含まれる詳細な説明は、限定を行うという意味で採用されるべきではなく、また、この開示事項の範囲は、添付された複数の請求項によってのみ画定される。
【0121】
前述されたことから理解されることは、本発明の具体的ないくつかの具体例が本書類において例示のために記載されているとはいえ、種々の変形が本発明の主旨および範囲を逸脱することなく行われてもよいということである。
【0122】
本書類中に示されているいくつかの細部は、例示として、かつ、本発明についての前述の望ましいいくつかの具体例についての例示的な議論のみを目的として存在し、また、本発明についての種々の具体例についての原理および概念的側面についての最も有用にして容易に理解される説明であると信じるものを提供するという理由のもとに存在する。この点、試行されないことは、本発明を基本的に理解するのに必要なものを超える程度の詳細さで本発明の構造的な細部を示すこと、前記図面を考慮して前記説明が解釈されること、および/または本発明のいくつかの形態が実施において具体化される仕方が当業者に自明なものとなるいくつかの例を示すことである。
【0123】
本書類中において使用されるように、かつ、それを排除することを特記しない限り、「ある(a)」、「ある(an)」および「多数の(a number of)」という各用語は、「1つ」、「少なくとも1つ」または「1または複数」を意味すると解釈される。文脈がそれを排除することを要求しない限り、本書類中に単数として表現された用語は、複数性を含み、また、複数として表現された用語は、その単数性を含むべきである。
【0124】
文脈が明確にそれを排除することを要求しない限り、明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、「含む(comprise(有する)」、「含む(comprising(有する)」およびこれらと同様なものは、排他的または独占的な意味ではなく非排他的な意味で、すなわち、「含むが、それに限定されない(including, but not limited to)」という意味で解釈されるべきである。単数または複数の数を用いる単語は、それぞれ、複数の数を用いる単語および単数の数を用いる単語も包含する。さらに、「本書類」、「前述の(above)」および「後述の(below)」という単語ならびにそれらに類似する意味を有する単語は、この出願書類中に用いられる場合、この出願書類の全体を意味し、この出願書類のうち特定の一部しか意味しないということはない。
【0125】
もちろん、理解されるべきことは、本書類中に記載されているいくつかの例、具体例または方法のうちのいずれも、他の1つないしは複数の例(examples)、具体例(embodiments)および/または方法(processes)と組み合わされてもよいし、または、本書類中に記載されているいくつかの例、具体例または方法は、本書類に開示されているシステム、装置および方法に従い、分離される(separated、複数の部分に分離される)か、および/または、互いに分離された複数のデバイス(devices、全体デバイス、完成品など)もしくはデバイス部分(device portions、部分デバイス、半完成品など)の中で、本書類に開示されているシステム、装置および方法に従い、実施されてもよいということである。
【0126】
最後に、上記の議論は、本書類中に記載されているシステムを単に例示的に説明することを意図されており、また、上記の議論は、添付された複数の請求項を、特定の具体例に限定するものとしても、複数の具体例より成る1つの群に限定するものとしても解釈されるべきではない。よって、本書類中に開示されているシステムは、典型的ないくつかの具体例を参照しつつ特に詳細に記載されているが、さらに理解されるべきことは、多数の変更および他の具体例が、後続する複数の請求項に記載されている本システムの主旨および範囲であってより広いものおよび意図されたものから逸脱することなく、当業者によって発案されてもよいということである。したがって、それら明細書および図面は、例示的な手法でされたものであると考慮されるべきであって、添付された複数の請求項の範囲を限定することを意図されていない。
【0127】
本発明によれば、さらに、次のいくつかの態様が得られる。
【0128】
(1)バーナ(burner、燃焼バーナ、燃焼装置、など)であって、
当該バーナのうちの閉塞容積室内に燃料ガスを収容するように構成される壁部と、
その壁部内に形成される複数の開口部と、
複数のアクチュエータであって、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部を経由して、当該バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通を形成しまたは遮断するように選択的に起動させられるように構成されるものと
を含み、
前記複数の開口部は、前記燃料ガスが前記閉塞容積室にフラッシュバックすることを抑制するように構成されるバーナ。
【0129】
(2)態様1に記載のバーナであって、前記複数の開口部は、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有するバーナ。
【0130】
(3)態様1に記載のバーナであって、前記流体連通は、前記燃料ガスの流れであって火炎を維持するのに適したものを実現するように構成されるバーナ。
【0131】
(4)態様1に記載のバーナであって、火炎が、各アクチュエータの起動に応答して、各開口部に隣接する位置に形成されるバーナ。
【0132】
(5)態様1に記載のバーナであって、前記複数のアクチュエータは、ソレノイド、モータ、ソレノイド、ダッシュポット、サーボ、ねじ機能、弾性部材またはステッピング・モータのうちの少なくとも1つを含むバーナ。
【0133】
(6)態様1に記載のバーナであって、当該バーナは、ユーザによって定義されるユーザ定義パターン(user-defined pattern、火炎によって形成されるパターンとしてユーザによって定義されるもの、など)を、前記複数の開口部が前記複数のアクチュエータによってそれぞれ選択的に開口させられることに応答して前記複数の開口部のうちの1または複数の開口部の位置に形成される1または複数の火炎を用いて形成するように構成されるバーナ。
【0134】
(7)態様1に記載のバーナであって、さらに、イグナイタを含み、
当該バーナは、前記複数のアクチュエータのうちの1または複数についての選択的な作動により、火炎を、前記イグナイタに隣接するパイロット開口部(pilot aperture、点火用開口部、など)からパターン位置(pattern location、火炎パターンが形成されるべき位置または開口部、など)まで伝播させるように構成されるバーナ。
【0135】
(8)態様1に記載のバーナを含むシステムであって、
前記バーナを有する調理機器と、
コントローラであって、前記複数のアクチュエータと電気的に連通する状態にあるとともに、前記複数のアクチュエータについての選択的な作動により、前記複数の開口部を選択的に開閉させるように構成されるものと
を含むシステム。
【0136】
(9)態様8に記載のシステムであって前記バーナを含むものであって、さらに、ユーザ・デバイス(user device、ユーザによって使用されるデバイス、など)を含み、
そのユーザ・デバイスは、前記コントローラと電気的に連通する状態にあるとともに、前記ユーザ定義パターン(user-defined pattern、火炎によって形成されるパターンとしてユーザによって定義されるもの、など)を前記コントローラに通信するように構成されるシステム。
【0137】
(10)態様1に記載のバーナであって、さらに、複数のデフレクタを含み、
それらデフレクタは、それぞれ、前記複数の開口部のうちのいずれかに隣接する位置に配置され、
前記複数のデフレクタの各々は、それぞれの開口部に隣接する位置に火炎が形成される場合に、スラスト(thrust、推力、など)を付与するバーナ。
【0138】
(11)態様10に記載のバーナであって、前記スラストは、当該バーナを回転させるバーナ。
【0139】
(12)態様1または10に記載のバーナであって、前記壁部は、環状(toroidal)形状を有するバーナ。
【0140】
(13)態様1に記載のバーナであって、前記複数の開口部のうちの各開口部は、前記複数の開口部のうちの第1開口部に位置する火炎が前記複数の開口部のうちの第2開口部まで伝播することが可能であるように、前記複数の開口部のうちの他の開口部との間にすき間を有するバーナ。
【0141】
(14)態様1に記載のシステムであって、
燃料ガス源と、
その燃料ガス源との間で流体連通する状態にある導管と、
その導管内に少なくとも部分的に配置されるとともに、前記燃料ガス源から前記バーナに向かう前記燃料ガスの流れを制限するように構成されるフロー・リストリクタと
を含むシステム。
【0142】
(15)態様1に記載のバーナであって、前記複数の開口部は、約0.4mmの直径を有するバーナ。
【0143】
(16)態様1に記載のバーナであって、前記燃料ガスは、水素であるバーナ。
【0144】
(17)態様1に記載のバーナであって、前記燃料ガスは、前記閉塞容積室内において酸化剤と混合しないバーナ。
【0145】
(18)態様17に記載のバーナであって、前記閉塞容積室内における前記燃料ガスの圧力は、前記酸化剤が前記閉塞容積室内に進入しないように、前記外気の圧力より高圧であるバーナ。
【0146】
(19)食べ物(food item、食品、食材、など)をパターニングする(patterning、模様付けする、など)方法であって、
ユーザ定義パターン(user-defined pattern、火炎によって形成されるパターンとしてユーザによって定義されるもの、ユーザによって定義される火炎パターン、など)を受け付ける工程と、
燃料ガスをバーナに提供する工程と
を含み、
前記バーナは、
当該バーナのうちの閉塞容積室内に燃料ガスを収容するように構成される壁部と、
その壁部内に形成される複数の開口部と、
複数のアクチュエータであって、各アクチュエータごとに、前記複数の開口部のうちのいずれかに作動的に(operatively、相互に連携する状態で、作動的に相互に関連する状態で、など)関連付けられるとともに、それぞれの開口部を経由して、当該バーナの周囲の外気(an atmosphere surrounding the burner、周囲環境、周囲の大気、など)と前記閉塞容積室との間に流体連通を形成するように選択的に起動させられるように構成されるものと
を含み、
前記複数の開口部は、それぞれの火炎をそれぞれの開口部に隣接する位置において維持するように構成され、
それぞれの火炎は、前記食べ物に近接する位置において前記ユーザ定義パターンで配置される方法。
【0147】
(20)態様19に記載の方法であって、前記複数の開口部のうちの各開口部は、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有するとともに、前記複数の開口部は、前記周囲環境内において前記燃料ガスに点火させるために使用される方法。
【0148】
(21)態様19に記載の方法であって、前記複数の開口部のうちの各開口部は、前記複数の開口部のうちの第1開口部に位置する火炎が前記複数の開口部のうちの第2開口部まで伝播することが可能であるように、前記複数の開口部のうちの他の開口部との間にすき間を有する方法。
【0149】
(22)システムであって、
交流電源から電気的パワーを受け取るように構成される給電部と、
その給電部と電気的に連通する状態にあるとともに、前記給電部から電気的パワーを受け取ることに応答して水素ガスを発生させるように構成されるエレクトロライザと、
前記水素ガスを収容するように構成される容器と、
バーナであって、そのバーナ内に形成された複数の開口部を有するものと
を含み、
前記複数の開口部は、閉塞容積室から前記バーナの周囲の環境までの流体連通を実現し、
前記複数の開口部は、前記燃料ガスが前記閉塞容積室にフラッシュバックすることを抑制するように構成されるシステム。
【0150】
(23)態様22に記載のシステムであって、前記複数の開口部は、前記燃料ガスの消炎距離より小さい有効直径を有するシステム。
【0151】
(24)態様22に記載のシステムであって、前記給電部に提供される電気的パワー(electrical power、電気エネルギー、など)の最大レート(rate of electric power、電気的パワー時間変化率、仕事率、電力、など)は、前記バーナの最大発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)より低いシステム。
【0152】
(25)システムであって、
バーナと、
電気的パワー供給部(electrical power supply)と、
その電気的パワー供給部から電気的パワーを電気的パワー入力レート(electrical power input rate)で受け取るとともに、前記電気的パワーの受け取りに応答して水素ガスを発生させるように構成されるエレクトロライザと、
前記水素ガスを収容するように構成される貯蔵機器と
を含み、
その貯蔵機器は、水素ガスを前記バーナに前記電気的パワー入力レートより高い発熱レート(heat rate、熱量時間変化率、など)で供給するように構成され、
前記バーナは、前記水素ガスを前記発熱レートで燃焼させるように構成されるシステム。
【国際調査報告】