(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】生分解性を有する環境に優しいフィルター
(51)【国際特許分類】
A24D 3/10 20060101AFI20241024BHJP
A24D 3/04 20060101ALI20241024BHJP
A24D 1/04 20060101ALI20241024BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A24D3/10
A24D3/04
A24D1/04
A24D1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525589
(86)(22)【出願日】2023-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 KR2023007722
(87)【国際公開番号】W WO2024025127
(87)【国際公開日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】10-2022-0093836
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハ、スン フーン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジン チュル
(72)【発明者】
【氏名】マ、キェン バエ
(72)【発明者】
【氏名】チェオン、ボン ス
(72)【発明者】
【氏名】セオ、セウン ドン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェオン フン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ジョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ジン、サン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、イェオン ナム
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA50
4B045AB08
4B045AB11
4B045BA02
4B045BB03
4B045BB07
4B045BB10
4B045BC13
(57)【要約】
本発明は、リヨセル繊維を含むリヨセルトウ、バインダー溶液およびフィルター巻紙を含み、30℃の海水条件(Marine)下でASTM D6691に従って6ヶ月内に生分解性(biodegradation)が90%以上である喫煙物品用フィルターと、これを含む喫煙物品を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リヨセル繊維を含むリヨセルトウ、バインダー溶液およびフィルター巻紙を含み、30℃の海水条件(Marine)下でASTM D6691に従って6ヶ月内に生分解性(biodegradation)が90%以上である、喫煙物品用フィルター。
【請求項2】
前記喫煙物品用フィルターの水分崩壊性が7%以下であり、
前記水分崩壊性は、下記の式
水分崩壊性(%)=(水の注入前のフィルター硬度-水の注入後のフィルター硬度)/(水の注入前のフィルター硬度)×100
によって定義される請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項3】
前記リヨセルトウは、1インチ(2.54cm)当たり15~60個のクリンプを有する請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項4】
前記リヨセルトウは、80~95%の白色度を有する請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項5】
前記バインダー溶液のバインダーは、セルロース系バインダー、ビニル系バインダー、ポリエステル系バインダーからなる群から選ばれた1つ以上である請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項6】
前記セルロース系バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)からなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記ビニル系バインダーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセテート(PVAc)およびエチレンビニルアセテート(EVAc)からなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記ポリエステル系バインダーは、炭素数5~12のアルキレン、アリレンおよびヘテロアリレンからなる群から選ばれた1つ以上を含む請求項5に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項7】
前記バインダー溶液のバインダーは、炭素数5~12のアルキレン、アリレンおよびヘテロアリレンからなる群から選ばれた1つ以上を含むポリエステル系バインダーである請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項8】
前記バインダー溶液は、水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンからなる群から選ばれた1つ以上の溶媒を含む請求項1に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項9】
前記溶媒は、プロピレングリコールおよびグリセリンのうち1つ以上である請求項8に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項10】
前記フィルター巻紙は、麻またはパルプから製造され、炭酸カルシウム、二酸化チタンおよび酸化マグネシウムからなる群から選ばれた1つ以上の充填剤を含む請求項1から9のいずれか一項に記載の喫煙物品用フィルター。
【請求項11】
タバコ媒質部、フィルター部およびラッパーを含む喫煙物品であって、
前記フィルター部は、リヨセル繊維を含むリヨセルトウ、バインダー溶液およびフィルター巻紙を含み、30℃の海水条件(Marine)下でASTM D6691に従って6ヶ月内に生分解性(biodegradation)が90%以上であり、
前記バインダー溶液のバインダーは、セルロース系バインダー、ビニル系バインダーおよびポリエステル系バインダーからなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記バインダー溶液は、水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンからなる群から選ばれた1つ以上の溶媒を含む喫煙物品。
【請求項12】
前記セルロース系バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)からなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記ビニル系バインダーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)およびエチレンビニルアセテート(EVAc)からなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記ポリエステル系バインダーは、炭素数5~12のアルキレン、アリレンおよびヘテロアリレンからなる群から選ばれた1つ以上を含む請求項11に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記溶媒は、プロピレングリコールおよびグリセリンのうち1つ以上である請求項11に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記フィルター部は、香味を発生させることができるカプセルをさらに含む請求項11に記載の喫煙物品。
【請求項15】
前記タバコ媒質部は、加香液が添加された請求項11から14のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性を有する環境に優しいフィルターおよびこれを適用した喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースアセテートトウは、セルロースに硫酸と酢酸を反応させて作られる素材であり、化学的変形を起こした素材である。従来、タバコフィルターの製造に用いられるセルロースアセテート(Cellulose Acetate;CA)トウは、可塑剤(Plasticizer)を適用し、フィルターの硬度を向上させ、セルロースアセテートトウを用いてフィルターを製造する場合、硬度の向上と共に、トウ間の結合力を増進させる。しかしながら、可塑剤を用いて製造されたセルロースアセテートフィルターは、海洋条件などの分析通過基準を充足しにくいという問題点がある。
【0003】
なお、リヨセルトウ(L-トウ)は、セルロースアセテートトウのように化学反応を通じてセルロースの構造を変形するものではなく、セルロースをNMMO(N-Methylmorpholine N-Oxide)という環境に優しい溶媒に溶かして、繊維束の形態で作った材料である。リヨセルトウは、主成分がセルロースであり、エコ素材であり、これを用いて製造したフィルターの硬度とトウ間の結合力を増進させるために使用したバインダーも、環境に優しい物質に該当する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況下に、前述した従来技術の問題点および/または限界点を克服するために、本発明は、リヨセル(Lyocell)トウ、バインダー溶液およびフィルター巻紙を含む生分解性を有する環境に優しいリヨセルフィルターおよびこれを含む喫煙物品を提供することを目的とする。
【0005】
しかしながら、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から該当技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、リヨセル繊維を含むリヨセルトウ、バインダー溶液およびフィルター巻紙を含み、30℃の海水条件(Marine)下でASTM D6691に従って6ヶ月内に生分解性(biodegradation)が90%以上である、喫煙物品用フィルターを提供する。
【0007】
別の態様によれば、タバコ媒質部、フィルター部およびラッパーを含む喫煙物品であって、
前記フィルター部は、リヨセル繊維を含むリヨセルトウ、バインダー溶液およびフィルター巻紙を含み、30℃の海水条件(Marine)下でASTM D6691に従って6ヶ月内に生分解性(biodegradation)が90%以上であり、
前記バインダーは、セルロース系、ビニル系およびポリエステル系バインダーからなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記バインダー溶液は、水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンからなる群から選ばれた1つ以上の溶媒を含むことを特徴とする喫煙物品を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によって、セルロースネットワーク構造のリヨセル(Lyocell)繊維をトウ化を通じてフィルターロッドを形成し、環境に優しいバインダー溶液を用いてタバコフィルターに適用することによって、フィルターの硬度が向上し、生分解性を有する環境に優しいフィルターを提供することができるという優れた効果がある。
【0009】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または請求範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による喫煙物品の概略的な構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によってラッパーを含む喫煙物品の概略的な構成を示す図である。
【
図3】セルロース、リヨセルフィルター、リヨセルトウおよびセルロースアセテートフィルターを比較して、28日間海洋条件で経時的な生分解性を示すグラフである。
【
図4】セルロース、リヨセルフィルター、リヨセルトウおよびセルロースアセテートフィルターを比較して、182日間海洋条件で経時的な生分解性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して実施形態を詳細に説明する。しかしながら、実施形態には、様々な変更が加えられることができ、特許出願の権利範囲がこのような実施形態により制限または限定されるものではない。実施形態に対するすべての変更、均等物や代替物が権利範囲に含まれるものと理解すべきである。
【0012】
実施形態において使用した用語は、ただ説明を目的に使用されたものであり、限定しようとする意図と解釈すべきものではない。単数の表現は、門脈上明白に相異に意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解すべきである。
【0013】
別途定義しない限り、技術的や科学的な用語を含んでここで使用されるすべての用語は、実施形態の属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の門脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味と解釈されない。
【0014】
また、添付の図面を参照して説明するに際して、図面符号に関係なく、同じ構成要素は、同じ参照符号を付与し、これに関する重複する説明を省略する。実施形態を説明するに際して、関連した公知技術に関する具体的な説明が実施形態の要旨を不明確にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0015】
また、実施形態の構成要素を説明するに際して、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、ただ当該構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語により当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。
【0016】
いずれか1つの実施形態に含まれた構成要素と、共通の機能を含む構成要素は、他の実施形態において同じ名称を使用して説明することとする。反対となる記載がない限り、いずれか1つの実施形態に記載した説明は、他の実施形態にも適用することができ、重複する範囲で具体的な説明を省略する。
【0017】
明細書全般において「喫煙物品」は、タバコ(シガレット)、シガーなどのように、エアロゾルを発生させることができるものを意味し得る。喫煙物品は、エアロゾル生成物質またはエアロゾル形成基質を含んでもよい。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻み、再構成タバコなどタバコ原料を基礎とする固体物質を含んでもよい。喫煙物質は、揮発性化合物を含んでもよい。
【0018】
また、明細書全般において「上流」または「上流方向」は、喫煙物品1を喫煙するユーザの口部から遠ざかる方向を意味し、「下流」または「下流方向」は、喫煙物品1を喫煙するユーザの口部から近づく方向を意味する。例えば、
図1に示された喫煙物品1において、タバコ物質部10は、タバコ用フィルター部20の上流または上流方向に位置する。
【0019】
また、本明細書では、喫煙物品100が燃焼型シガレットである場合を例にあげて説明したが、これに限定されず、喫煙物品1は、電子タバコ機器などのエアロゾル生成装置(不図示)とともに用いられる加熱式シガレットなどに該当することもできる。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、リヨセル繊維を含むリヨセルトウ、バインダー溶液およびフィルター巻紙を含み、30℃の海水条件(Marine)下でASTM D6691に従って6ヶ月内に生分解性(biodegradation)が90%以上である、喫煙物品用フィルターを提供する。
【0021】
リヨセル繊維を含むリヨセルトウは、主成分がセルロースであり、エコ素材に該当する。前記リヨセル繊維を含むリヨセルトウは、1インチ(2.54cm)当たり15~60個のクリンプ(シワ)を有し、80~95%の白色度を有していてもよい。
【0022】
クリンプ数が前記範囲より多い場合、リヨセルトウの強度が弱くなり、反対にリヨセルトウのクリンプ数が前記範囲より少ない場合には、トウの膨張性が減少し、フィルターの製造時に、重さに比べて適切な吸引抵抗を具現しにくいという問題点が発生する。
【0023】
白色度が80%未満である場合には、フィルターの色が黄色または灰色などを帯び、この場合、喫煙者に、フィルターがきれいでないという否定的な認識を惹起させる。また、95%超過の白色度を具現することは、技術的に困難であるという点があり、たとえ、これを具現するとしても、コスト上昇の問題が発生する。
【0024】
なお、製造されるリヨセルフィルターの硬度の向上とトウとの結合力を増進させるために、前記フィルターの製造時に、バインダー溶液を含んでもよいし、これに使用されるバインダーも、環境に優しい物質からなり、バインダーを溶解する溶媒も、環境に優しい溶媒を使用する。このようなバインダーの具体的な例としては、セルロース系バインダー、ビニル系バインダー、ポリエステル系バインダーからなる群から選ばれた1つ以上であってもよい。
【0025】
より具体的には、前記セルロース系バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられ、前記ビニル系バインダーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアセテート(EVAc)などが挙げられる。また、前記ポリエステル系バインダーは、炭素数5~12のアルキレン、アリレンおよびヘテロアリレンからなる群から選ばれた1つ以上を含むポリエステルであってもよい。
【0026】
なお、以下の実施形態などで記述するように、喫煙中に喫煙者の唾液などからフィルターの硬度が低くなるという点をより効果的に防止することができるという観点から、前記ポリエステル系バインダーを使用することが好ましい。
【0027】
前記バインダーを溶解する環境に優しい溶媒の具体的な例としては、水、エタノール、プロピレングリコール(PG)、グリセリンなどが挙げられ、より具体的には、プロピレングリコール(PG)を含むことが好ましい。
【0028】
前記プロピレングリコール(PG)をバインダーを溶解する溶媒として使用する場合、プロピレングリコール(PG)が離型剤の役割をし、フィルター設備ロールとロールにリヨセルトウが接着して付着してしまう現象が減少するので、フィルター製造工程の効率が上昇し、水のような極性溶媒を使用する場合に現れるセルロース系素材フィルターの強度が弱くなる現象を防止および克服することができる。
【0029】
なお、前記リヨセルフィルターに含まれるフィルター巻紙は、バインダーが適用されたリヨセルトウを包み、円筒フィルターの形態を維持できる多孔性紙または無多孔性紙などに該当することができる。また、麻(flax)、木材パルプなどで製造されてもよく、燃焼するとき、燃焼性とタバコの味が維持されることが要求される。また、前記フィルター巻紙は、充填剤(filler)を含んでもよいし、これによって、フィルター巻紙の不透明性を高めることができ、気孔度を付与することができ、フィルター巻紙の平滑性および灰固結性を改善することができる。前記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化マグネシウムなどの物質がある。
【0030】
本発明のさらに他の実施形態によれば、タバコ媒質部、フィルター部およびラッパーを含む喫煙物品であって、
前記フィルター部は、リヨセル繊維を含むリヨセルトウ、バインダー溶液およびフィルター巻紙を含み、30℃の海水条件(Marine)下でASTM D6691に従って6ヶ月内に生分解性(biodegradation)が90%以上であり、
前記バインダーは、セルロース系、ビニル系およびポリエステル系バインダーからなる群から選ばれた1つ以上であり、
前記バインダー溶液は、水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンからなる群から選ばれた1つ以上の溶媒を含むことを特徴とする喫煙物品を提供することができる。
【0031】
前記喫煙物品に含まれるフィルター部は、前述したリヨセルフィルターと実質的に似ていると見られ、これに含まれる具体的な構成要素は、前述した通りである。
【0032】
また、前記喫煙物品のフィルター部は、2以上のセグメントに分けられ、第1フィルター部、第2フィルター部などに分画されてもよく、配置される位置に関係なく、前記2以上のセグメントの1つが本発明の一実施形態によるリヨセルトウおよびバインダー溶液を含むフィルターに該当する場合、本発明の範囲に含まれ得る。また、前記2以上のセグメントのうち1つ以上で香味を発生させることができるカプセルを含んでもよいし、このようなカプセルの形状は、球形または円筒形などに該当することができ、これに制限されない。
【0033】
また、前記タバコ媒質部は、通常、葉タバコのように、ニコチンを含むタバコ物質を含み、バインダーやその他添加剤などのような賦形剤をさらに含んでもよいし、一例として、本発明のタバコ媒質部に含まれるタバコ媒質は、タバコ物質および賦形剤などを含む顆粒の形態で製造することができる。また、タバコ媒質部には、メントールまたは保湿剤などの加香液が、タバコ媒質に分散することによって添加されることもできる。
【0034】
本発明においてタバコ物質は、エアロゾル発生基材を形成する物質であり、タバコ葉の切れ、タバコ幹、タバコ処理中に発生したタバコ粉塵および/またはタバコ葉の葉片ストリップであってもよい。タバコ葉は、黄色種、バーレー種、オリエント種、シガー葉およびトーストの中から選ばれた少なくとも1つ以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0035】
なお、本発明の一実施形態によるラッパーは、
図2に示されたように、喫煙物品の構成要素別にラッパーを含んでもよいし、タバコ媒質部を包むタバコ媒質部ラッパー110aと、フィルターを包むフィルター部ラッパー(フィルター巻紙)120aなどに分けられてもよい。また、前述したように、前記フィルター部が複数個のセグメントに分けられる場合、各セグメント別にこれを包むラッパーを含んでもよい。また、タバコ媒質部とフィルター部の連結を固定するために、タバコ媒質部の一部の領域と前記フィルター部を包むティッピングラッパー130を含んでもよいし、喫煙物品全体の形状などを維持するために、タバコ媒質部とフィルター部などを全部包みながら、喫煙物品の最外側に位置する外部ラッパーを含むこともできる。
【0036】
タバコ媒質部とフィルターを結合する前記ティッピングラッパーには、外部空気が流入したり内部気体が流出し得るように、選択的に周方向に沿って1つ以上の穿孔が形成されていてもよく、これを介して、シガレットの空気希釈率を具現し、主流煙成分の移行量を調節することができるという効果がある。
【0037】
以下、実施例と比較例に基づいて本発明の構成およびそれによる効果をより詳細に説明する。しかしながら、本実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
-実施例
(1)海洋条件における生分解性評価実験
分析サンプルは、1mm以下に粉砕した分析サンプルと、セルロース標準品粉末である対照サンプルを用いて、30℃の海水条件(Marine)下で実験(28日間、182日間)を行った。
【0039】
生分解性は、サンプルと標準品が分解されて生成される二酸化炭素の量を測定し、分析サンプルで測定された二酸化炭素の量と、標準品が分解されて生成された二酸化炭素の量とを比較し、相対的な生分解性を計算した。
【0040】
その結果、表1および
図3に(28日間)、そして表2および
図4に(182日間)示したように、本発明の一実施形態によるリヨセルフィルターは、海洋条件で6ヶ月以内に標準品と比較して90%以上の生分解性を有するだけでなく、28日間の短い時間にも標準品と比較して90%以上の生分解性を有するという点を確認できた。
【0041】
【0042】
【表2】
(182日間海洋条件で生分解性の結果)
*AVG=平均
*SD=標準偏差
*REL=相対的な生分解性
【0043】
(2)水分崩壊性実験
喫煙時に、喫煙者の唾液などによりフィルターの硬度が低くなる現象をシミュレートして、バインダーの有無および種類に応じたフィルターの水分崩壊性を測定した。
【0044】
具体的には、Filtrona社のDHT200TM機器を用いて水の注入前/後の硬度を測定し、フィルターに水20μlを注入した。前記注入量は、喫煙者の集団がリヨセルフィルターが搭載されたシガレットを喫煙した後、フィルターに残留する水分値を測定して設定した。
【0045】
前記水の注入前/後の硬度の差を初期硬度で割って、崩壊程度を判断し、その結果を下記に示した。
硬度(%)=(フィルターの直径(mm)-特定の重さ(300g)の分銅で押圧したとき、押圧された長さ(mm))/初期フィルターの直径(mm)×100
水分崩壊性(%)=(水の注入前のフィルター硬度-水の注入後のフィルター硬度)/(水の注入前のフィルター硬度)×100
【0046】
【表3】
*ブランク=バインダーを入れないサンプル
【0047】
ポリビニルピロリドン(PVP)バインダーは、構造内にアミド基(amide group)の共鳴構造(resonance structure)によって水によく解ける特性が存在し、前記表3に示したように、水分崩壊性が10.0%であることが確認され、ポリエステル系(Polyester)バインダーの場合には、初期には水に溶けていたり分散した形態に該当するが、バインダーの接着力が付与された後には、水によく解けない特性を有することとなり、水分崩壊性が5.9%と低く測定された。
【0048】
このような結果から、バインダーとしてポリエステル系(Polyester)バインダーを使用する場合、これを使用しない場合またはそれ以外のバインダーの種類に比べて、水分崩壊性がさらに改善され、喫煙時に、喫煙者の唾液などからフィルターの硬度が低くなるのを防止できるという効果があることが分かる。
【0049】
以上のように実施形態がたとえ限定された図面により説明されたが、当該技術分野における通常の知識を有する者なら、上記に基づいて様々な技術的修正および変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順序で行われたり、および/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合されるかまたは組み合わせられたり、他の構成要素または均等物によって代替または置換されても、適切な結果を達成することができる。
【0050】
したがって、他の具現、他の実施形態および特許請求範囲と均等なものも、後述する請求範囲の範囲に属する。
【国際調査報告】