(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】がんを処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 51/10 20060101AFI20241024BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K51/10 100
A61K51/10 200
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P43/00 121
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525614
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 US2022079137
(87)【国際公開番号】W WO2023081698
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519210572
【氏名又は名称】フュージョン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Fusion Pharmaceuticals Inc.
【住所又は居所原語表記】270 Longwood Road South Hamilton,Ontario L8P 0A6,Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブラク, エリック エス.
(72)【発明者】
【氏名】オリアリー, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ローデン, ジョン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA12
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG01
4C085HH03
4C085JJ01
4C085KA09
4C085KA29
4C085KB07
4C085KB56
4C085KB82
4C085LL18
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA71
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
コールドIGF-1R標的化分子ならびにキレート部分の金属錯体、リンカー、およびIGF-1R標的化部分を含むラジオイムノコンジュゲートを使用して、状態、例えばがんを処置する方法。本開示は、IGF-1R(例えば、ヒトIGF-1R)を標的とするラジオイムノコンジュゲートを使用してがんを処置する方法に関する。ある特定の実施形態では、提供される方法は、腫瘍への取り込みの増加、正常組織(複数可)における取り込みの低減をもたらし、および/または毒性の減少をもたらす。本明細書に開示される方法は、一部の実施形態では、対象(例えば、患者)が、ラジオイムノコンジュゲートを使用する他の方法より高い放射能線量に耐容性となることを可能にし得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを有する患者を処置する方法であって、ラジオイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩の有効量を、投与を必要とする患者に投与することを含み、
前記ラジオイムノコンジュゲートが以下の構造:
A-L-B
式I
を含み、
式中、Aが、キレート部分の金属錯体であり、
Bが、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)標的化部分であり、および
Lが、リンカーであり、
前記患者がコールドIGF-1R標的化分子を共投与されている方法。
【請求項2】
Bが、IGF-1Rに結合することが可能な抗体またはその抗原結合断片であり、前記コールドIGF-1R標的化分子が、コールドIGF-1R抗体またはそのIGF-1R結合断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コールドIGF-1R抗体が前記患者に前投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コールドIGF-1R抗体が、前記患者の体重に基づいて0.1mg/kg~10mg/kgの投薬量で前投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記コールドIGF-1R抗体が、前記患者の体重に基づいて0.5mg/kg~3mg/kgの投薬量で前投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ラジオイムノコンジュゲートが、前記患者の体重の10kBq~100kBq/kgの投薬量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ラジオイムノコンジュゲートが、前記患者の体重の15kBq~80kBq/kgの投薬量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ラジオイムノコンジュゲートが、前記患者の体重の20kBq~300kBq/kgの累積曝露で投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ラジオイムノコンジュゲートが、前記患者の体重の35kBq~70kBq/kgの累積曝露で投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
Lが、式II:
A-L
1-(L
2)
n-B
式II
内に示される構造L
1-(L
2)
nを有し、
式中、Aが、キレート部分の金属錯体であり;
Bが、IGF-1Rに結合することが可能な抗体またはその抗原結合断片であり;
L
1が、結合、C=O、C=S、必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
1~C
6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり;
nが、1~5(両端を含む)の整数であり;および
各々のL
2が、独立して構造:
-X
1-L
3-Z
1-
を有し、式中
X
1が、-C(O)NR
1-
*、-NR
1C(O)-
*、-C(S)NR
1-
*、-NR
1C(S)-
*、-OC(O)NR
1-
*、-NR
1C(O)O-
*、-NR
1C(O)NR
1-、-CH
2-Ph-C(O)NR
1-
*、-NR
1C(O)-Ph-CH
2-
*、-CH
2-Ph-NH-C(S)NR
1-
*、-NR
1C(S)-NH-Ph-CH
2-
*、-O-、または-NR
1-であり、式中「
*」が、L
3との結合点を示し、および各々のR
1が、独立して水素、必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
1~C
6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり;
L
3が、必要に応じて置換されたC
1~C
50アルキルまたは必要に応じて置換されたC
1~C
50ヘテロアルキルであり;ならびに
Z
1が、-CH
2-、-C(O)-、-C(S)-、-OC(O)-#、-C(O)O-#、-NR
2C(O)-#、-C(O)NR
2-#、または-NR
2-であり、式中「#」が、Bとの結合点を示し、および各々のR
2が、独立して水素、必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されたC
1~C
6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、または必要に応じて置換されたヘテロアリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
L
3が、(CH
2CH
2O)
2-20または(CH
2CH
2O)
2-20-C
1~C
6アルキルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記キレート部分が、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA(1R,4R,7R,10R)-α,α’,α”,α’”-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセトアミド-メチレンホスホン酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、およびHP-DO3A(10-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸)からなる群より選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記金属錯体が、
44Sc、
47Sc、
55Co、
60Cu、
61Cu、
62Cu、
64Cu、
67Cu、
66Ga、
67Ga、
68Ga、
82Rb、
86Y、
87Y、
89Zr、
90Y、
97Ru、
99Tc、
99mTc、
105Rh、
109Pd、
111In、
117mSn、
149Pm、
149Tb、
153Sm、
166Ho、
177Lu、
186Re、
188Re、
198Au、
199Au、
201Tl、
203Pb、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
225Ac、
227Th、および
229Thからなる群より選択される放射性核種を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
Lが、式II:
A-L
1-(L
2)
n-B
式II
内に示される構造-L
1-(L
2)
n-を有し、
式中、Aが、DOTAの金属錯体であり;
Bが、IGF-1Rに結合することが可能な抗体またはその抗原結合断片であり;
L
1が、結合またはC
1~C
6アルキルであり;
nが1であり;および
L
2が、構造:
-X
1-L
3-Z
1-
を有し、式中
X
1が、-C(O)NR
1-
*であり、「
*」は、L
3との結合点を示し、およびR
1は、HまたはC
1~C
6アルキルであり;
L
3が、(CH
2CH
2O)
m(CH
2)
wであり、ならびにmおよびwが、独立して0~10(両端を含む)の間の整数であり、ならびにmおよびwの少なくとも1つが0ではなく;ならびに
Z
1が-C(O)-である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
A-L-が
(i)
【化15】
(ii)
【化16】
(iii)
【化17】
および
(iv)
【化18】
からなる群より選択される部分の金属錯体である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
A-L-が、部分1:
【化19】
の金属錯体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ラジオイムノコンジュゲートが、以下の構造:
【化20】
を含み、
式中、Bが、IGF-1Rに結合することが可能な抗体またはその抗原結合断片である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記金属錯体が、アルファ放射体を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記アルファ放射体が、アスタチン-211(
211At)、ビスマス-212(
212Bi)、ビスマス-213(
213Bi)、アクチニウム-225(
225Ac)、ラジウム-223(
223Ra)、鉛-212(
212Pb)、トリウム-227(
227Th)、およびテルビウム-149(
149Tb)、またはその子孫核種からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属錯体が、
225Acまたはその子孫核種を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ラジオイムノコンジュゲートが、以下の構造:
【化21】
を含み、式中
【化22】
がAVE1642である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記コールドIGF-1R標的化分子が、AVE1642またはそのIGF-1R結合断片である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記がんが、固形腫瘍がんである、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記固形腫瘍がんが、副腎皮質癌、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜腺癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、神経膠腫、頭頸部がん、肝臓がん、肺がん、神経芽腫、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎細胞癌、唾液腺腺様嚢胞がん、精母細胞性セミノーマおよびブドウ膜黒色腫からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容全体が全ての目的に関して参照により本明細書に組み込まれる、2021年11月2日に出願された米国特許仮出願第63/274,802号の優先権を主張する。
【0002】
配列表
本出願は、XMLフォーマットで電子提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含有する。前記XMLファイルは、2022年11月1日に作成され、名称はFPI_032_SL.xmlであり、サイズは14キロバイトである。
【背景技術】
【0003】
背景
インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)は、がんの処置における潜在的治療標的として評価されている。しかし、IGF-1R標的化抗体またはIGF-1R特異的チロシンキナーゼ阻害剤による単剤療法は、全体として、臨床の状況で非常に期待外れであった。
【0004】
このように、IGF-1Rを標的とすることができる治療薬(例えば、がんの治療薬)を使用してがんを処置する改善された方法がなおも必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本開示は、IGF-1R(例えば、ヒトIGF-1R)を標的とするラジオイムノコンジュゲートを使用してがんを処置する方法に関する。ある特定の実施形態では、提供される方法は、腫瘍への取り込みの増加、正常組織(複数可)における取り込みの低減をもたらし、および/または毒性の減少をもたらす。本明細書に開示される方法は、一部の実施形態では、対象(例えば、患者)が、ラジオイムノコンジュゲートを使用する他の方法より高い放射能線量に耐容性となることを可能にし得る。
【0006】
一態様では、がんを有する患者を処置する方法であって、ラジオイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩の有効量を、投与を必要とする患者に投与することを含み、ラジオイムノコンジュゲートが以下の構造:
A-L-B
式I
を含み、
式中、Aが、キレート部分の金属錯体であり、
Bが、IGF-1R標的化部分であり、および
Lが、リンカーであり、
患者がIGF-1R標的化分子を共投与されている方法が提供される。
【0007】
一部の実施形態では、変数Bは、IGF-1Rに結合することが可能な抗体またはその抗原結合断片である。ある特定の実施形態では、コールドIGF-1R標的化分子は、コールドIGF-1R抗体またはそのIGF-1R結合断片である。
【0008】
一部の実施形態では、コールドIGF-1R抗体を、ラジオイムノコンジュゲートの投与前に患者に前投与する。一部の実施形態では、コールドIGF-1R抗体は、ラジオイムノコンジュゲートの投与と共に患者に共投与される。
【0009】
一部の実施形態では、コールドIGF-1R抗体は、患者の体重に基づいて0.1mg/kg~10mg/kg(例えば、0.5mg/kg~3mg/kg)の投薬量で前投与される。
【0010】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、前記患者の体重の10kBq~100kBq/kg(例えば、15kBq~80kBq/kg)の投薬量で投与される。
【0011】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、前記患者の体重の20kBq~300kBq/kg(例えば、20kBq~200kBq/kg、20kBq~150kBq/kg、20kBq~100kBq/kg、または35kBq~70kBq/kg)の累積曝露量で投与される。
【0012】
一部の実施形態では、式Iを参照して、変数Lが、式II:
A-L1-(L2)n-B
式II
内に示されるL1-(L2)nの構造を有し、
式中、Aが、キレート部分の金属錯体であり;
Bが、IGF-1Rに結合することが可能な抗体またはその抗原結合断片であり;
L1が、結合、C=O、C=S、必要に応じて置換されたC1~C6アルキル、必要に応じて置換されたC1~C6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり;
nが、1~5(両端を含む)の整数であり;および
各々のL2が、独立して構造:
-X1-L3-Z1-
を有し、式中
X1が、-C(O)NR1-*、-NR1C(O)-*、-C(S)NR1-*、-NR1C(S)-*、-OC(O)NR1-*、-NR1C(O)O-*、-NR1C(O)NR1-、-CH2-Ph-C(O)NR1-*、-NR1C(O)-Ph-CH2-*、-CH2-Ph-NH-C(S)NR1-*、-NR1C(S)-NH-Ph-CH2-*、-O-、または-NR1-であり、式中「*」が、L3との結合点を示し、および各々のR1が、独立して水素、必要に応じて置換されたC1~C6アルキル、必要に応じて置換されたC1~C6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり;
L3が、必要に応じて置換されたC1~C50アルキルまたは必要に応じて置換されたC1~C50ヘテロアルキルであり;ならびに
Z1が、-CH2-、-C(O)-、-C(S)-、-OC(O)-#、-C(O)O-#、-NR2C(O)-#、-C(O)NR2-#、または-NR2-であり、式中「#」が、Bとの結合点を示し、および各々のR2が、独立して水素、必要に応じて置換されたC1~C6アルキル、必要に応じて置換されたC1~C6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、または必要に応じて置換されたヘテロアリールである。
【0013】
一部の実施形態では、変数L3は、(CH2CH2O)2-20または(CH2CH2O)2-20-C1~C6アルキルを含む。
【0014】
一部の実施形態では、キレート部分は、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA(1R,4R,7R,10R)-α,α’,α”,α’”-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセトアミド-メチレンホスホン酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、およびHP-DO3A(10-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸)からなる群より選択される。
【0015】
一部の実施形態では、金属錯体は、44Sc、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、86Y、87Y、89Zr、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、117mSn、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、および229Thからなる群より選択される放射性核種を含む。
【0016】
一部の実施形態では、式Iを参照して、変数Lが、式II:
A-L1-(L2)n-B
式II
内に示される-L1-(L2)n-の構造を有し、
式中、Aが、DOTAの金属錯体であり;
Bが、IGF-1Rに結合することが可能な抗体またはその抗原結合断片であり;
L1が、結合またはC1~C6アルキルであり;
nが1であり;および
L2が、構造:
-X1-L3-Z1-
を有し、式中
X1が、-C(O)NR1-*であり、「*」は、L3との結合点を示し、およびR1は、HまたはC1~C6アルキルであり;
L3が、(CH2CH2O)m(CH2)wであり、ならびにmおよびwが、独立して0~10(両端を含む)の間の整数であり、ならびにmおよびwの少なくとも1つが0ではなく;ならびに
Z1が-C(O)-である。
【0017】
一部の実施形態では、式Iを参照して、A-L-は、
(i)
【化1】
(ii)
【化2】
(iii)
【化3】
および
(iv)
【化4】
からなる群より選択される部分の金属錯体である。
【0018】
一部の実施形態では、A-L-は、部分1:
【化5】
の金属錯体である。
【0019】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、以下の構造:
【化6】
を含み、
式中、Bが、IGF-1Rに結合することが可能な抗体またはその抗原結合断片である。一部の実施形態では、金属錯体は、アルファ放射体を含む。ある特定の実施形態では、アルファ放射体は、アスタチン-211(
211At)、ビスマス-212(
212Bi)、ビスマス-213(
213Bi)、アクチニウム-225(
225Ac)、ラジウム-223(
223Ra)、鉛-212(
212Pb)、トリウム-227(
227Th)、およびテルビウム-149(
149Tb)、またはその子孫核種からなる群より選択される。ある特定の実施形態では、金属錯体は、
225Acまたはその子孫核種を含む。
【0020】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、以下の構造:
【化7】
を含み、
式中、
【化8】
は、IGF-1R抗体AVE1642である。
【0021】
一部の実施形態では、本開示の方法は、コールドIGF-1R標的化分子が、AVE1642またはそのIGF-1R結合断片であることを特色とする。
【0022】
一部の実施形態では、本開示の方法は、固形腫瘍がんを含むがこれらに限定されないがんを処置するために使用することができる。
【0023】
ある特定の実施形態では、固形腫瘍がんは、副腎皮質癌、膀胱がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜腺癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、神経膠腫、頭頸部がん、肝臓がん、肺がん、神経芽腫、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎細胞癌、唾液腺腺様嚢胞がん、精母細胞性セミノーマおよびブドウ膜黒色腫からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】
図1Aは、キレート、リンカー、および架橋基を含む二官能性キレートの一般的構造を表す概略図である。
【0025】
【
図1B】
図1Bは、キレート、リンカー、および標的化部分を含む二官能性コンジュゲートの一般的構造を表す概略図である。
【0026】
【
図1CD】
図1C~1Dは、本明細書に開示される2つの例示的なラジオイムノコンジュゲートである[
111In]-DOTA-抗IGF-1Rおよび[
225Ac]-DOTA-抗IGF-1Rの構造を表す概略図である。
【0027】
【
図2】
図2は、二官能性キレートである4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)の合成を表す概略図である。化合物Bの合成を実施例2に記載する。
【0028】
【
図3】
図3は、二官能性キレートである4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)の合成を表す概略図である。化合物Cの合成を実施例3に記載する。
【0029】
【
図4】
図4は、IGF-1R標的化ラジオイムノコンジュゲート[
225Ac]-DOTA-抗IGF-1Rの合成を表す概略図である。
【0030】
【
図5】
図5は、コールドIGF-1R抗体の存在下および非存在下での[
111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートの薬物動態のプロットを示す。
【0031】
【
図6A】
図6A~6Eは、イメージング解析を介した様々な臓器におけるラジオイムノコンジュゲートの取り込みのプロットを示す。
【
図6B】
図6A~6Eは、イメージング解析を介した様々な臓器におけるラジオイムノコンジュゲートの取り込みのプロットを示す。
【
図6C】
図6A~6Eは、イメージング解析を介した様々な臓器におけるラジオイムノコンジュゲートの取り込みのプロットを示す。
【
図6D】
図6A~6Eは、イメージング解析を介した様々な臓器におけるラジオイムノコンジュゲートの取り込みのプロットを示す。
【
図6E】
図6A~6Eは、イメージング解析を介した様々な臓器におけるラジオイムノコンジュゲートの取り込みのプロットを示す。
【0032】
【
図7A】
図7A~7Eは、イメージング解析を介した様々な臓器におけるバックグラウンドと比較したラジオイムノコンジュゲートの腫瘍への取り込みのプロットを示す。
【
図7B】
図7A~7Eは、イメージング解析を介した様々な臓器におけるバックグラウンドと比較したラジオイムノコンジュゲートの腫瘍への取り込みのプロットを示す。
【
図7C】
図7A~7Eは、イメージング解析を介した様々な臓器におけるバックグラウンドと比較したラジオイムノコンジュゲートの腫瘍への取り込みのプロットを示す。
【
図7D】
図7A~7Eは、イメージング解析を介した様々な臓器におけるバックグラウンドと比較したラジオイムノコンジュゲートの腫瘍への取り込みのプロットを示す。
【
図7E】
図7A~7Eは、イメージング解析を介した様々な臓器におけるバックグラウンドと比較したラジオイムノコンジュゲートの腫瘍への取り込みのプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
詳細な説明
ラジオイムノコンジュゲートを、目的の細胞を傷害および殺滅するための放射性ペイロードを送達するために、疾患状態において上方調節されているタンパク質または受容体を標的化するように設計する(放射免疫療法)。そのようなペイロードを、放射性崩壊を介して送達するプロセスは、アルファ、ベータ、またはガンマ粒子、またはオージェ電子を産生し、これらは、DNAに対して直接的な効果(例えば、一本鎖または二本鎖DNA切断など)またはバイスタンダー効果もしくはクロスファイア効果などの間接的効果を引き起こし得る。
【0034】
ラジオイムノコンジュゲートは典型的に、生物学的標的化部分(例えば、ヒトIGF-1Rに特異的に結合することが可能な抗体またはその抗原結合性断片)、放射性同位体、および両者を連結する分子を含有する。二官能性キレートを、標的親和性を維持しながら構造の変更が最小限となるように生物学的標的化分子に追加すると、コンジュゲートが形成される。放射標識された後、最終的なラジオイムノコンジュゲートが形成される。
【0035】
二官能性キレートは、構造的にキレート、リンカー、および架橋基を含有する(
図1A)。新規二官能性キレートを開発する場合、ほとんどの努力は、分子のキレート部分周辺に集中している。標的化された部分にコンジュゲートされた様々な環状および非環状構造を有する二官能性キレートのいくつかの例が記載されている[Bioconjugate Chem. 2000, 11, 510-519;Bioconjugate Chem. 2012, 23, 1029-1039;Mol Imaging Biol. 2011, 13, 215-221, Bioconjugate Chem. 2002, 13, 110-115]。
【0036】
安全かつ有効なラジオイムノコンジュゲートの開発における重要な要因の1つは、正常な組織におけるオフターゲット毒性を最小限にしながら有効性を最大にすることである。ここに述べたことは、新薬開発の中心教義の1つであるが、これを放射免疫療法に適用することは新たな課題となる。ラジオイムノコンジュゲートは、治療有効性を有するために、治療抗体の場合に必要とされるように受容体を遮断する必要はなく、または抗体薬物コンジュゲートの場合に必要とされるように細胞傷害性ペイロードを細胞内に放出する必要はない。しかし、毒性粒子の放出は、一次(放射性)崩壊の結果として起こる事象であり、投与後の体の内部のどこでも無作為に起こり得る。放出が起こると、放出の範囲内で周囲の細胞に傷害が起こり、オフターゲット毒性の可能性をもたらし得る。したがって、正常組織に対するこれらの放出の曝露を制限することは、新薬を開発するために重要である。
【0037】
オフターゲット曝露を低減させる1つの可能性がある方法は、体から(例えば、体における正常な組織から)放射能をより有効に除去することである。1つのメカニズムは、生物学的標的化剤のクリアランス速度を増加させることである。このアプローチは、おそらく生物学的標的化剤の半減期を短縮する方法を同定することを必要とするが、この方法は生物学的標的化剤に関して十分に記載されていない。メカニズムによらず、薬物クリアランスを増加させることはまた、薬物の体からのより急速な除去が作用部位での有効濃度を低下させ、そのためより高い総線量を必要とし、正常組織への総放射能線量を低減させる所望の結果を達成しないという点で、薬力学/有効性に負の影響を及ぼす。
【0038】
他の努力は、放射性部分を含有する分子の部分の代謝を加速させることに集中している。この目的のため、「切断可能リンカー」と称するものを使用して、生物学的標的化剤からの放射能の切断速度を増加させるいくらかの努力が行われている。しかし、切断可能リンカーは、それがラジオイムノコンジュゲートに関する場合は、異なる意味で捉えられている。Cornelissenらは、切断可能リンカーを、それによって二官能性キレートが、還元されたシステインを通して生物学的標的化剤に結合するものとして記載しているが、他の研究者らは、放出させるためにラジオイムノコンジュゲートと切断剤/酵素との同時投与を必要とする酵素切断可能系の使用を記載している[Mol Cancer Ther. 2013, 12(11), 2472-2482;Methods Mol Biol. 2009, 539, 191-211;Bioconjug Chem. 2003, 14(5), 927-33]。これらの方法は、システイン連結の場合には生物学的標的化部分の性質を変化させ、または提供される引用の場合では2つの作用物質の投与を必要とすることから、薬物開発の視点(酵素切断可能系)から実際的ではない。
【0039】
本開示は、中でも様々な実施形態において、腫瘍への取り込みの増加、正常組織(複数可)における取り込みの低減をもたらし、および/または毒性の減少をもたらすラジオイムノコンジュゲートを使用してがんを処置する方法を提供する。本明細書に開示される方法は、一部の実施形態では、対象(例えば、患者)が、ラジオイムノコンジュゲートを使用する他の方法より高い放射能線量に耐容性となることを可能にし得る。
【0040】
本発明の一意的特色の1つは、同じ標的に対するコールド抗体、すなわち非放射性抗体と組み合わせた放射性薬剤(造影剤または治療剤)、例えばラジオイムノコンジュゲートの投与レジメンを含む。非放射性抗体の投与は、放射性薬剤のクリアランスを遅らせ、その生体分布および動態を変更する。これらの効果は、患者のイメージングおよび線量測定に基づいて、放射性薬剤に対する全身曝露の増加および病変:正常臓器放射線吸収線量推定値の好ましいシフトをもたらし、病変に対する放射線吸収線量を増加させながら患者が放射性薬剤のより低い用量を受けることを可能にする。
【0041】
投与することができる放射性薬剤の累積量は、正常臓器限度に基づいて制限される(例えば、International Commission on Radiological Protection or ICRP, 2012 ICRP Statement on Tissue Reactions / Early and Late Effects of Radiation in Normal Tissues and Organs - Threshold Doses for Tissue Reactions in a Radiation Protection Context. ICRP Publication 118. Ann. ICRP 41(1/2))。投与レジメンに非放射性抗体を加えると、腫瘍:正常臓器取り込み比を改善し、正常臓器限度内でより多くの累積放射線が腫瘍に送達されることを可能にする。より大量の放射能を腫瘍に送達すると、抗腫瘍有効性を改善し得ると予想される。
定義
【0042】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、定量的値を参照して使用される場合、それ以外であることを具体的に述べていない限り、列挙された定量的値そのものを含む。本明細書で使用される場合、「約」、または「およそ」という用語は、本文がそれ以外であることを示していない限り、または本文から推論されない限り、列挙された定量的値から±10%の変動を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「抗体」は、そのアミノ酸配列が、指定された抗原またはその断片に特異的に結合する免疫グロブリンおよびその断片を含むポリペプチドを指す。本発明に従う抗体は、任意のタイプ(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgM)またはサブタイプ(例えば、IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)の抗体であり得る。当業者は、抗体の特徴的な配列または部分が、抗体の1つまたは複数の領域(例えば、可変領域、超可変領域、定常領域、重鎖、軽鎖、およびその組合せ)に見出されるアミノ酸を含み得ることを認識するであろう。その上、当業者は、抗体の特徴的な配列または部分が1つまたは複数のポリペプチド鎖を含み得ること、および同じポリペプチド鎖または異なるポリペプチド鎖に見出される配列エレメントを含み得ることを認識するであろう。
【0044】
本明細書で使用される場合、「抗原結合性断片」は、親抗体の結合特徴を保持する抗体の部分を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、標的化部分の「結合する」または「結合すること」という用語は、標的分子、例えば本明細書に記載される、例えばヒトIGF-1Rとの、またはそれらへの少なくとも一時的な相互作用または会合を意味する。
【0046】
「二官能性キレート」という用語は、本明細書で使用される場合、キレート、リンカー、および架橋基を含む化合物を指す。例えば、
図1Aを参照されたい。「架橋基」は、2つまたはそれより多くの分子をつなぐこと、例えば共有結合によって二官能性キレートと標的化部分とをつなぐことが可能である反応基である。
【0047】
「二官能性コンジュゲート」という用語は、本明細書で使用される場合、キレートまたはその金属錯体、リンカー、および標的化部分、例えば抗体またはその抗原結合性断片を含む化合物を指す。例えば、式Iまたは
図1Bを参照されたい。
【0048】
「がん」という用語は、悪性新生物細胞の増殖によって引き起こされる任意のがん、例えば腫瘍、新生物、癌腫、肉腫、白血病、およびリンパ腫を指す。「固形腫瘍がん」は、組織の異常な塊を含むがん、例えば肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。
【0049】
本明細書で使用される場合、「共投与する」、「組み合わせて投与する」、または「組合せ投与」という語句は、2つまたはそれより多くの薬剤が同時に、または対象に及ぼす各々の薬剤の効果の重複が存在し得るように一定間隔内で対象に投与されることを意味する。このように、組み合わせて投与される2つまたはそれより多くの薬剤を、共に投与する必要はないが、共に投与してもよい。例えば、1つの薬剤を、他の薬剤の前に前投与してもよい。一部の実施形態では、2つまたはそれより多くの薬剤は、互いに24時間以内(例えば、12、6、5、4、3、2、または1時間)に、または互いに約60、30、15、10、5、もしくは1分以内に投与される。一部の実施形態では、2つまたはそれより多くの薬剤は共に、例えば同じ製剤で、または例えば異なる製剤であるが同時に投与される。
【0050】
本明細書で使用される場合、「コールド」という用語は、薬剤(例えば、標的化部分、例えば抗体またはその抗原結合断片)を記載するために使用される場合、薬剤が放射性ではない、例えば放射性核種によって標識されていないことを意味する。「コールド」の薬剤を、別の部分にコンジュゲートしてもしなくてもよく、またはコールドの薬剤が放射性ではない限り何らかの方法で改変してもしなくてもよい。
【0051】
「キレート」という用語は、本明細書で使用される場合、2つまたはそれより多くの点で中心の金属または放射性金属原子に結合することができる有機化合物またはその一部を指す。
【0052】
「コンジュゲート」という用語は、本明細書で使用される場合、キレート基またはその金属錯体、リンカー基を含有し、必要に応じて標的化部分、例えば抗体またはその抗原結合性断片を含有する分子を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「化合物」という用語は、表される構造の全ての立体異性体、幾何異性体、および互変異性体を含むことを意味する。
【0054】
本明細書で列挙または記載される化合物は、非対称(例えば、1つまたは複数の立体中心を有する)であり得る。他のことが示されていない限り、全ての立体異性体、例えばエナンチオマーおよびジアステレオマーが意図される。非対称に置換された炭素原子を含有する本開示で考察される化合物は、光学活性型またはラセミ型で単離することができる。光学活性な出発材料から光学活性型を調製する方法は、当技術分野で公知であり、例えばラセミ混合物の分割または立体選択的合成による。
【0055】
本明細書で使用される場合、「検出剤」は、抗原を含有する細胞の位置を特定することにより、疾患を診断するために有用である分子または原子を指す。検出剤によりポリペプチドを標識する様々な方法が当技術分野で公知である。検出剤の例としては、放射性同位体および放射性核種、色素(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン複合体など)、造影剤、発光剤(例えば、フルオレセインイソチオシアネートまたはFITC、ローダミン、ランタニド蛍光体、シアニン、および近IR色素)、および磁性作用物質、例えばガドリニウムキレートが挙げられるがこれらに限定されない。
【0056】
本明細書で使用される場合、「放射性核種」という用語は、放射性崩壊を受けることが可能な原子(例えば、3H、14C、15N、18F、35S、44Sc、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、75Br、76Br、77Br、89Zr、86Y、87Y、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、123I、124I、125I、131I、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、229Th、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、117mSn、201Tl)を指す。放射性核種(radioactive nuclide)、放射性同位体(radioisotope)、または放射性同位体(radioactive isotope)という用語もまた、放射性核種を記載するために使用され得る。放射性核種は、本明細書に記載される検出剤として使用され得る。一部の実施形態では、放射性核種は、アルファ放出性の放射性核種であり得る。
【0057】
薬剤(例えば、前述のコンジュゲートのいずれか)の「有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、有益なまたは所望の結果、例えば臨床結果をもたらすために十分なその量であり、そのため「有効量」は、それが適用される文脈に依存する。例えば、治療適用では、「有効量」は、障害およびその合併症の症状を治癒するまたはその症状を少なくとも部分的に停止させるために、および/または疾患もしくは医学的状態に関連する少なくとも1つの症状を実質的に改善するために十分な量であり得る。例えば、がんの処置では、疾患または状態の任意の症状を減少させる、防止する、遅らせる、抑制する、または停止させる薬剤または化合物は、治療的に有効であろう。薬剤または化合物の治療有効量は、疾患または状態を治癒する必要はないが、例えば疾患もしくは状態の開始が遅延される、妨害される、もしくは防止されるように、疾患もしくは状態の症状が改善されるように、または疾患もしくは状態の期間が変化するように、疾患または状態の処置を提供し得る。例えば、疾患または状態は、個体においてより重度でなくなるか、および/または回復が加速する。有効量は、1回用量または複数回(例えば、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または少なくとも6回)用量を投与することによって投与され得る。
【0058】
「イムノコンジュゲート」という用語は、本明細書で使用される場合、標的化部分、例えば抗体(またはその抗原結合性断片)、ナノボディ(nanobody)、アフィボディ(affibody)、またはフィブロネクチンIII型ドメインからのコンセンサス配列を含むコンジュゲートを指す。一部の実施形態では、イムノコンジュゲートは、標的化部分あたり少なくとも0.10コンジュゲートの平均値(例えば、標的化部分あたり少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、4、5、または8コンジュゲートの平均値)を含む。
【0059】
「ラジオコンジュゲート」という用語は、本明細書で使用される場合、放射性同位体または放射性核種、例えば本明細書に記載される任意の放射性同位体または放射性核種を含む任意のコンジュゲートを指す。
【0060】
「ラジオイムノコンジュゲート」という用語は、本明細書で使用される場合、放射性同位体または放射性核種、例えば本明細書に記載される任意の放射性同位体または放射性核種を含む任意のイムノコンジュゲートを指す。本開示で提供されるラジオイムノコンジュゲートは、典型的に放射性同位体または放射性核種から形成された金属錯体を含む二官能性コンジュゲートを指す。
【0061】
「放射免疫療法」という用語は、本明細書で使用される場合、治療効果を生じるためにラジオイムノコンジュゲートを使用する方法を指す。一部の実施形態では、放射免疫療法は、それを必要とする対象にラジオイムノコンジュゲートを投与することを含み得、ラジオイムノコンジュゲートの投与は、対象において治療効果を生じる。一部の実施形態では、放射免疫療法は、細胞にラジオイムノコンジュゲートを投与することを含み得、ラジオイムノコンジュゲートの投与は細胞を殺滅する。放射免疫療法が、細胞の選択的殺滅を伴う場合、一部の実施形態では、細胞は、がんを有する対象におけるがん細胞である。
【0062】
「医薬組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化された、本明細書に記載されるラジオイムノコンジュゲートを含有する組成物を表す。一部の実施形態では、医薬組成物は、政府の規制当局の承認を得、哺乳動物における疾患の処置のための治療レジメンの一部として製造または販売される。医薬組成物は、例えば、単位剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット(caplet)、ジェルキャップ(gelcap)、またはシロップ剤)で経口投与するために;局所投与するために(例えば、クリーム、ゲル、ローション、または軟膏として);静脈内投与するために(例えば、微粒子塞栓を含まない滅菌溶液として、および静脈内での使用に適した溶媒系で);または本明細書に記載される任意の他の製剤中で製剤化することができる。
【0063】
「薬学的に許容される賦形剤」は、本明細書で使用される場合、患者において非毒性および非炎症性であるという特性を有する、本明細書に記載される化合物以外の任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁または溶解することが可能なビヒクル)を指す。賦形剤は、例えば付着防止剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング、圧縮補助剤、崩壊剤、色素(染料)、皮膚軟化剤、乳化剤、増量剤(希釈剤)、被膜形成剤またはコーティング、矯味矯臭剤、芳香剤、流動促進剤(glidant)(流動増強剤)、滑沢剤、保存剤、印刷インク、放射線保護剤、吸着剤、懸濁化剤または分散剤、甘味料、または湿潤化(hydration)のための水を含み得る。例示的な賦形剤としては、アスコルビン酸、ヒスチジン、リン酸緩衝液、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋型ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化シリコン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(コーン)、ステアリン酸、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、およびキシリトールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0064】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で使用される場合、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、またはアレルギー応答を起こすことなく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するために適した本明細書に記載される化合物の塩を表す。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知である。例えば、薬学的に許容される塩は:Berge et al., J. Pharmaceutical Sciences 66:1-19, 1977およびPharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, (Eds. P.H. Stahl and C.G. Wermuth), Wiley-VCH, 2008に記載されている。塩は、本明細書に記載される化合物の最終的な単離および精製の間にin situで、または遊離の塩基の基を適した有機酸と反応させることによって別個に調製することができる。
【0065】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩として調製することが可能であるようにイオン化可能な基を有し得る。これらの塩は、無機酸もしくは有機酸を含む酸付加塩であってもよく、または塩は、本発明の化合物の酸性形態の場合、無機塩基もしくは有機塩基から調製されてもよい。しばしば化合物は、薬学的に許容される酸または塩基の付加産物として調製される薬学的に許容される塩として調製または使用される。適した薬学的に許容される酸および塩基は当技術分野で周知であり、例えば酸付加塩を形成するための塩酸、硫酸、臭化水素酸、酢酸、乳酸、クエン酸、または酒石酸、ならびに塩基性の塩を形成するための水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、カフェイン、様々なアミンである。適切な塩を調製する方法は当技術分野で十分に確立されている。
【0066】
代表的な酸付加塩としては、中でも酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、およびエチルアミンを含むがこれらに限定されない非毒性のアンモニウム、4級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。
【0067】
「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、ペプチド結合によって互いに結合した一続きの少なくとも2つのアミノ酸を指す。一部の実施形態では、ポリペプチドは、その各々が少なくとも1つのペプチド結合によって他に結合している少なくとも3~5個のアミノ酸を含み得る。当業者は、ポリペプチドが、それでもポリペプチド鎖に組み込むことが可能な1つまたは複数の「非天然」のアミノ酸または他の実体を含み得ることを認識するであろう。一部の実施形態では、ポリペプチドをグリコシル化してもよく、例えばポリペプチドは、1つまたは複数の共有結合により連結された糖部分を含有し得る。一部の実施形態では、単一の「ポリペプチド」(例えば、抗体ポリペプチド)は、2つまたはそれより多くの個々のポリペプチド鎖を含んでもよく、これらは一部の場合では、例えば1つまたは複数のジスルフィド結合または他の手段によって互いに連結されてもよい。
【0068】
「対象」は、ヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を意味する。
【0069】
「実質的な同一性」または「実質的に同一な」は、2つの配列を最適に整列させた場合に、それぞれ参照配列と同じポリペプチド配列を有する、またはそれぞれ参照配列内の対応する位置で同じであるアミノ酸残基の指定されたパーセンテージを有するポリペプチド配列を意味する。例えば、参照配列と「実質的に同一である」アミノ酸配列は、参照アミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する。ポリペプチドの場合、比較配列の長さは、一般的に少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、50、75、90、100、150、200、250、300、または350連続アミノ酸(例えば、全長の配列)であろう。配列同一性は、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、WI53705)をデフォルト設定で使用して測定され得る。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、および他の改変に対して相同性の程度を割り当てることによって類似の配列を一致させ得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、「標的化部分」という用語は、所定の標的に結合することが可能な任意の分子または分子の任意の部分を指す。「IGF-1R標的化部分」という用語は、IGF-1R分子、例えば、ヒトIGF-1Rに結合することが可能な標的化部分を指す。
【0071】
本明細書で使用される場合、および当技術分野で十分に理解されているように、状態(例えば、がんなどの本明細書に記載される状態)を「処置する」または状態の「処置」は、有益なまたは所望の結果、例えば臨床結果を得るためのアプローチである。有益なまたは所望の結果は、検出可能であるか検出不能であるかによらず、1つまたは複数の症状または状態の軽減または改善;疾患、障害、または状態の程度の減少;疾患、障害、または状態の安定化した(すなわち、悪化しない)状況;疾患、障害、または状態の広がりの防止;疾患、障害、または状態の進行の遅延または減速;疾患、障害、または状態の改善または緩和;および寛解(部分寛解であるか完全寛解であるかによらず)を含み得るが、これらに限定されない。疾患、障害、または状態を「緩和する」ことは、処置の非存在下での程度または時間経過と比較して、疾患、障害、または状態の程度および/もしくは望ましくない臨床症状発現が弱められるか、ならびに/または進行の時間経過が減速されるもしくは長くなることを意味する。
【0072】
処置の方法
一態様では、がんを処置する方法であって、本明細書にさらに記載されるラジオイムノコンジュゲート(例えば、IGF-1R標的化部分を含むラジオイムノコンジュゲート)の有効量を含む医薬組成物を、投与することを必要とする対象(例えば、患者)に投与するステップを含み、対象がコールドIGF-1R標的化分子を共投与される方法を提供する。
【0073】
「コールドIGF-1R標的化分子」とは、IGF-1R標的化分子が放射性ではない、例えば放射性核種によって標識されていないことを意味する。「IGF-1R標的化分子」は、本明細書で使用される場合、IGF-1R標的化部分、例えば本明細書に記載される任意のIGF-1R標的化部分を含む分子を指す。例えば、一部の実施形態では、コールドIGF-1R標的化分子は、IGF-1Rに結合することが可能な抗体またはその抗原結合断片である。一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートおよびコールドIGF-1R標的化分子は、IGF-1R上の同じエピトープに結合することが可能である。
【0074】
投与
「共投与した」とは、ラジオイムノコンジュゲートおよびコールドIGF-1R標的化分子が、同時に、または対象に及ぼす各薬剤の効果の重複が存在し得るような間隔で対象に投与されることを意味する。ラジオイムノコンジュゲートおよびコールドIGF-1R標的化分子を、共に投与する必要はないが、共に投与してもよい。例えば、1つの薬剤を、他の薬剤の前に前投与してもよい。例えば、本開示の方法の文脈では、コールドIGF-1R標的化分子を、ラジオイムノコンジュゲートの前に前投与してもよい。例えば、一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートおよびコールドIGF-1R標的化部分は、互いに24時間以内(例えば、12、6、5、4、3、2、または1時間)に、または互いに約60、30、15、10、5、もしくは1分以内に投与される。一部の実施形態では、IGF-1R標的化部分は共に、例えば同じ製剤で、または例えば異なる製剤であるが同時である。
【0075】
「前投与した」とは、コールドIGF-1R標的化分子が、ラジオイムノコンジュゲートを投与する前に投与されることを意味する。例えば、一部の実施形態では、IGF-1R標的化分子は、ラジオイムノコンジュゲートが投与される5時間未満前、4時間未満前、3時間未満前、2時間未満前、1時間未満前、または30分未満前に投与される。
【0076】
一部の実施形態では、コールドIGF-1R標的化分子は、ラジオイムノコンジュゲートの投与前に前投与される。
【0077】
本明細書で開示されるラジオイムノコンジュゲートおよびその医薬組成物は、全身および局所投与経路を含む多様な投与経路のいずれかによって投与され得る。
【0078】
全身投与経路は、非経口経路および腸経路を含む。一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートまたはその医薬組成物は、非経口経路によって、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、または皮内に投与される。一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートまたはその医薬組成物は、静脈内に投与される。一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートまたはその医薬組成物は、腸投与経路によって、例えば経消化管または経口で投与される。
【0079】
局所投与経路は、腫瘍周囲注射および腫瘍内注射を含むがこれらに限定されない。
【0080】
投薬量
ラジオイムノコンジュゲートまたはそれを含む医薬組成物は、放射線処置計画、診断、および/または治療処置のために投与することができる。放射線処置計画または診断目的のために投与する場合、ラジオイムノコンジュゲートは、診断上有効な用量でおよび/または治療上有効な用量を決定するために有効な量で対象に投与され得る。治療適用において、医薬組成物は、状態(例えば、がん)に既に罹患している対象(例えば、患者)に、障害およびその合併症の症状を治癒するまたは少なくとも部分的に停止させるために十分な量で投与され得る。この目的を達成するために適切な量は、「治療有効量」、すなわち疾患または医学的状態に関連する少なくとも1つの症状を実質的に改善するために十分な化合物の量として定義される。例えば、がんの処置では、疾患または状態の任意の症状を減少させる、防止する、遅らせる、抑制する、または停止させる薬剤または化合物は、治療的に有効であろう。薬剤または化合物の治療有効量は、疾患もしくは状態を治癒することは要求されないが、例えば疾患もしくは状態の開始が遅延される、妨害される、もしくは防止されるように、疾患もしくは状態の症状が改善するように、または疾患もしくは状態の期間が変化するように、疾患または状態に関する処置を提供し得る。例えば、疾患または状態は、個体においてより重度でなくなり、および/または回復が加速する。一部の実施形態では、対象は、放射線処置計画のために有効な量のラジオイムノコンジュゲートまたは組成物の第1の用量を投与され、次に治療有効量のラジオイムノコンジュゲートまたは組成物の第2の用量または用量の組を投与される。
【0081】
有効量は、疾患または状態の重症度、および対象の他の特徴(例えば、体重)に依存し得る。対象(例えば、哺乳動物、例えばヒト)に関する本開示のラジオイムノコンジュゲートおよび組成物の治療有効量は、個体の差(例えば、対象の年齢、体重、および状態の差)を考慮して当業者が決定することができる。
【0082】
一部の実施形態では、対象(例えば、患者)は、0.1~10mg/kg(例えば、0.2~8mg/kg、0.3~7mg/kg、0.4~6mg/kg、0.5~5mg/kg、0.5~4mg/kg、0.5~3mg/kg、0.5~2mg/kg、または0.5~1mg/kg)の投薬量のコールドIGF-1R標的化分子(例えば、IGF-1R抗体)を前投与または共投与される。一部の実施形態では、患者は、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.5mg/kg、約2.0mg/kg、約2.5mg/kg、約3.0mg/kg、約4.0mg/kg、約5.0mg/kg、約6.0mg/kg、約7.0mg/kg、約8.0mg/kg、約9.0mg/kg、または約10mg/kgのコールドIGF-1R抗体を前投与または共投与される。一部の実施形態では、患者は、0.5~3mg/kg(例えば、0.5mg/kgまたは1.5mg/kg)の投薬量のコールドIGF-1R標的化分子(例えば、IGF-1R抗体)を前投与される。
【0083】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、前記患者の体重の10kBq~100kBq/kg(例えば、15kBq~80kBq/kg、20kBq~60kBq/kg、25kBq~50kBq/kg、30kBq~40kBq/kg、25kBq~40kBq/kg、20kBq~40kBq/kg、または15kBq~40kBq/kg)の投薬量で投与される。一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、前記患者の体重の15kBq~40kBq/kg(例えば、約15kBq/kg、約20kBq/kg、約25kBq/kg、約30kBq/kg、約35kBq/kg、約40kBq/kg)の投薬量で投与される。
【0084】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、前記患者の体重の20kBq~300kBq/kg(例えば、20kBq~200kBq/kg、20kBq~150kBq/kg、20kBq~100kBq/kg、25kBq~50kBq/kg、30kBq~60kBq/kg、35kBq~70kBq/kg、または35kBq~80kBq/kg)の累積曝露量で投与される。
【0085】
本発明の方法を実践するために、IGF-1Rを標的とするラジオイムノコンジュゲートまたはコールドIGF-1R標的化分子のいずれかを、単回用量または複数回用量で(例えば、任意の所定の処置内で2回、3回、または4回)投与することができる。
【0086】
有効量を含む本明細書に開示されるラジオイムノコンジュゲートの1回または複数回投与は、処置する医師によって選択される用量レベルおよびパターンで行うことができる。用量および投与スケジュールは、対象における疾患または状態の重症度に基づいて決定および調整することができ、これは臨床医によって一般的に実践される方法または本明細書に記載されるものに従って処置の経過を通してモニターされ得る。放射能線量に関して、非限定的な例として、一部の実施形態では、対象(例えば、患者)は、約0.5~3mg/kg(例えば、0.5mg/kgまたは1.5mg/kg)のコールドIGF-1R抗体を前投与された後、IGF-1R標的化ラジオイムノコンジュゲートを約15kBq~40kBq/kg(例えば、15kBq/kgまたは30kBq/kg)の投薬量で投与される。
【0087】
機能的アウトプット
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、参照レベルと比較して測定した場合に1つまたは複数の改善された特徴を示す。本明細書で使用される場合、「参照レベル」という用語は、実験動物モデルまたは臨床試験において対照方法の使用によって決定されたレベルである。一部の実施形態では、参照レベルは、同じラジオイムノコンジュゲート(および一部の実施形態では、放射能線量を含む同じ投与プロトコールによって)を投与されたが、コールドIGF-1R標的化分子を共投与されていない対象において観察されるレベルを指す。
【0088】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、参照レベルと比較してラジオイムノコンジュゲートの腫瘍への取り込みの増加、例えばラジオイムノコンジュゲートの投与後24時間で参照レベルより、腫瘍において少なくとも1.2倍高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2.0倍高い、少なくとも2.5倍高い、または少なくとも3倍高いレベルを示す。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後48時間で参照レベルより、腫瘍において少なくとも1.2倍高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2.0倍高い、少なくとも2.5倍高い、または少なくとも3倍高いレベルを示す。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後96時間で参照レベルより、腫瘍において少なくとも1.2倍高い、少なくとも1.5倍高い、少なくとも2.0倍高い、少なくとも2.5倍高い、または少なくとも3倍高いを示す。
【0089】
一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後24時間で腫瘍において10%より高い、15%より高い、または20%より高い%ID/gを示す。一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後96時間で腫瘍において10%より高い、15%より高い、20%より高い、25%より高い、30%より高い、35%より高い、40%より高い、または45%より高い%ID/gを示す。
【0090】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、参照レベルと比較して1つまたは複数の正常(非腫瘍)組織におけるラジオイムノコンジュゲートの取り込みの低減、例えば、ラジオイムノコンジュゲートの投与後24時間で1つまたは複数の正常組織において、参照レベルの90%もしくはそれ未満、85%もしくはそれ未満、80%もしくはそれ未満、75%もしくはそれ未満、70%もしくはそれ未満、65%もしくはそれ未満、60%もしくはそれ未満、65%もしくはそれ未満、または50%もしくはそれ未満を示す。一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後48時間で1つまたは複数の正常組織において、参照レベルの90%もしくはそれ未満、85%もしくはそれ未満、80%もしくはそれ未満、75%もしくはそれ未満、70%もしくはそれ未満、65%もしくはそれ未満、60%もしくはそれ未満、65%もしくはそれ未満、または50%もしくはそれ未満を示す。一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後96時間で1つまたは複数の正常組織において、参照レベルの90%もしくはそれ未満、85%もしくはそれ未満、80%もしくはそれ未満、75%もしくはそれ未満、70%もしくはそれ未満、65%もしくはそれ未満、60%もしくはそれ未満、65%もしくはそれ未満、または50%もしくはそれ未満を示す。
【0091】
一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後4時間で、内部臓器(例えば、腸、腎臓、副腎、肝臓、胆嚢、肺、脾臓、皮膚、および/または膀胱)において10%未満の%ID/gを示す。一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後24時間で、内部臓器(例えば、腸、腎臓、副腎、肝臓、胆嚢、肺、脾臓、皮膚、および/または膀胱)において10%未満の%ID/gを示す。一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後48時間で、内部臓器(例えば、腸、腎臓、副腎、肝臓、胆嚢、肺、脾臓、皮膚、および/または膀胱)において10%未満の%ID/gを示す。一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後96時間で、内部臓器(例えば、腸、腎臓、副腎、肝臓、胆嚢、肺、脾臓、皮膚、および/または膀胱)において10%未満の%ID/gを示す。
【0092】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、例えば血中のより高い%ID/gによって証明されるように、参照レベルと比較して血液からのラジオイムノコンジュゲートのクリアランスの低減を示す。
【0093】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後24時間で、参照レベルより少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、または少なくとも30倍高い血中の放射能レベルを示す。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後48時間で、参照レベルより少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍高い血中の放射能レベルを示す。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後96時間で、参照レベルより少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍高い血中の放射能レベルを示す。
【0094】
一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後24時間の血中で10%より高い、15%より高い、20%より高い、または25%より高い%ID/gを示す。一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後48時間の血中で10%より高い、12.5%より高い、15%より高い、または17.5%より高い%ID/gを示す。一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後96時間の血中で10%より高い、12.5%より高い、または15%より高い%ID/gを示す。
【0095】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、例えば尿中のより低い%ID/gによって証明されるように、参照レベルと比較して尿中のラジオイムノコンジュゲートの排泄の低減を示す。
【0096】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後24時間で、参照レベルと比較して75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、または25%未満の尿中の放射能レベルを示す。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後48時間で、参照レベルと比較して75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、または25%未満の尿中の放射能レベルを示す。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後96時間で、参照レベルと比較して75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、または25%未満の尿中の放射能レベルを示す。
【0097】
一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後24時間の尿中で10%未満、8%未満、または6%未満の%ID/gを示す。一部の実施形態では、対象は、ラジオイムノコンジュゲートの投与後96時間の尿中で10%未満の%ID/gを示す。
【0098】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって処置されている対象は、参照レベルと比較して毒性の低減を示す。一部の実施形態では、毒性は、臨床観察(例えば、副作用の重症度および/または頻度)、食物消費、体重、眼科検査、血液学、臨床化学、尿分析、および生検組織の検査の1つまたは複数に基づいて評価される。
【0099】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法の使用により、対象は、対象がコールドIGF-1R標的化分子を前投与されていないまたは共投与されていない方法より高い放射能線量に耐容性となることが可能となる。
【0100】
対象
一部の開示される方法では、治療(例えば、治療剤を含む)は対象に投与される。一部の実施形態では、対象は患者である。
【0101】
一部の実施形態では、対象はがんを有するか、またはがんを発症するリスクがある。例えば、対象は、がんを有すると診断されていてもよい。例えば、がんは、原発がんまたは転移がんであり得る。対象は、任意のステージ、例えばリンパ節の関与を伴うまたは伴わない、および転移を伴うまたは伴わない、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVのがんを有し得る。提供されるラジオイムノコンジュゲートおよび組成物は、がんのさらなる成長を防止もしくは低減し得る、および/またはそうでなければがんを改善(例えば、転移を防止または低減)し得る。一部の実施形態では、対象は、がんを有していないが、例えば、1つまたは複数の危険因子の存在、例えば環境への暴露、1つまたは複数の遺伝的変異またはバリアントの存在、家族歴等のためにがんを発症するリスクがあると決定されている。一部の実施形態では、対象はがんを有すると診断されていない。
【0102】
一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍がん、例えば肉腫または癌腫である。
【0103】
一部の実施形態では、固形腫瘍がんは、副腎皮質癌、膀胱がん(例えば、尿路上皮癌)、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がんまたはTNBC)、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜腺癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、神経膠腫(例えば、多形性神経膠芽腫)、頭頸部がん(例えば、頭頸部がん扁平細胞癌またじゃHNSCC)、肝臓がん、肺がん(例えば、小細胞肺がんまたは非小細胞肺がん、または肺の腺癌)、神経芽腫、神経内分泌がん、卵巣がん、膵臓がん(例えば、膵臓外分泌癌)、前立腺がん、腎細胞癌、唾液腺腺様嚢胞がん、精母細胞性セミノーマまたはブドウ膜黒色腫である。
【0104】
一部の実施形態では、がんは、膀胱がん、乳がん、頭頸部がん、肝臓がん、および肺がんからなる群より選択される。一部の実施形態では、がんは膀胱がんである。一部の実施形態では、がんは頭頸部がんである。一部の実施形態では、がんは肝臓がんである。一部の実施形態では、がんは、マイクロサテライト不安定性が高い(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)固形腫瘍である切除不能または転移性固形腫瘍である。
ラジオイムノコンジュゲート
【0105】
本明細書に開示される方法に従って使用されるラジオイムノコンジュゲートは、一般的に式I:
A-L-B
式I
の構造を有し、
式中、Aは、キレート部分またはその金属錯体であり、Bは、IGF-1R標的化部分であり、およびLはリンカーである。
【0106】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、以下に示す構造:
【化9】
を有するかまたは含み、
式中、Bは、IGF-1R標的化部分である。
【0107】
一部の実施形態では、A-L-は、
(i)
【化10】
(ii)
【化11】
(iii)
【化12】
および
(iv)
【化13】
からなる群より選択される部分の金属錯体である。
【0108】
一部の実施形態では、本明細書にさらに記載されるように、ラジオイムノコンジュゲートは、キレート部分またはその金属錯体を含み、金属錯体は放射性核種を含み得る。一部のそのようなラジオイムノコンジュゲートにおいて、キレート部分のIGF-1R標的化部分に対する比の平均値または比の中央値は、8もしくはそれ未満、7もしくはそれ未満、6もしくはそれ未満、5もしくはそれ未満、4もしくはそれ未満、3もしくはそれ未満、2もしくはそれ未満、または約1である。一部のラジオイムノコンジュゲートでは、キレート部分のIGF-1R標的化部分に対する比の平均値または比の中央値は約1である。
【0109】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートを患者に投与後、腸経路、腎経路、または両方により排泄される放射線の割合(投与される放射線の全量の割合)は、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な患者によって排泄される放射線の割合より高い。「参照イムノコンジュゲート」とは、本明細書に記載されるラジオイムノコンジュゲートと、少なくとも(1)異なるリンカーを有すること;(2)異なるサイズの標的化部分を有すること、および/または(3)標的化部分を欠如すること、によって異なる公知のラジオイムノコンジュゲートを意味する。一部の実施形態では、参照ラジオイムノコンジュゲートは、[90Y]-イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(90Y))および[111In]-イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(111In))からなる群より選択される。
【0110】
一部の実施形態では、所定の経路または経路の組により排泄される放射線の割合は、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な患者によって、同じ経路により排泄される放射線の割合より少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%高い。一部の実施形態では、排泄される放射線の割合は、参照ラジオイムノコンジュゲートを投与されている同等な患者によって排泄される放射線の割合より少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍高い。排泄の程度は、当技術分野で公知の方法によって、例えば尿および/もしくは便中の放射能を測定することによって、ならびに/または一定期間での全身放射能を測定することによって測定することができる。例えば、国際特許公開WO2018/024869号も参照されたい。
【0111】
一部の実施形態では、排泄の程度は、投与後少なくとももしくは約12時間、投与後少なくとももしくは約24時間、投与後少なくとももしくは約2日、投与後少なくとももしくは約3日、投与後少なくとももしくは約4日、投与後少なくとももしくは約5日、投与後少なくとももしくは約6日、または投与後少なくとももしくは約7日の期間で測定される。
【0112】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートを患者に投与後、ラジオイムノコンジュゲートは、参照コンジュゲート(例えば、参照ラジオイムノコンジュゲートなどの参照イムノコンジュゲート)と比較して、減少したオフターゲット結合効果(例えば、毒性)を示す。一部の実施形態では、この減少したオフターゲット結合効果は、本明細書に記載されるより大きい排泄速度も示すラジオイムノコンジュゲートの特色である。
【0113】
標的化部分
標的化部分は、所定の標的、例えばIGF-1Rに結合することが可能である任意の分子または分子の任意の部分を含む。一部の実施形態では、標的化部分は、タンパク質またはポリペプチドを含む。一部の実施形態では、標的化部分は、抗体またはその抗原結合性断片、ナノボディ、アフィボディ、およびフィブロネクチンIII型ドメインからのコンセンサス配列(例えば、センチリンまたはアドネクチン)からなる群より選択される。一部の実施形態では、部分は、標的化部分と治療部分の両方であり、すなわち、部分は、所定の標的に結合することが可能で、なおかつ治療利益も付与する。一部の実施形態では、標的化部分は低分子を含む。
【0114】
抗体および抗原結合部分
抗体は、典型的に、ジスルフィド結合によって共に連結された2つの同一の軽鎖ポリペプチド鎖および2つの同一の重鎖ポリペプチド鎖を含む。各鎖のアミノ末端に位置する第1のドメインは、アミノ酸配列が可変であり、各個々の抗体の抗体結合特異性を提供する。これらは、重鎖可変(VH)および軽鎖可変(VL)領域として公知である。各鎖の他のドメインは、アミノ酸配列が相対的に不変であり、重鎖定常(CH)および軽鎖定常(CL)領域として公知である。軽鎖は典型的に、1つの可変領域(VL)および1つの定常領域(CL)を含む。IgG重鎖は、可変領域(VH)、第1の定常領域(CH1)、ヒンジ領域、第2の定常領域(CH2)、および第3の定常領域(CH3)を含む。IgEおよびIgM抗体では、重鎖は、追加の定常領域(CH4)を含む。
【0115】
本開示において使用するために適した抗体は、例えばモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ科(camelid)抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および上記のいずれかの抗原結合性断片を含み得る。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、キメラである。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスの抗体であり得る。
【0116】
抗体の「抗原結合性断片」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合する能力を保持している抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の「抗原結合性断片」という用語内に包含される結合性断片の例としては、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv断片、dAb断片(Ward et al.,(1989) Nature 341:544-546)、および単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。一部の実施形態では、「抗原結合性断片」は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。これらの抗体断片は、当業者に公知の通常の技術を使用して得ることができ、断片を、無傷抗体と同じように有用性に関してスクリーニングすることができる。
【0117】
本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、抗体の合成に関して当技術分野で公知の任意の方法によって産生することができる(例えば、Harlow et al., Antibodies : A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Brinkman et al., 1995, J. Immunol. Methods 182:41-50;WO92/22324号;WO98/46645号を参照されたい)。キメラ抗体は、例えば、Morrison, 1985, Science 229:1202に記載される方法を使用して産生することができ、ヒト化抗体は、例えば米国特許第6,180,370号に記載される方法によって産生することができる。
【0118】
本明細書に記載される追加の抗体は、例えばSegal et al., J. Immunol. Methods 248:1-6(2001);およびTutt et al., J. Immunol. 147: 60(1991)に記載される二特異性抗体および多価抗体、または本明細書に記載される分子のいずれかである。
【0119】
「アビマー(avimer)」は、例えばin vitroエクソンシャッフリングおよびファージディスプレイを使用して操作された多量体結合タンパク質またはペプチドに関する。複数の結合ドメインが連結され、単一エピトープの免疫グロブリンドメインと比較してより高い親和性および特異性をもたらす。
【0120】
「ナノボディ」は、単一の単量体可変抗体ドメインからなる抗体断片である。ナノボディはまた、シングルドメイン抗体とも呼ばれ得る。抗体と同様に、ナノボディは、特異的抗原に選択的に結合することが可能である。ナノボディは、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインであり得る。ナノボディは、天然に存在し得るか、または生物学的操作の産物であり得る。ナノボディは、部位特異的変異誘発または変異原性スクリーニング(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)によって生物学的に操作され得る。「アフィボディ」は、特異的抗原に結合するように操作されたポリペプチドまたはタンパク質である。そのため、アフィボディは、抗体のある特定の機能を模倣すると考えられ得る。
【0121】
アフィボディは、ブドウ球菌プロテインAの免疫グロブリン結合領域におけるBドメインの操作されたバリアントであり得る。アフィボディは、Fab領域に対してより低い親和性を有するBドメインであるZドメインの操作されたバリアントであり得る。アフィボディは、部位特異的変異誘発または変異原性スクリーニング(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)によって生物学的に操作され得る。
【0122】
多様な異なるタンパク質(例えば、インスリン、フィブリノゲン、トランスフェリン、腫瘍壊死因子-α、IL-8、gp120、CD28、ヒト血清アルブミン、IgA、IgE、IgM、HER2、およびEGFR)に対して特異的結合を示すアフィボディ分子が生成されており、μMからpM範囲の親和性(Kd)を実証している。「ダイアボディ(diabody)」は、二価または二特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、Hudson et al.,(2003)を参照されたい。一本鎖抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部を含む抗体断片である。抗体断片は、無傷抗体のタンパク質分解消化ならびに本明細書に記載される組換え宿主(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製することができる。
【0123】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、多重特異性、例えば二特異性である。多重特異性抗体(またはその抗原結合性断片)は、少なくとも2つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体(またはその抗原結合性断片)を含む。
【0124】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片のアミノ酸配列バリアント、例えばヒトIGF-1Rに結合することが可能なバリアントが企図される。例えば、抗体またはその抗原結合性断片の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合があり得る。抗体またはその抗原結合性断片のアミノ酸配列バリアントは、抗体もしくはその抗原結合性断片をコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入することによって、またはペプチド合成によって調製され得る。そのような改変は、例えば抗体またはその抗原結合性断片のアミノ酸配列内の残基の欠失、および/または挿入、および/または置換を含む。最終構築物が所望の特徴、例えば抗原結合を保有する限り、欠失、挿入、および置換の任意の組合せを作製して、最終構築物に到達することができる。
【0125】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、阻害性抗体(「アンタゴニスト抗体」とも呼ばれる)またはその抗原結合性断片、例えば本明細書においてさらに説明するように、標的分子(例えば、IGF-1R)の1つまたは複数の機能を少なくとも部分的に阻害する抗体またはその抗原結合性断片である。
【0126】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、アゴニスト抗体(刺激性抗体としても公知である)である。
【0127】
IGF-1Rに結合することが可能な抗体またはその抗原結合断片の例としては、フィギツムマブ、シクスツムマブ、ダロツズマブ、ガニツマブ、AVE1642(ヒト化EM164およびhuEM164としても知られる)、BIIB002、ロバツムマブ、およびテプロツムマブ、およびその抗原結合断片が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、AVE1642またはそのIGF-1R結合断片である。
【0128】
本開示のある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、本明細書に記載される特異的重鎖相補性決定領域CDR-H1、CDR-H2、および/またはCDR-H3を含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片の相補性決定領域(CDR)は、フレームワーク領域に隣接する。3つのCDRを含有する抗体またはその抗原結合性断片の重鎖または軽鎖は、典型的に4つのフレームワーク領域を含有する。
【0129】
一部の実施形態では、AVE1642の軽鎖可変領域のCDRは、配列:
配列番号1 (CDR-L1) RSSQSIVHSNVNTYLE
配列番号2 (CDR-L2) KVSNRFS
配列番号3 (CDR-L3) FQGSHVPPT
を有する。
【0130】
一部の実施形態では、AVE1642の軽鎖可変領域は、配列:
配列番号9
DVVMTQTPLSLPVSLGDPASISCRSSQSIVHSNVNTYLEWYLQKPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGAGTDFTLRISRVEAEDLGIYYCFQGSHVPPTFGGGTKLEIKR
を有する。
【0131】
一部の実施形態では、AVE1642の軽鎖は、配列:
配列番号4
DVVMTQTPLSLPVSLGDPASISCRSSQSIVHSNVNTYLEWYLQKPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGAGTDFTLRISRVEAEDLGIYYCFQGSHVPPTFGGGTKLEIKRTVAAPSV FIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAK
を含む。
【0132】
一部の実施形態では、AVE1642の重鎖可変領域のCDRは、配列:
配列番号5 (CDR-H1) SYWMH
配列番号6 (CDR-H2) EINPSNGRTNYNQKFQG
配列番号7 (CDR-H3) GRPDYYGSSKWYFDV
を有する。
【0133】
一部の実施形態では、AVE1642の重鎖可変領域は、配列:
配列番号10
QVQLVQSGAEVVKPGASVKLSCKASGYTFTSYWMHWVKQRPGQGLEWIGEINPSNGRTNYNQKFQGKATLTVDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYFARGRPDYYGSSKWYFDVWGQGTTVTVSS
を有する。
【0134】
一部の実施形態では、AVE1642の重鎖は、配列:
配列番号8
QVQLVQSGAEVVKPGASVKLSCKASGYTFTSYWMHWVKQRPGQGLEWIGEINPSNGRTNYNQKFQGKATLTVDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYFARGRPDYYGSSKWYFDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALG
を含む。
【0135】
一部の実施形態では、抗体、またはその抗体結合断片は、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3
より選択される少なくとも1つ、2つ、または3つ全ての相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0136】
一部の実施形態では、抗体、またはその抗体結合断片は、
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H3
より選択される少なくとも1つ、2つ、または3つ全てのCDRを含む重鎖可変ドメインを含む。
【0137】
ある特定の実施形態では、抗体、またはその抗体結合断片は、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2;
(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H3
より選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ全てのCDRを含む重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含む。
【0138】
一部の実施形態では、抗体、またはその抗体結合断片は、重鎖可変ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含むことを特色とする。
【0139】
一部の実施形態では、抗体、またはその抗体結合断片は、軽鎖可変ドメインが、配列番号9のアミノ酸配列を含むことを特色とする。
【0140】
抗体またはその抗原結合性断片は、天然および/または合成起源の任意の抗体またはその抗原結合性断片、例えば哺乳動物起源の抗体であり得る。一部の実施形態では、定常ドメインは、存在する場合、ヒト定常ドメインである。一部の実施形態では、可変ドメインは、哺乳動物可変ドメイン、例えばヒト化またはヒト可変ドメインである。
【0141】
一部の実施形態では、本開示に従って使用される抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗体は、組換えマウス抗体、キメラ、ヒト化または完全ヒト抗体、多重特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、またはその抗原結合性断片である。
【0142】
ポリペプチド
ポリペプチドは、例えば多様な血液学的作用物質(例えば、エリスロポエチン、血液凝固因子等)、インターフェロン、コロニー刺激因子、抗体、酵素、およびホルモンのいずれかを含む。特定のポリペプチドの正体は、本開示を限定すると意図されず、目的の任意のポリペプチドが、本発明の方法におけるポリペプチドであり得る。
【0143】
本明細書に記載の参照ポリペプチドは、目的の標的に結合することが可能な(例えば、抗原、例えばIGF-1Rに結合することが可能な)標的結合ドメインを含み得る。例えば、ポリペプチド、例えば抗体は、膜貫通ポリペプチド(例えば、受容体)またはリガンド(例えば、増殖因子)に結合することができる。
【0144】
改変ポリペプチド
本開示の組成物および方法と共に使用するために適したポリペプチドは、改変されたアミノ酸配列を有し得る。改変されたポリペプチドは、対応する参照ポリペプチドと実質的に同一であり得る(例えば、改変ポリペプチドのアミノ酸配列は、参照ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有し得る)。ある特定の実施形態では、改変は、所望の生物活性(例えば、IGF-1Rに対する結合)を有意に破壊しない。改変は、効果を低減してもよく(例えば、少なくとも5%、10%、20%、25%、35%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、または95%)、効果を有しなくてもよく、または元のポリペプチドの生物活性を増加させてもよい(例えば、少なくとも5%、10%、25%、50%、100%、200%、500%、または1000%)。改変ポリペプチドは、ポリペプチドの特徴、例えばin vivo安定性、バイオアベイラビリティ、毒性、免疫活性、免疫学的同一性、およびコンジュゲーション特性を有してもよく、または最適化してもよい。
【0145】
改変は、天然のプロセスによる改変、例えば翻訳後プロセシングまたは当技術分野で公知の化学改変技術による改変を含む。改変は、ポリペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシ末端を含むポリペプチドのどこでも起こり得る。同じ型の改変が、所定のポリペプチドにおけるいくつかの部位で同じまたは異なる程度に存在してもよく、ポリペプチドは、1つより多くの型の改変を含有してもよい。ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分岐してもよく、分岐を伴うまたは伴わない環状であってもよい。環状、分岐、および分岐環状ポリペプチドは、翻訳後の天然のプロセスに起因してもよく、または合成によって作製してもよい。他の改変としては、peg化、アセチル化、アシル化、アセトアミドメチル(acetomidomethyl)(Acm)基の付加、ADP-リボシル化、アルキル化、アミド化、ビオチン化、カルバモイル化、カルボキシエチル化、エステル化、フラビンとの共有結合、ヘム部分との共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、薬物の共有結合、マーカー(例えば、蛍光または放射性)の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合性架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アミノ酸のタンパク質へのトランスファーRNA媒介付加、例えばアルギニル化およびユビキチン化が挙げられる。
【0146】
改変ポリペプチドはまた、ポリペプチド配列にアミノ酸の挿入、欠失、または保存的もしくは非保存的(例えば、D-アミノ酸、デスアミノ酸(desamino acid))のいずれかの置換を含み得る(例えば、そのような変化は、ポリペプチドの生物活性を実質的に変更しない)。特に、1つまたは複数のシステイン残基を、本明細書のポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端に付加すると、例えば、ジスルフィド結合によってこれらのポリペプチドのコンジュゲーションを促進することができる。例えば、ポリペプチドは、アミノ末端で単一のシステイン残基、またはカルボキシ末端で単一のシステイン残基を含むように改変することができる。アミノ酸置換は、保存的(すなわち、残基は同じ一般的な型または群の別の残基に交換される)または非保存的(すなわち、残基は別の型のアミノ酸に交換される)であり得る。加えて、天然に存在するアミノ酸を、天然に存在しないアミノ酸の代わりに使用することができる(すなわち、天然に存在しない保存的アミノ酸置換または天然に存在しない非保存的アミノ酸置換)。
【0147】
合成により作製されるポリペプチドは、DNAによって天然にコードされないアミノ酸(例えば、天然に存在しないまたは非天然のアミノ酸)の置換を含み得る。天然に存在しないアミノ酸の例としては、D-アミノ酸、N-保護アミノ酸、システインのイオウ原子に結合したアセチルアミノメチル基を有するアミノ酸、peg化アミノ酸、nが2~6である式NH2(CH2)nCOOHのオメガアミノ酸、中性非極性アミノ酸、例えばサルコシン、t-ブチルアラニン、t-ブチルグリシン、N-メチルイソロイシン、およびノルロイシンが挙げられる。フェニルグリシンをTrp、Tyr、またはPheの代わりに使用してもよい;シトルリンおよびメチオニンスルホキシドは中性非極性であり、システイン酸は、酸性であり、およびオルニチンは塩基性である。プロリンを、ヒドロキシプロリンに置換してもよく、特性を付与するコンフォメーションを保持し得る。
【0148】
アナログは、置換変異誘発によって生成され、元のポリペプチドの生物活性を保持し得る。「保存的置換」として同定された置換の例を表1に示す。そのような置換が、望ましくない変化をもたらす場合、表1で「例示的な置換」と称する、またはアミノ酸のクラスに関連して本明細書においてさらに記載される他の型の置換を導入し、産物をスクリーニングする。
【0149】
【0150】
機能または免疫学的同一性における実質的な改変は、(a)例えばシートもしくはヘリックスコンフォメーションとしての置換領域におけるポリペプチド骨格の構造の維持、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性の維持、および/または(c)側鎖のかさの維持に及ぼすその効果が有意に異なる置換を選択することによって達成される。
【0151】
キレート部分またはその金属錯体
キレート部分
適したキレート部分の例としては、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA(1R,4R,7R,10R)-α,α’,α”,α’”-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセトアミド-メチレンホスホン酸))、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、およびHP-DO3A(10-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0152】
一部の実施形態では、キレート部分はDOTAである。
【0153】
一部の実施形態では、キレート部分は、検出剤として有用であり、したがってそのような検出可能なキレート部分を含むラジオイムノコンジュゲートを、診断剤またはセラノスティクス剤として使用することができる。
【0154】
放射性同位体および放射性核種
一部の実施形態では、金属錯体は、放射性核種を含む。適した放射性核種の例としては、44Sc、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Ga、67Ga、67Cu、68Ga、75Br、76Br、77Br、82Rb、89Zr、86Y、87Y、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、123I、124I、125I、131I、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、117mSn、186Re、188Re、198Au、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、および229Thが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
一部の実施形態では、放射性核種はアルファ放射体、例えば、アスタチン-211(211At)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、アクチニウム-225(225Ac)、ラジウム-223(223Ra)、鉛-212(212Pb)、トリウム-227(227Th)、またはテルビウム-149(149Tb)、またはその子孫核種である。一部の実施形態では、アルファ放射体は、アクチニウム-225(225Ac)、またはその子孫核種である。
【0156】
リンカー
一部の実施形態では、リンカーは、以下:
A-L1-(L2)n-B
式II
(AおよびBは、式Iで定義されるとおりである)
に示されるように式IIの構造内にある。
【0157】
そのため、一部の実施形態では、リンカーは、L1-(L2)nであり、
L1が、結合、必要に応じて置換されたC1~C6アルキル、必要に応じて置換されたC1~C6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり;
nが、1~5(両端を含む)の整数であり;および
各々のL2が、独立して構造:
-X1-L3-Z1-
式III
を有し、式中
X1が、-C(O)NR1-*、-NR1C(O)-*、-C(S)NR1-*、-NR1C(S)-*、-OC(O)NR1-*、-NR1C(O)O-*、-NR1C(O)NR1-、-CH2-Ph-C(O)NR1-*、-NR1C(O)-Ph-CH2-*、-CH2-Ph-NH-C(S)NR1-*、-NR1C(S)-NH-Ph-CH2-*、-O-、または-NR1-であり、式中「*」が、L3との結合点を示し、および各々のR1が、独立して水素、必要に応じて置換されたC1~C6アルキル(例えば、オキソ、ヘテロアリールまたはそれらの組み合わせで必要に応じて置換されたC1~C6アルキル)、必要に応じて置換されたC1~C6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されたアリールもしくはヘテロアリールであり;
L3が、必要に応じて置換されたC1~C50アルキルまたは必要に応じて置換されたC1~C50ヘテロアルキル(例えば、(CH2CH2O)2-20)であり;ならびに
Z1が、-CH2-、-C(O)-、-C(S)-、-OC(O)-#、-C(O)O-#、-NR2C(O)-#、-C(O)NR2-#、または-NR2-であり、式中「#」が、Bとの結合点を示し、および各々のR2が、独立して水素、必要に応じて置換されたC1~C6アルキル、必要に応じて置換されたC1~C6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、または必要に応じて置換されたヘテロアリールである。一部の実施形態では、R2は、ピロリジン-2,5-ジオンである。
【0158】
一部の実施形態では、L1は、置換されたC1~C6アルキルまたは置換されたC1~C6ヘテロアルキルであり、置換基は、ヘテロアリール基(例えば、6員の窒素含有ヘテロアリール)を含む。一部の実施形態では、L1は、C1~C6アルキルである。例えば、L1は、-CH2CH2-である。一部の実施形態では、L1は、結合である。
【0159】
一部の実施形態では、X1は、-C(O)NR1-*であり、「*」は、L3との結合点を示し、およびR1は、Hである。
【0160】
一部の実施形態では、L3は、必要に応じて置換されたC1~C50アルキル(例えば、C1~C40アルキル、C1~C30アルキル、C1~C20アルキル、C2~C18アルキル、C3~C16アルキル、C4~C14アルキル、C5~C12アルキル、C6~C10アルキル、C8~C10アルキル、またはC10アルキル)である。
【0161】
一部の実施形態では、L3は、必要に応じて置換されたC1~C50ヘテロアルキル(例えば、C1~C40ヘテロアルキル、C1~C30ヘテロアルキル、C1~C20ヘテロアルキル、C2~C18ヘテロアルキル、C3~C16ヘテロアルキル、C4~C14ヘテロアルキル、C5~C12ヘテロアルキル、C6~C10ヘテロアルキル、C8~C10ヘテロアルキル、C4ヘテロアルキル、C6ヘテロアルキル、C8ヘテロアルキル、C10ヘテロアルキル、C12ヘテロアルキル、C16ヘテロアルキル、C20ヘテロアルキル、またはC24ヘテロアルキル)である。
【0162】
一部の実施形態では、L3は、1~20個のオキシエチレン(-O-CH2-CH2-)単位、例えば、2個のオキシエチレン単位(PEG2)、3個のオキシエチレン単位(PEG3)、4個のオキシエチレン単位(PEG4)、5個のオキシエチレン単位(PEG5)、6個のオキシエチレン単位(PEG6)、7個のオキシエチレン単位(PEG7)、8個のオキシエチレン単位(PEG8)、9個のオキシエチレン単位(PEG9)、10個のオキシエチレン単位(PEG10)、12個のオキシエチレン単位(PEG12)、14個のオキシエチレン単位(PEG14)、16個のオキシエチレン単位(PEG16)、または18個のオキシエチレン単位(PEG18)を含むポリエチレングリコール(PEG)部分を含む、必要に応じて置換されたC1~C50ヘテロアルキルである。
【0163】
ある特定の実施形態では、L
3は、1~20個のオキシエチレン(-O-CH
2-CH
2-)単位を含むポリエチレングリコール(PEG)部分またはその一部を含む、必要に応じて置換されたC
1~50ヘテロアルキルである。例えば、L
3は、以下に示されるPEG3:
【化14】
を含む。
【0164】
一部の実施形態では、L3は、(CH2CH2O)m(CH2)wであり、mおよびwは、各々独立して0~10(両端を含む)の間の整数であり、mおよびwの少なくとも1つは、0ではない。
【0165】
一部の実施形態では、L3は、置換されたC1~C50アルキルまたは置換されたC1~C50ヘテロアルキルであり、置換基はヘテロアリール基(例えば、6員の窒素含有ヘテロアリール)を含む。
【0166】
一部の実施形態では、Aは、1つまたは複数のヘテロアリール基を含む大環状キレート部分(例えば、6員の窒素含有ヘテロアリール)である。
架橋基
【0167】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、キレート、リンカー、および架橋基を含む二官能性キレートを使用して合成される。ラジオイムノコンジュゲートが形成されると、架橋基は、ラジオイムノコンジュゲートに存在しなくてもよい。
【0168】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートは、標的化部分の代わりにまたはそれに加えて架橋基を含む(例えば、一部の実施形態では、式IのBは、架橋基を含む)。
【0169】
架橋基は、共有結合によって2つまたはそれより多くの分子を結合することが可能な反応性基である。架橋基は、リンカーおよびキレート部分を治療部分または標的化部分に結合させるために使用され得る。架橋基はまた、リンカーおよびキレート部分をin vivoで標的に結合させるためにも使用され得る。一部の実施形態では、架橋基は、アミノ反応性、メチオニン反応性、もしくはチオール反応性架橋基である、またはソルターゼ認識配列を含む。一部の実施形態では、アミノ反応性またはチオール反応性架橋基は、活性化エステル、例えばヒドロキシスクシンイミドエステル、2,3,5,6-テトラフルオロフェノールエステル、4-ニトロフェノールエステル、またはイミデート、無水物、チオール、ジスルフィド、マレイミド、アジド、アルキン、歪んだアルキン(strained alkyne)、歪んだアルケン(strained alkene)、ハロゲン、スルホネート、ハロアセチル、アミン、ヒドラジド、ジアジリン、ホスフィン、テトラジン、イソチオシアネート、またはオキサジリジンを含む。一部の実施形態では、ソルターゼ認識配列は、末端グリシン-グリシン-グリシン(GGG)および/またはXが任意のアミノ酸であるLPTXGアミノ酸配列を含み得る。当業者は、架橋基の使用が、本明細書に開示される特定の構築物に限定されず、他の公知の架橋剤を含み得ることを理解するであろう。
【0170】
医薬組成物
本明細書に開示される方法における使用のためのラジオイムノコンジュゲートを含む医薬組成物は、多様な薬物送達システムにおいて使用するために製剤化することができる。1つまたは複数の生理的に許容される賦形剤または担体もまた、適切な製剤のための医薬組成物に含めることができる。本開示での使用に適合する適した製剤の非限定的な例としては、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, PA, 17th ed., 1985に記載される製剤が挙げられる。薬物送達方法の簡単な概要に関しては、例えば、Langer(Science.249:1527-1533, 1990)を参照されたい。
【0171】
医薬組成物は、本明細書で考察される任意の多様な投与経路に関して製剤化され得る(例えば、本明細書の「投与および投薬量」のサブセクションを参照されたい)。持続放出投与は、デポー注射剤または浸食され得るインプラントもしくは構成成分などの手段によって企図される。このように、本開示は、許容される担体、好ましくは水性担体、例えば中でも水、緩衝水、食塩水、またはPBS中に溶解または懸濁された本明細書に開示される薬剤(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、生理的条件を近似する薬学的に許容される補助物質、例えば中でもpH調整剤、緩衝化剤、張度調整剤、湿潤剤、または洗浄剤を含有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、経口送達のために製剤化され、必要に応じて不活性成分、例えば単位剤形、例えば錠剤またはカプセル剤の製剤化のための結合剤または増量剤を含有し得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、局所投与のために製剤化され、必要に応じてクリーム、軟膏、ゲル、パスタ剤、または点眼液の製剤化のための不活性成分、例えば溶媒または乳化剤を含有し得る。
【0172】
一部の実施形態では、提供される医薬組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌され、例えば濾過滅菌され得る。得られた水溶液を、そのまま使用するために包装してもよく、または凍結乾燥してもよい。凍結乾燥調製物は、例えば投与前に滅菌水性担体と組み合わせることができる。調製物のpHは、典型的に3~11の間、より好ましくは5~9の間、または6~8の間、および最も好ましくは6~7の間、例えば6~6.5である。固体形態の得られた組成物を、例えば各々が上記の薬剤または複数の薬剤の固定量を含有する複数の単一用量単位、例えば錠剤またはカプセル剤の密封包装に包装することができる。固体形態の医薬組成物は、フレキシブルな量で容器、例えば局所適用可能なクリームまたは軟膏用に設計された絞り出し可能なチューブに包装することができる。
【0173】
以下の特定の実施例は、単なる例であり、本開示の残りのいかなる限定でもないと解釈すべきである。
【実施例】
【0174】
(実施例1)
一般的材料および方法
ルテチウム-177は、Perkin Elmerから0.05N塩酸溶液中の三塩化ルテチウムとして得ることができ;インジウム-111は、三塩化物塩としてNordionから得ることができ;およびアクチニウム-225は、アクチニウム-225三硝酸塩としてOak Ridge National Laboratoriesからまたはアクチニウム-225三塩化物としてCanadian Nuclear Laboratoriesから得ることができる。
【0175】
分析用HPLC-MSを、Waters Acquity Binary溶媒マネージャー、Waters Acquity試料マネージャー(10℃に冷却した試料)、Water Acquityカラムマネージャー(カラム温度30℃)、Waters Acquity光ダイオードアレイ検出器(254nmおよび214nmでモニタリング)、エレクトロスプレーイオン化を伴うWaters Acquity TQD、およびWaters Acquity BEH C18、2.1×50(1.7μm)カラムからなるWaters Acquity HPLC-MSシステムを使用して実施することができる。分取用HPLCは、Waters 1525 Binary HPLCポンプ、Waters 2489 UV/可視検出器(254nmおよび214nmでモニタリング)、およびWaters XBridge Prep PhenylまたはC18 19×100mm(5μm)カラムからなるWaters HPLCシステムを使用して実施することができる。
【0176】
HPLC溶出方法1:Waters Acquity BEH C18 2.1×50mm(1.7μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量=0.3mL/分;初期=90%A、3~3.5分=0%A、4分=90%A、5分=90%A。
【0177】
HPLC溶出方法2:Waters XBridge Prep Phenyl 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=80%A、13分=0%A。
【0178】
HPLC溶出方法3:Waters Acquity BEH C18 2.1×50mm(1.7μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量=0.3mL/分;初期=90%A、8分=0%A、10分=0%A、11分=90%A、12分=90%A。
【0179】
HPLC溶出方法4:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=80%A、3分=80%A、13分=20%A、18分=0%A。
【0180】
HPLC溶出方法5:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=90%A、3分=90%A、13分=0%A、20分=0%A。
【0181】
HPLC溶出方法6:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=75%A、13分=0%A、15分=0%A。
【0182】
HPLC溶出方法7:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=80%A、12分=0%A、15分=0%A。
【0183】
HPLC溶出方法8:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1体積/体積%TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1体積/体積%TFA);流量:10mL/分;初期=90%A、12分=0%A、15分=0%A。
【0184】
分析用サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、Waters 1525 Binary HPLCポンプ、Waters 2489 UV/可視検出器(280nmでのモニタリング)、Bioscan Flow Count放射線検出器(radiodetector)(FC-3300)、およびTOSOH TSKgel G3000SWxl、7.8×300mmカラムからなるWatersシステムを使用して実施することができる。アイソクラティックSEC方法は、例えばmL/分の流量を有し、移動相は、0.1Mホスフェート、0.6M NaCl、0.025%アジ化ナトリウム、pH=7である。
【0185】
MALDI-MS(ポジティブイオン)は、MALDI Bruker Ultraflextreme分光器を使用して実施することができる。
【0186】
放射性薄層クロマトグラフィー(radioTLC)は、Bioscan AR-2000イメージングスキャナによって実施することができ、iTLC-SGガラスマイクロファイバークロマトグラフィーペーパー(Agilent Technologies,SGI0001)プレート上でクエン酸緩衝液(0.1M、pH5.5)を使用して行うことができる。
【0187】
(実施例2)
4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)の合成
二官能性キレート、4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)を、
図2に提供されるスキームに従って合成することができる。5-(tert-ブトキシ)-5-オキソ-4-(4,7,10-トリス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン酸(DOTA-GA-(tBu)
4、50mg、0.07mmol)のACN(2.0mL)中の溶液に、DSC(50mg、0.21mmol)を加え、その後ピリジン(0.20mL、2.48mmol)を加える。反応を、室温で1時間攪拌する。反応混合物に、11-アミノウンデカン酸(70mg、0.36mmol)を加えた後、PBS溶液(1.0mL)を室温で加える。反応を室温で72時間攪拌する。反応混合物をシリンジフィルターによって濾過し、方法6を使用して分取用HPLCによって直接精製し、中間体2-Aを生じる。
【0188】
中間体2-A(40mg、0.03mmol)、TFP(90mg、0.54mmol)およびEDC(40mg、0.27mmol)のACN(1.0mL)中の溶液に、ピリジン(0.05mL、50mg、0.62mmol)を室温で加える。溶液を室温で24時間時間攪拌する。反応を、方法7を使用して分取用HPLCによって直接精製し、中間体2-Bを、Biotage V10 Rapidエバポレーターを使用して濃縮後ロウとして提供する。
【0189】
中間体2-Bを、DCM/TFA(1.0mL/2.0mL)に溶解し、室温で24時間攪拌する。反応を空気流によって濃縮し、方法8を使用して分取用HPLCによって直接精製し、濃縮後に化合物Bを透明なロウとして生じる。アリコートをHPLC-MS溶出方法3によって分析する。
【0190】
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 7.99 - 7.88 (m, 1H), 7.82 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 3.78 (ブロード s, 4H), 3.43 (ブロード s, 12H), 3.08 (ブロード s, 4H), 3.00 (m, 3H), 2.93 (ブロード s, 3H), 2.77 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.30 (ブロード s, 2H), 1.88 (ブロード s, 2H), 1.66 (p, J = 7.3 Hz, 2H), 1.36 (m, 4H), 1.32 - 1.20 (m, 9H).
【0191】
(実施例3)
4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)の合成
二官能性キレート4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)を、
図3に提供するスキームに従って合成する。
【0192】
5-(tert-ブトキシ)-5-オキソ-4-(4,7,10-トリス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン酸(DOTA-GA(tBu)4、100mg、0.143mmol)のACN(8.0mL)中溶液に、DSC(73mg、0.285mmol)およびピリジン(0.80mL、9.89mmol)を加える。反応混合物を、周囲温度で90分間攪拌する。この溶液を、100mL丸底フラスコ中、アミノ-PEG3-酸(1.2mLのDMF中63mg、0.285mmol)の半溶液(semi-solution)に加える。周囲温度で4時間後、空気流下で乾固するまで濃縮することによって、反応をワークアップする。粗製の材料を、HPLC溶出方法2(粗製の材料を6mLの20%ACN/H2Oに溶解する)によって精製する。産物を含有する画分をプールし、減圧下で濃縮し、ACN(3×2mL)と同時蒸発させる。
【0193】
中間体1-A(82mg、60μmol)を含有するバイアルに、ACN(2mL)、NEt3(50μL、360μmol、6当量)、HBTU(23mg、60μmol、1当量)およびTFP溶液(50mg、300μmol、5当量、250μLのACNに溶解)を加える。得られた透明な溶液を、周囲温度で3時間攪拌する。溶液を空気流下で乾固するまで濃縮することによって、反応をワークアップした後、ACN/H2O(1:1、全体で3mL)によって希釈し、分取用HPLCにおいて溶出方法4を使用して精製した。産物を含有する画分をプールし、減圧下で濃縮した後、ACN(3×2mL)と同時蒸発させる。中間体1-Bが、透明な残渣として得られる。
【0194】
中間体1-B(67mg、64μmol)を含有するバイアルに、DCM(2mL)およびTFA(2mL)を加える。得られた溶液を周囲温度で16時間攪拌する。追加のTFA(2mL)を加え、反応を周囲温度で6時間攪拌する。反応を空気流下で乾固するまで濃縮し、粗製の産物を最終的にACN/H2O(1mLの10%ACN/H2O)中に溶解する。次に、粗反応溶液を、溶出方法5を使用して分取用HPLCによって精製する。産物を含有する画分をプールし、凍結および凍結乾燥する。化合物Cは、白色固体として得られる。アリコートを、HPLC-MS溶出方法3によって分析する。
【0195】
1H NMR (DMSO-d6, 600 MHz) δ 7.97-7.91 (m, 2H), 3.77 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.58-3.55 (m, 2H), 3.53-3.48 (m, 8H), 3.44-3.38 (m, 10H), 3.23-3.08 (m, 11H), 3.02 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 2.93 (ブロード s, 4H), 2.30 (ブロード s, 2H), 1.87 (ブロード s, 2H).
【0196】
(実施例4)
IGF-1Rを標的とするラジオイムノコンジュゲートの合成
図4は、IGF-1Rを標的とする2つのラジオイムノコンジュゲート、すなわち、[
111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートおよび[
225Ac]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートの合成ステップを示す。合成は以下のプロトコールに従った。
【0197】
[111In]-化合物C-抗IGF-1Rコンジュゲート
化合物C(17.5μmole)を、酢酸ナトリウム緩衝液(1.32mL、pH6.5)に溶解した。化合物C溶液のアリコート(8μL、91nmole)を、重炭酸緩衝液(pH8.5)中、抗体IGF-1R(13.4nmole)を含有する溶液に加えた。周囲温度で1時間後、得られたイムノコンジュゲートを、SephadexG-50樹脂充填カラムを介して精製した。イムノコンジュゲート化合物C-抗IGF-1Rを、酢酸緩衝液(pH6.5)によってカラムから溶出させた。MALDI-TOF-MS(ポジティブイオン):化合物C-抗IGF-1Rは、m/z 152166[M+H]+で見出され;IGF-1Rは、m/z 149724[M+H]+で見出された。
【0198】
典型的な反応として、In-111(60mCi、215μL)を、化合物C-抗IGF-1R(7mg、酢酸緩衝液(pH6.5)中に1.6mL)およびアスコルビン酸(100μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中に0.2M)の溶液に加えた。放射標識反応を、37℃で30分間インキュベートした。[111In]-化合物C-抗IGF-1Rコンジュゲートを、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)によって溶出するSephadexG-50樹脂充填カラムを介して精製した。
【0199】
[225Ac]-化合物C-抗IGF-1Rコンジュゲートの合成
化合物C(1μmole)を、塩酸溶液(0.001M)に溶解する。化合物C溶液のアリコート(5μL、70nmole)を、リン酸緩衝液(pH8)中に抗IGF-1R抗体(1.8nmole)を含有する溶液に加える。周囲温度で3時間後、得られたイムノコンジュゲートをSephadex G-50樹脂充填カラムを介して精製する。イムノコンジュゲート化合物C-抗IGF-1Rを、酢酸緩衝液(pH6.5)によってカラムから溶出させる。溶出液の正体は、例えばMALDI-TOFによって確認することができる。
Ac-225(15μCi、10μL)を、化合物C-抗IGF-1Rの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)中で300μg)に加える。放射標識反応を30℃で1時間インキュベートする。粗製の産物[225Ac]-化合物C-抗IGF-1Rを、酢酸緩衝液によって溶出させるSephadex G-50樹脂充填カラムを介して精製する。
【0200】
(実施例5)
コールドIGF-1R抗体の前投与を伴うIGF-1R標的化ラジオイムノコンジュゲートのイメージングおよび薬物動態
[111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートの投与前にコールドIGF-1R抗体の前投与を受けた患者におけるイメージングおよび薬物動態を評価するための試験を実施した。試験は、以下のプロトコールに従った。
【0201】
患者5人を、コールド抗体の2つの異なる用量レベルでコールド抗体前投与試験において評価した。患者を最初にイメージングし、5mCi[111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲート(「コールドなし」レジメン)の固定用量を投与後に、試料を薬物動態解析のために採取し、その後患者に同じ5mCi線量の造影剤[111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートおよび0.5または1.5mg/kgのいずれかの非放射性IGF-1R抗体AVE1642(「コールド抗体」投与レジメン)を投与した後、イメージングおよび薬物動態評価を行った。患者4人は、コールド抗体を前投与した場合および前投与しなかった場合に、全身、肝臓、脾臓、赤色骨髄、および腎臓に対する[225Ac]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートの放射線線量を推定するのに十分なデータを有した。患者1人は、線量測定にとって必要な全てのイメージング時点を終了することができなかった。患者5人全員を、最大3つの病変ならびに肝臓、筋肉、赤色骨髄、および全身からなるバックグラウンドを採取して各患者において比較する、病変への取り込みの比較のために評価した。患者5人全員をまた、総放射能によって測定した場合の[111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートの血漿中薬物動態の決定に関しても評価した。
【0202】
[
111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲート投与レジメンの前にコールド抗体の前投与は、5人全員の患者において[
111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートの血漿中薬物動態に対して有意な効果を有したことが観察された。
図5を参照されたい。各患者において、[
111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートのクリアランスは、0.5および1.5mg/kg用量レベルの両方でコールド抗体投与レジメンにおいて顕著に低減された。IGF-1R抗体AVE1642の各用量レベル(すなわち、0.5または1.5mg/kg)における[
111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートの薬物動態は同等であり、0.5mg/kgに等しいかまたはそれより高い用量が、内因性の抗原シンクを飽和するためおよび線形の薬物動態を達成するために十分であることを示唆した。5人の評価可能な患者を平均すると、IGF-1R抗体AVE1642を投与レジメンに応じて前投与すると、[
111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートの総曝露量(AUC
inf)が、[
111In]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートのみと比較して6倍増加した。以下の表2を参照されたい。
【表2】
【0203】
患者5人において、イメージング試験は、0.5mg/kgのコールド抗体用量レベルで、全身、腎臓、および赤色骨髄への放射線線量が、コールド抗体の追加によって増加したが、肝臓への放射線線量は患者1人では減少し、別の患者ではほぼ同じであったことを示している。脾臓への放射線線量は、両方の患者で減少した。1.5mg/kgのコールド抗体用量レベルでは、全身、腎臓、肝臓、および赤色骨髄への放射線線量は、増加した。この用量レベルでは脾臓において様々な結果が認められ、コールド抗体の追加によって、患者1人は放射線線量のわずかな増加を示したが、他の患者は減少を示した。
図6A~6Eを参照されたい。
【0204】
さらに、バックグラウンドと比較した腫瘍への取り込みの比は、0.5mg/kgおよび1.5mg/kgのコールド抗体用量レベルで各患者に関して増加した。腫瘍への取り込みの相対的増加は、0.5mg/kgで処置した患者(n=2)では、1.5mg/kgで処置した患者群(n=3)と比較して大きかったことが認められた。この試験は、コールドIGF-1R抗体の前投与が、全ての患者においてIGF-1Rを標的とするラジオイムノコンジュゲートの腫瘍病変への取り込みを増加させたことを実証した。
図7A~7Eを参照されたい。
【0205】
(実施例6)
コールドIGF-1R抗体前投与を伴うIGF-1R標的化ラジオイムノコンジュゲートの有効性
上記の知見は、[225Ac]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートによる処置前の0.5mg/kgでのコールドIGF-1R抗体AVE1642の前投与が、化合物の取り込みを改善し、正常組織と比較して腫瘍への放射線のより大きい蓄積をもたらし、それによっておそらく有効性を増加させ、オフターゲット毒性を減少させることを示している。
【0206】
加えて、上記のイメージングおよび薬物動態データに基づいて、[225Ac]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートの予想される治療的有効範囲を、以下のように非臨床マウス異種移植片有効性データから外挿することができる:コールド抗体の非存在下では、[225Ac]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートは、80~160kBq/kg累積曝露の範囲の放射能を提供すると予想されるが、コールドIGF-1R抗体を前投与すると、[225Ac]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートは、35~70kBq/kg累積曝露の放射能を提供すると予想される。したがって、コールドIGF-1R抗体(AVE1642)を0.5mg/kgで前投与すると、[225Ac]-DOTA-抗IGF-1Rコンジュゲートは、治療上の有効性を達成するために15kBq/kg、20kBq/kg、25kBq/kg、30kBq/kg、または35kBq/kgの投薬量で投与することができる。
他の実施形態
【0207】
本発明は、その特定の実施形態に関連して記載してきたが、さらなる改変が可能であり、本出願は、一般的に本発明の原理に従い、本発明が属する技術分野における公知のまたは通例の実践に入り前述の本明細書の本質的な特色に適用され得る本開示からの逸脱を含む、本発明の任意の変形形態、使用、または適応を含むと意図されることが理解される。
【配列表】
【国際調査報告】