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特表2024-540171デュアルルーメン患者ラインを伴う腹膜透析システムおよび閉塞の検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】デュアルルーメン患者ラインを伴う腹膜透析システムおよび閉塞の検出方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/28 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61M1/28 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024525617
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 US2022078977
(87)【国際公開番号】W WO2023081620
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/274,693
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(71)【出願人】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン, ビョルン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD21
4C077EE03
4C077EE04
4C077HH02
4C077HH13
4C077JJ02
4C077KK25
(57)【要約】
腹膜透析(「PD」)システムは、ハウジングと;ハウジングによって収容されているPD流体ポンプと;ハウジングから延びているデュアルルーメン患者ラインであって、デュアルルーメン患者ラインは、充填ルーメンと戻りルーメンとを含む、デュアルルーメン患者ラインと;充填ルーメンおよびPD流体ポンプの出口と流体連通しているPD流体充填ラインと;戻りルーメンおよびPD流体ポンプの入口と流体連通しているPD流体戻りラインと;PD流体充填ラインに沿うPD流体圧力を検出するように構成された充填圧力センサと;PD流体戻りラインに沿うPD流体圧力を検出するように構成された戻り圧力センサと;充填圧力センサおよび戻り圧力センサからの出力を使用して、デュアルルーメン患者ラインの充填ルーメンまたは戻りルーメンのうちの1つが塞がれているかどうかを決定するように構成された制御ユニットとを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析(「PD」)システムであって、前記PDシステムは、
ハウジングと、
前記ハウジングによって収容されているPD流体ポンプと、
前記ハウジングから延びているデュアルルーメン患者ラインであって、前記デュアルルーメン患者ラインは、充填ルーメンと戻りルーメンとを含む、デュアルルーメン患者ラインと、
前記充填ルーメンおよび前記PD流体ポンプの出口と流体連通しているPD流体充填ラインと、
前記戻りルーメンおよび前記PD流体ポンプの入口と流体連通しているPD流体戻りラインと、
前記PD流体充填ラインに沿うPD流体圧力を検出するように構成された充填圧力センサと、
前記PD流体戻りラインに沿うPD流体圧力を検出するように構成された戻り圧力センサと、
前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの出力を使用して、前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメンまたは前記戻りルーメンのうちの1つが塞がれているかどうかを決定するように構成された制御ユニットと
を備えている、PDシステム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記PD流体ポンプを動作させることと、前記PD流体ポンプがPD流体を圧送しているか否かを決定することとを行うようにさらに構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項3】
前記PD流体充填ラインは、前記ハウジングの表面に沿ってまたは前記ハウジングによって提供されるドアの背後で前記ハウジング内に位置している、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項4】
前記PD流体戻りラインは、前記ハウジングの表面に沿ってまたは前記ハウジングによって提供されるドアの背後で前記ハウジング内に位置している、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項5】
前記制御ユニットと動作可能に通信するユーザインターフェースをさらに備え、前記制御ユニットは、閉塞を決定すると、前記充填ルーメンが塞がれているかどうか、前記戻りルーメンが塞がれているかどうか、または患者の移送セットが塞がれているかどうかを詳述する警報を前記ユーザインターフェースに提供させるように構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記PD流体ポンプが作動させられていない場合、前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの前記出力が同じであることまたはほぼ同じであることを予期するように構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記PD流体ポンプが作動させられている場合、前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの前記出力が圧力降下量だけ異なると予期するように構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項8】
前記PD流体ポンプ、前記PD流体充填ライン、前記充填ルーメン、前記PD流体戻りライン、および前記戻りルーメンは、閉ループを形成し、前記圧力降下量は、前記充填ルーメンおよび前記戻りルーメンの両方における圧力降下を含む、請求項7に記載のPDシステム。
【請求項9】
前記制御ユニットの制御下にある弁をさらに備え、前記弁が前記PD流体戻りラインを閉じるために位置決めされ、前記戻りルーメンが前記弁によって閉じられている間、前記圧力降下量は、前記充填ルーメンにおける圧力降下を含むが、前記戻りルーメンにおける圧力降下を含まない、請求項7に記載のPDシステム。
【請求項10】
前記制御ユニットは、(i)前記充填圧力センサからの前記出力が前記充填圧力センサからの予期出力より少なくとも第1の所定量だけ大きい場合、前記充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)前記戻り圧力センサからの前記出力が前記戻り圧力センサからの予期出力より少なくとも第2の所定量だけ小さい場合、前記戻りルーメンにおける閉塞を決定し、(iii)(i)と(ii)との両方が満たされる場合、患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項11】
前記第1および第2の所定量は、少なくとも実質的に同じである、請求項10に記載のPDシステム。
【請求項12】
前記制御ユニットは、(i)前記充填圧力センサからの前記出力が第1の所定の圧力量を満たすかまたはそれより大きい場合、前記充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)前記戻り圧力センサからの前記出力が第2の所定の圧力量より小さい場合、前記戻りルーメンにおける閉塞を決定し、(iii)(i)と(ii)との両方が満たされる場合、患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項13】
前記第1および第2の所定の圧力量は、少なくとも実質的に同じである、請求項12に記載のPDシステム。
【請求項14】
前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメンおよび前記戻りルーメンは、前記デュアルルーメン患者ラインの遠位端に位置しているコネクタにおける単一ルーメンに合併する、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項15】
前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメンおよび前記戻りルーメンは、前記デュアルルーメン患者ラインの前記遠位端に位置しているコネクタの中に延び、前記コネクタは、連続流腹膜透析を実行するためのデュアルルーメン患者移送セットに接続するように構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項16】
腹膜透析(「PD」)システムであって、前記PDシステムは、
ハウジングと、
前記ハウジングによって収容されているPD流体ポンプと、
前記ハウジングから延びているデュアルルーメン患者ラインであって、前記デュアルルーメン患者ラインは、充填ルーメンと戻りルーメンとを含む、デュアルルーメン患者ラインと、
前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメン内のPD流体圧力を検出するように構成された充填圧力センサと、
前記デュアルルーメン患者ラインの前記戻りルーメン内のPD流体圧力を検出するように構成された戻り圧力センサと、
前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの出力を使用して、前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメンまたは前記戻りルーメンのうちの1つが塞がれているかどうかを決定するように構成された制御ユニットと
を備えている、PDシステム。
【請求項17】
前記制御ユニットは、(i)前記充填圧力センサからの前記出力が前記充填圧力センサからの予期出力より少なくとも第1の所定量だけ大きい場合、前記充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)前記戻り圧力センサからの前記出力が前記戻り圧力センサからの予期出力より少なくとも第2の所定量だけ小さい場合、前記戻りルーメンにおける閉塞を決定し、(iii)(i)と(ii)との両方が満たされる場合、患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成されている、請求項16に記載のPDシステム。
【請求項18】
前記第1および第2の所定量は、少なくとも実質的に同じである、請求項17に記載のPDシステム。
【請求項19】
前記制御ユニットは、(i)前記充填圧力センサからの前記出力が第1の所定の圧力量を満たすかまたはそれより大きい場合、前記充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)前記戻り圧力センサからの前記出力が第2の所定の圧力量より小さい場合、前記戻りルーメンにおける閉塞を決定し、(iii)(i)と(ii)との両方が満たされる場合、患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成されている、請求項16に記載のPDシステム。
【請求項20】
前記第1および第2の所定の圧力量は、少なくとも実質的に同じである、請求項19に記載のPDシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる2021年11月2日に出願された米国仮特許出願第63/274,693号の優先権および利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、医療用流体治療に関し、特に透析流体治療に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な原因により、人の腎臓系が機能しなくなり得る。腎不全は、幾つかの生理学的障害を生じる。水とミネラルのバランスをとること、または毎日の代謝負荷を排出することはもはや可能ではない。尿素、クレアチニン、尿酸などの代謝の毒性最終生成物は、患者の血液および組織に蓄積し得る。
【0004】
腎機能の低下、とりわけ腎不全は、透析によって治療される。透析は、正常に機能する腎臓がそうでなければ除去するであろう排泄物、毒素および過剰な水を身体から除去する。腎機能の代替のための透析治療は、治療が救命的であるので、多くの人々にとって重要である。
【0005】
腎不全療法の1つのタイプは、一般に拡散を使用して患者の血液から老廃物を除去する血液透析(「HD」)である。拡散勾配が、血液と透析物または透析流体と呼ばれる電解質溶液との間で半透性透析器を横切って生じ、拡散を引き起こす。
【0006】
血液濾過(「HF」)は、患者の血液からの毒素の対流輸送に依存する代替的な腎代替療法である。HFは、治療中に体外回路に置換流体または代替流体を加えることによって達成される。治療の間に患者によって蓄積された置換流体および流体は、HF治療の過程にわたって限外濾過され、中分子および大分子を除去することにおいて特に有益な対流輸送機構を提供する。
【0007】
血液透析濾過(「HDF」)は、対流クリアランスと拡散クリアランスとを組み合わせた治療法である。HDFは、標準的な血液透析と同様、透析器を通して流れる透析流体を使用して、拡散クリアランスを提供する。さらに、置換溶液が、体外回路に直接供給され、対流クリアランスを提供する。
【0008】
ほとんどのHD、HF、およびHDF治療は、センターで行われる。家庭血液透析(「HHD」)への傾向が、一つには、HHDが毎日実施されることができ、典型的には週2回または3回行われる施設内血液透析治療より療法上の利益を提供するので、今日、存在する。研究は、より頻繁な治療がより頻繁ではないがおそらくより長い治療を受けている患者より多くの毒素および老廃物を除去し、透析間液の過負荷を少なくすることを示している。より頻繁な治療を受けている患者は、治療前に2または3日分の毒素を蓄積している施設内の患者ほど多くのダウンサイクル(体液および毒素の変動)を経験しない。特定の地域では、最も近い透析センターが、患者の自宅から何マイルも離れており、それは、ドアツードアの治療時間が1日の大部分を消費することを引き起こし得る。患者の自宅に近い施設での治療も、患者の一日の大部分を消費し得る。HHDは、一晩中、または、日中に行われることができ、一方で、患者は、リラックスし、仕事をし、または他の様態で生産的である。
【0009】
別のタイプの腎不全療法は、腹膜透析(「PD」)であり、PDは、透析流体またはPD流体とも呼ばれる透析溶液をカテーテルを介して患者の腹膜腔に注入する。PD流体は、患者の腹膜チャンバ内の腹膜と接触する。廃棄物、毒素および過剰な水は、患者の血流から腹膜膜の毛細管を通り、拡散および浸透によりPD流体に入る(すなわち、浸透勾配が、膜を横切って生じる)。PD流体中の浸透圧剤は、浸透圧勾配を提供する。使用済みPD流体は、患者から排出され、それは、患者から老廃物、毒素および過剰な水を除去する。このサイクルは、例えば複数回繰り返される。
【0010】
様々なタイプの腹膜透析療法があり、それらは、連続携行式腹膜透析(「CAPD」)、自動腹膜透析(「APD」)、潮流透析および連続流腹膜透析(「CFPD」)を含む。CAPDは、手動透析治療である。ここで、患者は、埋め込まれたカテーテルをドレインに手動で接続し、使用済みPD流体が患者の腹膜腔から排出されることを可能にする。次いで、患者は、流体連通を切り替え、それによって、患者カテーテルは、新鮮なPD流体のバッグと連通し、カテーテルを通して患者に新鮮なPD流体を注入する。患者は、カテーテルを新鮮なPD流体バッグから切り離し、PD流体が患者の腹膜腔内に留まることを可能にし、排泄物、毒素および過剰な水の移送が、行われる。滞留期間の後、患者は、例えば1日4回、手動透析手順を繰り返す。手動腹膜透析は、患者からのかなりの量の時間および労力を必要とし、改善の余地を十分に残す。
【0011】
APDは、透析治療がドレイン、充填および滞留サイクルを含むという点でCAPDと同様である。しかしながら、APD機械は、通常、患者の睡眠中にサイクルを自動的に実行する。APD機械は、治療サイクルを手動で実行せねばならないこと、日中に補給物質を輸送せねばならないことから患者を解放する。APD機械は、埋め込まれたカテーテル、新鮮なPD流体の供給源またはバッグ、および流体ドレインに流体接続する。APD機械は、透析流体源からカテーテルを通って患者の腹膜チャンバに新鮮なPD流体を圧送する。APD機械は、PD流体がチャンバ内に滞留すること、廃棄物、毒素および過剰な水の移送が行われることも可能にする。供給源は、幾つかの溶液バッグを含む複数リットルの透析流体を含み得る。
【0012】
APD機械は、患者の腹膜腔からカテーテルを通してドレインまでPD流体を圧送する。手動プロセスと同様、透析中に幾つかのドレイン、充填および滞留サイクルが起こる。「最後の充填」は、APD治療の終了時に起こり得る。最後の充填流体は、次の治療の開始まで患者の腹膜腔内に残り得るか、または、日中のある時点で手動で空にされ得る。
【0013】
APD機械から患者に至るラインは、多くの場合、眠っている患者が患者ライン上で転がること、またはそれをねじることによって、ねじれた状態になる。また、患者ラインは、例えばフィブリンまたは患者ラインに集まる他の患者物質を介して、内部が塞がれた状態になり得る。これが発生すると、APD機械は、一般に、音を鳴らして警報を発し、治療を一時停止する。患者は、問題を解決するために、目覚めさせられなければならない。治療を一時停止し、患者を起こすことは、より厄介な治療につながる。したがって、患者が、閉塞が発生したときを適切に知らされることができるように、患者ラインの閉塞を正確に検出し、閉塞に関する正確な情報を提供することができるAPD機械を提供することが、望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の自動腹膜透析(「PD」)システムおよび関連する方法論は、デュアルルーメン患者ラインを用いて動作する。デュアルルーメン患者ラインは、消毒され、複数の治療のために再使用され得るか、または、治療後に廃棄され得る。一実施形態において、患者ラインのデュアルルーメンは、患者ラインの遠位端で一緒に合併し、患者の移送セットに接続し患者の留置カテーテルと流体連通するコネクタにおいて単一ルーメンを形成する。代替的な実施形態において、患者ラインのデュアルルーメンは、一緒に合併せず、代わりに、患者の移送セットの別個のルーメンにそれぞれ接続し、デュアルルーメン留置カテーテルと流体連通し、連続流腹膜透析(「CFPD」)を実施する。CFPDでは、新鮮なPD流体が、患者に流れ、一方、使用済みPD流体が、患者から除去される。
【0015】
患者ラインのデュアルルーメンが患者の移送セットの上流側の単一ルーメンに合併するか否かにかかわらず、新鮮なPD流体は、PD流体ポンプを介してデュアルルーメン患者ラインのルーメンの1つを通して送られる。PD流体ポンプは、本質的に容積測定的に正確であり得る電動ピストン、ギヤ、膜または遠心ポンプであり得、その結果、流量計、平衡チャンバまたは理想気体の法則を使用する装置などの別個のPD流体容積測定装置は、必要とされない。ここで、PD流体は、治療後に消毒されるPD流体ポンプの本体を通して流れる。代替的な実施形態において、PD流体ポンプは、PD流体が流通するチューブまたは可撓性シートを作動させるポンプアクチュエータを含む。ポンプアクチュエータは、例えば、(i)圧送チューブを用いて動作する蠕動ポンプアクチュエータ、または(ii)可撓性ポンプシートを用いて動作する空気圧または電気機械式ポンプアクチュエータ(例えば、ステッピングモータおよびピストン)であり得る。ポンプアクチュエータは、再使用可能であり、流体と接触しないので、治療後に消毒する必要がない。圧送チューブまたは可撓性シートは、各治療後に廃棄され得るか、または、消毒されて複数の治療に再使用され得る。
【0016】
PD流体ポンプは、双方向または一方向であり得、単一のポンプが、提供され得る。PD流体ポンプは、連続的であり得る。PD流体ポンプは、例えば、PD流体ポンプへの電流、パルス幅、または空気圧のレベルを制御することによって、圧力限界でまたは圧力限界内において患者との間でPD流体を圧送するように制御可能である。正の患者圧力限界は、例えば、1から5psig(例えば、2psig(14kPa))であり得る。負の患者圧力限界は、例えば、-1.0psigから-3.0psig(例えば、-1.3psig(-9kPa))であり得る。PD流体は、異なるデキストロースまたはグルコースレベルの透析流体、例えば1.36%グルコース透析流体、2.27%グルコース透析流体および/またはPD流体の異なる製剤の最後のバッグ、例えばイコデキストリンを保持し得る容器またはバッグから供給され得る。PD流体は、少なくとも200ミリリットル(「ml」)/分の流量で室温から体温、例えば37℃までPD流体を加熱することができるヒーター、例えばインラインヒーターによって加熱され得る。
【0017】
PD流体ラインは、PD流体ポンプからデュアルルーメン患者ラインに通じている。PD流体ラインは、PD機械またはサイクラーの内側に位置し得、治療後に消毒される再利用可能なラインであり得る。代替的に、PD流体ラインは、PD機械またはサイクラーの外側に取り付けられ得るか、または、PD機械またはサイクラーのドアの内側に取り付けられ得る。ここで、PD流体ラインは、一般に、使い捨てであるが、代替的に、再使用のために治療後に消毒され得る。機械またはサイクラーのハウジングの内側または外側のチューブのいずれも、金属、例えばステンレス鋼、またはプラスチック、例えばポリ塩化ビニル(「PVC」)、またはポリエチレン(「PE」)、架橋ポリエチレン(「PEX」)、ポリウレタン(「PU」)またはポリカーボネート(「PC」)などの非PVC材料であり得る。
【0018】
所望に応じて流れを開放するまたは塞ぐために、PD流体ラインに沿って1つ以上の弁が提供される。弁は、例えば、電気的に作動させられる電磁弁、例えば、フェイルセーフ動作のために通電されて開く電磁弁であり得る。ここで、PD流体は、再使用のために治療後に消毒される弁の本体を通して流れる。代替的に、弁は、閉じた可撓性チューブまたは可撓性シートを挟む電気機械式または空気圧式弁アクチュエータを有するピンチ弁であり得る。ここで、弁アクチュエータは、再使用可能であり、流体と接触しないので、治療後に消毒する必要がない。可撓性圧送チューブまたは可撓性シートは、各治療後に廃棄され得るか、または、消毒され、複数の治療に再使用され得る。
【0019】
デュアルルーメン患者ラインの戻りルーメンと流体連通してPD流体ポンプの入口に通じるPD流体ラインに沿って弁が、位置決めされ得る。次に説明する閉塞圧力チェック中にそのような弁が閉じられる場合、デュアルルーメン患者ラインの戻りルーメンは静圧ラインである。そのような弁が代わりに閉塞圧力チェック中に開いている場合、デュアルルーメン患者ラインの戻りルーメンは動圧ラインであり得、この圧力ラインでは、2つのルーメンとPD流体ポンプ間で相互作用するPD流体ラインとで閉ループが形成される。
【0020】
圧力センサは、デュアルルーメン患者ラインの各ルーメンのために提供され、該圧力センサは、PD流体ポンプとデュアルルーメンとの間を接続するPD流体ラインに沿って提供され得る。圧力センサは、PD流体が流通する本体を有するインラインの再利用可能な圧力センサであり得る。代替的に、圧力センサは、PD流体ラインに形成され、流体接触側と、流体圧力を空気伝達ラインを介して圧力トランスデューサに伝送する空気伝送側とを有する例えば使い捨てのポッド圧力センサであり得る。圧力センサは、さらに代替的に、それらのそれぞれのPD流体ラインの可撓性部分を受け入れ、可撓性部分を通して流れる流体によって加えられる力を測定することによって圧力読み取り値を取得する力センサであり得る。
【0021】
本開示のシステムのPD機械またはサイクラーは、1つ以上のプロセッサと1つ以上のメモリとを有する制御ユニットを含み、制御ユニットは、PD流体ポンプ、弁、ヒーターを制御し、圧力センサ、並びに温度センサ、導電率センサ、フロースイッチ、および/または漏れ検出センサなどの他のセンサから信号または出力を受信し、信号または出力をフィードバックとして処理する。制御ユニットは、圧力フィードバックを使用して、治療中の安全な患者圧力限界(前述した)および消毒中の安全なシステム限界で作動するように透析流体ポンプを制御する。制御ユニットは、温度フィードバックを使用して透析流体ヒーターを制御し、新鮮な透析流体を例えば体温まで加熱する。制御ユニットは、温度補償された導電率読み取り値を使用して、新鮮なおよび/または使用済みの透析流体を分析することができる。
【0022】
制御ユニットは、圧力センサの出力を監視して、デュアルルーメン患者ライン内の閉塞も探す。デュアルルーメン患者ラインのルーメンのいずれかに流れがない場合、制御ユニットは、各ルーメンで測定された圧力が同じであることまたはほぼ同じであることを予期する。制御ユニットは、PD流体ポンプが作動させられているときを把握しているので、制御ユニットは、どちらかのルーメンに流れがないことを把握する。PD流体ポンプが流体を圧送し、制御ユニットがそれを命令し、従って、それが行われていること、および、PD流体戻りラインとPD流体ポンプの入口とで閉ループが形成されていることを把握しており、制御ユニットは、PD流体の流れによって引き起こされる閉ループ内の既知の圧力降下量分だけ充填ルーメン内の流体圧力が戻りルーメン内の流体圧力と異なると予期するようにプログラムされている。
【0023】
圧力差が予期される圧力降下差と異なる場合、制御ユニットは、アルゴリズムを実行して、圧力差が患者ラインのデュアルルーメンのいずれかまたは両方の閉塞によるものであるかどうかを決定する。充填側圧力が所定量以上、例えば1psig(0.07バール)以上である場合、制御ユニットは、デュアルルーメン患者ラインの充填ルーメンに閉塞があると決定する。戻り側圧力が所定量、例えば、1psig(0.07バール)以上より低い場合、制御ユニットは、デュアルルーメン患者ラインの戻りルーメンに閉塞があると決定する。(i)充填側圧力が所定量以上、例えば、1psig(0.07バール)以上であり、(ii)戻り側圧力が所定量、例えば、1psig(0.07バール)以上より低い場合、制御ユニットは、患者の移送セットに閉塞があると決定する。上記のシナリオのいずれにおいても、制御ユニットは、機械またはサイクラーで警報を発し、治療を一時的に停止する。制御ユニットの制御下にある機械またはサイクラーのユーザインターフェースは、閉塞の位置を詳述するメッセージをユーザに提供する。
【0024】
PD流体ポンプが流体を圧送しており、制御ユニットがこの場合も先と同様にそれが行われていることを知っており、PD流体戻りラインに沿って位置される弁が閉じられることにより戻り流体ルーメンが静的にされると、制御ユニットは、充填ルーメンのみの既知の圧力降下量だけ、充填ルーメン内の流体圧力が戻りルーメン内の流体圧力と異なることを予期するようにプログラムされている。圧力差が予期される圧力降下差(充填ルーメンのみ)と異なる場合、制御ユニットは、上記と同じアルゴリズムを実行して、圧力差が患者ラインのデュアルルーメンのいずれか1つの閉塞に起因するか、またはおそらく患者の移送セットにおける閉塞に起因するかを決定する。
【0025】
本明細書に記載の開示に照らして、決して本開示を限定するものではないが、任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第1の態様では、腹膜透析(「PD」)システムは、ハウジングと、ハウジングによって収容されているPD流体ポンプと、ハウジングから延びているデュアルルーメン患者ラインであって、デュアルルーメン患者ラインは、充填ルーメンと戻りルーメンとを含む、デュアルルーメン患者ラインと、充填ルーメンおよびPD流体ポンプの出口と流体連通しているPD流体充填ラインと、戻りルーメンおよびPD流体ポンプの入口と流体連通しているPD流体戻りラインと、PD流体充填ラインに沿うPD流体圧力を検出するように構成された充填圧力センサと、PD流体戻りラインに沿うPD流体圧力を検出するように構成された戻り圧力センサと、充填圧力センサおよび戻り圧力センサからの出力を使用して、デュアルルーメン患者ラインの充填ルーメンまたは戻りルーメンのうちの1つが塞がれているかどうかを決定するように構成された制御ユニットとを含む。
【0026】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第2の態様において、制御ユニットは、PD流体ポンプを動作させることと、PD流体ポンプがPD流体を圧送しているか否かを決定することとを行うようにさらに構成される。
【0027】
本明細書に記載の任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第3の態様において、PD流体充填ラインは、ハウジングの表面に沿ってまたはハウジングによって提供されるドアの背後でハウジング内に位置している。
【0028】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第4の態様において、PD流体戻りラインは、ハウジングの表面に沿ってまたはハウジングによって提供されるドアの背後でハウジング内に位置している。
【0029】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第5の態様において、PDシステムは、制御ユニットと動作可能に通信するユーザインターフェースを含み、制御ユニットは、閉塞を決定すると、充填ルーメンが塞がれているかどうか、戻りルーメンが塞がれているかどうか、または患者の移送セットが塞がれているかどうかを詳述する警報をユーザインターフェースに提供させるように構成される。
【0030】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第6の態様において、制御ユニットは、PD流体ポンプが作動させられていない場合、充填圧力センサおよび戻り圧力センサからの出力が同じであることまたはほぼ同じであることを予期するように構成される。
【0031】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第7の態様において、制御ユニットは、PD流体ポンプが作動させられている場合、充填圧力センサおよび戻り圧力センサからの出力が圧力降下量だけ異なると予期するように構成される。
【0032】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第8の態様において、PD流体ポンプ、PD流体充填ライン、充填ルーメン、PD流体戻りライン、および戻りルーメンが閉ループを形成し、圧力降下量は、充填ルーメンおよび戻りルーメンの両方における圧力降下を含む。
【0033】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第9の態様において、PDシステムは、制御ユニットの制御下にある弁を含み、弁がPD流体戻りラインを閉じるために位置決めされ、戻りルーメンが弁によって閉じられている間、圧力降下量は、充填ルーメンにおける圧力降下を含むが、戻りルーメンにおける圧力降下を含まない。
【0034】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第10の態様において、制御ユニットは、(i)充填圧力センサからの出力が充填圧力センサからの予期出力より少なくとも第1の所定量だけ大きい場合、充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)戻り圧力センサからの出力が戻り圧力センサからの予期出力より少なくとも第2の所定量だけ小さい場合、戻りルーメンにおける閉塞を決定し、および(iii)(i)と(ii)との両方が満たされる場合、患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成される。
【0035】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第11の態様では、第10の態様の第1および第2の所定量は、少なくとも実質的に同じである。
【0036】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第12の態様において、制御ユニットは、(i)充填圧力センサからの出力が第1の所定の圧力量を満たすかまたはそれより大きい場合、充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)戻り圧力センサからの出力が第2の所定の圧力量より小さい場合、戻りルーメンにおける閉塞を決定し、および(iii)(i)と(ii)との両方が満たされる場合、患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成される。
【0037】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第13の態様では、第12の態様の第1および第2の所定の圧力量は、少なくとも実質的に同じである。
【0038】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第14の態様において、デュアルルーメン患者ラインの充填ルーメンおよび戻りルーメンは、デュアルルーメン患者ラインの遠位端に位置しているコネクタにおける単一ルーメンに合併する。
【0039】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第15の態様において、デュアルルーメン患者ラインの充填ルーメンおよび戻りルーメンは、デュアルルーメン患者ラインの遠位端に位置しているコネクタの中に延び、コネクタは、連続流腹膜透析を実行するためのデュアルルーメン患者移送セットに接続するように構成される。
【0040】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第16の態様において、腹膜透析(「PD」)システムは、ハウジングと、ハウジングによって収容されているPD流体ポンプと、ハウジングから延びているデュアルルーメン患者ラインであって、デュアルルーメン患者ラインは、充填ルーメンと戻りルーメンとを含む、デュアルルーメン患者ラインと、デュアルルーメン患者ラインの充填ルーメン内のPD流体圧力を検出するように構成された充填圧力センサと、デュアルルーメン患者ラインの戻りルーメン内のPD流体圧力を検出するように構成された戻り圧力センサと、充填圧力センサおよび戻り圧力センサからの出力を使用して、デュアルルーメン患者ラインの充填ルーメンまたは戻りルーメンのうちの1つが塞がれているかどうかを決定するように構成された制御ユニットとを含む。
【0041】
任意の他の態様またはその一部と組み合わせることができる本開示の第17の態様では、図1または図2のいずれか1つ以上に関連して説明された特徴、機能、および代替形態のいずれかを、図1または図2の他のいずれかに関連して説明した特徴、機能、および代替例のいずれかと組み合わせることができる。
【0042】
したがって、本開示の利点は、正確な閉塞検出を有する自動腹膜透析(「PD」)機械またはサイクラーを提供することである。
【0043】
本開示の別の利点は、デュアルルーメン患者ラインを有するPDシステムを提供することである。
【0044】
本開示の更なる利点は、チューブまたは可撓性シートなどの使い捨て物品を用いて動作する必要なく、腹膜透析流体を直接受け入れる耐久性のある流体処理構成要素を使用することができるPD機械またはサイクラーを提供することである。
【0045】
本開示のさらに別の利点は、体積測定的に正確なPDサイクラーを提供することである。
【0046】
本開示のさらに別の利点は、患者との間で圧送する液圧制御を有するPD機械またはサイクラーを提供することである。
【0047】
本開示の更なる利点は、比較的静かなPD機械またはサイクラーを提供することである。
【0048】
更なる特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面に記載され、それらから明らかになる。本明細書に記載の特徴および利点は、全てを含むものではなく、特に、多くの更なる特徴および利点が、図面および説明を考慮すると当業者には明らかである。また、任意の特定の実施形態は、本明細書にリストアップされた利点の全てを有する必要はなく、個々の有利な実施形態を別々に請求することが明確に企図される。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび説明目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、患者の充填または滞留中のシステムの一実施形態の概略図であり、システムは、デュアルルーメン患者ラインを有する自動腹膜透析(「PD」)機械またはサイクラーを含む。
【0050】
図2図2は、患者ドレイン中の図1のシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
ここで図面、特に図1を参照すると、本開示の自動腹膜透析(「PD」)システム10および関連する方法の一実施形態は、PD機械またはサイクラー20を含む。サイクラー20は、再使用可能または耐久性のある流動構成要素を保持するハウジング22を含む。ハウジング22は、金属、例えば鋼ステンレス鋼、またはアルミニウム、および/またはプラスチック、例えばポリ塩化ビニル(「PVC」)、またはポリエチレン(「PE」)、架橋ポリエチレン(「PEX」)、ポリウレタン(「PU」)またはポリカーボネート(「PC」)などの非PVC材料で作製されることができる。ハウジング22は、様々な実施形態において、小型であり、軽量であり、輸送可能である。
【0052】
ハウジング22は、PD流体ポンプ24を保持する。PD流体ポンプ24は、電動のピストンポンプ、ギヤポンプ、膜ポンプ、または遠心ポンプであり得、それらは、本質的に体積的に正確であり得、その結果、流量計、バランス室または理想気体の法則を使用する装置などの別個のPD流体体積測定装置は、必要とされない。ここで、PD流体は、治療後に消毒される耐久性のあるPD流体ポンプ24の本体を通して流れる。代替的な実施形態において、PD流体ポンプ24は、使い捨てセットのチューブまたは可撓性シートを作動させるポンプアクチュエータを含み、PD流体は、使い捨てセットを通って流れる。ポンプアクチュエータ24は、例えば、(i)圧送チューブを用いて動作する蠕動ポンプアクチュエータ、または(ii)可撓性ポンプシートを用いて動作する空気圧または電気機械式ポンプアクチュエータ(例えば、ステッパモータおよびピストン)であり得る。ポンプアクチュエータは、再使用可能であり、流体と接触しないので、それらは、治療後に消毒される必要がない。圧送チューブまたは可撓性シートは、各治療後に廃棄され得るか、または、消毒され、複数の治療のために再使用され得る。前述の任意の実施形態において、PD流体ポンプ24は、双方向または一方向であり得、単一のポンプが、提供され得る。PD流体ポンプ24は、連続的であり得る。
【0053】
ハウジング22はまた、所望に応じて流れを開放するために、または塞ぐために、PD流体ラインに沿って配置された複数の弁、例えば弁26a~26cを保持する。機械またはサイクラー20が追加の弁(説明を容易にするために示されていない)を提供することが、理解されるべきである。それにもかかわらず、弁26a~26cを含む弁の各々は、例えば、フェイルセーフ動作のために通電されて開く電気的に作動させられる電磁弁であり得る。ここで、PD流体は、再使用のための治療後に消毒される弁26a~26cの本体を通して流れる。弁26a~26cは、代替的に、ピンチ弁アクチュエータ(例えば、閉じられた可撓性チューブまたは可撓性シートを挟む電気機械式または空気圧式弁アクチュエータ)であり得る。ここで、弁アクチュエータ26a~26cは、再使用可能であり、流体と接触せず、従って、それらは、治療後に消毒される必要がない。可撓性圧送チューブまたは可撓性シートは、各治療後に廃棄され得るか、または、消毒され、複数の治療のために再使用され得る。
【0054】
図1および図2に示される実施形態において、戻り弁26aは、内部の再使用可能な戻りライン28aに沿って位置決めされ、戻りライン28aは、デュアルルーメン患者ライン40の戻りルーメン40rと流体連通する。再使用可能なPD流体戻りライン28aは、PD流体ポンプ24の入口につながっている。後述する閉塞圧力チェックシーケンス中、戻り弁26aが閉じられている場合、デュアルルーメン患者ライン40の戻りルーメン40rは静圧ラインである。閉塞圧力チェック中、戻り弁26aが代わりに開いている場合、デュアルルーメン患者ライン40の戻りルーメン40rは、動圧ラインであり得、閉ループが、2つのルーメン40fおよび40rと、PD流体ポンプ24と相互作用する再使用可能なPD流体ライン28aおよび28bとで形成される。
【0055】
図1および図2に示される実施形態におけるシステム10の機械またはサイクラー20は、再使用可能なPD流体充填ライン28bに沿って位置する充填弁26b、および再使用可能なPD流体ドレインライン28cに沿って位置するドレイン弁26cも含む。図1では、新鮮なPD流体がドレインに送られることを防止し、新鮮なPD流体がPD流体充填ライン28bとデュアルルーメン患者ライン40の充填ルーメン40fとに沿って患者Pに送られることを可能にするために、ドレイン弁26cは、閉じられ、充填弁26bは、開いている(戻り弁26aは、開かれていることも、閉じられていることもある)。図2では、使用済みPD流体が患者Pに戻されることを防止し、代わりに、使用済みPD流体が患者Pから除去され、デュアルルーメン患者ライン40の戻りルーメン40r、PD流体戻りライン充填ライン28b、およびPD流体ドレインライン28cに沿ってハウスドレインまたはドレイン容器106に送られることを可能にするために、戻り弁26aおよびドレイン弁26cが開かれているが、充填弁26bは、閉じられている。
【0056】
図示の実施形態において、ハウジング22は、デュアルルーメン患者ライン40の各ルーメン40r、40fに提供された圧力センサ30a、30bも収容する。圧力センサ30a、30bは、それぞれ、再使用可能なPD流体ライン28a、28bに沿ってあり、PD流体ライン28a、28bは、PD流体ポンプ24とデュアルルーメンとの間を接続する。圧力センサ30a、30bは、PD流体が流れる耐久性のある本体を有するインラインの再利用可能な圧力センサであり得る。圧力センサ30a、30bは、代替的に、例えば、使い捨てのポッド圧力センサであり得、ポッド圧力センサは、それらのそれぞれのPD流体ライン28a、28bに沿って形成され、流体接触側と空気伝送側とを有し、空気伝送側は、空気伝送ラインを介して圧力トランスデューサに流体圧力を伝送する。圧力センサ30a、30bは、さらに代替的に、力センサであり得、力センサは、それぞれのPD流体ライン28a、28bの可撓性部分を受け入れ、力センサは、可撓性部分を通って流れる流体によって加えられる力を測定することによって圧力読み取り値を取得する。
【0057】
図示の実施形態において、ハウジング22は、患者Pに送られる前に新鮮なPD流体を加熱するために位置決めされたインラインヒーター32も収容する。インラインヒーター32は、一実施形態において、少なくとも200ミリリットル(「ml」)/分の流量で室温から体温(例えば37℃)までPD流体を加熱することができる。代替的な実施形態において、システム10は、インラインヒーター32の代わりに、バッチ加熱(例えば、供給品または専用の加熱容器またはバッグ内で生じる)を採用し得る。PD流体ヒーターの制御のためのフィードバック情報と、おそらくフィードフォワード情報とを出力するために、1つ以上の上流または下流温度センサ(図示せず)が提供され得る。システム10は、導電率、プライミング、レベルセンサ、フロースイッチ、および/または漏れ検出センサ(図示せず)などの他のセンサを含み得る。
【0058】
図1および図2は、本開示のシステム10のPD機械またはサイクラー20が、1つ以上のプロセッサ52および1つ以上のメモリ54を有する制御ユニット50を含むことを示し、制御ユニット50は、PD流体ポンプ24、弁26a~26c(および任意の他の弁)、インラインヒーター32を制御し、圧力センサ30a、30bおよび上でリストアップされた他のセンサのいずれかから信号または出力を受信し、信号または出力をフィードバックおよび/または表示のために処理する。制御ユニット50は、後述する閉塞検出のために、および、治療中に安全な患者圧力限界でまたはその範囲内で稼働するように透析流体ポンプ24を制御するために(例えば、PD流体ポンプ24への電流、パルス幅、または空気圧のレベルを制御することによって)、圧力センサ30a、30bからの圧力フィードバックを使用する。正の患者圧力限界は、例えば、1から5psig(例えば、2psig(14kPa))であり得る。負の患者圧力限界は、例えば、-1.0psigから-3.0psig(例えば、-1.3psig(-9kPa))であり得る。制御ユニット50は、新鮮な透析流体を例えば体温または37℃に加熱するように透析流体ヒーター32を制御するために、温度フィードバックを使用する。制御ユニット50は、新鮮なおよび/または使用済みの透析流体を分析するために、温度補償された導電率読み取り値を使用し得る。
【0059】
制御ユニット50は、ユーザインターフェース58と相互作用するビデオコントローラ56を含み、ユーザインターフェースは、タッチスクリーンおよび/または膜スイッチなどの1つ以上の電気機械ボタンで動作するディスプレイスクリーン60を含み得る。ユーザインターフェース58は、警報、警告、および/または音声ガイダンスコマンドを出力するための1つ以上のスピーカーも含み得る。ユーザインターフェース58は、図1および図2に示されるように、サイクラー20に提供され得、および/または、ユーザインターフェース58は、制御ユニット50で動作するリモートユーザインターフェースであり得る。制御ユニット50は、医師または臨床医のコンピュータと相互作用する医師または臨床医のサーバに治療データを送信し、医師または臨床医のサーバから処方命令を受信するために、トランシーバ(図示せず)およびネットワーク、例えばインターネットへの有線または無線接続も含み得る。
【0060】
デュアルルーメン患者ライン40は、消毒され、複数の治療のために再使用され得るか、または、治療後に廃棄され得る。一実施形態において、患者ライン40のデュアルルーメン40fおよび40rは、患者ラインの遠位端で一緒に合併し、コネクタ42における単一ルーメンを形成し、コネクタ42は、患者の移送セット44に接続し、患者の留置カテーテルと流体連通する。代替的な実施形態において、患者ライン40のデュアルルーメン40fおよび40rは、一緒に合併せず、代わりに、それぞれ、患者の移送セット44の別個のルーメンに接続し、デュアルルーメン留置カテーテルと流体連通し、連続流腹膜透析(「CFPD」)を実行する。CFPDでは、新鮮なPD流体が患者に流れ、一方、使用済みPD流体が、患者から除去される。患者ライン40のデュアルルーメン40fおよび40rが患者の移送セット44の上流で単一ルーメンに合併するか否かにかかわらず、新鮮なPD流体は、PD流体ポンプ24を介して、デュアルルーメン患者ライン40の充填ルーメン40fを通して送られる。
【0061】
システム10は、サイクラー20とともに動作するための使い捨てセット100を提供する。デュアルルーメン患者ライン40の消毒および再使用は、使い捨てセット100とともに必要な使い捨て物品の量を減らす。そのような場合、使い捨てセット100は、ハウジング22内に位置する1つ以上の内部再使用可能供給ライン28sに接続する使い捨て供給ライン104を有する1つ以上の供給容器またはバッグ102を含む。代替的な実施形態において、少なくとも1つの供給ライン104は、再利用可能であり、消毒のために閉ループを形成するために治療後にサイクラー20に差し込まれるように構成された遠位端を有する。少なくとも1つの供給容器またはバッグ102から供給されるPD流体は、1.36%グルコース透析流体、2.27%グルコース透析流体などの異なるデキストロースまたはグルコースレベルの透析流体、および/またはイコデキストリンなどのPD流体の異なる製剤の最後のバッグを保持することができる。使い捨てセット100は、ハウジング内に配置された再使用可能なPD流体ドレインライン28cに接続する使い捨てのドレインライン108を有するドレイン容器またはバッグ106も含み得る。ドレイン容器またはバッグ106は、代替的に、トイレまたはバスタブなどのハウスドレインを使用して除去され得る。ドレインライン108は、代替的に、再利用可能であり得、消毒のための閉ループを形成するために治療後にサイクラー20に差し込まれるように構成された遠位端を有し得る。
【0062】
再使用可能なPD流体ライン28a~28dは、ハウジング22の内側に位置するように示されているが、代替的に、ハウジングの外面に搭載され得るか、または、PD機械またはサイクラー20のドアの内側に取搭載され得る。ここで、PD流体ライン28a~28dは、一般に使い捨てであり、面搭載弁とともに動作するが、代替的に、再使用のために治療後に消毒することができる。ハウジング22の内側または外側に位置するチューブのいずれも、金属、例えばステンレス鋼、またはプラスチック、例えばポリ塩化ビニル(「PVC」)、またはポリエチレン(「PE」)、架橋ポリエチレン(「PEX」)、ポリウレタン(「PU」)またはポリカーボネート(「PC」)などの非PVC材料であり得る。
【0063】
(閉塞検出)
システム10の制御ユニット50はまた、圧力センサ30a、30bの出力を監視し、デュアルルーメン患者ライン40内の閉塞を探すようにも構成される。デュアルルーメン患者ライン40のルーメン40fまたは40rのいずれにも流れがない場合、制御ユニット50は、圧力センサ30a、30bによって各ルーメン内で測定された圧力が同じであるか、またはほぼ同じであることを予期する。制御ユニット50は、制御ユニット50がPD流体ポンプ24に命令しているので、したがって、PD流体ポンプが作動させられているか否かを把握しているので、制御ユニットは、ルーメン40fまたは40rのいずれかに流れがないときを把握する。
【0064】
図1では、PD流体ポンプ24が患者Pに新鮮なPD流体を充填しており、制御ユニット50が、それを命令し、したがって、それが行われていることを知っており、疑わしいラインのねじれまたは他の部分的または完全な閉塞が制御ユニット50によって検出されると、動的な閉ループが形成され得、PD流体ポンプ24、再使用可能なPD流体ライン28aおよび28b、およびデュアルルーメン患者ライン40は、もとの状態に戻され、患者弁26aおよび26bは、開かれ、ドレイン弁26cは、閉じられる。制御ユニット50は、ここでは、圧力センサ30bによって測定される充填ルーメン40f内の流体圧力が、新鮮なPD流体の流れによって引き起こされる閉ループ内の既知の圧力降下量(例えば、経験的に決定される)だけ圧力センサ30aによって測定される戻りルーメン40r内の流体圧力と異なると予期するようにプログラムされている。前述したように、ルーメン40fおよび40rはコネクタ42で単一のルーメンに収束し、圧力センサ30aは、ルーメン40fおよび40rの両方が完全にプライミングされているとき、正の充填圧力を経験することを可能にする。圧力センサ30aと30bの読み取り値間の圧力差が予期される圧力降下差とことなる場合、例えば、設定された誤差範囲をより大きく異なる場合、一実施形態における制御ユニット50は、圧力差の不一致が患者ライン40のルーメン40fおよび40rのいずれかまたは両方の閉塞に起因するかどうかを決定するアルゴリズムを実行する。圧力センサ30bでの充填ルーメン圧力読み取り値が所定量以上、例えば、1psig(0.07バール)以上である場合、制御ユニット50は、デュアルルーメン患者ライン40の充填ルーメン40fに閉塞があると決定する。圧力センサ30aでの戻りルーメン圧力読み取り値が所定量、例えば、1psig(0.07バール)以上より低い場合、制御ユニット50は、デュアルルーメン患者ライン40の戻りルーメン40rに閉塞があると決定する。(i)圧力センサ30bでの充填側圧力センサ読み取り値が所定の圧力以上、例えば、1psig(0.07バール)以上であり、(ii)圧力センサ30aでの戻り側圧力センサ読み取り値が所定の圧力、例えば、1psig(0.07バール)以上より低い場合、制御ユニット50は、患者Pの移送セット44に閉塞があると決定する。
【0065】
上記のシナリオのいずれにおいても、制御ユニット50は、機械またはサイクラー20のユーザインターフェース58で警報を発し、治療を一時的に停止する。制御ユニット50の制御下にあるユーザインターフェース58は、例えば、閉塞の位置を詳述するオーディオ、ビジュアル、またはオーディオビジュアルメッセージをユーザに提供し得る。
【0066】
PD流体ポンプ24が使用済みPD流体を患者Pから除去する図2の患者ドレインでは、制御ユニット50は、この場合も先と同様、それが行われていることを知っており、戻り弁26aおよびドレイン弁26cは、開かれているが、充填弁26bは、閉じられている。それにもかかわらず、圧力センサ30bは、コネクタ42における単一のルーメンへのルーメン40fおよび40rの収束に起因する負圧を感知することができる。ここで、充填ルーメン40fは、静的ラインである。(経験的に決定され、制御ユニット50に記憶され得る)負圧の圧力降下は、PD流体ポンプ24の入口(最も高い負圧)から始まり、再利用可能なPD流体戻りライン28aおよび戻りルーメン40rを通ってコネクタ42(最も低い負圧)の収束点に達し、それは、本質的に、圧力センサ30aが静的負圧充填ルーメン40fを介して経験する圧力である。圧力センサ30a,30b間の測定された圧力降下が予期されるものより小さい場合(例えば、誤差の範囲で)、制御ユニット50は、戻りルーメン40rに閉塞があると決定し、本明細書に記載の方法で患者またはユーザに警報を発する。圧力センサ30a,30b間の測定された圧力降下が予期されるものより小さい場合(例えば、誤差の範囲で)、制御ユニット50は、例えば、コネクタ42に漏れがあると決定する。
【0067】
本明細書に記載の現在好ましい実施形態に対する様々な変形および変更が当業者にとって明らかであることを理解すべきである。したがって、そのような変更および修正のいずれかまたは全てが添付の特許請求の範囲によって包含され得ることが意図されている。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析(「PD」)システムであって、前記PDシステムは、
ハウジングと、
前記ハウジングによって収容されているPD流体ポンプと、
前記ハウジングから延びており、患者の移送セットに接続しているデュアルルーメン患者ラインであって、前記デュアルルーメン患者ラインは、充填ルーメンと戻りルーメンとを含む、デュアルルーメン患者ラインと、
前記充填ルーメンおよび前記PD流体ポンプの出口と流体連通しているPD流体充填ラインと、
前記戻りルーメンおよび前記PD流体ポンプの入口と流体連通しているPD流体戻りラインと、
前記PD流体充填ラインに沿うPD流体圧力を検出するように構成されている充填圧力センサと、
前記PD流体戻りラインに沿うPD流体圧力を検出するように構成されている戻り圧力センサと、
制御ユニットと
を備え、前記制御ユニットは、前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの出力を使用して、(i)前記充填圧力センサからの前記出力が第1の所定の圧力量を満たすかまたは前記第1の所定の圧力量より大きいとき、前記充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)前記戻り圧力センサからの前記出力が第2の所定の圧力量より小さいとき、前記戻りルーメンにおける閉塞を決定し、(iii)(i)と(ii)との両方が満たされるとき、前記患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成されている、PDシステム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記PD流体ポンプを動作させることと、前記PD流体ポンプがPD流体を圧送しているか否かを決定することとを行うようにさらに構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項3】
前記PD流体充填ラインは、前記ハウジングの表面に沿ってまたは前記ハウジングによって提供されるドアの背後で前記ハウジング内に位置している、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項4】
前記PD流体戻りラインは、前記ハウジングの表面に沿ってまたは前記ハウジングによって提供されるドアの背後で前記ハウジング内に位置している、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項5】
前記PDシステムは、前記制御ユニットと動作可能に通信するユーザインターフェースをさらに備え、前記制御ユニットは、閉塞を決定すると、前記充填ルーメンが塞がれているかどうか、前記戻りルーメンが塞がれているかどうか、または前記患者の移送セットが塞がれているかどうかを詳述する警報を前記ユーザインターフェースに提供させるように構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記PD流体ポンプが作動させられていない場合、前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの前記出力が同じであることまたはほぼ同じであることを予期するように構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記PD流体ポンプが作動させられている場合、前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの前記出力が圧力降下量だけ異なると予期するように構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項8】
前記PD流体ポンプ、前記PD流体充填ライン、前記充填ルーメン、前記PD流体戻りライン、および前記戻りルーメンは、閉ループを形成し、前記圧力降下量は、前記充填ルーメンおよび前記戻りルーメンの両方における圧力降下を含む、請求項7に記載のPDシステム。
【請求項9】
前記PDシステムは、前記制御ユニットの制御下にある弁をさらに備え、前記弁は、前記PD流体戻りラインを閉じるように位置決めされ、前記戻りルーメンが前記弁によって閉じられている間、前記圧力降下量は、前記充填ルーメンにおける圧力降下を含むが、前記戻りルーメンにおける圧力降下を含まない、請求項7に記載のPDシステム。
【請求項10】
前記充填圧力センサからの前記出力は、前記充填圧力センサからの前記出力が前記充填圧力センサからの予期出力より少なくとも第1の所定量だけ大きいとき、前記第1の所定の圧力量を満たすかまたは前記第1の所定の圧力量より大きく、前記戻り圧力センサからの前記出力は、前記戻り圧力センサからの前記出力が前記戻り圧力センサからの予期出力より少なくとも第2の所定量だけ小さいとき、第2の所定の圧力量より小さい、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項11】
前記第1の所定量および前記第2の所定量は、少なくとも実質的に同じである、請求項10に記載のPDシステム。
【請求項12】
前記第1の所定の圧力量および前記第2の所定の圧力量は、少なくとも実質的に同じである、請求項に記載のPDシステム。
【請求項13】
前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメンおよび前記戻りルーメンは、前記デュアルルーメン患者ラインの遠位端に位置しているコネクタにおける単一ルーメンに合併する、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項14】
前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメンおよび前記戻りルーメンは、前記デュアルルーメン患者ラインの遠位端に位置しているコネクタの中に延びており、前記コネクタは、連続流腹膜透析を実行するために前記患者移送セットに接続するように構成されている、請求項1に記載のPDシステム。
【請求項15】
腹膜透析(「PD」)システムであって、前記PDシステムは、
ハウジングと、
前記ハウジングによって収容されているPD流体ポンプと、
前記ハウジングから延びており、患者の移送セットに接続しているデュアルルーメン患者ラインであって、前記デュアルルーメン患者ラインは、充填ルーメンと戻りルーメンとを含む、デュアルルーメン患者ラインと、
前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメン内のPD流体圧力を検出するように構成されている充填圧力センサと、
前記デュアルルーメン患者ラインの前記戻りルーメン内のPD流体圧力を検出するように構成されている戻り圧力センサと、
制御ユニットと
を備え、前記制御ユニットは、前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの出力を使用して、(i)前記充填圧力センサからの前記出力が第1の所定の圧力量を満たすかまたは前記第1の所定の圧力量より大きいとき、前記充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)前記戻り圧力センサからの前記出力が第2の所定の圧力量より小さいとき、前記戻りルーメンにおける閉塞を決定し、(iii)(i)と(ii)との両方が満たされるとき、前記患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成されている、PDシステム。
【請求項16】
充填圧力センサからの前記出力は、前記充填圧力センサからの前記出力が前記充填圧力センサからの予期出力より少なくとも第1の所定量だけ大きいとき、前記第1の所定の圧力量を満たすかまたは前記第1の所定の圧力量より大きく、前記戻り圧力センサからの前記出力は、前記戻り圧力センサからの前記出力が前記戻り圧力センサからの予期出力より少なくとも第2の所定量だけ小さいとき、第2の所定の圧力量より小さい、請求項15に記載のPDシステム。
【請求項17】
前記第1の所定量および前記第2の所定量は、少なくとも実質的に同じである、請求項16に記載のPDシステム。
【請求項18】
前記第1の所定の圧力量および前記第2の所定の圧力量は、少なくとも実質的に同じである、請求項15に記載のPDシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
更なる特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面に記載され、それらから明らかになる。本明細書に記載の特徴および利点は、全てを含むものではなく、特に、多くの更なる特徴および利点が、図面および説明を考慮すると当業者には明らかである。また、任意の特定の実施形態は、本明細書にリストアップされた利点の全てを有する必要はなく、個々の有利な実施形態を別々に請求することが明確に企図される。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび説明目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意すべきである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
腹膜透析(「PD」)システムであって、前記PDシステムは、
ハウジングと、
前記ハウジングによって収容されているPD流体ポンプと、
前記ハウジングから延びているデュアルルーメン患者ラインであって、前記デュアルルーメン患者ラインは、充填ルーメンと戻りルーメンとを含む、デュアルルーメン患者ラインと、
前記充填ルーメンおよび前記PD流体ポンプの出口と流体連通しているPD流体充填ラインと、
前記戻りルーメンおよび前記PD流体ポンプの入口と流体連通しているPD流体戻りラインと、
前記PD流体充填ラインに沿うPD流体圧力を検出するように構成された充填圧力センサと、
前記PD流体戻りラインに沿うPD流体圧力を検出するように構成された戻り圧力センサと、
前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの出力を使用して、前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメンまたは前記戻りルーメンのうちの1つが塞がれているかどうかを決定するように構成された制御ユニットと
を備えている、PDシステム。
(項目2)
前記制御ユニットは、前記PD流体ポンプを動作させることと、前記PD流体ポンプがPD流体を圧送しているか否かを決定することとを行うようにさらに構成されている、項目1に記載のPDシステム。
(項目3)
前記PD流体充填ラインは、前記ハウジングの表面に沿ってまたは前記ハウジングによって提供されるドアの背後で前記ハウジング内に位置している、項目1に記載のPDシステム。
(項目4)
前記PD流体戻りラインは、前記ハウジングの表面に沿ってまたは前記ハウジングによって提供されるドアの背後で前記ハウジング内に位置している、項目1に記載のPDシステム。
(項目5)
前記制御ユニットと動作可能に通信するユーザインターフェースをさらに備え、前記制御ユニットは、閉塞を決定すると、前記充填ルーメンが塞がれているかどうか、前記戻りルーメンが塞がれているかどうか、または患者の移送セットが塞がれているかどうかを詳述する警報を前記ユーザインターフェースに提供させるように構成されている、項目1に記載のPDシステム。
(項目6)
前記制御ユニットは、前記PD流体ポンプが作動させられていない場合、前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの前記出力が同じであることまたはほぼ同じであることを予期するように構成されている、項目1に記載のPDシステム。
(項目7)
前記制御ユニットは、前記PD流体ポンプが作動させられている場合、前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの前記出力が圧力降下量だけ異なると予期するように構成されている、項目1に記載のPDシステム。
(項目8)
前記PD流体ポンプ、前記PD流体充填ライン、前記充填ルーメン、前記PD流体戻りライン、および前記戻りルーメンは、閉ループを形成し、前記圧力降下量は、前記充填ルーメンおよび前記戻りルーメンの両方における圧力降下を含む、項目7に記載のPDシステム。
(項目9)
前記制御ユニットの制御下にある弁をさらに備え、前記弁が前記PD流体戻りラインを閉じるために位置決めされ、前記戻りルーメンが前記弁によって閉じられている間、前記圧力降下量は、前記充填ルーメンにおける圧力降下を含むが、前記戻りルーメンにおける圧力降下を含まない、項目7に記載のPDシステム。
(項目10)
前記制御ユニットは、(i)前記充填圧力センサからの前記出力が前記充填圧力センサからの予期出力より少なくとも第1の所定量だけ大きい場合、前記充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)前記戻り圧力センサからの前記出力が前記戻り圧力センサからの予期出力より少なくとも第2の所定量だけ小さい場合、前記戻りルーメンにおける閉塞を決定し、(iii)(i)と(ii)との両方が満たされる場合、患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成されている、項目1に記載のPDシステム。
(項目11)
前記第1および第2の所定量は、少なくとも実質的に同じである、項目10に記載のPDシステム。
(項目12)
前記制御ユニットは、(i)前記充填圧力センサからの前記出力が第1の所定の圧力量を満たすかまたはそれより大きい場合、前記充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)前記戻り圧力センサからの前記出力が第2の所定の圧力量より小さい場合、前記戻りルーメンにおける閉塞を決定し、(iii)(i)と(ii)との両方が満たされる場合、患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成されている、項目1に記載のPDシステム。
(項目13)
前記第1および第2の所定の圧力量は、少なくとも実質的に同じである、項目12に記載のPDシステム。
(項目14)
前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメンおよび前記戻りルーメンは、前記デュアルルーメン患者ラインの遠位端に位置しているコネクタにおける単一ルーメンに合併する、項目1に記載のPDシステム。
(項目15)
前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメンおよび前記戻りルーメンは、前記デュアルルーメン患者ラインの前記遠位端に位置しているコネクタの中に延び、前記コネクタは、連続流腹膜透析を実行するためのデュアルルーメン患者移送セットに接続するように構成されている、項目1に記載のPDシステム。
(項目16)
腹膜透析(「PD」)システムであって、前記PDシステムは、
ハウジングと、
前記ハウジングによって収容されているPD流体ポンプと、
前記ハウジングから延びているデュアルルーメン患者ラインであって、前記デュアルルーメン患者ラインは、充填ルーメンと戻りルーメンとを含む、デュアルルーメン患者ラインと、
前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメン内のPD流体圧力を検出するように構成された充填圧力センサと、
前記デュアルルーメン患者ラインの前記戻りルーメン内のPD流体圧力を検出するように構成された戻り圧力センサと、
前記充填圧力センサおよび前記戻り圧力センサからの出力を使用して、前記デュアルルーメン患者ラインの前記充填ルーメンまたは前記戻りルーメンのうちの1つが塞がれているかどうかを決定するように構成された制御ユニットと
を備えている、PDシステム。
(項目17)
前記制御ユニットは、(i)前記充填圧力センサからの前記出力が前記充填圧力センサからの予期出力より少なくとも第1の所定量だけ大きい場合、前記充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)前記戻り圧力センサからの前記出力が前記戻り圧力センサからの予期出力より少なくとも第2の所定量だけ小さい場合、前記戻りルーメンにおける閉塞を決定し、(iii)(i)と(ii)との両方が満たされる場合、患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成されている、項目16に記載のPDシステム。
(項目18)
前記第1および第2の所定量は、少なくとも実質的に同じである、項目17に記載のPDシステム。
(項目19)
前記制御ユニットは、(i)前記充填圧力センサからの前記出力が第1の所定の圧力量を満たすかまたはそれより大きい場合、前記充填ルーメンにおける閉塞を決定し、(ii)前記戻り圧力センサからの前記出力が第2の所定の圧力量より小さい場合、前記戻りルーメンにおける閉塞を決定し、(iii)(i)と(ii)との両方が満たされる場合、患者の移送セットにおける閉塞を決定するように構成されている、項目16に記載のPDシステム。
(項目20)
前記第1および第2の所定の圧力量は、少なくとも実質的に同じである、項目19に記載のPDシステム。
【国際調査報告】