IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インブリア ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-540172心血管状態を処置するための方法および心臓の代謝効率を増大させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】心血管状態を処置するための方法および心臓の代謝効率を増大させる方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20241024BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P9/10
A61P3/06
A61P9/10 101
A61P9/12
A61P3/04
A61K9/20
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525619
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 US2022048401
(87)【国際公開番号】W WO2023076665
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/274,389
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519453777
【氏名又は名称】インブリア ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】パテル, ジャイクリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】チェンバリン, ポール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA38
4C076AA67
4C076BB01
4C076CC11
4C076FF32
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA36
(57)【要約】
本発明は、心血管状態を処置する方法および心臓の代謝効率を増大させる方法を提供する。特に、本発明は、心臓ミトコンドリア機能を改善して心臓状態を処置する化合物を含有する組成物の使用についての予想外の知見を活用する。本組成物は、独立であるが協同的な機序によって心臓ミトコンドリア代謝を改善する複数の生成物に体内で代謝される化合物を含有する。トリメタジジンおよびその誘導体を含み得る一組の代謝産物は、心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする。別の組の代謝産物は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の合成のための前駆体として働き、したがって、ミトコンドリア呼吸を促進する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における心臓脂肪症または心臓脂肪症に関連する障害を処置する方法であって、心臓脂肪症または心臓脂肪症に関連する障害を有しているか、または発症するリスクがある対象に、式(X)の化合物
【化3】
または薬学的に許容されるその塩を含む組成物を提供するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記組成物が、経口的に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、1日当たり少なくとも1つの用量で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの用量が、少なくとも2週間にわたって毎日提供される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの用量が、約25mg~約1000mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの用量が、約50mg~約600mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの用量が、約100mg~約400mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの用量が、約200mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、調節放出製剤を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
対象における心筋トリグリセリドを低下させる方法であって、心筋疾患を有しているか、または発症するリスクがある対象に、式(X)の化合物
【化4】
または薬学的に許容されるその塩を含む組成物を提供するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記組成物が、経口的に提供される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、1日当たり少なくとも1つの用量で提供される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの用量が、少なくとも2週間にわたって毎日提供される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの用量が、約25mg~約1000mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの用量が、約50mg~約600mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの用量が、約100mg~約400mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの用量が、約200mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、調節放出製剤を構成する、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記心血管状態が、急性冠症候群;動脈瘤;狭心症;アテローム性動脈硬化症;大動脈弁狭窄、HIV/ART関連心筋脂肪症、高血圧性心疾患、肺動脈性肺高血圧症、冠状動脈微小血管機能不全および全身性リポジストロフィーなどの状態を含む、心臓肥満症または脂肪症;心虚血再灌流傷害;心筋症(閉塞性肥大型、非閉塞性肥大型、拡張型、および拘束型を含む、遺伝性または後天性);心臓保護(心肺バイパスを用いる心臓外科手術中を含む);脳血管疾患;慢性冠症候群;先天性心疾患;冠動脈疾患;冠状動脈性心疾患;冠状動脈微小血管機能不全;糖尿病性心筋症(無症状性の顕在前心不全を含む);心発作;心疾患;心不全(すべてのステージおよび駆出率が低下している、軽度に低下している、または保持されているもの);糖尿病における心臓移植後の心不全;高血圧;高血圧性心疾患;虚血性心疾患;閉塞性冠動脈疾患を伴わない虚血;脂肪毒性による心筋症;メタボリック症候群;微小血管狭心症;ミトコンドリア心筋症;心筋梗塞、肥満心筋症;心膜疾患;心膜(または心外膜)脂肪蓄積;末梢動脈疾患;肺動脈性肺高血圧症、右室不全;リウマチ性心疾患;脳卒中;一過性虚血性発作;心臓弁膜症(弁修復術または弁置換術前および/または後の医学的治療としてのものを含む);ならびに血管攣縮性狭心症からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
対象における脂肪毒性を低減する方法であって、脂肪毒性を有しているか、または発症するリスクがある対象に、式(X)の化合物
【化5】
または薬学的に許容されるその塩を含む組成物を提供するステップを含む、方法。
【請求項23】
前記組成物が、経口的に提供される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、1日当たり少なくとも1つの用量で提供される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの用量が、少なくとも2週間にわたって毎日提供される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの用量が、約25mg~約1000mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの用量が、約50mg~約600mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの用量が、約100mg~約400mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの用量が、約200mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、調節放出製剤を構成する、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
対象における体重減少を誘発する方法であって、対象に、式(X)の化合物
【化6】
または薬学的に許容されるその塩を含む組成物を提供するステップを含む、方法。
【請求項33】
前記組成物が、経口的に提供される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、1日当たり少なくとも1つの用量で提供される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が、1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つの用量が、少なくとも2週間にわたって毎日提供される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの用量が、約25mg~約1000mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの用量が、約50mg~約600mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの用量が、約100mg~約400mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの用量が、約200mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記組成物が、調節放出製剤を構成する、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
対象における心機能不全を処置する方法であって、HbA1cの上昇したレベルを有している対象に、1日当たり少なくとも1つの用量の式(X)の化合物
【化7】
または薬学的に許容されるその塩を含む組成物を提供するステップを含む、方法。
【請求項43】
前記対象の前記HbA1cレベルをモニタリングするステップをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの用量が、経口的に提供される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記組成物が、1日当たり複数用量で提供される、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記1日当たりの複数用量が、好適な間隔で提供される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの用量が、少なくとも2週間にわたって毎日提供される、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つの用量が、約25mg~約1000mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記少なくとも1つの用量が、約50mg~約600mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの用量が、約100mg~約400mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つの用量が、約200mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記組成物が、調節放出製剤を構成する、請求項42に記載の方法。
【請求項53】
前記HbA1cの上昇したレベルが、6.0%、6.5%または7%よりも大きい、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
対象における糖尿病性心筋症を処置する方法であって、糖尿病性心筋症または糖尿病性心筋症に関連する障害を有しているか、または発症するリスクがある対象に、式(X)の化合物
【化8】
を含む組成物を提供するステップを含む、方法。
【請求項55】
前記組成物が、経口的に提供される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記組成物が、1日当たり少なくとも1つの用量で提供される、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記組成物が、1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供される、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つの用量が、少なくとも2週間にわたって毎日提供される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの用量が、約25mg~約1000mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記少なくとも1つの用量が、約50mg~約600mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つの用量が、約100mg~約400mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも1つの用量が、約200mgの前記式(X)の化合物を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記組成物が、調節放出製剤を構成する、請求項54に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、心血管状態を処置する方法および心臓の代謝効率を増大させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
心疾患は、世界的に主要な死因であり、2015年には全世界で1500万の死亡数を数える。最も一般的な心血管疾患である冠動脈疾患(CAD)では、心臓動脈におけるプラークの蓄積に起因して、心筋への血流が低下する。経時的に、CADは、心筋を弱めて心不全を引き起こし得る。心不全は、心臓が身体の必要を満たすのに十分な血液を送り出すことができなくなる、慢性の進行性状態である。心不全をもたらし得る状態には、心筋疾患、例えば、心臓の2つの心室の間の筋肉壁が異常に肥厚し、したがって心臓からの血流を閉塞させる肥大型心筋症が含まれる。糖尿病または糖尿病前症などの状態は、冠動脈疾患(CAD)、心不全、および心筋症のリスクを上昇させる。
【0003】
心不全、虚血性心疾患、および糖尿病性心疾患において、心臓の効率の低下は、ミトコンドリアのエネルギー代謝の変化から生じる。ミトコンドリアは、グルコースおよび脂肪酸から誘導された代謝産物が酸化されて高エネルギー分子を産生する、細胞内区画である。心臓における脂肪酸酸化が増加すると、グルコース酸化は減少し、逆もまた同様である。グルコース酸化は、より効率的なエネルギー源であるが、ある特定の種類の心疾患、例えば心不全、虚血性心疾患、糖尿病性心筋症では、心臓ミトコンドリアにおいて脂肪酸酸化が優勢である。結果として、心臓の送り出し能力が低下する。
【0004】
心血管疾患を処置するための既存の治療には問題がある。血流を回復させることに焦点を当てたいくつかの手法は、リスクを伴う外科手術介入を必要とする。例えば、冠動脈バイパスグラフトは、種々の合併症に関連する大きな外科手術である。閉塞性肥大型心筋症の処置には、中隔心筋切除術、エタノールアブレーション、または植込み型除細動器が含まれるが、すべて、関連する合併症リスクを伴う。
【0005】
多くのクラスの薬物、例えば、コレステロール低下薬、ベータ遮断薬、およびカルシウムチャネル遮断薬は、心臓エネルギー代謝の変化を是正することができない。心臓ミトコンドリアにおけるグルコース酸化と脂肪酸酸化との間のバランスを矯正するそれらの既存の薬物は、重大な欠点を有している。それらの中で真っ先に挙げられるのが、そのような薬物が問題の一部にしか対処しないということであり、グルコース酸化の代わりに脂肪酸酸化に頼ることにより、エネルギー産生効率が10%低下するが、心疾患を有している患者は、多くの場合、30%まで心臓の効率の低下を示す。結果的に、ミトコンドリア代謝を変えることによって心機能を改善するための既存の手法では、不十分である。したがって、心臓におけるグルコース酸化を修復しない薬物は、有効性が限られており、毎年心疾患で亡くなり続けている数百万の人のための、安全で有効な治療はまだない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本発明は、心血管状態を処置する方法および心臓の代謝効率を増大させる方法に関する。特に、本発明は、心臓ミトコンドリア機能を改善して心臓状態を処置する化合物を含有する組成物の使用についての予想外の知見を活用する。本組成物は、独立であるが協同的な機序によって心臓ミトコンドリア代謝を改善する複数の生成物に体内で代謝される化合物を含有する。トリメタジジンおよびその誘導体を含み得る一組の代謝産物は、心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする。別の組の代謝産物は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の合成のための前駆体として働き、したがって、ミトコンドリア呼吸を促進する。本組成物は、経口的に送達することができ、特別な装置または人員の必要性を除去する。本方法は、本明細書に記載される通り、多種多様な心血管状態を処置するのに有用である。
【0007】
本発明の方法は、式(VII)または(VIII)
A-C(VII)またはA-L-C(VIII)
によって表される化合物の使用を含み、式中、Aは、心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物であり、Lはリンカーであり、CはNAD前駆体分子である。Aは、CまたはLに共有結合により連結することができ、Lは、Cに共有結合により連結することができる。
【0008】
心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物は、トリメタジジン、エトモキシル、オクスフェニシン、ペルヘキシリン、PPARアゴニスト、マロニルCoAデカルボキシラーゼ阻害剤、またはジクロロアセテートであり得る。
【0009】
NAD前駆体分子は、ニコチン酸、ニコチンアミド、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、またはニコチンアミドリボシドであり得る。
【0010】
式(VII)または(VIII)の化合物は、エチレングリコール部分でPEG化され得る。エチレングリコール部分は、A、L、およびCの1つまたは複数に結合することができる。Lは、エチレングリコール部分であり得るか、またはそれを含み得る。化合物は、複数のエチレングリコール部分、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、またはそれよりも多いエチレングリコール部分を有することができる。エチレングリコール部分は、(CHCHO)(x=1~15である)によって表され得る。エチレングリコール部分は、心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物とNAD前駆体分子との間に共有結合による連結を形成することができる。エチレングリコール部分は、心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物とNAD前駆体分子との間の共有結合による連結とは別個であってもよい。心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物は、トリメタジジンのPEG化形態であり得る。
【0011】
式(VII)の化合物または式(VIII)の化合物は、トリメタジジンのPEG化形態に共有結合により連結しているニコチン酸を含み得る。ニコチン酸は、PEG化部分を介して、すなわちエチレングリコール連結を介して共有結合により連結し得る。ニコチン酸は、トリメタジジン部分を介して共有結合により連結し得る。
【0012】
式(VII)の化合物または式(VIII)の化合物は、式(X)
【化1】
によって表される構造を有することができる。
【0013】
化合物および組成物は、剤形で提供することができ、用量は、いずれかの好適な経路または投与方法によって提供され得る。用量は、経口的、静脈内、経腸的、非経口的、経皮的(dermally)、口腔内頬側に、局所的、経皮的(transdermally)、注射により、皮下的、経鼻的、経肺的、または植込み型医療デバイス(例えば、ステントまたは薬物溶出ステントまたはバルーン等価物)を用いてもしくはその上に提供され得る。
【0014】
組成物は、1日当たり1つの用量で提供され得る。組成物は、1日当たり複数用量で提供され得る。組成物は、1日当たり2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、8つ、またはそれよりも多い用量で提供され得る。
【0015】
用量は、約10mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約10mg~約800mg、約10mg~約600mg、約10mg~約400mg、約10mg~約300mg、約10mg~約200mg、約25mg~約2000mg、約25mg~約1000mg、約25mg~約800mg、約25mg~約600mg、約25mg~約400mg、約25mg~約300mg、約25mg~約200mg、約50mg~約2000mg、約50mg~約1000mg、約50mg~約800mg、約50mg~約600mg、約50mg~約400mg、約50mg~約300mg、約50mg~約200mg、約100mg~約2000mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約600mg、約100mg~約400mg、約100mg~約300mg、約100mg~約200mg、約200mg~約2000mg、約200mg~約1000mg、約200mg~約800mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約200mg~約300mg、約300mg~約2000mg、約300mg~約1000mg、約300mg~約800mg、約300mg~約600mg、または約300mg~約400mgの化合物を含有し得る。用量は、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、または約400mgの化合物を含有し得る。
【0016】
1つまたは複数の用量は、規定された期間にわたって提供され得る。1つまたは複数の用量は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間またはそれよりも長期間にわたって毎日提供され得る。
【0017】
ある特定の態様では、本発明は、対象における心臓脂肪症または心臓脂肪症に関連する障害を処置する方法を提供する。この方法は、心臓脂肪症または心臓脂肪症に関連する障害を有しているか、または発症するリスクがある対象に、式(X)によって表される構造を有する化合物の組成物を提供するステップを含む。この方法では、組成物は、経口的に提供され得る。組成物は、1日当たり少なくとも1つの用量で提供され得るか、または1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供され得る。一例として、組成物は、少なくとも1つの用量で少なくとも2週間にわたって毎日提供され得る。式(X)の化合物の用量は、約25mg~約1000mg、約50mg~約600mg、および約100mg~約400mgであり得る。好ましくは、用量は、約200mgであり得る。組成物は、調節放出製剤であり得る。
【0018】
別の態様では、本発明は、心筋疾患を有しているか、または発症するリスクがある対象に、式(X)によって表される構造を有する化合物の組成物を提供することによって、対象における心筋トリグリセリドを低下させる方法を提供する。この方法では、組成物は、経口的に提供され得る。組成物は、1日当たり少なくとも1つの用量で提供され得るか、または1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供され得る。一例として、組成物は、少なくとも1つの用量で少なくとも2週間にわたって毎日提供され得る。式(X)の化合物の用量は、約25mg~約1000mg、約50mg~約600mg、および約100mg~約400mgであり得る。好ましくは、用量は、約200mgであり得る。組成物は、調節放出製剤であり得る。
【0019】
心血管状態には、急性冠症候群;動脈瘤;狭心症;アテローム性動脈硬化症;大動脈弁狭窄、HIV/ART関連心筋脂肪症、高血圧性心疾患、肺動脈性肺高血圧症、冠状動脈微小血管機能不全および全身性リポジストロフィーなどの状態を含む、心臓肥満症または脂肪症;心虚血再灌流傷害;心筋症(閉塞性肥大型、非閉塞性肥大型、拡張型、および拘束型を含む、遺伝性または後天性);心臓保護(心肺バイパスを用いる心臓外科手術中を含む);脳血管疾患;慢性冠症候群;先天性心疾患;冠動脈疾患;冠状動脈性心疾患;冠状動脈微小血管機能不全;糖尿病性心筋症(無症状性の顕在前心不全を含む);心発作;心疾患;心不全(すべてのステージおよび駆出率が低下している、軽度に低下している、または保持されているもの);糖尿病における心臓移植後の心不全;高血圧;高血圧性心疾患;虚血性心疾患;閉塞性冠動脈疾患を伴わない虚血;脂肪毒性による心筋症;メタボリック症候群;微小血管狭心症;ミトコンドリア心筋症;心筋梗塞、肥満心筋症;心膜疾患;心膜(または心外膜)脂肪蓄積;末梢動脈疾患;肺動脈性肺高血圧症、右室不全;リウマチ性心疾患;脳卒中;一過性虚血性発作;心臓弁膜症(弁修復術または弁置換術前および/または後の医学的治療としてのものを含む);ならびに血管攣縮性狭心症が含まれ得る。
【0020】
大動脈弁狭窄は、Mahmod M, Bull S, Suttie JJ, Pal N, Holloway C, Dass S, Myerson SG, Schneider JE, De Silva R, Petrou M, Sayeed R, Westaby S, Clelland C, Francis JM, Ashrafian H, Karamitsos TD, Neubauer S. Myocardial steatosis and left ventricular contractile dysfunction in patients with severe aortic stenosis. Circ Cardiovasc Imaging. 2013 Sep;6(5):808-16. doi: 10.1161/circimaging.113.000559. Epub 2013 Jul 5. PMID: 23833283に論じられており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
HIV/ART関連心筋脂肪症は、Neilan TG, Nguyen KL, Zaha VG, Chew KW, Morrison L, Ntusi NAB, Toribio M, Awadalla M, Drobni ZD, Nelson MD, Burdo TH, Van Schalkwyk M, Sax PE, Skiest DJ, Tashima K, Landovitz RJ, Daar E, Wurcel AG, Robbins GK, Bolan RK, Fitch KV, Currier JS, Bloomfield GS, Desvigne-Nickens P, Douglas PS, Hoffmann U, Grinspoon SK, Ribaudo H, Dawson R, Goetz MB, Jain MK, Warner A, Szczepaniak LS, Zanni MV. Myocardial Steatosis Among Antiretroviral Therapy-Treated People With Human Immunodeficiency Virus Participating in the REPRIEVE Trial. J Infect Dis. 2020 Jul 9;222(Suppl 1):S63-S69. doi: 10.1093/infdis/jiaa245. PMID: 32645158; PMCID: PMC7347082およびHolloway CJ, Ntusi N, Suttie J, Mahmod M, Wainwright E, Clutton G, Hancock G, Beak P, Tajar A, Piechnik SK, Schneider JE, Angus B, Clarke K, Dorrell L, Neubauer S. Comprehensive cardiac magnetic resonance imaging and spectroscopy reveal a high burden of myocardial disease in HIV patients. Circulation. 2013 Aug 20;128(8):814-22. doi: 10.1161/circulationaha.113.001719. Epub 2013 Jul 1. PMID: 23817574に論じられており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
高血圧性心疾患は、Sai E, Shimada K, Yokoyama T, Hiki M, Sato S, Hamasaki N, Maruyama M, Morimoto R, Miyazaki T, Fujimoto S, Tamura Y, Aoki S, Watada H, Kawamori R, Daida H. Myocardial triglyceride content in patients with left ventricular hypertrophy: comparison between hypertensive heart disease and hypertrophic cardiomyopathy. Heart Vessels. 2017 Feb;32(2):166-174. doi: 10.1007/s00380-016-0844-8. Epub 2016 May 3. PMID: 27142065に論じられており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
肺動脈性肺高血圧症は、Brittain EL, Talati M, Fessel JP, Zhu H, Penner N, Calcutt MW, West JD, Funke M, Lewis GD, Gerszten RE, Hamid R, Pugh ME, Austin ED, Newman JH, Hemnes AR. Fatty Acid Metabolic Defects and Right Ventricular Lipotoxicity in Human Pulmonary Arterial Hypertension. Circulation. 2016 May 17;133(20):1936-44. doi: 10.1161/circulationaha.115.019351. Epub 2016 Mar 22. PMID: 27006481; PMCID: PMC4870107に論じられており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
冠状動脈微小血管機能不全は、Wei J, Nelson MD, Szczepaniak EW, Smith L, Mehta PK, Thomson LE, Berman DS, Li D, Bairey Merz CN, Szczepaniak LS. Myocardial steatosis as a possible mechanistic link between diastolic dysfunction and coronary microvascular dysfunction in women. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2016 Jan 1;310(1):H14-9. doi: 10.1152/ajpheart.00612.2015. Epub 2015 Oct 30. PMID: 26519031; PMCID: PMC4865076に論じられており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
全身性リポジストロフィーは、Nelson MD, Victor RG, Szczepaniak EW, Simha V, Garg A, Szczepaniak LS. Cardiac steatosis and left ventricular hypertrophy in patients with generalized lipodystrophy as determined by magnetic resonance spectroscopy and imaging. Am J Cardiol. 2013 Oct 1;112(7):1019-24. doi: 10.1016/j.amjcard.2013.05.036. Epub 2013 Jun 22. PMID: 23800548; PMCID: PMC3779507に論じられており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
糖尿病における心臓移植後の心不全は、Marfella R, Amarelli C, Cacciatore F, Balestrieri ML, Mansueto G, D'Onofrio N, Esposito S, Mattucci I, Salerno G, De Feo M, D'Amico M, Golino P, Maiello C, Paolisso G, Napoli C. Lipid Accumulation in Hearts Transplanted From Nondiabetic Donors to Diabetic Recipients. J Am Coll Cardiol. 2020 Mar 24;75(11):1249-1262. doi: 10.1016/j.jacc.2020.01.018. PMID: 32192650に論じられており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
別の態様では、本発明は、脂肪毒性を有しているか、または発症するリスクがある対象に、式(X)によって表される構造を有する化合物の組成物を提供することによって、対象における心臓脂肪毒性を含む脂肪毒性を低減する方法を提供する。この方法では、組成物は、経口的に提供され得る。組成物は、1日当たり少なくとも1つの用量で提供され得るか、または1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供され得る。一例として、組成物は、少なくとも1つの用量で少なくとも2週間にわたって毎日提供され得る。式(X)の化合物の用量は、約25mg~約1000mg、約50mg~約600mg、および約100mg~約400mgであり得る。好ましくは、用量は、約200mgであり得る。組成物は、調節放出製剤であり得る。
【0028】
別の態様では、本発明は、糖尿病性心筋症を有しているか、または発症するリスクがある対象に、式(X)によって表される構造を有する化合物の組成物を提供することによって、対象における糖尿病性心筋症を処置する方法を提供する。この方法では、組成物は、経口的に提供され得る。組成物は、1日当たり少なくとも1つの用量で提供され得るか、または1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供され得る。一例として、組成物は、少なくとも1つの用量で少なくとも2週間にわたって毎日提供され得る。式(X)の化合物の用量は、約25mg~約1000mg、約50mg~約600mg、および約100mg~約400mgであり得る。好ましくは、用量は、約200mgであり得る。組成物は、調節放出製剤であり得る。
【0029】
さらに別の態様では、本発明は、対象に、式(X)によって表される構造を有する化合物の組成物を提供することによって、対象における体重減少を誘発する方法を提供する。この方法では、組成物は、経口的に提供され得る。組成物は、1日当たり少なくとも1つの用量で提供され得るか、または1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供され得る。一例として、組成物は、少なくとも1つの用量で少なくとも2週間にわたって毎日提供され得る。式(X)の化合物の用量は、約25mg~約1000mg、約50mg~約600mg、および約100mg~約400mgであり得る。好ましくは、用量は、約200mgであり得る。組成物は、調節放出製剤であり得る。
【0030】
別の態様では、本発明は、HbA1cの上昇したレベルを有している対象(すなわち、糖尿病性または前糖尿病性)に、1日当たり少なくとも1つの用量の式(X)によって表される構造を有する化合物の組成物を提供することによって、対象における心機能不全(無症候性または症候性)を防止もしくは処置し、および/または心臓エナジェティクスを改善する方法を提供する。HbA1cの上昇したレベルは、6.0%、6.5%または7%よりも大きくてもよい。式(X)の化合物の用量は、経口的に提供される少なくとも1つの用量であり得る。一例として、式(X)の化合物は、1日当たり少なくとも1つの用量で提供され得るか、または1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供され得る。組成物は、少なくとも1つの用量で少なくとも2週間にわたって毎日提供され得る。式(X)の化合物の用量は、約25mg~約1000mg、約50mg~約600mg、および約100mg~約400mgであり得る。好ましくは、用量は、約200mgであり得る。組成物は、調節放出製剤であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、IMB-1018972の安全性および有効性を試験するための研究設計の概略図を示す。
【0032】
図2図2は、IMB-1018972のFIH研究の対象の処遇の表である。
【0033】
図3図3は、IMB-1018972のFIH研究のSADパートのA5群のための査定スケジュールである。
【0034】
図4図4は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(および統合FEアーム)のA1~A4群のために与えられた査定表である。
【0035】
図5図5は、IMB-1018972のFIH研究のMADパートのために与えられた査定表である。
【0036】
図6図6は、IMB-1018972のFIH研究のIMB-1018972に関する1用量レベル当たりおよび合計の、SADパート(および統合FEアーム)についての解析データセットの表である。
【0037】
図7図7は、IMB-1018972のFIH研究のIMB-1018972に関する1用量レベル当たりおよび合計の、MADパートについての解析データセットの表である。
【0038】
図8図8は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(および統合FEアーム)(安全性対象集団)に関する、人口統計的特徴の概要表である。
【0039】
図9図9は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(安全性対象集団)に関する、人口統計的特徴の概要表である。
【0040】
図10図10は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(および統合FEアーム)(安全性対象集団)に関する、曝露の程度の表である。
【0041】
図11図11は、IMB-1018972のFIH研究のMADパートに関する、曝露の程度の表である。
【0042】
図12図12は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0043】
図13図13は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数)である。
【0044】
図14図14は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0045】
図15図15は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数)である。
【0046】
図16図16は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数)である。
【0047】
図17図17は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数)である。
【0048】
図18図18は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、IMB-1028814、トリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジン血漿薬物動態パラメーターの要約統計量(幾何平均[範囲])の表である。
【0049】
図19図19は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたるIMB-1028814およびトリメタジジンについての用量比例性の探索的解析の表である。
【0050】
図20図20は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化IMB-1028814のCmaxの組合せのプロットのグラフである。
【0051】
図21図21は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化IMB-1028814のAUC0-tの組合せのプロットのグラフである。
【0052】
図22図22は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化IMB-1028814のAUC0-infの組合せのプロットのグラフである。
【0053】
図23図23は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化トリメタジジンのCmaxの組合せのプロットのグラフである。
【0054】
図24図24は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化トリメタジジンのAUC0-tの組合せのプロットのグラフである。
【0055】
図25図25は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化トリメタジジンのAUC0-infの組合せのプロットのグラフである。
【0056】
図26図26は、IMB-1018972のFIH研究のSADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0057】
図27図27は、IMB-1018972のFIH研究のSADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0058】
図28図28は、IMB-1018972のFIH研究のSADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0059】
図29図29は、IMB-1018972のFIH研究のSADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0060】
図30図30は、IMB-1018972のFIH研究のSADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0061】
図31図31は、IMB-1018972のFIH研究のSADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0062】
図32図32は、IMB-1018972のFIH研究のSADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、IMB-1028814、トリメタジジン、およびIMB-128814+トリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジン血漿薬物動態パラメーターの要約統計量(幾何平均[範囲])の表である。
【0063】
図33図33は、IMB-1018972のFIH研究のSADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、150mgのIMB-1018972の投与後のIMB-1028814およびトリメタジジンについての食品効果の探索的解析の表である。
【0064】
図34図34は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(PK対象集団)に関する、IMB-1028814、トリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジンの尿中薬物動態パラメーターの要約統計量(算術平均[SD])の表である。
【0065】
図35図35は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0066】
図36図36は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0067】
図37図37は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0068】
図38図38は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0069】
図39図39は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0070】
図40図40は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0071】
図41図41は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0072】
図42図42は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0073】
図43図43は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの投与後の幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0074】
図44図44は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの投与後の幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0075】
図45図45は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの投与後の幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0076】
図46図46は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの投与後の幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0077】
図47図47は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(PK対象集団)に関する、IMB-1028814、トリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジン血漿薬物動態パラメーターの要約統計量(幾何平均[範囲])の表である。
【0078】
図48-1】図48Aおよび図48Bは、IMB-1018972のFIH研究という届出を有するSADパート(および統合FEアーム)(安全性対象集団)に関する、器官別大分類の基本語および処置によるすべてのTEAEの概要表である。
図48-2】同上。
【0079】
図49-1】図49Aおよび図49Bは、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(安全性対象集団)に関する、器官別大分類の基本語および処置によるすべてのTEAEの概要表である。
図49-2】同上。
【0080】
図50図50は、IMB-1018972のFIH研究のSADパート(および統合FEアーム)(安全性対象集団)に関する、処置、関係、および重症度によるすべてのTEAEの概要表である。
【0081】
図51図51は、IMB-1018972のFIH研究のMADパート(安全性対象集団)に関する、処置、関係、および重症度によるすべてのTEAEの概要表である。
【0082】
図52図52は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についての無作為化参加者のベースライン特徴である。
【0083】
図53図53は、4週間にわたって処置された対象におけるベースライン心臓イメージングの所見を含む、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究を完了した対象のベースライン特徴である。
【0084】
図54図54は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についての2021年9月20日のデータカットオフ日の時点の有害効果である。
【0085】
図55図55は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についての4週および8週コホートの安静時心筋PCr/ATPの組合せのグラフである。
【0086】
図56図56は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についての4週および8週コホートの心筋トリグリセリド(MTG)の組合せのグラフである。
【0087】
図57図57は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についての4週および8週コホートの体重の組合せのグラフである。
【0088】
図58図58は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についてのPCr/ATPの変化およびベースラインHbA1cおよびベースライン絶食時グルコースのプロットを含む相関解析データである。
【0089】
図59図59は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についてのPCr/ATPの変化および心筋トリグリセリドの変化およびベースライン心筋トリグリセリドのプロットを含む相関解析データである。
【0090】
図60図60は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についての体重の変化およびベースラインHbA1cおよびPCr/ATPの変化のプロットを含む相関解析データである。
【0091】
図61図61は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についての心筋トリグリセリドの変化およびベースライン心筋トリグリセリドおよびベースラインHbA1cのプロットを含む相関解析データである。
【0092】
図62図62は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についての体重の変化および心筋トリグリセリドの変化のプロットを含む相関解析データである。
【0093】
図63図63は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についてのPCr/ATPの変化と心筋トリグリセリドの変化(絶対変化%)との相関解析データおよびプロットである。
【0094】
図64図64は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についての外れ値を除去した後のPCr/ATPの変化と心筋トリグリセリドの変化(絶対変化パーセント)のプロットを含む相関解析である。
【0095】
図65図65は、2型糖尿病における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の影響を評価するための、実施例3の薬力学的研究についてのベースライン心筋トリグリセリドとHbA1c(%)のプロットおよび比較のための他の関連プロットを含む相関解析データである。
【発明を実施するための形態】
【0096】
詳細な説明
本発明は、心臓ミトコンドリア機能を改善して心臓状態を処置する化合物を含有する組成物を投与するための方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、このような組成物を、対象に1日1回または複数回提供するステップを含む。組成物は、経口投与のために製剤化され得るので、本方法は簡素であり、直接的な医学的監視なしに患者によって実施され得る。本方法を使用して、本明細書に記載される心血管状態を処置することができる。
【0097】
多くの種類の心疾患において、心臓ミトコンドリアによるエネルギー産生の全効率が低下している。一つには、これは、多くの種類の心疾患においてグルコース酸化よりも脂肪酸酸化への依存が高まることに起因する。この原型的な例として、糖尿病性心筋症および肥満心筋症が挙げられる。グルコース酸化は、消費されたO分子1個につき産生されたATP分子の数(P/O約2.58)によって測定される通り、脂肪酸酸化の場合(P/O約2.3)およびケトン体β-ヒドロキシブチレートの場合(P/O約2.5)よりもエネルギー産生が効率的な経路である。このことの重要性は、心臓が、いずれの他の臓器よりも組織1グラム当たりより多くの酸素を利用するという観察によって浮き彫りにされる。グルコース酸化はまた、長鎖脂肪酸であるパルミチン酸の酸化よりも少ないNADを消費し(それぞれ10および31)、したがって、グルコース酸化へのシフトは、心筋細胞のNADプールおよびNAD/NADH比を増大させると予想され、これは、NAD前駆体、例えばニコチン酸の併用によってさらに増強され得る。心臓のNADおよびNAD/NADH比は、心不全などの病理、心臓圧力の過負荷、および糖尿病性心筋症において低下する。しかし、他の代謝性変化も、心疾患を有する患者の心臓効率の低下に寄与する。例えば、心不全においては、全体的なミトコンドリア酸化的代謝が損なわれることがあり、虚血性心疾患においては、安静時のまたは心筋酸素必要量が増大している状態、例えば運動誘発性虚血の状態下での酸素供給が制限されていることに起因して、エネルギー産生が低下する。当然の帰結として、心筋グルコース酸化の刺激により、虚血および再灌流期間後の虚血後回復および心臓効率は改善される。心不全は、ミトコンドリア酸化能力の低下に加えて、グルコース酸化から脱共役された解糖の増大、エネルギー産生の低下(解糖からピルビン酸が酸化される場合のグルコース分子1個当たりATP分子31個と比較して、2個)、ならびに細胞内H蓄積をもたらして細胞機能および細胞内Ca2+ホメオスタシスを損なう乳酸の生成によって特徴付けられる。
【0098】
脂肪酸への心筋の依存度が増大すると、ミトコンドリアの脱共役タンパク質の活性化(酸化的代謝からの脱共役ATP産生)を含む他の機序を介して、および収縮力以外の目的でATP消費を消費する脂肪酸中間体の不毛の循環により、心臓効率が低下する。
【0099】
収縮能の要求を満たすための、弱まることのない心臓の高エネルギー要件を考えると(心臓は、そのATP含量を、もし置き換えられなければ約2~10秒で使い果たすと思われる)、心臓によるエネルギー産生効率の低下および続いて起こるエネルギー欠損は、計り知れない有害な結果をもたらす。当然の帰結として、エネルギー機能障害(ホスホクレアチン/ATP比によって非侵襲的に測定することができる)は、大きな特色であり、ほとんどの形態の心疾患の一因となっている。
【0100】
グルコース酸化および脂肪酸酸化は、基質を巡って互いに競合するエネルギー産生代謝経路である。グルコース酸化では、グルコースは、細胞のサイトゾル内で解糖を介してピルビン酸に分解される。次に、ピルビン酸はミトコンドリアに入り、そこでアセチル補酵素A(アセチルCoA)に変換される。ミトコンドリアにおいて生じる脂肪酸のベータ酸化では、長鎖脂肪酸からの2炭素の単位が、アセチルCoAに順次変換される。
【0101】
グルコースのグルコース酸化および脂肪酸酸化からのエネルギー産生における残りのステップは、2つの経路に共通している。アセチルCoAは、クエン酸回路を介して二酸化炭素(CO)に酸化され、それによって、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)がその還元形態であるNADHに変換される。次に、NADHが、ミトコンドリアの電子伝達鎖を駆動する。電子伝達鎖は、レドックス反応を介して電子を移動させる4つの一連のミトコンドリア膜結合複合体を含む。そうすることで、複合体は、膜を横切ってプロトンを汲み出してプロトン勾配を生じる。電子伝達鎖のレドックス反応は、分子酸素(O)を必要とする。ミトコンドリアのエネルギー産生の最終ステップでは、プロトン勾配により、別の膜結合酵素複合体が、ほとんどの細胞反応のエネルギー源である高エネルギーATP分子を形成することが可能になる。
【0102】
本発明の方法は、複数の機序を使用してミトコンドリア代謝を変えることによって心臓の効率を改善する。ある特定の実施形態では、本方法は、異なる効果を有する複数の生成物に体内で代謝される化合物を提供することを必然的に伴う。第1の代謝産物または第1の組の代謝産物は、心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトさせ、第2の生成物または第2の組の生成物は、NAD/NADHレドックス対をモジュレートし、ミトコンドリア呼吸を促進する。したがって、そのような化合物を投与することにより、エネルギーを産生するために使用される経路において変化を誘発し、同時にミトコンドリアの全体的な酸化的機能を改善する。結果的に、本発明の方法は、心疾患を有する患者における心臓の能力を回復させるのに、代謝欠陥だけを標的にする他の方法よりも有効である。さらに、このような方法は、重篤な合併症をもたらすおそれがある、リスクのある外科手技の使用を回避する。
投与方法
【0103】
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、心臓ミトコンドリア機能を改善する化合物を含有する組成物を対象に提供するステップを含む。
【0104】
用量は、いずれかの好適な経路または投与方法によって提供され得る。用量は、経口的、静脈内、経腸的、非経口的、経皮的(dermally)、口腔内頬側に、局所的、経皮的(transdermally)、注射により、皮下的、経鼻的、経肺的、または植込み型医療デバイス(例えば、ステントまたは薬物溶出ステントまたはバルーン等価物)を用いてもしくはその上に提供され得る。
【0105】
用量は、いずれかの好適な間隔で提供され得る。例えば、限定されるものではないが、用量は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回、1日8回、48時間ごとに1回、36時間ごとに1回、24時間ごとに1回、12時間ごとに1回、8時間ごとに1回、6時間ごとに1回、4時間ごとに1回、3時間ごとに1回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、4日ごとに1回、5日ごとに1回、週1回、週2回、週3回、週4回、または週5回、提供され得る。
【0106】
用量は、心臓ミトコンドリア機能を改善する、規定量の化合物を含有し得る。例えば、限定されるものではないが、用量は、約10mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約10mg~約800mg、約10mg~約600mg、約10mg~約400mg、約10mg~約300mg、約10mg~約200mg、約25mg~約2000mg、約25mg~約1000mg、約25mg~約800mg、約25mg~約600mg、約25mg~約400mg、約25mg~約300mg、約25mg~約200mg、約50mg~約2000mg、約50mg~約1000mg、約50mg~約800mg、約50mg~約600mg、約50mg~約400mg、約50mg~約300mg、約50mg~約200mg、約100mg~約2000mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約600mg、約100mg~約400mg、約100mg~約300mg、約100mg~約200mg、約200mg~約2000mg、約200mg~約1000mg、約200mg~約800mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約200mg~約300mg、約300mg~約2000mg、約300mg~約1000mg、約300mg~約800mg、約300mg~約600mg、または約300mg~約400mgの化合物を含有し得る。用量は、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、または約400mgの化合物を含有し得る。
【0107】
用量は、単一投与量で提供することができ、すなわち用量は、単一の錠剤、カプセル剤、丸剤等として提供され得る。代替として、用量は、分割投与量で提供することができ、すなわち用量は、複数の錠剤、カプセル剤、丸剤等として提供され得る。
【0108】
投与は、規定された期間にわたって継続し得る。例えば、限定されるものではないが、用量は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間またはそれよりも長期間にわたって提供され得る。
【0109】
対象は、ヒトであり得る。対象は、心血管状態、例えば下記の心血管状態のうちの1つを有しているヒトであり得る。対象は、心血管状態、例えば下記の心血管状態のうちの1つを発症するリスクがあるヒトであり得る。対象は、対象がある状態の診断について確立された基準を満たしていないが、将来、その状態の診断基準を満たす可能性が高いことを示す1つまたは複数の症状、マーカー、または他の因子を有している場合、状態を発症するリスクがあり得る。対象は、小児、新生児(newborn)、新生児(neonate)、乳幼児、子ども、青年、プレティーン、ティーンエイジャー、成人、または高齢対象であり得る。対象は、救命救急室、集中治療室、新生児集中治療室、小児集中治療室、冠疾患集中治療室、心胸郭集中治療室、外科集中治療室、内科集中治療室、長期集中治療室、手術室、救急車、野戦病院、または病院外環境、例えば外来もしくは社会環境にあってもよい。
【0110】
化合物
本発明のある特定の実施形態は、式(VII)または(VIII)
A-C(VII)またはA-L-C(VIII)
によって表される化合物を含有する組成物を対象に提供するステップを含み、式中、Aは、心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物であり、Lはリンカーであり、CはNAD前駆体分子である。各構成成分の例は、以下に詳細に記載される。Aは、CまたはLに共有結合により連結することができ、Lは、Cに共有結合により連結することができる。
【0111】
式(VII)の化合物は、トリメタジジンのPEG化形態に共有結合により連結しているニコチン酸を含み得る。ニコチン酸は、PEG化部分を介して、すなわちエチレングリコール連結を介して共有結合により連結し得る。ニコチン酸は、トリメタジジン部分を介して共有結合により連結し得る。
【0112】
式(VII)の化合物または式(VIII)の化合物は、式(X)によって表される構造を有することができる。
【化2】
【0113】
式(VII)、(VIII)、および(X)の化合物は、例えば、国際公開第2018/236745号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物
構成成分Aは、心臓代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする好適ないずれの化合物であってもよい。そのような化合物は、それらの作用機序に基づいて分類することができる。その内容が参照により本明細書に組み込まれるFillmore, N., et al., Mitochondrial fatty acid oxidation alterations in heart failure, ischemic heart disease and diabetic cardiomyopathy, Brit. J. Pharmacol. 171:2080-2090 (2014)を参照されたい。
【0115】
グルコースにシフトするあるクラスの化合物には、脂肪酸酸化を直接阻害する化合物が含まれる。このクラスの化合物には、マロニルCoAデカルボキシラーゼ(MCD)、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT-1)、またはミトコンドリア脂肪酸酸化の阻害剤が含まれる。ミトコンドリア脂肪酸酸化阻害剤には、トリメタジジン、およびその内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2002/064576号に記載されている他の化合物が含まれる。トリメタジジンは、ミトコンドリアの内膜および外膜上の別個の部位に結合し、ミトコンドリアのイオン透過性および代謝機能の両方に影響を及ぼす。その内容が参照により本明細書に組み込まれるMorin, D., et al., Evidence for the existence of [3H]-trimetazidine binding sites involved in the regulation of the mitochondrial permeability transition pore, Brit. J. Pharmacol. 123:1385-1394 (1998)。MCD阻害剤には、CBM-301106、CBM-300864、CBM-301940、5-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-カルボキサミド、メチル5-(N-(4-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)モルホリン-4-カルボキサミド)ペンタノエート、ならびにそれぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれるChung, J.F., et al., Discovery of Potent and Orally Available Malonyl-CoA Decarboxylase Inhibitors as Cardioprotective Agents, J. Med. Chem. 49:4055-4058 (2006)、Cheng J.F. et al., Synthesis and structure-activity relationship of small-molecule malonyl coenzyme A decarboxylase inhibitors, J. Med. Chem. 49:1517-1525 (2006)、米国特許出願公開第2004/0082564号、および国際公開第2002/058698号に記載されている他の化合物が含まれる。CPT-1阻害剤には、オクスフェニシン、ペルヘキシリン、エトモキシル、ならびにそれぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/018660号、国際公開第2008/109991号、国際公開第2009/015485号、および国際公開第2009/156479、および米国特許出願公開第2011/0212072号に記載されている他の化合物が含まれる。
【0116】
グルコースにシフトする別のクラスの化合物には、グルコース酸化を直接刺激する化合物が含まれる。そのような化合物の例は、米国特許出願公開第2003/0191182号、国際公開第2006/117686号、米国特許第8,202,901号に記載されており、それぞれの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
グルコースにシフトする別のクラスの化合物には、心臓に供給する循環脂肪酸のレベルを低下させる化合物が含まれる。そのような化合物の例として、フィブレート薬物、例えばクロフィブレート、ゲムフィブロジル、シプロフィブレート、ベザフィブレートおよびフェノフィブレート、ならびにチアゾリジンジオン、GW-9662、ならびにその内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,096,538号に記載されている他の化合物を含む、PPARαおよびPPARγのアゴニストが挙げられる。
【0118】
リンカー
構成成分Lは、好適ないずれのリンカーであってもよい。好ましくは、リンカーは、in vivoで切断されて、構成成分AおよびBを放出することができる。リンカーは、アルコキシ基であってもよい。リンカーは、いずれの長さのポリエチレングリコールであってもよい。リンカーは、(CHCHO)(x=1~15である)または(CHCHO)(x=1~3である)によって表され得る。他の好適なリンカーには、1,3-プロパンジオール、ジアゾリンカー、ホスホロアミダイトリンカー、ジスルフィドリンカー、切断可能なペプチド、イミノ二酢酸リンカー、チオエーテルリンカー、ならびにそれぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれる、Leriche, G., et al., Cleavable linkers in chemical biology, Bioorg. Med. Chem. 20:571-582 (2012)、国際公開第1995000165号および米国特許第8,461,117号に記載されている他のリンカーが含まれる。
【0119】
NAD前駆体分子
構成成分Cは、in vivoでNAD前駆体として働くことができるいかなる分子であってもよい。NADは、クエン酸回路および解糖の複数の反応における、ならびにピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)によるピルビン酸からアセチルCoAへの変換における補酵素として作用する重要な酸化作用物質である。これらの反応において、NADは、NADHに還元される。逆に、NADHは、ミトコンドリアの電子伝達鎖に電子を供与すると、酸化されてNADに戻る。ヒトにおいて、NADは、トリプトファンからデノボで合成することができるが、NADの継続的な細胞要求量を満たすのに十分な分量ではない。結果的に、NADは、食事から供給されなければならない前駆体を使用するサルベージ経路を介しても合成される。サルベージ経路によってNAD合成に使用される前駆体には、ニコチン酸(Preiss-Handler経路を介する)、ニコチンアミド、およびニコチンアミドリボシドが含まれ、後者の2つは ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を生じる。化合物は、NAD前駆体、例えばニコチン酸、ニコチンアミド、NMN、またはニコチンアミドリボシドを提供することによって、NADの合成、安定化および/または細胞内NADプールの拡大を容易にし、中間代謝の主な水素化物アクセプターとしてのNADの役割を反映して、サイトゾルおよびミトコンドリアの両方における細胞エネルギー産生代謝経路を支える。この手法はまた、NAD+を補助基質として利用するシグナル伝達経路、例えば、DNA修復および翻訳後タンパク質修飾を制御するADP-リボーストランスフェラーゼおよびサーチュイン(NAD依存性タンパク質デアセチラーゼ)を支える。NADレドックスの不均衡は、糖尿病性心筋症および心不全を含む様々な心血管、代謝的、老化および変性状態の病変形成に関与するとされてきた。
【0120】
NAD前駆体を本発明の化合物に組み入れることにより、化合物は、心臓ミトコンドリアにおけるエネルギー産生を複数のやり方で刺激することが可能になる。構成成分Aは、心臓代謝を、脂肪酸酸化から本質的により効率的なグルコース酸化にシフトする。NAD前駆体は、酸化形態と還元形態との間を循環する必須補酵素を提供して、呼吸を促進する。酸化形態では、NADがクエン酸回路の反応を駆動する。還元形態では、NADHが電子伝達を促進して、ATP合成を可能にするプロトン勾配を生じる。結果的に、アセチルCoAの酸化から生じる化学ポテンシャルは、種々の細胞機能のために使用することができるATPに効率的に変換される。
【0121】
NAD前駆体分子は、化合物に、いずれかの好適な方式で共有結合により結合し得る。例えば、NAD前駆体分子は、AまたはLに連結していてもよく、直接的にまたは別のリンカーを介して結合していてもよい。好ましくは、NAD前駆体分子は、in vivoで切断され得るリンカーを介して結合している。NAD前駆体分子は、1,3-プロパンジオール連結を介して結合していてもよい。
【0122】
PEG化
化合物を、ポリエチレングリコール(PEG)の1つまたは複数の分子に共有結合により結合することができ、すなわち、化合物はPEG化され得る。多くの実例において、分子をPEG化すると、その免疫原性が低下し、それによって分子は身体から除去されにくくなり、循環により長時間留まることが可能になる。エチレングリコール部分は、構成成分Lに関して前述されているリンカーとして働くことができ、または化合物の1つの構成成分だけ、例えば、構成成分A、LもしくはCに結合することができる。エチレングリコール部分は、心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物とNAD前駆体分子との間の共有結合による連結とは別個であってもよい。
【0123】
化合物は、いかなるサイズのPEGポリマーでも含有し得る。例えば、PEGポリマーは、1~500個の(CHCHO)単位を有していてもよい。エチレングリコール部分は、(CHCHO)(x=1~15である)によって表され得る。PEGポリマーは、直鎖、分岐鎖、星型立体配置、櫛形立体配置などのいかなる好適な幾何構造でも有することができる。化合物は、いかなる部位でもPEG化され得る。例えば、化合物は、構成成分A、構成成分L(存在する場合)、またはNAD前駆体上でPEG化され得る。化合物は、複数の部位でPEG化され得る。複数の部位でPEG化されている化合物について、種々のPEGポリマーは、同じサイズであっても異なるサイズであってもよく、同じ立体配置のものであっても異なる立体配置のものであってもよい。
【0124】
心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物は、エチレングリコール部分でPEG化され得る。心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物は、複数のエチレングリコール部分、例えば、1個、2個 3個、4個、5個、またはそれよりも多いエチレングリコール部分を有することができる。エチレングリコール部分は、(CHCHO)(x=1~15である)によって表され得る。エチレングリコール部分は、心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物とNAD前駆体分子との間に共有結合による連結を形成することができる。エチレングリコール部分は、心臓の代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化にシフトする化合物とNAD前駆体分子との間の共有結合による連結とは別個であってもよい。
【0125】
式(VII)の化合物は、トリメタジジンのPEG化形態に共有結合により連結しているニコチン酸を含み得る。ニコチン酸は、PEG化部分を介して、すなわちエチレングリコール連結を介して共有結合により連結し得る。ニコチン酸は、トリメタジジン部分を介して共有結合により連結し得る。
【0126】
同位体濃縮化合物
化合物は、同位体が濃縮されている1または複数の原子を含み得る。例えば、化合物は、1つまたは複数の水素原子が重水素またはトリチウムで置き換えられていてもよい。同位体置換または濃縮は、炭素、硫黄もしくはリン、または他の原子に存在し得る。化合物は、化合物の1もしくは複数の位置において所与の原子が同位体で置換もしくは濃縮されていてもよく、または化合物は、化合物の所与の原子のすべての実例において同位体で置換もしくは濃縮されていてもよい。
【0127】
組成物
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、前述の化合物の1つまたは複数を含有する医薬組成物を提供するステップを含む。化合物を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、即溶性製剤、水性もしくは油性懸濁剤、分散性散剤もしくは顆粒剤、エマルション剤、硬もしくは軟カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤として、経口使用に好適な形態であり得る。経口使用を意図された組成物は、医薬組成物を製造するための当分野で公知のいずれかの方法に従って調製することができ、このような組成物は、薬学的に洗練された口当たりの良い調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤から選択される1種または複数の薬剤を含有し得る。錠剤は、錠剤の製造に好適な、薬学的に許容される非毒性の賦形剤との混合物として化合物を含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、またはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア、および滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。化合物の調製および投与については、米国特許第6,214,841および米国特許出願公開第2003/0232877号に論じられており、それぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0128】
経口使用のための製剤は、化合物が、不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合される硬ゼラチンカプセル剤として、または化合物が、水もしくは油媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合される軟ゼラチンカプセル剤として提示することもできる。
【0129】
水性懸濁液剤は、水性懸濁液剤の製造に好適な賦形剤との混合物として化合物を含有し得る。このような賦形剤は、懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴム;分散剤または湿潤剤、例えば天然に存在するホスファチド、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、または酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、または酸化エチレンと、脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンと、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートである。水性懸濁液剤は、1種または複数の防腐剤、例えばp-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn-プロピル、1種または複数の着色剤、1種または複数の香味剤、および1種または複数の甘味剤、例えばスクロースまたはサッカリンを含有することもできる。
【0130】
油性懸濁液剤は、植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油、または鉱物油、例えば流動パラフィンに化合物を懸濁させることによって製剤化することができる。油性懸濁液剤は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有し得る。口当たりの良い経口調製物を提供するために、甘味剤、例えば上記のもの、および香味剤を添加することができる。これらの組成物は、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸を添加することによって保存され得る。
【0131】
水を添加することによって水性懸濁液剤を調製するのに好適な分散性散剤および顆粒剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1種または複数の防腐剤との混合物として化合物を提供する。好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、例示されており、例えば甘味剤、香味剤および着色剤が存在することもできる。
【0132】
本発明の方法において使用するための医薬組成物は、水中油エマルションの形態にすることもできる。油性相は、植物油、例えばオリーブ油もしくはラッカセイ油、または鉱物油、例えば流動パラフィン、またはこれらの混合物であり得る。好適な乳化剤は、天然に存在するガム、例えばアカシアガムまたはトラガカントガム、天然に存在するホスファチド、例えばダイズ、レシチン、ならびに脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されたエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、および前記部分エステルと酸化エチレンとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。エマルション剤は、甘味剤および香味剤を含有することもできる。
【0133】
シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースを用いて製剤化され得る。そのような製剤は、粘滑剤、防腐剤、ならびに香味剤および/または着色剤を含有することもできる。医薬組成物は、水性または油性の注射可能な滅菌懸濁液剤の形態であってもよい。この懸濁液剤は、前述されている好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って製剤化され得る。注射可能な滅菌調製物は、例えば、1,3-ブタンジオール溶液としての、非経口的に許容される非毒性の希釈剤または溶媒中の注射可能な滅菌溶液剤または懸濁液剤にすることもできる。用いることができる許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液が含まれる。加えて、滅菌固定油は、溶媒または懸濁化媒体として慣用的に用いられる。この目的では、合成モノまたはジグリセリドを含む無刺激性のいかなる固定油を用いてもよい。加えて、脂肪酸、例えばオレイン酸は、注射剤の調製において使用される。
【0134】
心臓の効率の増大
本発明の化合物は、心臓の効率を改善するのに有用である。心臓の効率については、医学文献に様々な定義が存在する。例えば、参照により本明細書に組み込まれるSchipke, J.D. Cardiac efficiency, Basic Res. Cardiol. 89:207-40 (1994)およびGibbs, C.L. and Barclay, C.J. Cardiac efficiency, Cardiovasc. Res. 30:627-634 (1995)を参照されたい。心臓の機械効率の1つの定義は、左心室による心臓エネルギー消費量に対する心臓外的仕事量の比である。参照により本明細書に組み込まれるLopaschuk G.D., et al., Myocardial Fatty Acid Metabolism in Health and Disease, Phys. Rev. 90:207-258 (2010)を参照されたい。別の定義は、一回仕事量と酸素消費量の比であり、正常なヒト心臓では、20~25%の範囲である。参照により本明細書に組み込まれるVisser, F., Measuring cardiac efficiency: is it useful? Hear Metab. 39:3-4 (2008)。別の定義は、平均動脈圧に対する一回拍出量の比である。本発明の化合物の効果を測定するために、心臓の効率についての好適ないずれの定義を使用してもよい。
【0135】
心臓脂肪症の処置および心筋トリグリセリドの低下
本発明の方法は、心臓脂肪症または心臓脂肪症に関連する障害を処置するのに有用である。心臓脂肪症は、心臓内での脂質の異所性堆積および異常な保持である。心臓脂肪症は、筋細胞膜内での脂肪酸小滴として組織学的に可視化され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるSzczepaniak LS, Victor RG, Orci L, Unger RH. Forgotten but not gone: the rediscovery of fatty heart, the most common unrecognized disease in America. Circ Res. 2007 Oct 12;101(8):759-67. doi: 10.1161/circresaha.107.160457. PMID: 17932333に論じられている通り、H-磁気共鳴分光法(MRS)を使用する心筋トリグリセリド(MTG)の非侵襲的イメージングを使用して定量化することができる。心臓脂肪症は、一般に、糖尿病および/または肥満に関連し、心臓への過度の遊離脂肪酸送達を反映すると考えられている。過度の異所性脂質沈着(脂肪症)のこのプロセスは、他の非脂肪臓器(例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患または脂肪肝に寄与する肝臓、膵臓)ならびに心外膜および心膜にも影響を及ぼし得る。ヒトでは、耐糖能障害には心臓脂肪症が伴い、この心臓脂肪症には、2型真性糖尿病および左心室収縮機能障害の開始が先行する。ヒト心筋細胞における脂質の過剰貯蔵は、2型真性糖尿病の病変形成における初期徴候であり、心不全がなくても明らかである。Jonathan M. McGavock. Circulation. Cardiac Steatosis in Diabetes, Mellitus, Volume: 116, Issue: 10, Pages: 1170-1175, DOI:(10.1161/circulationaha.106.645614)。心臓脂肪症は、トリグリセリド脂肪の合成および排除の正常なプロセスの機能障害を反映している。過度の心筋細胞質トリグリセリドの貯蔵の加水分解は、細胞の遊離脂肪酸プールまで及んで、有害な細胞脂肪酸経路のための基質、例えば、心筋細胞(および膵臓β細胞)においてアポトーシスを誘発し、インスリン抵抗性を促進することがあるセラミドをもたらす。脂質代謝の副産物、例えばセラミドまたは他の脂肪酸誘導体に続発する、細胞死をもたらすこれらの有害なシグナル伝達カスケードの活性化は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるMcGavock JM, Victor RG, Unger RH, Szczepaniak LS; American College of Physicians and the American Physiological Society. Adiposity of the heart, revisited. Ann Intern Med. 2006 Apr 4;144(7):517-24. doi: 10.7326/0003-4819-144-7-200604040-00011. PMID: 16585666に論じられている通り、脂肪毒性と呼ばれる。その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるMarfella R, Amarelli C, Cacciatore F, Balestrieri ML, Mansueto G, D'Onofrio N, Esposito S, Mattucci I, Salerno G, De Feo M, D'Amico M, Golino P, Maiello C, Paolisso G, Napoli C. Lipid Accumulation in Hearts Transplanted From Nondiabetic Donors to Diabetic Recipients. J Am Coll Cardiol. 2020 Mar 24;75(11):1249-1262. doi: 10.1016/j.jacc.2020.01.018. PMID: 32192650に論じられている通り、糖尿病を有する患者における非糖尿病性個体から移植された心臓の検査は、心筋細胞脂質蓄積(トリグリセリドおよびセラミドを含む)が、糖尿病環境の状況における初期の進行性の病理学的事象であり、移植の48週間後にドナー心機能を悪化させることが示されている。心筋トリグリセリド含量は、独立に、2型糖尿病における左心室の拡張機能障害に関連し(Rijzewijk et al、JACC 2008)、右心室のより大きい機能障害および左心室ストレインに関連する(Ng et al, Circ 2010)。
【0136】
2型糖尿病を有する肥満個体における安静時心筋エナジェティクス(PCr/ATP)に対する、式(X)を有する化合物の組成物の200mg BIDの影響を評価するための薬力学的研究の結果は、図52~65に詳述されている。研究の非常に重要なエンドポイントは、グルコース酸化を促進し、グルコース酸化を解糖と再び結び付ける化合物の能力の尺度として、代謝的応答、特にPDHフラックスに対する影響を、超偏極13C-ピルビン酸MRSを使用して評価することであった。また、心臓磁気共鳴(CMR)および経胸壁心エコー検査(TTE)によって測定される心臓の収縮および拡張機能に対する効果を査定し、心臓脂肪症に対する効果を、H-MRSを使用して査定した。
【0137】
本発明の方法は、心筋脂肪症に対して確固たる急速な影響をもたらし、すなわち心筋脂質過負荷を低下させて、肥満および/または糖尿病性心筋のより良好な機能を支える。この方法は、心臓脂肪症または心臓脂肪症に関連する障害を有しているか、または発症するリスクがある対象に、式(X)によって表される構造を有する化合物の組成物を提供するステップを含む。この方法では、組成物は、経口的に提供され得る。組成物は、1日当たり少なくとも1つの用量で提供され得るか、または1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供され得る。一例として、組成物は、少なくとも1つの用量で少なくとも2週間にわたって毎日提供され得る。式(X)の化合物の用量は、約25mg~約1000mg、約50mg~約600mg、および約100mg~約400mgであり得る。好ましくは、用量は、約200mgであり得る。組成物は、調節放出製剤であり得る。
【0138】
本発明の方法は、対象における心筋トリグリセリドを低下させるのに有用である。この方法は、心筋疾患(myocardial)を有しているか、または発症するリスクがある対象に、式(X)によって表される構造を有する化合物の組成物を提供するステップを含む。この方法では、組成物は、経口的に提供され得る。組成物は、1日当たり少なくとも1つの用量で提供され得るか、または1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供され得る。一例として、組成物は、少なくとも1つの用量で少なくとも2週間にわたって毎日提供され得る。式(X)の化合物の用量は、約25mg~約1000mg、約50mg~約600mg、および約100mg~約400mgであり得る。好ましくは、用量は、約200mgであり得る。組成物は、調節放出製剤であり得る。
【0139】
脂肪毒性の低減
細胞内トリグリセリドは、脂肪毒性と呼ばれるプロセスにおいて、毒性副産物(例えばジアシルグリセロールおよびセラミド)に代謝され得る。心臓脂肪毒性は、心臓での筋細胞内トリグリセリド(TG)の過度の蓄積を伴うだけでなく、脂質クラスおよびそれらの脂肪酸プロファイルの変化も伴う。本方法は、脂肪毒性を有しているか、または発症するリスクがある対象に、式(X)によって表される構造を有する化合物の組成物を提供するステップを含む。この方法では、組成物は、経口的に提供され得る。組成物は、1日当たり少なくとも1つの用量で提供され得るか、または1日当たり複数用量で、好適な間隔で提供され得る。一例として、組成物は、少なくとも1つの用量で少なくとも2週間にわたって毎日提供され得る。式(X)の化合物の用量は、約25mg~約1000mg、約50mg~約600mg、および約100mg~約400mgであり得る。好ましくは、用量は、約200mgであり得る。組成物は、調節放出製剤であり得る。
【0140】
体重減少の誘発
式(X)は、短期投与であっても、有意義で急速な全身代謝効果に関連する。実施例3を参照されたい。研究の対象の大半が体重減少し、高いベースラインHbA1cを有する対象ほど、体重減少が大きかった。それらのコホートでは平均絶食時グルコースの有意な低下も達成された。
【0141】
心臓エネルギー代謝応答の予測因子として
本発明の方法は、心機能不全を処置するのに有用である。本発明の方法を使用するベースラインHbA1cおよびHbA1cの低下は、PCr/ATPの上昇と正の関連を示す。本方法は、上昇したレベルのHbA1cを有している対象に、1日当たり少なくとも1つの用量の式(X)によって表される構造を有する化合物を提供するステップを含む。6.0%、6.5%または7%よりも大きいカットオフベースラインHbA1cは、PCr/ATP応答の予測因子として使用され得る。
【実施例
【0142】
(実施例1)
簡単な研究設計
健康な対象におけるIMB-1018972の安全性、耐容性、および薬物動態(食品効果を含む)を調査するための、第1相ファースト・イン・ヒューマンの、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の単一増加用量および複数増加用量研究。
【0143】
目的
一次目的は、IMB-1018972の単一および複数増加経口用量、ならびにトリメタジジンの単一経口用量の安全性および耐容性を査定することである。
【0144】
二次目的には、以下が含まれる。IMB-1018972の単一および複数増加経口用量、ならびにトリメタジジンの単一経口用量の薬物動態(PK)プロファイルを査定すること;健康な対象におけるIMB-1018972の単一経口用量後のIMB-1018972の吸収およびPKプロファイルに対する食品効果を査定すること;健康な対象におけるIMB-1018972の単一経口用量後のIMB-1018972の安全性および耐容性に対する食品効果を評価すること。
【0145】
設計および処置
これは、IMB-1018972(SADおよびMADパートにおける即時放出[IR]製剤)の単一および複数増加経口用量の安全性、耐容性、およびPKを査定するための、統合食品効果(FE)アームを含む単一増加用量(SAD)パート、複数増加用量(MAD)パートからなる二重盲検、無作為化、プラセボ対照研究であった。研究はSADパートで開始された。
【0146】
SADパート(および統合FEアーム)
SADパートには、8人の健康な対象の5つの群(A1、A2、A3、およびA4群において活性薬物で6人の対象およびプラセボで2人、ならびにA5群において活性薬物で8人の対象)が含まれていた。A1、A2、A3、およびA4群では、対象は、絶食状態(少なくとも10時間の一晩の絶食)下で単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤またはプラセボを受けた。A5群では、すべての対象が、絶食状態(少なくとも10時間の一晩の絶食)下で単一経口用量のトリメタジジンのMR製剤を受けた。各対象は、研究中、1群だけに参加した。
【0147】
A4群に割り当てられた対象は、FEアームにも参加し、SADパートの絶食状態下での薬物投与の後少なくとも1週間後の第2の期間において、摂食状態(少なくとも10時間の一晩の絶食後、食品医薬局[FDA]により定義された高脂肪朝食)下で同じ単一用量のIMB-1018972またはプラセボを受けた。
【0148】
以下の処置を、SADパートにおいて絶食状態下で投与した。
A1群:1日目に50mgの単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=6)またはマッチングプラセボ(n=2)
A2群:1日目に150mgの単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=6)またはマッチングプラセボ(n=2)
A3群:1日目に400mgの単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=6)またはマッチングプラセボ(n=2)
A4群:1日目に150mgの単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=6)またはマッチングプラセボ(n=2)(FE群)
A5群:1日目に35mgの単一経口用量のトリメタジジンのMR製剤(Vastarel;n=8)
以下の処置を、FEアームにおいて摂食状態(FDAにより定義された高脂肪朝食)下で投与した。
A4群:1日目に150mgの単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=5)またはマッチングプラセボ(n=2)(SADパートと同じ用量)
【0149】
IMB-1018972用量漸増は、先行群の少なくとも5人の投与対象の入手可能な安全性、耐容性、およびPKの結果に基づいていた。治験責任医師とスポンサーとの間で用量漸増ミーティングが開かれた。さらに、用量漸増報告書(DER)が、各用量レベルの完了後に治験責任医師によって独立倫理委員会(IEC)に提供された。停止基準のいずれにも達しておらず、先行群の少なくとも5人の投与対象の入手可能な安全性、耐容性、およびPKの結果(投与後48時間までの結果)が治験責任医師およびスポンサーに許容され、IECからのDERの異議記述書がなかった場合に初めて、次の高用量への漸増に進んだ。
【0150】
このファースト・イン・ヒューマン(FIH)研究では、最低用量レベルで参加している対象、すなわちA1群の対象には、最適な安全性を確保するために、センチネル投与設計に従って投与した。このことは、まず2人の対象に投与し、そのうちの1人の対象にはIMB-1018972を投与し、1人の対象にはプラセボを投与したことを意味する。初期の2人の対象については、投与後最初の24時間の安全性および耐容性の結果が治験責任医師に許容されたので、最低用量レベルのその他の6人の対象(活性薬物5人およびプラセボ1人)にも投与した。
【0151】
MADパート
MADパートには、12人の健康な対象の2つの群(各群において活性薬物で9人の対象およびプラセボで3人)が含まれていた。対象は、複数経口用量のIMB-1018972のIR製剤またはプラセボを、12時間ごとに1回(q12h)、14日間連続で受けた。各対象は、研究中、1つの群だけに参加した。
【0152】
以下の処置を、FEアームのA4群の結果に基づいて決定される通り、摂食状態下で投与した。用量は、SADパートからの安全性、耐容性、およびPKデータに基づいて選択した。
B1群 150mgの複数経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=9)またはマッチングプラセボ(n=3)を、1日2回(q12h)で14日間;14日目は朝の単一用量だけを投与した。
B2群 50mgの複数経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=9)またはマッチングプラセボ(n=3)を、q12hで14日間;14日目は朝の単一用量だけを投与した。
【0153】
IMB-1018972用量漸増は、先行群の少なくとも8人の投与対象の入手可能な安全性、耐容性、およびPKの結果に基づいていた。治験責任医師とスポンサーとの間で用量漸増ミーティングが開かれた。さらに、DERが、各用量レベルの完了後に治験責任医師によってIECに提供された。停止基準のいずれにも達しておらず、先行群の少なくとも8人の投与対象の入手可能な安全性、耐容性、およびPKの結果(14日目の最終的な朝の用量後48時間までの結果)が治験責任医師およびスポンサーに許容され、IECからのDERの異議記述書がなかった場合に初めて、次の高用量への漸増に進んだ。
【0154】
研究スケジュール
スクリーニング:-35日目~-1日目(入院)の間
拘束期間:SADパート:クリニックにおける-1日目(入院)から研究薬物投与のおよそ48時間後(3日目)までの1つの期間;例外は、対象が2つの期間にわたってクリニックに滞在していた、FEアームにも参加しているA4群であり、それぞれ、-1日目(入院)からMADパートの研究薬物投与のおよそ48時間後(3日目)までと、クリニックにおける-1日目(入院)から14日目の最終研究薬物投与のおよそ48時間後(16日目)までの1つの期間であった。
追跡調査:SADパート:最終PK血液試料の7~14日後(10日目~17日目の間);FEアーム:第2の期間における最終PK血液試料の7~14日後(10日目~17日目の間);MADパート:最終PK血液試料の7~14日後(23日目~30日目の間)。
【0155】
対象
SADパート:40人の健康な男性または女性対象(これには、FEアームにも参加している8人の対象が含まれていた);A4群以降、1群当たり男性および女性対象について50:50の比を有するようにあらゆる努力が行われたが、1群当たり最少で少なくとも3人の各性別の対象に投与された。
MADパート:24人の健康な男性または女性対象;群ごとに、男性および女性対象について50:50の比を有するようにあらゆる努力が行われたが、1群当たり最少で少なくとも4人の各性別の対象に投与された。
【0156】
主な組み入れ基準
年齢:スクリーニング時に両端を含み18歳~65歳
肥満度指数(BMI):両端を含み18.0kg/m~32.0kg/m
状況:健康な対象
研究薬物
活性医薬
薬物製品:IMB-1018972
活性:脂肪酸酸化阻害剤
次の発症において:虚血性心血管疾患
強度:25mg、100mg、および200mgのIR製剤(遊離塩基に基づく)
剤形:SADおよびMADパートで使用されることになる経口IRカプセル剤
製造者:PRAの薬局
バッチ番号:2479-1810-00441(薬物物質)
IMB-1018972プラセボ(活性医薬と視覚的にマッチしている)
活性物質:適用なし
活性:適用なし
強度:適用なし
剤形:経口カプセル剤
製造者:PRAの薬局
バッチ番号:適用なし
活性医薬
薬物製品:Vastarel MR(トリメタジジン二塩酸塩)
活性:脂肪酸酸化阻害剤
次の発症において:狭心症
強度:35mg
剤形:経口調節放出錠剤
製造者:Servier Research&Pharmaceuticals(Pakistan)(Pvt.)Ltd.
バッチ番号:273782(薬物製品)
【0157】
変数
安全性:有害事象、臨床検査、バイタルサイン、12誘導心電図、継続的心臓モニタリング(遠隔測定)、および身体検査
薬物動態:IMB-1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンの血漿中濃度。IMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンの尿中濃度(SADパートだけ)。非コンパートメント解析を適宜使用して推定される血漿中PKパラメーター。SADパート、統合FEアーム:Cmax、tmax、AUC0-t、AUC0-inf、AUCextra%、kel、t1/2、CL/F(IMB-1028814だけ)、およびV/F(IMB-1028814だけ)。MADパートの1日目:Cmax、tmax、およびAUC0-T。MADパートの14日目:Cmax、tmax、Cmin、kel、t1/2、AUC0-T、CLss/F(IMB-1028814だけ)、V/F(IMB-1028814だけ)、およびRac。非コンパートメント解析を適宜使用して推定される尿中PKパラメーター:Aeurine、Feurine、およびCL
【0158】
統計方法
標本サイズの計算:このFIH研究について、統計的検出力の前向き計算は行われなかった。標本サイズは、単一および複数用量のIMB-1018972、単一用量のトリメタジジン後の安全性、耐容性、およびPKに関する情報を提供するように選択され、FIH研究に典型的なものである。統計解析計画に従って計算されることになるいずれのp値も、この研究の探索的特徴の観点で解釈した。
安全性パラメーター:記述統計
PKパラメーター:関連するすべてのPKパラメーターについての記述統計:n、平均、SD、最小、中央値、最大、幾何平均、および変動係数;用量比例性およびFEを決定するためのCmaxおよびAUCパラメーターに関する分散分析
【0159】
結果
対象の処遇
スクリーニングを受けた220人の対象のうち、88人の対象が研究に含まれ、研究薬物を受けた。66人の対象が、ある用量のIMB-1018972を受け、8人がトリメタジジンを受け、14人がプラセボを受けた。88人の対象のうち85人が、研究を完了した。FEアームのA4群の対象1人が、摂食状態下で150mgの単一経口用量のIMB-1018972を受けた後、第2の期間の1日目に同意を撤回した。FEアームのA4群の別の対象が、第1の期間にインフルエンザ様疾病の重篤な有害事象(SAE)(中等度の重症度であり、関係する可能性が低かった)に起因して研究から離脱し、絶食状態下で150mgの単一経口用量のIMB-1018972だけを受け、第2の処置期間では供給された用量を受けなかった。中断したこれらの対象は、いずれも交代されなかった。88人のすべての対象が、PKおよび安全性対象集団に含まれていた。
表1
【表1】
【0160】
人口統計
SADパート(および統合FEアーム)
IMB-10108972およびプラセボ
32人の対象が含まれ、そのうち23人が女性であり、9人が男性であった。プラセボを含むすべての処置にわたって、平均年齢は29~46歳の間の範囲であり、平均BMIは23.0~26.6kg/m2の間の範囲であった。個々の年齢は18~65歳の間の範囲であり、個々のBMIは19.5~30.3kg/m2の間の範囲であった。29人の対象は白人人種であり、1人の対象はアジア人であり、1人の対象は黒人またはアフリカ系アメリカ人であり、1人の対象はハワイ先住民または他の太平洋諸島民であった。
【0161】
トリメタジジン群
8人の対象が含まれ、そのうち5人が女性であり、3人が男性であった。平均年齢は32歳であり、平均BMIは23.7kg/m2であった。個々の年齢は、20~65歳の間の範囲であり、個々のBMIは19.4~26.7kg/m2の間の範囲であった。7人の対象は白人人種であり、1人の対象は複数人種であった。
【0162】
MADパート
24人の対象が含まれ、そのうち12人が女性であり、12人が男性であった。プラセボを含むすべての処置にわたって、平均年齢は38~44歳の間の範囲であり、平均BMIは25.2~26.7kg/m2の間の範囲であった。個々の年齢は18~64歳の間の範囲であり、個々のBMIは19.1~30.9kg/m2の間の範囲であった。18人の対象は白人人種であり、2人の対象は複数人種であり、2人の対象はアメリカ先住民またはアラスカ先住民であり、1人の対象はアジア人であり、1人の対象は黒人またはアフリカ系アメリカ人であった。
【0163】
安全性
SADパートでは、絶食状態下で50mg、150mg、および400mgの単一経口用量のIMB-1018972を用いる処置、摂食状態下で150mgの単一経口用量のIMB-1018972を用いる処置、ならびに35mgの単一経口用量のトリメタジジンを用いる処置は、健康な男性および女性対象によって良好な耐容性が示された。SADパート中、最も一般的なAEは、フラッシュの6件のTEAEであり(報告された用語は「ナイアシンフラッシュ」および「頸部フラッシュ」であった)、そのうちの5件のTEAEは中等度の重症度であり、1件のTEAEは軽度の重症度であった。4人の対象が、絶食状態下での400mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告し、FEアームの2人の対象が、絶食状態下での150mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告した。これらのTEAEは、すべてが治験責任医師によって研究薬物に関係すると考えられた。フラッシュに起因して脱落した対象はおらず、フラッシュは安全性の問題とは考えられなかった。身体検査、バイタルサイン、臨床検査、またはECGの結果に臨床的に重要な傾向はなかった。400mg群の標的曝露レベルを超えるIMB-1028814およびトリメタジジンのPK曝露レベル、ならびにその用量でのフラッシュの所見に基づいて計画された通り、400mgを超える用量漸増のIMB-1018972のIRには進まなかった。予め定義された標的曝露レベルは、およそ3~4の「トリメタジジン当量」、すなわち、既刊文献から分かる通り、35mgの単一経口用量のMRトリメタジジンに対するIMB-1018972の活性代謝産物の曝露量を合わせた比であった。
【0164】
MADパートでは、摂食状態下で50mgおよび150mgの経口q12h用量のIMB-1018972を用いる14日間の処置は、健康な男性および女性対象によって良好な耐容性が示された。最も一般的なAEは、フラッシュの7件の偶発的な軽度TEAEであり、これは150mgのIMB-1018972をq12hで受けていた6人の対象において生じた。これらの6人の対象のうちの5人は、14日間の投与期間中、フラッシュのTEAEを1回だけ報告した。1人の対象は、2日目および14日目の2回、フラッシュを報告した。50mgのIMB-1018972をq12hで投与した後、フラッシュのTEAEは報告されなかった。フラッシュのTEAEに起因して脱落した対象はおらず、用量調節は必要なかった。
【0165】
全体的に、研究中に死亡は報告されなかった。報告されたTEAEの大半は一過性であり、追跡調査によれば後遺症なしに回復した。TEAEの大部分は軽度の重症度であり、研究中に重度のTEAEは報告されなかった。中等度の重症度のTEAEは、前述のフラッシュの5件のTEAE、ならびに不穏状態、背部痛、悪心、扁桃炎、手技後出血、ALT上昇、およびインフルエンザ様疾病のそれぞれ1件のTEAEであった。インフルエンザ様疾病の中等度のTEAEは、SAEであると考えられ、SADパートにおいて絶食状態下で150mgの単一用量のIMB-1018972を受けていたSADパートの対象によって報告された。この対象は、このSAEの結果として研究から離脱した。このSAEは、治験責任医師によって研究薬物に関係する可能性が低いと考えられた。
【0166】
SADパートおよびMADパートの両方で、TEAEの数および発生率の明確な用量依存性はなかった。SADパートのFEアームでは、摂食状態下での投与は、TEAEの数および発生率を減弱するように見えた。
【0167】
研究中に最も頻繁に報告されたTEAEは、器官別大分類の血管障害(主にフラッシュのTEAE)、全身性障害および投与部位の状態、神経系障害、胃腸障害、ならびに筋骨格および結合組織障害であった。
【0168】
研究中に報告されたTEAEの大半は、治験責任医師によって研究薬物に関係しないと考えられた。
【0169】
臨床検査、バイタルサイン、12誘導ECG、継続的心臓モニタリング(遠隔測定)、または身体検査に関して臨床的関連の所見はなかった。
【0170】
薬物動態
この研究でIMB-1018972を受けた対象のすべての血液試料を、血漿中のIMB-1018972について解析したが、IMB-1018972は、ごくわずかの血漿試料においてしか測定することができなかった。したがって、この臨床研究報告書には、IMB-1018972濃度だけが収載され、記述統計または濃度-時間プロファイルは提示されなかった。加えて、PKパラメーターは、血漿中IMB-1018972については計算されなかった。結果として、尿試料は、IMB-1018972濃度については解析されなかった。
【0171】
IMB-1028814およびトリメタジジンの薬力学的効果は同じなので、データは、IMB-1028814およびトリメタジジンについて個々に、ならびにIMB-1028814およびトリメタジジン濃度の合計について提示される。
【0172】
SADパート(および統合FEアーム)
絶食状態下でのIMB-1018972の投与後の血漿中PK
IMB-1018972からIMB-1028814への初期加水分解およびその後のIMB-1028814の全身バイオアベイラビリティは、相対的に急速であり、tmax中央値は、絶食状態下で研究されたIMB-1018972の単一用量範囲50mg~400mgにわたって、IMB-1028814については投与の約1時間後であり、トリメタジジンについては投与後1.5時間~2時間の間であった。tmax中央値は、IMB-1018972用量の増大に伴って増大することはなかった。
【0173】
幾何平均Cmaxは、用量に伴って上昇し、絶食状態下で研究されたIMB-1018972の単一用量範囲50mg~400mgにわたって、IMB-1028814については104ng/mL~870ng/mLの間、トリメタジジンについては36.9ng/mL~274ng/mLの間、およびIMB-1028814+トリメタジジンについては516nmol/L~3,839nmol/Lの間(分子量の差を説明するためにモル単位)の範囲であった。同様に、幾何平均AUC0-tは、用量に伴って増大し、絶食状態下で研究されたIMB-1018972の単一用量範囲50mg~400mgにわたって、IMB-1028814については290ng.時/mL~2,795ng.時/mLの間、トリメタジジンについては424ng.時/mL~3,305ng.時/mLの間、およびIMB-1028814+トリメタジジンについては2,970nmol.時/L~22,365nmol.時/Lの間の範囲であった。男性および女性についてそれぞれ417,733および652,849ng.時/mLのIMB-1028814血漿曝露量の予め定義された停止判断基準には、SADパート中、いずれの対象によっても達しなかった。
【0174】
IMB-1028814およびトリメタジジンについての用量比例性を、Cmax、AUC0-t、およびAUC0-infについて探索した。3つのすべての曝露パラメーターのスロープの95%CIは、IMB-1028814およびトリメタジジンの両方について1を含んでおり、絶食状態下でのIMB-1018972の単一用量範囲50~400mgにわたって、IMB-1028814およびトリメタジジンについて用量比例性からの逸脱の証拠がなかったことを示している。
【0175】
IMB-1028814の幾何平均t1/2は、相対的に短く、絶食状態下でのIMB-1018972の単一用量範囲にわたって2.6時間~3時間の間の範囲であった。代謝産物であるトリメタジジンについて、幾何平均t1/2はより長く、絶食状態下でのIMB-1018972の単一用量範囲にわたって6.76時間~8時間の間の範囲であった。IMB-1028814およびトリメタジジンの幾何平均t1/2は、IMB-1018972用量の増大に伴って増大することはなく、2つの部分のPKが線形であったことを示した。
【0176】
トリメタジジンの投与後の血漿中PK
35mgの単一経口用量のトリメタジジンの投与後、トリメタジジンのtmax中央値は5時間であり、幾何平均値は、Cmaxについては68.6ng/mL、AUC0-tについては912ng.時/mL、およびAUC0-infについては929ng.時/mLであった。トリメタジジンの幾何平均t1/2は7.49時間であった。
【0177】
食品効果
IMB-1028814およびトリメタジジンのPKに対して可能性がある食品効果は、150mgの単一経口用量のIMB-1018972の投与を、FDAにより定義された高脂肪朝食後と、絶食状態下とで比較することによって探索した。
【0178】
血漿中IMB-1028814のtmax中央値には、絶食状態下では投与の1時間に達したのに対して、摂食状態下では投与の2時間後に達した。血漿中トリメタジジンのtmax中央値には、絶食状態下では投与の1.5時間後に達したのに対して、摂食状態下では投与の4時間後に達した。
【0179】
IMB-1028814およびトリメタジジンの食品効果を、Cmax、AUC0-t、およびAUC0-infについて探索した。IMB-1028814曝露パラメーターAUC0-tおよびAUC0-inf(共に推定値1.12および90%CI範囲1.02~1.23を有していた)に対する食品効果についての証拠は観察されなかった。しかし、Cmaxは、絶食状態下での投与に対して、FDAにより定義された高脂肪朝食後の、150mgの単一用量のIMB-1018972の投与後、およそ36%低かった(推定値0.64;90%CI範囲0.39~1.04)。
【0180】
150mgの単一用量のIMB-1018972の投与後、トリメタジジン曝露パラメーターCmax(推定値0.91;90%CI範囲0.85~0.98)、ならびにAUC0-tおよびAUC0-inf(共に推定値1.04および90%CI範囲0.98~1.10を有していた)に対する食品効果についての証拠は観察されなかった。
尿中PK
【0181】
単一経口IMB-1018972用量後48時間以内に尿中に排泄された用量の算術平均パーセントは、研究された50mg~400mgの用量範囲にわたって、IMB-1028814については3.99%~5.74%の間、およびトリメタジジンについては23.11%~32.55%の間の範囲であった。35mgの単一経口用量のトリメタジジンの投与後48時間以内に、尿中に算術平均54.47%がトリメタジジンとして排泄された。これらの結果は、IMB-1028814については代謝が一次クリアランス機序であり、一方、トリメタジジンについては腎排泄が一次クリアランス機序であることを示している。
【0182】
幾何平均腎クリアランス(CLR)は、研究されたIMB-1018972の単一用量範囲50mg~400mgにわたって、IMB-1028814については3.76L/時~5.37L/時の間、およびトリメタジジンについては18.1L/時~20.8L/時の間の範囲であった。トリメタジジンについての幾何平均CLRは、35mgの単一経口用量のトリメタジジンの投与後、20.4L/時であった。トリメタジジンの腎クリアランスは、糸球体濾過率(125mL/分または7.5L/時)よりも大きく、トリメタジジンが全体として尿細管分泌を受けることを示している。
【0183】
MADパート
2つの複数用量レベルにわたって、tmax中央値は、1日目のIMB-1028814については投与後0.5時間~1時間の間の範囲であり、1日目のトリメタジジンについては投与の3時間後であった。14日目に、tmax中央値は、IMB-1028814については投与の0.5時間後であり、トリメタジジンについては投与の2時間後であった。
【0184】
1日目の曝露パラメーター
MADパートでは、摂食状態下で、q12hで14日間の50mgまたは150mgの複数経口用量の、2つのIMB-1018972用量レベルしかなかったので、用量比例性解析は行われなかった。
【0185】
幾何平均CmaxおよびAUC0-Tは、50mgを供給された後よりも150mgを供給された後の方が高く、IMB-1028814(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ297%および336%高かった)、トリメタジジン(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ154%および163%高かった)、およびIMB-1028814+トリメタジジン(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ257%および239%高かった)であった。
【0186】
MADパートおよびSADパートを比較した場合、幾何平均Cmaxは、IMB-1028814についてSADパートで供給された単一用量の150mgの後よりも、MADパートで1日目に150mgを供給された後の方が97%高かった。しかし、トリメタジジンについては、幾何平均Cmaxは、SADパートで供給された単一用量の150mgの後よりも、MADパートで1日目に150mgを供給された後の方が32%低かった。
q12hの投与を反復した後、14日目の曝露パラメーター
【0187】
幾何平均CmaxおよびAUC0-Tは、50mgを供給された後よりも150mgを供給された後の方が高く、IMB-1028814(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ377%および367%高かった)、トリメタジジン(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ127%および126%高かった)、およびIMB-1028814+トリメタジジン(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ286%および211%高かった)であった。
【0188】
男性および女性についてそれぞれ417,733および652,849ng.時/mLのIMB-1028814血漿曝露量の予め定義された停止判断基準には、MADパート中、いずれの対象によっても達しなかった。
投与をq12hで反復した後のトラフ濃度
【0189】
幾何平均血漿中濃度-時間プロファイルおよび幾何平均トラフ濃度の視覚的検査に基づいて、供給された150mgおよび供給された50mgの両方について、14日目のIMB-1018972用量は、IMB-1028814およびトリメタジジンの濃度の定常状態下で投与されたと結論付けることができる。
【0190】
投与をq12hで反復した後の蓄積
供給された50mgおよび150mgの両方の用量レベルについて、IMB-1028814、トリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジンの幾何平均AUC0-T値は、1日目に対して14日目の方が高かった。IMB-1028814についての幾何平均Racは、供給された150mg用量および50mg用量後に、それぞれ1.18および1.10であり、血漿中にIMB-1028814が最小限に蓄積したことを示している。トリメタジジンについての幾何平均Racは、供給された150mg用量および50mg用量後に、それぞれ1.63および1.89であり、血漿中にトリメタジジンが中程度に蓄積したことを示している。IMB-1028814+トリメタジジンについての幾何平均Racは、供給された150mg用量および50mg用量後に、それぞれ1.39および1.52であり、血漿中にIMB-1028814+トリメタジジンが中程度に蓄積したことを示している。
【0191】
投与をq12hで反復した後の終末相排泄半減期
IMB-1028814について、150mgを供給された後の4.48時間の幾何平均t1/2は、50mgを供給された後の2.79時間よりも長かった。トリメタジジンについて、150mgを供給された後の9.36時間の幾何平均t1/2は、50mgを供給された後の9.32時間に類似していた。IMB-1028814+トリメタジジンについて、150mgを供給された後のIMB-1028814についての8.90時間の幾何平均t1/2は、50mgを供給された後の9.08時間に類似していた。
【0192】
結論
安全性
・全体的に、単一経口用量のIMB-1018972および複数経口用量のIMB-1018972のIR製剤は、一般に、健康な男性および女性対象によって良好な耐容性が示された。臨床検査、バイタルサイン、12誘導ECG、継続的心臓モニタリング(遠隔測定)、または身体検査に関して臨床的関連の所見はなかった。IMB-1018972をIRとして投与した後、血行動態変化の所見もQTc間隔の変化もなかったことに留意すべきである。
・SADパート中、最も一般的なAEは、フラッシュの6件のTEAEであり(報告された用語は「ナイアシンフラッシュ」および「頸部フラッシュ」であった)、そのうちの5件のTEAEは中等度の重症度であり、1件のTEAEは軽度の重症度であった。4人の対象が、絶食状態下での400mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告し、FEアームの2人の対象が、絶食状態下での150mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告した。これらのTEAEは、すべてが治験責任医師によって研究薬物に関係すると考えられた。フラッシュに起因して脱落した対象はおらず、フラッシュは安全性の問題とは考えられなかった。400mg群の標的曝露レベルを超えるIMB-1028814およびトリメタジジンのPK曝露レベル、ならびにその用量でのフラッシュの所見に基づいて計画された通り、400mgを超える用量漸増のIMB-1018972のIRには進まなかった。予め定義された標的曝露レベルは、およそ3~4の「トリメタジジン当量」、すなわち、既刊文献から分かる通り、35mgの単一経口用量のMRトリメタジジンに対するIMB-1018972の活性代謝産物の曝露量を合わせた比であった。
・研究中に死亡は報告されなかった。TEAEの大部分は軽度の重症度であり、研究中に重度のTEAEは報告されなかった。全体的に、合計181件のTEAEのうちの12件が、中等度の重症度であった。
・2人の対象が研究から離脱し、そのうちの1人の対象はインフルエンザ様疾病の中等度のSAE(関係する可能性が低かった)に起因しており、1人はALT上昇の中等度のTEAE(関係している可能性があった)に起因していた。
・全体的に、TEAEの数および発生率に明確な用量依存性はなかった。
・SADパートのFEアームでは、摂食状態下での投与は、TEAEの数および発生率を減弱するように見えた。
【0193】
薬物動態
・IMB-1018972は、この研究中に採取されたごくわずかの血漿試料においてしか測定することができなかった。
・絶食および摂食状態下での単一および複数IMB-1018972用量の結果を合わせると、IMB-1018972からIMB-1028814への初期加水分解およびその後のIMB-1028814の全身バイオアベイラビリティは、相対的に急速であり、tmax中央値は、IMB-1028814については投与後0.5時間~5時間の間の範囲であり、トリメタジジンについては投与後1.5時間~8時間の間の範囲であった。tmax中央値は、IMB-1018972用量の増大に伴って増大することはなかった。
・男性および女性についてそれぞれ417,733および652,849ng.時/mLのIMB-1028814血漿曝露量の予め定義された停止判断基準には、SADパートまたはMADパート中、いずれの対象によっても達しなかった。
・絶食状態下での50~400mgの範囲の単一経口IMB-1018972用量後、IMB-1028814およびトリメタジジンへの全身曝露は、Cmax、AUC0-t、およびAUC0-infについて用量比例的であった。
・150mgの単一用量のIMB-1018972の投与後、IMB-1028814曝露パラメーターAUC0-tおよびAUC0-infに対する食品効果についての証拠は観察されなかった。しかし、Cmaxは、絶食状態下での投与に対して、摂食状態下での150mgの単一用量のIMB-1018972の投与後、およそ36%低かった。
・150mgの単一用量のIMB-1018972の投与後、トリメタジジン曝露パラメーターCmax、AUC0-t、およびAUC0-infに対する食品効果についての証拠は観察されなかった。
・絶食および摂食状態下での単一および複数IMB-1018972用量の結果を合わせると、幾何平均t1/2は、IMB-1028814については2.5時間~4.5時間の間の範囲であり、トリメタジジンについては6.5時間~9.5時間の間の範囲であった。幾何平均t1/2は、IMB-1018972用量の増大に伴って増大することはなかった。
・50mg~400mgの範囲にわたる単一経口用量のIMB-1018972の投与後48時間以内に、平均で用量の3.99%~5.74%の間が、IMB-1028814として尿中に排泄され、平均で用量の23.11%~32.55%の間が、トリメタジジンとして排泄された。
・35mgの単一経口用量のトリメタジジンの投与後48時間以内に、平均で用量の54.47%が、トリメタジジンとして尿中に排泄された。
・摂食状態下で150mgおよび50mgのIMB-1018972を1日2回で14日間投与した後、関連するIMB-1028814の蓄積は観察されず(150mgおよび50mgについてそれぞれRac1.18および1.10)、トリメタジジンの蓄積は中程度であった(150mgおよび50mgについてそれぞれRac1.63および1.89)。
【0194】
全体
ポジティブなリスク/ベネフィットプロファイル、ならびにこの単一用量および複数用量FIH研究において観察されたIMB-1018972の代謝産物であるIMB-1028814およびトリメタジジンのPK特徴を考慮すると、IMB-1018972のさらなる臨床開発が保証される。
【0195】
詳細な研究設計
導入
IMB-1018972は、虚血性心血管疾患および関連する異常な細胞エナジェティクスの処置として開発されている、経口投与される小分子である。潜在的な適応症には、狭心症、心不全、および末梢血管疾患が含まれる。IMB-1018972は、低酸素症または虚血に曝露された細胞におけるエネルギー代謝を保存または増強するように作用する、部分的脂肪酸酸化(pFOX)阻害剤の薬物クラスの新しい化学実体(NCE)である。他のpFOX阻害剤には、ラノラジン(Ranexa)、ペルヘキシリン、およびトリメタジジンが含まれる。グルコース酸化は、脂肪酸酸化と比較して、消費される酸素分子1個当たりのアデノシン三リン酸をより効率的に産生するものである。
【0196】
IMB-1018972は、投与後に加水分解を受け、加水分解生成物は、ニコチン酸(ナイアシンまたはビタミンB3としても公知)およびIMB-1028814と命名された3-ケトアシルCoAチオラーゼ(3-KAT)の阻害剤である。IMB-1018972に加えて、IMB-1028814も非臨床研究で大規模に研究され、特徴付けられてきた。IMB-1028814は、さらなる代謝を受け、その代謝産物の1つがトリメタジジンであり、これは1987年以来、狭心症の処置のために欧州で販売されている薬物である。
【0197】
IMB-1028814の主要な作用機序は、心筋において脂肪酸酸化からグルコース酸化への基質利用のシフトをもたらす、3-KATの競合的阻害であると考えられる。ニコチン酸の送達は、細胞エナジェティクスをさらに増強するように働くことができる。
【0198】
非臨床薬理および毒性データは、CSPが、ヒトにおけるIMB-1018972の安全性、耐容性、PK、および薬力学を査定するために4週間までにわたってIMB-1018972を投与する、支援を受けて実施している臨床研究を仕上げた時点で収集されていたものである。
【0199】
この研究で投与されたトリメタジジンは、1987年以来、狭心症の処置のために欧州で販売されている薬物である。
【0200】
研究の理論的根拠
このCSRに記載される研究の前に、IMB-1018972を用いる臨床研究は実施されていなかった。したがって、単一用量および複数用量漸増設計(単一増加用量[SAD]パートおよび複数増加用量[MAD]パート)を含むこのファースト・イン・ヒューマン研究(FIH)、ならびに単一用量での食品効果(FE)研究を実施して、単一および複数増加用量の投与後の、即時放出(IR)製剤としてのIMB-1018972の安全性、耐容性、およびPKを査定した。
【0201】
研究中、単一の35mg調節放出(MR)用量のトリメタジジン(Vastarel)を試験するSADパートに、1群を加えた。この群を加える主要な理論的根拠は、Vastarelから生じたトリメタジジンおよびIMB-1028814の代謝から生じたもののPKプロファイルの直接比較を可能にし得る、現行の研究において利用されているものと同じ解析アッセイを用いて、商業的に入手可能なトリメタジジンのPKプロファイルを研究することであった。解析アッセイは、主要な排除経路である血液および尿中のトリメタジジンの検出を含む。これらのデータは、MADパートから作成されたデータと一緒に、治療抵抗性狭心症を有する患者における第2相概念実証研究においてさらに調査するための用量をスポンサーが選択する助けにすることができた。
【0202】
研究目的
一次的
IMB-1018972の単一および複数増加経口用量、トリメタジジンの単一経口用量の安全性および耐容性を査定すること。
【0203】
二次的
・IMB-1018972の単一および複数増加経口用量、トリメタジジンの単一経口用量のPKプロファイルを査定すること。
・健康な対象におけるIMB-1018972の単一経口用量後のIMB-1018972の吸収およびPKプロファイルに対する食品効果を査定すること。
・健康な対象におけるIMB-1018972の単一経口用量後のIMB-1018972の安全性および耐容性に対する食品効果を評価すること。
【0204】
調査計画
全体的な研究設計および計画
研究の種類
これは、単一および複数増加経口用量のIMB-1018972(SADおよびMADパートにおけるIR製剤)、ならびに単一経口用量のトリメタジジンのMR製剤の安全性、耐容性、およびPKを査定するための、統合FEアームを含むSADパート、MADパートからなる二重盲検、無作為化、プラセボ対照研究であった。研究はSADパートで開始された。
【0205】
SADパート(および統合FEアーム)
SADパートには、8人の健康な対象の5つの群(A1、A2、A3、およびA4群において活性薬物で6人の対象およびプラセボで2人、ならびにA5群において活性薬物で8人の対象)が含まれていた。A1、A2、A3、およびA4群では、対象は、絶食状態(少なくとも10時間の一晩の絶食)下で単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤またはプラセボを受けた。A5群では、すべての対象が、絶食状態(少なくとも10時間の一晩の絶食)下で単一経口用量のトリメタジジンのMR製剤を受けた。各対象は、研究中、1群だけに参加した。
【0206】
A4群に割り当てられた対象は、FEアームにも参加し、SADパートの絶食状態下での薬物投与の後少なくとも1週間後の第2の期間において、摂食状態(少なくとも10時間の一晩の絶食後、食品医薬局[FDA]により定義された高脂肪朝食)下で同じ単一用量のIMB-1018972またはプラセボを受けた。
【0207】
このファースト・イン・ヒューマン(FIH)研究では、最低用量レベルで参加している対象、すなわちA1群の対象には、最適な安全性を確保するために、センチネル投与設計に従って投与した。このことは、まず2人の対象に投与し、そのうちの1人の対象にはIMB-1018972を投与し、1人の対象にはプラセボを投与したことを意味する。初期の2人の対象については、投与後最初の24時間の安全性および耐容性の結果が治験責任医師に許容されたので、最低用量レベルのその他の6人の対象(活性薬物5人およびプラセボ1人)にも投与した。新たに得られた安全性データに応じて、他の群についても同様にこのセンチネル投与設計を実施することを決めることができたが、これは行われなかった。
【0208】
SADパートは、以下からなっていた。
・35日間までの適格性スクリーニング期間
・単一用量のIMB-1018972またはプラセボ(またはA5群ではトリメタジジン)の投与を含む1つの研究期間;これは、FEアームにも参加しているA4群の対象については2つの期間であった
・投与前から薬物投与後48時間までのPK目的での安全性査定および血液サンプリング
・研究薬物投与の48時間後の退院(FEアームにも参加しているA4群の対象については各期間において)
・最終PK血液試料の7~14日後の追跡調査のための訪問;これは、FEアームにも参加しているA4群の対象については第2の期間における最終PK血液試料の7~14日後であった。
【0209】
MADパート
MADパートには、12人の健康な対象の2つの群(各群において活性薬物で9人の対象およびプラセボで3人)が含まれていた。対象は、複数経口用量のIMB-1018972のIR製剤またはプラセボを、12時間ごとに1回(q12h)、14日間連続で受けた。各対象は、研究中、1つの群だけに参加した。
【0210】
研究薬物投与は、FEアームのA4群の結果に基づいて決定される通り、摂食状態下で投与した。
MADパートは、以下からなっていた。
・35日間までの適格性スクリーニング期間
・複数用量のIMB-1018972またはプラセボの14日間連続での投与を含む1つの研究期間
・投与前から最終研究薬物投与後48時間までの、PK目的での安全性査定および血液サンプリング
・最終研究薬物投与の48時間後の退院
・最終PK血液試料の7~14日後の追跡調査のための訪問
【0211】
スクリーニング期間
対象は、適格性スクリーニングのために、(初回)研究薬物投与前の5週間以内に医学的スクリーニング施設に報告した。
【0212】
対象は、研究に特有のいずれかのスクリーニング手順が実施される前に、研究に特有のICFに署名した。書面によるインフォームドコンセントを、研究についての対象の適格性に関わらず、すべての対象について得た。署名されたICFをPRAで保持し、アーカイブに保存し、コピーを対象に提供した。
【0213】
処置期間
対象は、1つの処置期間(FEアームにも参加しているA4群の対象については2つの処置期間)にわたってクリニックに滞在した。対象は、-1日目の午後に臨床研究センターに入院した。1日目は、(初回)薬物投与日であった。
【0214】
SADパートの対象は、3日目(研究薬物投与の48時間後)、査定の完了後に退院した。FEアームにも参加しているA4群の対象については、退院は、各期間の3日目であった。MADパートの対象は、16日目(14日目の最終研究薬物投与の48時間後)、査定の完了後に退院した。
【0215】
追跡調査
SADパートについては、追跡調査査定を、最終PK血液試料の7~14日後に(10日目~17日目の間に)実施した。FEアームについては、追跡調査査定を、第2の期間における最終PK血液試料の7~14日後に(10日目~17日目の間に)実施した。MADパートについては、追跡調査査定を、最終PK血液試料の7~14日後に(23日目~30日目の間に)実施した。
【0216】
研究設計の考察
研究パート内での用量漸増
漸増用量研究設計を、先行群の入手可能な安全性、耐容性、およびPKの結果の査定後にIMB-1018972用量を注意深く増大させることができるように、SADおよびMADパートに合わせて選択した。
【0217】
治験責任医師とスポンサーとの間で用量漸増ミーティングが開かれた。さらに、用量漸増報告書(DER)が、各用量レベルの完了後に治験責任医師によってIECに提供された。停止基準のいずれにも達しておらず、先行群の入手可能な安全性、耐容性、およびPKの結果が治験責任医師およびスポンサーに許容され、IECからのDERの異議記述書がなかった場合に初めて、次の高用量への漸増に進んだ。安全性、耐容性、およびPKの結果は、SADパートについては投与後48時間までおよびMADパートについては14日目の最終的な朝の用量後48時間まで入手可能でなければならなかった。加えて、これらの結果は、SADパートの先行群の少なくとも5人の投与対象およびMADパートの先行群の少なくとも8人の投与対象から入手可能でなければならなかった。
【0218】
投与されることになる計画用量レベルは、以前の群の安全性、耐容性、および血漿中PKの結果に基づいて変更することができた。
【0219】
MADパートの用量レベルは、SADパートにおいて良好な耐容性が示された用量レベルを超えることはできなかった。
【0220】
1つの用量レベルから次の用量レベルへの増大は、3倍を超えることはできなかった。
【0221】
これは増加用量研究であったが、安全性または耐容性の問題が経験された場合、次の群では、より低い用量を投与することができた。また、2つの群で同じ用量を試験することができ、または安全性、耐容性、および/またはPKに関するさらなる情報を入手するために中間用量を試験することができた。
【0222】
用量漸増についての停止規則
ある群内での投与および次の群への用量漸増は、以下の環境のうちの1つが生じた場合にはいつでも休止された。
・1人の対象における薬物関連の重篤な有害反応(すなわち、重篤な有害事象[SAE]が、少なくとも研究薬物投与に関係している可能性があると考えられる)。
・同じ群の2人の対象における、またはある群のセンチネル群の1人の対象における薬物関連の重度有害反応(すなわち、重度有害事象[AE]が、少なくとも研究薬物投与に関係している可能性があると考えられる)。
・治験責任医師および/またはスポンサーの医療モニターの裁量で、さらなる投与が停止されなければならないことを示した他の所見。
【0223】
ある群について停止規則が満たされた場合、停止規則を満たしている対象の無作為化コードは、非盲検にされることになった。非盲検後に、活性医薬を受けている対象が停止規則を満たしたと考えられる場合、その群の投与は停止されることになり、さらなる用量漸増は実施されないことになった。入手可能なデータのその後の統合解析により、さらなる注意深い漸増が保証されるという結論に至った場合、研究の継続前に実質的な修正が必要であった。研究パート(SAD、MAD)における用量漸増は、以下の場合、永久的に停止された。
・盲検PKデータにより、用量漸増後に個々の対象が、IMB-1028814について男性および女性でそれぞれ417,733および652,849ng.時/mLのAUC0-8x2の予め定義された最大曝露レベルを超え得ると見込まれることが示された場合。
【0224】
センチネル投与
IMB-1018972は、臨床開発の初期ステージで用いられ、研究のSADパートは、ヒトに化合物が投与される初めてのパートになった。このFIH研究では、SADパートの最低用量レベルで参加している対象、すなわちA1群の対象には、最適な安全性を確保するために、センチネル投与設計に従って投与した。このことは、まず2人の対象に投与したことを意味する。これらの対象のうちの一方は、活性医薬であるIMB-1018972を受け、他方の対象はプラセボを受けた。対象は、薬物投与後、最初の24時間にわたって治験責任医師によって厳密に観察された。研究薬物の全般的耐容性は、この時間の間にモニタリングされ、心電図(ECG)およびバイタルサイン記録が審査された。報告されたいかなるAEもまた、治験責任医師の評価において考慮された。初期の2人の対象については、投与後最初の24時間の安全性および耐容性の結果が治験責任医師に許容された場合、最低用量レベルのその他の対象にもプラセボ対照無作為化方式で投与することができた(活性薬物5人およびプラセボ1人)。新たに得られた安全性データに応じて、他のSAD群についても同様にこのセンチネル投与設計を実施することを決めることができた(FEアームのA4群の第2の期間およびA5群を除く;これらの2つの群のすべての対象には、同日に投与することができた)。
【0225】
食品効果
SADパートのA4群からの対象を、統合FEアームに割り当てた。SADパートの絶食中の対象に薬物を投与した後、FEアームでは同じ対象および実験手順を使用した。例外は、IMB-1018972のPKに対して可能性がある食品効果を評価するために、対象が投与前にFDAにより定義された高脂肪朝食を消費したことであった。これにより、絶食および摂食状態における投与後の、IMB-1018972の血漿中PKおよび耐容性の対象内比較が可能になった。
【0226】
研究のMADパートへの継続
MADパートは、FEアームからの結果が入手可能になった後に開始することができた。MADパートの第1の群は、以前のSAD群の安全性および入手可能なPKデータをまとめているDERにより、第1のMAD群における予想された定常状態曝露における/それを上回る曝露での単一用量に良好な耐容性が示されたと結論付けられた場合に開始することができた。
【0227】
MADパートでは、対象は1日2回の投与を受け、これは、ヒト半減期が短いと見込まれることおよび長期作用持続期間が存在しないことを考慮して見込まれた臨床投与レジメンであった。用量はq12hで与えられた。MADパートでは、投与は14日間継続され、これは曝露の定常状態をもたらすと見込まれた。
【0228】
計画された最高複数用量群は、SADパートの計画された最高単一用量1600mg/日または最高耐性用量を超えることはできなかった。これは、患者における将来の用量設定研究における用量を十分に網羅すると予測された。
【0229】
その他
計画された拘束期間、退院日、および追跡調査期間は、新たに得られた研究結果に応じて適応させることができた。また、安全性およびPK査定のタイミング、種類、および回数は、研究中に変更することができた。
【0230】
各群にプラセボで処置した対象を含む目的は(プラセボを投与しなかったA5群を除く)、観察されたあらゆる異常が、研究薬物に起因するまたは研究手順に起因するか否かの医学的査定を支援することであり、活性物質対象とプラセボ対象の正式な統計比較のためではなかった。
【0231】
経口避妊薬との相互作用については、in vitro研究(シトクロムP450[CYP]3A4/GT1A1/CYP2C19/CYP2C9)からの徴候はなかった。女性標的患者集団に関連するこのFIH研究の転帰を得るために、本発明の研究には、適正な避妊薬を使用している妊娠可能な女性が含まれていた。
【0232】
患者とは対照的な健康な対象の使用により、病状および/または併用医薬の変化から結果として生じる交絡因子が存在しなかったので、研究結果のより明確な解釈が可能になった。
【0233】
試験されることになる用量の数、およびこれらのセッションに関連するすべての査定は、参加している対象の単一群において反復して実施するには広範過ぎるとみなされたので、研究は、様々な群の対象において実施された。
【0234】
治験責任医師は、新しい薬物の開発における初期ステージで、研究に必要なあらゆる通常の予防措置を取った。
【0235】
研究集団の選択
全体的な研究集団は、88人の対象からなっていた。
【0236】
SADパート(および統合FEパート)には、合計40人の健康な男性または女性対象が含まれていた。SADパートのA4群からの8人の対象が、FEアームに参加した。A4群以降、1群当たり男性および女性対象について50:50の比を有するようにあらゆる努力が行われたが、1群当たり最少で少なくとも3人の各性別の対象に投与された。
【0237】
MADパートには、合計24人の健康な男性または女性対象が含まれていた。群ごとに、男性および女性対象について50:50の比を有するようにあらゆる努力が行われたが、1群当たり最少で少なくとも4人の各性別の対象に投与された。
【0238】
各パートにおいて、男性および女性対象について50:50の比を有するようにあらゆる努力が行われたが、最少で少なくとも4人の各性別の対象に投与された。
【0239】
組み入れ基準
対象は、以下の組み入れ基準のすべてを満たす場合、研究への組み入れに適格とされた。
【0240】
1.性別:男性または女性。
【0241】
2.年齢:スクリーニング時に両端を含み18歳~65歳。
【0242】
3.肥満度指数(BMI):両端を含み18.0kg/m2~32.0kg/m2。
【0243】
4.状況:健康な対象。
【0244】
5.スクリーニング時に、女性は、妊娠可能であり得(しかし、妊娠中または授乳中ではない)、または出産不可能であり得る(外科的に不妊処置しているか、または生理的に妊娠することができないか、または閉経後少なくとも1年[12カ月間連続の無月経持続期間]が経過しているかのいずれか);非妊娠は、すべての女性について、スクリーニングおよび各入院時に実施される血清妊娠検査によって確認された。
【0245】
6.生殖能のある男性の性交渉パートナーがいる妊娠可能な女性対象は、スクリーニングから追跡調査のための訪問後90日間まで、適正な避妊法を使用することに同意しなければならない。適正な避妊法とは、ホルモン避妊薬または子宮内デバイスを、以下の避妊形態:ペッサリー、子宮頸管キャップ、またはコンドームのうちの少なくとも1つと組み合わせて使用するものとして定義された。対象のライフスタイルによる全禁欲も許容された。
【0246】
7.男性対象は、外科的に不妊処置されていない場合、臨床研究センターへの(初回)入院から追跡調査のための訪問後90日間まで、適正な避妊法を使用し、精子を提供しないことに同意しなければならない。男性対象(およびその女性パートナー)の適正な避妊法とは、ホルモン避妊薬または子宮内デバイスを、以下の避妊形態:ペッサリー、子宮頸管キャップ、またはコンドームのうちの少なくとも1つと組み合わせて使用するものとして定義された。対象のライフスタイルによる全禁欲も許容された。
【0247】
8.処方されたすべての医薬は、臨床研究センターへの(初回)入院の少なくとも30日前に停止されなければならない。ホルモン避妊薬については例外が認められ、研究全体を通して使用することができた。
【0248】
9.すべての市販医薬、ビタミン調製物および他の栄養補助食品、または植物薬(例えば、セイヨウオトギリソウ)は、臨床研究センターへの(初回)入院の少なくとも14日前に停止されなければならない。パラセタモールについては例外が認められ、臨床研究センターへの入院まで許可された。
【0249】
10.臨床研究センターへの(各)入院の48時間前から、アルコール、メチルキサンチン含有飲料または食品(コーヒー、茶、コーラ、チョコレート、エネルギードリンク)、グレープフルーツ(ジュース)、およびタバコ製品を控える意思があること。
【0250】
11.治験責任医師によって判断される通り、病歴、身体検査、臨床検査、およびバイタルサインに基づいて、身体的および精神的に良好な健康であること。
【0251】
12.男性および女性について、スクリーニング時に臨床的に有意な異常な12誘導ECG(不完全な右脚ブロックは許容され得る):PR間隔<210ミリ秒、QRS持続期間<120ミリ秒、およびQTc間隔(Fridericia)≦450ミリ秒を有していないこと。
【0252】
13.ICFに署名する意思があり、署名できること。
【0253】
除外基準
対象は、以下の除外基準のいずれかが適用される場合、参加から除外された。
【0254】
1.現行の研究への過去の参加。
【0255】
2.PRAの従業員またはスポンサー。
【0256】
3.関連薬物の病歴および/または食物アレルギー。
【0257】
4.(初回)薬物投与前の3カ月以内のタバコ製品の使用。
【0258】
5.アルコール乱用または薬物依存症の病歴(カンナビス生成物などのソフトドラッグを含む)。
【0259】
6.スクリーニングおよび臨床研究センターへの(各)入院時の、薬物およびアルコールスクリーニング(オピエート、メタドン、コカイン、アンフェタミン[エクスタシーを含む]、カンナビノイド、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、三環系抗うつ薬、およびアルコール)の陽性。
【0260】
7.週に24単位超のアルコール平均摂取量(アルコール1単位は、ビールおよそ250mL、ワイン100mL、またはスピリッツ35mLに等しい)。
【0261】
8.B型肝炎表面抗原(HBsAg)、抗C型肝炎ウイルス(HCV)抗体、または抗HIV1および2抗体のスクリーニングの陽性。
【0262】
9.現行の研究の(初回)薬物投与前の60日以内の、薬物研究への参加。現行の研究の(初回)薬物投与前の12カ月以内の、4つを超える他の薬物研究への参加。
【0263】
10.(初回)薬物投与前の60日以内の100mL超の献血または失血。現行の研究の(初回)薬物投与前の10カ月以内の、1.5リットル超(男性対象について)/1.0リットル超(女性対象について)の献血または失血。
【0264】
11.治験責任医師の意見において安全性査定に影響を及ぼし得る、(初回)薬物投与前の5日間以内の重大なおよび/または急性の疾病。
【0265】
12.静脈が注入または血液サンプリングに好適でない。
【0266】
13.FEのA4群および単一用量のMRパートだけについて:FDA朝食を消費する意思がないこと。
【0267】
対象は、薬物スクリーニング結果の偽陽性を回避するために、臨床研究センターへのスクリーニング前の48時間(2日間)以内に、ケシの実を含有するいずれの食物も消費を控えるべきであることに留意されたい。加えて、激しい運動は異常な臨床検査値をもたらし得るので、対象は、スクリーニング前の96時間(4日間)以内は激しい運動を控えるべきである。
【0268】
査定からの対象の除去
研究への参加は、厳密に自発的であった。対象は、いかなる理由でいつでも研究から離脱する権利を有していた。
【0269】
治験責任医師は、以下の理由のいずれかで、対象の参加を終了させる権利を有していた:血液試料を得ることが困難、プロトコール違反、重度のAEもしくはSAE、または対象の安全性もしくは研究データの完全性に関する何らかの他の理由。
【0270】
対象が研究から離脱した場合、スポンサーにすぐに知らせるべきである。離脱の医学的理由があった場合、対象は、満足な健康を取り戻すまで、治験責任医師の監視の下に留まった。
【0271】
すべてのスクリーニング評価を首尾よく完了することなく何らかの理由で脱落したまたは離脱した対象は、スクリーニング不合格と考えられた。
【0272】
対象番号を受け取った後に、研究薬物に関係するか否かに関わらず何らかの理由で研究から離脱したまたは自発的に離脱した対象は、初期停止対象と考えられた。対象が、治験責任医師の判断に従って研究薬物に関係する理由で離脱した場合、初期停止対象は交代されなかった。対象が、研究薬物に無関係な理由で研究を完了しなかった場合、初期停止対象は、スポンサーとPRAの間の双方合意後に交代することができた。
【0273】
対象の置換えに関する決定は、文書化された。
【0274】
PRAは、研究薬物を受けていた初期停止対象が安全性追跡調査査定を完了するように、あらゆる努力を行った。
【0275】
個々の対象についての停止規則
対象への投与は、以下の環境のいずれかが生じた場合には、研究中、いつでも停止された。
・重篤な有害反応(すなわち、SAEが、少なくとも研究薬物投与に関係している可能性があると考えられる)。
・個々の事象に関しては小さいように見えたが、スポンサーまたは治験責任医師の意見において集合的に安全性の懸念があるとされた、あらゆる安全性パラメーターの臨床的に有意な変化の全体的パターン(例えば、中等度のまたは重度のAEが>1人の対象で生じた)。
・治験責任医師および/またはスポンサーの医療モニターの裁量で、さらなる投与が停止されるべきであることを示した他の所見。
【0276】
処置
SADパート(および統合FEアーム)
以下の処置を、絶食状態下で無作為化コードに従って投与した。
A1群:1日目に50mgの単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=6)またはマッチングプラセボ(n=2)
A2群:1日目に150mgの単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=6)またはマッチングプラセボ(n=2)
A3群:1日目に400mgの単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=6)またはマッチングプラセボ(n=2)
A4群:1日目に150mgの単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=6)またはマッチングプラセボ(n=2)(FE群)
A5群:1日目に35mgの単一経口用量のトリメタジジンのMR製剤(Vastarel;n=8)
【0277】
以下の処置を、FEアームにおいて摂食状態(FDAにより定義された高脂肪朝食)下で無作為化コードに従って投与した。
A4群:1日目に150mgの単一経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=5)またはマッチングプラセボ(n=2)(SADパートと同じ用量)
より低い用量、中間用量もしくは反復用量レベルを評価するために、または用量漸増停止基準が満たされていないという条件でより高い用量レベルを評価するために、2つまでの追加のSAD群を含むことができた。
【0278】
MADパート
以下の処置を、FEアームのA4群の結果に基づいて決定される通り、摂食状態下で無作為化コードに従って投与した。用量は、SADパートからの安全性、耐容性、およびPKデータに基づいて選択した。
B1群:150mgの複数経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=9)またはマッチングプラセボ(n=3)を、1日2回(q12h)で14日間;14日目は朝の単一用量だけを投与した。
B2群:50mgの複数経口用量のIMB-1018972のIR製剤(n=9)またはマッチングプラセボ(n=3)を、q12hで14日間;14日目は朝の単一用量だけを投与した。
より低い用量、中間用量もしくは反復用量レベルを評価するために、または用量漸増停止基準が満たされていないという条件でより高い用量レベルを評価するために、2つまでの追加のMAD群を含むことができた。
【0279】
治験薬の同一性
活性医薬
薬物製品:IMB-1018972
活性:脂肪酸酸化阻害剤
次の発症において:虚血性心血管疾患
強度:25mg、100mg、および200mgのIR製剤(遊離塩基に基づく)
剤形:SADおよびMADパートで使用されることになる経口IRカプセル剤
製造者:PRAの薬局
バッチ番号:2479-1810-00441(薬物物質)
IMB-1018972プラセボ(活性医薬と視覚的にマッチしている)
活性物質:適用なし
活性:適用なし
強度:適用なし
剤形:経口カプセル剤
製造者:PRAの薬局
バッチ番号:適用なし
活性医薬
薬物製品:Vastarel MR(トリメタジジン二塩酸塩)
活性:脂肪酸酸化阻害剤
次の発症において:狭心症
強度:35mg
剤形:経口MR錠剤
製造者:Servier Research&Pharmaceuticals(Pakistan)(Pvt.)Ltd.
バッチ番号:273782(薬物製品)
【0280】
研究薬物は、施錠された施設内のPRAの薬局で、必要とされる保管条件下で継続的にモニタリングしながら保管された。研究薬物は、薬剤師によって治験責任医師または公認の被指名人に分配された。
【0281】
SADパート(および統合FEアーム)およびMADパートにおいて1つの用量レベルにつき与えられたIMB-1018972カプセル剤の総数は、表2に与えられている。特定の群のプラセボ対象に投与されたプラセボカプセル剤の数は、その群のIMB-1018972人の対象に与えられたIMB-1018972カプセル剤の数と同じであった。
表2: SADパート(および統合FEアーム)およびMADパートにおいて1つの用量レベルにつき与えられたIMB-1018972カプセル剤の数
【表2】
対象を処置群に割り当てる方法
【0282】
インフォームドコンセントを得た後、対象を組み入れおよび除外基準に従ってスクリーニングした。すべての適格性基準を満たした対象は、研究への組み入れ時に対象番号を受け取った。対象は、PRAのBiostatistics Departmentによって作成された無作為コードに従って、投与直前に対象番号を受け取った。対象番号により、研究全体を通して特定が確実になった。
【0283】
対象番号は、SADパートについては101~140番であり、MADパートについては201~224番であった。SADパートに含まれることになる任意の追加の対象は、対象番号141番から開始して付番され、MADパートの任意の追加の対象は、対象番号225番から開始して付番されることになった。
【0284】
いずれの交代用の対象も、交代されることになる対象の番号に200番増やした番号を受け取り、同じ処置が投与されることになった。対象は、対象の利用可能性に基づいて、研究パートおよび群に割り当てられた。ある群内における処置は、PRAのBiostatistics Departmentによって作成された無作為コードに従って割り当てられた。
【0285】
A5群を除く各SAD群には、6人の対象がIMB-1018972を受けるように無作為に割り当てられ、2人の対象がプラセボを受けるように無作為に割り当てられた。A5群では、8人のすべての対象がトリメタジジンを受けた。各MAD群には、9人の対象がIMB-1018972を受けるように無作為に割り当てられ、3人の対象がプラセボを受けるように無作為に割り当てられた。
【0286】
SADパートのA1群の2人のセンチネル対象については、無作為化により、1人の対象がIMB-1018972を受け、他方の対象がプラセボを受けることを確実にした。A1群の残りの6人の対象については、無作為化により、5人がIMB-1018972を受け、1人がプラセボを受けることを確実にした。新たに得られた安全性データに応じて、他のSAD群についても同様にこのセンチネル投与設計を実施することを決めることができた(FEアームのA4群の第2の期間およびA5群を除く;これらの2つの群のすべての対象には、同日に投与することができた)。
【0287】
すべてのスクリーニング評価を首尾よく完了することなく、何らかの理由で脱落または離脱した対象は、スクリーニング不合格と考えられた。そのような対象、および研究への組み入れに適格とされたが研究薬物を受けなかった対象も、対象番号を受け取らず、適用できるデータだけがeCRFに入力された。
研究における用量の選択
【0288】
非臨床的毒物学データに基づいて、この臨床研究における対象は、有害効果の不合理なリスクにはないと考えられた。28日間のイヌ無有害効果量(NOAEL)が200mg/kg/日(経口)であることに基づいて計算されたヒト等価用量(HED)は、108mg/kg/日である。60kgの個体の場合、NOAEL用量は、6480mgになると思われる。10倍の安全係数を適用した場合、これにより、最大推奨開始用量(MRSD)を648mg/日にすることができると思われる。7、8。現行の第1相研究における計画開始用量は、60kgの対象については0.83mg/kg/日に等価な50mgであった。この開始用量は、イヌNOAELから決定されたMRSDの10%未満およびイヌNOAELの1%未満である。
【0289】
健康なボランティアでは、この研究における最大計画用量1600mgは、HED NOAEL用量6480mgの25%であり、MRSDよりも2.5倍高いだけであった。保存的投与マージンは、例えば、腎臓もしくは肝臓機能障害を有する患者、またはIMB-1018972との薬物相互作用の潜在的可能性がある場合、潜在的な治療量以上の曝露を包含すると予想された。これらの曝露レベルにおける健康なボランティアについてのこのリスクは、センチネル安全バイオマーカーを使用することなく、不可逆的なまたは著しい毒性がないことに基づいて許容されると決定された。
【0290】
関連する動物研究は、28日間のイヌ研究であり、IMB-1018972についてのNOAELは200mg/kg/日であった。この用量での26日目のIMB-1028814のAUC0-8x2は、男性および女性についてそれぞれ417,733および652,849ng.時/mLであった。この用量での26日目のトリメタジジンのAUC0-8x2は、男性および女性についてそれぞれ15,042および13,834ng.時/mLであった。
【0291】
コホートは、トリメタジジンの35mgの単一用量のMR(Vastarel)を試験しているスポンサーによって追加された。この用量は、狭心症の処置において最も一般に使用されるトリメタジジン用量であり、したがって、有効なPKプロファイルを有することが公知であったので選択された。
【0292】
研究における用量のタイミング
研究薬物は、直立位の対象に240mLの水道水と共に投与された。必要な場合には、カプセル剤/錠剤を快適に消費できるように、追加体積の水が許可された。この追加体積をeCRFに文書化した。用量は、午後/夜の用量について、08:00時~11:00時の間および20:00時~23:00時の間に与えられた。個々の対象ごとの投与は、各投与日、ほぼ同じ時間(±15分間)であった。研究薬物は咀嚼されなかった。
【0293】
研究薬物の投与は、治験責任医師または公認の被指名人によって監督された。薬物投与後、口および手の検査が行われた。
【0294】
絶食状態下での投与
SADパートおよび統合FEアーム
投与前、対象は、前夜の軽い夕食後、少なくとも10時間にわたって一晩絶食した。投与後、対象は、昼食までの4時間絶食した。絶食の間、水以外の液体は許可されなかった。しかし、水は、投与の2時間前から投与の1時間後まで許可されなかった(用量と共に摂取される水は別として)。
【0295】
FEアームにも参加しているA4群の対象は、査定を実施することが必要な場合を除いて、投与後4時間にわたって横になることは許可されなかった。
【0296】
摂食状態下での投与
FEアーム
投与前、対象は、前夜の軽食後、少なくとも10時間にわたって一晩絶食した。次に、対象は、20分以内に消費されなければならないFDAにより定義された高脂肪朝食を取った。朝食はすべて対象によって消費されなければならなかった。朝食を開始して30分後に投与を行った。投与後、対象は、昼食まで4時間にわたって絶食した。絶食中、水以外の液体は許可されなかった。
【0297】
FEアームにも参加しているA4群の対象は、査定を実施することが必要な場合を除いて、投与後4時間にわたって横になることは許可されなかった。
【0298】
MADアーム
朝の用量
各朝の用量の前、対象は、前夜の軽食後、少なくとも10時間にわたって一晩絶食した。1日目および14日目に、対象は、20分以内に消費されなければならない標準化された朝食を取った。朝食を開始して30分後に投与を行った。投与後、対象は、昼食まで4時間にわたって絶食した。絶食中、水以外の液体は許可されなかった。2~13日目は、朝食は標準化されず、投与前の最大1時間以内に与えられ、投与前に消費された。これらの日には、投与後の絶食は適用できなかった。
【0299】
夜の用量
すべての投与日に、夜の軽食が投与の最大1時間以内に与えられ、投与前に消費された。
【0300】
研究中の食事
すべての時点で、臨床検査試料を得る前に少なくとも4時間の絶食期間が必要であった。
【0301】
絶食しない場合、PRA標準操作手順(SOP)に従って、食事および軽食(例えば、カフェイン抜きのコーヒー、ハーブティー、フルーツおよびビスケット)が提供された。昼食時間まで絶食が必要とされる日の前夜に軽い夕食が提供された(絶食状態)。FDAにより定義された高脂肪朝食または朝食まで絶食が必要とされる日の前の前夜に、軽食が提供された(摂食状態)。
【0302】
FEアームのA4群の第2の期間について、918kcalのFDAにより定義された高脂肪朝食は、以下からなっていた。
・目玉焼き2個(15gのバター/マーガリン中)(およそ100g)
・ベーコン1人前(40g)(または、ベジタリアンについてはブリチーズ60+)
・フライドポテト1人前(115g)
・15gのマーガリン付きの2枚の(トーストした)(小麦)パン(およそ70g)
・コップ1杯の全乳(240mL)
【0303】
合計918kcal(ベジタリアンバージョンは915kcal)は、以下の通り分類することができた。
・39gタンパク質=156kcal
・59g脂肪=527kcal
・59g炭水化物=235kcal
【0304】
盲検化
A5群を除くSADパートの各群では、無作為化コードに従って、6人の対象がIMB-1018972を受け、2人の対象がプラセボを受けた。A5群では、8人のすべての対象がトリメタジジンを受けた。MADパートの各群では、無作為化コードに従って、9人の対象がIMB-1018972を受け、3人の対象がプラセボを受けた。以下の規制を用いて、研究の二重盲検状況を維持した。
・活性薬物またはプラセボを含有する経口カプセル剤を、外観および味で区別できないようにした。
・無作為化コードを、分配目的でPRAの薬剤師に提供し、薬剤師および薬局アシスタントだけが出入り可能な薬局内で保管した。
【0305】
個々の暗号解読用の封筒が、PRAによってすべての対象に提供された。無作為化コードを入れて封止した各封筒を、施錠して出入りを制限した医薬保管室内で保管した。医学的緊急事態の場合の対象の状態を管理するために、治験責任医師は、どの対象がIMB-1018972またはプラセボを受けたかを知るためのコードを解くことが許可された。開かれた場合、それを開いた人の名前、開いた日時、および開いた理由が、封筒に記載されることになった。非盲検の場合には、スポンサーは知らされることになった。
【0306】
活性薬物IMB-1018972を受けていた対象の試料だけが解析されることになっていたので、PK試料を解析するPRAの生物解析研究室には、薬局によって無作為コードのコピーが提供された。
【0307】
過去の治療および併用治療、ならびに研究中の他の制限
すべての処方医薬の使用は、臨床研究センターへの(初回)入院から追跡調査まで許可されなかった。ホルモン避妊薬については例外が認められ、研究全体を通して許可された。あらゆる市販医薬、ビタミン調製物および他の栄養補助食品、または植物薬(例えば、セイヨウオトギリソウ)の使用が、臨床研究センターへの(初回)入院から追跡調査まで許可されなかった。パラセタモールについては例外が認められ、(初回)入院以降、治験責任医師は、頭痛またはいずれかの他の疼痛の処置のために、限られた量のパラセタモールを許可することができた。治験責任医師によって必要であるとみなされた場合だけ、AEを処置するための他の医薬を処方することができた。医薬が使用された場合、薬物の名称、用量および投薬量レジメンを、eCRFに記録した。
【0308】
臨床研究センターに滞在中、アルコール、メチルキサンチン含有飲料または食物(コーヒー、茶、コーラ、チョコレート、エネルギードリンク)、グレープフルーツ(ジュース)、およびタバコ製品の使用は許可されなかった。
【0309】
激しい運動は、(各)入院前の96時間(4日間)以内、および臨床研究センターでの滞在中には許可されなかった。
【0310】
ケシの実を含有するいかなる食物も、偽陽性の薬物スクリーニング結果を引き起こすことがあったので、対象は、臨床研究センターへの(各)入院前の48時間(2日間)以内にこれを消費することは許可されなかった。
【0311】
生殖能のある男性の性交渉パートナーがいる妊娠可能な女性対象は、スクリーニングから追跡調査のための訪問後90日間まで、適正な避妊法(以下の説明を参照されたい)を使用することが必要であった。
【0312】
男性対象は、外科的に不妊処置されていない場合、臨床研究センターへの(初回)入院から追跡調査のための訪問後90日間まで、適正な避妊法(以下の説明を参照されたい)を使用し、精子を提供しないように求められた。
【0313】
適正な避妊法とは、ホルモン避妊薬または子宮内デバイスを、以下の避妊形態:ペッサリー、子宮頸管キャップ、またはコンドームのうちの少なくとも1つと組み合わせて使用するものとして定義された。対象のライフスタイルによる全禁欲も許容された。
【0314】
対象は、研究中、追跡調査のための訪問まで献血することは許可されなかった(この研究のために計画された血液サンプリング以外)。
【0315】
処置服薬遵守
研究薬物は、臨床研究センターで投与された。処置服薬遵守を確実にするために、研究薬物の投与は、治験責任医師または公認の被指名人によって監督された。服薬遵守は、血漿および尿試料中のIMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンの生物解析査定によってさらに確認された。
【0316】
研究薬物投与の正確な時間および投与した単位数は、eCRFに記録された。CSPにおいて特定された薬物管理手順に従った。
【0317】
安全性および薬物動態の測定および変数
本発明の研究は、IMB-1018972の単一および複数経口用量、トリメタジジンの単一経口用量後の安全性、耐容性およびPKを査定するために実施された。この研究は、有効性または薬力学的査定を含んでいなかった。
【0318】
有害事象
AEは、(初回)入院から追跡調査のための訪問の完了まで記録された。臨床検査、12誘導ECG、バイタルサイン、または身体検査の結果における臨床的に有意ないずれの観察も、AEとして記録された。
【0319】
処置により発生したAE(TEAE)は、研究薬物の(初回)投与前には現れなかったあらゆる事象、または研究薬物への曝露後に、重症度または頻度のいずれかが悪化した、既に現れているあらゆる事象として定義された。
【0320】
研究薬物の(初回)投与前に生じたAEは、処置前のAEと考えられた。
【0321】
薬物投与前およびその後のいくつかの時点において、対象に非誘導質問を行って、AEの発生を決定した。対象は、研究中、一定間隔で何らかのAEに関する一般用語で質問を受けた。加えて、研究過程中に自発的に報告されたすべてのAEが記録された。その詳細には、事象の説明、開始日時、終了日時、全持続期間、重症度、研究薬物との関係、介入、重篤度、および転帰が含まれていた。すべての回答が治験責任医師によって解釈され、eCRFに記録された。すべてのAEが、AEに関する医薬品規制用語集(MedDRA;バージョン22.0)に従って分類された。
【0322】
AEの重症度は、軽度、中等度または重度と等級付けられた。AEと研究薬物との間の関係は、なし、可能性が低い、可能性がある、可能性が高い、または確実と示された。可能性がある、可能性が高い、または確実として査定された有害事象は、研究薬物に関係すると考えられた。なし、または可能性が低いとして査定されたAEは、研究薬物に関係しないと考えられた。
【0323】
いかなるAEの場合でも、必要とされた併用医薬または他の治療が記録された。併用医薬は、世界保健機関医薬品辞書(バージョン22.0)に従って分類された。
【0324】
すべてのAEが、その回復または安定化まで追跡調査された。
【0325】
臨床検査
臨床検査査定のための血液および尿試料は、PRA SOPに従って収集された。
【0326】
以下のパラメーターを測定した。
・臨床化学(血清定量):総ビリルビン、アルカリホスファターゼ、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、乳酸デヒドロゲナーゼ、クレアチニン、ウレア、総タンパク質、グルコース、無機リン酸塩、ナトリウム、カリウム、カルシウム、および塩化物
・血液学(血液定量):白血球、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板、部分自動識別(リンパ球、単球、好酸球、好塩基球および好中球)、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン、および平均赤血球ヘモグロビン濃度
・凝固(血液定量):プロトロンビン時間(秒単位で国際標準化比として報告)、活性化部分トロンボプラスチン時間、およびフィブリノゲン
・尿検査(尿、質的に):ヘモグロビン、ウロビリノーゲン、ケトン、グルコース、およびタンパク質
・血清学:HBsAg、抗HCV、ならびに抗HIV1および2
・薬物およびアルコールのスクリーニング:オピエート、メタドン、コカイン、アンフェタミン(エクスタシーを含む)、カンナビノイド、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、三環系抗うつ剤、およびアルコール
・妊娠検査(女性だけ):血清中のβ-ヒト絨毛性ゴナドトロピン
【0327】
尿検査のための尿は、収集間隔の終了時にPK採尿容器から採取した。
【0328】
臨床検査値が解明できないまたは予想外である場合、可能な限り速やかにこの検査を繰り返し、結果が正常範囲に戻るまで、および/または異常についての適正な説明が見出されるまで追跡調査を行った。臨床検査では、正常範囲外のすべての臨床検査値が明確に記され、治験責任医師は、これらの逸脱のいずれが臨床的に有意であるかを示した。臨床的に有意な臨床検査結果の逸脱は、AEとして記録され、処置との関係が示された。
【0329】
バイタルサイン
対象が、仰臥位で少なくとも5分間安静にした後、収縮期および拡張期血圧、ならびに脈拍を記録した。これらの査定は、自動化デバイスを使用して行った。その後、体温および呼吸数を測定した。
【0330】
心電図
対象が、仰臥位で少なくとも5分間安静にした後、標準12誘導ECGを記録した。ECGは、コンピュータを装備したECG機器をベースとする間隔測定を使用して記録した(手順による乱れがないように/最小限に抑えて)。以下のECGパラメーターを記録した:心拍数、PR間隔、QRS持続期間、QT間隔、QTcF間隔、および治験責任医師によるECGプロファイルの解釈。
【0331】
継続的心臓モニタリング(遠隔測定)
SADパート(FEのA4群の第2の期間およびA5群では行われない)では、12誘導ECGを1日目の薬物投与の2時間前から投与の24時間後まで、遠隔測定によって継続的に記録した。
【0332】
MADパートでは、12誘導ECGを、1日目の薬物投与の2時間前から投与の12時間後まで、および14日目の薬物投与の2時間前から投与の24時間後まで、遠隔測定によって継続的に記録した。
【0333】
すべての関連する、または有意な不整脈事象をリズムストリップ(10秒)で記録した。ECGは、臨床的に有意な事象について治験責任医師によって評価された。
【0334】
遠隔測定を用いる日の間、食事が標準化され、対象は、PKサンプリング直前に計画されたECG査定ごとに、10分間、続いて5分間まで、静かに仰臥位を保った(手順による乱れがないように/最小限に抑えて)。(合計)15分間の期間の開始時間および停止時間を記録した。継続的モニタリング(遠隔測定)によって収集したECGを、後に使用する可能性のために保管した。
【0335】
これらのECGは、IMB-1018972の将来的な開発の決定に基づいて、濃度効果モデル化の目的で解析されても解析されなくてもよい。解析された場合、モデル化の結果はこのCSRに含まれることはなかったが、別個の報告書には含まれることになった。
【0336】
身体検査
身体検査は、PRA SOPに従って実施した。加えて、体重および身長を、PRA SOPに従って測定した。
【0337】
薬物動態測定
血液サンプリング
血漿試料中のIMB-1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンを解析するために、査定のスケジュールに規定された時点に、1時点当たり3mLの血液試料を採取した。血液試料は、静脈内カテーテルの留置を介して、または直接静脈穿刺によって採取した。血液サンプリングの正確な時間をeCRFに記録した。
【0338】
遠隔測定を用いる日の間、対象は、PKサンプリング直前に計画されたECG査定ごとに、10分間、続いて5分間まで、静かに仰臥位を保った(手順による乱れがないように/最小限に抑えて)。(合計)15分間の期間の開始時間および停止時間を記録した。
【0339】
試料収集、試料の等量分割、試料の取扱い、試料の保管、および試料の輸送に関する詳細は、PRAによって用意された研究室マニュアルに見出すことができる。
【0340】
血漿試料はまた、IMB-1018972およびトリメタジジンの活性の評価、活性を予測する探索的バイオマーカーの特定、シトクロムP450のプロファイリング、またはIMB-1018972およびトリメタジジンの分子機構を特徴付ける助けになり得る他の探索的評価などの研究目的で、(将来)使用されてもよい。試料は、この目的で、最長15年間保管される。
【0341】
採尿
PKのための採尿は、SADパートだけで実施され、FEのA4群の第2の期間には実施されなかった。
【0342】
IMB-1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンを解析するために、査定のスケジュールに規定された間隔の間に、尿を収集した。対象は、研究薬物投与前および各収集間隔の終了時に、膀胱を完全に空にするよう指示された。ブランク尿試料を、研究薬物投与前の12時間以内に収集した。間隔全体(使用される場合、任意の尿安定剤の添加前および添加後)の採尿の正確な時間および尿重量をeCRFに記録した。
【0343】
試料収集、試料の等量分割、試料の取扱い、試料の保管、および試料の輸送に関する詳細は、PRAによって用意された研究室マニュアルに見出すことができる。
【0344】
尿試料は、未知の代謝産物が血漿中に発見されることに備えて、尿中の代謝産物をさらに解析するために最長1年間保存することができる。
遺伝子型判定
【0345】
PKデータに対する遺伝子型、例えばCYP対立遺伝子の効果をより良く理解するために、査定のスケジュールに規定された時点に、遺伝子型判定のために最大7mLの血液試料を収集した。この血液試料は、プロトコールバージョン3.0のIEC承認(2019年3月25日)前に既にスクリーニングされていた対象については必要に応じて得られ、一方、プロトコールバージョン3.0のIEC承認(2019年3月25日)後にスクリーニングされたこの研究に参加している対象については必須であった。
【0346】
血液試料は、二重コード化され(PRAに1コードおよびスポンサーに1コード)、試料は、研究を完了してから15年後まで保存された。
【0347】
血液試料は、静脈内カテーテルの留置を介して、または直接静脈穿刺によって採取した。血液サンプリングの正確な時間をeCRFに記録した。
【0348】
試料収集、試料の等量分割、試料の取扱い、試料の保管および試料の輸送に関する詳細は、PRAによって用意された実験室マニュアルに見出すことができる。
【0349】
安全性および薬物動態変数
測定される安全性変数は以下を含んでいた。
・AE
・臨床検査
・バイタルサイン
・12誘導ECG
・継続的心臓モニタリング(遠隔測定法)
・身体検査
薬物動態変数
薬物動態変数は、IMB-1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンの血漿中濃度および尿中濃度、ならびにそれらのPKパラメーターであった。非コンパートメント解析を使用して決定または計算されたPKパラメーターを、表3に示す。
表3: 血漿中IMB-1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンのパラメーター
【表3-1】
【表3-2】
【0350】
IMB-1028814およびトリメタジジン濃度の合計、ならびにPKパラメーターは、IMB-1028814については310kDa、およびトリメタジジンについては266kDaの分子量に補正して計算した。
【0351】
IMB-1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンの血漿のトラフレベルも決定された(MADパートだけ)。
【0352】
AUCは、濃度×時間の単位で表される、線形アップ/対数ダウン台形法則を使用して計算した。
表4: 尿中IMB-1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンのパラメーター
【表4】
【0353】
薬物濃度測定
検証済み液体クロマトグラフィー-質量分析/質量分析法を使用して、血漿および尿試料中のIMB1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンの解析をPRAの生物解析研究室で実施した。較正試料および品質管理試料からの結果により、実験期間全体を通して、本方法の性能が許容されることが実証された。本方法の性能および安定性に関するデータは、報告された試料結果が信頼できることを示している。
【0354】
安全性および薬物動態進展のための統計的および解析的計画
安全性対象集団
少なくとも1用量のIMB101897、トリメタジジン、またはプラセボを受けていたすべての対象。
【0355】
薬物動態対象集団
少なくとも1用量のIMB-1018972またはトリメタジジンを受けており、PKパラメーターの信頼できる推定値を計算するのに十分な生物解析査定結果をもたらしたすべての対象。
安全性および薬物動態評価についての統計的および解析的計画
【0356】
一覧および概要表および図の調製に関する詳細は、SAPに見出すことができ、PRAのBiostatistics Departmentによって作成された。SAPは、データベースロック(および研究処置コードの非盲検化)の前に仕上げられた。
【0357】
すべての安全性およびPKデータを収載した。加えて、すべてのデータを表形式および/またはグラフ形式でまとめ、適宜、記述統計を提示した。
安全性および耐容性の進展
【0358】
安全性および耐容性を、AE、臨床検査、バイタルサイン、ECG、継続的心臓モニタリング(遠隔測定)および身体検査の所見、ならびに安全性査定に関連する任意の他のパラメーターにより査定した。
【0359】
個々のすべての安全性の結果を収載し、適用できる場合には、ベースラインからの変化を含めた記述統計を計算した。
【0360】
薬物動態評価
記述統計(数、算術平均、SD、変動係数、最小値、最大値、中央値、および幾何平均)は、適用できる場合には、PK集団において、IMB-1028814、トリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジンの血漿および尿中PKパラメーターについて計算した。
【0361】
IMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンの用量比例性を、対数変換したCmax、AUC0-t、およびAUC0-infを関係付ける回帰(パワー)モデルを使用して、SADのA1~A4群(絶食)について探索した。R2が0.80未満であるか、またはAUCextra%>20%である対象は、AUC0-infに基づく用量比例性評価から除外されなかった。点推定値および95%CIをスロープのために生成した。スロープが1である(すなわち、95%CIが1を含有する)ということは、用量比例性からの逸脱の証拠が見出されなかったことを意味する。MADパートには2つの用量レベルしかなかったので、MADパートについては、用量比例性解析は実施されなかった。
【0362】
単一経口投与後のIMB-1018972の相対的経口生体利用能に対する食物効果を探索した。これは、SADパートのA4群において行われ、ここで対象は、最初に絶食状態下で、次に摂食状態下で同じ用量を受けた。評価は、Cmax、AUC0-tおよびAUC0-infについて対数変換したデータに基づく幾何平均の比に関する90%CIに基づいていた。
【0363】
標本サイズの決定
このFIH研究について、統計的検出力の前向き計算は行われなかった。標本サイズは、単一および複数用量のIMB-1018972、単一用量のトリメタジジン後の安全性、耐容性およびPKに関する情報を提供するように選択され、FIH研究に典型的なものである。SAPに従って計算されることになるいずれのp値も、この研究の探索的特徴の観点で解釈した。
【0364】
研究対象
スクリーニングを受けた220人の対象のうち、88人の対象が研究に含まれ、研究薬物を受けた。66人の対象が、ある用量のIMB-1018972を受け、8人がトリメタジジンを受け、14人がプラセボを受けた。
【0365】
88人の対象のうち85人が、研究を完了した。FEアームのA4群の対象129番が、摂食状態下で150mgの単一経口用量のIMB-1018972を受けた後、第2の期間の1日目に同意を撤回した。FEアームのA4群の対象131番が、第1の期間にインフルエンザ様疾病のSAE(中等度の重症度であり、関係する可能性が低かった)に起因して研究から離脱し、絶食状態下で150mgの単一経口用量のIMB-1018972だけを受け、第2の処置期間では供給された用量を受けなかった。
【0366】
図2は、対象の処遇の表である。
【0367】
プロトコール逸脱/違反
有意とみなされなかったいくつかのプロトコール逸脱は、上記で与えられた一覧に記載されている。これらは、この節ではこれ以上記載されない。
【0368】
2件の大きな逸脱が研究で記録された。
・GCPおよびPRA手順からの大きな逸脱が1件あった。3人のボランティアが、研究開始訪問が実施される1日前にスクリーニングを受けた。この逸脱は、関与したボランティアの安全性についていかなる影響も及ぼしていないと考えられた。
・PRAの薬局は、CSPのバージョン2.0および3.0に記載されている処置を用いるSADパートに関する、元々の一組の無作為化一覧だけを受け取っていた。薬局は、A4群およびA5の設計を変更したCSPのバージョン4.0および5.0に基づく最新の無作為化一覧は受け取っていなかった。同様に、PRAの生物解析研究室も、薬局から最新の無作為化一覧を受け取っていなかった。しかし、A4およびA5群のすべての対象が正確な用量を受けており、したがって、この逸脱は、関与したボランティアの安全性についていかなる影響も及ぼしていなかった。
【0369】
加えて、以下のプロトコール逸脱を文書化する、2019年10月22日付けのメモ・トゥ・ファイルが出された。
・MADパートのB1およびB2群のすべての対象について、夜の用量が時間内に投与されないことがあるリスクがあるので、1日目の朝の用量の12時間後のバイタルサインを、ECGおよびPK血液サンプリング後ではなくその前に記録した。
・MADパートのB1およびB2群のすべての対象について、朝の用量が時間内に投与されないことがあるリスクがあるので、14日目の朝のバイタルサインを、計画していたよりも25分間早くスケジュールした。
【0370】
遺伝子型判定
SADパートの1人の対象を除くすべての対象が、遺伝子型判定のための血液試料を提供した。PKデータの差異をより良く理解するために、血液試料を使用して、CYP2D6に関して特に関心が持たれる対象について遺伝子型判定した。遺伝子型とPKデータとの間の関係のいずれの解析結果も、このCSRから別々に提示される。
【0371】
処置服薬遵守の測定
研究薬物は、臨床研究センターで投与された。処置服薬遵守を確実にするために、研究薬物の投与は、治験責任医師または公認の被指名人によって監督された。研究薬物投与中、観察に基づく服薬非遵守の徴候はなかった。加えて、血漿および尿試料中のIMB-1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンの生物解析査定により、処置服薬遵守が確認された。
【0372】
臨床検査評価
経時的な検査値
ベースラインからのいくつかの個々の変化が、臨床検査値に観察されたが、臨床的に重要な傾向は見られなかった。
【0373】
個々の対象の変化
対象の大半は、研究中の様々な時間において、臨床検査の1つまたは複数の範囲外の値を有していた。これらの大部分は、些細なものであり、治験責任医師によって臨床的影響がないと考えられた。1人の対象について測定されたいくつかのALTレベルは、正常範囲よりも高く、臨床的に有意な異常と考えられた。
【0374】
バイタルサイン、ECG、身体所見、および安全性に関する他の観察
バイタルサイン
ベースラインからのいくつかの個々の変化が観察されたが、血圧、脈拍、体温、および呼吸数は、研究パートのいずれの間にも、傾向または臨床的に関連する変化が示されなかった。
【0375】
心電図
研究パートのいずれの間にも、心拍数、PR間隔、QRS持続期間、QT間隔、またはQTcF間隔に、臨床的有意性の変化または傾向は見られなかった。すべての12誘導ECG評価が、正常として記録され、または異常な記録がある場合、これらは臨床的に有意であるとは考えられなかった。
【0376】
継続的心臓モニタリング(遠隔測定)
SADおよびMADのパートにおいて得られたすべての遠隔測定方式のECG評価が、正常として記録され、または異常な記録がある場合、これらは臨床的に有意であるとは考えられなかった。
【0377】
身体検査
スクリーニング時に観察されたすべての異常および身体検査のためのスクリーニング後に観察されたすべての変化は、臨床的有意性がないものと考えられた。
【0378】
即時放出製剤に関する詳細な結果
図3は、SADパートのA5群のための査定スケジュールであり、以下の表記を含む。
BMI=肥満度指数
ECG=心電図
HBsAg=B型肝炎表面抗原
HCV=C型肝炎ウイルス
PK=薬物動態
【0379】
a.身体検査:スクリーニング時、-1日目(入院;これは、治験責任医師の裁量でのみ行われた指示された検査であった)、3日目の退院時(これは、治験責任医師の裁量でのみ行われた指示された検査であった)、および追跡調査時。
【0380】
b.臨床検査(臨床化学、血液学、凝固、および尿検査を含む):スクリーニング時、-1日目(入院)および投与の24時間後、ならびに追跡調査時。
【0381】
c.12誘導ECG:スクリーニング時、-1日目(入院)、投与の48時間後、および追跡調査時。
【0382】
d.バイタルサイン(仰臥位収縮期および拡張期血圧、脈拍、体温、ならびに呼吸数):スクリーニング時、-1日目(入院)、投与の48時間後、および追跡調査時。
e.研究薬物投与は、絶食状態下で実施された。
【0383】
図4は、SADパート(および統合FEアーム)A1~A4群のために与えられた査定表であり、以下の表記を含む。
BMI=肥満度指数
ECG=心電図
FDA=食品医薬局
FE=食品効果
HBsAg=B型肝炎表面抗原
HCV=C型肝炎ウイルス
PK=薬物動態
SAD=単一増加用量
【0384】
a.対象は、2つの期間にわたってクリニックに滞在していた、FEアームにも参加しているA4群の対象を除いて、1つの期間にわたってクリニックに滞在し、期間は-1日目から投与の48時間後(3日目)までであった。
【0385】
b.計画された拘束期間、退院日、および追跡調査期間は、新たに得られた研究結果に応じて適応させることができた。また、安全性およびPK査定のタイミング、種類、および回数は、研究中に変更することができた。
【0386】
c.身体検査:スクリーニング時、各期間の-1日目(入院;これは、治験責任医師の裁量でのみ行われた指示された検査であった)、3日目の退院時(これは、治験責任医師の裁量でのみ行われた指示された検査であった)、および追跡調査時。
【0387】
d.臨床検査(臨床化学、血液学、凝固、および尿検査を含む):スクリーニング時、各期間の-1日目(入院)および投与の24時間後、ならびに追跡調査時。
【0388】
e.A1、A2、A3、およびA4群(第1の期間だけ)の12誘導ECG:スクリーニング時、-1日目(入院)、投与の48時間後、および追跡調査時。投与前、ならびに投与の1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後および24時間後の12誘導ECGのデータを、遠隔測定による12誘導ECGプリントから取り出した。投与前ベースライン値は、投与の-1.25時間前、-1.0時間前、および-0.75時間前の、投与前の遠隔測定による3回の12誘導ECGの平均値であった。A4群(第2の期間だけ)の12誘導ECG:-1日目(入院)、投与前、ならびに投与の1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後および48時間後、ならびに追跡調査時。
【0389】
f.SADパートだけ;FEアームにも参加しているA4群の第2の期間では行われない:継続的心臓モニタリング(12誘導遠隔測定):投与の少なくとも2時間前から投与の少なくとも24時間後まで。12誘導ECGの読取り値を、投与の-1.25時間前、-1.0時間前および-0.75時間前、ならびに投与の0.25時間後、0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後および24時間後(2日目)のPKサンプリング時点の直前に印刷した。
【0390】
g.バイタルサイン(仰臥位収縮期および拡張期血圧、脈拍、体温、ならびに呼吸数):スクリーニング時、各期間の-1日目(入院)、各期間の投与前、ならびに投与の1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後および48時間後、ならびに追跡調査時。
【0391】
h.A1、A2、A3およびA4群において、ならびにFEアームにも参加しているA4群の第1の期間において、研究薬物投与は絶食状態下で実施された。A4群の第2の期間では、薬物投与は摂食状態(FDAにより定義された高脂肪朝食)下で実施された。
【0392】
i.血漿中IMB-1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンのPKのための血液サンプリング:各期間の投与前、ならびに投与の0.25時間後、0.5時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、16時間後、24時間後、36時間後および48時間後。
【0393】
j.SADパートだけ;FEアームにも参加しているA4群の第2の期間では行われない:尿中IMB-1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンのPKのための採尿:各期間の投与前(投与前12時間以内)、ならびに投与後0~6時間、6~12時間、12~24時間、24~36時間および36~48時間の収集間隔にわたって。
【0394】
k.AEを(初回)入院から追跡調査のための訪問の完了まで記録した。遺伝子型判定のための1つの血液サンプリングは、プロトコールバージョン3.0のIEC承認(2019年3月25日)前に既にスクリーニングされていた対象については必要に応じて得られ、一方、プロトコールバージョン3.0のIEC承認(2019年3月25日)後にスクリーニングされたこの研究に参加している対象については必須であった。この試料が必須であった対象については、試料を第1の期間の1日目だけ採取した。この試料が必要に応じたものであり、この試料を提供することに同意した対象については、試料を研究中のいずれかの日に採取することができ、必要な場合には、この試料を採取するために、追跡調査後に別個の訪問を計画することができた。
【0395】
図5は、MADパートのために与えられた査定表であり、以下の表記を含む。
BMI=肥満度指数
ECG=心電図
FE=食品効果
HBsAg=B型肝炎表面抗原
HCV=C型肝炎ウイルス
MAD=複数増加用量
PK=薬物動態
q8h=8時間ごと
q12h=12時間ごと
qd=1日1回
SAD=単一増加用量
tid=1日3回
【0396】
a.計画された拘束期間、退院日、および追跡調査期間は、新たに得られた研究結果に応じて適応させることができた。また、安全性およびPK査定のタイミング、種類、および回数は、研究中に変更することができた。
【0397】
b.身体検査:スクリーニング時、-1日目(入院;これは、治験責任医師の裁量でのみ行われた指示された検査であった)、および追跡調査時。他の日には、身体検査は、治験責任医師の裁量で指示がある際だけ行うことができた。
【0398】
c.臨床検査(臨床化学、血液学、凝固、および尿検査を含む):スクリーニング時、-1日目(入院)、8日目の朝の用量の前および15日目の同じ時間に、ならびに追跡調査時。
【0399】
d.12誘導ECG:スクリーニング時、-1日目(入院)、1日目の朝の用量の24時間後、8日目の投与前ならびに朝の用量の1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後(夜の用量の前)および24時間後、16日目(退院日)に投与日の朝の用量の前と同じ時間に、ならびに追跡調査時。1日目の投与前ならびに投与の1時間後、2時間後、4時間後、6時間後および12時間後、ならびに14日目の投与前ならびに投与の1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後および24時間後の12誘導ECGのデータを、遠隔測定による12誘導ECGプリントから取り出した。1日目および14日目の投与前ベースライン値は、投与の-1.25時間前、-1.0時間前、および-0.75時間前の、投与前の遠隔測定による3回の12誘導ECGのそれぞれの平均値であった。
【0400】
e.継続的心臓モニタリング(12誘導遠隔測定):1日目の朝の用量の少なくとも2時間前から朝の用量の少なくとも12時間後まで、および14日目の朝の用量の少なくとも24時間後まで。12誘導ECGの読取り値を、朝の用量の-1.25時間前、-1.0時間前および-0.75時間前、ならびに朝の用量の0.25時間後、0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後および24時間後(14日目のみ)のPKサンプリング時点の直前に印刷した。
【0401】
f.バイタルサイン(仰臥位収縮期および拡張期血圧、脈拍、体温、ならびに呼吸数):スクリーニング時、-1日目(入院)、1日目、8日目および14日目の投与前、ならびに朝の用量の1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後(1日目および8日目は夜の用量の前)および24時間後、16日目(退院日)に投与日の朝の用量の前と同じ時間に、ならびに追跡調査時。
【0402】
g.研究薬物を14日間にわたって1日2回投与し、14日目は朝の単一用量だけを投与した。研究薬物投与は、FEアームのA4群の結果に基づいて決定される通り、摂食状態下で実施した。注記:研究薬物は14日間連続で与えられたが、これは、SADパートおよびMADパートの以前の群の安全性および耐容性の結果(および入手可能な場合は血漿中PK結果)に基づいて修正することができた。同様に、q12h投与をqdまたはtid(q8h)投与に変更することを決めることができた。
【0403】
h.血漿中IMB-1018972、IMB-1028814、およびトリメタジジンのPKのための血液サンプリング:1日目および14日目の朝の用量の前、ならびに朝の用量の0.25時間後、0.5時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後(1日目は夜の用量の前)、16時間後、24時間後、36時間後および48時間後、ならびに4日目、6日目、8日目、10日目および12日目の朝の用量の前。
【0404】
i.AEは、入院から追跡調査のための訪問の完了まで記録した。
【0405】
j.遺伝子型判定のための血液サンプリングは、必須であった。
【0406】
図6は、IMB-1018972に関する1用量レベル当たりおよび合計の、SADパート(および統合FEアーム)についての解析データセットの表である。
【0407】
図7は、IMB-1018972に関する1用量レベル当たりおよび合計の、MADパートについての解析データセットの表である。
【0408】
人口統計的特徴および他のベースライン特徴
SADパート(および統合FEアーム)
統合FEアームを含むSADパートには、合計40人の対象が含まれていた。
【0409】
IMB-1018972およびプラセボ
32人の対象が含まれ、そのうち23人が女性であり、9人が男性であった。プラセボを含むすべての処置にわたって、平均年齢は29~46歳の間の範囲であり、平均BMIは23.0~26.6kg/m2の間の範囲であった。個々の年齢は18~65歳の間の範囲であり、個々のBMIは19.5~30.3kg/m2の間の範囲であった。29人の対象は白人人種であり、1人の対象はアジア人であり、1人の対象は黒人またはアフリカ系アメリカ人であり、1人の対象はハワイ先住民または他の太平洋諸島民であった。31人の対象は、ヒスパニック系民族でもラテン系民族でもなく、一方、1人の対象は、ヒスパニック系またはラテン系民族であった。PK対象集団の概要は、安全性対象集団からプールされたプラセボ群を引いたものと同一であった。
【0410】
トリメタジジン群
8人の対象が含まれ、そのうち5人が女性であり、3人が男性であった。平均年齢は32歳であり、平均BMIは23.7kg/m2であった。個々の年齢は、20~65歳の間の範囲であり、個々のBMIは19.4~26.7kg/m2の間の範囲であった。7人の対象は白人人種であり、1人の対象は複数人種であった。7人の対象は、ヒスパニック系民族でもラテン系民族でもなく、一方、1人の対象は、ヒスパニック系またはラテン系民族であった。PK対象集団の概要は、安全性対象集団のものと同一であった。
【0411】
図8は、SADパート(および統合FEアーム)(安全性対象集団)に関する、人口統計的特徴の概要表である。
【0412】
MADパート
24人の対象が含まれ、そのうち12人が女性であり、12人が男性であった。プラセボを含むすべての処置にわたって、平均年齢は38~44歳の間の範囲であり、平均BMIは25.2~26.7kg/m2の間の範囲であった。個々の年齢は18~64歳の間の範囲であり、個々のBMIは19.1~30.9kg/m2の間の範囲であった。18人の対象は白人人種であり、2人の対象は複数人種であり、2人の対象はアメリカ先住民またはアラスカ先住民であり、1人の対象はアジア人であり、1人の対象は黒人またはアフリカ系アメリカ人であった。21の対象は、ヒスパニック系民族でもラテン系民族でもなく、一方、3人の対象は、ヒスパニック系またはラテン系民族であった。PK対象集団の概要は、安全性対象集団からプールされたプラセボ群を引いたものと同一であった。
【0413】
図9は、MADパート(安全性対象集団)に関する、人口統計的特徴の概要表である。
【0414】
他のベースライン特徴
すべての対象が、組み入れ基準および除外基準に適合した。病歴または過去の医薬に関して、臨床的に有意な所見はなかった。スクリーニング時および(各)入院時の薬物およびアルコールのスクリーニング結果は、すべての対象について陰性であった。血清学パラメーターに関する結果は、すべての対象について、スクリーニング時に陰性であった。この研究に参加したすべての女性についての妊娠検査結果が、スクリーニング時、(各)入院時、および追跡調査時に陰性であった。
【0415】
曝露の程度
合計88人の対象がこの研究で投与を受け、統合FEアームを含むSADパートには40人の対象、MADパートには24人の対象がいた。
【0416】
SADパートのA1、A2、A3およびA4群のそれぞれにおいて、絶食状態下で6人の対象が単一用量のIMB-1018972を受け、2人の対象が単一用量のマッチングプラセボを受けた。IMB-1018972用量は、これらの4つの群にわたって50mg~400mgの範囲であった。SADのA1、A2およびA3群の対象は、単一用量での1つの処置期間に参加し、SADのA4群(FE群)の対象は、単一用量での2つの処置期間に参加し、第1の期間では絶食状態であり、第2の期間では摂食状態であった。FEアームのA4群の対象131番だけは、第1の期間に中等度のインフルエンザ様疾病のSAE(関係する可能性が低かった)に起因して研究から離脱したため、第1の処置期間において絶食状態下でIMB-1018972用量を受け、第2の処置期間では供給された用量を受けなかった。
【0417】
SADパートのA5群では、8人の対象が、絶食状態下で35mgの単一経口用量のトリメタジジンを受けた。
【0418】
図10は、SADパート(および統合FEアーム)(安全性対象集団)に関する、曝露の程度の表である。
【0419】
MADパートの両方の群では、摂食状態下で、9人の対象がIMB-1018972(B1群については150mgおよびB2群については50mg)を受け、3人の対象がマッチングプラセボを受けた。両方の群では、複数経口用量のIMB-1018972またはマッチングプラセボを、1~13日目にq12hで投与し、続いて14日目は朝の単一用量を投与した。
【0420】
図11は、MADパートに関する、曝露の程度の表である。
【0421】
薬物動態評価
定量化下限(LLOQ)は、IMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジン血漿中濃度については0.5ng/mLであり、IMB-1028814尿中濃度については10ng/mLであり、トリメタジジン尿中濃度については50ng/mLであった。
【0422】
特定の時点の血漿値の50%超がLLOQ未満であった場合、幾何平均は求められなかった。
【0423】
この研究でIMB-1018972を受けた対象のすべての血液試料を、血漿中のIMB-1018972について解析したが、IMB-1018972は、ごくわずかの血漿試料においてしか測定することができなかった。したがって、このCSRには、IMB-1018972濃度だけが収載され、記述統計または濃度-時間プロファイルは提示されなかった。加えて、PKパラメーターは、血漿中IMB-1018972については計算されなかった。結果として、尿試料は、IMB-1018972濃度については解析されなかった。IMB-1028814およびトリメタジジンの薬力学的効果は同じなので、データは、IMB-1028814およびトリメタジジンについて個々に、ならびにIMB-1028814およびトリメタジジン濃度の合計について提示される。IMB-1028814およびトリメタジジン濃度の合計、ならびにPKパラメーターは、IMB-1028814については310kDa、およびトリメタジジンについては266kDaの分子量に補正して計算した。
【0424】
SADパート(および統合FEアーム)
絶食状態下でのIMB-1018972の投与後の血漿中PK
IMB-1028814およびトリメタジジン血漿中濃度について、すべての投与前試料がLLOQ未満であった。
【0425】
IMB-1028814、代謝産物であるトリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジンについての幾何平均濃度-時間プロファイルは、50mg~400mgの用量範囲のIMB-1018972で、絶食状態下でIMB-1018972の単一用量の投与後に、血漿中濃度の明確な用量依存的上昇を示した。
【0426】
IMB-1018972からIMB-1028814への初期加水分解およびその後のIMB-1028814の全身バイオアベイラビリティは、相対的に急速であり、検出可能な濃度は、一般に投与後15~30分の間に見られた。トリメタジジンの検出可能な濃度も、一般に投与後15~30分の間に見られた。tmax中央値は、絶食状態下で研究されたIMB-1018972の単一用量範囲50mg~400mgにわたって、IMB-1028814については投与の約1時間後であり、トリメタジジンについては投与後1.5時間~2時間の間であった。tmax中央値は、IMB-1018972用量の増大に伴って増大することはなかった。
【0427】
幾何平均Cmaxは、用量と共に上昇し、絶食状態下で研究されたIMB-1018972の単一用量範囲50mg~400mgにわたって、IMB-1028814については104ng/mL~870ng/mLの間、トリメタジジンについては36.9ng/mL~274ng/mLの間、およびIMB-1028814+トリメタジジンについては516nmol/L~3,839nmol/Lの間(分子量の差を説明するためにモル単位)の範囲であった。同様に、幾何平均AUC0-tも用量と共に上昇し、絶食状態下で研究されたIMB-1018972の単一用量範囲50mg~400mgにわたって、IMB-1028814については290ng.時/mL~2,795ng.時/mLの間、トリメタジジンについては424ng.時/mL~3,305ng.時/mLの間、およびIMB-1028814+トリメタジジンについては2,970nmol.時/L~22,365nmol.時/Lの間の範囲であった。男性および女性についてそれぞれ417,733および652,849ng.時/mLのIMB-1028814血漿曝露量の予め定義された停止判断基準には、SADパート中、いずれの対象によっても達しなかった。
【0428】
IMB-1028814の排除は二相的に生じ、一方、トリメタジジンの排除は単相的に生じた。IMB-1028814の幾何平均t1/2は、相対的に短く、絶食状態下でのIMB-1018972の単一用量範囲にわたって2.6時間~3時間の間の範囲であった。代謝産物であるトリメタジジンについて、幾何平均t1/2はより長く、絶食状態下でのIMB-1018972の単一用量範囲にわたって6.76時間~8時間の間の範囲であった。IMB-1028814およびトリメタジジンの幾何平均t1/2は、IMB-1018972用量の増大に伴って増大することはなく、2つの部分のPKが線形であったことを示している。
【0429】
検出可能な個々のIMB-1028814濃度を、50mgのIMB-101897後、投与の10時間後、12時間後、16時間後、または24時間後まで、ならびに150mgおよび400mgのIMB-101897後、投与の16時間後または24時間後まで観察した。検出可能な個々のトリメタジジン濃度を、50mgのIMB-101897後、投与の24時間後、36時間後、または48時間後まで、150mgのIMB-101897後、投与の36時間後または48時間後まで、および400mgのIMB-1018972後、投与の48時間後まで観察した。
【0430】
異常なIMB-1028814およびトリメタジジン濃度-時間プロファイルが、絶食状態下で50mgの単一経口用量のIMB-1018972を受けていた対象108番で観察された。IMB-1028814およびトリメタジジンのtmaxは、この対象(IMB-1028814について5.00時間およびトリメタジジンについて8.00時間)の方が、同じ用量を受けたその他の対象(IMB-1028814について0.50~1.02時間の間およびトリメタジジンについて1.00~2.00時間の間)よりもかなり遅かった。したがって、この対象によるIMB-1018972の吸収は、同じ用量を受けたその他の対象よりもかなり緩慢である。
【0431】
IMB-1028814およびトリメタジジンについての用量比例性を、用量標準化曝露パラメーターCmax、AUC0-t、およびAUC0-infを線形スケールでプロットすることによって探索した。3つのすべての曝露パラメーターのスロープの95%CIは、IMB-1028814およびトリメタジジンの両方について1を含んでいた。このことは、IMB-1018972の単一用量範囲50~400mgにわたって、IMB-1028814およびトリメタジジンの用量比例性からの逸脱の証拠が見出されなかったことを示している。
【0432】
トリメタジジンの投与後の血漿中PK
トリメタジジン血漿中濃度について、すべての投与前試料がLLOQ未満であった。35mgの単一経口用量のトリメタジジンの投与後、検出可能なトリメタジジン濃度は、一般に投与後15~30分の間に見られた。トリメタジジンのtmax中央値は5時間であり、幾何平均値は、Cmaxについては68.6ng/mL、AUC0-tについては912ng.時/mL、およびAUC0-infについては929ng.時/mLであった。
【0433】
トリメタジジンの排除は、LLOQを超える最終時点まで単相式で生じ、幾何平均t1/2は7.49時間であった。投与の48時間後の最終サンプリング時点まで、検出可能な個々のトリメタジジン濃度が観察された。
【0434】
図12は、SADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0435】
図13は、SADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数)である。
【0436】
図14は、SADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0437】
図15は、SADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数)である。
【0438】
図16は、SADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数)である。
【0439】
図17は、SADパート(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数)である。
【0440】
図18は、SADパート(PK対象集団)に関する、IMB-1028814、トリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジン血漿薬物動態パラメーターの要約統計量(幾何平均[範囲])の表である。
【0441】
図19は、SADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたるIMB-1028814およびトリメタジジンについての用量比例性の探索的解析の表である。
【0442】
図20は、SADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化IMB-1028814のCmaxの組合せのプロットのグラフである。
【0443】
図21は、SADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化IMB-1028814のAUC0-tの組合せのプロットのグラフである。
【0444】
図22は、SADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化IMB-1028814のAUC0-infの組合せのプロットのグラフである。
【0445】
図23は、SADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化トリメタジジンのCmaxの組合せのプロットのグラフである。
【0446】
図24は、SADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化トリメタジジンのAUC0-tの組合せのプロットのグラフである。
【0447】
図25は、SADパート(PK対象集団)に関する、絶食状態下でのIMB-1018972の用量範囲50mg~400mgにわたる個々のおよび幾何平均の用量標準化トリメタジジンのAUC0-infの組合せのプロットのグラフである。
【0448】
食品効果
IMB-1028814およびトリメタジジンのPKに対して可能性がある食品効果は、150mgの単一経口用量のIMB-1018972の投与を、FDAにより定義された高脂肪朝食後と、絶食状態下とで比較することによって探索した。
【0449】
IMB-1028814およびトリメタジジン血漿中濃度について、すべての投与前試料がLLOQ未満であった。
【0450】
摂食状態下での研究薬物投与後、幾何平均IMB-1028814血漿中濃度は、最初は絶食状態下と同じ速度で上昇したが、次にプラトーに達した。個々のプロファイルで見ると、プラトーは観察されなかったが、個々のIMB-1028814のtmax値は0.42~5時間の間の範囲であった。tmax中央値には、絶食状態下では投与の1時間後に達したのに対して、摂食状態下では投与の2時間後に達した。
【0451】
摂食状態下でのトリメタジジン血漿中濃度は、絶食状態下での研究薬物投与後ほど急速に上昇せず、tmax中央値には、絶食状態下では投与の1.5時間後に達したのに対して、摂食状態下では投与の4時間後に達した。
【0452】
IMB-1028814曝露パラメーターAUC0-tおよびAUC0-inf(共に推定値1.12および90%CI範囲1.02~1.23を有していた)に対する食品効果についての証拠は観察されなかった。しかし、Cmaxは、絶食状態下での投与に対して、FDAにより定義された高脂肪朝食後の150mgの単一用量のIMB-1018972の投与後、およそ36%低かった(推定値0.64;90%CI範囲0.39~1.04)。
【0453】
トリメタジジン曝露パラメーターCmax(推定値0.91;90%CI範囲0.85~0.98)、ならびにAUC0-tおよびAUC0-inf(共に推定値1.04および90%CI範囲0.98~1.10を有していた)に対する食品効果についての証拠は観察されなかった。
【0454】
図26は、SADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0455】
図27は、SADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0456】
図28は、SADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0457】
図29は、SADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0458】
図30は、SADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0459】
図31は、SADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0460】
図32は、SADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、IMB-1028814、トリメタジジン、およびIMB-128814+トリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジン血漿薬物動態パラメーターの要約統計量(幾何平均[範囲])の表である。
【0461】
図33は、SADパートのFEアーム(PK対象集団)に関する、150mgのIMB-1018972の投与後のIMB-1028814およびトリメタジジンについての食品効果の探索的解析の表である。
【0462】
尿中IMB-1028814およびトリメタジジンの薬物動態結果
IMB-1028814およびトリメタジジンの尿中排泄を、絶食状態下で50mg~400mgの範囲の単一経口用量のIMB-1018972を受けた対象からの尿試料で決定した。さらに、トリメタジジンの尿中排泄を、35mgの単一経口用量のトリメタジジンを受けた対象からの尿試料で決定した。
【0463】
単一経口IMB-1018972用量後48時間以内に尿中に排泄された用量の算術平均パーセントは、研究された50mg~400mgの用量範囲にわたって、IMB-1028814については3.99%~5.74%の間、およびトリメタジジンについては23.11%~32.55%の間の範囲であった。35mgの単一経口用量のトリメタジジンの投与後48時間以内に、尿中に算術平均54.47%がトリメタジジンとして排泄された。これらの結果は、IMB-1028814については代謝が一次クリアランス機序であり、一方、トリメタジジンについては腎排泄が一次クリアランス機序であることを示している。
【0464】
幾何平均腎クリアランス(CLR)は、研究されたIMB-1018972の単一用量範囲50mg~400mgにわたって、IMB-1028814については3.76L/時~5.37L/時の間、およびトリメタジジンについては18.1L/時~20.8L/時の間の範囲であった。トリメタジジンについての幾何平均CLRは、35mgの単一経口用量のトリメタジジンの投与後、20.4L/時であった。トリメタジジンの腎クリアランスは、糸球体濾過率(125mL/分または7.5L/時)よりも大きく、トリメタジジンが全体として尿細管分泌を受けることを示している。
【0465】
図34は、SADパート(PK対象集団)に関する、IMB-1028814、トリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジンの尿中薬物動態パラメーターの要約統計量(算術平均[SD])の表である。
【0466】
尿中のIMB-1028814およびトリメタジジンの薬物動態結果
IMB-1028814およびトリメタジジンの尿中排泄を、絶食状態下で50mg~400mgの範囲の単一経口用量のIMB-1018972を受けた対象からの尿試料で決定した。さらに、トリメタジジンの尿中排泄を、35mgの単一経口用量のトリメタジジンを受けた対象からの尿試料で決定した。
【0467】
単一経口IMB-1018972用量後48時間以内に尿中に排泄された用量の算術平均パーセントは、研究された50mg~400mgの用量範囲にわたって、IMB-1028814については3.99%~5.74%の間、およびトリメタジジンについては23.11%~32.55%の間の範囲であった。35mgの単一経口用量のトリメタジジンの投与後48時間以内に、尿中に算術平均54.47%がトリメタジジンとして排泄された。これらの結果は、IMB-1028814については代謝が一次クリアランス機序であり、一方、トリメタジジンについては腎排泄が一次クリアランス機序であることを示している。
【0468】
幾何平均腎クリアランス(CLR)は、研究されたIMB-1018972の単一用量範囲50mg~400mgにわたって、IMB-1028814については3.76L/時~5.37L/時の間、およびトリメタジジンについては18.1L/時~20.8L/時の間の範囲であった。トリメタジジンについての幾何平均CLRは、35mgの単一経口用量のトリメタジジンの投与後、20.4L/時であった。トリメタジジンの腎クリアランスは、糸球体濾過率(125mL/分または7.5L/時)よりも大きく、トリメタジジンが全体として尿細管分泌を受けることを示している。
【0469】
MADパート
血漿中のIMB-1028814、トリメタジジンおよびIMB-1028814+トリメタジジンの薬物動態結果
IMB-1028814およびトリメタジジン血漿中濃度について、1日目のすべての投与前試料がLLOQ未満であった。
【0470】
1日目および14日目のIMB-1028814、代謝産物であるトリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジンについての幾何平均濃度-時間プロファイルは、摂食状態下で50mg q12hおよび150mg q12hのIMB-1018972の複数用量の投与後に、血漿中濃度の用量依存的上昇を示した。
【0471】
SADパートと同様に、1日目および14日目のIMB-1018972からIMB-1028814への初期加水分解およびその後のIMB-1028814の全身バイオアベイラビリティは、相対的に急速であった。2つの複数用量レベルにわたって、tmax中央値は、1日目のIMB-1028814については投与後0.5時間~1時間の間の範囲であり、1日目のトリメタジジンについては投与の3時間後であった。14日目に、tmax中央値は、IMB-1028814については投与の0.5時間後であり、トリメタジジンについては投与の2時間後であった。
【0472】
1日目の曝露パラメーター
MADパートでは、摂食状態下で、q12hで14日間の50mgまたは150mgの複数経口用量の、2つのIMB-1018972用量レベルしかなかったので、用量比例性解析は行われなかった。
【0473】
幾何平均CmaxおよびAUC0-Tは、50mgを供給された後よりも150mgを供給された後の方が高く、IMB-1028814(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ297%および336%高かった)、トリメタジジン(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ154%および163%高かった)、およびIMB-1028814+トリメタジジン(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ257%および239%高かった)であった。
【0474】
MADパートおよびSADパートを比較した場合、幾何平均Cmaxは、IMB-1028814についてSADパートで供給された単一用量の150mgの後よりも、MADパートで1日目に150mgを供給された後の方が97%高かった。しかし、トリメタジジンについては、幾何平均Cmaxは、SADパートで供給された単一用量の150mgの後よりも、MADパートで1日目に150mgを供給された後の方が32%低かった。
【0475】
投与をq12hで反復した後の14日目の曝露パラメーター
幾何平均CmaxおよびAUC0-Tは、50mgを供給された後よりも150mgを供給された後の方が高く、IMB-1028814(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ377%および367%高かった)、トリメタジジン(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ127%および126%高かった)、およびIMB-1028814+トリメタジジン(CmaxおよびAUC0-Tについてそれぞれ286%および211%高かった)であった。
【0476】
男性および女性についてそれぞれ417,733および652,849ng.時/mLのIMB-1028814血漿曝露量の予め定義された停止判断基準には、MADパート中、いずれの対象によっても達しなかった。
【0477】
投与をq12hで反復した後のトラフ濃度
幾何平均血漿中濃度-時間プロファイルおよび幾何平均トラフ濃度の視覚的検査に基づいて、供給された150mgおよび供給された50mgの両方について、14日目のIMB-1018972用量は、IMB-1028814およびトリメタジジンの濃度の定常状態下で投与されたと結論付けることができる。
【0478】
投与をq12hで反復した後の蓄積
供給された50mgおよび150mgの両方の用量レベルについて、IMB-1028814、トリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジンの幾何平均AUC0-T値は、1日目に対して14日目の方が高かった。
【0479】
IMB-1028814についての幾何平均Racは、供給された150mg用量および50mg用量後に、それぞれ1.18および1.10であり、血漿中にIMB-1028814が最小限に蓄積したことを示している。トリメタジジンについての幾何平均Racは、供給された150mg用量および50mg用量後に、それぞれ1.63および1.89であり、血漿中にトリメタジジンが中程度に蓄積したことを示している。IMB-1028814+トリメタジジンについての幾何平均Racは、供給された150mg用量および50mg用量後に、それぞれ1.39および1.52であり、血漿中にIMB-1028814+トリメタジジンが中程度に蓄積したことを示している。
【0480】
投与をq12hで反復した後の終末相排泄半減期
IMB-1028814について、150mgを供給された後の4.48時間の幾何平均t1/2は、50mgを供給された後の2.79時間よりも長かった。トリメタジジンについて、150mgを供給された後の9.36時間の幾何平均t1/2は、50mgを供給された後の9.32時間に類似していた。IMB-1028814+トリメタジジンについて、150mgを供給された後のIMB-1028814についての8.90時間の幾何平均t1/2は、50mgを供給された後の9.08時間に類似していた。
【0481】
図35は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0482】
図36は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0483】
図37は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0484】
図38は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0485】
図39は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0486】
図40は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0487】
図41は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0488】
図42は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの幾何平均IMB-1028814血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0489】
図43は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの投与後の幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0490】
図44は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの投与後の幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0491】
図45は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの投与後の幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である。
【0492】
図46は、MADパート(PK対象集団)に関する、1日目から14日目までの投与後の幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(片対数スケール)である。
【0493】
図47は、MADパート(PK対象集団)に関する、IMB-1028814、トリメタジジン、およびIMB-1028814+トリメタジジン血漿薬物動態パラメーターの要約統計量(幾何平均[範囲])の表である。
【0494】
図48Aおよび図48Bは、SADパート(および統合FEアーム)(安全性対象集団)に関する、器官別大分類の基本語および処置によるすべてのTEAEの概要表であり、以下の表記を含む。
%=処置1つ当たりの対象の人数(N)のパーセンテージとしての対象の人数(n);AE=有害事象;E=AEの数;FE=食品効果;MedDRA=医薬品規制用語集;N=曝露された対象の人数;n=AEを経験した対象の人数;SAD=単一増加用量;TEAE=処置により発生した有害事象
有害事象はMedDRA 22.0に従って分類された。
対象は、特定のMedDRA用語の複数の発生について、基本語1つ当たり1件と数えた。
【0495】
図49Aおよび図49Bは、MADパート(安全性対象集団)に関する、器官別大分類の基本語および処置によるすべてのTEAEの概要表である。
【0496】
図50は、SADパート(および統合FEアーム)(安全性対象集団)に関する、処置、関係、および重症度によるすべてのTEAEの概要表である。
【0497】
図51は、MADパート(安全性対象集団)に関する、処置、関係、および重症度によるすべてのTEAEの概要表である。
【0498】
有害事象の概要
SADパート(および統合FEアーム)
IMB-1018972またはプラセボの投与で報告されたTEAE
合計45件のTEAEが、IMB-1018972を受けた24人の対象のうちの16人(66.7%)によって報告され、合計3件のTEAEが、プラセボを受けた8人の対象のうちの2人(25%)によって報告された。死亡は報告されず、すべてのTEAEが一過性であり、追跡調査によれば後遺症なしに回復した。FEアームのA4群の対象131番が、第1の期間に、絶食状態下で150mgの単一経口用量のIMB-1018972を受けた後に、インフルエンザ様疾病の中等度のSAE(関係する可能性が低かった)に起因して研究から離脱した。
【0499】
IMB-1018972またはプラセボで報告された48件のTEAEのうちの37件が、軽度の重症度であり、11件のTEAEが中等度の重症度であった。重度のTEAEは報告されなかった。11件の中等度のTEAEは、以下の通りであった。
・フラッシュの5件の中等度のTEAE(報告された用語は「ナイアシンフラッシュ」であった)が、5人の対象(対象117、122、123、124、および132番)によって報告された。対象117、122、123、および124番は、絶食状態下での400mgの単一用量のIMB-1018972の後にフラッシュを報告した。FEアームの対象132番が、絶食状態下での150mgの単一用量のIMB-1018972の後にフラッシュを報告した。これらのTEAEは、すべてが治験責任医師によって研究薬物に確実に関係すると考えられた。この研究で観察されたナイアシンフラッシュ事象は、典型的に、全身皮膚血管拡張を伴って短期間持続し、様々な度合いで皮膚の強烈な灼熱感およびピリピリ感、熱感、ならびに/または全身紅斑に関連するものであり、薬物摂取から間もなくして始まり、約1~2.5時間継続した。
・フラッシュの中等度のTEAEも報告した1人の対象(対象122番)によって、不穏状態、背部痛、および悪心のそれぞれ1件の中等度のTEAEが報告された。この対象は、絶食状態下で400mgの単一用量のIMB-1018972を受けていた。背部痛および悪心のTEAEは、治験責任医師によって研究薬物に関係している可能性があると考えられ、一方、治験責任医師は、不穏状態のTEAEは関係している可能性が高いと考えた。
・扁桃炎および手技後出血(報告された用語は「扁桃摘出術後出血」であった)のそれぞれ1件の中等度のTEAEが、1人の対象(対象129番)によって報告された。この対象は、摂食状態下で150mgの単一用量のIMB-1018972を受けていた。扁桃炎および手技後出血のTEAEは、治験責任医師によって研究薬物に関係しないと考えられた。
・中等度の重症度のインフルエンザ様疾病の1件のTEAEが、1人の対象(対象131番)によって報告され、治験責任医師によって、SAEであり、研究薬物に関係する可能性が低いと考えられた。この対象は、絶食状態下で150mgの単一用量のIMB-1018972を受けており、摂食状態での計画投与は受けなかった。
【0500】
48件のTEAEのうち、3件がプラセボを受けている2人(25.0%)の対象によって報告され、3件が、絶食状態下で50mgのIMB-1018972を受けている3人(50.0%)の対象によって報告され、5件が、絶食状態下で150mgのIMB-1018972を受けている3人(50.0%)の対象によって報告され、16件が、絶食状態下で400mgのIMB-1018972を受けている6人(100%)の対象によって報告され、17件が、絶食状態下で150mgのIMB-1018972を受けている4人(66.7%)の対象によって報告され(絶食-摂食群において)、4件が、摂食状態下で150mgのIMB-1018972を受けている1人(20%)の対象によって報告された(絶食-摂食群において)。TEAEの数および発生率に明確な用量依存性はなかった。TEAEの数および発生率について絶食状態でのIMB-1018972の投与と摂食状態でのIMB-1018972の投与との間に、いかなる明確な差異もなかった。
【0501】
器官別大分類(SOC)によりIMB-1018972で最も頻繁に報告されたTEAE(すなわち、対象の≧15%によって報告された)は、以下であった。
・7人(29.2%)の対象によって報告された9件のTEAEを含む神経系障害(浮動性めまいの4件のTEAE、頭痛の3件のTEAE、ならびに灼熱感および傾眠のそれぞれ1件のTEAE)。
・7人(29.2%)の対象によって報告された7件のTEAEを含む血管障害(フラッシュの6件のTEAEおよび1件の末梢冷感のTEAE)。
・5人(20.8%)の対象によって報告された9件のTEAEを含む全身性障害および投与部位の状態(医療デバイス部位掻痒の3件のTEAE、インフルエンザ様疾病の2件のTEAE、ならびにカテーテル部位関連反応、疲労、熱感、および発熱のそれぞれ1件のTEAE)。
・4人(16.7%)の対象によって報告された9件のTEAEを含む胃腸障害(悪心の4件のTEAE、ならびに下痢、口内乾燥、嚥下障害、歯肉痛、および嘔吐のそれぞれ1件のTEAE)。
・4人(16.7%)の対象によって報告された4件のTEAEを含む皮膚および皮下組織障害(接触性皮膚炎の3件のTEAEおよび紅斑の1件のTEAE)。
【0502】
IMB-1018972で報告された45件のTEAEのうち、24人のうちの7人(29.2%)の対象によって報告された21件のTEAEは、治験責任医師によって研究薬物に関係すると考えられた。50mgおよび150mg(絶食だけの群)のIMB-1018972後に薬物関連TEAEは報告されなかった。SOCによりIMB-1018972で最も頻繁に報告された薬物関連TEAE(すなわち、対象の≧15%によって報告された)は、以下であった。
・6人(25%)の対象によって報告されたフラッシュの6件のTEAEを含む血管障害。
・4人(16.7%)の対象によって報告された5件のTEAEを含む神経系障害(頭痛の3件のTEAEおよび浮動性めまいの2件のTEAE)。
【0503】
トリメタジジンの投与で報告されたTEAE
合計4件のTEAEが、トリメタジジンを受けた8人のうち3人(37.5%)の対象によって報告された。死亡は報告されず、すべてのTEAEが一過性であり、追跡調査によれば後遺症なしに回復した。報告されたすべての4件のTEAE(頸部疼痛、腹痛、頻尿、および頭痛のそれぞれ1件のTEAE)が軽度の重症度であり、治験責任医師によって研究薬物に関係しないと考えられた。
【0504】
全体的な耐容性
SADパートでは、絶食状態下で50mg、150mg、および400mgの単一経口用量のIMB-1018972を用いる処置、摂食状態下で150mgの単一経口用量のIMB-1018972を用いる処置、ならびに35mgの単一経口用量のトリメタジジンを用いる処置は、健康な男性および女性対象によって良好な耐容性が示された。SADパートのFEアームでは、摂食状態下での投与は、TEAEの数および発生率を減弱するように見えた。SADパート中、最も一般的なAEは、フラッシュの6件のTEAEであり(報告された用語は「ナイアシンフラッシュ」および「頸部フラッシュ」であった)、そのうちの5件のTEAEは中等度の重症度であり、1件のTEAEは軽度の重症度であった。4人の対象が、絶食状態下での400mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告し、FEアームの2人の対象が、絶食状態下での150mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告した。これらのTEAEは、すべてが治験責任医師によって研究薬物に関係すると考えられた。フラッシュに起因して脱落した対象はおらず、フラッシュは安全性の問題とは考えられなかった。身体検査、バイタルサイン、臨床検査、またはECGの結果に臨床的に重要な傾向はなかった。400mg群の標的曝露レベルを超えるIMB-1028814およびトリメタジジンのPK曝露レベル、ならびにその用量でのフラッシュの所見に基づいて計画された通り、400mgを超える用量漸増のIMB-1018972のIRには進まなかった。予め定義された標的曝露レベルは、およそ3~4の「トリメタジジン当量」、すなわち、既刊文献から分かる通り、35mgの単一経口用量のMRトリメタジジンに対するIMB1018972の活性代謝産物の曝露量を合わせた比であった。
【0505】
MADパート
合計35件のTEAEが、IMB-1018972を受けた18人のうちの14人(77.8%)の対象によって報告され、合計17件のTEAEが、プラセボを受けた6人のうちの5人(83.3%)の対象によって報告された。すべてのTEAEが軽度の重症度であり、死亡は報告されなかった。TEAEの大半は一過性であり、追跡調査によれば後遺症なしに回復した。血管穿刺部位の血腫、医療デバイス部位刺激、および左手の異常知覚の3件のTEAEが、追跡調査時もまだ進行中であった。
【0506】
IMB-1018972を受けている対象によって報告された35件のTEAEのうち、14件が、摂食状態下で150mgのIMB-1018972をq12hで受けている7人(77.8%)の対象によって報告され、21件が、摂食状態下で50mgのIMB-1018972をq12hで受けている7人(77.8%)の対象によって報告された。TEAEの数および発生率に明確な用量依存性はなかった。
【0507】
SOCによりIMB-1018972で最も頻繁に報告されたTEAE(すなわち、対象の≧25%によって報告された)は、以下であった。
・6人(33.3%)の対象によって報告されたフラッシュの7件のTEAEを含む血管障害。
・5人(27.8%)の対象によって報告された7件のTEAEを含む全身性障害および投与部位の状態(カテーテル部位血腫、胸部不快感、疲労、熱感、医療デバイス部位紅斑、医療デバイス部位刺激、および血管穿刺部位血腫のそれぞれ1件のTEAE)。
・5人(27.8%)の対象によって報告された7件のTEAEを含む筋骨格および結合組織障害(筋肉痛の2件のTEAE、ならびに筋攣縮、筋脱力、筋骨格痛、頸部疼痛および四肢疼痛のそれぞれ1件のTEAE)。
【0508】
IMB-1018972で報告された35件のTEAEのうち、18人のうちの6人(33.3%)の対象によって報告された7件のTEAEは、治験責任医師によって研究薬物に関係すると考えられ、18人のうちの11人(61.1%)の対象によって報告された28件のTEAEは、治験責任医師によって研究薬物に関係しないと考えられた。報告されたすべての7件の薬物関連TEAEは、フラッシュの事象であり、これらのすべてが、摂食状態下で最高複数用量の150mgのIMB-1018972をq12hで受けた後に報告された。
【0509】
全体的な耐容性
摂食状態下で50mgおよび150mgの経口q12h用量のIMB-1018972を用いる14日間の処置は、健康な男性および女性対象によって良好な耐容性が示された。フラッシュの偶発的な軽度TEAEが、150mgのIMB-1018972をq12hで受けていた6人の対象において生じた。これらの6人の対象のうちの5人は、14日間の投与期間中、フラッシュのTEAEを1回だけ報告した。1人の対象は、2日目および14日目の2回、フラッシュを報告した。フラッシュの重症度は、400mgのIRのSAD群に対して、150mgのIRのMAD群の方が低かった。50mgのIMB-1018972をq12hで投与した後、フラッシュのTEAEは報告されなかった。フラッシュのTEAEに起因して脱落した対象はおらず、用量調節は必要なかった。
【0510】
死亡、他の重篤な有害事象、および他の有意な有害事象
1人の対象が研究中に離脱した。
【0511】
対象131番は、BMI21.9kg/m2を有する25歳の白色男性であった。対象は、FEアームのA4群に参加し、第1の処置期間において絶食状態下で150mgのIMB-1018972を受け、第2の処置期間において摂食状態下で150mgのIMB-1018972を受けるよう計画された。最初に、彼は、関連病歴を報告しておらず、ベースラインでは併用医薬を受けていなかった。対象は、第1の期間の1日目に絶食状態下で150mgの単一用量のIMB-1018972を受けた。投与後30分以内に、対象は、浮動性めまい、熱感、フラッシュ、悪心、および嚥下障害の短期間持続する軽度のTEAEを報告し、それらはすべて、治験責任医師によって関係する可能性が高いと考えられた。彼は、速やかに完全に回復し、臨床検査結果を含む安全性査定では、院内期間全体を通して異常は示されなかった。対象は、計画通り、3日目はクリニックから退院した。5日目に、対象は、インフルエンザ様症状および自然発生的な全身筋肉痛の事象について、医療従事者によって査定された。6日目に、対象は、水分を十分に摂取したにも関わらず無尿であった事象についても査定された。7日目に、対象は病院に委ねられ、そこで静脈からの水分補給を直ちに受けた。利尿はすぐには再開せず、結果的に彼は病院に入院した。入院時の対象の体温は38℃であった。水分補給が継続され、夕方から夜の間に利尿が再開した。対象の臨床状態は急速に改善され、対象は8日目に退院した。さらなる病歴では、臨床研究前の数カ月以内にデング熱(2018年12月)および未知の起源のウイルス感染(2019年1月)が明らかになり、対象の病歴に加えられた(この病歴は、データベースに加えられていなかった)。院内では、非特異的な診断が確立された。病院では、その事象を無尿としてまとめ、腎臓機能は正常であり、尿検査には異常がなく、入院中に利尿が再開した。治験責任医師は、腎臓機能は正常であり、横紋筋融解はなかったと報告した。5日目に始まり、およそ8日後の13日目に終わったインフルエンザ様症状、筋肉痛、および無尿の事象は、まとめて「インフルエンザ様疾病」のSAEとして記録された。このSAEは、中等度の重症度であり、治験責任医師によって研究薬物に関係する可能性が低いと考えられた。対象は、第2の処置期間における摂食状態下での150mgのIMB-1018972の計画用量を受けなかった。対象は、計画通り実施された安全性査定を含む追跡調査のために、15日目に戻ってきた。対象は、インフルエンザ様症状により、6日目および7日目に37.5mgのトラマドールを1日2回受け、7日目および8日目に1000mgのパラセタモールを1日2回受けた。対象は、1日目~2日目に背部痛の軽度のTEAE(関係がなかった)、2日目に医療デバイス部位掻痒(関係がなかった)、2日目に紅斑(関係する可能性が低かった)、および2日目~5日目に灼熱感(関係する可能性が低かった)も報告した。
【0512】
対象131番が研究から離脱することになった「インフルエンザ様疾病」のSAEは、研究薬物投与との時間的関係が弱かったことにより、治験責任医師によって、研究薬物に関係する可能性が低いと考えられた。治験責任医師は、このSAEが感染によって引き起こされたおそれがあると考えている。
【0513】
併用処置
SADパート(および統合FEアーム)
SADパート(統合FEアームを含む)の18人の対象が、併用医薬を受けるかまたは摂取した。15人の女性対象が、研究中、避妊薬を使用した。加えて、4人の対象が、以下の通り併用医薬を受けた。
・1人の対象(対象103番;絶食状態下で50mgのIMB-1018972)は、胸部の接触性皮膚炎(基本語:接触性皮膚炎)のために、トリアムシノロンを2日間にわたって1日1回受けた。
・1人の対象(対象116番;絶食状態下で150mgのIMB-1018972)は、浮動性めまいのために、500mgのパラセタモールを1回受けた。
・1人の対象(対象129番;絶食状態下で150mgのIMB-1018972[絶食-摂食群])は、頭痛のために1000mgのパラセタモールを1日1回または2回受け、上腿の筋痙攣(基本語:筋痙縮)のために1回受けた。また同じ対象が、扁桃炎のために5mgのオキシコドンを12日間にわたって1日4回、1000mgのパラセタモールを5日間にわたって1日4回、80mgのマクロゴールを12日間にわたって1日4回、および200mgのセレコキシブを5日間にわたって1日1回受けた。
・1人の対象(対象131番;絶食状態下で150mgのIMB-1018972[絶食-摂食群])は、インフルエンザ様疾患(基本語:インフルエンザ様疾病)のために37.5mgのトラマドールを2日間にわたって1日2回および1000mgのパラセタモールを2日間にわたって1日2回受けた。
【0514】
これらの医薬は、研究の転帰に影響したとは考えられなかった。
【0515】
MADパート
MADパートの7人の対象が、併用医薬を受けるかまたは摂取した。6人の女性対象が、研究中、避妊薬を使用した。加えて、1人の対象(対象221番;摂食状態下でプラセボ、q12h)が、咽喉痛(基本語:中咽頭疼痛)のために500mgの併用パラセタモールを1回受けた。
【0516】
これらの医薬は、研究の転帰に影響したとは考えられなかった。
【0517】
安全性の結論
全体的に、単一経口用量のIMB-1018972および複数経口用量のIMB-1018972のIR製剤は、一般に、健康な男性および女性対象によって良好な耐容性が示された。臨床検査、バイタルサイン、12誘導ECG、継続的心臓モニタリング(遠隔測定)、または身体検査に関して臨床的関連の所見はなかった。IMB-1018972をIR製剤として投与した後、血行動態変化の所見もQTc間隔の変化もなかったことに留意すべきである。
・SADパート中、最も一般的なAEは、フラッシュの6件のTEAEであり(報告された用語は「ナイアシンフラッシュ」および「頸部フラッシュ」であった)、そのうちの5件のTEAEは中等度の重症度であり、1件のTEAEは軽度の重症度であった。4人の対象が、絶食状態下での400mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告し、FEアームの2人の対象が、絶食状態下での150mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告した。これらのTEAEは、すべてが治験責任医師によって研究薬物に関係すると考えられた。フラッシュに起因して脱落した対象はおらず、フラッシュは安全性の問題とは考えられなかった。400mg群の標的曝露レベルを超えるIMB-1028814およびトリメタジジンのPK曝露レベル、ならびにその用量でのフラッシュの所見に基づいて計画された通り、400mgを超える用量漸増のIMB-1018972のIRには進まなかった。予め定義された標的曝露レベルは、およそ3~4の「トリメタジジン当量」、すなわち、既刊文献から分かる通り、35mgの単一経口用量のMRトリメタジジンに対するIMB-1018972の活性代謝産物の曝露量を合わせた比であった。
・研究中に死亡は報告されなかった。TEAEの大部分は軽度の重症度であり、研究中に重度のTEAEは報告されなかった。全体的に、合計181件のTEAEのうちの12件が、中等度の重症度であった。
・2人の対象が研究から離脱し、そのうちの1人の対象はインフルエンザ様疾病の中等度のSAE(関係する可能性が低かった)に起因しており、1人はALT上昇の中等度のTEAE(関係している可能性があった)に起因していた。
・全体的に、TEAEの数および発生率に明確な用量依存性はなかった。
・SADパートのFEアームでは、摂食状態下での投与は、TEAEの数および発生率を減弱するように見えた。
【0518】
考察および全体的結論
これは、単一および複数増加経口用量のIMB-1018972(SADおよびMADパートにおけるIR製剤)、ならびに単一経口用量のトリメタジジンのMR製剤の安全性、耐容性、およびPKを査定するための、統合FEアームを含むSADパートおよびMADパートからなる二重盲検、無作為化、プラセボ対照研究であった。研究はSADパートで開始された。
【0519】
安全性の考察
全体的に、単一経口用量のIMB-1018972および複数経口用量のIMB-1018972のIR製剤は、一般に、健康な男性および女性対象によって良好な耐容性が示された。臨床検査、バイタルサイン、12誘導ECG、継続的心臓モニタリング(遠隔測定)、または身体検査に関して臨床的関連の所見はなかった。IMB-1018972をIR製剤として投与した後、血行動態変化の所見もQTc間隔の変化もなかったことに留意すべきである。
【0520】
ニコチン酸(ナイアシン)は、IMB-1018972の即時加水分解生成物であり、IMB-1018972の分子量のおよそ30%を構成する。この研究では、ナイアシンの投与で見られるフラッシュと一致する特徴のフラッシュのTEAEが報告された。すべての事象が一過性であり、介入なしに回復した。フラッシュのTEAEに起因して脱落した対象はおらず、用量調節は必要なかった。
【0521】
研究のSAD(IR)パートでは、最も一般的なAEは、フラッシュの6件のTEAEであり(報告された用語は「ナイアシンフラッシュ」および「頸部フラッシュ」であった)、そのうちの5件のTEAEは中等度の重症度であり、1件のTEAEは軽度の重症度であった。4人の対象が、絶食状態下での400mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告し、FEアームの2人の対象が、絶食状態下での150mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告した。
【0522】
研究の14日間の複数用量パートでは、対象は、摂食状態で150mgまたは50mgのIRのIMB-1018972をq12hで受けた。150mgのq12h群における6人の対象が、フラッシュの実例をそれぞれ報告したが、それらは軽度の重症度であった。50mgのIRのIMB-1018972をq12hで投与した後、フラッシュのTEAEは報告されなかった。
【0523】
1人の対象が、研究から離脱した。FEアームのA4群の1人の対象が、絶食状態下での150mgの単一経口用量のIMB-1018972の投与後に、「インフルエンザ様疾病」の中等度のSAEに起因して研究から離脱した。インフルエンザ様疾病のSAEは、治験責任医師によって研究薬物に関係する可能性が低いと考えられた。
【0524】
研究中に最も頻繁に報告されたTEAEは、SOCの血管障害(主にフラッシュのTEAE)、全身性障害および投与部位の状態、神経系障害、胃腸障害、ならびに筋骨格および結合組織障害であった。研究中に報告されたTEAEの大半は、治験責任医師によって研究薬物に関係しないと考えられた。
【0525】
薬物動態
この研究においてIMB-1028814およびトリメタジジンについて得られた単一用量および複数用量のPKの結果に基づいた。
【0526】
安全性の結論
・全体的に、単一経口用量のIMB-1018972および複数経口用量のIMB-1018972のIR製剤は、一般に、健康な男性および女性対象によって良好な耐容性が示された。臨床検査、バイタルサイン、12誘導ECG、継続的心臓モニタリング(遠隔測定)、または身体検査に関して臨床的関連の所見はなかった。IMB-1018972をIR製剤またはMR製剤のいずれかとして投与した後、血行動態変化の所見もQTc間隔の変化もなかったことに留意すべきである。
・SADパート中、最も一般的なAEは、フラッシュの6件のTEAEであり(報告された用語は「ナイアシンフラッシュ」および「頸部フラッシュ」であった)、そのうちの5件のTEAEは中等度の重症度であり、1件のTEAEは軽度の重症度であった。4人の対象が、絶食状態下での400mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告し、FEアームの2人の対象が、絶食状態下での150mgの単一用量のIMB-1018972後にフラッシュを報告した。これらのTEAEは、すべてが治験責任医師によって研究薬物に関係すると考えられた。フラッシュに起因して脱落した対象はおらず、フラッシュは安全性の問題とは考えられなかった。400mg群の標的曝露レベルを超えるIMB-1028814およびトリメタジジンのPK曝露レベル、ならびにその用量でのフラッシュの所見に基づいて計画された通り、400mgを超える用量漸増のIMB-1018972のIRには進まなかった。予め定義された標的曝露レベルは、およそ3~4の「トリメタジジン当量」、すなわち、既刊文献から分かる通り、35mgの単一経口用量のMRトリメタジジンに対するIMB-1018972の活性代謝産物の曝露量を合わせた比であった。
・研究中に死亡は報告されなかった。TEAEの大部分は軽度の重症度であり、研究中に重度のTEAEは報告されなかった。全体的に、合計181件のTEAEのうちの12件が、中等度の重症度であった。
・1人の対象が研究から離脱し、1人の対象はインフルエンザ様疾病の中等度のSAE(関係する可能性が低かった)に起因し、1人はALT上昇の中等度のTEAE(関係している可能性があった)に起因した離脱であった。
・全体的に、TEAEの数および発生率に明確な用量依存性はなかった。
・SADパートのFEアームでは、摂食状態下での投与は、TEAEの数および発生率を減弱するように見えた。
【0527】
薬物動態の結論
IMB-1018972は、この研究中に採取されたごくわずかの血漿試料においてしか測定することができなかった。
・MR製剤の結果を含む、絶食および摂食状態下での単一および複数IMB-1018972用量の結果を合わせると、IMB-1018972からIMB-1028814への初期加水分解およびその後のIMB-1028814の全身バイオアベイラビリティは、相対的に急速であり、tmax中央値は、IMB-1028814については投与後0.5時間~5時間の間の範囲であり、トリメタジジンについては投与後1.5時間~8時間の間の範囲であった。tmax中央値は、IMB-1018972用量の増大に伴って増大することはなかった。
・男性および女性についてそれぞれ417,733および652,849ng.時/mLのIMB-1028814血漿曝露の予め定義された停止判断基準には、SADパートまたはMADパート中、いずれの対象によっても達しなかった。
・絶食状態下での50~400mgの範囲の単一経口IMB-1018972用量後、IMB-1028814およびトリメタジジンへの全身曝露は、Cmax、AUC0-t、およびAUC0-infについて用量比例的であった。
・150mgの単一用量のIMB-1018972の投与後、IMB-1028814曝露パラメーターAUC0-tおよびAUC0-infに対する食品効果についての証拠は観察されなかった。しかし、Cmaxは、絶食状態下での投与に対して、摂食状態下での150mgの単一用量のIMB-1018972の投与後、およそ36%低かった。
・150mgの単一用量のIMB-1018972の投与後、トリメタジジン曝露パラメーターCmax、AUC0-t、およびAUC0-infに対する食品効果についての証拠は観察されなかった。
・50mg~400mgの範囲にわたる単一経口用量のIMB-1018972の投与後48時間以内に、平均で用量の3.99%~5.74%の間が、IMB-1028814として尿中に排泄され、平均で用量の23.11%~32.55%の間が、トリメタジジンとして尿中に排泄された。
・35mgの単一経口用量のトリメタジジンの投与後48時間以内に、平均で用量の54.47%が、トリメタジジンとして尿中に排泄された。
・摂食状態下で150mgおよび50mgのIMB-1018972を1日2回で14日間投与した後、関連するIMB-1028814の蓄積は観察されず(150mgおよび50mgについてそれぞれRac1.18および1.10)、トリメタジジンの蓄積は中程度であった(150mgおよび50mgについてそれぞれRac1.63および1.89)。
【0528】
全体
ポジティブなリスク/ベネフィットプロファイル、ならびにこの単一用量および複数用量FIH研究において観察されたIMB-1018972の代謝産物であるIMB-1028814およびトリメタジジンのPK特徴を考慮すると、IMB-1018972のさらなる臨床開発が保証される。
【0529】
(実施例2)
簡単な研究概要
2型糖尿病を有する肥満患者における心筋エナジェティクスおよび代謝に対する式(X)の化合物の影響を評価するための薬力学的研究。
【0530】
目的
一次目的は、安静時およびストレス時心筋エナジェティクス(PCr/ATP)に対する200mgの式(X)の影響を評価することである。他の目的には、グルコース酸化を促進する化合物の能力の尺度として、代謝的応答、特にPDHフラックスに対する影響を、超偏極13C-ピルビン酸MRSを使用して評価すること、心臓磁気共鳴(CMR)および経胸壁心エコー検査(TTE)によって測定される心臓の収縮および拡張機能に対する効果を査定すること、心臓脂肪症に対する影響を測定することが含まれる。
【0531】
設計および処置
これは、2型糖尿病およびBMI≧30kg/mを有する20人の患者の集団からなる無作為化研究であった。最初に5人の患者が4週間処置され、その後、15人の患者(患者6~20番)が8週間処置された(必要であれば追加で5人の患者を用いる)。10人の患者が超偏極13C-ピルビン酸MRSを受けた。
【0532】
安全性予備データ
無作為化参加者の予備ベースライン特徴は、図52に詳述されている。完了した者の予備ベースライン特徴は、図53に詳述されている。図54は、9月20日のデータカットオフ日の時点の有害事象を詳述している。19人の患者が、およそ1~8週間、薬物を受けた。SAEはなかった。7人の対象が9件の有害事象を報告した。2人の対象は、3件の薬物関連AEを有していた。すべてのAEが軽度または中等度の重症度であった。フラッシュは報告されなかった。全体的に、化合物は、良好な耐容性が示された。
【0533】
薬力学的予備データ
研究からの中間データの解析では、心臓ミトトロープ、すなわち心筋性能を改善する潜在的可能性を有する、心臓エナジェティクスに影響を及ぼす作用機序を有する作用物質としての標的関与および概念化を支える証拠により、式(X)の化合物が確固たる代謝モジュレーターであることが確認される。中間データの非常に重要な結果には、以下が含まれる。
・2型糖尿病を有する肥満患者における心臓エナジェティクス(PCr/ATP)の、有意かつ有意義な上昇が、4週および8週コホートから組み合わされたデータで明らかである。
〇エネルギー応答は、8週コホート(n=8)よりも4週コホート(n=5)の方が大きいように見える。このことは、コホート間の差異によって説明され得る。
図55は、4週および8週コホートについての安静時PCr/ATPの組合せを詳述している。
・PCr/ATP応答は、HbA1c>6.0%、6.5%または7%を有する患者においてより大きいように見える。したがって、HbA1cは、心臓エネルギー応答の予測因子であるように見える。これらのデータは、確認された場合には、糖尿病患者の将来の研究における、例えば駆出率が保たれた心不全(HFpEF)を有する患者の、患者選択のガイドになろう。
・ベースラインイメージング時に、より重度の心筋エネルギー機能障害を有していた患者は、最も大きい絶対的PCr/ATP応答を経験し、すなわち、エネルギー欠損が重度であるほど、ミトトロープの応答が大きかった。
・心筋脂肪症の高度に有意な低減が、事実上すべての対象において、心筋トリグリセリドの低下と共に実証された。図56。ベースライン心筋トリグリセリドおよびベースラインHbA1cについての心筋トリグリセリドの変化の相関解析は、図61に詳述されている。
・心筋トリグリセリド(TG)の低下が最も大きかった患者は、より小さいPCr/ATPの変化を有する傾向があった。PCr/ATPの変化と心筋トリグリセリドの変化との相関解析(絶対%)は、図63に詳述されており、図64は単一外れ値を除去した後のものである。
・この臨床的関連を強調するように、心筋TG含量は、HFpEFにおける心臓性能障害に寄与する非常に重要な要素である2型糖尿病におけるLV拡張機能障害に、独立に関連することが公知である。
・式(X)の化合物の影響は、脂肪毒性を低減して、糖尿病性心筋、また推測では心筋脂肪症に関連する他の状態のより良好な機能を支える潜在的可能性を有する。
【0534】
・式(X)の短期投与は、有意な体重減少に関連しており、心臓以外に広がる急速な薬理学的効果と一致している。図57
・体重減少は、より高いベースラインHbA1cを有する(すなわち、グルコースホメオスタシスのベースライン障害がより大きい)患者について、より大きかった。体重の変化、ならびにベースラインHbA1CおよびPCr/ATPの変化との相関解析は、図60に詳述されている。心筋トリグリセリドの変化との体重の変化の相関解析は、図62に詳述されている。
・文献に基づく予想とは反対に、この予備データセットでは、ベースラインHbA1cが高いほど、少ない心筋トリグリセリドに関連していた。
・ベースラインHbA1c、および式(X)でのHbA1cの低下は、心筋PCr/ATPの上昇と正の関連を示し、6.0%、6.5%または7%よりも大きいベースラインHbA1cのカットオフは、PCr/ATP(すなわち、エネルギー代謝)応答の予測因子となる。図58
・心筋トリグリセリドの変化は有意でなく、ごく弱い逆相関p=0.7177、r=0.13があった。図59
・ベースライン心筋トリグリセリドとHbA1および比較のための他のプロットの相関解析は、図65に詳述されている。
【0535】
参考による援用
本開示全体を通して、他の文献、例えば、特許、特許出願、特許公報、学術誌、書籍、論文、ウェブコンテンツへの参照および引用が行われている。そのような文献はすべて、あらゆる目的でそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0536】
均等物
本明細書に示され記載されているものに加えて、本発明およびそのさらなる多くの実施形態の種々の修正が、本明細書に引用される科学文献および特許への参照を含む本文書の内容全体から当業者に明らかになろう。本明細書の主題は、本発明の種々の実施形態およびその均等物において本発明の実施に適応させることができる重要な情報、例証、および指針を含有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48-1】
図48-2】
図49-1】
図49-2】
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
【国際調査報告】