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特表2024-540175電気コネクタ、アンテナシステム及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電気コネクタ、アンテナシステム及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/04 20060101AFI20241024BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20241024BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01P1/04
H01Q1/38
H01Q1/22 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525624
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2022079529
(87)【国際公開番号】W WO2023078705
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】21206028.9
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ブイ-ヴァン, ハ
(72)【発明者】
【氏名】サルキス, レミ
(72)【発明者】
【氏名】スクノールヒ, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】デルエッテ, ラファエル
【テーマコード(参考)】
5J011
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J011CA22
5J046AA06
5J047EA01
5J047EC02
5J047ED08
(57)【要約】
本発明は、誘電体要素によって分離され、且つ絶縁層によって保護されたピン及びシールドを含む同軸ケーブルを、薄い支持体に配設されたアンテナに電気的に接続するための電気コネクタを開示する。電気コネクタは、シールド部品であって、シールド部品のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプし、且つシールドをアンテナに電気的に接続するための少なくとも1つの脚部及びブリッジ、好ましくはブリッジによって分離された2つの脚部を含むシールド部品を含む。シールド部品の少なくとも1つの脚部の各々は、薄い支持体を貫通するように設計された少なくともシールド部品の貫通手段を含み、少なくともシールド部品の貫通手段と、シールド部品の少なくとも1つの脚部とは、同一平面上にない。本発明は、そのような電気コネクタを含むアンテナシステム、そのようなアンテナシステムを含む車両及び関連する方法にも関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体要素(123)によって分離され、且つ絶縁層(121)によって保護されたピン(124)及びシールド(122)を含む同軸ケーブル(120)を、薄い支持体(12)に配設されたアンテナ(10、11)に電気的に接続するための電気コネクタ(100)において、電気コネクタ(100)は、シールド部品(101)であって、前記シールド部品のブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプして、前記シールドを前記アンテナに電気的に接続するための少なくとも1つの脚部(102、103)及びブリッジ(104)を含むシールド部品(101)を含むこと、前記シールド部品の前記少なくとも1つの脚部は、前記薄い支持体を貫通するように設計された少なくともシールド部品の貫通手段(1031、1032、1021、1022)を含むこと、及び前記少なくともシールド部品の貫通手段(1031、1032、1021、1022)と、前記シールド部品の前記少なくとも1つの脚部とは、同一平面上にないことを特徴とする電気コネクタ(100)。
【請求項2】
電気コネクタ(100)は、少なくとも1つの脚部(202、203)を含むピン部品(201)を含み、前記ピン部品は、前記シールド部品から電気的に絶縁されている、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記ピン部品(201)は、ブリッジ(204)であって、ピン部品の前記ブリッジと前記アンテナとの間に前記ピンをクランプし、且つ前記ピンを前記アンテナに電気的に接続するためのブリッジ(204)をさらに含む、請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記シールド部品は、前記ブリッジ(104)によって分離された2つの脚部(102、103)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記ピン部品の前記少なくとも1つの脚部は、前記薄い支持体を貫通するように設計された少なくともピン部品の貫通手段(2031、2032、2021、2022)を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記ピン部品は、前記ブリッジ(204)によって分離された2つの脚部(202、203)を含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記シールド部品の貫通手段は、少なくとも突起部を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記ピン部品の貫通手段は、少なくとも突起部を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
電気コネクタ(100)は、前記シールド部品と前記ピン部品とを一緒に維持するための維持手段をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
薄い支持体と、前記薄い支持体に配設されたアンテナと、誘電体要素(123)によって分離され、且つ絶縁層(121)によって保護されたピン(124)及びシールド(122)を含む同軸ケーブル(120)と、電気コネクタとを含むアンテナシステム(1)において、
前記電気コネクタは、シールド部品(101)であって、前記シールド部品のブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプして、前記シールドを前記アンテナに電気的に接続する少なくとも1つの脚部(102、103)及びブリッジ(104)を含むシールド部品(101)を含み、好ましくは、前記シールド部品は、前記シールド部品の前記ブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプして、前記シールドを前記アンテナに電気的に接続する、前記ブリッジ(104)によって分離された2つの脚部(102、103)を含むこと、
前記シールド部品の前記少なくとも1つの脚部は、前記薄い支持体を貫通する少なくともシールド部品の貫通手段(103)を含むこと、及び
前記少なくともシールド部品の貫通手段(103)と、前記シールド部品の前記少なくとも1つの脚部とは、同一平面上にないことを特徴とするアンテナシステム(1)。
【請求項11】
前記電気コネクタは、少なくとも1つの脚部(202、203)を含むピン部品(201)を含み、前記ピン部品は、前記シールド部品から電気的に絶縁され、前記ピン部品の前記少なくとも1つの脚部は、前記薄い支持体を貫通する少なくともピン部品の貫通手段を含む、請求項10に記載のアンテナシステム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の少なくとも1つのアンテナシステムを含む車両。
【請求項13】
誘電体要素(123)によって分離され、且つ絶縁層(121)によって保護されたピン(124)及びシールド(122)を含む同軸ケーブルを、薄い支持体に配設されたアンテナに電気コネクタで接続する方法において、
前記電気コネクタは、シールド部品(101)であって、前記シールド部品のブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプして、前記シールドを前記アンテナに電気的に接続する少なくとも1つの脚部(102、103)及びブリッジ(104)を含むシールド部品(101)を含み、好ましくは、前記シールド部品は、前記シールド部品の前記ブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプして、前記シールドを前記アンテナに電気的に接続する、前記ブリッジ(104)によって分離された2つの脚部(102、103)を含むこと、
前記シールド部品の前記少なくとも1つの脚部の各々は、前記薄い支持体を貫通するように設計された少なくともシールド部品の貫通手段を含むこと、
前記少なくともシールド部品の貫通手段と、前記シールド部品の前記少なくとも1つの脚部とは、同一平面上にないこと、及び
前記方法は、
A)前記同軸ケーブルを前記アンテナの上に位置決めするステップ、
B)前記薄い支持体を通して前記少なくともシールド部品の貫通手段を押圧して前記シールド部品の前記ブリッジと前記アンテナとの間に前記シールドをクランプして、前記シールドを前記アンテナに電気的に接続するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記薄い支持体の貫通部の表面とは反対側の表面において、前記薄い支持体を通過した前記シールド部品の貫通手段の一部を曲げるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電気コネクタは、少なくとも脚部を含むピン部品を含み、前記ピン部品の前記少なくとも1つの脚部は、前記薄い支持体を貫通する少なくともピン部品の貫通手段を含み、前記方法は、前記薄い支持体を通して前記少なくともピン部品の貫通手段を押圧してピン部品のブリッジと前記アンテナとの間に前記ピンをクランプして、前記ピンを前記アンテナに電気的に接続するステップをさらに含む、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、薄い支持体に配設されたアンテナへの給電を容易にするための電気コネクタに関する。本出願は、そのような電気コネクタを含むアンテナシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルデータトラフィックは、絶えず増加しており、5Gによって大幅に急増し、モバイルネットワーク事業者は、資本的支出の圧力下に置かれている。5Gに関するより高い周波数帯域は、特に容量が必要とされ、厳しいEMF制限が適用される密集した都市部では、カバレッジ展開の課題が高まることを意味する。容量向上のためのよい解決策としてスモールセルの展開が述べられているが、電磁波の送受信を安定して行うために多数のアンテナを設置する必要がある。
【0003】
しかし、多くの欠点がスモールセルの展開を制限している。第一に、新たなアンテナのための設置場所を見つけるのが非常に困難である。第二に、ファイバ及び電気を屋外に置くにはコストがかかる。最後に、都市規制がスモールセルの可能性を制限することもある。
【0004】
加えて、コネクテッドカー及び自律走行車の出現により、必要な車載アンテナの数がより一層増えており、特にWi-Fi、4G、5G及びDSRC、DTV、FMなどに関して適切な設置場所を見つけることは、一層複雑になっている。
【0005】
車両では、アンテナは、通常、シャークフィン内の窓ガラス若しくはルーフ又はルーフモジュールに配置される。
【0006】
機能システムに接続し、アンテナに給電するために、同軸ケーブルとアンテナとの間に電気コネクタが使用される。
【0007】
市販されている既存のコネクタは、コネクタへのアンテナの接続を確立するためにはんだ付け技法に基づく。
【0008】
国際公開第2016174228号パンフレットは、同軸ケーブルをアンテナに電気的に接続するための特定の電気コネクタを開示している。そのような電気コネクタは、アンテナに給電するためにアンテナにはんだ付けされる。
【0009】
アンテナは、ガラス又は薄い支持体などの基板に配設することができる。
【0010】
しかし、薄い支持体などの耐低温性の基板では、基板は、はんだ付けの高温に耐えることができない。
【0011】
薄い支持体のこの耐低温性を回避するために、電気コネクタは、通常、導電性接着剤でアンテナに接着される。しかし、この解決策には機械的抵抗の問題があり、電気コネクタが支持体から外れて、断線、品質の問題、経年劣化の問題などが生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、第1の態様では、誘電体要素によって分離され、且つ絶縁層によって保護されたピン及びシールドを含む同軸ケーブルを、薄い支持体に配設されたアンテナに電気的に接続するための電気コネクタに関する。
【0013】
本発明は、第2の態様では、薄い支持体と、薄い支持体に配設されたアンテナと、誘電体要素によって分離され、且つ絶縁層によって保護されたピン及びシールドを含む同軸ケーブルと、本発明の第1の態様による電気コネクタとを含むアンテナシステムに関する。
【0014】
本発明の第1の態様及び第2の態様で定義される解決策は、電気コネクタが、シールド部品(101)であって、シールド部品のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプして、シールドをアンテナに電気的に接続する少なくとも1つの脚部(102、103)及びブリッジ(104)を含むシールド部品(101)を含み、好ましくは、シールド部品が、シールド部品のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプして、シールドをアンテナに電気的に接続する、ブリッジ(104)によって分離された2つの脚部(102、103)を含むことに基づく。
【0015】
好ましくは、アンテナでの電気コネクタの維持を容易にするために、電気コネクタは、少なくとも脚部を含むピン部品を含み得る。ピン部品は、シールド部品から電気的に絶縁される。より好ましくは、前記ピン部品は、ピン部品のブリッジとアンテナとの間にピンをクランプし、且つピンをアンテナに電気的に接続するブリッジを含むことができる。
【0016】
好ましくは、電気コネクタの取扱い及び安定性を容易にするために、シールド部品は、ブリッジによって分離された2つの脚部を含む。
【0017】
本発明の第1の態様及び第2の態様で定義される解決策は、シールド部品の少なくとも1つの脚部の各々、好ましくはシールド部品の2つの脚部の各々が、薄い支持体を貫通するように設計された少なくともシールド部品の貫通手段を含むこと及び少なくともシールド部品の貫通手段と、シールド部品の少なくとも1つの脚部、好ましくはシールド部品の2つの脚部とが同一平面上にないことにも基づく。
【0018】
薄い支持体を貫通することにより、シールド部品の貫通手段及びピン部品の貫通手段は、電気コネクタを薄い支持体に機械的に維持し、同軸ケーブルがアンテナに電気的に接続される。
【0019】
本発明は、第3の態様では、本発明の第2の態様によるアンテナシステムを含む車両に関する。
【0020】
本発明は、第4の態様では、誘電体要素によって分離され、且つ絶縁層によって保護されたピン及びシールドを含む同軸ケーブルを、薄い支持体に配設されたアンテナに電気コネクタで接続する方法に関する。
【0021】
本発明の第4の態様で定義される解決策は、本方法が本発明の第2の態様による電気コネクタを含むことに基づく。
【0022】
好ましくは、電気コネクタの取扱い及び安定性を容易にするために、シールド部品は、ブリッジによって分離された2つの脚部を含む。
【0023】
本方法は、シールド部品の少なくとも1つの脚部の各々、好ましくはシールド部品の2つの脚部の各々が、薄い支持体を貫通するように設計された少なくともシールド部品の貫通手段を含むことと、少なくともシールド部品の貫通手段と、シールド部品の2つの脚部とが同一平面上にないこととをさらに含む。
【0024】
本発明の第4の態様で定義される解決策は、本方法が、
A)同軸ケーブルをアンテナの上に位置決めするステップ、
B)薄い支持体を通して少なくともシールド部品の貫通手段を押圧してシールド部品のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプして、シールドをアンテナに電気的に接続するステップ
を含むことにも基づく。
【0025】
驚くべきことに、第1、第2、第3及び第4の態様によるこの解決策は、電気コネクタの薄い支持体を貫通するシールド部品の貫通手段により、取扱いを改善し、品質の問題及び経年劣化の問題を軽減しながら、機械的抵抗を改良することを可能にする。
【0026】
したがって、本発明による電気システムは、同軸ケーブルを、薄い支持体に配設されたアンテナに、簡単に、迅速に且つ耐久性を備えて電気的に接続することを可能にする。
【0027】
本発明は、第2の態様によるアンテナシステムの品質及び耐久性を向上させる。
【0028】
さらに、電気コネクタは、アンテナ表面との接触を促進しあらゆる動きに耐えられるようにする。
【0029】
したがって、本発明は、より優れた取扱い及び品質を実現可能にしながら、システムを配置するための新たな場所を見つける必要性を解決する。
【0030】
本発明は、ケーブルの一部及びケーブル自体を保護しながら、アンテナと同軸ケーブルとの接続性を改良する。
【0031】
本発明は、製造及び組立て時間を節約することを可能にする。
【0032】
本発明は、既存の解決策に比べてコストを節約することを可能にする。
【0033】
本発明は、同軸ケーブルとアンテナとの接続の精度も改良する。
【0034】
他の利点は、以下の記載で説明する。
【0035】
本発明は、特許請求の範囲又は説明される実施形態に記載される特徴の全ての可能な組合せに関するものであることに留意されたい。
【0036】
以下の説明は、車両用途に関するものであるが、本発明は、輸送用途、他の道路利用者並びに/又はサービス及び建物用途などの他の分野にも適用可能であり得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
ここで、本発明の様々な例示的実施形態を示す添付図面を参照して本発明のこの態様及び他の態様をより詳細に述べるが、それらの例示的実施形態は、例示として提供され、限定として提供されない。図面は、概略図であり、縮尺通りに描かれていない。図面は、決して本発明を限定しない。いくつかの例を挙げてさらなる利点を説明する。
【0038】
図1】本発明の第1の態様による電気コネクタを上から見た概略3D図である。
図2】本発明の第2の態様によるアンテナシステムを上から見た概略3D図である。
図3】本発明の第2の態様によるアンテナシステムを上から見た概略3D図である。
図4】本発明の第2の態様によるアンテナシステムの側方からの概略図である。
図5】本発明による薄い支持体に配設されたアンテナを貫通する、本発明の第1の態様による電気コネクタを上から見た概略3D図である。
図6】本発明の第2の態様によるアンテナシステムを上から見た概略3D図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書では、特定の実施形態は、対応する実施形態の様々な変更形態、均等物及び/又は置換形態も含む。図面全体を通して、同一又は同様の部分を表すために同じ参照番号が使用される。
【0040】
本明細書で使用するとき、「内側」、「外側」、「上方」、「下方」、「上部」、「底部」などの空間的な用語又は方向を示す用語は、図面に示されている状態での本発明に関連する。しかし、本発明は、様々な代替の向きを取ることができ、したがって、そのような用語は、限定とみなされるべきではないことを理解されたい。さらに、本明細書及び特許請求の範囲で使用される、寸法、物理的特性、処理パラメータ、成分の量、反応条件などを表す全ての数字は、全ての場合に「約」という用語によって修飾されるものと理解されるべきである。したがって、特に断りのない限り、以下の本明細書及び特許請求の範囲に記載の数値は、本発明によって得ることを試みられる所望の特性に応じて変化し得る概算値である。以下の説明において、特に断りのない限り、「実質的に」という表現は、10%以内、好ましくは5%以内を意味する。
【0041】
さらに、本明細書に開示される全ての範囲は、範囲の開始値及び終了値を含み、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を包含するものと理解されるべきである。例えば、「1~10」という指定の範囲は、最小値1~最大値10(及びそれらを含む)のあらゆる部分範囲を含むとみなされるべきである。すなわち、1以上の最小値で始まる部分範囲、例えば1~6.1及び10以下の最大値で終わる部分範囲、例えば5.5~10を全て含む。さらに、本明細書で使用するとき、「上に堆積された」又は「上に提供された」という用語は、上に堆積又は提供されるが、必ずしも面接触しているわけではないことを意味する。例えば、基板の「上に堆積された」コーティングは、堆積されたコーティングと基板との間に位置する同じ又は異なる組成の1つ又は複数の他のコーティング膜の存在を排除するものではない。
【0042】
本明細書及び特許請求の範囲において「含む」という用語が使用される場合、それは、他の要素又はステップを排除するものではない。単数名詞を指すときに不定冠詞又は定冠詞、例えば「1つの(a)」又は「1つの(an)」、「前記(the)」が使用される場合、これは、特に明記されない限り、その名詞の複数形も含む。本明細書では、「~するように構成された」(又は「~するように設定された」)という用語は、ハードウェア及びソフトウェアにおいて、状況に応じて、例えば「~するのに適切である」、「~することができる機能を有する」、「~するように変更された」、「~するように形成された」、「~することが可能な」又は「~するように設計された」と交換可能に使用することができる。いかなる状況でも、「~するように構成されたデバイス」という表現は、そのデバイスが別のデバイス又は構成要素と一緒に「~することができる」ことを意味し得る。
【0043】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における第1及び第2などの用語は、同様の要素を区別するために使用され、必ずしも時間的に、空間的に、順位付けして又は他の方法で順序を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下では交換可能であり、本明細書で述べる本発明の実施形態は、本明細書に記載又は例示される以外の順序での動作も可能であることを理解されたい。ある構成要素(例えば、第1の構成要素)が別の構成要素(例えば、第2の構成要素)に「(機能的に若しくは通信可能に)結合されている」又は「接続されている」と記載されるとき、ある構成要素は、別の構成要素に直接接続されるか又はさらなる構成要素(例えば、第3の構成要素)を介して別の構成要素に接続され得る。
【0044】
本発明の第1の態様によれば、電気コネクタ100は、誘電体要素によって分離され、且つ絶縁層によって保護されたピン及びシールドを含む同軸ケーブルを、薄い支持体に配設されたアンテナに電気的に接続するように設計される。
【0045】
本発明による電気コネクタは、ケーブルのシールドをアンテナに電気的に接続するためのシールド部品を含む。適切に機能するように、ケーブルのピンをアンテナに電気的に接続することができる。ケーブルのピンは、鉛フリーはんだなどのはんだ材料によってアンテナにはんだ付けすることができ、アンテナに接着することもできる。
【0046】
本発明による好ましい実施形態では、電気コネクタの特定の部分により、ケーブルのピンをアンテナに電気的に接続することができる。電気コネクタは、シールド部品とピン部品とを含む。
【0047】
図1に示されるように、電気コネクタ100は、シールド部品101とピン部品201とを含む。ピン部品は、シールド部品から電気的に絶縁されている。
【0048】
シールド部品101は、少なくとも1つの脚部102、103と、シールド部品のブリッジと薄い支持体に配設されたアンテナとの間に同軸ケーブルのシールドをクランプし、シールドをアンテナに電気的に接続するように設計されたブリッジ104とを含む。図1は、シールド部品101が、ブリッジ104によって分離された2つの脚部102、103を含む実施形態を示している。
【0049】
シールド部品101の2つの脚部102、103の各々は、薄い支持体を貫通するように設計された少なくともシールド部品の貫通手段1031、1032、1021、1022を含む。少なくともシールド部品の貫通手段1031、1032、1021、1022と、シールド部品の2つの脚部とは、同一平面上になく、薄い支持体を貫通し、同軸ケーブルを薄い支持体に配設されたアンテナに電気的に接続する。すなわち、少なくともシールド部品の貫通手段1031、1032、1021、1022は、薄い支持体に面するシールド部品の脚部の表面に設けられる。
【0050】
本発明によれば、各脚部のシールド部品の貫通手段は、少なくとも1つの薄い支持体を貫通するために突起部を含む。より好ましくは、各脚部のシールド部品の貫通手段は、少なくとも1つの薄い支持体への貫通を容易にするために複数の突起部を含む。
【0051】
ピン部品は、ピンをアンテナに電気的に接続するために、単独で使用されるはんだ材料及び/又は脚部及び/又はブリッジを含み得る。
【0052】
図1に示されるように、本発明のいくつかの実施形態によれば、ピン部品201は、ピン部品のブリッジと薄い支持体に配設されたアンテナとの間に同軸ケーブルのピンをクランプし、且つピンをアンテナに電気的に接続するように設計されたブリッジ204によって分離された2つの脚部202、203を少なくともピン部品の貫通手段2031、2032、2021、2022とピン部品の2つの脚部とは同一平面上になく、薄い支持体を貫通し、同軸ケーブルを薄い支持体に配設されたアンテナに電気的に接続する。すなわち、少なくともピン部品の貫通手段2031、2032、2021、2022は、薄い支持体に面するピン部品の脚部の表面に設けられる。
【0053】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、各脚部のピン部品の貫通手段は、少なくとも1つの薄い支持体を貫通するために突起部を含む。より好ましくは、各脚部のピン部品の貫通手段は、少なくとも1つの薄い支持体への貫通を容易にするために複数の突起部を含む。
【0054】
図2~4は、薄い支持体12と、薄い支持体に配設されたアンテナ10、11とを含むアンテナシステム1を示す。アンテナシステムは、誘電体要素123によって分離され、且つ絶縁層121によって保護されたピン124及びシールド122を含む同軸ケーブル120を含む。
【0055】
薄い支持体は、様々な形態及び形状を取ることができ、その寸法(長さ及び/又は幅)は、様々であり、1ミリメートル~数メートルであり得る。
【0056】
薄い支持体という用語は、5mm以下、好ましくは3mm以下の厚さを有する支持体を意味する。
【0057】
用途に応じて、薄い支持体は、貫通され得る10μm~3mm(0.01mm≦Tts≦3mm)の厚さTtsを有する。用途に応じて、厚さは、20μm、50μm、75μm、100μm、125μm、150μm又は任意の特定の値であり得る。
【0058】
いくつかの好ましい実施形態では、薄い支持体の厚さは、20μm~250μm(0.02mm≦Tts≦0.25mm)に含まれる。
【0059】
本発明によれば、薄い支持体は、同じ材料又は異なる材料の単層又は多層構造であり得、その上にアンテナを堆積することができる。薄い支持体は、アンテナのための誘電体基板として機能することを理解されたい。
【0060】
薄い支持体は、好ましくは、薄いプラスチック支持体である。薄い支持体は、プリント回路で使用される任意の誘電体材料又はフレキシブル基板として使用されるより柔軟な材料、例えばポリマー、プラスチック、積層材料又は任意の他の適切な材料、例えばポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンフラノエート(PEF)であり得る。好ましくは、薄い支持体はPETを含むが、用途及び薄い支持体を物体に固定する方法、太陽、温度などの外部暴露により必要とされる耐久性に応じて任意の他のプラスチック材料であり得る。
【0061】
薄い支持体は、上面12.1と底面12.2とを含む。アンテナ10、11は、薄い支持体の上面12.1に配設される。
【0062】
図に示されるように、アンテナは、2つの部品10、11を含むことができる。これら2つの部品は電気的に絶縁される。
【0063】
同軸ケーブル120のピン124は、2つの部品のうちの一方の部品11に接続され、同軸ケーブル120のシールド122は、2つの部品のうちの他方の部分10に接続される。
【0064】
アンテナ10、11は、薄い支持体に配設される。「上に配設される」という用語は、アンテナを、導電層印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、堆積又は薄い支持体にアンテナを配設するのに適した他の同様の方法で配設することができることを意味する。アンテナは、導電性領域を作成することによってアンテナを設計するためのエッチング又はレーザデコーティング技術を使用して実現することもできる。アンテナは、アンテナ形状又はプリント回路を形成する複数の接続された細いワイヤからなる金属メッシュ膜で作ることもできる。
【0065】
本発明によれば、アンテナは、導電性材料で作られる。アンテナを作成するための材料は、限定しないが、銅、銀、銅インクなどの任意の高導電性材料であり得る。
【0066】
いくつかの好ましい実施形態では、アンテナは、1つのアンテナであり得る。アンテナは、好ましくは、Wi-Fi、FM、AM、TV、リモートキーエントリ(RKE)などの通信に使用されるマルチバンドアンテナ、2G、3G、4G、5G、衛星、GPSナビゲーション、V2X、DSRC又は任意の他の無線ブロードキャストアプリケーションなどのテレマティクス/セルラアンテナである。マルチバンドアンテナの実施形態では、アンテナは、2つの部品10、11、すなわち放射要素として作用するように設計された放射部品10と、接地プレートとして作用するように設計された接地部品11とを含むことができる。
【0067】
アンテナの形状は、長方形状に限定されないことを理解されたい。本発明によるアンテナ自体及びアンテナの各部品10、11は、性能、周波数、波長、利用可能な表面など、所要のパラメータに従って任意の形状を有することができる。
【0068】
同軸ケーブル120を薄い支持体12上で機械的に維持しながら、同軸ケーブル120をアンテナ10、11に電気的に接続するために、アンテナシステムは、本発明の第1の態様による電気コネクタをさらに含む。
【0069】
電気コネクタは、シールドをアンテナに電気的に接続するためにシールド部品のブリッジ104とアンテナ10との間にシールド122をクランプする、ブリッジ104によって分離された2つの脚部102、103を含むシールド部品101と、ピン124をアンテナ11に電気的に接続するためにピン部品のブリッジ204とアンテナとの間にピン124をクランプする、ブリッジ204によって分離された2つの脚部202、203を含むピン部品201とを含む。ピン部品201は、シールド部品101から電気的に絶縁されている。ピン部品は、はんだ材料であり得る。
【0070】
シールド部品の2つの脚部は、薄い支持体12を貫通する少なくともシールド部品の貫通手段103を含む。少なくともシールド部品の貫通手段103と、シールド部品の2つの脚部とは、同一平面上にない。
【0071】
シールド部品の貫通手段は、薄い支持体を完全に貫通し、貫通部とは反対側の面、すなわち底面12.2から出る少なくとも1つの部分1035を有する。そのような部分1035は、電気コネクタが引き抜かれるのを防ぐためにノッチ又はフック形状を有することができる。この部分1035は、底面12.2を貫通した後に底面12.2に折り返すこともできる。
【0072】
シールド部品の貫通手段及びピン部品の貫通手段(存在する場合)は、電気コネクタと薄い支持体との間にアンテナをクランプして、シールドと接地部品との間の電気的接続を保証し、ピンと放射部品との間の電気的接続を保証することを可能にする。
【0073】
いくつかの実施形態では、支持体を通過したそのような部分1035は、システムの機械的強度を保証するために、薄い支持体の貫通部とは反対側の表面に曲げることができる。一部が曲げられても、シールド部品の貫通手段及びピン部品の貫通手段は、脚部と同一平面上にない。
【0074】
本発明によれば、脚部は、長方形、三角形又は任意の多角形の形状を有することができ、アンテナ及び薄い支持体と相互作用する接触面は、0.1mm~約10cmであり得る。
【0075】
ブリッジは、逆U字形状、階段形状又は長方形状などの概略形状を有し得、ブリッジの幅は、0.1mm~約10cmであり、高さは、0.1mm~約10cmである。脚部及びブリッジの厚さは、0.1mm~2cmである。好ましくは、厚さは、最大で5mmである。
【0076】
いくつかの実施形態では、脚部は、1.5mm×3mmの長方形状を有し得、ブリッジの高さは、1.5mmであり得る。
【0077】
本発明によれば、電気コネクタが薄い支持体に取り付けられ、したがって、シールド部品の脚部は、薄い支持体の一部301、302及びアンテナに機械的に取り付けられる。同時に、シールド部品のブリッジは、同軸ケーブルのシールド部品を薄い支持体上のアンテナ部品に押し当てる。したがって、同軸ケーブルのシールド部品122とアンテナ10との電気的接触10.1は、シールド部品とアンテナ部品との直接接触を介して且つシールド部品のブリッジ及び脚部が導電性である場合には導電性電気コネクタのシールド部品のブリッジ及び脚部を介して確立される。
【0078】
同様に、本発明によるいくつかの実施形態では、ピン部品の脚部は、薄い支持体及びアンテナの別の部分401、402、403、404に機械的に取り付けられ、ピン部品のブリッジは、同軸ケーブルのピンを薄い支持体上の別のアンテナ部品11とクリップする。したがって、アンテナ11と同軸ケーブルのピン124との電気的接触11.1は、それらの直接接触を介して且つピン部品の脚部及びブリッジが導電性である場合には導電性電気コネクタのピン部品のブリッジ及び脚部を介して確立される。
【0079】
いくつかの実施形態では、ピン部品及びシールド部品のいずれかの2つの脚部は、同じ形状を有するか又は異なる形状を有し得る。
【0080】
好ましくは、シールド部品の2つの脚部は、ケーブルの安定性を保つために、好ましくは同じ形状及び寸法を有する。さらに、2つの脚部に関して形状及び寸法が同じであるとき、電気的接触は、接続の両側でバランスを取られ、これはアンテナの性能をさらに改良する。いくつかの実施形態では、バラン構造が使用される場合又はコプレーナ導波路構造が存在する場合などがある。近年、脚部の対称性は、脚部を薄い支持体にクランプ固定するためのツールの設計及び操作/操縦において利点をもたらし得る。
【0081】
好ましくは、ピン部品の2つの脚部は、ケーブルの安定性を保つために、好ましくは同じ形状及び寸法を有する。さらに、2つの脚部に関して形状及び寸法が同じであるとき、電気的接触は、接続の両側でバランスを取られ、これはアンテナの性能をさらに改良する。いくつかの実施形態では、バラン構造が使用される場合又はコプレーナ導波路構造が存在する場合などがある。近年、脚部の対称性は、脚部を薄い支持体にクランプ固定するためのツールの設計及び操作/操縦において利点をもたらし得る。
【0082】
本発明によれば、図2に示されるように、シールド部品は、シールド122をアンテナ10にクランプして、シールド122とアンテナ10との間に接触領域10.1を形成し、シールド122をアンテナ10に電気的に接続する。ピン部品は、ピン124をアンテナ11にクランプして、ピン124とアンテナ11との間に接触領域11.1を形成し、シールド124をアンテナ11に電気的に接続する。
【0083】
したがって、シールド部品及び/又はピン部品は、導電性材料又は非導電性材料から作ることができ、はんだ付け又は導電性接着剤と比較して安価で簡単な代替解決策をもたらし、同軸ケーブルとアンテナとの電気的接続は、ケーブルの一部分をアンテナにクランプすることによって実現されるシールドとアンテナとの物理的接触によって行われ、非導電性材料の使用を可能にする。
【0084】
いくつかの好ましい実施形態では、シールド部品及び/又はピン部品は、導電性材料を含む。好ましくは、導電性材料が少なくとも表面にある。
【0085】
シールド部品の貫通手段及び/又はピン部品の貫通手段は、めっきされた導体又は非プラスチックベースの材料から作ることができるか又は導電性ベースの材料から作ることができ、そのような材料は、例えば、アルミニウム、銅合金、ベリリウム銅、リン青銅、真鍮、金、ニッケル及びニッケル基合金、銀又はニッケルめっきステンレス鋼又は導体として機能するのに適していると共に薄い支持体を貫通することが可能な任意の導電性材料である。ピン部品の貫通手段は、導電性及び/又は機械的抵抗を改良するためにコーティング又は表面処理することもできる。
【0086】
いくつかの他の好ましい実施形態では、シールド部品及び/又はピン部品は、同軸ケーブルを介したアンテナによるEM信号の伝送における寄生電流を最小限に抑えるために非導電性材料から作られる。好ましくは、非導電性材料が少なくとも表面にある。
【0087】
いくつかの実施形態では、電気コネクタを容易に取り扱うことができるように、電気コネクタは、シールド部品101とピン部品201とを一緒に維持するための維持手段(図示せず)をさらに含むことができる。維持手段は、シールド部品からピン部品までの少なくとも1つのバーを含むことができる。この少なくとも1つのバーは、シールド部品の脚部103、102及びピン部品のそれぞれ対応する脚部203、202に固定することができる。この要素は、シールド部品のブリッジ104及びピン部品のブリッジ204に固定することができる。維持手段は、シールド部品101とピン部品201との間に固定されたプレートであり得る。
【0088】
維持手段は、そこに固定されるシールド部品の一部及びピン部品の一部が導電性材料から形成されている場合を除き、シールド部品及びピン部品を維持することができる任意の材料から形成することができる。そのような場合、維持手段は、非導電性材料から作られる。そのような非導電性材料は、シリコンベース、エポキシベース、アクリレートベース、PU、ABS、PC-ABS、HDPEなどの熱可塑材ベースであり得る。
【0089】
シールド部品の貫通手段は、薄い支持体に配設されたアンテナ及び薄い支持体を貫通することもできることを理解されたい。
【0090】
本発明によるいくつかの実施形態では、シールド部品の貫通手段は、誘電体基板に直接固定される。そのような実施形態では、シールド部品の貫通手段は、好ましくは、非導電性である。アンテナの電気的接続は、アンテナとシールド及びピンとの物理的接触によって確立される。
【0091】
いくつかの実施形態では、シールド部品の少なくとも1つの脚部の各々は、シールド部品の貫通手段を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、シールド部品の貫通手段は、少なくとも1つの薄い支持体を貫通するために突起部を含む。より好ましくは、シールド部品の貫通手段は、少なくとも1つの薄い支持体への貫通を容易にするために複数の突起部を含む。
【0093】
シールド部品の貫通手段は、略三角形状、フック形状、歯形状又は少なくとも1つの薄い支持体を貫通することができる、より好ましくは薄い支持体と薄い支持体に配設されたアンテナとを貫通することができる任意の形状であり得る。シールド部品の貫通手段の側部の少なくとも一部は、貫通を容易にするために鋭利にすることができる。
【0094】
本発明によれば、シールド部品の貫通手段は、幅がサブミリメートル(0.1mm)~10cmの範囲、高さが0.1mm~10cmの範囲である寸法を有することができる。この寸法は、アンテナの所要の動作周波数及びアンテナへの電気接続点のサイズに適合させることもできる。
【0095】
ピン部品の貫通手段も、薄い支持体に配設されたアンテナ及び薄い支持体を貫通することができることを理解されたい。
【0096】
いくつかの実施形態では、ピン部品の少なくとも1つの脚部の各々は、ピン部品の貫通手段を有する。
【0097】
本発明によるいくつかの実施形態では、ピン部品の貫通手段は、誘電体基板に直接固定される。そのような実施形態では、ピン部品の貫通手段は、好ましくは非導電性である。アンテナの電気的接続は、シールド及びピンを介したアンテナと同軸ケーブルとの物理的接触によって確立される。
【0098】
いくつかの実施形態では、ピン部品の2つの脚部は、薄い支持体12を貫通する少なくともピン部品の貫通手段2031、2032、2021、2022を含む。少なくともピン部品の貫通手段2031、2032、2021、2022と、ピン部品の2つの脚部とは、同一平面上にない。
【0099】
ピン部品の貫通手段は、薄い支持体を完全に貫通し、貫通部とは反対側の面、すなわち底面12.2から出る少なくとも1つの部分2035を有する。そのような部分2035は、電気コネクタが引き抜かれるのを防ぐためにノッチ又はフック形状を有することができる。この部分2035は、底面12.2を貫通した後に底面12.2に折り返すこともできる。
【0100】
ピン部品の貫通手段は、略三角形状、カットされたコーナーを有する若しくは有さない、ノッチを有する若しくは有さない形状、フック形状、歯形状又は少なくとも1つの薄い支持体を貫通することができる、より好ましくは薄い支持体と薄い支持体に配設されたアンテナとを貫通することができる任意の形状であり得る。シールド部品の貫通手段の側部の少なくとも一部は、貫通を容易にするために鋭利にすることができる。
【0101】
本発明によれば、ピン部品の貫通手段は、幅がサブミリメートル(0.1mm)~10cmの範囲、高さが0.1mm~10cmの範囲である寸法を有することができる。この寸法は、アンテナの所要の動作周波数及びアンテナへの電気接続点のサイズに適合させることもできる。
【0102】
図6に示されるように、本発明によるいくつかの実施形態では、シールド部品101は、1つの脚部103及びブリッジ104を含む。ピン部品201は、1つの脚部203及びブリッジ204を含む。
【0103】
そのような実施形態では、同軸ケーブル120は、ブリッジ104、204とアンテナ10、11との間に維持される。
【0104】
好ましくは、いくつかの好ましい実施形態では、シールド部品101のブリッジ104は、シールド122の一部をクランプすることができる。材料は、好ましくは、シールド122とアンテナ10との電気的接続を改良するために導電性である。ピン部品201のブリッジ204は、ピン124の一部をクランプすることができる。材料は、好ましくは、ピン124とアンテナ11との電気的接続を改良するために導電性である。
【0105】
本発明によれば、シールド部品の脚部とピン部品の脚部とは、同軸ケーブルの同じ側にあるか又は同軸ケーブルの反対側にあり得る。
【0106】
本発明によれば、電気コネクタのシールド部品とピン部品とは、構造及び機能の面でほぼ同じであるが、異なる実施形態では構造及び/又は機能が異なることもあり、すなわち、上記の実施形態で直接開示されていなくても、シールド部品及び/又はシールド部品の貫通手段に関連する任意の実施形態を、ピン部品及び/又はピン部品の貫通手段にも適用することができることを理解されたい。例えば、一実施形態におけるフック形状のシールド部品の貫通手段の開示は、同じ又は他の実施形態では、ピン部品の貫通手段がフック形状であり得るとも理解すべきである。
【0107】
本発明は、アンテナシステムの設置が困難であった場所にアンテナシステムを設置するための、本発明の第2の態様による、少なくとも1つのアンテナシステム、特にマルチバンドアンテナを含む車両にも関する。
【0108】
このシステムは、薄い支持体に配設されたアンテナ、特に広帯域アンテナを設置する必要がある任意の他の場所に設置することができる。アンテナシステムは、ガラスパネルの表面、例えばフロントガラス、サイドライト、ルーフ、車両のプラスチック部分のバックライト、例えばスポイラ、Bピラー、バンパーなどに配置することができる。アンテナシステムは、そのような要素の前に配置して、システムをその表面に直接固定することを避けることもできる。
【0109】
一実施形態は、本発明の第1の態様による、誘電体要素123によって分離され、且つ絶縁層121によって保護されたピン124及びシールド122を含む同軸ケーブル120を、薄い支持体に配設されたアンテナに電気コネクタで接続する方法を提供して、本発明の第2の態様によるアンテナシステムを作成する。
【0110】
本方法は、アンテナの上に同軸ケーブルを位置決めし、特にアンテナ10の第1の部分の上にシールドを位置決めし、アンテナ11の第2の部分の上にピンを位置決めする位置決めステップを含む。
【0111】
本方法は、薄い支持体を通して少なくともシールド部品の貫通手段を押圧してシールド部品のブリッジとアンテナとの間にシールドをクランプして、シールドをアンテナに電気的に接続する押圧ステップを含む。
【0112】
同軸ケーブルのピンは、アンテナの第2の部分にはんだ付けすることができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、電気コネクタは、少なくとも脚部を含むピン部品を含み、ピン部品の少なくとも1つの脚部は、薄い支持体を貫通する少なくともピン部品の貫通手段(113)を含み、本方法は、薄い支持体を通して少なくともピン部品の貫通手段を押圧してピン部品のブリッジとアンテナとの間にピンをクランプして、ピンをアンテナに電気的に接続するステップをさらに含む。
【0114】
ピン部品の貫通手段が存在する場合、本方法は、薄い支持体を通してピン部品の貫通手段を押圧して、ピン部品のブリッジとアンテナとの間にピンをクランプし、且つピンをアンテナに電気的に接続する第2の押圧ステップを含むこともできることを理解されたい。
【0115】
押圧ステップは、他の押圧ステップと同時に又はその前に行うことができることを理解されたい。好ましくは、シールド部品の貫通手段の押圧ステップは、ピン部品の貫通手段の押圧ステップの前に又は同時に行われる。
【0116】
図5に示されるように、シールド部品の貫通手段の押圧ステップにより、シールド部品の貫通手段が薄い支持体、最終的にアンテナに穿孔(301、302)して、クランプによってアンテナと同軸ケーブルのシールドとの電気的接続を確立することができるようになる。ピン部品の貫通手段の押圧ステップにより、ピン部品の貫通手段が薄い支持体、最終的にアンテナに穿孔(401、402、403、404)して、クランプによってアンテナと同軸ケーブルのシールドとの電気的接続を確立することができるようになる。
【0117】
本方法は、貫通部とは反対側の面から出る、支持体を貫通しているシールド部品の貫通手段の部分1035を曲げるための曲げステップを含むことができる。このステップは、対応する押圧ステップ中又は押圧ステップ後に行うことができる。
【0118】
本方法は、薄い支持体の貫通部とは反対側の面から出る、支持体を貫通しているピン部品の貫通手段の部分2035を曲げるための曲げステップを含むことができる。このステップは、対応する押圧ステップ中又は押圧ステップ後に行うことができる。
【0119】
本方法は、同軸ケーブルを薄い支持体に確実に固定し、電気的接続を保証し、腐食の問題を軽減し、同時に脱落のリスクも低減するために、押圧ステップ及び曲げステップの後に、アンテナの上に少なくとも電気コネクタをオーバーモールドするオーバーモールディングステップを含むことができる。このステップは、2つの成形部品を有する金型にシステムを配置するサブステップ、これら2つの成形部品を閉じて、システムの周囲に閉空間を形成するサブステップ及び閉空間にプラスチックベースの材料を射出して、システムの少なくとも一部の上、好ましくは少なくとも一部の上にオーバーモールド要素を形成するサブステップを含む。
【0120】
オーバーモールド部品は、経年劣化の問題を軽減し、システムの気密性を高めると共に脱落の問題を軽減することを可能にする。
【0121】
プラスチックベースの材料は、熱可塑性材料、ポリウレタン(PU)、ポリアミド、アクリル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ゴム(TPR)、エポキシ、アクリル樹脂又は金型に射出すべき任意の適切な材料であり得る。温度、圧力は、特定の実施形態に適合させることができる。
【0122】
一実施形態は、ユーザ又は車両がその環境と通信できるようにするための、第2の態様によるシステムの使用を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】