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特表2024-540178修飾アルギン酸塩、ならびにその製造方法および使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】修飾アルギン酸塩、ならびにその製造方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/04 20060101AFI20241024BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20241024BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C08B37/04
A61K47/61
A61K47/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525639
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 US2022078944
(87)【国際公開番号】W WO2023077112
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/272,975
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/288,906
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517366013
【氏名又は名称】ノース カロライナ ステート ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】NORTH CAROLINA STATE UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ブルドノ,エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】ムーディー,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C090
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076BB15
4C076CC29
4C076EE36
4C076EE59
4C076FF32
4C090AA02
4C090AA05
4C090AA09
4C090BA73
4C090BD12
4C090CA35
4C090DA10
4C090DA23
4C090DA24
(57)【要約】
高度に置換されたアルギン酸塩スカフォールドにおける架橋能の損失は、インプラント、細胞送達、および組織工学におけるアルギン酸塩ポリマーの使用に影響を及ぼす重要な問題である。開示されているのは、高度な化学修飾下でもゲル化特性を保持する修飾アルギン酸塩スカフォールド、ならびに、その製造方法および使用方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで定義される1つ以上の共有結合的修飾モノマーを含む修飾アルギン酸塩であって、
【化1】

式中:
Xは、O、S、またはNRであり;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、または複素環アルキルであり;
およびLは、それぞれ独立して存在しないか、または連結基を表し;
Aは、官能性部分を表し;
およびYは、独立して水素もしくは-PO(OR)であり、またはYは存在せず、Yは、YおよびYが結合している前記2つの酸素原子とともに、以下に示すような環状構造を形成し、
【化2】

式中、
およびRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環アルキル、アルコキシ、アロキシ、アルキルチオ、カルボニル、カルボキシル、アミノ、もしくはアミドであり;または、RおよびRは、それらが結合している前記炭素原子とともに、3員~8員の非置換もしくは置換の炭素環式環もしくは複素環式環を形成する、修飾アルギン酸塩。
【請求項2】
前記修飾アルギン酸塩は、単一修飾アルギン酸塩ポリマーを含む、請求項1に記載の修飾アルギン酸塩。
【請求項3】
およびYはともにHである、請求項1~2のいずれかに記載の修飾アルギン酸塩。
【請求項4】
XはNHである、請求項1~3のいずれかに記載の修飾アルギン酸塩。
【請求項5】
Aはクリックモチーフを含む、請求項1~4のいずれかに記載の修飾アルギン酸塩。
【請求項6】
前記クリックモチーフは、アジド、ホスフィン、シクロオクテン(例えば、トランスシクロオクテン(TCO))、ノルボルネン(NOR)、テトラジン(Tz)、アルキン、シクロオクチン(ジベンゾシクロオクチン(DBCO)など)、またはクアドリシクランを含む、請求項5に記載の修飾アルギン酸塩。
【請求項7】
Aは活性剤を含む、請求項1~4のいずれかに記載の修飾アルギン酸塩。
【請求項8】
活性剤は、治療剤、予防剤、診断剤、またはそれらの組合せを含む、請求項7に記載の修飾アルギン酸塩。
【請求項9】
は存在しない、請求項1~8のいずれかに記載の修飾アルギン酸塩。
【請求項10】
はC1-4アルキル基を含む、請求項1~8のいずれかに記載の修飾アルギン酸塩。
【請求項11】
は存在しない、請求項1~10のいずれかに記載の修飾アルギン酸塩。
【請求項12】
は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアリール基、アルキルヘテロアリール基、アルキルシクロアルキル基、アルキル複素環アルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、またはポリアミノ基を含む、請求項1~10のいずれかに記載の修飾アルギン酸塩。
【請求項13】
Ca2+、Mg2+、および/またはBa2+などの2価の陽イオンで架橋された請求項1~12のいずれかによって定義される修飾アルギン酸塩を含む、ヒドロゲルマトリックスまたはスカフォールド。
【請求項14】
請求項1~12のいずれかによって定義される修飾アルギン酸塩を、前記修飾アルギン酸塩中に存在する前記官能性部分と相補的で反応性の第2の官能性部分を含む活性剤と、前記第2の官能性部分が前記修飾アルギン酸塩中に存在する前記官能性部分と反応して共有結合を形成するのに有効な条件下で接触させ、前記活性剤を前記アルギン酸塩骨格に共有結合させることを含む、アルギン酸塩骨格を活性剤で誘導体化する方法。
【請求項15】
前記活性剤は、治療剤、予防剤、診断剤、またはそれらの組合せを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
リンカーを介して官能性部分に結合されたアルギン酸塩ストランドを含む置換アルギン酸塩ストランドであって、前記リンカーは求核末端および前記求核末端のカルボキシル基を含み、前記求核末端は、前記アルギン酸塩ストランド上のカルボキシル基に結合されている、置換アルギン酸塩ストランド。
【請求項17】
前記官能性部分は、アジド、テトラジン、アルキン、シクロオクチン、シクロオセテン、ノルボルネン、トリアゾール、トリアゾール-チオモルホリンジオキシド、インテグリン結合ペプチド、コラーゲン模倣ペプチド、ヒドラジド、アルデヒド、免疫調節因子、血管新生促進因子、または細胞シグナル伝達因子を含む、請求項16に記載の置換アルギン酸塩ストランド。
【請求項18】
前記リンカーは、アミン、アルコール、チオール、ヒドラジン、ヒドラジドなどの求核基を含む、請求項16または17に記載の置換アルギン酸塩ストランド。
【請求項19】
カルシウム架橋を介して他のアルギン酸塩ポリマースタンドに架橋された、請求項16~18のいずれかに記載の置換アルギン酸塩ストランドのポリマーストランドを含むヒドロゲルマトリックスまたはスカフォールド。
【請求項20】
カルボジイミドカップリングを介してアルギン酸塩ストランドを官能性部分にカップリングする方法であって、前記方法は、前記官能性部分を、リンカーに結合した求核基、アミノ基およびカルボキシル基を含む前記リンカーにコンジュゲートさせることを含み;前記官能性部分は、前記リンカーに化学的に結合され;ならびに、カルボジイミドカップリングを介して前記リンカーの前記アミノ末端を前記アルギン酸塩ストランドにカップリングし;前記修飾は、高度に置換されたアルギン酸塩の合成を可能にし;前記置換は、ゲルの完全性を破壊しない、方法。
【請求項21】
前記官能性部分は、アジド、テトラジン、アルキン、シクロオクチン、シクロオセテン、ノルボルネン、トリアゾール、トリアゾール-チオモルホリンジオキシド、インテグリン結合ペプチド、コラーゲン模倣ペプチド、ヒドラジド、アルデヒド、免疫調節因子、血管新生促進因子、または細胞シグナル伝達因子を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記求核剤は、アミン、ヒドラジド、ヒドラジン、アルコール、チオールを含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記リンカーの前記求核末端は保護基を含み;前記求核末端は、前記アルギン酸塩ストランドに結合される前に脱保護される、請求項20~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記保護基は、tert-ブチルオキシカルボニル、α-boc、p-メトキシベンジルカルボニル、カルボベンジルオキシ、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、カルバメート、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベニル、p-メトキシフィル、トリクロロエチルクロロホルメート、またはトシルを含む、請求項20~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記リンカーの前記カルボキシル基は保護基を含み;前記カルボキシ末端は前記アルギン酸塩ストランドへのカップリング後に脱保護される、請求項20~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記保護基は、メチル、エチル、t-ブチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、s-ブチル、2-アルキル-1,3-オキサゾリン、OBO、シリル、感光性基を含む、請求項20~25のいずれかに記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2021年10月28日に出願された米国仮出願第63/272,975号および2021年12月13日に出願された米国仮出願第63/288,906号の利益を主張するものであり、これらの各出願は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔連邦政府後援の研究または開発に関する声明〕
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって授与された助成金番号CA246414による政府支援を受けて行われたものである。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【0003】
〔背景〕
ハイドロゲル生体材料は、その安定性、調整可能な力学的性質および分解プロファイル、ならびに周辺組織との生体適合性により、生物医学的応用において有用である。ハイドロゲル生体材料の臨床応用および前臨床応用には、組織工学的構築物、薬物および細胞送達のためのデポ、ならびに生物学的プロセスの研究に用いられる細胞スカフォールドが含まれる。
【0004】
ハイドロゲルの中でもアルギン酸塩は、中性の生理的条件下でゲル化し、組織部位で良好な生体適合性を示し、かつ化学的汎用性が広いことから、急速に注目を集めている。アルギン酸塩のゲル化は、アルギン酸塩のカルボキシル基と2価の陽イオンとのイオン架橋を利用する。カルシウム架橋ハイドロゲルは注射可能で自己修復性があり、組織への注射が容易である。生体内では、カルシウム架橋アルギン酸塩ハイドロゲルは、低レベルの異物反応を引き起こし、毒性は非常に低く、免疫原性は限られている。さらに、アルギン酸塩は、FDAによって一般的に安全と認められている(GRAS)。アルギン酸塩は、前臨床試験において薬物、生物学的物質、ウイルスおよび細胞の送達、ならびに、臨床において栄養補助食品、創傷被覆材、シーラント剤および注射用インプラントとして利用されている。
【0005】
アルギン酸塩の化学的多様性は、アルギン酸塩の生体適合性を利用しようとする研究者にとって特に興味深いものである。アルギン酸塩の化学修飾は、制御可能で可変な薬物送達のための低分子、ならびに細胞接着およびシグナル伝達を媒介するためのペプチドおよびタンパク質によってアルギン酸塩ポリマーを装飾するために用いられてきた。さらに最近では、アルギン酸塩架橋を促進または可能にしたり、ポリマー修飾を迅速化したり、標的薬物デポを作製するために、アルギン酸塩ポリマーに生体直交性の「クリック」化学モチーフをコンジュゲートさせている。
【0006】
アルギン酸塩は化学修飾が容易であるが、修飾には望ましくない複雑さが伴う。ほとんどの場合、アルギン酸塩ポリマーはアルギン酸塩上のカルボキシル基と求核剤(アルコール、アミンなど)との間のカルボジイミドカップリングによって修飾される。残念ながら、この化学修飾はポリマーの粘度を低下させ、ゲル化を抑制する。実際、高置換度(DS)に修飾されたアルギン酸塩ハイドロゲルは、カルシウム架橋が不十分であったり、存在しなかったりする。必要とされているのは、アルギン酸塩を高DSで修飾する際に、現在経験されている欠点に悩まされない、アルギン酸塩を修飾する新しい方法である。
【0007】
〔概要〕
開示されているのは、高置換度のアルギン酸塩ストランドおよびその製造方法である。
【0008】
本明細書で開示される1つの態様では、リンカーを介して官能性部分(例えば、クリックモチーフ、例えば、アジドなど)に結合されたアルギン酸塩ストランドを含む置換アルギン酸塩ストランドであって、前記リンカーは、求核末端(例えば、アミノ、アルコール、チオールなど)およびさらに前記リンカーに結合されたカルボキシル基を含み;前記求核末端は前記アルギン酸塩ストランド上のカルボキシル基に結合されている、置換アルギン酸塩ストランドが開示される。いくつかの態様では、前記置換アルギン酸塩ストランドは、ポリマーストランドを形成し得る。
【0009】
1つの態様では、本明細書において開示されるのは、カルボジイミドカップリングを介してアルギン酸塩ストランドを官能性部分(例えば、クリックモチーフ、例えば、アジドなど)にカップリングする方法であって、前記方法は、前記官能性部分を、求核末端および前記リンカーの前記求核末端のカルボキシル基(アミン、アルコール、チオールなど)を含むリンカーにコンジュゲートさせることを含み;前記官能性部分は、前記求核末端と反対側の末端で前記リンカーに化学的に結合され;カルボジイミドカップリングを介して前記リンカーの前記求核末端を前記アルギン酸塩ストランドにカップリングさせ;前記修飾は、高度に置換されたアルギン酸塩の合成を可能にし;前記置換は、前記ゲルの完全性を破壊しない、方法である。
【0010】
また、本明細書において開示されるのは、アルギン酸塩ストランドを先行する任意の態様の官能性部分(例えば、クリックモチーフ、例えば、アジドなど)にカップリングする方法であって、前記リンカーの前記求核末端は保護基(例えば、メチル、エチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、s-ブチル、2-アルキル-1,3-オキサゾリン、OBO、シリル、感光性基プロピル、tert-ブチル、およびNVOCなど)を含み;前記求核末端は、前記アルギン酸塩ストランド上の糖に結合される前に脱保護される、方法である。
【0011】
また、本明細書において開示されるのは、アルギン酸塩ストランドを任意の先行する態様の官能性部分にカップリングする方法であって、前記リンカー上の前記カルボキシル基は、保護基(例えば、メチル、エチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、s-ブチル、2-アルキル-1,3-オキサゾリン、OBO、シリル、感光性基プロピル、tert-ブチル、およびNVOCなど)で修飾され;前記カルボキシル基は、前記アルギン酸塩ストランドへのカップリング後に脱保護され得る、方法である。
【0012】
また、式Iで定義される1つ以上の共有結合的修飾モノマーを含む修飾アルギン酸塩を開示する。
【0013】
【化1】
【0014】
式中:
Xは、O、S、またはNRであり;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、または複素環アルキルであり;
およびLは、それぞれ独立して存在しないか、または連結基を表し;
Aは、官能性部分(例えば、クリックモチーフまたは活性剤)を表し;
およびYは、独立して水素もしくは-PO(OR)であり、またはYは存在せず、Yは、YおよびYが結合している前記2つの酸素原子とともに、以下に示すような環状構造を形成し、
【0015】
【化2】
【0016】
式中、
およびRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環アルキル、アルコキシ、アロキシ、アルキルチオ、カルボニル、カルボキシル、アミノ、もしくはアミドであり;または、RおよびRは、それらが結合している前記炭素原子とともに、3員~8員の非置換もしくは置換の炭素環式環もしくは複素環式環を形成する。
【0017】
また、本明細書において開示されるのは、先行する任意の態様の前記置換アルギン酸塩ストランドまたは先行する任意の態様の前記修飾アルギン酸塩のポリマー鎖を含むヒドロゲルマトリックスまたはスカフォールドであり、前記ポリマー鎖は、2価金属陽イオンを介して(例えば、カルシウム架橋を介して)他のアルギン酸塩ポリマースタンドに架橋されている、ヒドロゲルマトリックスまたはスカフォールドである。
【0018】
〔図面の簡単な説明〕
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであり、いくつかの実施形態を示し、本明細書とともに開示される組成物および方法を説明する。
【0019】
図1Aは、枯渇性アルギン酸塩修飾および修復性アルギン酸塩修飾の概要を示している。アルギン酸塩はカルボキシル基(赤色)を介して化学基(青色)で修飾され得る。アルギン酸塩はカルボキシル基を枯渇させ、カルシウム架橋を破壊する。対照的に、修飾によってカルボキシル基が修復されれば、アルギン酸塩ゲルはカルシウム架橋およびゲル化を維持する。
【0020】
図1Bは、従来の非修飾アルギン酸塩ゲルにおいて起こる架橋を表したものである。
【0021】
図1Cは、アルギン酸塩架橋に対する修飾の効果を示している。
【0022】
図1Dは、新しいカルボン酸基を導入する本発明の解決策と、架橋に対する前記基の効果とを示している。
【0023】
図2は、(S)-2-アンモニオ-6-(2-アジドアセトアミド)ヘキサノエート(S4)の合成法を示している。
【0024】
図3は、アジドアミン(枯渇性修飾)およびアジドリジン(修復性修飾)のアルギン酸塩へのカップリングを示している。
【0025】
図4A、4B、4Cおよび4Dは、高置換度での修復性修飾がアルギン酸塩ゲルの力学的性質を維持することを示している。図4Aは、低DSおよび高DSのアジドでの枯渇性修飾および修復性修飾を用いたカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルの写真を示している。図4Bは、粘弾性挙動を示す修復性修飾を施したカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルの代表的な歪み掃引(線形限界γ=24%)を示している。各ゲルのN=3、ならびにカルボキシル枯渇および非修飾のハイドロゲルは図5に示され得る。線形限界のプラトー値を選択するために、偏差の±5%許容範囲を使用した。図4Cは、LVE領域内の代表的な周波数掃引[1-100Hz]を示し、高DS修復アジドアルギン酸塩および高DS枯渇アジドアルギン酸塩によって修飾したカルシウム架橋ゲルのゲル状挙動および構造安定性を示している。貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)の測定値を示す。各ゲルのN=3および低DSゲルの力学的性質は図6に示され得る。図4Dは、高歪み[500%]に続いて低歪み[0.2%](周波数=10Hz)を加えるという変形を繰り返した後の回復によって示される、修復性修飾を伴うカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルの自己修復挙動を示す繰り返し歪み時間掃引レオロジーを示している。各ゲルタイプのN=3、ならびに非修飾ゲルおよびカルボキシル枯渇ゲルを図8に示している。
【0026】
図5A、5Bおよび5Cは、(5A)修復性修飾(N=3)γL-RM=26%、(5B)枯渇性修飾(N=3)、および(5C)非修飾(N=2)γL-対照=5%を用いて、カルシウム架橋アルギン酸塩ゲルの10Hz歪み掃引によって示される粘弾性特性および線形限界を示している。線形限界のプラトー値を選択するために、偏差の±5%許容範囲を使用した。
【0027】
図6Aおよび6Bは、ゲル状の状態および構造安定性を示すカルシウム架橋ゲルの周波数掃引[1-100Hz]を示している。貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)の測定値を示す。図6Aは、低DSゲルおよび非修飾ゲルを含む各ゲルグループからの1つの試料を示している。図6Bは、示した全てのゲルグループの全ての試料を示している。N=3。
【0028】
図7は、非修飾アルギン酸塩(N=2)および修復性修飾を用いた高置換度アルギン酸塩(N=3)の注射性を示す回転試験である。ゲルの連続流動挙動を調べるために、50s-1から0s-1までの連続せん断速度ランプを2.5分間行った。10ごとに20データ点、合計74データ点を記録した。
【0029】
図8A、8Bおよび8Cは、10Hzで高歪み[500%]を加え、続いて低歪み[0.2%]を加えるという変形を繰り返した後の回復によって示されるカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルの自己修復挙動を示している。図8Aは、修復性修飾および枯渇性修飾を用いた高アジドDSを有するカルシウム架橋アルギン酸塩を示している。N=3。図8Bは、修復性修飾および枯渇性修飾を用いた高DSおよび低DSでのカルシウム架橋アルギン酸塩の1つの試料を示している。N=1。図8Cは、カルシウム架橋非修飾アルギン酸塩を示している。N=1。
【0030】
図9A、9B、9C、9Dおよび9Eは、修復性アジド修飾を施したカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルが標的外ゲル移動を減少させることを示している。図9Aは、代表的な画像(同じBLIスケール)を示し、図9Bは、カルボキシル枯渇性修飾またはカルボキシル修復性修飾に蛍光コンジュゲートしたアルギン酸塩ハイドロゲルを2週間かけて筋肉内に注射した後の蛍光シグナルの定量を示している。蛍光色素をコンジュゲートさせていない非修飾アルギン酸塩を陰性対照とした。図9Cは、定量化された標的外移動の代表的な位置を示している。2週間にわたる非注射対側肢(9D)および足首(9E)での蛍光シグナルの定量。関心領域(ROI)の値は、同等の大きさの領域における総放射輝度効率として定量化した。図は平均値±SEMを示している。統計的有意性は、陰性対照と比較して、二元配置分散分析(ANOVA)後にTukeyの多重比較検定を行い、***p<0.001、および****p<0.0001として表した。N=4。全てのマウスの全ての画像は図10に示されている。
【0031】
図10は、修復性アジド修飾を施したカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルが、修飾を施していないアルギン酸塩ゲルと比較して、注射部位での保持を改善することを示している。カルボン酸枯渇性修飾またはカルボン酸修復性修飾に蛍光コンジュゲートさせたアルギン酸塩ハイドロゲルを2週間にわたって筋肉内注射した後の蛍光シグナルを示す全てのマウス画像。蛍光色素をコンジュゲートさせていない非修飾アルギン酸塩を陰性対照とした。各々の群の画像を同じスケールで示す。全ての蛍光シグナルは、ICG/ICGフィルターを用いて測定され、放射輝度効率として示された。N=4。
【0032】
図11Aおよび11Bは、修復性アジド修飾が循環するDBCO蛍光色素の標的捕捉を改善することを示している。図11Aは、代表的な画像(同じBLIスケール)を示し、図11Bは、カルシウムで架橋されたアルギン酸塩ハイドロゲルを筋肉内注射してからの筋肉内部位での蛍光の定量を示している。DBCO-Cy7はゲル注射の1週間後に静脈内投与した。静脈内投与から1週間後、注射部位での蛍光シグナルの捕捉を比較するためにマウスを撮像した。ROIの値は、同等の大きさの領域における総放射輝度効率として定量化した。試料は平均値±SEMを示す。統計的有意性は、全ての群について一元配置分散分析(ANOVA)後にTukeyの多重比較検定を行い、**p<0.01、および****p<0.0001として表した。N=3。
【0033】
〔詳細説明〕
本化合物、本組成物、本成形品、本デバイスおよび/または本方法が開示および記載される前に、それらは、特に指定されない限り、特定の合成方法または特定の組換えバイオテクノロジー方法に限定されないこと、あるいは、特に指定されない限り、特定の試薬に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することを目的としており、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0034】
〔定義〕
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の参照語を含む。したがって、例えば、「医薬担体」への言及は、2つ以上のそのような担体の混合物などを含む。
【0035】
本明細書において、範囲は、「約」ある特定の値から、および/または「約」もう1つの特定の値までとして表現することができる。このような範囲が表現される場合、もう1つの実施形態には、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までが含まれる。同様に、値が近似値として表現される場合、先行詞「約」の使用によって、特定の値がもう1つの実施形態を形成することが理解されるであろう。さらに、各範囲の端点は、他の端点との関係においても、他の端点とは無関係に有意であることが理解されよう。また、本明細書で開示される値は多数あり、各値は、本明細書では、値そのものに加えて、その特定の値「について」開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。また、当業者によって適切に理解されるように、値が開示されている場合、「その値以下」、「その値以上」、および値の間の可能な範囲も開示されていることが理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「10以上」だけでなく「10以下」も開示されている。また、本願全体を通じて、データは多数の異なるフォーマットで提供され、このデータは、終点および始点、ならびにデータ点の任意の組み合わせの範囲を表すことが理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点15が開示されている場合、10と15との間だけでなく、10より大きい、10以上、10より小さい、10以下、10および15の間が開示されていると見なされることが理解される。また、2つの特定の単位の間の各単位も開示されていると理解される。例えば、10および15が開示されている場合、11、12、13、および14も開示されている。
【0036】
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲において、以下の意味を有すると定義される多数の用語が参照される:
「任意の」または「任意に」とは、その後に記述される事象または状況が行われてもよく、行われなくてもよく、その記述には前記事象または状況が行われる例と行われない例とが含まれることを意味する。
【0037】
「増加」とは、症状、疾患、組成、状態、または活動の量がより多くなる任意の変化を指すことができる。増加は、統計的に有意な量の、状態、症状、活性、組成における、個々、中央値、または平均値の増加であり得る。したがって、増加は、その増加が統計的に有意である限り、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の増加であり得る。
【0038】
「減少」とは、症状、疾患、組成、状態、または活性の量がより少なくなる任意の変化を指すことができる。また、ある物質が遺伝子の遺伝的産生を減少させるとは、その物質が存在する遺伝子産物の遺伝的産生が、その物質が存在しない遺伝子産物の産生と比較して少ない場合をいう。また、例えば、減少とは、以前に観察された症状より少なくなるような障害の症状の変化であり得る。減少とは、統計的に有意な量の、状態、症状、活性、組成における、個々、中央値、または平均値の減少であり得る。したがって、減少は、その減少が統計的に有意である限り、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の減少であり得る。
【0039】
「抑制する(Inhibit)」、「抑制する(inhibiting)」および「抑制(inhibition)」とは、活性、反応、状態、疾患、または他の生物学的パラメーターを減少させることを意味する。これには、活性、反応、状態、または疾患の完全な消失が含まれ得るが、これらに限定されない。また、例えば、活性、反応、状態、または疾患が、本来のレベルまたは対照レベルと比較して、10%減少することも含まれ得る。したがって、減少は、本来のレベルまたは対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはその間の任意の量の減少であり得る。
【0040】
「減少させる(reduce)」、または「減少させる(reducing)」もしくは「減少(reduction)」などの他の単語の形は、事象または特性(例えば、腫瘍増殖)の低下を意味する。これは通常、ある標準値または期待値との関係であり、言い換えれば相対的なものであるが、必ずしも標準値または相対値に言及する必要はないことが理解される。例えば、「腫瘍増殖を減少させる」とは、標準または対照と比較して腫瘍の増殖速度を減少させることを意味する。
【0041】
「予防する(prevent)」、または「予防する(preventing)」もしくは「予防(prevention)」などの他の単語の形は、特定の事象もしくは特性を停止させること、特定の事象もしくは特性の発生もしくは進行を安定させたり遅らせたりすること、または特定の事象もしくは特性が発生する可能性を最小限にすることを意味する。予防は、一般的に、例えば、減少させるよりも絶対的であるため、対照との比較を必要としない。本明細書で使用されるように、何かが減少され得るが、予防され得ず、減少される何かが予防され得る。同様に、何かが予防され得るが、減少され得ず、予防される何かが減少され得る。減少または予防が使用される場合には、特に別段の指示がない限り、他の単語の使用も明示的に開示されるものと理解される。
【0042】
「被験体」という用語は、投与または治療の標的である任意の個体を指す。被験体は脊椎動物(例えば、哺乳類)であり得る。1つの態様では、被験体は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、またはネコであり得る。被験体はまた、モルモット、ラット、ハムスター、ウサギ、マウス、またはモグラであり得る。したがって、被験体はヒトまたは獣医学の患者であり得る。「患者」という用語は、臨床医(例えば、医師)の治療下にある被験体を指す。
【0043】
「治療上有効」という用語は、使用される組成物の量が、疾患または障害の1つ以上の原因または症状を改善するのに十分な量であることを指す。このような改善は、減少または変化のみを必要とし、必ずしも除去を必要としない。
【0044】
「治療」という用語は、疾患、病理学的状態、または障害を治癒、改善、安定化、または予防する目的で、患者を医学的に管理することを指す。この用語には、積極的治療(すなわち、疾患、病理学的状態、または障害の改善に特化した治療)が含まれ、原因治療(すなわち、関連する疾患、病理学的状態、または障害の原因の除去を目的とした治療)も含まれる。さらに、この用語には、緩和的治療(すなわち、疾患、病理学的状態、または障害の治癒ではなく、症状の緩和を目的とした治療)、予防的治療(すなわち、関連疾患、病理学的状態、または障害の発症を最小限にする、または部分的もしくは完全に抑制することを目的とした治療)、および支持的治療(すなわち、関連疾患、病理学的状態、または障害の改善を目的としたもう1つの特定の治療を補完するために用いられる治療)が含まれる。
【0045】
「生体適合性」とは、一般に、レシピエントに対して毒性がなく、被験体に重大な副作用を引き起こさない物質およびその代謝物または分解産物を指す。
【0046】
「を含む(Comprising)」とは、組成物、方法等が、引用された要素を含むが、他の要素を除外しないことを意味する。組成物および方法を定義するために使用される場合には、「から本質的になる(Consisting essentially of)」とは、引用された要素を含むが、組み合わせにとって本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本明細書で定義される本質的に要素からなる(consisting essentially of the elements)組成物は、単離精製法からの微量汚染物質、および薬学的に許容される担体(リン酸緩衝生理食塩水、保存剤など)を除外しない。「からなる(Consisting of)」とは、本開示において提供および/または特許請求される組成物を投与するための、他の成分および実質的な方法ステップの微量要素より多く除外することを意味するものとする。これらの移行用語の各々によって定義される実施形態は、本開示の範囲内である。
【0047】
「対照」とは、比較の目的で実験に使用される別の被験体または試料のことである。対照には「陽性」と「陰性」とがあり得る。
【0048】
薬剤の「有効量」とは、所望の効果をもたらすのに十分な量の薬剤を指す。「有効」な薬剤の量は、被験体の年齢および全身状態、特定の薬剤など多くの因子によって、被験体ごとに異なる。したがって、「有効量」を定量的に特定することは必ずしも可能ではない。しかし、どのような被験体においても、適切な「有効量」は、日常的な実験を用いて当業者によって決定され得る。また、本明細書で使用される場合、特に別段の記載がない限り、薬剤の「有効量」は、治療的に有効な量および予防的に有効な量の両方をカバーする量を指すこともできる。治療効果を達成するために必要な薬剤の「有効量」は、被験体の年齢、性別、および体重などの因子によって変化し得る。投与レジメンは、最適な治療反応を提供するように調整することができる。例えば、1日に数回に分けて投与することもできるし、治療状況の緊急性に応じて投与量を比例的に減らすこともできる。
【0049】
「薬学的に許容される」成分とは、生物学的またはその他の点で望ましくない成分ではない成分、すなわち、本開示によって提供される薬学的製剤に組み込まれ、本明細書に記載されるように被験体に投与されても、重大な望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、またはそれが含まれる製剤の他の成分のいずれとも有害な様式で相互作用することのない成分を指すことができる。
【0050】
ヒトへの投与に関して使用される場合、この用語は一般に、その成分が毒物学的および製造上の必要な試験基準を満たしていること、または米国食品医薬品局が作成した不活性成分ガイドに含まれていることを意味する。
【0051】
「薬学的に許容される担体」(「担体」と称されることもある)とは、一般的に安全で無毒な医薬組成物または治療組成物の調製に有用な担体または賦形剤を意味し、獣医学的および/またはヒトの医薬用途または治療用途に許容される担体を含む。「担体」または「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルション(油/水エマルションまたは水/油エマルションなど)および/または様々なタイプの湿潤剤を含み得るが、これらに限定されない。本明細書で使用されるように、「担体」という用語は、賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、脂質、安定化剤、または医薬製剤に使用するための当該技術分野で公知の他の材料および本明細書にさらに記載される他の材料を包含するが、これに限定されない。
【0052】
「薬理学的に活性な」誘導体または類似体における「薬理学的に活性な」(または単に「活性な」)とは、親化合物と同じタイプの薬理学的活性を有し、程度がほぼ同等である誘導体または類似体(例えば、塩、エステル、アミド、コンジュゲート、代謝物、異性体、フラグメントなど)を指すことができる。
【0053】
「治療剤」とは、有益な生物学的効果を有する組成物を指す。有益な生物学的効果には、治療効果(例えば、障害または他の望ましくない生理学的状態の治療)、および予防効果(例えば、障害または他の望ましくない生理学的状態(例えば、非免疫原性癌)の予防)の両方が含まれる。用語はまた、本明細書で特に言及される有益な薬剤の薬学的に許容される、薬理学的に活性な誘導体を包含し、これには、塩、エステル、アミド、プロエージェント、活性代謝物、異性体、フラグメント、アナログなどが含まれるが、これらに限定されない。「治療剤」という用語が使用される場合、または特定の薬剤が具体的に特定される場合、その用語は、薬剤それ自体、ならびに薬学的に許容される、薬理学的に活性な、塩、エステル、アミド、プロエージェント、コンジュゲート、活性代謝物、異性体、フラグメント、アナログなどを含むと理解される。
【0054】
組成物(例えば、薬剤を含む組成物)の「治療上有効な量」または「治療上有効な用量」とは、所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。いくつかの実施形態では、所望の治療結果は、I型糖尿病の制御である。いくつかの実施形態では、所望の治療結果は、肥満の制御である。
【0055】
所与の治療薬の治療上有効な量は、典型的には、治療される障害または疾患の種類および重症度、ならびに、被験体の年齢、性別、および体重などの因子に関して変化する。この用語はまた、疼痛緩和などの所望の治療効果を促進するのに有効な治療薬の量、または治療薬の送達速度(例えば、経時的な量)も指す。正確な所望の治療効果は、治療される状態、被験体の耐性、投与される薬剤および/または薬剤製剤(例えば、治療薬の効力、製剤中の薬剤濃度など)、ならびに当業者に理解される様々な他の因子によって変化する。いくつかの実施態様では、所望の生物学的反応または医学的反応は、数日間、数週間、または数年間にわたる複数用量の組成物の被験体への投与後に達成される。
【0056】
本出願を通じて、様々な刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、その全体が、本出願に関連する技術の状態をより完全に記載するために、参照によって本出願に組み込まれる。また、開示された参考文献は、当該参考文献が援用されている文中で論じられている当該参考文献に含まれる材料について、本明細書中に個別具体的に参考として組み込まれる。
【0057】
〔組成物および方法〕
開示される組成物を調製するために使用される成分、ならびに本明細書において開示される方法内で使用される組成物自体が開示される。これらの材料および他の材料が本明細書において開示され、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが開示される場合、これらの化合物の各様々な個別および集合的な組み合わせ、ならびに順列の具体的な言及が明示的に開示され得ないが、各々が本明細書において具体的に企図され、記載されることが理解される。例えば、特定の置換アルギン酸塩ストランドまたは修飾された官能性部分が開示され、議論され、置換アルギン酸塩ストランドまたは修飾された官能性部分を含む多数の分子になされ得る多数の修飾が議論される場合、具体的に企図されるのは、置換アルギン酸塩ストランドまたは修飾された官能性部分の各々および全ての組み合わせおよび順列であり、反対のことが具体的に示されない限り、可能な修飾である。したがって、分子A、B、およびCのクラス、ならびに分子D、E、およびFのクラスが開示され、組み合わせ分子の一例であるA-Dが開示される場合、各々が個別に記載されていなくても、組み合わせ、A-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、およびC-Fが開示されることを意味し、それぞれが個別的かつ集合的に企図される。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせも開示される。したがって、例えば、A-E、B-F、およびC-Eのサブグループは開示されているとみなされる。この概念は、開示された組成物を製造および使用する方法におけるステップ(ただしこれに限定されない)を含む本出願の全ての態様に適用される。したがって、実施可能な様々な追加のステップが存在する場合、これらの追加のステップの各々は、開示された方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせで実施可能であると理解される。
【0058】
アルギン酸塩は、分子量、分解速度、スカフォールド形成方法を制御することによって、特定の用途に処方され得る汎用性の高い多糖類ベースのポリマーである。アルギン酸塩分子は、(1-4)-結合β-D-マンヌロン酸(M単位)とαL-グルロン酸(G単位)モノマーとを含み、ポリマー鎖に沿って比率および連続的な分布を変えることができる。「アルギン酸塩」は、本明細書で使用される場合、任意のM/G比の-D-マンヌロン酸塩とL-グルロン酸塩とから形成される直鎖状多糖類、ならびにその塩および誘導体を指すために使用される総称である。「アルギン酸塩」という用語は、本明細書で使用される場合、以下に示す構造を有するポリマーおよびその塩を包含する。
【0059】
【化3】
【0060】
「マンヌロン酸塩」および「マンヌロン酸塩モノマー」は、本明細書で使用される場合、マンヌロン酸モノマーおよびその塩を指す。
【0061】
【化4】
【0062】
「グルロン酸塩」および「グルロン酸塩モノマー」は、本明細書で使用される場合、グルロン酸モノマーおよびその塩を指す。
【0063】
【化5】
【0064】
「化学修飾アルギン酸塩」または「修飾アルギン酸塩」は、本明細書では互換的に使用され、1つ以上の共有結合的修飾モノマーを含むアルギン酸塩ポリマーを指す。共有結合的修飾モノマー」は、本明細書で使用される場合、化学的プロセスを介してマンヌロン酸塩モノマーおよび/またはグルロン酸塩モノマーから得られるマンヌロン酸塩モノマーおよび/またはグルロン酸塩モノマーの類似体または誘導体であるモノマーを指す。
【0065】
「単一修飾アルギン酸塩ポリマー」とは、本明細書で使用される場合、1つ以上の共有結合的修飾モノマーを含む修飾アルギン酸塩を指し、共有結合的修飾モノマーの実質的に全てが同じ共有結合修飾を有する(すなわち、ポリマーは1つのタイプまたは種の共有結合的修飾モノマーを含む)。特異的に修飾されたアルギン酸塩ポリマーは、例えば、修飾アルギン酸塩ポリマー中の実質的に全てのモノマーが、マンヌロン酸塩モノマー、グルロン酸塩モノマー、および後述する式Iで定義される共有結合修飾モノマーで表される修飾アルギン酸塩ポリマーを含む。全てのモノマーが必ずしも共有結合で修飾されているとは限らない。
【0066】
「多重修飾アルギン酸塩ポリマー」とは、本明細書で使用される場合、共有結合的修飾モノマーを含む修飾アルギン酸塩を指し、共有結合的修飾モノマーの実質的に全てが同じ共有結合の修飾を有していない(すなわち、ポリマーは2つ以上の異なる「タイプ」または種の共有結合的修飾モノマーを含む)。多重修飾アルギン酸塩ポリマーは、例えば、修飾アルギン酸塩ポリマー中の実質的に全てのモノマーが、マンヌロン酸塩モノマー、グルロン酸塩モノマー、および式Iで定義される2つ以上の異なるタイプの共有結合的修飾モノマーによって表される修飾アルギン酸塩ポリマーを含む。この文脈で使用される場合、共有結合的修飾モノマーの「タイプ」または「種」とは、式Iで定義される共有結合モノマーを指し、全ての可能な可変位置が化学的に定義される。全てのモノマーが共有結合で修飾されている必要はない。
【0067】
本明細書における議論を明瞭にするために、単一修飾アルギン酸塩は、骨格に組み込まれた共有結合的修飾モノマーの構造を示す式を用いて定義され、マンヌロン酸塩モノマーおよびグルロン酸塩モノマーは省略される。例えば、マンヌロン酸塩モノマー、グルロン酸塩モノマー、および式Iで定義される共有結合的修飾モノマーを含む単一修飾アルギン酸塩ポリマー(式中、XはNHであり、Lは存在せず、Lは-CH2-CH-CH-CH-NH-CO-CH-であり、Aはアジドであり、YおよびYは水素である)は、以下の構造によって本明細書に示される。
【0068】
【化6】
【0069】
「置換」とは、本明細書で使用される場合、本明細書に記載される化合物または官能基の全ての許容される置換基を指す。最も広い意味で、許容される置換基には、有機化合物の非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族の置換基が含まれる。例示的な置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル基、または、任意の数の炭素原子、好ましくは1個~14個の炭素原子を含む他の有機基を含むが、これらに限定されるものではなく、任意に、直鎖状、分岐状、または環状の構造形式で、酸素基、硫黄基、または窒素基などの1つ以上のヘテロ原子を含む。代表的な置換基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、フェニル基、置換フェニル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、ハロ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、フェノキシ基、置換フェノキシ基、アロキシ基、置換アロキシ基、アルキルチオ基、置換アルキルチオ基、フェニルチオ基、置換フェニルチオ基、アリールチオ基、置換アリールチオ基、シアノ基、イソシアノ基、置換イソシアノ基、カルボニル基、置換カルボニル基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、アミド基、置換アミド基、スルホニル基、置換スルホニル基、スルホン酸基、ホスホリル基、置換ホスホリル基、ホスホニル基、置換ホスホニル基、ポリアリール基、置換ポリアリール基、C-C20環状基、置換C-C20環状基、複素環基、置換複素環基、アミノ酸基、ペプチド基、およびポリペプチド基を含む。
【0070】
窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物の任意の許容される置換基を有していてもよい。「置換」または「置換された」は、そのような置換が置換原子および置換基の許容される原子価に従っていること、および当該置換が安定な化合物(すなわち、転位、環化、脱離などによる変換を自発的に受けない化合物)をもたらすという暗黙の条件を含むと理解される。
【0071】
「アリール」は、本明細書で使用される場合、C-C10員芳香族、複素環式、縮合芳香族、縮合複素環式、双環式、または双ヘテロ環式の環系を指す。広義には、「アリール」は、本明細書で使用される場合、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどの0個から4個までのヘテロ原子を含み得る5員、6員、7員、8員、9員、および10員の単環芳香族基を含む。環構造中にヘテロ原子を有するそれらのアリール基は、「アリール複素環」または「ヘテロ芳香族」とも称され得る。芳香族環は、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ(または四級化アミノ)、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族部分またはヘテロ芳香族部分、-CF、-CN、およびそれらの組み合わせを含む1つ以上の置換基で1つ以上の環位置で置換され得るが、これらに限定されない。
【0072】
「アリール」はさらに、2つ以上の炭素が隣接する2つの環に共通する2つ以上の環式環(すなわち、「縮合環」)を有する多環式環系を包含し、環の少なくとも1つは芳香族であり、例えば、他の環式環または環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/または複素環であり得る。複素環の例としては、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aHカルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3、4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシンドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニルおよびキサンテニルを含むが、これらに限定されない。環の1つ以上は、「アリール」について上記で定義したように置換することができる。
【0073】
「アルキル」は、本明細書で使用される場合、直鎖のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基、分枝鎖のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル(脂環式)基、アルキル置換されたシクロアルキル基、シクロアルケニル基、またはシクロアルキニル基、およびシクロアルキル置換されたアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を含む、飽和もしくは不飽和の脂肪族基のラジカルを指す。特に断らない限り、直鎖もしくは分岐鎖のアルキルは、その骨格中に30個以下の炭素原子を有し(例えば、直鎖の場合はC-C30、分岐鎖の場合はC-C30)、好ましくは20個以下、より好ましくは10個以下、最も好ましくは6個以下である。アルキルが不飽和である場合、アルキル鎖は一般に鎖中に2個~30個の炭素を有し、好ましくは鎖中に2個~20個の炭素を有し、より好ましくは鎖中に2個~10個の炭素を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、環構造中に3個~20個の炭素原子、好ましくは環構造中に3個~10個の炭素原子、最も好ましくは環構造中に5個、6個または7個の炭素原子を有する。
【0074】
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、上記のアルキルと長さが類似し、置換可能な不飽和脂肪族基を指すが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む。
【0075】
「アルキル」は、炭化水素ラジカルの1つ以上の炭素原子における1つ以上の置換基、ならびにヘテロアルキルを含む。適切な置換基には、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素など);ヒドロキシル;-NR(ここで、RおよびRは、独立して、水素、アルキル、またはアリールであり、窒素原子は任意に四級化されている);-SR(ここで、Rは、水素、アルキル、またはアリールである);-CN;-NO;-COOH;カルボン酸塩;-COR、-COOR、または-CONR(ここで、Rは、水素、アルキル、またはアリールである);アジド、アラルキル、アルコキシル、イミノ、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、シリル、エーテル、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、芳香族部分またはヘテロ芳香族部分、-CF;-CN;-NCOCOCHCH、-NCOCOCHCH;-NCS;およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
「アミノ」および「アミン」は、本明細書で使用される場合、当技術分野で認識されているものであり、置換アミンおよび非置換アミンの両方を指し、例えば、一般式で表すことができる部分を指す:
【0077】
【化7】
【0078】
式中、R、R’およびR’’は、各々独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のカルボニル、-(CH-R’’’を表すか、または、RおよびR’は、それらが結合しているN原子とともに、環構造中に3個から14個までの原子を有する複素環を完成し;R’’’は、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のカルボニル基、アリール、シクロアルキル環、シクロアルケニル環、複素環、または多環を表し;mは、0、または1から8までの範囲の整数である。好ましい実施形態では、RおよびR’の一方のみがカルボニルであり得、例えば、RおよびR’は、窒素とともにイミドを形成しない。好ましい実施形態では、RおよびR’(および任意にR’’)は、各々独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、または-(CH-R’’’を表す。したがって、「アルキルアミン」という用語は、本明細書で使用される場合、上記で定義したようなアミン基であって、それに結合した置換もしくは非置換のアルキル(すなわち、R、R’、またはR’’の少なくとも1つはアルキル基である)を有するアミン基を指す。
【0079】
「カルボニル」は、本明細書で使用される場合、当技術分野で認識されているものであり、一般式で表すことができる部分を含み:
【0080】
【化8】
【0081】
式中、Xは、結合であるか、または酸素もしくは硫黄を表し、Rは、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、-(CH-R’’、または薬学的に許容される塩を表し、R’は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、または-(CH-R’’を表し;R’’は、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のカルボニル基、アリール、シクロアルキル環、シクロアルケニル環、複素環、または多環を表し;mは、0、または1から8までの範囲の整数である。Xが酸素であり、Rが上記のように定義される場合、その部分はカルボキシル基とも称される。Xが酸素であり、Rが水素である場合、式は「カルボン酸」を表す。Xが酸素であり、R’が水素である場合、式は「ギ酸」を表す。一般に、上式の酸素原子が硫黄で置換されている場合、式は「チオカルボニル」基を表す。Xが硫黄であり、RまたはR’が水素でない場合、式は「チオエステル」を表す。Xが硫黄であり、Rが水素である場合、式は「チオカルボン酸」を表す。Xが硫黄であり、R’が水素である場合、式は「チオホルメート」を表す。Xが結合であり、Rが水素でない場合、上式は「ケトン」を表す。Xが結合であり、Rが水素である場合、上式は「アルデヒド」を表す。
【0082】
「ヘテロアルキル」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つのヘテロ原子を含む直鎖もしくは分枝鎖、または環状炭素含有ラジカル、またはそれらの組み合わせを指す。好適なヘテロ原子は、O、N、Si、PおよびSを含むが、これらに限定されず、窒素原子、リン原子および硫黄原子は任意に酸化され、窒素ヘテロ原子は任意に四級化される。
【0083】
飽和炭化水素ラジカルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、および、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルの同族体および異性体を含むが、これらに限定されない。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニルおよび3-プロピニル、ならびに3-ブチニルを含むが、これらに限定されない。
【0084】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ」は、本明細書では従来の意味で使用され、それぞれ酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残部に結合したアルキル基を指す。
【0085】
「アルキルアリール」は、本明細書で使用される場合、アリール基(例えば、芳香族基またはヘテロ芳香族基)で置換されたアルキル基を指す。
【0086】
「複素環(Heterocycle)」または「複素環(heterocyclic)」は、本明細書で使用される場合、炭素と、非過酸化酸素、硫黄、および(Y)からなる群から選択される1個~4個のヘテロ原子とからなる、3個~10個の環原子、好ましくは5個~6個の環原子を含む単環式環または二環式環の環炭素または窒素を介して結合した環状ラジカルを指す。ここで、Yは存在しないか、またはH、O、C-C10)アルキル、フェニルまたはベンジルであり、任意に1個~3個の二重結合を含み、任意に1個以上の置換基で置換されている。複素環の例としては、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aHカルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシンドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニルおよびキサンテニルを含むが、これらに限定されない。複素環基は、アルキルおよびアリールについて上記で定義したように、1つ以上の置換基で任意に置換することができる。
【0087】
我々および他の研究者は、高DSによって直接引き起こされるカルシウム架橋不良が、ゲルの剛性の低下、所望の注射部位からのインプラントの移動、カルシウムの溶出促進を引き起こし、ゲルに対する異物反応を増大させることを実証してきた。高DSでのカルシウム架橋の損失に対する1つのアプローチは、代替架橋剤を使用することであるが、これにはいくつかの欠点がある。新たな化学架橋剤を加えることは、臨床使用のための規制経路に不必要な複雑さを加え、予期せぬ生理学的毒性を持つ可能性がある。さらに、代替架橋剤は共有結合性であることが多いため、これらの架橋剤は、最初の場所で、アルギン酸塩を使用する2つの利点、すなわちアルギン酸塩の自己治癒能力およびせん断減粘特性を排除する。
【0088】
アルギン酸塩ストランドにおけるカルボキシル基はカルシウム架橋およびカルボジイミドカップリングの両方に必要であることから、我々は、EDCカップリング中にカルボキシル基が枯渇したことが、観察されたカルシウム架橋の損失の原因であり、アルギン酸塩のDSをさらに上げるとこの影響が悪化するという仮説を立てた。このことは、再充填可能な薬物送達デポを含む多くの用途では、極めて高いDSがハイドロゲル機能にとって有益であるため、不利である。
【0089】
カルシウム架橋を犠牲にすることなく高DS修飾を達成するという課題を克服するために、我々はアルギン酸塩上のカルボキシル基を修復させる修飾を用いる新しい戦略を報告する。我々は、アルギン酸塩に結合する基がそれ自身のカルボキシル基を持ち、修飾された全ての箇所でカルボキシル基が置換されることを提案する。この報告において、我々はカルボキシル基を修復させるアジド基(修復性修飾)をコンジュゲートさせたアルギン酸塩ゲルは、カルボキシル基を枯渇させるアジド基(枯渇性修飾)と同程度の置換度と比較して、カルシウム架橋およびゲル化特性がはるかに改善されることを示した。さらに、カルボキシル基を修復させたアルギン酸塩は、注射部位での保持および薬物の捕捉が改善されている。これらを総合すると、修復性修飾は高度に修飾されたカルシウム架橋アルギン酸塩ハイドロゲルに対する有望なアプローチであると考えられる。
【0090】
したがって、本明細書において開示される1つの態様では、置換アルギン酸塩ストランドは、求核末端(例えば、カルバミン酸、カルバミン酸エステル、グリシン、アルギニン、またはリジンなど)を有するリンカーを介して官能性部分(例えば、アジドなど)に結合されたアルギン酸塩ストランドを含み、リンカーは、求核末端および求核末端のカルボキシル基を含み;求核末端は、アルギン酸塩ストランド上のカルボキシル基に結合される。いくつかの態様では、置換アルギン酸塩ストランドはポリマーストランドを形成し得る。
【0091】
アルギン酸塩多糖は高分子電解質系であり、2価の陽イオン(例えば、Ca+2、Mg+2、Ba+2)に強い親和性を持ち、これらの分子にさらされると安定なハイドロゲルを形成する。Martinsen A., et al., Biotech. & Bioeng., 33 (1989) 79-89を参照のこと)。例えば、カルシウム架橋アルギン酸塩ヒドロゲルは、本明細書に記載の方法に有用である。例えば、ヒドロゲルのポリマー、例えば、アルギン酸塩は、0%~100%架橋されており、例えば、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより多く架橋されている。他の実施形態では、ヒドロゲルのポリマー、例えば、アルギン酸塩は架橋されていない。いくつかの実施例において、ヒドロゲルのポリマー、例えば、アルギン酸塩は、50%未満、例えば、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、50%未満、2%未満、1%未満、またはそれ未満架橋されている。したがって、本明細書において開示される置換アルギン酸塩ストランドのポリマーストランドを含むヒドロゲルマトリックスまたはスカフォールドも開示され、ポリマーストランドはカルシウム架橋を介して他のアルギン酸塩ポリマースタンドに架橋される。
【0092】
アルギン酸塩は、新しい特性をもたらすために化学的に修飾することができる。例えば、アルギン酸塩は生分解速度を上げるために酸化されることがある。あるいは、アルギン酸塩を還元して生体適合性を向上させることもできる。アルギン酸塩はまた、架橋挙動を変化させるために化学修飾することもできる。例えば、アルギン酸塩を生体直交性のクリック基で修飾して、クリック架橋を可能にすることができる。もう1つの実施例では、アルギン酸塩をアクリル基で修飾してラジカル重合架橋を可能にすることができる。もう1つの例として、アルギン酸塩をホスト-ゲスト化学で修飾して、ホスト-ゲスト架橋を可能にすることができる。
【0093】
カップリング反応は、細胞接着配列RGDなどの生物活性エピトープをポリマー骨格に共有結合させるために用いることができる。低分子による化学的官能基化は免疫反応および異物反応を制御し、ペプチドによる官能基化は細胞反応および組織反応を媒介し、反応性化学基による修飾は新たな薬物送達様式を可能にする。アルギン酸塩ポリマーに生体直交性の「クリック」化学モチーフ(官能性部分として)をコンジュゲートさせると、架橋が促進され、ポリマー修飾が迅速になる。さらに、クリックモチーフで修飾されたアルギン酸塩は、薬物を繰り返し捕捉および放出可能な標的薬物デポとして使用されている。
【0094】
クリックケミストリーとは、収率が高く、官能基耐性が広く、生体分子の複雑な混合物の存在下でも高い選択性を示す2つのクリック基間の化学反応を指す。これらの特徴により、クリック反応は生体内でも進行することが可能となる。第1のクリックモチーフおよび第2のクリックモチーフとして使用されるクリックモチーフのペアの例としては、ホスフィンとアジド;シクロオクチンとアジド;シクロオクチンとニトロン;ノルボルネンとニトリルオキシド;アジドとオキサノルボルナジエン;s-テトラジンとトランス-シクロオクテン;ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)とクアドリシクランを含むが、これらに限定されない。
【0095】
いくつかの実施形態では、前記第2のクリックモチーフは、アルケン、例えば、シクロオクテン、例えば、トランスシクロオクテン(TCO)またはノルボルネン(NOR)を含み、第1のクリックモチーフは、テトラジン(Tz)を含む。他の実施形態では、前記第2のクリックモチーフは、アルキン、例えば、シクロオクチン(ジベンゾシクロオクチン(DBCO)など)を含み、前記第1のクリックモチーフは、アジド(Az)を含む。いくつかの実施形態では、前記第2のクリックモチーフはTzを含み、前記第1のクリックモチーフは、トランスシクロオクテン(TCO)またはノルボルネン(NOR)などのアルケンを含む。あるいは、それに加えて、前記第1のクリックモチーフはAzを含み、前記第2のクリックモチーフはシクロオクチン(ジベンゾシクロオクチン(DBCO)など)を含む。TCOは、テトラジン(Tz)部分とクリックケミストリー反応で特異的に反応する。DBCOは、アジド(Az)部分とクリックケミストリー反応で特異的に反応する。ノルボルネンは、テトラジン(Tz)部分とクリックケミストリー反応で特異的に反応する。
【0096】
例示的なクリックケミストリー反応(ひいてはクリックモチーフの伸長による)を以下に示す。例えば、銅(I)触媒によるアジド-アルキン付加環化(CuAAC)は、銅(Cu)触媒を室温で使用することを含む。前記アジド-アルキン付加環化は、アジドと末端または内部のアルキンとの間の1,3-双極子付加環化であり、1,2,3-トリアゾールを与える。
【0097】
クリックケミストリーのもう1つの例として、アジドとトリアリールホスフィンとの古典的なシュタウディンガー反応に基づく反応である、シュタウディンガーライゲーションを含む。この反応は、完全にアビオティックな官能基を持つ最初の反応として、生体直交性化学の分野を立ち上げた。アジドはホスフィンなどのソフトな求核剤を好むソフトな求電子剤として働く。これは、一般的にハードな求核剤であるほとんどの生物学的求核剤とは対照的である。反応は耐水性の条件下で選択的に進行し、安定な生成物を生成する。ホスフィンは生体内には全く存在せず、穏やかな還元電位にもかかわらずジスルフィド結合を還元しない。アジドは、アジドチミジンなどのFDA承認の薬物、および架橋剤としての他の用途を通じて、生体適合性があることが示されてきた。さらに、アジドはサイズが小さいため、細胞の代謝経路を通じて生体分子に容易に取り込まれる。
【0098】
銅を使わないクリックケミストリーは、Carolyn Bertozziがアジドアルキン付加環化の活性化変異体として最初に開発した生体直交性反応である。CuAACとは異なり、銅を使わないクリックケミストリーは、細胞毒性のある銅触媒を排除することによって、生体直交性を持つように修飾されている。銅の代わりに、歪み促進型アルキン-アジド付加環化(SPAAC)という反応を用いる。SPAACは、シュタウディンガーライゲーションに代わる高速の反応として開発され、最初の世代では60倍以上の速度で反応した。この反応の驚異的な生体直交性により、銅を使わないクリック反応が培養細胞、生きたゼブラフィッシュ、およびマウス内で応用できるようになった。シクロオクチンは、19.9kcal/molと計算された環の歪みによって反応性を高める最小の安定なアルキン環として選択された。
【0099】
銅を使わないクリックケミストリーには、ニトロンの双極子付加環化も含まれる。銅を使わないクリックケミストリーは、1,3-双極子としてアジドではなくニトロンを使うように適応され、ペプチドの修飾に使われてきた。
【0100】
ニトロンとシクロオクチンとの間の付加環化は、N-アルキル化イソオキサゾリンを形成する。反応速度は水によって促進され、ニトロンの置換度に応じて2次速度定数が12M-1・s-1から32M-1・s-1までの範囲と極めて速い。反応は極めて速いが、代謝標識によってニトロンを生体分子に組み込むことは、翻訳後ペプチド修飾によってのみ達成されている。
【0101】
クリックケミストリーのもう1つの例には、ノルボルネン付加環化が含まれる。1,3双極子付加環化は、ニトリルオキシドを1,3-双極子として、およびノルボルネンを双極子として用いる生体直交性反応として開発された。その主な用途は、自動オリゴヌクレオチド合成機におけるDNAおよびRNAの標識である。
【0102】
ノルボルネンは、歪み促進型の反応性と安定性とのバランスから、双極子として選択された。この反応の欠点には、強い求電子性によるニトリルオキシドの交差反応性と遅い反応速度とが含まれる。
【0103】
クリックケミストリーのもう1つの例には、オキサノルボルナジエン付加環化が含まれる。オキサノルボルナジエン付加環化は、1,3-双極子付加環化の後にレトロディールスアルダー反応を行い、フラン分子を除去したトリアゾール結合コンジュゲートを生成する。この反応はペプチド標識実験に有用であり、SPECTイメージング化合物の生成にも用いられている。
【0104】
オキサノルボルナジエンにおける環の歪みおよび電子欠損は、付加環化の律速段階への反応性を高める。その後、レトロディールスアルダー反応が速やかに起こり、安定な1,2,3トリアゾールが形成される。この反応の限界には、オキサノルボルナジエンのエレクトロニクスを変化させ得る置換基に対する低い耐性、低い反応速度(10-4オーダーの2次速度定数)が含まれる。
【0105】
クリックケミストリーのもう1つの例として、テトラジンライゲーションがある。テトラジンライゲーションは、トランス-シクロオクテンとs-テトラジンとをレトロディールスアルダー反応で反応させた後、窒素ガスを除去するためにレトロディールスアルダー反応を行うものである。この反応は非常に速く、2次速度定数は2000M-1・s-1(メタノール/水9:1中)であり、極めて低濃度での生体分子の修飾が可能である。
【0106】
高度に歪んだトランス-シクロオクテンが、反応性ジエノフィルとして使用された。ジエンは3,6-ジアリール-s-テトラジンで、水との即時反応に耐えるために置換されている。反応は、最初の付加環化の後に、Nを除去して反応の可逆性を防ぐために、逆ディールスアルダーで進行する。
【0107】
この反応は水に耐性であるだけでなく、水性媒体中では反応速度が増大することが判明している。また、ジエノフィルとしてノルボルネンを用いた反応も、水性媒体中1M-1・s-1オーダーの2次速度で行われている。この反応は、生きた細胞の標識およびポリマーのカップリングに応用されている。
【0108】
クリックケミストリーのもう1つの例としては、[4+1]付加環化がある。このイソシアニドクリック反応は、[4+1]付加環化の後にNのレトロディールスアルダー除去を行うものである。
【0109】
反応は、最初の[4+1]付加環化の後に、熱力学的なシンクを除去して可逆性を防ぐために転換することで進行する。第三級アミンまたはイソシアノプロパノエートが使用される場合、この生成物は安定である。第二級イソシアニドまたは第一級イソシアニドが使用される場合、生成物はイミンを形成し、すぐに加水分解される。
【0110】
イソシアニドは、サイズが小さく、安定性があり、毒性がなく、哺乳類系に存在しないため、化学的レポーターとして好まれている。しかし、反応は遅く、2次速度定数は10-2-1・s-1のオーダーである。
【0111】
クリックケミストリーのもう1つの例には、クアドリシクランライゲーションが含まれる。クアドリシクランライゲーションは、π系と[2+2+2]付加環化を起こすために、高度に歪んだクアドリシクランを利用する。
【0112】
クアドリシクランは、アビオティックで、(完全に飽和しているため)生体分子と反応せず、比較的小さく、高度に歪んでいる(~80kcal/mol)。しかし、室温および生理的pHの水溶液中では非常に安定である。クアドリシクランは、電子に乏しいπ系とは選択的に反応することができるが、単純なアルケン、アルキン、またはシクロオクチンとは反応しない。
【0113】
ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)は、反応性に基づく候補スクリーニングの中から反応パートナーとして選ばれた。ノルボルナジエンへの光誘導転換を防ぐため、ジエチルジチオカルバメートを加えて生成物中のニッケルをキレート化した。
【0114】
これらの反応は水性条件下によって促進され、2次速度定数は0.25M-1・s-1である。特に興味深いのは、オキシム形成および銅を使わないクリックケミストリーの両方に対して生体直交性があることが証明されていることである。
【0115】
例示的なクリックケミストリー反応は、高い特異性および効率的な反応速度を持ち、生理的条件下、生体内で起こる。例えば、Baskin et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 104(2007):16793; Oneto et al. Acta biomaterilia (2014); Neves et al. Bioconjugate chemistry 24(2013):934; Koo et al. Angewandte Chemie 51(2012):11836;および、Rossin et al. Angewandte Chemie 49(2010):3375を参照のこと。多種多様なクリックケミストリー反応およびその方法論については、例えば、Nwe K and Brechbiel M W, 2009 Cancer Biotherapy and Radiopharmaceuticals, 24(3): 289-302; Kolb H C et al., 2001 Angew. Chem. Int. Ed. 40: 2004-2021を参照のこと。前述の各参考文献の全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0116】
例示的なクリックモチーフのペアを下表に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
他の適切なモチーフは、例えば、Patterson, D.M., et al. “Finding the Right (Bioorthogonal) Chemistry,”ACS Chem. Biol., 2014, 9(3): 592-605; Akgun, B., et al. “Synergic "Click" Boronate/Thiosemicarbazone System for Fast and Irreversible Bioorthogonal Conjugation in Live Cells,”J. Am. Chem. Soc., 2017, 139(40): 14285-14291;およびAkgun, B. and Hall, D.G. “Fast and Tight Boronate Formation for Click Bioorthogonal Conjugation,”Angew. Chem., Int. Ed. 2016, 55(12): 3909-3913に見出すことができる。これらはそれぞれ、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0119】
アルギン酸塩ポリマーは様々なタイプのハイドロゲルに形成される。アルギン酸塩ハイドロゲルは低分子量(MW)アルギン酸塩から形成されることもあれば、高分子量アルギン酸塩から形成されることもある。ハイドロゲルの配合の違いは、ハイドロゲルの分解速度を制御する。アルギン酸塩ハイドロゲルからの医薬組成物、例えば低分子、形態形成物質、または他の生物活性物質の放出速度は、医薬組成物を空間的および時間的に制御された様式で提示するために、ハイドロゲル処方によって制御される。この制御された放出により、全身的な副作用および複数回の注射の必要性がなくなる。
【0120】
マンヌロン酸塩モノマーおよびグルロン酸塩モノマーは、共有結合修飾の点として機能し得るカルボン酸部分を含む。好ましい実施形態では、1つ以上のマンヌロン酸塩および/またはグルロン酸塩の残基上に存在するカルボン酸部分は、アミド化を介して共有結合的に修飾され得る。しかし、本明細書で指摘するように、アルギン酸塩のアミド化は、一般的にカルボキシル残基の損失を引き起こし、その結果、カルシウム架橋を介して架橋するアルギン酸塩ポリマーの能力に破壊的な影響を及ぼす。その結果、アルギン酸塩ポリマーの有利な特性の多くが失われる。したがって、本明細書において開示されるのは、これらの問題を持たない置換アルギン酸塩ストランド、および前記修飾アルギン酸塩ストランドを達成するための方法である。1つの態様では、本明細書において開示されるのは、カルボジイミドカップリングを介してアルギン酸塩ストランドを官能性部分(例えば、アジドなどの上記で論じたクリックモチーフ)にカップリングする方法であり、前記方法は、官能性部分を、求核末端およびリンカーの求核末端のカルボキシル基(例えば、カルバミン酸、カルバミン酸エステル、グリシン、アルギニン、またはリジンなど)を含むリンカーにコンジュゲートさせることを含み;官能性部分は、求核末端と反対側の末端でリンカーに化学的に結合され;リンカーの求核末端を、カルボジイミドカップリングを介してアルギン酸塩ストランドにカップリングさせ;修飾は、高度に置換されたアルギン酸塩の合成を可能にし;置換は、ゲルの完全性を破壊しない。
【0121】
アルギン酸塩ストランドにアミド化する前に、リンカーのアミノ末端がリンカーのカルボキシル基に結合することを防ぐために、リンカー上のカルボキシル基を保護基でブロックすることができる。この目的のためには、当該技術分野で公知かつ使用されている任意の保護基を使用することができ、メチル、エチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、s-ブチル、2-アルキル-1,3-オキサゾリン、OBO、シリル、感光性基プロピル、tert-ブチル、およびNVOCを含むが、これらに限定されない。
【0122】
また、本明細書において開示されるのは、アルギン酸塩ストランドを官能性部分にカップリングする方法であり、前記リンカーの前記求核末端は、保護基(例えば、tert-ブチルオキシカルボニル、α-boc、p-メトキシベンジルカルボニル、カルボベンジルオキシ、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、カルバメート、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベニル、p-メトキシフィル、トリクロロエチルクロロホルメート、またはトシルなど)を含み;前記求核末端は、前記アルギン酸塩ストランドにカップリングされる前に脱保護される。
【0123】
また、修飾アルギン酸塩も提供される。前記修飾アルギン酸塩は、カルシウム架橋を犠牲にすることなく架橋を促進するために共有結合で修飾されたアルギン酸塩モノマーを含む。前記修飾アルギン酸塩は、以下の式Iで定義される1つ以上の共有結合的修飾モノマーを含むことができる。
【0124】
【化9】
【0125】
式中:
Xは、O、S、またはNRであり;
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、または複素環アルキルであり;
およびLは、それぞれ独立して存在しないか、または連結基を表し;
Aは、官能性部分を表し;
およびYは、独立して水素もしくは-PO(OR)であり、またはYは存在せず、Yは、YおよびYが結合している前記2つの酸素原子とともに、以下に示すような環状構造を形成し、
【0126】
【化10】
【0127】
式中、
およびRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環アルキル、アルコキシ、アロキシ、アルキルチオ、カルボニル、カルボキシル、アミノ、もしくはアミドであり;または、RおよびRは、それらが結合している前記炭素原子とともに、3員~8員の非置換もしくは置換の炭素環式環もしくは複素環式環を形成する。
【0128】
特定の実施形態では、YおよびYはともにHである。
【0129】
特定の実施形態では、XはNHである。
【0130】
いくつかの実施形態では、Aはクリックモチーフを含み得る。適切なクリックモチーフの例は、上に記載されている。例えば、いくつかの実施形態では、Aは、アジド、ホスフィン、シクロオクテン(例えば、トランスシクロオクテン(TCO))、ノルボルネン(NOR)、テトラジン(Tz)、アルキン、シクロオクチン(ジベンゾシクロオクチン(DBCO)など)、またはクアドリシクランを含み得る。特定の実施形態では、前記官能性部分は、以下に記載されるような活性剤を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、LおよびLの両方が存在する。いくつかの実施形態では、Lは存在せず、Lは存在する。いくつかの実施形態では、Lは存在し、Lは存在しない。いくつかの実施形態では、LおよびLの両方が存在しない。
【0132】
存在する場合、前記連結基は、少なくとも2価であり、式Iの前記モノマーにおいて前記連結基が結合している前記2つのラジカル部分を連結する、任意の適切な基または部位であり得る。前記連結基は、オリゴマー鎖およびポリマー鎖を含む、任意の原子の集合体から構成することができる。場合によっては、前記連結基中の原子の総数は、3原子から200原子まで(例えば、3原子から150原子まで、3原子から100原子まで、3原子から50原子まで、3原子から25原子まで、3原子から15原子まで、または3原子から10原子まで)であり得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、前記連結基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアリール基、アルキルヘテロアリール基、アルキルシクロアルキル基、アルキル複素環アルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、またはポリアミノ基であり得る。いくつかの実施形態では、前記連結基は、官能基によって結合される前記部分の一方または両方に結合された上記の基の1つを含み得る。適切な官能基の例としては、例えば、第二級アミド(-CONH-)、第三級アミド(-CONR-)、第二級カルバメート(-OCONH-;-NHCOO-)、第三級カルバメート(-OCONR-;NRCOO-)、尿素(-NHCONH-;-NRCONH-;-NHCONR-、または-NRCONR-)、カルビノール(-CHOH-、-CROH-)、エーテル(-O-)、およびエステル(-COO-、-CHC-、CHROC-)が含まれ、Rは、アルキル基、アリール基、または複素環基である。例えば、いくつかの実施形態では、前記連結基は、エステル(-COO-、CHC-、CHROC-)、第二級アミド(-CONH-)、または第三級アミド(-CONR-)を介して結合される前記部分の一方または両方に結合されたアルキル基(例えば、C-C12アルキル基、C-Cアルキル基、またはC-Cアルキル基)を含み得、Rは、アルキル基、アリール基、または複素環基である。特定の実施形態では、前記連結基は、以下の1つから選択され得る:
【0134】
【化11】
【0135】
式中、mは1から12までの整数であり、Rは各々の存在ごとに独立して、水素、アルキル基、アリール基、または複素環基である。
【0136】
所望により、前記リンカーは、本明細書に記載される化合物の溶解度を改変する役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、前記リンカーは親水性である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、アルキル基、アルキルアリール基、オリゴもしくはポリアルキレンオキシド鎖(例えば、オリゴもしくはポリエチレングリコール鎖)、またはオリゴもしくはポリ(アミノ酸)鎖であり得る。
【0137】
修飾アルギン酸塩ポリマーは、任意の所望の分子量であり得る。前記アルギン酸塩の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される場合には、好ましくは1,000~1,000,000ダルトン、より好ましくは10,000~500,000ダルトンである。
【0138】
修飾アルギン酸塩ポリマーは、マンヌロン酸塩モノマー、グルロン酸塩モノマー、および共有結合的修飾モノマーを任意の比率で含むことができる。いくつかの実施形態では、前記修飾アルギン酸塩ポリマー中の前記モノマーの2.5%、5%、7.5%、10%、12%、14%、15%、16%、18%、20%、22%、24%、25%、26%、28%、30%、32.5%、35%、37.5%、40%、45%、50%、55%、または60%は、共有結合的修飾モノマーである。前記修飾アルギン酸塩ポリマー中の前記モノマーの好ましくは10%超、より好ましくは20%超、最も好ましくは30%超が共有結合的修飾モノマーである。
【0139】
〔活性剤〕
本明細書で使用する「活性剤」という用語は、体内で局所的および/または全身的に作用する生理学的または薬理学的に活性な物質を指す。活性剤は、疾患または障害の治療(例えば、治療剤)、予防(例えば、予防剤)、または診断(例えば、診断剤)のために患者に投与される物質である。
【0140】
活性剤は低分子または生物学的製剤であり得る。生物学的製剤とは、生物学的源から製造、抽出、または半合成された医薬品であり、化学的に合成された医薬品とは異なる。いくつかの実施形態では、活性剤として使用される生物学的製剤は、例えば、抗体、血液成分、アレルゲン、遺伝子治療、および組換え治療用タンパク質を含み得る。生物学的製剤は、例えば、糖、タンパク質、または核酸を含むことができ、ヒト、動物、または微生物などの天然源から単離することができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は、抗癌剤、創傷治癒を促進する薬剤、感染を治療または予防する薬剤、または脈管形成を促進する薬剤を含むことができる。例えば、前記活性剤は、化学療法剤または癌ワクチンなどの抗癌剤を含むことができる。前記抗癌剤としては、低分子、ペプチドもしくはポリペプチド、タンパク質もしくはそのフラグメント(例えば、抗体もしくはそのフラグメント)、または核酸を含むことができる。
【0142】
例示的な抗癌剤には、酢酸アビラテロン、アビトレキサート(メトトレキサート)、アブラキサン(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、AC-T、アドセトリス(ブレンツキシマブベドチン)、ADE、アドトラスツズマブエムタンシン、アドリアマイシン(ドキソルビシン塩酸塩)、アドルシル(フルオロウラシル)、ジマレイン酸アファチニブ、アフィニトール(エベロリムス)、アルダラ(イミキモド)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリムタ(ペメトレキセド二ナトリウム)、アロキシ(パロノセトロン塩酸塩)、アンボクロリン(クロラムブシル)、アミノレブリン酸、アナストロゾール、アプレピタント、アレディア(パミドロン酸二ナトリウム)、アリミデックス(アナストロゾール)、アロマシン(エキセメスタン)、アラノン(ネララビン)、三酸化ヒ素、アーゼラ(オファツムマブ)、アスパラギナーゼエルウィニアクリサンテミ(Asparaginase Erwinia chrysanthemi)、アバスチン(ベバシズマブ)、アキシチニブ、アザシチジン、BEACOPP、ベンダムスチン塩酸塩、BEP、ベバシズマブ、ベキサロテン、ベキサール(トシツモマブおよびI 131ヨウ素トシツモマブ)、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ボシュリフ(ボスチニブ)、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブスルファン、ブスルフェクス(ブスルファン)、カバジタキセル、カボザンチニブ-S-リンゴ酸塩、CAF、キャンパス(アレムツズマブ)、カンプトサール(イリノテカン塩酸塩)、カペシタビン、CAPDX、カルボプラチン、カルボプラチン-タキソール、カルフィルゾミブ、カソデックス(ビカルタミド)、CeeNU(ロムスチン)、セルビジン(ダウノルビシン塩酸塩)、サーバリックス(遺伝子組換えHPV2価ワクチン)、セツキシマブ、クロラムブシル、クロラムブシル-プレドニゾン、CHOP、シスプラチン、クラフェン(シクロホスファミド)、クロファラビン、クロファレックス(クロファラビン)、クロラー(クロファラビン)、CMF、コメトリク(カボザンチニブ-S-リンゴ酸塩)、COPP、COPP-ABV、コスメゲン(ダクチノマイシン)、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、サイフォス(イホスファミド)、シタラビン、シタラビン(リポソーマル)、シトサール-U(シタラビン)、シトキサン(シクロホスファミド)、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダコゲン(デシタビン)、ダクチノマイシン、ダサチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デポサイト(リポソーマルシタラビン)、デポフォーム(リポソーマルシタラビン)、デクスラゾキサン塩酸塩、ドセタキセル、ドキシル(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、ドキソルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム、Dox-SL(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、DTIC-Dome(ダカルバジン)、エフデックス(フルオロウラシル)、エリテック(ラスブリカーゼ)、エレンス(エピルビシン塩酸塩)、エロキサチン(オキサリプラチン)、エルトロンボパグオラミン、イメンド(アプレピタント)、エンザルタミド、エピルビシン塩酸塩、EPOCH、アービタックス(セツキシマブ)、メシル酸エリブリン、エリベッジ(ビスモデギブ)、エルロチニブ塩酸塩、エルウィナーゼ(アスパラギナーゼエルウィニアクリサンテミ)、エトポホス(リン酸エトポシド)、エトポシド、リン酸エトポシド、エバセット(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、エベロリムス、エビスタ(ラロキシフェン塩酸塩)、エキセメスタン、フェアストン(トレミフェン)、ファスロデックス(フルベストラント)、FEC、フェマラ(レトロゾール)、フィルグラスチム、フルダラ(リン酸フルダラビン)、リン酸フルダラビン、フルオロプレックス(フルオロウラシル)、フルオロウラシル、フォレックス(メトトレキサート)、フォレックスPFS(メトトレキサート)、フォルフィリ、フォルフィリ‐ベバシズマブ、フォルフィリ-セツキシマブ、フォルフィリノックス、フォルフォックス、フォロチン(プララトレキサート)、FU‐LV、フルベストラント、ガーダシル(遺伝子組換えHPV四価ワクチン)、ガジバ(オビヌツズマブ)、ゲフィチニブ、ゲムシタビン塩酸塩、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ジェムザール(ゲムシタビン塩酸塩)、ジオトリフ(ジマレイン酸アファチニブ)、グリベック(イマチニブメシル酸塩)、グルカルピダーゼ、酢酸ゴセレリン、ハラベン(メシル酸エリブリン)、ハーセプチン(トラスツズマブ)、HPV2価ワクチン(遺伝子組換え)、HPV四価ワクチン(遺伝子組換え)、ハイカムチン(トポテカン塩酸塩)、Hyper-CVAD、イブリツモマブチウキセタン、イブルチニブ、ICE、アイクルシグ(ポナチニブ塩酸塩)、イフェックス(イホスファミド)、イホスファミド、イホスファミダム(イホスファミド)、メシル酸イマチニブ、イムブルビカ(イブルチニブ)、イミキモド、インライタ(アキシチニブ)、イントロンA(遺伝子組換えインターフェロンα-2b)、ヨウ素131トシツモマブおよびトシツモマブ、イピリムマブ、イレッサ(ゲフィチニブ)、イリノテカン塩酸塩、イストダックス(ロミデプシン)、イクサベピロン、イグゼンプラ(イクサベピロン)、ジャカフィ(リン酸ルキソリチニブ)、ジェブタナ(カバジタキセル)、カドサイラ(アドトラスツズマブエムタンシン)、ケオキシフェン(ラロキシフェン塩酸塩)、ケピバンス(パリフェルミン)、カイプロリス(カルフィルゾミブ)、二トシル酸ラパチニブ、レナリドマイド、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、ロイケラン(クロラムブシル)、酢酸ロイプロリド、レブラン(アミノレブリン酸)、リンフォリジン(クロラムブシル)、リポドックス(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、リポソーマルシタラビン、ロムスチン、ルプロン(酢酸ロイプロリド)、ルプロンデポ(酢酸ロイプロリド)、ルプロンデポ-Ped(酢酸ロイプロリド)、ルプロンデポ3ヶ月製剤(酢酸ロイプロリド)、ルプロンデポ4ヶ月製剤(酢酸ロイプロリド)、マルキボ(ビンクリスチン硫酸塩リポソーム)、マチュレーン(プロカルバジン塩酸塩)、メクロレタミン塩酸塩、メゲース(酢酸メゲストロール)、酢酸メゲストロール、メキニスト(トラメチニブ)、メルカプトプリン、メスナ、メスネックス(メスナ)、メタゾラストン(テモゾロミド)、メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、メキサート(メトトレキサート)、メキサート‐AQ(メトトレキサート)、マイトマイシンC、ミトザイトレックス(マイトマイシンC)、MOPP、モゾビル(プレリキサフォル)、ムスタルゲン(メクロレタミン塩酸塩)、ムタマイシン(マイトマイシンC)、ミレラン(ブスルファン)、マイロサール(アザシチジン)、マイロターグ(ゲムツズマブオゾガマイシン)、ナノ粒子パクリタキセル(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ナベルビン(ビノレルビン酒石酸塩)、ネララビン、ネオサール(シクロホスファミド)、ニューポジェン(フィルグラスチム)、ネクサバール(ソラフェニブトシル酸塩)、ニロチニブ、ノルバデックス(タモキシフェンクエン酸塩)、Nプレート(ロミプロスチム)、オビヌツズマブ、オファツムマブ、オマセタキシンメペサクシネート、オンキャスパー(ペグアスパルガーゼ)、オンタック(デニロイキンジフチトクス)、OEPA、OPPA、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、パリフェルミン、パロノセトロン塩酸塩、パミドロン酸二ナトリウム、パニツムマブ、パラプラット(カルボプラチン)、パラプラチン(カルボプラチン)、パゾパニブ塩酸塩、ペグアスパルガーゼ、ペグインターフェロンα-2b、PEG-イントロン(ペグインターフェロンα-2b)、ペメトレキセド二ナトリウム、パージェタ(ペルツズマブ)、ペルツズマブ、プラチノール(シスプラチン)、プラチノール‐AQ(シスプラチン)、プレリキサフォル、ポマリドミド、ポマリスト(ポマリドミド)、ポナチニブ塩酸塩、プララトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、プロロイキン(アルデスロイキン)、プロリア(デノスマブ)、プロマクタ(エルトロンボパグオラミン)、プロベンジ(シプロイセル-T)、プリネトール(メルカプトプリン)、二塩化ラジウム223、ラロキシフェン塩酸塩、ラスブリカーゼ、R-CHOP、R-CVP、遺伝子組換えHPV2価ワクチン、遺伝子組換えHPV四価ワクチン、遺伝子組換えインターフェロンα-2b、レゴラフェニブ、レブリミド(レナリドミド)、リウマトレックス(メトトレキサート)、リツキサン(リツキシマブ)、リツキシマブ、ロミデプシン、ロミプロスチム、ルビドマイシン(ダウノルビシン塩酸塩)、ルキソリチニブリン酸塩、スクレロゾール胸膜内エアロゾル(タルク)、シプロイセル-T、ソラフェニブトシル酸塩、スプリセル(ダサチニブ)、スタンフォードV、滅菌タルク粉末(タルク)、ステリタルク(タルク)、スチバーガ(レゴラフェニブ)、スニチニブリンゴ酸塩、スーテント(スニチニブリンゴ酸塩)、シラトロン(ペグインターフェロンα-2b)、シノビール(サリドマイド)、シンリボ(オマセタキシンメペサクシネート)、タフィンラー(ダブラフェニブ)、タルク、タモキシフェンクエン酸塩、タラビンPFS(シタラビン)、タルセバ(エルロチニブ塩酸塩)、タルグレチン(ベキサロテン)、タシグナ(ニロチニブ)、タキソール(パクリタキセル)、タキソテール(ドセタキセル)、テモダール(テモゾロミド)、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、サロミド(サリドマイド)、トポサール(エトポシド)、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、トーリセル(テムシロリムス)、トシツモマブおよびI131ヨウ素トシツモマブ、トテクト(デクスラゾキサン塩酸塩)、トラメチニブ、トラスツズマブ、トレアンダ(ベンダムスチン塩酸塩)、トリセノックス(三酸化ヒ素)、タイケルブ(ニトシル酸ラパチニブ)、バンデタニブ、VAMP、ベクチビックス(パニツムマブ)、VeIP、ベルバン(ビンブラスチン硫酸塩)、ベルケイド(ボルテゾミブ)、ベルサール(ビンブラスチン硫酸塩)、ベムラフェニブ、ベペシド(エトポシド)、ビアデュール(酢酸ロイプロリド)、ビダーザ(アザシチジン)、ビンブラスチン硫酸塩、ビンカサールPFS(ビンクリスチンサルフェート)、ビンクリスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩リポソーム、ビノレルビン酒石酸塩、ビスモデギブ、ボラクサーゼ(グルカルピダーゼ)、ボリノスタット、ヴォトリエント(パゾパニブ塩酸塩)、ウェルコボリン(ロイコボリンカルシウム)、ザーコリ(クリゾチニブ)、ゼローダ(カペシタビン)、XELOX、エクスジバ(デノスマブ)、ゾーフィゴ(二塩化ラジウム223)、イクスタンジ(エンザルタミド)、ヤーボイ(イピリムマブ)、ザルトラップ(Ziv‐アフリベルセプト)、ゼルボラフ(ベムラフェニブ)、ゼヴァリン(イブリツモマブチウキセタン)、ザインカード(デクスラゾキサン塩酸塩)、Ziv‐アフリベルセプト、ゾラデックス(酢酸ゴセレリン)、ゾレドロン酸、ゾリンザ(ボリノスタット)、ゾメタ(ゾレドロン酸)、およびザイティガ(酢酸アビラテロン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は、創傷治癒または脈管形成を促進する薬剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、前記活性剤は、例えば、末梢動脈疾患(PAD)または心筋梗塞による損傷した心筋組織に起因する虚血を軽減する薬剤を含むことができる。例えば、前記薬物は、タンパク質もしくはそのフラグメント、例えば、成長因子もしくは血管新生因子、血管内皮成長因子(VEGF)など、例えば、VEGFA、VEGFB、VEGFC、またはVEGFD、および/またはIGF、例えば、IGF-1、線維芽細胞増殖因子(FGF)、アンジオポエチン(ANG)(例えば、Ang1もしくはAng2)、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、デルタ様リガンド4(DLL4)、パクリタキセル、またはそれらの組み合わせを含み得る。創傷治癒または脈管形成を促進する薬物は、当業者であれば創傷治癒または脈管形成を促進する他の薬物を容易に同定できるであろうから、非限定的である。
【0144】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は、抗増殖薬、例えば、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、アザチオプリン、シロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、バイオリムスA9、ノボリムス、ミオリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、またはトラニラストを含み得る。これらの抗増殖薬は非限定的なものであり、当業者であれば他の抗増殖薬を容易に同定できるであろう。
【0145】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は、抗炎症薬、例えば、コルチコステロイド抗炎症薬(例えば、ベクロメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、またはプレドニゾン);または、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(例えば、アセチルサリチル酸、ジフルニサル、サルサレート、トリサリチル酸コリンマグネシウム、イブプロフェン、デキシブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デキシケトプロフェン、フルリビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、アセクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ニメスリド、リコフェロン、H-ハルパイド、またはクロニキシネートリジン)を含み得る。これらの抗炎症薬は非限定的なものであり、当業者は他の抗炎症薬を容易に同定できるであろう。
【0146】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は、移植拒絶反応を予防または軽減する薬剤、例えば、免疫抑制剤を含み得る。例示的な免疫抑制剤には、カルシニューリン抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK506));哺乳動物標的ラパマイシン(mTOR)抑制剤(例えば、ラパマイシン、シロリムスとしても知られる);抗増殖剤(例えば、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸ナトリウム);抗体(例えば、バシリキシマブ、ダクリズマブ、ムロモナブ);コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)が含まれる。移植拒絶反応を予防または軽減するこれらの薬剤は非限定的なものであり、当業者であれば移植拒絶反応を予防または軽減する他の薬剤を容易に同定できるであろう。
【0147】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は、抗血栓薬、例えば、抗血小板薬、抗凝固薬、または血栓溶解薬を含み得る。
【0148】
例示的な抗血小板薬には、不可逆的シクロオキシゲナーゼ抑制剤(例えば、アスピリンもしくはトリフルサール);アデノシン二リン酸(ADP)受容体抑制剤(例えば、チクロピジン、クロピドグレル、プラスグレル、もしくはトリカグレロル);ホスホジエステラーゼ抑制剤(例えば、シロスタゾール);糖タンパク質IIB/IIIA抑制剤(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、もしくはチロフィバン);アデノシン再取り込み抑制剤(例えば、ジピリダモール);または、トロンボキサン抑制剤(例えば、トロンボキサン合成酵素抑制剤、トロンボキサン受容体抑制剤、テルトロバンなど)が含まれる。これらの抗血小板薬は非限定的なものであり、当業者であれば他の抗血小板薬を容易に同定できるであろう。
【0149】
例示的な抗凝固薬には、クマリン類(例えば、ワルファリン、アセノクマロール、フェンプロクモン、アトロメンチン、ブロジファクモン、またはフェニンジオン);ヘパリンおよびその誘導体(例えば、ヘパリン、低分子ヘパリン、フォンダパリヌクス、またはイドラパリヌクス);第Xa因子抑制剤(例えば、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン、ベトリキサバン、ダレキサバン、レタキサバン、またはエリバキサバン);トロンビン抑制剤(例えば、ヒルジン、レピルジン、ビバリルジン、アルガトロバン、またはダビガトラン);アンチトロンビンタンパク質;バトロキソビン;ヘメンチン;およびトロンボモジュリンが含まれる。これらの抗凝固薬は非限定的なものであり、当業者であれば他の抗凝固薬を容易に同定できるであろう。
【0150】
例示的な血栓溶解薬には、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)(例えば、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、もしくはテネクテプラーゼ);アニストレプラーゼ;ストレプトキナーゼ;またはウロキナーゼが含まれる。
【0151】
他の実施形態では、前記活性剤は、再狭窄を予防する薬剤、例えば、抗増殖薬、抗炎症薬、または抗血栓薬を含むことができる。例示的な抗増殖薬、抗炎症薬、および抗血栓薬は本明細書に記載されている。
【0152】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は、感染を治療または予防する薬剤、例えば、抗生物質を含むことができる。適切な抗生物質には、β-ラクタム抗生物質(例えば、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム)、ポリミキシン、リファマイシン、リピアマイシン、キノロン、スルホンアミド、マクロライド、リンコサミド、テトラサイクリン、アミノグリコシド、環状リポペプチド(例えば、ダプトマイシン)、グリシルサイクリン(例えば、チゲサイクリン)、オキサゾニジノン(例えば、リネゾリド)、およびリピアマイシン(例えば、フィダゾマイシン)が含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、抗生物質には、エリスロマイシン、クリンダマイシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、メクロサイクリン、(ナトリウム)スルファセトアミド、過酸化ベンゾイル、およびアゼライン酸が含まれる。適切なペニシリンには、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンg、ペニシリンv、ピペラシリン、ピバンピシリン、ピブメシリナム、およびチカルシリンが含まれる。例示的なセファロスポリンには、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファザフルール、セファゼドン、セファゾリン、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セファマンドール、セフメタゾール、セフォニシド、セフォテタン、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セフゾナム、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフジトレン、セフタメット、セフィキシム、セフメノキシム、セフォジジム、セフォタキシム、セフピミゾール、セフポドキシム、セフテラム、セフチブテン、セフチオフル、セフチオレン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフクリジン、セフピム、セフルルプレナム、セフォセリス、セフォゾプラン、セフピローム、セキノーム、セフトビプロール、セフタロリン、セファクロメジン、セファロラム、セファパロール、セフカネル、セフェドロロール、セフェムピドン、セフェトリゾール、セフィビトリル、セフマチレン、セフメピジウム、セフォベシン、セフォキサゾール、セフロチル、セフスミド、セフラセチム、およびセフチオキシドが含まれる。モノバクタムには、アズトレオナムが含まれる。適切なカルバペネムには、イミペネム/シラスタチン、ドリペネム、メロペネム、およびエルタペネムが含まれる。例示的なマクロライドには、アジスロマイシン、エリスロマイシン、ラリスロマイシン、ジリスロマイシン、ロキシスロマイシン、およびテリスロマイシンが含まれる。リンコサミドには、クリンダマイシン、およびリンコマイシンが含まれる。例示的なストレプトグラミンには、プリスチナマイシンおよびキヌプリスチン/ダルホプリスチンが含まれる。適切なアミノグリコシド抗生物質には、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、およびトブラマイシンが含まれる。例示的なキノロンとしては、フルメキン、ナリジクス酸、オキソリニック酸、ピロミジン酸、ピペミド酸、ロソキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、ナジフロキサシン、ノルフロキサシン、オフキサシン、ペフロキサシン、ルフロキサシン、バロフロキサシン、ガチフロキサシン、レパフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、パズフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、ベシフロキサシン、クリナフォクサシン(clinafoxacin)、ジェミフロキサシン、シタフロキサシン、トロバフロキサシン、およびプルリフロキサシンが含まれる。適切なスルホンアミドには、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、およびトリメトプリム-スルファメトキサゾンが含まれる。例示的なテトラサイクリンには、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、およびチゲサイクリンが含まれる。他の抗生物質には、クロラムフェニコール、メトロニダゾール、チニダゾール、ニトロフラントイン、バンコマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、リネゾリド、シクロセリン、リファンピン、リファブチン、リファペンチン、バシトラシン、ポリミキシンB、ビオマイシン、およびカプレオマイシンが含まれる。当業者は、本明細書に記載のデバイスおよび方法において有用な他の抗生物質を容易に同定することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は、黄斑変性症を軽減する薬剤を含むことができる。黄斑変性症の現在の一般的な治療法の1つは、抗血管新生化合物を眼内に注射することである(Lucentis、Eylea)。眼内注射を繰り返すことは、時に患者の忍容性が低く、患者のコンプライアンスが低くなる。本明細書に記載されるように、黄斑変性症用の薬剤デポを非侵襲的に再充填する能力は、患者のコンプライアンスと、疾患、例えば黄斑変性症の治療に対する患者の忍容性とを著しく改善する。本明細書に記載の方法によって可能となる制御された反復放出は、より少ない薬物投与量および患者の快適性の改善を可能にする。
【0154】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は、免疫学的拒絶反応を予防する薬剤を含むことができる。本明細書に記載される発明以前は、細胞、組織または臓器全体の免疫学的拒絶反応を予防するために、患者は、重大な副作用を引き起こし、免疫系を枯渇させ、感染症および他の合併症のリスクがより高い全身性の抗拒絶反応薬の生涯にわたる療法を必要とした。抗拒絶反応薬を局所的に放出し、化合物を繰り返し装填する能力は、より局所的な抗拒絶反応療法を、より少ない全身性副作用、改善された忍容性、およびより優れた有効性で可能にする。
【0155】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は血栓症を予防する薬剤を含むことができる。人工血管および被覆ステントなどの血管デバイスの中には、身体が前記デバイスに対してトロンビンを介した反応を起こす血栓症に悩まされるものがある。これらのデバイスから放出される抗血栓薬によって、前記血栓症のプロセスを一時的に抑制することができるが、前記デバイスの薬剤には限りがあり、前記薬剤の供給がなくなると血栓症を防ぐことはできない。これらのデバイスは長期間(潜在的には患者の一生)留置されるため、一時的な血栓抑制では不十分である。抗血栓薬を繰り返し局所的に投与し、前記薬剤を放出することができれば、臨床転帰が著しく改善し、長期的な血栓症抑制が可能になる。
【0156】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は、炎症を治療する薬剤を含むことができる。慢性炎症は、非分解性病原体、ウイルス感染、または自己免疫反応による持続的な炎症によって特徴付けられ、何年も続くことがあり、組織破壊、線維化、および壊死を引き起こす。炎症が局所的な疾患である場合もあるが、臨床的介入はほとんど常に全身的なものである。全身的に投与される抗炎症薬には、胃腸障害、心毒性、高血圧および腎障害、アレルギー反応、ならびに感染リスクの増加を含む重大な副作用がある。NSAIDsおよびCOX-2抑制剤などの抗炎症剤を繰り返し局所的に放出できれば、これらの副作用を軽減することができる可能性がある。これらの方法は、全身的な副作用を回避しながら、長期的かつ局所的な抗炎症治療を提供する能力を提供することができる。
【0157】
他の適切な活性剤には、例えば、チェックポイント抑制剤、ならびにSTINGアゴニストおよびtoll様受容体のアゴニストなどの免疫治療薬/免疫アジュバントが含まれる。例えば、STINGリガンド(例えば、天然環状ジヌクレオチド、cAIMPジヌクレオチド、フッ素含有環状ジヌルコエチド、ホスホロチオエート含有環状ジヌクレオチド、DMXAA);TLR2リガンド;TLR3リガンド(例えば、ポリ(I:C));TLR4リガンド(例えば、リポ多糖、モノホスホリルリピドA、CRX-527);TLR5リガンド;TLR7/8リガンド(例えば、ガルジキモド、イミキモド、ロキソリビン、レジキモド、イミダゾキノリン、アデニン塩基アナログ、ベンゾアゼピンアナログ);TLR9リガンド(例えば、天然CpG ODN、ホスホロチオエートCpG ODN);TLR13リガンド(例えば、rRNA由来ODN);およびNODリガンド(例えば、iE-DAP、メソ-ランチオニントリペプチド、D-γ-Glu-mDAP、L-Ala-γ-D-Glu-mDAP)が含まれる。
【0158】
例として、代表的な活性剤には、ドキソルビシン、パクリタキセル、ゲムシタビン、トポテカン、タクロリムス、ミコフェノール酸、ラパマイシン、テシキモド、エルロチニブ、DMXAA、CdN、テモゾロミド、およびドセタキセルが含まれる。
【0159】
いくつかの実施形態では、前記活性剤は、インテグリン結合ペプチド、コラーゲン模倣ペプチド、ヒドラジド、アルデヒド、免疫調節因子、血管新生促進因子、または細胞シグナル伝達因子を含むことができる。
【0160】
〔実施例〕
以下の実施例は、本明細書で特許請求される化合物、組成物、成形品、デバイスおよび/または方法がどのように製造され、評価されるかについての完全な開示および説明を当業者に提供するために提示されたものであり、純粋に例示的であることを意図しており、本開示を限定することを意図していない。数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力が払われているが、若干の誤差および逸脱は説明されるべきである。特に断りのない限り、部は重量部であり、温度は℃または周囲温度であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0161】
〔実施例1〕
〔枯渇性アジド修飾および修復性アジド修飾で修飾されたアルギン酸塩ポリマーの合成。〕
アジド基で修飾されたアルギン酸塩ポリマーはカルシウムの存在下で架橋能力を失う。これらの以前のアルギン酸塩修飾では、アジド-PEG4-アミン(アジド-アミン)は、カルボジイミドカップリングを通して、アルギン酸塩上のカルボキシル基をアミドに置き換えてアルギン酸塩にコンジュゲートさせた。これらの修飾は利用可能なカルボキシル基を枯渇させるので、我々はこれらの修飾を「枯渇性」と名付けた。我々は、カルボキシル基を含む修飾でアルギン酸塩ポリマーを修飾すれば、カルシウム架橋が修復するという仮説を立て、このような修飾を「修復性」と名付けた。
【0162】
修復させたカルボキシル基を有するアルギン酸塩ストランドを調製するために、我々はカルボキシ基を含有するアジド-リジンS4をコンジュゲートさせることによって達成できると仮定した。アジド-リジンは、2-アジド酢酸から始まる3ステップの文献プロトコールを改良して調製した(図2)。化合物S4の合成は、2-アジド酢酸S1をN-ヒドロキシスクシンイミドでNHS誘導体化することから始まった。このアジド-NHSをα-BOCで保護されたリジンS2にカップリングさせ、α-BOC-γ-アジド-リジンS3を得た。これを脱保護し、最終的なアジド-リジンS4の化合物を得た。
【0163】
枯渇性アジド修飾および修復性アジド修飾で修飾されたアルギン酸塩の調製は、カルボジイミドカップリングの連続ラウンドによって達成された。各ラウンドでは、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(2000eq.)、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(1000eq.)、およびアジド(500eq.)を用い、続いて透析、ワークアップ、および置換度の測定を行った。表1は、1回および複数回のカップリング後の各タイプの修飾に対するアルギン酸塩のアジド定量を示している。アルギン酸塩とカルボキシル枯渇性修飾アジド-アミンとの最初のカップリング(図3)では87の置換度が得られ、一方、カルボキシル修復性修飾アジド-リジンとのカップリング(S4)では51の置換度が得られた。これらの低DS材料は、カップリングの連続ラウンドに供され、枯渇性修飾(~179)および修復性修飾(~145)の両方でDSが増加した。
【0164】
【表2】
【0165】
〔アルギン酸塩をカルボキシル修復性基で修飾すると、カルシウム架橋が効率的に維持される。〕
次に、カルボキシル修復がアルギン酸塩の粘性およびカルシウム架橋ゲルの力学的性質も修復させるかどうかを評価した。一般的な観察から、低DSカルボキシル枯渇溶液、低DSカルボキシル修復溶液、および高DSカルボキシル修復溶液の2%(w/v)アルギン酸塩溶液の粘度はほぼ同じであることが明らかになった。しかし、高DSカルボキシル枯渇材料は溶液粘度の著しい低下を示した。2%アルギン酸塩溶液を200mM硫酸カルシウム溶液で架橋させた。低DSでは、どちらのゲル修飾でもカルシウム架橋およびゲル形成が可能であった。しかし、高いDSでは、枯渇性修飾はカルシウム架橋およびアルギン酸塩ゲル化を完全に消失させた(図4A)。これとは対照的に、修復性修飾で修飾されたアルギン酸塩ゲルは、ゲルの剛性は多少失われたものの、ゲルの完全性を維持した。
【0166】
アルギン酸塩と硫酸カルシウムとを激しく混合して形成したアルギン酸塩ハイドロゲルをレオロジー試験に供した。レオロジー試験の結果、低DSのアルギン酸塩はいずれの修飾でも粘弾性ゲルを形成するが、カルボキシルを修復する修飾のみが高DSでカルシウム架橋を可能にするという全体的な観察が確認された。修復性修飾の利点は高DSで最も顕著であったので、その後の実験では高DSのカルボキシル枯渇アルギン酸塩ゲルとカルボキシル修復アルギン酸塩ゲルとを比較した。
【0167】
粘弾性挙動および注射性はハイドロゲルの機能にとって極めて重要な特性であるため、修復アルギン酸塩ゲルを歪み掃引レオロジー試験に供した。修復性修飾を施したアルギン酸塩は、図4Bに示すようにG’’ピークの出現により比較的強い三次元(3D)ネットワークを有するゲル様挙動(貯蔵弾性率(G’)>損失弾性率(G’’))を示した。修復性修飾を施した試料の線形粘弾性(LVE)範囲の線形限界値は、非修飾ゲルが5%であったのに対し、26%であった(図4B図5)。このことは、修飾が実際に比較的高度な架橋を誘導し、試料の構造組織を強化したことを示している。周波数掃引試験をLVE領域内で行った(図4C図6)。この図から、低周波数領域では、修復性修飾を施した試料ではG’>G’’および平坦な勾配が見られたのに対し、枯渇性修飾を用いた試料では逆の結果が示された。この結果から、修復性修飾を施した試料(図4C、赤)は、枯渇性修飾を用いた試料(図4C、青)と比較して、静止状態ではゲル様状態であり、かつ、構造的に比較的安定していることが確認された。さらに、注射性を評価するために回転試験を行った。せん断速度を増加させると、非修飾アルギン酸塩と同様に修復性修飾アルギン酸塩ゲルの粘度低下(せん断減粘挙動)が誘導された(図7)。最後に、自己修復挙動を、繰り返し歪み時間掃引レオロジー実験により評価したところ、修復試料は優れた自己修復挙動を示した(図4D図8)。これらの結果を総合すると、アルギン酸カルボキシル基を枯渇させる修飾とは対照的に、修復性修飾とコンジュゲートしたアルギン酸塩ポリマーはカルシウム架橋、ゲル化、注射性、および自己修復性を維持することが示された。
【0168】
〔アルギン酸塩を修復性修飾剤にコンジュゲートさせると、生体内でのゲルの保持および全身性の捕捉が向上することが示される。〕
ハイドロゲルの機能は、注射部位にゲルが留まることを必要とする。我々は、架橋の不十分なハイドロゲルは注射部位に留まる能力を失い、体の他の部位に移動することを発見した。我々は、枯渇性修飾および修復性修飾を施したアルギン酸塩が標的部位に留まる能力を試験した。
【0169】
我々は、高DSカルボキシル枯渇アルギン酸塩ゲルおよびカルボキシル修復アルギン酸塩ゲルを後肢に筋肉内注射し、生体内ゲル保持能を試験した。アジド修飾アルギン酸塩ゲルをシアニン7-ジベンゾシクロオクチン(Cy7-DBCO)とインキュベートした。Cy7-DBCOはアジド基と共有結合してアルギン酸塩を標識する。対照として、アジド修飾のない非修飾アルギン酸もCy7-DBCOとインキュベートした。予想されたように、非修飾アルギン酸塩の対照は、ゲルからコンジュゲートされていないダイのクリアランスにより、すぐに蛍光シグナルが消失した(図9A-B)。高DSアジド-アルギン酸塩の両方は、注射部位でシグナルを維持し、初日以降2週間を通して非修飾ゲルと比較して統計的に有意であった。
【0170】
カルボキシル枯渇アルギン酸塩ゲルのシグナルは、ネズミの体の他の部分と同様に、注射した肢の足首などの標的外の位置でより広がり、より多く存在しているように見えた。望ましくない部位でのアルギン酸塩の標的外蓄積を定量化するために、我々は注射した肢の足首および注射していない対側肢の蛍光を測定した(図9C)。非修飾アルギン酸塩からのコンジュゲートされていないCy7放出と比較して、修復アルギン酸塩では有意な標的外蓄積は観察されなかった。しかし、初日(足首)および3日目(対側肢)以降、2週間の全期間を通して、枯渇アルギン酸塩が非修飾アルギン酸塩と有意に異なることがわかった(図9D-E、図10)。このデータを総合すると、ハイドロゲルの機械的強度の損失は、注射部位から全身の望ましくない部位への材料の移動につながることを示している。
【0171】
以前の報告で、我々は、アジド修飾アルギン酸塩が血液中の循環するDBCO分子を捕捉し、超特異的薬物送達に応用できることを示した。そこで我々は、修復アルギン酸塩が全身に循環する蛍光性DBCO分子を筋肉内部位でも捕捉できるかどうかを試験した。修復性修飾および枯渇性修飾を施したアルギン酸塩を、近交系CD1マウスの後肢に筋肉内注射した。筋肉内注射の1週間後、DBCO-蛍光色素を静脈内投与し、筋肉中の蛍光を経時的に測定した。陰性対照として非修飾アルギン酸塩を用いた。静脈内注射の1週間後、両方のゲルが全身に循環するDBCO-Cy7を捕捉したが、修復ゲルは枯渇ゲルに比べて有意に高い蛍光捕捉を示した(図11A-B)。
【0172】
これらのデータを総合すると、生体外で観察されたゲル化挙動の改善は、直接生体内での挙動に反映されることが実証され、生体内での研究においてハイドロゲルの力学的性質を安定化させることの重要性が強調された。修復性修飾は、アルギン酸塩ゲル化を犠牲にすることなく、高レベルの修飾を可能にする。この生体材料の変化は、血液から全身に循環する薬物量を捕捉することを含め、この非常に求められている材料を薬物デポおよびインプラントの用途に使用することを可能にする。
【0173】
〔議論〕
この論文では、アルギン酸塩修飾の際にカルボキシル基を置換することで、高度に修飾されたアルギン酸塩ポリマーのカルシウム架橋が保護されることを報告している。カルボキシルの置換は、一般的に使用されるアミン基の代わりに、カルボキシルを含む修飾を使用することによって達成される。カルボキシルの置換により、機械的特性を維持しながら置換度を高めることができる。さらに、カルボキシルの修復は、注射部位における高度に修飾されたアルギン酸塩ゲルの生体内での保持を改善する。最後に、カルボキシルの修復は、局所注射されたアルギン酸塩ハイドロゲルに対する小分子のクリック特異的ターゲティングを改善した。
【0174】
以前の研究で、我々はカップリングを繰り返すことでアルギン酸塩の置換度を高めるプロトコールを示した。しかし、我々および他の研究者は、高DSを持つアルギン酸塩ゲルは架橋に失敗することを示した。この観察は、クリック架橋剤の使用に頼らざるを得なかった。対照的に、この研究では、我々はクリックベースの架橋剤は必要なく、カルボキシル基を修復することによってカルシウム架橋を回復できることを示した。カルシウム架橋の回復は、カルシウム架橋アルギン酸塩ゲルで観察される自己修復性および注射性を調節するため有益である。実際、アルギン酸塩上のカルボキシル基を枯渇させる修飾はゲルの力学的性質を低下させ、ゲル化を妨げるが、カルボキシル基を修復させた修飾はカルシウム架橋を示した。
【0175】
我々は、EDC/NHSを介したアジド-リジンのアルギン酸塩へのカップリングが、アジド-アミンのカップリングとほぼ同様の収率を示すことを観察した。これらの反応全体の収率は非常に低く、500当量のアジドからアルギン酸塩に結合したアジド分子は50~80しか得られなかった。この収率の低さは、アルギン酸-NHSエステルの加水分解、ならびに、大きなアルギン酸塩ポリマーに結合したときにアミンがNHSエステルのカルボニルにアクセスすることを防ぐ立体障害に由来すると考えられる。修復性修飾および枯渇性修飾のカップリングでは、カップリングの効率にいくつかのばらつきが観察された。このばらつきは、EDCカップリングの効率およびアミノ基の求核性の違いによるものと考えられる。あるいは、リジン自体のカルボキシル基が、アルギン酸塩のカルボキシル基との反応からEDCおよびNHSをそらす可能性もある。
【0176】
ハイドロゲルの導入部位における保持は、組織工学的スカフォールドとして、ならびに細胞および薬剤の送達プラットフォームとして使用する際に重要である。特に、架橋度の低いアルギン酸塩が注射部位から急速に移動するという以前に発表された結果を考慮すると、2週間以上にわたって、修復性修飾および枯渇性修飾の両方を組み込んだアルギン酸塩ハイドロゲルが、注射された組織部位に良好に保持されたことは、当初驚くべきことであった。このように、生体外ではゲル化挙動が完全に失われたにもかかわらず、ハイドロゲルのコヒーレンスは残っていたに違いない。しかし、カルシウム架橋アルギン酸塩ゲルには枯渇性修飾があり、標的外部位への蓄積が有意に増加した。このことは、架橋の喪失が時間の経過とともにポリマーの脱落につながることを示している。ハイドロゲルの局在および標的外への蓄積に対する正確な制御の欠如は、臨床応用を大きく妨げる可能性があるため、修復性修飾は、高DSを必要とするスカフォールドおよび薬物送達プラットフォームにおいて非常に望ましい。
【0177】
カルボキシル基の修復性修飾を用いたアルギン酸塩ハイドロゲルは、高度に修飾されたゲル化不良のハイドロゲルと比較して、デポ部位における血液からのDBCO蛍光捕捉能の改善を示した。以前の研究では、高度に修飾されたアルギン酸塩が組織への注射後にその保持能力を失うことを示した。この違いは、架橋度の低いハイドロゲルの分解および標的部位からの移動による可能性が非常に高い。
【0178】
修復性カルボキシル基を持つアルギン酸塩ハイドロゲルは、筋肉内部位での低分子の捕捉を改善した。注射されたDBCO-蛍光色素の量は、利用可能なアジドの理論的な数からすると依然として小さな割合であり、どの地点でもゲルに到達する分子は全体の1%~10%に過ぎないと予想される。しかし、アジドと循環するDBCO分子との相互作用の機会が増えることで、蓄積量が増加する。
【0179】
〔結論〕
まとめると、ポリマー骨格上のカルボキシル基を修復させるアルギン酸塩修飾は、生体内応用におけるハイドロゲルおよびデポの安定性を著しく改善する。カルボキシル基を修復させる修飾は、カルボキシル基を枯渇させる修飾と比較して、カルシウム架橋挙動、機械的特性、生体内滞留性、およびデポ捕捉性に優れた、機械的に強固で高度に修飾されたアルギン酸塩ゲルを可能にする。
【0180】
〔材料および方法〕
試薬。栄養グレードのアルギン酸塩(Protanal LF 20/40、平均MW=300kDa、>60%グルロン酸)は、Dupont Nutrition and Healthから購入した。硫酸カルシウム二水和物(C3771)、MES(M3671)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(D125806)は、Sigma-Aldrichから購入した。アジド-PEG4-アミン(1868)は、Lumiprobe corporationから購入した。DBCO-スルホ-アミン(1227)およびDBCO-Cy7(1047)は、Click Chemistry Toolsから購入した。1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC、024810)は、Oakwood Chemicalから購入した。アジド酢酸(35109)、N-Boc-L-リジン(02708)は、Chem-Impexから購入した。N-ヒドロキシスクシンイミドは、Chem-Impex International(00182)またはAlfa Aesar(A10312)から購入した。1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(A299)は、AK Scientificから購入した。N,N-ジメチルホルムアミド(227056)は、Acros Organicsから購入した。トリフルオロ酢酸(O4901-500)、メタノール(A433P-4)、アセトニトリル(A998-4)およびトルエン(T290-4)は、Fisher Chemicalから購入した。
【0181】
アジド-リジン合成。(S)-2-アンモニオ-6-(2-アジドアセトアミド)ヘキサノエート(S4)。文献公知のプロトコールを修正して調製した。火炎乾燥した250mL丸底フラスコに、N-ヒドロキシスクシンイミド(3.037g、26.39mmol、1.3equiv.)および撹拌棒を加えた。アルゴンバルーンを用いてセプタを加えた。101mLの無水N,N-ジメチルホルムアミド(0.2M)を加え、反応物を撹拌した。セプタを除去し、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボンジイミド塩酸塩(5.06g、26.4mmol、1.3equiv.)を加えた。セプタを交換し、反応物を室温で攪拌した。次に、2-アジド酢酸(S1)(1.52mL、20.3mmol、1equiv.)を反応物に注射した。反応物を2時間撹拌した後、セプタを除去し、N-Boc-L-リジン(S2)(5.0g、20.3mmol、1equiv.)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(12.7mL、73.1mmol、3.6equiv.)を順に添加した。セプタを交換し、反応物をさらに17時間撹拌した。1時間かけて反応物は琥珀色になり、反応終了までこの色のままであった。粗反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した後、高真空でDMFおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンを全て除去し、琥珀色のオイルを残した。トルエンを加え、ロータリーエバポレーターおよび高真空によって蒸発させ、微量のDMFおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミンを除去した。次いで、この粗油を精製することなく次のステップに進めた。粗N6-(2-アジドアセチル)-N2-(tert-ブトキシカルボニル)-L-リジン(S3)(6.69g、20.3mmol、1equiv.)に、44mLの無水ジクロロメタンおよび22mLのトリフルオロ酢酸(2:1比、0.3M反応モル濃度)を室温で添加した。反応物を4時間攪拌し、LCMSで完全な変換が観察された。次いで、反応物をロータリーエバポレーターで容量まで濃縮した。次に、100mLのアセトニトリルを加え、これを濃縮した。次に、100mLのトルエンを加え、これも濃縮した。この粗油を少量のメタノールで2回粉砕した後、大量のジエチルエーテルを加え、微量の不純物を含む淡桃色/褐色の固体として(S)-2-アンモニオ-6-(2-アジドアセトアミド)ヘキサノエート(S4)(3.56g、15.5mmol、77%)を得た。単離した固体をさらに1回粉砕し、淡褐色固体として純粋な(S)-2-アンモニオ-6-(2-アジドアセトアミド)ヘキサノエート(S4)(2.10g、9.16mmol、45%)を得た。
【0182】
アルギン酸塩のアジド結合。Dupont Nutrition and Healthから購入した栄養グレード、高グルロン酸含量、高分子量(MW)アルギン酸塩(PROTANAL LF 20/40)を、まず純水に溶解し、木炭を添加し(アルギン酸塩1gあたり0.5gの木炭)、濾過し、MES緩衝液を所望の0.5%重量/容量(w/v)濃度(200mL中アルギン酸1g、20μM、1eq)になるように加えた(100mM MES、300mM NaCl、pH:6.5)。カップリング反応を開始するために、EDC(40mM、2000eq)およびNHS(20mM、1000eq)をアルギン酸塩溶液に加え、5分間撹拌した。アジド-リジン(10mM、500eq.)またはアジド-アミン(10mM、500eq.)のいずれかを溶液に添加し、両方の溶液を室温で蓋をして一晩撹拌した。この溶液を、4日間~5日間、1日あたり2回~3回溶液を交換しながら、順次塩含量の低い水4Lに対して透析した。透析した溶液は凍結し、高真空下で凍結乾燥した。追加のカップリングのために、試料を0.5%w/vの1X MES緩衝液に溶解し(200mL中に1g)、記載したようにカップリングステップを繰り返した。
【0183】
アジドの定量。アルギン酸アジドを公知の過剰量のDBCOとインキュベートしたときのDBCO吸光度の減少を見ることによって、アルギン酸塩にコンジュゲートしたアジドの数を定量した。0.1%w/v(2.5ml中2.5mg)のアルギン酸塩溶液をリン酸緩衝液(PBS)中で作った。DBCO-アミン(Click Chemistry Tools-1227)の80μM溶液を作り、DBCO-アミンの80μM溶液を分離するために3つの異なる量のアルギン酸塩(400pmol、800pmol、および1.6nmolのアルギン酸塩)を加えた。DBCO陰性対照溶液も、アジ化ナトリウム(1umol、2500eq)と反応させたDBCOからなる陽性対照とともに試験した。分光光度計は、紫外可視分光光度計(Thermo Scientific Nanodrop 2000c)を用い、光路長1cmのキュベットを用いて行った。吸光度変化は波長308nmで観察した。このプロセスを0.1%アルギン酸(alg)溶液の複製で繰り返し、吸光度値を平均した。DBCO陰性対照と比較したアルギン酸塩試料の吸光度の減少は、DBCOと反応したアジドの量を示した。
【0184】
DS=molアジド×MWアルギン酸塩/質量azalg-molアジド×MWアジド。
【0185】
ゲル形成。アルギン酸塩をPBSに溶解した(2%w/v、1mL中20mg)。2%w/vアルギン酸塩溶液と硫酸カルシウム溶液(最終濃度18.2mM)とを10:1の割合で、空気を最小限にしながら2本のシリンジシステムで混合した。溶液はシリンジバレルを10回往復させることによって混合した。このシステムを用いて、400μLから1mLまでの範囲のゲルサイズを作成した。
【0186】
レオロジー試験。アルギン酸塩を5.4節に記載の方法で架橋し、1mLのゲルを混合して24ウェルプレートに注射した。ゲルは少なくとも24時間放置して沈殿させ、次いでレオロジー試験用に回収した。調製したゲルのレオロジー試験は、Molecular Compact Rheometer(MCR302、Anton Paar、Graz、オーストリア)を用いて行った。直径50mmかつ1度のコーンプレートジオメトリー(CP50-1/TG、Anton Paar、Graz、オーストラリア)をこの実験に使用した。ジオメトリーを設置した後、0.1mmの切り捨てギャップでゼロフォースおよびゼロギャップを設定した。分析を開始する前に、システムを較正するために、測定システムの慣性を調整し、システム試験を行った。較正が完了した後、1mLのゲル試料(ラボ用スパチュラで軽くつぶしたもの)を、21℃であらかじめ設置された温度制御ペルチェプレート上に置いた。ジオメトリーコーンを切り捨て高さに設定し、試料のアクセスをトリミングした。各試験の前に、コーンジオメトリーおよびペルチェプレートを蒸留水および絶対エタノールで洗浄し、一貫性を確保するために装置を校正した。
【0187】
ゲルのレオロジー特性を測定するために、Chenらの方法に若干の修正を加え、以下の同時試験を行った。
【0188】
時間掃引:0.2%の歪みおよび周波数10Hzで2分間の時間掃引を行い、各試験の実施の前と間に一定の速度で合計150データ点を収集した。
【0189】
振幅掃引:ゲル試料の振幅掃引試験は、10Hzで0.01%から500%までの範囲の対数ランプで、3秒間のコンディショニングおよびサンプリングの時間で行い、10ごとに10データ点を記録した。
【0190】
周波数掃引:0.2%の歪みで0.01Hz~100Hzの範囲の対数ランプ上の周波数掃引を、3秒間の試料コンディショニングおよびサンプリングの時間で行い、10ごとに10データ点を記録した。
【0191】
周期的振幅掃引:連続繰り返し振幅掃引試験を5つの区間(1~5)で実施した。区間1、3および5は0.2%の歪み、10Hz、2分間とし、区間2および4は500%の歪み、10Hz、1分間とした。
【0192】
せん断速度ランプ:ゲルの連続流動挙動を調べるために、0s-1から50s-1まで、および50s-1から0s-1までの2つの連続せん断速度ランプをそれぞれ2.5分間行った。各10分間に20データ点、合計74データ点を記録した。
【0193】
筋肉内移植アルギン酸塩ゲルのゲル保持。全ての動物実験は、実験動物の飼育および使用に関するNIHガイド(NIH Guide for Care and Use of Laboratory Animals)を含む施設の倫理的使用プロトコールに従って行われた。非修飾アルギン酸塩および修飾アルギン酸塩は5.4節に記載したように調製したが、代わりにPBS溶液中、24μMのDBCO-Cy7(2%w/v、1mL中20mg)に溶解し、ゲルを架橋した後の最終濃度を21.8μMとした。12週齢のCD1マウス(Charles River、022)に、蛍光標識した非修飾アルギン酸塩、枯渇アジド-アルギン酸塩、または修復アジド-アルギン酸塩(n=4)を50μLずつ左肢に筋肉内注射した。IVISイメージャーを用いてCy7蛍光を2週間にわたってモニターし、蛍光シグナルを得た。提示された全てのIVIS画像にはICG/ICG励起および発光フィルターが使用され、Living Imageソフトウェアでの画像計算は行われなかった。全てのIVIS画像について、可変露光時間にわたってデータを正規化するために放射輝度効率の値のみが使用された。関心領域(ROI)は、注射したふくらはぎ、注射した足首、対側のふくらはぎと関連した蛍光シグナルを合計するために使用した。
【0194】
アルギン酸塩ゲルの筋肉内注射による蛍光色素の全身的捕捉。全ての動物実験は、実験動物の飼育および使用に関するNIHガイド(NIH Guide for Care and Use of Laboratory Animals)を含む、施設の倫理的使用プロトコールに従って行われた。非修飾アルギン酸塩および修飾アルギン酸塩は5.4節に記述したように調製した。12週齢のCD1マウス(Charles River、022)に、50μLの非修飾アルギン酸塩、枯渇アジドアルギン酸塩、または修復アジドアルギン酸塩(n=3)を左肢に筋肉内注射した。5g/LのDBCO-Cy7の水中ストックを調製し、100倍に希釈して滅菌濾過した。注射1週間後、滅菌した50mg/LのDBCO-Cy7溶液100μLを軌道後方から注射した。IVISイメージャーを用いて1週間後にCy7蛍光を測定し、蛍光シグナルを得た。提示された全てのIVIS画像にはICG/ICG励起および発光フィルターが使用され、Living Imageソフトウェアでの画像計算は行われなかった。全てのIVIS画像について、可変露光時間にわたってデータを正規化するために放射輝度効率の値のみが使用された。ROIは左ふくらはぎと関連した蛍光シグナルを合計するために使用した。
【0195】
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【図面の簡単な説明】
【0196】
図1-1】図1Aは、枯渇性アルギン酸塩修飾および修復性アルギン酸塩修飾の概要を示している。アルギン酸塩はカルボキシル基(赤色)を介して化学基(青色)で修飾され得る。アルギン酸塩はカルボキシル基を枯渇させ、カルシウム架橋を破壊する。対照的に、修飾によってカルボキシル基が修復されれば、アルギン酸塩ゲルはカルシウム架橋およびゲル化を維持する。図1Bは、従来の非修飾アルギン酸塩ゲルにおいて起こる架橋を表したものである。図1Cは、アルギン酸塩架橋に対する修飾の効果を示している。図1Dは、新しいカルボン酸基を導入する本発明の解決策と、架橋に対する前記基の効果とを示している。
図1-2】図1-1と同じ。
図1-3】図1-1と同じ。
図1-4】図1-1と同じ。
図2図2は、(S)-2-アンモニオ-6-(2-アジドアセトアミド)ヘキサノエート(S4)の合成法を示している。
図3図3は、アジドアミン(枯渇性修飾)およびアジドリジン(修復性修飾)のアルギン酸塩へのカップリングを示している。
図4-1】図4A、4B、4Cおよび4Dは、高置換度での修復性修飾がアルギン酸塩ゲルの力学的性質を維持することを示している。図4Aは、低DSおよび高DSのアジドでの枯渇性修飾および修復性修飾を用いたカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルの写真を示している。図4Bは、粘弾性挙動を示す修復性修飾を施したカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルの代表的な歪み掃引(線形限界γ=24%)を示している。各ゲルのN=3、ならびにカルボキシル枯渇および非修飾のハイドロゲルは図5に示され得る。線形限界のプラトー値を選択するために、偏差の±5%許容範囲を使用した。図4Cは、LVE領域内の代表的な周波数掃引[1-100Hz]を示し、高DS修復アジドアルギン酸塩および高DS枯渇アジドアルギン酸塩によって修飾したカルシウム架橋ゲルのゲル状挙動および構造安定性を示している。貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)の測定値を示す。各ゲルのN=3および低DSゲルの力学的性質は図6に示され得る。図4Dは、高歪み[500%]に続いて低歪み[0.2%](周波数=10Hz)を加えるという変形を繰り返した後の回復によって示される、修復性修飾を伴うカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルの自己修復挙動を示す繰り返し歪み時間掃引レオロジーを示している。各ゲルタイプのN=3、ならびに非修飾ゲルおよびカルボキシル枯渇ゲルを図8に示している。
図4-2】図4-1と同じ。
図4-3】図4-1と同じ。
図4-4】図4-1と同じ。
図5-1】図5A、5Bおよび5Cは、(5A)修復性修飾(N=3)γL-RM=26%、(5B)枯渇性修飾(N=3)、および(5C)非修飾(N=2)γL-対照=5%を用いて、カルシウム架橋アルギン酸塩ゲルの10Hz歪み掃引によって示される粘弾性特性および線形限界を示している。線形限界のプラトー値を選択するために、偏差の±5%許容範囲を使用した。
図5-2】図5-1と同じ。
図5-3】図5-1と同じ。
図6-1】図6Aおよび6Bは、ゲル状の状態および構造安定性を示すカルシウム架橋ゲルの周波数掃引[1-100Hz]を示している。貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)の測定値を示す。図6Aは、低DSゲルおよび非修飾ゲルを含む各ゲルグループからの1つの試料を示している。図6Bは、示した全てのゲルグループの全ての試料を示している。N=3。
図6-2】図6-1と同じ。
図7図7は、非修飾アルギン酸塩(N=2)および修復性修飾を用いた高置換度アルギン酸塩(N=3)の注射性を示す回転試験である。ゲルの連続流動挙動を調べるために、50s-1から0s-1までの連続せん断速度ランプを2.5分間行った。10ごとに20データ点、合計74データ点を記録した。
図8-1】図8A、8Bおよび8Cは、10Hzで高歪み[500%]を加え、続いて低歪み[0.2%]を加えるという変形を繰り返した後の回復によって示されるカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルの自己修復挙動を示している。図8Aは、修復性修飾および枯渇性修飾を用いた高アジドDSを有するカルシウム架橋アルギン酸塩を示している。N=3。図8Bは、修復性修飾および枯渇性修飾を用いた高DSおよび低DSでのカルシウム架橋アルギン酸塩の1つの試料を示している。N=1。図8Cは、カルシウム架橋非修飾アルギン酸塩を示している。N=1。
図8-2】図8-1と同じ。
図8-3】図8-1と同じ。
図9-1】図9A、9B、9C、9Dおよび9Eは、修復性アジド修飾を施したカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルが標的外ゲル移動を減少させることを示している。図9Aは、代表的な画像(同じBLIスケール)を示し、図9Bは、カルボキシル枯渇性修飾またはカルボキシル修復性修飾に蛍光コンジュゲートしたアルギン酸塩ハイドロゲルを2週間かけて筋肉内に注射した後の蛍光シグナルの定量を示している。蛍光色素をコンジュゲートさせていない非修飾アルギン酸塩を陰性対照とした。図9Cは、定量化された標的外移動の代表的な位置を示している。2週間にわたる非注射対側肢(9D)および足首(9E)での蛍光シグナルの定量。関心領域(ROI)の値は、同等の大きさの領域における総放射輝度効率として定量化した。図は平均値±SEMを示している。統計的有意性は、陰性対照と比較して、二元配置分散分析(ANOVA)後にTukeyの多重比較検定を行い、***p<0.001、および****p<0.0001として表した。N=4。全てのマウスの全ての画像は図10に示されている。
図9-2】図9-1と同じ。
図9-3】図9-1と同じ。
図9-4】図9-1と同じ。
図9-5】図9-1と同じ。
図10-1】図10は、修復性アジド修飾を施したカルシウム架橋アルギン酸塩ゲルが、修飾を施していないアルギン酸塩ゲルと比較して、注射部位での保持を改善することを示している。カルボン酸枯渇性修飾またはカルボン酸修復性修飾に蛍光コンジュゲートさせたアルギン酸塩ハイドロゲルを2週間にわたって筋肉内注射した後の蛍光シグナルを示す全てのマウス画像。蛍光色素をコンジュゲートさせていない非修飾アルギン酸塩を陰性対照とした。各々の群の画像を同じスケールで示す。全ての蛍光シグナルは、ICG/ICGフィルターを用いて測定され、放射輝度効率として示された。N=4。
図10-2】図10-1の続き。
図10-3】図10-1の続き。
図11-1】図11Aおよび11Bは、修復性アジド修飾が循環するDBCO蛍光色素の標的捕捉を改善することを示している。図11Aは、代表的な画像(同じBLIスケール)を示し、図11Bは、カルシウムで架橋されたアルギン酸塩ハイドロゲルを筋肉内注射してからの筋肉内部位での蛍光の定量を示している。DBCO-Cy7はゲル注射の1週間後に静脈内投与した。静脈内投与から1週間後、注射部位での蛍光シグナルの捕捉を比較するためにマウスを撮像した。ROIの値は、同等の大きさの領域における総放射輝度効率として定量化した。試料は平均値±SEMを示す。統計的有意性は、全ての群について一元配置分散分析(ANOVA)後にTukeyの多重比較検定を行い、**p<0.01、および****p<0.0001として表した。N=3。
図11-2】図11-1と同じ。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6-1】
図6-2】
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】
図9-5】
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図11-1】
図11-2】
【国際調査報告】