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特表2024-540183置換されたフェニルプロピオン酸誘導体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】置換されたフェニルプロピオン酸誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/09 20060101AFI20241024BHJP
   C07D 211/34 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 31/4025 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C07D207/09
C07D211/34 CSP
A61K31/4025
A61K31/4545
A61P9/00
A61P3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525662
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 CN2022129479
(87)【国際公開番号】W WO2023078333
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111293711.9
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211033065.7
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521218294
【氏名又は名称】上海拓界生物医薬科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】TUOJIE BIOTECH(SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 103, No.14 Building, No.3728 Jinke Road, Free Trade Pilot Zone, Pudong New Area, Shanghai 201203, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100103230
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 裕貢
(72)【発明者】
【氏名】譚 亮
(72)【発明者】
【氏名】董 玉瓊
(72)【発明者】
【氏名】劉 敏
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲ジアオ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 健
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲ジェン▼
(72)【発明者】
【氏名】林 暁燕
(72)【発明者】
【氏名】李 雲飛
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC07
4C086BC21
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZC33
(57)【要約】
置換されたフェニルプロピオン酸誘導体及びその使用を提供し、具体的に、式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩を提供し、心血管疾患を予防及び/又は治療する薬剤の調製に適用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩であって、
【化1】
そのうち、R11は独立的に水素又はC1-6アルキル基から選ばれ、前記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR11Aで置換され、R11Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
12は独立的に水素、重水素、ハロゲン又はC1-6アルキル基から選ばれ、前記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR12Aで置換され、R12Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
13は独立的に水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、前記アルキル基又はアルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR13Aで置換され、R13Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
14は、独立的に水素又はC1-6アルキル基から選ばれ、
Wは、3又は4から選ばれ、
は、
【化2】
から選ばれ、
n1は、0~4から選ばれる整数である、
化合物又はその薬用可能な塩。
【請求項2】
12は、独立的に水素又は重水素から選ばれる、
請求項1に記載の化合物又はその薬用可能な塩。
【請求項3】
12は独立的にハロゲンから選ばれ、例えば、フッ素又は塩素であり、或いは、R12は独立的にC1-6アルキル基から選ばれ、前記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR12Aで置換され、R12Aは請求項1に定義された通りである、
請求項1又は2に記載の化合物又はその薬用可能な塩。
【請求項4】
11は独立的に水素から選ばれる、
請求項1~3の何れか一項に記載の化合物又はその薬用可能な塩。
【請求項5】
13は独立的に水素又は重水素から選ばれる、
請求項1~4の何れか一項に記載の化合物又はその薬用可能な塩。
【請求項6】
13は独立的に重水素又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、前記アルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR13Aで置換され、R13Aは請求項1に定義された通りであり、或いは、R13は独立的にハロゲンから選ばれ、例えば、フッ素又は塩素である、
請求項1~4の何れか一項に記載の化合物又はその薬用可能な塩。
【請求項7】
は、
【化3】
から選ばれ、好ましくは
【化4】
である、
請求項1~6の何れか一項に記載の化合物又はその薬用可能な塩。
【請求項8】
【化5】
から選ばれる、
請求項1に記載の化合物又はその薬用可能な塩。
【請求項9】
【化6】
【化7】
から選ばれる、
請求項1に記載の化合物又はその薬用可能な塩。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の化合物又はその薬用可能な塩の同位体置換物であって、好ましくは、重水素化物である、
同位体置換物。
【請求項11】
少なくとも1つの治療有効量の請求項1~9の何れか一項に記載の化合物又はその薬用可能な塩と、或いは請求項10に記載の同位体置換物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、
医薬組成物。
【請求項12】
LP(a)血漿レベルの上昇に関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療する方法であって、前記患者に治療有効量の請求項1~9の何れか一項に記載の化合物又はその薬用可能な塩、若しくは請求項10に記載の同位体置換物、或いは請求項11に記載の医薬組成物を投与することにより行われる、
方法。
【請求項13】
心血管疾患の患者を予防及び/又は治療する方法であって、前記患者に治療有効量の請求項1~9の何れか一項に記載の化合物又はその薬用可能な塩、或いは請求項10に記載の同位体置換物、或いは請求項11に記載の医薬組成物を投与することにより行われる、
方法。
【請求項14】
請求項1~9の何れか一項に記載の化合物又はその薬用可能な塩、或いは請求項10に記載の同位体置換物、或いは請求項11に記載の医薬組成物の、LP(a)血漿レベルの上昇に関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における使用。
【請求項15】
請求項1~9の何れか一項に記載の化合物又はその薬用可能な塩、或いは請求項10に記載の同位体置換物、或いは請求項11に記載の医薬組成物の、心血管疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医薬分野に属し、置換されたフェニルプロピオン酸誘導体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リポタンパク質(a)[Lp(a)]は、主としてコレステロールエステルに富むコアと、特有のアポリポタンパク質(a)[Apo(a)]とからなる低密度リポタンパク質様の脂質粒子であり、遺伝子多型と長期安定性という特徴を有し、ヒト集団において傾斜分布している。研究によると、Lp(a)の上昇は、心血管イベントに罹患するリスクの増加及び関連する血行再建に繋がっている。
【0003】
現在、LDL-cの上昇、HDL-cの低下及びトリグリセリドの上昇に対する様々な治療法が存在しているが、Lp(a)濃度の上昇した患者に対しては、まだ承認された治療薬がない。
【0004】
WO2020247429にはピロリドン系リポタンパク質阻害剤が報告されており、そのような化合物は、ヒトApo(a)タンパク質に結合される。Apo(a)タンパク質に結合することにより、LDL粒子のapo(a)への結合が阻害され、血漿におけるLp(a)レベルの低下が達成される。
【0005】
【化1】
【0006】
本開示の化合物は、如何なる文献にも開示されておらず、且つこのような化合物は、ヒトApo(a)タンパク質への特異的結合を示し、さらに血漿におけるLp(a)レベルの低下を達成させる。
【発明の概要】
【0007】
本開示(The disclosure)は、式Iで示される化合物又はその薬用可能な塩を提供し、
【化2】
そのうち、R、Rは独立的に水素又はC1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR1Aで置換され、R1Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
、Rは独立的に水素、重水素、ハロゲン又はC1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR2Aで置換され、R2Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
、Rは独立的に水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はアルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR3Aで置換され、R3Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
且つ、R、R、R、Rは、同時に水素又はメチル基ではなく、
、Rは、独立的に水素又はC1-6アルキル基から選ばれ、
は、-CHNHCH-、-CHNH-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-O-、-OCH-、-OCHCHO-、-NHSONH-、
【化3】
から選ばれ、
は、水素又はC1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR4Aで置換され、R4Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
は、水素、重水素、ハロゲン又はC1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR5Aで置換され、R5Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
は、独立的に水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はアルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR6Aで置換され、R6Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
は、水素又はC1-6アルキル基から選ばれ、
n、m、oは、それぞれ独立的に0~4から選ばれる整数である。
【0008】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、R、Rは独立的に重水素から選ばれる。
【0009】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、R、Rは独立的にハロゲンから選ばれ、例えば、フッ素又は塩素である。
【0010】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、R、Rは独立的にC1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR2Aで置換され、R2Aは上記に定義された通りである。幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、R、Rは独立的にメチル基、エチル基又はプロピル基から選ばれる。
【0011】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、R、Rは独立的に水素から選ばれる。
【0012】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、R、Rは独立的に重水素又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR3Aで置換され、R3Aは上記に定義された通りである。
【0013】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、R、Rは独立的にハロゲンから選ばれ、例えば、フッ素又は塩素である。
【0014】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、R、Rは独立的にC1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はアルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR3Aで置換され、R3Aは上記に定義された通りである。
【0015】
さらに、幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、Lは、-CHNHCH-、-CHNH-、-NH-、-O-、-OCH-、-OCHCHO-、-NHSONH-から選ばれ、好ましくは、-CHNHCH-、-CHNH-、-NH-、-OCHCHO-である。
【0016】
別の幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、Lは、
【化4】
から選ばれ、そのうち、o、R、R、Rは上記に定義された通りである。
【0017】
別の幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、Rは重水素から選ばれる。
【0018】
別の幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、Rはハロゲンから選ばれ、例えば、フッ素又は塩素である。
【0019】
別の幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、RはC1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR5Aで置換され、R5Aは上記に定義された通りである。幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、Rは独立的にメチル基、エチル基又はプロピル基から選ばれる。
【0020】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、Rは水素から選ばれる。
【0021】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、Rは独立的に水素又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR6Aで置換され、R6Aは上記に定義された通りである。
【0022】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、Rは独立的にハロゲンから選ばれ、例えば、フッ素又は塩素である。
【0023】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩では、Rは独立的にC1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はアルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR6Aで置換され、R6Aは上記に定義された通りである。
【0024】
本開示において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩は、
【化5】
【化6】
を含むが、これらに限定されない。
【0025】
幾つかの実施形態において、式Iの化合物又はその薬用可能な塩は、
【化7】
【化8】
から選ばれる。
【0026】
本開示の別の態様において、式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩をさらに提供し、
【化9】
そのうち、R11は独立的に水素又はC1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR11Aで置換され、R11Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
12は独立的に水素、重水素、ハロゲン又はC1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR12Aで置換され、R12Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
13は独立的に水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はアルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR13Aで置換され、R13Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
14は、独立的に水素又はC1-6アルキル基から選ばれ、
Wは、3又は4から選ばれ、
は、
【化10】
から選ばれ、
n1は、0~4から選ばれる整数である。
【0027】
幾つかの実施形態において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩では、R12は独立的に水素又は重水素から選ばれる。
【0028】
幾つかの実施形態において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩では、R12は独立的にハロゲンから選ばれ、例えば、フッ素又は塩素である。
【0029】
幾つかの実施形態において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩では、R12は独立的にC1-6アルキル基から選ばれ、上記アルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR12Aで置換され、R12Aは上記に定義された通りである。別の幾つかの実施形態において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩では、R、Rは、独立的にメチル基、エチル基又はプロピル基から選ばれる。
【0030】
幾つかの実施形態において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩では、R11は独立的に水素から選ばれる。
【0031】
幾つかの実施形態において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩では、R13は独立的に重水素又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR13Aで置換され、R13Aは上記に定義された通りである。
【0032】
幾つかの実施形態において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩では、R13は独立的にハロゲンから選ばれ、例えば、フッ素又は塩素である。
【0033】
別の幾つかの実施形態において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩では、Lは、
【化11】
から選ばれる。別の幾つかの実施形態において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩では、Lは、
【化12】
から選ばれる。
【0034】
別の幾つかの実施形態において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩では、Lは、
【化13】
から選ばれる。
【0035】
別の幾つかの実施形態において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩では、L
【化14】
である。
【0036】
本開示において、式IIの化合物又はその薬用可能な塩は、
【化15】
を含むが、これらに限定されない。
【0037】
幾つかの実施形態において、式IIで示される化合物又はその薬用可能な塩は、
【化16】
【化17】
から選ばれる。
【0038】
本開示の別の態様において、式IIIで示される化合物又はその薬用可能な塩をさらに提供し、
【化18】
そのうち、R21、R22は独立的に水素、重水素、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、4員ヘテロシクロアルキル基、6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、4員ヘテロシクロアルキル基又は6員ヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数のR21Aで置換され、R21Aはそれぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン又はC1-6アルキル基から選ばれ、
或いは、R21、R22は、隣接する炭素原子と共に3~6員ヘテロシクロアルキル基を形成し、上記ヘテロシクロアルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR22Aで置換され、R22Aはそれぞれ独立的に重水素、ハロゲン、C1-6アルキル基から選ばれ、
23は独立的に水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はアルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR23Aで置換され、R23Aはそれぞれ独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれ、
24は、独立的に水素又はC1-6アルキル基から選ばれ、
Sは、2~4から選ばれる整数であり、
は、-CHNHCH-、-CHNH-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-O-、-OCH-、-OCHCHO-、-NHSONH-、窒素原子、
【化19】
から選ばれ、
n1は、0~4から選ばれる整数である。
【0039】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩では、R21は独立的に4員ヘテロシクロアルキル基又は6員ヘテロシクロアルキル基から選ばれ、R22は独立的に水素、重水素、ハロゲン、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、4員ヘテロシクロアルキル基又は6員ヘテロシクロアルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR21Aで置換され、R21Aはそれぞれ独立的に水素、重水素、ハロゲン、C1-6アルキル基から選ばれる。
【0040】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩では、R23は独立的に重水素又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR23Aで置換され、R23Aは上記に定義された通りである。
【0041】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩では、R23は独立的にハロゲンから選ばれ、例えば、フッ素又は塩素である。
【0042】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩は、
【化20】
であり、そのうち、L、R22、R23、R24、R21A、n2、m2は上記に定義された通りである。
【0043】
別の幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩では、Lは、-CHNHCH-、-CHNH-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-O-、-OCH-、-OCHCHO-、-NHSONH-及び
【化21】
から選ばれる。
【0044】
別の幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩は、
【化22】
であり、そのうち、L、R22、R23、R24、R21A、n2は上記に定義された通りである。
【0045】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩では、R21、R22は隣接する炭素原子と共に5又は6員ヘテロシクロアルキル基を形成し、上記ヘテロシクロアルキル基は任意選択的に1つ又は複数のR22Aで置換され、R22Aはそれぞれ独立的に重水素、ハロゲン、C1-6アルキル基から選ばれる。
【0046】
別の幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩は、
【化23】
であり、そのうち、L、R22、R23、R24、R22A、n2は上記に定義された通りであり、pは独立的に0~2から選ばれる整数である。
【0047】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩では、Lは、-CHNHCH-、-CHNH-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-O-、-OCH-、-OCHCHO-、-NHSONH-及び
【化24】
から選ばれる。
【0048】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩は、
【化25】
であり、そのうち、L、R22、R23、R24、R21A、n2は上記に定義された通りである。
【0049】
幾つかの実施形態において、式III-c若しくは式III-c1の化合物又はその薬用可能な塩では、pは独立的に1又は2から選ばれる。
【0050】
幾つかの実施形態において、式III-c若しくは式III-c1の化合物又はその薬用可能な塩では、Lは、窒素原子、
【化26】
から選ばれる。
【0051】
幾つかの実施形態において、式III-c若しくは式III-c1の化合物又はその薬用可能な塩では、Lは、窒素原子、
【化27】
から選ばれる。
【0052】
幾つかの実施形態において、式III若しくは式III-c若しくは式III-c1の化合物又はその薬用可能な塩では、R24は水素から選ばれる。
【0053】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩では、R23は水素又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR23Aで置換され、R23Aは上記に定義された通りである。
【0054】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩では、R23はハロゲンから選ばれ、例えば、フッ素又は塩素である。
【0055】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩では、R23はC1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基から選ばれ、上記アルキル基又はアルコキシ基は任意選択的に1つ又は複数のR23Aで置換され、R23Aは上記に定義された通りである。
【0056】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩では、R21Aは水素から選ばれる。
【0057】
本開示において、式IIIで示される化合物又はその薬用可能な塩は、
【化28】
を含むが、これらに限定されない。
【0058】
幾つかの実施形態において、式IIIの化合物又はその薬用可能な塩は、
【化29】
から選ばれる。
【0059】
本開示は、上記化合物又はその薬用可能な塩の同位体置換物をさらに提供する。幾つかの実施形態において、上記同位体置換物は重水素化物である。
【0060】
競合結合試験において、予期される標的ヒトアポリポタンパク質(a)に対する化合物のインビトロ結合親和性が試験される。本開示に係る化合物は、アポリポタンパク質(a)への結合に良い結合力がある。幾つかの実施形態において、本開示に係る化合物は、アポリポタンパク質(a)に結合するIC50値が0.01~500 nMである。幾つかの実施形態において、本開示に係る化合物は、アポリポタンパク質(a)に結合するIC50値が0.01~100 nMである。幾つかの実施形態において、本開示に係る化合物は、アポリポタンパク質(a)に結合するIC50値が0.01~20 nMである。幾つかの実施形態において、本開示に係る化合物は、アポリポタンパク質(a)に結合するIC50値が0.01~20 nMである。0.1~30 nMである。幾つかの実施形態において、本開示に係る化合物は、アポリポタンパク質(a)に結合するIC50値が<50 nMである。
【0061】
本開示において、少なくとも1種の治療有効量の上記式I若しくはII若しくはIIIで示される化合物又はその薬用可能な塩、或いはその同位体置換物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0062】
幾つかの実施形態において、上記医薬組成物の単位用量は0.001~1000 mgである。
【0063】
ある実施形態において、組成物の総重量に基づき、上記医薬組成物は、0.01%~99.99%の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換物を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、0.1%~99.9%の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換物を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、0.5%~99.5%の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換物を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、1%~99%の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換物を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、2%~98%の上記化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換物を含む。
【0064】
ある実施形態において、組成物の総重量に基づき、上記医薬組成物は、0.01%~99.99%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、0.1%~99.9%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、0.5%~99.5%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、1%~99%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、2%~98%の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0065】
本開示は、LP(a)血漿レベルの上昇に関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療する方法をさらに提供し、それは、上記患者に治療有効量の上記式I若しくはII若しくはIIIで示される化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換物、或いは上記医薬組成物を投与することにより行われる。
【0066】
幾つかの実施形態において、LP(a)血漿レベルの上昇に関連する疾患又は病状は心血管疾患から選ばれ、脳卒中、高血圧性心疾患、冠動脈疾患を含むが、これらに限定されない。
【0067】
本開示は、心血管疾患に罹患した患者を予防及び/又は治療する方法をさらに提供し、それは、上記患者に治療有効量の上記式I若しくは式II若しくは式IIIで示される化合物又はその薬用可能な塩又はその同位体置換物、或いは上記医薬組成物を投与することを含む。
【0068】
本開示は、上記式I若しくは式II若しくは式IIIで示される化合物又はその薬用可能な塩或いは上記医薬組成物の、LP(a)血漿レベルの上昇に関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における使用をさらに提供する。幾つかの実施形態において、LP(a)血漿レベルの上昇に関連する疾患又は病状は心血管疾患から選ばれ、脳卒中、高血圧性心疾患、冠動脈疾患を含むが、これらに限定されない。
【0069】
本開示は、上記式I若しくは式II若しくは式IIIで示される化合物又はその薬用可能な塩或いは上記医薬組成物の、心血管疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における使用をさらに提供する。
【0070】
本開示に記載される化合物の薬用可能な塩は、無機塩又は有機塩から選ばれてもよい。
【0071】
本開示に係る化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態があってもよい。本開示は、シス異性体及びトランス異性体、(-)-と(+)-エナンチオマー、(R)-と(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物と他の混合物、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマーに富む混合物を含み、このような化合物の全てが本開示の範囲に含まれることを意図する。アルキル基などの置換基には、他の不斉炭素原子があってもよい。このような異性体及びそれらの混合物の全ては、本開示の範囲に含まれる。本開示に係る不斉炭素原子を含む化合物は、光学活性純品の形態又はラセミ形態で単離されることができる。光学活性純品の形態は、ラセミ混合物から分割され、或いはキラル原料又はキラル試薬を使用することにより合成されてもよい。
【0072】
キラル合成又はキラル試薬又は他の通常の技術により、光学活性の(R)-と(S)-異性体及びDとL異性体を調製することができる。本開示のある化合物の1つのエナンチオマーを得るには、不斉合成又はキラル助剤を有する誘導作用により調製することができ、ここで、得られたジアステレオマー混合物を単離し、且つ基の分裂を補助することにより、必要なエナンチオマーの純品を提供する。或いは、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシ基)が含まれる場合、適当な光学活性の酸又は塩基と共にジアステレオマーの塩を形成し、そしてこの分野でよく知られている通常の方法によりジアステレオマー分割を行い、その後、回収してエナンチオマーの純品を得る。なお、エナンチオマーとジアステレオマーの単離は、一般的にクロマトグラフィーを使用することにより完成され、上記クロマトグラフィーはキラル固定相を採用し、且つ任意選択的に化学誘導法と組み合わせる(例えば、アミンからカルバメートを生成する)。
【0073】
本開示に記載される化合物の化学構造において、
【化30】
という結合は配置が指定されていないことを示し、即ち、化学構造にキラル異性体が存在する場合、
【化31】
という結合は
【化32】
であってもよく、或いは
【化33】
という2つの配置を同時に含んでもよい。
【0074】
本開示に記載される化合物の化学構造において、
【化34】
という結合は、配置が指定されておらず、即ち、Z配置又はE配置であってもよく、或いは2つの配置を同時に含んでもよい。
【0075】
本開示に係る化合物と中間体はさらに、異なる互変異性体形態で存在してもよく、且つ、このような形態の全ては本開示の範囲内に含まれる。「互変異性体」又は「互変異性体形態」という用語は、低いエネルギー障壁により相互変換可能な異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトン移動互変異性体ともいう)は、例えば、ケト-エノール及びイミン-エナミン、ラクタム-ラクチム異性化などのプロトリシスによる相互変換を含む。ラクタム-ラクチム平衡の実例は、以下に示すようなAとBの間である。
【0076】
【化35】
本開示における化合物の全ては、A型又はB型に描かれることができる。全ての互変異性形態は本開示の範囲にある。化合物の命名は、何れの互変異性体も排除しない。
【0077】
本開示は、本願に記載されるものと同じであるが、1つ又は複数の原子が、自然界で通常見られる原子量又は質量数と異なる原子量又は質量数を有する原子で置換された同位体標識の幾つかの本開示の化合物をさらに含む。本開示の化合物に結合可能な同位体の実例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素及び塩素の同位体を含み、例えば、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125I及び36Clなどである。
【0078】
特に説明のない限り、1つの位置が特に重水素(D)と指定される場合、当該位置は、重水素の天然存在度(0.015%である)よりも少なくとも1000倍高い存在度を有する重水素(即ち、少なくとも10%の重水素が組み込まれた)であると理解すべきである。例における化合物の、重水素の天然存在度よりも高い存在度を有することは、少なくとも1000倍の存在度の重水素、少なくとも2000倍の存在度の重水素、少なくとも3000倍の存在度の重水素、少なくとも4000倍の存在度の重水素、少なくとも5000倍の存在度の重水素、少なくとも6000倍の存在度の重水素又はそれ以上の存在度の重水素であってもよい。本開示は、種々の重水素化形態の式(I)の化合物をさらに含む。炭素原子に連結されるそれぞれの利用可能な水素原子は、独立的に重水素原子で置換されてもよい。当業者は、関連文献を参照して重水素化形態の式(I)の化合物を合成することができる。重水素化形態の式(I)の化合物は、調製する場合、市販の重水素化出発物質を使用してもよく、或いは、通常の技術により重水素化試薬で合成されてもよく、重水素化試薬は、重水素化ボラン、三重水素化ボランテトラヒドロフラン溶液、重水素化水素化アルミニウムリチウム、重水素化ヨードエタン及び重水素化ヨードメタンなどを含むが、これらに限定されない。
【0079】
「任意選択的に」又は「任意選択的」は、その後に説明される事象又は状況が生じてもよいが、生じなくてもよいことを意味し、この説明は、当該事象又は状況が生じる場合と生じない場合を含む。例えば、「任意選択的にハロゲン又はシアノ基で置換されるC1-6アルキル基」は、ハロゲン又はシアノ基が存在してもよいが、存在しなくてもよいことを意味し、この説明は、アルキル基がハロゲン又はシアノ基で置換された場合と、アルキル基がハロゲン又はシアノ基で置換されていない場合とを含む。
【0080】
用語の説明:
「医薬組成物」は、1種若しくは複数種の本願に記載される化合物又はその生理学的に薬用可能な塩若しくはプロドラッグと他の化学成分との混合物と、生理学的に薬用可能なベクター及び賦形剤などの他の成分とを含むものを示す。医薬組成物は、生体への投与を促進し、活性成分の吸収に寄与してさらに生物活性を発揮するためのものである。
【0081】
「薬学的に許容される賦形剤」は、医薬品局によって承認された、ヒト又は家畜動物への使用が許容される任意の助剤、ベクター、賦形剤、流動促進剤、甘味料、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、着香剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張化剤、溶媒又は乳化剤を含むが、これらに限定されない。
【0082】
本開示に記載される「有効量」又は「治療有効量」は、医学病状の症状又は病状の改善又は予防に十分な量を含む。有効量は、さらに、診断の許容又は促進に十分な量を指す。特定の患者又は獣医学対象に用いられる有効量は、例えば、治療すべき病状、患者の全体的な健康状況、投与の方法経路と用量及び副作用の重症度などの要因によって変化することができる。有効量は、顕著な副作用又は毒性作用が回避される最大用量又は投与計画であってもよい。
【0083】
「アルキル基」は、1~6個の炭素原子の直鎖と分岐鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素基を指す。非限定的な実施例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、及びその様々な分岐鎖異性体などを含む。アルキル基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は任意の利用可能な接続部位で置換されてもよく、独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数の基が好ましい。
【0084】
「ヘテロシクロアルキル基(Heterocycloalkyl)」という用語は、3~6個の環原子を含む飽和又は部分不飽和の単環式又は多環式の環状炭化水素置換基を指し、「ヘテロシクロアルキル基」の非限定的な実例として、
【化36】
などを含む。
【0085】
ヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、独立的に水素、重水素、ハロゲン又はC1-6アルキル基から選ばれる1つ又は複数の基が好ましい。
【0086】
「アルコキシ基」という用語は、-O-(アルキル基)を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記の通りである。アルコキシ基の非限定的な実例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基を含む。アルコキシ基は、任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、独立的にハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数の基が好ましい。
【0087】
「ヘテロシクロ」という用語は、環を構成する原子に炭素原子だけでなく、他の原子もあることを意味し、ヘテロシクロアルキル基及びヘテロ芳香環を含む。
【0088】
「ヒドロキシ基」という用語は、-OH基を指す。
【0089】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0090】
「シアノ基」という用語は、-CNを指す。
【0091】
「アミノ基」という用語は、-NHを指す。
【0092】
「オキソ」という用語は、=O置換基を指す。
【0093】
「置換される」とは、基の中の1つ又は複数の水素原子、好ましくは5個以下、より好ましくは1~3個の水素原子が互いに独立的に対応する数の置換基で置換されることを指す。無論、置換基は、それらの化学的に可能な部位にしか位置せず、当業者はそれほど努力せずに(実験又は理論により)可能又は不可能な置換を決定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0094】
以下、実施例と合わせて本開示をさらに説明するが、これらの実施例は本開示の範囲を限定するものではない。
【0095】
本開示中の実施例において具体的な条件が明示されていない実験方法は、一般的に通常の条件、又は原料や商品メーカーに勧められた条件に従った。具体的な供給源が明示されていない試薬は、市販される通常の試薬である。
【0096】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)又は/及び質量分析(MS)によって決定される。NMRシフト(δ)は、10-6(ppm)の単位で示されている。NMRの測定には核磁気共鳴装置Bruker AVANCE-400が使用され、測定溶媒は重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d)、重水素化クロロホルム(CDCl)、重水素化メタノール(CDOD)であり、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。化合物の光学異性体(異性体)の立体配置は、さらに、単結晶パラメータを測定することにより確認することができる。
【0097】
HPLCの測定には、Waters ACQUITY ultra high performance LC、Shimadzu LC-20A systems、Shimadzu LC-2010HT series又はアジレントAgilent 1200 LC高速液体クロマトグラフ(ACQUITY UPLC BEH C18 1.7 μm 2.1×50 mmカラム、Ultimate XB-C18 3.0×150 mmカラム又はXtimate C18 2.1×30 mmカラム)が使用された。
【0098】
MSの測定には、質量分析装置Waters SQD2が使用され、正/負イオンモードで走査し、質量走査範囲が100~1200である。
【0099】
キラルHPLC分析の測定には、Chiralpak IC-3 100×4.6 mm I.D.,3 μm、Chiralpak AD-3 150×4.6 mm I.D.,3 μm、Chiralpak AD-3 50×4.6 mm I.D.,3 μm、Chiralpak AS-3 150×4.6 mm I.D.,3 μm、Chiralpak AS-3 100×4.6 mm I.D.,3 μm、ChiralCel OD-3 150×4.6 mm I.D.,3 μm、Chiralcel OD-3 100×4.6 mm I.D.,3 μm、ChiralCel OJ-H 150×4.6 mm I.D.,5 μm、Chiralcel OJ-3 150×4.6 mm I.D.,3 μmカラムが使用された。
【0100】
薄層クロマトグラフィー用シリカゲル板としては、煙台黄海HSGF254又は青島GF254シリカゲル板が使用され、薄層クロマトグラフィー(TLC)に使用されたシリカゲル板用の仕様は、0.15~0.2 mmであり、薄層クロマトグラフィーによる生成物の単離精製用の仕様は0.4~0.5 mmである。
【0101】
フラッシュカラム精製系には、Combiflash Rf150(TELEDYNE ISCO)又はIsolara one(Biotage)が使用された。
【0102】
順相カラムクロマトグラフィーには、一般的に煙台黄海シリカゲル100~200メッシュ、200~300メッシュ又は300~400メッシュのシリカゲルがベクターとして使用され、或いは、常州三泰製の予充填超高純度順相シリカゲルカラム(40~63 μm、60、12 g、25 g、40 g、80 g又は他の仕様)が使用された。
【0103】
逆相カラムクロマトグラフィーには、一般的に常州三泰製の予充填超高純度C18シリカゲルカラム(20~45 μm、100 Å、40 g、80 g、120 g、220 g又は他の仕様)が使用された。
【0104】
高圧カラム精製系には、Waters AutoPが使用され、それに合わせてWaters XBridge BEH C18 OBD Prep Column、130 Å、5 μm、19×150 mm又はAtlantis T3 OBD Prep Column、100 Å、5 μm、19×150 mmが使用された。
【0105】
キラル分取カラムには、DAICEL CHIRALPAK IC(250×30 mm、10 μm)又はPhenomenex-Amylose-1(250×30 mm、5 μm)が使用された。
【0106】
本開示における既知の出発原料は、この分野で知られている方法で、又はそれに従って合成されてもよく、或いは上海泰坦科技、ABCR GmbH & Co. KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、韶遠化学科技(Accela ChemBio Inc)、達瑞化学品などの会社から購入されてもよい。
【0107】
実施例において、特に説明のない限り、反応は何れもアルゴン雰囲気又は窒素雰囲気において行うことができる。
【0108】
アルゴン雰囲気又は窒素雰囲気は、反応フラスコに容積が約1 Lのアルゴン又は窒素バルーンが連結されていることを指す。
【0109】
水素雰囲気は、反応フラスコに容積が約1Lの水素バルーンが連結されていることを指す。
【0110】
加圧水素化反応には、Parr 3916EKX型水素化装置及び清藍QL-500型水素発生器又はHC2-SS型水素化装置が使用された。
【0111】
水素化反応は、一般的に、真空引きして水素を充填する操作を3回繰り返した。
【0112】
マイクロ波反応には、CEM Discover-S 908860型マイクロ波反応器が使用された。
【0113】
実施例において、特に説明のない限り、溶液は水溶液を指す。
【0114】
実施例において、特に説明のない限り、反応温度は室温であり、20~30℃である。
【0115】
実施例における反応進行のモニターには薄層クロマトグラフィー(TLC)が採用され、反応に使用された展開溶媒、化合物を精製するためのカラムクロマトグラフィーの溶離剤系及び薄層クロマトグラフィーの展開溶媒系は、溶媒の体積比が化合物の極性によって調整されてもよく、少量のトリエチルアミンと酢酸などの塩基性又は酸性試薬を加えて調整してもよい。
【0116】
実施例1
【化37】
(2S)-3-(3-{[ビス({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]-5-フルオロフェニル}メチル)アミノ]メチル}-5-フルオロフェニル)-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]プロピオン酸(化合物1)
【化38】
【0117】
ステップ1:(R)-3-(2-((S)-4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2-オキソエチル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(1b)の調製
原料である(R)-N-tert-ブトキシカルボニル-3-ピロリジン酢酸(化合物1a、9 g、39 mmol)を無水テトラヒドロフラン(100 mL)に溶かし、0℃に冷却し、トリエチルアミン(13.6 mL、98 mmol)を加え、0℃で5分間撹拌しながら反応させた。塩化ピバロイル(5.8 g、47.1 mmol)を加え、加入中に温度が10℃を超えないようにして、15分間撹拌しながら反応させた後、塩化リチウム(1.9 g、47.1 mmol)及び(S)-4-ベンジル-2-オキサゾリジノン(6.9 g、39 mmol)が溶けたテトラヒドロフラン溶液(100 mL)を加えた。反応液を室温に昇温し、24時間撹拌した。2 Mの塩酸水溶液(500 mL)を加え、単離して有機相を得て、濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル)により精製して油状液体化合物1b(12.5 g、収率82%)を得た。
MS (ESI): m/z = 411.1 [M+Na]
【0118】
ステップ2:(R)-3-((S)-1-((S)-4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-3-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(1c)の調製
化合物1b(3.5 g、9 mmol)を無水テトラヒドロフラン(50 mL)に溶かし、窒素保護下、0℃に冷却し、1 Mのリチウムビス(トリメチルシリル)アミドテトラヒドロフラン溶液(10 mL、10 mmol)を滴下し、15分間反応させた後、3-フルオロ-5-ブロモベンジルブロミド(2.8 g、10.8 mmol)が溶けたテトラヒドロフラン溶液(25 mL)をゆっくりと滴下し、一晩反応させた。LCMSで反応が完了したことをモニターした後、飽和NHCl溶液(10 mL)を加えて反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、有機相を濃縮して粗製品を得て、粗製品を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して化合物1c(1.8 g、収率34.6%)を得た。
MS (ESI): m/z = 597.4 [M+Na]
【0119】
ステップ3:(S)-3-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-2-((R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-3-イル)プロピオン酸(1d)の調製
氷浴下、化合物1c(2 g、3.5 mol)をテトラヒドロフラン(20 mL)に溶かし、1 Mの過酸化水素水(5 mL)を加えた後、0.5 Mの水酸化リチウム水溶液(10 mL)をゆっくりと滴下し、LCMSで反応をモニターした。反応終了後、飽和亜硫酸ナトリウム(10 mL)を滴下して反応をクエンチし、5~10分間撹拌した。5 Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH>12に調整し、水を加え、酢酸エチル(100 mL)で抽出し、水相を収集し、2 Mの塩酸水溶液でpHを3程度に調整し、酢酸エチルで抽出し(100 mL×2)、単離して有機相を得て、濃縮して黄色い油状液体化合物1dを得て、精製することなく、そのまま次のステップに使用した。
MS (ESI): m/z = 361.7 [M-C(CH+H]
【0120】
ステップ4:(R)-3-((S)-3-(3-ブロモ-5-フルオロフェニル)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(1e)の調製
化合物1d(1.8 g、4.3 mmol)を2-メチルテトラヒドロフラン(25 mL)に溶かし、O-tert-ブチル-N,N’-ジイソプロピルイソ尿素(2.17 g、10.8 mmol)を加え、65℃に昇温して3時間反応させた後、O-tert-ブチル-N,N’-ジイソプロピルイソ尿素(862 mg、4.3 mmol)を加え、一晩撹拌しながら反応させた。LCMSで反応が終了したことをモニターした後、ろ過し、ろ液を濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル)にかけて化合物1e(1.3 g、収率64%)を得た。
MS (ESI) m/z = 361.7 [M-2C(CH+H]
【0121】
ステップ5:(R)-3-((S)-1-(tert-ブトキシ)-3-(3-フルオロ-5-ホルミルフェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(1f)の調製
化合物1e(430 mg、0.9 mmol)、酢酸パラジウム(40 mg、0.2 mmol)、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(83 mg、0.2 mmol)、N-ホルミルサッカリン(442 mg、2.1 mmol)、炭酸ナトリウム(270 mg、2.5 mmol)及びトリエチルシラン(174 mg、1.5 mmol)を20 mLのマイクロ波反応管に入れ、窒素保護下、無水N,N-ジメチルホルムアミド(6 mL)を加えて、直ちにプラスチックナットで密封した。室温で混合物を10分間撹拌してから、反応液を75℃に加熱し、16時間反応させた。LCMSで反応が終了したことをモニターした後、反応液を室温に冷却し、遠心分離してろ過し、ろ液を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して黄色い油状化合物1f(173 mg、収率50%)を得た。
MS (ESI): m/z = 444.4 [M+Na]
【0122】
ステップ6:(R)-3-((S)-3-(3-(アミノメチル)-5-フルオロフェニル)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(1g)の調製
化合物1f(100 mg、0.23 mmol)を7 Mのアンモニアメタノール溶液(2 mL)に溶かし、1滴の酢酸を滴下してモレキュラシーブスを加え、室温で15分間撹拌し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(150 mg、2.3 mmol)を加え、封管してマイクロ波で80℃で1時間反応させた。反応終了後、室温に冷却し、遠心分離してろ過し、ろ液を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して黄色い油状化合物1g(60 mg、収率60%)を得た。
MS (ESI): m/z = 423.8[M+H]
【0123】
ステップ7:(3R)-3-[(2S)-3-(3-{[ビス({3-[(2S)-3-(tert-ブトキシ)-2-[(3R)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピロリジン-3-イル]-3-プロピオニル]-5-フルオロフェニル}メチル)アミノ]メチル}-5-フルオロフェニル)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(1h)の調製
化合物1g(60 mg、0.14 mmol)を無水メタノール(8 mL)に溶かし、化合物1f(180 mg、0.412 mmol)を加え、室温で1滴の酢酸を滴下してモレキュラシーブスを加え、15分間撹拌しながら反応させ、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(100 mg、1.4 mmol)を加え、75℃に昇温して4時間反応させた後、室温で一晩反応させた。LCMSで反応が終了したことをモニターした後、少量のDMFを加えて溶かし、遠心分離してろ過し、ろ液を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して白い固体化合物1h(130 mg、収率74.2%)を得た。
MS (ESI): m/z = 1233.9 [M+H]
【0124】
ステップ8:(2S)-3-(3-{[ビス({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]-5-フルオロフェニル}メチル)アミノ]メチル}-5-フルオロフェニル)-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]プロピオン酸(1)の調製
化合物1h(130 mg、0.105 mmol)を無水ジオキサン(1 mL)に溶かし、4 Mの塩化水素ジオキサン溶液(3 mL)を加え、室温で反応させた。LCMSで反応が完了したことをモニターした後、反応液を濃縮し、粗製品を逆相分取クロマトグラフィー(アセトニトリル/水+1%ギ酸)にかけて表題化合物1(45 mg、収率55.8%)を得た。
MS (ESI): m/z = 765.3 [M+H]
H NMR (400 MHz, DO) δ 8.45 (s, 1H), 7.10 (d, J = 9.7 Hz, 3H), 7.06 - 7.00 (m, 6H), 4.27 (s, 6H), 3.64 - 3.54 (m, 3H), 3.49 - 3.38 (m, 3H), 3.32 - 3.22 (m, 3H), 3.08 - 2.99 (m, 3H), 2.88 - 2.73 (m, 6H), 2.56 - 2.42 (m, 6H), 2.20 - 2.08 (m, 3H), 1.78 (d, J = 9.6 Hz, 3H)。
【0125】
実施例2
【化39】
(2S)-3-(3-{[ビス({3-[(2S)-2-カルボン酸-2-(ピペリジン-4-イル)エチル]フェニル}メチル)アミノ]メチル}フェニル)-2-(ピペリジン-4-イル)プロピオン酸(2)
【化40】
【0126】
ステップ1:(S)-4-(2-(4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(2b)の調製
原料である1-tert-ブトキシカルボニル-4-ピペリジン酢酸(化合物2a、5 g、21 mmol)を無水テトラヒドロフラン(50 mL)に溶かし、0℃に冷却し、トリエチルアミン(7.5 mL、51 mmol)を加え、0℃で5分間撹拌しながら反応させ、塩化ピバロイル(3.0 g、24 mmol)を加えた。加入中に温度が10℃を超えないようにして、15分間撹拌した後、塩化リチウム(1.0 g、24 mmol)及び(S)-4-ベンジル-2-オキサゾリジノン(3.6 g、22 mmol)が溶けたテトラヒドロフラン溶液(50 mL)を加えた。反応液を室温に昇温し、24時間撹拌した。2 Mの塩酸水溶液(250 mL)を加え、単離して有機相を得て、濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル)により精製して油状液体化合物2b(8 g、収率96.7%)を得た。
MS (ESI): m/z = 425.6 [M+Na]
【0127】
ステップ2:4-((S)-1-((S)-4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-3-(3-ブロモフェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(2c)の調製
化合物2b(5 g、12 mmol)を無水テトラヒドロフラン(80 mL)に溶かし、窒素保護下、0℃に冷却し、
1 Mのリチウムビス(トリメチルシリル)アミドテトラヒドロフラン溶液(15 mL、15 mmol)を滴下し、15分間反応させた後、3-ブロモベンジルブロミド(3 g、12 mmol)が溶けたテトラヒドロフラン溶液(15 mL)をゆっくりと滴下し、一晩反応させた。LCMSで反応が完了したことをモニターした後、飽和NHCl溶液(15 mL)を加えて反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、有機相を濃縮して粗製品を得て、粗製品を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して化合物2c(1.8 g、収率25.3%)を得た。
MS (ESI): m/z = 593.5 [M+Na]
【0128】
ステップ3:(S)-3-(3-ブロモフェニル)-2-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル)プロピオン酸(2d)の調製
氷浴下、化合物2c(1.5 g、2.6 mol)をテトラヒドロフラン(15 mL)に溶かし、1 Mの過酸化水素水(3.5 mL)を加えた後、0.5 Mの水酸化リチウム水溶液(7 mL)をゆっくりと滴下し、LCMSで反応をモニターした。反応終了後、飽和亜硫酸ナトリウム(8 mL)を滴下して反応をクエンチし、5~10分間撹拌した。5 Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH>12に調整し、水を加え、酢酸エチル(80 mL)で抽出し、水相を収集し、2 Mの塩酸水溶液でpHを3程度に調整し、酢酸エチルで抽出し(80 mL×2)、単離して有機相を得て、濃縮して黄色い油状液体化合物2dを得て、精製することなく、そのまま次のステップに使用した。
MS (ESI): m/z = 358.7 [M-C(CH+H]
【0129】
ステップ4:(S)-4-(3-(3-ブロモフェニル)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(2e)の調製
化合物2d(1.0 g、2.4 mmol)を2-メチルテトラヒドロフラン(20 mL)に溶かし、O-tert-ブチル-N,N’-ジイソプロピルイソ尿素(1.21 g、6 mmol)を加え、65℃に昇温して3時間反応させた後、O-tert-ブチル-N,N’-ジイソプロピルイソ尿素(481 mg、2.4 mmol)を加え、一晩撹拌しながら反応させた。LCMSで反応が終了したことをモニターした後、ろ過し、ろ液を濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル)にかけて化合物2e(600 mg、収率52.8%)を得た。
MS (ESI) m/z = 358.7 [M-2C(CH+H]
【0130】
ステップ5:(S)-4-(1-(tert-ブトキシ)-3-(3-ホルミルフェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(2f)の調製
化合物2e(600 mg、1.2 mmol)、酢酸パラジウム(58 mg、0.3 mmol)、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(102 mg、0.3 mmol)、N-ホルミルサッカリン(622 mg、3.0 mmol)、炭酸ナトリウム(380 mg、3.6 mmol)及びトリエチルシラン(256 mg、2.2 mmol)を20 mLのマイクロ波反応管に入れ、窒素保護下、無水N,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)を加えて、直ちにプラスチックナットで密封した。室温で混合物を10分間撹拌してから、反応液を75℃に加熱し、16時間反応させた。LCMSで反応が終了したことをモニターした後、反応液を室温に冷却し、遠心分離してろ過し、ろ液を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して黄色い油状化合物2f(180 mg、収率33.7%)を得た。
MS (ESI): m/z = 440.3 [M+Na]
【0131】
ステップ6:(S)-4-(3-(3-(アミノメチル)フェニル)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(2g)の調製
化合物2f(80 mg、0.19 mmol)を7 Mのアンモニアメタノール溶液(2 mL)に溶かし、1滴の酢酸を滴下し、室温で15分間撹拌し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(150 mg、2.3 mmol)を加え、封管してマイクロ波で80℃で1時間反応させた。反応終了後、室温に冷却し、遠心分離してろ過し、ろ液を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して黄色い油状化合物2g(40 mg、収率50%)を得た。
MS (ESI): m/z = 419.4 [M+H]
【0132】
ステップ7:4-[(2S)-3-(3-{[ビス({3-[(2S)-3-(tert-ブトキシ)-2-{1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピペリジン-4-イル}-3-プロピオニル]フェニル}メチル)アミノ]メチル}フェニル)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル]ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(2h)の調製
化合物2g(50 mg、0.14 mmol)を無水メタノール(8 mL)に溶かし、2f(120 mg、0.412 mmol)を加え、室温で1滴の酢酸を滴下してモレキュラシーブスを加え、15分間撹拌しながら反応させ、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(100 mg、1.4 mmol)を加え、75℃に昇温して4時間反応させた後、室温で一晩反応させた。LCMSで反応が終了したことをモニターした後、少量のDMFを加えて溶かし、遠心分離してろ過し、ろ液を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して白い固体化合物2h(100 mg、収率68.5%)を得た。
MS (ESI): m/z = 1221.9 [M+H]
【0133】
ステップ8:(2S)-3-(3-{[ビス({3-[(2S)-2-カルボン酸-2-(ピペリジン-4-イル)エチル]フェニル}メチル)アミノ]メチル}フェニル)-2-(ピペリジン-4-イル)プロピオン酸(2)の調製
化合物2h(100 mg、0.08 mmol)を無水ジオキサン(0.8 mL)に溶かし、4 Mの塩化水素ジオキサン溶液(2.5 mL)を加え、室温で反応させた。LCMSで反応が完了したことをモニターした後、反応液を濃縮し、粗製品を逆相分取クロマトグラフィー(アセトニトリル/水+1%ギ酸)にかけて表題化合物2(30 mg、収率48.7%)を得た。
MS (ESI): m/z = 753.9 [M+H]
H NMR (400 MHz, DO) δ 8.46 (s, 1H), 7.45 - 7.32 (m, 6H), 7.27 - 7.18 (m, 6H), 4.30 (s, 6H), 3.55 - 3.38 (m, 6H), 3.06 - 2.91 (m, 9H), 2.77 - 2.67 (m, 3H), 2.43 - 2.32 (m, 3H), 2.23 - 2.13 (m, 3H), 1.96 - 1.76 (m, 6H), 1.63 - 1.45 (m, 6H)。
【0134】
実施例3
【化41】
3-[3-({ビス[(3-{2-カルボキシ-2-フルオロ-2-[(3S)-ピロリジン-3-イル]エチル}フェニル)メチル]アミノ}メチル)フェニル]-2-フルオロ-2-[(3S)-ピロリジン-3-イル]プロピオン酸(3)
【化42】
【0135】
ステップ1:(3S)-3-(3-(3-ブロモフェニル)-1-(tert-ブトキシ)-2-フルオロ-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(3b)の調製
特許WO2020247429における方法によって調製された化合物3a(2.4 g、5.28 mmol)を無水テトラヒドロフラン(50 mL)に溶かし、-78℃に冷却し、2 Mのリチウムジイソプロピルアミドテトラヒドロフラン溶液(5.28 mL)を加え、低温で30分間反応させ、次にN-フルオロジベンゼンスルホンイミド(5.0 g、15.85 mmol)を加えた。反応を徐々に室温に昇温し、16時間反応させた。LCMSで反応が完了したことを検出した後、反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出した(20 mL×2)。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を濃縮して粗製品を得て、粗製品を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して化合物3b(2 g、収率80%)を得た。
MS (ESI) m/z = 372.2 [M+H-100]
【0136】
ステップ2:(3S)-3-(1-(tert-ブトキシ)-2-フルオロ-3-(3-ホルミルフェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(3c)の調製
化合物3b(1000 mg、2.12 mmol)、N-ホルミルサッカリン(894 mg、4.23 mmol)、酢酸パラジウム(48 mg、0.21 mmol)、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(181 mg、0.42 mmol)、トリエチルシラン(902 mg、4.23 mmol)をマイクロ波反応管に入れ、そしてN,N-ジメチルホルムアミド(15 mL)を加えた。窒素ガスで置換した後、80℃で一晩反応させた。LCMSで反応が完了したことを検出した後、反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出した(20 mL×2)。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を濃縮して粗製品を得て、粗製品を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して化合物3c(350 mg、収率39%)を得た。
MS (ESI) m/z = 444.3 [M+Na]
【0137】
ステップ3:(3S)-3-(3-(3-(アミノメチル)フェニル)-1-(tert-ブトキシ)-2-フルオロ-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(3d)の調製
化合物3c(130 mg、0.31 mmol)をマイクロ波管に入れ、メタノール(2 mL)で溶かし、そして7 Mのアンモニアメタノール溶液(2 mL)及び1滴の酢酸を加え、室温で30分間撹拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(92 mg、1.54 mmol)を加え、80℃でマイクロ波で1時間反応させた。LCMSで反応が完了したことをモニターした後、減圧下で濃縮して粗製品を得て、粗製品を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して淡黄色の油状物化合物3d(50 mg、収率38%)を得た。
MS (ESI) m/z = 423.6 [M+H]
【0138】
ステップ4:(3S)-3-[3-(3-{[ビス({3-[3-(tert-ブトキシ)-2-[(3S)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピロリジン-3-イル]-2-フルオロ-3-プロピオニル]フェニル}メチル)アミノ]メチル}フェニル)-1-(tert-ブトキシ)-2-フルオロ-1-オキソプロパン-2-イル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(3e)の調製
化合物3d(50 mg、0.12 mmol)と3c(100 mg、0.24 mmol)をメタノール(20 mL)に溶かし、1滴の酢酸を加え、室温で30分間撹拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(92 mg、1.54 mmol)を加えた。60℃で5時間反応させた。LCMSで反応が完了したことをモニターした後、減圧下で濃縮して粗製品を得て、粗製品を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して淡黄色の油状物化合物3e(80 mg、収率55%)を得た。
MS (ESI) m/z = 1233.9 [M+H]
【0139】
ステップ5:3-[3-({ビス[(3-{2-カルボキシ-2-フルオロ-2-[(3S)-ピロリジン-3-イル]エチル}フェニル)メチル]アミノ}メチル)フェニル]-2-フルオロ-2-[(3S)-ピロリジン-3-イル]プロピオン酸(3)の調製
化合物3e(80 mg、0.07 mmol)をジオキサン(2 mL)に溶かし、4 Mの塩化水素ジオキサン溶液(2 mL)を加え、室温で2時間反応させた。反応完了後、減圧下で濃縮して粗製品を得て、粗製品を逆相分取クロマトグラフィー(アセトニトリル/水+1%ギ酸)にかけて表題化合物3(20 mg、収率40%)を得た。
MS (ESI) m/z = 765.6 [M+H]
H NMR (400 MHz, DO) δ 8.45 (s, 1.5H), 7.41 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 7.34 (d, J = 7.7 Hz, 3H), 7.32 - 7.25 (m, 6H), 4.17 (s, 6H), 3.59 - 3.44 (m, 3H), 3.43 - 3.25 (m, 6H), 3.22 (s, 3H), 3.20 - 3.09 (m, 6H), 3.09 - 2.95 (m, 3H), 2.40 - 2.27 (m, 2H), 2.19 - 2.06 (m, 3H), 2.02 - 1.90 (m, 1H)。
【0140】
実施例4
【化43】
(2S)-3-{3-[({2-[ビス({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}メチル)アミノ]エチル}({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}メチル)アミノ)メチル]フェニル}-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]プロピオン酸(4)
【化44】
【0141】
ステップ1:(R)-3-((S)-1-(tert-ブトキシ)-3-(3-ホルミルフェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(4a)の調製
化合物3a(400 mg、0.9 mmol)、N-ホルミルサッカリン(428 mg、2.0 mmol)、酢酸パラジウム(40 mg、0.2 mmol)、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(83 mg、0.2 mmol)、トリエチルシラン(0.24 mL、1.5 mmol)をマイクロ波反応管に入れ、そしてN,N-ジメチルホルムアミド(6 mL)を加えた。窒素ガスで置換した後、75℃で一晩反応させた。LCMSで反応が完了したことをモニターした後、反応液を室温に冷却し、遠心分離してろ過し、ろ液を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水)により精製して黄色い油状化合物4a(270 mg、収率76%)を得た。
MS (ESI): m/z = 404.5 [M+H]
【0142】
ステップ2:(3R)-3-[(2S)-3-{3-[({2-[ビス({3-[(2S)-3-(tert-ブトキシ)-2-[(3R)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピロリジン-3-イル]-3-プロピオニル]フェニル}メチル)アミノ]エチル}({3-[(2S)-3-(tert-ブトキシ)-2-[(3R)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピロリジン-3-イル]-3-プロピオニル]フェニル}メチル)アミノ)メチル]フェニル}-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(4b)及び(3R)-3-[(2S)-1-(tert-ブトキシ)-3-(3-{[({3-[(2S)-3-(tert-ブトキシ)-2-[(3R)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピロリジン-3-イル]-3-プロピオニル]フェニル}メチル)({2-[({3-[(2S)-3-(tert-ブトキシ)-2-[(3R)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピロリジン-3-イル]-3-プロピオニル]フェニル}メチル)アミノ]エチル})アミノ]メチル}フェニル)-1-オキソプロパン-2-イル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(4c)の調製
エチレンジアミン(11 mg、0.18 mmol)、化合物4a(320 mg、0.79 mmol)をメタノール(20 mL)に溶かし、1滴の酢酸を加え、室温で30分間撹拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(60 mg、0.99 mmol)を加え、60℃に昇温して5時間反応させた。LCMSで反応が完了したことをモニターした後、減圧下で濃縮して粗製品を得て、粗製品を逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー(水/アセトニトリル)により精製して淡黄色の油状物化合物4b(50 mg、収率16%)及び化合物4c(150 mg、収率62%)を得た。
化合物4b:MS(ESI)m/z=1610.2[M+H]
化合物4c:MS(ESI)m/z=1222.6[M+H]
【0143】
ステップ3:(2S)-3-{3-[({2-[ビス({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}メチル)アミノ]エチル}({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}メチル)アミノ)メチル]フェニル}-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]プロピオン酸(4)の調製
化合物4b(50 mg、0.07 mmol)をジオキサン(2 mL)に溶かし、4 Mの塩化水素ジオキサン溶液(2 mL)を加え、室温で2時間反応させた。LCMSで反応が完了したことをモニターした後、減圧下で濃縮して粗製品を得て、粗製品を逆相分取クロマトグラフィー(アセトニトリル/水+1%ギ酸)にかけて表題化合物4(10 mg、収率87%)を得た。
MS (ESI) m/z = 985.3 [M+H]
H NMR (400 MHz, DO) δ 8.44 (s, 3H), 7.39 - 7.32 (m, 4H), 7.31 - 7.26 (m, 4H), 7.18 - 7.06 (m, 8H), 3.88 (s, 8H), 3.55 - 3.47 (m, 4H), 3.44 - 3.36 (m, 4H), 3.31 - 3.17 (m, 4H), 3.05 - 2.87 (m, 8H), 2.84 - 2.71 (m, 8H), 2.55 - 2.37 (m, 8H), 2.21 - 2.03 (m, 4H), 1.84 - 1.62 (m, 4H)。
【0144】
実施例5
【化45】
(2S)-3-(3-{[({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}メチル)({2-[({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}メチル)アミノ]エチル})アミノ]メチル}フェニル)-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]プロピオン酸(5)
【化46】
化合物4c(80 mg、0.06 mmol)をジオキサン(2 mL)に溶かし、4 Mの塩化水素ジオキサン溶液(2 mL)を加え、室温で2時間反応させた。LCMSで反応が完了したことをモニターした後、減圧下で濃縮して粗製品を得て、粗製品を逆相分取クロマトグラフィー(アセトニトリル/水+1%ギ酸)にかけて表題化合物5(20 mg、収率40%)を得た。
MS (ESI) m/z = 754.5 [M+H]
H NMR (400 MHz, DO) δ 8.43 (s, 3H), 7.44 - 7.31 (m, 6H), 7.30 - 7.24 (m, 4H), 7.23 - 7.17 (m, 2H), 4.28 - 4.03 (m, 6H), 3.66 - 3.53 (m, 3H), 3.48 - 3.39 (m, 3H), 3.33 - 2.97 (m, 10H), 2.91 - 2.73 (m, 6H), 2.57 - 2.40 (m, 6H), 2.24 - 2.05 (m, 3H), 1.83 - 1.66 (m, 3H)。
【0145】
実施例6
【化47】
(2S)-3-(3-{[(2-{3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェノキシ}エチル)({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}メチル)アミノ]メチル}フェニル)-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]プロピオン酸四塩酸塩(6)
【化48】
【0146】
ステップ1:(R)-3-((S)-1-((S)-4-ベンジル-2-オキソオキサゾリジン-3-イル)-3-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(6a)の調製
窒素雰囲気下、化合物1b(10.0 g、25.74 mmol)をテトラヒドロフラン(10 mL)に溶かし、-30℃に降温し、1 Mのリチウムビス(トリメチルシリル)アミドテトラヒドロフラン溶液(31 mL、31 mmol)を滴下し、加入完了後、30分間反応させ、3-ベンジルオキシベンジルブロミド(8.56 g、30.89 mmol)のテトラヒドロフラン(15 mL)溶液を滴下し、1時間反応させ、0~5℃に昇温して一晩反応させた。飽和塩化アンモニウム溶液(50 mL)を加え、メチルtert-ブチルエーテルで抽出し(50 mL×2)、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し(70 mL)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)、化合物6a(7.08 g、収率:47.0%)を得た。
【0147】
ステップ2:(S)-3-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)-2-((R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-3-イル)プロピオン酸(6b)の調製
化合物6a(7 g、11.983 mmol)をテトラヒドロフラン(70 mL)、水(35 mL)に溶かし、過酸化水素水(30%)(4.07 g、35.95 mmol)、水酸化リチウム一水和物(431 mg、17.97 mmol)を加え、室温で一晩反応させた。2 Mの水酸化ナトリウム溶液でpH>13に調整し、メチルtert-ブチルエーテルで抽出し(50 mL×2)、水相を2 Mの塩酸溶液でpH<3に調整し、メチルtert-ブチルエーテルで抽出し(50 mL×2)、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し(70 mL)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、乾燥になるまで減圧下で濃縮し、化合物6bの粗製品3.11 gを得て、生成物を精製せずにそのまま次の反応を行った。
【0148】
ステップ3:(R)-3-((S)-3-(3-(ベンジルオキシ)フェニル)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(6c)の調製
前のステップの粗製品化合物6b(3.1 g、7.29 mmol)を2-メチルテトラヒドロフラン(60 mL)に溶かした後、2-tert-ブチル-1,3-ジイソプロピルイソ尿素(5.84 g、29.14 mmol)を加え、65℃に昇温して一晩反応させた。ろ過し、ろ液を乾燥になるまで減圧下で濃縮し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)、化合物6c(2.5 g、2段階収率:43.3%)を得た。
【0149】
ステップ4:(R)-3-((S)-1-(tert-ブトキシ)-3-(3-ヒドロキシフェニル)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(6d)の調製
水素雰囲気下、化合物6c(2.5 g、5.19 mmol)をMeOH(40 mL)に溶かし、Pd/C(0.80 g)を加え、室温で一晩反応させ、ろ過し、減圧下で濃縮して化合物6d(1.78 g、収率:87.6%)を得た。
【0150】
ステップ5:(R)-3-((S)-3-(3-(2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)エトキシ)フェニル)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(6e)の調製
化合物6d(400 mg、0.99 mmol)、N-(2-ブロモエチル)カルバミン酸ベンジル(280 mg、1.09 mmol)、炭酸セシウム(803 mg、2.47 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(8 mL)に加え、80℃に昇温して3時間反応させた。水(40 mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(30 mL×2)、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し(50 mL)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、加圧濃縮して残留物を得て、カラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル:酢酸エチル=8:1)、化合物6e(300 mg、収率53.5%)を得た。
【0151】
ステップ6:(R)-3-((S)-3-(3-(2-アミノ基エトキシ)フェニル)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(6f)の調製
水素雰囲気下、化合物6e(300 mg、0.528 mmol)をMeOH(5 mL)に溶かし、Pd/C(100 mg)を加え、室温で一晩反応させた。ろ過し、減圧下で濃縮して化合物6f(150 mg、収率65.4%)を得た。
【0152】
ステップ7:(3R)-3-[(2S)-1-(tert-ブトキシ)-3-(3-{[(2-{3-[(2S)-3-(tert-ブトキシ)-2-[(3R)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピロリジン-3-イル]-3-オキソプロピル]フェノキシ}エチル)({3-[(2S)-3-(tert-ブトキシ)-2-[(3R)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピロリジン-3-イル]-3-オキソプロピル]フェニル}メチル)アミノ]メチル}フェニル)-1-オキソプロパン-2-イル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(6g)の調製
氷浴下、化合物6f(150 mg、0.35 mmol)と化合物4a(278.6 mg、0.69 mmol)をイソプロパノール(6 mL)に溶かし、1滴の氷酢酸を加え、30分間保温しながら反応させた。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(292.6 mg、1.38 mmol)を加え、室温にゆっくりと昇温し、一晩反応させた。飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH8~9に調整し、酢酸エチルで抽出し(40 mL×2)、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し(60 mL)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して粗製品480 mgを得て、分取液体クロマトグラフィーにより精製して化合物6g(250 mg、収率59.9%)を得た。
【0153】
ステップ8:(2S)-3-(3-{[(2-{3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェノキシ}エチル)({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}メチル)アミノ]メチル}フェニル)-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]プロピオン酸四塩酸塩(6)の調製
化合物6g(100 mg、0.083 mmol)を4 Mの塩酸ジオキサン溶液(4 mL)に加え、室温で一晩撹拌した。上清液を注ぎ出し、固体を得て、固体を酢酸エチルで洗浄し、凍結乾燥して、化合物6(50 mg、収率68.5%)を得た。
MS m/z (ESI): 741.3[M+H]
H NMR (400 MHz, DO): δ 7.42-7.16 (m, 9H), 6.86 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.70 (dd, J = 8.3, 2.6 Hz, 1H), 6.65 (s, 1H), 4.43 (s, 4H), 4.14-3.97 (m, 2H), 3.62-3.45 (m, 5H), 3.45-3.30 (m, 3H), 3.29-3.14 (m, 3H), 3.07-2.98 (m, 3H), 2.93-2.63 (m, 9H), 2.61-2.39 (m, 3H), 2.24-2.02 (m, 3H), 1.78-1.64 (m, 3H)。
【0154】
実施例7
【化49】
(2S)-3-[3-({[2-({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}アミノ)エチル]({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}メチル)アミノ}メチル)フェニル]-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]プロピオン酸五塩酸塩(7)
【化50】
【0155】
ステップ1:(R)-3-((S)-3-(3-((2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)エチル)アミノ)フェニル)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(7a)の調製
化合物3a(700 mg、1.54 mmol)、N-ベンジルオキシカルボニルエチレンジアミン(448.81 mg、2.31 mmol)、BrettPhos Pd G3(49.9 mg、0.06 mmol)、炭酸カリウム(638.7 mg、4.62 mmol)及びジオキサン(10 mL)を秤量して反応フラスコに入れ、窒素ガスで3回置換し、100℃で一晩反応させた。LCMSで生成物が生成されたことを検出したら、反応液に酢酸エチルと水を加え、分液し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を濃縮してカラムクロマトグラフィーにかけ、化合物7a(400 mg、45.7%)を得た。
【0156】
ステップ2:(R)-3-((S)-3-(3-((2-アミノエチル)アミノ)フェニル)-1-(tert-ブトキシ)-1-オキソプロパン-2-イル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(7b)の調製
化合物7a(400 mg、0.71 mmol)、10%Pd/C(100 mg)を秤量して反応フラスコに入れ、メタノール(10 mL)を加え、窒素ガスで3回置換し、水素ガスで3回置換し、水素バルーンで一晩反応させた。LCMSで生成物が生成されたことを検出した。ろ過し、ろ液を濃縮し、粗製品化合物7b(200 mg、65.5%)を得た。
【0157】
ステップ3:(3R)-3-[(2S)-1-(tert-ブトキシ)-3-[3-({[2-({3-[(2S)-3-(tert-ブトキシ)-2-[(3R)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピロリジン-3-イル]-3-オキソプロピル]フェニル}アミノ)エチル]({3-[(2S)-3-(tert-ブトキシ)-2-[(3R)-1-[(tert-ブトキシ)カルボニル]ピロリジン-3-イル]-3-オキソプロピル]フェニル}メチル)アミノ}メチル)フェニル]-1-オキソプロパン-2-イル]ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(7c)の調製
化合物7b(150 mg、0.35 mmol)、4a(349 mg、0.87 mmol)を秤量して反応フラスコに入れ、イソプロパノール(10 mL)を加え、1滴の酢酸を加え、氷浴下で1時間撹拌し、さらに酢酸水素化ホウ素ナトリウム(218.9 mg、1.04 mmol)を加え、一晩反応させた。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液と酢酸エチルを加え、分液し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、ろ液を濃縮して粗製品生成物を得て、分取液体クロマトグラフィーにより精製して化合物7c(100 mg、23.9%)を得た。
【0158】
ステップ4:(2S)-3-[3-({[2-({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}アミノ)エチル]({3-[(2S)-2-カルボキシ-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]エチル]フェニル}メチル)アミノ}メチル)フェニル]-2-[(3R)-ピロリジン-3-イル]プロピオン酸五塩酸塩(7)の調製
化合物7c(100 mg、8.3 mmol)を秤量し、室温で4 Mの塩酸ジオキサン溶液(10 mL)を加え、一晩撹拌した。上清液を捨て、固体を得て、固体を酢酸エチルで洗浄し、水を加えて溶かし、凍結乾燥して化合物7(70 mg、72.1%)を得た。
MS m/z (ESI): 740.4 [M+1]
H NMR (400 MHz, DO): δ 7.45-7.21 (m, 8H), 7.12 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 6.75 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.53-6.38 (m, 2H), 4.41 (s, 4H), 3.68-3.51 (m, 2H), 3.51-3.39 (m, 3H), 3.38-3.18 (m, 8H), 3.15-2.99 (m, 2H), 2.98-2.67 (m, 9H), 2.66-2.46 (m, 4H), 2.26-2.06 (m, 3H), 1.84-1.69 (m, 3H)。
【0159】
生物学的試験
試験例1:Lp(a)の集合に対する化合物の阻害活性試験
本開示は、二重抗体ELISA方法によりApo(a)とApoBタンパク質の集合効率を検出し、抗体はそれぞれApoB-Capture抗体(Mabtech)とApo(a)-Detector抗体(Abcam)であり、検出試料はそれぞれヒトトランスジェニックhApo(a)とhApoBマウスの血漿であり、それぞれ500倍希釈して使用した。
【0160】
実験の手順:等量のApo(a)とApoB血清をそれぞれ、勾配濃度で希釈(最高濃度100 nM、3倍勾配希釈)された測定待ちの化合物と混合し、混合液を37℃インキュベーターに入れて2時間インキュベートし、そして最終濃度が150 mMの6-アミノカプロン酸(EACA、Sigmaから購入)を加えて反応を停止させた。反応した溶液を、予めApoB-Capture抗体で被覆されたELISA検出プレートに入れ、室温で2時間インキュベートし、そして洗浄液によりプレートを4回洗浄し、ビオチンで標識されたApo(a)-Detector抗体を加え、室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄して発色基質である3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB、Abcamから購入)溶液を加え、室温で15分間インキュベートした後、反応停止液を加え、均一に混合した後、直ちにプレートリーダーにより450 nmでの吸光値を検出した。最後に、ソフトウェアGraphPad Prism 9によりデータの分析とIC50の算出を行った。
【0161】
Apo(a)とApoBタンパク質の集合への0%阻害率は、化合物の濃度が0(1%DMSO)である時のOD値に対応し、Apo(a)とApoBタンパク質の集合への100%阻害率は、ApoBタンパク質溶液(hApoBマウスの血漿希釈液)のみを加えた時のOD値に対応する。
【0162】
実験の結果:
【表1】

【0163】
結論:本開示に係る化合物は、Lp(a)の集合に顕著な阻害作用を示す。
【化51】
(CN114008021中の実施例1の方法を参照して調製した参照物1)
【0164】
試験例2:ビーグル犬におけるインビボ薬物動態実験
ビーグル犬を被験動物として、LC/MS/MS法により、本開示に係る化合物が胃内投与されたビーグル犬の異なる時点での血漿中の薬物濃度を測定した。本開示に係る化合物のビーグル犬のインビボ薬物動態的挙動を研究し、その薬物動態的特徴を評価した。
【0165】
試験動物:健常な8~36月齢の雄ビーグル犬2匹/群
薬剤の調製:薬剤を一定量秤量し、生理食塩水を加えて2 mg/mLの無色透明な溶液に調製した。
【0166】
投与:ビーグル犬を一晩絶食させた後、胃内に投与し、投与量について、参照物1と化合物6は両方とも10 mg/kgである。
【0167】
操作:ビーグル犬に本開示に係る化合物を胃内投与し、投与後の0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間に末梢静脈穿刺により約0.6 mL採血し、EDTA-K2を含む試験管に入れ、4℃程度で、2000回転/分で10分間遠心分離して血漿を得て、-75℃で保存した。
【0168】
異なる採血時点でのビーグル犬血漿における測定待ちの化合物の含有量を測定した:投与後の各時点で採取したビーグル犬血漿33 μL(30 μLの血漿と3 μLのブランク)を取って濃度が6%の過塩素酸溶液18 μLに加え、ボルテックスで30秒間混合し、4℃の温度で、3900回転/分で15分間遠心分離し、そして内部標準デキサメタゾンを含むアルカリ化(アンモニア水でpHを10~11に調整)したアセトニトリル溶液200 μLを加えてタンパク質を沈殿し、ボルテックスで30秒間混合し、4℃で、3900回転/分で15分間遠心分離し、血漿試料から上清液を取り、水を加えて3倍希釈し、8 μLを取ってLC/MS/MS分析を行った。
【0169】
薬物動態パラメータの結果
LC/MS/MS分析により血中薬物濃度を検出した後、WinNonlin 6.1ソフトウェアを用いて、ノンコンパートメントモデル法により薬物動態パラメータを算出した。本開示に係る化合物のビーグル犬における薬物動態パラメータは、下記の表2に示す通りである。
【0170】
【表2】

【0171】
結論:化合物6は、ビーグル犬のインビボ経口吸収がより優れ、血中薬物暴露量がより良く、半減期が長くて、優れた薬物動態的特徴を有し、経口投与に明らかな優位性がある。
【0172】
試験例3:カニクイザルにおけるインビボ薬物動態実験
カニクイザルを被験動物として、LC/MS/MS法により、本開示に係る化合物が胃内投与されたカニクイザルの異なる時点での血漿中の薬物濃度を測定した。本開示に係る化合物のカニクイザルのインビボ薬物動態的挙動を研究し、その薬物動態的特徴を評価した。
【0173】
試験動物:健常な24~36月齢のカニクイザル2匹/群(雌雄1匹ずつ)
薬剤の調製:薬剤を一定量秤量し、生理食塩水を加えて10 mg/mL(参照物1)及び3 mg/mL(化合物6)の無色透明な溶液に調製した。
【0174】
投与:カニクイザルを一晩絶食させた後、胃内に投与し、投与量について、参照物1は50 mg/kg、化合物6は15 mg/kgである。
【0175】
操作:カニクイザルに本開示に係る化合物を胃内投与し、投与後の0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間に末梢静脈穿刺により約0.5 mL採血し、EDTA-K2を含む試験管に入れ、4℃程度で、2000回転/分で10分間遠心分離して血漿を得て、-75℃で保存した。
【0176】
異なる採血時点でのカニクイザル血漿における測定待ちの化合物の含有量を測定した:投与後の各時点で採取したカニクイザル血漿33 μL(30 μLの血漿と3 μLのブランク)を取って濃度が6%の過塩素酸溶液18 μLに加え、ボルテックスで30秒間混合し、4℃の温度で、3900回転/分で15分間遠心分離し、そして内部標準デキサメタゾンを含むアルカリ化(アンモニア水でpHを10~11に調整)したアセトニトリル溶液200 μLを加えてタンパク質を沈殿し、ボルテックスで30秒間混合し、4℃で、3900回転/分で15分間遠心分離し、血漿試料から上清液を取り、水を加えて3倍希釈し、8 μLを取ってLC/MS/MS分析を行った。
【0177】
薬物動態パラメータの結果
LC/MS/MS分析により血中薬物濃度を検出した後、WinNonlin 6.1ソフトウェアを用いて、ノンコンパートメントモデル法により薬物動態パラメータを算出した。本開示に係る化合物のカニクイザルにおける薬物動態パラメータは、下記の表3に示す通りである。
【0178】
【表3】

【0179】
結論:化合物6は、カニクイザルのインビボ経口吸収がより優れ、血中薬物暴露量が参照物1の5倍近くであり、本発明に係る化合物の薬物動態特性が参照物1よりも顕著に優れることを示している。
【0180】
試験例4:マウスにおける高用量単回耐性実験
C57/6Jマウスを被験動物として、本開示に係る化合物を高用量で経口投与し、マウスに臨床観察を行い、本開示に係る化合物の安全性を評価した。
【0181】
実験の方法:雄のC57/6Jマウス8匹を取り、それぞれ1~8と番号付け、体重を秤量した。実験開始前に4時間絶食させ、絶食終了後に体重を秤量した(0時間)。体重が比較的均等である6匹を取って群分けし、3匹/群で2群に分けた。
【0182】
第1群(G1)に参照物1を投与し、第2群(G2)に本開示に係る化合物の実施例6を投与した。G1、G2群の化合物は何れも経口胃内投与され、用量が1000 mg/kgで、溶媒が何れも生理食塩水であり、投与後の15分間、30分間、1時間、2時間、4時間、6時間、24時間に実験群のマウスに臨床観察を行い、投与2時間後に両群とも食物が与えられた。マウスの体重を連続7日間モニターし、その結果は下記の表4に示す通りである。
【0183】
【表4】

【0184】
結論:高用量(1000 mg/kg)で7日間投与した後、参照物1群のマウスは、有意な減少傾向を示したのに対して、化合物6群のマウスは、体重が変わらず、ひいては増加した。本開示に係る化合物は、より長い投与期間に、より優れた安全性を示し得ることが期待される。
【国際調査報告】