IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メディマップス グループ ソシエテ アノニムの特許一覧

特表2024-540185デジタル画像から骨のテクスチャを解析する方法
<>
  • 特表-デジタル画像から骨のテクスチャを解析する方法 図1
  • 特表-デジタル画像から骨のテクスチャを解析する方法 図2
  • 特表-デジタル画像から骨のテクスチャを解析する方法 図3
  • 特表-デジタル画像から骨のテクスチャを解析する方法 図4
  • 特表-デジタル画像から骨のテクスチャを解析する方法 図5
  • 特表-デジタル画像から骨のテクスチャを解析する方法 図6
  • 特表-デジタル画像から骨のテクスチャを解析する方法 図7
  • 特表-デジタル画像から骨のテクスチャを解析する方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】デジタル画像から骨のテクスチャを解析する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241024BHJP
【FI】
A61B6/00 550Z
A61B6/00 560
A61B6/00 550D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525677
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2022080505
(87)【国際公開番号】W WO2023078897
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/080527
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524109429
【氏名又は名称】メディマップス グループ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンス,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ボージェ,リオネル
(72)【発明者】
【氏名】ギャティノー,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ミシュレ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ルブラヒム,エル ハッサン アハメド
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA07
4C093AA26
4C093FD03
4C093FF16
4C093FF19
4C093FF20
4C093FF25
4C093FG18
(57)【要約】
本発明は、骨のテクスチャを解析する方法に関し、以下を含む:入力骨を示す入力X線画像(6)を受信する工程と、技術的手段により実装された骨スコア人工知能(ANN、ANN)による受信した入力X線画像の骨スコア解析(11、12)工程。この骨スコア解析の結果として、骨スコア人工知能は以下を与える:受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)に少なくとも依存するグローバルスコア、および/または受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)。本発明はまた、対応する装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨のテクスチャを解析する方法であって、
入力骨を示すデジタル化された入力X線画像(6)を受信する工程と、
技術的手段によって実装された骨スコア人工知能による、前記受信した入力X線画像の骨スコア解析(11、12)工程であって、前記骨スコア人工知能が、この骨スコア解析の結果として、前記受信した入力X線画像(6)の前記グレーレベルの実験的バリオグラムの計算または決定なしで、以下を与える工程とを含み、
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の前記海綿骨部分の前記グレーレベルの前記実験的バリオグラムからグレーレベルの前記局所的な変動を定量化する海綿骨スコア(TBS)に少なくとも依存するグローバルスコア(16)、および/または
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の前記海綿骨部分の前記グレーレベルの前記実験的バリオグラムからグレーレベルの前記局所的な変動を定量化する海綿骨スコア(TBS)(15)、
を含む、骨のテクスチャを解析する方法。
【請求項2】
前記骨スコア人工知能(ANN、ANN)がニューラルネットワークである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下のステップを複数回実施することにより、学習セットを構築する工程であって、
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像(9)を取得するステップと、
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像(19)を取得するステップと、
-- 技術的手段により、前記第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップであって、
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する密度スコア(14)、および
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)(15)を含むステップと、
-- 技術的手段により、
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する前記密度スコア、および
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する前記海綿骨スコア(TBS)から、これらの密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコア(16)を決定するステップと、
この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの学習画像(9)について決定された前記グローバルスコアを含むその関連するグランド・トゥルースとともに前記第2のタイプの学習画像を骨スコア人工知能(ANN)に提供することにより、前記骨スコア人工知能(ANN)を学習させる工程、
を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
以下のステップを複数回実施することにより、学習セットを構築する工程であって、
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプ(9)の学習画像を取得するステップと、
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像(19)を取得するステップと、
-- 技術的手段により、
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する密度スコア(14)、および/または
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)(15)から、前記第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップと、
-- この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの前記学習画像(9)について決定された前記密度スコア、および/または
-- この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの前記学習画像(9)について決定された前記海綿骨スコアを含む工程であって、その関連するグランド・トゥルースとともに第2のタイプの学習画像を前記骨スコア人工知能(ANN)に提供することにより、前記骨スコア人工知能を学習させる工程と、
を含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
入力骨を示す前記入力X線画像(6)を受信する工程と、
技術的手段によって実装された第1の人工知能(ANN)による、前記受信した入力X線画像の第1の解析(11)工程であって、前記第1の人工知能が前記第1の解析の結果として
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の骨密度に依存する密度スコア
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)
の両方に依存するグローバルスコア(16)を与える工程と、
技術的手段によって実装された第2の人工知能(ANN)による、前記受信した入力X線画像の第2の解析(12)工程であって、前記第2の人工知能が前記第2の解析の結果として
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の骨密度に依存する密度スコア(14)、および/または
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する前記海綿骨スコア(TBS)(15)を与える工程と、
技術的手段によって実装された第3の人工知能(AI)による第3の解析工程であって、前記第3の人工知能が前記第1および第2の解析の前記結果を入力として有し、前記第1の解析の前記結果と前記第2の解析の前記結果の前記整合性に依存する結果を出力として有する工程と、
を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の人工知能が、前記受信した入力X線画像が取得された前記患者の年齢、前記受信した入力X線画像が取得された前記患者の性別、前記受信した入力X線画像が取得された前記患者の体型、前記受信した入力X線画像が取得された機器の種類、および/または前記受信した入力X線画像が取得された前記機器の取得パラメータのうちの少なくとも1つをさらなる入力(18)として使用する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の人工知能がニューラルネットワークであり、前記第2の人工知能がニューラルネットワークである、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の人工知能、前記第2の人工知能、および前記第3の人工知能が、3つの異なる人工知能である、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の人工知能、第2の人工知能、および第3の人工知能を実装するための前記技術的手段が、同じ技術的手段である、請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1の学習セットを、以下のステップであって、
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像(9)を取得するステップと、
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像(19)を取得するステップと、
-- 技術的手段により、前記第1のタイプの学習画像から
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)を決定するステップと、
-- 技術的手段により、
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する前記密度スコア、および
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する前記海綿骨スコア(TBS)から、これらの密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコアを決定するステップと、を複数回実施することにより、第1の学習セットを構築する工程と、
この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの前記学習画像(9)について決定された前記グローバルスコア(16)を含むその関連するグランド・トゥルースとともに前記第2のタイプの学習画像(19)を前記第1の人工知能(ANN)に提供することにより、前記第1の人工知能を学習させる工程と、
を含む、請求項5から請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
以下のステップであって、
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像(9)を取得するステップと、
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像(19)を取得するステップと、
-- 技術的手段により、前記第1のタイプの学習画像から
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する密度スコア(14)、および/または
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)(15)を決定するステップと、
を複数回実施することにより、第2の学習セットを構築する工程と、
-- この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの前記学習画像(9)について決定された前記密度スコア(14)、および/または
-- この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの学習画像(9)について決定された前記海綿骨スコア(15)、を含むその関連するグランド・トゥルースとともに前記第2のタイプの学習画像(19)を前記第2の人工知能(ANN)に提供することにより、前記第2の人工知能を学習させる工程と、
を含む、請求項5から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の人工知能と前記第2の人工知能を、第1のタイプの学習画像と第2のタイプの学習画像の同じデータベースを使用して学習させる、請求項10および請求項11の組み合わせに記載の方法。
【請求項13】
以下のステップであって、
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像(9)を取得するステップと、
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である第2のタイプの学習画像(19)を取得するステップと、
-- 技術的手段により、第1のタイプの学習画像(9)から
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する密度スコア(14)、および
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)(15)を決定するステップと、
-- 技術的手段により、
--- 前記第1のタイプの学習画像(9)に示された前記学習用骨の骨密度に依存する前記密度スコア、および
--- 前記第1のタイプの学習画像(9)に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する前記海綿骨スコア(TBS)から、この密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコア(16)を決定するステップと、
-- 前記第2のタイプの学習画像(19)に対して前記第1および第2の人工知能による前記第1および第2の解析を実装するステップと、
を複数回実施することにより、第3の学習セットを構築する工程と、および、
前記第1のタイプの学習画像(9)から得られた前記スコア(14、15、16)と同じ学習用骨の前記第2のタイプの学習画像(19)から得られた前記スコア(14、15、16)との差から学習することによって、前記第3の人工知能(AI)を学習させる工程と、
を含む、請求項5から請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の人工知能、第2の人工知能および第3の人工知能を別々に学習させる、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のタイプの学習画像と前記第2のタイプの学習画像が同じ学習用骨で取得され、6か月未満の間隔で取得される、請求項3、請求項4および請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のタイプの学習画像が、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像である、請求項3、請求項4および請求項10から請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のタイプの学習画像が、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像ではない、請求項3、請求項4および請求項10から請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記受信した入力X線画像が、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像ではない、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記受信した入力X線画像が、1ピクセルあたり1mm未満の空間分解能を有するデジタルX線画像である、請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
骨のテクスチャを解析する装置であって、
入力骨を示すデジタル化された入力X線画像(6)を受信するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
前記受信した入力X線画像の骨スコア解析(11、12)を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された骨スコア人工知能(ANN、ANN)であって、この骨スコア解析の結果として、前記受信した入力X線画像(6)の前記グレーレベルの実験的バリオグラムの計算または決定なしで、
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の前記海綿骨部分の前記グレーレベルの前記実験的バリオグラムからグレーレベルの前記局所的な変動を定量化する海綿骨スコア(TBS)に少なくとも依存するグローバルスコア(16)、および/または
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の前記海綿骨部分の前記グレーレベルの前記実験的バリオグラムからグレーレベルの前記局所的な変動を定量化する海綿骨スコア(TBS)(15)を与えるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された前記骨スコア人工知能と、
を備える、骨のテクスチャを解析する装置。
【請求項21】
前記骨スコア人工知能がニューラルネットワークである、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
以下のステップであって、
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像(9)を取得するステップと、
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像(19)を取得するステップと、
-- 技術的手段により、前記第1のタイプの学習画像から
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する密度スコア(14)、および
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)(15)を決定するステップと、
-- 技術的手段により、
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する前記密度スコア、および
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する前記海綿骨スコア(TBS)、から、これらの密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコア(16)を決定するステップと、を複数回実施することにより、学習セットを構築するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの前記学習画像(9)について決定された前記グローバルスコアを含むその関連するグランド・トゥルースとともに前記第2のタイプの学習画像を骨スコア人工知能(ANN)に提供することにより、前記骨スコア人工知能(ANN)を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
を含む、請求項20または請求項21に記載の装置。
【請求項23】
以下のステップであって、
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像(9)を取得するステップと、
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像(19)を取得するステップと、
-- 技術的手段により、前記第1のタイプの学習画像から
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する密度スコア(14)、および/または
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)(15)を決定するステップと、
を複数回実施することにより、学習セットを構築するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
-- この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの学習画像(9)について決定された前記密度スコア、および/または
-- この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの前記学習画像(9)について決定された前記海綿骨スコア、を含むその関連するグランド・トゥルースとともに前記第2のタイプの学習画像を骨スコア人工知能(ANN)に提供することにより、前記骨スコア人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
を含む、請求項20から請求項22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
入力骨を示す前記入力X線画像(6)を受信するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
前記受信した入力X線画像の第1の解析(11)を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された第1の人工知能(ANN)であって、前記第1の解析の結果として、
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の骨密度に依存する密度スコアおよび
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)の両方に依存するグローバルスコア(16)を与えるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された前記第1の人工知能と、
前記受信した入力X線画像の第2の解析(12)を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された第2の人工知能(ANN)であって、前記第2の解析の結果として
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の骨密度に依存する前記密度スコア(14)、および/または
-- 前記受信した入力X線画像に示された前記入力骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する前記海綿骨スコア(TBS)(15)を与えるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された第2の人工知能と、
第3の解析を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された第3の人工知能(AI)であって、前記第1および第2の解析の前記結果を入力として有し、前記第1の解析の前記結果と前記第2の解析の前記結果の前記整合性に依存する結果を出力として有するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された前記第3の人工知能と、
を備える、請求項20から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記第3の人工知能が、前記受信した入力X線画像が取得された前記患者の年齢、前記受信した入力X線画像が取得された前記患者の性別、前記受信した入力X線画像が取得された前記患者の体型、前記受信した入力X線画像が取得された機器の種類、および/または前記受信した入力X線画像が取得された前記機器の取得パラメータのうちの少なくとも1つをさらなる入力(18)として使用するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記第1の人工知能がニューラルネットワークであり、前記第2の人工知能がニューラルネットワークである、請求項24または請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記第1の人工知能、前記第2の人工知能、および前記第3の人工知能が、3つの異なる人工知能である、請求項24から請求項26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記第1の人工知能、前記第2の人工知能、および前記第3の人工知能を実装するための技術的手段が、同じ技術的手段である、請求項24から請求項27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
以下のステップであって、
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を取得するステップと、
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像を取得するステップと、
-- 技術的手段により、前記第1のタイプの学習画像から
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)を決定するステップと、
-- 技術的手段により、
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する前記密度スコア、および
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する前記海綿骨スコア(TBS)から、これらの密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコアを決定するステップと、
を複数回実施することにより、第1の学習セットを構築するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの学習画像(9)について決定された前記グローバルスコアを含むその関連するグランド・トゥルースとともに前記第2のタイプの学習画像を前記第1の人工知能に提供することにより、前記第1の人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
を含む、請求項24から請求項28のいずれか一項に記載の装置:
【請求項30】
以下のステップであって、
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を取得するステップと、
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像を取得するステップと、
-- 技術的手段により、前記第1のタイプの学習画像から
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および/または
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)を決定するステップと、
を複数回実施することにより、第2の学習セットを構築するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
-- この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの前記学習画像(9)について決定された前記密度スコア、および/または
-- この前記第2のタイプの学習画像(19)に関連付けられた前記第1のタイプの前記学習画像(9)について決定された前記海綿骨スコアを含むその関連するグランド・トゥルースとともに前記第2のタイプの学習画像を前記第2の人工知能に提供することにより、前記第2の人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
を含む、請求項24から請求項29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記第1の人工知能と前記第2の人工知能が、第1のタイプの学習画像と第2のタイプの学習画像の同じデータベースを使用して学習するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された、請求項29および請求項30の組み合わせに記載の装置。
【請求項32】
以下のステップであって、
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を取得するステップと、
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である第2のタイプの学習画像を取得するステップと、
-- 技術的手段により、前記第1のタイプの学習画像から
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)を決定するステップと、
-- 技術的手段により、
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の骨密度に依存する前記密度スコア、および
--- 前記第1のタイプの学習画像に示された前記学習用骨の前記海綿骨部分のテクスチャに依存する前記海綿骨スコア(TBS)から、この密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコアを決定するステップと、
前記第2のタイプの学習画像に対して第1および第2の人工知能による第1および第2の解析を実装するステップと、
を複数回実施することにより、第3の学習セットを構築するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
前記第1のタイプの学習画像から得られた前記スコアと同じ学習用骨の前記第2のタイプの学習画像から得られた前記スコアとの差から学習することによって、前記第3の人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、
を含む、請求項19から請求項31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記第1の人工知能、第2の人工知能および第3の人工知能を別々に学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された、請求項29から請求項32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記第1の人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された前記手段と前記第2の人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された前記手段とが、前記第1のタイプの学習画像と前記第2のタイプの学習画像が同じ学習用骨で取得され、6か月未満の間隔で取得されたことをチェックするように一緒に配置および/またはプログラムされた、および/または一緒に構成された、請求項22、請求項23および請求項29から請求項33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記第1のタイプの学習画像が、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像である、請求項22、請求項23および請求項29から請求項34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記第2のタイプの学習画像が、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像ではない、請求項22、請求項23および請求項29から請求項35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記受信した入力X線画像が、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像ではない、請求項20から請求項36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記受信した入力X線画像が、1ピクセルあたり1mm未満の空間分解能を有するデジタルX線画像である、請求項20から請求項37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
コンピュータ実行時に、請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の方法の前記ステップを実行する命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項40】
コンピュータによって実行されると、請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の方法の前記ステップをコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像から骨のテクスチャを解析する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、デジタル画像から骨のテクスチャを解析する装置に関する。
【0003】
本発明の技術分野は、典型的にはディープラーニングの技術分野であり、特にデジタルX線ベースの画像の適切なスクリーニングから、DXA BMDおよびTBS、あるいは他の同等の方法で評価される劣化した骨量と骨微細構造を有する骨粗鬆症と診断される可能性の高い個人を同定する方法であるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0004】
1990年代初頭、世界保健機関(WHO)は、骨粗鬆症を、骨量の低下(量の減少)と骨組織の微細構造の劣化(質の低下)を特徴とし、その結果、骨の脆弱性と骨折のリスクが高まる全身性の骨格疾患と概念的に定義している(非特許文献1)。さらに、2000年代初頭に、米国国立衛生研究所(NIH)は、骨粗鬆症を骨強度が低下し骨折のリスクが高まる骨格疾患と定義した(非特許文献2)。本質的に、骨粗鬆症では、骨強度の低下により脆弱性骨折という外傷性の転帰をもたらす。
【0005】
骨強度は、骨量(すなわち骨密度)と骨質という2つの主要な特徴の統合を反映している。骨密度は、単位面積または体積あたりのミネラルのグラム数として表され、個人では最大骨量と骨喪失量によって決定される。骨質とは、骨構造、骨の弾力性、代謝回転、損傷の蓄積(例えば、微小骨折)、および石灰化を指す。骨構造は、多くの異なる実体に使用される一般的な用語であり、さらに細分化できる。マクロレベルでは、骨のマクロ構造(骨マクロ構造とも呼ばれる)として知られる骨構造は、骨の全体的な形状と幾何学的形態、ならびに海綿骨(骨梁とも呼ばれる)と皮質骨への分化を表す(非特許文献3)。
【0006】
いずれにせよ、骨粗鬆症の特徴は脆弱性骨折である。脆弱性骨折とは、通常は骨折を引き起こすことのない機械的力に反応して、立位の高さから転倒することによって発生する骨折と定義される(非特許文献4、非特許文献5)。大腿骨近位部、脊椎、上腕骨、前腕は、脆弱性骨折が最も多く発生する骨格部位である。これらの骨折は、主要な骨粗鬆症性骨折と呼ばれる。
【0007】
骨折リスクが特定されると、ある種の「階層的」レベルで予防措置が講じられる。一般的なライフスタイルのアドバイス、健康的なライフスタイルに加えて適切なカルシウムおよび/またはビタミンDの補給、および/または薬物療法である。作用機序に基づいて、骨吸収を抑制する抗吸収剤(ビスホスホネート、エストロゲンアゴニスト/アンタゴニスト、エストロゲン、カルシトニン、デノスマブなど)と、骨形成を刺激する骨形成促進剤(テリパラチドなど)の2種類の骨粗鬆症薬物療法がある。最近では、ロモソズマブがその骨形成作用により承認されている(非特許文献6)。
【0008】
世界では毎年900万件超の脆弱性骨折が発生しており、人口の高齢化に伴いその数は増加すると予想される(非特許文献7、非特許文献8)。50歳を過ぎてから、女性の2人に1人、男性の4人に1人が、余生において主要な骨粗鬆症性骨折を起こすと推定されている(非特許文献9)。45歳超の女性では、骨粗鬆症は糖尿病、心筋梗塞、乳がんなど、他の多くの疾患よりも入院日数が多い。さらに、過去の骨折は、その後の骨折のリスクを86%増加させる。骨折は高い罹患率と死亡率に関連しており、高齢者では障害、自立の喪失、早期死亡の前兆となることが多い(非特許文献10)。例えば、全体として、2010年のEUだけで薬物介入を含む骨粗鬆症の費用は370億ユーロと推定され、そのうち66%が事故による骨折の治療費、5%が薬物予防、29%が長期の骨折ケアを占めた(非特許文献11)。また、国際骨粗鬆症財団とヨーロッパ製薬工業連盟とが共同で準備した報告書が報告された(非特許文献12)。
【0009】
残念ながら、骨粗鬆症のリスクがあると考えられる人の約70%が特定されることなく、DXA(ゴールドスタンダード)による適切な診断のために骨専門医を紹介されたことすらないと推定されている。さらに、多くの研究で、大腿骨近位部骨折を経験した後でさえ、骨粗鬆症の登録治療を受けている患者の割合は年々大幅に減少していることが示されている。実際、すでに少なくとも1回の骨粗鬆症性骨折を経験したハイリスク者の大多数(おそらく80%)が、特定されておらず、治療も受けていない(非特許文献13)。また、国際骨粗鬆症財団とヨーロッパ製薬工業連盟(EFPIA)とが共同で準備した報告書が報告された(非特許文献14~非特許文献17)。
【0010】
骨粗鬆症のリスクのある個人の特定不足や骨粗鬆症の診断・治療の減少には、多くの理由がある。おそらく最大の問題は、一般市民と医療従事者の両方で骨疾患に対する認識が不足していることであり、その多くは問題の大きさを理解しておらず、ましてや骨疾患の予防と治療の方法を理解していない。患者が脆弱性骨折を経験した場合でも、無症候性の椎体圧迫骨折を含むすべての骨粗鬆症性骨折の重大性が十分に認識されておらず、骨粗鬆症性骨折で入院した患者が2度目の骨折を防ぐための骨粗鬆症管理計画に確実には組み込まれていない。実際、この後者の問題に対処し、その後の2度目の脆弱性骨折を回避するために、多職種によるフラクチャーリエゾンサービス(FLS)を開発する国際的な動きがある。FLSは、骨粗鬆症性骨折で病院、緊急治療室、救急診療所に入院した患者を特定し、それらの患者をよく練られた骨粗鬆症管理・治療計画に導くためのメカニズムと経路の開発に依存している(非特許文献18)。
【0011】
脆弱性骨折が発生する前の様々な年齢で、個人の骨の健康に潜在的な問題を示唆する多くの「危険信号」がある。骨密度(BMD)検査は依然として骨粗鬆症と骨折リスクを特定するための「ゴールドスタンダード」の診断検査として機能しているが、母集団全体のBMD検査は、骨疾患のリスクを評価するための費用対効果の高い実用的な方法ではない。BMD検査は一部の集団(65歳超の女性など)で推奨されているが、他の個人、つまり骨疾患を有さず骨疾患のリスクもない大多数の人々に対しては、BMD検査は日常的に使用されていない。広範なBMD検査は、経済的にも医学的にもほとんど意味がない。むしろ、エビデンスは、検査から最も恩恵を受ける可能性の高いハイリスク者のサブセット(例えば、複数のリスク因子を有する若年女性、脆弱性骨折の既往がある男女、骨折リスクを大幅に高める可能性のある疾患を有する男女など)を特定するために、まず他のリスク因子の評価を支持している。これらのリスク因子の中には、BMDレベルに直接的または間接的に影響を与えるものもあるが、骨密度とは無関係のもの(例えば、転倒のリスク因子)もある。そのため、リスク評価モデルに基づく多くのスクリーニング戦略が開発されている。残念ながら、いくつかの問題と制限により、リスク因子評価ツールの開発と広範な適用が遅れている。重要な問題の1つは、骨の健康に関するリスク因子についての現在の医学的知識の限界に関連しているが、さらに重要なのは、一般市民と医療従事者の両方の認識に関連する積極的なスクリーニング行動が依然として必要とされることである(非特許文献19~22)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【特許文献1】FR2848694
【特許文献2】EP1576526A1
【非特許文献1】Consensus development conference:diagnosis,prophylaxis,and treatment of osteoporosis.Am J Med-1993-94,646-650
【非特許文献2】Osteoporosis prevention, diagnosis,and therapy.Jama.2001;285(6):785-95.
【非特許文献3】Macro-and Microimaging of Bone Architecture,Engelke K et al.,in Principles of Bone Biology(Third Edition)Volume II,2008,Pages 1905-1942.Editors:John Bilezikian Lawrence Raisz T.John Martin-Publisher:Academic Press.Published Date:29th September 2008
【非特許文献4】Cummings SR et al.Epidemiology and outcomes of osteoporotic fractures.Lancet(London,England).2002;359(9319):1761-7.
【非特許文献5】Warriner AH et al.,Minor,major,low-trauma,and high-trauma fractures:what are the subsequent fracture risks and how do they vary? Current osteoporosis reports.2011;9(3):122-8.
【非特許文献6】Tu KN.,et al.Osteoporosis:A Review of Treatment Options.P&T:a peer-reviewed journal for formulary management.2018;43(2):92-104.
【非特許文献7】Johnell O.,et al.An estimate of the worldwide prevalence and disability associated with osteoporotic fractures.Osteoporosis international:a journal established as result of cooperation between the European Foundation for Osteoporosis and the National Osteoporosis Foundation of the USA.2006;17(12):1726-33
【非特許文献8】John A.Kanis JA,.et al.SCOPE 2021:a new scorecard for osteoporosis in Europe.Archives of Osteoporosis(2021)16:82
【非特許文献9】Kanis JA.,et al.Long-term risk of osteoporotic fracture in Malmoe.Osteoporosis international:a journal established as result of cooperation between the European Foundation for Osteoporosis and the National Osteoporosis Foundation of the USA.2000;11(8):669-74.
【非特許文献10】Binkley N.,et al.Osteoporosis in Crisis:It´s Time to Focus on Fracture.Journal of bone and mineral research:the official journal of the American Society for Bone and Mineral Research.2017;32(7):1391-4.
【非特許文献11】Hernlund E.,et al.Osteoporosis in the European Union:medical management,epidemiology,and economic burden.
【非特許文献12】A report prepared in collaboration with the International Osteoporosis Foundation(IOF)and the European Federation of Pharmaceutical Industry Associations(EFPIA) Archives of osteoporosis.2013;8(1-2):136.
【非特許文献13】Hernlund,E.,et al.,Osteoporosis in the European Union:medical management,epidemiology and economic burden.
【非特許文献14】A report prepared in collaboration with the International Osteoporosis Foundation(IOF)and the European Federation of Pharmaceutical Industry Associations(EFPIA).Arch Osteoporos,2013.8:p.136
【非特許文献15】Solomon DH.,et al.Osteoporosis medication use after hip fracture in U.S.patients between 2002 and 2011.J Bone Miner Res.2014;29(9):1929-1937
【非特許文献16】Kanis JA.,et al. SCOPE 2021:a new scorecard for osteoporosis in Europe.Archives of Osteoporosis (2021)16:82.Bone health and osteoporosis:a report of the Surgeon General.-Rockville,Md.:U.S.Dept.of Health and Human Services,Public Health Service,Office of the Surgeon General
【非特許文献17】Washington,D.C.:For sale by the Supt.of Docs.,U.S.G.P.O.,2004.p.436
【非特許文献18】Paul D.Miller.Underdiagnoses and Undertreatment of Osteoporosis:The Battle to Be Won.J Clin Endocrinol Metab,March 2016,101(3):852-859
【非特許文献19】Pal B.Questionnaire survey of advice given to patients with fractures.BMJ 1999 Feb 20;318(7182):500-1
【非特許文献20】Bone health and osteoporosis:a report of the Surgeon General.-Rockville,Md.:U.S. Dept.of Health and Human Services,Public Health Service,Office of the Surgeon General
【非特許文献21】Washington,D.C.:For sale by the Supt.of Docs.,U.S.G.P.O.,2004.p.436
【非特許文献22】Kanis JA.,et al.SCOPE 2021:a new scorecard for osteoporosis in Europe.Archives of Osteoporosis(2021)16:82.
【非特許文献23】N.C.Harvey他による論文「Trabecular bone score(TBS)as a new complementary approach for osteoporosis evaluation in clinical practice.A consensus report of a European Society for Clinical and Economic Aspects of Osteoporosis and Osteoarthritis(ESCEO)Working Group」(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4538791/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この積極性の必要性を克服し、例えばDXAに基づく全集団の体系的なスクリーニングのコストの超過を避けるために、適切な場合に自動的な適切なアプローチを想像することができる。この後者のアプローチは、例えば、骨粗鬆症以外の理由で毎年何百万人もの個人に対して実施されるX線ベースの画像で実行することができる。このようなアプローチは、偽陽性の観点で最適化されなければならず、「ゴールドスタンダード」の診断確認(骨量と骨質の両方の評価)のためにDXA施設に紹介される骨粗鬆症の真のリスクのある個人の数を増やすことを目的とすべきである。
【0014】
本発明の目的は、通常は骨密度(BMD)または海綿骨スコア(TBS)を得ることができないような画像、すなわち典型的には二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像以外の画像にも適用できる、骨のテクスチャおよび/または健康状態を迅速かつ簡単に解析する方法または装置を提示することである。
【0015】
本発明の一態様は、骨(好ましくはデジタル画像から画像化により得られ、骨構造を含む領域で選択される)のテクスチャを解析する方法(好ましくはコンピュータで実施される)に関し、以下の工程を含む。
- 入力骨を示すデジタル化された入力X線画像を受信する工程、
- 技術的手段により実装された骨スコア人工知能による、受信した入力X線画像の骨スコア解析工程であって、骨スコア人工知能が、この骨スコア解析の結果として以下を与える工程:
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)に少なくとも依存するグローバルスコア、および/または
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)、および/または受信した入力X線画像に示された入力骨の骨密度に依存する密度スコア。
【0016】
骨スコア人工知能はニューラルネットワークであり得る。
【0017】
本発明による方法は、以下の工程を含み得る。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第1の学習セットを構築する工程:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像を取得するステップ
-- 技術的手段により、第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
-- 技術的手段により、以下からこれらの密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコアを決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)、
- 第2のタイプの学習画像とともに、この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定されたグローバルスコアを含むその関連するグランド・トゥルース(ground truth)を骨スコア人工知能に提供することにより、骨スコア人工知能を学習させる工程。
【0018】
本発明による方法は、以下の工程を含み得る。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第2の学習セットを構築する工程:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像を取得するステップ
-- 技術的手段により、第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および/または
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
- 第2のタイプの学習画像とともに、以下を含むその関連するグランド・トゥルースを骨スコア人工知能に提供することにより、骨スコア人工知能を学習させる工程:
-- この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定された密度スコア、および/または
-- この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定された海綿骨スコア。
【0019】
本発明による方法は、以下の工程を含み得る。
- 入力骨を示す入力X線画像を受信する工程、
- 技術的手段により実装された第1の人工知能による、受信した入力X線画像の第1の解析工程であって、第1の人工知能が第1の解析の結果として以下の両方に依存するグローバルスコアを与える工程:
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の骨密度に依存する密度スコア
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)、
- 技術的手段により実装された第2の人工知能による、受信した入力X線画像の第2の解析工程であって、第2の人工知能が第2の解析の結果として以下を与える工程:
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の骨密度に依存する密度スコア、および/または
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)、
- 技術的手段により実装された第3の人工知能による第3の解析工程であって、第3の人工知能が第1および第2の解析の結果を入力として有し、第1の解析の結果と第2の解析の結果の整合性に依存する結果を出力として有する工程。
【0020】
第3の人工知能は、受信した入力X線画像が取得された患者の年齢、受信した入力X線画像が取得された患者の性別、受信した入力X線画像が取得された患者の体型、受信した入力X線画像が取得された機器の種類、および/または受信した入力X線画像が取得された機器の取得パラメータのうちの少なくとも1つのパラメータをさらなる入力として使用し得る。
【0021】
第1の人工知能および/または第2の人工知能は、ニューラルネットワークであり得る。
【0022】
第1の人工知能、第2の人工知能、および第3の人工知能は、3つの異なる人工知能であり得る。
【0023】
第1の人工知能、第2の人工知能、および第3の人工知能を実装するための技術的手段は、同じ技術的手段であり得る。
【0024】
本発明による方法は、以下の工程を含み得る。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第1の学習セットを構築する工程:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像を取得するステップ
-- 技術的手段により、第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
-- 技術的手段により、以下からこれらの密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコアを決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)、
- 第2のタイプの学習画像とともに、この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定されたグローバルスコアを含むその関連するグランド・トゥルースを第1の人工知能に提供することにより、第1の人工知能を学習させる工程。
【0025】
本発明による方法は、以下の工程を含み得る。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第2の学習セットを構築する工程:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像を取得するステップ
-- 技術的手段により、第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および/または
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
- 第2のタイプの学習画像とともに、以下を含むその関連するグランド・トゥルースを第2の人工知能に提供することにより、第2の人工知能を学習させる工程:
-- この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定された密度スコア、および/または
-- この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定された海綿骨スコア。
【0026】
第1の人工知能と第2の人工知能は、第1のタイプの学習画像と第2のタイプの学習画像の同じデータベースを使用して学習させ得る。
【0027】
本発明による方法は、以下の工程を含み得る。
-以下のステップを複数回実施することにより、第3の学習セットを構築する工程:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である第2のタイプの学習画像を取得するステップ
-- 技術的手段により、第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
-- 技術的手段により、以下からこの密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコアを決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)、
-- 第2のタイプの学習画像に対して第1および第2の人工知能による第1および第2の解析を実施するステップ、および
- 第1のタイプの学習画像から得られたスコアと同じ学習用骨の第2のタイプの学習画像から得られたスコアとの差から学習することにより、第3の人工知能を学習させる工程。
【0028】
第1の人工知能、第2の人工知能、および第3の人工知能は、別々に学習させ得る。
【0029】
第1のタイプの学習画像と第2のタイプの学習画像は、同じ学習用骨で取得することができ、6か月未満の間隔で取得される。
【0030】
第1のタイプの学習画像は、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像であり得る。
【0031】
第2のタイプの学習画像は、好ましくは、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像ではない。
【0032】
受信した入力X線画像は、好ましくは、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像ではない。
【0033】
受信した入力X線画像は、1ピクセルあたり1mm未満の空間分解能を有するデジタルX線画像であり得る。
【0034】
本発明の他の態様は、コンピュータにより実行されたときに、本発明による方法のステップを実施する命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0035】
本発明の他の態様は、プログラムがコンピュータにより実行されたときに、コンピュータに本発明による方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0036】
本発明の他の態様は、コンピュータにより実行されたときに、コンピュータに本発明による方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0037】
本発明の他の態様は、(好ましくはデジタル画像から、画像化により得られ、骨構造を含む領域で選択される)骨のテクスチャを解析する装置であって、以下を含む装置に関する。
- 入力骨を示すデジタル化された入力X線画像を受信するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段、
- 受信した入力X線画像の骨スコア解析を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された骨スコア人工知能を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された技術的手段であって、骨スコア人工知能が、この骨スコア解析の結果として以下を与えるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された技術的手段:
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)に少なくとも依存するグローバルスコア、および/または
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)、および/または受信した入力X線画像に示された入力骨の骨密度に依存する密度スコア。
【0038】
骨スコア人工知能はニューラルネットワークであり得る。
【0039】
本発明による装置は、以下を含み得る。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第1の学習セットを構築するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を(取得のための技術的手段により)取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像を(取得のための技術的手段により)取得するステップ
-- 決定のための技術的手段により、第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
-- 決定のための技術的手段により、以下からこれらの密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコアを決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
- 第2のタイプの学習画像とともに、この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定されたグローバルスコアを含むその関連するグランド・トゥルースを骨スコア人工知能に提供することにより、骨スコア人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段。
【0040】
本発明による装置は、以下を含み得る。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第2の学習セットを構築するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を(取得のための技術的手段により)取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像を(取得のための技術的手段により)取得するステップ
-- 決定のための技術的手段により、第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および/または
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
- 第2のタイプの学習画像とともに、以下を含むその関連するグランド・トゥルースを人工知能に提供することにより、骨スコア人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段:
-- この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定された密度スコア、および/または
-- この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定された海綿骨スコア。
【0041】
本発明による装置は、以下を含み得る。
- 入力骨を示す入力X線画像を受信するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段、
- 受信した入力X線画像の第1の解析を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された第1の人工知能を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された技術的手段であって、第1の人工知能が第1の解析の結果として以下の両方に依存するグローバルスコアを与えるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された技術的手段:
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の骨密度に依存する密度スコア
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
- 受信した入力X線画像の第2の解析を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された第2の人工知能を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された技術的手段であって、第2の人工知能が第2の解析の結果として以下を与えるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された技術的手段:
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の骨密度に依存する密度スコア、および/または
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
- 第3の解析を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された第3の人工知能を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された技術的手段であって、第3の人工知能が第1および第2の解析の結果を入力として有し、第1の解析の結果と第2の解析の結果の整合性に依存する結果を出力として有するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された技術的手段。
【0042】
第3の人工知能は、受信した入力X線画像が取得された患者の年齢、受信した入力X線画像が取得された患者の性別、受信した入力X線画像が取得された患者の体型、受信した入力X線画像が取得された機器の種類、および/または受信した入力X線画像が取得された機器の取得パラメータのうちの少なくとも1つのパラメータをさらなる入力として使用するように配置および/またはプログラムされ得る、および/または構成され得る。
【0043】
第1の人工知能および/または第2の人工知能は、ニューラルネットワークであり得る。
【0044】
第1の人工知能、第2の人工知能、および第3の人工知能は、3つの異なる人工知能であり得る。
【0045】
第1の人工知能、第2の人工知能、および第3の人工知能を実装するための技術的手段は、同じ技術的手段であり得る。
【0046】
本発明による装置は、以下を含み得る。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第1の学習セットを構築するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を(取得のための技術的手段により)取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像を(取得のための技術的手段により)取得するステップ
-- 決定のための技術的手段により、第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
-- 決定のための技術的手段により、以下からこれらの密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコアを決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
- 第2のタイプの学習画像とともに、この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定されたグローバルスコアを含むその関連するグランド・トゥルースを第1の人工知能に提供することにより、第1の人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段。
【0047】
本発明による装置は、以下を含み得る。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第2の学習セットを構築するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を(取得のための技術的手段により)取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像を(取得のための技術的手段により)取得するステップ
-- 決定のための技術的手段により、第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および/または
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
- 第2のタイプの学習画像とともに、以下を含むその関連するグランド・トゥルースを第2の人工知能に提供することにより、第2の人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段:
-- この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定された密度スコア、および/または
-- この第2のタイプの学習画像に関連付けられた第1のタイプの学習画像について決定された海綿骨スコア。
【0048】
第1の人工知能と第2の人工知能は、第1のタイプの学習画像と第2のタイプの学習画像の同じデータベースを使用して学習させるように配置および/またはプログラムされ得る、および/または構成され得る。
【0049】
本発明による装置は、以下を含み得る。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第3の学習セットを構築するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像を(取得のための技術的手段により)取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示す、X線ベースの画像である第2のタイプの学習画像を(取得のための技術的手段により)取得するステップ
-- 決定のための技術的手段により、第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)
-- 決定のための技術的手段により、以下からこの密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコアを決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャ(またはグレーレベルの実験的バリオグラムからグレーレベルの局所的な変動を定量化するもの)に依存する海綿骨スコア(TBS)、
- 第2のタイプの学習画像に対して第1および第2の人工知能による第1および第2の解析を実施するステップ、および
- 第1のタイプの学習画像から得られたスコアと同じ学習用骨の第2のタイプの学習画像から得られたスコアとの差から学習することにより、第3の人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段。
【0050】
第1の人工知能、第2の人工知能、および第3の人工知能は、別々に学習させるように配置および/またはプログラムされ得る、および/または構成され得る。
【0051】
第1の人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段と、第2の人工知能を学習させるように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段は、第1のタイプの学習画像と第2のタイプの学習画像が同じ学習用骨で取得され、6か月未満の間隔で取得されたことをチェックするように一緒に配置および/またはプログラムされ得る、および/または一緒に構成され得る。
【0052】
第1のタイプの学習画像は、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像であり得る。
【0053】
第2のタイプの学習画像は、好ましくは、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像ではない。
【0054】
受信した入力X線画像は、好ましくは、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像ではない。
【0055】
受信した入力X線画像は、1ピクセルあたり1mm未満の空間分解能を有するデジタルX線画像であり得る。
【0056】
本発明の他の利点および特徴は、限定的ではない実施形態の詳細な説明および添付図面の検討により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、工業化段階における、本発明による方法100の第1の実施形態(最良実現モード)のいくつかのステップ、すなわち、本発明による方法100の第1の実施形態を実施する本発明による装置の第1の実施形態(最良の実現モード)の最終製品内の人工ニューラルネットワーク(ANN)モデルのモジュールを示す。
図2図2は、骨密度×骨テクスチャ(例えば、最小BMD T値×TBS)を使用した骨の健康状態(および関連するリスク)の分類の表において、本発明による方法100のこの実施形態におけるグローバルスコア16の原理を示し、さらにその下部に骨折リスクに基づく骨の健康状態のカテゴリを示す。
図3図3は、リポジトリ抽出段階およびグランド・トゥルース処理段階における、本発明による方法100の第1の実施形態のいくつかのステップを示す。
図4図4は、リポジトリ抽出段階における、本発明による方法100の第1の実施形態のいくつかのステップを示す。
図5図5は、前処理段階およびディープラーニングまたは学習段階における、本発明による方法100の第1の実施形態のいくつかのステップを示す。
図6図6は、テスト段階および臨床最適化段階における、本発明による方法100の第1の実施形態のいくつかのステップを示す。
図7図7は、検証段階および工業化段階における、本発明による方法100の第1の実施形態のいくつかのステップを示す。
図8図8は、方法100の学習ステップで使用される、パラメータa、b、c、d、eを有する、対数-対数スケールでのバリオグラムVの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
これらの実施形態は決して限定的ではなく、以下に説明または図示する特徴または工程の選択のみを含む本発明の変形例を考慮することができ、この特徴または工程の選択が、技術的利点を与えるのに十分であるか、または本発明を先行技術に対して際立たせるのに十分である場合、他の説明または図示された特徴または工程から分離されていてもよい(たとえこの選択が、これらの他の特徴または工程を含む文から取られたものであっても)。その部分が技術的利点を与えるのに十分であるか、または本発明を先行技術に対して際立たせるのに十分である場合、この選択は、構造的な詳細を伴わない、または構造的な詳細の一部のみを伴う少なくとも1つの特徴、好ましくは機能的な特徴を含むことができる。
【0059】
ここで、図1から8を参照して、本発明による、コンピュータで実装された方法100の第1の実施形態について説明する。
【0060】
図1から7は、この方法100の異なる部分を示している。
【0061】
これらの図は互いにリンクしている。
【0062】
例えば、
図3のリンク1は、図5のリンク1に対応する。
図3のリンク2は、図5のリンク2に対応する。
図4のリンク3は、図5のリンク3に対応する。
図4のリンク4は、図5のリンク4に対応する。
図4のリンク5は、図6のリンク5に対応する。
図4のリンク7は、図5のリンク7に対応する。
図4のリンク8は、図5のリンク8に対応する。
図3のリンク10は、図5および6のリンク10に対応する。
図5のリンク33は、図6のリンク33に対応する。
図5のリンク44は、図6のリンク44に対応する。
【0063】
方法100は、骨密度(BMD)と骨微細構造の両方が低下していると定義される骨粗鬆症の潜在的な高リスクの個人を放射線科医が特定するのを支援することを目的としている。これらの個人は、診断の確認および/または適切な疾患管理のために、骨疾患の専門センターまたはDXAセンターを紹介される可能性がある。
【0064】
人体の骨格には、皮質骨と海綿骨の2種類の骨組織がある。2種類の骨は、肉眼的および微視的に異なるが、化学組成は同一である。網状骨または海綿状骨とも呼ばれる海綿骨は、多数の大きな空間を囲む高度に多孔質な骨(典型的には75~95%の多孔度)であり、大きなリモデリング領域と高い代謝回転率を有するハニカム状またはスポンジ状の海綿骨ネットワークを形成する。より正確には、骨基質は、骨梁と呼ばれる互いに連結した棒状および板状の3次元格子状構造に編成され、骨髄、脂肪および血管で満たされた孔を取り囲んでいる。この海綿骨は通常、機械的応力の方向に沿って配列される。海綿骨は通常、強度と剛性をより高める緻密骨(皮質骨とも呼ばれる)の殻に囲まれている。海綿骨は、ヒトの骨格の骨量の約20%を占めるが、骨リモデリング活性の約80%を占め、構造的支持と柔軟性を提供し、この骨を骨代謝に影響を与える治療の最も適切な標的とするだけでなく、原発性および続発性骨粗鬆症などの代謝障害による影響を最初に受ける骨とする。
【0065】
したがって、海綿骨(骨梁とも呼ぶ)は、当業者によく知られている骨の一部であり、椎骨などの短骨に多く存在する。それは椎骨体、手根骨、長骨の中心部の主要な構成要素である。それは脆弱で、非同心円状に配列された骨小板または骨梁からなり、赤色骨髄で満たされた空洞または小腔を取り囲んでいる。したがって、それは、
- スポンジ状の外観を与える骨小板または骨梁からなる;
- 皮質骨よりも強度は低いが、受ける応力に対して3次元的な抵抗を提供する;
- 主に骨の中心部に存在する;
- 血管が豊富で、衝撃の頻度と強度に骨構造を適応させるために絶え間なくリモデリングされている;
- 激しい圧力の下で圧迫骨折を起こしやすく、骨粗鬆症の影響を受けやすい。
【0066】
方法100は、「医用画像保管・通信システム」(PACS)またはクラウドベースのシステムから日常的臨床実践中に取得されたデジタルX線画像を適切に分析する。これらのX線画像は、主に骨粗鬆症以外の理由で取得される。この日常的な実践中にスキャンされる個人は、通常、骨粗鬆症と診断されることはない。
【0067】
方法100は、複数の人工ニューラルネットワーク(ANN)ANNとANNの組み合わせを使用して、デジタルX線画像の分析を実行するグローバルアンサンブルモデルである。
【0068】
これらのANNは、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)によって評価される骨密度(BMD)と海綿骨スコア(TBS、骨微細構造と相関するテクスチャパラメータ、特許文献1参照)をグランド・トゥルースとして使用して学習させる。BMDとTBSの組み合わせは、現在、骨粗鬆症診断のゴールドスタンダードを構成している。
【0069】
複数のANNの出力を組み合わせることにより、最終的なリスク評価が提供される。
【0070】
この方法を使用して、方法100は、PACSシステムを介した体系的なバックグラウンドタスクとして、またはクラウドベースのプラットフォームを介したアクティブプッシュとして、適切なスクリーニングを実行し、骨粗鬆症のリスクが高い個人を特定する。
【0071】
したがって、この方法100のグローバルアプローチは、PACSからの骨関連のX線画像を使用して、バックグラウンドタスク方式で(またはクラウドベースのプラットフォームを介したアクティブプッシュとして)患者を適切にスクリーニングし、DXAによる骨密度(BMD)と海綿骨スコア(TBS)から定義されるように、骨粗鬆症のリスクが高いかまたは非常に低い可能性が最も高い個人を特定することである。
【0072】
高リスクと特定された人については、オプションで包括的な自動レポートを生成し、診断確認(BMD+TBS)のために骨専門センターまたはDXAセンターへの紹介を提案することができる。
【0073】
方法100のアプローチは、教師あり深層学習モデルの組み合わせに基づいている。方法100の人工知能(AI)モデルANNとANNは、デジタルX線ベースの画像を処理するために、グランド・トゥルースDXA(ただし限定されない)データ(BMD+TBS)で学習させる。
【0074】
この方法100は、臨床転帰(偽陽性率が低いなど)、短い処理時間のために最適化され、放射線学的ワークフローにシームレスに統合される。
【0075】
方法100は、以下の順序で、以下の段階を含む。
- リポジトリ抽出段階(図3(左部)および図4に示す)、
- グランド・トゥルース処理段階(図3(右部)に示す)、
- 前処理段階(図5(左部)に示す)、
- 深層学習または学習段階(図5(右部)に示す)、
- テスト段階(図6(左部)に示す)、
- 臨床最適化段階(図6(右部)に示す)、
- 検証段階(図7(左部)に示す)、
- 工業化段階(図7(右部)に示す)。
【0076】
図1に示すように、方法100は、(図1の最終的な工業化段階および図7の右部で)、入力骨を示すデジタル化された入力X線画像6を取得および受信する。
【0077】
受信した入力X線画像6は、好ましくは、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像ではない。
【0078】
この実施形態では、各画像6、9、または19は、デジタル化された画像である。
【0079】
受信した入力X線画像6は、好ましくは、1ピクセルあたり1mm未満の空間分解能を有するデジタルX線画像である。
【0080】
次に、方法100は、技術的手段(典型的には、少なくとも1つのコンピュータ、1つの中央処理装置または演算装置、1つのアナログ電子回路(好ましくは専用)、1つのデジタル電子回路(好ましくは専用)、および/または1つのマイクロプロセッサ(好ましくは専用)、および/またはソフトウェア手段を含むか、またはそれらで構成される)によって実装された第1の人工知能ANNによる、受信した入力X線画像6の第1の解析11を含む。第1の人工知能は、第1の解析の結果として、図2に示すグローバルスコア16を与え、以下の両方に依存する。
- 受信した入力X線画像に示された入力骨の骨密度に依存する(またはそれで構成される)密度スコア
- 受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)
【0081】
グローバルスコア16は、好ましくは、この密度スコア(好ましくは骨密度で構成される)と海綿骨スコア(TBS)のみに依存し、したがって好ましくは、この密度スコア(好ましくは骨密度で構成される)と海綿骨スコア(TBS)の組み合わせである。
【0082】
それにもかかわらず、ANNは、画像6からの密度スコアまたはTBSを決定または計算せず、直接グローバルスコア16を決定する。
【0083】
第1の人工知能はニューラルネットワークである。
【0084】
グローバルスコア16はマルチクラス分類器である。
【0085】
グローバルスコア16は有限個の可能な値を有する。それは図2に示すように9つの可能な値しか有さない。これらの値のそれぞれは正の整数である。これらの値のそれぞれは、好ましくは1、2、3、4、5、5、7、8、および9の中の正の整数である。
【0086】
図1から8の説明のすべてにおいて、密度スコアは以下のようになり得る。
- 骨密度に等しい
- BMDの値に応じて決定される。例えば、
-- BMD T値≦-2.5の場合、密度スコア=「骨粗鬆症」または「骨粗鬆症の」
-- BMD T値が]-2.5,-1[の場合、密度スコア=「骨減少症」または「骨減少症の」
-- BMD T値≧-1の場合、密度スコア=「正常」
; 骨密度は、従来の先行技術の技術に従って画像9から決定される。骨密度(BMD)は、典型的には、骨による各ビームの吸収から決定される。二重エネルギーX線吸収測定法は、最も広く使用され、最も徹底的に研究されている骨密度測定技術である。
【0087】
通常、骨密度は二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像から直接取得され、典型的には二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像自体のメタデータであり得る。
【0088】
海綿骨スコア(TBS)は、グレーレベルの局所的な変動を定量化するテクスチャパラメータであり、デジタル化された画像のグレーレベルの実験的バリオグラムの評価から導出される。このデジタル化画像は、典型的には二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像であるが、他のデジタルX線画像または他の多くのX線画像モダリティであってもよい。
【0089】
TBSのより詳細な説明または例は、非特許文献23に見出すことができる。
【0090】
それにもかかわらず、この特定のケースでは、グローバルスコア16は、TBSの計算と受信した入力X線画像6のグレーレベルの実験的バリオグラムの計算または決定なしで、第1の人工知能によって決定される。
【0091】
次に、方法100は、技術的手段(典型的には、少なくとも1つのコンピュータ、1つの中央処理装置または演算装置、1つのアナログ電子回路(好ましくは専用)、1つのデジタル電子回路(好ましくは専用)、および/または1つのマイクロプロセッサ(好ましくは専用)、および/またはソフトウェア手段を含むか、またはそれらで構成される)によって実装された第2の人工知能ANNによる、受信した入力X線画像6の第2の解析12を含む。第2の人工知能は、第2の解析の結果として以下を与える。
- 受信した入力X線画像6に示された入力骨の骨密度に依存する(またはそれで構成される)密度スコア、および/または
- 受信した入力X線画像6に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)
【0092】
第2の人工知能はニューラルネットワークである。
【0093】
第2の人工知能は、連続値を与えるまたは推論する回帰モデルである。
【0094】
TBSは、受信した入力X線画像6のグレーレベルの実験的バリオグラムの計算または決定なしで、第2の人工知能によって決定される。
【0095】
次に、方法100は、技術的手段(典型的には、少なくとも1つのコンピュータ、1つの中央処理装置または演算装置、1つのアナログ電子回路(好ましくは専用)、1つのデジタル電子回路(好ましくは専用)、および/または1つのマイクロプロセッサ(好ましくは専用)、および/またはソフトウェア手段を含むか、またはそれらで構成される)によって実装された第3の人工知能AIによる第3の解析13を含む。第3の人工知能は、第1および第2の解析の結果を入力として有し、第1の解析の結果と第2の解析の結果の整合性に依存する結果を出力として有する。典型的には、AIの出力は、患者関連のメタデータ18(軟部組織の厚さ、年齢、BMIなど)からの重み付け情報を使用したANN1の第1の解析の結果とANN2の第2の解析の結果の整合性に依存する。
- ケース#1:
・ ANN1 = 6,7,8または9(グローバルスコア)
・ ANN2 = 骨密度ステータスが骨減少症または骨粗鬆症、テクスチャステータスが部分的に劣化または劣化
AI3の結果 = フラグ
- ケース#2:
・ ANN1 = 6,7,8または9(グローバルスコア)
・ ANN2 = 骨密度ステータスが正常、テクスチャステータスが部分的に劣化または劣化
AI3の結果 = メタデータ18に応じて、フラグを立てるかどうかを評価するための重み付け応答
- ケース#3:
・ ANN1 = 6,7,8または9(グローバルスコア)
・ ANN2 = 骨密度ステータスが骨減少症または骨粗鬆症、テクスチャステータスが正常
AI3の結果 = メタデータ18に応じて、フラグを立てるかどうかを評価するための重み付け応答
- ケース#4:
・ ANN1 = 1,2,3,4または5(グローバルスコア)
・ ANN2 = 骨密度ステータスが正常、テクスチャステータスが正常
AI3の結果 = フラグなし
- ケース#5
・ ANN1 = 1,2,3,4または5(グローバルスコア)
・ ANN2 = 骨密度ステータスが骨減少症または骨粗鬆症、テクスチャステータスが正常
AI3の結果 = メタデータ18に応じて、フラグを立てるかどうかを評価するための重み付け応答
- ケース#6
・ ANN1 = 1,2,3,4または5(グローバルスコア)
・ ANN2 = 骨密度ステータス、テクスチャステータスが部分的に劣化または劣化
AI3の結果 = メタデータ18に応じて、フラグを立てるかどうかを評価するための重み付け応答
【0096】
第3の人工知能は、さらなる入力としてメタデータ18を使用し、メタデータ18は、受信した入力X線画像が取得された患者の年齢、受信した入力X線画像が取得された患者の性別、受信した入力X線画像が取得された患者の体型、受信した入力X線画像が取得された機器の種類、および/または受信した入力X線画像が取得された機器の取得パラメータのうちの少なくとも1つを含む。
【0097】
第3の人工知能はニューラルネットワークであってもよいが、好ましくは、決定木、ランダムフォレスト、またはサポートベクターマシンなどの二値分類器である。
【0098】
したがって、最後のステップとして、前述の2つのアプローチANNとANNの出力は、追加の選択されたメタデータ18(例えば、年齢、性別、体型、機器の種類、取得パラメータ)とともに、典型的には決定木のような学習モデルであるAIの入力変数として入力される。分類木は、最終的な分類の最適化(DXA BMDとTBSによって評価される、劣化した骨微細構造を伴う骨粗鬆症として選択される可能性)のための最良の組み合わせを出力として提供する。バギング決定木などの特定の技術(アンサンブル法とも呼ばれる)が使用され、所与の時点および所与の個人に対する複数画像セットの可能性を考慮するが、それらに限定されない。
【0099】
第1の人工知能、第2の人工知能、および第3の人工知能は、3つの異なる人工知能または3つの異なる人工知能アーキテクチャである。
【0100】
第1の人工知能、第2の人工知能、および第3の人工知能を実装するための技術的手段は、好ましくは同じ技術的手段、すなわちそれらに限定されないが、好ましくは、同じ少なくとも1つのコンピュータ、1つの中央処理装置または演算装置、1つのアナログ電子回路(好ましくは専用)、1つのデジタル電子回路(好ましくは専用)、および/または1つのマイクロプロセッサ(好ましくは専用)内で、および/またはソフトウェア手段によって組み込みモジュールに統合される。
【0101】
これらの人工知能ANN、ANN、AIは、事前に学習させる。
【0102】
したがって、方法100は、工業化段階の解析ステップ11、12、および13の前に、以下のステップを含む。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第1の学習セットを構築するステップ:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像9(第1の学習セットの)を取得する(リポジトリ抽出段階中)ステップ
-- 同じ学習用骨を示すが、必ずしもその海綿骨部分を示さない、X線ベースの画像である関連する第2のタイプ19の学習画像(第1の学習セットの)を取得する(リポジトリ抽出段階中)ステップ
-- 第1の学習セットの第1のタイプの学習画像9から、技術的手段(典型的には、少なくとも1つのコンピュータ、1つの中央処理装置または演算装置、1つのアナログ電子回路(好ましくは専用)、1つのデジタル電子回路(好ましくは専用)、および/または1つのマイクロプロセッサ(好ましくは専用)を含むか、またはそれらで構成される、および/またはソフトウェア手段による)によって(ただし、画像9に人工知能を実装せずに)、以下を決定する(グランド・トゥルース処理段階中)ステップ:
--- 第1の学習セットの第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存するまたは等しい密度スコア14。典型的には、骨密度は、第1のタイプの学習画像のDXAのメタデータとして第1のタイプの学習画像から直接決定される。および
--- 第1の学習セットの第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)15。典型的には、このTBS 15は、第1のタイプの学習画像のグレーレベルの実験的バリオグラムを計算または決定することによって決定される(特許文献2)。
-- 以下から、技術的手段(典型的には、少なくとも1つのコンピュータ、1つの中央処理装置または演算装置、1つのアナログ電子回路(好ましくは専用)、1つのデジタル電子回路(好ましくは専用)、および/または1つのマイクロプロセッサ(好ましくは専用)を含むか、またはそれらで構成される、および/またはソフトウェア手段による)によって、(ただし、画像9、および/または事前に決定された密度スコア14、および/または事前に決定されたTBS 15に人工知能を実装せずに)、これらの密度スコアと海綿骨スコアに依存する(好ましくはそれらのみに依存する)グローバルスコア16を決定する(グランド・トゥルース処理段階中)ステップ:
--- 第1の学習セットの第1のタイプの学習画像9に示された学習用骨の骨密度に依存するまたは等しい密度スコア14、および
--- 第1の学習セットの第1のタイプの学習画像9に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)15;
例えば、
- 骨密度(BMD)の値に応じて、密度スコアまたはステータスを決定することができる。例えば、
-- BMD T値≦-2.5の場合、密度スコア=「骨粗鬆症」または「骨粗鬆症の」
-- BMD T値が]-2.5,-1[の場合、密度スコア=「骨減少症」または「骨減少症の」
-- BMD T値≧-1の場合、密度スコア=「正常」
- 設定アルゴリズムは技術的および臨床的情報に適応されるため、以下に示す値は例であるが、TBSの値に応じて骨テクスチャステータスを決定することができる。
-- TBS>1.31の場合、骨テクスチャステータス=「正常」
-- TBSが[1.23,1.31]の場合、骨テクスチャステータス=「部分的に劣化」
-- TBS<1.23の場合、骨テクスチャステータス=「劣化」
- グローバルスコア16は、(図2に示すように)以下の規則に従って決定することができる。
-- 密度スコア=「正常」かつ骨テクスチャステータス=「正常」の場合、グローバルスコア= 1
-- 密度スコア=「正常」かつ骨テクスチャステータス=「部分的に劣化」の場合、グローバルスコア= 2
-- 密度スコア=「正常」かつ骨テクスチャステータス=「劣化」の場合、グローバルスコア= 3
-- 密度スコア=「骨減少症」または「骨減少症の」かつ骨テクスチャステータス=「正常」の場合、グローバルスコア= 4
-- 密度スコア=「骨減少症」または「骨減少症の」かつ骨テクスチャステータス=「部分的に劣化」の場合、グローバルスコア= 5
-- 密度スコア=「骨減少症」または「骨減少症の」かつ骨テクスチャステータス=「劣化」の場合、グローバルスコア= 6
-- 密度スコア=「骨粗鬆症」または「骨粗鬆症の」かつ骨テクスチャステータス=「正常」の場合、グローバルスコア= 7
-- 密度スコア=「骨粗鬆症」または「骨粗鬆症の」かつ骨テクスチャステータス=「部分的に劣化」の場合、グローバルスコア= 8
-- 密度スコア=「骨粗鬆症」または「骨粗鬆症の」かつ骨テクスチャステータス=「劣化」の場合、グローバルスコア= 9
- 第1の学習セットの第1のタイプの学習画像9について決定されたグローバルスコア16を含むまたはそれで構成されるその関連するグランド・トゥルース1とともに、第1の学習セットの第2のタイプの学習画像19(ステップ7)を第1の人工知能に提供することにより、第1の人工知能ANNを学習させる(前処理段階および深層学習または学習段階中)ステップ。方法100の好ましい実施形態では、
-- ANNは、(ただし限定されないが)複数の層(例えば、50層以上)を有するMLP、CNNである。好ましい実施形態では、ANN1はマルチクラス分類器の畳み込みニューラルネットワークである。
-- この学習ステップは、精度(TP/(TP+FP))を最適化することによって勾配逆伝播によって行われる(TP=真陽性、FP=偽陽性)。
-- 過学習を避けつつ最小のテストロス(カテゴリカルクロスエントロピー損失関数)に達するまで学習が行われる。
【0103】
第1の学習セットについて、第1のタイプの学習画像9と第2のタイプの学習画像19は、同じ学習用骨で取得され、6か月未満の間隔で取得される。
【0104】
第1の学習セットについて、第1のタイプの学習画像9は、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像である。
【0105】
第1の学習セットについて、第2のタイプの学習画像19は、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像ではなく、例えばDICOM(「医用デジタル画像と通信」の略)画像である。
【0106】
第1の学習セットについて、第2のタイプの学習画像19は、好ましくは、1ピクセルあたり1mm未満の空間分解能を有するデジタルX線画像である。
【0107】
方法100はまた、解析ステップ11、12、および13の前に、以下のステップを含む。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第2の学習セットを構築するステップ:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプ9の学習画像(第2の学習セットの)を取得する(リポジトリ抽出段階中)ステップ。
-- 同じ学習用骨を示すが、必ずしもその海綿骨部分を示さない、X線ベースの画像である関連する第2のタイプ19の学習画像(第2の学習セットの)を取得する(リポジトリ抽出段階中)ステップ。
-- 第2の学習セットの第1のタイプの学習画像9から、技術的手段(典型的には、少なくとも1つのコンピュータ、1つの中央処理装置または演算装置、1つのアナログ電子回路(好ましくは専用)、1つのデジタル電子回路(好ましくは専用)、および/または1つのマイクロプロセッサ(好ましくは専用)を含むか、またはそれらで構成される、および/またはソフトウェア手段による)によって(ただし、画像9に人工知能を実装せずに)、以下を決定する(グランド・トゥルース処理段階中)ステップ:
--- 第2の学習セットの第1のタイプの学習画像9に示された学習用骨の骨密度に依存するまたは等しい密度スコア14。典型的には、骨密度は、第1のタイプの学習画像のDXAのメタデータとして第1のタイプの学習画像から直接決定される。および/または
--- 第2の学習セットの第1のタイプの学習画像9に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)15。典型的には、このTBS 15は、第1のタイプの学習画像のグレーレベルの実験的バリオグラムを計算または決定することによって決定される(特許文献2)。
- 以下を含むまたはそれらで構成されるその関連するグランド・トゥルース2とともに、第2の学習セットの第2のタイプの学習画像19を第2の人工知能に提供することにより(ステップ8)、第2の人工知能ANNを学習させる(前処理段階および深層学習または学習段階中)ステップ:
-- この第2の学習セットの第2のタイプの学習画像19に関連付けられた第2の学習セットの第1のタイプの学習画像9について決定された密度スコア14、および/または
-- この第2の学習セットの第2のタイプの学習画像19に関連付けられた第2の学習セットの第1のタイプの学習画像9について決定された海綿骨スコア15。
【0108】
方法100の好ましい実施形態では、
- ANNは、(ただし限定されないが)複数の層(例えば、50層以上)を有するMLP、CNNである。好ましい実施形態では、ANN1は回帰畳み込みニューラルネットワークである。
- この学習ステップは、過学習を避けつつ最小のテストロスに達するまで、二次損失関数を最小化することによって勾配逆伝播によって行われる。
- この学習は、過学習を避けつつ最小のテストロス(二次損失関数)に達するまで行われる。
【0109】
第2の学習セットについて、第1のタイプの学習画像と第2のタイプの学習画像は、同じ学習用骨で取得され、6か月未満の間隔で取得される。
【0110】
第2の学習セットについて、第1のタイプの学習画像は、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像である。
【0111】
第2の学習セットについて、第2のタイプの学習画像は、二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像、末梢定量的コンピュータ断層撮影((p)QCT)画像および/または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像、コンピュータ断層撮影(CT)画像、または定量的超音波(QUS)画像ではなく、例えばDICOM画像である。
【0112】
第2の学習セットについて、第2のタイプの学習画像19は、好ましくは、1ピクセルあたり1mm未満の空間分解能を有するデジタルX線画像である。
【0113】
決定された海綿骨スコア15は、グレーレベルの局所的な変動を定量化するテクスチャパラメータであり、第1のタイプのデジタル化された画像9のグレーレベルの実験的バリオグラムの評価から導出される。このデジタル化画像9は、典型的には二重エネルギーX線吸収測定(DXA)画像である。
【0114】
第1の人工知能ANNを学習させるためのこれらのステップおよび第2の人工知能ANNを学習させるためのこれらのステップについて、海綿骨スコア(TBS)15は、画像9に人工知能を実装せずに、典型的には特許文献2に記載の方法に従って、または学習方法の以下のステップa)からi)に従って、第1のタイプの各学習画像9から決定される。
【0115】
a) 画像9の最適化されたピクセルサンプリングSを決定する。各ピクセルP=(x,y)∈Sは、そのグレーレベル値h(P)を有する(またはこれにより定義される)。
画像9から、(ステップd)で)バリオグラムVが評価される位置を選択するために、ピクセルサンプリングSを決定する。
これらの位置は、最終的なTBSが所与の臨床的文脈および解剖学的部位に適応され、効率的になるように最適化される。最も基本的な意味では、サンプリング領域は、画像中に骨が存在する領域に対応する。
骨部位に応じて、画像中に骨が存在するこの領域のサブサンプルを使用して、性能を向上させることができる。
【0116】
b) ピクセルサンプリングSの少なくとも1つの関心領域(ROI)について、好ましくは複数のROIについて、
- 所与の関心領域(ROI)に応じて、計算距離Rを決定する。範囲Rは、骨格部位および画像9の画像解像度に応じて決定される。DXAシステムでは、Rの値は1cmから2cmの間である。
- 所与の関心領域(ROI)に応じて、所定の方向のセットIを選択する。この所定の方向のセットIを選択するステップは、N個の方向単位ベクトル
【0117】
【数1】
【0118】
のセットを決定することによって行われる(Nは正の整数であり、θ∈[-π,π],∀k∈1,…,N,θは、考慮されるピクセルの周りで、ベクトル
【0119】
【数2】
【0120】
を運ぶ角度である)。
典型的にはN>2である。
Nの最大値は、ROIの考慮される撮像骨の骨構造の複雑さおよびその画像解像度に依存する。典型的には、椎骨または腰椎のような非複雑な骨構造を有する骨についてはN<9であるが、大腿骨近位部のような複雑な構造については、Nが大幅に増加する場合がある。
例えば、N=3、4、6、または8である。
N個の方向ベクトルは、好ましくは、考慮されるピクセルの周りで角度2π/Nで均一に分布する。
所定の方向のセットI(ベクトル
【0121】
【数3】
【0122】
)は、以下に依存する。
- 画像上および/またはROI上の骨の骨格部位(ヒトまたは動物の組織は骨である)、および/または
- 考慮される関心領域(ROI)、および/または
- 画像の解像度、および/または
- 画像の信号対雑音比。
この方向のセットIの決定は、
- 骨折を識別または予測する能力を向上させ、および/または
- より良好な測定の再現性(または精度)を可能にし、および/または
- 骨の微細構造とのより良好な相関を可能にする。
したがって、後のステップd)でバリオグラムVPiを計算するために、値h(P)を有するピクセルを、特定の方向の直線に沿って配置されたピクセルと比較する。
これらの方向は、骨の種類(すなわち、骨格部位)と、テクスチャ測定を最適化するためにこの骨で測定のために選択された関心領域の両方に依存する。
実際、選択された方向は、特に海綿骨の骨梁の方向など、骨の形態に関連している。例えば、脊椎では、骨梁の好ましい方向は垂直方向であるため、選択される方向は垂直方向および水平方向[-Π/2,0,Π/2,Π](骨梁の向きに平行および垂直)となる。
【0123】
c) 各ピクセルPi=(x,y)∈Sおよび各方向
【0124】
【数4】
【0125】
について、
【0126】
【数5】
【0127】
に沿って距離r∈[1,R](ピクセル単位)まで移動する。このようなピクセルのグレー値を
【0128】
【数6】
【0129】
と表す。
【0130】
d) 各ピクセルについて、これらの方向Iに沿った距離rの関数としてサンプリングSのグレーレベルの少なくとも1つのバリオグラムを計算する(すなわち、少なくとも1つの距離r∈[1,R]をこのピクセルから移動することによって。前述のように、距離rを移動することは、各ピクセルP=(x,y)∈Sおよび各方向
【0131】
【数7】
【0132】
について、
【0133】
【数8】
【0134】
に沿って距離r∈[1,R]ピクセルを移動することによって行われ、
【0135】
【数9】
【0136】
はそのようなピクセルのグレー値である)。バリオグラムは以下のように計算される。
- 各所定の方向について1つずつ(すなわち、Sの各ピクセルおよびIの各方向について1つのバリオグラム)。各所定の方向についてバリオグラムが計算される場合、h(O)は移動前の初期の所与のピクセルのグレーレベルであり、h(r)は初期の所与のピクセルから所定の方向の1つに沿って距離rを移動した後の所与の新しいピクセルのグレーレベルであり、バリオグラムは式V(r)=[h(r)-h(O)]で計算され、i∈Iである。または、
- 同時にすべての所定の方向について(すなわち、Sの各ピクセルについて1つのバリオグラム)。すべての所定の方向について同時にバリオグラムが計算される場合、グレーレベルのバリオグラムを距離rの関数として計算するステップは、各々が距離rにある複数のピクセルのペアについてhの二乗差を平均化することによって行われ、式は以下の通りである。
【0137】
【数10】
【0138】
Pi(r)は、すべてのピクセルP∈Sについて計算される。
Piの式は、r∈[1,R]の値の所与の範囲について、各P∈Sに適用される。rのこの特定の値の範囲は、バリオグラムVPiのすべての必要なパラメータの評価のために
【0139】
【数11】
【0140】
が収束することを可能にするように選択される。
範囲Rは、骨格部位および画像の解像度に応じて決定される。DXAシステムでは、Rの値は1cmから2cmの間である。
計算の範囲Rは、バリオグラムモデルの範囲パラメータcと混同されるべきではない。
【0141】
e) すべてのピクセルP∈SについてVPi(r)を計算し、対数-対数スケールで関連する曲線をトレースまたは計算または決定する。
対数-対数スケールでのバリオグラム曲線VPiの表現は、各軸に沿った値がもはや単位を有さないことを意味する。
【0142】
f) VPi表現の最小二乗回帰モデルとして完全なモデルVを評価する。
【0143】
g) 初期の傾きa、シルb、範囲c、ナゲットd、および/または曲線下の面積eを含むが、これらに限定されないこのモデルのパラメータを評価する。
各ピクセルのバリオグラムVPiおよび/または各ピクセルのバリオグラムを組み合わせたサンプリングSのグローバルバリオグラムVについて、対数-対数スケールで以下のパラメータの少なくとも1つを評価する。
- バリオグラムの初期の傾きa(図8の54参照)、
- バリオグラムの漸近値を表すシルb(図8の55参照)、
- バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的挙動に移行する距離を表す範囲c(図8の56参照)、
- バリオグラムの初期値を表すナゲットd(図8の57参照)、および
- バリオグラムのバリオグラム曲線下の面積e(図8の58参照)。
PiまたはVの対数-対数プロットでは、数学モデルにフィッティングする。このモデルのこれらのパラメータ(すなわち、係数)a、b、c、d、eを組み合わせて、骨テクスチャスコアBを作成する。
各パラメータa、b、c、d、および/またはeは、考慮されるバリオグラムの最小二乗回帰モデルから評価される。
画像9の内容に応じて、モデルの選択された係数は、明確に定義されない可能性があるため、変化し得る(例えば、バリオグラム曲線が漸近線に収束しない可能性があり、したがって「範囲」が定義されない可能性がある)。
好ましくは、学習方法は、各ピクセルの各バリオグラムおよび/または各ピクセルのバリオグラムを組み合わせたサンプリングSのグローバルバリオグラムについて、対数-対数スケールでパラメータシルb、範囲c、ナゲットd、面積eの少なくとも1つを評価することを含む。
好ましくは、学習方法は、各ピクセルの各バリオグラムおよび/または各ピクセルのバリオグラムを組み合わせたサンプリングSのグローバルバリオグラムについて、対数-対数スケールでパラメータ傾きa、シルb、範囲c、ナゲットd、面積eの少なくとも2つを評価することを含む。
好ましくは、学習方法は、各ピクセルの各バリオグラムおよび/または各ピクセルのバリオグラムを組み合わせたサンプリングSのグローバルバリオグラムについて、初期の傾きaおよび対数-対数スケールで以下のパラメータシルb、範囲c、ナゲットd、面積eの少なくとも1つを評価することを含む。
好ましくは、学習方法は、各ピクセルの各バリオグラムおよび/または各ピクセルのバリオグラムを組み合わせたサンプリングSのグローバルバリオグラムについて、対数-対数スケールですべてのパラメータ傾きa、シルb、範囲c、ナゲットd、面積eを評価することを含む。
【0144】
h) 少なくとも1つのパラメータa、b、c、dおよび/またはeを、例えば臨床的文脈に応じて線形または非線形の方程式を使用して、TBS(無次元)に組み合わせる。
例えば、学習方法は、以下のステップを含むことができる。
- ピクセルまたは各ピクセルのバリオグラムについて得られた少なくとも1つの評価されたパラメータa、b、c、dおよび/またはeを、ピクセルまたは各ピクセルのTBSに組み合わせる、および/または
- サンプリングSのグローバルバリオグラムについて得られた少なくとも1つの評価されたパラメータa、b、c、dおよび/またはeを、サンプリングSのTBSに組み合わせる、および/または
- 各ピクセルのバリオグラムについて得られた少なくとも1つの評価されたパラメータa、b、c、dおよび/またはeを、サンプリングSのTBSに組み合わせる。
少なくとも2つのパラメータa、b、c、d、eの中から、臨床的文脈に応じて線形または非線形の方程式を使用してTBSに組み合わせることが好ましい。実際、バリオグラムモデルのパラメータは、組み合わせ方程式を使用してTBSに一緒に組み合わされる。例として、このような組み合わせ方程式は、所与の臨床的文脈および解剖学的部位に対する重回帰モデルを含むことができるが、それに限定されない。そのようなケースシナリオでは、TBSは以下のように定義される。
TBS=αa+βb+γc+δd+εe,
ここで、係数α,β,γ,δ,εは、それぞれ傾き、シル、ナゲット、および曲線下の面積に関連付けられる。これらの係数は、臨床性能最適化段階の前に慎重に定義される。
これらの係数は、典型的には異なる実験分析から得られる。
最良の係数の選択は、例えば、大規模な臨床研究および画像のセットで、さらにグリッドサーチ最適化段階で得られる。
より一般的には、α、β、γ、δおよび/またはεは、以下を含む異なる方法で得ることができる。
- 実験測定に基づく補正係数表、および/または
- 理論に基づく補正の数学モデルおよび/またはシミュレーション、および/または
-機械学習または人工知能(AI)アルゴリズム(この機械学習または人工知能(AI)は、学習画像9に適用されない)、および/または
- 例えば、大規模な臨床研究および画像のセットで、さらに臨床性能の結果を伴うグリッドサーチ最適化段階で得られる最良の係数の選択、および/または
- 上記の方法の組み合わせ、
- など。
例えば、
TBS=a
すなわち、α=1 及び β=γ=δ=ε=0
好ましくは、TBSは、同時にすべての所定の方向について計算されたサンプリングSのグローバルバリオグラムから計算される。
【0145】
i) 任意選択で、少なくとも1つの患者因子および/または少なくとも1つの技術的因子に関連するロバスト性改善ステップをTBSに適用し、好ましくは患者および技術的因子の両方に関連するロバスト性改善ステップを適用する。
ロバスト性改善ステップは、以下のように実装され得る。
- 前のステップh)の前または間に(スコアBの決定または計算の前または間に、患者および/または技術的因子の関数としてR0、α,β,γ,δ,ε、a、b、c、d、および/またはeを決定および/または補正することによって)、および/または
- 前のステップh)の後に(患者および/または技術的因子の関数としてスコアBを補正することによって)。
ロバスト性改善ステップは、以下を含む異なる方法で(R0、α,β,γ,δ,ε、a、b、c、d、e、および/またはbを決定および/または補正することによって)実装され得る。
- 患者および/または技術的因子ならびにそれらのバリオグラムおよび/またはTBSに対する観測された影響を考慮に入れた実験測定に基づく補正係数表、および/または
- 患者および/または技術的因子ならびにそれらのバリオグラムおよび/またはTBSに対する予測される影響を考慮に入れた理論に基づく補正の数学モデルおよび/またはシミュレーション、および/または
- 患者および/または技術的因子のバリオグラムおよび/またはテクスチャスコアBに対する影響を最小限に抑えるように学習する機械学習または人工知能(AI)アルゴリズム(この機械学習または人工知能(AI)は、学習画像9に適用されない)、および/または
- 例えば、大規模な臨床研究および画像のセットで、さらに患者および/または技術的因子がバリオグラムおよび/またはTBSに対して最小限の影響を与える点まで、臨床性能の結果を伴うグリッドサーチ最適化段階で得られる最良の係数の選択、および/または
- 上記の方法の組み合わせ。
例えば、R0は、X線取得画像の画像解像度の関数として決定および/または補正される。
少なくとも1つの患者因子は、以下を含む。
- 以下の少なくとも1つを含む患者の形態の影響:
-- 患者の軟部組織、および/または組織の厚さ、および/またはその分布および/またはその組成の影響、および/または間接的な代用物、および/または
-- 患者の体重および/またはボディマス指数(BMI)および/または腹囲、および/または
-- 患者のサイズ、および/または
- 患者の少なくとも1つの病理または状態(関節症、腹水、大動脈石灰化、ガスなど)の影響、および/または
- 画像の取得中の患者の位置決めの影響。
少なくとも1つの技術的因子は、以下を含む。
- 画像を取得するための潜在的な欠陥のある検出器およびセンサ、および/または
- 画像を取得するためのスキャンモードおよび設定の影響、および/または
- 画像を取得するために使用される画像化装置の技術的特性
- 画像を取得するための画像化システム間の変動性の影響、および/または
- 画像の信号対雑音比(SNR)、および/または
- 画像の解像度。
ロバスト性改善ステップは、以下を可能にする。
- 患者の生理学的特性、例えば骨を取り巻く軟部組織の体積および/または性質による影響を受けにくくする、および/または
- 画像取得の技術的パラメータの選択による影響を受けにくくする。
典型的には、
- 係数αは、
-- 再現性に影響を与える
-- 骨折予測を最適化する
- 係数βは、
-- (骨)組織の全体的な石灰化の寄与に影響を与える
- 係数γは、
-- (骨)組織の全体的な幾何学的特性の寄与に影響を与える
- 係数δは、
-- 画像の信号対雑音比に関連する
- 係数εは、
-- 再現性に影響を与える。
【0146】
第1の人工知能と第2の人工知能は、第1のタイプの学習画像9と第2のタイプの学習画像19の同じデータベースを使用して学習させる。この適格なデータセットは、ANNとANNの深層学習モデルを学習するために必要である。これらは教師あり学習に依存するためである。
【0147】
このようなデータセットは、人工ニューラルネットワーク(ANNとANN)の精緻化、学習、および検証に使用される。
【0148】
学習データセットの各要素は、特定のグランド・トゥルースに関連付けられたX線デジタルラジオグラフで構成される。
【0149】
グランド・トゥルース1、2は、DXAスキャンから抽出された骨密度および骨テクスチャパラメータから得られる。これは、(p)QCT、CT、QUS画像など(しかし限定されない)の他の技術でも可能である。これらのスキャンでは、BMD T値と骨テクスチャ(例えばTBS)値が取得される。所与の患者について、複数の解剖学的部位(脊椎、大腿骨、前腕)からのDXAスキャンが使用される。最小のBMD T値が、骨折リスクプロファイルに最も関連性が高いものとして選択される。BMD T値14と骨テクスチャ(例えばTBS)15の値は、それぞれの分類閾値と比較される(図2に示すように、これらの閾値またはカテゴリは、BMDについては「正常」、「骨減少症」、「骨粗鬆症」、TBSについては「正常」、「部分的に劣化」、「劣化」である)。各スコアの結果として得られる層別化は組み合わされ(図2参照)、骨折リスクカテゴリ(グローバルスコア16とも呼ばれる)が生成される。この骨折リスクカテゴリは、1から9までの数字でラベル付けされる(他のタイプのカテゴリが定義されている場合は、それより少ない)。
【0150】
学習させるANNに応じて、グランド・トゥルース1または2のデータは、骨折リスクカテゴリラベル(ANN-マルチクラス分類タスク)、またはBMD T値と骨テクスチャ(例えばTBS)(ANN-回帰タスク)の連続値のいずれかで構成される。
【0151】
グランド・トゥルースデータとX線デジタルラジオグラフとのマッチングは、匿名化された患者識別子(PID)を使用して確保される。DXAスキャン9とX線デジタルラジオグラフ19は、必ずしも同じ日に取得されるわけではない。ただし、X線スキャン19とDXAスキャン9との間の経過日数が十分に短い(すなわち6か月未満)ことを確保し、両方のモダリティ間の骨の状態の変化が最小限になるようにする。
【0152】
DXAスキャン9からのグランド・トゥルース1とそれに関連するX線デジタルラジオグラフ19は、必ずしも同じ解剖学的部位に由来するわけではない。簡略化のために、以下では、DXAとTBSという用語を使用するが、他の画像化装置のタイプと骨テクスチャまたは構造パラメータである可能性がある。
【0153】
したがって、方法100は、異なるアプローチに基づいている。いくつかの人工ニューラルネットワーク(ANN)モデルANNとANNが別々に定義および学習され、その後、最終的な骨リスクカテゴリ(方法100のグランド・トゥルースで定義されているように、高リスクと低リスク)を評価するために1つのアンサンブルモデルに組み合わされる。
【0154】
1つのANN(ANN)は、マルチクラス分類器として設計および学習させる。これは、リスクカテゴリクラス16(TBSおよびBMD DXA測定値14、15を反映するクラス1から9)を予測するためにデジタルX線画像6を入力として受け取る。他のANN(ANN)は、同じデジタルX線画像6を入力として受け取り、BMD T値14と生のTBS 15の連続値のセットを予測するように設計される。
【0155】
両方のモデルを使用すると、ANNの予測(カテゴリ値と連続値)およびメタデータ値18に基づいて、専用のアンサンブルモデルを使用して第2段階で評価される最終的な骨リスク評価が可能になる。
【0156】
これらのモデルの最適化は、専用の学習段階で偽陽性率を最小限に抑え、過学習を避けるという最終目標で確保される。実際、モデル(ANNとANN)は、データ拡張を使用して学習され、交差検証されて、学習時に誘発されるバイアスのない最大の予測性能を得ている。
【0157】
ANNのこの最初のモデルのアプローチでは、1つの深層人工ニューラルネットワークANN(例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)または再帰ニューラルネットワーク(RNN)を含むが、これらに限定されない)が実装および学習されて、「骨折リスクプロファイル」クラスを予測する。学習段階では、ANNは、前処理されたデジタル骨X線ベースの画像19とそれに対応するラベルを入力として受け取る。X線入力画像の専用前処理は、学習と評価の両方で同じ方法で実行される。前処理により、できるだけ多くの解像度を維持しつつ、骨のROI選択の自動化と、方法100のモデルの入力サイズとの一致が保証される。この深層ニューラルネットワークANNの原理は、強力なバックボーンアーキテクチャと高解像度X線画像から恩恵を受けて、正しいグランド・トゥルースリスクプロファイル分類を可能にする最も重要な特徴マップ情報を抽出することである。この分類器の出力は、サイズ9のベクトルで構成され、その最大値のインデックスが予測されたクラスとして使用される。
【0158】
ANNの第2のモデルのアプローチは、最小BMD T値と生のTBSの連続値を推論する深層ANNである。これは、回帰出力層から得られる2つの連続値のセットを出力する深層回帰モデルとして提示できる。バックボーンアーキテクチャにより、入力X線画像が高いDXAライクな解像度に縮小され、その上で特徴抽出により、最小BMD T値と生のTBSの回帰と計算タスクが可能になる。
【0159】
前処理段階17(前処理段階、テスト段階、または検証段階の)は、X線デジタル画像を修正またはラベル付けして、人工ニューラルネットワークに推論のために供給できるようにする(学習段階と評価段階の両方で)。前処理には、以下のステップが含まれるが、これらに限定されない。
・潜在的な人工物(例えば、金属、インプラント)のラベル付け
・X線ラジオグラフの外観の均一化(例えば、解像度、CR/BR、サイズ)
・ROIのフォーカス/最適化
・データ拡張(学習方法のみ)
・解剖学的部位の特定
・セグメンテーション
・グレースケールピクセル値
・正規化、すなわちピクセル値を[0,1]に
・ラジオグラフ撮像の品質評価
【0160】
方法100はまた、解析ステップ11、12、および13の前に、以下のステップを含む(図6のテスト段階および臨床最適化段階中)。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第3の学習セットを構築するステップ:
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像9(第3の学習セットの)を取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示すが、必ずしもその海綿骨部分を示さない、X線ベースの画像である第2のタイプの学習画像19(第3の学習セットの)を取得するステップ
-- メタデータ18を取得するステップ
-- 第3の学習セットの第1のタイプの学習画像9から、技術的手段によって(ただし、画像9に人工知能を実装せずに)、以下を決定するステップ:
--- 第3の学習セットの第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存するまたは等しい密度スコア14。典型的には、骨密度は、第1のタイプの学習画像のDXAのメタデータとして第1のタイプの学習画像から直接決定される。および
--- 第3の学習セットの第1のタイプの学習画像9に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)15。典型的には、このTBS 15は、第1のタイプの学習画像のグレーレベルの実験的バリオグラムを計算または決定することによって決定される(特許文献2)(前述のステップa)からi)も参照)。
-- 以下から、技術的手段によって(ただし、画像9に人工知能を実装せずに)、この密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコア16を決定するステップ:
--- 第3の学習セットの第1のタイプの学習画像9に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア14、および
--- 第3の学習セットの第1のタイプの学習画像9に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)15
- 第3の学習セットの第2のタイプの学習画像に対して第1および第2の人工知能による第1および第2の解析11、12を実装するステップ、および
- 以下から学習することによって、第3の人工知能を学習させるステップ:
-- ANNとANNなしで第3の学習セットの第1のタイプの学習画像9から得られたスコア(密度スコア14、TBS 15および/またはグローバルスコア16)と、ANNとANNを使用して第3の学習セットの同じ学習用骨の第2のタイプの学習画像19から得られたスコア(密度スコア14、TBS 15および/またはグローバルスコア16)との差、および
-- メタデータ18。
【0161】
方法100の好ましい実施形態では、
- AIは、関連する信頼スコアでフラグを立てるかどうかを評価するための分類および回帰ツリー(CART)である。
- この学習ステップは、DXAのグランド・トゥルース(フラグまたはフラグなし)から教師あり学習によって学習することによって行われる。
- この学習は、最小のテストロスに達するまで、精度スコアを最適化するためにツリーアーキテクチャ(垂直方向の深さ、終端ノードの数、ノードの分割を考慮する最大の特徴量などを最適化する)についてグリッドサーチを使用して行われ、過学習は避けられる。
【0162】
第1の学習セットと第2の学習セットは、同じ学習セットであってもよい。
【0163】
第3の学習セットは、第1の学習セットおよび/または第2の学習セットと同じ学習セットではない。第3の学習セット(臨床最適化段階で使用される)は、第1の学習セットおよび/または第2の学習セットに基づいてANNとANNの学習後に方法100を最適化するために使用されるためである。
【0164】
第1の人工知能、第2の人工知能および第3の人工知能は、別々に学習させる。
【0165】
検証段階(図7の左部)は、上記で説明した段階で完全に最適化され、臨床的態様に関連するすべてのANN(i=1または2)モデルを準備および検証するために重要である。この段階では、ANNとANNのモデルは、外部コホートでテストされ、それらのロバスト性と最終的な臨床転帰を予測する能力が確認される。
【0166】
この検証段階では、すべてのモデル、それらの構成、それらのパラメータが、封止され、タイムスタンプが付けられ、追跡され、パッケージ化される。パラメータの追跡可能性と追跡を確保するために使用されるメカニズムは、ブロックチェーンのようなものである。すべてのパラメータ、モデル、メタデータ、コードバージョン、メトリクス、タグ、ラベル、出力ファイル、および結果が、タイムスタンプ付きのレコードにログ記録される。検証段階に含まれるステップは、ANNiモデルのすべての構成の永続性をレコードとして確保することである。
【0167】
この段階のこれらすべての操作ステップは、AIとANNテクノロジーを組み込んだ医療機器としてのソフトウェアの分野における規制要件とそれらの遵守に適合している。また、この分野のベストテクノロジープラクティスに従っている。
【0168】
この段階の終了時に、すべてのANNiモデルが正常に検証され、工業化段階での最終製品への統合の準備が整う。
【0169】
すべてのANNiモデルが検証段階で検証されると、最終的なグローバルモジュールが工業化段階の最終製品内に統合される(図1および図7の右部)。
【0170】
すべてのANNi学習実験の追跡可能性は、グランド・トゥルースからデプロイメントまでの前の段階で確保される。この追跡可能性の原則は、最終製品への臨床検証のための最適化されたパラメータを備えたモデルの適合性を保証している。また、オフラインの継続的な改善フローでより良い最適化が実行されるときに、この適切なモジュールを更新またはアップグレードする可能性とともに、適切なデプロイされたモジュールバージョンをフィールドに許可している。
【0171】
このモジュールは、この発明の説明に従って、新しい機能をサービスとして提供する製品に動的にロードされる。
【0172】
本発明による装置は、前述のすべてのステップ(特に、それぞれ算出、決定、取得、選択、計算、評価、組み合わせ、改善ステップの適用、画像の受信、人工知能の実装、解析の実装、結果の提示、学習セットの構築、人工知能の学習のステップ)を実装するように配置および/またはプログラムされた、および/または構成された技術的手段(特に、それぞれ算出、決定、取得、選択、計算、評価、組み合わせ、改善ステップの適用、画像の受信、人工知能の実装、解析の実装、結果の提示、学習セットの構築、人工知能の学習のために配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段)を備える。
【0173】
典型的には、前述の本発明による装置の手段の少なくとも1つ、好ましくは本発明による装置の各手段(特に、算出、決定、取得、選択、計算、評価、組み合わせ、改善ステップの適用、画像の受信、人工知能の実装、解析の実装、結果の提示、学習セットの構築、人工知能の学習のために配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段)は、技術的手段である。
【0174】
典型的には、前述のステップを実装する本発明による装置の各手段(特に、算出、決定、取得、選択、計算、評価、組み合わせ、改善ステップの適用、画像の受信、人工知能の実装、解析の実装、結果の提示、学習セットの構築、人工知能の学習のために配置および/またはプログラムされた、および/または構成された手段)は、少なくとも1つのコンピュータ、1つの中央処理装置または演算装置、1つのアナログ電子回路(好ましくは専用)、1つのデジタル電子回路(好ましくは専用)、および/または1つのマイクロプロセッサ(好ましくは専用)、および/またはソフトウェア手段を備える。
【0175】
本発明による装置は、以下を備える。
- 画像6および/または9および/または19を取得するステップを実装するための手段。これらのデジタル化された画像を取得するための手段は、典型的には以下を備える。
-- 従来のX線撮像システム、および/または
-- デジタルX線撮像システム、および/または
-- 二重エネルギーX線吸収測定(DXA)撮像システム、および/または
-- 投影コンピュータ断層撮影(CT)撮像システム、および/または
-- 定量的コンピュータ断層撮影(QCT)撮像システム、および/または
-- 投影定量的コンピュータ断層撮影撮像システム、および/または
-- 末梢定量的コンピュータ断層撮影(pQCT)撮像システム、および/または
-- 高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)撮像システム、および/または
-- それらの組み合わせ、および
- 前述のステップ(特に、それぞれ算出、決定、取得、選択、計算、評価、組み合わせ、改善ステップの適用、画像の受信、人工知能の実装、解析の実装、結果の提示、学習セットの構築、人工知能の学習のステップ)を実装するための手段。これらの手段は、典型的には単一のコンピュータにまとめられる。
- ANNの出力16および/またはANNの出力14および/または15および/またはAIの結論または出力を表示するように配置された画面。
【0176】
この実施形態はまた、以下を備える。
- コンピュータによって実行されたときに、方法100のステップを実装する命令を含むコンピュータプログラム、および/または
- プログラムがコンピュータによって実行されたときに、コンピュータに方法100のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品、および/または
- コンピュータによって実行されたときに、コンピュータに方法100のステップを実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【0177】
もちろん、本発明は、ここで説明した例に限定されるものではなく、これらの例に対して本発明の範囲を超えることなく多数の修正を加えることができる。
【0178】
例えば、方法100の変形例(およびそれに対応する装置)は、ANNのみ(ANNとAIなし)またはANNのみ(ANNとAIなし)を含むことができる。この変形例では、方法100(図1から8の前述の説明と比較してその差異についてのみ説明される)は、骨構造を含む領域で選択された撮像により得られるデジタル画像6から、骨のテクスチャを解析する方法であり、以下を含む。
- 入力骨を示す入力X線画像6を受信するステップ、
- 技術的手段によって実装された骨スコア人工知能(それぞれANNまたはANN)による、受信した入力X線画像6の骨スコア解析(それぞれ前述の11または12)ステップであって、骨スコア人工知能が、この骨スコア解析の結果として以下を与えるステップ、
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)に少なくとも依存するグローバルスコア16(すなわち、骨スコア人工知能がANNの場合)、および/または
-- 受信した入力X線画像に示された入力骨の骨密度に依存する(またはそれで構成される)密度スコア14、および/または受信した入力X線画像に示された入力骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)15(すなわち、骨スコア人工知能がANNの場合)。
【0179】
骨スコア人工知能ANNまたはANNはニューラルネットワークである。
【0180】
さらにこの変形例では、骨スコア人工知能がANNの場合、方法100は、解析ステップ11の前に、ANNについて前述の以下の学習を含む。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第1の学習セットを構築する。
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像9を取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示すが、必ずしもその海綿骨部分を示さない、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像12を取得するステップ
-- 技術的手段によって(ただし、画像9に人工知能を実装せずに)、第1のタイプの学習画像9から以下を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア14、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)15
-- 技術的手段によって(ただし、画像9および/または事前に決定された密度スコア14および/または事前に決定されたTBS 15に人工知能を実装せずに)、以下からこれらの密度スコアと海綿骨スコアに依存するグローバルスコア16を決定するステップ:
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア14、および
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)15
-この第2のタイプの学習画像19に関連付けられた第1のタイプの学習画像9について決定されたグローバルスコア16を含むまたはそれで構成されるその関連するグランド・トゥルースとともに第2のタイプの学習画像19を骨スコア人工知能に提供することにより、骨スコア人工知能ANNを学習させる。
【0181】
さらにこの変形例では、骨スコア人工知能がANNの場合、方法100は、解析ステップ12の前に、ANNについて前述の以下の学習を含む。
- 以下のステップを複数回実施することにより、第2の学習セットを構築する。
-- 学習用骨の海綿骨部分を示す第1のタイプの学習画像9を取得するステップ
-- 同じ学習用骨を示すが、必ずしもその海綿骨部分を示さない、X線ベースの画像である関連する第2のタイプの学習画像19を取得するステップ
-- 技術的手段によって(ただし、画像9に人工知能を実装せずに)、第1のタイプの学習画像から以下を決定するステップ
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の骨密度に依存する密度スコア14、および/または
--- 第1のタイプの学習画像に示された学習用骨の海綿骨部分のテクスチャに依存する海綿骨スコア(TBS)15
- この第2のタイプの学習画像19に関連付けられた第1のタイプの学習画像9について決定された密度スコアおよび/またはこの第2のタイプの学習画像19に関連付けられた第1のタイプの学習画像9について決定された海綿骨スコアを含むまたはそれらで構成されるグランド・トゥルースとともに第2のタイプの学習画像を骨スコア人工知能に提供することにより、骨スコア人工知能を学習させる。
【0182】
別の変形例では、方法100(およびそれに対応する装置)は、AIなしでANNとANNを含むことができる。
【0183】
もちろん、本発明の異なる特徴、形態、変形例および実施形態は、それらが両立しないまたは相互に排他的でない限り、様々な組み合わせで互いに組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】