(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】アロニア・メラノカルパからの組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20241024BHJP
【FI】
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525678
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2022078598
(87)【国際公開番号】W WO2023072621
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルコント,マノン
(72)【発明者】
【氏名】フランカ-バートン,パスカル エリザベス ルネ
(72)【発明者】
【氏名】フロマンタン,エミリー アニー クローディ
(72)【発明者】
【氏名】ル セエック,メラニー マリー-ロウ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス マテオス,アナ マリア
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018MD08
4B018MD52
4B018ME04
4B018ME14
4B018MF01
(57)【要約】
本発明は、心血管疾患(CVD)および/または腸内菌共生バランス失調を処置することにおける使用のための組成物、ならびにCVDおよび/または腸内菌共生バランス失調を処置する方法に関する。特に、本発明は、減少した腸内遺伝子数(糞便マイクロバイオーム遺伝子数)を有する対象群において心血管疾患(CVD)および/または腸内菌共生バランス失調を処置するための使用のための組成物および方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において腸内菌共生バランス失調および/または心血管疾患を処置および/または予防することにおける使用のための組成物であって、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む、前記組成物。
【請求項2】
対象において腸内菌共生バランス失調および/または心血管疾患を処置および/または予防するための方法であって、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の、それを必要とする対象への投与を含む、前記方法。
【請求項3】
心血管疾患を処置および/または予防することが、以下:
(a)高血圧を処置および/もしくは予防すること;ならびに/または
(b)高血圧前症を処置および/もしくは予防すること、ならびに/または
(b)血圧を低下させること;ならびに/または
(c)動脈の硬化度を低下させること
の少なくとも1つを含む、請求項1において定義されるとおりの使用のための組成物、または請求項2において定義されるとおりの方法。
【請求項4】
腸内菌共生バランス失調を処置および/または予防することが、以下:
(a)糞便マイクロバイオーム遺伝子数により測定されるものとしてのマイクロバイオームの多様性を増大させること;および/または
(b)Faecalibacterium prausnitzii 2、Lawsonibacter asaccharolyticus、Intestinimonas butyriciproducens、Faecalibacterium、Roseburia intestinalisおよび/またはEggerthella lentaなどの有益な細菌のレベルを増大させること
の少なくとも1つを含む、請求項1において定義されるとおりの使用のための組成物、または請求項2において定義されるとおりの方法。
【請求項5】
アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物が、水性抽出物または水アルコール抽出物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための組成物または方法。
【請求項6】
組成物が、組成物の重量により、少なくとも10%、少なくとも20%、20%、40%、少なくとも50%w/wまたはそれより多くのポリフェノールを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための組成物または方法。
【請求項7】
動脈の硬化度の低下が、脈波伝播速度および/またはオーグメンテーション・インデックスの減少により決定される、請求項3~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物または方法。
【請求項8】
心血管疾患および/または腸内菌共生バランス失調を処置および/または予防することが、400,000未満、任意に375,000未満、任意に350,000、300,000、275,000、250,000、225,000、200,000、175,000未満、または150,000未満の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を有する哺乳動物におけるものである、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物または方法。
【請求項9】
心血管疾患を処置および/または予防することが、血圧を低下させることによるもの、任意に、400,000未満、任意に375,000未満、任意に350,000、300,000、275,000、250,000、225,000、200,000、175,000未満、または150,000未満の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を有する哺乳動物において血圧を低下させることによるものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための組成物または方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物または方法であって、対象が、高血圧前症であり、任意にここで、対象が以下:
少なくとも120mmHg、任意に少なくとも130もしくは少なくとも140mmHgの収縮期血圧;および/または120mmHg~130mmHg、もしくは120mmHg~140mmHgの収縮期血圧、ならびに/あるいは
少なくとも80mmHg、任意に少なくとも90mmHgの拡張期血圧;および/または80mmHg~90mmHgの拡張期血圧
を有する、前記組成物または方法。
【請求項11】
腸内菌共生バランス失調および/または心血管疾患を処置するための投与量が、以下:
a)組成物の重量により、約100~約1000mg/日、任意に、組成物の重量により、100~1000mg/日、もしくは200~800mg/日、または400~600mg/日;
b)組成物の重量により、1000mg/日以下、任意に900mg/日、800mg/日、700mg/日、600mg/日、500mg/日、400mg/日、300mg/日、200mg/日以下、もしくは100mg/日以下;および/あるいは
c)100mg/日以上、または任意に200mg/日以上、300mg/日、400mg/日、500mg/日、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日以上、もしくは1000mg/日以上
であってよい、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための組成物または方法。
【請求項12】
腸内菌共生バランス失調および/または心血管疾患を処置するための投与量が、以下:
a)組成物の重量により約100mg/日~約500mg/日のポリフェノール、任意に約200mg/日~約400mg/日、任意に組成物の重量により約300mg/日のポリフェノール;
b)組成物の重量により500mg/日以下のポリフェノール、任意に400mg/日以下、300mg/日、200mg/日、もしくは組成物の重量により100mg/日以下のポリフェノール;および/または
c)組成物の重量により、100mg/日以上、任意に200mg/日、300mg/日、400mg/日以上、もしくは500mg/日以上のポリフェノール
を提供する、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための組成物または方法。
【請求項13】
対象から得られた糞便の試料中の細菌の存在量を決定することを、ショットガンシーケンシングを用いて行う、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための組成物または請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
対象が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いか否かを決定するための方法であって、
a)対象から得られた糞便の試料中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を決定すること;および/または
b)以下のうちの任意の1、2、3つ、またはすべての存在量を決定すること:
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3;
iii)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103;および/または
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentis
を含む、前記方法。
【請求項15】
a)対象から得られた糞便の試料中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数と比較すること;および/または
b)以下を比較すること:
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量と、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量と、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のAcutalibacteraceae 3の存在量;
iii)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量と、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量;および/または
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量と、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のBifidobacterium adolescentisの存在量
をさらに含む、前記方法。
【請求項16】
少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団が、陰性対照試料または対照試料の集団である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
陰性対照試料または対照試料の集団が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答しないものと決定された1つ以上の陰性対照の対象から採取された糞便試料であり、
ここで、試料は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の対照の対象から採取されたものである、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団が、陽性対照試料または集団または対照試料である、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、陽性対照試料または対照試料の集団が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答することが示されている1つ以上の陽性対照の対象から採取された糞便試料であり、
ここで、試料は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の対照の対象から採取されたものである、
前記方法。
【請求項20】
請求項15~19のいずれか一項に記載の方法であって、対象から得られた試料の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を、以下:
a)陰性の対照試料または対照試料の集団における糞便マイクロバイオーム遺伝子数、任意にここで、陰性の対照試料または対照試料の集団が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答しないことが示されている1つ以上の陰性対照の対象から採取された糞便試料であり、ここで、試料が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の陰性対照の対象から採取されたものである;ならびに/あるいは
b)陽性の対照試料または対照試料の集団における糞便マイクロバイオーム遺伝子数、任意にここで、陽性の対照試料または対照試料の集団が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答することが示されている1つ以上の陽性対照の対象から採取された糞便試料であり、ここで、試料が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の陽性対照の対象から採取されたものである
と比較する、前記方法。
【請求項21】
a)対象から得られた試料の糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、陰性の対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数と、実質的に類似しているか、またはそれよりも高い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられ、
任意にここで、対象から得られた試料の糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、陰性の対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数よりも少なくとも5%大きい、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%大きい、例えば少なくとも200%大きい場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられ;
ならびに/あるいは
b)試験試料中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、陽性対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数と、実質的に類似しているか、またはそれよりも低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられ、
任意にここで、対象から得られた試料の糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、陽性対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数よりも少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%高い、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられる、
請求項15~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
a)
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量が、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量と比較され;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量が、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のAcutalibacteraceae 3の存在量と比較され;
iii)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量が、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量と比較され;および/または
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentisが、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のBifidobacterium adolescentisの存在量と比較され、
ここで、対照試料または対照試料の集団は、陰性の対照試料もしくは集団または対照試料であり、
ここで、陰性の対照試料または対照試料の集団は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答しないことが示されている1つ以上の陰性対照の対象から採取された糞便試料であり、ここで、試料は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の陽性対照の対象から採取されたものであり;ならびに/あるいは
b)
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量が、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量と比較され;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量が、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のAcutalibacteraceae 3の存在量と比較され;
iii)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量が、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量と比較され;および/または
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentisが、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のBifidobacterium adolescentisの存在量と比較され、
ここで、対照試料または対照試料の集団は、陽性の対照試料もしくは集団または対照試料であり、
ここで、陽性の対照試料または対照試料の集団は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答することが示されている1つ以上の陽性対照の対象から採取された糞便試料であり、ここで、試料は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の陽性対照の対象から採取されたものである、
請求項15~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
a)対象から得られた試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量と、実質的に類似するかまたはそれよりも高い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量よりも、少なくとも5%大きい、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%大きい、例えば少なくとも200%大きい場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられる;
b)対象から得られた試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のAcutalibacteraceae 3の存在量と、実質的に類似するかまたはそれよりも高い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のAcutalibacteraceae 3の存在量よりも、少なくとも5%大きい、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%大きい、例えば少なくとも200%大きい場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられる;
c)対象から得られた試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量と、実質的に類似するかまたはそれよりも高い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量よりも、少なくとも5%大きい、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%大きい、例えば少なくとも200%大きい場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられる;
ならびに/あるいは
d)対象から得られた試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のBifidobacterium adolescentisの存在量と、実質的に類似するかまたはそれよりも高い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のBifidobacterium adolescentisの存在量よりも、少なくとも5%大きい、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%大きい、例えば少なくとも200%大きい場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられる;
e)対象から得られた試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量と、実質的に類似するかまたはそれよりも低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量よりも、少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられる;
f)対象から得られた試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のAcutalibacteraceae 3の存在量と、実質的に類似するかまたはそれよりも低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のAcutalibacteraceae 3の存在量よりも、少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられる;
g)対象から得られた試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量と、実質的に類似するかまたはそれよりも低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量よりも、少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられる;
ならびに/あるいは
h)対象から得られた試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のBifidobacterium adolescentisの存在量と、実質的に類似するかまたはそれよりも低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のBifidobacterium adolescentisの存在量よりも、少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられる、
請求項15~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量が、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量と比較され;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量が、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のAcutalibacteraceae 3の存在量と比較され;
iii)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量が、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量と比較され;および
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentisが、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のBifidobacterium adolescentisの存在量と比較される、
前記方法。
【請求項25】
請求項15~24のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、対象から得られた糞便試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量が、以下:
1つ以上の陰性対照試料;および/または
1つ以上の陽性対照試料
におけるBifidobacterium adolescentisの存在量と比較される、
請求項15~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
対象から得られた糞便の試料中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、400,000未満、任意に375,000未満、任意に350,000、300,000、275,000、250,000、225,000、200,000、175,000未満、または150,000未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
糞便の試料中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、ショットガンシーケンシングにより決定される、請求項1~12のいずれかに記載の使用のための組成物、または請求項1~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
糞便の対照試料または糞便の対照試料の集団における糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、ショットガンシーケンシングにより決定される;および/または
糞便の対照試料または糞便の対照試料の集団中の、
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3;
iii)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103;および/または
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentis
が、糞便の対照試料のショットガンシークエンシングにより決定される、
請求項13~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
処置に対する応答が、血圧の低下によって示され、任意にここで、方法は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物が、特定の対象の血圧を低下させる可能性が高いか否かを決定するための方法である、請求項14~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
対象が、高血圧前症であり、任意にここで、対象が、以下:
少なくとも120mmHg、任意に少なくとも130もしくは少なくとも140mmHgの収縮期血圧;および/または120mmHg~130mmHg、もしくは120mmHg~140mmHgの収縮期血圧、ならびに/あるいは
少なくとも80mmHg、任意に少なくとも90mmHgの拡張期血圧;および/または80mmHg~90mmHgの拡張期血圧
を有する、請求項14~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
対象において心血管疾患および/または腸内菌共生バランス失調を処置および/または予防することにおける使用のための組成物であって、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含み、ここで、対象が、請求項14~30のいずれか一項に記載の組成物による処置に対して応答する可能性が高いものと決定されている、前記組成物。
【請求項32】
対象において腸内菌共生バランス失調および/または心血管疾患を処置および/または予防するための方法であって、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の、それを必要とする対象への投与を含み、ここで、対象は、請求項14~31のいずれか一項に記載の組成物による処置に対して応答する可能性が高いものと決定されている、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、心血管疾患(CVD)および/または腸内菌共生バランス失調を処置および/または予防することにおける使用のための組成物、ならびにCVDおよび/または腸内菌共生バランス失調を処置する方法に関する。特に、本発明は、減少した腸内遺伝子数(糞便マイクロバイオーム遺伝子数)を有する対象群において心血管疾患(CVD)および/または腸内菌共生バランス失調を処置するための使用のための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
CVDは、心臓疾患とも称され、心臓または循環に影響を及ぼす状態を指すために用いられる総称で、冠動脈疾患、脳卒中、および高血圧を含む。CVDは世界的な死亡の第1の原因であり、推計される世界全体の全死亡の31%の原因である(世界保健機関2017年)。毎年、CVDは、英国における死亡のほぼ27%を占めており、英国におけるCVDに関係する全医療費は1年あたり90億ポンドと推定されている(British Heart Foundation)。
【0003】
アテローム性動脈硬化症とは、動脈における脂質および線維性プラークの蓄積により、これらの大きな血管の硬化および狭窄をもたらされることにより特徴づけられる、進行性の疾患を指す。動脈硬化は、動脈の3層のうち最も内側である内膜において起こる。
【0004】
心血管イベントは、動脈内腔を閉塞または狭窄する動脈硬化性プラークの蓄積に起因して起こり得る。アテローム性動脈硬化に基づくCVDは、世界的な血管疾患の主な原因の1つである。実際、一生の間のゆっくりとした進行の後、この疾患は、最終的に、より高齢の一般的な集団の中で、末梢血管疾患および/または脳卒中を引き起こし得る。高コレステロール血症、高血圧、喫煙および糖尿病などの、いくつかの危険因子が、アテローム性動脈硬化の発症および進展に関係づけられてきた。
【0005】
血圧(BP)は、CVDリスクの強固な代用マーカーであることが示されており、収縮期血圧(SBP)の3mmHgの低下は、CVD死亡のリスクの5%の低下に関連した。
【0006】
BPとアテローム性動脈硬化との間の関連性の背後にある機構は、まだ完全には同定されていないが、内皮およびそのレベルにおいて起こる酸化ストレスのプロセスの重要性が、主な説明となると考えられる。しかしながら、NOは、血管緊張および血圧の調節において重要な役割を果たすが、一方でまた、損なわれたNO活性が、高血圧の発症に不可欠な要素であることも観察されている。BPの拍動性因子は、アテロームの不安定性、および最終的にはプラークの破裂を誘発することが示されており、このことは、アテローム性動脈硬化に対するBPの仲介的役割を示している。
【0007】
動脈硬化性プラークの蓄積は、動脈壁の硬化をもたらす。
脈波伝播速度(PWV)は、動脈の硬化度を評価するために最も使用される技術である。PWVは、圧平眼圧測定技術を用いて、動脈系中を移動する圧力波の速度を測定する。PWVは、m/sにおいて表され、2つの測定点の間の距離を、これら2つの位置における脈圧波の通過時間により除算することに基づいて計算される。一般的な方法において、頸動脈および大腿動脈が、PWVの評価のための好ましい部位であり、これはしたがって、Cf-PWVと称される。
【0008】
オーグメンテーション・インデックス(Augmentation index:AIx)評価は、過去数十年にわたって開発されてきた動脈の硬化度の測定のための別の有用なツールである。PWVと同じ圧平眼圧測定技術を用いて、AIxは、動脈の脈波反射を推定し、それを百分率として表す、非侵襲的な方法である。PWVおよびAIxは、動脈の硬化性の2つの異なる指標であり、互換可能ではない。
【0009】
AIxの推定の機構、ならびにCVDおよびアテローム性動脈硬化に対するその関係は、まだ完全には解明されていない。AIxは、年齢とともに曲線的パターンを追って有意に増加することが示されている。しかしながら、AIxの増加は、アテローム性動脈硬化の発症の初期段階の1つを構成するROSレベルの上昇に関係し得ることが示唆されている。実際に、ある研究は、AIxが、喫煙者の集団においてROS濃度と関連していることを示した。この研究はまた、高齢および高血圧が、AIxの上昇と関連していることも観察した。
【0010】
(ポリ)フェノール(PP)は、抗酸化効果を有することが知られており、したがって、ROSに対して有益である可能性がある。
PPは、その構造中に1つ以上のフェノール環を含む植物の二次代謝物であり、質量、300~3000Daの範囲、および大きな化合物については20000Daまでにも及ぶ。8000を超える異なる型のPPが、植物において同定されている。
【0011】
それらは、果物および野菜、ならびにコーヒー、茶、ナッツ、オリーブ油、ダイズ製品またはココアなどの植物性の食品および飲料において非常に豊富である。近年、これらの化合物は、それらの潜在的な健康上の利点に起因して、多くの注目を集め、広く研究されてきた。疫学的および臨床的研究は、PPが、生理病理学的状態を調節し、それによりCVDおよび認知症などの慢性疾患のリスクを軽減する潜在能力を有することを示した。
【0012】
PPは、植物性化学物質の最も豊富かつ主要なグループの1つであり、これはまた、テルペノイド(カロテノイドなど)、アルカロイドおよび硫黄化合物を含む。それらは、UVにより媒介される酸化ストレスに対して植物を保護し、細胞壁を強化するために、草食動物および感染症を撃退するために、および花粉媒介者を引き付けるために、植物により合成される。
【0013】
PPは、天然ではそれらのグリコシド形態において見出され、およびより低頻度にアグリコンまたはゲニン(すなわち、グリコシル部分を含まない)として見出される。それらは、フェニル環の数およびその構造に基づいて異なるグループに分類される。よって、PPは、2つの主要なグループ:フラボノイドおよび非フラボノイドに分けることができる。
【0014】
フラボノイドは、化学的に、炭素数15の骨格構造に関係し、これは、2つのフェニル環AおよびB、ならびにCと名付けられる酸素を含む1つの複素環からなる。この構造はまた、「C6-C3-C6」としても知られる。通常、B環は、C環の2位に結合しているが、それはまた、イソフラボンの場合のように、3位においても見出され得る。フラボノイドは、7つのサブクラス:フラボン、フラバノン、アントシアニン、フラボノール、フラバン-3-オール、イソフラボン、およびジヒドロカルコンに分けられる。
【0015】
非フラボノイドファミリーとして、スチルベン、リグナン、フェノール酸、およびチロソール、ピロガロール、またはヒドロキシクマリンなどの他のPPが挙げられる(Manach et al. 2004)。フェノール酸は、5つのサブグループ、すなわち、ヒドロキシフェニルプロパン酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルペンタン酸、ヒドロキシ桂皮酸、ヒドロキシ安息香酸に分けられる(Phenol Explorer)。
【0016】
ほとんどのPPは、経口摂取される;したがって、任意のPPの体内消化は、摂取されたPPの活性に直接的な影響を有するであろう。
しばしば「第2の脳」とみなされるマイクロバイオームは、何兆もの細菌から構成される大規模な生態系であり、個体の全生涯を通じて生体全体と相互作用する。
【0017】
腸内細菌叢は、PPの生物学的利用能において重要な役割を果たしている。なぜならば、高分子化合物の存在は、フェノール化合物の吸収が比較的低いことと関連して、一般的に、後者と結腸の菌との相互作用を有利にするからである。
【0018】
大腸に到達すると、PPと微生物叢の間に双方向の関係が発生するであろう。実際に、PPは、マイクロバイオームの組成および多様性を調節することができるが、一方で、腸内細菌は、PPを異化して、通常はより活性が高く、元の代謝産物よりも良好な吸収を表す、より小さな化合物を産生する。
【0019】
したがって、マイクロバイオームは、身体の生理機能を維持することにおいて、重要な役割を果たすことができる。マイクロバイオームのディスバイオーシスは、様々な障害をもたらし得る。微生物に基づく治療は、腸の健康の維持およびマイクロバイオームに関連した障害の処置のために用いることができる。例えば、Jing Liらにおいて、腸内細菌叢の共生バランス失調が高血圧の発症に寄与することが報告された(Li, J., Zhao, et al. 2017,‘Gut microbiota dysbiosis contributes to the development of hypertension’, Microbiome, 5(1)、PP.1-19.)
【0020】
アロニア・メラノカルパ(Aronia melanocarpa)(アロニア)は、バラ科に属するベリーである。その渋い味に起因して「ブラック・チョークベリー」としても知られるこのベリーは、もともと北アメリカ原産である。しかしながら、アロニアは、今日では、中欧および東欧において見出され、栽培されており(USDA)、その導入以来、Nero、VikingまたはAronなどの、元の栽培品種と比較してより大きなベリーおよびより優れた耐性を表すさまざまな栽培品種が作られてきた。アロニアのベリーは、PPの豊富な供給源であり、一般的にベリー類の中でもPPの供給量が最も高いものの1つと考えられる。ベリーにおいて見出される主なPPは、プロシアニジン、アントシアニンおよびフェノール酸により代表される。
【0021】
本明細書において、明らかに先行公開された文書を掲載または議論することは、必ずしも、その文書が技術状態の一部である、または共通の一般的な知識であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0022】
発明の開示
本発明者らにより、驚くべきこと、かつ予想外に、アロニアベリー抽出物は、心血管疾患(CVD)および/または腸内菌共生バランス失調を処置および/または予防することができることを、見出された。
【0023】
したがって、本発明は、心血管疾患を処置および/または予防することにおける使用のための組成物を提供し、ここで、該組成物は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む。
【0024】
本発明はまた、腸内菌共生バランス失調を処置および/または予防することにおける使用のための組成物を提供し、ここで、該組成物は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む。
【0025】
本発明はまた、心血管疾患を処置および/または予防するための方法を提供し、ここで、該方法は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の投与を含む。
【0026】
本発明はまた、腸内菌共生バランス失調を処置および/または予防するための方法を提供し、ここで、該方法は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物を投与することを含む。
【0027】
本発明はまた、心血管疾患および/または腸内菌共生バランス失調の処置および/または予防のための医薬の製造における、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の使用を提供してもよい。
【0028】
本明細書で使用される場合、心血管疾患を処置することは、以下のうちの少なくとも1つを含んでもよい:
(a)高血圧を処置および/もしくは予防すること;ならびに/または
(b)高血圧前症を処置または予防すること、ならびに/または
(b)血圧を低下させること;ならびに/または
(c)動脈の硬化度を低下させること。
【0029】
例えば、本発明は、高血圧を処置および/もしくは予防すること、血圧を低下させること、ならびに/または動脈の硬化度を低下させることにおける使用のための組成物を提供してもよく、ここで、該組成物は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む。
本発明はまた、高血圧を処置および/もしくは予防する、血圧を低下させる、ならびに/または動脈の硬化度を低下させるための方法を提供してもよく、ここで、該方法は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の、それを必要とする対象への投与を含む。
【0030】
本発明は、高血圧の処置および/もしくは予防のため、高血圧前症の処置および/もしくは予防、血圧を低下させる、ならびに/または動脈の硬化度を低下させるための医薬の製造における、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の使用を提供してもよい。
【0031】
動脈の硬化度は、心血管疾患イベントおよび心血管死亡のリスク増大と関連することが示されている。例えば、Aixの10%の増大は、心血管死亡のリスクの48%の増大をもたらすことが示された(London et al 2001 J Spinal Cord Medicine 32: 72-78)。したがって、動脈の硬化度の低下はCVDまたはCVDイベントの処置または予防を示すものと解釈されることが明らかであろう。
【0032】
本明細書において用いられる場合、腸内菌共生バランス失調を処置することは、以下の少なくとも1つを含んでもよい:
(a)糞便マイクロバイオーム遺伝子数により測定されるものとしてのマイクロバイオームの多様性の増大;
(b)Faecalibacterium prausnitzii 2、Lawsonibacter asaccharolyticus、Intestinimonas butyriciproducens、Faecalibacterium、Roseburia intestinalis、および/またはEggerthella lentaのうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない有益な細菌のレベルを増大させること、ならびに/あるいは
(c)病原性微生物、または1つ以上の状態に対して有益でないかもしくは有益性が低いものとして同定される微生物のレベルを低下させること。
【0033】
例えば、本発明は、糞便マイクロバイオーム遺伝子数により測定されるものとしてのマイクロバイオームの多様性を増大させること、ならびに/またはClostridiales bacterium、Oscillibacter sp.、Firmicutes bacterium CAG 103、Lawsonibacter asaccharolyticus、Oscillospirales 5、Clostridium sp.Clostridium sp.、Butyricimonas faecihominis、Turicibacter sanguinis、Bacteroides dorei、Oscillospiraceae、Bacteroides xylanisolvens、Ruminococcus sp./Blautia sp.Blautia sp.、Dialister invisus、Flavonifractor sp.、Clostridium sp.、Faecalibacterium prausnitzii 2、Christensenellales、Blautia A、Intestinimonas butyriciproducens、Faecalibacterium、Roseburia intestinalis、および/もしくはEggerthella lentaの1つ以上を含むがこれらに限定されない有益な微生物のレベルを増大させることにおける使用のための組成物を提供してもよい。
【0034】
好ましい態様において、増加する細菌は、Faecalibacterium prausnitzii 2、Lawsonibacter asaccharolyticus、Intestinimonas butyriciproducens、Faecalibacterium、Roseburia intestinalisおよび/またはEggerthella lentaのうちの1つ以上を含む。
好ましい態様において、レベルが増大する有益な細菌は、 Faecalibacterium prausnitzii 2、Lawsonibacter asaccharolyticusおよび/またはIntestinimonas butyriciproducensのうちの1つ以上を含む。
【0035】
本発明はまた、糞便マイクロバイオーム遺伝子数により測定されるものとしてのマイクロバイオームの多様性を増大させる、ならびに/または、Faecalibacterium prausnitzii 2、Lawsonibacter asaccharolyticus、Intestinimonas butyriciproducens、Faecalibacterium、Roseburia intestinalisおよび/もしくはEggerthella lentaのうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない有益な細菌のレベルを増大させるための方法を提供してもよく、ここで、該方法は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の、それを必要とする対象への投与を含む。好ましい態様において、レベルが増大する有益な細菌は、Faecalibacterium prausnitzii 2、Lawsonibacter asaccharolyticusおよび/またはIntestinimonas butyriciproducensのうちの1つ以上を含む。
【0036】
いくつかの態様において、糞便マイクロバイオームの多様性は、組成物の投与の前の対象の糞便マイクロバイオームの多様性と比較して、本発明の組成物による処置の後に、少なくとも2%、例えば少なくとも3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または少なくとも50%、増大する。
【0037】
かかる使用のための組成物または方法は、本明細書において以後、「本発明の使用のための組成物」または「本発明の方法」として言及される。
【0038】
高血圧は、高いまたは上昇した血圧としても知られ、血管が持続的に上昇した圧力を有する状態である。血液は、心臓から血管中で体のすべての部位へと運搬される。心臓は、拍動するたびに、血液を血管中に注ぎ込む。血圧は、血液が、心臓により注ぎ込まれる際に、血管(動脈)の壁を押す力により生じる。圧力が高いほど、心臓はより強くポンピングしなければならない。
【0039】
典型的には、高血圧は、130以上、もしくは140以上の収縮期血圧、および/または80以上、もしくは90以上の拡張期血圧を有するものとして定義される。高血圧前症は、120~130、もしくは120~140の収縮期血圧、および/または80~90の拡張期血圧を有するものとして定義される。
【0040】
ある態様において、高血圧を処置することは、一定の処置期間後に、治療前の値に対して少なくとも2ポイントの水銀柱ミリメートル(mm Mercure)、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11ポイントのmmを減少させることとして定義される。ある態様において、高血圧前症を処置することとは、ある治療期間後に、治療前の値に対して少なくとも2ポイントの水銀柱ミリメートル、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11ポイントのmmを減少させることとして定義される。
【0041】
動脈の硬化度は、典型的には、脈波伝播速度(PWV)および/またはオーグメンテーション・インデックス(Aix)を用いて測定される。
したがって、本発明において、動脈の硬化度を低下させることは、PWVおよび/またはAIxを決定することにより測定され得る。PWVおよび/またはAIxの低下は、動脈の硬化度の低下を示す。
【0042】
本発明のいくつかの態様において、本発明の組成物による処置は、組成物による処置の前の対象の動脈の硬化度と比較して、2%以上、例えば少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%またはそれより多くの動脈の硬化度の低下をもたらす。いくつかの態様において、動脈の硬化度の低下は、対照群の対象の動脈の硬化度と比較して、2%以上、例えば少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、または少なくとも10%、15%、20%、25%、30%である。いくつかの態様において、対照群は、高い動脈の硬化度を有することが知られている個体の集団、例えば心血管疾患を有する個体の集団により代表される。当業者は、対照の対象の適切な構成を選択することができる。
【0043】
マイクロバイオームの多様性は、関連するバイオーム内に存在する遺伝的に異なる細菌種の数に依存する。本発明において、バイオームは、腸内マイクロバイオームであり、例えば、糞便において検出可能なものとしての腸内マイクロバイオームである。したがって、本発明で使用されるマイクロバイオームの多様性を増大させることは、糞便マイクロバイオーム遺伝子数により測定されるものとしての腸内の遺伝的に異なる細菌種の数を増大させることを意味することが意図される。例えば、いくつかの態様において、腸内の微生物多様性を増大させることは、腸内の遺伝的に異なる細菌種の数を、本発明の組成物による処置の前の個体の腸内の微生物多様性と比較して、少なくとも1%、または少なくとも2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、もしくは少なくとも40%増大させることを含む。
【0044】
いくつかの態様において、対象の糞便の微生物多様性は、低い微生物多様性を有することが知られている対象から得られた試料の集団において存在する微生物多様性と比較して、少なくとも1%、または少なくとも2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、または少なくとも40%増大する。
【0045】
いくつかの態様において、腸内の微生物多様性を増大させることは、対象の糞便試料中の遺伝子数を、本発明の組成物による処置の前に個体から採取された糞便試料中の遺伝子数と比較して、少なくとも1%、または少なくとも2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、もしくは少なくとも40%増大させることを含む。
【0046】
いくつかの態様において、腸内の微生物多様性を増大させることは、対象から得られた糞便試料中の微生物多様性が、健康な対象の集団の平均微生物多様性と同じであるか、または実質的に類似している(すなわち、統計的に適切な範囲内である、または)場合に達成される。
【0047】
いくつかの態様において、腸内の微生物多様性を増大させることは、対象の糞便試料中の遺伝子数を、低い微生物多様性を有することが知られている対象の集団から採取された糞便試料の集団中の遺伝子数と比較して、少なくとも1%、または少なくとも2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、もしくは少なくとも40%増加させることを含む。
【0048】
いくつかの態様において、腸内の微生物多様性の増大は、対象から得られた糞便試料中の遺伝子数が、健康な対象の集団の平均遺伝子数と同じであるか、または実質的に類似している(すなわち、統計的に適切な範囲内である、または)場合に達成される。
【0049】
いくつかの態様において、健康な対象の集団の平均遺伝子数は、約370,000または少なくとも370,000、約380,000または少なくとも380,000、400,000または少なくとも400,000、例えば少なくとも450,000、500,000、550,000または少なくとも600,000である。
【0050】
腸内マイクロバイオームに存在する細菌の型もまた、腸の健康において重要な役割を果たす。本発明では、Faecalibacterium prausnitzii 2、Lawsonibacter asaccharolyticusおよびIntestinimonas butyriciproducens、Faecalibacterium、Roseburia intestinalisおよび/またはEggerthella lentaのうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない有益な細菌のレベルを増大させることが、腸の健康および腸内菌共生バランス失調を改善することが見出されている。
【0051】
いかなる理論にも拘束されることなく、遺伝子数の増大および特定の有益な細菌の増加は、腸の状態に正の影響を与え得、特定の疾患を予測し得る特定の腸の状態のバイオマーカーとして用いることができる。例えば、Faecalibacterium prausnitziiは、クローン病(CD)および大腸がん(CRC)を健常な対象から識別するための良好なバイオマーカーであることが見出されている(Lopez-Siles et al, The ISME Journal, (2017), 11, 841-852)。
【0052】
本発明者らは、驚くべきことに、かつ予想外に、Faecalibacterium prausnitzii 8、Acutalibacteraceae 3、Firmicutes bacterium CAG 103および/またはBifidobacterium adolescentisのレベルを増大させることが、先に議論したように、本発明の組成物による処置に対して応答し得る前高血圧の対象を予測するために用いることができることを見出した。
【0053】
また、本発明者らにより、驚くべきことに、上記で定義されるとおりのアロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物により心血管疾患および/または腸内菌共生バランス失調を処置することは、哺乳動物の亜集団(すなわち、ヒト)においてより有益であることが見出された。
【0054】
本発明の組成物による治療に対して応答する可能性が最も高いことが判明した対象の集団は、より低い糞便マイクロバイオーム遺伝子数、ならびに、相対的に高い存在量のFaecalibacterium prausnitzii 8、Acutalibacteraceae 3、Firmicutes bacterium CAG 103および/またはBifidobacterium adolescentisを有するものであった。
【0055】
したがって、一態様において、本発明は、以下を提供する:
対象が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いか否かを決定するための方法であって、該方法は、以下を含む:
a)対象から得られた糞便の試料中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を決定すること;および/または
b)以下のうちの任意の1、2、3つ、またはすべての存在量を決定すること:
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3;
iii)対象から得られた糞便の試料中のファーミキューテス属の細菌CAG 103;および/または
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentis。
【0056】
いくつかの場合において、当業者が、特定の対象が、処置に対する応答者である可能性が高いか否かを決定することができるように、特定の微生物の遺伝子数および/もしくは存在量を、対照試料(単数もしくは複数)と、または標準化された値と比較することが必要であることは明らかであろう。
【0057】
したがって、いくつかの態様において、対象が処置に対して応答する可能性が高いか否かを決定するための方法は、以下をさらに含む:
a)対象から得られた糞便の試料中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数と比較すること;および/または
b)以下を比較すること:
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量と、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量と、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のAcutalibacteraceae 3の存在量;
iii)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量と、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量;および/または
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量と、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のBifidobacterium adolescentisの存在量。
【0058】
当業者は、適切な対照試料を選択することが十分に可能であり、かつ、当業者は、陽性および陰性の対照試料について精通しているであろう。対照試料に関する以下の議論は、例えば動脈の硬化度の文脈において、本明細書において開示される他の態様にも適用される。
【0059】
ある態様において、対照試料は、例えば単一の個体から採取された単一の対照試料である。他の好ましい例において、対照試料は、対照試料の集団から実際に採取される。当業者は、ある方法の統計的検定力は、関与する独立試料の数とともに増大することを理解するであろう。したがって、当業者は、適切な数の対照試料を選択して用いることができる。例えば、対照試料の集団は、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、500、または少なくとも1000の異なる対照試料から構成されていてもよい。
【0060】
当業者はまた、試験値と直接比較することができる単一の値、例えば平均値を得るために、対照試料の集団に対して採用することができる適切な統計的方法を知っているであろう。したがって、いくつかの態様において、対照試料(単数または複数)は、実際に、試料の集団から得られた関連するパラメータ(例えば、遺伝子数)の単一の平均値である。当業者は、次いで、試験値(例えば、試験遺伝子数)を、関連する対照集団からの平均遺伝子数と比較することができ、それにより、試験試料(例えば、遺伝子数)が対照値の統計的に有意な範囲内にあるか、またはこの範囲外であるかを決定することができる。
【0061】
当業者は、試験の値もしくは試料を、少なくとも陽性対照の値もしくは試料、または少なくとも陰性対照の値もしくは試料、または好ましくは陽性対照の値もしくは試料および陰性対照の値もしくは試料の両方と比較することが必要であることを理解するであろう。
【0062】
本発明者らは、驚くべきことに、遺伝子数が低く、および/または特定の微生物種の相対存在量がより高い対象が、本発明の組成物による処置に対して応答する可能性がより高いことを見出した。したがって、このシナリオにおいて、陽性の試料または試料の集団は、本発明の組成物による処置に対して応答することが知られている対象から採取された試料または試料のセットとなるであろう。例えば、陽性対照試料セットまたは平均値を生成する際に使用する陽性対照集団からの試料は、組成物の投与前に対象から採取された試料であることが重要である。
【0063】
同様に、陰性対照試料について、陰性の試料または試料の集団は、本発明の組成物による処置に対して応答しないことが知られている対象から採取された試料または試料のセットとなるであろう。上記のように、陰性対照試料セットまたは例えば平均値などの生成において使用されるべき陰性対照集団からの試料は、組成物の投与の前に対象から採取された試料であることが重要である。
【0064】
したがって、一態様において、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団は、陰性の対照試料または対照試料の集団であるか、または、例えば、対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値である。
【0065】
いくつかの態様において、陰性の対照試料または対照試料の集団は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答しないことが決定されている1つ以上の陰性対照の対象から採取された糞便試料であり、ここで、試料は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の対照の対象から採取された。
【0066】
いくつかの態様において、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団は、陽性の対照試料または対照試料の集団であるか、または、例えば、対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値である。
【0067】
いくつかの態様において、陽性の対照試料または対照試料の集団は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答することが示されている1つ以上の陽性対照の対象から採取された糞便試料であり、ここで、試料は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の対照の対象から採取されたものである。
【0068】
いくつかの態様において、対象から得られた試料の糞便マイクロバイオーム遺伝子数は、以下のものと比較される:
a)陰性の対照試料または対照試料の集団における糞便マイクロバイオーム遺伝子数、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値、例えばここで、陰性の対照試料または対照試料の集団が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答しないことが示されている1つ以上の陰性対照の対象から採取された糞便試料であり、ここで、試料が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の陰性対照の対象から採取されたものである;ならびに/あるいは
b)陽性の対照試料または対照試料の集団における糞便マイクロバイオーム遺伝子数、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値、例えばここで、陽性の対照試料または対照試料の集団が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答することが示されている1つ以上の陽性対照の対象から採取された糞便試料であり、ここで、試料が、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の陽性対照の対象から採取されたものである。
【0069】
いくつかの態様において:
a)対象から得られた試料の糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、陰性の対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と、実質的に類似しているか、またはそれよりも高い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられ、
例えばここで、対象から得られた試料の糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、陰性の対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数よりも少なくとも5%大きい、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%大きい、例えば少なくとも200%大きい場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられる;
および/または
b)試験試料中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、陽性対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と実質的に類似しているか、またはそれよりも低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられ、
例えばここで、対象から得られた試料の糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、陽性対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数よりも少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%低い、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられる。
【0070】
当業者は、特定の試験値が、陽性または陰性の対照の対象と有意に異なるか否かを決定することができ、特定の試験対象が、応答者からのものとして分類されるべきか、または非応答者からのものとして分類されるべきかを決定することができる。
【0071】
いくつかの態様において:
a)
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のAcutalibacteraceae 3の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される;
iii)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される;および/または
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のBifidobacterium adolescentisの存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される;
ここで、対照試料または対照試料の集団は、陰性の対照試料または対照試料の集団、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値であり、
ここで、陰性の対照試料または対照試料の集団は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答しないことが示されている1つ以上の陰性対照の対象から採取された糞便試料であり、ここで、試料は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の陽性対照の対象から採取されたものであり;ならびに/あるいは
b)
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のAcutalibacteraceae 3の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される;
iii)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される;および/または
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のBifidobacterium adolescentisの存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される;
ここで、対照試料または対照試料の集団は、陽性の対照試料または集団または対照試料であり、
ここで、陽性の対照試料または対照試料の集団は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答することが示されている1つ以上の陽性対照の対象から採取された糞便試料であり、ここで、試料は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置の前に、1つ以上の陽性対照の対象から採取されたものである。
【0072】
いくつかの態様において:
a)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と、実質的に類似しているか、またはそれよりも高い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値よりも、少なくとも5%大きい、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%大きい、例えば少なくとも200%大きい場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられる;
b)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のAcutalibacteraceae 3の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と、実質的に類似しているか、またはそれよりも高い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に反応する可能性が高いとみなされ、任意にここで、対象から得られた試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のAcutalibacteraceae 3の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値よりも、少なくとも少なくとも5%大きい、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%大きい、例えば少なくとも200%大きい場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられる;
c)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と実質的に類似しているか、またはそれよりも高い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値よりも、少なくとも5%大きい、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%大きい、例えば少なくとも200%大きい場合、対象はアロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられる;
および/または
d)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のBifidobacterium adolescentisの存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と、実質的に類似しているか、またはそれよりも高い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のBifidobacterium adolescentisの存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値よりも、少なくとも5%大きい、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%大きい、例えば少なくとも200%大きい場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられる;
e)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量が、陰性対照(単数または複数)中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と、実質的に類似しているか、またはそれよりも低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値より、少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%高い、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い場合、例えば少なくとも200%低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられる;
f)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のAcutalibacteraceae 3の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と、実質的に類似しているか、またはそれよりも低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に反応する可能性が低いとみなされ、任意にここで、対象から得られた試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のAcutalibacteraceae 3の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値よりも、少なくとも少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%低い、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられる;
g)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と、実質的に類似しているか、またはそれよりも低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値よりも、少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低い場合、対象はアロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられる;
および/または
h)対象から得られた糞便の試料中のビBifidobacterium adolescentisの存在量が、陰性対照試料(単数または複数)中のBifidobacterium adolescentisの存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と、実質的に類似しているか、またはそれよりも低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられ、任意にここで、対象から得られた試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量が、陽性対照試料(単数または複数)中のBifidobacterium adolescentisの存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値よりも、少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%大きい、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低い場合、対象は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物による処置に対して応答する可能性が低いと考えられる。
【0073】
いくつかの好ましい態様において、上記の微生物の各々の存在量が決定される。したがって、いくつかの態様において:
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のFaecalibacterium prausnitzii 8の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3の存在量は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のAcutalibacteraceae 3の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される;
iii)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103の存在量は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団におけるFirmicutes bacterium CAG 103の存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される;および
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量は、少なくとも第1の対照試料または対照試料の集団中のBifidobacterium adolescentisの存在量、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と比較される。
【0074】
Bifidobacterium adolescentisの存在量は、対象が処置に対して応答するか否かを示すことにおいて特に有用であると考えられる。したがって、一態様において、方法は、対象から得られた糞便試料中のBifidobacterium adolescentisの存在量を決定すること、およびそれを、以下:
1つ以上の陰性対照試料におけるBifidobacterium adolescentisの存在量、もしくは対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値;および/または
1つ以上の陽性対照試料におけるBifidobacterium adolescentisの存在量、もしくは対照試料の集団から得られた統計的に関連性のある値、例えば平均値
と比較することを含む。
【0075】
いくつかの態様において、対象が本発明の組成物による処置に対して応答する可能性が高いか否かを決定するための方法は、単純に、対象から得られた糞便の試料中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を決定することを含む。いくつかの態様において、糞便マイクロバイオーム遺伝子数が、400,000未満、任意に375,000未満、任意に350,000、300,000、275,000、250,000、225,000、200,000、175,000未満、または150,000未満である場合、対象は、本発明の組成物による処置に対して応答する可能性が高いと考えられる。
【0076】
本明細書において他の箇所に記載されているとおり、マイクロバイオーム遺伝子数を決定するための1つの方法は、ショットガンシーケンシングによるものである。したがって、本発明の任意の側面または態様のいくつかの態様において、糞便の試料中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数は、ショットガンシーケンシングによって決定される。
【0077】
同様に、本発明の任意の側面または態様のいくつかの態様において、以下:
i)対象から得られた糞便の試料中のFaecalibacterium prausnitzii 8;
ii)対象から得られた糞便の試料中のAcutalibacteraceae 3;
iii)対象から得られた糞便の試料中のFirmicutes bacterium CAG 103;および/または
iv)対象から得られた糞便の試料中のBifidobacterium adolescentis
の存在量を決定すること
は、ショットガンシーケンシングを用いて行われる。
【0078】
いくつかの態様において、本発明の組成物による処置に対して応答することとは、血圧の低下を示すことによって応答することを意味することが意図される。したがって、一態様において、処置に対する応答は、血圧の低下によって示される。
【0079】
例えば、本発明は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物が特定の対象の血圧を低下させる可能性が高いか否かを決定するための方法を提供し、ここで、該方法は、対象が本明細書に記載されるとおりの本発明の組成物による処置に対して応答する可能性が高いか否かを決定するための方法を含む。
【0080】
アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物が特定の対象の血圧を低下させる可能性が高いか否かを決定するための方法、および/または対象が組成物による処置に対して応答する可能性が高いか否かを決定するための方法のいくつかの態様において、対象は高血圧前症であり、例えば、対象は:
少なくとも120mmHg、任意に少なくとも130または少なくとも140mmHgの収縮期血圧;および/または120mmHg~130mmHg、または120mmHg~140mmHgの収縮期血圧、ならびに/あるいは
少なくとも80mmHg、任意に少なくとも90mmHgの拡張期血圧;および/または80mmHg~90mmHgの間の拡張期血圧
を有する。
【0081】
本発明はまた、したがって、対象における心血管疾患および/または腸内菌共生バランス失調を処置および/または予防することに置ける使用のための組成物を提供し、ここで、組成物は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含み、およびここで、対象は、本発明のいずれかの方法に従う組成物による処置に対して応答する可能性が高いものと決定されている。
【0082】
本発明はまた、対象において心血管疾患および/または腸内菌共生バランス失調を処置および/または予防するための方法を提供し、該方法は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の、それを必要とする対象への投与を含み、およびここで、対象は、本発明のいずれかの方法に従う組成物による処置に対して応答する可能性が高いものと決定されている。
【0083】
したがって、本発明はまた、対象において高血圧、高血圧前症を処置すること、および/または高血圧を軽減することにおける使用のための組成物を提供し、ここで、組成物は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含み、対象は、本発明のいずれかの方法による組成物による治療に反応する可能性が高いと判定されている。
【0084】
本発明はまた、対象において高血圧、高血圧前症および/または高血圧を軽減するための方法を提供し、ここで、方法は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み、対象は、本発明のいずれかの方法による組成物による治療に反応する可能性があると判定されている。
【0085】
本発明はまた、400,000未満、任意に375,000未満、任意に350,000、300,000、275,000、250,000、225,000、200,000、175,000未満、または150,000未満の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を有する哺乳動物(すなわち、ヒト)において腸内菌共生バランス失調を処置することにおける使用のための組成物を提供してもよく、ここで、組成物は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む。
【0086】
本発明はまた、400,000未満、任意に375,000未満、任意に350,000、300,000、275,000、250,000、225,000、200,000、175,000未満、または150,000未満の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を有する哺乳動物(すなわち、ヒト)において腸内菌共生バランス失調を処置するための方法を提供してもよく、ここで、方法は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の投与を含む。
【0087】
本発明はまた、陽性対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と類似するかまたはこれより低い糞便マイクロバイオーム遺伝子数を有する哺乳動物(すなわち、ヒト)において、腸内菌共生バランス失調を処置することにおける使用のための、医薬の製造の方法における、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の使用を提供してもよく、例えばここで、対象から得られた試料の糞便マイクロバイオーム遺伝子数は、陽性対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数よりも、少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%低い、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低い。
【0088】
本発明はまた、400,000未満、任意に375,000未満、任意にこれより少ない糞便マイクロバイオーム遺伝子数を有する哺乳動物(すなわち、ヒト)において腸内菌共生バランス失調を処置することにおける使用のための医薬の製造の方法において、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の使用を提供してもよい。
【0089】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、アロニア・メラノカルパの補充が、対象においてマイクロバイオームの多様性の増大、より具体的には
図9において示される細菌の増大をもたらすことを見出した。
【0090】
本発明はまた、陽性対照(単数または複数)中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と類似するか、またはこれより低い糞便マイクロバイオーム遺伝子数を有する対象において、糞便マイクロバイオーム遺伝子数によって測定されるものとしてのマイクロバイオーム多様性を増大させること、ならびに/あるいは、以下の細菌:Gemmiger、Lachnospiraceae G.Intestimonas butyriciproducens、Eggerthella lenta、Lawsonibacter、Faecalibacterium prausnitzii(1、9、2、6)、Oscillospirales(3、5)、Faecalibacterium、Roseburia intestinalis、Ruthenibacterium lactatiformans、Lachnoclostridium属の種/Clostridium sp.、Acutalibacteraceae 3、Clostridium sp.、Collinsella bouchesdurhonensis、Firmicutes bacterium CAG 103/Clostridium sp.、Dysomobacter welbionis、Ruminococcus sp.、Clostridiales bacterium、クロストリジウム科の細菌のうちの1つ以上のレベルを増大させることにおける使用のための組成物を提供してもよく、例えばここで、哺乳動物から得られた試料の糞便マイクロバイオーム遺伝子数は、陽性対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数よりも、少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%低い、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低く、ここで、組成物は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む。
【0091】
好ましい態様において、増加した細菌は、有益な細菌であるFaecalibacterium、Roseburia intestinalisおよび/またはEggerthella lentaから選択される。
【0092】
本発明はまた、400,000未満、任意に375,000未満、任意に350,000、300,000、275,000、250,000、225,000、200,000、175,000未満、または150,000未満の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を有する対象において、糞便マイクロバイオーム遺伝子数により測定されるものとしてのマイクロバイオーム多様性を増大させること、ならびに/あるいは、以下の細菌:Gemmiger、Lachnospiraceae G.Intestimonas butyriciproducens、Eggerthella lenta、Lawsonibacter、Faecalibacterium prausnitzii(1、9、2、6)、Oscillospirales(3、5)、Faecalibacterium、Roseburia intestinalis、Ruthenibacterium lactatiformans、Lachnoclostridium属の種/Clostridium sp.、Acutalibacteraceae 3、Clostridium sp.、Collinsella bouchesdurhonensis、Firmicutes bacterium CAG 103/Clostridium sp.、Dysomobacter welbionis、Ruminococcus sp.、Clostridiales bacterium、クロストリジウム科の細菌のうちの1つ以上のレベルを増大させることにおける使用のための組成物を提供してもよく、ここで、組成物は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む。好ましい態様において、増加した細菌は、有益な細菌であるFaecalibacterium、Roseburia intestinalisおよび/またはEggerthella lentaから選択される。
【0093】
本発明はまた、400,000未満、任意に375,000未満、任意に350,000、300,000、275,000、250,000、225,000、200,000、175,000未満、または150,000未満の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を有する哺乳動物(すなわち、ヒト)において、糞便マイクロバイオーム遺伝子数により測定されるものとしてのマイクロバイオーム多様性を増大させること、ならびに/あるいは、Faecalibacterium、Roseburia intestinalisおよび/もしくはEggerthella lentaなどの有益な細菌のレベルを増大させることにおける使用のための組成物を提供してもよく、ここで、組成物は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む。
【0094】
本発明はまた、400,000未満、任意に375,000未満、任意に350,000、300,000、275,000、250,000、225,000、200,000、175,000未満、または150,000未満の糞便マイクロバイオーム遺伝子数を有する哺乳動物(すなわち、ヒト)において、糞便マイクロバイオーム遺伝子数により測定されるものとしてのマイクロバイオームの多様性を増大させるための方法、ならびに/あるいは、Faecalibacterium、Roseburia intestinalisおよび/もしくは Eggerthella lentaなどの有益な細菌のレベルを増大させる方法を提供してもよく、ここで、方法は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の、それを必要とする対象への投与を含む。
【0095】
本発明はまた、陽性対照(単数または複数)中の糞便マイクロバイオーム遺伝子数、または対照試料の集団から得られた統計的に関連する値、例えば平均値と類似するか、またはこれより低い糞便マイクロバイオーム遺伝子数を有する哺乳動物(すなわち、ヒト)において、糞便マイクロバイオーム遺伝子数によって測定されるものとしてのマイクロバイオーム多様性を増大させるため、ならびに/あるいは、Faecalibacterium、Roseburia intestinalisおよび/またはEggerthella lentaなどの有益な細菌のレベルを増大させるための方法を提供してもよく、例えばここで、哺乳動物から得られた試料の糞便マイクロバイオーム遺伝子数は、陽性対照試料(単数または複数)の糞便マイクロバイオーム遺伝子数よりも、少なくとも5%低い、例えば少なくとも10%低い、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、少なくとも100%低い、例えば少なくとも200%低く、ここで、方法は、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の投与を含む。
【0096】
当業者により理解されるであろうとおり、本明細書において使用される場合、「~から得ることができる(obtainable from)」という用語は、抽出物は、植物から得られてもよく、または植物から単離されてもよく、または、例えば化学合成もしくは酵素による産生により、代替の供給源から得られてもよいことを意味する。一方、本明細書において使用される場合、「得られる(obtained)」という用語は、抽出物が植物供給源から直接的に得られることを意味する。
【0097】
アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物は、液体または固体の形態におけるものであってよい。典型的には、抽出物は固体、すなわち粉末の形態におけるものであってよい。
【0098】
本明細書における、アロニア・メラノカルパから得られるかまたはこれから得ることができる抽出物についての全ての言及は、典型的には、アロニア・メラノカルパの果汁から得られるかまたはこれから得ることができる抽出物を指す。果汁は、濃縮されていてもよい。
【0099】
いくつかの側面において、アロニア・メラノカルパの果汁(濃縮果汁)は、水のみを用いて抽出してもよい。この抽出物は、水抽出物として言及される場合がある。
他の側面において、アロニア・メラノカルパの果汁(濃縮果汁)は、エタノールなどのアルコールを用いて抽出してもよい。この抽出液は、エタノール抽出物などのアルコール抽出物として言及される場合がある。
【0100】
好ましい側面において、アロニア・メラノカルパ果汁(濃縮果汁)は、アルコールと水、例えばエタノールと水との混合物を用いて抽出してもよい。この抽出物は、水エタノール抽出物など、水アルコール抽出物として言及される場合がある。
【0101】
他の側面において、アロニア・メラノカルパ果汁(濃縮果汁)は、アセトンなどの、アルコールではない有機溶媒を用いて抽出してもよい。この抽出物は、有機抽出物またはアセトン抽出物として称される場合がある。
【0102】
加えて、アロニア・メラノカルパ濃縮果汁(または前述の抽出物のいずれか)のポリフェノールは、例えばポリフェノール吸収カラム、または高純度のポリフェノールを提供する当該分野において公知の任意の他の技術を用いて、ポリフェノールが濃縮された抽出物を得るために、さらに精製されてもよい。
【0103】
典型的には、標的のポリフェノールは、残りの固体をカラムに通過させる樹脂により、吸収される。次いで、水およびエタノールを用いて、溶出液を得、これを次いで濃縮して、ネイティブな抽出物を得る。
【0104】
典型的には、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得られた抽出物は、抽出物の10重量%以上(カテキンに基づく)、例えば20重量%以上、30重量%以上、例えば40重量%以上の総ポリフェノールを含む。好ましい態様において、総ポリフェノール(カテキンに基づく)は、40%以上である。
【0105】
アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物は、抽出物からなるものであっても、もしくは本質的に抽出物かなるものであってもよく、または抽出物を非毒性の薬学的に許容し得る賦形剤(または成分)と組み合わせて含んでもよい。これらの賦形剤(または成分)は、例えば、以下であってもよい:不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、マルトデキストリンもしくはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンもしくまたはアラビアゴム;または平滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクおよびそれらの混合物。好ましい態様において、生成物は、担体を有さない。
【0106】
疑義の回避のために、本発明の所与の側面について示される優先度、選択肢、具体的な特色および類似のものは、文脈が別段に示さない限り、本発明の同じまたは他の側面、特色およびパラメータについて示されるとおりの、任意の、または全ての他の、優先度、選択肢、具体的な特色および類似のものとの組み合わせにおいて開示されているものとしてみなされるべきである。
【0107】
本発明者らが、「~から本質的になる(consisting essentially of)」または「から本質的になる(consists essentially of)」という用語を用いる場合、本発明者らは、記載されている組成物または抽出物または果汁は、列記される成分(単数または複数)を含まなければならず、かつまた、少量(例えば2重量%まで、または1重量%まで、または0.1重量%まで、または0.01重量%まで)の他の成分を含んでもよいが、ただし、任意の追加の成分は、組成物または抽出物の本質的な特性に影響を及ぼさないことを意味する。本発明者らが「~からなる(consisting of)」という用語を用いる場合、本発明者らは、記載されている組成物は、列記される成分(単数または複数)のみを含まなければならないことを意味する。これらの用語は、類似の様式において、プロセス、方法および使用に適用することができる。
【0108】
アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物は、ポリフェノールを含有する(contain)/含む(comprises)。
【0109】
典型的には、アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物において、総ポリフェノール(カテキンに基づく)は、組成物の10重量%以上、例えば20重量%以上、30重量%以上、例えば40重量%以上である。好ましい態様において、総ポリフェノール(カテキンに基づく)は、40%以上である。
【0110】
本発明の使用のための組成物および方法のいずれかにおいて、心血管疾患および/または腸内菌共生バランス失調を処置するための組成物の投与量は、組成物の重量により約100~約1000mg/日、例えば組成物の重量により約400~約600mg/日または約500mg/日であってよい。
【0111】
いくつかの態様において、心血管疾患および/または腸内菌共生バランス失調を処置するための投与量は、以下のとおりである:
a)組成物の重量により、約100~約1000mg/日、任意に100~1000mg/日、または200~800mg/日、または400~600mg/日;
b)組成物の重量により、1000mg/日以下、任意に900mg/日以下、800mg/日、700mg/日、600mg/日、500mg/日、400mg/日、300mg/日、200mg/日以下、または100mg/日以下;および/または
c)100mg/日以上、または任意に200mg/日以上、300mg/日、400mg/日、500mg/日、600mg/日、700mg/日、800mg/日以、900mg/日以上、または1000mg/日以上。
【0112】
組成物の投与量は、典型的には、組成物の重量により、約100mg/日~約500mg/日のポリフェノール、例えば約200mg/日を提供し得る。
【0113】
いくつかの態様において、心血管疾患および/または腸内菌共生バランス失調を処置するための投与量は、以下を提供する:
a)組成物の重量により約100mg/日~約500mg/日のポリフェノール、任意に約200mg/日~約400mg/日、任意に、組成物の重量により約300mg/日のポリフェノール;
b)組成物の重量により500mg/日以下のポリフェノール、任意に400mg/日以下、300mg/日、200mg/日、または組成物の重量により100mg/日以下のポリフェノール;および/または
c)組成物の重量により100mg/日以上、任意に200mg/日以上、300mg/日、400mg/日、または500mg/日以上のポリフェノール。
【0114】
組成物は、1日1回服用してもよく、または、必要とされる投与量に依存して、1日に1回より多く服用してもよい。
典型的には、組成物は、少なくとも1週間、例えば少なくとも6週間または少なくとも12週間にわたり服用してもよい。
【0115】
上で定義される方法において、糞便マイクロバイオーム遺伝子数を決定することは、糞便試料に対してショットガン試験を実施することを含んでもよい。
典型的には、上で定義した方法において、方法は、遺伝子数が400,000以下である場合に、対象を、処置に対して応答する可能性が高いものとして同定することを含む。
【0116】
本発明の使用のための組成物および方法において、上で定義されるとおりの心血管疾患および/または腸内菌共生バランス失調を処置することは、好ましくは、哺乳動物(すなわち、ヒト)におけるものであってもよい。
本明細書および特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに別段に示さない限り、複数形の参照を含む。例えば、「微生物(a microbe)」は複数の微生物を含むことができる。
【0117】
「マイクロバイオーム」、「微生物叢」、「微生物生息域(microbial habitat)」という用語は、本明細書において互換的に用いることができ、対象の体表または体内に生息する微生物の生態学的コミュニティを指し得る。本発明では、マイクロバイオームは、特に胃腸管において見出されるものに関連していてもよい。
【0118】
「処置」および「処置する」という用語は、本明細書において用いられる場合、治療的利益および/または予防的利益を含むがこれらに限定されない、有益なまたは所望される結果を得るためのアプローチを指す。治療的利益とは、処置中の1つ以上の疾患、状態または症状に対する、治療上適切な改善または効果を意味する。予防的利益のために、疾患、状態もしくは症状がまだ顕在化していない可能性があっても、組成物は、特定の疾患、状態もしくは症状を発症する危険性のある対象に、または、疾患の1つ以上の生理学的症状を報告する対象に、投与することができる。
【0119】
本明細書において用いられる場合、「投与する」、「投与すること」、「投与」、およびそれらの派生語は、生物学的作用が所望される部位への剤または組成物の送達を可能にするために用いてもよい方法を指す。これらの方法は、非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内、髄腔内、鼻腔内、硝子体内、注入および局所(local)注射)、経粘膜注射、経口投与、座薬としての投与、ならびに局所(topical)投与を含むが、これらに限定されない。本発明において、好ましい投与の経路は経口投与であってもよい。
【0120】
「有効量」または「治療的に有効な量」という用語は、組成物、例えば本開示の微生物を含む組成物の量であって、それを必要とする対象への投与により所望される活性をもたらすために十分であるものを指す。本開示の文脈内において、「治療的に有効な」という用語は、本開示の方法により処置される障害の発現を遅延させ、その進行を停止させ、その少なくとも1つの症状を緩和(relieve)または軽減(alleviate)するために十分である組成物の量を指す。
図
【図面の簡単な説明】
【0121】
【
図1】臨床試験の研究デザイン。ABPM:自由運動下(ambulatory)血圧測定;FMD:流量依存性拡張;IPAQ:国際標準化身体活動質問票。
【0122】
【
図2】12週間の介入の後の腸内マイクロバイオーム遺伝子数のベースラインからの変化を示すボックスプロット。有意性は、アロニア群・対・対照群における、ベースライン時と比較した第12週における変動について、独立Wilcoxon順位和検定を適用することにより検定した。P値は、対照からの変化を表す。
【0123】
【
図3】ベースラインからの変化の後で、アロニア群と対照群との間で有意に異なる種の棒グラフ。棒グラフは、Cliff deltaの効果量(絶対値>0.2)を示し、より高い色の強度は、より大きなCliff deltaの値を表す。
【0124】
【
図4】12週間の摂取の後の、24時間および覚醒時のSBPbrおよび24時間および覚醒時のDBPbrの変化について、アロニア応答者(R)群、非応答者(NR)群、および対照(C)群の間の統計的差異を示すボックスプロット。各々の比較について、有意性は、Kruskal Wallis検定をBonferroni調整と共に適用することにより、検定した。SBPbr:上腕収縮期血圧、DBPbr:上腕拡張期血圧。
【0125】
【
図5】ベースラインにおける腸内マイクロバイオーム遺伝子数について、アロニア応答者(R)群、非応答者(NR)群、対照(C)群の間の統計的差異を示すボックスプロット。有意性は、Kruskal Wallis検定およびBonferroni調整の後にDunn post-hoc検定を適用することにより検定した。
【0126】
【
図6-1】ベースラインにおけるアロニア応答者(R)、非応答者(NR)、対照(C)において、有意に濃縮された細菌分類群を示す楔形プロット。各々の比較において、上を向いた三角形は、初めに言及された群(aおよびbについてはNR、cについてはR)において種が濃縮されていることを示す。符号付きの効果量は、マーカーの方向を通して示され、色、色相およびサイズは、絶対的効果量を表す。実線の枠線(border)は有意性を示す。示されていないマーカーは、統計的分析において差を有しなかった。
【
図6-2】ベースラインにおけるアロニア応答者(R)、非応答者(NR)、対照(C)において、有意に濃縮された細菌分類群を示す楔形プロット。各々の比較において、上を向いた三角形は、初めに言及された群(aおよびbについてはNR、cについてはR)において種が濃縮されていることを示す。符号付きの効果量は、マーカーの方向を通して示され、色、色相およびサイズは、絶対的効果量を表す。実線の枠線(border)は有意性を示す。示されていないマーカーは、統計的分析において差を有しなかった。
【0127】
【
図7】B. adolescentisのベースラインレベルと24時間DBPの慢性的変化との間のSpearman相関プロット(アロニア:三角形、対照:丸)。右側は、24時間DBPのデルタ変化を報告するボックスプロットである。上部は、B. adolescentisのベースラインレベルのlog10についてのボックスプロットである。
【0128】
【
図8】アロニア応答者(R)群、非応答者(NR)群、対照(C)群における12週間の介入後の腸内マイクロバイオーム遺伝子数のベースラインからの変化を示すボックスプロット。各々の比較についての有意性は、Kruskal Wallis検定とBonferroni調整の後でDunn post-hoc検定を適用することにより試験した。
【0129】
【
図9】12週間の介入後、RとNRとの間で有意に異なる種。棒グラフは、有意に、かつ関連性をもって対比された(Cliff deltaの絶対値が0.3より高い)、全ての種のCliff delta値(効果量の指標)示す。より高い色の強度は、より大きなCliff deltaの絶対値を表す。
【発明を実施するための形態】
【0130】
本発明は、以下の非限定的な例を参照して、さらに記載されるであろう:
例
【0131】
例1-アロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物の調製。
凍結されたアロニア・メラノカルパ濃縮果汁を水で希釈し、ポリフェノールを吸収する樹脂カラムに適用する。標的のポリフェノールは、残りの固体をカラムに通過させる樹脂により吸収される。次いで、水およびエタノールを用いて、溶出液を得、これを次いで濃縮して、ネイティブな抽出物を得る。抽出物のポリフェノールの濃度は、約40%である。
【0132】
ネイティブな抽出物は、次いで噴霧乾燥され、マルトデキストリンと組み合わされる。乾燥した抽出物は、次いで、ふるいにかけられ、パッケージ化される。
【0133】
例2-アロニア・メラノカルパ抽出物の心血管代謝の健康に対する効果についての調査
2群間の二重盲検の並行した無作為化された比較試験を行った。120~140mmHgの収縮期血圧、および/または80~90mmHgの拡張期血圧を有する参加者は、以下のように定義された4回の研究訪問に参加した:プレ訪問(pre-visit)1、訪問(visit)1、プレ訪問2、訪問2。研究デザインの要旨は、
図1において見出すことができる。
【0134】
研究方法
プレ訪問は、訪問1および2の24時間前に行われた。プレ訪問の間、参加者は、24時間にわたり彼らの尿を採取するためのボトルを渡され、24時間自由運動下BPモニター(ABPM)を利き腕でない方の腕に装着され、最初の測定が行われた。
【0135】
患者はまた、訪問前に7日間の食事日誌を完成させ、各々の訪問の1時間前にはカフェイン、アルコール、激しい運動およびタバコを避け、訪問1および2の前には12時間にわたり絶食するよう求められた。
【0136】
末梢の診察室BP、FMD、PWV、AIxの測定、ならびに血液試料は、すべてベースライン(0時間)において採取され、次いで、介入製品(interventional product)急性摂取の2時間後、訪問1および2において、再び採取された。糞便試料は、訪問1および2の両方の間に回収され、直ちに-80℃で貯蔵された。
【0137】
参加者は、1カプセルのアロニア・メラノカルパから得られるかまたは得ることができる抽出物を含む組成物(500mg)またはプラセボを、毎朝、グラスの水と共に、理想的には食事と共に、摂取するように指示された。第1のカプセルは、訪問1における1回目の測定の後で送達され、これは、12週間の摂取の開始を表す。最後のカプセルもまた、最終日(訪問2)において研究ユニット内で、第1のセットの欠陥測定の後で摂取された。
【0138】
対象は、12週間を通して1か月ごとにEメールを介して追跡調査され、良好なコンプライアンスを確認し、任意の潜在的な有害事象を記録した。
本研究の一次アウトカムは、摂取の第12週間後における自由運動下24時間SBPおよびDBPに対する、アロニアベリー抽出物(アロニア)・対・プラセボ(対照)の効果であった。
【0139】
二次エンドポイントは、12週間の毎日の摂取の後の、プラセボと比較した、抽出物の、診察室BP、診察室および24時間の心拍数、動脈の硬化度(PWVおよびAIxとして測定されるもの)、血中脂質(総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド)、血中コルチゾールレベルに対する、効果、ならびにアロニアベリー抽出物の安全性および耐容性を含んだ。
【0140】
第2の目的はまた、アロニア抽出物・対・プラセボの、摂取の2時間および12週間後における、FMDおよび血流速度に対する効果の調査を含んだ。
【0141】
三次アウトカムは、アロニアのPP代謝物を評価するためにすべてのタイムポイントにおいて採取された血液試料の分析、PP代謝物の排出を調査するための24時間尿試料の分析、ならびにアロニアベリー抽出物またはプラセボ摂取の12週間後の糞便試料の腸内マイクロバイオームの分析を含んだ。
【0142】
治験は、ヘルシンキ宣言の現行バージョンにおいて規定される指針に従って実施された。すべての手順は、King's College Londonの倫理委員会により承認され(RESCM-17/18-5283)、治験は、ClinicalTrials.govにおいて参照番号NCT03434574下において登録された。
【0143】
24時間の自由運動下末梢(上腕)および中心(大動脈)BP、ならびに心拍数(HR)は、Arteriograph24(商標)(TensioMed、ブダペスト、ハンガリー)を用いて測定した(
図2.1)。24時間のSBP、DBP、HRは、カフの装着およびデータの回収を分けて、24時間にわたり30分ごとに測定された。
【0144】
仰臥位での診察室末梢(上腕)BPおよび心拍数は、米国心臓協会の推奨に従い、右腕上部で、仰臥位において、静かな部屋において、腕を心臓のレベルに置いて、脚は組まずに支持し、背中を支持し、膀胱を空にした状態で、10分後に、自動臨床用デジタル血圧計OMRON M3(OMRON Healthcare UK Ltd, Milton Keynes, UK)を用いて測定された(Muntner et al. 2019)。
【0145】
24時間PWVとAIxは、Arteriograph24(商標)を用いて、プレ訪問および訪問を分けて、24時間にわたり30分ごとに測定された。参加者は、24時間活動記録に記入し、1日の活動量を示し、覚醒および睡眠の期間を評価するよう求められた。
【0146】
志願者らは、この測定の間、横になって黙っているように指示された。PWV(単位:m/s)は、SphygmoCor(登録商標)(Smart Medical社、英国グロスターシャー州)を用いた圧平眼圧測定を介して評価された。簡単に述べると、PWVは、心臓から大腿動脈までの脈拍の通過時間と、心臓から頸動脈までの脈拍の通過時間との鎖から導かれる。このデバイスのセンサーは、両方の動脈における脈波の間のタイムラプスを捕捉し、それにより、頸動脈から心臓までの距離および心臓から大腿動脈までの距離をあらかじめ巻尺で測定しておくことにより、波速度を決定することができる。標準偏差が8%未満の結果を、分析に含めた。
【0147】
上行圧波形は大動脈レベルにおいて発生し、血管構造および一般的な末梢抵抗に依存する反射波を伴う。この後者が身体末梢において低下するにつれて、大動脈から手首にかけての圧力が減少する。よって、波形は、大動脈レベルにおいて測定した場合、手首と比較して、異なる形状を有する。AIxは、大動脈レベルにおける中心脈圧と反射脈圧(オーグメンテーション圧(augmentation pressure)と称される)の比として測定される。AIxは、ある個人の血管系の動脈の硬化度の状態の関連指標である。
【0148】
糞便試料は、各々の研究訪問になるべく近い時点で、OMNIgene GUT自己採取チューブ(DNA Genotek Inc., Ottawa, Canada)中に採取され、-80℃で、さらなる分析まで貯蔵された。参加者は、採取日を記録するように求められた。
【0149】
マイクロバイオームショットガンメタゲノミクス分析は、CosmosID, Inc.(米国メリーランド州ロックビル)により行われた。簡単に述べると、抽出したDNA試料を、Qubit 4蛍光光度計およびQubit(商標)dsDNA HSアッセイキット(Thermofisher Scientific)を用いて定量した。次いで、Nextera XT DNAライブラリー 調製キット(Illumina)およびNexteraインデックスキット(Illumina)を用いて、製造者のプロトコルに従って、わずかな修正と共に、DNAライブラリーを調製した。標準プロトコルは、1ngの全DNAインプットにのために用いられた。ゲノムDNAはの、比例量のIllumina Nextera XT断片化酵素を用いて、断片化した。コンビナトリアルデュアルインデックスを各々試料に追加し、その後、12サイクルのPCRを行って、ライブラリーを構築した。DNAライブラリーは、AMpure磁気ビーズ(Beckman Coulter)を用いて精製し、QIAGEN EBバッファー中に溶出させ、Qubit 4蛍光光度計とQubit(登録商標)dsDNA HSアッセイキットを用いて定量した。DNAライブラリーは、Illumina HiSeqX上でのシーケンシングのために、最終的にまとめてプールされた。メタゲノミクス試料からの元の(raw)読み値は、CosmosIDメタゲノミクスソフトウェア(CosmosID Inc., Rockville, MD)により分析されて、別の場所において記載されるとおり(Ponnusamy et al., 2016; Hasan et al., 2014; Ottesen et al., 2016)、標本中の株レベルの微生物の同定を明らかにした。要するに、このシステムは、高性能のデータマイニングk-merアルゴリズム、および高度に精選(curate)されたダイナミックコンパレータデータベースを利用し、これは、数百万の短い読み値の曖昧さを迅速に解消して、特定の配列を生じる個別のゲノムまたは遺伝子に分ける。この読み値のクエリーにより、高感度でありながら高度に正確な、微生物の読み値の検出および分類学的な分類が可能になる。その結果得られる統計を分析して、細かい分類学的な、および相対的な、微生物データセットの存在量の推定値を返した。
【0150】
次いで、INRAe-Metagenopolis(フランス、パリ)の協力により、腸内マイクロバイオームのバイオインフォマティクス分析および統計的モデリングを行った。メタゲノミクスメタゲノム種パンゲノム(Metagenomic Species Pangenome:MSP)とは、全菌株に存在する遺伝子(「コア遺伝子」)、およびそれらのうちの一部のみにおいて存在する遺伝子(「アクセサリー遺伝子」)から構成される遺伝子のレパートリーのことである(Medini, D., et al., 2005, Current opinion in genetics & development, 15(6), pp.589-594.)。Plaza Onateら(nはチルダ付きのn)により開発されたクラスタリングツールであるMSPminer(Plaza Onate, F., et al., 2019, Bioinformatics, 35(9), PP.1544-1552)は、1267の糞便試料から単離された1040万の遺伝子を含む、入手可能な最大のヒト腸内細菌叢の遺伝子存在量表に基づいて、共通して多く存在する(co-abundant)遺伝子をMSPにグループ分けすることができる。MSP存在量プロファイルは、各々のMSPクラスターの強力な基礎として定義された100のマーカー遺伝子の平均存在量として計算された。
【0151】
複数のオミック(omic)のデータの関連付けは、並列および垂直の統合スキームを通して行われた。変数の選択は、単一のオミックのレベルごとにおいて行われ、より正確には、各々のオミックのデータセットについて、単変量統計的分析(Wilcoxon検定)が行われ、目的の所与の表現型(アロニア対対照)の間での個々の分子レベルの差異を調べた。並列統合は、各々の型のオミックの測定を同等に扱い、統合は、全ての単一ごとに有意に異なる特色を収集して相関させることにより、ジョイントモデルにおいて同時に同定されている。血漿および尿の代謝物の濃度、臨床アウトカム、ならびに腸の機能、ならびに微生物種の間の、Spearman相関を算出した。
【0152】
研究結果
合計323人の志願者がユニットに訪問し、研究に参加するためにスクリーニングされ、その中から221人が除外され、102人(47人の男性、55人の女性)が登録され、無作為に、治療の意図(intention-to-treat:ITT)集団を構成するための2つの介入群のうちの一方に割り当てられた。2人の参加者が個人的な理由のために介入を中止し、3人が追跡調査ができなくなり、これらは合計で5%のドロップアウトを占めている。97人の参加者は、すべての訪問を完了し、よって、分析において含まれた。これらの5人のドロップアウトとともに、5人の参加者は、低コンプライアンス(<80%、n=1)、大動脈弁狭窄症の既往歴(n=1)、スクリーニング訪問時における高いアルコール消費量を伴う、訪問2におけるGGT、 ALTおよびTGの増大(n=1)、甲状腺の欠乏症に関連するコレステロールレベルの異常な上昇(n=1)、ならびに訪問2におけるインフルエンザの疑い(n=1)に起因して、パープロトコール(PP)集団から除外された。
【0153】
すべての臨床結果は、ITT集団において提示される。すべてのマイクロバイオーム分析は、PP集団に対して行われた。さらに、いくつかの糞便試料は、3か月以内の抗生物質の摂取(n=4)、糞便試料の欠落(n=2)、および階層的クラスタリングに基づく品質チェックを合格できなかったこと(n=1)に起因して、分析されなかった。すべてのマイクロバイオーム分析について考慮された残りの集団は、85人(アロニア、n=42、対照、n=43)からなる。
【0154】
対照群とアロニア群との間で、睡眠時の心拍数がアロニア群においてより高かったことを除いて(p=0.031)、ベースラインにおける統計的有意差は見出されなかった。
【0155】
ベースライン(試験の開始の1週間前)において参加者により完成された7日間の食事日誌の分析は、ビタミンB3(p=0.047)が対照群においてより高かった(36.2mg対40.8mg)ことを除いては、アロニア群および対照群における参加者の食事の間でベースラインにおける微量栄養素、主要栄養素、およびPPに関して、有意差を示さなかった。
【0156】
24時間、覚醒時、睡眠時のPWV、中枢AIx(AIxao)、末梢AIx(AIxbr)は、Arteriograph24(商標)を用いて、訪問1および2の前に測定した。12週間にわたるアロニア抽出物摂取は、対照と比較して、24時間および覚醒時の末梢および中枢AIxの有意な低下をもたらした(Δ24時間AIxbr=-6.8%、p=0.003;Δ24時間AIxao=-3.3%、p=0.006、Δ覚醒時AIxbr=-6.1%、p=0.020;Δ覚醒時AIxao=-2.9%、p=0.034)。アロニアの減少についての有意でない傾向はまた、睡眠時AIxaoおよびAIxbrについても観察された。また、アロニアにおいて、対照と比較して、覚醒時PWVの有意な減少が観察された(ΔPWV=-0.24m/s、p<0.05)。同様の結果は、BACO分析についても見出された。結果は、表1において示される。
【0157】
【0158】
値は、平均値±SDとして表される。AIx、オーグメンテーション・インデックス;ao、大動脈;br、上腕;CFB、ベースラインからの変化;CFC、対照からの変化;PWV、脈波伝播速度。*ベースラインと12週との間のp<0.05における有意差。
【0159】
表1-BAB分析の後の、ITT集団および各々の介入群における、12週間の摂取後のアロニアベリー抽出物の、24時間、覚醒時および睡眠時の中枢PWV、ならびに末梢および中枢AIxに対する効果。
【0160】
考察
本研究の新規の知見は、12週間のアロニアの摂取の後での、プラセボと比較した、24時間および覚醒時のAIxao(それぞれ、6.8および6.1%)、ならびに24時間および覚醒時のAIxbr(それぞれ、3.3および2.9%)の観察された有意差、ならびに、0.24m/sの覚醒時PWVの減少である。PWVおよびAIxは、動脈の構造および機能の両方を評価する、動脈の硬化度の評価のための至適基準技術である。いずれの技術も、CVDと強力に相関することが知られている。
【0161】
例4-アロニア・メラオカルパ抽出物の腸内細菌叢への影響についての調査
本調査の目的は、アロニアの摂取の、腸内マイクロバイオームの存在量および組成に対する影響を調べること、ならびに、腸内マイクロバイオーム、アロニアポリフェノール代謝物および血管のアウトカムとの間の関連を調査することである。
【0162】
糞便試料は、ベースラインにおいて、および12週間の毎日のアロニア抽出物またはプラセボの摂取の後に採取し、直ちに-80℃で貯蔵した。糞便試料の採取および処理に関する詳細な情報は、例2において見出すことができる。
【0163】
試料の豊かさは、遺伝子およびMSPのレベルにおいて評価された。アロニア群と対照群との間で、ベースラインからの変化を考慮した場合、遺伝子数について有意差が見出された(p=0.021)(
図2)。
【0164】
これらの結果は、アロニア抽出物の12週間にわたる摂取は、遺伝子数の増大をもたらすことを示し、このことは、アロニア摂取後の腸内細菌叢の豊かさの好ましい増大を示唆している。
【0165】
12週間の毎日のアロニア抽出物またはプラセボの摂取の後での、2つの処置群の間での種における差異を表すために、細菌の存在量および組成の同様の分析を、ベースラインからの変化について行った(
図4)。アロニア群および対照群において、それぞれ合計18種および4種が、有意により豊富に存在した。その中で、Intestinimonas butyriciproducensが、12週間の介入後、アロニア群において対照群と比較して最も豊富な細菌であった。アロニア群において有意により豊富であった他の細菌は、以下であった:Clostridiales bacterium、Oscillibacter sp.、Firmicutes bacterium CAG 103、Lawsonibacter asaccharolyticus、Oscillospirales 5、Clostridium sp.、Butyricimonas faecihominis、Turicibacter sanguinis、Bacteroides dorei、Oscillospiraceae、Bacteroides xylanisolvens、Ruminococcus sp./Blautia sp.、Dialister invisus、Flavonifractor sp./Clostridium sp.、Faecalibacterium prausnitzii 2、Christensenellales、およびBlautia A.。
【0166】
腸内マイクロバイオームに対する、処置の有益な効果、およびいくつかの機能的に関連する経路に対するその影響(|cliff delta|>0.2)を調べた(表2)。13の経路が、アロニア群と関係があり、これに関連しているものとして同定され、これは、統計的に有意な7つを含む。この中には、細胞内pHを低下させるためにラクトバチルス属などの細菌により産生される神経伝達物質である、γ-アミノ酪酸(GABA)の産生;いずれもSCFA酢酸の形成に関与する、ヒスチジン分解、およびピルビン酸からフェレドキシンへの還元;酸化ストレス応答に関与する抗酸化酵素である酪酸スーパーオキシドジスムターゼの産生をもたらす経路に関連する、γ-ヒドロキシ酪酸分解;Bacteroides fragilisにおいて見出される莢膜の炭水化物であり、抗炎症特性を提示する、多糖A、ならびにSCFAであるプロピオン酸の産生に関与する経路がある。3つの経路は、対照群と関連しており、これは、統計的に有意な2つを含む。
【0167】
【表2】
表2-ベースラインからの変化を考慮した場合の、アロニア群および対照群に関連する機能的経路。
【0168】
考察
宿主の健康が、腸内マイクロバイオームの組成により影響を受けること、ならびに微生物叢により媒介されるアウトカムに対する食事の役割は、よく確立されている。よって、腸内微生物生態系の遺伝子の豊かさの低下は、疾患に関連する(Le Chatelier, et al., Nature, 500(7464), pp. 541-546)、ならびに、高血圧前症および高血圧の状態に関連する腸内腸内菌共生バランス失調の状態において、ラットおよびヒトの両方の研究において(Li et al., 2017)、既に報告されている。本発明者らの分析は、アロニア群における、対照群と比較した遺伝子数のレベルの増大として観察されるものとしての、アロニア抽出物の摂取により腸内マイクロバイオームの組成に対して発揮される、有益な影響を示し、この影響は、おそらく、観察された動脈のアウトカムにおける正の改善に寄与している。
【0169】
さらに、12週間のサプリメント摂取後、アロニア群において、対照群と比較して、いくつかの有益な種が富化されることが見出された。注目すべきことに、Faecalibacterium prausnitzii(Miquel, S., et al., Gut microbes, 5(2), pp.146-151)、Lawsonibacter asaccharolyticus(Sakamoto, M., et al., International journal of systematic and evolutionary microbiology, 68(6), pp.2074-2081.)などの酪酸産生菌の分類の種、および健康な腸のレイアウトと関連するIntestinimonas butyriciproducens微生物と共に、キシレン分解細菌であるB. xylanisolvensのレベルの増大が報告された。食物繊維としてのキシランは、ヒトの腸内細菌叢によって発酵され、短鎖脂肪酸の産生をもたらす。首尾一貫して、これらの観察は、心血管代謝の健康および高血圧において重要な役割を果たすことが示されている食事に関連する腸微生物の代謝物であるプロピオン酸の産生をもたらす、潜在的に機能的なモジュールの増大により、実証された(Muralitharan, R.R. et al., Journal of human hypertension, 35(2), pp.162-169)。
【0170】
例5-「応答者」部分集団の同定
研究集団の間で、アロニアの摂取に対する血管の応答における高いばらつきが見出された。本発明者らは、応答におけるこの個人間のばらつきは、ベースラインにおける腸内マイクロバイオームの違いに関係している可能性があるという仮説を立てた。応答者(R)・対・非応答者(NR)は、アロニア群(n=42)からの参加者の中から、教師なしクラスタリングk平均法に基づいて分類された。
【0171】
以下の変数を、関連する臨床パラメータとして、モデルに含めた:自由運動下血圧(BP)(一次アウトカム)、診察室SBP、自由運動下AIxおよびPWV、FMDおよびコルチゾールレベル。すべての臨床パラメータは、RCTの一次および二次アウトカムであり、自由運動下血圧(BP)(一次アウトカム)、診察室SBP、自由運動下AIxおよびPWV、FMD、コルチゾールレベルを含んだ(表3)。各々のパラメーターについてのカットオフの決定は、臨床的関連性、本発明者らの研究における効果の全体的な大きさおよび応答の範囲、ならびに十分に大きさな群について統計的解析を行う能力に基づいて行われた(表3)。
【0172】
【表3】
ao、大動脈;br、上腕;BP、血圧;CVD、心血管疾患;DBP、拡張期BP;FMD、流量依存性拡張;PWV、脈波伝播速度;SBP、収縮BP
表3:クラスター分析において含まれるパラメータの要旨、およびそのカットオフ限界の詳細。
【0173】
最良のクラスター数(k=2)は、所与の変数の変化を含む行列上でNbClust()関数(NbClust Rパッケージ)を用いて定義された。この分析は、観察の堅牢性を確保するために200回繰り返され、42人の志願者のうち37人が、2つのクラスターにおいて含まれた。他の5人の参加者は、繰り返しの間にあるクラスターから別のクラスターへと揺れ動いたため、「ジャンピング対象(jumping subject)」に分類された。
【0174】
アロニアクラスター1は、23人の志願者からなり、アロニアクラスター2は、14人の志願者からなった。
【0175】
新たに定義されたサブコホートにおけるアロニア処置の影響を評価するため、2つのクラスター間の臨床パラメータの差異が調査された。アロニアクラスター1は、一次アウトカムである24時間SBPbrが、アロニアクラスター2および対照群と比較して、それぞれ、-6.6mmHgおよび-3.6mmHgの有意な低下を有した(p<0.01)。同様の観察が、24時間DBPbrに関しても見出された(クラスター1において、クラスター2および対照と比較して、それぞれ-4.6mmHgおよび-2.8mmHgの低下、p<0.01)。これらの観察は、アロニアクラスター1における対象はアロニア抽出物の摂取に対して応答する(彼らは「応答者」、R)、一方、アロニアクラスター2における対象は、非応答者(NR)であったことを示唆する(
図4)。さらに、NR群および対照群と比較して、覚醒時SBPbrおよびDBPbrの有意な低下が、R群において見出された(
図4;NR群と対照群と比較して、覚醒時SBPbrについて-5.3mmHgおよび-3.8mmHg、覚醒時DBPbrについて-4.6mmHgおよび-3.3mmHg)。
【0176】
上において示されるとおり、12週間にわたるアロニア抽出物の摂取は、遺伝子数の増加をもたらし、このことは、アロニア摂取後の腸内細菌叢の豊かさの有利な増大を暗示している。
応答者は、NR群およびプラセボ群と比較して、ベースラインにおける有意に低い遺伝子数を有した(
図5)。
【0177】
同じ結論は、種の豊富さについても観察されたが、多重比較のためのBonferroni調整の後では有意ではなかった(Kruskal-Wallisのp値=0.18、Dunn post-hoc検定のp値(R対NR)=0.03、補正なし)。加えて、腸内マイクロバイオームの機能分析は、R群に属する対象が、ベースラインにおいて、NR群と比較して、有意に低い機能的モジュールを有することを強調し(NR群のカイ二乗検定p値<2.2e-16)、このことは、Rの個人が、腸内細菌の組成および関連する潜在的機能に関して、NRと比較して、ベースラインレベルにおいて、豊かさが低いことをさらに確認した。
【0178】
ベースラインの腸内マイクロバイオーム組成を、アロニア対象のRおよびNRの両方のサブグループについて調査した。Dunn post-hoc検定を伴うKruskal Wallis検定の後で、Faecalibacterium prausnitzii 8、Acutalibacteraceae 3、Firmicutes bacterium CAG 103、およびBifidobacterium adolescentis分類群の存在量は、R群において、NR群と比較して、ベースラインにおいて、有意に富化されたと考えられた。Bifidobacterium adolescentisもまた、Rにおいて、対照群と比較して、富化されていた(
図6)。
【0179】
ベースラインにおける腸内細菌叢組成の変動に応じてアロニア抽出物のサプリメント摂取に対する応答を予測するためにRクラスターにおいて富化された4つの種(上で列記されるもの)のみに焦点を当てた分析を行った。本発明者らは、Bifidobacterium adolescentisのベースライン存在量が、アロニア群について、24時間DBPの上昇と有意かつ負の相関を示すことを観察した(Spearmanのρ=-0.32、p=0.05)(
図7)。
【0180】
アロニア抽出物処置に対する応答における変動(応答者・対・非応答者)に基づく腸内微生物組成の分析により、アロニア抽出物の摂取は、ベースラインにおいて低い遺伝子数を有した対象において、対照群と比較して、BP(自由運動下24時間ならびに覚醒時のSBPbrおよびDBPbr)を低下させることが明らかになった。R群においてNR群と比較してベースラインにおいて有意に富化された4つの分類群のうち、Bifidobacterium adolescentisの存在量がより高いことは、24時間DBPの減少がより大きいことと関連した。
【0181】
RおよびNRサブグループにおけるアロニア抽出物サプリメント接種の影響は、12週間の介入の後で、両方のサブグループの腸内マイクロバイオームの遺伝子数および組成を比較することにより評価した。
【0182】
12週間にわたるアロニア抽出物の摂取は、NR群(p=0.0008)および対照群(p=0.01)の両方と比較して、R群における遺伝子数の増大をもたらした(
図8)。この結果は、このパラメータに対するアロニアの有益な効果は、ベースラインにおいてより少ない遺伝子数を保有する個体において、より強かったことを示す。
【0183】
腸内マイクロバイオームの組成に関して、介入の後で、R群およびNR群において、それぞれ合計で26および10の種が、有意により豊富であった(
図9)。R群において富化された種の中では、以下が見出された:Gemmiger、Lachnospiraceae G、Intestimonas butyriciproducens、Eggerthella lenta、Lawsonibacter、Faecalibacterium prausnitzii(1、9、2、6)、Oscillospirales(3、5)、Faecalibacterium、Roseburia intestinalis、Ruthenibacterium lactatiformans、Lachnoclostridium属の種、Acutalibacteraceae 3、Clostridium sp.、Collinsella bouchesdurhonensis、Firmicutes bacterium CAG 103/Clostridium sp.、Dysomobacter welbionis、Ruminococcus sp.、Clostridiales bacterium、およびクロストリジウム科の細菌。対照的に、NR個体において有意に富化された種は、Streptococcus salivarius、Oscillospirales 4、Streptococcus australis、ユーバクテリウム属の種、未分類のLachnospiraceae C、Firmicutes bacterium CAG 103、Bacteroides vulgatus、Ruminococcus bicirculans、Lachnospira pectinoschiza、およびIntestinibacterであった。
【0184】
R群において富化されたいくつかの種は、Faecalibacteriumのクレードのいくつかの種、ならびに、in vivoモデルにおいてアテローム性動脈硬化に影響を与えることができる繊維分解性腸内共生細菌であるRoseburia intestinalis(La Rosa et al, 2019)、ならびに、最近前臨床研究において、腸のバリア機能を改善すること、およびより低い心血管代謝リスクと関連づけられることが示された、ザクロのエラギタンニンの代謝からウロリチン代謝物を産生するヒト大腸の分類群であるEggerthella lenta種(Selma et al., 2018)などの、健康な腸内マイクロバイオームのメンバーであることが知られている。
【国際調査報告】