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特表2024-540189動作中に回転する工具の振れ監視モジュールと振れ監視方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】動作中に回転する工具の振れ監視モジュールと振れ監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 1/16 20060101AFI20241024BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20241024BHJP
   B23Q 17/12 20060101ALI20241024BHJP
   B23B 31/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01M1/16
B23Q17/00 A
B23Q17/12
B23B31/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525702
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022079892
(87)【国際公開番号】W WO2023072995
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021128314.0
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514024929
【氏名又は名称】ブルーム-ノボテスト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト メルシュ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ハーフェレ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン クルガー
(72)【発明者】
【氏名】オリバー シュテルン
【テーマコード(参考)】
2G021
3C029
3C032
【Fターム(参考)】
2G021AG04
2G021AK20
3C029EE00
3C032GG34
(57)【要約】
動作中に回転する工具の同心度を監視する装置及び方法を記載する。 監視モジュールは、工具を保持するための工具インターフェースと、工具ホルダに挿入するための工具保持インターフェースと、を備える。監視モジュールは、センサユニットを有し、監視モジュールの回転軸は、センサユニットを貫通する。監視モジュールがツール/工具ホルダと共に回転するときに、センサユニットは、監視モジュールの回転軸に垂直な平面の加速度を表す変数を検出する。監視モジュールの演算装置は、センサユニットによって記録された加速度を表す変数を受信し、これから総加速度を決定し、総加速度を閾値と比較し、総加速度が閾値より大きい場合に、回転する工具、監視モジュール及び/又は工具ホルダの同心度誤差が存在すると判断する。監視モジュールの通信装置は、演算装置に接続され、同心度誤差があるか否かの信号を工作機械/複合工作機械に送信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作中に回転する工具(WZG)の同心度監視モジュール(10)であって、
回転する前記工具(WZG)を受け入れるように設定された工具インターフェース(12)と、
特に、工作機械(WZM)又は複合工作機械(BA)の工具取付部(WZGA)に挿入するために設定された工具取付インターフェース(14)と、
前記同心度監視モジュール(10)の回転軸(20)が貫通するように前記同心度監視モジュール(10)に割り当てられ、前記同心度監視モジュール(10)が、特に、回転する前記工具(WZG) 及び/又は前記工具ホルダ(WZGA) と共に回転するときに、前記同心度監視モジュール(10)の前記回転軸(20)に対して本質的に垂直に向けられた平面(E)の変数(ax,ay)を検出するように設定されたセンサユニット(16)と、
演算装置(22)であって、
前記センサユニット(16)によって記録された加速度を表す値(ax,ay)を受信し、
前記加速度を表す記録された前記値(ax,ay)に基づいて全体の加速度(atot)を決定し、
前記加速度を表す量(ax,ay)の検出中、総加速度(atot)と、振れ監視モジュール(10)の回転速度に依存する閾値(SW)と、を比較し、
前記総加速度(atot)が前記閾値(SW)より大きい場合、回転する前記工具(WZG)、前記同心度監視モジュール(10)及び/又は前記工具ホルダ(WZGA)の同心度誤差が存在すると判断するように構成された、演算装置(22)と、
前記演算装置(22)に通信可能に接続されるとともに前記工作機械(WZM)/前記複合工作機械(BA)に、回転する前記工具(WZG)、前記同心度監視モジュール(10)及び/又は前記工具ホルダ(WZGA)に同心度誤差があるか否かの信号を送信するように設定された通信装置(24)と、
を備える同心度監視モジュール(10)。
【請求項2】
動作中に回転する工具(WZG)の同心度監視工具ホルダモジュール(26)であって、
回転する前記工具(WZG)を受け入れるように設定された工具インターフェース(12)と、
工作機械(WZM)又は複合工作機械(BA)の軸(S)に挿入するように設定された工具ホルダ(WZGA)と、
前記同心度監視工具取り付けモジュール(26)の回転軸(20)が延在するように前記同心度監視工具取り付けモジュール(26)に関連付けられ、前記監視工具取り付けモジュール(26)が、特に、回転する前記工具(WZG)及び/又は前記軸(S)と共に回転するときに、同心の前記回転軸(20)に対して実質的に垂直に向けられた平面(E)の変数(ax,ay)を、前記監視工具取り付けモジュール(26)を介して検出するように設定された、センサユニット(16)と、
演算装置(22)であって、
前記センサユニット(16)によって検出された加速度を表す値(ax,ay)を受信し、
前記加速度を表す記録された前記値(ax,ay)に基づいて全体の加速度(atot)を決定し、
前記加速度を表す量(ax,ay)の取得中、総加速度(atot)と、前記同心度監視工具ホルダモジュール(26)の回転速度に依存する閾値(SW)と、を比較し、
前記総加速度(atot)が前記閾値(SW)より大きい場合、回転する前記工具(WZG)及び/又は前記工具ホルダ(WZGA)の同心度誤差が存在すると判断するように設定された、演算装置(22)と、
前記演算装置(22)に通信可能に接続されるとともに前記工具(WZG)及び/又は前記工具ホルダ(WZGA)に同心度誤差があるか否かの信号を前記工作機械(WZM)/前記複合工作機械(BA)に送信するように設定された通信装置(24)と、
を備える同心度監視工具ホルダモジュール(26)。
【請求項3】
同心度監視工具モジュール(28)であって、
動作中に回転する工具(WZG)と、
工作機械(WZM)又は複合工作機械(BA)の軸(S)に挿入するように設定された工具ホルダ(WZGA)と、
前記同心度監視工具モジュール(28)の前記回転軸(20)が延在するように前記同心度監視工具モジュール(28)に割り当てられ、前記同心度監視工具モジュール(28)が、特に、前記軸(S)と共に回転するときに、前記同心度監視工具モジュール(28)の前記回転軸(20)に対して実質的に垂直に向けられた平面(E)の変数(ax,ay)を検出するように割り当てられた、センサユニット(16)と、
演算装置(22)であって、
前記センサユニット(16)によって検出された加速度を表す値(ax,ay)を受信し、
前記加速度を表す記録された前記値(ax,ay)に基づいて全体の加速度(atot) を決定し、
前記加速度を表す量(ax,ay)の検出中、総加速度(atot)と、前記同心度監視工具モジュール(28)の回転速度に依存する閾値(SW)と、を比較し、
前記総加速度(atot)が前記閾値(SW)より大きいとき、前記同心度監視工具モジュール(28)の同心度誤差が存在すると判断するように設定された、演算装置(22)と、
前記演算装置(22)に通信可能に接続されるとともに前記同心度監視工具モジュール (28)の同心度誤差があるか否かの信号を前記工作機械(WZM/前記複合工作機械(BA)に送信するように設定された通信装置(24)と、
を備える同心度監視工具モジュール (28)。
【請求項4】
工作機械(WZM)又は複合工作機械(BA)であって、
前記工作機械(WZM/前記複合工作機械(BA)の動作中に回転軸(D)の周りを回転し、請求項1に記載の同心度監視モジュール(10)の工具取付インターフェース(14)、請求項2に記載の同心度監視工具ホルダモジュール(26)の工具取付具(WZGA)及び/又は請求項3に記載の同心度監視工具モジュール(28)を受け入れるように設定され、それと動作的にやり取りを行う軸(S)と、
請求項1に記載の振れ監視モジュール(10)の通信装置(24)、請求項2に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)の通信装置(24)及び/又は請求項3に記載の振れ監視工具モジュール(28)の通信装置(24)から信号を受信するように配置された通信装置(30)と、
前記工作機械(WZM)/前記複合工作機械(BA)の通信装置(24)に接続された制御装置(22)であって、
請求項1に記載の振れ監視モジュール(10)のセンサユニット(16)、請求項2に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)のセンサユニット(16)及び/又は請求項3に記載の振れ監視工具モジュール(28)のセンサユニット(16)によって検出された加速度を表す値(ax,ay)を受信し、
前記加速度を表す記録された前記値(ax,ay)に基づいて全体の加速度(atot) を決定し、
前記加速度を表す量(ax,ay)の検出中、総加速度(atot)と、前記軸 (S)の回転速度に依存する閾値(SW)と、を比較し、
前記総加速度(atot)が前記閾値(SW)より大きい場合、請求項1に記載の振れ監視モジュール(10)、請求項2に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)及び/又は請求項3に記載の振れ監視工具モジュール(28)の振れ誤差が存在すると判断するように設定された、制御装置(22)と、
を備える工作機械(WZM)又は複合工作機械(BA)。
【請求項5】
同心度監視信号伝達インターフェース (SGS) であって、
請求項1に記載の振れ監視モジュール(10)、請求項2に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)及び/又は請求項3に記載の振れ監視工具モジュール(28)から信号を受信するとともに請求項4に記載の工作機械(WZM)/複合工作機械(BA)に信号を送信するように設定された通信装置(36)と、
前記同心度監視信号伝達インターフェース(SGS)の前記通信装置(36)に接続された演算装置(38)であって、
請求項1に記載の振れ監視モジュール(10)のセンサユニット(16)、請求項2に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)のセンサユニット(16)及び/又は請求項3に記載の振れ監視工具モジュール(28)のセンサユニット(16)によって検出された加速度を表す値(ax,ay)を受信し、
前記加速度を表す記録された前記値(ax,ay)に基づいて全体の加速度 (atot)を決定し、
前記加速度を表す量(ax,ay)の検出中、総加速度(atot)と、軸(S)の回転速度、前記振れ監視モジュール(10)の回転速度、前記監視工具ホルダモジュール(26)の回転速度又は前記同心度監視工具モジュール(28)の回転速度に依存する閾値(SW)と、を比較し、
前記総加速度(atot)が前記閾値(SW)より大きい場合、請求項1に記載の振れ監視モジュール(10)、請求項2に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)及び/又は請求項3に記載の振れ監視工具モジュール(28)の振れ誤差が存在すると判断するように設定された、演算装置(22)と、
を備え、
前記同心度監視信号伝達インターフェース(SGS)の前記通信装置(36)は、動作中に回転する前記工具(WZG)、前記振れ監視モジュール(10)、前記監視工具ホルダモジュール(26)及び/又は前記同心度監視工具モジュール(28)の振れ誤差が存在するか否かの信号を前記工作機械(WZM/前記複合工作機械(BA)に送信するように設定された、同心度監視信号伝達インターフェース(SGS)。
【請求項6】
動作中に工作機械(WZM)又は複合工作機械(BA)で回転する工具(WZG)の同心度監視方法であって、
(i)動作中に回転する監視モジュール(10; 26; 28)又は動作中に回転する監視モジュール(10; 26) 及び回転する工具(WZG)を工作機械(WZM)/複合工作機械(BA)の軸(S)に自動的に挿入することであって、回転する前記監視モジュール(10;26;28)は、回転する前記監視モジュール(10;26;28)の回転軸(20)が貫通するように回転する前記監視モジュール(10;26;28)に割り当てられたセンサユニット(16)を備えることと、
(ii)前記工作機械(WZM)/前記複合工作機械(BA)の前記軸(S)を、指定された速度で回転させることと、
(iii)回転する前記監視モジュール(10、26、28)が所定の速度で回転する間、回転する前記監視モジュール(10、26、28)の前記回転軸(20)に対して実質的に垂直に向けられた平面(E)の加速度を表す量(ax,ay)を受信及び/又は検出することと、
(iv)記録された前記加速度を表す量(ax,ay)に基づいて総加速度(atot)を決定することと、
(v)前記総加速度(atot)と、前記加速度を表す量(ax,ay)の検出中に回転する前記監視モジュール(10;26;28)の回転速度に依存する閾値と、を比較することと、
(vi)前記総加速度(atot)が閾値(SW)より大きい場合、回転する前記監視モジュール(10; 26; 28)及び/又は回転する前記工具(WZG)の同心度誤差があると判断することと、
を備える同心度監視方法。
【請求項7】
請求項4に記載の工作機械(WZM)/複合工作機械(BA)が、請求項6に記載の処理ステップ(i)~(vi)を実行し、
請求項1に記載の振れ監視モジュール(10)、請求項2に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3に記載の振れ監視工具モジュール(28)が、請求項6に記載の方法ステップ(iii)~(vi)を実行し、
請求項5に記載の振れ監視信号伝達インターフェース(SGS)が、請求項6に記載の方法ステップ(iii)~(vi)を実行する命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項8】
前記回転軸(20)から半径方向に離間するとともに速度を表す変数(ax,ay)の検出と実質的に同時に前記回転軸(20)に対して実質的に垂直に向けられた平面(E)の加速度を表す別の変数(ax,ay)を検出するために配置された別のセンサユニット(B)を更に備え、前記演算装置(22)は、前記別のセンサユニット(B)によって検出された加速度を表す別の量を受信するとともに前記加速度を表す量(ax,ay)の検出中の前記同心度監視モジュール(10)/同心度監視工具記録モジュール/同心度監視工具モジュールの回転数を前記加速度を表す別の量から決定するように更に配置され、及び/又は、前記別のセンサユニット(B)は、前記回転軸から半径方向に離間するとともに前記回転軸に対して実質的に垂直に向けられた平面(E)に配置された対向する二つの加速度センサ(B1、B2)を備え、前記加速度センサB1、B2は、一直線上に又は前記平面(E)に直交するとともに前記回転軸(20)を含む平面内に位置する測定軸を有し、好適には、前記加速度センサ(B1、B2)は、前記加速度を表す別の量の平均値の各々が形成される測定値を供給し、又は、通信装置(24)は、前記加速度を表す別の変数を、請求項4に記載の工作機械(WZM)/複合工作機械(BA)及び/又は請求項5に記載の同心度監視信号伝達インターフェース(SGS)に送信するように設定される、請求項1に記載の同心度監視モジュール(10)、請求項2に記載の同心度監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3に記載の同心度監視監視工具モジュール(28)。
【請求項9】
前記加速度を表す量の検出中の前記同心度監視モジュール (10)/前記同心度監視工具ホルダモジュール(26)/前記回転監視工具モジュール (28) の回転速度が、前記同心度監視モジュール(10)/前記同心度監視工具ホルダモジュール(26)の同心度監視工具/前記同心度監視工具モジュール(28)の前記回転軸(20)が本質的に水平に向けられるとき又は前記加速度を表す量(ax,ay)の検出中に、前記量(ax,ay)の検出中に優勢な周波数に基づくように、前記演算装置(22)が設定される、請求項1又は8に記載の振れ監視モジュール(10)、請求項2又は8に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3又は8に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【請求項10】
振れ監視モジュール(10)/振れ監視工具ホルダモジュール(26)/ 振れ監視工具モジュール(28)に配置された感光面(50)を有する感光部(PE)を備え、前記感光部(PE)は、前記加速度を表す変数(ax,ay)の検出中に明るさの差を検出するように設定され、前記同心度監視モジュール(10)/前記同心度監視工具ホルダモジュール(26)/前記同心度実行監視工具モジュール(28)の回転速度を変数(ax,ay)の検出の直前、直後及び/又は検出中に輝度差の周波数に基づいて決定するように、前記演算装置(22)が設定される、請求項1,8,9のいずれか一項に記載の同心度監視モジュール(10)、請求項2,8,9のいずれか一項に記載の同心度監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3,8,9のいずれか一項に記載の同心度監視工具モジュール(28)。
【請求項11】
少なくとも前記センサユニット(16)、好適には、前記追加のセンサユニット(B)は、センサ基板(40)に配置され、センサ回路基板(40)は、回路基板ホルダに接続され、前記回路基板ホルダ(42)の位置を、前記同心度監視モジュール(10)/前記同心度監視工具受け取りモジュール(26)/前記同心度監視工具モジュール(28) の調整手段(44)を介して前記回転軸 (20) に対して垂直に調整することができる、請求項1,8~10のいずれか一項に記載の振れ監視モジュール(10)、請求項2,8~10のいずれか一項に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3,8~10のいずれか一項に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【請求項12】
前記センサユニット(16)は、前記回転軸(20)とほぼ同軸に向けられた中央凹部と、二つの加速度センサ(B1、B2)と、を備え、第1の加速度センサは、y-z平面に配置されるとともにy-z平面に直交する検知軸を備え、第2の加速度センサは、x-z平面上に配置されるとともにx-z平面に直交する検知軸を備える、請求項1,8~11のいずれか一項に記載の同心度監視モジュール(10)、請求項2,8~11のいずれか一項に記載の同心度監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3,8~11のいずれか一項に記載の同心度監視工具モジュール(28)。
【請求項13】
好適には、ウェイクアップ信号に応答して省エネモード又はスタンバイモードから監視モードにするように、及び/又は、好適には、ウェイクアップ信号に応答して前記センサユニット(16)、前記別のセンサユニット(B)、前記演算装置(22)及び/又は前記通信装置(24)を省エネモード又はスタンバイモードから監視モードにするように配置されたエネルギー供給ユニット(V)を更に備える、請求項1,8~12のいずれか一項に記載の振れ監視モジュール(10)、請求項2,8~12のいずれか一項に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3,8~12いずれか一項に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【請求項14】
前記ウェイクアップ信号は、前記加速度を表す別の変数がウェイクアップ閾値を超えるとすぐに別のセンサユニット(B)によって生成される又は請求項4に記載の工作機械(WZM)/複合工作機械(BA)及び/又は請求項5に記載の監視信号伝達インターフェース(SGS)から通信装置(24)を介して受信した又は前記エネルギー供給ユニット(V)によって生成されるエネルギー量が所定のレベルを超えると生成される信号である又は当該信号によってトリガされる、請求項13に記載の振れ監視モジュール(10)、請求項13に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項13に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【請求項15】
前記エネルギー供給ユニット(V)は、エネルギーを貯蔵するエネルギー貯蔵ユニット又は電気エネルギーを生成する発電ユニットを備える、請求項13又は14に記載の振れ監視モジュール、請求項13又は14に記載の振れ監視工具ホルダモジュール。
【請求項16】
前記発電ユニットは、前記振れ監視工具ホルダモジュール(26)/前記振れ監視工具モジュール(28)の工具ホルダ(WZGA)に直接的又は間接的に結合される又は請求項1に記載の工具ホルダ(WZGA)に直接的又は間接的に結合することができるステータ(60)を備え、 前記発電ユニットは、前記回転軸(20)の周りの前記同心度監視モジュール(10)の回転加速、前記監視工具ホルダモジュール(26)の回転/前記監視工具モジュール(28)の回転中に電気エネルギーを生成するように、前記発電ユニットは、前記ステータ(60)と協働するように前記振れ監視モジュール(10)/前記振れ監視工具ホルダモジュール(26)/前記振れ監視工具モジュール(28)と関連付けられたロータ(64)を更に備える、請求項15に記載の振れ監視モジュール(10)又は請求項15に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項15に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【請求項17】
前記センサユニット(16)は、通常の動作とは別個に動作するように設定され、前記同心度監視モジュール(10)/前記同心度監視工具ホルダモジュール(26)/ 前記回転実行監視工具モジュール(28)は、特に、前記回転軸に対して実質的に垂直に向けられた平面(E)内の加速度を表す初期値(ax_initial,ay_initial)を検出するために、前記軸(S)と共に実質的に一定の回転速度又はいくつかの異なる実質的に一定の回転速度で回転し、前記演算装置(22)は、加速度を表す初期変数(ax_initial,ay_initial)を対応する回転速度(S)共に前記同心度監視モジュール(10)/前記同心度監視工具ホルダモジュール(26)/前記同心度監視工具モジュール(28)のメモリに記憶するために指令され、及び/又は、前記通信装置(24)は、前記加速度を表す変数(ax_initial,ay_initial)を、好適には対応する回転速度/請求項4に記載の工作機械(WZM)/複合工作機械(BA)及び/又は請求項5に記載の同心度監視信号インターフェース(SGS)に対応する回転速度と共に送信するように設定された、請求項1又は8~16のいずれか一項に記載の振れ監視モジュール(10)又は請求項2又は8~16のいずれか一項に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3又は8~16のいずれか一項に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【請求項18】
前記演算装置(22)は、別のセンサユニット(16)によって検出された加速度を表す変数(ax,ay)及び/又は初期変数(ax_initial,ay_initial)、及び/又は、50ミリ秒から200ミリ秒の間の特定の時間窓における加速度を表す変数(ax,ay)をデータパケットの形式で検出する間に別のセンサユニット(B)によって検出された前記同心度監視モジュール(10)/前記同心度監視工具ホルダモジュール(26)/前記同心度監視工具モジュール(28)の加速度及び/又は回転速度を表す別の変数を処理するように更に配置され、前記処理は、信号フィルタリング、平均化及び/又は時間窓ごとの周波数スペクトルの決定のような操作によって実行され、前記処理後の前記データパケットを、請求項4に記載の工作機械(WZM)/複合工作機械(BA)及び/又は請求項5に記載の振れ監視信号インターフェース(SGS)に送信する、請求項1又は8~17のいずれか一項に記載の振れ監視モジュール(10)又は請求項2又は8~17のいずれか一項に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3又は8~17のいずれか一項に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【請求項19】
振れ監視モジュール(10)が特に回転する工具(WZG)及び/又は工具ホルダ (WZGA)と共に回転するとき又は前記同心度監視工具ホルダモジュール(26)が特に回転する工具(WZG)及び/又は前記軸(S)と共に回転するとき又は前記同心度監視工具モジュール(28)が前記軸(S)と共に回転するとき、前記演算装置(22)は、少なくとも一つの別のプロセスパラメータを監視するように更に配置構成され、少なくとも一つのプロセスパラメータは、振動、温度、冷却剤圧力、冷却剤流量、切削力及び/又はトルクを含む、請求項1又は8~18のいずれか一項に記載の振れ監視モジュール(10)又は請求項2又は8~18のいずれか一項に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3又は8~18のいずれか一項に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【請求項20】
前記演算装置(22)は、加速度表現を表す対応する変数 (ax,ay) からの初期加速度を表す変数 (ax_initial,ay_initial) の減算に基づく総加速度 (atot)を決定するように設定される、請求項19に記載の同心度監視モジュール(10)又は請求項19に記載の同心度監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項19に記載の同心度監視工具モジュール(28)。
【請求項21】
前記演算装置(22)は、振れ誤差が存在するときに前記振れ誤差の量及び/又は前記振れ誤差の方向を決定するように設定され、前記通信装置(24)は、前記振れ誤差の量及び/又は方向を、請求項4に記載の工作機械(WZM)/複合工作機械(BA)又は請求項5に記載の振れ監視信号インターフェース(SGS)に送信するように設定され、及び/又は、前記通信装置(24)は、同心度監視モジュール(10)/同心度監視工具モジュール(26)/同心度監視工具モジュール(28)が特に前記軸(S)と共に回転している間に同心度誤差が存在するときに同心度誤差の存在の信号を、請求項4に記載の工作機械(WZM/複合工作機械(BA)又は請求項5に記載の振れ監視信号インターフェース(SGS)に送信するように設定される、請求項1又は8~20のいずれか一項に記載の振れ監視モジュール(10)又は請求項2又は8~20のいずれか一項に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3又は8~20のいずれか一項に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【請求項22】
加速度を表す変数(ax,ay)を検出し、加速度を表す別の変数を検出し、総加速度(atot)を決定し、 同心度誤差が存在する否かを決定し、同心度誤差が存在する否かの信号を送信するように設定され、振れ監視モジュール(10)/振れ監視工具モジュール(26)/振れ監視工具モジュール(28)は、特に軸(S)と共に、工作機械(WZM/複合工作機械(BA)によって軸開始位置からワークピースの加工位置まで移動され、この時間は、特に、5秒未満、好適には、3秒未満である、請求項1又は8~21のいずれか一項に記載の振れ監視モジュール(10)又は請求項2又は8~21のいずれか一項に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は請求項3又は8~21のいずれか一項に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【請求項23】
前記モジュールは、事前に定義された速度プロファイルによって、前記モジュールによって実行される機能又は他のモジュール若しくはアセンブリで開始される機能を認識するように適合され、前記事前に定義された速度プロファイルは、 少なくとも、(i) 速度、(ii) 事前に定義された速度の持続時間 (シーケンス)、(iii) 速度変化の勾配、(iv)事前に定義された速度の持続時間 (シーケンス)及び (v) 事前に定義された速度の持続時間 (シーケンス)、(iii)ある速度ステージから次の速度ステージへの変化の勾配、及び/又は(iv)特に発電機電圧の評価を介して検出された工作機械の軸のある速度ステージから次の速度ステージへの変化の持続時間を含み、特に、機能「ティーチイン又はペアリングプロセスの実行」、機能「較正プロセスの実行」、機能「ウェイクアップ又はウェイクアップ信号の生成」、機能「モニタリング又は測定モードに入る」及び/又は機能「ディープスリープ又はスタンバイモードに入る」を含んでもよい、特に請求項1又は8~22のいずれか一項に記載の振れ監視モジュール(10)又は特に請求項2又は8~22のいずれか一項に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は特に請求項3又は8~22のいずれか一項に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【請求項24】
前記モジュールは、定義された回転速度に達した場合にのみ開始する前記加速度を表す量(ax,ay)の検出、前記加速度を表す別の変数の検出、前記全加速度 (atot)の決定、同心度誤差が存在するか否かの判定、前記同心度誤差が存在するか否かの信号を送信することを実行するように適合され、評価時間中、軸の回転速度は、本質的に一定又は回転速度の最大10%の範囲で変化する、特に請求項1又は8~23のいずれか一項に記載の振れ監視モジュール(10)又は特に請求項2又は8~23のいずれか一項に記載の振れ監視工具ホルダモジュール(26)又は特に請求項3又は8~23のいずれか一項に記載の振れ監視工具モジュール(28)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、動作中に回転する工具の同心度監視モジュール、同心度監視工具ホルダモジュール、同心度監視工具モジュールを説明する。さらに、動作中に回転する工具の同心度を監視する同心度監視モジュール/同心度監視工具取付モジュール/同心度監視工具モジュールと動作的にやり取りを行う工作機械ne/複合工作機械及び同心度監視信号インターフェースを説明する。工作機械/複合工作機械で回転する工具の同心度監視方法も説明し、この方法は、場合によっては工作機械/複合工作機械及び/又は同心度監視信号インターフェースとやり取りを行う同心度監視モジュール/同心度監視工具ホルダモジュール/同心度監視工具モジュールによって実行される。コンピュータプログラム製品は、同心度監視プロセスの工程ステップを実行させるコマンドを含む。
【背景技術】
【0002】
動作中に回転する工具の同心度を監視するための個々の監視モジュールを説明する。工具は、ワークピース加工機に取り付けられる。ワークピース加工機neを、例えば、(数値制御)工作機械(NC機械)、(多軸)複合工作機械、(多軸)フライス盤、フレキシブル生産セル等とすることができる。以下では、工作機械及び複合工作機械という用語もそのような機械に使用する。
【0003】
この種の工作機械は、ドリル、フライスカッター等のようなワークピースを加工する際に使用する工具又はワークピースそれ自体が挿入される(主)軸を有する。軸を固定位置にすることができる又は工作機械の作業領域内で直交する三つの方向であるX方向、Y方向及びZ方向に移動させることができる。軸を、X軸、Y軸及びZ軸の周りを回転するように駆動することもできる。最新の複合工作機械では、一つのワークピースの加工中に工具を交換する必要があることが多い。これは、通常、工具の自動交換によって行われ、これによって、軸にある工具が、工作機械の工具マガジンにある別の工具と交換される。工具交換中は、工具を保持するための軸のクランプ装置が機械の作業領域に露出する。同一のことが、工具及び予め取り付けられた工具ホルダにも当てはまる。切り屑及び他の不純物の結果として、付着物が軸のクランプ装置及び/又は工具に蓄積することがある。最新の工作機械では、クランプ装置は、通常、テーパインターフェースとして設計され、特に、急勾配テーパ(SK)又は中空シャンクテーパ(HSK)は、工具の挿入に使用される。例えば、工具交換中にチップがテーパインターフェース及び/又はHSK/SKに堆積する場合、チップがテーパインターフェースとホルダとの間に捕らえられるので、工具又はそのホルダの面接触/完全な後退が保証されなくなる。工具が軸と共に回転するとき、一種のぐらつきが生じ、これは、面接触不足/完全な後退によるアンバランスから生じる。ぐらつきが許容レベルを超える場合、工具が同心度誤差を有すると考えられる。同心度誤差に気づかずに対策を講じない場合、ワークピース加工中に回転工具に半径方向の振れが発生し、その結果、不正確な加工結果が得ら、工具の不十分な表面品質及びアンバランスにつながる。さらに、同心度誤差が摩耗の増加につながるために、結果的には、(工具の破損を含む)工具の損傷につながるために、同心度誤差は、工具自体に負担をかける。同心度誤差は、工具交換中に、例えば、潤滑油(冷却)や圧縮空気の供給によって工具及び軸を洗浄した場合にも発生する可能性がある。同心度誤差の他の理由は、軸自体の損傷であることがある。したがって、満足のいく加工結果及び安定した加工環境を確保するために回転工具の動作中に同心度誤差を迅速に検出するとともに正確に評価することが重要である。
【0004】
工作機械の軸における工具の不完全な面接触を検出する一つの方法は、圧縮空気を使用して面接触を監視することである。面削りシステムに欠陥がある場合、軸と工具ホルダとの間から圧縮空気が逃げるように工作機械のテーパインターフェースの領域に圧縮空気が加えられる。この圧力損失を検出することによって、面削りシステムの不具合が特定される。
【0005】
ドイツ国レンゲンヴァング87663に所在のOTT-JAKOB Spanntechnik GmbH社のPlankoセンサシステムは、複数のセラミックセンサ(共振器)を介して工作機械の工具の平坦度を測定する。このシステムは、レゾネータ、ケーブル及びコネクタで構成されるコンパクトな受動電子アセンブリに基づいており、それは、軸ノーズに組み込まれている。平坦度は、回転中の共振器の連続スキャンによって測定される。読出しヘッドでは、現在の測定結果が、内部メモリに保存されている事前に定義された基準値と比較される。基準値からの偏差がある場合、測定データは、コンパレータ信号を介して記録され、機械制御システムに転送される。それに加えて、面削りシステムを監視するために工作機械の軸に組み込まれた測定システムが少なくともいくつか存在し、それは、例えば、力センサ、電磁信号又はレーザ光を評価に利用する。これに関連して、例えば、独国特許出願公開第102013201328号明細書、独国特許出願公開第102018201427号明細書、独国特許出願公開第10351347号明細書、欧州特許出願公開第3360642号明細書、独国特許第102013 100975号明細書及び欧州特許出願公開第3581328号明細書も参照されたい。
【0006】
ドイツ国グルックラウト88287に所在のBlum-NovoteSt GmbHのLC50-DIGILOGのようなレーザ測定システムは、回転工具の同心度誤差を監視するための別のオプションを提供する。このシステムは、例えば、工具ホルダの接触面の汚れによって発生する回転工具の同心度誤差を検出する。各工具に固有の工具データが必要であり、測定は、目的の測定ポイントに依存する。学習サイクルでは、先ず、基本的な同心度誤差を決定し、これは、工具の最長刃と最短刃との差を表す。その後、現在測定した同心度誤差が保存した基本的な同心度誤差よりも大きいか小さいかを判断するために刃先への影響と比較した筒形シャンクを測定することによって、接触面の汚れによって生じる同心度誤差についてのステートメントを行うことができる。計算は、NCプログラムによって行われ、これによって、特に、最も長い刃先の半径変化が摩耗値として考慮される。
【0007】
加工中の様々なプロセス変数を監視するためのインテリジェント工具もある。例えば、国際特許出願公開第2021/029404号明細書では、回転自在の工具の振動は、工具の回転軸に対して対称に工具シャンクに取り付けられた複数の加速度センサによって測定される。同様に、国際特許出願公開第2021/029 099号明細書によれば、振動は、(例えば、転削工具又はフライス工具の)シャンクの外側に取り付けられた加速度センサ及びひずみゲージからの信号から決定される。国際特許出願公開第2019/122 375号明細書は、例えば、動作状態又はシステム状態の信頼性の高い検出をリアルタイムで可能にするために加工工具の回転工具ホルダ用のセンサモジュールを記載している。このために、力、温度及び加速度(振動)の印加を検出するためのセンサを含むセンサモジュールは、回転軸において工具ホルダ内に有利に配置され、冷却剤流は、設計によりこの位置の周囲に向けられる。センサモジュールのこのような位置決めは、不均衡を最小限にするとともにセンサモジュールの挿入を簡単にするのに役立つ。測定信号は、好適には、送信機及びアンテナを介して無線で工作機械の受信機に送信される。工作機械内の制御装置によって、まだ安定していない不安定な状態に対するアドホックな反応が可能になる。これは、送り速度、回転数等の加工パラメータをリアルタイムに適合させることによって実現され、この適合は、振動又は工具に加わる力のようなプロセス状態の関数として実行される。プロセス変数を監視する工具システムは、国際特許出願公開第2021/033 670号明細書、欧州特許出願公開第2103379号明細書、米国特許第10828740号明細書、米国特許第10828739号明細書、欧州特許出願公開第3808503号明細書、米国特許出願公開第20210,26 322号明細書及び特許第5089342号にも開示されている。
【0008】
このような工具システムは、従来、例えば、バッテリを電源としている。しかしながら、いくつかの工具システムは、統合された電子機器を含む工具システム自体にエネルギーを供給するために、環境発電の意味でエネルギーを生成する装置を有する。例えば、欧州特許出願公開第3539717号明細書は、発電ユニットを備えた加工工具を記載している。第一の部品は、加工工具の本体に固定的に接続され、第二の部品は、本体に移動可能に接続されている。第二の部品に流体が流れるとき、第一の部品との相対運動により電気エネルギーが発生する。欧州特許第2112461号明細書は、フライホイールが測定プローブに回転自在に接続された、電流発生器を備えた測定プローブを記載している。電流発生器のロータは、永久磁石を有するとともにフライホイールに接続され、誘導巻線を有するステータは、プローブのハウジング内に取り付けられる。プローブハウジングの回転運動を速めるとき、フライホイールは、慣性モーメントが大きいためにハウジングの動きにすぐに追従しない。このような動きの違いは、それが存在する限り運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。フライホイールには、フリーホイールが取り付けられている。フライホイールは、第1の回転方向のハウジングの回転に従うが、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向にのみ自由に回転することができ、その結果、電気エネルギーが生成される。環境発電の原理を有する別の工具システムは、独国特許出願公開第102016223199号明細書、米国特許出願公開第2015/0125230号明細書、欧州特許第1742011号明細書及び台湾特許第I491463号明細書にも開示されている。
【0009】
上述した工具の同心度を監視する装置及び工程は、それぞれ異なる検出原理に従って動作するが、特に、同心度を監視する工具に関しては、面削りシステムの検出の信頼性及び速度を向上させる方法がある。システムコストの削減という点でも改善の余地がある。
【0010】
例えば、上述した圧縮空気を使用する平面の監視の場合、平面に欠陥がある場合に圧力が一定に保たれず、時間の経過と共に多くの空気が逃げていく。したがって、圧縮空気を使用する監視は、限られた結果しか得られない。さらに、このシステムは、チップが平坦面の空気出口に直接堆積してこの空気出口を塞ぐ場合に不完全な平坦面を検出することができない。ドイツ国レンゲンヴァング87663に所在のOTT-JAKOB Spanntechnik GmbH社のPlankoセンサシステムは、複雑な方法で軸ノーズに組み込む必要があり、これによって、システムコストが高くなる。さらに、このセンサシステムによれば、正確な面接触は、複数のセラミックセンサに問い合わせることによって決定される。この工程において、特に、擦れた及び/又は砕けたアルミニウムチップがセラミックセンサに付着することがある。これは、センサシステムの完全な故障につながり、同心度誤差を認識できなくなるので、時間及びコストを要するセンサの交換を余儀なくされる。これは、例えば、欧州特許出願公開第3360342号明細書のように力センサが軸ノーズに統合されている場合でも複雑な統合を伴い、したがって、システムコストが高くなる。さらに、これらのシステムでは、データ取得及びデータ評価が複雑である。
【0011】
レーザ測定システムと連動する同心度監視装置では、測定時間が比較的長いにもかかわらず測定室内又は測定ポイントでの軸の正確な位置決めが必要であるので、同心度の決定は、一般的に時間を要する。
【0012】
現在、様々なセンサ、例えば、温度センサ、力センサ及び加速度センサを取り付けた工具が市販されているが、これらの工具は、振動又は切削力のような処理パラメータを記録するために使用される。しかしながら、これらの工具のいずれもがクランプ誤差を検出することができず、回転工具に統合された同心度監視はまだ存在しない。欧州特許出願公開第2208017号明細書は、堅牢かつタイムクリティカルなデータ送信及び低エネルギー消費での高速接続確立が可能になる、機械の位置測定システムにおける送受信デバイスの送信電力を調整する技術に関する。第1の送信電力メッセージは、第1の送信電力で送信され、第2の送信電力メッセージは、第2の送信電力で送信され、送信された第1の送信電力メッセージに応答して送信電力確認メッセージを受信した場合、第2の送信電力は、第1の送信電力より少なく、送信された第1の送信電力メッセージに応答して送信電力確認メッセージを受信しなかった場合、第2の送信電力は、第1の送信電力より多い。送信電力メッセージは、送受信装置と基地局との間の無線通信が現在の送信電力で可能であるか否かを判断するために使用される。エアインターフェースを介した送信状況に応じて、すなわち、他の信号との干渉が発生した場合、トランシーバの送信電力が再調整される。このようにして、過剰な送信電力による恒久的な送信を回避するために、下限送信電力を決定することができる。これによって、トランシーバのエネルギーが節約される。トランシーバは、トランシーバに接続された基地局に送信電力メッセージを送信する。送信電力メッセージの送信後、トランシーバは、送信電力確認メッセージの受信を待機する。送信電力メッセージを、トランシーバに接続された基地局によって受信した場合、基地局は、送信電力確認メッセージを送信する。送信電力確認メッセージの受信に応じて、トランシーバは、トランシーバと基地局との無線接続が可能であるか否かを知る。この情報に応じて、トランシーバは、後続の送信電力メッセージの送信電力を増減させることができる。
【0013】
第2の送信電力メッセージの後、第3の送信電力メッセージを第3の送信電力で送信することができる。第2の送信電力メッセージの送信電力が第1の送信電力メッセージの送信電力より少なく、かつ、第2の送信電力メッセージに対する送信電力確認メッセージを受信した場合、第3の送信電力は、第2の送信電力より少ない。第2の送信電力メッセージの送信電力が第1の送信電力メッセージの送信電力より少なく、かつ、第2の送信電力メッセージの送信電力確認メッセージを受信しなかった場合、第3の送信電力は、第2の送信電力より多い。第2の送信電力メッセージの送信電力が第1の送信電力メッセージの送信電力より多く、かつ、第2の送信電力メッセージに応答して送信電力確認メッセージを受信した場合、第3の送信電力は、第2の送信電力に等しい。第2の送信電力メッセージの送信電力が第1の送信電力メッセージの送信電力より多く、かつ、第2の送信電力メッセージに応答して送信電力確認メッセージを受信しなかった場合、第3の送信電力は、第2の送信電力より多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本明細書に提示するソリューションの目的は、回転工具の同心度を(動作中に)監視するための方法論及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの装置の一つは、工作機械に依存しない工具一体型の振れ監視モジュールであり、回転中の振れ誤差(又は基礎データ)を決定し、必要に応じて、特に通信インターフェースを介して、(振れ監視)信号インターフェース又は工作機械の制御装置に一つ以上の対応するステータス信号及び/又は測定信号を送信することができる。装置及び方法は、面接触の検出(及びその後の同心度チェック)の精度及び速度に関する既存のソリューションを改善し、製造が迅速、簡単かつ廉価になる(軸一体型システムと比較すると、更に大幅に廉価になる)。既存の工作機械への簡単な組込及び利用可能な工具又は工具システムとの簡単な組合せも可能である。これによって、同心度監視機能を備えた作業専用工具を、要求に応じてほとんど労力を要することなく組み立てることが可能になる。
【0016】
第1の態様によれば、この課題を、動作中に回転する工具の同心度監視モジュールによって解決することができる。同心度監視モジュールは、回転する工具を受け入れるように設定された工具インターフェースと、特に、工作機械又は複合工作機械の工具取付部(に挿入するために設定された工具取付インターフェースと、を備える。さらに、同心度監視モジュールは、同心度監視モジュールの回転軸が貫通するように同心度監視モジュールに割り当てられ、同心度監視モジュールが、特に、回転する前記工具及び/又は工具ホルダと共に回転するときに、同心度監視モジュールの回転軸に対して本質的に垂直に向けられた平面の変数を検出するように設定されたセンサユニットを備える。同心度監視モジュールの演算装置は、センサユニットによって記録された加速度を表す値を受信し、加速度を表す記録された値に基づいて全体の加速度を決定し、加速度を表す量の検出中、総加速度と、振れ監視モジュールの回転速度に依存する閾値と、を比較し、総加速度が閾値より大きい場合、回転する工具、同心度監視モジュール及び/又は工具ホルダの同心度誤差が存在すると判断するように設定される。同心度監視モジュールの通信装置は、演算装置に通信可能に接続されるとともに工作機械/複合工作機械に、回転する工具、同心度監視モジュール及び/又は工具ホルダに同心度誤差があるか否かの信号を送信するように設定される。
【0017】
工具インターフェースを、例えば、回転する工具又は回転する工具の対応するABSアダプターを挿入できるABSホルダ(ABSシステム)又はABSアダプター(ABS接続)とすることができる。このABSシステムを、例えばCeratizit S.A.製のABSシステムとすることができる。代替的には、回転する工具を挿入できるコレットホルダを工具インターフェースに装備することも可能である。最後に、工具インターフェースを、他の適切な方法で、回転する工具に安定して同心に接続することができる。
【0018】
同様に、工具ホルダインターフェースを、例えば、ABSホルダとして設計された工具ホルダに挿入するためにABSアダプターとして設計することができる。この工具ホルダを、工作機械/複合工作機械に予め組み付けることができる又は同心度監視モジュールと軸の間に同心度監視モジュールと共に工作機械に挿入することもできる。代替的には、工具ホルダインターフェースを、他の適切な方法で、工具ホルダに安定して同心に接続することもできる。
【0019】
同心度監視モジュールは、工作機械の軸と回転する工具との間に、同心度監視機能を備えたカスタマイズ可能な接続を確立する。このようにして、SK,SK-FC,BT,BT-FC,HSK-A,PSC及びHSK-Eのようなあらゆる一般的な工作機械インターフェースに適したモジュール式同心度監視モジュールの構造を提供し、したがって、異なる軸の接触面を有する異なる工具を組み合わせてワークピースを加工することができるので、同心度監視機能を損なうことなく最大限の柔軟性を実現する。
【0020】
第2の態様は、動作中に回転する工具の同心度監視工具ホルダモジュールに関する。同心度監視工具ホルダモジュールは、回転する工具を受け入れるように設定された工具インターフェースと、工作機械又は複合工作機械の軸に挿入するように設定された工具ホルダ (WZGA)と、を備える。同心度監視工具ホルダモジュールは、同心度監視工具取り付けモジュールの回転軸が延在するように同心度監視工具取り付けモジュールに関連付けられ、監視工具取り付けモジュールが、特に、回転する工具及び/又は軸と共に回転するときに、同心の回転軸に対して実質的に垂直に向けられた平面の変数を、監視工具取り付けモジュールを介して検出するように設定されたセンサユニットも備える。同心度監視工具ホルダモジュールの演算装置は、センサユニットによって検出された加速度を表す値を受信し、加速度を表す記録された値に基づいて全体の加速度を決定し、加速度を表す量の取得中、総加速度(atot)と、同心度監視工具ホルダモジュールの回転速度に依存する閾値と、を比較し、総加速度 (atot) が閾値 (SW) より大きい場合、回転する工具及び/又は工具ホルダの同心度誤差が存在すると判断するように設定される。同心度監視工具ホルダモジュールの通信装置は、演算装置に通信可能に接続されるとともに工具及び/又は工具ホルダに同心度誤差があるか否かの信号を工作機械/複合工作機械に送信するように設定される。
【0021】
工具インターフェースを、例えば、回転する工具又は回転する工具の対応するABSアダプターを挿入できるABSホルダ(ABSシステム)又はABSアダプター(ABS接続)とすることができる。代替的には、回転する工具を挿入できるコレットホルダを工具インターフェースに装備することも可能である。
【0022】
工具ホルダは、ABSホルダとして、特に、工作機械/複合工作機械の軸に同心度監視工具ホルダモジュールを挿入するためのHSK又はSKとして設計することができる。
【0023】
したがって、同心度監視工具ホルダモジュールは、センサユニット、演算装置及び通信装置から構成することができ、これらは、工具ホルダと永久に接続される中央ハウジングが収容される。軸と回転する工具の接続を確立する同心度監視工具ホルダモジュールは、ワークピースの加工に異なる工具を柔軟に使用するオプションを同心度監視機能を失うことなく提供する。
【0024】
第3の態様は、同心度監視工具モジュールに関する。同心度監視工具モジュールは、動作中に回転する工具と、工作機械又は複合工作機械の軸に挿入するように設定された工具ホルダと、を備える。同心度監視工具モジュールは、同心度監視工具モジュールの回転軸が延在するように同心度監視工具モジュールに割り当てられ、同心度監視工具モジュールが、特に、軸と共に回転するときに、同心度監視工具モジュールの回転軸に対して実質的に垂直に向けられた平面の変数を検出するように割り当てられた、センサユニットも備える。同心度監視工具モジュールの演算装置は、センサユニットによって検出された加速度を表す値を受信し、加速度を表す記録された値に基づいて全体の加速度を決定し、加速度を表す量の検出中、総加速度と、同心度監視工具モジュールの回転速度に依存する閾値と、を比較し、総加速度が閾値より大きいとき、同心度監視工具モジュールの同心度誤差が存在すると判断するように配置される。同心度監視工具モジュールの通信装置は、演算装置に通信可能に接続されるとともに同心度監視工具モジュールの同心度誤差があるか否かの信号を工作機械/複合工作機械に送信するように設定される。
【0025】
工具ホルダは、回転する工具と工作機械の軸との間の機械的なインターフェースとなる。工具ホルダを、ABSホルダ、特に、工作機械/複合工作機械の軸に同心度監視工具モジュールを挿入するために使用されるHSK又はSKとして設計することができる。
【0026】
軸と回転する工具との間の接続を確立する同心度監視工具モジュールは、例えば、工具製造業者によってユニットとして製造することができる。これにより、第1の態様による工具インターフェース及び工具取り付けインターフェースのような着脱可能なインターフェース(したがって、正確な軸方向の振れを妨げる汚染又は蓄積のあり得るソース)が不要になる。これは、特に高精度の応用で要求される更に改善された同心度監視機能を異なる工具に提供できることを意味する。
【0027】
「モジュール」又は「監視モジュール」の特徴を以下で説明するとき、これらの特徴は、特に、第1の態様による同心度監視モジュール、第2の態様による同心度監視工具ホルダモジュール及び第3の態様による同心度監視工具モジュールをそれぞれ指すことがある。これは、特に、第1の態様によるモジュール、第2の態様によるモジュール及び第3の態様によるモジュールに含まれる演算装置、センサユニット及び通信装置のような構成要素を説明するときに当てはまる。
【0028】
監視モジュールの演算装置を、データ処理装置に含めることができる。このデータ処理装置は、(中間)メモリを含むこともできる。このようにして、センサユニットによって記録された変数を、処理し、データ処理装置に一時的に保存することができる又はデータとして工作機械又は同心度監視信号インターフェースに送信することができる。データ処理装置、センサユニット及び通信装置(データ送信装置も)を、電子装置で構成することができる。
【0029】
デジタルIO信号(IO: OK又はNOK:not OK)を、回転する工具に同心度誤差があるか否かの信号を送信するときに1ビット信号として工作機械に送信することができる。監視モジュールと工作機械と間の他の通信と同様に、無線伝送が可能である。
【0030】
センサユニットは、加速度センサを備えることができる。加速度センサを、圧電式加速度センサとすることができる、又は、加速度センサは、バネ質量系に基づいてもよい。を使用することができます。代替的に、ひずみゲージを使用することができる、又は、磁気誘導を利用した加速度センサを使用することができる。
【0031】
センサユニットの加速度センサを、例えば、互いに直交するx方向及びy方向の加速度を測定するように設定され2軸加速度センサとすることができる。代替的に、加速度センサを、特に、同一の構造の二つの1軸加速度センサとすることもでき、例えば、一方を他方の上又は隣に配置するとともに検知軸(加速度が測定される慣性軸)に対して90°オフセットすることで、互いに直交するx方向及びy方向の加速度を測定することができる。代替的に、x方向及びy方向に直交するz方向の振動のようなプロセス変数を追加的に記録するために、3軸加速度センサを使用することもできます。
【0032】
監視モジュールの回転軸は、センサユニットの本体を少なくとも略中心に貫通することができるが、加速度センサ自体を貫通する必要がない(が、当然、これも可能である)。換言すれば、センサユニットの少なくとも一つの慣性軸が、監視モジュールの回転軸に対して少なくとも略同軸に、特に、公差距離内に配置されるように、センサユニットを監視モジュール内に配置することができる。この慣性軸を、x方向の加速度及びy方向の加速度を測定するように設定された2軸加速度センサの場合でも加速度センサのz軸とすることができる。換言すれば、この慣性軸をセンサユニットの検知軸と一致する必要がなく(これは、センサユニットが二つの1軸加速度センサを備える場合にも当てはまる。)、これは、3軸加速度センサにも当てはまる。
【0033】
2軸加速度センサ又は3軸加速度センサを使用する場合、2軸加速度センサ又は3軸加速度センサは、互いに最小限の間隔で配置された(二つ又は三つの異なる測定方向の)二つ又は三つの測定チップを備える。完全に一致したゼロに近い加速度値を取得するために、2軸加速度センサ又は3軸加速度センサの(x方向の加速度を測定する)x測定チップの方向が監視モジュールのy-z平面と一致するとともに2軸加速度センサ又は3軸加速度センサの(y方向の加速度を測定する)y測定チップが監視モジュールのx-z平面と一致するように、センサユニットを監視モジュールに配置することができる。これらの変形例では、監視モジュールの回転軸と少なくともほぼ同軸に、特に、許容距離内に配置されるセンサユニットの慣性軸は、測定チップ自体の検知軸ではなく、センサユニットの本体のz軸の慣性軸である。
【0034】
x測定用チップとy測定用チップを空間的に分離して配置することにより、例えば、円形の凹部がセンサユニット本体の慣性z軸に沿ってセンサユニット本体を貫通して個々の測定用チップの間に延在することができる。
【0035】
特に、公差距離を、監視モジュールの回転軸からセンサユニットの慣性軸までの半径方向(法線方向)の距離とすることができ、最大±10μmの範囲とすることができる。
【0036】
センサユニットの慣性軸が監視モジュールの回転軸に対して少なくとも略同軸に配置されるということは、慣性軸と回転軸との間に最大±3°の角度誤差(角度オフセット)が生じ得ることを意味する。
【0037】
原理的には、所定の同心度誤差が発生した場合に、特に、事前の較正により既知の速度で既知の位置にセンサユニットの位置又は方向が変化するように、センサユニットを監視モジュールに配置することができる。これは、工作機械の工具ホルダ(軸)と監視モジュールの平面接触の不具合を示す。
【0038】
特に、加速度センサが回転軸にできるだけ理想的に配置されるように、センサユニットを監視モジュールに取り付けることができる。これにより、(z方向に向く)回転軸に垂直なx-y平面の加速度を表す変数を検出することが可能になり、例えば、故障したチップ又は欠陥のある軸によって引き起こされる監視モジュールの回転軸の傾き及び/又は横方向のオフセットは、(半径方向の)x-y平面内の加速度の変化として検出される。この変化は、好適には、較正プロセスの過程で決定された基準加速度値に関連することができ、したがって「学習した」基準システムに関連することができる。
【0039】
したがって、加速度センサが可能な限り小さい傾き/偏心で可能な限り大きい偏差を提供するようにセンサユニットの位置決めを選択することができ、これにより、加速度センサは、(主軸又は工作機械の軸の回転軸に対する監視モジュールの)傾きが大きくなるに従って増大する同心度誤差を確実に検出する。
【0040】
監視モジュールの回転軸に正確に配置された加速度センサは、比較的高速でもゼロの遠心加速度を測定する(監視モジュールの回転軸からの加速度センサの半径方向距離r= 0)。一方、例えば、クランプ誤差による中心からのオフセット(r≠0)により、回転中に加速度センサに遠心加速度を発生させる。工具の回転を監視するために、特に、x-y平面(回転平面)におけるこの遠心加速度を、加速度を表す変数として記録することができる。監視モジュールが工作機械に挿入されたときに工作機械の工具ホルダに対してできるだけ中心に整列する監視モジュールの加速度センサの選択位置は、特に、加速度センサに作用する遠心力の最大変化が最小の同心度誤差で与えられることを保証することができる。
【0041】
遠心加速度aについて、
【数1】
が当てはまる。この場合、
【数2】
であり、したがって、
【数3】
であり、この場合、n=1/秒単位の監視モジュール(結果的にはセンサユニット)の速度、ω=角速度及びr=監視モジュールの回転軸からの加速度センサの半径方向距離。
【0042】
速度は、遠心加速度の2乗の計算に含まれる。したがって、検出(遠心加速度の検出)には、検出が行われる速度を正確に知ることが重要になる。この(テスト)速度は、例えば、検出全体に亘って本質的に一定の値を有する、又は、指定された速度値の±10%までの許容範囲内にある。
【0043】
センサユニットを、(記録時間ともいう)特定の評価時間内に加速度を表す変数を記録するために使用することができる。評価時間を、数秒、例えば、0.1秒から5秒の時間窓とすることができる。しかしながら、評価時間を、特に、加速度を表す変数が記録される(監視モジュールの、したがって、工作機械内の工具の)一定の回転数とすることもできる。評価時間を、例えば、4回転、8回転、16回転、32回転又は64回転とすることができるが、本開示は、これに限定されない。この「評価時間」は、関連箇所で特に明記されていない限り監視モジュールによって検出される他の全ての変数にも適用される。
【0044】
中心オフセット(偏心)の方向は検出前にはわからないので、特に2軸加速度センサ又は3軸加速度センサによってx方向及びy方向(回転平面内)の加速度値を検出し、(総)加速度ベクトルを形成するために計算することができる。このようにして、加速度を表すとともにセンサユニットによって記録された値から総加速度値を、以下のように決定することができる。
【数4】
この総加速度値が、検出中の速度に対して定義された閾値を超えた場合、工作機械にエラー(NOK)を通知することができる。代替的に又は追加的に、中心オフセットを計算するとともに値として工作機械に送信することもできる。
【0045】
センサユニットによって記録された変数に基づく総加速度の計算及び本開示の関連で説明した他の計算を、いずれの場合も加速度センサによって出力された加速度値に基づいて実行することができる。また、加速度センサに付随する変換器によって生成された(デジタル)変換器値(生データ)を使用して計算することも可能である。
【0046】
監視モジュールのデータ処理装置(演算装置)は、デジタル通信インターフェース又はアナログ通信インターフェースを介してセンサユニットに接続することができる。例えば、センサユニットとデータ処理装置との間のデジタルSPI又はICインターフェースが可能である。センサユニットの出力にアナログ加速度値を供給するとともにアナログ-デジタル変換器(ADC)を使用してデータ処理装置にこれらのアナログ加速度値を記録することも考えられる。
【0047】
第4の態様は、工作機械又は複合工作機械に関する。工作機械/複合工作機械は、工作機械/複合工作機械の動作中に回転軸の周りを回転し、第1の態様の同心度監視モジュールの工具取付インターフェース、第2の態様の同心度監視工具ホルダモジュールの工具取付具及び/又は第3の態様の同心度監視工具モジュールを受け入れるように設定され、それと動作的にやり取りを行う軸 を備える。工作機械/複合工作機械の通信装置は、第1の態様の振れ監視モジュールの通信装置、第2の態様の振れ監視工具ホルダモジュールの通信装置及び/又は第3の態様の振れ監視工具モジュールの通信装置から信号を受信するように配置される。工作機械/複合工作機械の制御装置は、工作機械/複合工作機械の通信装置に接続され、第1の態様の振れ監視モジュールのセンサユニット、第2の態様の振れ監視工具ホルダモジュールのセンサユニット及び/又は第3の態様の振れ監視工具モジュールのセンサユニットによって検出された加速度を表す値センサユニットを受信し、加速度を表す記録された値に基づいて全体の加速度を決定し、加速度を表す量の検出中、総加速度と、軸の回転速度に依存する閾値と、を比較し、総加速度が閾値より大きい場合、第1の態様の振れ監視モジュール、第2の態様の振れ監視工具ホルダモジュール及び/又は第3の態様の振れ監視工具モジュールの同心度誤差が存在すると判断するように設定される。
【0048】
特に、工作機械/複合工作機械の軸を、急勾配テーパ又は中空シャンクテーパのような工具ホルダと相互作用するように設定することができる。
【0049】
データ伝送装置の機能も果たすことができるとともに工作機械側のインターフェースの一部とすることができる通信装置を介して、監視モジュールによって受信した加速度を表す変数を、処理データとして、工作機械の制御システムに送信することができる。代替的に、加速度を表す変数を、別個のデータ伝送装置を介して工作機械の制御システムに送信することができ、このデータ伝送装置を、特に、監視モジュールからの無線データ及び信号/監視モジュールへの無線データ及び信号の伝送のために、及び、特に、工作機械からの有線データ及び信号/工作機械への有線データ及び信号の伝送のために設定することができる。好適には、無線ベースの伝送技術又は赤外線信号による伝送を無線伝送のために考慮することができる。
【0050】
また、コントローラは、加速度を表す変数が検出されたときに軸を所定の速度で回転させるように及び/又はこの速度を監視モジュールに送信するように設定することができる。同心度誤差がない場合、監視モジュールの中心軸は、回転する軸の回転軸と実質的に同軸に向くことができる。工作機械/複合工作機械を、工作機械の軸に監視モジュールを(自動的に)挿入するように設定することもできる。工作機械/複合工作機械は、例えば、通信装置を介して、加速度を表す変数の取得を開始するように監視モジュールに信号を送るように設定することもできる。この取得開始コマンドを、例えば、工作機械がデータ(この場合、加速度を表す変数)取得の準備ができたことの信号を監視モジュールに送信した後にのみ監視モジュールに送信することができる。
【0051】
工作機械/複合工作機械の制御システムが、監視モジュールにおいて同心度誤差がないと判断した場合、工作機械/複合工作機械は、特に、同心度誤差がないと判断した後に直接工作機械によって加工されるワークピースのワークピース加工を可能にするように設定することもできる。この場合、工具を更に交換することなく直ちに加工を開始することができる。
【0052】
工作機械/複合工作機械の制御システムが、同心度誤差が存在すると判断した場合、工作機械/複合工作機械を、保留中のワークピース加工動作をブロックし、軸を停止し、工作機械全体を安全状態にし、及び/又は、例えば、工作機械/複合工作機械のディスプレイ及び/又はスピーカを介して、光学的及び/又は音響的なエラー信号を出力するように設定することもできる。このような措置を取る前に、工作機械/複合工作機械を、軸から監視モジュール及び/又は工具を取り外して交換するように設定することができる。その間に、軸(テーパインターフェース)を圧縮空気で吹き飛ばして清掃することができる。そして、監視モジュールの交換後も同心度異常が継続する場合にのみ、対応策を講じる。
【0053】
第5の態様は、同心度監視信号伝達インターフェースに関する。同心度監視信号伝達インターフェースは、第1の態様の振れ監視モジュール、第2の態様の振れ監視工具ホルダモジュール及び/又は第3の態様の振れ監視工具モジュールから信号を受信するとともに第4の態様の工作機械/複合工作機械に信号を送信するように設定された通信装置を備える。同心度監視信号伝達インターフェースは、同心度監視信号伝達インターフェースの前記通信装置に接続され、第1の態様の振れ監視モジュールのセンサユニット、第2の態様の振れ監視工具ホルダモジュールのセンサユニット及び/又は第3の態様の振れ監視工具モジュールのセンサユニットによって検出された加速度を表す値を受信し、加速度を表す記録された値に基づいて全体の加速度を決定し、加速度を表す量の検出中、総加速度と、軸の回転速度、振れ監視モジュールの回転速度、監視工具ホルダモジュールの回転速度又は同心度監視工具モジュールの回転速度に依存する閾値と、を比較し、総加速度が閾値より大きい場合、第1の態様の振れ監視モジュール、第2の態様の振れ監視工具ホルダモジュール及び/又は第3の態様の振れ監視工具モジュールの振れ誤差が存在すると判断するように配置された、演算装置を備える。同心度監視信号伝達インターフェースの通信装置は、動作中に回転する工具、振れ監視モジュール、監視工具ホルダモジュール及び/又は同心度監視工具モジュールの振れ誤差が存在するの信号を工作機械/複合工作機械に送信するように配置される。
【0054】
演算装置(データ処理装置)及び通信装置コンポーネントを有する同心度監視信号インターフェースは、通信装置を介して又は別個のデータ伝送装置を介して監視モジュールと通信を行うことができる。このデータ伝送装置を、特に、監視モジュールと同心度監視信号インターフェースとの間の無線データ及び信号の伝送のために、特に、同心度監視信号インターフェースと工作機械との間の有線データ及び信号の伝送のために使用することができる。好適には、無線ベースの伝送技術又は赤外線信号による伝送を無線伝送のために考慮することができる。
【0055】
したがって、監視モジュールが対応する測定変数(この場合、加速度を表す変数)を同心度監視信号インターフェースに送信する場合、同心度監視信号インターフェースを、監視モジュールと同一の計算を実行するために使用することができる。これらの計算を実行すると、総加速度及び/又は計算の基となった測定変数のような計算結果を、同心度誤差が存在するか否かの信号(OK信号又はNOK信号)と共に工作機械のコントローラに送信することができる。更に多くのデータを伝送する場合、これを、同心度監視信号インターフェースと工作機械との間のデータワードの形態とすることができ、特に、デジタルバスシステムを伝送に使用することができる。このために、好適には、Profibus、Profinet、Ethercat又はEthernet(登録商標)のようなフィールドバスシステムを使用することができる。
【0056】
同心度監視信号インターフェースを、監視モジュールを起動するように、すなわち、監視モジュールが加速度を表す変数を決定する前に監視モード(測定モード)に設定するように設定することもできる。さらに、同心度監視信号インターフェースを、測定した変数の取得中に回転速度を決定するとともにそれを監視モジュール及び/又は工作機械/複合工作機械に送信するように設定することもできる。代替的に又は追加的に、回転速度は、検出中に工作機械の制御システムによって指定され、又は、監視モジュールによって決定され、同心度監視信号インターフェースに送信される。
【0057】
同心度監視信号インターフェースを、監視モジュールからの信号を待機するように設定することができ、特に、監視モジュールが起動されるとき、監視モジュールは、データ取得の準備ができたことの信号を送信する。データ取得を完了した後、同心度監視信号インターフェースを、監視モジュールを再び停止させるように、すなわち、同心度監視が不可能な状態にするように設定することができる。これにより、個々の同心度測定間のエネルギーを節約することができる。監視モジュールの起動及び停止を、監視モジュール自身又は工作機械/複合工作機械によって行うことができる。同心度監視信号インターフェースを、同心度誤差があるか否かの結果をテスト信号(OK又はNOK)によって工作機械のコントローラに送信するように設定することができ、その結果、工作機械のコントローラは、必要に応じて上記の対策(加工ブロック、エラー表示等)を講じることができる。
【0058】
第6の態様は、動作中に工作機械又は複合工作機械で回転する工具の同心度監視方法に関する。同心度監視方法は、(i)動作中に回転する監視モジュール又は動作中に回転する監視モジュール及び回転する工具を工作機械/複合工作機械の軸に自動的に挿入することであって、回転する監視モジュールは、回転する監視モジュールの回転軸が貫通するように回転する監視モジュールに割り当てられたセンサユニットを備えることと、(ii)工作機械/複合工作機械の軸を、指定された速度で回転させることと、(iii)回転する監視モジュールが所定の速度で回転する間、回転する監視モジュールの回転軸に対して実質的に垂直に向けられた平面の加速度を表す量を受信及び/又は検出することと、(iv)記録された加速度を表す量に基づいて総加速度を決定することと、(v)総加速度と、加速度を表す量の検出中に回転する監視モジュールの回転速度に依存する閾値と、を比較することと、(vi)総加速度が閾値より大きい場合、回転する監視モジュール及び/又は回転する工具の同心度誤差があると判断することと、を備える。
【0059】
「回転監視モジュール」を、特に、既に一体化された工具を有する第3の態様による同心度監視工具モジュールとして理解すべきである。一方、「動作中に回転する監視モジュール及び回転する工具」は、特に、動作中に回転する工具がワークピース加工前に挿入される第1の態様による同心度監視モジュール及び第2の態様による同心度監視工具ホルダモジュールを指す。
【0060】
同心度監視プロセス又はその個々のステップを、(センサユニットによって加速度を表す変数を記録する責任を常に負う)監視モジュール、工作機械/複合工作機械及び/又は同心度監視信号インターフェースのような種々のコンポーネントによって実行することができる又は少なくとも開始することができる。したがって、一つの変形例では、同心度監視プロセスの全てのステップを工作機械によって実行することが想定される。ステップ(iii)は、特に、加速度を表す変数を監視モジュールから及び/又は同心度監視信号インターフェースから受信することを備える。
【0061】
ある種の変形例では、同心度監視プロセスのステップ(i)及び(ii)のみを工作機械によって実行することができる。ステップ(iii)から(vi)を、監視モジュール又は同心度監視信号インターフェースによって実行することができ、後者の場合、ステップ(iii)は、特に、同心度監視信号インターフェースによって加速度を表す変数を受信することを備える。その後、同心度監視信号インターフェース(ステップ(iii)から(vi)が監視モジュールによって実行される場合)又は工作機械(ステップ(iii)から(vi)が同心度監視信号インターフェースによって実行される場合)への同心度誤差が存在するか否かの信号の送信のような別のステップが続くことができる。
【0062】
ステップ(iii)から(vi)を監視モジュールによって実行する場合、加速度を表す記録された変数を、好適には、較正の実行中に決定された加速度を表す初期変数を考慮して、全体の加速度を決定するために更に処理される前に、モジュールのデータ処理装置又は別のモジュールのメモリに一時的に記憶させることができる。この総加速度が指定の許容閾値を超えたか否か又は少なくとも閾値に達したか否かを判断するために、総加速度が閾値と比較される。
【0063】
ステップ(iii)から(vi)を工作機械又は同心度監視信号インターフェースによって実行する場合、加速度を表す変数を、工作機械/同心度監視信号インターフェースに連続的に、特に、測定プロセス(加速度を表す変数の取得)中に連続的に送信することができる。この場合、利用可能であれば、初期加速度を表す変数も工作機械/同心度監視信号インターフェースに送信することができる。評価、フィルタリング、初期値に対するオフセット、総加速度の計算及び総加速度と閾値との比較を、その後、同心度監視信号インターフェースの演算装置によって/工作機械の制御システムによって実行することができる。
【0064】
閾値は、動作中に回転する工具の偏心の許容範囲を特徴付けるので、この値を、上述した全ての場合において、(他のコンポーネントの一つによって)監視モジュールの演算装置、工作機械の制御装置及び/又は同心度監視信号インターフェースの演算装置に既知とすることができる。閾値を、例えば、マイクロメートル(μm)単位のアナログ値又はデジタル値として利用することができる。閾値は、調整可能である。これを、例えば、適切な手段を使用して監視モジュールで直接行うことができる。例えば、磁気ペン及びET/ MODEを使用して監視モジュールに閾値を入力することができる。代替的には、工作機械/複合工作機械の制御システムに閾値を入力した後に必要に応じて同心度監視信号インターフェースを介して監視モジュールに閾値を送信することもできる。この手順は、特に、同心度監視手順のステップ(iii)から(vi)を監視モジュールによって実行する場合を想定している。
【0065】
一方、加速度を表す変数が工作機械/同心度監視信号インターフェースで評価される場合、閾値は、好適には、工作機械に直接入力することができ、同心度監視信号インターフェースで評価される場合、閾値は、工作機械に送信されるとともにメモリに保存される。
【0066】
同心度監視方法は、監視モジュールが加速度を表す変数を決定する前に、監視モジュールが監視モード(測定モード)に設定されるように監視モジュールを作動させる更なる任意のステップを有することができる。したがって、この更なるステップは、時間的に少なくともステップ(iii)に先行する。起動ステップの後には、加速度を表す値(すなわちテスト速度)が記録されるときに速度を待機するステップを設けることができる。
【0067】
同心度監視プロセスは、必要に応じて、監視モジュールが起動された後、監視モジュールからの信号を待機する更なるオプションのステップを有することができ、これにより、監視モジュールは、データ取得の準備ができたことの信号を送信する。さらに、同心度監視プロセスの更なるオプションのステップでは、監視モジュールを、再び停止させることができる、すなわち、同心度監視を行わない状態に設定することができる。このオプションのステップは、ステップ(iii)による変動値の記録が完了した時点で実行される。
【0068】
同心度監視プロセスの更なるオプションのプロセスステップにおいて、測定した変数が記録されるとともに同心度監視信号インターフェース及び/又は工作機械/複合工作機械に送信されるときに、回転速度を、例えば、監視モジュールによって決定することができる。プロセスステップ(iii)から(vi)を監視モジュールによって実行する場合、特に、このステップを省略することができる。代替的に又は追加的に、回転速度を、検出中に工作機械の制御システムによって指定することができる。
【0069】
同心度監視手順を、加速度を表す変数を記録するときに単一の事前に定義された回転数について実行することができる。代替的に又は追加的に、方法ステップ(iii)から(vi)を異なる回転速度で繰り返すことも可能である。特に、異なる回転速度で1回から5回の繰り返しが可能であるが、本開示は、特定の繰り返し回数に限定されない。この場合、ステップ(ii)で異なる回転速度がそれぞれ設定される。工作機械/同心度監視信号インターフェースへの同心度誤差の有無に関する任意の信号の送信は、例えば、全ての(テスト)回転数について一度だけ又は各テスト回転数について個別に行うことができ、これにより、対応するテスト回転数を各場合に追加的に送信することができる。
【0070】
特に、方法ステップ(iii)から(vi)を繰り返し実行する場合、テスト速度を監視モジュールによって決定すること又はテスト速度を少なくとも監視モジュールによって記録された測定変数(加速度を表す他の変数など)に基づいて決定することが考えられる。
【0071】
上述した全ての態様に共通することは、加速度を表す量(すなわち、監視モジュール及び監視モジュールに関連するセンサユニットのx-y平面における半径方向の加速度)を全体的な加速度を決定する前に、例えば、ローパスフィルタ又はバンドパスフィルタを使用してフィルタリングすることができることである。さらに、上述の全ての演算装置及び制御装置に適切なメモリを割り当てることができ、このメモリに、本開示の範囲内で説明するとともに同心度監視に何らかの形で関連する受信した信号及び送信される信号を(一時的に)記憶させることができる。
【0072】
第7の態様は、第4の態様の工作機械/複合工作機械が、第6の態様の処理ステップ(i)~(vi)を実行し、第1の態様の振れ監視モジュール、第2の態様の振れ監視工具ホルダモジュール又は第3の態様の振れ監視工具モジュールが、第6の態様の方法ステップ(iii)~(vi)を実行し、第5の態様の振れ監視信号伝達インターフェースが、第6の態様の方法ステップ(iii)~(vi)を実行する命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0073】
コンピュータプログラム製品は、同心度監視プロセスに関連して説明した任意のステップを、対応するコンポーネント(監視モジュール、工作機械及び/又は同心度監視信号インターフェース)によって実行させる命令を更に有してもよい。
【0074】
原則的に、動作中に回転する工具の振れが指定の閾値より下であるか否かを正確に判断することができるようにするために、加速度を表す(初期の)変数を記録するときに監視モジュール/工作機械/振れ測定インターフェースがテスト速度を正確に知っていることが振れ誤差判断の精度に重要である。
【0075】
工作機械コントローラは、正確なテスト速度を同心度監視信号インターフェース/監視モジュールの演算装置に伝達することができる。 このテスト速度は、指定されたものとみなされ、速度較正に関する更なるチェックは必要でない。
【0076】
特定の変形例では、監視モジュールは、回転軸から半径方向に離間するとともに速度を表す変数の検出と実質的に同時に回転軸に対して実質的に垂直に向けられた平面の加速度を表す別の変数を検出するために配置された別のセンサユニットを更に備えることができる。演算装置は、別のセンサユニットによって検出された加速度を表す別の量を受信するとともに加速度を表す量の検出中の同心度監視モジュール/同心度監視工具記録モジュール/同心度監視工具モジュールの回転数を加速度を表す別の量から決定するように更に設定される。代替的には、いくつかの変形例では、通信装置は、加速度を表す別の変数を、第4の態様による工作機械/複合工作機械及び/又は第5の態様による振れ監視信号インターフェースに送信するように配置されてもよい。
【0077】
他の(第2の)センサユニットを、その感度及び可能な検出方向に関連して(第1の)センサユニットと同様に又は同一に設計することができる。 例えば、別のセンサユニットは、2軸加速度センサであってもよく、これを、x-y平面にあるとともに監視モジュールの回転軸に垂直な加速度を表す別の変数を検出できるように監視モジュール内に設定及び配置する。代替的には、特に、別の(第2の)センサユニットが、検知軸が半径方向に配置された、すなわち、この1軸加速度センサがx-y平面にあるとともに監視モジュールの回転軸に垂直な加速度を表す別の変数を検出できるように1軸加速度センサを備えることも可能である。追加センサユニットに1軸加速度センサを使用する場合、「加速度を表す他の変数」は、通常、単一の「加速度を表す変数」のみを含む。このために、関連する箇所で特に明記されていない限り又は反対の技術的意味が明らかでない限り、
【数5】
という用語は、本開示の文脈では同義的に使用される。
【0078】
一つの変形例では、追加のセンサユニットは、回転軸から半径方向に離間するとともに回転軸に垂直な面に配置された二つの対向する加速度センサを備えることもできる。 この場合、加速度センサはそれぞれ、一直線上にある測定軸又は回転軸を含む平面に直交する平面内にある測定軸を有する。 好適には、加速度センサは、加速度を表す他の変数のそれぞれの平均値が形成される測定値を提供する。上述したように 一つのセンサだけで決定される速度は、存在する可能性のある同心度誤差の影響が及ぼされる可能性があるが、二つの対向するセンサを配置することによって、この影響を最小限に抑える又は排除することができる。 振れ誤差が存在する場合、例えば、第1の加速度センサの回転軸までの半径方向の距離が増加し、それに応じて、第2の加速度センサの半径方向の距離が減少する。したがって、二つの対向する加速度センサで測定された加速度の平均値は、存在する可能性のある同心度誤差とは無関係である。 回転速度の計算を、必要に応じて演算装置で実行することができる。
【0079】
加速度を表す他の変数が工作機械/同心度監視信号インターフェースに送信される場合、工作機械コントローラ/同心度監視信号インターフェースの演算装置によって、速度を、これらの変数に基づいて決定することができる。
【0080】
別のセンサユニットを、例えば、監視モジュールの内周面に隣接して及び/又は内周面に接触して配置することができる。この周面は、本質的に円筒状の周面であってもよい。 したがって、別のセンサユニットを、特に、(中心を外した)中心位置の外側に配置することができ、その結果、別のセンサユニットは、センサユニットから半径方向に間隔を置き、監視モジュールの回転軸が追加のセンサユニットを貫通しない。
【0081】
このように(別のセンサユニットとして)配置された偏心加速度センサは、加速度を表す他の変数を(加速度値又はトランスデューサ値として)供給する。 次に、別のセンサユニットの遠心加速度を表すこれらの変数から速度を計算する。
【0082】
いくつかの変形例では、加速度を表す変数の検出中に監視モジュールの回転軸が実質的に水平に向けられる場合、監視モジュールの演算装置を、加速度を表す変数の検出中に広まる信号周波数に基づいて加速度を表す変数の検出中の監視モジュールの回転速度を決定するように構成してもよい。
【0083】
これは、速度を決定するために監視モジュールに追加のセンサユニットが必要ないことを意味するので、監視モジュールを専ら水平方向に向ける必要がある応用又は少なくとも同心度テストに特に有利である。これにより、特に、コストを節約することができる。この理由は、加速度を表す変数を記録するときに監視モジュールが水平に向けられている場合に重力による加速度によって生じる正弦波信号がこれらの変数に重畳されるからである。 この正弦波信号を、監視モジュールの演算装置で個別に分析することができ、この正弦波信号は、重力による加速度 (1g) に少なくともほぼ対応する振幅を提供する。正弦波信号の周波数は、検出中の回転速度すなわちテスト回転速度に対応する。このタイプの速度決定は、較正する必要がないために特に効率的である。
【0084】
いくつかの変形例では、監視モジュールは、監視モジュールの外周に位置する感光面を有する感光ユニットを更に備えることができ、感光ユニットは、加速度を表す量の検出中に明るさの差を検出するように適合されており、 演算装置は、加速度を表す量の検出中に明るさの差の周波数に基づいて監視モジュールの回転速度を決定するように適合されている。
【0085】
したがって、これを、光学式のテスト速度検出とすることができ、これにより、感光ユニットは、例えば、光検出器、例えば、感光面が半径方向外側に向くように監視モジュールに組み込むことができるフォトダイオードを有することができる。速度検出中に、周囲の光の状態により監視モジュールの回転中に生成される光信号を検出することができる。 一連の明暗の差は、光パターンを作成し、光パターンは、感光ユニットによって電圧に変換される。この光のパターンも、したがって、電圧パターンも回転ごとに繰り返される。したがって、対応する信号評価を適用することによって光パターンの基本周波数を決定することができる。この光パターンの基本周波数は、テスト速度に対応する。
【0086】
特定の変形例では、感光ユニットにIRフォトダイオードを使用することが考えられる。 この場合、検出されるのは、周囲光ではなく、例えば、工作機械に割り当てられた、特に、監視モジュールが工作機械の軸に配置されているときに工作機械の感光面を照明できるように工作機械に配置されたIR LEDによって放射される赤外線範囲の周波数を有する光線である。このようにして、特に、弱い(暗い)照明条件下で、テスト速度を確実に決定することができる。このタイプの光学式のテスト速度検出は、較正する必要がないために特に効率的である。
【0087】
監視モジュールのいくつかの変形例では、少なくともセンサユニット、好適には、追加の別のセンサユニットをセンサ回路基板に配置することができ、センサ回路基板は、回路基板ホルダに接続され、回路基板ホルダの位置を、監視モジュールの調整手段を介して回転軸に対して垂直に調整することができる。
【0088】
一変形例では、センサ回路基板は、回路基板ホルダに固定される。さらに、一変形例では、回路基板ホルダは、浮遊状態で吊り下げられ(取り付けられ)、一変形例では、調整手段を介して監視モジュールの(回転)中心に正確に配置される。例えば、監視モジュールの回路基板ホルダに放射状に取り付けられたねじ付きピンを、回路基板ホルダ、したがって、センサユニットの横方向の微調整に使用する。一変形例では、この微調整は、特に、製造業者によって実行されるが、本開示は、これに限定されない。
【0089】
ブランクホルダの微調整用のグラブねじとは異なるとともに特にユーザによる監視モジュールの微調整に使用できる他のグラブねじは、異なる重量を有することができる、及び/又は、当該他のグラブねじを、追加の質量に対応するように設計することができる。監視モジュールの微調整を、特に、工具交換後にこれらのねじピンを使用して監視モジュールの周囲にあるねじ穴を介して実行することができる。
【0090】
特定の変形例では、監視モジュールは、好適には、ウェイクアップ信号に応答して省電力モード又はスタンバイモードからモニタリングモードに切り替えるように、及び/又は、好適には、ウェイクアップ信号に応答してセンサユニット、別のセンサユニット、演算装置及び/又は通信装置を省電力モード又はスタンバイモードからモニタリングモードに切り替えるように適合した電源ユニットを更に備えてもよい。
【0091】
例えば、上述した同心度監視モジュールの起動は、ウェイクアップ信号による起動を含んでもよい。
【0092】
省エネモードでは、監視モジュールの電子ユニットの演算装置(データ処理装置)、センサユニット及び通信装置(データ送信ユニット)を待機状態にすることができ、比較的少ないエネルギーが消費される。(測定モードでもある)監視モードでは、電子ユニットを、本開示の文脈で説明される全ての測定を実行できる標準モードにすることができる。電子ユニットは、測定モードでは省エネモードに比べて多くのエネルギーを消費する。
【0093】
いくつかの変形例では、エネルギー供給ユニットは、電気エネルギーを貯蔵するためのエネルギー貯蔵ユニットを備えることができる。いくつかの変形例では、エネルギー供給ユニットは、電気エネルギーを生成するための発電ユニットを備えることもできる。したがって、エネルギー供給ユニットは、生成及び/又は貯蔵を担当することができ、好適には、電子ユニットの全てのコンポーネントの供給電圧を調整することも担当することができる。エネルギー供給ユニットは、少なくとも一つのバッテリ又は少なくとも一つの蓄電池に蓄えられたエネルギーを電子ユニットのコンポーネントに供給することができる。この場合、発電ユニットを省略することができ、バッテリ/蓄電池は、比較的多い容量及び/又は比較的高いエネルギー密度を有することができる。代替的に又は追加的に、監視モジュールは、発電ユニットを介して独自の電力を生成することができ、例えば、工作機械の回転軸のエネルギー又は加圧媒体を使用することができる。これらの様々な形式のエネルギーを、発電ユニットを使用することによって電気エネルギーに変換することができる。これらの場合、一つ以上の小型バッテリ及び/又は一つ以上の小型コンデンサのような(特に、蓄電池からのエネルギー供給と比べて)容量が少ない及び/又はエネルギー密度が低い比較的小型のエネルギー貯蔵デバイスをエネルギー貯蔵に使用することができる。発電ユニットは、例えば、互いに120°オフセットして配置された三つの誘導コイルを備える第1の部分を有することができる。発電ユニットの第1の部分に対して回転可能な発電ユニットの第2の部分は、例えば、一つ以上の永久磁石を備えることができる。あるいは、第1の部分が永久磁石を備え、第2の部分がコイルを備えることもできる。第1の部分が第2の部分に対して回転するとき、位相位置に関して相互に120°シフトした交流電圧が生成される。しかしながら、本開示は、発電ユニットのこの特定の実施形態に限定されない。例えば、二つの誘導コイルが直列に接続される六つの誘導コイルを有する変形例又は三つの誘導コイルがそれぞれ直列に接続される九つの誘導コイルを有する変形例も考えられる。これらの場合、発電ユニットの第2の部分に更に多くの永久磁石が存在し、特に、誘導コイルの数が増加するに従って永久磁石の数も増加する。電源ユニットは、発電ユニットで生成された交流電圧を直流電圧に変換して平滑化する整流器を有することもできる。
【0094】
監視モジュールの特定の変形例では、ウェイクアップ信号は、加速度を表す別の変数がウェイクアップ閾値を超えるとすぐに別のセンサユニットによって生成される又は第4の態様の工作機械/複合工作機械及び/又は第5の態様の監視信号伝達インターフェースから通信装置を介して受信した又はエネルギー供給ユニットによって生成されるエネルギー量が所定のレベルを超えると生成される信号である又は当該信号によってトリガされる。
【0095】
一変形例では、追加のセンサユニットを、設定されたウェイクアップ閾値に達する又はそれを超えるときにウェイクアップ信号を生成するように設定することができる。このウェイクアップ信号によって、監視モジュールの電源ユニット、演算装置及び通信装置が省エネモードから監視モードに切り替えることができる。監視モジュール又はそのコンポーネントの可能な限り安全な起動を保証するとともに誤った起動を回避するために、以下のシーケンス (起動シーケンス) が考えられる。
【0096】
最初に、監視モジュールが工作機械の主軸に挿入される(例えば、第6の態様によるステップ(i)を参照)。次に、監視モジュールが軸において回転され(第6の態様によるステップ(ii)を参照)、それにより、別のセンサユニットが遠心加速度を受けてウェイクアップ信号を生成する。別のセンサユニットのウェイクアップ信号は、監視モジュールの電子ユニットを起動する。上述したように、電子ユニットは、監視モジュールに回転速度が実際に存在するか否かをチェックすることができる。監視モジュールが実際に回転している場合、電子ユニットは監視モードのままである。一つの変形例では、(軸内の又は単独の、すなわち、軸から取り外された)監視モジュールは、回転しない。電子ユニットは、監視モジュールにまだ速度があるか否かを確認することができる。監視モジュールが実際に回転していない場合、電子ユニットは、省エネ モードに戻る。これにより、監視モジュールは、必要な限り監視モードに留まるが、その時間はできるだけ短くなる。これにより、最終的には電子ユニットのコンポーネント又は監視モジュール全体に電力を供給するためのエネルギーが節約される。
【0097】
工作機械/回転監視信号インターフェースからウェイクアップ信号を受信するとき、工作機械/回転監視信号インターフェースの演算装置の制御装置は、監視モードに切り替わる対応する通信装置を介して、起動信号(ウェイクアップ信号)を監視モジュールに送信する。エネルギー供給ユニットによって生成されるエネルギーの量が事前に定義されたレベルを超えたときにウェイクアップ信号が生成される場合、監視モジュールも、第6の態様によるステップ(i)に従って最初に工作機械の軸に変更される。第6の態様によるステップ(ii)に従って監視モジュールが回転するとすぐに、発電ユニットはエネルギーを生成し始める。特定のレベルに達するとき、電子ユニットは、自動的に通電されるとともに監視モードに設定される。起動の全ての変形、すなわち、監視モジュールを監視モードに設定することに加えて、床への落下又は機械室内の物体との衝突のような衝撃イベントを記録することができる。この記録の結果を、モジュールに保存することができる、又は、工作機械及び/又は同心度監視信号インターフェースに送信することができる。上述した起動シーケンスを、監視モジュールの起動にどの変形を使用するかに関係なく実行してもよい又は実行しなくてもよい。いくつかの変形例では、発電ユニットは、監視モジュールの工具ホルダに直接的又は間接的に結合される又は第1の態様による工具ホルダに直接的又は間接的に結合することができるステータを備え、発電ユニットは、回転軸の周りの監視モジュールの回転加速時に発電ユニットが電気エネルギーを生成するようにステータと協働するように監視モジュールに関連付けられるロータを更に備える。回転加速度は、軸速度が増加したとき又は軸速度が減少したときに生成される正又は負の回転加速度である。代替的には、ステータを監視モジュールに直接的又は間接的に結合することもできる。ステータを、上述した発電ユニットの第1の部分とすることができる。この場合、ロータが上述した発電ユニットの第2の部分であってもよい。代替的には、ステータが上述の発電ユニットの第2の部分であってもよい。この場合、ロータを、上述した発電ユニットの第1とすることができる。この場合、永久磁石を備えたフライホイールがロータを表すことができる。ステータに一つ以上の誘導コイルを設けることができる。誘導コイルを、例えば、回路基板を介して相互接続されたマンガン-亜鉛-フェライトコアを備えたコイルとすることができる。さらに、コイルを、コイルケージ内の対応する凹部に配置することができる、及び/又は、コイルケージに接着することができる。これにより、高い加工速度でも高いレベルの安定性を保証する。工作機械の軸が回転軸の周りで加速される場合 (又は後に再び減速される場合)、フライホイールの慣性により、ステータとロータ (すなわち、フライホイール) の間に速度差が生じる。これにより、誘導コイルに電圧が誘導され、その電圧は、負荷 (すなわち、電子モジュール自体のコンポーネント、特に、現在監視モードにある場合) に直接供給される又は監視モジュールのエネルギー貯蔵部に貯蔵される。このようにして、軸速度が変化するとき、フライホイールが (新しい) 軸速度に達するまで、すなわち、負又は正の加速度がなくなるまで、電圧が生成される。軸速度が変化したときに理論的に得られる機械エネルギー (回転エネルギー) は次のように計算される。
【数6】
これにより、対称軸の周りを回転する中空円筒の慣性モーメントIが得られ、これは、
【数7】
によって与えられる。フライホイールの質量及び半径は既知であるので、特定の角周波数 (ω=2πf) に対する回転エネルギーを計算することができでき、これにより、摩擦損失と渦電流損失の両方及び(誘導コイル、整流器、電気抵抗器等の)電気的側面の損失の両方は考慮されない。
【0098】
同心度監視サイクルすなわち電子ユニットの起動、加速度を表す変数の記録、加速度を表す他の変数、及び該当する場合の(一つ以上の)回転速度、全体的な加速の決定、同心度誤差が存在するか否かの決定及び同心度誤差が存在するか否かの信号の送信に必要な時間を、特に、1秒から2秒の間にすることができる。この期間のエネルギー要件をカバーするために、軸、したがって、回転する工具がワークピースの通常の加工速度に達するときに発電ユニットによって生成できるエネルギー量は、既に十分である。しかしながら、例えば、加工速度が非常に遅いために所定のケースでエネルギー量が十分でない場合、速度を繰り返し変更することによって追加のエネルギーを生成することができる。例えば、軸を比較的短時間(例えば、2~3秒)1000rpmまで加速した後に500rpmの加工速度まで減速することができ、これによって、加減速中にエネルギーを生成することができる。いくつかの変形例では、監視モジュールは、回転軸の軸方向に離間した監視モジュールの二つの外側の間に液密に延在する流体チャネルを備えることもできる。いくつかの変形例では、発電ユニットは、流体チャネル内に配置されたタービンホイールを備えたタービンユニットと、流体がタービンホイールを通って流れるときに電気エネルギーを生成するように配置されたタービンユニットに統合された発電機と、を備えることができる。このようにして、上述した加圧媒体のエネルギー変換が行われる。工作機械で使用されるクーラント及び/又は潤滑剤を実現することができる。軸で利用可能な媒体を、監視モジュール内の流体チャネル及び/又は冷却剤パイプを介してタービンに送ることができる。
【0099】
タービンホイールを通る媒体の流れによりタービンホイールが回転し、統合された発電機によって電圧が誘導され、その電圧は、監視モジュール自体又はそのコンポーネントに負荷として供給される又は監視モジュールのエネルギー貯蔵ユニットに貯蔵される。特に、タービンホイールを、上述した発電ユニット(発電機)の第2の部分とすることができる。特に、永久磁石を、タービンホイールの下面に取り付けることができる又はタービンホイールに組み込むことができる。誘導コイルを備えたステータは、タービンホイールの下の監視モジュール内の回路基板に永久に配置することができる。この形式のエネルギー生成の機能を監視するために、監視モジュールは、例えば、工作機械の主軸は正又は負に加速されてる場合でも、監視モジュールがエネルギーが生成されていないことを検出した場合に工作機械/同心度監視信号インターフェースにエラーを出力することができる。
【0100】
センサユニットを監視モジュールの(回転軸の)(回転)中心に正確に配置できるので、通常、冷却剤チャネルを介して中央に供給される媒体がセンサボードを通過するように誘導する必要がある場合がある。このために、媒体の流れをセンサボード及びセンサユニットに向けるのと同時に回転する工具に媒体を供給することができる分配器を監視モジュールに設けることができる。
【0101】
監視モジュール自身で電力を生成(自己発電)することにより、監視モジュールに継続的に電力を供給することができる。これを、ワークピースの加工プロセス中にデータがセンサユニット又は追加センサユニットによって継続的に記録されるとともに同心度監視信号インターフェース又は工作機械のような外部評価ユニットに送信される場合に特に望ましくすることができる。監視モジュールのいくつかの変形例では、センサユニットは、監視モジュールが特に軸と共に回転する通常動作とは別に、本質的に一定の回転速度又はいくつかの異なる本質的に一定の回転速度で回転軸に本質的に垂直に向けられた面の加速度を表す初期値を記録するように設定され、これにより、演算装置は、本質的に一定の回転速度又はいくつかの異なる本質的に一定の回転速度で回転軸に本質的に垂直に向けられた面の加速度を表す初期値を記録するとともに加速度を表す初期量を(一つ以上の)対応する回転速度と共に監視モジュールのメモリに保存するように設定され、及び/又は、通信装置は、加速度を表す初期量を好適には(一つ以上の)対応する回転速度と共に第4の態様による工作機械/複合工作機械及び/又は第5の態様による同心度監視信号インターフェースに送信する。加速度を表す初期値を、通常動作(工作機械が工作物を加工できる動作)とは別に、特に較正モード(較正の実行)において記録することができる。この較正は、特に、工作機械、軸、工具交換装置、工作機械の作業領域、同心度監視信号インターフェース及び監視モジュール (ここでは、特に、センサユニットの正確な中心合わせが行われている) がエラーなく動作している状態である条件下で行われる。特に、較正モードでは、軸の工具ホルダは可能な限り理想的に平らであり、軸及び工具ホルダの領域に切りくず又は他の汚れがないことが必要である。必要に応じて、メーカー及び/又はユーザは、これを監視することができる。
【0102】
特に製造業者によって可能である較正を行うことができる。その理由は、センサユニットを正確に中央に(すなわち、監視モジュールの回転軸に)配置するための組立が(主に製造公差及び組立公差により)非常に複雑になる可能性があるからである。また、一定の公差もあるので、(監視モジュールの回転軸と軸が正確に同軸になるように)監視モジュールを軸の中心に正確にクランプすることが常に可能ではない。この結果、センサユニットの「中心からずれた位置」が生じる可能性があり、特に、センサユニットの慣性軸 (例えば、検知軸である必要はない軸) (又は、代替的に、センサユニットの加速度センサの慣性軸)は、特に、上述した許容距離内で、監視モジュールの回転軸から半径方向に離間し、監視モジュールの回転軸とセンサユニットの慣性軸と間の上述した角度誤差が維持される。この偏心によりオフセット値が生じ、加速度を表す実際の値が歪む可能性がある。
【0103】
このために、上述したオフセット値は、加速度を表す初期値として、較正の実行時に決定され、全体の加速度を計算するときに考慮される。したがって、較正の実行は、加速度を表す対応する監視モジュールの初期値を決定するための「学習サイクル」である。較正を、加速度を表す初期値が一つのテスト速度又は複数のテスト速度に対して決定される較正モードで実行することができる。(一つ以上の)テスト速度自体を、上述したように指定及び/又は決定することができる。追加のセンサユニットを使用してテスト速度を決定する場合、特に、この速度決定も製造業者によって又は既知の速度での較正プロセスによって較正される可能性がある。
【0104】
テスト速度に依存する加速度を表す初期値の関数を計算することができる。この速度依存関数は、監視モジュールのメモリに保存することができる及び/又は同心度監視信号インターフェース/工作機械に送信したりすることができる。較正に必要な計算を、工作機械/同心度監視信号インターフェースによって実行することができる。
【0105】
加速度を表す初期変数の検出を、加速度を表す変数の検出と同様に、特定の評価時間に亘って行い、特に、特定の回転数(例えば、4から100の間の回転数)によって特徴付けることができる。初期加速度変数をできるだけ正確に決定するために、評価時間中、(一つ以上の)速度を基本的に一定にすることができる又は最大でも(一つ以上の)速度の10%の範囲内で変動させることができる。 加速度を表す初期値の記録を(一つ以上の)速度に達したときに、すなわち、対応する(一つ以上の)速度への軸の始動段階外でのみ開始することが意図されている可能性がある。これは、加速度を表す変数の決定にも当てはまる。加速度を表す初期量及び本質的に同一の速度での加速度を表す量がわかっている場合、総加速度を、結果として生じる総加速度という意味でこれらの量の関数として決定することができる。第6の態様による方法と同様に、較正を、監視モジュール、振れ監視信号インターフェース及び工作機械のような上述した異なるコンポーネントによって及び/又はこれらの構成要素の相互作用によって、少なくとも部分的に実行することができる。
【0106】
較正を監視モジュール自体によって完全に実行する場合、工作機械/同心度監視信号インターフェースの監視モジュールは、較正の実行の準備ができていることの信号を送信することができる。次いで、加速度を表す初期変数を、記録し、フィルタリングし、保存することができ、これにより、特に、記録期間に亘って安定した速度で記録を行うことができる。いくつかの速度に対して較正を実行する場合、それぞれの速度を取得中に決定することもできる。次いで、必要に応じて速度を変更することができ、初期加速度を表す変数のフィルタリング及び決定を、変更された速度に対して再度実行することができる。この結果、上述した速度依存関数の場合、すなわち、単一速度での較正の実行の場合、監視モジュールに保存できるテスト速度と初期加速度のペアを取得することができる。このシーケンスが完了すると、監視モジュールは、工作機械/同心度監視信号インターフェースに較正の実行が完了したことの信号を送信することができる。代替的に又は追加的に、監視モジュールは、較正プロセスが正常に完了したこと又はエラーが発生したことの信号を工作機械/同心度監視信号インターフェースに送信するために信号(OK又はNOK)を送信することができる。
【0107】
代替的には、加速度を表す初期値のフィルタリング及び保存を工作機械/同心度監視インターフェースで行うこともできる。ここでも、工具モジュールは、必要に応じて、工作機械/同心度監視信号インターフェースからの要求に応じて較正の実行の準備状況を工作機械/同心度監視信号インターフェースに送信することができる。加速度を表す初期値は、記録期間中に安定した速度で記録することができる。記録した値を、例えば、記録期間に達するまで工作機械/同心度監視信号インターフェースに継続的に送信することができる。その後、複数の速度で較正を実行する場合、速度を変更することができる。その後、加速度を表す初期値を記録し、再度記録時間に達するまで新たに設定した速度で送信を行うことができる。全てのテスト速度の初期加速値が記録されるとともに送信されると、例えば、工作機械/同心度監視信号インターフェースからの信号により、較正の実行を終了することができる。その後、初期加速値は、工作機械/同心度監視信号インターフェースでフィルタリングされ、特に、初期加速値の速度依存関数として、較正の実行中の(一つ以上の)速度と共に保存される。
【0108】
監視モジュールのいくつかの変形例では、演算装置は、センサユニットによって検出された加速度を表す量及び/又は初期加速度を表す量、及び/又は、50ミリ秒から200ミリ秒の間の特定の時間窓における加速度を表す量をデータパケットの形式で検出する間の監視モジュールの回転速度を処理するように更に配置され、処理は、信号フィルタリング、平均化及び/又は時間窓ごとの周波数スペクトルの決定のような操作によって実行され、処理後のデータパケットを、第4の態様の工作機械/複合工作機械及び/又は第5の態様の同心度監視信号インターフェースに送信する。
【0109】
これは、監視モジュールのセンサユニット及び/又は他のユニット (例えば、感光ユニット) によって記録された全ての変数が工作機械/同心度監視信号インターフェースに連続的に送信される連続的な処理データの送信の変形である。これは、監視モジュール/工作機械/同心度監視信号インターフェースが統合されている複雑な製造プロセスを監視及び制御する場合に特に重要である。特に、高い時間分解能が必要な場合(例えば、センサユニットによって記録された変数に基づいて振動測定も実行する場合)又は多数の記録した変数を監視モジュールによって同時に送信する場合、この連続的な送信には高帯域幅が必要になる場合がある。監視モジュールと工作機械/同心度監視信号インターフェースと間の無線データ送信は、ボトルネックとなる可能性があり、データ送信に制限的な影響を及ぼす可能性がある。これら場合、センサユニットによって記録された変数を監視モジュールで部分的に分析することができ、その結果、安全かつ完全なワイヤレスデータ送信を行うことができる。この変形例では、監視モジュールが動作中に連続的に、好適には、ワークピースの加工サイクル(又は対応する監視モジュールを使用して実行される加工サイクルの少なくとも一部)の間に回転する工具の同心度を監視することが特に考えられる。このために、工作機械/同心度監視信号インターフェースは、場合によっては要求に応じて、データ取得の準備ができているという信号を送信する監視モジュールからの信号を待機することができる。特に、監視モジュールは、加速度を表す変数及び加速度を表す他の変数をプロセスパラメータとして継続的に記録することができ、かつ、これらのプロセスパラメータ及び場合によっては冷却剤の流れ及び/又は圧力又は決定した振動のような他のプロセスパラメータを含むデータパケットを、時間窓内で又は時間窓の終了時に工作機械/同心度監視信号インターフェースに送信することができる。記録したプロセスパラメータ及び/又はデータパケットを、監視モジュールのメモリに一時的に保存することができる。
【0110】
必ずしも行う必要がないが振動のような複雑なプロセスパラメータの場合に特に有用であるプロセスパラメータをデータパケットとして準備する一環として、例えば、記録した変数のRMS値を時間窓に亘って決定することができる。データパケットは、時間窓内で発生するピーク値と、FFTを使用して決定される時間窓ごとの記録した変数の周波数スペクトルと、を含むこともできる。このようにして、それぞれの時間窓で決定されたプロセス変数を要約したデータパケットを、時間単位ごとに工作機械/同心度監視信号インターフェースに送信することができる。
【0111】
これらの場合、速度決定によるデータパケットの評価、プロセスパラメータ又は記録した加速度変数のフィルタリング、加速度値の決定、総加速度の決定及び/又はこれらと閾値との比較を、工作機械/同心度監視信号インターフェースで行うことができる。評価を同心度監視信号インターフェースで行う場合、同心度監視信号インターフェースは、監視モジュールに同心度誤差があるか否かの信号を工作機械に送信することができる。
【0112】
監視モジュールのいくつかの変形例では、通信装置は、監視モジュールのバッファが少なくともほぼいっぱいになったときに、センサユニットによって検出された加速度を表す量及び/又は初期加速度を表す量及び/又は別のセンサユニットによって検出された別の加速度を表す量及び/又は加速度を表す量の検出中の監視モジュールの回転速度及び/又はデータパケットを、第4の態様による工作機械/複合工作機械への及び/又は第5の態様による同心度監視信号インターフェースに送信するように更に配置される。
【0113】
この変形例を、例えば、特に、記録したプロセス変数を時間窓ごとに工作機械/同心度監視信号インターフェースに送信する変形例(この点で、この変形例について説明した説明が同様に適用される。)と組み合わせることができる。記録したプロセス変数が最初に監視モジュールに一時的に保存されるとともに監視モジュールのメモリがいっぱいになる又は90%、80%又は70%になるとすぐにプロセス変数の送信を開始することが考えられる。この送信を、意図した記録期間に達するまで又は監視モジュールのメモリが再びほぼ空になるまで(例えば、30%又は20%又は10%だけが満たされる)又は完全に空になるまで維持することができる。
【0114】
監視モジュールのいくつかの変形例では、演算装置を、初期加速度を表す量を加速度を表す対応する量から減算することに基づいて総加速度を決定するように配置してもよい。
【0115】
このような全体的な加速度の決定を、第6の態様による全てのステップが監視モジュールによって実行されない場合でも、当然、工作機械/同心度監視信号インターフェースによって行うこともできる。
【0116】
したがって、総加速度値を、加速度を表す初期変数(初期値ax_initial,ay_initial)を考慮しながらセンサユニットからの加速度を表す変数(ax,ay)の結果値とすることができる。これらの変数が本質的に対応する速度で既知である場合、(結果として生じる総加速度という意味の)総加速度を、
【数8】
として計算することができる。この開示の文脈で結果として得られる全体的な加速度を言及する場合、これは、いずれの場合も初期値ax_initial,ay_initialが考慮されることを意味するが、式a_totが初期値を考慮する場合と初期値を考慮しない場合の両方について全体的な加速度に使用されることを意味する。
【0117】
監視モジュールの同心度誤差があるか否かを決定するためにこの総加速度が比較される閾値を、特に、加速度を表す変数の初期値からの偏差に関連する閾値とすることができる。したがって、この閾値は、回転する工具の依然として許容可能な偏心の範囲(すなわち、理想的な同心度からの偏差であるが、本開示の意味では同心度誤差が依然として存在しない範囲)を特徴付けることができる。したがって、総加速度が閾値を超える場合、特に、監視モジュールの同心度誤差が存在する可能性がある(工作機械/同心度監視インターフェースにNOK信号が送信される。)。(速度に依存する)閾値を、例えば、デジタル値又はアナログ値として、例えば、μm値として指定することができる。
【0118】
監視モジュールのいくつかの変形例では、演算装置は、振れ誤差が存在するときに振れ誤差の量及び/又は振れ誤差の方向を決定するように配置してもよい。通信装置を、振れ誤差の量及び/又は方向を第4の態様による工作機械/複合工作機械に又は第5の態様による振れ監視信号インターフェースに送信するように配置してもよい。追加的に又は代替的に、監視モジュールが特に軸と共に回転する回転している間、通信装置は、振れ誤差が存在するときに第4の態様による工作機械/複合工作機械及び/又は第5の態様による振れ監視信号インターフェースに振れ誤差の信号を送信するように設定してもよい。
【0119】
このようにして、好適には、工作機械でワークピースを加工する前に、特に、監視モジュールに同心度誤差が存在することの信号を工作機械/同心度監視信号インターフェースに迅速かつ効率的に送信することができ、その結果、工具は、適切な対策を迅速に講じることができる。同心度誤差の量及び同心度誤差の方向を、例えば、デジタル値として送信することができる (例えば、110°で30μm)。同心度誤差の量rを、a_resulting及び検出時の速度nを考慮して以下のように計算する。
【数9】
同心度誤差の方向を決定するとき、最大の同心度偏差の角度αを、監視モジュールの演算装置によって決定することができる。計算では、方向ベクトルがどの象限にあるかが区別される。ax_initial及びay_initialを考慮した正接関数を使用した最大の同心度偏差の方向αの決定を、以下の表に従って実質的に実行することができる。
【表1】
【0120】
いくつかの変形例では、監視モジュールは、監視モジュールが特に軸と共に軸開始位置からワークピースの加工位置まで移動される期間内に、加速度を表す別の変数を検出し、総加速度を決定し、 同心度誤差が存在する否かを決定し、同心度誤差が存在する否かの信号を送信するように設定され、この期間は、特に、5秒未満、好適には、3秒未満である。期間を、例えば、1秒から2秒の間とすることができる。したがって、他の多くの触覚同心度監視方法(又はレーザ測定システムを使用した方法)とは対照的に、結果の送信を含む同心度チェック全体を、基本的に加工時間と並行して、すなわち、回転する工具の加工位置までのアプローチ中に実行することができる。いくつかの変形例では、監視モジュールは、少なくとも一つのアンテナ及び少なくとも一つのアンテナカバーを有する少なくとも一つのアンテナユニットを更に備えることができ、アンテナは、監視モジュールの内部に配置され、アンテナカバーは、アンテナを軸から外部まで覆う。アンテナカバーは、アンテナよりも長い長さに亘って回転軸の軸方向に延在する。
【0121】
特に、アンテナを、無線データ送信及び工作機械/同心度監視信号インターフェースとの通信に使用することができる。一つの別のアンテナ又は二つの(又は必要に応じて三つ以上の)別のアンテナがアンテナユニット内に存在してもよい。代替的には、それぞれがアンテナ及びアンテナカバーを備えた二つ、三つ又はそれより多くのアンテナユニットを設けることもできる。いくつかの変形例では、アンテナカバーを省略することができる。その結果、特に、高速回転監視モジュールを使用する場合、更に優れた円形放射特性を実現することができ、かつ、更に優れたデータ伝送品質を実現することができる。
【0122】
上述した全ての態様に共通することは、特に工作機械が監視モジュールでワークピースを加工している間に発生する振動を検出できることである。このために、特に、センサユニットによって記録した加速度を表す変数及び/又は追加のセンサユニットによって記録した加速度を表す他の変数を分析することができる。特に、記録した変数の振動幅 (ピークツーピーク値)、実効値 (RMS値)及び調和振動成分のRMS値を分析することができる。 好適には、例えば、FFTを使用して、記録した変数の周波数スペクトルも解析することができる。
【0123】
センサユニット/追加センサユニットが3軸加速度センサを備える場合、加速度変数を3軸全ての方向 (X,Y,Z) で分析することができる。同じことが 2軸加速度センサにも当てはまり、加速度変数を、両方の軸方向 (X及びY) で分析することができる。代替敵には、3軸方向又は2軸方向のうちの1軸方向に沿って発生する加速度に基づいて振動を解析することも考えられる。これらの場合、特に、最大の加速度が発生する軸方向を分析することができる。
【0124】
振動(揺動)を監視モジュールで分析することができる。振動が定義された許容閾値に達するか又はそれを超える場合、監視モジュールは、工作機械/同心度監視信号インターフェースにエラー信号を送信する。代替的には、振動解析の基礎となる生データ、すなわち、加速度を表す変数及び/又は加速度を表す他の変数のみを工作機械/同心度監視信号インターフェースに送信することもでき、これらは、分析されるとともに定義された許容閾値と比較される。許容閾値を超える場合、工作機械は、加工パラメータを変更することができる、及び/又は、加工を停止するとともに工作機械を安全な状態に設定することができる。ワークピース加工中の振動及び他のプロセスパラメータを測定及び分析することによって、特に、問題が発生した場合に迅速に対応できるようにするために、同心度の監視に加えて、加工プロセス全体、工具の状態(摩耗、工具破損)及び軸ベアリングの状態の監視を行うことができる。
【0125】
したがって、いくつかの変形例では、監視モジュールの演算装置は、監視モジュールが特に回転する工具及び/又は工具ホルダ及び/又は軸と共に回転するときに少なくとも一つのプロセスパラメータを設定し、少なくとも一つのプロセスパラメータは、振動、温度、冷却剤圧力、冷却剤流量、切削力及び/又はトルクを含む。パラメータの一つが特定の閾値を超える又は下回る場合、同心度監視信号インターフェースの監視モジュール/工作機械は、対応するエラーの信号を送信する。
【0126】
このために、監視モジュールの各々は、追加のセンサを有することができる。これは、例えば、特に監視モジュールを備えた工作機械によるワークピースの加工中に工具の温度を監視するための温度センサを有する。さらに、ワークピースの加工中に発生する力(例えば、切削力)及びトルクのような変数を決定するために、歪みゲージセンサ及び/又はピエゾセンサを監視モジュール上/内に設けることができる。流量センサを監視モジュールに割り当てることもできる。これにより、例えば、タービンユニットによってエネルギーを生成するのに十分な媒体がタービンホイールを通って流れているか否かを継続的にチェックすることができる。
【0127】
流量センサは、監視モジュール内に配置される流量センサユニットを備えることができる。代替的には、タービンホイールの速度によって媒体流量を決定することもできる。追加的に及び/又は代わりに、流体チャネル/冷却剤パイプ内の媒体の圧力を測定する圧力センサを監視モジュールに設けることができる。圧力が低下する場合、媒体の流れが不足し、その結果、タービンユニットによるエネルギー生成に問題が発生したと推測することができる。同心度監視信号インターフェース及び工作機械を、(工作機械の場合は同心度監視信号インターフェースを介して)監視モジュールから送信されたエラー信号を受信するとともに適切な対策を開始するように設定することができる。
【0128】
別の変形例では、エネルギーを更に節約するために、監視モジュールを、「ウェイクアップ」まで完全に「ディープスリープ」状態に保持することができる。この場合、動作準備を、(それぞれの場合において) 事前定義された期間 (シーケンス) に亘る事前定義された速度 (シーケンス)及び入力デバイスを使用した手動起動によって確立することができる。これは、エンドデバイスが一定の間隔で深いスリープから復帰するとともに通信が必要か否かを問い合わせる又は定期的にステータスを送信する確立された無線伝送システムとは対照的である。ここで提示する変形例では、監視モジュールは、特定のイベントのイベント信号のみを送信することができる。受信機ユニットは、例えば、欧州特許出願公開第2208017号明細書で説明されているように、確認信号により信号の受信を確認する。確認信号は、指示を含むこともできる。これらの命令は、無線送信の動作モードの変更を含むことができ、その結果、監視ユニットは、更に別のイベント信号を送信せず、双方向データ送信に切り替える。
【0129】
一つの変形例では、速度レベルプロファイルを介して動作モードを選択することができる。監視モジュールと受信基地局との間の通信を、例えば、欧州特許出願公開第2208017号明細書に記載されているような変形例で確立することができる。一変形例では、監視モジュールは、ティーチインプロセス又はペアリングプロセスによって基地局に知らされる。一変形例では、監視モジュールを、所定の速度パターン又は所定の第1の速度プロファイルを実行する工作機械の軸によってティーチインプロセスを実行する。監視モジュールは、独自のセンサ (例えば、加速度センサ) によって又は発電機の電圧の評価及び動作モード「ティーチインプロセス又はペアリングプロセスの実行」の切替によってプロファイルを認識するように設定することができる。別の機能を、事前定義された追加の速度プロファイルを使用して監視モジュールによって実行することができる。、例えば、「較正処理の実行」機能。ここで、監視モジュールは、自動的に較正値を記録する。較正の成功後、確認信号を送信する。一変形例では、工作機械の主軸の(i)速度、(ii)所定の速度(シーケンス)の持続時間、(iii)ある速度レベルから次の速度レベルへの変化の勾配及び/又は(iv)ある速度レベルからの変化の持続時間を速度プロファイルのパラメータとして提供する。特に、これらのプロファイルの個々のパラメータを、発電機の電圧を分析することによって検出することができる。そのような速度プロファイルの例は、200rpmで1秒、次に400rpmで0.5 秒、次に200rpmで1秒である。そのような速度プロファイルの別の例は、200upmで1秒、次に0.5秒で500upm(変化の勾配:Δupm/Δt=300/0.5=600)、次に500upmで0.5秒、次に300upmで0.5秒(変化の勾配:Δupm/Δt=200/0.5=400)、次に300upmで1秒間である。シーケンスがいくつかの異なる速度ステップを有するとともにその各々が長くなる又は短くなる可能性があることを理解されたい。これは、速度変化の持続時間にも当てはまる。
【0130】
「ティーチインプロセス又はペアリングプロセスの実行」機能及び「較正プロセスの実行」機能に加えて、「ウェイクアップ又はウェイクアップ信号の生成」機能、「モニタリングモード又は測定モードの仮定」機能、「ディープスリープ又はスタンバイの仮定」機能 「モード」及び他の機能を、工作機械軸のそのような事前定義された速度又は速度シーケンスによって工作機械制御システムから同心度監視システムに送信する。
【0131】
一変形例では、同心度監視モジュール、同心度監視工具ホルダモジュール又は同心度監視工具モジュールは、定義された回転速度に達したときにのみ加速度を表す変数の検出、加速度を表す別の変数の検出、総加速度の決定、同心度誤差が存在するか否かの決定又は同心度誤差が存在するか否かの信号の送信を開始するようにセットアップされ、これにより、評価時間中、軸回転速度は、基本的に一定である又は回転速度の最大10%の範囲内で変化する。
【0132】
工作機械(又はそのコントローラ)、振れ監視信号インターフェース及び監視モジュール(すなわち、第1の態様による振れ監視モジュール及び第2の態様による振れ監視工具ホルダモジュールの両方並びに第3の態様による振れ監視工具モジュール)を、振れ監視システムに含めてもよい。そのような振れ監視システムは、個々のコンポーネントに関連して上述した全ての特徴を備えてもよい。特に、同心度監視信号インターフェースは、監視モジュールと工作機械との間の通信インターフェース(マシンインターフェース)として機能することができる。監視モジュールによって記録した変数の少なくとも部分的な評価を機械インターフェース(同心度監視信号インターフェース)で実行することができる又は工作機械自体で対応する評価を実行するために監視モジュールから工作機械に送信されるデータのみを機械にインターフェースよって転送してもよい。監視モジュールと機械インターフェースとの間の通信及びデータ送信を、無線で行うことができ、好適には、無線ベースの送信又は赤外線送信とすることができる。マシンインターフェースと工作機械の間の通信及びデータ伝送を、有線で行うことができ、マシンインターフェースでの分析の場合には、例えば、I/Oステータス信号を使用して行うことができる。代替的には、デジタルバスシステム (Profibus、Profinet又はEthercat(登録商標)のようなのフィールドバスシステムなど) を介して、(大量のデータを送信するための、例えば、連続プロセスデータ監視のための) データワードをマシンインターフェースと工作機械の間で送信することもできる。出願人は、そのような同心度監視システムについて独立した請求を行う権利を有する。
【0133】
上述した態様は、動作中に回転する工具の同心度監視を改善するためのモジュール式ソリューションを提供する。特に、無線ベースの通信インターフェースを備えた測定システムが既に工作機械に設置されている場合、追加の設置費用を要しない。その結果、改造が容易になり、(監視モジュールの一般的な設計に加えて)従来の軸統合システムと比較して大幅なコスト削減につながる。この理由は、軸に統合されたセンサの複雑な設計及び工作機械への深い統合によりこれらの軸統合システムが高価になるとともに改造には工作機械の構造に相当の介入が必要になるからである。
【0134】
モジュール化により、監視モジュールがマシンに限定されずに様々な工作機械で使用できるために柔軟性の向上にもつながる。これは、同心度監視を備えたタスク固有の工具を必要に応じてほとんど手間をかけずに組み合わせることができることを意味する。生産ライン全体を変換するとき、監視モジュールを、他の切削工具と柔軟に組み合わせることができる。
【0135】
触覚による同心度チェック及びレーザ測定システムによる同心度測定と比較して、上述した態様による同心度監視を、更に迅速に実行することができ、特に、同心度監視モジュールが非常に短い時間で必要な測定結果を提供するので、工具が加工点に接近する間の加工時間と少なくともほぼ並行して実行することができる。
【0136】
(監視モジュールに関してのみ説明した構造コンポーネントに関連するものを除く)上述した態様及び特徴を監視モジュール、振れ監視信号インターフェース、工作機械、振れ監視システム及び/又は動作中に工作機械/複合工作機械内で回転する工具の振れ監視方法において所望に応じて組み合わせることができることは当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0137】
別の目的、特徴、利点、可能な応用及び可能な修正を、関連する図面を参照した実施形態及び変形例の非限定的な例の以下の説明に示す。説明及び/又は図示する全ての特徴は、ここに開示した目的を個別に又は任意の組合せで示す。図に概略的に示すコンポーネントの寸法及び比率は、縮尺通りではない。同一のコンポーネント又は同様に機能するコンポーネントに同一の参照符号を付す。本開示において値の範囲に言及する場合は常に、範囲の上限及び下限がその範囲に含まれる。本開示における全ての計算及び図1~3における値の表現が例えば、加速度センサからのデジタル出力値 (生データ) に対して実行されることに留意されたい。代替的には、全ての計算は、特に、対応する加速度センサのアナログ出力値に基づくこともできる。以下の説明において特定の図を参照して(部分)プロセスステップを説明するとともに同一の(部分)プロセスステップが別の図に存在する場合、特定の図を参照した説明は、特に明記されていない限り等しく有効である。「本質的に」又は「略」のような用語をデバイスの構造単位 (監視モジュール等) に関連して使用する場合、「本質的に」又は「略」という用語は、それぞれの製造プロセスの技術的許容限界内で生成される技術的特徴を指す。
【0138】
図1図1は、特定の実施形態による同心度監視モジュールを示す。
図2図2は、特定の実施形態による同心度監視工具ホルダモジュールを示す。
図3図3は、特定の実施形態による同心度監視工具モジュールを示す。
図4図4は、特定の実施形態による監視モジュールとやり取りを行う工作機械/複合工作機械を示す。
図5図5は、特定の実施形態による工作機械/複合工作機械及び監視モジュールとやり取りを行う同心度監視信号インターフェースを示す。
図6図6は、特定の実施形態による同心度監視プロセスのフローチャートを示す。
図7図7は、特定の実施形態による監視モジュール内のセンサ回路基板、回路基板ホルダ、回路基板ホルダ用の調整手段、アンテナカバー付きアンテナ及び感光ユニットの配置を示す。
図8図8は、特定の実施形態による監視モジュールのセンサユニットによって記録した異なる速度での加速度を表す変数を示す図である。
図9A図9Aは、特定の実施形態による監視モジュールの振れ誤差の量及び角度の決定方法を概略的に示す。
図9B図9Bは、特定の実施形態によるセンサユニットの異なる位置における総加速度対速度を示す。
図10図10は、特定の実施形態による加速度を表す量、加速度を表す初期量、総加速度及び速度を超える閾値を示す。
図11図11は、監視モジュールが水平に配置されるとともに異なる速度で配置されるときにセンサユニットによって検出された変数に重畳された正弦波信号を示す。
図12図12は、監視モジュールが水平に配置されるとともに異なる速度で配置されるときにセンサユニットによって検出された変数に重畳された正弦波信号を示す。
図13A図13Aは、特定の実施形態による監視モジュールの流体チャネル及び他の任意の構成要素の配置及び設計を示す。
図13B図13Bは、特定の実施形態による流体チャネルを備えたセンサボード及びセンサユニットを概略的に示す。
図14図14は、特定の実施形態による監視モジュール内でそれ自体のエネルギーを生成するタービンユニットを示す図である。
図15図15は、特定の実施形態による監視モジュール内でそれ自身のエネルギーを生成するためのフライホイールを示す。
図16図16は、特定の実施形態による監視モジュールにおける評価を伴う較正プロセスのシーケンスを示す。
図17図17は、特定の実施形態による同心度監視信号インターフェース/工作機械における評価を伴う較正プロセスのシーケンスを示す。
図18図18は、特定の実施形態による単一のテスト速度での監視モジュールでの評価による動作中に回転する工具の同心度監視のためのテストシーケンスを示す。
図19図19は、特定の実施形態によるいくつかのテスト速度での監視モジュールでの評価を伴う動作中に回転する工具の同心度監視のためのテストシーケンスを示す。
図20図20は、特定の実施形態によるいくつかのテスト速度での工作機械の同心度監視信号インターフェースでの評価を伴う動作中に回転する工具の同心度監視のシーケンスを示す。
図21図21は、特定の実施形態による同心度監視信号インターフェース/工作機械への連続プロセスデータ送信のシーケンスを示す。
図22図22は、特定の実施形態によるIO信号を介した監視モジュール/同心度監視信号インターフェースとの通信中の工作機械上のシーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0139】
図1は、動作中に回転する工具WZGの同心度を監視するために使用される同心度監視モジュール10(以下、監視モジュール10とも称する)を示す。同心度監視モジュール10は、同心度監視に必要な全ての供給装置、測定装置、演算装置及び通信装置が収容される本質的に回転対称の中空体を備える。
【0140】
工具WZGは、動作中(ワークピースを加工するために)回転する工具WZGであり、ここでは、例えば、フライスとして設計される。さらに、工作機械の工具ホルダWZGA及び軸Sを図1に示し、これらは、同心度監視中に同心度監視モジュール10とやり取りを行う。工具ホルダWZGAを、ここでは、軸Sの外側に示すが、工具WZGの同心度を監視するために同心度監視モジュール10が工作機械の軸Sに挿入されるときに軸Sに組み込むこともできる。ワークピースを加工するために監視モジュール10が軸S及び工具WZGと共に回転するとき、監視モジュール10の同心度及び間接的な工具WZGの同心度(又は監視モジュール10、工具ホルダWZGA及び工具WZGの組合せの同心度)を監視する。同心度誤差が存在する場合、これは、例えば、軸S、特に、工具ホルダWZGA、したがって、軸Sの同心度監視モジュール10に付着した切りくずによって引き起こされる面接触不良又はテーパ接触不良を示す。
【0141】
図1による同心度監視モジュール10の断面図に見えるように、同心度監視モジュール10は、回転軸20に関して回転対称とすることができる本質的に円筒形の本体を有する。同心度監視モジュール10は、工具WZGを収容するように設計された工具インターフェース12を備える。この例では、工具インターフェース12は、(図1ではインターフェース12と工具WZGとの間の二重矢印として示す)工具WZGの対応する対応物と嵌合するレセプタクルを備える。
【0142】
同様に、同心度監視モジュール10は、(図1ではインターフェース14と工具ホルダMEWZGAとの間の二重矢印として示す)工具ホルダWZGAの対応するホルダと嵌合する工具ホルダインターフェース14を有する。したがって、同心度監視モジュール10を、製造業者又はオペレータのいずれかによって、インターフェース12,14を介して工具ホルダWZGA及び工具WZGに結合することができる。工具ホルダWZGA、同心度監視モジュール10及び工具WZGが(図1では軸Sと工具ホルダWZGAとの間の二重矢印として示す )組み立てられた状態で工作機械の軸S内に共に挿入される場合、工具ホルダWZGA、同心度監視モジュール10及び工具WZGは、ワークピースを加工するために、同心度監視モジュール10の回転軸20の周りを共に回転する。速度は、回転する軸Sによって決定される。
【0143】
電子ユニットは、監視モジュール10内に配置され、第1のセンサユニット16と、第2のオプションのセンサユニットBと、演算装置22と、通信装置24と、電源ユニットVを備える。図1において、エネルギー供給ユニットVから対応するコンポーネントへの矢印によって示すように、エネルギー供給ユニットVは、工具WZGの同心度監視に必要である本開示で説明する測定、演算及び通信動作を実行するために必要な電気エネルギーを第1のセンサユニット16、第2のセンサユニットB、演算装置22及び通信装置24に供給する。
【0144】
同心度監視モジュール10内の演算装置22と第1のセンサユニット16との間及び第2のセンサユニットBと通信装置24との間の通信を、ここではSPIバスで例示する図1に破線の矢印で示す通信線を介して行う。
【0145】
同心度監視モジュール10の同心度、したがって、工具WZGの同心度を監視するために、回転軸20の周りの同心度監視モジュール10の回転中に、ワークピースの加工前、加工後及び/又は加工中のいずれかで回転面Eの遠心加速度を第1のセンサユニット16によって観察する。このために、第1のセンサユニット16は、本質的に垂直に向いたx-y平面(回転面E)内の加速度を検出するように同心度監視モジュール10内に配置された2軸加速度センサを備える。この回転面Eを、同心度監視モジュール10を貫通するものとして図1に示す。
【0146】
このような加速度検出を実現するために、第1のセンサユニット16を、同心度監視モジュール10の回転軸がセンサユニット16を貫通するように同心度監視モジュール10の回転中心に配置する。図1に示すように、第1のセンサユニット16の加速度センサの回転軸20及び慣性軸18は、理想的には実質的に同軸上にある。z方向におけるセンサユニット16の慣性軸のこの配置により、x方向及びy方向におけるセンサユニット16の他の慣性軸は、回転軸20に対して本質的に直交し、その結果、加速度を面Eで測定することができる。この例では、センサユニット16は、二つの検知慣性軸、すなわち、x方向及びy方向のみを有する。第3の慣性軸、すなわち、z方向の慣性軸は、本例では感度が低く(この軸に沿った加速度は検出されない。)、したがって、特に、センサユニット16を回転軸20と正確に位置合わせする機能を有する。しかしながら、他の例において、センサユニット16を、z方向の加速度も測定できるように設計することができる。
【0147】
遠心加速度aについて、
【数10】
が当てはまる。この場合、
【数11】
であり、したがって、
【数12】
であり、この場合、n=1/秒単位の監視モジュール10(結果的にはセンサユニット16)の速度、ω=角速度及びr=監視モジュール10の回転軸20からのセンサユニット16の半径方向の距離。したがって、センサユニット16に作用する遠心加速度は、 軸Sの回転速度が増大するに従って増大し、回転速度は、2乗として計算に含まれる。
【0148】
しかしながら、センサユニット16の慣性軸が監視モジュール10の回転軸20と正確に一致するとともに回転軸20が軸Sの回転軸D(図4も参照)と同軸に延在する場合、半径方向の距離がゼロ (r=0) であるので、軸遠心加速度は、Sの速度が比較的高速であってもゼロになる。したがって、これは、同心度誤差がないときのセンサユニット16の最適な位置合わせの場合に当てはまる。
【0149】
しかしながら、例えば、工具ホルダWZGAを軸Sに挿入するときの切りくずの噛み込みのために軸Sに対する工具ホルダWZGAのクランプ誤差がある場合、監視モジュール10のオフセット、したがって、軸Sの回転軸Dに対するセンサユニット16のオフセットが生じる。このとき、半径方向距離は、ゼロではなくなり(r≠0)、回転中に遠心加速度がセンサユニット16に作用する。回転中に、センサユニット16は、x方向の加速度及びy方向の加速度を表す変数ax,ayを記録し、これらを、特に、それぞれの方向の加速度を特徴付ける又は演算装置22においてそれぞれの方向の加速度に変換することができるデジタルセンサ値の形で演算装置22に送信する。総加速度値を、演算装置22によって、x方向及びy方向の加速度を表す変数ax,ayに基づいて決定し、閾値
【数13】
と比較する。総加速度が閾値より大きい場合、監視モジュール 10 に同心度誤差が存在する。
【0150】
オプションの別のセンサユニットBを、例示的に1軸加速度センサとして設計し、その検知軸を、回転軸(20)に対して半径方向に直交して配置し、少なくとも一つの別の加速度を表す変数(以下、別の加速度変数とも称する。)を検出するように設定する。しかしながら、本発明は、これに限定されない。例えば、オプションのセンサユニットBを、第1のセンサユニットBと同一の方法で、すなわち、互いに直交する2方向の加速度を表す別の変数(以下、別の加速度変数とも称する。)を検出するように設定された2軸加速度センサとして設計することもできる。別のセンサユニットBを、一つ又は二つの別の加速度を表す変数を測定する1軸加速度センサ又は2軸加速度センサとして設計できるので、
【数14】
という表現は、関連する箇所で特に明記されていない限り又は反対の技術的意味が明らかでない限り本開示の文脈において同義に使用される。
【0151】
別のセンサユニットBは、回転軸(20)から半径方向に離間するとともに監視モジュールの回転軸20に対して垂直に向けられた平面Eのこれらの別の加速度変数すなわち遠心加速度も検出するように同心度監視モジュール10内に配置される。特に、速度を、加速度を表す変数ax,ayの検出中に、例えば、角速度が既知である場合にnに変換するとともに回転速度nを計算することによって、式
【数15】
を使用して、これらの別の加速度変数から決定することができる。追加のセンサユニットBの中心を外れた位置は、速度の変化に応じて (加速度を表す変数の) 明らかな信号変化を引き起こす。監視モジュール10,26,28の同心度誤差は、追加のセンサユニットBの半径位置(回転軸20までの半径方向の距離)に関して半径の変化を非常に小さくするだけであり、これは、速度決定の精度に対する同心度誤差を無視できることを意味する。
【0152】
図2は、動作中に回転する工具WZGの同心度を監視する同心度監視工具取付モジュール26(以下、監視モジュール26とも称する。)を示す。同心度監視工具取り付けモジュール26は、好適には、中空円筒として設計されるとともに同心度監視に必要な全ての供給装置、測定装置、演算装置及び通信装置が収容される本質的に回転対称の中空体を備える。
【0153】
工具WZGは、(ワークピースを加工するために)動作中に回転する工具WZGであり、ここでは、例えば、フライスとして設計される。さらに、図2は、同心度監視中に同心度監視工具ホルダモジュール26とやり取りを行う工作機械の軸S(図4も参照)を示す。同心度監視工具ホルダモジュール26が軸S及び工具WZGと共に回転してワークピースを加工するとき、工具WZGの同心度を監視する。工具WZGの同心度誤差が存在する場合、例えば、軸Sの同心度監視モジュール10に付着した切りくずによって引き起こされる軸Sの同心度監視モジュール10の面接触不良を示す。
【0154】
同心度監視工具ホルダモジュール26は、同心度監視工具ホルダモジュール26が工作機械の主軸Sに挿入される工具ホルダWZGAを更に備える。この例では、工具ホルダWZGAを、中空シャンクテーパ (HSK) として設計し、同心度監視工具ホルダモジュール26に強固に結合される。
【0155】
それ以外の点では、同心度監視工具ホルダモジュール26は、同一のコンポーネントである(Z方向の非検知慣性軸18を有する)第1のセンサユニット16、オプションの第2のセンサユニットB、演算装置22及び通信装置24を備える。これらのコンポーネントにおいて、 同心度監視工具ホルダモジュール26は、同心度監視モジュール10と同一の機能を有し、(通信及び電力供給のために)動作的に互いに接続されるように同様に配置され、したがって、平面Eにおける遠心加速度の観測に関する説明を含む図1に関連する説明を参照されたい。
【0156】
図3は、動作中に回転する工具WZGの同心度を監視する同心度監視工具モジュール28(以下、監視モジュール28とも称する)を示す。同心度監視工具モジュール28は、好適には、中空円筒として設計されるとともに同心度監視に必要な全ての供給装置、測定装置、演算装置及び通信装置が収容される本質的に回転対称の中空体を備える。
【0157】
工具WZGは、(ワークピースを加工するために)動作中に回転する工具WZGであり、ここでは、例えば、フライスとして設計される。さらに、図2は、同心度監視中に同心度監視工具ホルダモジュール26とやり取りを行う工作機械の軸S(図4も参照)を示す。同心度監視工具ホルダモジュール26が軸S及び工具WZGと共に回転してワークピースを加工するとき、工具WZGの同心度を監視する。工具WZGの同心度誤差が存在する場合、例えば、軸Sの同心度監視モジュール10に付着した切りくずによって引き起こされる軸Sの同心度監視モジュール10の面接触不良を示す。
【0158】
図2に示す同心度監視工具モジュール26と同様に、同心度監視工具モジュール28も、同心度監視工具モジュール28が工作機械の主軸Sに挿入される工具ホルダWZGAを更に備える。この例では、工具ホルダWZGAを、中空シャンクテーパ (HSK) として設計し、同心度監視工具モジュール28に強固に結合される。
【0159】
図1及び図2に示す監視モジュール10及び26とは対照的に、同心度監視工具モジュール28は、工具WZGを備え、工具WZG及び同心度監視工具モジュール28は、互いに永久的に結合されるとともに工具ホルダWZGAと共に完全なユニットとして軸Sに挿入される。それ以外の点では、同心度監視工具モジュール28は、同一のコンポーネントである(Z方向の非検知慣性軸18を有する)第1のセンサユニット16、オプションの第2のセンサユニットB、演算装置22及び通信装置24を備える。これらのコンポーネントにおいて、 同心度監視工具モジュール28は、同心度監視モジュール10と同一の機能を有し、(通信及び電力供給のために)動作的に互いに接続されるように同様に配置され、したがって、平面Eにおける遠心加速度の観測に関する説明を含む図1に関連する説明を参照されたい。
【0160】
図4を参照して、多軸複合工作機械BAとして例示的に設計した工作機械WZMを説明する。動作中に回転する工具WZGの同心度を、監視モジュール10,26又は28の一つと協働する工作機械WZMによって監視する。図4の例を、同心度監視工具モジュール28を使用して示す。しかしながら、ここでは、同心度監視工具モジュール28が監視モジュール10,26,28のうちの一つを表すだけであるとともに工作機械WZMが動作中に同心度監視モジュール10及び同心度監視工具取り付けモジュール26と同様に相互作用できることに留意されたい。
【0161】
図4の工作機械WZMは、一例として、工作機械WZMの作業空間内で直交する三つの方向X,Y,Zに移動することができるとともにZ軸の周りを回転できる軸Sを備える。(図4の紙面においてz方向に延在する)工作機械WZMの軸Sの回転軸Dを中心とするそのような回転は、一般に、工作機械WZMによるワークピースの機械加工中に行われる。
【0162】
さらに、工作機械は、制御装置32、通信装置30及び少なくとも監視モジュール10,26及び28を収容するように設定された工具交換装置(図示せず)を備える。このように、モジュール10,26,28(監視モジュール10及び26は特に工具WZGに既に結合されている。)を、特に、後続の機械加工ステップ中にワークピースの同心度をチェックするために、ワークピースの機械加工の前後でいつでも軸Sに交換することができる。
【0163】
このために、工作機械WZMの制御装置32も、軸Sの速度を設定するように設定される。さらに、制御装置32は、通信装置30を介して監視モジュール28との通信を制御するように設定される。このために、工作機械WZMの通信装置30は、データ送信ユニット34と有線で通信を行う。データ送信ユニット34は、無線リンクを介して監視モジュール28の通信装置24に結合され、変数ax,ay及び本開示の文脈で説明する他の変数のような信号及びデータを監視モジュール28の通信装置24から受信するとともにそれを工作機械WZMに、更に正確にはその通信装置30に送信することを意図するように設定される。
【0164】
図4に示さない代替変形例では、データ送信ユニット34の機能は、工作機械WZMの通信装置30に含まれる。したがって、データ送信ユニット34は、物理ユニットとして省略される。これらの場合、データ及び信号は、工作機械と監視モジュール28との間で直接、好適には、無線信号又は赤外線信号によって送信される。
【0165】
同心度を監視するために、監視モジュール28のセンサユニット16は、図1を参照して説明したように、加速度を表す変数ax,ayを記録する。変数ax,ayは、通信装置24を介して(図4によれば、データ送信ユニット34及び工作機械の通信装置30を介して)、工作機械の演算装置32に送信される。演算装置32は、変数ax,ayから総加速度atotを決定し、これを閾値と比較する。総加速度atotが閾値を超えている場合、工作機械WZMは、監視モジュール28に同心度誤差があると判断する。
【0166】
図5は、通信装置36及び演算装置38を備えた同心度監視信号インターフェースSGSを示す。同心度監視信号インターフェースSGSは、動作中に回転する工具WZGの同心度を監視するために工作機械WZM(例えば、図4の工作機械)及び監視モジュール10,26,28の一つと動作可能に相互作用するように設定される。図5の例を、同心度監視工具モジュール28を使用して示す。しかしながら、ここでは、同心度監視工具モジュール28は、監視モジュールのうちの一つを表すだけであり、同心度監視信号インターフェースSGSは、動作中に同心度監視モジュール10及び同心度監視工具ホルダモジュール26と同様にやり取りを行うことができる。
【0167】
同心度監視信号インターフェースSGSの演算装置38は、通信装置36を介した監視モジュール28との通信を制御するように設定される。このために、振れ監視信号インターフェースSGSの通信装置36は、データ伝送により有線通信を行う。データ送信ユニット34は、無線リンクを介して監視モジュール28の通信装置24に結合され、
変数ax,ay及び本開示の文脈で説明する他の変数のような信号及びデータを監視モジュール28の通信装置24から受信するとともにそれを振れ監視信号インターフェースSGSに、更に正確にはその通信装置36に送信することを意図するように設定される。
【0168】
図5に示さない代替変形例では、データ送信ユニット34の機能は、振れ監視信号インターフェースSGSの通信装置36に含まれる。したがって、データ送信ユニット34は物理ユニットとして省略される。これらの場合、データ及び信号は、同心度監視信号インターフェースと監視モジュール28との間で直接、好適には無線信号又は赤外線信号によって送信される。
【0169】
さらに、同心度監視信号インターフェースSGSの演算装置38は、通信装置36の有線通信インターフェースを介した工作機械WZMとの通信を制御するように設定される。この「通信接続」を、ここではフィールドバスとして例示し、図5において、振れ監視信号インターフェースSGSの通信装置36と工作機械WZMの通信装置30との間の実線の二重矢印によって示す。
【0170】
同心度監視信号インターフェースSGSは、通信装置36を介して平面Eの監視モジュール28によって記録した加速度を表す値ax,ayを受信するように設定される。 同心度監視信号インターフェースSGSの演算装置38は、監視モジュール28から受け取った変数ax,ayから総加速度atotを決定するように更に設定される。総加速度atotは、閾値と比較される。 総加速度atotが閾値を超えている場合、同心度監視信号インターフェースSGSは、監視モジュール28に同心度誤差があると判断する。
【0171】
同心度監視信号インターフェースSGSの演算装置38は、同心度誤差が存在するか否かの信号を工作機械WZMに送信するように設定されるとともに意図される。これは、同心度監視信号インターフェースSGSの通信装置36と工作機械WZMの通信装置30との間の有線通信接続を介して行われ、これを介して、同心度監視信号インターフェースSGSは、同心度誤差が存在する(NOK)又は同心度誤差が存在しない(OK)のテスト信号(OK/NOK)を工作機械WZMに提供する。
【0172】
図6を参照して、工作機械において回転する工具の同心度監視方法を説明する。全てのプロセスステップを、図4を参照して説明した工作機械WZMによって実行することができる。代替的には、プロセスステップの一部を監視モジュール10,26,28よって実行することもできる及び/又はプロセスの一部を振れ監視信号インターフェースSGSによって実行することもできる。特に、総加速度atotの決定、総加速度の閾値との比較、同心度誤差が存在するか否かの判断(これらの三つのステップは、以下では「評価」とも称する)を、監視モジュール10,26,28によって並びに同心度監視信号インターフェースSGS及び工作機械WZMによって行うことができる。
【0173】
図6に示すように、同心度監視方法は、第1のステップ(i)を有し、そこでは、動作中に回転する監視モジュール10,26,28又は動作中に回転する監視モジュール10,26及び工具WZGを、工作機械WZMの軸Sに自動的に挿入する。特に、工作機械WZGの工具交換装置に含まれる監視モジュール10,26,28のうちの一つを軸Sに交換するために、軸Sを工作機械WZGの工具交換装置に近づける。これが監視モジュール10又は監視モジュール26である場合、 これらは、通常、工具WZG及び工具ホルダWZGA(監視モジュール10)又は工具WZG(監視モジュール26)と既に結合されている。
【0174】
第2のステップ(ii)では、工作機械WZMの軸Sを所定の速度で回転させる。この回転速度(テスト回転速度も)は、工作機械(又は工作機械のユーザ)によって設定され、工作機械によって、必要に応じて同心度監視信号インターフェースSGSを介して、監視モジュール10,26,28に送信される、又は、評価が監視モジュール10,26,28又は同心度監視信号インターフェースSGSで評価を行う場合に、同心度監視信号インターフェースSGSに直接送信される。
【0175】
第3のステップ(iii)では、加速度を表す変数ax,ayを、事前に定義された速度で回転する監視モジュール10,26,28の回転軸20に対して実質的に垂直に向けられた平面Eで検出又は受信する。この検出は、図1を参照して説明したように、特に、監視モジュール10,26,28の一つを用いて実行される。したがって、図1の対応する説明はここでも有効である。工作機械WZM又は同心度監視信号インターフェースSGSが同心度監視プロセスを実行する場合、3番目のステップで、加速度変数ax,ayを、生データとして監視モジュール10,26,28から工作機械/同心度監視信号インターフェースSGSに送信し、そこで受信する。
【0176】
次いで、上述した評価がステップ(iv)~(vi)を実行し、第4のステップ(iv)において、加速度を表す検出変数ax、yに基づいて総加速度atotを決定し、第5ステップ(v)において、総加速度atotを、加速度を表す変数ax,ayの検出中に、回転する監視モジュール10,26,28の回転速度に依存する閾値と比較し、第6のステップ(vi)において、総加速度atotが閾値よりも大きい場合、回転する監視モジュール10,26,28及び/又は回転する工具WZGの同心度誤差が存在すると判断する。
【0177】
特に、評価(ステップ(iv)~(vi))を監視モジュール10,26,28又は同心度監視信号インターフェースSGSで行う場合、オプションのステップ(vii)を続けることができ、この場合、監視モジュール10,26,28又は同心度監視信号インターフェースは、監視モジュール10,26,28又は同心度監視信号インターフェースの同心度誤差が存在するか否かに関係なく、上述した通信装置24及び/又は36(図5も参照)を介して工作機械WZMにSGS信号を送信する。
【0178】
本開示は、特に、図6を参照して説明した方法ステップ(i)~(vi)及びオプションの方法ステップ(vii)を実行させる命令を含む(図示しない)コンピュータプログラム製品にも関する。一例によれば、コンピュータプログラム製品は、(図4を参照して説明したような)工作機械に同心度監視プロセスのプロセスステップ(i)~(vi)を実行させる命令を含む。別の例によれば、コンピュータプログラム製品は、監視モジュール10,26,28に同心度監視方法の方法ステップ(iii)~(vi)を実行させる命令を含む。更に別の例によれば、コンピュータプログラム製品は、振れ監視信号インターフェース(SGS)に振れ監視方法の方法ステップ(iii)~(vi)を実行させる命令を含む。これらの様々な変形を 一つのコンピュータプログラム製品に組み合わせることもできる。
【0179】
以下、図7~22を参照して、加速度を表す変数ax,ay及び同心度監視に関連する別のプロセス変数を記録及び/又は評価するときの監視モジュール10,26,28の別のオプションの特徴及び設計並びに同心度監視方法の別の(部分的な)プロセス態様を説明する。同心度監視方法の別のオプションのステップを参照して説明する特徴を、監視モジュール10,26,28に転送することもでき、その逆も同様である。(z方向の慣性軸18を有する)第1のセンサユニット16、第2のセンサユニットB、エネルギー供給ユニットV、演算装置22又は通信装置24を図7~22の説明で言及するときは常に、これらの説明は、監視モジュール10,26及び28の各々の対応するコンポーネントについて言及している。
【0180】
図7は、監視モジュール10,26,28、工具ホルダWZGA及び工作機械WZMの軸S(図4も参照)のクランプ状態、すなわち、モジュール10,26,28を工具交換装置から軸Sに交換する直前の断面図を示す。この断面図は、センサボード40に配置した第1のセンサユニット16及び別のオプションのセンサユニットBを示す。この例では、センサボード40を、垂直支柱を介してボードホルダ42に接続する。回路基板ホルダ42は、監視モジュール10,26,28内に浮動して取り付けられ、そのために、正確な種類のサスペンションを図7に示しない。図7は、調整手段として機能する二つのねじ付きピン44も示す。さらに、図7は、監視モジュール10,26,28が二つのオプションのアンテナカバー46及び二つのオプションのアンテナ48を備えることを示す(更に明確にするために、 参照符号46、48を図7に一度だけ示す)。最後に、監視モジュール10,26,28は、監視モジュール10,26,28の外周に位置するとともに半径方向外側に向けられた感光面50を有する感光ユニットPEを備える。
【0181】
アンテナ48及びアンテナカバー46は、協働してアンテナユニットを形成する。ここで、アンテナカバー46は、一例として、監視モジュール10,26,28の外周に直接配置され、例えば、監視モジュール10,26,28の本体の他の部分とは別に製造された本体及び/又は異なる材料から構成された監視モジュール10,26,28のセクションを形成する。アンテナ48は、監視モジュール10,26,28内で、アンテナカバー46と回転軸20との間に配置され、図7に示すアンテナ48の水平位置は、単なる例示であり、アンテナ48は、回転軸20に向かうように更に配置される。アンテナカバー46は、この例では、アンテナ48の4倍だけ回転軸20の軸方向に延在する。他の変形例では、アンテナカバー46は、回転軸20の軸方向に2~10倍延在することができ、それにより、全ての整数の中間値が、別の可能な範囲限界として含まれる。したがって、アンテナカバー46は、アンテナ48を損傷、汚れ及び冷却潤滑剤から保護するために外側でアンテナ48を覆う。アンテナカバー46は、電波の伝播を妨げないようにするために少なくとも大部分又は完全に非導電性材料を含んでもよい。アンテナカバーは、例えば、プラスチック、ガラス、セラミック及び/又は成形材料を含んでもよい。
【0182】
止めねじ44を、浮遊状態で吊り下げられた回路基板ホルダ42、したがって、センサユニット16又はここでの例のようにその慣性Z軸18を監視モジュール10の回転中心に直接配置するために使用する。したがって、ねじ付きピン44は、センサユニット16のバランスを保つように機能し、それにより、センサユニット16又はその慣性Z軸は、監視モジュール10,26,28の回転軸20と少なくともほぼ同軸に位置合わせされる。この中心合わせを、好適には、監視モジュール10,26,28の製造中に既に実行する。
【0183】
別のねじ付きピン45を、図7に示さない半径方向のねじ付き穴を介して監視モジュール10,26,28の本体に挿入することができ、これによって、センサユニット16の微調整を可能にし、これを、特に、ユーザによって行うこともできる。半径方向のねじ穴は、異なる重量の多数のねじ付きピン45を収容するように設計されており(ねじ付きピン45の異なる重量を、異なるサイズによって図7に示す。)、これらのねじ付きピンの全ては、追加の質量を収容することができる。その結果、例えば、使用するオプションのコンポーネント及びその後の結果として得られる監視モジュール10,26,28重量比に応じて又は工具WZGの変更後(これは、特に、図1及び図2による監視モジュール10及び26に当てはまる。)、監視モジュール10,26,28の各々に対するバランスをとることができる。
【0184】
図7は、センサボード40に配置される別のセンサユニットBがセンサユニット16から半径方向に離間して配置されたことも示す。ここで、別のセンサユニットBと軸に垂直なセンサユニット16との間の距離は、監視モジュール10,26,28の半径の約75%である。しかしながら、本開示は、これに限定されない。距離を、3%~90%の範囲にしてもよい (全ての整数の中間値は、別の可能な範囲制限として含まれる。)。別のセンサユニットBが回転軸20と同軸に整列していないことのみが重要である。その理由は、この位置では回転速度の信頼できる決定が不可能であるからである。
【0185】
図8を参照して、同心度モニタリングに使用される測定原理を、実際の測定データを使用して更に詳細に説明する。これを説明するために、センサユニット16の(絶対)デジタル出力値を、測定値の数に亘って異なる速度でx方向(ax、上の図)及びy方向(ay、下の図)の二つの図に示す。
【0186】
図8による測定では、監視モジュール10,26,28は、軸Sに垂直に配置され、その結果、監視モジュール10,26,28の回転軸20は、垂直方向に従い、加速度(センサの出力値)を表す変数は、垂直方向に対して垂直に向けられた面Eすなわち監視モジュール10,26,28の回転水平面でセンサユニット16によって記録される。テスト速度は、約500rpm、1000rpm、1500rpm及び2000rpmであり、これらのテスト速度でのセンサユニット16の出力値を示す図8の対応するセクションは、垂直破線で区切られている。センサユニット16の測定範囲は、ここでは、例示的には、±2gであり、センサユニット16の分解能(感度)は、ここでは、例示的には、1g当たり1024個のデジタル値(10ビットに相当)であり、サンプリングレートは、例示的には、0.5kHzである。
【0187】
図8は、特に、上の図がx方向(ax)におけるセンサユニット16の出力値を示すとともに下の図がy方向(ay)におけるセンサユニット16の出力値を示すという点で異なる。さらに、軸ごとに三つの異なる曲線を示す。実線の曲線は、センサユニット16の慣性Z軸18が監視モジュール10,26,28の回転軸20と可能な限り同軸に位置合わせされているときのセンサユニット16の出力値を表す。破線の曲線は、監視モジュール10,26,28の傾斜/偏心により慣性のZ軸18が回転軸20から約10μmの半径距離に配置されたときのセンサユニット16の出力値を表す。最後に、一点鎖線の曲線は、監視モジュール10,26,28の傾斜/偏心により慣性Z軸18が回転軸20から約30μmの半径距離に配置されたときのセンサユニット16の出力値を表す。
【0188】
図8の上の図からわかるように、センサユニット16は、実際には、x方向において監視モジュール10,26,28の回転軸20と少なくとも略同軸に配置されるが、これは、センサユニット16の製造における公差だけでなく監視モジュール10,26,28の組立及び製造公差のために複雑である。その結果、速度が増大してもx方向の加速度は増大しない。したがって、加速度値axは、約2000rpmの速度まで一定のままであり、加速度の増大を測定することができない。これに対し、図8の上図の破線曲線及び点線曲線は、センサユニットが回転軸20からx方向に10μm又は30μm離れた場合の加速度値axの挙動を示す。500rpmの速度では、10μmと30μmで加速度値axにわずかな変化がある。特に、x方向のセンサユニット16の中心オフセットが30μm(点線の曲線)の場合、加速度値axは、速度が増大に従って増加するに従って更に増大し、その結果、約2000rpmの速度では、既に2200を超えるax値に達し、これは、1gを超える追加の加速度(この例では約 1.3 m/S)に相当する。図8の下の図に示すように、中心オフセットが10μmの場合のy方向の加速度曲線 (破線の曲線) 及びy方向の中心オフセットが30μmの場合(点線の曲線) は、x方向の対応する中心オフセットの測定とほぼ同様の挙動を示し、その理由は、ここでは図8の上の図の説明を参照されたい。図8の下の図の実線は、センサユニット16によってy方向に記録した加速度値を表す。これらのay値は、約500rpmの比較的低速では依然としてほぼ常にゼロに近いままあるが (2050のセンサ値は、約0gに相当する。)、約2000rpmで速度が増大するに従って増大し、これは、約0.5m/Sに相当する。これは、比較的低い加速度値であるが、測定中にセンサユニット16が回転軸20と正確に同軸ではなかったという事実を特徴づける。
【0189】
正確な同心度は、工作物機械加工の分野における高精度応用において非常に重要であるので、(依然として対応する許容限界内にある)わずかな半径方向及び/又は角度オフセットに起因する回転軸20に対するセンサユニット16のそのような「アンバランス」を、例えば、較正を実行することによって補償することができる。この較正の実行では、加速度を表す初期変数ax,ay(以下、初期(加速度)変数とも称する。)を、監視モジュール10,26,28に設置したセンサユニット16によって測定する。初期加速度を表す変数ax_initial,ay_initialの記録を、基本的に加速度を表す変数ax,ayの記録と同様に行う(図1の説明も参照)。初期変数ax_initial,ay_initialを、取得中のテスト速度と共に監視モジュール10,26,28のメモリに保存する。代替的には、初期変数ax_initial,ay_initialを、監視モジュール10,26,28の通信装置24を介して同心度監視信号インターフェース及び/又は工作機械WZMに送信するとともにローカルメモリに保存することができる。
【0190】
一つ以上のテスト速度で実行できる較正を、軸Sが上昇したとき、すなわち、本質的に一定のテスト速度が普及しているとき又は指定されたテスト速度から最大10%逸脱しているときに工作機械WZMでワークピースを加工する通常の動作とは別に行う。異なる速度に対して複数の較正を行う場合、初期変数ax_initial,ay_initialの速度依存関数が生成され、これは、監視モジュール10,26,28及び/又は同心度監視信号インターフェースSGS及び/又は工作機械WZMのメモリに保存される。
【0191】
さらに、ここでは一例として、製造業者によって監視された理想的な条件下で較正を行い、これにより、軸S及び監視モジュール10,26,28は、清浄であり、これらのコンポーネントの有効範囲にはチップが存在せず、その結果、監視モジュール10,26,28は、軸Sに対して理想的に平らに置かれる。
【0192】
決定した初期値ax_initial,ay_initialは、総加速度atotを決定するときにオフセット値の形で考慮される。 総加速度値atotを、次のようにして得られる総加速度a_resultingに関連して計算する。
【数16】
【0193】
図9Aは、決定した総加速度を加速度成分ax,ax_initial,ay,ay_initialの加速度成分から決定する方法を示し、その結果として、初期加速度値ax_initial及びay_initial並びに振れ誤差の量r及び角度を考慮して半径方向の加速度a_resultingの量r及び角度を決定する方法を示す。四つの象限に分割された単位円を図9Aに示し、回転軸20は、単位円の中心を通って主軸Sから工具WZGの方向に延在する。
【0194】
振れ誤差の量 r (μm) を、加速度変数を
【数17】
として記録するときの速度nを考慮して決定し、振れ誤差の角度の大きさは、総加速度の方向ベクトルがa_resultingである象限に依存する。半径方向の振れの方向角αを、次の表に従って正接関数を使用して計算する。
【表2】
【0195】
図9Bでは、総加速度atotを、様々な回転速度に亘るとともに監視モジュール10,26,28の回転軸に対するセンサユニット16の慣性Z軸18の様々な位置における較正されたセンサユニット16の出力値として示す。センサユニット16の測定範囲は、例示的には、±2gであり、センサユニット16の分解能(感度)は、例示的には、1g当たり(10ビットに相当する)1024デジタル値であり、サンプリングレートは、例示的には、0.5kHzである。図9Bの基礎となる全ての計算を、監視モジュール10,26,28/軸Sの8回転に亘って平均化された変数ax,ay,ax_initial及びay_initialを使用して行う。
【0196】
図9Bの(下から1番目にある)実線は、センサユニット16が「外中心10μm」の位置にあるときの総加速度atotを示す。図9(b)の(下から2番目にある)破線曲線は、センサユニット16が「外中心30μm」の位置にあるときの総加速度atotを示す。図9Bの(下から3番目にある)一点鎖線は、センサユニット16が「中心10μm」の位置にあるときの総加速度atotを示す。図9Bの(上から1番目にある)二点鎖線曲線は、センサユニット16が「中心10μm」位置をとるときの総加速度atotを示す。総加速度の計算結果を以下の表にまとめる。
【表3】
【0197】
図9Bと合わせた表から分かるように、「中心30μm」位置での総加速度は、特に、1500rpmの速度で114の値まで増大し、2000rpmで206の値まで増大し、これは、約0.2gに相当する。
【0198】
図9Bは、センサユニット16の正確な位置決め又は中心オフセットに関係なく速度の増大に従って総加速度atotが増大することも示す。このために、監視モジュール10,26,28の同心度誤差が存在するか否かをチェックするために総加速度atotが比較される閾値は、静的な閾値ではなく、速度が増大するに従って増大する「動的」閾値である。
【0199】
これを、図10に示し、加速度変数ax,ay,ax_inital,ay_initial及び(a_reSultingに対応する)atot並びに閾値SWを、監視モジュール10,26,28の速度の上にプロットする。図10は、速度が増大するに従ってこれらの変数全てが増大することも示す。加速度を表す初期変数ax_inital,ay_initialはそれぞれ、感度方向に応じた加速度を表す変数ax,ayよりも低い加速度値を有し、その理由は、監視モジュール10,26,28の監視モードにおける変数ax,ayの測定中にセンサユニット16に較正の実行と比較して大きな一定の偏心/傾斜が存在するからである。しかしながら、(a_reSultingに対応する)計算した総加速度atotは、全ての速度で閾値SW未満であり、すなわち、許容範囲内であり、その結果、この評価では同心度誤差は存在しないが、監視モジュール10,26,28の同心度はOK (IO)である。そのような評価を監視モジュール10,26,28で行う場合、その結果を、テスト信号IOとして工作機械WZM及び/又は同心度監視信号インターフェースSGSに送信することができる。代替的には、測定変数ax_inital,ay_initialの生データを工作機械WZM及び/又は同心度監視信号インターフェースSGSに送信するとともにそこで評価を行うこともできる。
【0200】
変数ax,ay,ax_inital,ay_initialの決定において、回転速度は二次関数であるので、評価を行うコンポーネントがこれらの変数を決定した正確な回転速度を知っていることが重要である。本開示の範囲内で、これに対していくつかのオプションが利用可能である。
【0201】
第1の可能性は、加速度を表す変数ax,ayの取得中 (及び初期変数ax_inital,ay_initialの取得中の較正の実行中) に別のセンサユニットBによって決定される別の加速度変数 (又は単一の別の加速度変数) を使用して回転速度を決定することである。別のセンサユニットBによる回転速度の検出原理を図1を使用して説明する。そこの説明は、ここでも当てはまる。
【0202】
速度検出のための追加のオプションのセンサユニットBを省略することができる第2の可能性を、図11及び図12を参照して説明する。センサユニット16は、±2gの測定範囲と、1g当たり1024個のデジタル値の分解能を有する。サンプリングレートは、1kHzである。図11及び図12に示す測定結果では、監視モジュール10,26,28は、水平に向けられる。その結果、測定中に監視モジュール10,26,28に作用する重力による加速度により、正弦波信号が、測定した実際の変数(例えば、ax,ay,ax_initial,ay_initial)に重畳される。
【0203】
図11は、そのような信号の重畳を示し、センサユニット16の出力値(ax)を、異なる速度でx方向に示す。同様に、図12は、そのような信号の重ね合わせを示し、センサユニット16の出力値(ay)を、異なる速度でy方向に示す。測定変数に重畳される正弦波振動の振幅は、重力による加速度に略対応する。これは、特に、約1000rpmの速度に当てはまり、ここでは (図 11 及び 12 を参照)、約1gの重力による加速度に略対応する約1000の振幅がある。図11は、速度が増大するに従って正弦波信号の平均値が増大することも示す。したがって、約1000rpmでの平均値は、デジタルセンサ値2075になるが、約1500rpmでの平均値は、デジタルセンサ値2115まで上昇し、約2000rpmでデジタルセンサ値が約2155まで上昇する。
【0204】
図11及び図12からも分かるように、正弦波信号の周波数は、速度の増大と共に変化する。したがって、周波数は、速度と相関し、特に、周波数は、速度に対応する。したがって、監視モジュール10,26,28が水平に整列されているときに実際の測定変数に重畳される正弦波振動の周波数を、実際の測定変数が既知の計算方法を使用して検出されるときの回転速度を推測するために使用することができる。
【0205】
図7を参照して説明した感光面50を有する感光ユニットPEは、加速度変数ax,ay,ax_initial,ay_initialの検出中に速度を決定する更に別の可能性を利用する。これは、検出中に生成される自然光のパターンによる光学式速度検出である。この光パターンは、監視モジュール10,26,28の回転によって生成されるとともに監視モジュール10,26,28の演算装置22によって電圧パターンに変換され、この電圧パターンは、回転ごとに繰り返される。電圧パターン又は基礎となる光パターンの基本周波数を決定する。この基本周波数は、加速度変数ax,ay,ax_initial、ay_initialをセンサユニット16によって検出するときの監視モジュール10,26,28の速度に対応する。監視モジュール10,26,28の応用状況において周囲光が不十分である場合、感光ユニットPEは、IRフォトダイオードである。この場合、検出されるのは、周囲光ではなく赤外線であり、そこから速度を決定することができる。この赤外線は、工作機械WZMの赤外線用送受信モジュールから放射される。送信機はIR LEDを備える。
【0206】
最後に、工作機械WZMは、(軸Sの制御装置32によって速度として指定される)正確なテスト速度を監視モジュール10,26,28及び/又は同心度監視信号インターフェースSGSに信号で送信することもできる。これは、同心度監視の評価を監視モジュール10,26,28又は同心度監視信号インターフェースSGSで行う場合に特に有用である。
【0207】
図13Aは、任意の流体チャネルFKを有する監視モジュール10,26,28の一例の断面図を示す。流体チャネルを、図13Aに示す追加構成要素軸S及び工具ホルダWZGAの中心にも示す。特に、監視モジュール28の工具WZGも、そのような流体チャネルを有することができる。監視モジュール10,26と結合することができる工具WZGも、流体チャネルを有することができる。ワークピースの加工中、例えば、工具WZG及びワークピースの損傷を防止するとともに更により良い加工結果を達成するために、必要な冷却剤及び/又は潤滑剤が、軸S、監視モジュール10,26,28及び工具WZGを介してこれらの流体チャネルを介して加工点に供給される。
【0208】
本例のように、センサユニット16が監視モジュール10,26,28の回転軸20と少なくとも略同軸に位置合わせされている場合、冷却潤滑剤の流れは、図13Aに示す例の監視モジュール10,26,28の中心に正確に中心に誘導されない。図13Aに示すように、最初は軸Sに面する監視モジュール10,26,28の表面の中央から始まる流体チャネルFKは、センサユニット16の直前で冷却潤滑剤分配器によって流体チャネルFKの二つのサブセクションに分割される。その結果、冷却潤滑剤は、ワークピースの加工中に、監視モジュール10,26,28を備えた工作機械WZMを通って流体チャネルFKの二つのサブセクションに送られ、したがって、センサユニットの周りに案内される。流体チャネルFK及びそのサブセクションは、工作機械WZMから工具WZGへの冷却潤滑剤の流れが損なわれないように設計される。
【0209】
図13Bに示す別の変形例では、センサユニット16(図13Bでは、わかりやすくするためにそのハウジングのみを示す。)が監視モジュール10,26,28の回転軸20と少なくとも略同一に整列されるが、冷却潤滑剤の流れは、監視モジュール10,26,28の中央に導かれる。このために、センサボード40とセンサユニット16の両方は、(ここでは円形の例として示す)中央凹部をそれぞれ備える。図13Bに見えるように、これらの中央凹部は重なり、監視モジュール10,26,28の回転軸20は、凹部の中心を通る。監視モジュール10,26,28の動作中、凹部は、流体チャネルFKとして機能し、したがって、流体チャネルFKは、監視モジュール10,26,28の中心を通る。この変形例では、互いに90°で配置されるとともにセンサユニット16内で使用される二つの1軸加速度センサすなわちセンサX及びセンサYを使用する。 ここで、センサユニット16は、回転軸20と略同軸に整列した中央凹部を備えることができ、二つの加速度センサSX,SYを備える。第1の加速度センサSXは、y-z平面に配置され、y-z平面と直交する方向に検知軸を有する。第2加速度センサSYは、x-z平面に配置され、x-z平面と直交する方向に検知軸を有する。これによって、中央流路によりセンサXとセンサYが多少離れている場合でも同心度監視を行うことができる。YZ平面内のセンサXの空間配置により、傾きがない場合、回転中にセンサに遠心加速度が生じない。X方向に傾いた場合、X方向の速度及び同心度誤差に応じて接線方向に加速度が生じる。これは、Y方向にも同様に当てはまる。上述したように、両方の加速度は、量及び方向に従って(ベクトル的に)両方のセンサによって比例的に記録される。接線加速度を分析することによって、回転は、加速度値に影響を及ぼさない。
【0210】
動作中に監視モジュール10,26,28に電気エネルギーを供給する必要がある。図1を参照して説明したエネルギー供給ユニットVは、このために監視モジュール10,26,28に設けられる。このエネルギー供給ユニットVは、最も単純な場合には交換可能又は再充電可能な電池又は蓄電池からなるエネルギー貯蔵ユニットを備える。次に図14及び15を参照して、監視モジュール10,26,28でエネルギーを生成する可能性について説明する。これらの場合、エネルギー供給ユニットVのエネルギー貯蔵装置は、生成されたエネルギーを一時的に貯蔵する比較的低容量の電池又はコンデンサを備えることもできる。これは、例えば、回転エネルギーを電気エネルギーに変換するための発電ユニットが必要である。この電気エネルギーは、整流回路を介してエネルギー貯蔵ユニットに供給される。エネルギー貯蔵ユニットから得られるエネルギーは、オプションの電圧レギュレータによって監視モジュール10,26,28の動作に必要な公称電圧にすることができる。
【0211】
図14は、監視モジュール10,26,28の流体チャネルのタービンユニットTEの配置を示す(断面図で示す)。タービンユニットは、自ら発電する発電ユニットとして機能する。冷却(潤滑)媒体の流れは、タービンホイール52によって利用される。永久磁石54(図14は、一例として二つの永久磁石を示す。)を有するタービンホイール52は、この冷却(潤滑)媒体の流れによって回転する。タービンホイール52は、誘導コイル56(例えば、互いに120°オフセットして配置された三つのコイル。ただし、図14では、明瞭のためにそのうちの二つのコイル56のみを参照する。)が配置されるとともにこれらが互いに結合した回路基板49に対して回転する。タービンホイール52及び回路基板49は、タービンホイール52と誘導コイル56との間の相対回転運動が誘導コイル56に電圧を誘起するように相対的に配置及び位置合わせされ、その後、電圧は、エネルギー供給ユニットVのエネルギー貯蔵装置に記憶される。
【0212】
図15は、監視モジュール10,26,28のフライホイール駆動装置の配置を示す(断面図で示す)。フライホイールドライブは、自ら電力を生成する発電ユニットとして機能する。回路基板51は、ステータとして機能し、それが監視モジュール10,26,28に直接結合される理由である。他の例によれば、代替的に、回路基板51と監視モジュール10,26,28との間接結合を設けることができる。
【0213】
誘導コイル62を備えたコイルケージ60は、図15に示すように回路基板51に配置される。高い処理速度での安定性を確保するために、コイル62を、コイルケージ60の対応する凹部内でコイルケージ60にしっかりと接着する(これは、図14を参照して説明したコイル56にも当てはまる。)。この例では、コイル62は、マンガン-亜鉛-フェライトコアを有し、回路基板51を介して互いに接続される。
【0214】
(明確にするために図15では参照符号66を一つだけ示す)いくつかのボールベアリング66を介して監視モジュール内に回転可能に配置されたフライホイール64は、(明確にするために図15では参照符号68を一つだけ示す)永久磁石68を有する。軸S、したがって、監視モジュール10,26,28が(正又は負に)加速されるとき、フライホイール64の質量慣性により、フライホイール62とプレート51との間に速度差が生じる。フライホイール64及び回路基板51は、監視モジュール10,26,28がフライホイール64と誘導コイル68との間で加速されるときにこの速度差が誘導コイル68に電圧を誘導に電圧を誘起するように相対的に配置及び位置合わせされ、その後、電圧は、エネルギー供給ユニットVのエネルギー貯蔵装置に記憶される。
【0215】
次に、図16~22を参照して、監視モジュール10,26,28、同心度監視信号インターフェースSGS及び/又は工作機械WZMによって実行することができるプロセスシーケンス及び部分プロセスシーケンスを説明する。特に、図のこれまでの説明に記載されていないプロセスステップは、同心度監視及び/又は較正の実行のためのオプションのプロセスステップを表す。これらの任意のプロセスステップを、特に、図6を参照して説明したプロセスステップ及び本開示の文脈で説明した他のプロセスステップ(特に、較正の実行に関連するプロセスステップ)と組み合わせることができる。
【0216】
図16は、一つ以上のテスト速度及び同心度監視モジュール10,26,28における同心度の評価のための較正プロセスのシーケンスを示す。図16によれば、モニタリングにおける較正プロセスの開始後、 工監視モジュール10,26,28が初期変数ax_initial、ay_initialを取得する準備ができていることの信号を、作機械WZMのモジュール10,26,28及び/又は同心度監視信号インターフェースSGSに送信する。 このとき、監視モジュール10,26,28は、較正モードになる。軸Sが回転するとき、例えば、工作機械WZMは、取得中に、指定されたテスト速度が安定しているか否かを監視する。検出は、軸Sの所定の回転数、この例では、8回転の間継続する。しかしながら、本開示は、検出期間(評価時間も含む)におけるこの正確な回転数に限定されない。
【0217】
監視されているテスト速度が、大幅に逸脱する場合、例えば、 指定されたテスト速度から10%より大きく逸脱する場合、加速度値をセンサユニット16によって記録しない。しかしながら、速度が安定している場合、最初の(又は唯一の)テスト速度についての加速度値ax_initial,ay_initialを記録する。次のステップでは、センサユニット16によって記録した初期値ax_initial,ay_initialをフィルタリングする。さらに、正確なテスト速度を、上述したいずれかの変形を使用して取得中に決定する。このために、例えば、追加のセンサユニットBによってx方向及び/又はy方向の別の加速度変数を決定することができ、その後、同様の方法でフィルタリングを行うことができる。そして、図16の例によれば、回転数(すなわち、検出周期)から変数ax_initial,ay_initialの平均値を決定する。
【0218】
その後、テスト速度を変更(例えば、増加)することができる。このステップのオプションの性質を、図16の「速度変更」ステップの破線の輪郭で示す。図16に示すように、増加したテスト速度に対して初期変数ax_initial,ay_initialを再度記録する。加速度変数ax_initial,ay_initialを、全てのテスト速度に対して記録し、初期変数ax_initial,ay_initial(特にその平均値) を、記録中に一般的な正確なテスト速度に割り当て、その結果、初期変数ax_initial,ay_initialの初期変数のテスト速度に依存する関数を決定する。この関数は、監視モジュール10,26,28のメモリに格納され、したがって、工具WZGの同心度が監視モジュール10,26,28によって監視されるときに、総加速度atotを計算するために利用可能である。較正モードを出るために、監視モジュール10,26,28は、較正の実行が完了した(「終了」)という信号を、機械工具WZM及び/又は同心度監視信号インターフェースSGSに送信する。
【0219】
図17は、一つ以上のテスト速度及び工作機械WZG(図4を参照)又は同心度監視信号インターフェース SGS(図5を参照) の較正ユニットに記録した初期変数ax_initial,ay_initialの評価に対する較正の実行の部分的なシーケンスを示す。いくつかのステップは、図16のステップに対応し、その結果、冗長な説明の代わりに図16のそれぞれのステップを参照し、これらのステップは、図17のシーケンスにも同様に適用される。
【0220】
図17によれば、特に、工作機械WZM又は同心度監視信号インターフェースSGSは、監視モジュール10,26,28の一つを使用して較正の実行をトリガすることができる、すなわち、それを開始することができる。監視モジュール10,26,28の「準備完了」メッセージの後、安定した速度で記録した初期変数ax_initial,ay_initialを工作機械WZM/同心度監視信号インターフェースSGSに送信する。これは、記録期間に達するまで継続する。その後、初期変数ax_initial,ay_initialの送信を停止し、いくつかのテスト速度で実行される較正の変形では、速度を変更する。初期変数ax_initial,ay_initialを記録するとともに再び記録期間に達するまで安定した速度で送信する。このシーケンスが全てのテスト速度に対して実行されると (これは、工作機械WZM/同心度監視信号インターフェースSGSが指定の全てのテスト速度に対して初期加速度変数ax_initial,ay_initialを受信した場合に当てはまる。)、工作機械WZM/同心度 監視信号インターフェースSGSは、較正プロセスを終了する。
【0221】
図18は、監視モジュール10,26,28において単一のテスト速度で実行される工具WZGの同心度テストのシーケンスを示す。監視モジュール10,26,28は、例えば、ワークピースの加工のために工作機械WZMの軸S及び工具WZGと共に回転する。
【0222】
最初に、監視モジュール10,26,28を起動する。これを、監視モジュール10,26,28を省エネモード(スタンバイモード)から監視モード(測定モード)に切り替えるウェイクアップ信号によって行う。本例では、ウェイクアップ信号を、工作機械WZM又は同心度監視信号インターフェースSGSから監視モジュール10,26,28に送信する。しかしながら、本発明は、これに限定されない。他の変形例では、x方向及び/又はy方向の加速度を表す別の変数がウェイクアップ閾値を超えるときにウェイクアップ信号を別のセンサユニットBによって生成する。エネルギー供給ユニットVによって生成されるエネルギー量が所定のレベルを超えたときにウェイクアップ信号を生成することもできる。この場合、監視モジュール10,26,28を、監視モジュール10,26,28で自ら電力を生成できるときにのみ監視モードに設定する。監視モジュール10,26,28は、起動に加えて、 床への落下又は衝突のような潜在的な衝撃事象を記録し、これらを監視モジュール10,26,28のメモリに保存する。
【0223】
監視モードでは、監視モジュール10,26,28は、監視モジュール10,26,28に実際に速度が存在するか否かをチェックする。速度が存在しない場合、監視モジュール10,26,28は、省エネモードに戻る。しかしながら、監視モジュール10,26,28に回転速度が実際に存在する場合、監視モジュールは、監視モードに留まり、データ取得の準備ができていることの信号を工作機械WZM/同心度監視信号インターフェースSGSに送信する(図16の説明も参照))。軸Sが回転するとき、工作機械WZMは、例えば、データ取得中に指定のテスト速度が安定しているか否かを監視する。検出は、軸Sの所定のX回転数(図18参照)の間継続し、この例では8回転の間継続する。しかしながら、本開示は、検出期間におけるこの正確な回転数に限定されない。
【0224】
監視されるテスト速度が大幅に逸脱する場合、例えば、 監視されるテスト速度が指定のテスト速度から10%を超えて逸脱する場合、加速度変数をセンサユニット16によって記録しない。しかしながら、速度が安定している場合、加速度を表す変数ax,ayをテスト速度で記録する。次に、センサユニット16によって記録した加速度変数ax,ayをフィルタリングする。さらに、検出及びフィルタリングの前、後又はその間(これは、対応するステップを含む本開示の他の全ての実施形態にも当てはまる)、加速度を表す初期変数ax_initial,ay_initialを、図16による較正の実行で検出した初期変数ax_initial,ay_initialを読み込むことによって決定する。総加速度atotを決定するとともに閾値SWと比較する(図10も参照)。総加速度が閾値SWを下回る場合、振れ誤差がないことの信号 (OK) を工作機械WZM/振れ監視信号インターフェースSGSに送信する。一方、総加速度atotが閾値SW以上である場合、工振れ誤差が発生したことの信号(NOK)を工作機械WZM/振れ監視信号インターフェースSGSに送信する。その後、監視モードが非アクティブ化され、その結果、監視モジュール10,26,28が省エネモードに戻る。ここでは、例えば、工作機械WZM/同心度監視信号インターフェースSGSからの対応する信号に応答して、非アクティブ化が行われる。代替的には、所定の期間に亘って加速度変数が全く決定されない場合(これは、監視モジュール10,26,28が現在使用されていないことを示す。)、この非アクティブ化を、一般に(すなわち、本明細書で説明される全ての例に従って)、モジュール10,26,28によって自動的に実行することもできる。
【0225】
図19は、監視モジュール10,26,28においていくつかのテスト速度で実行される工具WZGの同心度テストのシーケンスを示す。監視モジュール10,26,28は、例えば、ワークピースの加工のために工作機械WZMの軸S及び工具WZGと共に回転する。
【0226】
図19のシーケンスは、加速度変数ax,ayの記録、そのフィルタリング、初期変数ax_initial,ay_initialの記録、総加速度atotの決定及びその加速度atotと閾値SWとの比較をいくつかのテスト速度に対して実行するという点でのみ図18のシーケンスと異なる。その結果、いくつかのステップは、図18のステップに対応し、その結果、ここでは、冗長な説明の代わりに図18のそれぞれのステップを参照し、これらのステップは、図19のシーケンスの関連において同様に適用される。
【0227】
図18とは対照的に、図19によれば、上述した変数の一つを使用して加速度を表す変数ax,ayの検出中の検出の各々(加速度変数の検出等)の実行ごとに正確なテスト速度 nを決定する。テスト速度を、個々の取得実行間で変更(例えば、増大)する。テスト速度を増大した後、増大したテスト速度に対する加速度変数ax,ayの取得、正確なテスト速度の取得、加速度変数ax,ayのフィルタリング、初期加速度変数ax_initial,ay_initialの決定、総加速度atotの決定及びそれと閾値SWとの比較を、全てのテスト速度について加速度変数ax,ayを取得するまで再び実行する。
【0228】
テスト速度の増大は、同心度誤差が存在するか否かに関係なく、工作機械工具/同心度監視信号インターフェースSGSに信号を送信する前に行うことができる。換言すれば、いずれかのテスト速度で同心度誤差が発生したか (NOK)又は同心度誤差が発生しなかったか (IO)の信号を単一のデータパケットで工作機械/同心度監視信号インターフェースSGSに信号を送ることができる。代替的には、これらの結果を各テスト速度ごとに工作機械/同心度監視信号インターフェースSGSに個別に送信することもできる。
【0229】
図20は、工作機械WZG(図4を参照)又は同心度監視信号インターフェースSGS(図5を参照) で単一のテスト速度及び異なるテスト速度で実行される工具WZGの同心度テストのシーケンスを示す。監視モジュール10,26,28のうちの一つは、例えば、ワークピースの加工のために工作機械WZMの軸S及び工具WZGと共に回転する。
【0230】
工作機械WZM/同心度監視信号インターフェースSGSによって同心度チェックを開始した後、システムは、監視モジュール10,26,28が加速度測定を実行する準備ができているという信号を送信するのを待機する。次に、(例えば、図19を参照して説明したように)加速度を表す変数ax,ayの取得を行う(これを図20に示さない)。 これらの加速度変数ax,ayを、工作機械WZM/同心度監視信号インターフェースSGSによって連続的に(図20に示すように)又は監視モジュール10,26,28での取得が完了したときに受信し、工作機械WZM/同心度監視信号インターフェースSGSのメモリに保存する。記録した全ての加速度変数ax,ay及び関連するテスト速度を受信するとすぐに、WZM工作機械/SGS同心度監視信号インターフェースで評価を開始する。(一つ以上の)テスト速度を取得中に決定するとともに加速度を表す変数ax,ayをフィルタリングする。さらに、(テスト速度依存関数としていくつかのテスト速度に対する)加速度を表す初期変数ax_initial,ay_initialを、例えば、工作機械/同心度監視信号インターフェースSGSのメモリから読み出すことによって決定する。総加速度atotを、各テスト速度に対して決定し、テスト速度に応じた閾値SWと比較する。この評価を同心度監視信号インターフェースSGSで行う場合、同心度監視信号インターフェースSGSは、m工具WZGの同心度誤差が存在することの信号 (NOK) 又はそうでない信号 (IO) を工作機械WZMに送信することができる。しかしながら、図20に破線枠で示すこのオプションのステップは、評価を工作機械WZMで実行した場合には必要ない。対応するテスト速度での工具WZGの同心度特性は、工作機械 WZM/同心度監視信号インターフェースSGSに認識され、工作機械WZM/同心度監視信号インターフェースSGSでの同心度テストを完了する。
【0231】
図21は、工作機械WZG(図4参照)又は同心度監視信号インターフェースSGS(図5参照)で実行される工具WZGの同心度検査の部分シーケンスを示す。監視モジュール10,26,28のうちの一つは、例えば、ワークピースの加工のために工作機械WZMの軸S及び工具WZGと共に回転する。監視モジュール10,26,28のアクティブ化及び非アクティブ化、「準備完了」ステータスの工作機械/同心度監視信号インターフェース (図21では WZM/SGSと略す) への送信及び検出期間中の回転速度の安定性については、例えば、ここでも同様に有効な図18の対応する説明を参照されたい。
【0232】
図21のシーケンスは、測定変数が工作機械WZM/同心度監視信号インターフェースSGSに連続的に送信される変形例である。送信された測定変数を、例えば、図20のシーケンスに従って分析することができる(図21には示さない)。
【0233】
速度が安定しているか否かを監視する間、監視モジュール10,26,28のうちの一つのセンサユニット16は、加速度を表す変数ax,ayを記録し、それを工作機械WZM/同心度監視信号インターフェースSGSに継続的に送信する。図21によれば、これを、個々の加速度変数ax,ayの記録の直後に行うことができる。オプションで(モジュールメモリがフルであるか否かについてチェックを行う図21のステップの破線の輪郭によって示すように)、加速度変数ax,ayを、監視モジュール10,26,28のメモリが少なくともほぼいっぱいになるまで又は定義されたデータ量に達するまで当該メモリに格納することもできる。代替的には、いくつかの加速度変数ax,ayを含む定義されたデータパケットを一定期間に亘ってモジュールメモリに一時的に保存するとともにこの期間の経過後に工作機械WZM/同心度監視信号インターフェースSGSに送信することもできる。記録期間に達すると、記録した加速度変数ax,ayの送信を終了する。この変形例では加速度変数ax,ayを継続的に監視するので、特に、この (部分的な) 加工サイクルを同一の監視モジュール10,26,28及び同一工具WZGを使用して実行する場合、取得期間を、例えば、ワークピースの加工サイクル全体又は少なくともその一部に亘って継続させることができる。代替的には、検出期間を、工具WZGによって実行される一つ以上の機械加工ステップ(穴あけ、フライス加工等)の期間に適合させることもできる。モジュールメモリを、特に、記録期間が既知である場合に記録期間中に記録した全ての値を保持できるように設定することができる。図21によるこの変形例が高エネルギー入力を必要とするので、監視モジュール10,26,28は、特に、図14又は15を参照して説明したように、それ自体のエネルギーを生成するための発電ユニットを装備することができる。
【0234】
図22は、工作機械WZMの観点から監視モジュール10,26,28の一つ又は同心度監視信号インターフェースSGSで実行される工具WZGの同心度テスト(評価)の部分シーケンスを示す。監視モジュール10,26,28のうちの一つは、例えば、ワークピースの加工のために工作機械WZMの軸S及び工具WZGと共に回転する。
【0235】
最初に、工作機械WZMは、監視モジュール10,26,28を工作機械WZMの軸Sに挿入させ、軸Sを必要な取得速度で回転させる(図6のステップ(i)及びステップ(ii)の説明も参照)。次に、監視モジュール10,26,28がデータ取得の準備ができたことの信号が送信されるまで待機する。 このステップの詳細な説明については、例えば、図18の対応する説明が参照され、それは、ここでも同様に有効である。監視モジュール10,26,28の準備が整うと、監視モジュール10,26,28は、加速度を表す変数ax,ayを記録する。評価を、図18及び図19に示すように監視モジュール10,26,28で実行することができる、又は、図20に示すように同心度監視信号インターフェースSGSで実行することができる(図22には示さない。)。
【0236】
工作機械WZMは、工具WZGの同心度誤差に関する情報が入手できるまで待機する。この情報を、評価ユニットによって、すなわち、監視モジュール10,26,28又は振れ監視信号インターフェースSGSによって工作機械WZMに送信する。工具WZGに同心度誤差が存在する(NOK)場合、工作機械WZMは、監視モジュール10,26,28を軸Sから取り外し、圧縮空気流で吹き飛ばすことによって清掃を行う (これらのステップは 図22では省略される。)。次に、工作機械WZMは、監視モジュール10,26,28を軸で交換させ、その後、工具の同心度誤差に関する情報が利用可能になる(説明した変形例の一つに従って同心度テストを再び実行する。)まで再び待機する(このステップも図22では省略される)。同心度誤差がまだ存在する場合、工作機械WZMは、最初に、ワークピースの加工をブロックし、例えば、寸法が正確ではない (不合格品) ワークピースがそれ以上製造されないようにしする。さらに、工作機械WZM及び工具WZGが取り付けられた監視モジュール10,26,28を安全な状態にするために、軸Sの回転を停止する。さらに、エラーを工作機械WZMのディスプレイに表示する、及び/又は、音響エラー信号を発する。これら三つのステップを、基本的には同時に実行することができる。同心度誤差が存在しない(NOK)場合、工作機械WZMは、ワークピースの加工をリリースする。
【0237】
その後、当然、本開示に関連して説明した較正及び/又は同心度検査等のための(部分的な)方法のうちの一つを、取り付けられた工具WZGを備えた監視モジュール10,26,28を使用して再び実行することができる。工作機械WZM及び/又は同心度監視信号インターフェースは、場合によっては、記載されたコンピュータプログラム製品によって影響が及ぼされる。
【0238】
上述した例示的な実施形態及び変形例は網羅的なものではなく、本明細書に開示される主題を限定するものではないことが理解される。特に、本明細書に開示される主題から逸脱することなく、様々な実施形態及び変形例の特徴を互いに組み合わせることができること及び/又は実施形態及び変形例の様々な特徴を省略することができることは、当業者には明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】