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特表2024-540192硝子体浮遊物を治療するために画像誘導型レーザビーム照準を改善すること
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  • 特表-硝子体浮遊物を治療するために画像誘導型レーザビーム照準を改善すること 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】硝子体浮遊物を治療するために画像誘導型レーザビーム照準を改善すること
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20241024BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61F9/008 120E
A61B3/10 300
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525716
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 IB2022060349
(87)【国際公開番号】W WO2023089422
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,504
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ゾルト ボル
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA08
4C316AA09
4C316AA11
4C316AB02
4C316AB11
4C316AB12
4C316AB16
4C316FB26
4C316FC12
(57)【要約】
特定の実施形態では、眼内の標的を撮像及び治療するための眼科レーザ手術システムはレーザデバイス、撮像システム及びコンピュータを含む。レーザデバイスは、硝子体内のキャビテーション気泡を生じるためにレーザビームの焦点を標的の意図された場所(x0,y0,z0)方向へ導く。撮像システムは、撮像ビームを標的方向に導き、眼から反射された撮像ビームを受信し、反射された撮像ビームからキャビテーション気泡の画像を生成し、画像に従ってキャビテーション気泡の実際の場所(x,y,z)を測定する。コンピュータは、意図された場所と実際の場所との間の誤差を記述する誤差ベクトルを判断し、誤差を補償するための補正ベクトルを判断し、標的を治療するためにレーザビームを標的方向へ導くためにレーザデバイスに補正ベクトルを使用するように指示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内の標的を撮像及び治療するための眼科レーザ手術システムであって、
レーザビーム経路に沿ったレーザビームの焦点を前記眼の硝子体内のキャビテーション気泡を生じるために前記眼の前記硝子体内の前記標的の意図された場所(x0,y0,z0)方向へ導くように構成されたレーザデバイスであって、前記眼は眼軸を有し、前記眼軸はz軸を定義し、前記z軸は複数のxy面を定義し、xyz場所はxy面及び前記z軸に対する、レーザデバイスと、
1つ又は複数の撮像ビームを撮像ビーム経路に沿って前記標的の方向に導き、
前記眼から反射された前記1つ又は複数の撮像ビームを受信し、
前記反射された1つ又は複数の撮像ビームから前記キャビテーション気泡の画像を生成し、
前記画像に従って前記キャビテーション気泡の実際の場所(x,y,z)を測定する
ように構成された撮像システムと、
前記意図された場所と前記実際の場所との間の誤差を記述する誤差ベクトルを判断し、
前記誤差を補償するための補正ベクトルを判断し、
前記標的を治療するために前記レーザビームを前記標的の方向へ導くために前記誤差を補償するために前記レーザデバイスに前記補正ベクトルを使用するように指示する
ように構成されたコンピュータと
を含む、眼科レーザ手術システム。
【請求項2】
前記標的は飛蚊症を含む、請求項1に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項3】
前記撮像システムから前記1つ又は複数の撮像ビームを受信し、前記1つ又は複数の撮像ビームを前記撮像ビーム経路に沿って前記標的の方向に導き、
前記標的を治療するために前記レーザデバイスから前記レーザビームを受信し、前記撮像ビーム経路とアライメントされた前記レーザビーム経路に沿って前記標的の方向に前記レーザビームを導く
ように構成されたxyスキャナをさらに含む、請求項1に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項4】
前記誤差ベクトルは(x-x0,y-y0,z-z0)を含む、請求項1に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項5】
前記補正ベクトルは(x0-x、y0-y、z0-z)を含む、請求項1に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項6】
前記撮像システムは、xy面に対する前記標的のxy場所を提供するように構成されたxy撮像デバイスを含む、請求項1に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項7】
前記撮像システムは、前記z軸に対する前記標的のz場所を提供するように構成されたz撮像デバイスを含む、請求項1に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項8】
前記撮像システムは前記標的の前記xyz場所を提供するように構成されたxyz撮像デバイスを含む、請求項1に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項9】
眼内の標的を撮像及び治療するための方法であって、
レーザビーム経路に沿ったレーザビームの焦点を前記眼の硝子体内のキャビテーション気泡を生じるために前記眼の前記硝子体内の前記標的の意図された場所(x0,y0,z0)方向へレーザデバイスにより導くことであって、前記眼は眼軸を有し、前記眼軸はz軸を定義し、前記z軸は複数のxy面を定義し、xyz場所はxy面及び前記z軸に対する、導くことと、
1つ又は複数の撮像ビームを撮像ビーム経路に沿って前記標的の方向に撮像システムにより導くことと、
前記眼から反射された前記1つ又は複数の撮像ビームを前記撮像システムにより受信することと、
前記反射された1つ又は複数の撮像ビームから前記キャビテーション気泡の画像を前記撮像システムにより生成することと、
前記画像に従って前記キャビテーション気泡の実際の場所(x,y,z)を前記撮像システムにより測定することと、
前記意図された場所と前記実際の場所との間の誤差を記述する誤差ベクトルをコンピュータにより判断することと、
前記誤差を補償するための補正ベクトルを前記コンピュータにより判断することと、
前記標的を治療するために前記レーザビームを前記標的の方向へ導くために前記誤差を補償するために前記レーザデバイスに前記補正ベクトルを使用するように前記コンピュータにより指示することと
を含む方法。
【請求項10】
前記標的は飛蚊症を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記撮像システムから前記1つ又は複数の撮像ビームをxyスキャナにより受信し、前記1つ又は複数の撮像ビームを前記撮像ビーム経路に沿って前記標的の方向へ導くこと、及び
前記標的を治療するために前記レーザデバイスから前記レーザビームを前記xyスキャナにより受信し、前記撮像ビーム経路とアライメントされた前記レーザビーム経路に沿って前記標的の方向に前記レーザビームを導くこと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記誤差ベクトルは(x-x0,y-y0,z-z0)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記補正ベクトルは(x0-x、y0-y、z0-z)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
xy面に対する前記標的のxy場所を前記撮像システムのxy撮像デバイスにより提供することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記z軸に対する前記標的のz場所を前記撮像システムのz撮像デバイスにより提供すること、及び
前記標的の前記xyz場所を前記撮像システムのxyz撮像デバイスにより提供すること
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には眼科レーザ手術システムに関し、具体的には、飛蚊症を治療するために画像誘導型レーザビーム照準を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科レーザ手術では、外科医は眼を治療するためにレーザビームを眼内に導き得る。例えば、レーザビームは飛蚊症を治療するために硝子体内へ導かれ得る。飛蚊症は硝子体内に形成するコラーゲンタンパク質の塊である。これらの塊は、移動する陰影及び歪みにより視力を乱し得る。レーザビームは、浮遊物をフラグメント化して視力を改善するために使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の実施形態では、眼内の標的を撮像及び治療するための眼科レーザ手術システムは、レーザデバイス、撮像システム及びコンピュータを含む。眼は眼軸を有し、眼軸はz軸を定義し、z軸はxy面を定義する。xyz場所はxy面及びz軸に対する。レーザデバイスは、眼の硝子体内にキャビテーション気泡を生じるためにレーザビーム経路に沿ったレーザビームの焦点を硝子体内の標的の意図された場所(x0,y0,z0)方向へ導く。撮像システムは、1つ又は複数の撮像ビームを撮像ビーム経路に沿って標的方向に導き、眼から反射された撮像ビームを受信し、反射された撮像ビームからキャビテーション気泡の画像を生成し、そしてこの画像に従ってキャビテーション気泡の実際の場所(x,y,z)を測定する。コンピュータは、意図された場所と実際の場所との間の誤差を記述する誤差ベクトルを判断し、誤差を補償するための補正ベクトルを判断し、そして、標的を治療するためにレーザビームを標的方向へ導くために誤差を補償するためにレーザデバイスに補正ベクトルを使用するように指示する。
【0004】
いくつかの実施形態は以下の特徴のうちの1つ、いくつか、又は複数を含んでもよいし含まなくてもよい。
【0005】
* 標的は飛蚊症を含む。
【0006】
* 眼科レーザ手術システムはxyスキャナを含み、撮像システムから撮像ビームを受信し、撮像ビームを撮像ビーム経路に沿って標的方向に導き、そしてレーザデバイスからレーザビームを受信し、そして標的を治療するためにレーザビームを撮像ビーム経路とアライメントされたレーザビーム経路に沿って標的方向へ導く。
【0007】
* 誤差ベクトルは(x-x0,y-y0,z-z0)である。
【0008】
* 補正ベクトルは(x0-x,y0-y,z0-z)である。
【0009】
* 撮像システムは、xy面に対する標的のxy場所を提供するように構成されたxy撮像デバイス、及び/又はz軸に対する標的のz場所を提供するように構成されたz撮像デバイスを含む。
【0010】
* 撮像システムは、標的のxyz場所を提供するように構成されたxyz撮像デバイスを含む。
【0011】
特定の実施形態では、眼内の標的を撮像及び治療する方法は、眼の硝子体内のキャビテーション気泡を生じるためにレーザビーム経路に沿ったレーザビームの焦点を硝子体内の標的の意図された場所(x0,y0,z0)方向へレーザデバイスにより導くことを含む。眼はz軸を定義する眼軸を有し、眼軸はxy面を定義する。xyz場所はxy面及びz軸に対する。撮像ビームは撮像ビーム経路に沿って撮像システムにより標的方向へ導かれる。眼から反射された撮像ビームは、撮像システムにより受信され、撮像システムは反射された撮像ビームからキャビテーション気泡の画像を生成する。キャビテーション気泡の実際の場所(x,y,z)は画像に従って撮像システムにより測定される。意図された場所と実際の場所との間の誤差を記述する誤差ベクトルは、誤差を補償するための補正ベクトルを判断するコンピュータにより判断される。レーザデバイスは、標的を治療するためにレーザビームを標的方向へ導くために誤差を補償するための補正ベクトルを使用するようにコンピュータにより指示される。
【0012】
いくつかの実施形態は以下の特徴のうちの1つ、いくつか、又は複数を含んでもよいし含まなくてもよい。
【0013】
* 標的は飛蚊症を含む。
【0014】
* 本方法はさらに、撮像システムから1つ又は複数の撮像ビームをxyスキャナにより受信し、そして1つ又は複数の撮像ビームを撮像ビーム経路に沿って標的方向へ導くこと、及び標的を治療するためにレーザデバイスからレーザビームをxyスキャナにより受信しそして撮像ビーム経路とアライメントされたレーザビーム経路に沿って標的方向にレーザビームを導くことを含む。
【0015】
* 誤差ベクトルは(x-x0,y-y0,z-z0)を含む。
【0016】
* 補正ベクトルは(x0-x,y0-y,z0-z)を含む。
【0017】
* 本方法はさらに、xy面に対する標的のxy場所を撮像システムのxy撮像デバイスにより提供することを含む。
【0018】
* 本方法はさらに、z軸に対する標的のz場所を撮像システムのz撮像デバイスにより提供することを含む。
【0019】
* 本方法はさらに、標的のxyz場所を撮像システムのxyz撮像デバイスにより提供することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】幾つかの実施形態による眼を治療するために使用され得る眼科レーザ手術システムの一例を示す。
図2】幾つかの実施形態による図1のシステムにより使用され得るレーザビーム照準を改善する方法の一例を示す。
図3】幾つかの実施形態による図1のシステムにより使用され得るレーザビーム照準を改善する方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本明細書及び添付図面を参照すると、開示される装置、システム及び方法の例示的実施形態が詳細に示される。本明細書及び添付図面は、網羅的であるように意図されていない、又はそうでなければ、特許請求の範囲を、添付図面に示されそして本明細書において開示される特定実施形態に制限するように意図されていない。添付図面は可能な実施形態を表すが、添付図面は必ずしもスケーリングされていなく、そして、いくつかの特徴は、実施形態をより良く説明するために、単純化、誇張、除去、又は部分的に切断され得る。
【0022】
精確なレーザビーム照準は、健康課題を損なうことと網膜を過剰露出することとを回避するために飛蚊症を治療する際に重要である。しかし、照準精度はいくつかの要因により影響され得る。主な誤差源は様々な患者眼の角膜屈折力の偏差(約43+/-1.5ジオプターである)である。これは、レーザビームの焦点の約+/-620um深さ誤差を生じる。他の要因は、角膜ひだ、レーザスキャナ及び撮像スキャナの動的誤差、レーザと撮像ビームとの間の共校正誤差、並びにレーザビームの自己集束を含む。
【0023】
従って、幾つかの実施形態では、眼科レーザ手術システムは、照準誤差を判断することによりそして誤差を補償することにより照準精度を改善する。
【0024】
図1は、幾つかの実施形態による眼を治療するために使用され得る眼科レーザ手術システム10の一例を示す。この例では、眼は、z軸を定義する眼軸(例えば視覚的又は光学的軸)を有する。次に、z軸は、z軸に直交するxy面を定義する。xyz場所は、xy場所及びz場所を含み得、xy場所はxy面に対し、そしてz場所はz軸に対する。
【0025】
概要として、システム10は、示されるように結合された撮像システム20、レーザデバイス22、1つ又は複数の共有部品24及びコンピュータ26を含む。レーザデバイス22は示されるように結合されたレーザ30及びzスキャナ32を含む。共有部品24は、示されるように結合されたxyスキャナ40、xy符号器41及び光学素子(ミラー42及びレンズ44、46など)を含む。コンピュータ26は、示されるように結合されたロジック50、メモリ52(コンピュータプログラム54を格納する)及びディスプレイ56を含む。
【0026】
システム10の動作の概要として、レーザデバイス22は、眼の硝子体内のキャビテーション気泡を生じるためにレーザビーム経路に沿ったレーザビームの焦点を眼の硝子体内の標的の意図された場所(x0,y0,z0)方向へ導く。撮像システム20は、1つ又は複数の撮像ビームを撮像ビーム経路に沿って標的方向に導き、眼から反射された撮像ビームを受信し、反射された撮像ビームからキャビテーション気泡の画像を生成し、そしてこの画像に従ってキャビテーション気泡の実際の場所(x,y,z)を測定する。コンピュータ26は、意図された場所と実際の場所との間の誤差を記述する誤差ベクトルを判断し、誤差を補償するための補正ベクトルを判断し、そして、標的を治療するためにレーザビームを標的方向へ導くために誤差を補償するためにレーザデバイスに補正ベクトルを使用するように指示する。
【0027】
本システムのいくつかの部分に移ると、撮像システム20は硝子体内の標的を撮像する1つ又は複数の撮像デバイスを含む。標的を撮像するために、撮像デバイスは、撮像ビーム経路に沿った撮像ビームを眼内の標的方向へ導く。標的は撮像ビームを反射し、そして、撮像デバイスは反射光を検出し、反射されたビームから画像を生成し、この画像はディスプレイ56上に表示され得る。特定の実施形態では、画像は、映像としてリアルタイムで表示される。画像デバイスは同じ又は異なる技術(例えば走査レーザ眼底検査(SLO:scanning laser ophthalmoscopy)及び/又は干渉計測定法)を利用し得る。撮像デバイスはまた、任意の好適なやり方で標的のx,y場所及び/又はz場所を提供し得る。例えば、1つのデバイスはx,y場所及びz場所を提供し得る。別の例として、1つのデバイスはx場所及びy場所を提供し得る一方で別のデバイスはz場所を提供し得る。
【0028】
特定の実施形態では、撮像システム20はxy撮像デバイス及びz撮像デバイスを含み得る。xy撮像デバイスは標的のxy場所を提供し、そしてz撮像デバイスは標的のz場所を提供する。xy撮像デバイスの例は走査レーザ眼底検査(SLO)デバイス及び眼底カメラを含む。z撮像デバイスの例は干渉計デバイス及び走査共焦点検眼鏡カメラを含む。他の実施形態では、撮像システム20は、標的のxy場所及びz場所を提供するように構成されたxyz撮像デバイスであり得る。xyz撮像デバイスの例は干渉計デバイスを含む。
【0029】
特定の実施形態では、撮像システム20はSLOデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、SLOデバイスは、陰影xy場所が浮遊物xy場所として使用され得るように浮遊物のxy場所(網膜上の浮遊物の陰影のxy場所により与えられ得る)を提供する。特定の実施形態では、SLOデバイスは、干渉計デバイスより高いフレーム率を有するので、浮遊物などの標的のより良いxy追跡を提供し得る。SLOデバイスは任意の好適なフレーム率(例えば30~60(45~55、又は約50など)フレーム/秒(フレーム/s))を有し得る。
【0030】
特定の実施形態では、撮像システム20は、任意の好適な(例えば高速フーリエ変換(FFT:Fourier transform)を利用するフーリエ領域型(掃引型源又はスペクトル領域型など)の)干渉計を有する干渉計デバイスを含み得る。干渉計デバイスの例は光学的コヒーレンス断層撮影法(OCT:optical coherence tomography)デバイス(掃引型源OCTデバイスなど)及び掃引型源A走査干渉計(SSASI:swept source A-scan interferometer)デバイスを含む。SASSIデバイスはA走査だけを行う。
【0031】
干渉計デバイスの動作の一例として、スプリッタが光を計測光と参照光とへ分割する。参照光は基準アーム系へ導かれる。計測光は共有部品24を介し眼の一点方向へ導かれる。干渉計デバイスは、例えば電気的調整可能レンズ(例えばOptotuneレンズ)又は非球面レンズによりビームを様々なz場所へ導き得る。計測光はz方向に眼を貫通し、そして眼の内部により反射される。反射された計測光はz方向の内部に関する情報を提供する。例えば、光は、浮遊物、水晶体(天然水晶体又は眼内レンズ(IOL:intraocular lens))、及び/又は網膜の表面(例えば前面及び/又は後面)の場所を指示し得る。従って、光は,z方向の浮遊物のz場所及び厚さを指示し得る。
【0032】
反射された計測光は同じ経路を通って戻る。スプリッタは、反射された計測光と基準アーム系からの参照光とを組み合わせて干渉信号光を生じる。検出器は、干渉信号光を検出し、そして光子反射をz方向に集約してA走査(すなわちz方向の計測光の反射強度分布)を生じる。二次元B走査へコンパイルされ得る追加A走査が、複数の隣接A走査を生成するために別の方向(例えばx方向又はy方向)に行われ得る。複数のA走査は、浮遊物のz場所を判断するために任意の好適な率で(例えば10~30ms毎(約20ms毎など)に一回)行われ得る。
【0033】
幾つかの実施形態では、干渉計デバイスは、x方向及びz方向の浮遊物の場所及び形状を判断するために走査を生成する。例えば、干渉計デバイスはz方向の標的に関する情報を生じるためにz方向のA走査を生成する。次に、共有xyスキャナは、x方向(又はy方向)に互いに隣接する複数のz方向A走査(x方向(又はy方向)の標的に関する情報を提供する)を生じるために、x方向のビームを移動して別のz方向A走査を生成することなどを行う。隣接A走査間には任意の好適な距離(例えば30~60マイクロメートル(50マイクロメートルなど))があり得る。xy符号器41は、ビームが走査されると撮像ビームのxy場所を報告する。
【0034】
幾つかの実施形態では、干渉計デバイスは、長距離干渉計システム(例えば眼の光学軸の長さが24~30mm(27mmなど)である限りz方向範囲を撮像し得る)であり得る。干渉計デバイスは、後眼房の少なくとも深さを撮像し得る完全深度干渉計システムであり得る。他の実施形態では、干渉計デバイスは、各々がz方向に異なる範囲を有する複数の基準アームを有し得る。
【0035】
レーザデバイス22に戻ると、レーザ30は、任意の好適な波長(例えば400nm~2000nmの範囲内の)を有するレーザビームを生成する。レーザデバイス22は、100kHz以上の高い繰り返し率のような任意の好適な繰り返し率(例えば30~120キロヘルツ(kHz))でレーザパルスを配送する。レーザパルスは、任意の好適なパルス持続時間(例えば、ピコ秒~ナノ秒範囲(20fs~1000nsなど)内の)、任意の好適なパルスエネルギー(例えば1マイクロジュール(μJ)~1ミリジュール(mJ))、及び任意の好適なサイズ(例えば3~10マイクロメートル(μm)、7μmなど)の焦点を有し得る。
【0036】
zスキャナ32は、レーザビームの焦点をz方向の特定場所へ縦方向に導く。zスキャナ32の例は、縦方向に調整可能なレンズ、可変屈折力レンズ、電気的又は機械的に調整可能なレンズ(例えばOptotuneレンズ)、電気的又は機械的に調整可能な望遠鏡、又は焦点のz場所を制御し得る変形可能ミラーを含む。zスキャナ32は焦点を任意の好適なやり方で導き得る。幾つかの実施形態では、zスキャナ32は、標的のz場所を撮像システム20から受信し(そしてコンピュータ26を介し受信し得)、そしてレーザビームを標的のz場所方向へ導く。幾つかの実施形態では、レーザデバイス22はまた、例えば3Dパルスパターンを生成するためにzスキャナ32と連携して使用される高速xyスキャナを含み得る。このようなスキャナの例は共振スキャナ又は音響光学スキャナを含む。
【0037】
共有部品24は、撮像ビーム及びレーザビームを撮像システム20及びレーザデバイス22のそれぞれから眼方向へ導く。撮像ビーム及びレーザビームの両方は共有部品24を使用するので、両方のビームは同じ光学的歪み(例えばスキャナのファン歪み、スキャナレンズのバレル又はピロー歪み、内側眼表面からの屈折歪み、及び他の歪み)により影響される。歪みは両方のビームに同じやり方で影響するので、歪みは補償される。これは、改善された精度を有する撮像ビームにより生成された画像を使用することによりレーザビームの照準を合わせることを可能にする。
【0038】
共有部品24の動作の概要として、ミラー42は、ビーム(撮像及び/又はレーザビーム)をxyスキャナ40方向に導き、xyスキャナ40はビームをレンズ44方向へ横断的に導く。レンズ44及び46はビームを眼方向へ導く。共有部品24はまた、ビームが同じ経路を共有することを可能にするために撮像ビーム及びレーザビームのスペクトル/分極結合及び減結合を提供し得る。
【0039】
共有部品24の詳細に戻ると、xyスキャナ40はビームの焦点をx方向及びy方向に横断的に導く。xyスキャナ40は、瞳内へのビームの入射角を変更し、ビームが眼内のより広範な範囲をカバーすることを可能にする。xyスキャナ40は任意の好適なやり方でビームを横断的に導き得る。例えば、xyスキャナ40は、相互に垂直な軸に関して傾斜され得る1対のガルバノメータ作動型スキャナミラーを含み得る。別の例として、xyスキャナ40は、ビームを電気光学的に操縦し得る電気光学結晶又はビームを音響光学的に操縦し得る音響光学結晶を含み得る。別の例として、xyスキャナ40は、例えばレーザパルスの3Dマトリクスを作成し得る高速スキャナを含み得る。幾つかの実施形態では、xyスキャナ40は、撮像システム20から標的のxy場所を受信し、そして撮像及び/又はレーザビームをxy場所方向へ導く。
【0040】
xy符号器41は、xyスキャナ40の位置を検出し、そしてこの位置をxy場所として報告する。例えば、xy符号器41は、符号器ユニット内のxyスキャナ40のガルバノメータミラーの角度配向を検出する。xy符号器41は、符号器ユニット内の位置を撮像システム20、レーザデバイス22、及び/又はコンピュータ26へ報告し得る。撮像システム20及びレーザデバイス22はxyスキャナ40を共有するので、コンピュータ26は、ビームの照準をどこに当てるべきかをシステム20及びデバイス22に指示するために符号器ユニットを使用し得、これにより、符号器ユニットからミリメートルなどの長さ単位へコンピュータ集約的変換を行うことを不必要にする。xy符号器41は、例えば5~50ミリ秒(ms)毎に(10~30ms毎に又は約20ms毎等々に)一回などの任意の好適な率で位置を報告し得る。
【0041】
共有部品24はまた、光学素子を含む。一般的に、光学素子はレーザビームに作用し得る(例えば、レーザビームを送信、反射、屈折、回折、コリメート、調整、成形、集束、変調し得る及び/又はそうでなければそれに作用し得る)。光学素子の例は、レンズ、プリズム、ミラー、回折光学素子(DOE:diffractive optical element)、ホログラフィ光学素子(HOE:holographic optical element)及び空間的光変調器(SLM:spatial light modulator)を含む。この例では、光学素子はミラー42及びレンズ44及び46を含む。ミラー42は三色ミラーであり得る。レンズ44及び46は、SLOデバイスの光学系を走査し得る。
【0042】
コンピュータ26は、システム10の部品(例えば撮像システム20、レーザデバイス24、及び/又は共有部品24)をコンピュータプログラム54に従って制御する。コンピュータ26は部品から分離され得る、又は任意の好適なやり方でシステム10の間に(例えば撮像システム20、レーザデバイス24、及び/又は共有部品24内で)分散され得る。幾つかの実施形態では、撮像システム20、レーザデバイス24、及び/又は共有部品24を制御するコンピュータ26の一部はそれぞれ撮像システム20、レーザデバイス24及び/又は共有部品24の一部であり得る。
【0043】
コンピュータ26は、コンピュータプログラム54に従ってシステム10の部品を制御する。コンピュータプログラム54の例は誤差低減プログラム、標的撮像プログラム、標的追跡プログラム及び画像処理プログラムを含む。例えば、コンピュータ26は、標的を撮像しそしてレーザビームを標的に集束するように撮像システム20、レーザデバイス24及び/又は共有部品24を指示するためにコンピュータプログラム54を使用し得る。
【0044】
図2、3は、幾つかの実施形態による図1のシステム10により使用され得るレーザビーム照準誤差を補正する方法の一例を示す。図2は、水晶体62及び硝子体64を有する眼60を示す。レーザビームの焦点は、標的66の意図された場所(x0,y0,z0)へ導かれるが、撮像システムの較正及び調節誤差に起因して、実際の場所(x,y,z)に実際に到着しそしてキャビテーション気泡68を形成し得る。キャビテーション気泡は、患者が自身の熟視を本システムの固定光上に固定していれば数分間硝子体64内に留まり得る。
【0045】
図3は本方法のフローチャートを示す。工程110~120は、レーザの照準精度を改善するために使用される校正補正ベクトルを判断し、そして工程122は校正補正ベクトルによる標的の治療を記述する。工程110において、標的は撮像システムを使用することにより三次元(3D)空間内に配置される。レーザデバイスは、工程112において気泡を生じるために、レーザビームを、意図された場所(x0,y0,z0)の標的へ導く。撮像システムは、工程114において気泡の実際の場所(x,y,z)を測定するために新しい画像を生成する。
【0046】
コンピュータは、意図された場所(x0,y0,z0)と実際の場所(x,y,z)との間の誤差を記述する誤差ベクトルを工程116において判断する。幾つかの実施形態では、コンピュータは誤差ベクトルを(x-x0,y-y0,z-z0)として計算し得る。コンピュータは、工程120において誤差を補償する補正ベクトルを判断する。幾つかの実施形態では、コンピュータは、誤差ベクトルの逆を補正ベクトル(x0-x,y0-y,z0-z)として使用し得る。例えば、気泡の実際の場所が意図された場所より下120umであれば、レーザビームは、撮像システム上に出現する標的の上120umに照準を合わされるべきである。レーザデバイスは、工程122において、改善された精度でもってレーザビームを標的へ導く。ビームのレーザパルスは意図された外科効果を実現するために標的の正しい場所へ送信される。
【0047】
本明細書において開示されたシステム及び装置の部品(制御コンピュータなど)はインターフェース、ロジック、及び/又はメモリを含み得、そのいかなるものもコンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。インターフェースは、部品への入力を受信し及び/又は部品からの出力を送信し得、そして通常、情報を例えばソフトウェア、ハードウェア、周辺デバイス、ユーザ、及びこれらの組み合せ間で交換するために使用される。ユーザインターフェースは、ユーザがコンピュータと通信する(例えば入力を送信する及び/又は出力を受信する)ために利用し得るタイプのインターフェースである。ユーザインターフェースの例はディスプレイ、グラフィックユーザインターフェース(GUI:Graphical User Interface)、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャセンサ、マイクロホン及びスピーカを含む。
【0048】
ロジックは部品の操作を行い得る。ロジックは、データを処理する(例えば入力から出力を生成するための命令を実行する)1つ又は複数の電子デバイスを含み得る。このような電子デバイスの例はコンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば中央処理ユニット(CPU))及びコンピュータチップを含む。ロジックは、操作を行うために電子デバイスにより実行されることができる命令を符号化するコンピュータソフトウェアを含み得る。コンピュータソフトウェアの例はコンピュータプログラム、アプリケーション及びオペレーティングシステムを含む。
【0049】
メモリは、情報を格納し得、そして有形、コンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能ストレージ媒体を含み得る。メモリの例は、コンピュータメモリ(例えばランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み取り専用メモリ(ROM))、大容量ストレージ媒体(例えばハードディスク)、着脱可能ストレージ媒体(例えばコンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ又は汎用ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えばサーバ)、及び/又は他のコンピュータ可読媒体を含む。特定実施形態はコンピュータソフトウェアにより符号化されたメモリに向けられ得る。
【0050】
本開示は特定の実施形態という観点で説明されたが、実施形態の修正形態(変更、代替、追加、省略、及び/又は他の修正形態など)は当業者にとって明白になる。従って、修正が本発明の範囲から逸脱することなくいくつかの実施形態に対し行われ得る。例えば、修正は本明細書において開示されたシステム及び装置に対して行われ得る。当業者にとって明らかなように、本システム及び装置の部品は一体化又は分離され得る、又は本システム及び装置の動作はより多い部品、より少ない部品、又は他の部品により行われ得る。別の例として、修正は本明細書において開示された方法に対して行われ得る。当業者とって明らかなように、本方法は、より多い工程、より少ない工程、又は他の工程を含み得、そして工程は任意の好適な順序で行われ得る。
【0051】
請求項を解釈する際に特許庁及び読者を助けるために、本出願人らは、用語「のための手段(means for)」又は「のためのステップ(step for)」が特定請求項において明示的に使用されない限り請求項又は請求要素のいかなるものも合衆国法典第35巻§112(f)を想起させるように意図されてないということを注記する。請求項内の任意の他の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「部品」、「素子」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」)の使用は、当業者にとって知られている構造を指すものと本出願人らにより理解され、従って合衆国法典第35巻§112(f)を想起させるように意図されていない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】