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特表2024-540193制御可能な電磁アレイ素子、及びインテリジェンスサーフェス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】制御可能な電磁アレイ素子、及びインテリジェンスサーフェス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/14 20060101AFI20241024BHJP
   H01Q 3/46 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01Q15/14 Z
H01Q3/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525744
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 CN2022130333
(87)【国際公開番号】W WO2023083140
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111331397.9
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】傅随道
(72)【発明者】
【氏名】沈楠
(72)【発明者】
【氏名】呉建軍
(72)【発明者】
【氏名】毛胤電
(72)【発明者】
【氏名】李名定
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA16
5J020BD04
5J020DA05
5J020DA06
5J020DA07
5J020DA10
5J021AA09
5J021BA02
5J021DB04
5J021JA05
5J021JA06
(57)【要約】
本願の実施例は、制御可能な電磁アレイ素子及びインテリジェンスサーフェスを提供する。制御可能な電磁アレイ素子は、反射ユニットと寄生ユニットを含み、反射ユニットは、少なくとも1つの反射金属片と、反射金属片に電気的に接続され、制御信号に応じて電磁アレイ素子の電磁パラメータを制御するように構成された少なくとも1つの制御可能な素子と、を含み、寄生ユニットは、反射金属片の周囲に設けられ、反射金属片に結合接続される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御可能な電磁アレイ素子であって、
反射ユニットと寄生ユニットを含み、
前記反射ユニットは、
少なくとも1つの反射金属片と、
前記反射金属片に電気的に接続され、制御信号に応じて前記電磁アレイ素子の電磁パラメータを制御するように構成された少なくとも1つの制御可能な素子と、を含み、
前記寄生ユニットは、前記反射金属片の周囲に設けられ、前記反射金属片に結合接続される、
制御可能な電磁アレイ素子。
【請求項2】
前記寄生ユニットは、前記反射ユニットに結合接続されるために、前記反射ユニットと同一層に設けられ、あるいは、
前記寄生ユニットは、前記反射ユニットに結合接続されるために、前記反射ユニットの上層に設けられ、あるいは、
前記寄生ユニットは、前記反射ユニットに結合接続されるために、前記反射ユニットの下層に設けられる、
請求項1に記載の電磁アレイ素子。
【請求項3】
前記寄生ユニットと前記反射ユニットとの間に結合スロットが形成されて、前記寄生ユニットと前記反射ユニットとが電界によって結合接続され、あるいは、
前記寄生ユニットと前記反射ユニットは素子によって結合接続される、
請求項1に記載の電磁アレイ素子。
【請求項4】
前記反射ユニットは、前記制御可能な電磁アレイ素子の中央位置に設けられ、前記寄生ユニットは、前記制御可能な電磁アレイ素子の外周に設けられ、前記反射ユニットに結合接続されるために、前記反射ユニットの偏波方向に配置される、
請求項1に記載の電磁アレイ素子。
【請求項5】
前記反射金属片は、
グランドに電気的に接続されるように構成された第1金属片と、
前記制御可能な素子によって前記第1金属片に電気的に接続され、制御信号を受信して、制御信号を前記制御可能な素子に伝送するように構成されたバイアス電圧片と、を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電磁アレイ素子。
【請求項6】
前記第1金属片は多角形金属片であり、前記寄生ユニットは、前記寄生ユニットの少なくとも1つの辺が前記多角形金属片の少なくとも1つの辺とストリップ状の結合スロットを形成するように、前記多角形金属片の辺に沿って対応して設けられ、あるいは、
前記第1金属片は円形金属片であり、前記寄生ユニットは、前記寄生ユニットの縁が前記多角形金属片の縁と環状の結合スロットを形成するように、前記円形金属片の円周に沿って対応して設けられる、
請求項5に記載の電磁アレイ素子。
【請求項7】
前記第1金属片と前記バイアス電圧片との間には第2金属片がさらに設けられ、前記バイアス電圧片は前記第2金属片に電気的に接続され、前記第2金属片は、前記制御可能な素子によって前記第1金属片に電気的に接続され、
前記寄生ユニットは、前記寄生ユニットの少なくとも1つの辺が前記第2金属片の少なくとも1つの辺と結合スロットを形成するように、前記第2金属片の辺に沿って対応して設けられる、
請求項5に記載の電磁アレイ素子。
【請求項8】
前記反射ユニットはインダクタンス素子をさらに含み、前記バイアス電圧片は、前記インダクタンス素子によって前記第2金属片に電気的に接続される、
請求項7に記載の電磁アレイ素子。
【請求項9】
前記寄生ユニットが前記反射ユニットと同一層に設けられる場合、前記寄生ユニットには、前記バイアス電圧片に対応する位置に、前記バイアス電圧片を収容するように構成されたU字形溝が設けられている、
請求項5に記載の電磁アレイ素子。
【請求項10】
前記反射ユニットは線状であり、その場合、前記電磁アレイ素子は単一偏波電磁アレイ素子であり、あるいは、
前記反射ユニットは十字形であり、その場合、前記電磁アレイ素子は二重偏波電磁アレイ素子であり、あるいは、
前記反射ユニットは円形であり、その場合、前記電磁アレイ素子は円偏波電磁アレイ素子である、
請求項1、2、3、4、6、7、8又は9に記載の電磁アレイ素子。
【請求項11】
前記制御可能な素子は、バラクタダイオード、PINダイオード、又は液晶である、
請求項1、2、3、4、6、7、8又は9に記載の電磁アレイ素子。
【請求項12】
前記電磁アレイ素子は多層構造であり、
前記反射ユニットを設けるように構成された反射回路層と、
前記反射回路層に電気的に接続された少なくとも1つの金属ビアが設けられた前記反射回路層の下に設けられた第1誘電体板と、
前記制御信号を受信するように構成されたバイアスラインとバイアス接点を含み、前記バイアスラインが前記バイアス接点に電気的に接続され、前記バイアス接点が前記金属ビアを介して前記制御可能な素子に電気的に接続されるバイアス回路層と、を含む、
請求項1、2、3、4、6、7、8、又は9に記載の電磁アレイ素子。
【請求項13】
前記バイアス回路層の下に設けられ、及び/又は前記バイアス回路層の上に設けられ、金属ビアを介して前記反射ユニットに電気的に接続される少なくとも1つのベース層をさらに含む、
請求項12に記載の電磁アレイ素子。
【請求項14】
前記バイアス回路層は、
前記バイアス接点に電気的に接続され、前記ベース層とフィルタコンデンサを形成するように構成されたシート状分岐をさらに含む、
請求項13に記載の電磁アレイ素子。
【請求項15】
前記バイアスラインは屈曲配線であり、フィルタインダクタを形成するように構成されている、
請求項12に記載の電磁アレイ素子。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の複数の制御可能な電磁アレイ素子を含む、
インテリジェンスサーフェス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が202111331397.9、出願日が2021年11月11日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願の全ての内容はここで参照として本願に組み込まれている。
【0002】
本願の実施例は、無線通信の技術分野に関し、特に、制御可能な電磁アレイ素子、及びインテリジェンスサーフェスに関する。
【背景技術】
【0003】
再構成可能インテリジェンスサーフェスRIS(Reconfigurable Intelligent Surface)は、無線通信の重要技術の1つとして業界で重要視されている。RISは、電磁アレイ素子の電気的パラメータを制御することにより、特定のビーム指向性を形成し、所望の領域のブラインド信号の充填又は増強を実現することができる。反射型RISは、基地局の目に見えない視界距離の信号をカバーすることができ、そのため、応用の将来性が期待できる。反射型RISは、反射電磁波の位相状態の数によって1ビットとマルチビットに分けられ、反射波の偏波特性によって単一偏波と多重偏波に分けられ、反射ビームを電子制御で切り替えることができるかどうかによって、静的なものと動的なものに分けられる。
【0004】
現在、RISスキームは、一般的に性能が劣っており、例えば、RISはまだ、マルチビット多重偏波の性能の要件を満たすことができない。また、現在、RISの性能は、アレイ素子のレイアウト及び誘電体基材などの要素により制限されており、製造コストと製造難度が高いという問題に直面している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下は、本明細書で詳細に説明されている主題の概要である。本概要は、特許請求の範囲の保護範囲を限定するものではない。
【0006】
本願の実施例は、制御可能な電磁アレイ素子、及びインテリジェンスサーフェスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様では、本願の実施例は、
制御可能な電磁アレイ素子であって、
反射ユニットと寄生ユニットを含み、
前記反射ユニットは、
少なくとも1つの反射金属片と、
前記反射金属片に電気的に接続され、制御信号に応じて前記電磁アレイ素子の電磁パラメータを制御するように構成された少なくとも1つの制御可能な素子と、を含み、
前記寄生ユニットは、前記反射金属片の周囲に設けられ、前記反射金属片に結合接続される、制御可能な電磁アレイ素子を提供する。
【0008】
第2態様では、本願の実施例は、第1態様に記載の制御可能な電磁アレイ素子を複数含むインテリジェンスサーフェスを提供する。
【0009】
本願の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は関連する技術的説明において使用する必要がある図面を簡単に説明する。以下の説明における図面は、本願の実施例の一部の実施例にすぎず、当業者が創造的な労力を払うことなく、これらの図面から他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願の一実施例による制御可能な電磁アレイ素子の反射回路層の構造模式図である。
図2】本願の一実施例による制御可能な電磁アレイ素子のバイアス回路層の構造模式図である。
図3】本願の一実施例による制御可能な電磁アレイ素子の層構造の模式図である。
図4】本願の別の実施例による制御可能な電磁アレイ素子の反射回路層の構造模式図である。
図5】本願の別の実施例による制御可能な電磁アレイ素子のバイアス回路層の構造模式図である。
図6】本願の別の実施例による従来型RISの構造模式図である。
図7】本願の別の実施例による寄生メタサーフェスの構造模式図である。
図8】本願の別の実施例によるRISの位相応答波形図である。
図9】本願の別の実施例によるRISの振幅応答波形図である。
図10】本願の別の実施例によるRISの交差偏波抑圧波形図である。
図11】本願の一実施例によるRISのマルチアングルビーム指向振幅に対応する波形図である。
図12】本願の別の実施例によるRISのマルチアングルビーム指向振幅に対応する波形図である。
図13】本願の別の実施例によるRISのマルチアングルビーム指向振幅に対応する波形図である。
図14】本願の別の実施例による制御可能な電磁アレイ素子の反射回路層の構造模式図である。
図15】本願の別の実施例による制御可能な電磁アレイ素子の寄生回路層の構造模式図である。
図16】本願の別の実施例による寄生メタサーフェスの正面構造の模式図である。
図17】本願の別の実施例による寄生メタサーフェスの背面構造の模式図である。
図18】本願の別の実施例による制御可能な電磁アレイ素子の反射回路層の構造模式図である。
図19】本願の別の実施例による寄生ハイパー表面の正面構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、特定のシステム構成、技術などの特定の詳細が、本願の実施例を完全に理解するために、限定のためではなく説明のために提供される。しかしながら、本願の実施例は、これらの具体的な詳細を有しない他の実施例においても実施され得る。他の場合には、不必要な詳細が本願の実施例の説明を妨げないように、周知のシステム、装置、回路、及び方法の詳細な説明を省略する。
【0012】
なお、論理的順序はフローチャートに示されているが、示された又は説明されたステップは、場合によっては、フローチャートに示された順序とは異なる順序で実行されてもよい。明細書及び特許請求の範囲、並びに上記の図面における「第1」、「第2」等の用語は、特定の順序又は優先順位を説明するために使用されるのではなく、類似の対象を区別するために使用される。
【0013】
また、本願の実施例の明細書に記載された「一実施例」又は「いくつかの実施例」などの参照は、その実施例を参照して記載された特定の特徴、構造、又は特性が本願の実施例の1つ又は複数の実施例に含まれることを意味する。したがって、他の方式で特に記載されない限り、本明細書の異なる箇所に現れる「一実施例において」、「いくつかの実施例において」、「他のいくつかの実施例において」、「別のいくつかの実施例において」などの句は、必ずしもすべてが同じ実施例を参照するのではなく、「1つ又は複数の実施例であるが、すべてではない」ことを意味する。用語「含む」、「含んでいる」、「有する」、及びそれらの変形は、他の方式で特に記載されない限り、「含むが、これに限定されない」ことを意味する。
【0014】
インテリジェンスサーフェスは、多数の受動的な電磁アレイ素子からなる2次元平面アレイで、これらの電磁アレイ素子は、一定の規則に従って配列され、その厚さは無視できる。特殊に設計されたこれらの電磁アレイ素子は、自然界の材料にはない物理特性を示すため、これらの人工電磁アレイ素子からなる二次元アレイはメタサーフェス(Meta-Surface)とも呼ばれる。各電磁アレイ素子は、特定の形状の金属又は誘電体材料で構成され、そして電子素子(制御可能な素子)に接続され、電子素子は、パネルにおけるインテリジェントコントローラで制御され、電磁アレイ素子の電磁属性(例えば平均透磁率、平均誘電率)の個別の調整を実現することができる。電磁アレイ素子の電磁特性を制御することによって、電磁アレイ素子の表面に入射する電磁信号は、様々な振幅、位相、偏波方向などで反射又は透過することができ、それによって、基地局とユーザ端末の間に仮想直接放射パスを構築することができ、空間電磁環境をインテリジェントに制御する目的を達成することができる。インテリジェンスサーフェスは、インテリジェントコントローラによって各電磁アレイ素子に独立した制御指令を同時に送信し、電磁アレイ素子の表面に入射した電磁波を反射又は透過する際に、振幅、位相又は偏波方向に対応した変化を生じさせ、全ての電磁アレイ素子によって反射又は透過された電磁波は、空間的に重ね合わせられてビームフォーミングの効果を生じさせ、最後に、特定の端末機器に受信される。無線通信システムにインテリジェンスサーフェスを導入することで、空間資源の拡張と効率的な利用を実現でき、無線通信システムのチャネル容量の向上、通信の信頼性の向上、カバー範囲の拡張、送信電力消費の低減、コストの節約などに役立つ。
【0015】
再構成可能インテリジェンスサーフェスRISは、未来のモバイル通信(例えば6G)の重要な潜在的な技術の1つとして業界で重要視されている。RISは、電磁アレイ素子の電気的パラメータを制御することにより、特定のビーム指向性を形成し、所望の領域のブラインド信号の充填又は増強を実現することができる。RISは、機能によって透過型と反射型に分けられる。透過型は、到来波方向にビーム指向性を形成することであり、反射型は、到来波方向の他方側にビーム指向性を形成することである。反射型RISは、建築物の壁体の表面に吊り下げられて、基地局の目に見えない視界距離の信号をカバーすることができるため、応用の将来性が期待できる。
【0016】
反射型RISは、反射電磁波の位相状態の数によって1Bitとマルチビットに分けられ、反射波の偏波特性によって単一偏波と多重偏波に分けられ、反射ビームを電子制御で切り替えることができるかどうかによって、静的なものと動的なものに分けられる。明らかに、マルチビット、二重偏波、動的機能をサポートする反射型RISは、機能が最も全面的で、応用価値が最も高い。
【0017】
現在、RISに対する研究は、1+1(1Bit+単一偏波)、2+1(2Bit+単一偏波)や1+2(1Bit+二重偏波)スキームに焦点を当てている。しかし、現在のRISスキームの性能は理想的ではない。出願人は、この状況が次の技術的課題のために発生したことを発見した。
【0018】
1)マルチビットは、より多くのスイッチング素子を必要とするため、制御回路の複雑さと消費電力を増加させるだけでなく、電磁アレイ素子の電磁特性を変化させ、RISと空間波インピーダンスの不整合を引き起こして、反射効率を低下させる。
2)多重偏波には偏波間結合効果があり、単一偏波の位相状態が悪化し、異なる偏波間の独立した電気的調整能力に影響を及ぼし、その結果、多重偏波によってもたらされるダイバーシティ利得が失われる。
3)メタサーフェスの電磁特性は、電磁アレイ素子の配列形態、アレイ素子間の間隔に密接に関連している。RIS偏波方式、アレイのレイアウトが変更されると、電磁アレイ素子の空間的疎さによってRISの構成パラメータ(等価透磁率、等価誘電率)が変化し、性能低下の原因となる。
4)同様に、RISの損失は、誘電体基材と密接に関係している。一般に、誘電体基材が厚く、誘電率が低いほど、反射損失は小さくなる。例えば、Sub-6G帯域のRISの場合、周波数が低いほど厚い基板が必要となり、その結果として、コストと製造の難易度が増加する。
【0019】
そのため、現在、RISスキームは、一般的に性能が劣っており、しかも、RISの性能は、アレイ素子のレイアウト及び誘導体基材などの要素により制限されており、製造コストと製造難度が高いという問題に直面している。
【0020】
これに基づいて、本願の実施例は、制御可能な電磁アレイ素子、及びインテリジェンスサーフェスを提供する。制御可能な電磁アレイ素子は、反射ユニット110と寄生ユニット120を含み、反射ユニット110は、少なくとも1つの反射金属片と、反射金属片に電気的に接続され、制御信号に応じて電磁アレイ素子の電磁パラメータを制御するように構成された少なくとも1つの制御可能な素子112と、を含み、寄生ユニット120は、反射金属片の周囲に設けられ、反射金属片に結合接続される。本願の実施例において、制御可能な電磁アレイ素子の反射ユニット110の周囲に寄生ユニット120を設けて、寄生インテリジェンスサーフェスを構成し、寄生ユニット120と電磁アレイ素子との間の結合効果を利用してインテリジェンスサーフェスの構成パラメータを変更することにより、インテリジェンスサーフェスの反射損失を低減し、インテリジェンスサーフェスの位相応答の安定性を高め、アレイ素子のレイアウト及び誘電体基材のインテリジェンスサーフェスに対する性能制限を突破し、マルチビット多重偏波RISスキームの信頼性を高めるのに有利である。
【0021】
例えば、本願のいくつかの実施例において、寄生メタサーフェスの多重偏波マルチビットRIS技術が提供され、この寄生メタサーフェス技術を利用して、直交格子状レイアウトを採用した格子状寄生メタサーフェスに基づく動的2+2(2Bit+二重偏波)反射型RISが設計され、それによって、交差偏波反射波を抑制しながら損失を低減し、±45°二重偏波2Bitで独立に電気的に調整されたRISが実現される。この技術及び設計スキームは、動的多重偏波マルチビット反射型RIS設計における多くの重要な技術的難点を解決し、このタイプの製品の空白を埋めた。
【0022】
なお、以下のRISは、特に断らない限り、動的反射型RISを意味する。本例は、屋内外の無線通信、信号中継などの場面に適用可能であり、具体的には、基地局、小型局、電磁反射機器、中継機器に適用される。本願は、屋内外の無線信号の増強及びブラインド充填のために使用することができ、また、局間のパッシブ中継のために使用することができる。以下では、インテリジェンスサーフェスは、複数の制御可能な電磁アレイ素子から構成され得る。複数の制御可能な電磁アレイ素子は、M*Nマトリクス状に配列されてもよいし、他の配列方式を採用してもよいが、本願はこれを限定しない。寄生ユニット120は、周期寄生ユニット120であってもよく、すなわち、マクロ的には、インテリジェンスサーフェスの各アレイ素子の寄生ユニット120の周期的な拡張であってもよい。
【0023】
図1及び図4を参照すると、制御可能な電磁アレイ素子は、
反射ユニット110と寄生ユニット120を含み、
反射ユニット110は、
少なくとも1つの反射金属片と、
反射金属片に電気的に接続され、制御信号に応じて電磁アレイ素子の電磁パラメータを制御するように構成された少なくとも1つの制御可能な素子112と、を含み、
寄生ユニット120は、反射金属片の周囲に設けられ、反射金属片に結合接続される。
【0024】
いくつかの実施例において、本願は、寄生メタサーフェスに基づく多重偏波マルチビット反射型再構成可能インテリジェンスサーフェスの技術を提案する。この技術は、従来の電磁散乱ユニットの周囲に周期寄生ユニット120を入れ子にして寄生メタサーフェスを構成し、反射ユニット110と周期寄生ユニット120との容量結合効果を利用して進行波電流を構成してメタサーフェスの構成パラメータを変更し、それによって、反射型メタサーフェスと空間波インピーダンスの整合特性を変化させ、反射効率の向上と位相応答の改善を実現する。この技術は、電磁アレイ素子のサイズ、空間レイアウト(ピッチ、方向、位置)、スイッチング素子及び誘電体基材の変化がメタサーフェスの電磁応答特性に与える影響を改善し、低コスト、低断面、高安定な多重偏波マルチビットRISの基礎を築く。
【0025】
いくつかの実施例において、本願は、寄生メタサーフェス(Meta-surface、周期的金属ユニット構造を周期的に配列したサーフェス材料)技術を利用して、格子状寄生メタサーフェスに基づくマルチビット多重偏波反射型RISを設計した。格子状寄生メタサーフェス内の周期寄生ユニット120を反射ユニット110の偏波方向に沿って配置することにより、反射効率を向上させて位相応答性を向上させると同時に、偏波方向の電流を強化し、交差偏波電流を抑制することができ、多重偏波反射波長間の独立した電気的調整能力を確保することができる。例えば、一部の実施例において、反射型RISは、±45°二重偏波2Bit独立制御をサポートすることができる。交差する材質を採用しても、反射面の断面の高さ(厚さ)は0.05波長まで設計でき、中心周波数の反射損失は3.4dBより小さく、交差偏波反射波は52dBより大きく抑制され、動作帯域幅は6%以上に達し、各指標は、現在のRISスキームに比べてより優れている。つまり、現在のRISスキームに対して、本願の技術を採用することで、RISの断面の高さ(厚さ)をより小さくし、損失をより低くし、交差偏波反射波の抑制をより良くし、動作帯域幅をより大きくすることができ、それによって、コストを節約し、製作の難易度を下げると同時に、RIS性能を向上させることができる。より良い材料であれば、本願の効果をより高めることができる。
【0026】
いくつかの実施例において、制御可能な電磁アレイ素子の長さ及び幅の寸法は、必要に応じて、例えば、0.2~1個の中心波長分、又は0.7~0.8個の中心波長分に設計してもよいが、本願はこれを限定しない。
【0027】
いくつかの実施例において、寄生ユニット120の形状は限定されず、反射ユニット110を結合接続し、適切な結合強度を提供する寄生ユニット120であれば、有効なものである。
【0028】
本願の実施例は、制御可能な電磁アレイ素子の反射ユニット110の周囲に寄生ユニット120を設けて、寄生インテリジェンスサーフェスを構成し、寄生ユニット120と電磁アレイ素子との間の結合効果を利用してインテリジェンスサーフェスの構成パラメータを変更することにより、インテリジェンスサーフェスの反射損失を低減し、インテリジェンスサーフェスの位相応答の安定性を高め、アレイ素子のレイアウト及び誘電体基材のインテリジェンスサーフェスに対する性能制限を突破し、マルチビット多重偏波RISスキームの信頼性を高めるのに有利である。
【0029】
いくつかの実施例において、寄生ユニット120は、反射ユニット110に結合接続されるために、反射ユニット110と同一層に設けられ、
あるいは、寄生ユニット120は、反射ユニット110に結合接続されるために、反射ユニット110の上層に設けられ、
あるいは、寄生ユニット120は、反射ユニット110に結合接続されるために、反射ユニット110の下層に設けられる。
【0030】
いくつかの実施例において、本願の寄生インテリジェンスサーフェスの技術は、関連技術の電磁アレイ素子の反射ユニット110の周囲に周期寄生ユニット120を入れ子にするものであり、寄生ユニット120の実装位置は、同一層搭載、上位層搭載、下位層搭載としてもよい。以下では、電磁アレイ素子が多層構造であり、反射ユニット110の位置する層が反射回路層100である場合について説明する。
【0031】
いくつかの実施例において、同一層搭載とは、寄生ユニット120及び反射ユニット110の両方が反射回路層100に設けられることを意味する。例えば、寄生ユニット120及び反射ユニット110は、誘電体板の同一面に設けられ、寄生ユニット120及び反射ユニット110は、水平方向に結合スロットを形成して結合接続され、あるいは、寄生ユニット120及び反射ユニット110は、素子(抵抗など)によって結合接続される。ここで、寄生ユニット120及び反射ユニット110は、いずれも金属片を含んでいてもよく、金属片は、誘電体板上に貼り付けられた金属片であってもよく、誘電体板上にメッキ又はコーティングされた金属片であってもよく、本願はこれを限定しない。
【0032】
いくつかの実施例において、上層搭載とは、寄生ユニット120が反射ユニット110の上層に設けられることを意味する。例えば、寄生ユニット120は、反射ユニット110が位置する反射回路層100の上に、ブラケット又は誘電体板によって立設されてもよい。寄生ユニット120が、反射ユニット110が位置する反射回路層100の上に、ブラケットによって立設される場合、寄生ユニット120と反射ユニット110との間に空気層が形成され、寄生ユニット120が、反射ユニット110が位置する反射回路層100の上に、誘電体板によって立設される場合、寄生ユニット120と反射ユニット110との間に誘電体板が設けられている。寄生ユニット120と反射ユニット110は垂直方向に結合スロットを形成して結合接続され、あるいは、寄生ユニット120と反射ユニット110は素子(抵抗など)によって結合接続される。
【0033】
いくつかの実施例において、下層搭載とは、寄生ユニット120が反射ユニット110の下層に設けられることを意味する。例えば、寄生ユニット120は、反射ユニット110が位置する反射回路層100の下に設けられてもよく、寄生ユニット120と反射ユニット110との間に誘電体板が設けられる。寄生ユニット120と反射ユニット110は、垂直方向に結合スロットを形成して結合接続され、あるいは、寄生ユニット120と反射ユニット110は素子(抵抗など)によって結合接続される。
【0034】
実際の設計では、寄生ユニット120の同一層搭載、上層搭載、又は下層搭載を必要に応じて選択して、より良好な反射波振幅及び位相応答を達成することができる。
【0035】
いくつかの実施例において、寄生ユニット120と反射ユニット110との間に結合スロットが形成され、寄生ユニット120と反射ユニット110は電界結合によって接続され、あるいは、寄生ユニット120と反射ユニット110は素子によって結合接続される。
【0036】
いくつかの実施例において、本願による寄生メタサーフェスは、結合方式から見て、寄生ユニット120と反射ユニット110との電界結合、及び寄生ユニット120と反射ユニット110との素子結合を含む。
【0037】
いくつかの実施例において、寄生ユニット120と反射ユニット110との電界結合は、寄生ユニット120と反射ユニット110との間に結合スロットを形成すること、すなわち結合スロットが寄生ユニット120を反射ユニット110から分離することを意味する。回路的には、直流の場合、寄生ユニット120と反射ユニット110との間は切断されており、高周波RF信号の場合、直流寄生ユニット120と反射ユニット110との間には1つの結合、すなわち電界結合が存在する。
【0038】
いくつかの実施例において、寄生ユニット120と反射ユニット110との素子結合は、寄生ユニット120と反射ユニット110が素子(抵抗など)によって接続されること、すなわち、寄生ユニット120と反射ユニット110とを直流的に接続し、素子結合を実現することを意味する。
【0039】
いくつかの実施例において、反射ユニット110は、制御可能な電磁アレイ素子の中央位置に設けられ、寄生ユニット120は、制御可能な電磁アレイ素子の外周に設けられ、反射ユニット110に結合接続されるために、反射ユニット110の偏波方向に設けられる。
【0040】
いくつかの実施例において、反射ユニット110は、制御可能な電磁アレイ素子の表面、すなわち反射回路層100の中央部に設けられることによって、信号反射を行うように設けられてもよい。
【0041】
いくつかの実施例において、寄生ユニット120は、反射ユニット110の偏波方向に配置される。例えば、図1のように、十字形の二重偏波反射ユニット110の場合、寄生ユニット120は、十字形の反射ユニット110の4方向に延在して設けられ、反射ユニット110に結合接続される。
【0042】
いくつかの実施例において、反射金属片は、
グランドに電気的に接続されるように構成された第1金属片111と、
制御可能な素子112によって第1金属片111に電気的に接続され、制御信号を受信して、制御信号を制御可能な素子112に伝送するように構成されたバイアス電圧片113と、を含む。
【0043】
いくつかの実施例において、図3を参照すると、電磁アレイ素子は、反射回路層100、ベース層、及びバイアス回路層200を含む多層構造であり、反射回路層100とベース層は第1誘電体板510によって分離され、ベース層とバイアス回路層200は第2誘電体板520によって分離される。反射回路層100上の第1金属片111は、反射ユニット110の中心に位置し、第1金属片111は、第1誘電体板510を貫通する金属ビアを介してベース層に電気的に接続され、接地を実現することができる。
【0044】
いくつかの実施例において、バイアス電圧片113の数は、制御可能な素子112の数に対応する。バイアス電圧片113は、第1誘電体板510及び第2誘電体板520を順次貫通する金属ビアを介してバイアス回路層200に電気的に接続され、バイアス回路層200から制御信号を受信することができる。
【0045】
いくつかの実施例において、第1金属片111の形状は限定されない。例えば、第1金属片111は、多角形金属片であってもよいし、円形金属片であってもよい。多角形金属片は、方形金属片であってもよく、矩形金属片であってもよく、台形金属片であってもよいが、本願はこれを限定しない。
【0046】
いくつかの実施例において、第1金属片111は、多角形金属片であり、寄生ユニット120は、寄生ユニット120の少なくとも1つの辺が多角形金属片の少なくとも1つの辺とストリップ状の結合スロットを形成するように、多角形金属片の辺に沿って対応して設けられ、
あるいは、
第1金属片は、円形金属片であり、寄生ユニット120は、寄生ユニット120の縁が多角形金属片の縁と環状の結合スロットを形成するように、円形金属片の円周に沿って対応して設けられる。
【0047】
いくつかの実施例において、第1金属片111が多角形金属片である場合、寄生ユニット120の1つの辺が、第1金属片111の1つの辺とストリップ状の結合スロットを形成する。別の実施例において、寄生ユニット120のN個の辺は、第1金属片111のN個の辺とN個のストリップ状の結合スロットを形成してもよいが、本願はこれを限定しない。
【0048】
いくつかの実施例において、第1金属片111とバイアス電圧片113との間には第2金属片114がさらに設けられ、バイアス電圧片113は、第2金属片114に電気的に接続され、第2金属片114は、制御可能な素子112によって第1金属片111に電気的に接続され、
寄生ユニット120は、寄生ユニット120の少なくとも1つの辺が第2金属片114の少なくとも1つの辺と結合スロットを形成するように、第2金属片114の辺に沿って対応して設けられる。
【0049】
いくつかの実施例において、第2金属片114は多角形金属片である。寄生ユニット120の1つの辺が、第2金属片114の1つの辺とストリップ状の結合スロットを形成する。別の実施例において、寄生ユニット120のN個の辺が、第2金属片114のN個の辺とN個のストリップ状の結合スロットを形成してもよいが、本願はこれを限定しない。
【0050】
いくつかの実施例において、図1及び図4を参照すると、第1金属片111は、全体として略方形の金属片であり、第1金属片111の四辺の中央部には、それぞれ、制御可能な素子112の一端を収容するように構成された溝構造が4つ形成されている。方形の第1金属片111の4辺に対応して4枚の第2金属片114が延在して設けられ、4枚の第2金属片114は、いずれも長尺の多角形金属片であり、第2金属片114は、第1金属片111に近い辺の両端に面取りされた辺を形成しており、第1金属片111の周囲に4枚の第2金属片114を配置可能である。第2金属片114は、第1金属片111に近い長辺に、制御可能な素子112の一端を収容するように構成された溝が形成されている。第2金属片114は、第1金属片111から離れた長辺に、インダクタンス素子115の一端を収容するように構成された溝が形成されている。4枚の第2金属片114の外側には、4枚のバイアス電圧片113が対応して設けられ、4枚の第2金属片114の外辺に沿って4つの寄生ユニット120が設けられ、すなわち、寄生ユニット120は反射ユニット110の偏波方向に設けられ、十字形の二重偏波反射電磁アレイ素子を形成する。バイアス電圧片113は、第2金属片114に電気的に接続され、第2金属片114は、制御可能な素子112によって第1金属片111に電気的に接続され、バイアス電圧片113が制御信号を制御可能な素子112に電気的に伝送することを可能にする。
【0051】
いくつかの実施例において、反射ユニット110は、バイアス電圧片113を第2金属片114に電気的に接続するインダクタンス素子115をさらに含む。
【0052】
いくつかの実施例において、第1金属片111及び第2金属片114のRF電流は、制御可能な素子112の制御信号と干渉することがあり、この場合、制御信号の線路にインダクタンス素子115を追加することにより、交流絶縁が実現され、第1金属片111及び第2金属片114のRF電流がバイアス回路層200に流れることが回避され、制御信号回路を保護し、制御信号を正確で効果的かつ高信頼性で制御することを実現するのに有利である。
【0053】
いくつかの実施例において、寄生ユニット120が反射ユニット110と同一層に設けられる場合、寄生ユニット120は、バイアス電圧片113に対応する位置に、バイアス電圧片113を収容するように構成されたU字形溝が設けられている。
【0054】
いくつかの実施例において、図1及び図4を参照すると、寄生ユニット120の矩形金属パッチは、反射ユニット110に面する側にU字形溝がエッチングされており、それにより、寄生ユニット120とバイアス電圧片113との間に結合が形成されるのを回避して、エネルギーがインダクタンス素子115をバイパスしてバイアス回路層200に流れるのを回避することができる。
【0055】
いくつかの実施例において、電磁アレイ素子は、単一偏波電磁アレイ素子であってもよく、この場合、形成されたインテリジェンスサーフェスは、単一偏波インテリジェンスサーフェスであり、電磁アレイ素子は、多重偏波電磁アレイ素子であってもよく、この場合、形成されたインテリジェンスサーフェスは、多重偏波インテリジェンスサーフェスであり、本願はこれを限定しない。
【0056】
例えば、反射ユニット110は、線状であってもよく、この場合、電磁アレイ素子は、単一偏波電磁アレイ素子である。図14及び図15を参照すると、反射ユニット110は、反射回路層100の中央に位置する方形金属片である第1金属片111と、第4金属片3112と、第5金属片3113とを含む。第4金属片3112は、短辺が第1金属片111に近接して設けられ、長辺が第1金属片111から離れて設けられた台形部3112Bと、台形部3112Bの長辺が接続された矩形部3112Aとを含む。第5金属片3113は、第4金属片3112に対向して設けられる。第5金属片3113は、短辺が第1金属片111に近接して設けられ、長辺が第1金属片111から離れて設けられた台形部3113Bと、台形部3113Bの長辺が接続された矩形部3113Aとを含む。第4金属片3112と第5金属片3113は、反射ユニット110が線状となるように第1金属片111の上下に分布する。第1金属片111と第4金属片3112は、第1制御可能な素子3114によって電気的に接続され、第1金属片111と第5金属片3113は、第2制御可能な素子3115によって電気的に接続される。
【0057】
また、例えば、反射ユニット110は、十字形であり、その場合、電磁アレイ素子は二重偏波電磁アレイ素子である。図1又は図4を参照すると、反射回路層100は、金属パッチで構成される十字形の反射体であり、反射ユニット110と寄生ユニット120を含む。反射ユニット110は、図4に示すように十字形をなし、中央に位置する全体として略方形の第1金属片111、制御可能な素子112、4枚の第2金属片114、インダクタンス素子115、及びバイアス電圧片113を内側から外側に向けて含み、±45度の二重偏波電磁ユニットを形成する。
【0058】
また、例えば、反射ユニット110は、円形であり、その場合、電磁アレイ素子は円偏波電磁アレイ素子である。図18を参照すると、反射部の本体である反射回路層100は、反射ユニット110と寄生ユニット120を含む。反射ユニット110と寄生ユニット120は同一層に位置している。反射ユニット110は、第1金属片111と、2つのバイアス電圧片113と、2つの制御可能な素子4113とを含む。制御可能な素子4113は、第1金属片111とバイアス電圧片113との間に位置する。2つの制御可能な素子4113は互いに直交して設けられ、制御可能な素子4113の電気的パラメータを制御することにより、様々な反射波振幅位相応答が得られる。寄生ユニット120は八角形をなし、反射ユニット110の外側に嵌められ、反射ユニット110の第1金属片111からの寄生ユニット120の内側の距離を制御することにより、最適な結合が得られる。
【0059】
また、反射ユニット110の構造を調整することにより、多重偏波を実現することも可能であり、本願はこれを限定しない。例えば、反射ユニット110の金属パッチを交差角60度の形状とすることにより、三重偏波電磁アレイ素子を形成することができる。
【0060】
いくつかの実施例において、制御可能な素子112は、バラクタダイオード、PINダイオード、液晶、微小電気機械システム(MEMS:Micro-Electro-Mechanical System)などであってもよい。
【0061】
いくつかの実施例において、制御可能な素子112はバラクタダイオードであってもよく、制御可能な素子112の容量値を制御することによって、様々な反射波振幅位相応答が得られる。バラクタダイオードは、電圧を連続的に調整することができるデバイスであり、異なる電圧により、バラクタダイオードの容量値をN種類の状態にすることができ、Nは2以上の正の整数であり、この場合、マルチビット電磁アレイ素子を実現することができる。バラクタダイオードをPINダイオード、液晶などの素子に置き換えると、本願の寄生メタサーフェスは類似の作用と効果を有する。
【0062】
いくつかの実施例において、本願の技術は、2+2(2Bit+二重偏波)のRISに適用されるだけでなく、1+1(1Bit+単一偏波)、2+1(2Bit+単一偏波)、1+2(1Bit+二重偏波)、及び他のマルチビット多重偏波のRISにも同様の作用及び効果を有する。
【0063】
いくつかの実施例において、電磁アレイ素子は多層構造であり、
反射ユニット110を設けるように構成された反射回路層100と、
反射回路層100に電気的に接続された少なくとも1つの金属ビアが設けられた反射回路層100の下に設けられた第1誘電体板510と、
制御信号を受信するように構成されたバイアスライン210とバイアス接点220を含み、バイアスライン210がバイアス接点220に電気的に接続され、バイアス接点220が金属ビアを介して制御可能な素子112に電気的に接続されるバイアス回路層200と、を含む。
【0064】
いくつかの実施例において、制御可能な電磁アレイ素子は、
バイアス回路層200の下に設けられ、及び/又はバイアス回路層200の上に設けられ、金属ビアを介して反射ユニット110に電気的に接続される少なくとも1つのベース層をさらに含む。
【0065】
いくつかの実施例において、図3を参照すると、電磁アレイ素子は多層構造であり、反射回路層100、第1誘電体板510、第1ベース層300、第2誘電体板520、バイアス回路層200、第3誘電体板530、及び第2ベース層400を上から順に含む。反射回路層100は、第1金属ビア610を介して第1ベース層300に電気的に接続され、反射回路層100は、2つの第2金属ビア620を介してバイアス回路層200にそれぞれ電気的に接続される。
【0066】
いくつかの実施例において、バイアス回路層200内のバイアスライン210は、外部コントローラに電気的に接続され、外部コントローラからの制御信号を受信するように構成された外部インタフェースを有する。
【0067】
いくつかの実施例において、バイアス回路層200は、
バイアス接点220に電気的に接続され、ベース層とフィルタコンデンサを形成するように構成されたシート状分岐230をさらに含む。
【0068】
いくつかの実施例において、図2及び図5を参照すると、シート状分岐230は、扇形分岐であってもよいし、他の形状の分岐であってもよいが、本願はこれを限定しない。シート状分岐230は、短絡コンデンサとして機能する。すなわち、シート状分岐230は、第1ベース層300又は第2ベース層400との間にコンデンサを形成し、交流をフィルタリングすることができる。実際の動作過程において、反射回路層100のRF信号(交流)の一部は、金属ビアとバイアス接点220を通ってバイアス回路層200に流れ、シート状分岐230とベース層との間に形成された等価コンデンサによってRF電流と直流(制御信号電流)との分離を実現することができる。複数のシート状分岐230とベース層(金属グランド)は並列コンデンサを構成して、直流遮断、交流短絡の役割を果たす。
【0069】
いくつかの実施例において、バイアスライン210は屈曲配線であり、フィルタインダクタを形成するように構成される。図2及び図5を参照すると、バイアス回路層200では、バイアスライン210を屈曲細線状にすることにより、フィルタインダクタが形成され、シート状分岐230によって形成されるコンデンサとともにLCフィルタ回路が構成され、RF電流と直流(制御信号の電流)との分離がより良好に実現されている。いくつかの実施例において、バイアス回路層200のフィルタインダクタ、シート状分岐230によって形成されたコンデンサ、及び反射回路層100内に設けられたインダクタンス素子115は、RF電流と直流(制御信号の電流)とのより良好な分離を達成するために、LCフィルタ回路を構成する。
【0070】
本願の実施例において、制御可能な電磁アレイ素子の反射ユニット110の周囲に寄生ユニット120を設けて、寄生インテリジェンスサーフェスを構成し、寄生ユニット120と電磁アレイ素子との間の結合効果を利用してインテリジェンスサーフェスの構成パラメータを変更することにより、インテリジェンスサーフェスの反射損失を低減し、インテリジェンスサーフェスの位相応答の安定性を高め、アレイ素子のレイアウト及び誘電体基材のインテリジェンスサーフェスに対する性能制限を突破し、マルチビット多重偏波RISスキームの信頼性を高めるのに有利である。
【0071】
また、本願は、前述のような制御可能な電磁アレイ素子を複数含むインテリジェンスサーフェスをさらに提供する。インテリジェンスサーフェスは、複数の制御可能な電磁アレイ素子がM*Nマトリクス状に配列されたものであってもよいし、他の配列方式を採用してもよいが、本願はこれを限定しない。寄生ユニット120は、周期寄生ユニット120であってもよく、すなわち、マクロ的には、インテリジェンスサーフェスの各アレイ素子の寄生ユニット120の周期的な拡張であってもよい。
【0072】
以下、3つの例を参照して、本願のさらなる実施例を説明する。
【0073】
(例1)
図1図7を参照すると、例1は、4.9GHz動的2+2(2Bit+二重偏波)反射型RIS1000の具体的な実施例(以下、本例と称する)を示している。図6及び図7を参照すると、図6は、10×10の従来型メタサーフェス2000(関連技術のメタサーフェス)であり、図7は、本例による10×10寄生メタサーフェス1000である。寄生メタサーフェス1000は、従来型メタサーフェス2000に寄生ユニット120を入れ子状に搭載して構成されていることが分かった。寄生メタサーフェス1000は、10×10個の電磁アレイ素子1100を含む。
【0074】
本例の電磁アレイ素子1100は、マイクロストリップ構造の反射部とストリップライン構造のバイアス部の2つの部分を含む。
【0075】
反射部は、反射回路層100、第1誘電体板510、第1ベース層300を上から順に含み、バイアス部は、第1ベース層300、第2誘電体板520、バイアス回路層200、第3誘電体板530、及び第2ベース層400を上から順に含み、第1ベース層300は反射部とバイアス部との境界面として共通に使用される。
【0076】
図1及び図4を参照すると、反射回路層100は、金属パッチで構成される十字形の反射ユニット110であり、反射ユニット110と寄生ユニット120を含む。
【0077】
本例では、図1及び図4を参照すると、電磁アレイ素子の反射ユニット110は、図4に示すように十字形をなし、中央に位置する全体として略方形の第1金属片111、バラクタダイオード(制御可能な素子112)、4枚の第2金属片114、インダクタンス素子115、及びバイアス電圧片113を内側から外側に向けて含む。全体として略方形の第1金属片111の中央には、第1ベース層300に接続されてゼロ電位を確保するための第1金属ビア610が設けられており、全体として略方形の第1金属片111の4辺に対応して4枚の第2金属片114が延在して設けられ、全体として略方形の第1金属片111の4辺と4枚の第2金属片114は、それぞれ4個のバラクタダイオード(制御可能な素子112)によって接続されており、4枚の第2金属片114の外側には、4枚のバイアス電圧片113がそれぞれ対応して設けられ、4枚の第2金属片114は、それぞれインダクタンス素子115によってバイアス電圧片113に接続され、直列インダクタとして機能する。バイアス電圧片113は、第2金属ビア620を介してバイアス回路層200に接続され、順方向バイアス電圧を供給して、バラクタダイオード(制御可能な素子112)の容量値の調整を可能にする。インダクタンス素子115は、反射ユニット110上のRF電流がバイアス回路層200に流れるのを阻止するアイソレーションとして機能する。4つのバイアス電圧片113は、2本のバイアスライン210によって制御され、バイアスライン210は、それぞれ2つのバイアス電圧片113を制御し、後述するバイアス部で詳細に説明する。
【0078】
4つの寄生ユニット120は、十字形の反射ユニット110の4方向に延在して設けられ、反射ユニット110に結合接続される。すなわち、4つの寄生ユニット120は、反射回路層100の四隅に設けられ、4つの第2金属片114に対応して結合を形成する。各寄生ユニット120は、角型寄生パッチ122と矩形寄生パッチ121の2つの部分を含み、角型寄生パッチ122は、矩形寄生パッチ121に沿って外側に延在して設けられ、矩形寄生パッチ121との間に結合スロットを形成する。寄生ユニット120の第2金属片114と反射ユニット110の第2金属片114とのピッチ、サイズを調整することにより、隣接する2つの反射ユニット110に最適な近接結合を与えることができ、それによって、RISの波インピーダンスを変化させ、反射損失が少なく安定した位相応答を得ることができる。
【0079】
寄生ユニット120の第2金属片114は、反射ユニット110に面する側にU字形溝がエッチングされており、これは、寄生ユニット120とバイアス電圧片113との間に結合が形成されることを回避し、それによって、エネルギー(例えば、RF電流エネルギー)がインダクタンス素子115をバイパスしてバイアス回路層200に流れることを回避するためである。
【0080】
図2及び図5を参照すると、バイアス回路層200は、2本のバイアスライン210と、4つのバイアス接点220と、4つのシート状分岐230とを含んで構成されている。シート状分岐230は扇形分岐であり、4つのシート状分岐230は、4つのバイアス接点220から外側に向かって広がり、扇形を形成する。4つのシート状分岐230は、それぞれ4つのバイアス接点220に電気的に接続され、4つのバイアス接点220は、第1ベース層300及び/又は第2ベース層400にそれぞれ結合コンデンサを形成する4つの第2金属ビア620に接続され、RF電流に対する並列短絡の役割を果たす。1本のバイアス線210は、単一偏波の2つのバイアス接点220(対角線の2つのバイアス接点220)を接続して電圧同期制御を実現する。バイアスライン210を屈曲細線状にすることによって、フィルタインダクタが形成され、シート状分岐230によって形成される結合コンデンサとともにLCフィルタ回路が構成され、RF電流と直流(制御信号の電流)との分離がより良好に実現されている。より具体的には、バイアス回路層200のフィルタインダクタと、シート状分岐230によって形成されるコンデンサと、反射回路層100内に設けられたインダクタンス素子115とは共同してLCフィルタ回路を構成し、RF電流と直流(制御信号の電流)との分離をより良好にする。
【0081】
本例のインテリジェンスサーフェスでは、良好な振幅位相応答特性が得られる。図8図9、及び図10には、4つの状態での位相応答、振幅応答、及び交差偏波抑圧がそれぞれ示されている。
【0082】
図8には位相応答図が示されている。2Bitのインテリジェンスサーフェスには、00状態、01状態、10状態、及び11状態の4つの状態があり、インテリジェンスサーフェスの4種類の反射波の異なる位相、すなわち4種類の異なる位相状態を表し、波形図の横軸は周波数、縦軸は角度を表す。理想的には、4つの位相状態には90度の差がある。図8を参照すると、図における曲線から、4つの位相状態をそれぞれ表す4本の線のうち、周波数4.9GHzのとき、隣り合う2本の線ごとに差がほぼ90度であり、これは理想的な状況であることが分かった。
【0083】
図9には振幅応答図が示されている。2Bitのインテリジェンスサーフェスには、00状態、01状態、10状態、及び11状態の4つの状態があり、インテリジェンスサーフェスの4種類の反射波の異なる位相、すなわち4種類の異なる位相状態を表し、波形図の横軸は周波数、縦軸は反射損失を表す。図には、4つの位相状態は4本の曲線に対応しており、4つの位相状態における反射損失を示している。一般に、反射損失は0に近いほど良い。本例では、通常の基材を使用し、帯域内の最悪の値で評価しても、比較的に理想的な反射損失を達成することができる。例えば、図においては、00状態と01状態の反射損失はいずれも-1dBより大きく、非常に理想的な反射損失であり、01状態及び10状態は、4.9GHzでは、反射損失が-3.3dB程度であり、それも理想的な反射損失である。
【0084】
図10には±45度交差偏波抑圧図が示されている。2Bitのインテリジェンスサーフェスは、00状態、01状態、10状態、及び11状態の4つの状態があり、インテリジェンスサーフェスの4種類の反射波の異なる位相、すなわち4種類の異なる位相状態を表し、波形図の横軸は周波数、縦軸は交差偏波抑圧値を表す。図において、4つの位相状態は4本の曲線に対応しており、4つの位相状態での交差偏波抑圧の状況を示している。2つの偏波が互いに影響を及ぼさないことが望ましいが、交差偏波抑圧値の指標は±45度の2つの偏波方向間の影響の程度を評価するために用いられ、交差偏波抑圧値が小さいほど、2つの偏波間の影響も小さいことを示している。図における4本の曲線は、4.9GHzのとき、交差偏波抑圧値がいずれも-55dB以下に抑えられ、理想的である。
【0085】
本例は、二重偏波電磁波の独立した電気的制御をサポートすることができる。表1は二重偏波反射波位相差マトリクスを示しており、00、01、10、11はそれぞれ4つの反射波位相状態を表す。
【0086】
【表1】
【0087】
表1より、4つの位相状態は±45度の2つの偏波方向にあり、2つずつの位相状態間の位相差はほぼ90度であり、これは理想的な状況であることが分かった。
【0088】
本例のインテリジェンスサーフェスは、±60°のビーム指向性をサポートする。図11は、10×10アレイが0°入射(すなわち、インテリジェンスサーフェスの面に垂直に入射し、以下の各角度は0°を基準とする)したときの反射波の0°、15°、30°、45°、及び60°の指向性パターンを示している。ここで、横軸は反射波の角度、縦軸は振幅(波の強さとも呼ばれ、単位はdB)を示している。図から分かるように、各角度の振幅はいずれも-10dB以上に達し、反射波は0°のビーム指向振幅応答波形が最も良い。
【0089】
図11に示すように、入射波がすべて0°から入射した場合、RISごとに電磁アレイ素子の電磁特性を調整することで、様々な反射波のビーム指向性を実現し、最大ビームはそれぞれ0°、15°、30°、45°、60°の指向性を実現している。
【0090】
本例では、±45°以内の入射反射波ビーム相反性をサポートしている。図12は、同じコードブックを使用した0°及び30°の入射での10×10アレイの反射波パターンを示している。横軸は反射波の角度、縦軸は振幅を表している。この図から、0°と30°の入射の両方で良好な振幅応答が達成できることがわかった。
【0091】
本例は、二重偏波反射波の独立したビーム指向性をサポートしている。図13は、10×10アレイ+45°偏波反射波+30°指向性パターン、-45°偏波反射波-30°指向性パターンを示している。横軸は反射波の角度、縦軸は振幅を表している。この図から、+45°偏波反射波+30°指向方向と-45°偏波反射波-30°指向方向の両方で良好な振幅応答が得られることが分かった。
【0092】
(例2)
例2は、図14から図17に示すように、ストリップ状単一偏波動的2+1(2Bit+単一偏波)反射型RIS3000の具体的な実施例を示しており、本例の電磁アレイ素子は単一偏波電磁アレイ素子3100である。図16図17にストリップ状寄生メタサーフェスに基づく10×10単一偏波動的2+1反射型RIS3000の表裏構造の模式図を示す。寄生メタサーフェスは、10×10個の単一偏波電磁アレイ素子3100を含む。
【0093】
本例の電磁アレイ素子は、反射部とバイアス部を含む単一偏波電磁アレイ素子3100である。反射部の本体である反射回路層は、反射ユニット110と寄生ユニット120とを含む。反射ユニット110及び寄生ユニット120は、誘電体板の両側に位置する。すなわち、寄生ユニット120は、下層搭載により設けられ、寄生ユニット120は、反射ユニット110が位置する反射回路層の下に設けられてもよく、寄生ユニット120と反射ユニット110との間に誘電体板が設けられてもよい。具体的な層構造は、例1の図3を参照してもよいが、反射回路層と第1ベース層との間に、寄生ユニット120を担持するように構成された寄生回路層が追加されてもよい。
【0094】
反射ユニット110は、第1金属片111と、制御可能な素子と、第4金属片3112と、第5金属片3113とを含み、制御可能な素子は、第1PINダイオード3114と第2PINダイオード3115を含む。第1PINダイオード3114は、第1金属片111と第5金属片3113との間に位置し、第2PINダイオード3115は、第1金属片111と第4金属片3112との間に位置する。第1PINダイオード3114、第2PINダイオード3115の導通状態を制御することにより、第1金属片111、第4金属片3112、第5金属片3113の様々な組み合わせ状態が得られ、様々な反射振幅位相応答が実現される。寄生ユニット120は、第1寄生パッチ3121と第2寄生パッチ3122とを含む。第1寄生パッチ3121、第2寄生パッチ3122の長さを調整することにより、寄生ユニット120と反射ユニット110との間の結合強度を高め、RIS3000の反射損失を低減する。
【0095】
例2のバイアス部は、例1を参照してバイアス回路層に設けられてもよく、バイアス部は、2本のバイアスラインと、2つのバイアス接点と、2つの扇形分岐とを含んでもよく、バイアスラインとバイアス接点は対応して電気的に接続され、バイアス接点と扇形分岐は対応して電気的に接続され、具体的な構造設計及び機能、効果は例1と類似であり、ここではこれ以上言及しない。
【0096】
(例3)
例3は、図18及び図19に示すように、円偏波動的2Bit反射型RIS4000の具体的な実施例を示しており、本例の電磁アレイ素子は円偏波電磁アレイ素子4100である。図19は、ハニカム寄生メタサーフェスに基づく10×10円偏波動的2Bit反射型RIS4000構造の模式図を示している。寄生メタサーフェスは、10×10個の円偏波電磁アレイ素子4100を含む。
【0097】
本例の電磁アレイ素子は円偏波電磁アレイ素子4100であり、円偏波電磁アレイ素子4100も反射部とバイアス部を含む。
【0098】
図18を参照すると、反射部の本体である反射回路層は、反射ユニット110と寄生ユニット120を含む。反射ユニット110と寄生ユニット120は、誘電体板の同一層に位置している。反射ユニット110は、第1金属片111と、2つのバイアス電圧片113と、2つの制御可能な素子112とを含む。ここで、第1金属片111は円形金属パッチであり、制御可能な素子112は、第1金属片111とバイアス電圧片113との間に位置するバラクタダイオードである。2つの制御可能な素子112は互いに直交して設けられ、制御可能な素子112の容量値を制御することにより、様々な反射波振幅位相応答が得られる。寄生ユニット120は八角形をなし、反射ユニット110の外側に嵌められ、反射ユニット110の第1金属片111からの寄生ユニット120の内側の距離を制御することにより、最適な結合が得られる。
【0099】
円偏波電磁アレイ素子4100の層構造とバイアス部の回路設計は、例1の対応する設計例を参照してもよく、ここではこれ以上言及しない。
【0100】
本願の実施例の第1態様は、制御可能な電磁アレイ素子であって、反射ユニットと寄生ユニットを含み、前記反射ユニットは、少なくとも1つの反射金属片と、前記反射金属片に電気的に接続され、制御信号に応じて前記電磁アレイ素子の電磁パラメータを制御するように構成された少なくとも1つの制御可能な素子と、を含み、前記寄生ユニットは前記反射金属片の周囲に設けられ、反射金属片に結合接続される、制御可能な電磁アレイ素子を提供する。本願の実施例は、制御可能な電磁アレイ素子の反射ユニットの周囲に寄生ユニットを設けて、寄生インテリジェンスサーフェスを構成し、寄生ユニットと電磁アレイ素子との間の結合効果を利用してインテリジェンスサーフェスの構成パラメータを変更することにより、インテリジェンスサーフェスの反射損失を低減し、インテリジェンスサーフェスの位相応答の安定性を高め、アレイ素子のレイアウト及び誘電体基材のインテリジェンスサーフェスに対する性能制限を突破し、マルチビット多重偏波RISスキームの信頼性を高めるのに有利である。RISの性能を効果的に向上させることができ、製造コストを削減することができる。
【0101】
関連技術と比較して上記第2態様の有益な効果は、関連技術と比較して上記第1態様の有益な効果と同じであり、上記第1態様の関連する説明を参照してもよく、ここではこれ以上言及しない。
【0102】
本願の実施例には、関連技術と比較して以下のような進歩がある。
1)周期寄生ユニットの概念及び周期寄生ユニットによる寄生メタサーフェス技術を提案する。この技術は、従来の反射型メタサーフェスに周期寄生ユニットを入れ子状に搭載して寄生メタサーフェスを構成することで、反射型メタサーフェスと空間波インピーダンスの整合特性を変化させることにより、反射効率の向上と位相応答の改善を実現する。この技術は、電磁散乱ユニットのサイズ、レイアウト、スイッチング素子及び誘電体基材がメタサーフェスの電磁応答特性に与える影響を改善して、反射効率を向上させ、位相調整範囲を広げることができ、偏波マルチビット反射型RIS開発の基礎を築く。
2)格子状寄生メタサーフェスに基づく動的マルチビット多重偏波反射型メタサーフェスを設計した。この反射型メタサーフェスは、格子状寄生メタサーフェスアーキテクチャ設計を採用しており、反射効率を向上させ、位相調整範囲を広げながら、直交偏波方向電流を抑制し、メタサーフェスの多重偏波反射波長間の交差結合を回避し、多重偏波RISにおける様々な偏波の独立した電気調整能力を確保する。
【0103】
本願の実施例は、制御可能な電磁アレイ素子の反射ユニットの周囲に寄生ユニットを設けて、寄生インテリジェンスサーフェスを構成し、寄生ユニットと電磁アレイ素子との間の結合効果を利用してインテリジェンスサーフェスの構成パラメータを変更することにより、インテリジェンスサーフェスの反射損失を低減し、インテリジェンスサーフェスの位相応答の安定性を高め、アレイ素子のレイアウト及び誘電体基材のインテリジェンスサーフェスに対する性能制限を突破し、マルチビット多重偏波RISスキームの信頼性を高めるのに有利である。
【0104】
以上は、本願の実施例のいくつかの実施を具体的に説明したが、本願の実施例は、上記の実施形態に限定されるものではなく、当業者は、本願の実施例の精神に反することなく、様々な均等な変形又は置換を行うことができ、これらの均等な変形又は置換は、本願の実施例の特許請求の範囲によって定められる範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御可能な電磁アレイ素子であって、
反射ユニットと寄生ユニットを含み、
前記反射ユニットは、
少なくとも1つの反射金属片と、
前記反射金属片に電気的に接続され、制御信号に応じて前記電磁アレイ素子の電磁パラメータを制御するように構成された少なくとも1つの制御可能な素子と、を含み、
前記寄生ユニットは、前記反射金属片の周囲に設けられ、前記反射金属片に結合接続される、制御可能な電磁アレイ素子。
【請求項2】
前記寄生ユニットは、前記反射ユニットに結合接続されるために、前記反射ユニットと同一層に設けられ、あるいは、
前記寄生ユニットは、前記反射ユニットに結合接続されるために、前記反射ユニットの上層に設けられ、あるいは、
前記寄生ユニットは、前記反射ユニットに結合接続されるために、前記反射ユニットの下層に設けられる、
請求項1に記載の電磁アレイ素子。
【請求項3】
前記寄生ユニットと前記反射ユニットとの間に結合スロットが形成されて、前記寄生ユニットと前記反射ユニットとが電界によって結合接続され、あるいは、
前記寄生ユニットと前記反射ユニットは素子によって結合接続される、
請求項1に記載の電磁アレイ素子。
【請求項4】
前記反射ユニットは、前記制御可能な電磁アレイ素子の中央位置に設けられ、前記寄生ユニットは、前記制御可能な電磁アレイ素子の外周に設けられ、前記反射ユニットに結合接続されるために、前記反射ユニットの偏波方向に配置される、
請求項1に記載の電磁アレイ素子。
【請求項5】
前記反射金属片は、
グランドに電気的に接続されるように構成された第1金属片と、
前記制御可能な素子によって前記第1金属片に電気的に接続され、制御信号を受信して、制御信号を前記制御可能な素子に伝送するように構成されたバイアス電圧片と、を含む、
請求項に記載の電磁アレイ素子。
【請求項6】
前記第1金属片は多角形金属片であり、前記寄生ユニットは、前記寄生ユニットの少なくとも1つの辺が前記多角形金属片の少なくとも1つの辺とストリップ状の結合スロットを形成するように、前記多角形金属片の辺に沿って対応して設けられ、あるいは、
前記第1金属片は円形金属片であり、前記寄生ユニットは、前記寄生ユニットの縁が前記多角形金属片の縁と環状の結合スロットを形成するように、前記円形金属片の円周に沿って対応して設けられる、
請求項5に記載の電磁アレイ素子。
【請求項7】
前記第1金属片と前記バイアス電圧片との間には第2金属片がさらに設けられ、前記バイアス電圧片は前記第2金属片に電気的に接続され、前記第2金属片は、前記制御可能な素子によって前記第1金属片に電気的に接続され、
前記寄生ユニットは、前記寄生ユニットの少なくとも1つの辺が前記第2金属片の少なくとも1つの辺と結合スロットを形成するように、前記第2金属片の辺に沿って対応して設けられる、
請求項5に記載の電磁アレイ素子。
【請求項8】
前記反射ユニットはインダクタンス素子をさらに含み、前記バイアス電圧片は、前記インダクタンス素子によって前記第2金属片に電気的に接続される、
請求項7に記載の電磁アレイ素子。
【請求項9】
前記寄生ユニットが前記反射ユニットと同一層に設けられる場合、前記寄生ユニットには、前記バイアス電圧片に対応する位置に、前記バイアス電圧片を収容するように構成されたU字形溝が設けられている、
請求項5に記載の電磁アレイ素子。
【請求項10】
前記反射ユニットは線状であり、その場合、前記電磁アレイ素子は単一偏波電磁アレイ素子であり、あるいは、
前記反射ユニットは十字形であり、その場合、前記電磁アレイ素子は二重偏波電磁アレイ素子であり、あるいは、
前記反射ユニットは円形であり、その場合、前記電磁アレイ素子は円偏波電磁アレイ素子である、
請求項に記載の電磁アレイ素子。
【請求項11】
前記制御可能な素子は、バラクタダイオード、PINダイオード、又は液晶である、
請求項に記載の電磁アレイ素子。
【請求項12】
前記電磁アレイ素子は多層構造であり、
前記反射ユニットを設けるように構成された反射回路層と、
前記反射回路層に電気的に接続された少なくとも1つの金属ビアが設けられた前記反射回路層の下に設けられた第1誘電体板と、
前記制御信号を受信するように構成されたバイアスラインとバイアス接点を含み、前記バイアスラインが前記バイアス接点に電気的に接続され、前記バイアス接点が前記金属ビアを介して前記制御可能な素子に電気的に接続されるバイアス回路層と、を含む、
請求項に記載の電磁アレイ素子。
【請求項13】
前記バイアス回路層の下に設けられ、及び/又は前記バイアス回路層の上に設けられ、金属ビアを介して前記反射ユニットに電気的に接続される少なくとも1つのベース層をさらに含む、
請求項12に記載の電磁アレイ素子。
【請求項14】
前記バイアス回路層は、
前記バイアス接点に電気的に接続され、前記ベース層とフィルタコンデンサを形成するように構成されたシート状分岐をさらに含む、
請求項13に記載の電磁アレイ素子。
【請求項15】
前記バイアスラインは屈曲配線であり、フィルタインダクタを形成するように構成されている、
請求項12に記載の電磁アレイ素子。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の複数の制御可能な電磁アレイ素子を含む、
インテリジェンスサーフェス。
【国際調査報告】