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特表2024-540198非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/53 20060101AFI20241024BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K31/53
A61P11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525777
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 US2022048669
(87)【国際公開番号】W WO2023081185
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/274,722
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523416667
【氏名又は名称】エナラーレ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】ペルゴリッジ,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュワイカート,アルフレッド
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC64
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA59
(57)【要約】
非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書に開示される有効量の式(I)から選択される化合物を投与することを含む方法が、ある特定の実施形態において開示される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の式(I)から選択される化合物
【化1】
(式中、
及びRが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールであるか、またはR及びRが、組み合わさって、3-ヒドロキシ-ペンタン-1,5-ジイル、6-ヒドロキシ-シクロヘプタン-1,4-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、及びペンタン-1,5-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-NR、-C(O)OR、アシル、またはアリールであり、
が、H、アルキル、または置換アルキルであり、
が、H、アルキル、プロパギル、置換プロパギル、ホモプロパギル、置換ホモプロパギル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-OR、-NR、-C(O)OR、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、もしくは置換複素環であるか、またはR及びRが、組み合わさって、3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジイル及び3,6-ジオキサ-オクタン-1,8-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、またはアルケニルであり、
Xが、結合、O、またはNRであり、
Yが、N、CR、またはCであり、
YがNまたはCRである場合には、結合bが無であり、(i)ZがHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)Zが無であり、結合bが無であり、Aが単結合であり、
YがCである場合には、結合bが単結合であり、(i)ZがCHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)ZがCHであり、結合bが二重結合であり、AがCである)
またはその塩、を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
式(I)に関して記載されるように、R、R、R、及びRからなる群から選択される少なくとも1つの置換基が、アルキニルまたは置換アルキニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非オピオイド剤が、中枢神経系抑制剤である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記中枢神経系抑制剤が、外科用麻酔剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記外科用麻酔剤が、プロポフォール、フォスプロポフォール、ケタミン、チオペンタル、メトヘキシタール、エトミデート、セボフルラン、イソフルラン、デスフルラン、またはその薬学的に許容される塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記患者が、回復した換気充足性を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記患者が、標準鎮静下、低鎮静下、または高鎮静下で、回復した呼吸器充足性を呈す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記患者が、過剰摂取下で、回復した呼吸器充足性を呈す、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記患者が、増加した換気応答性を示す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記患者が、低酸素血症事象に対する増加した換気応答性を示す、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記患者が、高炭酸ガス血性事象に対する増加した換気応答性を示す、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記患者の換気悪化が、回避または最小化される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記患者の換気悪化が、高炭酸ガス血症の期間中に回避または最小化される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記投与経路が、経口、静脈内、経鼻、吸入、局所、口腔、直腸、胸膜、腹膜、膣、筋肉内、皮下、経皮、硬膜外、気管内、耳、眼内、または髄腔内経路から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記非オピオイド剤の治療効果が維持される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記治療効果が減少しない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記麻酔効果が維持される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項18】
前記麻酔効果が減少しない、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記患者が、低酸素症の改善を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記患者が、高炭酸ガス血症の改善を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記改善が、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記患者が、分時換気量の改善を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記改善が、低酸素換気感度(Δ換気/Δ飽和=低酸素感度(飽和度低下%当たりのL/分単位)によって測定して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記患者が、酸素正常状態中に炭酸正常及び軽度の高炭酸ガス血症状態下で陽の呼吸器応答を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記患者が、酸素正常状態中に炭酸正常及び軽度の高炭酸ガス血症状態下で陽の呼吸器応答を維持する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記患者が、報告された有害事象、身体検査、バイタルサイン、12誘導ECG、臨床検査結果、及びコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)応答のうちの1つ以上によって測定して、副作用を呈しない、または臨床的に有意な副作用を経験しない、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記患者が、心血管応答において臨床的に有意な変化を呈しない、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記患者が、低酸素感受性(Δ換気/Δ飽和)によって測定して、治療効果を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記患者が、1回換気量(VT)によって測定して、治療効果を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記患者が、呼吸数(呼吸/分)によって測定して、治療効果を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記患者が、分時換気量(VE)によって測定して、治療効果を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記患者が、経皮CO測定及び/または呼気終末CO(mmHg)によって測定して、治療効果を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記患者が、経皮ヘモグロビン飽和度(%単位のSpO)によって測定して、治療効果を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記患者が、動脈血液ガスによって測定して、治療効果を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記治療効果が、BISによって測定される、請求項17または18に記載の方法。
【請求項36】
前記患者が、動脈経路モニタリングからの血行動態パラメータによって測定して、治療効果を呈す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記変化が、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記投与が静脈内である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記式(I)の化合物が、約0.10mg/kg/時間~約10mg/kg/時間の速度で投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記式(I)の化合物が、約0.50mg/kg/時間~約5mg/kg/時間の速度で投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記式(I)の化合物が、約0.40mg/kg/時間~約1.0mg/kg/時間の速度で投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記式(I)の化合物が、約0.40mg/kg/時間の速度で投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記式(I)の化合物が、約1.0mg/kg/時間の速度で投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
負荷用量を投与することを更に含む、請求項39~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記負荷用量が、約0.50mg/kg/時間~約5mg/kg/時間である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記負荷用量が、約1.0mg/kg/時間~約3.0mg/kg/時間である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記負荷用量が、約2.0mg/kg/時間である、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
投与の合計時間が、約5分~約24時間である、請求項39~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記合計時間が、約30分~約6時間、または約1時間~約3時間である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記負荷用量が、ボーラスとして投与される、請求項48または40に記載の方法。
【請求項51】
前記負荷用量が、1時間未満、45分未満、30分未満、25分未満、約10分未満、約10分、または約20分の時間投与される、請求項48または40に記載の方法。
【請求項52】
終末相半減期が、約1~約15時間、約2~約14時間、約3~約13時間、約4~約12時間、約4~約11時間、約5~約10時間、約6~約9時間、または約7~約8時間である、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
前記終末相半減期が、約2~約8時間、約3~約7時間、約3.2~約6.7時間、約3.4~約6.5時間、約3.6~約6.3時間、約3.8~約6.1時間、約4.0~約5.9時間、約4.2~約5.7時間、約4.4~約5.5時間、約4.6~約5.3時間、または約4.8~約5.1時間である、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
前記終末相半減期が、約3~約9時間、約3.3~約8.7時間、約3.6~約8.2時間、約3.8~約8.0時間、約4.0~約7.8時間、約4.2~約7.6時間、約4.4~約7.4時間、約4.6~約7.2時間、約4.8~約7.0時間、約5.0~約6.8時間、約5.2~約6.6時間、約5.4~約6.4時間、約5.6~約6.2時間、または約5.8~約6.0時間である、請求項43に記載の方法。
【請求項55】
前記化合物の血漿濃度が、時間とともに増加する、請求項38に記載の方法。
【請求項56】
最大血漿濃度までの時間(tmax)が、約2~約8時間、約3~約5時間、約3.2~約4.7時間、約3.5~約4.5時間、または約3.8~4.2時間である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
平均ピーク血漿濃度(Cmax)が、約200~約2500ng/mL、約500~約2000ng/mL、または約1000~約1500ng/mLである、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記式(I)の化合物が、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、1.1mg/kg/時間で250分間投与され、約500~約2500ng/mL、約1000~約2000ng/mL、約1050~約1950ng/mL、約1100~約1900ng/mL、約1150~約1850ng/mL、約1200~約1800ng/mL、約1250ng/mL~約1750ng/mL、約1300ng/mL~約1700ng/mL、約1350~約1650ng/mL、または約1400ng/mL~約1500ng/mLの平均ピーク血漿濃度(Cmax)を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記式(I)の化合物が、約1000~約15,000ng*h/mL、約2000~約12,500ng*h/mL、約3000~約10,000ng*h/mL、または約5000~約8000ng*h/mLの平均AUCinfを有する、請求項38に記載の方法。
【請求項60】
前記式(I)の化合物が、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、1.1mg/kg/時間で250分間投与され、約5000~約15,000ng*h/mL、約6200~約11,000ng*h/mL、約6300~約10,900ng*h/mL、約6400~約10,800ng*h/mL、約6500~約10,700ng*h/mL、約6600~約10,600ng*h/mL、約6700~約10,500ng*h/mL、約6800~約10,400ng*h/mL、約6900~約10,300ng*h/mL、約7000~約10,200ng*h/mL、約7100~約10,100ng*h/mL、約7200~約10,000ng*h/mL、約7300~約9,900ng*h/mL、約7400~約9800ng*h/mL、約7500~約9700ng*h/mL、約7600~約9600ng*h/mL、約7700~約9500ng*h/mL、約7800~約9400ng*h/mL、約7900~約9300ng*h/mL、約8000~約9200ng*h/mL、約8100~約9100ng*h/mL、約8200~約9000ng*h/mL、約8300~約8900ng*h/mL、約8400~約8800ng*h/mL、または約8500~約8700ng*h/mLの平均(±SD)AUCinfを有する、請求項38に記載の方法。
【請求項61】
幾何平均Cav30-3270min(30~270分の間の平均動脈血漿中化合物A濃度)が、約200ng/mL~約2000ng/mL、250ng/mL~約1800ng/mL、約300ng/mL~約1500ng/mL、または約350ng/mL~約1200ng/mLである、請求項38に記載の方法。
【請求項62】
前記式(I)の化合物が、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、1.1mg/kg/時間で250分間投与され、約800ng/mL~約1800ng/mL、約900ng/mL~約1600ng/mL、約1000ng/mL~約1500ng/mL、約1050~約1450ng/mL、約1100~約1400ng/mL、約1150~約1350ng/mL、または約1200~約1300ng/mLの幾何平均Cav30-3270min(30~270分の間の平均動脈血漿中化合物A濃度)を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項63】
前記式(I)の化合物が、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、0.4mg/kg/時間で250分間投与され、約200ng/mL~約800ng/mL、約250ng/mL~約600ng/mL、約300ng/mL~約400ng/mL、約310~約390ng/mL、約320~約380ng/mL、約330~約370ng/mL、または約340~約360ng/mLの幾何平均Cav30-3270min(30~270分の間の平均動脈血漿中化合物A濃度)を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項64】
前記式(I)の化合物が、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、0.4mg/kg/時間で250分間投与され、約200~約800ng/mL、約375~約550ng/mL、約400~約525ng/mL、または約425~約500ng/mLの平均Cmaxを有する、請求項38に記載の方法。
【請求項65】
前記式(I)の化合物が、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、0.4mg/kg/時間で250分間投与され、約1000~約4000ng*h/mL、約1500~約3500ng*h/mL、約2000~約3300ng*h/mL、約2200~約3000ng*h/mL、または約2500~約2800ng*h/mLの平均AUCinfを有する、請求項38に記載の方法。
【請求項66】
前記式(I)の化合物の平均濃度が、前記外科用麻酔剤の投薬量の増加に伴って増加する、請求項38に記載の方法。
【請求項67】
平均分時換気量が、低酸素測定中に増加する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
平均1回換気量が、低酸素測定中に増加する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
呼吸数が、低酸素測定中に増加する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療するための、有効量の式(I)から選択される化合物
【化2】
(式中、
及びRが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールであるか、またはR及びRが、組み合わさって、3-ヒドロキシ-ペンタン-1,5-ジイル、6-ヒドロキシ-シクロヘプタン-1,4-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、及びペンタン-1,5-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-NR、-C(O)OR、アシル、またはアリールであり、
が、H、アルキル、または置換アルキルであり、
が、H、アルキル、プロパギル、置換プロパギル、ホモプロパギル、置換ホモプロパギル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-OR、-NR、-C(O)OR、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、もしくは置換複素環であるか、またはR及びRが、組み合わさって、3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジイル及び3,6-ジオキサ-オクタン-1,8-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、またはアルケニルであり、
Xが、結合、O、またはNRであり、
Yが、N、CR、またはCであり、
YがNまたはCRである場合には、結合bが無であり、(i)ZがHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)Zが無であり、結合bが無であり、Aが単結合であり、
YがCである場合には、結合bが単結合であり、(i)ZがCHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)ZがCHであり、結合bが二重結合であり、AがCである)
またはその塩と、
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項71】
式(I)に関して記載されるように、R、R、R、及びRからなる群から選択される少なくとも1つの置換基が、アルキニルまたは置換アルキニルである、請求項70に記載の医薬組成物。
【請求項72】
前記式(I)の化合物を薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることを含む、請求項70または71に記載の医薬組成物を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月2日に出願された米国仮特許出願第63/274,722号の優先権を主張し、その全内容が、全体として援用される。
【0002】
本開示は、非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
人体は、酸素の適切な取り込み及び二酸化炭素(CO)の除去のために換気制御系に大きく依存している。オピオイド鎮痛薬は、脳幹の呼吸神経に発現するμオピオイド受容体に対して作用することで、過剰摂取などのある特定の状況で呼吸抑制を引き起こす可能性がある。
【0004】
しかしながら、過剰摂取または他の状況で呼吸抑制を引き起こし得る非オピオイド剤がある。例えば、プロポフォールなどの麻酔薬は、生命を脅かす可能性がある呼吸抑制を引き起こし得る。
【0005】
非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療するための治療方法及び化合物が、当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
ある特定の実施形態では、本開示は、非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療するための治療方法及び化合物を対象とする。
【0007】
ある特定の実施形態では、本開示は、非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の式(I)から選択される化合物
【化1】
(式中、
及びRが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールであるか、またはR及びRが、組み合わさって、3-ヒドロキシ-ペンタン-1,5-ジイル、6-ヒドロキシ-シクロヘプタン-1,4-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、及びペンタン-1,5-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-NR、-C(O)OR、アシル、またはアリールであり、
が、H、アルキル、または置換アルキルであり、
が、H、アルキル、プロパギル、置換プロパギル、ホモプロパギル、置換ホモプロパギル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-OR、-NR、-C(O)OR、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、もしくは置換複素環であるか、またはR及びRが、組み合わさって、3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジイル及び3,6-ジオキサ-オクタン-1,8-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、またはアルケニルであり、
Xが、結合、O、またはNRであり、
Yが、N、CR、またはCであり、
YがNまたはCRである場合には、結合bが無であり、(i)ZがHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)Zが無であり、結合bが無であり、Aが単結合であり、
YがCである場合には、結合bが単結合であり、(i)ZがCHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)ZがCHであり、結合bが二重結合であり、AがCである)
またはその塩、を投与することを含む、方法を対象とする。
【0008】
ある特定の実施形態では、式(I)に関して上に記載されるように、R、R、R、及びRからなる群から選択される少なくとも1つの置換基が、アルキニルまたは置換アルキニルである。
【0009】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、経口、静脈内、経鼻、吸入、局所、口腔、直腸、胸膜、腹膜、膣、筋肉内、皮下、経皮、硬膜外、気管内、耳、眼内、または髄腔内経路から選択される経路を介して投与される。
【0010】
ある特定の実施形態では、本開示は、非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療するための、有効量の式(I)から選択される化合物
【化2】
(式中、
及びRが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールであるか、またはR及びRが、組み合わさって、3-ヒドロキシ-ペンタン-1,5-ジイル、6-ヒドロキシ-シクロヘプタン-1,4-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、及びペンタン-1,5-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-NR、-C(O)OR、アシル、またはアリールであり、
が、H、アルキル、または置換アルキルであり、
が、H、アルキル、プロパギル、置換プロパギル、ホモプロパギル、置換ホモプロパギル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-OR、-NR、-C(O)OR、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、もしくは置換複素環であるか、またはR及びRが、組み合わさって、3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジイル及び3,6-ジオキサ-オクタン-1,8-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、またはアルケニルであり、
Xが、結合、O、またはNRであり、
Yが、N、CR、またはCであり、
YがNまたはCRである場合には、結合bが無であり、(i)ZがHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)Zが無であり、結合bが無であり、Aが単結合であり、
YがCである場合には、結合bが単結合であり、(i)ZがCHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)ZがCHであり、結合bが二重結合であり、AがCである)
またはその塩と、
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物を対象とする。
【0011】
ある特定の実施形態では、本開示は、R、R、R、及びRからなる群から選択される少なくとも1つの置換基が、アルキニルまたは置換アルキニルである、上記のように、非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療するための、有効量の式(I)から選択される化合物を対象とする。
【0012】
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の医薬組成物のうちのいずれかを調製する方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施例の各試験期間中の治療及び換気状態の概略図である。
図2】実施例の推定平均低酸素感受性(L/分/%)を表すグラフである。
図3】実施例の平均分時換気量(L/分)の概要を表すグラフである。
図4】実施例の平均1回換気量(mL)の概要を表すグラフである。
図5】実施例の平均呼吸数(呼吸/分)の概要を表すグラフである。
図6】平均呼気終末CO2(mmHg)の概要を表すグラフである。
図7】平均酸素飽和度(%)の概要を表すグラフである。
図8】プロポフォール投薬間隔ごとの実施例の化合物Aの平均血漿濃度を表すグラフである。
図9】実施例の化合物A(通常スケール)の投与後の平均血漿中化合物A濃度-時間プロファイルを表すグラフである。
図10】対数Y軸を用いた実施例の化合物Aの投与後の平均血漿中化合物A濃度-時間プロファイルを表すグラフである。
【0014】
定義
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別途指示しない限り、複数形の言及を含む。このため、例えば、「活性剤」への言及は、単一の活性剤だけでなく2つ以上の異なる活性剤の混合物も含み、「賦形剤」への言及は、単一の賦形剤だけでなく2つ以上の異なる賦形剤の混合物(他同様)を含む。
【0015】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、測定量に関連して、測定を行い、測定の目的及び測定装置の精度に見合ったレベルの注意をはらうなかで当業者によって予想される、その測定量の正常な変動を指す。ある特定の実施形態では、「約」という用語は、挙げられた数字±10%を含み、したがって、「約10」は9~11を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、「活性剤」、「活性成分」、及び「活性医薬成分」という用語は、治療効果、予防効果、または他の意図された効果を生み出すことが意図される、その目的のために政府機関によって承認されているか否かにかかわらない任意の材料を指す。特定の薬剤に関するこれらの用語には、全ての薬学的に活性な薬剤、その全ての薬学的に許容される塩、複合体、立体異性体、結晶形態、共結晶、エーテル、エステル、水和物、溶媒和物、及びその混合物が含まれ、その形態は薬学的に活性である。
【0017】
本明細書で使用される場合、「立体異性体」という用語は、空間におけるそれらの原子の配向のみが異なる個々の分子の全ての異性体に対する一般用語である。これは、互いの鏡像ではない(ジアステレオマー)1つ以上のキラル中心を有する化合物の鏡像異性体及び異性体を含む。
【0018】
「鏡像異性体」または「鏡像異性」という用語は、その鏡像上に重ね合わせることができず、よって光学的に活性である分子を指し、ここで、鏡像異性体は、偏光面をある程度一方向に回転させ、その鏡像は、偏光面を同じ程度であるが反対方向に回転させる。
【0019】
「キラル中心」という用語は、4つの異なる基が結合する炭素原子を指す。
【0020】
「患者」という用語は、治療の必要性を示唆する特定の症状(単数または複数)の臨床所見が見られるか、または状態のために防止目的もしくは予防目的で治療されているか、または治療される状態と診断されている、対象、動物、またはヒトを指す。「対象」という用語は、「患者」という用語の定義を含み、別様に健康である個体を除外しない。
【0021】
「薬学的に許容される塩」または「塩」としては、限定されないが、無機酸塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩(sulfate)、硫酸水素塩、リン酸塩(phosphate)、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩(sulfuric)、リン酸塩(phosphoric)(リン酸水素及びリン酸二水素を含む)など、有機酸塩、例えば、シュウ酸塩、マロン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、キシナホ酸塩、パモ酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、ケイ皮酸など、スルホン酸塩、例えば、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩など、アミノ酸塩、例えば、アルギン酸塩、アパラギン酸塩、グルタミン酸塩など、金属塩、例えば、亜鉛塩、ナトリウム塩、セシウム塩など、アルカリ土類金属、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩など、ならびに有機アミン塩、例えば、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、及びプロカインなどが挙げられる。これらの塩は、水和物、溶媒和物、または結晶多形体の形態で存在してもよい。ある特定の実施形態では、適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、有機酸のカルボン酸及びスルホン酸クラスから選択され、その例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン(パモ)酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸が挙げられる。これらの塩の全ては、例えば、適切な酸または塩基を本発明の化合物と反応させることによって、本発明の対応する化合物から従来の手段によって調製され得る。Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,and Use(P.H.Stahl & C.G.Wermuth eds.,Verlag Helvetica Chimica Acta,2002)[1].
【0022】
「疾患(単数または複数)」または「状態(単数または複数)」という用語は、有効量の活性剤を対象に投与することによって治療または予防することができる医学的状態を指す。
【0023】
「の治療」及び「治療すること」という用語は、状態の重症度の軽減もしくは停止、または状態の症状の重症度の軽減もしくは停止を含む。ある特定の実施形態では、「治療」または「治療すること」という用語は、状態に関連して、転帰にかかわらず、薬力学的効果をもたらす意図による投与を意味する。ある特定の実施形態では、「治療」または「治療すること」は、「状態に正の効果を有する」ことを意味し、状態の少なくとも1つの症状の重症度の低減、改善、及び/または緩和、状態の重症度の低減、改善、及び/または緩和、状態の進行の遅延、予防、もしくは阻害、または治療の結果として知覚される向上もしくは利益を包含する。治療は、本明細書で使用される場合、状態の完全な治癒を必要としない。ある特定の実施形態では、本開示の組成物により、患者の生活の質の向上、または状態の1つ以上の症状の発症の遅延、予防、阻害がもたらされ得るか、あるいは知覚される利益がもたらされ得る。
【0024】
「の防止」及び「防止すること」という用語は、状態の発症の回避を含む。
【0025】
「治療有効量」という用語は、例えば、対象における状態を治療もしくは防止するため、または状態の症状を治療するための活性剤の量または活性剤の組み合わせの量を含むことが意図される。
【0026】
「有効量」という用語は、ある特定の結果または特性を達成するための成分の量または成分の組み合わせの量を含むことが意図されており、例えば、6.0のpHを達成するためのpH調整剤の有効量は、6.0のpHに到達するための1つ以上のpH調整剤の量を含むことが意図される。
【0027】
「適用」、「適用する」、及び「適用すること」という用語は、開示の局所組成物または開示の局所組成物を使用する方法に関連して、医学的または美容学的実践において、組成物を患者の皮膚表面に送達する、患者の皮膚に局所組成物を投与する任意の様式を指す。好適なデバイスを用いてまたは用いずに、開示の局所組成物を患者の皮膚に塗ること、こすりつけること、広げること、噴霧することは全て、本明細書で使用される場合、「適用」という用語の範囲内に含まれる。「局所的な」または「局所的に」という用語は、開示の製剤の投与または適用に関連して、表皮投与もしくは適用、または皮膚上での投与を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「経口送達」または「経口投与」は、組成物が口をとおして取り込まれる投与経路を指す。経口投与は経腸投与の一部であり、これには、口腔投与(頬の内側に溶解させる)、唇下投与(唇の下に溶解させる)、及び舌下投与(舌の下に溶解させる)も含まれる。ある特定の実施形態では、経口投与は、組成物が摂取される投与経路を含む。ある特定の実施形態では、経口投与は、組成物が吸入される投与経路を含む。
【0029】
本明細書で使用される場合、「非経口投与」は、医薬剤形が、例えば、筋肉(筋肉内投与)、静脈(静脈内投与)、皮膚下(皮下投与)に注射される投与経路を指す。
【0030】
「薬学的に許容される」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または合理的な利益/リスク比に見合った他の問題または合併症なしでヒト及び動物の組織と接触して使用するのに好適な化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、別途示されない限り、指定された炭素原子の数を有する直鎖または分岐鎖炭化水素を意味し(すなわち、C1-C10は、1~10個の炭素原子を意味する)、直鎖、分岐鎖、または環式置換基を含む。例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、及びシクロプロピルメチルが挙げられる。エチル、メチル、イソプロピル、イソブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、及びシクロプロピルメチルなどであるがこれらに限定されない(C1-C6)アルキルが最も好ましい。
【0032】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、別途示されない限り、指定された数の炭素原子を有する環式鎖炭化水素を意味し(すなわち、C3-C6は、3~6個の炭素原子からなる環基を含む環式基を意味する)、直鎖、分岐鎖、または環式置換基を含む。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどであるがこれらに限定されない(C3-C6)シクロアルキルが最も好ましい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、単独で、または他の用語と組み合わせて用いられ、別途示されない限り、定められた数の炭素原子を有する安定な一価不飽和もしくは二価不飽和直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。例としては、ビニル、プロペニル(またはアリル)、クロチル、イソペンテニル、ブタジエニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、ならびにより高次の相同体及び異性体が挙げられる。アルケンを表す官能基は、-CH2-CH=CH2によって例示される。
【0034】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、単独で、または他の用語と組み合わせて用いられ、別途示されない限り、定められた数の炭素原子を有する、三重炭素間結合を伴う安定な直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。例としては、エチニル及びプロピニル、ならびにより高次の相同体及び異性体が挙げられる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「置換アルキル」、「置換シクロアルキル」、「置換アルケニル」、または「置換アルキニル」という用語は、上で定義したアルキル、シクロアルキル、アルケニル、またはアルキニルであって、ハロゲン、-OH、アルコキシ、テトラヒドロ-2-H-ピラニル、-NH2、-N(CH3)2、(1-メチル-イミダゾール-2-イル)、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、-C(=O)OH、トリフルオロメチル、-C≡N、-C(=O)O(C1-C4)アルキル、-C(=O)NH2、-C(=O)NH(C1-C4)アルキル、-C(=O)N((C1-C4)アルキル)2、-SO2NH2、-C(=NH)NH2、及び-NO2からなる群から選択され、好ましくは、ハロゲン、-OH、アルコキシ、-NH2、トリフルオロメチル、-N(CH3)2、及び-C(=O)OHから選択される、より好ましくは、ハロゲン、アルコキシ、及び-OHから選択される1つまたは2つの置換基を含む、1つ、2つ、または3つの置換基で置換された、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、またはアルキニルを意味する。置換アルキルの例としては、2,2-ジフルオロプロピル、2-カルボキシシクロペンチル、及び3-クロロプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、単独で、または他の用語と組み合わせて用いられ、別途示されない限り、酸素原子を介して残りの分子に接続する、上で定義した、指定された数の炭素原子を有するアルキル基、例えば、メトキシ、エトキシ、1-プロポキシ、2-プロポキシ(イソプロポキシ)、ならびにより高次の相同体及び異性体などを意味する。エトキシ及びメトキシなどであるがこれらに限定されない(C1-C3)アルコキシが好ましい。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、単独でまたは別の置換基の一部として、別途定めのない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子、好ましくは、フッ素、塩素、または臭素、より好ましくは、フッ素または塩素を意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、別途示されない限り、定められた数の炭素原子と、O、N、及びSからなる群から選択される1個または2個のヘテロ原子とからなる安定な直鎖または分岐鎖アルキル基を意味し、窒素原子及び硫黄原子は、任意選択で酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択で四級化されてもよい。ヘテロ原子(複数可)は、ヘテロアルキル基の残りの部分とそれが結合する断片との間を含む、ヘテロアルキル基の任意の位置に配置されてもよく、ヘテロアルキル基の最も遠位の炭素原子に結合されてもよい。例としては、-O-CH-CH-CH、-CH-CH-CH-OH、-CH-CH-NH-CH、-CH-S-CH-CH、及び-CHCH-S(=O)-CHが挙げられる。例えば、-CH-NH-OCHまたは-CH-CH-S-S-CHなど、最大2個のヘテロ原子が連続していてもよい。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルケニル」という用語は、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、別途示されない限り、定められた数の炭素原子と、O、N、及びSからなる群から選択される1個または2個のヘテロ原子とからなる安定な直鎖または分岐鎖一価不飽和または二価不飽和炭化水素基を意味し、窒素原子及び硫黄原子は、任意選択で酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択で四級化されてもよい。最大2個のヘテロ原子が連続して配置されてもよい。例としては、-CH=CH-O-CH、-CH=CH-CH-OH、-CH-CH=N-OCH、-CH=CH-N(CH)-CH、及び-CH-CH=CH-CH-SHが挙げられる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「芳香族」という用語は、1つ以上の多価不飽和環を伴い、芳香族特性を有する、すなわち(4n+2)非局在化π(pi)電子(式中、nは整数である)を有する炭素環または複素環を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、単独で、または他の用語と組み合わせて用いられ、別途示されない限り、1つ以上の環(典型的には、1つ、2つ、または3つの環)を含む炭素環式芳香族系を意味し、かかる環は、ビフェニルなど、ペンダント様式で一緒に結合してもよく、ナフタレンなど、縮合されてもよい。例としては、フェニル、アントラシル、及びナフチルが挙げられる。フェニル及びナフチルが好ましく、フェニルが最も好ましい。
【0042】
本明細書で使用される場合、「アリール-(C-C)アルキル」という用語は、1~3個の炭素アルキレン鎖がアリール基に結合する官能基、例えば、-CHCH-フェニルまたは-CH-フェニル(ベンジル)を意味する。アリール-CH-及びアリール-CH(CH)-が好ましい。「置換アリール-(C-C)アルキル」という用語は、アリール基が置換されているアリール-(C-C)アルキル官能基を意味する。置換アリール(CH)-が好ましい。同様に、「ヘテロアリール-(C-C)アルキル」という用語は、1~3個の炭素アルキレン鎖がヘテロアリール基に結合する可能器、例えば、-CHCH-ピリジルを意味する。ヘテロアリール-(CH)-が好ましい。「置換ヘテロアリール-(C-C)アルキル」という用語は、ヘテロアリール基が置換されているヘテロアリール-(C-C)アルキル官能基を意味する。置換ヘテロアリール-(CH)-が好ましい。
【0043】
本明細書で使用される場合「複素環」または「ヘテロシクリル」または「複素環式」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、別途示されない限り、炭素原子と、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子とからなる、置換されていないまたは置換された安定な単環式または多環式の複素環式環系を意味し、窒素ヘテロ原子及び硫黄ヘテロ原子は、任意選択で酸化されてもよく、窒素原子は、任意選択で四級化されてもよい。複素環式系は、別途示されない限り、安定な構造を提供する任意のヘテロ原子または炭素原子において結合していてもよい。複素環は、本質的に芳香族であっても非芳香族であってもよい。一実施形態では、複素環は、ヘテロアリールである。
【0044】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」という用語は、芳香族の特徴を有する複素環を指す。多環式ヘテロアリールには、部分的に飽和した1つ以上の環が含まれてもよい。例としては、テトラヒドロキノリン及び2,3-ジヒドロベンゾフリルが挙げられる。
【0045】
非芳香族複素環の例としては、単環式基、例えば、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ジオキソラン、スルホラン、2,3-ジヒドロフラン、2,5-ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、チオファン、ピペリジン、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、1,4-ジヒドロピリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピラン、2,3-ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ホモピペラジン、ホモピペリジン、1,3-ジオキセパン、4,7-ジヒドロ-1,3-ジオキセピン、及びヘキサメチレンオキシドが挙げられる。
【0046】
ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル(例えば、限定されないが、2-及び4-ピリミジニル)、ピリダジニル、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、及び1,3,4-オキサジアゾリルが挙げられる。
【0047】
多環式複素環の例としては、インドリル(例えば、限定されないが、3-、4-、5-、6-、及び7-インドリル)、インドリニル、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル(例えば、限定されないが、1-及び5-イソキノリル)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリル、シンノリニル、キノキサリニル(例えば、限定されないが、2-及び5-キノキサリニル)、キナゾリニル、フタラジニル、1,8-ナフチリジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、クマリン、ジヒドロクマリン、1,5-ナフチリジニル、ベンゾフリル(例えば、限定されないが、3-、4-、5-、6-、及び7-ベンゾフリル)、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,2-ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチエニル(例えば、限定されないが、3-、4-、5-、6-、及び7-ベンゾチエニル)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル(例えば、限定されないが、2-ベンゾチアゾリル及び5-ベンゾチアゾリル)、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、チオキサンチニル、カルバゾリル、カルボリニル、アクリジニル、ピロリジニル、及びキノリジジニル、及びキノリジニルが挙げられる。
【0048】
ヘテロシクリル部分及びヘテロアリール部分の前述のリストは、代表的であり、限定するものではないことが意図される。
【0049】
本明細書で使用される場合、「置換」という用語は、原子または原子の群が、別の基に結合した置換基として水素を置き換えたことを意味する。
【0050】
アリール基、アリール-(C-C)アルキル基、及びヘテロシクリル基について、これらの基の環に適用される「置換」という用語は、任意のレベルの置換、すなわち、一置換、二置換、三置換、四置換、または五置換(かかる置換が許可される場合)を指す。置換基は独立して選択され、置換は、任意の化学的にアクセス可能な位置にあってもよい。一実施形態では、置換基は、1~4個の間で数が異なる。別の実施形態では、置換基は、1~3個の間で数が異なる。また別の実施形態では、置換基は、1~2個の間で数が異なる。また別の実施形態では、置換基は、独立して、C1-6アルキル、-OH、C1-6アルコキシ、ハロ、アミノ、アセトアミド、及びニトロからなる群から選択される。本明細書で使用される場合、置換基がアルキル基またはアルコキシ基であるとき、炭素鎖は、分岐鎖であっても、直鎖であっても、環式であってもよいが、直鎖が好ましい。
【0051】
本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別途示されない限り、単に、範囲内に収まるそれぞれの別個の値を個々に指す速記方法としての役割を果たすことが意図され、それぞれの別個の値は、本明細書に個々に列挙されるのと同程度に、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別途示されない限り、または文脈によって別途明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書に提示されるありとあらゆる例、または例示的な言葉(例えば、「例えば(such as)」)の使用は、ある特定の材料及び方法をより理解しやすくすることを意図するに過ぎず、特許請求の範囲に制限をかけることはない。本明細書のいかなる言葉も、一切の請求されていない要素を、開示されている材料及び方法の実施に必須のものとして示すと解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本開示のある特定の実施形態は、非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の本明細書に記載される式(I)から選択される化合物を投与することを含む、方法、を対象とする。本開示の方法は、ある特定の実施形態において、プロポフォールなどの非オピオイド中枢抑制剤の過剰投与に対する有効性を示すことが見出された。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、身体が血液ガスの有害な変化に反応する能力を増強する。例えば、内部フィードバックループの鋭敏性(感受性)である。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、末梢制御点を上方調節することによって、中枢制御点で鈍化される調節制御機構に感受性を付与し直すことができる。これは、オピオイド受容体からオピオイドを競合的に置き換えることによって呼吸抑制を逆転させるナロキソンなどのオピオイド拮抗薬とは異なる。つまり、拮抗薬は、有益な治療効果を含む、オピオイドの全ての続発状態を逆転させる。
【0053】
本開示のある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、中枢の鈍化にもかかわらず、呼吸器系の機能を回復させる。また、ある特定の実施形態では、本化合物の投薬は、麻酔剤への曝露中の感受性を増強するが、患者が兆候を示し始めるにつれて過換気を過剰に促進しないことも見出された。ある特定の実施形態では、より高い用量では、呼吸が急性に促進され得るが、より低い用量では、呼吸が調節され得る。
【0054】
本開示のある特定の実施形態は、非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の式(I)から選択される化合物
【化3】
(式中、
及びRが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールであるか、またはR及びRが、組み合わさって、3-ヒドロキシ-ペンタン-1,5-ジイル、6-ヒドロキシ-シクロヘプタン-1,4-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、及びペンタン-1,5-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-NR、-C(O)OR、アシル、またはアリールであり、
が、H、アルキル、または置換アルキルであり、
が、H、アルキル、プロパギル、置換プロパギル、ホモプロパギル、置換ホモプロパギル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-OR、-NR、-C(O)OR、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、もしくは置換複素環であるか、またはR及びRが、組み合わさって、3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジイル及び3,6-ジオキサ-オクタン-1,8-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、またはアルケニルであり、
Xが、結合、O、またはNRであり、
Yが、N、CR、またはCであり、
YがNまたはCRである場合には、結合bが無であり、(i)ZがHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)Zが無であり、結合bが無であり、Aが単結合であり、
YがCである場合には、結合bが単結合であり、(i)ZがCHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)ZがCHであり、結合bが二重結合であり、AがCである)
またはその塩、を投与することを含む、方法、を対象とする。
【0055】
本開示のある特定の実施形態は、非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の式(I)から選択される化合物
【化4】
(式中、
及びRが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールであるか、またはR及びRが、組み合わさって、3-ヒドロキシ-ペンタン-1,5-ジイル、6-ヒドロキシ-シクロヘプタン-1,4-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、及びペンタン-1,5-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-NR、-C(O)OR、アシル、またはアリールであり、
が、H、アルキル、または置換アルキルであり、
が、H、アルキル、プロパギル、置換プロパギル、ホモプロパギル、置換ホモプロパギル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-OR、-NR、-C(O)OR、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、もしくは置換複素環であるか、またはR及びRが、組み合わさって、3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジイル及び3,6-ジオキサ-オクタン-1,8-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、R、R、R、及びRからなる群から選択される少なくとも1つの置換基が、アルキニルまたは置換アルキニルであり、
が、H、アルキル、置換アルキル、またはアルケニルであり、
Xが、結合、O、またはNRであり、
Yが、N、CR、またはCであり、
YがNまたはCRである場合には、結合bが無であり、(i)ZがHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)Zが無であり、結合bが無であり、Aが単結合であり、
YがCである場合には、結合bが単結合であり、(i)ZがCHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)ZがCHであり、結合bが二重結合であり、AがCである)
またはその塩、を投与することを含む、方法、を対象とする。
【0056】
本開示のある特定の実施形態は、非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の式(I)から選択される化合物
【化5】
(式中、
及びRが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールであるか、またはR及びRが、組み合わさって、3-ヒドロキシ-ペンタン-1,5-ジイル、6-ヒドロキシ-シクロヘプタン-1,4-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、及びペンタン-1,5-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-NR、-C(O)OR、アシル、またはアリールであり、
が、H、アルキル、または置換アルキルであり、
が、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、-OR、-NR、-C(O)OR、アシル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、もしくは置換複素環であるか、またはR及びRが、組み合わさって、3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジイル及び3,6-ジオキサ-オクタン-1,8-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、またはアルケニルであり、
Xが、結合、O、またはNRであり、
Yが、N、CR、またはCであり、
YがNまたはCRである場合には、結合bが無であり、(i)ZがHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)Zが無であり、結合bが無であり、Aが単結合であり、
YがCである場合には、結合bが単結合であり、(i)ZがCHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または(ii)ZがCHであり、結合bが二重結合であり、AがCである)
またはその塩、を投与することを含む、方法、を対象とする。
【0057】
一実施形態では、Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、または置換アルケニルである。別の実施形態では、Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、またはアシルである。
【0058】
本開示のある特定の実施形態は、非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の式(I)から選択される化合物
【化6】
及びRが、独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリールであるか、またはR及びRが、組み合わさって、3-ヒドロキシ-ペンタン-1,5-ジイル、6-ヒドロキシ-シクロヘプタン-1,4-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、及びペンタン-1,5-ジイルからなる群から選択されるビラジカルを形成し、
が、H、アルキル、置換アルキル、アルキニル、または置換アルキニルであり、
が、H、アルキル、または置換アルキルであり、
が、アルキル、プロパルギル、置換プロパルギル、ホモプロパルギル、または置換ホモプロパルギルであり、R、R、R、及びRからなる群から選択される少なくとも1つの置換基が、アルキニルまたは置換アルキニルであり、
が、H、アルキル、置換アルキル、またはアルケニルであり、
Xが、結合、O、またはNRであり、
Yが、N、CR、またはCであり、
YがNまたはCRである場合には、結合bが無であり、
(i)ZがHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または
(ii)Zが無であり、結合bが無であり、Aが単結合であり、
YがCである場合には、結合bが単結合であり、
(i)ZがCHであり、結合bが単結合であり、AがCHであるか、または
(ii)ZがCHであり、結合bが二重結合であり、AがCである)
またはその塩、を投与することを含む、方法、を対象とする。
【0059】
ある特定の実施形態では、(i)Rは、H、アルキル、もしくは置換アルキルであり、Rは、プロパルギル、置換プロパルギル、ホモプロパルギル、もしくは置換ホモプロパルギルであるか、または(ii)Rは、Hもしくはアルキニルであり、Rは、アルキル、プロパルギル、置換プロパルギル、ホモプロパルギル、もしくは置換ホモプロパルギルである。
【0060】
一実施形態では、式(I)の少なくとも1つの化合物は、(i)YがNであり、結合b1が無であり、ZがHであり、結合b2が単結合であり、AがCHであり、少なくとも1つの化合物が式(II-a)の化合物またはその塩である、以下
【化7】
及び
(ii)YがNであり、結合b1が無であり、Zが無であり、結合b2が無であり、Aが結合であり、本発明の化合物が式(II-b)の化合物またはその塩である、以下、からなる群から選択される。
【化8】
【0061】
一実施形態では、式(I)の少なくとも1つの化合物は、(i)YがCRであり、結合b1が無であり、ZがHであり、結合bが単結合であり、AがCHであり、少なくとも1つの化合物が式(III-a)の化合物またはその塩である、以下
【化9】
及び
(ii)YがCRであり、結合bが無であり、Zが無であり、結合bが無であり、Aが結合であり、本発明の化合物が式(III-b)のピリミジンまたはその塩である、以下、からなる群から選択される。
【化10】
【0062】
一実施形態では、YがCであり、結合bが単結合であり、ZがCHであり、結合bが単結合であり、AがCHであり、当該少なくとも1つの化合物が式(IV)の化合物またはその塩である。
【化11】
【0063】
一実施形態では、YがCであり、結合bが単結合であり、ZがCHであり、結合bが二重結合であり、AがCであり、当該少なくとも1つの化合物が式(V)の化合物またはその塩である。
【化12】
【0064】
一実施形態では、少なくとも1つの化合物は、N-(4,6-ビス-メチルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(XX)、N-(4,6-ビス-エチルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(XXII)、N-(4-シクロプロピルメチルアミノ)-N-(6-n-プロピルアミノ)[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(XXV)、N-(4-エチルアミノ)-N-(6-n-プロピルアミノ)-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(XXVII)、N-(ビス-4,6-(2-メチルプロピルアミノ))[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(XXIX)、N-(ビス-4,6-(2,2-ジメチルプロピルアミノ))[1,3,5]トリアジン-2-イル)-O,N-ジメチル-ヒドロキシルアミン(XXXI)、4,6-ビス-N-シクロプロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン塩酸塩(XXXIII)、N-(4,6-ビス-n-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-O,N-ジメチル-ヒドロキシルアミン(XXXV)、N-(4-(メトキシ(メチル)アミノ)-6-(プロピルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)プロピオンアミド(XL)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-O-メチル-ヒドロキシルアミン(XLI)、O-アリル-N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-ヒドロキシルアミン(XLIII)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-ヒドロキシルアミン(XLV)、6-(メトキシ(メチル)アミノ)-N2-プロピル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(XLVII)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N-メチル-ヒドロキシルアミン(XLVIII)、O-ベンジル-N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N-メチル-ヒドロキシルアミン(LIII)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N-イソプロピル-ヒドロキシルアミン(LV)、6-[1,2]オキサジナン-2-イル-N,N′-ジプロピル-[1,3,5]トリアジン-2,4-ジアミン(LVII)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-O-イソプロピル-N-メチル-ヒドロキシルアミン(LXIV)、O-ベンジル-N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N-エチル-ヒドロキシルアミン(LXVIII)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-O-イソプロピル-ヒドロキシルアミン(LXX)、6-((ベンジルオキシ)(イソプロピル)アミノ)-N2,N4-ジプロピル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(LXXII)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N-エチル-O-イソプロピル-ヒドロキシルアミン(LXXVI)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-O-イソブチル-N-メチル-ヒドロキシルアミン(LXXXII)、6-(メチル(チオフェン-2-イルメトキシ)アミノ)-N2,N4-ジプロピル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(LXXXIV)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-O-シクロプロピルメチル-N-メチル-ヒドロキシルアミン(XCI)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-O-エチル-N-メチル-ヒドロキシルアミン(XCVI)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-O-(2,2-ジフルオロ-エチル)-ヒドロキシルアミン(C)、4-N-(2-ジメチルアミノエチル)アミノ-6-N-(n-プロピル)アミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(CIII)、4-N-(3-(1-N-メチルイミダゾール-2-イル)-プロピル)-アミノ-6-N-(n-プロピル)アミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(CV)、4-N-(1-N-メチルイミダゾール-2-イル)-メチルアミノ-6-N-(n-プロピル)アミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-O,N-ジメチル-ヒドロキシルアミン(CVII)、4,6-ビス-(N-(2-ジメチルアミノエチル)アミノ)-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(CIX)、4,6-ビス-(N-(ピリジン-4-イルメチル)アミノ)-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(CXI)、4,6-ビス-[N-(3-メトキシ-n-プロピル)アミノ]-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(CXIII)、4,6-ビス-[N-(テトラヒドロピラン-4-イルメチル)アミノ]-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(CXV)、N-(5,8,11-トリオキサ-2,14,16,18,19-ペンタアザビシクロ[13.3.1]-ノナデカ-1(18),15(19),16(17)-トリエン-17-イル)-N,O-ジメチルヒドロキシルアミン(CXVII)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N′,N′-ジメチルヒドラジン(XLVI)、N-(4,6-ビス-プロピルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-N-メチル-N′-メチルヒドラジン(XLIX)、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、塩は、硫酸水素塩または塩酸塩である。
【0065】
一実施形態では、少なくとも1つの化合物は、2,6-ビス-(N-n-プロピルアミノ)-[1,3]ピリミジン-4-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミンN-(4-(メトキシ(メチル)アミノ)-6-(プロピルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)プロピオンアミドまたはその塩である。別の実施形態では、塩は、硫酸水素塩または塩酸塩である。
【0066】
一実施形態では、少なくとも1つの化合物は、N-(4-(メトキシ(メチル)アミノ)-6-(プロピルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)プロピオンアミドまたはその塩である。別の実施形態では、塩は、硫酸水素塩または塩酸塩である。
【0067】
一実施形態では、少なくとも1つの化合物は、2-(n-プロピル)アミノ-4-(i-プロピルアミノ-7-メチル-ピロリジノ[2,3-d]ピリミジン(CXXVI)、2-(n-プロピル)アミノ-4-ジメチルアミノ-7-メチル-ピロリジノ[2,3-d]ピリミジン(CXXVIII)、2-(n-プロピル)アミノ-4-メチルアミノ-7-メチル-ピロリジノ[2,3-d]ピリミジン(CXXXI)、2-(n-プロピル)アミノ-4-(i-プロピル)アミノ-7-i-プロピル-ピロリジノ[2,3-d]ピリミジン(CXXXVI)、2,4-ビス-(n-プロピル)アミノ-7H-ピロリジノ[2,3-d]ピリミジン(CXLIX)、2-(n-プロピル)アミノ-4-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-7-メチル-ピロリジノ[2,3-d]ピリミジン(CLII)、8-(7-メチル-2-(プロピルアミノ)-ピロリジノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-オール(CLV)、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、塩は、硫酸水素塩または塩酸塩である。
【0068】
一実施形態では、少なくとも1つの化合物は、N-(2-プロピルアミノ-7H-ピロロ[2,3d]ピリミジン-4-イル)-O,N-ジメチル-ヒドロキシルアミン(CXLI)、N-(2-(プロペン-2-イル)アミノ-7-メチル-ピロロ[2,3d]ピリミジン-4-イル)-N,O-ジメチル-ヒドロキシルアミン(CLVIII)、N-(2-(プロペン-2-イル)アミノ-7-メチル-ピロロ[2,3d]ピリミジン-4-イル)-O-メチル-ヒドロキシルアミン(CLX)、N-(2-n-プロピルアミノ-7-メチル-ピロロ[2,3d]ピリミジン-4-イル)-O,N-ジメチル-ヒドロキシルアミン(CLXII)、N-(2-n-プロピルアミノ-7-メチル-ピロロ[2,3d]ピリミジン-4-イル)-O-メチル-ヒドロキシルアミン(CLXIV)、N-(2-n-プロピルアミノ-7-メチル-ピロロ[2,3d]ピリミジン-4-イル)-ヒドラジン(CLXVI)、N-メチル-N-(2-n-プロピルアミノ-7-メチル-ピロロ[2,3d]ピリミジン-4-イル)-ヒドラジン(CLXVIII)、N,N-ジメチル-N′-(2-n-プロピルアミノ-7-メチル-ピロロ[2,3d]ピリミジン-4-イル)-ヒドラジン(CLXX)、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態では、塩は、硫酸水素塩または塩酸塩である。
【0069】
ある特定の実施形態では、本化合物は、O,N-ジメチル-N-[4-(n-プロピルアミノ)-6-(プロプ-2-イニルアミノ-[1,3,5]トリアジン-2-イル]-ヒドロキシルアミン、N-メチル-N′-n-プロピル-N″-プロプ-2-イニル-[1,3,5]トリアジン-2,4,6-トリアミン、それらの塩、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0070】
ある特定の実施形態では、以下の化合物A
【化13】
またはその薬学的に許容される塩が、本発明で利用される。
【0071】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、米国特許第9,162,992号及び/または米国特許第9,351,972号及び/または米国特許出願公開第2015-0291597号(現在は放棄されている)に記載されている化合物から選択され、その教示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
ある特定の実施形態では、非オピオイド剤は、中枢神経系抑制剤である。
【0073】
ある特定の実施形態では、中枢神経系抑制剤は、外科用麻酔剤である。
【0074】
ある特定の実施形態では、外科用麻酔剤は、プロポフォール、フォスプロポフォール、ケタミン、チオペンタル、メトヘキシタール、エトミデート、セボフルラン、イソフルラン、デスフルラン、またはその薬学的に許容される塩である。
【0075】
ある特定の実施形態では、患者は、回復した換気充足性を呈す。
【0076】
ある特定の実施形態では、患者は、標準鎮静下、低鎮静下、または高鎮静下で、回復した呼吸器充足性を呈す。
【0077】
ある特定の実施形態では、患者は、過剰摂取下で、回復した呼吸器充足性を呈す。
【0078】
ある特定の実施形態では、患者は、増加した換気応答性を示す。
【0079】
ある特定の実施形態では、患者は、低酸素血症事象に対する増加した換気応答性を示す。
【0080】
ある特定の実施形態では、患者は、高炭酸ガス血性事象に対する増加した換気応答性を示す。
【0081】
ある特定の実施形態では、患者の換気悪化は、回避または最小化される。
【0082】
ある特定の実施形態では、患者の換気悪化は、高炭酸ガス血症の期間中に回避または最小化される。
【0083】
ある特定の実施形態では、投与経路は、経口、静脈内、経鼻、吸入、局所、口腔、直腸、胸膜、腹膜、膣、筋肉内、皮下、経皮、硬膜外、気管内、耳、眼内、または髄腔内経路から選択される。
【0084】
非オピオイド剤の治療効果が維持される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【0085】
ある特定の実施形態では、治療効果が減少しない。
【0086】
ある特定の実施形態では、麻酔効果が維持される。
【0087】
ある特定の実施形態では、麻酔効果が減少しない。
【0088】
ある特定の実施形態では、患者は、低酸素症の改善を呈す。
【0089】
ある特定の実施形態では、患者は、高炭酸ガス血症の改善を呈す。
【0090】
ある特定の実施形態では、改善は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%である。
【0091】
ある特定の実施形態では、患者は、分時換気量の改善を呈す。
【0092】
ある特定の実施形態では、改善は、低酸素換気感度(Δ換気/Δ飽和=低酸素感度(飽和度低下%当たりのL/分単位)によって測定して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%である。
【0093】
ある特定の実施形態では、患者は、酸素正常状態中に炭酸正常及び軽度の高炭酸ガス血症状態下で陽の呼吸器応答を有する。
【0094】
ある特定の実施形態では、患者は、酸素正常状態中に炭酸正常及び軽度の高炭酸ガス血症状態下で陽の呼吸器応答を維持する。
【0095】
ある特定の実施形態では、患者は、報告された有害事象、身体検査、バイタルサイン、12誘導ECG、臨床検査結果、及びコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)応答のうちの1つ以上によって測定して、副作用を呈しない、または臨床的に有意な副作用を経験しない。
【0096】
ある特定の実施形態では、患者は、心血管応答において臨床的に有意な変化を呈しない。
【0097】
ある特定の実施形態では、患者は、低酸素感受性(Δ換気/Δ飽和)によって測定して、治療効果を呈す。
【0098】
ある特定の実施形態では、患者は、1回換気量(VT)によって測定して、治療効果を呈す。
【0099】
ある特定の実施形態では、患者は、呼吸数(呼吸/分)によって測定して、治療効果を呈す。
【0100】
ある特定の実施形態では、患者は、分時換気量(VE)によって測定して、治療効果を呈す。
【0101】
ある特定の実施形態では、患者は、経皮CO測定及び/または呼気終末CO(mmHg)によって測定して、治療効果を呈す。
【0102】
ある特定の実施形態では、患者は、経皮ヘモグロビン飽和度(%単位のSpO)によって測定して、治療効果を呈す。
【0103】
ある特定の実施形態では、患者は、動脈血液ガスによって測定して、治療効果を呈す。
【0104】
ある特定の実施形態では、治療効果は、BISによって測定される。
【0105】
ある特定の実施形態では、患者は、動脈経路モニタリングからの血行動態パラメータによって測定して、治療効果を呈す。
【0106】
ある特定の実施形態では、変化は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%である。
【0107】
ある特定の実施形態では、投与は静脈内である。
【0108】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約0.10mg/kg/時間~約10mg/kg/時間の速度で投与される。
【0109】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約0.50mg/kg/時間~約5mg/kg/時間の速度で投与される。
【0110】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約0.40mg/kg/時間~約1.0mg/kg/時間の速度で投与される。
【0111】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約0.40mg/kg/時間の速度で投与される。
【0112】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約1.0mg/kg/時間の速度で投与される。
【0113】
ある特定の実施形態では、本発明は、負荷用量を投与することを更に含む。
【0114】
ある特定の実施形態では、負荷用量は、約0.50mg/kg/時間~約5mg/kg/時間である。
【0115】
ある特定の実施形態では、負荷用量は、約1.0mg/kg/時間~約3.0mg/kg/時間である。
【0116】
ある特定の実施形態では、負荷用量は、約2.0mg/kg/時間である。
【0117】
ある特定の実施形態では、投与の合計時間は、約5分~約24時間である。
【0118】
ある特定の実施形態では、合計時間は、約30分~約6時間、または約1時間~約3時間である。
【0119】
ある特定の実施形態では、負荷用量は、ボーラスとして投与される。
【0120】
ある特定の実施形態では、負荷用量は、1時間未満、45分未満、30分未満、25分未満、約10分未満、約10分、または約20分の時間投与される。
【0121】
ある特定の実施形態では、投与経路は、経口、静脈内(例えば、連続注入またはボーラス注射)、経鼻、吸入、局所、口腔、直腸、胸膜、腹膜、膣、筋肉内、皮下、経皮、硬膜外、気管内(例えば、気管内注入または気管内吸入)、耳、眼内、または髄腔内経路から選択されてもよい。非限定的な例となる好適な肺投与は、定量吸入器、ネブライザー、ソフトミスト吸入器、高効率ネブライザー、超音波ネブライザー、乾燥粉末吸入器、連続気道陽圧(CPAP)マシン、二相性気道陽圧マシン(BiPAP)、または人工呼吸器によるものであってもよい。
【0122】
ある特定の実施形態では、終末相半減期は、約1~約15時間、約2~約14時間、約3~約13時間、約4~約12時間、約4~約11時間、約5~約10時間、約6~約9時間、または約7~約8時間である。
【0123】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約0.40mg/kg/時の速度で投与され、終末相半減期は、約2~約8時間、約3~約7時間、約3.2~約6.7時間、約3.4~約6.5時間、約3.6~約6.3時間、約3.8~約6.1時間、約4.0~約5.9時間、約4.2~約5.7時間、約4.4~約5.5時間、約4.6~約5.3時間、または約4.8~約5.1時間である。
【0124】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約1.0mg/kg/時の速度で投与され、終末相半減期は、約3~約9時間、約3.3~約8.7時間、約3.6~約8.2時間、約3.8~約8.0時間、約4.0~約7.8時間、約4.2~約7.6時間、約4.4~約7.4時間、約4.6~約7.2時間、約4.8~約7.0時間、約5.0~約6.8時間、約5.2~約6.6時間、約5.4~約6.4時間、約5.6~約6.2時間、または約5.8~約6.0時間である。
【0125】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物の血漿濃度は、時間とともに増加する。
【0126】
ある特定の実施形態では、最大血漿濃度までの時間(tmax)は、約2~約8時間、約3~約5時間、約3.2~約4.7時間、約3.5~約4.5時間、または約3.8~4.2時間である。
【0127】
ある特定の実施形態では、平均ピーク血漿濃度(Cmax)は、約200~約2500ng/mL、約500~約2000ng/mL、または約1000~約1500ng/mLである。
【0128】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、1.1mg/kg/時間で250分間投与され、約500~約2500ng/mL、約1000~約2000ng/mL、約1050~約1950ng/mL、約1100~約1900ng/mL、約1150~約1850ng/mL、約1200~約1800ng/mL、約1250ng/mL~約1750ng/mL、約1300ng/mL~約1700ng/mL、約1350~約1650ng/mL、または約1400ng/mL~約1500ng/mLの平均ピーク血漿濃度(Cmax)を有する。
【0129】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約1000~約15,000ng*h/mL、約2000~約12,500ng*h/mL、約3000~約10,000ng*h/mL、または約5000~約8000ng*h/mLの平均AUCinfを有する。
【0130】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、1.1mg/kg/時間で250分間投与され、約5000~約15,000ng*h/mL、約6200~約11,000ng*h/mL、約6300~約10,900ng*h/mL、約6400~約10,800ng*h/mL、約6500~約10,700ng*h/mL、約6600~約10,600ng*h/mL、約6700~約10,500ng*h/mL、約6800~約10,400ng*h/mL、約6900~約10,300ng*h/mL、約7000~約10,200ng*h/mL、約7100~約10,100ng*h/mL、約7200~約10,000ng*h/mL、約7300~約9,900ng*h/mL、約7400~約9800ng*h/mL、約7500~約9700ng*h/mL、約7600~約9600ng*h/mL、約7700~約9500ng*h/mL、約7800~約9400ng*h/mL、約7900~約9300ng*h/mL、約8000~約9200ng*h/mL、約8100~約9100ng*h/mL、約8200~約9000ng*h/mL、約8300~約8900ng*h/mL、約8400~約8800ng*h/mL、または約8500~約8700ng*h/mLの平均(±SD)AUCinfを有する。
【0131】
ある特定の実施形態では、幾何平均Cav30-3270min(30~270分の間の平均動脈血漿濃度)は、約200ng/mL~約2000ng/mL、250ng/mL~約1800ng/mL、約300ng/mL~約1500ng/mL、または約350ng/mL~約1200ng/mLである。
【0132】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、1.1mg/kg/時間で250分間投与され、約800ng/mL~約1800ng/mL、約900ng/mL~約1600ng/mL、約1000ng/mL~約1500ng/mL、約1050~約1450ng/mL、約1100~約1400ng/mL、約1150~約1350ng/mL、または約1200~約1300ng/mLの幾何平均Cav30-3270min(30~270分の間の平均動脈血漿濃度)を有する。
【0133】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、0.4mg/kg/時間で250分間投与され、約200ng/mL~約800ng/mL、約250ng/mL~約600ng/mL、約300ng/mL~約400ng/mL、約310~約390ng/mL、約320~約380ng/mL、約330~約370ng/mL、または約340~約360ng/mLの幾何平均Cav30-3270min(30~270分の間の平均動脈血漿濃度)を有する。
【0134】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、0.4mg/kg/時間で250分間投与され、約200~約800ng/mL、約375~約550ng/mL、約400~約525ng/mL、または約425~約500ng/mLの平均Cmaxを有する。
【0135】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、約2.0mg/kg/時間の速度で20分間、その後、0.4mg/kg/時間で250分間投与され、約1000~約4000ng*h/mL、約1500~約3500ng*h/mL、約2000~約3300ng*h/mL、約2200~約3000ng*h/mL、または約2500~約2800ng*h/mLの平均AUCinfを有する。
【0136】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のある時点(例えば、Tmax)での平均濃度(例えば、Cmax)は、外科用麻酔剤の投薬量の増加に伴って増加する。ある特定の実施形態では、増加は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約35%、少なくとも約45%、または約5%~約50%、または約10%~約40%、または約15%~約35%である。
【0137】
ある特定の実施形態では、平均分時換気量は、低酸素測定中に増加する。いくつかの実施形態では、平均分時換気量は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、または少なくとも約200%、またはその中の任意の値、増加し得る。いくつかの実施形態では、平均分時換気量は、約5%~約200%、約15%~約175%、約25%~約150%、約50%~約125%、または約75%~約100%増加し得る。
【0138】
ある特定の実施形態では、平均1回換気量は、低酸素測定中に増加する。いくつかの実施形態では、平均1回換気量は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、または少なくとも約200%、またはその中の任意の値、増加し得る。いくつかの実施形態では、平均1回換気量は、約5%~約200%、約15%~約175%、約25%~約150%、約50%~約125%、または約75%~約100%増加し得る。
【0139】
ある特定の実施形態では、呼吸数は、低酸素測定中に増加する。いくつかの実施形態では、呼吸数は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、または少なくとも約200%、またはその中の任意の値、増加し得る。いくつかの実施形態では、呼吸数は、約5%~約200%、約15%~約175%、約25%~約150%、約50%~約125%、または約75%~約100%増加し得る。
【0140】
組成物
ある特定の実施形態では、本開示は、非オピオイド剤によって調節される呼吸抑制を治療するための、有効量の本明細書に開示の式(I)から選択される化合物を含む医薬組成物を対象とする。
【0141】
ある特定の実施形態では、本医薬組成物中の活性剤(複数可)は凍結乾燥される。
【0142】
ある特定の実施形態では、本医薬組成物は、予め混合される(例えば、活性剤は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、及び任意選択で1つ以上の追加の活性剤と予め混合される)。
【0143】
ある特定の実施形態では、本医薬組成物は、ガラス容器またはプラスチック容器に収容されてもよい。
【0144】
ある特定の実施形態では、本医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を更に含む。好適な薬学的に許容される賦形剤は、本組成物の最終形態及び投与経路に基づいて変化し得る。
【0145】
本発明の組成物のうちのいずれかの投与経路としては、吸入、経口、経鼻、直腸、非経口、舌下、経皮、経粘膜(例えば、舌下、舌、(経)口腔、(経)尿道、膣(例えば、経膣及び膣周囲)、(経)鼻、及び(経)直腸)、膀胱内、肺内、十二指腸内、胃内、髄腔内、皮下、筋肉内、皮内、動脈内、静脈内、気管支内、吸入、腹腔内、胸腔内、胸腔内、胸膜内、及び局所投与が挙げられる。
【0146】
好適な組成物及び剤形としては、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、丸薬、ゲルカプセル、トローチ、分散剤、懸濁液、溶液、シロップ、顆粒、ビーズ、経皮パッチ、ゲル、粉末、ペレット、マグマ、ロゼンジ、クリーム、ペースト、膏薬、ローション、ディスク、座剤、鼻腔または経口投与のための液体スプレー、吸入のための乾燥粉末またはエアロゾル化した製剤、膀胱内投与のための組成物及び製剤などが挙げられる。本発明において有用であろう製剤及び組成物は、本明細書に記載される特定の製剤及び組成物に限定されないことが理解される。
【0147】
ある特定の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、液体または固体充填剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、増粘剤、溶媒、またはカプセル化材料などの薬学的に許容される担体を含み、本発明内で有用な化合物を対象内または対象に運ぶまたは輸送することで、その意図された機能を果たし得る。典型的には、そのような構築物は、ある器官または身体の一部から別の器官または身体の一部に運ばれるまたは輸送される。各担体は、本発明内で有用な化合物を含む製剤の他の成分と適合するという意味で「許容可能」でなければならず、対象に有害であってはならない。薬学的に許容される担体として機能し得る材料のいくつかの例としては、糖、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、ココアバター及び坐剤ワックス;油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリル酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;表面活性剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ならびに医薬製剤に用いられる他の非毒性適合性物質が挙げられる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」はまた、本発明内で有用な化合物の活性と適合し、対象にとって生理学的に許容可能であるありとあらゆるコーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、ならびに吸収遅延剤などを含む。補助活性化合物も、本組成物に組み込まれ得る。「薬学的に許容される担体」は、本発明内で有用な化合物の薬学的に許容される塩を更に含んでもよい。本発明の実施に使用される医薬組成物に含まれ得る他の追加の成分は、当該技術分野で既知であり、例えば、参照により本明細書に援用されるRemington’s Pharmaceutical Sciences(Genaro,Ed.,Mack Publishing Co.,1985,Easton,Pa.)に記載されている。
【0148】
有用な薬学的に許容される担体としては、グリセロール、水、生理食塩水、エタノール、ならびにリン酸塩及び有機酸の塩などの他の薬学的に許容される塩の溶液が挙げられるが、これらに限定されない。これら及び他の薬学的に許容される担体の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1991,Mack Publication Co.,New Jersey)に記載されている。
【0149】
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、及び植物油を含有する、溶媒または分散媒体であってもよい。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散剤の場合には必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持されてもよい。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成されてもよい。多くの場合、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、またはマンニトール及びソルビトールなどのポリアルコールを本組成物に含めることが好ましい。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを組成物に含めることによってもたらされ得る。一実施形態では、薬学的に許容される担体は、DMSO単独ではない。
【0150】
本医薬製剤は、滅菌されてもよく、所望であれば、補助剤、例えば、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧緩衝剤に影響を与えるための塩、着色剤、風味剤、及び/または芳香物質などと混合されてもよい。
【0151】
本発明に従って有用な防腐剤の例としては、ベンジルアルコール、ソルビン酸、パラベン、イミド尿素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
本組成物は、好ましくは、化合物の分解を阻害する酸化防止剤及びキレート剤を含む。いくつかの化合物に好ましい酸化防止剤は、組成物の総重量により、約0.01重量%~0.3重量%の好ましい範囲のBHT、BHA、α-トコフェロール、及びアスコルビン酸であり、より好ましくは、0.03重量%~0.1重量%の範囲のBHTである。好ましくは、キレート剤は、組成物の総重量により、0.01重量%~0.5重量%の量で存在する。特に好ましいキレート剤としては、組成物の総重量により、約0.01重量%~0.20重量%の範囲、より好ましくは0.02重量%~0.10重量%の範囲のエデト酸塩(例えば、エデト酸二ナトリウム)及びクエン酸が挙げられる。キレート剤は、本組成物中の金属イオンをキレートするのに有用であり、これは、製剤の貯蔵寿命に害を及ぼし得る。BHT及びエデト酸二ナトリウムは、それぞれ、いくつかの化合物について特に好ましい酸化防止剤及びキレート剤であるが、これを理由に、当業者には既知であるように、他の好適かつ等価な酸化防止剤及びキレート剤で置き換えられてもよい。
【0153】
水性または油性ビヒクル中で活性成分の懸濁を達成するために、従来の方法を使用して液体懸濁液を調製してもよい。水性ビヒクルとしては、例えば、水及び等張生理食塩水が挙げられる。油性ビヒクルとしては、例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、またはココナッツ油、分画植物油、及び鉱物油、例えば、液体パラフィンが挙げられる。液体懸濁液は、懸濁剤、分散剤、または湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、防腐剤、緩衝液、塩、風味剤、着色剤、及び甘味剤を含むがこれらに限定されない、1つ以上の追加の成分を更に含んでもよい。油性懸濁液は、増粘剤を更に含んでもよい。既知の懸濁剤としては、ソルビトールシロップ、水素化食用脂肪、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントゴム、アカシアゴム、及びセルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。既知の分散剤または湿潤剤としては、レシチンなどの天然に存在するリン脂質、アルキレンオキシドの、脂肪酸との、長鎖脂肪族アルコールとの、脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの、または脂肪酸及び無水ヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、それぞれ、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が挙げられるが、これらに限定されない。既知の乳化剤としては、レシチン及びアカシアが挙げられるが、これらに限定されない。既知の防腐剤としては、メチル、エチル、またはn-プロピルのパラ-ヒドロキシベンゾエート、アスコルビン酸、及びソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。既知の甘味剤としては、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロース、及びサッカリンが挙げられる。油性懸濁液のための既知の増粘剤としては、例えば、ミツロウ、硬質パラフィン、及びセチルアルコールが挙げられる。
【0154】
水性または油性溶媒中の活性成分の液体溶液は、液体懸濁液と実質的に同じ様式で調製されてもよく、主な違いは、活性成分を溶媒中に懸濁させるのではなく、溶解させることである。本明細書で使用される場合、「油性」液体は、炭素含有液体分子を含み、水よりも低い極性を呈す液体である。本発明の医薬組成物の液体溶液は、液体懸濁液に関連して記載した成分の各々を含んでもよく、懸濁剤は必ずしも溶媒中の活性成分の溶解を助けるものではないことが理解される。水性溶媒としては、例えば、水及び等張生理食塩水が挙げられる。油性溶媒としては、例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、またはココナッツ油、分画植物油、及び鉱物油、例えば、液体パラフィンが挙げられる。
【0155】
本発明の医薬調製物の粉末製剤及び顆粒製剤は、既知の方法を使用して調製され得る。かかる製剤は、対象に直接投与されてもよく、例えば、錠剤を形成するため、カプセルを充填するため、または水性もしくは油性の懸濁液もしくは溶液を、それに水性もしくは油性のビヒクルを加えることによって調製するために、使用されてもよい。これらの製剤の各々は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、及び防腐剤のうちの1つ以上を更に含んでもよい。充填剤、及び甘味剤、風味剤、または着色剤などの追加の賦形剤も、これらの製剤に含まれ得る。
【0156】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルションまたは油中水型エマルションの形態で調製、包装、または販売されてもよい。油性相は、オリーブ油またはアラキス油などの植物油、液体パラフィンなどの鉱物油、またはこれらの組み合わせであってもよい。かかる組成物は、1つ以上の乳化剤、例えば、アカシアゴムまたはトラガカントゴムなどの天然に存在するゴム、ダイズまたはレシチンリン脂質などの天然に存在するリン脂質、モノオレイン酸ソルビタンなどの脂肪酸とヘキシトール無水物との組み合わせに由来するエステルまたは部分エステル、ならびにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどのエチレンオキシドとのそのような部分エステルの縮合生成物を更に含んでもよい。これらのエマルションはまた、例えば、甘味剤または風味剤を含む追加の成分を含んでもよい。
【0157】
ある特定の実施形態では、1つ以上の追加の賦形剤は、pH調整剤を含み、pH調整剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、硫酸、リン酸、硝酸、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、クエン酸、塩酸、またはそれらの混合物から選択されてもよい。
【0158】
ある特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の追加の賦形剤、例えば、限定されないが、炭水化物、酸化防止剤、キレート剤、低分子量タンパク質、高分子量ポリマー、ゲル形成剤、安定剤、添加剤、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤及び/または分散剤、アルカリ化剤、着色剤、合成染料、充填剤、希釈剤、鉱物酸化物、防腐剤、またはそれらの混合物を含んでもよい。
【0159】
ある特定の実施形態では、本組成物は、酸化防止剤を更に含む。ある特定の実施形態では、酸化防止剤は、例えば、亜リン酸塩のような三価リン、フェノール系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン、置換ベンゾフラノンなどのラクトンを含んでもよい。ヒンダードフェノール、チオ共力剤、及び/またはヒンダードアミンは、ポリマーの長期安定性に有用であるが、以下の酸化防止剤も、活性物質が酸化に供される状況で使用するのに好適である:酸(アスコルビン酸、エリソルビン酸、エチドロン酸、没食子酸、次亜リン酸、ノルジヒドログアヤレチン酸、プロピオン酸など)、フェノール(例えば、BHA、BHT、t-ブチルヒドロキノン、没食子酸ドデシル、没食子酸オクチル、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン)、有機及び無機塩(アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム)、エステル(アスコルビン酸カルシウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル)、ピラノン(マルトール)、及びビタミン(トコフェロール、D-α-トコフェロール、DL-α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェリル)。しかしながら、当該技術分野で既知の他の抗酸化剤を本発明に従って使用してもよい。
【0160】
ある特定の実施形態では、好適な酸化防止剤としては、限定されないが、立体障害フェノール、アリールアミン、チオ尿素、チオカルバメート、亜リン酸塩、チオエーテルエステル、及び上記の組み合わせが挙げられる。酸化防止剤の他の好適な例としては、限定されないが、アルキル化モノフェノール類、例えば、限定されないが、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジ-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール、2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、側鎖が直鎖状または分岐鎖状であるノニルフェノール類、例えば、2,6-ジ-ノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1′-メチルウンデス-1′-イル)フェノール,2,4-ジメチル-6-(1′-メチルヘプタデス-1′-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1′-メチルトリデス-1-イル)フェノール、及びそれらの混合物、アルキルチオメチルフェノール類、例えば、限定されないが、2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノール、2,6-ジ-ドデシルチオメチル-4-ノニルフェノール、ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン類、例えば、限定されないが、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アジペート、トコフェロール類、例えば、限定されないが、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、及びそれらの混合物(ビタミンE)、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば、限定されないが、2,2′-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2′-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4′-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4′-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4′-チオビス(3,6-ジ-sec-アミルフェノール)、4,4′-ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-ジスルフィド、アルキリデンビスフェノール類、例えば、限定されないが、2,2′-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2′-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2′-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)-フェノール]、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2′-メチレンビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2′-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2′-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2′-エチリデンビス(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール)、2,2′-メチレンビス[6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2′-メチレンビス[6-(α,α-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4′-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4′-メチレンビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチル-フェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3-ビス(3′-tert-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-メチルベンジル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェニル]テレフタレート、1,1-ビス-(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン、1,5,5-テトラ-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン、O-、N-、及びS-ベンジル化合物、例えば、限定されないが、3,5,3′,5′-テトラ-tert-ブチル.-4,4′-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、ヒドロキシベンジル化マロネート、例えば、限定されないが、ジオクタデシル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロネート、ジ-オクタデシル-2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば、限定されないが、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール、トリアジン化合物、例えば、限定されないが、2,4-ビス(オクチルメルカプト)-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,2,3-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニルプロピオニル)-ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソ-シアヌレート、ベンジルホスホネート、例えば、限定されないが、ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホネート、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩、アシルアミノフェノール類、例えば、限定されないが、4-ヒドロキシラウラニリド(ヒドロキシlauranilide)、4-ヒドロキシステアラニリド(ヒドロキシstearanilide)、N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバミン酸オクチル、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の、例えば、一価または多価アルコールとの、例えば、メタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル、β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸の、一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′-ビス-(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン;3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]-ウンデカンとのエステル、6-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の、一価または多価アルコールとの、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2,2]オクタンとのエステル、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸の、一価または多価アルコールとの、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコ


ール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル、6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド類、例えば、N,N′-ビス(3,5-ジ-tert-ブチルA-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N′-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミド、N,N′-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、N,N′-ビス[2-(3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(Naugard(登録商標)XL-1、Uniroyal製)、アスコルビン酸(ビタミンC)、アミン系酸化防止剤、例えば、限定されないが、N,N′-ジ-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N′-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N′-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、4-(p-トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N′-ジメチル-N,N′-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-アリルジフェニルアミン、4-イソプロポキシジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-(4-tert-オクチルフェニル)-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えば、限定されないが、p,p′-ジ-tert-オクチルジフェニルアミン、4-n-ブチルアミノフェノール、4-ブチリルアミノフェノール、4-ノナノイルアミノフェノール、4-ドデカノイルアミノフェノール、4-オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4-メトキシフェニル)アミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、2,4′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N′,N′-テトラメチル-4,4′-ジアミノジフェニルメタン、1,2-ビス[(2-メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2-ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o-トリル)ビグアナイド、ビス[4-(1′,3′-ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert-オクチル化N-フェニル-1-ナフチルアミン、モノ及びジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ及びジアルキル化tert-ブチルジフェニルアミン、2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-4H-1,4-ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ及びジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルフェノチアジンの混合物、モノ及びジアルキル化tert-オクチル-フェノチアジンの混合物、N-アリルフェノチアジン、N,N,N′,N′-テトラフェニル-1,4-ジアミノブト-2-エン、ならびに上記の組み合わせが挙げられる。
【0161】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、アクリル、セルロース誘導体、多糖類、単糖類、ゴム、天然もしくは合成ポリマー(例えば、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカプロラクトン、そのポリメタクリレートコポリマー、及びそれらの混合物)、リポソーム、崩壊剤(例えば、ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、またはそれらの混合物)、流動促進剤、潤滑剤、吸収促進剤、界面活性剤、結合剤、軟化剤、可塑剤(例えば、レシチン、水素化植物油、グリセロールエステル、ラノリン、メチルエステル、ペンタエリスリトールエステル、米ぬかワックス、ステアリン酸、ステアリン酸カリウムナトリウムなど)、ワックス、脂肪、乳化剤、充填剤、酸化防止剤、風味剤、着色剤、希釈剤、加工助剤(例えば、造粒補助剤)、チュアブル組成物に関連して上述したものなどの甘味剤、固定剤(例えば、ポリオール、例えば、限定されないが、ソルビトール、マルチトール/イソマルト、マンニトール、デンプンなど)、pH調整剤、粘度調整剤、溶解度増加剤もしくは減少剤、浸透物質、溶媒、またはそれらの組み合わせが含まれてもよい。
【0162】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、ポリビニルピロリドン、天然及び合成ゴム、ポリビニルアルコール、トウモロコシデンプン、徐放性ポリマーなどの親水性及び疎水性材料、アクリル樹脂、タンパク質由来材料、ワックス、シェラック、ならびに水素化ヒマシ油及び水素化植物油などの固体または半固体油が含まれてもよい。より具体的には、制御放出材料は、例えば、アルキルセルロース、例えば、エチルセルロース、アクリル及びメタクリル酸ポリマー及びコポリマー(例えば、アクリル酸及びメタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸メチルアルキルアミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸)(無水化物)、メタクリル酸メチル、ポリメタクリレート、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)コポリマー、ポリアクリルアミド、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、メタクリル酸グリシジルコポリマー、及び前述のうちのいずれかの混合物)、ならびにヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルコース)及びカルボキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテルであり得る。ワックスとしては、例えば、天然及び合成ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、及びそれらの混合物(例えば、ミツロウ、カルナウバワックス、ステアリン酸、及びステアリルアルコール)が挙げられる。
【0163】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、ゲル化剤、例えば、限定されないが、糖または糖由来アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトールなど、デンプン及びデンプン誘導体、セルロース誘導体(例えば、微結晶セルロース、カボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースエステル、セルロースジエステル、セルローストリエステル、セルロースエーテル、セルロースエステルエーテル、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル)、及びそれらの混合物)、アタパルジャイト、ベントナイト、デキストリン、アルギネート、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カリウムなどのアルギン酸塩、カゼイン、ステアリン酸、シェラック、カラギーナン、トラガカントゴム、アカシアゴム、アラビアゴム、プルランゴム、デキストリン、ジェランゴム、アガーゴム、タラゴム、カラヤゴム、グアーゴム、ウェランゴム、ラムサンゴム、イナゴマメゴム、キサンタンゴム、ペクチン、ゼラチン、カオリン、レシチン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボマー及びカルボポール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、二酸化ケイ素、界面活性剤、混合界面活性剤/湿潤剤系、乳化剤、他の高分子材料、ならびにそれらの混合物が含まれてもよい。
【0164】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、親水性賦形剤、例えば、限定されないが、水、低分子量ポリオール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはそれらの組み合わせが含まれてもよい。他の好適な親水性担体の例としては、限定されないが、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、例えば、ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート(ポリソルベート85)、酢酸、ギ酸、他の親水性界面活性剤、及びそれらの混合物が挙げられる。例示的な低分子量ポリオールとしては、限定されないが、数平均分子量が、約200ダルトン、約400ダルトン、約600ダルトン、約800ダルトン、もしくは約1000ダルトンのうちのいずれかから、約2000ダルトン、約3000ダルトン、約4000ダルトン、約5000ダルトン、約6000Da、もしくは約7000Daのうちのいずれかまで、またはその中の任意のサブ範囲もしくは単一の値であるもの(例えば、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600など)が挙げられる。
【0165】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、可塑剤、例えば、限定されないが、トリアセチン、イソマルト、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、アドニトール、ダルシトール、ペンタエリスリトール、もしくはマンニトール;またはポリオール可塑剤、例えば、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、最大10,000MWのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、エタノールアミン、及びそれらの混合物が含まれてもよい。他の例示的な可塑剤としては、限定されないが、低分子量ポリマー、オリゴマー、コポリマー、油、有機小分子、脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオール、エステル型可塑剤、グリコールエーテル、ポリ(プロピレングリコール)、マルチブロックポリマー、シングルブロックポリマー、クエン酸エステル型可塑剤、及びトリアセチンも挙げることができる。かかる可塑剤としては、1,2-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、スチレングリコール、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸ソルビトール、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸エチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、モノステアリン酸グリセリル、ポリソルベート80、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、及びグリコール酸アリル、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0166】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、可塑剤、例えば、限定されないが、リン酸エステル;フタル酸エステル;アミド;鉱油;脂肪酸及びエステル;アセチル化水素化綿実グリセリド及びアセチル化水素化ダイズ油グリセリドを含む、脂肪アルコール、植物油、及び水素化植物油;クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、ジアセチル化モノグリセリド、ジプロピレングリコールサリチレートグリセリン、グリセリセリルココエート、モノ及びジアセチル化モノグリセリド、ニトロベンゼン、二硫化炭素、fl-ナフチルサリチレート、フタリルグリコレート、ジオシルフタレート;ソルビトール、ソルビトールグリセリルトリシトレート;スクロースオクタアセート;a-トコフェリルポリエチレングリコールサクシネート、リン酸エステル;フタル酸エステル;アミド;鉱油;脂肪酸及びエステル;脂肪アルコール;ならびに植物油、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、及びミリスチルアルコールを含む脂肪アルコール;アビエチン酸メチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、アジピン酸ジイソオクチル、オレイン酸アミル、リシノール酸ブチル、安息香酸ベンジル、脂肪酸のブチル及びグリコールエステル、炭酸ブチルジグリコール、オレイン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジ(ベータ-メトキシエチル)、セバシン酸ジブチル、酒石酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジヘキシル、トリエチレングリコールジ(2-エチルヘキソエート)、モノラウリン酸ジエチレングリコール、モノマーポリエチレンエステル、ロジンの水素化メチルエステル、オレイン酸メトキシエチル、ステアリン酸ブトキシエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチル、グリセロールトリブチレート、プロピレングリコールジペラゴナート、ベータ-(p-tert-アミルフェノキシ)エタノール、ベータ(p-tert-ブチルフェノキシ)エタノール、ベータ-(p-tert-ブチルフェノキシエチル)アセテート、ビス(ベータ-p-tert-ブチルフェノキシジエチル)エーテル、ショウノウ、Cumar W-1、Cumar MH-1、Cumar V-1、ジアミルフタレート、(ジアミルフェノキシ)エタノール、ジフェニルオキシド、工業用ヒドロアビエチルアルコール、ベッコリン(beckolin)、ベンゼンヘキサヒドロクロリド、Clorafin 40、Piccolastic A-5、Piccalastic A-25、Flexol B-400、グリセロールアルファ-メチルアルファ-フェニルエーテル、塩素化ナフタレン、HB-40、モノアミルフタレート、Nevillac 10 o-ニトロジフェニル、及びParacril 26が含まれてもよい。
【0167】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、可塑剤、例えば、限定されないが、イソマルト、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、アドニトール、ダルシトール、ペンタエリスリトール、もしくはマンニトール;またはポリオール可塑剤、例えば、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、最大10,000MWのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、エタノールアミン、及びそれらの混合物が含まれてもよい。他の例示的な可塑剤としては、限定されないが、低分子量ポリマー、オリゴマー、コポリマー、油、有機小分子、脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオール、エステル型可塑剤、グリコールエーテル、ポリ(プロピレングリコール)、マルチブロックポリマー、シングルブロックポリマー、クエン酸エステル型可塑剤、及びトリアセチンを挙げることができる。かかる可塑剤としては、1,2-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、スチレングリコール、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸ソルビトール、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸エチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、モノステアリン酸グリセリル、ポリソルベート80、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、及びグリコール酸アリル、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0168】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、芳香剤、例えば、限定されないが、天然及び/または合成芳香原料が含まれてもよい。例えば、水溶性香油と混合されている場合もされていない場合もある油溶性香油である。油溶性香料は、オレンジオイル、ラベンダーオイル、パインオイル、ユーカリオイル、レモンオイル、クローブリーフ、ペパーミントオイル、シダーウッドオイル、ローズマリーオイル、ベルガモットオイル、ラバンディンオイル、パチョリオイル、カモミールオイル、ジャスミンオイル、スパイクオイル、ローズオイル、ベチバーオイル、フェンネルオイル、アニスオイル、タイムオイル、ゲルマニウムオイル、メントール、及びマジョラムオイルなどの天然または天然同様のエッセンシャルオイルである。動物性芳香剤は、例えば、ムスク、カストリウム、エイバー(aber)、またはシベットである。スパゲリックエッセンスも、当該技術分野で知られている。これらは、ある特定のハーブを発酵させて作製され、最終製品に加工される。合成芳香剤成分は、例えば、リナロール、テルピノール、ネロール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シナモンアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、またはメチルアセトフェノンなどの単一の化合物で構成されるものなどの合成エッセンシャルオイルである。芳香剤材料はまた、芳香炭化水素、アルコール、ケトン、アルデヒド、エーテル、エステル、ポリエン誘導体からなる通常の群から選択される合成油溶性香油であってもよい。使用され得る他の芳香剤は、S.Arctander,Perfume and Flavor Chemicals,Volumes I and II(1960,1969;2000再版)、Allured’s Flavor and Fragrance Materials(2005)などの参考文献及びデータベース、ならびにwww.rifm.orgにてResearch Institute for Fragrance Materialsによって管理されているデータベースに分類され記載されている。
【0169】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤は、香油を含んでもよい。好適な香油としては、天然芳香剤及び合成芳香剤の混合物が挙げられる。天然芳香剤は、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎及び葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレイン)、果実(アニス、コリアンダー、クミン、ジュニパー)、果実の皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(メース、アンジェリカ、セロリ、カルダモン、コスツス、アヤメ、ショウブ)、木(パインウッド、サンダルウッド、グアヤクウッド、シダーウッド、ローズウッド)、ハーブ及び草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針葉及び枝(トウヒ、モミ、マツ、ドワーフパイン)、樹脂及びバルサム(ガルバナム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポポナックス)からの抽出物である。典型的な合成芳香剤化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、及び炭化水素型の生成物である。エステル型の芳香剤化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチル-メチルフェニル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、プロピオン酸スチラリル、及びサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えば、ベンジルエチルエーテルが含まれ、アルデヒドには、例えば、8~18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアル、及びブルジョナールが含まれ、ケトンには、例えば、イオノン、α-イソメチルイオノン、及びメチルセドリルケトンが含まれ、アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、及びテルピネオールが含まれ、炭化水素には、主に、テルペン及びバルサムが含まれる。
【0170】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、香料成分として主に使用され、香油、例えば、セージオイル、カモミールオイル、クローブのオイル、メリッサオイル、ミントオイル、シナモンリーフオイル、リンデンブロッサムオイル、ジュニパーベリーオイル、ベチバーオイル、オリバナムオイル、ガルバナムオイル、ラボラナムオイル、及びラバンディンオイルとしても好適である、比較的低揮発性のエッセンシャルオイルが含まれてもよい。他の好適な油としては、ベルガモットオイル、ジヒドロミルセノール、リリアル、リラル、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、Boisambrene Forte、アンブロキサン、インドール、ヘジオン、サンデリス、レモンオイル、マンダリンオイル、オレンジオイル、アリルアミルグリコレート、シクロバルタル(cyclovertal)、ラバンディンオイル、クラリーセージオイル、β-ダマスコーン、ゼラニウムオイルバーボン、サリチル酸シクロヘキシル、Vertofix coeur、Iso-E-Super、Fixolide NP、Evernyl、Iraldein Gamma、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット、イロチル、及びフロラマート単独または混合物が挙げられる。
【0171】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、防腐剤が含まれてもよい。本明細書で使用される場合、「防腐剤」という用語は、風味、臭気、色、質感、外観、治療価値、または安全性の劣化を遅延するまたは防止することによって、剤形の貯蔵寿命を延長する薬剤を指す。防腐剤は、部分的または完全な微生物細胞破壊または無力化をもたらす致命的で不可逆的な作用を提供する必要はない。滅菌剤、清浄剤、消毒剤、殺胞子剤、殺ウイルス剤、及び結核菌殺菌剤は、かかる不可逆的な作用様式を提供し、これは、「殺菌」作用と称されることもある。対照的に、防腐剤は、防腐剤が除去された場合、標的微生物が増殖を再開することができるという点で、可逆的である阻害または抑菌作用を提供することができる。防腐剤と清浄剤との主要な違いは、主に作用様式(防腐剤は微生物を殺すのではなく成長を防止する)及び曝露時間(防腐剤は作用するのに数日から数か月かかるが、清浄剤は作用するのに長くても数分しかかからない)である。好適な防腐剤としては、限定されないが、フェノキシエタノール、パラベン、ペンタンジオール、及びソルビン酸の溶液、ならびに銀錯体が挙げられる。
【0172】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、着色剤、例えば、限定されないが、色素、例えば、白色、黒色、黄色、青色、緑色、ピンク色、赤色、オレンジ色、紫色、藍色、及び茶色が含まれてもよい。
【0173】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、限定されないが、多くの場合エタノールまたは水などの溶媒を使用して、原料、例えば、動物または植物材料の一部を抽出することによって得られる「風味抽出物」、花、果物、根などから、または植物全体からエッセンシャルオイルを抽出することによって得られる天然エッセンスが含まれてもよい。本明細書に記載の組成物の追加の例示的な風味剤としては、限定するものではないが、メントール、スペアミント、及びシナモン、コーヒー豆、果実風味(例えば、サクランボ、オレンジ、ブドウなど)などの他の風味剤または芳香剤、四級アンモニウム塩基を挙げることができる。風味剤の効果は、酒石酸、クエン酸、バニリンなどの風味増強剤を使用して増強されてもよい。
【0174】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、甘味剤、例えば、限定されないが、1つ以上の人工甘味剤、1つ以上の天然甘味剤、またはそれらの組み合わせなどが含まれてもよい。人工甘味剤としては、例えば、アセスルファム及びその様々な塩、例えば、カリウム塩(Sunett(登録商標)として入手可能)、アリタム、アスパルテーム(NutraSweet(登録商標)及びEqual(登録商標)として入手可能)、アスパルテーム-アセスルファムの塩(Twinsweet(登録商標)として入手可能)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ジヒドロカルコン化合物、ネオテーム、シクラミン酸ナトリウム、サッカリン及びその様々な塩、例えば、ナトリウム塩(Sweet’N Low(登録商標)として入手可能)、ステビア、スクロースのクロロ誘導体、例えば、スクラロース(Kaltame(登録商標)及びSplenda(登録商標)として入手可能)、ならびにモグロシドが挙げられる。天然甘味剤としては、例えば、グルコース、デキストロース、転化糖、フルクトース、スクロース、グリチルリチン;グリチルリチン酸モノアンモニウム(表品名MagnaSweet (登録商標)で販売);Stevia rebaudiana(ステビオシド)、Lo Han Kuoなどの天然の強力な甘味剤、ポリオール、例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールなどが挙げられる。
【0175】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、アルキル化剤(複数可)、例えば、限定されないが、酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、及び/またはリン酸二ナトリウムが含まれてもよい。
【0176】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、潤滑剤(複数可)/放出剤(複数可)、例えば、限定されないが、脂肪酸及びそれらの塩、脂肪アルコール、脂肪エステル、脂肪アミン、脂肪アミンアセテート、及び脂肪アミドが含まれてもよい。他の好適な潤滑剤としては、限定されないが、ベヘン酸グリセリル(Compritol(商標)888)、金属ステアレート(例えば、マグネシウム、カルシウム、及びナトリウムステアレート)、ステアリン酸、水素化植物油(例えば、Sterotex(商標))、タルク、ミツロウ及びカルナウバワックスなどのワックス、シリカ、フュームドシリカ、コロイド状シリカ、カルシウムステアレート、長鎖脂肪アルコール、ホウ酸、安息香酸ナトリウム及び酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、DL-ロイシン、ポリエチレングリコール(例えば、Carbowax(商標)4000及びCarbowax(商標)6000)、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム(Pruv(商標))、ラウリル硫酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルアルコール、鉱油、パラフィン、微結晶セルロース、グリセリン、プロピレングリコール、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0177】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、希釈剤、例えば、限定されないが、ラクトースUSP、ラクトースUSP(無水)、ラクトースUSP(噴霧乾燥)、デンプンUSP、直接圧縮可能なデンプン、マンニトールUSP、ソルビトール、デキストロース一水和物、微結晶セルロースNF、第二リン酸カルシウム二水和物NF、スクロース系希釈剤、製菓用砂糖、第二硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物NF、乳酸カルシウム三水和物顆粒NF、デキストレートNF(例えば、Emdex(商標))、デキストロース(例えば、Cerelose(商標))、イノシトール、Maltrons(商標)及びMor-Rex(商標)などの加水分解穀固形物、アミロース、粉末セルロース(例えば、Elcema(商標))、炭酸カルシウム、グリシン、ベントナイト、ポリビニルピロリドンなどが含まれてもよい。
【0178】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、油及び脂肪、例えば、限定されないが、アーモンド油、アルガン油、アボカド油、菜種油、カシュー油、ヒマシ油、ココアバター、ココナッツ油、セイヨウアブラナ油、トウモロコシ油、綿実油、グレープシード油、ヘーゼルナッツ油、大麻油、ヒドロキシル化レシチン、レシチン、亜麻仁油、マカダミア油、マンゴーバター、マニラ油、モンゴンゴナッツ油、オリーブ油、パーム核油、パーム油、ピーナッツ油、ピーカン油、エゴマ油、松の実油、ピスタチオ油、ポピーシード油、パンプキンシード油、米ぬか油、ベニバナ油、ゴマ油、シアバター、ダイズ油、ヒマワリ油、クルミ油、及びスイカ種油を挙げることができる。PVAシェルの充填物中にあってもよい他の油及び脂肪としては、限定されないが、魚油(オメガ3)、オキアミ油、例えば水素化形態にある動物性または植物性脂肪、C12、C14、C16、C18、C20、及びC22脂肪酸を有するモノ、ジ、及びトリグリセリドを挙げることができる。
【0179】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、植物性タンパク質、例えば、ヒマワリタンパク質、ダイズタンパク質、綿実タンパク質、ピーナッツタンパク質、グレープシードタンパク質、乳清タンパク質、乳清タンパク質単離物、血液タンパク質、卵タンパク質、アクリル化タンパク質、水溶性多糖類、例えば、アルギネート、カラギーナン、グアーゴム、寒天、キサンタンゴム、ジェランゴム、アラビアゴム、及び関連ゴム(ガティゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム)、ペクチン、セルロースの水溶性誘導体:アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、及びヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースエステル、及びヒドロキシアルキルセルロースエステル、例えば、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、例えば、カルボキシメチルセルロース、及びそれらのアルカリ金属塩;水溶性合成ポリマー、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、及びポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリルアミド、及びポリメタクリル酸エステル、酢酸ポリビニル、ポリビニルアルコール、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVY/酢酸ビニルコポリマー、及びポリクロトン酸が含まれてもよく、フタレート化ゼラチン、コハク酸ゼラチン、架橋ゼラチン、シェラック、デンプンの水溶性化学誘導体、所望であれば四級化してもよい、例えばジエチルアミノエチル基などの三級または四級アミノ基を保有する、カチオン修飾アクリレート及びメタクリレート;ならびに他の同様のポリマー;無機充填材、例えば、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタンのオキシドなども好適である。
【0180】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、疎水性材料、例えば、限定されないが、消化可能な長鎖(C-C50、特にC12-C40)の置換または非置換炭化水素、例えば、天然または合成ワックス(蜜蝋、グリコワックス、ヒマシワックス、及びカルナウバワックスなど)、脂肪アルコール(ラウリル、ミリスチル、ステアリル、セチル、または好ましくはセトステアリルアルコールなど)、脂肪酸、例えば、限定されないが、中鎖脂肪酸のモノジグリセリド(カプリル酸、カプリン酸、カプロ酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸など)、中鎖トリグリセリド、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリセリド(モノ、ジ、及びトリグリセリセリド)、水素化脂肪、炭化水素、通常のワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ならびに炭化水素骨格を有する疎水性及び親水性材料が含まれてもよい。
【0181】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、酢酸ポリビニル、ポリカルボン酸及び塩、酢酸、カプリル酸、オレイン酸、ポリアミノ酸またはペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラギーナンなどの天然ゴムが含まれてもよい。例えば、ポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ならびにそれらの組み合わせから選択されるか、またはポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メタクリル酸/メタクリル酸メチル、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸/アクリル酸メチルコポリマー、シェラック、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トリメチル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、PEG-35ヒマシ油、カプリロカプロイルポリオキシ-8グリセリド、二ステアリン酸グリセリド、ならびにそれらの組み合わせから選択され得る。
【0182】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、高HLB界面活性剤、例えば、限定されないが、ポリソルベート80-ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシル40水素化ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド、及びそれらの組み合わせが含まれてもよい。
【0183】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、充填剤、例えば、限定されないが、ラクトース、微結晶セルロース、及びそれらの組み合わせが含まれてもよい。
【0184】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、天然ゴム(例えば、天然の植物ゴム)が含まれてもよい。好適な天然ゴムとしては、限定されないが、グアーゴム、イナゴマメゴム、コンニャクゴム、キサンタンゴム、スクレロチウムゴム、アカシアゴム、セルロースゴム(修飾されているものまたはされていないもの)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0185】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、乳化剤、例えば、限定されないが、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、PEG-4ジラウレート、PEG-8ジオレエート、PEG-40ソルビタンペルオレエート、PEG-7グリセリルココエート、PEG-20アーモンドグリセリド、PEG-25水素化ヒマシ油、グリセリルステアレート(及び)PEG-100ステアレート、PEG-7オリベート、PEG-8オレエート、PEG-8ラウレート、PEG-60アーモンドグリセリド、PEG-20メチルグルコースセスキステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-100ステアレート、PEG-80ソルビタンラウレート、ステアレス-2、ステアレス-12、オレス-2、セテス-2、ラウレス-4、オレス-10、オレス-10/ポリオキシル10オレイルエーテル、セテス-10、イソステアレス-20、セテアレス-20、オレス-20、ステアレス-20、ステアレス-21、セテス-20、イソセテス-20、ラウレス-23、ステアレス-100、グリセリルステアレートシトレート、グリセリルステアレートSE(自己乳化型)、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ポリグリセリル-3-メチルグリコセジステアレート、またはそれらの組み合わせが含まれてもよい。
【0186】
更なる好適な乳化剤は、リン酸エステル及びその塩、例えば、セチルホスフェート(Amphisol(登録商標)A)、ジエタノールアミンセチルホスフェート(Amphisol(登録商標)DEA)、カリウムセチルホスフェート(Amphisol(登録商標)K)、ナトリウムセテアリルサルフェート、ナトリウムグリセリルオレエートホスフェート、水素化植物グリセリドホスフェート、及びこれらの混合物である。更なる好適な乳化剤は、ソルビタンオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンイソステアレート、ソルビタントリオレエート、セテアリルグルコシド、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ナトリウムステアロイルグルタメート、スクロースポリステアレート、及び水和ポリイソブテンである。更に、1つ以上の合成ポリマーを乳化剤として使用してもよい。例えば、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10oアルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、PEG-22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー、及びそれらの混合物である。
【0187】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、キレート剤、例えば、限定されないが、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N-(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、及びニトリロ三酢酸(NTA)が含まれてもよい。
【0188】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、脂肪アルコール、例えば、限定されないが、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、C12-C15アルコールのベンゾエート、アセチル化ラノリンアルコールなどを含む、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベアルコールが含まれてもよい。
【0189】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、脂肪酸のエステル、例えば、限定されないが、直鎖C-C24脂肪酸の直鎖C-C24アルコールとのエステル、分岐鎖C-C13カルボン酸の直鎖C-C24脂肪アルコールとのエステル、直鎖C-C24脂肪酸の分岐鎖アルコールとのエステル、特に、2-エチルヘキサノール、ヒドロキシカルボン酸の直鎖または分岐鎖C-C22脂肪アルコールとのエステル、特に、マレイン酸ジオクチル、直鎖及び/または分岐鎖脂肪酸の多価アルコール(例えば、プロピルグリコール、二量体ジオール、または三量体ジオール)及び/またはゲルベアルコールとのエステル、例えば、カプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、及びエルカ酸、ならびにそれらの工業グレード混合物(例えば、天然脂肪及び油の圧力除去において、Roelenのオキソ合成からのアルデヒドの還元において、または飽和脂肪酸の二量体化において得られる)の、アルコール、例えば、イソプロピルアルコール、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルモレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノイルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、及びブラシジルアルコール、及びそれらの工業グレードの混合物(例えば、脂肪及び油に基づく工業グレードのメチルエステルの高圧水素化において、またはRoelenのオキソ合成からのアルデヒド、ならびに不飽和脂肪アルコールの二量体化における単量体画分として得られる)とのもの、が含まれてもよい。エステル油の追加の好適な例は、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n-ブチル、ラウリン酸n-ヘキシル、オレイン酸n-デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、2-ヘキシルラウレート、2-ヘキシルデシルステアレート、2-オクチルドデシルオレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、オクタン酸セテアリル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、ベヘン酸セチル、酢酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、乳酸ミリスチル、ジカプリル酸/カプリル酸プロピレングリコール、ヘプタン酸ステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリル酸オクチルなどである。
【0190】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、他のアジュバント、例えば、限定されないが、ナフタレート2,6-ジエチルヘキシル、ジ-n-ブチルアジペート、ジ(2-エチルヘキシル)-アジペート、ジ(2-エチルヘキシル)-サクシネート、及びジイソトリデシルアセテート、ならびに同様にジオールエステル、例えば、エチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジイソトリデカノエート、プロピレングリコールジ(2-エチルヘキサノエート)、プロピレングリコールジイソステアレート、プロピレングリコールジペラルゴネート、ブタンジオールジイソステアレート、及びネオペンチルグリコールジカプリレートが含まれてもよい。C-C24脂肪アルコール及び/またはゲルベアルコールの、芳香族カルボン酸、飽和及び/または不飽和の、特に安息香酸とのエステル、C-C12ジカルボン酸の、1~22個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルコールまたは2~10個の炭素原子及び2~6個のヒドロキシ基を有するポリオールとのエステル。
【0191】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、天然または合成トリグリセリド(グリセリルエステル及び誘導体を含む)、例えば、限定されないが、他のアルコールとの反応によって修飾された、C-C18脂肪酸に基づく、ジグリセリドまたはトリグリセリド(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、小麦胚芽グリセリドなど)が含まれてもよい。ポリグリセリンの脂肪酸エステル(ポリグリセリル-n、例えば、ポリグリセリル-4カプレート、ポリグリセリル-2イソステアレートなど、またはヒマシ油、水素化植物油、スイートアーモンド油、小麦胚芽油、ゴマ油、水素化綿実油、ココナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、水素化ヒマシ油、シアバター、ココアバター、大豆油、ミンク油、ヒマワリ油、サフラワー油、マカダミナッツ油、オリーブ油、水素化獣脂、杏仁油、ヘーゼルナッツ油、ルリヂサ油など。追加の好適な賦形剤としては、長鎖酸及びアルコールのエステルを含むワックス、ならびにワックス様特性を有する化合物、例えば、カルナウバワックス、蜜蝋(白色または黄色)、ラノリンワックス、カンデリラワックス、オゾケライト、木蝋、パラフィンワックス、微結晶ワックス、セレシン、セテアリルエステルワックス、合成蜜蝋などが挙げられる。また、セテアリルアルコールまたは部分グリセリドとしての親水性ワックス。
【0192】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、真珠光沢ワックス、例えば、限定されないが、アルキレングリコールエステル、特にエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、特にココ脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;多価の非置換またはヒドロキシ置換カルボン酸の、6~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとのエステル、特に、酒石酸の長鎖エステル;脂肪物質、例えば、合計で少なくとも24個の炭素原子を有する、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテル、及び脂肪カーボネート、特に、ラウリル及びジステアリルエーテル;脂肪酸、例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、またはベヘン酸、12~22個の炭素原子を有するオレフィンエポキシドの、12~22個の炭素原子を有する脂肪アルコール及び/または2~15個の炭素原子及び2~10個のヒドロキシ基を有するポリオールとの開環生成物、ならびにこれらの混合物が含まれてもよい。
【0193】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、炭化水素油、例えば、限定されないが、鉱油(軽油または重油)、ワセリン(黄色または白色)、微結晶ワックス、パラフィン及びイソパラフィン化合物、ポリデセン及びポリブテンとしての水素化イソパラフィン分子、水素化ポリイソブテン、スクワラン、イソヘキサデカン、イソドデカン、ならびに植物及び動物界からの他のものが含まれてもよい。
【0194】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、シリコーンまたはシロキサン(有機置換ポリシロキサン)、例えば、限定されないが、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環式シリコーン、ならびに同様にアミノ、脂肪酸、アルコール、ポリエーテル、エポキシ、フッ素、グリコシド、及び/またはアルキル修飾シリコーン化合物が含まれてもよく、これらは室温で液体形態または樹脂形態のいずれかであり得る。直鎖ポリシロキサン、ジメチコン(Dow Corning 200 fluid、Rhodia Mirasil DM)、ジメチコノール、環式シリコーン液、シクロペンタシロキサン揮発性物質(Dow Corning 345 fluid)、フェニルトリメチコン(Dow Corning 556 fluid)。また、平均鎖長が200~300ジメチルシロキサン単位であるジメチコンと水素化ケイ酸塩との混合物であるシメチコンも好適である。加えて、Todd et al.による好適な揮発性シリコーンの詳細な調査は、Cosm.Toil.91,27(1976)に見ることができる。
【0195】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、乳化剤、例えば、限定されないが、カルボン酸及びそれらの塩:ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムのアルカリ石鹸、カルシウムまたはマグネシウムの金属石鹸、有機系石鹸、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸などを含んでもよい。アルキルホスフェートまたはリン酸エステル、酸性ホスフェート、ジエタノールアミンホスフェート、カリウムセチルホスフェート。エトキシル化カルボン酸またはポリエチレングリコールエステル、PEG-nアシレート。2~30モルのエチレンオキシド及び/または0~5モルのプロピレンオキシドから、12~22個の炭素原子を有する脂肪酸及びアルキル基中に8~15個の炭素原子を有するアルキルフェノールで分岐させた、8~22個の炭素原子を有する直鎖脂肪アルコール。脂肪アルコールポリグリコールエーテル、例えば、ラウレス-n、セテアレス-n、ステアレス-n、オレス-n。脂肪酸ポリグリコールエーテル、例えば、PEG-nステアレート、PEG-nオレエート、PEG-nココエート。モノグリセリド及びポリオールエステル。ポリオールとのエチレンオキシド1~30モルの付加生成物のC12-C22脂肪酸モノエステル及びジエステル。脂肪酸及びポリグリセロールエステル、例えば、モノステアレートグリセロール、ジイソステアロイルポリグリセリル-3-ジイソステアレート、ポリグリセリル-3-ジイソステアレート、トリグリセリルジイソステアレート、ポリグリセリル-2-セスキイソステアレート、またはポリグリセリルジメレート。複数のこれらの物質クラスからの化合物の混合物も好適である。脂肪酸ポリグリコールエステル、例えば、モノステアレートジエチレングリコール、脂肪酸及びポリエチレングリコールエステル、脂肪酸及びサッカロースエステル、例えば、スクロエステル、グリセロール及びサッカロースエステル、例えば、スクログリセリド。ソルビトール及びソルビタン、6~22個の炭素原子を有する飽和及び不飽和脂肪酸のソルビタンモノエステル及びジエステル、ならびにエチレンオキシド付加生成物。ポリソルベート-nシリーズ、ソルビタンエステル、例えば、セスキイソステアレート、ソルビタン、PEG-(6)-イソステアレートソルビタン、PEG-(10)-ソルビタンラウレート、PEG-17-ジオレエートソルビタン。グルコース誘導体、C8-C22アルキルモノ及びオリゴグリコシド、ならびにエトキシ化類似体であり、グルコースが糖成分として好ましい。O/W乳化剤、例えば、メチルグルセス-20セスキステアレート、ソルビタンステアレート/スクロースココエート、メチルグルコースセスキステアレート、セテアリルアルコール/セテアリルグルコシド。W/O乳化剤、例えば、メチルグルコースジオレエート/メチルグルコースイソステアレート。サルフェート及びスルホン化誘導体、ジアルキルスルホサクシネート、ジオクチルサクシネート、アルキルラウリルスルホネート、直鎖スルホン化パラフィン、スルホン化テトラプロピエンスルホネート、ナトリウムラウリルサルフェート、アンモニウム及びエタノールアミンラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ナトリウムラウレスサルフェート、スルホサクシネート、アセチルイソチオネート、アルカノールアミドサルフェート、タウリン、メチルタウリン、イミダゾールサルフェート。ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテルコポリマー及び誘導体、ジメチコン、コポリオール、シリコーンポリエチレンオキシドコポリマー、シリコーングリコールコポリマー。プロポキシ化またはPOE-nエーテル(Meroxapol)、Polaxamerまたはポリ(オキシエチレン)m-ブロック-ポリ(オキシプロピレン)n-ブロック(オキシエチレン)。分子内に少なくとも1つの四級アンモニウム基と少なくとも1つのカルボキシレート及び/またはスルホネート基を担持する両性イオン界面活性剤。特に好適な両性イオン界面活性剤は、ベタイン、例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、及び各々アルキルまたはアシル基に8~18個の炭素原子を有する2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、ならびにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネート、N-アルキルベタイン、N-アルキルアミノベタインである。アルキルイミダゾリン、アルキルペプチド、リポアミノアシド、自己乳化型塩基、及びK.F.DePolo,A short textbook of cosmetology,Chapter 8,Table 8-7,p 250-251に記載されている化合物。
【0196】
好適な非イオン性塩基としては、限定されないが、PEG-6蜜蝋(及び)PEG-6ステアレート(及び)ポリグリセリル-2-イソステアレート(及び)、グリセリルステアレート(及び)PEG-100ステアレート、PEG-5グリセリルステアレート、ソルビタンオレエート(及び)ポリグリセリル-3リシノレート、ソルビタンステアレート及びスクロースココエート、グリセリルステアレート及びラウレス-23、セテアリルアルコール及びセテス-20、セテアリルアルコール及びポリソルベート60及びPEG-150及びステアレート-20、セテアリルアルコール及びセテアリルポリグルコシド、セテアリルアルコール及びセテアレス-20、セテアリルアルコール及びPEG-40ヒマシ油、セテアリルアルコール及びPEG-40ヒマシ油及びナトリウムセテアリルサルフェート、ステアリルアルコール及びステアレス-7及びステアレス-10、セテアリルアルコール及びステアレス-7及びステアレス-10、グリセリルステアレート及びPEG-75ステアレート、プロピレングリコールセテス-3アセテート、プロピレングリコールイソセテス-3アセテート、セテアリルアルコール及びセテス-12及びオレス-12、PEG-6ステアレート及びPEG-32ステアレート、PEG-6ステアレート及びセテス-20及びステアレス-20、PEG-6ステアレート及びセテス-20及びグリセリルステアレート及びステアレス-20、グリセリルステアレート及びセテアレス-20が挙げられる。
【0197】
好適なアニオン性アルカリ塩基としては、限定されないが、PEG-2ステアレートSE、グリセリルステアレートSE、プロピレングリコールステアレートが挙げられる。アニオン酸塩基、例えば、セテアリルアルコール及びナトリウムセテアリルサルフェート、セテアリルアルコール及びナトリウムラウリルサルフェート、トリラネス-4ホスフェート及びグリコールステアレート及びPEG-2ステアレート、グリセリルステアレート及びナトリウムラウリルサルフェート。カチオン性酸塩基、例えば、セテアリルアルコール及びセトリモニウムブロミド。
【0198】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、アジュバント及び添加剤、例えば、限定されないが、界面活性剤、超脂化剤(super-fatting agent)、稠度調節剤、増粘剤、ポリマー、安定剤、生体活性成分、膨潤剤、更なるUV光保護因子、酸化防止剤、ヒドロトロープ剤、防腐剤、セルフタンニング剤、可溶化剤、香油、着色剤、細菌阻害剤などが含まれてもよい。
【0199】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、超脂化剤、例えば、限定されないが、ラノリン及びレシチン、ならびに同様にポリエトキシ化またはアセチル化ラノリン及びレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリド、及び脂肪酸アルカノールアミドが含まれてもよく、後者は同時に泡安定剤として作用する。
【0200】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、界面活性剤、例えば、限定されないが、脂肪アルコールポリグリコールエーテルサルフェート、モノグリセリドサルフェート、モノ及び/またはジアルキルスルホサクシネート、脂肪酸イセチネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、アルファ-オレフィンスルホネート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、及び/またはタンパク質脂肪酸縮合生成物が含まれてもよく、後者は、好ましくは、小麦タンパク質に基づく。
【0201】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、稠度調節剤/増粘剤及びレオロジー改変剤、例えば、限定されないが、二酸化ケイ素、マグネシウムシリケート、アルミニウムシリケート、多糖類またはそれらの誘導体、例えば、ヒアルロン酸、キサンタンゴム、グアーグアー、寒天、アルギネート、カラギーナン、ジェラン、ペクチン、または修飾セルロース、例えば、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれてもよい。加えて、網状アクリル酸及びポリアクリルアミドのポリアクリレートまたはホモポリマー、カルボマー(CARBOPOLタイプ980、981、1382、ETD2001、ETD2020、ULTREZ10)、またはSALCARE製品、例えば、SALCARE SC80(ステアレス-10アリルエーテル/アクリレートコポリマー)、Salcare SC81(アクリレートコポリマー)、Salcare SC91及びSalcare AST(ナトリウムアクリレートコポリマー/PPG-1トリデセス-6)、SEPIGEL 305(ポリアクリルアミド/ラウレス-7)、SIMULGEL NS及びSIMULGEL EG(ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー)、STABILEN 30(アクリレート/ビニルイソデカノエートクロスポリマー)、PEMULEN TR-1(アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー)、LUVIGEL EM(ナトリウムアクリレートコポリマー)、ACULYN 28(アクリレート/ベヘネス-25メタクレートコポリマー)など。
【0202】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤にはポリマー、例えば、限定されないが、アニオン性、両性イオン性、両性、及び非イオン性ポリマーが考慮され、例えば、ビニルアセテート/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマー、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリレートコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー及びそのエステル、架橋されていないポリアクリル酸及びポリオールで架橋されたポリアクリル酸、アクリルアミドプロピル-トリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メチルメタクレート-tert-ブチルアミノエチルメタクレート/2-ヒドロキシプロピルメタクレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクレート/ビニルカプロラクタムターポリマー、ならびに同様に任意選択で誘導体化されたセルロースエーテル及びシリコーンが含まれてもよい。更に、EP1093796(3~8ページ、段落17~68)に記載されているポリマーを使用してもよい。
【0203】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、酸化防止剤、例えば、限定されないが、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)及びその誘導体、ペプチド、例えば、D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン、及びその誘導体(例えば、アンセリン)、カロチノイド、カロテン、リコペン、及びその誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、及びグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、ラウリル、パルミトイル、オレイル、リノレイル、コレステリル、及びそれらのグリセリルエステル)、及び同様にそれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸、及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド、及び塩)、ならびに同様にスルホキシイミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-チオニンスルホキシイミン)、また(金属)キレート剤(例えば、ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸フィチン酸、ラクトフェリン)、ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EDDS、EGTA、及びその誘導体、不飽和脂肪酸及びその誘導体(例えば、リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びその誘導体、ユビキノン及びユビキノール及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体(例えば、アスコルビルパルミテート、マグネシウムアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート)、トコフェロール及び誘導体(例えば、ビタミンEアセテート)、ビタミンA及び誘導体(例えば、ビタミンAパルミテート)、ならびに同様にベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾエート、ルチン酸及びその誘導体、グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ、N-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]スルファニル酸(及びその塩、例えば、ジナトリウム塩)、セレン及びその誘導体(例えば、セレンメチオニン)、スチルベン及びその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、トランス-スチルベンオキシド)、ならびにこれらの前述した活性成分の本発明に従って好適な誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチド、及び脂質)が含まれてもよい。HALS(=「ヒンダードアミン系光安定剤(Hindered Amine Light Stabilizers)」)化合物も言及され得る。
【0204】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤としては、ヒドロトピック剤、例えば、限定されないが、エトキシ化されたまたはエトキシル化されていないモノアルコール、炭素原子数が少ないジオールまたはポリオールまたはそれらのエーテル(例えば、エタノール、イソプロパノール、1,2-ジプロパンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及び同様の製品)が含まれてもよい。その目的で考慮されるポリオールは、好ましくは、2~15個の炭素原子と、少なくとも2つのヒドロキシ基とを有する。ポリオールはまた、更なる官能基、特にアミノ基を含んでもよく、及び/または窒素で修飾されてもよい。典型的な例は、以下のとおりである:グリセロール、アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、及び同様に平均分子量が100~1000ダルトンのポリエチレングリコール;固有の縮合度が1.5~10の工業用オリゴグリセロール混合物、例えば、ジグリセロール含有量が40~50重量%の工業用ジグリセロール混合物;メチロール化合物、例えば、特に、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトール;低級アルキルグルコシド、特に、アルキルラジカル中の炭素原子が1~8個のもの、例えば、メチル及びブチルグルコシド;炭素原子が5~12個の糖アルコール、例えば、ソルビトールまたはマンニトール;炭素原子が5~12個の糖、例えば、グルコースまたはサッカロース;アミノ糖、例えば、グルカミン;ジアルコールアミン、例えば、ジエタノールアミンまたは2-1,3-プロパンジオール。
【0205】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、防腐剤、例えば、限定されないが、メチル-、エチル-、プロピル-、ブチル-パラベン、ベンザルコニウムクロリド、2-ブロモ-2-ニトロ-プロパン-1,3-ジオール、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、2-ジクロロ-ベンジルアルコール、DMDMヒダントイン、ホルムアルデヒド溶液、メチルジブロモグルタニトリル、フェノキシエタノール、ナトリウムヒドロキシメチルグリシネート、イミダゾリジニル尿素、トリクロサン、及び以下の参考文献に列挙されている更なる物質クラスが含まれてもよい。K.F.DePolo-A short textbook of cosmetology,Chapter 7,Table 7-2,7-3,7-4 and 7-5,p 210-219.
【0206】
ある特定の実施形態では、好適な薬学的に許容される賦形剤には、細菌阻害剤、例えば、限定されないが、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジン(1,6-ジ(4-クロロフェニル-ビグアニド)ヘキサン)、またはTCC(3,4,4’-トリクロロカルバニリド)が含まれてもよい。多数の芳香族物質及びエーテル油も抗菌特性を有する。典型的な例は、クローブオイル、ミントオイル、及びタイムオイル中の有効成分であるオイゲノール、メントール、及びチモールである。関心の天然消臭剤は、テルペンアルコールファルネソール(3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエン-1-オール)であり、これは、ライムブロッサムオイルに存在する。グリセロールモノラウレートも静菌剤であることが証明されている。
【0207】
他の薬学的に許容される賦形剤も、当業者によって認識されるように利用され得る。
【0208】
ある特定の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、組成物の総重量に基づいて、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、もしくは約50重量%のうちのいずれかから、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、もしくは約99重量%のうちのいずれかまでの範囲、またはその中の任意のサブ範囲もしくは単一の値の濃度で、本明細書に記載の医薬組成物中に(個別にまたは累積して)含まれてもよい。
【0209】
調製方法
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかを調製する方法を対象とする。ある特定の実施形態では、本方法には、治療有効量の本明細書に開示される化合物を、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることが含まれる。
【0210】
本明細書に記載の様々な組成物は、活性剤のためのカスタマイズされた放出プロファイル、例えば、限定されないが、即時放出プロファイル、制御放出プロファイル、遅延放出プロファイル、腸放出プロファイル、ゼロ次放出プロファイル、一次放出プロファイル、パルス放出プロファイル、体内のある特定の位置(胃腸管内の標的位置など)における標的放出などを有するように製剤化されてもよい。
【実施例
【0211】
化合物Aについて試験を実施する。この試験は、健康な対象における3期間無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験である。試験の主要目的は、低用量及び高用量のプロポフォールと併せた、低酸素及び高炭酸ガス状態下での低用量及び高用量の化合物A後の健康な参加者における化合物Aの安全性及び忍容性を決定することであった。試験の別の主要目的は、低用量及び高用量のプロポフォールと併せた、低酸素及び高炭酸ガス状態下での低用量及び高用量の化合物Aの換気応答を決定することであった。試験の副次的目的は、低用量及び高用量のプロポフォールと併せた、低酸素及び高炭酸ガス状態中の低用量及び高用量の化合物Aの心血管応答を決定することであった。本試験の別の副次的目的は、異なる換気状態下での、化合物A及びプロポフォールの投与後の換気応答を評価することであった。異なる換気状態とは、炭酸正常状態での低酸素及び高酸素曝露、続いて高炭酸ガス血症での同じシーケンスである。本試験は、医薬品の臨床試験の実施の基準に準拠して実施した。
本試験は、健康な男性及び女性の参加者における化合物Aの安全性、忍容性、呼吸器PD、及びPKを評価するための無作為化二重盲検プラセボ対照三方向クロスオーバー試験であった。対象に、無作為化の6週間前までに最初のスクリーニングを行った。最初の医学的スクリーニングに合格したら、対象を試験にスケジュールし、無作為化番号を与えた。
対象に、3つの別々の治療期間を受けさせた。これらの期間の各々において、低用量または高用量の化合物Aまたはプラセボを270分の期間にわたって連続的に灌流させた。各期間中、対象に、プラセボ-プロポフォール低用量-プロポフォール高用量という決まった順序で異なる静脈内プロポフォール投薬量またはプラセボを与えた。プロポフォールまたはプラセボの各治療セッションは70分である。各プロポフォール治療セッション中、低酸素症及び高炭酸ガス血症という異なる換気状態を適用する(図1)。
図1では、単一の評価期間が提示され、段階的な低酸素、高酸素、及び高炭酸ガスレジメンが色付きの線で示されている。各評価期間(すなわち、「ラン」)は、炭酸正常状態での低酸素/高酸素曝露、続く高炭酸ガス血症での1回の同じシーケンスで構成される。
合計12人の参加者が、プロトコルに従って計画された全ての治療を完了した。参加者に、投薬期間中、以下の治療を無作為な順序で施した。
・プラセボ+プラセボ/プロポフォール低/プロポフォール高/
・化合物A低+プラセボ/プロポフォール低/プロポフォール高
・化合物A高+プラセボ/プロポフォール低/プロポフォール高
対象を、投薬前の作業のために-1日目に治験実施施設に入院させ、適格性を再評価し、一晩滞在させた。各投薬日(1日目)に、対象を、少なくとも8時間の一晩の絶食後、午前(または午後早く)に試験施設の特別ユニットに移した。動脈経路を含む呼吸器及び心血管モニタリング/評価デバイスを配置した後、対象に半横臥位置をとらせ、対象が正常な呼吸パターンを再開するのに十分な時間を与えた。ベースライン評価が完了した後、全ての測定を評価スケジュールに従って実施した。
投薬日に全ての測定が完了したら、対象を一晩モニタリングし、退院(2日目)の前に、翌朝(試験治療の少なくとも12時間後)に評価した。長期間のケアが必要な場合(例えば、有害事象、鎮静の残存などに起因する)、対象を即時に退院させず、必要に応じて治療した。
治療の期間:参加は、以下のように分割したおよそ10週間であった。
・スクリーニング:初回投薬の42日前まで
・投薬日と投薬日との間におよそ7日(最低3)おいた各々3日の3回の治療期間及び試験評価期間を含めて、およそ21日の治療相
・最終投薬の7日後にフォローアップ
健康な成人対象を試験に選択した。
試験センターの研究薬剤師及び独立した統計学者は、化合物Aの治療に対して盲検化しない。
投与した治験治療
治験製品を以下のように調製した。化合物A 10mg/mLを50mLバイアルとして供給した(バッチ番号B210239)。乳酸リンゲル液中にある固定濃度の化合物A約0.8mg/mLの注入バッグを、LUMC治験薬局が薬局マニュアルに従って投薬用に調製した。化合物Aを、参加者の体重に基づいて270分の期間静脈内投与した。治験製品は、無作為化リストに従って各参加者に分注した。
負荷用量を、低用量及び高用量の両方について、2.0mg/kg/時間で、10分間(低用量)または20分間(高用量)投与し、続いて250~260分間の以下の連続注入を行って、合計注入時間が270分になるようにした。
・低用量は、10分間2mg/kg/時間、続いて260分間0.4mg/kg/時間の固定速度であり、または
・高用量は、固定速度2mg/kg/時間で20分間、続いて1.1mg/kg/時間hで250分間であった。
プロポフォールは、投薬/治療セッションごとに155分の期間にわたって投与し、これは、15分間の移行用量によって分けた2つの70分の低/高投薬レジメンで構成された。以下のように、10mg/mlの調製物からプロポフォールを注入した。
・低用量:239μg/kg/分で3分、0μg/kg/分で6分、24μg/kg/分で61分
・移行用量:47μg/kg/分で15分
・高用量:239μg/kg/分で3分、0μg/kg/分で6分、44μg/kg/分で61分
両方の製品は、IV注射用であり、無作為化スケジュールに従って、治験薬局によって対象ごとに使用する準備ができている滅菌製品として調製した。治療誘発性悪心を防止するために、参加者に、各試験日の投薬のおよそ15分前にオンダンセトロン4mgをIVで投与した。対照製品を調製するために、外観が治験製品と一致する、乳酸リンゲル液を含むプラセボ注入バッグを調製した(バッチ番号:21H28E8M、21F11E7C、及び21L10E3T)。このため、化合物Aの対応するプラセボは、化合物Aの希釈剤として使用された溶液からなる。注射用のプロポフォール10mg/mLを、注入の準備ができている滅菌製品として提供した(バッチ番号16QF1624及び16QG1950)。化合物A溶液は無色であり、その属性(希釈前及び注射のために混合されたとき)は、滅菌された通常の生理食塩水または乳酸リンゲル液に類似している。
試験の最初の6名の対象の全ての治療及び手順が完了した後に実施した。中間分析を裏付けるデータ(すなわち、PD及び安全性レポート)はアーカイブされる。分析には、盲検化された安全性(AE、BP、ECG)(必要に応じて非盲検化)が含まれ、PDパラメータには、換気測定値及びETCOが含まれる。PDは、治療のために非盲検化されるが、対象は非盲検化されない。最後の6名の対象の投薬は、中間分析に依存せず、並行して進行する。主要なPDエンドポイントは、低酸素感受性であり、これは、固定因子治療、状態及び状態別治療、ならびに無作為因子参加者、治療別参加者及び状態別参加者(プロポフォール状態及び換気状態の組み合わせ)による分散の混合モデル分析を用いて分析した。BISは、固定因子治療、時間、時間別治療、ならびにランダム因子参加者、治療別参加者及び時間別参加者、ならびに共変量としての前値(pre-value)による共分散の混合モデル分析を用いて分析した。一般的な治療効果及び特異的なコントラストを、推定差及び95%信頼区間、最小二乗平均推定値、ならびにp値により報告した。
個々の化合物A及びプロポフォールの血漿濃度を、線形軸及び対数y軸の両方を使用して、各化合物A治療期間についてパネルプロットに列挙し、プロットした。個々の血漿中の化合物A及びプロポフォール濃度を、化合物A治療期間及び時間によって要約し、また、標準偏差をエラーバーとして、経時的な平均として図で示した。サンプリング時間に関係なく、全ての血漿濃度試料を含む要約統計を提供した。個々のPKパラメータを、治療及びプロポフォール治療間隔ごとに要約し、ボックスプロットとして図で示した。
【0212】
参加者の性質
合計45名の参加者をスクリーニングし、14名の参加者を無作為化した。プロトコルに従って、12名の参加者を試験に登録すると計画した。2名の参加者が試験を中止したので(1名は最初の治療来院中に同意を撤回し、もう1名は最初の治療来院後に治験責任医師によって除外された)、補充した。これら参加者のデータは、安全性及びPD分析集団において使用したが、PKデータは、これらの参加者については得られなかった。試験に影響を及ぼした重要なプロトコル逸脱は特定されなかった。
【0213】
薬力学的評価
低酸素性換気感受性
低酸素感受性(飽和度低下%当たりのL/分単位での換気量)は、本試験の主要なPD転帰尺度であった。低酸素感受性は、頸動脈小体の活動のマーカーである。全ての参加者で、低酸素測定中に呼吸が増加した。これは、炭酸正常状態よりも高炭酸ガス血症中に概してより深刻であった。
【0214】
化合物Aの投与により、表1に示されるように、低酸素感受性に対する有意な治療効果が生じた(p<0.001)。この効果は、「期間」が有意ではないことによって示されように、来院とは無関係であり、「状態別の治療」が有意ではないことによって示されるように、2つの換気状態(すなわち、炭酸正常状態及び高炭酸ガス血症)と3つのプロポフォール投薬間隔との組み合わせによる影響を受けなかった。主な治療効果が有意であったため、化合物Aの低用量及び高用量対プラセボの別個の対比を計算した。これにより、化合物Aの低用量が、有意な治療効果に向かう傾向があったこと、及び化合物Aの高用量が有意であったことが示された。
【表1】
【0215】
図2から明らかなように、プロポフォールは、プラセボ注入中に低酸素感受性を低下させ、特にプロポフォール高用量中の高炭酸ガス血症の追加の影響を減弱させた。しかしながら、化合物Aの高用量の併用投与は、低酸素感受性をプロポフォール前の値と類似したまま維持するように見受けられた。また、高用量プロポフォール中の高炭酸ガス血症によって誘発される分時換気量の(生理学的)増加は、化合物A高用量群においてより顕著であった。
【0216】
換気パラメータ
低酸素測定中、図3に見られるように、全ての治療において、低酸素前のベースラインと比較して平均分時換気量が増加し、化合物Aの治療では、用量依存的な増加が観察された。この増加は、プロポフォールとの併用投与後に小さくなり、これは、プラセボ群及び化合物A低用量群で特に明白であった。プラセボ治療中、分時換気量は、高炭酸ガス状態下(すなわち、プロポフォールの併用投与なし)で最初の低酸素測定中に7.7L/分から25.9L/分に増加し、プロポフォール高用量投与中の低酸素/高炭酸ガス測定中に6.6L/分から13.7分に増加した。化合物Aの低用量による治療中、分時換気量は、高炭酸ガス状態下で最初の低酸素測定中に8.1L/分から30.3L/分に増加し、プロポフォール高用量投与中の低酸素/高炭酸ガス測定中に6.3L/分から15.0L/分に増加した。しかしながら、化合物Aによる治療中、分時換気量は、高炭酸ガス状態下で最初の低酸素測定中に8.5L/分から38.8L/分に増加し、プロポフォール高用量投与中の低酸素/高炭酸ガス測定中に8.4L/分から27.4L/分に増加したので、プラセボ治療後にプロポフォール前のレベルに対して類似の増加が維持された。参加者が低酸素に曝露されなかった場合、化合物Aによる治療中、分時換気量は増加しなかった。
【0217】
分時換気量は、呼吸当たりmL単位の1回換気量(図4)と分当たりの呼吸単位の呼吸数(図5)との複合であった。これら2つのパラメータでは、分時換気量と同じ傾向が観察されたので、換気の増加は、呼吸量の増加と1分当たりの呼吸数の増加との両方の結果であることが示された。呼吸数に関して、プラセボ及び化合物Aの低用量と比較した化合物Aの高用量の差は、低酸素前の時点でプロポフォール注入中に観察された。
【0218】
高炭酸ガス血症で別の低酸素測定を行うために、ETCO図6)を、各プロポフォール投薬間隔の第1の低酸素測定後に増加させた。化合物Aの低用量について記録された値は、プラセボ治療と同等であった。しかしながら、低酸素前の時点と低酸素及び高炭酸ガス血症中との両方で、化合物Aの高用量について記録された値は、プラセボと比較して低かった。統計分析計画ではETCOのための統計分析は定義されていなかったものの、治療間の差は、図6の要約グラフから明白であった。
【0219】
酸素飽和度SpOも測定し、これを図7に示した。SpOは、3つ全ての治療について低酸素前のベースライン時点で96.4%を超えたままであった。低酸素測定中、SpOは、プラセボ、化合物Aの低用量及び高用量で、それぞれ、80.4~84.3%、81.2~83.7%、80.4~84.2%の範囲であった。SpOは、治験責任医師が管理する吸入ガス混合物によって測定中に操作されたことを考慮すると、これは独立変数ではなく、むしろ測定がプロトコルに従って行われたことの確認と見なされた。
【0220】
薬力学的所見の要約
上記の試験から、(1)化合物Aが全ての、プラセボに対して、試験の主要PD転帰測定である低酸素感受性に有意な治療効果(p<0.0001)をもたらしたこと、(2)平均分時換気量が、全ての治療において低酸素測定中に増加し、化合物Aについては用量依存的な増加が観察されたこと、(3)低酸素測定中の増加が平均1回換気量及び呼吸数について全ての治療において観察され、分時換気量の増加が、これらのパラメータ両方の増加の結果であったと示されたこと、(4)化合物A高用量について記録された平均ETCO値が、化合物A低用量及びプラセボと比較して全ての時点で明らかに低かった(低酸素前の時点と低酸素及び高炭酸ガス血症中との両方)こと、(5)制御されたSpO値が、プロトコルに従って標的範囲内であったこと、(6)平均BIS値についての治療間の差が観察されなかったこと、(7)プラセボに対して化合物Aによる治療の後で心血管応答についての臨床的に有意な差は観察されなかったこと、ならびに(8)プラセボに対して化合物Aによる治療の後で動脈血液ガスについての臨床的に意義のある差は観察されなかったことが見出された。
【0221】
薬物動態評価
薬物動態試料を、IV注入の開始の24時間後まで測定した。濃度は、化合物Aの低用量及び高用量の10分及び20分のIV注入負荷用量の後、それぞれ、平均で857.000及び1162.833ng/mLの最大レベルに達した。したがって、濃度の急速な減少、続いて緩徐な増加が観察された。PKプロファイルの目視検査及びプロポフォール投与間隔当たりの平均濃度(図8)に基づくと、その後の260分及び250分の注入内では定常状態濃度に達しなかった。
【0222】
連続注入を停止した後、化合物Aの血漿濃度は急速に減少した。4時間30分後から、化合物Aの血漿中濃度は、双指数関数的な低下をたどった(図9及び10)。5時間で、動脈経路からの血液サンプリングを停止し、そこからは静脈試料を採取した。値は、両方の化合物A用量レベルについて、全ての参加者において、投与後24時間でLLOQを上回っていた。
【0223】
薬物動態パラメータを表2に示す。平均ピーク濃度は、注入の終了時に、化合物Aの低用量では4.260時間のtmax、及び化合物Aの高用量では3.965時間で生じた。平均(±SD)Cmaxは、化合物Aの低用量について467.9±68.20ng/mL、化合物Aの高用量について1557.5±437.02ng/mLであったことが観察され、平均(± SD) AUCinfは、それぞれ、2674.9±330.47及び8711.4±2422.64 ng*h/mLであった。化合物Aの高用量で到達した最高の個々のCmaxは2600ng/mLであり、化合物Aの高用量で到達した最高の個々のAUCinfは13763ng*h/mLであった。平均化合物A濃度は、プロポフォール投薬間隔の増加に伴って増加した(すなわち、30~100分でプロポフォールなし、115~185分で低プロポフォール、及び200~270分で高プロポフォール)。化合物Aの低用量の平均濃度は、それぞれ、323.41、359.75、及び427.54ng/mLであり、化合物Aの高用量の平均濃度は、それぞれ、971.79、1206.27、及び1412.28ng/mLであった。化合物Aの低用量及び高用量の幾何平均Cav30-270min(30~270分中の平均動脈血漿ENA-001濃度)は、それぞれ、366.40及び1161.69ng/mLであった。増加は、プロポフォール用量に関連するものではなく、むしろ定常状態に達していなかったという事実に関連していると考えられた。
【0224】
平均見かけ終末t1/2の範囲は、化合物Aの低用量群及び高用量群で類似していた(それぞれ、3.00~6.99及び3.39~8.40時間)。CVが39.5%であったtminを除き、CVが25%未満であることによって示されるように、化合物Aの低用量の全てのPKパラメータで低い変動性が観察された。CVが82.1%であったtminを除き、化合物Aの高用量の全てのパラメータで低~中程度の変動性(21.1~36.2%の範囲のCV)が観察された。平均tminは、化合物Aの低用量で1.201時間、化合物Aの高用量で1.133時間であった。3時間20分の時点でスケジュールされた試料は、トイレ休憩のために注入が数分間一時的に中断された後、化合物Aの高用量中に参加者6で計画よりも遅く採取された。これにより、化合物Aの血漿濃度は、その時点で予想されるよりも明らかに低くなった。
【0225】
調査した投薬範囲にわたるPKの用量比例性は、AUCint及びCavの用量正規化値に基づいて明らかであった。化合物Aの注入に関連するPKパラメータに基づいて、化合物A間の明らかな相互作用は観察されなかった。
【表2】
【0226】
化合物Aの薬物動態結果の要約
上記の試験から、(1)化合物Aの血漿濃度が双指数関数的低下をたどり、低及び高化合物A用量の終末t1/2が明らかであった(低用量及び高用量について、それぞれ、3.00~6.99及び3.39~8.40時間の範囲)、(2)血漿濃度が時間とともに増加し、およそ3.965時間でピークに達し、平均(± SD)ピーク濃度が、高用量レベルで1557.5±437.02ng/mLであったこと(20分間で2mg/kg/時間、続いて250分間で1.1mg/kg/時間)、(3)8711.4±2422.64 ng*h/mLの平均(±SD)AUCinfが、試験した最高用量レベルで到達されたこと、(4)化合物Aの低用量及び高用量の幾何平均Cav30-270min(30~270分の間の平均動脈血漿中化合物A濃度)が、それぞれ、366.40及び1161.69ng/mLであったこと、(5)平均化合物A濃度が、プロポフォールの投薬間隔の増加に伴って増加し、化合物Aの低用量については、それぞれ、323.41、359.75、及び427.54ng/mLであり、ENA-001の高用量については、それぞれ、971.79、1206.27、及び1412.28ng/mLであったこと、(6)PKの用量比例性は調査した投薬範囲にわたって明らかであり、Cmax分布における低レベルから中等レベルの個体間変動性、及び排出相が観察されたこと、ならびに(7)化合物A濃度に対するプロポフォールの明らかな影響は観察されなかったことが見出された。
【0227】
薬物動態結果 プロポフォール
プロポフォールの薬物動態学結果も試験し、以下を見出だした。(1)血漿濃度が時間とともに増加し、プラセボならびに化合物Aの低用量及び高用量の注入中、それぞれ、1880.8±265.45、2534.2±1192.34、及び2620.0±1093.86ng/mLの平均(±SD)濃度でピークに達したこと、(2)プロポフォールの幾何平均Cav115-185min及びCav200-270min(それぞれ、平均動脈血漿濃度 during 115~185分のプロポフォール低用量の間隔及び200~270分のプロポフォール高用量の間隔)が、それぞれ、452.62~559.80及び1525.12~1862.45ng/mLの範囲であったこと、(3)4599.1±547.80、5745.9±1181.39、及び6151.6±1166.70ng*h/mLの平均AUClastが、それぞれ、プラセボならびに化合物Aの低用量及び高用量の注入中に到達されたこと、(4)血漿濃度の用量比例よりも大きい増加が、調査した投薬範囲にわたって明らかであり、分布及び排出相の個人間変動のレベルが低かったことが観察されたが、Cmaxの個人間変動のレベルは高かったことが化合物Aとの併用投与中に観察されたこと、ならびに(5)プロポフォール血漿濃度が、プラセボ注入中と比較して化合物Aの注入中により高い傾向があったが、投薬レベルの明らかな影響が観察されなかったこと。
【0228】
曝露:
【0229】
合計12名の参加者を、方法論に記載するように、連続注入として270分間投与した2つの用量レベルの化合物Aに曝露した。これらの12名の参加者は、プラセボ治療にも曝露した。2名の中止した参加者は、高用量の化合物Aのみに曝露した者であり、1名の参加者は97分後に治療を中止し、もう一方の参加者は最初の治療来院を完了したものの、その後、プロポフォールへの反応を理由に除外された。
【0230】
このことから、化合物Aは、この試験で投与した2つの用量レベルで、健康な参加者において安全であり、十分に忍容性があると結論付けられた。化合物Aによる治療は、臨床的に関連性のある血漿濃度のプロポフォールを併用投与する場合もしない場合も、プラセボと比較して低酸素感受性を増加させた。また、化合物Aの投与は、BISによって測定して、プロポフォール誘発性鎮静のレベルに影響を与えなかった。
【0231】
本試験から、化合物Aは、プラセボに対して、試験の主要PD転帰尺度である低酸素感受性に有意な治療効果(p<0.0001)をもたらしたことが見出された。追加的に、平均分時換気量が、全ての治療において低酸素測定中に増加し、化合物Aについては用量依存的な増加が観察された。低酸素測定中の増加が、平均1回換気量及び呼吸数について全ての治療において観察され、分時換気量の増加が、これらのパラメータ両方の増加の結果であったことが示された。また、化合物Aの高用量について記録された平均ETCO2値は、化合物Aの低用量及びプラセボと比較して、全ての時点で明らかに低かった(低酸素前の時点と低酸素症及び高炭酸ガス血症中との両方で)。また、制御されたSpO2値が、プロトコルに従って標的範囲内であったことも見出された。平均BIS値については、治療間の差は観察されなかった。プラセボに対して、化合物Aによる治療後、心血管応答の臨床的に意義のある差は観察されなかった。プラセボに対して、化合物Aによる治療後、動脈血液ガスの臨床的に意義のある差は観察されなかった。
【0232】
試験治療に対する応答の評価
本試験の主な目的は、低用量及び高用量のプロポフォールと併せた、低酸素及び高炭酸ガス状態下での低用量及び高用量の化合物A後の健康な参加者における化合物A注入の安全性、忍容性、及び換気応答を決定することであった。
【0233】
提示する安全性データは、化合物Aが、本試験で投与した2つの用量で健康な参加者において良好な安全性及び忍容性プロファイルを有することを示した。本試験では、治療関連SAEは発生しなかった。化合物Aを用いた以前の試験に基づいて予想された軽度の注入部位の疼痛及び関連する事象を除いて、AEの傾向は記録されなかった。静脈炎を発症した唯一の参加者は、プラセボを受けていた。追加的に、以前の試験では悪心が化合物Aの投与と関連付けられていたことを考慮して、全ての参加者に、各治療期間の開始前にIVオンダンセトロンを与えた。結果として、化合物Aの高用量を与えた参加者において、化合物Aの治療におそらく関連する軽度の悪心の一度きりの発生しか記録されなかった。いずれの他の安全性パラメータにおいても、治療間の臨床的に有意な差は特定されなかった。
【0234】
本試験の主要なPDエンドポイントは、SpOの減少の関数としての分時換気量の増加によって定義される低酸素感受性であった(Δ換気/Δ飽和=飽和度低下%当たりのL/分単位での低酸素感受性)。要約グラフは、低酸素症の結果としての血中酸素レベルの減少及び高炭酸ガス測定中のETCOの増加が、プロトコルに従って標的とされたものであったことを示した。予想どおり、プロポフォール注入の結果として、低酸素感受性の減少が観察された。1.1mg/kg/時間の化合物A(高用量)の併用投与により、低酸素感受性が有意に増加し、プロポフォール前の値と類似したまま維持された。化合物Aの低用量及び高用量を別々に分析すると、低用量は有意な効果に向かう傾向があったが、高用量のみがプラセボに対して統計的に有意な結果をもたらした。このことは、化合物Aの低用量(0.4mg/kg/時間)が分時換気量に対して刺激効果を示さなかった/最小限しか示さなかったという以前の試験(McLeod et al.,2014)、一方で、化合物Aの高用量(1.1mg/kg/時間)は、健康な参加者において明確な換気刺激を生じさせ、アルフェンタニル誘導性換気抑制を有意に減退させたという以前の試験(Roozekrans et al.,2014)からのデータに基づいて予想され得たものである。
【0235】
重要なことに、分時換気量が低酸素測定中にのみ増加したという所見により、投与された用量の化合物Aは、室内空気の呼吸中に過換気をもたらさなかったことが示した。化合物Aの投与により、酸素飽和度低下に対する換気反応のみが強化された。
【0236】
加えて、各低酸素測定前のETCOの低い値は、プラセボ及び化合物Aの低用量と比較して、化合物Aの高用量について一貫して観察された。およそ3mmHgの差は臨床的に意義がないかもしれないが、これらのデータは、呼吸刺激に起因する代謝双曲線にわたるシフトが生じたことを示唆し、これは、依然として分時換気を増加させることなくETCOが減少したことに反映される。
【0237】
明確な換気応答にもかかわらず、化合物Aの投与は、鎮静麻酔に匹敵する臨床的に関連性のある用量のプロポフォールの投与後、BISによって測定して、プラセボと比較して覚醒において有意な差をもたらさなかった。言い換えると、プロポフォールの鎮静レベルは、標的血漿濃度で予想されたとおりであり、治療間で明らかな差は観察されなかった。更に、治療間で心血管応答の臨床的に意義のある差は観察されなかった。これらの所見は、目標が他の投与された薬物の効果に影響を与えない換気応答である、臨床現場での化合物Aの使用事例を支援する。
【0238】
現試験における注入レジメンは、それぞれの投薬間隔中に安定した化合物A及びプロポフォール(低用量及び高用量)濃度を維持するように設計した。化合物AのPKは、調査した投薬範囲にわたって用量比例性を示し、曝露レベルは、本試験の準備中に行ったPKモデリングに基づいて、標的範囲内であった。Cmax、分布、及び排出相における個人間変動のレベルは低かったことが観察された。しかしながら、化合物Aは定常状態に達さず、連続注入中、注入が停止されるまで濃度が増加した。血漿濃度の差は、安全性パラメータには反映されず、化合物Aの換気応答は、治療期間全体で明白であった。化合物A濃度に対するプロポフォールの明らかな影響は観察されなかった。
【0239】
化合物Aの血漿中濃度とPD応答との関係は、別のPK-PDモデリングレポートに更に記載する。
【0240】
プロポフォール投薬レジメンは、プロポフォールの低用量及び高用量中にそれぞれ600及び1200ng/mLの血漿濃度を標的とする、標的制御注入ポンプによる注入をシミュレートするように設計した。低用量注入中の血漿濃度は、標的濃度に類似していたが、高用量は、標的濃度を超過する血漿濃度を生じさせた。調査した投薬範囲にわたるプロポフォールPKの用量比例性は明らかではなく、高用量注入中に比較的高い血漿濃度が記録された。これらのより高いプロポフォール血漿濃度にもかかわらず、換気に対する化合物Aの効果は有意であったことに留意されたい。
【0241】
本試験から、化合物Aは、本試験で投与した2つの用量レベルで、健康な参加者において安全であり、十分に忍容性があると結論付けることができる。化合物Aによる治療は、臨床的に関連性のある血漿濃度のプロポフォールを併用投与する場合もしない場合も、プラセボと比較して低酸素感受性を増加させた。化合物Aの投与は、BISによって測定して、プロポフォール誘発性鎮静のレベルに影響を与えなかった。
【0242】
説明を簡潔にするために、本開示の方法の実施形態は、一連の行為として描写され、説明される。しかしながら、本開示に従った行為は、様々な順序で及び/または同時に、ならびに本明細書に提示も記載もされていない他の行為とともに行うことができる。更に、開示の主題に従って方法を実装するために、全ての例示される行為が必要とされるわけではない。加えて、当業者であれば、本方法が、状態図または事象を介して一連の相互に関連する状態としてあるいは表され得ることを理解、認識する。
【0243】
上記の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、特定の材料、寸法、プロセスパラメータなどの多くの具体的な詳細が述べられている。特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせられてもよい。「例」または「例示的な」という語は、本明細書では、例(example)、実例(instance)、または実例(illustration)として機能することを意味するように使用される。本明細書に「例」または「例示的な」として記載されるいかなる態様または設計も、必ずしも、他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。むしろ、「例」または「例示的な」という語の使用は、具体的な様式で本概念を示すことを意図している。本出願で使用される場合、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく包含的な「または」を意味するように意図される。つまり、別様に指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」とは、あらゆる自然な包括的置換を意味するように意図される。つまり、XがAを含む場合、XがBを含む場合、またはXがAとBの両方を含む場合には、「XはAまたはBを含む」は、上記の実例のいずれのもとでも満たされる。「実施形態(an embodiment)」、「ある特定の実施形態(certain embodiments)」、または「一実施形態(one embodiment)」に対する本明細書全体での言及は、その実施形態と関係して記載される特定の機能、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このため、本明細書全体の様々な箇所で出現する語句「実施形態」、「ある特定の実施形態」、または「一実施形態」は、必ずしも全て同じ実施形態を言及しているわけではない。
【0244】
本発明を、その特定の例示的な実施形態を参照して説明してきた。したがって、明細書及び図面は、限定する意味ではなく例示的なものと見なされる。本発明の様々な改変形態が、本明細書に示され記載されたものに加えて当業者には明らかとなり、これらは添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
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【国際調査報告】