(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】大穿孔血管閉鎖システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61B17/00 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525782
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2022079846
(87)【国際公開番号】W WO2023072972
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524158438
【氏名又は名称】スピオラド メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オマリー,ジュディ
(72)【発明者】
【氏名】アーノス,サメール
(72)【発明者】
【氏名】ノーラン,ロイジン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD52
4C160DD62
4C160MM33
4C160NN04
4C160NN11
(57)【要約】
大穿孔血管外閉鎖システムが、貫通管腔(23)と、アクチュエータ(24)を含んでなるハンドル(31)とを有するイントロデューサ装置(20)と、遠位端(6)、近位端(7)、装置の軸方向圧縮時に外方に屈曲するように構成された腰区画(9)を含んでなる側壁区画(8)、および貫通管腔(10)を有する流体不透過性閉塞装置(1)と、注入可能な充填剤材料とを含んでなる。閉塞装置(11)は、イントロデューサ装置(1)の管腔(2)内に嵌合するように閉塞装置を寸法決めする伸長した送達構成と、半径方向外方に閉塞装置の腰区画を拡大させる蹲踞状姿勢の展開された構成とから調整されるように構成されている。この装置は、イントロデューサ装置のアクチュエータ(24)を閉塞装置(1)の遠位端(4A,31)に作動可能に接続する制御ワイヤ(40)を含んでなり、アクチュエータは、作動時に制御ワイヤを近位に引っ張って閉塞装置を展開するように構成されている。閉塞装置(1)、制御ワイヤ(40)および注入可能な充填剤材料は生体吸収性である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通管腔(23)と、アクチュエータ(24)を含んでなるハンドル(31)とを有するイントロデューサ装置(20)と;
遠位端(4A,31)と、近位端(4B,30)と、装置の軸方向圧縮時に外方に屈曲するように構成された腰区画を含んでなる側壁区画と、貫通管腔(6)とを有する生体吸収性閉塞装置(1)であって、前記イントロデューサ装置(20)の貫通管腔(23)内に嵌合させるように前記閉塞装置を寸法決めする伸長した送達構成と、前記閉塞装置の腰区画を半径方向外方に拡大させる蹲踞状姿勢の展開された構成とから調整されるように構成された閉塞装置と;
前記イントロデューサ装置のアクチュエータ(24)を前記閉塞装置(1)の遠位端(4A,31)に作動可能に接続する生体吸収性制御ワイヤ(40)であって、前記アクチュエータが作動時に前記制御ワイヤを近位に引っ張って前記閉塞装置を展開するように構成された制御ワイヤと;
展開時に前記閉塞装置の中空管腔内に注入するように構成された、生体吸収性である注入可能な充填剤材料と、
を含んでなる、血管の近位にある大穿孔組織管を閉塞する大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項2】
前記注入可能な充填剤材料が熱応答性である、請求項1に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項3】
前記イントロデューサ装置の貫通管腔を通って延在して、前記生体吸収性閉塞装置が展開される場合には、前記注入可能な充填剤材料を前記生体吸収性閉塞装置の貫通管腔内に送達するように構成された送達導管を含んでなるシリンジ装置を含んでなる、請求項1または2に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項4】
前記シリンジ装置の送達導管が、前記送達導管の内側に前記注入可能な充填剤材料が粘着しようとするのを阻害すように構成された非粘着性コーティングを含んでなる、請求項4に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項5】
前記生体吸収性閉塞装置の側壁区画が、開口した枠組みを有する側壁区画を提供する複数の支柱を含んでなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項6】
前記複数の支柱が、前記生体吸収性閉塞装置の長手方向軸の周りに配置される、請求項5に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項7】
前記生体吸収性制御ワイヤ(40)が、前記閉塞装置(1)の近位端(30)の近位開口部(33)を通って、そして閉塞装置の遠位端(31)の遠位開口部(34)を通って延在しており、前記遠位または近位の開口部を通過できないアンカー構成要素(43)と、前記遠位または近位の開口部を通って摩擦嵌合するように寸法決めされた制動構成要素(44)とを含んでなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項8】
前記閉塞装置が伸長した送達構成にある場合に、前記閉塞装置(1)の両端の中間の前記生体吸収性制御ワイヤ(40)上、これに沿って離間させて配置された複数の制動構成要素(44)を含む、請求項7に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項9】
前記アンカー構成要素(43)が、前記遠位開口部(34)から遠位または前記近位開口部(33)から近位に前記制御ワイヤ(40)上に配置され、前記遠位開口部を通過できないようにして寸法決めされた、請求項7または8に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項10】
前記閉塞装置の遠位端(31)が二つの遠位開口部(34)を含んでなり、前記装置の近位端(30)が二つの近位開口部(33)を含んでなり、前記制御ワイヤ(40)が前記近位開口部の第1のものを通って延在し、前記装置の遠位端の前記両遠位開口部を通ってループをなし、前記近位開口部の第2のものを通って延在する、請求項7から9のいずれか一項に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項11】
前記イントロデューサ装置のアクチュエータ(24)と前記閉塞装置(1)の遠位端(4A,31)とを接続する複数の制御ワイヤ(40)を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項12】
前記制御ワイヤ(40)が閉ループである、請求項1から11のいずれか一項に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項13】
前記アクチュエータ(24)がロータであり、前記制御ワイヤ(40)がロータに取り付けられ、これによって、前記ロータの回転が前記制御ワイヤを前記イントロデューサ装置に対して相対的に移動させる、請求項1から12のいずれか一項に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項14】
前記大穿孔サイズの範囲を表示する、前記ロータの円周上に配置された目盛り付きスケールを、前記ロータが含んでなる、請求項13に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項15】
展開時に半径方向外方に折りたたまれるように構成された各伸長した支柱(5)の両端(7,8)の中間に配置された外方への屈曲ゾーン(9)によって前記側壁の腰区画が形成される、請求項1から14に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項16】
伸長した支柱(5)の各々が、展開中に半径方向外方に前記支柱の隣接区画が湾曲するのを可能にするように構成された、支前記柱の各端(7,8)に配置された内方への屈曲ゾーンを含んでなる、請求項15に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項17】
前記閉塞装置が、送達構成において4.0mmから12.0mmの長さ、および展開された構成において0.5mmから4.0mmの長さを有し、ならびに送達構成において4.0mmから12.0mmの最大直径、および展開された構成において8.0mmから8.7mmの最大直径を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項18】
前記イントロデューサ装置が、貫通管腔を収容する遠位導管と、外側の後退可能なシースであって、閉塞装置を受け入れる空間を提供する遠位導管の遠位端から遠位に外側の後退可能なシースの遠位端を延在させる送達構成と、前記外側の後退可能なシースを遠位に後退させて前記閉塞装置を組織管の周囲壁に露出させる展開構成とから、前記遠位導管に対して相対的に軸方向に調節されるように構成されたシースとを含んでなる、請求項1から17のいずれか一項に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項19】
前記イントロデューサ装置が、前記貫通管腔を収容する遠位導管と、少なくとも一本の制御ワイヤを収容する一つまたは複数の制御ワイヤ管腔とを含んでなる、請求項1から18のいずれか一項に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項20】
前記遠位導管が、各制御ワイヤの下降部分用の第1の制御ワイヤ管腔と、各制御ワイヤの上昇部分用の第2の制御ワイヤ管腔とを含んでなる、請求項19に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項21】
前記閉塞装置を展開し固定した後に前記制御ワイヤを切断できるように制御ワイヤ管腔へのアクセスを可能にする窓を、前記イントロデューサ装置が含んでなる、請求項19または20に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【請求項22】
前記閉塞装置の遠位端が、前記側壁区画の遠位端の半径方向外方に延在する周辺フランジ区画を有し、前記遠位端または前記周辺フランジ区画が変形可能な材料を含んでなる、請求項1から21のいずれか一項に記載の大穿孔血管外閉鎖システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大穿孔血管閉鎖システムに関する。
【背景技術】
【0002】
経皮的な医療手技では、血管壁に開口が形成され得て、医療装置の挿入を可能にし、この装置を、処置される部位まで血管を通って移動させることができる。例えば、血管への最初のアクセスが得られた後に医療装置を、患者の皮膚または表皮の間に形成された組織管から下部へ皮下組織を通して、血管に形成された開口に挿入し得る。次いで医療装置を、血管を通って処置部位までナビゲートする。
【0003】
手技が完了すると、血管内に導入された医療装置または他の器具を、血管を通して血管壁の開口から外に、そして組織管を通して外に後退させ得る。医師または他の医療技術者は、血管内の開口および/または表皮や皮下組織の中に形成された組織管の閉鎖を試みるという難題に直面する。血管および/または組織管の開口を閉鎖するために、いくつかの異なる装置構造、組み立て体、および方法が公知であり、それぞれ特定の利点および欠点を有している。代替の医療装置、ならびに医療装置を製造および/または使用する代替の方法を提供する必要性が現状存在している。
【0004】
現在市場に出ている閉鎖装置は、全サイズの要件を包含するようには拡張されていない。また、合併症の発生率は、大および小(12%~29%)であって、使い勝手に問題があることが知られており、その結果、手技ごとに多くの装置が使用されることが多くなっている。止血に課題がある結果、出血が生じ、また血管内装置に起因する塞栓のリスクがある結果、急性四肢虚血のリスクや四肢喪失を生じ、結果として即時の外科的エスカレーションと介入を招くことが多い。
【0005】
本発明は、上に言及された問題の少なくとも一つを克服することを対象としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は、塞栓のリスクを回避する、完全に血管外にある大穿孔閉鎖システムを提供することによって、従来技術の問題に対処した。このことは、血管内の開口から近位の組織管内で展開されるように構成された閉塞装置であって、展開時にはその装置のいかなる部分も血管内に配置されないようにした閉塞装置を提供することによって実現される。閉塞装置は、伸長した送達構成から、装置を組織管内に固定する、展開され蹲踞状姿勢の半径方向に拡大された構成まで、半径方向に調節可能である。典型的には、生体吸収性の注入可能な充填剤材料が、貫通管腔を閉塞する閉塞装置の管腔内への注入用に提供される。充填剤材料は、展開された構成を閉塞装置が維持するのを助け、また閉塞装置の側壁を通って漏れ出て組織管の壁に接着して、展開された閉塞装置を定位置に固定するのを助ける。装置は概して、この装置が軸方向に圧縮される場合に半径方向外方に拡大するように構成された腰区画を含んでなる。この装置は、半径方向に拡大する特徴に起因して、例えば12Fから26Fまでの様々な穿孔サイズの組織管への使用に適応可能である。よって、本発明の大穿孔血管閉鎖システムは、塞栓を引き起こすいずれのものをも動脈内に有さないことによってリスクを減少させ、さらには、市場に出ている最大の経皮アクセス装置によって生じた組織管を閉鎖するためにも採用することができる。一実施形態では、このシステムは、閉塞装置を組織管内に送達するように構成されたイントロデューサ装置と、閉塞装置を組織管内で展開するように構成された制御ワイヤ(例えば、縫合糸)を含んでなる閉塞装置展開システムとを含んでなる。イントロデューサ装置は概して、ガイドワイヤを受け入れる、そして展開された閉塞装置の管腔内に、注入可能な充填剤材料を送達可能にする、貫通管腔を含んでなる。制御ワイヤは、この制御ワイヤの後退によって閉塞装置の展開が実現されるようにして、閉塞装置に結合され得る。展開システムは、イントロデューサ装置に結合された、そして作動時に制御部を後退させるように構成された、アクチュエータを含んでなり得る。アクチュエータはロータであり得る。アクチュエータは、イントロデューサ装置のハンドルに結合され得る。制御ワイヤは、装置の遠位端に取り付けられ得て、これにより、制御ワイヤの後退によって、装置の遠位端を装置の近位端に引き寄せて装置を展開する。制御ワイヤはまた、装置の近位端内の開口部を通って装置内に延在し得る、遠位端内の両開口部を通ってループをなし得る、そして装置の近位端内の第2の開口部を通って装置から外に延在し得る。制御ワイヤは概して、少なくとも一つのアンカー構成要素(例えば、ビーズ)と、少なくとも一つの摩擦嵌合制動構成要素(例えば、ビーズ)とを含み、これらの構成要素は制御ワイヤ上に設けられて、制御ワイヤの後退時に装置を蹲踞状姿勢の半径方向に拡大した構成に展開すること、そしてその展開された構成に維持することを可能にする。
【0007】
第1の態様では、本発明は:
貫通管腔と、随意にアクチュエータを含んでなるハンドルとを有するイントロデューサ装置と;
遠位端と、近位端と、側壁区画(典型的には、装置の軸方向圧縮時に外方に屈曲するように構成された腰区画を含んでなるもの)と、貫通管腔とを有する閉塞装置であって、イントロデューサ装置の管腔内に嵌合するように閉塞装置を寸法決めする伸長した送達構成と、閉塞装置の腰区画を半径方向外方に拡大させる蹲踞状姿勢の展開された構成とから調整されるように構成された閉塞装置と、
を含んでなる、大穿孔血管外閉鎖システムを提供する。
【0008】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置の貫通管腔は、少なくとも0.5mm、例えば0.5mmから2.0mmまたは0.5mmから1.5mmの直径を有する。
【0009】
いずれの実施形態でも、制御ワイヤは縫合糸、例えば生体吸収性縫合糸である。
【0010】
いずれの実施形態でも、生体吸収性閉塞装置の側壁区画は、開口した枠組みを有する。これにより、注入可能な充填剤材料が閉塞装置から漏れ出て組織管の壁に接着し、閉塞装置を定位置に固定するのを助けることが可能になる。
【0011】
いずれの実施形態でも、生体吸収性閉塞装置の開口した枠組みは、複数の支柱を含んでなる。
【0012】
いずれの実施形態でも、複数の支柱は、生体吸収性閉塞装置の長手方向軸の周りに配置される。
【0013】
いずれの実施形態でも、複数の支柱は、装置の近位端と遠位端との間に延在する。
【0014】
いずれの実施形態でも、システムは、イントロデューサ装置のアクチュエータと閉塞装置の遠位端とを動作可能に接続する制御ワイヤを含んでなり、アクチュエータは、作動時に制御ワイヤを近位に引っ張って閉塞装置を展開するように構成される。
【0015】
いずれの実施形態でも、閉塞装置および/または制御ワイヤは生体吸収性である。
【0016】
いずれの実施形態でも、システムは、イントロデューサ装置のアクチュエータと閉塞装置の遠位端とを接続する複数の制御ワイヤを含んでなる。
【0017】
いずれの実施形態でも、制御ワイヤは、装置の展開の釣り合いをとるために、閉塞装置に対称になるようにして接続される(例えば、反対側に接続される)。
【0018】
いずれの実施形態でも、制御ワイヤは、閉塞装置の近位端の近位開口部を通って、そして閉塞装置の遠位端の遠位開口部を通って、延在している。
【0019】
いずれの実施形態でも、近位開口部は遠位開口部より小さい。
【0020】
いずれの実施形態でも、制御ワイヤは、遠位または近位の開口部を通過できないアンカー構成要素(例えば、第1のビーズ)を含んでなる。このアンカーは、閉塞装置の外側で制御ワイヤ上の位置にあり得て、制御ワイヤが近位に引っ張られる場合に閉塞装置の端に負荷をかけ得る。アンカー構成要素は、制御ワイヤ上のビーズ、または結び目、または他の適切な形成物であり得る。アンカー構成要素は概して、開口部を通過できないように開口部に対して充分に大きい。
【0021】
いずれの実施形態でも、制御ワイヤは、遠位または近位の開口部に摩擦嵌合するように寸法決めされた制動構成要素(例えば、第2のビーズ)を含んでなる。制動構成要素は、装置の遠位端または近位端、概して近位端の開口部に摩擦嵌合するように寸法決めされる。制動構成要素と開口部の寸法は、制御ワイヤを引っ張ることによって開口部に制動装置を強制的に通すことができるようにして、しかし制御ワイヤが解放される場合には、展開された装置にかかる張力が、開口部を通して制動構成要素を引き戻すには充分でないようにして、選択される。よって、制御ワイヤを引いて閉塞装置を展開し緊張させることができ、制動構成要素は、それが解放されない限り、また解放されるまで、展開された構成に閉塞装置を維持することになる。制御ワイヤは、例えば二つから六つまたは三つから五つの複数の制動構成要素を含み得る。
【0022】
いずれの実施形態でも、システムは、閉塞装置が伸長した送達構成をとっている場合には、閉塞装置の両端の中間の制御ワイヤ上に配置された複数の第2のビーズ構成要素を含んでなる。
【0023】
一実施形態では、第1のビーズ構成要素は、遠位開口部から遠位に制御ワイヤ上に配置されており、遠位開口部を通過できないようにして寸法決めされる。この実施形態は、
図7Aおよび7Bに例示されている。
【0024】
別の実施形態では、閉塞装置の遠位端は二つの遠位開口部を含んでなり、装置の近位端は二つの近位開口部を含んでなり、この場合、制御ワイヤは、近位開口部の第1の開口部を通って延在し、装置の遠位端の両遠位開口部を通ってループをなし、近位開口部の第2の開口部を通って延在する。
【0025】
いずれの実施形態でも、第1のビーズ構成要素は、近位開口部から近位に制御ワイヤ上に配置され、遠位開口部を通過できないようにして寸法決めされる。この実施形態は、
図8から11に例示されている。
【0026】
いずれの実施形態でも、アクチュエータはロータであり、制御ワイヤはロータに取り付けられ、これによりロータの回転が、イントロデューサ装置に対して相対的な制御ワイヤの移動を生じる。
【0027】
いずれの実施形態でも、制御ワイヤは閉ループである。
【0028】
いずれの実施形態でも、制御ワイヤは、アクチュエータに結合された自由端を有する。
【0029】
いずれの実施形態でも、システムは、ロータの第1の方向への回転によって閉塞装置を蹲踞状姿勢の半径方向に拡大した構成に展開するようにして、そしてロータの第2の方向への回転によって閉塞装置を伸長した送達構成に戻すようにして、構成される。
【0030】
いずれの実施形態でも、ロータは、ロータの周上に配置された、大穿孔サイズの範囲を表示する目盛り付きスケールを含んでなる。
【0031】
いずれの実施形態でも、閉塞装置の側壁区画は、閉塞装置の長手方向軸の周りに配置された複数の伸長した支柱によって画定される。概してシステムは、閉塞装置を包含するように構成された可撓性の流体不透過性シースを含んでなる。好ましくは、シースは生体吸収性である。
【0032】
いずれの実施形態でも、側壁の腰区画は、各伸長した支柱の両端の中間に配置された外方への屈曲ゾーンによって形成されており、この屈曲ゾーンは、展開中に支柱を半径方向外方に折りたたみ可能にするように構成される。
【0033】
いずれの実施形態でも、伸長した支柱の各々は、支柱の各端に配置された内方への屈曲ゾーンを含んでなり、この屈曲ゾーンは、展開中に支柱の隣接区画を半径方向外方に湾曲可能にするように構成される。
【0034】
いずれの実施形態でも、システムは、展開時に閉塞装置の中空管腔内に注入されるように構成された注入可能な充填剤材料を含んでなる。本発明はまた、展開時に閉塞装置の中空管腔内に配置された注入可能な充填剤材料を含んでなる本発明のシステムに関する。充填剤は概して、生体吸収性材料である。充填剤は、閉塞装置内に注入できるように室温で充分に流動性がある、そして体温で硬化して、閉塞装置内に配置された流体不透過性のタンポナーデを形成する、熱硬化性材料であり得る。充填剤材料の例には、ヒドロゲル類およびコラーゲン材料などが挙げられる。注入可能な充填剤材料は、シアノアクリラート接着剤(コヴィディエン社(Covidien))またはコラーゲン系の組織接着剤などの組織接着剤であり得る。
【0035】
いずれの実施形態でも、本システムは、送達導管を含むシリンジ装置を含んでなり、送達導管は、生体吸収性閉塞装置が展開される場合に、生体吸収性閉塞装置の貫通管腔内に、注入可能な充填剤材料を送達するよう、イントロデューサ装置の貫通管腔を通って延在するように構成される。
【0036】
いずれの実施形態でも、シリンジ装置の送達導管は、注入可能な充填剤材料が送達導管の内側に粘着しようとするのを阻害するように構成された非粘着性コーティングを含んでなる。いずれの実施形態でも、非粘着性コーティングは、グルコースを含んでなる、または本質的にグルコースからなる。
【0037】
いずれの実施形態でも、システムは、注入可能な充填剤材料を受け入れ収容するように構成された枠組みの中空管腔の内側に配置されたバルーンを含んでなる。
【0038】
いずれの実施形態でも、システムは、ガイドワイヤを含んでなり、この場合にはイントロデューサ装置は、ガイドワイヤに取り付けられるように構成される。
【0039】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、合成ホモポリマーから、または合成ホモポリマー類から形成されたコポリマーから、形成される。
【0040】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置は、イントロデューサ装置の遠位端から突出する閉塞装置を露出させるように作動可能な閉塞装置排出モジュールを含んでなる。いずれの実施形態でも、閉塞装置は、送達構成において4.0mmから12.0mmの長さを有し、そして
【0041】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、展開された構成において0.5mmから4.0mmの長さを有する。いずれの実施形態でも、閉塞装置は、送達構成において4.0mmから8.7mmの最大直径を有する。
【0042】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、展開された構成において8.0mmから8.7mmの最大直径を有する。
【0043】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、送達構成における最大直径D1から、展開された構成における最大直径D2まで半径方向に拡大するように構成され、この場合には、D2はD1より少なくとも25%、50%、75%、100%、150%、または200%大きい。
【0044】
いずれの実施形態でも、D2はD1より少なくとも25%~200%、25%~150%、50%から150%、または50%から100%大きい。
【0045】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、展開された構成に閉塞装置をロックするように構成されたロッキングモジュールを含む。ロッキングモジュールは、閉塞装置の一端に取り付けられた、そして装置が展開される場合に装置の反対端と係合するように構成された自由端を有する、ロッキング部材を含んでなり得る。ロッキング部材はアームであり得る。ロッキング部材の自由端は、フック構成要素を含み得て、装置の反対端は、装置が展開される場合にフック構成要素を受け入れるように構成されたフック受け入れ構成要素を含み得る。ロッキング部材は、閉塞装置の遠位端に取り付けられ得る。
【0046】
いずれの実施形態でも、可撓性の流体不透過性シースは、閉塞装置を完全に取り囲むように構成される。
【0047】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、ニチノールなどの形状記憶材料を含んでなる。いずれの実施形態でも、閉塞装置は、自己拡大可能であり、展開された構成に付勢される。
【0048】
別の態様では、本発明は、イントロデューサ装置の管腔内に嵌合するように閉塞装置を寸法決めする送達構成と、半径方向外方に閉塞装置を拡大させる蹲踞状姿勢の展開された構成とから調整されるように構成された本体を含んでなる、対象者の大穿孔組織管を閉鎖する閉塞装置を提供する。
【0049】
いずれの実施形態でも、流体不透過性閉塞装置は、伸長した送達構成と蹲踞状姿勢の半径方向に拡大した展開された構成との間で調整されるように構成される。
【0050】
いずれの実施形態でも、流体不透過性閉塞装置の本体は、遠位端と、近位端と、装置の軸方向圧縮時に外方に屈曲するように構成された腰区画を含んでなる側壁区画と、貫通管腔とを有する。
【0051】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は生体吸収性である。
【0052】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、本体を取り囲む可撓性の流体不透過性シースを含んでなる。いずれの実施形態でも、閉塞装置は生体吸収性である。
【0053】
いずれの実施形態でも、本体の側壁区画は、開口した枠組みを有する。これにより、注入可能な充填剤材料が側壁区画を通って漏れ出し、組織管の壁に接着する。
【0054】
いずれの実施形態でも、本体の側壁区画は、閉塞装置の長手方向軸の周りに典型的には配置された複数の伸長した支柱を含んでなる。
【0055】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、4~10、4~8、4~6、6~10、または6~8本の支柱を有する。
【0056】
いずれの実施形態でも、側壁の腰区画は、各伸長した支柱の両端の中間に配置された外方への屈曲ゾーンによって形成されており、この屈曲ゾーンは、展開中に支柱を半径方向外方に折りたたみ可能にするように構成される。
【0057】
いずれの実施形態でも、少なくとも一つの、そして概して全ての伸長した支柱は、支柱の一端または両端に配置された内方への屈曲部を含んでなり、この屈曲部は、展開中に支柱の隣接区画を外方に湾曲可能にするように構成される。
【0058】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、閉塞装置の中空管腔内に配置された注入可能な充填剤材料を含んでなる。充填剤は概して、市販の生体吸収性材料である。充填剤は、閉塞装置内に注入されるように室温で充分に流動性がある、そして体温で硬化して、閉塞装置内に配置された流体不透過性のタンポナーデを形成する、熱硬化性材料であり得る。充填剤材料の例には、ヒドロゲル類およびコラーゲン材料などが挙げられる。
【0059】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、注入可能な充填剤材料を受け入れ収容するように構成された枠組みの中空管腔の内側に配置されたバルーンを含んでなる。
【0060】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、合成ホモポリマー、または合成ホモポリマー類から形成されるコポリマーを含んでなる、またはそれから形成される。
【0061】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、送達構成において0.4~8.0mmの長さを有し、展開された構成において4.0~12.0mmの長さを有する。
【0062】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、送達構成において0.4~9.3mmの最大直径を有し、展開された構成において8.0~10.7mmの最大直径を有する。
【0063】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、展開された構成に閉塞装置をロックするように構成されたロッキングモジュールを含んでなる。ロッキングモジュールは、ロッキング部材を含んでなり得て、このロッキング部材は、閉塞装置の一端に取り付けられており、装置が展開される場合に装置の反対端に係合するように構成された自由端を有する。ロッキング部材はアームであり得る。ロッキング部材の自由端は、フック構成要素を含み得て、装置の反対端は、装置が展開される場合にフック構成要素を受け入れるように構成されたフック受け入れ構成要素を含み得る。ロッキング部材は、閉塞装置の遠位端に取り付けられ得る。
【0064】
いずれの実施形態でも、可撓性の流体不透過性シースは、閉塞装置を完全に取り囲むように構成される。
【0065】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、ニチノールなどの形状記憶材料を含んでなる。いずれの実施形態でも、枠組みはニチノールを含んでなる、またはニチノールから形成される。いずれの実施形態でも、閉塞装置は、自己拡大可能であり、展開された構成に付勢される。
【0066】
別の態様では、本発明は:
本発明によるシステムを提供することと;
イントロデューサ装置の遠位端を対象者の大穿孔組織管内に、ガイドワイヤ上で血管から近位の位置まで前進させることと;
イントロデューサ装置を作動させて、閉塞装置を大穿孔組織管内に、動脈または静脈から近位に前進させることと;
イントロデューサ装置のハンドル上のアクチュエータを作動させて制御ワイヤを近位に引くことで、閉塞装置を展開することと、
を含む、対象者の大穿孔組織管を閉鎖する方法を提供する。
【0067】
いずれの実施形態でも、方法は、対象者における血管の開口と流体連通する組織管を閉鎖するためのものである。
【0068】
いずれの実施形態でも、方法は、対象者における大腿動脈の開口と流体連通する組織管を閉鎖するためのものである。
【0069】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は血管の開口から0.5~2.0cm遠位に展開される。
【0070】
いずれの実施形態でも、閉塞装置の位置は、撮像、典型的には造影撮像を用いてモニタリングされる。
【0071】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、血管外、典型的には動脈または静脈の外膜層からすぐ近位に展開される。
【0072】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、組織管の直径よりも大きい直径、典型的には少なくとも5%、10%、15%、または20%大きい直径に、半径方向に拡大する。
【0073】
いずれの実施形態でも、組織管の閉塞は、撮像、典型的には造影撮像を用いてモニタリングされる。
【0074】
いずれの実施形態でも、方法は、閉塞装置が展開された後に、注入可能な充填剤材料を閉塞装置に注入するステップを含む。
【0075】
いずれの実施形態でも、充填剤材料は、半固体材料および/または熱硬化性材料である。
【0076】
いずれの実施形態でも、充填剤材料は、注入時に組織接着剤を含んでなる。
【0077】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置は、ガイドワイヤ上で組織管内に前進させられる。
【0078】
いずれの実施形態でも、制御ワイヤは、閉塞装置の遠位端から遠位に配置されたアンカー構成要素を有しており、制御ワイヤを遠位に引っ張るステップによって、閉塞装置の遠位端が装置の近位端に向かって近位に引っ張られて、閉塞装置を展開する。
【0079】
いずれの実施形態でも、閉塞装置は、二つの遠位開口部を含んでなり、装置の近位端は、二つの近位開口部を含んでなり、この場合、制御ワイヤは、近位開口部の第1の開口部を通って延在し、装置の遠位端の両遠位開口部を通ってループをなし、近位開口部の第2の開口部を通って延在し、制御ワイヤは、閉塞装置の近位端から近位に配置されたアンカー構成要素を有し、制御ワイヤを遠位に引っ張るステップによって、閉塞装置の遠位端が装置の近位端に向かって近位に引っ張られて、閉塞装置を展開する。
【0080】
いずれの実施形態でも、制御ワイヤは、閉塞装置の遠位端と近位端との間に配置された制動構成要素を含んでなり、制御ワイヤを近位に引っ張るステップによって、制動構成要素は、装置の近位端の近位開口部を通して絞られ、緊張した閉塞装置が伸長した送達構成に戻ろうとするのに抵抗する。
【0081】
いずれの実施形態でも、アクチュエータはロータであり、このロータには、第1の方向にロータが回転することによって、蹲踞状姿勢の半径方向に拡大した構成に閉塞装置が展開されるようにして、そして第2の方向にロータが回転することによって、伸長した送達構成に閉塞装置が戻るようにして、制御ワイヤが結合されている。
【0082】
いずれの実施形態でも、ガイドワイヤは、閉塞装置を組織内でその場に残して除去される。
【0083】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置は、閉塞装置を受け入れる遠位端と、イントロデューサ装置の遠位端から突出する閉塞装置を露出させる排出モジュールとを含んでなる。
【0084】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置は、(貫通管腔を含んでなる)遠位導管と、外側の後退可能なシースとを含んでなり、この後退可能なシースは、外側の後退可能なシースの遠位端を遠位導管の遠位端から遠位に延在させる(例えば、閉塞装置を受け入れる空間を提供する)送達構成と、外側の後退可能なシースを遠位に後退させる(例えば、閉塞装置を組織管の周囲壁に露出させる)展開構成とから、遠位導管に対して相対的に軸方向に調整されるように構成される。
【0085】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置は、少なくとも一本の制御ワイヤを収容する一つまたは複数の制御ワイヤ管腔を含んでなる。
【0086】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置は、閉塞装置が展開され固定された後に制御ワイヤを切断できるように、少なくとも一つの制御ワイヤ管腔にアクセス可能にする窓(リビール(reveal))を含んでなる。
【0087】
いずれの実施形態でも、窓は、使用中に使用者がアクセスできるイントロデューサ装置の近位区画に設けられる。
【0088】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置の遠位導管部分は、(ガイドワイヤと、注入可能な充填剤材料の送達導管とを受け入れる)中央貫通管腔と、それぞれ、制御ワイヤの上昇部分および下降部分を受け入れる二つの(典型的には三日月形状の)制御ワイヤ管腔とを有する。
【0089】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置は、両側に窓(リビール)を含んでなり、各窓は、閉塞装置が展開されて固定される場合に制御ワイヤを切断できるように、制御ワイヤへのユーザのアクセスを実現する。
【0090】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置の遠位導管部分は、(ガイドワイヤと、注入可能な充填剤材料の送達導管とを受け取る)中央貫通管腔と、それぞれ、各制御ワイヤの上昇部分または下降部分を受け入れる四つの制御ワイヤ管腔とを有する。
【0091】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置は、制御ワイヤ解放機構を含んでなり、この制御ワイヤ解放機構は、作動時にイントロデューサ装置から(例えば、イントロデューサ装置のアクチュエータから)制御ワイヤを結合解除することで、閉塞装置とイントロデューサ装置を結合解除することを可能にするように、そしてイントロデューサ装置を後退させて除去することを可能にするように構成される。
【0092】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置の遠位導管は、ガイドワイヤと、充填剤材料導管と、制御ワイヤとを受け入れるように構成された単一管腔を有する。
【0093】
いずれの実施形態でも、遠位導管は、円筒状本体、およびエンドキャップ、および円筒状本体とエンドキャップとを結合する結合構成要素を含んでなり、この結合構成要素は、エンドキャップを円筒状本体の遠位端に取り付ける送達位置と、エンドキャップを円筒状本体の端から軸方向に離間させる結合解除位置との間で、エンドキャップに対して相対的な円筒状本体の軸方向移動を可能にするように構成される。
【0094】
いずれの実施形態でも、結合構成要素は中央支柱である。
【0095】
いずれの実施形態でも、エンドキャップは、入れ子関係となるように閉塞体の遠位端を受け入れるように寸法決めされる。
【0096】
いずれの実施形態でも、エンドキャップは、制御ワイヤと、ガイドワイヤと、注入可能な充填剤材料の送達導管を受け入れる中央開口部(または複数の開口部)とを含んでなる。
【0097】
いずれの実施形態でも、イントロデューサ装置は典型的には、制御ワイヤを露出させて切断できるようにエンドキャップに対して相対的な円筒状本体の位置を軸方向に調節するアクチュエータを含んでなる。
【0098】
本発明の他の態様および好ましい実施形態は、他に添付される特許請求の範囲に定められ記載される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】
図1は、伸長した送達構成で示された、本発明の大穿孔血管外閉鎖システムの一部分を形成する閉塞装置の側立面図である。
【
図2】
図2は、蹲踞状姿勢の展開された構成で示された、本発明の大穿孔血管外閉鎖システムの一部分を形成する閉塞装置の側立面図である。
【
図3A】
図3Aは、伸長した送達構成で示された、
図1の閉塞装置の一部分を形成する枠組みの斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、伸長した送達構成で示された、
図1の閉塞装置の一部分を形成する可撓性の流体不透過性シースの斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、蹲踞状姿勢の展開された構成で示された、
図1の閉塞装置の一部分を形成する枠組みの斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、蹲踞状姿勢の展開された構成で示された、
図1の閉塞装置の一部分を形成する可撓性の流体不透過性シースの斜視図である。
【
図4C】
図4Cは、蹲踞状姿勢の展開された構成で示された、
図1の閉塞装置の斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、伸長した送達構成にある本発明による閉塞装置の斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、
図5Aの閉塞装置と、二本の制御ワイヤとを含む本発明のシステムの一部分の斜視図であり、制御ワイヤの各々は、近位端を通って下方に延在し、両遠位端を通ってループをなし、近位端を通って上方に延在し、アンカービーズおよび摩擦嵌合ビーズを有する。
【
図8A】
図8Aは、
図7Aのシステムの斜視図であり、制御ワイヤが後退して、摩擦嵌合ビーズを有する制御ワイヤの部分を上方に引っ張ることで、展開された構成に閉塞装置を圧縮した後のものである。近位端プレート内の開口部からすぐ近位に配置された最後の摩擦ビーズは、緊張した蹲踞状姿勢の構成に装置を維持する役割を果たす。
【
図9】
図9は、装置をロック解除し、拡大した送達構成に戻すことができる方法を例示しており、これは、制御ワイヤの一方の側を引っ張ることにより、摩擦嵌合ビーズを有する制御ワイヤの他方の側が下方に引っ張られて閉塞装置の緊張を解放することによって、なされる。
【
図10A】
図10Aは、ガイドワイヤに取り付けられて大腿静脈の開口からすぐ近位の組織管内の位置にある、伸長した送達構成にある本発明による閉塞装置の断面図である。
【
図11A】
図11Aから
図11Cは、展開された構成に閉塞装置をロックするように構成されたロッキング機構を有する、本発明による閉塞装置の例示である。
【
図13】
図13は、大腿動脈の外膜層からすぐ近位に展開された構成である閉塞装置の概略側立面図である。
【
図14A】
図14Aは、伸長した送達構成にある閉塞装置、イントロデューサ装置の遠位端、および閉塞装置と閉塞装置のアクチュエータ(図示せず)とを結合する二本の制御ワイヤ(縫合糸)を含む、本発明のシステムの斜視図である。
【
図15A】
図15Aは、伸長した送達構成の閉塞装置、イントロデューサ装置の遠位端、および閉塞装置と閉塞装置のアクチュエータ(図示せず)とを結合する二本の制御ワイヤ(縫合糸)を含む、本発明のシステムの代替実施形態の斜視図である。
【
図16】
図16は、伸長した送達構成の閉塞装置、イントロデューサ装置の遠位端、および閉塞装置と閉塞装置のアクチュエータ(図示せず)とを結合する二本の制御ワイヤ(縫合糸)を含む、本発明のシステムの代替実施形態の斜視図である。
【
図17】
図17は、伸長した送達構成の閉塞装置、イントロデューサ装置の遠位端、および閉塞装置と閉塞装置のアクチュエータ(図示せず)とを結合する二本の制御ワイヤ(縫合糸)を含む、本発明のシステムの代替実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0100】
本明細書で言及されるすべての公開文献、特許、特許出願、および他の参考文献は、あたかも個々の公開文献、特許、または特許出願が、参照により組み込まれているものとして具体的かつ個別に示されているかのごとく、またその内容が省略なしに述べられているかのごとく、あらゆる目的に向けてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
本明細書で使用される場合には、別途具体的に指示されているのでない限り、以下の用語は、当技術分野においてその用語が享受し得るより広い(またはより狭い)意味に加えて、以下の意味を有することが意図される:
【0102】
文脈によって別途要求されるのでない限り、本明細書において単数形の使用は複数形を含むものと解釈されるものとし、その逆もまた然りである。ある実体に関連して使用される用語「a」または「an」は、その実体の一つまたは複数を指すと解釈されるものとする。そのため、本明細書では、用語「a」(または「an」)、「一つまたは複数(one or more)」、および「少なくとも一つ(at least one)」は、互換的に使用される。
【0103】
本明細書で使用されるとおり、用語「含んでなる(comprise)」、または「含んでなる(comprises)」もしくは「含んでなる(comprising)」などのその変形形態は、いずれの言及された要素(例えば、特徴、構成要素、特性、性質、方法/工程ステップ、もしくは制限)または一群の要素(例えば、特徴、構成要素、特性、性質、方法/工程ステップ、または制限)の包含をも示すが、他のいずれの要素または一群の要素の除外をも示すものではないと解釈されるものとする。したがって、本明細書で使用されるとおり、用語「含んでなる(comprising)」は、包含的または非限定的(open-ended)であり、追加の、述べられてない要素または方法/工程ステップを除外するものではない。
【0104】
本明細書で使用されるとおり、用語「疾患」は、生理学的機能を損ない特定の症状を伴ういずれの異常な状態をも定義するために使用される。この用語は、病因の性質に関係なく(または実際に疾患の病因論的基礎が確立されているかどうかに関係なく)、生理学的機能が損なわれている、いずれの障害、やまい、異常、病理、病気、状態、または症候群をも包含するために広く使用される。したがって、感染、外傷、傷害、手術、放射線切除、中毒、または栄養欠乏から生じる状態を包含する。
【0105】
本明細書で使用されるとおり、用語「処置(treatment)」または「処置する(treating)」は、疾患の症状を治癒、改善、もしくは軽減する、またはその原因を除去(もしくはその影響を軽減)(例えば、病理学的レベルでのリソソーム酵素の蓄積の低減)する介入(例えば、対象者への薬剤の投与)を指す。この場合、この用語は「治療」という用語と同義に使用される。
【0106】
さらに、用語「処置」または「処置する」は、疾患の発症または進行を予防または遅延させる、または処置される集団内でのその発生率を減少(または根絶)させる介入(例えば、対象者への薬剤の投与)を指す。この場合、処置という用語は、用語「予防」と同義に用いられる。
【0107】
上に定義された処置および有効量の文脈では、対象者(文脈が許す限り、「個体」、「動物」、「患者」、または「哺乳動物」を含むと解釈される)という用語は、指示される処置の対象になるいずれかの対象者、特に哺乳動物の対象者を定義する。哺乳動物の対象者には、ヒト、家畜、農耕動物、動物園動物、スポーツ動物、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、畜牛、乳牛などのペット動物;類人猿、サル、オランウータン、チンパンジーなどの霊長類;イヌおよびオオカミなどのイヌ科動物;ネコ、ライオン、トラなどのネコ科動物;ウマ、ロバ、およびシマウマなどのウマ科動物;乳牛、ブタ、およびヒツジなどの食用動物;シカおよびキリンなどの偶蹄類;ならびにマウス、ラット、ハムスター、モルモットなどのげっ歯類、などが挙げられるが、これらには限定されない。好ましい実施形態では、対象者はヒトである。
【0108】
本明細書で使用されるとおり、用語「組織管」は、体表面から血管の開口までの流体連通を提供する組織内の穿孔を指す。
【0109】
本明細書で使用されるとおり、用語「大穿孔」は、12Fから26F、8.7mm、.341インチ以上のフレンチサイズを有する穿孔を指す。
【0110】
本明細書で使用されるとおり、閉鎖装置に適用される用語「血管外」は、血管から近位の組織管内に移植するように構成された閉鎖装置を指す。
【0111】
本明細書で使用されるとおり、用語「閉塞装置」は、流体不透過性である、そして送達構成から、組織管などの管腔を閉塞する半径方向に拡大した展開された構成まで、半径方向に拡大可能である装置を指す。装置は、枠組みと流体不透過性シースとを含んでなる。シースは、枠組みを完全に取り囲み得る。枠組みは、伸長した送達構成から、送達構成における最大直径より大きい最大直径を有する圧縮された蹲踞状姿勢の構成まで圧縮可能であり得る。枠組みは、遠位端と、近位端と、半径方向外方に折りたたみ可能な腰区画を含んでなる側壁区画とを有し得る。側壁区画は、遠位端と近位端とを連結する複数の伸長した支柱を含んでなり得る。腰部は、伸長した支柱によって提供され得て、支柱は、支柱の両端の中間に配置された外方への屈曲ゾーンを有しており、この屈曲ゾーンは、展開中に半径方向外方に支柱が折りたたまれるのを可能にするように構成される。伸長した支柱は、支柱の各端に配置された内方への屈曲ゾーンを含んでなり得て、この屈曲ゾーンは、展開中に半径方向外方に支柱の隣接区画が湾曲するのを可能にするように構成される。枠組みは、生体吸収性材料から形成され得る。枠組みは、押出成形された材料から3-D印刷され得る。枠組みは、生体吸収性のホモポリマー、またはホモポリマー類のコポリマーから形成され得る。遠位端は、近位端の直径よりも大きい、例えば1.5倍、2.0倍、または2.5倍大きい直径を有する側壁の遠位端から半径方向外方に延在する周辺フランジ区画を含み得る。遠位端は、固いスポンジ材料などの膨張性材料から形成され得る。これにより、閉塞装置の遠位端の周辺フランジ区画を圧縮してイントロデューサ装置に篏合させることが可能になり、次いで閉塞装置がイントロデューサ装置から解放される場合に半径方向外方に拡大させることが可能になる。展開された閉塞装置の広い遠位端によって、血管の外膜層に当接する表面積が大きくなる。
【0112】
本明細書で使用されるとおり、用語「イントロデューサ装置」は、閉塞装置を組織管内に送達するように構成された装置を指し、送達構成において閉塞装置を受け入れるように構成された貫通管腔を有する、組織管内に前進するように寸法決めされた遠位導管を含んでなる。イントロデューサ装置は概して、閉塞装置用の展開モジュール、例えばロータを含み、ロータは、ワイヤまたは縫合糸などの接続構成要素によって閉塞装置の遠位端に接続され、これによりロータを回転させて結合構成要素を後退させて、閉塞装置の遠位端を近位に引っ張って閉塞装置を展開することができる。イントロデューサ装置は概して、遠位導管の端に突出する閉塞装置を露出させるように構成された排出モジュールをも含む。排出モジュールは、外側の後退可能なシースの遠位端を遠位導管の遠位端から遠位に延在させる(例えば、閉塞装置を受け入れる空間を提供する)送達構成と、外側の後退可能なシースを遠位に後退させる(例えば、閉塞装置を組織管の周囲壁に露出させる)展開構成とから、遠位導管に対して相対的に軸方向に調整されるように構成された外側の後退可能なシースを含み得る。導入装置は、制御ワイヤを収納する一つまたは複数の制御ワイヤ管腔を含んでなり得る。イントロデューサ装置は、閉塞装置が展開され固定された後に制御ワイヤを切断可能とするように、制御ワイヤ管腔へのアクセスを可能にする窓(リビール)を含み得る。概して、窓は、使用中に使用者がアクセスできるイントロデューサ装置の近位区画に設けられる。
【0113】
本明細書で使用されるとおり、用語「制御ワイヤ」は、イントロデューサ装置のアクチュエータと閉塞装置とを接続する伸長した構成要素を指す。これは、縫合糸によって提供され得る。制御ワイヤは、概して生体吸収性である。制御ワイヤは、アクチュエータと結合する閉ループであり得るか、またはアクチュエータと結合する自由端を有するワイヤであり得る。典型的には、制御ワイヤは縫合糸である。
【0114】
用語「アンカー構成要素」は、ビーズまたは結び目など制御ワイヤ上での形成物を指し、この形成物は、制御ワイヤを通す開口部に対して過大なサイズであることで、開口部をアンカー構成要素が通過しようとするのを防止し、それによって、規定された方向に開口部を制御ワイヤが通過しようとするのを防止するものである。
【0115】
用語「制動構成要素」は、ビーズまたは結び目など制御ワイヤ上での形成物を指し、この形成物は、制御ワイヤを通す開口部を基準にして寸法決めされて、ワイヤが使用者によって引っ張られる場合には開口部を通して制動要素を絞ることを可能にするものであるが、しかし緊張した装置の発揮する力によって制動要素が開口部を通って戻ろうとするのを防止するものである。制動構成要素は、使用者が制御ワイヤを反対方向に引くことによって制御ワイヤをロック解除し、開口部を通して反対方向に制動構成要素を強制的に戻すような時点まで、特定の展開された構成に閉塞装置をロックするように機能する。
【0116】
用語「注入可能な充填剤材料」は、イントロデューサ装置の貫通管腔を通して注入可能である、そして展開された閉塞装置を通る血流を防止するために閉塞装置の管腔内に流体不透過性のタンポナーデ(例えば、プラグ)を形成する、材料を指す。例には、コラーゲン充填剤材料およびシアノアクリラート接着剤(Covidien)などが挙げられる。充填剤は概して、生体吸収性材料であり、時間の経過とともに身体に吸着される。充填剤は概して、膨張性材料である。充填剤は、閉塞装置内に注入されるには充分な室温での流動性がある、そして体温で硬化または粘度を増加させて、閉塞装置内に配置される流体不透過性のタンポナーデを形成する、熱硬化性材料であり得る。充填剤材料の他の例には、ヒドロゲルなどが挙げられる。典型的には、充填剤材料は、室温および周囲圧力でブルックフィールド粘度計を用いて測定される30cPから1500cPの粘度を有する。典型的には、充填剤材料は、コラーゲンまたはシアノアクリレートなどのポリマー/モノマーと水性溶媒とを含んでなる。典型的には、充填剤材料は3.0mg/mlから9.9mg/mlのポリマー(またはモノマー)を含んでなる。
【実施例】
【0117】
以下、本発明を、具体的な実施例を参照しつつ記載する。これらは単に例示的な、そして例示目的のものでしかない。これらは、特許請求の範囲に、または記載された発明にいかようにも限定されるものではない。これらの実施例は、本発明を実施するために現状で在企図される最良の態様を構成するものである。
【0118】
図面、そして最初に
図1から
図4を参照すると、本発明による閉塞装置が図示されており、一般的に参照符号1で示されている。この閉塞装置は、本発明の大穿孔閉鎖システムの一部分を形成しており、以下にさらに詳細に記載される。
【0119】
閉塞装置は、可撓性の流体不透過性シース3内に封入された概ね円筒状の枠組み2を含んでなる。いくつかの実施形態では、装置は、バルーン13を含み得て、このバルーンは、枠組み内に嵌合するように寸法決めされ、そして注入可能な充填剤材料(例えば、コラーゲン)を受け入れ収容するように機能し、充填剤材料は、装置がインビボで展開された場合にバルーン内に注入され得て、展開された装置の形状を維持するのに、そして展開された装置を通して流体が浸透しようとするのを防止するのに役立ち得る。
図1および
図2は、シースの内側に配置された枠組みと、枠組みの内側に配置されたバルーンとを備えた、組み立てられた閉塞装置1を示し、
図3および
図4は、組み立て前の枠組み、シース、およびバルーンを示している。枠組み2は、八本の伸長した支柱5によって接続された遠位端4Aと近位端4Bとを含んでなり、中空管腔6を画定している。この実施形態では、枠組み2は、枠組み形状に印刷された押出成形された生体吸収性コポリマーから形成されている。各支柱5は、内方への屈曲ゾーン8Aを有する遠位端7、内方への屈曲ゾーン7Aを有する近位端7、そして遠位端7と近位端8との中間に配置され、展開時に支柱が外方に折りたたまれるのを可能にするように構成された外方への屈曲ゾーン9を有することで、装置の腰区画を形成する。支柱5の構成、詳細には、支柱の各端での内側屈曲ゾーン、および支柱の中央での外側屈曲ゾーンは、枠組みのいずれかの端に軸方向トルクが加えられると、枠組みを付勢して「提灯」形状に圧縮し、ひいては、枠組みを、
図1に例示される伸長した送達構成から
図2に例示される圧縮された(蹲踞状姿勢の)展開された構成に圧縮する。
【0120】
この実施形態では、可撓性シースおよび枠組みは、生体吸収性材料(ゼウス社(Zeus)のAbsorbなど。添付スライドを見られたい)から形成されている。シースは、
図3Aに示されるとおり、送達構成において枠組みを包んで密着するように成形され、この図では、シースは、弛緩した非緊張構成にある。シースは可撓性材料から形成されているので、
図3Bに示される形状から
図4Aの展開された形状に展開されると、枠組みの形状に追従するように引き伸ばすことができ、この場合にはシースはわずかに緊張することになるが、枠組みの形状を変えるまでには至らない。
【0121】
図5および
図6を参照すると、先の実施形態を参照しつつ特定された部品に同一参照符号を割り当てた、閉塞装置の具体的な実施形態が例示されている。この実施形態では、近位端4Aおよび遠位端4Bは、それぞれ近位プレート30および遠位プレート31によって提供される。近位プレート30は、ガイドワイヤを受け入れる中央開口部32Aと、二本の制御ワイヤ(図示せず)を受け入れる四つの近位開口部33(プレートの両側に各二つ)とを含む五つの開口部を有する。遠位プレート31は、ガイドワイヤを受け入れる中央開口部32Bと、二本の制御ワイヤ(図示せず)を受け入れる四つの近位開口部34(プレートの両側に各二つ)とを含む五つの開口部を有する。
図5Aから
図5Cでは、閉塞装置は、伸長した送達構成で示されており、
図6Aから
図6Cでは、閉塞装置は、展開された半径方向に拡大した構成で示されている。
【0122】
閉塞装置の展開には、イントロデューサ装置のハンドルと閉塞装置との間に作動可能に結合された一本または複数本の制御ワイヤを利用し得る。概して、少なくとも二本の制御ワイヤが採用され、一本は閉塞装置の両側に連結されて、装置に加わっているトルクの釣り合いをとり、閉塞装置が均等に確実に展開するようにする。各制御ワイヤは、閉ループ、または自由端を有するワイヤであり得る。記載された実施形態では、制御ワイヤは、生体吸収性縫合糸によって提供されるが、いかなる他の好適な伸長した構成要素によっても提供され得ることは理解されよう。
【0123】
図7および
図8に例示される実施形態を参照すると、ガイドワイヤ50に取り付けられた閉塞装置1と、二本の制御ワイヤ40とを含んでなる本発明のシステムの一部分が示されている。制御ワイヤ用のイントロデューサ装置およびアクチュエータは、わかりやすくするために省略されている。この実施形態では、各制御ワイヤ40は、アクチュエータのロータ(図示せず)の周りに巻かれた閉ループ部分であり、第1の方向に引っ張られ得て、装置を展開し制動/ロックし、また、反対方向に引っ張られ得て、装置を解放し、その緊張していない伸長した構成に戻すのを可能にする。制御ワイヤは閉ループの形態である必要はなく、ロータにそれぞれ取り付けられた自由端を有するワイヤであり得ることも理解されよう。
【0124】
本システムは、イントロデューサ装置のアクチュエータ(例えばロータ)に取り付けられた第1の端(図示せず)と、閉塞装置に結合された第2の端42とを有する二本の制御ワイヤ40を含んでなる。各制御ワイヤ40の第2の端は、近位プレート30の近位開口部33を通って閉塞装置内に、装置の管腔6を通って延在する、そして遠位開口部34を介して遠位プレート31の周りにループをなす第1の脚部47と、装置の管腔を通って上方に、そして第2の近位開口部34を通って外部に延在する第2の脚部48とを有する。アンカー構成要素(ビーズ43)が、近位プレート30からすぐ近位に制御ワイヤの第2の脚部48上に配置され、四つの制動構成要素(ビーズ44)が、制御ワイヤの第1の脚部47上に設けられ、三つは遠位プレートと近位プレートの間にあり、一つは近位プレートからすぐ近位に制御ワイヤ上に配置されている。近位プレートから近位に配置されたアンカーおよび制動ビーズは、送達中および展開前に、閉塞装置に対して相対的に制御ワイヤの位置を維持する役割を果たす。
【0125】
装置の展開には概して、イントロデューサ装置のハンドルのロータを回転させる使用者が関与し、ロータは、制御ワイヤの第1の脚部47を
図7Aの矢印Aの方向に引っ張り、その結果、制動ビーズ44が近位プレートの開口部に強制的に通され、遠位プレートが近位プレートに向かって上方に引っ張られて、
図8Aおよび
図8Bに示されるとおり装置を展開する。この構成では、側壁の腰区画が半径方向外方に延在して組織管壁に埋め込まれ、装置を組織管内に固定する。最遠位の制動ビーズ44Aは、近位プレートからすぐ近位に位置して、緊張した展開された構成に装置を維持する役割を果たす。
【0126】
図8Bに示される実施形態では、装置は完全に展開されている(例えば、制動ビーズ44の四つすべてが、近位開口部33を通り抜けて引っ張られている)が、制御ワイヤが開口部を通ってどれだけ遠くに引っ張られるかに応じて展開のレベルを変え得ることは理解されよう。例えば、第1の制動ビーズ44のみが開口部33を通り抜けて引っ張られるならば、これは三分の一の展開と関連付けられる可能性がある。同様に、第1および第2の制動ビーズ44が開口部33を通り抜けて引っ張られるならば、これは三分の二の展開と関連付けられる可能性がある。このようにして、使用者は、装置がどの程度展開されたかを、触覚によるフィードバックによって判断することができる。代わりに、またはこれに加えて、アクチュエータロータ上の目盛り付きスケールが、展開の程度を表示する役割を果たし得る。
【0127】
本実施形態のシステムは、
図9に例示されるとおりの伸長した送達構成に戻し得る。これは、最初の展開がうまく行かない場合に、例えば、組織管内に適切に埋め込まれない、または組織管を完全に閉塞しない場合に、実行され得て、閉塞装置を再度シースに収めること、または組織管内の異なる位置まで軸方向に移動させることが可能になる。
図8Bを参照すると、イントロデューサ装置のロータを作動させて制御ワイヤの第2の脚部48を矢印Bの方向に近位に引っ張り、これにより制御ワイヤおよび第1の脚部47の制動ビーズ44を、近位プレートの開口部を通して矢印Cの方向に引っ張り、これにより装置の遠位端を下降させて、
図7に示される伸長した送達構成に装置を戻すことにより、展開をもとに戻すことができる。いったんこの位置になると、装置は再びシースに収められ得る、または軸方向に移動された後に再び展開され得る。
【0128】
図10Aおよび
図10Bは、血管17の開口16から近位の組織管15における本発明による閉塞装置1の展開を示す。
図10Aでは、閉塞装置は、血管の開口に隣接するイントロデューサ(図示せず)から解放された状態で示されている。閉塞装置の遠位端4Aに当接するアンカービーズ43を有する制御ワイヤ40が設けられ、ワイヤの近位端(図示せず)は、イントロデューサ装置の展開機構に取り付けられている。展開機構の作動によりワイヤが近位に引っ張られ、
図10Aに示される伸長した送達構成から、
図10Bに示される圧縮され展開された構成に装置が展開され、ここで装置は組織管の側壁に固定されて組織管を閉塞する。実際には、イントロデューサは、ワイヤが近位に引っ張られている間、イントロデューサの遠位端を閉塞装置の近位端に当接させている状態で組織管内に留まることになる。
【0129】
図11Aから
図11Bは、ロッキングアーム10を含んでなる閉塞装置1のロッキング機構を示しており、ロックキングアーム10は、枠組み2の遠位端に取り付けられ、その自由端上に配置されたフック11を有する。送達構成では、ロッキングアーム10は、枠組み2の中空管腔6内の位置にあり、
図11Cに示される展開された構成に枠組みが調節されると、フック11は、枠組みの近位端の開口部12に係合して、圧縮され展開された構成に枠組みをロックする。他の実施形態では、枠組みは、形状記憶材料(ニチノールなど)から作られ得て、展開された構成に付勢され得ることにより、閉塞装置は、イントロデューサ(以下に記載される)内で伸長した送達構成に拘束され得て、イントロデューサから解放されると自己展開して組織管の壁に固定されることになる。
【0130】
図12Aから
図12Dは、本発明によるシステムの一部分を形成する、そして一般的に参照符号20で示されるイントロデューサ装置と、閉塞装置を送達および展開するためのその使用とを例示している。イントロデューサは、近位ハンドル21と遠位導管22と貫通管腔23とを含んでなる。ハンドル21は、ハンドルに回転可能に取り付けられたロータ24を含んでなる。本発明による閉塞装置1が、伸長した送達構成で導管22の遠位端に挿入されているのが示されている。制御ワイヤ40が、閉塞装置を通して通されており、また遠位プレート31からすぐ遠位に配置されたアンカービーズ43と、閉塞装置の端の間のワイヤ上に配置された制動ビーズ44とを含んでなる遠位端と、ロータ24に接続された近位端とを有しており、このロータは、ロータの回転によって制御ワイヤが近位に引っ張られ、閉塞装置が徐々に展開されて、装置が圧縮され、装置が展開されるにつれてその装置の最大直径が徐々に大きくなるようなものである。展開中、制動ビーズは、閉塞装置の近位端内の開口部を通して引っ張られ、この場合、制動ビーズは、制動装置として作用して、緊張していない伸長した構成に閉塞装置が戻ろうとするのを防止する。ロータ/ダイヤル24は、例示されていないものの、ロータの表面上に円周方向に配置されたフレンチ単位の穿孔サイズの目盛り付きスケールを含み得る。例としては、0°で8F(伸長した送達構成)、90°で12F、180°で16F、270°で20F、360°で24F(全回転)の表示である。イントロデューサ装置20はまた、
図12Aに示される後退した構成から、
図12Bから
図12Dに示される排出構成まで、貫通管腔内に軸方向に取り付けられた排出構成要素26を含む。
図12Bから12Dは、装置を送達および展開する、イントロデューサの使用を例示しており、図中、わかりやすくするために穿刺経路は省略した。
図12Bでは、遠位導管23の遠位端から突出する閉塞装置1を組織管内に押し出すように排出構成要素が作動している。次いで、ロータ(図示せず)を作動させて制御ワイヤ40を近位に引っ張り、その結果、アンカー構成要素43が閉塞装置の遠位端を近位に引っ張るが、その一方で、閉塞装置の近位端は、導管23の遠位端にその荷重がかかることに起因してその場に維持される。この結果、閉塞装置は、
図12Cに示されるとおりに展開される。イントロデューサ装置20は、いったん展開され組織管壁に固定されると、その後引き抜かれ、展開ワイヤはロータから取り外され、閉塞装置にその場に取り付けられたまま残される。閉塞装置および展開ワイヤは生体吸収性材料から作られているので、時間の経過とともに分解し、その時点で血管の開口は閉鎖されてしまっていることになる。
【0131】
図13は、大腿動脈の外膜層からすぐ近位に展開された構成である閉塞装置の概略側立面図である。
【0132】
図14Aは、伸長した送達構成にある閉塞装置と、イントロデューサ装置と、閉塞装置を閉塞装置のアクチュエータ(図示せず)に結合する二本の制御ワイヤ(縫合糸)とを含む本発明のシステムの斜視図である。イントロデューサ装置の遠位導管部分は、(ガイドワイヤおよび注入可能な充填剤材料の送達導管を受け入れる)中央貫通管腔と、三日月形の二つの制御ワイヤ管腔とを有し、各制御ワイヤ管腔は、制御ワイヤの上昇部分および下降部分を受け入れる。イントロデューサ装置はまた、各側面にリビール(窓)を含んでなり、各リビールは、閉塞装置が展開され固定される場合に、制御ワイヤを切断できるよう、制御ワイヤに使用者がアクセスできるようにする。
【0133】
【0134】
図15Aは、伸長した送達構成の閉塞装置と、イントロデューサ装置と、閉塞装置を閉塞装置のアクチュエータ(図示せず)に結合する二本の制御ワイヤ(縫合糸)とを含む、本発明のシステムの代替実施形態の斜視図である。イントロデューサ装置の遠位導管部分は、(ガイドワイヤおよび注入可能な充填剤材料の送達導管を受け入れる)中央貫通管腔と、四つの制御ワイヤ管腔とを有し、各制御ワイヤ管腔は、各制御ワイヤの上昇部分または下降部分を受け入れる。
【0135】
【0136】
図16は、伸長した送達構成の閉塞装置と、イントロデューサ装置と、閉塞装置を閉塞装置のアクチュエータ(図示せず)に結合する二本の制御ワイヤ(縫合糸)とを含む本発明のシステムの代替実施形態の斜視図である。この実施形態は、制御ワイヤ管腔にアクセスするための窓をイントロデューサ装置が有していないことを除いて、
図14の実施形態と非常に類似している。その代わりに、イントロデューサ装置は、制御ワイヤ解放機構を含んでなり、この機構は、作動時に制御ワイヤをイントロデューサ装置から(例えば、イントロデューサ装置のアクチュエータから)結合解除することで、閉塞装置とイントロデューサ装置を結合解除してイントロデューサ装置を後退させて取り外すことができるように、構成されている。
【0137】
図17は、伸長した送達構成の閉塞装置と、イントロデューサ装置と、閉塞装置を閉塞装置のアクチュエータ(図示せず)に結合する二本の制御ワイヤ(縫合糸)とを含む本発明のシステムの代替実施形態の斜視図である。この実施形態では、イントロデューサ装置の遠位導管は、ガイドワイヤと、充填剤材料導管と、制御ワイヤとを受け入れるように構成された単一管腔を有する。遠位導管は典型的には、円筒状本体と、エンドキャップと、エンドキャップに対して相対的な円筒状本体の軸方向移動を可能にするように構成された、円筒状本体にエンドキャップを結合する結合構成要素とを含んでなる。結合構成要素は、中央支柱であり得る。エンドキャップは概して、入れ子関係となって閉塞体の遠位端を受け入れるように寸法決めされる。エンドキャップは、制御ワイヤと、ガイドワイヤと、注入可能な充填剤材料の送達導管を受け入れる中央開口部(または複数の開口部)とを含んでなり得る。イントロデューサ装置は典型的には、エンドキャップに対して相対的に円筒状本体の位置を軸方向に調節して、制御ワイヤを露出させて切断できるようにするアクチュエータを含んでなる。
【0138】
使用時には、以下のステップが採用される:
1 - 大腿動脈を超音波ガイド下、細い針で穿刺する - (マイクロ穿刺針またはキンメル(Kimmel)針)
2 - 針を通して柔軟なJ型ワイヤを導入し、ワイヤ上で6Fシースを導入する
3 - 次いでワイヤを動脈および9Fまたは10Fのシースに再挿入し、次いで大口径シースを使用してバルブを送達する、またはケースを送達する。手技に応じて、14Fから24Fのシースのいずれを使用することもできる。
4 - ほとんどの場合は、14Fから18Fシースであり、大きいシースを除去し、シース入口孔(腸骨血管)の近位に+/-コントララテラル・バルーン(contralateral balloon)を膨張させる
5 - SpioRAD Closure(閉塞)装置をガイドワイヤ上で挿入し拡大/12Fでの時計回りの回転による送達と、24F~26F公称値での完全展開
6 - 充填剤材料用シリンジをイントロデューサ装置の遠位端に取り付け、シリンジ導管をイントロデューサ装置の管腔から、展開された閉鎖装置内に前進させ、充填剤材料を閉鎖装置内に注入するが、この場合、材料は、展開された装置の開存性を維持する役割を果たすとともに、閉鎖装置の壁から部分的に漏れ出して組織管の壁に接着し、閉鎖装置を所定の位置に固定する。+/-バルーンを収縮させる。装置の位置と密着性を超音波/蛍光により確認する
7 - 止血が完了した後、ワイヤを取り除き、外包帯を当てる。
【国際調査報告】