(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】隔離された超吸収剤を有する陰圧創傷治療ドレッシング
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525818
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 IB2022059300
(87)【国際公開番号】W WO2023079382
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520500336
【氏名又は名称】ケーシーアイ マニュファクチャリング アンリミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】KCI Manufacturing Unlimited Company
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マクレガー,アンドリュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヒグリー,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】サンドバック,タイラー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス,ダイアナ シー.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA40
4C267BB13
4C267BB23
4C267BB31
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC01
4C267DD10
4C267GG02
4C267GG46
4C267HH08
4C267JJ02
4C267JJ06
4C267JJ09
(57)【要約】
陰圧を用いて組織を治療するためのドレッシングは、カバーと、吸収性材料と、隔離層と、マニホールドとを含んでもよい。カバーは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有することができる。吸収性材料は、カバーの第2の表面に隣接する第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有してもよい。隔離層は、吸収性材料の第2の表面に隣接する第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有することができる。隔離層は、陰圧がドレッシングに印加されるときに、組織部位から吸収性材料への流体の流れを制限するように構成され得る。マニホールドは、隔離層の第2の表面に隣接する第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシングであって、前記ドレッシングが、
第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを含むカバーと、
第1の表面及び前記第1の表面の反対側の第2の表面を含む吸収性材料であって、前記吸収性材料の前記第1の表面が前記カバーの前記第2の表面に隣接する、吸収性材料と、
前記ドレッシングに陰圧が印加されたときに前記組織部位から前記吸収性材料への流体の流れを制限するように構成された隔離層であって、前記隔離層が、第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを含み、前記隔離層の前記第1の表面が前記吸収性材料の前記第2の表面に隣接する、隔離層と、
第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを備えるマニホールドであって、前記マニホールドの前記第1の表面が前記隔離層の前記第2の表面に隣接する、マニホールドと、
を備える、ドレッシング。
【請求項2】
前記隔離層が、前記吸収性材料と前記マニホールドとの間に配置される、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項3】
前記吸収性材料が、前記カバーと前記隔離層との間に封入される、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項4】
前記マニホールドが、前記隔離層と前記組織部位との間に配置されるように構成されている、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項5】
前記隔離層が、前記陰圧が印加されると閉じ、前記陰圧が除去されると開くように構成される、1つ以上の弁を備える、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項6】
前記1つ以上の弁が、前記隔離層の前記第2の表面から前記隔離層の前記第1の表面に向かう第1の方向の流体の流れを可能にし、前記隔離層の前記第1の表面から前記隔離層の前記第2の表面に向かう第2の方向の流体の流れを防止するように構成された逆止弁である、請求項5に記載のドレッシング。
【請求項7】
前記1つ以上の弁が、前記陰圧が印加されているとき、全方向への流体の流れを防止する、請求項5に記載のドレッシング。
【請求項8】
前記1つ以上の弁の各々が、前記陰圧が印加されると、前記隔離層を通る孔を閉鎖し、前記陰圧が除去されると、前記孔から離れて移動し、前記隔離層を通る通路を提供するように構成される、弁フラップを含む、請求項5に記載のドレッシング。
【請求項9】
前記隔離層が、液体不透過性フィルムを含む、請求項5に記載のドレッシング。
【請求項10】
前記隔離層が、
複数の弁フラップを含む第1の層と、
前記第1の層の前記複数の弁フラップと位置合わせされ、前記陰圧が前記ドレッシングに印加されたときに前記第1の層の前記複数の弁フラップによって流体的に封止されるように構成された複数の孔を備える第2の層と、を含む、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項11】
前記隔離層が、
第1の複数の孔を有する波形材料を含む第1の層と、
前記陰圧が前記ドレッシングに印加されると、前記第1の層によって流体的に封止されるように構成された第2の複数の孔を備える第2の層と、を備える、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項12】
前記第1の複数の孔及び前記第2の複数の孔が、前記ドレッシングが静止状態で前記陰圧がないときに前記マニホールドと前記吸収性材料との間に流体連通を提供するように構成され、前記第1の複数の孔が、前記マニホールドと前記吸収性材料との間の流体連通を防止するために前記陰圧が前記ドレッシングに印加されるときに、前記第2の複数の孔と位置合わせされないように構成される、請求項11に記載のドレッシング。
【請求項13】
前記カバー、前記吸収性材料、及び前記隔離層の各々が、互いに位置合わせされ、前記マニホールドと陰圧源との間の流体連通を可能にするように構成された陰圧通路を更に備える、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項14】
前記陰圧通路が、前記マニホールドと直接流体連通しており、前記吸収性材料から流体的に隔離されている、請求項13に記載のドレッシング。
【請求項15】
前記陰圧通路が、流体接続を受容するように構成され、前記流体接続が、前記吸収性材料の前記第2の表面と前記マニホールドとの間に位置付けられる陰圧ポートを含む、請求項13に記載のドレッシング。
【請求項16】
前記流体接続が、前記陰圧ポートを前記吸収性材料から流体的に隔離する、請求項15に記載のドレッシング。
【請求項17】
前記流体接続及び前記陰圧ポートが、前記隔離層を通って前記マニホールドの前記第1の表面まで延在する、請求項15に記載のドレッシング。
【請求項18】
前記カバーが、前記吸収性材料、前記隔離層、及び前記マニホールドを越えて延在する、接着層を伴う縁部を備える、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項19】
前記マニホールドの前記第2の表面に隣接し、前記カバーの前記縁部と接触するように延在して、前記吸収性材料、前記隔離層、及び前記マニホールドを基層と前記カバーとの間に囲むように構成された前記基層を更に備え、前記基層が、複数の開口を有するシリコーンゲルを含む、請求項18に記載のドレッシング。
【請求項20】
組織部位を治療するためのシステムであって、
請求項1に記載のドレッシングと、
前記ドレッシングに流体結合されるように構成された陰圧源と、を備える、システム。
【請求項21】
前記ドレッシングと前記陰圧源との間に流体結合されるように構成されたキャニスタを更に備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシングであって、前記ドレッシングが、
第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを含むカバーと、
第1の表面及び前記第1の表面の反対側の第2の表面を含む吸収性材料であって、前記吸収性材料の前記第1の表面が前記カバーの前記第2の表面に隣接する、吸収性材料と、
隔離層であって、
前記吸収性材料の前記第2の表面に隣接する第1の表面と、
前記第1の表面の反対側の第2の表面と、
陰圧源と流体連通し、陰圧が前記ドレッシングに印加されると開き、前記陰圧が停止されると閉じるように構成された弁フラップと、
前記弁フラップを取り囲む複数の孔と、を備える、隔離層と、
第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを備えるマニホールドであって、前記マニホールドの前記第1の表面が前記隔離層の前記第2の表面に隣接する、マニホールドと、
を備える、ドレッシング。
【請求項23】
陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシングであって、前記ドレッシングが、
吸収性材料と、
前記組織部位に対して陰圧を分配するように構成されたマニホールドと、
前記吸収性材料と前記マニホールドとの間に配置され、陰圧が前記マニホールドに印加されたときに前記吸収性材料を前記マニホールドから流体的に隔離するように構成された隔離層と、
を備える、ドレッシング。
【請求項24】
前記マニホールドが、前記隔離層と前記組織部位との間に配置されるように構成されている、請求項23に記載のドレッシング。
【請求項25】
前記隔離層が、前記陰圧が前記マニホールドに印加されると閉じ、前記陰圧が除去されると開くように構成される、1つ以上の弁を備える、請求項23に記載のドレッシング。
【請求項26】
前記1つ以上の弁が、前記マニホールドから前記吸収性材料に向かう第1の方向の流体の流れを可能にし、前記吸収性材料から前記マニホールドに向かう第2の方向の流体の流れを防止するように構成される逆止弁である、請求項25に記載のドレッシング。
【請求項27】
組織部位を治療する方法であって、
前記組織部位にドレッシングを適用することであって、前記ドレッシングが、
吸収性材料と、
前記吸収性材料と前記組織部位との間に配置された隔離層と、を備える、ことと、
前記吸収性材料がバイパスされるように、前記隔離層と前記組織部位との間の処置空間に陰圧源を流体結合することと、
前記処置空間に陰圧を印加するように前記陰圧源を作動させることであって、前記隔離層を通る1つ以上の弁が、陰圧が印加されていない開状態から、前記陰圧が印加されている動作によって閉状態に移動される、ことと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記陰圧源を停止すること更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記吸収性材料を用いて前記組織部位から流体を収集することを更に含み、前記流体が、前記陰圧源が停止され、前記1つ以上の弁が前記開状態に戻ると、前記隔離層を通って前記吸収性材料に流れるように構成される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
実質的に本明細書に記載されている通りの、システム、装置、及び方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全ての内容が本明細書に組み込まれている、2021年11月5日に出願された米国特許仮出願第63/263,617号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
添付の特許請求の範囲に記載される本発明は、概して、組織治療システムに関し、より詳細には、限定はしないが、陰圧の印加中に吸収性材料への流体の流れを制限するように構成された隔離層を含む陰圧創傷治療ドレッシングに関する。
【背景技術】
【0003】
臨床研究及び臨床診療は、組織部位の近接の圧力の低減が、組織部位における新しい組織の成長を増強及び加速させることができることを示している。この現象の用途は数多くあるが、創傷を治療するために特に有利であることが判明している。創傷の原因に関わらず、外傷、手術、又は別の原因かどうかに関わらず、創傷の適切なケアが転帰に重要である。創傷又は他の組織の減圧での治療は、一般的に、「陰圧療法」と称され得るが、例えば、「陰圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、「陰圧閉鎖」、及び「局所陰圧」を含む他の名称によっても知られている。陰圧治療は、上皮組織及び皮下組織の移行、血流の改善、及び創傷部位における組織の微小変形などを含む多くの利益を提供することができる。これらの利益は全体として、肉芽組織の発達を増加させることができ、治癒時間を低減することができる。
【0004】
陰圧療法の臨床的利益は広く知られているが、治療システム(therapy system)、構成要素、及びプロセスの改善は、医療提供者及び患者に利益をもたらすことができる。
【発明の概要】
【0005】
陰圧治療環境における隔離層を含むドレッシングのための新規かつ有用なシステム、装置、及び方法が、添付の特許請求の範囲に記載されている。特許請求される主題を当業者が作製及び使用することを可能にするための、実例的実施形態もまた提供される。
【0006】
例えば、いくつかの例示的実施形態では、陰圧を用いて組織部位を治療するためのドレッシングは、カバーと、吸収性材料と、隔離層と、マニホールドとを含むことができる。カバーは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有することができる。吸収性材料は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有することができ、吸収性材料の第1の表面はカバーの第2の表面に隣接することができる。隔離層は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有することができ、隔離層の第1の表面は吸収性材料の第2の表面に隣接することができる。隔離層は、陰圧がドレッシングに印加されるときに、組織部位から吸収性材料への流体の流れを制限するように構成され得る。第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有することができ、マニホールドの第1の表面が隔離層の第2の表面に隣接することができる、マニホールドと、を有することができる。
【0007】
より一般的には、隔離層は、吸収性材料とマニホールドとの間に配置することができる。吸収性材料は、カバーと隔離層との間に封入することができ、マニホールドは、隔離層と組織部位との間に配置することができる。
【0008】
いくつかの例示的実施形態では、隔離層は、陰圧が印加されると閉じ、陰圧が除去されると開くように構成される、1つ以上の弁を備えることができる。他の実施形態では、隔離層は、複数の弁フラップを有する第1の層と、第1の層の複数の弁フラップと位置合わせするように構成された複数の孔を有する第2の層とを含むことができる。第2の層の複数の孔は、陰圧がドレッシングに印加されると、第1の層の複数の弁フラップによって流体的に封止されることができる。他の実施形態では、隔離層は、第1の複数の孔を有する波形材料の第1の層と、陰圧がドレッシングに印加されると、第1の層によって流体的に封止されるように構成された第2の複数の孔を有する第2の層とを含むことができる。
【0009】
いくつかの例示的実施形態では、カバー、吸収性材料、及び隔離層の各々が、互いに位置合わせされ、マニホールドと陰圧源との間の流体連通を可能にするように構成された陰圧通路を含むことができる。陰圧通路が、マニホールドと直接流体連通し得、吸収性材料から流体的に隔離又は封止されることができる。陰圧通路は、吸収性材料の第2の表面とマニホールドとの間に位置付けられる陰圧ポートを含むことができる流体接続を受容するように構成されることができる。流体接続が、陰圧ポートを吸収性材料から流体的に隔離することができる。
【0010】
組織部位を治療するシステムもまた、本明細書に記載されている。システムの例示的な例は、ドレッシングと、ドレッシングに流体結合されるように構成された陰圧源とを含むことができる。ドレッシングは、カバーと、吸収性材料と、隔離層と、マニホールドとを含むことができる。カバーは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有することができる。吸収性材料は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有することができ、吸収性材料の第1の表面はカバーの第2の表面に隣接することができる。隔離層は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有することができ、隔離層の第1の表面は吸収性材料の第2の表面に隣接することができる。隔離層は、陰圧がドレッシングに印加されるときに、組織部位から吸収性材料への流体の流れを制限するように構成され得る。第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有することができ、マニホールドの第1の表面が隔離層の第2の表面に隣接することができる、マニホールドと、を有することができる。いくつかの実施形態では、システムはまた、ドレッシングと陰圧源との間に流体結合されるように構成されたキャニスタを含むことができる。
【0011】
陰圧で部位を治療するためのドレッシングの別の例示的実施形態は、カバーと、吸収性材料と、隔離層と、マニホールドとを含むことができる。カバーは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有することができる。吸収性材料は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有することができ、吸収性材料の第1の表面はカバーの第2の表面に隣接することができる。隔離層は、第1の表面及び第1の表面の反対側の第2の表面を有することができ、隔離層の第1の表面は吸収性材料の第2の表面に隣接することができる。隔離層は、陰圧源と流体連通し、陰圧がドレッシングに印加されると開き、陰圧が停止されると閉じるように構成された弁フラップを更に含むことができる。隔離層内の弁フラップを取り囲む複数の孔が存在し得る。第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有することができ、マニホールドの第1の表面が隔離層の第2の表面に隣接することができる、マニホールドと、を有することができる。
【0012】
他の例示的実施形態は、吸収性材料と、マニホールドと、隔離層とを含む、陰圧で組織部位を治療するためのドレッシングを含むことができる。マニホールド層は、組織部位に対して陰圧を分配するように構成され得る。隔離層は、吸収性材料とマニホールドとの間に配置され得、陰圧がマニホールドに印加されたときに吸収性材料をマニホールドから流体的に隔離するように構成され得る。
【0013】
組織部位を治療する方法もまた、本明細書に記載されている。方法の例示的な例は、組織部位にドレッシングを適用することを含むことができる。ドレッシングは、吸収性材料と、吸収性材料と組織部位との間に位置付けられる隔離層とを含むことができる。本方法は更に、吸収性材料がバイパスされるように、隔離層と組織部位との間の処置空間に陰圧源を結合することと、処置空間に陰圧を印加するように陰圧源を作動させることとを含むことができる。陰圧源を作動させるとき、隔離層を通る1つ以上の弁が、陰圧が印加されていない開状態から、陰圧が印加されている動作によって閉状態に移動される。本方法は更に、陰圧源を停止することと、吸収性材料を用いて組織部位から流体を収集することとを含むことができる。流体は、陰圧源が停止され、1つ以上の弁が開状態に戻るとき、隔離層を通って吸収性材料に流れるように構成され得る。
【0014】
特許請求される主題を作製及び使用する目的、利点、及び好ましい態様が、例示的実施形態の以下の詳細な説明と併せて添付の図面を参照することによって最もよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本明細書による陰圧治療を提供することが可能な治療システムの例示的実施形態のブロック図である。
【
図2】
図2は、ドレッシングインタフェース及び組織部位に配置されるドレッシングの例示的実施形態を描写する、
図1の治療システムの例証的実施形態の断面図である。
【
図4】
図4は、組織部位を取り囲む組織に近接して位置決めされた
図2の例示的なドレッシングを示す、
図2に示された参照
図4での詳細図である。
【
図5】
図5は、
図2のドレッシングの分解図であり、組織部位における適用前にドレッシングを保護するための剥離ライナーの例示的実施形態を示している。
【
図6】
図6は、
図5のドレッシングに示されている基層の例示的実施形態の平面図である。
【
図7A】
図7Aは、陰圧がドレッシングに印加され、隔離層と関連付けられる1つ以上の弁が閉鎖されているときの、
図5のドレッシングに描写される隔離層の例示的実施形態の斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、1つ以上の弁が開いているときの静止状態にある、
図5のドレッシングに描写される隔離層の例示的実施形態の斜視図である。
【
図7C】
図7Cは、
図7Aの隔離層の断面図であり、隔離層を貫通する1つ以上の孔が弁によって閉じられていることを示す。
【
図7D】
図7Dは、
図7Bの隔離層の断面図であり、弁が開いているときの隔離層の孔を通る通路を示す。
【
図8A】
図8Aは、組織部位に陰圧を送達する、
図2の治療システムの動作実施形態を図示する、システムの断面図である。
【
図8B】
図8Bは、陰圧が組織部位に送達されていないときの、
図2のシステムの動作可能な実施形態を示すシステムの断面図である。
【
図9A】
図9Aは、陰圧がドレッシングに印加されるときに示される、
図5のドレッシングと共に使用されることができる隔離層の別の例示的実施形態の斜視図である。
【
図9B】
図9Bは、陰圧が印加されていない静止状態における
図9Aの隔離層の例示的実施形態の斜視図である。
【
図9C】
図9Cは、
図9Aの隔離層の断面図であり、陰圧が印加されたときに封止される隔離層を通る複数の位置合わせされていない孔を示す。
【
図9D】
図9Dは、
図9Bの隔離層の断面図であり、陰圧が除去されたときに隔離層の孔を通る通路を示す。
【
図10A】
図10Aは、
図5のドレッシングと共に使用することができる隔離層の別の例示的実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例示的実施形態の以下の説明は、当業者が添付の特許請求の範囲に記載されている主題を作製及び使用することを可能にする情報を提供するが、当該技術分野において既に周知のある特定の詳細を省略する場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定ではなく例示として解釈されたい。
【0017】
図1は、本明細書による、組織部位に陰圧療法を提供することが可能な治療システム100の例示的実施形態のブロック図である。
【0018】
この文脈での用語「組織部位」とは、限定されないが、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、真皮組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、又は靭帯を含む組織上又は組織内部に位置する創傷、欠損、又は他の治療標的を広範に指す。創傷は、例えば、慢性の、急性の、外傷性の、亜急性の、及び裂開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(糖尿病潰瘍、圧迫潰瘍、又は静脈不全潰瘍など)、皮弁、及び移植組織を含み得る。用語「組織部位」とはまた、必ずしも創傷又は欠損がある任意の組織の領域ではないが、代わりに、追加の組織の成長を追加又は促進することが望ましいことがある領域を指し得る。例えば、陰圧は、採取及び移植され得る追加の組織を成長させるために組織部位に適用されてもよい。
【0019】
治療システム100は、陰圧源105などの陰圧源又は陰圧供給部と、1つ以上の分配構成要素とを含み得る。分配構成要素は、好ましくは着脱可能であり、使い捨て可能、再使用可能、又はリサイクル可能であってもよい。ドレッシング110などのドレッシング、及び、容器115などの流体容器は、治療システム100のいくつかの例に関連し得る分配構成要素の例である。
図1の例に示すように、ドレッシング110は、組織インタフェース120、カバー125、又はいくつかの実施形態では両方を備えてもよく、又はこれらから本質的になってもよい。
【0020】
流体導管は、分配構成要素の別の例示的な例である。この文脈での「流体導管」とは、2つの端部間で流体を搬送するように適合された1つ以上の管腔又は開放経路を有する、チューブ、パイプ、ホース、導管、又は他の構造体を広範に含む。典型的には、チューブは、ある程度の可撓性を有する細長い円筒状の構造体であるが、幾何学的形状及び剛性は変化し得る。また、いくつかの流体導管は、他の構成要素内に成形されてもよく、又はそうでなければ他の構成要素と一体的に組み合わされてもよい。分配構成要素はまた、他の構成要素の結合及び分離を容易にするために、インタフェース又は流体ポートを含んでもよく又は備えてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、ドレッシングインタフェースは、流体導管をドレッシング110に結合することを容易にしてもよい。例えば、このようなドレッシングインタフェースは、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能なSENSAT.R.A.C(商標)Padであってもよい。
【0021】
治療システム100はまた、調整器、又はコントローラ130などのコントローラも含み得る。更に、治療システム100は、動作パラメータを測定し、動作パラメータを示すフィードバック信号をコントローラ130に提供するためのセンサを含み得る。例えば、
図1に示すように、治療システム100は、コントローラ130に結合された第1のセンサ135及び第2のセンサ140を含み得る。
【0022】
治療システム100のいくつかの構成要素は、療法を更に容易にするセンサ、処理ユニット、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示デバイス、又はユーザインタフェースなどの他の構成要素内に収容されてもよく、又はこれらと共に使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、陰圧源105を、コントローラ130及び他の構成要素と組み合わせて治療ユニット145(therapy unit)としてもよい。
【0023】
一般に、治療システム100の構成要素は、直接又は間接的に結合されてもよい。例えば、陰圧源105は、容器115に直接結合されてもよく、容器115を介してドレッシング110に間接的に結合されてもよい。結合は、流体結合、機械的結合、熱的結合、電気的結合、若しくは化学的結合(化学結合など)、又は、いくつかの文脈では、結合のある組み合わせを含むことができる。例えば、陰圧源105は、コントローラ130に電気的に結合されてもよく、組織部位への流体経路を提供するために1つ以上の分配構成要素に流体結合されてもよい。いくつかの実施形態では、構成要素はまた、物理的近接によって、又は単一の構造に一体化されることによって、又は同じ材料片から形成されることによって結合されてもよい。
【0024】
陰圧源105などの陰圧供給部は、陰圧での空気のリザーバであってもよく、又は、例えば、真空ポンプ、吸引ポンプ、多くの医療施設で使用可能な壁面吸引ポート、若しくはマイクロポンプなどの手動若しくは電動のデバイスであってもよい。「陰圧」とは、一般的に、封止治療環境の外部の局所的環境における周囲圧力などの局所的周囲圧力未満の圧力を指す。多くの場合、局所的周囲圧力はまた、組織部位が位置する大気圧であり得る。代替的に、圧力は、組織部位における組織に関連する静水圧未満であり得る。別途指示のない限り、本明細書に記載されている圧力の値は、ゲージ圧である。陰圧の増加についての言及は、典型的には、絶対圧力の減少を指し、陰圧の減少は、典型的には、絶対圧力の増加を指す。陰圧源105によって提供される陰圧の量及び性質は、治療要件に応じて変化してもよいが、圧力は一般的に、-5mmHg(-667Pa)~-500mmHg(-66.7kPa)の低真空(rough vacuum)とも一般的に称される低い真空(low vacuum)である。一般的な療法範囲は、-50mmHg(-6.7kPa)~-300mmHg(-39.9kPa)の間である。
【0025】
容器115は、組織部位から引き出された滲出液及び他の流体を管理するために使用され得る容器、キャニスタ、パウチ、又は他の貯蔵構成要素を表す。多くの環境では、剛性の容器が、流体の収集、貯蔵、及び廃棄のために好ましい又は必要とされることがある。他の環境では、流体は、剛性の容器に貯留されずに適切に廃棄される場合もあり、再使用可能な容器であれば、陰圧療法に関連する廃棄物及びコストを低減することができる。
【0026】
コントローラ130などのコントローラは、治療システム100の1つ以上の構成要素、例えば陰圧源105などを動作させるようにプログラムされたマイクロプロセッサ又はコンピュータであってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、コントローラ130はマイクロコントローラであってもよく、これは一般的に、プロセッサコアと、治療システム100の1つ以上の動作パラメータを直接又は間接的に制御するようにプログラムされたメモリと、を含む集積回路を備える。動作パラメータは、例えば、陰圧源105に適用される電力、陰圧源105によって生成される圧力、又は組織インタフェース120に分配される圧力を含み得る。コントローラ130はまた、好ましくは、フィードバック信号などの1つ以上の入力信号を受信するように構成されており、入力信号に基づいて1つ以上の動作パラメータを修正するようにプログラムされている。
【0027】
第1のセンサ135及び第2のセンサ140などのセンサは、物理的現象又は物理的特性を検出若しくは測定し検出又は測定された現象又は特性を示す信号を一般に提供するように動作可能な任意の装置とすることができる。例えば、第1のセンサ135及び第2のセンサ140は、治療システム100の1つ以上の動作パラメータを測定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1のセンサ135は、空気経路内の圧力を測定し、測定値を、測定された圧力を示す信号に変換するように構成されたトランスデューサであってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、第1のセンサ135は、ピエゾ抵抗型歪みゲージであってもよい。いくつかの実施形態では、第2のセンサ140は、陰圧源105の動作パラメータ、例えば電圧又は電流などを任意選択的に測定することができる。好ましくは、第1のセンサ135及び第2のセンサ140からの信号は、コントローラ130への入力信号として好適であるが、いくつかの実施形態では、ある信号調整が適切であり得る。例えば、信号は、信号がコントローラ130によって処理され得る前に、フィルタリング又は増幅される必要があり得る。典型的には、信号は、電気信号であるが、光信号などの他の形態で表されてもよい。
【0028】
組織インタフェース120は、一般的に、組織部位に部分的又は完全に接触するように適合されてもよい。組織インタフェース120は多くの形態をとってもよく、実施されている治療のタイプ、又は組織部位の性質及びサイズなどの様々な要因に応じて、多くのサイズ、形状、又は厚さを有してもよい。例えば、組織インタフェース120のサイズ及び形状は、深い不規則な形状の組織部位の輪郭に適合されてもよい。組織インタフェース120の面のうちのいずれか又は全ては、凹凸のプロファイル、粗いプロファイル、又はぎざぎざのプロファイルを有し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、組織インタフェース120は、マニホールドを備えてもよく、又はこれから本質的になってもよい。この文脈でのマニホールドは、圧力下で組織インタフェース120にわたって、流体を収集又は分配するための手段を備えてもよく、又はこれから本質的になってもよい。例えば、マニホールドは、源から陰圧を受け取る、及び複数の開口を介して組織インタフェース120にわたって陰圧を分配するように適合されてもよく、これは、組織部位にわたって流体を収集し流体を源に向けて引き込む効果を有し得る。いくつかの実施形態では、組織部位にわたって流体を送達することを容易にするために、流体経路を逆転させることができ、又は二次流体経路を設けることもできる。
【0030】
いくつかの例示的実施形態では、マニホールドは、流体の分配又は収集を改善するために相互接続され得る複数の経路を備え得る。いくつかの例示的実施形態では、マニホールドは、相互接続された流体経路を有する多孔質材料を備えてもよい、又はこのような多孔質材料から本質的になってもよい。相互接続された流体経路(例えば、チャネル)を形成するように適合させることが可能な好適な多孔質材料の例としては、網状発泡体などの連続気泡発泡体を含めた、気泡発泡体、多孔質組織集合体、並びに、細孔、縁部、及び/又は壁部を一般的に含むガーゼ又はフェルトマットなどの他の多孔質材料が挙げられ得る。液体、ゲル、及び他の発泡体はまた、開口及び流体通路を含んでよく、又はこれらを含むように硬化してもよい。いくつかの実施形態では、マニホールドは、追加的又は代替的に、相互接続された流体経路を形成する突起を備えてもよい。例えば、マニホールドは、相互接続された流体通路を画定する表面突起を設けるように成形され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、組織インタフェース120は、所定の治療の必要性に応じて変化し得る細孔サイズ及び自由体積を有する網状発泡体を備えてもよい、又は本質的に網状発泡体から構成されてもよい。例えば、少なくとも90%の自由容積を有する網状発泡体は、多くの治療用途に好適であり得るものであり、400~600マイクロメートルの範囲の平均細孔サイズ(1インチ当たり40~50個の細孔)を有する発泡体は、一部のタイプの治療に特に好適であり得る。組織インタフェース120の引張強度はまた、処方された治療の必要性に従って変化し得る。組織インタフェース120の25%圧縮荷重撓みは、平方インチ当たり少なくとも0.35ポンドであってもよく、65%圧縮荷重撓みは、平方インチ当たり少なくとも0.43ポンドであってもよい。いくつかの実施形態では、組織インタフェース120の引張強度は、平方インチ当たり少なくとも10ポンドであってもよい。組織インタフェース120は、1インチ当たり少なくとも2.5ポンドの引裂強度を有し得る。一部の実施形態では、組織インタフェースは、ポリエステル又はポリエーテルなどのポリオール、トルエンジイソシアネートなどのイソシアネート、並びにアミン及びスズ化合物などの重合調節剤から構成される、発泡体であり得る。いくつかの例では、組織インタフェース120は、San Antonio、TexasのKinetic Concepts,Inc.から両方入手可能な、GRANUFOAM(商標)ドレッシング又はV.A.C.VERAFLO(商標)ドレッシングに見られるような網状のポリウレタン発泡体であってもよい。
【0032】
組織インタフェース120の厚さはまた、処方された治療の必要性に応じて変化し得る。例えば、組織インタフェースの厚さを減少させて、末梢組織への張力を低減することができる。組織インタフェース120の厚さはまた、組織インタフェース120の適合性に影響を及ぼすことができる。いくつかの実施形態では、約5ミリメートル~10ミリメートルの範囲の厚さが好適であり得る。
【0033】
組織インタフェース120は、疎水性又は親水性のいずれかであり得る。組織インタフェース120が親水性であり得る例では、組織インタフェース120はまた、陰圧を組織部位に分配し続けつつ、流体を組織部位から離れるように吸い上げることができる。組織インタフェース120の吸い上げ特性は、毛細管流又は他の吸い上げ機構によって流体を組織部位から離れるように引き寄せることができる。好適であり得る親水性材料の一例は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能なV.A.C.WHITEFOAM(商標)ドレッシングなどのポリビニルアルコールの連続気泡発泡体である。他の親水性発泡体は、ポリエーテルから作製されたものを含み得る。親水性特徴を呈し得る他の発泡体は、親水性を付与するように処理又はコーティングされた疎水性発泡体を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、組織インタフェース120は、生体吸収性材料から構築され得る。好適な生体吸収性材料は、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)とのポリマーブレンドを含み得るが、これに限定されない。ポリマーブレンドはまた、限定するものではないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、及びカプロラクトン(capralactone)をも含み得る。組織インタフェース120は、新しい細胞成長のためのスキャフォールドとして更に機能してもよく、又はスキャフォールド材料は、細胞成長を促進するために、組織インタフェース120と共に使用されてもよい。スキャフォールドは、一般に、細胞の成長又は組織の形成を強化又は促進するために使用される物質又は構造体、例えば、細胞成長のためのテンプレートを提供する3次元多孔質構造体などである。スキャフォールド材料の例示的な例としては、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラル(coral)ヒドロキシアパタイト、カーボネート、又は、加工された同種移植片材料が挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、カバー125は、細菌に対する障壁、及び物理的外傷からの保護を提供し得る。カバー125はまた、蒸発損失を低減することができ、2つの構成要素間又は2つの環境間の流体シール、例えば、療法環境と局所的外部環境との間の流体シールなどを提供することができる材料から構築され得る。カバー125は、例えば、組織部位において所与の陰圧源の陰圧を維持するのに適切なシールを提供することができるエラストマーのフィルム又は膜を含んでもよく、又はこれからなってもよい。カバー125は、いくつかの用途において、高い水蒸気透過率(moisture-vapor transmission rate、MVTR)を有し得る。例えば、MVTRは、いくつかの実施形態では、38℃及び相対湿度(RH)10%において、ASTM E96/E96MのUpright Cup Methodによる直立カップ法を使用して測定された際、24時間当たり少なくとも250グラム/平方メートルであり得る。いくつかの実施形態では、24時間当たり最大5,000グラム/平方メートルのMVTRが、有効な通気性及び機械的特性を提供し得る。
【0036】
いくつかの例示的実施形態では、カバー125は、水蒸気に透過性であるが液体に不透過性である、ポリウレタンフィルムなどのポリマードレープであってもよい。このようなドレープは、典型的には、25~50マイクロメートルの範囲の厚さを有する。透過性材料については、透過性は、概して、所望の陰圧を維持できる程度に低くすべきである。カバー125は、例えば、以下の材料のうちの1つ以上を含んでもよい。親水性ポリウレタンなどのポリウレタン(PU)、セルロース誘導体、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマーなどのシリコーン、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、エチレン酢酸ビニル(EVA)、コポリエステル、及びポリエーテルブロックポリミドコポリマー。そのような材料は、例えば、3M Company(Minneapolis Minnesota)から市販のTegaderm(登録商標)ドレープ、Avery Dennison Corporation(Pasadena,California)から市販のポリウレタン(PU)ドレープ、例えばArkema S.A.(Colombes,France)製のポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX)、並びに、Expopack Advanced Coatings(Wrexham,United Kingdom)から市販のInpsire 2301及びInspire 2327ポリウレタンフィルム、として市販されている。いくつかの実施形態では、カバー125は、2600g/m2/24時間のMVTR(直立カップ法)及び約30マイクロメートルの厚さを有するINSPIRE2301を含み得る。
【0037】
取り付けデバイスは、カバー125を、無傷の表皮、ガスケット、又は別のカバーなどの取り付け面に取り付けるために使用されてもよい。取り付けデバイスは、多くの形態を取り得る。例えば、取り付けデバイスは、カバー125を組織部位の周りの表皮に接合するように構成された医学的に許容可能な感圧接着剤であってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、カバー125の一部又は全ては、約25~65グラム/平方メートル(g.s.m.)のコーティング重量を有し得るアクリル接着剤などの接着剤でコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、より厚い接着剤、又は接着剤の組み合わせが、シールを改善し漏れを低減するために適用されてもよい。取り付けデバイスの他の例示的な実施形態は、両面テープ、糊、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル、又はオルガノゲルを含み得る。
【0038】
動作中、組織インタフェース120は、組織部位内に、組織部位の上に、組織部位上に、又はそうでなければ組織部位に近接して配置されてもよい。例えば、組織部位が創傷である場合、組織インタフェース120は、部分的若しくは完全に創傷を塞いでもよく、又は、創傷の上に配置されてもよい。カバー125は、組織インタフェース120の上に配置され、組織部位付近の取り付け面に封止されてもよい。例えば、カバー125は、組織部位の周辺の無傷の表皮に封止されてもよい。したがって、ドレッシング110は、外部環境から実質的に隔離された封止治療環境を組織部位に近接して提供することができ、陰圧源105は、その封止治療環境内の圧力を低減することができる。
【0039】
圧力を低下させるプロセスは、本明細書では、例えば、陰圧を「送達する」、「分配する」、又は「生成する」として説明することができる。一般に、滲出液及び他の流体は、流体経路に沿って、より低い圧力に向けて流れる。したがって、「下流」という用語は、典型的には、陰圧源に相対的により近い、又は陽圧源からより遠く離れている流体経路内の位置を意味する。逆に、「上流」という用語は、陰圧源から相対的により遠く離れている、又は陽圧源により近い位置を意味する。しかしながら、流体経路はまた、いくつかの用途では、陰圧源を陽圧源に置き換えることなどによって逆転されてもよく、これらの記述的用語は限定として解釈されるべきではない。
【0040】
封止治療環境において、組織インタフェース120を介して組織部位に印加される陰圧は、組織部位における巨大歪み及び微小歪みを誘発することができる。陰圧はまた、組織部位から滲出液及び他の流体を除去することができ、滲出液及び他の流体は容器115内に収集され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、コントローラ130は、第1のセンサ135などの1つ以上のセンサからデータを受信し処理することができる。コントローラ130はまた、組織インタフェース120に送達される圧力を管理するために、治療システム100のうちの1つ以上の構成要素の動作を制御することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ130は、所望の目標圧力を受け取るための入力を含み得、組織インタフェース120に適用される目標圧力の設定及び入力に関するデータを処理するように、プログラムされ得る。いくつかの例示的実施形態では、目標圧力は固定圧力値であってもよく、固定圧力値は、組織部位における治療に所望される目標陰圧として操作者によって設定され、次いで、コントローラ130に入力として提供される。目標圧力は、組織部位を形成する組織のタイプ、(存在する場合)傷害又は創傷のタイプ、患者の健康状態、及び主治医の選好に基づいて、組織部位に応じて変化してもよい。所望の目標圧力の選択後、コントローラ130は、目標圧力に基づいて、陰圧源105を1つ以上の制御モードで動作させることができ、組織インタフェース120における目標圧力を維持するために、1つ以上のセンサからフィードバックを受信することができる。
【0042】
図2は、患者の組織部位202を治療するための治療システム100の例示的実施形態を示す。組織部位202は、表皮204、真皮206、及び皮下組織208を通って延びてもよく、又はこれらを伴ってもよい。組織部位202は、表皮204の表面の下に延びる
図2に示されているような表面下の組織部位であってもよい。更に、組織部位202は、例えば、切開など、表皮204の表面上に主に存在する表面組織部位(図示せず)であってもよい。治療システム100は、治療システム100の位置決め又は組織部位の種類に関わらず、例えば、表皮204、真皮206、及び皮下組織208に治療を提供してもよい。治療システム100はまた、限定なく、他の組織部位において使用されてもよい。
【0043】
更に、組織部位202は、骨組織、脂肪組織、筋組織、真皮組織、血管組織、結合組織、軟骨組織、腱、靭帯、又は任意の他の組織を含む、任意のヒト、動物、又は他の生物体の体組織であり得る。組織部位202の治療は、流体、例えば、滲出液又は腹水の除去を含んでもよい。
【0044】
引き続き
図2を参照すると、治療システム100は、ドレッシング110と、容器115と、陰圧源105を含み得る治療ユニット145とを含み得る。更に、治療システム100は、治療システム100の任意の構成要素として充填材料214を含んでもよく、これは、異なるタイプの組織部位又は陰圧を使用する異なるタイプの治療、例えば、上皮化などのために省略されてもよい。設けられる場合、充填材料214は、例えば、組織部位202に嵌合し、組織部位202とドレッシング110との間の空間を充填するように任意の好適な仕方で充填材料214を切断又は形状することなどによって、組織部位202に近接又は隣接して位置決めされるように適合されてもよい。組織インタフェース120と同様に、充填材料214は、本明細書に説明されるマニホールド材料から構築されてもよく、組織部位202と流体連通して位置付けられ、組織部位202に陰圧を分配するように適合されてもよい。いくつかの実施形態では、充填材料214は、組織部位202と直接接触して、組織部位202とドレッシング110との間に位置付けられてもよい。充填材料214が省略される場合、ドレッシング110の組織インタフェース120は、組織部位202と直接接触して位置付けられてもよい。
【0045】
引き続き
図2を参照すると、ドレッシング110は、治療ユニット145の陰圧源105からの陰圧を、直接又は充填材料214(装備されている場合)を通して組織部位202に提供又は分配するように適合され得る。更に、
図2は、ドレッシング110の組織インタフェース120のいくつかの例示的実施形態に関連付けられ得る追加の特徴を示す。例えば、ドレッシング110の組織インタフェース120は、任意選択の基層218、マニホールド220、隔離層222、及び吸収性材料224を含んでもよい。接着剤226などの接着層は、ドレッシング110を組織部位202に対して固定するために、カバー125と組織部位202の周辺部との間に配置されるように構成されてもよい。ドレッシング110の構成要素は、特定の用途に適合するように追加されてもよく、又は取り外されてもよい。
【0046】
図2~
図6を参照すると、基層218は、中央部分232を取り囲む周辺部230と、周辺部230及び中央部分232を通って配設された複数の開口234とを有してもよい。基層218はまた、角部236と縁部238とを有し得る。角部236及び縁部238は、周辺部230の一部であってもよい。縁部238のうちの1つは、縁部238のうちの別のものと合して、角部236のうちの1つを画定してもよい。更に、基層218は、境界240を有し得、境界240は、中央部分232を実質的に取り囲み、中央部分232と周辺部230との間に位置決めされている。境界240は、開口234を含まなくてもよい。基層218は、基層218の中央部分232が組織部位202に隣接して又は近接して位置決めされており、基層218の周辺部230が組織部位202を取り囲む組織に隣接して又は近接して位置決めされているように、組織部位202及び組織部位202を取り囲む組織を覆うことができる。このようにして、基層218の周辺部230は、組織部位202を取り囲むことができる。更に、基層218内の開口234は、組織部位202及び組織部位202を取り囲む組織と流体連通してもよい。
【0047】
基層218内の開口234は、例えば、円形、正方形、星形、楕円形、多角形、スリット、複雑な曲線、直線形状、三角形、又は他の形状などの任意の形状を有してもよい。開口234は、切断によって、局所的なRFエネルギーの適用によって、又は開口部を形成するための他の好適な技法によって形成されてもよい。
図4~
図6に示すように、複数の開口234の各開口234は、直径及び面積を有する実質的に円形の形状であってもよい。各開口234の面積とは、各開口234を画定する開放空間又は開放領域を指し得る。各開口234の直径は、各開口234の面積を定め得る。例えば、開口234のうちの1つの面積は、開口234の直径の半分の2乗に値3.14を乗ずることによって定められ得る。よって、以下の式、面積=3.14
*(直径/2)^2により、開口234のうちの1つの面積が定められ得る。本明細書の例示的実施形態で説明されている開口234の面積は、非円形の形状を有し得る開口234の他の実施形態(図示せず)での面積と実質的に同様であり得る。各開口234の直径は実質的に同じであってもよく、又は各直径は、例えば、基層218内の開口234の位置に応じて変化してもよい。例えば、基層218の周辺部230に内の開口234の直径は、基層218の中央部分232に内の開口234の直径よりも大きくてもよい。更に、各開口234の直径は、約1ミリメートル~約50ミリメートルであることができる。いくつかの実施形態では、各開口234の直径は、約1ミリメートル~約20ミリメートルであることができる。開口234は、均一なパターンを有してもよく、又は基層218上にランダムに分配されてもよい。開口234のサイズ及び構成は、以下に記載されているように、ドレッシング110の表皮204への接着を制御するように設計されてもよい。
【0048】
図5及び
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、周辺部230に配置された開口234は開口234aであってもよく、周辺部230の角部236に配置された開口234は開口234bであってもよく、中央部分232に配置された開口234は開口234cであってもよい。開口234aは、約9.8ミリメートル~約10.2ミリメートルの直径を有してもよい。開口234bは、約7.75ミリメートル~約8.75ミリメートルの直径を有してもよい。開口234cは、約1.8ミリメートル~約2.2ミリメートルの直径を有してもよい。開口234aの各々の直径は、約2.8ミリメートル~約3.2ミリメートルの距離Aだけ互いに分離され得る。更に、開口234aの少なくとも1つの直径は、開口234bの少なくとも1つの直径から距離Aだけ離れていてもよい。開口234bの各々の直径もまた、距離Aだけ互いに離れていてもよい。開口234cのうちの1つの中心は、約2.8ミリメートル~約3.2ミリメートルの距離Bだけ第1の方向に開口234cのうちの別のものの中心から分離され得る。第1の方向を横断する第2の方向において、開口234cのうちの1つの中心は、約2.8ミリメートル~約3.2ミリメートルの距離Cだけ、開口234cのうちの別のものの中心から分離され得る。
図5及び
図6に示すように、距離B及び距離Cは、境界240から離れて配置された開口234cと比較して、境界240に近接して又は境界に配置された中央部分232の開口234cについて増加されてもよい。
【0049】
図5~
図6に示すように、基層218の中央部分232は、中央部分232の各辺が約100ミリメートル~約108ミリメートルの長さDを有する実質的に正方形であってもよい。いくつかの実施形態では、長さDは、約106ミリメートル~約108ミリメートルであってもよい。基層218の境界240は、約4ミリメートル~約11ミリメートルの間の幅Eを有することができ、中央部分232及び中央部分232内の開口234cを実質的に取り囲むことができる。いくつかの実施形態では、幅Eは、約9ミリメートル~約10ミリメートルであってもよい。基層218の周辺部230は、約25ミリメートル~約35ミリメートルの幅Fを有することができ、境界240及び中央部分232を実質的に取り囲むことができる。いくつかの実施形態では、幅Fは、約26ミリメートル~約28ミリメートルであってもよい。更に、周辺部230は、外側の各辺が約154ミリメートル~約200ミリメートルの長さGを有する実質的に正方形の外側を有することができる。いくつかの実施形態では、長さGは、約176ミリメートル~約184ミリメートルであってもよい。
図5~
図6では、基層218の中央部分232、境界240、及び周辺部230が実質的に正方形の形状を有するとして示されているが、基層218のこれら及び他の構成要素は、特定の用途に適合するように任意の形状を有してもよい。更に、本明細書で説明されるような基層218の寸法は、特定の用途に適合するように、例えば、実質的に互いに比例して増加又は減少されてもよい。上記の比率の寸法を使用すると、組織部位の外観を向上させることができる。例えば、これらの比率は、形状に関わらず、組織部位202における上皮細胞の移動及び増殖を増進し、ドレッシング110の中への肉芽組織の内部成長の可能性を低減するために十分に平滑である、基層218のための表面積を提供し得る。
【0050】
基層218は、本明細書に記載されているように、組織部位202との流体シールを提供するのに好適な軟質かつ柔軟な材料であり得る。例えば、基層218は、シリコーンゲル、軟質シリコーン、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、ポリウレタンゲル、ポリオレフィンゲル、水素添加スチレンコポリマーゲル、発泡ゲル、後述する接着剤でコーティングされたポリウレタン及びポリオレフィンなどの軟質独立気泡発泡体、ポリウレタン、ポリオレフィン、又は水素添加スチレンコポリマーを含み得る。基層218は、約500ミクロン(μm)~約1000ミクロン(μm)の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、基層218は、約5ショアOO~約80ショアOOの剛性を有する。基層218は、疎水性又は親水性材料から構成されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では(図示せず)、基層218は、コーティングされた疎水性材料であることができる。例えば、基層218は、例えば、織りメッシュ、不織メッシュ、成形メッシュ、又は押出メッシュなどの隙間を有する材料を疎水性材料でコーティングすることによって形成され得る。コーティング用疎水性材料は、例えば、軟質シリコーンであることができる。このようにして、接着剤226は、後述する開口234に類似する、隙間を有する材料内の開口部を通って延びてもよい。
【0052】
接着剤226は、基層218の少なくとも周辺部230に内の開口234と流体連通してもよい。このようにして、接着剤226は、基層218内の開口234を介して組織部位202を取り囲む組織と流体連通してもよい。後述するように、かつ
図4に示すように、接着剤226は、例えば、組織部位202を取り囲む組織にドレッシング110を固定するために、表皮204に接触するように、複数の開口234を通って延びてもよく、又は押し込まれてもよい。開口234は、組織部位202の周りにドレッシング110を固定するために、表皮204への接着剤226の十分な接触を提供することができる。しかしながら、後述する開口234及び接着剤226の構成は、組織部位202の周りでのドレッシング110の解放及び再位置決めを可能にし得る。
【0053】
基層218の周辺部230内の開口234aのうちの少なくとも1つは、周辺部230の縁部238に位置決めされてもよく、縁部238において開放又は露出され縁部238と横方向に流体連通している内部切断部を有してもよい。横方向は、縁部238に向かいかつ基層218と同じ平面内にある方向を指し得る。
図5~
図6に示すように、周辺部230内の複数の開口234aは、縁部238に近接して又は縁部238に位置決めされており、縁部238と横方向に流体連通してもよい。縁部238に近接して、又は縁部238に位置決めされた開口234aは、
図5~
図6に示すように、周辺部230の周囲に実質的に等距離の間隔で配置されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、縁部238に近接する、又は縁部238にある開口234aの間隔は、不規則であってもよい。接着剤226は、縁部238において露出されている開口234aを介して縁部238と流体連通してもよい。このようにして、縁部238にある開口234aは、例えば、組織部位202の周囲での縁部238の接着を向上させるように、接着剤226が縁部238の周囲に流れることを可能にし得る。
【0054】
図5~
図6を続けて参照すると、周辺部230の角部236における開口234bは、上述したように、周辺部230の他の部分における開口234aよりも小さくてもよい。角部236の所与の幾何学的形状について、開口部234aと比較して開口部234bのサイズが小さいほど、角部236の開口部234bを介して露出して流体連通する接着剤226の表面積を最大にすることができる。例えば、
図5~
図6に示すように、縁部238は、角部236を画定するために、実質的に直角で又は約90度で交差してもよい。また図示のように、角部236は、約10ミリメートルの半径を有し得る。約7.75ミリメートル~約8.75ミリメートルの直径を有する開口234bのうちの3つは、接着剤226の露出表面積を最大化するために、角部236において三角形の構成で位置付けられてもよい。上述のように、角部236の開口234bのサイズ及び数は、接着剤226の露出表面積を最大化するために、角部236の選択された幾何学的形状に応じて、必要に応じて調節されてもよい。更に、角部236の開口234bは、基層218内に完全に収容され、角部236の外側への横方向の流体連通を実質的に排除してもよい。角部236の開口234bが基層218に完全に収容されることにより、角部236の外側への接着剤226の流体連通が実質的に排除され得、組織部位202での配置時のドレッシング110の取り扱いが改善され得る。更に、角部236の外側が接着剤226を実質的に含まないことにより、快適性を高めるように角部236の可撓性が向上され得る。
【0055】
角部236の開口234bと同様に、開口234のうちのいずれについても、サイズ及び数が、基層218の特定の用途又は幾何学的構造に応じて、開口234を介して流体連通する接着剤226の表面積を最大化するように調節されてもよい。例えば、いくつかの実施形態(図示せず)では、開口234b、又は別のサイズの開口は、周辺部230及び境界240に配置されてもよい。同様に、開口234b、又は別のサイズの開口は、複雑な幾何学的構造又は形状を有することができる基層218の他の位置に上述のように配置することができる。
【0056】
接着剤226は、医学的に許容できる接着剤であり得る。接着剤226はまた、流動性であってもよい。例えば、接着剤226は、アクリル接着剤、ゴム接着剤、高粘着性シリコーン接着剤、ポリウレタン、又は他の接着性物質を含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤226は、15グラム/m
2(gsm)~70グラム/m
2(gsm)のコーティング重量を有するアクリル接着剤を含む感圧接着剤であり得る。接着剤226は、
図5に示すように、基層218の周辺部230と実質的に同じ形状を有する層であってもよい。いくつかの実施形態では、接着剤226の層は、連続的であってもよく、又は不連続であってもよい。接着剤226内の不連続部は、接着剤226内の開口(図示せず)によって提供されてもよい。接着剤226内の開口は、接着剤226の適用後、又はキャリア層上に、例えば、表皮204に面するように適合されたカバー125の側の上に接着剤226をパターンでコーティングすることによって形成されてもよい。更に、接着剤226内の開口は、基層218内の開口234を通って延びて表皮204に到達する接着剤226の量を制御するようなサイズを有してもよい。接着剤226内の開口はまた、ドレッシング110の水蒸気透過率(Moisture Vapor Transfer Rate、MVTR)を向上させるようなサイズを有してもよい。
【0057】
ドレッシング110の接着強度を制御するために使用され得る要因は、基層218内の開口234の直径及び数、基層218の厚さ、接着剤226の厚さ及び量、並びに接着剤226の粘着性を含むことができる。開口234を通って延びる接着剤226の量の増大は、一般に、ドレッシング110の接着強度の増大に対応する。基層218の厚さの減少は、一般に、開口234を通って延びる接着剤226の量の増大に対応する。したがって、開口234の直径及び構成、基層218の厚さ、並びに使用される接着剤の量及び粘着性は、ドレッシング110の所望の接着強度を提供するように変化してもよい。例えば、基層218の厚さは約200マイクロメートルであってもよく、接着剤の層226は、約30マイクロメートルの厚さ、及び25センチメートル幅の1つのストリップ当たり2000グラムの粘着性を有してもよく、基層218内の開口234aの直径は、約10ミリメートルであってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、接着剤226の粘着性は、基層218内の異なる位置において変化してもよい。例えば、開口234aなどの開口234が比較的大きい基層218内の位置では、接着剤226は、開口234b及び開口234cなどの開口234が小さい基層218内の他の位置よりも低い粘着性を有してもよい。このようにして、より大きい開口234及びより低い粘着性の接着剤226を有する基層218内の位置は、より小さい開口234及びより高い粘着性の接着剤226を有する位置に匹敵する接着強度を有し得る。
【0059】
臨床研究によって、基層218及び接着剤226について本明細書に記載されている構成は、使用時に水疱、紅斑、及び漏出の発生を低減し得ることが示されている。このような構成は、例えば、患者の快適性の増大及びドレッシング110の耐久性の増大を提供し得る。
【0060】
図5の実施形態を参照すると、剥離ライナー242は、組織部位202へのドレッシング110の適用前に接着剤226を保護するために、基層218に取り付けられてもよく、又は基層218に隣接して位置決めされてもよい。組織部位202へのドレッシング110の適用前に、基層218は、カバー125と剥離ライナー242との間に位置決めされてもよい。剥離ライナー242を取り外すことにより、組織部位202へのドレッシング110の適用のために、基層218及び接着剤226が露出し得る。剥離ライナー242はまた、例えば、ドレッシング110の配置を支援するために剛性を提供してもよい。剥離ライナー242は、例えば、キャスト紙、フィルム、又はポリエチレンであってもよい。更に、剥離ライナー242は、ポリエチレンテレフタレート(PET)又は同様の極性半結晶性ポリマーなどのポリエステル材料であってもよい。剥離ライナー242のための極性半結晶性ポリマーの使用は、ドレッシング110のしわ又は他の変形を実質的に妨げることができる。例えば、極性半結晶性ポリマーは、高度に配向されてもよく、ドレッシング110の構成要素と接触したときに、又は温度変化、環境変化、若しくは滅菌に供されたときに生じ得る軟化、膨潤、又は他の変形に対して耐性であり得る。更に、剥離剤が、基層218に接触するように構成された剥離ライナー242の側部に配設されてもよい。例えば、剥離剤はシリコーンコーティングであってもよく、手動で、かつドレッシング110を損傷又は変形させることなく、剥離ライナー242の取り外しを容易にするのに好適な剥離要因を有してもよい。いくつかの実施形態では、剥離剤はフルオロシリコーンであってもよい。他の実施形態では、剥離ライナー242は、コーティングされていなくてもよく、そうでなければ剥離剤なしで使用されてもよい。
【0061】
引き続き
図2~
図6を参照すると、カバー125は、
図1を参照して上述したものと実質的に同じであってもよい。カバー125は、縁部又は周辺部244及び中央部分246を有することができる。カバー125はまた、第1の表面248と、第1の表面248の反対側の第2の表面250とを有してもよい。カバー125は、開口252を更に含むことができる。開口252は、カバー125を貫通する開口部又は孔であってもよい。いくつかの実施形態では、開口252は、実質的にカバー125の中心に配置されてもよい。開口252は、カバー125の第1の表面248からドレッシング110を通る流体連通を可能にするように構成されてもよい。カバー125の周辺部244は、カバー125の中央部分246及び基層218の中央部分232がエンクロージャ254を画定するように、基層218の周辺部230に近接して位置決めされてもよい。
【0062】
接着剤226は、少なくともカバー125の周辺部244と基層218の周辺部230との間に位置決めされてもよい。カバー125は、組織部位202及び組織インタフェース120を覆って、組織部位202とドレッシング110のカバー125との間に流体シール及び封止空間256を提供し得る。更に、カバー125は、組織部位202を取り囲む表皮204の一部などの他の組織を覆って、カバー125と組織部位202との間に流体シールを提供してもよい。いくつかの実施形態では、カバー125の周辺部244の一部は、基層218の周辺部230を越えて延び、組織部位202を取り囲む組織と直接接触してもよい。他の実施形態では、カバー125の周辺部244は、例えば、組織部位202を取り囲む組織と接触して位置決めされて、封止空間256を基層218なしに提供し得る。よって、接着剤226はまた、少なくともカバー125の周辺部244と組織部位202を取り囲む表皮204などの組織との間に位置決めされてもよい。接着剤226は、組織部位202及び基層218に面するように適合されたカバー125の表面上に配設されてもよい。
【0063】
吸収性材料224、隔離層222、及びマニホールド220は、エンクロージャ254、封止空間256、又はその両方の中に配置されてもよい。隔離層222は、吸収性材料224とマニホールド220との間に位置付けられてもよく、吸収性材料224は、カバー125と隔離層222との間に封入されてもよく、マニホールド220は、隔離層222と、組織部位202と、装備される場合、基層218との間に位置付けられてもよい。
【0064】
吸収性材料224は、超吸収性であってもよく、第1の表面258と、第1の表面258の反対側の第2の表面260とを有してもよい。吸収性材料224は、カバー125の開口252と位置合わせされるように構成された開口部261を更に含み得る。吸収性材料224の第1の表面258は、カバー125の第2の表面250に隣接していてもよい。いくつかの実施形態では、吸収性材料224は、陰圧が組織部位202に印加されているとき、マニホールド220及び組織部位202から隔離される。陰圧が組織部位202に印加されていないとき、吸収性材料224は、隔離層222を通してマニホールド220及び組織部位202と流体連通し得る。吸収性材料224は、吸収性材料224が隔離層222を通してマニホールド220及び組織部位202と流体連通しているときに、組織部位202から流体を吸収するように構成され得る。吸収性材料に好適な材料は、Luquafleece(登録商標)材料、Texsus FP2326、BASF 402C、Technical Absorbents(www.techabsorbents.com)から入手可能なTechnical Absorbents 2317、ポリアクリル酸ナトリウム超吸収材、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、及びナトリウムCMCなどの塩)、又はアルギネートを含むことができる。
【0065】
隔離層222は、吸収性材料224とマニホールド220との間に配置されてもよい。隔離層222は、第1の表面262と、第1の表面262の反対側の第2の表面264とを有してもよい。隔離層222の第1の表面262は、吸収性材料224の第2の表面260に隣接していてもよい。隔離層222は、開口部265を更に含むことができる。開口部265は、吸収性材料224の開口部261と位置合わせされてもよいが、吸収性材料224の開口部261より小さくてもよい。隔離層222は、陰圧がドレッシング110に印加されるときに、組織部位202から吸収性材料224への流体の流れを制限するように構成されてもよい。
【0066】
引き続き
図2、
図3、
図5、及び
図7A~
図7Dを参照すると、隔離層222は、第1の層266及び第2の層268を含むことができる。第1の層266は、複数の弁フラップ270を含んでもよく、第2の層は、複数の孔272を含んでもよい。第2の層268の複数の孔272は、第1の層266の複数の弁フラップ270と位置合わせされてもよい。
図7Cを参照すると、複数の弁フラップ270は、陰圧がドレッシング110に印加されると、閉鎖されるように構成されてもよい。閉鎖されると、複数の弁フラップ270は、第2の層268の複数の孔272を流体的に封止することができる。
図7Dを参照すると、複数の弁フラップ270は、陰圧がドレッシング110に印加されていないときに複数の孔272から離れて移動して、隔離層222を通る通路271を提供するように構成され得る。複数の弁フラップ270は、陰圧がドレッシング110に印加されていないときに、隔離層222の第2の表面264から隔離層222の第1の表面262に向かう第1の方向の流体の流れを可能にするように構成され得る。複数の弁フラップ270は、隔離層222の第1の表面262から隔離層222の第2の表面264に向かう第2の方向への流体の流れを防止することができる。陰圧がドレッシング110に印加されているとき、複数の弁フラップ270は、全方向、例えば、第1の方向及び第2の方向の両方における流体の流れを防止してもよい。他の実施形態では、隔離層222は、陰圧がドレッシング110に印加されると閉鎖するように構成され、陰圧がドレッシングに印加されていないときに開放して隔離層222を通る通路を提供するように構成される、複数の弁フラップ270を含み得る、1つのみの層であってもよい。
【0067】
隔離層222の第1の層266は、隔離層222の第1の表面262であり得る第1の表面を有することができる。隔離層222の第1の層266は、第1の表面262の反対側の第2の表面274を有することができる。複数の弁フラップ270は、第1の層266の第2の表面274から隔離層222の第1の表面262に向かって開くように構成されてもよい。隔離層222の第1の層266は、複数の弁フラップ270のいずれの部分も吸収性材料224と接触することなく、複数の弁フラップ270が開いて第2の層268の複数の孔272を露出させることができるほど十分に厚くてもよい。
【0068】
隔離層222の複数の弁フラップ270は、いくつかの実施形態では逆止弁であってもよい。例示的な逆止弁としては、ボール逆止弁、ダイヤフラム逆止弁、フラップ式逆止弁、スイング逆止弁、ストップ-逆止弁、ダックビル弁、空気圧逆止弁、又は単一方向への流体の流れを自動的に可能にし、任意の他の方向への流体の流れを防止するように構成された他の一方向弁を挙げることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、隔離層222と吸収性材料224との間に配置された少なくとも1つのスペーサ又は突起があってもよい。少なくとも1つのスペーサ又は突起は、弁フラップ270のうちの1つ以上の周りに又はそれに隣接して位置付けられてもよく、隔離層222と吸収性材料224との間に経路又は追加の空間を提供するように任意の好適な様式で構成されてもよい。経路は、複数の弁フラップ270は、陰圧源105が停止されたときに、隔離層222の第2の層268の複数の孔272を露出させるように開くのに十分な空間を有することを確実にし得る。
【0070】
隔離層222の第1の層266及び第2の層268の両方は、液体不透過性フィルムから構成され得る。いくつかの実施形態では、隔離層222の第1の層266及び第2の層268は、以下の材料のうちの1つ以上を含んでもよい:親水性ポリウレタン、セルロース誘導体、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマー、例えば、14400g/m2/24時間のMVTR(逆カップ技術)及び約30ミクロンの厚さを有するExpopack Advanced Coatings(Wrexham,United Kingdom)からのINSPIRE2301材料、コーティングされていない薄いポリマードレープ、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン(PU)、EVAフィルム、コポリエステル、シリコーン、シリコーンドレープ、3M Tegaderm(登録商標)ドレープ、Avery Dennison Corporation(Pasadena,California)から入手可能なものなどのポリウレタン(PU)ドレープ、例えば、Arkema(France)製のポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX)、Expopack2327、又は他の適切な材料。
【0071】
いくつかの実施形態では、隔離層222の第1の層266及び第2の層268は、例えば、24時間当たり少なくとも約300g/m2の高いMVTRを有する、可撓性で通気性のあるフィルム、膜、又はシートであり得る。他の実施形態では、低蒸気透過ドレープ又は蒸気が透過しないドレープが使用されてもよい。隔離層222の第1の層266及び第2の層268は、約15ミクロン(μm)~約50ミクロン(μm)の間の厚さを有する一連の医学的に適切なフィルムを含み得る。他の実施形態では、隔離層222の第1の層266及び第2の層268は、実質的に蒸気及び液体不透過性であり得る非通気性フィルム、膜、又はシートであってもよい。
【0072】
引き続き
図2、
図3、及び
図5を参照すると、マニホールド220は、第1の表面276と、第1の表面276の反対側の第2の表面278とを有することができる。マニホールド220は、組織部位202に対して流体を分配するための手段を備えるか、又は本質的にそれから成ってもよい。例えば、マニホールド220は、陰圧源105から陰圧を受け取り、複数の開口を介してマニホールド220にわたって、又はマニホールド220を介して陰圧を分配するように適合されてもよく、これは、組織部位202から流体を収集し陰圧源105に向けて流体を引き込む効果を有し得る。
【0073】
いくつかの例示的実施形態では、マニホールド220は、流体の分配又は収集を改善するために相互接続され得る複数の経路を備え得る。いくつかの例示的実施形態では、マニホールド220は、相互接続された流体経路を有する多孔質材料を含んでもよく、又はこれから本質的になってもよい。相互接続された流体経路(例えば、チャネル)を形成するように適合させることが可能な好適な多孔質材料の例としては、網状発泡体などの連続気泡発泡体を含めた、気泡発泡体、多孔質組織集合体、並びに、細孔、縁部、及び/又は壁部を一般的に含むガーゼ又はフェルトマットなどの他の多孔質材料が挙げられ得る。液体、ゲル、及び他の発泡体はまた、開口及び流体通路を含んでよく、又はこれらを含むように硬化してもよい。一部の実施形態では、マニホールド220は、追加的又は代替的に、相互接続された流体経路を形成する突起を含んでもよい。例えば、マニホールド220は、相互接続された流体経路を画定する表面突起部を提供するように成形されてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、マニホールド220は、指示された治療の必要性に応じて変化してもよい細孔サイズ及び自由容積を有する網状発泡体を含んでもよく、又はこれらから本質的になってもよい。例えば、少なくとも90%の自由容積を有する網状発泡体は、多くの治療用途に好適であり得るものであり、400~600マイクロメートルの範囲の平均細孔サイズ(1インチ当たり40~50個の細孔)を有する発泡体は、一部のタイプの治療に特に好適であり得る。マニホールド220の引張強度もまた、指示された治療の必要性に応じて変化してもよい。マニホールド220の25%圧縮荷重撓みは、少なくとも0.35ポンド/平方インチであってもよく、65%圧縮荷重撓みは、少なくとも0.43ポンド/平方インチであってもよい。いくつかの実施形態では、マニホールド220の引張強度は、少なくとも10ポンド/平方インチであってもよい。マニホールド220は、1インチ当たり少なくとも2.5ポンドの引裂強度を有してもよい。いくつかの実施形態では、マニホールド220は、ポリエステル又はポリエーテルなどのポリオールと、トルエンジイソシアネートなどのイソシアネートと、アミン及びスズ化合物などの重合調整剤とから構成されている、発泡体とすることができる。いくつかの例では、マニホールド220は、San Antonio、TexasのKinetic Concepts,Inc.から両方入手可能な、GRANUFOAM(商標)ドレッシング又はV.A.C.VERAFLO(商標)ドレッシングに見られるような網状のポリウレタン発泡体であってもよい。
【0075】
マニホールド220の厚さはまた、指示された治療のニーズによって変化させてもよい。例えば、マニホールド220の厚さは、組織部位202の周辺組織に対する張力を低減するために減少され得る。マニホールド220の厚さは、マニホールド220の順応性に影響を及ぼすこともできる。いくつかの実施形態では、約5ミリメートル~10ミリメートルの範囲の厚さが好適であり得る。
【0076】
いくつかの例示的実施形態では、マニホールド220は親水性であってもよい。マニホールド220が親水性であってもよい例では、マニホールド220はまた、組織部位に陰圧を分配し続けながら、組織部位202から流体を吸い出してもよい。マニホールド220の吸い上げ特性は、毛細管流又は他の吸い上げ機構によって流体を組織部位202から離れるように引き寄せることができる。好適であり得る親水性材料の一例は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能なV.A.C.WHITEFOAM(商標)ドレッシングなどのポリビニルアルコールの連続気泡発泡体である。他の親水性発泡体は、ポリエーテルから作製されたものを含み得る。親水性特徴を呈し得る他の発泡体は、親水性を付与するように処理又はコーティングされた疎水性発泡体を含む。
【0077】
引き続き
図2を参照、
図3を参照すると、導管インタフェース279は、ドレッシング110を容器115及び治療ユニット145に流体結合するように構成されてもよい。導管インタフェース279は、流体接続280及び陰圧ポート282を含んでもよい。陰圧ポート282は、流体接続280を通して配置されてもよく、流体接続280は、陰圧ポート282を吸収性材料224から流体的に隔離してもよい。流体接続280は、カバー125の開口252、吸収性材料224の開口部261、及び隔離層222の開口部265の整列によって画定される陰圧通路281内に延在するか、又はそれによって受容されてもよい。流体接続280は、隔離層222の第1の表面262に結合するように構成することができる第1の表面284を有することができる。流体接続280は、第1の表面284の反対側に第2の表面286を有することができる。他の実施形態では、流体接続280は、カバー125、吸収性材料224、及び隔離層222を通って延在し、マニホールド220の第1の表面276に結合することができる。
【0078】
陰圧ポート282は、流体接続280を通って第2の表面286から第1の表面284まで延在してもよい。陰圧ポート282は、陰圧源105からマニホールド220に陰圧を送達するように構成され得る端部288を有し得る。陰圧ポート282の端部288は、開口部265を通してマニホールド220に陰圧を送達するために、隔離層222の開口部265に近接し、かつ吸収性材料224の第2の表面260及びマニホールド220の下方又は間にあってもよい。いくつかの例では、陰圧ポート282の端部288は、隔離層222の開口部265の周りで流体的に封止されてもよい。他の例では、陰圧ポート282は、端部288が吸収性材料224の第2の表面260及びマニホールド220に、又はそれらの間に配置されるように、吸収性材料224をバイパスしてもよく、又はそれを通って延びてもよい。陰圧ポート282は、容器115及び治療ユニット145の陰圧源105に結合することができる導管290に結合することができる。
【0079】
図8Aは、治療ユニット145の陰圧源105が組織部位202に陰圧を送達する動作状態にある
図2の治療システム100を示す。動作中、陰圧源105は、組織部位202から流体又は滲出液802を引き込むことができ、滲出液802は、任意選択の充填材料214、任意選択の基層218、及びマニホールド220を通って流れて、陰圧通路281に到達することができる。滲出液802は、次いで、陰圧通路281を通って陰圧ポート282に流れ、導管290を通って容器115に流れ得る。容器115は、滲出液802を容器115内に保持し、滲出液802が治療ユニット145内に吸引されるのを防止するためのフィルタ又は他の機構を有してもよい。
【0080】
隔離層222の第1の層266の複数の弁フラップ270は、陰圧源105が作動されるときに閉じられ得る。複数の弁フラップ270は、隔離層222の第2の層268の複数の孔272を流体的に封止することができる。陰圧源105が作動されている間、陰圧通路281は、滲出液802が吸収性材料224に到達し得ないように、マニホールド220と直接流体連通し、吸収性材料224から流体的に隔離され得る。
【0081】
図8Bは、陰圧源105が組織部位202への陰圧の送達を停止した後の
図2及び
図8Aの治療システム100を示す。陰圧源105が組織部位202への陰圧の送達を停止すると、隔離層222の第1の層266の複数の弁フラップ270が開くことができる。開いているとき、複数の弁フラップ270は、隔離層222の第2の層268の複数の孔272を露出させることができる。滲出液802は、組織部位202及びマニホールド220から隔離層222の複数の孔272及び複数の弁フラップ270を通って流れてもよく、吸収性材料224によって吸収されてもよい。陰圧源105が作動された場合、複数の弁フラップ270は閉じ、滲出液802はもはや吸収性材料224に到達することができない。滲出液802は、その後、陰圧通路281を通って治療システム100の容器115に流れる。
【0082】
図9A~
図9Dは、治療システム100と共に使用することができる隔離層902の別の実施形態を示す。隔離層902は、第1の層904及び第2の層906を含んでもよい。第1の層904及び第2の層906の両方を通って延在する開口部908があってもよい。第1の層904は複数の孔910を含むことができ、第2の層は複数の孔912を含むことができる。第1の層904は、
図9B及び9Dに示されるように、静止状態において波形又はテクスチャ加工されてもよい。静止状態にあるとき、第1の層904の複数の孔910及び第2の層906の複数の孔912は、隔離層902を通る流体の流れを可能にし得る。
【0083】
図9A及び9Cを参照すると、陰圧がドレッシング110に印加されると、第1の層904は、第1の層904の第2の表面914が第2の層906の第1の表面916に押し付けられるように、平坦化してもよい。第1の層904が平坦であるとき、第1の層904の複数の孔910は、第2の層906の複数の孔912が第1の層904によって流体的に封止され、第1の層906の複数の孔912が第2の層904によって流体的に封止されるように、第2の層910の複数の孔と位置合わせされなくてもよい。したがって、陰圧源105が作動されるとき、吸収性材料224は、マニホールド220及び組織部位202から流体的に隔離され得る。陰圧源105が停止されると、第1の層904は、その静止状態に戻ることができ、流体は、第1の層904の複数の孔910及び第2の層906の複数の孔912を通って流れて、吸収性材料224に到達することができる。
【0084】
上述したように、ドレッシング110のいくつかの実施形態は、隔離層902と吸収性材料224との間に経路又は空間を提供するために、少なくとも1つのスペーサ又は突起を含んでもよい。経路又は空間は、陰圧源105がドレッシング110に陰圧を印加しているときに、隔離層902の第1の層904がその静止状態とその平坦化状態との間で移動することを可能にし得る。
【0085】
図10A~
図10Bは、治療システム100と共に使用することができる隔離層1002の別の実施形態を示す。隔離層1002は、開口部1004、弁フラップ1006、及び弁フラップ1006を取り囲む複数の孔1008を含むことができる。開口部1004は、前述のように陰圧通路281に結合されてもよく、弁フラップ1006は、陰圧源105が作動されると開口部1004を開いて露出させるように構成されてもよい。陰圧源105が停止されると、弁フラップ1006は閉じて、ドレッシング110と陰圧通路との間の流体連通を停止することができる。
【0086】
複数の孔1008は、吸収性材料224とマニホールド220との間の流体連通を可能にし得る。しかしながら、陰圧源105が作動されると、滲出液802は、組織部位202からマニホールド220、開口部1004、及び陰圧通路281を通って容器115に優先的に流れ得る。滲出液802の一部は、複数の孔1008を通って流れ、吸収性材料224によって吸収され得るが、滲出液802の大部分は、陰圧源105によって容器115内に引き込まれる。陰圧源105が停止されると、弁フラップ1006は開口部1004を閉じることができ、滲出液802は隔離層1002の複数の孔1008を通って流れ、吸収性材料224によって吸収され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、複数の孔1008は各々、陰圧源105が作動されたときに、隔離層1002を通る流体の流れを制限するための対応する弁フラップを有し得る。上述の実施形態のいずれにおいても、弁フラップ1006は、組織部位からドレッシング110のカバー125に向かう第1の方向の流体の流れを可能にし、吸収性材料224から組織部位202に向かう第2の方向の流体の流れを制限する、任意の種類の逆止弁であってもよい。
【0088】
本明細書には、組織部位を治療する方法も記載される。本方法は、ドレッシング110を組織部位202に適用することと、吸収性材料224がバイパスされるように、隔離層222と組織部位202との間の処置空間、例えば、
図2に示される封止空間256に陰圧源105を流体結合することと、処置空間に陰圧を印加するように陰圧源105を作動させることとを含んでもよい。隔離層222は、複数の弁フラップ270などの1つ以上の弁を有することができ、これらの弁は、陰圧が印加される動作によって、陰圧なしの開状態から閉状態に移動することができる。
【0089】
本方法は更に、陰圧源105を停止することと、吸収性材料224を用いて組織部位202から流体を収集することとを含み得る。流体は、陰圧源105が停止され、1つ以上の弁が開状態に戻るときに、隔離層222を通って吸収性材料224に流れるように構成され得る。
【0090】
本明細書に記載されているシステム、装置、及び方法は、著しい利点を提供することができる。例えば、治療システム100は、陰圧源105が停止された後に流体がドレッシング110から漏れることを防止し得る。隔離層222は、吸収性材料224が、陰圧源105が停止された後に組織部位202から流れる任意の流体を捕捉することを可能にし得る。治療システム100はまた、吸収性材料224が陰圧経路から排除されるため、閉塞を防止し得る。これは、治療システム100が、より長い期間にわたって組織部位において定位置に留まることを可能にし得、これは、コストを低減し、患者の快適性を増加させ得る。
【0091】
いくつかの例示的な実施形態において示されているが、本明細書に記載されているシステム、装置、及び方法は、添付の特許請求の範囲内の様々な変更及び修正が可能であることが、当業者には理解されよう。また、「又は(or)」などの用語を使用する様々な代替形態の説明は、文脈によって明らかに必要とされない限り、相互排他性を必要とせず、不定冠詞「a」又は「an」は、文脈によって明らかに必要とされない限り、対象を単一の場合に限定しない。構成要素はまた、販売、製造、組み立て、又は使用の目的で、様々な構成で組み合わされてもよく、又は排除されてもよい。例えば、いくつかの構成において、ドレッシング110、容器115、又はその両方は、製造又は販売のために、排除されてもよく、又は他の構成要素から分離されてもよい。他の例示的な構成において、コントローラ130はまた、他の構成要素とは独立して製造されてもよく、構成されてもよく、組み立てられてもよく、又は販売されてもよい。
【0092】
添付の特許請求の範囲は、上記の主題の新規性及び進歩性を記載するが、特許請求の範囲はまた、具体的には詳細に記載されていない追加の主題を包含し得る。例えば、ある特徴、要素、又は態様は、新規性及び進歩性を有する特徴を当業者に既に知られているものから区別するのに必要でない場合、特許請求の範囲から省略され得る。いくつかの実施形態の文脈で記載されている特徴、要素、及び態様はまた、添付の特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、省略されてもよく、組み合わされてもよく、又は同じ目的、均等の目的、若しくは同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。
【国際調査報告】