(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】プロテインキナーゼ、特には、DYRK1A、CLK1及び/又はCLK4、の阻害剤としてのイミダゾロン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 417/06 20060101AFI20241024BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20241024BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241024BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20241024BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20241024BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20241024BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20241024BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20241024BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20241024BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20241024BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/428 20060101ALI20241024BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241024BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
C07D417/06 CSP
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P21/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P31/18
A61P31/22
A61P31/16
A61P31/14
C07D417/14
A61P7/06
A61P33/00
A61P33/06
A61P3/10
A61K31/4439
A61K31/496
A61K31/428
A61P19/02
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525840
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022079832
(87)【国際公開番号】W WO2023072961
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522422610
【氏名又は名称】ペルハ ファーマシューティカルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100166718
【氏名又は名称】石渡 保敬
(72)【発明者】
【氏名】ド,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ミエージュ,フレデリック
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC84
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA55
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZB37
4C086ZC20
4C086ZC21
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、下記の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つに関し、
ここで、R
2は、水素原子及び(C
1~C
3)アルキル基からなる群から選択され、R
3は、(C
1~C
4)アルキル基又は(C
3~C
6)シクロアルキル基であり、R
1は、(C
4~C
6)アルキル基、(C
3~C
8)シクロアルキル基、架橋された(C
6~C
10)シクロアルキル基、縮合フェニル基、置換されたフェニル基、R’-L-基(式中、Lは、単結合又は(C
1~C
3)アルカンジイル基のいずれかである、並びに、R’は、(C
3~C
8)ヘテロシクロアルキル基又は(C
3~C
8)ヘテロアリール基を表す)、又はR’’-L-基(式中、Lは、(C
1~C
3)アルカンジイル基であり、及びR’’は、置換されていてもよいフェニル基である)を表す。本発明は更に、式(I)の化合物を含む組成物、及び該化合物を製造する為のプロセス、並びにその合成中間体に関する。本発明はまた、医薬品として使用する為の上記化合物に、特には、ダウン症候群に関連付けられた認知障害及び神経炎症;アルツハイマー病;認知症;タウオパチー;パーキンソン病;CDKL5欠損症;フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;腱障害及び変形性関節症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;がん及び白血病;神経炎症、貧血症、単細胞寄生虫によって生じる感染症、ウイルス感染症の処置及び/又は予防における使用の為の、並びに体温調節の為の上記化合物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ
【化1】
ここで、
R
2は、水素原子及び(C
1~C
3)アルキル基からなる群から選択され、
R
3は、(C
1~C
4)アルキル基又は(C
3~C
6)シクロアルキル基であり、並びに、
ここで、R
1は、下記の(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)又は(vii)を表す:
(i) ヒドロキシ基及び(C
1~C
3)アルコキシ基から選択される基によって置換された(C
4~C
6)アルキル基、
(ii) ヒドロキシ基及び(C
1~C
3)アルコキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)シクロアルキル基、
(iii) (C
1~C
4)アルコキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい架橋された(C
6~C
10)シクロアルキル基、
(iv) (C
5~C
6)シクロアルキルと縮合されたフェニル基から選択される縮合フェニル基、ここで、(C
5~C
6)シクロアルキルはヒドロキシ基によって置換されていてもよい、
(v) (C
4~C
7)ヘテロシクロアルキル基によって置換されたフェニル基、ここで、前記(C
4~C
7)ヘテロシクロアルキル基はそれ自体、(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよい、
(vi) R’-L-基、ここで、Lは、単結合又は(C
1~C
3)アルカンジイル基のいずれかである、並びに、
R’は、下記の(vi.1)若しくは(vi.2)を表す:
(vi.1) ヒドロキシ基及び(C
1~C
4)アルキル基から選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)ヘテロシクロアルキル基、例えば、少なくとも1つの炭素原子が酸素原子又は硫黄原子によって置換された(C
3~C
8)シクロアルキル、若しくは、
(vi.2) (C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)ヘテロアリール基、
又は、
(vii) R’’-L-基、ここで、
Lは、-NR
bR
c基、(C
1~C
3)アルコキシ基及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C
1~C
3)アルカンジイル基であり、
R’’は、フルオロ(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよいフェニル基であり、並びにここで、R”及びLのうちの少なくとも1つが置換されている、
ここで、R
b及びR
cは独立して、(C
1~C
6)アルキル基又は水素原子を表す。
【請求項2】
R
1が、下記の(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)又は(viii)を表す:
(i) ヒドロキシ基及び(C
1~C
3)アルコキシ基から選択される基によって置換された(C
5~C
6)アルキル基、好ましくはC
6-アルキル基、
(ii) ヒドロキシ基及び(C
1~C
3)アルコキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C
5~C
8)シクロアルキル基、
(iii) (C
1~C
4)アルコキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい架橋された(C
9~C
10)シクロアルキル基、
(iv) シクロペンチルと縮合したフェニル基、ここで、該シクロペンチルはヒドロキシ基によって置換されている、
(v) (C
4~C
7)ヘテロシクロアルキル基によって置換されたフェニル基、ここで、前記(C
4~C
7)ヘテロシクロアルキル基はそれ自体、(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよい、
(vi) R’-L-基、ここで、
Lは、単結合又は、ヒドロキシ基及び(C
1~C
3)アルコキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C
1~C
3)アルカンジイル基のいずれかであり、並びに、
R’は、下記の(vi.1)若しくは(vi.2)を表す:
(vi.1) ヒドロキシ基及び(C
1~C
4)アルキル基から選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい(C
6~C
7)ヘテロシクロアルキル基、例えば、少なくとも1つの炭素原子が酸素原子又は硫黄原子によって置換された(C
6~C
7)シクロアルキル、若しくは、
(vi.2) (C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)ヘテロアリール基、
又は、
(viii) R’’-L-基、ここで、
Lは、-NR
bR
c基、(C
1~C
3)アルコキシ基及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C
1~C
3)アルカンジイル基であり、
R’’は、フルオロ(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよいフェニル基であり、並びにここで、R’’及びLのうちの少なくとも1つが置換されている、並びに、
ここで、R
b及びR
cは独立して、(C
1~C
6)アルキル基又は水素原子を表す、
請求項1に記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ。
【請求項3】
R
1が、下記の(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、又は(vii)を表す:
(i) ヒドロキシ基及びメトキシ基から選択される基によって置換された(C
5~C
6)アルキル基、好ましくはC
6-アルキル基、
(ii) ヒドロキシ基及びメトキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C
5~C
8)シクロアルキル基、特には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル、
(iii) メトキシ基及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい架橋された(C
9~C
10)シクロアルキル基、特には、アダマンチル又はノルアダマンチル、
(iv) シクロペンチルと縮合したフェニル基、ここで、該シクロペンチルはヒドロキシ基によって置換されている、
(v) N-メチルピペラジニル基によって置換されたフェニル基、
(vi) R’-L-基、ここで、
Lは、単結合又は(C
1~C
3)アルカンジイル基のいずれかである、並びに、
R’は、下記の(vi.1)若しくは(vi.2)からなる群から選択される:
(vi.1) ヒドロキシ基によって置換されていてもよい(C
6~C
7)ヘテロシクロアルキル基、例えば、少なくとも1つの炭素原子が酸素原子又は硫黄原子によって置換された(C
6~C
7)シクロアルキル、特にはテトラヒドロピラニル、若しくは、
(vi.2) メチル基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)ヘテロアリール基、特には、ピリジニル若しくはチアゾリル、
又は、
(vii) R’’-L-基、ここで、
Lは、-NH
2基、メトキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選択される基によって置換されていてもよい(C
1~C
3)アルカンジイル基であり、
R’’は、トリフルオロメチル基によって置換されていてもよいフェニル基であり、並びにここで、R’’及びLのうちの少なくとも1つが置換されている、
請求項1又は2に記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ。
【請求項4】
Lが、単結合、-CH
2-基、-CH(CH
2OH)-基、-CH(CH
2OCH
3)-基、-CH(OH)-CH
2-基及び-CH(CH
2NH
2)-基からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ。
【請求項5】
(vi.1) R’が(C
5~C
8)ヘテロシクロアルキル基、例えば少なくとも1つの炭素原子が酸素原子又は硫黄原子によって置換されている(C
5~C
8)シクロアルキル、である場合に、Lが、単結合又は-CH
2-基であり、
(vi.2) R’が(C
3~C
8)ヘテロアリール基である場合に、Lが、単結合又は-CH
2-基であり、
(vi.3) R’’がフェニルである場合に、Lが、単結合、-CH
2-基、-CH(CH
2OH)-基、-CH(CH
2OCH
3)-基、-CH(OH)-CH
2-基及び-CH(CH
2NH
2)-基からなる群から選択される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ。
【請求項6】
R
1が下記の基を表す:
ヒドロキシ基及び(C
1~C
3)アルコキシから選択される基によって置換された(C
4~C
6)アルキル基、又は、
ヒドロキシ基及び(C
1~C
3)アルコキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)シクロアルキル基、又は、
(C
1~C
4)アルコキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい架橋された(C
6~C
10)シクロアルキル基、
請求項1~5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ。
【請求項7】
R
1が下記の基を表す:
(C
5~C
6)シクロアルキルと縮合されたフェニル基から選択される縮合フェニル基、ここで、該(C
5~C
6)シクロアルキルは、ヒドロキシ基によって置換されている、
(C
4~C
7)ヘテロシクロアルキル基によって置換されたフェニル基、ここで、前記(C
4~C
7)ヘテロシクロアルキル基それ自体は、(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよい、
又は、
R’’-L-基、ここで、
Lが、ヒドロキシ基、(C
1~C
3)アルコキシ基及び-NR
bR
c基から選択される基によって置換されていてもよい(C
1~C
3)アルカンジイル基であり、
R’’は、フルオロ(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよいフェニル基であり、並びにここで、R’’及びLのうちの少なくとも1つが置換されている、並びに、
ここで、R
b及びR
cは独立して、(C
1~C
6)アルキル及び水素原子から選択される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ。
【請求項8】
R
1がR’-L-基を表し、ここで、
R’は、(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)ヘテロアリール基であり、並びに、
Lは、(C
1~C
3)アルカンジイル又は単結合であり、
請求項1~6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ。
【請求項9】
R
1がR’-L-基を表し、ここで、
R’は、(C
3~C
8)ヘテロシクロアルキル基、例えば、少なくとも1つの炭素原子が酸素原子又は硫黄原子によって置換されている(C
3~C
8)シクロアルキル、であり、並びに、
Lは、(C
1~C
3)アルカンジイル又は単結合である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ。
【請求項10】
R
1が、下記の(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)又は(vi)を表す:
(i) ヒドロキシ基及び(C
1~C
3)アルコキシ基から選択される基によって置換された(C
4~C
6)アルキル基、
(ii) ヒドロキシ基及び(C
1~C
3)アルコキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)シクロアルキル基、
(iii) (C
1~C
4)アルコキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい架橋された(C
6~C
10)シクロアルキル基、
(iv) R’-L-基、ここで、
Lは、単結合又は(C
1~C
3)アルカンジイル基のいずれかである、並びに、
R’は、下記の(vi.1)若しくは(vi.2)を表す、
(iv.1) テトラヒドロピラニル基、若しくは、
(iv.2) (C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)ヘテロアリール基、
又は、
(v) R’’-L-基、ここで、
Lは、-NR
bR
c基、(C
1~C
3)アルコキシ基及びヒドロキシ基から選択される基によって置換された(C
1~C
3)アルカンジイル基であり、並びに、
R’’は、フルオロ(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよいフェニル基であり、
又は、
(vi)R’’-L-基、ここで、
Lは、-NR
bR
c基、(C
1~C
3)アルコキシ基及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C
1~C
3)アルカンジイル基であり、並びに、
R’’は、フルオロ(C
1~C
4)アルキル基によって置換されたフェニル基であり、
ここで、R
b及びR
cは独立して、(C
1~C
6)アルキル基又は水素原子を表す、
請求項1~9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ。
【請求項11】
R
3が(C
1~C
4)アルキル基、特にはメチル基、である、請求項1~10のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ。
【請求項12】
(2) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-(シクロヘキシルアミノ)-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(3) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-(シクロヘプチルアミノ)-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(4) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-(シクロオクチルアミノ)-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(5) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-1-(ヒドロキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(6) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(7) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-1-(エトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(8) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R,2R)-2-メトキシシクロペンチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(9) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1S,2S)-2-メトキシシクロペンチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(10) (5Z)-2-(3-ノルアダマンチルアミノ)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(11) (5Z)-2-(1-アダマンチルアミノ)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(12) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(13) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[(3-メトキシ-1-アダマンチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(14) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[[2-(トリフルオロメチル)フェニル]メチルアミノ]イミダゾール-4-オン、
(15) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1S,2S)-2-ヒドロキシインダン-1-イル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(16) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(17) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1S)-2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(18) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-2-メトキシ-1-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(19) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(20) (5Z)-2-[[(1R)-2-アミノ-1-フェニル-エチル]アミノ]-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-イミダゾール-4-オン・ジヒドロクロリド、
(21) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[(4-メチルチアゾール-2-イル)メチルアミノ]イミダゾール-4-オン、
(22) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-(テトラヒドロピラン-4-イルメチルアミノ)イミダゾール-4-オン、
(23) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)アニリノ]イミダゾール-4-オン、
(24) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-(2-ピリジルアミノ)イミダゾール-4-オン、
(25) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[[(3S)-テトラヒドロピラン-3-イル]アミノ]イミダゾール-4-オン、
(26) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(3R,4R)-4-ヒドロキシテトラヒドロピラン-3-イル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(27) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-エチル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン、
(28) (5Z)-5-(1,3ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロプロピル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン、
(29) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロブチル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン、
(30) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロペンチル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン、
(31) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロヘキシル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン
から選択される請求項1~6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物、若しくはそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つ、又は請求項12に記載の化合物(2)~(31)のいずれか1つ、若しくはそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つを含む医薬組成物。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩、又は請求項12に記載の化合物(2)~(31)のいずれか1つ若しくはそれらの医薬的に許容される塩を製造する為の合成方法であって、
下記の式(II)の化合物
【化2】
ここで、R
2及びR
3は、請求項1~11のいずれか1項に記載の通りであり、並びにAlkは(C
1~C
5)アルキルであり、
を式R
1NH
2
ここで、R
1は、請求項1~11のいずれか1項に記載の通りである、
のアミンとカップリングする工程
を少なくとも含む、前記方法。
【請求項15】
医薬品として使用する為の、請求項1~11のいずれか1項において定義された式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩、又は請求項12に記載の化合物(2)~(31)の少なくとも1つ、若しくはそれらの医薬的に許容される塩のうちの1つ。
【請求項16】
ダウン症候群に関連付けられた認知障害及び神経炎症、アルツハイマー病及び関連疾病、認知症及び/又はタウオパチー;並びに他の神経変性疾患、例えばパーキンソン病及びピック病、特にはニーマンピック病C型;CDKL5欠損症;フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;腱障害及び変形性関節症、特には変形性膝関節症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;がん、例えば、膠芽腫を包含する脳腫瘍、巨核芽球性白血病及び急性リンパ性白血病を包含する白血病、頭頚部扁平上皮癌、膵菅腺癌を包含する膵癌、前立腺癌、胃腸癌、トリプルネガティブ乳癌を包含する乳癌、脂肪肉腫を包含する組織癌、ヘッジホッグ/GLI‐依存性癌、肝細胞癌を包含する肝癌、並びにウイルス感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型、ヒトサイトメガロウイルス、インフルエンザA型、ヘルペスウイルス、アカゲサルサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、C型肝炎ウイルス、チクングニアウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルス及び重症急性呼吸器症候群コロナウイルス、サイトメガロウイルス及びヒトパピローマウイルスによって生じる感染症;神経炎症;貧血症;単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病、単細胞病原体によるウシ疾患から選択される疾病の処置及び/又は予防において使用する為の、並びに体温調節の為の、請求項1~11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、若しくはそれらの医薬的に許容される塩のうちの1つ、又は請求項12に記載の化合物(2)~(31)の少なくとも1つ、若しくはそれらの医薬的に許容される塩のうちの1つ。
【請求項17】
ダウン症候群、アルツハイマー病、認知症、タウオパチー、パーキンソン病、ニーマンピック病C型、CDKL5欠損症及びフェラン-マックダーミド症候群、並びにそれらの関連付けられた認知状態及び運動状態、並びに1型糖尿病及び2型糖尿病から選択される疾病の処置及び/又は予防において使用する為の、請求項1~11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、若しくはそれらの医薬的に許容される塩のうちの1つ、又は請求項12に記載の化合物(2)~(31)の少なくとも1つ、若しくはそれらの医薬的に許容される塩のうちの1つ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品として有用な新規化合物の1つのクラスであるロイセタミン(Leucettamines)に関する。上記新規化合物は、特にはキナーゼ阻害剤として有用であり、より特にはDYRK1A及び/又はCLK1及び/又はCLK4の阻害剤として有用である。上記新規化合物は、ダウン症候群に関連付けられた認知障害;アルツハイマー病及び関連疾病;認知症;タウオパチー(tauopathies);パーキンソン病;他の神経変性疾患;CDKL5欠損症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;変形性関節症及び腱障害;デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy);幾つかのがん及び白血病;ウイルス感染症を処置及び/又は予防する為に、並びに体温を調節する為に有効である。
【背景技術】
【0002】
上記化合物のうちの幾つかは、他のキナーゼ、すなわち他のDYRK(DYRK1B,2,3,4)及び密接に関連するcdc2様キナーゼ(CLK:cdc2-like kinases)(CLK 2,3,4)、の更なる阻害剤である。次に、上記化合物は更に、フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;ウイルス感染症、がん、神経炎症、貧血症、及び単細胞寄生虫によって生じる感染症を処置及び/又は予防する為に効率的でありうる。
【0003】
本発明は更に、上記新規化合物を含有する医薬組成物及びそれらを得る為の化学合成方法に関する。
【0004】
DYRKキナーゼファミリーとCLKキナーゼファミリーは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK:mitogen-activated protein kinases)、サイクリン依存性キナーゼ(CDK:cyclin-dependent kinases)及びグリコーゲン合成酵素キナーゼ-3(GSK-3:glycogen synthase kinase-3)を包含するCMGCキナーゼグループに属する。これらはシグナル伝達経路に関与する多くの基質をリン酸化する。DYRK及びCLKは、mRNAスプライシング、クロマチン転写、DNA損傷修復、細胞生存、細胞周期、分化、ホモシステイン/メチオニン/葉酸調節、エンドサイトーシス、神経細胞の展開及び機能、シナプス可塑性において重要な役割を担っている(総説はLindberg,M. and Meijer,L.,2021.Dual-specificity,tyrosine phosphorylation-regulated kinases (DYRKs) and cdc2-like kinases (CLKs) in human disease,an overview.Internat.J.Mol.Sci.22,6047)。
【0005】
DYRK1A及びダウン症候群(DS:Down syndrome)
【0006】
DYRK1Aをコードする遺伝子は、21番染色体上、特には「ダウン症候群の臨界領域」(DSCR:Down syndrome critical region)中、に位置しており、その3倍体がDSに関連付けられたほとんどの障害の原因である。DYRK1Aのわずか1.5倍の過剰発現が、DS患者において観察されるほとんどの認知障害、特には記憶障害及び学習障害、に対する原因であることを示す遺伝学的及び薬理学的証拠がかなりある(Feki,A.,Hibaoui,Y.,2018.DYRK1A protein,a promising therapeutic target to improve cognitive deficits in Down syndrome.Brain Sci.8,187;Rueda N et al.,2020.Translational validity and implications of pharmacotherapies in preclinical models of Down syndrome.Prog Brain Res 251,245)。DYRK1Aレベルの薬理学的又は遺伝学的正常化により、認知機能が回復する(Nguyen TL et al.,2017.Dual-specificity tyrosine phosphorylation-regulated kinase 1A (DYRK1A) inhibitors: a survey of recent patent literature.Expert Opin.Ther.Pat.27,1183-1199; Nguyen TL et al.,2018.Correction of cognitive deficits in mouse models of Down syndrome by pharmacological inhibitor of DYRK1A.Dis.Model Mech.11,dmm035634)。
【0007】
DYRK1A及びアルツハイマー病(AD:Alzheimer’s disease)、タウオパチー
【0008】
ADの発症においてDYRK1Aが関与していることを示す証拠が増えている。DYRK1AはAD及び認知症に関与する下記の主要な基質をリン酸化する:タウ(Tau)、セプチン4(septin 4)、アミロイド前駆体タンパク質(APP:amyloid precursor protein)、プレセニリン1(presenilin 1)、ネプリライシン(neprilysin)、Munc18-1、α-シヌクレイン(α-synuclein)、RCAN1、β-チューブリン(β-Tubulin)。ADにおけるDYRK1Aの異常な発現及び翻訳後修飾に対する証拠がある。エクソン10の選択的スプライシングを調節することによって、DYRK1Aは正常な4R-タウアイソフォーム(Tau isoform)よりも3R-タウアイソフォーム(DS/AD/タウオパチーに対して特徴的)の産生を促進する。DYRK1Aの阻害はオートファジーを促進し、ADにおいてみられるオートファジー欠損を相殺する可能性がある。ADとDSには明らかな関連がある(Fortea J.et al.,2021.Alzheimer’s disease associated with Down syndrome: a genetic form of dementia.The Lancet 20,930-942):ほとんどのDS患者は、早期(40歳代)にADの神経病理を示し、そして、後期(60歳超)において認知症の有病率が高い。
【0009】
DYRK1A及びパーキンソン病(PD)及びピック病
【0010】
GWAS研究により、DYRK1AがPDに対する危険因子であることが明らかになった(Nalls MA et al.,2019. Identification of novel risk loci,causal insights,and heritable risk for Parkinson's disease:a meta-analysis of genome-wide association studies. Lancet Neurol 18,1091)。DYRK1Aは、PDに対する重要因子、例えば、パーキン(Parkin)、セプチン4(septin 4)、α-シヌクレイン(α-synuclein)、をリン酸化する、α-シヌクレインをリン酸化する。PDに対して特異的なマイクロRNAの上方制御はDYRK1A発現を標的とする(Chiu CC et al.,2019. Upregulated expression of microRNA-204-5p leads to the death of dopaminergic cells by targeting DYRK1A-mediated apoptotic signaling cascade.Front Cell Neurosci 13,399)。PDではDYRK1Aの発現が増加するというさらなる証拠がある。DYRK1Aはピック病において過剰発現している。
【0011】
DYRK1A及びウイルス感染症
【0012】
DYRK1A及びDYRK1Bは、HCMVの胎盤複製の間に利用される。DYRKの阻害は、様々なウイルス、例えば、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス及びHIV-1を包含する上記の様々なウイルス、の複製を阻止する。
【0013】
DYRK1A及び1型糖尿病及び2型糖尿病
【0014】
DYRK1A阻害剤は、膵臓のインスリン産生β細胞の増殖を刺激する。このことは、1型糖尿病(β細胞の数が少ない)及び2型糖尿病(β細胞の量が半減している)の両方に対する有望なアプローチである(Ackeifi C et al.,2020.Pharmacologic and genetic approaches define human pancreatic β cell mitogenic targets of DYRK1A inhibitors.JCI Insight 5,e132594;Kumar K et al.,2021.DYRK1A inhibitors as potential therapeutics for β-cell regeneration for diabetes.J Med Chem 64,2901-2922.Barzowska A,et al.,2021.DYRK1A kinase inhibitors promote β-cell survival and insulin homeostasis.Cells.10,2263;Wang P et al.,2021.Human beta cell regenerative drug therapy for diabetes: past achievements and future challenges.Front Endocrinol 12,671946)。糖尿病患者に直接施与する以外に、DYRK1A阻害剤は、移植前にβ細胞量を増加させる為に、イン・ビトロ(in vitro)又はエクス・ビボ(ex vivo)でβ細胞増殖を刺激する為に施与される可能性がある。
【0015】
DYRK1A、がん及び白血病
【0016】
DYRK1Aとがんをリンク付けする文献が豊富にある。最も顕著な例は巨核芽球性白血病(Malinge S et al.,2012. Increased dosage of the chromosome 21 ortholog Dyrk1a promotes megakaryoblastic leukemia in a murine model of Down syndrome.J Clin Invest 122,948-962)、急性リンパ芽球性白血病(Bhansali RS et al.,2021.DYRK1A regulates B cell Acute Lymphoblastic Leukemia through phosphorylation of FOXO1 and STAT3.J Clin Investig,131,e135937)、膵臓がん、脳腫瘍(膠芽腫)(前掲された、review in Lindberg and Meijer,2021を参照)である。
【0017】
従って、DYRK1Aの投与量における異常は、ダウン症候群において観察される認知障害とアルツハイマー病とに関連付けられている。DYRK1Aはパーキンソン病の危険因子である。DYRK1Aの阻害は更に、膵臓のインスリン産生β細胞の増殖をトリガーする。従って、DYRK1A阻害剤は、DS、AD及び他のタウオパチー(特にはこれらの病態に関連付けられた認知障害)、認知症、PD、ニーマンピック病C型、CDKL5欠損症、1型糖尿病及び2型糖尿病、ウイルス感染症、幾つかのがん(白血病、膵臓癌、膠芽腫)、変形性関節症、単細胞寄生虫によって生じる感染症の予防及び/又は処置における応用、並びに体温調節の為の応用を見出しうる。
【0018】
他のDYRK及びヒト疾病
【0019】
DYRK1Bは、様々なウイルス、例えば、C型肝炎ウイルス、チクングニアウイルス、デングウイルス、SARSコロナウイルス、サイトメガロウイルス及びヒトパピローマウイルスを包含する、上記の様々なウイルス、の複製に関与している。DYRK1Aと同様に、DYRK1Bの阻害は膵臓のインスリン産生β細胞の増殖をもたらす。DYRK1Bは神経炎症に関与している。DYRK1Bを標的とすることにより、様々な癌、例えば脂肪肉腫又は乳癌、の処置に新たな根拠が与えられる。
【0020】
DYRK2は、GSK-3βと関連して、神経細胞の形態形成を制御する。DYRK2は、がんの展開に様々な形で関与している。
【0021】
DYRK3は肝細胞癌を促進する。DYRK3はストレス顆粒の凝縮/溶解とmTORC1シグナル伝達とを結び付ける。DYRK3は有糸分裂における無膜の細胞小器官の相転移を制御する。DYRK3及びDYRK4は、ニューロンにおける細胞骨格構成及び突起伸長の制御に関与している。
【0022】
DYRK1Aは軸索の成長を減少させ、DYRK3及びDYRK4は樹状突起の分岐を増加させ、及びDYRK2は、軸索及び樹状突起の両方の成長と分岐とを減少させる。
【0023】
CLK及びヒト疾病
【0024】
CLKは下記の意味を有する故に、紛らわしい略語であることに留意されたい:(a)モノオキシゲナーゼCLK-1(ヒトホモログCOQ7);(b)多機能性Ca(2+)依存性レクチンであるコレクチン(Collectin)-K1(CL-K1又はCL-11);(c)トウモロコシ病原体であるクルブラリア・ルナータ(Curvularia lunata)のMAPK遺伝子Clk1;(d)ミトコンドリア膜結合酵素Clock-1(CLK-1);(e)コレトトリクム・リンデムティアヌム(Colletotrichum lindemuthianum)キナーゼ1(clk1)。
【0025】
CLKは選択的スプライシングにおいて重要な機能を担っている。CLKは選択的スプライシング及び遺伝子発現をグローバルに制御するところの体温センサーとして働く。CLKの活性は事実、生理的な温度変化に非常に敏感であり、それは、キナーゼ活性化セグメント内の構造変化によってもたらされる(Haltenhof T et al.,2020. A conserved kinase-based body-temperature sensor globally controls alternative splicing and gene expression.Mol Cell 78,57)。
【0026】
CLK1、及びヒトの疾病
【0027】
CLK1は細胞分裂周期の間に、周期的な選択的スプライシングをトリガーする。CLK1はインフルエンザA型ウイルスのmRNAスプライシングを制御し、及びその阻害はウイルスの複製を阻止する。CLK1及びCLK2はまた、HIV-1遺伝子の発現を制御する。CLK1はオートファジー誘導因子である。CLK1の阻害は神経膠腫における化学療法抵抗性を防ぐ可能性があり、TG693によるCLK1の阻害はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne Muscular Dystrophy)におけるジストロフィン遺伝子の変異されたエクソン31のスキップを可能にする。
【0028】
他のCLK及びヒト疾病
【0029】
CLK2の阻害は、神経機能を改善し及びフェラン-マックダーミド症候群(PMDS:Phelan-McDermid syndrome)の知的障害及び自閉症と闘う方法として提案されてきている。LorecivivintによるCLK2とDYRK1Aの二重阻害は、変形性膝関節症の為の潜在的な疾病修飾アプローチである。CLK2阻害は、MYC駆動性乳がん、トリプルネガティブ乳癌及び膠芽腫を悪化させる。CLK2の阻害はPhelan-McDermid症候群(PMDS)の自閉症的特徴を改善する。タウエクソン10の選択的スプライシングはCLK2及び他のCLKによって制御され、散発性ADにおける、3R/4Rアイソフォーム比における変化と神経変性とをもたらす。CLK2、CLK3及びCLK4の阻害はHIV-1の産生を阻害する。選択的スプライシングを制御することによって、CLKはアポトーシス促進因子と抗アポトーシス制御因子とのバランスを調節し、そして、CLKを阻害することにより、多くのがん、特には前立腺癌及び肝細胞癌の処置における応用を見出しうる。
【0030】
下記の表1は、様々な疾病におけるDYRK及びCLKキナーゼの関与をまとめたものである。
【0031】
【0032】
DYRK及びCLK阻害剤
【0033】
幾つかのDYRK1A阻害剤が、近年報告されている。ほとんどのDYRK1A阻害剤はまた、DYRK1B、2、3、4、並びに密接に関連したCLK1、2、3、4を阻害し、幾つかのありうる阻害プロファイルが考えられる。
【0034】
下記の明細書においてロイセチン(Leucettines)と名付けられた幾つかのイミダゾロン誘導体が、キナーゼ阻害剤として、より特にはDYRK1Aキナーゼの阻害剤として、国際公開第WO2009/050352号パンフレットにおいて開示されている。
【0035】
国際公開第WO2021/114314号パンフレット及び国際公開第WO2021/115489号パンフレットは、心臓疾患の処置の為の心筋細胞増殖活性を有する有用な化合物を開示している。しかしながら、これらの文献は、非常に部分的な方法で例示されており、ベンゾチアゾール誘導体に焦点を当てた非常に広範な化合物を含む。言い換えれば、開示された化合物はいずれも本発明の式(I)を含むものでなく、またそれらに近いとも考えることはできない。その上、これらの出願において開示された化合物は、DYRK1A及びCLK1に関して最適化された活性を有しておらず、本明細書の以下において定義されている病態に向けられているものでない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
上記のような疾病を処置及び/又は予防する為の、特にはDYRK1A、他のDYRK及び関連するCLKキナーゼの阻害、特には選択的阻害、を通じた、新規化合物を同定する為の必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0037】
以下の本明細書において式(I)で定義される化合物が、ダウン症候群に関連付けられた認知障害及び神経炎症、アルツハイマー病及び関連疾病、認知症及びタウオパチー;パーキンソン病;並びに、他の神経変性疾患;CDKL5欠損症;フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;変形性関節症及び腱障害;幾つかのがん及び白血病、神経炎症、貧血症、単細胞寄生虫によって生じる感染症、ウイルス感染症から選択される疾病の処置及び/又は予防において並びに体温調節の為に有用であることが判った。
【0038】
それ故に、本発明は、下記に定義されている式(I)の化合物に関する。
【0039】
本発明は更に、医薬品として使用する為の下記に定義されている式(I)の化合物に関する。
【0040】
本発明は更に、ダウン症候群に関連付けられた認知障害及び神経炎症、アルツハイマー病及び関連疾病、認知症又はタウオパチー(特には、これらの適応症に関連付けられた認知障害及び神経炎症);パーキンソン病;他の神経変性疾患;CDKL5欠損症;フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;変形性関節症及び腱障害;幾つかのがん及び白血病、神経炎症、貧血症、単細胞寄生虫によって生じる感染症、ウイルス感染症から選択される疾病の処置及び/又は予防において使用する為の並びに体温調節の為の式(I)の化合物に関する。
【0041】
本発明は更に、式(I)の化合物を含む医薬組成物、及び式(I)の化合物を製造する為の方法に関する。
【0042】
本発明は、最後に、下記に定義されている式(II)で表す合成中間体を記載している。
【0043】
定義
【0044】
本明細書において使用される場合に、語「患者」は、動物、例えば、繁殖、交配若しくは保存目的の為の貴重な動物、又は好ましくは、本明細書に記載されている1以上の疾病及び状態に罹患している、又は罹患する可能性を有する、ヒト又はヒト小児のいずれかを云う。
【0045】
特に、本願において使用される場合に、語「患者」は、哺乳動物、例えば、げっ歯類、猫、犬、霊長類、又はヒトを云い、好ましくは、該対象はヒトであり、また鳥類に及ぶ。
【0046】
本明細書において記載されている疾病及び状態の処置を必要としているそれらの患者の識別は、当業者の能力及び知識の範囲内である。当業者である獣医師又は医師は、臨床検査、身体検査、病歴/家族歴、又は生物学的検査及び診断検査の使用によって、そのような処置を必要とする患者を容易に識別することができる。
【0047】
本発明の文脈において、本明細書において使用されている場合に、語「処置する」又は「処置」は、DYRK1Aキナーゼ及び/又はCLK1の高発現及び高活性に起因する疾病及びその認知、運動又は代謝の変化の予防、逆転、緩和、進行抑制、又は防止を意味し、任意的に、他のDYRK(DYRK1B、2、3、4)及び密接に関連した更なるcdc2様キナーゼ(CLK)(CLK2、3、4)における異常に関連付けられ、より特には、本明細書の「病態」の段落以降に記載されている疾病に関連する。
【0048】
それ故に、語「処置する」又は「処置」は、本発明の枠組みの中で、本明細書の段落「病態」の段落以降に記載されているような、DYRK1A及びCLK1キナーゼのいずれかの高発現及び高活性に関連し、及び任意的に、他のDYRK(DYRK1B、2、3、4)及び密接に関連した更なるcdc2様キナーゼ(CLK)(CLK2、3、4)の異常に関連付けられた疾患に罹患している患者の病状の改善を包含する。
【0049】
本明細書において使用される場合に、「有効量」は、本明細書において記載されている疾病及び状態を予防、軽減、除去、処置又は制御する際に有効であるところの本発明の化合物の量を云う。
【0050】
語「制御する」は、本明細書において記載されている疾病及び状態の進行の減速、中断、停止又は中止でありうる全てのプロセスを云うことが意図されているが、必ずしも全ての疾病及び状態の症状の完全な除去を示すものではなく、予防的処置を包含することが意図されている。
【0051】
語「有効量」は、「予防有効量」及び「処置有効量」を包含する。
【0052】
本明細書において使用される場合に、語「予防する」は、所与の現象、すなわち本発明において、異常なDYRK/CLKキナーゼ活性、特にはDYRK1Aキナーゼ活性、に起因する疾病の発症リスクを低減するか、又はその発生を遅らせることを意味する。
【0053】
本明細書において使用される場合に、語「予防」はまた、「発生の可能性を低減する」又は「再発の可能性を低減する」を包含する。
【0054】
語「予防有効量」は、上記された疾患のいずれかの可能性を阻害、予防、減少させることにおいて有効な本発明の化合物の濃度を云う。
【0055】
同様に、語「処置有効量」は、上記された疾病を処置する際に有効な化合物の濃度を云い、例えば、疾病が発生した後に投与された場合に、検査後にDYRK1A及び/又はCLK1キナーゼ活性、任意的に、更にDYRK/CLKキナーゼ活性全般の低下又は正常化をもたらす。
【0056】
本明細書において使用される場合に、語「医薬的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は合理的な利益/リスク比に見合った他の問題の合併症無しに、ヒト及び動物の組織と接触する為に適した化合物、材料、添加剤、組成物又は剤形を云う。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本明細書において使用される場合に、語「医薬的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は合理的な利益/リスク比に見合った他の問題の合併症無しに、ヒト及び動物の組織と接触する為に適した化合物、材料、添加剤、組成物又は剤形を云う。
【0058】
第1の観点に従うと、本発明の主題は、下記の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩のいずれか1つに関し、
【化1】
ここで、
R
2は、水素原子及び(C
1~C
3)アルキル基からなる群から選択され、
R
3は、(C
1~C
4)アルキル基又は(C
3~C
6)シクロアルキル基であり、並びに、
ここで、R
1は、下記の(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)又は(vii)を表す:
(i) ヒドロキシ基及び(C
1~C
3)アルコキシ基から選択される基によって置換された(C
4~C
6)アルキル基、
(ii) ヒドロキシ基及び(C
1~C
3)アルコキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)シクロアルキル基、
(iii) (C
1~C
4)アルコキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい架橋された(C
6~C
10)シクロアルキル基、
(iv) (C
5~C
6)シクロアルキルと縮合されたフェニル基から選択される縮合フェニル基、ここで、(C
5~C
6)シクロアルキルはヒドロキシ基によって置換されていてもよい、
(v) (C
4~C
7)ヘテロシクロアルキル基によって置換されたフェニル基、ここで、前記(C
4~C
7)ヘテロシクロアルキル基はそれ自体、(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよい、
(vi) R’-L-基、ここで、
Lは、単結合又は(C
1~C
3)アルカンジイル基のいずれかである、並びに、
R’は、下記の(vi.1)若しくは(vi.2)を表す:
(vi.1) ヒドロキシ基及び(C
1~C
4)アルキル基から選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)ヘテロシクロアルキル基、例えば、少なくとも1つの炭素原子が酸素原子又は硫黄原子によって置換された(C
6~C
7)シクロアルキル、若しくは、
(vi.2) (C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよい(C
3~C
8)ヘテロアリール基、
又は、
(vii) R’’-L-基、ここで、
Lは、-NR
bR
c基、(C
1~C
3)アルコキシ基及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C
1~C
3)アルカンジイル基であり、
R’’は、フルオロ(C
1~C
4)アルキル基によって置換されていてもよいフェニル基であり、並びにここで、R”及びLのうちの少なくとも1つが置換されている、並びに、
ここで、R
b及びR
cは独立して、(C
1~C
6)アルキル基又は水素原子を表す。
【0059】
特定の実施態様に従うと、本発明は、本明細書の上記において定義されている式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つに関し、
ここで、R1が、下記の(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)又は(viii)を表す:
(i) ヒドロキシ基及び(C1~C3)アルコキシ基から選択される基によって置換された(C5~C6)アルキル基、好ましくはC6-アルキル基、
(ii) ヒドロキシ基及び(C1~C3)アルコキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C5~C8)シクロアルキル基、
(iii) (C1~C4)アルコキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい架橋された(C9~C10)シクロアルキル基、
(iv) シクロペンチルと縮合したフェニル基、ここで、該シクロペンチルはヒドロキシ基によって置換されている、
(v) (C4~C7)ヘテロシクロアルキル基によって置換されたフェニル基、ここで、前記(C4~C7)ヘテロシクロアルキル基はそれ自体、(C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよい、
(vi) R’-L-基、ここで、
Lは、単結合又は、ヒドロキシ基及び(C1~C3)アルコキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C1~C3)アルカンジイル基のいずれかであり、並びに、
R’は、下記の(vi.1)若しくは(vi.2)を表す:
(vi.1) ヒドロキシ基及び(C1~C4)アルキル基から選択される1つ又は2つの基によって置換されていてもよい(C6~C7)ヘテロシクロアルキル基、例えば、少なくとも1つの炭素原子が酸素原子又は硫黄原子によって置換された(C6~C7)シクロアルキル、若しくは、
(vi.2) (C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよい(C3~C8)ヘテロアリール基、
又は、
(viii) R’’-L-基、ここで、
Lは、-NRbRc基、(C1~C3)アルコキシ基及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C1~C3)アルカンジイル基であり、
R’’は、フルオロ(C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよいフェニル基であり、並びにここで、R’’及びLのうちの少なくとも1つが置換されている、並びに、
ここで、Rb及びRcは独立して、(C1~C6)アルキル基又は水素原子を表す。
【0060】
他の特定の実施態様に従うと、本発明は、本明細書の上記において定義されている式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つに関し、
ここで、R1が、下記の(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)又は(vii)を表す:
(i) ヒドロキシ基及びメトキシ基から選択される基によって置換された(C5~C6)アルキル基、好ましくはC6-アルキル基、
(ii) ヒドロキシ基及びメトキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C5~C8)シクロアルキル基、特には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル、
(iii) メトキシ基及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい架橋された(C9~C10)シクロアルキル基、特には、アダマンチル又はノルアダマンチル、
(iv) シクロペンチルと縮合したフェニル基、ここで、該シクロペンチルはヒドロキシ基によって置換されている、
(v) N-メチルピペラジニル基によって置換されたフェニル基,
(vi) R’-L-基、ここで、
Lは、単結合又は(C1~C3)アルカンジイル基のいずれかである、並びに、
R’は、下記の(vi.1)若しく(vi.2)からなる群から選択される:
(vi.1) ヒドロキシ基によって置換されていてもよい(C6~C7)ヘテロシクロアルキル基、例えば、少なくとも1つの炭素原子が酸素原子又は硫黄原子によって置換された(C6~C7)シクロアルキル、特にはテトラヒドロピラニル、若しくは、
(vi.2) メチル基によって置換されていてもよい(C3~C8)ヘテロアリール基、特には、ピリジニル若しくはチアゾリル、
又は、
(vii) R’’-L-基、ここで、
Lは、-NH2基、メトキシ基及びヒドロキシ基からなる群から選択される基によって置換されていてもよい(C1~C3)アルカンジイル基であり、
R’’は、トリフルオロメチル基によって置換されていてもよいフェニル基であり、並びにここで、R’’及びLのうちの少なくとも1つが置換されている。
【0061】
他の特定の実施態様に従うと、本発明は、本明細書の上記において定義されている式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つに関し、
ここで、R1がR’-L-基であり、ここで、
Lは、単結合、-CH2-基、-CH(CH2OH)-基、-CH(CH2OCH3)-基、-CH(OH)-CH2-基及び-CH(CH2NH2)-基からなる群から選択される。
【0062】
他の特定の実施態様に従うと、本発明は、本明細書の上記において定義されている式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つに関し、
ここで、
(vi.1) R’が(C5~C8)ヘテロシクロアルキル基、例えば少なくとも1つの炭素原子が酸素原子又は硫黄原子によって置換されている(C5~C8)シクロアルキル、である場合に、Lが、単結合又は-CH2-基であり、
(vi.2) R’が(C3~C8)ヘテロアリール基である場合に、Lが、単結合又は-CH2-基であり、
(vi.3) R’’がフェニルである場合に、Lが、単結合、-CH2-基、-CH(CH2OH)-基、-CH(CH2OCH3)-基、-CH(OH)-CH2-基及び-CH(CH2NH2)-基からなる群から選択される。
【0063】
他の特定の実施態様に従うと、本発明は、本明細書の上記において定義されている式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つに関し、
ここで、R1が、下記の基を表す:
ヒドロキシ基及び(C1~C3)アルコキシから選択される基によって置換された(C4~C6)アルキル基、又は、
ヒドロキシ基及び(C1~C3)アルコキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C3~C8)シクロアルキル基、
(C1~C4)アルコキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい架橋された(C6~C10)シクロアルキル基。
【0064】
該化合物のサブグループは、本明細書の下記の表2において、「A1」のタイプの化合物の下に集められている。
【0065】
前記実施態様になお従うと、R1はより特には、水素原子、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、1-(ヒドロキシメチル)-3-メチル-ブチル、1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル、1-(エトキシメチル)-3-メチル-ブチル、2-メトキシシクロペンチル、3-ノルアダマンチル、1-アダマンチル、3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、3-メトキシ-1-アダマンチル、3-フルオロ-1-アダマンチルを表しうる。
【0066】
他の特定の実施態様に従うと、本発明は、本明細書の上記において定義されている式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つに関し、
ここで、R1は下記の基を表す:
(C5~C6)シクロアルキルと縮合されたフェニル基から選択される縮合フェニル基、ここで、該(C5~C6)シクロアルキルは、ヒドロキシ基によって置換されている、
(C4~C7)ヘテロシクロアルキル基によって置換されたフェニル基、ここで、前記(C4~C7)ヘテロシクロアルキル基はそれ自体、(C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよい、
又は、
R’’-L-基、ここで、
Lが、ヒドロキシ基、(C1~C3)アルコキシ基及び-NRbRc基から選択される基によって置換されていてもよい(C1~C3)アルカンジイル基であり、
R’’は、フルオロ(C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよいフェニル基であり、並びにここで、R’’及びLのうちの少なくとも1つが置換されている、並びに、
ここで、Rb及びRcは独立して、(C1~C6)アルキル及び水素原子から選択される。
【0067】
該化合物のサブグループは、本明細書の下記の表2において、「A2」及び「A5」のタイプの化合物の下に集められている。
【0068】
前記実施態様になお従うと、R1はより特には、[2-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル、2-ヒドロキシインダン-1-イル、2-アミノ-1-フェニル-エチル、2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル、2-メトキシ-1-フェニル-エチル、2-ヒドロキシ-2-フェニル-エチル、4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニルを表しうる。
【0069】
他の特定の実施態様に従うと、本発明は、本明細書の上記において定義されている式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つに関し、
ここで、R1がR’-L-基を表し、ここで、
R’は、(C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよい(C3~C8)ヘテロアリール基であり、並びに、
Lは、(C1~C3)アルカンジイル又は単結合である。
【0070】
該化合物のサブグループは、本明細書の下記の表2において、「A3」及び「A6」のタイプの化合物の下に集められている。
【0071】
前記実施態様になお従うと、R1は、より特には、(4-メチルチアゾール-2-イル)メチル又は2-ピリジルを表しうる。
【0072】
他の特定の実施態様に従うと、本発明は、本明細書の上記において定義されている式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つに関し、
ここで、R1がR’-L-基を表し、ここで、
R’は、(C3~C8)ヘテロシクロアルキル基、例えば、少なくとも1つの炭素原子が酸素原子又は硫黄原子によって置換されている(C3~C8)シクロアルキル、であり、並びに、
Lは、(C1~C3)アルカンジイル又は単結合である。
【0073】
該化合物のサブグループは、本明細書の下記の表2において、「A4」及び「A7」のタイプの化合物の下に集められている。
【0074】
前記実施態様になお従うと、R1は、より特には、テトラヒドロピラン-4-イル-メチル、テトラヒドロピラン-3-イル又は4-ヒドロキシテトラヒドロピラン-3-イルを表しうる。
【0075】
他の特定の実施態様に従うと、本発明は、本明細書の上記において定義されている式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つに関し、
ここで、R1が、下記の(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)又は(vi)を表す:
(i) ヒドロキシ基及び(C1~C3)アルコキシ基から選択される基によって置換された(C4~C6)アルキル基、
(ii) ヒドロキシ基及び(C1~C3)アルコキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C3~C8)シクロアルキル基、
(iii) (C1~C4)アルコキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい架橋された(C6~C10)シクロアルキル基、
(iv) R’-L-基、ここで、
Lは、単結合又は(C1~C3)アルカンジイル基のいずれかである、並びに、
R’は、下記の(vi.1)若しくは(vi.2)を表す、
(iv.1) テトラヒドロピラニル基、若しくは、
(iv.2) (C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよい(C3~C8)ヘテロアリール基、
又は、
(v) R’’-L-基、ここで、
Lは、-NRbRc基、(C1~C3)アルコキシ基及びヒドロキシ基から選択される基によって置換された(C1~C3)アルカンジイル基であり、並びに、
R’’は、フルオロ(C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよいフェニル基であり、
(vi)R’’-L-基、ここで、
Lは、-NRbRc基、(C1~C3)アルコキシ基及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C1~C3)アルカンジイル基であり、並びに、
R’’は、フルオロ(C1~C4)アルキル基によって置換されたフェニル基であり、
ここで、Rb及びRcは独立して、(C1~C6)アルキル基又は水素原子を表す。
【0076】
本明細書の上記で定義されている式(I)の化合物が、本明細書において更に提供され、ここで、
R1が下記の基を表す:
ヒドロキシ基及び(C1~C3)アルコキシ基から選択される基によって置換された(C4~C6)アルキル基、
(C1~C4)アルコキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい架橋された(C6~C10)シクロアルキル基、
又は、
R’’-L-基、ここで、
Lは、-NRbRc基、(C1~C3)アルコキシ基及びヒドロキシ基から選択される基によって置換されていてもよい(C1~C3)アルカンジイル基であり、並びに、
R’’は、フルオロ(C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよいフェニル基であり、並びにここで、R”及びLのうちの少なくとも1つが置換されている。
【0077】
他の特定の実施態様に従うと、本発明は、上記で定義されている式(I)の化合物に関し、ここで、R3は、(C1~C4)アルキル基、特にはメチル基、である。
【0078】
本発明の文脈において、下記の語が使用される。
【0079】
語「ハロゲン原子」は、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味し、特に、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、を言及する。
【0080】
本明細書において使用される場合に、語「(Cx~Cy)アルキル」は夫々、Cx~Cyの1級、2級又は3級の一価飽和炭化水素ラジカル、例えば(C4~C6)アルキル、を云う。例は、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基及びイソヘキシル基等であるが、これらに限定されない。
【0081】
本明細書において使用される場合に、語「(C1~C3)アルカンジイル」は、分枝状又は直鎖状であり、1~3個の炭素原子を含む二価の飽和炭化水素ラジカルを云い、より特には、メチレン、エチレン又はプロピレン、例えば直鎖プロピレン又はイソプロピレンであり、ここで、該アルカンジイルは、下記の記述から明らかなように置換されていてもよい。
【0082】
本明細書において使用される場合に、語「(C3~C8)シクロアルキル」は、3~8個の炭素原子を有し、飽和又は部分的に不飽和であり、非置換又は置換された環状飽和炭化水素を指す。例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルであるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書において使用される場合に、語「(C3~C8)ヘテロシクロアルキル基」は、1個又は2個の炭素原子が、酸素原子及び硫黄原子から選択されるヘテロ原子、より特には酸素原子、で置換された(C3~C8)シクロアルキル基を云う。そのようなヘテロシクロアルキル基は、飽和していてもよく又は部分的に飽和していてもよく、及び置換されていなくてもよく又は置換されていてもよい。例は、オキサニル、オキセタニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセパニル、ジオキサニル及びテトラヒドロチオピラニル、より特にはテトラヒドロピラニル、であるが、それらに限定されない。
【0084】
本明細書において使用される場合に、語「(Cx~Cy)アルコキシ」は、-O-(Cx~Cy)アルキル部分又は-O-(C3~Cy)シクロアルキル部分を云い、ここで、アルキル及びシクロアルキルは上記で定義されている通りであり、例えば(C1~C6)アルコキシである。例は、メトキシ、エトキシ、1-プロポキシ、2-プロポキシ、シクロプロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ及びペントキシ、より特にはメトキシ、であるが、それらに限定されない。
【0085】
本明細書において使用される場合に、「架橋された(C6~C10)シクロアルキル」基は、二環式又は三環式化合物を云い、ここで、該環式はシクロアルキルであり、該環は3個以上の原子を共有し、該架橋が少なくとも1個の原子、例えば1個、2個又は3個の原子を含む。そのような架橋されたシクロアルキル基は、1以上のC1~C3アルキルによって置換されていてもよい。例は、アダマンチル及びノルアダマンチルであるが、それらに限定されない。
【0086】
「縮合フェニル基」は、フェニル部分を含み且つ置換されていてもよいところの二環式ラジカルを云う。該縮合フェニル基は、シクロアルキルに又はヘテロシクロアルキルに縮合していてもよく、且つそのフェニル部分によって又は該シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルによって分子の残りの部分に結合していてもよい。例は、インダニル、アセチルインドリニル、メチルインダゾリル、ヒドロキシインダニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インダゾリル、メトキシインダニル等、より特にはインダニル、であるが、それらに限定されない。
【0087】
本明細書において使用される場合に、語「(C3~C8)ヘテロアリール基」は、環の少なくとも1つが芳香族であり且つ1~3個の環炭素原子が窒素、ヘテロ原子、例えば酸素原子又は硫黄原子、によって置換されているところの単環式芳香族基を意味する。(C3~C8)ヘテロアリール基の例として、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラジン、オキサジアゾール、フラン、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、トリアゾール等が言及されうるが、それらに限定されるものでない。本発明の枠組みにおいて、(C3~C8)ヘテロアリールは有利には、ピリジン又はチアゾールである。
【0088】
「芳香環」は、ヒュッケル則に従うと、分子が4n+2個のπ電子を有することを意味する。
【0089】
本明細書において使用される場合に、語「(C1~Cx)フルオロアルキル基」は、本明細書の上記において定義された(C1~Cx)アルキルを云い、ここで、1つ以上の水素原子がフッ素によって置換されている。1つの実施形態においては、全ての水素原子がフッ素原子によって置換され、パーフルオロアルキル基、例えばトリフルオロメチル、を形成する。
【0090】
本発明の文脈において、語「芳香環」及び「ヘテロアリール」は、全ての位置異性体を包含する。
【0091】
下記の化合物(2)~(31)の命名は、Accelrys Draw 4.1 SP1を使用し、国際純正応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry)の原則に従って生成された。如何なる混乱をも避ける為に、「(±)」の記号はラセミ混合物を示すために加えられた。「シス」及び「トランス」の接頭辞はまた、隣接する2つのキラル中心の相対的な立体化学を割り当てる為に使用された。
【0092】
本発明の好ましい実施態様に従うと、上記式(I)の化合物は、下記の化合物及びそれらの医薬的に許容される塩から選択される:
(2) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-(シクロヘキシルアミノ)-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(3) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-(シクロヘプチルアミノ)-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(4) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-(シクロオクチルアミノ)-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(5) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-1-(ヒドロキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(6) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(7) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-1-(エトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(8) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R,2R)-2-メトキシシクロペンチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(9) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1S,2S)-2-メトキシシクロペンチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(10) (5Z)-2-(3-ノルアダマンチルアミノ)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(11) (5Z)-2-(1-アダマンチルアミノ)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(12) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(13) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[(3-メトキシ-1-アダマンチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(14) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[[2-(トリフルオロメチル)フェニル]メチルアミノ]イミダゾール-4-オン、
(15) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1S,2S)-2-ヒドロキシインダン-1-イル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(16) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(17) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1S)-2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(18) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-2-メトキシ-1-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(19) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(20) (5Z)-2-[[(1R)-2-アミノ-1-フェニル-エチル]アミノ]-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-イミダゾール-4-オン・ジヒドロクロリド、
(21) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[(4-メチルチアゾール-2-イル)メチルアミノ]イミダゾール-4-オン、
(22) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-(テトラヒドロピラン-4-イルメチルアミノ)イミダゾール-4-オン、
(23) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)アニリノ]イミダゾール-4-オン、
(24) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-(2-ピリジルアミノ)イミダゾール-4-オン、
(25) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[[(3S)-テトラヒドロピラン-3-イル]アミノ]イミダゾール-4-オン、
(26) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(3R,4R)-4-ヒドロキシテトラヒドロピラン-3-イル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン、
(27) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-エチル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン、
(28) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロプロピル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン、
(29) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロブチル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン、
(30) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロペンチル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン、
(31) (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロヘキシル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン。
【0093】
本発明の更に好ましい実施態様に従うと、上記式(I)の化合物は、化合物(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(19)、(23)、(25)及びそれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される。
【0094】
本発明の更に好ましい実施態様に従うと、上記式(I)の化合物は、化合物(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(15)、(16)、(23)及びそれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される。
【0095】
本発明の更に好ましい実施態様に従うと、上記式(I)の化合物は、化合物(4)、(5)、(6)、(7)、(10)、(11)、(12)、(13)、(15)、(23)及びそれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される。
【0096】
本発明の代替的な実施態様に従うと、上記式(I)の化合物は、化合物(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)、(22)、(23)、(25)、(26)、(27)及びそれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される。
【0097】
本発明の好ましい実施態様に従うと、上記式(I)の化合物は、化合物(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)、(22)、(23)、(25)、(26)及びそれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される。
【0098】
本発明の更に好ましい実施態様に従うと、上記式(I)の化合物は、化合物(8)、(12)、(15)及びそれらの医薬的に許容される塩からなる群から選択される。
【0099】
本発明の更なる実施態様に従うと、上記式(I)の化合物は、化合物(5)、(8)、(9)、(10)、(12)、(13)、(15)、(16)、(18)、(19)、(23)及びそれらの医薬的に許容される塩 からなる群から選択される。
【0100】
下記の実施例4において表4A~表4Fを通じて同定され且つ最も強力なキナーゼ阻害剤及びマルチターゲットキナーゼ阻害剤として特には同定された化合物リストによって定義された化合物群がまた本発明の一部を形成する。
【0101】
他の観点に従うと、本発明の主題は、医薬品として使用する為の、上記で定義されている式(I)の化合物若しくはその医薬的に許容される塩のいずれか、又は化合物(2)~(31)のうちの少なくともいずれか若しくはそれらの医薬的に許容される塩のいずれかに関する。
【0102】
「それらの医薬的に許容される塩」は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸)と形成される酸付加塩、及び有機酸、例えば酢酸、酒石酸及びコハク酸で形成された塩を云う。
【0103】
式(I)の化合物の好適な生理学的に許容される酸付加塩は、臭化水素酸塩、酒石酸塩、塩酸塩、コハク酸塩及び酢酸塩を包含する。
【0104】
式(I)の化合物、並びに化合物(2)~(31)のいずれか1つ、又はそれらの医薬的に許容される塩は、溶媒和物又は水和物を形成し得、本発明は、そのような溶媒和物及び水和物の全てを包含する。
【0105】
語「水和物」及び語「溶媒和物」は、単に、本発明に従う化合物(i)が水和物又は溶媒和物の形態であることができること、すなわち、1以上の水又は溶媒分子と結合又は会合されうることを意味する。このことは、そのような化合物の化学的特徴に過ぎず、このタイプの全ての有機化合物に対して適用されることができる。
【0106】
式(I)の化合物は、1以上の不斉炭素原子を含むことができる。従って、式(I)の化合物は、エナンチオマー又はジアステレオマーの形態で存在することができる。これらのエナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物(ラセミ混合物を包含する)は、本発明の範囲内に包含される。特には、立体異性体(Z)及び(E)は本発明の一部を形成する。
【0107】
本発明の化合物は、当業者によって実施される慣用的な有機合成法によって調製されることができる。以下に概説する一般的な反応順序は、本発明の化合物を調製する為に有用な一般的な方法を示すものであり、その範囲又は有用性を限定することが意味されるものでない。
【0108】
【0109】
一般式(I)の化合物は、下記のスキーム1に従って調製されることができる。
【化2】
【0110】
本発明に従う化合物の合成は、本明細書において後述されている一般的プロトコル3(GP3)に従って、式(II)(式中、R2及びR3は上記で定義されている通りである)の化合物を式R1NH2(式中、R1は上記で定義されている通りである)のアミンによって官能基化することに基づくものである。
【0111】
GP3に従うと、式(II)の化合物が、非プロトン性溶媒、例えばTHF又はジオキサン、又は両者の混合溶媒中に入れられうる。式R1NH2のアミンが、例えば式(II)の化合物に対して2~6の範囲、特には4、のモル比で、添加されてもよい。反応混合物が密封チューブ内に入れられ得、例えば加熱ブロックから又はマイクロ波から、エネルギーを受けてもよい。反応の完了に応じて、該混合物が室温に戻されうる。
【0112】
GP3-Aと命名された実施態様において、該反応混合物が、-10℃~10℃の範囲の温度で、例えば0℃で、30分~2時間の範囲中、例えば1時間、攪拌されうる。得られた生成物の状態(固体、析出物)に応じて、当業者により周知の精製法、例えば、濾過、洗浄、粉砕、真空乾燥、フラッシュクロマトグラフィー、析出及び還流が行われてもよい。
【0113】
GP3-Bと命名された実施態様であって、生成物が析出しなかった該実施態様において、反応混合物が濃縮されてもよく、特には真空中で濃縮されてもよく、そして精製されてもよく、特にはフラッシュクロマトグラフィーによって精製されてもよい。特には再析出、粉砕及び再結晶から選択される第2の精製工程が実施されうる。
【0114】
GP3-Cと命名された別の実施態様であって、生成物が析出しなかった該別の実施態様において、反応混合物が濃縮されてもよく、特には真空中で濃縮されてもよく、そして、結果として得られた粗物が、プロトン性極性溶媒、例えばエタノール、中で粉砕によって精製されうる。該粉砕は、20~100℃の温度で、特には室温で、行われうる。特には再析出、粉砕及び再結晶から選択される第2の精製工程が実施されうる。
【0115】
上記で定義されている式(II)の化合物は、式(III)の化合物をS-アルキル化することによって得られ得、ここで、R2及びR3は上記で定義されている通りであり、並びにAlkは(C1~C5)アルキルである。
【0116】
一般的なプロトコルGP2に従うと、式(III)の化合物が、極性非プロトン性溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)中に入れられうる。次に、式Alk-Hal(式中、Halはハライド、例えばヨウ素原子又は臭素原子、であり、及びAlkは(C1~C5)アルキル、例えばメチル又はエチル、である)のアルキルハライドが、例えば、式(III)の化合物に対して0.7~1.5の範囲、特には1、のモル比の無機塩基、例えばK2CO3、の存在下、例えば、式(III)の化合物に対するモル比が0.75~1.50の範囲、特には1.05又は1.15、で添加されうる。該アルキルハライドが添加されている間、反応混合物は攪拌されうる。
【0117】
特定の実施態様において、結果として得られた混合物が、例えば8~16時間又は12~24時間、特には、室温で又は40~50℃の温度下で、12時間、攪拌されうる。
【0118】
別の実施態様において、結果として得られた混合物が、-10℃~10℃の範囲の温度で、特には0℃で又は室温で、例えば2~8時間、特には6時間、攪拌されうる。
することができる。
【0119】
上記で定義されている式(III)の化合物は、一般的なプロトコル1(GP1)に従って、式(IV)の化合物から得られ得、ここで、R2及びR3は、上記で定義されている通りである。
【0120】
GP1に従うと、式(IV)の化合物は、例えば式(IV)の化合物に対して0.85~1.15の範囲、特には1、のモル比で、2-チオヒダントインの存在下、例えば式(IV)の化合物に対して0.85~1.15の範囲、特には1、のモル比で有機塩基、例えばピペリジン、の存在下、例えば式(IV)の化合物に対して0.85~1.15の範囲、特には1、のモル比で有機酸、例えば酢酸、の存在下、プロトン性溶媒、例えばエタノール、中に入れられうる。反応混合物が密封チューブに入れられ、攪拌され、そして、例えば60℃~130℃の範囲、特には80℃、の温度で、10分~100分の範囲中、特には15分~90分の範囲中、加熱されうる。反応混合物は、例えばマイクロ波によって照射されてもよい。
【0121】
従って、本発明は更に、式(II)の化合物を第一級アミンと置換する工程を少なくとも含む、上記で定義されている式(I)の新規化合物を製造する為の合成方法に関する。
【0122】
本発明は、上記で定義されている式(I)の化合物若しくはその医薬的に許容される塩の1つ、又は上記で定義されている化合物(2)~(31)のいずれか1つ若しくはその医薬的に許容される塩の1つを製造する為の合成方法であって、下記式(II)の化合物
【化3】
ここで、Alkは(C
1~C
5)アルキルであり、
R
2及びR
3は上記で定義されている通りである、
を式R
1NH
2(式中、R
1は、上記で定義されている通りである)のアミンとカップリングする工程を含む上記合成方法に関する。
【0123】
本発明は更に、下記の式(II)で表す合成中間体に関し、
【化4】
ここで、Alkは(C
1~C
5)アルキルであり、特には、Alkは、エチル及びメチルからなる群から選択され、並びに、R
2及びR
3は上記で定義されている通りである。
【0124】
本発明の式(I)の幾つかの化合物の化学構造、分析データ及び分光学的データが下記の表2及び表3において夫々示されている。
【0125】
反応は、アルゴンの不活性雰囲気下、オーブン乾燥したガラス器具を用いて行われた。特に断りのない限り、全ての試薬等級の化学物質及び溶媒が市販の供給業者から入手され、そして受け取ったまま使用された。反応は、シリカゲル60 F254でプレコートされたアルミニウムプレート(0.25mm)を用いた薄層クロマトグラフィーによって監視された。可視化は、254nm又は312nmの紫外線照射の下、又は好適なTLC染色剤、例えば、ホスホモリブデン酸、KMnO4、ニンヒドリン、CAM、バニリン、p-アニスアルデヒドを包含するがこれらに限定されない上記のTLC染色剤、で行われた。
【0126】
マイクロ波実験が、Anton Paar Monowave 400登録商標マイクロ波リアクターで行われた。実験は、0~850Wの出力範囲のモノモードキャビティ(monomode cavity)で行われ、スナップキャップ(snap caps)とシリコンセプタ(silicon septa)を備えられた密封ガラスバイアル(4~30mL)中で加圧反応(0~30bar)が行われた。温度(0~300℃)は非接触赤外線センサーで監視され、及びルビー温度計で較正された。温度、圧力及び出力プロファイルが、タッチスクリーンのコントロールパネルを通じて編集、そして監視された。様々なプロトコルにおいて示された時間は、3分間のランプ期間後に、混合物がプログラムされた温度に達したときに測定された時間である。
【0127】
化合物のクロマトグラフィー精製が、固定相として30μmの球状でシリカ充填されたプレパックドカラムを備えられた自動化Interchim Puriflash XS420で行われた。
【0128】
本発明の幾つかの化合物がそれらの構造と共に下記の表2において記載されているが、それは単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものでない。
【0129】
【0130】
下記の表3は、上記の表2において紹介した化合物の分析データ及び分光学的データを記載する。
【0131】
1H NMR分析(400又は500MHz)と13C NMRスペクトル(101MHz)は、Bruker ULTRASHIELD 500又は400スペクトロメーターを用いて記録された。スペクトルの処理及び解析はMestReNovaを用いて行われた。データは下記の順序で表示される:内部溶媒シグナルを基準としたppm単位の化学シフト、多重度、プロトンの数、及びヘルツ単位のカップリング定数J。
【0132】
逆相HPLC/MS分析は、オートサンプラー、インライン膜脱気装置、カラムオーブン(T=4℃)、UV検出器、及びイオン化エレクトロスプレーモードで動作するZQ四重極質量検出器を備えたWaters Alliance 2795 HPLCを用いて行われた。化合物(0.1~0.3mg)が、アセトニトリル(V合計:1mL)で完成された最小量のDMSO中に溶解された。標準分析パラメーター:流速:1mL/分,V注入量:5μL。
酸性条件:Waters XSelect CSH C18カラム(3.5μm,2.1x50mm)。グラジエント:(H2O+0.04% v/v HCOOH(10mM))/ACN 95/5~0/100,18.5分。
アルカリ条件:Waters Xbridge C18カラム(3.5μm,2.1x50mm)。グラジエント:(H2O+0.06% v/v NH3(水性)(10mM)/ACN 95/5~0/100,18.5分。
【0133】
【0134】
病理学
【0135】
式(I)の化合物は、ダウン症候群(トリソミー21)に関連付けられた認知障害及び神経炎症、アルツハイマー病及び関連疾病、認知症;タウオパチー;並びに、他の神経変性疾患(パーキンソン病;ニーマンピック病C型を包含するピック病);CDKL5欠損症;フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;腱障害及び変形性関節症、特には変形性膝関節症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;がん、例えば、膠芽腫を包含する脳腫瘍、巨核芽球性白血病及び急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia)を包含する白血病、頭頚部扁平上皮癌、膵菅腺癌を包含する膵癌、前立腺癌、胃腸癌、トリプルネガティブ乳癌を包含する乳癌(TNBC:Triple-negative breast cancer)、脂肪肉腫を包含する組織癌、ヘッジホッグ/GLI‐依存性癌、肝細胞癌を包含する肝癌、並びにウイルス感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1:Human immunodeficiency virus type 1)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV:Human cytomegalovirus)、インフルエンザA型、ヘルペスウイルス、アカゲサルサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV:herpes simplex virus)、C型肝炎ウイルス、チクングニアウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルス及び重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe acute respiratory syndrome)コロナウイルス、サイトメガロウイルス及びヒトパピローマウイルスによって生じるウイルス感染症;神経炎症;貧血症;単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))、単細胞病原体によるウシ疾患から選択される疾病の処置において及び/又は予防において、並びに体温調節の為に有用でありうる。
【0136】
特定の実施態様に従うと、本発明の式(I)の化合物は、ダウン症候群(トリソミー21)に関連付けられた認知障害及び神経炎症、アルツハイマー病及び関連疾病、認知症又はタウオパチー;他の神経変性疾患(パーキンソン病;ニーマンピック病C型を包含するピック病);CDKL5欠損症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;腱障害及び変形性関節症、特には変形性膝関節症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;がん、例えば、膠芽腫を包含する脳腫瘍、巨核芽球性白血病及び急性リンパ性白血病を包含する白血病、頭頚部扁平上皮癌、膵菅腺癌を包含する膵癌、前立腺癌、胃腸癌及びトリプルネガティブ乳癌を包含する乳癌(TNBC);並びに、ウイルス感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、インフルエンザA型、ヘルペスウイルス、アカゲサルサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス及び単純ヘルペスウイルス(HSV)によって生じるウイルス感染症から選択される疾病の処置において及び/又は予防において、並びに体温調節の為に有用でありうる。上記疾病は特には、DYRK1A及び/又はCLK1の用量における異常に関連付けられている。
【0137】
なおこの特定の実施態様に従うと、本発明の式(I)の化合物は、ダウン症候群、アルツハイマー病、認知症、タウオパチー、パーキンソン病、ニーマンピック病C型、CDKL5欠損症及びフェラン-マックダーミド症候群、並びにそれらの関連付けられた認知状態及び運動状態から選択される疾病、より特にはDYRK1Aの高発現及び高活性に起因する疾病の処置及び/又は予防において有用でありうる。
【0138】
なおこの特定の実施態様に従うと、本発明の式(I)の化合物は、ダウン症候群、アルツハイマー病及び関連するタウオパチー、パーキンソン病、それらの関連付けられた認知障害/運動障害又はそのような疾病の1以上の症状から選択される疾病の処置及び/又は予防において有用でありうる。そのような疾病の典型的な症状として、学習及び記憶及び社会的交流における低下がある。
【0139】
なおこの特定の実施態様に従うと、本発明の式(I)の化合物は、ダウン症候群(トリソミー21)に関連付けられた認知低下、学習及び記憶における認知低下、特には上述されているような認知障害又は神経変性障害に関連付けられた認知低下と闘うことにおいて有用でありうる。
【0140】
なおこの特定の実施態様に従うと、本発明の式(I)の化合物は、1型糖尿病及び2型糖尿病の処置及び/又は予防において有用でありうる。
【0141】
本発明の式(I)の化合物は、糖尿病患者を直接処置することによって、又は糖尿病患者内に移植する前に単離/培養された膵島若しくは膵β細胞をイン・ビトロ(in vitro)若しくはエクス・ビボ(ex vivo)で処置することによって、1型糖尿病及び2型糖尿病の処置及び/又は予防において有用でありうる。
【0142】
1型糖尿病及び2型糖尿病の処置を必要とする患者において1型糖尿病及び2型糖尿病を処置する為の方法であって、上記で定義されている式(I)の化合物を投与する工程を含む上記の方法が本明細書において更に提供される。
【0143】
1型糖尿病及び2型糖尿病の処置を必要とする患者において1型糖尿病及び2型糖尿病を処置する為の方法であって、該患者内に移植する前に単離又は培養された膵島又は膵β細胞をイン・ビトロ(in vitro)若しくはエクス・ビボ(ex vivo)で、上記で定義されている式(I)の化合物で処置する工程を含む上記の方法が本明細書において更に提供される。
【0144】
なおこの特定の実施態様に従うと、本発明の式(I)の化合物は、ウイルス感染症、特には、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、インフルエンザA型、ヘルペスウイルス、アカゲサルサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス及び単純ヘルペスウイルス(HSV)によって生じるウイルス感染症、特には、ヘルペスウイルス、コロナウイルス、イトメガロウイルス及びインフルエンザウイルスによって生じるウイルス感染症、を処置及び/又は予防することにおいて有用でありうる。これらの感染症は、DYRK1A及び/又はCLK1の高発現及び高活性に関連づけられ得、任意的に、CLK/DYRKSの二重阻害剤に更に関連付けられ得る。
【0145】
急性呼吸器疾患は、最近、コロナウイルス科(Coronaviridae)に属する新しいコロナウイルス(SARS-CoV-2、以前は2019-nCoVとして知られていた)(ここで、コロナウイルス2019(COVID-19)としても知られている)によって引き起こされている。本発明に従う式(I)の化合物はまた、SARS-CoV-2ウイルスによって生じる感染を処置することができる。
【0146】
なおこの特定の実施態様に従うと、本発明の式(I)の化合物は、がん、例えば、膠芽腫を包含する脳腫瘍、巨核芽球性白血病及び急性リンパ性白血病を包含する白血病、頭頚部扁平上皮癌、膵菅腺癌を包含する膵癌、前立腺癌、胃腸癌及びトリプルネガティブ乳癌を包含する乳癌(TNBC)、の処置及び/又は予防において有用でありうる。これらのがんは、DYRK1A及び/又はCLK1の高発現及び活性に関連づけられ得、任意的に、CLK/DYRKSの二重阻害剤に更に関連付けられうる。
【0147】
なおこの特定の実施態様に従うと、本発明の式(I)の化合物は、腱障害及び変形性関節症の処置及び/又は予防において有用でありうる。腱鞘炎及び変形性関節症は、DYRK1A及び/又はCLK2の高発現及び高活性に関連付けられうる。
【0148】
なおこの特定の実施態様に従うと、本発明の式(I)の化合物は、単細胞寄生虫によって生じる感染症、例えば、マラリア、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))によって生じる感染症、並びに単細胞病原体によるウシ疾患の処置及び/又は予防において有用でありうる。上記寄生虫感染は、DYRK/CLKの発現及び活性に関連付けられうる。
【0149】
なおこの特定の実施態様に従うと、本発明の式(I)の化合物は、体温の調節において有用でありうる。上記体温調節は、CLKの発現及び活性に関連付けられうる。
【0150】
他の特定の実施態様に従うと、本発明の式(I)の化合物は、フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;更なるウイルス感染症、例えば、C型肝炎ウイルス、チクングニアウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルス及び重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe acute respiratory syndrome)コロナウイルス、サイトメガロウイルス及びヒトパピローマウイルスによって生じるウイルス感染症;更なるがん、例えば、脂肪肉腫を包含する組織癌、ヘッジホッグ/GLI‐依存性癌、肝細胞癌を包含する肝癌、神経炎症、貧血症、単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))から選択される疾病の処置において及び/又は予防において、並びに単細胞病原体によるウシ疾患の為に有用でありうる。上記疾患は、より特には、他のDYRK(DYR1B、2、3、4)及び密接に関連した更なるcdc2様キナーゼ(CLK)(CLK2、3、4)における異常に関連付けられている。
【0151】
下記の実施例は例示として提供されるものであり、決して本発明の範囲を限定するものでない。
【0152】
下記の実施例は、本発明に従う幾つかの化合物の調製を詳細に示す。得られた生成物の構造は、NMR分析及び質量分析によって確認された。
【0153】
実施例1:一般的なプロトコル1 - N-置換された(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-チオキソ-イミダゾリジン-4-オンの合成
【化5】
【0154】
上記のスキームにおいて、R2は水素原子又は(C1~C3)アルキル基を表し、特には、R2は水素原子又はメチル基を表し、及びR3は(C1~C4)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、特には、R3はメチル基を表す。
【0155】
GP1:EtOH(C=0.3M)中、N-置換された 2-チオヒダントイン(1eq)、好適なヘテロアリールカルバルデヒド(1eq)、ピペリジン(1eq)及びAcOH(1eq)の攪拌された溶液が、マイクロ波オーブン(Anton Paar)中の密封チューブ内において、指示された温度で、好適な時間の間、加熱された。完了後(TLC上でアルデヒドが消費された後)、反応媒体が冷やされ、そして、水へと滴下された。析出した固体が30分間攪拌され、そして、フリット付きガラス漏斗で濾過され、十分に乾燥され、そして、更なる精製無しに、次の工程において使用されることができた。必要に応じて、最終的な粉砕を行うことにより、有意な収量の低下無しに微量不純物を除去しうる。
【0156】
実施例1.1:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-チオキソ-イミダゾリジン-4-オン (1.1)の合成
【化6】
【0157】
化合物(1.1)がGP1に従って合成された:反応が、3-メチル-2-チオヒダントインの33.43mmolのスケールで、1,3-ベンゾチアゾール-6-カルバルデヒド、AcOH及びピペリジンを用いて行われた。反応温度:110℃,時間:90分。最終生成物は、粉砕を要した。黄色固体,88%(8.12g)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 12.45(br s,1H,NH,D2O交換),9.48(s,1H),8.62(d,J=1.8Hz,1H),8.10(d,J=8.5Hz,1H),7.87(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),6.78(s,1H),3.22(s,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO-d6,300K) δC 179.2,164.1,158.0,153.2,134.3,129.7,128.9,126.6,123.8,123.1,111.9,27.3。MS(ESI+):[M+H]+ 276.0。
【0158】
実施例1.2:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-エチル-2-チオキソ-イミダゾリジン-4-オン (1.2)の合成
【化7】
【0159】
化合物(1.2)がGP1に従って合成された:反応が、3-エチル-2-チオヒダントインの4.29mmolのスケールで、1,3-ベンゾチアゾール-6-カルバルデヒド、AcOH及びピペリジンを用いて行われた。反応温度:110℃,時間:90分。最終生成物は、0℃で、EtOH中での粉砕を要した。褐色/橙色固体,74%(914mg)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 12.45(bs,1H,NH,D2O交換),9.48(s,1H),8.61(s,1H),8.10(d,J=8.4Hz,1H),7.86(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),6.77(s,1H),3.84(q,J=7.1Hz,2H),1.18(t,J=7.1Hz,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO-d6,300K) δC 178.5,163.7,158.0,153.2,134.3,129.7,128.9,126.5,123.8,123.1,112.0,35.6,12.8。MS(ESI+):[M+H]+ 290.2。
【0160】
実施例1.3:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロプロピル-2-チオキソ-イミダゾリジン-4-オン (1.3)の合成
【化8】
【0161】
化合物(1.3)がGP1に従って合成された:反応が、3-シクロプロピル-2-チオヒダントインの4.29mmolのスケールで、1,3-ベンゾチアゾール-6-カルバルデヒド、AcOH及びピペリジンを用いて行われた。反応温度:110℃,時間:90分。最終生成物は、粉砕を要した。橙色固体,81%(1.041g)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 12.37(bs,1H,NH,D2O交換),9.47(s,1H),8.60(d,J=1.9Hz,1H),8.09(d,J=8.6Hz,1H),7.84(dd,J=8.6, 1.8Hz,1H),6.68(s,1H),2.80 (tt,J=6.6, 4.4Hz,1H),0.99(ddt,J=7.5,4.4,2.4Hz,4H)。13C NMR(101MHz,DMSO-d6,300K) δC 180.3,164.4,157.9,153.1,134.3,129.8,128.8,126.4,123.7,123.0,111.3,23.9,6.1。MS(ESI+):[M+H]+ 302.2。
【0162】
実施例1.4:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロブチル-2-チオキソ-イミダゾリジン-4-オン (1.4)の合成
【化9】
【0163】
化合物(1.4)がGP1に従って合成された:反応が、3-シクロブチル-2-チオヒダントインの2.11mmolのスケールで、1,3-ベンゾチアゾール-6-カルバルデヒド、AcOH及びピペリジンを用いて行われた。反応温度:110℃,時間:90分。最終生成物は、粉砕を要した。黄色固体,62%(411mg)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 12.47(bs,1H,NH,D2O交換),9.48(s,1H),8.61(d,J=1.8Hz,1H),8.10(d,J=8.5Hz,1H),7.85(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),6.72(s,1H),5.12(p,J=9.0Hz,1H),3.04-2.88(m,2H),2.23-2.12(m,2H),1.89-1.70(m,2H)。13C NMR(101MHz,DMSO-d6,300K) δC 178.7,164.3,157.8,153.1,134.2,129.6,128.7,126.3,123.7,122.9,111.6,47.4,26.2,14.6。MS(ESI+):[M+H]+ 316.2。
【0164】
実施例1.5:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロペンチル-2-チオキソ-イミダゾリジン-4-オン (1.5)の合成
【化10】
【0165】
化合物(1.5)がGP1に従って合成された:反応が、3-シクロペンチル-2-チオヒダントインの4.29mmolのスケールで、1,3-ベンゾチアゾール-6-カルバルデヒド、AcOH及びピペリジンを用いて行われた。反応温度:110℃,時間:90分。最終生成物は、粉砕を要した。橙色固体,78%(1.107g)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 12.48(bs,1H,NH,D2O交換),9.48(s,1H),8.62(s,1H),8.10(d,J=8.5Hz,1H),7.86(d,J=8.5Hz,1H),6.72(s,1H),5.03(p,J=8.5Hz,1H),2.19-2.01(m,2H),1.98-1.76(m,4H),1.67-1.51(m,2H)。13C NMR(101MHz,DMSO-d6,300K) δC 179.1,163.6,158.0,153.2,134.3,129.7,128.8,126.4,123.8,123.1,111.7,54.0,28.2,24.8。MS(ESI+):[M+H]+ 330.1。
【0166】
実施例1.6:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロヘキシル-2-チオキソ-イミダゾリジン-4-オン (1.6)の合成
【化11】
【0167】
化合物(1.6)がGP1に従って合成された:反応が、3-シクロヘキシル-2-チオヒダントインの4.29mmolのスケールで、1,3-ベンゾチアゾール-6-カルバルデヒド、AcOH及びピペリジンを用いて行われた。反応温度:110℃,時間:90分。最終生成物は、粉砕を要した。橙色固体,76%(1.116g)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 12.47(bs,1H,NH,D2O交換),9.47(s,1H),8.60(s,1H),8.09(d,J=8.5Hz,1H),7.85(dd,J=8.5, 1.9Hz,1H),6.70(s,1H),4.60-4.46(m,1H),2.28-2.12(m,2H),1.89-1.73(m,2H),1.74-1.57(m,3H),1.39-1.10(m,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO-d6,300K) δC 178.8,163.8,158.0,153.2,134.3,129.7,128.8,126.3,123.8,123.1,111.7,54.0,28.2,25.4,24.8。MS(ESI+):[M+H]+ 344.3。
【0168】
実施例2:一般的なプロトコル2 - N-置換された(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-チオキソ-イミダゾリジン-4-オンのS-アルキル化
【化12】
【0169】
上記のスキームにおいて、Halは、ハロゲン原子、特には、ヨウ素原子及び臭素原子から選択されるハロゲン原子、を表し;Alkは(C1~C5)アルキルであり;R2は、
水素原子又は(C1~C3)アルキル基を表し、特には、R2は、水素原子又はメチル基を表し、並びにR3は、(C1~C4)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、特には、R3はメチル基を表す。
【0170】
GP2:好適なアルキルヨージド(1.15eq)が、DMF(C=0.3M)中、N-置換された(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-チオキソ-イミダゾリジン-4-オン (1eq)及びK2CO3(1eq)の攪拌された溶液に、好適な温度で滴下された。結果として得られた混合物が、指示された温度で、好適な時間、攪拌された。完了後(TLC)、混合物が水上に注がれた。析出した固体が、30分攪拌され、そして、フリット付きガラス漏斗で濾過され、十分に乾燥され、そして、更なる精製無しに、次の工程において使用されることができた。微量不純物が、FC又は粉砕によって除去されうる。
【0171】
実施例2.1:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-メチルスルファニル-イミダゾール-4-オン (2.1)の合成
【化13】
【0172】
化合物(2.1)がGP2に従って合成された:反応が、中間体(1.1)(10.89mmol)及びMeIを用いて、室温で、12時間行われた。黄色固体,97%(3.045g)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 9.47(s,1H),8.94(d,J=1.6Hz,1H),8.47(dd,J=8.7,1.7Hz,1H),8.12(d,J=8.6Hz,1H),7.00(s,1H),3.10(s,3H),2.77(s,3H)。MS(ESI+):[M+H]+ 290.1。
【0173】
実施例2.2:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-エチル-2-メチルスルファニル-イミダゾール-4-オン (2.2)の合成
【化14】
【0174】
化合物(2.2)がGP2に従って合成された:反応が、中間体(1.2)(1.21mmol)及びMeIを用いて、45℃で、24時間行われた。最終生成物は、MTBE中、粉砕を要した。黄色固体,75%(275mg)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 9.48(s,1H),8.95(s,1H),8.49(d,J=8.6Hz,1H),8.13(d,J=8.6Hz,1H),7.01(s,1H),3.60(q,J=7.2Hz,2H),2.79(s,3H),1.19(t,J=7.2Hz,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO-d6,300K) δC 168.6,166.0,158.1,153.4,138.5,134.2,131.8,129.5,125.8,123.1,121.3,35.3,13.9,12.7。MS(ESI+):[M+H]+ 304.2。
【0175】
実施例2.3:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロプロピル-2-メチルスルファニル-イミダゾール-4-オン (2.3)の合成
【化15】
【0176】
化合物(2.3)がGP2に従って合成された:反応が、中間体(1.3)(1.21mmol)及びMeIを用いて、45℃で、24時間行われた。最終生成物は、MTBE中、粉砕を要した。黄色固体,90%(342mg)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 9.46(s,1H),8.92(s,1H),8.46(d,J=8.6Hz,1H),8.11(d,J=8.7Hz,1H),6.93(s,1H),2.77-2.66(m,4H),1.01-0.85(m,4H)。MS(ESI+):[M+H]+ 316.2。
【0177】
実施例2.4:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロブチル-2-メチルスルファニル-イミダゾール-4-オン (2.4)の合成
【化16】
【0178】
化合物(2.4)がGP2に従って合成された:反応が、中間体(1.4)(1.21mmol)及びMeIを用いて、45℃で、24時間行われた。最終生成物は、MTBE中、粉砕を要した。黄色固体,76%(303mg)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 9.47(s,1H),8.94(d,J=1.6Hz,1H),8.47(dd,J=8.6, 1.7Hz,1H),8.12(d,J=8.6Hz,1H),6.97(s,1H),4.43(p,J=8.7Hz,1H),2.90-2.70(m,5H),2.31-2.19(m,2H),1.88-1.69(m,2H)。13C NMR(101MHz,DMSO-d6,300K) δC 169.2,166.20,158.0,153.4,138.6,134.1,131.8,129.4,125.7,123.0,121.1,47.1,27.6,14.6,13.3。MS(ESI+):[M+H]+ 330.2。
【0179】
実施例2.5:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロペンチル-2-メチルスルファニル-イミダゾール-4-オン (2.5)の合成
【化17】
【0180】
化合物(2.5)がGP2に従って合成された:反応が、中間体(1.5)(1.82mmol)及びMeIを用いて、45℃で、24時間行われた。黄色固体,95%(594mg)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 9.47(s,1H),8.93(s,1H),8.48(d,J=8.7Hz,1H),8.13(d,J=8.6Hz,1H),6.96(s,1H),4.32(p,J=8.4Hz,1H),2.78(s,3H),2.10-1.97(m,2H),1.96-1.76(m,4H),1.68-1.52(m,2H)。13C NMR(101MHz,DMSO-d6,300K) δC 168.8,166.4,158.1,153.4,138.7,134.2,131.8,129.4,125.7,123.1,121.1,53.9,29.1,24.5,13.4。MS(ESI+):[M+H]+ 344.2。
【0181】
実施例2.6 (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロヘキシル-2-メチルスルファニル-イミダゾール-4-オン (2.6)の合成
【化18】
【0182】
化合物(2.6)がGP2に従って合成された:反応が、中間体(1.6)(1.21mmol)及びMeIを用いて、室温で、24時間行われた。黄色固体,79%(344mg)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6,300K) δH 9.47(s,1H),8.92(s,1H),8.47(d,J=8.4Hz,1H),8.12(d,J=8.6Hz,1H),6.96(s,1H),3.83-3.69(m,1H),2.76(s,3H),2.17-2.00(m,2H),1.90-1.58(m,5H),1.42-1.23(m,2H),1.22-1.07(m,1H)。MS(ESI+):[M+H]+ 358.3。
【0183】
実施例3:一般的なプロトコル3 - N-置換された(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-アルキルスルファニル-イミダゾール-4-オンに対するアミンの付加
【化19】
【0184】
上記のスキームにおいて、Alkは(C1~C5)アルキルであり;R2は水素原子又は(C1~C3)アルキル基を表し、特には、R2は水素原子又はメチル基を表し、並びにR3は、(C1~C4)アルキル基又は(C3~C6)シクロアルキル基を表し、特には、R3はメチル基を表す。
【0185】
GP3:好適な溶媒(C=0.3M)中、好適なアミン(x eq)、N-置換された (5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-アルキルスルファニル-イミダゾール-4-オン(a)(1eq)の攪拌された溶液が、密封チューブ(加熱ブロック)中で加熱された。完了後(TLC上でイソチオ尿素が消費された後)、混合物が室温に戻された。
【0186】
GP3-A:所望の生成物の直接析出:反応媒体が、0℃で、1時間攪拌された。析出した固体が、フリット付きガラス漏斗で濾過された。高い純度が、濾過後に、洗浄、再析出、粉砕、又は再結晶によって達成されうる。
【0187】
GP3-B:生成物が析出しなかった:反応混合物が、真空中で濃縮され、シリカ上に吸着され、そして、FCによって精製された。高い純度が、濾過後に、再析出、粉砕、又は再結晶によって達成されうる。
【0188】
GP3-C:生成物が析出しなかった:反応混合物が、真空中で濃縮された。結果として得られた粗物が、EtOH中、(室温で又は還流で)粉砕され、フリット付きガラス漏斗で濾過された。
【0189】
(a) アミンに依存して、AcOH又はTEA.HClによる活性化が必要な場合がある(詳細は下記を参照)。
【0190】
選択された実施例:
【0191】
実施例3.1:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-(シクロヘキシルアミノ)-3-メチル-イミダゾール-4-オン (2)の合成
【0192】
反応が、THF中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqのシクロヘキシルアミンを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、72時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~95/5)。単離収率:63%。
【0193】
実施例3.2:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-(シクロヘプチルアミノ)-3-メチル-イミダゾール-4-オン (3)の合成
【0194】
反応が、THF中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqのシクロヘプチルアミンを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、72時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~95/5)。単離収率:70%。
【0195】
実施例3.3:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-1-(ヒドロキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (5)の合成
【0196】
反応が、THF中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの(R)-ロイシノール及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~9/1)。最終生成物は、0℃で、DCM/ペンタンからの再析出を要した。単離収率:36%。
【0197】
実施例3.4:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (6)の合成
【0198】
反応が、THF中、中間体(2.1)の691μmolのスケールで、4eqの(2R)-1-メトキシ-4-メチル-ペンタン-2-アミン及び4eqのAcOHを用いて、135℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~96/4)。最終生成物は、0℃で、DCM/ペンタンからの再析出を要した。単離収率:49%。
【0199】
実施例3.5:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-1-(エトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (7)の合成
【0200】
反応が、THF中、中間体(2.1)の291μmolのスケールで、4eqの(2R)-1-エトキシ-4-メチル-ペンタン-2-アミン及び6eqのAcOHを用いて、135℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~96/4)。最終生成物は、0℃で、DCM/ペンタンからの再析出を要した。単離収率:52%。
【0201】
実施例3.6:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R,2R)-2-メトキシシクロペンチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (8)の合成
【0202】
反応が、THF中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの(1R,2R)-2-メトキシシクロペンタナミン及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~96/4)。最終生成物は、0℃で、DCM/ペンタンからの再析出を要した。単離収率:60%。
【0203】
実施例3.7:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1S,2S)-2-メトキシシクロペンチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (9)の合成
【0204】
反応が、THF中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの(1S,2S)-2-メトキシシクロペンタナミン及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~96/4)。最終生成物は、0℃で、DCM/ペンタンからの再析出を要した。単離収率:58%。
【0205】
実施例3.8:(5Z)-2-(3-ノルアダマンチルアミノ)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-イミダゾール-4-オン (10)の合成
【0206】
反応が、ジオキサン/EtOH(3/1)中、中間体(2.1)の587μmolのスケールで、4eqの3-ノルアダマントアミン及び6eqのAcOHを用いて、160℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~96/4)。最終生成物は、0℃で、DCM/EtOH/ペンタンからの再析出を要した。単離収率:59%。
【0207】
実施例3.9:(5Z)-2-(1-アダマンチルアミノ)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-イミダゾール-4-オン (11)の合成
【0208】
反応が、ジオキサン/EtOH(3/1)中、中間体(2.1)の691μmolのスケールで、4eqの1-アダマンチルアミン及び8eqのAcOHを用いて、175℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1)。最終生成物は、0℃で、DCM/ペンタンからの再析出を要した。単離収率:31%。
【0209】
実施例3.10:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (12)の合成
【0210】
反応が、ジオキサン/EtOH(3/1)中、中間体(2.1)の691μmolのスケールで、4eqの3-アミノアダマンタン-1-オール及び8eqのAcOHを用いて、165℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~94/6)。最終生成物は、還流Et2Oからの粉砕を要した。単離収率:42%。
【0211】
実施例3.11:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[(3-メトキシ-1-アダマンチル)アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (13)の合成
【0212】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの3-メトキシ-1-アダマンチルアミン及び9eqのAcOHを用いて、150℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、72時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~94/6)。単離収率:35%。
【0213】
実施例3.12:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[[2-(トリフルオロメチル)フェニル]メチルアミノ]イミダゾール-4-オン (14)の合成
【0214】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの[2-(トリフルオロメチル)フェニル]メタンアミン及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~94/6)。最終生成物は、粉砕を要した。単離収率:29%。
【0215】
実施例3.13:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1S,2S)-2-ヒドロキシインダン-1-イル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (15)の合成
【0216】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの(1S,2S)-1-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-オール及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~94/6)。最終生成物は、MTBE中、粉砕を要した。単離収率:16%。
【0217】
実施例3.14:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (16)の合成
【0218】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの(2R)-2-アミノ-2-フェニル-エタノール及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、30時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~94/6)。単離収率:53%。
【0219】
実施例3.15:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1S)-2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (17)の合成
【0220】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの(2S)-2-アミノ-2-フェニル-エタノール及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、30時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~94/6)。単離収率:43%。
【0221】
実施例3.16:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(1R)-2-メトキシ-1-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (18)の合成
【0222】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの(1R)-2-メトキシ-1-フェニル-エタンアミン及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、30時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~94/6)。最終生成物は、MTBE中、粉砕を要した。単離収率:50%。
【0223】
実施例3.17:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニル-エチル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (19)の合成
【0224】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの(1R)-2-アミノ-1-フェニル-エタノール及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、30時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~94/6)。単離収率:69%。
【0225】
実施例3.18:(5Z)-2-[[(1R)-2-アミノ-1-フェニル-エチル]アミノ]-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-イミダゾール-4-オン・ジヒドロクロリド (20)の合成
【0226】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の294μmolのスケールで、3eqのN-[(2R)-2-アミノ-2-フェニル-エチル]カルバミン酸tert-ブチル及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、6時間、GP3-Bに従って行われた。FC(溶出:DCM/MeOH:99/1~94/6)、次に、PTLCによる精製。単離されたカルバメートは、40℃で、ジオキサン中のHCl(4M)を用いた最終脱保護工程に付された。単離収率:39%(2工程)。
【0227】
実施例3.19:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[(4-メチルチアゾール-2-イル)メチルアミノ]イミダゾール-4-オン (21)の合成
【0228】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの(4-メチルチアゾール-2-イル)メタンアミン及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、6時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~96/4)。最終生成物は、粉砕を要した。単離収率:40%。
【0229】
実施例3.20:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-(テトラヒドロピラン-4-イルメチルアミノ)イミダゾール-4-オン (22)の合成
【0230】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqのテトラヒドロピラン-4-イルメタンアミン及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、6時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~96/4)。最終生成物は、粉砕を要した。単離収率:70%。
【0231】
実施例3.21:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)アニリノ]イミダゾール-4-オン (23)の合成
【0232】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、5eqの4-(4-メチルピペラジン-1-イル)アニリンを用いて、150℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、72時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~96/4)。最終生成物は、粉砕を要した。単離収率:33%。
【0233】
実施例3.22:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-(2-ピリジルアミノ)イミダゾール-4-オン (24)の合成
【0234】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、5eqの2-アミノピリジン及び15eqのAcOHを用いて、150℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、72時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~96/4)。最終生成物は、粉砕を要した。単離収率:75%。
【0235】
実施例3.23:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-2-[[(3S)-テトラヒドロピラン-3-イル]アミノ]イミダゾール-4-オン (25)の合成
【0236】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの(3S)-テトラヒドロピラン-3-アミン及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~96/4)。単離収率:43%。
【0237】
実施例3.24:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-[[(3R,4R)-4-ヒドロキシテトラヒドロピラン-3-イル]アミノ]-3-メチル-イミダゾール-4-オン (26)の合成
【0238】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.1)の259μmolのスケールで、3eqの(3R,4R)-3-アミノテトラヒドロピラン-4-オール及び9eqのAcOHを用いて、120℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99/1~96/4)。単離収率:36%。
【0239】
実施例3.25:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロブチル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン (29)の合成
【0240】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.4)の252μmolのスケールで、6eqの(2R)-1-メトキシ-4-メチル-ペンタン-2-アミン及び8eqのTEA.HClを用いて、140℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、48時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99.5/0.5~98/2)。最終生成物は、0℃で、MTBE/ペンタンからの再析出を要した。単離収率:28%。
【0241】
実施例3.26:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-シクロヘキシル-2-[[(1R)-1-(メトキシメチル)-3-メチル-ブチル]アミノ]イミダゾール-4-オン (31)の合成
【0242】
反応が、ジオキサン中、中間体(2.6)の252μmolのスケールで、6eqの(2R)-1-メトキシ-4-メチル-ペンタン-2-アミン及び8eqのTEA.HClを用いて、140℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、20時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99.5/0.5~98/2)。最終生成物は、0℃で、MTBE/ペンタンからの再析出を要した。単離収率:37%。
【0243】
実施例4:生物学的活性
【0244】
材料及び方法
【0245】
プロテインキナーゼアッセイ
【0246】
1.概要
アッセイが、ProQinase GmbH(Engesserstr.4,D-79108 Freiburg,Germany.www.proqinase.com)によって行われた。12種類のプロテインキナーゼ(CDK2/サイクリンE、CK1ε、CLK1、2、3、4、DYRK1A、1B、2、3、4、GSK3β)を用いて、全化合物のIC50プロファイルが決定された。IC50値は、各化合物の10種類の濃度(10μM~30nM)を一度に試験することによって測定された。
【0247】
2.試験化合物
化合物は100%DMSO中の1μMストック溶液として提供された。試験に先立ち、該1μMストック溶液が、溶媒として100%DMSOを用いて、連続的な半対数希釈に付された。このことにより、10種類の個々の濃度を結果として生じ、希釈の終点は3x10nM/100%DMSOであり、100%DMSOが対照であった。該プロセスにおいて、90μlのH2Oが、各化合物希釈プレートの各ウェルに添加された。析出の可能性を最小限にする為に、化合物溶液をアッセイプレートへと移す数分前に各プレートにH2Oが加えられた。該プレートが十分に振盪され、結果として、化合物希釈プレート/10%のDMSOが得られた。
【0248】
アッセイ(下記を参照)の為に、化合物希釈プレート/10%のDMSOの各ウェルから5μLの溶液がアッセイプレートへと移された。アッセイの最終容量は50μLであった。全ての化合物は、10μM~30nMの範囲の10種類の最終アッセイ濃度で試験された。反応カクテル中の最終DMSO濃度はいずれの場合も1%であった。
【0249】
3.組み換えプロテインキナーゼ(Recombinant Protein Kinases)
ProQinaseによって提供された全てのプロテインキナーゼは、組み換えGST融合タンパク質又はHisタグ付きタンパク質として、全長又は酵素的に活性なフラグメントのいずれかとして、Sf9昆虫細胞において又は大腸菌(E.coli)において発現された。全てのキナーゼはヒトcDNAから産生され、GSHアフィニティークロマトグラフィー又は固定化された金属のいずれかによって精製された。精製の間に多くのキナーゼからアフィニティタグが除去された。プロテインキナーゼの純度はSDS-PAGE/クマシー(Coomassie)染色によって調べられ、同一性は質量分析によってチェックされた。
【0250】
4.プロテインキナーゼアッセイ
放射性プロテインキナーゼアッセイ(33PanQinase登録商標Activity Assay)が、12種類のプロテインキナーゼのキナーゼ活性を測定する為に用いられた。全てのキナーゼアッセイは、PerkinElmer(Boston,MA,USA)からの96ウェルFlashPlates商標において、50μLの反応容量で行われた。反応カクテルが、下記の順序において4工程でピペッティングされた:
・25μLのアッセイバッファー(標準バッファー/[γ-33P]-ATP)、
・10μLのATP溶液(H2O中)、
・5μLの試験化合物(10%のDMSO中)、
・10μLの酵素/基質混合液。
【0251】
全てのプロテインキナーゼの為のアッセイには、70mMのHEPES-NaOH(pH7.5)、3mMのMgCl2、3mMのMnCl2、3μMのオルトバナジウム酸ナトリウム(Na-orthovanadate)、1.2mMのDTT、50μg/mlのPEG20000、ATP(濃度可変、夫々のキナーゼの見かけのATP-Kmに対応)、[γ-33P]-ATP(1ウェル当たりおよそ6.5x10-05cpm)、プロテインキナーゼ(量可変)、基質(量可変)が含まれていた。該反応カクテルは、30℃で60分間インキュベーションされた。該反応が、50μLの2%(v/v)のH3PO4で停止され、プレートが吸引され、そして、200μLの0.9%(w/v)NaClで2回洗われた。33Piの取り込みがマイクロプレートシンチレーションカウンター(Microbeta,Wallac)で決定された。全ての化合物のIC50値は、用量反応曲線から算出された。
【0252】
5.品質管理
アッセイ品質のパラメーターとして、各アッセイプレート(n=8)の低コントロール及び高コントロールのZ´-ファクター(Zhang et al.,J.Biomol.Screen.2:67-73,1999)が使用された。アッセイプレートの反復の為のProQinaseの基準は、Z´-ファクターが0.4未満である(Iversen et al.,J.Biomol.Screen.3:247-252,2006)。
【0253】
それらの活性は、2つの基準、すなわち、キナーゼ阻害効力(kinase inhibition potency)及びキナーゼ選択性(kinase selectivity)、に従って分類されている。
【0254】
キナーゼ阻害効力の分類は、下記のIC50値の範囲に従って行われた。
【0255】
幾つかの化合物は、0.050μM超のIC50活性を有する。これらの化合物は、上記で報告されたクラスEに対応する。幾つかの化合物は、0.025~0.050μMのIC50活性を有する。これらの化合物は上記で報告されたクラスDに対応する。本発明の幾つかの化合物は、0.010~0.025μMのIC50活性を有する。これらの化合物は、上記で報告されたクラスCに対応する。更に、幾つかの特定の化合物は、0.005~0.010μMのIC50活性を有する。これらの化合物は上記で報告されたクラスBに対応する。更に好ましいのは、0.005μM未満のIC50活性を有する本発明の化合物である。これらの化合物は、上記で報告されたクラスAに対応する。この分類はCLK1及びDYRK1Aに適用された。下記の表4、表4A及び表4Bにおいて、本発明の化合物の活性/有効性を引用する為に、上記の文字A~Eが使用された。
【0256】
キナーゼ選択性の分類は、DYRK1AのIC50値の、CLK1のIC50値との又はDYRK1BのIC50値との比較に基づく。該分類は、下記の値の範囲に従って行われた:I:DYRK1AのIC50値に対するCLK1又はDYRK1BのIC50値の比≧10倍(ほとんどDYRK1A選択的化合物);II:2倍~10倍の比;III:0.5倍~2倍の比;IV:0.1倍~0.5倍の比;V:比>0.1倍(ほとんどのCLK1-又はDYRK1B-選択的化合物)。下記の表において、本発明の化合物の相対的な選択性を引用する為に、上記の番号I~Vが用いられた。
【0257】
【0258】
【0259】
最も強力なCLK1阻害剤は、IC50が25nM以下であり、化合物(3)、(4)、(5)、(6)、(8)、(9)、(13)、(12)、(15)及び(16)である。
【0260】
最も強力なCLK2阻害剤は、IC50が10nM以下であり、化合物(4)、(10)、(11)、(12)、(13)及び(15)である。
【0261】
最も強力なCLK3阻害剤は、IC50が500nM以下であり、化合物(6)、(8)、(9)、(12)及び(25)である。
【0262】
最も強力なCLK4阻害剤は、IC50が10nM以下であり、化合物(5)、(8)、(9)、(10)、(12)、(13)、(15)、(16)、(18)、(19)及び(23)である。
【0263】
【0264】
最も強力なDYRK1A阻害剤は、IC50が25nMであり、化合物(4)、(5)、(6)、(7)、(10)、(11)、(12)、(13)、(15)及び(23)である。
【0265】
最も強力なDYRK1B阻害剤は、IC50が10nMであり、化合物(6)、(10)、(11)、(12)、(13)及び(15)である。
【0266】
最も強力なDYRK2阻害剤は、IC50が100nMであり、化合物(3)、(4)、(6)、(8)、(10)、(11)、(12)、(13)、(23)である。
【0267】
最も強力なDYRK3阻害剤は、IC50が100nMであり、化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(23)である。
【0268】
最も強力なDYRK4阻害剤は、IC50が100nMであり、化合物(8)、(10)、(11)及び(12)である。
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
実施例5:国際公開第WO2021/114314号パンフレットにおいて開示されている、化合物(C1)及び(C2)の生物学的活性比較
【0274】
(C1)は、国際公開第WO2021/114314号パンフレットの実施例45の化合物に対応し、及び国際公開第WO2021/114314号パンフレットの実施例88の化合物に対応する。
【0275】
本発明の範囲から外れた上記化合物化合物(C1)及び(C2)の合成は、本明細書の以下において再現され且つ記載されている。
【0276】
実施例5.1:化合物(C1)及び(C2)の分光学的及び分析的特性評価
【0277】
【0278】
実施例5.2:(5Z)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-2-(イソプロピルアミノ)-3-メチル-イミダゾール-4-オン (C1)の合成
【0279】
反応が、アニソール中、中間体(2.1)の460μmolのスケールで、5eqのイソプロピルアミン及び2eqのTEA.HClを用いて、140℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Bに従って行われた。FCによる精製(溶出:DCM/MeOH:99.5/0.5~98.5/1.5)。最終生成物は、0℃で、DCM/ペンタンからの再析出を要した。単離収率:42%。
【0280】
実施例5.3:(5Z)-2-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルアミノ)-5-(1,3-ベンゾチアゾール-6-イルメチレン)-3-メチル-イミダゾール-4-オン (C2)の合成
【0281】
反応が、アニソール中、中間体(2.1)の460μmolのスケールで、3eqの1,3-ベンゾチアゾール-6-アミン及び2eqのTEA.HClを用いて、150℃(密封チューブ,加熱ブロック)で、24時間、GP3-Aに従って行われた。最終生成物は、還流MeOH中、2回の連続的な粉砕を要した。単離収率:87%。
【0282】
実施例5.4:化合物(C1)及び(C2)に対する、本発明の化合物の生物学的活性比較
【0283】
本発明の化合物の生物学的活性が、先行技術上記化合物(C1)及び(C2)の生物学的活性と比較された。
【0284】
【0285】
R1は本発明において(C4~C6)アルキル基であり、ヒドロキシ基及び(C1~C3)アルコキシ基から選択される基によって必然的に置換されている。
【0286】
【0287】
本発明において-NHに直接結合したR1は、(C4~C7)ヘテロシクロアルキル基によって必然的に置換されており、ここで、該(C4~C7)ヘテロシクロアルキル基はそれ自体、(C1~C4)アルキル基によって置換されていてもよい(化合物(23)は、それらの代表的な化合物である)。R1が二環式基であることの他の意味は、(iv) (C5~C6)シクロアルキルと縮合されたフェニル基から選択される縮合フェニル基、ここで、(C5~C6)シクロアルキルはヒドロキシ基によって置換されていてもよい(化合物(15)は、それらの代表的な化合物である)。最後に、R1が(vi) R’-L-基である場合、二環式基は特許請求の範囲に包含されない。
【0288】
特許請求の範囲に記載されている化合物は、国際公開第WO2021/114314号パンフレットにおいて見出されている最も近い化合物とは化学的に明らかに異なり、更に本発明の化合物の生物学的活性は、上記の比較化合物のものの生物学的活性よりも明らかに優れている。
【0289】
結果
【0290】
本発明のほとんどの化合物は、CLK又はDYRKに対するIC50活性が2μM未満を示した。全ての化合物が、DYRK1A及びCLK1の阻害剤であった(表4)。
【0291】
化合物は好ましくは、CLK1(表4A)、CLK4、DYRK1A(表4B)、及びDYRK1Bに対して阻害性であった。
【0292】
DYRK1A対CLK1(表4C)、DYRK1A対DYRK1B(表4E)、DYRK1B対DYRK1A(表4F)、又はCLK1対DYRK1A(表4D)に対して最も選択的なものがある。幾つかの化合物は、CLK1又はDYRK1Bと比較して、DYRK1Aに対してより良い選択性を示す。これらの化合物は、上記で報告されたクラスI(>10倍の選択性)又はクラスII(2~10倍の選択性)に対応する。幾つかの化合物は等価である。これらの化合物は、上記で報告されたクラスIII(0.5~2倍の選択性)に対応する。幾つかの化合物は、DYRK1Aと比較してCLK1又はDYRK1Bに対してより優れた選択性を示す。これらの化合物は、上記で報告されたクラスIV(2~10倍の選択性)又はクラスV(>10倍の選択性)に対応する。
【0293】
結論
【0294】
これまでの結果に基づいて、式(I)の化合物は、ダウン症候群神経炎症、アルツハイマー病に関連付けられた認知障害及び神経炎症、アルツハイマー病及び関連疾病、認知症及び/又はタウオパチー;他の神経変性疾患(パーキンソン病;ニーマンピック病C型を包含するピック病);CDKL5欠損症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;腱障害及び変形性関節症、特には変形性膝関節症,;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;幾つかのがん、例えば、膠芽腫を包含する脳腫瘍、巨核芽球性白血病及び急性リンパ性白血病を包含する白血病、頭頚部扁平上皮癌、膵菅腺癌を包含する膵癌、前立腺癌、胃腸癌及びトリプルネガティブ乳癌を包含する乳癌(TNBC)、マラリア、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))、並びに単細胞病原体によるウシ疾患、ウイルス感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、インフルエンザA型、ヘルペスウイルス、アカゲサルサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス及び単純ヘルペスウイルス(HSV)によって生じるウイルス感染症、の予防及び/又は処置における、並びに体温の調節における好適な化学化合物であることが結論付けされることができる。
【0295】
式(I)の幾つかの化合物は、フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;更なるウイルス感染症、例えば、C型肝炎ウイルス、チクングニアウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルス及び重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe acute respiratory syndrome)コロナウイルス、サイトメガロウイルス及びヒトパピローマウイルスによって生じるウイルス感染症;更なるがん、例えば、脂肪肉腫を包含する組織癌、ヘッジホッグ/GLI‐依存性癌、肝細胞癌を包含する肝癌、神経炎症、貧血症、単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))、並びに単細胞病原体によるウシ疾患を処置及び/又は予防する為に更に好適であることが更に結論付けられうる。
【0296】
ロイセタミン(Leucettamines)は、参照化合物と比較してはるかに増加した有効性(サブマイクロモラー及び一桁のマイクロモラーのIC50値まで)を示す。ロイセチニブはまた、DYRK1A又はCLK1/CLK4に対して幅広い選択性を示す。また、幾つかの製品はCLK及びDYRKに対して等価性を示し、並びに二重特異性阻害剤としての応用がまた期待される。
【0297】
本発明は更に、上記で定義された少なくとも1つの式(I)の化合物若しくはその医薬的に許容される塩のいずれか、又は上記で定義された化合物(2)~(31)のうちの少なくともいずれか若しくはそれらの医薬的に許容される塩のいずれかを含む医薬組成物に関する。
【0298】
本発明は更に、上記で定義された少なくとも1つの式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩のいずれか、又は上記で定義された化合物(2)~(31)のうちの少なくともいずれか若しくはそれらの医薬的に許容される塩のいずれか、並びにまた、少なくとも1つの医薬的に許容される添加剤を含む医薬組成物に関する。
【0299】
本発明の医薬組成物は、本明細書に記載されている任意の形態で、本発明の1以上の化合物を含むことができる。
【0300】
本発明のなお更なる目的は、ダウン症候群(トリソミー21)に関連付けられた認知障害及び神経炎症、アルツハイマー病及び関連疾病、認知症及び/又はタウオパチー並びに他の神経変性疾患、例えばパーキンソン病及びピック病、特にはニーマンピック病C型;CDKL5欠損症;フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;腱障害及び変形性関節症、特には変形性膝関節症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;がん、例えば、膠芽腫を包含する脳腫瘍、巨核芽球性白血病を包含する白血病、頭頚部扁平上皮癌、膵菅腺癌を包含する膵癌、前立腺癌、胃腸癌、トリプルネガティブ乳癌を包含する乳癌(TNBC)、脂肪肉腫を包含する組織癌、ヘッジホッグ/GLI‐依存性癌、肝細胞癌を包含する肝癌、並びにウイルス感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、インフルエンザA型、ヘルペスウイルス、アカゲサルサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、C型肝炎ウイルス、チクングニアウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルス及び重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe acute respiratory syndrome)コロナウイルス、サイトメガロウイルス及びヒトパピローマウイルスによって生じる感染症;神経炎症;貧血症;単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))、並びに単細胞病原体によるウシ疾患から選択される疾病の処置及び/又は予防において使用する為の、並びに体温調節の為の、上記で定義されている式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つ、又は上記で定義された化合物(2)~(31)若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つからなる。
【0301】
本発明のなお更なる目的は、ダウン症候群(トリソミー21)に関連付けられた認知障害及び神経炎症、アルツハイマー病及び関連疾病、認知症及び/又はタウオパチー並びに他の神経変性疾患、例えば、パーキンソン病;ニーマンピック病C型を包含するピック病;CDKL5欠損症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;腱障害及び変形性関節症、特には変形性膝関節症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;がん、例えば、膠芽腫を包含する脳腫瘍、巨核芽球性白血病を包含する白血病、頭頚部扁平上皮癌、膵菅腺癌を包含する膵癌、前立腺癌、胃腸癌及びトリプルネガティブ乳癌を包含する乳癌(TNBC)、単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))、並びに単細胞病原体によるウシ疾患、並びにウイルス感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、インフルエンザA型、ヘルペスウイルス、アカゲサルサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス及び単純ヘルペスウイルス(HSV)によって生じる感染症から選択される疾病の処置及び/又は予防において使用する為の、並びに体温調節の為の、上記で定義されている式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つ、又は上記で定義された化合物(2)~(31)若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つからなる。
【0302】
本発明のなお更なる目的は、1型糖尿病及び2型糖尿病;ウイルス感染症、特には上記されたウイルス感染症;腱障害及び変形性関節症;がん、特には上記されたがん;単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.));単細胞病原体によるウシ疾患から選択される疾病の処置及び/又は予防において使用する為の、並びに体温を調節する為の、上記で定義されている式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つ、又は上記で定義された化合物(2)~(31)若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つからなる。
【0303】
本発明のなお更なる目的は、ダウン症候群、アルツハイマー病、認知症、タウオパチー、パーキンソン病、ニーマンピック病C型、CDKL5欠損症及びフェラン-マックダーミド症候群、並びにそれらの関連付けられた認知状態及び運動状態、並びに1型糖尿病及び2型糖尿病から選択される疾病の処置及び/又は予防において使用する為の、上記で定義されている式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つ、又は上記で定義された化合物(2)~(31)若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つからなる。
【0304】
本発明のなお更なる目的は、ダウン症候群(トリソミー21)に関連付けられた認知障害及び神経炎症;アルツハイマー病及び関連疾病;認知症;タウオパチー;並びに、他の神経変性疾患、例えばパーキンソン病及びピック病、特にはニーマンピック病C型;CDKL5欠損症;フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;腱障害及び変形性関節症、特には変形性膝関節症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;がん、例えば、膠芽腫を包含する脳腫瘍、白血病、例えば巨核芽球性白血病、頭頚部扁平上皮癌、膵菅腺癌を包含する膵癌、前立腺癌、胃腸癌、トリプルネガティブ乳癌を包含する乳癌(TNBC)、脂肪肉腫を包含する組織癌、ヘッジホッグ/GLI‐依存性癌、肝細胞癌を包含する肝癌、並びにウイルス感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、インフルエンザA型、ヘルペスウイルス、アカゲサルサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、C型肝炎ウイルス、チクングニアウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルス及び重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe acute respiratory syndrome)コロナウイルス、サイトメガロウイルス及びヒトパピローマウイルスによって生じる感染症;神経炎症;貧血症;単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))、単細胞病原体によるウシ疾患から選択される疾病の処置及び/又は予防の為の並びに体温調節の為の薬剤を調製する為の本発明に従う、上記で定義されている式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つ、又は上記で定義された化合物(2)~(31)若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つを使用する方法からなる。
【0305】
本発明のなお更なる目的は、ダウン症候群(トリソミー21)に関連付けられた認知障害及び神経炎症、アルツハイマー病及び関連疾病、認知症及び/又はタウオパチー;他の神経変性疾患、例えばパーキンソン病及びピック病、特にはニーマンピック病C型;CDKL5欠損症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;腱障害及び変形性関節症、特には変形性膝関節症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;がん、例えば、膠芽腫を包含する脳腫瘍、巨核芽球性白血病を包含する白血病、頭頚部扁平上皮癌、膵菅腺癌を包含する膵癌、前立腺癌、胃腸癌及びトリプルネガティブ乳癌を包含する乳癌(TNBC)、単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))、単細胞病原体によるウシ疾患、並びにウイルス感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、インフルエンザA型、ヘルペスウイルス、アカゲサルサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス及び単純ヘルペスウイルス(HSV)によって生じる感染症から選択される疾病の処置及び/又は予防の為の並びに体温調節の為の薬剤を調製する為の、本発明に従う、上記で定義されている式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つ、又は上記で定義された化合物(2)~(31)若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つを使用する方法からなる。
【0306】
本発明のなお更なる目的は、1型糖尿病及び2型糖尿病、ウイルス感染症、特には、上記されたウイルス感染症、変形性関節症及び腱障害、がん及び白血病、特には上記されたがん及び白血病、単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))、単細胞病原体によるウシ疾患から選択される疾病と闘う為の並びに体温調節の為の、本発明に従う、上記で定義されている式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つ、又は上記で定義された化合物(2)~(31)若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つを使用する方法からなる。
【0307】
本発明の他の目的は、ダウン症候群(トリソミー21)に関連付けられた認知障害及び神経炎症;アルツハイマー病及び関連疾病;認知症;タウオパチー;並びに、他の神経変性疾患、例えば、パーキンソン病;ピック病、特にはニーマンピック病C型;CDKL5欠損症;フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;腱障害及び変形性関節症、特には変形性膝関節症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;がん、例えば、膠芽腫を包含する脳腫瘍、巨核芽球性白血病を包含する白血病、頭頚部扁平上皮癌、膵菅腺癌を包含する膵癌、前立腺癌、胃腸癌及びトリプルネガティブ乳癌を包含する乳癌(TNBC)、単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))、並びに単細胞病原体によるウシ疾患、並びにウイルス感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、インフルエンザA型、ヘルペスウイルス、アカゲサルサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス及び単純ヘルペスウイルス(HSV)によって生じる感染症、から選択される疾病の処置の為の及び/又は予防の為の治療方法、並びに体温調節の為の治療方法に関する。
【0308】
本発明のなお更なる他の目的は、1型糖尿病及び2型糖尿病、ウイルス感染症、特には上記されたウイルス感染症、腱障害及び変形性関節症、がん、特には上記されたがん、単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))、単細胞病原体によるウシ疾患から選択される疾病と闘う為の並びに体温調節の為の薬剤を調製する為の本発明に従う、上記で定義されている式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つ、又は上記で定義された化合物(2)~(31)若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つを使用する方法からなる。
【0309】
特定の実施態様に従うと、該処置は、継続的又は非継続的である。
【0310】
「継続的な処置」は、様々な投与頻度、例えば、毎日1~2回、3日に1回、1週間に1回、2週間に1回、1ヵ月に1回、で実施されることができる長期的処置、又は経皮パッチによる処置を意味する。
【0311】
1つの実施態様に従うと、該式(I)の化合物、又はそれらの医薬的に許容される塩のいずれか1つは、0.1~1000mg、特には0.5~500mg、例えば5~100mg、の用量で投与される。
【0312】
本発明の他の目的は、下記に述べる疾病の処置及び/又は予防又は体温の調節を必要とする患者において、ダウン症候群(トリソミー21)に関連付けられた認知障害及び神経炎症、アルツハイマー病及び関連疾病、認知症及び/又はタウオパチー並びに他の神経変性疾患、例えばパーキンソン病及びピック病、特にはニーマンピック病C型;CDKL5欠損症;フェラン-マックダーミド症候群;自閉症;1型糖尿病及び2型糖尿病;葉酸及びメチオニン代謝異常;腱障害及び変形性関節症、特には変形性膝関節症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;がん、例えば、膠芽腫を包含する脳腫瘍、巨核芽球性白血病を包含する白血病、頭頚部扁平上皮癌、膵菅腺癌を包含する膵癌、前立腺癌、胃腸癌、トリプルネガティブ乳癌を包含する乳癌(TNBC)、脂肪肉腫を包含する組織癌、ヘッジホッグ/GLI‐依存性癌、肝細胞癌を包含する肝癌、並びにウイルス感染症、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、インフルエンザA型、ヘルペスウイルス、アカゲサルサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、C型肝炎ウイルス、チクングニアウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルス及び重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe acute respiratory syndrome)コロナウイルス、サイトメガロウイルス及びヒトパピローマウイルスによって生じる感染症;神経炎症;貧血症;単細胞寄生虫、例えばマラリア、によって生じる感染症、リーシュマニア症、シャーガス病及び睡眠病(トリパノソーマ種(Trypanosoma sp.))、単細胞病原体によるウシ疾患から選択される上記疾病の処置及び/又は予防の為の、並びに体温の調節の為の治療方法であって、式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つ、又は上記で定義された化合物(2)~(31)若しくはそれらの医薬的に許容される塩の1つの有効量を投与する工程を少なくとも含む上記の治療方法に関する。
【0313】
特定の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物が本明細書の上記の疾病のいずれかにおいて有用な共剤と組み合わせて投与されることを含む、本発明に従う式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩若しくはそれらの医薬的に活性な誘導体の使用方法、又は本発明に従う方法を提供する。
【0314】
特定の実施態様において、本発明は、式(I)の化合物が本明細書の上記の疾病のいずれかにおいて有用な共剤と組み合わせて投与されることを含む、本発明に従う式(I)の化合物若しくはそれらの医薬的に許容される塩若しくはそれらの医薬的に活性な誘導体の使用方法、又は本発明に従う方法を提供する。
【0315】
該化合物は、任意の投与様式、例えば、筋肉内、静脈内、鼻腔内又は経口経路、経皮パッチ等、で投与されることができる。
【0316】
本発明の組成物は、1以上の添加剤、例えば、希釈剤、賦形剤、安定剤及び保存剤、を更に含むことができる。そのような添加剤は当業者に周知であり、とりわけ、“Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th Ed.” (various editors,1989-1998,Marcel Dekker) and in “Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems” (ANSEL et al,1994,WILLIAMS & WILKINS)に記載されている。
【0317】
前述された添加剤は、剤形及び所望の投与様式に従って選択される。
【0318】
本発明の組成物は、任意の様式、例えば、経口投与、非経口投与、舌下投与、経皮投与、経膣投与、直腸投与、経粘膜投与、局所投与、吸入を介した鼻腔内投与、頬投与又は経鼻投与を介した鼻腔内投与、又はそれらの組み合わせを包含しうるが、これらに限定されない。非経口投与は、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、髄腔内投与、及び関節内投与を包含するが、これらに限定されない。本発明の組成物はまた、インプラントの形態で投与されてもよく、この場合、組成物の徐放が可能になるとともに、ゆっくりと制御された静脈内(i.v.)注入が可能になる。
【0319】
例えば、式(I)の化合物は、好適な添加剤と関連して、経腸投与又は非経口投与の為に適した任意の医薬的形態、例えば、プレーン錠剤若しくはコーティング錠剤、硬質ゼラチン、ソフトシェルカプセル及び他のカプセル剤、坐剤、又は飲用剤、例えば、懸濁剤、シロップ剤、注射液若しくは懸濁剤、の形態で存在することができる。
【0320】
特定の実施態様において、本発明に従う式(I)の化合物は経口投与される。
【0321】
経口投与経路が、本発明の予防又は処置の観点において特には好ましい。
【国際調査報告】