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特表2024-540222気体流体を濾過するための円形フィルタ要素
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】気体流体を濾過するための円形フィルタ要素
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/52 20060101AFI20241024BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20241024BHJP
   H01M 8/0662 20160101ALI20241024BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241024BHJP
【FI】
B01D46/52 A
B01D46/52 C
B01D46/52 B
B01D53/04 110
H01M8/0662
H01M8/04 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525857
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2022077906
(87)【国際公開番号】W WO2023078636
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】102021128689.1
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505229863
【氏名又は名称】マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘットカンプ、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】フライジンガー、ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】リーガー、マリオ
【テーマコード(参考)】
4D012
4D058
5H127
【Fターム(参考)】
4D012BA03
4D012CA15
4D012CA16
4D012CA20
4D012CB03
4D012CB06
4D012CG01
4D012CG03
4D058JA10
4D058JB25
4D058JB39
4D058KA01
4D058KC33
4D058KC63
4D058LA01
4D058SA20
4D058TA03
5H127BB07
5H127EE11
(57)【要約】
本発明は、それぞれ中空体として構成され、フローチャンバを取り囲む、粒子濾材本体及び有害ガス濾材本体を備える、気体流体を濾過するための円形フィルタ要素に関する。各濾材本体は、その両端面にそれぞれ端部ディスクを有する。別個に形成された接続要素が端部ディスクに接続され、隣接する濾材本体の端部ディスクの周囲に係合する。

【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体流体を濾過するための円形フィルタ要素であって、
気体流体の粒子濾過用の中空体として構成された粒子濾材本体(3)と、前記粒子濾材本体(3)と同心円状に配置された、有害ガス(例えば、二酸化硫黄、窒素酸化物、アンモニア)濾過用の中空体として構成された別個の有害ガス濾材本体(4)と、を備え、
前記2つの濾材本体(3、4)は、内側に配置されたフローチャンバ(11)を取り囲んでおり、各濾材本体(3、4)は、その両端面にそれぞれの端部ディスク(12、13、14、15)を有し、
別個に構成された流体密な接続要素(16)が、濾材本体(3)の一方の端部ディスク(13)に接続され、隣接する濾材本体(4)の端部ディスク(15)と係合し、前記隣接する濾材本体(4)の端部ディスク(15)との流体密な接続を形成する円形フィルタ要素。
【請求項2】
前記接続要素(16)の部分(16a)が、前記2つの濾材本体(3、4)の間の中間空間に突出し、前記隣接する濾材本体(4)の端部ディスク(15)の側面に接する請求項1に記載の円形フィルタ要素。
【請求項3】
前記接続要素(16)の部分(16b)が、保持している前記濾材本体(3)と反対側を向く側において前記隣接する濾材本体(4)の端部ディスク(15)に接する請求項1又は2に記載の円形フィルタ要素。
【請求項4】
前記接続要素(16)の部分(16b)は、ハウジング部(6)に支持されるシール要素(19)の担持体である請求項1~3のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素。
【請求項5】
前記接続要素(16)は、濾材本体(4)の壁面に配置された支持グリッド(18)に接続される請求項1~4のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素。
【請求項6】
少なくとも1つの濾材本体(3、4)、好ましくは両方の濾材本体(3、4)は、フィルタベローズとして構成される 請求項1~5のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素。
【請求項7】
濾材本体(3、4)の壁面に媒体層、特に不織布層が配置される請求項1~6のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素。
【請求項8】
前記媒体層は、前記2つの濾材本体(3、4)の間に配置される請求項7に記載の円形フィルタ要素。
【請求項9】
前記媒体層は、濾材本体(4)の外側に配置される請求項7又は8に記載の円形フィルタ要素。
【請求項10】
前記濾材本体(3、4)の少なくとも一方は、軸方向において互いに接合された少なくとも2つの部分体から構成される請求項1~9のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素(2)と、
前記円形フィルタ要素(2)を収容するためのフィルタハウジング(5)と、を備えるフィルタ装置。
【請求項12】
燃料電池内又は燃料電池で使用される請求項11に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による、粒子濾過用の中空体として構成された粒子濾材本体と、有害ガス濾過用の中空体として構成された別個の有害ガス濾材本体とを備えた、気体流体を濾過するための円形フィルタ要素に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102018215603号明細書には、それぞれが中空円筒として構成され、互いに同心円状に配置された第1の未処理空気側フィルタモジュールと下流に位置する第2のフィルタモジュールとを備えるモジュール式フィルタ要素が記載されている。モジュール式フィルタ要素は、燃料電池用途の空気濾過用の燃料電池エアフィルタとして使用することができる。第1の未処理空気側フィルタモジュールでは粒子の分離が行われ、第2のフィルタモジュールでは有害ガスが吸着媒体によって分離される。各フィルタモジュールは、その両端面に流体密な端部ディスクが設けられている。2つのフィルタモジュールを備えるモジュール式フィルタ要素は、ハウジングカバーで閉じることができるハウジングポット内に収容される。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、長時間の運転にわたって高い濾過性能が確保されるように、流れ方向に連続的に配置された2つの濾材本体を備える、気体流体を濾過するための円形フィルタ要素を設計することを目的とする。
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する本発明により解決される。従属請求項は、有利な更なる実施形態を提供する。
【0005】
本発明による円形フィルタ要素は、気体流体の濾過、例えば空気の濾過に使用され、例えば燃料電池に使用することができる。円形フィルタ要素は、気体流体から粒子を分離する、中空体として構成された粒子濾材本体を備える。円形フィルタ要素は、同じく中空体として構成され、粒子濾材本体と同心円状に配置された、有害ガス濾過用の有害ガス濾材本体をさらに備える。2つの濾材本体は、内側に配置された共通のフローチャンバを取り囲む。各濾材本体には、対向配置された両端面に、それぞれの濾材本体を端面で流体密に覆う端部ディスクが設けられている。
【0006】
円形フィルタ要素を通る流れは、径方向内側から外側に実現されるか、又は逆に、径方向外側から内側に実現される。「径方向(radial)」という用語は、円形フィルタ要素の長手方向軸に関する。径方向内側から外側への流れの場合、浄化されていない未処理流体はまず、内側に配置されたフローチャンバに導入され、そこから濾材本体を通る内側から外側への径方向流れが生じる。径方向外側から内側への流れの場合、浄化された流体が内側に配置されたフローチャンバに集められ、そこから軸方向に排出される。
【0007】
濾材本体は、例えば、中空の円筒形状又は円錐形状を有する。濾材本体は、その軸方向長さにわたって(円形フィルタ要素の長手方向軸に対して)一定の断面積、又は変化する断面積、例えば徐々に増加する断面積を有することができる。長手方向軸に垂直な平面において、濾材本体は、円形、楕円形、又は細長い断面形状、例えば、半円形の短辺と平坦な長辺とを有するスタジアム形状を有することができる。長辺は、必要に応じて、凸状又は凹状に構成することもできる。
【0008】
各濾材本体はそれ自身の端部ディスクを有しており、2つの濾材本体の端部ディスクは一体構造ではない。濾材本体間の空気漏れの流れを回避するために、別個に構成された流体密な接続要素が、一方の端部ディスクに接続され、隣接する濾材本体の端部ディスクと係合して、該隣接する濾材本体の端部ディスクとの流体密な接続を形成する。また、2つの濾材本体の相対位置は、接続要素によって固定される。
【0009】
接続要素はハウジングの構成要素ではなく、円形フィルタ要素の構成要素であり、2つの濾材本体とともに構造ユニットを形成する。接続要素を含む円形フィルタ要素はフィルタハウジングに挿入することができ、フィルタハウジングと円形フィルタ要素はフィルタ装置を形成する。
【0010】
接続要素は、例えばプラスチック部品として設計される。端部ディスクの領域で接続要素が濾材本体間の空隙を埋めることにより、濾材本体間に位置する環状空間が流体密に閉じられ、未処理側と清浄側との間の空気漏れの流れが防止される。
【0011】
接続要素は特に環状に構成される。接続要素は、濾材本体の端部ディスクとは別個に構成されるが、1つの端部ディスクに固定的に接続される。これは、例えば、端部ディスクが、好ましくは軟弾性材料の鋳造部品として形成され、濾材本体の端面に鋳造されるとともに、接続要素の一部が端部ディスク材料内に突出し、硬化時に、端部ディスクと接続要素との間に固定接続が生じることで実現される。端部ディスク材料としては、例えばポリウレタンやプラスチック材料が考えられる。
【0012】
有利な実施形態によれば、接続要素の部分が、2つの濾材本体間の中間空間に突出し、隣接する濾材本体の端部ディスクの側面に接する。一方では、接続要素のこの部分は、2つの濾材本体の間の一定の径方向相対間隔を保証する。他方、この部分は、例えば端部ディスクを接続要素の部分に直接接触させることで、隣接する濾材本体の端部ディスクに対する密封接続を可能にする。これにより、2つの濾材本体の間の中間空間から空気が軸方向に漏れることなく、流体が第2の濾材本体を通って径方向に流れるようになる。
【0013】
更なる有利な実施形態によれば、接続要素の部分が、隣接する濾材本体の端部ディスクにおける保持濾材本体と反対側を向く側面に接する。隣接する濾材本体の端部ディスクが接続要素の部分と接触することで、接続要素のこの部分に更なるシール位置が生じる。隣接する濾材本体の端部ディスクと接続要素の係合部との間には、軸方向に更なる接触部が存在し得る。このように、接続要素と、接続要素を保持していない隣接する濾材本体の端部ディスクとの間に、全体として最大3つのシール位置を設けることができる。すなわち、第一に、2つの濾材本体の間に突出する接続要素の部分と端部ディスクにより径方向シールが設けられ、第二に、接続要素の外側部分と端部ディスクにより同様に径方向のシールが設けられ、最後に、端部ディスクと接続要素の係合部により軸方向のシールが設けられる。これにより、公差補正と信頼性の高いシール作用が可能になる。
【0014】
接続要素の2つの側方部分により非保持濾材本体の端部ディスクのための収容空間を形成し、この接続要素の収容部に端部ディスクを含む濾材本体を嵌め込むことで、同時に密封接続を得ることがさらに有利である。これにより、円形フィルタ要素の簡単な組み立てが可能になる。
【0015】
更に別の有利な実施形態によれば、接続要素の更なる部分は、ハウジング部で支持され得るシール要素の担持体(キャリア)である。シール要素は、接続要素の部分に形成された収容溝に挿入することができ、収容溝から突出するシール要素の部分は、ハウジング部で支持され、これにより、接続要素とハウジング部との間に流体密な接続が提供される。この構成は、例えば、清浄側の流体が、排出用に設けられたフィルタハウジング内の流出路を通らざるを得ないように、ハウジングポットと接続要素との間に流体密なシールを形成することができるという利点を有する。好ましくは、挿入されたシール要素が軸方向にシールするように、収容溝は軸方向下向き又は上向きに開いている。シールは、ハウジングポットとその上に配置されるハウジングカバーとの間に設けることができ、シールのための接触圧力が、2つのハウジング部の接続のための閉じ要素によって加えられる。本実施形態では、ハウジングポットとその上に配置されるハウジングカバーとの間の接続は、必ずしも流体密である必要はない。
【0016】
有利な実施形態によれば、少なくとも1つの濾材本体に支持フレーム、特に支持グリッドが配置される。支持フレームは、浄化すべき媒体のための複数の流路開口を有するとともに、濾材本体を安定化させる。支持フレームは、好ましくは、有害ガス濾材本体及び/又は粒子濾材本体の流出側に配置される。
【0017】
更なる有利な実施形態によれば、接続要素は、濾材本体の壁面に配置された支持グリッドに接続される。支持グリッドは、好ましくは、径方向内側に位置する濾材本体の外壁面に配置され、この壁面は、好ましくは、同時に濾材本体の流出側を形成する。支持グリッドは、直接接触する濾材本体を径方向に支持する。支持グリッドは、特に、支持グリッドの一部がそれぞれの端部ディスクの材料内に突出することで、濾材本体の軸方向に対向配置された両端部ディスクに固定的に接続される。支持グリッドは、接続要素と一体に構成されてもよく、支持グリッドは、濾材本体の壁面に延び、接続要素は、隣接する径方向外側の濾材本体の軸方向端面に沿って実質的に径方向外側に延びる。
【0018】
更に別の有利な実施形態によれば、一方又は両方の濾材本体は、複数のフィルタプリーツを有するフィルタベローズとして構成される。また、一方又は両方の濾材本体をブロック状の部材から、あるいは巻かれた濾材から製造することも可能である。
【0019】
更に別の有利な実施形態によれば、濾材本体の壁面に媒体層、特に不織布層が配置される。媒体層は、濾材本体と、それぞれの濾材本体を支持する隣接部品、特に支持グリッドとの間の摩擦を低減する。摩擦が低減されることにより、例えば振動や衝撃による相対的な動きの際の濾材本体の変形を防ぐことができる。
【0020】
不織布層は、2つの濾材本体の間及び/又は濾材本体の外側に配置され、有利には、いずれの場合にも、不織布層は、支持グリッドと濾材本体の壁面との間に配置される。有利には、不織布層は、濾材から流出する粒子、例えば活性炭粒子が保持されるように、有害ガス濾材本体の流出側に配置される。
【0021】
特に長尺なフィルタ要素に関して有利な実施形態によれば、濾材本体の少なくとも一方は、軸方向において互いに接合された少なくとも2つの部分体から構成される。部分体は、例えば、互いに接着されてもよい。
【0022】
本発明はさらに、前述の円形フィルタ要素と、円形フィルタ要素を収容するフィルタハウジングとを備えたフィルタ装置に関する。フィルタ装置は、例えば、燃料電池に供給される周囲空気の供給領域において、周囲空気を濾過するために、燃料電池内又は燃料電池で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
更なる利点及び有利な実施形態は、追加の特許請求の範囲、図面の説明、及び図面に見出すことができる。
【0024】
図1a】フィルタハウジング内に円形フィルタ要素を備えるフィルタ装置の概略断面図である。
図1b図1aの詳細部Ibの拡大図である。
図1c図1aの詳細部Icの拡大図である。
図1d】円形フィルタ要素を部分的に断面で示した斜視図である。
図2a】更なる実施形態における円形フィルタ要素を備えるフィルタ装置の図1aに対応する図である。
図2b図2aの詳細部IIbの拡大図である。
図2c図2aの詳細部IIcの拡大図である。
図3a】更に別の実施形態における円形フィルタ要素を備えるフィルタ装置の図1aに対応する図である。
図3b図3aの詳細部IIIbの拡大図である。
図3c図3aの詳細部IIIcの拡大図である。
【0025】
図中、同一の構成要素は同一の参照記号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1a~図1dには、気体流体を濾過するための第1の円形フィルタ要素2を備えるフィルタ装置1が示されている。フィルタ装置1は、長手方向軸10を有し、図1及び図2は、長手方向軸10の片側の左半分のみを示している。フィルタ装置1は、例えば燃料電池に供給される新鮮空気の濾過に使用される。
【0027】
円形フィルタ要素2は、粒子を濾過するための粒子濾材本体3と、例えば二酸化硫黄、窒素酸化物又はアンモニアなどの有害ガスを濾過するための有害ガス濾材本体4として構成された2つの濾材本体3、4を備える。2つの濾材本体3、4は、好ましくはジグザグ状に折り畳まれた濾材のフィルタベローズとして構成される。有害ガス濾材本体4は、有害ガスを所望の方法で吸着するために活性炭を含むことができる。好ましくは、活性炭粒子は有害ガス濾材本体4の濾材中に埋め込まれる。濾材本体3及び4は、例えば、円錐状に設計され、2つの平行な長辺と2つの凸状の短辺とを有する細長い扁平楕円形の断面形状を有する。2つの濾材本体3及び4は、互いに同心円状に配置され、内側に配置されたフローチャンバ11を取り囲み、フローチャンバ11は浄化されていない未処理流体を受け入れ、そこから長手方向軸10に対して径方向内側から外側へ2つの濾材本体3及び4を流体が流れる。
【0028】
円形フィルタ要素2は、ハウジングポット6及びハウジングカバー7を含むフィルタハウジング5内に収容される。ハウジングカバー7には流入口8が一体形成されており、この流入口8から浄化されていない未処理流体が導入され、内側に配置されたフローチャンバ11に供給される。ハウジングポット7には流出口9が一体形成されており、この流出口9から、2つの濾材本体3、4を流れた後の浄化された流体が排出され、流れ方向下流に位置する外周側の有害ガス濾材本体4の外部に収集される。粒子濾材本体3の内側は、未処理側又は流入側を形成し、有害ガス濾材本体4の外側は、清浄側又は流出側を形成する。
【0029】
各濾材本体3、4には、軸方向に対向配置された両端面に、それぞれの軸方向端面を流体密に覆う端部ディスク12、13又は14、15が設けられている。端部ディスク12~15は濾材本体に鋳造することができる。ハウジングポット6の底部に面する粒子濾材本体3の下側端部ディスク12は、連続的なディスクとして構成され、開口がない。一方、同じ粒子濾材本体3の上側端部ディスク13は、中央に開口を有する環状であり、この開口を通って未処理空気が空気流入口8から内側に配置されたフローチャンバ11に流入することができる。
【0030】
有害ガス濾材本体4の上側端部ディスク15も環状構造である。有害ガス濾材本体4の下側端部ディスク14は、閉じた構造であり、下側端部ディスク14は、濾材本体4の端面を覆う発泡成形軟質プラスチック材料と、内部への開口部を覆い、発泡成形プラスチック材料に埋め込まれるプラスチックディスクとの2つの部品から構成することができる。以下に詳細に説明するように、プラスチックディスクは支持グリッド18の一部18aであってもよい。これに代わって、下側端部ディスク14を発泡プラスチック材料から一体形成することもできる。
【0031】
ハウジングカバー7に面する粒子濾材本体3の上側端部ディスク13には、径方向外側に突出し、周方向に延びる環状構造を有する、流体密に設計された第1の接続要素16が配置されている。接続要素16の一部は、上側端部ディスクの材料内に受容され、端部ディスク13に固定的に接続される。接続要素16は、さらに径方向外側に位置する隣接する有害ガス濾材本体4の上側端部ディスク15に係合し、端部ディスク15と接続要素16との間の流体密な接続を形成する。径方向に延びる部分から、接続要素16の第1の部分16aが、軸方向内向きに、2つの濾材本体3、4間の中間空間に突出する。第2の部分16bは、上側端部ディスク15の径方向外側において軸方向下方に突出しており、これにより、2つの部分16a、16bは、有害ガス濾材本体4の上側端部ディスク15が挿入可能な環状の収容部を形成する。これに関連して、端部ディスク15の径方向内側及び径方向外側において、接続要素16又は部分16a、16bによりシール部が形成される。これに代わって又はこれに加えて、端部ディスク15の軸方向端面と接続要素16との間にシール部が形成される。原則として、3つのシール部のうちの1つを設けるだけで十分である。接続要素16は、上側端部ディスク15との流体密な接続が確保され、濾材本体3、4間の中間空間に位置する流体の軸方向外側への空気漏れの流れが防止されるように、流体密に設計される。
【0032】
有害ガス濾材本体4の外側に位置する壁面又は外面には、支持グリッド18が配置される。この支持グリッド18は、外周側で有害ガス濾材本体4を取り囲み、端面で端部ディスク14、15の材料に埋め込まれることで保持される。支持グリッド18にはシールキャリア17が一体に接続されている。このキャリアは、径方向外向きに突出した周方向カラーとして構成されており、シール要素19のための軸方向下向きに開口した収容溝17aを有している。収容溝17aには、シールリングの形態のシール要素19を挿入することができる。別の方法として、シール要素を成形してもよい。シール要素19は、ハウジングポット6の肩部に配置され、未処理側を清浄側に対してシールする。
【0033】
複数の流路開口を有する支持グリッド18と、有害ガス濾材本体4の外側に位置する外面との間に媒体層、例えば不織布層が配置されてもよい。これにより摩擦に対する機械的保護が得られ、特に有害ガス濾材本体4から流出し得る活性炭素粒子が保持される。
【0034】
支持グリッド18の一部は、部分18aとして下側端部ディスク14の径方向内側に続いており、部分18aは、閉じた流体密なディスクとして濾材の径方向内側に形成されている。粒子濾材本体3の下側端部ディスク12は、部分18aで軸方向に支持される。図1cに示されるように、部分18aは、有害ガス濾材本体4の内部に向かって軸方向に延びる環状部分を含む。下側端部ディスク12を有する内側の粒子濾材本体3は、このリブで径方向に支持される。
【0035】
内側の粒子濾材本体3が外側の有害ガス濾材本体4に挿入されると、外側の濾材本体4の上側端部ディスク15と接続要素16との間の少なくとも1つのシール部により、2つの濾材本体3、4が互いに密封接続される。
【0036】
円形フィルタ要素2とフィルタハウジング5との間にも、シール部が形成される。未処理流体の流入口8の領域では、内側濾材本体3の上側端部ディスク13は、好ましくは、シールされずにハウジングカバー7で軸方向に支持される。未処理側と清浄側との間のシール部は、径方向外側に位置し、外側濾材本体4に支持されたシール要素19がハウジングポット6のカラーに接触することによる軸方向シールとして設計される。
【0037】
図1dは、外側の有害ガス濾材本体4と、その中に収容された内側の濾材本体3とを備える円形フィルタ要素2の斜視図である。内側の粒子濾材本体3の上側端部ディスク13に接続された接続要素16は、外側の有害ガス濾材本体4の上側端部ディスク15と係合するためのU字形収容部が形成されるように、軸方向下方に延びる内側部分16aと、同じく軸方向下方に延びる外側部分16bとを有する径方向外側に突出する壁部を形成する。
【0038】
シール要素19のための収容溝17aが設けられたシールキャリア17を有する支持グリッド18は、外側の有害ガス濾材本体4の上側端部ディスク15に接続されている。
【0039】
このように、有害ガス濾材本体4と粒子濾材本体3は、容易に結合して一つのユニットを形成し、ハウジングに挿入することができる。一方、2つの濾材本体3、4は、容易に再び分離することができる。このように、例えば耐用年数が異なる場合には、2つの濾材本体3、4の一方のみを新しいものと交換し、他方を引き続き使用することが可能である。一部品の実施形態と比較すると、外側の濾材本体4の端部ディスク15がシールに使用されるため、追加のシールが必要ない。
【0040】
図2a~図2cには更なる実施形態が示されている。基本的に第1の実施形態と同じ構成を有するため、この点に関しては、上記の説明を参照されたい。図2a~図2cにおいて、フィルタ装置は、内側に配置されたフローチャンバ11を取り囲む粒子濾材本体3と、それを取り囲む有害ガス濾材本体4とを含む円形フィルタ要素2を備える。濾材本体3、4は、浄化される流体が径方向内側から外側に流れる。
【0041】
図1a~図1dとは対照的に、図2a~図2cでは、有害ガス濾材本体4の外側に位置する壁面又は外面に支持グリッドが配置されていない。しかしながら、支持グリッド18は、濾材本体3及び4間の中間空間に配置され、粒子濾材本体3と関連付けられている。支持グリッド18と粒子濾材本体3の隣接する側面との間に、不織布層が配置されてもよい。
【0042】
支持グリッド18は、粒子濾材本体3の上側端部ディスク13に固定的に接続された、例えば埋め込まれた接続要素16と一体に設計することができる。接続要素16の部分16aは、濾材本体3及び4間の中間空間に軸方向に突出し、有害ガス濾材本体4の上側端部ディスク15と径方向シール部を形成する。第2の部分16bは、径方向外側に位置し、軸方向下方に突出して、上側端部ディスク15と更なる径方向シール部を形成する。これに代わって又はこれに加えて、上側端部ディスク15の軸方向端面が、接続要素16の径方向に延びる部分とシール部を形成してもよい。
【0043】
有害ガス濾材本体4の上側端部ディスク15は、径方向内側に上側肩部を有しており、その鉛直面に対して接続要素16の部分16aが当接する。内側に配置された粒子濾材本体3の上側端部ディスク13は、上側端部ディスク15の肩部に向かって突出している。有害濾材本体4の上側端部ディスク15は、粒子濾材本体3の支持グリッド18に対して径方向に当接する。支持グリッド18は、この領域で閉じた構成とすることができ、これにより、有害ガス濾材本体4の上側端部ディスク15のための接触リブを形成し、付加的なシール部を形成することができる。
【0044】
また、接続要素16の径方向外側に位置する部分16bには、ハウジングポット6の肩部で支持されるシール要素19が挿入される収容溝が設けられる。これにより、接続要素16は、同時にシール要素19のためのシールキャリアを形成する。
【0045】
下側端部ディスク14は連続的なディスクとして設計される。下側端部ディスク14には、軸方向下向きの中空円筒状スリーブが形成され、このスリーブは、円形フィルタ要素2が安定的に保持されるように、ハウジング底部の環状収容部に嵌合するように収容される。下側端部ディスク14は、好ましくは可撓性材料、例えばポリウレタンフォームから製造される。
【0046】
接続要素16及び支持グリッド18は、粒子濾材本体3の下側端部ディスク12の領域において、部分18aで一体的に連続する共通の連続部品を形成する。支持グリッド18の部分18aは円盤状の構造であり、下側端部ディスク12との固定接続が確立されるように、下側端部ディスク12の材料によって少なくとも部分的に囲まれている。円盤状部分18aは、少なくとも部分的に流体密になるように構成され、内側に配置されたフローチャンバ11から粒子濾材本体3を迂回して有害ガス濾材本体4へ向かう未処理流体の空気漏れの流れを防ぐ。
【0047】
図3a~図3cに示される実施形態は、実質的に図2a~図2cによる実施形態に対応する。しかしながら、図3a~図3cでは、外側有害ガス濾材本体4の上側端部ディスク15は、長手方向軸を含む図示された断面において、端部ディスク15の径方向内側に位置する粒子濾材本体3の上側端部ディスク13のように、実質的に矩形の断面形状を有している。したがって、外側の有害ガス濾材本体4の上側端部ディスク15は、肩部を有しない。接続要素16の部分16aは、端部ディスク13及び15の間に位置し、端部ディスク13の径方向外側及び端部ディスク15の径方向内側に当接する。さらに、本実施形態では、外側の有害ガス濾材本体4と同様に、内側の粒子濾材本体3も支持グリッド18を備える。有害ガス濾材本体4の径方向外側に配置された支持グリッド18は、シールキャリア17を有する。これに代わって、シール17は、接続要素16における軸方向に延びる径方向外側部分16bによって形成されてもよい。
【0048】
外側の有害ガス濾材本体4の下側端部ディスク14は、第1の実施形態と同様に、実質的に平坦である。しかしながら、下側端部ディスク14は、図2aの下側端部ディスク14のように設計することもできる。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
【国際調査報告】