(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】抗タウ抗体組成物、投薬形態、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20241024BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241024BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P25/28
A61P25/00
A61K39/395 M
A61K39/395 D
C07K16/18 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525880
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 IB2022060604
(87)【国際公開番号】W WO2023079485
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506137147
【氏名又は名称】エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】レイダーマン, ラリサ
(72)【発明者】
【氏名】ラワル, スミット
(72)【発明者】
【氏名】ワイルドスミス, クリスティン ルース
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ, ジン
(72)【発明者】
【氏名】バルド, ポー アセベス
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG02
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】本明細書には、タウに特異的に結合する抗体を含む投薬形態、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、タウに特異的に結合する抗体をヒト対象に投与することを含む方法、及びタウに特異的に結合する抗体を含むタウオパチーと診断された対象の治療用医薬組成物が提供される。
【解決手段】タウに特異的に結合する抗体を約3mg/kg~約90mg/kgの単回用量の量で含む静脈内投薬形態。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タウに特異的に結合する抗体を約3mg/kg~約90mg/kgの単回用量の量で含む静脈内投薬形態。
【請求項2】
前記単回用量の量が、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg、又は約90mg/kgである、請求項1に記載の静脈内投薬形態。
【請求項3】
タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態であって、前記抗体の前記量が約750mg~約4500mgである、静脈内投薬形態。
【請求項4】
前記抗体の前記量が、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgである、請求項3に記載の静脈内投薬形態。
【請求項5】
前記静脈内投薬形態が、タウオパチーと診断された対象の治療における使用のためのものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の静脈内投薬形態。
【請求項6】
前記タウオパチーが、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、又は進行性核上性麻痺である、請求項5に記載の静脈内投薬形態。
【請求項7】
前記前頭側頭型認知症がピック病である、請求項6に記載の静脈内投薬形態。
【請求項8】
前記アルツハイマー病が、優性遺伝性アルツハイマー病又は散発性アルツハイマー病である、請求項6に記載の静脈内投薬形態。
【請求項9】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療方法であって、前記ヒト対象にタウに特異的に結合する抗体を静脈内投与することを含み、前記抗体が、約3mg/kg~約90mg/kgの単回用量として投与される、方法。
【請求項10】
前記抗体が、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg、又は約90mg/kgの単回用量として投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療方法であって、前記ヒト対象にタウに特異的に結合する抗体を投与することを含み、前記抗体が、約750mg~約4500mgの用量として投与される、方法。
【請求項12】
前記抗体が、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量として投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記用量が、4週間に1回投与される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記用量が、静脈内投与される、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記タウオパチーが、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、又は進行性核上性麻痺である、請求項9~14のいずれか一項に記載のヒト対象の治療方法。
【請求項16】
前記前頭側頭型認知症がピック病である、請求項15に記載のヒト対象の治療方法。
【請求項17】
前記アルツハイマー病が、優性遺伝性アルツハイマー病又は散発性アルツハイマー病である、請求項15に記載のヒト対象の治療方法。
【請求項18】
タウに特異的に結合する抗体を含む、タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物であって、前記タウに特異的に結合する抗体が、約3mg/kg~約90mg/kgの単回用量として前記対象に投与される、医薬組成物。
【請求項19】
前記タウに特異的に結合する抗体が、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg、又は約90mg/kgの単回用量として前記対象に投与される、請求項18に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物。
【請求項20】
タウに特異的に結合する抗体を含む、タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物であって、前記タウに特異的に結合する抗体が、約750mg~約4500mgの用量として前記対象に投与される、医薬組成物。
【請求項21】
前記タウに特異的に結合する抗体が、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量として投与される、請求項16に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物。
【請求項22】
前記タウに特異的に結合する抗体が、4週間に1回投与される、請求項20又は21に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物。
【請求項23】
前記タウに特異的に結合する抗体が静脈内投与される、請求項18~22のいずれか一項に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物。
【請求項24】
前記タウオパチーが、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、又は進行性核上性麻痺である、請求項18~23のいずれか一項に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物。
【請求項25】
前頭側頭型認知症がピック病である、請求項24に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物。
【請求項26】
前記アルツハイマー病が、優性遺伝性アルツハイマー病又は散発性アルツハイマー病である、請求項24に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物。
【請求項27】
少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体を含む、請求項18~26のいずれか一項に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物。
【請求項28】
前記抗タウ抗体が、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)の重鎖相補性決定領域(HCDR)と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の静脈内投薬形態、請求項9~17のいずれか一項に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療方法、又は請求項18~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記抗タウ抗体が、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)と3つのLCDR(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)とを含み、前記HCDR1が配列番号7のアミノ酸配列を含み;前記HCDR2が配列番号8のアミノ酸配列を含み;前記HCDR3が配列番号9のアミノ酸配列を含み;前記LCDR1が配列番号10のアミノ酸配列を含み;前記LCDR2が配列番号11のアミノ酸配列を含み;及び前記LCDR3が配列番号12のアミノ酸配列を含み、前記CDRがKabatの方法に従い定義される、請求項1~8のいずれか一項に記載の静脈内投薬形態、請求項9~17のいずれか一項に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療方法、又は請求項18~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記抗タウ抗体が、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)と3つのLCDR(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)とを含み、前記HCDR1が配列番号13のアミノ酸配列を含み;前記HCDR2が配列番号14のアミノ酸配列を含み;前記HCDR3が配列番号15のアミノ酸配列を含み;前記LCDR1が配列番号16のアミノ酸配列を含み;前記LCDR2が配列番号17のアミノ酸配列を含み;及び前記LCDR3が配列番号18のアミノ酸配列を含み、前記CDRがIMGT方法に従い定義される、請求項1~8のいずれか一項に記載の静脈内投薬形態、請求項9~17のいずれか一項に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療方法、又は請求項18~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記抗タウ抗体が、配列番号2を含むVHと、配列番号5を含むVLとを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の静脈内投薬形態、請求項9~17のいずれか一項に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療方法、又は請求項18~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記抗タウ抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖及び/又は配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の静脈内投薬形態、請求項9~17のいずれか一項に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療方法、又は請求項18~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記抗タウ抗体が、抗体E2814又はそのバイオシミラーである、請求項1~8のいずれか一項に記載の静脈内投薬形態、請求項9~17のいずれか一項に記載のタウオパチーと診断されたヒト対象の治療方法、又は請求項18~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年11月3日に出願された米国仮特許出願第63/275,045号明細書、2021年12月16日に出願された米国仮特許出願第63/290,278号明細書、2022年3月4日に出願された米国仮特許出願第63/316,582号明細書、及び2022年3月4日に出願された米国仮特許出願第63/316,616号明細書の利益を主張する。これらの出願の各々は、全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本願は、本明細書と共にASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、この配列表は、本明細書によって全体として参照により援用される。2022年10月26日に作成された前記ASCII複製物は、104018001201_SEQUENCE LISTING.xmlという名称であり、サイズが17,345バイトである。
【0003】
本発明は、タウに特異的に結合する抗体を含む投薬形態、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、タウに特異的に結合する抗体を対象に投与することを含む方法、及びタウに特異的に結合する抗体を含むタウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
微小管結合タンパク質(MAP)ファミリーに属するタウタンパク質は、主にニューロンに発現し、軸索及び樹状突起に見られる。タウタンパク質は、細胞骨格を構成して軸索輸送路として働く微小管となるようチューブリン単量体が集合するにおいて重要な役割を果たしている。タウタンパク質は、17番染色体に位置する単一の遺伝子から翻訳され、ここでは選択的mRNAスプライシングが6つの異なる中枢神経系タウアイソフォームの形成につながり、そのうち5つはヒト成熟脳に見られる。これらのアイソフォームは、カルボキシ(C)末端部分のリピート領域が3つ(R1、R3、及びR4)又は4つ(R1~R4)のいずれかであるという違いがあり、可変的な微小管結合領域(MTBR)が存在する。アミノ(N)末端ドメインは、微小管と細胞骨格の他の部分、又は細胞膜との間のつながりを確立するドメインであり、可変的な0、1、又は2個の29アミノ酸挿入が存在する。
【0005】
タウタンパク質は、アルツハイマー病(AD)及び他のタウオパチーと称される神経変性障害において記載されている細胞内原線維のもつれの鍵となる構成要素である。過剰リン酸化タウが凝集して不溶性の対らせんフィラメント(PHF)となり、それが神経細胞に蓄積するというのは、神経原線維のもつれ(NFT)の形成において決定的に重要な過程であり、NFTは、続発性タウオパチーであるADの病理所見のホールマークである。NFTはまた、前頭側頭型認知症、大脳皮質基底核変性症、ピック病、及び進行性核上性麻痺など、原発性タウオパチーの病理所見でもある。PHF及びNFTの発生に関する最近のインビトロ及びインビボ研究では、病態生理学的タウ過程が細胞外タウシードの存在によって惹起されるように見えることが示されている。MTBRを含有するこれらの小さい可溶性タウシードが、脳全体へのタウ病変の広がりを恐らくは経シナプス的に引き起こすことで、細胞内不溶性タウ凝集の形成が誘発され、それによってNFT病変の発生が促される。ADでは、神経解剖学的に特徴のある重症度増加パターンでNFTが存在し、重症度は、一般的には、進行性のニューロン脱落及び臨床的衰退と十分に相関するブラークステージ1~6に従い定義される。結果的に、タウシードの選択的標的化及び除去が、タウオパチー又はAD関連タウオパチーにおける疾患の進行を止める、又は遅らせると予想される。しかしながら、現時点では、これらの疾患に対する治療法はなく、その進行を遅らせる手段はない。このように、タウオパチーの進行を緩徐にする又は予防する薬物が医学分野で喫緊に必要とされているが、未だ対処されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、タウに特異的に結合する抗体を含む投薬形態、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、タウに特異的に結合する抗体を対象に投与することを含む方法、及びタウに特異的に結合する抗体を含むタウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書には、タウに特異的に結合する抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここで単回用量中の抗体の量は、約3mg/kg~約90mg/kgである。一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体を含む静脈内投薬形態であって、単回用量中の抗体の量が、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg又は約90mg/kgである静脈内投薬形態が提供される。
【0008】
本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に6.29μg/mL~1960μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する単回用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合する抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここで抗体の量は、ヒト対象への投与後に約9.55μg/mL~約1450μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する単回用量である。
【0009】
更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に12300μg・hr/mL~194000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-inf)を実現する単回用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約12300μg・hr/mL~約130000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-inf)を実現する単回用量である。
【0010】
更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に839μg・hr/mL~203000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する単回用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約1580μg・hr/mL~約122000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する単回用量である。
【0011】
本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に13.5ng/mL~672ng/mLの範囲のCSF Cmaxを実現する単回用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約15.9ng/mL~約404ng/mLの幾何平均CSF Cmaxを実現する単回用量である。
【0012】
更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に159ng・hr/mL~7690ng・hr/mLの範囲のCSF AUC(0-24h)を実現する単回用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約191ng・hr/mL~約5320ng・hr/mLの幾何平均CSF AUC(0-24h)を実現する単回用量である。
【0013】
また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法も提供され、ここでこの量は、約3mg/kg~約90mg/kgの単回用量である。本方法の一部の実施形態によれば、この量は、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg、又は約90mg/kgの単回用量である。
【0014】
また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法も提供され、ここでこの量は、投与後に6.29μg/mL~1960μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する単回用量である。また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法も提供され、ここでこの量は、投与後に約9.55μg/mL~約1450μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する単回用量である。
【0015】
また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法も提供され、ここでこの量は、投与後に12300μg・hr/mL~194000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-inf)を実現する単回用量である。また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法も提供され、ここでこの量は、投与後に約12300μg・hr/mL~約130000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-inf)を実現する単回用量である。
【0016】
更に本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法が提供され、ここでこの量は、投与後に839μg・hr/mL~203000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する単回用量である。更に本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法が提供され、ここでこの量は、投与後に約1580μg・hr/mL~約122000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する単回用量である。
【0017】
また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法も提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に13.5ng/mL~672ng/mLの範囲のCSF Cmaxを実現する単回用量である。また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法も提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約15.9ng/mL~約404ng/mLの幾何平均CSF Cmaxを実現する単回用量である。
【0018】
また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法も提供され、ここでこの量は、投与後に159ng・hr/mL~7690ng・hr/mLの範囲のCSF AUC(0-24h)を実現する単回用量である。また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法も提供され、ここでこの量は、投与後に約191ng・hr/mL~約5320ng・hr/mLの幾何平均CSF AUC(0-24h)を実現する単回用量である。
【0019】
更に本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物であって、タウに特異的に結合する抗体を含む医薬組成物が提供され、ここでタウに特異的に結合する抗体は、約3mg/kg~約90mg/kgの単回用量として対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg、又は約90mg/kgの単回用量として対象に投与される。
【0020】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に6.29μg/mL~1960μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する単回用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に約9.55μg/mL~約1450μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する単回用量で対象に投与される。
【0021】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に12300μg・hr/mL~194000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-inf)を実現する単回用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に約12300μg・hr/mL~約130000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-inf)を実現する単回用量で対象に投与される。
【0022】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に839μg・hr/mL~203000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する単回用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に約1580μg・hr/mL~約122000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する単回用量で対象に投与される。
【0023】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に13.5ng/mL~672ng/mLの範囲のCSF Cmaxを実現する単回用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に約15.9ng/mL~約404ng/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する単回用量で対象に投与される。
【0024】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に159ng・hr/mL~7690ng・hr/mLの範囲のCSF AUC(0-24h)を実現する単回用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に約191ng・hr/mL~約5320ng・hr/mLの幾何平均CSF AUC(0-24h)を実現する単回用量で対象に投与される。
【0025】
本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、約750mg~約4500mgの用量である。タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態の一部の実施形態によれば、ここでこの量は、約1500mg~約4500mg、約1500mg~約3000mg、又は約3000mg~約4500mgの用量である。一部の実施形態によれば、抗体の用量は、対象に4週間に1回投与される。一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態であって、量が、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量である投薬形態が提供される。
【0026】
本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に21.1μg/mL~655μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約35.6μg/mL~約509μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する用量である。
【0027】
また、本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態も提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に2690μg・hr/mL~58900μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約5360μg・hr/mL~約30300μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する用量である。
【0028】
また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を投与することを含む方法も提供され、ここでタウに特異的に結合する抗体の量は、約750mg~約4500mgの用量である。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、約1500mg~約4500mg、約1500mg~約3000mg、又は約3000mg~約4500mgの用量である。一部の実施形態によれば、抗体の用量は、対象に4週間に1回投与される。一部の実施形態によれば、抗体の用量は、対象に静脈内投与される。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量である。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、4週間に1回投与される約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量である。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、静脈内投与される約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量である。
【0029】
本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を投与することを含む方法が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に21.1μg/mL~655μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する用量である。一部の実施形態によれば、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を投与することを含む方法が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約35.6μg/mL~約509μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する用量である。
【0030】
更に本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を投与することを含む方法が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に2690μg・hr/mL~58900μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する用量である。一部の実施形態によれば、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を投与することを含む方法が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約5360μg・hr/mL~約30300μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する用量である。
【0031】
更に本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物であって、タウに特異的に結合する抗体を含む医薬組成物が提供され、ここでタウに特異的に結合する抗体は、約750~約4500mgの量で対象に投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、約1500mg~約4500mg、約1500mg~約3000mg、又は約3000mg~約4500mgの量で対象に投与される。一部の実施形態によれば、抗体は、対象に4週間に1回投与される。一部の実施形態によれば、抗体は、対象に静脈内投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの量で投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの量で4週間に1回投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、静脈内約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの量で投与される。
【0032】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、ヒト対象への投与後に21.1μg/mL~655μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、ヒト対象への投与後に約35.6μg/mL~約509μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する用量で対象に投与される。
【0033】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、ヒト対象への投与後に2690μg・hr/mL~58900μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、ヒト対象への投与後に約5360μg・hr/mL~約30300μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する用量で対象に投与される。
【0034】
概要、並びに以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと更に理解される。本開示の方法を図解する目的で、図面中には本方法の例示的実施形態が示されている;しかしながら、本方法は、開示されている具体的な実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】研究E2814-A001-001の単回漸増用量(SAD)コンポーネントの手順及び評価スケジュールを提供する。
【
図1B】研究E2814-A001-001の単回漸増用量(SAD)コンポーネントの手順及び評価スケジュールを提供する。
【
図1C】研究E2814-A001-001の単回漸増用量(SAD)コンポーネントの手順及び評価スケジュールを提供する。
【
図2】研究E2814-A001-001の単回漸増用量コンポーネントの研究デザインの概要を提供する。
【
図3A】研究E2814-A001-001の複数回漸増用量(MAD)コンポーネントの手順及び評価スケジュールを提供する。
【
図3B】研究E2814-A001-001の複数回漸増用量(MAD)コンポーネントの手順及び評価スケジュールを提供する。
【
図4】研究E2814-A001-001の複数回漸増用量コンポーネントの研究デザインの概要を提供する。
【
図5A】研究E2814-A001-001の単回漸増用量コンポーネントのコホート別の研究対象の人口統計学的特性及びベースライン特性を要約する。
【
図5B】研究E2814-A001-001の複数回漸増用量コンポーネントのコホート別の研究対象の人口統計学的特性及びベースライン特性を要約する。
【
図6】研究E2814-A001-001の単回漸増用量コンポーネントの研究コホート別の幾何平均値(CV%)E2814血清PKパラメータを要約する。
【
図7】研究E2814-A001-001の単回漸増用量コンポーネントのマトリックス別及び用量別の平均値(+SD)E2814血清濃度-時間プロファイルを示す(予備的データ)。
【
図8】研究E2814-A001-001の単回漸増用量コンポーネントの研究コホート別の幾何平均値(CV%)E2814血清CSFパラメータを要約する。
【
図9】研究E2814-A001-001の単回漸増用量コンポーネントの研究コホート別の平均値(+SD)E2814 CSF濃度-時間プロファイルを示す。
【
図10】研究E2814-A001-001の複数回漸増用量コンポーネントからの複数回IV用量投与後の幾何平均値(gCV%)E2814血清PKパラメータを提供する。
【
図11A】研究E2814-A001-001の単回漸増用量コンポーネントにおける時間に対する個々のCSF%結合タウ299を示す。
【
図11B】研究E2814-A001-001の単回漸増用量コンポーネントにおける時間に対する個々のCSF%結合タウ354を示す。
【
図12A】研究E2814-A001-001の複数回漸増用量コンポーネントの用量別の時間に対する個別のCSF結合(合計に対する%)MTBRタウ299を示す。
【
図12B】研究E2814-A001-001の複数回漸増用量コンポーネントの用量別の時間に対する個別のCSF結合(合計に対する%)MTBRタウ354を示す。MAD用量コホートの記号:白抜きの丸750mg、塗り潰した三角1500mg、塗り潰した丸3000mg。
【
図13A】研究E2814-A001-001の単回漸増用量(SAD)コンポーネント及び複数回漸増用量(MAD)コンポーネントのE2814 CSF濃度に対する個別のCSF結合(合計に対する%)MTBRタウ299を示す。
【
図13B】単回漸増用量コンポーネント及び研究E2814-A001-001の複数回漸増用量コンポーネントのE2814 CSF濃度に対する個別のCSF結合(合計に対する%)MTBRタウ354を示す。SAD用量コホート記号:塗り潰した三角3mg/kg、塗り潰した丸10mg/kg、白抜きの四角30mg/kg、白抜きの菱形60mg/kg、白抜きの丸90mg/kg。MAD用量コホート記号:白抜きの三角750mg、星印1500mg、プラス符号3000mg。予備的データに基づき3つのPK外れ値を除外する。
【
図14A】用量、重症度、関連性、及び用語別の研究E2814-A001-001の単回漸増用量コンポーネントの有害事象を要約する。
【
図14B】用量、重症度、関連性、及び用語別の研究E2814-A001-001の複数回漸増用量コンポーネントの有害事象を要約する。
【
図15】研究E2814-A001-001の複数回漸増用量コンポーネントの日数別の及び用量別にファセットを示した平均値(+SD)E2814血清濃度-時間プロファイルを示す。
【
図16】非盲検第1b/2相研究(研究E2814-G000-103)の研究デザインの概要を提供する。
【
図17A】研究E2814-G000-103の手順及び評価スケジュールを提供する。
【
図17B】研究E2814-G000-103の手順及び評価スケジュールを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明は、タウに特異的に結合する抗体の投薬形態、使用方法、及び医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、提供される投薬形態、方法、及び医薬組成物は、対象のタウオパチーの治療に使用されてもよい。
【0037】
開示される投薬形態、方法、及び医薬組成物は、以下の詳細な説明を、本開示の一部を成す添付の図と併せて考慮して参照することにより一層容易に理解し得る。開示される投薬形態、方法、及び医薬組成物は、本明細書に具体的に説明され及び/又は図示されるものに限定されないこと、及び本明細書で使用される用語法は詳細な実施形態を単に例として説明する目的であり、特許請求される投薬形態、方法、及び医薬組成物を限定するように意図するものではないことが理解されるべきである。
【0038】
特に具体的に明記されない限り、可能な作用機序若しくは作用様式又は改良の理由に関する任意の説明は、例示的に過ぎないことが意図され、本開示の方法が、任意のかかる提案される作用機序若しくは作用様式又は改良の理由の正確さ又は不正確さによって制約を受けてはならない。
【0039】
本明細書において数値の範囲が挙げられ、又は定められる場合、その範囲には、その端点並びにその範囲内にある全ての個別の整数及び分数が含まれ、また、明記されている範囲内にあるより大きい一群の値の部分的一群を形成するそれらの端点及び内部的な整数及び分数の様々な可能な組み合わせ全てによって形成されるそこにあるより狭い範囲もまた、そうしたより狭い範囲が明示的に挙げられたとみなすのと同程度に含まれる。本明細書において数値の範囲が明記されている値よりも大きいと明記されている場合、それにも関わらずその範囲は有限であり、本明細書に記載されるとおりの本発明の文脈内で演算可能な値によってその上限が境界付けられる。本明細書において数値の範囲が明記されている値よりも小さいと明記されている場合、それにも関わらずその範囲は、ゼロでない値によってその下限が境界付けられる。本発明の範囲が、範囲を定義するときに挙げられる具体的な値に限定されることは意図されない。全ての範囲は端点を含み、組み合わせることが可能である。
【0040】
先行語「約」の使用によって値が近似値として表されるとき、その特定の値が別の実施形態を成すことは理解されるであろう。ある特定の数値への言及には、文脈上特に明確に指示されない限り、少なくともその特定の値が含まれる。
【0041】
明確にするため、本明細書に別々の実施形態の文脈で説明されている本開示の方法の特定の特徴がまた、単一の実施形態に組み合わせて提供されてもよいことが理解されるべきである。逆に、簡略にするため、単一の実施形態の文脈で説明されている本開示の方法の様々な特徴がまた、別々に、又は任意の部分的な組み合わせで提供されてもよい。
【0042】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、本説明の態様に関する様々な用語が用いられる。特に指示されない限り、かかる用語には、当該技術分野におけるその通常の意味が与えられるべきである。他の具体的に定義される用語は、本明細書に提供される定義と整合するように解釈されるべきである。
【0043】
本明細書で使用されるとき、単数形「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その(the)」には、複数形が含まれる。
【0044】
用語「約」は、数値範囲、カットオフ、又は具体的な値に関連して使用されるとき、挙げられる値が、列挙中の値から最大で10%ものばらつきがあり得ることを指し示して使用される。従って、用語「約」は、指定される値から±10%以下の変動、±5%以下の変動、±1%以下の変動、±0.5%以下の変動、又は±0.1%以下の変動を包含して使用される。
【0045】
用語「抗体」は、本明細書で使用されるとき、広義の意味であり、免疫グロブリン又は抗体分子であって、ポリクローナル抗体、マウス、ヒト、ヒト適応、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体を含めたモノクローナル抗体並びに抗体断片を含む。一般に、抗体は、特異的抗原に対して結合特異性を呈するタンパク質又はペプチド鎖である。インタクトな抗体は、2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖とで構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。典型的には、各軽鎖が1つの共有結合性ジスルフィド結合によって重鎖に連結されている一方、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間ではジスルフィド結合の数が変わる。各重鎖及び軽鎖がまた、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は一端に可変ドメイン(可変領域)(VH)を有し、続いて幾つもの定常ドメイン(定常領域)を有する。各軽鎖は一端に可変ドメインを有し(VL)、その他端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列する。任意の脊椎動物種の抗体軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なる種類、即ち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)の一方に割り当てることができる。
【0046】
免疫グロブリンは、その重鎖が持つ定常ドメインの種類、即ち、重鎖定常ドメインアミノ酸配列に応じたIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMに応じて、5つの主要なクラス又はアイソタイプに割り当てることができる。IgA及びIgGは、アイソタイプIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細かく分類される。異なる免疫グロブリンクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0047】
免疫グロブリン軽鎖可変領域又は重鎖可変領域は、3つの「抗原結合部位」によって分断される「フレームワーク」領域からなる。抗原結合部位は、以下のとおりの様々な用語を用いて定義される:(i)用語の相補性決定領域(CDR)は、配列多様性に基づく(Wu and Kabat,J.Exp.Med.132:211-250,1970)。概して、抗原結合部位は6つのCDR;VHに3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)、及びVLに3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)を有する。(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)。Lefranc(Lefranc et al.,Dev.Comparat.Immunol.27:55-77,2003)によって提案されるとおりの「IMGT-CDR」は、免疫グロブリン及びT細胞受容体からのVドメインの比較に基づいている。国際免疫遺伝学(IMGT)データベース(www_imgt_org)は、これらの領域の標準化された番号付け及び定義を提供する。CDRとIMGT表記との間の対応については、Lefranc et al.,Dev.Comparat.Immunol.27:55-77,2003に記載されている。
【0048】
抗原結合断片は、ある特定の抗原に結合親和性を呈し得る任意のタンパク質構造体である。一部の抗原結合断片は、インタクトな抗体のうち、親抗体分子の抗原結合特異性を保持している部分で構成される。例えば、抗原結合断片は、ある特定の抗原に結合することが公知の抗体の少なくとも1つの可変領域(重鎖又は軽鎖のいずれかの可変領域)又は1つ以上のCDRを含み得る。好適な抗原結合断片の例としては、限定なしに、ダイアボディ及び単鎖分子並びにFab、F(ab’)2、Fc、Fabc、及びFv分子、単鎖(Sc)抗体、個別の抗体軽鎖、個別の抗体重鎖、抗体鎖又はCDRと他のタンパク質との間のキメラ融合体、タンパク質足場、重鎖単量体又は二量体、軽鎖単量体又は二量体、1つの重鎖と1つの軽鎖とからなる二量体などが挙げられる。あらゆる抗体アイソタイプを抗原結合断片の作製に使用し得る。加えて、抗原結合断片は、タンパク質足場など、目的とする所与の抗原に対する親和性を付与する向きでのポリペプチドセグメントの取込みを成功させ得る非抗体タンパク質フレームワークを含み得る。抗原結合断片は、組換え的に作製されてもよく、又はインタクトな抗体の酵素的若しくは化学的切断により作製されてもよい。語句「抗体又はその抗原結合断片」は、所与の抗原結合断片がその語句において言及されている抗体の1つ以上のアミノ酸セグメントを取り込むことを指して使用されてもよい。
【0049】
「バイオシミラー」(既承認の先発品/バイオ薬、即ち、既収載薬のバイオシミラー)とは、臨床的に不活性な成分に僅かな違いがあるにもかかわらず、先発品と極めて良く似ているバイオ製品を指し、(a)臨床的に不活性な成分の点で僅かな違いがあるにもかかわらず、バイオ製品が先発品と極めて良く似ていることを実証する分析的研究;(b)動物試験(毒性評価を含む);及び/又は(c)先発品の認可が下りている、及びその使用が意図される1つ以上の適切な使用条件であって、バイオシミラーの認可を求めようとしている使用条件において安全性、純度、及び効力を実証するのに十分な1つ又は複数の臨床試験(免疫原性及び薬物動態又は薬力学の評価を含む)から導き出されるデータに基づけば、安全性、純度及び効力の点でバイオシミラーと先発品との間に臨床的に有意味な違いはない。バイオシミラーは、処方する医療専門家の介入なしに薬局で先発品の代わりに置き換え得る互換性のある製品であり得る。更なる「互換性」の規格を満たすため、バイオシミラーは、いずれか所与の患者において先発品と同じ臨床結果を生み出すと予想されるべきである、バイオシミラーが個体に2回以上投与される場合、安全性又は有効性低下の点で見たバイオシミラー及び先発品の使用を代用する又はそれらの間を切り替えるリスクが、かかる代用又は切り替えなしに先発品を使用するリスクを超えて大きくなることはない。バイオシミラーは、提案される使用病態に対する同じ作用機序を、先発品についてそれらの機序が公知である程度にまで利用する。バイオシミラーについて提案される表示に処方、推奨、又は提案される1つ又は複数の使用病態は、先発品について既承認のものである。バイオシミラーの投与経路、投薬形態、及び/又は強度は先発品と同じであり、バイオシミラーは、バイオシミラーの安全性、純度及び効力が維持されることが確実となるように設計された規格を満たす施設で製造され、加工され、包装され、又は保管される。バイオシミラーは、アミノ酸配列に、N末端又はC末端トランケーションなど、先発品と比較したときバイオシミラーの性能を変えないと予想される僅かな修飾を含み得る。
【0050】
「特異的結合」又は「特異的に結合する」は、抗体がある抗原に対し、他の抗原に対するよりも高い親和性で結合することを指す。典型的には、抗体は、約5×10-8M以下、例えば約5×10-9M以下、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、又は約1×10-11M以下の平衡解離定数KDで抗原に結合する。
【0051】
用語「~を含んでいる(comprising)」は、用語「~から本質的になる(consisting essentially of)」及び「~からなる(consisting of)」に包含される例を含むことが意図される;同様に、用語「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、用語「~からなる(consisting of)」に包含される例を含むことが意図される。
【0052】
「有害事象」又は「AE」は、タウに特異的に結合する抗体を投与した臨床試験対象における任意の厄介な医学的発生を指す。AEは、必ずしも治療と因果関係があるわけではない。従ってAEは、タウに特異的に結合する抗体に関係するか否かにかかわらず、医学的(臨床試験用又は非臨床試験用)製品の使用に時間的に関連性のある任意の不都合な意図せぬ徴候(異常所見を含む)、症状、又は疾患であり得る。
【0053】
「投薬量」は、対象が服用すべき治療薬又は薬物の量及び対象が服用すべき治療薬の回数の頻度を指す。
【0054】
「用量」は、毎回服用すべき治療薬又は薬物の量又は分量を指す。
【0055】
用語「生物学的に同等な」又は「生物学的同等性」は、専門用語であり、米国保健福祉省(U.S Department of Health and Human Services)が発行する「治療的同等性評価のある承認医薬品(Approved Drug Products with Therapeutic Equivalence Evaluations)」第34版、通称「オレンジブック(Orange Book)」に従い定義されることが意図される。同じ原薬で異なる製剤の生物学的同等性には、薬物吸収の速度及び程度に関する同等性が関わる。被験製剤の吸収の程度及び速度が参照製剤と比較され、これらの2つの製剤が生物学的に同等かどうかが決定される。標準的な生物学的同等性試験は、単回用量の被験薬及び参照薬を幾例ものボランティア、通常は12~24例の正常な健常成人に投与すること、次に時間の経過に伴う薬物の血中、血清又は血漿レベルを測定することを含む広範な試験によってクロスオーバー方式で行われる。ある製剤の参照製剤との生物学的同等性を確立するための詳細なガイドラインが、FDAジェネリック医薬品局生物学的同等性部(FDA Office of Generic Drugs,Division of Bioequivalence)から発行されている。
【0056】
吸収の速度及び程度の差が-20%/+25%以下である2つの投薬形態は、概して「生物学的に同等」であると見なされる。平均的生物学的同等性の別の手法には、被験製品及び参照製品の測定値の平均(集団幾何平均値)の比についての90%信頼区間の計算が関わる。BEを確立するには、計算した信頼区間が製品平均の比の通常80~125%の範囲内になければならない。この一般的手法に加えて、他の手法が、(1)薬物動態データの対数変換、(2)順序効果を判定する方法、及び(3)外れ値データを判定する方法を含め、生物学的同等性の確立に有用であり得る。例えば、上記(1)では、対数変換したPKパラメータの平均値の差について信頼区間が通常80~125%の範囲内になければならない。
【0057】
「mg/kg」は、対象のボディマス1キログラム当たりのミリグラム単位での薬物の用量設定を指す。
【0058】
用語「平均値」は、幾何平均値を指す。「平均Cmax」又は「平均AUC」などの薬物動態パラメータは、Cmax又はAUCの幾何平均値を指す。
【0059】
用語「治療すること」又は「治療」は、症状の軽減、寛解、縮小又は病態を患者にとってより忍容性の高いものにすること、変性又は衰退速度を緩徐にすること、最終的な変性点の消耗を軽くすること、対象の身体的又は精神的ウェルビーイングを向上させること、又は生存期間の長さを延ばすことなど、いずれかの他覚的又は自覚的パラメータを含め、傷害、病変又は病態の減弱又は改善のいずれかの成功又は成功した証拠を指す。治療は、理学的検査、神経学的診察、又は精神医学的判定の結果を含め、他覚的又は自覚的パラメータにより評価し得る。詳細な実施形態において、タウオパチーの症状は、認知の機能障害である。具体的な実施形態において、タウオパチーの症状は、学習及び/又は記憶の機能障害である。具体的な実施形態において、タウオパチーの症状は、長期記憶喪失である。具体的な実施形態において、タウオパチーの症状は、認知症である。一部の実施形態において、タウオパチーの症状は、錯乱、被刺激性、攻撃性、気分変動、又は言語機能障害である。一部の実施形態において、タウオパチーの症状は、推論、状況判断(situational judgment)、記憶能力、及び/又は学習など、1つ以上の認知機能の機能障害又は喪失である。
【0060】
「治療レジメン」は、投薬量、投与頻度、及び/又は治療継続期間の組み合わせを指す。「有効な治療レジメン」は、その治療の投与を受ける患者に有益な反応をもたらすであろう治療レジメンを指す。薬剤の「有効量」又は「有効用量」とは、所望の結果を実現するのに有効な量又は用量、そのために必要な期間を指す。例えば、「治療有効量」は、ヒト対象において治療効果を生み出すのに有効な抗体の量、そのために必要な期間を指す。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「治療効果」は、その結果が望ましく有益であると判断されるような任意の種類の医学的治療の帰結である。これは、その結果が予想どおりであれ、予想外であれ、又は更には治療の意図せぬ帰結であったとしても当てはまる。治療効果はまた、臨床医又は他の適格な観察者が注目するとおりの他覚的に同定可能な向上であってもよい。詳細な実施形態において、タウに特異的に結合する抗体の治療効果は、抗体によるMTBRタウへの結合を判定することにより検出し得る。MTBRタウ断片は、AD患者の脳脊髄液(CSF)で測定可能である(Alzheimer’s & Dementia Volume 15,Issue 7,Supplement,July 2019,Pages P1598-P1599)。MTBRタウは、健常成人と比較してAD患者のCSF中で有意に増加する。
【0062】
本明細書で使用されるとき、「投与すること」及び類似の用語は、医薬製剤を対象に注射する手順を指示している。
【0063】
用語「対象」は、本明細書で使用されるとき、任意の動物、詳細には、哺乳類を意味するように意図される。本方法はヒト及び非ヒト動物に適用可能であるが、最も好ましくはヒトでの適用である。一部の実施形態において、対象は、3つの遺伝子、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、プレセニリン1(PSEN1)、又はプレセニリン2(PSEN2)のうちの少なくとも1つに突然変異を有する。一部の実施形態において、対象はAPP遺伝子に突然変異を有する。一部の実施形態において、対象はPSEN1遺伝子に突然変異を有する。一部の実施形態において、対象はPSEN2遺伝子に突然変異を有する。DIADに寄与するAPP、PSEN1、又はPSEN2遺伝子の具体的な突然変異は、当該技術分野において公知である(例えば、Cruts & Van Broeckhoven,Hum Mutat.1998;11(3):183-90;Cruts,Theuns,& Van Broeckhoven,Hum Mutat.,2012 Sep;33(9):1340-4;Ryman et al.,Symptom onset in autosomal dominant Alzheimer disease:a systematic review and metaanalysis.Neurology,83(3),253-260;Sherva,R.,& Kowall,N.(2018).Genetics of Alzheimer disease-UpToDate.In J.Wilterdink(Ed.),UpToDate.Retrieved from www_uptodate_com/contents/genetics-of-alzheimerdisease?sectionName=GENETIC%20TESTING&topicRef=5071&anchor=H900056&source=see_lin k#H900056)。「対象」及び「患者」は、本明細書では同義的に使用することができる。
【0064】
本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、約3mg/kg~約90mg/kgの単回用量である。一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態であって、この量が約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg又は約90mg/kgの単回用量である静脈内投薬形態が提供される。
【0065】
本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に6.29μg/mL~1960μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する単回用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約9.55μg/mL~約1450μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する単回用量である。
【0066】
更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に12300μg・hr/mL~194000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-inf)を実現する単回用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約12300μg・hr/mL~約130000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-inf)を実現する単回用量である。
【0067】
更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に839μg・hr/mL~203000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する単回用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約1580μg・hr/mL~約122000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する単回用量である。
【0068】
本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に13.5ng/mL~672ng/mLの範囲のCSF Cmaxを実現する単回用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約15.9ng/mL~約404ng/mLの幾何平均CSF Cmaxを実現する単回用量である。
【0069】
更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に159ng・hr/mL~7690ng・hr/mLの範囲のCSF AUC(0-24h)を実現する単回用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約191ng・hr/mL~約5320ng・hr/mLの幾何平均CSF AUC(0-24h)を実現する単回用量である。
【0070】
本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、約750mg~約4500mgの用量である。タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態の一部の実施形態によれば、この量は、約1500mg~約4500mg、約1500mg~約3000mg、又は約3000mg~約4500mgの用量である。一部の実施形態によれば、抗体の用量は、対象に4週間に1回投与される。一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態であって、量が約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量である静脈内投薬形態が提供される。
【0071】
本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に21.1μg/mL~655μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約35.6μg/mL~約509μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する用量である。
【0072】
また、本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態も提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に2690μg・hr/mL~58900μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する用量である。更に本明細書には、タウに特異的に結合するある量の抗体を含む静脈内投薬形態が提供され、ここでこの量は、ヒト対象への投与後に約5360μg・hr/mL~約30300μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する用量である。
【0073】
また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を静脈内投与することを含む方法も提供され、ここでこの量は、約3mg/kg~約90mg/kgの単回用量である。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg、又は約90mg/kgの単回用量である。
【0074】
タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、投与後に6.29μg/mL~1960μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する単回用量である。タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、投与後に約9.55μg/mL~約1450μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する単回用量である。
【0075】
タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、投与後に12300μg・hr/mL~194000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-inf)を実現する単回用量である。タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、投与後に約12300μg・hr/mL~約130000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-inf)を実現する単回用量である。
【0076】
タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、投与後に839μg・hr/mL~203000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する単回用量である。タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、投与後に約1580μg・hr/mL~約122000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する単回用量である。
【0077】
タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、ヒト対象への投与後に13.5ng/mL~672ng/mLの範囲のCSF Cmaxを実現する単回用量である。タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、ヒト対象への投与後に約15.9ng/mL~約404ng/mLの幾何平均CSF Cmaxを実現する単回用量である。
【0078】
タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、投与後に159ng・hr/mL~7690ng・hr/mLの範囲のCSF AUC(0-24h)を実現する単回用量である。タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、投与後に約191ng・hr/mL~約5320ng・hr/mLの幾何平均CSF AUC(0-24h)を実現する単回用量である。
【0079】
また、本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法であって、ヒト対象にタウに特異的に結合するある量の抗体を投与することを含む方法も提供され、ここでタウに特異的に結合する抗体の量は、約750mg~約4500mgの用量である。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、約1500mg~約4500mg、約1500mg~約3000mg、又は約3000mg~約4500mgの用量である。一部の実施形態によれば、抗体の用量は、対象に4週間に1回投与される。一部の実施形態によれば、抗体の用量は、対象に静脈内投与される。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量である。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、4週間に1回投与される約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量である。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、静脈内投与される約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量である。
【0080】
本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される約750mgと、続く4週間に1回投与される約1500mgの用量である。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される約1500mgと、続く4週間に1回投与される約3000mgの用量である。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される約3000mgと、続く4週間に1回投与される約4500mgの用量である。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される約750mgと、続く3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される1500mgと、続く4週間に1回投与される約3000mgの用量である。本方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される約750mgと、続く3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される1500mgと、続く3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される約3000mgと、続く4週間毎の約4500mgの用量である。
【0081】
タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、ヒト対象への投与後に21.1μg/mL~655μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する用量である。タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、ヒト対象への投与後に約35.6μg/mL~約509μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する用量である。
【0082】
タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、この量は、ヒト対象への投与後に2690μg・hr/mL~58900μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する用量である。タウオパチーと診断されたヒト対象を治療する方法の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体の量は、ヒト対象への投与後に約5360μg・hr/mL~約30300μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する用量である。
【0083】
更に本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物であって、タウに特異的に結合する抗体を含む医薬組成物が提供され、ここでタウに特異的に結合する抗体は、約3mg/kg~約90mg/kgの単回用量として対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg、又は約90mg/kgの単回用量として対象に投与される。
【0084】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に6.29μg/mL~1960μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する単回用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に約9.55μg/mL~約1450μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する単回用量で対象に投与される。
【0085】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に12300μg・hr/mL~194000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-inf)を実現する単回用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に約12300μg・hr/mL~約130000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-inf)を実現する単回用量で対象に投与される。
【0086】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に839μg・hr/mL~203000μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する単回用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に約1580μg・hr/mL~約122000μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する単回用量で対象に投与される。
【0087】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に13.5ng/mL~672ng/mLの範囲のCSF Cmaxを実現する単回用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に約15.9ng/mL~約404ng/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する単回用量で対象に投与される。
【0088】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に159ng・hr/mL~7690ng・hr/mLの範囲のCSF AUC(0-24h)を実現する単回用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、投与後に約191ng・hr/mL~約5320ng・hr/mLの幾何平均CSF AUC(0-24h)を実現する単回用量で対象に投与される。
【0089】
更に本明細書には、タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物であって、タウに特異的に結合する抗体を含む医薬組成物が提供され、ここでタウに特異的に結合する抗体は、約750~約4500mgの量で対象に投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、約1500mg~約4500mg、約1500mg~約3000mg、又は約3000mg~約4500mgの量で対象に投与される。一部の実施形態によれば、抗体は、対象に4週間に1回投与される。一部の実施形態によれば、抗体は、対象に静脈内投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの量で投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの量で4週間に1回投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、静脈内約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの量で投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回の約750mgと、続く4週間に1回投与される約1500mgの量で投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回の約1500mgと、続く4週間に1回投与される約3000mgの量で投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される約3000mgと、続く4週間に1回投与される約4500mgの量で投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回の約750mgと、続く3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される1500mgと、続く4週間に1回投与される約3000mgの量で投与される。医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される約750mgと、続く3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される1500mgと、続く3投与サイクル又は12週間にわたって4週間に1回投与される約3000mgと、続く4週間毎の約4500mgの量で投与される。
【0090】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、ヒト対象への投与後に21.1μg/mL~655μg/mLの範囲の血清Cmaxを実現する用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、ヒト対象への投与後に約35.6μg/mL~約509μg/mLの幾何平均血清Cmaxを実現する用量で対象に投与される。
【0091】
タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、ヒト対象への投与後に2690μg・hr/mL~58900μg・hr/mLの範囲の血清AUC(0-672h)を実現する用量で対象に投与される。タウオパチーと診断されたヒト対象の治療用医薬組成物の一部の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体は、ヒト対象への投与後に約5360μg・hr/mL~約30300μg・hr/mLの幾何平均血清AUC(0-672h)を実現する用量で対象に投与される。
【0092】
一部の実施形態によれば、提供される投薬形態、方法、及び医薬組成物は、対象のタウオパチーの治療に使用されてもよい。開示される抗タウ抗体で治療することのできる例示的タウオパチーとしては、アルツハイマー病(AD)、進行性核上性麻痺(PSP)、及び前頭側頭型認知症(FTD)が挙げられる。治療することのできる例示的FTDは、ピック病(PiD)である。治療することのできる例示的ADは、優性遺伝性AD(DIAD)又は散発性ADである。
【0093】
提供される投薬形態、方法、及び医薬組成物の特定の実施形態によれば、タウに特異的に結合する抗体(本明細書では「抗タウ抗体」とも称される)は、表1~表5に示されるとおりのアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)、及び/又は相補性決定領域(CDR)を含む。特定の例示的実施形態において、開示される投薬形態、方法、及び医薬組成物の文脈で使用することのできる抗タウ抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)の重鎖相補性決定領域(HCDR)と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む。特定の実施形態によれば、抗タウ抗体は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)と3つのLCDR(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)とを含み、ここでHCDR1は配列番号7のアミノ酸配列を含み;HCDR2は配列番号8のアミノ酸配列を含み;HCDR3は配列番号9のアミノ酸配列を含み;LCDR1は配列番号10のアミノ酸配列を含み;LCDR2は配列番号11のアミノ酸配列を含み;及びLCDR3は配列番号12のアミノ酸配列を含み、ここでCDRは、Kabatの方法に従い定義される。特定の実施形態によれば、抗タウ抗体は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)と3つのLCDR(LCDR1、LCDR2及びLCDR3)とを含み、ここでHCDR1は配列番号13のアミノ酸配列を含み;HCDR2は配列番号14のアミノ酸配列を含み;HCDR3は配列番号15のアミノ酸配列を含み;LCDR1は配列番号16のアミノ酸配列を含み;LCDR2は配列番号17のアミノ酸配列を含み;及びLCDR3は配列番号18のアミノ酸配列を含み、ここでCDRは、IMGT方法に従い定義される。更に他の実施形態において、抗タウ抗体は、配列番号2を含むVHと配列番号5を含むVLとを含む。特定の実施形態において、抗タウ抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖及び/又は配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む例示的抗タウ抗体は、抗体E2814、別名、国際公開第2019/077500号パンフレット(全体として参照により本明細書に援用される)に開示される抗体7G6-HCzu25-LCzu18である。特定の例示的実施形態によれば、抗タウ抗体は、抗体E2814又はそのバイオシミラーである。
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【0098】
【0099】
更なる態様において、本発明は、例えば、本明細書に提供される方法のいずれかにおける使用のための、本明細書に記載されるとおりのタウに特異的に結合する抗体のいずれかを含む医薬製剤を提供する。一部の実施形態において、医薬製剤は、本明細書に提供されるタウに特異的に結合する抗体のいずれかと、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、及び/又は賦形剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))とを含む。薬学的に許容可能な担体、希釈剤、及び賦形剤は、用いられる投薬量及び濃度で被投与者にとって概して非毒性である。生体内投与に使用されることになる製剤は、概して無菌である。本明細書に提供されるタウに特異的に結合する抗体(又はその製剤)のいずれも、本開示の方法において使用し得る。
【0100】
特定の実施形態において、タウオパチーの治療方法における使用のための抗タウ抗体が提供される。
【0101】
一部の実施形態によれば、タウオパチーの治療方法における使用のための抗タウ抗体の用量は、約3mg/kg~約90mg/kgである。一部の実施形態によれば、タウオパチーの治療方法における使用のための抗タウ抗体の用量は、約3mg/kg~約10mg/kg、約10mg/kg~約30mg/kg、約30mg/kg~約60mg/kg、又は約60mg/kg~約90mg/kgである。例えば、抗タウ抗体の用量は、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg、又は約90mg/kgであってもよい。特定の実施形態において、タウオパチーは、上記に記載されるタウオパチーのいずれか1つである。
【0102】
更なる態様において、また、本明細書には、医薬の製造又は調製における本明細書に記載されるとおりの抗タウ抗体の使用も提供される。一部の実施形態において、この医薬は、タウオパチーの治療用医薬である。一部の実施形態によれば、医薬は、約3mg/kg~約90mg/kgの用量の抗タウ抗体を含む。一部の実施形態によれば、医薬は、約3mg/kg~約10mg/kg、約10mg/kg~約30mg/kg、約30mg/kg~約60mg/kg、又は約60mg/kg~約90mg/kgの用量の抗タウ抗体を含む。例えば、抗タウ抗体の用量は、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg、又は約90mg/kgであってもよい。特定の実施形態において、タウオパチーは、上記に記載されるタウオパチーのいずれか1つである。
【0103】
一部の実施形態によれば、タウオパチーの治療方法における使用のための抗タウ抗体の用量は、約750mg~約4500mgである。一部の実施形態によれば、タウオパチーの治療方法における使用のための抗タウ抗体の用量は、約1500mg~約4500mg、約1500mg~約3000mg、又は約3000mg~約4500mgである。例えば、抗タウ抗体の用量は、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgであってもよい。特定の実施形態において、タウオパチーは、上記に記載されるタウオパチーのいずれか1つである。
【0104】
更なる態様において、また、本明細書には、医薬の製造又は調製における本明細書に記載されるとおりの抗タウ抗体の使用も提供される。一部の実施形態において、この医薬は、タウオパチーの治療用医薬である。一部の実施形態によれば、医薬は、約750mg~約4500mgの用量の抗タウ抗体を含む。一部の実施形態によれば、医薬は、約1500mg~約4500mg、約1500mg~約3000mg、又は約3000mg~約4500mgの用量の抗タウ抗体を含む。例えば、抗タウ抗体の用量は、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgであってもよい。特定の実施形態において、タウオパチーは、上記に記載されるタウオパチーのいずれか1つである。
【0105】
好適な投与経路としては、非経口投与が挙げられる。本発明の一部の態様によれば、本明細書に記載されるとおりの抗タウ抗体は、非経口的に、例えば、静脈内注射など、注射によって投与される。
【0106】
一部の態様において、本明細書に記載されるとおりの抗タウ抗体は、単回投与で投与される。
【0107】
疾患の種類及び重症度に応じて、約3mg/kg~約90mg/kgの抗タウ抗体を患者に単回投与で投与することができる。1回の治療セッション又は来院で投与される抗タウ抗体の例示的用量は、約3mg/kg、約10mg/kg、約30mg/kg、約60mg/kg、又は約90mg/kgである。一部の実施形態によれば、抗タウ抗体は、約3mg/kg~約10mg/kg、約10mg/kg~約30mg/kg、約30mg/kg~約60mg/kg、又は約60mg/kg~約90mg/kgの用量として対象に投与される。
【0108】
疾患の種類及び重症度に応じて、約750mg~約4500mgの抗タウ抗体を患者に単回投与で投与することができる。1回の治療セッション又は来院で投与される抗タウ抗体の例示的用量は、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgである。一部の実施形態によれば、抗タウ抗体は、対象に4週間に1回投与される。一部の実施形態によれば、抗タウ抗体は、約1500mg~約4500mg、約1500mg~約3000mg、又は約3000mg~約4500mgの用量として対象に投与される。一部の実施形態によれば、抗タウ抗体は、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量として対象に投与される。一部の実施形態によれば、抗タウ抗体は、約750mg、約1500mg、約3000mg、又は約4500mgの用量として対象に4週間に1回投与される。
【0109】
一部の実施形態によれば、対象に投与される抗タウ抗体の用量は、3回目の投与後に増加させる。例えば、対象は、750mgの抗タウ抗体3用量を4週間毎に受けた後、続いて1500mgの用量を4週間毎に受けてもよい。対象は、1500mgの抗タウ抗体3用量を4週間毎に受けた後、続いて3000mgの用量を4週間毎に受けてもよい。一部の実施形態によれば、対象は、3000mgの抗タウ抗体3用量を4週間毎に受けた後、続いて4500mgの用量を4週間毎に受けてもよい。
【0110】
本明細書に開示される実施形態の一部を更に説明するため、以下に例を提供する。この例は、開示される実施形態を限定するのでなく、例示することを意図している。
[実施例]
【0111】
実施例1.健常対象におけるE2814の静脈内注入の安全性、忍容性、薬物動態、免疫原性、及び薬力学を評価するための無作為化、二重盲検、プラセボ対照、組み合わせ単回漸増用量及び複数回漸増用量研究(研究E2814-A001-001)
【0112】
研究の理論的根拠及びデザイン:
研究E2814-A001-001は、健常対象におけるE2814の静脈内注入の安全性、忍容性、薬物動態(PK)、免疫原性、及び薬力学(PD)(ターゲットエンゲージメント[TE])を評価するための無作為化、二重盲検、プラセボ対照、組み合わせ単回漸増用量(SAD)及び複数回漸増用量(MAD)研究である。
【0113】
本研究は、2つのコンポーネントで構成される:
1)SADコンポーネントでは、健常対象における3、10、30、60、及び90mg/kgの静脈内用量を判定することにより、E2814の安全性、忍容性、PK、免疫原性、及び探索的TEを評価する。SADコンポーネントは、2つのフェーズからなる:無作為化前フェーズ(スクリーニング期間(-28日目~-2日目)からなる)及び無作為化フェーズ(治療期間及びフォローアップ期間からなる)。
この治療期間中、スクリーニング手順が完了した後、-1日目に対象のベースライン評価を行った/行うことになる(
図1)。SADコンポーネントは、5つの用量コホート(3、10、30、60、及び90mg/kg)からなる;各コホートにおいて8例の対象が単回用量のE2814又はE2814対応プラセボ(E2814に対応するプラセボ溶液)を受けるように無作為化(3:1)する/した。
全ての対象が、1日目に単回E2814又はE2814対応プラセボ静脈内注入を受けることになる/受けた。1日目、各用量レベルにつき2例の対象が、1例の対象はE2814を受け、及び1例対象はプラセボを受けるように無作為化されることになる。各コホートの残り6例の対象は、少なくとも24時間後に無作為化された/無作為化されることになり、投与された/投与されることになる。本研究のSADコンポーネントの終了は、最後の対象についての最終回の研究評価日であることになる。本研究のSADコンポーネントについてのデザインの概要は、
図2に提示する。
2)MADコンポーネントでは、4週間毎に(Q4W)3回の機会に分けて静脈内投与される4つの固定用量を判定することにより、健常対象における複数回用量静脈内投与後のE2814の安全性、忍容性、PK、及び免疫原性を評価することになる。用量は、750、1500、3000、及び4500mg(Q4W)である。このMADコンポーネントは、2つのフェーズ:無作為化前フェーズ(スクリーニング期間(-28日目~-2日目)からなる)及び無作為化フェーズ(治療期間及びフォローアップ期間からなる)からなる。
この治療期間中、スクリーニング手順が完了した後、-1日目に対象のベースライン評価を行った/行うことになる(
図3)。各コホートにおいて(750、1500、3000、及び4500mg(Q4W))、8例の健常対象が3回のQ4W用量のE2814又はE2814対応プラセボ(E2814に対応するプラセボ溶液)を受けるように無作為化(3:1)した/することになる。計画される用量漸増スキームは、750、1500、3000、及び4500mgである。TEは、脳脊髄液(CSF)中の遊離型及び結合型タウ種を測定することにより判定した/判定されることになる。
本研究のMADコンポーネントの終了は、最後の対象についての最終回の研究来院評価日であることになる。本研究のMADコンポーネントについての研究デザインの概要は、
図4に提示する。
【0114】
研究の目的
本研究のSADコンポーネントの主要目的は、健常成人対象におけるE2814の単回静脈内注入の安全性及び忍容性を判定することである。本研究のMADコンポーネントの主要目的は、健常成人対象におけるE2814の3回のQ4W静脈内注入の安全性及び忍容性を判定することである。
【0115】
本研究のSADコンポーネントの副次的目的は、血清、血漿、及び脳脊髄液(CSF)中のE2814のPKを評価すること;及びE2814の免疫原性(血清[又は血漿]抗E2814抗体の産生)を評価することである。本研究のMADコンポーネントの副次的目的は、3回のQ4W静脈内注入後の血清、血漿、及びCSF中のE2814のPKを評価すること;及び3回のQ4W静脈内注入後のE2814の免疫原性(血清[又は血漿]抗E2814抗体の産生)を評価することである。
【0116】
本研究のSAD及びMADの両方のコンポーネントとも、その探索的目的は、健常成人非日本人対象と日本人対象との間でE2814のPK、安全性、及び忍容性を比較すること;CSF中MTBRタウ種に対するE2814のTEを判定すること;及びE2814がCSF及び/又は血漿バイオマーカーに及ぼす効果を探索することである。
【0117】
研究対象集団
組入れ基準。本研究への組入れには、対象は以下の基準を満たしていなければならない:
1.非喫煙者である健常な男性又は女性対象。
2.インフォームドコンセント時点で年齢20歳以上55歳以下
【0118】
除外基準。以下の基準のいずれかが該当する対象は、本研究から除外されることになる:
1.投与から8週間以内の医学的治療を必要とする臨床的に重大な病気又は4週間以内の医学的治療を必要とする臨床的に重大な感染症。
2.スクリーニング時又はベースライン時に授乳中又は妊娠中の女性
3.妊娠の可能性がある女性であって:
研究登録前の28日間、極めて有効な避妊方法を使用しなかった者、
本研究期間全体を通じた、及び研究薬中止後16週間にわたる極めて有効な避妊方法の使用に同意しない者。
4.精管切除術が成功していない男性又は男性及びその女性パートナーが上記基準(即ち、妊娠の可能性がない、又は研究期間中を通じて及び研究薬中止後研究薬の半減期の5倍+90日間にわたって極めて有効な避妊法を実施すること)を満たさない。女性パートナーが妊娠中である場合に、そのとき、研究期間を通じた、及び研究薬中止後90日間にわたるラテックス製コンドーム、又は合成コンドームの使用に合意しない男性。
5.投与前4週間以内の研究のアウトカムに影響を与え得る疾患のエビデンス;例えば、精神障害及び胃腸管、肝臓、腎臓、呼吸器系、内分泌系、血液系、神経系、又は心血管系の障害、又は代謝に先天性異常のある対象
6.スクリーニング時又はベースライン時に、病歴、理学的検査、バイタルサイン、心電図(ECG)所見、又は臨床検査結果から見つかる医学的治療を必要とする任意の臨床的に異常な症状又は臓器機能障害
7.スクリーニング時又はベースライン時にECGで実証されるQT延長(即ち、フリデリシア補正QTc間隔>450ms)。トルサード・ド・ポアンツのリスク因子の既往歴(例えば、心不全、低カリウム血症、QT延長症候群の家族歴)。
8.スクリーニング時又はベースライン時に持続性の収縮期血圧(SBP)>130mmHg又は拡張期血圧(DBP)>85mmHg。
9.スクリーニング時又はベースライン時に心拍数45拍/分未満又は100拍/分超。
10.スクリーニング時又はベースライン時に既知の臨床的に重大な薬物アレルギー歴
11.スクリーニング時又はベースライン時に既知の食物アレルギー歴又は現在抱えている重大な季節性若しくは通年性アレルギー
12.国立癌研究所(National Cancer Institute)-有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events:CTCAE)第5.0版に記載されるとおりのグレード2~4の臨床的特徴を伴う異種タンパク質に対する任意の過敏性反応歴、免疫グロブリンA(IgA)欠乏、又は重大な自己免疫疾患若しくは障害。
13.スクリーニング時にヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性であることが分かっている。
14.スクリーニング時に陽性血清により実証されるとおりの活動性又は慢性(無症候性を含む)ウイルス性肝炎(A型、B型又はC型)。
15.スクリーニング前2年以内の薬物又はアルコール依存歴又は乱用歴、又はスクリーニング時又はベースライン時に尿薬物検査又は呼気(又は尿)アルコール検査が陽性である者。
16.投与前2週間以内の市販薬の服用。
17.現在別の臨床試験に登録している、又はインフォームドコンセントに先立つ30日以内(又は5半減期以内、いずれか長い方)にいずれかの治験薬又は治験装置を使用した
18.スクリーニング前の90日以内又は少なくとも5半減期以内(いずれか長い方)、又はワクチンについては4週間以内のいずれかの生物学的薬物への曝露、但し、インフルエンザ及びCOVID-19ワクチン接種は例外とし、これらは投与の7日前までであれば許容される。
19.入院手続き前2週間以内の激しい運動への関与。
20.腰部カテーテルの留置によるか又は腰椎穿刺(LP)による連続的CSF試料採取のいずれかの禁忌
21.スクリーニング時又はベースライン時に、血小板数<50,000、国際標準化比(INR)>1.3、又は部分トロンボプラスチン時間(PTT)>正常上限(ULN)、又はフィブリノゲン<1.8g/L又は>4.3g/Lを含めた、適切なコントロール下にない血液凝固又は出血性障害のいずれかの既往歴又は現在の持病。抗凝固療法を受けている、又は出血のリスクがあると同定された対象。
22.いずれかの一生涯続く自殺行動又は精神疾患。
23.いずれかの現在又は過去の自殺行動歴又はスクリーニング来院時に精神科医が同定した精神疾患。
【0119】
研究評価
1.薬物動態(PK)評価。
バリデートされた電気化学発光(ECL)アッセイ方法によるか、又はバリデートされた免疫沈降/精製によるのと、可能な場合には続く液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC-MS/MS)方法により、E2814の血清、血漿、及びCSF濃度を測定した/測定することになる。
【0120】
SAD:投与前、注入終了直後、並びに注入終了後0.5、1、2、4、8、12、及び24時間に血清及び血漿PK評価用の血液試料を採取し、並びに4、8、15、22、29、43、57、85、及び113日目(EOS/ET来院)(該当する場合)の各々に単回の試料を採取した/採取することになる。血清E2814濃度をノンコンパートメント法により分析して、関連性のあるPKパラメータを決定することになる。加えて、コホート1~3においてのみ、PDバイオマーカー用に採取した血漿試料もまた使用して、血漿中のE2814濃度を決定することになる。投与前、注入終了後2、4、8、12、及び24時間でPK/PD評価用のCSF試料を髄腔内経路により採取し、29日目にLPにより単回の試料を採取することになる。
【0121】
MAD:
図3に指定されるとおり、各対象から血液試料及びCSF試料を採取した/採取することになる。血清及び血漿PK評価用の血液試料は、以下のスケジュールに従い採取した/採取することになる:
・1日目の投与前及び1回目の注入終了直後、及び注入終了後0.5、1、2、4、8、12、24時間(2日目)、及び72時間(4日目)。8及び15日目の外来来院時には、単回の試料を採取した/採取することになる。
・29日目(2回目の注入)の投与前及び43日目における単回の試料
・57日目の投与前及び3回目の注入終了直後、並びに注入終了後0.5、1、2、4、8、12、24時間(58日目)、及び72時間(60日目)。64、71、85、113、141、及び169日目(研究終了時/早期中止(EOS/ET)来院)(該当する場合)の外来来院時に単回の試料を採取した/採取することになる。
【0122】
血清及び血漿E2814濃度をノンコンパートメント法により分析して、関連性のあるPKパラメータを決定した/決定することになる。
【0123】
1日目の投与前、57日目の投与前、及び85日目に、PK及びPD評価用にLPによりCSF試料を採取した/採取することになる。
【0124】
薬物動態分析。血清、血漿、及びCSF中E2814濃度を名目上の試料採取時間別に一覧表にし、要約統計量を用いて用量別に要約した/要約することになる。血清、血漿、及びCSF濃度-時間プロファイルをプロットした/プロットすることになる。ノンコンパートメント解析を用いて血清/血漿中(SAD及びMAD)及びCSF中(SADのみ)のE2814濃度を分析することにより、PKパラメータを決定した/決定することになる。
【0125】
表6に示されるとおり、SAD及びMADコンポーネントの血清及び血漿PKパラメータには、(限定はされないが)Cmax、最高薬物濃度に達するまでの時間(tmax)、AUC(0-24h)、AUC(0-72h)、終末相消失半減期(t1/2)、クリアランス(CL)、及び分布容積(Vz)が含まれた/含まれることになる。AUC(0-inf)は、SADコンポーネントについてのみ推定した/推定することになり、及びAUC(0-タウ)、Cmaxの蓄積比(Rac(Cmax)、及びAUCの蓄積比(Rac(AUC))は、MADコンポーネントについてのみ推定した/推定することになる。CSF E2814のPKパラメータには、(限定はされないが)Cmax、tmax、及びAUC(0-24h)が含まれる。MADコンポーネントについては、CSF PKパラメータは推定されないことになる。
【0126】
【0127】
2.薬力学的評価
SADについては
図1及びMADについては
図3に手順/評価スケジュールが指定されるとおり、血液試料及びCSF試料を採取した/採取することになる。
【0128】
SAD:結合型MTBRタウ種(例えば、MTBRタウ354及びMTBRタウ299)及び遊離型MTBRタウ種の測定及び全MTBRタウの計算を通じてヒトにおけるTE分析手法の確立のためのくも膜下腔カテーテル留置によりCSF試料を採取した/採取することになる。29日目、LPを実施した/実施することになる。投与前、注入終了直後、並びに注入終了後0.5、1、2、4、8、12及び、24時間にPDバイオマーカー用の血漿試料を採取し、並びに4、8、15、22、29、43、57、85、及び113日目(EOS/ET来院)に単回の試料を採取した/採取することになる。PDバイオマーカー用の血漿試料はまた、血漿中のE2814濃度及び必要に応じて、抗E2814抗体の決定にも使用し得る。
【0129】
MAD:TEを判定するため、1日目の投与前、57日目の投与前、及び85日目に、LP試料採取によってCSF試料を採取した/採取することになる。血漿PDバイオマーカー用の血液試料を1、29、及び57日目の投与前及び注入終了直後に採取した/採取することになる。85日目の外来来院時、及び169日目のEOS/ET来院時に単回の試料を採取した/採取することになる。
【0130】
薬力学的分析。バイオマーカー測定値及びベースラインからの変化を時点別及び用量別及び/又は治療群別に要約し、グラフで提示した/提示することになる。これらの分析は、データが許容すれば、CSF及び血漿の両方について行った/行われることになる。必要に応じて用量反応関係を判定した/判定することになる。CSF及び血漿中のバイオマーカーについての更なる探索的分析を実施し得る。
【0131】
3.薬物動態-薬力学評価
E2814曝露とCSF及び/又は血漿バイオマーカーとの間のPK-PD関係を評価した/評価することになる。この評価には、限定はされないが、CSF中のE2814濃度とMTBRタウ結合との間のPK/TE関係の特徴付けが含まれ得る。
【0132】
PK-PD分析。データ上許容されれば、PKとPDとの間の関係をプロットを用いた目視検査によって判定した/判定することになる。これには、限定はされないが、CSF中のE2814濃度とMTBRタウ結合との間のPK/TE関係のグラフによる探索が含まれ得る。
【0133】
4.安全性評価
安全性評価は、全てのAEのモニタリング及び記録からなった/それからなることになる;血液学(SAD[コホート4及び5]コンポーネント及びMADのみのコンポーネントの全コホートにおける凝固を含む)、臨床化学、及び尿値の定期的モニタリング;バイタルサイン及びECGの定期的測定;C-SSRSを使用した自殺傾向の定期的な判定(MADのみ)、及び理学的検査の実施(精神医学的判定を含む)は、SADコンポーネントについて(
図1)及びMADコンポーネントについて(
図3)の手順/評価スケジュールに詳述するとおり実施することになる。
【0134】
安全性分析。判定した/判定することになる安全性データとしては、AE、臨床検査結果、バイタルサイン、ECG、C-SSRS(MADのみ)、及び理学的検査(精神医学的判定を含む)が挙げられる。臨床検査、バイタルサイン、及びECGの記述統計量(例えば、連続変数について平均値、SD、中央値、最小値、及び最大値、並びにカテゴリー変数について数及び割合)、及びベースラインからの変化を用量別に判定した/判定することになる。
【0135】
5.検査室測定
実施されるべき臨床検査には、血液学(MADコンポーネントにおいてのみ凝固を含む)、臨床化学、及び検尿が含まれる。手順/評価スケジュール(SADコンポーネントについて
図1及びMADコンポーネントについて
図3)に、本研究において臨床検査用の血液及び検尿用の尿を採取した/採取することになる来院及び時点を示す。
【0136】
6.免疫原性
適切にバリデートされたECLアッセイ方法により、抗E2814抗体を測定した/測定することになる。免疫原性は、投与後様々な時点における血清(及び/又は血漿)中の抗E2814抗体の存在を測定することにより評価することになる。加えて、本研究では、白血球(WBC)/赤血球(RBC)数・分画の変化並びに2つの急性期炎症マーカー、C反応性タンパク質(CRP)、及びフィブリノゲンの血中濃度の変化に関する緊密なモニタリングを含め、免疫原性との関連性があり得る炎症に関してモニタするための臨床測定を実施した/実施することになる。免疫応答を有する疑いがある対象の更なる安全性評価には、サイトカイン応答、リンパ球数及びサブセットの測定、免疫電気泳動法、又は任意の他の臨床的に適切な評価が含まれ得る。
【0137】
来院別及び用量別に抗薬物抗体(ADA)陽性及び陰性並びにADA力価カテゴリー(>0、5、25、125等)で対象の数(割合)を要約することになる。加えて、抗薬物抗体(ADA)力価とPKプロファイルとの間の相関を最低でも記述統計量及び要約プロットを用いて判定した/判定することになる。
【0138】
研究評価項目
1.主要評価項目。
SAD及びMADコンポーネントの主要評価項目は、治療中に発生した有害事象(TEAE)及び治療中に発生した重篤有害事象(SAE)の発生率、臨床検査パラメータ、バイタルサイン、及びECGである。
【0139】
2.副次的評価項目
SAD:
・血清、血漿、及びCSF中E2814濃度を使用したノンコンパートメント解析によって導き出されるPKパラメータ;
・血清(及び/又は血漿)抗E2814抗体濃度。
【0140】
MAD:
・1及び57日目の注入後の血清及び血漿E2814濃度、並びに57日目の投与前及び85日目(即ち、それぞれ、2回目及び3回目の注入から28日後)のCSF E2814濃度を使用したノンコンパートメント解析によって導き出されるPKパラメータ;
・血清(及び/又は血漿)抗E2814抗体濃度。
【0141】
3.探索的評価項目
SAD及びMAD:
・CSF遊離型及び結合型MTBRタウ及び総MTBRタウのベースラインからの変化
・t-タウ及びp-タウを含めたCSF及び/又は血漿バイオマーカーのベースラインからの変化
【0142】
解析対象集団:
安全性解析対象集団は、少なくとも1用量の研究薬を受けた、且つ少なくとも1つの投与後安全性評価を有した対象の群であった。PK解析対象集団は、少なくとも1用量の研究薬を受けた、且つ少なくとも1つのPKパラメータを導き出すのに十分なPKデータを有した対象の群であった。PD解析対象集団は、少なくとも1用量の研究薬を受けた、且つ少なくとも1つのPDパラメータを導き出すのに十分なPDデータを有した対象の群であった。
【0143】
予備的結果:臨床上の安全性。
SADコンポーネント(研究E2814-A001-001):
研究E2814-A001-001のSADコンポーネントは、3、10、及び30mg/kgのE2814用量レベルに対応する3コホートの判定が完了済みである。各コホートの中で、6例の対象がE2814を受け、及び2例の対象がE2814対応プラセボを受けた。合計24例の健常対象が研究E2814-A001-001のSADコンポーネントに無作為化されており、そのうち18例にE2814が投与され、6例にプラセボが投与された。本研究に登録した24例の対象全てが、少なくとも1用量のプラセボ又はE2814を受け、安全性解析対象集団に組み入れた。対象の人口統計学的特性及びベースライン特性を
図5Aに要約する。
【0144】
SADコンポーネント安全性結果(コホート1~5;
図14A)は、判定した3、10、30、60、及び90mg/kgの全用量で臨床的に重大な薬物関連の臨床検査上、ECG上又は診察上の安全性所見又は用量制限有害事象(AE)が存在しないことによって示されるとおり、E2814が適切な安全性及び忍容性プロファイルを有することを実証している。治療中に発生した重篤な有害事象又は重度のAEはなかった。2つのAE、皮膚発疹及び頭痛は、両方とも重症度が軽度であり、治験責任医師により、研究薬に関係があると見なされた。コホート3の1例の対象は、特に2及び3日目に、ベースラインと比較してC反応性タンパク質(CRP)高値を有したが、これは無症候であり、治療することなく解消した。最大耐量(MTD)は同定されなかった。
【0145】
更には、コホート4(60mg/kg)及びコホート5(90mg//kg)の各々において、現在までに6例の対象がE2814を受けたところであり、2例の対象がE2814対応プラセボを受けたところである。これらのコホートからの予備的データによれば、治療中に発生した重篤な有害事象又は重度の有害事象はなく、バイタルサイン、EEG、及び臨床検査データ上の臨床的に重大な所見はなかったことが実証された。
【0146】
MADコンポーネント(研究E2814-A001-001):
対象の人口統計学的特性及びベースライン特性を
図5Bに要約する。
【0147】
研究E2814-A001-001のMADコンポーネントでは、データがそれぞれ169日目(最終回の研究来院)及び85日目まで利用可能な、4週間毎(Q4W)に合計3用量にわたる750mg及び1500mgのE2814用量レベルに対応する2つのコホートが判定された。各MADコホートにおいて、6例の対象がE2814を受け、2例の対象がE2814対応プラセボを受けた。合計16例の健常対象を無作為化し、そのうち12例の対象が静脈内E2814(1コホートにつき6例の実薬)を受け、及び4例の対象がプラセボ(1コホートにつき2例)を受けた。合計3例の対象が薬物関連の安全性事象以外の理由で脱落した:2例の対象は、1日目の投与後に、ベースライン来院時及び研究薬投与前には同定されなかった既存の病態(1例は感染性皮膚発疹[750mg]及び1例は無症候性Mスパイク[1500mg])に起因して脱落した。3番目の対象は、投与のための来院スケジュールをパー・プロトコルの許容ウィンドウ内に調整できなかったため、3回目の用量を受ける前に脱落した。この対象には軽度の呼吸器症状が見られ(COVID-19 PCRは陰性)、これは研究薬とは無関係と見なされた。
【0148】
MADコンポーネント安全性結果は、判定した750及び1500mg Q4Wの用量全般で臨床的に重大な薬物関連の臨床検査上、バイタルサイン上、ECG上若しくは理学的検査上の安全性所見又は用量制限AEが存在しないことにより示されるとおり、E2814が適切な安全性及び忍容性プロファイルを有することを実証している。合計では、本研究中、E2814で治療した12例の対象中8例(66.7%)及びプラセボで治療した4例の対象中2例(50.0%)に少なくとも1件のTEAEが認められた。治療中に発生した重篤なAE又は重度のAEはなかった。異常な検査所見はいずれも、対象の症状に関連するものではなく、主任治験責任医師により臨床的に重大でないと見なされた。E2814で治療したMADコホートの全ての対象で、最もよく見られるTEAEは、頭痛(16.7%、2例の対象)、背痛(16.7%、2例の対象)、及び皮膚発疹(16.7%、2例の対象)であった。最大耐量(MTD)は同定されなかった。
【0149】
更に、コホート3(3000mg Q4W)においては、現在までのところ、このコホートで5例の対象がE2814を受け、2例の対象がE2814対応プラセボを受けたところである。このコホートからの予備的データによれば、健常ボランティアにおいて3000mg Q4Wの用量のE2814が許容できる安全性及び忍容性プロファイルを呈したこともまた実証された。治療中に発生した有害事象(TEAE)の強度は概して軽度であり、3例の中等度(2例の頭痛[1例は関連あり]、1例の悪心[関連あり])であった。治療中に発生した重篤な有害事象又は重度の有害事象はなく、バイタルサイン、EEG、及び臨床検査データに臨床的に重大な所見はなかった。研究E2814-A001-001のMADコンポーネントの安全性データは、
図14Bに要約する。
【0150】
研究E2814-A001-001のSAD及びMADコンポーネントからの安全性結果は、判定した全コホートで、E2814が適切な単回及び複数回用量安全性及び忍容性プロファイルを有し、臨床的に重大な薬物関連の臨床検査上、凝固パラメータ上(フィブリノゲン、INR、PT、aPTT)、バイタルサイン上、ECG上又は理学的検査上の安全性所見又は用量制限有害事象(AE)はないことを実証している。SAD及びMADコンポーネントにおけるそれぞれ90mg/kg及び3000mg Q4Wの判定した最も高い用量に至るまでの用量で、用量制限事象(DLE)はなかった。
【0151】
予備的結果:臨床薬理学
研究E2814-A001-001のSADコンポーネントにおいて、合計18例の健常成人男性及び女性対象でE2814の単回用量PK及びTEを調べた。同じ研究のMADコンポーネントにおける合計12例の対象で、3回の繰り返しQ4W注入の後にPK及びTEを判定した。
【0152】
予備的結果:臨床薬物動態(PK)
SADコンポーネント-PK及びADA(研究E2814-A001-001)
SADコンポーネントにおける単回静脈内用量投与後のE2814の平均血清濃度-時間プロファイルを
図7に示す。幾何平均血清PKパラメータを
図6に提示する。
【0153】
PK結果は、血清E2814曝露量の用量依存的増加があったことを指示している(
図6)。観察された血清AUC及びC
maxは、3~30mg/kgまでほぼ用量比例的であり、60mg/kg及び90mg/kgのそれより高い用量では、用量比例性を超えた(
図6)。血清中最高E2814濃度に達するまでの時間(t
max)の中央値は、1~2.5時間であった。全用量群で見ると、E2814は、約36L~55Lの分布容積(V
z)、0.04~0.07L/時間のクリアランス(CL)、及び20~25日の半減期(t
1/2)の範囲を呈した。血清対CSF濃度比は、0.1%~0.3%の範囲であった(
図6)。E2814の平均CSF濃度-時間プロファイルを
図9に示す。幾何平均CSF PKパラメータは
図8に提示する。CSF PK結果は、3~60mg/kgの用量範囲の間でC
max及びAUC
(0-24h)の用量比例性を超えた増加を指示しており、これらの用量群全てで見ると、t
max中央値は25時間であった。
【0154】
24例のE2814治療対象中8例で(3例の対象は3mg/kgコホート、1例の対象は30mg/kgコホート、及び4例の対象は60mg/kgコホート)、血清中に抗E2814抗体(ADA)の存在が確認された。これらの合計8例の対象のうち、5例の対象には、113日目(研究終了、EOS)までに一過性の低レベル血清抗E2814抗体力価が見られた。陽性対象は全て、3mg/kgコホートの1例を除き、フォローアップ中にベースライン状態に戻った。ADA陽性対象における観察されたE2814薬物動態は、ADA陰性対象と同等であった。
【0155】
MADコンポーネント-PK及びADA(研究E2814-A001-001)
MADコンポーネントにおける複数回静脈内用量投与後のE2814の平均血清濃度-時間プロファイルを
図15に示す。幾何平均血清PKパラメータを
図10に提示する。1日目及び57日目の投与後のE2814濃度-時間プロファイルは、毎回注入の終了直後に血清濃度がピークに達したことを示している。調べた3つのMAD用量で、血清中E2814濃度の用量依存性の増加があった。血清中最高E2814濃度に達するまでの時間(t
max)の中央値は1日目に1.5~2.25時間であり、3回目の注入後はt
max中央値に遅延があるように見えた(5~7時間)。観察された1日目及び57日目血清幾何平均AUC値は用量比例的に増加した。C
maxの増加は、用量比例性を超えているように見えた。E2814は、約28~32Lの分布容積(V
z)、約0.04~0.06L/時間のクリアランス(CL)、及び約16~19日の血清中半減期(t
1/2)の範囲を呈し、これは観察されたSADコンポーネント値とほぼ同等であった。蓄積係数は、C
maxについて1.28~1.43、及びAUC
(0-672h)について1.27~1.79の範囲であった。
【0156】
750mg及び1500mg用量群で血清ADAを判定した。750mg用量群の1例の対象のみに、1日目の用量投与前に陽性が確認された。
【0157】
予備的結果:ヒトにおけるターゲットエンゲージメント
E2814結合型及び遊離型MTBRタウ代理ペプチド濃度(R4及びR2における、それぞれMTBRタウ354及びMTBRタウ299含有エピトープ)を測定することにより、ターゲットエンゲージメント(TE)をCSF中で判定した。健常対象の予備的データは、E2814の投与後、単回3~90mg/kg投与、並びに複数回750mg、1500mg、及び3000mg投与に続いてE2814濃度に関連するCSF中の結合型MTBRタウの増加及び遊離型MTBRタウレベルの低下があることを指示している。ターゲットエンゲージメントは、パーセントとして表される総(遊離型+結合型)MTBRタウに対するE2814結合型MTBRタウの比として計算した。ターゲットエンゲージメントレベルは、単回用量投与後に24時間から約672時間(28日)まで(
図11A及び
図11B)及び複数回用量投与後に56日目から84日目まで(
図12A及び
図12B)持続するように見えた。健常ボランティアにおける研究E2814-A001-001の利用可能なCSF TEデータに基づけば、CSF濃度が200~400ng/mLの範囲となる最も高い複数回用量3000mgでは、MTBRタウ299に対して約80%の結合飽和及びMTBRタウ354に対して約70%の結合飽和となるように見える(
図13A及び
図13B)。
【0158】
実施例2.優性遺伝性アルツハイマー病に起因する軽度から中等度の認知障害を有する対象におけるE2814の安全性及びターゲットエンゲージメントを評価する非盲検第1b/2相研究(研究E2814-G000-103)
研究の理論的根拠及び研究デザイン
この研究は、優性遺伝性アルツハイマー病(DIAD)を有し、軽度から中等度の認知障害を呈する対象における脳脊髄液(CSF)中のMTBRタウ種に関する2つの異なる用量のE2814の静脈内(IV)注入後の安全性及びターゲットエンゲージメント(TE)を判定する非盲検第1b/2相研究である。この研究は、遺伝子検査によって確認された疾患原因突然変異を有することが分かっている個体を標的とすることになる。この研究の対象は、DIADに関連することが公知の遺伝子に関して突然変異陽性が確認された者である。DIADに関連するプレセニリン1(PSEN1)、プレセニリン2(PSEN2)及びアミロイド前駆体タンパク質(APP)の突然変異は、極めて高い浸透度を有する(ほぼ100%)。
【0159】
本研究はまた、E2814の薬物動態(PK)、免疫原性、及び他の薬力学(PD)効果についても評価することになる。
【0160】
本研究は、スクリーニング期間(-60日目~-2日目;スクリーニング評価には、タウPET、アミロイドPET、及び安全性磁気共鳴画像法(MRI)及び突然変異状態を確認するための遺伝子検査が含まれることになる)からなる治療前フェーズと、3期間:1b、2、及びフォローアップからなる治療フェーズとの2つのフェーズからなることになる。
【0161】
第1b相治療期間。第1b相治療期間は、最初は8例の対象に、750mg E2814 4週間毎(Q4W)の静脈内注入を3回の12週間にわたる非盲検治療を受けさせることになる。84日目、第1b相治療期間の結論として、対象は安全性評価を行うことになる。1日目及び84日目、TE及びCSF中E2814濃度の評価用にCSF試料を採取することになる。対象は、次に第2相治療期間に進むことになる。
【0162】
第2相治療期間。第2相治療期間は、750mg用量のE2814を忍容した、且つ第1b相治療期間の全ての評価を完了した対象に、少なくとも3用量(12週間)にわたる1500mg Q4Wの初期用量と、続く残りの週にわたる3000mg Q4Wの用量での更なる96週間のIV E2814を受けさせることになる。
【0163】
86日目以降、本研究の継続期間中、後続の来院は全て4週間毎に行われることになる。84日目(12週目)、TE及びCSF中E2814濃度の評価用にCSF試料を採取することになる;その後、用量調節を行う度に、それから12週間経った後の169日目(24週目、即ち、1500mg用量の開始から12週間後)、253日目(36週目、即ち、3000mg用量の開始から12週間後[3000mg用量への増加が169日目より後に行われる場合には、この採取は後の研究日に行うことができる])に、並びにバイオマーカー及びPK評価項目の評価用に421日目(60週目)及び757日目(108週目)に、腰椎穿刺(LP)試料採取を行うことになる。対象はまた、年1回のタウPETスキャン及びアミロイドPETスキャン(研究全体では3回:スクリーニング、421日目、及び757日目)及び半年に1回の認知パフォーマンス評価も行うことになる。早期中断する対象については、過去3ヵ月間のうちにPET評価が実施されたのでない限り、早期中止CSF採取及びPETスキャンが実施されることになる。
【0164】
フォローアップ期間。対象は、最終回用量後12週間の期間にわたって安全性に関して追跡されることになる。
【0165】
研究終了は、本研究の最後の対象の最終回研究来院日であることになる。
【0166】
【0167】
研究の目的
本研究の主要目的は、以下である:
・DIADを有する対象におけるE2814の静脈内(IV)注入の安全性及び忍容性を評価すること;
・DIADを有する対象におけるCSF中のMTBRタウ種に対するE2814のTEを判定すること。
【0168】
本研究の副次的目的は、以下である:
・血清、血漿、及びCSF中のE2814のPKを評価すること;
・E2814の免疫原性(抗E2814抗体の産生)を評価すること;
・E2814がCSF、血液、及びイメージングバイオマーカーに及ぼす効果を評価すること。
【0169】
本研究の探索的目的は、以下である:
・臨床的認知症尺度-項目合計(CDR-SB)などの臨床テスト並びに複数の認知及び臨床評価項目を用いて評価したときのDIADの臨床的進行にE2814が及ぼす効果を評価すること;
・薬物応答及び疾患の臨床的特徴における不均一性に関する潜在的な探索的研究用のゲノム試料を収集すること。
【0170】
研究対象集団
組入れ基準。本研究への組入れには、対象は以下の基準を全て満たしていなければならない:
1.男性又は女性、インフォームドコンセント時点で年齢18~80歳
2.DIADに関連するPSEN1、APP、又はPSEN2遺伝子に関して突然変異陽性であると確認されている個体
3.スクリーニング時に臨床的認知症尺度-項目合計(CDR-SB)スコア5~12
4.記録上又はスクリーニング時のアミロイドPETに基づくアミロイド状態陽性のエビデンスがある
5.MRI、LP、陽電子放射断層撮影法(PET)を受け、全ての研究関連の検査及び判定を完了することが可能である
6.治験責任医師の判断によれば、対象の認知的及び機能的能力に関して正確な情報を提供することが可能な、尺度の記入に情報提供者の入力を必要とする研究来院の際に情報を提供することに合意する研究パートナーがいる
【0171】
除外基準。以下の基準のいずれかに該当する対象は、本研究から除外されることになる:
1.初回用量前8週間以内の医学的治療を必要とする臨床的に重大な病気又は初回用量前4週間以内の医学的治療を必要とする臨床的に重大な感染症
2.スクリーニング時又はベースライン時に授乳中又は妊娠中の女性
3.妊娠の可能性がある女性であって、スクリーニング前の3ヵ月以内に極めて有効な避妊方法を使用しなかった者又は本研究期間全体を通じた、及び研究薬中止後16週間にわたる極めて有効な避妊方法の使用に同意しない者。
4.対象のADによって引き起こされる以上の認知障害に寄与し得る任意の神経学的状態
5.スクリーニングから12ヵ月以内の一過性脳虚血発作、脳卒中、又は発作の既往歴
6.臨床的に重要な頸動脈又は椎骨脳底狭窄、プラーク、又は他の顕著な脳卒中若しくは脳出血リスク要因(心房細動及び抗凝固を含む)の既往歴。
7.対象において研究手順を妨げる可能性のある任意の現在の精神医学的診断又は症状(例えば、幻覚、大うつ病、又は妄想)
8.スクリーニング時に高齢者うつ尺度(GDS)スコアが8以上
9.限定はされないが、ペースメーカー/除細動器、神経刺激器、強磁性金属インプラント(例えば、MRIスキャナにおける使用が安全であると承認されたもの以外の頭蓋及び心臓装置)を含めたMRIスキャンの禁忌
10.AD以外の認知症診断を指示している可能性のあるスクリーニング時における他の臨床的に重大な脳MRI上病変のエビデンス
11.スクリーニング時における他の重大な脳MRI上病理所見、限定はされないが、以下:15~20ヵ所を超える微小出血(最大直径が10mm以下として定義される);スクリーニング時における現在症候性の任意の肉眼的出血(最大直径が10mmを超える);スクリーニング時における現在症候性の任意の表在性鉄沈着範囲、血管原性浮腫のエビデンス;脳挫傷、脳軟化、動脈瘤、血管奇形、又は感染病巣のエビデンス;主要な血管領域、重度の小血管、若しくは白質疾患が関わる2つ以上のラクナ梗塞ラクナ梗塞又は脳卒中のエビデンス;占拠性病変;又は脳腫瘍(しかしながら、髄膜腫又はくも膜嚢胞と診断される、その最大直径が1cm未満の病変は除外しなくてもよい)
12.E2814又は賦形剤のいずれかに対する、又は任意のmAb治療に対する過敏症
13.適切にコントロールされていないか、又は本研究中に免疫グロブリン、全身性モノクローナル抗体(又はモノクローナル抗体の誘導体)、全身性免疫抑制薬、又はプラスマフェレーシスによる治療を必要とする任意の免疫疾患
14.抗凝固薬(例えば、ワルファリン、ダビガトラン、リバーロキサバン又はアピキサバン)又はクロピドグレルを現在慢性使用中の出血性障害を伴う者は除外する。外科手技などの場合における抗凝固薬/抗血小板化合物の限定的な(不定期の又は単発的な)使用。
15.甲状腺刺激ホルモンが正常範囲外である。他の甲状腺機能検査で結果が正常範囲外となるのは、治験責任医師が臨床的に重大であると見なす場合に限り除外されなければならない。これは、甲状腺補充療法剤を服用中であるか否かにかかわらず、全ての対象に適用される。
16.HgbA1c>8%(上昇が僅かである場合、再検査が許可される)又はコントロール不良のインスリン依存性糖尿病(低血糖エピソードを含む)。対象は、糖尿病コントロールの最適化を可能にするため、3ヵ月後に再びスクリーニングにかけられてもよい。
17.検査室の異常な低値の血清ビタミンB12レベル(対象がビタミンB12注射を服用中である場合、レベルは検査室の正常下限[LLN]以上でなければならない)。ビタミンB12レベルは、地域で利用可能であれば、メチルマロン酸分析が含まれるような反射検査で確認されてもよい。
18.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の既往歴、過去1年以内のB型肝炎感染症の既往歴、適切に治療されたことのないC型肝炎感染症の既往歴、又は中枢神経系のスピロヘータ感染症(例えば、梅毒、ライム病、又はボレリア症)の既往歴
19.治験責任医師の意見によれば、更なる調査又は治療を必要とする、又は研究手順又は安全性の妨げとなり得るような、スクリーニング時又はベースライン時における理学的検査、バイタルサイン、臨床検査、又はECGの任意の他の臨床的に重大な異常
20.スクリーニングから3年以内の悪性新生物(皮膚の基底細胞癌又は扁平上皮内癌、又は男性対象の限局性前立腺癌、又は女性対象の限局性乳癌を除く)。悪性新生物を有したことがあるが、しかしスクリーニング前の少なくとも3年間にわたって寛解が途切れなく続いているという文書記録がある対象は、除外されなくてもよい。
21.スクリーニング前6ヵ月以内、スクリーニング時、又はベースライン来院時におけるコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)自殺念慮タイプ4又は5、又は任意の自殺行動評価への回答が「はい」である、又は生涯において任意の自殺行動に対する入院歴若しくは治療歴がある。
22.スクリーニング前2年以内の薬物又はアルコール乱用歴又は依存歴が既知である、又はその疑いがある、又はスクリーニング時の尿薬物検査陽性。尿薬物検査におけるベンゾジアゼピン系薬又はオピオイド系薬の検査結果が陽性である対象は、それが治験責任医師の臨床的見解上、医学的状態に対するベンゾジアゼピン系薬又はオピオイド系薬を含有する過去の/併用している薬物療法を対象が服用することに起因するのであって、薬物乱用に起因するのでない場合、除外しなくてもよい。
23.安定した適切なコントロールがなされていない、又は治験責任医師の意見によれば、対象の安全性に影響が及んだり、又は研究評価の妨げとなったりする可能性のある任意の他の医学的病態(例えば、心疾患、呼吸器疾患、胃腸疾患、腎疾患)
24.スクリーニング前6ヵ月以内の任意の抗アミロイド療法(任意のmAb療法を含む)が関わる臨床試験への同時参加
25.任意の抗タウ療法が関わる臨床試験への同時参加。
26.スクリーニング前の3ヵ月又は薬物療法の5半減期(いずれか長い方)にわたる任意の他の治験薬療法又は装置研究への参加
27.研究中に行われるであろう全身麻酔を必要とする予定されている手術。
28.対象が心理検査法を正確に実施する妨げとなるであろう視覚又は聴覚障害。
【0172】
研究評価
スクリーニング評価。スクリーニング評価は、手順/評価スケジュールに指定されるとおり行われることになる(
図17)。スクリーニング来院時に、対象の人口統計学的情報(年齢、性別、人種/民族)が収集されることになる。スクリーニング来院時に病歴及び手術歴並びに現在の医学的状態が記録されることになる。スクリーニング来院時、B型肝炎コア抗体(HBcAb)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、C型肝炎ウイルス抗体(HCVAb)及びHIV検査用の血液の試料を取ることになる。
【0173】
臨床的有効性評価及び分析。ベースライン時(-1日目)、本研究全体を通じて24週間毎、及び研究終了来院時に認知評価を行うことになる。これらの評価には、大域的臨床的認知症尺度(CDR)、CDR-SB、ミニメンタルステート検査(MMSE)、並びに複数の認知及び臨床評価項目が含まれることになる。複数の認知及び臨床評価項目には、以下の検査:自由及び手掛りによる選択的想起検査(FCSRT)、ウェクスラー記憶尺度-改訂版(WMS-R)論理的記憶、ウェクスラー成人知能尺度-改訂版(WAIS-R)数字符号置換検査、トレイルメイキングテストA及びB、アニマルネーミング、WMS-R数唱、記憶評価質問票(MAC-Q)、機能評価尺度(FAS)、GDS、神経精神病インベントリー-質問票(NPI-Q)が含まれる。認知評価のベースラインからの変化を来院別に要約することになる。
【0174】
薬物動態(PK)評価。第1b相治療期間中(750mg E2814投与)、以下のスケジュールに従いPK評価用の血液試料を採取することになる:
・1日目の投与前及び1回目の注入終了直後、並びに注入終了後4、8、及び24時間
・15日目、29日目(投与前)、及び57日目(投与前)における外来来院時に単回の試料を採取することになる。
【0175】
第2相治療期間中(1500mg及び3000mg E2814投与)、以下のPK試料を取ることになる:
・85日目の投与前及び注入終了直後並びに注入終了後4、8、及び24時間、次に169日目の投与前及び注入終了直後、及びその後12週間毎。
【0176】
血清及び血漿E2814濃度をノンコンパートメント法により分析して、関連性のあるPKパラメータを決定することになる。
【0177】
1日目の投与前、84日目(12週目[この採取は、それが投与前に行われる限りは、85日目に行ってもよい])に、LPによってCSF試料を採取することになる。その後、LP試料採取は、用量調節を行う度に、それから12週間経った後;例えば、169日目(1500mg用量の開始から12週間後)、253日目(3000mg用量の開始から12週間後[3000mg用量への増加が169日目より後に行われる場合には、この採取は後の研究日に行うことができる])に、PK及び薬力学(PD)評価用に421日目、及び757日目に行うことになる。
【0178】
バリデートされた電気化学発光アッセイ、及び/又はバリデートされた免疫沈降/精製と、利用可能な場合には、続く液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法により、血清、血漿、及びCSF中E2814濃度を測定することになる。抗E2814抗体をバリデートされた電気化学発光アッセイにより測定することになる。
【0179】
血清及び血漿E2814濃度は、名目上の試料採取時間別に一覧表にして、要約統計量を用いて用量別に要約することになる。血清及び血漿濃度-時間プロファイルをプロットすることになる。血清及び血漿E2814 PKパラメータには、(限定はされないが)1及び85日目におけるCmax、最高薬物濃度に達するまでの時間(tmax)及び時間0から投与間隔終了までの濃度時間曲線下面積(AUC(0-672h))が含まれることになる。E2814 PKの総合母集団分析は、全ての利用可能な研究からのデータをプールすることによって実施されることになる。
【0180】
薬力学評価。1日目及び84日目(12週目[このLPは、それが投与前である限りにおいて85日目に行われてもよい])の投与前、LPによりCSF試料を採取することになる。その後、LP試料採取は、用量調節を行う度に、それから12週間経った後;例えば、169日目(1500mg用量の開始から12週間後)、253日目(3000mg用量の開始から12週間後[3000mg用量への増加が169日目より後に行われる場合には、この採取は後の研究日に行うことができる])の投与前に、MTBRタウTE(遊離型/結合型MTBRタウ種)及びCSF中E2814濃度を判定するために行い、続いてバイオマーカー及びPK評価項目の評価用に421日目(60週目)及び757日目(108週目)に年1回のCSF採取を行うことになる。血漿PDバイオマーカー用の血液試料は、1、29、57、及び85日目の投与前及び注入終了直後に採取することになる。血漿PDバイオマーカー用の血液試料もまた、15日目、169日目に、及びその後は第2相治療期間中、12週間毎に取ることになる。
【0181】
バイオマーカー測定値(体液及びイメージング)及びベースラインからの変化を時点別及び用量別に要約し、グラフで提示することになる。これらの分析が、CSF、血漿及び血清について行われることになる。用量反応関係を判定することになる。
【0182】
PKとPDとの間の関係をプロットを使用して目視検査により判定することになる。これには、限定はされないが、E2814濃度とCSF中のMTBR-タウ結合との間のPK/TE関係のグラフによる探索が含まれ得る。
【0183】
薬理ゲノム学(PGx)評価。スクリーニング中、確認のためのPSEN1、APP、又はPSEN2遺伝子突然変異検査用のPGx血液試料を取ることになる。CSF及び血漿バイオマーカー。AD関連バイオマーカーのCSF及び血漿濃度(限定はされないが、Aβ40、Aβ42、ニューログラニン、神経フィラメント軽鎖、総タウ[tタウ]、及びリン酸化タウバイオマーカーを含む)を測定することになる。
【0184】
イメージングバイオマーカー。縦断的タウ(MK-6240)及びアミロイドPET(例えば、C-ピッツバーグ化合物B又はNAV4694)をスクリーニング時に、次に第2相治療期間中は毎年、実施することになる。過去3ヵ月以内にPET評価を実施したのでない限り、早期中止PETスキャンを実施することになる。
【0185】
安全性評価。第1b相及び第2相の両方の治療期間について、安全性評価は、全ての有害事象(AE)のモニタリング及び記録からなることになる;血液学、臨床化学、及び尿値の定期的モニタリング;バイタルサイン及びECGの定期的測定;C-SSRSを使用した自殺傾向の定期的な判定、及び理学的検査の実施。スクリーニング時、第1b相治療期間の完了時、及び次に第2相治療期間中は毎年、安全性MRIを行うことになる。
【0186】
判定することになる安全性データには、AE、臨床検査結果、バイタルサイン、ECG、C-SSRS、及び理学的検査が含まれる。第1b相及び第2相治療期間からの安全性データは、別個に要約することになる。TEAEは、用量別に要約することになる。臨床検査、バイタルサイン、及びECGの記述統計量(例えば、連続変数について平均値、SD、中央値、最小値、及び最大値、並びにカテゴリー変数について数及び割合)、及びベースラインからの変化は、用量別に判定することになる。
【0187】
免疫原性評価。1、15、29、57、85、113、169日目の投与前、及び第2相治療期間中は12週間毎に、抗E2814抗体の存在を測定することにより免疫原性を評価することになる。加えて、本研究では、免疫原性に関連し得る炎症をモニタするための臨床測定を実施することになる。これらの評価には、白血球数/赤血球数・分画の変化並びに2つの急性期炎症マーカー:C反応性タンパク質、及びフィブリノゲンの血中濃度の変化に関する緊密なモニタリングが含まれることになる。免疫学的応答を有する疑いがある対象についての追加的な安全性評価には、サイトカイン応答、リンパ球数及びサブセットの測定、免疫電気泳動法、又は任意の他の臨床的に適切な評価が含まれ得る。
【0188】
統計及び分析計画
主要評価項目:
・治療中に発生した有害事象(TEAE)及びSAEの発生率、臨床検査パラメータ、バイタルサイン、及びECG
・12週間におけるCSF遊離型及び結合型MTBRタウ並びに総MTBRタウのベースラインからの変化
【0189】
副次的評価項目:
・1及び85日目の投与後の血清及び血漿PKパラメータ
・CSF E2814濃度
・血清(又は血漿)抗E2814抗体濃度
・総タウ(t-タウ)及びリン酸化タウバイオマーカーを含めたCSF及び/又は血漿バイオマーカーのベースラインからの変化
・タウPETシグナルのベースラインからの変化
【0190】
探索的評価項目:
・認知及び臨床評価のベースラインからの変化
・アミロイドPETシグナルのベースラインからの変化
【0191】
解析対象集団の定義
安全性解析対象集団は、少なくとも1用量の研究薬を受けた全ての割り付けられた対象の群である。具体的な各パラメータの分析への組入れには、少なくとも1用量の研究治療後に入手された少なくとも1つの臨床検査、バイタルサイン、又はECG測定値が必要である。ベースラインからの変化を評価するため、ベースライン測定値もまた必要である。これは、as-treatedの原則に基づくことになるであろう全ての安全性解析に使用される解析対象集団である。
【0192】
PK解析対象集団は、少なくとも1用量の研究薬を受けた、且つ少なくとも1つのPKパラメータを導き出すのに十分なPKデータのある対象の群である。
【0193】
PD解析対象集団は、少なくとも1用量の研究薬を受けた、且つ少なくとも1つのPDパラメータを導き出すのに十分なPDデータのある対象の群である。
【0194】
これらの解析対象集団の定義は、第1b相及び第2相治療期間の両方について同じである;これらの解析対象集団の実際の決定は、研究期間毎に別個に行うことになる。
【配列表】
【国際調査報告】