(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】高純度フィロズルシン抽出物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/10 20160101AFI20241024BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20241024BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20241024BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A23L27/10 C
A23L27/00 101
A23L33/105
A61K47/22
A61K47/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525896
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2022080719
(87)【国際公開番号】W WO2023079021
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/080632
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521397201
【氏名又は名称】シムライズ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・キーフル
(72)【発明者】
【氏名】マルギット・リービッヒ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・キンデル
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ・ペーター・ライ
(72)【発明者】
【氏名】エスター-コリンナ・シュヴァルツェ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B047
4C076
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB08
4B018LB09
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4B047LP20
4C076BB01
4C076DD59T
4C076DD69T
4C076FF52
(57)【要約】
本発明は、フィロズルシンを含む植物抽出物を生成するための方法、そのような方法によって得られたか、又は得ることができる植物抽出物、そのような植物抽出物を含む風味付け混合物、そのような植物抽出物を含む組成物、そのような植物抽出物又はそのような風味付け混合物の使用及び甘味の印象を与えるか、又は改変するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィロズルシンを含む植物抽出物を生成するための方法であって、前記方法は、
i)抽出対象の植物材料を乾燥するステップであって、好ましくは、前記植物材料は、主として植物の葉からなり、好ましくは、前記植物材料は、種ハイドランジア・マクロフィラ、好ましくは、亜種セラタの植物、より好ましくは、品種オオアマチャ、アマチャ及びアマギアマチャからなる群から選択される植物のものである、ステップと、
ii)ステップi)の乾燥された前記植物材料を水で湿らせ、前記植物材料を10から50℃の範囲、好ましくは30から45℃の範囲の温度で0.5から72時間、好ましくは0.5から16時間、特に好ましくは1から5時間湿式発酵させるステップと、
iii)ステップii)の湿式発酵させた前記植物材料を、0℃からそれぞれの溶媒の沸点までの温度における溶媒による抽出に供するステップであって、
好ましくは、前記溶媒は、水、亜臨界水、超臨界水、超臨界CO
2、メタノール、メチルアセタート、エタノール、エチルアセタート、n-ヘプタン、n-ヘキサン、深共晶溶媒及びそれらの混合物からなる群から選択される、ステップと、
iv)ステップiii)の前記抽出の上清(S1)を回収し、任意に、
-ステップiii)を繰り返し、上清(S2)を回収し、上清S1及びS2を混合するステップと、
v)ステップiv)の前記上清又は混合した上清中の前記溶媒をエタノールに交換するステップであって、このステップは、ステップiii)及び/又はステップiv)の溶媒としてエタノール又はエタノールを含む混合物が使用された場合は任意である、ステップと、
vi)ステップv)、又はステップv)が存在しない場合はステップiv)で得られた前記混合物を、40から79℃の範囲の温度に加熱して、エタノールの量を減少させるステップと、
vii)抽出化合物(複数可)を沈殿させるために、ステップvi)の前記混合物を10℃以下の温度に冷却するステップと、
viii)ステップvii)の前記混合物を洗浄薬剤、好ましくはエタノールで洗浄するステップであって、
前記洗浄薬剤は、10℃以下の温度を有し、
前記洗浄薬剤の重量とステップvii)の前記混合物の重量の比は、少なくとも1:1、好ましくは少なくとも2.5:1、特に好ましくは少なくとも5:1である、ステップと、
ix)沈殿した前記抽出化合物を乾燥して、フィロズルシンを含む抽出物を得るステップと
を含むか、又はそれらからなる、方法。
【請求項2】
ステップiii)及び/又はステップiv)による繰り返しのステップiii)の前記抽出後、前記抽出物は、固相吸着によって精製される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固相吸着に使用される吸着剤は、ポリスチレン、脂肪族メチルアクリラート及びそれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは、前記吸着剤は、ポリスチレン又はポリスチレンと脂肪族メチルアクリラートの混合物であり、前記ポリスチレンは、好ましくは、ジビニルベンゼンと架橋しており、
特に好ましくは、前記吸着剤は、ポリスチレン又はポリスチレンと脂肪族メチルアクリラートの混合物であり、前記ポリスチレンは、好ましくは、ジビニルベンゼンと架橋しており、前記ポリスチレンは、マクロ多孔性である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップiii)の前記抽出は、0.5から10時間、好ましくは0.75から5時間、特に好ましくは1から4.5時間の範囲の時間にわたり行われる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップv)の前記交換は、蒸留又は蒸留を含む方法によって達成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ステップvi)の後、好ましくは、前記混合物がステップvii)において冷却される前に、前記混合物はろ過される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記植物材料は、前記植物材料の総重量に基づいて、少なくとも2.5wt%、好ましくは少なくとも3wt%、特に好ましくは少なくとも4wt%、とりわけ好ましくは少なくとも5wt%のフィロズルシン同等物を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記植物材料は、前記植物材料の総重量に基づいて、2wt%以下、好ましくは1.5wt%以下、特に好ましくは1.0wt%以下、とりわけ好ましくは0.5wt%以下のヒドランゲノール同等物を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法によって得られたか、又は得ることができる、植物抽出物であって、
前記抽出物は、前記抽出物の乾物分の総重量に基づいて、少なくとも50wt%、好ましくは少なくとも60wt%、特に好ましくは少なくとも65wt%、とりわけ好ましくは少なくとも70wt%のフィロズルシンを含み、
且つ/又は
前記抽出物は、前記抽出物の乾物分の総重量に基づいて、20wt%未満、好ましくは15wt%未満、特に好ましくは10wt%未満、とりわけ好ましくは5wt%未満のヒドランゲノールを含む、植物抽出物。
【請求項10】
前記抽出物は、前記抽出物の乾物分の総重量に基づいて、75から95wt%の量でフィロズルシンを含む、請求項9に記載の植物抽出物。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の植物抽出物を含む風味付け混合物であって、
好ましくは、前記風味付け混合物は、前記風味付け混合物の総重量に基づいて、少なくとも50wt%、好ましくは少なくとも60wt%、特に好ましくは少なくとも65wt%、とりわけ好ましくは少なくとも70wt%のフィロズルシンを含み、
且つ/又は
好ましくは、前記風味付け混合物は、前記風味付け混合物の総重量に基づいて、20wt%未満、好ましくは15wt%未満、特に好ましくは10wt%未満、とりわけ好ましくは5wt%未満のヒドランゲノールを含む、風味付け混合物。
【請求項12】
前記風味付け混合物は、前記風味付け混合物の総重量に基づいて、75から95wt%の量でフィロズルシンを含む、請求項11に記載の風味付け混合物。
【請求項13】
請求項9又は10に記載の植物抽出物或いは請求項11又は12に記載の風味付け混合物を含む、組成物、好ましくは、食物若しくは楽しみのために提供される組成物又は医薬組成物。
【請求項14】
甘味の印象を与えるか、又は改変するための、請求項9又は10に記載の植物抽出物或いは請求項11又は12に記載の風味付け混合物の使用。
【請求項15】
甘味の印象を与えるか、又は改変するための方法であって、
(i)好ましくは、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法によって、請求項9又は10に記載の植物抽出物を、或いは請求項11又は12に記載の風味付け混合物を準備するステップと、
(ii)ステップ(i)で得られた前記植物抽出物又は前記風味付け混合物を、甘味の印象が与えられるか、又は改変される物質又は製品と混合するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィロズルシンを含む植物抽出物を生成するための方法、そのような方法によって得られたか、又は得ることができる植物抽出物、そのような植物抽出物を含む風味付け混合物、そのような植物抽出物を含む組成物、そのような植物抽出物又はそのような風味付け混合物の使用及び甘味の印象を与えるか、又は改変するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、一般に、好ましい甘さ及びそれに関連する甘さプロフィールのため、大量の高カロリー糖、特にスクロース(サッカロース)、グルコース、フルクトース若しくはそれらの混合物を含む、食料品又は贅沢食品を強く好む。一方で、容易に代謝できる炭水化物の含有量が多いと血糖値の急上昇を引き起こし、脂肪沈着の形成につながり、最終的に過体重、肥満、インスリン抵抗性、加齢性糖尿病及びその合併症などの健康問題をもたらす可能性があることが一般に知られている。別の特有の深刻化する要素は、上記の炭水化物の多くは、口腔内において特定の種類の細菌により乳酸に分解され、例えば、乳歯又は成歯のエナメル質を侵食する(齲蝕)可能性があるため、歯の健康に対しても悪影響があり得ることである。
【0003】
したがって、食品又は飲料品の高カロリー糖の含有量を低減し、それを、甘味を与えるか、又は低濃度で甘味自体は示さずに低濃度の甘味にプラスの影響を及ぼすことができる他の物質(味覚修飾物質)で部分的又は完全に置き換えることが長く目標とされてきた。
【0004】
低糖製品用の味覚修飾物質としてのフィロズルシンの使用、そのための風味付け混合物、及びそのような製品を生産する方法が特許文献1に記載されている。
【0005】
フィロズルシンは、植物ハイドランジア・マクロフィラ(Hydrangea macrophylla)の亜種で生じる天然化合物である。フィロズルシンは、化学合成又はバイオ工学的アプローチによって経済的に生成することができない。
【0006】
ハイドランジア・マクロフィラの葉は、主にお茶、特に、甘味のある日本茶であり、タンニンと、フィロズルシンを含むジヒドロイソクマリンとを含むアマチャを調製するために使用される。ハイドランジア・マクロフィラの葉は、一般に儀式的目的(花祭り)で日本及び韓国において使用される。
【0007】
ハイドランジア・マクロフィラの葉からフィロズルシンを抽出するためのいくつかの方法が示されてきた。しかしながら、栄養若しくは楽しみのための製品又は医薬品に使用される場合には、いくつかの規制条件を満たす必要がある。この関連で、得られた抽出物は、検出可能な量の特定の物質、例えば、抽出のための溶媒として使用されることの多いクロロホルムを含んではならない。
【0008】
さらに、フィロズルシンの官能特性が抽出プロセス又は得られた抽出物に付加的に存在する化合物によってマイナスの影響を受けない必要がある。この関連で、アルカリ環境ではフィロズルシンが開鎖形態に変換され、さらに最終的にあまり味覚特性のない特定のスチルベンカルボン酸に変換されることがわかっている。このように、フィロズルシンが分解生成物に変換されるとき、その甘味特性が失われる。
【0009】
【0010】
特許文献2には、アルコール抽出物からのフィロズルシンの塩析によってタール様沈殿物が得られる方法が記載されている。沈殿物をメタノールに溶解させ、クロロホルムで抽出を行った。有機相から生成物を得て、最後にメタノール中で再結晶させた。しかしながら、規制の理由から、任意の消費製品に使用されるクロロホルムは、抽出物を得るために使用されるべきではない。さらに、特許文献2は、得られた生成物の官能純度(sensory purity)について開示していない。
【0011】
非特許文献1は、分析目的でハイドランジア・マクロフィラの葉からフィロズルシンを抽出及び単離することについて開示している。この方法は、分取HPLCと組み合わせた超音波及び高圧抽出を含むステップを利用することによって実施される。しかしながら、上記ステップは経済的理由で妥当ではないため、この方法は、多量のフィロズルシンを含む抽出物を得る産業目的には適さない。
【0012】
特許文献3は、葉が湿式発酵された後、メタノール又はエタノールで抽出される方法を開示している。得られた抽出物は、イオン交換及び逆相固相及びアセトニトリルによる溶出によって精製される。最後に、HPLCによるクロマトグラフィー分離によって生成物が得られる。しかしながら、この方法は、5ステップの分離を利用するため、産業用途には適さない。さらに、逆相固相などの高価な材料が使用される。さらに、規制の理由から、任意の消費製品に使用されるアセトニトリルは、抽出物を得るために使用されるべきではない。
【0013】
特許文献4は、フィロズルシンを抽出するための方法について開示しているが、観察されることの多いオフテイストの低減の可能性に対処していない。
【0014】
非特許文献2は、フィロズルシンを含む植物抽出物について開示している。しかしながら、この植物抽出物は、強いビターノート、アルコールノートを有し、やや渋味があると記載されている。
【0015】
特許文献5は、水とアルコールの混合物によるフィロズルシンの抽出について記載している。続いて、アルカリ塩が得られ、沈殿させられ、生成物がクロロホルムで洗浄される。上記のとおり、クロロホルムは、規制の理由から使用されるべきではない。さらに、アルカリ塩を得る場合、フィロズルシンはそれぞれのスチルベンカルボン酸に変換されるため、フィロズルシンの甘味特性が失われる。
【0016】
特許文献1は、フィロズルシンを含む抽出物の生成について記載しており、ここでは、抽出物は、エチルアセタートにより抽出が行われた場合、14%のフィロズルシンを含み、水アルコール抽出が行われた場合、それぞれ5.3%又は3.2%のフィロズルシンを含む。しかしながら、量又はフィロズルシンは、やや少ない。さらに、抽出物は、草のような、魚臭い、甘草様、お茶様、ウッディ及びわずかに苦い嗅覚及び味覚ノートを有することが記載されている。したがって、得られた抽出物及びその生成方法は、風味付け混合物を提供するのには適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許第2,298,084(B1)号
【特許文献2】特公昭51-002480号
【特許文献3】韓国登録特許第10-1662498号
【特許文献4】韓国公開特許第20210074526(A)号
【特許文献5】特公昭第57-24745号
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】チョン(Jung)ら、フィトケミカル・アナリーシス(Phytochemical Analysis)、2016年、第27巻、p.140-147
【非特許文献2】キム・ミンジ(Kim Min-Ji)ら、「フィロズルシンの相対的な甘さ及び甘さの質[(3R)-8-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-3,4-ジヒドロ-1H-イソクロメン-1-オン](Relative sweetness and sweetness quality of phyllodulcin [(3R)-8-Hydroxy-3-(3-hydroxy-4-methoxyphenyl)-3,4-dihydro-1H-isochromen-1-one])」、フードサイエンス・アンド・バイオテクノロジー(Food Science and Biotechnology)、コリアソサエティ・オブ・フードサイエンス・アンド・テクノロジー(The Korea Society Of Food Science and Technology)、ハイデルベルグ、第25巻、第4、2016年8月31日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、抽出物が栄養若しくは楽しみのための製品又は医薬品に使用可能であり、フィロズルシンの官能特性が使用可能である、フィロズルシンを含む抽出物を生成するための方法を提供することが強く必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明の主要な目的は、場合によって多量のフィロズルシンを含む抽出物を生成するための方法であって、抽出物が栄養若しくは楽しみのための製品又は医薬品に使用可能であり、フィロズルシンの官能特性が使用可能である、方法を提供することである。さらに、好ましくは、抽出物は、草のような、魚臭い、甘草様、お茶様、ウッディ及びわずかに苦い嗅覚及び味覚ノートなどのあらゆるオフノートを有するべきではなく、且つ/又は保存されるとき、抽出物は安定でなければならない。
【0021】
本発明の主要な目的は、フィロズルシンを含む植物抽出物を生成するための方法であり、
i)抽出対象の植物材料を乾燥するステップであって、好ましくは、植物材料は、主として植物の葉からなり、好ましくは、植物材料は、種ハイドランジア・マクロフィラ、好ましくは、亜種セラタ(serrata)の植物、より好ましくは、品種オオアマチャ(Oamacha)、アマチャ(Amacha)及びアマギアマチャ(Amagi-Amacha)からなる群から選択される植物のものである、ステップと、
ii)ステップi)の乾燥された植物材料を水で湿らせ、植物材料を10から50℃の範囲、好ましくは30から45℃の範囲の温度で0.5から72時間、好ましくは0.5から16時間、特に好ましくは1から5時間湿式発酵させるステップと、
iii)ステップii)の湿式発酵させた植物材料を、0℃からそれぞれの溶媒の沸点までの温度における溶媒による抽出に供するステップであって、
好ましくは、溶媒は、水、亜臨界水、超臨界水、超臨界CO2、メタノール、メチルアセタート、エタノール、エチルアセタート、n-ヘプタン、n-ヘキサン、深共晶溶媒及びそれらの混合物からなる群から選択され、
特に好ましくは、溶媒は、エチルアセタート又はエタノールである、ステップと、
iv)ステップiii)の抽出の上清(S1)を回収し、任意に、
-ステップiii)を繰り返し、上清(S2)を回収し、上清S1及びS2を混合するステップと、
v)ステップiv)の上清又は混合した上清中の溶媒をエタノールに交換するステップであって、このステップは、ステップiii)及び/又はステップiv)の溶媒としてエタノール又はエタノールを含む混合物が使用された場合は任意である、ステップと、
vi)ステップv)、又はステップv)が存在しない場合はステップiv)で得られた混合物を、40から79℃の範囲の温度に加熱して、エタノールの量を減少させるステップと、
vii)抽出化合物(複数可)を沈殿させるために、ステップvi)の混合物を10℃以下の温度に冷却するステップと、
viii)ステップvii)の混合物を洗浄薬剤、好ましくはエタノールで洗浄するステップであって、
洗浄薬剤は、10℃以下の温度を有し、
洗浄薬剤の重量とステップvii)の混合物の重量の比は、少なくとも1:1、好ましくは少なくとも2.5:1、特に好ましくは少なくとも5:1である、ステップと、
ix)沈殿した抽出化合物を乾燥して、フィロズルシンを含む抽出物を得るステップと
を含むか、又はそれらからなる、方法によって解決される。
【0022】
驚くべきことに、本発明による方法を用いると、高含有量のフィロズルシンが得られることがわかった。同時に、本発明による方法によって得られた抽出物のみ、オフノートがないか、又はあまりない。対照的に、比較方法の抽出物は、下の実施例でも示されるとおり、いくつかのオフノートがあった。
【0023】
さらに、驚くべきことに、本発明による方法によって得られた抽出物は、保存されるときに特に安定であることがわかった。
【0024】
「乾燥すること」という用語は、本明細書中で使用される場合、好ましくは本発明による方法のステップi)及び/又はステップix)で使用される場合、材料又は混合物の水分含有量が、材料又は混合物の総重量に基づいて、5wt%未満、好ましくは2.5wt%未満、特に好ましくは1wt%未満の残存水分含有量に減少させられるプロセスを示す。好ましくは、本発明による方法のステップi)における乾燥するステップは、加熱乾燥、天日乾燥、温風乾燥、複合空気熱ポンプ乾燥、真空オーブン乾燥、フリーズドライからなる群から選択される方法によって行われ、且つ/又は本発明による方法のステップix)では、加熱乾燥、真空オーブン乾燥、フリーズドライ、噴霧乾燥、及び(真空)ベルト乾燥からなる群から選択される方法によって行われる。
【0025】
好ましくは、水分含有量は、乾燥減量法又はカール・フィッシャー滴定によって求められる。
【0026】
材料又は混合物の乾物分、すなわち、水ではない部分は、材料又は混合物の総重量に基づいて、少なくとも95wt%、好ましくは少なくとも97.5wt%、特に好ましくは少なくとも99wt%であることが好ましい。
【0027】
「主として植物材料からなる」という用語は、本明細書中で使用される場合、植物材料の総重量に基づいて、少なくとも90wt%、好ましくは少なくとも95wt%、特に好ましくは少なくとも98wt%、とりわけ好ましくは少なくとも99wt%の量を指す。
【0028】
ハイドランジア・マクロフィラの植物品種として本明細書において記述される、植物品種アマチャ及びアマギアマチャは、それぞれ品種ツンベルギイ(thunbergii)又はアマギアナ(amagiana)としても知られている。
【0029】
本発明による方法では、方法が、ステップii.2)を含むことが好ましく、このステップii.2)は、ステップii)とステップiii)の間に行われ、発酵水を除去することを含み、除去は、例えば、機械的又は空気圧ろ過、デカンテーション、遠心分離、ろ過及び遠心分離の組み合わせ、温風乾燥、複合空気熱ポンプ乾燥、真空オーブン乾燥、又はフリーズドライを利用することによって達成される。好ましくは、発酵水を除去することは、本発明による方法のステップii)で得られた植物材料と水の混合物に基づいて、少なくとも50wt%、好ましくは少なくとも75wt%、特に好ましくは少なくとも90wt%、さらに好ましくは少なくとも95wt%の発酵水を除去することを示す。
【0030】
「沸点」という用語は、本明細書中で使用される場合、標準的な条件、すなわち、1013mbarの圧力における沸点を示す。物質の混合物の沸点について言及される場合、当業者は、それぞれの単一の物質の沸点が文献においてわかっており、それに応じて混合物に関する沸点を算出することができることを知っている。この場合、「沸点」という用語は、算出された沸点を示す。
【0031】
本発明による方法のステップiii)は、標準気圧、すなわち1013mbarの圧力において行われることが好ましい。或いは、ステップiii)は、減圧下で行われる。或いは、ステップiii)は、高圧で行われる。
【0032】
本発明による方法のステップiii)における抽出は、ソックスレー、向流、パーコレーション及び浸漬からなる群から選択される方法によって行われることがさらに好ましい。
【0033】
深共晶溶媒は、少なくとも2つの成分の混合物であり、この混合物は、個々の成分のいずれかよりもはるかに低い融点を示す。好ましくは、糖、アルコール、アミン、有機酸又はアミノ酸などの天然成分がそのような溶媒として使用される。
【0034】
さらに、本明細書に記載される「深共晶溶媒」という用語は、天然の深共晶溶媒及びさらなる深共晶溶媒を含む溶媒を示す。好ましくは、本明細書に記載される「深共晶溶媒」という用語は、グヨン(Gullon).Pら、(2020年)、「農業食品副産物からの生理活性化合物回収のための最新技術の高度な溶媒(Smart advanced solvents for bioactive compounds recovery from agri-Food by-products):総説」、トレンド・イン・フードサイエンス・アンド・テクノロジー(Trends in Food Science & Technology)第101巻:p.182-197及びベンヴェヌーティ(Benvenutti).Lら、(2019年)、「IL、DES又はNADESのどれが最良の食品用新生溶媒か?:(Which is the best Food emerging solvent: IL、DES or NADES?)」、トレンド・イン・フードサイエンス・アンド・テクノロジーに記載されている天然の深共晶溶媒を示す。
【0035】
ステップiv)に関して上記のとおり、本発明による方法のステップiii)は、(任意に)繰り返されてもよい。好ましくは、ステップiii)は、2回又は3回繰り返され、すなわち、ステップiv)が3回又は4回行われる。好ましくは、ステップiii)が繰り返される場合、同じタイプの溶媒が各回に使用され、ステップiii)が行われる、すなわち、ステップiii)が初回に溶媒として水を用いて行われる場合、各繰り返しにおいて、水が溶媒として使用されることが好ましい。さらに又は或いは、ステップiii)が繰り返される方法におけるステップiii)の抽出の時間は、ステップiii)が繰り返されない方法においてよりも短くても、又は長くてもよい。例えば、本発明による一方法は、2時間の抽出を含んでもよく、その場合、ステップiii)が2回繰り返される(すなわち、ステップiii)が3回行われる)が、本発明による別の方法は、4時間の抽出を含んでもよく、その場合、ステップiii)は繰り返されない(すなわち、ステップiii)が1回行われる)。
【0036】
本発明による方法のステップv)は、溶媒をエタノールに交換するステップを示す。溶媒がエタノールと別の溶媒の混合物である場合、「交換すること」という用語は、好ましくは、エタノール及び他の溶媒の総重量に基づいて、溶媒として少なくとも85wt%のエタノール、好ましくは少なくとも90wt%のエタノール、特に好ましくは少なくとも95wt%のエタノール、さらに好ましくは少なくとも97wt%のエタノール、さらに一層好ましくは少なくとも98wt%、より好ましくは少なくとも99wt%のエタノールが残されているか、又はエタノールのみが残されているように他の溶媒を除去することと理解されてもよい。この好ましい理解では、追加のエタノールが添加される必要はない、すなわち、添加は任意である。
【0037】
また、「加熱すること」という用語は、例えば、本発明による方法のステップvi)に使用される場合、温度が既に意図された値にある場合は、温度を「維持すること」を含むことが好ましい。
【0038】
好ましくは、本発明による方法のステップvii)における冷却するステップは、1時間当たり1から20℃の速度で0から10℃の範囲の温度に徐々に冷却することによって行われ、好ましくは、連続的に撹拌しながら、好ましくは、最終温度で1から72時間の範囲の時間のインキュベーションが続く。好ましくは、本発明による方法のステップvii)における冷却するステップは、1時間当たり10℃の速度で徐々に冷却することによって行われ、1日インキュベートして、フィロズルシンの結晶化を促進する。
【0039】
驚くべきことに、沈殿により、得られた抽出物中のヒドランゲノールの量を著しく減少させる可能性があることがわかった。さらに、特に多量のフィロズルシンが得られた。
【0040】
本発明による方法では、ステップiii)及び/又はステップiv)による繰り返しのステップiii)の抽出後に、抽出物が固相吸着によって精製されることが好ましく、好ましくは、ステップiv)の前に行われる。
【0041】
さらに、上記の場合、固相吸着に使用される吸着剤がポリスチレン、脂肪族メチルアクリラート及びそれらの混合物からなる群から選択されることも好ましく、
好ましくは、吸着剤は、ポリスチレン又はポリスチレンと脂肪族メチルアクリラートの混合物であり、ポリスチレンは、好ましくは、ジビニルベンゼンと架橋しており、
特に好ましくは、吸着剤は、ポリスチレン又はポリスチレンと脂肪族メチルアクリラートの混合物であり、ポリスチレンは、好ましくは、ジビニルベンゼンと架橋しており、ポリスチレンは、マクロ多孔性であり、且つ/又は脂肪族メチルアクリラートは、微孔性である。
【0042】
「マクロ多孔性」という用語は、本明細書中で使用される場合、2nmを超える平均孔サイズ、好ましくは5から110nmの孔サイズを有する孔を有する材料を示す。平均孔サイズは、測定されたか又は算出された材料中にあるすべての孔サイズの平均である。孔サイズを求めるための方法は周知であり、例えば、Hg注入法が挙げられる。
【0043】
「微孔性」という用語は、本明細書中で使用される場合、2nm以下の平均孔サイズを有する孔を有する材料を示す。平均孔サイズは、測定されたか又は算出された材料中にあるすべての孔サイズの平均である。孔サイズを求めるための方法は周知であり、例えば、Hg注入法が挙げられる。
【0044】
好ましくは、「ジビニルベンゼン」という用語は、1,2-ジビニルベンゾール、1,3-ジビニルベンゾール、1,4-ジビニルベンゾール及びそれらの混合物からなる群から選択されるジビニルベンゼンを示す。
【0045】
本発明による方法では、ステップiii)の抽出は、0.5から10時間、好ましくは0.75から5時間、特に好ましくは1から3時間の範囲の時間にわたり行われることがさらに好ましい。
【0046】
好ましくは、本発明による方法では、ステップv)の交換は、蒸留又は蒸留を含む方法によって達成される。交換される溶媒が交換する溶媒、すなわち、エタノールと同様か、又はそれより高い沸点を有する場合、交換は、例えば、膜ろ過によって達成される。しかしながら、交換される溶媒が交換する溶媒、すなわち、エタノールよりも低い沸点を有するのが好ましい。
【0047】
本発明による方法では、ステップvi)の後、好ましくは、混合物がステップvii)において冷却される前に、混合物がろ過されることも好ましい。好ましくは、混合物は高温ろ過される。さらに好ましくは、少なくとも/最大5μmのメッシュサイズのフィルターが使用される。
【0048】
好ましくは、本発明による方法では、植物材料は、植物材料の総重量に基づいて、少なくとも2.5wt%、好ましくは少なくとも3wt%、特に好ましくは少なくとも4wt%、とりわけ好ましくは少なくとも5wt%のフィロズルシン又はフィロズルシン同等物を含む。
【0049】
一般に、「フィロズルシン」という用語は、アグリコンと分類される化学化合物を示す。しかしながら、自然界では、フィロズルシンは、グリコシドの形態で存在することが多く、いくつかのグリコシドが先行技術において当業者に知られている。「フィロズルシン同等物」という用語は、本明細書中で使用される場合、アグリコン及びフィロズルシングリコシドを示す。したがって、フィロズルシン同等物の量が決定される場合、それぞれ存在する限り、アグリコン及びフィロズルシングリコシドの両方が考慮されるべきであるが、好ましくは、脱グリコシド化によって実質的に遊離したフィロズルシンに基づいて計算される。さらに、本発明による方法では、ステップii)による発酵の後、フィロズルシンがアグリコン形態で実質的に存在することが好ましい。
【0050】
「フィロズルシングリコシド」という用語に含まれる典型的なフィロズルシンのグリコシドは、例えば、以下のものであるが、これらに限定されない。
【0051】
【0052】
好ましくは、「フィロズルシン」という用語は、フィロズルシンエナンチオマー(及びそのグリコシド)の混合物を示し、エナンチオマー(3R)-フィロズルシンの量は、その他のエナンチオマーのそれぞれの量よりも多く、特に好ましくは、その他のエナンチオマーの合わせた量よりも多い。
【0053】
また、本発明による方法では、植物材料が、植物材料の総重量に基づいて、2wt%以下、好ましくは1.5wt%以下、特に好ましくは1.0wt%以下、とりわけ好ましくは0.5wt%以下のヒドランゲノール又はヒドランゲノール同等物を含むことが好ましい。
【0054】
本発明による方法では、植物材料中のフィロズルシンとヒドランゲノールの重量比が、1:1から1:50の範囲、好ましくは1:2から1:40の範囲、好ましくは1:3から1:30の範囲、好ましくは1:4から1:25の範囲、好ましくは1:5から1:20の範囲であることがさらに好ましい。
【0055】
一般に、「ヒドランゲノール」という用語は、アグリコンと分類される化学化合物を示す。しかしながら、自然界では、ヒドランゲノールは、グリコシドの形態で存在することが多く、いくつかのグリコシドが先行技術において当業者に知られている。さらに、ヒドランゲノールは、開鎖型、いわゆる、ヒドランゲ酸又はそのグリコシドとして存在する場合もある。「ヒドランゲノール同等物」という用語は、本明細書中で使用される場合、アグリコン及びヒドランゲノールグリコシド、好ましくはさらにヒドランゲ酸及びそのグリコシドも示す。したがって、ヒドランゲノール同等物の量が決定される場合、それぞれ存在する限り、アグリコン及びヒドランゲノールグリコシドの両方、好ましくは、アグリコン及びヒドランゲ酸のグリコシドも考慮されるべきであるが、脱グリコシド化によって実質的に遊離したヒドランゲノールに基づいて計算される。さらに、本発明による方法では、ステップii)による発酵の後、ヒドランゲノール及び/又はヒドランゲ酸が実質的にその(それぞれの)アグリコン形態で存在することが好ましい。
【0056】
「ヒドランゲノールグリコシド」という用語に含まれる、典型的なヒドランゲノールのグリコシドは、例えば、以下のものであるが、これらに限定されない。
【0057】
【0058】
本発明は、さらに本発明による方法によって得られたか、又は得ることができる植物抽出物に関し、
抽出物は、抽出物の乾物分の総重量に基づいて、少なくとも50wt%、好ましくは少なくとも60wt%、特に好ましくは少なくとも65wt%、とりわけ好ましくは少なくとも70wt%のフィロズルシンを含み、
且つ/又は
抽出物は、抽出物の乾物分の総重量に基づいて、20wt%未満、好ましくは15wt%未満、特に好ましくは10wt%未満、とりわけ好ましくは5wt%未満のヒドランゲノールを含む。
【0059】
「少なくとも50wt%のフィロズルシンを含む植物抽出物」という用語は、本明細書中で使用される場合、純粋な物質としてのフィロズルシン、すなわち、100wt%のフィロズルシンを除外するものと理解される。「植物抽出物」という用語は、この関連では、フィロズルシンが、前駆体からフィロズルシンを生成する化学合成の結果ではなく、植物供給源から得られる、すなわち、抽出されることを明らかにする。したがって、さらなる特定のwt%表示並びに「20wt%未満のヒドランゲノールを含む植物抽出物」という用語及びこの関連でさらなる特定のwt%表示に関しても同じことが当てはまる。
【0060】
「抽出物の乾物分」という用語は、水ではない、すなわち、水分含有量を除いた、本発明による抽出物の部分を示す。好ましくは、抽出物の乾物分は、抽出物の総重量に基づいて、少なくとも95wt%、好ましくは少なくとも97.5wt%、特に好ましくは少なくとも99wt%である。
【0061】
好ましくは、本発明による抽出物は、抽出物の総重量に基づいて、少なくとも0.05wt%、好ましくは少なくとも0.1wt%、特に好ましくは少なくとも0.5wt%、より好ましくは少なくとも1wt%、さらに好ましくは少なくとも5wt%、最も好ましくは少なくとも10wt%の植物ベースの成分を含む。
【0062】
さらに又は或いは、本発明による抽出物が、抽出物の総重量に基づいて、最大30wt%、好ましくは最大25wt%、特に好ましくは最大20wt%、より好ましくは最大10wt%、さらに好ましくは最大5wt%、最も好ましくは最大1wt%の植物ベースの成分を含むことが好ましい。
【0063】
「植物ベースの成分」という用語は、植物材料中に存在し、そこから抽出物が得られたが、フィロズルシン及びヒドランゲノール(及びそのグリコシド、上記のとおり)を除く成分を示す。好ましくは、「植物ベースの成分」という用語は、クロロフィル、ルビスコ、その他のタンパク質、トリアシルグリセリド、蝋、セルロース、糖、アミノ酸、フラボノイド、ヒドロキシ安息香酸、及びさらなる芳香化合物からなる群から選択される成分を示す。
【0064】
好ましくは、本発明による抽出物は、抽出物の乾物分の総重量に基づいて、75から95wt%、好ましくは77.5から90wt%の量でフィロズルシンを含む。
【0065】
驚くべきことに、抽出物の乾物分の総重量に基づいて、75から95wt%の量でフィロズルシンを含む本発明による抽出物は、純粋な物質(R)-フィロズルシンと同じ甘さをもたらす(下記実施例4を参照)が、それより多いか又は少ないフィロズルシンを含む本発明による他の抽出物は純粋な物質(R)-フィロズルシンよりもやや弱い甘さをもたらすことがわかった。
【0066】
好ましくは、本発明による抽出物は、それぞれ抽出物の乾物分の総重量に基づいて、15から25wt%、好ましくは20wt%未満、好ましくは15wt%未満、特に好ましくは10wt%未満の量でヒドランゲノールを含み、とりわけ好ましくは5wt%未満のヒドランゲノールを含む。
【0067】
好ましくは、本発明による抽出物は、抽出物の乾物分の総重量に基づいて、0.1から7.5wt%の量、好ましくは0.5から6wt%の量、好ましくは1から5wt%の量でヒドランゲノールを含む。
【0068】
本発明による植物抽出物では、フィロズルシンとヒドランゲノールの重量比は、少なくとも3:1、好ましくは少なくとも5:1、特に好ましくは少なくとも7:1、さらに好ましくは少なくとも10:1、より好ましくは少なくとも15:1、最も好ましくは少なくとも25:1、さらに一層好ましくは少なくとも30:1、好ましくは少なくとも35:1、好ましくは少なくとも40:1、好ましくは少なくとも45:1、好ましくは少なくとも50:1、好ましくは少なくとも55:1、好ましくは少なくとも60:1、好ましくは少なくとも65:1、好ましくは少なくとも70:1であることが好ましい。
【0069】
本発明は、さらに本発明による植物抽出物を含む風味付け混合物に関し、好ましくは、風味付け混合物は、風味付け混合物の総重量に基づいて、少なくとも1wt%、好ましくは少なくとも3wt%、特に好ましくは少なくとも5wt%、とりわけ好ましくは少なくとも10wt%のフィロズルシンを含み、且つ/又は好ましくは、風味付け混合物は、風味付け混合物の総重量に基づいて、5wt%未満、好ましくは1wt%未満、特に好ましくは0.5wt%未満、とりわけ好ましくは0.1wt%未満のヒドランゲノールを含む。
【0070】
好ましくは、本発明による風味付け混合物は、風味付け混合物が本発明による植物抽出物を生成するための植物材料の抽出によっては得られない1つ以上の追加の物質(複数可)を含むことによって本発明による植物抽出物とは異なる。さらに又は或いは、植物抽出物は、望ましくない嗅覚的又は味覚的な味の印象をもたらすか、若しくは増強するか、又はそのような印象を望ましくない様式で改変する1つ以上の物質を含む場合もあり、それにより、植物抽出物は風味付け混合物として適さない。この場合、風味付け混合物は、そのような植物抽出物を含んでもよいが、この物質(複数可)が除去若しくは低減されているか、又はこの物質(複数可)によって引き起こされる望ましくない印象が、1つ以上のさらなる物質によってマスク、低減若しくは改変される。
【0071】
本発明による風味付け混合物が、甘味を伝える少なくとも1つのさらなる化合物又は化合物の混合物を含むことがさらに好ましく、好ましくは、以下からなる群から選択される。
天然甘味料、好ましくは、植物抽出物を含む天然に存在する甘味物質、例えば、甘味炭水化物(例えば、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース(melizitose)、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、l-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アラビノース、l-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリン)、糖アルコール(例えば、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチト(isomaltit)、ズルシトール、ラクチトール)、タンパク質(例えば、ミラクリン、ペンタイジン(pentaidin)、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、マビンリン(mabinlin))、D-アミノ酸(例えば、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン)又はこれらのアミノ酸及び/又はタンパク質を含む天然の供給源から得られた抽出物又は画分並びにこれらのアミノ酸及び/又はタンパク質の生理学的に許容される塩、特に、それらのナトリウム、カリウム、カルシウム、又はアンモニウム塩;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオールギルコシド(steviolgylcoside)、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドX、ズルコシド、ルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユノシド1、バイユノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、オスランジン(oslandin)、ポリポドシドA、ストロジン1、ストロジン、2、ストロジン4、セリグエアニン(selligueanin)A、ジヒドロクエルセチン-3-アセタート、ペリラルチン、テロスモシド(telosmosid)A15、ペリアンドリン(periandrin)I-V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、トランス-アネトール、トランス-シンナムアルデヒド(cinnamaldehyd)、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノズルコシド(bryonodulcoside)、カルノシフロシド、スカンデノシド、ギペノシド、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸(chlorogensaure)、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジカウジオシド(gaudichaudiosid)、モグロシド、例えば、モグロシドV、ヘルナンズルシン(hernandulcine)、モナチン、グリシルレチン酸及びその誘導体、特にグリチルリチン、好ましくはグリチルリチンアンモニウム塩;抽出物又はそのような抽出物の濃縮画分、例えば、タウマトコックス(thaumatococcus)又はステビア亜種の抽出物、特にステビア・レバウディアナ(stevia rebaudiana)、スウィングレ(swingle)抽出物、特にモモルディカ(momordica)又はシラチオ・グロスベノリイ(siratio grosvenorii)又はラカンカ(Luo-Han-Guo)、グリケリジア(glycerrhyzia)亜種の抽出物、特にグリケリジア・グラブラ(glycerrhyzia glabra)、ルブス(rubus)亜種の抽出物、特にルブス・スアウィッシムス(rubus suavissimus)、リピア・デュルキス(lippia dulcis)の抽出物、好ましくは、バランシンA及び/又はバランシンBを含むミケチア・バランサエ(mycetia balansae)の抽出物;
合成甘味料、好ましくは、合成甘味物質、好ましくは、マガップ(magap)、シクラミン酸ナトリウム若しくはシクラミン酸の他の生理学的に許容される塩、アセスルファムK、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルテーム、スーパーアスパルテーム、ネオテーム、アリターム、アドバンテーム、ペリラルチン、スクラロース、ラグドゥネーム(lugduname)、カレレーム(carrelame)、スクロノナート(sucrononate)若しくはスクロオクタート(sucrooctate)又はそれらの混合物からなる群から選択される合成甘味物質。
【0072】
さらに又は或いは、風味付け混合物は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの追加の風味付けを含んでもよい。
脂肪族風味付け物質、とりわけ、飽和脂肪族アルコール、例えば、エタノール、イソプロナノール(isopronanol)、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、2-ヘプタノール、オクタノール(1/2/3)、デカノール、不飽和脂肪族アルコール、例えば、シス-2ペンテノール、シス-3ヘキセノール、トランス-2ヘキセノール、トランス-3ヘキセノール、シス-2オクテノール、1-オクテン-3-オール、シス-6ノネン-1-オール、トランス-2、シス-6ノナジエノール、脂肪族アルデヒド、例えば、飽和脂肪族アルデヒド(例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソルバレルアルデヒド(isolvaleraldehyde)、ヘキサナール、3-メチルヘキサナール、オクタナール、ノナナール、又は一価若しくは多価不飽和脂肪族アルデヒド、例えば、2-メチルブタ-2-エナール、トランス-2ヘキセナール、シス-3ヘキセナール、シス-4ヘキセナール、トランス-2オクテナール、トランス-2ノネナール、シス-6ノネナール、トランス-2、シス-6ノナジエナール、トランス2デセナール、トランス-2、トランス-デカジエナール、脂肪族ケトン、例えば、飽和ケトン(例えば、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-メチルヘプタン-3-オン、2-デカノン、2-ウンデカノン)、不飽和ケトン(例えば、1-ペンテン-3-オン、1-ヘキセン-3-オン、5-メチル-3-ヘキセノン、3-ヘプテン-2-オン、1-オクテン-3-オン、2-オクテン-4-オン、3-オクテン-2-オン、3-ノネ-2-オン)、脂肪族ジケトン及び脂肪族ジケトール、例えば、ジアセチル、アセチルメチルカルビノール、2,3-ヘキサンジオン、脂肪族酸、例えば、直鎖飽和酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、分岐鎖飽和酸、例えば、2-メチルヘプタン酸、4-エチルオクタン酸、及び不飽和酸、例えば、2-ブテン酸、2-ペンテン酸、4-ペンテン酸、2-メチルペンテン酸、トランス-3ヘキセン酸、シス-3ヘキセン酸、3-オクテン酸、リノール酸)、脂肪族エステル、例えば、飽和エステル、例えば、メチルアセタート、メチルブチラート、メチル-2-メチルブチラート、メチルヘキサノアート、エチルアセタート、エチルブチラート、エチル-2-メチルブチラート、エチル-3-メチルブチラート、エチルヘキサノアート、エチルデカノアート、イソプロピルアセタート、イソブチルアセタート、イソブチルバレラート、イソアミルアセタート、イソアミルブチラート、イソアミルイソバレラート、ヘキシルアセタート、ヘキシルヘキサノアート、3-オクチルアセタート及び不飽和エステル、例えば、メチル2-ヘキセノアート、アリルヘキサノアート、シス-3ヘキセニルアセタート、シス-3ヘキセニルブチラート、脂肪族チオール及びジチオール(例えば、プロパンチオール、アリルメルカプタン、1-メトキシ-3-メチルブタン-3-チオール、ジメチルスルフィド、ジメチルトリスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジアリルトリスルフィド、その他の脂肪族硫黄化合物、例えば、2-メルカプト-3-ブタノール、メチルチオプロパナール、3-メルカプト-ペンタノン、4-メトキシ-2-メチル-2-メルカプトブタノン、メチルチオブチラート、メチルチオブチラート、メチル3-メチルチオプロピオナート、脂肪族窒素化合物、例えば、ブチルアミン、トリメチルアミン、アリルイソチオシアナート、イソプロピルイソチオシアナート、脂環式化合物、例えば、脂環式ケトン、例えば、シス-ジャスモン、イソホロン、4-ケトイソホロン、脂環式エステル、例えば、メチルジャスモナート、ヘジオン、テルペン、例えば、テルペンアルコール、例えば、リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、アルファテルピネオール、メントール、8-p-メンテン-1,2-ジオール、フェンコール、ボルネオール、ネロリドール、ホトリエノール、テルペンアルデヒド、例えば、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、ベータ-シネンサール、テルペンケトン、例えば、アルファ-イオノン、(D)-カルボン、(L)-カルボン、ノートカトン、ピペリトン、メントン、アルファダマスコン、ベータダマシン(damascene)、ダマセノン、テルペンエステル、例えば、リナリルアセタート、ゲラニルアセタート、シトロネリルアクテタート(actetate)、カルビルアセタート、フェンチルアセタート、テルペン硫黄化合物、4-メンタ-8-チオール-3-オン、チオゲラニオール、パラ-メンタ-1-エン-8-チオール、メルカプトp-メンタン-3-オン、テルペン炭化水素、例えば、D-リモネン、L-リモネン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、オシメン、アルファ-テルピネン、ガンマ-テルピネン、ベータ-ビサボレン、バレンセン、テルペン酸化物、例えば、1,8-シネオール、ローズオキシド、ミントラクトン、メントフラン、芳香族化合物、例えば、芳香族アルコール、例えば、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、2-フェニルアルコール、芳香族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、5-メチル-2-フェニルヘキセナール、サリチルアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、シクラメンアルデヒド、2-フェニル-2-ブテナール、芳香族酸、例えば、2-フェニル酢酸、ケイ皮酸、芳香族エステル、例えば、ベンジルアセタート、ベンジルサリチラート、アニシルアセタート、メチルフェニルアセタート、メチルベンゾアート、メチルサリチラート、メチルシンナマート、芳香族フェノール、例えば、フェノール、オルト-クレゾール、パラ-クレゾール、2,3-ジメチルフェニル、2-エチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、4-ビニルフェノール、グアイアコール、4-ビニルグアイアコール、オイゲノール、チモール、カルバクロール、芳香族硫黄化合物、例えば、チオフェノール、ジフェニル二硫化物、芳香族窒素化合物、例えば、メチルアントラニラート、メチルN-メチルアントラニラート、芳香族エーテル、例えば、バニリン、エチルバニリン、アネトール、芳香族酸化物、例えば、ヘリオトロピン、ジフェニル酸化物、芳香族ラクトン、例えば、クマリン、ジヒドロクマリン、複素環式化合物、例えば、複素環式ラクトン、例えば、ガンマブチロラクトン、ガンマ-ノナラクトン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、ジャスミンラクトン、デルタドデカラクトン、アンブレットライド、複素環式フラン、例えば、フルフリルアルコール、フルフラール、2-アセチルフラン、テアスピラン、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、フルフリルメルカプタン、2-メチル3-フランチオール、2-メチル3-テトラヒドロフランチオール、ジフルフリルスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、複素環式ピラン、例えば、マルトール、エチルマルトール(maltole)、ローズオキシド、マルトールイソブチラート、複素環式ピロール、例えば、インドール、2-アセチレ(acetyle)ピロール、ピロリジン、複素環式ピラジン、例えば、2-メチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-メチル3-エチルピラジン、トリメチルピラジン、2-アセチルピラジン、2-メトキシ3-メチルピラジン、2-メトキシ3-エチルピラジン、2-メトキシ3-イソブチルピラジン、2-エチル3-メチルチオピラジン、複素環式チアゾール、例えば、チアゾール、2-メチルチアゾール、4-メチル5-ビニルチアゾール、2-イソブチルチアゾール、2-アセチルチアゾール、
風味付け原料及び風味付け調製物、例えば、柑橘類(例えば、レモン、ライム、マンダリン、ベルガモット(bergamotte)、グレープフルーツ、ダイダイ、皮若しくは精油)、薬用植物(ディル、パセリ、クミン、ローズマリー、セージ、クラリーセージ、バジル、タラゴン、タイム、オレガノ、セイボリー、マジョラム、オールスパイス、メース、ナツメグ、クローブリーフ、クローブ蕾、キャラウェイ、シナモム(cinnamom)リーフ、シナモム(cinnamom)バーク、カッシア、カルダモン、ショウガ、ガランガル、ウコン、コリアンダーシード、コリアンダーリーフ、フェネグリーク、ジュニパーベリー、ヨモギ、ローリエリーフ、ユーカリ、白胡椒、緑胡椒、白胡椒、キャロットシード、セロリシード、ラベージリーフ、アサフェティダ、タマネギ、ネギ、ニンニク、マスタード、ホースラディッシュ、トウガラシ、パプリカ、海藻、バレリアンオイル、ファーニードル、スペアミント、ペパーミント、トウリョクジュ、ブチュリーフ、クロスグリ蕾、フェンネル、スターアニス、ジャンブー、ヒハツ、ダバナ、オリス、ミモザ、カッシー、バイオレットリーフ、ホーリーフ、ジャスミン、イランイラン、カナンガ、オスマンサス、アンゼリカ、クラリーセージ、アンブレットシード、ホップ、カモミール、ラベンダー、バラ、ゼラニウム、シトロネラ、パルマローザ、リツエアクベバ、レモングラス、タジェット、ネロリ、プチグレン、マテ茶、コニャック油、コーヒー、コーラナッツ、ココア、緑茶、紅茶、白茶、リンドウ、トールバルサム、ベンゾイン樹脂、ペルーバルサム、カスカリラ、ガルバヌム、ベチベルソウ、ラブダナム、パチュリ、ビャクダン、シダーウッド、ガイアックウッド、オークウッド、マッソイ(massoi)バーク、バニラビーンズ、トンカマメ、並びにそれらの濃縮画分などの原料からの精油、コンクリート、アブソリュート、抽出物又はチンキ、
ジュース濃縮物、例えば、オレンジジュース、レモンジュース、イチゴ、サクランボジュース、又はパッションフルーツジュース濃縮物、柑橘類(レモン、ライム、オレンジ、マンダリン、グレープフルーツ)、リンゴ、ナシ、マルメロ、セイヨウカリン、レッドフルーツ(ラズベリー、イチゴ、ブルーベリー、ブラックベリー、アメランキア(Amellanchia)(ジューンプラム)、ローズヒップ、クランベリー、プラム、プルーン、アカフサスグリ及びクロフサスグリなど)、イエローフルーツ(モモ、アプリコット、ネクタリン、バナナなど)、トロピカルフルーツ(マンゴー、パッションフルーツ、パイナップル、ライチなど)、野菜(例えば、キュウリ、トマト)及びスパイス(例えば、ショウガ)などの原料からの水相及び回収物、
アセトフェノン、アリルカプロアート、アルファ-イオノン、ベータ-イオノン、アニスアルデヒド、アニシルアセタート、アニシルホルマート、ベンズアルデヒド、ベンゾチアゾール、ベンジルアセタート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、ベータ-イオノン、ブチルブチラート、ブチルカプロアート、ブチリデンフタリド、カルボン、カンフェン、カリオフィレン、シネオール、シンナミルアセタート、シトラール、シトロネロール、シトロネラール、シトロネリルアセタート、シクロヘキシルアセタート、シメン、ダマスコン、デカラクトン、ジヒドロクマリン、ジメチルアントラニラート、ドデカラクトン、エトキシエチルアセタート、エチル酪酸、エチルブチラート、エチルカプラート、エチルカプロアート、エチルクロトナート、エチルフラネオール、エチルグアイアコール、エチルイソブチラート、エチルイソバレラート、エチルラクタート、エチルメチルブラレート、エチルプロピオナート、オイカリプトール、オイゲノール、エチルヘプチラート、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、ガンマ-デカラクトン、ゲラニオール、ゲラニルアセタート、ゲラニルアセタート、グレープフルーツアルデヒド、メチルジヒドロジャスモナート(例えば、Hedion(登録商標))、ヘリオトロピン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、トランス-2-ヘプテナール、シス-4-ヘプテナール、トランス-2-ヘキセナール、シス-3-ヘキセノール、トランス-2-ヘキセン酸、トランス-3-ヘキセン酸、シス-2-ヘキセニルアセタート、シス-3-ヘキセニルアセタート、シス-3-ヘキセニルカプロアート、トランス-2-ヘキセニルカプロアート、シス-3-ヘキセニルホルマート、シス-2-ヘキシルアセタート、シス-3-ヘキシルアセタート、トランス-2-ヘキシルアセタート、シス-3-ヘキシルホルマート、パラ-ヒドロキシベンジルアセトン、イソアミルアルコール、イソアミルイソバレラート、イソブチルブチラート、イソブチルアルデヒド、イソオイゲノールメチルエーテル、イソプロピルメチルチアゾール、ラウリン酸、レブリン酸、リナロール、リナロールオキシド、リナリルアセタート、メントール、メントフラン、メチルアントラニラート、メチルブタノール、メチル酪酸、2-メチルブチルアセタート、メチルカプロアート、メチルシンナマート、5-メチルフルフラール、3,2,2-メチルシクロペンテノロン、6,5,2-メチルヘプテノン、メチルジヒドロジャスモナート、メチルジャスモナート、2-メチルメチルブチラート、2-メチル-2-ペンテノール酸、メチルチオブチラート、3,1-メチルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセタート、ネロール、ネロールアセタート、トランス、トランス-2,4-ノナジエナール、2,4-ノナジエノール、2,6-ノナジエノール、2,4-ノナジエノール、ノートカトン、デルタ-オクタラクトン、ガンマ-オクタラクトン、2-オクタノール、3-オクタノール、1,3-オクテノール、1-オクチルアセタート、3-オクチルアセタート、パルミチン酸、パラアルデヒド、フェランドレン、ペンタンジオン、フェニルエチルアセタート、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルイソバレラート、ピペロナール、プロピオンアルデヒド、プロピルブチラート、プレゴン、プレゴール、シネンサール、スルフロール、テルピネン、テルピネオール、テルピノレン、8,3-sチオメンタノン、4,4,2-チオメチルペンタノン、チモール、デルタ-ウンデカラクトン、ガンマ-ウンデカラクトン、バレンセン、吉草酸、バニリン、アセトイン、エチルバニリン、エチルバニリンイソブチラート(=3-エトキシ-4-イソブチリルオキシベンズアルデヒド)、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン及びその誘導体(ここでは、好ましくはホモフラネオール(=2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン)、ホモフロノール(homofuronol)(=2-エチル-5-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン及び5-エチル-2-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)、マルトール及びマルトール誘導体(ここでは、好ましくはエチルマルトール)、クマリン及びクマリン誘導体、ガンマ-ラクトン(ここでは、好ましくはガンマ-ウンデカラクトン、ガンマ-ノナラクトン、ガンマ-デカラクトン)、デルタ-ラクトン(ここでは、好ましくは4-メチルデルタデカラクトン、マッソイアラクトン、デルタデカラクトン、ツベロラクトン)、メチルソルバート、ジバニリン、4-ヒドロキシ-2(又は5)-エチル-5(又は2)-メチル-3(2H)フラノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、酢酸イソアミルエステル、酪酸エチルエステル、酪酸-n-ブチルエステル、酪酸イソアミルエステル、3-メチル-酪酸エチルエステル、n-ヘキサン酸エチルエステル、n-ヘキサン酸アリルエステル、n-ヘキサン酸-n-ブチルエステル、n-オクタン酸エチルエステル、エチル-3-メチル-3-フェニルグリシダート、エチル-2-トランス-4-シス-デカジエノアート、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキサン、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール及びフェニルアセトアルデヒド、2-メチル-3-(メチルチオ)フラン、2-メチル-3-フランチオール、ビス(2-メチル-3-フリル)二硫化物、フルフリルメルカプタン、メチオナール、2-アセチル-2-チアゾリン、3-メルカプト-2-ペンタノン、2,5-ジメチル-3-フランチオール、2,4,5-トリメチルチアゾール、2-アセチルチアゾール、2,4-ジメチル-5-エチルチアゾール、2-アセチル-1-ピロリン、2-メチル-3-エチルピラジン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、2-エチル-3,6-ジメチルピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、3-イソプロピル-2-メトキシピラジン、3-イソブチル-2-メトキシピラジン、2-アセチルピラジン、2-ペンチルピリジン、(E,E)-2,4-デカジエナール、(E,E)-2,4-ノナジエナール、(E)-2-オクテナール、(E)-2-ノネナール、2-ウンデセナール、12-メチルトリデカナール、1-ペンテン-3-オン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、グアイアコール、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、3-ヒドロキシ-4-メチル-5-エチル-2(5H)-フラノン、シンナムアルデヒド、シナモンアルコール、メチルサリチラート、イソプレゴール並びに(ここでは明記されていない)これらの物質の立体異性体、エナンチオマー、位置異性体、ジアステレオマー、シス/トランス異性体又はエピマー。
【0073】
好ましくは、本発明による風味付け混合物は、風味付け混合物の乾物分の総重量に基づいて、75から95wt%、好ましくは76から90wt%、好ましくは77.5から85wt%の量でフィロズルシンを含む。
【0074】
さらに又は或いは、本発明による風味付け混合物は、それぞれ抽出物の乾物分の総重量に基づいて、15から25wt%の量でヒドランゲノールを含み、好ましくは20wt%未満、好ましくは15wt%未満、特に好ましくは10wt%未満、とりわけ好ましくは5wt%未満のヒドランゲノールを含む。
【0075】
好ましくは、本発明による風味付け混合物は、風味付け混合物の乾物分の総重量に基づいて、0.1から7.5wt%の量、好ましくは0.5から6wt%の量、好ましくは1から5wt%の量でヒドランゲノールを含む。
【0076】
本発明による風味付け混合物では、フィロズルシンとヒドランゲノールの重量比は、少なくとも3:1、好ましくは少なくとも5:1、特に好ましくは少なくとも7:1、さらに好ましくは少なくとも10:1、より好ましくは少なくとも15:1、最も好ましくは少なくとも25:1、さらに一層好ましくは少なくとも30:1、好ましくは少なくとも35:1、好ましくは少なくとも40:1、好ましくは少なくとも45:1、好ましくは少なくとも50:1、好ましくは少なくとも55:1、好ましくは少なくとも60:1、好ましくは少なくとも65:1、好ましくは少なくとも70:1であることが好ましい。
【0077】
本発明は、さらに、本発明による植物抽出物又は本発明による風味付け混合物を含む、組成物、好ましくは、食物若しくは楽しみのために提供される組成物又は医薬組成物に関する。
【0078】
好ましくは、本発明による組成物は、表(コーティングされていない、及びコーティングされた錠剤、1つ又は複数の層状の錠剤)、カプセル、トローチ、顆粒、ペレット、固形物質混合物、液相中の分散物、エマルジョン、粉末、溶液、ジュース、ペースト又は他の、飲み込めるか、若しくは噛み砕ける調製物からなる群から選択される形態で存在してもよい。
【0079】
本発明による医薬組成物は、表(コーティングされていない、及びコーティングされた錠剤、1つ又は複数の層状の錠剤)、カプセル、トローチ、顆粒、ペレット、固形物質混合物、液相中の分散物、エマルジョン、粉末、溶液、ジュース、ペースト又は他の、飲み込めるか、若しくは噛み砕ける調製物の形態で存在可能であることがさらに好ましい。
【0080】
好ましくは、本発明による組成物は、風味付け混合物の総重量に基づいて、少なくとも1wt%、好ましくは少なくとも3wt%、特に好ましくは少なくとも5wt%、とりわけ好ましくは少なくとも10wt%のフィロズルシンを含み、且つ/又は、好ましくは、風味付け混合物は、組成物の総重量に基づいて、5wt%未満、好ましくは1wt%未満、特に好ましくは0.5wt%未満、とりわけ好ましくは0.1wt%未満のヒドランゲノールを含む。
【0081】
さらに又は或いは、本発明による組成物は、抽出物の乾物分の総重量に基づいて、20wt%未満、好ましくは15wt%未満、特に好ましくは10wt%未満、とりわけ好ましくは5wt%未満のヒドランゲノールを含む。
【0082】
さらに又は或いは、本発明による組成物は、組成物の乾物分の総重量に基づいて、0.1から7.5wt%の量、好ましくは0.5から6wt%の量、好ましくは1から5wt%の量でヒドランゲノールを含む。
【0083】
本発明による組成物では、フィロズルシンとヒドランゲノールの重量比は、少なくとも3:1、好ましくは少なくとも5:1、特に好ましくは少なくとも7:1、さらに好ましくは少なくとも10:1、より好ましくは少なくとも15:1、最も好ましくは少なくとも25:1、さらに一層好ましくは少なくとも30:1、好ましくは少なくとも35:1、好ましくは少なくとも40:1、好ましくは少なくとも45:1、好ましくは少なくとも50:1、好ましくは少なくとも55:1、好ましくは少なくとも60:1、好ましくは少なくとも65:1、好ましくは少なくとも70:1であることが好ましい。
【0084】
好ましくは、本明細書に記載される食物又は楽しみのために提供される組成物は、(低カロリーの)焼いた食品(例えば、パン、ドライビスケット、ケーキ、他の焼き物)、菓子(例えば、ミューズリーバー製品、チョコレート、チョコレートバー、バー状の他の製品、フルーツガム、ドラジェ、ハード及びソフトキャラメル、チューインガム)、ノンアルコール飲料(例えば、ココア、コーヒー、緑茶、紅茶、(緑、紅)茶抽出物が豊富な(緑、紅)茶飲料、ルイボス茶、他のハーブティー、果物含有ソフトドリンク、アイソトニック飲料、清涼飲料、果肉飲料、果物及び野菜ジュース、果物又は野菜ジュース調製物)、インスタント飲料(例えば、インスタントココア飲料、インスタントお茶飲料、インスタントコーヒー飲料)、肉製品(例えば、ハム、生ソーセージ又は未加工ソーセージ調製品、香辛料で味をつけた又はマリネにした生鮮肉製品又は塩付け肉製品)、卵又は卵製品(乾燥卵、卵白、卵黄)、シリアル製品(例えば、朝食用シリアル、ミューズリーバー、調理済みのインスタント米製品)、乳製品(例えば、全脂肪又は低脂肪又は無脂肪乳飲料、ライスプディング、ヨーグルト、ケフィア、クリームチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、乾燥粉乳、ホエー、バター、バターミルク、アイスクリーム、部分的又は完全に加水分解された牛乳タンパク質含有製品)、大豆タンパク質又は他の大豆画分から作られ製品(例えば、豆乳及びそれから生成された製品、単離された又は酵素処理された大豆タンパク質を含む飲料、大豆粉を含む飲料、大豆レシチンを含む調製品、豆腐若しくはテンペなどの発酵製品又はそれから生成された製品並びに果物調製品及び任意に香料との混合物)、タンパク質が豊富な植物材料(例えば、オーツ、アーモンド、エンドウ、ルピナス、ヒラマメ、ソラマメ、ヒヨコマメ、米、キャノーラの種材料)からの乳製品のような調製品(ミルクタイプ、ヨーグルトタイプ、デザートタイプ、アイスクリーム)、植物タンパク質が豊富な乳製品を含まない飲料、果物調製品(例えば、ジャム、シャーベット、フルーツソース、フルーツフィリング)、野菜調製品(例えば、ケチャップ、ソース、乾燥野菜、冷凍野菜、調理済み野菜、煮詰めた野菜)、軽食(例えば、ベイクド若しくはフライドポテトクリスプ又はポテトドウ製品、トウモロコシ若しくはピーナッツベースの成形物)、脂肪及び油ベースの製品又はそのエマルジョン(例えば、マヨネーズ、レムラード、ドレッシング、それぞれの場合において全脂肪又は低脂肪)、その他の既製料理及びスープ(例えば、乾燥スープ、インスタントスープ、調理済みスープ)、スパイス、スパイス混合物及び特に、例えば、軽食の分野で使用される調味料、甘味料調製品、錠剤又はサッシェ、飲料に甘味をつけるか、若しくは白くするためのその他の調製品からなる群から選択されてもよい。
【0085】
好ましくは、本発明による組成物は、練り歯磨き、練り歯磨き、歯用ジェル、マウスウォッシュ、マウスリンス、うがい液、口腔又は咽頭スプレー(ポンプ又はエアロゾルスプレー)、トローチ、トローチ、キャンディ、チューインガム、チューイーキャンディ及びデンタルケアチューインガムからなる群から選択されてもよい。
【0086】
さらに、本発明はまた、甘味の印象を与えるか、又は改変するための本発明による植物抽出物又は本発明による風味付け混合物の使用に関する。
【0087】
例えば、下記実施例によって示されるとおり、本発明による植物抽出物又は本発明による風味付け混合物はそれぞれ、特に有利な官能特性を有する。
【0088】
さらに、本発明はまた、甘味の印象を与えるか、又は改変するための方法であって、
(i)好ましくは、本発明による方法によって、本発明による植物抽出物、又は本発明による風味付け混合物を準備するステップと、
(ii)ステップ(i)で得られた植物抽出物又は風味付け混合物を、甘味の印象が与えられるか、又は改変される物質又は製品と混合するステップと
を含む、方法に関する。
【0089】
「甘味の印象を改変すること」という用語は、本明細書中で使用される場合、甘味の印象を最適化すること又は高めることなどの、あらゆる種類の改変を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本発明のさらなる態様及び利点は、次の好適な実施例の説明から得られる。
【実施例】
【0091】
[実施例1]
フィロズルシンを含む植物抽出物を生成するための方法
100gのハイドランジア・マクロフィラのもみ合わせた乾燥葉を、40℃の温度の1000gの水と一緒に抽出器に入れた。湿った葉材料の発酵を40℃で2時間行った。次に、上清の水を排出し、排出した水の量のエタノールを湿った抽出材料に添加した。最初の抽出を、撹拌することによって、40℃、標準気圧(すなわち、1013mbar)で2時間行った。最初の抽出物を回収し、2回目の抽出を、さらに500gのエタノールを抽出材料に添加することによって、撹拌下、40℃で2時間行った。抽出材料を圧縮して、2回目の抽出物を回収した。両抽出物を混合し、5μmバッグフィルターでろ過した。次に、抽出物の量を蒸留によって700gに減少させた。得られた抽出物中のフィロズルシンの量は、0.2から0.4wt%の範囲であった。
【0092】
次に、抽出物を4300gの水で希釈し、抽出物の精製を固相吸着により行った。カラム材料(カラム寸法が25mm×250mmで60gの架橋ポリスチレンを充填したカラムを使用した)を380gのエタノール及び25ml/分の流量で活性化した。エタノールを1200gの水で追い出し、希釈抽出物を15ml/分の流量で適用した。次に、カラムを、900gの水により25ml/分の流量で洗浄し、窒素で乾燥し、吸着の流れ方向に250gのエタノールで溶出した(流量:15ml/分)。溶出の間、濁った褐色の流液が排出された。
【0093】
得られたエタノール溶離液(230g)を蒸留装置において60℃に加熱し、エタノールを分離し、溶離液中のエタノールの残存量は25gであった。次に、高温の混合物をろ過し、撹拌しながら、室温まで、その後、5℃まで冷却し、5℃で24時間保存した。沈殿した原料生成物を分離し、それぞれ20gの予め冷却したエタノールにより30分間5℃で2回洗浄した。洗浄した固体を洗浄溶液から分離し、25℃で乾燥した。およそ1.7gの乾燥生成物が得られた。フィロズルシンの濃度は、85wt%であった。
【0094】
[実施例2]
フィロズルシンを含む植物抽出物を生成するための方法
100kgのハイドランジア・マクロフィラのもみ合わせた乾燥葉を、800kgの水とともに抽出器中において40℃の温度で2時間発酵させた。次に、上清の水を排出し、植物材料を圧縮した。470kgのエチルアセタートを湿った抽出混合物に添加した。最初の抽出を、撹拌することによって、40℃、標準気圧(すなわち、1013mbar)で2時間行った。最初の抽出物を回収し、2回目の抽出を、さらに400kgのエチルアセタートを抽出材料に添加することによって、撹拌下、40℃で2時間行った。2回目の抽出物を分離し、最初の抽出物と混合した。混合した抽出物を、5μmバッグフィルターでろ過した。エチルアセタート相を、およそ130kgに濃縮した。
【0095】
100kgのエタノールをエチルアセタート含有抽出物に添加後、残っているエチルアセタートを蒸留によって除去した。およそ130kgの溶媒を蒸留によって除去し、およそ100kgの抽出物が得られた。抽出物のフィロズルシン濃度は、およそ3wt%であった。
【0096】
混合物を60℃に加熱して、原料生成物の沈殿を防ぎ、原料生成物のさらなる濃縮のために蒸留によってエタノールを分離した。およそ12wt%のフィロズルシンを含むおよそ20kgの抽出物が得られた。次に、高温の混合物をろ過し、わずかに撹拌しながら、槽中で室温まで、その後、5℃まで冷却した。冷却した混合物を5℃で18時間保存した。
【0097】
沈殿した原料生成物を分離し、それぞれ5kgの予め冷却したエタノールにより30分間5℃で2回洗浄した。洗浄した固体を洗浄溶液から分離し、25℃で乾燥した。およそ3kgの湿った生成物、又はおよそ2kgの乾燥生成物がそれぞれ得られた。フィロズルシンの濃度は、88wt%であった。
【0098】
[実施例3]
官能特性及び安定性の比較
以下の混合物を調製した。
M1:実施例1により、葉材料を(葉材料の重量の8倍の量の)エタノールで抽出し、固相精製及び沈殿を行い、固体を(固体の重量の5倍の量の)エタノールにより5℃で洗浄した。
C1:実施例1により、葉材料を(葉材料の重量の12倍の量の)エタノールで抽出し、固相精製を行った。ただし、沈殿及び洗浄ステップは行わなかった。
C2:実施例1により、葉材料を(葉材料の重量の12倍の量の)エチルアセタートで抽出し、固相精製を行った。ただし、沈殿及び洗浄ステップは行わなかった。
C3:実施例2により、葉材料を(葉材料の重量の14倍の量の)エチルアセタートで抽出し、沈殿をエタノールにより5℃で行った。ただし、洗浄ステップは行わなかった。
M2:実施例2により、葉材料を(葉材料の重量の7倍の量の)エチルアセタートで抽出し、沈殿をエタノールにより5℃で行った。さらに、固体を(固体の重量の3倍の量の)エタノールにより5℃で洗浄した。
M3:実施例2により、葉材料を(葉材料の重量の7倍の量の)エチルアセタートで抽出し、沈殿をエタノールにより5℃で行った。さらに、固体を(固体の重量の3倍の量の)エタノールにより5℃で洗浄した。
【0099】
M1からM3(本発明による)及びC1からC2(対照)の官能評価のために、サンプルを訓練された試験パネルによって評価した。M1からM3及びC3に関しては、水1kg当たり6mgのサンプル濃度を評価した。C1に関する濃度は水1kg当たり11mgであった。C2に関する濃度は、水1kg当たり9mgであった。
【0100】
安定性を試験するために、サンプルを3%エタノール溶液として準備し、40℃で1か月間保存した。
【0101】
【0102】
上記実験は、本発明による方法のみが、フィロズルシンを含む抽出物をもたらし、本発明による抽出物では、あまりオフノートがなく、濁りがなく、変色がなく、沈殿がないことが確認されたため、その抽出物が有利な官能プロフィールを有し、保存されているときも安定であることを示している。
【0103】
上記実験からもわかるように、単にフィロズルシン及び/又はヒドランゲノールの量でなく、抽出物を生成する基となる方法も官能プロフィールに影響を与える(M1からM3に対するC3を参照)。
【0104】
[実施例4]
さまざまな量のフィロズルシンの官能評価
2つのサンプル(サンプル1及び2)を本発明による方法によって調製した。詳細には、葉材料を(葉材料の重量の5倍の量の)エチルアセタートで2回抽出し、エタノールにより10℃で沈殿を行った。さらに、固体を(固体の重量の3倍の量の)エタノールにより5℃で洗浄した。
【0105】
サンプル3を葉材料から抽出したが、沈殿は行わなかった。
【0106】
次に、サンプルを官能評価に関して純粋な物質(R)-フィロズルシンと比較した。
【0107】
【0108】
上記表に示されたとおり、すべてのサンプル(本発明によるすべて)が純粋な物質(R)-フィロズルシンと同様の甘さをもたらしている。
【0109】
驚くべきことに、81.9wt%の量のフィロズルシンを含むサンプル2が、純粋な物質(R)-フィロズルシンと同じ甘さをもたらしたことがわかった(1mgのサンプルの甘さを計算した場合)。フィロズルシンの量の増加及び減少(サンプル1及び3)により、もたらされる甘さがやや増加した(1mgのサンプルの甘さを計算した場合)。
【国際調査報告】