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特表2024-540230半導体製造装置用セラミックヒーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】半導体製造装置用セラミックヒーター
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241024BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20241024BHJP
   H05B 3/12 20060101ALI20241024BHJP
   C04B 35/582 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H05B3/10 C
H05B3/12 Z
C04B35/582
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525900
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 KR2022018121
(87)【国際公開番号】W WO2023090862
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0160465
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0126575
(32)【優先日】2022-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520006654
【氏名又は名称】ケーエスエム・コンポーネント・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ヨン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ボ・スン・キム
【テーマコード(参考)】
3K092
5F131
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA05
3K092QB03
3K092RF03
3K092RF11
5F131AA02
5F131BA04
5F131CA03
5F131CA17
5F131EA03
5F131EA04
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
(57)【要約】
通常の半導体製造装置用セラミックヒーターに比べ、特に高温における体積抵抗と常温における熱伝導度に優れた半導体製造装置用セラミックヒーターが開示される。前記半導体製造装置用セラミックヒーターは、a)窒化アルミニウム(AlN)、b)酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)及びスピネル(MgAl2O4)のうちいずれか一つ以上、c)酸化カルシウム(CaO)及びd)二酸化チタン(TiO2)を含むセラミック基板;及び抵抗発熱体;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)窒化アルミニウム(AlN)、
b)酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)及びスピネル(MgAl2O4)のうちいずれか一つ以上、
c)酸化カルシウム(CaO)及び
d)二酸化チタン(TiO2)を含むセラミック基板;及び抵抗発熱体;を含む半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項2】
前記セラミック基板が、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化カルシウム及び二酸化チタンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項3】
前記セラミック基板が、窒化アルミニウム、スピネル、酸化カルシウム及び二酸化チタンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項4】
前記セラミック基板が、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ、スピネル、酸化カルシウム及び二酸化チタンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項5】
前記セラミックヒーターは、500℃における体積抵抗率が1.0E+10Ω.cmないし9.0E+10Ω.cmであることを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項6】
前記セラミックヒーターは、650℃における体積抵抗率が1.0E+9Ω.cmないし8.0E+9Ω.cmであることを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項7】
前記セラミック基板が、0.1重量%ないし10重量%の酸化マグネシウム、0.05重量%ないし5重量%のアルミナ、0.01重量%ないし4重量%の酸化カルシウム、0.01重量%ないし7重量%の二酸化チタン及び残りの窒化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項2に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項8】
前記セラミック基板が、1重量%ないし12重量%のスピネル、0.01重量%ないし4重量%の酸化カルシウム、0.01重量%ないし7重量%の二酸化チタン及び残りの窒化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項3に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項9】
前記セラミック基板が、0.1重量%ないし10重量%の酸化マグネシウム、0.05重量%ないし5重量%のアルミナ、1重量%ないし12重量%のスピネル、0.01重量%ないし4重量%の酸化カルシウム、0.01重量%ないし7重量%の二酸化チタン及び残りの窒化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項4に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項10】
前記構成a)ないしd)が焼結された形でセラミック基板に含まれ、前記セラミック基板がMgAl2O4スピネル相及びAlON相を含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項11】
前記MgAl2O4スピネル相及びAlON相が7~10:1の重量比でセラミック基板に含まれることを特徴とする、請求項10に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項12】
前記セラミックヒーターは、常温における熱伝導度が80W/m.k以上であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項13】
請求項1において、前記セラミック基板がマンガン酸化物を含まないことを特徴とする半導体製造装置用セラミックヒーター。
【請求項14】
前記セラミック基板が、窒化チタン(TiN);炭化タングステン(WC);カーボンナノチューブ(CNT)l窒化ホウ素(BN)l二酸化ケイ素(SiO2);グラフェン;及びスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、タービウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(YB)及びルテチウム(Lu)からなる群から選択される1種以上の希土類金属の酸化物;からなる群から選択される1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体製造装置用セラミックヒーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月19日付けの韓国特許出願第10-2021-0160465号及び2022年10月4日付けの韓国特許出願第10-2022-0126575号に 基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容を本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、半導体製造装置に使用されるセラミックヒーターに関し、さらに詳しくは、通常の半導体製造装置用セラミックヒーターに比べ、特に高温での体積抵抗と常温での熱伝導度に優れた半導体製造装置用セラミックヒーターに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造装置に使用されるPECVD用またはCVD工程用ヒーターは、セラミック基板と抵抗発熱体構成を含んでおり、このうち、セラミック基板は、耐プラズマ性及び低温と高温における高い体積抵抗を持たなければウェハ(Wafer)蒸着工程で生産性を向上させることができない。このため、窒化アルミニウム(AlN)はセラミック基板の主成分として提案されてきた。このような窒化アルミニウムは、高温で安定し、電気絶縁性と熱伝導度に優れた物理的特性を有している。また、シリコンと類似の熱膨張係数を有しているため、高温で高い電気抵抗が求められる半導体製造装置に主に使用されている。
【0004】
一方、最近、半導体工程では、歩留まりを向上させるための工程の微細化及び装置の大口径化が進んでいるが、このような工程の微細化及び装置の大口径化により半導体製造工程において様々な問題が発生する。したがって、それを克服できる次世代の半導体工程技術が必要である。これを受け、当該工程は、より過酷な環境の600℃ないし700℃で行われており、500℃における体積抵抗が最低5.0E+9Ω.cmないし1.0E+10Ω.cmの範囲を有し、600℃ないし700℃における体積抵抗が最低1.0E+8Ω.cmないし1.0E+9Ω.cmの範囲を有するセラミック特性が求められている。また、一般的な窒化アルミニウムセラミックヒーターは、500℃から急激に体積抵抗が低下し、漏れ電流が発生する傾向が見られる。
【0005】
これに関連して、韓国公開特許第10-2006-0111279号(以下、特許文献1)、韓国公開特許第10-2006-0103146号(以下、特許文献2)及び韓国公開特許第10-2018-0126142号(以下、特許文献3)は、いずれも窒化アルミニウムヒーター(AlN Heater)に関するもので、いずれも窒化アルミニウムと酸化マグネシウムの他に希土類酸化物(酸化イットリウム等)まで含めて焼結させており、特許文献1の体積抵抗率が常温で1.0E+15Ω.cm以上であり、特許文献2の体積抵抗率が200℃で1.0E+15Ω.cm以上であり、特許文献3の体積抵抗率が400℃で1.0E+8Ω.cmを超えることを開示している。
【0006】
しかし、これらの特許文献は、いずれも、最近の半導体工程の温度条件である600℃ないし700℃における体積抵抗率が1.0E+8Ω.cmないし1.0E+9Ω.cmの範囲にも及ばず、500℃における体積抵抗率も5.0E+9Ω.cmないし1.0E+10Ω.cmの範囲にも及ばない。これは、多数の論文及び特許文献にも明記されているように、500℃以上で体積抵抗が低下するしかない窒化アルミニウムの素材特性に起因するものであり、このとき、漏れ電流が急激に増加する問題まで発生する。これを改善するため、半導体装置ヒーターのメーカーは500℃以上(特に、600℃ないし700℃)における体積抵抗を向上させるために研究を継続して行っているが、まだこれといった解決策が見つかっていないのが現状である。
【0007】
また、従来の酸化マグネシウム及び希土類酸化物を含む窒化アルミニウムセラミックヒーターは、常温における熱伝導度が約40W/m.kないし50W/m.kにすぎないため、温度均一性(uniformity)の偏差が大きくなり、歩留まりが低下する等の問題が発生する。一般的に、高温で蒸着工程が行われる場合、工程後のチャンバー洗浄のために適正温度(約200℃ないし300℃)に下げて乾式または湿式で行われるが、この時、熱伝導度が低いと、洗浄温度を下げるための冷却時間(cooling time)と、洗浄後に再び工程で求める温度に上げるための時間(heat up time)がかかる。そして、このように熱伝導度が低いと、そうでない場合に比べて不要な時間が多くかかるため、歩留まりも低くなるしかないわけである。特に、半導体は品質と歩留まりが優先されるため、従来のセラミックヒーターの熱伝導度を高めて歩留まりを必ず向上させる必要がある。また、熱伝導度の温度均一性の偏差が大きい場合、熱応力及び熱衝撃によって製品の寿命が短くなる結果をもたらすことがある。したがって、次世代の半導体工程に適合するように、60W/m.k以上、好ましくは80W/m.k以上の熱伝導度まで同時に有するセラミックヒーターが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2006-0111279号
【特許文献2】韓国公開特許第10-2006-0103146号
【特許文献3】韓国公開特許第10-2018-0126142号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、通常の半導体製造装置用セラミックヒーターに比べて、特に高温における体積抵抗と常温における熱伝導度に優れた半導体製造装置用セラミックヒーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明は、a)窒化アルミニウム(AlN)、b)酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)及びスピネル(MgAl2O4)のうちいずれか一つ以上、c)酸化カルシウム(CaO)及びd)二酸化チタン(TiO2)を含むセラミック基板;及び抵抗発熱体;を含む半導体製造装置用セラミックヒーターを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明による半導体製造装置用セラミックヒーターによれば、通常の半導体製造装置用セラミックヒーターに比べて、特に高温における体積抵抗と常温における熱伝導度に優れているという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明による半導体製造装置用セラミックヒーターは、a)窒化アルミニウム(AlN)、b)酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)及びスピネル(MgAl2O4)のうちいずれか一つ以上、c)酸化カルシウム(CaO)及びd)二酸化チタン(TiO2)を含むセラミック基板及び抵抗発熱体を含む。
【0014】
半導体製造装置に使用されるセラミックヒーター(ceramic heater)は、セラミック基板と抵抗発熱体で構成され、このうち、セラミック基板は、耐プラズマ性と高温における高い体積抵抗を持たなければセラミックヒーターを含む半導体製造装置の生産性を向上させることができない。このため、高温で安定し、電気絶縁性と熱伝導度に優れた物理的特性を有しており、シリコンと類似の熱膨張係数を有している窒化アルミニウム(AlN)が半導体製造装置用セラミックヒーターの基板の主成分として使用されている(その他の成分としては、酸化マグネシウムや希土類金属酸化物等の添加剤が挙げられる)。
【0015】
しかし、最近の半導体工程において、歩留まりの向上に向けた工程の微細化及び装置の大口径化により、次世代半導体工程技術が求められる状況である。特に、半導体製造工程が600℃ないし700℃で行われているため、500℃における体積抵抗が少なくとも5.0E+9Ω.cmないし1.0E+10Ω.cmの範囲を有し、600℃ないし700℃における体積抵抗が少なくとも1.0E+8Ω.cmないし1.0E+9Ω.cmの範囲を有する優れたセラミック特性が求められている。しかし、窒化アルミニウムをセラミック基板の主成分として含む通常のセラミックヒーターは、500℃から体積抵抗が急激に低下し、漏れ電流が発生するという問題がある。また、従来の希土類酸化物を含む窒化アルミニウムセラミックヒーターは、常温における熱伝導度が約40W/m.kないし50W/m.kにすぎないため、次世代半導体工程に適合するように、60W/m.k以上、好ましくは80W/m.k以上の熱伝導度を有することも求められる。
【0016】
そこで、本出願人は、多方面での研究を重ねた結果、半導体製造装置用セラミックヒーターのセラミック基板成分として、窒化アルミニウム(AlN)の他に、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)及びスピネル(Spinel, MgAl2O4)のうちいずれか一つ以上と酸化カルシウム(CaO)及び二酸化チタン(TiO2)まで含めると、500℃以上、好ましくは600℃ないし700℃、さらに好ましくは約650℃においても体積抵抗率に優れ、常温における熱伝導度も80W/m.k以上と優れていることを確認した。
【0017】
より具体的には、本発明による半導体製造装置用セラミックヒーターのセラミック基板に含まれる窒化アルミニウムは、その他の成分、すなわち、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)及びスピネル(Spinel, MgAl2O4)のうちいずれか一つ以上;酸化カルシウム(CaO);及び二酸化チタン(TiO2)の総含有量を除いた残りの量として含まれる。具体的には、前記窒化アルミニウムは、75重量%ないし98重量%として含まれてもよい。
前記酸化マグネシウムは、セラミックヒーターの熱伝導度と体積抵抗を向上させるために含まれてもよい。前記酸化マグネシウムは、前記窒化アルミニウム及び後述するアルミナとの有機的な組み合わせ(焼結、特にアルミナとの焼結)により、MgAl2O4スピネルセラミック(Spinel ceramic、またはスピネル)相を形成するために使用される。前記酸化マグネシウムの含有量は、0.1重量%ないし10重量%、好ましくは0.1重量%ないし5重量%、より好ましくは1重量%ないし4重量%であってもよい。もし、前記酸化マグネシウムの含有量が0.1重量%未満であれば、窒化アルミニウムと酸化マグネシウムの焼結及びアルミナと酸化マグネシウムの焼結によって形成されるMgAl2O4スピネル相がほとんど形成されず、微々たる効果になるか効果がないことがあり、前記酸化マグネシウムの含有量が10重量%を超える場合は、焼結後の密度が低くなり、むしろ熱伝導度が低下する恐れがある。
【0018】
一方、前記窒化アルミニウムは、マイクロメートル級サイズの粒子のみからなるようにすることが好ましい。また、前記酸化マグネシウムは、平均サイズがナノメートル級サイズ(数十ないし数百ナノメートル)の粒子のみからなるものであってもよく、平均サイズがマイクロメートル級サイズ(数マイクロメートル)の粒子のみからなるものであってもよく、ナノメートル級サイズの粒子とマイクロメートル級サイズの粒子が混合したものであってもよい。ただし、前記酸化マグネシウムは、ナノメートル級サイズの粒子とマイクロメートル級サイズの粒子が混合したものよりは、ナノメートル級サイズの粒子のみからなるか、マイクロメートル級サイズの粒子のみからなるものが好ましく、より優れた焼結性、体積抵抗及び熱伝導度を有するようにナノメートル級サイズの粒子のみからなるようにするものがより好ましい。
【0019】
すなわち、本発明のセラミックヒーター、正確にはセラミック基板を構成する窒化アルミニウムは、マイクロサイズの粒子として含まれ、前記酸化マグネシウムは、ナノサイズの粒子、マイクロサイズの粒子またはナノ/マイクロサイズの粒子として含まれてもよい。このとき、前記酸化マグネシウムは、ナノサイズの粒子またはマイクロサイズの粒子として含まれることが好ましく、ナノサイズの粒子として含まれることがより好ましい。もし、前記窒化アルミニウムと酸化マグネシウムの粉末粒子がマイクロ-ナノ、マイクロ-マイクロ及びマイクロ-ナノ/マイクロサイズを有しない場合は、次世代半導体工程で求めるセラミックヒーターの体積抵抗及び熱伝導度等の物性を満足させられない。そして、前記窒化アルミニウム粒子の平均粒径は、0.9μmないし1.4μmが好ましい。また、前記酸化マグネシウム粒子がナノメートル級である場合の平均粒径は、50nmないし100nmが好ましく、前記酸化マグネシウム粒子がマイクロメートル級である場合の平均粒径は、3μmないし5μmが好ましい。
【0020】
次に、本発明のセラミック基板に含まれるアルミナは、前記酸化マグネシウムとの焼結により、MgAl2O4スピネル相を形成するために使用されてもよい。このようなアルミナの含有量は、0.05重量%ないし5重量%、好ましくは0.05重量%ないし3.5重量%、さらに好ましくは0.5重量%ないし2重量%であってもよい。もし、前記アルミナの含有量が0.05重量%未満であれば、前記酸化マグネシウムとの焼結によって形成されるMgAl2O4スピネル相がほとんど形成されず、微々たる効果になるか効果がないことがあり、前記アルミナの含有量が5重量%を超える場合は、熱伝導度が大きく低下するという問題が発生しかねない。
【0021】
一方、本発明は、半導体製造装置用セラミックヒーターのセラミック基板に酸化マグネシウム(MgO)とアルミナ(Al2O3)を含める代わりに、スピネル(MgAl2O4)を単独で含めてもよい。すなわち、本発明で酸化マグネシウムとアルミナを使用する主な目的は、MgAl2O4スピネル相を形成することであるため、最初の製造時からスピネル(MgAl2O4)を原料として含めることもできる。また、酸化マグネシウム及びアルミナのうちいずれか一つ以上による独立した効果を発生させる目的で、スピネル(MgAl2O4)を基本的に含めつつ、酸化マグネシウム及びアルミナのうちいずれか一つ以上を一緒に含めてもよい。
【0022】
そして、前記酸化マグネシウムとアルミナを含めず、スピネル(MgAl2O4)のみを単独で含める場合のスピネル(MgAl2O4)の含有量は、1重量%ないし12重量%、好ましくは3重量%ないし10重量%、さらに好ましくは5重量%ないし10重量%であってもよい。もし、前記スピネル(MgAl2O4)の含有量が1重量%未満であれば、十分なスピネル相が存在しないことから、求められる体積抵抗が得られず、12重量%を超えると、相対的に熱伝導度の低いスピネル相が多くなり、全体の熱伝導度が低下する恐れがある。
【0023】
また、前記スピネル(MgAl2O4)が前記酸化マグネシウム及びアルミナのうちいずれか一つ以上と一緒に含まれる場合も、スピネル(MgAl2O4)は前記と同一の含有量で含まれてもよい。ただし、窒化アルミニウムと酸化マグネシウム間の焼結及びアルミナと酸化マグネシウム間の焼結によってもMgAl2O4スピネル相が形成されるため、最終的に製造されるセラミック基板内のスピネル(MgAl2O4)の含有量が12重量%を超えないように含まれることが好ましい。すなわち、前記スピネル(MgAl2O4)が前記酸化マグネシウム及びアルミナのうちいずれか一つ以上と一緒に含まれる場合、前記窒化アルミニウムと酸化マグネシウム間の焼結及びアルミナと酸化マグネシウム間の焼結によって生成されるMgAl2O4スピネル相と、単独で含まれるスピネル(MgAl2O4)の含有量を足した総重量が12重量%を超えないようにすることが好ましい。
【0024】
さらに、最初の製造時からスピネル(MgAl2O4)なしで酸化マグネシウム及びアルミナを含める場合も、最終的に製造されるセラミック基板内のスピネル(MgAl2O4)の含有量は、前記と同様に1重量%ないし12重量%であることが好ましい。このとき、前記アルミナに対する酸化マグネシウムの含有量が化学量論比を超えるほど過剰に含まれる場合、前記アルミナと反応せずに残っている酸化マグネシウムは、高温焼結過程で窒化アルミニウムの一部が酸素と反応して生成されたアルミナとの反応を通じてさらにMgAl2O4スピネル相を形成することがあり、このような場合も、前記セラミック基板内のスピネル(MgAl2O4)の含有量は、前記と同一であることが好ましい。
【0025】
続いて、本発明のセラミック基板に含まれる酸化カルシウムは、セラミックヒーターの体積抵抗率と熱伝導度を最大化するために使用される。前記酸化カルシウムの含有量は、0.01重量%ないし4重量%、好ましくは0.1重量%ないし3重量%であってもよい。もし、前記酸化カルシウムの含有量が0.01重量%未満であれば、本発明によるセラミックヒーターの体積抵抗率と熱伝導度を最大化する上で困難であり、前記酸化カルシウムの含有量が4重量%を超える場合は、本発明によるセラミックヒーターの体積抵抗率と熱伝導度を最大化する上でこれ以上の利点がないことがある。
【0026】
本発明のセラミック基板に含まれる二酸化チタンも、本発明によるセラミックヒーターの体積抵抗率と熱伝導度を最大化するために使用される。前記二酸化チタンの含有量は、0.01重量%ないし7重量%、好ましくは0.1重量%ないし5重量%であってもよい。もし、前記二酸化チタンの含有量が0.01重量%未満であれば、本発明によるセラミックヒーターの体積抵抗率と熱伝導度を最大化する上で困難であり、前記二酸化チタンの含有量が7重量%を超える場合は、本発明によるセラミックヒーターの体積抵抗率と熱伝導度を最大化する上でこれ以上の利点がないことがある。
【0027】
以上で説明した窒化アルミニウム(AlN);酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)及びスピネル(Spinel, MgAl2O4)のうちいずれか一つ以上;酸化カルシウム(CaO);及び二酸化チタン(TiO2)は、焼結された形としてセラミック基板に含まれることが好ましい。このとき、セラミック基板は、MgAl2O4スピネル相(窒化アルミニウムと酸化マグネシウム間の焼結及びアルミナと酸化マグネシウム間の焼結のうちいずれか一つ以上の焼結によって形成されるか、別途添加されたスピネル(MgAl2O4)独自で形成)を含み、アルミナを使用した場合は、窒化アルミニウムとアルミナ間の焼結によって形成されるAlON相まで含む。
【0028】
したがって、セラミック基板は、MgAl2O4スピネル相を基本的に含みつつ、AlON相まで含んでもよい。そして、前記MgAl2O4スピネル相とAlON相が一緒に含まれる場合、前記MgAl2O4スピネル相及びAlON相は、7ないし10:1の重量比でセラミック基板に含まれることが好ましい(このとき、前記AlON相は、0.1重量%ないし2重量%として含まれてもよい)。もし、前記セラミック基板に含まれるMgAl2O4スピネル相とAlON相の重量比が前記範囲を超える場合は、高温における体積抵抗が低下するという問題が発生するか、高温における熱伝導度が低下するという問題が発生しかねない。一方、前記セラミック基板には、MgAl2O4スピネル相及びAlON相の他に、窒化アルミニウム等の原料素材が一緒に含まれてもよい。
【0029】
以上のような本発明による半導体製造装置用セラミックヒーター(より正確には、セラミック基板またはセラミック焼結体)は、500℃における体積抵抗率が1.0E+10Ω.cmないし9.0E+10Ω.cmであり、650℃における体積抵抗率が1.0E+9Ω.cmないし8.0E+9Ω.cmであり、常温における熱伝導度が80W/m.k以上、好ましくは80W/m.kないし90W/m.kであることを特徴とする。すなわち、セラミックヒーターが前記500℃における体積抵抗率、650℃における体積抵抗率及び常温における熱伝導度全てを同時に満足させなければ、本発明の趣旨を達成できない。さらに、本発明のセラミックヒーターは、漏れ電流量が0.05μA未満、好ましくは0.01μAないし0.035μAであることも一つの特徴とする。
【0030】
もし、前記体積抵抗率を満足させない場合は、当該セラミックヒーターを次世代半導体製造工程に適用しにくく、適用しても漏れ電流が急激に増加してウェハが割れる問題が発生しかねない。また、前記の熱伝導度を満足させない場合は、温度均一性(uniformity)の偏差が大きくなり、歩留まりが低下する等の問題が発生し得る。一般的に、高温で蒸着工程が行われる場合、工程後のチャンバー洗浄のために適正温度(約200℃~300℃)に下げて乾式または湿式方式で行われるが、このとき、熱伝導度が低いと、洗浄温度を下げるための冷却時間(cooling time)と、洗浄後に再び工程で求める温度に上げるための時間(heat up time)がかかる等、不要な時間が多くかかるため、歩留まりも低くなるしかない。また、熱伝導度の温度均一性の偏差が大きい場合、熱応力及び熱衝撃によって製品の寿命が短くなる結果をもたらすことがある。
【0031】
一方、本発明のセラミック基板は、前記で説明した窒化アルミニウム(AlN);酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)及びスピネル(Spinel, MgAl2O4)のうちいずれか一つ以上;酸化カルシウム(CaO);及び二酸化チタン(TiO2)のほか、必要に応じて、窒化チタン(TiN);炭化タングステン(WC);カーボンナノチューブ(CNT);窒化ホウ素(BN);二酸化ケイ素(SiO2);グラフェン;及びスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、タービウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(YB)及びルテチウム(Lu)等からなる群から選択される1種以上の希土類金属(rare-earth metal)の酸化物;からなる群から選択される1種以上の添加剤をさらに含むことができる。そして、本発明のセラミック基板は、MnO等のマンガン酸化物は含まない。もし、セラミック基板にマンガン酸化物を含めると、体積抵抗率が急激に低下する等の問題が生じるからである。
【0032】
前記希土類金属酸化物は、セラミックヒーターの熱伝導度を向上させる上で有利なことがあるものとして、1種の希土類金属を含むものであってもよく、2種ないし5種の互いに異なる希土類金属を含むものであってもよい。前記2種ないし5種の互いに異なる希土類金属を含む希土類金属酸化物としては、ユーロピウム-ガドリニウム複合酸化物(EuGdOX)、サマリウム-ガドリニウム複合酸化物(SmGdOX)、セリウム-ユーロピウム複合酸化物(CeEuOX)、サマリウム-セリウム複合酸化物(SmCeOX)、ガドリニウム-サマリウム複合酸化物(GdSmOX)及びランタン-セリウム複合酸化物(LaCeOX)等2種類の互いに異なる希土類金属を含む複合酸化物;サマリウム-セリウム-ユーロピウム複合酸化物(SmCeEuOX)、ガドリニウム-セリウム-ランタン複合酸化物(GdCeLaOX)及びユーロピウム-ガドリニウム-サマリウム複合酸化物(EuGdSmOX)等3種類の互いに異なる希土類金属を含む複合酸化物;サマリウム-セリウム-ガドリニウム-ユーロピウム複合酸化物(SmCeGdEuOX)及びガドリニウム-サマリウム-ユーロピウム-ランタン複合酸化物(GdSmEuLaOX)等4種類の互いに異なる希土類金属を含む複合酸化物;及びサマリウム-セリウム-ユーロピウム-ガドリニウム-ランタン複合酸化物(SmCeEuGdLaOX)等5種の互いに異なる希土類金属を含む複合酸化物;が挙げられ、ほかにも互いに異なる2種ないし5種の希土類金属(酸化物)を含むものであれば、特に制限なく使用することができる。
【0033】
前記2種ないし5種の互いに異なる希土類金属を含む希土類金属酸化物は、互いに異なる多種の希土類金属を様々な配合比で含むことができる。例えば、前記2種ないし5種の互いに異なる希土類金属を含む希土類金属酸化物は、2種類の希土類金属(酸化物)を2.5ないし3.5:1の重量比で含むか、3種類の希土類金属(酸化物)を1ないし3.5:0.5ないし2.5:1の重量比で含むか、4種類の希土類金属(酸化物)を1.5ないし3.5:0.5ないし2.5:1ないし2.5:1の重量比で含むか、5種類の希土類金属(酸化物)を1ないし3:0.5ないし1.5:0.5ないし1.5:1ないし2:1の重量比で含むことができる等、目的とする希土類金属酸化物の効果が最大限に発揮されるよう、希土類金属(酸化物)を適切に配合することができる。より具体的には、SmCeEuOXは、各希土類金属(酸化物)が2:1:1、GdCeLaOXは3:2:1、EuGdSmOXは1.5:1.5:1、SmCeGdEuOXは2:1:1.5:1、GdSmEuLaOXは3:2:2:1、SmCeEuGdLaOXは2:1:1:1.5:1の重量比であることができる。
【0034】
前記希土類金属酸化物が互いに異なる2種類以上の希土類金属(酸化物)を含む場合、いずれか一つの希土類金属は、残り1つの(または、いずれか一つの)希土類金属酸化物内に固溶することがある。これにより、希土類金属酸化物の結晶が変化することになり、したがって、希土類複合酸化物は、単一希土類金属酸化物に比べて酸素の格子欠陥が増加し得る。このように、酸素の格子欠陥が増加した希土類複合酸化物は、界面反応性が向上し、これにより、セラミック基板に含まれる原料成分や焼結体の界面または格子酸素と効果的に反応することができる。
【0035】
さらに、本発明に係る半導体製造装置用セラミックヒーターの製造方法について説明する。前記半導体製造装置用セラミックヒーターの製造方法は、a)窒化アルミニウム、「酸化マグネシウム、アルミナ及びスピネルのうちいずれか一つ以上」、酸化カルシウム、二酸化チタン、アルコール化合物及びバインダーを混合する段階、b)前記混合物を乾燥させてアルコール化合物成分が取り除かれた粉末を製造する段階、c)前記乾燥された粉末を圧縮及び成形(第1成形)して一定の形状に加工された予備成形体を製造する段階、d)前記製造された予備成形体を脱脂してバインダー成分を取り除く段階及びe)前記脱脂された予備成形体を焼結(第2成形)及び研磨してセラミック基板を製造する段階を含む。
【0036】
前記a)段階のスピネルは、酸化マグネシウムとアルミナをボールミル(Ball mill)で混合及び熱処理して製造することができる。そして、このようなスピネルは、酸化マグネシウムとアルミナなしに単独で使用することもでき、微量の酸化マグネシウム及びアルミナのうちいずれか一つ以上と一緒に使用することもできる。前記a)段階はセラミック基板を構成する成分を混合する段階として、アルコール化合物(例えば、炭素数1ないし5のアルコール化合物)及びバインダーと一緒に混合することができる。このとき、前記セラミック基板を構成する成分(特に、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ)の純度は、それぞれ99%以上であることが好ましい。また、前記a)段階で使用されるアルコール化合物は、前記セラミック基板を構成する成分の適切な混合のために使用されるものとして、エタノール、メタノール及びイソプロピルアルコール等が挙げられる。同様に、前記a)段階で使用されるバインダー(binder)は、前記セラミック基板を構成する成分の結合力を向上させて成形体を製造するためのものとして、ポリビニルアルコール(PVA)及びポリビニルブチラール(PVB)等が挙げられる。
【0037】
前記b)段階は、前記a)段階で混合された粉末混合物を乾燥させてアルコール成分を取り除く段階として、前記乾燥は、噴霧(spray)乾燥法及び真空乾燥法等、当業界に公知の方式によって行うことができ、乾燥時間は目的とするセラミックヒーターの物性等に応じて多様に適用することができる。
【0038】
前記c)段階は、前記乾燥された粉末を圧縮及び成形して一定の形状に加工された予備成形体を製造する段階である。前記圧縮成形は、前記b)段階で乾燥された粉末を目的とするサイズ及び形状に制御するための1番目の成形(すなわち、第1成形)工程として、プレス成形等が挙げられる。このとき、より緻密な規格の製品を製造するために、必要に応じて冷間等方圧プレス(CIP)を追加で行うことができる。前記プレス成形は、常温及び一般大気下で行うことが好ましいが、これに限定されず、成形時の雰囲気は混合物の成形に影響を与えない程度であればよい。その他、前記c)段階の成形工程が行われた後は、グリーン加工(焼結前に行われるものとして、生加工とも呼ばれる)方式等による加工が行われることで予備成形体を製造することができる。
【0039】
前記d)段階は、前記製造された予備成形体を脱脂してバインダー成分を取り除く段階である。前記脱脂は、バインダー及び油脂性を有する汚染物質を取り除くための工程として、350℃ないし600℃の温度で60時間以内で行うことができる。
【0040】
前記e)段階は、前記脱脂された予備成形体を焼結(第2成形)及び研磨してセラミック基板を製造する段階である。前記焼結は、セラミックヒーターの体積抵抗率等をより向上させるための2番目の成形(すなわち、第2成形)工程として(Hot Press)、高温加圧焼結炉で300bar以下の圧力及び1,300℃ないし1,900℃の温度下で行うことができる。このとき、前記焼結によってMgAl2O4スピネル相とAlON相が形成されることがあり、したがって、焼結されて形成されたセラミック基板内には、MgAl2O4、AlON及び残留窒化アルミニウム等が存在することがある。
【0041】
一方、前記c)段階の実施中、予備成形体の内部及び表面のうちいずれか一つ以上に抵抗発熱体を備えるか、前記e)段階で製造されたセラミック基板の表面に抵抗発熱体を備えることができ、前記抵抗発熱体については、当業界に公知の技術を準用する。
【0042】
[発明を実施するための形態]
以下、具体的な実施例により本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明が以下の実施例によって限定されるものではない。
【0043】
[実施例1~6、比較例1~10] セラミックヒーターの製造
下記表1の組成によって窒化アルミニウム等の原料を混合し、さらに微量のエタノール及びポリビニルブチラール(バインダー)を混合してから乾燥させた。続いて、前記乾燥された混合物をプレス成形及び加工して予備成形体を製造し、続いて500℃の温度で30時間脱脂した後、脱脂された予備成形体を高温加圧焼結炉(250barの圧力、1,700℃の温度)で焼結し、研磨してセラミック基板を製造した。最後に、前記製造されたセラミック基板の表面に抵抗発熱体を備え、窒化アルミニウムセラミックヒーターを製造した。一方、一部の実施例及び比較例で原料として使用したスピネル(MgAl2O4)で、酸化マグネシウムとアルミナをボールミル(Ball mill)で混合及び熱処理して製造されたものを使用した。
【0044】
【表1】
【0045】
[実験例1]セラミックヒーターの体積抵抗及び熱伝導度の評価
前記実施例1ないし6及び比較例1ないし10から製造された各セラミックヒーターに500V/mmの電圧を印加した後、1分が経過した時点で電流を測定(真空雰囲気及び室温下で測定)して体積抵抗率を算出し、その結果を下記表2に示した。
【0046】
また、前記実施例1ないし6及び比較例1ないし10から製造された各セラミックヒーターを、NETZSCH社のLFA 467装置を用いてASTMC0408-88R11の規格に合わせて試験片製作後、常温で測定して熱伝導度を算出し、その結果も下記表2に示した。
【0047】
さらに、前記実施例1ないし6及び比較例1ないし10から製造された各セラミックヒーターをアルキメデス法を用いて密度値を算出し、その結果も下記表2に示した。
【0048】
【表2】
【0049】
前記実施例1ないし6及び比較例1ないし10で製造された各セラミックヒーターに対して体積抵抗率、熱伝導度及び密度を測定した結果、前記表2に示すように、実施例1ないし6のセラミックヒーターは、いずれも、次世代半導体製造工程で求める500℃における最低体積抵抗(5.0E+9Ω.cm~1.0E+10Ω.cm)と600℃ないし700℃における最低体積抵抗(1.0E+8Ω.cm~1.0E+9Ω.cm)、そして常温における熱伝導度(60W/m.k以上、好ましくは80W/m.k以上)を上回った。
【0050】
比較例1及び2の場合、酸化カルシウム及び二酸化チタンが使用されていないだけでなく、使用された成分(AlN, MgO)の含有量も本発明の範疇を超え、低体積抵抗率を示すか、測定そのものが不可能であった。
【0051】
比較例3ないし5の場合、本発明のセラミック基板を構成する成分を全て含んでいるものの、酸化マグネシウム、アルミナ及び窒化アルミニウムのうちいずれか一つ以上の含有量が本発明の範疇を超え、低体積抵抗率または低熱伝導度を示した。
【0052】
比較例6ないし10の場合、本発明のセラミック基板を構成する成分を全て含んでおり、その成分の含有量も本発明の範疇内であるが、マンガン酸化物を含んでいるため、低体積抵抗率または低熱伝導度を示した。
【0053】
したがって、セラミック基板が窒化アルミニウム(AlN);酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)及びスピネル(Spinel, MgAl2O4)のうちいずれか一つ以上;酸化カルシウム(CaO);及び二酸化チタン(TiO2)を適正な含有量で全て含みつつ、マンガン酸化物は含まないことで、本発明が目的とする体積抵抗率及び熱伝導度を同時に達成できることがわかる。
【国際調査報告】