(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】温度均一性が改良された半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20241024BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20241024BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L29/78 652E
H01L29/78 652C
H01L29/78 652K
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652T
H01L29/78 656A
H01L29/78 654Z
H01L29/78 655A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525962
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 US2022078527
(87)【国際公開番号】W WO2023081586
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522086423
【氏名又は名称】アナログ パワー コンバージョン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェンドロン-ハンセン, アモリ―
(72)【発明者】
【氏名】スドュルーラ, デュミトル ゲオルゲ
(72)【発明者】
【氏名】セゼプシ, レスリー ルイス
(57)【要約】
半導体デバイスのタブは、第1の予測動作温度を有するクールゾーンと、第1の予測動作温度よりも高い第2の予測動作温度を有するホットゾーンとを含む。設計パラメータは、クールゾーンでは第1の値を有し、ホットゾーンでは第1の値とは異なる第2の値を有する。この差により、半導体デバイスの動作中、ホットゾーンにおいて、第1の値と第2の値が等しい場合よりも少ない熱しか消費しないようにタブを構成する。設計パラメータは、例として、タブの幅、ソース構造の幅、JFET領域の幅、チャネルの長さ、チャネルの幅、ゲートの長さ、JFET領域の中心に対するゲートの中心の変位、ドーパント濃度、又はそれらの組み合わせとすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
第1の予測動作温度に対応する第1のゾーンと、前記第1の予測動作温度よりも高い第2の予測動作温度に対応する第2のゾーンと、を含む、第1のタブを備え、
第1の設計パラメータが、前記第1のゾーンにおいて第1の値を有し、前記第2のゾーンにおいて前記第1の値とは異なる第2の値を有し、
前記第1の値が前記第2の値と異なることにより、該半導体デバイスの動作中に、第1の目標動作パラメータについて、前記第1の値が前記第2の値と等しい基本タブ設計を有するタブにおいて前記第1の目標動作パラメータが有するであろう値よりも低い値を有するように、前記第1のタブが構成され、
前記第1の目標動作パラメータは、前記第2のゾーンにおける最大動作温度、前記第2のゾーンにおける最大動作温度と前記第1のゾーンにおける最大動作温度との差、前記第1のタブにおける最大動作温度と前記第1のタブにおける最小動作温度との差、又はそれらの組み合わせである、
半導体デバイス。
【請求項2】
前記第1のタブは、前記第2の予測動作温度よりも低い第3の予測動作温度に対応する第3のゾーンをさらに含み、
前記第1の設計パラメータは、前記第3のゾーンにおいて第3の値を有し、
前記第3の値と前記第2の値との間の差により、該半導体デバイスの動作中に、前記第3の値が前記第2の値と等しい基本タブ設計を有するタブにおいて前記第1の目標動作パラメータが有するであろう値よりも低い値を前記第1の目標動作パラメータが有するように、前記第1のタブが構成される、
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
第3の予測動作温度に対応する第3のゾーンと、前記第3の予測動作温度よりも高い第4の予測動作温度に対応する第4のゾーンと、を含む、第2のタブを備え、
第2の設計パラメータが、前記第3のゾーンにおいて第3の値を有し、前記第4のゾーンにおいて前記第3の値とは異なる第4の値を有し、
前記第3の値が前記第4の値と異なることにより、該半導体デバイスの動作中に、第2の目標動作パラメータが、前記第3の値が前記第4の値と等しい基本タブ設計を有するタブにおいて前記第2の目標動作パラメータが有するであろう値よりも低い値を有するように、前記第2のタブが構成され、
前記第2の目標動作パラメータは、前記第4のゾーンにおける最大動作温度、前記第4のゾーンにおける最大動作温度と前記第3のゾーンにおける最大動作温度との差、前記第2のタブにおける最大動作温度と前記第2のタブにおける最小動作温度との差、又はそれらの組み合わせである、
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第2の設計パラメータが前記第1の設計パラメータと異なる、
前記第3の値が前記第1の値と異なる、
前記第4の値が前記第2の値と異なる、
又はそれらの組み合わせである、
請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第1の設計パラメータは、タブ幅である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記第1の設計パラメータは、ソース構造幅である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記第1の設計パラメータは、JFET領域幅である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記第1の設計パラメータは、チャネル長である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記第1の設計パラメータは、チャネル幅である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1の設計パラメータは、ゲートの長さ、JFET領域の中心に対するゲートの中心の変位、又はその両方である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記第1の設計パラメータは、ドーパント濃度である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
半導体デバイスを製造する方法であって、
第1のタブの第1の基本タブ設計を決定することと、
前記第1の基本タブ設計にしたがって、第1のゾーンにおける第1の予測動作温度が、第2のゾーンにおける第2の予測動作温度よりも低いように、前記第1のタブの前記第1のゾーン及び前記第2のゾーンを決定することと、
前記第2のゾーンにおける最大動作温度、前記第2のゾーンにおける最大動作温度と前記第1のゾーンにおける最大動作温度との差、前記第1のタブにおける最大動作温度と前記第1のタブにおける最小動作温度との差、又はそれらの組み合わせである第1の目標動作パラメータを低減するために、前記第1の基本タブ設計に対して、前記第1のゾーン、前記第2のゾーン、又はその両方における第1の設計パラメータを変更することにより、第1の改良タブ設計を生成することと、
前記第1の改良タブ設計にしたがって、タブを含む半導体デバイスを製造することと、
を含む方法。
【請求項13】
第2のタブの第2の基本タブ設計を決定することと、
第3のゾーンにおける第3の予測動作温度が、第4のゾーンにおける第4の予測動作温度未満であるように、前記第2の基本タブ設計にしたがって、前記第2のタブの前記第3のゾーン及び前記第4のゾーンを決定することと、
前記第4のゾーンにおける最大動作温度、前記第4のゾーンにおける最大動作温度と前記第3のゾーンにおける最大動作温度との差、前記第2のタブにおける最大動作温度と前記第2のタブにおける最小動作温度との差、又はそれらの組み合わせである第2の目標動作パラメータを低減するために、前記第2の基本タブ設計に対して、前記第3のゾーン、前記第4のゾーン、又はその両方における第2の設計パラメータを変更して、第2の改良タブ設計を生成することと、
前記第2の改良タブ設計にしたがって、タブを含む半導体デバイスを製造することと、
を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の設計パラメータが前記第1の設計パラメータと異なる、
前記第2の設計パラメータの第3の値が前記第1の設計パラメータの第1の値と異なる、
前記第2の設計パラメータの第4の値が前記第1の設計パラメータの第2の値と異なる、
又はそれらの組み合わせである、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の改良タブ設計にしたがって、タブを含む半導体デバイスを製造することは、
前記第1のタブの第3のゾーンにおける第3の予測動作温度が、前記第1のタブの第4のゾーンにおける第4の予測動作温度未満であるように、前記第1の改良タブ設計にしたがって、前記第3のゾーン及び前記第4のゾーンを決定することと、
前記第1の改良タブ設計に対して、前記第3のゾーン、前記第4のゾーン、又はその両方の第2の設計パラメータを変更して、前記第1の目標動作パラメータを低減することにより、第2の改良タブ設計を生成することと、
前記第2の改良タブ設計にしたがって、タブを含む半導体デバイスを製造することと、
を含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の設計パラメータは、タブ幅である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の設計パラメータは、ソース構造幅である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の設計パラメータは、JFET領域幅である、請求項12記載の方法。
【請求項19】
前記第1の設計パラメータは、チャネル長である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の設計パラメータは、チャネル幅、ゲートの長さ、JFET領域の中心に対するゲートの中心の変位、ドーパント濃度、又はそれらの組み合わせである、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年11月2日に出願された、「温度均一性が改良された半導体デバイス(SEMICONDUCTOR DEVICE WITH IMPROVED TEMPERATURE UNIFORMITY)」と題する米国特許出願第17/453,300号の優先権を主張し、その全内容が本願に援用される。
【0002】
半導体パワーデバイスは、複数のセルで構成される場合がある。例えば、炭化ケイ素(SiC)垂直型金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(VMOSFET)は、それぞれが自身のゲート電極及び関連するゲートパッド、ソース領域(1つ以上)及び関連するソースパッド(1つ以上)、及びドレインコンタクトを含む複数のセルを含むことがあり、ドレインコンタクトは、VMOSFETのような垂直型デバイスでは、ゲートパッド及びソースパッドが配置される表面とは反対側のダイの表面に配置されることがある。セルは、半導体ダイ内のコンパクトな活性領域(タブと呼ばれる)に配置されることがあり、各タブは、半導体ダイの非活性領域によって他のタブから離間される。
【0003】
このようなパワーデバイスの安全動作領域(SOA)は、セルのしきい値電圧Vthの負の温度係数によって引き起こされる熱不安定性によって、大電流高電圧側で制限される可能性がある。セルのバイアス条件とダイ温度の両方が、セルの熱的不安定性において役割を果たす。
【0004】
さらに、セル間のターンオン電圧の不均一性により、1つ以上のセルが、ドレイン電流のすべてではないにしても、そのほとんどを「奪取」してしまう可能性がある。しきい値電圧Vthの負の温度係数のため、電流が増加したセルはさらに低いしきい値電圧Vthを持ち、さらに多くの電流を伝導し始める。これにより、局所的な自己発熱現象が生じ、それらのセルが永久的に損傷する可能性がある。
【0005】
半導体ダイの面積は「世界で最も高価な不動産」と呼ばれている。したがって、経済的要因によってデバイスのセルの実装密度が高くなる、すなわち、デバイスのセルが半導体ダイの面積の大部分を占める場合がある。
【0006】
しかしながら、パワーデバイスのセルの実装密度が高いと、熱不安定性を引き起こす条件が悪化する可能性がある。その結果、デバイスによっては、セルの実装密度が低く、タブ間の非活性空間がダイ面積のかなりの部分を占めることがある。
【0007】
パワー半導体デバイスのセルのピーク温度を低減する必要性は、セルを半導体ダイにできるだけ高密度に詰めるという目標と相反する場合がある。
【発明の概要】
【0008】
実施形態は、半導体デバイスに関し、特に、タブを有する炭化ケイ素(SiC)パワーデバイスに関する。実施形態は、VMOSFETなどの高電力用途のSiCデバイスを含む。実施形態は、タブの各部分のそれぞれの位置に応じて、タブの各部分のそれぞれの設計パラメータ(1つ以上)を制御することによって、タブ内の最大動作温度を低下させるように動作する。設計パラメータ(1つ以上)には、タブ幅、ゲートピッチ、ソース構造幅、チャネル長、チャネル幅、ゲート長、JFET領域に対するゲートの位置、ドーパント濃度、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0009】
一実施形態では、半導体デバイスは第1のタブを備え、第1のタブは、第1の予測動作温度に対応する第1のゾーンと、第1の予測動作温度よりも高い第2の予測動作温度に対応する第2のゾーンとを含む。設計パラメータは、第1のゾーンにおいて第1の値を有し、第2のゾーンにおいて第1の値とは異なる第2の値を有する。第1の値が第2の値と異なることにより、第1のタブは、半導体デバイスの動作中に、第1の値が第2の値と等しい基本タブ設計を有するタブにおいて目標動作パラメータが有するであろう値よりも低い値を目標動作パラメータが有するように構成される。
【0010】
一実施形態では、半導体デバイスを製造する方法は、第1のタブの第1の基本タブ設計を決定することと、第1の基本タブ設計にしたがって第1のタブの第1のゾーン及び第2のゾーンを決定することであって、第1のゾーンにおける第1の予測動作温度が第2のゾーンにおける第2の予測動作温度よりも小さいことと、目標動作パラメータを低減するために第1の基本タブ設計に対して第1のゾーン、第2のゾーン、又はその両方の設計パラメータを変更することによって第1の改良されたタブ設計を生成することと、第1の改良されたタブ設計にしたがってタブを含む半導体デバイスを製造することとを含む。
【0011】
実施形態では、目標動作パラメータは、第2のゾーンにおける最大動作温度、第2のゾーンにおける最大動作温度と第1のゾーンにおける最大動作温度との差、第1のタブにおける最大動作温度と第1のタブにおける最小動作温度との差、又はそれらの組み合わせとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】半導体ダイ上のタブを含むデバイスのレイアウト、及び一実施形態の設計において使用され得るようなその熱解析を示す図である。
【
図2】実施形態での熱解析及びそれに対応するタブの平面図を示す図である。
【
図3】さらに別の実施形態での熱解析及びそれに対応するタブの平面図を示す図である。
【
図4A】別の実施形態でのタブの平面図を示す図である。
【
図4B】一実施形態での、
図4Aのタブのクールゾーンの一部の断面図を示す図である。
【
図4C】一実施形態での、
図4Aのタブのホットゾーンの一部の断面図を示す図である。
【
図5A】別の実施形態でのタブの平面図を示す図である。
【
図5B】実施形態での、
図5Aのタブのクールゾーンの一部の断面図を示す図である。
【
図5C】実施形態での、
図5Aのタブのホットゾーンの一部のそれぞれの断面図を示す図である。
【
図5D】実施形態での、
図5Aのタブのホットゾーンの一部のそれぞれの断面図を示す図である。
【
図5E】実施形態での、
図5Aのタブのホットゾーンの一部のそれぞれの断面図を示す図である。
【
図5F】実施形態での、
図5Aのタブのホットゾーンの一部のそれぞれの断面図を示す図である。
【
図6A】別の実施形態でのタブの平面図を示す図である。
【
図6B】一実施形態での、
図6Aのタブのクールゾーンの一部の断面図を示す図である。
【
図6C】一実施形態での、
図6Aのタブのホットゾーンの一部の断面図を示す図である。
【
図7A】一実施形態での、
図6Aのタブのクールゾーンの一部の断面図を示す図である。
【
図7B】一実施形態での、
図6Aのタブのホットゾーンの一部の断面図を示す図である。
【
図8】さらに別の実施形態での熱分析及びそれに対応するタブの平面図を示す図である。
【
図9】一実施形態でのタブを含む半導体デバイスを製造するためのプロセスのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願の実施形態は、半導体デバイスのセルを含む活性領域(タブ)の設計パラメータに関し、特に、炭化シリコン(SiC)垂直型金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(VMOSFET)又はSiC垂直型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(VIGBT)などのパワーデバイスのセルを含むタブの設計パラメータに関する。
【0014】
SiC技術に関して本明細書に提示される実施形態が説明されることがあるが、実施形態はこれに限定されず、他の実施形態では、ワイドバンドギャップ(WBG)技術又は超ワイドバンドギャップ(UWGB)技術を含む他の半導体技術、 例えば、シリコン、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、高アルミニウム含有AlGaN、β-三酸化ガリウム(β-Ga2O3)、ダイヤモンド、窒化ホウ素などに基づく技術が代わりに使用されてもよい。例えば、実施形態では、SiCの代わりにGaNを使用することができる。他の実施形態では、3C-SiCなど、4H以外のポリタイプのSiCを使用することができる。
【0015】
実施形態の詳細な記述は、添付の図とともに以下に提供される。本開示の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定され、多数の代替、修正、及び等価を包含する。様々なプロセスのステップが所定の順序で示されているが、実施形態は必ずしも列挙された順序で実行されることに限定されない。実施形態では、特定の操作は、同時に、記載された順序以外の順序で実行されてもよいし、全く実行されなくてもよい。
【0016】
数多くの具体的な詳細が以下に記述される。これらの詳細は、具体例によって本開示の範囲の徹底的な理解を促進するために提供され、実施形態は、これらの具体的な詳細の一部がなくても、特許請求の範囲にしたがって実施することができる。したがって、本開示の特定の実施形態は例示であり、排他的又は限定的であることを意図するものではない。明瞭さを保つために、本開示に関連する技術分野で公知の技術的事項は、本開示が不必要に不明瞭にならないように詳細には記載されていない。さらに、図面中の特徴は、明瞭性の観点から、すべてが同じ縮尺で描かれていない場合があり、1つ以上の寸法において誇張されている場合や、又はその両方が誇張されている場合がある。
【0017】
本明細書では、SiCnチャネル垂直型MOSFETを含む実施形態が記述されているが、実施形態はこれに限定されない。例えば、実施形態では、代わりに、平面型MOSFET、平面型又は垂直型IGBT、pチャネルデバイス、PINダイオード、平面型又は垂直型ショットキーバリアダイオード(SBD)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0018】
パワーデバイスは、大量の電力を消費することができるため、熱がデバイスから流出しやすいように熱抵抗が低いことが望ましい。デバイスは又、高い変換効率を提供する必要があり、それに応じて低い入力キャパシタンス、出力キャパシタンス、及び逆キャパシタンスを有する必要がある。これらの要件はそれぞれ、ダイサイズが大きく、活性面積が小さいことにつながる(活性面積とはデバイスの活性領域の面積の合計)。関連技術の市販MOSFETでは、ダイサイズと活性面積は密接に関連しており、互いに独立して調節することはできない。
【0019】
実施形態は、半導体ダイ上の複数の離間した活性領域(タブ)において、パワーデバイスの複数のセルから形成される半導体パワーデバイスの部品であってもよい。例えば、実施形態では、それぞれのタブ内の複数のセルを備えるSiCnチャネルVMOSFETを含むことができる。ここで、各セルは、それぞれのSiCnチャネルVMOSFETを含み、タブは、半導体ダイの非活性領域によって離間されており、間隔を空けて配置されている。ここで、非活性領域とは、実質的な消費電力を消費せず、半導体デバイスの特定の用途に必要な(設計された)機能を実行せず、所定の閾値以上にドープされていない(例えば、SiC技術の場合、1.0E17cm-3以上のドーパント濃度)、などの領域と定義することができる。高電圧パワー半導体デバイスなどの一部のデバイスでは、活性領域は、半導体ダイの非活性部分からそれらを離間する高電圧終端構造を含むことができ、それによって境界を定められることがある。
【0020】
各活性領域に対して、それぞれの制御パッド(例えば、ゲートパッド)を設けることができる。実施形態では、各活性領域に対して、第1のタイプの導電端子用の1つ以上のパッド(例えば、1つ以上のソースパッド)を、設けることができる。第2のタイプの導電端子(例えば、ドレイン)は、ドレインパッドなどの単一のパッドに電気的に結合されてもよい。デバイスが垂直型デバイスである場合、第1のタイプの制御端子用パッド及び導電端子用パッドは、ダイの一方の面(たとえば上部)に形成され、第2のタイプの導電端子用パッドは、ダイの反対側の面(たとえば下部)に形成されてもよい。
【0021】
タブを離間させることによって、半導体デバイスは、熱を放散するために使用されるダイの表面にわたってより均一な温度を生成することができ、したがって、ダイの熱を放散する能力を向上させることができる。しかしながら、タブ内には依然として温度差が存在する可能性がある。
【0022】
半導体デバイスの動作特性は、半導体デバイス上の任意の点における最高温度によって制限される可能性があるため、タブ内の温度差は、半導体デバイスの性能低下の一因となる可能性がある。したがって、実施形態では、予測される動作条件下でより高い温度を有すると予測されるタブの部分における単位面積当たりの消費電力を低減するために、タブの部分のそれぞれの設計パラメータ(タブの各部分の形状、タブの各部分内のデバイスのピッチ、タブの各部分内のデバイスの要素の寸法、及び/又はタブの各部分内のドーピング濃度など)を制御する。
【0023】
図1は、半導体ダイ100上のタブを含むデバイスのレイアウト、及び一実施形態の設計で使用され得るようなその熱解析を示す。デバイスのレイアウトは、熱解析に基づいて実施形態で適合される初期レイアウトであってもよい。
【0024】
図1は、複数のタブを含む半導体ダイ100(以下、ダイ100)を示す。複数のタブは、第1及び第2のタブ102A及び102Bを含み、まとめてタブ102と呼ぶことがある。タブ102は、1つ以上の半導体デバイスのセルを含むことができる。一実施形態では、単一の半導体デバイスが、タブ102の各々に配置されたセルを有してもよいが、実施形態はこれに限定されず、実施形態では、複数の半導体デバイスが、タブ102の一部又は全部に配置されたそれぞれのセルを有してもよい。
【0025】
図1は又、動作条件下でのダイ100の熱分析の結果を示す。この結果は、ダイ100の上面及びダイ100の下面の両方における予測動作温度(Predicted operating temperature)を示している。
図1において、明るい領域は比較的高い(高温)温度に対応し、暗い領域は比較的低い(低温)温度に対応する。
【0026】
熱解析は、コンピュータモデリングによって生成された結果であってもよいし、本開示の実施形態を組み込むことによって改良される動作中の半導体デバイスの熱画像化の結果であってもよいし、動作条件下で半導体デバイスの温度を決定する他の方法の結果であってもよい。動作条件は、半導体デバイスの電気的パラメータ(電圧、電流、動作周波数、負荷特性など)と、デバイスが動作する熱環境(周囲温度、機械的構成、冷却機構など)の両方を含む場合がある。
【0027】
図1に示すように、動作条件下でのダイ100上の任意の点における予測動作温度は、タブ102の位置に応じて、又タブ102内の位置に応じて変化し得る。例として、
図1は、タブ102Aの上面温度が、タブ102Bの上面温度よりも相当に低く、タブ102Bの中央部分の上面温度が、タブ102Bの最外周(周辺)部分の上面温度よりも相当に高いことを示している。図示例では、タブ102A及び102Bの最大動作温度はそれぞれ128℃及び143℃であり得、各タブ102の最小動作温度と最大動作温度との差は最大33℃であり得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、動作温度とは、デバイスが、そのデバイスが動作するように設計された動作環境において、そのデバイスが実行するように設計された動作を実行しているときに生じる温度を指す。動作温度は、デバイスが定格動作する最低温度又は最高温度と同じである場合もあれば、そうでない場合もある。例えば、SiCパワーMOSFETは、最大200℃のジャンクション温度で動作するように定格されている場合があるが、安全マージンを確保するため、システム性能を最適化するため、又はその両方のために、目的の用途及び環境において予測される最大動作温度を150℃とする場合がある。
【0029】
実施形態では、1つ以上のタブ102の部分の設計パラメータは、その予測動作温度にしたがって決定することができる。例として、タブ102の1つ以上の設計パラメータは、タブ102のより低温の部分において、タブ102のより高温の部分における対応する設計パラメータと異なる場合がある。異なる設計パラメータは、タブの全体寸法(幅など)、タブ内に配置されたデバイスの要素の寸法(ゲートピッチ、ソース幅、ゲート幅、チャネル長、又はチャネル幅など)、ドーピング濃度(チャネル領域におけるPボディのドーピング濃度など)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0030】
図2は、それぞれの実施形態において、基本タブ設計と、その解析に対応する設計を有する第1及び第2のタブ202A及び202Bの予測上面温度の熱解析を示す。
【0031】
基本タブの予測上面温度は、基本タブ設計の中央部ではより高い(より明るい)温度を示し、基本タブ設計の周辺部ではより低い(より暗い)温度を示す。
【0032】
図2の第1の例示的実施形態では、第1のタブ202AはVMOSFETのような垂直型デバイスを備えるが、実施形態はこれに限定されない。第1のタブ202Aに配置されたVMOSFETは、第1のタブ202Aの上面に沿って配置されたソース電極204A及びゲート電極206Aを有し、第1のタブ202Aの下面に配置されたVMOSFETのドレイン電極は図示されていない。ソース電極204A及びゲート電極206Aは、互い違いに配置されてもよい。
【0033】
第1のタブ202Aを設計する際に、ホットゾーンAHと、第1及び第2のクールゾーンAC1及びAC2とが、熱分析によって決定された予測上面温度にしたがって特定される。ホットゾーンAHにおける予測最大上面温度は、第1及び第2のクールゾーンAC1及びAC2におけるそれぞれの予測最大上面温度よりも大きい。
【0034】
第1のタブ202Aにおいて、第1及び第2のクールゾーンAC1及びAC2のそれぞれのクールゾーン幅WAC1及びWAC2は、ホットゾーンAHのホットゾーン幅WAHに対して増加している。クールゾーンの幅WAC1及びWAC2は、基本タブ設計の対応する幅に対して増加されている可能性があり、ホットゾーンの幅WAHは、基本タブ設計の対応する幅に対して減少されている可能性があり、又はその両方である可能性がある。
【0035】
互い違いに配置されたソース電極204A及びゲート電極206Aのフィンガーの長さは、各フィンガーがあるゾーンの幅にしたがって、基本タブ設計に対して増加又は減少される。
【0036】
クールゾーンの幅を大きくすることによって、第1のタブ202A内のデバイス(1つ以上)を通過する所与の電流に対して、基本タブ設計と比較して、より多くの電流がクールゾーンを流れ、より少ない電流がホットゾーンを流れる。この結果、ホットゾーンで発生する熱が少なくなり、ホットゾーンの温度が低下するので、基本タブ設計に対する第1のタブ202Aの最低動作温度と最高動作温度との差の低減、基本タブ設計に対する第2のタブ202Bのクールゾーンの最高動作温度とホットゾーンの最高動作温度との差の低減、又はその両方につながる。
【0037】
図2の第2の例示的実施形態では、第2のタブ202Bは、VMOSFETのような垂直型デバイスを備えるが、実施形態はこれに限定されない。第2のタブ202Bに配置されたVMOSFETは、第2のタブ202Bの上面に沿って配置されたソース電極204B及びゲート電極206Bを有し、第2のタブ202Bの下面に配置されたVMOSFETのドレイン電極は図示されていない。ソース電極204B及びゲート電極206Bは、互い違いに配置されてもよい。
【0038】
第2のタブ202Bの設計において、ホットゾーンBHと、第1の、第2の、第3の、及び第4のクールゾーンBC1、BC2、BC3、及びBC4とが、熱解析によって決定された予測上面温度にしたがって特定される。ホットゾーンBHの予測最大上面温度は、第2及び第3のクールゾーンBC2、BC3のそれぞれの予測最大上面温度よりも大きく、第2のクールゾーンBC2の予測最大上面温度は、第1のクールゾーンBC1の予測最大上面温度よりも大きく、第3のクールゾーンBC3の予測最大上面温度は、第4のクールゾーンBC4の予測最大上面温度よりも大きい。
【0039】
第2のタブ202Bにおいて、第1~第4のクールゾーンBC1~BC4のそれぞれのクールゾーン幅WBC1、WBC2、WBC1及びWBC4は、ホットゾーンBHのホットゾーン幅WBHに対して増加される。第1のクールゾーン幅WBC1及び第4のクールゾーン幅WBC4は、基本タブ設計の対応する幅に対して増加させることができ、第2のクールゾーン幅WBC2及び第3のクールゾーン幅WBC3は、基本タブ設計の対応する幅に対して増加させること、又は基本タブ設計の対応する幅と同じに保つことができ、ホットゾーン幅WBHは、基本タブ設計の対応する幅に対して減少させることができる。又は、それらの組み合わせることが可能である。
【0040】
互い違いに配置されたソース電極204B及びゲート電極206Bのフィンガーの長さは、各フィンガーがあるゾーンの幅にしたがって、基本タブ設計に対して増加又は減少される。
【0041】
クールゾーンの幅を大きくすることによって、第2のタブ202B内のデバイス(1つ以上)を通過する所与の電流に対して、基本タブ設計に対して、より多くの電流がクールゾーンを流れ、より少ない電流がホットゾーンを流れる。最もクールなゾーン(例えば、第1クールゾーンBC1及び第4クールゾーンBC4)の幅を他のクールなゾーン(例えば、第2クールゾーンBC2及び第3クールゾーンBC3)の幅よりも大きくすることによって、電流の大部分は最もクールなゾーンを流れる。この結果、ホットゾーンで発生する熱が少なくなり、ホットゾーンの温度が低下し、したがって、基本タブ設計に対する第2のタブ202Bの最低動作温度と最高動作温度との差の低減、基本タブ設計に対する第2のタブ202Bのクールゾーンにおける最高動作温度とホットゾーンにおける最高動作温度との差の低減、又はその両方につながる。
【0042】
図3は、基本タブ設計と、それぞれの実施形態での解析に対応する設計を有する第1及び第2のタブ302A及び302Bの予測上面温度の熱解析を示す。
【0043】
予測上面温度は、
図2に関して説明したとおりである。
【0044】
第1のタブ302Aは、互い違いに配置された電極が第1のタブ302の長さに沿って走っていることを除いて、
図2の第1のタブ202Aと同様である。したがって、第1のタブ302Aは、ソース電極304Aと、上部及び下部ゲート電極306AT及び306ABとを含む。
【0045】
図2の第1のタブ202Aに示されるように、電極のフィンガーの長さがゾーンの幅に応じて変化するのとは対照的に、互い違いに配置された電極が第1のタブ302の長さに沿って走るので、ソース電極304A及びトップ及びボトムゲート電極306AT及び306ABの各々のフィンガーの数は、ゾーンの幅に応じて変化する。
【0046】
第1のタブ302Aは、第1のタブ202Aの説明で記述された理由と同様の理由で、
図2の第1のタブ202Aについて説明した利点を提供する。
【0047】
第2のタブ302Bは、第2のクールゾーンBC2の幅がホットゾーン幅WBHと第1のクールゾーン幅WBC1との間で連続的に変化し、第3のクールゾーンBC3の幅がホットゾーン幅WBHと第4のクールゾーン幅WBC4との間で連続的に変化することを除いて、
図2の第2のタブ202Bと同様である。
【0048】
第2のタブ302Bは、第2のタブ202Bの説明で記述された理由と同様の理由で、
図2の第2のタブ202Bについて説明した利点を提供する。
【0049】
図4Aは、別の実施形態での、タブ402を示す。タブ402は、ゲート電極406と互い違いに配置され、タブ402の上面に沿って配置されたソース電極404を有するデバイスを含み、タブ402の底面に配置されたドレイン電極は図示されていない。
【0050】
図4の例示的実施形態では、タブ402は、VMOSFETのような垂直型デバイスを備えるが、実施形態はこれに限定されない。
【0051】
基本タブ設計の熱解析を使用して、タブ402は、クールゾーンとホットゾーンとを有し、ホットゾーンの最大予測動作温度がクールゾーンの最大予測動作温度よりも高いことが判明している。
【0052】
タブ402のクールゾーンの第1のゲートピッチp1は、タブ402のホットゾーンの第2のゲートピッチp2よりも小さい。ゲートピッチは、
図4B及び
図4Cに示され、
図4Aのホットゾーンのソース電極404のフィンガーについて示された増加した幅に反映されるように、ソース構造の幅を変化させることによって変化させられる。
【0053】
図4B及び
図4Cは、タブ402のクールゾーン及びホットゾーンそれぞれにおけるVMOSFETセルの可能な構造を簡略化して示しているが、実施形態はこれに限定されない。
【0054】
図4Bは、線A-A’に沿った、実施形態での
図4Aのタブ402のクールゾーンの一部の断面を示す。この断面はVMOSFETの一部の断面であるが、実施形態はこれに限定されない。この断面は、VMOSFETの2つのMOSFETセルを含む。
【0055】
図4Bは、半導体基板410と、半導体基板410の上面に配置されたエピタキシー層412とを示す。実施形態では、半導体基板410及びエピタキシー層412は4H-SiCから構成されるが、実施形態はこれに限定されない。
【0056】
図4Bはさらに、半導体基板410の底面に配置されたドレインコンタクト414を示す。ドレインコンタクト414は、タブ402内のすべてのMOSFETセルのすべてのドレインに電気的に接続されてもよく、又、タブ402を含むデバイス内の他のタブのドレインに電気的に接続されてもよい。シリサイド層(図示せず)が、ドレインコンタクト414と半導体基板410との間の電気的接続を改良するために、ドレインコンタクト414と半導体基板410との間に配置されてもよく、シリサイド層は、例えば、ニッケルシリサイドを含むか、又はn型SiCとオーミックコンタクトを形成することができる他の金属のシリサイドであってもよい。
【0057】
pドープ半導体のクールゾーンpボディ424Cは、エピタキシー層412内に配置される。ヘビードープされたクールゾーンp型領域428C及びヘビードープされたn型ソース領域426が、それぞれのpボディ424C内に配置される。クールゾーンソース構造幅SSWCは、クールゾーンソース電極404Cの同じフィンガーに隣接して配置される2つのn型ソース領域426の最外縁からの距離に対応する。
【0058】
シリサイド層(図示せず)は、ヘビードープされたクールゾーンp型領域428C及びソース領域426に配置され、電気的に接続されてもよく、ヘビードープされたクールゾーンp型領域428Cは、シリサイド層とクールゾーンpボディ424Cとの間に低コンタクト抵抗接続を提供するように作動する。シリサイド層は、ニッケルシリサイドを含むか、又はp型及びn型SiCの両方とオーミック接触を形成することができる他の金属のシリサイドであってもよい。
【0059】
ゲート誘電体432を含む誘電体430が、クールゾーンpボディ424C及びソース領域426の一部を含むエピタキシー層412に配置される。一実施形態では、誘電体430、ゲート誘電体432、又はその両方は、二酸化ケイ素(SiO2)を含むことができる。一実施形態では、誘電体430は、BPSG(BoroPhosphoSilcate Glass)を含むことができる。一実施形態では、誘電体430は、ベンゾシクロブテン(BCB)などの誘電率の低い材料(「低誘電率(low-k)」材料)を含むことができるが、これに限定されない。
【0060】
ゲート434は、ゲート誘電体432に配置され、クールゾーンpボディ424Cの一部と重なっており、ゲート434が重なっているクールゾーンpボディ424Cの部分は、そのゲート434に対応するMOSFETセルのチャネル領域を備える。ゲート434は、ドープされたポリシリコンを含むことができる。
【0061】
ゲート電極406は、ゲート434の上に配置され、ゲート434と電気的にコンタクトしている。
図4Aのソース電極404の一部であるクールゾーンソース電極404Cは、ヘビードープされたクールゾーンp型領域428C及びn型ソース領域426の上に形成され、電気的にコンタクトしている。ゲート電極406及びクールゾーンソース電極404はそれぞれ、他の導体の中でもアルミニウムを含むことができる。
【0062】
パッシベーション層(図示せず)は、誘電体430、ゲートコンタクト406、及びソースコンタクト404の上に配置されてもよく、一実施形態では、シリコンオキシナイトライド(SiON)を含んでもよい。
【0063】
図4Cは、線B-B’に沿った、一実施形態での、
図4Aのタブ402のホットゾーンの一部の断面を示す。
図4Bでは、断面はVMOSFETの一部のものであり、その2つのMOSFETセルを含むが、実施形態はこれに限定されない。
図4B及び
図4Cにおける同様の参照番号は、同様の特徴を指す。
【0064】
図4Cに示すMOSFETセルは、ホットゾーンpボディ424Hがクールゾーンpボディ424Cよりも実質的に幅広である点で、
図4Bに示すMOSFETセルと異なる。したがって、MOSFETセルの通電領域(チャネル領域など)は、ホットゾーンではクールゾーンよりも間隔が離れている。クールゾーン及びホットゾーンのセルの通電領域は実質的に同じであるため、ホットゾーンにおけるMOSFETセルの間隔の拡大は、ホットゾーンにおける第2のゲートピッチp2の拡大に対応し、ホットゾーンの単位面積当たりに流れる電流量を減少させ、それによりホットゾーンの動作温度を低下させる。
【0065】
図4Cに示すMOSFETセルは又、ホットゾーンソース電極404Hがクールゾーンソース電極404Cよりも実質的に幅広であるという点で、
図4Bに示すMOSFETセルと異なるが、実施形態はこれに限定されず、他の実施形態では、ホットゾーンソース電極404Hはクールゾーンソース電極404Cと同じ幅を有してもよい。
【0066】
図4Cに示すMOSFETセルも、ヘビードープホットゾーンp型領域428Hがヘビードープクールゾーンp型領域428Cよりも実質的に幅広である点で、
図4Bに示すMOSFETセルと異なるが、実施形態はこれに限定されず、他の実施形態では、ヘビードープホットゾーンp型領域428Hはヘビードープクールゾーンp型領域428Cと同じ幅を有してもよい。
【0067】
ホットゾーンソース構造幅SSW
Hは、ホットゾーンソース電極404Hの同じフィンガーに隣接して配置される2つのn型ソース領域426の最外縁からの距離に対応する。ホットゾーンソース構造幅SSW
Hは、
図4Bのクールゾーンソース構造幅SSW
Cよりも実質的に大きい。
【0068】
図5Aは、別の実施形態での、タブ502を示す。タブ502は、ゲート電極506と互い違いに配置され、タブ502の上面に沿って配置されたソース電極504を有するデバイスを含み、タブ502の下面に配置されたドレイン電極は図示されていない。タブ502は、VMOSFETのような垂直型デバイスを備えることができるが、実施形態はこれに限定されない。
【0069】
基本タブ設計の熱解析を使用して、タブ502は、クールゾーン及びホットゾーンを有し、ホットゾーンの最大予測動作温度がクールゾーンの最大予測動作温度よりも高いことが判明している。
【0070】
タブ502のクールゾーンにおける第1のゲートピッチp1は、タブ502のホットゾーンにおける第2のゲートピッチp2よりも小さい。ゲートピッチは、
図5B及び
図5C~
図5Fのいずれか1つに示されるように、JFET領域の幅を変化させることによって、又は
図5B及び
図5Gに示されるようにチャネル長を変化させることによって変化させられる。ゲートピッチの変化は、
図5Aのホットゾーンにおいてソース電極504のフィンガーとゲート電極506との間に示される水平方向の離間量の増加に反映される。
【0071】
図5Bは、一実施形態での、線C-C’に沿った、
図5Aのタブ502のクールゾーンの一部の、断面を示す。
図4Bでは、断面はVMOSFETの一部であり、その2つのMOSFETセルを含むが、実施形態はこれに限定されない。
図5Bの参照番号504、506、510、512、514、524、526、528、及び530を有する特徴は、それぞれ、
図4Bの参照番号404C、406、410、412、414、424C、426C、428C、及び430を有する特徴に対応し、その説明は簡潔にするために省略する。
【0072】
図5Bの実施形態では、クールゾーンゲート534Cが、クールゾーンゲート誘電体532C上に配置され、第1のゲート幅を有する。ゲート電極の下で、2つのpボディ524の間に配置されたJFET領域は、クールゾーンJFET幅W
JCを有する。クールゾーンゲート534Cによってオーバーラップされたpボディ524の部分は、クールゾーンチャネル長L
CCを有するMOSFETセルのチャネル領域を備える。
【0073】
図5C、
図5D、
図5E、
図5F、及び
図5Gはそれぞれ、それぞれの実施形態での、線D-D’に沿った
図5Aのタブ502のホットゾーンの一部の断面を示す。
図5Bでは、断面はVMOSFETの一部の断面であり、その2つのMOSFETセルを含むが、実施形態はこれに限定されない。
図5B及び
図5C~
図5Gにおける同様の参照番号は、同様の特徴を指す。
【0074】
図5Cの実施形態に係るMOSFETセルは、pボディ524間の距離がホットゾーンにおいて大幅に大きくなり、その結果、ホットゾーンゲート534Hがクールゾーンゲート534Cよりも大幅に広くなり、ホットゾーンゲート誘電体532Hがクールゾーンゲート誘電体532Cよりも大幅に広くなり、ホットゾーンJFET幅WJHがクールゾーンJFET幅WJCよりも大幅に大きくなるという点で、
図5Bに示すMOSFETセルとは異なる。その結果、各MOSFETセルの通電領域(チャネル領域など)は、ホットゾーンではクールゾーンよりも間隔が離れている。
【0075】
ホットゾーンのチャネル長LCHはクールゾーンのチャネル長LCCと実質的に同じであるため、クールゾーンとホットゾーンのセルの通電領域の電気的特性は実質的に同じである。したがって、ホットゾーンにおける通電領域の間隔の増大は、クールゾーンにおける第1のゲートピッチp1に対してホットゾーンにおける第2のゲートピッチp2の増大に対応し、ホットゾーンの単位面積当たりに流れる電流量を減少させ、それによってホットゾーンの動作温度を低下させる。
【0076】
図5B~
図5Fに示す実施形態では、チャネル長及びゲート電極幅は、ホットゾーンにおいてもクールゾーンにおいても同じであるが、実施形態はこれに限定されない。
【0077】
図5Dの実施形態に係るMOSFETセルは、pドープ領域536がホットゾーンゲート534Hの下のJFET領域の中央付近に配置されている点で、
図5Cに示すMOSFETセルとは異なる。pドープ領域536は、ホットゾーンゲート誘電体532Hの中央部分の電気的破壊に対する保護を提供し、ソース電極504に電気的に接続されていてもよく(「接地」)、電気的に絶縁されていてもよい(「フローティング」)。
【0078】
図5Dの実施形態も、その説明で論じたのと実質的に同じ理由で、
図5Cの実施形態について説明した利点を提供する。
【0079】
図5Eの実施形態に係るMOSFETセルは、
図5Eのホットゾーンゲート534T及びホットゾーンゲート誘電体532Tが、ホットゾーンゲート誘電体532Tの中央部分の電気的破壊に対する保護を提供するために段状になっている点で、
図5Cに示すMOSFETセルとは異なる。
【0080】
図5Eに示す一実施形態では、ホットゾーンゲート電極506Tは、クールゾーンゲート電極506よりも狭いものとして図示されているが、実施形態はこれに限定されない。
【0081】
図5Eの実施形態でも、その説明で述べたのと実質的に同じ理由で、
図5Cの実施形態について述べた利点が得られる。
【0082】
図5Fの実施形態に係るMOSFETセルは、
図5Eのホットゾーンゲート誘電体532Rが、ホットゾーンゲート誘電体532Rの中央部分の電気的破壊に対する保護を提供するために、エピタキシー層512のJFET領域内に凹んでいる点で、
図5Cに示すMOSFETセルとは異なる。
【0083】
図5Fの実施形態では、その説明で述べたのと実質的に同じ理由で、
図5Cの実施形態について述べた利点が得られる。
【0084】
図5Gの実施形態に係るMOSFETセルは、ホットゾーンpボディ524Hがクールゾーンpボディ524と比較して増大した幅を有するという点で、
図5Cに示されたMOSFETセルとは異なり、そのため、ホットゾーンゲート534Hの下のホットゾーンpボディ524Hのチャネル領域は、クールゾーンpボディ524のクールゾーンチャネル長L
CCよりも大きいホットゾーンチャネル長L
CHを有する。ホットゾーンのチャネル長L
CHがクールゾーンのチャネル長L
CCよりも大きいため、ホットゾーンのMOSFETセルは、クールゾーンのMOSFETセルよりも高いオン状態抵抗を有する。ホットゾーンのMOSFETセルのこのオン状態抵抗の増加は、単独で又は
図5Gに示すようにホットゾーンのゲートピッチの増加と組み合わせて、動作中にホットゾーンを流れる電流を減少させ、ホットゾーンで消費する電力を減少させ、ホットゾーンの動作温度を低下させる。
【0085】
図5Gに示す実施形態では、ホットゾーンJFET領域幅W
JHがクールゾーンJFET領域幅W
JCと実質的に同じであり得るように、ホットゾーンpボディ524Hが長くされているが、実施形態はこれに限定されない。
【0086】
図6Aは、別の実施形態での、タブ602を示す。タブ602は、ゲート電極606と互い違いに配置され、タブ602の上面に沿って配置されたソース電極604を有するデバイスを含み、タブ602の底面に配置されたドレイン電極は図示されていない。タブ602は、VMOSFETのような垂直型デバイスを備えることができるが、実施形態はこれに限定されない。
【0087】
基本タブ設計の熱解析を使用して、タブ602は、クールゾーンとホットゾーンとを有し、ホットゾーンの最大予測動作温度がクールゾーンの最大予測動作温度よりも大きいことが判明している。
【0088】
タブ602のクールゾーンの第1のゲートピッチp1は、タブ602のホットゾーンの第2のゲートピッチp2と実質的に同じである。したがって、タブ602のホットゾーンとクールゾーンとの間で異なる設計パラメータは、ゲートピッチに影響しない設計パラメータである。
【0089】
図6Bは、一実施形態での、線E-E’に沿った、
図6Aのタブ602のクールゾーンの一部の断面を示す。
図4Bでは、断面はVMOSFETの一部であり、その2つのMOSFETセルを含むが、実施形態はこれに限定されない。
図6Bの参照番号604、606C、610、612、614、624C、626、628、630、632、及び634Cを有する特徴は、それぞれ、
図4Bの参照番号404C、406、410、412、414、424C、426C、428C、430、432、及び434を有する特徴に対応し、その説明は簡潔にするために省略する。
【0090】
図6Cは、
図6Bの実施形態での、線E-E’に沿って取った、
図6Aのタブ602のホットゾーンの一部の断面を示す。
図6Bでは、断面はVMOSFETの一部であり、その2つのMOSFETセルを含むが、実施形態はこれに限定されない。
図6A~
図6Cにおける同様の参照番号は、同様の特徴を指す。
【0091】
図6Cで、MOSFETセルは、ホットゾーンゲート634Hが、対応するMOSFETセルの2つのホットゾーンpボディ624Hのうちの1つのみに対応するチャネル領域(ホットゾーンゲート634Hによってオーバーラップされるpボディ624Hの領域)を有するようにオフセットされる点で、
図6Bに示されるMOSFETセルとは異なる。その結果、ホットゾーンのMOSFETセルのホットゾーンチャネル幅は、クールゾーンのMOSFETセルのクールゾーンチャネル幅の2分の1となる。その結果、ホットゾーンのMOSFETセルのオン状態抵抗は、クールゾーンのMOSFETセルのオン状態抵抗よりも実質的に大きくなる。
【0092】
クールゾーンに対するホットゾーンのMOSFETセルのオン状態抵抗のこの増加は、動作中にホットゾーンを流れる電流を減少させ、ホットゾーンで消費する電力を減少させ、ホットゾーンの動作温度を低下させる。
【0093】
図7Aは、別の実施形態での、線E-E’に沿った、
図6Aのタブ602のクールゾーンの一部の断面を示す。
図4Bでは、断面はVMOSFETの一部であり、その2つのMOSFETセルを含むが、実施形態はこれに限定されない。
図7Aの参照番号704、706、710、712、714、726、728、730、732、及び734を有する特徴は、それぞれ、
図4Bの参照番号404C、406、410、412、414、426C、428C、430、432、及び434を有する特徴に対応し、その説明は簡潔にするために省略する。
【0094】
図7Bは、
図7Aの実施形態での、線F-F’に沿った、
図6Aのタブのホットゾーンの一部の断面を示す。
図7Aのように、断面はVMOSFETの一部のものであり、その2つのMOSFETセルを含むが、実施形態はこれに限定されない。
図7A及び
図7Bにおける同様の参照文字は、同様の特徴を指す。
【0095】
図7Aは、
図7Bのホットゾーンpボディ724Hが
図7Aのクールゾーンpボディ724Cよりも高いドーパント濃度を有する点で
図7Bと異なる。その結果、ホットゾーンのMOSFETセルは、より高いオンしきい値電圧を有し、したがって、クールゾーンのMOSFETセルよりも高いオン状態抵抗を有する可能性がある。
【0096】
クールゾーンに対するホットゾーンのMOSFETセルのこのオン状態抵抗の増加は、動作中にホットゾーンを流れる電流を減少させ、ホットゾーンで消費する電力を減少させ、ホットゾーンの動作温度を低下させる。
【0097】
実施形態では、クールゾーンpボディ724Cとホットゾーンpボディ724Hとの間のドーパント濃度の差は、基本タブ設計に対してクールゾーンpボディ724Cのドーパント濃度を下げること、基本タブ設計に対してホットゾーンpボディ724Hのドーパント濃度を上げること、又はそれらの組み合わせによって生成され得る。
【0098】
図8は、さらなる実施形態での、基本タブ設計、及びそれに対応する第1のタブ802A及び第2のタブ802Bの予測上面温度の熱分析を示す。
図8の実施形態では、ホットゾーンとクールゾーンは、タブの長軸に沿って走っている。
【0099】
第1のタブ802Aは、ソース電極804A及びゲート電極806Aを含む。ソース電極804A及びゲート電極806Aは、互い違いに配置され、それぞれが第1のタブ802Aの長さに対して直交するように配向された複数のフィンガーを含むが、実施形態はこれに限定されない。第1のタブ802Aは、VMOSFETなどの垂直型デバイスを備えることができるが、実施形態はこれに限定されない。
【0100】
第1のタブ802Aでは、ゲートピッチは、ホットゾーンとクールゾーンとの間で変化しない。したがって、第1のタブ802Aでは、ホットゾーン、クールゾーン、又はその両方におけるゲートピッチに影響を与えない設計パラメータを、基本タブ設計に対して変更して、ホットゾーンにおける予測動作温度を低下させることができる。例えば、
図6A~
図6Cの実施形態で説明されているようなゲート設計、
図6A及び
図7A及び
図7Bの実施形態で説明されているような異なるドーパント濃度の使用、又はその両方を使用して、基本タブ設計に対してホットゾーンの予測動作温度を低減することができる。
【0101】
第2のタブ802Bは、ソース電極804B及びゲート電極806Bを含む。ソース電極804B及びゲート電極806Bは、互い違いに配置され、各々が第2のタブ802Bの長さに平行に配向された複数のフィンガーを含むが、実施形態はこれに限定されない。第2のタブ802Bは、VMOSFETなどの垂直型デバイスを備えることができるが、実施形態はこれに限定されない。
【0102】
第2のタブ802Bにおいて、ホットゾーンのセル間の第2のゲートピッチP2は、クールゾーンのセル間の第1のゲートピッチP1よりも大きい。したがって、第2のタブ802Bでは、ホットゾーンにおける第2のゲートピッチP2、クールゾーンにおける第1のゲートピッチP1、又はその両方に影響を与える設計パラメータを、基本タブ設計と比較して変更して、ホットゾーンにおける予測動作温度を低下させることができる。例として、
図4A~
図4Cに示された変更されたソース領域、
図5A及び
図5Bならびに
図5C~
図5Fのいずれか1つに示された変更されたJFET領域幅、
図5A、
図5B、及び
図5Gに関して説明された変更されたチャネル長、
図6A~
図6Cに示されたチャネル幅を縮小するゲートアーキテクチャ、
図6A、
図7A、及び
図7Bに示された変更されたドーパント濃度、又はそれらの組み合わせが、基本タブ設計に対してホットゾーンの予測動作温度を低減するために使用され得る。
【0103】
図9は、一実施形態での、タブを含む半導体デバイスを製造するためのプロセス900を示す。
【0104】
S902において、基本タブ設計の1つ以上のホットゾーン及び1つ以上のクールゾーンが決定される。ここで、ホットゾーンのそれぞれの予測動作温度はクールゾーンのそれぞれの予測動作温度よりも高い。
【0105】
一実施形態では、ホットゾーン及びクールゾーンは、基本タブ設計に類似した設計のタブを有する製造された半導体デバイスの動作温度を測定することによって決定することができる。別の実施形態では、ホットゾーン及びクールゾーンは、基本タブ設計に従ったタブを有する半導体デバイスのコンピュータシミュレーションを実行することによって、又は関連技術で公知の他のプロセスによって決定することができる。
【0106】
1つ以上のホットゾーン及び1つ以上のクールゾーンの決定は、半導体デバイスの予測される電気的、機械的、及び/又は熱的動作条件にしたがって行うことができる。1つ以上のホットゾーンと1つ以上のクールゾーンの決定は、半導体デバイスのタブの位置と1つ以上の他のタブの位置を考慮して行うことができる。
【0107】
S904において、基本タブ設計におけるホットゾーンの消費電力に対してホットゾーンの消費電力を低減するように、ホットゾーン、クールゾーン、又はその両方の1つ以上の設計パラメータを調整することによって、改良されたタブ設計が生成される。1つ以上の設計パラメータは、タブ幅、ゲートピッチ、pボディ幅、ゲート幅、JFET領域幅、チャネル長、チャネル幅、ドーパント濃度、又はそれらの組み合わせを含むことができるが、実施形態はこれらに限定されない。
【0108】
図9に示されていない実施形態によるプロセス900のバージョンでは、単一の設計パラメータ調整ステップのみが実行され、プロセス900は、S904からS914に進む。
【0109】
図9では、プロセス900は、S904からS906に進む。
【0110】
S906において、プロセス900は、改良されたタブ設計を分析して、その予測動作温度を決定する。この解析は、改良されたタブ設計に従ったタブを有する半導体デバイスのコンピュータシミュレーションを実行することを含むことができる。
【0111】
S908において、プロセス900は、S906で実行された解析の結果を使用して、改良されたタブ設計の設計パラメータの追加の変更を検討すべきかどうかを決定する。プロセス900は、改良されたタブ設計の予測されるピーク動作温度又は予測される動作温度の広がりの減少が所定の基準を満たすかどうか、設計パラメータの変更の反復回数が所定の限度を超えたかどうか、又はそれらの組み合わせに応じて、設計パラメータの追加の変更を検討するかどうかを決定することができる。プロセス900が、改良されたタブ設計の設計パラメータの追加の変更を考慮すべきであると決定する場合、S908において、プロセス900はS910に進み、そうでない場合、プロセス900はS914に進む。
【0112】
S910において、改良されたタブ設計の1つ以上のホットゾーン及び1つ以上のクールゾーンが決定される。ここで、ホットゾーンのそれぞれの動作温度はクールゾーンのそれぞれの動作温度よりも高い。一実施形態では、ホットゾーン及びクールゾーンは、改良されたタブ設計に従ったタブを有する半導体デバイスのコンピュータシミュレーションを実行することによって、又は関連技術で公知の他のプロセスによって決定することができる。
【0113】
S912では、ホットゾーン、クールゾーン、又はその両方の1つ以上の設計パラメータを調整して、未改良の改良型タブ設計におけるホットゾーンの消費電力に対してホットゾーンの消費電力を低減することにより、改良型タブ設計が改良される。1つ以上の設計パラメータは、タブ幅、ゲートピッチ、pボディ幅、ゲート幅、JFET領域幅、チャネル長、チャネル幅、ドーパント濃度、又はそれらの組み合わせを含むことができる。その後、プロセス900はS906に戻る。
【0114】
S914において、半導体デバイスが製造される。半導体デバイスは、改良されたタブ設計にしたがって製造された少なくとも1つのタブを含む。プロセス900のステップS902からS912を別々に複数回実行して、半導体デバイスの製造された複数のタブについてそれぞれの改良されたタブ設計を製造することができる。
【0115】
例示的実施形態では、タブが、第1の予測動作温度に対応する第1のゾーンと、第1の予測動作温度よりも高い第2の予測動作温度に対応する第2のゾーンとを含むものが提供されている。少なくとも1つの設計パラメータは、第1のゾーンにおいて第1の値を有し、第2のゾーンにおいて第1の値とは異なる第2の値を有する。第1の値が第2の値と異なることにより、第1の値と第2の値が等しい場合よりも、動作中の目標動作パラメータが低くなるようにタブが構成される。目標動作パラメータは、第2のゾーンの最大動作温度、第2のゾーンの最大動作温度と第1のゾーンの最大動作温度との差、タブ内の最大動作温度とタブ内の最小動作温度との差、又はそれらの組み合わせであってもよい。少なくとも1つの設計パラメータは、タブ幅、ゲートピッチ、ソース構造幅、JFET領域幅、チャネル長、チャネル幅、ドーパント濃度、又はそれらの組み合わせとすることができる。
【0116】
例示した実施形態では示した技術を組み合わせることができる。例えば、一実施形態では、ホットゾーンの動作温度を低減するため、ホットゾーンの温度とクールゾーンの温度との差を低減するため、タブ内の最高動作温度とタブ内の最低動作温度との差を低減するため、又はそれらの組み合わせのために、タブ幅、ゲートピッチ、チャネル長、及びドーパント濃度はすべて、タブのクールゾーンに対してホットゾーンで異なってもよい。
【0117】
本開示の態様を、例示として提示された特定の実施形態で説明した。開示された実施形態に対する多数の代替、修正、及び変形は、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に開示された実施形態は、限定を意図するものではない。
【国際調査報告】