(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】中性子ビームを変換するためのシステム、デバイス、及び方法
(51)【国際特許分類】
G21K 5/02 20060101AFI20241024BHJP
G21K 1/00 20060101ALI20241024BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20241024BHJP
G21K 3/00 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
G21K5/02 N
G21K1/00 X
A61N5/10 H
A61N5/10 N
G21K3/00 W
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525978
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 US2022047912
(87)【国際公開番号】W WO2023076407
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524162310
【氏名又は名称】ティーエーイー ライフ サイエンシーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リー, チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】スタイロン, ジェディダイア
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC07
4C082AE01
4C082AG32
4C082AG42
(57)【要約】
未処理の中性子ビームを、目標とされるエネルギー範囲、サイズ、及び方向を有する特定の送達可能なフォーマットに変換するためのシステム、デバイス、及び方法が記載される。中性子ビーム変換器の実施形態は、場所、機能、寸法、及び/又は構成材料に基づく多数の領域を含むことができる。領域は、中央領域、中間領域、周辺領域、及び前面領域を含むことができる。材料も記載される。一実施形態では、中性子ビーム変換器は、中性子発生ターゲットから未処理の中性子ビームを受け取り、変換された中性子ビームを出力するように構成され、変換された中性子ビームは、未処理の中性子ビームよりも相対的に集束された前方方向と、未処理の中性子ビームよりも相対的に小さい強度の変動と、未処理の中性子ビームよりも相対的に小さいエネルギーの変動と、を有する。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子ビーム変換器であって、
中性子発生ターゲットから中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、
中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、
前記ビーム入力部と前記ビーム出力部との間の軸によって横断される中央領域であって、前記中央領域は、中性子を治療エネルギー範囲に散乱させるように構成される、中央領域と、
前記中央領域の周りに横方向に位置し、中性子を方向転換及び散乱させるように構成された中間領域であって、前記中間領域は、それぞれが異なる材料を含む第1の中間セクション及び第2の中間セクションを含む、中間領域と、
前記中間領域の周りに横方向に位置し、中性子及びガンマ放射線を吸収するように構成された周辺領域であって、前記周辺領域は、それぞれが異なる材料を含む第1の周辺セクション及び第2の周辺セクションを含む、周辺領域と、を備える、変換器。
【請求項2】
前記中央領域は、第1のセクション、第2のセクション、及び第3のセクションを備え、前記第1、第2、及び第3のセクションの各々は、異なる材料を含み、前記第1、第2、及び第3のセクションの各々は、前記軸によって横断される、請求項1に記載の変換器。
【請求項3】
前記第1のセクションは、フッ素を含み、前記第2のセクションは、マグネシウムを含み、前記第3のセクションは、アルミニウムを含む、請求項2に記載の変換器。
【請求項4】
前記中央領域は、第1の材料及び第2の材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項5】
前記第1の材料は、アルミニウムを含み、前記第2の材料は、マグネシウムを含む、請求項4に記載の変換器。
【請求項6】
前記第1の材料は、生成された中性子を治療エネルギー範囲に向かって、又はその中に散乱させるように構成され、生成された中性子を方向転換させるように構成され、前記第2の材料は、生成された中性子を非共鳴的に散乱させるように構成されている、請求項4に記載の変換器。
【請求項7】
前記第1の材料は、鉛及びフッ素を含む、請求項4又は6に記載の変換器。
【請求項8】
前記第2の材料は、ベリリウムを含む、請求項4、6、又は7のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項9】
前記第2の材料は、酸化物、炭化物、又は窒化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項4、6、又は7のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項10】
前記第2の材料は、前記第1の材料を含む第1の中央セクションと前記第1の材料を含む第2の中央セクションとの間の層として構成されている、請求項4~9のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項11】
前記第1の中央セクション、前記層、及び前記第2の中央セクションは、前記軸によって横断される、請求項10に記載の変換器。
【請求項12】
前記中央領域は、アルミニウム、フッ素、及びマグネシウムのうちの少なくとも1つを含む第3の材料を含む、請求項4~11のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項13】
前記中央領域は、前記ビーム入力部から前記ビーム出力部まで延在する円筒形部分を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項14】
前記円筒形部分は、前記中性子発生ターゲットの設置場所の上流に第1の終端を有する、請求項13に記載の変換器。
【請求項15】
前記円筒形部分は、前記中性子ビーム変換器の最上流面に沿って第1の終端を有する、請求項13又は14に記載の変換器。
【請求項16】
前記円筒形部分は、前記ビーム出力部に近接した第2の終端を有する、請求項14又は15に記載の変換器。
【請求項17】
前記円筒形部分は、前記中間領域に対して中性子のための低抵抗経路として作用するように構成されている、請求項13~16のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項18】
前記円筒形部分は、管状部分を含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項19】
前記円筒形部分は、前記中間領域及び前記管状部分内の材料に対して、中性子のための低抵抗経路として作用するように構成されている、請求項18に記載の変換器。
【請求項20】
前記管状部分は、アルミニウム、フッ素、及びマグネシウムのうちの少なくとも1つを含み、第1の材料及び第2の材料を含む第1の中央セクションを横方向に取り囲む、請求項18又は19に記載の変換器。
【請求項21】
前記円筒形部分は、アルミニウム、フッ素、及びマグネシウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項13~19のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項22】
前記円筒形部分は、前記軸を横断する、請求項13~20のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項23】
前記変換器は、最下流表面と、前記ビーム出力部における前記最下流表面からの凹部と、を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項24】
前記凹部は、中性子リダイレクタを含む側壁部分を有する、請求項23に記載の変換器。
【請求項25】
前記中性子リダイレクタは、鉛、ニッケル、ビスマス、及びタングステンのうちの少なくとも1つを含む、請求項24に記載の変換器。
【請求項26】
前記凹部は、円筒形であり、前記変換器は、ベリリウムを含む管状ライナーを含み、前記管状ライナーは、前記凹部の側壁に近接して位置する、請求項23~25のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項27】
前記中央領域は、
前記軸によって横断され、中性子を前記治療エネルギー範囲に散乱させるように構成された第1の中央セクションと、
前記軸によって横断され、前記第1の中央セクションの下流に位置し、エピサーマルエネルギー範囲内の中性子をより低いエネルギーに散乱させるように構成された第2の中央セクションと、
前記軸によって横断され、前記第2の中央セクションの下流に位置し、前記より低いエネルギーに散乱された中性子を吸収するように構成された第3の中央セクションと、を備える、請求項1に記載の変換器。
【請求項28】
前記中央領域は、前記中性子発生ターゲットの設置場所から離隔された固体セクションを備え、前記固体セクションは、前記アクセスによって横断され、前記ターゲットの前記設置場所の下流に位置する、請求項1に記載の変換器。
【請求項29】
前記固体セクションは、前記ターゲットの前記設置場所から少なくとも10センチメートルだけ離隔されている、請求項28に記載の変換器。
【請求項30】
前記第1の中間セクションは、前記第2の中間セクションよりも前記中央領域に相対的に近く、前記第1の中間セクションは、生成された中性子を散乱させるように構成され、前記第2の中間セクションは、生成された中性子を方向転換させるように構成されている、請求項1~29のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項31】
前記第2の中間セクションは、生成された中性子を方向転換させ、光子を吸収するように構成されている、請求項30に記載の変換器。
【請求項32】
前記第1の中間セクションは、中性子を方向転換させるように更に構成されている、請求項30又は31に記載の変換器。
【請求項33】
前記第1の中間セクションは、フッ素、アルミニウム、及びマグネシウムのうちの少なくとも1つを更に含み、前記第2の中間セクションは、鉛、ニッケル、ビスマス、及びタングステンのうちの少なくとも1つを含む、請求項32に記載の変換器。
【請求項34】
前記第1の中間セクションは、鉛を更に含み、前記第2の中間セクションは、鉛を含む、請求項33に記載の変換器。
【請求項35】
前記第1の中間セクションは、前記中央領域の周りに横方向に位置し、前記第2の中間セクションは、前記第1の中間セクションの周りに横方向に位置する、請求項30~34のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項36】
前記第1の中間セクションは、前記中央領域と接触しており、前記第2の中間セクションは、前記第1の中間セクションと接触している、請求項35に記載の変換器。
【請求項37】
前記中間領域は、前記中央領域の後面にわたって横方向に延在する、請求項1~36のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項38】
前記第2の中間セクションは、前記第1の中間セクションの周りに横方向に位置し、前記第1の中間セクションは、中性子を散乱させるように構成され、前記第2の中間セクションは、中性子を方向転換させてガンマ放射線を吸収するように構成されている、請求項1~29のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項39】
前記中間領域は、前記第2の中間セクションの周りに横方向に位置する第3の中間セクションを更に備え、前記第3の中間セクションは、エピサーマルエネルギー範囲内の第1のエネルギーから前記第1のエネルギーよりも低い第2のエネルギーまで中性子を散乱させるように構成されている、請求項38に記載の変換器。
【請求項40】
前記中間領域は、前記第3の中間セクションの周りに横方向に位置する第4の中間セクションを更に備え、前記第4の中間セクションは、中性子を吸収するように構成されている、請求項39に記載の変換器。
【請求項41】
前記中間領域は、前記第4の中間セクションの周りに横方向に位置する第5の中間セクションを更に備え、前記第5の中間セクションは、ガンマ放射線を吸収するように構成されている、請求項40に記載の変換器。
【請求項42】
前記第1の周辺セクションは、前記第2の周辺セクションよりも前記中間領域に相対的に近く、前記第1の周辺セクションは、中性子を吸収するように構成され、前記第2の周辺セクションは、光子を吸収するように構成されている、請求項1~41のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項43】
前記周辺領域は、前記第1の周辺セクションよりも前記中間セクションの相対的に近くに位置する第3の周辺セクションを更に備え、前記第3の周辺セクションは、エピサーマル中性子を散乱させるように構成されている、請求項42に記載の変換器。
【請求項44】
前記周辺領域は、前記第1の周辺セクションよりも前記中間セクションの相対的に近くに位置する第3の周辺セクションを更に備え、前記第3の周辺セクションは、光子を吸収するように構成されている、請求項42に記載の変換器。
【請求項45】
前記第1及び第2の周辺セクションは、チタンを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項46】
前記第1の周辺セクションは、チタン及びバナジウムを含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項47】
前記第2の周辺セクションは、ホウ素を含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項48】
前記第1の周辺セクションは、前記中間領域及び中央領域の周りに横方向に位置し、前記第2の周辺セクションは、前記第1の周辺セクションの周りに横方向に位置する、請求項42~47のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項49】
前記第1の周辺セクションは、前記中間領域と接触しており、前記第2の周辺セクションは、前記第1の周辺セクションと接触している、請求項42~48のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項50】
前記周辺領域は、前記中央領域の後部の一部及び前記中間領域の後部の一部にわたって横方向に延在する、請求項42~49のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項51】
前記変換器にわたって横方向に延在する前面領域を更に備える、請求項1~50のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項52】
前記前面領域は、中性子及び光子を吸収するように構成されている、請求項51に記載の変換器。
【請求項53】
前記前面領域は、光子を吸収するように構成された第1の前面セクションと、中性子を吸収するように構成された第2の前面セクションと、を備える、請求項52に記載の変換器。
【請求項54】
前記第1の前面セクションは、前記第2の前面セクションの下流に位置する、請求項53に記載の変換器。
【請求項55】
前記第1の前面セクションは、前記ビーム出力部における凹部のための開口を備える、請求項53又は54に記載の変換器。
【請求項56】
前記第1の前面セクションは、鉛、ニッケル、ビスマス、及びタングステンのうちの少なくとも1つを含む、請求項53~55のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項57】
前記第2の前面セクションは、リチウム、カドミウム、ホウ素、チタン、ガドリニウム、インジウム、ハフニウム、及び水素ポリマーのうちの少なくとも1つを含む、請求項53~56のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項58】
エピサーマル中性子を散乱させるように構成された第3の前面セクションを更に備える、請求項53~57のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項59】
前記第3の前面セクションは、前記第2の前面セクションの上流に位置する、請求項58に記載の変換器。
【請求項60】
前記前面領域は、前記周辺領域の連続部を形成する、請求項51~59のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項61】
中性子ビーム変換器であって、
中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、
中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、
前記ビーム入力部と前記ビーム出力部との間の軸によって横断される第1の領域と、
前記第1の領域の周りに横方向に位置する第2の領域であって、前記第2の領域は、チタン及びバナジウムを含む合金を含む、第2の領域と、を備える、中性子ビーム変換器。
【請求項62】
前記第2の領域は、
前記合金を含む第1のセクションと、
ホウ素を含む第2のセクションと、を備える、請求項61に記載の変換器。
【請求項63】
前記第1のセクションは、前記第1の領域の周りに横方向に位置し、前記第2のセクションは、前記第1のセクションの周りに横方向に位置する、請求項62に記載の変換器。
【請求項64】
前記第1の領域と前記第2の領域との間に介在する第3の領域を更に備え、前記第1の領域は、中央領域であり、前記第3の領域は、中間領域であり、前記第2の領域は、周辺領域である、請求項63に記載の変換器。
【請求項65】
前記第2の領域は、鉛を更に含む、請求項61~64のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項66】
前記第2の領域は、水素ポリマーを更に含む、請求項61~64のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項67】
中性子ビーム変換器であって、
中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、
中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、
前記ビーム入力部と前記ビーム出力部との間の軸によって横断される第1の領域と、
前記第1の領域の周りに横方向に、又は治療室に近接する前面領域に沿ってのいずれかに位置する第2の領域であって、前記第2の領域は、ホウ素を含む、第2の領域と、を備える、変換器。
【請求項68】
前記第2の領域は、
チタン及びバナジウムの合金を含む第1のセクションと、
(a)ホウ素及びチタン、又は(b)ホウ素及び炭素を含む第2のセクションと、を備える、請求項67に記載の変換器。
【請求項69】
前記第1のセクションは、前記第1の領域の周りに横方向に位置し、前記第2のセクションは、前記第1のセクションの周りに横方向に位置する、請求項68に記載の変換器。
【請求項70】
前記第1の領域と前記第2の領域との間に介在する第3の領域を更に備え、前記第1の領域は、中央領域であり、前記第3の領域は、中間領域であり、前記第2の領域は、周辺領域である、請求項67~69のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項71】
前記ホウ素は、セラミック二ホウ化チタン又はセラミック炭化ホウ素である、請求項67~70のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項72】
前記第2の領域は、水素ポリマーを更に含む、請求項67~71のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項73】
ホウ素を含む前記前面領域を更に含み、前記前面領域は、前記変換器の下流前面にわたって位置する、請求項67~72のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項74】
前記第2の領域は、熱中性子エネルギー範囲及びエピサーマル中性子エネルギー範囲の少なくとも一部にわたって逆速度断面を示す、請求項67~73のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項75】
前記第2の領域は、エピサーマル中性子エネルギー範囲において共鳴ピーク断面を示す、請求項67~73のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項76】
前記第2の領域は、前記第1の領域の周りに横方向に位置する、請求項67~75のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項77】
前記第2の領域は、前記前面領域に沿って位置する、請求項67~76のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項78】
中性子ビーム変換器であって、
中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、
中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、
前記ビーム入力部と前記ビーム出力部との間の軸によって横断される中央領域と、備え、
前記中央領域は、複数の第1のセクション及び複数の第2のセクションを備え、前記複数の第1のセクションは、前記軸によって横断され、中性子を共鳴的に下方散乱させるように構成され、前記複数の第2のセクションは、前記軸によって横断され、中性子を非共鳴的に下方散乱させるように構成されている、中性子ビーム変換器。
【請求項79】
前記複数の第1のセクション及び前記複数の第2のセクションは、交互に積層された配置にある、請求項78に記載の変換器。
【請求項80】
前記複数の第2のセクションは、ベリリウムを含む、請求項78又は79に記載の変換器。
【請求項81】
前記複数の第1のセクションは、マグネシウム、アルミニウム、及びフッ素のうちの少なくとも1つを含む、請求項78~80のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項82】
前記複数の第1のセクションは、鉛及びフッ素を含む、請求項78~80のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項83】
前記軸によって横断され、中性子を共鳴的に下方散乱させるように構成された複数の第3のセクションを更に備え、前記複数の第1のセクションは、前記複数の第3のセクションとは異なる材料を含む、請求項78~82のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項84】
前記複数の第2のセクション及び前記複数の第3のセクションの少なくとも一部は、交互に積層された配置にある、請求項82に記載の変換器。
【請求項85】
前記軸によって横断され、中性子を共鳴的に下方散乱させるように構成された複数の第3のセクションを更に備え、
前記複数の第1のセクションは、前記複数の第2のセクション及び前記複数の第3のセクションと交互配置され、
前記複数の第1のセクションは、マグネシウム、アルミニウム、又はフッ素のうちの少なくとも1つを含み、
前記複数の第2のセクションは、ベリリウムを含み、
前記複数の第3のセクションは、鉛及びフッ素を含む材料を含む、請求項78に記載の変換器。
【請求項86】
前記複数の第1のセクションは、連続的である、請求項78~85のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項87】
中性子ビーム変換器であって、
中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、
中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、
前記ビーム入力部と前記ビーム出力部との間の中央領域と、
前記中央領域の周りに横方向に位置する中間領域と、
前記中間領域及び中央領域の周りに横方向に位置する周辺領域と、を備え、
前記中央領域は、鉛及びフッ素を含む第1の材料を含み、
前記第1の材料は、前記ビーム入力部とビーム出力部との間の軸によって横断され、
前記中間領域は、鉛及びフッ素を含む第2の材料を含み、
第3の材料は、前記中央領域の前記第1の材料と前記中間領域の前記第2の材料との間に位置する、変換器。
【請求項88】
前記第1及び第2の材料は、同じである、請求項87に記載の変換器。
【請求項89】
前記第1及び第2の材料は、フッ化鉛である、請求項87に記載の変換器。
【請求項90】
前記第3の材料は、マグネシウム及びアルミニウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項87~89のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項91】
前記第3の材料は、マグネシウム-アルミニウム合金である、請求項87~89のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項92】
前記中間領域は、
前記第2の材料を有する第1のセクションと、
鉛、ニッケル、ビスマス、及びタングステンのうちの少なくとも1つを含む第4の材料を有する第2のセクションと、を備える、請求項87~91のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項93】
前記第2のセクションは、前記第1のセクションの周りに横方向に位置する、請求項92に記載の変換器。
【請求項94】
前記周辺領域は、鉛、ニッケル、ビスマス、及びタングステンのうちの少なくとも1つを含む、請求項87~93のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項95】
中性子ビーム変換器であって、
中性子発生ターゲットから中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、
中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、
前記ビーム入力部と前記ビーム出力部との間の中央領域と、を備え、
前記中央領域は、ベリリウムを含む少なくとも1つのセクションを含む、変換器。
【請求項96】
ベリリウムを含む前記セクションは、別の材料によって前記ビーム入力部から分離される、請求項95に記載の変換器。
【請求項97】
前記少なくとも1つのセクションは、プレートとして構成され、前記ビーム入力部から前記ビーム出力部まで延在する前記変換器の中心軸は、前記プレートに垂直である、請求項95又は96に記載の変換器。
【請求項98】
前記少なくとも1つのセクションは、前記ビーム入力部と前記ビーム出力部との間に間隔を置いて位置する複数の第1のセクションのうちの1つであり、前記複数の第1のセクションの各々は、ベリリウムを含む、請求項95~97のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項99】
前記複数の第1のセクションにおける第1のセクションの各隣接する対は、複数の第2のセクションのうちの1つによって分離される、請求項95~98のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項100】
前記複数の第2のセクションの各々は、中性子をより低いエネルギーに共鳴散乱させるように構成されている、請求項99に記載の変換器。
【請求項101】
前記複数の第1のセクションは、プレートとして構成され、前記ビーム入力部から前記ビーム出力部まで延在する前記変換器の中心軸は、前記複数の第1のセクションの各第1のセクションに垂直である、請求項95、96、及び98~100のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項102】
前記少なくとも1つのセクションは、酸化ベリリウムを含む、請求項95~101のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項103】
前記少なくとも1つのセクションは、中性子をより低いエネルギーに非共鳴的に下方散乱させるように構成されている、請求項95~102のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項104】
中性子ビーム変換器であって、
中性子発生ターゲットから中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、
中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、
前記ビーム入力部と前記ビーム出力部との間の第1の領域と、
前記第1の領域の周りに横方向に位置する第2の領域と、を備え、
前記第2の領域は、前記第1のセクションの長さに沿って変化する外径を有する第1のセクションを備える、変換器。
【請求項105】
前記第1のセクションは、中性子発生ターゲットの設置場所に位置合わせされた第1の場所において最大直径を有する、請求項104に記載の変換器。
【請求項106】
前記第1のセクションの前記直径は、前記第1の場所から前記第1のセクションの下流終端における第2の場所まで減少する、請求項105に記載の変換器。
【請求項107】
前記第1のセクションの前記直径は、前記第1の場所から前記第1のセクションの上流終端における第2の場所まで減少する、請求項105に記載の変換器。
【請求項108】
前記第1の領域は、中央領域であり、前記第2の領域は、周辺領域であり、前記変換器は、前記中央領域と前記周辺領域との間に中間領域を備える、請求項104~107のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項109】
前記第1のセクションの内面は、均一な直径を有する円筒形状を有する、請求項104~108のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項110】
前記第1のセクションは、エピサーマル中性子を下方散乱させるように構成されている、請求項104~109のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項111】
前記第1のセクションは、チタンを含む、請求項104~110のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項112】
前記第2の領域は、均一な直径の円筒形の外面を有する、請求項104に記載の変換器。
【請求項113】
前記第2の領域は、前記第1のセクションの周りに横方向に位置する第2のセクションを備え、前記第2のセクションは、前記第1のセクションの前記外径に対応して変化する内径を有する、請求項104に記載の変換器。
【請求項114】
前記第2のセクションは、前記第2のセクションの長さに沿って均一である外径を有する、請求項113に記載の変換器。
【請求項115】
中性子ビーム変換器であって、
中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、
中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、
前記ビーム入力部と前記ビーム出力部との間の中央領域と、を備え、
前記中央領域は、複数の第2のセクションと交互に積層された配置の複数の第1のセクションを含み、前記複数の第1のセクションのうちの第1のセクションは、前記複数の第1のセクションのうちの第2のセクションの厚さよりも相対的に小さい厚さを有する、変換器。
【請求項116】
前記複数の第1のセクションの各々は、異なる厚さを有する、請求項115に記載の変換器。
【請求項117】
前記複数の第1のセクションのうちの前記第1のセクションの前記厚さは、前記複数の第1のセクションのうちの前記第2のセクションの前記厚さよりも少なくとも10%小さい、請求項115又は116に記載の変換器。
【請求項118】
前記複数の第1のセクションのうちの前記第1のセクションは、前記複数の第1のセクションのうちの前記第2のセクションよりも前記ビーム出力部の相対的に近くに位置する、請求項115~117のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項119】
前記複数の第1のセクションのうちの前記第1のセクションは、前記複数の第1のセクションのうちの前記第2のセクションよりも前記ビーム出力部から相対的に遠くに位置する、請求項115~117のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項120】
前記複数の第1のセクションの厚さは、上流から下流の方向に徐々に減少する、請求項115~117のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項121】
前記複数の第1のセクションの厚さは、上流から下流の方向に徐々に増加する、請求項115~117のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項122】
前記複数の第1のセクションは、前記複数の第2のセクションとは異なる組成を有する、請求項115~121のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項123】
前記複数の第1のセクションの各々は、プレートとして構成されている、請求項115~122のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項124】
前記複数の第1のセクションの各々は、中性子を非共鳴的に散乱させるように構成され、前記複数の第2のセクションの各々は、中性子を共鳴的に散乱させるように構成されている、請求項115~123のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項125】
前記複数の第1のセクションの各々は、中性子を共鳴的に散乱させるように構成され、前記複数の第2のセクションの各々は、中性子を非共鳴的に散乱させるように構成されている、請求項115~123のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項126】
前記複数の第2のセクションの全ては、同じ厚さを有する、請求項115に記載の変換器。
【請求項127】
前記複数の第2のセクションの各々は、前記複数の第1のセクションの各々よりも厚い、請求項115~126のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項128】
中性子ビーム変換器であって、
中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、
中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、
前記ビーム入力部と前記ビーム出力部との間の中央領域と、を備え、
前記中央領域は、複数の第2のセクションと交互配置された複数の第1のセクションを含み、前記複数の第1のセクションは、非平面の第1のセクションを含む、変換器。
【請求項129】
前記非平面の第1のセクションは、シェブロン形状の断面形状を有する、請求項128に記載の変換器。
【請求項130】
前記シェブロン形状の断面プロファイルは、開いた側部と、相対的により尖った側部と、を有し、前記相対的により尖った側部は、前記ビーム入力部に面する、請求項129に記載の変換器。
【請求項131】
前記シェブロン形状の断面プロファイルは、開いた側部と、相対的により尖った側部と、を有し、前記相対的により尖った側部は、前記ビーム出力部に面する、請求項129に記載の変換器。
【請求項132】
前記複数の第1のセクションの各々は、シェブロン形状の断面形状を有する、請求項128~131のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項133】
前記非平面の第1のセクションは、湾曲した断面プロファイルを有する、請求項128に記載の変換器。
【請求項134】
前記湾曲した断面プロファイルは、凹側部と凸側部とを有し、前記凸側部は、前記ビーム入力部に面する、請求項133に記載の変換器。
【請求項135】
前記湾曲した断面プロファイルは、凹側部と凸側部とを有し、前記凹側部は、前記ビーム入力部に面する、請求項133に記載の変換器。
【請求項136】
前記複数の第1のセクションの各々は、湾曲した断面プロファイルを有する、請求項128及び133~135のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項137】
前記非平面の第1のセクションは、ボウル形状である、請求項128及び133~136のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項138】
前記非平面の第1のセクションは、不均一な厚さを有する断面プロファイルを有する、請求項128~137のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項139】
前記非平面の第1のセクションは、湾曲した断面プロファイルを有し、前記複数の第1のセクションは、シェブロン形状の第1のセクションを含む、請求項128に記載の変換器。
【請求項140】
中性子ビーム変換器であって、
中性子発生ターゲットから中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、
中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、
前記ビーム入力部と前記ビーム出力部との間の第1の領域又はセクションであって、前記第1の領域又はセクションは、前記ビーム入力部とビーム出力部との間の軸の周りに湾曲した第1の横方向外面を有する、第1の領域又はセクションと、
前記第1の領域又はセクションの周りに横方向に位置する第2の領域又はセクションであって、前記第2の領域又はセクションは、実質的に多面である第2の横方向外面を有する、第2の領域又はセクションと、を備える、変換器。
【請求項141】
前記第1の横方向外面は、実質的に円筒形又は円筒形である、請求項140に記載の変換器。
【請求項142】
前記第1の領域又はセクションは、前記変換器の中央領域の第1のセクションである、請求項141に記載の変換器。
【請求項143】
前記第2の領域又はセクションは、前記変換器の前記中央領域の第2のセクションである、請求項142に記載の変換器。
【請求項144】
前記第1の領域又はセクションは、前記変換器の中央領域である、請求項141に記載の変換器。
【請求項145】
前記第2の領域又はセクションは、前記変換器の中間領域のセクションである、請求項144に記載の変換器。
【請求項146】
前記第2の領域又はセクションは、前記変換器の中間領域である、請求項144に記載の変換器。
【請求項147】
前記中間領域は、発生した中性子を方向転換及び散乱させるように構成されている、請求項145又は146に記載の変換器。
【請求項148】
前記第2の領域又はセクションは、前記変換器の周辺領域のセクションであり、前記変換器は、前記中央領域と前記周辺領域との間に位置する中間領域を備える、請求項144に記載の変換器。
【請求項149】
前記第2の領域又はセクションは、前記変換器の周辺領域であり、前記変換器は、前記中央領域と前記周辺領域との間に位置する中間領域を備える、請求項144に記載の変換器。
【請求項150】
前記中央領域は、生成された中性子を治療エネルギー範囲に向かって、又はその中に散乱させるように構成されている、請求項142~149のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項151】
前記第2の横方向外面は、4つ以上の横方向側部と、少なくとも2つの端部側部と、を有する、請求項140~150のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項152】
前記第2の横方向外面は、6つ以上の横方向側部と、少なくとも2つの端部側部と、を有する、請求項140~150のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項153】
前記第2の領域又はセクションは、曲率が前記第1の横方向外側部に対応する横方向内側部を備える、請求項140~152のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項154】
中央領域の2つ以上の第1のセクションであって、前記中央領域の前記2つ以上の第1のセクションはそれぞれ、前記ビーム入力部とビーム出力部との間の前記軸の周囲で湾曲される横方向外側部を有する、2つ以上の第1のセクションと、
前記変換器の中間領域及び/又は周辺領域の2つ以上の第2のセクションであって、前記2つ以上の第2のセクションはそれぞれ、前記軸の周りに実質的に多面である横方向外側部を有する、2つ以上の第2のセクションと、を備える、請求項140に記載の変換器。
【請求項155】
前記ビーム出力部からエピサーマルエネルギー範囲の中性子ビームを出力するように構成されている、請求項1~154のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項156】
1エレクトロンボルト~30キロエレクトロンボルトのエネルギー範囲の中性子ビームを出力するように構成されている、請求項1~154のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項157】
ピーク中性子分布及び10キロエレクトロンボルト~30キロエレクトロンボルトの間の平均エネルギーを有する前記中性子ビームを出力するように構成されている、請求項156に記載の変換器。
【請求項158】
前記中性子の少なくとも90%が1エレクトロンボルト~30キロエレクトロンボルトの前記エネルギー範囲にある前記中性子ビームを出力するように構成されている、請求項156又は157に記載の変換器。
【請求項159】
1エレクトロンボルト~10キロエレクトロンボルトのエネルギー範囲の中性子ビームを出力するように構成されている、請求項1~154のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項160】
ピーク中性子分布及び3キロエレクトロンボルト~10キロエレクトロンボルトの間の平均エネルギーを有する前記中性子ビームを出力するように構成されている、請求項159に記載の変換器。
【請求項161】
前記中性子の少なくとも90%が1エレクトロンボルト~10キロエレクトロンボルトの前記エネルギー範囲にある前記中性子ビームを出力するように構成されている、請求項159~160のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項162】
ホウ素中性子捕捉療法システムにおける使用のために構成されている、請求項1~161のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項163】
中性子発生ターゲットを更に含む、請求項1~162のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項164】
前記中性子発生ターゲットは、リチウムを含み、反応p+
7Li→n+
7Beに従って中性子を発生させるように構成されている、請求項163に記載の変換器。
【請求項165】
前記中性子発生ターゲットは、1.9~3.0メガエレクトロンボルトの範囲のエネルギーを有する陽子ビームから中性子を発生させるように構成されている、請求項163に記載の変換器。
【請求項166】
前記中性子ビーム変換器は、前記中性子発生ターゲットから未処理の中性子ビームを受け取り、変換された中性子ビームを出力するように構成され、
前記変換された中性子ビームは、前記未処理の中性子ビームよりも相対的に集束された前方方向と、前記未処理の中性子ビームよりも相対的に小さい強度の変動と、前記未処理の中性子ビームよりも相対的に小さいエネルギーの変動と、を有する、請求項1~165のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項167】
中性子ビームを変換する方法であって、
中性子ビームが中性子ビーム変換器の中性子ビーム出力部から放出されるように、前記中性子ビーム変換器内に位置する中性子発生ターゲットにおいて荷電粒子ビームを伝搬させることを含み、前記中性子ビーム変換器は、請求項1~166のいずれか一項に従って構成される、方法。
【請求項168】
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を用いて患者を治療する方法であって、
前記患者において中性子ビームを伝搬させることを含み、前記中性子ビームは、中性子ビーム変換器の中性子ビーム出力部から放出され、前記中性子ビーム変換器は、請求項1~166のいずれか一項に従って構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明される主題は、概して、中性子ビームを未処理の形態から送達可能な形態に変換するためのシステム、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、最も困難なタイプの一部を含む、種々のタイプのがんの治療のモダリティである。BNCTは、ホウ素化合物を用いて、正常細胞を温存しつつ、腫瘍細胞を選択的に治療することを目的とした技術である。ホウ素化合物は、種々の細胞型による効率的な捕捉及び標的部位(例えば、腫瘍細胞)での選択的な薬物蓄積を可能にする。ホウ素を装填した細胞は、中性子(例えば、中性子ビームの形態)で照射することができる。中性子はホウ素と反応して腫瘍細胞を根絶する。
【0003】
BNCTのための中性子ビームは、種々の技術によって発生させることができる。かかる技術の1つは、陽子ビーム又は重陽子ビームのような荷電粒子ビームで適当な中性子発生ターゲットを照射することを含む。荷電粒子は、ターゲット内の原子核と反応して、BNCTに使用することができる未処理の中性子のビームを放出する。中性子は、ターゲット内で発生した直後に、中性子のかなりの部分が患者に向かって直接ではなく種々の方向に伝搬している可能性があり、患者に投与するには高すぎるか又は低すぎるエネルギーレベルを有する可能性があるという意味で、未処理である。未処理の中性子はまた、望ましくないガンマ放射線を伴うことがある。未処理の中性子を修正するための既存の技術には、中性子を所望の方向に方向転換させる能力が不十分であること、中性子を所望のエネルギー範囲に散乱させる能力が不十分であること、及び望ましくない光子及び低エネルギー中性子放射線を除去する能力が不十分であることなどの欠点がある。したがって、中性子ビーム修正又は変換のための改良されたシステム、デバイス、及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で説明される主題は、概して、未処理の中性子ビームを、目標とされるエネルギー範囲、サイズ、及び方向を有する特定の送達可能なフォーマットに変換するため、並びに望ましくない非中性子放射線を除去するためのシステム、デバイス、及び方法に関する。中性子ビーム変換器(NBC)の実施形態は、エピサーマルエネルギー範囲の中性子ビームを出力するように構成されたBNCTシステムの例示的な文脈で説明される。NBCは、場所、機能、寸法、及び/又は構成材料に基づいて、多数の領域を含むことができる。領域は、NBCのビーム入力部とビーム出力部との間のビーム軸に沿って配向される中央領域を含むことができる。中央領域は、高エネルギー中性子をエピサーマル範囲まで下方に散乱させ、前向きビーム(例えば、主に患者の方向に伝搬するビーム)を達成及び/又は維持する機能を主に果たすように構成され得る。中央領域は、方向転換及び中性子吸収などの他の機能を実行することができる。中間領域は、中央領域の横方向外側に位置することができ、患者への出力のために、エピサーマル範囲に向かって、又はその中に散乱しながら、中性子を中央領域の中に戻るように方向転換させるように機能することができる。中間領域はまた、ガンマ放射線の形態で光子を吸収することができ、より容易な吸収のために、ビーム軸から離れてエピサーマル及びより低いエネルギーレベルまで伝搬する中性子を散乱させることができる。周辺領域は、中間領域の横方向外側に位置することができ、中性子を吸収し、ガンマ放射線の形態で光子を吸収するために、中性子をエピサーマル及び熱エネルギー範囲まで、かつその中に散乱させるように機能することができる。前面領域は、患者に面するNBCの側に位置することができ、また、中性子をエピサーマル及び熱エネルギー範囲に下方及びその中に散乱させ、中性子を吸収し、ガンマ放射線の形態で光子を吸収するように機能することができる。これらの機能の一部又は全部を中央領域、中間領域、周辺領域、及び前面領域で実行するNBC配置の多数の例示的な実施形態が開示される。これらの機能の1つ以上を実行する能力を有する多数の例示的な材料が開示される。
【0005】
本明細書に説明される主題の他のシステム、デバイス、方法、特徴、及び利点は、以下の図及び発明を実施するための形態の検討に応じて、当業者に明白となるであろう。全てのかかる追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、本説明内に含まれ、本明細書に説明される主題の範囲内であり、付随の請求項によって保護されることが意図される。例示的な実施形態の特徴は、特許請求の範囲におけるそれらの特徴の明示的な記載がない限り、添付の特許請求の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に記載される主題の詳細は、その構造及び動作の両方に関して、同様の参照番号が同様の部分を指す添付の図を検討することによって明らかになり得る。図中の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、主題の原理を例証することに重点が置かれている。更に、全ての図は概念を伝えることを意図しており、相対的なサイズ、形状、及び他の詳細な属性は、文字通り又は正確にではなく、概略的に示され得る。
【0007】
【
図1A】本開示による中性子ビームシステムの一例を示す概略図である。
【
図1B】ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で使用するための中性子ビームシステムの一例を示す概略図である。
【
図2A】中性子発生ターゲットの一例を示す斜視図である。
【
図2B】中性子発生ターゲットを収容するためのアセンブリの一例を示す側面図である。
【
図2C】中性子発生ターゲットを収容するためのアセンブリの一例を示す断面図である。
【
図3A】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図3B】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態を示す後方斜視図である。
【
図4A】中性子ビーム変換器の中央領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図4B】中性子ビーム変換器の中央領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図4C】中性子ビーム変換器の中央領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図4D】中性子ビーム変換器の中央領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図4E】中性子ビーム変換器の中央領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図4F】中性子ビーム変換器の中央領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図4G】中性子ビーム変換器の中央領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図4H】中性子ビーム変換器の中央領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図4I】中性子ビーム変換器の中央領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図4J】中性子ビーム変換器の中央領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図4K】中性子ビーム変換器の中央領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図5A】中性子ビーム変換器の中央領域のための積層構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図5B】中性子ビーム変換器の中央領域のための積層構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図5C】中性子ビーム変換器の中央領域のための積層構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図5D】中性子ビーム変換器の中央領域のための積層構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図5E】中性子ビーム変換器の中央領域のための積層構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図5F】中性子ビーム変換器の中央領域のための積層構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図5G】中性子ビーム変換器の中央領域のための積層構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図5H】中性子ビーム変換器の中央領域のための積層構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図6A】中性子ビーム変換器の中間領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図6B】中性子ビーム変換器の中間領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図7A】中性子ビーム変換器の周辺領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図7B】中性子ビーム変換器の周辺領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図8A】中性子ビーム変換器の前面領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図8B】中性子ビーム変換器の前面領域の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図9A】中性子ビーム変換器の第1の構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図9B】中性子ビーム変換器の第1の構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図9C】中性子ビーム変換器の第1の構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図10A】中性子ビーム変換器の第2の構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図10B】中性子ビーム変換器の第2の構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図10C】中性子ビーム変換器の第2の構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図11A】中性子ビーム変換器の第3の構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図11B】中性子ビーム変換器の第3の構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図11C】中性子ビーム変換器の第3の構成の例示的な実施形態を示す断面図である。
【
図12】種々の移行表面形状を有する中性子ビーム変換器の例示的な実施形態の一部を示す斜視図である。
【
図13】種々の移行表面形状を有する中性子ビーム変換器の例示的な実施形態の一部を示す斜視図である。
【
図14A】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14B】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14C】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14D】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14E】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14F】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14G】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14H】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14I】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14J】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14K】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14L】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14M】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14N】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14O】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14P】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【
図14Q】中性子ビーム変換器の例示的な実施形態内での使用に適した種々のタイプの材料についての中性子エネルギーに対する断面のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら、変動してもよい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していない。
【0009】
「粒子」という用語は、本明細書において広く使用され、他に限定されない限り、電子、プロトン(又はH+イオン)、又は中性子、並びに2つ以上の電子、プロトン、及び/又は中性子を有する種(例えば、他のイオン、原子、及び分子)を説明するために使用することができる。
【0010】
中性子ビームシステム(例えば、原子炉又は粒子加速器を含む)と組み合わせて使用することができる、中性子ビーム変換のためのシステム、デバイス、及び方法の例示的な実施形態が本明細書に記載される。本明細書に記載される実施形態は、中性子ビーム変換又は修正が望まれる任意のタイプの中性子ビームシステムとともに使用することができる。本明細書の実施形態は、多数の用途で使用することができ、その一例は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で使用するための中性子ビームを生成するための中性子ビームシステムである。BNCTは、がん治療のために、エピサーマル中性子のビーム(例えば、1エレクトロンボルト(eV)~30キロエレクトロンボルト(keV)のエネルギースペクトルを有する)を使用する。BNCTでは、中性子は、ベリリウム又はリチウムターゲットデバイスのいずれかと衝突する荷電粒子(例えば、陽子ビーム)の核反応から生成されることができる。生成された中性子ビームは、広範囲のエネルギーを有し、種々の方向に放出される。したがって、ターゲットは、生成された中性子ビームを所望のエピサーマルエネルギー範囲内の一次順方向ビームに変換するように機能する、より大きい中性子ビーム変換器(NBC)内に含まれることができ、これは、次いで、患者に出力される。
【0011】
本明細書に記載される中性子ビーム変換器の例示的な実施形態は、互いに分離して観察されることを意図していない。本明細書で提供される任意の変換器の実施形態に関して説明される全ての特徴、要素、構成要素、及び機能は、任意の他の変換器の実施形態からの特徴、要素、構成要素、及び機能と自由に組み合わせ可能かつ置換可能であることが意図される。特定の特徴、要素、構成要素、及び機能が1つの変換器の実施形態のみに関して説明される場合、その特徴、要素、構成要素、及び機能は、明示的に別段の定めをした場合を除き、本明細書で説明される他の全ての変換器の実施形態とともに使用することができる。したがって、この段落は、いつでも、異なる変換器の実施形態からの特徴、要素、構成要素、及び機能を組み合わせるか、又は1つの変換器の実施形態からの特徴、要素、構成要素、及び機能を別の変換器の実施形態の特徴、要素、構成要素、及び機能と置換する特許請求の範囲の導入のための先行詞及び書面によるサポートとして、以下の説明が、特定の事例において、かかる組み合わせ又は置換が可能であることを明示的に述べていない場合でも役立つ。全ての可能な組み合わせ及び置換の明示的な列挙は、特に、各々及び全てのかかる組み合わせ及び置換の許容性が当業者によって容易に認識されることを考慮すると、過度に厄介であることが明確に認められる。
【0012】
中性子ビームシステムの例
説明を容易にするために、本明細書で説明される実施形態は、BNCTにおいて使用するための中性子ビームを生成するという文脈でそのように行われるが、実施形態はそのように限定されない。実施形態は、異なるエネルギー範囲を利用するBNCT用途以外のものであっても、有意な中性子放射を生成する他の用途に適用されることができる。
【0013】
図1Aは、本開示による、BNCTにおいて使用するためのシステム100の例示的な実施形態の概略図を示している。システム100は、荷電粒子ビームを生成し、それをターゲット60に伝搬させて中性子ビーム70を生成するように構成され、中性子ビーム70は、照射される患者の身体80に向けられる。ビームシステム100は、荷電粒子ソース20と、低エネルギービームライン(LEBL)30と、加速器40と、高エネルギービームライン(HEBL)50とを含む。ソース20は、LEBL30に出力される荷電粒子ビームを生成するように構成される。LEBL30は、ソース20から加速器40にビームを輸送するように構成される。加速器40は、荷電粒子ビームをより高いエネルギーに加速するように構成されている。HEBL50は、加速器40から、HEBL50のターゲットアセンブリ部分内に収容されたターゲット60まで延在している。HEBL50は、加速器40の出力からターゲット60に荷電粒子ビームを伝達し、荷電粒子ビームは中性子ビーム70に変換される。
【0014】
中性子ビーム変換器(NBC)200は、ターゲット60に近接してその周りに位置決めされており、ターゲット60から放出されるビーム70の中性子に対して種々の機能を実行する。これらの機能は、生成された中性子のエネルギーを所望の範囲を上回るエネルギーから所望の範囲内に低減することと、生成された中性子を患者に向かって前向き方向に集束させることと、所望の範囲外である生成された中性子を除去することと、望ましくないエネルギーレベルにおける他の放射線副産物(例えば、光子など)を除去することと、を含む。所望の中性子エネルギー範囲は、用途に基づいて変化し得る。本明細書に説明されるBNCT用途に関して、所望のエネルギー範囲は、例えば、1eV~10keV又は1eV~30keVであり得、中性子分布は、所望の範囲の上端近傍でピークに達する。例えば、1eV~30keVのビームは、ピーク中性子分布及び10keV~30keVの平均エネルギーを有するそのエネルギー範囲内の中性子の少なくとも90%を出力するように構成され得る。別の例として、1eV~10keVビームは、ピーク中性子分布及び3keV~10keVの平均エネルギーを有するエネルギー範囲内の中性子の少なくとも90%を出力するように構成され得る。便宜上、これらの範囲は、エピサーマルエネルギー範囲として説明される。これらの範囲を下回るエネルギーの中性子は、熱中性子(例えば、1eVを下回る)と称され、これらの範囲を上回るエネルギーの中性子は、高速中性子(例えば、30keVを上回る)と称される。
【0015】
図1Bは、BNCTで使用するための中性子ビームシステムとして構成されたビームシステム100の例示的な実施形態を示す概略図である。ビームシステム100は、LEBL30の少なくとも一部を形成する前段加速器システム26を含み、前段加速器システム26は、荷電粒子ビーム入射器として機能する。システム100は、
図1Aを参照して説明したように、LEBL30に結合された高電圧(HV)タンデム加速器40と、タンデム加速器40からターゲット60まで延在するHEBL50と、を含む。
【0016】
LEBL30は、イオンソース20からの負のイオンビーム(例えば、H-イオン)を、イオンビームのエネルギーレベルを上昇させてイオンビームを収束させる前段加速器26を介して、加速器40の入力(例えば、入力開口)に移送する。加速器40は、それに結合された高電圧電源42によって電力を供給される。加速器40は、真空タンク、電荷交換管、加速電極、及び高電圧フィードスルーを含む。加速器40は、一部の実装形態では、水素イオンビームを加速して、加速器40内に位置決めされた加速電極に印加される電圧の2倍にほぼ等しいエネルギーを有する陽子ビームを生成することができる。陽子ビームのエネルギーレベルは、加速器40の入力から最も内側の高電位電極への負の水素イオンのビームを加速し、各イオンから2つの電子を奪い、次いで、結果として生じる陽子を、逆の順序で遭遇する同じ電圧によって下流に加速することによって達成され得る。
【0017】
HEBL50は、陽子ビームを加速器40の出力から、患者治療室内に延在するビームラインの分岐71の端部に位置決めされた中性子発生ターゲット60に移送することができる。ビームシステム100は、陽子ビームを1つ以上のターゲット60及び関連するターゲットエリアに向けるように構成され得る。一部の実装形態では、HEBL50は、複数の異なる患者治療室に延在するように構成された複数(例えば、3つ)の分岐71、81、及び91を含み、各分岐は、ターゲット60及びNBC200で終端する。HEBL50は、ポンピングチャンバ51と、ビームの焦点ぼけを防止するための四重極磁石52及び72と、1つ以上のターゲットに向かってビームを操向するための双極子又は偏向磁石56及び58と、ビーム補正器53と、電流モニタ54及び76などの診断と、高速ビーム位置モニタ55セクションと、分岐71のための走査磁石74と、を含む。分岐81及び91は、分岐71と同様の構成要素を含むことができる。
【0018】
HEBL50の設計は、処理施設の構成(例えば、1階の処理施設、2階の処理施設など)に依存する。ビームは、偏向磁石56を使用して、ターゲット60(例えば、患者80を有する治療室の近くに位置決めされる)に送達することができる。四重極磁石72を含めて、ターゲット60においてビームを特定のサイズに集束させることができる。ビームは、1つ以上の走査磁石74を通過することができ、走査磁石74は、所望のパターン(例えば、螺旋状、湾曲状、行及び列の階段状、それらの組み合わせなど)でターゲット表面上へのビームの横方向の移動を提供する。ビームの横方向移動は、ターゲット60上の陽子ビームの平滑かで均一な時間平均分布の生成を可能にし、ターゲットの過熱を防止し、ターゲット(例えば、
図2Aの中性子生成層121)内で粒子(例えば、中性子)生成を可能な限り均一にすることができる。
【0019】
走査磁石74は、ビーム電流を測定する電流モニタ76にビームを向けるように構成され得る。ビーム電流値は、安全インターロックを作動させるために使用することができる。ターゲット60を含むターゲットアセンブリ65は、バルブ77を用いて高エネルギービームライン体積から物理的に分離することができる。バルブ77の機能は、使用済みターゲットの除去及び新しいターゲットの装填中に、ビームラインの真空体積をターゲット60から分離することである。一部の実装形態では、ビームは、偏向磁石56によって90度偏向される代わりに、水平ビームラインに位置する1つ以上の四重極磁石52に真っ直ぐに向けられてもよい。ビームは、設定要件(例えば、患者の場所又は部屋の構成)に応じて、別の偏向磁石58によって予め設定された角度に曲げることができる。一部の実装形態では、偏向磁石58は、ビームラインに分割して配置することができ、医療施設の同じフロアに位置する2つの異なる治療室の2つの方向のうちの1つにビームを向けるように構成され得る。
【0020】
図1Bに関して説明したシステム100は、荷電粒子ビーム及び中性子ビームを生成するために使用することができる異なる構成の一例である。システム100の異なる構成は、静電タンデム加速器以外の加速器を利用することができ、固定又は回転のいずれかであるターゲットを利用することができる。本明細書で説明されるNBC200の実施形態は、任意の1つのタイプの中性子ビーム発生システムとの使用に限定されない。
【0021】
図2Aは、ターゲット60の例示的な実施形態の斜視図である。この実施形態では、ターゲット60は、荷電粒子受け面122を備えた中性子発生層121を有する。中性子発生層121は、基板123上又はその近傍に位置決めされている。場合によっては、層121は、保護のために1つ以上の他の層で覆われている。層121はまた、例えば、ブリスター形成に抵抗するために、層121と基板123との間に1つ以上の下地層を有し得る。面122に入射する陽子ビームのような荷電粒子ビームは、ターゲット60に入り、層121に中性子を発生させる反応を起こさせる。これは、中性子発生層121がリチウム-7からなる場合のLi-7(p,n)Be-7核反応である。代替的に、中性子発生層121は、ベリリウム-9であってもよく、中性子は、異なるエネルギーの陽子ビーム(Be9(p,n)B9)又は重陽子ビーム(Be9(d,n)B10)で発生させることができる。基板123は、反応によって生成された熱の除去を助けるために、銅又はアルミニウムなどの優れた熱伝導性を有する材料であり得る。
【0022】
図2Bは、HEBL50の終端部分を形成することができるターゲットアセンブリ65の例示的な実施形態の側面図である。ターゲット60(図示せず)は、端部67又はその近くでアセンブリ65内に収容することができる。荷電粒子ビームは、端部66でアセンブリ65に入り、反対側の端部67まで進み、そこでターゲット60に衝突する。種々の冷却チャネル68が、使用中にターゲット60の温度を調整するために使用される冷却剤の挿入及び除去のために、端部67へ及び端部67から経路指定される。アセンブリ65及びその周囲の温度及び放射能を監視するために、多数のセンサを含めることができる。また、ゲートバルブの形態のバルブ77も示されている。アセンブリ65の端部67は、NBC200内の開口205(
図3A)内に挿入され、BNCT処置中にそこに留まる。アセンブリ65(ターゲット60を有する)は、その使用可能な寿命の終わりに達すると、NBC200から取り外して廃棄することができ、その時点で、新しいアセンブリ65及びターゲット60をNBC200に挿入することができる。
【0023】
図2Cは、ターゲットアセンブリ65の例示的な実施形態の断面図であり、明確にするために、バルブ77、冷却剤チャネル、及びセンサ接続などの構成要素を省略している。側壁62は、管形状を有し、真空又は真空に近いレベルの内部空間64を含む。ターゲット60は端部67に位置決めされ、エンドキャップ63によって所定の位置に保持される。側壁62によって囲まれたターゲット60のような、この構造の変形が可能である。荷電粒子ビーム61は、内部空間64を通って導かれ、HEBL50(図示せず)の上流に位置する走査磁石74によってターゲット60にわたって走査される。ターゲット60によって生成された中性子は、ターゲット60から実質的に全ての方向にあるレベルで放出されるが、中性子の大部分は、分散しているが概して前方に向けられた経路で放出される。これは、ここでは中性子ビーム70として未処理の形で示されている。
【0024】
中性子ビーム変換器の例示的な実施形態
図3Aは、中性子ビーム変換器(NBC)200の例示的な実施形態の断面図である。NBC200は、ターゲットアセンブリ65(図示せず)を受け入れるように構成されたターゲットアセンブリ開口205を含む。
図2Bの実施形態に関して説明したようなアセンブリ構成では、開口205内にアセンブリ65を設置すると、ターゲット60はターゲット設置場所69に位置決めされる。例えば、冷却剤チャネルの経路指定及びアセンブリ65の周期的交換を可能にするために、アセンブリ65とNBC200の周囲壁との間にある程度の量の間隙が存在するが、概して、締まり嵌めが望ましい場合がある。
【0025】
NBC200は、ターゲット設置場所69に隣接又は近接したビーム入力部201を有するように構成される。一部の実施形態では、入力部201と場所69との間の距離は、10~60センチメートル(cm)、より好ましくは25~40cmである。NBC200は、生成された中性子流の下流にビーム出力部202を有し、これは、凹部206に近接して位置する。軸203は、入力部201から出力部202まで延在し、本実施形態では、NBC200内の略中心に位置する。便宜上、NBC200内の要素の位置は、軸203と、軸203に垂直な横方向204とに関して参照される。上流及び下流という用語は、ターゲットへの荷電粒子ビーム流及び後続の中性子流に関して参照され、その両方は、概して、
図3Aの左から右へ(例えば、軸203に沿って入力部201から出力部202へ)の方向に進行する。例えば、開口205は、凹部206の軸線方向上流にある。
【0026】
NBC200は、後(最上流)面又は側部301と、前(最下流)面又は側部302と、横方向面又は側部303とを有する。NBC200は、4つの一般的な領域、すなわち、軸203によって横断される中央領域210と、中間領域230と、周辺領域250と、前面領域270と、を含む。この実施形態では、中央領域210は、略円筒形状を有する。中間領域230はまた、略円筒形状を有し、中央領域210の横方向側部及び上流側を囲む。周辺領域250は、同様に略円筒形状を有し、中間領域230の横方向側部及び上流側を囲む。領域210、230、及び250は、軸203の周りに概して同心のハウジングを形成するように構成することができ、ハウジングは、同心の円筒形又は疑似円筒形の多面形状である。
【0027】
種々の円筒形状は、ビーム軸の全ての横方向側部上のターゲット60から放出される中性子の調整を可能にする。形状は、軸線方向及び横方向プロファイルの両方において対称であり得るか、又は一方若しくは両方のプロファイルにおいて非対称であり得る。非対称軸線方向プロファイルは、上流から下流方向に進むにつれて増加又は減少する可変直径を有することができる(
図11A~11Cのセクション251を参照)。非対称横方向プロファイルは、横方向断面(例えば、楕円形断面)で見たときに可変直径を有することができる。
【0028】
前面領域270は、領域210、230、及び250の下流側にわたって存在するが、必ずしも各領域と接触するわけではない。凹部206は、前方方向に中性子ビーム70を形成するのを助けるために、真空又は周囲ガスで満たすことができる。NBC200は、上流の中性子ビームシステム100及び下流の患者治療室に対してNBC200を所定の位置に維持する構造支持体95内に取り付けることができる。
図3Bは、上流側からのNBC200の例示的な実施形態の斜視図を示している。この実施形態では、構造支持体95は、コンクリートBNCT施設壁である。
【0029】
領域210、230、250、及び270の各々は、システム100によって生成された中性子及び他の粒子に対して異なる一連の機能を実行するように構成される。中央領域210は、ターゲット60から放出された高速中性子を、方向を大きく変化させることなく、また、大量の中性子を吸収することなく、前方方向に散乱させるという主要な機能を有する。高速中性子は、好ましくは、NBC200から出力されるまで、それらのエネルギーがターゲット範囲(例えば、エピサーマルエネルギー)内に降下し、その範囲内に留まるように散乱される。これは、同時にかなりの数の中性子を目標範囲外に散乱させることなく行われることが好ましい。
【0030】
中央領域210内の物質の量及び種類は、任意の所与の方向において、その方向に放出される最も可能性の高い中性子エネルギーを散乱及び減少させるために必要なエネルギーの変化に比例する。例えば、ターゲット60から順方向に放出される中性子は、後方方向に移動する中性子よりも高エネルギーであるため、前方方向により多くの材料が必要とされる。
【0031】
中間領域230は、中性子を中央領域210に方向転換させるように機能して、それらの中性子を保存するが、最小のエネルギー損失及び吸収が生じるような方法で、それらがビーム70において利用されることを可能にする。領域230はまた、中央領域210を横方向に横断したターゲット60から大きな前方角で放出された高速中性子を散乱させ、中央領域210及び周辺領域250の両方において中性子捕獲によって生成された即発ガンマ線のための光子遮蔽を提供する。
【0032】
周辺領域250は、全てのエネルギーの中性子を除去するように機能するが、それらの中性子が中央領域210に戻るように方向転換され得る可能性は低いからである。これは、領域250によるより容易な吸収のために、中性子を熱又は近熱エネルギーレベルまで更に散乱させることによって達成される。領域250はまた、NBC200の内部エリアで生成された光子の数が施設に入るのを低減するための光子遮蔽を提供する。
【0033】
中性子のエネルギーを散乱及び減少させる材料の有効性は、原子核内の陽子及び中性子の数によって支配されるその原子質量数Aに反比例する。材料の最大及び平均部分エネルギー損失は、以下の式によって近似される。
【数1】
【0034】
一例として、水素原子核(A
【数2】
1)と相互作用する中性子は、衝突ごとに平均して初期エネルギーの半分を失い、その1回の衝突でそのエネルギーの全てを失うことができる。比較のために、鉛-208(Pb-208、A
【数3】
208)又はベリリウム-9(Be-9、A
【数4】
9)の原子核と相互作用する中性子は、それぞれ
【数5】
1%及び18%の平均エネルギー損失をもたらし、最大エネルギー損失は
【数6】
2%及び36%である。これは、散乱材料として、水素を鉛よりも50倍効果的にし、ベリリウムよりも2.5倍良好にする。しかしながら、BNCTの場合、αの値が小さいことは、中性子をエピサーマルエネルギー範囲未満に押し下げるのに数回の衝突で十分であることを意味するため、より効果的な散乱材料が必ずしもより有用であるとは限らない。α値は、NBC200の他の関数とバランスをとらなければならない。
【0035】
ある入射中性子エネルギーから特定のエネルギーに下方散乱するために中性子が受けなければならない衝突の回数は、平均して、別のパラメータζに基づいており、これは、以下の関係によって与えられる。
【数7】
【0036】
衝突の回数Nは、以下の関係を用いて近似することができる。
【数8】
【0037】
この式から、入射中性子エネルギーを半分に減少させるためには、ベリリウムの場合よりも鉛の場合の方が平均して24倍多くの衝突が必要であることが分かる。
【0038】
各材料は、質量に加えて、全巨視的断面(
【数9】
tot)と称される、中性子が材料内で相互作用するエネルギー依存確率、又は単位距離当たりの衝突の確率(例えば、1/単位距離)を有する。熱より高く第1の核状より低いエネルギーでは、断面は概して一定であり、本明細書では非共鳴領域と称される。より高いエネルギーは、共鳴領域(離散核状態によって定義される)と称され、この共鳴領域には、断面のピーク及び谷が存在し、ピークは、各離散核状のエネルギーに対応し、谷は、共鳴間のエネルギー領域に対応する。中性子が、中性子のエネルギーにおいて大きな断面共鳴を有する材料に遭遇する場合、より低いエネルギーへの散乱の確率は高くなる。逆に、断面の谷における中性子エネルギーに対しては、相対的に少ない散乱事象が発生する。
【0039】
各領域内に存在する材料の種類及び量は、これらの種々の機能を果たすように選択することができる。本明細書では概して「S」材料として分類される、中性子を散乱させることに優れた材料は、高速からエピサーマルエネルギーへの散乱(「Fast-S」)、高速及びエピサーマルエネルギーからより低いエネルギーへの散乱(「Epi-S」)のための実質的な断面を有するものとして、並びに高速及び/又はエピサーマル中性子を散乱させるための非共鳴領域における実質的な断面(「NR-S」)を有するものとして更に分類することができる。異なる散乱物質は、クラスにかかわらず、数字の添え字によって示すことができる(例えば、S1、S2、及びS3)。熱中性子を吸収するのに優れた材料は、本明細書では概して「Ab」材料と称される。中性子を方向転換させることに優れた材料は、本明細書では概して「R」材料と称される。
【0040】
例示的なFast-S材料
特に有用なFast-S元素は、9以上の原子番号(Z)を有することができ、その例は、マグネシウム、フッ素、及びアルミニウムである。
図14Aは、フッ化マグネシウム(MgF
2)、マグネシウム、及びアルミニウムの断面対エネルギーを示すグラフである。図から分かるように、フッ素(約27keV)及びアルミニウム(約33keV)は、エピサーマルエネルギー領域と高速中性子エネルギー領域との間の30keV(3×10
-2MeV)遷移に近接して始まる有意な共鳴ピーク1400を有する。共鳴ピークは、エネルギーが増加するにつれてそこから間隔をおいて継続する。高速中性子散乱は、離散的な共鳴ピークを有する相対的に低いエネルギー領域、又は相対的に高いエネルギーの、分解されていない共鳴領域のいずれかで起こり、共鳴ピークは非常に密集しており、エネルギー的に近接しているため、事実上もはや個々の共鳴のようには見えなくなる。NBC200のために選択されるFast-S材料は、好ましくは、特定の治療のために必要とされるターゲットエネルギー(例えば、エピサーマル)領域の上限から始まる共鳴領域を有する。マグネシウムは、20keVで最初の共鳴ピークを有し、次いで再び約80keV及びより高いエネルギーで共鳴ピークを有する。これらの共鳴ピークと一致する高速エネルギーを有する中性子は、散乱される可能性が相対的に高く、したがって、エピサーマル領域に向かってエネルギーが減少する。逆に、エピサーマル領域内の中性子は、これらの材料を通って移動するときにこれらの材料によって散乱される可能性が低いため、中性子は、NBC200を出て患者の治療部位に到達するまで所望のエネルギー領域内に留まることが可能になる。
【0041】
アルミニウムは、構造強度、相対的に容易な製造、及び多種多様な化合物中の他の元素と組み合わせることができる能力を有する非常に多用途の材料である。アルミニウム合金ブレンドは、望ましい散乱特性を有するマグネシウム及びケイ素などの他の元素であり得る合金化材料に基づいて3つの異なるカテゴリに分けられる。アルミニウム6000系合金は、(重量パーセントで)97%を超えるアルミニウムを含み、残りの元素は、ケイ素又はマグネシウムのいずれかであり得る。アルミニウム5000系合金は、90%を超えるアルミニウムを含み、主要な合金元素は10%までのマグネシウムである。一部の5000系の鋳造金属は、わずか32%のアルミニウムを有することができ、残りはマグネシウムである。アルミニウム4000系合金は、85%を超えるアルミニウム及び12.5%までのケイ素を含み、残りはマグネシウム、マンガン、又は銅である。一部の4000系の鋳造金属は、22%までのケイ素を有し得る。
【0042】
フッ素の散乱特性は、化合物の形態の1つ以上の他の材料を有するNBC200内で効果的に利用することができる。例えば、フッ素は、合金として、アルミニウム(例えば、AlF
3)、チタン(例えば、TiF
3)、バリウム(例えば、BaF
2)、ビスマス(例えば、BiF
3)、鉛(例えば、PbF
2)、タングステン(例えば、WF
6)、バナジウム(例えば、VF
3)、マグネシウム(例えば、MgF
2)、カルシウム(例えば、CaF
2)と、又は炭素及び水素(例えば、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE、C
4H
4F
4))と組み合わせることができる。フッ素含有量は、概して、約15質量%(フッ化鉛(PbF
2)のように)から54質量%(TiF
3のように)又は68質量%(AlF
3のように)の範囲であり得る。
図14Bは、フッ化マグネシウム(MgF
2)、フッ化鉛(PbF
2)、及びフッ化ビスマス(BiF
3)の断面を示すグラフである。本明細書で使用されるフッ素という用語は、元素自体及びフッ化物を包含することが意図される。
【0043】
中央領域210内などの相対的に高い放射線曝露を受けるNBC200内の材料は、NBC200内の劣化を防止するのに十分な放射線耐性を示すことが好ましい。種々の実施形態では、NBC200の材料は、最低10,000グレイ(Gy)まで放射線耐性である。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、C2F4)のような一部のフッ素含有ポリマーは、物理的変化(例えば、分解、崩壊)が100Gy程度の低さで起こり得る不十分な放射線耐性を有し、NBC200には適していない。
【0044】
アルミニウム及びフッ素の高速散乱効果は、これらの元素をマグネシウムと組み合わせて、フッ化マグネシウム(
図14A参照)及びアルミニウム4000、5000、及び6000系などの2つ以上の元素の化合物にすることによって高めることができる。マグネシウムは、NBC200内で使用するために、亜鉛、マンガン、及びシリコンなどの散乱に望ましい多数の他のS材料と組み合わせることができる。全ての前述のFast-Sの例示的な材料は、NBC200の実施形態では、所望の構造特性及び散乱能力を達成するために、単独で、互いに組み合わせて、又は他の材料(例えば、Epi-S、NR-S、Ab、R)と組み合わせて使用され得る。
【0045】
例示的なEpi-S材料
NBC200のEpi-S元素は、12以上の原子番号(Z)を有し得る。これらのEpi-S元素の特に有用な例は、チタン及びバナジウムであり、より少ない程度のマグネシウムである。
図14Cは、エピサーマルエネルギー領域内のチタン、バナジウム、及びマグネシウムの断面を示すグラフであり、そこから、上部エピサーマル範囲内のチタン及びバナジウムの大きい共鳴断面1402が可視である。チタン及びバナジウムは、互いに組み合わせて、他の元素と組み合わせて、又はNBC200内で単独で使用することができる。チタン及びバナジウムは、アルミニウム(又は別のFast-S材料)と容易に組み合わせて、そのFast-S散乱ポテンシャルを利用することができる。一般的なチタン合金は、バナジウム及びアルミニウムの両方を有し、アルミニウム含有量は、6~30%(重量パーセント)の範囲であり得る一方、バナジウム含有量は、2.5~4.0%の範囲であり得る。チタン及びアルミニウムの合金(バナジウムを含まない)を使用することができ、12%程度の少量又は35%程度の多量のアルミニウムを有することができる。チタン及びバナジウムの合金(アルミニウムを含まない)を使用することができ、わずか10%のバナジウムから81%までのバナジウムを有することができ、残りはチタンである。アルミニウムと同様に、一部のチタン化合物は、10%ものケイ素を含有することができ、一方、バナジウムはケイ化物であることができる(VS
2、VS
3など)。Epi-S材料の他の例としては、スカンジウム(Sc)、ニッケル(Ni)、及び亜鉛(Zn)が挙げられる。全ての前述のEpi-Sの例示的な材料は、NBC200の実施形態では、単独で、互いに組み合わせて、又は他の材料(例えば、Fast-S、NR-S、Ab、R)と組み合わせて使用され、所望の構造特性及び散乱能力を達成することができる。
【0046】
例示的なNR-S材料
特定の元素は、1/V領域の終了後のより低いエネルギーでの断面に対して広い非共鳴領域を示し、共鳴断面が始まるより高いエネルギーまで広がる。断面の非共鳴領域は、一定の勾配、例えば、平坦な勾配を有することができ、(1/V領域よりも実質的に小さい程度まで)減少しているか、又は一定であり得る。これらの元素は、本明細書では非共鳴散乱材料(「NR-S」)と称され、その例には、水素、リチウム、ホウ素、ベリリウム、炭素、窒素、及び酸素が含まれる。多くの実施形態では、NR-S材料は、ターゲットエネルギー範囲(例えば、エピサーマル)にわたって20%以下、より好ましくは、10%以下(例えば、約120keVまでの炭素の断面のように)の偏差を呈する。
【0047】
図14Dは、炭素、ベリリウム、及び水(H
2O)の断面を示すグラフである。炭素及びベリリウムは、約0.05eV~50keVのゼロ又はゼロ付近の勾配を有する非共鳴散乱領域1404を有する。水は、約0.05eV~10keVの相対的に小さい負の勾配を有する非共鳴散乱領域を有する。全てのNR-S元素は、NBC200の実施形態では、単独で、互いに組み合わせて、又は他の材料(例えば、Fast-S、Epi-S、R)と組み合わせて使用され、所望の構造特性及び散乱能力を達成することができる。
【0048】
例示的なAb材料
特定の元素は、熱エネルギー領域及びエピサーマルエネルギー領域の少なくとも実質的な部分にわたって延在することができる有意な断面を有する広い1/V領域を示す。断面の1/V領域は、一定の勾配、例えば平坦な勾配を有することができ、実質的な勾配で減少することができる。これらの元素は、中性子を吸収するのに特に有用であり、本明細書では吸収材料(「Ab」)と称され、その例には、水素、リチウム、ホウ素、及び炭素が含まれる。これらの材料は、状況に応じて、Ab材料又はNR-S材料のいずれかと称することができる。
図14Eは、炭素、ホウ素、及びリチウムの断面を示すグラフである。ホウ素は、熱エネルギー及び約10keVまでのエピサーマルエネルギー領域の大部分にわたって延在する1/V領域1410を有し、リチウムの1/V領域1410は、約50keVまでの熱及びエピサーマル領域の両方にわたって延在する。
【0049】
図14Oは、2つのEpi-S材料、チタン-アルミニウム-バナジウム合金(Ti-6Al-4V)及び二酸化チタン(TiO2)とともに、チタン酸リチウムを示している。
図14Pは、Epi-S材料のTi6Al4V及びFast-Sアルミニウム-マグネシウム化合物とともに、二ホウ化チタンを示している。
図14Qは、Epi-S材料及びNR-S材料のアルミン酸チタン及びFast-Sアルミニウム-マグネシウム化合物とともに、炭化ホウ素(B
4C)を示している。ここで見られるように、チタン酸リチウム、二ホウ化チタン、及び炭化ホウ素は、エピサーマルエネルギー範囲の大部分にわたって延在する有意な1/V領域を有する。チタン酸リチウム及び二ホウ化チタンは両方とも、高い方のエピサーマルエネルギー範囲に有意な共鳴ピークを有し、炭化ホウ素は、エピサーマルエネルギー範囲全体にわたって有意な断面を有し、これは、吸収のためにエピサーマル中性子を散乱させる際のこれらの材料の有用性に寄与する。したがって、リチウム又はホウ素を有する材料は、優れた中性子吸収体を形成し、重要なEpi-S材料としても使用することができる。
【0050】
Ab材料は、中性子の排除が望ましいNBC200の領域(例えば、NBC200の後部及び側部の端の近く、並びに出力部202を囲む表面上の前部の近く)において使用され得る。全てのAb元素は、NBC200の実施形態では、単独で、互いに組み合わせて、又は他の材料(例えば、Fast-S、Epi-S、NR-S、R)と組み合わせて使用され、所望の構造特性及び吸収能力を達成することができる。組み合わせの更なる例としては、ポリエチレン(PE)及びホウ素化ポリエチレン(B-PE)のようなポリマーなどの水素含有材料が挙げられる。Ab材料の更なる例としては、カドミウム(Cd)、ガドリニウム(Gd)、インジウム(In)、及びハフニウム(Hf)が挙げられる。
【0051】
例示的なR材料
特定の元素は、最小限の中性子エネルギー損失内で弾性散乱によって中性子を方向転換させる傾向がある。このプロセスは、断面の構造とは対照的に、元素のZ値に比例する。74(タングステン)以上92(ウラン)以下のZ値を有する各元素は、中性子を方向転換させるのに特に優れた元素であり、本明細書では概して方向転換(「R」)材料と称される。これらの材料はまた、ガンマ放射線を吸収するのにも優れている。
図14Fは、熱及びエピサーマルエネルギーにわたって、R材料のタングステン、ビスマス、及び鉛に関する断面を示すグラフである一方、
図14Gは、1keV~1MeVのエネルギーに関する同一断面を示すグラフである。3つの材料のうち、タングステンは、共鳴ピークの外側で最大の断面を有し、したがって最大の散乱能力を有する。全てのR元素は、NBC200の実施形態では、単独で、互いに組み合わせて(例えば、鉛及びビスマス合金(例えば、40~50重量%のPb))、又は他の材料(例えば、Fast-S、Epi-S、NR-S、Ab)と組み合わせて、増加した方向転換及び/又は増加したガンマ放射線遮蔽が所望される領域において使用され得る。例えば、NBC200は、最小エネルギー損失を伴う中性子を、所望の散乱特性を有する材料(Fast-S、Epi-S、NR-S)との衝突に方向転換させて、発生するエネルギー低減中性子衝突の回数を局所的に増加させるために、1つ以上のR材料を1つ以上のS材料と組み合わせて使用することができる(例えば、
図14Bに示すように、PbF
2及びBiF
3)(概して、本明細書では、「R+S」組み合わせと称される)。
【0052】
例示的な非共鳴効果のための炭化物、窒化物、酸化物化合物
炭素、窒素及び酸素は、材料全体の非共鳴散乱能力を追加又は強化するために他の散乱元素と組み合わせることができるNR-S材料である。例えば、アルミニウムは、酸化物(例えば、Al
2O
3)、炭化物(例えば、Al
4C
3)、及び窒化物(例えば、AlN)として形成され得るFast-S元素である。それぞれの例は、
図14Hの断面対エネルギーグラフに示されている。アルミニウムが酸化物、炭化物、又は窒化物化合物に形成されるとき、結果として生じる材料の共鳴断面は、裸のアルミニウムの共鳴断面と等しいが、ギャップ内の断面は、
図14Hのギャップ1420内の断面によって証明されるように、有意により高い。したがって、アルミニウムは、NR-S材料の添加に起因するエピサーマル領域及び高速エネルギー領域において、より高い平均断面積を有する。他のFast-S、Epi-S、及びNR-S元素(例えば、マグネシウム、チタン、バナジウム、ベリリウム、リチウム、ホウ素、水素及び/又はフッ素)が酸化物、窒化物、炭化物、又は炭酸塩に形成される場合に、同様のギャップ増大結果を得ることができる。酸化アルミニウム及び酸化チタンは、他の元素(X)と組み合わされて、アルミン酸塩(X+Al
2O
3)又はチタン酸塩(X+TiO
2)になり得る。かかる組み合わせとする場合、酸素、窒素、炭素の含有量は、材料全体の20~80質量%であることが好ましい。酸化物、窒化物及び炭化物は、多数の複雑な形状に容易に焼結することができる点で有利である。NBC200の実施形態のいずれも、1つ以上の酸化物、炭化物、及び/又は窒化物を用いて実装されることができる。
【0053】
中央領域の例示的な実施形態
材料及び材料寸法の選択は、特定のターゲット60によって生成される中性子のエネルギープロファイルに依存する。中性子エネルギープロファイルは、ターゲット60の設計、材料、及び構造、並びに入射荷電粒子ビームの特性(例えば、エネルギー及び電流)、又は中性子を発生させるために利用される他の機構に依存するため、NBC200の実施形態の多数の例が本明細書に開示される。
【0054】
これらの実施形態の一部は、異なる材料を有するセクションが互いに隣接して配置されて、そこを通過する中性子に作用するシーケンスを形成する、積層配置又は層状配置を利用する。かかる積層配置は、異なるエネルギーの散乱、方向転換、及び吸収に関して、中性子に対してより複雑な機能が実行されることを可能にする。積層された層は、特定の未処理の中性子プロファイルのための効果の相対的に高い程度の調整可能性を可能にする。これらの効果は、軸203(
図4A~4E及び4G~4Kを参照)に沿って層を積層させることによって、ターゲット60からの中性子伝搬の全ての方向に沿って軸線方向及び横方向に調整され得、例えば、中央領域210及び中間領域230(
図6A~6Bを参照)の断面配置のように、方向204に沿って横方向に調整され得る。
【0055】
図4A~4Kは、1つ以上の材料の異なる配置を有する中央領域210の例示的な実施形態の軸線方向断面図である。これらの実施形態では、中央領域210は、ビーム入力部201が底部に配向され、ビーム出力部202が上部に配向された状態で二分される。実施形態の各々は、入力部201から出力部202まで延在するシェル208を含む。シェル208は、例えば、円形、楕円形、多角形、又は他の横断面プロファイルを有する管状壁の形態であり得る。これらの実施形態は、シェル208なしでも実装することができる(例えば、
図4E)。シェル208によって囲まれているのは、それぞれがビーム軸203によって横断される1つ以上のセクション又は領域(例えば、211、212、及び/又は213)である。各セクションは、異なる材料を含むことができ、他の全てのセクションとは異なる寸法を有することができ(すなわち、2つのセクションが同じではないように)、又は同じ若しくは類似のセクションを繰り返し(寸法及び/又は材料に関して)、異なる材料及び/又は寸法を有する1つ以上のセクションと組み合わせることができる。中央領域210は、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の別個のセクションを含むことができ、その各々は、2回以上繰り返されてもよい。
【0056】
これらの実施形態では、シェル208は、ターゲット60の設置位置を越えて上流に延在することができる。シェル208は、NBC200内の上流で終端することができ、又はNBS200の上流終端(例えば、最後面)までずっと延在することができる。シェル208の上流終端は、
図4Aに示すように、アセンブリ65から離れてオフセットされることができ、又は
図4Bに示すように、アセンブリ65上で閉鎖する、内向きに延在するフランジ又はリップを含むことができる。シェル208は、シェル208に隣接する経路と比較して、中性子移動のための相対的に低い抵抗経路を形成することができる。例えば、シェル208は、シェル208に入る中性子が、エピサーマル範囲への任意の必要な下方散乱を伴ってビーム出力部202に輸送されるように、相対的に低い方向転換傾向を伴うS材料であり得る。
【0057】
図4A~4Cの実施形態では、第1のセクション211は、ビーム入力部201に隣接し、第2のセクション212は、セクション211とビーム出力部202との間に存在し、その結果、セクション211及び212は積層されている。シェル208は、
図4Cに示すように、出力ライナー209によって出力部202において1つ以上の他の材料で補完されることができ、これは、順方向ビーム形成を補助するためのS材料及び/又はR材料であり得る。
図4Dは、3つの積層されたセクション211~213を有する例示的な実施形態を示している。ターゲット60から中央領域210を通過する中性子は、セクション211、212、及び213を順次通過する。
図4Eは、
図4Dと同様であるが、シェル208のない例示的な実施形態を示している。凹部206は、セクション213の外側に延在する側壁内に存在する。
【0058】
図4F~4Hは、セクション211、212、及び213のうちの少なくとも1つが、他のセクション211、212、及び213のうちの少なくとも1つとインターレース方式で繰り返される例示的な実施形態を示している。ターゲット60から中央領域210を通過する中性子は、軸203に沿って上流から下流へのそれらの配置の順序でセクション211、212、及び213を通過する。
図4Fでは、セクション211-1、211-2、及び211-3は、セクション212-1及び212-2のうちの1つによって分離される。セクション211-3及び213-1は、セクション212-3によって分離される。セクション213-1及び213-2は、セクション212-4によって分離される。
図4Gでは、セクション211は、R材料と第1のタイプのS材料(S1)との組み合わせを含み、セクション211内に追加の積層又は層化はない。
図4Gでは、セクション212-1は、セクション211の軸線方向下流に位置し、セクション213-1が続き、セクション212-2が続き、セクション213-2が続く。
図4Hにおいて、セクション211-1~211-3及び212-1~212-3は、
図4Fの実施形態と同様に構成され、ただ1つのセクション213が下流に位置している。他の積層構成を中央領域210に利用することができるが、これらはほんの数例である。
【0059】
図4Iの実施形態では、内部非固体空間207が、ビーム入力部201に存在し、したがって、ターゲット60によって放出される中性子は、前述の実施形態の離散セクション211、212、及び213で使用される材料のうちの1つ以上の混合物を含有する単一セクションであり得る、連続固体又は半固体セクション216に到達する前に、非固体空間を横切る。別の言い方をすれば、離散セクション211、212、及び213の材料のうちの1つ、2つ、又は3つを混合して、単一のセクション216を形成することができる。
図4Jでは、セクション216の軸線方向下流に、エピサーマル散乱材料(Epi-S)を含むセクション214が続き、その後に、吸収材料(A)を含むセクション215が続く。かかる構成を利用して、例えば、セクション212で中性子をセクション213によってより容易に吸収されるエネルギー範囲に下方散乱させることによって、結果として生じるビーム70からより低いエネルギーのエピサーマル中性子を除去することができる。
図4Kは、シェル208及び1つのセクション216のみを有する中央領域210の例である。
【0060】
各セクション211、212、及び213は、好ましくは、異なる散乱(S)材料を含むか、又は異なる散乱(S)材料から形成され、その結果、セクション211のS材料(S1によって示される)は、セクション212のS材料(S2によって示される)とは異なり、これは次に、セクション213のS材料(セクション213を有する実施形態についてS3によって示される)とは異なる。シェル208は、存在する場合、セクション211、212、及び213のS材料と同じ(S1、S2、又はS3)又は異なる(S4)S材料を含むこともできる。セクション211、212、213及びシェル208のS材料は、Fast-S、Epi-S、若しくはNR-Sタイプ、又は任意の2つ若しくは3つのタイプの組み合わせであり得る。所望のエネルギー出力がエピサーマル範囲にある実施形態では、S材料は、好ましくは、Fast-S又はNR-S材料のいずれかである。
【0061】
以下の表は、中央領域210内で使用することができる材料の組み合わせの例示的な実施形態を示す。セクション211、212、及び213の各々は、所望に応じて、方向転換(R)材料と組み合わせることができる。R材料との組み合わせは、通過する中性子がエネルギーの有意な損失を伴わずにR材料によって何度も方向転換され得るため、局所散乱の量を強め、したがって、S材料共鳴又は非共鳴断面に従って優先的にS材料に遭遇し、散乱する可能性を増加させる。
【0062】
表1は、2つのセクション211及び212を有し、シェル208を有さない実施形態の4つの例を示す。表2A及び表2Bは、2つのセクション211及び212並びにシェル208を有する実施形態についての16個の例を示しており、これらは、セクション211及び212と同じ材料(S1又はS2)又は異なる材料(S3)であり得、R材料を有するか又は有さない。表1を参照して説明すると、例1(「Ex.1」)は、セクション211がR材料とS1材料との組み合わせを含み、セクション212がR材料を含まない(「R」が存在しないことによって示される)S2材料を含む構成を示す。例2(「Ex.2」)は、セクション211がR材料を含まないS1材料を含み、セクション212がR材料とS2材料との組み合わせを含む構成を示す。例3(「Ex.3」)は、セクション211がS1材料を含み、セクション212がS2材料を含み、いずれもR材料を有さない構成を示す。例4(「Ex.4」)は、セクション211がR材料とS1材料との組み合わせを含み、セクション212がR材料とS2材料との組み合わせを含む構成を示し、例4のR材料は同じであっても異なっていてもよい。同じ慣例が表2A及び表2Bに使用される。
【表1】
【表2】
【表3】
【0063】
残りの表3、4A、4B、4C、及び4Dに記載される例は、表1、2A、及び2Bと同じ慣例に従う。表3は、3つのセクション211、212、及び213を有し、シェル208を有さない中央領域210の実施形態の8つの例を示し、表4A、4B、4C、及び4Dは、3つのセクション211、212、及び213、並びにシェル208を有する実施形態の32個の例を示す。これらの実施形態では、シェル208は、セクション211、212、及び213のうちの1つと同じ材料(S1、S2、又はS3)、又は異なる材料(S4)であり得、R材料を伴うか、又は伴わない。同じ材料が使用される場合、シェル208は、同じ材料を有するセクション(211、212、又は213)と連続(例えば、シームレス)し、一体化することができる。シェル208が、例えば、セクション212と一体化される場合、シェル208は、セクション211の全て又は実質的に全て(又はシェル構造208内に含まれるセクションの任意の組み合わせ)を包囲又は封入することができ、ビーム軸203は、セクション208の壁に平行に延在し、次いで、セクション208/212を横断する。同様に、シェル208がセクション213と一体化される場合、それは、セクション211及び212を囲むか、又は封入することができる。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0064】
S材料(例えば、S1~S4)は、ターゲット60によって生成された中性子のエネルギー範囲内で、かつ所望の出力エネルギー範囲を超えて共鳴を示す1つ以上を含むことができ、例えば、所望のエネルギー範囲がエピサーマルである場合、Fast-S材料である。S材料はまた、ターゲット60によって生成される中性子のエネルギー範囲内で、少なくとも所望の出力エネルギー範囲を超えて非共鳴特性を示す1つ以上のNR-S材料を含み、例えば、Fast-S材料共鳴間のギャップを埋めることができる。一部の例示的な実施形態では、中央領域210は、共鳴特性を示す少なくとも1つのS材料と、非共鳴特性を示す少なくとも1つのS材料との組み合わせを含む。これらの材料は、異なるセクションに分離され得るか、又は単一のセクションに組み合わせられ得る(例えば、酸化アルミニウム)。表5は、2つのセクション211(S1)及び212(S2)を有する実施形態のS材料の構成の8つの例を示す。表6A及び6Bは、3つのセクション211(S1)、212(S2)及び213(S3)を有する実施形態のためのS材料の14個の例示的な構成を示す。例えば、表5の例1を参照すると、S1材料は、Fast-S材料(F列のXによって示される)及びNR-S材料(NR列のXによって示される)の両方を含むが、S2材料は、Fast-S材料(F列のX及びNR列のXの不在によって示される)のみを含む。残りの例は、表5、6A、及び6Bにおいて同じ慣例を使用する。表5の例示的な構成は、表1、2A、及び2Bの全ての2つのセクション例とともに使用され得るが、表6A及び6Bの例示的な構成は、表3、4A、4B、4C、及び4Dの全ての3つのセクション例とともに使用され得る。
【表9】
【表10】
【表11】
【0065】
図14I~14Nは、異なる断面特性を有する複数の材料を組み合わせることの全体的効果を図示する、断面対エネルギーグラフであって、セクション211、212、及び213のために使用されることができる材料の多くの組み合わせのうちの一部にすぎない。
図14Iは、任意の順序でS1、S2、及びS3として使用することができる3つの材料、すなわち、炭素(NR-S材料)、フッ化マグネシウム(Fast-S材料)、及びアルミニウム(Fast-S材料)を示している。
図14Jは、任意の順序でS1、S2、及びS3として使用することができる3つの材料、すなわち、炭素(NR-S材料)、フッ化ビスマス(Fast-S材料及びR材料)、及び酸化アルミニウム(Fast-S材料及びNR-S材料)を示している。
図14Kは、3つの材料、すなわち、酸化ベリリウム(NR-S材料)、フッ化鉛(Fast-S材料及びR材料)、及びアルミニウム(Fast-S材料)を示し、これらは、S1、S2、及びS3として任意の順序で使用することができる。
図14Lは、3つの材料、すなわち、酸化ベリリウム(NR-S材料)、フッ化マグネシウム(Fast-S材料)、及びアルミニウム(Fast-S材料)を示し、これらは、S1、S2、及びS3として任意の順序で使用することができる。
図14Mは、3つの材料を示している。ETFE(Fast-S材料及びNR-S材料)、フッ化鉛(Fast-S材料及びR材料)、及びアルミニウム(Fast-S材料)を、S1、S2、及びS3として任意の順序で使用することができる。
図14Nは、3つの材料を示している。ETFE(Fast-S材料及びNR-S材料)、フッ化ビスマス(Fast-S材料及びR材料)、及び酸化アルミニウム(Fast-S材料及びNR-S材料)を、S1、S2、及びS3として任意の順序で使用することができる。グラフから分かるように、Fast-S材料及びNR-S材料(ベリリウム又は酸化ベリリウムなど)の組み合わせは、高速及びエピサーマルエネルギーの広いエネルギー範囲にわたって、より均一な断面を提供する。
【0066】
一部の実施形態では、上流セクション211は、ターゲット60によって生成される中性子エネルギーの範囲内の相対的に高いエネルギー(例えば、高速)で散乱共鳴断面を有するS1材料を含むことができ、すぐ下流のセクション212は、相対的に低いエネルギーで1つ以上の共鳴断面を有するS2材料であり、最も下流のセクション213は、変換されたビーム70の所望のエネルギー範囲(例えば、エピサーマル)又はそのすぐ上の更に低いエネルギーで1つ以上の共鳴断面を有するS3材料である。追加的又は代替的に、セクション211、212、及び213は、同じ又は同様のエネルギーで共鳴断面を有することができるが、上流セクション211は、同じ又は同様の高いエネルギーでのセクション212及び213の断面と比較して、ターゲット60によって生成される中性子エネルギーの範囲内の相対的に高いエネルギー(例えば、高速)で相対的に最大の断面を有し、すぐ下流のセクション212は、同じ又は同様のエネルギーでのセクション211及び213の断面と比較して、相対的に低いエネルギーで相対的に最大の断面を有し、最も下流のセクション213は、変換されたビーム70の所望のエネルギー範囲(例えば、エピサーマル)又はそのすぐ上の更に低いエネルギーで相対的に最大の共鳴断面を有する。
【0067】
これらの中性子のエネルギーは、出力部202を出る中性子が所望の範囲内に下方散乱されるように、各セクションによって徐々に低下させることができる。同様に、一部の実施形態では、種々のセクションで使用される材料は、より均一な散乱を提供するために、完全には重ならず、互いに少なくとも部分的に補完する共鳴エネルギーを有するように選択される。例えば、フッ化マグネシウム及びアルミニウムは、
図14A、14I、及び14Lに示すように、約20keV~70keVで部分的にのみ重複する共鳴を有する。
【0068】
R材料はまた、ガンマ放射線吸収のような利点を提供することができる。相対的により上流のセクション(例えば、211)にR材料を配置することにより、NBC200の他の部分が、セクション211から不注意に方向転換された中性子を方向転換させるためのより多くの時間及び体積が可能になるが、これは、これらの中性子が、中間領域230によって中央領域210に戻るように方向転換され得るからである。下流セクション(例えば、212、213)は、前方に向けられたビーム形状を維持するために、実質的な方向転換なしに散乱を実行することができる。
【0069】
R材料及びS材料の組み合わせとして、フッ化鉛は、鉛及びフッ素の核特性、並びに複数の材料特性に起因して、多様な機能を有する。フッ素原子は、化合物の高い質量密度に起因して増幅された一連の大きな共鳴散乱ピークを有し、これは、過剰なエネルギー損失(平均で9.5%)を伴わずに、エピサーマル範囲を超えて中性子を優先的に散乱させる。鉛は、2つの役割、すなわち、別のフッ素原子に遭遇するまで中性子エネルギースペクトルをわずかに変化させるだけの反射体としての役割と、NBC200内で生成された即発ガンマ線を減衰させる光子遮蔽としての役割とを果たすことができる。この材料は、フッ素ピークエネルギーで低い中性子フラックスレベルをもたらし、谷エネルギーでより高い中性子フラックスをもたらす。谷フラックスのエネルギー低減は、フッ化鉛のセクションをベリリウム又は酸化ベリリウムのような非共鳴材料と交互にすることによって達成することができる。ベリリウムのセクションの厚さは、中性子を1つのフッ素共鳴から次のフッ素共鳴に進めるために、平均して適切な数の衝突を提供する材料の量に対応して設定することができる。上記の式に示すように、ベリリウムは、このプロセスにおいて、鉛又はフッ素よりもはるかに効率的であり、したがって、ベリリウム又は酸化ベリリウムの使用は、中央領域210の全体的サイズを低減させることができる。
【0070】
中央領域210内の積層されたセクションは、
図5A~5Hの断面図に示される例示的な実施形態に示すように、異なる形状、厚さ、及び組み合わせを有する多数の方法で構成され得る。これらの実施形態では、中央領域210は、ビーム軸203に沿って二等分され、ビーム入力部201が左側にあり、ビーム出力部202が右側にある。各中央領域210は、セクション211と交互配置されたセクション211を有し、セクション211は、同じ実施形態(例えば、
図5B、5C、5G)又は異なる実施形態(例えば、
図5A、5D、5E、5F、5H)のセクション212に対して相対的な形状、寸法、及び/又は間隔が異なる。
図5A~5Hの強調は、セクション(211、212)の各グループ内及びセクション(211、212)の異なるグループにわたる材料及び機能の変動とは対照的に、層状セクションの種々の断面形状及び相対的間隔にあり、それらの多数の組み合わせを利用することができる。
【0071】
図5Aの実施形態では、セクション211の各々は、同じ(又は実質的に同じ)厚さ(矢印217によって示される)を有し、セクション212の各々は、同じ厚さ(矢印218によって示される)を有する。セクションの厚さは、特定のビーム変換の必要性に応じて選択することができる。例えば、特定の共鳴で散乱する機能を有するより厚いセクションは、厚さが増加するにつれて相対的により多くの散乱を達成することができる。
図5Bの実施形態では、厚さはセクション211間で変化し、またセクション212間でも変化する。ここで、セクション211の厚さ217は、入力部201から出力部202まで徐々に減少する。セクション212の厚さ218は、一定のままであるか、又は(ここで示されるように)徐々に増加することができる。例えば、
図5Bにおいて、セクション211によって生成される効果は、入力部201から出力部202へと次第に減少し、一方、セクション212によって生成される効果は次第に増加する。
図5Cは、セクション211の厚さ17が一定のままであり、セクション212の厚さ218が入力部201から出力部202まで漸進的に増加する実施形態を示している。
【0072】
図5Dは、セクション211-1、211-2、及び211-3がそれぞれ複数の相対的に薄い材料のグループである例示的な実施形態を示している。例えば、セクション211の各々は、接触して配置された薄いシート又はプレート内に、2つ、3つ(ここで示されるように)、4つ、又はそれ以上の同じ又は異なる材料を含むことができる。各シートは、そのセクション211の他のシートとは異なる材料とすることができ、又はシートは、材料間で交互にすることができる。一部の実施形態では、シートは、異なるセクション211がシート数によって決定される異なる厚さで製造されることを可能にすることによって、NBC200の構築を容易にするように配置された同じ材料である。
【0073】
図5Eは、セクション211が、三次元においてボウル形状であり得る、断面において曲線形状を有する、例示的実施形態を示している。ボウルの凸側部は、(ここに示されるように)入力部201に面することができ、又はボウルの凹側部は、入力部201に面することができる(すなわち、反転される)。
図5Fは、セクション211が、三次元で見たときに円錐形であり得るV字形又はシェブロン形状の断面を有する例を示している。相対的により尖った側部は、(ここで示されるように)入力部201に面することができ、又は凹側部は、入力部201に面することができる(すなわち、反転される)。各セクションの(軸線方向の)深さは、
図5Gの例に示すように変化させることができる。ここで、セクション211-1は、セクション211-3及び211-3とともに徐々に浅くなる(例えば、内角がセクション211-1からセクション211-3まで増加する)相対的に深い形状を有する。他の実施形態と同様に、この構成は逆にすることができる。
図5Hは、断面を横方向に見たときに厚さ寸法が一定でないように、各セクション211が可変の半径方向厚さを有する例を示している。可変半径方向厚さは、本明細書に示される、又は考慮される実施形態の全てにおいて適用され得る。セクション211のようにビーム軸に沿って中央に位置するより厚い領域のような可変の厚さは、その領域を通過する中性子に対する材料の機能により大きな影響を与えることができる。可変の厚さは、セクション212のように中心から外れて位置するより厚い領域と逆にすることができる。
【0074】
これらの実施形態は、実装することができる多くの異なる構成の例示であり、各実施形態の特徴は、他の実施形態のいずれか及び全ての特徴と組み合わせることができる。
【0075】
中間領域の例示的な実施形態
図6A~6Bは、中間領域230の例示的な実施形態を示す断面図である。
図6Aにおいて、領域230は、中央領域210の側面及び上流側に隣接して接触する第1のセクション231を含む。領域230はまた、セクション231の横方向側部及び上流側部に隣接して接触する第2のセクション232を含む。セクション231は、中央領域210及び/又はターゲット60からセクション231に入る中性子を散乱させ、方向転換させるように機能することができる。散乱機能は、中央領域230及び/又はビーム出力部202に戻るように方向転換された場合に中性子が適切なエピサーマルエネルギーレベルになるように、大きな前方角で高速中性子のエネルギーを低減することを含むことができる。セクション231に好適な材料は、本明細書に開示されるS材料及びR材料のいずれかの組み合わせであり得るが、かかるものに限定されない。セクション232は、それらの中性子がセクション232及び中央領域210によって散乱され得るように、セクション231に進入する中性子を方向転換させるように機能することができる。セクション232は、光子遮蔽として機能することもできる。セクション231及び232の両方を通過する中性子は、セクション231によって散乱され、周辺領域250におけるより容易な吸収を可能にする。セクション232に好適な材料は、本明細書に開示されるR材料のいずれかを含むことができるが、それに限定されない。他の実施形態では、セクション231及び232は、
図6Aに示されるものより相対的に薄く作製されることができ、それらのセクションは、中間領域230内で2回以上繰り返されることができる(例えば、231-232-231-232など)。
【0076】
図4A~4Kに関して説明されたようなシェル208を有する中央領域210と組み合わせて使用されるとき、中間領域セクション231及び232による中性子の中央領域210への方向転換は、それらの中性子がセクション208に入ることをもたらす。セクション208は、中間領域230からビーム出力部202への中性子の伝搬のための低抵抗経路として作用するS材料又は他の材料で構成され得る。中央領域210が、
図4A~4Cの例におけるセクション211などのR材料を有するセクションを含む場合、その材料は、領域230から方向転換された中性子のためのバックストップのように、中性子をシェル208内に導くのを助けることができる。
【0077】
図6Bでは、中間領域230は、再び、セクションの層状配置を含み、各セクションは、直前のセクションの側面及び上流側面に隣接し、それを取り囲む。セクション231は、中央領域210に直接隣接しており、例えば、本明細書に開示されるAb材料のいずれかを使用して、中性子吸収体として機能することができる。セクション232は、次の上流セクションであり、例えば、本明細書に開示されるR材料のいずれかを使用して、光子吸収体として機能することができる。セクション233は、次の上流セクションであり、例えば、本明細書に開示されるEpi-S材料のいずれかを使用して、エピサーマル散乱セクションとして機能することができる。セクション234は、次の上流セクションであり、例えば、本明細書に開示されるAb材料のいずれかを使用して、中性子吸収体として機能することができる。セクション235は、次の上流セクションであり、例えば、本明細書に開示されるR材料のいずれかを使用して、光子吸収体として機能することができる。
【0078】
周辺領域の例示的な実施形態
図7A~7Bは、周辺領域250の例示的な実施形態を示す断面図である。両方の例において、領域250は、中間領域230の横方向側部及び上流側部に隣接して接触する第1のセクション251を含む。領域250はまた、セクション251の横方向側部及び上流側部に隣接して接触する第2のセクション252を含む。領域250はまた、セクション252の横方向側部及び上流側部に隣接して接触する第3のセクション253を含む。
【0079】
図7Aでは、セクション251は、中間領域230からセクション251に入るエピサーマル中性子を散乱させるように機能することができる。これは、中性子が、中性子吸収体として構成されたセクション252によってより容易に吸収されるより低いエピサーマル又はサーマルにあるように、エピサーマル中性子のエネルギーを低減する。セクション251に適した材料は、例えば、本明細書に開示されるEpi-S材料のいずれかとすることができ、セクション252の材料は、例えば、本明細書に開示されるAb材料のいずれかであり得る。セクション253は、残りのガンマ放射線を除去するための光子遮蔽として機能することができる。セクション232に好適な材料は、本明細書に開示されるR材料のいずれかを含むことができる。
図7Bは、セクション251が代わりに光子遮蔽として構成されることを除いて、
図7Aと同様である。
【0080】
前面領域の例示的な実施形態
図8A~8Bは、前面領域270の例示的な実施形態を示す断面図である。前面領域270は、ここに示されたものよりも多くのセクション、並びに異なるタイプ又は機能のセクションを含むことができる。前面領域は、凹部205を除いて、NBC200の前面の全体にわたって延在し得る。両方の例において、領域270は、NBC200の最前部(例えば、患者に面する部分)を形成し得る第1のセクション271を含む。第2のセクション272は、セクション271の上流に位置する。セクション271は、光子吸収体として機能することができ、例えば、本明細書に開示されるR材料のいずれかから形成することができる。セクション272は、中性子吸収体として機能することができ、例えば、本明細書に開示されるAb材料のいずれかから形成することができる。セクション271及び272はともに、所望のビーム出力部の周囲の場所でNBC200の前面から放出される残りの光子及び中性子放射をフィルタリング又は低減する。
図8Bの実施形態では、第3のセクション273がセクション272の上流に位置する。セクション273は、例えば、本明細書に開示されるEpi-S材料のうちのいずれかからなる、エピサーマル中性子を、それらがセクション272によってより容易に吸収される、より低いエピサーマル又は熱エネルギー範囲に下方散乱させるように作用する、エピサーマル散乱セクションとして機能することができる。
【0081】
一部の実施形態では、チタン-ホウ素合金又は炭化ホウ素を前面領域270内に、又はビーム出力部202若しくは凹部206内に、又はその近くに配置することにより、変換されたビーム70の放出された中性子スペクトル内の低エネルギーテールが実質的に排除され、その結果、出射時のビーム70の平均余弦シータが増加する(例えば、中性子をNBC200からより前方に向ける)。これは、散乱法則が、中性子エネルギーが増加するにつれて、最も可能性の高い散乱角が等方性からより前方に向かうようになることを規定するためである。Epi-S及びAb機能のために周辺領域内に配置することも有利であり、二ホウ化チタンのようなTi-B合金及び炭化ホウ素のようなB-C合金は、高度に成形可能な非常に硬質のセラミックであり、したがって、
図12の実施形態に関して説明した移行セクションのようなNBC200のための特殊な形状にすることができる。
【0082】
NBC200の更なる例示的な実施形態
図9A~9Cは、第1の構成におけるNBC200の例示的な実施形態を示す断面図である。これらの実施形態は、同様の構造を有し、唯一の違いは、中央領域210の表示である。実施形態の各々は、2つのセクション231及び232を有する中間領域を有する。このセクションは、本明細書に記載の中間領域230の実施形態による構成することができる。実施形態の各々はまた、本明細書に記載される周辺領域250の実施形態による構成され得る3つのセクション251、252、及び253を有する周辺領域を有する。前面領域270は、ここでは、本明細書に説明される前面領域270の実施形態による構成され得る、2つのセクション271、272の組み合わせとして示される。中央領域210は、ここでは一般的な形式で示されており、
図4A~4Kの実施形態の各々を含む、本明細書に記載される中央領域210の実施形態のいずれかをここで実装することができる。周辺領域のセクション252は、セクション251、232、231の下流側、及び中央領域210の一部にわたって、これらの構成要素と前面領域270との間の位置に延在する。中性子吸収体として構成される場合、セクション252は、NBC200の前側及び中性子放出が望まれない場所にわたって更なる吸収の利点を提供するように作用し得る。
【0083】
図9Bの実施形態では、中央領域210は、
図4Iに関して説明したものと同様の配置で層状領域を取り囲むシェル208を含む。層状領域は、クロスハッチで示されるR材料とS1材料との組み合わせ(R+S1)からなる一連の6つの層を含み、その中及び上にS2材料の6つの層が挿入されている。
【0084】
図9Cの実施形態では、中央領域210は、
図4Eに関して説明したものと同様の複数の散乱セクションを保持するシェル208を含む。シェル208は、ターゲットアセンブリ65に架かるS1材料で構成される。第1のセクション211はS2材料から構成され、セクション211の下流に位置する第2のセクション212はS3材料から構成される。
【0085】
表7は、
図9B及び9Cの実施形態に使用することができる材料の組み合わせの10個の例を示している。これらの10個の例では、中央領域は3つのセクション211、212、及び213を有し、シェル208はセクション213と一体化された組成を有する。これらの例は、他の材料及び構成が本明細書に記載されているため、
図9B及び9Cの実施形態の全ての可能な構成を網羅するものではない。
【表12-1】
【表12-2】
【0086】
図10A~10Cは、第2の構成におけるNBC200の例示的な実施形態を示す断面図である。これらの実施形態は、同様の構造を有し、唯一の違いは、中央領域210の表示である。実施形態の各々は、2つのセクション231及び232と、それらの間に介在する第3のセクション233とを有する中間領域を有する。セクション231及び232は、本明細書に記載の中間領域230の実施形態による構成することができる。セクション233は、他の構成要素とともに機能して、セクション231及び/又は232の位置を所定の位置に維持する格納容器として構成することができる。かかる容器は、セクション231及び/又は232を形成する材料が粉末形態である場合に望ましいことがある。必要に応じて、同様のライナー(図示せず)をセクション231と208との間に配置することができる。実施形態の各々はまた、本明細書に記載される周辺領域250の実施形態による構成され得る3つのセクション251、252、及び253を有する周辺領域を有する。任意の第4のセクション254は、セクション251と252との間に挿入され得、例えば、更なる中性子吸収のために機能し得る。セクション252及び253は、NBC200の前面を包み込み、前面領域270として機能することができる。セクション253は、凹部205の内面に沿って連続してフランジ又はリップを形成し、その場所で中性子リダイレクタとして作用することができる。中央領域210は、ここでは一般的な形式で示されており、
図4A~4Kの実施形態の各々を含む、本明細書に記載される中央領域210の実施形態のいずれかをここで実装することができる。
【0087】
図10Bの実施形態では、中央領域210は、
図4Gに関して説明したものと同様の配置で層状領域を取り囲むシェル208を含む。層状領域は、クロスハッチで示された一連の4つのセクション211を含み、セクション212の3つの層がその中に挿入されている。シェル208は、第3のセクション213と同じ材料で形成されて、これらの部分を連続させることができる。セクション212の2つの層は、他の層状セクションの下流のセクション213内に含まれる。また、この実施形態では、ライナー209が凹部205の周りに存在する。ライナー209は、リダイレクタ材料又は散乱材料で構成することができる。
【0088】
図10Cの実施形態では、中央領域210は、
図4Eに関して説明したものと同様の複数の散乱セクションを保持するシェル208を含む。シェル208は、セクション211と同じ材料から構成される。セクション212はセクション211の下流に位置し、セクション213はセクション212の下流に位置する。
【0089】
図11A~11Cは、第3の構成におけるNBC200の例示的な実施形態を示す断面図である。これらの実施形態は、同様の構造を有し、唯一の違いは、中央領域210の表示である。実施形態の各々は、本明細書に記載される中間領域230の実施形態による構成され得る2つのセクション231及び232を有する中間領域を有する。実施形態の各々はまた、本明細書に記載される周辺領域250の実施形態による構成され得る3つのセクション251、252、及び253を有する周辺領域を有する。この実施形態では、セクション251は、ターゲット60と位置合わせされた軸線方向位置で横方向に外側に広がる最外面を有する不均一な横方向寸法を有する。セクション251の内面は、一定の横方向寸法を有する。第4のセクション254は、セクション251の外側側面の周りに位置し、例えば、追加の中性子吸収のために機能することができる。セクション252及び253は、NBC200の前面を包み込み、前面領域270の一部として機能することができる。セクション251はまた、軸203に対して斜めの角度で、かつセクション252及び253のプレート状部分によってセクション251の残りの部分から分離された不連続な構成で、前面領域を通って続くことができる。セクション254はまた、斜めのセクション252にわたって軸203に対して斜めの角度で、そしてまた、セクション251及び253のプレート状部分によってセクション254の残りの部分から分離された不連続な構成で、前面領域を通って続くことができる。中央領域210は、ここでは一般的な形式で示されており、
図4A~4Kの実施形態の各々を含む、本明細書に記載される中央領域210の実施形態のいずれかをここで実装することができる。
【0090】
図11Bの実施形態では、中央領域210は、
図4Gに関して説明したものと同様の配置で層状領域を取り囲むシェル208を含む。層状領域は、クロスハッチで示された一連の4つのセクション211を含み、セクション212の3つの層がその中に挿入されている。シェル208は、第3のセクション213と同じ材料で形成されて、これらの部分を連続させることができる。セクション212の2つの層は、他の層状セクションの下流のセクション213内に含まれる。また、この実施形態では、ライナー209が凹部205の周りに存在する。ライナー209は、リダイレクタ材料又は散乱材料で構成することができる。
【0091】
図11Cの実施形態では、中央領域210は、
図4Eに関して説明したものと同様の複数の散乱セクションを保持するシェル208を含む。シェル208は、ターゲットアセンブリ65に架かるS1材料で構成される。シェル208は、セクション211と同じ材料から構成される。セクション212はセクション211の下流に位置し、セクション213はセクション212の下流に位置する。
【0092】
表8は、
図10B、10C、11B、及び11Cの実施形態に使用することができる材料の組み合わせの10個の例を示している。これらの10個の例では、中央領域は3つのセクション211、212、及び213を有し、シェル208はセクション213と一体化された組成を有する。これらの例は、他の材料及び構成が本明細書に記載されているため、
図10B、10C、11B、及び11Cの実施形態の全ての可能な構成を網羅するものではない。
【表13-1】
【表13-2】
【0093】
円筒形及び/又は非円筒形表面を有する例示的な実施形態
特定の材料は、中性子ビームの調整及び遮蔽に使用するための優れた特性を示すと同時に、NBC200及び周囲の支持構造体の構築を容易にするように成形可能である。例えば、円筒形又は実質的に円筒形(例えば、ビームの周囲の円筒状)である種々の領域及びセクションを有するNBC200の前述の実施形態は、ロール、シフトする傾向があり得るか、又は別様で、平坦な表面ほど作業及び設置に便利ではない湾曲した外側表面を有する。
図12は、
図3Aの実施形態と同様のNBC200の例示的な実施形態を示す斜視図であり、周辺領域250の最も外側の表面は、直角プリズム又は立方体などの複数の側面を有する平坦な面の形状である。周辺領域250のセクションは、中間領域230の横方向外側の湾曲した又は少なくとも部分的に円筒形の表面に対応する湾曲した又は少なくとも部分的に円筒形の形状を有する横方向内側表面を有するように構成され得る。その内部セクションは、複数の側面を有する平坦面形状を有する横方向の外面を有するように構成することができ、したがって、NBC200のセクションを略円筒形のものから平坦面を有するものに移行させるために使用することができる。
【0094】
最も内側のセクション(例えば、セクション251)、最も外側のセクション(例えば、セクション253)、及びそれらの間に位置するセクション(例えば、セクション252及び254)を含む、周辺領域250のセクションのいずれかを使用して、この移行を実行することができる。移行は、移行セクションが容易に成形、鋳造、機械加工、及び/又は3D印刷され得る材料から構成される場合に容易になる。かかる材料の例は、セラミック二ホウ化チタン、セラミック炭化ホウ素、ポリエチレン(PE)(例えば、セクション254のホウ素ドープポリエチレン)及びETFEのようなポリマーである。移行セクションの外側に配置されたセクションの材料は、その後、製造及びNBC200の完全な構造への組み立てが相対的に容易である、顕著な湾曲表面を有さないブロック又はプレートとして構成され得る。
【0095】
図13は、
図9A~10Cの実施形態と同様のNBC200の別の例示的な実施形態を示す斜視図であり、中央領域210と、内側中間ライナー233-1と、中間セクション231と、外側中間ライナー233-2と、中間セクション232と、周辺セクション251、252、及び253とを有する。ここで、中間ライナー233-3は、概ね湾曲した横方向外側面又は形状と、複数の側面を有する内側面又は形状との間の移行セクションである。中間ライナー233-2の最も内側の表面(内部)は、中間セクション231の外側表面の湾曲又は丸みに対応する(例えば、一致する)湾曲又は丸みを有することができる。中間ライナー233-2の最も外側の表面(外側)は、中間セクション232の最も内側の表面と一致する多角形の表面であり得る。図示の実施形態では、領域210と、ライナー233-2の内部のセクション231-1及び231とは、略円筒形状を有し、一方、周辺領域250のセクション232と、セクション251、252、及び253とは、略多角形の表面を有する。
図12の実施形態と同様に、この構成は、NBC200の最も内側の体積における中性子変換のための最適な成形(例えば、円筒形)を可能にする一方で、中性子変換があまり対称性を必要とせず、組立、製造、及び保守の容易さに関する懸念が少ない、NBC200の最も外側の体積における多角形表面構成に移行する。ここでは8つの側面又は側部を有する多角形として示されているが、他の実施形態では、多角形は、4つ、5つ、6つ、7つ、9つ、10、又はそれ以上の側面に加えて、少なくとも2つの端面を有することができる(少なくとも1つは最上流場所に対応し、少なくとも1つは最下流場所に対応する)。
【0096】
円筒形及び多角形の横方向側部又は形状は、完全な幾何学的円筒又は多角形である必要はない。当業者は、この説明を読めば、かかる側面又は形状が実質的に円筒形又は多角形であり得ることを認識し、当業者は、実質的に円筒形又は多角形である側面又は形状を容易に認識するであろう。例えば、いくらかの平坦性が、横方向円筒側面又は形状上に存在することができ、その平坦性は、ビーム出力部から出力される全体的中性子ビームプロファイルに無視できる影響を及ぼす。同様に、いくらかの丸み又は曲率が、横方向の多角形の辺又は形状に存在する可能性があり、その丸み又は曲率もまた、ビーム出力部から出力される中性子ビームプロファイル全体に対して無視できる影響を有する。一部の実施形態では、実質的に円筒形の形状は、幾何学的円筒から全体の横方向寸法の5%以下だけ変化する。一部の実施形態では、実質的に多角形の形状は、対応する幾何学的多角形から全体の横方向寸法の5%以下だけ変化する。
【0097】
領域210、230、250、及び270の各セクションを含むNBC200は、製造性、性能、及びコストの間の所望のバランスを提供するプロセスに従って製造することができる。領域210、230、250、及び270のうちの1つのセクションを構成するNBC200の部分は、別個に製造され、次いで、より大きいセクション、又は更に大きい領域を形成するように組み立てられることができる。NBC200の材料は、連続した固体形態(例えば、鉛のシート)であってもよい。R材料及びS材料又は異なる種類のS材料(例えば、Fast-S材料及びNR-S材料)などの第1及び第2の材料の組み合わせは、結合した化合物の形態であり得る。基本材料及び複合材料は、原料の顆粒又は粉末の形態であり得、次いで、キャスティング、成形、焼結、又は添加剤(例えば、エポキシ又はエナメルブレンドのような接着剤など)との混合によって所望の形状に設定され得る。材料はまた、顆粒又は粉末形態であってもよく、金属ハウジング又はケースメントを使用して所望の形状に維持又は保持することができる。
【0098】
本主題の種々の態様は、以下の実施形態及びその態様の相互関係及び互換性に重点を置いて、これまでに記載された実施形態を検討して、及び/又はそれを補足して、以下に記載される。換言すれば、実施形態の各態様は、明示的に別段の定め又は教示がない限り、ありとあらゆる他の態様と組み合わせることができるという事実が強調される。
【0099】
第1のグループの実施形態では、中性子ビーム変換器が提供され、変換器は、中性子発生ターゲットから中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、ビーム入力部とビーム出力部との間の軸によって横断される中央領域であって、中性子を治療エネルギー範囲に散乱させるように構成された中央領域と、中央領域の周りに横方向に位置し、中性子を方向転換及び散乱させるように構成された中間領域であって、それぞれ異なる材料を含む第1の中間セクション及び第2の中間セクションを含む中間領域と、中間領域の周りに横方向に位置し、中性子及びガンマ放射線を吸収するように構成された周辺領域であって、それぞれ異なる材料を含む第1の周辺セクション及び第2の周辺セクションを含む周辺領域と、を含む。
【0100】
第1のグループの一部の実施形態では、中央領域は、第1のセクション、第2のセクション、及び第3のセクションを含むことができ、第1、第2、及び第3のセクションの各々は、異なる材料を含み、第1、第2、及び第3のセクションの各々は、軸によって横断される。第1のセクションは、フッ素を含むことができ、第2のセクションは、マグネシウムを含むことができ、第3のセクションは、アルミニウムを含むことができる。
【0101】
第1のグループの一部の実施形態では、中央領域は、第1の材料及び第2の材料を含むことができる。第1の材料は、アルミニウムを含むことができ、第2の材料は、マグネシウムを含むことができる。第1の材料は、発生された中性子を治療エネルギー範囲に向かって、又はその中に散乱させるように構成され、発生された中性子を方向転換させるように構成され得、第2の材料は、発生された中性子を非共鳴的に散乱させるように構成され得る。第1の材料は、鉛及びフッ素を含むことができる。第2の材料は、ベリリウムを含むことができる。第2の材料は、酸化物、炭化物、又は窒化物のうちの少なくとも1つを含むことができる。第2の材料は、第1の材料を含む第1の中央セクションと第1の材料を含む第2の中央セクションとの間の層として構成することができる。第1の中央セクション、層、及び第2の中央セクションは、軸によって横断され得る。中央領域は、アルミニウム、フッ素、及びマグネシウムのうちの少なくとも1つを含む第3の材料を含むことができる。
【0102】
第1のグループの一部の実施形態では、中央領域は、ビーム入力部からビーム出力部まで延在する円筒形部分を含むことができる。円筒形部分は、中性子発生ターゲットの設置場所の上流に第1の終端を有することができる。円筒形部分は、中性子ビーム変換器の最上流面に沿って第1の終端を有することができる。円筒形部分は、ビーム出力部に近接した第2の終端を有することができる。円筒形部分は、中間領域に対して中性子のための低抵抗経路として作用するように構成され得る。円筒形部分は、管状部分を含むことができる。円筒形部分は、中間領域及び管状部分内の材料に対して、中性子のための低抵抗経路として作用するように構成され得る。管状部分は、アルミニウム、フッ素、及びマグネシウムのうちの少なくとも1つを含むことができ、第1の材料及び第2の材料を含む第1の中央セクションを横方向に取り囲む。円筒形部分は、アルミニウム、フッ素、及びマグネシウムのうちの少なくとも1つを含むことができる。円筒部分は、軸を横断することができる。
【0103】
第1のグループの一部の実施形態では、変換器は、最下流表面と、ビーム出力部における最下流表面からの凹部と、を有することができる。凹部は、中性子リダイレクタを含む側壁部分を有することができる。中性子リダイレクタは、鉛、ニッケル、ビスマス、及びタングステンのうちの少なくとも1つを含むことができる。凹部は、円筒形とすることができ、変換器は、ベリリウムを含む管状ライナーを含むことができ、管状ライナーは、凹部の側壁に近接して位置することができる。
【0104】
第1のグループの一部の実施形態では、中央領域は、軸によって横断され、中性子を治療エネルギー範囲に散乱させるように構成された第1の中心セクションと、軸によって横断され、第1の中心セクションの下流に位置し、エピサーマルエネルギー範囲内の中性子をより低いエネルギーに散乱させるように構成された第2の中心セクションと、軸によって横断され、第2の中心セクションの下流に位置し、より低いエネルギーに散乱された中性子を吸収するように構成された第3の中心セクションと、を含むことができる。
【0105】
第1のグループの一部の実施形態では、中央領域は、中性子発生ターゲットの設置場所から離隔された固体セクションを含むことができ、固体セクションは、アクセスによって横断され、ターゲットの設置場所の下流に位置することができる。固体セクションは、ターゲットの設置場所から少なくとも10センチメートルだけ離隔することができる。
【0106】
第1のグループの一部の実施形態では、第1の中間セクションは、第2の中間セクションよりも中央領域に相対的に近くあり得、第1の中間セクションは、発生した中性子を散乱させるように構成され得、第2の中間セクションは、発生した中性子を方向転換させるように構成される。第2の中間セクションは、発生した中性子を方向転換させ、光子を吸収するように構成され得る。第1の中間セクションは、中性子を方向転換させるように更に構成され得る。第1の中間セクションは、フッ素、アルミニウム、及びマグネシウムのうちの少なくとも1つを含むことができ、第2の中間セクションは、鉛、ニッケル、ビスマス、及びタングステンのうちの少なくとも1つを含むことができる。第1の中間セクションは、鉛を含むことができ、第2の中間セクションは、鉛を含むことができる。
【0107】
第1のグループの一部の実施形態では、第1の中間セクションは、中央領域の周りに横方向に位置することができ、第2の中間セクションは、第1の中間セクションの周りに横方向に位置することができる。第1の中間セクションは、中央領域と接触することができ、第2の中間セクションは、第1の中間セクションと接触することができる。
【0108】
第1のグループの一部の実施形態では、中間領域は、中央領域の後面にわたって横方向に延在することができる。
【0109】
第1のグループの一部の実施形態では、第2の中間セクションは、第1の中間セクションの周りに横方向に位置することができ、第1の中間セクションは、中性子を散乱させるように構成され得、第2の中間セクションは、中性子を方向転換させてガンマ放射線を吸収するように構成され得る。中間領域は、第2の中間セクションの周りに横方向に位置する第3の中間セクションを含むことができ、第3の中間セクションは、エピサーマルエネルギー範囲内の第1のエネルギーから第1のエネルギーより低い第2のエネルギーまで中性子を散乱させるように構成され得る。中間領域は、第3の中間セクションの周りに横方向に位置する第4の中間セクションを含むことができ、第4の中間セクションは、中性子を吸収するように構成され得る。中間領域は、第4の中間セクションの周りに横方向に位置する第5の中間セクションを含むことができ、第5の中間セクションは、ガンマ放射線を吸収するように構成され得る。
【0110】
第1のグループの一部の実施形態では、第1の周辺セクションは、第2の周辺セクションよりも中間領域に相対的に近くあり得、第1の周辺セクションは、中性子を吸収するように構成され得、第2の周辺セクションは、光子を吸収するように構成され得る。周辺領域は、第1の周辺セクションよりも中間セクションに相対的に近接して位置する第3の周辺セクションを含むことができ、第3の周辺セクションは、エピサーマル中性子を散乱させるように構成され得る。周辺領域は、第1の周辺セクションよりも中間セクションの相対的に近くに位置する第3の周辺セクションを含むことができ、第3の周辺セクションは、光子を吸収するように構成され得る。第1及び第2の周辺セクションは、チタンを含むことができる。第1の周辺セクションは、チタン及びバナジウムを含むことができる。第2の周辺セクションは、ホウ素を含むことができる。第1の周辺セクションは、中間及び中央領域の周りに横方向に位置することができ、第2の周辺セクションは、第1の周辺セクションの周りに横方向に位置することができる。第1の周辺セクションは、中間領域と接触することができ、第2の周辺セクションは、第1の周辺セクションと接触することができる。周辺領域は、中央領域の後部の一部及び中間領域の後部の一部にわたって横方向に延在することができる。
【0111】
第1のグループの一部の実施形態では、変換器は、変換器にわたって横方向に延在する前面領域を含む。前面領域は、中性子及び光子を吸収するように構成され得る。前面領域は、光子を吸収するように構成された第1の前面セクションと、中性子を吸収するように構成された第2の前面セクションと、を含むことができる。第1の前面セクションは、第2の前面セクションの下流に位置することができる。第1の前面セクションは、ビーム出力部に凹部のための開口を含むことができる。第1の前面セクションは、鉛、ニッケル、ビスマス、及びタングステンのうちの少なくとも1つを含むことができる。第2の前面セクションは、リチウム、カドミウム、ホウ素、チタン、ガドリニウム、インジウム、ハフニウム、及び水素ポリマーのうちの少なくとも1つを含むことができる。変換器は、エピサーマル中性子を散乱させるように構成された第3の前面セクションを含むことができる。第3の前面セクションは、第2の前面セクションの上流に位置することができる。前面領域は、周辺領域の連続部を形成することができる。
【0112】
第2のグループの実施形態では、中性子ビーム変換器が提供され、変換器は、中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、ビーム入力部とビーム出力部との間の軸によって横断される第1の領域と、第1の領域の周りに横方向に位置する第2の領域であって、チタン及びバナジウムを含む合金を含む第2の領域と、を含む。
【0113】
第2のグループの一部の実施形態では、第2の領域は、合金を含む第1のセクションと、ホウ素を含む第2のセクションと、を含むことができる。第1のセクションは、第1の領域の周りに横方向に位置することができ、第2のセクションは、第1のセクションの周りに横方向に位置することができる。変換器は、第1の領域と第2の領域との間に介在する第3の領域を含むことができ、第1の領域は中央領域であり、第3の領域は中間領域であり、第2の領域は周辺領域である。第2の領域は、鉛を含むことができる。第2の領域は、水素ポリマーを含むことができる。
【0114】
第3のグループの実施形態では、中性子ビーム変換器が提供され、変換器は、中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、ビーム入力部とビーム出力部との間の軸によって横断される第1の領域と、第1の領域の周りに横方向に、又は治療室に近接した前面領域に沿って位置する第2の領域と、を含み、第2の領域はホウ素を含む。
【0115】
第3のグループの一部の実施形態では、第2の領域は、チタン及びバナジウムの合金を含む第1のセクションと、ホウ素を含む第2のセクションとを含むことができる。第1のセクションは、第1の領域の周りに横方向に位置することができ、第2のセクションは、第1のセクションの周りに横方向に位置することができる。変換器は、第1の領域と第2の領域との間に介在する第3の領域を含むことができ、第1の領域は中央領域であり、第3の領域は中間領域であり、第2の領域は周辺領域である。ホウ素は、セラミック二ホウ化チタン又はセラミック炭化ホウ素であり得る。
【0116】
第3のグループの一部の実施形態では、第2の領域は、水素ポリマーを含む。
【0117】
第3のグループの一部の実施形態では、変換器は、ホウ素を有する前面領域を含み、前面領域は、変換器の下流前面にわたって位置する。
【0118】
第3のグループの一部の実施形態では、第2の領域は、熱中性子エネルギー範囲及びエピサーマル中性子エネルギー範囲の少なくとも一部にわたって逆速度断面を示す。
【0119】
第3のグループの一部の実施形態では、第2の領域は、エピサーマル中性子エネルギー範囲において共鳴ピーク断面を示す。
【0120】
第3のグループの一部の実施形態では、第2の領域は、第1の領域の周りに横方向に位置する。
【0121】
第3のグループの一部の実施形態では、第2の領域は、前面領域に沿って位置する。
【0122】
第4のグループの実施形態では、中性子ビーム変換器が提供され、変換器は、中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、ビーム入力部とビーム出力部との間の軸によって横断される中央領域と、を含み、中央領域は、複数の第1のセクション及び複数の第2のセクションを含み、複数の第1のセクションは、軸によって横断され、中性子を共鳴的に下方散乱させるように構成され、複数の第2のセクションは、軸によって横断され、中性子を非共鳴的に下方散乱させるように構成される。
【0123】
第4のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクション及び複数の第2のセクションは、交互に積層された配置にある。
【0124】
第4のグループの一部の実施形態では、複数の第2のセクションは、ベリリウムを含むことができる。
【0125】
第4のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションは、マグネシウム、アルミニウム、及びフッ素のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0126】
第4のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションは、鉛及びフッ素を含むことができる。
【0127】
第4のグループの一部の実施形態では、変換器は、軸によって横断され、中性子を共鳴的に下方散乱させるように構成された複数の第3のセクションを含むことができ、複数の第1のセクションは、複数の第3のセクションと異なる材料を含む。複数の第2のセクション及び複数の第3のセクションの少なくとも一部は、交互に積層された配置にあり得る。
【0128】
第4のグループの一部の実施形態では、変換器は、軸によって横断され、中性子を共鳴的に下方散乱させるように構成された複数の第3のセクションを含み、複数の第1のセクションは、複数の第2のセクション及び複数の第3のセクションと交互配置され、複数の第1のセクションは、マグネシウム、アルミニウム、又はフッ素のうちの少なくとも1つを含み、複数の第2のセクションは、ベリリウムを含み、複数の第3のセクションは、鉛及びフッ素を含む材料を含む。
【0129】
第4のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションは連続的であり得る。
【0130】
第5のグループの実施形態では、中性子ビーム変換器が提供され、変換器は、中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、ビーム入力部とビーム出力部との間の中央領域と、中央領域の周りに横方向に位置する中間領域と、中間領域及び中央領域の周りに横方向に位置する周辺領域と、を含み、中央領域は、鉛及びフッ素を含む第1の材料を含み、第1の材料は、ビーム入力部とビーム出力部との間の軸によって横断され、中間領域は、鉛及びフッ素を含む第2の材料を含み、第3の材料は、中央領域の第1の材料と中間領域の第2の材料との間に位置する。
【0131】
第5のグループの一部の実施形態では、第1及び第2の材料は同じである。
【0132】
第5のグループの一部の実施形態では、第1及び第2の材料は、フッ化鉛であり得る。
【0133】
第5のグループの一部の実施形態では、第3の材料は、マグネシウム及びアルミニウムのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0134】
第5のグループの一部の実施形態では、第3の材料は、マグネシウム-アルミニウム合金であり得る。
【0135】
第5のグループの一部の実施形態では、中間領域は、第2の材料を有する第1のセクションと、鉛、ニッケル、ビスマス、及びタングステンのうちの少なくとも1つを含む第4の材料を有する第2のセクションとを含む。第2のセクションは、第1のセクションの周りに横方向に位置することができる。
【0136】
第5のグループの一部の実施形態では、周辺領域は、鉛、ニッケル、ビスマス、及びタングステンのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0137】
第6のグループの実施形態では、中性子ビーム変換器が提供され、変換器は、中性子発生ターゲットから中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、ビーム入力部とビーム出力部との間の中央領域であって、ベリリウムを含む少なくとも1つのセクションを含む中央領域と、を含む。
【0138】
第6のグループの一部の実施形態では、ベリリウムを含むセクションは、別の材料によってビーム入力部から分離される。
【0139】
第6のグループの一部の実施形態では、少なくとも1つのセクションは、プレートとして構成され、ビーム入力部からビーム出力部まで延在する変換器の中心軸は、プレートに垂直である。
【0140】
第6のグループの一部の実施形態では、少なくとも1つのセクションは、ビーム入力部とビーム出力部との間に間隔を置いて位置する複数の第1のセクションのうちの1つであり、複数の第1のセクションの各々は、ベリリウムを含む。
【0141】
第6のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションにおける第1のセクションの各隣接する対は、複数の第2のセクションのうちの1つによって分離される。複数の第2のセクションの各々は、中性子をより低いエネルギーに共鳴散乱させるように構成され得る。
【0142】
第6のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションは、プレートとして構成することができ、ビーム入力部からビーム出力部まで延在する変換器の中心軸は、複数の第1のセクションの各第1のセクションに対して垂直である。
【0143】
第6のグループの一部の実施形態では、少なくとも1つのセクションは酸化ベリリウムを含むことができる。
【0144】
第6のグループの一部の実施形態では、少なくとも1つのセクションは、中性子をより低いエネルギーに非共鳴的に下方散乱させるように構成され得る。
【0145】
第7のグループの実施形態では、中性子ビーム変換器が提供され、変換器は、中性子発生ターゲットから中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、ビーム入力部とビーム出力部との間の第1の領域と、第1の領域の周りに横方向に位置する第2の領域と、を含み、第2の領域は、第1のセクションの長さに沿って変化する外径を有する第1のセクションを含む。
【0146】
第7のグループの一部の実施形態では、第1のセクションは、中性子発生ターゲット設置場所と位置合わせされた第1の場所において最大直径を有する。第1のセクションの直径は、第1の場所から第1のセクションの下流終端における第2の場所まで減少することができる。第1のセクションの直径は、第1の場所から第1のセクションの上流終端の第2の場所まで減少することができる。
【0147】
第7のグループの一部の実施形態では、第1の領域は中央領域であり、第2の領域は周辺領域であり、変換器は、中央領域と周辺領域との間に中間領域を含む。
【0148】
第7のグループの一部の実施形態では、第1のセクションの内面は、均一な直径を有する円筒形状を有する。
【0149】
第7のグループの一部の実施形態では、第1のセクションは、エピサーマル中性子を下方散乱させるように構成され得る。
【0150】
第7のグループの一部の実施形態では、第1のセクションは、チタンを含むことができる。
【0151】
第7のグループの一部の実施形態では、第2の領域は、均一な直径の円筒形外側表面を有することができる。
【0152】
第7のグループの一部の実施形態では、第2の領域は、第1のセクションの周りに横方向に位置する第2のセクションを含み、第2のセクションは、第1のセクションの外径に対応して変化する内径を有する。第2のセクションは、第2のセクションの長さに沿って均一な外径を有することができる。
【0153】
第8のグループの実施形態では、中性子ビーム変換器が提供され、変換器は、中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、ビーム入力部とビーム出力部との間の中央領域と、を含み、中央領域は、複数の第2のセクションと交互に積層された配置の複数の第1のセクションを含み、複数の第1のセクションのうちの第1のセクションは、複数の第1のセクションのうちの第2のセクションの厚さよりも相対的に小さい厚さを有する。
【0154】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションの各々は、異なる厚さを有することができる。
【0155】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションのうちの第1のセクションの厚さは、複数の第1のセクションのうちの第2のセクションの厚さよりも少なくとも10%小さい。
【0156】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションのうちの第1のセクションは、複数の第1のセクションのうちの第2のセクションよりもビーム出力部の相対的に近くに位置することができる。
【0157】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションのうちの第1のセクションは、複数の第1のセクションのうちの第2のセクションよりもビーム出力部から相対的に遠くに位置することができる。
【0158】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションの厚さは、上流から下流の方向に徐々に減少することができる。
【0159】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションの厚さは、上流から下流の方向に徐々に増加することができる。
【0160】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションは、複数の第2のセクションとは異なる組成を有することができる。
【0161】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションの各々は、プレートとして構成され得る。
【0162】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションの各々は、中性子を非共鳴的に散乱させるように構成され得、複数の第2のセクションの各々は、中性子を共鳴的に散乱させるように構成され得る。
【0163】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションの各々は、中性子を共鳴散乱させるように構成され得、複数の第2のセクションの各々は、中性子を非共鳴散乱させるように構成され得る。
【0164】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第2のセクションの全てが同じ厚さを有することができる。
【0165】
第8のグループの一部の実施形態では、複数の第2のセクションの各々は、複数の第1のセクションの各々よりも厚くすることができる。
【0166】
第9のグループの実施形態では、中性子ビーム変換器が提供され、変換器は、中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、ビーム入力部とビーム出力部との間の中央領域と、を含み、中央領域は、複数の第2のセクションと交互配置された複数の第1のセクションを含み、複数の第1のセクションは、非平面の第1のセクションを含む。
【0167】
第9のグループの一部の実施形態では、非平面の第1のセクションは、シェブロン形状の断面形状を有することができる。シェブロン形状の断面プロファイルは、開いた側部と、相対的により尖った側部と、を有することができ、相対的により尖った側部は、ビーム入力部に面する。シェブロン形状の断面プロファイルは、開いた側部と、相対的により尖った側部と、を有することができ、相対的により尖った側部は、ビーム出力部に面する。
【0168】
第9のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションの各々は、シェブロン形状である断面プロファイルを有することができる。
【0169】
第9のグループの一部の実施形態では、非平面の第1のセクションは、湾曲した断面プロファイルを有することができる。湾曲した断面プロファイルは、凹側部と凸側部とを有することができ、凸側部はビーム入力部に面する。湾曲した断面プロファイルは、凹側部及び凸側部を有することができ、凹側部はビーム入力部に面する。
【0170】
第9のグループの一部の実施形態では、複数の第1のセクションの各々は、湾曲した断面プロファイルを有することができる。
【0171】
第9のグループの一部の実施形態では、非平面の第1のセクションは、ボウル形状であり得る。
【0172】
第9のグループの一部の実施形態では、非平面の第1のセクションは、不均一な厚さを有する断面プロファイルを有することができる。
【0173】
第9のグループの一部の実施形態では、非平面の第1のセクションは、湾曲した断面プロファイルを有することができ、複数の第1のセクションは、シェブロン形状の第1のセクションを含むことができる。
【0174】
第10のグループの実施形態では、中性子ビーム変換器が提供され、変換器は、中性子発生ターゲットから中性子を受け取るように構成されたビーム入力部と、中性子を出力するように構成されたビーム出力部と、ビーム入力部とビーム出力部との間の第1の領域又はセクションであって、ビーム入力部とビーム出力部との間の軸の周りに湾曲した第1の横方向外面を有する第1の領域又はセクションと、第1の領域又はセクションの周りに横方向に位置する第2の領域又はセクションであって、実質的に多面である第2の横方向外面を有する第2の領域又はセクションと、を含む。
【0175】
第10のグループの一部の実施形態では、第1の横方向外側表面は、実質的に円筒形又は円筒形であり得る。
【0176】
第10のグループの一部の実施形態では、第1の領域又はセクションは、変換器の中央領域の第1のセクションであり得る。第2の領域又はセクションは、変換器の中央領域の第2のセクションであり得る。
【0177】
第10のグループの一部の実施形態では、第1の領域又はセクションは、変換器の中央領域であり得る。第2の領域又はセクションは、変換器の中間領域のセクションである。第2の領域又はセクションは、変換器の中間領域である。中間領域は、生成された中性子を方向転換及び散乱させるように構成され得る。
【0178】
第10のグループの一部の実施形態では、第2の領域又はセクションは、変換器の周辺領域のセクションとすることができ、変換器は、中央領域と周辺領域との間に位置する中間領域を含む。
【0179】
第10のグループの一部の実施形態では、第2の領域又はセクションは、変換器の周辺領域とすることができ、変換器は、中央領域と周辺領域との間に位置する中間領域を含む。
【0180】
第10のグループの一部の実施形態では、中央領域は、生成された中性子を治療エネルギー範囲に向かって、又はその中に散乱させるように構成され得る。
【0181】
第10のグループの一部の実施形態では、第2の横方向外面は、4つ以上の横方向側部と、少なくとも2つの端部側部と、を有することができる。
【0182】
第10のグループの一部の実施形態では、第2の横方向外面は、6つ以上の横方向側部と、少なくとも2つの端部側部と、を有することができる。
【0183】
第10のグループの一部の実施形態では、第2の領域又はセクションは、曲率が第1の横方向外側部に対応する横方向内側部を含むことができる。
【0184】
第10のグループの一部の実施形態では、変換器は、中央領域の2つ以上の第1のセクションであって、中央領域の2つ以上の第1のセクションはそれぞれ、ビーム入力部とビーム出力部との間の軸の周りで湾曲した横方向外側部を有する、2つ以上の第1のセクションと、変換器の中間領域及び/又は周辺領域の2つ以上の第2のセクションであって、2つ以上の第2のセクションはそれぞれ、軸の周りで実質的に多面である横方向外側部を有する、2つ以上の第2のセクションとを含む。
【0185】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、及び第10のグループの実施形態では、変換器は、ビーム出力部からエピサーマルエネルギー範囲内の中性子ビームを出力するように構成され得る。
【0186】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、及び第10のグループの実施形態では、変換器は、1エレクトロンボルト~30キロエレクトロンボルトのエネルギー範囲の中性子ビームを出力するように構成され得る。変換器は、ピーク中性子分布及び10キロエレクトロンボルト~30キロエレクトロンボルトの平均エネルギーを有する中性子ビームを出力するように構成され得る。変換器は、中性子の少なくとも90%が1エレクトロンボルト~30キロエレクトロンボルトのエネルギー範囲にある中性子ビームを出力するように構成され得る。
【0187】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、及び第10のグループの実施形態では、変換器は、1エレクトロンボルト~10キロエレクトロンボルトのエネルギー範囲の中性子ビームを出力するように構成され得る。変換器は、ピーク中性子分布と3キロエレクトロンボルト~10キロエレクトロンボルトの平均エネルギーとを有する中性子ビームを出力するように構成され得る。変換器は、中性子の少なくとも90%が1エレクトロンボルト~10キロエレクトロンボルトのエネルギー範囲にある中性子ビームを出力するように構成され得る。
【0188】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、及び第10のグループの実施形態では、変換器は、ホウ素中性子捕捉療法システムにおける使用のために構成され得る。
【0189】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、及び第10のグループの実施形態では、変換器は中性子発生ターゲットを含むことができる。中性子発生ターゲットは、リチウムを含むことができ、反応p+7Li→n+7Beに従って中性子を発生させるように構成され得る。中性子発生ターゲットは、1.9~3.0メガエレクトロンボルトの範囲のエネルギーを有する陽子ビームから中性子を発生させるように構成され得る。
【0190】
第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、及び第10のグループの実施形態では、変換器は、中性子発生ターゲットから未処理の中性子ビームを受け取り、変換済み中性子ビームを出力するように構成することができ、変換済み中性子ビームは、未処理の中性子ビームよりも相対的に集束された前方方向、未処理の中性子ビームよりも相対的に小さい強度の変動、及び未処理中性子ビームよりも相対的に小さいエネルギーの変動を有する。
【0191】
第11のグループの実施形態では、中性子ビームを変換する方法が提供され、方法は、中性子ビームが中性子ビーム変換器の中性子ビーム出力部から放出されるように、中性子ビーム変換器内に位置する中性子発生ターゲットにおいて荷電粒子ビームを伝搬させることを含み、中性子ビーム変換器は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、及び第10のグループの実施形態のいずれかの実施形態により構成される。
【0192】
第12のグループの実施形態では、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を用いて患者を治療する方法が提供され、方法は、中性子ビームを患者において伝搬させることを含み、中性子ビームは、中性子ビーム変換器の中性子ビーム出力部から放出され、中性子ビーム変換器は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、及び第10のグループの実施形態のうちのいずれかの実施形態により構成される。
【0193】
本明細書に開示される実施形態が、メモリ、ストレージ、及び/又はコンピュータ可読媒体を含むか、又はそれらと関連して動作する限り、そのメモリ、ストレージ、及び/又はコンピュータ可読媒体は非一時的である。したがって、メモリ、ストレージ、及び/又はコンピュータ可読媒体が1つ以上の請求項によって包含される限り、そのメモリ、ストレージ、及び/又はコンピュータ可読媒体は非一時的なものにすぎない。
【0194】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0195】
実施形態は、種々の修正及び代替形態の影響を受けやすいが、その具体的例が、図面に示され、本明細書に詳細に説明されている。しかしながら、これらの実施形態は、開示された特定の形態に限定されるものではなく、それとは反対に、これらの実施形態は、本開示の趣旨内に入る全ての修正形態、均等物、及び代替形態を包含するものであることを理解されたい。更に、実施形態の任意の特徴、機能、ステップ、又は要素、並びにその範囲内にない特徴、機能、ステップ、又は要素によって特許請求の範囲の発明の範囲を定義する否定的な限定が、特許請求の範囲に記載又は追加されてもよい。
【図】
【国際調査報告】