(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】PI3KおよびDNA-PK二重阻害剤を含む末梢性T細胞リンパ腫の予防または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20241024BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241024BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P35/02
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525991
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 KR2022017128
(87)【国際公開番号】W WO2023080674
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0150125
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523000891
【氏名又は名称】ボリュン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BORYUNG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】136,Changgyeonggung-ro,Jongno-gu,Seoul 03127,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】キム ボンソク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヒョスン
(72)【発明者】
【氏名】パク ギョンユン
(72)【発明者】
【氏名】ワン スンホ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン スンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム ユンシク
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュハン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ビョンウク
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム テミン
(72)【発明者】
【氏名】キム ソクジン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ドクヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ユンギョン
(72)【発明者】
【氏名】マシューア アハマド エイチ
(72)【発明者】
【氏名】シャベス ホルヘ エム
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB21
4C086ZB27
(57)【要約】
本発明は化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を含む末梢性T細胞リンパ腫の予防または治療用組成物に関する。具体的には、本発明は制御性T細胞を減少させCD8
+T細胞を増加させることによって、末梢性T細胞リンパ腫を効果的に改善できる薬学的組成物に関する。本発明の薬学的組成物は免疫反応を抑制する制御性T細胞を減少させ、坑がん効果を示すCD8
+T細胞を増加させることによって、末梢性T細胞リンパ腫に対する坑がん活性を示すことができる。また、本発明の薬学的組成物は安全性および耐薬性が優秀であるため末梢性T細胞リンパ腫の治療に使われ得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を、化学式1で表示される化合物で25mg以上325mg未満含む、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL;Peripheral T-cell lymphoma)の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記組成物は前記化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を、化学式1で表示される化合物で200mg以上325mg未満含むものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記組成物は前記化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を、化学式1で表示される化合物で200mg含むものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記組成物は末梢性T細胞リンパ腫の診断を受けた後少なくとも1回以上の坑がん化学療法を受けた対象体に投与されるものである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記組成物は1日1回で4週以上投与されるものである、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記組成物は経口投与されるものである、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記組成物は制御性T細胞(regulatory T cell、T
reg)を減少させCD8
+T細胞を増加させるものである、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を含む末梢性T細胞リンパ腫の予防または治療用組成物に関する。具体的には、本発明は制御性T細胞を減少させCD8+T細胞を増加させることによって、末梢性T細胞リンパ腫を効果的に改善できる薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K;PI3 kinase)は蛋白質の代わりに脂質分子をリン酸化する脂質キナーゼ(lipid kinase)であり、細胞生存(cell survival)、信号伝達(signal transduction)、細胞膜透過調節(control of membrane trafficking)等で重要な役割をする。これらの調節に問題が生じると、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患などが発生する。
【0003】
最近PI3キナーゼに対して選択的に抑制する効果を示すことができる新規の構造の化合物を開発する研究結果が報告されており、具体的には、国際公開第2016/204429号はPI3K阻害活性を保有し、がん、自己免疫疾患および呼吸器疾患などの治療に有用な化合物を開示しており、本明細書で参考文献として含まれる。しかし、PI3K-δ単独阻害剤療法は悪性リンパ腫である非ホジキンリンパ腫で予後が悪いものとして知られている。
【0004】
一方、PI3K-δ単独阻害剤以外の多数のPI3K亜型および/またはDNA-PK活性化を抑制する阻害剤は細胞周期停止および細胞死滅を効率的に誘導し発がん性物質の安定性減少を刺激して、遅延性非ホジキンリンパ腫でも効果的に坑がん活性を示すものと予想される。
【0005】
現在非ホジキンリンパ腫は毎年韓国内で約4300人余り、全世界的には約51万人余りの患者が発生すると知られているが、多数のPI3K亜型および/またはDNA-PK活性化を抑制する多重阻害剤に関連した非ホジキンリンパ腫の治療剤は知られておらず、この開発が必要であるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は下記の化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を、化学式1で表示される化合物で25mg以上325mg未満含む、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL;peripheral T-cell lymphoma)の予防または治療用薬学的組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は下記の化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を、前記化合物で25mg以上325mg未満含む、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0010】
【0011】
本発明において、前記薬学的組成物は末梢性T細胞リンパ腫(PTCL、peripheral T-cell lymphoma)以外に、再発性/難治性B細胞リンパ腫(relapsed/refractory B cell lymphoma)、慢性リンパ性白血病(CLL、chronic lymphocytic leukemia)/小リンパ球性リンパ腫(SLL、small lymphocytic leukemia)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の予防または治療のために使われ得、具体的には、MYC変性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫および変形されたびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含む、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL、Diffuse large B-cell lymphoma);濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma);慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL);これに制限されないが、マントル細胞リンパ腫(MCL、mantle cell lymphoma)、辺縁帯リンパ腫(MZL;marginal zone lymphoma、原発性マクログロブリン血症(Waldenstrom macroglobulinemia)のような異なるB細胞リンパ腫;および皮膚T細胞リンパ腫/菌状息肉症(composite CTCL-MF、Cutaneous T cell lymphoma-Mycosis fungoide)の予防または治療のために使われ得る。
【0012】
前記化学式1で表示される化合物はPI3KおよびDNA-PK二重阻害活性を有すると知られているヘテロアリール誘導体のうち一つであり、「4-[[(1S)-1-(4,8-ジクロロ-1-ヨウ素-2-フェニル-3-イソキノリル)エチル]アミノ]-8H-ピリド[2,3-d]ピリジン-5-オン{4-[[(1S)-1-(4,8-Dichloro-1-oxo-2-phenyl-3-isoquinolyl)ethyl]amino]-8H-pyrido[2、3-d]pyrimidin-5-one}」と命名される。
【0013】
本発明において、薬学的に許容可能な塩は医薬業界で通常的に使われる塩を意味し、例えばカルシウム、ポタシウム、ソディウムまたはマグネシウムなどで製造された無機イオン塩、塩酸、硝酸、リン酸、臭素酸、ヨウ素酸、過塩素酸または硫酸等で製造された無機酸塩;酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、琥珀酸、シュウ酸、安息香酸、酒石酸、プマルサン、マンデル酸、プロピオン酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、ガラクツロン酸 、グルタミン酸、グルタル酸、グルクロン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、カーボン酸またはバニリン酸などで製造された有機酸塩;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸などで製造されたスルホン酸塩;グリシン、アルギニン、リシン等で製造されたアミノ酸塩;またはトリメチルアミン、トリエチルアミン、アンモニア、ピリジン、ピコリンなどで製造されたアミン塩などがあるが、列挙されたこれらの塩によって本発明で意味する塩の種類が限定されるものではない。
【0014】
本発明において、前記組成物は前記化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を、前記化合物で25mg以上325mg未満、50mg以上325mg未満、100mg以上325mg未満または200mg以上325mg未満含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0015】
本発明の一具現例で前記組成物は、前記化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を、前記化合物で50mg、100mgまたは200mg含むことができ、好ましくは200mgで含むことができる。
【0016】
本発明により末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)対象体に前記組成物を投与するにおいて、前記化学式1で表示される化合物の最大耐薬容量(MTD、maximum tolerated dose)は200mg QDであり得、この容量範囲で優秀な耐薬性および安全性を示すことができる。また、前記耐薬性および安全性に基づいて、前記化学式1で表示される化合物200mg QDは臨床Ib/IIに対する開始容量(RP2D)として勧告され得る。
【0017】
本発明に係る組成物で前記容量範囲は、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)対象体で安全性および耐薬性があって末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の診断を受けた対象体の治療に使われ得る。
【0018】
本発明に係る組成物で前記化学式1で表示される化合物の薬学的に許容可能な塩は、前記化学式1で表示される化合物で25mg以上325mg未満、50mg以上325mg未満、100mg以上325mg未満、200mg以上325mg未満であることを意味し得るが、これに制限されるものではなく、好ましくは25mg、50mg、100mgまたは200mgであることを意味し得、さらに好ましくは200mgであることを意味し得る。
【0019】
本発明は前記容量範囲で末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)対象体に対して優秀な安全性および耐薬性を示して末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を効果的に予防または治療することができる。
【0020】
本発明において、前記薬学的組成物はこれを必要とする対象体に25mg以上325mg未満、50mg以上325mg未満、100mg以上325mg未満、200mg以上325mg未満、好ましくは25mg、50mg、100mgまたは200mgで1日1回(QD)連続28日(第1周期、4週)以上投与され得る。
【0021】
例えば、前記第1周期を完了した対象体は、腫瘍の進行、耐薬限度を超過した毒性または同意撤回が発生するまで、試験薬物を第1周期でと同一の容量で継続して投与を受けることができ、4週以上、8週以上、12週以上、16週以上、20週以上、24週以上、28週以上、32週以上または36週以上であり得、これに制限されるものではない。
【0022】
本発明において、前記1日1回(QD)のような投与用法は新しい安全性、耐薬性および薬物動態学データを考慮してさらに頻繁な投与が適切であると判断される場合、1日2回(BID)に変更され得るが、これに制限されるものではない。また、本発明に係る前記化学式1で表示される化合物の容量は、QD投与後、安全かつ許容されるものと確立されたAUCを超過しない限り、新しい用法の一日総露出(濃度-時間曲線下面積、AUC)を考慮して変更され得る。
【0023】
本発明において、前記薬学的組成物は末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の診断を受けた対象体、具体的には、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の診断を受けた後少なくとも1回以上の坑がん化学療法を受けた対象体に投与されるものであり得る。前記坑がん化学療法は薬物(抗がん剤)を利用してがん細胞が成長することを防止するか殺す全身的な治療方法を意味し、これは手術、放射線療法と共にがんの標準治療方法であり、アントラサイクリン基盤の化学療法(anthracycline-based regimens)、リツキシマブおよび/またはニボルマブ基盤の免疫療法を含むが、これに制限されるものではない。
【0024】
本発明で「対象体」はヒトを含んだ哺乳類を意味し得、具体的にはヒトを意味し得る。
【0025】
本発明において、前記薬学的組成物は経口投与または非経口投与(例えば、静脈内、皮下内、腹腔内または局所に適用)され得、投与経路により容量を適切に変更することができる。本発明の一具現例では前記組成物は経口投与され得る。
【0026】
本発明で用語「経口投与」は、活性物質が消化されるように製造された物質、すなわち吸収のための胃腸器官に投与されることを意味する。前記経口投与用製剤の非制限的な例としては、錠剤、トローチ剤(troches)、ロゼンジ(lozenge)、水溶性懸濁液、油性懸濁液、調製粉末、顆粒、エマルジョン、ハードカプセル、ソフトカプセル、シロップまたはエリキシル剤などが挙げられる。本発明の薬学的組成物を経口投与用として製剤化するために、ラクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロースまたはゼラチンなどのような結合剤;ジカルシウムホスフェートなどのような賦形剤;コーンスターチまたはサツマイモデンプンなどのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウムまたはポリエチレングリコールワックスなどのような潤滑油などを使うことができ、甘味剤、芳香剤、シロップ剤等も使うことができる。さらに、カプセル剤の場合には前記言及した物質の他にも脂肪油のような液体坦体などを追加で使うことができる。
【0027】
前記薬学的組成物は当業者に自明に経口用または非経口用製剤の形態で製造され得る。本発明の一具現例で薬学的組成物は経口投与用製剤であり得る。本発明において、前記経口投与のための製剤は錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などの固形製剤であるかまたは懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などの液状製剤であり得、好ましくは固形製剤であり得、より好ましくはカプセル剤であり得る。
【0028】
本発明の薬学的組成物が経口固形製剤として製剤化される場合、使われる添加剤の例としてはセルロース、ケイ酸カルシウム、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、デキストロース、カルシウムホスフェート、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ゼラチン、タルクなどが挙げられる。
【0029】
前記薬学的組成物を経口投与用液状製剤として製剤化する場合、前記薬学組成物に水、リキッド、パラフィンのような単純希釈剤、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤、防腐剤、着色剤などのような種々の添加剤を添加して製剤化することができる。
【0030】
本発明の薬学的組成物が注射剤の形態で製造される場合、前記添加剤としては水、食塩水、ブドウ糖水溶液、類似糖水溶液、アルコール、グリコール、エーテル(例:ポリエチレングリコール400)、オイル、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリドなどが挙げられる。
【0031】
本発明において、前記薬学的組成物は制御性T細胞(regulatory T cell、Treg)を減少させCD8+T細胞を増加させることができる。前記薬学的組成物は免疫反応を抑制する制御性T細胞を減少させ、坑がん効果を示すCD8+T細胞を増加させることによって、進行性血液がんに対する優秀な坑がん活性を示すことができる。本発明の一具現例で前記進行性血液がんは末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)であり得る。
【0032】
本発明において、前記薬学的組成物は前記化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩の他に、他の薬理活性を有する有効性分をさらに含むことができる。
【0033】
本発明において、前記薬学的組成物は薬学的に許容可能な添加剤をさらに含むことができる。前記「薬学的に許容可能な」とは、生理学的に許容されてヒトに投与される時、通常的に胃腸障害、めまいのようなアレルギー反応またはこれと類似する反応を起こさずにこの分野の通常の知識を有する者が医薬組成物製造時に通常的に使うものであって、Remington’s Pharmaceutical Science(最新版)、Mack Publishing Company、Easton PAの文献を参照することができる。
【0034】
前記添加剤は坦体、賦形剤、増量剤、抗酸化剤、緩衝液、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤および防腐剤などであり得る。例えば、前記添加剤はラクトース、デキストロース、ケイ酸カルシウム、コーンスターチ、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトー、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、鉱物油、食塩水、ブドウ糖水溶液、類似糖水溶液、アルコール、グリコール、エーテル(例:ポリエチレングリコール400)、オイル、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリドまたはこれらの混合物であり得る。しかし、本発明に係る組成物に含まれ得る添加剤は前記列挙された物質に限定されるものではなく、これらは単に例示に過ぎない。本発明において、前記薬学的組成物に含まれる添加剤の含量は特に限定されるものではなく、通常の製剤化に使われる含量範囲内で適切に調節され得る。
【0035】
本発明において、用語「予防」とは、疾病、障害または疾患の発病を抑制または遅延を意味する。疾病、障害または疾患の発病が予定された期間の間抑制または遅延された場合、予防は完全なものと見なされ得る。
【0036】
本発明で用語「治療」とは、特定疾病、障害および/または疾患または疾患にともなう症状を部分的にまたは完全に軽減、改善、緩和、阻害または遅延させ、重症度を減少させたり、一つ以上の症状または特徴の発生を減少させることを意味する。
【0037】
本発明は下記の化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を、化学式1で表示される化合物で25mg以上325mg未満含む薬学的組成物の進行性血液がんの予防または治療用途を提供する。本発明の一具現例で前記進行性血液がんは末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)であり得る。
【0038】
本発明は下記の化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を、化学式1で表示される化合物で25mg以上325mg未満含む薬学的組成物の進行性血液がんの予防または治療用薬剤製造のための用途を提供する。本発明の一具現例で前記進行性血液がんは末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)であり得る。
【0039】
本発明は下記の化学式1で表示される化合物またはこの薬学的に許容可能な塩を、化学式1で表示される化合物で25mg以上325mg未満含む薬学的組成物を対象体に投与して進行性血液がんを予防または治療する方法を提供する。本発明の一具現例で前記進行性血液がんは末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)であり得る。
【0040】
本発明の薬学的組成物、治療方法、用途で言及された事項は、互いに矛盾しない限り同一に適用される。
【発明の効果】
【0041】
本発明の薬学的組成物は末梢性T細胞リンパ腫の治療において、安全性および耐薬性が優秀である。
【0042】
また、本発明の薬学的組成物は免疫反応を抑制する制御性T細胞を減少させ、坑がん効果を示すCD8+T細胞を増加させることによって、末梢性T細胞リンパ腫を効果的に治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】臨床試験I相設計を図式化して示したものである。
【
図2】容量増量試験設計(コホート1および2)を図式化して示したものである。
【
図3】容量増量試験設計(コホート3以後)を図式化して示したものである。
【
図4】対象に試験薬物投薬後1周期1日目(C1D1)血漿サンプルの薬物動態学(PK)分析結果を示したものである。
【
図5】対象に試験薬物投薬後1周期15日目(C1D15)血漿サンプルの薬物動態学(PK)分析結果を示したものである。
【
図6a】試験薬物の投与後制御性T細胞発現の変化をPK-PD相関関係の散布図で示したものである。
【
図6b】試験薬物の投与後CD8
+T cell発現の変化をPK-PD相関関係の散布図で示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の理解を助けるために実施例を挙げて詳細に説明することにする。ただし、下記の実施例は本発明の内容を例示するものに過ぎず、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0045】
実施例
1.試験対象者選定
本臨床試験Ia部分の進行のために、総12人の進行性血液がん(advanced hematologic malignancies)がある試験対象者を選定した。
【0046】
上記試験対象者には末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(8人)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(2人)、辺縁帯リンパ腫(MZL)(1人)および皮膚T細胞リンパ腫/菌状息肉症(Composite CTCL-MF)(1人)の病理学的亜型が含まれた。
【0047】
上記試験対象者の個体群統計学的特徴および基本的特性は次の通りである:
-男性(9人)および女性(3人)
-中間年齢(63才、30才-76才範囲)
-ECOG PS(0-1)
-すべての試験対象者は以前に一回以上化学療法を経験
【0048】
イ.選定基準(Inclusion Criteria)
試験対象者は次の基準をすべて充足する場合にのみ試験の参加に適合したものと見なす。
1)署名された事前同意書を提供できなければならない。ここには試験対象者同意書(ICF)および臨床試験計画書に提示された要件および制限事項を遵守することも含まれる。
2)満18才以上の女性または男性試験対象者(臨床試験参加に対する法的同意年齢が>18才である場合、現地の規制要件に従う。)
3)ECOGパフォーマンスステータス≦2
4)3ヶ月を超過する期待余命
5)第Ia相(容量増量部分に限定):
標準療法を受けたか標準療法に対する耐薬性がない者および/または標準療法が存在しない試験対象者であって世界保健機構(WHO)分類による再発性および/または難治性B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)および末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)と診断を受けた試験対象者
6)Ib相(容量拡張部分に限定):
標準療法を受けたか標準療法に対する耐薬性がない者または標準療法が存在せず、次の群のうち一つに適合した者であって(世界保健機構分類による)再発性および/または難治性リンパ腫診断を受けた試験対象者:
-グループA:MYC-変性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(MYC-altered DLBCL)および変形されたびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(transformed DLBCL)を含む、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DCBCL)診断を受けた試験対象者
-グループB:等級1~3aの濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma)診断を受けた試験対象者
-グループC:CLL/SLLおよびその他B細胞リンパ腫(例えば、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、原発性マクログロブリン血症(Waldenstrom macroglobulinemia)または末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)を含み、これに限定されない)診断を受けた試験対象者
7)第Ia相および第Ib相(容量拡張)に登録されたすべての試験対象者は該当する腫瘍類型基準に基づいて評価可能な疾病がなければならない。
8)試験者評価により、現在全身療法が必要な試験対象者
9)リンパ腫試験対象者の場合、保管/新鮮腫瘍組織(すなわち、約15個のスライドシリーズで構成された組織ブロックまたはスライド)が必要であり、前記組織はスクリーニング訪問中に提供するようにする。CLLおよび原発性マクログロブリン血症の場合、利用可能な腫瘍組織がなければ、腫瘍組織は必要としない。
10)第Ia相および第Ib相の各群に属した最初の7人の試験対象者は臨床試験期間の間新鮮腫瘍生検を受ける準備をしなければならない。CLLおよび原発性マクログロブリン血症の場合、これは義務ではない。生検に適合しない疾病部位がある試験対象者に対しては依頼者と議論後例外事項を考慮することができる。
11)女性試験対象者は必ず外科的に不妊状態であるか、または外科的に不妊である単婚のパートナーがあるか、または閉経後状態(少なくとも1年無月経または血清卵胞刺激ホルモン>40 mIU/mLおよびエストラジオール(estradiol)<20 pg/mLまたは関連実験に対する「閉経後(postmenopausal)」範囲の定義による状態)の者、または臨床試験期間の間および最後の試験薬物の投与後3ヶ月の間効果的な避妊法を使うことに同意しなければならない。
12)性生活をする男性は試験薬物を服用期間および試験薬物の投与を中断した後、3ヶ月間効果的な形態の避妊法を使うことに必ず同意しなければならない。精管切除術を受けた男性は精液を通じての薬物の伝達を防止するためにコンドームを使わなければならない。
13)次のように定義された実験室検査数値を示す者:
-クレアチニンクリアランス(Cockcroft-Gault公式を使って計算されるか測定される)>60mL/分
-総ビリルビン<1.5×ULN(upper limit of normal、正常値上限)(ただし、総ビリルビン>3.0×ULNまたは直接ビリルビン<1.5×ULNである場合に除外されるギルバート症候群(Gilbert’s syndrome)試験対象者は除外)
-ALT<2.5×ULN(ただし、ALT<5×ULNである場合に試験対象者として選定される者であって、肝に関与した腫瘍がある試験対象者は除外)
-絶対好中球数(ANC)>1.0×109/L
-血小板数 >75×109/L
-ヘモグロビン>8g/dL
【0049】
ロ.除外基準(Exclusion Criteria)
次の基準のうち一つでも該当する試験対象者は本臨床試験から除外される。
1)明白な軟髄膜転移または活性中枢神経系(CNS)転移の存在、または局部的なCNS標的療法(例:放射線療法または手術)または以前の2週以内にコルチコステロイドの容量増加を要するCNS転移.治療を受けた脳転移試験対象者は神経学的に安定した状態でなければならず(投与後4週の間および臨床試験登録前)、試験薬物を投与する前に少なくとも2週以上ステロイド投与を中断しなければならない。
2)次のうち該当する事項を含む、心機能障害または臨床的に有意な心疾患:
-療法が必要なうっ血性心不全(ニューヨーク心臓学会分類≧2等級);多重ゲート獲得(MUGA)スキャンまたは心臓超音波(ECHO)検査を通じて判定された左心室駆出率<50%;非調節性高血圧;または臨床的に有意な不整脈
-フリデリシア補正(Fridericia’s formula)を使った心拍数補正QT間隔(QTcF)>450ms ECGまたはスクリーニング訪問時先天性の長いQT症候群(congenital long QT syndrome)。もし、左脚ブロック(LBBB、Left Bundle Branch Block)のような基礎疾患によりQTcFを適切に計算できない場合、試験対象者の適合性は医学モニター要員および依頼者と議論し、適合性決定は適切に文書化する。
-QT/QTc間隔の顕著なベースライン延長(例:QTc間隔>450msが反復的に試演される)
-QT/QTc間隔を延長する併用薬物の義務的な使用
-急性心筋梗塞(Acute myocardial infarction)。または臨床試験登録前3ヶ月未満の不安定狭心症(unstable angina pectoris)
3)間質性肺炎(interstitial pneumonia)または薬物誘導間質性肺炎(drug-induced interstitial pneumonia)/間質性肺炎(pneumonitis)の病歴がある試験対象者
4)ヒト免疫不全ウイルス(HIV、Human immunodeficiency virus)感染
5)B型肝炎表面抗原(HbsAg)またはC型肝炎ウイルス抗体に陽性である試験対象者.HbsAgが陰性であり、ただし抗B型肝炎核心抗体が陽性である場合、試験の参加に適合であるためにはB型肝炎ウイルス-デオキシリボ核酸(DNA)ウイルス量が検出されてはならない。
6)慢性肝臓疾患または慢性肝炎(Child-Pugh B級またはC級の肝臓障害)試験対象者
7)試験薬物の吸収を妨害したり錠剤またはカプセルを飲み込めないすべての胃腸管疾患
8)本臨床試験で投与対象の疾患に属さないその他の悪性疾患。このような除外条件に対する例外事項には以下が含まれる:
-試験薬物の投与前2年以内に治療された後、再発していない悪性腫瘍
-手術を通じて完全切除された基底細胞および扁平細胞皮膚がん
-遅延型疾患と見なされ、療法を必要としない悪性腫瘍
-すべての類型の完全切除された上皮内腫瘍(carcinoma in situ)
9)以前のPI3K阻害剤は本試験の容量増量部分(Ia)でのみ許容される。
10)リンパ腫試験対象者の場合:
-臨床試験用医薬物の最初の容量を投与する前の3週または半減期の5倍に該当する期間(両方のうち比較的短い期間を基準)内に実施した全身抗腫瘍療法(細胞毒性化学療法、α-インターフェロン(INF)および毒素免疫接合体を含む)またはすべての実験療法
-試験薬物の最初の容量を投与する前、半減期の5倍に該当する期間以内にチロシンキナーゼ阻害剤を使った療法
-試験薬物の最初の容量を投与する<6週間前に非接合単一クローン抗体療法実施
11)全身的な慢性ステロイド療法または免疫抑制療法(>10mg/日容量のプレドニゾンまたは該当量の療法)を受ける試験対象者、局所、吸入、鼻腔および眼科用ステロイドは許容される。
12)試験薬物の投与開始後4週以内に感染性疾患に対する生ワクチンの使用。
13)試験薬物投与開始日を基準として2週以内に造血コロニー刺激成長因子(例:顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、顆粒球-大食細胞コロニー刺激因子(MCSF)、大食細胞コロニー刺激因子(MCSF))、トロンボポエチンミメティクス(thrombopoietin mimetics)または赤血球刺激剤(erythroid-stimulating agents)の使用。もし試験薬物の最初の容量投与日を基準として2週以上前から赤血球刺激剤の投与を開始し、該当試験対象者が安定容量で投与中にいるのであれば、同刺激剤を継続して使うことができる。
14)脳卒中の病歴があるか活性神経学的症状がある試験対象者(ただし、神経科専門医、研究者、依頼者の所見により、試験薬物の投与を受ける間進行中である神経学的評価に影響を及ぼさないと判断される慢性疾患は除外)。
15)全身療法または抗ウイルス抗生剤療法を要する活性感染
16)活性サイトメガロウイルス(CMV;Cytomegalovirus)感染試験対象者
17)中等度(moderate)または高強度のCYP3A4阻害剤または誘導剤を服用した試験対象者であって、試験薬物の最初の容量投与日を基準として2週間前までまたは半減期の5倍以上に該当する期間(両方のうち比較的短い期間を基準)が到来するまでに試験の参加を撤回できない試験対象者
18)試験薬物の最初の容量投与日を基準として2週以内に実施した大手術(縦隔鏡検査法(mediastinoscopy)、中心静脈接近装置(central venous access device)の挿入、および栄養管挿入は大手術と見なされない)
19)試験薬物の最初の容量を投与した日から2週以内に実施した放射線療法(骨の痛みまたは局所痛み性腫瘤に対する療法のように制限された範囲の姑息的放射線療法は除外)。
20)以前の坑がん療法により2等級以上の毒性に該当するCTCAEの存在(3等級以上のCTCAEが存在する場合に除外される脱毛症、末梢神経病症および内耳神経毒性(耳毒性、ototoxicity)は例外とする)
21)試験薬物の最初の容量を投与した日から2週または半減期の5倍に該当する期間(両方のうち比較的短い期間を基準)以内に実施される仲裁的、探索的研究に参加
22)試験者の所見から見る時、安全問題、臨床試験手続きの遵守または試験結果の解釈により試験対象者の臨床試験の参加を妨害すると判断されるすべての医学的状態
23)受胎後妊娠期間が終る時まで女性の状態と定義され、ヒト絨毛性ゴナドトロピン実験室検査で陽性と確認された妊娠を経験した妊婦または授乳婦
【0050】
2.臨床試験設計
イ.試験薬物
試験薬物は4-[[(1S)-1-(4、8-ジクロロ-1-ヨウ素-2-フェニル-3-イソキノリル)エチル]アミノ]-8H-ピリド[2,3-d]ピリジン-5-オン{4-[[(1S)-1-(4,8-Dichloro-1-oxo-2-phenyl-3-isoquinolyl)ethyl]amino]-8H-pyrido[2、3-d]pyrimidin-5-one}である(表1)。
【0051】
【0052】
ロ.投与容量および投与用法
登録された臨床試験対象者総12人は試験薬物を28日周期の間1日1回経口投与した(公開、多施設)(表2)。
【0053】
【0054】
本臨床試験で試験薬物の初期容量(50mg QD)は動物を対象にした前臨床試験結果(安全性、耐薬性および薬物動態学データ)と臨床でPI3K-δ阻害剤と類似するメカニズムを有する薬物から得られた毒性および効能に基づいて決定された。
【0055】
本臨床試験で使われた投与用法は新しい安全性、耐薬性および薬物動態学データを考慮してBIDのようにさらに頻繁な投与が適切であると判断される場合、投与用法を変更することができる。また、本臨床試験の投与容量は、QD容量投与後に安全で許容されるものとして確立されたAUCを超過しない限り、新しい用法の一日総露出(濃度-時間曲線下面積、AUC)を考慮して変更され得る(表3)。
【0056】
【0057】
試験薬物投与時の注意事項は次の通りである:
1)試験対象者は試験者の指示により食事時点から少なくとも2時間前にまたは食後2時間経過時に試験薬物を服用しなければならない。
2)投与中に嘔吐する場合、次に予定された容量の試験薬を服用する前に再投薬をしてはならない。
3)QD療法で試験対象者が該当容量の服用を忘れ、通常の投与時点から12時間以内に漏れた容量を服用できるのであれば、そのような容量分を服用することが許容される。そのようなやり直しが不都合な場合、当日に漏れた該当容量分の投与を保留し、次の予定日に投薬を再開するようにする。BID療法の場合、該当容量は適用が可能であれば通常の投与時点から6時間以内にのみ服用することができる。
4)PKプロファイル分析のための連続採血を実施する日(第1周期の1日目および15日目)に試験対象者は試験者の指示により試験薬物を空腹状態で服用(夜12時以後には飲食物や水を摂取しないこと)しなければならず、試験薬物を投与した後2時間の間食事を禁じなければならない。この時間が終われば飲食物を摂取してもよい。
5)PETスキャンを実施する日に試験対象者はPETスキャン時点を基準として6時間前から禁食しなければならず、ただし必要に応じて水をいくらでも飲用することはできる。スキャン検査当日に試験薬物容量を計画する場合、次の要件が適用される。
-スキャン検査時間が午前に予定された場合、試験薬物は水と共に服用することができ、ただし試験対象者は朝食をしてはならない(大体試験者の指示に従う)。
-PETスキャンが午後に予定された場合、試験対象者はPET検査予約時点から4時間(またはそれ以上)前に簡単な朝食をすることができ、朝食後4時間以内に試験薬物を服用してもよい。服用後PETスキャンが完了するまで試験対象者は続けて禁食をしなければならない。
【0058】
3.全体設計
本第I相臨床試験は2つの試験部分(Ia相およびIb相)で構成された多施設、公開、最初のヒト対象(FIH)試験である。
【0059】
この試験のIa相部分(容量増量)は再発性/難治性B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性白血病(SLL)および末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)がある試験対象者で試験薬物の安全性、耐薬性、最大耐薬容量(MTD)/臨床Ib/IIに対する開始容量(RP2D)を決められるように設計された。
【0060】
この試験の1b相部分(容量拡張)はIa相で確認された容量で試験薬物を投与時、進行性がある特定再発性/難治性B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性白血病(SLL)および末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)で腫瘍反応および安全性を評価するように設計された。Ia相(容量増量)で拡張用推奨容量(RDE)が決定されると1b相部分(容量拡張)が始まる。
【0061】
全体臨床試験で登録された各試験対象者に対して予定された総試験期間は約10ヶ月であり、疾病進行がない試験対象者の場合、試験期間を延長することができ、全体臨床試験はスクリーニング期間、試験薬物の投与期間および追跡期間で構成される。各期間に関する具体的内容は次の通りである。
【0062】
イ.スクリーニング期間
臨床試験に関連した手続きまたは評価に先立ち試験対象者同意書を獲得した。すべての潜在的な試験対象者は試験対象者同意書に署名した後スクリーニングを受けた(-21日~-1日)。
【0063】
ロ.試験薬物の投与期間
1)投与期間
試験薬物の投与期間は第1周期の第1日に試験薬物の最初の容量を投与することで始まったし、カプセル形態で経口投与される試験薬物(QDまたは安全性モニタリング委員会が定めたその他の療法)が連続28日間投与された。ここで、1周期は前記28日で構成される。臨床試験に参加する対象者は疾病が進行されるまで試験薬物の投与を継続して受けることができ、前記試験薬物の投与の中断は臨床試験指針および試験者の判断に従う。
【0064】
2)試験薬物の容量増量方法
治療期間中(Ia相部分)容量増量方法は次の通りである。コホート1および2には少なくとも1人以上、最大6人の試験対象者が登録され得る。後続コホートには3人~6人の試験対象者が登録され得る。各コホートの最初の臨床試験対象者は該当コホートに属した後、2人の臨床試験対象者に臨床試験薬物が投与される前に7日間治療され観察される。
【0065】
(1)コホート1に最初に登録された臨床試験対象者が試験薬物に関連した等級1を超過(等級2以上)の異常反応を経験する場合、他の臨床試験対象者が該当コホートに追加で登録され、すべての後続コホートでは少なくとも3人の臨床試験対象者が登録される。コホート1の試験手続きがただ1人の試験対象者で完了する場合、容量増量が進行され、コホート2は1人の試験対象者で始めることができる。その後コホート2に最初に登録された試験対象者が試験薬物に関連した異常反応を経験する場合、該当コホートに試験対象者が追加で登録され、すべての後続コホートには少なくとも3人の臨床試験対象者が含まれる(
図2)。
【0066】
(2)コホート3およびすべての後続コホートは標準3+3デザイン(standard 3+3 design)に従う。3人の試験対象者を登録するコホートの場合、最初の3人の試験対象者から容量制限毒性(DLT、dose limiting toxicity)がなければ安全性モニタリング委員会の勧告によりその次に高い容量水準で容量増量を進行することができる。試験対象者3人のうち1人が容量制限毒性(DLT)を経験する場合、該当容量水準を6人の試験対象者に拡張する(試験対象者3人追加登録すること)。与えられた容量水準で試験対象者2人が容量制限毒性(DLT)を経験する場合、最大耐薬容量(MTD、maximum tolerated dose)を超過したと見なし、該当コホートに対する投与拡大は終了する。次に低い容量水準を6人の試験対象者に拡張したり、すでに6人の試験対象者が登録され、6人のうち1人以下が容量制限毒性(DLT)を経験した場合、前記低い容量水準を最大耐薬容量(MTD)と見なす(
図3)。
【0067】
(3)容量制限毒性(DLT)を経験する臨床試験対象者は容量制限毒性(DLT)が消失したり、減少した容量を始める前に容量制限毒性(DLT)等級または等級1(2つのうちさらに大きい等級基準)に減少した場合、容量制限毒性(DLT)を経験中である試験対象者は減少した容量を継続して投与することができる。減少した容量を投与した臨床試験対象者が異なる容量制限毒性(DLT)を経験する場合、前記試験対象者はそれ以上の容量の投与を受けてはならない。
【0068】
(4)第1周期で試験の参加を中断した者であって、次のように総28日の投薬予定日数のうち実際の投薬日数が20日未満の試験対象者は早期脱落者と見なす。
(a)名目上異常反応に関連がないか毒性と関係のない原因により試験の参加を中断した試験対象者;
(b)異常反応または毒性以外の原因により試験の参加を中断された試験対象者
【0069】
(5)早期脱落者が発生するとすべてのコホートで新しい試験対象者を追加で登録することになり、このような追加登録は試験チーム、依頼者および試験者との議論を経て決定することにし、追加の登録手続きは下記の通りである。
(a)早期脱落者が単一試験対象者に対して計画されたコホート(コホート1または2)で発生すると、単一試験対象者コホートを標準3+3試験設計で進行する。したがって該当コホートは試験設計により少なくとも4人の試験対象者に拡張される。後続コホートでは標準3+3試験設計により少なくとも3人の試験対象者を登録する。このような群で1件の容量制限毒性(DLT)が発生する場合、前記の標準3+3試験設計に関する説明のように、3人の試験対象者を追加で登録して容量拡張を実施する。
(b)早期脱落者が試験対象者3人に対して計画されたあるコホートの一部に属する場合、このコホートは試験対象者4人に拡張される。このような群で1件の容量制限毒性が発生する場合、標準3+3試験設計の場合のように、3人の試験対象者を追加で登録して容量拡張を実施する。
(c)早期脱落者が発生し、安全性モニタリング委員会が該当コホートに試験対象者を追加することを勧告しない場合、早期脱落者はこのような容量増量決定手続きで容量制限毒性(DLT)を経験したものと見なされる。
【0070】
(6)前記容量制限毒性(DLT)はアメリカ国立がん研究所(National Cancer Institute)の異常反応に対する共通用語基準(CTCAE、Common Terminology Criteria for Adverse Events)3等級以上に該当し、疾病、疾病進行、併発疾患(intercurrent illness)または併用薬物と関連がないものと試験者が評価した反応または以上であって、本試験のIa相部分(容量増量)を進行する間試験薬物の最初の投与周期内で発生する異常反応または実験室検査数値以上と定義される。本臨床試験で容量制限毒性(DLT)は次を含むことができる。
(a)すべての5等級毒性
(b)血液学的容量制限毒性
(i)5日以下で持続する4等級の好中球減少症(neutropenia)、リンパ球減少症(lymphopenia)、またはすべての等級の白血球減少症を除いた4等級以上のすべての血液学的毒性
(ii)3等級以上の発熱性好中球減少症(febrile neutropenia)(ANC<1000/mm3および単一体温>38.3℃(101°F)または1時間を超えて体温≧38℃(100.4°F)で持続)。
(iii)感染を伴った3等級好中球減少症
(iv)出血を伴った3等級血小板減少症
(c)非血液学的容量制限毒性
(i)容量制限毒性期間中次を除いた3等級以上のすべての毒性
-最適療法以後3日未満の期間の間3等級の下痢
-最適療法を進行中である3日未満の期間の間3等級の吐き気および嘔吐
-十分な支持療法を始めた後7日未満の期間の間3等級の疲労
-医学的管理後7日以内に1等級以下に消失する無症状の3等級肝機能検査数値増加(アラニンアミノ基転移酵素[ALT]、アスパラギン酸アミノ基転移酵素[AST]またはガンマーグルタミル転移酵素[GGT])
-試験療法と関連性がなく、臨床的相関関係がなく、十分な医学的管理により7日以内に1等級以下に消失する正常外範囲のその他のすべての実験室検査数値
(ii)剥離性皮膚炎(dermatitis exfoliative)、紅斑性発疹(rash erythematous)、全身発疹(rash generalized)、斑点性発疹(rash macular)、丘疹性発疹(rash papular)、剥脱性発疹(exfoliative rash)および皮膚疾患を含む3等級以上の皮膚反応
(iii)医学的管理後7日以内に消失しない2等級の間質性肺炎
(d)安全性モニタリング委員会の検討後容量制限毒性と見なされ得る臨床的に有意であるか持続的なすべての毒性
【0071】
ハ.追跡観察期間
追跡観察期間は試験薬物の最後の容量を投与した後30±2日目に進行される安全性追跡観察訪問、後続追跡観察訪問(必要時)および試験終了(EOS)訪問で構成される。投与を中断した試験対象者は毒性が消失したり疾病進行が確認されるまで追跡観察を受けなければならない。
【0072】
4.評価方法
イ.試験評価および手続き
試験評価、手続きおよび時期は表4に要約された通りであり、種々の評価日程が同時に予定された場合、評価は心電図(ECG)および生命兆候評価後、採血検査(PK検体採取後PD検体採取および安全性実験検体採取)順で進行される。
【0073】
【0074】
ロ.1次評価変数...安全性および耐薬性の評価
1)異常反応、生命兆候、心電図(ECG;electrocardiogram)、臨床実験室検査、身体検査、最後の安全性追跡観察訪問までのECOG PSおよびベースラインの医学的状態により評価
2)耐薬性評価には投与中断、容量減少および最後の安全性追跡観察訪問まで投与容量に対する検討が含まれる。
3)治療期間第1周期の間容量制限毒性(DLT)を基盤として最大耐薬容量(MTD)、臨床Ib/IIに対する開始容量(RP2D)が決定される。
【0075】
ハ.2次評価変数...血漿および小便PK特性糾明および予備抗腫瘍活性評価
1)試験薬物の血漿内濃度-時間プロファイル(第1日および第15日)、小便濃度データ(第15日)および単回投与時導き出されたPK媒介変数(血漿)および反復投与時導き出されたPK媒介変数(血漿および小便)(該当する場合)
-試験薬物の血漿内濃度を測定するために、予め定められた日程により血液サンプルを収集する(表5)。Ia相臨床試験で、容量投与後始めて予め定められた日程により各投与間隔に亘って全体小便を収集しなければならない(表5)。
【0076】
【0077】
-血漿および小便で試験薬物を測定するためのサンプルは適切に検証された生体試料分析法を使って分析する。
-薬物動態学媒介変数はPhoenix WinNonlin Version 8.0または以後バージョン(Certara、L.P.Princeton、New Jersey、USA)および/またはSAS Version 9.2または以後バージョン(SAS Institute、Inc.,Cary、North Carolina、USA)を通じて非区画的方法を使って導き出す。投与後実際の経過時間は最終血漿PK媒介変数計算に使われる。すべての媒介変数の計算には少なくとも3個以上の投与後定量濃度測定値が必要である。
-治療第1周期第1日目および第1周期第15日目に血漿内試験薬物濃度に対して計算する薬物動態学媒介変数は計算可能である場合、表6に提示された媒介変数を含むが、これに限定されるものではなく、適切であると判断される場合、追加的な薬物動態学媒介変数を計算することができる。
【0078】
【0079】
-第1周期第15日目の小便内試験薬物濃度に対して計算するPK媒介変数は計算が可能である場合、次に提示された媒介変数を含むもののこれに限定されない(表7)。
【0080】
【0081】
二.探索的評価変数...薬力学(PD)特性糾明およびバイオマーカー調査
1)全身サイトカインおよびケモカインの絶対値およびベースラインからの変化;活性化した免疫細胞の表現型特性化;腫瘍生検評価のベースラインからの変化;および試験薬物に露出後のその他の薬力学(PD)バイオマーカー
-探索的薬力学(PD)およびバイオマーカー(免疫原性)データには次に対する分析が含まれ得る。
(i)全身サイトカインおよびケモカイン(血清):CCL3、CCL4、INF-γ、インターロイキン(IL)-6、IL-10、腫瘍怪死因子(TNF)-α
(ii)全血薬力学(PD)バイオマーカー:調節性T細胞-プログラム化細胞死滅蛋白質1(PD 1)、細胞毒性T細胞リンパ球関連蛋白質(CTLA)-4、リンパ球活性化遺伝子(LAG)-3
(a)分化集団(CD)8-PD 1、CTLA-4、LAG-3、T細胞免疫グロブリン(Ig)およびムチン領域を含む-3、Ig含むT細胞免疫受容体および免疫受容体チロシン基盤抑制モチーフ領域、Ki67.
(b)骨髓誘導抑制細胞
(iii)腫瘍生検:C-MYC(IHC、FISH)、rH2AX、pAKT(T308、S473)
-対をなす腫瘍生検(paired tumor biopsy)は薬力学(PD)バイオマーカーを探索するために計画された日程により、Ia相(容量増量)でコホート別非液型腫瘍試験対象者1~2人およびIa(容量拡張)で獲得する。類似する情報は液型腫瘍に対する標準腫瘍評価で得ることができる。リンパ腫試験対象者の場合、ホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)組織ブロックまたは少なくとも15個の染色されていないスライドを提出する。研究選択は充分で適合した生物検体標本の使用可能有無により変わり、実験室説明書で定義される。
-探索的バイオマーカー分析は残余腫瘍および/または血液検体(PK検体含む)で進行してもよい。これら試験では試験薬物の効果を調査し、バイオマーカーの変化が試験薬露出および臨床結果とどのような関係を示すことができるかを判断するために潜在的関連性があるその他のバイオマーカーに対する検索を拡張する。このような追加調査は臨床結果、試薬および検体の使用可能有無により変わる
2)試験薬物代謝産物のプロファイリング
【0082】
ホ.安全性評価
1)安全性評価項目
すべての安全性評価は予定された時点で表4に従って進行され、方法は次の通りである。
(1)人口統計情報および病歴
人口統計情報および関連医学的/手術病歴は電子症例報告書(eCRF、electronic case report form)に記録される。
(2)身体検査
スクリーニングおよび第1周期1日目に試験薬物を投与するのに先立ち総合身体検査が進行され、この検査には全体的外観、皮膚、首(甲状腺を含む)、目、耳、鼻、咽喉、肺、心臓、腹部、背、リンパ節、四肢および神経系に対する検査が含まれる。医学的病歴および/または症状による適応症が現れる場合、直腸、外部生殖器、乳房および骨盤部位に対する検査を進行する。以後の評価では全体的な外観および身体部位に対する症状別検査で構成された略式身体検査を実施することになる。
(3)生命兆候
生命兆候(体温、脈拍、呼吸数および血圧)の測定はまっすぐに横になった姿勢または座った姿勢で少なくとも5分以上休息を取った後に試験の進行中まっすぐに横になった姿勢または座った姿勢で進行する。該当姿勢はeCRFに記録する。生命兆候測定データは同時に予定された採血(例:PKまたは臨床実験室検体採取)に先立って収集される。生命兆候測定は医学的に必要であれば試験者の裁量により試験の進行中いつでも実施することができる。
(4)背丈および体重
背丈(スクリーニング時にのみ該当)および体重は試験機関の標準手続きにより測定する。スクリーニング測定のためにボディマス指数(BMI:体重[kg]/背丈2[mXm])を計算する。
(5)パフォーマンスステータス
アメリカ東部腫瘍学協力グループパフォーマンスステータス(ECOG PS、Eastern Cooperative Oncology Group performance status)は次に提示した(表8)。
【0083】
【0084】
(6)心電図
少なくとも5分以上休息を取った後に心拍数を自動で計算し、PR、QRS、QTおよびQTc間隔を測定するECG機械を使って活動日程(表4)におよび表9にそれぞれ提示された測定時期に12誘導心電図検査を重複して実施し、次のような媒介変数を記録する:心拍数、PR間隔、QRS持続時間、QTおよびQTcF。
【0085】
【0086】
各時点で2回の個別ECG追跡結果を2分を越えないようにできるだけ近接した時間間隔内で連続で確保するようにする。重複測定は5分以内に完了するようにする。1次臨床試験結果報告書(CSR、Clinical study report)締め切り日(カットオフ)に到達した後にはEOT評価で心電図(ECG)を測定する必要がない。試験者の裁量により安全上の理由で心電図検査を追加で進行することができる。
(7)心臓映像
左心室心臓機能はスクリーニング/ベースラインでECHOまたはMUGAスキャンを通じて評価する。臨床的兆候または症状により必要であれば心臓映像検査を追加で実施することができる。追加映像検査も同じ方式で進めなければならない。
(8)臨床的安全性実験室評価
遂行しなければならない臨床実験室検査のリストは次に提示した(表10)。検査時期および頻度は表4を参照する。
【0087】
【0088】
試験参加の間および試験療法の最終投与後30日以内に臨床的に有意な異常と見なす数値を示すすべての実験室検査は、このような数値が正常数値またはベースライン数値に戻るまでまたは試験者や医学モニター要員がこれ以上臨床的に有意なものと見なさない時まで反復検査しなければならない。試験薬物の投与を実施する日にはこれら媒介変数に対する検体を容量投与に先立ち採取する。医学的に必要であれば試験者の裁量により追加的な評価を実施することができる。また、試験対象者がバイオマーカー分析のために生検用対をなす腫瘍(paired tumor)検体を提供したのであれば実験室評価を進行することができる。
【0089】
スクリーニング時血清妊娠検査は最初の容量投与日に先立ち3日以内に実施しなければならない。血清妊娠検査は試験期間の間(第2周期から始まる各周期の第1日)そしてEOT、追跡観察訪問およびEOS時点で必ず実施しなければならない。試験対象者(女性)が妊娠する場合、試験薬投与を必ず直ちに中断しなければならない。妊娠検査結果は陽性であるが該当試験対象者(女性)が妊娠していないものと判断される場合、該当検査結果が陽性に誤判定され、妊娠が排除されたものと確認されるまで試験薬の投与を保留しなければならない。
【0090】
2)異常反応
(1)異常反応および重大な異常反応の定義
本臨床試験で定義された異常反応(AE、Adverse event)とは、試験療法に関連したものと見なすかどうかにかかわらず、時間的に試験療法の使用と関連がある事件であって試験対象者で発生した好ましくない医学的事件をいう(表11)。
【0091】
【0092】
本臨床試験である事件が前記にて定義した異常反応に該当しない場合、重大な状態に符合しても重大な異常反応(SAE、Serious adverse event)と見なせない(例:試験対象である疾病の兆候/症状による入院または疾病進行による死亡)。重大な異常反応の定義は次に要約した(表12)。
【0093】
【0094】
また、本臨床試験の重症度の評価基準は次に要約された(表13)。
【0095】
【0096】
-すべての異常反応および重大な異常反応は試験対象者同意書(ICF)に署名した時点から計画された日程に明示された各時点で30日目の安全性追跡観察を実施するまで収集される。
-異常反応および重大な異常反応の確認時に偏向が発生しないように注意しなければならず、試験対象者に誘導質問ではなく開放型質問をして異常反応に関して質問することが好まれる。
-女性試験対象者および男性試験対象者の女性パートナーから発生したすべての妊娠に対する細部情報は、試験薬投与を始める時から最終投与後3ヶ月まで収集する。妊娠結果異常(例:自然流産、胎児死亡、死産、先天性奇形および子宮外妊娠)は重大な異常反応と見なす。
【0097】
ヘ.有効性評価
1)腫瘍反応はIa相およびIb相ですべて評価される。試験薬物の坑がん活性度は臨床試験の2周期ごとにおよび療法終了(EOT)時(選択事項)に映像検査を通じて諸般基準を適用して評価するか(下記の疾病評価基準に関する表14参照)、液型腫瘍の場合骨髓穿刺/生検および血液評価を実施する。評価される腫瘍反応媒介変数は次を含む:
(1)最適全体反応(best overall response):完全反応(CR、complete response)、部分反応(PR、partial response)、安定病変(SD、Stable Disease、12週持続)、または疾病進行(DP、disease progression)
(2)客観的反応率(ORR、objective response rate):完全反応(CR)+部分反応(PR)
(3)臨床有益率(CBR、Clinical Benefit Rate):完全反応(CR)または部分反応(PR)または少なくとも12週間持続する安定病変(SD)
(4)反応持続期間(Duration of response)または安定病変持続期間(Duration of SD)
(5)腫瘍進行までの時間(TTP、time to tumor progression)、無進行生存(PFS、Progression-free survival)、および試験観察期間中全体生存(OS、overall survival)も評価される。
2)疾病評価基準
疾病評価基準および腫瘍反応媒介変数を決定するのに使う道具に関する細部事項は次の通りである(表14)。
【0098】
【0099】
3)ベースライン腫瘍評価
スクリーニングでリンパ腫を有する潜在的な試験対象者はPET-CTスキャン検査とともに、2デオキシ-2-[フルオロ-18]フルオロ-D-グルコースを利用した陽電子放出断層撮影(PET)検査を受けることになる。スキャン検査は血液検体の放射能汚染を防ぐために採血日から少なくとも3日前乃至は最大10日前に実施するようにする。
【0100】
スクリーニングではすべての試験対象者の胸部/腹部/骨盤/知られている追加病変部位を対象にIV造影剤注射を併行した診断映像画質のCTスキャン検査を実施する(PET-CTスキャンを利用した映像検査を受けた試験対象者の場合、映像試験を共に進行できる)。スクリーニング時、ある試験対象者がCT IV造影剤に対して医学的禁忌があったり試験中禁忌が発生する場合、次のような放射線評価を実施する。非造影胸部CTおよび造影腹部/骨盤磁気共鳴映像(MRI)検査、胸部X線検査および超音波検査は腫瘍病変の測定に使ってはならない。
【0101】
試験薬物の投与を始める前21日以内に完了したPET/CTスキャンは使用可能で品質が収容可能であれば(例:PET/CTスキャンのCT部分が造影剤投与とともに実施された場合)ベースライン放射線評価に使ってもよい。
【0102】
以後のすべての後続疾病評価はIV造影剤投与を併行したCTスキャンで進行する。CTスキャンで病期が判定された試験対象者の場合、最大大きさの標的リンパ節、リンパ節腫塊またはその他二つの直径(最長直径[LDi]および最短直径)で測定可能なリンパ性病変のうち最大6個の項目を試験対象者の全体疾病負担を示す多様な身体部位で識別しなければならず、罹患時縦隔および後腹膜部位の疾患もそのような項目に含まれなければならない。測定可能なリンパ節のLDiは1.5cm以上でなければならない。リンパ節以外の部位で測定可能な疾患は6個の代表的な標的病変に含まれ得る。測定可能なリンパ節以外の部位の病変はLDiが1.0cm以上でなければならない。その他すべての病変(リンパ節およびリンパ節以外の部位の疾患と評価可能な疾患を含む)は非標的疾患として追跡しなければならない。
【0103】
脳MRIまたはCTは臨床的に必要な場合にのみスクリーニング時に完了するようにする。造影増強脳MRIを実施することを推奨する。ただしMRI造影剤に対する禁忌症が現れる場合、造影剤除外MRI検査または造影剤含む/除外CT検査を許容することができる。
【0104】
4)ベースライン腫瘍評価
ベースライン時点で測定された各病変は臨床試験期間の間ずっと同一の方法(放射線学的または核医学的方法)で再測定しなければならず、それでこそ一貫した比較結果を得ることができる。CTスキャンの場合、予定された評価のために±7日の期間が割り当てられる。PETスキャンが必要な疾患がある試験対象者は完全反応(CR)を確認するために反復的なPET-CTスキャン検査を受けることになる。PET-CTスキャン検査は血液検体の放射能汚染を防ぐために採血日から少なくとも3日前乃至は最大10日前に実施するようにする。必要であれば試験対象者に対する有効性評価を支援するために、試験者の裁量により試験中いつでも映像評価を追加で実施してもよい。いつでも疾病進行に対する臨床的な疑いがある場合、次に予定された映像評価が進行されるまで待つよりは身体検査および映像評価を直ちに実施しなければならない。疾病進行が疑われる理由で日程外映像評価を進行する場合、以後の映像評価は当初に予定された映像検査日程に沿って進行するようにする。
【0105】
完全反応(CR)の場合、医学モニター要員と相談した後、完全反応(CR)確認用PETスキャンまたはPET-CTスキャンを実施することができる。PET-CTスキャンは採血日を基準として少なくとも3日前~最大10日前に実施するようにする。試験を始める前に骨髓侵犯リンパ腫診断を受けた試験対象者の場合、完全反応(CR)を確認するために骨髓生検を実施するようにする。
【0106】
ト.分析母集団
分析のための分析群の定義は次の通りである(表15)。
【0107】
【0108】
5.統計的方法
イ.有効性分析
第Ia相および第Ib相で試験薬物の投与による腫瘍反応(リンパ腫(B細胞およびT細胞)、CLL/SLL、原発性マクログロブリン血症)は表14の疾病評価基準により評価される。腫瘍媒介変数は前記適用された基準により変わり、次を含むことができる。
【0109】
1)最適全体反応:完全反応(CR)、部分反応(PR)、安定病変(SD)または疾病進行(DP)
最適全体反応は投与後すべての時点(CR、PR、SDまたはDP順で)に亘って最も良い反応と定義される。最適全体反応(CR、PR、SDまたはDP)は試験対象者数および百分率により要約される。最適反応が安定病変(SD)と一致する場合、安定病変(SD)の最小持続時間が満たされなければならない。安定病変(SD)の比率を計算しようとする場合、その比率は少なくとも12週以上の期間の間安定病変(SD)を持続する試験対象者の百分率(%)を示す。
【0110】
2)客観的反応率(ORR):CR+PR
客観的反応率(ORR)は完全反応(CR)または部分反応(PR)の最適全体反応が現れる試験対象者の比率を示す。前記ORRおよびこの95%CIを提示する。95%(正確)CIはクロッパーピアソン方法により計算される。
【0111】
3)臨床的有益率(CBR):CRまたはPRまたは少なくとも12週間以上持続するSD
臨床的有益率(CBR)は反応評価のためのルガーノ基準改正案により完全反応(CR)、部分反応(PR)、または持続的安定病変(SD)(SD ≧12 weeks)基準を充足する試験対象者の比率と定義される。CBRと95%(正確)CIはクロッパーピアソン方法で推定される。
【0112】
4)反応持続期間(Duration of response)
反応者の反応持続期間(CRまたはPR)は適切な反応がはじめて 観察された日と疾病進行または死亡(原因にかかわらず)のうち一つが先に発生した日の間の時間間隔と定義される。適切な反応を示した後、疾病進行なしに生存している試験対象者の場合、反応持続期間は最終腫瘍評価日または疾病進行に対する最終追跡観察訪問日に中途切断される。完全反応(CR)または部分反応(PR)がある試験対象者の反応持続期間はKaplan-Meier方法を使って要約される。中央値に対する中央事件時間、四分位数Q1、Q3および両側95%CIはBrookmeyer-Crowley方法を使って提供される。
【0113】
5)安定病変持続期間(Duration of SD)
安定病変持続期間は試験薬物の投与後初めて安定病変(SD)に到達した日から始めて、いずれの原因であれ、疾病進行または死亡が発生した日のうちよりはやい日まで完全反応(CR)または部分反応(PR)がない時の時間間隔と定義される。疾病進行なしに生存中である試験対象者の場合、安定病変(SD)持続期間は評価可能な最終腫瘍評価日に中途切断される。安定病変(SD)がある試験対象者の反応持続期間はKaplan-Meier方法を使って要約される。中央値に対する中央事件時間、Q1、Q3および両側95%CIはBrookmeyer-Crowley方法を使って提供される。
【0114】
6)腫瘍進行までの時間(TTP)
腫瘍進行までの時間(TTP)は最初の試験容量の投与日から疾病進行までかかった時間で定義される。疾病進行がない試験対象者は「評価可能な最終腫瘍評価日」または最初の容量の投与日に中途切断される。ベースライン以後の評価データがないのであれば、TTPは最初の容量の投与日に中途切断される。腫瘍進行までの時間はKaplan-Meier曲線グラフで表示される。中央値に対する中央事件時間、Q1、Q3および両側95%CIはBrookmeyer-Crowley方法を使って提供される。
【0115】
7)無進行生存(Progression-free survival)
無進行生存(PFS)は試験対象者の最初の試験容量投与日から疾病進行または死亡のうち先に到来する日まで経過した時間で定義される。事例が発生しなかった(疾病進行または死亡が発生しなかった)試験対象者は「最終腫瘍評価」日に中途切断される。ベースライン後に腫瘍評価を受けていない試験対象者は最初の投与時に切断される。PFSは腫瘍進行までの時間(TTP)と同じ方式で要約される。
【0116】
8)全体生存(Overall survival during study observation period)
全体生存(OS、Overall survival)は最初の容量を投与した日から、いずれの原因であれ、死亡した日まで経過した時間で定義される。研究終了時点(EOS)追跡観察時点まで死亡したと知られていない試験対象者の場合、OSは最終連絡日に中途切断される。最終連絡日は次の日のうち最近の日と定義される:
投与中断日、最終容量投与日、最終疾病評価日または試験対象者が生存したと知られている最終追跡観察日OSはKaplan-Meier曲線グラフで表示される。OSは無進行生存(PFS)と同じ方式で要約される。
【0117】
ロ.安全性分析
1)Ia相(容量増量)
容量制限毒性(DLT)を経験する試験対象者数および比率は容量制限毒性評価可能群を基準として要約される。クロッパーピアソン方法により相応する95%正確CIが提供される。最大耐薬容量(MTD)/臨床Ib/II相のための推奨容量(RP2D)の推定は本明細書に提供された方法に従う(3.全体設計、2)試験薬物の容量増量方法参照)。
【0118】
2)Ia相(容量増量)およびIb相(容量拡張)
安全性分析群に対して次の分析が遂行される。
(1)療法後発生した異常反応(TEAE、treatment emergent adverse event):
療法後発生した異常反応(TEAE)は試験薬物の最初の投与を始めた日から試験薬物の最終投与後30日が経過するまで発生するすべての異常反応と定義され、またはベースライン時点で存在するが重症度の面で悪化するすべての事例(反応)と定義される。TEAEは規制活動のための医学用語辞典(MedDRA)バージョン21.1または後続バージョンを使ってコード化およびグループ化するようにする。すべての異常反応および毒性の等級はCTCAE(バージョン5.0)により評価される。分析は次を含むもののこれに限定されない:
TEAE、療法関連TEAE、3等級以上のTEAE、3等級以上の療法関連TEAE、試験薬物の投与の中断により発生したTEAE、重大なTEAE、重大な療法関連TEAEおよび死亡を招いたTEAE.試験対象者の数と比率は前記の項目に対して要約し、MedDRA器官系分類(SOC)および代表用語(PT)によっても要約する。各TEAE範疇に属した対象者の比率に対して両側95%CIが提供される。TEAEの重症度および因果関係を要約する。試験で発生するすべてのAEは資料リストに表示され、TEAEは別途に区分される。
また、特別関心対象異常反応を利用した追加要約が提供されてもよい。特別関心対象異常反応は次を含むがこれに限定されない:
肝毒性、皮膚発疹、下痢/大腸炎、間質性肺炎、白血球減少、貧血、PJPおよびCMV感染のような日和見感染を含んだ感染率増加
【0119】
(2)臨床実験室媒介変数(血液学、臨床化学検査、凝固、甲状腺、糖化血色素[HbA1c]および尿検査)はそれぞれ予定された時間に要約する。時間の経過にともなう変化は技術統計を使って説明し、正常範囲を逸脱した値を示す試験対象者の比率を表示する。高等級および低等級実験室評価配分はもちろん、臨床的に重要な実験室評価も確認する。臨床的に重要な実験室評価結果による非正常的数値の発生を提示する。臨床実験室データの等級はCTCAEにより評価する。CTCAEにより等級が定義されていない実験室検査の場合、検査結果の等級は実験室正常範囲により低い/正常/高いに区分して評価する。頻度表は3等級または4等級療法で新しく発生するAEに対して使う。選択された実験室媒介変数に対する各検体採取時点でベースライン数値とベースライン以後の数値を互いに比較するために変化表(shift table)を作成する。技術統計は生命兆候結果(脈拍数、呼吸数、体温、収縮期血圧および弛緩期血圧)とベースライン以後の変化をそれぞれ要約するのに使われる。中央ECG検討者のデータは要約発表資料に使われる。中央検討者のデータを出処にしていずれか一時点で各ECG媒介変数の値2つは、対象者の時間特異媒介変数を決定するために平均された後に要約に使われる。心電図変数はベースライン以後の変化を含んで予定された各時点で技術統計を使って要約する。全般的な解釈のために中央検討者が評価したところにより、ECG結果が正常および異常と判定された対象者の数と比率は時点ごとに表で作成する。ベースライン時点からベースライン以後の最悪の結果が測定された時点まで数値変化を表で作成する。
【0120】
(3)ECOGパフォーマンスステータスは訪問別に要約する。
【0121】
(4)身体検査はリストでのみ表示される。臨床的に有意なすべての異常所見は医学的病歴または異常反応と記録される。
【0122】
(5)女性に対する妊娠検査結果を列挙する。
【0123】
(6)投与周期回数、投与された容量、累積投与量、容量強度、相対的容量強度および全体露出期間は安全性分析群(SAS)に対して要約され、標準要約統計を使って要約される。各試験対象者に対する周期別総容量は技術統計を使って要約する。試験薬物の耐薬性は投与遅延、中断および容量減少の回数を要約して評価する。投与遅延、中断および容量減少の諸般理由は試験対象者別に列挙し要約する。投与中断理由は試験薬物の最初投与日および最終投与日、試験薬物露出期間および投与中断日と共に要約および列挙する。
【0124】
(7)すべての事前薬物および併用薬物データが列挙される。事前薬物とは、試験薬物の最初の容量を投与する前に中断された薬物を指す。併用薬物とは、試験薬物の最初の容量を投与時またはその後に少なくとも1回以上服用した薬物を指す。試験薬物の最初投与日前に投与し始めて同じ試験薬物の最初投与日に投与を中断した薬物は事前薬物とのみ見なす。すべての薬物は世界保健機構薬物辞典/薬物参考リスト(WHO Drug Dictionary/WHO Drug Reference List)の最新バージョンを使ってコード化する。試験対象者の数と百分率は事前薬物および併用薬物に対するPTおよび国際薬物分類体系(ATC)1段階および2段階により提示される。
【0125】
8)非薬物療法情報を列挙する。非薬物療法の名称はMedDRAを使ってコード化される。試験対象者の数と百分率はPTを通じて提示する。
【0126】
9)全体分析群(FAS)に対する人口統計、ベースライン時点の健康状態、医学的病歴およびその他ベースライン特性を要約および列挙する。
【0127】
ハ.薬物動態学(PK)分析
試験薬物の血漿内濃度およびPK媒介変数は技術統計を使って容量、周期および試験段階により列挙および要約する。
【0128】
試験薬物の小便内濃度と媒介変数は技術統計を使って容量別に列挙および要約する。試験薬物の血漿内濃度-時間プロファイルはグラフで表示する。
【0129】
投与間隔[AUC(0-tau)]、0時間から無限大まで外挿した血漿内薬物濃度-時間曲線下面積[AUC(0-inf)]または0時間から最後に測定可能な濃度時点まで血漿内薬物濃度-時間曲線下面積[AUC(0-last)](殆どの試験対象者からAUC(0-inf)を計算できない場合)を含んで適用可能なPK露出媒介変数の個別値および幾何平均を表した散布図、そしてCmax大容量の比較結果を試験日により提示する。投与容量範囲でCmax、AUC(0-tau)およびAUC(0-inf)[またはAUC(0-last):殆どの試験対象者からAUC(0-inf)を計算できない場合]に対するPK露出媒介変数の容量比例は検定力モデルを使って調査することができる。時間線形性と試験薬物容量は分散分析モデルを使って評価することができる。性別、年齢および/または体重におる影響はグラフまたは推論分析活用を通じて探索することができる。計画された統計分析に関する詳しい内容は統計分析計画(SAP)に提示する。正常状態条件の達成は投与前試験薬物濃度のグラフ表示を通じて肉眼で評価することができる。
【0130】
二.薬力学(PD)分析
探索的PDおよび予測的バイオマーカーデータが列挙され、適切であれば観測された値およびベースライン数値対比変化に対する技術的要約を通じて該当データを提示する。
【0131】
ホ.薬物動態学(PK)-薬力学(PD)分析
試験薬物露出と腫瘍大きさ減少の相関関係は散布図(scatter plot)を使ってグラフで探索することができる。
【0132】
ヘ.中間分析
実施する中間分析に対する細部事項は統計分析計画(SAP)に記述する。
1)第Ia相部分(容量増量):第Ia相試験中次のように2件の中間分析を実施する。
-コホート3最終試験対象者の1周期完了後
-第1a相最終コホートの1周期完了後
2)第1b相部分(容量拡張):第1b相のすべての試験対象者が少なくとも6周期以上療法を受けたり完了するのに十分な時間の間追跡観察を受けた時点または6周期未満である場合、療法中断まで追跡観察を受けた時点で1件の中間分析を実施する。
【0133】
6.評価結果
イ.安全性評価結果
11人の臨床試験対象者のうち2人が3等級の皮膚反応(skin reaction)を示したし、3人は肝毒性(hepatotoxicites)を示したことを確認した。前記すべての異常反応は管理可能であったし、試験薬物中断時0等級または1等級に回復した。
【0134】
コホート1~3に含まれた5人の臨床試験対象者(DLBCL(1人)およびPTCL(4人))に対する安全性評価結果は次の通りである:
療法後発生異常反応(TEAE)は5人のうち4人(80.0%)の試験対象者で発生した。このうち3人の試験対象者で発生したTEAEは試験薬物と関連性があるものと評価され(60.0%、3件)、投与に関連した死亡は発生しなかった。2人の試験対象者が2等級(moderate)のTEAEを示したし、1等級(mild)および4等級(life-threatening)のTEAEをそれぞれ1人ずつ示した。前記4等級のTEAEは血小板減少症であり、試験薬物と関連性がなかった。
【0135】
前記結果によると、コホート1~3で3等級(severe)~5等級(death)と評価された重大な異常反応は発生しなかったし、これに伴い、コホート1~3の容量範囲では容量制限毒性(DLT)がないことを確認した。
【0136】
コホート4に対する安全性評価結果は次の通りである:
コホート4(325mg QD)では2件の容量制限毒性(DLT)が観察された。これに伴い、最大耐薬容量(MTD)を超過したものと見なして該当コホートに対する投与拡大は終了した。投与容量は以前の低い容量水準に減少したし(200mg QD)、減少した容量に対して3人の追加試験対象者登録で拡張した。該当拡張コホート(200mg QD)6人の試験対象者で容量制限毒性がないことを確認した。
【0137】
前記コホート1~4に関する安全性評価結果から最大耐薬容量(MTD)が200mg QDであることを確認したし、この容量範囲で耐薬性が優秀であることを確認した。また、安全性モニタリング委員会を通じて臨床Ib/IIに対する開始容量(RP2D)として200mg QDが勧告された。
【0138】
ロ.有効性評価結果...腫瘍反応評価
臨床Ia相(容量増量部分)で登録された12人のうち11人の試験対象者で腫瘍反応評価が確認された。具体的には、1人の試験対象者で完全反応(CR)、2人の試験対象者で部分反応(PR)が確認され、また、6人の試験対象者で安定病変(SD)が観察された。また、2人の試験対象者で疾病進行(PD)が確認された。
【0139】
12人の登録試験対象者のうち特に、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)診断を受けた8人の試験対象者に対する腫瘍反応評価で、1人の完全反応(CR)、2人の部分反応(PR)、4人の安定病変(SD)および1人の疾病進行(PD)が観察され、疾病調節率(Disease Control Rate、DCR)は87.5%であった。
【0140】
前記結果から試験薬物が末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)試験対象者で予備的な活性を示すことを確認した。
【0141】
ハ.薬物動態学および薬力学評価結果
1)薬物動態学
第1周期第1日目(C1D1)、臨床試験対象者で薬物動態学分析のための血漿サンプルを試験薬物の投与前と投与後(0.5、1、1.5、2、3、4、6、9、12および24時間)に収集して薬物動態学分析結果、試験薬物の50mg QD、100mg QDおよび200mg QD単回投与後の最大血漿濃度は2443ng/ml範囲であり、また全身露出(AUC
0-24基準)はmL当たり2760~21850ng・h範囲であることを確認したし、50mg~200mgの容量範囲で試験薬物の露出濃度が容量依存的に増加することを確認した(
図4)。
【0142】
また、50mg QD、100mg QD、200mg QDコホートの反復投与範囲で平均血漿濃度値は単回投与のC
maxおよびAUC
tauを基準としてそれぞれ約2.92倍および4.97倍の露出増加を示した。また、50mg~200mg容量範囲で試験薬物の露出濃度が容量依存的に増加することを確認したし、薬物蓄積は観察されないことを確認した(
図5)。
【0143】
2)薬力学
試験薬物の薬力学分析のための血液サンプルはIa相(容量増量部分)で収集された。試験薬物が制御性T細胞(Treg)とCD8+T細胞に及ぼす効果を観察するために、全血サンプルに対してCD3+、CD4+、CD25+、CD127lowおよびCD8+に対する共同免疫染色を遂行した後、フローサイトメトリー(flow-cytometry)をした。
【0144】
その結果、試験薬物の血漿濃度が増加するほどベースライン値対比制御性T細胞(T
reg)が減少し、CD8
+T細胞が増加することを確認した(
図6aおよび6b)。前記結果は薬物動態学による試験薬物の露出に依存して制御性T細胞(T
reg)の減少およびCD8
+T細胞の増加が発生することを確認したものであり、これにより試験薬物の薬物動態学と薬力学とは相関関係があることを確認したのである。
【国際調査報告】