(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】がんを治療するための方法及び材料
(51)【国際特許分類】
A61K 35/15 20150101AFI20241024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241024BHJP
A61K 35/768 20150101ALI20241024BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20241024BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20241024BHJP
A61K 35/763 20150101ALI20241024BHJP
A61K 35/766 20150101ALI20241024BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20241024BHJP
A61K 39/13 20060101ALI20241024BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20241024BHJP
A61K 39/155 20060101ALI20241024BHJP
A61K 39/15 20060101ALI20241024BHJP
A61K 39/205 20060101ALI20241024BHJP
A61K 39/235 20060101ALI20241024BHJP
A61K 39/17 20060101ALI20241024BHJP
A61K 39/245 20060101ALI20241024BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241024BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K35/15
A61P35/00
A61P35/02
A61K35/768
A61K35/76
A61K35/761
A61K35/763
A61K35/766
A61K48/00
A61K35/17
A61K39/13
A61K39/12
A61K39/155
A61K39/15
A61K39/205
A61K39/235
A61K39/17
A61K39/245
A61K39/00 B
A61P43/00 121
C12N5/10 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N7/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526517
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022079279
(87)【国際公開番号】W WO2023081803
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィル,リチャード ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ディアス マルカノ,ロサ エム.
(72)【発明者】
【氏名】コッケ,ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】トーン,ジェイソン エム.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA95X
4B065AB01
4B065BA01
4B065BA02
4B065CA24
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4C084AA13
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4C084ZC751
4C085AA06
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4C085CC08
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB43
4C087BB65
4C087BC83
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
(57)【要約】
本明細書は、がんの治療に関する方法及び材料に関する。例えば、(a)T細胞に感染することができ(例えば、感染性レトロウイルスベクター又は感染性レンチウイルスベクター)、T細胞内で抗原受容体(例えば、CAR)の発現を駆動することができるウイルスベクターを放出するように設計されたAPC(例えば、樹状細胞)、並びに(b)投与集団のAPCにより及び/又は哺乳動物中の他のAPCにより哺乳動物中のT細胞に提示され得る1つ以上の抗原を含有する抗原性組成物、を使用して、二重特異性CAR
+メモリーT細胞を産生するための方法及び材料が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを有する哺乳動物を治療する方法であって:
(a)前記哺乳動物に抗原提示細胞(APC)の集団を投与するステップであって、前記APCが、(i)前記がんのがん抗原を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を含むウイルスベクターをコードする核酸を含み、(ii)前記哺乳動物中に前記ウイルスベクターの集団を放出し、放出されたウイルスベクターの集団のウイルスベクターが前記哺乳動物中のT細胞の集団に感染し、感染T細胞内で複製欠損であり、前記感染T細胞が前記CARを発現する、前記ステップ、
(b)前記哺乳動物に第1の抗原性組成物を投与するステップであって、前記CARを発現する前記感染T細胞の少なくとも一部が、前記感染T細胞の内因性T細胞受容体(TCR)を介して、前記第1の抗原性組成物の抗原を認識し、前記哺乳動物中で二重特異性メモリーT細胞を形成する、前記ステップ、及び
(c)前記哺乳動物に前記抗原を含む第2の抗原性組成物を投与するステップであって、前記二重特異性メモリーT細胞が、その内因性TCRを介して刺激されて、前記CARを含む二重特異性エフェクターT細胞を形成し、前記エフェクターT細胞が、前記哺乳動物中のがん細胞の数を減少させる、前記ステップ
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記がんが、脳幹グリオーマ、膵臓がん、胆管がん、肺がん、皮膚がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、肝臓がん、結腸直腸がん、胚細胞腫瘍、肝細胞癌、腸がん、多発性骨髄腫、リンパ腫、及び白血病からなる群から選択される、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記APCの集団が樹状細胞を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記がん抗原が、分化抗原群19(CD19)、CD22、CD20、GD2、EGFRvIII、メソテリン、IL-13RA、BCMA、CD138、NKG2-D、HER2/Neu、IL-13RA2、CD137、CD28、B7-H3(CD276)、CD16V、CA-125、MUC-1、上皮腫瘍抗原、メラノーマ関連抗原、変異p53、変異Ras、ERBB2、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、CD123、CD23、CD30、CD56、c-Met、GD3、HERV-K、IL-11Rアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、及びVEGFR2からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の抗原性組成物がウイルスを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ウイルスが腫瘍溶解性ウイルスである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ウイルスが、ベシクロウイルス、ラブドウイルス、レオウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ポリオウイルス、パラミクソウイルス科ウイルス、コクサッキーウイルス、セネカウイルス、ヘルペスウイルス、及びモルビリウイルスからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の抗原性組成物が、前記ウイルスに対して異種の抗原を発現するウイルスを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の抗原性組成物が、前記哺乳動物に対して外来性の抗原性ポリペプチドを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記APCの集団と前記第1の抗原性組成物が、前記哺乳動物に同時に投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記APCの集団が、前記哺乳動物に投与される前に前記第1の抗原性組成物と共にプレインキュベートされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記APCの集団と前記第1の抗原性組成物が、前記哺乳動物に単一組成物として投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記APCの集団と前記第1の抗原性組成物が、前記哺乳動物に互いに約1秒~約48時間以内に投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記二重特異性メモリーT細胞が、CD69
+及びCD103
+である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記二重特異性メモリーT細胞が、セントラルメモリーT細胞(T
CM細胞)、エフェクターメモリーT細胞(T
EM細胞)、最終分化エフェクターメモリーT細胞(T
EMRA細胞)、及び組織常在性メモリーT細胞(T
RM細胞)からなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の抗原性組成物が、前記哺乳動物に、前記APCの集団の前記投与及び前記第1の抗原性組成物の前記投与の少なくとも5日後に投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記哺乳動物中の前記がん細胞の数が、前記ステップ(a)~(c)の後で少なくとも25パーセント減少する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、前記ステップ(a)及び(b)を受けており前記ステップ(c)を受けていない同等の哺乳動物と比較して、前記哺乳動物の生存率を改善するために有効である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記哺乳動物の生存率が前記ステップ(a)及び(b)を受けており前記ステップ(c)を受けていない同等の哺乳動物と比較して、少なくとも25パーセント改善される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
哺乳動物中でキメラ抗原受容体(CAR)を発現するメモリーT細胞を生成する方法であって:
(a)前記哺乳動物に抗原提示細胞(APC)の集団を投与するステップであって、前記APCが、(i)前記CARをコードする核酸配列を含むウイルスベクターをコードする核酸を含み、(ii)前記哺乳動物中に前記ウイルスベクターの集団を放出し、放出されたウイルスベクターの集団のウイルスベクターが前記哺乳動物中のT細胞の集団に感染し、感染T細胞内で複製欠損であり、前記感染T細胞が前記CARを発現する、前記ステップ、及び
(b)前記哺乳動物に第1の抗原性組成物を投与するステップであって、前記CARを発現する前記感染T細胞の少なくとも一部が、前記感染T細胞の内因性T細胞受容体(TCR)を介して、前記第1の抗原性組成物の抗原を認識し、前記哺乳動物中で二重特異性メモリーT細胞を形成する、前記ステップ
を含む、前記方法。
【請求項22】
前記哺乳動物がヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記APCの集団が樹状細胞を含む、請求項21~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記投与ステップ(a)、ステップ(b)又は両方が、静脈内投与である、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記APCの集団と前記第1の抗原性組成物が、前記哺乳動物に同時に投与される、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記APCの集団が、前記哺乳動物に投与される前に前記第1の抗原性組成物と共にプレインキュベートされる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記APCの集団と前記抗原性組成物が、前記哺乳動物に単一組成物として投与される、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記APCの集団と前記第1の抗原性組成物が、前記哺乳動物に互いに約1秒~約48時間以内に投与される、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記CARが、がん抗原を標的とする、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記がん抗原が、分化抗原群19(CD19)、CD22、CD20、GD2、EGFRvIII、メソテリン、IL-13RA、BCMA、CD138、NKG2-D、HER2/Neu、IL-13RA2、CD137、CD28、B7-H3(CD276)、CD16V、CA-125、MUC-1、上皮腫瘍抗原、メラノーマ関連抗原、変異p53、変異Ras、ERBB2、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、CD123、CD23、CD30、CD56、c-Met、GD3、HERV-K、IL-11Rアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、及びVEGFR2からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記抗原性組成物がウイルスを含む、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ウイルスが腫瘍溶解性ウイルスである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ウイルスが、ベシクロウイルス、ラブドウイルス、レオウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ポリオウイルス、パラミクソウイルス科ウイルス、コクサッキーウイルス、セネカウイルス、ヘルペスウイルス、及びモルビリウイルスからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記抗原性組成物が、前記ウイルスに対して異種の抗原を発現するウイルスを含む、請求項21~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記抗原性組成物が、前記哺乳動物に対して外来性の抗原性ポリペプチドを含む、請求項21~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記二重特異性メモリーT細胞が、CD69
+及びCD103
+である、請求項21~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記二重特異性メモリーT細胞が、セントラルメモリーT細胞(T
CM細胞)、エフェクターメモリーT細胞(T
EM細胞)、最終分化エフェクターメモリーT細胞(T
EMRA細胞)、及び組織常在性メモリーT細胞(T
RM細胞)からなる群から選択される、請求項21~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記哺乳動物が、がんを有する、請求項21~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記がんが、脳幹グリオーマ、膵臓がん、胆管がん、肺がん、皮膚がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、肝臓がん、結腸直腸がん、胚細胞腫瘍、肝細胞癌、腸がん、多発性骨髄腫、リンパ腫、及び白血病からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記方法が、前記哺乳動物に前記抗原を含む第2の抗原性組成物を投与するステップを含む、請求項21~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記二重特異性メモリーT細胞が、前記第2の抗原性組成物の前記抗原により、その内因性TCRを介して刺激されて、前記CARを含む二重特異性エフェクターT細胞を形成する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
哺乳動物が、がんを有し、前記二重特異性エフェクターT細胞が、前記哺乳動物中のがん細胞の数を減少させる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の抗原性組成物が、前記哺乳動物に、前記APCの集団の前記投与及び前記第1の抗原性組成物の前記投与の少なくとも5日後に投与される、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記哺乳動物が、がんを有し、前記哺乳動物中の前記がん細胞の数が、前記第2の抗原性組成物の前記投与の後で少なくとも25パーセント減少する、請求項40~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記哺乳動物が、がんを有し、前記方法が、前記APCの集団を投与されていない同等の哺乳動物と比較して、前記哺乳動物の生存率を改善するために有効である、請求項21~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記哺乳動物が、がんを有し、前記哺乳動物の生存率が、前記APCの集団を投与されていない同等の哺乳動物と比較して、少なくとも25パーセント改善される、請求項21~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
APCの集団であって、前記APCが、CARをコードする核酸配列を含むウイルスベクターをコードする核酸を含み、哺乳動物中に前記ウイルスベクターの集団を放出することが可能であり、放出されたウイルスベクターの集団のウイルスベクターが、前記哺乳動物中でT細胞の集団に感染することが可能であり、感染T細胞内で複製欠損であり、前記感染T細胞が、前記CARを発現することが可能である、集団。
【請求項48】
前記APCが樹状細胞である、請求項47に記載の集団。
【請求項49】
前記APCがヒトAPCである、請求項47~48のいずれか一項に記載の集団。
【請求項50】
前記CARが、がん抗原を標的とする、請求項47~49のいずれか一項に記載の集団。
【請求項51】
前記がん抗原が、分化抗原群19(CD19)、CD22、CD20、GD2、EGFRvIII、メソテリン、IL-13RA、BCMA、CD138、NKG2-D、HER2/Neu、IL-13RA2、CD137、CD28、B7-H3(CD276)、CD16V、CA-125、MUC-1、上皮腫瘍抗原、メラノーマ関連抗原、変異p53、変異Ras、ERBB2、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、CD123、CD23、CD30、CD56、c-Met、GD3、HERV-K、IL-11Rアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、及びVEGFR2からなる群から選択される、請求項50に記載の集団。
【請求項52】
前記APCが、抗原性組成物で負荷又は被覆される、請求項47~51のいずれか一項に記載の集団。
【請求項53】
前記抗原性組成物がウイルスを含む、請求項52に記載の集団。
【請求項54】
前記ウイルスが腫瘍溶解性ウイルスである、請求項53に記載の集団。
【請求項55】
前記ウイルスが、ベシクロウイルス、ラブドウイルス、レオウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ポリオウイルス、パラミクソウイルス科ウイルス、コクサッキーウイルス、セネカウイルス、ヘルペスウイルス、及びモルビリウイルスからなる群から選択される、請求項54に記載の集団。
【請求項56】
前記抗原性組成物が、前記ウイルスに対して異種の抗原を発現するウイルスを含む、請求項52~55のいずれか一項に記載の集団。
【請求項57】
前記抗原性組成物が、前記哺乳動物に対して外来性の抗原性ポリペプチドを含む、請求項52~56のいずれか一項に記載の集団。
【請求項58】
前記APCが、前記哺乳動物に対して同種異系のAPCである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記APCが前記哺乳動物に対して自己のAPCである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記APCが、前記哺乳動物に対して同種異系のAPCである、請求項21~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記APCが前記哺乳動物に対して自己のAPCである、請求項21~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記APCが、前記哺乳動物に対して同種異系のAPCである、請求項47~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記APCが前記哺乳動物に対して自己のAPCである、請求項47~57のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年11月4日に出願された米国特許出願第63/275,847号の利益を主張する。先行出願の開示は、本出願の開示の一部とみなされる(そして参照により本出願に組み込まれる)。
【0002】
(配列表)
本出願は、「07039-2109WO1.XML.」と名付けられたXMLファイルとして電子的に提出された配列表(Sequence Listing)を含む。2022年11月3日に作成された上記のXMLファイルは、サイズが7000バイトである。このXMLファイル中の資料(material)は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0003】
本明細書は、がんの治療に関する方法及び材料に関する。例えば、本明細書は、(a)T細胞に感染することができ(例えば、感染性レトロウイルスベクター又は感染性レンチウイルスベクター)、T細胞内で複製欠損であり、抗原受容体(例えば、キメラ抗原受容体(CAR))の発現を駆動することができるウイルスベクターを放出するように設計され、場合により、(b)1つ以上の外来抗原(例えば、治療される哺乳動物に対して外来性の1つ以上の抗原)を発現及び/又は提示するように設計された抗原提示細胞(APC、例えば樹状細胞)を使用して、がんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)を治療するための方法及び材料を提供する。
【背景技術】
【0004】
固形腫瘍に対するCARを発現するT細胞(CAR T細胞)のかなりわずかな効果は、CAR T細胞の浸潤、持続性及び機能を制限する、腫瘍微小環境における複数の免疫抑制機構に由来する(Newick et al., Annu. Rev. Med., 68:139-152 (2017);Schmidts et al., Front. Immunol., 9:2593 (2018);Morgan et al., Front. Immunol., 9:2493 (2018);及びLabanieh et al., Nat. Biomed. Eng., 2(6):377-391 (2018))。
【発明の概要】
【0005】
本明細書は、がんの治療に関する方法及び材料を提供する。例えば、本明細書は、T細胞に感染することができ(例えば、感染性レトロウイルスベクター又は感染性レンチウイルスベクター)、そのT細胞内で抗原受容体(例えば、CAR)の発現を駆動することができるウイルスベクターを放出するように設計され、場合により、がんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)中のT細胞に対して1つ以上の外来抗原を発現及び/又は提示するように設計されたAPC(例えば、樹状細胞)を使用して、その哺乳動物を治療するための方法及び材料を提供する。一部の例では、哺乳動物(例えば、ヒト、例えば、がんを有するヒト)に、(a)T細胞に感染することができ(例えば、感染性レトロウイルスベクター又は感染性レンチウイルスベクター)、そのT細胞内で抗原受容体(例えば、CAR)の発現を駆動することができるウイルスベクターを放出するように設計され、(b)投与集団のAPCにより及び/又は哺乳動物中の他のAPCにより哺乳動物中のT細胞に提示され得る1つ以上の外来抗原を発現するように設計されたAPC(例えば、樹状細胞)の集団を投与することができる。このような場合、少なくとも一部の投与されたAPCは、哺乳動物中の天然T細胞に感染するウイルスベクターを産生及び放出して、CAR+ T細胞を形成することができる。さらに、1つ以上の外来抗原は、これらの感染CAR+ T細胞の少なくとも一部を、これらの内因性T細胞受容体(TCR)を介して活性化して、これらの内因性TCRを介して外来抗原に特異的であり、且つCARに標的とされる抗原に特異的である二重特異性メモリーT細胞を形成することができる活性化二重特異性T細胞を形成することができる。このような二重特異性メモリーT細胞は、外来抗原(例えば、1つ以上のブースター)を含有する抗原性組成物の1回以上の後続投与により刺激されて、哺乳動物中に二重特異性CAR+エフェクターT細胞及び/又は二重特異性CAR+メモリーT細胞の強力な集団を生成することができる。このような二重特異性CAR+エフェクターT細胞及び/又は二重特異性CAR+メモリーT細胞の強力な集団は、哺乳動物中に有効な抗がん応答をもたらし、それによってがんを治療することができる。
【0006】
一部の例では、哺乳動物(例えば、ヒト、例えば、がんを有するヒト)に、(a)T細胞に感染することができ(例えば、感染性レトロウイルスベクター又は感染性レンチウイルスベクター)、そのT細胞内で抗原受容体(例えば、CAR)の発現を駆動することができるウイルスベクターを放出するように設計されたAPC(例えば、樹状細胞)の集団、並びに(b)投与集団のAPCにより及び/又は哺乳動物中の他のAPCにより哺乳動物中のT細胞に提示され得る1つ以上の抗原を含有する第1の抗原性組成物、を投与することができる。このような場合、少なくとも一部の投与されたAPCは、哺乳動物中の天然T細胞に感染するウイルスベクターを産生及び放出して、CAR+ T細胞を形成することができる。さらに、第1の抗原性組成物の1つ以上の抗原を哺乳動物中のT細胞に提示することは、これらの感染CAR+ T細胞の少なくとも一部を、これらの内因性TCRを介して活性化して、これらの内因性TCRを介して外来抗原に特異的であり、且つCARに標的とされる抗原に特異的である二重特異性メモリーT細胞を形成することができる活性化二重特異性T細胞を形成することができる。このような二重特異性メモリーT細胞は、外来抗原(例えば、1つ以上のブースター)を含有する第2の抗原性組成物の1回以上の後続投与により刺激されて、哺乳動物中に二重特異性CAR+エフェクターT細胞及び/又は二重特異性CAR+メモリーT細胞の強力な集団を生成することができる。このような二重特異性CAR+エフェクターT細胞及び/又は二重特異性CAR+メモリーT細胞の強力な集団は、哺乳動物中で有効な抗がん応答をもたらし、それによってがんを治療することができる。
【0007】
in vitroで調製されたCAR T細胞は、高度に分化された寿命の短いエフェクター細胞であり得、表現型がほぼ解明されている。CAR TEFFは、CAR TNからCAR TSCM、CAR TCM、CAR TEM及びCAR T TRMまで、in vivoで分化して自己永続的な持続性のメモリーエフェクター集団の生成を可能にする能力が欠如している可能性がある。本明細書中に記載されるように、T細胞にin vivoで感染することができ、感染T細胞内で複製欠損であり、感染T細胞内でCARの発現を駆動することができるウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を産生及び放出するように設計されたAPC(例えば、樹状細胞)の集団を、抗原性刺激(例えば、1つ以上の抗原及び/又は1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含有する抗原性組成物の投与)と一緒に投与することは、(i)CARを介したCARの標的(例えば、がん細胞)及び(ii)抗原性組成物の抗原に特異的な内因性TCRを介した抗原性刺激の抗原、を両方とも認識することができる、ナイーブCAR+ T細胞のin vivo生成をもたらすことができる。同様に、本明細書中で示されるとおり、哺乳動物中に生成されたナイーブCAR+ T細胞は、T細胞メモリー及びエフェクター表現型の範囲にわたってin vivoで分化することができ、二重特異性CAR+メモリーT細胞を後の抗原性刺激の投与により再活性化して、強力な免疫応答(例えば、CAR+エフェクターT細胞及び/又はCAR+メモリーT細胞の集団)をCARの標的(例えば、がん)に向けることができる。一部の例では、本明細書中に記載されるin vivoで生成されたナイーブCAR+ T細胞から分化した二重特異性CAR+メモリーT細胞は、これらの二重特異性CAR+メモリーT細胞の内因性TCRに認識される1つ以上の抗原を後続投与することによって、急速且つ有効に刺激されて、CARの標的を標的とするCAR+エフェクターT細胞及び/又はCAR+メモリーT細胞の集団を生成することができる。このような場合、1つ以上のブーストが、抗原性組成物の抗原に特異的なそれらの内因性TCRを介して二重特異性CAR+メモリーT細胞を刺激することが可能であり、これらの二重特異性CAR+メモリーT細胞は、それらの提供されたCARを介してCAR標的を自由に追跡し且つ殺傷し、及び/又は追跡し且つ殺傷することが可能な二重特異性CAR+エフェクターT細胞を自由に生成することができる。
【0008】
本明細書中に記載される、哺乳動物においてCAR+ T細胞(例えば、ナイーブCAR+ T細胞)を生成する能力は、がん細胞、例えば免疫系により検出することができない可能性がある固形腫瘍中のがん細胞、及び二次的な(例えば、転移性の)位置におけるがん細胞などを標的とする(例えば、位置を特定して破壊する)免疫療法を使用する固有の機会を提供する。例えば、本明細書中に記載されるように、ナイーブCAR+ T細胞、活性化二重特異性CAR+ T細胞及び二重特異性CAR+メモリーT細胞をin vivoで生成することは、がん細胞に対してより活性であり、現在の免疫療法に使用される従来のCAR+ T細胞より長くin vivoで持続し、ブースティング抗原の後続投与を介してin vivoで迅速に再活性化されてCAR+エフェクターT細胞を生成し、これにより長期抗がん応答をもたらし得るT細胞をもたらすことができる。
【0009】
一般的には、本明細書の一態様は、がんを有する哺乳動物を治療する方法を特徴とする。この方法は、(a)がんを有する哺乳動物に抗原提示細胞(APC)の集団を投与するステップであって、上記APCが、(i)上記がんのがん抗原を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を含むウイルスベクターをコードする核酸を含み、(ii)上記哺乳動物中に上記ウイルスベクターの集団を放出し、放出されたウイルスベクターの集団のウイルスベクターが上記哺乳動物中のT細胞の集団に感染し、感染T細胞内で複製欠損であり、感染T細胞がCARを発現する、上記ステップ、(b)上記哺乳動物に第1の抗原性組成物を投与するステップであって、上記CARを発現する上記感染T細胞の少なくとも一部が、上記感染T細胞の内因性T細胞受容体(TCR)を介して、上記第1の抗原性組成物の抗原を認識し、上記哺乳動物中で二重特異性メモリーT細胞を形成する、上記ステップ、及び(c)上記哺乳動物に上記抗原を含む第2の抗原性組成物を投与するステップであって、上記二重特異性メモリーT細胞が、その内因性TCRを介して刺激されて上記CARを含む二重特異性エフェクターT細胞を形成することができ、上記エフェクターT細胞が、上記哺乳動物中のがん細胞の数を減少させる、上記ステップ、を含むことができる、又はこれらのステップから本質的になり得る。哺乳動物は、ヒトであり得る。がんは、脳幹グリオーマ、膵臓がん、胆管がん、肺がん、皮膚がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、肝臓がん、結腸直腸がん、胚細胞腫瘍、肝細胞癌、腸がん、多発性骨髄腫、リンパ腫、又は白血病であり得る。APCの集団は、樹状細胞を含み得る。がん抗原は、分化抗原群19(CD19)、CD22、CD20、GD2、EGFRvIII、メソテリン、IL-13RA、BCMA、CD138、NKG2-D、HER2/Neu、IL-13RA2、CD137、CD28、B7-H3(CD276)、CD16V、CA-125、MUC-1、上皮腫瘍抗原、メラノーマ関連抗原、変異p53、変異Ras、ERBB2、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、CD123、CD23、CD30、CD56、c-Met、GD3、HERV-K、IL-11Rアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、又はVEGFR2であり得る。第1の抗原性組成物は、ウイルスを含み得る。ウイルスは、腫瘍溶解性ウイルスであり得る。上記ウイルスは、ベシクロウイルス、ラブドウイルス、レオウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ポリオウイルス、パラミクソウイルス科ウイルス、コクサッキーウイルス、セネカウイルス(senecavirus)、ヘルペスウイルス、又はモルビリウイルスであり得る。第1の抗原性組成物は、そのウイルスに対して異種の抗原を発現するウイルスを含み得る。第1の抗原性組成物は、哺乳動物に対して外来性の抗原性ポリペプチドを含み得る。APCの集団と第1の抗原性組成物は、哺乳動物に同時に投与することができる。APCの集団は、哺乳動物に投与される前に第1の抗原性組成物と共にプレインキュベートすることができる。APCの集団と第1の抗原性組成物は、哺乳動物に単一組成物として投与することができる。APCの集団と第1の抗原性組成物は、哺乳動物に、互いに約1秒~約48時間以内に投与することができる。二重特異性メモリーT細胞は、CD69+及びCD103+であり得る。二重特異性メモリーT細胞は、セントラルメモリーT細胞(TCM細胞)、エフェクターメモリーT細胞(TEM細胞)、最終分化エフェクターメモリーT細胞(TEMRA細胞)、又は組織常在性メモリーT細胞(TRM細胞)であり得る。第2の抗原性組成物は、哺乳動物に、APCの集団の投与及び第1の抗原性組成物の投与の少なくとも5日後に投与することができる。哺乳動物中のがん細胞の数は、ステップ(a)~(c)の後で少なくとも25パーセント減少され得る。この方法は、ステップ(a)及び(b)を受けておりステップ(c)を受けていない同等の哺乳動物と比較して、哺乳動物の生存率を改善するために有効であり得る。哺乳動物の生存率は、ステップ(a)及び(b)を受けておりステップ(c)を受けていない同等の哺乳動物と比較して、少なくとも25パーセント改善され得る。
【0010】
別の態様では、本明細書は、哺乳動物中でCARを発現するメモリーT細胞を生成する方法を特徴とする。この方法は、(a)哺乳動物にAPCの集団を投与するステップであって、上記APCが、(i)CARをコードする核酸配列を含むウイルスベクターをコードする核酸を含み、(ii)上記哺乳動物中に上記ウイルスベクターの集団を放出し、放出されたウイルスベクターの集団のウイルスベクターが上記哺乳動物中のT細胞の集団に感染し、感染T細胞内で複製欠損であり、感染T細胞がCARを発現する、上記ステップ、及び(b)上記哺乳動物に第1の抗原性組成物を投与するステップであって、上記CARを発現する上記感染T細胞の少なくとも一部が、上記感染T細胞の内因性TCRを介して、上記第1の抗原性組成物の抗原を認識し、上記哺乳動物中で二重特異性メモリーT細胞を形成する、上記ステップ、を含むことができる、又はこれらのステップから本質的になり得る。哺乳動物は、ヒトであり得る。APCの集団は、樹状細胞を含み得る。投与ステップ(a)、ステップ(b)又は両方は、静脈内投与であり得る。APCの集団と第1の抗原性組成物は、哺乳動物に同時に投与することができる。APCの集団は、哺乳動物に投与される前に第1の抗原性組成物と共にプレインキュベートすることができる。APCの集団と上記抗原性組成物は、哺乳動物に単一組成物として投与することができる。APCの集団と第1の抗原性組成物は、哺乳動物に、互いに約1秒~約48時間以内に投与することができる。CARはがん抗原を標的とすることができる。がん抗原は、CD19、CD22、CD20、GD2、EGFRvIII、メソテリン、IL-13RA、BCMA、CD138、NKG2-D、HER2/Neu、IL-13RA2、CD137、CD28、B7-H3(CD276)、CD16V、CA-125、MUC-1、上皮腫瘍抗原、メラノーマ関連抗原、変異p53、変異Ras、ERBB2、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、CD123、CD23、CD30、CD56、c-Met、GD3、HERV-K、IL-11Rアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4又はVEGFR2であり得る。上記抗原性組成物は、ウイルスを含み得る。ウイルスは、腫瘍溶解性ウイルスであり得る。上記ウイルスは、ベシクロウイルス、ラブドウイルス、レオウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ポリオウイルス、パラミクソウイルス科ウイルス、コクサッキーウイルス、セネカウイルス、ヘルペスウイルス、又はモルビリウイルスであり得る。上記抗原性組成物は、そのウイルスに対して異種の抗原を発現するウイルスを含み得る。上記抗原性組成物は、哺乳動物に対して外来性の抗原性ポリペプチドを含み得る。二重特異性メモリーT細胞は、CD69+及びCD103+であり得る。二重特異性メモリーT細胞は、TCM細胞、TEM細胞、TEMRA細胞、又はTRM細胞であり得る。上記哺乳動物は、がんを有し得る。がんは、脳幹グリオーマ、膵臓がん、胆管がん、肺がん、皮膚がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、肝臓がん、結腸直腸がん、胚細胞腫瘍、肝細胞癌、腸がん、多発性骨髄腫、リンパ腫、又は白血病であり得る。方法は、哺乳動物に抗原を含む第2の抗原性組成物を投与するステップを含み得る。二重特異性メモリーT細胞は、第2の抗原性組成物の抗原により、その内因性TCRを介して刺激されて、CARを含む二重特異性エフェクターT細胞を形成することができる。哺乳動物は、がんを有し得、二重特異性エフェクターT細胞は、哺乳動物中のがん細胞の数を減少させることができる。第2の抗原性組成物は、哺乳動物に、APCの集団の投与及び第1の抗原性組成物の投与の少なくとも5日後に投与することができる。哺乳動物は、がんを有し得、哺乳動物中のがん細胞の数は、第2の抗原性組成物の投与の後に少なくとも25パーセント減少され得る。哺乳動物は、がんを有し得、この方法は、APCの集団を投与されていない同等の哺乳動物と比較して、哺乳動物の生存率を改善するために有効であり得る。哺乳動物は、がんを有し得、哺乳動物の生存率は、APCの集団を投与されていない同等の哺乳動物と比較して、少なくとも25パーセント改善され得る。
【0011】
別の態様では、本明細書は、APCの集団を特徴とする。APCの集団は、CARをコードする核酸配列を含むウイルスベクターをコードする核酸を含むことができ、哺乳動物中にウイルスベクターの集団を放出することが可能であり得、放出されたウイルスベクターの集団のウイルスベクターは、哺乳動物中でT細胞の集団に感染することが可能であり、感染T細胞内で複製欠損であり、感染T細胞は、CARを発現することが可能である。APCは、樹状細胞であり得る。APCは、ヒトAPCであり得る。CARは、がん抗原を標的とすることができる。がん抗原は、CD19、CD22、CD20、GD2、EGFRvIII、メソテリン、IL-13RA、BCMA、CD138、NKG2-D、HER2/Neu、IL-13RA2、CD137、CD28、B7-H3(CD276)、CD16V、CA-125、MUC-1、上皮腫瘍抗原、メラノーマ関連抗原、変異p53、変異Ras、ERBB2、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、CD123、CD23、CD30、CD56、c-Met、GD3、HERV-K、IL-11Rアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、又はVEGFR2であり得る。APCは、抗原性組成物で負荷又は被覆され得る。上記抗原性組成物は、ウイルスを含み得る。ウイルスは、腫瘍溶解性ウイルスであり得る。上記ウイルスは、ベシクロウイルス、ラブドウイルス、レオウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ポリオウイルス、パラミクソウイルス科ウイルス、コクサッキーウイルス、セネカウイルス、ヘルペスウイルス、又はモルビリウイルスであり得る。上記抗原性組成物は、そのウイルスに対して異種の抗原を発現するウイルスを含み得る。上記抗原性組成物は、哺乳動物に対して外来性の抗原性ポリペプチドを含み得る。
【0012】
別段に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法及び材料と類似の又は同等の方法及び材料を使用して本発明を実施することができるが、好適な方法及び材料は以下に記載される。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。矛盾がある場合は、定義を含め、本明細書が統制する。さらに、材料、方法、及び実施例は例示に過ぎず、限定することは意図されない。
【0013】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に示される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、上記の説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、APC(例えば、樹状細胞)を使用して、ナイーブT細胞からin vivoでCAR T細胞を生成するための例示的な方法を示す模式図である。
【
図2】操作された樹状細胞がCAR及び抗原二重特異性T細胞を生成することのin vitroでの確証を示した図である。CARを発現するように設計され、且つ免疫原性SIINFEKL(配列番号1)ペプチドを負荷したレトロウイルスベクターをコードする核酸を、DCにトランスフェクトした。これらのDCは、T細胞を活性化して、SIINFEKL(配列番号1)陽性T細胞、CAR T細胞及び二重特異性CAR
+/SIINFEKL(配列番号1)陽性T細胞を産生した。
図2Aは、CD3 T細胞を伴う非形質導入DCの図である。
図2Bは、CD3 T細胞を伴う、CARベクターではなくレトロウイルスパッケージングプラスミドでトランスフェクトされたDCの図である。
図2Cは、CD3 T細胞を伴う、パッケージングプラスミドではなくCARベクターでトランスフェクトされ、SIINFEKL(配列番号1)ペプチドを負荷したDCの図である。
図2Dは、マウス脾細胞から調製されたCAR T細胞の図である。
図2Eは、CD3 T細胞を伴う、レトロウイルスパッケージングプラスミド及びCARベクターでトランスフェクトされたDCの図である。
図2Fは、CD3 T細胞を伴う、レトロウイルスパッケージングプラスミド及びCARベクターでトランスフェクトされ、SIINFEKL(配列番号1)ペプチドを負荷したDCの図である。
【
図3】
図3は、確立されたB16-EGFRviii皮下腫瘍を有し、示されるとおりに治療したマウスの示される日数での生存パーセントをプロットするグラフである。8日間確立皮下B16-EGFRvIII腫瘍を担持するC57Bl/6マウスを以下で処置した:処置なし(DCなし、ブーストなし、免疫チェックポイント遮断なし);CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、野生型CSDE1(非免疫原性)ペプチドを負荷した10
7個のDCにより処置し、15日目にCSDE1ペプチド及び対照IgGによりivでブースト;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、野生型CSDE1(非免疫原性)ペプチドを負荷したDCにより処置し、15日目にSIINFEKL(配列番号1)ペプチド及び抗PD-1抗体によりivでブースト;10
7 CAR T細胞により処置し、15日目にSIINFEKL(配列番号1)ペプチド及び対照IgGによりivでブースト;CAR T細胞により処置し、15日目にSIINFEKL(配列番号1)ペプチド及び抗PD-1抗体によりivでブースト;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、SIINFEKL(配列番号1)免疫原性ペプチドを負荷したDCにより処置し、15日目にSIINFEKL(配列番号1)ペプチド及び対照IgGによりivでブースト;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、SIINFEKL(配列番号1)免疫原性ペプチドを負荷したDCにより処置し、15日目にCSDE1ペプチド及び対照IgGによりivでブースト;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、SIINFEKL(配列番号1)免疫原性ペプチドを負荷したDCにより処置し、15日目にSIINFEKL(配列番号1)ペプチド及び抗PD-1抗体によりivでブースト。
【
図4】
図4は、確立されたB16-EGFRviii皮下腫瘍を有し、示されるとおりに治療したマウスの示される日数での生存パーセントをプロットするグラフである。8日間確立皮下B16-EGFRvIII腫瘍を担持するC57Bl/6マウスを以下で処置した:PBSにより治療した;10
7個のCAR T細胞;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、mgp100(非免疫原性)ペプチドを負荷した10
7個のDC;CARレトロウイルスベクターを有さない空レトロウイルス粒子を産生するように操作され、hgp100(免疫原性)ペプチドを負荷した10
7個のDC;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、hgp100(免疫原性)ペプチドを負荷した10
7個のDC。
【
図5】示される例示的なCARについてのアミノ酸配列(配列番号2~5)の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書は、がんの治療に関する方法及び材料を提供する。例えば、本明細書は、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸を含有し、T細胞にin vivoで感染することができ、感染T細胞内で複製欠損であり得、感染T細胞内で抗原受容体(例えば、CAR)の発現を駆動して、哺乳動物(例えば、ヒト)中でCAR
+ T細胞を生成することができるウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター又はレトロウイルスベクター)を、in vivoで産生及び放出するように設計されたAPC(例えば、樹状細胞)の集団を使用するための方法及び材料を提供する。一部の例では、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター又はレトロウイルスベクター)は、感染T細胞内で複製欠損である代わりに、感染T細胞内で複製可能であり得る。一部の例では、APCはまた、感染CAR
+ T細胞の少なくとも一部を、これらの内因性TCRを介して活性化する能力を有する1つ以上の抗原(例えば、治療される哺乳動物に対して外来性の1つ以上の抗原)を発現及び/又は提示するようにも設計され得る。一部の例では、APCは、感染CAR
+ T細胞の少なくとも一部を、これらの内因性TCRを介して活性化する能力を有する1つ以上の抗原(例えば、治療される哺乳動物に対して外来性の1つ以上の抗原)を含有する抗原性組成物で負荷及び/又は被覆され得る。一部の例では、APCの集団を哺乳動物に投与することができ、感染CAR
+ T細胞の少なくとも一部を、これらの内因性TCRを介して活性化する能力を有する1つ以上の抗原(例えば、治療される哺乳動物に対して外来性の1つ以上の抗原)を含有する抗原性組成物を、哺乳動物に投与することができる。それぞれの例では、ウイルスベクターを産生及び放出するように設計されたAPC(例えば、樹状細胞)の集団は、哺乳動物中に感染CAR
+ T細胞(例えば、ナイーブCAR
+ T細胞、例えば
図1を参照)を形成することができ、1つ以上の抗原(例えば、治療される哺乳動物に対して外来性の1つ以上の抗原)により提供される抗原性刺激は、形成された感染CAR
+ T細胞の少なくとも一部を、これらの内因性TCRを介して活性化して、活性化二重特異性CAR
+ T細胞を形成することができる。このような活性化二重特異性CAR
+ T細胞は、哺乳動物中で分化して、CARを介してがん細胞を殺傷する能力を有する二重特異性CAR
+エフェクターT細胞を作り出す1つ以上の抗原を含有するブースター投与に急速に応答する能力を有する、二重特異性CAR
+メモリーT細胞を形成することができる。
【0016】
本明細書中に記載されるin vivo生成CAR+ T細胞(例えば、ナイーブCAR+ T細胞、活性化二重特異性CAR+ T細胞、二重特異性CAR+メモリーT細胞及び/又は二重特異性CAR+エフェクターT細胞)は、CARの標的に対して免疫応答を媒介することができる。一部の例では、in vivo生成CAR+ T細胞(例えば、ナイーブCAR+ T細胞及び/又は活性化二重特異性CAR+ T細胞)は、哺乳動物中で、二重特異性CAR+メモリーT細胞に分化し得る。このような場合、抗原性組成物の後続投与は、内因性TCRを通した刺激を介して急速且つ有効に増殖して、そのCARの標的を発現する細胞を追跡し且つ殺傷し得る二重特異性CAR+エフェクターT細胞の集団を生成する二重特異性CAR+メモリーT細胞をもたらし得る。よって、本明細書中に記載される方法及び材料を使用して、哺乳動物中のがんを治療することができる。
【0017】
任意の適切な哺乳動物(例えば、がんを有する哺乳動物)は、本明細書中に記載されるように治療することができる。本明細書中に記載されるように治療され得る哺乳動物の例としては、限定するものではないが、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、サル)、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、マウス、ラット及びウサギが挙げられる。一部の例では、がんを有するヒトに、本明細書中に記載されるようにAPC(例えば、樹状細胞)の集団を、APCにより発現される抗原からの、APC上に負荷及び/若しくは被覆された抗原からの、並びに/又はAPCと一緒に若しくは別々に投与された抗原性組成物により提供される抗原からの、抗原性刺激と組み合わせて投与して、がんを治療することができる。一部の例では、本明細書中に記載されるように治療される哺乳動物(例えば、ヒト)は、小児の哺乳動物(例えば、18歳未満のヒト)であり得る。一部の例では、本明細書中に記載されるように治療される哺乳動物(例えば、ヒト)は、成人(例えば、約60歳以上のヒト)であり得る。
【0018】
任意の適切なAPCの集団は、本明細書中に記載されるように使用され得る。本明細書中に記載されるウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を産生及び放出するように操作されたAPCの集団は、任意のタイプのAPCを含み得る。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団は、1、2、3、4、5つ又はそれ以上の異なるタイプのAPCを含み得る。例えば、APCの集団は、APCの異種集団であり得る。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団は、刺激されたAPCの集団であり得る。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団のAPCは、MHCクラスI分子、MHCクラスII分子、又はMHCクラスI分子とMHCクラスII分子の両方を発現し得る。本明細書中に記載されるAPCの集団の作製に使用され得るAPCの例としては、限定するものではないが、樹状細胞、マクロファージ、B細胞及びランゲルハウス細胞が挙げられる。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団の作製に使用され得るAPCは、哺乳動物(例えば、がんを有する哺乳動物)から得ることができる。例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団の作製に使用され得るAPCは、本明細書中に記載される方法及び材料を使用して治療すべき哺乳動物(例えば、ヒト)から得ることができる。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団の作製に使用され得るAPCは、本明細書中に記載される材料及び方法を使用して治療すべき哺乳動物としてのドナー哺乳動物(例えば、同一種のドナー哺乳動物)から得ることができる。例えば、ヒトを治療する場合、本明細書中に記載されるAPCの集団の作製に使用され得るAPCは、ドナーのヒトから得ることができる。
【0019】
ドナー哺乳動物及び本明細書中に記載される方法及び材料を用いて治療される哺乳動物がヒトである場合、ドナーのヒト及び本明細書中に記載される方法及び材料を用いて治療されるヒトは、同一の又は類似のヒト白血球抗原(HLA;例えば、HLAが一致し得る)を提示することができる。
【0020】
本明細書中に記載されるAPCの集団は、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸を含有し、T細胞にin vivoで感染することができ、感染T細胞内で複製欠損であり得、感染T細胞内で抗原受容体(例えば、CAR)の発現を駆動して、哺乳動物(例えば、ヒト)中にCAR+ T細胞を生成することができる任意の適切なウイルスベクターを産生(例えば、産生するように操作され得る)及び放出するように設計され得る。例えば、任意の適切なウイルスベクターは、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸を含有するように設計することができ、T細胞にin vivoで感染するように設計することができ、感染T細胞内で複製欠損であるように設計することができ、感染T細胞内で抗原受容体(例えば、CAR)の発現を駆動して、哺乳動物(例えば、ヒト)中にCAR+ T細胞を生成するように設計することができ、限定するものではないが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、風疹ウイルスベクター、複製欠損(Gレスラブドウイルスベクター)、ヘルペスウイルスベクター、及びワクシニアウイルスベクターが挙げられる。例えば、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクター)をコードする核酸を選択し、T細胞内に抗原受容体(例えば、CAR)の発現を駆動する能力を有するプロモーター配列に作動可能に連結した、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸を含むように設計することができる。一部の例では、このようなウイルスベクターは、さらに改変されることなくT細胞(例えば、ヒトT細胞)に感染する能力を有することができる。ウイルスベクターに、T細胞(例えば、ヒトT細胞)に感染する天然の能力が欠如している場合には、このウイルスベクターを改変してT細胞(例えば、ヒトT細胞)に向性を付加する又は再び向けることができる。例えば、ウイルスベクターを改変して、T細胞に結合する能力を有する一本鎖可変フラグメント(例えば、抗CD3 scFv)を含めることができる。
【0021】
任意の適切な方法を使用して、APCで産生され、APCから放出され得るウイルスベクターをコードし、且つ感染T細胞内で複製欠損である核酸を作り出すことができる。例えば、T細胞内のウイルス複製に必要な1つ以上のウイルスポリペプチドを、必要とされる1つ以上のウイルスポリペプチドを発現するように設計されたAPC内にin transで提供することができる。このような場合、APCは、感染T細胞内の複製に必要な1つ以上の核酸配列が欠如している、感染性ウイルスベクター粒子を放出することができる。
【0022】
本明細書中に記載されているAPCの集団のAPC内に含まれるウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクター)をコードする核酸は、任意の適切な抗原受容体(例えば、任意の適切なCAR)をコードする核酸を含むように設計され得る。一部の例では、抗原受容体は、異種抗原受容体であり得る。一部の例では、抗原受容体は、CARであり得る。一部の例では、CARはがん又は腫瘍抗原を標的とする。例えば、本明細書中に記載されているAPCの集団のAPC内に含まれるウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクター)をコードする核酸は、がんを有する哺乳動物のがん細胞により発現されるがん抗原(例えば、がん細胞表面抗原)を標的とするCARをコードする核酸を含むように設計され得る。このようなCARの標的となり得る抗原の例としては、限定するものではないが、分化抗原群19(CD19)、CD22、CD20、GD2、EGFRvIII、EGFR、メソテリン、IL-13RA、BCMA、CD138、NKG2-D、HER2/Neu、IL-13RA2、CD137、CD28、B7-H3(CD276)、CD16V、CA-125、MUC-1、上皮腫瘍抗原、メラノーマ関連抗原、変異p53、変異Ras、ERBB2、葉酸結合タンパク質、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp120、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、CD123、CD23、CD30、CD56、c-Met、GD3、HERV-K、IL-11Rアルファ、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、及びVEGFR2が挙げられる。
【0023】
抗原受容体がCARの場合、このCARは任意の適切なCARであり得る。CARは、抗原結合ドメイン、任意選択のヒンジ、膜貫通ドメイン及び1つ以上のシグナル伝達ドメインを含み得る。本明細書中に記載されるAPCにより産生及び放出されるウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)により発現され得るCARの抗原結合ドメインは、任意の適切な抗原結合ドメインであり得る。一部の例では、抗原結合ドメインは、抗原(例えば、がん抗原、例えばCD19ポリペプチド)を標的とする抗体又はそのフラグメントを含み得る。抗原結合ドメインの例としては、限定するものではないが、抗原結合フラグメント(Fab)、抗体重(VH)鎖の可変領域、軽(VL)鎖の可変領域、単鎖可変フラグメント(scFv)、及びがん細胞受容体に結合する成長因子由来のドメイン(例えば、EGF、PDGR、FGF、TGF、又はそれらの誘導体由来のドメイン)などが挙げられる。一部の例では、CARの抗原結合ドメインは、がん抗原又はがん特異的抗原を標的とし得る(例えば、それを標的とし、結合することができる)。例えば、APCは、がん特異的抗原(例えば、非がん性細胞型上での発現が最小限である又は発現がない、がん細胞上に存在する抗原)に結合し得るCARの発現を駆動することができるウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を産生及び放出するように設計され得る。一部の例では、CARの抗原結合ドメインは、他の箇所に記載されるとおりであり得る(例えば、米国特許出願公開第2017/0183418号、例えば、米国特許出願公開第2017/0183418号の段落[0015]及び配列表;米国特許出願公開第2017/0183413号、例えば米国特許出願公開第2017/0183413号の段落[0049]、
図2、表9、及び配列表;米国特許出願公開第2018/0291079号、例えば、米国特許出願公開第2018/0291079号の段落[0041]~[0045]、及び表4;米国特許出願公開第2020/0289563号、例えば、米国特許出願公開第2020/0289563号の段落[0006]~[0053]、[0186]~[0189]、及び表1;並びに米国特許出願公開第2003/0211097号、例えば、米国特許出願公開第2003/0211097号の段落[0081]及び[0211~0215]及び配列表を参照)。
【0024】
一部の例では、本明細書中に記載されるCARは、任意選択的なヒンジ領域を含み得る。一部の例では、ヒンジ領域は、CARの抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置し得る。一部の例では、ヒンジ領域は、抗原結合ドメインに対する柔軟性が増加したCARを提供し得る。例えば、ヒンジ領域は、(例えば、CARの抗原結合ドメインとその標的抗原との間の結合を増加させるために)CARの抗原結合ドメインとその標的抗原との空間的制限を低下させることができる。本明細書中に記載されるように使用し得るヒンジ領域の例としては、限定するものではないが、IgG由来の膜近位領域、CD8由来の膜近位領域、及びCD28由来の膜近位領域が挙げられる。一部の例では、CARのヒンジ領域は、他の箇所に記載されるとおりであり得る(例えば、米国特許出願公開第2018/0000914号、例えば、米国特許出願公開第2018/0000914号の段落[0168]、及び表1;米国特許出願公開第2017/0183418号、例えば、米国特許出願公開第2017/0183418号の段落[0034]、[0037]、[0040]、及び表2;米国特許出願公開第2017/0183413号、例えば、米国特許出願公開第2017/0183413号の段落[0116];並びに米国特許出願公開第2017/0145094号、例えば、米国特許出願公開第2017/0145094号の段落[0104]を参照)。
【0025】
本明細書中に記載されるCARは、任意の適切な膜貫通ドメインを含み得る。膜貫通ドメインは、CARの抗原結合ドメインとシグナル伝達ドメインとの間に位置することが可能であり、及び/又はCARのヒンジとシグナル伝達ドメインとの間に位置し得る。一部の例では、膜貫通ドメインは、CARに構造的安定性を提供することができる。例えば、膜貫通ドメインは、細胞膜を貫通することが可能であり、CARをその原形質膜に固定することができる構造(例えば、疎水性アルファヘリックス構造)を含み得る。本明細書中に記載されるように使用し得る膜貫通ドメインの例としては、限定するものではないが、CD3ζ膜貫通ドメイン、CD4膜貫通ドメイン、CD8(例えば、CD8α)膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CD16膜貫通ドメイン、及びエリスロポエチン受容体膜貫通ドメインが挙げられる。一部の例では、CARの膜貫通ドメインは、他の箇所に記載されるとおりであり得る(例えば、米国特許出願公開第2016/0120906号、例えば、米国特許出願公開第2016/0120906号の段落[0155]、[0161]、[0269]、
図4、及び
図11;米国特許出願公開第2019/0209616号、例えば、米国特許出願公開第2019/0209616号の段落[0026];米国特許出願公開第2018/0000914号、例えば、米国特許出願公開第2018/0000914号の段落[0168]~[0171];米国特許出願公開第2017/0183418号、例えば、米国特許出願公開第2017/0183418号の段落[0116]~[0118];米国特許出願公開第2017/0183413号、例えば、米国特許出願公開第2017/0183413号の段落[0116]~[0118];並びに米国特許出願公開第2017/0145094号、例えば、米国特許出願公開第2017/0145094号の段落[0104]~[0107]を参照)。
【0026】
本明細書中に記載されるCARは、任意の適切なシグナル伝達ドメイン又はシグナル伝達ドメインの組み合わせ(例えば、2、3、又は4つのシグナル伝達ドメインの組み合わせ)を含み得る。一部の例では、CARのシグナル伝達ドメインは、T細胞又はNK細胞中に通常見られる細胞内シグナル伝達ドメインであり得る。本明細書中に記載されるように使用し得るシグナル伝達ドメインの例としては、限定するものではないが、CD2シグナル伝達ドメイン、CD3ζシグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、Toll様受容体(TLR)シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR3又はTLR4シグナル伝達ドメイン)、CD27細胞内シグナル伝達ドメイン、OX40(CD134)細胞内シグナル伝達ドメイン、4-1BB(CD137)細胞内シグナル伝達ドメイン、CD278細胞内シグナル伝達ドメイン、DAP10細胞内シグナル伝達ドメイン、DAP12細胞内シグナル伝達ドメイン、FceRly細胞内シグナル伝達ドメイン、CD278細胞内シグナル伝達ドメイン、CD122細胞内シグナル伝達ドメイン、CD132細胞内シグナル伝達ドメイン、CD70細胞内シグナル伝達ドメイン、サイトカイン受容体細胞内シグナル伝達ドメイン、及びCD40細胞内シグナル伝達ドメインが挙げられる。一部の例では、本明細書中に記載される使用のためのCARは、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを有する第1世代CARとなるように設計することができる。一部の例では、本明細書中に記載される使用のためのCARは、CD28細胞内シグナル伝達ドメインの後にCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを有する第2世代CARとなるように設計することができる。一部の例では、本明細書中に記載される使用のためのCARは、(a)CD28細胞内シグナル伝達ドメイン、その後の(b)CD27細胞内シグナル伝達ドメイン、OX40細胞内シグナル伝達ドメイン、又は4-1BB細胞内シグナル伝達ドメイン、その後の(c)CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを有する第3世代CARとなるように設計することができる。一部の例では、CARの細胞内シグナル伝達ドメイン(1つ又は複数)は、他の箇所に記載されるとおりであり得る(例えば、米国特許出願公開第2018/0000914号、例えば、米国特許出願公開第2018/0000914号の段落[0164]~[0167];及び米国特許出願公開第2017/0183413号、例えば、米国特許出願公開第2017/0183413号の段落[0112]~[0115]を参照)。
【0027】
本明細書中に記載されるウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)により発現され得るCARの例としては、限定するものではないが、EGFRvIII CAR、GD2 CAR、IL-13RA CAR、CD19 CAR、BCMA CAR、CD138 CAR、NKG2-D CAR、HER2 CAR、CD137 CAR及びB7-H3 CARが挙げられる。本明細書中に記載されるように使用され得るCARの例示的なアミノ酸配列は、
図5に示される。
【0028】
任意の適切な方法を使用して、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸を含有し、T細胞にin vivoで感染することができ、感染T細胞内で複製欠損であり得、感染T細胞内で抗原受容体(例えば、CAR)の発現を駆動して、哺乳動物(例えば、ヒト)中にCAR+ T細胞を生成することができるウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を産生及び放出するように、APC(例えば、樹状細胞)を操作することができる。例えば、このようなウイルスベクターをコードする核酸を、形質導入(例えば、ウイルス形質導入)又はトランスフェクションによりAPCに導入することができる。一部の例では、本明細書中に記載されるウイルスベクターをコードする核酸を、1つ以上のAPCにin vitro又はex vivoで導入することができる。
【0029】
本明細書中に記載されるAPCの集団の任意の数のAPC(例えば、樹状細胞)は、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸を含有し、T細胞にin vivoで感染することができ、感染T細胞内で複製欠損であり得、感染T細胞内で抗原受容体(例えば、CAR)の発現を駆動して、哺乳動物(例えば、ヒト)中にCAR+ T細胞を生成することができるウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を産生及び放出するように設計され得る。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団内の少なくとも半分のAPCが、このようなウイルスベクターを産生及び放出することができる。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団内のAPCの約25パーセント~約100パーセント(例えば、約50パーセント~約100パーセント、約75パーセント~約100パーセント、約85パーセント~約100パーセント、約95パーセント~約100パーセント又は約75パーセント~約95パーセント)が、このようなウイルスベクターを産生及び放出することができる。
【0030】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団のAPCは、同じ抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸をそれぞれ含有するウイルスベクターを産生及び放出するように設計され得る。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団のAPCは、一部のAPCが、第1の抗原受容体(例えば、第1のCAR)をコードする核酸を含有するウイルスベクターを産生及び放出するように、並びに一部のAPCが、第1の抗原受容体と異なる第2の抗原受容体(例えば、第2のCAR)をコードする核酸を含有するウイルスベクターを産生及び放出するように設計され得る。一部の例では、3、4、5、6、7、8、9、10種又はそれ以上の異なる抗原受容体(例えば、CAR)が提供され得る。
【0031】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団における個々のAPC(例えば、個々の樹状細胞)は、2種以上(例えば、2、3、4、5種又はそれ以上)の異なるウイルスベクターを産生及び放出するように設計され得、第1のウイルスベクターは、第1のCARをコードするようにように設計され、第2のウイルスベクターは、第1のCARと異なる第2のCARをコードするように設計される。
【0032】
本明細書中に記載されるように、本明細書中に記載されるAPCの集団を使用して、哺乳動物(例えば、ヒト)中にCAR+ T細胞を形成することができる。同様に本明細書中に記載されるように、抗原性刺激を使用して、少なくとも一部のウイルスベクター感染CAR+ T細胞を活性化することができる。任意のタイプの抗原性組成物(又は抗原)を使用して、ウイルスベクター感染CAR+ T細胞を、これらの内因性TCRを介して刺激することができる。例えば、本明細書中に記載される抗原性組成物は、ウイルス(例えば、腫瘍溶解性ウイルス)を含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、複製能のあるウイルスを含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、非病原性(例えば、治療される哺乳動物に非病原性)のウイルスを含むことができる。例えば、本明細書中に記載される抗原性組成物は、遺伝子改変されて、治療されるヒトに対して非病原性になったウイルスを含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、分裂細胞に感染し得る(例えば、分裂細胞のみに感染し得る)ウイルスを含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、非分裂細胞に感染し得る(例えば、非分裂細胞のみに感染し得る)ウイルスを含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、融合活性を含むウイルスを含むことができる。本明細書中に記載される抗原性組成物に含まれ得るウイルスの例としては、限定するものではないが、ラブドウイルス(例えばベシクロウイルス(VSV)及びマラバウイルス)、レオウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ポリオウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、HSV)、並びに麻疹ウイルスが挙げられる。
【0033】
一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物がウイルス(例えば、腫瘍溶解性ウイルス)を含む場合、上記ウイルスは、このウイルスに異種の抗原を1つ以上発現することができる(例えば、発現するように設計され得る)。一部の例では、ウイルスにより発現される異種抗原は、治療される哺乳動物に対して内因性ではないポリペプチドであり得る。一部の例では、ウイルスにより発現される異種抗原は、完全長ポリペプチドであり得る。一部の例では、ウイルスにより発現される異種抗原は、(例えば、フラグメントが治療される哺乳動物中で抗原性特性を保持することを条件として)完全長ポリペプチドのフラグメントであり得る。一部の例では、ウイルスにより発現される異種抗原は、(例えば、治療される哺乳動物中でフラグメントが抗原性特性を保持することを条件として)完全長ポリペプチドから誘導することができる。特定のウイルスに対して異種抗原であり得るもの及び本明細書中に記載されるように使用され得るものの例としては、限定するものではないが、オボアルブミンポリペプチド(OVA)及びその抗原性フラグメント、TYRP1ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、TYRP2ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、チロシナーゼポリペプチド及びその抗原性フラグメント、CEAポリペプチド及びその抗原性フラグメント、MART1ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、MART2ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、SARS-CoV-2スパイクポリペプチド及びその抗原性フラグメント、VSV-Gポリペプチド及びその抗原性フラグメント、レオウイルス表面ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、アデノウイルスコートポリペプチド及びその抗原性フラグメント、CSDE1ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、並びにスーパー抗原ポリペプチド(例えば、連鎖球菌(Streptococcal)発熱性外毒素(SPE)、ブドウ球菌(Staphylococcal)腸毒素(SE)、及び腸内毒素原性大腸菌(E. coli)(ETEC)腸毒素)及びその抗原性フラグメントが挙げられる。
【0034】
1つ以上の抗原(例えば、ウイルスに対する異種抗原)を発現するウイルスは、任意の適切な方法を使用して生成することができる。一部の例では、抗原(例えば、異種抗原)をコードする核酸を、ウイルスのゲノム中に、抗原が発現されるように導入することができる。抗原(例えば、異種抗原)をコードする核酸を、任意の適切な方法を使用してウイルスのゲノム中に導入することができる。一部の例では、抗原(例えば、異種抗原)をコードする核酸は、相同組換え技術、分子クローニング及び遺伝子編集技術(例えば、CRISPR-Cas9 System)により、ウイルスのゲノム中に導入することができる。同様の方法を使用して、抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸をウイルスベクターコード配列中に導入することができる。
【0035】
一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、抗原性ポリペプチドを含むことができる。例えば、本明細書中に記載される抗原性組成物は、治療される哺乳動物に対して内因性ではない抗原性ポリペプチドを含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、完全長抗原性ポリペプチドを含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、(例えば、治療される哺乳動物中でフラグメントが抗原性特性を保持することを条件として)完全長ポリペプチドのフラグメントを含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、(例えば、治療される哺乳動物中でフラグメントが抗原性特性を保持することを条件として)完全長ポリペプチドから誘導される抗原性ポリペプチドを含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、治療される哺乳動物(例えば、ヒト)に対して外来性(例えば、外因性)である抗原性ポリペプチドを含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、治療される哺乳動物(例えば、ヒト)において天然の対応物を有さない抗原性ポリペプチドを含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、合成ポリペプチド(例えば、強力な免疫原性ポリペプチドとなるように設計された合成ポリペプチド)を含むことができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、天然の対応物を本質的に有さない抗原性ポリペプチドを含むことができる。本明細書中に記載される抗原性組成物に含まれ得る抗原性ポリペプチドの例としては、限定するものではないが、オボアルブミンポリペプチド(OVA)及びその抗原性フラグメント、TYRP1ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、TYRP2ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、チロシナーゼポリペプチド及びその抗原性フラグメント、CEAポリペプチド及びその抗原性フラグメント、MART1ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、MART2ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、SARS-CoV-2スパイクポリペプチド及びその抗原性フラグメント、VSV-Gポリペプチド及びその抗原性フラグメント、レオウイルス表面ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、アデノウイルスコートポリペプチド及びその抗原性フラグメント、CSDE1ポリペプチド及びその抗原性フラグメント、並びにスーパー抗原ポリペプチド(例えば、連鎖球菌発熱性外毒素(SPE)、ブドウ球菌腸毒素(SE)、及び腸内毒素原性大腸菌(ETEC)腸毒素)及びその抗原性フラグメントが挙げられる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、任意のウイルス粒子の不存在下で、1つ以上の目的の抗原を含有し得る。
【0036】
一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、ポリペプチド以外の1つ以上の抗原を含有し得る。本明細書中に記載される抗原性組成物に含まれ得るポリペプチド以外の抗原の例としては、限定するものではないが、多糖(例えば、3型肺炎球菌(S. pneumoniae)多糖(Pn3P)及び/又はMUC-1の多糖)、並びに脂質が挙げられる。
【0037】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団と、本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)とを、哺乳動物に同時に(例えば、単一組成物として)投与することができる。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団と本明細書中に記載される抗原性組成物が単一組成物として製剤化される場合、APCに抗原性組成物を負荷することができる。例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団中のAPC(例えば、樹状細胞)を、ウイルスがAPCに結合するように、ウイルス(例えば、腫瘍溶解性ウイルス)を含有する抗原性組成物と接触させることができる。一部の例では、APC(例えば、樹状細胞)上に負荷されるウイルス(例えば、腫瘍溶解性ウイルス)は、APCの表面に共有結合することができる。一部の例では、APC(例えば、樹状細胞)上に負荷されるウイルス(例えば、腫瘍溶解性ウイルス)は、APCの表面に非共有結合することができる。一部の例では、APC(例えば、樹状細胞)上に負荷されるウイルス(例えば、腫瘍溶解性ウイルス)は、ウイルスとAPCとの間の、エンベロープ受容体相互作用、静電相互作用、及び/又は非特異的相互作用を通してAPCの表面に結合することができる。
【0038】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団と、1つ以上のウイルス(例えば、1つ以上の腫瘍溶解性ウイルス)を含む抗原性組成物とを単一組成物として製剤化する場合、APCの少なくとも一部は、ウイルスに感染され得る。例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団中のAPC(例えば、樹状細胞)を、ウイルスがAPCの集団中のAPCの少なくとも一部に感染するように1つ以上のウイルス(例えば、1つ以上の腫瘍溶解性ウイルス)を含む抗原性組成物と、接触させることができる。
【0039】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団と、1つ以上のウイルス(例えば、1つ以上の腫瘍溶解性ウイルス)を含む抗原性組成物とを単一組成物として製剤化する場合、APCの集団とウイルスを含有する組成物とを、APCのウイルス感染が最小限となるような方法でその単一組成物へと組み合わせることができる。例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団と、1つ以上のウイルス(例えば、1つ以上の腫瘍溶解性ウイルス)を含む抗原性組成物とを組み合わせて、約2℃~約8℃(例えば、約2℃~約6℃、約2℃~約5℃、約3℃~約8℃、約4℃~約8℃、約3℃~約6℃、約3℃~約5℃、又は約4℃)の温度で、哺乳動物に投与される前、又は後で哺乳動物に投与するために凍結される前に、3時間以下(例えば、2.5時間以下、2時間以下、1.5時間以下、1時間以下、又は約1時間)インキュベートすることができる。このような場合、ウイルスは、上記集団のAPCの約10パーセント未満(例えば、約9パーセント未満、約8パーセント未満、約7パーセント未満、約7パーセント未満、又は約5パーセント未満)に感染することができる。例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団中のAPCに1つ以上のウイルスを含む抗原性組成物を負荷する場合、ウイルスは、その集団のAPCの約5パーセント未満に感染することができる。
【0040】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団及び1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む抗原性組成物が組み合わされて、単一組成物を形成する場合、その単一組成物はウイルス粒子を欠如するように設計され得る。例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団と、1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む抗原性組成物とを含む組成物を、洗浄して、そうでなければ処理又は設計してウイルス粒子の存在を欠如させることができる。
【0041】
任意の適切な投与経路を使用して、本明細書中に記載されるAPCの集団、本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/若しくは1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)、並びに/又は本明細書中に記載される第2の抗原性組成物(例えば、ブースター組成物)を哺乳動物に投与することができる。例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団、本明細書中に記載される抗原性組成物及び/又は本明細書中に記載されるブースター抗原性組成物を、局所的又は全身的に投与することができる。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団、本明細書中に記載される抗原性組成物及び/又は本明細書中に記載されるブースター抗原性組成物を、非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内及び皮内)投与のために設計することができる。非経口投与に適した組成物としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び組成物を意図されるレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有し得る水性及び非水性の滅菌注射溶液;並びに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。
【0042】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団、本明細書中に記載される抗原性組成物及び/又は本明細書中に記載されるブースター抗原性組成物を、哺乳動物(例えば、ヒト)への静脈内注射により全身投与することができる。
【0043】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団、本明細書中に記載される抗原性組成物、及び/又は本明細書中に記載されるブースター抗原性組成物は、哺乳動物(例えば、ヒト)に別々に投与することができる。例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団と、本明細書中に記載される抗原性組成物とは、独立した組成物として、同時に(例えば、同時的に(concurrently))哺乳動物に投与することができる。本明細書中に記載されるAPCの集団と本明細書中に記載される抗原性組成物とが同時的に投与される場合、本明細書中に記載されるAPCの集団を含む組成物と本明細書中に記載される抗原性組成物とを、互いに約1秒間~約15分間(例えば、約2秒間~約15分間、約5秒間~約15分間、約10秒間~約15分間、約15秒間~約15分間、約1秒間~約10分間、約1秒間~約5分間、又は約5秒間~約10分間)以内に哺乳動物に投与することができる。
【0044】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団及び本明細書中に記載される抗原性組成物を異なる時間に哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することができる。本明細書中に記載されるAPCの集団及び本明細書中に記載される抗原性組成物が異なる時間に哺乳動物(例えば、ヒト)に投与される場合、各投与間には約16分間~約48時間(例えば、約16分間~約45時間、約16分間~約36時間、約16分間~約24時間、約16分間~約12時間、約16分間~約8時間、約16分間~約6時間、約16分間~約4時間、約30分間~約48時間、約1時間~約48時間、約2時間~約48時間、約4時間~約48時間、約6時間~約48時間又は8時間~約48時間)の経過があり得る。
【0045】
本明細書中に記載されるAPCの集団と、本明細書中に記載される抗原性組成物とを別々の組成物として投与する(例えば、別々の組成物として同時的に投与するか、又は別々の組成物として、各投与間が約16分間~約48時間で投与する)場合、各組成物は、任意の適切な経路で哺乳動物に投与することができる。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団と本明細書中に記載される抗原性組成物とは、同じ経路で投与することができる。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団と本明細書中に記載される抗原性組成物とは、異なる経路で投与することができる。
【0046】
本明細書中に記載されるように、本明細書中に記載されるAPCの集団は、任意の適切な経路で哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することができる。例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団は、局所的に又は全身的に投与することができる。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団を含む組成物は、非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、及び皮内)投与用に設計することができる。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団は、腫瘍内投与を介して投与することができる。非経口投与に適した組成物としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び組成物を意図されるレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有し得る水性及び非水性の滅菌注射溶液;並びに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。
【0047】
本明細書に記載されるように、本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、任意の適切な経路で哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することができる。例えば、本明細書中に記載される抗原性組成物は、局所的に又は全身的に投与することができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、経口又は非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、及び皮内)投与用に設計することができる。一部の例では、本明細書中に記載される抗原性組成物は、腫瘍内投与を介して投与することができる。非経口投与に適した組成物としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び組成物を意図されるレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有し得る水性及び非水性の滅菌注射溶液;並びに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。組成物は、単一用量容器又は複数回用量容器、例えば、密封されたアンプル及びバイアルで提供することが可能であり、使用直前に滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)された状態で保存され得る。即席の注射溶液及び懸濁液は、無菌の粉末、顆粒、及び錠剤から調製することができる。
【0048】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団は、哺乳動物(例えば、ヒト)への静脈内注射により投与することが可能であり、本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、その哺乳動物への静脈内注射により投与することができる。
【0049】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団は、哺乳動物(例えば、ヒト)への腫瘍内投与により投与することが可能であり、本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、その哺乳動物への腫瘍内投与により投与することができる。
【0050】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団は、哺乳動物(例えば、ヒト)への静脈内注射により投与することが可能であり、本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、その哺乳動物への腫瘍内注射により投与することができる。
【0051】
一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団は、哺乳動物(例えば、ヒト)への静脈内注射により投与することが可能であり、本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、その哺乳動物に経口投与することができる。
【0052】
本明細書中に記載されるAPCの集団と、本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)とを別々の組成物として投与する(例えば、別々の組成物として同時的に投与するか、又は別々の組成物として、各投与間が約0秒間~約15分間で投与する)場合、APCの集団を最初に投与し、抗原性組成物を2番目に投与することが可能であり、又は逆もまた同じである。
【0053】
一部の例では、哺乳動物(例えば、ヒト)に(a)本明細書中に記載されるAPCの集団と、(b)本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)とを投与することは、抗原受容体(例えば、ナイーブCAR+ T細胞)をin vivoで発現するT細胞(例えば、ナイーブT細胞)を生成するために有効であり得る。本明細書中に記載されるAPCにより産生及び放出されるウイルスベクターに感染され得るT細胞のタイプの例としては、限定するものではないが、ナイーブT細胞(例えば、CD4+ナイーブT細胞及び/又はCD8+ナイーブT細胞)、細胞傷害性T細胞(例えば、CD4+ CTL及び/又は、CD8+ CTL)、組織常在性メモリーT細胞、調節性T細胞、並びにセントラルメモリーT細胞が挙げられる。一部の例では、本明細書中に記載されるAPCの集団及び本明細書中に記載される抗原性組成物を使用して本明細書中に記載されるようにin vivoで生成された活性化二重特異性CAR+ T細胞は、哺乳動物中でメモリーT細胞(例えば、CAR+メモリーT細胞)に分化し得る。本明細書中に記載されるように哺乳動物中に生成されたCAR+ T細胞から生成され得るメモリーT細胞のタイプの例としては、限定するものではないが、セントラルメモリーCAR+ T細胞(CAR+ TCM細胞)、エフェクターメモリーCAR+ T細胞(CAR+ TEM細胞)、最終分化エフェクターメモリーCAR+ T細胞(CAR+ TEMRA細胞)、及び組織常在性メモリーCAR+ T細胞(CAR+ TRM)が挙げられる。
【0054】
一部の例では、本明細書中に記載されるように(例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団及び本明細書中に記載される抗原性組成物を投与することにより)哺乳動物(例えば、ヒト)中に生成されたメモリーCAR+ T細胞は、哺乳動物に存在するがん細胞に対して(例えば、T細胞、例えばex vivoで生成されるCAR+ T細胞と比較して)より機能的であり得る。一部の例では、本明細書中に記載されるように(例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団及び本明細書中に記載される抗原性組成物を投与することにより)哺乳動物(例えば、ヒト)中に生成されたメモリーCAR+ T細胞は、例えば、CAR標的がん細胞に対する細胞傷害性の増加及び/又はがん細胞により刺激されたときのIFN-γ分泌の増加により評価して、哺乳動物に存在するがん細胞に対して(例えば、ex vivoで生成されるCAR+ T細胞と比較して)より機能的であり得る。
【0055】
一部の例では、本明細書中に記載されるように(例えば、本明細書中に記載されるAPCの集団及び本明細書中に記載される抗原性組成物を投与することにより)哺乳動物(例えば、ヒト)中に生成されたメモリーCAR+ T細胞は、(例えば、ex vivoで生成されるCAR+ T細胞と比較して)より長く哺乳動物中に持続し得る。例えば、本明細書中に記載される方法及び材料を使用して、哺乳動物(例えば、ヒト)中で約40日間~約2年間(例えば、約40日間~約1.5年間、約40日間~約1年間、約40日間~約11ヶ月間、約40日間~約10ヶ月間、約40日間~約9ヶ月間、約40日間~約8ヶ月間、約40日間~約7ヶ月間、約40日間~約6ヶ月間、約50日間~約200日間、約50日間~約180日間、約50日間~約160日間、約50日間~約150日間、約50日間~約125日間、又は約80日間~約1年間)持続し得るCAR+ T細胞をin vivoで生成することができる。
【0056】
メモリーCAR+ T細胞が哺乳動物中で生成されると、その哺乳動物に、第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)を、1回以上(例えば、1、2、3、4、5回又はそれ以上)投与することができる。例えば、哺乳動物に、(a)本明細書に記載されるAPCの集団と、(b)本明細書に記載される第1の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)とを投与した後、第2の抗原性組成物を、約5日間~約5年間(例えば、約5日間~約5年間、約7日間~約5年間、約10日間~約5年間、約14日間~約5年間、約21日間~約5年間、約1ヶ月間~約5年間、約2ヶ月間~約5年間、約3ヶ月間~約5年間、約4ヶ月間~約5年間、約5ヶ月間~約5年間、約6ヶ月間~約5年間、約5日間~約4.5年間、約5日間~約4年間、約5日間~約3.5年間、約5日間~約3年間、約5日間~約2.5年間、約5日間~約2年間、約5日間~約1.5年間、約5日間~約1年間、約5日間~約10ヶ月間、約5日間~約8ヶ月間、約5日間~約6ヶ月間、約5日間~約4ヶ月間、約5日間~約3ヶ月間、約5日間~約2ヶ月間、約5日間~約1ヶ月間、約5日間~約20日間、約5日間~約15日間、約5日間~約10日間、約10日間~約200日間、約20日間~約200日間、約30日間~約200日間、約40日間~約200日間、約50日間~約200日間、約10日間~約175日間、約10日間~約150日間、約10日間~約125日間、約10日間~約100日間、約50日間~約110日間、又は約60日間~約100日間)、後続投与することができる(例えば、第2の抗原性組成物によりブーストすることができる)。一部の例では、哺乳動物に、(a)本明細書に記載されるAPCの集団と、(b)本明細書に記載される第1の抗原性組成物とを投与した後、第2の抗原性組成物(例えば、ブースト)を、約5日間~約150日間(例えば、約60日間~約100日間)投与することができる。例えば、哺乳動物に、本明細書に記載されるAPCの集団と本明細書に記載される第1の抗原性組成物とを投与した後、第2の抗原性組成物を、約5日間~約8日間(例えば、約7日間)投与することができる。
【0057】
一部の例では、第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、本明細書中に記載されるAPCの集団と一緒に投与された第1の抗原性組成物と同じ抗原(1つ又は複数)を含み得る。
【0058】
一部の例では、第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、本明細書中に記載されるAPCの集団と一緒に投与された第1の抗原性組成物と比較して1つ以上の異なる抗原を含み得る。
【0059】
一部の例では、第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、APCを欠如し得る(例えば、APCの集団を欠如し得る)。例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)に、(a)本明細書中に記載されるAPCの集団と、(b)本明細書中に記載される第1の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)を投与することができる。次いで、そのAPCの集団とその第1の抗原性組成物の後者の投与の後、少なくとも約5日(例えば、少なくとも約7日後、少なくとも約10日後、少なくとも約14日後、少なくとも約20日後、少なくとも約50日後、少なくとも約60日後、少なくとも約75日後、少なくとも約3ヶ月後、少なくとも約4ヶ月後、少なくとも約5ヶ月後、又は少なくとも約6ヶ月後)に、哺乳動物(例えば、ヒト)に、APCを含まない第2の抗原性組成物を投与することができる。一部の例では、その第2の抗原性組成物は、上記哺乳動物に投与される第1の抗原性組成物と同一であり得る。例えば、一部の例では、哺乳動物に投与される第1の抗原性組成物は、1つ以上の腫瘍溶解性ウイルス(例えば、1つ以上のVSVウイルス、1つ以上のレオウイルス、1つ以上の麻疹ウイルス、又はそれらの組み合わせ)を含み得、哺乳動物に投与される第2の抗原性組成物は、それらの同じ1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含み得る。一部の例では、第2の抗原性組成物は、哺乳動物に投与される第1の抗原性組成物とは異なり得る。例えば、一部の例では、哺乳動物に投与される第1の抗原性組成物は、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含み得、哺乳動物に投与される第2の抗原性組成物は、第1の抗原性組成物のウイルスにより発現されたそれらの目的の抗原の1つ以上を、ウイルスを欠如しているその第2の抗原性組成物と共に含み得る。一部の例では、哺乳動物(例えば、ヒト)は、哺乳動物に投与される唯一のAPCである最初に投与されるAPCの集団により、本明細書中に記載されるように治療することができる。
【0060】
一部の例では、哺乳動物(例えば、ヒト)は、最初に投与されるAPCの集団と第1の抗原性組成物により、本明細書中に記載されるように治療することが可能であり、その後、複数ラウンドの本明細書に記載されるさらなるAPCの集団及び/又はさらなる抗原性組成物で治療することができる。
【0061】
一部の例では、第2の抗原性組成物は、1つ以上のウイルス(例えば、1つ以上の腫瘍溶解性ウイルス)を含み得る。一部の例では、第2の抗原性は、1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含み得る。例えば、第2の抗原性組成物は、第1の抗原性組成物中に存在するウイルスにより発現された1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含み得る。例えば、第2の抗原性組成物は、第1の抗原性組成物中に存在するウイルスにより発現された1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含み得、且つウイルス粒子を欠如し得る。
【0062】
一部の例では、第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、本明細書に記載される哺乳動物中で生成されるメモリーCAR+ T細胞を刺激するための単独の活性剤として、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することができる。
【0063】
一部の例では、第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、哺乳動物中のメモリーCAR+ T細胞を刺激することができる(例えば、本明細書中に記載されるように哺乳動物中で生成されるメモリーCAR+ T細胞を刺激することができる)1つ以上のさらなる薬剤と一緒に、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することができる。哺乳動物中でメモリーCAR+ T細胞を刺激するために使用し得るさらなる薬剤(例えば、第2の抗原性組成物以外)の例としては、限定するものではないが、病原体及びTLRアゴニストが挙げられる。
【0064】
第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、任意の適切な経路で哺乳動物に投与することができる。例えば、本明細書中に記載される第2の抗原性組成物は、局所的に又は全身的に投与することができる。一部の例では、本明細書中に記載される第2の抗原性組成物は、経口又は非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、及び皮内)投与用に設計することができる。経口的に投与される場合、組成物は、丸剤、錠剤、又はカプセル剤の形態であり得る。非経口投与に適した組成物としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び組成物を意図されるレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有し得る水性及び非水性の滅菌注射溶液;並びに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。上記組成物は、単一用量容器又は複数回用量容器、例えば、密封されたアンプル及びバイアル中で提供することが可能であり、且つ使用直前に滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)された状態で保存され得る。即席の注射溶液及び懸濁液は、無菌の粉末、顆粒、及び錠剤から調製することができる。
【0065】
一部の例では、本明細書中に記載される第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)は、哺乳動物への静脈内注射により投与することができる。
【0066】
一部の例では、本明細書中に記載される第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)の投与(例えば、ブースト)は、本明細書中に記載されるように生成されるメモリーCAR+ T細胞を活性化するために有効であり得る。例えば、抗原性組成物の後続投与(例えば、ブースト)を使用して、本明細書中に記載されるAPCの集団及び本明細書中に記載される第1の抗原性組成物の投与により生成されるメモリーCAR+ T細胞を迅速に再活性化して、メモリーCAR+ T細胞(例えば、第1の抗原性組成物と上記のブーストの両方に存在していた抗原を認識し得るメモリーCAR+ T細胞)に分化し得るナイーブCAR+ T細胞を生成することができる。
【0067】
一部の例では、本明細書中で提供される方法及び材料は、がんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)を治療するために使用することができる。例えば、がん治療を必要とする哺乳動物(例えば、がんを有する哺乳動物)に、(a)本明細書中に記載されるAPCの集団と、(b)本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)とを投与することができ、少なくとも約5日後(例えば、少なくとも約7日後、少なくとも約10日後、少なくとも約14日後、少なくとも約20日後、少なくとも約50日後、少なくとも約60日後、少なくとも約75日後、少なくとも約3ヶ月後、少なくとも約4ヶ月後、少なくとも約5ヶ月後、又は少なくとも約6ヶ月後)に、第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)を後続投与して、哺乳動物中に存在するがん細胞の数を減少させる又は除去することができる。例えば、本明細書中に記載される方法及び材料を使用して、がんを有する哺乳動物中に存在するがん細胞の数を、例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95パーセント又はそれ以上減少させることができる。例えば、本明細書中に記載される方法及び材料を使用して、がんを有する哺乳動物中に存在する1つ以上の腫瘍のサイズ(例えば、体積)を、例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95パーセント又はそれ以上減少させることができる。一部の例では、治療される哺乳動物中に存在するがん細胞の数をモニターすることができる。任意の適切な方法を使用して、哺乳動物中に存在するがん細胞の数が減少したか否かを決定することができる。例えば、画像化技術を使用して、哺乳動物中に存在するがん細胞の数を評価することができる。
【0068】
一部の例では、本明細書中で提供される方法及び材料は、がんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)の生存率を改善するために使用することができる。例えば、がん治療を必要とする哺乳動物(例えば、がんを有する哺乳動物)に、(a)本明細書中に記載されるAPCの集団と、(b)本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)とを投与し、少なくとも約5日後(例えば、少なくとも約7日後、少なくとも約10日後、少なくとも約14日後、少なくとも約20日後、少なくとも約50日後、少なくとも約60日後、少なくとも約75日後、少なくとも約3ヶ月後、少なくとも約4ヶ月後、少なくとも約5ヶ月後、又は少なくとも約6ヶ月後)に、第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)を後続投与して、哺乳動物の生存率を改善することができる。例えば、本明細書中に記載される方法及び材料を使用して、がんを有する哺乳動物の生存率を、例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95パーセント又はそれ以上改善することができる。例えば、本明細書中に記載される方法及び材料を使用して、がんを有する哺乳動物の生存率を、例えば、少なくとも6ヶ月間(例えば、約6ヶ月間、約8ヶ月間、約10ヶ月間、約1年間、約1.5年間、約2年間、約2.5年間、約3年間、約4年間、約5年間又はそれ以上)改善することができる。
【0069】
一部の例では、本明細書中に記載される方法は、哺乳動物ががんを有すると同定することも含み得る。哺乳動物ががんを有すると同定する方法の例としては、限定するものではないが、身体検査、臨床検査(例えば、血液及び/若しくは尿)、生検、画像検査(例えば、X線、PET/CT、MRI、及び/若しくは超音波)、核医学スキャン(例えば、骨スキャン)、内視鏡検査、並びに/又は遺伝子検査が挙げられる。がんを有すると同定されると、哺乳動物に、(a)本明細書中に記載されるAPCの集団と、(b)本明細書中に記載される抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)を投与することができるか、又は自己投与するように指示することができる。次いで、一部の例では、APCの集団と抗原性組成物の後者の投与の後、少なくとも約5日(例えば、少なくとも約7日後、少なくとも約10日後、少なくとも約14日後、少なくとも約20日後、少なくとも約50日後、少なくとも約60日後、少なくとも約75日後、少なくとも約3ヶ月後、少なくとも約4ヶ月後、少なくとも約5ヶ月後、又は少なくとも約6ヶ月後)に、哺乳動物に投与される第1の抗原性組成物中に存在する抗原の少なくとも一部を含む第2の抗原性組成物を、哺乳動物に投与することができるか、又は、それを自己投与するように指示することができる。
【0070】
本明細書中に記載される方法及び材料は、任意のタイプのがんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)を治療するために使用することができる。一部の例では、本明細書中に記載されるように治療されるがんは、1種以上の固形腫瘍を含み得る。一部の例では、本明細書中に記載されるように治療されるがんは、血液がんであり得る。一部の例では、本明細書中に記載されるように治療されるがんは、原発性がんであり得る。一部の例では、本明細書中に記載されるように治療されるがんは、転移性がんであり得る。一部の例では、本明細書中に記載されるように治療されるがんは、難治性がんであり得る。一部の例では、本明細書中に記載されるように治療されるがんは、がん特異的抗原を発現することができる。本明細書中に記載されるように治療することができるがんの例としては、限定するものではないが、脳がん(例えば、脳幹グリオーマ、例えば、高悪性度グリオーマ(HGG))、膵臓がん(例えば、膵臓腺癌)、胆管がん(例えば、胆管癌)、肺がん(例えば、中皮腫)、皮膚がん(例えば、メラノーマ)、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、肝臓がん、結腸直腸がん、胚細胞腫瘍、肝細胞癌、腸がん、多発性骨髄腫、リンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫、例えば、びまん性大細胞型リンパ腫)、白血病(例えば、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、及び急性骨髄性白血病(AML))、並びにぶどう膜メラノーマが挙げられる。一部の例では、本明細書中に記載されるように治療されるがんは、脳幹グリオーマ(例えば、HGG)であり得る。例えば、本明細書中に記載されるように治療されるがんは、小児のヒトにおける脳幹グリオーマ(例えば、HGG)であり得る。
【0071】
一部の例では、本明細書中に記載される方法及び材料は、がんを治療するために使用される1つ以上のさらなる薬剤との組み合わせ療法として使用することができる。例えば、がん治療を必要とする哺乳動物(例えば、がんを有する哺乳動物)に、(a)本明細書中に記載されるAPCの集団、(b)本明細書中に記載される第1の抗原性組成物、及び(c)本明細書中に記載される後続ブーストとしての第2の抗原性組成物を、1つ以上の抗がん治療と組み合わせて投与することができる。本明細書中に記載されるAPC集団と本明細書中に記載される抗原性組成物の投与と組み合わせて使用され得る抗がん治療の例としては、限定するものではないが、がん手術、放射線療法、化学療法(例えば、アルキル化剤、例えばブスルファンによる化学療法)、チェックポイント遮断療法(例えば、抗PD-1抗体療法、抗PD-L1抗体療法及び/又は抗CTLA4抗体療法)、標的化療法(例えば、GM-CSF阻害剤、例えばレンジルマブ)、ホルモン療法、血管新生阻害剤、免疫抑制剤(例えば、インターロイキン-6阻害剤、例えばトシリズマブ)、並びにサイトカイン放出症候群(CRS)治療(例えば、ルキソリチニブ又はイブルチニブ)が挙げられる。本明細書中に記載される方法及び材料が、がんを治療するさらなる薬剤と組み合わせて使用される場合、1つ以上のさらなる薬剤を、同時に又は独立して投与することができる。一部の例では、本明細書中に記載される方法及び材料を最初に投与又は実施し、1つ以上のさらなる薬剤を2番目に投与することが可能であり、又は逆もまた同じである。
【0072】
一部の例では、本明細書中に記載される方法及び材料は、がん以外の疾患、障害、又は状態を有する哺乳動物を治療するために使用することができる。例えば、がん以外の疾患、障害、又は状態を有する哺乳動物に、(a)本明細書に記載されるAPCの集団と、(b)第1の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)とを投与し、少なくとも約5日後(例えば、少なくとも約7日後、少なくとも約10日後、少なくとも約14日後、少なくとも約20日後、少なくとも約50日後、少なくとも約60日後、少なくとも約75日後、少なくとも約3ヶ月後、少なくとも約4ヶ月後、少なくとも約5ヶ月後、又は少なくとも約6ヶ月後)に、第2の抗原性組成物(例えば、1つ以上のウイルス、例えば1つ以上の腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物、1つ以上の目的の抗原を発現するように設計された1つ以上のウイルスを含む組成物、及び/又は1つ以上の目的の抗原性ポリペプチドを含む組成物)を後続投与することができる。このような場合、APCは、がん抗原を標的とする抗原受容体(例えば、CAR)の代わりに、疾患、障害又は状態に関連する抗原を標的とする抗原受容体(例えば、CAR)をコードする核酸を含有するウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を産生及び放出するように設計することができる。がん以外の疾患、障害又は状態を標的とする本明細書中に記載される方法及び材料により標的化され得る抗原の例としては、限定するものではないが、老化に関連する状態を治療するためのウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)抗原が挙げられる。
【実施例】
【0073】
[実施例1]
がん療法のためにナイーブCAR T細胞をin vivoで産生するように操作された樹状細胞のin vitro評価
方法
マウスCD14活性化DCをC57Bl/6マウスから以下のように調製した。1日目:DCを、5μgのpCL Eco(Naviaux et al., J. Virol., 70(8):5701-5 (1996))、EGFRvIII CARレトロウイルスベクター(Sampson et al., Clin.Cancer Res., 20:972-984 (2014))、又は両方を用いてリポフェクタミンによりトランスフェクトした。EGFRvIII CARレトロウイルスベクターのみをトランスフェクトされたDCは、レトロウイルスを放出せず、pCL EcoをトランスフェクトされたDCは、空レトロウイルス粒子(ゲノムなし)を放出し、一方で両方をトランスフェクトされたDCは、T細胞に感染することができるレトロウイルスを放出する。T細胞はpCL Ecoを欠損しているので、DCから放出されたレトロウイルスに感染された後にレトロウイルスを放出しない。しかし、感染T細胞は、ナイーブT細胞(例えば、そのTCRを通して、DCにより提示される免疫原性ペプチドで活性化される)が増殖すると、レトロウイルスベクターによりコードされたCARを発現する。3日目:106 個のDCに、SIINFEKL(配列番号1)又はCSDE1のいずれかの1mgのペプチドを負荷し、直後に、磁気ビーズを使用して脾細胞から選別された107 個のナイーブCD3+ T細胞と一緒に共培養した。負荷を以下のように実施した。簡潔には、ペプチドをウェルに1mg/mLで添加した。7日目:フローサイトメトリーをCD8+細胞にゲーティングすることによって実施し、Thy1.1マーカー(CARベクターにより発現)及びSIINFEKL(配列番号1)テトラマー陽性細胞について分析した。
【0074】
特に、以下の6つの実験条件を使用した。
図2Aは、CD3 T細胞を伴う非形質導入DCである。
図2Bは、CD3 T細胞を伴うCARベクターではなくレトロウイルスパッケージングプラスミドでトランスフェクトされたDCである。
図2Cは、CD3 T細胞を伴う、パッケージングプラスミドではなくCARベクターでトランスフェクトされ、SIINFEKLペプチドを負荷したDCである。
図2Dは、マウス脾臓から調製されたCAR T細胞である。
図2Eは、CD3 T細胞を伴う、レトロウイルスパッケージングプラスミド及びCARベクターでトランスフェクトされたDCである。
図2Fは、CD3 T細胞を伴う、レトロウイルスパッケージングプラスミド及びCARベクターでトランスフェクトされ、SIINFEKL(配列番号1)ペプチドを負荷したDCである。
【0075】
結果
免疫原性SIINFEKL(配列番号1)ペプチドを負荷し、CAR生成単一陽性CAR T細胞、単一陽性SIINFEKL(配列番号1) T細胞及び二重特異性CAR/SIINFEKL(配列番号1) T細胞を発現するように設計されたレトロウイルスを産生する、DC(
図3F)。
【0076】
[実施例2]
二重特異性T細胞のin vivoにおける生成及びがんの治療のための操作された樹状細胞の使用
方法
SIINFEKL(配列番号1)のマウス異種移植片研究
8日間確立皮下B16-EGFRvIII腫瘍を担持するC57Bl/6マウスを以下で処置した:処置なし(DCなし、ブーストなし、免疫チェックポイント遮断なし);CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、野生型CSDE1(非免疫原性)ペプチドを負荷した107 個のDCにより処置し、15日目にCSDE1ペプチド及び対照IgGによりivでブースト;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、野生型CSDE1(非免疫原性)ペプチドを負荷したDCにより処置し、15日目にSIINFEKL(配列番号1)ペプチド及び抗PD-1抗体によりivでブースト;107 個のCAR T細胞により処置し、15日目にSIINFEKL(配列番号1)ペプチド及び対照IgGによりivでブースト;CAR T細胞により処置し、15日目にSIINFEKL(配列番号1)ペプチド及び抗PD-1抗体によりivでブースト;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、SIINFEKL(配列番号1)(免疫原性)ペプチドを負荷したDCにより処置し、15日目にSIINFEKL(配列番号1)ペプチド及び対照IgGによりivでブースト;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、SIINFEKL(配列番号1)(免疫原性)ペプチドを負荷したDCにより処置し、15日目にCSDE1ペプチド及び対照IgGによりivでブースト;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、SIINFEKL(配列番号1)(免疫原性)ペプチドを負荷したDCにより処置し、15日目にSIINFEKL(配列番号1)ペプチド及び抗PD-1抗体によりivでブースト。
【0077】
hpg100/mpg100のマウス異種移植片研究
8日間確立皮下B16-EGFRvIII腫瘍を担持するC57Bl/6マウスを下で処置した:PBS;107 個のCAR T細胞;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、mgp100(非免疫原性)ペプチドを負荷した107 個のDC;CARレトロウイルスベクターを有さない空レトロウイルス粒子を産生するように操作され、hgp100(免疫原性)ペプチドを負荷した107 個のDC;CARレトロウイルスベクターを産生するように操作され、hgp100(免疫原性)ペプチドを負荷した107 個のDC。
【0078】
結果
8日間確立皮下腫瘍を有するマウスを、CARレトロウイルスベクターを生成し、且つ免疫原性ペプチドも提示する養子移入された樹状細胞により処置する場合、腫瘍は退縮し、大多数の例では完全に取り除かれた(
図3及び4)。一例では、CAR産生DCにより提示された免疫原は、ニワトリのオボアルブミンタンパク質由来のSIINFEKL(配列番号1)ペプチドであり、それ自体は腫瘍に関連しなかった(
図3)。第2の例では、メラノーマを、CARベクター産生DCによりhgp100ペプチドを提示することによって処置し、この後者の例では、hgp100ペプチドは、マウスT細胞を活性化し(マウスにおいて免疫原性であり)、ヒトエピトープと2個のアミノ酸が異なる対応するマウスエピトープに対しても交差反応する点において、ヘテロクリティック抗原として作用する。
図3と4の両方では、CARレトロウイルスベクターを産生するが、マウスが耐容する非免疫原性(自己)ペプチド(野生型CSDE1(
図3)又はmgp100(
図4)のいずれか)を提示するDCの対照治療は、腫瘍成長の制御には無効であった。これらのデータは、ナイーブT細胞にペプチドの免疫原性が提示されることのみによって、DCにより放出されたCARベクターがナイーブT細胞に感染することができ、これによりナイーブT細胞がそのTCRを通してDCにより提示された免疫原により活性化されて、増殖を開始することを示す。
【0079】
[実施例3]
操作樹状細胞及び抗原性組成物によるがんの治療
T細胞に感染することができ、感染T細胞中で複製欠損であり、及び感染T細胞内でCARを発現することができるウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を放出するように設計された樹状細胞を、抗原性組成物(例えば、1つ以上の抗原を含む腫瘍溶解性ウイルス調製物又は組成物)と一緒に哺乳動物(例えば、ヒト)に投与(例えば、全身投与)する。一部の例では、ウイルスベクター及び抗原性組成物(例えば、腫瘍溶解性ウイルス)を放出するように設計された樹状細胞は、共投与される別々の組成物中に存在する。一部の例では、ウイルスベクターを放出するように設計された樹状細胞は、抗原性組成物(例えば、腫瘍溶解性ウイルス)で負荷され(例えば、被覆され)、単一組成物として一緒に投与される。
【0080】
抗原性組成物(例えば、1つ以上の抗原を含む腫瘍溶解性ウイルス調製物又は組成物)のブースト(例えば、後続投与)は、樹状細胞の初回投与の約1~3週間(例えば、約1週間)後に哺乳動物に投与(例えば、全身投与)され、それによって哺乳動物中に有効な抗がん応答を生じる。
【0081】
この手順は、CARの標的抗原に特異的であり、且つ抗原性組成物のエピトープに特異的である二重特異性T細胞の生成をもたらすことができる(例えば、
図1を参照)。このような二重特異性T細胞は、哺乳動物中で二重特異性CAR
+ Tメモリー細胞及び/又は二重特異性CAR
+エフェクターT細胞に分化することができる。
【0082】
抗原性組成物(又はその一部分)によるブースト(例えば、全身ブースト)は、二重特異性CAR+メモリーT細胞をin vivoで再活性化することができる。これらの再活性化された二重特異性CAR+メモリーT細胞は、二重特異性CAR+メモリーT細胞上に存在するCARにより認識される抗原を提示する細胞(例えば、がん細胞)を標的とする(例えば、標的化して破壊する)ことが可能であり、及び/又は、CAR+であり、二重特異性CAR+エフェクターT細胞上に存在するCARにより認識される抗原を提示する細胞(例えば、がん細胞)を標的とする(例えば、標的化して破壊する)ことができる、二重特異性エフェクターT細胞を生成することができる。
【0083】
[実施例4]
操作樹状細胞及び抗原性組成物によるがんの治療
以下のマウスの群を表1に示されたとおりに治療した。
【0084】
【0085】
DCにより治療された群では、同種異系又は自己DCを、示されるとおりにCAR又はCAR+SIINFEKL(配列番号1)抗原をコードする複製欠損レンチウイルスをコードするように操作した。同種異系又は自己DCによりブーストされた群では、ブーストは、複製欠損レンチウイルスをコードするように操作されなかったDCを含んだ。
【0086】
これらの結果は、CARをコードする複製欠損レンチウイルスをコードするように操作された同種異系及び自己DCを使用して、がんを治療できることを実証している。これらの結果はまた、CARをコードする複製欠損レンチウイルスをコードするように操作された同種異系及び自己DCを1つ以上の抗原ブーストと共に使用して、がんを治療できることも実証している。
【0087】
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と共に記載されているが、前述の説明は例示することを意図するものであり、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、及び改変は、以下の特許請求の範囲内にある。
【配列表】
【国際調査報告】