IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リトラクタブル テクノロジーズ,インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ ショー,トーマス ジェイ.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】医療用注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20241024BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
A61M5/31 530
A61M5/31 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526522
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 US2022078553
(87)【国際公開番号】W WO2023081587
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】17/518,308
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513066638
【氏名又は名称】リトラクタブル テクノロジーズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Retractable Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】511 Lobo Lane Little Elm, TX 75068, U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】508328486
【氏名又は名称】ショー,トーマス ジェイ.
【氏名又は名称原語表記】SHAW,Thomas J.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショー,トーマス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スモール,マーク
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066FF05
4C066GG15
4C066GG17
4C066HH17
4C066LL21
4C066QQ79
(57)【要約】
【解決手段】 医療用の安全注射器は、管状バレルを有する射出成形プラスチック本体と、バレルを囲む横方向のフィンガーフランジと、フィンガーフランジの前方に配置されて、実質的に平らな外向き面を有しており、上向きに突出する2つの羽根状部と、バレルの内壁に摺動可能に係合するプランジャアセンブリと、バレルから前方に突出する先端を有する針と、2つの羽根状部間で本体に摺動可能に係合する針安全シールドとを有している。横方向のフィンガーフランジは窓を有しており、本体の射出成形中に窓を通してコアピンを挿入することができる。プランジャアセンブリは近位端キャップを有しており、当該近位端キャップは、プランジャハンドルと一体であり、横方向フィンガーフランジの後向き面に当接する。針安全シールドの遠位端には、針先端を保護するために注射器の使用後に前方に移動可能な円筒状針ガードがある。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用安全注射器において、
内壁、近位端及び遠位端を有する管状バレルと、前方に突出する針ホルダを有しており、前記遠位端にある円筒状ノーズと、前記近位端の近くで前記バレルから横方向に突出するフィンガーフランジと、前記フィンガーフランジから前記バレルの遠位端まで後方に突出する第1の円筒状カラーと、前記フィンガーフランジの前側に配置された2つの直立羽根状部とを備えている射出成形プラスチック本体であって、前記2つの直立羽根状部は、前記バレルから突出しており、前記バレルの上方で互いに平行に離れて前記フィンガーフランジから前方に延びている、射出成形プラスチック製本体と、
前記針ホルダに取り付けられ、前記針ホルダから前方に突出しており、遠位針先端を有する針と、
近位端及び遠位端を有する細長いプランジャハンドルを備えるプランジャアセンブリであって、前記プランジャハンドルの遠位端は、前記第1の円筒状カラーの後向き開口を通して前記バレル内に挿入されて前記バレルの内壁に摺動可能に係合する弾性プランジャシールを有しており、前記プランジャハンドルの近位端は、前方に突出する第2の円筒状カラーを有するエンドキャップを備えており、前記第2の円筒状カラーは、前記本体の前記後方に突出する第1の円筒状カラーに嵌合して取り囲んで摺動可能に係合し、前記プランジャが前記管状バレル内で完全に前進すると、前記フィンガーフランジの後向き面に当接する、プランジャアセンブリと、
前記バレルの上方で前記2つの直立羽根状部間に配置されて前記バレルに揃えられた長手方向に延びる針安全シールドと、
を備えており、
前記針安全シールドは、近位端及び遠位端を有する作動ハンドルを更に備えており、前記作動ハンドルは、前記本体に摺動可能に係合しており、上向きのタッチ面を有しており、前記タッチ面は、前記本体に対する前記針安全シールドの前方摺動を開始させて、前記遠位端に配置された円筒状針ガードを、前記安全注射器の保管及び使用中に前記バレルの前記円筒状ノーズを囲む第1の位置から、前記安全注射器の使用後に前記針先端を保護する第2の位置に選択的に再配置するために使用者が手の圧力を印加することを容易にする、安全注射器。
【請求項2】
各羽根状部は、内向きに突出して長手方向に延びる支持ガイドレールを備えており、前記支持ガイドレールは、前記針安全シールドの前記作動ハンドルと摺動可能に係合可能である、請求項1に記載の安全注射器。
【請求項3】
延設された各支持ガイドレールは、前記作動ハンドルにおける隣接する側に配置されて延設されたチャネルと協働するサイズにされて前記延設されたチャネルに揃えられ、前記延設されたチャネルは、その支持ガイドレールと摺動可能に係合可能である、請求項2に記載の安全注射器。
【請求項4】
前記フィンガーフランジは窓を含んでおり、前記窓を通して前記本体の射出成形中にコアピンを挿入し、また、後退させることができる、請求項1に記載の安全注射器。
【請求項5】
前記窓は、前記摺動安全シールドの前記作動ハンドルと協働するようなサイズにされて、前記作動ハンドルと揃えられる、請求項4に記載の安全注射器。
【請求項6】
前記窓は、各直立羽根状部の前記内向き壁の近位端部と連続する側部を有する、請求項4に記載の安全注射器。
【請求項7】
前記窓は、離間した前記2つの直立羽根状部を橋渡しして構造的支持を提供する上部を有する、請求項6に記載の安全注射器。
【請求項8】
各支持ガイドレールは、それが突出する羽根状部の一部として一体的に成形される、請求項2に記載の安全注射器。
【請求項9】
少なくとも1つの直立羽根状部は、前記注射器内に配置された流体の体積測定に関連する標示を有する実質的に平らな外向き面を備える、請求項1に記載の安全注射器。
【請求項10】
各直立羽根状部は、前記注射器内に配置された流体の体積測定に関連する標示を有する実質的に平らな外向き面を備える、請求項9に記載の安全注射器。
【請求項11】
前記長手方向に延びる支持ガイドレールは、前記直立羽根状部の内向き面に形成された干渉要素と協働して、前記バレルに対する前記針安全シールドの摺動を制限する、請求項1に記載の安全注射器。
【請求項12】
前記干渉要素は、前向き停止肩部を有するランプ部を含む、請求項11に記載の安全注射器。
【請求項13】
前記摺動する安全シールドは、前記ランプ部の前記前向き停止肩部と係合する後向き停止面を備えており、前記円筒状針ガードの前記第2の位置への配置後における前記本体に対する前記針安全シールドの後方移動を防止する、請求項12に記載の安全注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2019年3月29日に出願された米国特許出願第16/370,239号の一部継続出願であり、当該一部継続出願は、2018年3月29日に出願された米国特許出願第15/940,305号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、流体を吸引又は注入する医療用途に構成された安全注射器であって、格納式針を備えていない安全注射器に関する。本明細書で使用されているように、用語「安全注射器」は、注射器の使用者若しくは後続の取扱者、患者、又は傍観者が、その注射器の一部であるか、又はそれと関連して使用される針若しくはカニューレによる不注意、偶発的、又は意図しない針刺しを経験する可能性を低減させるように機能又は協働する、1つ又は複数の構造及び/又は保護特徴を有する注射器を意味する。
【背景技術】
【0003】
医療用である注射器は、典型的には、取り外し可能なプランジャキャップを備えるように作られる。プランジャキャップは、注射器の使用前にバレルの後部にて、プランジャキャップがなければプランジャハンドルの周りに存在する環状空間を通って汚染物質が注射器バレルに入ることを防止するのに役立つ。このようなプランジャキャップは、通常、使用前に取り外されて廃棄される。注射器の使用前に取り外し可能なプランジャキャップの製造、使用、又は廃棄を必要としない安全注射器が必要とされている。
【0004】
医療注射器は通常、略円筒状の内壁と外壁を備えるバレルを備えるように作られるが、これは、体積投与量標示やその他のマーキングが、製造中に円弧状の外面に施されることを意味する。これは、特に、(1mL、0.5mLやより小さい注射器のように)バレルの直径及び外壁の曲率半径が小さい場合、利用可能な外側表面積が極めて限定されている場合、又は、異なる投与目盛り若しくはその他の標示がバレルの両側に適用される注射器では、困難であり得る。これらの例では、印刷中にバレルをスピン又は回転させることが大抵の場合必要であって、また、投与量測定線及び関連する数値又はその他のマーキングなどの標示は、バレルの周囲にかなり巻き付いていることから、それらを読み取ることがしばしば困難である。この問題は、投与量の数値が「1」未満であり、その前に「0」を付ける必要がある小径の低用量注射器で更に顕著になる。この例では、注射器内の流体レベルを決定するために体積測定標示に焦点を合わせるときに、注入に関連する投与量を識別する主な数字が見えないことがある。これらの設計上の欠陥は、使用者、特に視力が悪い又は弱っている年配の使用者を混乱させて、医療ミスの原因となる。
【0005】
その他の設計上の欠陥は、注射後に所定の位置へと回転される針シールド又はガードを有する、ある種の所謂「安全注射器」に存在する。注射前及び注射中に、そのようなシールド又はガードは、投与量スケール及び標示のかなりの部分をしばしば邪魔して又は遮って、医療ミスの原因にもなる。
【0006】
長手方向に延びるハブ又はその他の摺動可能な安全要素を有するある種の「安全注射器」には、注射器の全長を増加させて、注射器内の「デッドスペース」の一因となる他の設計上の欠陥が存在する。デッドスペースの量を増加させることなく、使用者、患者及び傍観者を偶発的な針刺しから保護する注射器が必要とされている。注射器内のデッドスペースの量を減少させることは、薬剤の無駄を減少させて、一つの薬瓶から利用可能な投与回数を増加させるために必要である。
【0007】
その他の設計上の欠陥は、注射器バレルに取り付けできるスリーブ又はクリップとして構成された平らな標示付き面を有する注射器に関して存在する。このような注射器は、追加の部品の製造を必要とし、位置決め誤差及び位置合わせ誤差の一因となり、ひいては投与誤差の一因となる。
【0008】
少なくともこれらの理由から、工場で付される(factory-applied)投与量マーキングや他の標示を有しており、一体成形された容易に視認可能な印刷可能面を有するバレルを備えた低用量用安全注射器が必要とされている。そのような注射器は、小さいデッドスペースを具現化し、偶発的な針刺し損傷から使用者及び患者を保護し、注射器の一個当たりのコストも低減するような高速射出成形方法及び機器を使用して製造可能であるのが望ましい。
【0009】
コロナウイルスやその他の毒性病原体に関する最近の進行中の世界的な大流行の間、種々のサイズ及び針ゲージで迅速且つ確実に作製可能な安全注射器に対する需要が増加している。同時に、より効率的且つ安価に製造でき、材料費と包装費を抑えられるような、改良された注射器設計の必要性がますます強調されている。安全で信頼性の高い針刺し保護機能と、一体成形された平らで印刷可能な標示表示面と、選択的に取り外し可能な別個のプランジャキャップの使用を必要としないプランジャアセンブリとを組み合わせた注射器が必要とされている。また、アンダーカットを成形するためにスライドの使用を必要とせず、その代わりに、注射器本体の射出成形中にコアピンのためのクリアランスを提供して、64個のキャビティ金型の使用を容易にし、その結果として生産能力を増大させ、生産コストを低減させるように構成された、前述の特長を具体化する安全注射器本体が必要とされている。そのような安全注射器が本明細書に開示される。
【0010】
同じ技術分野にあると言える構成要素を有する他の製品を開示する先行文献には、例えば、米国特許出願公開第2015/0231335A1号と米国特許第4,946,447号とがある。
【発明の概要】
【0011】
本発明の安全注射器の申し分のない実施形態は、望ましくは、射出成形プラスチック本体を備えており、更にその射出成形プラスチック本体は環状バレルを備えており、環状バレルの遠位端にて針ホルダが前方に突出しており、環状バレルの近位端の近くでフィンガーフランジが横方向に突出しており、横方向に突出するフィンガーフランジの後ろで円筒状カラーがバレルから後方に突出しており、バレルと連続しており長手方向に延びる2つの羽根状部が、平行で離間した関係でバレルから上方に突出している。各羽根状部は、内向きに一体的に成形された支持ガイドレールを有しており、当該支持ガイドレールは、長手方向に延びており、協働的なサイズに設定されて揃えられる針安全シールドのチャネルに摺動可能に係合する。各羽根状部は、実質的に平らな外向き面を更に備えており、当該外向き面は、使用者が容易に読み取ることができるようにバレルの下部に近接して配置された、体積測定マーキング標示と投与量の数字のアレイを有することが望ましい。各羽根状部の近位端は、横方向のフィンガーフランジ内のバレルの上方に配置された窓の側部に隣接する。その窓は、公知の従来技術の注射器のフィンガーフランジには存在しておらず、成形中に羽根状部間にコアピンを挿入すること及び後退させることを可能にして、より効率的な成形を容易にし、それによって製造時間及び製品コストを低減するために設けられる。
【0012】
本開示の幾つかの例では、本体の2つの羽根状部は、バレルから「接線方向に」突出すると言われることがある。このような場合で使用されるように、「接線方向に」は、延設された2つの羽根状部がバレルの上向き部分の両側からほぼ上向きに延びていることを意味しており、カテーテル導入器のような幾つかの従来技術の医療装置を患者の身体部分に対して安定させるために使用される羽根状部のようにバレルから横方向外側に延びることを意味してはいない。本発明の安全注射器の本体のようなプラスチック装置の射出成形分野における当業者には、抜き勾配及び曲率半径のような設計基準に対して、「接線」の数学的定義に厳密には適合しない修正が必要とされる場合があることは理解されるであろう。このような変更は、例えば、成形を容易にし、本体のバレル部分の一部として一体的に成形される各羽根状部の基部に沿った応力集中を低減するために必要とされることがある。各羽根状部が個々のガイドレールに一体的に成形される場合には、同様の設計変更が必要とされることがある。
【0013】
前方に突出する針は、バレルの遠位端に配置された針ホルダに固定されて取り付けられることが望ましく、選択的に取り外し可能な針カバーが設けられて、針先端を保護し、注射器の使用前の不注意な針刺し負傷又は汚染から守ることが望ましい。針カバーは、閉じた遠位端と、前方に延びるバレルのノーズと摩擦係合する近位の開放端とを有することが望ましい。
【0014】
本発明はまた、プランジャアセンブリを備えることが望ましく、当該プランジャアセンブリは、開口を通してバレル内に挿入可能な細長いハンドルを更に備えており、当該開口は、本体の横方向フィンガーフランジの後ろで後方に突出する円筒状のカラーに設けられる。弾性プランジャシールは、プランジャハンドルの遠位端に配置されており、管状バレルの内壁に摺動可能に係合する。ハンドルの近位端は、前方に突出する円筒状カラーを伴った堅い端部キャップを備えているのが望ましく、円筒状カラーは、後方に突出する本体の円筒状カラーに嵌合し、それを囲って摺動可能に係合する。前向きの円筒状カラーの外周部の大部分は、プランジャがバレル内で完全に前進すると、横方向フィンガーフランジの後向き面の部分に当接することが望ましい。前向き円筒状カラーは、使用前に汚染物がバレルの後部に入るのを防止するために従来技術の注射器で必要とされるような別個のプランジャキャップの必要性を排除する。
【0015】
針カバーが装着されて、前方に突出するプランジャの円筒状カラーが横方向フィンガーフランジの後向き面に当接するようにプランジャがバレル内で前進すると、注射器の内部の流体接触部分は、注射器が別のパッケージ内に封入されているか否かにかかわらず、封止されて汚染から保護される。これによって、パッケージング及び殺菌を行う前に注射器を組み立てて、まとめて出荷することが可能になる。
【0016】
長手方向に延びる針安全シールドは、管状バレルの上方に、管状バレルと平行に揃えられて配置される。針安全シールドは、互いに反対向きの細長いチャネルを有する作動ハンドルを備えることが望ましく、それらチャネルは、羽根状部の内向き面に一体的に成形された支持ガイドレールとの長手方向の摺動係合を提供するように協働的に構成されて揃えられる。作動ハンドルはまた、テクスチャ加工された上向きのタッチ面を備えることが望ましく、当該タッチ面は、針安全シールドの前方への摺動移動を開始するために手で圧力を加えて、使用後において針先端を囲む位置に針安全シールドの遠位端に配置された円筒状針ガードを前方に再配置して、患者及び医療関係者を偶発的な針刺しと血液媒介病原体による感染に伴うリスクとから保護することを容易にする。円筒状針ガードは、注射器の保管及び使用中において、作動ハンドルの前方移動の前にバレルの前向き円筒状ノーズの周りに配置されることが望ましい。また、羽根状部の長手方向支持ガイドレールは、望ましくは、羽根状部の内向き面に成形された干渉要素、ランプ部、及び肩止め部と協働して、以下で説明するように、注射器の使用中に必要な際に、バレルに対する摺動式安全シールドの摺動を制限する。本発明の主な利点は、フィンガーフランジを通る窓を有する本体構成であって、当該窓によりコアピンの挿入と後退とが可能になり、スライドを必要とせずに、本体の干渉要素、ランプ部、及び止め部のアンダーカットを成形することができる。
【0017】
本体の各羽根状部は、バレルと連続しており、バレルから上方に突出する基部と、印刷された投与量マーキングを有する、外向きの実質的に平らな標示表示面を備える。対向して配置された2つの羽根状部は、同じ又は異なる投与量スケールを有してよく、異なる単位でマーキングされた体積測定が容易にされてよい。本発明は、使用可能な容積が1mL以下である注射器で特に有用である。このような注射器は通常、バレル直径が小さいことから、外面に適用される体積投与量標示がバレルの周囲の大部分の周りに巻き付くことになる。本発明の一実施形態によれば、パッド印刷技術(「タンポグラフィ(tampography)」と呼ばれることもある)を使用して、注射器の実質的に平らな表示面に体積投与量標示又は他のマーキングが付される。本明細書で使用される場合、用語「実質的に平らな」は、関連する表面の大まかな構成を意味しており、比較的小さい凸部や凹部を、特に、付された標示又は他のマーキングに起因するそのような特徴を伴う僅かな湾曲、抜き勾配、又は小さな起伏を含んでよい。
【0018】
本発明の安全注射器は、格納式針を必要とせず、また、費用を増加させることなく、安全対策に必要な針保護特徴を具体化する。本発明のこの実施形態は、より容易に読み取り可能な投与量標示を有する平らで印刷可能な表面の利点と、より単純であるが、依然として効果的であって使用が容易な針安全装置のコスト上の利点とを組み合わせることで、特に、ワクチン、インフルエンザ注射や様々な慢性の健康状態を治療するために頻繁な注射(例えば、インスリン)を必要とする人のための、又は発展途上の場所に住む人のための治療に関する注射の広範な投与について、安全でより手頃な解決策を提供する。さらに、投与量マーキング及び標示は、使用者によってより容易に読み取り可能であるので、薬液を不正確な投与量で患者に投与するリスク(「医療ミス」)が少なく、また、それによって、他の意図しない結果を引き起こすリスクも少なくなる。
【0019】
本発明の安全注射器は、医療用注射器に配置された、より広くて実質的に平らな表示面を具体化することが望ましく、当該表示面は、周囲にある横方向フィンガーフランジの実質的に平らな縁部と協働して、注射器がトレイや他の平坦面から転がり落ちることを防止するのに役立つ。また、その実質的に平らな表面は、管状バレルを有する従来の注射器のフランジと比べて、バレルの周囲のフランジを相対的に狭くすることができるので、提供される表面領域が大きくなって、使用者による表示面の理解が容易になる。また、互いに反対向きの実質的に平らな羽根状部表面は、安定性と、注射や他の処置中に使用者が注射器に対して行使できる制御の度合いとを改善する。
【0020】
本発明の安全注射器はまた、例えば、他の従来技術及び競合する注射器構成と比較して、プランジャと針の間の「デッドスペース」が少ないことを特徴とすることが望ましい。本明細書では、用語「デッドスペース」は、プランジャがバレル内で完全に前進したときに注射器内に残る医薬流体によって占有される内部容積を意味する。過度のデッドスペースは、注射時の薬液の無駄につながり、液体の吸引時に注射器の液体チャンバ内に望ましくない気泡が形成される原因にもなる。デッドスペースの少ない注射器を使用することにより、場合によっては、使用者は、薬剤の各薬瓶から更なる用量を得ることができる。本発明の注射器は、インスリン又はワクチンなどの比較的少量の医薬流体を注射又は注入によって使用者に投与するのに特に有用であるが、注射器の構造及び動作は、特定のサイズ、用量又は手順で限定されない。
【0021】
本発明の別の実施形態が開示され、その別の実施形態は、望ましくは1つ、好ましくは互いに反対向きで実質的に平らな2つの標示表示面を具体化し、また、針の周囲に周方向に延びており、望ましくは針と同軸に揃えられる針先端ガードを有する針安全シールドを具体化する。針先端ガードは、本体に摺動可能に係合する作動ハンドルに取り付けられる、接続される、又はそれと共に一体的に成形される。適切なレール、ランプ部、停止肩部、戻り止め部、又は他の同様の効果的な手段が、針安全装置とバレルの一部として望ましくは提供されているので、作動ハンドルは所望の時にほとんど干渉なしにスムーズに進み、また、その後に誤って後退して針先を露出させることはない。本発明のこの実施形態の針安全装置は、誤った針刺しから使用者を保護するために針引込み機構や針格納キャビティを有する必要がなく、針に対してバレルが横方向に摺動する必要もない。注射器の使用後、針及び針先ガードの後方に位置する作動ハンドルのタッチ面に手動で圧力を加えることで、針先ガードが選択的に前進して、前方に突き出た針先から使用者を保護する。作動ハンドルは、注射器の本体と摺動可能に係合しており、針先が覆われていない第1の位置から、針先が針先ガードによって囲まれており、不用意な針刺しから保護される第2の位置まで、バレルに対して前方に摺動可能である。針安全装置がバレルに対して完全に伸びると、針先は、針先ガードの内側に完全に配置されていることが望ましく、使用済みの注射器を扱う人が、単に注射器の先端に指先を当てるだけで不用意に針刺し事故に遭うことはない。
【0022】
本発明の別の実施形態では、バレル及び作動ハンドルは、協働的に係合可能な要素を含んでおり、それらの協働的に係合可能な要素は、バレルに対して、所定の2つの停止位置の間にて手動で長手方向に摺動する制御可能な作動ハンドルの動きを可能にしている。第1の停止位置は、針先ガードがノーズをほぼ取り囲むような完全に引き込まれた使用位置である。第2の停止位置は、針先シールドが前方に突出した針の先端の周囲を取り囲む、使用後に完全に伸びた位置である。
【0023】
本発明の好ましい一実施形態では、前方に突出した針がバレルのノーズに固定して配置されているが、本開示を読むと、同様に構成された注射器を、ねじやその他同様の効果的な手段を用いることによってバレルに選択的に取り付けられるように構成された針を用いて作ることができることは理解されるであろう。
【0024】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、添付の図面と併せて、様々な実施形態の以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を考慮することによって、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の注射器は、以下の図面に関連して更に記載及び説明される。
図1図1は、本発明の一実施形態の上側正面視斜視図である。取り外し可能な針カバーは、複数の注射器を組み合わせて、輸送し、保管することができる位置に取り付けられている。プランジャはバレル内を完全に前進しており、プランジャ端部のキャップの前方に突出する円筒状カラーは、横方向フィンガーフランジの後向き面の一部に当接している。
図2図2は、図1の実施形態の上側背面視斜視図である。
図3図3は、図1の実施形態の分解上側前方視斜視図である。
図4図4は、図1の実施形態の上側前方視斜視図であって、取り外し可能な針カバーが取り外されている。
図5図5は、図1の実施形態の左側面図である。
図6図6は、図1の線6-6に沿って破断した側断面図である。
図7図7は、図6においてプランジャが本体に対して部分的に引き出された状態である。
図8図8は、図4の上側前方視斜視図において、針安全シールドが前進して、前方に突出する針を覆った状態である。
図9図9は、図8の左側面図である。
図10図10は、図8の線10-10に沿って破断した断面図である。
図11図11は、図6の遠位部の拡大図である。
図12図12は、図10の遠位部の拡大図である。
図13図13は、図1の正面図である。
図14図14は、図4の正面図である。
図15図15は、図3の本体12の平面図である。
図16図16は、図4の注射器10の平面図である。
図17図17は、図8の注射器10の平面図である。
図18図18は、図15の線18-18に沿って破断した断面図である。
図19図19は、図15の線19-19に沿って破断した断面図である。
図20図20は、図15の線20-20に沿って破断した断面図である。
図21図21は、図16の線21-21に沿って破断した断面図である。
図22図22は、図16の線22-22に沿って破断した断面図である。
図23図23は、図16の線23-23に沿って破断した断面図である。
図24図24は、図17の線24-24に沿って破断した断面図である。
図25図25は、図17の線25-25に沿って破断した断面図である。
図26図26は、図15に示された本体の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1図3を参照すると、安全注射器10は、本体12と、針安全シールド14と、プランジャアセンブリ16と、針18と、取り外し可能な針キャップ20とを備える。本体12は、医療グレードのポリマー材料から成形されることが望ましく、バレル22に引き込まれた液体レベルを使用者がはっきりと視認することを可能にするのに十分な透明性を有する。本体12は、実質的に平行に離間している2つの直立した羽根状部24,26を更に備えており、それら羽根状部24,26は、バレル22の上方に接線方向に突出して、それらの間において軸方向に延びる細長い空間28を画定する。少なくとも一方の、好ましくは両方の羽根状部24,26の外向きの表面は、望ましくは実質的に平らであり、表示面に適用された体積測定標示のアレイ74,75を含む。
【0027】
アレイ74,75は、例えば、流体単位の数を識別するアラビア数字と関連する主要な測定標示とを少なくとも含んでよい。しかしながら、添付の図面の図は、例示目的のためであって一定の縮尺で描かれておらず、副次的な単位のマーキングなどの幾つかの特徴の配置は、図示されている位置から変化し得ることを理解のこと。標示又はマーキングの少なくとも一部は、壁24,26の実質的に平らな外向き表示面上で始まることが望ましく、任意選択的に、短い距離にわたってバレル22の湾曲した外壁上に続いてよい。このような配置は、公知のパッド印刷技術の運用能力の範囲内であると認識され、現在では、当業者にとって容易に利用可能である。
【0028】
フィンガーフランジ30は、バレル22に対して横方向に配置され、バレル22と羽根状部24,26の近位端の周りで外側に突出している。フィンガーフランジ30は窓32を更に備えており、窓32は、バレル22の上面と連続する底部と、羽根状部24,26の内向き面の近位端と連続する側部と、上縁31(図1及び図2)とを有している。上縁31は、窓32の上側を橋渡ししており、羽根状部24,26の上方に突出する近位端に構造的支持及び補強をもたらす。円筒状カラー33は、フィンガーフランジ30から後方に延びており、後向きの開口を提供する。当該開口は、バレル22の内壁と同軸状に揃えられて連通する。安全注射器10の本体12は、バレル22から前方に突出する円筒状ノーズ35と、円筒状ノーズ35から前方に突出する針ホルダ42とを更に備えている。
【0029】
針安全シールド14は細長い作動ハンドル65を備えており、当該作動ハンドル65は、本体12の直立壁24,26の間に嵌まっており、それらに摺動可能に係合するように構成されていることが望ましい。軸方向に延びるチャネル64(図3)が作動ハンドル65の両側に提供されており、羽根状部24,26の内向き面から内向きに突出しており、協働するサイズにされて揃えられる支持ガイドレール34,36に摺動可能に係合することが望ましい。針安全ガイドは、上向きの、望ましくはテクスチャ加工されたタッチパッド62を更に備えており、注射器の使用後に、摺動可能に係合された針安全シールドを第1の位置から第2の位置に選択的に再配置するために必要な指圧を印加することを容易にする。作動ハンドル65における前方に延びる部分は、下方に湾曲していることが望ましく、内部通路68を画定する内壁70を備えており、一体成形された円筒状針ガード67に繋がっている。円筒状針ガード67の内壁70は、安全注射器10の組立中に針安全シールド14の作動ハンドル65のチャネル64が本体12の内向きの支持ガイドレール34,36を受け入れて摺動可能に係合する際に、本体12の円筒状ノーズ35の外向き面に摺動可能に係合するようにサイズ設定されて揃えられることが望ましい。
【0030】
図3を参照すると、プランジャアセンブリ16は、遠位端突起部46と、弾性プランジャシール50用の凹状環状着座面48とを有する細長いプランジャハンドル44を備えている。弾性プランジャシール50は、遠位端突起部46に取り付け可能な後部カラー52と、前向き端面54と更に備えている。図3図6、及び図7を参照すると、弾性プランジャシール50の形状は、プランジャハンドル44の遠位端が、本体12のバレル22における後方に突出する円筒状カラー33を通って前方に挿入されてバレル22の内壁と摺動係合すると、バレル22の内壁に対して流体シールを提供するようなものであることが望ましい。図3図6及び図7を更に参照すると、プランジャアセンブリ16のプランジャハンドル44の近位端は、望ましくは、プランジャ親指キャップ60と一体的に成形されるのが望ましい。プランジャ親指キャップ60は、前方に突出する円筒状カラー56を有しており、その円筒状カラー56は、図5及び図6に示される構成への安全注射器10の組立て中に、プランジャシール50及びプランジャハンドル44がバレル22内に前方に挿入されると、バレル22の後方に突出する円筒状カラー33にわたって前方に摺動するように構成されている。針18の後端は、針ホルダ42に挿入可能であって、接着剤又は同様に有効な別の市販の手段を使用することなどによって、針ホルダに固定されるように取り付けられる。
【0031】
図5及び図6に示すように、安全注射器10は、前方に突出しており、前側針先端86を有している針18を覆う針キャップ20と、プランジャハンドルとを有するようにして完全に組み立てられる。プランジャハンドルは、プランジャ端部のキャップ60から前方に突出する円筒状カラー56がフィンガーフランジ30の後向き面に当接するように前方へとバレル22内に完全に配置される。安全注射器10が図5及び図6に示すように構成されると、バレル22の内部は、上述の注射器と共に使用するために必要とされるような別個のプランジャキャップを必要とすることなく、外部汚染から保護される。プランジャアセンブリの円筒状カラー56の内面58は、後方に突出する本体12の円筒状カラー33の外面と摺動可能に係合するように構成されることが望ましい。
【0032】
図4を参照すると、針キャップ20(図1及び図2)が外された状態で、安全注射器10が「使用前」配置で示されている。針18は、バレル22の針ホルダ42から前方に突出しており、針安全シールド14はその第1の停止位置にあり、円筒状針ガード67は、針ホルダ42及び円筒状ノーズ35の周りでその使用前位置に配置されている。図1図3図6及び図11に示すように、円筒状ノーズ35の外面と円筒状針ガード67の内壁70との間の径方向の隙間は、選択的に取り外し可能な針キャップ20の後方に延びる円筒状部分80がそれらの間に挿入され、円筒状ノーズ35の外面と摩擦係合することを可能にするのに十分であることが望ましい。針キャップ20の側壁部76の長さは、様々な長さとゲージの針(例えば、針18)を収容するのに十分であって、安全注射器10の使用前に針先端86(図6)が堅い端部キャップ78と係合させないことが望ましい。図11を参照すると、プランジャハンドル44がバレル22の内側で完全に進むと、針ホルダ42の内側でプランジャシール50と針18の近位端との間には、わずかなデッドスペース84が存在する。
【0033】
次に図4及び図7を参照すると、針キャップ20が取り外されて、円筒状針ガード67が針ホルダ42及び本体12の円筒状ノーズ35の周りに依然として配置されており、針安全シールド14がその第1の停止位置に依然として配置されている状態で、針18を薬瓶に挿入することができ、プランジャアセンブリ16のプランジャキャップ60をバレル22に対して所望の距離だけ引き出すことで、注射液を吸引するための流体チャンバ82をバレル22の内部に形成することができる。
【0034】
注射の間、プランジャハンドル44は図8図10及び図12に示されるようにバレル22の内側で再び完全に前進し、その後、望ましくは針安全シールド14の作動ハンドル65の上向きのタッチ面62に軽い手の圧力が加えられて、本体12のバレル22及び羽根状部24,26に対して針安全シールド14の前方移動を細長い空間28内で開始する。これにより、作動ハンドル65は、図10に最も良く示されているように、スライド65がランプ部40を越えて前方に移動する第2の停止位置に再位置決めされる。その後、作動ハンドル65は第2の停止位置に「ロック」されて、ランプ部40の前向き肩部と作動ハンドル65の後向き端面72とが当接することで阻止される。これが起こると、円筒状針ガード67は、針18の針先端86が円筒状空間68の内側に配置される位置へと前方に移動して、針先端86が安全注射器10の使用者、患者、傍観者、又はその後の取扱者に偶発的な針刺し損傷を引き起こすことを防止する。
【0035】
図13及び図14を参照すると、安全注射器10の正面図は、羽根状部24,26、支持ガイドレール34,36、バレル22、針キャップ20の端壁78、作動ハンドル65の上向きタッチパッド62及び円筒状針ガード67、針ホルダ42、円筒状ノーズ35、並びに、横方向フィンガーフランジ30を示している。図13では、針キャップ20は所定の位置にあり、図14では、針キャップは取り外されている。
【0036】
本体12の平面図である図15を参照すると、針ホルダ42及び円筒状ノーズ35は、バレル22から前方に突出し、円筒状カラー33はフィンガーフランジ30の後側で後方に突出している。窓32の上縁31(図3)が見えており、バレル22の上方に配置された軸方向に延びる空間28の両側に配置された羽根状部の上部を繋げて支持している。支持ガイドレール34は羽根状部24の内向き壁から内向きに突出しており、支持ガイドレール36は羽根状部26の内向き壁から内向きに突出している。図3及び図15図16を参照すると、対向する干渉要素38,39は一体成形されており、針安全シールド14が第1の停止位置に配置されて、円筒状針ガード67が本体12の円筒状ノーズ35及び針ホルダ42の周りにある間、針安全シールド14(図16)に摩擦係合して、その前方摺動に対してわずかな抵抗を与えるように構成されていることが望ましい。図16図17を参照すると、注射に続いて、針安全シールド14の作動ハンドル65の上向きのタッチ面62に指の圧力が前方へと加えられると、針安全シールド14は、干渉要素38,39及びランプ部(ramp)40,41(図17)を越えて、円筒状針ガード67が針18の先端86(図16に見える)を囲む第2の停止位置(「安全」位置とも呼ばれる)まで前方に摺動する。図10及び図17を参照すると、針安全シールド14が第2の停止位置に到達すると、バレル22及び針18に対する針安全シールド14の後方への移動は、針安全シールド14の後向き肩部72とランプ部40,41の前向き肩部との間の対面当接によって阻止されることが望ましい。この当接は、安全注射器10の使用後に針安全シールド14が第2の停止位置に移動された後に、円筒状針ガードが針先端86を再び露出させることを防止する。
【0037】
図26は、図15に示された本体12の長手方向に沿った断面図であり、矢印90,92は、互いに対向して配置された射出成形コアピンが羽根状部24,26の間の空間28に挿入可能である方向及び程度と、コアピン停止線94の所望の位置とを示すために例示目的で示されている。このことは、スライドを必要とせずに、長手方向に延びる支持ガイドレール34,36と、干渉要素38,39と、羽根状部24,26の内面から内向きに突出するランプ部40,41との一体成形を容易にする。これは、より大きなキャビティを有する金型の使用を容易にし、製造効率を高め、バレル12及び安全注射器10(図1)の製造コストを低下させる。
【0038】
図18は、図15の線18-18に沿って破断したバレル12の断面図であり、支持ガイドレール34,36が、どのようにして、羽根状部24,26から、バレル22上で軸方向に延びる空間28内へと内向きに突出するかを更に示しており、また、横方向フィンガーフランジ30の窓32の前方に配置されたランプ部40,41の前部の対向面を示している。バレル22の内部に示されている空所は、バレルの内部へのプランジャアセンブリの挿入後に流体チャンバ82になる空間である。
【0039】
図19は、支持ガイドレールの後ろ側を後向きに見たバレル12の断面図であり、羽根状部24,26の間の空間28を示しており、フィンガーフランジ30の窓32は、対向配置された干渉要素38,39とランプ部40,41の前向き面によってのみ妨げられている。窓32の上縁31は、フィンガーフランジ30の窓32と連続する羽根状部24,26の部分の間に構造的支持及び完全性を提供する。
【0040】
図20は、図15の線20-20に沿って破断してフィンガーフランジ30の前方を見た前方視断面図であり、羽根状部24,26、干渉要素38,39、ランプ部40,41、及びバレル22の前方に配置された針ホルダ42の近位端を示す。
【0041】
図21は、図16の線21-21に沿って破断して後方視断面図であり、針安全シールド14の支持ガイドレール34,36と、作動ハンドル65の両側に配置された長手方向チャネル64との間の摺動係合を示している。針安全シールド14の上向きのタッチ面62は、作動ハンドル65の上方に見えており、ランプ部40,41の前向き面は空間28内に見えている。
【0042】
図22は、図16の線22-22に沿って破断した別の後方視断面図であり、針安全シールド14が安全注射器10のバレル22に対して第1の停止位置にある場合に、上向きタッチ面62を通して見られるような、組み立てられた本体12と針安全シールド14を部分的に示す。
【0043】
図23は、図16の線23-23に沿って破断した、フィンガーフランジ30の前方、針安全シールド14の後方の前方視断面図である。図23は、作動ハンドル65の近位端面72と、円筒状針ガード67に繋がるように下向きに湾曲した作動ハンドル65の下面とを示している。
【0044】
図24は、図17の線24-24に沿って破断した後方視断面図であって、針安全シールド14が第1の停止位置から第2の停止位置まで前方に移動し、円筒状針ガードが前方に移動して針18の針先端86(図16)を保護した後を示している。図24は、作動ハンドルの端壁72を通して破断したものであって、タッチ面62の上部を後方に見ている。
【0045】
図25は、図17の線25-25に沿って破断したフィンガーフランジ30の前側の前方視断面図であって、羽根状部24,26と、干渉要素38,39と、ランプ部40,41の一部によってブロックされた針安全シールド14の近位端72とを示している。
【0046】
添付の図面に関連して本明細書を読むことで、当業者には、本明細書に開示された実施形態に対して他の様々な修正及び変更を行うことができることは明らかになり、本発明の範囲は、発明者が法的に権利を与えられている添付の特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用安全注射器において、
状バレルと、前記バレルから前方に突出す円筒状ノーズと、前記円筒状ノーズから前方に突出する針ホルダと、前記バレルから横方向に突出するフィンガーフランジと、前記フィンガーフランジか後方に突出す円筒状カラーと、前記フィンガーフランジから前方に延びており、前記バレルから接線方向に突出する実質的に平行に離間した2つ羽根状部とを備えている射出成形された本体
前記針ホルダに結合して前記針ホルダから前方に突出しており針先端を備える針と、
ランジャハンドルを備えるプランジャアセンブリであって、前記プランジャハンドルの遠位端は、前円筒状カラーの後向き開口を通して前記バレル内に挿入されて前記バレルの内壁に摺動可能に係合する弾性プランジャシールを有しており、前記プランジャハンドルの近位端は、前方に突出す円筒状カラーを有する親指キャップを有しており、前記前方に突出する円筒状カラーは、前記本体円筒状カラーにわたって前方に摺動、前記プランジャアセンブリが前バレル内で完全に前進すると、前記フィンガーフランジの後向き面に当接する、プランジャアセンブリと、
記2つ羽根状部間に配置されて前記2つの羽根状部と摺動可能に係合する作動ハンドルと、上向きのタッチ面とを備える針安全シールドと、
を備えており、
記タッチ面は、前記本体に対する前記針安全シールドの前方摺動を開始させて、前記針安全シールドの前端に配置された円筒状針ガードを、前記安全注射器使用中に前記本体の円筒状ノーズを囲む第1の位置から、前記安全注射器の使用後に前記針先端を保護する第2の位置に選択的に再配置するために使用者が手の圧力を印加することを容易にする、安全注射器。
【請求項2】
各羽根状部は、内向きに突出して長手方向に延びガイドレールを備えており、前ガイドレールは、前記針安全シールドの前記作動ハンドルと摺動可能に係合可能である、請求項1に記載の安全注射器。
【請求項3】
ガイドレールは、前記針安全シールドの前記作動ハンドルにおける隣接する側に配置されチャネルと協働するサイズにされて、前記チャネルに揃えられて摺動可能に係合する、請求項2に記載の安全注射器。
【請求項4】
前記フィンガーフランジは、前記本体の2つの羽根状部の間に形成された窓を含んでいる、請求項1に記載の安全注射器。
【請求項5】
前記窓は、前記安全シールドの前記作動ハンドルと協働するようなサイズにされて、前記作動ハンドルと揃えられる、請求項4に記載の安全注射器。
【請求項6】
前記窓は、前記本体の各羽根状部近位端部と連続する側部を有する、請求項4に記載の安全注射器。
【請求項7】
前記窓は、前記2つ羽根状部の間を橋渡しして構造的支持を提供する上部を有する、請求項6に記載の安全注射器。
【請求項8】
ガイドレールは、それが突出する羽根状部の一部として一体的に成形される、請求項2に記載の安全注射器。
【請求項9】
前記本体の少なくとも1つ羽根状部は、前記注射器内に配置された流体の体積測定に関連する標示を有する実質的に平らな外向き面を備える、請求項1に記載の安全注射器。
【請求項10】
前記本体の各羽根状部は、前記注射器内に配置された流体の体積測定に関連する標示を有する実質的に平らな外向き面を備える、請求項9に記載の安全注射器。
【請求項11】
前記ガイドレールは、前記本体の羽根状部の内向き面に形成された干渉要素と協働して、前記バレルに対する前記針安全シールドの摺動を制限する、請求項に記載の安全注射器。
【請求項12】
干渉要素は、前向き停止肩部を有するランプ部を含む、請求項11に記載の安全注射器。
【請求項13】
前記安全シールドは、前記ランプ部の前記前向き停止肩部と係合する後向き停止面を備えており、前記円筒状針ガードの前記第2の位置への配置後における前記本体に対する前記針安全シールドの後方移動を防止する、請求項12に記載の安全注射器。
【請求項14】
前記注射器内の流体の体積測定に関する標示が、前記バレルの湾曲した外壁に広がっている、請求項9に記載の安全注射器。
【請求項15】
前記注射器内の流体の体積測定に関する標示が、前記バレルの湾曲した外壁に広がっている、請求項10に記載の安全注射器。
【請求項16】
前記本体の2つの羽根状部は、前記バレルに沿って前記フィンガーフランジから前記本体の円筒状ノーズまで延びる、請求項1に記載の安全注射器。
【請求項17】
前記針安全シールドの上向きのタッチ面は、前記本体の2つの羽根状部にわたって横方向に延びている、請求項16に記載の安全注射器。
【請求項18】
前記作動ハンドルは湾曲して、前記針安全シールドの前端に配置された前記円筒状針ガードに結合する、請求項1に記載の安全注射器。
【請求項19】
医療用安全注射器であって、
管状バレルと、前記バレルから前方に突出する円筒状ノーズと、前記円筒状ノーズから前方に突出する針ホルダと、フィンガーフランジから前記バレルに沿って前方に延びており、前記バレルから接線方向に突出する実質的に平行に離間した2つの羽根状部とを備えている本体であって、各羽根状部は、内向きに突出して長手方向に延びるガイドレールを備える、本体と、
前記針ホルダに結合して前記針ホルダから前方に突出しており、針先端を備える針と、
プランジャハンドルを備えるプランジャアセンブリであって、前記プランジャハンドルの遠位端は、前記バレルの後向き開口を通して前記バレル内に挿入されて前記バレルの内壁に摺動可能に係合する弾性プランジャシールを有しており、前記プランジャハンドルの近位端は、親指キャップを有している、プランジャアセンブリと、
両側に配置されたチャネルを有する作動ハンドルと、前記作動ハンドルの前端に配置された針ガードと、前記作動ハンドルの後端に配置された外向きのタッチ面とを含む針安全シールドと、
を備えており、
前記作動ハンドルのチャネルは、前記針ガードが前記本体の円筒状ノーズを取り囲む第1の位置と、前記針先端との不注意な接触から使用者を保護するために前記針ガードが前記針を周方向に取り囲む第2の位置との間で前記針安全シールドが動く間、前記2つの羽根状部の内向きに突出して長手方向に延びるガイドレールと摺動可能に係合する、医療用安全注射器。
【請求項20】
前記針安全シールドは、前記安全注射器の使用中は第1の位置に配置され、前記安全注射器の使用後は第2の位置に配置される、請求項19に記載の医療用安全注射器。
【国際調査報告】