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▶ トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】近赤外分光法による皮膚年齢の測定
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61B5/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526528
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2022080334
(87)【国際公開番号】W WO2023078823
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】21205984.4
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ハンケ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ロヴリンツィチ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】プレル,フロリアン
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA01
4C117XB01
4C117XB13
4C117XC11
4C117XC13
4C117XC18
4C117XD04
4C117XD10
4C117XD14
4C117XE03
4C117XE43
4C117XE80
4C117XG17
4C117XG19
(57)【要約】
生体、特に人間の皮膚(112)の推定年齢を光学的に決定するコンピュータ実装方法を提案する。本方法は以下のステップを有する:
スペクトル測定範囲に亘る生体の皮膚(112)の少なくとも一部分の少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを使用するステップであって、スペクトル測定範囲は、1μm~2.5μmの波長範囲の少なくとも一部分を含むステップ;および
ii.サンプル反射スペクトルに少なくとも1つの学習済み学習可能モデルを適用することにより、生体の皮膚(112)の推定年齢を決定するステップ。
学習済みモデルは、ラベル付けされた複数の参照反射スペクトルを有する学習データセットで学習される。参照反射スペクトルの各々は、ステップi.のサンプル反射スペクトルのスペクトル測定範囲と少なくとも部分的に重なるスペクトル範囲に亘って取得される。参照反射スペクトルの各々は、既知の年齢を有する被検生体の皮膚(112)の少なくとも一部分の反射スペクトルである。参照反射スペクトルは、少なくとも部分的に、対応する被験生体の既知の年齢でラベル付けされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体、特に人間の皮膚(112)の推定年齢を光学的に決定するコンピュータ実装方法であって、該方法は、
スペクトル測定範囲に亘る生体の皮膚(112)の少なくとも一部分の少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを使用するステップであって、前記スペクトル測定範囲は、1μm~2.5μmの波長範囲の少なくとも一部分を含むステップ;および
前記サンプル反射スペクトルに少なくとも1つの学習済み学習可能モデルを適用することにより、前記生体の皮膚(112)の推定年齢を決定するステップ、を有し、
前記学習可能モデルは、複数のラベル付けされた参照反射スペクトルを有する学習データセットで学習され、前記参照反射スペクトルの各々は、ステップiの前記サンプル反射スペクトルのスペクトル測定範囲と少なくとも部分的に重複するスペクトル範囲に亘って取得され、
前記参照反射スペクトルの各々は、既知の年齢を有する被験生体の皮膚(112)の少なくとも一部分の反射スペクトルであり、
前記参照反射スペクトルは、少なくとも部分的に、対応する被験生体の既知の年齢でラベル付けされており、
前記学習可能なモデルは、以下の群:主成分分析モデル、回帰モデル、特に部分最小二乗回帰モデル、主成分回帰モデル、ラッソ回帰モデル、最近傍モデル;人工ニューラルネットワーク、具体的には、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、ロングショートタームニューラルネットワークからなる群から選択される人工ニューラルネットワーク;サポー訓練トベクターマシンモデル;決定木分類器モデル;決定木分類器、具体的には、ランダムフォレスト分類器およびブースト決定木分類器の少なくとも1つ、から成る群から選択され、
前記方法は、ステップii.で使用するための前記学習可能モデルを訓練するための少なくとも1つ訓練ステップをさらに含み、該訓練ステップは、ステップii.で定義されるように、前記ラベル付けされた前記参照反射スペクトルを提供するステップを含み、前記方法は、教師あり学習アーキテクチャおよび半教師あり学習アーキテクチャのうちの少なくとも1つを使用するステップをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記スペクトル測定範囲と前記参照反射スペクトルのスペクトル範囲が同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプル反射スペクトルを、前記サンプル反射スペクトルから導出される前処理されたサンプル反射スペクトルで置き換えるステップをさらに含み、前記前処理されたサンプル反射スペクトルは、具体的には、前記サンプル反射スペクトルの1次または高次微分;前記サンプル反射スペクトルのロバスト正規変分変換;前記サンプル反射スペクトルをフィルタリングすることによって決定されるフィルタリングされたスペクトル;前記サンプル反射スペクトルのスケーリングであって、該スケーリングは、単位スケーリング、標準正規変分および範囲スケーリングのうちの少なくとも1つを含む、スケーリング;のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記生体の皮膚(112)の部分および前記被験生体の皮膚(112)の部分は、身体の同じ領域における部分である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記生体の皮膚(112)の部分および前記被験生体の皮膚(112)の部分が、以下からなる群:それぞれ、前記生体または前記被験生体のこめかみの皮膚部分;それぞれ、前記生体または前記被験生体の額の皮膚部分;それぞれ、前記生体または前記被験生体の顔の皮膚部分;それぞれ、前記生体または前記被験生体の首の皮膚部分;それぞれ、前記生体または前記被験生体の前腕の皮膚部分;それぞれ、前記生体または前記被験生体の毛髪で本質的に覆われていない皮膚部分および/または無毛の皮膚部分(少なくとも、毛で覆われている皮膚部分の最大20%までは許容できる)から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
スペクトル測定範囲にわたって、前記生体の皮膚(112)の少なくとも一部分の少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを提供することをさらに含み、前記スペクトル測定範囲は、1μm~2.5μmの波長範囲の少なくとも一部分を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
人間に少なくとも1つの推奨を提供するコンピュータ実装方法であって、該方法は以下のステップ:
請求項1に記載の方法を使用して、人間の皮膚(112)の推定年齢を決定するステップと;および
前記人間の推定年齢に基づいて、人間に対する少なくとも1つの推奨を自動的に選択するステップ、
含む、方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの推奨が、以下:美容治療の推奨、具体的には、保湿剤および油分を含むスキンクリームのうちの少なくとも1つによる治療;栄養に関する推奨;薬物の使用および薬剤の使用のうちの少なくとも1つに関する推奨;日光および紫外線のうちの少なくとも1つへの曝露に関する推奨;サンスクリーンの使用に関する推奨;医療相談を求める推奨;睡眠習慣に関する推奨;運動に関する推奨;ストレスへの曝露に関する推奨;休息および休暇のうちの少なくとも1つの必要性に関する推奨、のうちの少なくとも一つである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップII.において、人間の推定年齢と人間の実際の年齢との間の不一致に基づいて、推奨が選択される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの推奨の自動選択が、推定年齢と、前記人間の推定年齢と前記人間の実際の年齢との間の不一致との少なくとも一方を前記少なくとも1つの推奨に関連付ける少なくとも1つの関係を使用することによって行われる、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
前記生体の皮膚(112)の推定年齢を光学的に決定する方法を参照する請求項1に記載の方法のステップii.で使用するための学習可能モデルを訓練するコンピュータ実装訓練方法であって、該方法は、ステップii.で定義される学習データセット上で学習可能モデルを訓練することを含む方法。
【請求項12】
生体の皮膚(112)の推定年齢を光学的に決定するためのシステム(110)であって、該システム(110)は、生体の皮膚(112)の推定年齢を光学的に決定する方法を参照する請求項1に記載の方法を実行するように構成されており、該システムは、以下の構成:
A.少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを取得するように構成された少なくとも1つの赤外分光計(114);および
B.ステップiiに従って前記生体の皮膚(112)の推定年齢を決定することを実行するように構成された少なくとも1つの処理ユニット(134)と、
を有する。
【請求項13】
前記赤外分光計(114)が、ベンチトップ型NIR分光計;ハンドヘルド型NIR分光計;少なくとも1つのウェアラブルデバイスの一部である分光モジュール、具体的には、スマートウォッチおよびスマートフォンからなる群から選択される少なくとも1つのウェアラブルデバイス、からなる群から選択される少なくとも1つの赤外分光計(114)を備える、請求項12に記載のシステム(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に生体の皮膚の推定年齢を決定する方法、人間に少なくとも1つの推奨を提供する方法、学習可能なモデルを訓練する訓練方法、および光学的に生体の皮膚の推定年齢を決定するシステムに関する。一般に、このような方法およびシステムは、様々な用途に採用することができる。具体的には、方法およびシステムは、例えば、化粧品分野で採用され得る。より具体的には、方法およびシステムは、例えばスキンケアを支援することができる。しかしながら、さらなる種類の応用も可能である。
【背景技術】
【0002】
皮膚は複雑な構造をしており、温度、湿度、ストレスレベルなど様々な環境条件によって構成成分間の相互作用が変化するため、皮膚の一般的な状態を客観的に定量的に測定することは困難な作業である。使用中のそのような幾つかの測定がある。例えば、静電容量測定による水分量、光度法による皮脂・脂質量、経表皮水分喪失量(これは皮膚バリア機能の測定と呼ばれる)などである。これらの測定はすべて、皮膚の最上層、すなわち角質層と呼ばれる数10マイクロメートルを対象としており、環境や日内変動の影響を受けやすいという点で共通している。従って、皮膚の客観的な状態について意味のある発言をするためには、管理された環境条件下での測定、例えば皮膚科専門施設の実験室条件下での測定が最も重要である。肌の状態を判断するための代替的なアプローチは、可視波長域の高度な画像処理と分析、例えばRGBカメラに基づくものだけである。一例として、Biotherm社のSkin Age ScanTM は、スマートフォンで撮影した写真とユーザーに関する一般的な情報、例えば年齢や肌タイプを組み合わせて肌年齢を予測する。このような方法では、分子レベルの情報が不足しており、また多くの外部干渉に悩まされている。
【0003】
US 6 501 982 B1は、近赤外光による皮膚組織の照射に基づいて、人間および動物の見かけの年齢を推定するための非侵襲的な装置および手順を記載している。この年齢推定法は、年代的要因や環境曝露による組織内変動の主な原因に関する追加情報を提供する。したがって、推定された見かけの年齢に基づいて被験者を分類することは、さらなるスペクトル分析や、血液分析物のような生物学的および化学的化合物の測定に適している。さらに、被験者の年齢判定は、組織における老化の影響を軽減するために使用される治療法の評価や、組織損傷の測定において特に有益である。
【0004】
WO 2019/225870 A1は、顔および手の甲の皮膚を分析するための無人装置を記載している。一実施形態によれば、装置は以下を備える:タッチスクリーンを含むキオスクと、キオスク上に配置され、ユーザの手がそこに入力されることを可能にする開口部と、キオスクの上端に配置され、ユーザの顔を照らすための第1の照明モジュールおよびユーザの顔を撮影するための第1のカメラモジュールとを含む第1の皮膚測定モジュールと、開口部に配置され、ユーザーの手を照らすための第2の照明モジュールおよびユーザーの手を撮影するための第2のカメラモジュールを含む第2の皮膚測定モジュールと、第1の皮膚測定モジュールによって撮影された第1画像および第2の皮膚測定モジュールによって撮影された第2画像の少なくとも一方に基づいて、ユーザーの皮膚診断結果を計算する制御モジュールである。
【0005】
Seker H et al. "Prediction of skin ages by means of multi-spectral light sources", 2014 36th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society, IEEE, 26 August 2014 (2014-08-26), pages 6736-6739, XP032675645, DOI: 10.1109/EMBC.2014.6945174 は、赤、青、緑、赤外バンドの光後方散乱強度レベルを使用した低コスト皮膚老化評価装置について述べている。これは、実際の皮膚年齢を正確に予測するために、機械学習法を用いてさらに強化されている。提案された方法は、生物学的な皮膚の老化プロセスによって示される多層の細胞変化を捕捉する能力が高く、4つのマルチスペクトル光源に基づく4つの特徴のみを使用することにより、0.160という低い二乗平均平方根誤差で皮膚年齢を予測することができる。
【0006】
全体として、例えば、様々な種類の化粧品や医療処置の適用など、目標とするスキンケアのステップの基礎となるような、意味のある正確で信頼できる肌質の定量的パラメータを定義することは非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、皮膚の品質に関する正確で信頼できるパラメーターを提供するのに適した方法と装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題は、独立請求項の特徴を有する、光学的に生体の皮膚の推定年齢を決定する方法、人間に少なくとも1つの推奨を提供する方法、学習可能なモデルを訓練(学習、training)する訓練方法、および光学的に生他の皮膚の推定年齢を決定するシステムによって対処される。独立した態様で、または任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項および明細書全体に記載されている。
【0009】
本発明の第1の態様では、生体、特に人間の皮膚の推定年齢を光学的に決定するコンピュータ実装方法が開示される。
【0010】
本明細書で使用される「コンピュータ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特に限定されないが、少なくとも1つの処理ユニットなどの少なくとも1つのデータ処理手段を有する装置または装置の組み合わせもしくはネットワークを指すことがある。コンピュータはさらに、データ記憶装置、電子インターフェース、ヒューマンマシンインターフェースの少なくとも1つなど、1つまたは複数のさらなる構成要素を含んでいてもよい。本明細書で使用される「コンピュータ実装方法」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つのコンピュータおよび/または少なくとも1つのコンピュータネットワークを含む方法を指す場合がある。コンピュータおよび/またはコンピュータネットワークは、本発明による方法の少なくとも1つの方法ステップの少なくとも1つを実行するように構成された少なくとも1つのデータ処理手段を含んでいてもよい。具体的には、方法ステップの各1つは、コンピュータおよび/またはコンピュータネットワークを使用して実行することができる。方法ステップは、少なくとも部分的に、具体的にはユーザの対話なしに自動的に実行されてもよい。
【0011】
本明細書で使用する「光学的」という用語は、その文法的変形を含めて広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味を与えられるべきものであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。具体的には、この用語は、限定されることなく、可視、紫外および赤外のスペクトル範囲の少なくとも1つの電磁放射線に関連する任意の物理的特性を指すことができ、具体的には、赤外放射線を指すことができる。赤外放射は、具体的には、760nm~1000μmの範囲の電磁放射を含んでよく、760nm~1.5μmの範囲は通常「近赤外スペクトル範囲」(NIR)と表記され、1.5μm~15μmの範囲は「中赤外スペクトル範囲」(MidIR)と表記され、15μm~1000μmの範囲は「遠赤外スペクトル範囲」(FIR)と表記される。好ましくは、本発明の典型的な目的に使用される光放射は、赤外(IR)スペクトル範囲の光放射であり、より好ましくは、近赤外(NIR)および中赤外スペクトル範囲(MidIR)の光放射であり、具体的には、1μm~2.5μmの波長を有する光放射である。さらに、光学的という用語は、具体的には、少なくとも1つの測定対象の少なくとも1つのスペクトル特性に関連する場合があり、測定対象は、具体的には、少なくとも1つの生体の少なくとも一部、より具体的には、生体の皮膚の少なくとも一部であるか、またはそれらを有する場合がある。スペクトル特性は、具体的には、測定対象物の吸光度、測定対象物の放射率、測定対象物の反射率、および測定対象物の透過率のうちの少なくとも1つを有する。本明細書で使用する「スペクトル」という用語は、その文法的変形を含め、特に「スペクトル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味を与えられるべきものであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されないが、光波長範囲の分割を指す場合がある。スペクトルは、信号波長および対応する信号強度によって定義される少なくとも1つの光信号によって構成されてもよい。具体的には、スペクトルは、測定対象物に関連するスペクトル情報、例えば、測定対象物を形成する少なくとも1つの材料の種類および/または組成を含んでいてもよい。
【0012】
本明細書で使用される「生体」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が付与されるものであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、具体的には、限定されないが、任意の有機生物、具体的には代謝を有する多細胞生物を指すことができる。具体的には、生体は、少なくとも1人の人間の少なくとも一部であってもよいし、少なくとも一部を有していてもよい。より具体的には、生体は人間であってもよい。しかしながら、さらなる選択肢も実現可能である。一例として、生体は、少なくとも一匹の動物の少なくとも一部分であってもよいし、少なくとも一匹の動物の少なくとも一部分を有していてもよい。生体は、身体を有していてもよく、身体は、具体的には、生物学的身体を指す場合がある。具体的には、生体は少なくとも1つの組織、より具体的には少なくとも1つの器官を含んでいてもよい。生体は、具体的には皮膚を有していてもよい。生体は、生きている状態であってもよいし、死んでいる状態であってもよい。
【0013】
本明細書で使用される「皮膚」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、生体を包むおよび/または覆う器官を指す場合がある。したがって、皮膚は、包囲器官;身体カバー、具体的には外側身体カバー;身体シェル、具体的には外側身体シェルのうちの少なくとも1つであってもよく、またはこれらを有してもよい。皮膚は複数の層から構成されていてもよい。層の少なくとも1つは、複数の副層から構成されていてもよい。具体的には、外側から内側に向かって、皮膚は、表皮、真皮および皮下のうちの少なくとも1つから構成されてもよく、外側から内側に向かって、表皮は、角質層、角質層、顆粒層、有棘層および基底層から構成されてもよい。皮膚は、生体を環境の影響から保護すること、生体の恒常性を維持すること、および生体の代謝を促進することの少なくとも1つのために構成され得る。一例として、皮膚は、紫外線から生体を保護したり、生体の体温調節を促進したりすることができる。原則として、皮膚は任意の質感からなることができる。皮膚は閉じていてもよい。皮膚は、少なくとも1つの開口部、少なくとも1つの孔および少なくとも1つの突起のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。具体的には、皮膚は、少なくとも1つの毛または羽、少なくとも1つの乳頭および少なくとも1つの腺、特に少なくとも1つの外分泌腺のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。一例として、皮膚は、体温調節を促進する複数の汗腺を含んでいてもよい。皮膚はさらに、少なくとも1つの受容体、例えば熱受容体を含んでいてもよい。皮膚の質感または環境の影響は、特に皮膚に存在する皮膚細菌叢に影響を及ぼす可能性があり、皮膚細菌叢は細菌などの様々な微生物から構成される可能性がある。
【0014】
本明細書で使用する「皮膚の推定年齢」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されないが、皮膚の少なくとも1つの測定可能な物理的特性に基づいて、具体的には皮膚の少なくとも1つのスペクトル特性に基づいて、皮膚に割り当てられた年齢または年齢値または年齢層を指す場合がある。したがって、皮膚の推定年齢は、少なくとも1つの測定可能な物理的特性に基づいて決定される年齢または年齢値である可能性があり、一方、「実年齢」または「既知の年齢」は、生体の既知の年齢または生年月日によって決定される皮膚の年齢である。
【0015】
皮膚の推定年齢は、皮膚の実年齢または既知の年齢と乖離する可能性がある。このように、皮膚は、紫外線、汗、細菌など、内在的および/または外在的な様々な影響を受ける可能性がある。第一に、例えば、Farage, M. A., et al. "Intrinsic and extrinsic factors in skin ageing: a review.".International Journal of Cosmetic Science 30.2 (2008):87-95から既知であるように、内在的な皮膚老化は、遺伝的に決定され不変であるとはいえ、異なる集団、あるいは同じ個人の異なる解剖学的部位でさえも一定ではなく、さらに栄養、タバコの使用、太陽光線への暴露など、外在的な皮膚老化の潜在的な構成要素が多数存在するため、同じ年齢の遺伝的に類似した人であっても、目に見えるさまざまな老化の兆候が現れる。例えば、Vierkoetter, Andrea, et al. "The SCINEXA: a novel, validated score to simultaneously assessment and differentiate between intrinsic and extrinsic skin ageing.".Journal of dermatological science 53.3 (2009):207-211から既知であるように、「SCINEXA」のような皮膚老化スコアは、内因性皮膚老化を示す5項目と外因性皮膚老化を示す18項目から構成されており、内因性皮膚老化と外因性皮膚老化の鑑別に役立つ。例えば、Oyetakin-White, P., et al. "Does poor sleep quality affect skin aging?".Clinical and experimental dermatology 40.1 (2015): 17-22から既知であるように、慢性的な睡眠の質の低下は、本質的な老化の兆候の増加、皮膚バリア機能の低下、外見に対する満足度の低下と関連している。さらに、例えばNagata, Chisato, et al. "Association of dietary fat, vegetables and antioxidant micronutrients with skin ageing in Japanese women.".British Journal of Nutrition 103.10 (2010):1493-1498から既知であるように、毎日の食事は、肌の老化に影響を与える可能性がある。最後に、例えば、Lee, C. M., R. E. B. Watson, and C. E. Kleyn."The impact of perceived skin aging",Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology 34.1 (2020): 54-58から既知であるように、毎日の食事は、肌の老化に影響を与える可能性がある。反対に、スキンケア製品や健康的な食事など、その他の影響は皮膚に良い影響を与える可能性がある。したがって、全体として、皮膚の推定年齢は、皮膚を有する生体の年齢から乖離する可能性がある。一例として、皮膚が主に負の影響を受けていた場合、皮膚の推定年齢は皮膚を有する生体の年齢よりも高くなる可能性がある。逆に、皮膚が主に正の影響を受けていた場合には、皮膚の推定年齢は皮膚を有する生体の年齢よりも低くてもよい。このように、皮膚の推定年齢は、一般に、皮膚の物理的状態および/または健康状態に依存する可能性がある。もちろん、皮膚の健康状態は、生体の全体的な健康状態および生体の年齢に再び依存する可能性がある。
【0016】
示されるように、生体の皮膚の推定年齢は光学的に決定される。具体的には、皮膚の推定年齢は、皮膚の少なくとも1つの分光特性を用いて決定することができる。原理的には、中間段階で分光特性を用いて皮膚の化学組成を決定し、その化学組成を用いて皮膚の推定年齢を決定してもよい。しかし、皮膚の推定年齢は、事前に皮膚の完全な化学組成を決定することなく、分光特性から直接導出することもできる。具体的には、皮膚の推定年齢を光学的に決定することは、皮膚の少なくとも1つのスペクトル特性、具体的には吸収ピークのようなスペクトル特性を考慮することからなり、少なくとも1つの材料、具体的には水および/または脂肪を指し、脂肪は脂質または脂肪組織とも表記され得る。一般に、全吸収が水の吸収に支配される1.11μmから1.15μmのスペクトル範囲では、吸光度は年齢が増加するにつれて上昇する。全吸収が脂肪吸収に支配される1.17μmから1.21μmのスペクトル範囲では、吸光度は加齢とともに低下する。全吸収が水の吸収に支配される1.3μm~1.6μmのスペクトル範囲では、吸光度は加齢とともに上昇する。脂肪の吸収が全吸収を支配する1.68μmから1.79μmのスペクトル領域では、吸光度は加齢とともに低下する。水の吸収が全吸収を支配する1.82μmから2μmのスペクトル領域では、吸光度は加齢とともに上昇する。例えば、これらの知見に基づいて、当業者であれば理解できるように、皮膚の吸収スペクトルを評価する際に、皮膚の推定年齢を決定することができる。吸収スペクトルは、当業者であれば理解できるように、例えば反射分光法を用いて少なくとも1つのスペクトル測定において決定することができる。
【0017】
生体の皮膚の推定年齢を光学的に決定する方法は、以下のステップを有する:
スペクトル測定範囲にわたる生体の皮膚の少なくとも一部の少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを使用するステップであって、スペクトル測定範囲は、1μm~2.5μmの波長範囲の少なくとも一部を含むステップ;および
サンプル反射スペクトルに少なくとも1つの学習済みモデルを適用することにより、生物の皮膚の推定年齢を決定するステップ、
ここで、学習可能モデルは、複数のラベル付けされた参照反射スペクトルからなる学習データセットで学習され、参照反射スペクトルの各々は、ステップiのサンプル反射スペクトルのスペクトル測定範囲と少なくとも部分的に重複するスペクトル範囲にわたって取得され、
ここで、参照反射スペクトルの各々は、既知の年齢を有する被験生体の皮膚の少なくとも一部分の反射スペクトルであり、
ここで、参照反射スペクトルは、少なくとも部分的に、対応する被験生体の既知の年齢でラベル付けされている。
【0018】
方法ステップは、所定の順序で実行することができる。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。本方法は、列挙されていないさらなる方法ステップを含んでいてもよい。さらに、1つ以上の方法ステップを1回または繰り返し実行してもよい。さらに、2つ以上の方法ステップを同時に実施してもよいし、適時重複して実施してもよい。
【0019】
少なくとも1つのサンプル反射スペクトルは、一例として、反射スペクトルを測定するためのデータ記憶装置、データ伝送ネットワークまたは測定装置の少なくとも1つから取得される所定のデータセットの形態で使用することができる。したがって、本方法は、少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを構成するデータなどのデータを取得することによって、および任意に出力データを提供することによって、完全にコンピュータ実装方法として実施することができ、出力データは、生体の皮膚の推定年齢に関する情報の少なくとも1つの項目を含む。
【0020】
従って、本方法は、サンプル反射スペクトルを実際に測定するステップを含まなくてもよい。サンプル反射スペクトルは、電子形式で提供され、評価されてもよい。それでもなお、以下にさらに詳細に概説するように、本方法は、少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを提供することをさらに含んでいてもよい。サンプル反射スペクトルの提供は、サンプル反射スペクトルを測定する少なくとも1つのステップを含んでよい。
【0021】
本明細書で使用される「反射」という用語は、その文法的変形を含めて広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味を与えられるべきものであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。具体的には、この用語は、2つの異なる光学媒体間の界面における電磁放射、特に赤外放射の波面の方向の変化であって、波面が、その波面が発生した光学媒体内に戻される変化を、限定することなく指すことができる。反射は、正反射とも呼ばれる鏡面反射を含んでいてもよい。反射は、具体的には、入射電磁放射が界面において複数の異なる方向に後方散乱される拡散反射から構成されてもよい。したがって、本明細書で使用される「サンプル反射スペクトル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つのサンプルによる電磁放射、具体的には赤外放射の少なくとも1つの反射を測定することによって決定されるスペクトルを指す場合がある。サンプル反射スペクトルは、サンプルの反射率のスペクトル分布からなる場合がある。さらに、サンプル反射スペクトルは、サンプルによる電磁放射線の反射を測定することによって決定される物理的特性のスペクトル分布からなる場合がある。具体的には、サンプル反射スペクトルは、サンプルの吸光度のスペクトル分布を有していてもよく、ここで、吸光度は、サンプルの反射率を用いて決定されてもよく、ここで、反射率は、サンプルによる電磁放射線の反射を測定することによって決定されてもよい。したがって、サンプル反射スペクトルは、具体的には、サンプルによる電磁放射線の少なくとも1つの反射を測定することによって決定される少なくとも1つの吸収スペクトルを含んでよい。サンプルは、具体的には、生体の皮膚の少なくとも一部であってもよいし、皮膚を有するものであってもよい。
【0022】
本明細書で使用される「皮膚の一部」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されることなく、皮膚の一部分および/または一部分を指すことがある。したがって、皮膚の一部とは、具体的には、サンプル反射スペクトルを提供するために少なくとも1つのスペクトル測定が実施された皮膚の空間的に限定された領域を指す場合がある。領域は、閉じた円のように閉じていてもよい。領域は、スペクトル測定が実施された複数の異なるおよび/または広がったスポット、例えば閉じた円を有していてもよい。さらに、皮膚の一部は、スペクトル測定中の電磁放射線の透過深さに応じて、皮膚の少なくとも1つの層、例えば表皮を有していてもよい。
【0023】
本明細書で使用される「スペクトル範囲」という用語は、広い用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されないが、少なくとも1つの波長間隔、具体的には最小波長から最大波長まで、および/または少なくとも1つの個々の波長を指す場合がある。したがって、一例として、スペクトル範囲は、異なる波長区間および/または個々の波長の組み合わせを有していてもよい。本明細書で使用される「スペクトル測定範囲」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されないが、サンプル反射スペクトルを提供するための少なくとも1つのスペクトル測定に使用されるスペクトル範囲を指す場合がある。
【0024】
このように、サンプル反射スペクトルに、少なくとも1つの訓練された学習可能なモデルを適用することによって、生体の皮膚の推定年齢が決定される。本明細書で使用する「学習可能なモデル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、具体的には、限定されないが、データ解釈、例えばデータ分類のための数学的モデルを指し、ここで、学習可能モデルは、少なくとも1つの学習データセットで学習可能である。学習可能なモデルでは、1つ以上のパラメータは依然として可変であり、パラメータの設定は学習プロセス次第である。学習可能モデルは、環境のモデルを提供することができ、モデルは、適切な方法で環境からの刺激に反応するように適応され、観察された逸脱に従ってモデルを調整することにより、その後の実行において、モデルがより適切な方法で刺激に反応するように適応される。学習可能なモデルは、少なくとも1つの学習データセットで訓練され、少なくとも1つの入力変数に対して少なくとも1つの目標変数を予測するように構成され、一例として、少なくとも1つの入力変数が刺激を形成し、出力目標変数が学習可能なモデルの応答を形成する。複数の学習可能モデルは、一般に当業者に知られており、以下にさらに詳細に概説する。
【0025】
訓練された(学習された、trained)状態、すなわち、完全または部分的な訓練後、学習可能モデルは、「訓練された学習可能モデル」または単に「訓練されたモデル」とも呼ばれる。訓練されたモデルでは、1つ以上の刺激に対するモデルの適切な反応を反映するために、モデルのパラメータが設定されている可能性があり、パラメータの設定および/またはパラメータの設定値は、学習プロセスの結果である可能性がある。したがって、本明細書で使用される「訓練されたモデル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されないが、少なくとも1つの学習データセットで訓練され、少なくとも1つの入力変数に対して少なくとも1つの目標変数を予測するように構成された、数学モデルなどの学習可能なモデルを指す場合がある。
【0026】
本明細書で使用される「トレーニング」という用語は、その文法的変形を含む広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、限定されないが、少なくとも1つのモデルを構築するプロセス、具体的には、モデルの重みおよび/または回帰パラメータなどのモデルの1つまたは複数のパラメータを決定するプロセスを指す場合がある。トレーニングは、パラメータの組み合わせが決定される、少なくとも1つの最適化および/またはチューニングプロセスを含んでもよい。
【0027】
一例として、学習可能モデルは、少なくとも部分的に異なる既知の年齢を有する複数の生体を参照する複数の反射スペクトルに対して学習させることができる。このような場合、学習可能モデルは、選択された既知の年齢について反射スペクトルがどのように構成されるかについて学習され、学習可能モデルがこれに基づいて新たな未知の反射スペクトルを年齢に関連付けることができるようにしてもよい。学習可能モデルは、少なくとも1つの追加学習データセットに基づいて再学習および/または更新されてもよい。学習済みモデルは、機械学習、ディープラーニング、ニューラルネットワーク、または他の形態の人工知能のうちの少なくとも1つを使用して学習されてもよい。前述のように、学習可能モデルは、学習データセットに基づいて訓練される。本明細書で使用される「学習データセット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特に限定されないが、学習可能モデルの訓練に使用されるデータまたは使用可能なデータを指す場合がある。学習用データセットは、既知であってもよいし、予め決められていてもよい。具体的には、トレーニングデータセットは、以前に実験的に決定されたデータなどの過去の実験データであってもよいし、過去の実験データから構成されてもよい。加えてまたは代替的に、学習データセットは、理論的に計算されたデータ、具体的にはシミュレーションデータなどの理論的データから構成されてもよい。
【0028】
前述のように、トレーニングデータセットは、ラベル付けされた複数の参照反射スペクトルから構成される。本明細書で使用されるその任意の文法的変形を含む「ラベリング」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきでない。この用語は、特に限定されないが、エンティティの少なくとも1つのプロパティに関する少なくとも1つの情報の少なくとも1つの項目を少なくとも1つのエンティティに提供することを指す場合がある。エンティティの少なくとも1つのプロパティに関する少なくとも1つの情報項目は、「ラベル」とも呼ばれる。一例として、エンティティの少なくとも1つの特性は、認識標識、識別標識および情報標識の少なくとも1つであるか、またはこれらを有する場合があり、これらは全てラベルとも呼ばれる場合がある。ラベルは、ラベル付けされたエンティティの少なくとも1つの特性に関する少なくとも1つの情報項目からなる場合があり、情報項目は、ラベル付けされたエンティティを具体的に識別する場合がある。ラベルは、具体的には、デジタルラベルであってもよいし、デジタルラベルを有してもよい。
【0029】
本明細書で使用する「参照」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特に限定されることなく、比較目的、特に測定データに関して好適な実体を指す場合がある。従って、参照は、具体的には、少なくとも1つの所定の特性または既知の特性を有する場合がある。
【0030】
従って、本明細書で使用する「ラベル付けされた参照反射スペクトル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。具体的には、この用語は、限定されるものではないが、参照に関する反射スペクトルを指すことがあり、反射スペクトルには、参照に関する情報の少なくとも1つの項目がラベル付けされている。したがって、具体的には、ラベル付けされた基準反射スペクトルは、既知の年齢を有する被験生体または生体の皮膚の少なくとも一部分の反射スペクトルであってよく、ラベル付けされた基準反射スペクトルのラベルは、被験生体の既知の年齢に関する情報の少なくとも1つの項目を含む。
【0031】
前記したように、基準反射スペクトルの各々は、ステップi.のスペクトル測定範囲と少なくとも部分的に重なるスペクトル範囲にわたって取得される。基準反射スペクトルの各々は、既知の年齢を有する被験生体の皮膚の少なくとも一部の反射スペクトルである。基準反射スペクトルは、少なくとも部分的に、対応する被験生体の既知の年齢でラベル付けされている。したがって、基準反射スペクトルの少なくとも一部には、それぞれの被験生体の既知の年齢に関する情報の少なくとも1つの項目を含むラベルが提供される。
【0032】
本明細書で使用される「被験生体」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特に限定されることなく、学習可能モデルの訓練に使用される生きた存在を指すことがある。従って、被験生体は、具体的には、少なくとも1つの所定のまたは既知の特性を含んでいてもよい。より具体的には、前述のように、被験生体は既知の年齢を有する。本明細書で使用する「既知の年齢」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、具体的には、限定されないが、生体の誕生から経過した期間、例えば、年、月または日を指す場合がある。
【0033】
スペクトル測定範囲と参照反射スペクトルのスペクトル範囲は同一であってもよいし、少なくとも部分的に同一であってもよい。言い換えれば、スペクトル測定範囲は、参照反射スペクトルの少なくとも1つのスペクトル範囲と同一であってもよい。したがって、スペクトル測定範囲は、参照反射スペクトルのスペクトル範囲と同じ波長および/または波長間隔にわたって広がる可能性がある。
【0034】
学習済みモデルまたは学習済み学習可能モデルは、反射スペクトル全体に適用してもよいし、反射スペクトルの少なくとも一部分に適用してもよいし、反射スペクトルから導出される少なくとも1つの情報項目に適用してもよい。したがって、本方法は、推定年齢を決定するために、反射スペクトルから少なくとも1つの情報項目を導出することと、少なくとも1つの情報項目に学習可能モデルを適用することとを含むことができる。単純な例として、1つまたは複数の予め選択された波長における吸光度および/または反射率などの1つまたは複数の光学特性を反射スペクトルから導出してもよく、推定年齢を決定するために、学習可能モデルをこれらの光学特性に適用してもよい。したがって、一例として、学習可能モデルは、1つまたは複数の光学特性から推定年齢を導出する回帰モデルから構成されてもよく、学習は、例えば、最小二乗回帰などの方法によって、基準反射スペクトルからなる学習データセットから回帰係数などのパラメータを決定することを含んでもよい。また、1つ以上の情報項目の導出は、反射スペクトルを前処理することを少なくとも1つ含んでいてもよい。したがって、本方法は、サンプル反射スペクトルを、サンプル反射スペクトルから導出される前処理されたサンプル反射スペクトルで置き換えることをさらに含んでよい。本明細書で使用されるその任意の文法的変形を含む「前処理」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されないが、データのクリーニング、フィルタリング、および変換の少なくとも1つを指す場合がある。データのクリーニングは、例えば、データラングリングツールを使用するなどして、不正確なデータおよび/または不完全なデータを修正することからなる。データのフィルタリングは、例えば、ノイズのような無関係および/または無用なデータを除去することを含む。データの変換は、例えば、導出、積分、スケーリングおよび/または正規化のうちの少なくとも1つなど、データに対して分析的および/または統計的な数学的演算を実行することを含む。前処理されたサンプル反射スペクトルは、具体的には、サンプル反射スペクトルの1次または高次微分、サンプル反射スペクトルのロバスト正規変分変換、サンプル反射スペクトルをフィルタリングすることによって決定されたフィルタリングされたスペクトル、サンプル反射スペクトルのスケーリング、のうちの少なくとも1を有していてもよく、スケーリングは、単位スケーリング、標準正規変分、すなわち単位球への投影、および範囲スケーリングのうちの少なくとも1つを有してもよい。
【0035】
具体的には、複数の前処理ステップをサンプル反射スペクトルに適用してもよい。前処理ステップは、特定のサンプル反射スペクトルに特に適合させることができる。一例として、サンプルの反射スペクトルは、Guo, Qian, Wen Wu, and D. L. Massart."The robust normal variate transform for pattern recognition with near-infrared data.".Analytica chimica acta 382.1-2 (1999):87-103に記載されれいるように、ロバスト正規変量変換と50%パーセンタイルを使用して正規化することができる。その後、一例として、Hopkins, David W. "What is a Norris derivative? "NIR news 12.3 (2001):3-5に記載されているように、ノリス微分フィルタを用いて2次微分を形成することができる。その後、一例として、特徴量を単位球に変換するために単位スケーリングを使用してもよく、具体的にはユークリッドノルムを使用してもよい。その後、一例として、Abdi, Herve."Partial least square regression (PLS regression)".Encyclopedia for research methods for the social sciences 6.4 (2003):792-795に記載されているように、部分最小二乗回帰を適用することができる。しかし、示されたように,追加および/または代替の前処理ステップも実行可能である。
【0036】
上記のように、一般に、学習可能なモデルは、人工知能および機械学習の分野において当業者に知られている。しかしながら、本明細書で示す目的のためには、様々な学習可能モデルが好ましい。したがって、具体的には、学習可能モデルは、以下からなる群から選択される少なくとも1つの学習可能モデルを有する:主成分分析モデル;回帰モデル、具体的には部分最小二乗回帰モデル;主成分回帰モデル;投げ縄回帰モデル;最近傍モデル;人工ニューラルネットワーク、具体的には、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、ロングショートタームニューラルネットワークからなる群から選択される人工ニューラルネットワーク;サポートベクターマシンモデル;決定木分類器モデル;決定木分類器、具体的には、ランダムフォレスト分類器およびブースト決定木分類器の少なくとも1つ。学習可能なモデルの組み合わせも実行可能であり、例えば、上記に示したリストから選択された少なくとも1つの学習可能なモデルからなる組み合わせも実行可能であることに留意されたい。さらに、ハイブリッドモデルも実行可能である。
【0037】
具体的には、学習可能なモデルは、少なくとも1つの主成分回帰モデルを有する。本明細書で使用される「主成分回帰モデル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されない。この用語は、特に限定されないが、少なくとも1つの主成分分析モデルと少なくとも1つの回帰モデルとを組み合わせたハイブリッドモデルを指す場合がある。具体的には、主成分回帰モデルは、少なくとも1つの回帰係数を決定するために主成分分析を使用することができる。より具体的には、主成分サブセットのみが回帰に使用されてもよい。したがって、主成分回帰モデルは、基礎となるモデルを特徴付けるパラメータの有効数を減少させることによって次元削減を促進することができ、これは、高次元の共変量からなる設定において特に有用である。
【0038】
生体の皮膚の一部分と被験生体の皮膚の一部分とは、身体の同一部位の一部分であってもよい。生体の皮膚の部分および被験生体の皮膚の部分は、以下からなる群から選択される部分であってもよい:それぞれ、生体または被験生体のこめかみの皮膚部分;それぞれ、生体または被験生体の額の皮膚部分;それぞれ、生体または被験生体の顔の皮膚部分;それぞれ、生体または被験生体の首の皮膚部分;それぞれ、生体または被験生体の前腕の皮膚部分;生体または被験生体の皮膚部分は、本質的に毛で覆われていない、毛で強く覆われていない、および無毛のうちの少なくとも1つであり、少なくとも、皮膚部分の多くとも20%、具体的には多くとも10%、より具体的には多くとも5%が毛で覆われているという許容範囲までである。
【0039】
本方法は、ステップii.で使用するための学習可能モデルを訓練するための少なくとも1つの訓練ステップをさらに含むことができる。「訓練」という用語に関しては、上記の定義および選択肢を参照されたい。訓練ステップは、ステップii.で定義されるように、ラベル付けされた参照反射スペクトルを提供することからなる。ラベル付けされた基準反射スペクトルは、上記で概説したように、各々、既知の年齢を有する被験生体の皮膚の少なくとも一部分の反射スペクトルからなり、少なくとも部分的に、対応する被験生体の少なくとも既知の年齢でラベル付けされている。トレーニングステップはまた、基準反射スペクトルを取得することと、少なくとも部分的に、基準反射スペクトルにラベル付けすることとを含むことができる。従って、トレーニングステップは以下を含むことができる。
【0040】
複数の被験生体を提供するステップであって、被験生体は既知の年齢を有するステップ、
前記被験性体の参照反射スペクトルを取得するステップ、および
基準反射スペクトルの少なくとも一部に、それぞれの既知の年齢をラベル付けするステップ。
【0041】
これにより、ラベル付けされた参照反射スペクトルからなる学習データセットが組み立てられる。前記学習データセットを用いて、学習可能モデルを訓練することができ、それにより、一例として、未知の年齢を有する生体のサンプル反射スペクトルに学習可能モデルを適用したときに、その生体の年齢が推定されるように、学習可能モデルのパラメータを調整および/または最適化することができる。
【0042】
具体的なトレーニングの種類は、サンプルの反射スペクトルに適用される少なくとも1つのトレーニング可能なモデルによって異なる。したがって、上述のように、回帰モデルが使用される場合、最小二乗回帰のような学習方法が使用され得る。人工ニューラルネットワークの場合には、他の学習方法が適用される。本方法は、具体的には、教師あり学習アーキテクチャおよび半教師あり学習アーキテクチャの少なくとも一方、具体的にはディープラーニングアーキテクチャを使用することを含んでもよい。本明細書で使用される「ディープラーニング」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、具体的には、限定されないが、自動モデル構築のために人工知能(AI)を使用する方法を指す場合がある。ディープラーニングは、具体的には、少なくとも1つのニューラルネットワークを含んでよく、ニューラルネットワークは、少なくとも1つの入力層、1つの出力層、および入力層と出力層との間の少なくとも1つの隠れ層を含んでよい。
【0043】
本明細書で使用される「教師あり学習」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特に限定されないが、完全にラベル付けされた学習データセットを使用する深層学習方法を指す場合がある。本明細書で使用される「半教師付き学習」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に、限定されることなく、部分的にラベル付けされた学習データセットを使用する学習方法を指す場合があり、そのため、学習データセットの一部は、構築されたモデルに基づいて独立して割り当てられなければならない場合がある。
【0044】
上記のように、本方法は、少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを使用することを有する。サンプル反射スペクトルは、一例として、電子データセットのようなデータセットの形態で与えられてもよい。本方法は、スペクトル測定範囲にわたって、生体の皮膚の少なくとも一部分の少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを提供することをさらに含んでよく、スペクトル測定範囲は、1μm~2,5μmの波長範囲の少なくとも一部分を含む。本明細書で使用される「提供する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、少なくとも1つの情報項目、例えば、少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを構成するデータセットなどの、少なくとも1つの項目の生成、検索、および選択の少なくとも1つを指す場合がある。このように、提供することは、任意に、サンプル反射スペクトルを生成するための実際の分光測定を含むこともある。
【0045】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの推奨を人間に提供するコンピュータ実装方法が開示される。本方法は、以下のステップを含む:
生体の皮膚の推定年齢を光学的に決定する方法を参照して、上記または以下にさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによる方法を使用して、人間の皮膚の推定年齢を決定するステップ;および
人間の推定年齢に基づいて、人間に対する少なくとも1つの推奨を自動的に選択するステップ。
【0046】
方法ステップは、所定の順序で実行することができる。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。本方法は、列挙されていないさらなる方法ステップを含んでいてもよい。さらに、1つ以上の方法ステップを1回または繰り返し実行してもよい。さらに、2つ以上の方法ステップを同時に実施してもよいし、適時重複して実施してもよい。
【0047】
本明細書で使用される「自動」という用語は、その文法的変形を含め、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。具体的には、この用語は、限定されるものではないが、少なくとも部分的に機械によって行われるなど、少なくとも部分的に人間の相互作用を必要とせずに行われるプロセスを指す場合がある。具体的には、プロセスは、コントローラ、コンピュータ、コンピュータネットワークおよび機械のうちの少なくとも1つによって、特に手動による動作および/またはユーザとの対話なしに、少なくとも部分的に実行され得る。
【0048】
本明細書で使用される「推奨」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味を与えられるべきものであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特に限定されないが、少なくとも1つの提案された行動に関する少なくとも1つの情報項目を指す場合がある。したがって、推奨は、少なくとも1つの行動をとるための提案、少なくとも1つの行動をとることを控えるための提案、および少なくとも1つの行動を修正するための提案の少なくとも1つに関する情報の少なくとも1つの項目から構成され得る。少なくとも1つの推奨は、具体的には、美容処置の推奨、具体的には、保湿剤および油分を含むスキンクリームの少なくとも1つによる治療、栄養の推奨、薬物の使用および投薬の使用の少なくとも1つに関する推奨、日光および紫外線の少なくとも1つへの曝露に関する推奨、サンスクリーンの使用に関する推奨、医療相談を求める推奨、睡眠習慣に関する推奨、運動に関する推奨、ストレスへの曝露に関する推奨、休息および休暇の少なくとも1つの必要性に関する推奨の少なくとも1つを指すことができる。ステップII.では、人間の推定年齢と実際の年齢との間の不一致に基づいて推奨を選択することができる。具体的には、人間の推定年齢が人間の実際の年齢よりも高いほど、推奨はより広範囲に及ぶ可能性がある。
【0049】
少なくとも1つの推薦を自動的に選択することは、推定年齢と、人間の推定年齢と人間の実際の年齢との間の不一致との少なくとも一方を少なくとも1つの推薦に関連付ける少なくとも1つの関係を使用することによって実行することができる。本明細書で使用される「関係」という用語は、その文法的変形を含む広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味を与えられるべきものであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されないが、少なくとも1つの第1のエンティティから少なくとも1つの第2のエンティティへの割当または譲渡を指す場合がある。示されるように、関係は推定年齢を少なくとも1つの推薦に関連付けることができる。加えてまたは代替的に、関係は、人間の推定年齢と人間の実際の年齢との間の不一致を少なくとも1つの推薦に関連付けることができる。一例として、推定年齢が人間の実際の年齢よりも高い場合、保湿剤による治療などの美容治療の推奨に関連付けることができる。この関係は、ルックアップテーブル、アルゴリズム、モデルのうちの少なくとも1を有する。
【0050】
本発明のさらなる態様では、生体の皮膚の推定年齢を光学的に決定する方法を参照してさらに詳細に上述または以下に開示される実施形態のいずれか1つによる方法のステップii.で使用するための学習可能モデルを訓練するコンピュータ実装学習方法が開示される。本方法は、ステップii.で定義された学習データセット上で学習可能モデルを訓練することを含む。本方法は、列挙されていないさらなる方法ステップを含んでもよい。さらに、方法ステップの1つ以上は、1回または繰り返し実行することができる。さらに、2つ以上の方法ステップを同時に、または適時に重複して実行してもよい。トレーニングの可能な定義および/または選択肢については、上述したように、生物の皮膚の推定年齢を光学的に決定するコンピュータ実装方法の実施形態を参照することができる。
【0051】
本発明のコンピュータ実装の態様を参照すると、本明細書に開示された1つまたは複数の実施形態による方法の方法ステップの1つまたは複数、あるいは方法ステップのすべてさえも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して実行することができる。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して実行することができる。一般に、これらの方法ステップは、典型的には、サンプルの提供および/または実際の測定の実行の特定の態様のような手作業を必要とする方法ステップを除く、方法ステップのいずれかを含むことができる。
【0052】
本発明のさらなる態様では、生体の皮膚の推定年齢を光学的に決定するためのシステムが開示される。このシステムは、生体の皮膚の推定年齢を光学的に決定する方法をさらに詳細に参照すると、上記または以下に開示される実施形態のいずれか1つによる方法を実行するように構成される。本システムは、以下を備える:
A. 少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを取得するように構成された少なくとも1つの赤外分光計;および
B. 前記ステップiiに従って、前記生体の皮膚の推定年齢を決定することを実行するように構成された少なくとも1つの処理ユニット。
【0053】
本明細書で使用される「システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられ、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、特に限定されないが、全体を形成する相互作用または相互依存する構成要素または部品の任意の集合を指す場合がある。具体的には、構成要素は、少なくとも1つの共通機能を果たすために互いに相互作用してもよい。少なくとも2つの構成要素は、独立して取り扱われてもよいし、結合または接続可能であってもよい。
【0054】
本明細書で使用する「赤外分光計」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味やカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、具体的には、赤外線放射の少なくとも1つの対応する信号波長に関連する少なくとも1つの信号強度の少なくとも1つの測定値を記録し、信号強度に関連する少なくとも1つの検出器信号を評価することによって、スペクトル情報を決定するように構成された任意の装置を限定することなく指すことができる。具体的には、分光計は、少なくとも1つの小型化された装置であってもよいし、構成されていてもよいし、その一部であってもよい。より具体的には、分光計は、少なくとも1つのハンドヘルド装置および/または少なくとも1つのウェアラブル装置の一部であってもよく、構成されてもよく、またはその一部であってもよい。分光計は、少なくとも1つのハウジングを含んでいてもよい。ハウジングは、機械的影響または電磁的影響などの環境影響からハウジング内部の部品を保護および/または遮蔽するように構成されていてもよい。赤外分光計は、ベンチトップ型NIR分光計;ハンドヘルド型NIR分光計;少なくとも1つのウェアラブルデバイスの一部である分光モジュール、具体的には、スマートウォッチおよびスマートフォンからなる群から選択される少なくとも1つのウェアラブルデバイス;からなる群から選択される少なくとも1つの赤外分光計を含んでもよい。
【0055】
本明細書で使用される「処理ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味を与えられるべきものであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるものではない。この用語は、具体的には、好ましくは、少なくとも1つのデータ処理デバイスを使用することによって、より好ましくは、少なくとも1つのプロセッサおよび/または少なくとも1つの特定用途向け集積回路を使用することによって、命名された動作を実行するように適合された任意のデバイスを、限定することなく指すことができる。一例として、処理装置は、多数のコンピュータコマンドからなるソフトウェアコードがその上に格納された少なくとも1つのデータ処理装置から構成されてもよい。処理ユニットは、命名された操作のうちの1つ以上を実行するための1つ以上のハードウェア要素を提供してもよく、および/または、命名された操作のうちの1つ以上を実行するためのその上で実行されるソフトウェアを有する1つ以上のプロセッサを提供してもよい。一例として、処理ユニットは、1つ以上のコンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ以上のプログラマブルデバイスを有していてもよく、これらのデバイスは、生物の皮膚の推定年齢の決定を実行するように構成される。しかしながら、追加的または代替的に、処理ユニットは、全体的または部分的にハードウェアによって具現化することもできる。処理ユニットはさらに、赤外分光計またはその一部を制御するように構成されていてもよい。処理ユニットは、具体的には、少なくとも1つの測定サイクルを実行するように構成されていてもよい。処理ユニットによって決定された情報は、具体的には、電子的、視覚的、音響的、または触覚的な態様の少なくとも1つで、さらなる装置および/またはユーザの少なくとも1つに提供されてもよい。処理ユニットによって決定されたような情報は、メモリ記憶装置内および/または別個の記憶装置内に記憶されてもよく、および/または、無線インターフェースおよび/または有線インターフェースなどの少なくとも1つのインターフェースを介して伝達されてもよい。
【0056】
処理装置は、少なくとも部分的にクラウドベースであってもよい。本明細書で使用される「クラウドベース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常の慣用的な意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきものではない。この用語は、特に限定されないが、処理ユニットまたは処理ユニットの一部の、相互接続された外部デバイス、具体的には、より大きな計算能力および/またはデータ記憶容量を有するコンピュータまたはコンピュータネットワークへのアウトソーシングを指す場合がある。外部装置は、任意に空間的に分散していてもよい。外部装置は、時間と共に、特に要求に応じて変化してもよい。外部装置は、インターネットを使用して相互接続されてもよい。外部装置はそれぞれ、無線インターフェースおよび/または有線インターフェースなどの少なくとも1つのインターフェース、具体的には少なくとも1つの通信インターフェースを含んでいてもよい。
【0057】
本発明のさらなる態様では、コンピュータプログラムが開示される。このコンピュータプログラムは、システムを参照してさらに詳細に上記または以下に開示される実施形態のいずれか1つに従うシステムによってプログラムが実行されるとき、システムに、方法を参照してさらに詳細に上記または以下に開示される実施形態のいずれか1つに従う方法、トレーニング方法を参照してさらに詳細に上記または以下に開示される実施形態のいずれか1つに従うトレーニング方法のうちの少なくとも1つを実行させる命令を備える。
【0058】
本発明のさらなる態様では、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体が開示される。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、システムを参照して上記または以下にさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つに従ったシステムによってプログラムが実行されるとき、システムに、方法を参照して上記または以下にさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つに従った方法、トレーニング方法を参照して上記または以下にさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つに従ったトレーニング方法のうちの少なくとも1つを実行させる命令を含む。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、その上にコンピュータ実行可能な命令が記憶されたハードウェア記憶媒体のような、非一過性のデータ記憶手段を指すことができる。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/またはリードオンリーメモリ(ROM)などの少なくとも1つの記憶媒体であってもよいし、これらを有していてもよい。
【0059】
本発明による方法と装置は、既知の方法とシステムに対して多くの利点を提供することができる。特に、分子レベルで皮膚に関する情報を提供することができ、外部干渉に対して堅牢である。したがって、得られた結果は正確で信頼できる。特に、本発明による方法およびシステムは、非破壊的な測定方法を用いることにより、角質層を超えたより深い皮膚層に関する情報を伝えることができる。この測定は、1μmから2.5μmの波長範囲で測定可能な任意の分光装置で行うことができ、したがって、広く適用可能である。その結果、本発明による方法およびシステムは、特定の方法で皮膚に影響を与える特定のステップの基礎となり得る、皮膚の品質に関する意味のある定量的パラメーターを定義するのに適している。具体的には、より健康的な生活や特定の化粧品の使用のための具体的でカスタマイズされた提案のようなフィードバックをユーザーに与えることができる。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「持つ(have)」、「有する(comprise)」、「含む(include)」、またはそれらの任意の文法的変形は、非排他的な意味で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴以外に、この文脈で説明される実体においてさらなる特徴が存在しない状況も、1つ以上のさらなる特徴が存在する状況も指すことがある。一例として、"A has B"、"A comprises B "および "A includes B "という表現は、Bの他にA中に他の要素が存在しない状況(すなわち、AがBのみから構成される状況)と、Bの他に、要素C、要素CおよびD、またはさらに他の要素など、1つまたは複数のさらなる要素が実体A中に存在する状況の両方を指すことがある。
【0061】
さらに、用語「少なくとも1つ」、「1つ以上」、または特徴もしくは要素が1回または複数回存在する可能性があることを示す同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を紹介する際に1回のみ使用されることに留意されたい。ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素に言及する際、それぞれの特徴または要素が1回または複数回存在する可能性があるという事実にかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0062】
さらに、本明細書で使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的には」、「より具体的には」または類似の用語は、代替可能性を制限することなく、任意の特徴と組み合わせて使用される。従って、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を何ら制限することを意図するものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替的な特徴を用いて実施することができる。同様に、「本発明の実施形態において」または類似の表現によって導入される特徴は、本発明の代替的な実施形態に関するいかなる制限もなく、本発明の範囲に関するいかなる制限もなく、そのように導入される特徴を本発明の他の任意的または非任意的な特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もなく、任意的な特徴であることが意図される。
【0063】
要約すると、さらに可能な実施形態を排除することなく、以下の実施形態が想定される:
実施形態1:生体、特に人間の皮膚の推定年齢を光学的に決定するコンピュータ実装方法であって、該方法は以下を含む:
スペクトル測定範囲にわたる生体の皮膚の少なくとも一部分の少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを使用するステップであって、スペクトル測定範囲は、1μm~2.5μmの波長範囲の少なくとも一部分を含むステップ;および
サンプル反射スペクトルに少なくとも1つの学習済み学習モデルを適用することにより、生物の皮膚の推定年齢を決定するステップであって、
学習可能モデルは、複数のラベル付けされた参照反射スペクトルからなる学習データセットで学習され、参照反射スペクトルの各々は、ステップiのサンプル反射スペクトルのスペクトル測定範囲と少なくとも部分的に重複するスペクトル範囲にわたって取得され、
参照反射スペクトルの各々は、既知の年齢を有する被験生体の皮膚の少なくとも一部分の反射スペクトルである、
参照反射スペクトルは、少なくとも部分的に、対応する被験生体の既知の年齢でラベル付けされている。
【0064】
実施形態2:ペクトル測定範囲と参照反射スペクトルのスペクトル範囲が同一である、実施形態1による方法。
【0065】
実施形態3:サンプル反射スペクトルを、サンプル反射スペクトルから導出される前処理されたサンプル反射スペクトルによって置き換えることをさらに含み、前処理されたサンプル反射スペクトルは、具体的には、サンプル反射スペクトルの1次または高次微分;サンプル反射スペクトルのロバスト正規変分変換;サンプル反射スペクトルをフィルタリングすることによって決定されるフィルタリングされたスペクトル;サンプル反射スペクトルのスケーリングであって、スケーリングは、単位スケーリング、標準正規変分および範囲スケーリングのうちの少なくとも1つを含む、スケーリング;のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1または2に記載の方法。
【0066】
実施形態4:学習可能なモデルが、以下からなる群:主成分分析モデル;回帰モデル、具体的には、部分最小二乗回帰モデル;主成分回帰モデル;投げ縄回帰モデル;最近傍モデル;人工ニューラルネットワーク、具体的には、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、ロングショートタームニューラルネットワークからなる群から選択される人工ニューラルネットワーク;サポートベクターマシンモデル;決定木分類器モデル;決定木分類器、具体的には、ランダムフォレスト分類器およびブースト決定木分類器の少なくとも1つ、から選択される、実施形態1から3の何れか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態5:生体の皮膚の部分および被験生体の皮膚の部分は、身体の同じ領域の部分である、実施形態1から4の何れか1つに記載の方法。
【0068】
実施形態6:生体の皮膚の部分および被験生体の皮膚の部分が、以下からなる群から選択される部分である、方法:それぞれ、生体または被験生体のこめかみの皮膚部分;それぞれ、生体または被験生体の額の皮膚部分;それぞれ、生体または被験生体の顔の皮膚部分;それぞれ、生体または被験生体の首の皮膚部分;それぞれ、生体または被験生体の前腕の皮膚部分;それぞれ、生体または被験生体の毛髪で本質的に覆われていない皮膚部分および/または無毛の皮膚部分であって、少なくとも、皮膚部分の多くとも20%、具体的には多くとも10%、より具体的には多くとも5%が毛髪で覆われていることが許容される皮膚部分。
【0069】
実施形態7:スペクトル測定範囲にわたって、生体の皮膚の少なくとも一部分の少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを提供することをさらに含み、スペクトル測定範囲は、1μm~2.5μmの波長範囲の少なくとも一部分を含む、実施形態1から6の何れか1つに記載の方法。
【0070】
実施形態8:該方法は、ステップii.において使用するための学習可能モデルを訓練するための少なくとも1つの訓練ステップをさらに含み、該訓練ステップは、ステップii.において定義されるように、ラベル付けされた参照反射スペクトルを提供することを含み、該方法は、教師ありおよび半教師ありディープラーニングアーキテクチャの少なくとも1つを使用することをさらに含む、方法。
【0071】
実施形態9:人間に少なくとも1つの推奨を提供するコンピュータ実装方法であって、該方法は以下のステップを含む:
実施形態1から8のいずれか1つに記載の方法を使用して、人間の皮膚の推定年齢を決定するステップ;および
人間の推定年齢に基づいて、人間に対する少なくとも1つの推奨を自動的に選択するステップ。
【0072】
実施形態10:少なくとも1つの推奨が、以下のうちの少なくとも1つを指す、実施形態9に記載の方法:具体的には、保湿剤および油分を含むスキンクリームのうちの少なくとも1つによる治療;栄養に関する推奨;薬物の使用および投薬の使用のうちの少なくとも1つに関する推奨;日光および紫外線のうちの少なくとも1つにさらされることに関する推奨;サンスクリーンの使用に関する推奨;医療相談を求めることに関する推奨;睡眠習慣に関する推奨;運動に関する推奨;ストレスにさらされることに関する推奨;休息および休暇のうちの少なくとも1つの必要性に関する推奨。
【0073】
実施形態11:ステップII.において、人間の推定年齢と人間の実年齢との間の不一致に基づいて推奨が選択される、実施形態9または10に記載の方法。
【0074】
実施形態12:少なくとも1つの推薦の自動選択が、推定年齢と、人間の推定年齢と人間の実際の年齢との間の不一致との少なくとも1つを少なくとも1つの推奨に関連付ける少なくとも1つの関係を使用することによって実行される、実施形態9から11の何れか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態13:生体の皮膚の推定年齢を光学的に決定する方法を参照する実施形態1から8の何れか1つに記載の方法のステップii.で使用するための学習可能モデルを訓練するコンピュータ実装学習方法であって、ステップii.で定義される学習データセット上で学習可能モデルを訓練することを含む方法。
【0076】
実施形態14:生体の皮膚の推定年齢を光学的に決定するためのシステムであって、該システムは、生体の皮膚の推定年齢を光学的に決定する方法を参照する実施形態1から8の何れか1つに記載の方法を実行するように構成され、該システムは、以下を含む:
A. 少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを取得するように構成された少なくとも1つの赤外分光計;および
B. ステップiiに従って、生体の皮膚の推定年齢を決定することを実行するように構成された少なくとも1つの処理ユニット。
【0077】
実施形態15:赤外分光計が、ベンチトップ型NIR分光計;ハンドヘルド型にNIR分光計;少なくとも1つのウェアラブルデバイスの一部である分光モジュール、具体的には、スマートウォッチおよびスマートフォンからなる群から選択される少なくとも1つのウェアラブルデバイス;からなる群から選択される少なくとも1つの赤外分光計を備える、実施形態14に記載のシステム。
【0078】
実施形態16:処理装置が少なくとも部分的にクラウドベースである、実施形態14または15に記載のシステム。
【0079】
実施形態17:システムに言及する実施形態14から16の何れか1つに記載のシステムによってプログラムが実行されるとき、システムに、方法に言及する実施形態1から12の何れか1つに記載の方法およびコンピュータ実施学習方法に言及する実施形態13に記載のコンピュータ実施学習方法の少なくとも一方を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【0080】
実施形態18:システムを参照する実施形態14から16の何れか1つに記載のシステムによってプログラムが実行されるとき、システムを、方法を参照する実施形態1から12の何れか1つに記載の方法およびトレーニング方法を参照する実施形態13に記載のトレーニング方法のうちの少なくとも1つを実行させる命令を含む、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【図面の簡単な説明】
【0081】
さらなる任意の特徴および実施形態は、後続の実施形態の説明において、好ましくは従属請求項と併せて、より詳細に開示される。そこでは、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、任意の実現可能な組み合わせだけでなく、孤立した態様で実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に描かれている。そこにおいて、これらの図中の同一の参照番号は、同一または機能的に同等の要素を指す。
【0082】
図1図1は、生体の皮膚の推定年齢を光学的に決定するシステムの例示的な実施形態を概略的に示している。
図2図2は、生体の皮膚の推定年齢を光学的に判定するコンピュータ実装方法の一実施形態のフローチャートである。
図3図3A図3Eは、生体の皮膚の反射スペクトルの例を示している。
図4図4A図4Bは、生体の皮膚の推定年齢を光学的に決定するコンピュータ実装方法の一実施形態を使用して決定された例示的な推定年齢を示す。
図5図5は、少なくとも1つの推奨を人間に提供するコンピュータ実装方法の一実施形態のフローチャートである。
図6図6は、生体の皮膚の推定年齢を光学的に決定するコンピュータ実装方法に使用するための学習可能モデルを訓練するコンピュータ実装学習方法の実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1は、生体、特に人間の皮膚112の推定年齢を光学的に決定するためのシステム110の例示的な実施形態を概略的に示す。システム110は、生体の皮膚112の推定年齢を光学的に決定する方法を参照してさらに詳細に上述または以下に開示される実施形態のいずれか1つに従って、生体の皮膚112の推定年齢を光学的に決定する方法を実行するように構成される。皮膚112は、湾曲したテクスチャのような任意のテクスチャを有してもよい。システム110は、少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを取得するように構成された少なくとも1つの赤外分光計114を有する。赤外分光計114は、ベンチトップ型NIR分光計;ハンドヘルド型NIR分光計;少なくとも1つのウェアラブルデバイスの一部である分光モジュール、具体的には、スマートウォッチおよびスマートフォンからなる群から選択される少なくとも1つのウェアラブルデバイスからなる群から選択される少なくとも1つの赤外分光計114を有する。
【0084】
図1が示すように、システム110は少なくとも1つのハウジング116を有しても良い。ハウジング116は、システム110の構成要素、具体的には赤外分光計114を少なくとも部分的に包囲することができる。このようにして、赤外分光計114の構成要素が保護され、外光のアクセスが妨げられる。しかしながら、さらなる種類の配置も考えられる。赤外分光計114は、光放射120、具体的には赤外放射121を放出するように構成された少なくとも1つの放射放出素子118を含んでいてもよい。放射線放出素子118は、発光ダイオードまたはレーザ、具体的にはレーザダイオードの少なくとも1つから選択され得る半導体ベースの放射線源によって構成され得る。しかしながら、さらなる種類の放射線放出素子118も実現可能である。放射線放出素子118は、連続的に放出するように構成されてもよいし、変調された光パルスを生成するように構成されてもよい。赤外分光計114は、光放射120を受光するために指定された少なくとも1つの感光領域124を含む少なくとも1つの感光検出器122をさらに備えることができる。感光検出器122は、感光領域124の照明に応じて少なくとも1つの検出器信号を生成するように構成されてもよい。赤外分光計114は、少なくとも1つの光学素子126、具体的には少なくとも1つの光学窓128を備えることができる。赤外分光計114は、光放射120の少なくとも1つの波長を選択するように構成された少なくとも1つのスペクトル伝達要素130を含んでもよい。スペクトル伝達要素130は、具体的には、少なくとも1つの光学フィルタ132を有してもよい。赤外分光計114に関するさらなる詳細については、例えば、2020年12月2日に出願されたEP出願番号202211174.6を参照することができる。
【0085】
システム110は、生体の皮膚112の推定年齢の決定を実行するように構成された少なくとも1つの処理ユニット134をさらに備える。処理ユニット134は、少なくとも部分的にクラウドベースであってもよい。言い換えれば、処理ユニット134は、少なくとも部分的に、クラウドコンピューティングおよびクラウドストレージの少なくとも一方のために使用されるクラウド136に分散されていてもよい。クラウド136は、具体的には、ハウジング116の外部に位置する少なくとも1つの外部装置138、例えばコンピュータまたはコンピュータネットワークを有してもよい。外部装置138は、データ転送のための少なくとも1つのインターフェース140によって、赤外分光計114、具体的にはハウジング116の内部に配置された処理ユニット134の一部に接続される場合がある。インターフェース140は、無線および/または有線であってもよい。
【0086】
図1が示すように、放射線放出素子118は、光放射120、具体的には赤外放射121を、入射光放射142として、生体の皮膚112に向けて放出することができる。入射光放射142は、皮膚112に到達する前に、光学素子126、具体的には光学窓128を通過する可能性がある。皮膚112は、反射光放射144の形態で、感光検出器122の感光領域124に向かって光放射120を少なくとも部分的に、具体的には拡散反射する可能性がある。さらに、皮膚は、入射光放射142を少なくとも部分的に吸収してもよい。反射された光放射144は、感光領域124に到達する前に、光学素子126、特に光学窓128を通過する可能性がある。反射された光放射140は、感光領域124に到達する前に、スペクトル伝達要素130、具体的には光学フィルタ132をさらに通過する可能性がある。感光検出器122は、感光領域124の対応する照明に応じて少なくとも1つの検出器信号を生成してもよい。感光検出器122は、さらなる処理のために、検出器信号を処理ユニット134に向けて特に送信してもよい。処理ユニット134は、さらなる処理および/または保存のために、検出器信号を使用して生成された情報の少なくとも1つの項目をクラウド136内に配布してもよい。
【0087】
図2は、生体の皮膚112の推定年齢を光学的に決定するコンピュータ実装方法の一実施形態のフローチャートを示す。この方法は、以下の方法ステップを有する:
(参照番号146で示される)スペクトル測定範囲にわたる生体の皮膚112の少なくとも一部分の少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを使用するステップであって、スペクトル測定範囲は、1μm~2.5μmの波長範囲の少なくとも一部分を含むステップ;および
(参照番号148で示される)は、サンプル反射スペクトルに、少なくとも1つの訓練された学習可能モデルを適用することによって、生体の皮膚112の推定年齢を決定するステップ、
ここで、学習可能モデルは、複数のラベル付けされた参照反射スペクトルからなる学習データセットで学習され、参照反射スペクトルの各々は、ステップiのサンプル反射スペクトルのスペクトル測定範囲と少なくとも部分的に重複するスペクトル範囲にわたって取得され、
ここで、参照反射スペクトルの各々は、既知の年齢を有する被験生体の皮膚112の少なくとも一部分の反射スペクトルであり、
ここで、参照反射スペクトルは、少なくとも部分的に、対応する被験生体の既知の年齢でラベル付けされている。
【0088】
方法ステップは、所定の順序で実行することができる。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。本方法は、列挙されていない、さらなる方法ステップを含んでいてもよい。さらに、1つ以上の方法ステップを1回または繰り返し実行してもよい。さらに、2つ以上の方法ステップを同時に実施してもよいし、適時重複して実施してもよい。
【0089】
スペクトル測定範囲と参照反射スペクトルのスペクトル範囲は同一であってもよい。本方法はさらに、サンプル反射スペクトルを、サンプル反射スペクトルから導出される前処理済みサンプル反射スペクトルに置き換えることを含んでいてもよい。前処理されたサンプル反射スペクトルは、具体的には、サンプル反射スペクトルの一次微分または高次微分、サンプル反射スペクトルのロバスト正規変分変換、サンプル反射スペクトルをフィルタリングすることによって決定されたフィルタリングされたスペクトル、サンプル反射スペクトルのスケーリング、のうちの少なくとも1つを有してもよく、スケーリングは、単位スケーリング、標準正規変分および範囲スケーリングのうちの少なくとも1つから構成される場合がある。学習可能モデルは、以下からなる群から選択される:主成分分析モデル;回帰モデル、特に部分最小二乗回帰モデル;主成分回帰モデル;ラッソ回帰モデルおよび/またはラッソ回帰器;最近傍モデル;人工ニューラルネットワーク、具体的には、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、ロングショートタームニューラルネットワークからなる群から選択される人工ニューラルネットワーク;サポートベクターマシンモデル;決定木分類器モデル;決定木分類器、具体的には、ランダムフォレスト分類器およびブースト決定木分類器の少なくとも1つ。生体の皮膚112の部分と被験生体の皮膚112の部分とは、身体の同じ部位の部分であってもよい。生体の皮膚112の部分および被験生体の皮膚112の部分は、以下からなる群から選択される部分であってもよい:それぞれ、生体または被験生体のこめかみの皮膚部分、それぞれ、生体または被験生体の皮膚部分、それぞれ、生体または被験生体の顔の皮膚部分、それぞれ、生体または被験生体の首の皮膚部分;それぞれ、生体または被験生体の前腕の皮膚部分;それぞれ、生体または被験生体の毛髪で強く覆われていない皮膚部分および/または無毛の皮膚部分、例えば、毛髪のある皮膚表面/全皮膚表面の面積比が20%以下、具体的には10%以下、より具体的には5%以下の皮膚部分。本方法は、スペクトル測定範囲にわたって、生体の皮膚112の少なくとも一部分の少なくとも1つのサンプル反射スペクトルを提供することをさらに含み得、スペクトル測定範囲は、1μm~2.5μmの波長範囲の少なくとも一部分を含む。
【0090】
本方法は、ステップii.で使用するための学習可能モデルを訓練するための少なくとも1つの訓練ステップ150をさらに含むことができる。訓練ステップ150は、ステップii.で定義されるように、ラベル付けされた参照反射スペクトルを提供することを含み得る。本方法は、教師ありおよび半教師ありディープラーニングアーキテクチャのうちの少なくとも1つを使用することをさらに含んでもよい。また、訓練ステップ150は、参照反射スペクトルを取得することと、少なくとも部分的に、参照反射スペクトルをラベル付けすることとを含んでいてもよい。したがって、学習ステップ150は以下を含むことができる。
【0091】
複数の被験生体を提供するステップであって、被験生体は既知の年齢を有するステップと、
前記被検生体の参照反射スペクトルを取得するステップと、
基準反射スペクトルの少なくとも一部に、それぞれの既知の年齢をラベル付けするステップ。
【0092】
これにより、ラベル付けされた参照反射スペクトルからなる学習データセットが組み立てられる。前記学習データセットを用いて、学習可能モデルを訓練することができ、それにより、一例として、未知の年齢を有する生体のサンプル反射スペクトルに学習可能モデルを適用したときに、その生体の年齢が推定されるように、学習可能モデルのパラメータを調整および/または最適化することができる。
図3A図3Eは、生体、特に人間の皮膚112の反射スペクトルの例示的なサンプルである。図3Aは、8歳の人間、39歳の人間、および59歳の人間の皮膚112の測定吸光度を示す。吸光度はBruker社のFT-NIR Multi Purpose Analyzer (MPA)を用いて反射モードで測定したものであり、図中では任意の単位で示されている。図中、「吸光度」はラテン文字A、「波長」はギリシャ文字λで略した。8歳の人間について測定された吸光度は、参照番号152で示され、連続線として印刷されている。39歳の人間について測定した吸光度を参照番号154で示し、破線で印刷した。59歳の人間について測定した吸光度を参照番号156で示し、点線で印刷した。特に、図3Aでは、39歳の人間と59歳の人間で測定された吸光度が近接している。しかし、図3Bから図3Eに関して後述するように、測定された吸光度を適切に前処理することで、年齢に依存するいくつかの特徴がはっきりと見えるようになる。
【0093】
図3Bおよび3Cは、選択した波長について対応する前処理済み吸光度を任意の単位で示したものである。「前処理吸光度」という用語は、図ではPPAと略記する。8歳の人間の前処理吸光度は参照番号158で示され、連続線として印刷されている。39歳の人間の前処理吸光度は参照番号160で示され、破線で印刷されている。59歳の人間の前処理済み吸光度は参照番号162で示され、点線で印刷されている。図3Bおよび3Cの前処理された吸光度PPAを得るために、測定された吸光度Aは、Guo, Qian, Wen Wu, and D. L. Massart."The robust normal variate transform for pattern recognition with near-infrared data.".Analytica chimica acta 382.1-2 (1999):87-103に開示されているように、ロバスト正規変量変換と50%パーセンタイルを用いて正規化された。その後、Hopkins, David W. "What is a Norris derivative? "NIR news 12.3 (2001):3-5に開示されているように、Norris微分フィルタを用いて2次微分を形成した。その後、特徴量を単位球に変換するために単位スケーリングが使用された。ここで、具体的にはユークリッドノルムが使用され得る。その後、Abdi, Herve."Partial least square regression (PLS regression)."Encyclopedia for research methods for the social sciences 6.4 (2003):792-795に開示されているように、部分最小二乗回帰が適用された。
【0094】
図3Bおよび3Cは、前処理された吸光度のいくつかの特徴が、分析された人間の既知の年齢を変化させることによって区別可能に変化することを示している。一例として、図3Bでは、1720nmから1760nmの波長範囲において、前処理した吸光度の極大値と極小値は、年齢が下がるほど顕著になる。さらなる例として、図3Cでは、1840nmから1900nmの波長範囲において、前処理した吸光度の最大値は、年齢が低くなるにつれて、より高い波長λに向かってシフトしている。高年齢から若年齢への進行は、図3Bと3Cの矢印164で示されている。
【0095】
図3Dおよび3Eが示すように、8歳の人間、39歳の人間、59歳の人間の前処理済み吸光度に関する上述の傾向は、より大きな人間のグループでも明らかであり、したがって統計的に信頼できる。図3D図3Eでは、8歳から59歳までの既知の年齢を持つ29人の人間を分析した。「既知の年齢」という用語は、「実年齢」とも呼ばれ、図ではKAと略されている。図3Bと同様に、図3Dでは、1720nmから1760nmの波長範囲において、前処理した吸光度の極大値と極小値は、年齢が低いほど顕著であることがわかる。図3Cと同様に、図3Eでは、波長範囲1840nmから1900nmにおいて、前処理した吸光度の最大値は、年齢が低くなるにつれて、より高い波長λに向かってシフトしていることが明らかである。前述と同様に、高年齢から若年齢への進行は、図3Dおよび3Eの矢印164で示されている。したがって、例えばこれらの知見に基づいて、生体の皮膚112の推定年齢を光学的に決定する方法のステップii.で使用される学習可能モデルを訓練し、さらに未知のサンプルに皮膚112の推定年齢を割り当てることが可能であり得る。
【0096】
図4Aおよび図4Bは、生体の皮膚112の推定年齢を光学的に決定するコンピュータ実装方法の一実施形態を使用して決定された皮膚112の例示的な推定年齢を示す。用語「推定年齢」は、図ではEAと略記される。各分析対象者について、20回の独立した測定を実施した。測定されたサンプル反射スペクトルは、その後、皮膚112の推定年齢を決定するために学習された学習可能モデルが適用される前に、上述のように前処理された。図4Aにおいて、丸または十字などの異なる記号は、異なる人間に対して使用される。図4Bにおいて、丸印は人間のこめかみの皮膚112が分析されたことを示し、十字印は人間の額の皮膚112が分析されたことを示す。図4Bでは、各分析対象者について、こめかみの皮膚112について10回の測定が行われ、額の皮膚112について10回の測定が行われた。図4Aおよび図4Bは、x軸上の人間の既知の年齢とy軸上の人間の皮膚112の推定年齢との間に明確な相関関係があることを明らかにしている。一般に、生体の既知年齢と生体の推定年齢との間の偏差は、少なくとも1つの推奨を提供するために使用することができる。
【0097】
図5は、人間に少なくとも1つの推奨を提供するコンピュータ実装方法の一実施形態のフローチャートを示す。この方法は、以下の方法ステップを有する:
(参照番号166で示される)生体の皮膚112の推定年齢を光学的に決定する方法を参照して、上記または以下にさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによる方法を使用して、人間の皮膚112の推定年齢を決定するステップ;および
(参照番号168で示される)人間の推定年齢に基づいて、人間に対する少なくとも1つの推薦を自動的に選択するステップ。
【0098】
方法ステップは、所定の順序で実行することができる。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。本方法は、列挙されていないさらなる方法ステップを含んでいてもよい。さらに、1つ以上の方法ステップを1回または繰り返し実行してもよい。さらに、2つ以上の方法ステップを同時に実施してもよいし、適時重複して実施してもよい。
【0099】
少なくとも1つの推奨は、美容処置の推奨、具体的には、保湿剤および油分を含むスキンクリームの少なくとも1つによる処置、栄養の推奨、薬物の使用および投薬の使用の少なくとも1つに関する推奨、日光および紫外線の少なくとも1つへの曝露に関する推奨、サンスクリーンの使用に関する推奨、医療相談を求める推奨、睡眠習慣に関する推奨、運動に関する推奨、ストレスへの曝露に関する推奨、休息および休暇の少なくとも1つの必要性に関する推奨の少なくとも1つを指すことができる。ステップII.では、人間の推定年齢と実際の年齢との間の不一致に基づいて推奨を選択することができる。少なくとも1つの推薦を自動的に選択することは、推定年齢と、人間の推定年齢と人間の実際の年齢との間の不一致との少なくとも一方を少なくとも1つの推薦に関連付ける少なくとも1つの関係を使用することによって実行されてもよい。この関係は、ルックアップテーブル、アルゴリズム、モデルのうち少なくとも1つを有する。
【0100】
図6は、生体の皮膚112の推定年齢を光学的に決定する方法を参照してさらに詳細に上述または以下に開示される実施形態のいずれか1つによる生体の皮膚112の推定年齢を光学的に決定する方法のステップii.で使用するための学習可能モデルを訓練するコンピュータ実装学習方法の実施形態のフローチャートを示す。学習方法(参照番号170で示される)は、ステップiiで定義されるような学習データセット上で学習可能モデルを学習することを含む。
【0101】
本方法は、列挙されていないさらなる方法ステップを含んでいてもよい。さらに、1つ以上の方法ステップを1回または繰り返し実行してもよい。さらに、2つ以上の方法ステップを同時に実施してもよいし、適時重複して実施してもよい。
【0102】
本発明のコンピュータ実装の態様を参照すると、本明細書に開示された1つまたは複数の実施形態による方法の方法ステップの1つまたは複数、あるいは方法ステップのすべてさえも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して実行することができる。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して実行することができる。一般に、これらの方法ステップは、典型的には、サンプルの提供および/または実際の測定の実行の特定の態様のような手作業を必要とする方法ステップを除く、方法ステップのいずれかを含むことができる。
【符号の説明】
【0103】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】