IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーシービー バイオファルマ エスピーアールエルの特許一覧

特表2024-540286抗マラリア薬であるヘキサヒドロピリミジン誘導体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】抗マラリア薬であるヘキサヒドロピリミジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/12 20060101AFI20241024BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 33/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C07D403/12 CSP
A61K31/513
A61P33/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526544
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2022080372
(87)【国際公開番号】W WO2023078837
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】2115770.6
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514232085
【氏名又は名称】ユーシービー バイオファルマ エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルデナス アルメスト、アルバロ イエス
(72)【発明者】
【氏名】デ ハロ ガルシア、テレサ
(72)【発明者】
【氏名】ロウ、マーティン アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC42
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB38
(57)【要約】
ヒト血液中の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)寄生生物の増殖及び繁殖の強力な阻害剤である、本明細書で定義される式(I)の化合物は、とくにマラリアの治療において医薬剤として有益である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩:
【化1】

ここで、Rはメチル又はメトキシを表す。
【請求項2】
式(IA)により表される請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化2】
【請求項3】
式(IB) により表される請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化3】
【請求項4】
化合物中に存在する3-置換4,4-ジフルオロシクロヘキサ-1-イル部分が、1R,3R又は1S,3S配置である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
前記3-置換4,4-ジフルオロ-シクロヘキサ-1-イル部分が1R,3R配置である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記3-置換4,4-ジフルオロ-シクロヘキサ-1-イル部分が1S,3S配置である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
N-(2-クロロ-3-{(4S)-1-[(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキシル]-2-イミノ-4-メチル-6-オキソヘキサヒドロピリミジン-4-イル}フェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボキサミド。
【請求項8】
N-(2-クロロ-3-{(4S)-1-[(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキシル]-2-イミノ-4-メチル-6-オキソヘキサヒドロピリミジン-4-イル}フェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボキサミドの塩酸塩。
【請求項9】
N-(2-クロロ-3-{(4S)-1-[(1S,3S)-4,4-ジフルオロ-3-メトキシシクロヘキシル]-2-イミノ-4-メチル-6-オキソヘキサヒドロピリミジン-4-イル}フェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-イミダゾール-4-カルボキサミド。
【請求項10】
N-(2-クロロ-3-{(4S)-1-[(1S,3S)-4,4-ジフルオロ-3-メトキシシクロヘキシル]-2-イミノ-4-メチル-6-オキソヘキサヒドロピリミジン-4-イル}フェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボキサミドの塩酸塩。
【請求項11】
治療に用いるための、請求項1に記載の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
マラリアの治療及び/又は予防に用いるための、請求項1に記載の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
薬学的に許容される担体と会合した、請求項1に記載の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩の、マラリアを治療及び/又は予防するための医薬を製造するための、使用。
【請求項15】
マラリアを治療及び/又は予防するための方法であって、有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある分類群の複素環式化合物、及び治療におけるそれらの使用に関する。より詳細には、本発明は、薬理学的に活性な置換ヘキサヒドロピリミジン誘導体に関する。これらの化合物は、ヒト血液中の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)寄生生物の増殖及び繁殖の強力な阻害剤であり、そのためとくにマラリアの治療における医薬用薬剤として有益である。
【背景技術】
【0002】
マラリアは、マラリア原虫(Plasmodium)属の寄生生物によって引き起こされる蚊媒介性感染性疾患であり、壊滅的な被害をもたらす。2019年のデータに基づくと、毎年約2億2900万件の症例が報告され、約409,000人が死亡している。症例の約80%は、サハラ以南のアフリカで、主に若年小児(5歳以下)に発生する。
【0003】
そのため、ヒト血液中の熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)寄生生物の増殖及び繁殖の強力な阻害剤である本発明による化合物は、マラリアの治療に有益である。本発明の化合物はまた、とくに有益な薬物動態学的特性及び薬力学的特性、並びに良性の毒性プロファイルを有し、これら全てにより、治療薬としての化合物としての高い優位性が付与される。
【0004】
国際公開第2021/032687号には、ヒト血液中の熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)寄生生物の増殖及び繁殖の強力な阻害剤であり、そのためマラリアの治療に有益であると述べられている、ある種の複素環式化合物が記載されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【化1】

は、メチル又はメトキシを表す。
【0006】
本発明による化合物は、国際公開第2021/032687号の一般的な範囲内に包含される。しかしながら、上記で定義される式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩について、該刊行物に具体的な開示はない。
【0007】
本発明はまた、治療に用いるための、上記で定義される式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0008】
本発明はまた、マラリアの治療及び/又は予防に用いるための、上記で定義される式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0009】
本発明はまた、マラリアを治療及び/又は予防するための方法であって、有効量の上記で定義される式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、上記で定義される式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩の、マラリアを治療及び/又は予防するための医薬を製造するための使用を提供する。
【0011】
医薬に用いる場合、式(I)の化合物の塩は、薬学的に許容される塩である。これに対し他の塩は、本発明における使用の化合物又は薬学的に許容されるその塩の調製において有用であり得る。薬学的に許容される塩の選択及び調製の基礎となる標準的な原理は、例えば、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use、P.H.Stahl&C.G.Wermuth編、Wiley-VCH、2002年に記載されている。
【0012】
本発明による化合物のイミノ-テトラヒドロピリミジノン核中のキラル炭素原子の絶対立体化学配置は、上記の式(I)に示される通りである。一般に、本発明による化合物は、少なくとも51%の鏡像異性的な純度を有する(enatiomerically pure)(当該化合物のサンプルが、混合物として、式(I)に示される鏡像異性体を51%以上含有し、反対の対掌体を49%以下含有する鏡像異性体の混合物を含むことを意味する)。典型的には、本発明による化合物は、少なくとも60%鏡像異性的に純粋である(enatiomerically pure)。好適には、本発明による化合物は、少なくとも75%鏡像異性的に純粋である。適宜に、本発明による化合物は、少なくとも80%鏡像異性的に純粋である。より好適には、本発明による化合物は、少なくとも85%鏡像異性的に純粋である。なおより好適には、本発明による化合物は、少なくとも90%鏡像異性的に純粋である。さらにより好適には、本発明による化合物は、少なくとも95%鏡像異性的に純粋である。好ましくは、本発明による化合物は、少なくとも99%鏡像異性的に純粋である。理想的には、本発明による化合物は、少なくとも99.9%鏡像異性的に純粋である。
【0013】
式(I)の化合物は2つのさらなる不斉中心を有するので、それに応じて鏡像異性体として存在し得る。本発明による化合物は2つのさらなる不斉中心を有するので、ジアステレオマーとしても存在し得る。本発明は、全てのそのような鏡像異性体及びジアステレオマーの使用、並びにラセミ体を含む任意の割合のそれらの混合物に及ぶと理解されるべきである。式(I)及び以下に示される式は、とくに明示又は示されない限り、全ての個々の立体異性体及びそれらの全ての可能な混合物を表すことが意図されている。さらに、式(I)の化合物は、互変異性体、例えばケト(CHC=O)←→エノール(CH=CHOH)互変異性体又はアミド(NHC=O)←→ヒドロキシイミン(N=COH)互変異性体又はイミド(NHC=NH)←→アミノイミン(N=CNH)互変異性体として存在し得る。式(I)及び以下に示される式は、とくに明記又は示されない限り、全ての個々の互変異性体及びそれらの全ての可能な混合物を表すことが意図される。さらに、式(I)の化合物はアトロプ異性体として存在し得る。式(I)及び以下に示される式は、とくに明記又は示されない限り、全ての個々のアトロプ異性体及びそれらの全ての可能な混合物を表すことが意図される。
【0014】
好ましくは、上記の式(I)の化合物中に存在するR置換4,4-ジフルオロシクロヘキサ-1-イル部分は、1R,3R又は1S,3S配置である。第1の態様では、R置換4,4-ジフルオロシクロヘキサ-1-イル部分は1R,3R配置である。第2の態様では、R置換4,4-ジフルオロシクロヘキサ-1-イル部分は1S,3S配置である。
【0015】
式(I)又は以下に示される式に存在する個々の原子は、実際には、その天然に存在する同位体のいずれの形態で存在してもよく、最も豊富な同位体が好ましいことを理解されたい。したがって、例として、式(I)又は以下に示される式に存在する個々の水素原子は、H、H(重水素、D)又はH(トリチウム、T)原子、好ましくはHとして存在してもよい。同様に、例として、式(I)又は以下に示される式に存在する個々の炭素原子は、12C、13C又は14C原子、好ましくは12Cとして存在してもよい。
【0016】
第1の態様では、Rはメチルを表す。第2の態様では、Rはメトキシを表す。
【0017】
第1の側面では、本発明は、式(IA)の化合物:
【化2】

又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0018】
好ましくは、上記の式(IA)の化合物中に存在する4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキサ-1-イル部分は、1R,3R又は1S,3S配置である。特定の態様では、4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキサ-1-イル部分は1R,3R配置である。別の態様では、4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキサ-1-イル部分は、1S,3S配置である。
【0019】
第2の側面では、本発明は、式(IB)の化合物:
【化3】

又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0020】
好ましくは、上記の式(IB)の化合物中に存在する4,4-ジフルオロ-3-メトキシシクロヘキサ-1-イル部分は、1R,3R又は1S,3S配置である。第1の態様では、4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキサ-1-イル部分は1R,3R配置である。第2の態様では、4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキサ-1-イル部分は1S,3S配置である。
【0021】
本発明による具体的な新規化合物には、その調製が添付の例に記載されている個々の化合物、及び薬学的に許容されるそれらの塩が含まれる。
【0022】
本発明はまた、上記の本発明による化合物又は薬学的に許容されるその塩を、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
【0023】
本発明による医薬組成物は、経口、頬側、非経口、経鼻、局所、眼もしくは直腸投与に適した形態、又は吸入もしくは吹送による投与に適した形態をとることができる。
【0024】
経口投与の場合、本医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース又はリン酸水素カルシウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン又はナトリウムグリコラート)、又は湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤を用いて従来の手段によって調製された錠剤、ロゼンジ又はカプセルの形態をとることができる。錠剤は、当技術分野で公知の方法によってコーティングされ得る。経口投与用の液体製剤は、例えば溶液、シロップもしくは懸濁液の形態をとることができ、又は使用前に水もしくは他の適切な媒体で構成するための乾燥製品として提供することができる。そのような液体製剤は、懸濁化剤、乳化剤、非水性媒体又は保存剤などの薬学的に許容される添加剤を用いて従来の手段によって調製され得る。製剤はまた、必要に応じて、緩衝塩、香味剤、着色剤又は甘味剤を含有し得る。
【0025】
経口投与のための製剤は、活性化合物の放出が制御されるように適切に製剤化され得る。
【0026】
バッカル投与の場合、本組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤又はトローチ剤の形態をとることができる。
【0027】
式(I)の化合物は、注射による非経口投与用に、例えばボーラス注射又は注入による非経口投与のために、製剤化され得る。注射用製剤は、単位剤形、例えばガラスアンプル又は複数回投与容器、例えばガラスバイアルで提供され得る。注射用組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液又はエマルジョンなどの形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤、保存剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有することができる。あるいは、活性成分は、使用前に適切な媒体、例えば滅菌パイロジェンフリー水で構成するための粉末形態であってもよい。
【0028】
上記の製剤に加えて、式(I)の化合物はデポー製剤として製剤化することもできる。そのような長時間作用性製剤は、注入又は筋肉内注射によって投与され得る。
【0029】
経鼻投与又は吸入による投与の場合、本発明による化合物は、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、フルオロトリクロロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガスもしくはガスの混合物を使用して、加圧パック又はネブライザー用のエアロゾルスプレーの形態で問題なく適切に(conveniently)送達され得る。
【0030】
本組成物は、所望により、当該活性成分を含有する1つ又は2つ以上の単位剤形を含有し得るパック又はディスペンサー装置で提供され得る。パック又は分注装置は、投与のための指示書を伴うことができる。
【0031】
局所投与のためには、本発明による化合物は、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される担体に懸濁又は溶解された活性成分を含有する適切な軟膏に問題なく適切に製剤化され得る。具体的な担体としては、例えば、鉱油、液体石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ワックス及び水が挙げられる。あるいは、本発明による化合物は、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される担体に懸濁又は溶解された活性成分を含有する適切なローションに製剤化され得る。具体的な担体としては、例えば、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルバート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、ベンジルアルコール、2-オクチルドデカノール及び水が挙げられる。
【0032】
眼科的投与のためには、本発明による化合物は、殺菌剤又は殺真菌剤、例えば硝酸フェニル水銀、塩化ベンジルアルコニウム又は酢酸クロルヘキシジンなどの防腐剤を含むか又は含まない等張pH調整滅菌生理食塩水中の微粒子化懸濁液として問題なく適切に製剤化され得る。あるいは、眼投与のために、化合物をワセリンなどの軟膏に製剤化され得る。
【0033】
直腸投与のためには、本発明による化合物は、坐剤として問題なく適切に製剤化され得る。これらは、活性成分を、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で融解して活性成分を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。そのような物質としては、例えば、カカオバター、蜜蝋及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0034】
具体的な状態の予防又は治療に必要な本発明による化合物の量は、選択される化合物及び治療される患者の状態に応じて変化する。しかしながら、一般に、1日投与量は、経口投与又は頬側投与の場合、約10ng/kg~1000mg/kg、典型的には100ng/kg~100mg/kg、例えば約0.01mg/kg~40mg/kg体重の範囲であり得、非経口投与の場合、約10ng/kg~50mg/kg体重の範囲であり得、経鼻投与又は吸入もしくは吹送による投与の場合、約0.05mg~約1000mg、例えば約0.5mg~約1000mgの範囲であり得る。
【0035】
上記で定義される式(I)の化合物の一般的な調製のための方法は、国際公開第2021/032687号に記載されている。
【0036】
本発明による化合物は、以下の工程を含む、方法により調製され得る:
(i)3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボン酸を塩化オキサリル及びN,N-ジメチルホルムアミドで処理する工程、
(ii)それによって得られた酸塩化物誘導体を、式(III)の化合物:
【化4】

(式中、Rは上記で定義される通りであり、Rは水素又はN-保護基を表す)
と反応させ、その後、必要に応じて、N-保護基Rを除去する工程。
【0037】
工程(i)は、適切な溶媒、例えばジクロロメタンなどの塩素化溶媒中、周囲温度で問題なく適切に達成される。
【0038】
工程(ii)は、塩基、例えばトリエチルアミンなどの有機塩基又はピリジンの存在下で問題なく適切に行われる。反応は、典型的には、適切な溶媒、例えばジクロロメタンなどの塩素化溶媒中、0℃~周囲温度で行われる。
【0039】
好適には、N-保護基Rはtert-ブトキシカルボニル(BOC)である。
【0040】
N-保護基RがBOCである場合、その後のBOC基の除去は、酸、例えば塩酸などの鉱酸、又はトリフルオロ酢酸などの有機酸での処理によって適切に達成することができる。該反応は、典型的には、適切な溶媒、例えばジクロロメタンなどの塩素化溶媒、又は1,4-ジオキサンなどの環状エーテル中、周囲温度で行われる。
【0041】
別法において、本発明による化合物は、3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボン酸を、カップリング剤の存在下で、上記で定義される式(III)の化合物と反応させ、その後、必要に応じて、N-保護基Rを除去する方法によって調製され得る。
【0042】
好適なことを挙げるに、カップリング剤はクロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファートであってもよく、その場合、反応は一般に1-メチルイミダゾールの存在下で行われ得る。反応は、適切な溶媒、例えばアセトニトリルなどのニトリル溶媒中、周囲温度で問題なく適切に行われる。
【0043】
あるいは、カップリング剤は2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサ-トリホスホリナン2,4,6-トリオキシドであってよく、この場合、反応は一般に、有機アミン、例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミン、又はピリジンなどの芳香族塩基を適切に含み得る塩基の存在下で行われ得る。反応は、適切な溶媒、例えばジクロロメタンなどの塩素化溶媒、又は酢酸エチルなどの有機エステル溶媒中、周囲温度又は高温で問題なく適切に行われる。
【0044】
あるいは、カップリング剤は、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージドであってもよく、この場合、反応は、一般に、塩基、例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミンの存在下で行われ得る。反応は、適切な溶媒、例えばジクロロメタンなどの塩素化溶媒、又はアセトニトリルなどの有機ニトリル溶媒中、周囲温度又は高温で行うことは至便である。
【0045】
3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボン酸は、Journal of Fluorine Chemistry、2000、106、189-197に記載されている調製方法と同様の方法によって適切に調製され得る。
【0046】
上記の式(III)の中間体は、式(IV)の化合物 を、塩基を用いて処理し、その後、N-保護基Rを除去することにより調製され得る。
【化5】

及びRは上記で定義された通りであり、RはN-保護基を表し、RはC1~4アルキル、とくにメチルを表す。
【0047】
好適には、上記反応において用いる塩基は、C1~4アルコキシド塩、典型的にはカリウムtert-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドである。反応は、適切な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの環状エーテル中、0℃~周囲温度で問題なく適切に達成される。
【0048】
好適には、N-保護基Rはベンジルオキシカルボニルである。
【0049】
N-保護基Rがベンジルオキシカルボニルである場合、その後のベンジルオキシカルボニル基の除去は、接触水素化によって適切に達成され得る。典型的には、これは、チャコール上のパラジウムなどの水素化触媒の存在下でのガス状水素による処理を含む。
【0050】
上記の式(IV)の中間体は、式(V)の化合物を式(VI)の化合物と反応させることにより調製され得る。
【化6】

、R、R及びRは上記で定義された通りである。
【0051】
一般に、化合物(V)と(VI)との反応は、カップリング剤の存在下で行われる。適切なカップリング剤は、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド(EDCI)である。好適には、反応は、塩基、典型的にはN,N-ジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在下で行われる。
【0052】
化合物(V)と(VI)との反応は、適切な溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミドなどの双極性非プロトン性溶媒中、周囲温度で問題なく適切に達成される。
【0053】
これらの化合物を市販により入手できない場合、式(V)及び(VI)の出発物質は、添付の例に記載されているものと同様の方法によって、又は当技術分野で公知の標準的な方法によって調製してよい。
【0054】
生成物の混合物が本発明による化合物の調製のための上記のいずれかの方法から得られる場合、所望の生成物は、分取HPLC、又は例えば、適切な溶媒系と組み合わせてシリカ及び/もしくはアルミナを利用するカラムクロマトグラフィーなどの従来の方法によって任意の適切な段階で分離することができる。
【0055】
本発明による化合物を調製するための上記の方法が立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体は通常の技術によって分離され得る。とくに、式(I)の化合物の特定の(particular)鏡像異性体を得ることが所望される場合、これは、鏡像異性体を分割するための任意の適切な従来の手順を使用して、鏡像異性体の対応する混合物から生成され得る。したがって、例えば、ジアステレオマー誘導体、例えば塩は、式(I)の鏡像異性体、例えばラセミ体と適切なキラル化合物、例えばキラル塩基との混合物の反応によって生成され得る。次いで、ジアステレオマーを、任意の用いやすい手段によって、例えば結晶化によって分離することができ、所望の鏡像異性体を、例えばジアステレオマーが塩である場合には酸による処理によって回収することができる。別の分割方法において、式(I)のラセミ体をキラルHPLCを使用して分離することができる。さらに、所望であれば、上記の方法の1つにおいて適切なキラル中間体を用いることによって、特定の(particular)鏡像異性体を得ることができる。あるいは、特定の(particular)鏡像異性体は、鏡像異性体特異的酵素生体内変換、例えばエステラーゼを使用したエステル加水分解を行い、次いで、鏡像異性的に純粋な加水分解された酸のみを未反応のエステル対掌体から精製することによって得ることができる。クロマトグラフィー、再結晶及び他の従来の分離手順は、本発明の特定の(particular)幾何異性体を得ることが望ましい中間体又は最終生成物と共に用いることもできる。
【0056】
上記の合成過程におけるあらゆる段階において、関係する分子のいずれかの感受性基又は反応性基を保護することが必要である場合及び/又は望ましい場合がある。このような場合については、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis、P.G.M.Wuts編、John Wiley&Sons、5th edition、2014に記載されているような従来の保護基によって対応することができる。前記保護基の除去は、当技術分野で公知の方法を利用して、後に続く適用しやすい任意のステージにおいて行ってよい。
【0057】
以下の例は、本発明による化合物の調製の例を示す。
【0058】
本発明の化合物は、ヒト血液中の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)寄生生物の増殖及び繁殖の強力な阻害剤である。したがって、本発明の化合物は熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)3D7無性血液段階アッセイにおいて活性を示し、一般に5nMより優れたIC50値を示す(当業者は、より低いIC50値がより活性な化合物を示すことを理解する)。
【0059】
無性血液段階アッセイ(Asexual Blood Stage Assay)
熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)3D7株の血流段階に対する試験化合物の効果を測定するために用いられるアッセイには、読み出し情報にSYBRグリーンが用いられる。これは、二本鎖デオキシリボ核酸(DNA)に結合して蛍光を増加させ、感染した赤血球中の熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)DNAの検出を可能にし、それによって寄生虫の増殖及び繁殖の尺度を提供する色素である。
【0060】
熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)の培養の維持
赤血球(A+血液)を寄生生物培養及びアッセイの両方のために調製した。不完全培地(1リットルの培地中、15.9gのRPMI1640(25mM HEPES、L-グルタミン)、1gのNaHCO、2gのグルコース、400μLのゲンタシン(500mg/mL)、2mLのヒポキサンチン溶液(0.1M NaOH中13.6g/L、pH7.3))で4回洗浄することによって。細胞を1800gで5分間遠心分離した後、上清をデカントし、新鮮な不完全培地に再懸濁した。最後の洗浄時に、細胞を完全培地(5g/LのAlbumaxIIを含む不完全培地)に再懸濁し、1800gで3分間遠心分離した。この細胞沈殿物をヘマトクリット値100%として処理した。
【0061】
熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)3D7を、ヘマトクリット値5%での赤血球中、完全培地にて37℃(1%O、3%CO、残りはN)で培養した。培養液を毎週分割し、新鮮な培地中のヘマトクリット値5%で、赤血球中の寄生虫血症1%を達成した。培養培地を1日おきに(1週間に2回)新鮮な培地と交換する。
【0062】
アッセイの手順
1日目(day 1)に、Echo分注技術(1.5倍希釈及び20点滴定)を使用して試験化合物をアッセイプレートに添加した。50nLの各化合物希釈物を50μLの培養液(ヘマトクリット5%、寄生虫血症0.5%)に添加し、37℃(1%O、3%CO、残りはN)で72時間インキュベートした。試験化合物の最終濃度は、0.5%DMSO中、50,000nM~15nMの範囲であった。
【0063】
4日目(day 4)に、溶解緩衝液(20mMトリス、pH7.9、5%EDTA、0.16%w/v、1.6%TX100 v/v)で予め3倍濃度に希釈した10μLのSYBRグリーン(DMSO中10,000倍濃縮液として供給されるInvitrogen S7563)を培養液に添加し、暗所で一晩、室温でインキュベートした。
【0064】
5日目(day 5)に、BioTekプレートリーダー(励起485nm、発光528nm)を使用して蛍光シグナルを測定した。IDBS ActivityBaseを使用して全てのデータを処理した。生データを、高阻害対照(メフロキン)を100%、阻害なし対照(DMSO)を0%に設定することによる線形回帰によって阻害率に変換した。合格プレートの品質管理基準は以下のとおり:Z’>0.5、S:B>3、%CV(阻害なし対照)<15であった。Z’を計算するために使用される式は、
【数1】

である。上式中μは平均を表し、σは標準偏差を示し、pは陽性対照を示し、nは陰性対照を示す。
【0065】
全てのEC50カーブフィッティングは、XLfitモデル300(IDBS)を使用して、以下の二相性二部位用量応答:
【数2】

を使用して行った。上式中、A=100から上側曲線1の上部及び下側曲線の下部を引いた値、B=ヒルスロープ、log(C)=下部部位のIC50濃度、log(D)=上部部位のIC50濃度、x=阻害剤濃度、y=%阻害率である。
【0066】
上記のようにして熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)3D7無性血液段階アッセイによる試験を行い、下記の例(Examples)の項に示した化合物が、以下のIC50値を示すことが明らかになった。
【表1】
【0067】

略語
DCM:ジクロロメタン EtOAc:酢酸エチル
DMSO:ジメチルスルホキシド THF:テトラヒドロフラン
MeOH:メタノール DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン TFA:トリフルオロ酢酸
TFAA:トリフルオロ酢酸無水物 EtOH:エタノール
DAST:ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド DEA:ジエチルアミン
TBAF:フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム
EDCI:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド
T3P(登録商標):2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスホリナン-2,4,6-トリオキシド溶液
h:時間 M:質量
r.t.:室温 RT:保持時間
DAD:ダイオードアレイ検出器
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
LCMS:液体クロマトグラフィー質量分析
ESI:エレクトロスプレーイオン化
VCD:振動円二色性
【0068】
命名法
化合物は、Biovia Drawバージョン19.1の助けを用いてIUPACガイドラインに従って命名した。
【0069】
アスタリスク()、例えば、(1S,3S)と命名された化合物は、既知の相対立体化学であるが未知の絶対立体化学の化合物を示す。
【0070】
分析条件
方法1
カラム:Waters X Bridge C18、2.1×30mm、2.5μm
注入容積 5.0μL
流速 1.00mL/分
検出:
MS-ESI+m/z 150~800
UV-DAD 220~400nm
溶媒A:水中5mMギ酸アンモニウム+0.1%アンモニア
溶媒B:アセトニトリル+5%溶媒A+0.1%アンモニア
勾配プログラム:
5%Bから95%Bまで4.0分;5.00分まで保持;
5.10分でBの濃度は5%;6.5分まで保持
【0071】
方法2
カラム:Waters UPLC X Bridge BEH(C18、2.1×50mm、2.5μm)
温度: 45℃
注入容積: 1.0μL
流速: 1.00mL/分
検出:質量分析、同一ランでの+/-検出
PDA:210~400nm
溶媒A:水中10mMギ酸アンモニウム+0.1%ギ酸
溶媒B:95%アセトニトリル+5%HO+0.1%ギ酸
時間 %A %B
0 95 5
0.10 95 5
2.10 5 95
2.35 5 95
2.80 95 5
【0072】
中間体1
(8-オキソ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-7-イル)アセタート
トルエン(150mL)中の1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オン(7.50g、48.0mmol)及び酢酸鉛(IV)(31.9g、72.0mmol)の混合物を110℃で16時間加熱し、その後、反応混合物を室温に冷却し、Celite(登録商標)のパッドで濾過し、EtOAc(3×150mL)で洗浄した。有機層を分離し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、100~200メッシュ、ヘキサン中20%EtOAc)によって精製して、表題化合物(6.56g、64%)をオフホワイト色の固体として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 5.24 (dd, J 13.2, 6.8 Hz, 1H), 3.89-4.08 (m, 4H), 2.54-2.69 (m, 1H), 2.23-2.33 (m, 2H), 2.07 (s, 3H), 1.93-2.01 (m, 2H).1つのプロトンシグナルが溶媒ピークと融合した。
【0073】
中間体2
(8,8-ジフルオロ-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-7-イル)アセタート
乾燥DCM(270mL)中の中間体1(13.5g、63.0mmol)の溶液に、DAST(20.8mL、158mmol)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで、50℃で5時間加熱し、その後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液(450mL)でクエンチし、DCM(3×400mL)で抽出した。有機層を分離し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、100~200メッシュ、ヘキサン中15%EtOAc)によって精製して、表題化合物(9.51g、64%)を無色の油状物として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 5.18-5.30 (m, 1H), 3.85-3.99 (m, 4H), 2.10-2.25 (m, 1H), 2.08 (s, 3H), 1.98-2.06 (m, 2H), 1.87-1.98 (m, 1H), 1.72-1.81 (m, 2H).
【0074】
中間体3
4,4-ジフルオロ-3-ヒドロキシシクロヘキサノン
THF(95mL)中の中間体2(9.50g、40.2mmol)の溶液に、10%HCl水溶液(380mL)を室温でゆっくり添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、飽和NaHCO水溶液(450mL)でクエンチし、DCM(3×450mL)で抽出した。有機層を分離し、飽和NHCl水溶液(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、粗表題化合物(4.50g)を無色の油状物として得て、これをさらに精製することなく利用した。δH (400 MHz, CDCl3) 4.22-4.33 (m, 1H), 3.74 (br s, 1H), 2.77-2.88 (m, 1H), 2.45-2.68 (m, 4H), 2.18-2.32 (m, 1H).
【0075】
中間体4
3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-4,4-ジフルオロシクロヘキサノン
乾燥DCM(90mL)中の中間体3(4.50g、30.0mmol)の溶液に、イミダゾール(5.10g、74.9mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、次いで、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(11.3g、74.9mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、10%NHCl水溶液(150mL)でクエンチし、EtOAc(3×150mL)で抽出した。有機層を分離し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、100~200メッシュ、ヘキサン中30%EtOAc)によって精製して、表題化合物(7.00g、88%)を無色の油状物として得た。δH (400 MHz, CDCl3) 4.18-4.27 (m, 1H), 2.80 (d, J 14.6 Hz, 1H), 2.34-2.60 (m, 4H), 2.08-2.28 (m, 1H), 0.89 (s, 9H), 0.11 (s, 6H).
【0076】
中間体5
rac-(1R,3R)-N-ベンジル-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-4,4-ジフルオロシクロヘキサンアミン
イソプロパノール(70mL)中の中間体4(7.00g、26.5mmol)の溶液に、窒素雰囲気下でベンジルアミン(4.34mL、39.7mmol)及び酢酸(0.50mL)を添加した。反応混合物を室温で8時間撹拌し、次いで、NaBH(2.50g、39.7mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、冷水(500mL)でクエンチし、EtOAc(3×150mL)で抽出した。有機層を分離し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、100~200メッシュ、ヘキサン中30%EtOAc)によって精製して、表題化合物(8.00g、71%)を淡黄色油状物として得た。δH (400 MHz, CDCl3) 7.32-7.44 (m, 5H), 3.87 (s, 2H), 3.74-3.83 (m, 1H), 2.76-2.86 (m, 2H), 2.08-2.25 (m, 2H), 1.98-2.07 (m, 1H), 1.61-1.96 (m, 3H), 0.88 (s, 9H), 0.09 (s, 6H).LCMS(方法1、ESI):356.10[MH]、RT2.57分。
【0077】
中間体6
rac-(1R,5R)-5-(ベンジルアミノ)-2,2-ジフルオロシクロヘキサノール
THF(60mL)中の中間体5(4.00g、9.39mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、0℃でTBAF(THF中1M、14.1mL)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、水(200mL)でクエンチし、EtOAc(3×300mL)で抽出した。有機層を分離し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をコンビフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中40%EtOAc)によって精製して、表題化合物(1.90g、84%)を無色の油状物として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 1.22-1.44 (m, 2H), 1.59-1.85 (m, 2H), 1.88-2.07 (m, 2H), 7.30 (q, J 7.66 Hz, 4H), 7.13-7.24 (m, 1H), 5.48-5.62 (m, 1H), 3.69 (s, 2H), 3.53-3.66 (m, 1H), 2.53-2.66 (m, 1H).1つの交換可能なプロトンシグナルはNMRスペクトルで観察されなかった。
【0078】
中間体7
tert-ブチルN-ベンジル-N-[rac-(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-ヒドロキシシクロヘキシル]カルバマート
DCM(20mL)中の中間体6(1.90g、7.87mmol)の溶液に、トリエチルアミン(2.20mL、15.7mmol)を添加した。反応混合物を室温で15分間撹拌し、次いで、ジ-tert-ブチルジカルボナート(2.06g、9.45mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、DCM(150mL)で希釈し、水(100mL)で洗浄した。有機層を分離し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をコンビフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中20%EtOAc)によって精製して、表題化合物(1.80g、67%)をオフホワイト色の固体として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 7.28-7.37 (m, 2H), 7.17-7.27 (m, 3H), 5.37 (d, J 5.38 Hz, 1H), 4.34 (s, 2H), 3.92 4.07 (m, 1H), 3.55-3.75 (m, 1H), 1.89-2.02 (m, 1H), 1.40-1.84 (m, 5H), 1.34 (s, 9H).LCMS(方法1、ESI):286.00[MH]、RT2.11分。
【0079】
中間体8
tert-ブチルN-ベンジル-N-[rac-(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メトキシシクロヘキシル]カルバマート
THF(30mL)中の中間体7(1.50g、4.38mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、0℃でNaH(0.26g、6.57mmol)を添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、ヨードメタン(0.93g、6.57mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、水(160mL)に注ぎ入れ、EtOAc(2×160mL)で抽出した。有機層を分離し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、粗表題化合物(1.72g)を淡黄色の半固体として得て、これをさらに精製することなく利用した。δH (400 MHz, CDCl3) 7.13-7.37 (m, 5H), 4.20-4.50 (m, 3H), 3.50 (s, 3H), 3.25-3.45 (m, 1H), 2.02-2.19 (m, 2H), 1.64-1.80 (m, 3H), 1.40 (s, 9H), 0.80-0.96 (m, 1H).
【0080】
中間体9
rac-(1R,3R)-N-ベンジル-4,4-ジフルオロ-3-メトキシシクロヘキサンアミン
DCM(20mL)中の中間体8(1.70g、4.78mmol)の溶液に、TFA(1.10mL、14.3mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、冷飽和NaHCO水溶液(80mL)に注ぎ入れ、EtOAc(3×80mL)で抽出した。有機層を分離し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をコンビフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中40%EtOAc)によって精製して、表題化合物(1.10g、90%)を無色の油状物として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 7.25-7.38 (m, 4H), 7.16-7.24 (m, 1H), 3.71 (s, 2H), 3.40-3.53 (m, 1H), 3.37 (s, 3H), 2.55-2.63 (m, 1H), 2.10-2.26 (m, 2H), 1.92-2.05 (m, 1H), 1.82-1.92 (m, 1H), 1.60-1.80 (m, 1H), 1.10-1.26 (m, 2H).
【0081】
中間体10
rac-(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メトキシ-シクロヘキサンアミン
MeOH(22mL)中の中間体9(1.10g、4.31mmol)の溶液に、窒素雰囲気下で20%Pd/C(0.23g、0.43mmol)を添加した。反応混合物を水素圧下、室温で2時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)のパッドで濾過し、MeOH(3×30mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、表題化合物(0.67g、94%)を無色の油状物として得て、これをさらに精製することなく利用した。δH (400 MHz, DMSO-d6) 3.40-3.53 (m, 1H), 2.73 (t, J 10.76 Hz, 1H), 1.88-2.08 (m, 2H), 1.64-1.85 (m, 2H), 1.07-1.26 (m, 2H).3つのプロトンシグナルは溶媒ピークと融合し、2つの交換可能なプロトンシグナルはNMRスペクトルでは観測されなかった。
【0082】
中間体11
tert-ブチルN-{[rac-(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メトキシシクロヘキシル]カルバモチオイル}カルバマート
THF(8mL)中のN,N’-ビス-tert-ブトキシカルボニルチオ尿素(1.09g、3.94mmol)の溶液に、NaH(0.47g、11.8mmol)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで、TFAA(0.83mL、5.90mmol)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで、THF(2mL)中の中間体10(0.65g、3.94mmol)の溶液を0℃で添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、水(70mL)で希釈し、EtOAc(2×70mL)で抽出した。有機層を分離し、ブライン(70mL)で洗浄し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、100~200メッシュ、ヘキサン中20%EtOAc)によって精製して、表題化合物(1.10g、85%)を淡黄色固体として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 10.58 (s, 1H), 10.20 (d, J 6.85 Hz, 1H), 4.40-4.52 (m, 1H), 3.59-3.70 (m, 1H), 3.40 (s, 3H), 1.70-2.15 (m, 6H), 1.44 (s, 9H).LCMS(方法1、ESI):325.10[MH]、RT1.98分。
【0083】
中間体12
メチル(3S)-3-[3-ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-クロロフェニル]-3-({(Z)-N’-tert-ブトキシ-カルボニル-N-[rac-(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メトキシシクロヘキシル]カルバムイミドイル}アミノ)-ブタノアート
DMF(10mL)中の中間体11(1.10g、3.36mmol)及びメチル(3S)-3-アミノ-3-[3-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-クロロフェニル]ブタノアート(国際公開第2021/032687号、中間体5を参照)(1.39g、3.36mmol)の溶液に、EDCI(0.96g、5.03mmol)及びDIPEA(1.17mL、6.71mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、水(140mL)でクエンチし、EtOAc(3×70mL)で抽出した。有機層を分離し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、粗表題化合物(2.80g)を淡黄色の固体として得て、これをさらに精製することなく利用した。LCMS(方法1、ESI):667.10[MH]、RT2.35分。
【0084】
中間体13
tert-ブチル(NE)-N-{(4S)-4-[3-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-クロロフェニル]-1-[(1RS,3RS)-4,4-ジフルオロ-3-メトキシシクロヘキシル]-4-メチル-6-オキソヘキサヒドロピリミジン-2-イリデン}-カルバマート
乾燥THF(28mL)中の中間体12(2.80g、3.08mmol)の溶液に、カリウムtert-ブトキシド(THF中1M、3.08mL)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で1.5時間撹拌し、次いで、水(150mL)でクエンチし、EtOAc(3×80mL)で抽出した。有機層を分離し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をコンビフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%EtOAc)によって精製して、表題化合物(1.88g、94%)をオフホワイト色の固体として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 10.51 (d, J 2.45 Hz, 1H), 9.24 (s, 1H), 7.58 (d, J 7.82 Hz, 1H), 7.29-7.45 (m, 6H), 7.18 (d, J 4.40 Hz, 1H), 5.14 (s, 2H), 4.45-4.63 (m, 1H), 3.59 (d, J 16.63 Hz, 1H), 3.36-3.53 (m, 1H), 3.26-3.35 (s, 3H), 2.16-2.43 (m, 2H), 1.83-2.05 (m, 2H), 1.76 (s, 3H), 1.56-1.70 (m, 1H), 1.45 (s, 9H), 1.26-1.35 (m, 1H), 0.95-1.07 (m, 1H).LCMS(方法1、ESI):635.05[MH]、RT2.36分。
【0085】
中間体14
tert-ブチル(NE)-N-{(4S)-4-(3-アミノ-2-クロロフェニル)-1-[(1RS,3RS)-4,4-ジフルオロ-3-メトキシシクロヘキシル]-4-メチル-6-オキソヘキサヒドロピリミジン-2-イリデン}カルバマート
MeOH(30mL)中の中間体13(1.88g、2.88mmol)の溶液に、アルゴン雰囲気下で20%Pd/C(0.23g、0.43mmol)を添加した。反応混合物を水素圧下、室温で45分間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)のパッドで濾過し、MeOH(4×40mL)で洗浄した。濾液を無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をコンビフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中20%EtOAc)によって精製して、表題化合物(1.21g、79%)をオフホワイト色の固体として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 10.46 (s, 1H), 6.95-7.08 (m, 1H), 6.75-6.83 (m, 1H), 6.40-6.50 (m, 1H), 5.52 (s, 2H), 4.49-4.67 (m, 1H), 3.44-3.60 (m, 2H), 3.28-3.36 (s, 3H), 3.05-3.16 (m, 1H), 2.18-2.42 (m, 2H), 1.84-2.07 (m, 1H), 1.74-1.84 (m, 1H), 1.73 (s, 3H), 1.45 (s, 9H), 1.21-1.31 (m, 1H), 0.81-0.91 (m, 1H).LCMS(方法1、ESI):500.95[MH]、RT2.06分。
【0086】
中間体15及び16
tert-ブチルN-{[(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキシル]カルバモチオイル}カルバマート(中間体15)
tert-ブチルN-{[(1S,3S)-4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキシル]カルバモチオイル}カルバマート(中間体16)
中間体11について記載される手順に従って、(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキサンアミン塩酸塩(国際公開第2021/032687号、中間体32を参照)(2.70mmol)から調製した。得られた物質(1.60g)をキラル分取HPLC(カラム:AD、移動相:EtOH 10%/ヘプタン90%/DEA0.1%、温度:30℃、波長:240nm、流速:1.5mL/分)に供して、表題化合物(例15、RT2.94分、及び例16、RT3.70分)をオフホワイト色の固体として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 10.63-10.62 (br s, 1H), 9.69-9.68 (br s, 1H), 4.28-4.26 (m, 1H), 2.06-2.02 (m, 4H), 1.94-1.83 (m, 1H), 1.52-1.69 (m, 1H), 1.43 (s, 9H), 1.34-1.25 (m, 1H), 0.96 (d, 3H).
【0087】
98%の信頼水準でVCD分析を適用することによって、表題化合物の絶対立体化学配置を確認した。
【0088】
中間体17
tert-ブチル(NE)-N-{(4S)-4-[3-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-クロロフェニル]-1-[(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキシル]-4-メチル-6-オキソヘキサヒドロピリミジン-2-イリデン}カルバマート
中間体12について記載される手順、続いて中間体13について記載される手順に従って、中間体15(2.50g、2.99mmol)から調製して、表題化合物(2.40g、88%)をオフホワイト色の固体として得た。LCMS(方法1、ESI):619.40[MH]、RT1.68分。
【0089】
中間体18
tert-ブチル(NE)-N-{(4S)-4-(3-アミノ-2-クロロフェニル)-1-[(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メチル-シクロヘキシル]-4-メチル-6-オキソヘキサヒドロピリミジン-2-イリデン}カルバマート
中間体14について記載される手順に従って、中間体17(2.40g、2.60mmol)から調製して、表題化合物(0.84g、57%)をオフホワイト色の固体として得た。LCMS(方法1、ESI):485.25[MH]、RT2.35分。
【0090】
中間体19
3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボニルクロリド
DCM(5mL)及びDMF(0.02mL)中の3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボン酸(Journal of Fluorine Chemistry、2000、106、189~197)(0.13g、0.64mmol)の溶液に、塩化オキサリル(0.09mL、1.00mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで、25℃で真空中で濃縮して、表題化合物をオフホワイト色半固体として得て、これをさらに精製することなく用いた。
【0091】
中間体20
tert-ブチル(NE)-N-{(4S)-4-(2-クロロ-3-{[3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボニル]-アミノ}フェニル)-1-[(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキシル]-4-メチル-6-オキソヘキサヒドロ-ピリミジン-2-イリデン}カルバマート
乾燥DCM(10mL)中の中間体18(0.13g、0.26mmol)及び中間体19(0.14g、0.65mmol)の溶液に、ピリジン(0.06mL、0.78mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、水(50mL)でクエンチし、DCM(2×150mL)で抽出した。有機層を分離し、真空中で濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、100~200メッシュ、ヘキサン中50%EtOAc)によって精製して、表題化合物(0.09g、49%)をオフホワイト色の固体として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 0.82 (d, J 5.38 Hz, 3H), 0.96-1.09 (m, 1H), 1.21-1.30 (m, 1H), 1.45 (s, 9H), 1.50-1.61 (m, 1H), 1.79 (s, 3H), 2.01-2.24 (m, 3H), 2.87-3.09 (m, 1H), 3.61 (d, J 15.65 Hz, 1H), 3.93-4.11 (m, 1H), 4.45-4.72 (m, 1H), 5.23-5.52 (m, 2H), 7.30 (d, J 6.36 Hz, 1H), 7.36-7.54 (m, 2H), 7.94 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 10.12 (s, 1H), 10.54 (s, 1H).LCMS(方法1、ESI):661.15[MH]、RT2.27分。
【0092】
中間体21
tert-ブチル(NE)-N-{(4S)-4-(2-クロロ-3-{[3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボニル]-アミノ}フェニル)-1-[(1S ,3S )-4,4-ジフルオロ-3-メトキシシクロヘキシル]-4-メチル-6-オキソ-ヘキサヒドロピリミジン-2-イリデン}カルバマート
EtOAc(10mL)中の中間体14(0.35g、0.66mmol)の溶液に、3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボン酸(Journal of Fluorine Chemistry、2000、106、189~197)(0.26g、1.32mmol)、ピリジン(0.27mL、3.29mmol)及びTP(登録商標)(EtOAc中50%)(1.96mL、3.29mmol)を室温で添加した。反応混合物を60℃で16時間加熱し、次いで、冷水(60mL)に注ぎ入れ、EtOAc(2×60mL)で抽出した。有機層を分離し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、100~200メッシュ、ヘキサン中40%EtOAc)によって精製した。得られた物質をキラル分取HPLC(カラム:Phenomenex Cellulose-4、250mm×4.6mm、5μm、移動相A:n-ヘキサン+0.1%イソプロピルアミン、移動相B:EtOH/MeOH(50:50)、流速:1.0mL/分、均一溶媒:20%B)に供して、表題化合物(0.095g、21%)をオフホワイト色の固体として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 10.53 (s, 1H), 10.12 (s, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.47-7.55 (m, 1H), 7.39-7.47 (m, 1H), 7.24-7.34 (m, 1H), 5.33-5.43 (m, 2H), 4.47-4.63 (m, 1H), 3.63 (d, J 16.14 Hz, 1H), 3.43-3.53 (m, 1H), 3.27 (s, 3H), 2.18-2.43 (m, 2H), 1.91-2.08 (m, 1H), 1.79 (s, 3H), 1.60-1.75 (m, 1H), 1.45 (s, 9H), 1.20-1.38 (m, 2H), 0.86 (t, J 6.36 Hz, 1H).キラルHPLC:RT11.72分(反対のジアステレオマーについてはRT:13.84分)。
【0093】
例1
【化7】

N-(2-クロロ-3-{(4S)-1-[(1R,3R)-4,4-ジフルオロ-3-メチルシクロヘキシル]-2-イミノ-4-メチル-6-オキソヘキサヒドロピリミジン-4-イル}フェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)イミダゾール-4-カルボキサミド
DCM(8mL)中の中間体20(0.085g、0.12mmol)の溶液に、TFA(0.19mL、2.42mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。残渣を飽和NaHCO水溶液(30mL)及び水(50mL)で希釈し、DCM(2×40mL)で抽出した。有機層を分離し、水(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄し、次いで、無水NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗残渣を分取HPLCによって精製して、表題化合物(0.038g、54%)をオフホワイト色の固体として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 0.83 (d, J 6.36 Hz, 3H), 0.99-1.19 (m, 2H), 1.47-1.68 (m, 3H), 1.69-1.92 (m, 2H), 1.94-2.08 (m, 2H), 2.74-2.91 (m, 1H), 3.49-3.66 (m, 1H), 3.80-3.99 (m, 1H), 4.61-4.82 (m, 1H), 5.31-5.48 (m, 2H), 5.92-6.14 (m, 2H), 7.32-7.46 (m, 3H), 7.93 (s, 1H), 8.03 (s, 1H), 10.05 (s, 1H).LCMS(方法1、ESI):561.20[MH]、RT1.84分。
【0094】
塩酸塩の調製
DCM(8mL)中の例1(0.035g、0.06mmol)の溶液に、1,4-ジオキサン中の4M HCl(0.03mL、0.12mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で20分間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。粗残渣をジエチルエーテル(2mL)及びペンタン(5mL)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥させ、例1(塩酸塩)(0.03g、82%)をオフホワイト色の固体として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 0.77 (d, J 2.93 Hz, 3H), 0.82-0.93 (m, 2H), 1.77 (s, 3H), 1.82-2.07 (m, 5H), 2.22-2.37 (m, 1H), 3.24-3.37 (m, 1H), 3.86 (s, 1H), 5.29-5.50 (m, 2H), 7.23-7.37 (m, 1H), 7.38-7.48 (m, 1H), 7.48-7.58 (m, 1H), 7.94-8.36 (m, 2H), 8.66-9.22 (m, 2H), 10.21 (m, 1H), 10.62 (s, 1H).LCMS(方法2、ESI):561.20[MH]、RT2.44分。
【0095】
例2
【化8】

N-(2-クロロ-3-{(4S)-1-[(1S ,3S )-4,4-ジフルオロ-3-メトキシシクロヘキシル]-2-イミノ-4-メチル-6-オキソヘキサヒドロピリミジン-4-イル}フェニル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-イミダゾール-4-カルボキサミド塩酸塩
1,4-ジオキサン(2mL)中の中間体21(0.09g、0.13mmol)の溶液に、1,4-ジオキサン中の4M HCl(1.66mL、6.63mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。粗残渣をジエチルエーテル(4mL)及びn-ペンタン(6mL)で洗浄し、次いで、真空中で乾燥させ、表題化合物(0.067g、81%)をオフホワイト色の固体として得た。δH (400 MHz, DMSO-d6) 10.72 (s, 1H), 10.26 (s, 1H), 9.06 (br s, 2H), 8.26 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.51-7.58 (m, 1H), 7.40-7.50 (m, 1H), 7.35 (d, J 7.82 Hz, 1H), 5.37-5.51 (m, 2H), 3.66-3.76 (m, 1H), 3.39-3.49 (m, 2H), 3.33 (d, J 16.14 Hz, 1H), 3.24 (s, 3H), 2.19-2.38 (m, 1H), 1.93-2.08 (m, 2H), 1.81-1.92 (m, 1H), 1.78 (s, 3H), 1.15-1.27 (m, 1H).1つのプロトンシグナルが溶媒ピークに融合した。LCMS(方法2、ESI):577.00[MH]、RT2.05分。
【国際調査報告】