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特表2024-540293心房中隔を横断して血圧を調整するためのデバイスを送達するためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】心房中隔を横断して血圧を調整するためのデバイスを送達するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20241024BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20241024BHJP
【FI】
A61B17/00 500
A61M25/10 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526581
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 IB2022060621
(87)【国際公開番号】W WO2023079498
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/263,535
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518369682
【氏名又は名称】ブイ-ウェーブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ネイ, ニール
(72)【発明者】
【氏名】ラビナー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホワイティング, ジェイムズ エス.
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160DD55
4C160DD65
4C160MM33
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB31
4C267CC19
4C267GG06
4C267GG07
4C267GG24
(57)【要約】
患者の心房中隔の穿刺口に心房間シャントデバイスを送達するためのシステムが、提供される。本明細書に説明される送達デバイスは、その構成要素が、心房間シャントの送達に先立って心房中隔の穿刺口を拡大させるための拡張器として機能するので、別個の拡張器を要求しない。統合された拡張器は、シャントの展開のために穿刺口の拡張後に収縮状態に移行する拡張可能部分を含み得る。代替として、送達シースは、拡張器の一部を形成する拡張可能部分を有し得、それによって、シースは、シャントの展開を可能にするために拡張させられ得る。バルーンカテーテルが、シースを拡張させるために使用され得る。代替として、シャントデバイスの一部が、シャントの展開に先立って拡張器の一部を形成し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心房中隔にシャントを送達するための装置であって、前記装置は、
近位領域と遠位領域とを有するシースであって、前記シースは、それを通して延びているシース管腔を有し、前記シース管腔は、折り畳まれた送達状態における前記シャントを受け取るようにサイズおよび形状を決定されている、シースと、
前記シース管腔内に移動可能に配置されるように構成されたバルーンカテーテルであって、前記バルーンカテーテルは、バルーンを備え、前記バルーンは、前記遠位領域に隣接して、すぼめられた折り畳まれた状態と膨張させられた拡張状態との間で移行し、前記バルーンと前記シースの前記遠位領域との間の連続的な段差のない移行を形成するように構成されている、バルーンカテーテルと、
前記心房中隔において前記シャントを展開するように作動させられるように構成された1つ以上のアクチュエータを備えているハンドルと
を備えている、装置。
【請求項2】
前記シース管腔内にスライド可能に配置されたプッシャをさらに備え、前記プッシャは、前記ハンドルの1つ以上のアクチュエータのうちのプッシャアクチュエータに動作的に結合され、
前記プッシャアクチュエータは、前記シース管腔内で前記プッシャを移動させるように作動させられるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プッシャアクチュエータは、前記プッシャの遠位端が前記折り畳まれた送達状態における前記シャントの近位部分と係合し、それによって、前記シャントの遠位部分が前記シースの前記遠位領域を越えて露出され、前記折り畳まれた送達状態から拡張させられた展開状態に移行するまで、前記シースに対して遠位に前記シャントを移動させるように、前記シースに対して遠位に前記プッシャを移動させるように作動させられるように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記シース管腔内にスライド可能に配置された解放結び目をさらに備え、前記解放結び目は、ヒッチ結び目を介して前記シャントと解放可能に係合されるように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記解放結び目の第1の端部は、前記ハンドルの1つ以上のアクチュエータのうちの前記解放アクチュエータに動作的に結合され、前記解放結び目の第2の端部は、前記ハンドルの1つ以上のアクチュエータのうちの前記回収アクチュエータに動作的に結合されており、それによって、解放アクチュエータの作動は、前記ヒッチ結び目が分解し、前記シャントから前記解放結び目を係合解除することを引き起こし、回収アクチュエータの作動は、前記シャントの途中までの回収のための前記ヒッチ結び目を介した前記シース管腔内での近位への前記シャントの後退を引き起こす、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記解放結び目の第1の端部は、前記ハンドルの1つ以上のアクチュエータのうちの前記解放アクチュエータに動作的に結合され、前記解放結び目の第2の端部は、前記プッシャの遠位部分に動作的に結合されており、それによって、解放アクチュエータの作動は、前記ヒッチ結び目が分解し、前記シャントから前記解放結び目を係合解除することを引き起こし、前記プッシャアクチュエータの作動は、前記シャントの途中までの回収のための前記ヒッチ結び目を介した前記シース管腔内での近位への前記シャントの後退を引き起こす、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記ヒッチ結び目は、ぺインタヒッチ結び目、または迅速結びつけおよび解放(QTaR)ヒッチ結び目を備えている、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記バルーンは、前記シースの前記遠位領域を通した前記シャントの展開を可能にするようにすぼめられるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記バルーンカテーテルは、前記バルーンと流体源とを流体的に結合するように構成された流体管腔を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記バルーンカテーテルは、前記ハンドルの1つ以上のアクチュエータのうちのバルーンカテーテルアクチュエータに動作的に結合され、前記バルーンカテーテルアクチュエータの作動は、前記バルーンカテーテルに前記シースに対して移動させる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
患者の心房中隔にシャントを送達する方法であって、前記方法は、
シースの遠位領域に隣接してバルーンを膨張させ、前記バルーンと前記シースの前記遠位領域との間の連続的な段差のない移行を形成することであって、前記バルーンは、前記シースの管腔内にスライド可能に配置されたバルーンカテーテルの遠位部分上に配置されている、ことと、
前記膨張させられたバルーンおよび前記シースが前記心房中隔の開口部を拡張させるように、前記心房中隔の開口部を通して前記膨張させられたバルーンおよび前記シースを送達することと、
前記バルーンをすぼめることと、
前記シャントの遠位部分が前記シースの前記遠位領域を越えて露出され、第1の心房内で拡張させられた展開状態に移行するまで、折り畳まれた送達状態において前記シースの前記管腔内で遠位に前記シャントを前進させることと、
前記シャントが、前記心房中隔において展開されるように、前記シャントの近位部分が、前記シースの前記遠位領域を越えて露出され、第2の心房内で前記拡張させられた展開状態に移行するまで、前記心房中隔に対して近位に前記シースを後退させることと、
前記患者から前記シースおよび前記バルーンカテーテルを除去することと
を含む、方法。
【請求項12】
前記シャントの前記近位部分は、解放結び目の第1の端部を引っ張ることが前記解放結び目が前記シャントから係合解除することを引き起こし、前記解放結び目の第2の端部を引っ張ることが前記シャントの途中までの回収のための前記シースの前記管腔内での近位への前記シャントの後退を引き起こすように、前記解放結び目と解放可能に係合されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記解放結び目は、ぺインタヒッチ結び目、または迅速結びつけおよび解放(QTaR)ヒッチ結び目を介して前記シャントと解放可能に係合される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シャントの前記近位部分が前記シースの前記遠位領域を越えて露出されるまで、前記心房中隔に対して近位に前記シースを後退させることに先立って、前記方法は、前記解放結び目の前記第1の端部を引っ張り、前記シャントから前記解放結び目を係合解除することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記シャントの前記近位部分が前記シースの前記遠位領域を越えて露出されるまで、前記心房中隔に対して近位に前記シースを後退させることに先立って、前記方法は、前記解放結び目の前記第2の端部を引っ張り、前記シャントの途中までの回収のために、前記シースの前記管腔内で前記シャントの前記遠位部分を前記折り畳まれた送達状態に移行させることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記シャントの前記近位部分が前記シースの前記遠位領域を越えて露出されるまで、前記心房中隔に対して近位に前記シースを後退させることに先立って、前記方法は、前記シャントの前記遠位部分が前記第1の心房内から前記心房中隔に接触するまで、前記心房中隔に対して近位に前記シースおよび前記シャントを後退させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記シースの前記管腔内で遠位に前記シャントを前進させることは、プッシャの遠位端が前記シースの前記管腔内で前記折り畳まれた送達状態における前記シャントの前記近位部分と係合するように、前記シースの前記管腔内で遠位に前記プッシャを前進させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記シャントの前記近位部分が前記シースの前記遠位領域を越えて露出されるまで、前記心房中隔に対して近位に前記シースを後退させることに先立って、前記方法は、
前記シースの前記管腔内で近位に前記シャントを後退させ、前記シャントの途中までの回収のために、前記シースの前記管腔内で前記シャントの前記遠位部分を前記折り畳まれた送達状態に移行させることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記シースの前記管腔内で近位に前記シャントを後退させることに先立って、前記方法は、前記シースに対して遠位に前記プッシャを後退させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シースの前記管腔内で前記シャントを前進させることに先立って、前記折り畳まれた送達状態における前記シャントの近位の位置まで、前記シースの前記管腔内で近位に前記バルーンカテーテルおよび前記すぼめられたバルーンを後退させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
患者の心房中隔にシャントを送達するための装置であって、前記装置は、
前記心房中隔内の孔を通して前進させられるように構成されたシースであって、前記シースは、近位領域と遠位領域とを有し、前記シースは、それを通して延びているシース管腔を有し、前記シース管腔は、折り畳まれた送達状態における前記シャントを受け取るようにサイズおよび形状を決定されている、シースと、
前記シース管腔内に移動可能に配置された拡張器と
を備え、
前記拡張器は、第1の状態と第2の状態との間で移行するように構成された拡張可能部分を備え、前記第2の状態において、前記拡張可能部分は、前記シースの前記遠位領域と係合し、
前記拡張器および前記シースは、前記装置が前記心房中隔内の孔を通して前進させられると、前記孔を包囲する組織が前記拡張器の遠位部分および前記シースの上を滑らかに誘導されながら前記心房中隔内の前記孔を拡張させるように構成されている、装置。
【請求項22】
前記拡張器は、ガイドワイヤを受け取るようにサイズおよび形状を決定されたガイドワイヤ管腔を備えている、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記拡張器は、
前記シース管腔内に移動可能に配置された拡張カテーテルと、
前記拡張カテーテルの遠位端および前記拡張器の前記拡張可能部分の遠位部分に結合された円錐形先端と
をさらに備え、
前記第1の状態において、前記拡張可能部分の近位部分は、前記拡張カテーテルに向かって半径方向に内向きに収縮させられており、
前記第2の状態において、前記拡張可能部分の近位部分は、前記シースの前記遠位領域と除去可能に係合され、前記シースと前記拡張器の前記拡張可能部分との間の連続的な段差のない移行を形成している、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記拡張カテーテルは、前記シースに対して遠位に移動させられ、前記拡張器の前記拡張可能部分に前記第2の状態から前記第1の状態に移行させるように構成されている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記拡張器の前記拡張可能部分は、前記第1の状態に向かって付勢されている、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記第2の状態において、前記拡張器の前記拡張可能部分の前記遠位部分は、前記シースの前記遠位領域の外側表面と係合する、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記装置は、前記拡張可能部分が前記第2の状態にあるとき、前記シースと前記拡張器の前記拡張可能部分との間の連続的な段差のない移行を備えている、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記ガイドワイヤ管腔は、前記円錐形先端および前記拡張カテーテルを通して延びている、請求項23に記載の装置。
【請求項29】
前記シースは、前記拡張器の前記拡張可能部分が前記心房中隔において前記シャントを展開するために前記第1の状態にあるとき、前記拡張器に対して近位に移動させられるように構成されている、請求項23に記載の装置。
【請求項30】
前記シース管腔内に移動可能に配置された中空カテーテルをさらに備え、前記中空カテーテルは、前記拡張カテーテルを受け取るようにサイズおよび形状を決定され、
前記第1の状態において、前記拡張器の前記拡張可能部分の前記近位部分は、前記中空カテーテルの遠位領域内に配置されている、請求項23に記載の装置。
【請求項31】
前記中空カテーテルは、PEEK管である、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記シースの前記遠位領域は、収縮状態と拡張状態との間で移行するように構成され、前記拡張器の前記拡張可能部分は、
前記シース管腔内に移動可能に配置された外側管に結合された近位部分と、
前記外側管内に移動可能に配置された内側管に結合された円錐形遠位部分と
を備え、
それによって、前記円錐形遠位部分は、前記シースの前記遠位領域が前記収縮状態において前記近位部分と前記円錐形遠位部分との間に挟まれた前記第2の状態と、前記シースの前記遠位領域が前記近位部分および前記円錐形遠位部分から係合解除し、前記拡張状態に移行する前記第1の状態との間で、前記近位部分に対して移動可能である、請求項21に記載の装置。
【請求項33】
前記装置は、前記シースの前記遠位領域が前記収縮状態にあるとき、前記円錐形遠位部分と前記シースの前記遠位領域との間の連続的な段差のない移行を備えている、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記収縮状態において、前記シースの前記遠位領域は、前記遠位領域に沿って円周方向に配置された複数の縦方向スリットを備え、前記複数の縦方向スリットは、前記遠位領域の遠位端から前記シースの前記近位領域に向かって延びており、前記拡張状態において、前記シースの前記遠位領域は、前記複数の縦方向スリットの各々がV形を備えているように、前記複数の縦方向スリットに沿って拡張させられている、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記シースの前記遠位領域は、前記拡張状態に向かって付勢されている、請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記シースの前記遠位領域は、生体適合性材料を用いて封入された弾性材料を備えている、請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記弾性材料は、超弾性ニチノールである、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記生体適合性材料は、ポリエーテルブロックアミドである、請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記ガイドワイヤ管腔は、前記円錐形遠位部分および前記内側管を通して延びている、請求項32に記載の装置。
【請求項40】
前記拡張器の前記拡張可能部分は、前記シース管腔内に移動可能に配置された内側管に結合された拡張可能編組先端を備え、前記拡張可能編組先端は、前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行するように構成され、
前記シャントの遠位部分は、前記拡張可能編組先端が前記第2の状態にあるとき、前記シャントの前記遠位部分が前記シャントの前記遠位部分と前記拡張可能編組先端との間の連続的な段差のない移行を形成する前記折り畳まれた送達状態と、拡張させられた展開状態との間で移行するように構成されている、請求項21に記載の装置。
【請求項41】
前記拡張可能編組先端の近位端は、外側管に結合され、前記拡張可能編組先端の遠位端は、前記内側管に結合され、前記内側管は、前記外側管の管腔内に移動可能に配置され、それによって、前記拡張可能編組先端の前記近位端は、前記第1の状態と前記第2の状態との間で前記拡張可能編組先端を移行させるために前記拡張可能編組先端の前記遠位端に対して移動可能である、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記シャントの前記遠位部分は、熱の印加時、前記折り畳まれた送達状態から前記拡張させられた展開状態に移行するように構成されている、請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記シースは、前記シャントの前記遠位部分に加熱された液体を送達するように構成された流体管腔をさらに備えている、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記装置は、前記シャントの前記遠位部分が前記折り畳まれた送達状態にあるとき、前記シャントの前記遠位部分と前記シースの前記遠位領域との間の連続的な段差のない移行を備えている、請求項40に記載の装置。
【請求項45】
前記ガイドワイヤ管腔は、前記内側管を通して延びている、請求項40に記載の装置。
【請求項46】
前記シースの前記遠位領域は、収縮状態と拡張状態との間で移行するように構成され、前記拡張器の前記拡張可能部分は、
前記シース管腔内で移動可能に配置されるように構成されたバルーンカテーテルに結合されたバルーンを備え、前記バルーンは、前記遠位領域を前記収縮状態から前記拡張状態に移行させるために前記第1の状態から前記第2の状態に膨張させられるように構成されている、請求項21に記載の装置。
【請求項47】
前記収縮状態において、前記シースの前記遠位領域は、開口部を画定し、前記遠位領域に沿って円周方向に配置された複数の縦方向スリットを備え、前記複数の縦方向スリットは、前記開口部から前記シースの近位領域に向かって延び、前記拡張状態において、前記シースの前記遠位領域は、前記複数の縦方向スリットの各々がV形を備えているように、前記複数の縦方向スリットに沿って拡張させられ、
前記バルーンの遠位先端は、前記開口部を通して延び、前記バルーンと前記シースの前記遠位領域との間の連続的な段差のない移行を形成するように構成されている、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記複数の縦方向スリットは、前記遠位領域の複数の指部を画定し、前記複数の指部の各々の遠位端は、丸形形状を備えている、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記シースの前記遠位領域は、熱にさらされると、前記遠位領域が前記収縮状態に戻ることを引き起こすように構成された形状記憶材料を備えている、請求項46に記載の装置。
【請求項50】
前記拡張器の前記拡張可能部分は、前記シース管腔内に移動可能に配置されるように構成されたバルーンカテーテルに結合されたバルーンを備え、前記バルーンは、前記遠位領域に隣接して前記第1の状態と前記第2の状態との間で移行し、前記バルーンと前記シースの前記遠位領域との間の連続的な段差のない移行を形成するように構成されている、請求項21に記載の装置。
【請求項51】
前記シース管腔内にスライド可能に配置されたプッシャをさらに備え、前記プッシャは、プッシャ管腔であって、前記プッシャ管腔は、それを通して前記バルーンカテーテルをスライド可能に受け取るようにサイズおよび形状を決定されている、プッシャ管腔と、遠位端とを備え、前記遠位端は、前記折り畳まれた送達状態における前記シャントの前記近位部分と係合し、それによって、前記シースに対して遠位に前記シャントを移動させるように構成されている、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記シース管腔内にスライド可能に配置された解放結び目をさらに備え、前記解放結び目は、ヒッチ結び目を介して前記シャントと解放可能に係合されるように構成され、それによって、前記解放結び目の第1の端部を引っ張ることは、前記解放結び目が前記シャントから係合解除することを引き起こし、前記解放結び目の第2の端部を引っ張ることは、前記シャントの途中までの回収のための前記シース管腔内での近位への前記シャントの後退を引き起こす、請求項50に記載の装置。
【請求項53】
前記ヒッチ結び目は、ぺインタヒッチ結び目、または迅速結びつけおよび解放(QTaR)ヒッチ結び目を備えている、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
前記解放結び目は、前記シャントの近位部分と解放可能に係合されるように構成されている、請求項52に記載の装置。
【請求項55】
前記解放結び目の前記第1および第2の端部は、前記解放結び目の第2の端部を引っ張ることが前記シャントに前記折り畳まれた送達状態に向かって移行させるように、前記シャントの中間部分に向かって前記シャントの中心通路を通過し、前記シャントの中間部分の外側表面の周囲でループ状になり、前記ヒッチ結び目に向かって戻る、請求項54に記載の装置。
【請求項56】
前記解放結び目は、前記シャントの中間部分と解放可能に係合されるように構成され、前記解放結び目の前記第1および第2の端部は、前記解放結び目の前記第2の端部を引っ張ることが前記シャントに前記折り畳まれた送達状態に向かって移行させるように、前記シャントの前記中間部分の外側表面の周囲でループ状になる、請求項52に記載の装置。
【請求項57】
前記バルーンは、前記シースの前記遠位領域を通した前記シャントの展開を可能にするようにすぼめられるように構成されている、請求項50に記載の装置。
【請求項58】
前記バルーンカテーテルは、前記バルーンと流体源とを流体的に結合するように構成された流体管腔を備えている、請求項50に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年11月4日に出願された米国仮特許出願第63/263,535号の優先権を主張し、その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本願は、概して、特に、肺動脈高血圧症(PAH)、鬱血性心不全(CHF)、または心筋梗塞(MI)等の心臓病理を患う対象において、心房中隔に埋め込み可能デバイスを送達するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
肺動脈高血圧症(PAH)は、血管および肺内の圧力が過剰に高くなるときに生じる。PAHは、肺の血管内の瘢痕組織の発達等の肺内の動脈内の閉塞によって引き起こされ得るが、多くの症例では、原因は、不明である。正常な条件下では、心臓の右側および肺の血管内の圧力は、身体の残りの部分より低く、それは、肺内の血液の酸素化を最大化する。PAHを患うと、心臓は、肺内の動脈を通して血液を拍出するために、より高い圧力下でより多く働かなければならず、経時的に心筋を弱くする。結果として、心臓は、身体の機能を正常に保つために酸素化されるべき肺への血液を十分に拍出できないこともある。
【0004】
心不全は、心拍出量が、身体の必要性を満たすために不十分である生理学的状態、またはより高い充満圧力においてのみそれを満たす生理学的状態である。心筋梗塞、冠動脈疾患、弁膜疾患、高血圧症、および心筋炎を含むHFの多くの根本原因が、存在する。慢性心不全は、神経ホルモン活性化および自律神経調節における改変に関連付けられる。これらの補償神経ホルモン機構は、正常な生理学的状況下で心臓のための有益な支援を提供するが、それらは、HFの発症および後続進行において基礎的役割も果たす。
【0005】
例えば、HFにおける低下した血流のための身体の主要補償機構のうちの1つは、腎臓によって保持された塩分および水分の量を増加させることである。塩分および水分を保持することは、尿を介してそれを排泄する代わりに、血流内の血液の体積を増加させ、血圧を維持することに役立つ。しかしながら、より大きい血液の体積は、心筋、特に、心室が拡大された状態になることも引き起こす。心室が拡大した状態になるにつれて、壁厚は、減少し、心臓の収縮は、弱くなり、心臓機能における負のスパイラルを引き起こす。別の補償機構は、動脈系の血管収縮であり、それは、血圧を上昇させ、適正な潅流を維持することに役立ち、したがって、負荷を増加させ、心臓は、その負荷対して拍出しなければならない。
【0006】
低駆出率(EF)心不全では、心臓における高圧力が、適正な末梢潅流のために必要とされる高圧力を維持するための身体の試みから、もたらされる。しかしながら、心臓が、そのような高圧力の結果として弱くなるにつれて、障害は、悪化した状態になる。左心房における圧力は、25mmHgを超え得、その段階で、肺循環系を通した血流からの流体は、肺毛細管から外に、肺間質空間の中に、および肺胞の中に浸出または流動し、肺鬱血、および治療されない場合、急性肺浮腫症候群および死亡を引き起こす。
【0007】
表1は、正常な心臓およびHFを患っている心臓に関する右心房圧(RAP)、右心室圧(RVP)、左心房圧(LAP)、左心室圧(LVP)、心拍出量(CO)、および1回拍出量(SV)の典型的な範囲をリストアップする。約70拍/分で拍動する正常な心臓では、正常な心拍出量を維持するために必要とされる1回拍出量は、約60~100ミリリットルである。心臓の前負荷、後負荷、および収縮性が、正常であるとき、正常な心拍出量を達成するために要求される圧力が、表1にリストアップされている。HFを患っている心臓では、血行動態パラメータは、変化し(表1に示されるように)、末梢潅流を維持する。
【表1】
【0008】
HFは、概して、収縮期心不全(SHF)または拡張期心不全(DHF)のいずれかとして分類される。SHFでは、心臓の拍出作用は、減らされ、または弱められる。一般的臨床測定は、駆出率であり、駆出率は、左心室から外に駆出される血液の体積(1回拍出量)が拡張期または弛緩期の終了時における左心室内の最大体積で除算されたものである。正常な駆出率は、50%を上回る。収縮期心不全は、概して、40%未満の低下した駆出率を引き起こす。そのような患者は、駆出率が低減した心不全(HFrEF)を有する。HFrEFを患う患者は、通常、より高い心室圧に続いて生じる「心臓リモデリング」と呼ばれる現象により、より大きい左心室を有し得る。
【0009】
DHFでは、心臓は、概して、正常な駆出率を伴って、正常に収縮するが、弛緩し、血液で充満されるときの健康な心臓がそうであろうより堅いか、またはあまりコンプライアントではない。そのような患者は、駆出率が保たれた心不全(HFpEF)を有すると考えられる。本堅さは、血液が心臓に充満することを妨害し、鬱滞を肺の中にもたらし得、それは、肺静脈高血圧症および肺浮腫をもたらし得る。HFpEFは、75歳以上の患者、特に、高血圧を患う女性においてより一般的である。
【0010】
HFの両変種は、薬理学的アプローチを使用して治療されており、それは、典型的に、全身性血管抵抗を減らすことによって心臓の仕事量を減らすための血管拡張剤、および流体蓄積および浮腫形成を阻止し、心臓充満圧を減らす利尿薬の使用を伴う。いずれの薬理学的療法も、HFpEFにおける罹患率または死亡率を改善することが示されていないが、レニン-アンジオテンシンアンタゴニスト、β遮断薬、およびミネラロコルチコイドアンタゴニストを含むいくつかの種類の薬物は、HFrEFを患う患者の管理に重要な影響を及ぼしている。それにもかかわらず、一般に、HFは、進行性疾患のままであり、殆どの患者は、心臓機能および症状を経時的に悪化させている。米国では、年間、百万人を超える人々が、HFを急激に悪化させ、入院し、死亡率は、殆どの形態の癌より高い。
【0011】
HFrEFのより深刻な症例では、機械的ポンプ等の補助デバイスが、通常、心臓によって行われる拍出機能の全てまたは一部を実施することによって、心臓に対する負荷を減らすために使用される。慢性左心室補助デバイス(LVAD)および心臓移植は、多くの場合、最後の手段の措置として使用される。しかしながら、そのような補助デバイスは、典型的に、心臓の拍出容量を改善し、心拍出量を普段の生活に匹敵するレベルまで増加させ、移植のためのドナー心臓が利用可能になるまで、患者を支えることを意図している。そのような機械的デバイスは、有意な体積の血液(リットル/分)の推進を可能にするが、電力供給源、比較的に大型のポンプに関する必要性によって限定され、溶血、血栓形成、および感染症のリスクをもたらす。一時的補助デバイス、大動脈内バルーン、およびペーシングデバイスも、使用されている。
【0012】
種々のデバイスが、ステントを使用して、所与の脈管内または心室間の血圧および流動を修正するために開発されている。埋め込み可能心房間シャントデバイスは、深刻な症候性心不全を患う患者における使用において成功している。左心房(LA)から右心房(RA)へ血液を転換またはシャントすることによって、LA内の圧力は、低下させられるか、または、そうでない場合と同程度に高く上昇することを防止される(左心房減圧法)。そのような成果は、肺鬱血に関連付けられる症状、兆候、および症候群を防止、緩和、または限定するために、期待されるであろう。これらは、深刻な息切れ、肺浮腫、低酸素症、緊急入院に関する必要性、機械的換気、および死亡を含む。
【0013】
心房間シャントの経皮的埋め込みは、概して、シャントデバイス挿入直前の経隔壁カテーテル留置を要求する。経隔壁カテーテル留置システムは、大腿部静脈内の入口部位から、心房間中隔の中心かつ最薄領域である卵円窩(FO)の領域内の心房間中隔を横断して設置される。これは、先天性二次孔心房中隔欠損症(ASD)が位置するであろう同じ一般的場所である。成人におけるFOは、典型的に、その主軸寸法において15~20mm、厚さにおいて≦3mmであるが、ある状況では、最大10mm厚であり得る。LA室アクセスは、限定ではないが、針穿刺、スタイレット穿刺、ねじ針穿刺、および高周波アブレーションを含む当業者に熟知される多くの異なる技法を使用して達成され得る。2つの心房間の通路は、所望のオリフィスサイズを有するシャントデバイスの通過を促進するように拡張させられる。拡張は、概して、テーパ状シース/拡張器カテーテルシステムを前進させること、またはFOを横断した血管形成術タイプバルーンの膨張によって達成される。典型的な別個のテーパ状拡張器を前進させることの限定は、中隔を拡張させた後、拡張器が、送達されるべき任意のデバイスがシースの中に装填され、展開のために前進させられ得る前にシースから除去されなければならないことである。
【0014】
Turiの第U.S.5,312,341号(特許文献1)に説明されるもの等のデバイスも、経隔壁カテーテル留置に関して理論化されている。具体的に、これらのデバイスは、カテーテル留置手技の後続部分中、左心房からのシースの遠位先端の不注意な後退を防止するために、患者の左心房内で膨張させられる膨張可能バルーン等の保持手段を有する。
【0015】
前述を考慮して、要求される送達ツールの数を減らしながら、左心房圧を減らすために、心臓の心房中隔に埋め込み可能デバイスを送達するためのデバイスを提供することが、望ましいであろう。
【0016】
心房シャントデバイスの制御された位置付けおよび送達のためのデバイスおよび方法を提供することが、さらに望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許出願第5,312,341号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本開示は、患者の心房中隔にシャントを送達するためのシステムおよび方法を提供することによって、既知のシステムおよび方法の欠点を克服する。例えば、装置は、近位領域と、遠位領域と、それを通して延びているシース管腔とを有するシースであって、シース管腔は、折り畳まれた送達状態におけるシャントを受け取るようにサイズおよび形状を決定されている、シースと、シース管腔内に移動可能に配置されるように構成されたバルーンカテーテルとを含み得る。バルーンカテーテルは、遠位領域に隣接してすぼめられた折り畳まれた状態と膨張させられた拡張状態との間で移行し、バルーンとシースの遠位領域との間の連続的な段差のない移行を形成するように構成されたバルーンを含み得る。装置は、心房中隔においてシャントを展開するように作動させられるように構成された1つ以上のアクチュエータを有するハンドルをさらに含み得る。
【0019】
加えて、装置は、シース管腔内にスライド可能に配置されたプッシャを含み得る。プッシャは、プッシャアクチュエータが、シース管腔内でプッシャを移動させるように作動させられるように構成され得るように、ハンドルの1つ以上のアクチュエータのうちのプッシャアクチュエータに動作的に結合され得る。例えば、プッシャアクチュエータは、プッシャの遠位端が、折り畳まれた送達状態におけるシャントの近位部分と係合し、それによって、シャントの遠位部分がシースの遠位領域を越えて露出され、折り畳まれた送達状態から拡張させられた展開状態に移行するまで、シースに対して遠位にシャントを移動させるように、シースに対して遠位にプッシャを移動させるように作動させられるように構成され得る。
【0020】
装置は、シース管腔内にスライド可能に配置された解放結び目をさらに含み、解放結び目は、ヒッチ結び目、例えば、ぺインタヒッチ結び目、または迅速結びつけおよび解放(QTaR)ヒッチ結び目を介して、例えば、シャントの近位部分において、シャントと解放可能に係合されるように構成され得る。例えば、解放結び目の第1の端部は、ハンドルの1つ以上のアクチュエータの解放アクチュエータに動作的に結合され得、解放結び目の第2の端部は、ハンドルの1つ以上のアクチュエータの回収アクチュエータに動作的に結合され得、それによって、解放アクチュエータの作動は、ヒッチ結び目に分解させ、シャントから解放結び目を係合解除し、回収アクチュエータの作動は、シャントの途中までの回収のためのヒッチ結び目を介したシース管腔内での近位へのシャントの後退を引き起こす。代替として、解放結び目の第1の端部は、ハンドルの1つ以上のアクチュエータの解放アクチュエータに動作的に結合され得、解放結び目の第2の端部は、プッシャの遠位部分に動作的に結合され得、それによって、解放アクチュエータの作動は、ヒッチ結び目に分解させ、シャントから解放結び目を係合解除し、プッシャアクチュエータの作動は、シャントの途中までの回収のためのヒッチ結び目を介したシース管腔内での近位へのシャントの後退を引き起こす。
【0021】
さらに、バルーンは、シースの遠位領域を通したシャントの展開を可能にするようにすぼめられるように構成され得る。バルーンカテーテルは、バルーンと流体源とを流体的に結合するように構成された流体管腔を含み得る。加えて、バルーンカテーテルは、バルーンカテーテルアクチュエータの作動がバルーンカテーテルをシースに対して移動させるように、ハンドルの1つ以上のアクチュエータのうちのバルーンカテーテルアクチュエータに動作的に結合され得る。
【0022】
本開示の別の側面によると、患者の心房中隔にシャントを送達する方法が、提供される。方法は、シースの遠位領域に隣接してバルーンを膨張させ、バルーンとシースの遠位領域との間の連続的な段差のない移行を形成することであって、バルーンは、シースの管腔内にスライド可能に配置されたバルーンカテーテルの遠位部分上に配置されている、ことと、膨張させられたバルーンおよびシースが、心房中隔の開口部を拡張させるように、心房中隔の開口部を通して膨張させられたバルーンおよびシースを送達することと、バルーンをすぼめることと、シャントの遠位部分がシースの遠位領域を越えて露出され、第1の心房内で拡張させられた展開状態に移行するまで、折り畳まれた送達状態においてシースの管腔内で遠位にシャントを前進させることと、シャントが心房中隔において展開されるように、シャントの近位部分がシースの遠位領域を越えて露出され、第2の心房内で拡張させられた展開状態に移行するまで、心房中隔に対して近位にシースを後退させることとを含み得る。
【0023】
シャントは、解放結び目の第1の端部を引っ張ることが解放結び目をシャントから係合解除し、解放結び目の第2の端部を引っ張ることがシャントの途中までの回収のためのシースの管腔内での近位へのシャントの後退を引き起こすように、解放結び目と解放可能に係合され得る。例えば、解放結び目は、ぺインタヒッチ結び目、または迅速結びつけおよび解放(QTaR)ヒッチ結び目を介してシャントと解放可能に係合され得る。
【0024】
故に、シャントの近位部分がシースの遠位領域を越えて露出されるまで、心房中隔に対して近位にシースを後退させることに先立って、方法は、解放結び目の第1の端部を引っ張り、シャントから解放結び目を係合解除することをさらに含み得る。さらに、シャントの近位部分がシースの遠位領域を越えて露出されるまで、心房中隔に対して近位にシースを後退させることに先立って、方法は、解放結び目の第2の端部を引っ張り、シャントの途中までの回収のために、シースの管腔内でシャントの遠位部分を折り畳まれた送達状態に移行させることをさらに含み得る。加えて、シャントの近位部分がシースの遠位領域を越えて露出されるまで、心房中隔に対して近位にシースを後退させることに先立って、方法は、シャントの遠位部分が第1の心房内から心房中隔に接触するまで、心房中隔に対して近位にシースおよびシャントを後退させることをさらに含み得る。
【0025】
シースの管腔内で遠位にシャントを前進させることは、プッシャの遠位端がシースの管腔内で折り畳まれた送達状態におけるシャントの近位部分と係合するように、シースの管腔内で遠位にプッシャを前進させることを含み得る。故に、シャントの近位部分が、シースの遠位領域を越えて露出されるまで、心房中隔に対して近位にシースを後退させることに先立って、方法は、シースの管腔内で近位にシャントを後退させ、シャントの途中までの回収のために、シースの管腔内でシャントの遠位部分を折り畳まれた送達状態に移行させることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、シースの管腔内で近位にシャントを後退させることに先立って、方法は、シースに対して遠位にプッシャを後退させることを含み得る。方法は、シースの管腔内でシャントを前進させることに先立って、折り畳まれた送達状態におけるシャントの近位の位置まで、シースの管腔内で近位にバルーンカテーテルおよびすぼめられたバルーンを後退させることをさらに含み得る。加えて、方法は、患者からシースおよびバルーンカテーテルを除去することを含み得る。
【0026】
本開示の別の側面によると、患者の心房中隔にシャントを送達するための別の装置が、提供される。装置は、心房中隔内の孔を通して前進させられるように構成されたシースであって、近位領域と、遠位領域と、それを通して延びているシース管腔とを有し、シース管腔は、折り畳まれた送達状態におけるシャントを受け取るようにサイズおよび形状を決定されている、シースと、シース管腔内に移動可能に配置された拡張器とを含み得る。拡張器は、第1の状態と、拡張可能部分がシースの遠位領域と係合する第2の状態との間で移行するように構成された拡張可能部分を含み得る。故に、拡張器およびシースは、装置が、心房中隔内の孔を通して前進させられると、孔を包囲する組織が拡張器の遠位部分およびシースの上を滑らかに誘導されながら心房中隔内の孔を拡張させるように構成され得る。拡張器は、ガイドワイヤを受け取るようにサイズおよび形状を決定されたガイドワイヤ管腔を含み得る。
【0027】
本開示の一側面によると、拡張器は、シース管腔内に移動可能に配置された拡張カテーテルと、拡張カテーテルの遠位端に、および拡張器の拡張可能部分の遠位部分に結合された円錐形先端とをさらに含み得る。例えば、第1の状態において、拡張可能部分の近位部分は、拡張カテーテルに向かって半径方向に内向きに収縮させられ得、第2の状態において、拡張可能部分の近位部分は、シースの遠位領域と除去可能に係合され、シースと拡張器の拡張可能部分との間の連続的な段差のない移行を形成し得る。拡張カテーテルは、シースに対して遠位に移動させられ、拡張器の拡張可能部分を第2の状態から第1の状態に移行させるように構成され得る。さらに、拡張器の拡張可能部分は、第1の状態に向かって付勢され得る。
【0028】
第2の状態において、拡張器の拡張可能部分の遠位部分は、シースの遠位領域の外側表面と係合し得る。故に、装置は、拡張可能部分が第2の状態にあるとき、シースと拡張器の拡張可能部分との間の連続的な段差のない移行を有し得る。ガイドワイヤ管腔は、円錐形先端および拡張カテーテルを通して延び得る。加えて、シースは、拡張器の拡張可能部分が、第1の状態にあり、心房中隔においてシャントを展開するとき、拡張器に対して近位に移動させられるように構成され得る。装置はさらに、シース管腔内に移動可能に配置された中空カテーテル、例えば、PEEK管を含み得、中空カテーテルは、拡張カテーテルを受け取るようにサイズおよび形状を決定される。例えば、第1の状態において、拡張器の拡張可能部分の近位部分は、中空カテーテルの遠位領域内に配置され得る。
【0029】
本開示の別の側面によると、シースの遠位領域は、収縮状態と拡張状態との間で移行するように構成され得、拡張器の拡張可能部分は、シース管腔内に移動可能に配置された外側管に結合された近位部分と、外側管内に移動可能に配置された内側管に結合された円錐形遠位部分とを含み得、それによって、円錐形遠位部分は、シースの遠位領域が収縮状態において近位部分と円錐形遠位部分との間に挟まれる第2の状態と、シースの遠位領域が近位部分および円錐形遠位部分から係合解除し、拡張状態に移行する第1の状態との間で、近位部分に対して移動可能である。故に、装置は、シースの遠位領域が収縮状態にあるとき、円錐形遠位部分とシースの遠位領域との間の連続的な段差のない移行を有し得る。
【0030】
収縮状態において、シースの遠位領域は、遠位領域に沿って円周方向に配置され、遠位領域の遠位端からシースの近位領域に向かって延びている複数の縦方向スリットを有し得る。さらに、拡張状態において、シースの遠位領域は、複数の縦方向スリットの各々がV形を備えているように、複数の縦方向スリットに沿って拡張させられ得る。シースの遠位領域は、拡張状態に向かって付勢され得る。さらに、シースの遠位領域は、生体適合性材料を用いて封入された弾性材料を含み得る。例えば、弾性材料は、超弾性ニチノールであり得、生体適合性材料は、ポリエーテルブロックアミドであり得る。ガイドワイヤ管腔は、円錐形遠位部分および内側管を通して延び得る。
【0031】
本開示の別の側面によると、拡張器の拡張可能部分は、シース管腔内に移動可能に配置された内側管に結合された拡張可能編組先端を含み、拡張可能編組先端は、第1の状態と第2の状態との間で移行するように構成され得る。さらに、シャントの遠位部分は、拡張可能編組先端が第2の状態にあるとき、シャントの遠位部分がシャントの遠位部分と拡張可能編組先端との間の連続的な段差のない移行を形成する折り畳まれた送達状態と、拡張させられた展開状態との間で移行するように構成され得る。拡張可能編組先端の近位端は、外側管に結合され得、拡張可能編組先端の遠位端は、内側管に結合され得、拡張可能編組先端の近位端が、拡張可能編組先端の遠位端に対して移動可能であり、第1の状態と第2の状態との間で拡張可能編組先端を移行させるように、内側管は、外側管の管腔内に移動可能に配置され得る。加えて、シャントの遠位部分は、熱の印加時、折り畳まれた送達状態から拡張させられた展開状態に移行するように構成され得る。故に、シースは、シャントの遠位部分に加熱された液体を送達するように構成された流体管腔をさらに含み得る。装置は、シャントの遠位部分が折り畳まれた送達状態にあるとき、シャントの遠位部分とシースの遠位領域との間の連続的な段差のない移行を有し得る。ガイドワイヤ管腔は、内側管を通して延び得る。
【0032】
本開示の別の側面によると、シースの遠位領域は、収縮状態と拡張状態との間で移行するように構成され得、拡張器の拡張可能部分は、シース管腔内で移動可能に配置されるように構成されたバルーンカテーテルに結合されたバルーンを含み得る。バルーンは、第1の状態から第2の状態に膨張させられ、遠位領域を収縮状態から拡張状態に移行させるように構成され得る。例えば、収縮状態において、シースの遠位領域は、開口部を画定し得、遠位領域に沿って円周方向に配置され、開口部からシースの近位領域に向かって延びている複数の縦方向スリットを有し得、拡張状態において、シースの遠位領域は、複数の縦方向スリットの各々がV形を備えているように、複数の縦方向スリットに沿って拡張させられ得る。バルーンの遠位先端は、開口部を通して延び、バルーンとシースの遠位領域との間の連続的な段差のない移行を形成するように構成され得る。加えて、複数の縦方向スリットは、遠位領域の複数の指部を画定し得、複数の指部の各々の遠位端は、丸形形状を有し得る。さらに、シースの遠位領域は、熱にさらされると、遠位領域に収縮状態に戻らせるように構成された形状記憶材料を含み得る。
【0033】
本開示の別の側面によると、拡張器の拡張可能部分は、シース管腔内に移動可能に配置されるように構成されたバルーンカテーテルに結合されたバルーンを含み得る。バルーンは、遠位領域に隣接して第1の状態と第2の状態との間で移行し、バルーンとシースの遠位領域との間の連続的な段差のない移行を形成するように構成され得る。装置は、シース管腔内にスライド可能に配置されたプッシャをさらに含み得る。プッシャは、それを通してバルーンカテーテルをスライド可能に受け取るようにサイズおよび形状を決定されたプッシャ管腔と、折り畳まれた送達状態におけるシャントの近位部分と係合し、それによって、シースに対して遠位にシャントを移動させるように構成された遠位端とを有し得る。装置は、シース管腔内にスライド可能に配置された解放結び目をさらに含み得る。例えば、解放結び目は、解放結び目の第1の端部を引っ張ることが解放結び目をシャントから係合解除させ、解放結び目の第2の端部を引っ張ることがシャントの途中までの回収のためのシース管腔内での近位へのシャントの後退を引き起こすように、ヒッチ結び目、例えば、ぺインタヒッチ結び目、または迅速結びつけおよび解放(QTaR)ヒッチ結び目を介してシャントと解放可能に係合されるように構成され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、解放結び目は、シャントの近位部分と解放可能に係合されるように構成され得る。加えて、解放結び目の第1および第2の端部は、解放結び目の第2の端部を引っ張ることがシャントに折り畳まれた送達状態に向かって移行させるように、シャントの中間部分に向かってシャントの中心通路を通過し、シャントの中間部分の外側表面の周囲でループ状になり、ヒッチ結び目に向かって戻り得る。代替として、解放結び目は、シャントの中間部分と解放可能に係合されるように構成され得、解放結び目の第1および第2の端部は、解放結び目の第2の端部を引っ張ることがシャントに折り畳まれた送達状態に向かって移行させるように、シャントの中間部分の外側表面の周囲でループ状になり得る。バルーンは、シースの遠位領域を通したシャントの展開を可能にするようにすぼめられるように構成され得る。さらに、バルーンカテーテルは、バルーンと流体源とを流体的に結合するように構成された流体管腔を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1-1】図1A-1Dは、本開示による心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的デバイスを図示する。
図1-2】図1A-1Dは、本開示による心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的デバイスを図示する。
【0036】
図2-1】図2A-2Fは、本開示による心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための代替例示的デバイスを図示する。
図2-2】図2A-2Fは、本開示による心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための代替例示的デバイスを図示する。
図2-3】図2A-2Fは、本開示による心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための代替例示的デバイスを図示する。
【0037】
図3-1】図3A-3Gは、本開示による心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための別の代替例示的デバイスを図示する。
図3-2】図3A-3Gは、本開示による心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための別の代替例示的デバイスを図示する。
図3-3】図3A-3Gは、本開示による心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための別の代替例示的デバイスを図示する。
【0038】
図4A図4Aおよび4Bは、本開示による心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するためのまた別の代替例示的デバイスを図示する。
図4B図4Aおよび4Bは、本開示による心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するためのまた別の代替例示的デバイスを図示する。
【0039】
図5A図5Aは、本開示による心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するためのまた別の代替例示的デバイスを図示する。
【0040】
図5B図5Bは、本開示の原理に従って構築される、図5Aの送達デバイスを作動させるための例示的ハンドルを図示する。
【0041】
図6A図6Aは、図5Aの送達デバイスの例示的結び目機構を図示する。
【0042】
図6B図6Bは、本開示の原理による代替例示的結び目機構を図示する。
【0043】
図7A図7A-7Hは、本開示による図5Aおよび5Bの送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図7B図7A-7Hは、本開示による図5Aおよび5Bの送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図7C図7A-7Hは、本開示による図5Aおよび5Bの送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図7D図7A-7Hは、本開示による図5Aおよび5Bの送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図7E図7A-7Hは、本開示による図5Aおよび5Bの送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図7F図7A-7Hは、本開示による図5Aおよび5Bの送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図7G図7A-7Hは、本開示による図5Aおよび5Bの送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図7H図7A-7Hは、本開示による図5Aおよび5Bの送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
【0044】
図7I図7I-7Kは、本開示による図5Aおよび5Bの送達デバイスを使用する心房間シャントデバイスの途中までの回収のための例示的方法ステップを図示する。
図7J図7I-7Kは、本開示による図5Aおよび5Bの送達デバイスを使用する心房間シャントデバイスの途中までの回収のための例示的方法ステップを図示する。
図7K図7I-7Kは、本開示による図5Aおよび5Bの送達デバイスを使用する心房間シャントデバイスの途中までの回収のための例示的方法ステップを図示する。
【0045】
図8A図8A-8Gは、本開示による別の例示的送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図8B図8A-8Gは、本開示による別の例示的送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図8C図8A-8Gは、本開示による別の例示的送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図8D図8A-8Gは、本開示による別の例示的送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図8E図8A-8Gは、本開示による別の例示的送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図8F図8A-8Gは、本開示による別の例示的送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
図8G図8A-8Gは、本開示による別の例示的送達デバイスを使用して心房中隔に心房間シャントデバイスを送達するための例示的方法ステップを図示する。
【0046】
図8H図8Hおよび8Iは、本開示による図8A-8Gの送達デバイスを使用する心房間シャントデバイスの途中までの回収のための例示的方法ステップを図示する。
図8I図8Hおよび8Iは、本開示による図8A-8Gの送達デバイスを使用する心房間シャントデバイスの途中までの回収のための例示的方法ステップを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の実施形態は、心房中隔等の心臓の壁に埋め込み可能デバイスを送達するためのデバイスを対象とし、したがって、心不全、心筋梗塞、肺高血圧症、または上昇した心房圧に関連付けられる他の障害を患う対象を治療することにおいて有用であり得る。例えば、本発明のデバイスは、好ましくは、各々が本発明の譲受人に譲渡されたNitzanの米国特許第9,629,715号、Eiglerの米国特許第10,076,403号、およびEiglerの米国特許第11,458,287号(それらのうちの各々の全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるような形状記憶金属から形成される砂時計または「ディアボロ」形シャントデバイスを送達するように設計され得る。本明細書に説明される送達デバイスは、心房間シャントとして機能し、左心房と右心房との間の血流を可能にするように、心房中隔、好ましくは、卵円窩等の心臓壁内の孔の中にシャントを確実に固定するように構成される。
【0048】
ここで図1A-1Dを参照すると、心房中隔に心房間シャントデバイス10を送達するための例示的送達デバイス100が、提供される。図1Aに示されるように、送達デバイス100は、拡張器103に除去可能に結合されたシース110を含む。シース110は、シース110の遠位領域112から患者の外部のシースの近位領域まで延びている管腔を有する。シース110の管腔は、その折り畳まれた送達状態におけるシャント10を受け取るようにサイズおよび形状を決定される。図1Aに示されるように、シース110の遠位領域112は、遠位領域112からシース110の近位領域に向かって延びているシース110の長さの残りの部分の外径未満である外径を有し得る。
【0049】
拡張器103は、シース110の管腔内に移動可能に配置された拡張カテーテル102を含み、拡張カテーテル102は、例えば、患者の外部のハンドルの作動を介してシース110に対して移動させられ得、ハンドルは、シース110と拡張カテーテル102とに独立して結合されている。加えて、拡張器103は、拡張カテーテル102の遠位端に結合された拡張器先端104を含む。拡張器先端104は、低デュロメータ硬さの軟らかい先端であり得、非外傷性円錐形状を有し得、それは、周辺組織を損傷させることなく穿刺口を拡大させるために、心房中隔の穿刺口を通して挿入され得る。代替として、拡張器先端104は、心房中隔内に穿刺口を作成するために使用され得る鋭い針先端を有し得、それによって、心房中隔を横断する拡張器先端104のさらなる前進は、穿刺口を拡大させる。
【0050】
拡張器103は、ガイドワイヤ管腔106を有し得、ガイドワイヤ管腔106は、それを通してガイドワイヤを受け取るようにサイズおよび形状を決定され、それによって、デバイス100は、心房中隔を横断して従来のガイドワイヤの上を前進させられ得る。故に、ガイドワイヤ管腔106は、拡張器先端104および拡張カテーテル102を通して延び得る。さらに、拡張器103は、拡張可能部分108を含み得る。拡張可能部分108は、その遠位部分において拡張器先端104に結合され、シース110に向かって延び得る。一実施形態では、拡張器先端104および拡張可能部分108は、一体構造物から形成される。図1Dに示されるように、拡張器103の少なくとも拡張可能部分108は、生体適合性材料109、例えば、PEBAX(登録商標)(Arkema(Colombes,France)によって入手可能にされる)等のポリエーテルブロックアミド(PEBA)を用いて封入され得る。
【0051】
拡張可能部分108は、弾性材料、例えば、超弾性ニチノールから形成され得、拡張状態と収縮状態との間で移行可能であり得る。例えば、拡張可能部分108は、拡張可能部分108が、収縮状態に向かって付勢されるように、収縮状態で製造中に熱固化させられ得る。故に、患者の中への挿入に先立って、拡張可能部分108は、拡張させられ、シース110の遠位領域112の上に嵌まり得る。具体的に、図1Aに示されるように、拡張状態において、拡張可能部分108の近位部分は、遠位領域112の外側表面と係合され、それによって、拡張可能部分108が拡張状態にあるとき、シース110と拡張器103の拡張可能部分108との間の段差のない移行を形成し得る。したがって、拡張可能部分108の近位部分が、シース110の遠位領域112の外側表面と係合されると、拡張可能部分108の近位部分は、遠位領域112に隣接するシース110の部分と同じ外径を有する。シース110と拡張可能部分108との間の段差のない移行は、遠位領域112が、シース110の残りの部分の外径未満である外径を有することからもたらされる。図1Aは、その縦方向長(例えば、遠位領域112を含む)に沿って一定の厚さを有し、したがって、シース110から遠位領域112に変動する内径を有するシース110を図示するが、代替として、シース110および遠位領域112は、その縦方向長に沿って一定の内径を有し得る。
【0052】
図1Aに示されるように、デバイス100は、シース110の管腔内に移動可能に配置された中空カテーテル114、例えば、PEEK管を含み得る。中空カテーテル114は、それを通して拡張カテーテル102、および拡張可能部分108の近位部分の少なくとも一部を受け取るようにサイズおよび形状を決定され得る。故に、拡張カテーテル102、中空カテーテル114、その折り畳まれた送達状態におけるシャント10、およびシース110は、同心であり得る。拡張カテーテル102、中空カテーテル114、およびシース110の各々は、各構成要素が、ハンドルを介して独立して作動させられ得るように、それらの近位領域において臨床医による使用のためのハンドルに結合され得る。
【0053】
図1Bに示されるように、シース110に対して遠位への拡張器103の移動時、拡張器103の拡張可能部分108は、遠位領域112が拡張可能部分108の近位部分の内側表面に対して半径方向に外向きの力をもはや及ぼさないので、シース110の遠位領域112から係合解除し、その収縮状態に戻るであろう。故に、拡張可能部分108は、拡張カテーテル102に向かって半径方向に内向きに収縮させられるであろう。その収縮状態において、拡張可能部分108の近位部分は、中空カテーテル114の中への開口部に隣接し得る。故に、中空カテーテル114に対する拡張カテーテル102の後退時、拡張可能部分108の近位部分の少なくとも一部は、中空カテーテル114の遠位領域によって受け取られ、それによって、拡張可能部分108になおもさらに収縮させ得る。シャント10は、図1Cに示されるように、中空カテーテル114および拡張器103に対して近位にシース110を後退させることによって展開され、それによって、心房中隔ASにおいてシャント10を埋め込み得る。
【0054】
例えば、製造中、または準備ステップにおける送達デバイス100の中へのシャント10の装填は、以下のように進行し得る。最初に、中空カテーテル114が、中空管114の遠位領域が拡張器103の拡張可能部分108に隣接するまで、拡張カテーテル102の上を前進させられ得る。中空カテーテル114が、その中に拡張可能部分108の近位部分を受け取るために、拡張可能部分108の近位部分の少なくとも一部の上をさらに前進させられ、中空カテーテル114および拡張器103の組み合わせられた構造に剛性を提供し得る。中空カテーテル114および拡張器103は、一緒に、拡張カテーテル102、中空カテーテル114、その折り畳まれた送達状態におけるシャント10、およびシース110が同心であるように、少なくとも拡張器103がシース110の近位領域112を越えて露出されるまで、シース110の管腔を通して遠位に前進させられ得る。代替として、中空カテーテル114および拡張器103の組み合わせられた構造は、拡張器103が、遠位領域112に隣接するまで、シース110の遠位開口部を通して逆戻りで装填され得る。
【0055】
次に、拡張カテーテル102が、中空カテーテル114に対して遠位に移動させられ得、それによって、拡張可能部分108は、もはや中空カテーテル114内になく、拡張カテーテル102から離れるように半径方向に外向きに拡張させられ、シース110の遠位領域112の外側表面の上に位置付けられ得る。遠位領域112の上での拡張可能部分108の解放時、遠位領域112は、拡張可能部分108の近位部分が遠位領域112の上に嵌められるように、その拡張状態において拡張可能部分108を維持するであろう。故に、シース110、拡張可能部分108、および先端104は、ガイドワイヤの上での血管の中への挿入および心房間中隔を横断する前進のために適切である図1Aに示されるような滑らかで連続的な拡張器アセンブリを形成する。
【0056】
次に、シャント10が、例えば、各々が本発明の譲受人に譲渡されたYacobyの米国特許第9,713,696号またはNaeの米国特許出願公開第2020/0315599号(それらのうちの各々の全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるようなツールを使用して、シース110内でその折り畳まれた送達状態に折り畳まれ得る。そして、送達デバイス100は、シャント10を送達する準備ができている。上で説明される送達デバイス100を使用するシャント10の送達は、以下のように進行し得る。ガイドワイヤ101が、例えば、患者の左心房内の心房中隔の穿刺口を通して標的場所に前進させられ得る。デバイス100は、拡張器先端104が心房中隔の穿刺口と接触するまで、ガイドワイヤ管腔106を介してガイドワイヤ101の上を前進させられ得る。デバイス100は、さらに前進させられ得、それによって、拡張器103は、穿刺口を包囲する組織が、拡張器先端104の上、その後、拡張可能部分108およびシース110の上を滑らかに誘導されながら心房中隔の穿刺口を拡大させる。他の公知の送達システムと異なり、別個の拡張器(それは、シース110の中にシャントを装填する前、続けて除去されなければならない)は、心房中隔の穿刺口を拡大させるために要求されない。
【0057】
蛍光透視および/または経食道エコー(TEE)または心臓内エコー(ICE)等の超音波撮像等の可視化方法下で、心房中隔に対するデバイス100の標的位置は、例えば、シース110上の放射線不透過性マーカを介して検証され得る。次に、拡張カテーテル102が、図1Bに示されるように、シース110に対して遠位に移動させられ、それによって、例えば、その超弾性によって、拡張可能部分108に遠位領域112から係合解除させ、拡張カテーテル102に向かってその拡張状態からその収縮状態に移行させ得る。拡張カテーテル102は、次いで、中空カテーテル114に対して近位に移動させられ得、それによって、拡張可能部分108の近位部分の少なくとも一部は、中空カテーテル114の中に受け取られる。中空カテーテル114、拡張器103、およびシャント10が、心房中隔に対して静止したままである間、シース110は、シャント10の遠位部分を露出するように近位に後退させられ得、それによって、シャント10の遠位部分は、左心房内で展開する。シャント10は、第WO2020202046号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるもの等のシース110内のデバイスを使用して、心房中隔に対して静止して維持され得る。例えば、複数のフックを有するデバイスが、シース110内のシャント10の近位部分と係合するために使用され得る。
【0058】
シャント10の遠位部分が左心房内に展開された後、送達デバイス100は、シャント10の遠位部分が心房中隔壁に接触するまで、近位に後退させられ得る。次いで、シース110は、図1Cに示されるように、シャント10の近位部分が、シース110の遠位領域112から露出され、患者の右心房内に展開するまで、シャント10が心房中隔に対して静止して維持されている間、近位にさらに後退させられ得る。送達デバイス100は、次いで、患者から除去され、心房中隔において埋め込まれたシャント10を残し得る。
【0059】
ここで図2A-2Fを参照すると、心房中隔に心房間シャントデバイス10を送達するための例示的送達デバイス200が、提供される。図2Aおよび2Dに示されるように、送達デバイス200は、拡張器203に除去可能に結合されたシース212を含む。拡張器203は、外側管210に結合された近位部分208と、外側管210内に移動可能に配置された内側管202に結合された遠位部分204とを含む。拡張器203は、近位部分208が、例えば、外側管210および内側管202に独立して結合された患者の外部のハンドルの作動を介して遠位部分204に対して移動させられ得るように、拡張可能であり得る。図2Aに示されるように、遠位部分204の近位表面は、近位部分208の遠位表面に対応する幾何学形状を有し得る。例えば、遠位部分204は、矢じり形状を有し得る。
【0060】
遠位部分204は、低デュロメータ硬さの軟らかい先端であり得、周辺組織を損傷させることなく穿刺口を拡大させるために、心房中隔の穿刺口を通して挿入され得る非外傷性円錐形状を有し得る。代替として、遠位部分204は、心房中隔を横断する遠位部分204のさらなる前進が穿刺口を拡大させるように、心房中隔内に穿刺口を作成するために使用され得る鋭い針先端を有し得る。拡張器203は、ガイドワイヤ管腔206を有し得、ガイドワイヤ管腔206は、それを通してガイドワイヤを受け取るようにサイズおよび形状を決定され、それによって、デバイス200は、心房中隔を横断して従来のガイドワイヤの上を前進させられ得る。故に、ガイドワイヤ管腔206は、遠位部分204および内側管202を通して延び得る。
【0061】
シース212は、シース212の遠位領域214から患者の外部のシースの近位領域まで延びている管腔を有する。シース212の管腔は、その折り畳まれた送達状態におけるシャント10を受け取るようにサイズおよび形状を決定される。加えて、外側管210は、拡張器203が、例えば、外側管210、内側管202、およびシース212に独立して結合されたハンドルの作動を介して、シース212に対して移動させられ得るように、シース212の管腔内に移動可能に配置され得る。
【0062】
シース212の遠位領域214は、弾性材料、例えば、超弾性ニチノールから形成され得、収縮状態と、シース212が実質的に管状の形状を有する、拡張状態との間で移行可能であり得る。例えば、遠位領域214は、拡張状態で製造中に熱固化させられ得、それによって、遠位領域214は、図2Eに示されるように、拡張状態に向かって付勢される。故に、患者の中への挿入に先立って、遠位領域214は、図2Aに示されるように、収縮させられ、拡張器203の遠位部分204と近位部分208との間に位置付けられ得る。例えば、遠位部分204および近位部分208は、最初、結合解除されており、例えば、互いから間隔を置かれ、それによって、それらの間に間隙を提供し得、シース212の遠位領域214の収縮時、遠位領域214の遠位端が内側管202に向かって半径方向に内向きに収縮させられると、遠位部分204および近位部分208が、互いに向かって移動させられ、その間に遠位領域214を挟み、その収縮状態において遠位領域214を維持する。さらに、図2Bに示されるように、シース212の少なくとも遠位領域214は、生体適合性材料215、例えば、PEBAX(登録商標)(Arkema(Colombes,France)によって入手可能にされる)等のポリエーテルブロックアミド(PEBA)を用いて封入され得る。図2Bに示されるように、例えば、シース212の遠位部分内の遠位領域214の近位部分は、封入されないままであり得る。図2Bにさらに示されるように、シース212の内側表面は、層217、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で裏打ちされ得る。故に、シース212および層217の少なくとも一部は、遠位領域214の近位部分を挟み得る。代替として、いくつかの実施形態では、シース212および遠位領域214は、一体構造物から形成され得る。
【0063】
図2Aに示されるように、その収縮状態において、遠位領域214は、遠位領域214の遠位端が、遠位領域214の近位のシース212の部分の内径より小さい内径を有するように、ドーム形状を有し得る。遠位領域214の曲率は、遠位領域214が拡張器203の遠位部分204と近位部分208との間に挟まれているとき、遠位領域214と遠位部分204との間に段差のない移行があるように、それによって、連続的な拡張器を形成するように、選択され得る。
【0064】
図2Cは、シースの例示的遠位領域を図示する。当業者によって理解されるであろうように、遠位領域214の軸方向長は、図2Aに示されるように、より長くあり得る。図2Cに示されるように、その収縮状態において、遠位領域214は、遠位領域214に沿って円周方向に配置された複数のテーパ状スロット、例えば、縦方向スリット216を有し得る。複数の縦方向スリット216の各々は、遠位領域214の遠位端からシース212の近位領域に向かって延び、それらの間に形成された指部が収縮状態において遠位部分204と近位部分208との間で拡張器203の周囲に密着してぴったり嵌るように縮れされられ(crimped)得るように、選択された長さを有する。
【0065】
図2Dに示されるように、遠位部分204および近位部分208は、近位部分208に対して遠位に遠位部分204を移動させるか、遠位部分204に対して近位に近位部分208を移動させるか、または両方によって結合解除され、それによって、シース212の遠位領域214を解放/係合解除し得る。故に、遠位領域214は、図2Eに示されるように、その自然な拡張させられた管状構成に戻るであろう。図2Eに示されるように、シース212の遠位領域214は、縦方向スリットの各々が、V形を形成するように、複数の縦方向スリット216に沿って拡張させられる。隣接する縦方向スリット間の各指部の遠位端の幅は、遠位領域214のスリットの数に依存し得る。例えば、遠位領域214は、2つ、4つ、8つ、またはそれを上回る縦方向スリット216を有し、各指部が台形形状を有するように、等しい数の指部を形成し得る。一実施形態では、指部の遠位端は、それらがその送達中にシャント10を損傷させること、または患者からのシースの引き抜き中に組織を傷つけることを防止するために、丸みをつけられるか、または滑らかにされ得る。シャント10は、図2Fに示されるように、拡張器203に対して近位にシース212を後退させることによって展開され、それによって、心房中隔ASにおいてシャント10を埋め込み得る。
【0066】
上で説明される送達デバイス200を使用するシャント10の送達は、以下のように進行し得る。最初に、シャント10が、シース110に関して上で説明されるものと類似する様式において、シース212内でその折り畳まれた送達状態に折り畳まれ得る。次に、内側管202が、外側管210の遠位端を通して受け取られ得、外側管210は、近位部分208が遠位部分204に隣接するまで、内側管202の上を前進させられ得る。拡張器203が、次いで、遠位部分204および近位部分208が、シース212の遠位領域214に近接するまで、シース212の管腔を通して前進させられ得る。遠位部分204および近位部分208は、遠位領域214の遠位端が遠位部分204と近位部分208との間に位置付けられるように、遠位領域214がその収縮状態に収縮させられ得るように、十分に間隔を置かれ得る。遠位部分204および近位部分208は、それらの間に遠位領域214の遠位端を挟むように互いに向かって移動させられ、定位置に係止され得る。内側管202、外側管210、およびシース212の各々は、各構成要素がハンドルを介して独立して作動させられ得るように、それらの近位領域において臨床医による使用のためのハンドルに結合され得る。
【0067】
ガイドワイヤ101が、例えば、患者の左心房内の心房中隔の穿刺口を通して標的場所に前進させられ得る。デバイス200は、遠位部分204が、心房中隔の穿刺口と接触するまで、ガイドワイヤ管腔206を介してガイドワイヤ101の上を前進させられ得る。デバイス200は、穿刺口を包囲する組織が、遠位部分204、続けて、遠位領域214およびシース212の上を滑らかに誘導されながら拡張器203が、心房中隔の穿刺口を拡大させるように、さらに前進させられ得る。他の公知の送達システムと異なり、後に除去される別個の拡張器は、心房中隔の穿刺口を拡大させるために要求されない。
【0068】
蛍光透視および/または超音波撮像等の可視化方法下で、心房中隔に対するデバイス200の標的位置は、例えば、シース212上の放射線不透過性マーカを介して検証され得る。次に、遠位部分204および近位部分208は、互いから離れるように移動させられ、それによって、遠位領域214が、その拡張させられた管状形状に拡張するように、遠位領域214を解放/係合解除し得る。拡張器203およびシャント10が、心房中隔に対して静止したままである間、シース212は、シャント10の遠位部分が、左心房内に展開するように、シャント10の遠位部分を露出するように近位に後退させられ得る。シャント10は、第WO2020202046号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるもの等のシース212内のデバイスを使用して、心房中隔に対して静止して維持され得る。例えば、複数のフックを有するデバイスが、シース212内のシャント10の近位部分と係合するために使用され得る。
【0069】
シャント10の遠位部分が左心房内に展開された後、送達デバイス200は、シャント10の遠位部分が、心房中隔壁に接触するまで、近位に後退させられ得る。次いで、シース212は、図2Fに示されるように、シャント10の近位部分が、シース212の遠位領域214から露出され、患者の右心房内に展開するまで、シャント10が心房中隔に対して静止して維持されている間、近位にさらに後退させられ得る。送達デバイス200は、次いで、患者から除去され、心房中隔において埋め込まれたシャント10を残し得る。
【0070】
ここで図3A-3Gを参照すると、心房中隔に心房間シャントデバイス10を送達するための例示的送達デバイス300が、提供される。送達デバイス300は、シース302と、バルーンカテーテル310とを含む。シース302は、管腔を有し得、管腔は、その中にバルーンカテーテル310を受け取るようにサイズおよび形状を決定されている。下でさらに詳細に説明されるように、バルーンカテーテル310は、その遠位領域に配置された膨張可能バルーン312を有する。シース302の管腔は、その折り畳まれた送達状態におけるシャント10を受け取るようにさらにサイズおよび形状を決定され、複数の縦方向スリット306を有する遠位部分304を含む。遠位部分304は、遠位部分304が、心房中隔におけるシャント10の送達/展開に先立って、その収縮状態にあるように、可鍛性材料、例えば、マルテンサイトニチノールまたはステンレス鋼から形成され得る。
【0071】
図3Aに示されるように、シース302の縦方向スリット306によって形成された指部307の遠位端は、丸みを帯びた形状を有し、収縮状態において互いに接触し得る。指部307の遠位端の丸みを帯びた形状は、遠位部分304がその収縮状態にあるとき、開口部を画定する。故に、図3Aにさらに示されるように、バルーン312の遠位先端313は、遠位先端313が、指部307によって形成された開口部を通して突出し、それによって、遠位部分304との連続的な拡張器を形成するように、尖り得る。遠位部分304の指部307の遠位端の丸形形状は、下でさらに詳細に説明されるように、指部307のバルーン拡張中のみならず、シャント10の展開中にもバルーン312およびシャント10を損傷から保護することを補助する。加えて、図3Aに示されるように、シース302は、シャント10の送達/展開中の心房中隔に対する送達デバイス300の検証を補助するために、放射線不透過性マーカ308をさらに含み得る。
【0072】
図3Bに示されるように、バルーンカテーテル310は、その遠位領域に配置された膨張可能バルーン312を有し、バルーン312を膨張/すぼめるためにバルーン312に流体を導入するための流体管腔311を含む。故に、図3Bに示されるように、バルーン312は、膨張状態において縦方向スリット306に隣接してシース302の管腔内に位置付けられ得る、それによって、バルーン312の遠位先端313は、遠位部分304がその収縮状態にあるとき、遠位部分304の遠位端を越えて延び、それによって、連続的な拡張器を形成する。バルーン312は、心房中隔への送達デバイス300の送達に先立って膨張させられ得るか、または、代替として、バルーン312は、送達デバイス300が心房中隔に送達されるまで、すぼめられた状態にあり、次いで、膨張させられ得る。膨張状態では、バルーン312は、図3Bに示されるように、送達デバイス300の送達中、遠位部分304に追加の支持を提供し得る。
【0073】
さらに、送達デバイス300は、バルーンカテーテル310を通して延びているガイドワイヤ管腔314を含み得、ガイドワイヤ管腔314は、それを通してガイドワイヤを受け取るようにサイズおよび形状を決定されている。故に、デバイス300は、バルーン312の遠位先端313が心房中隔の穿刺口と接触するまで、ガイドワイヤ管腔314を介してガイドワイヤ101の上を前進させられ得る。デバイス300は、さらに前進させられ得、それによって、遠位先端313および遠位部分304は、穿刺口を包囲する組織が遠位先端313、続けて、遠位部分304およびシース302の上を滑らかに誘導されながら心房中隔の穿刺口を拡大させる。
【0074】
蛍光透視および/または超音波撮像等の可視化方法下で、心房中隔に対するデバイス300の標的位置は、例えば、シース302上の放射線不透過性マーカ308を介して検証され得る。次に、バルーンカテーテル310は、遠位に前進させられ得、それによって、
図3Cに示されるように、バルーン312は、その膨張状態において、遠位部分304を押し、遠位部分304を半径方向に外向きに拡張させ、拡張状態に移行させる。バルーン312の外側表面上の放射線不透過性マーカ316は、シース302に対する蛍光透視下でバルーン312を可視化し、遠位部分304が十分に拡張させられていることを確実にするために使用され得る。バルーン312は、次いで、遠位部分304がその拡張状態のままであるが、図3Dに示されるように、すぼめられ得る。
【0075】
シャント10は、第WO2020202046号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるもの等のシース302内のデバイスを使用して、心房中隔に対して静止して維持され得る。例えば、プッシャ318は、シース302内のシャント10の近位部分と係合するために使用され得る複数のフックを有し得る。次に、シース302の管腔内にスライド可能に配置されたプッシャ318は、図3Eに示されるように、シャント10の遠位部分が、左心房内に展開するように、シャント10の遠位部分が遠位部分304を越えて露出されるまで、シース302の管腔を通して遠位にシャント10を押すようにシース302に対して遠位に前進させられ得る。
【0076】
シャント10の遠位部分が左心房内に展開された後、送達デバイス300は、シャント10の遠位部分が心房中隔壁に接触するまで、近位に後退させられ得る。次いで、シース302は、図3Fに示されるように、シャント10の近位部分がシース302の遠位部分304から露出され、患者の右心房内に展開するまで、シャント10が心房中隔に対して静止して維持されている間、近位にさらに後退させられ得る。次に、バルーン312は、図3Gに示されるように、シース302を通して再び前進させられ、バルーン312が遠位部分304に隣接するように再び膨張させられ、それによって、連続的なデバイスを再形成し得る。送達デバイス300は、次いで、患者から除去され、心房中隔において埋め込まれたシャント10を残し得る。
【0077】
代替として、いくつかの実施形態では、遠位部分304は、体温より高いオーステナイト仕上(AF)温度を伴う形状記憶材料、例えば、マルテンサイトニチノールから形成され得る。したがって、遠位部分304は、送達デバイス300の送達のためのその収縮状態に熱固化させられ得る。バルーン312は、次いで、遠位部分304がそのマルテンサイト相にある間、上で説明されるように遠位部分304をその拡張状態に拡張させるために、シース302に対して遠位に前進させられ得る。シャント10が上で説明されるように心房中隔に展開された後、遠位部分304は、遠位部分304を熱にさらすことによって、その収縮状態に戻るように移行させられ得る。例えば、遠位部分304のAF温度より高い温度を有する加熱された生理食塩水が、シース302を通して注入され、熱を遠位部分304に伝達し、それによって、遠位部分304をその拡張状態からその収縮状態に移行させ得る。送達デバイス300は、次いで、患者から除去され、心房中隔において埋め込まれたシャント10を残し得る。
【0078】
ここで図4Aおよび4Bを参照すると、心房中隔に心房間シャントデバイス10を送達するための例示的送達デバイス400が、提供される。図4Aに示されるように、送達デバイス400は、シース402と、拡張器403とを含む。シャントデバイス10の遠位部分12は、下でさらに詳細に説明されるような心房中隔の穿刺口の拡張を促進するために、送達デバイス400の一部として使用され得る。シース402は、シース402の遠位領域から患者の外部のシースの近位領域まで延びている管腔を有する。シース402の管腔は、その折り畳まれた送達状態におけるシャント10の少なくとも一部を受け取るようにサイズおよび形状を決定される。
【0079】
拡張器403は、ワイヤメッシュから形成され得、拡張状態と収縮状態との間で移行し得る拡張可能編組先端408を含む。例えば、近位部分407は、近位部分407が、外側管412およびピストン416を介して作動させられ得るように、外側管412の遠位端に結合され得る。図4Aに示されるように、ピストン416は、外側管412の近位端においてピン414と係合するようにサイズおよび形状を決定された空洞418を含み得る。故に、例えば、ピストン416に独立して結合された患者の外部のハンドルの作動を介したピストン416の作動は、ピン414を介して外側管412を押し引きするであろう。さらに、遠位部分409は、近位部分407が、例えば、ピストン416および内側管410に独立して結合された患者の外部のハンドルの作動を介して、遠位部分409に対して移動させられ、それによって、編組先端408をその拡張および収縮状態の間で移行させ得るように、外側管412およびピン414内に移動可能に配置された内側管410に結合され得る。例えば、編組先端408は、遠位部分409と近位407とが一緒により近くに移動させられるにつれて拡張し、遠位部分409と近位407とが遠くに離れるように移動させられるにつれて収縮するであろう。外側管412および内側管410は、同心管、例えば、PEEK管であり得る。
【0080】
加えて、ピストン416は、シャント10と係合し、それをその折り畳まれた送達状態において維持し得、心房中隔に対して静止してシャント10を維持し得る。例えば、ピストン416は、シース402内のシャント10の近位部分と係合するために使用され得る複数のフックを含み得る。
【0081】
図4Aに示されるように、拡張状態において、編組先端408の遠位部分は、周辺組織を損傷させることなく穿刺口を拡大させるために、心房中隔の穿刺口を通して挿入され得る非外傷性円錐形状を形成し得る。故に、編組先端408のワイヤメッシュは、心房中隔の穿刺口の拡張を促進するために、生体適合性材料を用いて封入され得る。代替として、編組先端408の遠位部分は、心房中隔を横断する編組先端408のさらなる前進が、穿刺口を拡大させるように、心房中隔内に穿刺口を作成するために使用され得る鋭い針先端を有し得る。拡張器403は、デバイス400が心房中隔を横断して従来のガイドワイヤの上を前進させられ得るように、内側管410を通して延びているガイドワイヤ管腔406を有し得、ガイドワイヤ管腔406は、それを通してガイドワイヤを受け取るようにサイズおよび形状を決定されている。故に、ガイドワイヤ管腔406は、編組先端408および内側管410を通して延び得る。
【0082】
図4Aに示されるように、シャントデバイス10の遠位部分12は、心房中隔の穿刺口の拡張を促進するために、送達デバイス400の一部として使用され得る。例えば、シャントデバイス10の遠位部分12は、体温より高い、例えば、摂氏45度より高いオーステナイト仕上温度Afを伴う形状記憶材料、例えば、マルテンサイトニチノールから形成され得、拡張構成において熱固化させられ得る。さらに、遠位部分12は、図4Aに示されるように、折り畳まれた拡張器状態に縮れさせられ得る。その折り畳まれた拡張器状態では、シャントデバイス10の遠位部分12は、好ましくは、編組先端の断面積が、遠位部分409から近位部分407に向かって増加する編組先端408の外側表面に沿った点において、編組先端408の外側表面に接触し得る。故に、編組先端408は、編組先端408とシャントデバイス10の遠位部分12との間の段差のない移行が、存在し、それによって、連続的な拡張器を形成するように、拡張させられ得る。さらに、図4Aに示されるように、シース402の遠位領域404は、シース402とシャントデバイス10の遠位部分12との間の段差のない移行を促進する幾何学形状を有し得る。例えば、シース402の遠位領域404は、シャントデバイス10の遠位部分12と係合するために、半径方向に内向きに湾曲し得る。
【0083】
シャントデバイス10の遠位部分12は、例えば、熱の印加を介して、その折り畳まれた拡張器状態から拡張させられた展開状態に移行させられ得る。例えば、生理食塩水等の温かい流体が、シャントデバイス10の遠位部分12にわたって導入され、それによって、所定のAf移行温度より高く遠位部分12を加熱し、遠位部分12をその熱固化させられた拡張させられた展開状態に拡張させ得る。温かい流体は、外側管412の外部のシース402内に導入され得る。代替として、または加えて、シース402は、ピストン416を通して延び、遠位部分12を横断して温かい流体を導入するための患者の外部の流体の源に結合された1つ以上の流体チャネル419をさらに含み得る。
【0084】
上で説明される送達デバイス400を使用するシャント10の送達は、以下のように進行し得る。最初に、シース110、212に関して上で説明されるものと類似する様式において、図4Aに示されるように、シャントデバイス10の遠位部分12が、折り畳まれた拡張器状態に縮れさせられ得、シャント10の残りの部分が、シース402内でその折り畳まれた送達状態に縮れさせられ得る。シース402内のシャント10の軸方向位置は、シャント10の遠位部分12がシース402の遠位領域404の遠位端から露出されるように調節され得る。
【0085】
次に、拡張器403が、次いで、編組先端408が、シャントデバイス10の遠位部分12に隣接するまで、シース402の管腔を通して前進させられ得る。編組先端408は、シャントデバイス10の遠位部分12と編組先端408との間の段差のない移行を形成するために、上で説明されるように、内側管410およびピストン416、従って、外側管412の作動を介して、その拡張状態に拡張させられ得る。例えば、内側管410、ピストン416、およびシース402は、それぞれ、各構成要素が、ハンドルを介して独立して作動させられ得るように、それらの近位領域において臨床医による使用のためのハンドルに結合され得る。
【0086】
ガイドワイヤ101が、例えば、患者の左心房内の心房中隔の穿刺口を通して標的場所に前進させられ得る。デバイス400は、編組先端408の遠位部分409が、心房中隔の穿刺口と接触するまで、ガイドワイヤ管腔406を介してガイドワイヤ101の上を前進させられ得る。デバイス400は、さらに前進させられ得、それによって、拡張器403は、穿刺口を包囲する組織が編組先端408、続けて、シャントデバイス10の遠位部分12およびシース402の上を滑らかに誘導されながら心房中隔の穿刺口を拡大させる。、他の公知の送達システムと異なり、後に除去される別個の拡張器は、心房中隔の穿刺口を拡大させるために要求されない。
【0087】
蛍光透視および/または超音波撮像等の可視化方法下で、心房中隔に対するデバイス400の標的位置は、例えば、シース402上の放射線不透過性マーカを介して検証され得る。編組先端408は、上で説明されるように、外側管412に対する内側管410の移動を介して収縮させられ得る。次に、温かい流体が、シャントデバイス10の遠位部分12にわたって導入され、左心房内で遠位部分12をその折り畳まれた拡張器状態からその拡張させられた展開状態に移行させ得る。シャント10は、ピストン416を介して心房中隔に対して静止して維持され得る。
【0088】
シャント10の遠位部分が左心房内に展開された後、送達デバイス400は、シャント10の遠位部分が心房中隔壁に接触するまで、近位に後退させられ得る。次いで、シース402は、シャント10の近位部分がシース402の遠位領域404から露出され、患者の右心房内に展開するまで、シャント10が、心房中隔に対して静止して維持されているが、近位にさらに後退させられ得る。送達デバイス400は、次いで、患者から除去され、心房中隔において埋め込まれたシャント10を残し得る。
【0089】
ここで図5Aおよび5Bを参照すると、心房中隔に心房間シャントデバイス10を送達するためのハンドル530に動作的に結合された例示的送達デバイス500が、提供される。図5Aに示されるように、送達デバイス500は、シース502と、シース502の管腔内にスライド可能に配置された拡張器、例えば、バルーンカテーテル510と、シース502の管腔内の結び目接続518においてシャント10に解放可能に結合するための解放結び目516と、シース502の管腔内にスライド可能に配置されたプッシャ520とを含む。例えば、解放結び目516は、ダイニーマワイヤ/コードであり得る。シース502の管腔は、その折り畳まれた送達状態におけるシャント10を受け取るようにサイズおよび形状を決定され得る。シース502の遠位領域504は、線形であり得るか、または、下でさらに詳細に説明されるように、バルーン512がその拡張状態にあるとき、滑らかで連続的な拡張器を形成するために、遠位領域504とバルーン512との間の段差のない移行を促進する幾何学形状を有し得る。例えば、シース502の遠位領域504は、バルーン512の外側表面と係合するために、半径方向に内向きに湾曲し得る。さらに、送達デバイス500は、バルーンカテーテル510を通して延びているガイドワイヤ管腔514を含み得、ガイドワイヤ管腔514は、それを通してガイドワイヤを受け取るようにサイズおよび形状を決定されている。
【0090】
シース502、バルーンカテーテル510、解放結び目516、およびプッシャ520の各々は、それらが、全て、互いに対して独立して作動可能であるように、ハンドル530に動作的に結合され得る。例えば、図5Bに示されるように、シース502の近位領域506は、ハンドル530に結合され得、バルーンカテーテル510は、シース502に対して軸方向にバルーンカテーテル510を移動させるように作動させられ得るハンドル530のアクチュエータ532に動作的に結合され得、プッシャ520は、シース502に対して軸方向にプッシャ520を移動させるように作動させられ得るハンドル530のアクチュエータ534に動作的に結合され得、解放結び目516の第1の端部は、ハンドル530の解放アクチュエータ536に動作的に結合され得、解放アクチュエータ536は、結び目接続518を分解し、シャント10から解放結び目516を係合解除するように作動させられ得、解放結び目516の第2の端部は、ハンドル530の回収アクチュエータ538に動作的に結合され得、回収アクチュエータ538は、シース502の管腔内で、解放結び目516を後退させるように、従って、結び目接続518を介してシャント10を後退させるように作動させられ得る。いくつかの実施形態では、解放結び目516とシャント10との間の偶発的な係合解除を防止するために、ロック537を含み得、ロック537は、解放アクチュエータ536がハンドル530に対して作動させられないこともある係止構成と、解放アクチュエータ536が作動させられ、ハンドル530に沿って移動させられ得る係止解除構成との間で移行するように作動させられ得る。さらに、シャント10の偶発的に途中までの回収を防止するために、ロック539を含み得、ロック539は、回収アクチュエータ538がハンドル530に対して作動させられないこともある係止構成と、回収アクチュエータ538が作動させられ、ハンドル530に沿って移動させられ得る係止解除構成との間で移行するように作動させられ得る。
【0091】
再び5Aを参照すると、バルーンカテーテル510は、その遠位領域に配置された膨張可能バルーン512を含み得る。バルーン512は、すぼめられた圧縮状態と膨張させられた拡張状態との間で移行するように構成される。故に、バルーンカテーテル510は、バルーン512を膨張させる/すぼめるためにバルーン512に流体を導入するための流体源に流体的に結合された流体管腔を含み得る。加えて、バルーン512は、その遠位端においてテーパ状円錐形状を有して形成され得る。バルーン512は、バルーン512がその拡張状態にあるとき、その近位および遠位端の両方がテーパ状円錐形状を有するように、対称的な外形を有し得る。バルーン512が、シース502の遠位領域504に隣接して位置付けられると、その拡張状態において、バルーン512の外側表面は、滑らかで連続的な拡張器を形成するために、遠位領域504とバルーン512との間の段差のない移行を形成し得る。
【0092】
さらに、プッシャ520は、シース502の管腔内にスライド可能に配置された多管腔カテーテルであり得、多管腔カテーテルは、例えば、アクチュエータ534の作動を介して、シース502の管腔内でその折り畳まれた送達状態におけるシャント10と係合するように構成された遠位端を有する。例えば、プッシャ520は、第1の管腔であって、第1の管腔は、それを通して(その折り畳まれた状態におけるバルーン512を含む)バルーンカテーテル510をスライド可能に受け取るようにサイズおよび形状を決定されている、第1の管腔と、1つ以上の管腔とを有し得、1つ以上の管腔は、それらを通して解放結び目516の一方または両方の端部をスライド可能に受け取るようにサイズおよび形状を決定されている。例えば、プッシャ520は、単一の管腔であって、単一の管腔は、それを通して解放結び目516の両方の端部をスライド可能に受け取るようにサイズおよび形状を決定されている、単一の管腔を有し得るか、または、代替として、プッシャ520は、1つの管腔であって、1つの管腔は、それを通して解放アクチュエータ536に動作的に結合される解放結び目516の第1の端部をスライド可能に受け取るようにサイズおよび形状を決定されている、1つの管腔と、別の管腔とを有し得、別の管腔は、それを通して回収アクチュエータ538に動作的に結合される解放結び目516の第2の端部をスライド可能に受け取るようにサイズおよび形状を決定されている。バルーンカテーテル510をスライド可能に受け取るプッシャ520の管腔は、シース502の縦方向軸と同軸であり得、解放結び目516の端部をスライド可能に受け取る1つ以上の管腔は、シース502の縦方向軸と同軸でないこともある。故に、プッシャ520は、アクチュエータ534の作動を介して、シース502およびバルーンカテーテル510に対して遠位に前進させられ、シャント10の少なくとも遠位部分が、遠位領域504を越えて露出され、例えば、左心房内でその拡張させられた展開状態に移行するまで、シース502の管腔を通して遠位にシャント10を押し得る。
【0093】
上で説明されるように、解放結び目516は、結び目接続518を介して、シース502の管腔内でその折り畳まれた送達状態におけるシャント10に解放可能に結合され得る。図6Aは、シャント10に解放結び目516を解放可能に結合するための例示的結び目機構を図示する。図6Aに示されるように、解放結び目516は、単一の力伝達要素、例えば、ダイニーマワイヤ/コードから形成され得、単一の力伝達要素は、解放ワイヤ部分、例えば、解放端517と、結び目接続518と、スタンディング部分、例えば、回収端519とを有する。例えば、解放結び目516は、例えば、シャント10の近位部分においてシャント10に結びつけられ、結び目接続518を形成し得、それによって、解放端517および回収端519は、結び目接続518から延びている。結び目接続518は、ぺインタヒッチまたは迅速結着および解放(QTaR)ヒット等の結び目であり得、それによって、例えば、解放アクチュエータ536を介して解放端517に後退力を加えることは、結び目接続518が分解し、シャント10から解放結び目516を係合解除することを引き起こす様式において、解放端517が結び目接続518を引っ張ることを引き起こし、一方、例えば、回収アクチュエータ538を介して回収端519に後退力を加えることは、回収端519が結び目接続518を引っ張り、それによって、シース502の管腔内でシャント10を引っ張ることを引き起こす。故に、解放結び目516は、デバイス800内、例えば、ハンドル520の遠位のシース502/プッシャ520内に配置された所定の量の余長、例えば、たるみを有し得、それによって、シャント10が、プッシャ520を介してシース502内で遠位に移動させられるとき、結び目接続518を介してシャント10に結合された解放結び目516も、解放アクチュエータ536または回収アクチュエータ538に力を加えることなくシース502内で遠位に移動し得る。したがって、解放アクチュエータ536および/または回収アクチュエータ538の作動は、シャント10がシース502から途中まで展開される(例えば、解放結び目516のたるみが除去されるとき)まで、シャント10を係合解除しない、またはシャント10を途中まで回収しないこともある。
【0094】
当業者によって理解されるであろうように、図6Aに図示される結び目構成は、本開示の原理による本明細書に説明される送達デバイスとの使用のために適切な多数の結び目構成の一例である。例えば、図6Bは、解放ワイヤ部分、例えば、解放端517’と、結び目接続518’と、スタンディング部分、例えば、回収端519’とを有する別の例示的解放結び目516’を図示する。結び目接続518’は、結び目接続518’が、解放結び目516’とシャントとの間の追加の固定を提供するための追加のループを含むことを除いて、結び目接続518のものに類似する構成を有し得る。
【0095】
さらに、本明細書に説明される解放結び目は、例えば、本発明の譲受人に譲渡されたKerenの米国特許第10,940,296号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるように、その拡張させられた展開状態からその折り畳まれた送達状態に向かうシャント10の移行を促進するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、解放結び目は、シャント10の近位部分に結合され得、回収および解放端の両方は、例えば、シャント10の近位端の円周の周囲の均等に間隔を置かれた点においてシャント10の近位端の2つ以上のループを通り抜けさせられ得、それによって、例えば、プッシャ520の管腔を通した解放結び目の回収端の後退は、シャント10の近位部分に内向き力を加え、それによって、シャント10の近位部分を半径方向に内向きにその折り畳まれた送達状態に折り畳ませる一方;解放結び目の解放端の後退は、結び目接続が分解し、シャント10から解放結び目を係合解除することを引き起こす。故に、解放結び目は、例えば、ハンドル530の遠位の送達デバイス500内に十分なたるみを有することによって、シャント10が心房中隔において完全に展開されるとき、シャント10に結合されたままであり得る。シャント10が満足の行くまで展開されると、解放結び目は、解放結び目の解放端の後退によって、シャント10から係合解除され得、解放および回収端の両方を含む解放結び目全体は、送達シース502の中に引き戻され得る。シャント10の展開が満足の行くものではない場合、解放結び目の回収端は、その折り畳まれた送達状態に向かってシャント10の近位部分を移行させるように近位に後退させられ得、シャント10は、再展開または除去のために、解放結び目の回収端の後退を介して、シース502の管腔の中に戻るようにさらに後退させられ得る。
【0096】
加えて、または代替として、解放結び目は、シャント10の中間部分、例えば、シャント10の近位フレア端部領域と遠位フレア端部領域との間のネック領域に結合され得、回収および解放端の両方は、結び目接続に向かってシャント10の中間部分の外側表面の周囲でループ状にされ得る。シャント10が満足の行くまで展開されると、解放結び目は、解放結び目の解放端の後退によって、シャント10から係合解除され得、解放および回収端の両方を含む解放結び目全体が、送達シース502の中に引き戻され得る。シャント10の展開が満足の行くものではない場合、シャント10は、例えば、プッシャ520の管腔を通した解放結び目の回収端の近位への後退によって、送達シース502の中に戻るように回収され得、解放結び目の回収端の近位への後退は、内向き力をシャント10の中間部分に加え、それによって、シャント10の中間部分を半径方向に内向きにその折り畳まれた送達状態に向かって折り畳ませる。シャント10の中間部分を折り畳ませることは、シャント10の近位部分が少なくとも部分的にさらに折り畳まれることを引き起こし得、それによって、シャント10は、次いで、再展開または除去のために、解放結び目の回収端の後退を介して、シース502の管腔の中に戻るようにさらに後退させられ得る。
【0097】
代替として、解放結び目は、シャント10の近位部分に結合され得、回収および解放端の両方は、シャント10の近位端における初期ループに通され、次いで、シャント10の中心通路に通され、中心通路から外に出、シャント10の中間部分の外側表面の周囲でループ状にされ、結び目接続に向かって戻り得、それによって、例えば、プッシャ520の管腔を通した解放結び目の回収端の後退は、シャント10の中間部分に内向き力を加え、それによって、シャント10の中間部分を半径方向に内向きにその折り畳まれた送達状態に向かって折り畳ませる一方;解放結び目の解放端の後退は、結び目接続が分解し、シャント10から解放結び目を係合解除することを引き起こす。当業者によって理解されるであろうように、2つ以上の解放結び目が、完全および/または途中までの回収のために、その折り畳まれた送達状態に向かうシャント10の移行を促進するために、例えば、シャントの円周の周囲の均等に間隔を置かれた場所において、シャントに結合され得る。
【0098】
ここで図7A-7Hを参照すると、送達デバイス500を介して心房中隔内の埋め込み部位にシャント10を送達するための例示的方法ステップが、提供される。図7Aに示されるように、バルーンカテーテル510の流体管腔511を介してバルーン512に流体的に結合された流体源540(例えば、シリンジポンプ)が、流体をバルーン512の中に移動させるように作動させられ、それによって、バルーン512をそのすぼめられた折り畳まれた状態からその膨張させられた拡張状態に膨張させ得、それによって、その拡張状態において、バルーン512の外側表面は、シース502の遠位領域504においてシース502の管腔の内側表面と係合し、それによって、心房中隔に送達デバイス500を送達するための滑らかで連続的な拡張器を形成する。
【0099】
シース502の遠位領域504においてその拡張状態におけるバルーン512を伴うデバイス500は、バルーン512の遠位部分が、心房中隔ASの穿刺口と接触するまで、ガイドワイヤ管腔514を介してガイドワイヤ101の上を前進させられ得る。デバイス500は、図7Bに示されるように、穿刺口を包囲する組織が、バルーン512の遠位部分、続けて、シース502の遠位領域504の上を滑らかに誘導されながらバルーン512が、心房中隔ASの穿刺口を拡大/拡張させるように、さらに前進させられ得る。蛍光透視および/または経食道エコー(TEE)または心臓内エコー(ICE)等の超音波撮像等の可視化方法下で、心房中隔ASに対するデバイス500の標的位置は、例えば、シース502上の放射線不透過性マーカを介して検証され得る。好ましくは、デバイス500は、下でさらに詳細に説明されるように、左心房内のシャント10の遠位部分の完全展開を確実にするために、遠位領域504が左心房内の心房中隔ASから少なくとも所定の距離だけ間隔を置かれるように、心房中隔ASに対して位置付けられる。
【0100】
次に、図7Cに示されるように、バルーン512は、バルーン512がそのすぼめられた折り畳まれた状態に移行するように、例えば、バルーン512から流体を引き出すようにシリンジポンプを作動させることによって、流体源540を介してすぼめられ得る。いくつかの実施形態では、シャント10は、第WO2020202046号に説明されるもの等のシース502内のデバイスを使用して、心房中隔に対して静止して維持され得る。図7Dに示されるように、アクチュエータ532が、次いで、作動させられ、例えば、ハンドル530上の第1の位置から、ハンドル530に沿って近位に、ハンドル530上の第2の位置まで移動させられ、それによって、シース502に対して近位にバルーンカテーテル510およびそのすぼめられた状態におけるバルーン512を後退させ得る。例えば、バルーンカテーテル510は、図7Dに示されるように、バルーン512が、プッシャ520の管腔内に配置されるまで、シース502内でその折り畳まれた送達状態におけるシャント10を通して近位に後退させられ得る。故に、シース502の管腔は、シャント10と遠位領域504との間で障害物がないこともある。
【0101】
次に、アクチュエータ534が、図7Eに示されるように、作動させられ、例えば、ハンドル530上の第1の位置から、ハンドル530に沿って遠位に、ハンドル530上の第2の位置まで移動させられ、それによって、シャント10の遠位部分が、シース502の遠位領域504を越えて露出され、左心房内に展開するまで、シース502に対して遠位に、プッシャ520、従って、シャント10を移動させ得る。例えば、プッシャ520が、シース502の管腔内で遠位に前進させられると、プッシャ520の遠位端は、その折り畳まれた送達状態におけるシャント10の近位端と係合し、シース502の管腔を通して遠位にシャント10を押す。上で説明されるように、遠位領域504は、シャント10の遠位部分が左心房内で完全に展開し得るように、少なくとも所定の距離だけ心房中隔ASから間隔を置かれ得る。故に、デバイス500は、次いで、図7Fに示されるように、シャント10の展開された遠位部分が心房中隔ASに接触するまで、例えば、近位にハンドル530を移動させることによって、心房中隔ASに対して後退させられ得る。心房中隔ASに対するシャント10の所望の位置は、例えば、心房中隔ASを介してデバイス500に加えられる力のフィードバックを介して、医師によって観察され得、および/または、例えば、蛍光透視および/または経食道エコー(TEE)または心臓内エコー(ICE)等の超音波撮像を介して、視覚的に検証され得る。
【0102】
図7Gに示されるように、解放アクチュエータ536が、作動させられ、例えば、ハンドル530上の第1の位置から、ハンドル530に沿って近位に、ハンドル530上の第2の位置まで移動させられ、それによって、解放結び目516の解放端517を後退させ得、それは、結び目接続518が分解し、シース502内のシャント10から解放結び目516を係合解除することを引き起こす。上で説明されるように、いくつかの実施形態では、解放アクチュエータ536のロック537が、解放アクチュエータ536を第1の位置から第2の位置に移動させることに先立って、その係止構成からその係止解除構成に移行することを要求され得る。次に、図7Hに示されるように、シャント10が、解放結び目516から係合解除されると、デバイス500は、例えば、近位にハンドル530を移動させることによって、心房中隔ASに対して近位にさらに後退させられ得、そのような心房中隔ASは、デバイス500が、シャント10の近位部分がシース502の遠位領域504を越えて露出され、右心房内に展開し、したがって、シャントの完全展開を完了するまで近位に後退させられると、力をシャント10の展開された遠位部分に加え、心房中隔ASに対して定位置にシャント10を維持する。
【0103】
シャント10が心房中隔ASにおいて完全に展開された後、デバイス500は、患者から除去され、心房中隔において埋め込まれたシャント10を残し得る。いくつかの実施形態では、除去に先立って、アクチュエータ532が、バルーン512が遠位領域504に隣接してシース502内に位置付けられるように、シース502内で遠位にバルーンカテーテル510を移動させるように作動させられ得、バルーン512は、上で説明されるように、例えば、流体源540を介してその拡張状態に膨張させられ、遠位領域504との連続的な拡張器を形成し得る。
【0104】
ここで図7I-7Kを参照すると、心房中隔ASにおけるシャント10の送達中のシャント10の途中までの回収のための例示的方法ステップが、提供される。例えば、シャント10の遠位部分が、例えば、図7Eに示されるような左心房内または別の不適切な場所において展開された後、シース502内でその折り畳まれた送達状態に戻るようにシャント10を移行させ、シャント10を回収することが、望ましくあり得る。故に、図7Iに示されるように、アクチュエータ534が、作動させられ、例えば、ハンドル530上の第2の位置から、ハンドル530に沿って近位に、ハンドル530上の第1の位置まで移動させられ、それによって、シース502に対して近位にプッシャ520を移動させ、その折り畳まれた送達状態においてシャント10がその中に配置されるためのシース502の管腔内の障害のない経路を提供し得る。次に、図7Jに示されるように、回収アクチュエータ538が、作動させられ、例えば、ハンドル530上の第1の位置から、ハンドル530に沿って近位に、ハンドル530上の第2の位置まで移動させられ、それによって、解放結び目516の回収端519を後退させ得、それは、シース502の管腔内で結び目接続518を介して近位にシャント10を引っ張る。シャント10が、シース502内で近位に引っ張られるにつれて、シース502の遠位領域504は、シャント10の展開された遠位部分に対して力を加え、それは、遠位部分がシース502の管腔内でその折り畳まれた送達状態に移行することを引き起こす。上で説明されるように、いくつかの実施形態では、回収アクチュエータ538のロック539が、回収アクチュエータ538を第1の位置から第2の位置に移動させることに先立って、その係止構成からその係止解除構成に移行することを要求され得る。
【0105】
シャント10が、シース502内で完全にその折り畳まれた送達状態にあるとき、デバイス500は、図7Kに示されるように、例えば、近位にハンドル530を移動させることによって、患者から除去され得る。代替として、デバイス500は、図7E-7Hに関して上で説明される送達方法に従って、シャント10が、心房中隔ASに埋め込まれ得るように、心房中隔ASに対して位置変更され得る。
【0106】
代替として、上で説明されるように、解放結び目516は、心房中隔ASにおけるシャント10の完全展開中、シャント10に結合されたままであり得る。故に、解放アクチュエータ536は、心房中隔ASに対して近位にデバイス500を後退させることに先立って作動させられず、それによって、右心房内にシャント10の近位部分を展開することによって、シャントの完全展開を完了し得る。本実施形態では、心房中隔ASにおけるシャント10の満足の行く完全展開に応じて、解放アクチュエータ536は、次いで、結び目接続518を分解し、シャント10から解放結び目516を係合解除するように作動させられ得る。展開が満足の行くものではない場合、回収端519は、例えば、回収アクチュエータ538の作動を介して、近位に後退させられ、上で説明されるように、折り畳まれた送達状態に向かうシャント10の近位部分および/または中間部分の移行を促進し得、それによって、シャント10は、再展開または除去のために、シース502の管腔の中に戻るように後退させられ得る。
【0107】
ここで図8A-8Iを参照すると、ハンドル830に動作的に結合される例示的送達デバイス800を介して心房中隔に心房間シャントデバイス10を送達するための例示的方法ステップが、提供される。デバイス800は、送達デバイス500と同様に構築され得る。例えば、遠位領域804と、近位領域806とを有するシース802は、遠位領域504と、近位領域506とを有するシース502に対応し、膨張可能バルーン812と、流体管腔811とを有するバルーンカテーテル810は、膨張可能バルーン512と、流体管腔511とを有するバルーンカテーテル510に対応し、プッシャ820は、プッシャ520と対応し、解放端817と、結び目接続818と、回収端819とを有する解放結び目816は、解放端517と、結び目接続518と、回収端519とを有する解放結び目516と対応する。デバイス800は、結び目接続818からハンドル830の回収アクチュエータまでプッシャ820の長さを通して延びているのではなく、回収端819が、プッシャ820の遠位部分に結合され得る点において、送達デバイス500と異なる。故に、ハンドル830がシース802の近位領域806に結合され、バルーンカテーテルアクチュエータ832がバルーンカテーテルアクチュエータ532に対応し、プッシャアクチュエータ834がプッシャアクチュエータ534に対応し、解放アクチュエータ836が解放アクチュエータ536に対応し、流体源840が流体源540に対応するようにハンドル530と同様に構築され得るハンドル830は、別個の回収アクチュエータを必要としない。例えば、アクチュエータ832の作動、例えば、ハンドル830に沿って近位にアクチュエータ832を移動させることは、プッシャ820、従って、シャント10およびそれに結合された回収端819のシース802の管腔内での位への移動を引き起こす。さらに、プッシャ820は、回収端819を受け取るための別個の管腔を有していない。
【0108】
上で説明されるような解放端517と同様、解放端817は、シャント10が、シース802から途中まで展開されるまで、解放アクチュエータ836の作動が、結び目接続818の分解を引き起こさないこともあるようにデバイス800内にたるみを有し得る。代替として、いくつかの実施形態では、解放アクチュエータ836は、プッシャアクチュエータ834が、シース802内で遠位に、プッシャ820、従って、シャント10を移動させるように作動させられるとき、解放アクチュエータ836が、プッシャアクチュエータ834とともに移動するように、プッシャアクチュエータ834に解放可能に結合され得る。故に、解放端817は、解放端817が、解放アクチュエータ836の移動を介してプッシャ820とともに遠位に移動するので、デバイス800内にたるみを有していないこともある。解放アクチュエータ836は、上で説明されるように、例えば、ロック837または解放アクチュエータ836およびプッシャアクチュエータ834を結合する別の係止機構を介して、プッシャアクチュエータ834から結合解除され、次いで、結び目接続818を分解し、シャント10から解放結び目816を係合解除するために、解放端817を引っ張るように独立して作動させられ得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、解放アクチュエータ836は、解放端817が通され得るロープクラッチ機構を含み得る。例えば、ロープクラッチ機構は、プッシャアクチュエータ834の作動中、開放状態にあり得、解放端817は、プッシャ820、従って、それに結合される回収端819がシース802を通して遠位に移動させられるにつれて、ロープクラッチ機構を通して移動する。上で説明されるように、シャント10の途中までの回収が望ましい場合、プッシャアクチュエータ834は、シース802内でプッシャ820、従って、結び目接続818を介してシャント10を後退させるように作動させられ得る。シャント10から解放結び目816を係合解除するために、ロープクラッチ機構は、例えば、ロック837またはロープクラッチ機構に動作的に結合される別の閉鎖機構を介して、閉鎖状態に移行させられ、解放端817を解放アクチュエータ836に固定し得、それによって、解放アクチュエータ836の作動は、解放端817を引っ張り、結び目接続818を分解する。
【0110】
図7A-7Hに関して上で説明されるデバイス500を介したシャント10の送達のための方法ステップと同様、図8Aに示されるように、シース802の遠位領域804に隣接する膨張させられた拡張状態におけるバルーン812を伴うデバイス800は、穿刺口を包囲する組織が、バルーン812の遠位部分、続けて、シース802の遠位領域804の上を滑らかに誘導されながらバルーン812が、心房中隔ASの穿刺口を拡大/拡張させるように、心房中隔AS内の孔を通して送達され得る。さらに、バルーン812は、図8Bに示されるようにすぼめられ、図8Cに示されるようにアクチュエータ832を介してプッシャ820の管腔内で近位に後退させられ得る。図8Dに示されるように、プッシャ820は、プッシャ820の遠位端がシャント10の近位端と係合し、シャント10の遠位部分が遠位領域804を越えて延び、左心房内に展開するまで、シース802内で遠位にシャント10を移動させるように、アクチュエータ834を介してシース802内で遠位に前進させられ得る。
【0111】
図8Eに示されるように、デバイス800は、次いで、シャント10の遠位部分が、心房中隔ASに接触するまで、例えば、近位にハンドル830を移動させることによって、近位に移動させられ得る。次に、解放端817は、図8Fに示されるように、回収端819が、プッシャ820の遠位部分に結合されたままである間、結び目接続818を分解し、シャント10から解放結び目818を係合解除するように、解放アクチュエータ836を介して近位に引っ張られ得る。いくつかの実施形態では、解放アクチュエータ836のロック837が、解放アクチュエータ836を作動させることに先立って、その係止構成からその係止解除構成に移行することを要求され得る。図8Gに示されるように、デバイス800は、シャント10の近位部分がシース802から露出され、右心房内に展開するまで、心房中隔ASがシャント10を定位置に維持する間、近位に後退させられ得る。送達デバイス800は、次いで、患者から除去され、埋め込まれたシャント10を残し得る。上で説明されるように、バルーン81は、患者からのデバイス800の除去に先立って、遠位領域804に隣接して再膨張させられ得る。
【0112】
上で説明されるように、シャント10の遠位部分が、例えば、図8Dに示されるような左心房内または別の不適切な場所において展開された後、シース802内でその折り畳まれた送達状態に戻るようにシャント10を移行させ、シャント10を回収することが、望ましくあり得る。故に、図8Hに示されるように、アクチュエータ832が作動させられ、例えば、ハンドル530に沿って近位に移動させられ、それによって、シース802の管腔内で近位にプッシャ820を移動させ得、それは、シャント10の遠位部分が、シース802内でその折り畳まれた送達状態に移行するまで、シース802の管腔内で結び目接続818を介して近位に回収端819およびシャント10を引っ張る。デバイス800は、次いで、図8Iに示されるように、患者から除去され得るか、または、代替として、デバイス800は、図8D-8Gに関して上で説明される送達方法に従って、シャント10が、心房中隔ASに埋め込まれ得るように、心房中隔ASに対して位置変更され得る。
【0113】
本発明の種々の例証的実施形態が、上で説明されるが、種々の変更および修正が、本発明から逸脱することなくその中で行われ得ることが当業者に明白となるであろう。添付される請求項は、本発明の真の範囲内に該当する全てのそのような変更および修正を網羅することを意図している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
【国際調査報告】