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特表2024-540294アルツハイマー病を治療するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】アルツハイマー病を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20241024BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241024BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20241024BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P25/28
C07K16/18 ZNA
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526586
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022048684
(87)【国際公開番号】W WO2023081194
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/275,442
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/277,127
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/309,796
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/343,029
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514198367
【氏名又は名称】バイオジェン・エムエイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Biogen MA Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ニセンバウム, ローラ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ティアンルー
(72)【発明者】
【氏名】ラジャゴビンダン, ラジ
【テーマコード(参考)】
2G045
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA26
2G045DA36
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG03
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
アルツハイマー病を治療することを必要とするヒト対象においてアルツハイマー病を治療するための方法であって、抗ベータアミロイド抗体(例えば、アデュカヌマブ)を対象に投与することを含む、方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、
1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を前記ヒト対象に投与することと、を含む方法であって、前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む前記方法。
【請求項2】
前記ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することが、第1の時点であり、第2の時点で前記ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の時点が、前記ヒト対象が前記抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の時点が、前記ヒト対象が少なくとも1回の用量の前記抗ベータアミロイド抗体を受けた後である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
血漿p-タウの前記レベルを決定するための前記第2の時点が、
(i)少なくとも10回の用量の抗ベータアミロイド抗体が前記ヒト対象に投与された後、
(ii)少なくとも14回の用量の抗ベータアミロイド抗体が前記ヒト対象に投与された後、及び/または
(iii)少なくとも19回の用量の抗ベータアミロイド抗体が前記ヒト対象に投与された後である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の時点が、前記第2の時点の前に生じ、第1の時点での前記血漿p-タウのレベルが、前記第2の時点での前記血漿p-タウのレベルよりも高い場合、前記方法が、前記ヒト対象への前記抗ベータアミロイド抗体の第2の投与をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗ベータアミロイド抗体の前記第2の投与が、第1の投与において前記ヒト対象に投与された前記抗ベータアミロイド抗体の前記用量以上である前記抗ベータアミロイド抗体の用量を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の時点が、前記第2の時点の前に生じ、第1の時点での前記血漿p-タウのレベルが、前記第2の時点での前記血漿p-タウのレベルよりも低い場合、前記方法が、前記ヒト対象への前記抗ベータアミロイド抗体の第2の投与をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗ベータアミロイド抗体の前記第2の投与が、第1の投与において前記ヒト対象に投与された前記抗ベータアミロイド抗体の前記用量以下である前記抗ベータアミロイド抗体の用量を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ヒト対象の血漿中のベースラインp-タウレベルを決定することと、血漿p-タウレベルが基準レベルを超えるヒト対象に、
1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含む、方法であって、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記方法。
【請求項11】
前記対象が、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、治療前の0.5のCDR全体スコア及び0.5以上のメモリボックススコアによって中程度の可能性がある、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、例えば、介護者によって確認されるように、治療前の最後の1年間にわたって、緩やかな発症及びゆっくりとした進行を伴う主観的記憶低下の病歴によって中程度の可能性がある、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、推定アルツハイマー病認知症のNIA-AAコア臨床基準によって、軽度のアルツハイマー病認知症と診断されている、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、治療前の0.5~1.0のCDRスコア及び0.5以上のメモリボックススコアによって、軽度のアルツハイマー病認知症と診断されている、請求項11または12に記載の方法。
【請求項16】
前記抗ベータアミロイド抗体が、静脈内または皮下に投与される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗ベータアミロイド抗体の用量を、
(i)前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体、
(ii)前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体、及び/または
(iii)前記ヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量で投与することを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
ヒト患者の体重1kg当たり3mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔で前記ヒト患者に投与され、前記ヒト患者の体重1kg当たり6mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔で前記ヒト患者に投与され、前記ヒト患者の体重1kg当たり10mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔で前記ヒト患者に投与されることを含む複数回用量レジメンとして、前記抗ベータアミロイド抗体を投与することを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
(a)前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり1mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(b)工程(a)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり1mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(c)工程(b)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(d)工程(c)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(e)工程(d)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(f)工程(e)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(g)工程(f)の後に、4週間の連続した間隔で、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも52週間にわたって4週間ごとに、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量で投与することを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも112週間にわたって4週間ごとに、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で投与することを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体を、複数回用量で前記ヒト対象に投与することを含み、前記複数回用量が、
(a)4週間ごとの、前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の少なくとも2回の用量と、
(b)4週間ごとの、前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の少なくとも30回の用量と、を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記ヒト対象が、治療の過程で、治療の中断を必要とするアミロイド関連イメージング異常(ARIA)を発症しない、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、前記ヒト対象におけるアルツハイマー病(AD)を治療する方法である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、前記ヒト対象における治療応答をモニタリングする方法である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、前記ヒト対象に対する治療計画を決定する方法である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記方法が、前記ヒト対象の認知状態をモニタリングする方法である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、前記抗ベータアミロイド抗体による治療のための患者を選択するための方法である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1回の用量の抗ベータアミロイド抗体を受けたヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、
前記ヒト対象の血漿中の前記p-タウレベルを、基準血漿p-タウレベルと比較することと、を含み、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、方法。
【請求項30】
前記基準血漿p-タウレベルが、抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前の前記ヒト対象の血漿中のp-タウレベルである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記基準血漿p-タウレベルが、複数のヒト対象の血漿中の平均p-タウレベルである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記複数のヒト対象が、
(i)ADの証拠を有しない複数の健康なヒト対象であるか、
(ii)既知のアミロイドプラークのレベルを有する複数のヒト対象であるか、
(iii)既知のタウタングルのレベルを有する複数のヒト対象であるか、または
(iv)所定の認知のレベルを有する複数のヒト対象である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ヒト対象の血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、前記ヒト対象が、認知の悪化の影響を受けやすいと分類される、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記ヒト対象の血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、前記ヒト対象が、アミロイドプラークの増加した数の影響を受けやすいと分類される、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記ヒト対象の血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、前記ヒト対象が、タウタングルの増加した数の影響を受けやすいと分類される、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記ヒト対象の血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、前記ヒト対象に前記抗ベータアミロイド抗体の別の用量を投与することを含む、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記ヒト対象に前記抗ベータアミロイド抗体の別の用量を投与することが、前記ヒト対象によって受けられた前記抗ベータアミロイド抗体の以前の用量以上である前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象に投与することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記抗ベータアミロイド抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記抗ベータアミロイド抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記ヒト対象が、ApoEキャリアである、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記ヒト対象が、ApoE非キャリアである、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記ヒト対象が、
(i)ベースラインで65歳以上であるか、
(ii)ベースラインで65~74歳であるか、または
(iii)75歳以上である、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記血漿p-タウレベルが、血漿p-タウ181またはp-タウ217レベルである、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
請求項1~43のいずれか1項に記載の方法で使用するための、組成物。
【請求項45】
請求項44に記載の組成物と、使用説明書と、を含む、キット。
【請求項46】
ヒト対象におけるアルツハイマー病(AD)を治療するための薬物の製造における抗ベータアミロイド抗体の使用であって、前記治療が、
前記ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、
1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を前記ヒト対象に投与することと、を含み、前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記使用。
【請求項47】
ヒト対象におけるアルツハイマー病(AD)を治療するための薬物の製造における抗ベータアミロイド抗体の使用であって、前記治療が、
ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、血漿p-タウレベルが基準レベルを超えるヒト対象に、
1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含み、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記使用。
【請求項48】
前記対象が、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている、請求項46または47に記載の使用。
【請求項49】
前記アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害が、
(i)治療前の0.5のCDR全体スコア及び0.5以上のメモリボックススコア、
(ii)例えば、介護者によって確認されるように、治療前の最後の1年間にわたって、緩やかな発症及びゆっくりとした進行を伴う主観的記憶低下の病歴、
(iii)推定アルツハイマー病認知症のNIA-AAコア臨床基準、及び/または
(iv)治療前の0.5~1.0のCDRスコア及び0.5以上のメモリボックススコアによって診断される、請求項48に記載の使用。
【請求項50】
前記抗ベータアミロイド抗体が、静脈内または皮下に投与される、請求項46~49のいずれか1項に記載の使用。
【請求項51】
前記抗ベータアミロイド抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項46~50のいずれか1項に記載の使用。
【請求項52】
前記抗ベータアミロイド抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項46~51のいずれか1項に記載の使用。
【請求項53】
前記ヒト対象が、ApoEキャリアである、請求項46~52のいずれか1項に記載の使用。
【請求項54】
前記ヒト対象が、ApoE非キャリアである、請求項46~52のいずれか1項に記載の使用。
【請求項55】
前記ヒト対象が、
(i)ベースラインで65歳以上であるか、
(ii)ベースラインで65~74歳であるか、または
(iii)75歳以上である、請求項46~54のいずれか1項に記載の使用。
【請求項56】
前記血漿p-タウレベルが、血漿p-タウ181またはp-タウ217レベルである、請求項46~55のいずれか1項に記載の使用。
【請求項57】
ヒト対象におけるアルツハイマー病(AD)を治療するための方法で使用するための抗ベータアミロイド抗体であって、前記治療が、
前記ヒト対象からの試料中の血漿p-タウレベルを決定することと、
1回以上の用量の前記抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含み、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記抗ベータアミロイド抗体。
【請求項58】
アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象における治療応答をモニタリングするための方法で使用するための抗ベータアミロイド抗体であって、前記方法が、
前記ヒト対象からの試料中の血漿p-タウレベルを決定することと、
1回以上の用量の前記抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含み、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記抗ベータアミロイド抗体。
【請求項59】
アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象に対する治療計画を決定するための方法で使用するための抗ベータアミロイド抗体であって、前記方法が、
前記ヒト対象からの試料中の血漿p-タウレベルを決定することと、
1回以上の用量の前記抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含み、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記抗ベータアミロイド抗体。
【請求項60】
アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象の認知状態をモニタリングするための方法で使用するための抗ベータアミロイド抗体であって、前記方法が、
前記ヒト対象からの試料中の血漿p-タウレベルを決定することと、
1回以上の用量の前記抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含み、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記抗ベータアミロイド抗体。
【請求項61】
前記血漿p-タウレベルが、第1及び第2の時点で決定される、請求項57~60のいずれか1項に記載の抗ベータアミロイド抗体。
【請求項62】
前記血漿p-タウレベルが、血漿p-タウ181またはp-タウ217レベルである、請求項57~61のいずれか1項に記載の抗ベータアミロイド抗体。
【請求項63】
方法で使用するための抗ベータアミロイド抗体を含む投与レジメンとして製剤化された薬物であって、前記投与レジメンが、複数回用量の抗ベータアミロイド抗体を含み、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルが、第1の時点及び第2の時点で決定されており、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記薬物。
【請求項64】
前記方法が、
(i)アルツハイマー病(AD)を治療する方法、
(ii)アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象における治療応答をモニタリングする方法、
(iii)アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象に対する治療計画を決定する方法、
(iv)アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象の認知状態をモニタリングする方法、及び/または
(v)前記抗ベータアミロイド抗体による治療のためにアルツハイマー病患者を選択する方法、である、請求項63に記載の薬物。
【請求項65】
前記血漿p-タウレベルが、血漿p-タウ181またはp-タウ217レベルである、請求項63または64に記載の薬物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、アルツハイマー病を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、認知障害、行動障害、精神症状、及び日常生活の活動における障害を臨床的に特徴とする進行性神経変性障害である。これらの臨床症状は、AD認知症を構成する。
【0003】
AD Internationalは、世界の認知症患者数が現在の4700万人から2050年までに1億3100万人に増加すると推定している。認知症の最も一般的な原因であるADは、認知症症例の60~80%を占める。米国では、520万人のアメリカ人がADによって引き起こされる認知症に苦しんでいると推定されており、効果的な治療法が見つからない限り、2050年までに有病率は2倍または3倍になると推定されている。
【0004】
したがって、アルツハイマー病患者を治療する方法の継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、とりわけ、抗ベータアミロイド抗体を投与することを含む、アルツハイマー病を治療する方法を記載する。本開示は、抗ベータアミロイド抗体、例えば、アデュカヌマブで治療されている対象における、例えば、血漿p-タウレベル、アミロイドベータプラークレベル、及びアルツハイマー病の臨床的進行との間に相関があるという認識を包含する。したがって、本開示は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを使用して、抗ベータアミロイド抗体による治療を評価及び/または調整することができるという洞察を提供する。
【0006】
さらに、本開示は、血漿p-タウレベルが、抗ベータアミロイド抗体、例えば、アデュカヌマブによる治療からの改善された利益を経験し得るサブグループを識別するのに有用であり得るという認識を提供する。したがって、本開示は、血漿p-タウレベルが、抗ベータアミロイド抗体、例えば、アデュカヌマブによる治療のための患者を識別及び/または選択するのに有用であり得るという洞察を提供する。本開示はまた、血漿p-タウレベルが、抗ベータアミロイド抗体、例えば、アデュカヌマブによる治療を受ける対象をモニタリングする、及び/またはそのような対象が、抗ベータアミロイド抗体、例えば、アデュカヌマブを含む治療を継続して受けるべきかどうかを決定するのに有用であり得るということを提供する。
【0007】
血漿p-タウ測定は、侵襲的、痛みを伴う、及び時間がかかる可能性がある、存在している技法を上回る利益を提供することができる。対象(例えば、患者)及び医師が、対象が抗ベータアミロイド抗体、例えば、アデュカヌマブによる治療にどのように応答しているかに関する情報にアクセスできるようにすることで、本明細書に記載される技術は、対象の転帰を改善し、かつ既に困難な徴候及び症状を経験しており、治療中の過失を起こしやすい場合がある対象集団の対象コンプライアンスを高めることができる。
【0008】
さらに、本開示は、対象における血漿p-タウレベルが、アデュカヌマブ治療との用量依存性及び時間依存性の相関を示すという洞察を提供する。これらの相関は、対象及び医師に、アデュカヌマブの投与が対象におけるアルツハイマー病の治療に有効であるかどうかを決定する有意義な方法を提供する。例えば、対象の血漿中の血漿p-タウレベルは、有害事象(例えば、ARIA)を最小限に抑えながら、対象のアルツハイマー病を治療する結果をもたらすアデュカヌマブ治療レジメンを決定するのに有用であり得る。
【0009】
さらに、本開示は、血漿p-タウレベルが、ある特定の評価及び/またはモニタリングを実施するのに十分であり得ることを証明する。したがって、本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、方法は、他のバイオマーカーの評価及び/またはモニタリングを含まず、例えば、本明細書に記載される方法は、CSF p-タウレベル、アミロイドプラーク、またはαβ42/40比の評価及び/またはモニタリングを含まない場合がある。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示は、血漿p-タウのベースラインレベルが、アデュカヌマブ治療応答と相関し得ることを示唆する証拠を提供する。本開示は、ベースラインでより高い血漿p-タウレベルを有する患者(例えば、ベースライン血漿p-タウレベルの第4の四分位にある患者)が、アデュカヌマブ治療に対する改善された応答を示すことを実証する。本開示は、血漿p-タウのベースラインレベルが、アデュカヌマブの投与が対象におけるアルツハイマー病の治療に有効であるかどうかを決定するのに有用であり得るという認識を包含する。したがって、いくつかの実施形態では、血漿p-タウのベースラインレベルを使用して、アデュカヌマブによる治療のための患者または患者集団を選択することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、血漿p-タウのベースラインレベルを測定することを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、(i)ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、(ii)1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体をヒト対象に投与することと、を含む方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、ヒト対象が抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前に決定される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の時点でヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することをさらに含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、p-タウレベルを決定するための第1の時点は、ヒト対象が抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前である。いくつかの実施形態では、p-タウレベルを決定するための第2の時点は、ヒト対象が抗ベータアミロイド抗体の少なくとも1回の用量を受けた後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも10回の用量がヒト対象に投与された後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも14回の用量がヒト対象に投与された後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも19回の用量がヒト対象に投与された後である。
【0013】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、周期的に、例えば、56週間、78週間、104週間、128週間、134週間、またはそれ以上の期間にわたって、4週間ごとに抗ベータアミロイド抗体を投与される。
【0014】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、第1及び第2の時点で決定され、第1の時点は、第2の時点の前に生じ、第1の時点での血漿p-タウのレベルが、第2の時点での血漿p-タウのレベルよりも高い場合、方法は、ヒト対象への抗ベータアミロイド抗体の第2またはその後の投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体の第2またはその後の投与は、第1の投与においてヒト対象に投与された抗ベータアミロイド抗体の用量以上である抗ベータアミロイド抗体の用量を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、第1の時点及び第2の時点で決定され、第1の時点は、第2の時点の前に生じ、第1の時点での血漿p-タウのレベルが、第2の時点での血漿p-タウのレベルよりも低い場合、方法は、ヒト対象への抗ベータアミロイド抗体の第2またはその後の投与をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体の第2またはその後の投与は、第1の投与においてヒト対象に投与される抗ベータアミロイド抗体の用量以下である抗ベータアミロイド抗体の用量を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、第1及び第2の時点で決定され、第1の時点はベースラインまたは基準測定値であり、第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の1回以上の投与後に発生する。いくつかの実施形態では、第1の時点は、抗ベータアミロイド抗体を投与する前に生じる時点でのベースラインである。いくつかの実施形態では、第1の時点での血漿中のp-タウレベルは、調整されているベースラインである。いくつかの実施形態では、第1の時点での血漿中のp-タウレベルは、調整されていないベースラインである。いくつかの実施形態では、第2の時点での血漿中のp-タウレベルは、第1の時点(例えば、ベースライン)と比較して、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、または少なくとも15%減少している。いくつかの実施形態では、第2の時点での血漿中のp-タウレベルは、第1の時点(例えば、ベースライン)と比較して少なくとも10%減少している。
【0017】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルが、血漿中のp-タウの基準測定値と比較される。いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウの基準測定値は、例えば、健康なヒト対象、または治療を受けていないADと診断されたヒト対象からのものである。
【0018】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを、プラセボを投与された被験者のp-タウの基準レベルと比較する。いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、同じ時点でのプラセボ群の患者のp-タウレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも24%、または少なくとも25%減少している。
【0019】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、同じ時点でのプラセボ群の患者のベースラインからの調整された平均変化と比較して減少している、ベースラインからの調整された平均変化を有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、同じ時点でのプラセボ群の患者のベースラインからの調整された平均変化と比較して、少なくとも-0.2、-0.25、-0.3、-0.35、-0.4、-0.45、-0.5、-0.55、-0.6、-0.65、-0.7、-0.75、-0.8、-0.85、-0.9、-0.95減少している、ベースラインからの調整された平均変化を有する。いくつかの実施形態では、時点は、56週間、78週間、104週間、128週間、134週間、またはそれ以上の期間の後である。
【0020】
いくつかの実施形態では、56週間の投与後、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、同じ時点でのプラセボ群の患者のベースラインからの調整された平均変化と比較して、-0.1~-0.6の範囲内で減少している、ベースラインからの調整された平均変化を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、78週間の投与後、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、同じ時点でのプラセボ群の患者のベースラインからの調整された平均変化と比較して、-0.2~-0.7の範囲内で減少した、ベースラインからの調整された平均変化を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示は、(i)ベースラインでのヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、血漿p-タウレベルが基準レベルを上回る対象に、(ii)1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含む方法を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウレベルは、Y18、S46、T50、S69、T71、S113、T123、T153、T175、T181、S184、S85、S191、Y197、S198、S199、S202、T205、S208、S210、T212、S214、T217、T231、S235、S237、S238、S258、S262、S289、S356、Y397、S400、T403、S404、S409、S412、S413、T414/S416、S422、T427、S433、及びS435から選択される1つ以上の部位でのリン酸化反応を有するタウを含む。いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウレベルはp-タウ181及び/またはp-タウ217を含む。いくつかの実施形態では、p-タウレベルは、血漿p-タウ181レベルである。
【0024】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、アルツハイマー病、ダウン症候群、軽度の認知障害、脳アミロイド血管症、血管性認知症、及び/または多発性梗塞性認知症などのベータアミロイドの蓄積及び沈着に関連する疾患を有するか、または有する疑いがある。
【0025】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、治療前の0.5のCDR全体スコア及び0.5以上のメモリボックススコアによって中程度の可能性がある、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、介護者によって確認されるように、治療前の最後の1年間にわたって、緩やかな発症及びゆっくりとした進行を伴う主観的記憶低下の病歴によって中程度の可能性がある、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、推定アルツハイマー病認知症のNIA-AAコア臨床基準によって軽度のアルツハイマー病認知症と診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、治療前の0.5~1.0のCDRスコア及び0.5以上のメモリボックススコアによって軽度のアルツハイマー病認知症と診断されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、ヒト対象に投与される1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体は、アデュカヌマブ、レカネマブ、ガンテネルマブ、ドナネマブ、LY3002813、バピネウズマブ、クレネズマブ、MEDI-1814、及びソラネズマブから選択される1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体は、アデュカヌマブである。
【0028】
いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体を投与することは、静脈内投与によるものである。いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体を投与することは、皮下投与によるものである。
【0029】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、抗ベータアミロイド抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、抗ベータアミロイド抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、抗ベータアミロイド抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量で投与することを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト患者の体重1kg当たり1mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔でヒト患者に投与され、ヒト患者の体重1kg当たり3mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔でヒト患者に投与され、ヒト患者の体重1kg当たり6mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔でヒト患者に投与され、ヒト患者の体重1kg当たり10mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔でヒト患者に投与されることを含む複数回用量レジメンとして、抗ベータアミロイド抗体を投与することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、(a)抗ベータアミロイド抗体の用量を、ヒト対象の体重1kg当たり1mgの抗体の量でヒト対象に投与することと、(b)工程(a)の4週間後に、抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり1mgの抗体の量でヒト対象に投与することと、(c)工程(b)の4週間後に、抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の量でヒト対象に投与することと、(d)工程(c)の4週間後に、抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の量でヒト対象に投与することと、(e)工程(d)の4週間後に、抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量でヒト対象に投与することと、(f)工程(e)の4週間後に、抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量でヒト対象に投与することと、(g)工程(f)の後に、4週間の連続した間隔で、抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量でヒト対象に投与することと、を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり少なくとも150mgの抗体の累積用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり少なくとも200mgの抗体の累積用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、少なくとも52週間にわたって4週間ごとに、抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、少なくとも112週間にわたって4週間ごとに、抗体の用量をヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、抗体をヒト対象に複数回用量で投与することを含み、複数回用量は、(a)4週間ごとに、ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の少なくとも2回の用量と、(b)4週間ごとに、ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の少なくとも30回の用量と、を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ApoEキャリアである。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ダウン症候群を有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、65歳以上である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、65~74歳である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、75歳以上である。
【0034】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、65~74歳であり、当該ヒト対象は、第1のベースライン時点と比較して、少なくとも5%~少なくとも20%減少している、第2の時点での血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、65~74歳であり、当該対象は、第1のベースライン時点と比較して、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、または少なくとも15%減少している、第2の時点での血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、65~74歳であり、当該対象は、同じ時点でのプラセボ群の患者と比較して、少なくとも10%~少なくとも30%減少している血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、65~74歳であり、当該対象は、同じ時点でのプラセボ群の患者と比較して、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、または少なくとも25%減少している血漿p-タウレベルを有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、同じ時点でのプラセボ群の患者のベースラインからの調整された平均変化と比較して、少なくとも-0.2、-0.25、-0.3、-0.35、-0.4、-0.45、-0.5、-0.55、-0.6、-0.65、-0.7、-0.75、-0.8、-0.85、-0.9、-0.95減少している、ベースラインからの調整された平均変化を有する。いくつかの実施形態では、時点は、56週間、78週間、104週間、128週間、134週間、またはそれ以上の期間の後である。
【0036】
いくつかの実施形態では、56週間の投与後、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、同じ時点でのプラセボ群の患者のベースラインからの調整された平均変化と比較して、-0.1~-0.6の範囲内で減少している、ベースラインからの調整された平均変化を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、78週間の投与後、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、同じ時点でのプラセボ群の患者のベースラインからの調整された平均変化と比較して、-0.2~-0.7の範囲内で減少している、ベースラインからの調整された平均変化を有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、75歳以上であり、当該対象は、第1のベースライン時点と比較して、少なくとも5%~少なくとも25%減少している、第2の時点での血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、75歳以上であり、当該対象は、第1のベースライン時点と比較して、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、または少なくとも20%減少している、第2の時点での血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、75歳以上であり、当該対象は、同じ時点でのプラセボ群の患者と比較して、少なくとも20%~少なくとも40%減少している血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、75歳以上であり、当該対象は、同じ時点でのプラセボ群の患者と比較して、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、または少なくとも35%減少している血漿p-タウレベルを有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ApoE非キャリアであり、当該対象は、第1のベースライン時点と比較して、少なくとも5%~少なくとも25%減少している、第2の時点での血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ApoE非キャリアであり、当該対象は、第1のベースライン時点と比較して、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、または少なくとも20%減少している、第2の時点での血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ApoE非キャリアであり、当該対象は、同じ時点でのプラセボ群の患者と比較して、少なくとも10%~少なくとも40%減少している血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ApoE非キャリアであり、当該対象は、同じ時点でのプラセボ群の患者と比較して、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、または少なくとも35%減少している血漿p-タウレベルを有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ApoEキャリアであり、当該対象は、第1のベースライン時点と比較して、少なくとも5%~少なくとも20%減少している、第2の時点での血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ApoEキャリアであり、当該対象は、第1のベースライン時点と比較して、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、または少なくとも15%減少している、第2の時点での血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ApoEキャリアであり、当該対象は、同じ時点でプラセボ群の患者と比較して、少なくとも10%~少なくとも30%減少している血漿p-タウレベルを有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ApoEキャリアであり、当該対象は、同じ時点でプラセボ群の患者と比較して、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、または少なくとも25%減少している血漿p-タウレベルを有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、治療の過程で、治療の中断を必要とするアミロイド関連イメージング異常(ARIA)を発症しない。
【0042】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象におけるアルツハイマー病(AD)を治療する方法を含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象における治療応答をモニタリングする方法を含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象に対する治療計画を決定する方法を含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象の認知状態をモニタリングする方法を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象における抗ベータアミロイド抗体の有効性を特徴付けるか、または評価する方法を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、本開示は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも1回の用量を受けたヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、決定された血漿p-タウレベルに基づいて、ヒト対象に投与される用量の抗ベータアミロイド抗体の量を調整することと、を含む方法を提供する。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、抗ベータアミロイド抗体による治療のための患者を選択するための方法を提供する。
【0046】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、ヒト対象に投与される抗ベータアミロイド抗体の投与量を決定する方法を提供する。
【0047】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、認知支援サービスのために抗ベータアミロイド抗体を受ける患者を選択するための方法を提供する。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも1回の用量を受けたヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを、基準血漿p-タウレベルと比較することを含む。いくつかの実施形態では、基準血漿p-タウレベルは、抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前のヒト対象の血漿中のp-タウレベルである。いくつかの実施形態では、基準血漿p-タウレベルは、複数のヒト対象の血漿中の平均p-タウレベルである。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数のヒト対象は、ADの証拠を有しない複数の健康なヒト対象である。いくつかの実施形態では、複数のヒト対象は、既知のアミロイドプラークのレベルを有する複数のヒト対象である。いくつかの実施形態では、複数のヒト対象は、既知のタウタングルのレベルを有する複数のヒト対象である。いくつかの実施形態では、複数のヒト対象は、所定の認知のレベルを有する複数のヒト対象である。
【0050】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、ヒト対象は、認知の悪化の影響を受けやすいと分類される。いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、ヒト対象は、アミロイドプラークの増加した数の影響を受けやすいと分類される。いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、ヒト対象は、タウタングルの増加した数の影響を受けやすいと分類される。
【0051】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、抗ベータアミロイド抗体の別の用量をヒト対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体の別の用量をヒト対象に投与することは、ヒト対象によって受けられた抗ベータアミロイド抗体の以前の用量以上である抗ベータアミロイド抗体の用量をヒト対象に投与することを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウレベルは、Y18、S46、T50、S69、T71、S113、T123、T153、T175、T181、S184、S85、S191、Y197、S198、S199、S202、T205、S208、S210、T212、S214、T217、T231、S235、S237、S238、S258、S262、S289、S356、Y397、S400、T403、S404、S409、S412、S413、T414/S416、S422、T427、S433、及びS435から選択される1つ以上の部位でのリン酸化反応を有するタウを含む。いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウレベルはp-タウ181及び/またはp-タウ217を含む。いくつかの実施形態では、p-タウレベルは、血漿p-タウ181レベルである。
【0053】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ApoEキャリアである。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ダウン症候群を有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、65歳以上である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、65~74歳である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、75歳以上である。
【0054】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト対象への投与のための抗ベータアミロイド抗体を含む組成物と、使用説明書と、を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、説明書は、1つ以上の特徴を有するヒト対象への投与を指示する。
【0055】
いくつかの実施形態では、説明書は、ダウン症候群を有するヒト対象への投与を指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、65歳以上であるヒト対象への投与を指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、65~74歳であるヒト対象への投与を指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、75歳以上であるヒト対象への投与を指示する。
【0056】
いくつかの実施形態では、指示は、血漿p-タウレベルが基準レベルまたは閾値レベルを超えているヒト対象への投与を指示する。いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウレベルはp-タウ181及び/またはp-タウ217を含む。いくつかの実施形態では、p-タウレベルは、血漿p-タウ181レベルである。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示に従って使用するためのキットには、試料の処理、試料のテストの実行、結果の解釈などの指示が含まれる場合がある。
【0058】
いくつかの実施形態では、指示は、第1及び第2の時点でヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定するためのものである。いくつかの実施形態では、p-タウレベルを決定するための第1の時点は、ヒト対象が抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前である。いくつかの実施形態では、p-タウレベルを決定するための第2の時点は、ヒト対象が抗ベータアミロイド抗体の少なくとも1回の用量を受けた後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも10回の用量がヒト対象に投与された後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも14回の用量がヒト対象に投与された後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも19回の用量がヒト対象に投与された後である。
【0059】
いくつかの実施形態では、指示は、第1の時点と第2の時点との間の血漿p-タウレベルの変化が基準レベルまたは閾値レベルを満たすか、またはそれを上回ったヒト対象への継続的な投与を指示する。いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウレベルはp-タウ181及び/またはp-タウ217を含む。いくつかの実施形態では、p-タウレベルは、血漿p-タウ181レベルである。
【0060】
本開示に提供されるこれら及び他の特色及び利点は、添付の特許請求の範囲と併せて以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。特許請求の範囲は、本説明に記載されている特色及び利点の具体的な議論によってではなく、該特許請求の範囲における記述によって定義されることに留意されたい。
【0061】
以下の図で構成される、本明細書に含まれる図面は、単に例示目的であり、限定するためではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】例えば、アデュカヌマブなどの例示的な抗Aベータ(Aβ)抗体を投与するための研究デザインの概略図を示す。
図2】研究1の18F-フロルベタピルアミロイドPET分析集団のMMRMによるAβ PET複合体標準取り込み値比(SUVR)におけるベースラインからの変化を示す。***プラセボと比較してp<0.0001(公称値)。
図3】研究2の18F-フロルベタピルAβ PET分析集団のMMRMによるAβ PET複合体SUVRにおけるベースラインからの変化を示す。***プラセボと比較してp<0.0001(公称値)。
図4】研究1の集団の血漿p-タウ181レベルの調整された平均変化を示す。
図5】研究2の集団の血漿p-タウ181レベルの調整された平均変化を示す。
図6】78週目での研究1の集団について、ベースラインの血漿p-タウ181対ベースラインのフロルベタピルアミロイドPET複合体SUVR(参照領域=小脳)からの変化の散布図を示す。丸はプラセボを受けた対象を表し、四角は「低用量」の例示的な抗Aβ抗体治療を受けた対象を表し、三角形は「高用量」の例示的な抗Aβ抗体治療を受けた対象を表す。
図7】78週目での研究2の集団について、ベースラインの血漿p-タウ181対ベースラインのフロルベタピルアミロイドPET複合体SUVR(参照領域=小脳)からの変化の散布図を示す。丸はプラセボを受けた対象を表し、四角は「低用量」の例示的な抗Aβ抗体治療を受けた対象を表し、三角形は「高用量」の例示的な抗Aβ抗体治療を受けた対象を表す。
図8A】研究1からの患者の集団について、ベースラインのフロルベタピルアミロイドPET複合体SUVRが1.10超(白抜きの丸、破線)であった対象、及びベースラインのフロルベタピルアミロイドPET複合体SUVRが1.10以下(塗りつぶしの丸、実線)であった対象における、ベースラインの血漿p-タウ181からの変化を示す。
図8B】研究2からの患者の集団について、ベースラインのフロルベタピルアミロイドPET複合体SUVRが1.10超(白抜きの丸、破線)であった対象、及びベースラインのフロルベタピルアミロイドPET複合体SUVRが1.10以下(塗りつぶしの丸、実線)であった対象における、ベースラインの血漿p-タウ181からの変化を示す。
図9】「低用量」の例示的な抗Aβ抗体治療を受ける対象についての血漿p-タウ181サブグループ分析のフォレストプロットを示す。
図10】「高用量」の例示的な抗Aβ抗体治療を受ける対象についての血漿p-タウ181サブグループ分析のフォレストプロットを示す。
図11】「高用量」の例示的な抗Aβ抗体治療を受ける対象についての、ベースラインのアミロイドPET SUVRに基づく、血漿p-タウ181サブグループ分析のフォレストプロットを示す。
図12】「低用量」の例示的な抗Aβ抗体治療を受ける対象についての、ベースラインのアミロイドPET SUVRに基づく、血漿p-タウ181サブグループ分析のフォレストプロットを示す。
図13】「高用量」の例示的な抗Aβ抗体治療を受ける対象についての、ベースラインの血漿p-タウ181に基づく、血漿p-タウ181サブグループ分析のフォレストプロットを示す。
図14】「低用量」の例示的な抗Aβ抗体治療を受ける対象についての、ベースラインの血漿p-タウ181に基づく、血漿p-タウ181サブグループ分析のフォレストプロットを示す。
図15】プラセボを対照とし、長期延長期間にわたる研究1の対象についての、経時的な、ベースラインからの血漿p-タウ181の調整された平均変化のラインプロットを示す。
図16】プラセボを対照とし、長期延長期間にわたる研究2の対象についての、経時的な、ベースラインからの血漿p-タウ181の調整された平均変化のラインプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
アデュカヌマブは、Aβ凝集体を標的とするヒトモノクローナル抗体である。2021年6月、U.S.Food and Drug Administration(FDA)は、脳内のアミロイドベータプラークを減少させることによって疾患の特徴的な病変に対処する最初で唯一のアルツハイマー病治療として、ADUHELM(商標)(アデュカヌマブ-avwa)の迅速な承認を与えた。ADUHELMの有効性は、アミロイドの病変の存在が確認されたアルツハイマー病の初期段階(軽度の認知障害及び軽度の認知症)の患者における2つの第3相臨床試験、EMERGE(研究1)及びENGAGE(研究2)で評価された。ADUHELMの効果は、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、用量設定第1b相試験、PRIME(研究3)においても評価された。これらの研究では、ADUHELMは、一貫して、アミロイドベータプラークの低下に対して用量及び時間依存的な効果を示した(ENGAGEで59パーセント[p<0.0001]、EMERGEで71パーセント[p<0.0001]、PRIMEで61パーセント[p<0.0001])。EMERGE及びENGAGEの第3相アデュカヌマブ試験からのデータを使用して、本開示は、早期アルツハイマー病を有する1815人の患者からの約7,000個の血漿試料中の血漿p-タウ181に対する、アデュカヌマブ治療の効果の調査を記載する。
【0064】
特定の定義
本開示に従って利用される場合、別段示されない限り、以下の用語は、以下の意味を有すると理解されるものとする。別段文脈によって要求されない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
【0065】
さらに、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上、そうではないという指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、本明細書に記載され、及び/または本開示を読むと当業者に明らかになるであろう1つ以上の方法、及び/またはその種類の工程を含む。
【0066】
「約」または「およそ」という用語は、値の意味のある範囲内にあることを含む。「約」または「およそ」という用語によって包含される許容される変形は、研究中の特定のシステムに依存し、当業者によって容易に理解され得る。
【0067】
本明細書で使用される場合、「投与する」または「投与」という用語は、典型的には、対象に組成物(例えば、本明細書に記載される抗Aβ抗体を含む)を投与して、組成物であるか、または組成物に含まれる薬剤を、標的部位または治療される部位に送達することを指す。当業者は、適切な状況において、対象、例えば、ヒト対象への投与のために利用され得る様々な経路を認識するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、投与は、非経口であり得る。いくつかの実施形態では、投与は、単回用量または複数回用量を伴い得る。いくつかの実施形態では、投与は、固定数の用量の適用を伴い得る。いくつかの実施形態では、投与は、断続的(例えば、時間的に分離された複数の用量)及び/または周期的(例えば、共通の期間によって分離された個々の用量)投与である投与を伴い得る。
【0068】
本明細書で使用される「決定すること」という用語は、例えば、本明細書で明示的に言及される特定の技法を含む、当業者に利用可能な様々な技法のうちのいずれかの使用を利用するか、またはそれを通じて達成することができる。いくつかの実施形態では、決定することは、物理的な試料の操作を伴う。いくつかの実施形態では、決定することは、データまたは情報の考察及び/または操作を伴う。いくつかの実施形態では、決定することは、供給源からの関連する情報及び/または材料を入手することを伴う。いくつかの実施形態では、決定することは、試料または実体の1つ以上の特色を比較可能な参照と比較することを伴う。
【0069】
本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加する」、「阻害する」、「減少する」という用語、またはそれらの文法的同等物は、ベースラインまたは他の基準測定値に対する値を示す。いくつかの実施形態では、適切な基準測定値は、特定の薬剤もしくは治療の存在なし(例えば、その前及び/または後に)、または適切な比較可能な参照薬剤の存在下での他の点では比較可能な条件下での特定のシステム(例えば、単一の個体)における測定であってもよいか、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、適切な基準測定値は、関連する薬剤または治療法の存在下で、特定の方法で応答することが既知であるか、または予想される比較可能なシステムにおける測定値であってもよいか、またはそれを含み得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、または「治療すること」という用語は、疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状または特色を、部分的にまたは完全に緩和する、改善する、軽減する、阻害する、予防する、発症を遅らせる、重症度を低下させる、及び/または発生を減少させるために使用される任意の方法を指す。治療は、疾患、障害、及び/または状態の徴候を呈さない対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、治療は、例えば、疾患、障害、及び/または状態と関連する病変を発症するリスクを低減する目的で、疾患、障害、及び/または状態の初期徴候のみを呈する対象に投与され得る。
【0071】
アルツハイマー病
本開示は、本明細書でADと略されるアルツハイマー病を有するか、または有する疑いのある患者を治療するための方法を提供する。ADは、主に臨床診断によって識別され、疾患のある特定のマーカーによって確立される認知症である。
【0072】
ADは、疾患進行のある特定の操作上定義された段階を有する連続体である。ADの病変は、臨床症状の発症前に開始する。例えば、ADの病変の1つのマーカーであるアミロイドプラークは、AD認知症の発症の10~20年前に形成される。現在認識されているADの段階は、前臨床、前駆性、軽度、中等度、及び重度を含む。これらの段階は、症状の重症度及びAD進行の尺度に基づいてサブカテゴリにさらに分割され得る。
【0073】
ADは、別個の段階では発生しないため、当業者は、患者群間の違いが特定の臨床環境では明確でない場合があることを認識するであろう。それにもかかわらず、臨床疾患段階は、Aβ蓄積(CSF/PET)、シナプス機能障害(FDG-PET/fMRI)、タウ媒介性神経損傷(CSF)、脳構造(容積MRI)、認知、及び臨床機能などの測定、及び経時的なこれらの測定の変化によって特徴付けることができる。(Jack CR,et al.Hypothetical model of dynamic biomarkers of the Alzheimer’s pathological cascade.Lancet Neurol.,2010;9(1):119-28)。
【0074】
NINCDS-ADRDA基準(McKhann GM,V.diagnosis of dementia due to Alzheimer’s disease:Recommendations from the National Inst.on Aging-Alzheimer’s Association workgroups on diagnostic guidelines for Alzheimer’s disease.Alzheimer’s & Dementia,7(2011)263-269)と称される、全ての認知量に対する現在のコア臨床基準は、当該技術分野で既知であり、本発明を実施する際に使用することができる。これには、新しい情報を取得し、記憶する能力の障害、複雑なタスクの推論及び処理の障害、視空間能力の障害、言語機能(話す、読む、書く)の障害、性格、行動、または態度の変化を伴う認知障害または行動障害が含まれる。アルツハイマー病は、現在、コア基準を使用して診断されており、典型的には、数時間または数日にわたって突然ではなく、数ヶ月から数年にわたって緩やかな発症を有する症状(潜行性の発症)によって特徴付けられる。通常、アルツハイマー病の対象には、報告または観察による認知の悪化の明確な病歴がある。
【0075】
他の診断分類システムは、ADに関する新しい情報が利用可能になるにつれて進化してきた。これらのシステムには、ADの診断のための国際ワーキンググループ(IWG)の新しい研究基準(Dubois B et al.,Lancet Neurol.,2007;6(8):734-736)、IWG研究基準(Dubois et al.,Lancet Neurol.,2010;9(11):1118-27)、NIA/AA基準(Jack CR et al.Alzheimer’s Dement.,2011;7(3):257-62)、及びDSM-5基準(American Psychiatric Association,DSM-5,2013)が含まれる。これらの分類システムはまた、本開示の方法に従って、治療のためのAD対象を診断する際に用いることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、アルツハイマー病は、軽度のアルツハイマー病、早期アルツハイマー病、前駆性アルツハイマー病、軽度のアルツハイマー病認知症、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害、中間期アルツハイマー病、または後期アルツハイマー病である。
【0077】
患者
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、抗ベータアミロイド抗体による治療から利益を得ることができる任意のヒト対象を含む。いくつかの実施形態では、患者は、アルツハイマー病、ダウン症候群、軽度の認知障害、脳アミロイド血管症、血管性認知症、及び/または多発性梗塞性認知症などのベータアミロイドの蓄積及び沈着に関連する疾患を有するか、または有する疑いがある。
【0078】
いくつかの実施形態では、患者は、アルツハイマー病の診断、予後、予防、または療法が望まれる患者であり、治療を必要とするヒト対象を含む。治療を必要とする患者としては、ADを既に有する患者、ならびにADを有する傾向にある患者、またはADの兆候を予防されるべき患者が挙げられる。典型的な患者は、40~90歳(例えば、45~90、50~90、55~90、60~90)の男性または女性であるであろう。いくつかの実施形態では、患者は、65歳以上である。いくつかの実施形態では、患者は、65~74歳である。いくつかの実施形態では、患者は、75歳以上である。
【0079】
いくつかの実施形態では、本開示は、ADを有する患者(前臨床、前駆性、軽度、中等度、または重度のADを有する患者を含むが、これらに限定されない)を治療する方法を提供する。ある特定の事例では、本開示は、前駆性アルツハイマー病を有する患者を治療する方法を提供する。いくつかの場合では、本開示は、早期アルツハイマー病を有する患者を治療する方法を提供する。いくつかの場合では、本開示は、アルツハイマー病の臨床的衰退を減少させるために患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、アルツハイマー病を有する患者はまた、ダウン症候群を有する。
【0080】
いくつかの事例では、本開示は、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害を有する患者を治療する方法を提供する。他の場合では、本開示は、軽度のアルツハイマー病認知症を有する患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、患者は、例えば、ポジトロン放出断層撮影(PET)イメージングによって確認されるアミロイドの病変を有する。いくつかの場合では、アミロイドβの病変は、[18F]-フロルベタピルPETイメージングによって確認される。いくつかの場合では、アミロイドβの病変は、[18F]-フルテメトモールPETイメージングによって確認される。いくつかの場合では、アミロイドβの病変は、[18F]-フロルベタベンPETイメージングによって確認される。いくつかの場合では、アミロイドβの病変は、CSFアミロイドβ分析によって確認される。いくつかの場合では、アミロイドβの病変は、血液アミロイドβ分析によって確認される。いくつかの場合では、アミロイドβの病変は、コンゴ赤染色及び偏光顕微鏡下での複屈折によって確認される。いくつかの場合では、アミロイドβの病変は、免疫組織化学(IHC)、電子顕微鏡、または質量分析によって確認される。いくつかの場合では、アミロイドβの病変は、アミロイドβのレベルを評価する任意の方法によって確認される。
【0081】
いくつかの事例では、本開示は、ベータアミロイド沈着物の蓄積を有するか、または有することが疑われるダウン症候群を有する患者を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、ダウン症候群を有する患者は、確認されたアミロイドの病変を有する。いくつかの実施形態では、ダウン症候群を有する患者は、ADと診断されている。
【0082】
ある特定の事例では、治療される患者は、24~30(境界値を含む)のミニメンタルステート検査(MMSE)スコアを有する。いくつかの事例では、治療される患者は、0.5のCDR全体スコアを有する。いくつかの事例では、治療される患者は、85以下のRBANSスコアを有する(遅延記憶指数スコアに基づく)。いくつかの事例では、治療される患者は、少なくとも6年の職務経験を有する。いくつかの場合では、治療される患者は、24~30(境界値を含む)のMMSEスコア、0.5のCDR全体スコア、及び85以下のRBANSスコア(遅延記憶指数スコアに基づく)を有する。ある特定の事例では、患者は、ApoEキャリア(例えば、ApoE4陽性)である。ある特定の事例では、患者は、ApoE非キャリア(例えば、ApoE4陰性)である。
【0083】
いくつかの実施形態では、治療される患者は、約10~20のMMSEスコア、または他のスケールでの同等のスコアを特徴とする、中期アルツハイマー病を有する。いくつかの実施形態では、後期アルツハイマー病は、約9以下のMMSEスコア、または他のスケールでの同等のスコアを特徴とする。
【0084】
いくつかの実施形態では、患者は、p-タウタングル、p-タウスレッド、及び/またはp-タウ神経炎プラークを有する。いくつかの実施形態では、患者は、新皮質p-タウタングル、新皮質p-タウスレッド、及び/または新皮質p-タウ神経炎プラークを有する。いくつかの実施形態では、p-タウタングル、p-タウスレッド、及び/またはp-タウ神経炎プラークは、ヒト対象の脳の陽電子放出断層撮影(PET)スキャンによって患者において検出される。いくつかの実施形態では、p-タウタングル、p-タウスレッド、及び/またはp-タウ神経炎プラークは、ヒト対象のCSF及び/または血漿中のp-タウ及び/またはt-タウの量の分析によって患者において検出される。
【0085】
治療を必要とするAD患者は、アミロイドの病変及び早期神経変性を有する対象から、進行性認知及び機能障害を伴う広範囲の神経変性及び不可逆的な神経損失を有する対象、認知症を有する対象に及ぶ。
【0086】
前臨床ADを有する患者は、記憶愁訴を伴うか、または伴わない無症候性段階、ならびに新たに出現したエピソード記憶及び遂行機能障害によって識別され得る。この段階は、典型的には、ADのインビボ分子バイオマーカーの出現及び臨床症状の不在を特徴とする。
【0087】
前駆性AD患者は、主に認知障害、及び疾患進行を伴う新たに出現した機能障害を特徴とする認知症前段階である。前駆性AD患者は、典型的には、24~30(境界値を含む)のミニメンタルステート検査(MMSE)スコア、自発的記憶愁訴、自由及び手がかり選択想起試験(FCSRT)で27未満の自由回想スコアとして定義される客観的記憶喪失、0.5の全体臨床的認知症尺度(CDR)スコア、他の認知領域における著しいレベルの障害の不在、及び本質的に維持された日常生活活動、ならびに認知症の不在を有する。
【0088】
軽度のADを有する患者は、典型的には、20~26(境界値を含む)のMMSEスコア、0.5または1.0の全体CDRを有し、推定ADについての国立老化研究所-アルツハイマー病協会(National Institute on Aging-Alzheimer’s Association)のコア臨床基準を満たす(セクション22を参照されたい)。
【0089】
ADの診断は臨床症状に基づいており、軽度の段階のAD患者は、職場での顕著な行動、物忘れ、気分変動、及び注意障害を呈するであろう。中等度の段階のAD患者は、認知障害、制限された日常活動、オリエンテーション障害、無力症、失認症、失語症、及び行動異常を呈する。重度の段階のAD患者は、独立性の喪失、記憶及び言語の低下、ならびに失禁を特徴とする。
【0090】
ある特定の実施形態では、治療は、[18F]-フロルベタピルPETスキャンによって評価されるように、アミロイド陽性である初期段階の患者のものである。ある特定の実施形態では、治療は、18F-フルテメトモールPETスキャンによって評価されるように、アミロイド陽性である初期段階の患者のものである。ある特定の実施形態では、治療は、18F-フロルベタベンPETスキャンによって評価されるように、アミロイド陽性である初期段階の患者のものである。ある特定の事例では、ヒト対象は、治療の開始前に、脳アミロイドベータの病変を有することが確認される。患者は、頭痛、混乱、歩行困難、または視覚障害について無症候性であり得るか、またはそれらの一過性の症状のみを呈し得る。患者は、ApoE遺伝子型決定によって決定されるように、ApoEキャリア(例えば、ApoE4キャリア)であってもなくてもよい。
【0091】
他の実施形態では、治療は、脳卒中もしくは他の脳血管疾患、他の神経変性疾患、臨床的に著しい精神疾患の病歴、急性もしくは亜急性の微小もしくは大出血、以前の大出血、または脳表ヘモジデリン沈着症などの、対象の認知障害の一因となり得る任意の医学的または神経学的状態(AD以外)を有する患者のものである。これらの患者は、資格のある臨床医によるスクリーニング及び選択の後に治療することができる。
【0092】
抗Aβ抗体
例えば、アデュカヌマブ、レカネマブ、ガンテネルマブ、ドナネマブ、LY3002813、バピネウズマブ、クレネズマブ、MEDI-1814、及びソラネズマブを含む、当該技術分野で既知の多数の抗ベータアミロイド抗体が存在する。
【0093】
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される抗ベータアミロイド抗体は、レカネマブであるか、またはレカネマブを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される抗ベータアミロイド抗体は、ガンテネルマブであるか、またはガンテネルマブを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される抗ベータアミロイド抗体は、ドナネマブであるか、またはドナネマブを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される抗ベータアミロイド抗体は、LY3002813であるか、またはLY3002813を含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される抗ベータアミロイド抗体は、バピネウズマブであるか、またはバピネウズマブを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される抗ベータアミロイド抗体は、クレネズマブであるか、またはクレネズマブを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される抗ベータアミロイド抗体は、MEDI-1814であるか、またはMEDI-1814を含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される抗ベータアミロイド抗体は、ソラネズマブであるか、またはソラネズマブを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される抗ベータアミロイド抗体は、アデュカヌマブ(別名、BIIB037)を含む。アデュカヌマブは、プラークを含む、Aβの凝集形態を認識する抗Aβ抗体である。BIIB037は、ヒトカッパ軽鎖を含有する。BIIB037は、鎖間ジスルフィド結合によって接続された2つの重鎖及び2つのヒトカッパ軽鎖からなる。「BIIB037」または「アデュカヌマブ」とは、配列番号10及び11に示されるアミノ酸配列を含む抗Aβ抗体を意味する。
【0095】
インビトロ特性評価研究により、抗体BIIB037がAβ凝集体中に存在するコンフォメーションエピトープを認識することが確認されており、その蓄積は、ADの発症及び進行の基礎となると考えられている。
【0096】
インビボ薬理学研究は、類似の特性を有するマウスIgG2aキメラバージョンの抗体(ch12F6A)が、ADのマウスモデルである高齢Tg2576マウスの脳におけるアミロイドプラーク負荷を著しく低下させることを示す。実質アミロイドの減少は、ある特定の抗Aβ抗体について報告されているように、血管アミロイドの変化を伴わなかった(Wilcock OM、Colton CA.Immunotherapy,vascular pathology,and microhemorrhages in transgenic mice.CNS & Neurological Disorders Drug Targets,2009 Mar;8(1):50-64)。
【0097】
抗体BIIB037のVH及びVLは、米国特許第8,906,367号(表2~4を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される抗体NI-101.12F6AのVH及びVLのアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する。具体的には、抗体BIIB037は、表A(VH)及び表B(VL)に示されるVH及びVL可変領域、表Cに示される対応する相補性決定領域(CDR)、ならびに表D(H)及び表E(L)に示される重鎖及び軽鎖を含む抗原結合ドメインを有する。
【0098】
【表A】
【0099】
【表B】
【0100】
【表C】
【0101】
BIIB037の成熟重鎖のアミノ酸配列を以下の表Dに提供する。
【0102】
【表D】
【0103】
BIIB037の成熟軽鎖のアミノ酸配列は、以下の表Eに提供される。
【0104】
【表E】
【0105】
抗体BIIB037に加えて、本開示は、配列番号1を含むか、もしくはそれからなるVH領域、または配列番号2を含むか、もしくはそれからなるVL領域のいずれかを含む抗体、または配列番号1を含むか、もしくはそれからなるVH領域及び配列番号2を含むか、もしくはそれからなるVL領域を含む抗体など他の抗Aベータアミロイド抗体の使用を企図し、VH及び/またはVL領域は、1つ以上の置換、欠失、及び/または挿入を有する。いくつかの実施形態では、これらのVH及びVL領域は、最大25、最大20、最大15、最大10、最大5、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個のアミノ酸置換を有し、依然としてベータ-アミロイドに結合し得る。特定の実施形態では、これらのアミノ酸置換は、フレームワーク領域においてのみ生じる。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換(複数可)は、保存的アミノ酸置換である。ある特定の実施形態では、VH及びVL領域は、1~5(1、2、3、4、5)のアミノ酸欠失及び/または付加を含み、依然としてベータ-アミロイドに結合し得る。ある特定の実施形態において、これらの欠失及び/または付加は、VH及び/またはVL領域のN末端及び/またはC末端で行われる。いくつかの実施形態では、1つのアミノ酸は、VH領域のN末端及び/またはC末端で欠失及び/または付加される。いくつかの実施形態では、1つのアミノ酸は、VL領域のN末端及び/またはC末端で欠失及び/または付加される。
【0106】
本開示で使用することが企図される他の抗体としては、表Cの可変重鎖(VH)CDR及び可変軽鎖(VL)CDRを含む抗体が挙げられる。したがって、抗ベータアミロイド抗体は、配列番号3~8のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなるCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体は、配列番号4~8のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなるCDRを含み、GFAFSSYGMH(配列番号9)を含むか、またはそれからなるアミノ酸配列をVH CDR1として含む。いくつかの事例では、本開示は、任意のCDR定義(例えば、Kabat、Chothia、増強Chothia、AbM、または接触定義)に基づいてBIIB037のVH及びVL CDRを含む抗Aベータアミロイド抗体を包含する。例えば、http://www.bioinf.org.uk/abs/index.htmlを参照されたい。いくつかの実施形態では、本開示は、Chothia定義に基づいてBIIB037のVH及びVL CDRを含む抗Aベータアミロイド抗体を包含する。いくつかの実施形態では、本開示は、強化されたChothia定義に基づいてBIIB037のVH及びVL CDRを含む抗Aベータアミロイド抗体を包含する。いくつかの実施形態では、本開示は、AbM定義に基づいてBIIB037のVH及びVL CDRを含む抗Aベータアミロイド抗体を包含する。さらに別の実施形態では、本開示は、接触定義に基づいてBIIB037のVH及びVL CDRを含む抗Aベータアミロイド抗体を包含する。
【0107】
本発明で使用する抗体BIIB037及び他の抗体は、既知の方法を使用して調製することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株で発現される。
【0108】
抗Aβ抗体の最大許容量は、安全性と一致するアルツハイマー病の治療において臨床的に著しい応答を生じるであろう抗体の量である。本発明の方法による患者を治療する際の主な安全性の懸念は、ARIA、特にARIA-EまたはARIA-Hの発生である。本発明の方法は、ADの患者の治療のために、以前に知られているプロトコルを使用することが可能であった用量よりも高い用量の抗体BIIB037を使用することを可能にする。
【0109】
用量調整は、治療プロトコル中に実施することができることが理解されるであろう。例えば、安全性または有効性の理由から、用量は、ADに対する抗Aβ抗体の効果が増強され得るように、増加することができるか、または用量は、ARIA率及び重症度が軽減され得るように、減少され得る。用量を逃した場合、患者は、好ましくは、逃した用量を受け、その後、記載されたレジメンに従って継続することによって投与を再開するべきである。
【0110】
ある特定の実施形態では、抗Aβ抗体は、生理食塩水に希釈した後、静脈内注入によって患者に投与される。この投与方法を使用する場合、本発明の滴定レジームにおける各注入工程は、典型的には、約1時間かかるであろう。
【0111】
本明細書における用量範囲及び他の数値は、患者におけるアルツハイマー病の治療によって示される数値的に記載された量と同じ効果を有する量、及び本発明の方法によって治療されない個体と比較した場合のARIAに対する患者の発生率または感受性の低下を含む。少なくとも、各数値パラメータは、通常の四捨五入技法を適用して、有効桁数に照らして解釈されるべきである。加えて、任意の数値は、その測定値の標準偏差からのある特定の誤差を本質的に含み、そのような値は、本発明の範囲内である。
【0112】
治療
本開示は、とりわけ、アルツハイマー病(AD)、ダウン症候群、軽度の認知障害、脳アミロイド血管症、血管性認知症、及び/または多発性梗塞性認知症などのベータアミロイドの蓄積及び沈着に関連する疾患の治療のための方法及び組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるADの治療の方法は、(a)ADを阻害すること、例えば、その発症を阻止すること、(b)ADを軽減すること、例えば、ADの退縮を引き起こすこと、または(c)治療を受けない場合、予想される生存と比較して生存を延長すること、を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、薬剤は、治療薬である。いくつかの実施形態では、治療は、疾患修飾効果を有する。本明細書で使用される場合、疾患修飾効果は、治療が、基礎となる病理学的または病態生理学的疾患プロセスを遅延もしくは遅らせること、及び/またはプラセボと比較してADの臨床徴候及び症状の改善があることを意味する。
【0114】
いくつかの実施形態では、治療は、症候性改善をもたらす。これは、たとえ限られた期間であっても、認知の強化、より多くの自律性、及び/または神経精神及び行動機能障害の改善からなり得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、本開示は、臨床的衰退または疾患の進行を遅らせるため、または症状の緩和のための方法に関する。臨床的衰退または疾患の進行を遅らせることは、患者及び介護者に直接影響を及ぼす。障害を遅らせ、独立性を維持し、患者がより長い期間にわたって正常な生活を送ることを可能にする。症状を可能な限り緩和することで、認知、機能、及び行動上の症状、ならびに気分を徐々に改善することができる。
【0116】
本開示は、とりわけ、アルツハイマー病を治療するための滴定レジメン(抗ベータアミロイド抗体の漸増用量の連続投与)を記載する。いくつかの事例では、アルツハイマー病は、軽度のアルツハイマー病、早期アルツハイマー病、前駆性アルツハイマー病、軽度のアルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度の認知障害である。
【0117】
いくつかの提供されるアルツハイマー病の治療の方法において、抗ベータアミロイド抗体は、一定期間にわたって漸増量でヒト患者に投与される。抗体を患者に順次投与する手順は、その手順が完了するまで、既知の濃度の標準化された調剤を、慎重に測定された量で投与することを伴うため、本明細書において「滴定」と称される。
【0118】
本発明の滴定レジメンの利点のうちの1つは、標準用量レジメンで観察されるのと同じ程度のARIAを負担することなく、AD患者により高い用量のモノクローナル抗体を投与することを可能にすることである。ある特定の実施形態では、より高い用量は、対象の体重の10mg/kgの抗Aβ抗体の用量または複数の用量を含む。任意の特定の機構に限定されることを意図するものではないが、滴定は、全体的な治療中に、より低い初期アミロイド除去及びより遅い除去をもたらすと考えられる。
【0119】
抗Aβ抗体(例えば、BIIB037)の滴定は、複数回用量で行われる。例えば、抗体の2回の用量が、最小治療量よりも少ない1回当たりの用量で患者に投与することができ、その後、抗体の4回の用量が、最小治療量にほぼ等しい1回当たり用量で投与することができる。次いで、このレジームに続いて、患者のADに許容可能な変化があるまで、最小治療量を超えるが最大許容量未満の1回当たりの用量で複数回の用量を投与することができる。例えば、用量は、およそ4週間の間隔で、およそ52週間にわたって投与することができる(合計14回の用量)。進捗は、定期的な評価によってモニタリングされ得る。
【0120】
いくつかの事例では、本開示は、タウを減少させるか、またはアルツハイマー病を治療することを必要とするヒト患者において、Aベータ及び/またはタウを減少させることによってタウを減少させるか、またはアルツハイマー病を治療するための方法であって、本方法は、複数回用量の抗Aβ抗体(例えば、BIIB037)をヒト患者に一定期間にわたって漸増量で順次投与することを含み、ヒト患者の体重1kg当たり1mgの抗体の複数回用量が約4週間の間隔でヒト患者に投与され、ヒト患者の体重1kg当たり3mgの抗体の複数回用量が約4週間の間隔でヒト患者に投与され、ヒト患者の体重1kg当たり6mgの抗体の複数回用量が約4週間の間隔でヒト患者に投与され、ヒト患者の体重1kg当たり10mgの抗体の複数回用量が約4週間の間隔でヒト患者に投与される、方法を特色とする。複数回用量とは、少なくとも2回(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、123、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30)の用量を意味する。
【0121】
本開示による例示的なプロトコルである、指定されたプロトコルAは、
(A)抗ベータアミロイド抗体を患者の体重1kg当たり1mgの量で患者に投与することと、
(B)工程(A)の4週間後に、抗ベータアミロイド抗体を患者の体重1kg当たり1mgの量で患者に投与することと、
(C)工程(B)の4週間後に、抗ベータアミロイド抗体を患者の体重1kg当たり3mgの量で患者に投与することと、
(D)工程(C)の4週間後に、抗ベータアミロイド抗体を患者の体重1kg当たり3mgの量で患者に投与することと、
(E)工程(D)の4週間後に、抗ベータアミロイド抗体を患者の体重1kg当たり6mgの量で患者に投与することと、
(F)工程(E)の4週間後に、抗ベータアミロイド抗体を患者の体重1kg当たり6mgの量で患者に投与することと、
(G)工程(F)の後に、4週間の連続した間隔で、抗ベータアミロイド抗体を患者の体重1kg当たり10mgの量で患者に投与することと、を含む。
【0122】
言い換えれば、プロトコルAは、患者に、抗ベータアミロイド抗体の第1の用量を、患者の体重1kg当たり1mgの量で投与し、続いて第1の用量の4週間後に、第2の用量を体重1kg当たり1mgの量で投与することを含む。第2の用量の後の4週間の間隔で、抗体用量3及び4が、体重1kg当たり3mgの量で患者に投与される。用量4の投与後4週間の間隔で、用量5及び6の抗体が、体重1kg当たり6mgの量で患者に投与される。次いで、用量6の投与後4週間後に、抗体用量7が体重1kg当たり10mgの量で患者に投与される。
【0123】
いくつかの事例では、プロトコルAの用量7の後に、抗ベータアミロイド抗体の5、6、7、8、9、または10回の用量が体重1kg当たり10mgの量で患者に投与される。ある特定の事例では、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、または少なくとも14回の用量が対象の体重1kg当たり10mgの量で患者に投与される。ある特定の事例では、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20回の用量が、対象の体重1kg当たり10mgの量で患者に投与される。ある特定の事例では、抗ベータアミロイド抗体の15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、または15~25回の用量が対象の体重1kg当たり10mgの量で患者に投与される。ある特定の事例では、上記の用量は、4週間の連続した間隔で投与される。ある特定の事例では、上記の用量は、患者に静脈内投与される。
【0124】
いくつかの事例では、プロトコルAの用量7の後に、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも10回の用量が、対象の体重1kg当たり10mgの量で、中断なしに4週間の間隔で患者に投与される(例えば、静脈内に)。
【0125】
本開示による別の例示的なプロトコルである、指定されたプロトコルBは、
(a)抗Aベータアミロイド抗体を対象の体重1kg当たり1mgの量で対象に投与することと、
(b)工程(a)の4週間後に、抗Aベータアミロイド抗体を対象の体重1kg当たり3mgの量で対象に投与することと、
(c)工程(b)の4週間後に、抗Aベータアミロイド抗体を対象の体重1kg当たり6mgの量で対象に投与することと、
(d)工程(c)の後に、4週間の連続した間隔で、抗Aベータアミロイド抗体の少なくとも10回の用量を対象の体重1kg当たり10mgの量で投与することと、を含む。
【0126】
いくつかの事例では、プロトコルBの工程(d)の後に、抗ベータアミロイド抗体の追加用量が、体重1kg当たり10mgの量で患者に投与される。ある特定の事例では、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20回の用量が、対象の体重1kg当たり10mgの量で患者に投与される。ある特定の事例では、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも24、または少なくとも25回の用量が、対象の体重1kg当たり10mgの量で患者に投与される。ある特定の事例では、抗ベータアミロイド抗体の11~12、11~13、11~14、11~15、11~16、11~17、11~18、11~19、11~20、または11~25回の用量が対象の体重1kg当たり10mgの量で患者に投与される。ある特定の事例では、上記の追加の用量が、4週間の連続した間隔で投与される。ある特定の事例では、上記の用量は、患者に静脈内投与される。
【0127】
ある特定の事例では、治療の過程で、患者がアミロイド関連イメージング異常(ARIA)、例えば、ARIA-Eを発症するとき、ARIAが解決するまで、中断される。いくつかの事例では、治療は、ARIAが解決するために1~15(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15)週間中断され、その後、再開される。ある特定の場合では、対象が、重篤な臨床症状を伴うARIA-E及び/またはARIA-H、または10回以上の小出血及び/または2つ以上の脳表ヘモジデリン沈着症の焦点領域を伴うARIA-H、または任意の新たな付随的な大出血を発症する場合、治療は永久に中止される。
【0128】
ある特定の事例では、患者がプロトコルAまたはBに基づく治療の過程でアミロイド関連イメージング異常(ARIA)を発症するとき、患者は、投与量を減少させることなく、上記の用量を投与され続ける。いくつかの事例では、投与量は、ARIAが解決した後に投与されてもよい。
【0129】
何らかの理由で治療が中断された場合(例えば、医師への訪問を逃したか、またはARIAもしくは他の副作用による医師の推奨)、治療の再開時に患者は、同じか、またはより高い用量で継続するべきである。例えば、中断する前に、患者が既に3mg/kgの用量の抗ベータアミロイド抗体を2回受けている場合、患者は、治療の再開時に6mg/kgの用量を投与されるべきである。中断する前に、患者が既に6mg/kgの用量の抗ベータアミロイド抗体を2回受けている場合、患者は、治療の再開時に10mg/kgの用量を投与されるべきである。中断する前に、患者が既に10mg/kgの用量の抗ベータアミロイド抗体を2回受けている場合、患者は、治療の再開時に10mg/kgの用量を投与され、可能な限り長く10mg/kgの用量を継続して投与されるべきである。
【0130】
本開示はまた、軽度のアルツハイマー病、早期アルツハイマー病、前駆性アルツハイマー病、軽度のアルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度の認知障害を治療することを必要とするヒト対象において、それらを治療するための方法及び組成物を特色とする。本方法は、ヒト対象に、複数回用量の抗Aベータアミロイド抗体を投与することを含み、本方法は、4週間の連続した間隔で、少なくとも6回の用量の抗体を投与することを含み、各用量は、対象の体重1kg当たり10mgの量である。いくつかの事例では、本方法は、4週間の連続した間隔で、少なくとも7回の用量の抗体を投与することを含み、各用量は、対象の体重1kg当たり10mgの量である。いくつかの事例では、本方法は、4週間の連続した間隔で、少なくとも8回の用量の抗体を投与することを含み、各用量は、対象の体重1kg当たり10mgの量である。いくつかの事例では、本方法は、4週間の連続した間隔で、少なくとも9回の用量の抗体を投与することを含み、各用量は、対象の体重1kg当たり10mgの量である。いくつかの事例では、本方法は、4週間の連続した間隔で、少なくとも10回の用量の抗体を投与することを含み、各用量は、対象の体重1kg当たり10mgの量である。いくつかの事例では、本方法は、4週間の連続した間隔で、少なくとも11回の用量の抗体を投与することを含み、各用量は、対象の体重1kg当たり10mgの量である。いくつかの事例では、本方法は、4週間の連続した間隔で、少なくとも12回の用量の抗体を投与することを含み、各用量は、対象の体重1kg当たり10mgの量である。いくつかの事例では、本方法は、4週間の連続した間隔で、少なくとも13回の用量の抗体を投与することを含み、各用量は、対象の体重1kg当たり10mgの量である。いくつかの事例では、本方法は、4週間の連続した間隔で、少なくとも14回の用量の抗体を投与することを含み、各用量は、対象の体重1kg当たり10mgの量である。いくつかの事例では、本方法は、4週間の連続した間隔で、少なくとも15回の用量の抗体を投与することを含み、各用量は、対象の体重1kg当たり10mgの量である。ある特定の事例では、特定される用量の全ては、ヒト対象が治療の過程でARIAを発症しても中断することなく投与される。ある特定の事例では、ARIAまたは他の副作用のために用量が中断されても、治療は、同じか、またはより高い用量の抗体で継続される。患者がプロトコルAの最高用量(10mg/kg)であった場合、患者は、中断後の治療再開時に10mg/kgの用量の抗体を継続して投与される。
【0131】
いくつかの事例では、上記のプロトコル及び方法の抗ベータアミロイド抗体は、BIIB037の6つのCDRを含むVH及びVLを含む。ある特定の事例では、抗ベータアミロイド抗体は、BIIB037のVH及びVLを含む。他の事例では、抗ベータアミロイド抗体は、BIIB037の重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの事例では、抗Aベータアミロイド抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む。いくつかの事例では、抗ベータアミロイド抗体は、配列番号1を含むか、またはそれからなるVH、及び配列番号2を含むか、またはそれからなるVLを含む。いくつかの場合では、抗Aベータアミロイド抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、配列番号10を含むか、またはそれからなり、軽鎖は、配列番号11を含むか、またはそれからなる。
【0132】
血漿p-タウ
リン酸化タウ(p-タウ)の血漿レベルは、軽度の認知障害を有するAβ陽性ヒト患者で増加し、ADを有するAβ陽性ヒト患者でさらに増加する。ADの臨床的進行は、MRIによる萎縮の尺度の検出前のいくつかの異なるバイオマーカーの変化、または全体的な認知及びADL機能の変化と関連している。例えば、Aβ42(CSF及び血漿)レベルは、皮質Aβの病変に関連する最初の検出可能な変化の中にあり、PETによって検出されるアミロイドの変化、次いでCSF及び血漿中のp-タウの変化が続く。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Hansson O.Nat Med.2021;27:954-963を参照されたい。
【0133】
理論に拘束されることを望むものではないが、可溶性p-タウは、アミロイド凝集体とタウ凝集体との間の関係を媒介し得ることが示唆されている。例えば、アミロイド凝集体の増加したレベルは、可溶性p-タウの増加したレベルをもたらし得、これは、次いで、増加したタウタングル密度をもたらし得る。Mattsson-Carlgren N,et al.EMBO Mol Med.2021;13:e14022 and Mattsson-Carlgren N,et al.Sci Adv.2020;6:eaaz2387を参照されたい。一緒に、これは、アミロイド誘導性タウ凝集及び広がり(及び結果として生じる認知衰退)が、可溶性p-タウレベルの増加によって駆動され得ることを示唆する。
【0134】
逆に、本開示は、アミロイド凝集体の減少がp-タウレベルの減少をもたらし得、これは、タウ凝集体の蓄積を遅くし得る(及び結果として生じる臨床的衰退)という認識を包含する。
【0135】
本開示の様々な方法は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定する工程を含む。タウは、様々な異なる位置でリン酸化され得る。いくつかの実施形態では、p-タウは、Y18、S46、T50、S69、T71、S113、T123、T153、T175、T181、S184、S85、S191、Y197、S198、S199、S202、T205、S208、S210、T212、S214、T217、T231、S235、S237、S238、S258、S262、S289、S356、Y397、S400、T403、S404、S409、S412、S413、T414/S416、S422、T427、S433、及びS435から選択される1つ以上の部位でのリン酸化反応を有するタウを含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、p-タウは、本明細書ではp-タウ181とも称される、181位でのリン酸化であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、p-タウは、本明細書ではp-タウ217とも称される、217位でのリン酸化であるか、またはそれを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、1つ以上の時点で決定される。
【0138】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、第1及び第2の時点で決定され、第1の時点はベースラインまたは基準測定値であり、第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の1回以上の投与後に発生する。いくつかの実施形態では、第1の時点は、抗ベータアミロイド抗体を投与する前に生じる時点でのベースラインである。いくつかの実施形態では、第1の時点での血漿中のp-タウレベルは、調整されているベースラインである。いくつかの実施形態では、第1の時点での血漿中のp-タウレベルは、調整されていないベースラインである。
【0139】
いくつかの実施形態では、第2の時点での血漿中のp-タウレベルは、第1の時点(例えば、ベースライン)と比較して、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、または少なくとも15%減少している。いくつかの実施形態では、第2の時点での血漿中のp-タウレベルは、第1の時点(例えば、ベースライン)と比較して少なくとも10%減少している。
【0140】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルが、血漿中のp-タウの基準測定値と比較される。いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウの基準測定値は、例えば、健康なヒト対象、または治療を受けていないADと診断されたヒト対象からのものである。
【0141】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを、プラセボを投与された被験者のp-タウの基準レベルと比較する。いくつかの実施形態では、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルは、同じ時点でのプラセボ群の患者のp-タウレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも24%、または少なくとも25%減少している。
【0142】
方法
いくつかの実施形態では、本開示は、アルツハイマー病、ダウン症候群、軽度の認知障害、脳アミロイド血管症、血管性認知症、及び/または多発性梗塞性認知症などのベータアミロイドの蓄積及び沈着に関連する疾患を治療、モニタリング、及び/または評価する方法を提供する。
【0143】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象を治療する方法を含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象における治療応答をモニタリングする方法を含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象に対する治療計画を決定する方法を含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象の認知状態をモニタリングする方法を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、抗ベータアミロイド抗体による治療のための患者を選択するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、ヒト対象に投与される抗ベータアミロイド抗体の投与量を決定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、認知支援サービスのために抗ベータアミロイド抗体を受ける患者を選択するための方法を提供する。
【0145】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、ヒト対象における抗ベータアミロイド抗体の有効性を特徴付けるか、または評価する方法を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、アルツハイマー病、ダウン症候群、軽度の認知障害、脳アミロイド血管症、血管性認知症、及び/または多発性梗塞性認知症などのベータアミロイドの蓄積及び沈着に関連する疾患を有するか、または有する疑いのあるヒト対象における治療応答をモニタリングする方法を提供する。
【0147】
いくつかの実施形態では、本開示は、アルツハイマー病、ダウン症候群、軽度の認知障害、脳アミロイド血管症、血管性認知症、及び/または多発性梗塞性認知症などのベータアミロイドの蓄積及び沈着に関連する疾患を有するか、または有する疑いのあるヒト対象における血漿p-タウを減少させる方法を提供する。
【0148】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ヒト対象に有効量の抗ベータアミロイド抗体を投与することを含む。本開示の抗ベータアミロイド抗体の投与経路は、静脈内、皮下を含む任意の好適な経路によるものであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗ベータアミロイド抗体は、注入を介してヒト対象に全身投与される。いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体は、皮下注射によってヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体は、静脈内注入によってヒト対象に投与される。
【0149】
いくつかの実施形態では、本開示は、有効量の抗ベータアミロイド抗体をヒト対象に投与することを含む方法を提供し、血漿p-タウレベルのレベルは、ヒト対象において決定されているか、または決定されるであろう。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体は、1回以上の用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗ベータアミロイド抗体は、複数回用量レジメンとして対象に投与される。
【0151】
組成物
いくつかの実施形態では、本開示は、アルツハイマー病、ダウン症候群、軽度の認知障害、脳アミロイド血管症、血管性認知症、及び/または多発性梗塞性認知症などのベータアミロイドの蓄積及び沈着に関連する疾患を有するヒト対象を治療する際に使用するための組成物を提供する。
【0152】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、1つ以上の特徴を有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ApoEキャリアである。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、ダウン症候群を有する。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、65歳以上である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、65~74歳である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、75歳以上である。
【0153】
いくつかの実施形態では、本開示は、アルツハイマー病を有するヒト対象を治療する際に使用するための組成物を提供し、血漿p-タウのレベルは、治療前に決定されている。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、投与前の血漿p-タウレベルが、基準レベルまたは閾値レベルであるか、またはそれを超える。いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウレベルはp-タウ181及び/またはp-タウ217を含む。いくつかの実施形態では、p-タウレベルは、血漿p-タウ181レベルである。
【0154】
いくつかの実施形態では、本開示は、アルツハイマー病を有するヒト対象を治療する際に使用するための組成物を提供し、血漿p-タウのレベルは、治療前に生じる第1の時点で、及び第2の時点で決定されている。いくつかの実施形態では、p-タウレベルを決定するための第2の時点は、ヒト対象が抗ベータアミロイド抗体の少なくとも1回の用量を受けた後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも10回の用量がヒト対象に投与された後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも14回の用量がヒト対象に投与された後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも19回の用量がヒト対象に投与された後である。いくつかの実施形態では、本開示は、第1の時点と第2の時点との間の血漿p-タウレベルの変化が、基準レベルまたは閾値レベルを満たすか、またはそれを上回るヒト対象を治療するための組成物を提供する。いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウレベルはp-タウ181及び/またはp-タウ217を含む。いくつかの実施形態では、p-タウレベルは、血漿p-タウ181レベルである。
【0155】
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、50mg/ml~250mg/mlの濃度の抗ベータアミロイド抗体、5mM~150mMの濃度のメチオニン、50mM~200mMの濃度のArg.HCl、10mM~30mMの濃度のヒスチジン、0.01%~0.1%の濃度のPS80、及び0~3%の濃度のスクロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.02mM~4mMの濃度のチオール含有抗酸化剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、5.2~6.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物は、5.2~6.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物は、5.3~5.7のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物は、5.5のpHを有する。いくつかの事例では、チオール含有抗酸化剤は、GSH、GSSG、GSHとGSSGとの組み合わせ、シスチン、システイン、及びシステインとシスチンとの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの場合では、チオール含有抗酸化剤は、GSHである。いくつかの場合では、チオール含有抗酸化剤は、GSSGである。場合によっては、チオール含有抗酸化剤はGSHとGSSGとの組み合わせである。
【0156】
いくつかの実施形態では、組成物は、100mg/mlの濃度の抗ベータアミロイド抗体、150mMの濃度のArg.HCl、10mMの濃度のメチオニン、10mM~30mMの濃度のヒスチジン、0.01%~0.1%の濃度のPS80、及び0~3%の濃度のスクロースを含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、組成物は、100mg/mlの濃度の抗ベータアミロイド抗体、150mMの濃度のArg.HCl、10mMの濃度のメチオニン、20mMの濃度のヒスチジン、及び0.05%の濃度のPS80を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、組成物は、175mg/mlの濃度の抗ベータアミロイド抗体、150mMの濃度のArg.HCl、10mMの濃度のメチオニン、10mM~30mMの濃度のヒスチジン、0.01%~0.1%の濃度のPS80、及び0~3%の濃度のスクロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.02mM~4mMの濃度のチオール含有抗酸化剤をさらに含む。いくつかの事例では、チオール含有抗酸化剤は、GSH、GSSG、GSHとGSSGとの組み合わせ、シスチン、システイン、及びシステインとシスチンとの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの場合では、チオール含有抗酸化剤は、GSHである。いくつかの場合では、チオール含有抗酸化剤は、GSSGである。場合によっては、チオール含有抗酸化剤はGSHとGSSGとの組み合わせである。
【0159】
いくつかの実施形態では、組成物は、175mg/mlの濃度の抗ベータアミロイド抗体、150mMの濃度のArg.HCl、10mMの濃度のメチオニン、20mMの濃度のヒスチジン、及び0.05%の濃度のPS80を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0.02mM~4mMの濃度のチオール含有抗酸化剤をさらに含む。いくつかの事例では、チオール含有抗酸化剤は、GSH、GSSG、GSHとGSSGとの組み合わせ、シスチン、システイン、及びシステインとシスチンとの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの場合では、チオール含有抗酸化剤は、GSHである。いくつかの場合では、チオール含有抗酸化剤は、GSSGである。場合によっては、チオール含有抗酸化剤はGSHとGSSGとの組み合わせである。
【0160】
キット
ヒト対象への投与のための抗ベータアミロイド抗体を含む組成物を含むキット、及び使用説明書も本開示によって提供される。いくつかの実施形態では、説明書は、1つ以上の特徴を有するヒト対象への投与を指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、ApoEキャリアであるヒト対象への投与を指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、ダウン症候群を有するヒト対象への投与を指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、65歳以上であるヒト対象への投与を指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、65~74歳であるヒト対象への投与を指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、75歳以上であるヒト対象への投与を指示する。
【0161】
いくつかの実施形態では、指示は、血漿p-タウレベルが基準レベルまたは閾値レベルを超えているヒト対象への投与を指示する。いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウレベルはp-タウ181及び/またはp-タウ217を含む。いくつかの実施形態では、p-タウレベルは、血漿p-タウ181レベルである。
【0162】
いくつかの実施形態では、本開示に従って使用するためのキットには、試料の処理、試料のテストの実行、結果の解釈などの指示が含まれる場合がある。
【0163】
いくつかの実施形態では、指示は、第1及び第2の時点でヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定するためのものである。いくつかの実施形態では、p-タウレベルを決定するための第1の時点は、ヒト対象が抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前である。いくつかの実施形態では、p-タウレベルを決定するための第2の時点は、ヒト対象が抗ベータアミロイド抗体の少なくとも1回の用量を受けた後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも10回の用量がヒト対象に投与された後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも14回の用量がヒト対象に投与された後である。いくつかの実施形態では、血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点は、抗ベータアミロイド抗体の少なくとも19回の用量がヒト対象に投与された後である。
【0164】
いくつかの実施形態では、指示は、第1の時点と第2の時点との間の血漿p-タウレベルの変化が基準レベルまたは閾値レベルを満たすか、またはそれを上回ったヒト対象への継続的な投与を指示する。いくつかの実施形態では、血漿中のp-タウレベルはp-タウ181及び/またはp-タウ217を含む。いくつかの実施形態では、p-タウレベルは、血漿p-タウ181レベルである。
【実施例
【0165】
本発明はさらに、以下の非限定的な実施例によって説明される。これらの実施例は、本発明の理解を助けるために記載されるが、本発明の範囲をいかようにも制限することを意図せず、またそのように解釈されるべきではない。実施例は、当業者に周知であろう従来の方法の詳細な説明を含まない(分子クローニング技術など)。特に記載されない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏で示される。当業者は、工程の順序が必ずしも絶対的ではなく、ある特定の実施形態において同じ結果を達成するために変化し得ることを理解するであろう。
【0166】
実施例1:第3相研究の概要
アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害(MCI)、または軽度のアルツハイマー病認知症を有する対象におけるアデュカヌマブの有効性及び安全性を、2つの同一に設計された第3相研究である研究1及び研究2において評価した。研究は、アデュカヌマブの作用機序の理解、以前の研究の結果、ならびに疾患プロセス及び基礎となる病変の現在の理解に基づいて設計された。表1は、研究デザインの概要を提供する。
【表1】
【0167】
これらの第3相研究は、Aβ PETスキャンによって(視覚的読み取りによって)評価されたAβ陽性であり、かつアルツハイマー病に起因するMCIか、または軽度のアルツハイマー病認知症(NIA-AA基準によって定義される)のいずれかの臨床基準を満たした初期段階の患者を募集した。第3相研究集団の約80%が、(治験責任医師の臨床評価に従って)アルツハイマー病に起因するMCIのベースラインの臨床病期を有する対象を含むように、登録をモニタリングした。対象はまた、0.5のCDR全体スコア、85以下のRBANSスコア(遅延記憶指数スコアに基づく)、及び24~30(境界値を含む)のMMSEスコアを有することが必要とされ、少なくとも6年の教育または職務経験を有していなければならなかった。対象は、スクリーニング時に50~85歳であった。参加者の認知障害に寄与した可能性があるアルツハイマー病以外の医学的または神経学的状態を有する対象は除外した。参加者は、アルツハイマー病を除いて良好な健康状態であった。
【0168】
注目すべきことに、第3相プロトコルはまた、ε4対立遺伝子がアルツハイマー病の主要な危険因子であることを考慮して、対象がApoE遺伝子型決定を受けることを必要とした。ApoE ε4キャリア及び非キャリアの両方が、両方の第3相研究に登録されたが、キャリア状態に基づく差別投与は、アデュカヌマブの「低」用量のみに限定された。図1を参照されたい。
【0169】
実施例2:研究1のエンドポイント
78週目の来院を完了する機会を有した、修正された治療意図(mITT)及び完了機会(OTC)の対象についての主要エンドポイント結果を表2に要約する。
【0170】
高用量群では、CDR-SBに対する平均変化におけるプラセボと比較したアデュカヌマブの利点は、-0.40であった(23%少ない衰退、公称p=0.0101)。
【0171】
低用量群もまた、プラセボよりもCDR-SBに対する衰退が少なかったが、高用量群よりも差は小さく、統計的有意性は得られなかった。
【0172】
【表2】
【0173】
mITTデータセット及びOTCデータセットについて副次的有効性エンドポイント結果を表3に要約する。
【0174】
高用量群では、プラセボからの統計的有意差(公称p値<0.05)が、mITTデータセットのMMSEを除く両方のデータセットにおいて、全ての副次的エンドポイントについて観察された。低用量群は、mITTデータセットまたはOTCデータセットのいずれにおいても、3つの副次的エンドポイントのうちのいずれに対しても統計的有意性を示さなかった。しかしながら、MMSEを除く全てのエンドポイントに対して、プラセボと比較して、低用量についての小さな数値的利点が観察された。
【0175】
【表3】
【0176】
研究1の三次エンドポイントとして、脳AβをPETで測定し、標準取り込み値比(SUVR)として定量化した。Aβ PETによって測定され、SUVRとして定量化された脳Aβプラークレベルの連続評価を、長期的なAβ PETサブ研究に参加する対象のサブセットにおいて実施した。長期的なサブ研究におけるPETスキャンは、18F-フロルベタピルAβ PETトレーサーを使用して実施した(別のトレーサーが使用された少数の対象を除く)。18F-フロルベタピルPETスキャンを行った参加者の結果を、ここに要約する。
【0177】
PETによって測定される、脳Aβプラークレベルに対するアデュカヌマブの効果の解析について、標準取り込み値比(SUVR;Aβの病変を有すると予想される領域と、Aβの病変が最小限であるか、またはそれを有しない基準領域との放射線トレーサー取り込みの比)を、基準領域として全小脳を用いて、脳の主要な皮質領域(前頭部、頭頂部、外側側頭部、感覚運動部、前部、及び後部帯状膜の一部)を含む関心複合体領域について計算した[Ostrowitzki et al.,Alzheimers Res.Ther.8;9(1):95(2017)、Chiao et al.,J Nucl Med.60(1):100-106(2019)、Sevigny,Nature 537(7618):50-6(2016)]。領域の複合体に関するこのSUVRを、Aβ PET分析の主要エンドポイントとして使用した。複合体SUVRにおけるベースラインからの陰性変化は、Aβプラークレベルの低下を示し、陰性治療差(アデュカヌマブ-プラセボ)は、アデュカヌマブに有利に働く。
【0178】
図2は、脳Aβレベルの時間及び用量依存的な減少を示す。滴定段階の終了と一致する26週目に、Aβ PET複合体SUVRにおけるベースラインからの調整された平均変化は、プラセボ群の0.007と比較して、低用量群及び高用量群でそれぞれ-0.070及び-0.076であった。滴定段階における投与量の類似性のため、低用量群及び高用量群間の区別は予想されなかった。78週目に、Aβ PET複合体SUVRにおけるベースラインからの調整された平均変化は、プラセボ群の0.019と比較して、低用量群及び高用量群でそれぞれ-0.165及び-0.272であった。
【0179】
実施例3:研究2のエンドポイント
主要エンドポイントのmITT及びOTC分析の結果は、アデュカヌマブの高用量がプラセボと比較して衰退を減少させなかったことを示す(表4)。低用量群は、主要エンドポイントに対して公称統計学的有意性を示さなかった。しかしながら、プラセボよりも低用量について小さな数値的利点が観察された。この差は、実施例1における低用量とプラセボとの間の差と、大きさにおいて同様であった。
【0180】
【表4】
【0181】
副次的エンドポイントのmITT及びOTC分析の結果は、プラセボと比較して、MMSE、ADAS-Cog13、またはADCS-ADL-MCIに対して、衰退において統計的有意差を示さない(表5)。しかしながら、これらのエンドポイントに対して、プラセボよりも低用量について小さな数値的利点が観察された。ADAS-Cog13、またはADCS-ADL-MCIの場合、高用量群の結果は、低用量群と同様であった。
【0182】
【表5】
【0183】
研究2の三次エンドポイントとして、脳AβをPETで測定し、標準取り込み値比(SUVR)として定量化した。実施例2の研究と同様に、18F-フロルベタピルAβ PETトレーサーを使用して、長期的なAβ PETサブ研究を行った。図3で見ることができるように、アデュカヌマブは、脳Aβレベルの時間及び用量依存的な減少をもたらした。滴定段階の終了と一致する26週目に、Aβ PET複合体SUVRにおけるベースラインからの調整された平均変化は、プラセボ群における-0.002と比較して、アデュカヌマブの低用量群及び高用量群の両方で-0.066であった。滴定段階における投与量の類似性のため、低用量群及び高用量群間の区別は予想されなかった。78週目に、Aβ PET複合体SUVRにおけるベースラインからの調整された平均変化は、プラセボ群の-0.005と比較して、アデュカヌマブの低用量群及び高用量群でそれぞれ-0.168及び-0.238であった。
【0184】
実施例4:研究1及び研究2からのp-タウの血漿レベル
本実施例は、実施例1~3に記載される第3相アデュカヌマブ試験からのデータを使用して、例示的な抗Aβ抗体であるアデュカヌマブによる治療が、血漿p-タウレベル、具体的には、血漿p-タウ181レベルに及ぼす影響の分析について説明する。
【0185】
ベースライン及び78週目での血漿試料を有する参加者を評価した。研究1及び研究2の対象からの合計6447個の血漿試料を、Frontage Laboratories(Exton,PA)のCLIAラボでQuanterix Simoa p-タウ181 Advantage V2キットを使用して分析した。各研究集団からの対象の要約を、以下の表6に提供する。
【0186】
【表6】
【0187】
これらの患者のより詳細な記載は、血漿p-タウ181分析集団において、アルツハイマー病のベースラインの人口統計及び特徴が群間で類似していたことを示し、表7に示される。
【0188】
【表7】
【0189】
プラセボ、低用量の抗Aβ抗体、及び高用量の抗Aβ抗体により治療した患者について、血漿p-タウ181レベルにおける調整された平均変化を評価し、結果を、それぞれ、研究1及び研究2の集団について図4及び図5に示す。治療群と研究1及び2との間の平均ベースライン血漿p-タウ181レベルは、それぞれ、3.264pg/mL及び3.185pg/mLであり、ベースラインレベルの中央値は、研究1で2.980pg/mL及び研究2で3.080pg/mLであった。プラセボ群では、研究1及び研究2の両方で、ベースラインからの血漿p-タウ181における時間依存的な増加が見られた(それぞれ、ベースラインからの8%及び9%の増加)。高用量のアデュカヌマブ群対プラセボにおける78週目での血漿p-タウ181レベルにおけるベースラインからの平均変化は、研究1では-0.424(95%CI、-0.5607~-0.2880;P<0.0001)であり、研究2では-0.484対プラセボ(95%CI、-0.5978~-0.3692;P<0.0001)であり、それぞれベースラインからの13%及び15%の低減を反映した。
【0190】
血漿p-タウ181レベルに対するアデュカヌマブの効果は、総累積用量が増加するにつれて増加した。78週目までに受けた平均累積用量は、研究1では127であり、研究2では122であった。78週目までに受けた総累積用量によって定義される高用量対象のサブセットのサブグループ分析を実施した。血漿p-タウ181のベースラインからの平均変化におけるアデュカヌマブ治療群間のプラセボに対する相対的減少は、3つの累積用量群(100mg/kg未満、110~149mg/kg、及び150mg/kg以上)全てにわたって見られた。また、より大きな総累積用量では、血漿p-タウ181レベルに対する治療効果はより大きい(データは示されず)。78週目での最大合計累積用量(150mg/kg以上)について、血漿p-タウ181レベルにおけるベースラインからの減少は、研究1及び研究2の両方において観察された(それぞれ17%及び19%の減少)。
【0191】
本分析は、例示的な抗Aβ抗体であるアデュカヌマブによる治療が、血漿p-タウ181レベルを著しく低下させることを明らかにした。さらに、血漿p-タウ181レベルに対するアデュカヌマブの効果は、時間及び用量の両方に依存することが観察された。
【0192】
実施例5:血漿p-タウは、アミロイドPET SUVRの変化と相関する
この実施例は、血漿p-タウレベル、ここではp-タウ181における抗ベータアミロイド抗体誘導性変化と、アミロイドPET標準取り込み値比(SUVR)として表される脳アミロイドレベルとの関係を説明する。
【0193】
図6及び図7は、それぞれ、研究1及び研究2の集団について、ベースラインの血漿p-タウ181からの変化対ベースラインのフロルベタピルアミロイドPET複合体SUVR(参照領域=小脳)からの変化の散布図を示す。対象を78週目に評価し、対象を、プラセボを受ける対象(丸)、「低用量」の抗Aβ抗体治療を受ける対象(四角)、及び「高用量」の抗Aβ抗体治療を受ける対象(三角形)のカテゴリに分けた。p-タウ181レベルの減少及びアミロイド沈着物の減少の用量依存的相関があった。
【0194】
さらに、より低いSUVRを有したそれらの対象もまた、血漿p-タウ181のベースラインからのより大きな低減を有することが観察された。図8A及び図8Bに示されるように、ベースラインのフロルベタピルアミロイドPET複合体SUVRが1.10超(白抜きの丸、破線)であった対象と比較して、ベースラインのフロルベタピルアミロイドPET複合体SUVRが1.10以下(塗りつぶしの丸、実線)であった対象において、ベースラインの血漿p-タウ181からのより大きな変化があり、これは、患者の研究1及び研究2の両方の集団において観察された。
【0195】
この実施例は、血漿p-タウ181に対するアデュカヌマブの治療効果が、アミロイドPET SUVRの低下と関連付けられたことを実証する。
【0196】
実施例6:血漿p-タウのより大きな減少は、改善された臨床的尺度と関連している
本実施例は、血漿p-タウレベルと臨床転帰との間の関係を説明する。具体的には、血漿p-タウ、例えば、血漿p-タウ181のより大きな減少は、臨床的有効性の複数の尺度によって、より少ない臨床的衰退と関連付けられた。以下の表8に示すように、血漿p-タウ181と臨床的有効性との間の相関は、研究1及び研究2の両方からの患者における4つの異なる臨床的尺度にわたって、予想される方向で観察された。
【0197】
【表8】
【0198】
これらの知見は、基礎疾患病変に基本的なバイオマーカー(例えば、p-タウ、例えば、p-タウ181)の変更が、CDR-SB、MMSE、ADAS-Cog13、及びADCS-ADL-MCIによって測定される臨床的衰退の統計的に有意な減速と関連付けられたことを実証する。したがって、血漿p-タウ181に対するアデュカヌマブの治療効果は、認知及び機能衰退の減少と関連付けられた。
【0199】
合わせて、これらの実施例は、早期アルツハイマー病を有する患者における、血漿リン酸化タウ181(p-タウ181)に対するアデュカヌマブの効果ならびに臨床的衰退のエンドポイントによって測定される、アミロイドベータプラーク及び疾患進行とのその相関を初めて検査するアデュカヌマブ第3相試験からの約7,000個の血漿試料からの重要な新しいデータを強調する。脳細胞におけるアミロイドベータプラーク及びタウタンパク質のタングルの蓄積は、アルツハイマー病の2つの特徴的病理であり、本開示は、血漿p-タウ減少、アミロイドベータプラークレベル、及びアルツハイマー病における臨床的衰退の間の相関を実証する。
【0200】
実施例7:血漿p-タウのサブグループ分析
本実施例は、78週目に評価された異なるサブグループにおける血漿p-タウレベルに対する、抗ベータアミロイド抗体であるアデュカヌマブによる治療の効果の分析を説明する。具体的には、本実施例は、研究1及び研究2からの対象における血漿p-タウ181レベルのサブグループ分析を提供し、サブグループは年齢(64歳以下、65~74歳、または75歳以上)、ApoE ε4の状態(キャリアまたは非キャリア)、及びベースラインの臨床病期(ADに起因するMCIまたは軽度AD認知症)によって区別される。
【0201】
結果を、図9(低用量治療患者について)及び図10(高用量治療患者について)に示す。結果は、ベースラインからの変化を従属変数として、各サブグループのMMRM(反復測定のための混合モデル)モデルに基づいた。また、性別(男性/女性)及びベースラインのAD薬物使用に基づいてサブグループ分析を実施した(データは示されず)。
【0202】
血漿p-タウ181レベルの減少が、研究1及び研究2の両方のサブグループにわたって、プラセボと比較して、高用量及び低用量のアデュカヌマブ治療群の両方で観察された。結果は、上記の全ての対象からの全体的な血漿p-タウ181結果と一致した。全体として、サブグループ分析は、調査した全てのサブグループについて、アデュカヌマブで治療した対象における血漿p-タウ181レベルの減少を明らかにした。これらのデータは、アデュカヌマブが対象全体にわたって治療効果を有することを支持する。
【0203】
血漿p-タウ181の減少は、プラセボと比較して、男性対象及び女性対象の両方、ならびにベースラインでのAD対症療法によって層別化された対象に見られた。この減少は、78週目で両方の試験において、治療群にわたって(低用量及び高用量の両方)見られ、性別またはベースラインとしてのAD療法によって層別化された対象間に明らかな傾向は見られなかった。
【0204】
さらに、ベースラインで75歳以上であった個体及びApoE ε4非キャリアにおいて、血漿p-タウ181レベルにより大きな減少があったことが一貫して観察された。75歳以上の対象における血漿p-タウ181レベルの減少もまた、以下の表9に反映され、ベースライン及びプラセボからの血漿p-タウ181レベルの相対変化率を提供する。同様に、表10は、ApoEキャリア及び非キャリアについての、ベースライン及びプラセボからの血漿p-タウ181レベルの相対変化率を提供する。
【0205】
【表9】
【0206】
【表10】
【0207】
上述のように、血漿p-タウ181の減少は、改善された臨床的尺度に関連付けられる。したがって、本開示は、ある特定のサブグループ(例えば、ベースラインで75歳以上の対象及び/またはApoE ε4非キャリアである対象)が、抗ベータアミロイド抗体(例えば、アデュカヌマブ)による治療からの改善された利益を有し得ることを認識する。
【0208】
要約すると、本実施例の血漿p-タウ181サブグループ分析は、アデュカヌマブで治療された全ての参加者における血漿p-タウ181レベルの一貫した減少を明らかにし、これはベースラインで75歳以上の患者及びApoE ε4非キャリアにおいてさらに大きな低下を示し、これは、アデュカヌマブによる治療からの改善された利益と関連付けることができる。
【0209】
実施例8:ベースラインのアミロイド及びベースラインのp-タウレベルに基づくサブグループ分析
本実施例は、血漿p-タウレベルに対する抗ベータアミロイド抗体であるアデュカヌマブによる治療の効果のさらなるサブグループ分析を説明する。具体的には、本実施例は、78週目での研究1及び研究2からの対象における血漿p-タウ181レベルのサブグループ分析を提供し、ベースラインのアミロイドPET SUVR及びベースラインの血漿p-タウ181レベルによって区別される。
【0210】
対象を、相対ベースラインレベルの四分位に層別化した。ベースラインのアミロイドPET SUVRのサブグループ分析の結果を、図11(高用量治療患者について)及び図12(低用量治療患者について)に示す。ベースラインの血漿p-タウ181レベルのサブグループ分析の結果を、図13(高用量治療患者について)及び図14(低用量治療患者について)に示す。
【0211】
血漿p-タウ181レベルの減少は、ベースラインのアミロイドPET SUVRの四分位全てにわたって、かつベースラインの血漿p-タウ181の四分位全てにわたって、研究1及び研究2の両方で、プラセボと比較して、高用量及び低用量のアデュカヌマブ治療群の両方で一貫して観察された。これらの結果は、アデュカヌマブが、PET SUVRの全てのベースラインレベル及び全てのベースラインの血漿p-タウ181レベルでの対象にとって有効な治療であることを支持する。
【0212】
さらに、図13及び図14に示すように、最も高いベースラインの血漿p-タウ181レベルを有するサブグループ、すなわち第4の四分位にあるものにおいて、血漿p-タウ181レベルにより大きな減少があったことが一貫して観察された。上述のように、血漿p-タウ181レベルの減少は、臨床応答に関連付けられる。このデータは、ベースラインでより高い血漿p-タウ181レベルを有する対象が、抗ベータアミロイド抗体(例えば、アデュカヌマブ)による治療に対する増加した応答を示し得ることを支持する。
【0213】
実施例9:長期延長研究における血漿p-タウレベルに対する治療の効果
本実施例は、長期延長研究における血漿p-タウレベルに対する抗ベータアミロイド抗体であるアデュカヌマブによる治療の効果の分析を説明する。長期延長研究には、プラセボ対照試験期間と、長期延長(LTE)期間が含まれる。対象を「早期開始」及び「後期開始」治療群に無作為化した。早期開始対象は、プラセボ対照期間の開始時にアデュカヌマブに無作為化され、LTE期間に当初割り当てられた治療を継続した対象であり、「早期開始低用量」及び「早期開始高用量」対象を含む。後期開始対象は、プラセボ対照期間の開始時にプラセボに無作為化され、次いで、LTE期間中に、用量盲検アデュカヌマブを受けるように無作為化された対象であり(低:高1:1)、「後期開始低用量」及び「後期開始高用量」対象を含む。
【0214】
結果を図15及び図16に示す。研究1及び研究2の両方において、後期開始対象の血漿p-タウ181レベルは、プラセボ対照期間中に増加し、対象がアデュカヌマブ治療を受け始めると、長期延長期間に減少し始めた。128週目に、後期開始高用量群の対象は、後期開始低用量群よりも血漿p-タウ181レベルの減少が大きく、128週目までの長期延長におけるより大きな曝露と一致した。
【0215】
早期開始群の対象の血漿p-タウ181レベルは、研究1及び研究2の両方において、長期延長において減少し続けた。各研究内の後期開始群と早期開始群の比較は、104週目と128週目の両方で統計的有意差を明らかにした。例えば、後期開始高用量群と比較した早期開始高用量群の血漿p-タウ181のベースラインからの変化は、104週目に-0.541(p<0.0001)及び-0.908(p<0.0001)であり、研究1及び研究2については、それぞれ-0.289(p=0.1265)及び-0.640(p<0.0001)であった。同様の傾向は、134週までの対象について観察された(データは示されず)。
【0216】
この実施例は、高用量のアデュカヌマブが血漿p-タウレベルのより大きな減少と関連付けられ、より長い治療期間が78週間を超えて血漿p-タウ181レベルを減少させ続けたことを実証する。
例示的な実施形態
1.ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体をヒト対象に投与することと、を含む、方法。
2.前記ヒト対象の血漿中のp-タウレベルが、前記ヒト対象が前記抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前に決定される、実施形態1に記載の方法。
3.前記方法が、第1及び第2の時点でヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することをさらに含む、実施形態1または2に記載の方法。
4.前記第1の時点が、前記ヒト対象が前記抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前である、実施形態3に記載の方法。
5.前記第2の時点が、前記ヒト対象が少なくとも1回の用量の前記抗ベータアミロイド抗体を受けた後である、実施形態3または4に記載の方法。
6.血漿p-タウの前記レベルを決定するための前記第2の時点が、少なくとも10回の用量の抗ベータアミロイド抗体が前記ヒト対象に投与された後である、実施形態3~5のいずれか1つに記載の方法。
7.血漿p-タウの前記レベルを決定するための前記第2の時点が、少なくとも14回の用量の抗ベータアミロイド抗体が前記ヒト対象に投与された後である、実施形態3~6のいずれか1つに記載の方法。
8.血漿p-タウの前記レベルを決定するための前記第2の時点が、少なくとも19回の用量の抗ベータアミロイド抗体が前記ヒト対象に投与された後である、実施形態3~7のいずれか1つに記載の方法。
9.前記第1の時点が、前記第2の時点の前に生じ、第1の時点での前記血漿p-タウのレベルが、前記第2の時点での前記血漿p-タウのレベルよりも高い場合、前記方法が、前記ヒト対象への前記抗ベータアミロイド抗体の第2の投与をさらに含む、実施形態5~8のいずれか1つに記載の方法。
10.前記抗ベータアミロイド抗体の前記第2の投与が、第1の投与において前記ヒト対象に投与された前記抗ベータアミロイド抗体の前記用量以上である前記抗ベータアミロイド抗体の用量を含む、実施形態9に記載の方法。
11.前記第1の時点が、前記第2の時点の前に生じ、第1の時点での前記血漿p-タウのレベルが、前記第2の時点での前記血漿p-タウのレベルよりも低い場合、前記方法が、前記ヒト対象への前記抗ベータアミロイド抗体の第2の投与をさらに含む、実施形態5~8のいずれか1つに記載の方法。
12.前記抗ベータアミロイド抗体の前記第2の投与が、第1の投与において前記ヒト対象に投与された前記抗ベータアミロイド抗体の前記用量以下である前記抗ベータアミロイド抗体の用量を含む、実施形態11に記載の方法。
13.前記p-タウレベルが、血漿p-タウ181または血漿p-タウ217レベルである、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
14.前記ヒト対象が、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
15.前記対象が、治療前の0.5のCDR全体スコア及び0.5以上のメモリボックススコアによって中程度の可能性がある、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
16.前記対象が、例えば、介護者によって確認されるように、治療前の最後の1年間にわたって、緩やかな発症及びゆっくりとした進行を伴う主観的記憶低下の病歴によって中程度の可能性がある、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
17.前記対象が、推定アルツハイマー病認知症のNIA-AAコア臨床基準によって、軽度のアルツハイマー病認知症と診断されている、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
18.前記対象が、治療前の0.5~1.0のCDRスコア及び0.5以上のメモリボックススコアによって、軽度のアルツハイマー病認知症と診断されている、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
19.前記抗ベータアミロイド抗体が、アデュカヌマブ、レカネマブ、ガンテネルマブ、ドナネマブ、LY3002813、バピネウズマブ、クレネズマブ、MEDI-1814、及びソラネズマブから選択される、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
20.前記抗ベータアミロイド抗体が、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
21.前記抗ベータアミロイド抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むVLを含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
22.前記抗ベータアミロイド抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
23.前記抗ベータアミロイド抗体が、静脈内または皮下に投与される、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
24.前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の量で投与することを含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
25.前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で投与することを含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
26.前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量で投与することを含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
27.ヒト患者の体重1kg当たり1mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔で前記ヒト患者に投与され、前記ヒト患者の体重1kg当たり3mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔で前記ヒト患者に投与され、前記ヒト患者の体重1kg当たり6mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔で前記ヒト患者に投与され、前記ヒト患者の体重1kg当たり10mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔で前記ヒト患者に投与されることを含む複数回用量レジメンとして、前記抗ベータアミロイド抗体を投与することを含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
28.
(a)前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり1mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(b)工程(a)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり1mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(c)工程(b)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(d)工程(c)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(e)工程(d)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(f)工程(e)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(g)工程(f)の後に、4週間の連続した間隔で、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、を含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
29.前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり少なくとも150mgの抗体の累積用量で投与することを含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
30.前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり少なくとも200mgの抗体の累積用量で投与することを含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
31.少なくとも52週間にわたって4週間ごとに、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量で投与することを含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
32.少なくとも112週間にわたって4週間ごとに、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で投与することを含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
33.前記抗体を前記ヒト対象に複数回用量で投与することを含み、前記複数回用量が、
(a)4週間ごとの、前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の少なくとも2回の用量と、
(b)4週間ごとの、前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の少なくとも30回の用量と、を含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
34.前記ヒト対象が、ApoEキャリアである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
35.前記ヒト対象が、ApoE非キャリアである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
36.前記ヒト対象が、
(i)ベースラインで65歳以上であるか、
(ii)ベースラインで65~74歳であるか、または
(iii)75歳以上である、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
37.前記ヒト対象が、治療の過程で、治療の中断を必要とするアミロイド関連イメージング異常(ARIA)を発症しない、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
38.前記方法が、前記ヒト対象におけるアルツハイマー病(AD)を治療する方法である、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
39.前記方法が、前記ヒト対象における治療応答をモニタリングする方法である、実施形態1~38のいずれか1つに記載の方法。
40.前記方法が、前記ヒト対象に対する治療計画を決定する方法である、実施形態1~38のいずれか1つに記載の方法。
41.前記方法が、前記ヒト対象の認知状態をモニタリングする方法である、実施形態1~38のいずれか1つに記載の方法。
42.少なくとも1回の用量の抗ベータアミロイド抗体を受けたヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、決定された血漿p-タウレベルに基づいて、前記ヒト対象に投与される用量中の抗ベータアミロイド抗体の量を調整することと、を含む、方法。
43.ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、抗ベータアミロイド抗体による治療のための患者を選択するための方法。
44.ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、ヒト対象に投与される抗ベータアミロイド抗体の用量を決定するための方法。
45.ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、認知支援サービスのために抗ベータアミロイド抗体を受ける患者を選択するための方法。
46.少なくとも1回の用量の抗ベータアミロイド抗体を受けたヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、方法。
47.前記ヒト対象の血漿中の前記p-タウレベルを基準血漿p-タウレベルと比較することを含む、実施形態46に記載の方法。
48.前記基準血漿p-タウレベルが、抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前の前記ヒト対象の血漿中のp-タウレベルである、実施形態47に記載の方法。
49.前記基準血漿p-タウレベルが、複数のヒト対象の血漿中の平均p-タウレベルである、実施形態47に記載の方法。
50.前記複数のヒト対象が、ADの証拠を有しない複数の健康なヒト対象である、実施形態49に記載の方法。
51.前記複数のヒト対象が、既知のアミロイドプラークのレベルを有する複数のヒト対象である、実施形態49に記載の方法。
52.前記複数のヒト対象が、既知のタウタングルのレベルを有する複数のヒト対象である、実施形態49に記載の方法。
53.前記複数のヒト対象が、所定の認知のレベルを有する複数のヒト対象である、実施形態49に記載の方法。
54.前記ヒト対象の血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、前記ヒト対象が、認知の悪化の影響を受けやすいと分類される、実施形態47~53のいずれか1つに記載の方法。
55.前記ヒト対象の血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、前記ヒト対象が、アミロイドプラークの増加した数の影響を受けやすいと分類される、実施形態47~53のいずれか1つに記載の方法。
56.前記ヒト対象の血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、前記ヒト対象が、タウタングルの増加した数の影響を受けやすいと分類される、実施形態47~53のいずれか1つに記載の方法。
57.前記ヒト対象の血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、前記ヒト対象に、前記抗ベータアミロイド抗体の別の用量を投与することを含む、実施形態47~53のいずれか1つに記載の方法。
58.前記ヒト対象に前記抗ベータアミロイド抗体の別の用量を投与することが、前記ヒト対象によって受けられた前記抗ベータアミロイド抗体の以前の用量以上である前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象に投与することを含む、実施形態57に記載の方法。
59.前記血漿p-タウレベルが、血漿p-タウ181またはp-タウ217レベルである、実施形態1~58のいずれか1つに記載の方法。
60.ベースラインにおけるヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、血漿p-タウレベルが基準レベルを超える対象に、1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含む、方法。
61.実施形態1~60のいずれか1つに記載の方法で使用するための、組成物。
62.実施形態61に記載の組成物と、使用説明書と、を含む、キット。
63.ヒト対象における疾患を治療するための薬物の製造における抗ベータアミロイド抗体の使用であって、前記治療が、前記ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を前記ヒト対象に投与することと、を含み、前記疾患が、アルツハイマー病(AD)を含む、前記使用。
64.前記ヒト対象の血漿中のp-タウレベルが、前記ヒト対象が前記抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前に決定される、実施形態63に記載の使用。
65.前記治療が、第1及び第2の時点で前記ヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することをさらに含む、実施形態63または64に記載の使用。
66.前記第1の時点が、前記ヒト対象が前記抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前である、実施形態65に記載の使用。
67.前記第2の時点が、前記ヒト対象が少なくとも1回の用量の前記抗ベータアミロイド抗体を受けた後である、実施形態65または66に記載の使用。
68.血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点が、少なくとも10回の用量の抗ベータアミロイド抗体が前記ヒト対象に投与された後である、実施形態65~67のいずれか1つに記載の使用。
69.血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点が、少なくとも14回の用量の抗ベータアミロイド抗体が前記ヒト対象に投与された後である、実施形態65~68のいずれか1つに記載の使用。
70.血漿p-タウのレベルを決定するための第2の時点が、少なくとも19回の用量の抗ベータアミロイド抗体が前記ヒト対象に投与された後である、実施形態65~69のいずれか1つに記載の使用。
71.前記第1の時点が、前記第2の時点の前に生じ、第1の時点の前記血漿p-タウのレベルが、前記第2の時点の前記血漿p-タウのレベルよりも高い場合、前記治療が、前記ヒト対象への前記抗ベータアミロイド抗体の第2の投与をさらに含む、実施形態67~70のいずれか1つに記載の使用。
72.前記抗ベータアミロイド抗体の前記第2の投与が、第1の投与において前記ヒト対象に投与された前記抗ベータアミロイド抗体の前記用量以上である前記抗ベータアミロイド抗体の用量を含む、実施形態71に記載の使用。
73.前記第1の時点が、前記第2の時点の前に生じ、第1の時点での前記血漿p-タウのレベルが、前記第2の時点での前記血漿p-タウのレベルよりも低い場合、前記治療が、前記ヒト対象への前記抗ベータアミロイド抗体の第2の投与をさらに含む、実施形態67~70のいずれか1つに記載の使用。
74.前記抗ベータアミロイド抗体の前記第2の投与が、第1の投与において前記ヒト対象に投与された前記抗ベータアミロイド抗体の前記用量以下である前記抗ベータアミロイド抗体の用量を含む、実施形態73に記載の使用。
75.前記p-タウレベルが、血漿p-タウ181レベルまたは血漿p-タウ217レベルである、実施形態63~74のいずれか1つに記載の使用。
76.前記ヒト対象が、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている、実施形態63~75のいずれか1つに記載の使用。
77.前記対象が、治療前の0.5のCDR全体スコア及び0.5以上のメモリボックススコアによって中程度の可能性がある、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている、実施形態63~75のいずれか1つに記載の使用。
78.前記対象が、例えば、介護者によって確認されるように、治療前の最後の1年間にわたって、緩やかな発症及びゆっくりとした進行を伴う主観的記憶低下の病歴によって中程度の可能性がある、アルツハイマー病に起因する軽度の認知障害と診断されている、実施形態63~75のいずれか1つに記載の使用。
79.前記対象が、推定アルツハイマー病認知症のNIA-AAコア臨床基準によって、軽度のアルツハイマー病認知症と診断されている、実施形態63~75のいずれか1つに記載の使用。
80.前記対象が、治療前の0.5~1.0のCDRスコア及び0.5以上のメモリボックススコアによって、軽度のアルツハイマー病認知症と診断されている、実施形態63~75のいずれか1つに記載の使用。
81.前記抗ベータアミロイド抗体が、アデュカヌマブ、レカネマブ、ガンテネルマブ、ドナネマブ、LY3002813、バピネウズマブ、クレネズマブ、MEDI-1814、及びソラネズマブから選択される、実施形態63~80のいずれか1つに記載の使用。
82.前記抗ベータアミロイド抗体が、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、実施形態63~80のいずれか1つに記載の使用。
83.前記抗ベータアミロイド抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むVLを含む、実施形態63~80のいずれか1つに記載の使用。
84.前記抗ベータアミロイド抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、実施形態63~80のいずれか1つに記載の使用。
85.前記抗ベータアミロイド抗体が、静脈内または皮下に投与される、実施形態63~84のいずれか1つに記載の使用。
86.前記治療が、前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の量で投与することを含む、実施形態63~85のいずれか1つに記載の使用。
87.前記治療が、前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で投与することを含む、実施形態63~86のいずれか1つに記載の使用。
88.前記治療が、前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量で投与することを含む、実施形態63~87のいずれか1つに記載の使用。
89.前記治療が、ヒト患者の体重1kg当たり1mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔で前記ヒト患者に投与され、前記ヒト患者の体重1kg当たり3mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔で前記ヒト患者に投与され、前記ヒト患者の体重1kg当たり6mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔で前記ヒト患者に投与され、前記ヒト患者の体重1kg当たり10mgの抗体の複数回用量が4週間の間隔で前記ヒト患者に投与されることを含む複数回用量レジメンとして、前記抗ベータアミロイド抗体を投与することを含む、実施形態63~88のいずれか1つに記載の使用。
90.前記治療が、
(a)前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり1mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(b)工程(a)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり1mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(c)工程(b)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(d)工程(c)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(e)工程(d)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(f)工程(e)の4週間後に、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、
(g)工程(f)の後に、4週間の連続した間隔で、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量で前記ヒト対象に投与することと、を含む、実施形態63~89のいずれか1つに記載の使用。
91.前記治療が、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり少なくとも150mgの抗体の累積用量で投与することを含む、実施形態63~89のいずれか1つに記載の使用。
92.前記治療が、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり少なくとも200mgの抗体の累積用量で投与することを含む、実施形態63~89のいずれか1つに記載の使用。
93.前記治療が、少なくとも52週間にわたって4週間ごとに、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり10mgの抗体の量で投与することを含む、実施形態63~89のいずれか1つに記載の使用。
94.前記治療が、少なくとも112週間にわたって4週間ごとに、前記抗体の用量を前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の量で投与することを含む、実施形態63~89のいずれか1つに記載の使用。
95.前記治療が、前記抗体を前記ヒト対象に複数回用量で投与することを含み、前記複数回用量が、
(a)4週間ごとの、前記ヒト対象の体重1kg当たり3mgの抗体の少なくとも2回の用量と、
(b)4週間ごとの、前記ヒト対象の体重1kg当たり6mgの抗体の少なくとも30回の用量と、を含む、実施形態63~89のいずれか1つに記載の使用。
96.前記ヒト対象が、ApoEキャリアである、実施形態63~95のいずれか1つに記載の使用。
97.前記ヒト対象が、ApoE非キャリアである、実施形態63~95のいずれか1つに記載の使用。
98.前記ヒト対象が、
(i)ベースラインで65歳以上であるか、
(ii)ベースラインで65~74歳であるか、または
(iii)75歳以上である、実施形態63~97のいずれか1つに記載の使用。
99.前記ヒト対象が、治療の過程で、治療の中断を必要とするアミロイド関連イメージング異常(ARIA)を発症しない、実施形態63~98のいずれか1つに記載の使用。
100.前記治療が、前記ヒト対象における治療応答をモニタリングすることを含む、実施形態63~99のいずれか1つに記載の使用。
101.前記治療が、前記ヒト対象に対する治療計画を決定することを含む、実施形態63~99のいずれか1つに記載の使用。
102.前記治療が、前記ヒト対象の認知状態をモニタリングすることを含む、実施形態63~99のいずれか1つに記載の使用。
103.血漿中のp-タウレベルを決定することであって、前記血漿が、少なくとも1回の用量の抗ベータアミロイド抗体を受けたヒト対象から得られたインビトロ試料である、前記決定することと、決定された血漿p-タウレベルに基づいて、前記ヒト対象に投与される用量中の抗ベータアミロイド抗体の量を調整することと、を含む、方法。
104.血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、抗ベータアミロイド抗体による治療のための患者を選択する方法であって、前記血漿が、ヒト対象から得られたインビトロ試料である、前記方法。
105.血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、ヒト対象に投与される抗ベータアミロイド抗体の用量を決定するための方法であって、前記血漿が、ヒト対象から得られたインビトロ試料である、前記方法。
106.血漿中のp-タウレベルを決定することを含む、認知支援サービスのために抗ベータアミロイド抗体を受ける患者を選択するための方法であって、前記血漿が、ヒト対象から得られたインビトロ試料である、前記方法。
107.血漿中のp-タウレベルを決定することであって、前記血漿が、少なくとも1回の用量の抗ベータアミロイド抗体を受けたヒト対象から得られたインビトロ試料である、前記決定することを含む、方法。
108.前記血漿中の前記p-タウレベルを基準血漿p-タウレベルと比較することを含む、実施形態107に記載の方法。
109.前記基準血漿p-タウレベルが、抗ベータアミロイド抗体の用量を受ける前の前記ヒト対象から得られた、血漿中のp-タウレベルである、実施形態108に記載の方法。
110.前記基準血漿p-タウレベルが、複数のヒト対象から得られた血漿中の平均p-タウレベルである、実施形態108に記載の方法。
111.前記複数のヒト対象が、ADの証拠を有しない複数の健康なヒト対象である、実施形態110に記載の方法。
112.前記複数のヒト対象が、既知のアミロイドプラークのレベルを有する複数のヒト対象である、実施形態110に記載の方法。
113.前記複数のヒト対象が、既知のタウタングルのレベルを有する複数のヒト対象である、実施形態110に記載の方法。
114.前記複数のヒト対象が、所定の認知のレベルを有する複数のヒト対象である、実施形態110に記載の方法。
115.前記血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、前記ヒト対象が、認知の悪化の影響を受けやすいと分類される、実施形態108~114のいずれか1つに記載の方法。
116.前記血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、前記ヒト対象が、アミロイドプラークの増加した数の影響を受けやすいと分類される、実施形態108~114のいずれか1つに記載の方法。
117.前記血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、前記ヒト対象が、タウタングルの増加した数の影響を受けやすいと分類される、実施形態108~114のいずれか1つに記載の方法。
118.前記血漿中の前記p-タウレベルが、基準血漿p-タウレベルよりも高い場合、抗ベータアミロイド抗体の別の用量を前記ヒト対象に投与することを含む、実施形態108~114のいずれか1つに記載の方法。
119.前記ヒト対象に前記抗ベータアミロイド抗体の別の用量を投与することが、前記ヒト対象によって受けられた前記抗ベータアミロイド抗体の以前の用量以上である前記抗ベータアミロイド抗体の用量を前記ヒト対象に投与することを含む、実施形態118に記載の方法。
120.前記抗ベータアミロイド抗体が、アデュカヌマブ、レカネマブ、ガンテネルマブ、ドナネマブ、LY3002813、バピネウズマブ、クレネズマブ、MEDI-1814、及びソラネズマブから選択される、実施形態103~119のいずれか1つに記載の方法。
121.前記血漿p-タウレベルが、血漿p-タウ181またはp-タウ217レベルである、実施形態63~102のいずれか1つに記載の使用。
122.前記血漿p-タウレベルが、血漿p-タウ181またはp-タウ217レベルである、実施形態103~120のいずれか1つに記載の方法。
123.疾患を治療するための薬物の製造における抗ベータアミロイド抗体の使用であって、前記治療が、ベースラインにおけるヒト対象の血漿中のp-タウレベルを決定することと、血漿p-タウレベルが基準レベルを超える対象に、1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含む、前記使用。
124.ヒト対象におけるアルツハイマー病(AD)を治療するための方法で使用するための抗ベータアミロイド抗体を含む投与レジメンとして製剤化された薬物であって、前記投与レジメンが、複数回用量の抗ベータアミロイド抗体を含み、前記ヒト対象の血漿中のp-タウレベルが、第1の時点及び第2の時点で決定されている、前記薬物。
125.前記抗ベータアミロイド抗体が、アデュカヌマブ、レカネマブ、ガンテネルマブ、ドナネマブ、LY3002813、バピネウズマブ、クレネズマブ、MEDI-1814、及びソラネズマブから選択される、実施形態124に記載の薬物。
126.方法で使用するための抗ベータアミロイド抗体を含む投与レジメンとして製剤化された薬物であって、前記投与レジメンが、複数回用量の抗ベータアミロイド抗体を含み、前記ヒト対象の血漿中のp-タウレベルが、第1の時点及び第2の時点で決定されており、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記薬物。
127.方法が、
(i)アルツハイマー病(AD)を治療する方法、
(ii)アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象における治療応答をモニタリングする方法、
(iii)アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象に対する治療計画を決定する方法、
(iv)アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象の認知状態をモニタリングする方法、及び/または
(v)抗ベータアミロイド抗体による治療のためにアルツハイマー病患者を選択する方法、である、実施形態126に記載の薬物。
128.前記血漿p-タウレベルが、血漿p-タウ181またはp-タウ217レベルである、実施形態124~127のいずれか1つに記載の薬物。
129.ヒト対象におけるアルツハイマー病(AD)を治療するための方法で使用するための抗ベータアミロイド抗体であって、前記治療が、
前記ヒト対象からの試料中の血漿p-タウレベルを決定することと、
1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含み、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記抗ベータアミロイド抗体。
130.アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象における治療応答をモニタリングするための方法で使用するための抗ベータアミロイド抗体であって、前記方法が、
前記ヒト対象からの試料中の血漿p-タウレベルを決定することと、
1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含み、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記抗ベータアミロイド抗体。
131.アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象に対する治療計画を決定するための方法で使用するための抗ベータアミロイド抗体であって、前記方法が、
前記ヒト対象からの試料中の血漿p-タウレベルを決定することと、
1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含み、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記抗ベータアミロイド抗体。
132.アルツハイマー病(AD)を有するヒト対象の認知状態をモニタリングするための方法で使用するための抗ベータアミロイド抗体であって、前記方法が、
前記ヒト対象からの試料中の血漿p-タウレベルを決定することと、
1回以上の用量の抗ベータアミロイド抗体を投与することと、を含み、
前記抗ベータアミロイド抗体が、
配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3、ならびに
配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3、を含む、前記抗ベータアミロイド抗体。
133.前記血漿p-タウレベルが、血漿p-タウ181またはp-タウ217レベルである、実施形態129~132に記載の抗ベータアミロイド抗体。
【0217】
参照による組み込み
本明細書で述べられる全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各々の個々の刊行物、特許、または特許出願が参照によって組み込まれることが具体的かつ個別に示されるかのように、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。矛盾する場合は、本明細書におけるあらゆる定義を含め、本出願が優先するであろう。
【0218】
均等物
当業者は、ほんの日常的な実験を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの同等物を認識するか、または確認することができるであろう。そのような同等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】