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特表2024-540297反応性液体供給原料の安定化のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】反応性液体供給原料の安定化のための方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 65/04 20060101AFI20241024BHJP
   C10G 45/02 20060101ALI20241024BHJP
   C10G 45/58 20060101ALI20241024BHJP
   C10G 47/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C10G65/04
C10G45/02
C10G45/58
C10G47/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526601
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2022080653
(87)【国際公開番号】W WO2023078983
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】21206138.6
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】アナスン・スティーファン
(72)【発明者】
【氏名】ストゥムマン・マウヌス・スィンラー
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA02
4H129CA22
4H129MA01
4H129MA04
4H129MA12
4H129MB14A
4H129MB16B
4H129MB19B
4H129NA04
(57)【要約】
本開示は、少なくとも40重量%の炭素を含有する反応性液体供給原料ストリームの転化のための方法であって、
a.第1の組み合わされた水素消費ポテンシャルを有する希釈用ストリームと反応性液体供給原料を、第1の水素消費ポテンシャルを有する組み合わされたストリームとして、二水素の存在下、運転の間に少なくとも80℃の最低温度および250℃未満の最高温度を有する水素化処理において触媒的に活性な材料と接触するように導くステップ、
b.第1の水素消費ポテンシャルの80%未満かつ10%超である第2の組み合わされた水素消費ポテンシャルを有する安定化された組成物ストリームを取り出すステップ、
c.前記の安定化された組成物ストリームの液相のうちのある量を、前記希釈用ストリームとして提供するステップ、
を含み、組成物に関する前記の水素消費ポテンシャルが、当該組成物を飽和炭化水素に転化するのに必要な水素の量として理解される、前記方法に関する。
これは、希釈流が、部分的にのみ転化し、従って反応性供給原料との混和性に有利な化学的性質を有し、その結果、均一であり、希釈のために重合しにくく、反応性供給原料と比較してより高い熱容量を有する混合液体に、水素化処理において触媒的に活性な材料を接触させる、という関連の利点を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも40重量%の炭素を含有する反応性液体供給原料ストリームの、安定化された組成物への転化のための方法であって、
a.希釈用ストリームと前記反応性液体供給原料ストリームを、第1の水素消費ポテンシャルを有する組み合わされたストリームとして、二水素の存在下、運転の間に少なくとも80℃の最低温度および250℃未満の最高温度を有する水素化処理において触媒的に活性な材料と接触するように導くステップ、
b.第1の水素消費ポテンシャルの80%未満かつ10%超である第2の組み合わされた水素消費ポテンシャルを有する安定化された組成物ストリームを取り出すステップ、
c.前記の安定化された組成物ストリームの液相のうちのある量を、前記希釈用ストリームとして提供するステップ、
を含み、
組成物に関する前記の水素消費ポテンシャルが、当該組成物を飽和炭化水素に転化するのに必要な水素の量として理解される、前記方法。
【請求項2】
反応性液体供給原料ストリームが、少なくとも5重量%のO、少なくとも10重量%のOまたは少なくとも25重量%のOを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応性液体供給原料ストリームが、少なくとも0.5モル/kg、少なくとも1.0モル/kgまたは少なくとも2.5モル/kgのカルボニル含有率を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
熱分解プロセスにおける反応性液体供給原料ストリームの形成が、ステップaに先行する、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
組み合わされた液相および気相ストリームが、安定化された組成物ストリームからオーバーフローによって取り出され、前記希釈用ストリームがフロー制御によって取り出される、請求項1、2、3または4に記載の方法。
【請求項6】
希釈用ストリームが被駆動流体として、加圧された反応性液体供給原料ストリームを駆動流体として受け取るエジェクターポンプに導かれる、請求項1、2、3、4または5に記載の方法。
【請求項7】
希釈用ストリームと反応性液体供給原料ストリームとの間の全重量比が、少なくとも1:1、例えば2:1または3:1または4:1である、請求項1、2、3、4、5または6に記載の方法。
【請求項8】
組み合わされた希釈用ストリームおよび反応性液体供給原料が、運転の間、発熱性の水素化を開始させるのに十分な最低温度、例えば少なくとも80℃、少なくとも150℃または少なくとも200℃を有し、かつ、熱暴走水素化分解を回避するために十分に低い温度、例えば280℃未満、200℃未満または180℃未満を有する水素化処理において触媒的に活性な材料と接触するように導かれ、その後、前記の反応性液体供給原料ストリームと組み合わせられる、請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の方法。
【請求項9】
希釈用ストリームが、反応性液体供給原料ストリームと組み合わせる前に冷却される、請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記の安定化された組成物の液相のうちのある量を含むストリームが、任意に、前記の安定化された組成物ストリームの水素消費ポテンシャルより低い水素消費ポテンシャルを有するさらに別の希釈用ストリームと組み合わされた後に、水素化処理において触媒的に活性なさらに別の材料と接触するように導かれて、さらに別の水素化処理された組成物を提供する、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記のさらに別の水素化処理された組成物ストリームを、任意に気相ストリームの取り出しおよびある量の二水素との組み合わせの後に、水素化加工、例えば水素化分解または異性化において触媒的に活性な材料と接触させて、水素化加工された炭化水素生成物ストリームを提供する、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の方法。
【請求項12】
反応性液体供給原料を受け取るように構成され、ある量の二水素を受け取るように構成され、および請求項1~11のいずれか1つに記載の安定化された組成物を提供するように構成されたプロセスプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性液体供給原料の転化のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送燃料および石油化学供給原料は、環境の持続可能性を高めるために、廃棄物、副生成物およびリサイクル生成物を含む再生可能な供給原料から生成され得る。典型的には、そのような再生可能な供給原料は含酸素物質に富み、通常それらは、特に熱分解プロセス、例えばパイロリシス、水熱液化、および固体が液体に転化される他のプロセスに由来する場合に、高度に反応性である。
【0003】
残念ながら、これらのプロセスに由来する反応性の液体供給原料は、処理することが困難であり得る。反応性液体供給原料は、運転条件下で重合および凝固しやすいオレフィンおよび反応性含酸素物質を含み得る。
【0004】
反応性液体供給原料の転化は広範囲の熱放出に関連し得るが、これは、例えばトリグリセリドをベースとする再生可能な供給原料に関しては、生成物のリサイクルによって処理されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リサイクルは、リサイクルストリームが入れられる地点と、それが取り出される地点との間の全てのプロセス装置の体積を増加させ、ならびに、これらの増加したプロセス体積を送り込むために必要とされるエネルギーを増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
今回、初期反応器のみに高いリサイクル比が導入される場合に、プロセスの残部のプロセス装置サイズの関連する増加を引き起こすことなく、リサイクルの利点を実現できることが示された。
【0007】
本明細書において使用される場合に、組成物に関して水素消費ポテンシャルという用語は、当該組成物を飽和炭化水素に転化するのに必要な水素の量として理解されるべきである。例えば、オレイン酸、すなわちCH(CHCH=CH(CHCOOH(fw=282.5g/モル)は、以下に従い、4つのH分子と反応し得る:
CH(CHCH=CH(CHCOOH + 3 H = CH(CH16CH + 2 H
従って、水素消費ポテンシャルは、オレイン酸については28g/kgである。混合されたストリームに関しては、水素消費ポテンシャルは、少なくとも5個の炭素原子を有する分子についてのみ考慮される。
【0008】
本明細書で使用される場合に、用語「熱分解(thermal decomposition)」は、便宜上、材料が、化学量論量未満の酸素の存在下で(酸素なしを含む)、高められた温度(典型的には250℃~800℃もしくはさらには1000℃)で部分的に分解される、任意の分解プロセスに広く使用されるものとする。生成物は、典型的には、組み合わされた液体およびガスストリーム、ならびにある量の固体チャーである。当該用語は、触媒の存在下および非存在下の両方における、パイロリシス(pyrolysis)および水熱液化(hydrothermal liquefaction)として知られるプロセスを少なくとも含むと解釈されるべきである。
【0009】
本明細書において使用される場合に、反応性液体供給原料という用語は、含酸素物質及び/又はオレフィンを含む供給原料として解釈されるべきである。そのような反応性液体供給原料は、触媒活性材料の存在がなくとも、例えば重合によって反応しやすい場合がある。
【0010】
簡素化のために、熱分解、例えばパイロリシスおよび熱液化(thermal liquefaction)からの全ての生成物を、元のプロセスの性質にかかわらず、以下ではパイロリシス油と呼ぶ。
【0011】
以下において、ppmという略語は、百万分の体積部、例えばモル気体濃度を示すために使用されるものとする。
【0012】
以下において、ppmという略語は、百万分の重量部、例えば液状炭化水素ストリームの量に対する硫黄原子の量を示すために使用されるものとする。
【0013】
以下において、重量%という略語は、重量パーセントを示すために使用されるものとする。
【0014】
以下において、体積%という略語は、ガス(気体)に関する体積パーセントを示すために使用されるものとする。
【0015】
気相中の濃度が与えられる場合、別段の特定がない限り、それらはモル濃度として与えらる。
【0016】
液相または固相中の濃度が与えられる場合、別段の特定がない限り、それらは重量濃度として与えらる。
【0017】
液体の芳香族含有率は、当技術分野によれば、全分子の全質量(%)に対する、少なくとも1つの芳香族構造を有する分子の全質量である。
【0018】
本開示の第1の態様は、少なくとも40重量%の炭素を含有する反応性液体供給原料ストリームの、安定化された組成物への転化のための方法であって、
a.希釈用ストリームと反応性液体供給原料ストリームを、第1の水素消費ポテンシャルを有する組み合わされたストリームとして、二水素の存在下、運転の間に少なくとも80℃の最低温度および250℃未満の最高温度を有する水素化処理において触媒的に活性な材料と接触するように導くステップ、
b.第1の水素消費ポテンシャルの80%未満、60%未満かつ40%超または20%超または10%超である第2の水素消費ポテンシャルを有する安定化された組成物ストリームを取り出すステップ、
c.前記の安定化された組成物ストリームの液相のうちのある量を、前記希釈用ストリームとして提供するステップ、
を含み、
組成物に関する前記の水素消費ポテンシャルが、当該組成物を飽和炭化水素に転化するのに必要な水素の量として理解される、前記方法。
【0019】
これは、希釈流が、組み合わされたストリームと比較して10%~80%の水素消費ポテンシャルを依然として有するために部分的にのみ転化し、従って反応性供給原料との混和性に有利な化学的性質を有し、その結果、均一であり、希釈のために重合しにくく、反応性供給原料と比較してより高い熱容量を有する混合液体と、水素化処理において触媒的に活性な材料が接触する、という関連の利点を有する。
【0020】
本開示の第2の態様は、反応性液体供給原料ストリームが少なくとも5重量%のO、少なくとも10重量%のOまたは少なくとも25重量%のOを含有する、前記態様のいずれかに記載の方法に関する。これは、そのような反応性液体供給原料が、再生可能起源の燃料および化学的前駆体の代表である、という関連の利点を有する。一般に、反応性液体供給原料ストリームは、35重量%未満のO、50重量%未満のOを含有する。
【0021】
本開示の第3の態様は、反応性液体供給原料ストリームが少なくとも0.5モル/kg、少なくとも1.0モル/kgまたは少なくとも2.5モル/kgのカルボニル含有率を有する、前記態様のいずれかに記載の方法に関する。これは、そのような反応性液体供給原料が、再生可能起源の燃料および化学的前駆体の代表である、という関連の利点を有する。
【0022】
本開示の第4の態様は、触媒の存在下または非存在下で実施される熱分解プロセス、例えば熱液化、ガス化、自己熱パイロリシス、水素化パイロリシス、急速パイロリシス、中間的パイロリシスまたは遅いパイロリシスにおける反応性液体供給原料ストリームの形成が、ステップaに先行する、前記態様のいずれかに記載の方法に関する。これは、そのような供給原料が広範囲の固体廃棄物または副生成物から提供される、という関連の環境的および経済的利点を有する。
【0023】
本開示の第5の態様は、組み合わされた液相および気相ストリームが、安定化された組成物ストリームからオーバーフローによって取り出され、前記希釈用ストリームはフロー制御によって取り出される、前記態様のいずれかに記載の方法に関する。これは、そのような分離が、例えば水素化処理のための反応器内で、簡単かつ安価にもたらされる、という関連の利点を有する。
【0024】
本開示の第6の態様は、希釈用ストリームが被駆動流体として、加圧された反応性液体供給原料ストリームを駆動流体として受け取るエジェクターポンプに導かれる、前記態様のいずれかに記載の方法に関する。これは、エジェクターポンプが、機械的に単純であり、本質的に希釈流と反応性液体供給原料との混合を提供する、という関連の利点を有する。
【0025】
本開示の第7の態様は、希釈用ストリームと反応性液体供給原料ストリームとの間の全重量比が少なくとも1:1、例えば2:1または3:1または4:1である、前記態様のいずれかに記載の方法に関する。これは、多量の希釈流が重合を制限し、ヒートシンクとして増大した熱容量を提供する、という関連の利点を有する。
【0026】
本開示の第8の態様は、組み合わされた希釈用ストリームおよび反応性液体供給原料が、運転の間、発熱性の水素化を開始させるのに十分な最低温度、例えば少なくとも80℃、少なくとも150℃または少なくとも200℃を有し、かつ、熱暴走水素化分解を回避するために十分に低い温度、例えば280℃未満、200℃未満または180℃未満を有する水素化処理において触媒的に活性な材料と接触するように導かれ、その後、反応性液体供給原料ストリームと組み合わせられる、前記態様のいずれかに記載の方法に関する。これは、水素化処理反応のために十分な温度を有する混合物を提供する一方で、依然として最高温度を制限する、という関連の利点を有する。パイロリシス油の場合、入口温度は一般に80~180℃であり、接触パイロリシスおよび水熱液化からの反応性の低いパイロリシス油の場合には125~200℃であり、より安定な生成物の場合、入口温度は200~280℃であってもよい。触媒活性材料の最低温度は、典型的には、反応器の入口での温度である。
【0027】
本開示の第9の態様は、希釈用ストリームが、反応性液体供給原料ストリームと組み合わせる前に冷却される、前記態様のいずれかに記載の方法に関する。これは、混合物の熱反応を回避しながら、水素化処理反応から放出された熱を吸収するためのヒートシンクを提供する、という関連の利点を有する。
【0028】
本開示の第10の態様は、前記の安定化された組成物の液相のうちのある量を含むストリームが、任意に、前記の安定化された組成物ストリームの水素消費ポテンシャルより低い水素消費ポテンシャルを有するさらに別の希釈用ストリームと組み合わされた後に、水素化処理において触媒的に活性なさらに別の材料と接触するように導かれて、さらに別の水素化処理された組成物を提供する、前記態様のいずれかに記載の方法に関する。これは、安定化された組成物を炭化水素にさらに転化し、さらに希釈される場合には、安定化された組成物を使用されるさらに別の希釈流とマッチさせながら、放出される熱を制限する、という関連の利点を有する。
【0029】
本開示の第11の態様は、前記のさらに別の水素化処理された組成物ストリームを、任意に気相ストリームの取り出しおよびある量の二水素との組み合わせの後に、水素化加工、例えば水素化分解または異性化において触媒的に活性な材料と接触させて、水素化加工された炭化水素生成物ストリームを提供する、前記態様のいずれかに記載の方法に関する。これは、生成物構造または分子量を、水素化加工された炭化水素生成物の要件に調節する、という関連の利点を有する。そのような水素化加工は、多くの場合に、貴金属およびモレキュラーシーブを含有する触媒活性材料の存在下で実施されるので、HS、NH、COおよびCOの除去が好ましい場合がある。
【0030】
本開示の第12の態様は、反応性液体供給原料を受け取るように構成され、ある量の二水素を受け取るように構成され、および安定化された組成物を提供するように構成されたプロセスプラントであって、前記プロセスプラントは、入口および出口を有する第1の水素化処理反応器、入口および出口を有する第2の水素化処理反応器、および入口および出口を有する液体推進手段を備え、前記反応性液体供給原料が、第1の水素化処理反応器の入口に導かれ、第1の水素化処理反応器の出口が、液体推進手段の入口および第2の水素化処理反応器の入口と流体連通しており、液体推進手段の出口が、第1の水素化処理反応器の入口と流体連通しており、さらに別の水素化処理された組成物が、第2の水素化処理反応器の出口から提供される、前記プロセスプラントに関する。これは、プロセスプラントに、第2の水素化処理反応器における安定化およびさらなる水素化処理のために、第1の水素化処理反応器の周辺にリサイクルを提供する、という関連の利点を有する。
【0031】
本開示の第13の態様は、前記推進手段が、駆動ストリーム入口、被駆動ストリーム入口および前記出口を有するエジェクターであり、反応性液体供給原料が駆動ストリーム入口に導かれ、第1の水素化処理反応器の出口と液体推進手段の入口との間の流体連通が被駆動ストリーム入口に導かれる、前記第13の態様に記載のプロセスプラントに関する。これは、従来の電気駆動ポンプの代替として、反応性液体供給原料と安定化組成物との間の混合も提供する、駆動部品を伴わない液体推進手段を提供する、という関連の利点を有する。
【0032】
熱分解、例えばパイロリシスおよび熱液化からの液体生成物は、特に地球温暖化の観点から、化石生成物、特に水素化処理後の化石生成物に対する環境に優しい代替物と考えられてきた。これらの生成物(簡素化のために、元のプロセスにかかわらずパイロリシス油)の性質は一般に、それらが含酸素物質および場合によってはオレフィンに富むことであろう。形成物の当該性質は、生成物が安定化されず、従って、典型的な化石原料とは異なり、それらが非常に反応性であり、多量の水素を必要とし、反応の間にかなりの量の熱を放出し、高い重合傾向をさらに有することを意味する。熱の放出は重合をさらに増加させ得るものであり、高められた温度では、触媒もコーキングによって失活させられ得る。
【0033】
直接的な生物学的起源のもの、例えば動物性脂肪、植物性油および類似の化合物を含む、他の含酸素物質供給原料も、二重結合の存在または反応性含酸素物質の存在のいずれかのために、同様に反応性であり得、従って、本願の考察は、これらの供給原料にも関連する。
【0034】
少なくとも部分的に水素化処理された生成物による供給原料の希釈は、理論的には、放出された熱を回収するためのヒートシンクを提供することができる。さらに、反応種を希釈することによって、重合の反応速度論が遅くなる。
【0035】
本開示による供給原料を提供する熱分解プロセスプラントセクションは、当技術分野で周知のような、流動床、輸送床(transported bed)、循環流動床またはオーガー反応器の形態であってもよい。この分解は、パイロリシス供給原料を固体(チャー)、高沸点液体(タール)および高められた温度でガス状であるフラクションに転化する。ガス状フラクションは、標準温度で凝縮可能なフラクション(パイロリシス油または凝縮物、C5+化合物)および非凝縮性フラクション(パイロリシスオフガスを含むパイロリシスガス)を含む。例えば、熱分解プロセスプラントセクション(パイロリシスセクション)は、パイロライザーユニット(パイロリシス反応器)、粒状の固体、例えばチャーを除去するためにサイクロン(複数可)、および冷却ユニットを、それらによってパイロリシスオフガスストリームおよび前記パイロリシス油ストリーム、すなわち凝縮されたパイロリシス油を生成するために含むことができる。パイロリシスオフガスストリームは、軽質炭化水素、例えばC1~C4炭化水素、HO、CO及びCOを含む。典型的には、パイロリシス油という用語は、凝縮物およびタールを含み、バイオマスのパイロリシスからのパイロリシス油ストリームは、バイオオイルとも称され得、通常、200を超える異なる化合物、主に含酸素物質、例えば酸、糖、アルコール、フェノール、グアヤコール、シリンゴール、アルデヒド、ケトン、フラン、およびパイロリシスで処理された固体の解重合から生じる他の混合含酸素物質からなる、分子のブレンドに富む液体物質である。
【0036】
本発明の目的のために、パイロリシスセクションは、当該技術分野においてフラッシュパイロリシスとも呼ばれる急速パイロリシスであってもよい。急速パイロリシスは、典型的には350~650℃の範囲、例えば約500℃の温度で、10秒以下、例えば5秒以下、例えば約2秒の反応時間での、典型的には酸素の非存在下における、固体再生可能供給原料の熱分解を意味する。急速パイロリシスは、例えば、例えば流動床反応器における、自己熱運転によって行うことができる。後者は、自己熱パイロリシスとも呼ばれ、空気(任意選択的に不活性ガスまたはリサイクルガスとともに)を流動ガスとして使用することを特徴とする。それによって、パイロリシス反応器(自己熱反応器)内で生成されるパイロリシス化合物の部分酸化が、同時に熱伝達を改善しながら、パイロリシスのためのエネルギーを提供する。いわゆる接触急速パイロリシスでは、触媒を使用することができる。パイロリシス蒸気をアップグレードするために酸触媒を使用することができ、それはin-situモード(触媒がパイロリシス反応器内に位置する)およびex-situモード(触媒が別個の反応器内に置かれる)の両方で運転することができる。触媒の使用は、酸素を除去し、それによってパイロリシス油の安定化を助け、したがって水素化加工をより容易にするという利点をもたらす。加えて、所望のパイロリシス油化合物に向かって高められた選択性を達成することができる。
【0037】
一部の場合には、水素が接触パイロリシスに加えられ、これは反応性接触急速パイロリシスと呼ばれる。接触パイロリシスが高い水素圧(例えば500 kPa超)で行われる場合、それはしばしば接触水素化パイロリシスと呼ばれる。
【0038】
パイロリシス段階は、代替的に、触媒および水素の存在なしに行われる急速パイロリシスであることができ、すなわち、急速パイロリシス段階は、接触急速パイロリシス、水素化パイロリシスまたは接触水素化パイロリシスでない場合がある。このことは、はるかに単純で安価なプロセスを可能にする。
【0039】
熱分解セクションは、水熱液化であってもよい。水熱液化は、固体のバイオポリマー構造を主に液体成分に分解するのに十分な時間、高温の加圧水環境中で処理することによる、バイオマスの液体燃料への熱化学的転化を意味する。典型的な水熱処理条件は、250~375℃の範囲の温度であり、4~22MPaの範囲の運転圧力である。この技術は、パイロリシス、例えば急速パイロリシスと比較して、より低い温度、より高いエネルギー効率という運転の利点、およびより低い酸素含有率を有する生成物を生成するという運転の利点を提供する。
【0040】
最後に、他の関連する熱分解方法は、条件がより低い温度および一般にはより高い滞留時間を伴う、中間的なまたは遅いパイロリシスであり、これらの方法は炭化またはトレファクションとしても知られ得る。これらの熱分解方法の主要な利点は、より低い投資であるが、それらはまた、特定の供給原料に関してまたは特定の生成物要件、例えばバイオ炭に対する必要性、に関して特定の利点を有し得る。
【0041】
含酸素物質の炭化水素への転化は、再生可能な輸送燃料の製造のための一般的な方法であるが、反応性および他の特性が、異なる供給原料に対しては異なる。含酸素物質供給原料は、典型的には、トリグリセリド、脂肪酸、樹脂酸、ケトン、アルデヒドまたはアルコールからなる群から選択される1種または複数の含酸素物質を含み、前記含酸素物質は、生物学的起源、ならびにガス化プロセスまたはパイロリシスプロセスを含めた熱分解および/または触媒的分解プロセスのうちの1つまたは複数に由来し得、その結果、広範囲の供給原料、特に再生可能起源の供給原料を、炭化水素に転化することができる。これは、典型的には熱分解および/または触媒的分解プロセス後の、植物、藻類、動物、魚類、植物油精製、他の生物学的起源、家庭廃棄物、トールオイルまたは黒液などの産業生物学的廃棄物、ならびに適切な組成を含む非生物学的廃棄物、例えばプラスチックフラクションまたはゴム(使用済みタイヤを含めて)に由来する供給原料を含む。さらに、含酸素物質は、典型的にはフィッシャー・トロプシュ合成によって化石または再生可能合成ガスから、合成的に提供され得る。供給原料が生物起源のものである場合、供給原料および生成物は、全炭素含有率の1兆分の0.5部を超える14C含有率を有することを特徴とするが、供給原料が化石起源の廃棄物、例えばプラスチックを含む場合、この比は異なり得る。
【0042】
炭化水素生成物の生成は、典型的には、1または複数の水素化加工ステップを必要とし、これらは最も一般的には、ヘテロ原子を除去し、二重結合を飽和させるための水素化処理、炭化水素分子構造を調節するための水素異性化、および炭化水素分子量を減少させるための水素化分解である。
【0043】
水素化処理の間、含酸素物質は過剰の水素と組み合わされ、水素化脱酸素プロセスにおいて、ならびに脱炭酸および脱カルボニル化プロセスにおいて反応し、水、二酸化炭素および一酸化炭素が含酸素物質から放出され、ある量の二酸化炭素が、水性/ガスシフトプロセスによって一酸化炭素に転化される。典型的には、含酸素物質供給原料の5重量%または10重量%から50重量%までは酸素であり、従って生成物ストリームのうちのかなりの量は水、二酸化炭素および一酸化炭素である。さらに、供給原料の性質および生じる副反応に応じて、ある量の軽質炭化水素(特にメタンおよびプロパン)も生成物ストリーム中に存在し得る。水素化処理はまた、他のヘテロ原子、特に窒素および硫黄の抽出を含むが、場合によってはハロゲンおよびケイ素の抽出、ならびに二重結合の飽和も含むことができる。特に、含酸素物質の水素化処理は非常に反応性かつ発熱性であり、中程度のまたは低い活性の触媒が、触媒を失活させるコークス形成をもたらす過剰な熱放出および暴走反応を回避するために好ましいかもしれない。触媒活性は一般に、少量の活性金属のみを使用することにより、特にニッケルおよびコバルトなどの促進金属の量を制限することによって制御される。
【0044】
典型的には、水素化処理、例えば脱酸素および水素化は、含酸素物質を含む供給原料ストリームを導いて、1種または複数の耐熱性酸化物、典型的にはアルミナ、しかし場合によってはシリカまたはチタニアを含むキャリア上に担持された、硫化モリブデンまたは場合によってはタングステンおよび/またはニッケルもしくはコバルトを含む触媒活性材料に接触させることを含む。担体は、典型的には非晶質である。触媒活性材料は、ホウ素またはリンなどのさらなる成分を含んでもよい。前記条件は、典型的には、250~400℃の区間の温度、3~15MPaの区間の圧力、および0.1~2の区間の液空間速度(LHSV)である。脱酸素は、水を生成する水素化脱酸素、および、含酸素物質がカルボキシル基、例えば酸またはエステルを含む場合には、COを生成する脱炭酸の組み合わせを含む。カルボキシル基の脱酸素は、条件および触媒活性材料の性質に応じて、90%を超える水素化脱酸素から90%を超える脱炭酸まで変化し得る選択性で、水素化脱酸素または脱炭酸によって進行し得る。両方の経路による脱酸素は発熱性であり、多量の酸素の存在とともに、当該方法は、例えば、低温の水素、供給材料または生成物でクエンチすることによる、中間冷却を含むことができる。供給原料は、好ましくは、金属の活性を維持するために、金属の硫化を維持する量の硫黄を含有していてもよい。含酸素物質を含む供給原料ストリームが、10、100または500ppm未満の硫黄を含む場合、ジメチルジスルフィド(DMDS)などのスルフィド供与体が典型的には供給原料に添加されている。
【0045】
非安定化供給原料が高度に反応性である場合、中程度の条件での前処理が、供給原料を安定化するために適切であり得る。これは、80℃、120℃または200℃という低い入口温度、3~15MPaの区間の圧力、および0.1~2の区間の液空間速度(LHSV)、および非促進化モリブデン等の活性の低い触媒活性材料の意図的な選択を含み得る。反応性成分および発熱性の性質のために、熱制御は、この前処理ステップにおいて意義を有し得る。
【0046】
HDO反応器中の前記条件下で、水性ガスシフトプロセスの平衡は、COおよびHのCOおよびHOへの転化を引き起こす。卑金属触媒の存在下では、ある量のメタン化が起こり得、COおよびHをCHおよびHOに転化する。
【0047】
特に、脂肪酸、トリグリセリドおよびフィッシャー・トロプシュ生成物を処理する場合、脱酸素プロセスは低温流動特性に乏しい直鎖状アルカンに富む生成物を提供し得、従って、脱酸素プロセスは、生成物の低温流動特性を改善することを目的として、水素異性化プロセスと組み合わせることができ、および/または生成物の沸点を調節することを目的として、水素化分解プロセスと組み合わせることができる。
【0048】
典型的には、水素異性化による分子構造の転位は、中間脱酸素生成物ストリーム供給原料を、活性金属(白金および/またはパラジウムなどの元素貴金属、あるいは、ニッケル、コバルト、タングステンおよび/またはモリブデンなどの硫化卑金属のいずれか)、酸性担体(典型的には、高い形状選択性を示し、MOR、FER、MRE、MWW、AEL、TONおよびMTT等のトポロジーを有するモレキュラーシーブ)、および耐熱性担体(例えばアルミナ、シリカまたはチタニア、またはそれらの組み合わせ)を含む、水素異性化において触媒的に活性な材料と接触するように導くことを含む。触媒活性材料は、ホウ素またはリンなどのさらなる成分を含んでもよい。前記条件は、典型的には、250~350℃の区間の温度、2~10MPaの区間の圧力、および0.5~8の区間の液空間速度(LHSV)である。異性化は実質的に熱的に中性であり、水素は典型的には異性化反応において消費されない(水素を消費する少量の水素化分解副反応は起こり得るが)。異性化において触媒的に活性な材料上の活性金属は、硫化された卑金属または還元された貴金属のいずれかであり得る。貴金属はより低い温度で活性であり、より低い温度での運転は、より低い程度の水素化分解および関連する収量損失も意味する。それが貴金属である場合、脱酸素供給原料は、典型的には、多くの場合にストリッピングプロセスを含む気/液分離セクションによって精製され、これは典型的には、ストリッピング媒体として水素を使用するが、他のストリッピング媒体、例えば蒸気を使用して、硫黄の含有率を1~10ppm未満に低減することもできる。活性金属が卑金属の場合、水素異性化への供給原料は、好ましくは、金属の活性を維持するために、金属の硫化を維持する量の硫黄を含有していてもよい。
【0049】
水素化分解は、大きな分子をより小さな分子にクラッキングすることによって、炭化水素混合物の低温流動特性および沸点特性を調節する。典型的には、水素化分解は、中間供給原料を、活性金属(白金および/またはパラジウムなどの元素貴金属、あるいは、ニッケル、コバルト、タングステンおよび/またはモリブデンなどの硫化卑金属のいずれか)、酸性担体(典型的には、高いクラッキング活性を示し、MFI、BEAおよびFAU等のトポロジーを有するモレキュラーシーブ)、および耐熱性担体(例えばアルミナ、シリカまたはチタニア、またはそれらの組み合わせ)を含む、水素化分解において触媒的に活性な材料と接触するように導くことを含む。触媒活性材料は、ホウ素またはリンなどのさらなる成分を含んでもよい。この全体的な組成は、異性化で触媒的に活性な材料に類似しているが、相違は、典型的には、酸性担体の性質であり、これは異なる構造(非晶質シリカ-アルミナでさえも)であってもよく、または異なる -典型的にはより高い- 酸性度(例えばシリカ:アルミナ比に起因する)を有していてもよい。前記条件は、任意選択的に、低温の水素、供給原料または生成物を用いたクエンチングによる中間冷却と一緒に、典型的には、250~400℃の区間の温度(これは典型的には、対応する異性化温度よりも高い温度である)、3~15MPaの区間の圧力、および0.5~8の区間の液空間速度(LHSV)である。
【0050】
パイロリシス油の組成は、原料およびパイロリシスプロセスによって定義される。多くのパイロリシスプロセスに関して、これは、パイロリシス油が、中程度の量だけの高沸点材料のみを含有し、従って、必要とされる水素化分解条件は中程度であり、リサイクルをほとんどまたは全く伴わないことを意味する。しかしながら、一部の熱分解プロセスは、かなりの量の350℃を超えて沸騰する生成物を含むパイロリシス油を提供し得、従って、十分な水素化分解を得るためには生成物リサイクルを必要とし得る。
【0051】
炭化水素、過剰な水素、およびヘテロ原子を含む無機分子を含む水素化加工されたストリームは、炭化水素とヘテロ原子を含む分子(典型的にはガス)とに分離されなければならない。これを行うために、水素化加工されたストリームは分離セクションに導かれ、これはパイロリシス油、脂肪酸およびトリグリセリドの処理に関するプロセスシナリオに関しては、典型的には、卑金属ベースの水素化処理反応器と貴金属ベースの水素異性化反応器との間にあるか、あるいは水素異性化において触媒的に活性な材料が卑金属を含む場合には、水素異性化反応器の下流にあるかのいずれかである。前記方法はまた、1または複数の他の転化ステップ、例えば水素化分解または水素化脱芳香族を含むことができ、およびこれらのステップの順序および使用される触媒活性金属に応じて、当業者は、リサイクルガスストリームを取り出す目的で分離セクションを導入するために可能な位置を認識するであろう。
【0052】
本開示により、本発明者らは、水素化のための初期安定化反応器が提供され、この安定化反応器の周辺にリサイクルが提供される、代替的なレイアウトを提案する。そのような初期反応器は、低下させた温度で運転することができ、その結果、最も反応性の高い種のみがこの反応器内で反応するが、それにもかかわらず、プロセスにおける熱放出のうちのかなりの割合がこの反応器内で起こり得る。安定化反応器から放出された安定化された組成物は、その後、リサイクルのためのフラクションと、さらなる水素化処理のためのフラクションとに分割され得る。リサイクルは、ポンプまたはエジェクターのいずれかによって駆動することができる。エジェクターは、ガスおよび液体を含む二相ストリームを駆動することができ、さらに、駆動部品を含まず、供給原料の圧力によって駆動される、という利点を有する。
【0053】
含酸素物質に富む炭化水素質供給原料、例えばフィッシャー・トロプシュ生成物及び生物学的起源の炭化水素質原料(特に植物性及び動物性脂肪)の場合、水素化加工ストリームは、長い直鎖状炭化水素を主に含有するが、パイロリシス油生成物ストリームからの水素化加工ストリームは芳香族炭化水素を含有し得る。さらに、前記ストリームは、メタン、プロパン、水、およびある程度の炭素酸化物を含有し得、加えて、炭化水素質供給原料中の窒素は、水素化加工されたストリーム中にアンモニアをもたらす。炭化水素質供給原料中の添加された硫黄ならびに任意の硫黄は、水素化加工されたストリーム中に硫化水素として存在し、最終的に、過剰量の水素が未反応のまま、水素化加工されたストリームに送られる。
【0054】
含酸素物質に富む供給原料を処理するプロセスでは、熱の発生および水素の消費が大きいので、水素化加工反応器中のガス油比も、他の水素化加工プロセスと比較して非常に高く、例えば、1000~7000Nm/mである。この水素ガスは、冷却したガスを段階的に注入することによって、プロセス温度を制御するために使用することができる。プロセス温度は、供給原料によって汚染されるリスクがある熱交換器を使用することなく、供給原料を所望の温度に予熱するのに適した温度に中程度に冷却された、ある量の供給原料希釈流をリサイクルすることによって、さらに調節されてもよい。このリサイクルは同時に、供給原料を予熱するためのエネルギーを提供し、希釈によって重合反応速度を低減し、またヒートシンクを提供し、その結果、発熱性の水素化および水素化脱酸素によって放出される熱がより大きな体積にわたって分配される。従って、リサイクルは、より大きなプロセス装置を必要とする。従来技術によれば、リサイクルはポンプによって駆動されており、これは、気相のキャビテーションを回避するために、リサイクルストリームが単相ストリームであることを必要とする。
【0055】
パイロリシス油生成物ストリームは、芳香族炭化水素、長い直鎖状の炭化水素、ガス状炭化水素、水、およびある程度の炭素酸化物を含有することができ、加えて、炭化水素質供給原料中の窒素は、水素化加工されたストリーム中にアンモニアをもたらす。パイロリシス油中の添加された硫黄ならびに任意の硫黄は、水素化加工されたストリーム中に硫化水素として存在し、最終的に、過剰量の水素が未反応のまま、水素化加工されたストリームに送られる。この多様な混合物の最適な取り扱いのために中間分離ステップが必要とされ得る。
【0056】
さらに、パイロリシス油の炭化水素への最適な転化のために3または4種の触媒活性材料を組み合わせる必要性は当然、プロセスレイアウトを複雑にし、材料の順序は、特に卑金属に関しては必要とされ貴金属に関しては避けるべき硫黄の存在に関して、慎重に考慮されなければならない。
【0057】
プロセスレイアウトにおいて、リサイクルは、様々な目的のためにすることができる:水素の効率的な使用のためのガスリサイクル、所望のフラクションの収量を最大化するための水素化分解において触媒的に活性な材料の周辺での液体リサイクル、および発熱性の脱酸素反応による温度上昇を制限するための、ならびにパイロリシス油中の反応性含酸素物質および他の反応性化合物に関する重合反応の反応速度を制限するための、水素化脱酸素において触媒的に活性な材料の周辺での液体リサイクル。リサイクルの構成の選択は、リサイクルループの数を最小限に抑えること、小さいリサイクル体積を有する構成を選択することにより反応器体積およびコストを最小限に抑えること、大きいリサイクル体積および/または大規模冷却によるプロセス反応性制御を最大限にすること、ならびに大きいリサイクル体積によって重合を最小限に抑えることによる、プロセスの単純さを含めた、様々な利点に関連する。リサイクルに関するさらなる考慮事項は、プロセス全体にわたる異なる組成物の混和性である。
【0058】
異性化および水素化脱芳香族は、貴金属を含む触媒活性材料を用いて実施し得るため、硫化水素、二酸化炭素およびアンモニアを含む「サワーガス」は、これらの反応の前に除去される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図:
図1は、初期安定化反応器の周辺のリサイクルを伴う、本開示の例を示す。
【0060】
図2は、液体の流れに焦点を当てた、図1の方法の簡略図を示す。
【0061】
図3は、図2と同様の詳細レベルでの、従来技術による方法の略図を示す。
【0062】
図1は、ある量の加圧された反応性液体供給原料(102)が、水素化のための供給原料(106)として導かれ、被駆動ストリームとして希釈流(108)を受け取るエジェクター(EJ)に駆動ストリームとして導かれる、プロセスレイアウトを示す。エジェクター排出ストリームは、ある量の水素リッチストリーム(110)と組み合わされ、安定化入口ストリーム(112)として、中程度の条件下、例えば反応性液体供給材料の性質に応じて200℃未満の入口温度および3~20MPaの圧力で、反応種の水素化において触媒的に活性なある量の材料を含む安定化反応器(HYD)に導かれる。ここでは安定化反応器の下部が、ある量の液体安定化組成物を希釈流(108)として取り出すように構成されているが、リサイクルされた安定化組成物は、安定化反応器(HYD)の外で分離されてもよい。ある量の二相安定化組成物(116)が、オーバーフローによって取り出され、任意に、加熱されて、水素化脱酸素反応器(HDO)におけるさらなる水素化処理に導かれる。オーバーフローの量は、フロー制御、すなわち、希釈流の特定の質量流量または体積流量を提供するための弁の調整、によって制御することができる。さらに水素化処理された反応性組成物(120)は、任意に、加熱され、水素化加工、ここでは水素異性化反応器(ISOM)における水素化加工に導かれて、水素化加工された炭化水素生成物(124)を提供し、これは冷却され得る(ここでは、上流の反応器(HYDおよびHDO)への入口ストリーム(116および120)との熱交換によって冷却され得る)。冷却された水素化加工された炭化水素生成物(128)は、洗浄水、ここではリサイクルされた量の水性相(130)、と組み合わされて、混合ストリーム(132)を提供し、そこから水溶性不純物を当該水性相に移すことができ、それは、冷却され、ある量のリサイクルされた凝縮物(136)と組み合わされる。組み合わされたストリーム(138)は、高圧低温三元分離器(HPLT)に導かれ、そこから、リサイクルされる量の水性相(130)と水性相(140)が取り出され、さらなる分離のためのサワー水(142)に分割される。気相(146)は、パージストリーム(148)と、加圧メイクアップガス(150)と組み合わされるストリームに分割されるように導かれ、水素圧縮機(COMP)における加圧後、水素リッチストリーム(110)として導かれる。炭化水素相(160)は、低圧低温分離器(LPLT)に導かれ、そこから、サワーガスストリーム(162)、凝縮物(164)およびパージ用サワー水(165)が取り出される。凝縮物(164)は、リサイクルされる凝縮物(136)と生成物(166)とに分割され、生成物(166)は加熱されて、水素または別のストリッピング媒体(168)によって駆動される生成物ストリッパー(PS)に導かれ、ストリッピングされた生成物(174)を提供する。生成物ストリッパー頂部物(176)は、ナフサストリッパー頂部物(178)と組み合わされ、冷却され、オーバーヘッドセパレータ(OSEP)で分離されて、頂部ガスストリーム(180)および頂部凝縮物ストリーム(182)を提供する。塔頂凝縮物ストリーム(182)は、生成物ストリッパー(PS)に導かれる生成物ストリッパー還流ストリーム(184)と、ナフサストリッパー(NS)に導かれる粗製ナフサストリーム(wild naphtha stream)(186)とに分割される。低圧低温分離器からのサワーガスストリーム(162)と頂部ガスストリーム(180)が組み合わせれ、アミン洗浄(AW)または硫黄吸着床に導かれ、スイートオフガス(188)を放出する。ナフサストリッパー(NS)は、加熱された底部ストリームがストリッピング媒体(190)として導かれる還流によって運転される。冷却されたナフサ生成物ストリーム(192)は、ナフサ生成物として取り出される。上に明記された要素に加えて、熱交換器(HX)、空気冷却器(AC)、ポンプ(P)および水素圧縮器(COMP)も図に示されている。
【0063】
図2は、炭化水素を含むストリームに焦点を当てた、図1と類似の単純化されたプロセスレイアウトを示す。ここでは、ある量の加圧された反応性液体供給原料(202)が、水素化のための供給原料(206)として導かれ、被駆動ストリームとして希釈流(208)を受け取るエジェクター(EJ)に駆動ストリームとして導かれる。エジェクター排出ストリームは、安定化入口ストリーム(212)として、中程度の条件下、例えば反応性液体供給材料の性質に応じて250℃未満の入口温度および3~20MPaの圧力で、反応種の水素化において触媒的に活性なある量の材料を含む安定化反応器(HYD)に導かれる。ここで、安定化反応器の下部は、ある量の液体安定化組成物を希釈流(208)として取り出し、ある量の液体安定化組成物を下流の希釈流(214)として導くように構成されるが、リサイクルされる安定化組成物は、安定化反応(HYD)の外で分離されてもよい。ある量の二相安定化組成物(216)が、オーバーフローによって取り出され、加熱されて、-任意に、バイパスされた供給原料(204)と組み合わされて- 水素化脱酸素反応器(HDO)におけるさらなる水素化処理に導かれる。オーバーフローの量は、フロー制御によって制御することができる。さらに水素化処理された反応性組成物(220)は、任意に、加熱され、水素化加工、ここでは水素異性化反応器(ISOM)における水素化加工に導かれて、水素化加工された炭化水素生成物(224)を提供し、これは冷却され得る(ここでは、上流の反応器(HDOおよびISOM)への入口ストリーム(216および220)との熱交換によって冷却され得る)。冷却された水素化処理された炭化水素生成物(228)は、冷却され、分離セクション(SEP)に導かれ、そこから、少なくとも気相(246)、生成物(266)およびパージされた水ストリーム(265)が取り出される。
【0064】
図3は、図2と同様に炭化水素を含むストリームに焦点を当てた、従来技術に従う単純化されたプロセスレイアウトを示す。ここでは、ある量の反応性液体供給原料(302)が、リサイクルされた生成物ストリーム(364)と組み合わされ、供給材料水素化処理供給材料ストリーム(318)として、水素化脱酸素反応器(HDO)における水素化処理に導かれる。水素化処理された反応性組成物(320)は、任意に加熱され、水素化加工、ここでは水素異性化反応器(ISOM)における水素化加工に導かれて、水素化加工された炭化水素生成物(324)を提供し、これは冷却され得る(ここでは、上流の反応器(HDOおよびISOM)への入口ストリーム(316および320)との熱交換によって冷却され得る)。冷却された水素化処理された炭化水素生成物(328)は、冷却され、分離セクション(SEP)に導かれ、そこから、少なくとも気相ストリーム(346)、生成物ストリーム(366)およびパージされた水ストリーム(365)が取り出される。ある量の生成物ストリームが、リサイクルされる生成物ストリーム(364)として送り出される。
【0065】
特に、全ての図における第1の分別器は、有利には、ストリッパーによって置き換えられてよく、これは、特に高められた温度および圧力で運転される場合に、運転コストを低減し、なぜなら、ストリッパーの下流での再加熱および再加圧が必要とされないかまたは最小限に抑えられるためである。
【実施例
【0066】

改変したプロセススキームの効果を2つの例によって例証する。
【0067】
本発明に従う例1は、図2に従う方法を含み、ここでは、反応性のパイロリシス油供給原料が、エジェクターによる、安定化された組成物のリサイクルを伴って、安定化反応器中で水素化され、次いで、さらなる水素化脱酸素が続く。
【0068】
表1には、例1(図2)についての流量および温度が示されている。リサイクルとフレッシュな供給材料との間の比は2:1である。ストリーム212、および従って安定化反応器(HYD)は、この組み合わされた流れに対応するサイズ、すなわち、リサイクルの添加なしで必要とされるサイズの3倍のサイズを有していなければならないことがわかる。安定化反応器の外の温度は260℃であるが、安定化された供給原料中の残りの反応性は十分に低く、その結果、反応暴走および触媒コーキングが回避されるレベルで水素化脱酸素温度を維持するために、さらなるリサイクルを必要とせずに温度制御を取り扱うことができる。最終反応器では、22℃という中程度の発熱で異性化が行われる。リサイクルは、8MPaから7MPaへのインジェクターにわたる供給原料の圧力の中程度の喪失によって駆動され、最後の2つの反応器への流量は小さい。
【0069】
従来技術に従う例2は、図3に従う方法を含み、ここでは、反応暴走及び触媒コーキングが回避されるレベルに水素化脱酸素温度を維持するために、反応性供給原料は、ポンプによる生成物リサイクルを伴って、水素化脱酸素反応器において水素化される。
【0070】
表2には、例2についての流量および温度が示されている。生成物リサイクルと水素化脱酸素反応器への供給材料との間の比は2:1である。最終反応器では、22℃という中程度の発熱で異性化が行われる。この例では、必要な供給原料圧力はほんの7MPaである。このレイアウトは、安定化反応器(HYD)を回避するが、水素化脱酸素反応器および異性化反応器および他の装置をリサイクルするために、例1と比較してサイズを著しく増加させた。
【0071】
全体として見ると、図3に従う方法は必要な反応器が1つ少ないが、反応器の全体積、および従って資本的支出はより高い。さらに、リサイクル油ポンプのためのエネルギー要件は、第1の例においてエジェクターへの供給原料を加圧するためのエネルギー要件よりも高くなる。最後の2つの反応器の体積の低下はまた、これらの反応器における内部およびガードベッド体積の節約、ならびに熱交換器および他の支持装置のより小さいサイズをもたらす。これらの例は、温度制御が、2つの例の化学的作用を類似させるために十分であることを示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
今回、初期反応器のみに高いリサイクル比が導入される場合に、プロセスの残部のプロセス装置サイズの関連する増加を引き起こすことなく、リサイクルの利点を実現できることが示された。
WO2017/218577A1、US2013/0152454A1およびUS2013/0255138A1には、この分野におけるプロセスが開示されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
特に、全ての図における第1の分別器は、有利には、ストリッパーによって置き換えられてよく、これは、特に高められた温度および圧力で運転される場合に、運転コストを低減し、なぜなら、ストリッパーの下流での再加熱および再加圧が必要とされないかまたは最小限に抑えられるためである。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.少なくとも40重量%の炭素を含有する反応性液体供給原料ストリームの、安定化された組成物への転化のための方法であって、
a.希釈用ストリームと前記反応性液体供給原料ストリームを、第1の水素消費ポテンシャルを有する組み合わされたストリームとして、二水素の存在下、運転の間に少なくとも80℃の最低温度および250℃未満の最高温度を有する水素化処理において触媒的に活性な材料と接触するように導くステップ、
b.第1の水素消費ポテンシャルの80%未満かつ10%超である第2の組み合わされた水素消費ポテンシャルを有する安定化された組成物ストリームを取り出すステップ、
c.前記の安定化された組成物ストリームの液相のうちのある量を、前記希釈用ストリームとして提供するステップ、
を含み、
組成物に関する前記の水素消費ポテンシャルが、当該組成物を飽和炭化水素に転化するのに必要な水素の量として理解される、前記方法。
2.反応性液体供給原料ストリームが、少なくとも5重量%のO、少なくとも10重量%のOまたは少なくとも25重量%のOを含有する、上記1に記載の方法。
3.反応性液体供給原料ストリームが、少なくとも0.5モル/kg、少なくとも1.0モル/kgまたは少なくとも2.5モル/kgのカルボニル含有率を有する、上記1または2に記載の方法。
4.熱分解プロセスにおける反応性液体供給原料ストリームの形成が、ステップaに先行する、上記1、2または3に記載の方法。
5.組み合わされた液相および気相ストリームが、安定化された組成物ストリームからオーバーフローによって取り出され、前記希釈用ストリームがフロー制御によって取り出される、上記1、2、3または4に記載の方法。
6.希釈用ストリームが被駆動流体として、加圧された反応性液体供給原料ストリームを駆動流体として受け取るエジェクターポンプに導かれる、上記1、2、3、4または5に記載の方法。
7.希釈用ストリームと反応性液体供給原料ストリームとの間の全重量比が、少なくとも1:1、例えば2:1または3:1または4:1である、上記1、2、3、4、5または6に記載の方法。
8.組み合わされた希釈用ストリームおよび反応性液体供給原料が、運転の間、発熱性の水素化を開始させるのに十分な最低温度、例えば少なくとも80℃、少なくとも150℃または少なくとも200℃を有し、かつ、熱暴走水素化分解を回避するために十分に低い温度、例えば280℃未満、200℃未満または180℃未満を有する水素化処理において触媒的に活性な材料と接触するように導かれ、その後、前記の反応性液体供給原料ストリームと組み合わせられる、上記1、2、3、4、5、6または7に記載の方法。
9.希釈用ストリームが、反応性液体供給原料ストリームと組み合わせる前に冷却される、上記1、2、3、4、5、6、7または8に記載の方法。
10.前記の安定化された組成物の液相のうちのある量を含むストリームが、任意に、前記の安定化された組成物ストリームの水素消費ポテンシャルより低い水素消費ポテンシャルを有するさらに別の希釈用ストリームと組み合わされた後に、水素化処理において触媒的に活性なさらに別の材料と接触するように導かれて、さらに別の水素化処理された組成物を提供する、上記1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の方法。
11.前記のさらに別の水素化処理された組成物ストリームを、任意に気相ストリームの取り出しおよびある量の二水素との組み合わせの後に、水素化加工、例えば水素化分解または異性化において触媒的に活性な材料と接触させて、水素化加工された炭化水素生成物ストリームを提供する、上記1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の方法。
12.反応性液体供給原料を受け取るように構成され、ある量の二水素を受け取るように構成され、および上記1~11のいずれか1つに記載の安定化された組成物を提供するように構成されたプロセスプラント。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも40重量%の炭素を含有する反応性液体供給原料ストリームの、安定化された組成物への転化のための方法であって、
a.希釈用ストリームと前記反応性液体供給原料ストリームを、第1の水素消費ポテンシャルを有する組み合わされたストリームとして、二水素の存在下、運転の間に少なくとも80℃の最低温度および250℃未満の最高温度を有する水素化処理において触媒的に活性な材料と接触するように導くステップ、
b.第1の水素消費ポテンシャルの80%未満かつ10%超である第2の組み合わされた水素消費ポテンシャルを有する安定化された組成物ストリームを取り出すステップ、
c.前記の安定化された組成物ストリームの液相のうちのある量を、前記希釈用ストリームとして提供するステップ、
を含み、
組成物に関する前記の水素消費ポテンシャルが、当該組成物を飽和炭化水素に転化するのに必要な水素の量として理解される、前記方法。
【請求項2】
反応性液体供給原料ストリームが、少なくとも5重量%のO、少なくとも10重量%のOまたは少なくとも25重量%のOを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応性液体供給原料ストリームが、少なくとも0.5モル/kg、少なくとも1.0モル/kgまたは少なくとも2.5モル/kgのカルボニル含有率を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
熱分解プロセスにおける反応性液体供給原料ストリームの形成が、ステップaに先行する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
組み合わされた液相および気相ストリームが、安定化された組成物ストリームからオーバーフローによって取り出され、前記希釈用ストリームがフロー制御によって取り出される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
希釈用ストリームが被駆動流体として、加圧された反応性液体供給原料ストリームを駆動流体として受け取るエジェクターポンプに導かれる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
希釈用ストリームと反応性液体供給原料ストリームとの間の全重量比が、少なくとも1:1、例えば2:1または3:1または4:1である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
組み合わされた希釈用ストリームおよび反応性液体供給原料が、運転の間、発熱性の水素化を開始させるのに十分な最低温度、例えば少なくとも80℃、少なくとも150℃または少なくとも200℃を有し、かつ、熱暴走水素化分解を回避するために十分に低い温度、例えば280℃未満、200℃未満または180℃未満を有する水素化処理において触媒的に活性な材料と接触するように導かれ、その後、前記の反応性液体供給原料ストリームと組み合わせられる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
希釈用ストリームが、反応性液体供給原料ストリームと組み合わせる前に冷却される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記の安定化された組成物の液相のうちのある量を含むストリームが、任意に、前記の安定化された組成物ストリームの水素消費ポテンシャルより低い水素消費ポテンシャルを有するさらに別の希釈用ストリームと組み合わされた後に、水素化処理において触媒的に活性なさらに別の材料と接触するように導かれて、さらに別の水素化処理された組成物を提供する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記のさらに別の水素化処理された組成物ストリームを、任意に気相ストリームの取り出しおよびある量の二水素との組み合わせの後に、水素化加工、例えば水素化分解または異性化において触媒的に活性な材料と接触させて、水素化加工された炭化水素生成物ストリームを提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
反応性液体供給原料を受け取るように構成され、ある量の二水素を受け取るように構成され、および請求項1に記載の安定化された組成物を提供するように構成されたプロセスプラント。
【国際調査報告】