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特表2024-540304抗CD38抗体による治療におけるコルチコステロイドの減少
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  • 特表-抗CD38抗体による治療におけるコルチコステロイドの減少 図1
  • 特表-抗CD38抗体による治療におけるコルチコステロイドの減少 図2A
  • 特表-抗CD38抗体による治療におけるコルチコステロイドの減少 図2B
  • 特表-抗CD38抗体による治療におけるコルチコステロイドの減少 図2C
  • 特表-抗CD38抗体による治療におけるコルチコステロイドの減少 図3
  • 特表-抗CD38抗体による治療におけるコルチコステロイドの減少 図4
  • 特表-抗CD38抗体による治療におけるコルチコステロイドの減少 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】抗CD38抗体による治療におけるコルチコステロイドの減少
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20241024BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 38/47 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20241024BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 D
A61K38/47
A61K31/573
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526616
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 IB2022060616
(87)【国際公開番号】W WO2023079494
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/275,157
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/280,791
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/288,785
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/394,726
(32)【優先日】2022-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマンズ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】チー,ミン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084DC22
4C084MA65
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC032
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法に関し、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体及びコルチコステロイドを、被験体に投与するステップを含み、投与計画には、被験体へのコルチコステロイド投与の減少、排除、又は減少に続く排除が含まれる。本開示はまた、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体、及びコルチコステロイド用量<0.01mg/kg/日、又は同等の用量を、被験体に投与するステップを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法にも関する。本開示はまた、血液悪性腫瘍を治療する方法に関し、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体を、被験体に投与するステップを含み、投与計画は、被験体によるコルチコステロイドの使用の減少、排除、又は減少及び排除をもたらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液悪性腫瘍を治療する方法であって、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体及びコルチコステロイドを、それを必要とする被験体に投与するステップを含み、投与計画には、被験体へのコルチコステロイド投与の減少、除去、又は減少に続く除去が含まれる、方法。
【請求項2】
前記被験体に投与される前記コルチコステロイドが、
a)28日間の治療周期中に、約60%減少し、その後、消失し、
b)28日間の治療周期中に約60%、次に約30%減少し、その後、消失し、又は
c)28日間の治療周期中に、一度投与され、その後、消失する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗CD38抗体が、28日間の周期中に、週1回、2週間毎、又は4週間毎に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗CD38抗体が、周期1中に週1回、周期2~周期5中に2週間毎、及びその後は4週間毎に投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
28日間の周期中に、前記被験体に治療を行うステップを含み、前記治療が、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約30mgの投与前コルチコステロイドを、15日目に投与するステップと、及び
約20mgの投与後コルチコステロイドを、28日間の周期の15日目に投与するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
28日間の周期中に、前記治療が、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前メチルプレドニゾロン(MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前MPを、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、8日目に、経口投与するステップと、
約30mgの投与前MPを、15日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、及び
約20mgの投与後MPを、28日間の周期の15日目に、経口投与するステップと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
28日間の周期中に、前記被験体に治療を行うステップを含み、前記治療が、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000UのrHuPH20ヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、及び
約20mgの投与後コルチコステロイドを、28日間の周期の8日目に投与するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
28日間の周期中に、前記治療が、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前メチルプレドニゾロン(MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前MPを、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、及び
約20mgの投与後MPを、28日間の周期の8日目に、経口投与するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
28日間の周期中に、前記被験体に治療を行うことを含み、前記治療が、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に皮下投与するステップと、及び
約20mgの投与前コルチコステロイドを、28日間の周期の1日目に、静脈内投与するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
28日間の周期中に、前記治療が、
a)約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、及び
b)約20mgの投与前デキサメタゾンを、28日間の周期の1日目に、静脈内投与するステップと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コルチコステロイドが、ベタメタゾン、コルチゾール、コルチゾン、デキサメタゾン、グルココルチコイド、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(MP)、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コルチコステロイドが、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記血液悪性腫瘍が、CD38陽性の血液悪性腫瘍である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記抗CD38抗体が、
a)それぞれ、配列番号6、配列番号7、及び配列番号8の、重鎖相補的決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3のアミノ酸配列、並びに、それぞれ、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11の、軽鎖相補的決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列、
b)配列番号4の重鎖可変領域(VH)配列、及び配列番号5の軽鎖可変領域(VL)配列、若しくは
c)配列番号12の重鎖配列及び配列番号13の軽鎖配列、又は
前述の組み合わせ、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
血液悪性腫瘍を治療する方法であって、前記血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体、及びコルチコステロイド用量<0.05mg/kg/日、又は同等の用量を、それを必要とする被験体に投与するステップを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法。
【請求項16】
<0.01mg/kg/日又は同等のコルチコステロイド用量が投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コルチコステロイドが、ベタメタゾン、コルチゾール、コルチゾン、デキサメタゾン、グルココルチコイド、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(MP)、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
血液悪性腫瘍を治療する方法であって、前記血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体を、それを必要とする被験体に投与するステップを含み、疾患制御若しくは完全寛解が、≦0.05mg/kg/日若しくは同等のコルチコステロイド用量で、達成及び/又は維持される、方法。
【請求項19】
前記疾患制御若しくは前記完全寛解が、≦0.01mg/kg/日若しくは同等のコルチコステロイド用量で、達成及び/又は維持される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記疾患制御若しくは前記完全寛解が、コルチコステロイドを同時投与することなく、達成及び/又は維持される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願には配列表が含まれているが、これは、ファイル名「JBI6648WOPCT1 Sequence Listing.xml」、作成日が2022年11月2日、及びサイズが39Kbの、XML形式の配列表として、アメリカ合衆国特許商標庁のPatent Centerを介して、電子的に提出される。Patent Centerを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
CD38は、受容体媒介接着及びシグナル伝達における機能を有すると共に、そのエクト型酵素活性を介してカルシウム動員を媒介し、NADからの環状ADP-リボース(cADPR)の形成を触媒し、また、cADPRをADP-リボース(ADPR)へと加水分解するII型膜タンパク質である。CD38は、サイトカインの分泌並びにリンパ球の活性化及び増殖を媒介する(Funaroら、J Immunol.145(8):2390-96(1990年)、Terhorstら、Cell 23(3):771-80(1981年)、Guseら、Nature 398:70-73、1999年))、及びそのNADグリコヒドラーゼ活性を介して、調節性のT細胞区画を調節することに関与するとされている細胞外NADレベルを調節する(Adriouchら、Microbes Infect.14(14):1284-92(2012年)、及びChiarugiら、Nat Rev Cancer.12(11):741-52(2012年))。
【0003】
CD38は、B細胞急性リンパ芽球白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia、ALL)、B細胞慢性リンパ性白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、及びT細胞ALLを含む多くの血液悪性腫瘍において、発現する。CD38は、軽鎖アミロイドーシス、未確定モノクローナルγグロブリン異常症(、MGUS)、くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)などのB細胞疾患においてもまた、発現する。
【0004】
B細胞悪性腫瘍としては、B細胞慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病、原発性滲出液リンパ腫、及びAIDS関連非ホジキンリンパ腫が挙げられる。B細胞悪性腫瘍は、診断されたリンパ腫のうちの85%超を構成する。
【0005】
多発性骨髄腫(MM)は、低い増殖指数及び延長された寿命を伴う、骨髄中の分泌形質細胞の潜在性蓄積を特徴とする、B細胞悪性腫瘍である。この疾患は、最終的に骨及び骨髄を攻撃し、骨格系の至るところで多数の腫瘍及び病変を生じる。全ての癌のおよそ1%及び全ての血液悪性腫瘍の10%をわずかに超えるものが、MMに起因し得る。MMの発生率は高齢人口において増加し、診断時の年齢中央値は約61歳である。
【発明の概要】
【0006】
MM及びその他のB細胞悪性腫瘍などの血液悪性腫瘍の治療については、抗CD38抗体に基づく追加の治療が必要とされている。
【0007】
本開示は、一般に、血液悪性腫瘍(例えば、多発性骨髄腫などの血液癌)を治療するために有用な方法に関する。
【0008】
一態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法であって、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体及びコルチコステロイドを、それを必要とする被験体に投与することを含み、投与計画には、被験体へのコルチコステロイド投与の減少、除去、又は減少に続く除去が含まれる方法、を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、ベタメタゾン、コルチゾール、コルチゾン、デキサメタゾン、グルココルチコイド、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(MP)、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、MP、デキサメタゾン、プレドニゾン、又はこれらの組み合わせを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、被験体に投与されるコルチコステロイドは、28日間の治療周期中に約60%減少し、その後、除去される。
【0011】
いくつかの実施形態では、被験体に投与されるコルチコステロイドは、28日間の治療周期中に約60%減少し、次に、30%減少し、その後、除去される。
【0012】
いくつかの実施形態では、被験体に投与されるコルチコステロイドは、28日間の治療周期中に、一度投与され、その後、除去される。
【0013】
ある種の実施形態では、抗CD38抗体は、28日間の周期中に、週1回、2週間毎、又は4週間毎に投与される。特定の実施形態では、抗CD38抗体は、周期1中に週1回、周期2~5中に2週間毎、及びその後は4週間毎に投与される。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、
a)約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、並びに
b)約20mgの投与前コルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン)を、1日目に、静脈内投与するステップと、を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本方法は、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイド(例えば、MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイド(例えば、MP)を、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイド(例えば、MP)を、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイド(例えば、MP)を、8日目に、経口投与するステップと、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイド(例えば、MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイド(例えば、MP)を、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイド(例えば、MP)を、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイド(例えば、MP)を、8日目に、経口投与するステップと、
約30mgの投与前コルチコステロイド(例えば、MP)を、15日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイド(例えば、MP)を、15日目に、経口投与するステップと、を含む。
【0017】
別の態様では、本開示は、それを必要とする被験体に対して、血液悪性癌を治療し、当該被験体に、28日周期で治療を施すステップを含む方法であって、当該治療が、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約30mgの投与前コルチコステロイドを、15日目に投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイドを、15日目に投与するステップと、を含む方法を、提供する。
【0018】
別の態様では、本開示は、それを必要とする被験体に対して、血液悪性癌を治療し、当該被験体に、28日周期で治療を施すステップを含む方法であって、当該治療が、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000UのrHuPH20ヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、を含む方法を、提供する。
【0019】
別の態様では、本開示は、それを必要とする被験体において、血液悪性癌を治療する方法であって、当該方法が、当該被験体に、28日周期で治療を施すステップを含み、当該治療が、
a)約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、並びに
b)約20mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、を含む方法を、提供する。
【0020】
別の態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法は、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体を、それを必要とする被験体に投与するステップを含み、投与計画は、被験体によるコルチコステロイドの使用の減少、除去、又は減少及び除去をもたらす。
【0021】
別の態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法は、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体、及びコルチコステロイド用量<2mg/kg/日、又は同等の用量を、それを必要とする被験体に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、コルチコステロイド用量<0.05mg/kg/日、又は同等の用量が投与される。
【0022】
別の態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法は、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、コルチコステロイドを同時投与することなく、治療有効量の抗CD38抗体を、それを必要とする被験体に投与するステップを含む。
【0023】
別の態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法は、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体を、それを必要とする被験体に投与するステップを含み、疾患制御若しくは完全寛解が、≦2mg/kg/日若しくは同等のコルチコステロイド用量で、達成及び/又は維持される。いくつかの実施形態では、疾患制御若しくは完全寛解が、≦0.05mg/kg/日若しくは同等のコルチコステロイド用量で、達成及び/又は維持される。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、28日間の周期中に、被験体に前治療を施すステップを更に含み、当該前治療は、
a)約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、並びに
b)約20mgの投与前コルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン)を、1日目に、静脈内投与するステップと、を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本方法は、28日間の周期中に、被験体に前治療を施すステップを更に含み、当該前治療は、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイド(例えば、MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイド(例えば、MP)を、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイド(例えば、MP)を、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイド(例えば、MP)を、8日目に、経口投与するステップと、を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、本方法は、28日間の周期中に、被験体に前治療を施すステップを含み、当該前治療は、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイド(例えば、MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイド(例えば、MP)を、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイド(例えば、MP)を、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイド(例えば、MP)を、8日目に、経口投与するステップと、
約30mgの投与前コルチコステロイド(例えば、MP)を、15日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイド(例えば、MP)を、15日目に、経口投与するステップと、を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、CD38陽性血液悪性腫瘍である。ある種の実施形態では、CD38陽性血液悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である。特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性又は難治性の多発性骨髄腫である。
【0028】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
a)それぞれ、配列番号6、配列番号7、及び配列番号8の重鎖相補的決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3のアミノ酸配列、並びに/又は
b)それぞれ、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11の軽鎖相補的決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列を含む。
【0029】
ある種の実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4の重鎖可変領域(VH)配列、配列番号5の軽鎖可変領域(VL)配列、又は両方を含む。特定の実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号12の重鎖配列、配列番号13の軽鎖配列、又は両方を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4サブタイプのものである。ある種の実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1サブタイプのものである。特定の実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1/κサブタイプのものである。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、ダラツムマブである。
【0031】
ある種の実施形態では、医薬組成物は、ヒアルロニダーゼを更に含む。特定の実施形態では、ヒアルロニダーゼは、rHuPH20組換えヒアルロニダーゼである。
【0032】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約1,200mg~約5,000mgの抗CD38抗体を含む医薬組成物として、投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1,800mgの抗CD38抗体を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ヒアルロニダーゼを更に含む。いくつかの実施形態では、ヒアルロニダーゼは、rHuPH20組換えヒアルロニダーゼである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約750U~約75,000Uのヒアルロニダーゼを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約30,000Uのヒアルロニダーゼを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼは、共製剤として投与される。
【0035】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを含む医薬組成物として、投与される。
【0036】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約4.9mgのL-ヒスチジンと、
約18.4mgのL-ヒスチジン塩酸塩一水和物と、
約13.5mgのL-メチオニンと、
約6mgのポリソルベート20(PS-20)と、及び
約735.1mgのソルビトールと、を更に含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約pH5.5のpHを有する。その他の実施形態では、医薬組成物は、約pH5.6のpHを有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約15mLの総量を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、皮下投与される。
【0040】
いくつかの実施形態では、被験体は18歳以上である。
【0041】
いくつかの実施形態では、被験体は、抗CD38抗体治療の経験がない。
【0042】
いくつかの実施形態では、被験体は、少なくとも2種の系統の抗骨髄腫治療を以前に受けている。ある種の実施形態では、以前に受けた少なくとも2種の系統の抗骨髄腫治療は、プロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節薬(IMiD)の投与、造血幹細胞移植(Hematopoietic Stem Cell Transplantation、HSCT)、維持療法、又はこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、IMidはレナリドミドである。いくつかの実施形態では、PIは、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ又はイキサゾミブである。ある種の実施形態では、HSCTは、自己由来HSCTであり、2つの治療系統は、IMid及びPIを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、被験体は、少なくとも1つの治療系統に対して、治療抵抗性である。
【0044】
いくつかの実施形態では、本方法は、被験体において、少なくとも部分的奏効を誘発する。ある種の実施形態では、被験体における部分的奏効である。
【0045】
いくつかの実施形態では、本方法は、被験体において、少なくとも非常に良好な部分的奏効を誘発する。ある種の実施形態では、被験体において、完全奏効を誘発する。特定の実施形態では、本方法は、被験体において、厳格な完全奏効を誘発する。
【0046】
いくつかの実施形態では、本方法は、被験体の1つ以上の転帰測定値を改善する。いくつかの実施形態では、1つ以上の転帰測定値は、無増悪生存、奏効期間、若しくは少なくとも部分的奏効、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の転帰測定値は、部分的奏効、非常に良好な部分的奏効、完全奏効、又は厳格な完全奏効を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、被験体は、抗CD38抗体投与及び継続的なコルチコステロイド投与を受けている被験体と一致する、1つ以上の転帰測定値の改善を経験する。換言すれば、本明細書に記載の方法で治療された被験体と、コルチコステロイド投与の減少又は除去なしで治療された被験体における改善の差は、(統計的に)有意ではない。
【0048】
いくつかの実施形態では、被験体は、抗CD38抗体投与及び継続的なコルチコステロイド投与を受けている被験体と比較して、1つ以上の転帰測定値の向上した改善を経験する。換言すれば、本明細書に記載の方法で治療された被験体、及びコルチコステロイド投与の減少又は除去なしで治療された被験体には、改善が見られる。
【0049】
いくつかの実施形態では、本方法は、被験体に1種以上の追加の治療薬を投与することを、更に含む。ある種の実施形態では、1種以上の追加の治療薬は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(CAR-T細胞)、CARを発現するナチュラルキラー細胞(CAR-NK細胞)、CARを発現するマクロファージ(CAR-M細胞)、化学治療剤、二重特異性抗体、免疫チェックポイント阻害剤、又はこれらの組み合わせを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、CAR-T細胞(CART細胞)、CAR-NK細胞、又はCAR-M細胞は、同種異系である。いくつかの実施形態では、CARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含み、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3ゼータ鎖成分を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、Gタンパク質共役受容体ファミリーCグループ5メンバーD(GPRC5D)抗原に結合する。ある種の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、GPRC5D及びCD3に結合する。特定の実施形態では、1種以上の追加の治療薬は、抗GPRC5D CAR-T、及び抗GPRC5D CAR-NKを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、B細胞成熟抗原(BCMA)抗原に結合する。ある種の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、BCMA及びCD3に結合する。特定の実施形態では、1種以上の追加の治療薬は、抗BCMA CAR-T、及び抗BCMA CAR-NKを含む。
【0053】
特定の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗-LAG3抗体、抗-TIM3抗体、抗CTLA-4抗体、又はこれらの組み合わせを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクタは、可溶性二重特異性抗体(bsAb)若しくは膜アンカ型キメラ抗原受容体、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、GPRC5Dに結合する。ある種の実施形態では、二重特異性抗体は、GPRC5D及びCD3に結合する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、BCMAに結合する。ある種の実施形態では、二重特異性抗体は、BCMA及びCD3に結合する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本特許又は出願書類は、カラーで作成した少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する本特許又は特許出願公開の複製は、申請すれば、必要な手数料を支払うことにより、特許庁によって提供されるであろう。
【0056】
前述したことは、異なる図を通して同様の参照記号が同じ部分を表す付属の図に例示されているように、以下の例示的な実施形態のより具体的な説明から、明白になるであろう。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、実施形態を例示することが重視されている。
図1】PAVOパート3の研究計画を示す図である。患者は、3週間の漸減スケジュール、2週間の漸減スケジュール、又は1週間の漸減スケジュールのいずれかを受けた。RRMM、再発性又は難治性の多発性骨髄腫、DARA SC、皮下ダラツムマブ、rHuPH20、組換えヒトヒアルロニダーゼPH20、IV、静脈内、ORR、全奏効率、CR、完全奏効。投与前後の薬剤には、アセトアミノフェン、ジフェンヒドラミン、モンテルカスト、メチルプレドニゾロンが含まれていた。周期1及び周期2においては週に1度で、周期3~周期6においては2週間毎に、その後は4週間毎。
図2A】各コホートのコルチコステロイド漸減スケジュールを示す図である。3週間の漸減コホートにおける患者は、周期1の22日目までにコルチコステロイドを使用しておらず(図2A)、2週間の漸減コホートにおける患者は、周期1の15日目までにコルチコステロイドを使用しておらず(図2B)、1週間の漸減グループにおける患者は、周期1の8日目までにコルチコステロイドを使用していなかった(図2C)。C、周期、CS、コルチコステロイド、D、日、DEX、デキサメタゾン、DLT、用量制限的毒性、IV、静脈内、MP、メチルプレドニゾロン、PO、経口。
図2B】各コホートのコルチコステロイド漸減スケジュールを示す図である。3週間の漸減コホートにおける患者は、周期1の22日目までにコルチコステロイドを使用しておらず(図2A)、2週間の漸減コホートにおける患者は、周期1の15日目までにコルチコステロイドを使用しておらず(図2B)、1週間の漸減グループにおける患者は、周期1の8日目までにコルチコステロイドを使用していなかった(図2C)。C、周期、CS、コルチコステロイド、D、日、DEX、デキサメタゾン、DLT、用量制限的毒性、IV、静脈内、MP、メチルプレドニゾロン、PO、経口。
図2C】各コホートのコルチコステロイド漸減スケジュールを示す図である。3週間の漸減コホートにおける患者は、周期1の22日目までにコルチコステロイドを使用しておらず(図2A)、2週間の漸減コホートにおける患者は、周期1の15日目までにコルチコステロイドを使用しておらず(図2B)、1週間の漸減グループにおける患者は、周期1の8日目までにコルチコステロイドを使用していなかった(図2C)。C、周期、CS、コルチコステロイド、D、日、DEX、デキサメタゾン、DLT、用量制限的毒性、IV、静脈内、MP、メチルプレドニゾロン、PO、経口。
図3】経時的な(ベースラインから、周期1、22日目まで)、血清ダラツムマブ濃度(μg/mL)を示す図である。薬物動態評価可能な集団における、経時的な血清ダラツムマブ濃度のボックス図である。
図4】経時的な(周期2、1日目から、それ以降)、血清ダラツムマブ濃度(μg/mL)を示す図である。薬物動態評価可能な集団における、経時的な血清ダラツムマブ濃度のボックス図である。
図5】全治療を受けた患者集団全体における奏効率を示す図である。PR、部分的奏効、VGPR、非常に良好な部分的奏効、CR、完全奏効、ORR、全奏効率。
【発明の詳細な説明】
【0057】
例示的実施形態の記述が、以下に続く。
【0058】
例示的実施形態について具体的に示し、記載してきたが、当業者らには、添付の特許請求の範囲に包含される実施形態の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更を行い得ることが、理解されよう。
【0059】
「背景技術」において、また、本明細書全体を通じて、各種刊行物、論文及び特許が引用又は記載され、これらの参照文献のそれぞれは、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、行為、材料、装置、物品などについての考察は、本発明のコンテキストを与えるためのものである。このような考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいずれかの発明に対する先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0060】
本開示は、少なくとも部分的に、ダラツムマブ治療により、再発性又は難治性の多発性骨髄腫患者において、ステロイドを迅速に漸減できるという発見に、基づいている。
【0061】
「再発(relapse)」とは、先行治療に対する初期反応後の、治療中止後60日以上経過した後の疾患の進行を指す。「難治性疾患」とは、治療中又は治療中止後60日以内のMタンパク質の減少又は疾患の進行が、25パーセント(%)未満であることを指す。
【0062】
一態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法であって、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体及びコルチコステロイドを、それを必要とする被験体に投与するステップを含み、投与計画には、患者へのコルチコステロイド投与の減少、除去、又は減少に続く除去が含まれる。
【0063】
別の態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法は、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体を、それを必要とする被験体に投与するステップを含み、投与計画は、患者によるコルチコステロイドの使用の減少、除去、又は減少及び除去をもたらす。
【0064】
別の態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法は、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体、及び<2mg/kg/日、又は同等の用量のコルチコステロイド用量を、それを必要とする被験体に投与するステップを含む。
【0065】
別の態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法は、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、コルチコステロイドを同時投与することなく、治療有効量の抗CD38抗体を、それを必要とする被験体に投与するステップを含む。
【0066】
別の態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法は、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体を、それを必要とする被験体に投与するステップを含み、疾患制御若しくは完全寛解が、≦2mg/kg/日若しくは同等のコルチコステロイド用量で、達成及び/又は維持される。
【0067】
抗CD38抗体
「CD38」という用語は、CD38タンパク質(同義語として、ADPリボシルシクラーゼ1、cADPrヒドロラーゼ1、環状ADPリボースヒドロラーゼ1が挙げられる)を指す。いくつかの実施形態では、CD38は、ヒトCD38(配列番号1)である。ヒトCD38は、アミノ酸残基1~アミノ酸残基21が細胞質ドメインを表し、アミノ酸残基22~アミノ酸残基42が膜貫通ドメインを表し、アミノ酸残基43~アミノ酸残基300が細胞外ドメインを表す、シングルパスII型膜タンパク質である。ヒトCD38は、GenBankアクセッション番号NP001766に示されているアミノ酸配列を有する。配列番号1~配列番号40のアミノ酸配列を、表1に示す。
【0068】
【表1-1】
【0069】
【表1-2】
【0070】
いくつかの実施形態では、本開示の抗CD38抗体は、ヒトCD38(配列番号1)に結合する。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、ヒトCD38エピトープに特異的である。「エピトープ」とは、抗体が特異的に結合する抗原の一部分を指す。エピトープは、典型的には、化学的に活性(極性、非極性、又は疎水性など)な部分の表面集団、例えばアミノ酸又は多糖側鎖からなり、特定の三次元構造特性並びに特定の電荷特性を有してもよい。エピトープは、立体配座上の空間単位を形成する連続的な及び/又は不連続なアミノ酸によって、構成されてもよい。不連続なエピトープでは、抗原の直鎖配列の異なる部分にあるアミノ酸が、タンパク質分子の折り畳みにより三次元空間で近接するようになる。ある種の実施形態では、抗CD38抗体が、ヒトCD38(配列番号1)の領域SKRNIQFSCKNIYR(配列番号2)、及び領域EKVQTLEAWVIHGG(配列番号3)に、少なくとも結合する。ヒトCD38(配列番号1)のSKRNIQFSCKNIYR(配列番号2)の配列を有する領域、及びEKVQTLEAWVIHGG(配列番号3)の配列を有する領域に結合する抗体は、例えば、標準的な方法及び本明細書に記載の方法を用いて、配列番号2及び配列番号3に示すアミノ酸配列を有するペプチドでマウスを免疫し、例えば、ELISA又は変異誘発試験を用いて、得られた抗体を、当該ペプチドとの結合に関して特徴付けることによって、生成してもよい。
【0071】
本明細書で使用される場合、「抗CD38抗体」という用語は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する、少なくとも1つの抗原認識部位を介して、CD38に特異的に結合することができる、免疫グロブリン分子を指す。典型的には、抗体は、平衡解離定数(K)が、典型的には非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に対する結合についてのKよりも少なくとも100倍小さい、約1×10-8M以下、例えば、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、約1×10-12M以下のKで、CD38に結合する。Kは、標準的な手順を使用して、測定されてもよい。しかしながら、CD38に特異的に結合する抗体は、その他の関連抗原、例えば、サル、例えばカニクイザル(cynomolgus、cyno)、チンパンジー(chimpanzee、chimp)、又はコモンマーモセット(common marmoset、marmoset)などのその他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して、交差反応性を有する場合がある。一実施形態では、抗CD38抗体は、CD38のアミノ酸残基233~アミノ酸残基246及びアミノ酸残基267~アミノ酸残基280を含む、ヒトCD38上のエピトープに結合する。
【0072】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、全長抗体又は全長抗体の抗原結合断片を指す。
【0073】
全長抗体は、ジスルフィド結合又はその多量体(例えば、IgM)によって相互接続された、2つの重(Heavy、H)鎖と2つの軽(Light、L)鎖と、を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(V)、及び重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジCH2、及びCH3を含む)を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(V)、及び軽鎖定常領域(CL)を含む。V領域及びV領域は、フレームワーク領域(FR)内で散在しており、相補的決定領域(Complementarity Determining Regions、CDR)と呼称される、超可変領域に、更に分類されてもよい。V及びVは、それぞれ、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。
【0074】
「相補的決定領域(CDR)」は、抗体における「抗原結合部位」である。「CDR」は、抗体のCDR残基を同定するための当該技術分野で認められた方法、例えば、Kabat(配列可変性に基づくHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、Wu及びKabat、J Exp Med 132:211-50(1970年)、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、米国保健福祉省(U.S.Department of Health and Human Services)、NIH公開番号91-3242号(1991年))、Chothia著(「Hypervariable regions」(HVR又はHV)H1、H2、H3、L1、L2及びL3、Chothia&Lesk、Mol Biol 196:901-17(1987年)、Chothiaら、(1989年)Nature 342:877))、International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース(抗原結合部位の標準化された番号付けと定義、www_imgt_org)、AbM定義、又は接触定義によって、定義される任意のCDRを包含する。CDR、HV、及びIMGTの記述間の対応については、Lefrancら、Dev.Comparat.Immunol.27:55-77(2003年)に記載されている。Al-lazikaniら、J Molec Biol 273:927-48(1997年)、Almagro、J Mol Recognit 17:132-43(2004年)、及びhgmp.mrc.ac.uk及びbioinf.org.uk/もまた、参照されたい。フレームワーク及び/又はCDR領域を特定するための公的及び/又は市販のツールとしては、IgBlast(www_ncbi_nlm_nih_gov/igblast/)、Scaligner(drugdesigntech、www_scaligner_com/)、IMGTルール及び/又はツール(www_imgt_org/IMGTScientificChart/Nomenclature/IMGT-FRCDRdefinition)、Chothia canonical assignment(www_bioinf_org_uk/abs/Chothia_html)、Antigen receptor Numbering And Receptor CalssificatiIon(ANARCI、opig.stats.ox.ac.uk/webapps/newsabdab/sabpred/anarci/)、又はParatome Webサーバ(www_ofranlab_org)/paratome/、Kunikら、Nucleic Acids Research 40(W1):W521-W524(2012年)を参照されたい)が、挙げられる。別途明示的記載のない限り、本明細書で使用されている「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」という用語は、上述の、例えば、Kabat、Chothia及びLesk、又はIMGTによって記載されている方法のいずれかによって定義されるCDRを含む。2つの抗体は、同じ方法を使用して両方の抗体についてそのCDRの同一性が決定される場合、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及び/又はLCDR3に関して互いに同じCDRを有すると、決定される。
【0075】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
a)それぞれ、配列番号6、配列番号7、及び配列番号8の重鎖相補的決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3のアミノ酸配列と、
b)それぞれ、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11の軽鎖相補的決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列と、又は
c)a)及びb)の両方を、含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
a)それぞれ、配列番号6、配列番号7、及び配列番号8のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3のアミノ酸配列、並びに
b)それぞれ、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列を、含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4と少なくとも90%同一である、例えば、配列番号4と約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%同一である、VHアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、配列同一性は、約90~99.9%、90~99.8%、92~99.8%、92~99.6%、94~99.6%、94~99.5%、95~99.5%、95~99.4%、96~99.4%、96~99.2%、97~99.2%、又は97~99%である。
【0078】
本明細書で使用される場合、「同一」又は「配列同一性を有する」という用語は、最大レベルの同一性を達成するために配列をアライメントさせた場合に、2つのアミノ酸配列が、同じ位置に同じ残基を有する程度を指し、パーセンテージで表される。配列のアライメントと比較では、典型的には、1つの配列が参照配列として指定され、それに対して試験配列が比較される。参照配列と試験配列との間の配列同一性は、最大レベルの同一性を達成するための参照配列と試験配列とのアライメントの際に、参照配列と試験配列とが同じアミノ酸を共有する参照配列の全長にわたる位置のパーセンテージとして、表される。例として、最大レベルの同一性を達成するためのアラインメントにおいて、試験配列が参照配列の全長にわたって同じ位置の70%で同じアミノ酸残基を有する場合、2つの配列は、70%の配列同一性を有すると、みなされる。
【0079】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号5の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号5と少なくとも90%同一である、例えば、配列番号5と約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%同一である、VLアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、配列同一性は、約90~99.9%、90~99.8%、92~99.8%、92~99.6%、94~99.6%、94~99.5%、95~99.5%、95~99.4%、96~99.4%、96~99.2%、97~99.2%、又は97~99%である。
【0080】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
a)配列番号4と少なくとも95%同一である、VHアミノ酸配列、
b)配列番号5と少なくとも95%同一である、VLアミノ酸配列、又は
c)a)及びb)の両方、を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
a)配列番号4と少なくとも95%同一である、VHアミノ酸配列、及び
b)配列番号5と少なくとも95%同一である、VLアミノ酸配列を、含む。
【0082】
ある種の実施形態では、抗CD38抗体は、
a)配列番号4のVHアミノ酸配列、
b)配列番号5のVLアミノ酸配列、又は
c)a)及びb)の両方を、含む。
【0083】
特定の実施形態では、抗CD38抗体は、
a)配列番号4のVHアミノ酸配列、及び
b)配列番号5のVLアミノ酸配列を、含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号12と少なくとも80%同一である、例えば、配列番号4と約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%同一である、重鎖アミノ酸配列を含む。ある種の実施形態では、配列同一性は、約80~99.9%、80~99.8%、85~99.8%、85~99.6%、90~99.6%、90~99.5%、95~99.5%、95~99.4%、96~99.4%、96~99.2%、97~99.2%、又は97~99%である。特定の実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号12の重鎖アミノ酸配列を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号13と少なくとも80%同一である、例えば、配列番号13と約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%同一である、軽鎖アミノ酸配列を含む。ある種の実施形態では、配列同一性は、約80~99.9%、80~99.8%、85~99.8%、85~99.6%、90~99.6%、90~99.5%、95~99.5%、95~99.4%、96~99.4%、96~99.2%、97~99.2%、又は97~99%である。特定の実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号13の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
a)配列番号12と少なくとも95%同一である、重鎖アミノ酸配列、
b)配列番号13と少なくとも95%同一である、軽鎖アミノ酸配列、又は
c)a)及びb)の両方を、含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
a)配列番号12と少なくとも95%同一である、重鎖アミノ酸配列、及び
b)配列番号13と少なくとも95%同一である、軽鎖アミノ酸配列を、含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
a)配列番号12の重鎖アミノ酸配列、
b)配列番号13の軽鎖アミノ酸配列、又は
c)a)及びb)の両方を、含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
a)配列番号12の重鎖アミノ酸配列、及び
b)配列番号13の軽鎖アミノ酸配列を、含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
a)配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
b)配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
c)配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
d)配列番号20のVH及び配列番号21のVLの、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
a)それぞれ、配列番号14及び配列番号15、
b)それぞれ、配列番号16及び配列番号17、
c)それぞれ、配列番号18及び配列番号19、又は
d)それぞれ、配列番号20及び配列番号21の、VHアミノ酸配列及びVLアミノ酸配列を含む。
【0092】
免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、即ち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられてもよい。IgAは、アイソタイプIgA1、IgA2として、更に下位分類される。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4として、更に下位分類される。いずれの脊椎動物種の抗体軽鎖も、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて2つの明確に異なるタイプ、すなわち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てられ得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4サブタイプのものである。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1サブタイプのものである。IgG1定常ドメイン内にはいくらかのバリエーション(例えば、周知のアロタイプ)が存在し、214位、356位、358位、422位、431位、435位、又は436位(EU付番に従った残基の付番)にバリエーションがある(例えば、IMGT Web resources、IMGT Repertoire(IG and TR)、Proteins and alleles、allotypesを、参照されたい)。抗CD38抗体は、G1m17、G1m3、G1m1、G1m2、G1m27、又はG1m28などの任意のIgG1アロタイプであってもよい。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、κサブタイプのものである。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1/κサブタイプのものである。
【0094】
抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、キメラ抗体(例えば、ヒト化抗体)などの任意の種のものであり得る。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、ヒト抗体である。
【0095】
「ヒト化抗体」とは、抗原結合部位がヒト以外の種に由来し、かつ可変領域フレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する、抗体を指す。ヒト化抗体は、フレームワーク領域内に意図的に導入された変異を含む可能性があることから、このようなフレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又は生殖系列遺伝子配列の完全な複製物でなくてもよい。
【0096】
「ヒト抗体」とは、フレームワーク及び抗原結合部位の両方がヒト起源の配列に由来する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗体を指す。抗体が定常領域又は定常領域の一部を含む場合、定常領域もまた、ヒト起源の配列に由来する。抗原結合部位がヒト以外の種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義には含まれない。
【0097】
ヒト抗体は、抗体の可変領域が、ヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合の、ヒト起源の配列に由来する、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を含む。非限定的な例示的な系としては、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するトランスジェニック非ヒト動物、例えば、マウス又はラットが挙げられる。ヒト抗体は、典型的には、例えば、天然に存在する体細胞変異、フレームワーク若しくは抗原結合部位における意図的な置換、及び非ヒト動物におけるクローニング又はVDJ組換え中に導入された置換に起因して、ヒト生殖系列又は再編成された免疫グロブリン配列と比較した場合のアミノ酸の相違を含む。典型的には、ヒト抗体は、アミノ酸配列において、ヒト生殖系列又は再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも80%同一である。例えば、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である。場合によっては、ヒト抗体は、ヒトフレームワーク配列分析から得られたコンセンサスフレームワーク配列(例えば、Knappikら、J.Mol.Biol.296:57-86(2000年)を参照されたい)、又はファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた合成HCDR3(例えば、Shiら、J.Mol.Biol.397:385-96(2010年)、及び国際公開第2009/085462号を参照されたい)を含有してもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、ダラツムマブである。ダラツムマブは、IgG1/κサブタイプであり、米国特許第7,829,673号に記載されている。ダラツムマブは、それぞれ、配列番号6、配列番号7、及び配列番号8のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3のアミノ酸配列、並びに、それぞれ、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列を含む。ダラツムマブは、配列番号4のVHアミノ酸配列、及び配列番号5のVLアミノ酸配列を含む。ダラツムマブは、配列番号12の重鎖アミノ酸配列、及び配列番号13の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブは、ダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランド、又はダラツムマブのDARZALEX(登録商標)ブランドのバイオ後続品である。ダラツムマブは、ハイブリドーマの産生を含むがこれに限定されない、モノクローナル抗体を調製するための当該技術分野において公知の任意の方法によって調製することができる。例えば、ダラツムマブは、組換えDNA技術を使用して、哺乳類細胞株(例えば、CHO細胞株)において産生され得る。ダラツムマブ及びダラツムマブの産生方法は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2006099875号、米国特許第7,829,673号、同第2015246123号、及びde Weersら、J.Immunol.186:1840-48(2011年)に、更に記載されている。
【0100】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、エフェクタ機能を増加させるために、ヒトIgG1重鎖のFc領域におけるE345、E430、S440、Q386、P247、I253、S254、Q311、D/E356、T359、E382、Y436、及びK447に対応するアミノ酸残基から選択される、少なくとも1つのアミノ酸残基における、変異を含む。エフェクタ機能の非限定的な例としては、抗体依存性細胞媒介性細胞障害作用(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、抗体によって媒介されるオプソニン化抗体の補体受容体への結合、C1q結合、補体活性化、補体依存性細胞障害作用(CDCC)、補体依存性細胞障害作用(CDC)、補体増強細胞障害作用、発現低下、Fcγ受容体結合、FcRn結合、アポトーシスの誘導、内部移行、オリゴマー(例えば、六量体)形成、オリゴマー(例えば、六量体)安定性、オプソニン作用、プロテインA結合及びプロテインG結合が、挙げられる。変異の非限定的な例、例えば、六量体形成、六量体安定性又はその両方を増加させる変異は、国際公開第13/004842号及び同第20/012036号に見出され得るが、これらは、参照によりその全体が組み込まれる。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、HexaBody-CD38(GEN3014)である。
【0101】
本発明の方法において使用され得る抗CD38抗体のその他の非限定的な例としては、mAb003、mAb024、MOR-202(MOR-03087)、イサツキシマブ、並びに国際公開第05/103083号、同第06/125640号、同第07/042309号、同第08/047242号及び同第14/178820号などに記載されている抗CD38抗体が挙げられる。それぞれ、配列番号14及び配列番号15のVHアミノ酸配列及びVLアミノ酸配列を含むmAb003は、米国特許第7,829,673号に記載されている。配列番号16及び配列番号17のVHアミノ酸配列及びVLアミノ酸配列を含むmAb024は、それぞれ、米国特許第7,829,673号に記載されている。配列番号18及び配列番号19のVHアミノ酸配列及びVLアミノ酸配列を含むMOR-202(MOR-03087)は、それぞれ、米国特許第8,088,896号に記載されている。配列番号20及び配列番号21のVHアミノ酸配列及びVLアミノ酸配列を含むイサツキシマブは、それぞれ、米国特許第8,153,765号に記載されている。mAb003、mAb024、MOR-202又はイサツキシマブのVH及びVL、又はこれらの組み合わせは、IgG1/κとして発現されてもよい。
【0102】
本発明の方法で使用される抗CD38抗体は、例えば、ファージディスプレイライブラリから新たに選択されてもよく、その場合、ファージは、ヒト免疫グロブリン又はその一部、例えば、Fab、一本鎖抗体(scFv)、又は対をなさない若しくは対をなした抗体可変領域を発現するように、操作される(Knappikら、J.Mol.Biol.296:57-86(2000年)、Krebsら、J.Immunol.Meth.254:67-84(2001年)、Vaughanら、Nature Biotechnology 14:309-14(1996年)、Sheetsら、PITAS(米国)95:6157-62(1998年)、Hoogenboom & Winter、J.Mol.Biol.227:381(1991年)、Marksら、J.Mol.Biol.222:581(1991年))。CD38結合可変ドメインは、例えば、Shiら、J.Mol.Biol.397:385-96(2010年)及び国際公開第09/085462号に記載されるバクテリオファージpIX被覆タンパク質との融合タンパク質として、抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を発現する、ファージ提示ライブラリから、単離され得る。抗体ライブラリは、ヒトCD38細胞外ドメインへの結合についてスクリーニングし、得られた陽性クローンを更に特徴付け、Fabをクローン溶解物から単離し、続いて、完全長抗体としてクローニングしてもよい。ヒト抗体を単離するためのこのようなファージディスプレイ法は、当該技術分野にて確立されている。例えば、米国特許第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,427,908号、同第5,571,698号、同第5,580,717号、同第5,885,793号、同第5,969,108号、同第6,172,197号、同第6,521,404号、同第6,544,731号、同第6,555,313号、同第6,582,915号及び同第6,593,081号を、参照されたい。
【0103】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、当業者によって実施されるように、表面プラズモン共鳴法又はKinExA法によって決定される場合、約1×10-7、1×10-8、1×10-9、1×10-10、1×10-11、1×10-12、1×10-13、1×10-14、又は1×10-15未満の解離定数(K)で、ヒトCD38に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、約1×10-8M未満のKでヒトCD38に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、約1×10-9M未満のKでヒトCD38に結合する。
【0104】
KinExA装置、ELISA又は競合的結合アッセイは、当業者には周知のものである。特定の抗体/CD38相互作用の測定された親和性は、異なる条件下(例えば、浸透圧、pH)で測定された場合に、異なってもよい。したがって、親和性及びその他の結合パラメータ(例えば、K、Kon、Koff)の測定は、典型的には、標準化条件及び標準化緩衝液を用いて行われる。当業者には、例えば、Biacore 3000又はProteOnを使用した親和性測定の内部誤差(標準偏差(Standard Deviation、SD)として測定される)が、通常は、典型的な検出限界内の測定結果の5~33%の範囲内であり得ることが、理解されよう。したがって、Kとの関連での「約(about)」という用語は、アッセイにおける典型的な標準偏差を反映する。例えば、Kが1×10-9Mの場合の典型的なSDは、最大±0.33×10-9Mである。
【0105】
「抗原結合断片」という用語は、親の完全長抗体の抗原結合特性を保持する免疫グロブリン分子(例えば、抗体)の一部を指す。抗原結合断片の非限定的な例としては、HCDR1、HCDR2及び/又はHCDR3、LCDR1、LCDR2及び/又はLCDR3、V領域、V領域、Fab断片、F(ab’)断片、Fd断片、Fvフラグメント、並びに1つのVドメイン又は1つのVドメインからなるドメイン抗体(dAb)が、挙げられる。Vドメイン及びVドメインは、合成リンカを介して1つに連結されることによって、様々な種類の一本鎖抗体の設計を形成可能であり、ここで、V/Vドメインは、分子内で対形成するか、あるいはVドメイン及びVドメインが別々の鎖によって発現される場合には分子間で対形成して、一本鎖Fv(scFv)などの一価の抗原結合部位又はダイアボディを形成する。例えば、国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号、及び同第1992/01047号を、参照されたい。
【0106】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、ヒトモノクローナル抗体(mAb)又はその抗原結合断片である。
【0107】
「抗CD38抗体(anti-CD38 antibody)」という用語は、広範な意味合いで意味され、多重パラトピック抗体(multiparatopic antibodies)と、単一特異性及び多重特異性(例えば、二重特異性)抗体と、モノクローナル抗体(マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、及びキメラ抗体を含む)と、二量体抗体、四量体抗体、及び多量体抗体と、一本鎖抗体と、ドメイン抗体、並びに必要な特異性の抗原結合部位を含む免疫グロブリン分子のその他の修飾された構成又は操作された構成と、を含む。
【0108】
「モノクローナル抗体」は、抗体重鎖からC末端リジンを除去するなどの可能な周知の変更を除き、各重鎖及び各軽鎖において単一のアミノ酸組成を有する抗体集団を指す。モノクローナル抗体は、抗体集団内で不均一なグリコシル化を有してもよい。モノクローナル抗体は、一価、二価又は多価であってもよい。モノクローナル抗体は、単一特異性又は多重特異性(例えば、二重特異性)であってもよい。単一特異性抗体は、1つの抗原エピトープに結合する。用語モノクローナル抗体には、二重特異性抗体又は三重特異性抗体などの多重特異性抗体が含まれる。
【0109】
「多重特異性」とは、少なくとも2つの異なる抗原、又は抗原内の少なくとも2つの異なるエピトープ、例えば、3つ、4つ又は5つの異なる抗原又はエピトープと特異的に結合する抗体を指す。「二重特異性」は、2つの異なる抗原、又は同じ抗原中の2つの異なるエピトープと特異的に結合する抗体を指す。
【0110】
「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有するその他の抗体を実質的に含まない抗体又は抗原結合断片を指す(例えば、単離された抗CD38抗体は、ヒトCD38以外の抗原に特異的に結合する抗体を、実質的に含まない)。二重特異性抗体の場合、二重特異性抗体は、被験体の2つの抗原に特異的に結合し、被験体のその2つの抗原以外の抗原に特異的に結合する抗体を、実質的に含まない。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、少なくとも80%純粋であり、例えば、約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%純粋である。
【0111】
「組換え」には、組換え法によって調製、発現、作製、又は単離される抗体及びその他のタンパク質が含まれる。
【0112】
「変異体」とは、例えば、置換、挿入、又は欠失又はこれらの組み合わせなどの1つ以上の改変により、参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチドとは異なる、ポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
【0113】
医薬組成物
抗CD38抗体
本開示の方法において、抗CD38抗体は、好適な医薬組成物として提供されてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1,200mg~約5,000mgの抗CD38抗体、例えば、約1,200~4,000、1,300~4,000、1,300~3,500、1,400~3,500、1,400~3,000、1,500~3,000、1,500~2,500、1,600~2,500、1,600~2,000、1,700~2,000、1,700~1,900、又は1,800~1,900mgの抗CD38抗体を含む。ある種の実施形態では、医薬組成物は、約700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2500、3,000、3,500、4,000、4,500、又は5,000mgの抗CD38抗体を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1,200、1,500、1,800、又は2,000mgの抗CD38抗体を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約1,800mgの抗CD38抗体を含む。
【0115】
医薬組成物中に含まれる抗CD38抗体の濃度は、変動し得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mg/mL~約180mg/mLの抗CD38抗体、例えば、約2~180、2~175、5~175、5~170、10~180、10~170、10~165、20~165、20~160、20~140、20~120、40~160、40~155、40~120、60~155、60~150、60~120、80~150、80~145、80~120、100~145、100~140、100~120、110~140、110~135、115~135、115~130、120~130mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1、2、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、又は180mg/mLの抗CD38抗体を含む。ある種の実施形態では、医薬組成物は、約100mg/mLの抗CD38抗体を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約140mg/mLの抗CD38抗体を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約120mg/mLの抗CD38抗体を含む。
【0117】
抗CD38抗体は、保存のために凍結乾燥され、使用前に好適な担体に溶解されてもよい。この技術は、従来のタンパク質調製物に関して有効であることが示されており、周知の凍結乾燥及び再構成技術を用い得る。
【0118】
ヒアルロニダーゼ
いくつかの実施形態では、本開示の方法での使用に好適な医薬組成物は、皮下投与用に製剤化される。皮下投与に好適な製剤の非限定的な例としては、溶液、懸濁液、エマルション、及び注射用の薬学的に許容される担体中に溶解又は懸濁し得る乾燥製品が挙げられる。
【0119】
典型的には、抗体溶液及び組成物に必要である際に、より大きな体積を皮下投与する場合、皮下組織の細胞外マトリックスが問題となる。皮下組織における脂肪細胞の外側の空間は、流体ではなく、対流力を緩衝するグリコサミノグリカンが豊富な粘弾性ゲル内に埋め込まれたコラーゲン原線維の固体細胞外マトリックスである。細胞外マトリックスは、単一部位に注射され得る薬物の体積、並びに血管区画に到達する速度及び量を制限する。ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸(EC3.2.1.35)を分解し、細胞外マトリクス中のヒアルロナンの粘性を低下させることによって組織の透過性を高める酵素である。したがって、抗体とrHuPH20などの組換えヒトヒアルロニダーゼとを、共製剤化又は共投与することにより、注射体積及び皮下注射からの生物学的利用能を増加させることができた。
【0120】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ヒアルロニダーゼを更に含む。特定の実施形態では、ヒアルロニダーゼはrHuPH20組換えヒアルロニダーゼである。rHuPH20は、組換えヒアルロニダーゼ(HYLENEX(登録商標)組換え体)であり、国際公開第2004/078140号に記載されている。いくつかの実施形態では、ヒアルロニダーゼは、配列番号22のアミノ酸配列を有するrHuPH20である。
【0121】
rHuPH20を含むヒアルロニダーゼの酵素活性は、1mL当たりの単位(U/mL)又は特定の製剤における全酵素活性(U)によって、定義され得る。1単位(U)の酵素活性の標準的な定義は、1分間当たり1nmolの基質の反応を触媒する酵素の量である。
【0122】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約750U~約75,000Uのヒアルロニダーゼを含む。ある種の実施形態では、医薬組成物は、約7,500U~約45,000Uのヒアルロニダーゼを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約30,000U~約45,000Uのヒアルロニダーゼを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約7,500、8,000、8,500、9,000、10,000、15,000、20,000、21,000、22,000、23,000、24,000、25,000、26,000、27,000、28,000、29,000、30,000、31,000、32,000、33,000、34,000、35,000、36,000、37,000、38,000、39,000、40,000、41,000、42,000、43,000、44,000、45,000、46,000、47,000、48,000、49,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、又は75,000Uのヒアルロニダーゼを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約30,000Uのヒアルロニダーゼを含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50U/mL~約5,000U/mLのヒアルロニダーゼ、例えば、約50~2,000、500~5,000、500~4,000、500~2,000、800~4,000、800~3,500、1,000~5,000、1,000~3,500、1,000~3,000、1,200~3,000、1,200~2,500、1,500~2,500、1,500~2,200、1,800~2,200、1,800~2,000、2,000~5,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約500U/mL、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、又は5,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50U/mLのヒアルロニダーゼを含む。ある種の実施形態では、医薬組成物は、約500U/mLのヒアルロニダーゼを含む。その他の実施形態では、医薬組成物は、約5,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約2,000U/mLのヒアルロニダーゼを含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1,200、1,400、1,600、1,800、2,000、2,200、2,400、2,600、2,800、3,000又は5,000mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約1,200、1,400、1,600、1,800、2,000、2,200、2,400、2,600、2,800、3,000又は5,000mgの抗CD38抗体及び約45,000Uのヒアルロニダーゼを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約1,800mgの抗CD38抗体及び、約30,000Uのヒアルロニダーゼを含む。
【0128】
ダラツムマブ及びヒアルロニダーゼに関する追加の情報は、例えば、DARZALEX FASPRO(登録商標)の製品添付文書の処方情報(www_janssenlabels_com/package-insert/product-monograph/prescribing-information/DARZALEX+Faspro-pi.pdf)に見出され得るが、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
医薬組成物とは、抗CD38抗体とヒアルロニダーゼとを組み合わせることによって得られた生成物を指し、固定組み合わせ及び非固定組み合わせの両方を含む。
【0130】
「固定組み合わせ」とは、2つ以上の化合物、例えば、単一の実体又は投薬量の形態で同時に投与される抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼを含む、単一の医薬組成物を指す。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼを含む医薬組成物は、固定組み合わせである。
【0131】
「非固定組み合わせ」とは、それぞれが1つ以上の化合物、例えば、抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼ又は単位剤形を含む別々の医薬組成物であって、異なる実体として同時、併行的に、又は逐次のいずれかで特定の中断時間の制限なしに投与され、このような投与が、被験体の体内で2つの化合物の有効なレベルを提供する、別々の医薬組成物を指す。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼを含む医薬組成物は、非固定組み合わせである。
【0132】
薬学的に許容される担体
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、溶液として製剤化される。
【0133】
「薬学的に許容される担体」とは、被験体に対して毒性のない有効成分以外の医薬組成物中の成分を指す。薬学的に許容される担体は、緩衝剤、賦形剤、安定剤又は防腐剤を含むが、これらに限定されない。担体は、抗CD38抗体と一緒に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又は溶剤であってもよい。このような溶剤は、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってもよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンが用いられ得る。これらの溶液は滅菌され、一般に、粒子状物質を含まない。これらは、従来周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって、滅菌されてもよい。本組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤等を含有してもよい。このような医薬製剤中の抗CD38抗体の濃度は幅広く異なってもよい、すなわち、約0.5重量%未満から、少なくとも約1重量%まで、最大で15重量%又は20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は50重量%までであってもよい。濃度は、投与様式に従って、必要とされる用量、液量、粘度等に主に基づいて、選択される。その他のヒトタンパク質、例えば、ヒト血清アルブミンを含む好適な溶剤及び製剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21stEdition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA 2006,Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp691-1092(例えば、958-89ページ)に記載されている。
【0134】
いくつかの実施形態では、本開示の方法での使用に好適な医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体を更に含む。「薬学的に許容される担体」という用語は、被験体に対して非毒性であり、有効成分の有効性を妨げるべきではない、有効成分以外の医薬組成物中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、医薬品製造、特に、抗体医薬品製造の分野で広く使用されているものが挙げられるが、これらに限定されない。担体は、抗CD38抗体と一緒に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又は溶剤であってもよい。このような溶剤は、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってもよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを用いてもよい。これらの溶液は滅菌され、一般に、粒子状物質を含まない。これらは、従来周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって、滅菌されてもよい。本組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤等を含有してもよい。このような医薬製剤中の抗CD38抗体の濃度は幅広く異なってもよい、例えば、約0.5重量%未満から、通常は、少なくとも約1重量%、最大で15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、又は50重量%までであってもよい。濃度は、選択された特定の投与様式に従って、必要とされる用量、液量、粘度などに主に基づいて選択される。その他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む、適切な溶剤及び製剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,Pa.2006年、Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp 691-1092(特にpp.958-89を参照されたい)に記載されている。
【0135】
薬学的に許容される担体の非限定的な例は、生理学的に適合する溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などであり、例えば、塩、緩衝液、抗酸化剤、糖類、水性若しくは非水性担体、防腐剤、湿潤剤、界面活性剤若しくは乳化剤、又はこれらの組み合わせである。
【0136】
使用され得る緩衝液の非限定的な例は、酢酸、クエン酸、ギ酸、コハク酸、リン酸、炭酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、ホウ酸、トリス緩衝液、HEPPSO、及びHEPESである。
【0137】
使用され得る抗酸化剤の非限定的な例は、アスコルビン酸、メチオニン、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、レシチン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、及び酒石酸である。
【0138】
使用され得るアミノ酸の非限定的な例は、ヒスチジン、イソロイシン、メチオニン、グリシン、アルギニン、リシン、L-ロイシン、トリロイシン、アラニン、グルタミン酸、L-スレオニン、及び2-フェニルアミンである。
【0139】
使用され得る界面活性剤の非限定的な例は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート-20又はポリソルベート-80)と、ポリオキサマー(例えば、ポロキサマー188)と、トリトンと、オクチル配糖体ナトリウムと、ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-又はステアリル-スルホベタインと、ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-又はステアリル-サルコシンと、リノレイル-、ミリスチル-又はセチル-ベタインと、ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノレアミドプロピル-、ミリストアミドプロピル-、パルミドプロピル-又はイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル)と、ミリストアミドプロピル-、パルミドプロピル-又はイソステアラミドプロピル-ジメチルアミンと、ナトリウム=メチルココイル-又はジナトリウム=メチルオレイル-タウレート、並びにMONAQUA(商標)シリーズ(Mona Industries,Inc.(Paterson,N.J.))、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、及びエチレンとプロピレングリコールとのコポリマー(例えば、PLURONICS(商標)、PF68等)と、である。
【0140】
使用され得る防腐剤の非限定的な例は、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はこれらの混合物である。
【0141】
使用され得る糖類の非限定的な例は、グルコース、スクロース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、デキストラン、グリセリン、デキストラン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、シリトール、ソルビトール、マンニトール、メリビオース、メレジトース、ラフィノース、マンノトリオース、スタキオース、マルトース、ラクツロース、マルツロース、グルシトール、マルチトール、ラクチトール、又はイソマルツロースなどの、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類、糖アルコール、還元糖、非還元糖である。
【0142】
使用され得る塩の非限定的な例は、酸付加塩及び塩基付加塩である。酸付加塩としては、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無毒性無機酸由来、並びに、例えば脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸などの無毒性有機酸由来のものが、挙げられる。塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属由来、並びに、例えばN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどの非毒性有機アミン類由来のものが、挙げられる。いくつかの実施形態では、塩は、塩化ナトリウム(NaCl)である。
【0143】
医薬組成物中の薬学的に許容される担体(複数可)の量は、担体(複数可)の活性及び製剤の所望の特性、例えば、安定性及び/又は最小酸化に基づいて、実験的に決定されてもよい。
【0144】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mM~約50mM、例えば、約2~50、2~40、5~50、5~40、5~30、5~20、5~15、5~10、10~30又は10~20mMの濃度で、ヒスチジンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50mMの濃度で、ヒスチジンを含む。ある種の実施形態では、医薬組成物は、約10mMの濃度で、ヒスチジンを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約2.1mMの濃度のL-ヒスチジン及び約5.9(例えば、5.8~5.9)mMの濃度で、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物を含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.1mg/mL~約5mg/mL、例えば、約0.1~4.5、0.1~4.0、0.1~2.5、0.2~5.0、0.2~4.0、0.2~3.5、0.3~3.5、0.3~3.0、0.4~3.0、0.4~2.5、0.5~2.5、0.5~4.0、0.5~3.0、0.5~2.0、0.6~2.0、0.6~1.5、0.7~1.5、0.7~1.2、0.8~1.2、0.8~1.0、1.0~3.0、又は1.0~2.0mg/mLの濃度で、メチオニンを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又は5.0mg/mLの濃度で、メチオニンを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ポリソルベートを含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ポリソルベート-20(PS-20)を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)、例えば、約0.01~0.08%、0.01~0.06%、0.01~0.05%、0.01~0.04%、0.02~0.1%、0.02~0.08%、0.02~0.06%、0.03~0.06%、0.03~0.05%、0.04~0.08%、又は0.04~0.05%(w/v)の濃度で、PS-20を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約0.04%(w/v)~の濃度で、PS-20を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ポリソルベート-80(PS-80)を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)~約0.08%(w/v)、例えば、約0.01~0.04%、0.02~0.1%、0.02%~0.08%、又は0.04~0.08%(w/v)の濃度で、PS-80を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)、0.02%(w/v)、0.03%(w/v)、0.04%(w/v)、0.05%(w/v)、0.06%(w/v)、0.07%(w/v)、0.08%(w/v)、0.09%(w/v)、又は0.1%(w/v)の濃度で、PS-80を含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、PS-20及びPS-80を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)~約0.08%(w/v)、例えば、約0.01~0.04%、0.02~0.1%、0.02%~0.08%、又は0.04~0.08%(w/v)の濃度で、PS-20及びPS-80を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.01%(w/v)、0.02%(w/v)、0.03%(w/v)、0.04%(w/v)、0.05%(w/v)、0.06%(w/v)、0.07%(w/v)、0.08%(w/v)、0.09%(w/v)、又は0.1%(w/v)の濃度で、PS-20及びPS-80を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、糖類を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約500mM、例えば、約50~450、50~400、50~350、60~500、60~450、70~450、70~400、80~400、80~350、90~350、90~300、100~450、100~400、100~350、100~300、150~400、150~350、200~350、200~325、225~325、225~300、250~300、又は250~275mMの濃度で、糖類を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、又は500mMの濃度で、糖類を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、糖類は、ソルビトールである。
【0153】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約500mM、例えば、約50~450、50~400、50~350、100~450、100~400、100~350、100~300、150~400、150~350、200~350、200~325、225~325、225~300、250~300、又は250~275mMの濃度で、ソルビトールを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約50、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、又は500mMの濃度で、ソルビトールを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約270mMの濃度のソルビトールを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、糖類は、スクロースである。
【0155】
ある種の実施形態では、医薬組成物は、約50mM~約500mM、例えば、50~450、50~400、50~350、100~350、又は100~200mMの濃度で、ショ糖を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、又は500mMの濃度で、ショ糖を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、マンニトールを含む。
【0157】
ある種の実施形態では、医薬組成物は、約100mM~約180mM、例えば、約105~180、105~175、110~175、110~170、115~170、115~165、120~165、120~160、125~160、125~155、130~155、130~150、又は140~180mMの濃度で、マンニトールを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、又は180mMの濃度で、マンニトールを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約140mMの濃度で、マンニトールを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、酢酸を含む。
【0159】
ある種の実施形態では、医薬組成物は、約1mM~約50mM、例えば、約2~50、2~45、5~45、5~40、10~40、10~35、15~35、15~30、又は20~30mMの濃度で、酢酸を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10、15、20、25、30、35、40、45、又は50mMの濃度で、酢酸を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約25mMの濃度で、酢酸を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、NaClを含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mM~約100mM、例えば、約20~90、30~90、30~80、40~80、40~70又は50~70mMの濃度で、NaClを含む。ある種の実施形態では、医薬組成物は、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100mMの濃度で、NaClを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約60mMの濃度のNaClを含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、酢酸ナトリウムを含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mM~約50mM、例えば、約15~50、15~45、20~45、20~40、25~40、又は25~35の濃度で、酢酸ナトリウムを含む。ある種の実施形態では、医薬組成物は、約10、15、20、25、30、35、40、45、又は50mMの濃度で、酢酸ナトリウムを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約30mMの濃度の酢酸ナトリウムを含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約pH5.0~約pH7.0、例えば、約pH5.0~約pH6.0、約pH5.3~約pH5.8である。ある種の実施形態では、医薬組成物は、約pH5.5である。その他の実施形態では、医薬組成物は、約pH5.6である。
【0165】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、ヒスチジン、メチオニン、マンニトール、ソルビトール、ポリソルベート20、ポリソルベート80、又はこれらの組み合わせ、及び1種以上の塩(例えば、塩化ナトリウム(NaCl)、酢酸ナトリウム等)を含み、医薬組成物は、5~7のpHを有する。
【0166】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約1,800mgのダラツムマブと、
約30,000ユニットのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼと、
約4.9mgのL-ヒスチジンと、
約18.4mgのL-ヒスチジン塩酸塩一水和物と、
約13.5mgのL-メチオニンと、
約6mgのポリソルベート20と、及び
約735.1mgのソルビトールと、を含み、
医薬組成物は、約5.5のpHを有する。
【0167】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約120mg/mlのダラツムマブと、
約2,000U/mLのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼと、
約2.1mMのL-ヒスチジンと、
約5.8mMのL-ヒスチジン塩酸塩一水和物と、
約6.0mMのL-メチオニンと、
約0.04%のw/vのポリソルベート20、及び
約270mMのソルビトールと、を含み、
医薬組成物は、約5.5のpHを有する。
【0168】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約1,800mgのダラツムマブと、
約30,000ユニットのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼと、
約4.9mgのL-ヒスチジンと、
約18.4mgのL-ヒスチジン塩酸塩一水和物と、
約13.5mgのL-メチオニンと、
約6mgのポリソルベート20と、及び
約735.1mgのソルビトールと、を含み、
医薬組成物は、約5.6のpHを有する。
【0169】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約120mg/mlのダラツムマブと、
約2,000U/mLのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼと、
約2.1mMのL-ヒスチジンと、
約5.8mMのL-ヒスチジン塩酸塩一水和物と、
約6.0mMのL-メチオニンと、
約0.04%のw/vのポリソルベート20と、及び
約270mMのソルビトールと、を含み、
医薬組成物は、約5.6のpHを有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
a)約pH5.5における、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナトリウム、約140mMのマンニトール及び約0.04%のw/vのPS-20中の、約60mg/mL~約180mg/mL(例えば、約120mg/mL)の、抗CD38抗体、及び
b)約pH6.5における、10mMのL-ヒスチジン、130mMのNaCl、10mMのL-メチオニン、0.02%のw/vのPS-80中の、約30,000U~約45,000Uの、ヒアルロニダーゼを、含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
a)約pH5.5における、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナトリウム、約140mMのマンニトール及び約0.04%のw/vのPS-20中の、約60mg/mL~約180mg/mL(例えば、約120mg/mL)の、抗CD38抗体、及び
b)pH6.5における、10mMのL-ヒスチジン、130mMのNaCl、10mMのL-メチオニン、0.02%のw/vのPS-80中の、約30,000Uの、ヒアルロニダーゼを、含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
a)約pH5.5における、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナトリウム、約140mMのマンニトール及び約0.04%のw/vのPS-20中の、約60mg/mL~約180mg/mL(例えば、約120mg/mL)の、抗CD38抗体、及び
b)約pH6.5における、10mMのL-ヒスチジン、130mMのNaCl、10mMのL-メチオニン、0.02%のw/vのPS-80中の、約45,000Uの、ヒアルロニダーゼを、含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
a)約1mg/mL~約180mg/mLの抗CD38抗体と、
b)約50U/mL~約5,000U/mLのヒアルロニダーゼと、
c)約5mM~約50mMのヒスチジンと、
d)約50mM~約400mMのソルビトールと、を含み、
任意選択で、医薬組成物は、
e)約0.01%のw/v~約0.1%のw/vのPS-20と、及び/又は
f)約0.1mg/mL~約2.5mg/mLのメチオニンと、を更に含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
a)約100mg/mL~約140mg/mL(例えば、約120mg/mL)の抗CD38抗体と、
b)約50U/mL~約5,000U/mLのヒアルロニダーゼと、
c)約10mMのヒスチジンと、及び
d)約100mM~約300mMのソルビトールと、を含む。
【0175】
任意選択で、医薬組成物は、
e)約0.01%のw/v~約0.04%のw/vのPS-20と、及び
f)約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンと、を更に含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
a)約120mg/mLの抗CD38抗体と、
b)約2,000U/mLのrHuPH20と、
c)約10mMのヒスチジンと、
d)約300mMのソルビトールと、
e)約0.04%w/vのPS-20と、及び
f)約1mg/mLのメチオニンと、を含み、pHは、約5.5である。
【0177】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
a)約120mg/mLの抗CD38抗体と、
b)約2,000U/mLのrHuPH20と、
c)約10mMのヒスチジンと、
d)約300mMのソルビトールと、
e)約0.04%w/vのPS-20と、及び
f)約2mg/mLのメチオニンと、を含み、pHは、約5.5である。
【0178】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
a)約120mg/mLの抗CD38抗体と、
b)約2,000U/mLのrHuPH20と、
c)約10mMのヒスチジンと、
d)約300mMのソルビトールと、
e)約0.01%のw/vのPS-20と、及び
f)約2mg/mLのメチオニンと、を含み、pHは、約5.5である。
【0179】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
a)約120mg/mLの抗CD38抗体と、
b)約2,000U/mLのrHuPH20と、
c)約10mMのヒスチジンと、
d)約300mMのソルビトールと、
e)約0.02%のw/vのPS-20と、及び
f)約2mg/mLのメチオニンと、を含み、pHは、約5.5である。
【0180】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
a)約120mg/mLの抗CD38抗体と、
b)約2,000U/mLのrHuPH20と、
c)約10mMのヒスチジンと、
d)約300mMのソルビトールと、
e)約0.06%のw/vのPS-20と、及び
f)約2mg/mLのメチオニンと、を含み、pHは、約5.5である。
【0181】
抗CD38抗体を含む医薬組成物は、本開示を考慮して当該技術分野において周知の任意の方法によって、調製され得る。例えば、抗CD38抗体を、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と混合して、溶液を得ることができる。溶液は、被験体に投与するまで、適切なバイアル瓶内において遮光下で、約2℃~8℃の温度にて、液体として保存され得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、約20mg/mLの抗CD38抗体を約1.0mg/mLのrHuPH20(75~150kU/mL)と混合することによって医薬組成物を調製した後、混合物を被験体に投与し、当該抗CD38抗体は、約25mMの酢酸ナトリウム、約60mMの塩化ナトリウム、約140mMのD-マンニトール、約0.04%のポリソルベート20中に存在し、約pH5.5であり、rHuPH20は、約10mMのL-ヒスチジン、約130mMのNaCl、約10mMのL-メチオニン、及び約0.02%のポリソルベート80中に存在し、約pH6.5である。
【0183】
投与
「治療する(treat)」、「治療中である(treating)」又は「治療(treatment)」とは、その目的が、望ましくない生理学的変化又は疾患の進行(例えば、腫瘍又は腫瘍細胞が発生又は伝播することを遅らせる)を遅らせる(減らす)ことであったり、あるいは、治療の間に有益な又は所望の臨床的転帰を提供することであったりする、治療的処置を指す。有益な又は所望の臨床的転帰としては、検出可能であろうと又は検出不可能であろうと、症状の緩和、疾患の程度の軽減、安定した(すなわち、悪化しない)疾患状態、疾患の進行の遅延又は鈍化、転移の欠如、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解(部分的であろうと又は全体的であろうと)が、挙げられる。「治療」はまた、被験体が治療を受けていない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長させることを意味する場合がある。治療を必要とする被験体としては、望ましくない生理学的変化又は疾患を既に有している被験体、並びに生理学的変化又は疾患を有しやすい傾向がある被験体が含まれる。
【0184】
ダラツムマブは、多発性骨髄腫を有する成人患者の治療に適応される。例えば、単剤治療としては、プロテアソーム阻害剤(Proteasome Inhibitor、PI)及び免疫調節剤を含む少なくとも3つの先行治療を受けているか、あるいはPI及び免疫調節剤に対して二重不応性である患者における。ダラツムマブに関する追加の情報は、例えば、DARZALEX(登録商標)の製品添付文書の処方情報(www_janssenlabels_com/package-insert/product-monograph/prescribing-information/DARZALEX-pi.pdf)に見出され得るが、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0185】
「治療有効量(therapeutically effective amount)」とは、必要とされる用量及び期間において、所望の治療結果を達成するために有効な量を指す。治療有効量は、個体の病状、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに個体において所望の奏効を引き出す治療薬又は治療薬の組み合わせの能力によって、様々であってもよい。有効な治療薬又は治療薬の組み合わせを示す例示的な指標としては、例えば、患者の健康状態の改善、腫瘍量の減少、腫瘍の増殖の停止若しくは鈍化、及び/又は体内の他の場所への癌細胞の転移の不在が、挙げられる。
【0186】
「増殖を阻害する(inhibits growth)」(例えば、腫瘍細胞に言及する場合)は、治療薬又は治療薬剤の組み合わせの非存在下で、同一の腫瘍細胞又は腫瘍組織の増殖と比較して治療薬又は治療薬若しくは薬剤の組み合わせと接触される場合のインビトロ又はインビボでの腫瘍細胞増殖又は腫瘍組織における測定可能な減少を指す。インビトロ又はインビボでの腫瘍細胞又は腫瘍組織の増殖の阻害は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%又は100%であってもよい。
【0187】
抗CD38抗体はまた、癌の進行リスクを低下させ、癌の進行におけるイベントの発生の開始を遅延させ、かつ/又は癌が緩解した際の再発リスクを低下させるために、予防的に投与されてもよい。これは、その他の生物学的要因のために、存在することが知られている腫瘍の位置を特定することが難しい患者において特に有用であり得る。
【0188】
抗CD38抗体の投与様式は、任意の適切な非経口投与であってもよい。投与の非限定的な例としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、肺、経粘膜(経口、鼻腔内、膣内、直腸)等が、挙げられる。
【0189】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、皮下投与される。「皮下投与(subcutaneous administration)」とは、薬物又は治療薬を皮膚と筋肉との間の組織層に注射する、皮膚の下への投与を指す。皮下投与を介して投与される薬剤は、通常、静脈内に注射される場合よりもゆっくりと吸収される。
【0190】
「投薬量(dosage)」とは、被験体によって摂取される治療薬又は薬物の量、及び被験体によって摂取される治療薬の回数の頻度に関する情報を指す。「用量(dose)」とは、各回に摂取される治療薬又は薬物の量又は数量を指す。
【0191】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の用量は、1回の投与当たり、約10mg~約2,400mg、例えば、1回の投与当たり、約10~2,400、10~2,000、20~2,000、20~1,500、50~1,500、50~1,000、100~1,000、100~500、又は200~500mgである。ある種の実施形態では、抗CD38抗体の用量は、1回の投与当たり、約700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、又は2,400mgである。特定の実施形態では、抗CD38抗体の用量は、1回の投与当たり、約1,800mgである。
【0192】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、組換えヒトヒアルロニダーゼなしで皮下投与される。その他の実施形態では、抗CD38抗体は、組換えヒトヒアルロニダーゼと共に皮下投与される。
【0193】
投与される医薬組成物は、約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の抗CD38抗体の濃度は、約120mg/mlである。抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼを含む医薬組成物は、腹部に皮下投与されてもよい。
【0194】
本発明の医薬組成物は、非固定組み合わせとして投与されてもよい。本発明の医薬組成物はまた、固定組み合わせ、例えば単位剤形(又は投与単位形態)として投与されてもよい。固定組み合わせは、投与の容易さ及び投薬量の均一性において、有利であり得る。
【0195】
いくつかの実施形態では、(例えば、抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼを含む)医薬組成物は、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、又は120mLの総量で、投与される。ある種の実施形態では、医薬組成物は、約80、90、100、110、又は120mLの総量で、投与される。その他の実施形態では、医薬組成物は、約10~20mL、例えば、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20mLの総量で、投与される。特定の実施形態では、医薬組成物は、約15mLの総量を有する。投与の総量は、典型的には、非固定組み合わせと比較して、固定組み合わせの方がより少ない。
【0196】
本開示の医薬組成物はまた、固定組み合わせ、例えば単位剤形として投与されてもよい。
【0197】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約4,000mgの量の抗CD38抗体、及び
任意選択で、約30,000U~約75,000Uの量のrHuPH20を、含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約2,400mgの量の抗CD38抗体、及び
任意選択で、約30,000U~約45,000Uの量のrHuPH20を、含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約1,800mgの量の抗CD38抗体、及び
任意選択で、約30,000U~約45,000Uの量のrHuPH20を、含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約5,000mg(例えば、約1,800mg)の量の抗CD38抗体と、
約5mM~約15mM(例えば、約7.9mM)の濃度のヒスチジンと、
約100mM~約300mM(例えば、約270mM)の濃度のソルビトールと、
約0.01%(w/v)~約0.05%(w/v)(例えば、約0.04%(w/v))の濃度のPS-20と、
約0.8mg/mL~約2mg/mL(例えば、約0.9mg/mL)の濃度のメチオニンと、及び
任意選択で、約30,000U~約75,000U(例えば、約30,000U)の量のrHuPH20と、を含み、
医薬組成物は、約5.5又は約5.6のpHを有する。
【0201】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,200mg~約2,400mg(例えば、約1,800mg)の量の抗CD38抗体と、
約5mM~約10mM(例えば、約7.9mM)の濃度のヒスチジンと、
約250mM~約300mM(例えば、約270mM)の濃度のソルビトールと、
約0.03~0.05%(w/v)(例えば、約0.04%(w/v))の濃度のPS-20と、
約0.8~1mg/mL(例えば、約0.9mg/mL)の濃度のメチオニンと、及び
任意選択で、約30,000U~約45,000U(例えば、約30,000U)の量のrHuPH20と、を含み、
医薬組成物は、約5.5又は約5.6のpHを有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,800mgの量の抗CD38抗体と、
約7.9mMの濃度のヒスチジンと、
約270mMの濃度のソルビトールと、
約0.04%(w/v)の濃度のPS-20と、
約0.9mg/mLの濃度のメチオニンと、及び
任意選択で、約30,000Uの量のrHuPH20と、を含み、
医薬組成物は、約5.5又は約5.6のpHを有する。
【0203】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、
約1,800mgの量の抗CD38抗体と、
約7.9mMの濃度のヒスチジンと、
約270mMの濃度のソルビトールと、
約0.04%(w/v)の濃度のPS-20と、
約0.9mg/mLの濃度のメチオニンと、及び
任意選択で、約45,000Uの量のrHuPH20と、を含み、
医薬組成物は、約5.5又は約5.6のpHを有する。
【0204】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の単位剤形は、バイアル瓶、カートリッジ、注射器、充填済みシリンジ、又は使い捨てペンから選択される容器内に保存される。
【0205】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総投薬量は、単回皮下注射で、又は複数回、例えば、1、2、3、4、5回又はそれ以上の皮下注射で被検体に投与され得る。
【0206】
いくつかの実施形態では、各皮下注射は、約1分~約60分、例えば、約10~55、15~55、15~50、20~50、20~45、25~45、25~40、30~40、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、又は3~5分間、継続する。ある種の実施形態では、各皮下注射は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60分間、継続する。特定の実施形態では、各皮下注射は、約3分~約5分間、継続する。
【0207】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1日間、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、9ヶ月間、1年間、18ヶ月間、若しくは2年間、又はそれ以上の期間にわたって、1日に1回、1週間に1回、2週間毎に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月毎に1回、3ヶ月毎に1回、4ヶ月毎に1回、6ヶ月毎に1回、9ヶ月毎に1回、投与される。
【0208】
(例えば、抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼを含む)医薬組成物の投与は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、又はそれよりも長い期間の後に、繰り返されてもよい。また、治療過程を繰り返すことも、長期にわたる投与として可能である。繰り返し投与は、同一用量であっても異なる用量であってもよい。例えば、抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼを含む医薬組成物は、週1回を8週間、その後に2週に1回を16週間、その後に4週に1回投与されてもよい。
【0209】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体が、28日間の周期中に、週1回、2週間毎、又は4週間毎に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体が、周期1中に週1回、周期2~5中に2週間毎、及びその後は4週間毎に投与される。
【0210】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の総投薬量は、投与1回当たり単回皮下注射で、被験体に投与される。特定の実施形態では、医薬組成物は、約15mLの総量で投与される。
【0211】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の総投薬量は、投与1回当たり複数回、例えば、2、3、4、又は5回の皮下注射で、被験体に投与される。
【0212】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、静脈内に(例えば、静脈内注入によって)投与される。
【0213】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の総用量は、1回の投与当たり、約10mg~約600mg、例えば、1回の投与当たり、約10~550、15~550、15~500、25~500、25~450、40~450、40~400、60~400、60~350、100~350、100~300、150~300、150~250、又は200~250mgである。ある種の実施形態では、抗CD38抗体の総用量は、1回の投与当たり、約10、20、25、30、40、50、60、70、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、又は600mgである。
【0214】
抗CD38抗体の投与を繰り返してもよい。例えば、1、2、3、4、5若しくは6日後、1、2、3、4、5、6若しくは7週間後、又は1、2、3、4、5若しくは6ヶ月後、又はそれ以上である。また、治療過程を繰り返すことも、長期にわたる投与として可能である。繰り返し投与は、同一用量であっても異なる用量であってもよい。例えば、抗CD38抗体は、静脈内注入により、8mg/kg又は16mg/kgで1週間間隔で8週間にわたり投与され、続いて、8mg/kg又は16mg/kgで2週間毎に更に16週間の投与を行い、その後、4週間毎に8mg/kg又は16mg/kgの投与を続けて行ってもよい。
【0215】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、16mg/kgで週1回、8週間にわたり投与され、続いて、16mg/kgを2週間毎に1回、16週間にわたり投与され、その後、16mg/kgを4週間毎に1回、中断するまで投与される。
【0216】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、8mg/kgを週1回、8週間にわたり投与され、その後、8mg/kgを2週間毎に1回、16週間にわたり投与され、その後、8mg/kgを4週間毎に1回、中断するまで投与される。
【0217】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、16mg/kgで週1回、4週間にわたり投与され、続いて、16mg/kgを2週間毎に1回、16週間にわたり投与され、その後、16mg/kgを4週間毎に1回、中断するまで投与される。
【0218】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、8mg/kgを週1回、4週間にわたり投与され、続いて、8mg/kgを2週間毎に1回、16週間にわたり投与され、その後、8mg/kgを4週間毎に1回、中断するまで投与される。
【0219】
いくつかの実施形態では、静脈内注入は、15分、30分、45分又は60分にわたって行われる。いくつかの実施形態では、静脈内注入は、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12時間にわたって行われる。
【0220】
患者に投与される抗CD38抗体の用量は、治療される疾患を緩和するか、又は少なくとも部分的に阻止するために十分な量(「治療有効量」)である。治療有効量の非限定的な例としては、約0.005mg~約100mg/kg、例えば、約0.05~30、5~25、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90、又は100mg/kgが、挙げられる。
【0221】
例えば、抗CD38抗体は、24、12、8、6、4、又は2時間毎の単回投与又は分割投与を用いて、若しくはこれらの併用を用いて、約0.1~100mg/kgの量の1日用量として、例えば、1日当たり約0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90又は100mg/kgで、治療開始後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40日目のうちの少なくとも1日に、あるいは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20週目のうちの少なくとも1週に、あるいはこれらの組み合わせで、提供されてもよい。
【0222】
例えば、50、100、200、500、又は1000mgの一定の単位用量が、所与されてもよい。いくつかの実施形態では、用量は、患者の表面積、例えば、500、400、300、250、200、又は100mg/mに基づく。投与量はまた、疾患に依存し得る。通常、MMを処置するために1~8回の用量、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8回の用量が投与されてもよい。いくつかの実施形態では、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれ以上の用量が投与されてもよい。
【0223】
抗CD38抗体は、例えば、6ケ月以上の期間に週1回など、維持治療として投与されてもよい。
【0224】
特定の実施形態では、約1,800mgの抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)及び約30,000Uのヒアルロニダーゼ(例えば、rHuPH20組換えヒアルロニダーゼ)を含む医薬組成物が、28日周期で、周期1中に週1回、周期2~周期5中に2週間毎、その後は4週間毎に、投与される。
【0225】
特定の実施形態では、約1,800mgの抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)及び約30,000Uのヒアルロニダーゼ(例えば、rHuPH20組換えヒアルロニダーゼ)を含む医薬組成物が、28日周期で、周期1中に週1回(例えば、1日目、8日目、15日目、及び22日目)、周期2~周期5中に2週間毎(例えば、1日目及び15日目)、及びその後は4週間毎(例えば、1日目)に、投与される。
【0226】
いくつかの実施形態では、本方法の投与計画は、被験体によるコルチコステロイドの使用の減少、除去、又は減少及び除去をもたらす。
【0227】
コルチコステロイド漸減
一態様では、本開示は、血液悪性腫瘍(例えば、MMなどのCD38陽性血液悪性腫瘍)を治療する方法であって、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体及びコルチコステロイドを、それを必要とする被験体に投与するステップを含み、投与計画には、被験体へのコルチコステロイド投与の減少、除去、又は減少に続く除去が含まれる方法を、提供する。
【0228】
抗CD38抗体は、本明細書に記載の抗CD38抗体のいずれか1つであり得る。
【0229】
コルチコステロイドの非限定的な例としては、ベタメタゾン、コルチゾール、コルチゾン、デキサメタゾン、グルココルチコイド、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(MP)、プレドニゾロン、プレドニゾン、及びトリアムシノロンが、挙げられる。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、副腎皮質で産生される、又は合成的に産生されるステロイドホルモンのクラスを指す。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる。
【0230】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、抗CD38抗体の投与(例えば、皮下投与)と同時に投与される。
【0231】
コルチコステロイドは、当該技術分野において周知の任意の好適な方法によって、投与され得る。
【0232】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、経口投与される。
【0233】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、非経口(例えば、静脈内)投与される。
【0234】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、抗CD38抗体の投与と同時に再投与される。
【0235】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、抗CD38抗体の投与後に(例えば、直後に)再投与される。
【0236】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、抗CD38抗体の投与の約1分~約15分後に、再投与される。
【0237】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、抗CD38抗体の投与の約0.5時間~約10時間後、例えば、抗CD38抗体の投与の約1~10時間後、2~10時間後、4~10時間後、6~10時間後、又は7~9時間後に、再投与される。
【0238】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、抗CD38抗体の投与の約0.5時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、又は10時間後に、再投与される。
【0239】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に投与されるコルチコステロイドと抗CD38抗体の投与後に再投与されるコルチコステロイドとは、同じである。
【0240】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体の投与前に投与されるコルチコステロイドと抗CD38抗体の投与後に再投与されるコルチコステロイドとは、異なる。
【0241】
いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、抗CD38抗体の皮下投与の約1時間~約2時間前に経口投与され、抗CD38抗体の投与の約7~9時間後に経口的に再投与される。
【0242】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、28日間の周期中に、週1回、2週間毎、又は4週間毎に投与される。ある種の実施形態では、抗CD38抗体は、周期1中に週1回、周期2~5中に2週間毎、及びその後は4週間毎に投与される。
【0243】
いくつかの実施形態では、被験体に投与されるコルチコステロイドは、(例えば、28日の治療周期中)少なくとも約20%減少し、例えば、(例えば、28日の治療周期中)少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%、減少する。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるコルチコステロイドは、(例えば、28日の治療周期中)約20~95%、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約25~95%、25~90%、30~90%、30~85%、35~85%、35~80%、40~80%、40~75%、45~75%、45~70%、50~70%、55~65%、又は55~60%、減少する。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるコルチコステロイドは、約60%減少する。ある種の実施形態では、コルチコステロイドは除去される。特定の実施形態では、28日間の治療周期中に、被験体に投与されるコルチコステロイドは、約60%減少し、その後、除去される。
【0244】
いくつかの実施形態では、被験体に投与されるコルチコステロイドは、28日間の治療周期中に、少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、又は6回投与され、その後除去される。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるコルチコステロイドは、28日間の治療周期中に、一度投与され、その後、除去される。
【0245】
いくつかの実施形態では、本方法は、28日間の周期中に、被験体に、
a)約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に皮下投与するステップと、及び
b)約20mgの投与前コルチコステロイドを、28日間の周期の1日目に、静脈内投与するステップと、を含む治療を施すステップを、更に含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、本方法は、28日間の周期中に、被験体に、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000UのrHuPH20ヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイドを、28日間の周期の8日目に投与するステップと、を含む方法を、更に含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、本方法は、28日間の周期中に、被験体に、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約30mgの投与前コルチコステロイドを、15日目に投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイドを、28日間の周期の15日目に投与するステップと、を含む方法を、更に含む。
【0248】
別の態様では、本開示は、それを必要とする被験体において、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法が、当該被験体に、28日周期で治療を施すステップを含み、当該治療は、
a)約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、並びに
b)約20mg(又は同等の用量)の投与前コルチコステロイドを、28日間の周期の1日目に投与するステップと、を含む。
【0249】
別の態様では、本開示は、それを必要とする被験体において、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法が、当該被験体に、28日周期で治療を施すステップを含み、当該治療は、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000UのrHuPH20ヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイドを、28日間の周期の8日目に投与するステップと、を含む。
【0250】
別の態様では、本開示は、それを必要とする被験体において、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法は、当該被験体に、28日周期で治療を施すステップを含み、当該治療は、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約30mgの投与前コルチコステロイドを、15日目に投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイドを、28日間の周期の15日目に投与するステップと、を含む。
【0251】
デキサメサゾン
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、デキサメタゾンを含む、デキサメタゾンから本質的になる、又はデキサメタゾンからなる。デキサメタゾンは、商品名DECARON(登録商標)にて販売されている。
【0252】
デキサメタゾンと併用したダラツムマブは、多発性骨髄腫又は軽鎖アミロイドーシスの成人患者の治療に適応される。「~と併用して」とは、2つ以上の治療薬を、混合物の状態で一緒に、単剤として同時に、又は単剤として任意の順序で逐次、被験体に投与することを意味する。例えば、自己幹細胞移植に不適格であると新たに診断された多発性骨髄腫の患者において、及び少なくとも1つの先行治療を受けた再発性又は難治性の多発性骨髄腫を有する患者においては、レナリドミドとデキサメタゾンの併用、自己幹細胞移植に適格であると新たに診断された多発性骨髄腫の患者においては、ボルテゾミブと、サリドマイドと、デキサメタゾンの併用、少なくとも1つの先行治療を受けた多発性骨髄腫の患者においては、ボルテゾミブとデキサメタゾンの併用、1~3つの一連の先行治療を受けた多発性骨髄腫の患者においては、カルフィルゾミブとデキサメタゾンの併用、レナリドマイド及びプロテアソーム阻害剤を含む少なくとも2つの先行治療を受けた多発性骨髄腫の患者においては、ポマリドマイドとデキサメタゾンの併用、新たに診断された軽鎖アミロイド症患者においては、ボルテゾミブと、シクロホスファミドと、デキサメタゾンの併用、である。デキサメタゾンと併用したダラツムマブに関する追加情報は、例えば、DARZALEX(登録商標)の製品添付文書の処方情報(www.janssenlabels.com/package-insert/product-monograph/prescribing-information/DARZALEX-pi.pdf)に見出され得るが、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0253】
いくつかの実施形態では、被験体に(例えば、経口又は静脈内)投与されるデキサメタゾンは、(例えば、28日の治療周期中)少なくとも約20%減少し、例えば、(例えば、28日の治療周期中)少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%、減少する。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるデキサメタゾンは、(例えば、28日の治療周期中)約20~95%、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約25~95%、25~90%、30~90%、30~85%、35~85%、35~80%、40~80%、40~75%、45~75%、45~70%、50~70%、55~65%、又は55~60%、減少する。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるデキサメタゾンは、少なくとも約60%減少する。ある種の実施形態では、デキサメタゾンは除外される。特定の実施形態では、被験体に投与されるデキサメタゾンは少なくとも約60%減少し、その後、28日間の治療周期中に除外される。
【0254】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与(例えば、DARZALEX FASPRO(登録商標)投与)前のデキサメタゾン投与は、軽減される。
【0255】
いくつかの実施形態では、被験体に投与されるデキサメタゾンは、(例えば、28日間の治療周期中)約20mg(又は同等の用量)未満、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1mg(又は同等の用量)未満である。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるデキサメタゾンは、(例えば、28日間の治療周期中)約0~20mg(又は同等の用量)、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約0~19、1~19、1~18、2~18、2~17、3~17、3~16、4~16、4~15、5~15、5~14、6~14、6~13、7~13、7~12、8~12、8~11、9~11、又は9~10mg(又は同等の用量)である。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるデキサメタゾンは、(例えば、28日間の治療周期中)約8mg(又は同等の用量)未満である。ある種の実施形態では、デキサメタゾンは除外される。特定の実施形態では、被験体に投与されるデキサメタゾンは約8mg(又は同等の用量)未満であり、その後、28日の治療周期中に除外される。
【0256】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与(例えば、DARZALEX FASPRO(登録商標)投与)後のデキサメタゾン投与は、軽減される。
【0257】
いくつかの実施形態では、本方法は、28日間の周期中に、被験体に治療を施すステップを含み、当該治療は、
a)約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、及び
b)約20mg(又は同等の用量)の投与前デキサメタゾンを、28日間の周期の1日目に、静脈内投与するステップと、を含む。
【0258】
別の態様では、本開示は、それを必要とする被験体において、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法は、当該被験体に、28日周期で治療を施すステップを含み、当該治療は、
a)約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、並びに
b)約20mg(又は同等の用量)の投与前デキサメサゾンを、28日間の周期の1日目に投与するステップと、を含む。
【0259】
メチルプレドニゾロン(MP)
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドはメチルプレドニゾロン(MP)である。投薬前又は投薬後としてのMPの投与については、例えば、DARZALEX(登録商標)の処方情報製品の添付文書を参照されたい。
【0260】
いくつかの実施形態では、被験体に(例えば、経口又は静脈内)投与されるMPは、(例えば、28日の治療周期中)少なくとも約20%減少し、例えば、(例えば、28日の治療周期中)少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%、減少する。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるMPは、(例えば、28日の治療周期中)約20~95%、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約25~95%、25~90%、30~90%、30~85%、35~85%、35~80%、40~80%、40~75%、45~75%、45~70%、50~70%、55~65%、又は55~60%、減少する。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるMPは、少なくとも約60%減少する。ある種の実施形態では、MPは除外される。特定の実施形態では、被験体に投与されるMPは少なくとも約60%減少し、その後、28日間の治療周期中に排除される。
【0261】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与(例えば、DARZALEX FASPRO(登録商標)投与)前のMP投与は、軽減される。
【0262】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約100mg(又は同等の用量)未満、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約90、80、70、60、50、40、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2又は1mg(又は同等の用量)未満である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約0~100mg(又は同等の用量)、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約0~90、1~90、1~80、2~80、2~70、3~70、3~60、4~60、4~50、5~50、5~40、10~40、10~35、15~35、15~30、20~30、又は20~25mg(又は同等の用量)である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約40mg(又は同等の用量)未満である。ある種の実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されたMPは、排除される。特定の実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、約40mg(又は同等の用量)未満であり、その後、28日間の治療周期中に排除される。
【0263】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約60mg(又は同等の用量)未満、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2、又は1mg(又は同等の用量)未満である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約0~60mg(又は同等の用量)、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約0~55、1~55、1~50、2~50、2~45、3~45、3~40、4~40、4~35、5~35、5~30、10~30、10~25、15~25、又は15~20mg(又は同等の用量)である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約24mg(又は同等の用量)未満である。ある種の実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、排除される。特定の実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、約24mg(又は同等の用量)未満であり、その後、28日間の治療周期中に排除される。
【0264】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約30mg(又は同等の用量)未満、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約25、20、18、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1mg(又は同等の用量)未満である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約0~30mg(又は同等の用量)、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約0~25、1~25、1~20、2~20、2~18、3~18、3~15、4~15、4~10、5~10、5~9、6~9、6~8又は7~8mg(又は同等の用量)である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約12mg(又は同等の用量)未満である。ある種の実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されたMPは、排除される。特定の実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるMPは、約12mg(又は同等の用量)未満であり、その後、28日間の治療周期中に排除される。
【0265】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与(例えば、DARZALEX FASPRO(登録商標)投与)後のMP投与は、軽減される。
【0266】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与後に被験体に投与されるMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約20mg(又は同等の用量)未満、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1mg(又は同等の用量)未満である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与後に被験体に投与されたMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約0~20mg(又は同等の用量)、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約0~19、1~19、1~18、2~18、2~17、3~17、3~16、4~16、4~15、5~15、5~14、6~14、6~13、7~13、7~12、8~12、8~11、9~11、又は9~10mg(又は同等の用量)である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与後に被験体に投与されるMPは、(例えば、28日間の治療周期中)約8mg(又は同等の用量)未満である。ある種の実施形態では、抗CD38抗体投与後に被験体に投与されたMPは、排除される。特定の実施形態では、抗CD38抗体投与後に被験体に投与されるMPは、約8mg(又は同等の用量)未満であり、その後、28日間の治療周期中に排除される。
【0267】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前のMP投与と抗CD38抗体投与後のMP投与の両方が、低減される。
【0268】
いくつかの実施形態では、本方法は、28日間の周期中に、被験体に治療を施すステップを含み、当該治療は、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000UのrHuPH20ヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前MPを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前MPを、8日目に投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、28日間の周期の8日目に投与するステップと、を含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、本方法は、28日間の周期中に、被験体に治療を施すステップを含み、当該治療は、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前MPを、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前MPを、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、8日目に、経口投与するステップと、
約30mgの投与前MPを、15日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、28日間の周期の15日目に、経口投与するステップと、を含む。
【0270】
プレドニゾン
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドトはプレドニゾンである。
【0271】
プレドニゾンと併用するダラツムマブは、多発性骨髄腫の成人患者の治療に適応される。例えば、自己幹細胞移植に不適格であると新たに診断された患者においては、ボルテゾミブと、メルファランと、プレドニゾンとの併用である。プレドニゾンと併用するダラツムマブに関する追加情報は、例えば、DARZALEX(登録商標)の処方情報製品の添付文書に見出され得る。
【0272】
いくつかの実施形態では、被験体に(例えば、経口)投与されるプレドニゾンは、(例えば、28日の治療周期中)少なくとも約20%減少し、例えば、(例えば、28日の治療周期中)少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%、減少する。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるプレドニゾンは、(例えば、28日の治療周期中)約20~95%、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約25~95%、25~90%、30~90%、30~85%、35~85%、35~80%、40~80%、40~75%、45~75%、45~70%、50~70%、55~65%、又は55~60%、減少する。いくつかの実施形態では、被験体に投与されるプレドニゾンは、少なくとも約60%減少する。ある種の実施形態では、被験体に投与されるプレドニゾンは、排除される。特定の実施形態では、被験体に投与されるプレドニゾンは少なくとも約60%減少し、その後、28日間の治療周期中に排除される。
【0273】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与(例えば、DARZALEX FASPRO(登録商標)投与)後のプレドニゾン投与は、軽減される。
【0274】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与後に被験体に投与されるプレドニゾンは、(例えば、28日間の治療周期中)約60mg/m(又は同等の用量)未満、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2、又は1mg/m(又は同等の用量)未満である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与後に被験体に投与されるプレドニゾンは、(例えば、28日間の治療周期中)約0~60mg/m(又は同等の用量)、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約0~55、1~55、1~50、2~50、2~45、3~45、3~40、4~40、4~35、5~35、5~30、10~30、10~25、15~25、又は15~20mg/m(又は同等の用量)である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与後に被験体に投与されるプレドニゾンは、(例えば、28日間の治療周期中)約24mg/m(又は同等の用量)未満である。ある種の実施形態では、被験体に投与されるプレドニゾンは、排除される。特定の実施形態では、抗CD38抗体投与後に被験体に投与されるプレドニゾンは、約24mg/m(又は同等の用量)未満であり、その後、28日間の治療周期中に排除される。
【0275】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与(例えば、DARZALEX FASPRO(登録商標)投与)前のプレドニゾン投与は、軽減される。
【0276】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるプレドニゾンは、(例えば、28日間の治療周期中)約60mg/m(又は同等の用量)未満、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2、又は1mg/m(又は同等の用量)未満である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるプレドニゾンは、(例えば、28日間の治療周期中)約0~60mg/m(又は同等の用量)、例えば、(例えば、28日間の治療周期中)約0~55、1~55、1~50、2~50、2~45、3~45、3~40、4~40、4~35、5~35、5~30、10~30、10~25、15~25、又は15~20mg/m(又は同等の用量)である。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるプレドニゾンは、(例えば、28日間の治療周期中)約24mg/m(又は同等の用量)未満である。ある種の実施形態では、プレドニゾンは排除される。特定の実施形態では、抗CD38抗体投与前に被験体に投与されるプレドニゾンは、約24mg/m(又は同等の用量)未満であり、その後、28日間の治療周期中に排除される。
【0277】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体投与前のプレドニゾン投与と抗CD38抗体投与後のプレドニゾン投与の両方は、低減される。
【0278】
「コルチゾン不使用」治療
別の態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、当該方法は、コルチコステロイドを同時投与せずに、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体を、それを必要とする被験体に投与するステップを含む。
【0279】
別の態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体、及びコルチコステロイド用量<2.0mg/kg/日、又は同等の用量を、それを必要とする被験体に投与するステップを含む。
【0280】
別の態様では、本開示は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体を、それを必要とする被験体に投与するステップを含み、疾患制御若しくは完全寛解が、≦2.0mg/kg/日若しくは同等のコルチコステロイド用量で、達成及び/又は維持される。
【0281】
コルチコステロイドの非限定的な例としては、ベタメタゾン、コルチゾール、コルチゾン、デキサメタゾン、グルココルチコイド、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(MP)、プレドニゾロン、プレドニゾン、及びトリアムシノロンが、挙げられる。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、副腎皮質で産生される、又は合成的に産生されるステロイドホルモンのクラスを指す。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンを含む、本質的にそれらからなる、又はそれらからなる。
【0282】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドの用量は、約2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.8、0.5、0.2、0.1、0.08、0.05、0.02、0.01、0.008、0.005、0.002、若しくは0.001mg/kg/日未満、又は同等の用量である。
【0283】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドの用量は、約2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.8、0.5、0.2、0.1、0.08、0.05、0.02、0.01、0.008、0.005、0.002、若しくは0.001mg/m2/日未満、又は同等の用量である。
【0284】
いくつかの実施形態では、本方法は、被験体に先行治療を施すステップを、更に含む。いくつかの実施形態では、先行治療は、28日間の周期を有する。
【0285】
いくつかの実施形態では、先行治療は、28日間の周期を有し、
a)約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、並びに
b)約20mgの投与前デキサメタゾンを、28日間の周期の1日目に、静脈内投与するステップと、を含む。
【0286】
ある種の実施形態では、先行治療は、28日間の周期を有し、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前メチルプレドニゾロン(MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前MPを、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、並びに
約20mgの投与後MPを、28日間の周期の8日目に、経口投与するステップと、を含む。
【0287】
特定の実施形態では、先行治療は、28日間の周期を有し、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前メチルプレドニゾロン(MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前MPを、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、8日目に、経口投与するステップと、
約30mgの投与前MPを、15日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、並びに
約20mgの投与後MPを、28日間の周期の15日目に、経口投与するステップと、を含む。
【0288】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、抗CD38抗体の投与(例えば、皮下投与)の前(例えば、直前)に、投与される。
【0289】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、抗CD38抗体の投与の約1分~約5時間前、例えば、抗CD38抗体の投与(例えば、皮下投与)の約1~15分前、5~15分前、10~15分前、0.5~5時間前、0.5分~4時間前、1~4時間前、又は1~2時間前に、投与される。ある種の実施形態では、コルチコステロイドは、抗CD38抗体の投与(例えば、皮下投与)の約0.5時間前、1時間前、1.5時間前、2時間前、2.5時間前、3時間前、3.5時間前、4時間前、4.5時間前、又は5時間前に、投与される。
【0290】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、プレドニゾンを含む、又はプレドニゾンからなる。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、先行治療における抗CD38抗体の投与(例えば、皮下投与)の翌日に、投与される。
【0291】
血液悪性腫瘍
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、CD38陽性血液悪性腫瘍である。「CD38陽性血液悪性腫瘍」とは、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫を含む、CD38を発現する腫瘍細胞の存在によって特徴付けられる血液系悪性腫瘍を指す。このようなCD38陽性血液悪性腫瘍の非限定的な例としては、前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫及びB細胞非ホジキンリンパ腫、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病並びに成熟B細胞腫瘍、例えばB細胞慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞急性リンパ性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)(低悪性度、中悪性度及び高悪性度FLを含む)、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT型、節性及び脾性型)、有毛細胞白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫(BL)、形質細胞腫、多発性骨髄腫、形質細胞白血病、移植後リンパ増殖性障害、軽鎖アミロイドーシス、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、形質細胞白血病、及び未分化大細胞リンパ腫(ALCL)が、挙げられる。
【0292】
いくつかの実施形態では、CD38陽性血液悪性腫瘍は、形質細胞疾患である。いくつかの実施形態では、CD38陽性血液悪性腫瘍は、多発性骨髄腫(MM)、急性リンパ芽球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)、又はこれらの組み合わせである。ある種の実施形態では、形質細胞疾患は、軽鎖アミロイドーシス、MM、又はワルデンシュトレームマクログロブリン血症である。
【0293】
特定の実施形態では、形質細胞疾患は、MMである。いくつかの実施形態では、MMは、軽鎖MM(LCMM)、非分泌性MM(NSMM)、単発性形質細胞腫(SP)、髄外性形質細胞腫(EMP)、意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)、くすぶり型MM(SMM)、免疫グロブリンD MM(IgD MM)若しくは免疫グロブリンE(IgE)MM、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、MMは、新たに診断されたMM(NDMM)である。いくつかの実施形態では、MMは、再発性又は難治性のMM(RRMM)である。
【0294】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、血液悪性腫瘍である。「癌」という用語は、体の一部における細胞の無制御な分裂によって引き起こされる疾患を指す。
【0295】
追加の治療薬
いくつかの実施形態では、本方法は、被験体に1種以上の追加の治療薬を投与するステップを、更に含む。
【0296】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体及び1種以上の追加の治療薬は、同時に投与される。その他の実施形態では、抗CD38抗体及び1種以上の追加の治療薬は、別々に(例えば、連続的に)投与される。
【0297】
いくつかの実施形態では、1種以上の追加の治療薬は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(CAR-T細胞)、CARを発現するナチュラルキラー細胞(CAR-NK細胞)、CARを発現するマクロファージ(CAR-M細胞)、化学治療剤、二重特異性抗体、免疫チェックポイント阻害剤、T細胞リダイレクタ、放射線療法、手術、標準治療薬、又はこれらの組み合わせを含む。
【0298】
キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(CAR-T細胞)
いくつかの実施形態では、1種以上の追加の治療薬は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(CAR-T細胞)を含む。CAR T細胞は、国際出願番号PCT/IB2018/001619号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0299】
いくつかの実施形態では、CARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0300】
一実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞表面糖タンパク質CD3ゼータ鎖成分を含む。
【0301】
いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、Gタンパク質共役受容体ファミリーCグループ5メンバーD(GPRC5D)に結合する。「Gタンパク質共役受容体ファミリーCグループ5メンバーD」及び「GPRC5D」という用語は、特に、例えばGenBankアクセッション番号BC069341、NCBI参照配列:NP_061124.1及びUniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号Q9NZD1に記載のとおりのヒトGPRC5Dタンパク質を包含する(Brauner-Osborneら、Biochim Biophys Acta.1518(3):237-48(2001年)もまた、参照されたい)。「GPRC5D」という用語は、完全長野生型ヒトGPRC5Dの変異(例えば、点変異)、断片、挿入、欠失、及びスプライスバリアントを含むタンパク質を含む。「GPRC5D」という用語は、GPRC5Dアミノ酸配列の翻訳後修飾もまた包含する。翻訳後修飾としては、N-結合グリコシル化及びO-結合グリコシル化が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0302】
いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、GPRC5D及びCD3に結合する。いくつかの実施形態では、1種以上の追加の治療薬は、抗GPRC5D CAR-T、及び/若しくは抗GPRC5D CAR-NK、又はこれらの組み合わせを含む。GPRC5Dを標的とするCARの非限定的な例は、PCT国際公開第2016090312号及び同第2020148677号に見出され得、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0303】
いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、B細胞成熟抗原(BCMA)に結合する。BCMAのヒト及びマウスのアミノ酸並びに核酸配列は、公共データベース(例えば、GenBank、UniProt、又はSwiss-Prot)において、見出され得る。例えば、UniProt/Swiss-Protアクセッション番号Q02223(ヒトBCMA)及びO88472(マウスBCMA)を参照されたい。
【0304】
いくつかの実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、BCMA及びCD3に結合する。いくつかの実施形態では、1種以上の追加の治療薬は、抗BCMA CAR-T、及び/若しくは抗BCMA CAR-NK、又はこれらの組み合わせを含む。BCMAを標的とするCARの非限定的な例は、国際公開第2013154760号、同第2016014789号、同第2016094304号、同第2017025038号、及び同第2018028647号に見出され得、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0305】
T細胞リダイレクタ
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクタは、可溶性二重特異性抗体(bsAb)若しくは膜アンカ型キメラ抗原受容体、又はこれらの組み合わせを含む。
【0306】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、GPRC5D及びCD3に結合する。GPRC5D及びCD3に結合する二重特異性抗原結合分子の非限定的な例は、国際公開第2018017786号に見出され得、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0307】
いくつかの実施形態では、可溶性二重特異性抗体は、BCMA及びCD3に結合する。BCMA及びCD3に結合する二重特異性抗原結合分子の非限定的な例は、国際公開第2017031104号に見出され得、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0308】
免疫チェックポイント阻害剤
いくつかの実施形態では、1種以上の追加の治療薬は、免疫チェックポイント阻害剤を含む。
【0309】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗LAG3抗体、抗TIM3抗体、又は抗CTLA-4抗体である。
【0310】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、以下のVHアミノ酸配列及びVLアミノ酸配列を含む。
a)それぞれ、配列番号23及び配列番号24、
b)それぞれ、配列番号25及び配列番号26、
c)それぞれ、配列番号33及び配列番号34、又は
d)それぞれ、配列番号35及び配列番号36。
【0311】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、以下のVHアミノ酸配列及びVLアミノ酸配列を含む。
a)それぞれ、配列番号27及び配列番号28、
b)それぞれ、配列番号29及び配列番号30、又は
c)それぞれ、配列番号31及び配列番号32。
【0312】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-L2抗体である。
【0313】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗LAG3抗体である。抗LAG-3抗体の非限定的な例としては、国際公開特許第2010/019570号に記載されているものが挙げられる。
【0314】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗TIM-3抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIM-3抗体は、以下のVHアミノ酸配列及びVLアミノ酸配列を含む。
a)それぞれ、配列番号37及び配列番号38、又は
b)それぞれ、配列番号39及び配列番号40。
【0315】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体である。抗CTLA-4抗体の非限定的な例は、イピリムマブである。
【0316】
抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2、抗LAG3、抗TIM3及び抗CTLA-4抗体を新規に生成してもよい。
【0317】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体及び免疫チェックポイント阻害剤は、同時に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD38抗体及び免疫チェックポイント阻害剤は、逐次又は別々に投与される。
【0318】
造血幹細胞移植(HSCT)
いくつかの実施形態では、1種以上の追加の治療薬は、造血幹細胞移植(HSCT)を含む。「造血幹細胞移植」は、骨髄(このケースでは骨髄移植として周知である)、血液(例えば、末梢血及び臍帯血)、又は、羊水由来の、血幹細胞の移植である。「造血幹細胞移植を受けること」は、患者が既にHSCTを受けたか、受けつつあるか、又は受ける予定であることを意味する。
【0319】
いくつかの実施形態では、HSCTは、同種異系である。いくつかの実施形態では、HSCTは、自己由来の、又は同系間(すなわち、ドナーは双胎児である)のものである。自己由来のHSCTは、被験体からのHSCの抽出と、採取したHSCの凍結とを含む。骨髄除去後、保存された被験体のHSCが、被験体に移植される。同種異系のHSCTは、被験体と適合するHLA型を有する同種異系のHSCドナーから得られたHSCを含む。
【0320】
いくつかの実施形態では、被験体は、HSCTに先立って化学治療及び/又は放射線治療を完了している。
【0321】
患者は、移植前に患者の造血細胞の一部又は全部を根絶するために、HSCTに先立ち化学治療及び/又は放射線治療で治療(いわゆる、移植前準備)されていてもよい。患者はまた、同種異系のHSCTの場合に、免疫抑制薬によって治療されていてもよい。例示的な移植前準備治療は、高用量メルファランである(例えば、Skinnerら、Ann.Intern.Med.140:85-93(2004年)、Gertzら、Bone Marrow Transplant 34:1025-31(2004年)、Perfettiら、Haematologica 91:1635-43(2006年)を参照されたい。移植前治療において用いられ得る放射線治療は、本分野で一般に周知のプロトコルに従って、実行されてもよい。放射線治療は、抗CD38抗体と同時、逐次、又は別々に提供されてもよい。
【0322】
放射線治療
いくつかの実施形態では、本発明の本方法は、放射線治療、手術又はこれらの組み合わせの形態を施すステップを、更に含む。放射線治療の非限定的な例としては、体外照射治療、強度変調放射線治療(IMRT)、合焦放射線照射法、及びガンマナイフ、サイバーナイフ、Linac、並びに組織内放射線照射(例えば、放射性シードの埋め込み、GliaSiteバルーン)を含む任意の形態の放射線手術が、挙げられる。
【0323】
使用され得る集中照射方法としては、定位放射線手術、分割定位放射線手術、及び強度変調放射線治療(IMRT)が、挙げられる。定位放射線手術では、周囲の腫瘍ではない正常な組織を避けながら、放射線が腫瘍組織、例えば脳腫瘍への正確な照射を含むことが明らかである。定位放射線手術により適用される放射線の線量は異なり得るが、典型的には、1Gy~約30Gyであり、例えば1~5、10、15、20、25、最大30Gyを含む、中間的な範囲を包含してもよい。非侵襲的な固定デバイスのために、定位放射線は、1回の治療で照射される必要はない。処置計画は、その日毎に確実に再現され得、それにより、複数回の分割放射線量を照射することが可能となる。時間をかけて腫瘍を治療するために使用される場合、放射線手術は、「分割定位放射線手術」又はFSRと称される。対照的に、定位放射線手術は、1回のセッションでの治療を指す。分割定位放射線手術は、高い治療可能比、すなわち、高い比率で腫瘍細胞を死滅させ、かつ正常組織への影響が少ないこと、をもたらし得る。腫瘍及び正常組織は、高い放射線量の単回照射与と低い放射線量の複数回照射に対して、異なる反応を示す。多量の放射線量の単回照射では、低い放射線量の複数回照射よりも多くの正常組織が死滅し得る。したがって、低い放射線量の複数回照射では、正常組織を温存しながらより多くの腫瘍細胞を死滅させ得る。分割定位放射線手術を施すことにより適用される放射線の線量は、1Gy~約50Gyの範囲で変化し得、例えば、1~5、10、15、20、25、30、40、及び最大50Gyを含む、少分割の線量における中間的な範囲を包含してもよい。強度変調放射線治療(IMRT)もまた、使用されてもよい。IMRTは、高精度三次元原体照射治療(3DCRT)の上級モードであり、コンピュータ制御直線加速器を用いて、正確な放射線量を、悪性腫瘍、又は腫瘍内の特定の領域に照射するものである。3DCRTにおいては、それぞれの放射線ビームのプロファイルは、マルチリーフコリメータ(MLC)を用いてビーム方向像(BEV)から標的のプロファイルに適合するように成形され、それにより、多くのビームを生成する。IMRTでは、放射線ビームの強度を複数の少量に変調することにより、放射線量を、腫瘍の三次元(3D)形状に対し、より精密に一致させることができる。したがって、IMRTでは、周囲の正常で重要な構造への線量を最小限に抑えつつ、より高い放射線量を腫瘍内部の領域に集中させることができる。IMRTでは、例えば、腫瘍が脆弱な構造、例えば、脊髄、主要臓器、又は血管などを覆っている場合、治療体積を腫瘍の凹んだ形状に一致させる能力が向上する。
【0324】
被験体
「被験体」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。「それを必要としている患者」又は「それを必要としている被験体」とは、本発明の本方法に従って抗CD38抗体が投与される又は投与された、疾患を有すると診断された又は有すると疑われる哺乳類被験体、好ましくは、ヒトを指す。「それを必要としている患者」又は「それを必要としている被験体」は、望ましくない生理学的変化又は疾患を既に有している被験体、並びに当該生理学的変化又は疾患を有しやすい傾向のある被験体を含む。
【0325】
いくつかの実施形態では、被験体は、18歳以上、例えば、18歳以上40歳未満、18歳以上45歳未満、18歳以上50歳未満、18歳以上55歳未満、18歳以上60歳未満、18歳以上65歳未満、18歳以上70歳未満、18歳以上75歳未満、40歳以上75歳未満、45歳以上75歳未満、50歳以上75歳未満、55歳以上75歳未満、60歳以上75歳未満、65歳以上75歳未満、60歳以上75歳未満、40歳以上、45歳以上、50歳以上、55歳以上、60歳以上、65歳以上、70歳以上、又は75歳以上である。いくつかの実施形態では、被験体は、小児である。いくつかの実施形態では、被験体は、18歳以下、例えば、0~18歳、0~12歳、0~16歳、0~17歳、2~12歳、2~16歳、2~17歳、2~18歳、3~12歳、3~16歳、3~17歳、3~18歳、4~12歳、4~16歳、4~17歳、4~18歳、6~12歳、6~16歳、6~17歳、6~18歳、9~12歳、9~16歳、9~17歳、9~18歳、12~16歳、12~17歳、又は12歳~18歳である。
【0326】
いくつかの実施形態では、被験体は、ステージI(例えば、ISSステージI)の多発性骨髄腫を有する。その他の実施形態では、被験体は、ステージII(例えば、ISSステージII)の多発性骨髄腫を有する。更にその他の実施形態では、被験体は、ステージIII(例えば、ISSステージIII)の多発性骨髄腫を有する。
【0327】
いくつかの実施形態では、被験体は、IgG骨髄腫を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、IgA骨髄腫を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、軽鎖のみの骨髄腫を有する。
【0328】
いくつかの実施形態では、被験体は、少なくとも約1ヶ月間、例えば、少なくとも約2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、1年間、18ヶ月間、2年間、30ヶ月間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、12年間、13年間、14年間、15年間、16年間、17年間、18年間、19年間、又は20年間、多発性骨髄腫と診断されている。
【0329】
いくつかの実施形態では、被験体は、少なくとも1種の治療系統に対して、治療抵抗性である。ある種の実施形態では、被験体は、少なくとも1系統の抗骨髄腫治療、例えば、少なくとも2系統、3系統、4系統、5系統、6系統、7系統、又は8系統の先行抗骨髄腫治療を受けている。ある種の実施形態では、被験体は、少なくとも2種の抗骨髄腫治療系統を以前に受けている。特定の実施形態では、抗骨髄腫療法の少なくとも2種の先行系統は、造血幹細胞移植(HSCT)、プロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節薬(IMiD)、維持療法、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、抗骨髄腫療法の従来の系統は、プロテアソーム阻害剤及び免疫調節薬を含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、造血幹細胞移植は、同種異系幹細胞移植(ASCT)である。
【0331】
いくつかの実施形態では、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ又はイキサゾミブである。ある種の実施形態では、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブである。
【0332】
特定の実施形態では、免疫調節薬は、レナリドミドである。
【0333】
いくつかの実施形態では、癌は、標準的なリスク細胞遺伝学的性質を有する。いくつかの実施形態では、被験体は、高リスクの細胞遺伝学的性質を有する。細胞遺伝学的異常は、当業者に周知の好適な方法、例えば、蛍光in situハイブリダイゼーション又は核型検査に基づいて、決定され得る。
【0334】
いくつかの実施形態では、被験体は、抗CD38治療の経験がない(すなわち、被験体は、抗CD38治療を一度も受けたことがない)。
【0335】
有効性
本開示の実施形態によれば、特定の治療計画(例えば、投与前ステロイドの漸減、投与後ステロイドの漸減、又はその両方)が、血液悪性腫瘍(例えば、RRMM)の治療において有効なアプローチであるかどうかを決定するために、様々な因子が分析され得る。
【0336】
いくつかの実施形態では、本方法は、
a)血清Mタンパク質の≧50%の減少、及び24時間の尿中Mタンパク質の≧90%の減少、
b)血清Mタンパク質の≧50%減少、及び24時間の尿中Mタンパク質の<200mg/24時間の減少、
c)関与するFLCレベルと関与しないFLCレベルの間の差における≧50%の減少、
d)骨髄PCの≧50%の減少、
e)軟組織形質細胞腫のサイズの≧50%の減少、又は
これらの組み合わせを、もたらす。
【0337】
いくつかの実施形態では、本方法は、(例えば、国際骨髄腫作業部会(IMWG)基準に従って)被験体において、少なくとも部分的奏効(PR)を誘発する。IMWGのPR基準:血清Mタンパク質の(>=)50パーセント(%)の減少、及び24時間の尿中Mタンパク質の>=90%の減少、又は(<)200ミリグラム(mg)未満/24時間であり、血清及び尿のMタンパク質が測定できない場合は、Mタンパク質基準の代わりに、関与する遊離軽鎖(FLC)レベルと関与しない遊離軽鎖(FLC)レベルの差が>=50%減少する必要があり、血清及び尿のMタンパク質が測定できず、無血清光アッセイもまた測定できない場合は、ベースラインの骨髄形質細胞の割合が>=30%であったことを条件として、Mタンパク質の代わりに骨髄形質細胞(PC)を、>=50%減少させる必要があった。上記の基準に加えて、ベースラインで存在する場合は、軟組織形質細胞腫のサイズが>=50%減少することもまた必要であった。例えば、Lokhorst HMらの補足付録、N Engl J Med.(2015年)、373(13):1207-19もまた、参照されたい。
【0338】
いくつかの実施形態では、本方法は、血清Mタンパク質+尿中Mタンパク質<100mg/24時間において≧90%減少をもたらす。ある種の実施形態では、血清及び尿のM成分は、免疫固定によって検出可能であるが、電気泳動では検出できない。
【0339】
ある種の実施形態では、本方法は、(例えば、IMWG基準に従って)被験体において少なくとも非常に良好な部分的奏効(VGPR)を誘発する。
【0340】
いくつかの実施形態では、本方法は、
a)血清及び尿おける陰性免疫固定、
b)軟組織形質細胞腫の消失、
c)<5%の骨髄中のPC、又は
これらの組み合わせを、もたらす。
【0341】
いくつかの実施形態では、本方法は、
a)血清及び尿おける陰性免疫固定、
b)軟組織形質細胞腫の消失、及び
c)<5%の骨髄中のPCを、もたらす。
【0342】
ある種の実施形態では、本方法は、(例えば、IMWG基準に従って)被験体において完全奏効(CR)を誘発する。
【0343】
いくつかの実施形態では、本方法は、
a)血清及び尿おける陰性免疫固定、
b)軟組織形質細胞腫の消失、
c)<5%の骨髄中のPC、
d)正常なFLC比、及び
e)免疫組織化学、免疫蛍光法、又は2~4色フローサイトメトリーによるクローナルPCの不在を、もたらす。
【0344】
特定の実施形態では、本方法は、(例えば、IMWG基準に従って)被験体において厳格な完全奏効(sCR)を誘発する。
【0345】
いくつかの実施形態では、本方法は、IMWG基準に従って、疾患の安定(SD)をもたらす。
【0346】
いくつかの実施形態では、本方法は、患者集団を治療するために使用される。
【0347】
いくつかの実施形態では、患者集団は、少なくとも約25.0%、例えば、少なくとも約30.0%、35.0%、40.0%、45.0%、50.0%、又は55.0%の、全奏効率(ORR)を達成する。「ORR」は、研究治療中又は研究治療後に、IMWG基準に従って、完全奏効又は部分的奏効を達成した被験体の割合を指す。特定の実施形態では、ORRは、少なくとも約35.0%又は40.0%である。いくつかの実施形態では、ORRは、約25.0~55.0%、例えば、約30.0~55.0%、30.0~50.0%、35.0~50.0%、35.0~45.0%、又は40.0~45.0%である。特定の実施形態では、ORRは、少なくとも約40.0~45.0%である。いくつかの実施形態では、ORRは、約25.0%、30.0%、35.0%、40.0%、45.0%、50.0%、又は55.0%である。
【0348】
いくつかの実施形態では、患者集団は、治療中又は治療後に、少なくとも約5.0%以上の非常に良好な部分的奏効(VGPR)率、例えば、治療中又は治療後に、少なくとも約10%、11.0%、12.0%、13.0%、14.0%、15.0%、16.0%、17.0%、18.0%、19.0%、20.0%、21.0%、22.0%、23.0%、24.0%、25.0%、26.0%、27.0%、28.0%、29.0%、30%、31.0%、32.0%、33.0%、34.0%、35.0%、36.0%、37.0%、38.0%、39.0%、又は40%の割合を達成する。特定の実施形態では、VGPR以上の割合は、少なくとも約10%、15.0%、20.0%、25.0%、又は30.0%である。いくつかの実施形態では、VGPR以上の割合は、約5.0~50.0%、例えば、約10.0~50.0%、10.0~45.0%、15.0~45.0%、15.0~40.0%、15.0~37.50%、20.0~37.50%、20.0~35.00%、25.0~35.00%、25.0~30.00%、又は30.0~35.0%である。
【0349】
いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも約9ヶ月間、例えば、少なくとも約12ヶ月間、18ヶ月間、24ヶ月間、30ヶ月間、36ヶ月間、42ヶ月間、48ヶ月間、54ヶ月間、又は60ヶ月間の奏功期間(DR)をもたらす。「奏効期間」又は「DR」とは、IMWG基準で定義されている、奏効(PR以上)が最初に証明された日から、最初に証明された進行性疾患(PD)の日までの時間を指す。PDのためのIMWG基準:以下のいずれか1つにおける最低奏効値からの25%の増加:血清M成分(絶対増加は>=0.5グラム/dLでなければならない)、尿M成分(絶対増加は>=200mg/24時間でなければならない)、測定可能な血清及び尿Mタンパク質レベルを有さない参加者:関与する遊離軽鎖(FLC)レベルと関与しないFLCレベルの差(絶対増加は>10ミリグラム/dL(mg/dL)でなければならない)、測定可能な血清及び尿中Mタンパク質レベルがなく、FLCレベルによる測定可能な疾患がない参加者:骨髄PC%(絶対パーセンテージは>=10%でなければならない)、新しい骨病変若しくは軟部組織形質細胞腫の明確な発症、又は骨病変若しくは組織形質細胞腫のサイズの増加、及びPC増殖性障害のみに起因し得る高カルシウム血症(血清カルシウム>11.5mg/dL)の発症。例えば、Lokhorst HMらの補足付録、N Engl J Med.(2015年)、373(13):1207-19もまた、参照されたい。
【0350】
いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも約9ヶ月間、例えば、少なくとも約12ヶ月間、18ヶ月間、24ヶ月間、30ヶ月間、36ヶ月間、42ヶ月間、48ヶ月間、54ヶ月間、又は60ヶ月間の無増悪生存期間(PFS)をもたらす。「無増悪生存期間」又は「PFS」とは、無作為化の日から疾患の進行(PD)、又は何らかの原因による死亡のいずれかが最初に起こるまでの時間を指す。
【0351】
いくつかの実施形態では、本方法は、部分的奏功(PR)までの時間が約12ヶ月以以下、例えば、約11ヶ月以下、10ヶ月以下、9ヶ月以下、8ヶ月以下、7ヶ月以下、6ヶ月以下、5ヶ月以下、4ヶ月以下、3ヶ月以下、2ヶ月以下、又は1ヶ月以下である。「部分奏効(PR)以上までの時間((PR)」とは、治験薬の初回投与日から奏効(CR又はPR、又はPRよりも良好)が最初に記録される日までの時間を指す。
【0352】
いくつかの実施形態では、本方法は、被験体の1つ以上の転帰測定値を改善する。いくつかの実施形態では、1つ以上の転帰測定値は、無増悪生存期間、奏効期間、若しくは少なくとも部分的奏効期間、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の転帰測定値は、部分的奏効、非常に良好な部分的奏効、完全奏効、又は厳格な完全奏効を含む。
【0353】
いくつかの実施形態では、被験体は、抗CD38抗体投与及び継続的なコルチコステロイド投与を受けている被験体と一致する、1つ以上の転帰測定値の改善を経験する。換言すれば、本明細書に記載の方法で治療された被験体と、コルチコステロイド投与の減少又は排除なしで治療された被験体における改善の差は、(統計的に)有意ではない。
【0354】
いくつかの実施形態では、被験体は、抗CD38抗体投与及び継続的なコルチコステロイド投与を受けている被験体と比較して、1つ以上の転帰測定値の向上した改善を経験する。換言すれば、本明細書に記載の方法で治療された被験体、及びコルチコステロイド投与の減少又は排除なしで治療された被験体には、改善が見られる。
【0355】
安全性
本開示の実施形態によれば、特定の治療計画(例えば、投与前ステロイドの漸減、投与後ステロイドの漸減、又はその両方)が、血液悪性腫瘍(例えば、RRMM)の治療において安全なアプローチであるかどうかを決定するために、様々な因子が分析され得る。
【0356】
本明細書で使用される「安全な」という用語は、薬剤による組成物、用量、投薬計画、治療又は方法に関連する場合、又は抗CD38抗体(ダラツムマブなど)を含む治療薬の場合、以下の有益な利益を指す:有害事象(AE)及び/又は治療中に発生した有害事象(TEAE)の発生頻度及び/又は重症度が、標準治療又は他の比較対照と比較して、リスク比が許容範囲内であること。
【0357】
「安全な治療を提供する方法」又は「安全な投与を提供する方法」とは、被験体に投与された場合に、許容不可能な有害事象を引き起こすことなく治療上の又は医薬組成物の利益を提供するために有効な投与方法を指す。
【0358】
「有害事象」又は「AE」とは、ダラツムマブなどのCD38に特異的に結合する抗体が投与された被験体における、任意の有害な医療上のオカレンスを指す。AEは、必ずしも治療と因果関係を有するわけではない。したがって、AEとは、ダラツムマブなどのCD38に特異的に結合する抗体に関連していようといまいと、(治験用又は非治験用)医薬品の使用と時間的に関連する、あらゆる好ましくなくかつ意図しない徴候(異常な所見を含む)、症状、又は疾患であり得る。
【0359】
「治療中に発生した有害事象」(TEAE)とは、本明細書で使用される場合、臨床試験を設計、実施、又は審査する当業者には理解されるような慣習的な意味を有し、帰属が可能であるか、恐らく帰属するか、又は帰属する可能性が高い場合に、CD38に特異的に結合する抗体の使用に関連すると考えられるAEを指す。
【0360】
いくつかの実施形態では、被験体は、治療中又は治療後にいかなるグレードのTEAEも欠いている。任意のグレードのTEAEの非限定的な例としては、貧血、関節痛、無力症、咳、下痢、眩暈、紅斑、倦怠感、頭痛、筋けいれん、鼻咽頭炎、吐き気、末梢浮腫、四肢の痛み、発熱、及び上気道感染症が、挙げられる。
【0361】
いくつかの実施形態では、被験体は、治療中又は治療後にグレード3/4のTEAEを欠いている。グレード3/4のTEAEの非限定的な例としては、貧血、骨痛、リンパ球減少症、及び好中球減少症が、挙げられる。
【0362】
「許容不可能な有害事象」及び「許容不可能な有害反応」は、医薬組成物又は治療薬の投与に関連する又は当該投与によって引き起こされる全ての有害な又は望ましくない転帰を意味するものであり、当該有害な又は望ましくない転帰は、提案された用途について医薬組成物又は治療薬が許容不可能であると規制当局がみなすような、重篤度のレベルに達している。抗CD38抗体の皮下投与に関連して使用するとき、許容不可能な有害事象又は反応の例としては、血小板減少症、好中球減少症、重篤な全身注射関連反応、及び特定の指定のレベルを下回るまでCD38細胞が枯渇することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0363】
皮下投与される抗CD38抗体の特定の用量の安全性は、例えば、免疫原性研究(例えば、抗ダラツムマブ抗体の産生の測定)、CD38発現レベルの変化の評価、CD38発現細胞数(例えば、形質細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、総リンパ球の割合)の枯渇の程度及び持続時間の評価、及び、血清タンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、及び炎症性タンパク質)などの血液バイオマーカに対する効果のタンパク質プロファイリングによる判定によって、評価され得る。皮下投与される抗CD38抗体の安全性はまた、被験体の理学的検査と、局所注射部位反応、全身注射関連反応、及び他のアレルギー反応の観察と、心電図と、臨床検査と、バイタルサインと、併用薬、並びに他の有害事象のモニタリングと、によって、監視され得る。
【0364】
薬物動態及び免疫原性
いくつかの実施形態では、本方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の被験体における抗CD38抗体に特異的な抗体の産生を測定するステップを、更に含む。
【0365】
いくつかの実施形態では、本方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の被験体におけるCD38発現レベルの変化を測定するステップを、更に含む。
【0366】
いくつかの実施形態では、本方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の被験体におけるCD38発現細胞の枯渇の程度を測定するステップを、更に含む。
【0367】
いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、周期3の1日目(投与前)に、抗CD38抗体の血清濃度を測定するステップを、更に含む。特定の実施形態では、抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)の血清濃度は、約500μg/mLと約800μg/mLとの間、例えば、約525~800、525~775、550~775、550~750、575~750、575~725、600~725、又は600~700μg/mLである。特定の実施形態では、抗CD38抗体(例えば、ダラツムマブ)の血清濃度は、約500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、又は800μg/mLである。
【0368】
いくつかの実施形態では、本方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の被験体におけるCD38発現細胞の枯渇の持続時間を測定するステップを、更に含む。ある種の実施形態では、CD38発現細胞は、形質細胞、NK細胞、リンパ球、又はこれらの組み合わせを含む。
【0369】
いくつかの実施形態では、本方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の被験体におけるバイオマーカをプロファイリングするステップを、更に含む。ある種の実施形態では、バイオマーカは、血液バイオマーカを含む。特定の実施形態では、バイオマーカは、血清タンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、及び炎症性タンパク質)を含む。
【0370】
いくつかの実施形態では、本方法は、抗CD38抗体の皮下投与後に被験体を理学的に検査するステップを、更に含む。
【0371】
いくつかの実施形態では、本方法は、被験体におけるアレルギー反応(例えば、局所注射部位反応又は全身注射関連反応)を検出するステップを更に含む。
【0372】
いくつかの実施形態では、本方法は、抗CD38抗体の皮下投与後の被験体において、心電図を実施するステップを更に含む。
【0373】
いくつかの実施形態では、ダラツムマブの皮下投与に関連して使用される場合、「安全な治療」及び「安全な投与」は、形質細胞、NK細胞、T細胞、B細胞等のCD38細胞、特にNK細胞及び/又は形質細胞の枯渇の低減を含むがこれらに限定されない、有害事象の減少を意味する。特定の実施形態では、「安全な治療」及び「安全な投与」は、抗CD38抗体(ダラツムマブなど)の皮下投与の結果、好ましくは、ダラツムマブの投与後少なくとも4週間にCD38細胞(例えば、形質細胞、NK細胞、T細胞、B細胞など)の80%未満が枯渇することを意味する。NK細胞は、リンパ球の一種(白血球)及び自然免疫系の構成要素である。NK細胞は細胞傷害性であり、例えば、腫瘍及びウイルス感染細胞の宿主拒絶の一因となる。
【0374】
NK細胞は、自然免疫系にとって重要な細胞傷害性リンパ球の一種であり、CD38細胞のADCC媒介性枯渇にとって重要なエフェクタ細胞の1つである。NK細胞は、CD38を発現することが周知であるので、循環中のNK細胞の数は、抗CD38抗体治療後に減少する場合がある。更に、形質細胞はCD38を発現するので、抗CD38抗体媒介細胞溶解の影響を受けやすい。形質細胞は、異物を認識し、結合し、当該異物の中和又は分解を開始する抗体分子を分泌する白血球である。NK細胞及び形質細胞の枯渇は、抗CD38抗体の投与前の被験体におけるNK細胞及び形質細胞の量に対して測定される。本開示を考慮して当該技術分野において周知の任意の方法(フローサイトメトリーを含むがこれらに限定されない)を使用して、NK細胞及び形質細胞の枯渇を決定し得る。
【0375】
いくつかの実施形態では、被験体は、抗CD38抗体の皮下投与から約4週間後に、約80%未満のNK細胞がし、例えば、抗CD38抗体の皮下投与から約4週間後に、約70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%未満のNK細胞が枯渇する。
【0376】
いくつかの実施形態では、被験体は、抗CD38抗体の皮下投与から約2週間後に、約80%未満のNK細胞が枯渇し、例えば、抗CD38抗体の皮下投与から約2週間後に、約70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%未満のNK細胞が枯渇する。
【0377】
いくつかの実施形態では、被験体は、抗CD38抗体の皮下投与から約4週間後に、約80%未満の形質細胞、例えば、抗CD38抗体の皮下投与から約4週間後に、約70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%未満の形質細胞が枯渇する。
【0378】
いくつかの実施形態では、被験体は、抗CD38抗体の皮下投与から約2週間後に、約80%未満の形質細胞、例えば、抗CD38抗体の皮下投与から約2週間後に、約70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%未満の形質細胞が枯渇する。
【0379】
リストが提示される場合、別途記載されない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストの全ての組み合わせは別個の実施形態であることを、理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈されるべきである。
【0380】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有する。本明細書に引用される全ての特許、公開された特許出願及び刊行物は、あたかも本明細書に完全に記載されているように、参照により組み込まれる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」及び「the(その)」は、特に文脈上明らかでない限り、複数の指示被験体物を含むことに留意しなければならない。
【0381】
別途記載のない限り、本明細書に記載される濃度又は濃度範囲などのあらゆる数値は、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されているものとして、理解されたい。したがって、数値は、典型的には、記載される値の±10%を含む。例えば、投薬量10mgは、9mg~11mgを含む。本明細書で使用される場合、数値範囲の使用は、特に文脈上明示的に指定されていない限り、その範囲内の整数及び値の分数を含む、全ての可能な部分範囲、その範囲内の全ての個々の数値を明示的に含む。
【0382】
本明細書及び以下の特許請求の範囲全体を通して、特に文脈上必要としない限り、「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの用語の変形は、指定の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を含むが、任意のその他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を除外するものではないことを暗喩すると、理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、「含有する(containing)」又は「含む(including)」という用語に置き換えることができ、又はときに本明細書で使用される場合、「有する(having)」という用語に置き換えることもできる。
【0383】
本明細書で使用される場合、「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲の要素において指定されていない任意の要素、工程、又は成分を除外する。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程は除外しない。本発明の態様又は実施形態の文脈において本明細書で使用する場合は常に、本開示の範囲を変化させるために、「含む」、「含有する」、「含む」、及び「有する」という上記用語のいずれかを、用語「からなる」又は「から本質的になる」に置き換えることができる。
【0384】
本明細書で使用される場合、複数の列挙された要素間の「及び/又は(and/or)」という接続的な用語は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしに第1の要素が適用可能であることを指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つが、本明細書で使用される「及び/又は」という用語の意味の範囲内にあり、したがって、要件を満たすと理解される。2つ以上の選択肢が同時に適用される場合もまた、「及び/又は」の意味に含まれ、したがって、その用語の要件を満たすものと理解される。
【0385】
「約」は、当業者によって求められた特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味するが、これは、その値が測定又は決定される方法、すなわち、測定システムの制限事項にある程度依存する。特定のアッセイ、結果、又は実施形態の文脈において、実施例又は本明細書のその他の箇所に別途明示的記載のない限り、「約」は、当該技術分野の慣行による1標準偏差、又は5%までの範囲のうちのいずれか大きい方の範囲内であることを意味する。
【実施例
【0386】
ダラツムマブは、CD38を標的とする、ヒトIgGκモノクローナル抗体であり、腫瘍上に直接(de Weersら、J Immunol 186(3):1840-48(2011年)、Lammertsら、Blood 124(21):3474(2014年)、Overdijkら、J Immunol 197(3):807-13(2016年)、Overdijkら、MAbs 7(2):311-21(2015年))、及びimmunomodulatory(Adamsら、Cytometry A 95(3):279-89(2019年)、Casneufら、Leukemia 35:573-84(2020年)、Krejcikら、Blood 128(3):384-94(2016年))の作用機序を有する。ダラツムマブは、再発性又は難治性の多発性骨髄腫(RRMM)の治療のための、単剤治療又は標準治療計画との併用治療として、承認されている。ダラツムマブ16mg/kgは、再発性若しくは難治性の多発性骨髄腫(RRMM)又は新たに診断された多発性骨髄腫(NDMM)の治療のための単剤治療又は併用投与計画での、静脈内(IV)注入用として承認されている(DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)注射剤、静脈内使用(www_janssenlabels_com/package-insert/product-monograph/prescribing-information/DARZALEX-pi.pdf)(2022年))、(DARZALEX FASPRO(登録商標)(ダラツムマブ及びヒアルロニダーゼ-fihj)注射剤、静脈内使用(www_janssenlabels_com/package-insert/product-monograph/prescribing-information/DARZALEX+Faspro-pi.pdf)(2022年))。
【0387】
臨床研究では、1回目、2回目、及びその後のダラツムマブIV注入の持続時間の中央値は、それぞれ、約7時間、4時間、及び3時間であった(DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)注射剤、静脈内使用(www_janssenlabels_com/package-insert/product-monograph/prescribing-information/DARZALEX-pi.pdf)(2022年))。更に、ダラツムマブでは、注入関連反応(IRR)が報告されており、主に最初の点滴で発生し、一般的に、重症度は軽度から中等度であり、管理可能である(DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)注射剤、静脈内使用の(www_janssenlabels_com/package-insert/product-monograph/prescribing-information/DARZALEX-pi.pdf)(2022年)、Chariら、Blood 130(8):974-81(2017年)、Dimopoulosら、N Engl J Med 375(14):1319-31(2016年)、Lokhorstら、N Engl J Med 373(13):1207-19(2015年)、Lonialら、Lancet 387(10027):1551-60(2016年)、Mateosら、N Engl J Med 378(6):518-28(2018年)、Palumboら、N Engl J Med 375(8):754-66(2016年))。
【0388】
ダラツムマブのIV投与にはより長い注入時間が必要であり、治療に関連したIRRの発生率があるため、ダラツムマブ治療の安全性と有効性を損なうことなく注入時間を短縮し、それによって、患者及び医療従事者の利便性を向上させることを目的とした皮下送達方法が開発された(Chariら、Blood 134(5):421-31(2019年)、Mateosら、Lancet Haematol 7(5):e370-e380(2020年)、San-Miguelら、Haematologica 106(6):1725-32(2021年)、Usmaniら、Blood 134(8):668-77(2019年))。
【0389】
第1相PAVO臨床試験は、RRMMを有する患者における、ダラツムマブと組換えヒトヒアルロニダーゼPH20(rHuPH20、ENHANZE(登録商標)薬物送達技術、ハロザイム社(Halozyme,Inc、サンディエゴ、カリフォルニア州)(DARA SC)との組み合わせの皮下(SC)投与の安全性、薬物動態、及び効果を評価するための、第1の研究であった。PAVOのパート1では、ダラツムマブ(20mg/mL)とrHuPH20(DARA MD)との混合送達製剤を、シリンジポンプを用いて、1,2000mg及び1,800mgの用量で、20~30分間かけて投与したところ、DARA SC投与が、RRMM患者でも可能であることがわかった。DARA MD1,800mgの用量の安全性、薬物動態(PK)、免疫原性、及び有効性の結果は、ダラツムマブIVに関連する結果と一致しており、深く持続的な反応を誘発した(Usmaniら、Blood 134(8):668-77(2019年))。研究のパート2では、ダラツムマブの濃縮プレミックスSC製剤(DARA SC、30,000UのrHuPH20と共製剤化された1,800mgのダラツムマブ(2,000U/mL、15mL))が、腹部への手動皮下注射によって、3~5分かけて、患者に投与された。DARA SCの認容性プロファイルは、ダラツムマブIVの認容性プロファイルと一致しており、新たな安全性の懸念は観察されなかった。DARA SCは投与時間を短縮し、RRMM患者のIRR率が低いことを実証した。DARA SCは、ダラツムマブIVで到達した値と同等又はそれを上回る最大Ctrough値を達成し、投与時間が短縮され、新たな安全性の懸念は存在しなかった(San-Miguelら、Haematologica 106(6):1725-32(2020年))。重要なことに、DARA SCの有効性は、ダラツムマブIVで以前に観察されたものと同様だった(Usmaniら、Blood 128(1):37-44(2016年))。PAVOパート2での14.2ヶ月の追跡調査後、全奏効率(ORR)は52%、奏効期間の中央値は15.7ヶ月であった(San-Miguelら、Haematologica 106(6):1725-32(2020年))。第3相COLUMBA試験で7.5ヶ月の追跡調査を行った後、全体的な奏効率は、DARA SCで41%、DARA IVで37%であり、どちらのグループにおいても、奏効期間の中央値には達しなかった(Mateosら、Lancet Haematol 7(5):e370-e380(2020年))。多発性骨髄腫患者における、DARA SCの有効性と安全性データに基づく(Mateosら、Lancet Haematol 7(5):e370-e380(2020年))、DARA SCは米国、欧州連合、及びその他の国において、RRMMの単剤治療として、及びRRMM又はNDMMの治療のための併用治療として、世界的に、承認を取得した(DARZALEX FASPRO(登録商標)(ダラツムマブ及びヒアルロニダーゼ-fihj))注射剤、静脈内使用(www_janssenlabels_com/package-insert/product-monograph/prescribing-information/DARZALEX+Faspro-pi.pdf)(2022年)。
【0390】
コルチコステロイドは、多発性骨髄腫患者の治療計画の重要な要素として、機能する。しかし、コルチコステロイドの長期使用は、現在最大4種類の個別の薬剤が含まれている治療計画に、追加の毒性をもたらす可能性があり、その後、多発性骨髄腫患者の生活の質に悪影響を与える可能性がある。実際、患者は、ステロイドの使用を制限した治療計画を好むことを示している(Parsonsら、BMC Cancer 19(1):264(2019年))。更に、コルチコステロイドの免疫抑制効果は、チェックポイント阻害剤、T細胞リダイレクタ、又はキメラ抗原受容体(CAR)T細胞治療などの癌治療における免疫療法の有効性を、低下させる可能性がある(Arbourら、J Clin Oncol 36(28)):2872-78(2018年)、Namuduriら、Expert Rev Hematol.9(6):511-13(2016年)、Strati Pら、Blood 137(23):3272-76(2021年)、Kauer Jら、J Immunother Cancer 8(1):e000621(2020年))。したがって、癌患者の併用治療の一環として、コルチコステロイドを継続することもできるが、コルチコステロイドを漸減すると、特に、DARA SCでは有効性を失うことなく、一貫した認容性を達成できる可能性がある。DARA SC投与中のコルチコステロイドの漸減前後の様々なスケジュールの安全性を評価するために、PAVO研究のパート3が実施された。
【0391】
実施例1.方法
研究設計と患者集団
PAVO(MMY1004)試験は、3部構成の非盲検の、非無作為化の、多施設共同の、第1b相試験である。詳細な適格基準は、以前に公表されている(San-Miguelら、Haematologica 106(6):1725-32(2021年)、Usmaniら、Blood 134(8):668-77(2019年))。簡単に説明すると、≧18歳の適格患者は、測定可能なRRMMを有し、プロテアソーム阻害剤(PI)及び免疫調節薬(IMiD)を含む2種類以上の治療歴の系統があり、米国東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)のパフォーマンス ステータス(ECOG PS)スコアが≦2で、ダラツムマブ又はその他の抗CD38治療による以前の治療歴がない(図1)。IRRに重点を置いて安全性が評価され、コルチコステロイドは、減量及び中止された。
【0392】
処置
パート3の目的は、コルチコステロイドを含まないダラツムマブ皮下(SC)投与の安全性を評価するためにスケジュールされた、投与前及び投与後のコルチコステロイドを伴わない3週間、2週間、及び1週間の漸減後の、ダラツムマブ1,800mgの皮下(SC)送達の安全性を、評価することであった。合計42名の参加者が、治療を受けた。パート3では、患者は、手作業による皮下(SC)注射(3~5分以上、腹部の交互の位置)によって、承認されたIV単剤治療投与スケジュール(図1)に従って、次のとおり、DARA SC(DARA 1,800mg+rHuPH20 30,000U、15mL)を受けた:(周期1及び周期2の間は、週に1回、周期3~周期6においては2週間毎に、その後は4週間毎。併せて、患者は、3週間、2週間、又は1週間のステロイド漸減スケジュールもまた受けた(図2)。3週間の漸減スケジュール(周期1の22日目までに、コルチコステロイドを排除)は、投与前に経口(PO)/IV(周期1の1日目、100mg、周期1の8日目、60mg、周期1の15日目、30mg)、及び投与後PO(周期1の1日目、20mgを2日間、周期1の8日目、20mgを1日間、周期1の15日目、20mgを1日間)で投与されるメチルプレドニゾロン(MP)で構成された。2週間の漸減スケジュール(周期1の15日目までに、コルチコステロイドを排除)は、投与前にPO/IV前(周期1の1日目、100mg、周期1の8日目、60mg)、及び投与後にPO(周期1の1日目、20mgを2日間、周期1の8日目、20mgを1日間)で投与されるMPから構成された。1週間の漸減スケジュール(周期1の8日目までに、コルチコステロイドを排除)は、投与後の投与を行わずに周期1の1日目にIVで前投与したデキサメタゾン20mgで構成された。
【0393】
3週間、2週間、及び1週間のステロイド漸減スケジュールは「3+3」設計によって評価され、続いて、約15人の患者(3週間及び2週間の漸減コホート)又は12人の患者(1週間の漸減コホート)に、コホートが拡大された。3週間、2週間、及び1週間の漸減コホートにおける用量制限毒性(DLT)評価期間は、それぞれ、周期1の1日目から周期2の4日目、周期1の1日目から周期1の25日目、及び周期1の1日目から周期1の11日目であった。DLTは、注射後72時間以内のグレード4のIRR、又は注射後72時間以内のグレード3のIRRとして定義され、注射の速度を遅らせたり中止しても改善せず、支持治療と対症療法が含まれた。グレード3又はグレード4のIRRは、コルチコステロイドの減量又は中止中(周期1の1日目は除く)に発生した場合にのみ、DLTとして認定された。3週間のグループと2週間のグループでは、コルチコステロイドがまだ減量又は中止されていなかったため、周期1の1日目に報告されたIRRは、DLTとはみなされなかった。最大約12人の患者を、1週間の漸減スケジュールに登録して、IRRを含む安全性を評価し得た。
【0394】
評価項目と評価
主要評価項目は、ステロイドの投与前及び投与後の漸減の安全性であった。主要な副次評価項目には、全奏効率(ORR)及び完全奏効率(CR)が含まれた。
【0395】
安全性評価には、治療中に発生した有害事象(TEAE)、重篤な有害事象、及びIRRが含まれた。全ての毒性は、国立癌研究所の有害事象分類共通用語(NCI-CTCAE)バージョン4.03に従って、等級付けされた(国立癌研究所。有害事象の共通用語基準(CTCAE):バージョン4.03。)。
【0396】
薬物動態分析では、周期3の1日目に、投与前に採取した血液サンプルから、DARA SC血清濃度を評価した。免疫原性の評価では、血清中の抗ダラツムマブ抗体及び血漿中の抗rHuPH20抗体を、周期1の1日目、周期1の15日目、周期2の22日目、周期4の1日目、並びに4週間及び8週間の処置後において、投与前に評価した。抗ダラツムマブ及び/又は抗rHuPH20抗体の存在を、中和抗体として分類するために、評価した。
【0397】
有効性の評価では、国際骨髄腫作業部会(IMWG)のコンセンサス推奨(Durieら、Leukemia 20(9):1467-73(2006年)、Rajkumarら、Blood 117(18):4691-95(2011年))に従って、反応が評価された。疾患の評価は、中央検査機関によって行われた。
【0398】
統計分析
PAVOパート3では、正式な統計的仮説検定は行われなかった。データは、説明的に要約された。連続変数は、必要に応じて観測結果数、平均値、及び標準偏差(SD)、変動係数、中央値、及び範囲を使用して要約された。カテゴリー変数は、必要に応じて観測値の数とパーセンテージを使用して、要約された。奏効期間及びPFSは、カプラン・マイヤ法を使用して、推定された。
【0399】
治験薬を≧1回投与された全ての患者として定義される、安全性及び有効性の集団が、分析の主要集団であった。薬物動態解析セットには、治験薬を少なくとも1回投与され、最初の薬物投与後に少なくとも1つの薬物動態サンプル濃度値を示した、全ての被験体が含まれた。薬物動態評価可能な集団は、治験薬を≧1回投与され、注入後の薬物動態サンプルを≧1つ提供された全ての患者として、定義された。免疫原性集団は、治験薬を≧1回投与され、注入後の免疫原性サンプルを≧1つ提供された全ての患者として、定義された。
【0400】
実施例2.患者の体内動態と人口動態
合計42人の患者が、PAVOパート3に登録された(3週間の漸減コホート、n=15、2週間の漸減コホート、n=15、1週間の漸減コホート、n=12)。全体として、年齢中央値は69.5歳(範囲:52~86歳)、体重中央値は77.8kg(範囲:44.0~151.3)であった。ベースラインでは、患者の92.9%(39/42)が、ECOG PSスコア≦1であった。診断からの期間の中央値は5.9年(範囲:0.7~19.2)、先行治療系統数の中央値は3件(範囲:2~7)であった。合計19人(45.2%)の患者が、PI及びIMiDに対して難治性であった。利用可能な細胞遺伝学的データを持つ31人の患者のうち、8人(25.8%)の患者には、高い細胞遺伝学的リスク異常が認められた(表2)。
【0401】
追跡期間の中央値(範囲)は、全治療群では8.3ヶ月、3週間漸減コホートでは9.2(1.9~25.5)ヶ月、2週間漸減コホートでは11.1(1.7~24.0)ヶ月、1週間の漸減コホートでは8.3(0.4~13.1)ヶ月であった。全治療を受けた集団には、治験薬を1回以上投与された全ての患者が含まれた。治療期間の中央値は、全てのステロイド漸減グループで、6.5ヶ月だった。3週間の漸減コホートの患者は、中央値(範囲)18(5~38)回のDARA SC投与を受けた。2週間の漸減コホートの患者は、中央値(範囲)17(5~33)回のDARA SC投与を受けた。1週間の漸減コホートの患者は、中央値(範囲)18(2~25)回のDARA SC投与を受けた。3週間及び2週間の漸減コホートでは、それぞれ、13人(86.7%)の患者が、1週間の漸減コホートでは、7人(58.3%)の患者が治療を中止し、中止のほとんどは、進行性疾患によるものであった(それぞれ、10人[66.7%]、12人[80.0%]、5人[41.7%]の患者)。分析の時点では、3週間、2週間、1週間の漸減コホートで、それぞれ、合計2人(13.3%)、2人(13.3%)、5人(41.7%)の患者が、依然として治療を受けていた。
【0402】
実施例3.安全性、薬物動態、免疫原性及び有効性
治療下で発現した有害事象
ステロイド漸減コホートに関係なく、全ての患者が、1種以上のTEAEを経験した(表3~表5)。合計21人(50.0%)の患者が、グレード3以上のTEAEを報告し、合計18人(42.9%)の患者が、グレード3/4のTEAEを報告し、16人(38.1%)の患者が、重篤なTEAEを経験した。3週間の漸減コホートでは、どのグレードのTEAEでも最も一般的だったのは吐き気であり、患者8名(53.5%)に発生し、グレード3以上のTEAEで最も一般的だったのはリンパ減少症で、患者2名(13.3%)に発生した(表3)。2週間の漸減コホートでは、最も一般的なTEAEは鼻咽頭炎(患者5人[33.3%])で、グレード3以上で最も一般的だったTEAEは好中球減少症(患者3人[20.0%])であった。1週間の漸減コホートでは、最も一般的なTEAEは貧血、下痢、無力症、末梢浮腫(それぞれ、4人[33.3%]の患者)であり、最も一般的なグレード3以上のTEAEは貧血で、2人(16.7%)の患者に発生した。研究中に、合計6人の患者が死亡した。グレード5のTEAEは、1週間の漸減コホート(ブドウ球菌性肺炎及び肺塞栓症)では、2人(16.7%)の患者で発生し、2週間の漸減グループ(全身健康状態の悪化)では、1人(6.7%)の患者で発生した。3週間の漸減コホートの患者1人が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の合併症により、死亡した。更に、患者3名(各コホートに1名)が、研究期間中に、進行性疾患により死亡した。死亡に至ったTEAEは、1週間の漸減コホートの参加者2名(肺塞栓症及びブドウ球菌性肺炎)において報告され、どちらの事象も、治療に関連したものではなかった。2週間及び3週間の漸減コホートでは、死亡は報告されなかった。
【0403】
全身疾患及び投与部位の状態の系統器官クラス(SOC)におけるTEAEが、3つのパート全てで最も一般的であり(パート1で71.1%、パート2で72.0%、パート3で71.4%)、次に、感染症及び蔓延のSOC(それぞれ、71.1%、72.0%、64.3%)が続いた。最も頻繁に報告された重篤なTEAEは、SOCにおける感染症及び蔓延(パート1で17.8%、パート2で12.0%、及びパート3で11.9%)、並びに一般障害及び投与部位の状態(それぞれ、6.7%、8.0%、及び4.8%)であった。最も頻繁に報告されたグレード3以上のTEAEは、リンパ球減少症(パート2で20.0%)及び貧血(パート1で15.6%、パート3で9.5%)であった。
【0404】
以前のパート1、パート2、及びパート3の解析における、臨床カットオフ(CCO)以降、研究治療における最後の投与から30日以内に、新たな死亡の発生は報告されていない。COVID-19関連の死亡者は、いなかった。
【0405】
以前の分析のCCO以降、追加のIRRは報告されていない。
【0406】
吐き気は、2週間及び1週間の漸減コホートでは、それぞれ、20%及び16.7%と比較して、3週間の漸減コホートでより頻繁であった(参加者の53%)。重篤なTEAEは3週間のグループで6名(40.0%)、2週間のグループで6名(40.0%)、1週間のグループで4名(33.3%)に発生した。神経系障害は、2週間のコホート(26.7%)及び1週間のコホート(16.7%)と比較して、3週間のコホートでより頻繁であった(46.7%)。最も一般的なTEAE(>10%)の詳細を、表3及び4に示す。
【0407】
グレード≧3のTEAEは、3週間の漸減コホートの参加者の60%、2週間の漸減コホートの参加者の53.3%、1週間の漸減コホートの参加者の33.3%で、報告された。3週間の漸減コホートでは、どのグレードのTEAEでも最も一般的だったのは吐き気であり、患者8名(53.3%)に発生し、グレード≧3(グレード3/4)のTEAEで最も一般的だったのはリンパ減少症で、患者2名(13.3%)に発生した(表3及び表4)。2週間のグループでは、最も一般的なTEAEは鼻咽頭炎(患者5名[33.3%])で、最も一般的なグレード≧3(グレード3/4)のTEAEは好中球減少症(患者3名[20.0%])であった。1週間のグループでは、最も一般的なTEAEは貧血、下痢、無力症、末梢浮腫(それぞれ、4名[33.3%]の患者)であり、最も一般的なグレード≧3(グレード3/4)のTEAEは貧血であり、これは、2名(16.7%)の患者において発生した。詳細については、表3~表5を参照されたい。
【0408】
注入関連反応
合計5人(11.9%)の患者がIRRを経験し、その全てが、DARA SCの初回投与時に発生した。3週間、2週間、1週間の漸減コホートでは、IRRは、それぞれ、0名(0%)、3名(20.0%)、2名(16.7%)の患者から報告された。最も一般的なIRR(患者の5%以上で発生)は、悪寒及び発熱(それぞれ、3[7.1%]の患者)であった。頻脈、血圧上昇、中咽頭痛のIRRが、それぞれ、1名(2.4%)の患者から報告された。全てのIRRは、最初のDARA SC投与(周期1、1日目の投与)に発生し、発症時間の中央値は79(範囲、31~555)分で、同日に解消し、ステロイド漸減後には発生しなかった。IRRは、一般に軽度で、グレード3のIRR(血圧の上昇、2週間の漸減コホート、発症当日に解消)は、1件のみであり、用量制限毒性の対象となる者はいなかった(グレード4のIRRは報告されていない)。どのIRRもDLTの定義を満たさなかったり、患者の治療の中断や中止につながったりすることはなかった。
【0409】
薬物動態
薬物動態評価可能な集団全体(n=37)において、周期3の1日目のダラツムマブ血清濃度の平均(標準偏差(SD))は、676(314)μg/mLであった。3週間、2週間、及び1週間の漸減コホートでは、周期3の1日目のダラツムマブの平均(SD)血清濃度は、それぞれ、DARA SCの毎週の投与後、604(280)、731(382)、及び706(270)μg/mLであった。1,800mgのDARA SCの投与後の薬物動態学的結果は、3週間、2週間、及び1週間のステロイド漸減の場合と同様であり、DARA SCの以前の報告と一致していた(Mateosら、Lancet Haematol.7(5):e370-e380(2020年))。周期1中のダラツムマブの血清濃度の変化を図3に示し、周期2以降のダラツムマブの血清濃度の変化を図4に示す。
【0410】
免疫原性
ダラツムマブの免疫原性を評価可能な集団(n=41)の患者の中で、抗ダラツムマブ抗体の存在について陽性反応を示した患者はいなかった。3週間、2週間、及び1週間の漸減コホートにおける、rHuPH20免疫原性の評価可能な患者のうち、6名(40.0%)、3名(20.0%)、及び1名(9.1%)の患者が、治療中に出現した抗rHuPH20抗体の検査で、陽性を示した。抗rHuPH20抗体は、いずれも中和抗体ではなく、注射部位の反応と相関していなかった。
【0411】
有効性
全治療を受けた集団(n=42)では、追跡期間中央値8.3ヶ月で、ORRは40.5%(95%のCI:25.6%、56.7%)、10名(23.8%(95%のCI:全治療患者のうち、12.1%、39.5%))の患者が、≧VGPRを達成し、2名(4.8%(95%のCI:0.6%、16.2%))の患者が、≧CRを達成した(図5)。3週間の漸減コホートでは、ORRは40.0%で、3名(20.0%)の患者が≧VGPRを達成し、1名(6.7%)の患者が≧CRを達成した。2週間の漸減コホートでは、ORRは40.0%で、5名(33.3%)の患者が≧VGPRを達成し、≧CRを達成した患者はいなかった。1週間の漸減コホートでは、ORRは41.7%で、2名(16.7%)の患者が≧VGPRを達成し、1名(8.3%)の患者が≧CRを達成した。
【0412】
反応評価可能な集団(n=17)の反応者のうち、最初の反応までの時間の中央値と最良の反応までの時間の中央値は、それぞれ、1.0ヶ月及び1.1ヶ月であった。3週間、2週間、及び1週間の漸減コホートでは、最良の反応が得られるまでの時間の中央値は、それぞれ、1.5ヶ月、1.9ヶ月、及び1.0ヶ月であった。奏効期間の中央値は、2週間の漸減コホートでは16.7ヶ月であり、臨床カットオフ時点で、3週間及び1週間の漸減コホートでは、到達しなかった。9ヶ月間の奏効率は、3週間、2週間、1週間の漸減コホートで、それぞれ、83.3%、83.3%、100%であった。
【0413】
臨床カットオフ時点でのPFS中央値は5.9ヶ月で、治療を受けた全患者の推定9ヶ月PFS率は40.7%であった。3週間、2週間、及び1週間の漸減コホートの追跡期間中央値が、9.2ヶ月、11.1ヶ月、及び8.3ヶ月で、3週間、2週間、及び1週間の漸減コホートでは、PFS中央値は、それぞれ、5.9ヶ月、4.7ヶ月、及び7.4ヶ月であった。推定9ヶ月のPFS率は、3週間、2週間、1週間の漸減コホートで、それぞれ、40.0%、36.1%、46.7%であった。
【0414】
反応率(図5)は、第3相COLUMBA研究の一次解析で観察された反応率と、一致していた(Mateosら、Lancet Haematol.7(5):e370-e380(2020年))。全体的な奏効率は、3週間のグループと2週間のグループとの両方では40.0%(95%CI、16.3%~67.7%)、1週間のグループでは41.7%(95%CI、15.2%~72.3%)であった。非常に良好な部分的奏効以上の割合は、それぞれ、3週間のグループでは20.0%(95%CI、4.3%~48.1%)、2週間のグループでは33.3%(95%CI、11.8%~61.6%)、1週間のグループでは16.7%(95%CI、2.1%~48.4%)であった。奏効者のうち、奏効期間の中央値は、2週間のグループで16.7ヶ月だった。3週間のグループでも1週間のグループでも、奏効期間の中央値には達しなかった。パート3の治療を受けた全ての患者(N=42)では、無増悪生存期間(PFS)中央値は、5.9ヶ月で、推定9ヶ月PFS率は40.7%であった。COLUMBAの一次解析では、DARA SCのPFS中央値は5.6ヶ月であった(Mateosら、Lancet Haematol.7(5):e370-e380(2020年))。
【0415】
この結果は、DARA SCを受けているRRMM患者では、コルチコステロイドの急速な漸減が許容可能であり、これらの患者におけるDARA SCの有効性を低下させないことを、示唆している。これらのデータは、併用コルチコステロイド(T細胞リダイレクタ、CAR-T、又はチェックポイント阻害剤)を制限することが好ましい場合に、将来のDARA SC併用治療の指針となるであろう。
【0416】
DARA SCを受けているRRMM患者42名を対象としたこの研究では、DARA SCを受けているRRMM患者においては、1週間~3週間にわたるコルチコステロイドの急速な漸減が耐えられることが示され、PK、免疫原性、及び安全性の結果は、DARA SCに関する以前の報告と一致した。コルチコステロイドの漸減を伴うDARA SCを受けた患者は、DARA IVを受けている患者と同様の有効性を示した(Lokhorst HMら、N Engl J Med.2015年、373(13):1207-19及びLonialら、Lancet 387(10027):1551-60(2016年))。
【0417】
デキサメタゾン及びプレドニゾンなどのコルチコステロイドは、50年以上にわたり、多発性骨髄腫の治療に広く使用されてきた。しかし、多発性骨髄腫における強力な活性にもかかわらず、コルチコステロイドの長期使用は、蓄積毒性やその他の臨床的続発症を引き起こす可能性があることが、十分に確立されている(Burwickら、Ann Hematol 98(1):19-28(2019年))。したがって、多発性骨髄腫におけるコルチコステロイド使用の臨床的利点は、毒性と生活の質の観点から、患者に対する潜在的なリスクと照らし合わせて、バランスをとって評価する必要がある。実際、RRMM患者の治療の好みを評価したカナダの研究では、不眠症、認知障害、気分障害などのコルチコステロイド使用の悪影響のため、患者は、余命を延ばす治療とコルチコステロイドの使用を制限する治療とを優先した(Parsonsら、BMC Cancer 19(1):264(2019年))。したがって、関連する毒性を経験している患者に対する、コルチコステロイドの使用を制限する効果的な治療計画を特定することが、重要である。
【0418】
薬物動態学的及び免疫原性の結果は、本研究のパート1及びパート2で以前に報告された結果と、一致した。3週間、2週間、及び1週間のコルチコステロイド漸減スケジュールによるDARA SCの皮下投与は、同様の平均血清ダラツムマブ濃度をもたらすようであった。パート3の3つのコホート全てにおいて、ダラツムマブの免疫原性について評価可能である患者は抗ダラツムマブ抗体陽性ではなく、ダラツムマブを皮下投与した場合の免疫原性のリスクが低いことを示している。
【0419】
ダラツムマブベースの投与計画は、NDMM及びRRMMの患者において、有効性を一貫して実証する。ただし、ダラツムマブ治療は、IRRを軽減するために、デキサメタゾン及びプレドニゾンなどのコルチコステロイドと併用して、投与される。PAVO研究のパート3は、DARA SC治療によるコルチコステロイドの漸減が、IRRの発生状況において有効性を失うことなく、適切な認容性を維持できるかどうかを判断することを目的としていた。ここで提示された知見は、DARA SCを受けているRRMM患者において、コルチコステロイドの漸減が安全であることを、実証している。具体的には、コルチコステロイドの漸減スケジュールが異なる3つのコホートにおける認容性プロファイルは、IRR率の増加がなく、ダラツムマブの以前の報告と同等であった(Mateosら、Lancet Haematol.7(5):e370-e380(2020年)、San-Miguelら、Haematologica 106(6):1725-32(2021年)、Usmaniら、Blood 134(8):668-77(2019年))。
【0420】
重要なことに、これらの結果は、コルチコステロイドを漸減しながらDARA SCを受けた患者は、コルチコステロイドの存在下でダルツムマブSC単剤療法を受けた患者と比較して、奏効率及び奏効期間の点で同等の有効性を達成したため、コルチコステロイドの漸減によってDARA SCの有効性が減じられるわけではないことを、示唆している。(Mateosら、Lancet Haematol.7(5):e370-e380(2020年)、San-Miguelら、Haematologica 106(6):1725-32(2021年)、Usmaniら、Blood 134(8):668-77(2019年))。3つのコホートを合わせたORRでは、40.5%(95%CI:25.6%、56.7%)で、10名(23.8%(95%CI:12.1%、39.5%))の患者が、≧VGPRを達成した。比較では、PAVOパート1におけるDARA MD1,800mgで観察されたORR(追跡期間中央値8.3ヶ月)は、42.2%であった(Usmaniら、Blood 134(8):668-77(2019年))。PAVOパート2(追跡期間中央値、14.2ヶ月)では、DARA SCのORRは52%であった(San-Miguelら、Haematologica 106(6):1725-32(2021年))。COLUMBA研究では、追跡期間中央値7.5ヶ月で、ORRはDARA SCで41%、DARAIVで37%であった(Mateosら、Lancet Haematol.7(5):e370-e380(2020年))。
【0421】
二重特異性T細胞リダイレクト抗体及びキメラ抗原受容体(CAR)T細胞治療を含む、より新しい免疫療法治療戦略は、RRMM患者における有効性を実証している(Zhouら、Front Immunol.11:620312(2020年)、Usmaniら、Lancet 398(10301):665-74(2021年)、Verkleijら、Blood Adv.5(8):2196-2215(2021年))。ただし、サイトカイン放出症候群を含む治療毒性を経験している患者には、副作用を管理するために、コルチコステロイドが投与される場合がある。残念ながら、コルチコステロイドは、新しい免疫療法薬の抗腫瘍効果を妨げる可能性がある。例えば、コルチコステロイドは、CAR T細胞の活性を抑制する可能性があるため、CAR T細胞注入には禁忌である(Zhouら、Front Immunol.11:620312(2020年)、Yakoub-Aghaら、Haematologica 105(2):297-316(2020年))。更に、ある遡及研究では、CAR T細胞療法で治療された再発性又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫患者において、より高い累積用量のコルチコステロイドの使用が、PFS及びOSの転帰の短縮と関連していることが、実証された(Stratiら、Blood.137(23):3272-76(2021年))。更に、別の遡及研究では、ベースラインのコルチコステロイドの使用は、PDL1遮断治療を受けた非小細胞肺癌患者の転帰不良と関連していることが、実証された(Arbourら、J Clin Oncol 36(28):2872-78(2018年))。追加の研究が正当化される一方で、ここで提示された発見は、CAR T細胞治療、二重特異性抗体、及びチェックポイント阻害剤を含むDARA SC併用治療の将来の使用の指針となるであろうが、この場合、同時コルチコステロイドを使用しない、又は制限することが好ましい場合があると、考えられる。
【0422】
DARA SCを受けたRRMM患者42名を対象としたこの研究では、1週間~3週間にわたるコルチコステロイドの急速な漸減が安全であり、IRRのリスク増加がなく、薬物動態学的、免疫原性、及び安全性の結果が、DARA SCに関する以前の報告と一致していることが、示された。結論として、これらの所見は、DARA SCを受けている再発性/難治性の多発性骨髄腫患者において、1週間~3週間にわたるコルチコステロイドの漸減が安全であり、有効性を損なうことがないことを、実証している。
【0423】
ダラツムマブは、多発性骨髄腫(MM)患者の治療に承認されている。皮下ダラツムマブ(DARA SC)治療中の、3つの投与前及び投与後のコルチコステロイド漸減スケジュールを調査する、第1b相PAVO試験のパート3からの、安全性、薬物動態、及び有効性が、報告されている。先行治療系統が2種以上あるMM患者は、DARA SC(ダラツムマブ1,800mg+rHuPH20 30,000 U、15mL)を、周期1~周期2にQW、周期3~周期6にQ2W、その後はQ4Wを受けた。患者はまた、(周期1の22日目までにコルチコステロイドを投与しない)メチルプレドニゾロンによる3週間の漸減スケジュールもまた受けた(PO/IV前投与、PO投与後)、メチルプレドニゾロンによる2週間の漸減スケジュール(周期1の15日目までにコルチコステロイドを排除)(PO/IV投与前、PO投与後)、又はデキサメタゾンによる1週間の漸減スケジュール(周期1の8日目までにコルチコステロイドを排除)(IV投与前)。主要エンドポイントは、安全であった。患者(3週間:n=15、2週間:n=15、1週間:n=12)は、中央値で3つの先行治療系統を受けた。コルチコステロイドを急速に漸減しても、新たな安全性の懸念及びIRR率の増加は、観察されなかった。IRRは、5人の患者(11.9%)で報告されており、これらは、一般に軽度であり、最初のDARA SC投与で発生した。その後のDARA SC投与では、IRRは発生しなかった。周期3の1日目(投与前)における平均血清DARA濃度(μg/mL)は、3週間のグループ、2週間のグループ、及び1週間のグループで、それぞれ、604、731、及び706μg/mLであった。追跡期間の中央値が8.3ヶ月で、全体の奏効率は40.5%であった。3週間のグループ、2週間のグループ、1週間のグループの追跡期間中央値は、それぞれ、9.2ヶ月、11.1ヶ月、8.3ヶ月で、全体の奏効率は40.0%、40.0%、41.7%であった。DARA SCを受けている再発性/難治性のMM患者においては、3週間にわたるコルチコステロイドの急速な漸減は、安全である。これらのデータは、同時コルチコステロイドを制限することが好ましい、将来のDARA SC治療計画の指針となるであろう。
【0424】
【表2】
ECOG PS、米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス、ISS、国際病期分類、ASCT、自家幹細胞移植、PI、プロテアソーム阻害剤、IMiD、免疫調節剤。
ISSの病期分類は、血清β2ミクログロブリンとアルブミンとの組み合わせに基づいて、導き出される。
電気泳動法による。
細胞遺伝学的異常は、その場での蛍光ハイブリダイゼーション又は核型検査に基づいている。パーセンテージについては、各治療グループの患者数を分母として、計算した。
【0425】
【表3】
TEAE:治療中に発生した有害事象。
【0426】
【表4】
検索表:CF=共製剤化。
有害事象は、MedDRAバージョン23.1を使用して報告される。
各グループの被験体の数を分母として、パーセンテージを計算する。
【0427】
【表5】
検索表:CF=共製剤化。
有害事象は、MedDRAバージョン23.1を使用して報告される。
各グループの被験体の数を分母として、パーセンテージを計算する。
【0428】
本明細書で引用する全ての特許、公開特許、及び引用文献による教示は、その全体が参照により組み込まれる。
【0429】
例示的実施形態について具体的に示し、記載してきたが、当業者らには、添付の特許請求の範囲に包含される実施形態の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更を行い得ることが、理解されよう。
【0430】
実施形態
1.血液悪性腫瘍を治療する方法であって、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体及びコルチコステロイドを、それを必要とする被験体に投与することを含み、投与計画には、被験体へのコルチコステロイド投与の減少、排除、又は減少に続く排除が含まれる、方法。
2.被験体に投与されるコルチコステロイドが、28日間の治療周期中に、約60%減少し、その後、排除される、実施形態1に記載の方法。
3.被験体に投与されるコルチコステロイドが、28日間の治療周期中に、約60%減少し、次に、30%減少し、その後、排除される、実施形態1に記載の方法。
4.被験体に投与されるコルチコステロイドが、28日間の治療周期中に、一度投与され、その後、排除される、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
5.抗CD38抗体が、28日間の周期中に、週1回、2週間毎、又は4週間毎に投与される、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
6.抗CD38抗体が、周期1中に週1回、周期2~5中に2週間毎、及びその後は4週間毎に投与される、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
7.実施形態1に記載の方法であって、28日間の周期中に、被験体に治療を施すステップを含み、当該治療が、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約30mgの投与前コルチコステロイドを、15日目に投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイドを、28日間の周期の15日目に投与するステップと、を含む、実施形態1に記載の方法。
8.実施形態1に記載の方法であって、28日間の周期中に、被験体に治療を施すステップを含み、当該治療が、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前メチルプレドニゾロン(MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前MPを、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、8日目に、経口投与するステップと、
約30mgの投与前MPを、15日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、並びに
約20mgの投与後MPを、28日間の周期の15日目に、経口投与するステップと、を含む、実施形態1に記載の方法。
9.実施形態1に記載の方法であって、28日間の周期中に、被験体に治療を施すステップを含み、当該治療が、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000UのrHuPH20ヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイドを、28日間の周期の8日目に投与するステップと、を含む、実施形態1に記載の方法。
10.実施形態1に記載の方法であって、28日間の周期中に、被験体に治療を施すステップを含み、当該治療が、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前メチルプレドニゾロン(MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前MPを、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、並びに
約20mgの投与後MPを、28日間の周期の8日目に、経口投与するステップと、を含む、実施形態1に記載の方法。
11.実施形態1に記載の方法であって、28日間の周期中に、被験体に治療を施すステップを含み、当該治療が、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に皮下投与するステップと、
約20mgの投与前コルチコステロイドを、28日間の周期の1日目に、静脈内投与するステップと、を含む、実施形態1に記載の方法。
12.実施形態1に記載の方法であって、28日間の周期中に、被験体に治療を施すステップを含み、当該治療が、
a)約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、及び
b)約20mgの投与前デキサメタゾンを、28日間の周期の1日目に、静脈内投与するステップと、を含む、実施形態1に記載の方法。
13.血液悪性腫瘍の治療を必要とする被験体に対してそれを施す方法であって、28日周期中に、当該被験体に、治療を施すステップを含み、当該治療が、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uのヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、
約30mgの投与前コルチコステロイドを、15日目に投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイドを、15日目に投与するステップと、を含む、血液悪性腫瘍の治療を必要とする被験体に対してそれを施す方法。
14.血液悪性腫瘍の治療を必要とする被験体に対してそれを施す方法であって、28日周期中に、当該被験体に、治療を施すステップを含み、当該治療が、
約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000UのrHuPH20ヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、
約100mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、
約20mgの投与後コルチコステロイドを、1日目及び2日目に投与するステップと、
約60mgの投与前コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、並びに
約20mgの投与後コルチコステロイドを、8日目に投与するステップと、を含む、血液悪性腫瘍の治療を必要とする被験体に対してそれを施す方法。
15.血液悪性腫瘍の治療を必要とする被験体対してそれを施す方法であって、当該被験体に、28日周期で治療を施すステップを含み、当該治療が、
a)約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000Uを、1日目、8日目、15日目、及び22日目に投与するステップと、並びに
b)約20mgの投与前コルチコステロイドを、1日目に投与するステップと、を含む、血液悪性腫瘍の治療を必要とする被験体に対してそれを施す方法。
16.血液悪性腫瘍を治療する方法であって、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体、及びコルチコステロイド用量<0.05mg/kg/日、又は同等の用量を、それを必要とする被験体に投与することを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法。
17.<0.01mg/kg/日又は同等のコルチコステロイド用量が投与される、実施形態16に記載の方法。
18.血液悪性腫瘍を治療する方法であって、血液悪性腫瘍を治療するために十分な期間、治療有効量の抗CD38抗体を、それを必要とする被験体に投与することを含み、疾患制御若しくは完全寛解が、≦0.05mg/kg/日若しくは同等のコルチコステロイド用量で、達成及び/又は維持される、血液悪性腫瘍を治療する方法。
19.疾患制御若しくは完全寛解が、≦0.01mg/kg/日若しくは同等のコルチコステロイド用量で、達成及び/又は維持される、実施形態18に記載の方法。
20.疾患制御若しくは完全寛解が、コルチコステロイドを同時投与することなく、達成及び/又は維持される、実施形態18に記載の方法。
21.28日間の周期中に、被験体に先行療法を施すステップを更に含む、実施形態16~20のいずれか一項に記載の方法であって、当該先行療法が、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前メチルプレドニゾロン(MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前MPを、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、8日目に、経口投与するステップと、
約30mgの投与前MPを、15日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、並びに
約20mgの投与後MPを、15日目に、経口投与するステップと、を含む、実施形態16~20のいずれか一項に記載の方法。
22.28日間の周期中に、被験体に先行療法を施すステップを更に含む、実施形態16~20のいずれか一項に記載の方法であって、当該先行療法が、
約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、
約100mgの投与前メチルプレドニゾロン(MP)を、1日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、
約20mgの投与後MPを、1日目及び2日目に、経口投与するステップと、
約60mgの投与前MPを、8日目に、経口投与又は静脈内投与するステップと、並びに
約20mgの投与後MPを、28日間の周期の8日目に、経口投与するステップと、を含む、実施形態16~20のいずれか一項に記載の方法。
23.28日間の周期中に、被験体に先行療法を施すステップを更に含む、実施形態16~20のいずれか一項に記載の方法であって、当該先行療法が、
a)約1,800mgのダラツムマブ及び約30,000UのrHuPH20組換えヒアルロニダーゼを、28日間の周期の1日目、8日目、15日目、及び22日目に、皮下投与するステップと、並びに
b)約20mgの投与前デキサメタゾンを、1日目に、静脈内投与するステップと、を含む、実施形態16~20のいずれか一項に記載の方法。
24.コルチコステロイドが、ベタメタゾン、コルチゾール、コルチゾン、デキサメタゾン、グルココルチコイド、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(MP)、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1~23のいずれか一項に記載の方法。
25.コルチコステロイドが、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1~23のいずれか一項に記載の方法。
26.血液悪性腫瘍が、CD38陽性の血液悪性腫瘍である、実施形態1~25のいずれか一項に記載の方法。
27.血液悪性腫瘍が、多発性骨髄腫である、実施形態1~25のいずれか一項に記載の方法。
28.多発性骨髄腫が、再発性又は難治性の多発性骨髄腫である、実施形態27に記載の方法。
29.実施形態1~28のいずれか一項に記載の方法であって、抗CD38抗体が、
a)それぞれ、配列番号6、配列番号7、及び配列番号8の重鎖相補的決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3のアミノ酸配列、並びに/又は
b)それぞれ、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11の軽鎖相補的決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3のアミノ酸配列を含む、実施形態1~28のいずれか一項に記載の方法。
30.抗CD38抗体が、配列番号4の重鎖可変領域(VH)配列、配列番号5の軽鎖可変領域(VL)配列、又は両方を含む、実施形態29に記載の方法。
31.抗CD38抗体が、配列番号12の重鎖配列、配列番号13の軽鎖配列、又は両方を含む、実施形態29に記載の方法。
32.抗CD38抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4サブタイプのものである、実施形態1~31のいずれか一項に記載の方法。
33.抗CD38抗体が、IgG1サブタイプのものである、実施形態32に記載の方法。
34.抗CD38抗体が、IgG1/κサブタイプのものである、実施形態33に記載の方法。
35.抗CD38抗体が、ダラツムマブである、実施形態1~28のいずれか一項に記載の方法。
36.抗CD38抗体が、約1,200mg~約5,000mgの抗CD38抗体を含む医薬組成物として投与される、実施形態1~35のいずれか一項に記載の方法。
37.医薬組成物が、約1,800mgの抗CD38抗体を含む、実施形態36に記載の方法。
38.医薬組成物が、ヒアルロニダーゼを更に含む、実施形態36又は37に記載の方法。
39.ヒアルロニダーゼが、rHuPH20組換えヒアルロニダーゼである、実施形態38に記載の方法。
40.医薬組成物が、約750U~約75,000Uのヒアルロニダーゼを含む、実施形態38又は39に記載の方法。
41.医薬組成物が、約30,000Uのヒアルロニダーゼを含む、実施形態40の方法。
42.抗CD38抗体及びヒアルロニダーゼが、共製剤として投与される、実施形態36~41のいずれか一項に記載の方法。
43.実施形態36~42のいずれか一項に記載の方法で、医薬組成物が、
約4.9mgのL-ヒスチジンと、
約18.4mgのL-ヒスチジン塩酸塩一水和物と、
約13.5mgのL-メチオニンと、
約6mgのポリソルベート20(PS-20)、及び
約735.1mgのソルビトールと、を更に含む、実施形態36~42のいずれか一項に記載の方法。
44.医薬組成物が、約pH5.5のpHを有する、実施形態36~43のいずれか一項に記載の方法。
45.医薬組成物が、約pH5.6のpHを有する、実施形態36~43のいずれか一項に記載の方法。
46.医薬組成物が、約15mLの総量を有する、実施形態36~45のいずれか一項に記載の方法。
47.抗CD38抗体が、皮下投与される、実施形態1~46のいずれか一項に記載の方法。
48.被験体が18歳以上である、実施形態1~47のいずれか一項に記載の方法。
49.被験体が抗CD38治療の経験がない、実施形態1~48のいずれか一項に記載の方法。
50.被験体が、少なくとも2種の抗骨髄腫治療系統を以前に受けている、実施形態1~48のいずれか一項に記載の方法。
51.以前に受けた少なくとも2種の抗骨髄腫治療系統が、プロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節薬(IMiD)の投与、造血幹細胞移植(HSCT)、維持治療、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態50に記載の方法。
52.IMidが、レナリドミドである、実施形態51に記載の方法。
53.PIが、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、又はイキサゾミブである、実施形態51又は52に記載の方法。
54.HSCTが、自己HSCTである、実施形態51~53のいずれか一項に記載の方法。
55.2種の治療系統が、IMid及びPIを含む、実施形態51~53のいずれか一項に記載の方法。
56.被験体が、少なくとも1種の治療系統に対して不応性である、実施形態1~55のいずれか一項に記載の方法。
57.被験体において、少なくとも部分的奏効を誘発する方法であって、実施形態1~56のいずれか一項に記載の方法。
58.被験体において、部分的奏効を誘発する方法であって、実施形態57に記載の方法。
59.被験体において、少なくとも非常に良好な部分的奏効を誘発する、実施形態1~56のいずれか一項に記載の方法。
60.被験体において、完全奏効を誘発する方法であって、実施形態59に記載の方法。
61.被験体において、厳格な完全奏効を誘発する方法であって、実施形態59に記載の方法。
62.被験体の1つ以上の転帰測定値を改善する方法であって、実施形態1~61のいずれか一項に記載の方法。
63.1つ以上の転帰測定値が、無増悪生存期間、奏効期間、若しくは少なくとも部分的奏効、又はこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態62に記載の方法。
64.1つ以上の転帰測定値が、部分的奏効、非常に良好な部分的奏効、完全奏効、又は厳格な完全奏効を含む、実施形態62に記載の方法。
65.被験体が、抗CD38抗体投与及び継続的なコルチコステロイド投与を受けている被験体と一致する、1つ以上の転帰測定値の改善を経験する、実施形態1~61のいずれか一項に記載の方法。
66.被験体が、抗CD38抗体投与及び継続的なコルチコステロイド投与を受けている被験体比較して、1つ以上の転帰測定値の改善を経験する、実施形態1~61のいずれか一項に記載の方法。
67.被験体に、1種以上の追加の治療薬を投与することを更に含む、実施形態1~66のいずれか一項に記載の方法。
68.1種以上の追加の治療薬が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(CAR-T細胞)、CARを発現するナチュラルキラー細胞(CAR-NK細胞)、CARを発現するマクロファージ(CAR-M細胞)、化学治療剤、二重特異性抗体、免疫チェックポイント阻害剤、T細胞リダイレクタ、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態67に記載の方法。
69.CAR-T細胞、CAR-NK細胞、又はCAR-M細胞が、同種異系である、実施形態68に記載の方法。
70.CARが、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態68又は69に記載の方法。
71.細胞内シグナル伝達ドメインが、T細胞表面糖タンパク質CD3ゼータ鎖成分を含む、実施形態70に記載の方法。
72.細胞外抗原結合ドメインが、Gタンパク質結合受容体ファミリーCグループ5メンバーD(GPRC5D)に結合する、実施形態70又は71に記載の方法。
73.細胞外抗原結合ドメインが、GPRC5D及びCD3に結合する、実施形態72に記載の方法。
74.1種以上の追加の治療薬が、抗GPRC5D CAR-T、抗GPRC5D CAR-NK、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態72又は73に記載の方法。
75.細胞外抗原結合ドメインが、B細胞成熟抗原(BCMA)に結合する、実施形態70に記載の方法。
76.細胞外抗原結合ドメインが、BCMA及びCD3に結合する、実施形態75に記載の方法。
77.1種以上の追加の治療薬が、抗BCMA CAR-T、抗BCMA CAR-NK、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態75又は76に記載の方法。
78.免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗LAG3抗体、抗TIM3抗体、抗CTLA-4抗体、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態68~77のいずれか一項に記載の方法。
79.T細胞リダイレクタが、可溶性二重特異性抗体(bsAb)若しくは膜アンカ型キメラ抗原受容体、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態68~78のいずれか一項に記載の方法。
80.可溶性二重特異性抗体が、GPRC5D及びCD3に結合する、実施形態79に記載の方法。
81.可溶性二重特異性抗体が、BCMA及びCD3に結合する、実施形態79に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
【配列表】
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【国際調査報告】