(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】アルミニウムスクラップリサイクル用の高度な精製セル
(51)【国際特許分類】
C25C 3/24 20060101AFI20241024BHJP
C25C 3/08 20060101ALI20241024BHJP
C25C 3/12 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C25C3/24
C25C3/08
C25C3/12 A
C25C3/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526618
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022049157
(87)【国際公開番号】W WO2023081477
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317012374
【氏名又は名称】アルコア ユーエスエイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シンフア
(72)【発明者】
【氏名】モッサー,ベンジャミン ディー.
【テーマコード(参考)】
4K058
【Fターム(参考)】
4K058AA11
4K058AA14
4K058BA08
4K058BB06
4K058CB03
4K058CB06
4K058DD01
4K058EA02
4K058EA10
4K058EB02
4K058EB12
4K058EB15
4K058EC01
4K058EC03
4K058EC04
4K058FA08
(57)【要約】
本出願は、誘導機構を備える非炭素質基材を有するアルミニウム精製セルに関連する製品および方法を対象とする。誘導機構は、濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成されることができる。非炭素質基材は、少なくとも部分的に固体アルミニウム金属で覆われることができる。濡れ性材料は、アルミニウム金属とすることができる。
【選択図】
図15A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム精製セルであって、
非炭素質基材であって、前記非炭素質基材が誘導機構を備える、非炭素質基材を備え、
前記誘導機構が、濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成される、アルミニウム精製セル。
【請求項2】
前記セルが、
セルチャンバーと、
前記セルチャンバー内の少なくとも一つのアノードと、
前記セルチャンバー内の少なくとも一つのカソードであって、前記少なくとも一つのカソードが、前記少なくとも一つのアノードのトップ部の少なくとも部分的に上にある、少なくとも一つのカソードと、を備える、請求項1に記載のセル。
【請求項3】
前記濡れ性材料の少なくとも一部が、前記誘導機構内および/またはその上に配置される、請求項1または2に記載のセル。
【請求項4】
前記濡れ性材料が溶融金属である、請求項1~3のいずれか一項に記載のセル。
【請求項5】
前記濡れ性材料が金属を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のセル。
【請求項6】
前記金属が、少なくともアルミニウムおよびマグネシウムを含む、請求項5に記載のセル。
【請求項7】
前記金属がアルミニウムを含む、請求項5に記載のセル。
【請求項8】
前記金属が、少なくとも50重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも55重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも60重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも65重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも70重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも75重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも80重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも85重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも90重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも95重量パーセントのアルミニウムを含む、請求項5に記載のセル。
【請求項9】
前記金属が、アルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載のセル。
【請求項10】
前記非炭素質基材の表面が、固体アルミニウム金属で少なくとも部分的に覆われている、請求項1~9のいずれか一項に記載のセル。
【請求項11】
前記誘導機構が、スロット、溝、細孔、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のセル。
【請求項12】
前記非炭素質基材が、サーメットまたはセラミックを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のセル。
【請求項13】
前記非炭素質基材が、TiB
2を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のセル。
【請求項14】
前記非炭素質基材が、TiB
2から本質的になる、請求項1~12のいずれか一項に記載のセル。
【請求項15】
前記所定の方向が、垂直および/または水平である、請求項1~14のいずれか一項に記載のセル。
【請求項16】
前記所定の方向が、前記アルミニウム精製セルの電解質に向かう上方向である、請求項1~14のいずれか一項に記載のセル。
【請求項17】
前記非炭素質基材が電極ではない、請求項1~16のいずれか一項に記載のセル。
【請求項18】
前記非炭素質基材が電極である、請求項1~17のいずれか一項に記載のセル。
【請求項19】
前記非炭素質基材がアノードまたはカソードである、請求項18に記載のセル。
【請求項20】
前記非炭素質基材が第一の基材であり、前記セルが第二の基材を備える、請求項1~19のいずれか一項に記載のセル。
【請求項21】
前記第二の基材が炭素質基材である、請求項20に記載のセル。
【請求項22】
前記第二の基材が非炭素質基材である、請求項20に記載のセル。
【請求項23】
前記第二の基材が、サーメットまたはセラミックを含む、請求項20に記載のセル。
【請求項24】
前記第二の基材がTiB
2を含む、請求項20に記載のセル。
【請求項25】
前記第二の基材がTiB
2から本質的になる、請求項20に記載のセル。
【請求項26】
前記第二の基材が、誘導機構を備える、請求項20に記載のセル。
【請求項27】
前記第二の基材には、誘導機構がない、請求項20に記載のセル。
【請求項28】
前記第二の基材がアノードである、請求項20に記載のセル。
【請求項29】
前記第二の基材がカソードである、請求項20に記載のセル。
【請求項30】
(a)少なくとも一つの誘導機構を備える非炭素質基材と、
(b)前記非炭素質基材の表面を少なくとも部分的に覆う固体アルミニウム金属と、を備える、アルミニウム精製セル。
【請求項31】
前記セルが、
セルチャンバーと、
前記セルチャンバー内の少なくとも一つのアノードと、
前記セルチャンバー内の少なくとも一つのカソードであって、前記少なくとも一つのカソードが、前記少なくとも一つのアノードのトップ部の少なくとも部分的に上にある、少なくとも一つのカソードと、を備える、請求項30に記載のセル。
【請求項32】
前記固体アルミニウム金属の少なくとも一部が、前記誘導機構内および/またはその上に配置される、請求項30または31に記載のセル。
【請求項33】
前記固体アルミニウム金属が、前記少なくとも一つの誘導機構内に少なくとも部分的に入っている、請求項1~32のいずれか一項に記載のセル。
【請求項34】
前記非炭素質基材が、表面領域を備え、前記表面領域の第一の部分が、前記少なくとも一つの誘導機構を備え、前記表面領域の第二の部分には、誘導機構が全くない、請求項1~33のいずれか一項に記載のセル。
【請求項35】
前記表面領域の前記第一の部分が、前記固体アルミニウム金属によって少なくとも部分的に覆われる、請求項34に記載のセル。
【請求項36】
前記表面領域の前記第一の部分が、前記固体アルミニウム金属によって少なくとも1%覆われる、請求項34に記載のセル。
【請求項37】
前記表面領域の前記第二の部分が、前記固体アルミニウム金属によって少なくとも部分的に覆われる、請求項34~36のいずれか一項に記載のセル。
【請求項38】
前記表面領域の前記第二の部分が、前記固体アルミニウム金属によって少なくとも1%覆われる、請求項34~36のいずれか一項に記載のセル。
【請求項39】
請求項1~38に記載の前記アルミニウム精製セルのいずれかを使用する方法であって、前記非炭素質基材の表面が、固体アルミニウム金属で少なくとも部分的に覆われ、前記方法が、
前記非炭素質基材を、前記固体アルミニウム金属の融点温度を超えて加熱することを含む、方法。
【請求項40】
請求項1~38に記載の前記アルミニウム精製セルのいずれかを使用する方法であって、
前記アルミニウム精製セルの電解質による前記非炭素質基材の腐食を制限することまたは防止することを含む、方法。
【請求項41】
前記制限することまたは防止することが、前記濡れ性材料によって前記非炭素質基材を少なくとも部分的に覆うことを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記制限することまたは防止することが、前記非炭素質基材の前記表面領域の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を前記濡れ性材料によって覆うことを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記濡れ性材料が、前記電解質による前記基材の外面の接触を制限または防止する、請求項40~42に記載の方法。
【請求項44】
請求項1~38に記載の前記アルミニウム精製セルのいずれかを使用する方法であって、
前記非炭素質基材の温度が前記固体アルミニウム金属の融点温度より低い場合に、前記非炭素質基材の腐食を制限することまたは防止することを含む、方法。
【請求項45】
前記制限することまたは防止することが、前記固体アルミニウムによって前記非炭素質基材を少なくとも部分的に覆うことを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記制限することまたは防止することが、前記非炭素質基材の前記表面領域の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を前記固体アルミニウムによって覆うことを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記固体アルミニウムが、電解質による前記基材の外面の接触を制限または防止する、請求項44~46に記載の方法。
【請求項48】
請求項39~47のいずれか一項に記載の方法であって、
(a)アルミニウム原料を前記アルミニウム精製セルに供給することであって、前記アルミニウム原料がアルミニウム金属を含み、前記アルミニウム精製セルが溶融金属パッドおよび電解質を含み、前記溶融金属パッドが前記電解質の密度よりも高い密度を有する、供給することと、
(b)少なくとも一つのアノードを通り、電解質を通って、少なくとも一つのカソードに通電することであって、
(i)前記少なくとも一つのアノードおよび前記少なくとも一つのカソードが、前記電解質に部分的に配置され、
(ii)前記少なくとも一つのアノードが前記溶融金属パッドに部分的に配置され、
(iii)前記少なくとも一つのアノードおよび/または前記少なくとも一つのカソードが、誘導機構を備える非炭素質基材であり、
(iv)前記誘導機構が、濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成される、通電することと、
(c)前記誘導機構によって、前記溶融金属パッドの前記アルミニウム金属を前記電解質に誘導することと、
(d)前記電解質中に少なくともいくらかのアルミニウムイオンを生成することと、
(e)精製アルミニウム生成物を製造することと、を含む、方法。
【請求項49】
前記非炭素質基材が、TiB
2でメッキされた炭素系材料を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載のセル。
【請求項50】
前記非炭素質基材が、濡れ性を促進するメッキ材料を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載のセル。
【請求項51】
前記メッキ材料が、セラミックおよび/またはサーメットを含む、請求項50に記載のセル。
【請求項52】
前記メッキ材料が、TiB
2を含む、請求項51に記載のセル。
【請求項53】
前記非炭素質基材が、TiB
2でメッキされた炭素系材料を含む、請求項39~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記非炭素質基材が、濡れ性を促進するメッキ材料を含む、請求項39~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記メッキ材料が、セラミックおよび/またはサーメットを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記メッキ材料が、TiB
2を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記誘導機構が、少なくとも一つのチャネルを備える、請求項1~38または49~52のいずれか一項に記載のセル。
【請求項58】
前記少なくとも一つのチャネルが断面を備え、前記断面が前記少なくとも一つのチャネルの長さ全体にわたって実質的に一定である、請求項57に記載のセル。
【請求項59】
前記少なくとも一つのチャネルが断面を備え、前記断面が前記少なくとも一つのチャネルの長さ全体にわたって可変である、請求項57に記載のセル。
【請求項60】
前記誘導機構が少なくとも一つのチャネルを備える、請求項39~48または53~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも一つのチャネルが断面を備え、前記断面が前記少なくとも一つのチャネルの長さ全体にわたって実質的に一定である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも一つのチャネルが断面を備え、前記断面が前記少なくとも一つのチャネルの長さ全体にわたって可変である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記誘導機構が、配向した多孔質構造を備える、請求項1~38、49~52、または57~59のいずれか一項に記載のセル。
【請求項64】
前記配向した多孔質構造が空隙率勾配を有する、請求項63に記載のセル。
【請求項65】
前記誘導機構が配向した多孔質構造を備える、請求項39~48、53~56、または60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記配向した多孔質構造が空隙率勾配を有する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記誘導機構が、前記非炭素質基材内またはその上にある、請求項1~38、49~52、57~59、63、または64のいずれか一項に記載のセル。
【請求項68】
前記誘導機構が、前記非炭素質基材内またはその上にある、請求項39~48、53~56、60~62、65、または66のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、「Methods and Systems of TiB2 Products with Infiltrated Solid Aluminum」と題する、2021年11月8日出願の米国仮特許出願第63/276,892号の優先権を主張する。本出願は、「Advanced Purification Cell for Aluminum Scrap Recycling」と題する、2022年2月17日出願の米国仮特許出願第63/311,366号の優先権を主張する。これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムは従来、ボーキサイト鉱石に由来するアルミナ(Al2O3)から作られてきた。アルミナ(Al2O3)のアルミニウムへの変換は、通常は、アルミナ(Al2O3)を融剤である氷晶石に溶解し、その後、混合物に電流を流し、炭素アノードからの炭素を溶解アルミナ(Al2O3)の酸素成分に付着させ、副生成物としてアルミニウムおよび二酸化炭素を得る、精錬方法によって実施される。「Hoopes process」(米国特許第1,534,315号を参照)、ならびに共同所有の国際公開第2016/130823号に記載の方法を含む、アルミニウムを精製するための様々な努力がなされてきた。
【発明の概要】
【0003】
概ね、本開示は、アルミニウム精製セル中のアルミニウムを精製するための方法およびシステムに関する。いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セルは、誘導機構を有する少なくとも一つの電極を備える。様々な誘導機構が、「Methods and Systems of TiB2 Products with Infiltrated Solid Aluminum」と題する、2021年11月8日出願の共同所有の米国仮特許出願第63/276,892号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、非炭素質基材を備えるアルミニウム精製セルに関し、非炭素質基材は、誘導機構を備え、誘導機構は、濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成される。
【0005】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、セルは、セルチャンバーと、セルチャンバー内の少なくとも一つのアノードと、セルチャンバー内の少なくとも一つのカソードとを備え、少なくとも一つのカソードは、少なくとも一つのアノードのトップ部の少なくとも部分的に上にある。
【0006】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、濡れ性材料の少なくとも一部は、誘導機構内および/またはその上に配置される。
【0007】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、濡れ性材料は溶融金属である。
【0008】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、濡れ性材料は金属を含む。
【0009】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、金属は、少なくともアルミニウムおよびマグネシウムを含む。
【0010】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、金属はアルミニウムを含む。
【0011】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、金属は、少なくとも50重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも55重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも60重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも65重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも70重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも75重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも80重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも85重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも90重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも95重量パーセントのアルミニウムを含む。
【0012】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、金属は、アルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0013】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、非炭素質基材の表面が固体アルミニウム金属で少なくとも部分的に覆われている。
【0014】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、誘導機構は、スロット、溝、細孔、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0015】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、非炭素質基材が、サーメットまたはセラミックを含む。
【0016】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、非炭素質基材がTiB2を含む。
【0017】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、非炭素質基材がTiB2から本質的になる。
【0018】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、所定の方向は、垂直および/または水平である。
【0019】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、所定の方向は、アルミニウム精製セルの電解質に向かう上方向である。
【0020】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、非炭素質基材が電極ではない。
【0021】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、非炭素質基材が電極である。
【0022】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、非炭素質基材がアノードまたはカソードである。
【0023】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、非炭素質基材が第一の基材であり、セルが第二の基材を含む。
【0024】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、第二の基材が炭素質基材である。
【0025】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、第二の基材が非炭素質基材である。
【0026】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、第二の基材がサーメットまたはセラミックを含む。
【0027】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、第二の基材がTiB2を含む。
【0028】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、第二の基材がTiB2から本質的になる。
【0029】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、第二の基材が誘導機構を備える。
【0030】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、第二の基材には誘導機構がない。
【0031】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、第二の基材はアノードである。
【0032】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、第二の基材はカソードである。
【0033】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、(a)少なくとも一つの誘導機構を備える非炭素質基材と、(b)非炭素質基材の表面を少なくとも部分的に覆う固体アルミニウム金属と、を備えるアルミニウム精製セルに関する。
【0034】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、セルは、セルチャンバーと、セルチャンバー内の少なくとも一つのアノードと、セルチャンバー内の少なくとも一つのカソードとを備え、少なくとも一つのカソードは、少なくとも一つのアノードのトップ部の少なくとも部分的に上にある。
【0035】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、固体アルミニウム金属の少なくとも一部は、誘導機構内および/またはその上に配置される。
【0036】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、固体アルミニウム金属は、少なくとも一つの誘導機構内に少なくとも部分的に入っている。
【0037】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、非炭素質基材は表面領域を備え、表面領域の第一の部分は、少なくとも一つの誘導機構を備え、表面領域の第二の部分には、誘導機構が全くない。
【0038】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、表面領域の第一の部分は、固体アルミニウム金属によって少なくとも部分的に覆われる。
【0039】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、表面領域の第一の部分は、固体アルミニウム金属によって少なくとも1%覆われている。
【0040】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、表面領域の第二の部分は、固体アルミニウム金属によって少なくとも部分的に覆われている。
【0041】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、セルに関し、表面領域の第二の部分は、固体アルミニウム金属によって少なくとも1%覆われている。
【0042】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は任意のセルを使用する方法に関し、非炭素質基材の表面は、固体アルミニウム金属で少なくとも部分的に覆われ、方法は非炭素質基材を固体アルミニウム金属の融点温度を超えて加熱することを含む。
【0043】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は任意のセルを使用する方法に関し、アルミニウム精製セルの電解質を介した非炭素質基材の腐食を制限または防止することを含む。
【0044】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は方法に関し、制限することまたは防止することは、濡れ性材料によって非炭素質基材を少なくとも部分的に覆うことを含む。
【0045】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、方法に関し、制限することまたは防止することは、非炭素質基材の表面領域の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を濡れ性材料で覆うことを含む。
【0046】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は方法に関し、濡れ性材料は電解質が基材の外面と接触するのを制限または防止する。
【0047】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は任意のセルを使用する方法に関し、非炭素質基材の温度が固体アルミニウム金属の融点温度よりも低い場合、非炭素質基材の腐食を制限または防止することを含む。
【0048】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、方法に関し、制限または防止は、固体アルミニウムによって非炭素質基材を少なくとも部分的に覆うことを含む。
【0049】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は、方法に関し、制限または防止は、非炭素質基材の表面領域の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を固体アルミニウムで覆うことを含む。
【0050】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は方法に関し、固体アルミニウムは電解質が基材の外面と接触するのを制限または防止する。
【0051】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術は方法に関し、方法は、(a)アルミニウム原料をアルミニウム精製セルに供給することであって、アルミニウム原料がアルミニウム金属を含み、アルミニウム精製セルが溶融金属パッドおよび電解質を含み、溶融金属パッドが電解質の密度よりも高い密度を有する、供給することと、(b)少なくとも一つのアノードを通り、電解質を通って、少なくとも一つのカソードに通電することであって、(i)少なくとも一つのアノードおよび少なくとも一つのカソードが、電解質内に部分的に配置され、(ii)少なくとも一つのアノードが溶融金属パッド内に部分的に配置され、(iii)少なくとも一つのアノードおよび/または少なくとも一つのカソードが、誘導機構を備える非炭素質基材であり、(iv)誘導機構が、濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成される、通電することと、(c)溶融金属パッドのアルミニウム金属を、誘導機構によって電解質に誘導することと、(d)電解質中に少なくともいくらかのアルミニウムイオンを生成することと、(e)精製アルミニウム生成物を製造することと、を含む。
【0052】
いくつかの態様では、本明細書に記載の技術はセルに関し、誘導機構は、基材(例えば、非炭素質基材)内またはその上にある。
【0053】
本開示は概ねアルミニウムを精製することを対象とするが、本明細書に記載の装置、システム、および方法は、他の金属(例えば、マグネシウム)を精製するのに適用可能である。
【0054】
いくつかの実施形態では、誘導機構は、開放または閉鎖されている少なくとも一つのスロットを備え、少なくとも一つのスロットはTiB2基材の厚さを貫通して延在する。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのスロットの寸法は予め決定されている。いくつかの実施形態では、TiB2基材は、第一の突起および第二の突起を備え、誘導機構は、第一の突起の内面と第二の突起の内面との間に画成されるスロットを備える。いくつかの実施形態では、スロットは、第一の突起の全長(l)および第二の突起の全長(l)に延在する。いくつかの実施形態では、第一の突起の全長(l)および第二の突起の全長(l)は、約0.01メートル~約1メートルの範囲である。いくつかの実施形態では、第一の突起の厚さ(t)および第二の突起の厚さ(t)は、約1mm~約20mmの範囲である。いくつかの実施形態では、スロットは、第一の突起の内面と第二の突起の内面との間の距離(d)で延在する。いくつかの実施形態では、距離(d)は、約20μm~約20mmの範囲である。いくつかの実施形態では、第一の突起の幅(w)および第二の突起の幅(w)は、約1mm~約20mmの範囲である。
【0055】
上記のように、いくつかの実施形態では、スロットは完全に閉じている。いくつかの実施形態では、スロットが完全に閉じている場合、誘導機構は完全に閉じられたチャネルとなる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのスロットは、部分的に閉じられている。すなわち、部分的に閉じられたスロットである。いくつかの実施形態では、部分的に閉じたスロットは、閉じた横幅開口部を備える。少なくとも一つのスロットが部分的に閉じている場合、少なくとも一つのスロットの横幅開口部は完全に閉じられ、スロットの長さの一部にわたって連続的に延在することができる。少なくとも一つのスロットが部分的に閉じている場合、少なくとも一つのスロットの横幅開口部は、スロットの全長にわたって部分的に閉じられることができる。少なくとも一つのスロットが部分的に閉じている場合、少なくとも一つのスロットの横幅開口部の閉鎖量は、スロットの長さに沿って変化することができる。
【0056】
上記のように、基材は少なくとも一つのチャネルを備えてもよい。チャネルは、任意の長さ、幅、サイズ、または形状にすることができる。いくつかの実施形態では、チャネルは、基材の長手方向軸に実質的に平行に延在する。いくつかの実施形態では、チャネルは、基材の長手方向軸に対してある角度で延在する。いくつかの実施形態では、複数のチャネルを単一のチャネルにまとめることができる。いくつかの実施形態では、単一のチャネルを複数のチャネルに分割することができる。チャネルの断面は、任意の形状またはサイズにすることができる。いくつかの実施形態では、断面は、チャネルの長さ全体にわたって実質的に一定である。いくつかの実施形態では、断面は、チャネルの長さ全体にわたって実質的に可変である。いくつかの実施形態では、断面は、チャネルの長さに沿って増加および/または減少することができる。
【0057】
本開示は、概ねTiB2基材を指すが、誘導機構を有する他のセラミックおよび/またはサーメット基材が使用されてもよい。誘導機構を有する任意のセラミックおよび/またはサーメット基材は、任意の濡れ性金属とともに使用することができる。いくつかの実施形態では、任意の濡れ性金属は、セラミックおよび/またはサーメット基材を介した移動のための任意の好適な金属であってもよい。いくつかの実施形態では、好適な金属は、アルミニウム、例えば、アルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、好適な金属は、銅、例えば、銅合金、金属銅、およびそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、濡れ性材料は、アルミニウム、マグネシウム、銅、およびそれらの組み合わせから本質的になる。いくつかの実施形態では、濡れ性材料は主にアルミニウムである。一つの態様では、本開示は、誘導機構を備えるセラミック基材またはサーメット基材を有する製品に関し、誘導機構は、セラミック濡れ性材料またはサーメット濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成される。いくつかの実施形態では、基材はセラミック基材である。いくつかの実施形態では、セラミック基材は、TiB2基材、ZrB2基材、またはHfB2基材のうちの一つである。いくつかの実施形態では、セラミック濡れ性材料は、アルミニウム、例えばアルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせである。
【0058】
上記の開示はTiB2およびアルミニウムに関してなされているが、本明細書に記載の装置、システム、および方法は、TiB2以外の他のセラミックおよび/またはサーメット材料に適用可能である。例えば、本明細書の開示は、金属濡れ性能力を有する他の金属ホウ化物(例えば、金属二ホウ化物)、二つだけ例を挙げると、例えばZrB2およびHfB2に同様に適用可能であり、その両方がアルミニウム濡れ性材料である。
【0059】
いくつかの実施形態では、基材は炭素系(炭素質)材料とすることができる。いくつかの実施形態では、炭素系材料は無機炭素系材料とすることができる。好適な炭素系材料は、例えば、炭素の非晶質および結晶質形態を含むことができる。いくつかの実施形態では、炭素系材料は黒鉛を含む。いくつかの実施形態では、基材は、予め焼成された炭素電極材料を含む。炭素系基材は、好適な金属、例えばアルミニウムの濡れ性を促進するためのメッキ材料を含んでもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、基材は非炭素質材料とすることができる。非炭素質材料は、炭素系ではない任意の材料である。非炭素質材料としては、例えば、セラミック材料およびサーメット材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、基材はセラミックまたはサーメットとすることができる。
【0061】
セラミック材料は、無機、非金属材料を含む。無機、非金属材料は、ホウ化物、酸化物、窒化物、または炭化物材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、セラミック材料はチタンを含む。いくつかの実施形態では、セラミック材料は、金属ホウ化物(例えば、金属二ホウ化物)を含む。いくつかの実施形態では、金属二ホウ化物材料は、TiB2、ZrB2、HfB2、またはSrB2を含む。
【0062】
サーメット材料は、セラミックおよび金属材料の材料である。サーメット材料は、金属結合材によって結合されたセラミックマトリックスを含む場合がある。いくつかの実施形態では、サーメット材料は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、またはそれらの合金もしくは組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、サーメット材料は、炭化ニッケル-チタンまたは二ホウ化ニッケル-チタンを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、基材は、記載された材料を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。一実施形態では、基材はセラミックから本質的になる、またはそれからなる。一実施形態では、基材はサーメットから本質的になる、またはそれからなる。一実施形態では、基材は炭素系材料から本質的になる、またはそれからなる。
【0064】
いくつかの実施形態では、基材は、濡れ性を促進するメッキ材料である。いくつかの実施形態では、メッキ材料は、セラミックおよび/またはサーメット、例えば、本明細書に記載のセラミックまたはサーメット材料のいずれかである。いくつかの実施形態では、基材は、セラミック、例えばTiB2でメッキされた炭素系材料である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1A】
図1Aは、TiB
2濡れ性材料を、誘導機構を使用して所定の方向に誘導するための方法の一実施形態を例示する。
【0066】
【
図1B】
図1Bは、TiB
2濡れ性材料を、誘導機構を使用して所定の方向に誘導するための方法の別の実施形態を例示する。
【0067】
【
図2A】
図2Aは、製品の一実施形態の斜視図であり、TiB
2基材が誘導機構として複数のスロットを有する。
【0068】
【0069】
【0070】
【
図3A】
図3Aは、製品の一実施形態の正面図であり、TiB
2基材が誘導機構としてスロットを有する。
【0071】
【0072】
【0073】
【
図4A】
図4Aは、製品の一実施形態の正面図であり、TiB
2基材が誘導機構として複数の溝を有する。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【
図5A】
図5Aは、製品の別の実施形態の側面図であり、TiB
2基材が誘導機構として複数の細孔を有する。
【0078】
【0079】
【
図6A】
図6Aは、製品の一実施形態の斜視図であり、TiB
2基材が誘導機構として複数のスロットを有し、固体アルミニウム金属がTiB
2基材を覆っている。
【0080】
【0081】
【0082】
【
図6D】
図6Dは、製品の一実施形態の断面側面図であり、TiB
2基材が誘導機構として複数のスロットを有し、固体アルミニウム金属がTiB
2基材の上部を覆っている。
【0083】
【
図6E】
図6Eは、
図6Dに示す破線6Eに沿って切り取られた部分断面図であり、
図6Dでは、複数のスロットのうちの一つのスロットのみが示されている。断面は、固体アルミニウム金属が存在する、TiB
2基材の上部に沿ったものである。
【0084】
【
図6F】
図6Fは、
図6Dに示す破線6Fに沿って切り取られた部分断面図であり、
図6Dでは、複数のスロットのうちの一つのスロットのみが示されている。断面は、固体アルミニウム金属が存在しない、TiB
2基材の下部に沿ったものである。
【0085】
【
図6G】
図6Gは、一実施形態の断面側面図であり、TiB
2基材が誘導機構として複数のスロットを有し、固体アルミニウム金属がTiB
2基材の半分、前部を覆っている。
【0086】
【
図6H】
図6Hは、
図6Gに示す破線6Hに沿って切り取られた部分断面図であり、
図6Gでは、複数のスロットのうちの一つのスロットのみが示されている。
【0087】
【
図6I】
図6Iは、一実施形態の側面図であり、TiB
2基材が誘導機構として複数のスロットおよび複数のスロット内に固体アルミニウム金属を有する。
【0088】
【
図6J】
図6Jは、
図6Iに示す破線6Jに沿って切り取られた部分断面図であり、
図6Jでは、複数のスロットのうちの一つのスロットのみが示されている。
【0089】
【
図6K】
図6Kは、一実施形態の正面図であり、TiB
2基材が誘導機構として複数のスロットを有し、固体アルミニウム金属がスロットの一部を覆っている、または全く覆っていない。
【0090】
【0091】
【
図6M】
図6Mは、TiB
2基材の一実施形態の正面図であり、表面領域が、誘導機構として複数のスロットを有する表面領域の第一の部分と、誘導機構が全くない表面領域の第二の部分と、を有する。
【0092】
【
図6N】
図6Nは、
図6Mに示される実施形態の第一の側面図であり、表面領域の第二の部分には誘導機構が全くない。
【0093】
【
図7A】
図7Aは、製品の一実施形態の正面図であり、TiB
2基材が誘導機構としてスロットを有し、固体アルミニウム金属がTiB
2基材を覆っている。
【0094】
【0095】
【0096】
【
図7D】
図7Dは、製品の一実施形態の正面図であり、TiB
2基材が誘導機構としてスロットを有し、固体アルミニウム金属がスロットの一部を覆っている。
【0097】
【0098】
【0099】
【
図8A】
図8Aは、製品の一実施形態の正面図であり、TiB
2基材が誘導機構として複数の溝を有し、固体アルミニウム金属がTiB
2基材を覆っている。
【0100】
【0101】
【0102】
【
図8D】
図8Dは、製品の一実施形態の背面図であり、TiB
2基材が誘導機構として複数の溝を有し、固体アルミニウム金属がTiB
2基材の前半分を覆っている。
【0103】
【0104】
【0105】
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、細孔および固体アルミニウム金属を有する実施形態の一部の拡大図である。
【0106】
【
図10】
図10は、実験室規模の試験に使用したTiB
2発泡体焼結最終製品の正面図である。
【0107】
【
図11】
図11は、実験室規模の試験に使用した四つのTiB
2発泡体試料の正面図であり、試料は約10、20、30、および45細孔/インチ(「PPI」)の空隙率を持つ。
【0108】
【
図12】
図12は、それぞれが溶融アルミニウムに(部分的または完全に)48時間浸漬された四つのTiB
2発泡体試料を含む、実験室規模の試験で使用された三つのるつぼの概略切り取り側面図である。
【0109】
【
図13A】
図13Aは、溶融アルミニウム中に約48時間完全に浸漬された後の、実験室規模の試験で使用されたるつぼからのTiB
2発泡体試料の正面図である。
【0110】
【
図13B】
図13Bは、溶融アルミニウム中に約48時間部分的に浸漬された後の、実験室規模の試験で使用されたるつぼからのTiB
2発泡体試料の正面図である。
【0111】
【
図14】
図14は、アルミニウム精製セル内でアルミニウム金属、例えばアルミニウムスクラップを精製するための方法の一実施形態を例示する。
【0112】
【
図15A】
図15Aは、いくつかの実施形態によるアルミニウムを精製するためのアルミニウム精製セルの一実施形態の概略断面側面図である。
【0113】
【発明を実施するための形態】
【0114】
この文書には、いくつかのセクションが含まれる。セクションiは、アルミニウム精製セルを説明する。セクションiiは、誘導機構を有する基材を説明する。セクションiiiは、アルミニウム精製セルの立ち上げを説明する。セクションivは、セクションiのアルミニウム精製セルにおけるセクションiiの誘導機構を有する基材の使用を説明する。定義も以下に含まれる。
【0115】
本開示は、添付の図面を参照してさらに説明され、同様の構造は、いくつかの図全体を通して同様の参照符号で参照される。図面は、本明細書の一部を構成し、本開示の例示的な実施形態を含み、様々な目的およびその特徴を例示する。さらに、図は必ずしも縮尺どおりではなく、一部の特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張される場合がある。さらに、図に示される任意の寸法、仕様等は、例示であることを目的とするものであり、限定するものではない。したがって、本明細書に開示される特定の構造および機能の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、本開示を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な基礎としてのみ解釈されるべきである。
【0116】
開示されたこれらの利点および改良点のうち、本開示の他の目的および利点は、添付の図面と併せて以下の説明から明らかになるであろう。本開示の詳細な実施形態が本明細書に開示される。しかし、開示された実施形態は、様々な形態で具体化されることができる本開示を単に例示するものであることを理解されたい。さらに、本発明の様々な実施形態に関連して挙げた例のそれぞれは、例示を目的とするものであり、限定するものではない。
【0117】
本明細書および特許請求の範囲全体を通して、以下の用語は、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、本明細書に明示的に関連付けられた意味を有する。本明細書で使用される語句「一実施形態では」および「いくつかの実施形態では」は、同じ実施形態を指す場合があるが、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、本明細書で使用される語句「別の実施形態では」および「いくつかの他の実施形態では」は、別の実施形態を指す場合があるが、必ずしも別の実施形態を指すわけではない。したがって、以下に説明するように、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明のさまざまな実施形態を容易に組み合わせることができる。
【0118】
さらに、本明細書で使用される用語「または」は、包括的な「または」作用素であり、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、用語「および/または」と同等である。用語「に基づいて」は排他的なものではなく、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、記載されていない別の要素に基づくことも認められる。さらに、本明細書全体を通して、「a」、「an」、および「the」の意味には複数の指示対象が含まれる。「in」には、「in」および「on」が含まれる。
【0119】
本明細書で使用される場合、“アルミニウム原料”は、少なくとも50重量%のアルミニウムを有する材料を意味する。
【0120】
本明細書で使用する場合、「精製アルミニウム」は、少なくとも99.5重量%のアルミニウムを有する材料を意味する。
【0121】
本明細書で使用する場合、「精製溶融アルミニウム」は、少なくとも99.5重量%の溶融アルミニウムを有する材料を意味する。
【0122】
本明細書で使用する場合、「ラフィネート」は、非常に高い不純物含有量を含むアルミニウムを意味する。
【0123】
本明細書で使用する場合、「溶融金属パッド」は、電解質の下に配置される溶融材料の収容部を意味し、溶融材料はアルミニウムを含む。
【0124】
本明細書で使用する場合、「スラッジ」は、アルミニウム精製中に沈殿する汚泥を意味する。いくつかの実施形態では、スラッジは固体材料を含む。
【0125】
本明細書で使用する場合、「アルミニウム濡れ性」は、溶融アルミニウムとの接触角が90度以下であることを意味する。
【0126】
本明細書で使用する場合、「濡れ性材料」は、非炭素質材料との接触角が90度以下であることを意味する。
【0127】
本明細書で使用する場合、「電解質」は、イオン/イオンの種の移動によって電流が流れる媒体を意味する。一実施形態では、電解質は溶融塩を含むことができる。
【0128】
本明細書で使用する場合、「エネルギー効率」とは、アルミニウム精製セルによって生成される精製アルミニウム1キログラム当たり、アルミニウム精製セルによって消費されるエネルギー量(キロワット時)を意味する。したがって、エネルギー効率は、生成されるアルミニウムのキロワット時間/キログラム(kWh/kg)で表されることができる。
【0129】
本明細書で使用する場合、「アノード-カソードの重なり」(ACO)は、アノード(例えば、細長い垂直アノード)の遠位端からそれぞれのカソード(例えば、細長い垂直カソード)の遠位端までの垂直距離を意味する。
【0130】
本明細書で使用する場合、「アノード-カソード間距離」(ACD)は、アノード(例えば、細長い垂直アノード)をそれぞれのカソード(例えば、細長い垂直カソード)から分離する水平距離を意味する。
【0131】
i.誘導機構を使用する基材を有するアルミニウム精製セル
本開示は、一つまたは複数の誘導機構を備える基材を有するアルミニウム精製セルに関する。このような基材は、以下の詳細なセクションiiで説明され、共同所有の米国仮特許出願第63/276,892号にさらに記載されており、その内容はその全体が参照によりここに組み込まれる。本明細書に開示のアルミニウム精製セルは、セクションiiに記載される基材のいずれかを、および任意の組み合わせで含むことができる。いくつかの実施形態では、基材は電極ではない。いくつかの実施形態では、基材は電極である。例えば、第一の電極は、少なくとも一つの溝を有する基材を備えてもよく、一方、第二の電極は、一つのスロットまたは空隙を有する基材を備えてもよい。別の例として、第一の電極は誘導機構のない基材、第二の電極は溝を有する基材を備えてもよい。別の例として、第一の電極は、溝または空隙を有する基材を備えてもよく、第二の電極は、誘導機構のない基材を備えてもよい。別の例として、第一の電極は空隙を有する基材を備えてもよく、第二の電極は空隙を有する基材を備えてもよい。基材のいずれも、任意の炭素質電極または非炭素質電極と任意の組み合わせで使用されることができる。
【0132】
図14は、アルミニウム精製セル内でアルミニウム金属、例えばアルミニウムスクラップを精製するための方法の一実施形態を例示する。いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル内でアルミニウムを精製する方法は、少なくとも一つの電極、例えばアノードまたはカソードを使用することを含む。
図14は、いくつかの工程が破線のボックスで表示されており、これらの工程が任意であることを示している。いくつかの実施形態では、方法は、アルミニウム原料をアルミニウム精製セルに供給すること(供給工程10100)と、アルミニウム金属を電解質に誘導すること(誘導工程10200)と、精製アルミニウム生成物を製造すること(製造工程10300)と、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、電極(例えば、アノードおよび/またはカソード)に通電すること(通電工程10420)、および/または電解質中にイオンを生成させること(イオン生成工程10440)を含む。
【0133】
図15Aは、いくつかの実施形態によるアルミニウムを精製するためのアルミニウム精製セル1000の一実施形態の概略断面側面図である。アルミニウム精製セル1000は、本明細書に記載の装置、システム、および方法のための精製セルの例示的な実施形態である。
【0134】
図15Bは、電極、例えば、
図15Aのアノード1090およびカソード1150の一部の拡大図である。
【0135】
アルミニウム精製セル1000は、セル底部1060、耐熱性側壁1030、および耐熱性トップカバー1040を有するセルチャンバー1210と、セル底部1060から上方向に延在する少なくとも一つのアノード1090と、耐熱性トップカバー1040の近位に配置されるカソードコネクター1140と、カソードコネクター1140から下方向に延在する少なくとも一つのカソード1150と、精製されたアルミニウム1120をセルチャンバー1210から回収する抽出ポート1200と、アルミニウム原料1180がセルチャンバー1210内にアクセスすることができるアクセスポート1170を備えるセルアクセスチャネル1160と、を備える。セルチャンバー1210は、耐熱性側壁1030、耐熱性トップカバー1040、およびセル底部1060によって少なくとも部分的に画成される。基部1010は、セル底部1060の近傍に配置される。いくつかの実施形態では、セルチャンバー1210は、耐熱性側壁1030に抽出ポート1200およびアクセスポート1170を備える。
【0136】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000は、セルチャンバー1210に貫入するセルアクセスチャネル1160を備え、それにより、セルチャンバー1210の下部部分へのアクセスができる。セルアクセスチャネル1160は、アクセスポート1170を備えることができる。アルミニウム原料1180を、アクセスポート1170を通してアルミニウム精製セル1000に入れることができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000は、耐熱性側壁1030を貫通する抽出ポート1200を備え、それにより、セルチャンバー1210の上部へのアクセスができる。精製アルミニウム1120は、抽出ポート1200を通ってアルミニウム精製セル1000から抽出されることができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000は、耐熱性トップカバー1040内に形成される不活性ガス入口1220を備える。不活性ガス入口1220は、不活性雰囲気をセルチャンバー1210に供給するように構成される。不活性ガスの例としては、ヘリウム、アルゴン、および窒素が挙げられる。
【0139】
セル底部1060は、上面1080および下面1070を備える。いくつかの実施形態では、セル底部1060は平坦である。いくつかの実施形態では、セル底部1060は、アクセスポート1170に向かって下向きに傾斜している。いくつかの実施形態では、セル底部1060の傾斜は、10度未満の角度を有する。いくつかの実施形態では、セル底部1060の傾斜は、3~5度の角度を有する。
【0140】
アルミニウム精製セル1000は、耐熱性トップカバー1040の近傍にカソードコネクター1140を備える。カソードコネクター1140は、外部電源に接続するように構成される上部接続ロッド1130を備える。カソードコネクター1140は、下面1142および上面1144を備える。カソードコネクター1140の反対側に、アルミニウム精製セル1000は、セル底部1060と電気的に接続するアノードコネクター1050を備える。アノードコネクター1050は、外部電源に接続するように構成されている。
【0141】
アノード1090およびカソード1150は電極である。いくつかの実施形態では、いくつかの電極は同じ材料から作製され、いくつかは互いに異なる材料から作製される。いくつかの実施形態では、すべての電極は、互いに異なる材料から作製される。いくつかの実施形態では、すべての電極は、同じ材料から作製される。いくつかの実施形態では、いくつかの電極は炭素質材料で作製され、いくつかの電極は非炭素質材料で作製される。
【0142】
電極(すなわち、アノード1090およびカソード1150)は、アルミニウム濡れ性材料から構成されることができる。いくつかの実施形態では、電極は、TiB2、ZrB2、HfB2、SrB2、炭素質材料(例えば、黒鉛)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鋼、またはそれらの組み合わせのうちの一つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、電極は、非炭素質材料から作製される。いくつかの実施形態では、電極は、サーメットまたはセラミックから作製される。いくつかの実施形態では、電極はセラミックである。いくつかの実施形態では、電極はチタンから作製される。いくつかの実施形態では、電極はTiB2を含む。いくつかの実施形態では、電極は、TiB2から本質的になる。いくつかの実施形態では、電極は複数の層で作製される。
【0143】
アノード1090は、アルミニウム精製セル1000のセル底部1060上に配置される。アノード1090は、セル底部1060の上面1080に接続する近位端1094を備える。アノード1090は、アルミニウム精製セル1000の耐熱性トップカバー1040に向かって上方向に延在する遠位端1092を備える。アノード1090は、遠位端1092と近位端1094との間に中間部を備える。いくつかの実施形態では、アノード1090は垂直アノードである。
【0144】
カソード1150は、カソードコネクター1140に接続する近位端1154と、基部1010に向かって下方向に延在する遠位端1152とを備える。カソード1150は、近位端1154と遠位端1152との間の中間部を備える。いくつかの実施形態では、カソード1150は、垂直カソードである。アノード1090は、カソード1150と交互に配置されてもよい。
【0145】
いくつかの実施形態では、アノード1090はカソード1150と重なり、それによりアノード-カソードの重なり(ACO)1290を画成する。
図15Bでは、アノード1090の遠位端1092とカソード1150の遠位端1152が部分的に重なっている。いくつかの実施形態では、カソード1150の遠位端1152は、アノード1090の中間部の近傍にあり、アノード1090の遠位端1092は、カソード1150の中間部の近傍にある。いくつかの実施形態では、アノード-カソードの重なり(ACO)1290は、0~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード-カソードの重なり1290は、1~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード-カソードの重なり1290は、5~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード-カソードの重なり1290は、10~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード-カソードの重なり1290は、20~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード-カソードの重なり1290は、25~50インチである。いくつかの実施形態では、アノード-カソードの重なり1290は、少なくともいくらかの重なり、最大12インチの重なりである。いくつかの実施形態では、アノード-カソードの重なり1290は、少なくとも2インチの重なり~10インチの重なりである。いくつかの実施形態では、アノード-カソードの重なり1290は、少なくとも3インチの重なり~8インチの重なりである。いくつかの実施形態では、アノード-カソードの重なり1290は、少なくとも3インチの重なり~6インチの重なりである。
【0146】
アノード1090とカソード1150との間の横方向の離間距離は、アノード-カソード間距離(ACD)1280として指定されることができる。いくつかの実施形態では、アノード-カソード間距離1280は、1/8インチ~3インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード-カソード間距離1280は、1/8インチ~2インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード-カソード間距離1280は、1/8インチ~1インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード-カソード間距離1280は、1/8インチ~1/4インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード-カソード間距離1280は、1/4インチ~1/2インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード-カソード間距離1280は、1/8インチ~3/4インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード-カソード間距離1280は、1/8インチ~1インチであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード-カソード間距離1280は、1/8インチ~1/2インチであってもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000は、外側シェル1020を備える。外側シェル1020は、鋼またはその他の好適な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、外側シェル1020は、基部1010の下に配置されるシェル床を備えてもよい(シェル床は図示されていない)。いくつかの実施形態では、外側シェル1020は、耐熱性側壁1030から離間し、かつそれを取り囲むシェル側壁を備えることができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000は、セルチャンバー1210を断熱するためのセルライニングを備える。セルライニングは、耐熱性側壁1030と外側シェル1020との間、および基部1010とセル底部1060との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、セルライニングは、セルチャンバー1210の実質的にすべて、またはセルチャンバー1210の一部のみを封止してもよい。セルライニングは、アルミニウム精製セル1000の高い電気効率を促進することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、セルチャンバー1210は、溶融金属パッド1100、精製アルミニウム1120、および電解質1110を含む。溶融金属パッド1100は、セル底部1060と接触している。電解質1110は、精製アルミニウム1120を溶融金属パッド1100から分離する。アノード1090は、セル底部1060から溶融金属パッド1100を通って上方向に延在し、電解質1110で終端する。カソード1150は、カソードコネクター1140から下方向に延在し、カソード1150が電解質1110内でアノード1090と重なるように、電解質1110内で終端する。したがって、カソード1150は、電解質1110によってアノード1090から分離される。
【0150】
例示の実施形態では、精製アルミニウム1120は、アルミニウム精製セル1000の電解質1110よりも低い密度を有する。電解質1110は、アルミニウム精製セル1000の溶融金属パッド1100よりも小さい密度を有する。電解質1110は、溶融金属パッド1100から精製アルミニウム1120のトップ層を分離させる。これに関して、電解質1110の組成は、電解質1110が溶融金属パッド1100よりも低い密度かつ精製アルミニウム1120よりも高い密度を有するように選択されることができる。いくつかの実施形態では、電解質1110は溶融塩を含む。いくつかの実施形態では、電解質1110は、フッ化物および/または塩化物のうちの少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、電解質1110は、Na、K、Al、Ba、Ca、Ce、La、Cs、Rb、またはそれらの組み合わせ等のフッ化物および/または塩化物のうちの少なくとも一つを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、溶融金属パッド1100は、少なくとも50重量%のアルミニウム金属、または少なくとも55重量%のアルミニウム金属、または少なくとも60重量%のアルミニウム金属、または少なくとも65重量%のアルミニウム金属、または少なくとも70重量%のアルミニウム金属、または少なくとも75重量%のアルミニウム金属、または少なくとも80重量%のアルミニウム金属、または少なくとも85重量%のアルミニウム金属、または少なくとも90重量%のアルミニウム金属、または少なくとも95重量%のアルミニウム金属を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、溶融金属パッド1100は、Al、Si、Cu、Fe、Sb、Gd、Cd、Sn、Pb、および不純物のうちの一つまたは複数を含む少なくとも一つの合金を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000内のアノード1090上の濡れ性材料の組成は、溶融金属パッド1100と同一であるか、または実質的に類似している(濡れ性材料の考察については、セクションiiを参照のこと)。いくつかの実施形態では、濡れ性材料の組成物は金属である。いくつかの実施形態では、金属は、アルミニウム、または少なくともアルミニウムおよびマグネシウムを含む。いくつかの実施形態では、金属は、少なくとも50重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも55重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも60重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも65重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも70重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも75重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも80重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも85重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも90重量パーセントのアルミニウム、または少なくとも95重量パーセントのアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、金属は、アルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0153】
アルミニウム精製セル1000は、溶融金属パッド1100および電解質1110を備える。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180の供給工程10100は、アルミニウム原料1180を、セルアクセスチャネル1160を通して溶融金属パッド1100内に流すことを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180の不純物は、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Ni、Si、Ti、およびZnを含む可能性がある。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、他の不純物に加えて、最大2重量のMgを含むアルミニウムを含む可能性がある。
【0155】
いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180に添加物(例えば、銅)を添加して、密度を高め、アルミニウム原料1180の金属をアルミニウム精製セル1000の底部上の溶融金属パッド1100に保持する。いくつかの実施例では、アルミニウム原料1180は、少なくとも5重量%の銅、少なくとも10重量%の銅、少なくとも15重量%の銅、少なくとも20重量%の銅、少なくとも25重量%の銅、少なくとも30重量%の銅、少なくとも35重量%の銅、少なくとも40重量%の銅、少なくとも45重量%の銅、または少なくとも50重量%の銅を含む。したがって、溶融金属パッド1100は比較的多量の銅を含む場合がある。いくつかの実施形態では、溶融金属パッド1100は、少なくとも5重量%の銅、少なくとも10重量%の銅、少なくとも15重量%の銅、少なくとも20重量%の銅、少なくとも25重量%の銅、少なくとも30重量%の銅、少なくとも35重量%の銅、少なくとも40重量%の銅、またはそれ以上を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、供給工程10100は、アルミニウム精製セル1000の動作中にアルミニウム原料1180を連続的に供給することを含む。いくつかの実施形態では、供給工程10100は、アルミニウム原料1180をアルミニウム精製セル1000内に定期的に加えることを含む。いくつかの実施形態では、供給工程10100は、アルミニウム原料1180を第一の供給速度でアルミニウム精製セル1000内に供給することを含む。第一の供給速度は一定に保たれてもよく、またはアルミニウム精製セル1000へのアルミニウム原料1180の供給の停止および開始を含めて変化してもよい。いくつかの実施形態では、供給工程10100は、アルミニウム精製セル1000にアルミニウム原料1180を定期的に加えることを含む。
【0157】
上記のように、アルミニウム原料1180の供給工程10100は、アルミニウム精製セル1000によって行われることができる。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180はアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム金属以外の少なくとも一つの金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は遷移金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、少なくとも50重量%のアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、少なくとも55重量%のアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、少なくとも60重量%のアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、少なくとも65重量%のアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、少なくとも70重量%のアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、少なくとも75重量%のアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、少なくとも80重量%のアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、少なくとも85重量%のアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、少なくとも90重量%のアルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、少なくとも95重量%のアルミニウム金属を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の0.5重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の5.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の10.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の15.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の20.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の25.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の30.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の35.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料180は、アルミニウム原料1180の40.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の45.0重量%~50.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の0.5重量%~45.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の0.5重量%~40.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の0.5重量%~35.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の0.5重量%~30.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の0.5重量%~25.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の0.5重量%~20.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の0.5重量%~15.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の0.5重量%~10.0重量%の不純物を含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム原料1180の0.5重量%~5.0重量%の不純物を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、アルミニウム原料1180は、アルミニウム合金スクラップである。いくつかの実施形態では、アルミニウム合金スクラップは、1xxx系アルミニウム合金、2xxx系アルミニウム合金、3xxx系アルミニウム合金、4xxx系アルミニウム合金、5xxx系アルミニウム合金、6xxx系アルミニウム合金、7xxx系アルミニウム合金、8xxx系アルミニウム合金、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも一つを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、イオン生成工程10440は、電解質1110内でアルミニウムイオンを生成することと、アルミニウム精製セル1000の少なくとも一つのカソード1150で、またはその近くでアルミニウムイオンの少なくとも一部を低減することとを含む。いくつかの実施形態では、イオン生成工程10440は、アルミニウムイオンを、電解質1110を通してカソード1150に向かって移動させることを含む。
【0161】
本開示の方法は、電流を、アノード190に、そして電解質1110を通してカソード1150に通電することによって、アルミニウム原料1180から精製アルミニウム1120を製造することを含む。いくつかの実施形態では、通電工程10420は、直流を、アノード1090から電解質1110を通してカソード1150に流すことを含む。製造工程10300では、アノード1090およびカソード1150は電解質1110中に部分的に配置されることができ、アノード1090は溶融金属パッド1100中に部分的に配置されることができる。溶融金属パッド1100のアルミニウム金属を電解質1110に向けて誘導すること(例えば、誘導工程10200)は、アルミニウム金属を電解質1110に向かって流すことと、電流をアノード1090に供給すること(例えば、通電工程10420)と、を含むことができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、方法は、抽出ポート1200を通してアルミニウム精製セル1000から精製アルミニウム1120のトップ層の少なくとも一部を移動させること含むことができる。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120は、アルミニウム精製セル1の動作中にほぼ連続的に移動されることができる。いくつかの実施形態では、第一の移動速度は、例えば、第二の移動速度に少なくとも部分的に基づいて制御されてもよい。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120は、アルミニウム精製セル1000の動作中に定期的に移動されることができる。いくつかの実施形態では、移動工程は、生成物を汚染することなく精製アルミニウム1120生成物を移動させるように構成される機器(例えば、アルミナ、黒鉛、および/またはTiB2タッピング機器)で完了する。
【0163】
電解質1110の上方の精製アルミニウム1120生成物は、トップ層を画成する。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、少なくとも99.5重量%のアルミニウム純度を含む。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、少なくとも99.5重量%~最大99.999重量%のアルミニウム純度を含む。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、少なくとも99.8重量%~最大99.999重量%のアルミニウム純度を含む。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、少なくとも99.9重量%~最大99.999重量%のアルミニウム純度を含む。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、少なくとも99.98重量%~最大99.999重量%のアルミニウム純度を含む。例えば、精製アルミニウム1120生成物は、少なくとも99.5重量%のアルミニウム、または少なくとも99.75重量%のアルミニウム、または少なくとも99.8重量%のアルミニウム、または少なくとも99.85重量%のアルミニウム、または少なくとも99.9重量%のアルミニウム、または少なくとも99.95重量%のアルミニウムを有することができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、アルミニウム精製セル1000によって、1~15kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で製造されることができる。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム120生成物は、アルミニウム精製セル1000によって、1~10kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で製造されることができる。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、アルミニウム精製セル1000によって、1~8kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で製造されることができる。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、アルミニウム精製セル1000によって、1~6kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で製造されることができる。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、アルミニウム精製セル1000によって、1~4kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で製造されることができる。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、アルミニウム精製セル1000によって、5~15kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で製造されることができる。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、アルミニウム精製セル1000によって、10~15kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で製造されることができる。いくつかの実施形態では、精製アルミニウム1120生成物は、アルミニウム精製セル1000によって、12~15kWh/kgの精製アルミニウムのエネルギー効率で製造されることができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、スラッジ1190は、少なくとも部分的に、通電工程10420によって製造される場合がある。スラッジ1190は、溶融金属パッド1100よりも高い密度を有する場合がある。上記のように、セル底部1060の上面1080は、傾斜していてもよい。いくつかの実施形態では、傾斜は、耐熱性側壁1030からセルアクセスチャネル1160に向かって下方に延びてもよい。したがって、スラッジ1190は、上面1080に沿ってセルアクセスチャネル1160に向かって排出されることができる。いくつかの実施形態では、スラッジ1190は、セルアクセスチャネル1160を通ってセルチャンバー1210から除去されてもよい。いくつかの実施形態では、不純物は、溶融金属パッド1100内に集まる傾向がある場合がある。したがって、セルアクセスチャネル1160は、溶融金属パッド1100の少なくとも一部の除去を容易にすることができる。
【0166】
ii.誘導機構を有する基材
上で説明したように、本開示は、一つまたは複数の誘導機構を備える基材を有するアルミニウム精製セルに関する。このような基材は、以下に本セクションで説明される。
【0167】
本開示は、二ホウ化チタン(TiB2)基材、または誘導機構を使用してTiB2濡れ性材料を所定の方向に誘導する構造を含む、方法および製品を含む。いくつかの実施形態では、TiB2基材構造は、TiB2濡れ性材料に接触する前に、固体アルミニウム金属で覆われることができる。TiB2濡れ性材料がTiB2基材に接触する場合、誘導機構はTiB2濡れ性材料を所定の方向に誘導する。誘導機構は、多くの形状およびサイズを取ることができる。いくつかの実施形態では、誘導機構は、スロット、溝、細孔、またはそれらの組み合わせであることができる。少なくとも一つの誘導機構を有するTiB2基材は、製品内の流体の移動を含む様々な用途で使用されることができる。いくつかの実施形態では、TiB2濡れ性材料は、TiB2基材を介した移動に好適な任意の金属であってもよい。いくつかの実施形態では、TiB2濡れ性材料は、アルミニウム、例えば、アルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせである。
【0168】
一つの態様では、本開示は、誘導機構を備えるTiB2基材を有する製品を含み、誘導機構は、TiB2濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成される。いくつかの実施形態では、TiB2濡れ性材料はアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、アルミニウムは、アルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、TiB2基材の表面は、固体アルミニウム金属で少なくとも部分的に覆われる。いくつかの実施形態では、誘導機構は、構造、例えば、TiB2基材上のスロット、溝、細孔、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、TiB2基材は立体的な幾何学的形状を有する。いくつかの実施形態では、立体的な幾何学的形状は、長方形形状、正方形形状、三角形形状、楕円形形状、または長楕円形形状等のうちの少なくとも一つの三次元形態を有する。いくつかの実施形態では、TiB2基材は、非対称形状を有する。いくつかの実施形態では、TiB2基材は、板状である。
【0169】
いくつかの実施形態では、TiB2基材は、アルミニウム精製セルで使用するように構成される。いくつかの実施形態では、誘導機構は、毛管作用によってTiB2濡れ性材料を誘導する。いくつかの実施形態では、誘導機構は細孔を備える。いくつかの実施形態では、誘導機構にはTiB2基材の空隙が含まれる。いくつかの実施形態では、空隙率は、約1~約200細孔/インチ(PPI)の範囲である。いくつかの実施形態では、空隙率は、少なくとも約5細孔/インチ(PPI)、または少なくとも約10細孔/インチ(PPI)、または少なくとも約15細孔/インチ(PPI)、または少なくとも約20細孔/インチ(PPI)である。いくつかの実施形態では、空隙率は、約175細孔/インチ(PPI)以下、または約150細孔/インチ(PPI)以下、または約125細孔/インチ(PPI)以下、または約100細孔/インチ(PPI)以下、または約80細孔/インチ(PPI)以下、または約60細孔/インチ(PPI)以下、または約50細孔/インチ(PPI)以下である。
【0170】
いくつかの実施形態では、誘導機構は、少なくとも一つの溝を有する構造を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの溝は、TiB2基材内に部分的に延在する。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの溝の寸法は予め決定されている。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの溝のサイズおよび/または形状は、予め決定されている。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの溝の幅(w)は、約10μm~約20mmの範囲である。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの溝の溝の深さ(gd)は、約1mm~約10mmの範囲である。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの溝の長さ(l)は、約1cm~約1mの範囲である。いくつかの実施形態では、TiB2基材の厚さ(t)は、約5mm~約30mmの範囲である。いくつかの実施形態では、誘導機構はTiB2基材に少なくとも二つの溝を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも二つの溝の間の縁部間距離(d)は、約1mm~約20mmの範囲である。
【0171】
別の態様では、本開示は、(a)少なくとも一つの誘導機構を備えるTiB2基材と、(b)TiB2基材の表面を少なくとも部分的に覆う固体アルミニウム金属とを有する製品を含む。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属は、少なくとも一つの誘導機構内に少なくとも部分的に入っている。いくつかの実施形態では、TiB2基材は、表面領域を有する構造を備え、表面領域の第一の部分は少なくとも一つの誘導機構を備え、表面領域の第二の部分には誘導機構が全くない。いくつかの実施形態では、表面領域の第一の部分は、固体アルミニウム金属によって少なくとも部分的に覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域の第一の部分は、固体アルミニウム金属によって少なくとも1%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域の第二の部分は、固体アルミニウム金属によって少なくとも部分的に覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域の第二の部分は、固体アルミニウム金属によって少なくとも1%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域の第二の部分を覆う固体アルミニウム金属は、膜の形態である。いくつかの実施形態では、膜は、1μm~500μmの厚さを備える。いくつかの実施形態では、表面領域の第二の部分には、固体アルミニウム金属がない。
【0172】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの誘導機構は空隙容積を含み、空隙容積の少なくとも1%に固体アルミニウム金属が含まれる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの誘導機構はスロットを有する構造であり、固体アルミニウム金属がスロット内に少なくとも部分的に入っている。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのスロットはスロット容積を含み、固体アルミニウム金属がスロット容積の少なくとも1%を占める。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの誘導機構は溝であり、固体アルミニウム金属が溝内に少なくとも部分的に入っている。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの溝は溝容積を含み、固体アルミニウム金属が溝容積の少なくとも1%を占める。
【0173】
別の態様では、本開示は、(a)TiB2のウェブと、(b)TiB2のウェブの表面を少なくとも部分的に覆う固体アルミニウム金属と、を有する製品を含む。いくつかの実施形態では、TiB2のウェブは、TiB2のウェブの空隙を画成する。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属は空隙を備える。いくつかの実施形態では、TiB2のウェブの空隙は、TiB2の細孔容積を画成し、固体アルミニウム金属が細孔容積の少なくとも1%を占める。
【0174】
別の態様では、本開示は、少なくとも一つの誘導機構を有するTiB2製品を製造することと、少なくとも一つの誘導機構によって所定の方向にTiB2濡れ性材料を誘導することと、を含む方法を含む。いくつかの実施形態では、製造工程は、複数の細孔を有するTiB2製品を形成することを含む。いくつかの実施形態では、製造工程は、幾何学的形体を形成することを含む。いくつかの実施形態では、製造工程は、TiB2製品またはTiB2製品前駆体を機械加工して、少なくとも一つの誘導機構を形成することを含む。いくつかの実施形態では、製造工程は、TiB2原料をTiB2製品前駆体に押出し成形することを含み、TiB2製品前駆体は、少なくとも一つの誘導機構を備える。いくつかの実施形態では、TiB2製品前駆体は未焼成TiB2材料である。いくつかの実施形態では、方法は、未焼成TiB2材料を高温に曝し、それによりTiB2基材を形成することを含む。いくつかの実施形態では、TiB2基材内の少なくとも一つの誘導機構は、溝、スロット、チャネル、またはそれらの組み合わせを備えてもよい。
【0175】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載のTiB2基材のうちのいずれかを有するアルミニウム精製セルを含む。いくつかの実施形態では、TiB2基材のうちの少なくとも一つは電極である。いくつかの実施形態では、TiB2基材のうちの少なくとも一つは、誘導装置であり、誘導装置は、電流が印加されていない場合、液体アルミニウム金属(例えば、溶融アルミニウム金属)を所定の方向に誘導するように構成される。
【0176】
本明細書で使用する場合、「スロット」とは、TiB2基材の厚さを貫通する幾何学的形体を意味する。
【0177】
本明細書で使用する場合、「溝」とは、TiB2基材の厚さに部分的に延在するが、完全には貫通しない幾何学的形体を意味する。
【0178】
本明細書で使用する場合、「幾何学的形体」とは、TiB2基材内に形成される所定の形状を意味する。例としては、任意の形状またはサイズのスロットおよび溝が挙げられる。
【0179】
本明細書で使用する場合、「TiB2濡れ性材料」は、TiB2との接触角が90度以下であることを意味する。
【0180】
本明細書で使用する場合、「TiB2基材」とは、少なくとも一つの誘導機構を備えることができるTiB2で作製される基材を意味する。TiB2基材の例としては、TiB2で作製されるブロック、板、ロッド、ワイヤ、ウール等が挙げられる。一実施形態では、TiB2基材は、TiB2から本質的になる。
【0181】
本明細書で使用する場合、「アルミニウム被覆TiB2基材」は、アルミニウム金属によって少なくとも部分的に被覆されたTiB2基材を意味し、アルミニウム金属は金属アルミニウムおよび/またはアルミニウム合金である。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の少なくとも一つの誘導機構内に少なくとも部分的に含まれる。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の外表面を少なくとも部分的に覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも5%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも10%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも15%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも20%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも25%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも30%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも35%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも40%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも45%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも50%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも55%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも60%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも65%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも70%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも75%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも80%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも85%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも90%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも91%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも92%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも93%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも94%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも95%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも96%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも97%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも98%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも99%を覆う。一実施形態では、アルミニウム金属は、TiB2基材の表面領域の少なくとも100%を覆う。
【0182】
本明細書で使用する場合、「メッキ材料」等は、基材の外面の少なくとも一部と接触する、膜、コーティング、またはその他の薄い被膜を意味し、メッキ材料がどのように基材上に製造されたかには関係がなく、すなわち、メッキには、基材に膜、コーティング、または薄い被膜をつけるすべての方法が含まれる。
【0183】
図1Aは、TiB
2濡れ性材料を、誘導機構を使用して所定の方向に誘導するための方法100の一実施形態を例示する。工程102は、
図1Aに破線のボックスで示される任意の工程である。工程102は、TiB
2基材を固体アルミニウム金属で覆うことを含む。様々な量のTiB
2基材を、固体アルミニウム金属で覆うことができる。いくつかの実施形態では、TiB
2基材の全てを覆うことができる。TiB
2基材の一部は固体アルミニウム金属で覆われることができるが、TiB
2基材の他の部分には固体アルミニウムがない。固体アルミニウム金属の被覆率は、TiB
2基材の用途に応じて異なる。工程104は、TiB
2基材をTiB
2濡れ性材料と接触させることを含む。工程106は、TiB
2濡れ性材料を所望の方向に誘導することを含む。
【0184】
図1Bは、TiB
2濡れ性材料を、誘導機構を使用して所定の方向に誘導するための方法110の別の実施形態を例示する。製造工程112は、少なくとも一つの誘導機構を有するTiB
2製品を製造することを含む。製造工程112は、複数の細孔を有するTiB
2製品構造を形成することを含むことができる。製造工程112は、幾何学的形体を形成することを含むことができる。製造工程112は、TiB
2製品またはTiB
2製品前駆体構造を機械加工して、少なくとも一つの誘導機構を形成することを含むことができる。製品または製品前駆体構造内またはその上にある誘導機構は、スロット、溝、細孔、およびそれらの組み合わせであることができる。誘導機構は、空隙容積を含むことができる。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも1%は、固体アルミニウム金属が含まれる。誘導機構は、毛管作用によってTiB
2濡れ性材料を誘導することができる。
【0185】
製造工程112は、TiB2原料をTiB2製品前駆体に押出し成形することを含み、TiB2製品前駆体は、少なくとも一つの誘導機構を備える。いくつかの実施形態では、TiB2製品前駆体は未焼成TiB2材料である。製造工程112は、未焼成TiB2材料を高温に曝し、それによりTiB2基材を形成することを含むことができる。誘導工程114は、TiB2濡れ性材料を少なくとも一つの誘導機構によって所定の方向に誘導することを含む。
【0186】
図2Aは、製品200の一実施形態の斜視図であり、TiB
2基材202が誘導機構として複数のスロット206を有する。スロット206は、突起204の間に画成されている。TiB
2基材202はまた、基部208および先端部210を備える。スロット206は、TiB
2濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成される。TiB
2濡れ性材料は、アルミニウム、例えば、アルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0187】
図2Bは、
図2Aに示される実施形態の第一の側面図である。
図2Bは、突起204を示す製品200の側面図を示す。突起204は、基部208のトップ部から先端部210の端部に延在する長さ(l)を備える。先端部210は、尖った形状、丸みのある湾曲部、またはギザギザの縁部等を含む、様々な形状のいずれかを有することができる。
【0188】
図2Cは、
図2Aにおいて破線の円で示される、
図2Aに示される実施形態の拡大部分断面図である。部分上面図は、突起204のうちの二つだけを示している。すなわち、
図2Cは、第一のスロット206Aを画成する第一の突起204A、および第二の突起204Bを示す。第一のスロット206Aは、第一の突起204Aの内面および第二の突起204Bの内面によって画成される。
【0189】
図3Aは、製品300の一実施形態の正面図であり、TiB
2基材302が誘導機構としてスロット306を有する。スロット306は、第一の突起304Aおよび第二の突起304B(まとめて、突起304)によって画成される。TiB
2基材302はまた、基部308および先端部310を備える。スロット306は、TiB
2濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成される。突起のうちの一つの幅(w)も示されている。
【0190】
図3Bは、
図3Aに示す破線3Bに沿って切り取られた断面の断面図である。
図3Bは、突起304の厚さ(t)、およびスロット306が第一の突起304Aの内面と第二の突起304Bの内面との間に延在する距離(d)を示す。
図3Cは、
図3Aに示される実施形態(例えば、製品300)の第一の側面図である。
図3Cは、突起304の長さ(l)を示す。
【0191】
図2A~2Cおよび
図3A~3Cは類似しているため、一緒に説明される。
図2A~2Cの実施形態は、
図3A~3Cの実施形態と、突起204/304の数、スロット206/306の数、および突起204/304の厚さ(t)が異なる。
【0192】
スロット206/306の寸法は予め決められている。いくつかの実施形態では、スロット206A/306は、第一の突起206A/306Aの全長(l)および第二の突起206B/306Bの全長(l)に延在する。第一の突起206A/306Aの全長(l)および第二の204B/304Bの全長(l)は、約0.01メートル~約1メートルの範囲とすることができる。第一の突起204A/304Aの厚さ(t)および第二の突起204B/304Bの厚さ(t)は、約1mm~約20mmの範囲とすることができる。スロット206A/306は、第一の突起204A/304Aの内面と第二の突起204B/304Bの内面との間の距離(d)で延在する。いくつかの実施形態では、距離(d)は、約20μm~約20mmの範囲である。突起204/304(例えば、第一の突起204A/304Aおよび第二の突起204B/304B)の幅(w)は、約1mm~約20mmの範囲とすることができる。
【0193】
突起204/304は、互いに寸法が異なることができる。突起204/304は、互いに長さ(l)、厚さ(t)、および幅(w)が異なることができる。同様に、スロット206/306の距離(d)は、互いに異なることができる。いくつかの実施形態では、第二の突起204B/304Bと比較して、第一の突起204A/304Aは、より長い長さ(l)およびより広い幅(w)およびより薄い厚さ(t)を有することができる。
【0194】
スロット206/306は、TiB
2基材202/302の厚さを貫通して延在する。スロットの数は異なってもよい。いくつかの実施形態では、
図3A、
図3B、および
図3Cの例に示すように、スロットは一つであってもよい。また、スロットは二つ以上であってもよい。スロットの数は、TiB
2基材202/302の意図する用途により異なる可能性がある。
図2A、
図2B、および
図2Cに示す例では、六つのスロットがある。
【0195】
TiB2基材202/302は、固体アルミニウム金属で少なくとも部分的に覆われてもよい。スロット206/306は、TiB2基材202/302の誘導機構である。他の誘導機構、例えば、溝、細孔、およびそれらの組み合わせを、TiB2基材202に備えることができる。
【0196】
TiB2基材202/302は、用途に応じて任意の好適な構造、サイズ、または形状を有することができる。TiB2基材202/302は、立体的な幾何学的形状を有することができる。幾何学的形状表面は、長方形形状、正方形形状、三角形形状、楕円形形状、または長楕円形形状表面等のうちの少なくとも一つの表面を含むことができる。TiB2基材202/302はまた、非対称形状であってもよい。TiB2基材202/302はまた、板状であってもよい。TiB2基材202/302は、誘導機構であるスロット206/306を使用して、毛管作用によってTiB2濡れ性材料を誘導することができる。
【0197】
TiB2基材202/302は、様々な用途で使用されることができる。いくつかの実施形態では、TiB2基材202/302は、アルミニウム精製セルで使用するように構成されることができる。アルミニウム精製セルでは、カソードはセルのトップ部にあり、アノードはセルの底部にあり、精製されたアルミニウムはセルのトップ部に移動する。アルミニウム精製セルの一例は、「Systems and Methods for Purifying Aluminum」と題する、2016年2月11日に出願された共同所有の米国特許第10,407,786号に記載されている。
【0198】
図4Aは、製品400の一実施形態の正面図であり、TiB
2基材402が誘導機構として複数の溝406を有する。
図4Bは、
図4Aに示される実施形態の第一の側面図である。
図4Cは、
図4Aにおいて破線の円で示される、
図4Aに示される実施形態の拡大部分断面図である。
図4Dは、
図4Cに示される実施形態の複数の溝の別の構成である。
【0199】
製品400は製品200/300と類似している。ここで、相違点について説明する。いくつかの実施形態では、製品200/300の誘導機構はスロット206/306であり、対照的に、製品400の誘導機構は少なくとも一つの溝406である。
【0200】
溝406は、TiB2基材402内に部分的に延在する。溝406の寸法は予め決められている。いくつかの実施形態では、溝406のサイズおよび/または形状は予め決められている。溝406の幅(w)は、約10μm~約20mmの範囲である。溝406の溝の深さ(gd)は、約1mm~約10mmの範囲である。溝406の長さ(l)は、約1cm~約1mの範囲である。TiB2基材402の厚さ(t)は、約5mm~約30mmの範囲である。溝406の間の縁部間距離(d)は、約1mm~約20mmの範囲である。
【0201】
図4Cに示すように、誘導機構はTiB
2基材402に少なくとも二つの溝406を備える。具体的には、誘導機構は、三つの溝406を備える。
図4Cは、第一の溝406A、第二の溝406B、第三の溝406C(まとめて、溝406)を示す。
【0202】
溝406は、任意のパターンで配置されることができる。溝406はまた、互いに同じ寸法を有するか、または互いに異なる寸法を有することができる。溝406はまた、
図4Cに示すように前面および背面にだけでなく、TiB
2基材402の側面にも配置されることができる。
図4Dは、第一の溝406A’、第二の溝406B’、第三の溝406C’(まとめて、溝406’)を示す。
図4Dは、
図4Cの溝406と比較した、別の寸法および配置の溝406’を示す。
図4Cは、互いに同じ寸法を有し、溝406がTiB
2基材402の前面と背面との間に交互のパターンで配置されるパターンで配置された溝を示す。
図4Dは、溝406’が異なる寸法を有することができることを示す。いくつかの実施形態では、第二の溝406B’は、溝の深さがTiB
2基材402の半分を超えて延在する最大の溝である。第三の溝406C’は最小の溝であり、TiB
2基材402’の半分未満まで延在する。
【0203】
図5Aは、製品500の別の実施形態の側面図であり、TiB
2基材502が誘導機構として複数の細孔を有する。
図5Bは、
図5Aにおいて破線で示される、
図5Aに示される実施形態の一部の拡大図である。
図5Aに示すように、TiB
2基材は、TiB
2のウェブ、例えばスポンジ状構造である。細孔504は、TiB
2基材502、TiB
2のウェブによって画成される。製品500の誘導機構は、TiB
2基材502の空隙とすることができる。TiB
2基材502の空隙率は、約1細孔~約200細孔/平方インチ(PPI)の範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、空隙率は、少なくとも約5細孔/インチ(PPI)、または少なくとも約10細孔/インチ(PPI)、または少なくとも約15細孔/インチ(PPI)、または少なくとも約20細孔/インチ(PPI)である。いくつかの実施形態では、空隙率は、約175細孔/インチ(PPI)以下、または約150細孔/インチ(PPI)以下、または約125細孔/インチ(PPI)以下、または約100細孔/インチ(PPI)以下、または約80細孔/インチ(PPI)以下、または約60細孔/インチ(PPI)以下、または約50細孔/インチ(PPI)以下である。
【0204】
TiB2基材502の空隙により、任意の好適な多孔質構造を得ることができる。TiB2基材502の空隙は、相互連結された多孔質構造であってもよく、細孔の少なくとも一部は互いに流体連通し、第一の位置から第二の位置(例えば、第一の所定の位置から第二の所定の位置)への濡れ性材料の移動を容易にする。したがって、相互連結された多孔質構造は、開放細孔構造とみなされることができる。いくつかの実施形態では、TiB2基材502の空隙により、ランダムな多孔質構造が得られる。いくつかの実施形態では、TiB2基材502の空隙により、配向した多孔質構造である場合がある。いくつかの実施形態では、TiB2基材502の配向した多孔質構造の空隙により、空隙率勾配を有する場合がある。いくつかの実施形態では、TiB2基材502の配向した多孔質構造の空隙率勾配は、三次元勾配に沿って変化することができる(すなわち、空隙率勾配は、TiB2基材502のX軸、Y軸、およびZ軸に沿って変化することができる)。いくつかの実施形態では、TiB2基材502の配向した多孔質構造の空隙率勾配は、TiB2基材502の中心に向かって増加または減少する。いくつかの実施形態では、TiB2基材502の配向した多孔質構造の空隙率勾配は、TiB2基材502全体にわたって増加および/または減少することができる。例えば、TiB2基材502の配向した多孔質構造の空隙率勾配は、TiB2基材502の一方の端部からTiB2基材502の他方の端部まで増加、減少し、その後増加することができる。
【0205】
図6Aは、製品600の一実施形態の斜視図であり、TiB
2基材602が誘導機構として複数のスロット606を有し、固体アルミニウム金属612がTiB
2基材602を覆っている。
図6Aでは、固体アルミニウム金属612の一部が、周囲にまたは透明に示され、基材602の表面構造を明らかにしている。製品600は、突起604、基部608、および先端部610を備える。
図6Bは、
図6Aに示す矢印6Bに沿って切り取られた断面の第一の側面図である。
図6Cは、
図6Aにおいて破線の円で示される、
図6Aに示される実施形態の拡大部分断面図である。
図2A、2B、および2Cに示される実施形態は、本明細書で説明する相違点を除き、
図6A、6B、および6Cの実施形態と同じかまたは類似している。いくつかの実施形態では、
図6A、6B、および6Cに示す構造は、
図2A、2B、および2Cに示すTiB
2基材構造(例えば、TiB
2基材202)を覆う固体アルミニウム金属612を備える。
図2A、2B、および2Cと同様な特徴の
図6A、6B、および6Cについては、繰り返さない。
図6Aおよび
図6Bは、TiB
2基材602を完全に覆う固体アルミニウム金属612を示す。
図6Cは、第一の突起604Aと第二の突起604Bとの間のスロット606Aを完全に占める固体アルミニウム金属612を示す。
【0206】
いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面を少なくとも部分的に覆い、および/または固体アルミニウム金属612は、スロット606内に少なくとも部分的に入っている。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも1%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも5%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも10%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも15%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも20%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも25%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも30%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも35%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも40%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも45%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも50%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも55%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも60%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも65%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも70%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも75%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも80%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも85%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも90%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも95%を覆う。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、TiB2基材602の表面の少なくとも100%を覆う。
【0207】
いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット606内に少なくとも部分的に入っている。いくつかの実施形態では、スロット606がスロット容積を有する場合、固体アルミニウム金属612はスロット容積の少なくとも1%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも5%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも10%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも15%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも20%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも25%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも30%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも35%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも40%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも45%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも50%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも55%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも60%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも65%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも70%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも75%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも80%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも85%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも90%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも95%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属612は、スロット容積の少なくとも100%を占める。
【0208】
図6A~6Nに示す実施形態において、様々な量の固体アルミニウム金属612が、スロット606およびTiB
2基材602を占めている。
【0209】
図6Dは、製品600’の一実施形態の断面側面図であり、TiB
2基材602’が誘導機構として複数のスロット606A’を有し、固体アルミニウム金属612’がTiB
2基材602’の上部を覆っている。
図6Eは、
図6Dに示す破線6Eに沿って切り取られた部分断面図であり、
図6Dでは、複数のスロット606A’のうちの一つのスロット606A’のみが示されている。断面は、固体アルミニウム金属612’が存在する、TiB
2基材602’の上部に沿ったものである。
図6Fは、
図6Dに示す破線6Fに沿って切り取られた部分断面図であり、
図6Fでは、複数のスロット606A’のうちの一つのスロット606A’のみが示されている。断面は、固体アルミニウム金属612’が存在しない、TiB
2基材602’の下部に沿ったものである。
【0210】
図6Gは、誘導機構として複数のスロット606A’を有するTiB
2基材602’’と、TiB
2基材602’’の半分、つまり前部を覆う固体アルミニウム金属612’’との実施形態の断面側面図である。固体アルミニウム金属612’’は、基部608’’および先端部610’’の前半分を覆う。
図6Hは、
図6Gに示す破線6Hに沿って切り取られた部分断面図であり、
図6Gでは、複数のスロット606A’’のうちの一つのスロット606A’’のみが示されている。固体アルミニウム金属612’’は、スロット606A’’の前半分を覆う。
【0211】
図6Iは、誘導機構として複数のスロット606A’’’を有する基部608’’’および先端部610’’’と、複数のスロット606A’’’に固体アルミニウム金属612’’’と、を備えるTiB
2基材602’’’の実施形態の側面図である。
図6Jは、
図6Iに示す破線6Jに沿って切り取られた部分断面図であり、
図6Iでは、複数のスロット606A’’’のうちの一つのスロット606A’’’のみが示されている。
図6Iおよび6Jの実施形態では、TiB
2基材602’’’の外面上に固体アルミニウム金属612’’’はない。固体アルミニウム金属612’’’は、スロット606A’’’のスロット容積を完全に充填する。
【0212】
図6Kは、一実施形態の正面図であり、TiB
2基材602’’’’が誘導機構として複数のスロット606A、606B、606B(まとめて、スロット606’’’’)を有し、固体アルミニウム金属612’’’’が、スロット606の一部を覆っているか、または全く覆わない。
図6Lは、
図6Kに示される実施形態の第一の側面図である。
図6Kは、基部608’’’’および先端部610’’’’を有するTiB
2基材602’’’’を示す。スロット606’’’’は、様々な長さ、厚さ、および量の固体アルミニウム金属612’’’’を有する。
【0213】
スロット606Aについては、スロット長さは、TiB2基材602’’’’の先端部610’’’’までは延在しない。スロット606Aのトップ部は、固体アルミニウム金属612’’’’を含まない。スロット606Aの底部は、固体アルミニウム金属612’’’’を含む。スロット606Bについては、スロット長さは、基部608’’’’のトップ部から先端部610’’’’まで延在する。スロット606Bは、固体アルミニウム金属612’’’’を含まない。スロット606Cは、スロット606Aおよび606Bと同じ場所から始まらない。スロット606Cの始まりは、TiB2基材602’’’’のさらに上で始まる。スロット606Cは、底部および上部に固体アルミニウム金属612’’’’を有するが、スロット606Cの中央には存在しない。
【0214】
図6Mは、TiB
2基材602’’’’’の実施形態の正面図であり、表面領域620’’’’’は、誘導機構として複数のスロット606’’’’’を有する表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’と、誘導機構が全くない表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’と、を有する。突起604’’’’’は、複数のスロット606’’’’’を画成する。
図6Nは、
図6Mに示される実施形態の第一の側面図であり、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’には誘導機構が全くない。
【0215】
TiB2基材602’’’’’は、表面領域620’’’’’を備え、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、少なくとも一つの誘導機構を備え、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’には誘導機構が全くない。
【0216】
いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも部分的に覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも1%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも5%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも10%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも15%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも20%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも25%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも30%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも35%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも40%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも45%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも50%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも55%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも60%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも65%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも70%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも75%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも80%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも85%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも90%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも95%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも100%覆われる。
【0217】
いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも部分的に覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも1%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも5%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも10%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも15%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも20%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも25%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも30%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも35%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも40%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも45%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも50%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも55%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも60%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも65%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも70%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも75%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも80%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも85%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも90%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも95%覆われる。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第二の部分624’’’’’は、固体アルミニウム金属によって少なくとも100%覆われる。
【0218】
いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’および/または第二の部分624’’’’’を覆う固体アルミニウム金属は、膜の形態である。いくつかの実施形態では、膜は、1μm~500μmの厚さを備える。いくつかの実施形態では、表面領域620’’’’’の第一の部分622’’’’’および/または第二の部分624’’’’’には、固体アルミニウム金属がない。
【0219】
図7Aは、製品700の一実施形態の正面図であり、TiB
2基材702が誘導機構としてスロット706を有し、固体アルミニウム金属712がTiB
2基材702を覆っている。
図7Aでは、固体アルミニウム金属712の一部が、周囲にまたは透明に示され、基材702の表面構造を明らかにしている。第一の突起704Aおよび第二の突起704Bは、基部708から上方向に延在するスロット706を画成する。
図7Bは、
図7Aに示す破線7Bに沿って切り取られた断面である。
図7Cは、
図7Aに示す7Cに沿って切り取られた断面の第一の側面図である。
【0220】
図7Dは、製品700’の一実施形態の正面図であり、TiB
2基材702’が誘導機構としてスロット706’を有し、固体アルミニウム金属712’がスロット706’の一部を覆っている。第一の突起704A’および第二の突起704B’は、基部708’から上方向に延在し、それによりスロット706’を画成する。
図7Eは、
図7Dに示す破線7Eに沿って切り取られた断面である。
図7Eに示すように、スロット706’の中間部714’には、固体アルミニウム金属712’がない。スロット706’の前部および背部は、固体アルミニウム金属712’を有するものとして示されている。
図7Fは、
図7Dに示される実施形態の第一の側面図である。
【0221】
図7D、7E、および7Fに示す実施形態と、
図7A、7B、および7Cに示す実施形態は、本明細書で説明する相違点を除いて、同じかまたは類似している。例えば、TiB
2基材702/702’を覆う固体アルミニウム金属712/712’の量は、実施形態によって異なる。
図7A、7B、および7Cの実施形態では、固体アルミニウム金属712は、TiB
2基材702のほぼ全体を覆う。基部708の一部のみが、固体アルミニウム金属712で覆われる。スロット706には、固体アルミニウム金属712が完全に入っている。これに対して、
図7D、7E、および7Fは、TiB
2基材702’の外側に固体アルミニウム金属712’がない。スロット706’の一部のみが、固体アルミニウム金属712’で充填されている。
【0222】
図7A、7B、7C、7D、7E、および7Fは、
図3A、3B、および3Cの実施形態と同じかまたは類似している。一つの相違点は、
図3A、3B、および3Cには、TiB2基材表面上の固体アルミニウム金属も、それらの少なくとも一部を覆う固体アルミニウム金属も示されていないことである。
図6A~6Nの実施形態の固体アルミニウム金属の説明はまた、
図7A~7Fの固体アルミニウム金属にあてはまる。
【0223】
図8Aは、製品800の一実施形態の正面図であり、TiB
2基材802が誘導機構として複数の溝806を有し、固体アルミニウム金属812がTiB
2基材802を覆っている。
図8Aでは、固体アルミニウム金属812の一部が、周囲にまたは透明に示され、基材802の表面構造を明らかにしている。
図8Bは、
図8Aに示す線8Bに沿って切り取られた断面の第一の側面図である。
図8Cは、
図8Aにおいて破線によって示される、
図8Aに示される実施形態の拡大部分断面図である。
図8Cは、第一の溝806A、第二の溝806B、および第三の溝806Cの図を含む。
【0224】
図8Dは、製品800’の一実施形態の背面図であり、TiB
2基材802’が誘導機構として複数の溝806’を有し、固体アルミニウム金属812’がTiB
2基材802’の前半分を覆っている。
図8Eは、
図8Dに示す線8Eに沿って切り取られた断面の第一の側面図である。
図8Fは、
図8Fにおいて破線の円で示される、
図8Dに示される実施形態の拡大部分断面図である。
【0225】
図8D、8E、および8Fに示す実施形態と、
図8A、8B、および8Cに示す実施形態は、本明細書で説明する相違点を除いて、同じかまたは類似している。例えば、TiB
2基材802/802’を覆う固体アルミニウム金属812/812’の量は、実施形態によって異なる。
図8A、8B、および8Cの実施形態では、固体アルミニウム金属812は、TiB
2基材802を完全に覆っている。これに対して、
図8D、8E、および8Fの固体アルミニウム金属812’は、TiB
2基材802’の前半分のみを覆う。
【0226】
図8A、8B、8C、8D、8E、および8Fの実施形態は、
図4A、4B、4C、および4Dの実施形態と同じかまたは類似している。一つの相違点は、
図4A、4B、4C、および4Dには、TiB
2基材表面上の固体アルミニウム金属が示されていないことである。
図8A、8B、8C、8D、8E、および8Fには、TiB
2基材上に固体アルミニウム金属812/812’が示されている。
図6A~6Nおよび
図7A~7Fの実施形態の固体アルミニウム金属612/712の説明はまた、
図8A~8Fの固体アルミニウム金属812/812’にあてはまる。
【0227】
図8A~8Fでは、少なくとも一つの誘導機構は溝806/806’であり、固体アルミニウム金属812/812’は溝806/806’内に少なくとも部分的に入っている。少なくとも一つの溝806/806’は、溝容積を備える。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも1%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも5%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも10%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも15%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも20%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも25%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも30%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも35%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも40%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも45%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも50%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも55%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも60%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも65%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも70%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも75%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも80%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも85%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも90%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも95%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属812/812’は、溝容積の少なくとも100%を占める。
【0228】
図9は、いくつかの実施形態による、細孔904および固体アルミニウム金属906を有するTiB
2基材902の製品900の実施形態の一部の拡大図である。いくつかの実施形態では、TiB
2基材902は、TiB
2のウェブ、例えばスポンジ状構造である。
【0229】
いくつかの実施形態では、製品900は、TiB2のウェブのTiB2基材902と、TiB2基材902のウェブの表面を少なくとも部分的に覆う固体アルミニウム金属906と、を備える。TiB2基材902のウェブは、TiB2のウェブ内に細孔904を画成する。
【0230】
いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は空隙を有する。固体アルミニウム金属906は、固体アルミニウム金属906が細孔904に充填される場合、高温であってもよい。固体アルミニウム金属906が冷えると、固体アルミニウム金属906とTiB2基材902の細孔との間に空間(例えば、細孔または空隙)が存在する場合がある。細孔904は、TiB2基材902の細孔容積を画成する、TiB2基材902ウェブの空隙を有する。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも1%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも5%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも10%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも15%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも20%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも25%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも30%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも35%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも40%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも45%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも50%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも55%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも60%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも65%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも70%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも75%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも80%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも85%を占める。いくつかの実施形態では、固体アルミニウム金属906は、細孔容積の少なくとも90%を占める。
【0231】
TiB2基材902の空隙により、任意の好適な多孔質構造を有することができる。TiB2基材902の空隙は、相互連結された多孔質構造であってもよく、細孔の少なくとも一部は互いに流体連通し、第一の位置から第二の位置(例えば、第一の所定の位置から第二の所定の位置)への濡れ性材料の移動を容易にする。したがって、相互連結された多孔質構造は、開放細孔構造とみなされることができる。いくつかの実施形態では、TiB2基材902の空隙により、ランダムな多孔質構造が得られる。いくつかの実施形態では、TiB2基材902の空隙により、配向した多孔質構造である場合がある。いくつかの実施形態では、TiB2基材902の配向した多孔質構造の空隙は、空隙率勾配である場合がある。いくつかの実施形態では、TiB2基材902の配向した多孔質構造の空隙率勾配は、三次元勾配に沿って変化することができる(すなわち、空隙率勾配は、TiB2基材902のX軸、Y軸、およびZ軸に沿って変化する可能性がある)。いくつかの実施形態では、TiB2基材902の配向した多孔質構造の空隙率勾配は、TiB2基材902の中心に向かって増加または減少する。いくつかの実施形態では、TiB2基材902の配向した多孔質構造の空隙率勾配は、TiB2基材902全体にわたって増加および/または減少することができる。例えば、TiB2基材902の配向した多孔質構造の空隙率勾配は、TiB2基材902の一方の端部からTiB2基材902の他方の端部まで増加、減少し、その後増加することができる。
【0232】
アルミニウム精製セルは、本明細書に記載のTiB2基材のいずれかを備えることができる。いくつかの実施形態では、TiB2基材のうちの少なくとも一つはアルミニウム精製セルの電極である。いくつかの実施形態では、TiB2基材のうちの少なくとも一つは、誘導装置であり、誘導装置は、電流が印加されていない場合、液体アルミニウム金属を所定の方向に誘導するように構成される。
【0233】
製品は、少なくとも一つの誘導機構およびTiB2基材の表面を少なくとも部分的に覆う固体アルミニウム金属を有する、本明細書に記載のTiB2基材を備えることができる。固体アルミニウム金属は、少なくとも一つの誘導機構内に少なくとも部分的に入ることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの誘導機構は空隙容積を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも1%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも5%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも10%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも15%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも20%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも25%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも30%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも35%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも40%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも45%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも50%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも55%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも60%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも65%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも70%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも75%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも80%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも85%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも90%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも95%は、固体アルミニウム金属を含む。いくつかの実施形態では、空隙容積の少なくとも100%は、固体アルミニウム金属を含む。
【0234】
本開示は、概ねTiB2基材を指すが、誘導機構を有する他のセラミックおよび/またはサーメット基材が使用されてもよい。誘導機構を有する任意のセラミックおよび/またはサーメット基材は、任意の濡れ性金属とともに使用することができる。いくつかの実施形態では、任意の濡れ性金属は、セラミックおよび/またはサーメット基材を介した移動のための任意の好適な金属であってもよい。いくつかの実施形態では、好適な金属は、アルミニウム、例えば、アルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせであってもよい。一つの態様では、本開示は、誘導機構を備えるセラミック基材またはサーメット基材を有する製品に関し、誘導機構は、セラミック濡れ性材料またはサーメット濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成される。いくつかの実施形態では、基材はセラミック基材である。いくつかの実施形態では、セラミック基材は、TiB2基材、ZrB2基材、またはHfB2基材のうちの一つである。いくつかの実施形態では、セラミック濡れ性材料は、アルミニウム、例えばアルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせである。
【0235】
上記の開示の一部はTiB2およびアルミニウムに関してなされているが、本明細書に記載の装置、システム、および方法は、TiB2以外の他のセラミック材料および/またはサーメット材料に適用可能である。例えば、本明細書の開示は、金属濡れ性能力を有する他の金属ホウ化物(例えば、金属二ホウ化物)、二つだけ例を挙げると、例えばZrB2およびHfB2に同様に適用可能であり、その両方がアルミニウム濡れ性材料である。
【0236】
iii.アルミニウム精製セル1000の立ち上げ
アルミニウム精製セル1000の立ち上げ中に、アルミニウム精製セル1000(例えば、アノード1090および/またはカソード1150)の電極が損傷する場合がある。電極が保護されていない場合、外部汚染物質、例えば電解質1110は、電極を損傷させる可能性がある。アルミニウム精製セル1000が定常状態で稼働している場合、溶融金属パッド1100の溶融金属を介した電極の濡れ性により、保護されることができる。いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000が立ち上げ段階を通過し、定常状態で、またはほぼ定常状態で稼働している場合、溶融金属パッド1100の溶融金属は、電極を湿らせて覆い、汚染物質から保護することができる。いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000の溶融金属パッド1100は、(アノード1090を保護する)底部の液体または(カソード1150を保護する)トップ部の液体のいずれかとすることができる。
【0237】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000が定常状態に達することができる前に、アルミニウム精製セル1000の電極を他の方法によって保護することができる。例えば、電極は、セクションiiに記載されるように、固体アルミニウム金属で覆われることができる。電極上の固体アルミニウム金属は、外部の汚染物質に対するバリアとなることができる。立ち上げ中、アルミニウム精製セル1000の電極の温度が上昇し始める。温度が電極上の固体アルミニウム金属の融点温度を超えて上昇するにつれて、固体アルミニウム金属は固体から液体へ相転移をする。固体から液体への相転移の間、液体は、電極を優先的に濡らし始め、電極の誘導機構を介して所定の方向に移動する(例えば、所定の方向は垂直および/または水平である)。これまでは固体であった、電極を覆っていた液体アルミニウム金属は、溶融金属パッド1100から溶融金属の流れを容易にすることになる。アルミニウム精製セル1000の定常状態での稼働中、固体アルミニウム金属および溶融金属パッド1100からの液体金属は電極を覆い、外部汚染物質から保護する。
【0238】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000は、最初に空の状態で加熱され、その後、液浴および液体アルミニウムがアルミニウム精製セル1000に入れられる。いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000の立ち上げは、立ち上げの初期に固体アルミニウム金属被覆によって電極が保護されるため、ドライバス(すなわち、未溶融浴)を備えてもよい。アルミニウム精製セル1000の立ち上げ中、アルミニウム精製セル1000内のドライバスは、セル予熱サイクル中に溶融されることができる。
【0239】
いくつかの実施形態では、アルミニウム精製セル1000を使用する方法は、アルミニウム精製セル1000の電解質1110によるアノード1090および/またはカソード1150(例えば、非炭素質基材)の腐食を制限または防止することを含む。いくつかの実施形態では、制限することまたは防止することは、アノード1090および/またはカソード1150を濡れ性材料(例えば、溶融金属パッド1100からの溶融材料)によって少なくとも部分的に覆うことを含む。制限することまたは防止することは、濡れ性材料によってアノード1090および/またはカソード1150の表面領域の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を覆うことを含む。濡れ性材料は、電解質1110によるアノード1090および/またはカソード1150の外面の接触を制限または防止することができる。
【0240】
いくつかの実施形態では、アノード1090および/またはカソード1150(例えば、非炭素質基材)の腐食を制限することまたは防止することは、非炭素質基材の温度が固体アルミニウム金属の融点温度より低い場合を含む。いくつかの実施形態では、制限することまたは防止することは、固体アルミニウムによってアノード1090および/またはカソード1150(例えば、非炭素質基材)を少なくとも部分的に覆うことによって達成されることができる。例えば、制限することまたは防止することは、固体アルミニウムによってアノード1090および/またはカソード1150(例えば、非炭素質基材)の表面領域の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を覆うことを含むことができる。固体アルミニウムは、電解質1110によるアノード1090および/またはカソード1150(例えば、非炭素質基材)の外面の接触を制限または防止することができる。
【0241】
iv.アルミニウム精製セルに誘導機構を有する基材を使用すること
アルミニウムを精製するための方法の一実施形態は、アノード1090に電流を供給することを含む。溶融金属パッド1100からの溶融アルミニウムを含む溶融材料は、アノード1090の垂直表面を這い上がる可能性がある。いくつかの実施形態では、溶融金属パッド1100からの溶融材料の這い上がりは、アルミニウム精製セル1000の稼働中に連続的に発生する可能性がある。いくつかの実施形態では、溶融材料は、アノード1090の露出面の本質的にすべてを覆うことができる。アノード1090の表面上の溶融アルミニウムは、アノード1090によって陽極酸化され、それによってアルミニウムイオンを生成することができる。アルミニウムイオンの少なくとも一部は、電解質1110を通ってカソード1150の表面上に運ばれてもよい。アルミニウムイオンの少なくとも一部は、カソード1150によって還元され、それによりカソード1150の表面上に精製アルミニウムを生成することができる。
【0242】
特定の機構または理論に束縛されるものではないが、考えられる一つの説明は、精製アルミニウム1120が、電解質1110内の精製アルミニウム1120の浮力により、カソード1150の表面を這い上がることである。したがって、精製アルミニウム1120は、電解質1110より上にある層として集まる傾向がある可能性がある。例えば、精製アルミニウム1120生成物と、電解質1110(例えば、電解質1110内の浴成分)と、(アルミニウム金属、不純物、および/または高密度化補助剤(例えば、密度を増加させるための添加剤)を有するアルミニウム原料1180を含む)溶融金属パッド1100との間の密度差に基づいて、溶融金属パッド1100は、溶融金属パッドゾーンが電解質ゾーンより下に構成されるように、電解質1110よりも大きな密度で構成される。
【0243】
いくつかの実施形態では、アノード1090および/またはカソード1150は、セクションiiに記載されるような誘導機構を備えることができる。誘導機構は、セクションiiに記載されるように、濡れ性材料(例えば、溶融金属パッド1100の溶融材料)がアノード1090およびカソード1150を這い上がることを支援することができる。
【実施例】
【0244】
実施例1-実験室規模の試験
<多孔質TiB2基材(TiB2発泡体)の製造>
【0245】
それぞれ約3インチ(H)×2インチ(W)×0.5インチ(D)の寸法の、四つの様々なTiB
2発泡体試料を、それぞれ約10、20、30および45PPIの空隙率を持つように製造した。TiB
2発泡体試料は、様々な細孔径のポリウレタン発泡体を、中にTiB
2粒子を有する水性スラリーに浸漬することによって製造された。その後、TiB
2被覆された発泡体を、画成されたギャップ厚さを有する一組の平行なローラーの間で圧延し、これにより浸透した発泡体は圧縮され、不要なスラリーは排出された。そして、圧延したTiB
2発泡体を乾燥オーブンに吊した。場合によっては、プロセスを繰り返し、被覆された発泡体を水性スラリー中に再浸漬し、その後、空気乾燥させた。そして、最終乾燥TiB
2発泡体を、約1850℃の温度で加熱することによって焼結した。
図10は、焼結された最終製品の実施例を示す。焼結された最終製品は、それぞれのポリウレタン発泡体の細孔径に対応する約10、20、30、および45PPIの細孔径を有する連続的に相互連結する細孔を有した。
図10に示すように、細孔構造は、流体が一つの所定の位置から別の所定の位置へ移動することを可能にする開放細孔構造である。
【0246】
<水の濡れ試験>
図11に示すように、(約10、20、30、および45PPIの)四つのTiB
2発泡体試料のそれぞれを、二枚のティッシュペーパーで、一枚のティッシュペーパーで試料のトップ部に、一枚のティッシュペーパーで試料の中央に巻いた。そして、TiB
2試料の底部を、試料の中央部よりかなり下の0.25インチの水中に配置し、毛管作用によって水の物質移動を促進する試料の能力を試験した。約12時間後、試料を評価した。約10PPI試料中のティッシュはいずれも湿っても濡れてもおらず、毛管作用が発生していなかったことを示していた。約20PPI試料では、中央部のティッシュが湿って、トップ部のティッシュは乾燥していた。これは、何らかの毛管作用が発生したことを示していた。約30および45PPIの試料の両方で、中央部およびトップ部のティッシュが濡れており、かなり大きな毛管作用が発生したことを示していた。
【0247】
<TiB2発泡体へのアルミニウム金属の浸透>
焼結TiB2発泡体を溶融アルミニウムに1分間浸漬し、その後、空冷した。完全に冷却した後、四つのTiB2発泡体試料のそれぞれを、三つの別々の別のるつぼ(以下でさらに説明するるつぼ#1、るつぼ#2、るつぼ#3)のグラファイト台の深さ約0.5インチのスロット中に配置した。三つのるつぼのそれぞれを炉内に設置し、アルゴン中で900℃に加熱した。精製された溶融アルミニウム組成物(純アルミニウムペレット)および溶融浴組成物を、各るつぼに入れた。溶融浴の組成は氷晶石系であり、NaF、AlF3、およびCaF2成分を含んでいた。
【0248】
四つのTiB
2発泡体試料、溶融アルミニウム、および氷晶石を有するるつぼを、900℃で約48時間保持した。
図12に示すように、るつぼ#1では、四つのTiB
2発泡体試料を溶融アルミニウムに48時間完全に浸漬した。るつぼ#2および#3では、四つのTiB
2発泡体試料を、それぞれ約1および2インチの溶融アルミニウムに部分的に浸漬し、残りの発泡体を溶融浴に48時間さらした。
【0249】
図13Aおよび
図13Bに示すように、900℃で48時間の試験後、どのるつぼでも四つのTiB
2発泡体試料では腐食は観察されず、発泡体の細孔によって促進される毛管作用によって試料が溶融アルミニウムによって濡らされたことを示していた。溶融アルミニウムは、TiB
2を氷晶石による腐食から保護する。
【0250】
実施例2-より大きな実験室規模の試験
<TiB2発泡体試料の製造>
【0251】
寸法のそれぞれが約16インチ(H)×2インチ(W)×0.5インチ(D)の二つの別々のTiB2発泡体試料を、実施例1の発泡体試料のプロセスによって製造した。二つのTiB2発泡体試料の焼結最終製品は、それぞれのポリウレタン発泡体の細孔径に対応する約20および30PPIの細孔径を有する連続的に相互連結する細孔を有していた。
【0252】
<TiB2発泡体へのアルミニウム金属の浸透>
二つの未処理のTiB2発泡体試料を、るつぼのグラファイト台の深さ約2インチのスロット中に配置した。グラファイト台に配置される前に、精製された溶融アルミニウム組成物(純アルミニウムペレット)および(氷晶石系であり、NaF、AlF3、およびCaF2成分を含む)溶融浴組成物を各るつぼに入れ、そして各るつぼを炉内に設置して、アルゴン中で900℃に加熱した。そして加熱後、二つのTiB2発泡体試料のそれぞれをるつぼに入れた。その後、TiB2発泡体試料、溶融アルミニウム、および氷晶石を有する各るつぼを900℃に保持した。そして、約10分間の試験後、二つのTiB2発泡体試料を、るつぼから取り出し、溶融アルミニウムを試料のトップ部で検出した。実施例1と同様に、二つのTiB2発泡体試料のいずれにも腐食は観察されず、発泡体の細孔によって促進される毛管作用によって試料が溶融アルミニウムで約14インチ濡れていたことを示していた。溶融アルミニウムは、TiB2を氷晶石による腐食から保護する。
【0253】
本開示の多くの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例示にすぎず、限定するものではなく、多くの変更が当業者に明らかになることが理解される。様々な工程は、任意の所望の順序で実施されてもよい(また、任意の所望の工程を追加してもよく、および/または任意の所望の工程を除去してもよい)。例えば、誘導機構(例えば、スロット、細孔、または溝)の形体および特性は、アルミニウム精製セルを備える製品および/またはTiB2基材のいずれかと一緒に、または単独で使用されることができる。実施形態のいずれかで説明した固体アルミニウム金属の形体および特性は、本明細書で説明する任意の他の実施形態で使用されることができる。誘導機構および固体アルミニウム金属被覆の例示的な実施形態は、網羅的であることを意図するものではない。本開示の形体および特性は、任意の方法で組み合わせることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム精製セルであって、
非炭素質基材であって、前記非炭素質基材が誘導機構を備える、非炭素質基材を備え、
前記誘導機構が、濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成される、アルミニウム精製セル。
【請求項2】
前記セルが、
セルチャンバーと、
前記セルチャンバー内の少なくとも一つのアノードと、
前記セルチャンバー内の少なくとも一つのカソードであって、前記少なくとも一つのカソードが、前記少なくとも一つのアノードのトップ部の少なくとも部分的に上にある、少なくとも一つのカソードと、を備える、請求項1に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項3】
前記濡れ性材料の少なくとも一部が、前記誘導機構内および/またはその上に配置される、請求項1に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項4】
前記濡れ性材料が金属を含む、請求項1に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項5】
前記金属が、少なくとも50重量パーセントのアルミニウムを含み、および前記金属が、アルミニウム合金、金属アルミニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項6】
前記誘導機構が、スロット、溝、細孔、チャネルおよびそれらの組み合わせからなる少なくとも一つを含む、請求項1に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項7】
前記誘導機構が、毛管作用によって所定の方向に濡れ性材料を誘導するように構成される、請求項1に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項8】
前記非炭素質基材が、TiB
2、電極を含む、請求項1に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項9】
(a)少なくとも一つの誘導機構を備える非炭素質基材と、
(b)前記非炭素質基材の表面を少なくとも部分的に覆う固体アルミニウム金属と、を備える、アルミニウム精製セル。
【請求項10】
前記固体アルミニウム金属の少なくとも一部が、前記誘導機構内および/またはその上に配置される、請求項9に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項11】
前記固体アルミニウム金属が、前記少なくとも一つの誘導機構内に少なくとも部分的に入っている、請求項10に記載のアルミニウム精製セル。
【請求項12】
(a)アルミニウム原料をアルミニウム精製セルに供給することであって、前記アルミニウム原料がアルミニウム金属を含み、前記アルミニウム精製セルが溶融金属パッドおよび電解質を含み、前記溶融金属パッドが前記電解質の密度よりも高い密度を有する、供給することと、
(b)少なくとも一つのアノードを通り、電解質を通って、少なくとも一つのカソードに通電することであって、
(i)前記少なくとも一つのアノードおよび前記少なくとも一つのカソードが、前記電解質に部分的に配置され、
(ii)前記少なくとも一つのアノードが前記溶融金属パッドに部分的に配置され、
(iii)前記少なくとも一つのアノードおよび前記少なくとも一つのカソードの少なくとも一つが、誘導機構を備える非炭素質基材であり、
(iv)前記誘導機構が、濡れ性材料を所定の方向に誘導するように構成される、通電することと、
(c)前記誘導機構によって、前記溶融金属パッドの前記アルミニウム金属を前記電解質に誘導することと、
(d)前記電解質中に少なくともいくらかのアルミニウムイオンを生成することと、
(e)前記アルミニウムイオンから精製アルミニウム生成物を製造することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記誘導工程が、毛管作用によって所定の方向に濡れ性材料を移動させることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つのアノードを第一の温度から動作温度へ加熱することを含み、
前記アノードの誘導機構の内またはその上に固体アルミニウム金属を含む前記少なくとも一つのアノードの第一の温度であり、
前記固体アルミニウム金属が、前記加熱工程中に液体アルミニウム金属への相変化に供される、請求項12に記載の方法。
【国際調査報告】