IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルコン インコーポレイティドの特許一覧

特表2024-540309眼科処置中の網膜における放射露光量の特定
<>
  • 特表-眼科処置中の網膜における放射露光量の特定 図1
  • 特表-眼科処置中の網膜における放射露光量の特定 図2
  • 特表-眼科処置中の網膜における放射露光量の特定 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】眼科処置中の網膜における放射露光量の特定
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61F9/008 120D
A61F9/008 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526625
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 IB2022059633
(87)【国際公開番号】W WO2023089403
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,259
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ゾルト ボル
(57)【要約】
特定の実施形態では、眼科レーザシステムは、レーザデバイスと、眼科顕微鏡と、z方向センサと、コントローラとを含む。レーザデバイスは、レーザビームを眼内の標的に向けて誘導する。眼科顕微鏡は、眼内の焦点から光を受け取って、焦点における対象物の画像を提供する。z方向センサは、眼科顕微鏡の焦点に対応するz位置を特定する。コントローラは、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるz位置を特定し、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるz位置を特定し、位置Zと位置Zとの間の差に従い、標的から網膜までの距離ΔZを算出し、且つ標的から網膜までの距離ΔZに従い、網膜における放射露光量Hを算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科レーザシステムであって、
レーザビームを眼内の標的に向けて誘導するように構成されたレーザデバイスであって、前記眼は、網膜を有し、前記眼の軸は、z軸を画定し、z位置は、前記z軸に対する位置である、レーザデバイスと、
前記眼内の焦点から光を受け取って、前記焦点における対象物の画像を提供するように構成された眼科顕微鏡と、
前記眼科顕微鏡の前記焦点に対応する前記z位置を特定するように構成されたz方向センサと、
コントローラであって、
位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼の前記網膜にある前記z位置を特定することと、
位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼内の前記標的にある前記z位置を特定することと、
前記位置Zと前記位置Zとの間の差に従い、標的から網膜までの距離ΔZを算出することと、
前記標的から網膜までの距離ΔZに従い、前記網膜における放射露光量Hを算出することと
を行うように構成されたコントローラと
を含む眼科レーザシステム。
【請求項2】
前記z方向センサは、前記眼科顕微鏡のベースの前記z位置を検出することにより、前記眼科顕微鏡の前記焦点に対応する前記z位置を特定するように構成される、請求項1に記載の眼科レーザシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記眼科顕微鏡の前記焦点を前記眼の前記網膜に自動調節することと、
前記z方向センサから、前記焦点に対応する前記z位置を特定することと
により、前記位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼の前記網膜にある前記z位置を特定するように構成される、請求項1に記載の眼科レーザシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼の前記網膜にあるというユーザ入力を受信することと、
前記z方向センサから、前記焦点に対応する前記z位置を特定することと
により、前記位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼の前記網膜にある前記z位置を特定するように構成される、請求項1に記載の眼科レーザシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記眼科顕微鏡の前記焦点を前記眼内の前記標的に自動調節することと、
前記z方向センサから、前記焦点に対応する前記z位置を特定することと
により、前記位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼内の前記標的にある前記z位置を特定するように構成される、請求項1に記載の眼科レーザシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼内の前記標的にあるというユーザ入力を受信することと、
前記z方向センサから、前記焦点に対応する前記z位置を特定することと
により、前記位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼内の前記標的にある前記z位置を特定するように構成される、請求項1に記載の眼科レーザシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記網膜上の前記レーザビームのレーザスポットサイズを特定することと、
前記標的から網膜までの距離ΔZと、前記レーザビームの前記レーザスポットサイズとに従って前記放射露光量Hを算出することと
により、前記標的から網膜までの距離ΔZに従って前記放射露光量Hを算出するように構成される、請求項1に記載の眼科レーザシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記レーザビームのレーザパルスエネルギーEを所与として、前記眼が治療され得る、標的から網膜までの最近接距離ΔZを算出するように更に構成される、請求項1に記載の眼科レーザシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記標的から網膜までの距離ΔZを所与として、前記眼が治療され得る最大レーザパルスエネルギーEを算出するように更に構成される、請求項1に記載の眼科レーザシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記眼が治療され得るレーザパルスエネルギーE値の範囲及び標的から網膜までの距離ΔZ値の範囲を算出するように更に構成される、請求項1に記載の眼科レーザシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記放射露光量Hが最大放射露光量を超えているかどうかを判定することと、
前記放射露光量Hが最大放射露光量を超えている場合、前記レーザデバイスが前記レーザビームを前記眼内の前記標的に向けて誘導することを防止することと、
そうでなければ、前記レーザデバイスが前記レーザビームを前記眼内の前記標的に向けて誘導することを可能にすることと
を行うように更に構成される、請求項1に記載の眼科レーザシステム。
【請求項12】
レーザビームを眼内の標的に向けて誘導する方法であって、前記眼は、網膜を有し、前記眼の軸は、z軸を画定し、z位置は、前記z軸に対する位置であり、前記方法は、
眼科顕微鏡において、前記眼内の焦点から光を受け取って、前記焦点における対象物の画像を提供することと、
z方向センサにより、前記眼科顕微鏡の前記焦点に対応する前記z位置を特定することと、
コントローラにより、位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼の前記網膜にある前記z位置を特定することと、
前記コントローラにより、位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼内の前記標的にある前記z位置を特定することと、
前記コントローラにより、前記位置Zと前記位置Zとの間の差に従い、標的から網膜までの距離ΔZを算出することと、
前記コントローラにより、前記標的から網膜までの距離ΔZに従い、前記網膜における放射露光量Hを算出することと
を含む、方法。
【請求項13】
前記z方向センサにより、前記眼科顕微鏡の前記焦点に対応する前記z位置を前記特定することは、前記眼科顕微鏡のベースの前記z位置を検出することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コントローラにより、前記位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼の前記網膜にある前記z位置を前記特定することは、
前記眼科顕微鏡の前記焦点を前記眼の前記網膜に自動調節することと、
前記z方向センサから、前記焦点に対応する前記z位置を特定することと
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記コントローラにより、前記位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼の前記網膜にある前記z位置を前記特定することは、
前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼の前記網膜にあるというユーザ入力を受信することと、
前記z方向センサから、前記焦点に対応する前記z位置を特定することと
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記コントローラにより、前記位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼内の前記標的にある前記z位置を前記特定することは、
前記眼科顕微鏡の前記焦点を前記眼内の前記標的に自動調節することと、
前記z方向センサから、前記焦点に対応する前記z位置を特定することと
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記コントローラにより、前記位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼内の前記標的にある前記z位置を前記特定することは、
前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼内の前記標的にあるというユーザ入力を受信することと、
前記z方向センサから、前記焦点に対応する前記z位置を特定することと
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記コントローラにより、前記標的から網膜までの距離ΔZに従って前記放射露光量Hを前記算出することは、
前記網膜上の前記レーザビームのレーザスポットサイズを特定することと、
前記標的から網膜までの距離ΔZと、前記レーザビームの前記レーザスポットサイズとに従って前記放射露光量Hを算出することと
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記レーザビームのレーザパルスエネルギーEを所与として、前記眼が治療され得る、標的から網膜までの最近接距離ΔZを算出することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記標的から網膜までの距離ΔZを所与として、前記眼が治療され得る最大レーザパルスエネルギーEを算出することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記眼が治療され得るレーザパルスエネルギーE値の範囲及び標的から網膜までの距離ΔZ値の範囲を算出することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記放射露光量Hが最大放射露光量を超えているかどうかを判定することと、
前記放射露光量Hが最大放射露光量を超えている場合、レーザデバイスが前記レーザビームを前記眼内の前記標的に向けて誘導することを防止することと、
そうでなければ、前記レーザデバイスが前記レーザビームを前記眼内の前記標的に向けて誘導することを可能にすることと
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
眼科レーザシステムであって、
レーザビームを眼内の標的に向けて誘導するように構成されたレーザデバイスであって、前記眼は、網膜を有し、前記眼の軸は、z軸を画定し、z位置は、前記z軸に対する位置である、レーザデバイスと、
前記眼内の焦点から光を受け取って、前記焦点における対象物の画像を提供するように構成された眼科顕微鏡と、
前記眼科顕微鏡のベースの前記z位置を検出することにより、前記眼科顕微鏡の前記焦点に対応する前記z位置を特定するように構成されたz方向センサと、
コントローラであって、
前記眼科顕微鏡の前記焦点を前記眼の前記網膜に自動調節するか、又は前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼の前記網膜にあるというユーザ入力を受信すること、及び
前記z方向センサから、前記焦点に対応する前記z位置を特定すること
により、位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼の前記網膜にある前記z位置を特定することと、
前記眼科顕微鏡の前記焦点を前記眼内の前記標的に自動調節するか、又は前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼内の前記標的にあるというユーザ入力を受信すること、及び
前記z方向センサから、前記焦点に対応する前記z位置を特定すること
により、位置Z、前記眼科顕微鏡の前記焦点が前記眼内の前記標的にある前記z位置を特定することと、
前記位置Zと前記位置Zとの間の差に従い、標的から網膜までの距離ΔZを算出することと、
前記網膜上の前記レーザビームのレーザスポットサイズを特定すること、及び
前記標的から網膜までの距離ΔZと、前記レーザビームの前記レーザスポットサイズとに従って放射露光量Hを算出すること
により、前記標的から網膜までの距離ΔZに従い、前記網膜における前記放射露光量Hを算出することと、
前記レーザビームのレーザパルスエネルギーEを所与として、前記眼が治療され得る、標的から網膜までの最近接距離ΔZを算出することと、
前記標的から網膜までの距離ΔZを所与として、前記眼が治療され得る最大レーザパルスエネルギーEを算出することと、
前記眼が治療され得るレーザパルスエネルギーE値の範囲及び標的から網膜までの距離ΔZ値の範囲を算出することと、
前記放射露光量Hが最大放射露光量を超えているかどうかを判定することと、
前記放射露光量Hが最大放射露光量を超えている場合、前記レーザデバイスが前記レーザビームを前記眼内の前記標的に向けて誘導することを防止することと、
そうでなければ、前記レーザデバイスが前記レーザビームを前記眼内の前記標的に向けて誘導することを可能にすることと
を行うように構成されたコントローラと
を含む眼科レーザシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、眼科システム及び方法に関し、より詳細には、眼科処置中の網膜における放射露光量を特定するための眼科システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科レーザ手術中、外科医は、眼を治療するためにレーザビームを眼内に誘導し得る。例えば、眼浮遊物を除去するためにレーザビームが硝子体中に誘導され得る。眼浮遊物は、硝子体中に形成されるコラーゲンタンパク質の塊である。これらの塊は、移動する影及び歪みによって視界を妨げ、ときに視界を遮ることがある。浮遊物を分解し、したがって視力を改善するために、レーザビームが使用され得る。しかしながら、他の眼科レーザ手術と同様に、レーザ放射への眼の過剰な露光を避けるために注意を払わなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の実施形態では、眼科レーザシステムは、レーザデバイスと、眼科顕微鏡と、z方向センサと、コントローラとを含む。レーザデバイスは、網膜を有する眼内の標的に向けてレーザビームを誘導する。眼の軸は、z軸を画定し、z位置は、z軸に対する位置である。眼科顕微鏡は、眼内の焦点から光を受け取って、焦点における対象物の画像を提供する。z方向センサは、眼科顕微鏡の焦点に対応するz位置を特定する。コントローラは、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるz位置を特定し、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるz位置を特定し、位置Zと位置Zとの間の差に従い、標的から網膜までの距離ΔZを算出し、且つ標的から網膜までの距離ΔZに従い、網膜における放射露光量Hを算出する。
【0004】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてよいか、1つ、いくつか又は全てを含み得る。
【0005】
*z方向センサは、眼科顕微鏡のベースのz位置を検出することにより、眼科顕微鏡の焦点に対応するz位置を特定する。
【0006】
*コントローラは、眼科顕微鏡の焦点を眼の網膜に自動調節することと、z方向センサから、焦点に対応するz位置を特定することとにより、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるz位置を特定する。
【0007】
*コントローラは、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるというユーザ入力を受信することと、z方向センサから、焦点に対応するz位置を特定することとにより、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるz位置を特定する。
【0008】
*コントローラは、眼科顕微鏡の焦点を眼内の標的に自動調節することと、z方向センサから、焦点に対応するz位置を特定することとにより、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるz位置を特定する。
【0009】
*コントローラは、眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるというユーザ入力を受信することと、z方向センサから、焦点に対応するz位置を特定することとにより、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるz位置を特定する。
【0010】
*コントローラは、網膜上のレーザビームのレーザスポットサイズを特定することと、標的から網膜までの距離ΔZと、レーザビームのレーザスポットサイズとに従って放射露光量Hを算出することとにより、標的から網膜までの距離ΔZに従って放射露光量Hを算出する。
【0011】
*コントローラは、レーザビームのレーザパルスエネルギーEを所与として、眼が治療され得る、標的から網膜までの最近接距離ΔZ、標的から網膜までの距離ΔZを所与として、眼が治療され得る最大レーザパルスエネルギーE並びに/又は眼が治療され得るレーザパルスエネルギーE値の範囲及び標的から網膜までの距離ΔZ値の範囲を更に算出する。
【0012】
*コントローラは、更に、放射露光量Hが最大放射露光量を超えているかどうかを判定し、放射露光量Hが最大放射露光量を超えている場合、レーザデバイスがレーザビームを眼内の標的に向けて誘導することを防止し、且つそうでなければ、レーザデバイスがレーザビームを眼内の標的に向けて誘導することを可能にする。
【0013】
特定の実施形態では、方法は、網膜を有する眼内の標的に向けてレーザビームを誘導する。眼の軸は、z軸を画定し、z位置は、z軸に対する位置である。方法は、眼科顕微鏡において、眼内の焦点から光を受け取って、焦点における対象物の画像を提供することと、z方向センサにより、眼科顕微鏡の焦点に対応するz位置を特定することと、コントローラにより、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるz位置を特定することと、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるz位置を特定することと、位置Zと位置Zとの間の差に従い、標的から網膜までの距離ΔZを算出することと、標的から網膜までの距離ΔZに従い、網膜における放射露光量Hを算出することとを含む。
【0014】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてよいか、1つ、いくつか又は全てを含み得る。
【0015】
*z方向センサにより、眼科顕微鏡の焦点に対応するz位置を特定することは、眼科顕微鏡のベースのz位置を検出することを更に含む。
【0016】
*コントローラにより、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるz位置を特定することは、眼科顕微鏡の焦点を眼の網膜に自動調節することと、z方向センサから、焦点に対応するz位置を特定することとを更に含む。
【0017】
*コントローラにより、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるz位置を特定することは、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるというユーザ入力を受信することと、z方向センサから、焦点に対応するz位置を特定することとを更に含む。
【0018】
*位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるz位置を特定することは、眼科顕微鏡の焦点を眼内の標的に自動調節することと、z方向センサから、焦点に対応するz位置を特定することとを更に含む。
【0019】
*位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるz位置を特定することは、眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるというユーザ入力を受信することと、z方向センサから、焦点に対応するz位置を特定することとを更に含む。
【0020】
*標的から網膜までの距離ΔZに従って放射露光量Hを算出することは、網膜上のレーザビームのレーザスポットサイズを特定することと、標的から網膜までの距離ΔZと、レーザビームのレーザスポットサイズとに従って放射露光量Hを算出することとを含む。
【0021】
*方法は、レーザビームのレーザパルスエネルギーEを所与として、眼が治療され得る、標的から網膜までの最近接距離ΔZ、標的から網膜までの距離ΔZを所与として、眼が治療され得る最大レーザパルスエネルギーE並びに/又は眼が治療され得るレーザパルスエネルギーE値の範囲及び標的から網膜までの距離ΔZ値の範囲を算出することを更に含む。
【0022】
*方法は、放射露光量Hが最大放射露光量を超えているかどうかを判定することと、放射露光量Hが最大放射露光量を超えている場合、レーザデバイスがレーザビームを眼内の標的に向けて誘導することを防止することと、そうでなければ、レーザデバイスがレーザビームを眼内の標的に向けて誘導することを可能にすることとを更に含む。
【0023】
*特定の実施形態では、眼科レーザシステムは、レーザデバイスと、眼科顕微鏡と、z方向センサと、コントローラとを含む。レーザデバイスは、網膜を有する眼内の標的に向けてレーザビームを誘導する。眼の軸は、z軸を画定し、z位置は、z軸に対する位置である。眼科顕微鏡は、眼内の焦点から光を受け取って、焦点における対象物の画像を提供する。z方向センサは、眼科顕微鏡のベースのz位置を検出することにより、眼科顕微鏡の焦点に対応するz位置を特定する。コントローラは、眼科顕微鏡の焦点を眼の網膜に自動調節するか、又は眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるというユーザ入力を受信することと、z方向センサから、焦点に対応するz位置を特定することとにより、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるz位置を特定する。コントローラは、眼科顕微鏡の焦点を眼内の標的に自動調節するか、又は眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるというユーザ入力を受信することと、z方向センサから、焦点に対応するz位置を特定することとにより、位置Z、眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるz位置を特定する。コントローラは、位置Zと位置Zとの間の差に従い、標的から網膜までの距離ΔZを算出する。コントローラは、網膜上のレーザビームのレーザスポットサイズを特定することと、標的から網膜までの距離ΔZと、レーザビームのレーザスポットサイズとに従って放射露光量Hを算出することとにより、標的から網膜までの距離ΔZに従い、網膜における放射露光量Hを算出する。コントローラはまた、レーザビームのレーザパルスエネルギーEを所与として、眼が治療され得る、標的から網膜までの最近接距離ΔZと、標的から網膜までの距離ΔZを所与として、眼が治療され得る最大レーザパルスエネルギーEと、眼が治療され得るレーザパルスエネルギーE値の範囲及び標的から網膜までの距離ΔZ値の範囲とを算出する。コントローラはまた、放射露光量Hが最大放射露光量を超えているかどうかを判定し、放射露光量Hが最大放射露光量を超えている場合、レーザデバイスがレーザビームを眼内の標的に向けて誘導することを防止し、且つそうでなければ、レーザデバイスがレーザビームを眼内の標的に向けて誘導することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】特定の実施形態による眼科レーザシステムの一例を示す。
図2】特定の実施形態による、図1の眼科レーザシステムの眼科顕微鏡の焦点に対応するz位置を特定するz方向センサの一例を示す。
図3】特定の実施形態による、図1の眼科レーザシステム10のコントローラによって実行され得る、眼を治療する方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、説明及び図面を参照して、開示される装置、システム及び方法の例示的な実施形態を詳細に示す。説明及び図面は、網羅的であることも、又は他に図面に示され、且つ説明で開示される特定の実施形態に特許請求の範囲を限定することも意図しない。図面は、可能な実施形態を表すが、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、実施形態をよりよく示すために特定の特徴部を簡略化、誇張、削除又は部分的に分割している場合がある。
【0026】
特定の実施形態では、眼科レーザシステムにより、眼科処置中のレーザ放射への網膜の過剰な露光が避けられる。レーザシステムは、レーザデバイスと、眼科顕微鏡と、z方向センサとを有する。z方向センサは、システムのベースプレートのz位置を測定する。ベースプレートのz位置は、顕微鏡の焦点のz位置、したがって顕微鏡の焦点が合わせられた対象物(例えば、浮遊物又は網膜)のz位置を示す。実施形態では、z方向センサは、標的(浮遊物など)と網膜との間の距離を特定するために使用される。レーザシステムは、網膜までの距離から網膜における放射露光量を算出し、算出された放射露光量を使用して、最大放射露光量を超える放射への網膜の過剰な露光を避けるための措置を講じる。
【0027】
図1は、特定の実施形態による眼科レーザシステム10の一例を示す。眼科レーザシステム10により、術者が(術者の眼12を用いて)患者の患者眼14に対して眼科レーザ処置を実行することが可能となる。特定の状況では、眼科レーザシステム10は、レーザビトレオライシスを実行する目的で、硝子体浮遊物などの硝子体中の標的にレーザビームを誘導するために使用される。眼科レーザシステム10により、術者が眼内の浮遊物を視認し、次いでレーザビームを誘導して浮遊物を破砕することを可能にする。
【0028】
図示の例では、眼科レーザシステム10は、図示のように結合された接眼レンズ20、レーザ送達ヘッド22、照明器(細隙灯26など)、位置決めデバイス(ジョイスティック28など)、ベース30、z方向センサ33及びコンソール32を含む。レーザ送達ヘッド22は、図示のように結合された(遠位端35を備えた)レーザファイバ34、ズームシステム36、コリメータ38、ミラー40及び対物レンズ42を含む。細隙灯26は、光源43と、集光レンズ44と、可変アパーチャ45と、可変スリット板46と、投影レンズ47と、ミラー48とを含む。コンソール32は、図示のように結合されたコンピュータ(コントローラ50など)、レーザ52及びユーザインターフェース54を含む。
【0029】
概要として、眼科レーザシステム10は、レーザデバイス16(例えば、レーザ52、レーザファイバ34及びレーザ送達ヘッド22)と、眼科顕微鏡18(例えば、接眼レンズ20、対物レンズ42、ミラー48及び細隙灯26)とを含む。術者の眼12は、接眼レンズ20からミラー40、対物レンズ42及びミラー48を通る光路を利用して、患者の眼14を視認する。レーザビームは、レーザ52からレーザ送達ヘッド22及びミラー48を通るレーザ経路を辿って、患者の眼14を治療する。
【0030】
概要によれば、レーザデバイスは、レーザビームを患者の眼14内の標的に向けて誘導する。眼14の軸(例えば、視軸又は光軸)は、z軸を画定する。対象物のz位置は、z軸に対する対象物の位置である。眼科顕微鏡18は、眼14内の焦点から反射された光を受け取って、焦点における対象物の画像を提供する。z方向センサ33は、眼科顕微鏡の焦点に対応するz位置を特定する。コントローラ50は、眼科顕微鏡の焦点が眼14の網膜にある場合のz位置Zと、眼科顕微鏡の焦点が眼14内の標的にある場合のz位置Zとを特定する。コントローラ50は、z位置Zとz位置Zとの間の差を算出することにより、標的から網膜までの距離ΔZを算出し、標的から網膜までの距離ΔZに従い、網膜における放射露光量Hを算出する。
【0031】
より詳細には、特定の実施形態では、接眼レンズ20は、術者の眼12が患者の眼14を視認することを可能にする。レーザ送達ヘッド22は、コンソール32のレーザ52から患者の眼14にレーザビームを送達する。送達ヘッド22のレーザファイバ34は、レーザ52からのレーザビームをファイバ34の遠位端35に伝送する。ズームシステム36は、ファイバ34の遠位端35から出射するレーザビームのスポットサイズを変化させる光学要素を含む。光学要素は、光に作用(例えば、透過、反射、屈折、回折、コリメート、調整、整形、集束、変調及び/又は他の方法で作用)することができる。コリメータ38は、レーザビームをコリメートし、ミラー40は、ビームを集束させる、対物レンズ4を通してビームを誘導する。
【0032】
レーザシステム10の照明器は、患者の眼14の手術部位を照明する光を提供する。特定の実施形態では、照明器は、細隙灯を含む。細隙灯26は、高輝度照明光などの光を発する光源43を含む。集光レンズ44は、光を可変アパーチャ45及び可変スリット板46に向けて誘導する。可変アパーチャ45は、y方向における光の高さを画定し、可変スリット板46は、x方向における光の幅を画定して、光をスリット形状に成形する。投影レンズ47は、光をプリズムミラーに向けて誘導し、プリズムミラーは、スリット状の光を患者の眼14内に誘導する。
【0033】
ベース30は、レーザ送達ヘッド22と細隙灯26とを支持する。ジョイスティック28は、ベース30をz及びy方向に移動させる。コンソール32は、システム10の動作をサポートする構成要素を含む。コンソール32のコントローラ50は、システム10の構成要素、例えばジョイスティック28、ベース30、レーザ送達ヘッド22、細隙灯26、レーザ52及び/又はユーザインターフェース54の動作を制御するコンピュータである。例えば、ジョイスティック28からの命令に応答して、コントローラ50は、その命令に従ってレーザ送達ヘッド22を移動させる。レーザ52は、エネルギーを1点に集中させる円錐状のエネルギープロファイルを有するレーザビームを供給する。任意の適切なレーザ52、例えば任意の適切な結晶(例えば、Nd:YAG、エルビウム:YAG、Ti:サファイア又はルビー)を有するフェムト秒又はナノ秒レーザが使用され得る。レーザビームは、例えば、500nm~1200nmの範囲の、任意の適切な波長を有し得る。ユーザインターフェース54は、術者とシステム10との間で情報の通信を行う。
【0034】
z方向センサ33は、ベース30の移動を検出することによって眼科顕微鏡18の焦点に対応するz位置を特定する。z方向センサ33は、ベース30の移動を検出できる任意の適切なセンサであり得る。このようなセンサの例としては、線形センサ、容量センサ、誘導センサ、ホール効果ベースのセンサ、磁気センサ、磁気抵抗センサ、光学センサ、超音波センサ、干渉センサ、回折格子ベースのセンサ及び/又は画像ベースのセンサが挙げられる。いくつかの例では、センサは、細隙灯26のラックアンドピニオンの移動を検出する回転センサであり得る。
【0035】
図2は、特定の実施形態による、図1の眼科レーザシステム10の眼科顕微鏡60(60a、60b)の焦点62(62a、62b)に対応するz位置を特定するz方向センサ33の一例を示す。特定の実施形態では、z方向センサ33は、眼科顕微鏡のベース30(30a、30b)のz位置を検出することによって眼14内の焦点に対応するz位置を特定する。ベース30は、顕微鏡18の焦点を決定する眼科顕微鏡18の1つ又は複数の構成要素(例えば、対物レンズ42)を移動させるため、ベース30の移動は、顕微鏡18の焦点の移動を示す。
【0036】
図示の例では、眼14は、z軸58を画定する軸(例えば、視軸又は光軸)を有する。この例では、ベース30は、ベース30の特定点がz位置にあるときに特定のz位置にある。例えば、ベース30aは、ベース30の点がz位置zにあるため、z位置zにあり、ベース30bは、ベース30の点がz位置zにあるため、z位置zにある。z方向センサ33は、ベース30のz位置を記録する。
【0037】
ベース30のz位置は、眼科顕微鏡60の焦点62のz位置を示す。例えば、z位置zにおけるベース30aは、焦点62aがz位置z’にあることを示し、z位置zにおけるベース30bは、焦点62bがz位置z’にあることを示す。したがって、ベース30のz位置zは、顕微鏡60の焦点が合わせられた対象物のz位置z’も示す。対象物は、眼の特徴(例えば、網膜)又は眼内の標的(例えば、浮遊物)であり得る。その上、ベース30のz位置z1とz2との間の差は、顕微鏡60の焦点が合わせられた焦点62又は対象物のz位置z’1とz’2との間の差に少なくとも比例するか又はそれと同等であり得る。
【0038】
特定の実施形態では、コントローラ50は、z方向センサ33からのベース30のz位置を眼内の対象物のz位置z’の指標として使用する。例えば、コントローラ50は、眼科顕微鏡60の焦点が眼内の対象物(例えば、網膜又は浮遊物)に合わせられており、すなわち対象物に焦点が合っており、焦点が対象物にあるというユーザ入力を受信する。これに応答して、コントローラ50は、z方向センサ33を使用してベース30の対応するz位置zを特定する。別の例として、コントローラ50は、対象物上に焦点が自動調節された眼科顕微鏡60から入力を受信し、これに応答して、コントローラ50は、z方向センサ33を使用してベース30の対応するz位置zを特定する。
【0039】
図3は、特定の実施形態による、図1の眼科レーザシステム10のコントローラ50によって実行され得る、眼を治療する方法の一例を示す。方法の概要として、眼科レーザシステム10は、標的から網膜までの距離を測定し、その距離に従って網膜への放射露光量を特定し、ユーザインターフェースを介して情報を提供し、且つ/又は網膜の過剰な露光を避けるために放射露光量に応じて治療を調整する。
【0040】
方法は、ステップ110で始まり、このステップ110では、コントローラ50は、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるz位置Zを特定する。特定の実施形態では、コントローラ50は、眼科顕微鏡の焦点を眼の網膜に自動調節することと、z方向センサを使用して、焦点に対応するz位置を特定することとによってz位置Zを特定する。他の実施形態では、コントローラ50は、眼科顕微鏡の焦点が眼の網膜にあるというユーザ入力を受信することと、z方向センサを使用して、焦点に対応するz位置を特定することとによってz位置Zを特定する。
【0041】
コントローラ50は、ステップ112において、焦点が標的にあるz位置Zを特定する。特定の実施形態では、コントローラ50は、眼科顕微鏡の焦点を眼内の標的に自動調節することと、z方向センサを使用して、焦点に対応するz位置を特定することとによってz位置Zを特定する。他の実施形態では、コントローラ50は、眼科顕微鏡の焦点が眼内の標的にあるというユーザ入力を受信することと、z方向センサを使用して、焦点に対応するz位置を特定することとによってz位置Zを特定する。
【0042】
標的から網膜までの距離ΔZがステップ114で算出される。コントローラ50は、位置Zと位置Zとの間の差から、標的から網膜までの距離ΔZを算出する。網膜における放射露光量Hがステップ116で算出される。コントローラ50は、網膜上のレーザビームのレーザスポットサイズを特定することと、標的から網膜までの距離ΔZと、網膜上のレーザスポットサイズとに従って放射露光量Hを算出することとによって放射露光量Hを算出する。例えば、レーザスポット直径Φは、Φ=2*ΔZ*tanαに従って算出され得、ここで、αは、レーザビームの円錐の既知の半角を表す。放射露光量Hは、
=4*E/Φ*π=4*E/(2*ΔZ*tanα)π (1)
に従って算出され得、ここで、Eは、レーザパルスのエネルギーである。
【0043】
コントローラ50は、算出された放射露光量Hを所与として、眼を安全に治療できる値を算出するために、ステップ120、122及び/又は124を任意選択的に実行し得る。放射露光量Hは、一般に認められた基準に従って決定され得る最大放射露光量未満であるべきである。例えば、最大放射露光量は、ANSI Z80.36-2016に従って設定され得る。
【0044】
レーザパルスエネルギーEを所与として、標的から網膜までの最近接距離ΔZがステップ120で式(1)に従って算出され得る。例えば、放射露光量Hと、標的から網膜までの距離ΔZとを所与として、H=4*E/(2*ΔZ*tanα)πが最大放射露光量未満となるような最大レーザパルスエネルギーEが決定され得る。
【0045】
標的から網膜までの距離ΔZを所与として、最大レーザエネルギーEがステップ122で式(1)に従って算出され得る。例えば、放射露光量Hと、標的から網膜までの距離ΔZとを所与として、H=4*E/(2*ΔZ*tanα)πが最大放射露光量未満となるような最大レーザパルスエネルギーEが決定され得る。
【0046】
より一般に、眼が治療され得るレーザパルスエネルギーE値及び標的から網膜までの距離ΔZ値がステップ124で算出され得る。例えば、放射露光量HとレーザパルスエネルギーEの範囲とを所与として、H=4*E/(2*ΔZ*tanα)πが最大放射露光量未満となるような標的から網膜までの距離ΔZの範囲が決定され得る。別の例として、放射露光量Hと、標的から網膜までの適切な距離ΔZの範囲とを所与として、H=4*E/(2*ΔZ*tanα)πが最大放射露光量未満となるような最大レーザパルスエネルギーEの範囲が決定され得る。
【0047】
特定の実施形態では、コントローラ50は、ステップ120、122及び/又は124からの算出された放射露光量H及び/又は算出された値を、ユーザインターフェースを介して術者に出力し得る。実施形態では、コントローラ50は、算出された値を選択し、選択された値に従ってシステム10を調整する術者からのユーザ入力も受信し得る。
【0048】
コントローラ50は、ステップ130において、放射露光量Hが最大放射露光量を超えていると判定し得る。放射露光量Hが最大放射露光量を超えている場合、コントローラ50は、ステップ132に進み、レーザデバイスがレーザビームを標的に向けて誘導することを防止する。追加的又は代替的に、コントローラ50は、ユーザインターフェースを介して警報(例えば、音声警報及び/又は視覚警報)を提供し得る。放射露光量Hが最大放射露光量を超えていない場合、コントローラ50は、ステップ134に進み、レーザデバイスがレーザビームを標的に向けて誘導することを可能にする。次に、本方法が終了する。
【0049】
本明細書に開示のシステム及び装置の構成要素(コントローラ50など)は、インターフェース、ロジック及び/又はメモリを含み得、これらの任意のものは、コンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。インターフェースは、構成要素への入力を受信し、且つ/又は構成要素からの出力を送信することができ、通常、例えばソフトウェア、ハードウェア、周辺機器、ユーザ及びこれらの組み合わせ間で情報を交換するために使用される。ユーザインターフェースは、コンピュータと通信する(例えば、コンピュータに入力を送信し、且つ/又はコンピュータから出力を受信する)ためにユーザが利用できるインターフェースの一種である。ユーザインターフェースの例としては、ディスプレイ、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャセンサ、マイク及びスピーカが挙げられる。
【0050】
ロジックは、構成要素の操作を行うことができる。ロジックは、データを処理する、例えば、命令を実行して入力から出力を生成する1つ又は複数の電子デバイスを含み得る。かかる電子デバイスの例としては、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))及びコンピュータチップが挙げられる。ロジックは、操作を行うために電子デバイスによって実行され得る命令を符号化するコンピュータソフトウェアを含み得る。コンピュータソフトウェアの例としては、コンピュータプログラム、アプリケーション及びオペレーティングシステムが挙げられる。
【0051】
メモリは、情報を記憶することができ、有形のコンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能なストレージ媒体を含み得る。メモリの例としては、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み出し専用メモリ(ROM))、マスストレージメディア(例えば、ハードディスク)、リムーバブルストレージメディア(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ若しくは多用途ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えば、サーバ)及び/又は他のコンピュータ可読媒体が挙げられる。特定の実施形態は、コンピュータソフトウェアを用いて符号化されたメモリを対象とし得る。
【0052】
特定の実施形態に関して本開示を説明したが、実施形態の修正形態(例えば、変更形態、置換形態、追加形態、省略形態及び/又は他の修正形態)が当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対する修正形態がなされ得る。例えば、本明細書で開示されたシステム及び装置に対する修正形態がなされ得る。当業者に明らかであるように、システム及び装置の構成要素は、統合若しくは分離され得るか、又はシステム及び装置の動作は、より多い、より少ない若しくは他の構成要素によって実行され得る。別の例として、本明細書で開示された方法に対する修正形態がなされ得る。当業者に明らかであるように、方法は、より多い、より少ない又は他のステップを含み得、ステップは、任意の適切な順序で実行され得る。
【0053】
請求項を解釈する際に特許庁及び読者を補助するために、本出願人らは、用語「~するための手段」又は「~するためのステップ」が特定の請求項で明示的に使用されない限り、請求項又は請求要素のいかなるものも合衆国法典第35巻§112条(f)を想起させるように意図されないことを注記する。請求項内の任意の他の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「構成要素」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」又は「コントローラ」)の使用は、当業者に既知の構造を指すものと本出願人らによって理解され、したがって合衆国法典第35巻§112条(f)を想起させるように意図されない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】