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特表2024-540310流体ドレナージデバイス、システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】流体ドレナージデバイス、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526634
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022048971
(87)【国際公開番号】W WO2023081365
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/276,183
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/980,431
(32)【優先日】2022-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー シー.トウラー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ジェイ.ローバー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン エム.サボリー
(57)【要約】
流体を眼から周囲組織に排出し、眼組織内にインプラント処置可能である緑内障シャントは、シャント本体内にリザーバを形成するように配置された微孔質材料から形成されたシャント本体、及び、前記リザーバと流体連通する近位端と、反対側の遠位端とを有する導管を含み、前記遠位端は、前記遠位端を介して導管内への流体の排出を促進するように眼内に挿入可能であり、前記導管及び前記リザーバは一緒になって、流体の排液が前記導管を通って、前記リザーバに流れ、前記微孔質材料を介して周囲組織内に流れる流路を画定し、前記流路は、第一の流れ抵抗及び第二の流れ抵抗が内部に規定され、前記第一の流れ抵抗が前記第二の流れ抵抗とは異なる複数の順次の流れ抵抗を有する、前記導管に沿った可変的な流れ抵抗を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼から眼の周囲の組織に流体を排出するための緑内障シャントであって、前記緑内障シャントは少なくとも部分的に眼の組織内にインプラント処置可能であり、前記緑内障シャントは、
シャント本体内にリザーバを形成するように配置された微孔質材料から形成されたシャント本体、及び、
前記リザーバと流体連通する近位端と、前記近位端の反対側にある遠位端とを有する導管、
を含み、
前記導管の遠位端は、前記導管の遠位端を介して前記導管内への流体の排出を促進するように眼内に挿入可能であり、
前記導管及び前記リザーバは、一緒に、流体の排液が前記導管を通って前記リザーバに流れ、前記微孔質材料を介して眼の周囲の組織に流れる流路を画定し、前記流路は、前記導管に沿って可変的な流れ抵抗を示し、前記導管は、その中で規定される第一の流れ抵抗及び第二の流れ抵抗を有する複数の順次の流れ抵抗を有し、前記第一の流れ抵抗は前記第二の流れ抵抗とは異なる、緑内障シャント。
【請求項2】
前記シャント本体は、前記リザーバを画定する連続壁と、内部リザーバと連通して導管が係合的に受け入れられる連続壁内のリザーバ開口部とを有し、そして
前記連続壁の少なくとも一部は、微孔質材料からなる壁部分を有し、前記壁部分は、前記内部リザーバに面する内側と、ヒトの眼の外部領域に面する反対側の外側とを有し、前記壁部分の内側は、前記壁部分の内側全体に延在する低多孔性表面を有し、前記壁部分の外側は、高多孔性表面の間に配置された低多孔性表面を含む交互表面を有する、請求項1記載の緑内障シャント。
【請求項3】
前記第一の流れ抵抗は前記第二の流れ抵抗よりも小さい、請求項1記載の緑内障シャント。
【請求項4】
前記第一の流れ抵抗は前記第二の流れ抵抗よりも大きい、請求項1記載の緑内障シャント。
【請求項5】
前記微孔質材料は、前記流路の第三の流れ抵抗を規定する、請求項1記載の緑内障シャント。
【請求項6】
前記微孔質材料は、流体にさらされたときに疎水性状態から親水性状態に移行するように構成されており、前記第二の流れ抵抗は、流体が前記リザーバを画定する微孔質材料と係合するときに、時間の経過にわたる流速に対する圧力の変化率に対応する、請求項5記載の緑内障シャント。
【請求項7】
前記変化率は、前記微孔質材料の多孔度における緻密さに対応する、請求項6記載の緑内障シャント。
【請求項8】
前記微孔質材料は、前記微孔質材料の厚さにわたって可変的な多孔度を有する、請求項7記載の緑内障シャント。
【請求項9】
前記第一の流れ抵抗は、前記導管の内径の前記導管の厚さに対する比に対応する、請求項5記載の緑内障シャント。
【請求項10】
前記流路を通って流れる流体が、前記第二の流れ抵抗に遭遇する前に、前記第一の流れ抵抗に遭遇するように、前記第一の流れ抵抗及び前記第二の流れ抵抗は直列構成で配向されている、請求項1記載の緑内障シャント。
【請求項11】
前記導管に沿った前記可変的な流れ抵抗は第三の流れ抵抗をさらに備える、請求項1記載の緑内障シャント。
【請求項12】
前記第一の流れ抵抗及び前記第三の流れ抵抗のそれぞれは、前記第二の流れ抵抗よりも大きい、請求項11記載の緑内障シャント。
【請求項13】
前記第一の流れ抵抗、前記第二の流れ抵抗及び前記第三の流れ抵抗のそれぞれは互いに異なる、請求項11記載の緑内障シャント。
【請求項14】
眼の内部から眼の外部の体の部分に排液を導くためのドレナージデバイスであって、前記ドレナージデバイスは眼の内部から眼の外部にある周囲の組織への流体の排出を促進するように構成された流路を含み、前記流路は前記流路を通過する排液に対する可変的な流れ抵抗を備え、前記流路は、第一の流れ抵抗を有する第一の流れ抵抗部分及び第二の流れ抵抗を有する第二の流れ抵抗部分を有し、前記第一の流れ抵抗は前記第二の流れ抵抗とは異なる、ドレナージデバイス。
【請求項15】
前記第一の流れ抵抗は前記第二の流れ抵抗よりも小さい、請求項14記載のドレナージデバイス。
【請求項16】
前記第一の流れ抵抗は前記第二の流れ抵抗よりも大きい、請求項14記載のドレナージデバイス。
【請求項17】
前記流路は、前記排液にさらされたときに疎水性状態から親水性状態に移行するように構成された微孔質材料の間に配置され、前記第二の流れ抵抗は、前記流体が前記微孔質材料と係合するときに、時間の経過にわたる流速に対する圧力の変化率に対応する、請求項14記載のドレナージデバイス。
【請求項18】
前記変化率は、前記微孔質材料の多孔度における緻密さに対応する、請求項17記載のドレナージデバイス。
【請求項19】
前記微孔質材料は、前記微孔質材料の厚さにわたって可変的な多孔度を有する、請求項18記載のドレナージデバイス。
【請求項20】
前記第一の流れ抵抗は前記流路の直径に対応する、請求項14記載のドレナージデバイス。
【請求項21】
前記流路を通って流れる流体が、前記第二の流れ抵抗に遭遇する前に、前記第一の流れ抵抗に遭遇するように、前記第一の流れ抵抗及び前記第二の流れ抵抗は直列構成で配向されている、請求項14記載のドレナージデバイス。
【請求項22】
前記流路は第三の流れ抵抗を有する第三の流れ抵抗部分をさらに有する、請求項14記載のドレナージデバイス。
【請求項23】
前記第一の流れ抵抗及び前記第三の流れ抵抗のそれぞれは、前記第二の流れ抵抗よりも大きい、請求項22記載のドレナージデバイス。
【請求項24】
前記第一の流れ抵抗、前記第二の流れ抵抗及び前記第三の流れ抵抗のそれぞれは互いに異なる、請求項22記載のドレナージデバイス。
【請求項25】
ドレナージデバイスを形成する方法であって、前記方法は、
内部に画定されたリザーバを有するデバイス本体を形成するように、1つ以上の微孔質材料を配置すること、及び、
導管が前記リザーバと流体連通するように導管を前記リザーバに固定すること、
を含み、
前記リザーバは流体を受け入れて蓄積するように構成されており、
前記導管及び前記リザーバは、ドレナージデバイスの流路を画定し、前記流路は、前記流路を通過する排液に対する可変的な流れ抵抗を備え、前記流路は、第一の流れ抵抗を有する第一の流れ抵抗部分及び第二の流れ抵抗を有する第二の流れ抵抗部分を有し、前記第一の流れ抵抗は前記第二の流れ抵抗とは異なる、方法。
【請求項26】
前記リザーバを形成することは、前記微孔質材料の第一の部分を前記微孔質材料の第二の部分に固定して、それらの間に前記リザーバを形成することを含み、前記方法は、前記第一の部分と前記第二の部分との間に前記導管を固定することをさらに含み、前記導管は排液を受けるように構成されている、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記1つ以上の微孔質材料は、第二の微孔質膜に結合された第一の微孔質膜を有する第一の層と、第四の微孔質膜に結合された第三の微孔質膜を含む第二の層とを含み、前記第一の部分を前記第二の部分に結合することは、前記第二の微孔質膜を前記第三の微孔質膜に結合することを含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記第二の微孔質膜及び前記第三の微孔質膜は、前記第一の層及び第二の層の周縁部に沿って互いに結合されて、前記第二の微孔質膜及び前記第三の微孔質膜の間に配置された膨張可能なリザーバを画定し、前記第二の微孔質膜及び前記第三の微孔質膜は、組織の内方成長に抵抗するように構成され、前記第一の微孔質膜及び前記第四の微孔質膜は、組織の内方成長を可能にするように構成され、前記第二の微孔質膜及び前記第三の微孔質膜は、前記第一の層及び前記第二の層の周縁部に隣接して維持される拡張状態を有する、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記第一の部分を前記第二の部分に固定することは、前記第一の微孔質膜を前記第四の微孔質膜に結合することを控えることを含む、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記第一の部分を前記第二の部分に固定することは、前記第一の微孔質膜及び前記第四の微孔質膜が前記デバイス本体の最外膜となり、前記第二の微孔質膜及び前記第三の微孔質膜が前記デバイス本体の最内膜となるように、前記第一の層と前記第二の層をスタック構成に配置することを含む、請求項27記載の方法。
【請求項31】
ヒトの眼の内部領域からヒトの眼の外部領域に流体を排出するための緑内障ドレナージデバイスであって、前記緑内障ドレナージデバイスは、
本体内に内部リザーバを画定する連続壁、及び、前記内部リザーバと連通する前記連続壁におけるリザーバ開口部を有する、本体、及び、
前記本体から導管長さだけ延在する導管、
を含み、
前記導管は対向する第一の導管端及び第二の導管端を有し、前記対向する第一の端及び第二の端の間に延在する導管を通る通路を画定し、前記第一の導管端は内部リザーバ開口部と係合して、前記第二の導管端と前記内部リザーバとの間に流体接続を提供し、前記導管長さは、前記第一の導管端をヒトの眼の外部領域に配置し、前記第二の導管端をヒトの眼の内部領域に配置するのに十分な長さであり、
前記連続壁の少なくとも一部は、微孔質材料からなる壁部分を有し、前記壁部分は、前記内部リザーバに面する内側と、ヒトの眼の外部領域に面する反対側の外側とを有し、前記壁部分の内側は、前記壁部分の内側全体に延在する低多孔性表面を有し、前記壁部分の外側は、高多孔性表面の間に配置された低多孔性表面を含む交互表面を有する、緑内障ドレナージデバイス。
【請求項32】
前記壁部分は、前記内側と前記外側との間に延在する壁部分の厚さを画定し、前記壁部分の厚さは、前記内側の低多孔性表面の多孔度と、前記外側の高多孔性表面の多孔度との間の移行多孔度を有する前記壁部分の内部領域を画定する、請求項31記載の緑内障ドレナージデバイス。
【請求項33】
前記壁部分は、前記内側と前記外側との間に延在する壁部分の厚さを画定し、前記壁部分の厚さは、前記内側の低多孔性表面と、前記外側の低多孔性表面との間に延在する前記壁部分の内部領域を画定し、前記内部領域は、前記内側及び前記外側の低多孔性表面の多孔度と等しい内部領域多孔度を有する、請求項31記載の緑内障ドレナージデバイス。
【請求項34】
前記壁部分は、前記内側と前記外側との間に延在する壁部分の厚さを画定し、前記壁部分の厚さは、前記内側の低多孔性表面と、前記外側の高多孔性表面との間に延在する前記壁部分の内部領域を画定し、前記内部領域は、前記内側の低多孔性表面の多孔度と等しい内部領域多孔度を有する、請求項31記載の緑内障ドレナージデバイス。
【請求項35】
前記壁部分は、前記内側と前記外側との間に延在する壁部分の厚さを画定し、前記壁部分の厚さは、前記内側の低多孔性表面と、前記外側の高多孔性表面との間に延在する前記壁部分の内部領域を画定し、前記内部領域は、前記外側の高多孔性表面の多孔度と等しい内部領域多孔度を有する、請求項31記載の緑内障ドレナージデバイス。
【請求項36】
前記第二の導管端と前記内部リザーバとの間の前記流体接続は、前記内部リザーバから前記微孔質材料を通ってさらに延在し、前記内部リザーバからヒトの眼の外部領域への流体連通を提供する、請求項31記載の緑内障ドレナージデバイス。
【請求項37】
前記流体連通は前記微孔質材料を通る流路を画定する、請求項36記載の緑内障ドレナージデバイス。
【請求項38】
前記微孔質材料を通る流路は、前記内部リザーバから離れる方向にある、請求項37記載の緑内障ドレナージデバイス。
【請求項39】
前記微孔質材料を通る流路は、低多孔性微孔質領域から高多孔性微孔質領域へ進む、請求項37記載の緑内障ドレナージデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年11月5日に出願された米国仮出願第63/276,183号及び2022年11月3日に出願された米国特許出願第17/980,431号に対する優先権を主張し、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、流体を排出し、流体を体内の他の場所で再吸収されるように方向転換するための装置、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、体によって再吸収できるように患者の眼の前房から房水を排出するための装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
様々な医療介入には、過剰な流体、例えば、体液を体のある部分から排出し、それが再吸収されうる体の別の場所に方向転換することが関与される。特定の例において、この排出は、内視鏡による脳室開窓術(ETV)及び脈絡叢焼灼術(CPC)などの低侵襲手術によって達成される。他の例において、この排出はシャントなどのインプラント可能なメディカルデバイスを介して術後に実行される。様々な医療処置で有用であることが証明されていることだが、様々な形式のシャントは水頭症及び緑内障などの多くの病気の治療に使用されてきた。
【0004】
治療を行わないと、過剰な流体が不健康な圧力の上昇を引き起こす可能性がある。例えば、緑内障は眼圧の上昇を特徴とする進行性眼疾患である。房水は、眼の前房を満たす流体であり、眼圧又は眼内液圧に寄与する。この眼圧の上昇は、通常、体に吸収される房水の量が不十分であることが原因で発生する。幾つかの場合に、房水が十分に早く吸収されないか、あるいはまったく吸収されないことさえあるが、他の場合には、房水が追加的に又は代わりに速く生成されすぎる。眼圧の上昇は、罹患した眼の徐々の、時には永久的な視力喪失を引き起こす。
【0005】
緑内障を治療するために多くの試みがなされてきた。しかしながら、幾つかの従来のデバイスは比較的にかさばり、デバイスと周囲組織との間の相対運動を避けるために必要な可撓性、順応性及びデバイス/組織付着に欠けている。このような動きにより、周囲組織が刺激され続け、インプラント処置部位に刺激を引き起こす可能性がある。次いで、刺激は、慢性炎症組織反応の増加、デバイス部位の過度の瘢痕化、結膜炎及び眼内炎によるデバイス侵食のリスク増加につながる可能性がある。瘢痕組織は、びらんを起こすことなく房水の吸収を効果的に妨げる。これらの合併症により、デバイスが適切に機能するのを妨げることがある。その結果、眼圧が徐々に上昇し、緑内障が進行する。
【発明の概要】
【0006】
要旨
1つの例(「例1」)によれば、眼から眼の周囲組織に流体を排出するための緑内障シャントであって、前記緑内障シャントは眼の組織内に少なくとも部分的にインプラント処置可能であり、前記緑内障シャントは、シャント本体内にリザーバを形成するように配置された微孔質材料から形成されたシャント本体、及び、前記リザーバと流体連通する近位端と、前記近位端の反対側の遠位端とを有する導管を含み、前記導管の遠位端は、前記導管の遠位端を介した前記導管内への流体の排出を促進するように眼内に挿入可能であり、前記導管及び前記リザーバは一緒に流路を画定し、それに沿って流体の排液が導管を通って前記リザーバに流れ、前記微孔質材料を介して眼の周囲の組織に流れ込み、前記流路は前記導管に沿って可変的な流れ抵抗を示し、前記導管はその中で規定された第一の流れ抵抗及び第二の流れ抵抗を有する複数の順次の流れ抵抗を有し、前記第一の流れ抵抗は、場合により、前記第二の流れ抵抗と異なるようになっている、緑内障シャントである。
【0007】
例1に加えて、別の例(「例2」)によれば、前記シャント本体は、前記リザーバを画定する連続壁と、内部リザーバと連通している前記連続壁内のリザーバ開口部であって、それを通して前記導管が係合して受け入れられる、リザーバ開口部とを有し、前記連続壁の少なくとも一部は、微孔質材料からなる壁部分を有し、前記壁部分は、内部リザーバに面する内側と、ヒトの眼の外部領域に面する反対側の外側とを有し、前記壁部分の内側は、 前記壁部分の内側全体に延在する低多孔性表面を場合により有し、前記壁部分の外側は、高多孔性表面の間に配置された低多孔性表面を含む交互表面を場合により有する。
【0008】
例1に加えて、別の例(「例3」)によれば、前記第一の流れ抵抗は前記第二の流れ抵抗よりも小さい。
【0009】
例1に加えて、別の例(「例4」)によれば、前記第一の流れ抵抗は前記第二の流れ抵抗よりも大きい。
【0010】
例1に加えて、別の例(「例5」)によれば、前記微孔質材料は前記流路の第三の流れ抵抗を規定する。
【0011】
例5に加えて、別の例(「例6」)によれば、前記微孔質材料は、前記流体に暴露されたときに疎水性状態から親水性状態に移行するように構成され、前記第二の流れ抵抗は、場合により、流体が前記リザーバを画定する前記微孔質材料と係合するときに、時間の経過に伴う流速に対する圧力の変化率に対応する。
【0012】
例6に加えて、別の例(「例7」)によれば、前記変化率は、前記微孔質材料の多孔度の緻密さに対応する。
【0013】
例7に加えて、別の例(「例8」)によれば、前記微孔質材料は、前記微孔質材料の厚さにわたって可変の多孔度を有する。
【0014】
例5に加えて、別の例(「例9」)によれば、前記第一の流れ抵抗は、前記導管の内径の前記導管の厚さに対する比に対応する。
【0015】
例1に加えて、別の例(「例10」)によれば、前記流路を流れる流体が、場合により、前記第二の流れ抵抗に遭遇する前に前記第一の流れ抵抗に遭遇するように、前記第一の流れ抵抗と前記第二の流れ抵抗が直列構成で配向されている。
【0016】
例1に加えて、別の例(「例11」)によれば、前記導管に沿った可変流れ抵抗は、第三の流れ抵抗をさらに備える。
【0017】
例11に加えて、別の例(「例12」)によれば、前記第一の流れ抵抗及び前記第三の流れ抵抗のそれぞれは、前記第二の流れ抵抗よりも大きい。
【0018】
例11に加えて、別の例(「例13」)によれば、前記第一の流れ抵抗、前記第二の流れ抵抗及び前記第三の流れ抵抗のそれぞれは互いに異なる。
【0019】
別の例(「例14」)によれば、眼の内部から眼の外部の体の部分に排液を導くためのドレナージデバイスであって、前記ドレナージデバイスは、眼の内部から眼の外部の周囲組織への流体の排出を促進するように構成された流路を含み、前記流路は流路を通過する排液に対する可変的な流れ抵抗を備え、前記流路は第一の流れ抵抗を有する第一の流れ抵抗部分と、第二の流れ抵抗を有する第二の流れ抵抗部分とを含み、前記第一の流れ抵抗は、場合により、前記第二の流れ抵抗と異なる。
【0020】
例14に加えて、別の例(「例15」)によれば、前記第一の流れ抵抗は前記第二の流れ抵抗よりも小さい。
【0021】
例14に加えて、別の例(「例16」)によれば、前記第一の流れ抵抗は前記第二の流れ抵抗よりも大きい。
【0022】
例14に加えて、別の例(「例17」)によれば、前記流路は、排液に暴露されたときに疎水性状態から親水性状態に移行するように構成された微孔質材料の間に位置し、前記第二の流れ抵抗は、場合により、流体が微孔質材料と係合するときに、経時的な流速に対する圧力の変化率に対応する。
【0023】
例17に加えて、別の例(「例18」)によれば、前記変化率は前記微孔質材料の多孔度の緻密さに対応する。
【0024】
例18に加えて、別の例(「例19」)によれば、前記微孔質材料は、前記微孔質材料の厚さにわたって可変的な多孔度を有する。
【0025】
例14に加えて、別の例(「例20」)によれば、前記第一の流れ抵抗は、前記流路の直径に対応する。
【0026】
例14に加えて、別の例(「例21」)によれば、前記流路を流れる流体が場合により前記第二の流れ抵抗に遭遇する前に前記第一の流れ抵抗に遭遇するように、前記第一の流れ抵抗と前記第二の流れ抵抗が直列構成で配向されている。
【0027】
例14に加えて、別の例(「例22」)によれば、前記流路は第三の流れ抵抗を有する第三の流れ抵抗部分をさらに有する。
【0028】
例22に加えて、別の例(「例23」)によれば、前記第一の流れ抵抗及び前記第三の流れ抵抗のそれぞれは、前記第二の流れ抵抗よりも大きい。
【0029】
例22に加えて、異なる例(「例24」)によれば、前記第一の流れ抵抗、前記第二の流れ抵抗及び前記第三の流れ抵抗のそれぞれは互いに異なる。
【0030】
別の例(「例25」)によれば、ドレナージデバイスを形成する方法であって、前記方法は、内部に画定されたリザーバを有するデバイス本体を形成するように、1つ以上の微孔質材料を配置すること、ここで、前記リザーバは、流体を受容しそして蓄積するように構成されている、及び、導管が前記リザーバと流体連通するように前記導管を前記リザーバに固定すること、ここで、前記導管及び前記リザーバは前記ドレナージデバイスの流路を画定し、前記流路は前記流路を通過する排液に対して可変的な流れ抵抗を備え、前記流路は、第一の流れ抵抗を有する第一の流れ抵抗部分と、第二の流れ抵抗を有する第二の流れ抵抗部分とを有し、前記第一の流れ抵抗は、場合により、前記第二の流れ抵抗とは異なる、を含む、方法。
【0031】
例25に加えて、別の例(「例26」)によれば、前記リザーバを形成することは、場合により、前記微孔質材料の第一の部分を前記微孔質材料の第二の部分に固定して、その間に前記リザーバを形成することを含み、前記方法は、前記第一の部分と前記第二の部分との間に前記導管を固定することをさらに含み、前記導管は排液を受容するように構成されている。
【0032】
例26に加えて、別の例(「例27」)によれば、前記1つ以上の微孔質材料は、第二の微孔質膜に結合された第一の微孔質膜を有する第一の層と、第四の微孔質膜に結合された第三の微孔質膜を含む第二の層とを含み、前記第一の部分を前記第二の部分に固定することは、場合により、前記第二の微孔質膜を第三の微孔質膜に結合することを含む。
【0033】
例27に加えて、別の例(「例28」)によれば、前記第二の微孔質膜及び前記第三の微孔質膜は、前記第一の層及び前記第二の層の周縁部に沿って互いに結合されて、前記第二の微孔質膜と前記第三の微孔質膜との間に配置された膨張可能なリザーバを画定し、前記第二の微孔質膜及び前記第三の微孔質膜は、場合により、組織内方成長に抵抗するように構成され、前記第一の微孔質膜及び前記第四の微孔質膜は、場合により、組織の内方成長を可能にするように構成され、前記第二の微孔質膜及び前記第三の微孔質膜は、場合により、前記第一の層と前記第二の層の周縁部に隣接して維持される拡張状態を有する。
【0034】
例27に加えて、別の例(「例29」)によれば、前記第一の部分を前記第二の部分に固定することは、前記第一の微孔質膜と前記第四の微孔質膜とを結合することを控えることを含む。
【0035】
例27に加え、別の例(「例30」)によれば、前記第一の部分を前記第二の部分に固定することは、前記第一の微孔質膜及び前記第四の微孔質膜が前記デバイス本体の最外膜であり、前記第二の微孔質膜及び前記第三の微孔質膜が前記デバイス本体の最内膜であるように、前記第一の層と前記第二の層をスタック構成に配置することを含む。
【0036】
別の例(「例31」)によれば、ヒトの眼の内部領域からヒトの眼の外部領域に流体を排出するための緑内障ドレナージデバイスであって、前記緑内障ドレナージデバイスは、本体内の内部リザーバを画定する連続壁と、前記内部リザーバと連通する連続壁におけるリザーバ開口部とを有する本体、及び、前記本体から導管長さだけ延在する導管を含み、前記導管は、対向する第一の導管端及び第二の導管端の間に延在している前記導管を通る通路を画定する、対向する第一の導管端及び第二の導管端を有し、前記第一の導管端は内部リザーバ開口部と係合して前記第二の導管端と前記内部リザーバとの間に流体連通を提供し、前記導管の長さは、前記第一の導管端をヒトの眼の外部領域に配置し、前記第二の導管端をヒトの眼の内部領域に配置するのに十分であり、前記連続壁の少なくとも一部は、場合により、微孔質材料からなる壁部分を有し、前記壁部分は、前記内部リザーバに面する内側と、ヒトの眼の外部領域に面する反対側の外側とを有し、前記壁部分の内側は、場合により、前記壁部分の内側全体に延在している低多孔性表面を有し、前記壁部分の外側は、場合により、高多孔性表面の間に配置された低多孔性表面を含む交互表面を有する。
【0037】
例31に加えて、別の例(「例32」)によれば、前記壁部分は、前記内側と前記外側との間に延在する壁部分の厚さを画定し、前記壁部分の厚さは、場合により、前記内側の低多孔性表面の多孔度と前記外側の高多孔性表面の多孔度との間の移行多孔度を有する前記壁部分の内部領域を画定する。
【0038】
例31に加えて、別の例(「例33」)によれば、前記壁部分は、前記内側と前記外側との間に延在する壁部分の厚さを画定し、前記壁部分の厚さは、場合により、前記内側の低多孔性表面と前記外側の低多孔性表面との間に延在する壁部分の内部領域を画定し、前記内部領域は、場合により、前記内側及び前記外側の低多孔性表面の多孔度に等しい内部領域多孔度を有する。
【0039】
例31に加えて、別の例(「例34」)によれば、前記壁部分は、前記内側と前記外側との間に延在する壁部分の厚さを画定し、前記壁部分の厚さは、場合により、前記内側の低多孔性表面と前記外側の高多孔性表面との間に延在する壁部分の内部領域を画定し、前記内部領域は、場合により、前記内側の低多孔性表面の多孔度に等しい内部領域多孔度を有する。
【0040】
例31に加えて、別の例(「例35」)によれば、前記壁部分は、前記内側と前記外側との間に延在する壁部分の厚さを画定し、前記壁部分の厚さは、場合により、前記内側の低多孔性表面と前記外側の高多孔性表面との間に延在する壁部分の内部領域を画定し、前記内部領域は、場合により、前記外側の高多孔性表面の多孔度に等しい内部領域多孔度を有する。
【0041】
例31に加えて、別の例(「例36」)によれば、前記第二の導管端と前記内部リザーバとの間の流体接続は、前記内部リザーバから前記微孔質材料を通してさらに延在し、場合により、前記内部リザーバからヒトの眼の外部領域への流体連通を提供する。
【0042】
例36に加えて、別の例(「例37」)によれば、前記流体連通は、前記微孔質材料を通る流路を画定する。
【0043】
例37に加えて、別の例(「例38」)によれば、前記微孔質材料を通る流路は、前記内部リザーバから遠ざかる方向にある。
【0044】
例37に加えて、別の例(「例39」)によれば、前記微孔質材料を通る流路は、低多孔性微孔質領域から高多孔性微孔質領域に進む。
【0045】
前述の例は単なる実施例であり、本開示によって別途提供される本発明の概念の範囲を限定したり又は狭めたりするように解釈されるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に制限的なものではなく、本質的に例示的なものとして考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0047】
図1A図1Aは、本開示の様々な態様と一致する、ドレナージシステムがインプラント処置された眼の図である。
【0048】
図1B図1Bは、図1Aの詳細A1の断面図である。
【0049】
図1C図1Cは、図1Bの詳細A2におけるインプラント処置されたドレナージデバイスの概略図である。
【0050】
図2A図2Aは、本開示の様々な態様と一致する緑内障シャントの形態のドレナージシステムの側面図である。
【0051】
図2B図2Bは、図2Aのドレナージシステムの底面図である。
【0052】
図2C図2Cは、収縮状態にあり、結膜タブを有するドレナージシステムのセクションB-Bで取った図2Aのドレナージシステムの断面図である。
【0053】
図2D図2Dは、収縮状態にあり、異なる微細構造及び厚さを有する第一の層及び第二の層を有するドレナージシステムのセクションC-Cで取った図2Aのドレナージシステム100の断面図である。
【0054】
図2E図2Eは、図2Aのドレナージシステム100の代替の小型実施形態の斜視図である。
【0055】
図3A図3Aは、収縮状態にあるドレナージデバイスの壁の概略図である。
【0056】
図3B図3Bは、膨張状態にあるドレナージデバイスの壁の概略図である。
【0057】
図3C図3Cは、図3A及び3Bのドレナージシステムに概略的に示される微細構造の一部のSEM画像であり、SEM画像は図示のようにスケーリングされている。
【0058】
図4A図4Bは、それぞれ、様々な程度の抵抗を有するように変性プロセスを経た可能性のあるドレナージデバイスの様々な構成のうちの1つを示す。
図4B図4Bは、それぞれ、様々な程度の抵抗を有するように変性プロセスを経た可能性のあるドレナージデバイスの様々な構成のうちの1つを示す。
図4C図4Cは、それぞれ、様々な程度の抵抗を有するように変性プロセスを経た可能性のあるドレナージデバイスの様々な構成のうちの1つを示す。
図4D図4Dは、それぞれ、様々な程度の抵抗を有するように変性プロセスを経た可能性のあるドレナージデバイスの様々な構成のうちの1つを示す。
【0059】
図4E図4Eは、図4A図4Dの構成要素に関連する測定圧力値、これらの構成要素に対する様々な変更の影響を比較する棒グラフである。
【0060】
図5A図5Aは、本開示の様々な態様と一致する製造方法のフローチャートである。
【0061】
図5B図5Bは、本開示の様々な態様と一致する使用方法のフローチャートである。そして
【0062】
図6図6A及び6Bは、疎水性/親水性を決定するために表面上で実行される液滴法試験の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
詳細な説明
定義と用語
本開示は、限定的に読まれることを意図したものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の専門家がそのような用語に帰する意味の文脈で広く読まれるべきである。
【0064】
不正確さの用語に関しては、「約」及び「およそ」という用語は、記載された測定値と、記載された測定値に合理的に近い測定値も含む測定値を指すために互換的に使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に小さな量だけ逸脱している。このような逸脱は、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的誤り、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮した性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた微調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象の不正確な調整及び/又は操作などに起因する可能性がある。関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断された場合には、「約」及び「およそ」という用語は、記載された値のプラス又はマイナス 10%を意味すると理解できる。
【0065】
様々な実施形態の説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0066】
本明細書に開示されるデバイス、システム及び方法の様々な特徴は、図1A~1Cに見ることができる。本開示の態様は、限定するわけではないが、体液を含む流体のためのドレナージデバイス、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、房水を体の他の場所によって吸収できるように、患者の眼10の前房「AC」から房水を排出するためのデバイス、システム及び方法に関する。そのために、図1Aは、眼10の結膜13と強膜15との間の結膜下空間11を含む眼10の図である。眼10内には、本開示の原理によるドレナージシステム100がインプラント処置されている。図1Bは、図1Aの詳細A1の断面図を示す。図1Cは、図1Bの詳細A2におけるインプラント処置されたドレナージデバイス110の概略図を示す。本開示の一態様において、眼内圧力を低下させるか又はさもなければ安定させるために、眼10の前房「AC」から排出された房水を再吸収するための機構が提供される。しかしながら、当業者であれば、本開示の態様が、排液を体内で方向変換することが望まれる他の用途にも有用であることを理解するであろう。
【0067】
図1A~1Cに示されるドレナージシステム100は緑内障を治療するためのドレナージデバイス110を含む。本明細書に示されるように、この緑内障ドレナージデバイス110は、第一の側114と第二の側116を有する壁112(図1B及び1Cで最もよく分かる)を有する。吸入導管120に関連して以下に説明するが、ドレナージデバイス110は、その一部が流体を(例えば、切開部から直接、流体導管120からなど)受け取るように構成されている限り、独立型の製品であることができ、したがって、本開示の範囲外と考えるべきでないものと理解されたい。ドレナージデバイス110には、吸入導管120が流体的に結合されうる。インプラント処置されると、吸入導管120は、眼10の前房「AC」からドレナージデバイス110まで延在する。次いで、前房「AC」の房水は、吸入導管120を通ってドレナージデバイス110に流入する。
【0068】
ドレナージデバイス110の材料の選択は、当該技術分野で知られている他のデバイスと比較して、その機能性及び相対的薄型化に寄与することができる。ドレナージデバイス110は、後述するように、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)などの微孔質材料を含む生体適合性材料を含むことができる。吸入導管120は、可撓性があり、長尺部材を構築する際の使用に適した生体適合性材料を含むことができる。幾つかのこのような適切な材料としては、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、アクリル、ポリウレタン、シラスティック及び金属を挙げることができる。ドレナージシステム100のそのような構造は、外科的インプラント処置に特に有用である。
【0069】
一般に、ドレナージシステム100などのドレナージデバイスの外科的インプラント処置には、眼10内に異常な圧力がかかるリスクが伴う。例えば、水疱の形成を必要とする手術など、ドレナージデバイスが眼10の外表面組織(すなわち、結膜13)の下で外科的にインプラント処置されるときに(デバイス110の周囲で点線で示すように)は、外科手術による損傷から新たな周囲組織は、十分な創傷治癒が起こるまで房水の流れに対して評価可能な流れ抵抗を提供しない。この手術後の初期期間中に、患者は眼10の低眼圧(例えば、低すぎる眼圧)のリスクにさらされている。低血圧を回避するために、一定期間、ドレナージデバイス110を通る流れを管理するための措置が講じられる。例えば、外科医は伝統的に、吸入導管120の近位端付近の部分を一定期間「結び」、周囲組織が必要な流れ抵抗を提供するように外科的創傷治癒が十分に進行した後に結びを解放する。特定の市販の緑内障シャントデバイスにおいて、流量制限「バルブ」は、プレートセクションが位置する吸入導管120の遠位に追加される。しかしながら、これらのデバイスは比較的硬くてかさばるため、依然として低眼圧を引き起こす可能性がある。逆に、有利には、本開示の原理によるドレナージデバイス、システム及び方法は、例えば低眼圧を回避するために、術後の初期に評価可能な流れ抵抗を生成する薄型デバイスを含む。
【0070】
図1B及び1Cを参照すると、ドレナージシステム100の非限定的なインプラント処置例が示されている。この例において、ドレナージシステム100は、眼10の結膜13と強膜15との間の結膜下空間11に配置されて示されている。ドレナージシステム100は、第一の層114が強膜15に沿って延在し、第二の層116が結膜13に沿って延在するように配向されていることが示されている。後述するように、結膜13と界面形成する第二の層116の部分が組織の内方成長を促進又は許容するように構成されうることが理解されるであろう。また、後述するように、強膜15と界面形成する第一の層114の部分は、追加的又は代替的に、組織の内方成長を促進又は許容するように構成されうることも理解される。このような構成は、ドレナージデバイス110と周囲組織との間の相対的な動きを最小限に抑えるのに役立つ。
【0071】
さらに、ドレナージデバイス110から延在し、強膜アクセス、穿孔又は穴「H」(例えば、既知の方法によるインプラント処置中に医師によって形成される)を通って延在し、その結果、第一の端部122(例えば、近位端)は前房「AC」にアクセスし、ポート271を前房「AC」と連通させるようなっている、吸入導管120を図1B及び1Cに示す。幾つかの実施形態において、インプラント処置されると、房水は吸入導管120の第一の端部122に入り、ドレナージデバイス110と流体連通した吸入導管120の第二の端部124(例えば、遠位端)に移動する。ともに、壁112及び吸入導管120は、排液がドレナージデバイス110を通って流れる流路140を画定することができる。幾つかの実施形態において、第二の端部124は、排出された房水がドレナージデバイス110内に画定されたリザーバ130に入り、そしてドレナージデバイス110の様々な拡散膜を通して貫通するようにドレナージデバイス110内に配置され、次いで、房水は、周囲組織及び/又は内方成長した組織によって吸収されうる。
【0072】
図2A~2Eを参照すると、緑内障シャント110の形態の例示的なドレナージシステム100の様々な態様が示されている。図2Aは、ドレナージシステム100の側面図を示す。図2Bは、図2Aのドレナージシステム100の底面図を示す。図2Cは、収縮状態にあるドレナージシステム100のセクションB-Bで取った図2Aのドレナージシステム100の断面図を示す。このドレナージシステム100は、導管120による結膜13の侵食を防ぐ結膜タブ、導管120が壁112に(例えば、「b」の接着剤を介して)結合されるネック、及び導管120の遠位端でのリザーバ130を示す。図2Dは、収縮状態にあるドレナージシステム100のセクションC-Cで取った図2Aのドレナージシステム100の断面図を示す。図2Eは、図2Aのドレナージシステム100の代替の小型実施形態の斜視図を示す。ここで、図1A~1Cの場合と同様に、ドレナージシステム100は、患者の体のある部分から別の部分へ流体を排出することに関する。特に、導管120は、流体が導管120の遠位端124から逃げてリザーバ130を満たすことができるかぎり、図2Cに示すような浅い深さ又は図2Dに示すような深い深さなど、可変的な深さでリザーバ130内に挿入することができる。このようなデバイスは、低眼圧を避けるために、手術後早期に評価可能な流体の流れ抵抗を伴う薄型形状を有することができる。
【0073】
緑内障シャント110であるため、これらの図に示されるドレナージシステム100は、眼から流体を排出するのに有用である。この排液は、眼の内部(例えば、前房)から眼の外部の周囲組織に進むことができる。ドレナージデバイス110は、壁112内に配置されたリザーバ130を画定する壁112を含むことができる。リザーバ130は、眼の内部からリザーバ130内へ排液を受け取るために、眼と流体連通するように構成されうる。壁112は、ドレナージデバイス110の本体に統合されてもよいし、本体を完全に形成してもよい。これに関して、本体は、本体内の内部リザーバ130を画定する壁112及び壁112内に配置された内部リザーバ開口部(例えば、図2Cの接着剤「b」に又はその周囲に)を有することができ、内部リザーバ130と連通することができる。本明細書でしばしば記載されるように、この壁112は連続的であるが(例えば、連続壁112)、密閉された不連続性を有する他のタイプの壁110も考慮される。
【0074】
壁112は、疎水性状態から親水性状態に移行する微孔質材料を含むことができる。例において、壁112は、壁112が疎水性状態から親水性状態に移行するときに、可変的な流れ抵抗を提供するように構成されている。ドレナージデバイス110は、眼の内部から眼の外部の周囲組織への流体の排液を促進するように構成された流路140を含むことができる。特に、流路140は、流路140を通過する排液に対する可変的な流れ抵抗を備えることができる。流路140は、第一の流れ抵抗を有する第一の流れ抵抗部分と、第二の流れ抵抗を有する第二の流れ抵抗部分とを有することができる。場合により、以下により詳細に説明するように、第一の流れ抵抗は第二の流れ抵抗と異なっていることができる。
【0075】
壁112は、1つ以上の微細構造を含む多層構造であることができる。壁112はまた、連続単層構造内に複数の副層を含む、又は、単層構造の第一の側に1つの多孔度及び第二の側に第二の多孔度を示す連続単層構造の対向する側を画定することができる、連続単一層構造であることができる。これに関して、壁112の例は、第二の微孔質膜242と係合する第一の微孔質膜241を有する第一の層114と、第四の微孔質膜244と係合する第三の微孔質膜243を含む第二の層116とを含むことができる。多くの例において、第一の微孔質及び第二の微孔膜241、242ならびに第三の微孔質膜及び第四の微孔質膜243、244の間の係合は、第一の微孔質膜及び第二の微孔質膜241、242と第三の微孔質膜及び第四の微孔質膜243、244がそれぞれ互いに一体的に形成されるように行われる。特定の例において、第一の層114及び第二の層116はより多くの又はより少ない微孔質膜を含むことができ、そのような構成の幾つかは、「緑内障治療のための統合型水性シャント」という発明の名称であり、2018年3月15日に出願された米国特許出願第15/922,692号明細書で論じられており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
連続単層構造内に様々な微孔質材料を存在させることにより、リザーバ130の動作を容易にすることができる。流体がリザーバ130に流入すると、流体は壁112の微孔質材料と係合することができる。特定の状況下では、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243は、ドレナージデバイス110の周囲縁247に沿って互いに係合されている。例えば、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243は、第一の層及び第二の層114、116の周囲で係合して、第二微孔質膜114及び第三の膜242、243との間に配置されたリザーバを画定することができる。この係合は、例えば、リザーバ130の構造的一体性を確保するための、気密シール結合である結合であることができる。特定の例において、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243は、最初にリザーバ130を膨張させるために、流体が第二の微孔質膜242と第三の微孔質膜243との間の界面に係合できるように、最初に互いに接触又は近接していることができる。この点に関して、最初及びその後に、リザーバ130は第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243がその間の流体の流れに抵抗する収縮状態と、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243の間で流体が流れることができる膨張状態との間で移動するように構成されうる。特定の例において、第一の微孔質膜及び第四の微孔質膜241、244は、互いに結合しないままにすることができるが、他の場合には、それらを(例えば、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243の係合と同様に)互いに係合させることが有用であることができる。
【0077】
壁112を形成するための微孔質材料の配置は、微孔質材料の湿潤化が壁112の内側251よりも前に壁112の外側253で促進されるようにすることができる。この点で、壁112の内側251はリザーバ130を形成することができる。例において、第一の層114及び第二の層116は、第一の微孔質膜241及び第四の微孔質膜244が壁112の最外膜であり、第二の微孔質膜242及び第三の微孔質膜243が壁112の最内膜であるようにスタックされた構成である。
【0078】
例において、微孔質材料はePTFEを含むことができる。これに関して、微孔質材料は、流体による微孔質材料の湿潤化に基づいて疎水性状態から親水性状態に移行するように構成されることができ、微孔質材料は、壁112の外側部分の湿潤化がリザーバ130を画定する表面の湿潤化の前に起こるように構成されている。例において、親水性状態は組織の内方成長を促進する。幾つかのそのような例において、親水性状態は微孔質材料の第一の側を画定することができ、疎水性状態は微孔質材料の第二の側を画定することができる。さらに、ePTFEに類似した他の材料も考えられる。それらの他の材料としては、限定するわけではないが、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリフッ素ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオレフィン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、アクリルコポリマー及び他の適切なフルオロコポリマーなどのポリマーを挙げることができる。
【0079】
眼の内部からの排液は、図1C及び図2Dに例示されるように、流路140を介してドレナージデバイス110を通って流れることができるが、リザーバ及び/又はチューブを画定している他の図にも、流体がデバイス内に通過できることが示されている。流路140は、壁112の部分(例えば、一部又は全部)、及び、場合により、以下にさらに詳細に説明されるような吸入導管120を含むことができる。これに関して、1つの例において、流体は、吸入導管120を介して又は直接に壁112で受け取られた後に流路140を介して、リザーバ130に流入し、次いで、リザーバ130から流出することができる。例えば、リザーバ130が流体で満たされる第一の例では、リザーバ130は、収縮状態から膨張状態に向かって徐々に移動することができる。次いで、壁112の部分が疎水性状態から親水性状態に移行するまで、流体はリザーバ130内に留まることができる。このような場合には、体液は壁112を貫通して(例えば、壁112の内側251から壁112の外側253又は周縁のいずれかに)、壁112で体の周囲の部分に転向されうる。
【0080】
膜を互いに固定するために結合を部分的又は全体的に使用する実施形態において、微孔質材料の結合は、ドレナージデバイス110内の微孔質膜241、242、243、244の周縁部261、262、263、264で起こりうる。特に、第一の微孔質膜241は第一の周縁部261を備えて示され、第二の微孔質膜242は第二の周縁部262を備えて示され、第三の微孔質膜243は第三の周縁部263を備えて示され、第四の微孔質膜244は第三の周縁部264を備えて示されている。上で示唆したように、これらの微孔質膜241、242、243、244の任意の組み合わせを、それぞれの周縁部261、262、263、264で結合することができる。例えば、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243は、それらの周縁部262、263で結合されて、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243の間にリザーバ130を形成する。幾つかのそのような例において、第一の微孔質膜及び第四の微孔質膜241、244は、それぞれ第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243の第二の周縁部及び第三の周縁部262、263から結合されていない。幾つかのそのような例において、第一の微孔質膜及び第四の微孔質膜241、244は、部分的又は全体的に互いに結合されていない。これらの例のいずれにおいても、微孔質膜241、242、243、244の周縁部261、262、263、264における結合は、シール結合とすることができ、場合により、吸入導管120などの追加の構造を収容し、ドレナージデバイス110へシール結合することができる。上述の実施形態と同様の代替の実施形態において、第一の膜及び第二の膜の特性を有する副層を含む単一の一体化層で置き換えることができる、第一の膜241と第二の膜242との間を除いて、また、同様に第三の膜及び第四の膜の特性を有する副層を含む単一の一体化層で置き換えることができる、第三の膜及び第四の膜243と244の間を除いて、上述したように結合を適用することができる。
【0081】
注目すべきことに、連続壁112の少なくとも一部は、微孔質材料から構成される壁部分(例えば、壁112の一部又は全部)を有することができる。壁部分は、内部リザーバ130に面する壁部分内側251、及び、壁部分内側251の反対側にあり、ヒトの眼の外部領域に面する壁部分外側253を有することができる。壁部分内側251は、壁部分内側251全体に延在する低多孔性表面を有することができる。壁部分外側253は、高多孔性表面の間に配置された低多孔性表面を含む交互表面を有することができる。
【0082】
導管120は、本体から導管長さだけ延在するように配置することができる。導管120は、導管120を通る通路を画定する対向する第一の導管端及び第二の導管端122、124を有することができ、その結果、通路は対向する第一の導管端及び第二の導管端122、124の間に延在することができる。第一の導管端122は、内部リザーバ開口部と係合し、第二の導管端124と内部リザーバ130との間の流体接続を提供することができる。導管の長さは、第一の導管端122をヒトの眼の外部領域に配置し、第二の導管端124をヒトの眼の内部領域に配置するのに十分なものとすることができる。例において、第二の導管端124と内部リザーバ130との間の流体接続は、内部リザーバ130から微孔質材料を通ってさらに延び、内部リザーバ130からヒトの眼の外部領域への流体連通を提供する。この流体連通は、微孔質材料を通る流路を画定することができる。以下にさらに説明するように、微孔質材料を通る流路は、内部リザーバ130から離れ、及び/又は低多孔性微孔質領域から高多孔性微孔質領域へ進む方向とすることができる。
【0083】
本開示の様々な態様と一致するドレナージシステム100の別の例の様々な特徴が図2Eに示されている。特に、本明細書の他の場所で論じた他のドレナージデバイス100と同様に、図2Eは、内部に画定されたリザーバ130を有する壁112、及び、リザーバ130と流体連通する吸入導管120を有するドレナージシステム100を示す。図1A~1C及び2A~2Dの場合と同様に、ドレナージシステム100は、患者の体のある部分から別の部分へ流体を排出することに関する。このようなデバイスは、低眼圧を避けるために、術後早期に評価可能な流体の流れ抵抗を備えた薄型形状を有することができる。このデバイス110は、サイズ(例えば、長さ、幅及び厚さを含む1つ以上の寸法)が小さいため、図2A~2Dのデバイス110よりも小柄な患者により適している。幾つかの例において、デバイス110の厚さ(すなわち、シャント又はシャント本体110の最大厚さ)は、約25μm~約30μm、約30μm~約40μm、約40μm~約50μm、約50μm~約60μm、約60μm~約70μm、約70μm~約80μm、約80μm~約90μm、約90μm~約100μm、約10μm~約150μm、約150μm~約200μm、約200μm~約250μm、約250μm~約300μm、約300μm~約350μm、約350μm~約400μm、約400μm~約450μm、約450μm~約500μm又はそれらの間の任意の他の適切な値もしくは範囲、及び/又はそれらの範囲の組み合わせであることができる。
【0084】
ここに示すドレナージシステム100は、上で論じたドレナージシステムと多くの点で類似している。例えば、ここに示すドレナージシステム100は、図2A~2Dに関して説明したように、第一の層及び第二の層を含むことができる。これらの層は、図1A~1Cに関して説明したものと同様の吸入導管120の周囲に(例えば、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜で)結合される。特定の位置まで延在するように示されているが、吸入導管120の遠位端はリザーバ130と連通するように配置されうる(例えば、図示されるよりも近位又は遠位に、リザーバ130の間に吊り下げ又はリザーバ130の内側に沿って配置されるなど)。他の変形例も当業者に明らかであろう。
【0085】
上述したように、眼の内部からリザーバ130への排出は、それらの間に流路を形成することによって促進することができる。このような流路を形成するための例示の媒体は吸入導管120を介するものである。吸入導管120は、シャントなど、場合により長尺で可撓性の中空部材とすることができる。吸入導管120は、リザーバ130と流体連通し、場合により、リザーバ130とシール係合するように配置されうる。これに関して、吸入導管120は、リザーバ130と連通する第二の端部と、ポートを画定する対向する第一の端部とを有することができる。したがって、第一の端部は吸入導管120の近位端であることができ、第二の端部は吸入導管120の遠位端であることができる。吸入導管120は、眼の内部からポートを通ってリザーバ130までの排出を促進するために眼内に配置されるように構成されうる。
【0086】
可変抵抗を備えたドレナージデバイスの追加構成については、2021年11月5日に出願された「体液ドレナージデバイス、システム及び方法(BIOLOGICAL FLUID DRAINAGE DEVICES, SYSTEMS, AND METHOD)」という発明の名称の米国仮出願第63/276,170号、及び、2022年11月3日に出願された「流体ドレナージデバイス、システム及び方法(Fluid DRAINAGE DEVICES,SYSTEMS,AND METHOD)」という発明の名称の米国出願第17/980,417号で追加の説明とともに詳細に説明されており、それぞれの全開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
微孔質材料の詳細については、図3A図3Cを参照してここに説明する。明確にするために、これらの図は導管の図示を省略しているが、本明細書の他の箇所で説明するように、導管をリザーバ130と流体連通して配置できることが理解される。特に、図3A及び3Bは、ドレナージシステムの幅の中央部分に沿って取った、内部にリザーバ130が配置されたドレナージシステムの壁112の断面図を示す。より具体的には、図3Aは、収縮状態(リザーバ130内に流体がほとんど又は全くない状態)にあるドレナージデバイスを示す。図3Bは、膨張状態(リザーバ130を膨張させるためにリザーバ130内に流体が集まっている状態)にあるドレナージデバイスを示す。図3Cは、図3A及び3Bのドレナージシステムにおける微細構造の拡大図である。図3Cの下部に表示されるのは「5.00kV 4.2mm x500 SE 1/23/2018」であり、右下隅に示されているような2つの連続する線の間の距離は10μmである。
【0088】
図3A及び3Bを参照すると、流体が貫通する微細構造は、微孔質材料の部分(例えば、一部又は全部)内に含まれることができる。微細構造は、微孔質材料が多重膜材料となるように、その中に微孔質膜の複数の堆積物を含むことができる。微孔質膜のグループ化又はカップル化した堆積物は微孔質材料の層を形成することができ、それらの層はオーバーラップされ、折り畳まれ、又は同様に配置されることができる。これらの状況下で、リザーバ130は、リザーバ近位セクション231及びリザーバ遠位セクション232を備えて形成されることができ、収集された流体を壁112の外側の周囲組織に拡散することができる。
【0089】
リザーバ130の膨張は、壁112の非結合部分で起こることができる。上述したように、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243は、その内部部分が結合されないように、その周囲で結合されうる。これらの部分は結合されていないので、それらは自由に互いに(又は一方が他方から)分離して、リザーバ130が流体で満たされることを可能にする。リザーバ130は、以下でさらに説明するように、吸入導管の遠位端に隣接して配置されうるリザーバ近位セクション231と、リザーバ近位セクション231の反対側に配置されうるリザーバ遠位セクション232とを有することができる。リザーバ130に入る(又はリザーバ130内の)流体流は吸入導管の遠位端からチャンバの周縁に向けて導かれることができる。これに関して、リザーバ近位セクション231は、リザーバ遠位セクション232より前に膨張するように構成されうる。
【0090】
流体と微孔質材料との係合は、流れ抵抗を与えることができ、その結果、リザーバ130内に圧力が生じることができる。例えば、壁112の第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243を互いに隣接して配置することができ、場合により、相互に接触することができる。リザーバ130が満たされると、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243は、リザーバ130に流入する流体によって徐々に引き離されることができる。例えば、リザーバ130の内面は最初は疎水性であることができるので、リザーバ130への流れは、圧力を高め、それによってリザーバ130を強制的に膨張させる(例えば、第二のチャンバ及び第三のチャンバが互いに離れるように強制される)。壁112が疎水性状態から親水性状態に移行し、流体流がリザーバ130と係合すると、流体流に可変的な流れ抵抗を与えることができる。可変流れ抵抗は、時間の経過に伴う流速に対する圧力の変化率に対応することができる。例において、壁112は、第一の流れ抵抗を有する疎水性状態から、第二の流れ抵抗を有する部分親水性状態、そして第三の流れ抵抗を有する親水性状態に移行する。 ここで、第一の流れ抵抗は第二の流れ抵抗及び第三の流れ抵抗の両方より大きく、第二の流れ抵抗は第一の流れ抵抗より大きい。
【0091】
リザーバ130から壁112を通る流体の拡散速度は、流速の影響を受ける可能性があり、流れ抵抗が減少するにつれて増加する。リザーバ130が膨張し、微孔質材料が疎水性状態から親水性状態に移行すると、この拡散は多くの方向(例えば、リザーバ130から半径方向外側に、周縁部の非結合部分を通ってなど)で起こりうる。リザーバ130への流入がリザーバ130からの流出よりも少ないときに、リザーバ130は膨張状態から収縮状態に向かって移動することができる。一方、リザーバ130への流入がリザーバ130からの流出よりも多いときに、リザーバ130は収縮状態から膨張状態に向かって移動することができる。リザーバ130への連続流を仮定すると、リザーバ130は、膨張状態と収縮状態との間の中間状態である膨張状態に留まることができる。これらの例のいずれにおいても、リザーバ130の流量及び/又は充填レベルに関連する圧力が存在する。リザーバ130内の流体の収集後に、流体は、微孔質材料の移行状態によって、様々な速度で壁112を通る浸透を介して拡散することができる。
【0092】
微孔質材料の各層の透過性は、その中の微細構造の寸法(例えば、厚さ又は長さ)にわたって変化しうる。これらの状況下で、特定の例において、第一の微孔質膜241の第一の微孔質膜241透過性は、第二の微孔質膜242の第二の微孔質膜242透過性よりも高くなりうる。同様に、第四の微孔質膜244の第四の微孔質膜244透過性は、第三の微孔質膜243の第三の微孔質膜243透過性よりも高くなりうる。例において、第二の微孔質膜242透過性は、第三の微孔質膜243透過性とほぼ同じであることができる。例において、第一の微孔質膜241透過性は、第四の微孔質膜244透過性とほぼ同じであることができる。幾つかのそのような例において、第二の微孔質膜242透過性及び第三の微孔質膜243透過性は、それぞれ、第一の微孔質膜241透過性及び第四の微孔質膜244透過性とは異なる。
【0093】
微孔質材料内の膜の多孔度は、その部分における組織内方成長能力に影響を与えるように構成することができる。組織内方成長は、壁112のある部分(例えば、壁112の外側253)で起こり、壁112の他の部分(例えば、リザーバ130)では抵抗されることが望ましいことがある。壁112の外側253における組織の内方成長は、デバイスをインプラント処置された位置に固定することができ、リザーバ130における内方成長に抵抗することにより、リザーバ130全体にわたる組織の成長によりリザーバ130が膨張不能になることを抑制することができる。この機能を達成するために、微孔質材料の一方の側の多孔度は、微孔質材料の別の反対側の多孔度よりも大きくすることができる。これに関して、微孔質材料は、緻密な側(例えば、多孔度が大きい)及び開放した側(例えば、多孔度が小さい)を有することができる。例において、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243は、組織の内方成長に抵抗するように構成されうる。幾つかの例において、第一の微孔質膜及び第四の微孔質膜241、244は、組織の内方成長を可能にするように構成され、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243は、第一の層及び第二の層114、116の結合された周縁部に隣接して維持される拡張状態を有する。
【0094】
微細構造の貫通により、流体が微孔質材料に貫通することができる。これらの貫通は、例えば、所与の微孔質膜の機能に基づいて、サイズを変更させることができる。例において、第一の微孔質膜及び第四の微孔質膜241、244のいずれか又は両方は、血管及び他の組織の内方成長を可能にする範囲のサイズ(又は平均サイズ)の貫通部を含むことができる。さらなる例において、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜242、243のいずれか又は両方は、その中の貫通が概して、房水透過性を維持しながら組織の内方成長及び付着を最小限に抑える、抵抗する、又は防止するようなサイズとなるように構成又は選択される。
【0095】
微孔質材料の内部部分は、図3Cに見られるように、様々な多孔度を有することができる。内部部分は、壁の内側251と壁の外側253との間に延在することができる。壁のこれらの部分のいずれにおいても、多孔度は、比較的に、低多孔度(LP)、中低多孔度(MLP)、中多孔度(MP)、中高多孔度(MHP)及び高多孔度(HP)の程度の範囲であることができる。ここでの議論の目的で、排液が、壁部分の内側251、均一な内側部分及び壁部分の外側253の多孔度と順次に係合するように、微孔質材料を通る比較的に直線的な経路に沿って移動すると仮定すると、合成流れ抵抗は、それぞれの多孔度を結びつけることによって表されることができる。例えば、壁部分の内側251は、典型的には、(例えば、リザーバ130への組織の内方成長に抵抗するために)全体にわたって低い多孔度を有し、内部部分及び壁部分の外側253の部分は、前述の程度の多孔度を有することができる。このような状況下で、内部部分が中程度の多孔度を有し、例えば、内部部分が中多孔度を有しかつ壁部分の外側253が高多孔度を有するときに、リザーバ130からデバイスを取り囲む組織まで微孔質材料を通る流路は、LP-MP-HPとして表すことができる。さらなる例については、以下で説明する。
【0096】
微孔質材料内には様々な流路が存在することができる。比較的直線的な流路は、例えば、領域LP1-LP4-LP5、又は、LP3-MHP1-MP1-MLP1を含むことができる。幾つかの条件下、例えばリザーバ130内に高圧が存在する場合に、少なくとも一部の流れは、LP1-LP4-LP5又はLP2-HP1-HP2などの微孔質材料を通る最も直接的な経路を通って進むことができる。幾つかの流路は比較的に直線的であることができるが、非直線的な流路も存在する。例えば、特定の条件下において、少なくとも一部の流れは、LP1-HP1-HP2又はLP3-MHP1-HP1-HP2などの抵抗がますます小さくなる領域を通って流れ続けることができる。理解されるように、微孔質材料の微細構造は、微細構造を通る特定の種類の流れを得るために変性プロセスを受けることができる。例えば、微細構造は、微細構造内の層全体にわたって比較的に均一な層を有することができ、又はここに示されているように、微孔質材料の厚さ全体にわたって可変部分を有することができる。
【0097】
例において、壁部分は、壁部分内側251と壁部分外側253との間に延在する壁部分厚さを画定する。壁部分厚さは、壁部分内側251の低多孔性表面251の多孔度と、壁部分外側253の高多孔性表面の多孔度との間にある移行多孔度を有する壁部分の内部領域を画定することができる。追加的又は代替的に、内部領域は、内側及び外側の低多孔性表面の多孔度に等しい内部領域多孔度を有することができる。追加的又は代替的に、内部領域は、内側の低多孔性表面の多孔度と等しい内部領域多孔度を有することができる。追加的に又は代替的に、内部領域は、外側の高多孔性表面の多孔度と等しい内部領域多孔度を有することができる。
【0098】
図4A図4Eは、壁112及び導管120によって提供される流路に沿って特定の流れ抵抗を達成するために異なる変性を加えたドレナージデバイスの様々な構成を示している。特に、4つの構成(図4A、4B、4C及び4D)が示されており、ここで、壁112内の微孔質材料の緻密さ(内側251に沿った連続する×マーク間の距離によって示されるとおり)及び/又は導管120の内径(構成に応じて直径D1又はD2)は変更される。例えば、図4Aの構成は、壁112内の微孔質材料が公称多孔度を有し、導管120の直径が公称直径D1である基本構成と考えることができる。図4Aの構成と比較すると、図4Bの構成は、同様の緻密さを有するが、導管120の内径D2が小さいこと(定義により、D2<D1)を示しており、これにより、そこでの流れ抵抗が増加することができる。図4Aの構成と比較すると、図4Cの構成は、より緻密な多孔度(×印は壁112の内側251に沿って互いに近くに配置されている)であるが、同様の内径(D2)を示している。図4Dの構成は、図4Cの構成と同様に緻密な多孔度を示すが、公称内径D1は図4Aの構成と同様であることを示す。図4A~4Dの構成はまた、「抵抗器」R1(導管120について)及びR2(壁112について)を示し、図4Eは、様々な点でR1及びR2を変更することによって、流路に沿った圧力がどのように変化することができるかを示している。例えば、現在説明されているとおりの構成において、内径をD1からD2に減少させると、圧力を+6.9mmHg増加させることができ(図4Aから図4B)、壁112の内側251の緻密さを増加させると、圧力を+91.8mmHg増加させることができ(図4Bから図4C)、そして緻密さを維持しながら内径をD2からD1に増加させると、圧力を-8.3mmHg減少させることができる(図4Cから図4D)。
【0099】
流路に沿った圧力は、「流れ方向」とラベル付けされた太字の矢印で示されるように、流体が吸入導管120に流入する第一の端部(近位端)122で測定することができる。さらに、流体は、リザーバ130に入り、太い曲線の矢印で示されるように、壁112の外側253を通ってデバイスから出る。幾つかの例において、内側251の緻密さが変性されたときに、外側253の緻密さは同じままであることができる。幾つかの例において、外側253の緻密さを変性する効果は、壁112の内側251の緻密さを変性する効果と比較して無視できる又は最小限であることができる。
【0100】
微孔質材料及び/又は導管120に対する変性を使用して、ドレナージデバイスの全体としての流れ抵抗を調整することができる。流路に沿って任意の数の抵抗が設けられてもよいが、簡潔にするために、本明細書に開示される例には2つ又は3つの抵抗部分が含まれており、その原理はドレナージデバイス内の任意の数の抵抗をカバーするように外挿されることができる。少なくとも2つの流れ抵抗を有するドレナージデバイス110から始めて、流路を通って流れる流体が第二の流れ抵抗に遭遇する前に第一の流れ抵抗に遭遇するように、第一の流れ抵抗及び第二の流れ抵抗を直列構成で配向することができる。例において、第一の流れ抵抗は流路の直径に対応する。これに関して、導管120の内径及び/又は外径は第一の流れ抵抗を規定することができる。例において、流路は、リザーバが初期の非膨張状態にあるときなど、排液にさらされたときに疎水性状態から親水性状態に移行するように構成された微孔質材料(例えば、導管120が存在する場合には導管120から)の間に延在する。これらの状況下において、第二の流れ抵抗は、流体が微孔質材料と係合するときに、経時的な流速に対する圧力の変化率に対応することができる。例において、微孔質材料は、微孔質材料の厚さにわたって可変的な多孔度を有する。例において、変化率は、微孔質材料の多孔度の緻密さに対応する。
【0101】
流路に沿った流れ抵抗の組み合わせ例についてここで説明する。流路を通って流れる排液は、流路内に規定される複数の流れ抵抗に遭遇することができる。様々な構成要素又は構成要素の部分における複数の流れ抵抗における各流れ抵抗において、このような各流れ抵抗の大きさは、流路の長さに沿って変化することができる。
【0102】
例えば、説明の目的で、第一の流れ抵抗及び第二の流れ抵抗は、図4A~4Dの構成を考慮して直列構成で配向されていると言うことができる。この点に関して、流路を通る流体流は、第二の流れ抵抗(例えば、「R2」)に遭遇する前に、第一の流れ抵抗(例えば、「R1」)に遭遇することができる。幾つかの例において、R1及びR2は、ドレナージシステム100において単一の構成要素(例えば、吸入導管120又はドレナージデバイス110)、又は、ドレナージシステム100において複数の構成要素(例えば、R1は吸入導管120であり、R2はドレナージデバイス110である)を表し、図4A~4Dに示されるような複数の順次の流れ抵抗を表すことができることに留意されたい。ここで、R1及びR2は互いに異なる。例えば、第一の流れ抵抗部分は導管120によって提供することができ、第二の流れ抵抗部分はドレナージデバイスの壁112によって提供することができる。さらなる例において、第一の流れ抵抗部分及び第三の流れ抵抗部分は両方とも導管120によって提供されうるか、あるいは壁112によって提供されうる。これらの例において、第一の流れ抵抗は第二の流れ抵抗よりも小さくすることができる。他の例において、第一の流れ抵抗は第二の流れ抵抗よりも大きくすることができる。
【0103】
例において、流路は追加の流れ抵抗(例えば、第三、第四、第五など)を有することができる。例えば、流路は、第三の流れ抵抗を有する第三の流れ抵抗部分を有することができる。例において、第一の流れ抵抗及び第三の流れ抵抗のそれぞれは、第三の流れ抵抗よりも大きくなりうる。例において、第一の流れ抵抗、第二の流れ抵抗及び第三の流れ抵抗のそれぞれは、互いに異なっていることができる。例において、第一の流れ抵抗及び第二の流れ抵抗は吸入導管120によって規定されることができ、第三の流れ抵抗はドレナージデバイス110によって規定されることができる。他の例において、第一の流れ抵抗及び第二の流れ抵抗はドレナージデバイス110によって規定されることができ、第三の流れ抵抗は吸入導管120によって規定されることができる。さらに他の例において、第一の流れ抵抗、第二の流れ抵抗及び第三の流れ抵抗のそれぞれは、吸入導管120によって、又は代わりにドレナージデバイス110によって規定されることができる。これらの例は、本開示によって提供される多くの例のうちのほんの一部にすぎない。
【0104】
なお、図4Eの棒グラフに示されている数字は説明のみを目的としている。当業者であれば、多くの変更の組み合わせが存在し、それらが本開示の範囲内に十分に含まれることを理解するであろう。
【0105】
図5Aは、本開示の態様と一致する方法500のフローチャートを示す。図示されるように、方法500は、本明細書に開示される緑内障ドレナージデバイスを形成するのに有用であり、ドレナージシステム100を含む、本明細書の他の場所に開示されるドレナージシステムを含むことができる。工程501において、方法500は、第一の微孔質材料の第一の部分を第二の微孔質材料の第二の部分の上に配置することを含むことができる。第一の微孔質材料及び第二の微孔質材料のそれぞれは、疎水性状態から親水性状態に移行する。工程503において、方法500は、第一の部分を第二の部分に固定して、それらの間にリザーバを有する壁を形成することを含むことができる。リザーバは、眼の内部からリザーバへの排液を受け取るために、眼内で流体連通するように構成されうる。壁は、壁が疎水性状態から親水性状態に移行するときに、可変的な流れ抵抗を規定することができる。例において、工程505において、方法500は、第一の部分と第二の部分との間に吸入導管を固定することを含むことができる。吸入導管は、排液を受け取るように構成されうる。
【0106】
ユーザは、ドレナージシステムを構築する際に、特にその結合部分に関係するときに、注意することができる。例において、第一の部分を第二の部分に固定することは、第一の微孔質膜を第四の微孔質膜に結合することを抑制することを含むことができる。例において、第一の部分を第二の部分に固定することは、第一の微孔質膜及び第四の微孔質膜が壁の最外膜であり、第二の微孔質膜及び第三の微孔質膜が壁の最内膜となるように、第一の層及び第二の層をスタック構成に配置することを含むことができる。
【0107】
別の方法550を図5Bに示す。この方法は、ドレナージデバイス110を含む、本明細書の他の場所で開示されるドレナージデバイスの使用方法である。工程551において、方法550は、ヒトの内部からの排液をドレナージデバイス内のリザーバに向かって流すように導くことを含むことができる。工程553において、方法550は、流路の第一の流れ抵抗に遭遇するように排液を導くことを含むことができる。工程555において、方法550は、微孔質材料が疎水性状態から部分親水性状態に移行するまで、リザーバ内の排液を収集することを含むことができる。工程557において、方法550は、排液がリザーバから順応性壁を介して眼の外部の体の部分に流れるように導くことを含むことができる。
【0108】
図1A~1Cに示されるシステムは、システムの様々な特徴の例として提供されているが、これらの図示された特徴の組み合わせは明らかに本発明の範囲内であり、その例及びその例示は、本明細書で提供される発明の概念が、より少ない特徴、追加の特徴又は図1A~1Cに示されるそれらの特徴の1つ以上に対する代替の特徴から限定されることを示唆するものではない。例えば、様々な実施形態において、図1A~1Cに示されるシステムの構成要素及び/又は特性は、図2A~2E、3A~3C、4A~4Eならびに5A及び5Bなどの他の図を参照して説明された構成要素及び特性を含むことができる。また、その逆も同様に当てはまることを理解されるべきである。図1A~1Cに示される構成要素のうちの1つ以上は、図2A~2E、3A~3C、4A~4Eならびに5A及び5Bに示される構成要素に加えて、又はその代替として使用されうる。これは、あらゆる図、そこに示され、本明細書で参照して説明される構成要素及び特性に当てはまる。
【0109】
図6A及び6Bは、「液滴法」とも呼ばれる、表面が疎水性であるか又は親水性であるかを試験する方法の例を示す。このような試験は、典型的に、手動の機器から完全に自動化されたシステムに至るまで、光学式張力計を使用して実行される。これらの例の両方において、液体又は流体(「液体」)のドロップを試験される表面上に置く。この場合、それは緑内障ドレナージデバイス110の壁112(水平矢印によって表される)である。続いて、高解像度カメラを使用して液滴の画像を撮影することによって、液体の静的接触角(Θ)は表面、すなわち壁112から測定され、そこから任意の適切なソフトウェアを使用して接触角が自動的に決定されうる。図6Aにおいて、接触角は鈍角、すなわち90度より大きく、壁112の表面が疎水性であることを示している。図6Bにおいて、接触角は鋭角、すなわち90度未満であり、壁112の表面が親水性であることを示している。幾つかの例において、疎水性状態から親水性状態への移行は、少なくとも10度、少なくとも15度、少なくとも20度、少なくとも25度、少なくとも30度、少なくとも35度、少なくとも40度、少なくとも45度、少なくとも50度、少なくとも55度、少なくとも60度、少なくとも65度、少なくとも70度、少なくとも75度、少なくとも80度、少なくとも85度、少なくとも90度、又はその間の任意の適切な値又は範囲の接触角の減少を構成する。前に説明したように、壁112、より具体的にはその微孔質材料は、疎水性状態から親水性状態に移行することができ、この移行のスピード又は速度は、この方法を使用して測定することができる。
【0110】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関して上で説明された。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることは、当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を網羅することが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】