(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】導電性バインダー材料
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20241024BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20241024BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20241024BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20241024BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241024BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20241024BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241024BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20241024BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20241024BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20241024BHJP
H01M 10/0525 20100101ALI20241024BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20241024BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20241024BHJP
H01M 4/64 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/587
H01M4/485
H01M4/58
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/13
H01M4/139
H01M10/058
H01M10/054
H01M10/0525
H01M50/414
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M4/66 A
H01M4/64 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024526639
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 GB2022052766
(87)【国際公開番号】W WO2023079280
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519399763
【氏名又は名称】マイラー スペシャルティ フィルムス ユーエス リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】サンキー スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ミーバーン メーガン アリシア
(72)【発明者】
【氏名】ショセラー ルーシャン
(72)【発明者】
【氏名】ターナー デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
5H017
5H021
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017DD06
5H017EE01
5H017EE04
5H017EE05
5H017EE07
5H017HH03
5H021EE08
5H021EE22
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL03
5H029AL07
5H029AM12
5H029DJ08
5H050AA17
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB03
5H050CB08
5H050DA11
5H050GA03
5H050GA10
5H050GA11
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA11
(57)【要約】
活性材料及びバインダー材料によって構成される電極であって、バインダー材料がジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含む、電極。バインダー材料は、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分をさらに含み得る、及び/または該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンをさらに含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性材料及びバインダー材料によって構成される電極であって、前記バインダー材料が、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含み、前記バインダー材料が、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分をさらに含み得る、及び/または前記導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンをさらに含み得る、前記電極。
【請求項2】
前記コポリエステルが、ジオカルボン酸及び脂肪族ジオールから得られる半結晶性セグメントと、ポリ(アルキレンオキシド)から得られる非晶質セグメントとを含む、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記ポリ(アルキレンオキシド)が、前記コポリエステルの全重量の約0.1~約80重量%、好ましくは約5~約78重量%、好ましくは約10~約75重量%、好ましくは約12~約65重量%、好ましくは約15~約60重量%、好ましくは約16~約55重量%を構成する、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項4】
前記ジオールが、C
2、C
3、またはC
4脂肪族ジオールから選択され、好ましくは前記脂肪族ジオールがエチレングリコールである、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項5】
前記ジカルボン酸が、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、及びテレフタル酸から選択される芳香族ジカルボン酸である、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項6】
前記ポリ(アルキレンオキシド)が、C
2~C
15、好ましくはC
2~C
10、好ましくはC
2~C
6アルキレン鎖から選択され、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(PTMO)から選択され、好ましくはPEG及びPPGから選択され、好ましくは前記ポリ(アルキレンオキシド)がPEGである、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項7】
前記ポリ(アルキレンオキシド)の数平均分子量が、約200~約20000g/モル、好ましくは約400~約3500g/モル、好ましくは約500~約3500g/モルである、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項8】
前記バインダー材料が、前記第1の金属イオン含有成分及び/または前記追加の金属イオンを含み、好ましくは前記バインダー材料が、前記第1の金属イオン含有成分と、前記追加の金属イオンとを含む、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項9】
前記追加の金属イオンが、好ましくは金属塩から選択される第2の金属イオン成分の形をとる、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項10】
前記第1の金属イオン含有成分の前記金属が、前記追加の金属イオンの前記金属と同じである、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項11】
前記金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウムから選択され、好ましくはリチウム、ナトリウム、マグネシウム及びアルミニウムから選択され、好ましくはリチウム及びナトリウムから選択され、好ましくはリチウムである、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項12】
前記金属がリチウムであり、前記リチウムイオン含有導電性セラミック粒子材料が、リチウムイオン含有導電性ガラスセラミック粒子材料などのNASICON型セラミック粒子材料、LISICON型セラミック粒子材料、ペロブスカイト型酸化物セラミック粒子材料、ガーネット型酸化物セラミック粒子材料、リチウムリンオキシナイトライド(LIPON)型セラミック粒子材料、及びリチウムアルミニウムケイ酸塩(LAS)セラミック粒子材料から選択される、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項13】
前記金属がリチウムであり、前記リチウムイオン含有導電性セラミック粒子材料が、
一般式LiM
y(PO
4)
3を有するNASICON型材料であって、上式で、MがAl、Si、Ti、Zr、Ge、Sn、及びHfの1つ以上などの多価金属イオンを表す前記NASICON型材料、
一般式Li
1+xM
xTi
2-x(PO
4)
3(LATP)を有するNASICON型材料であって、上式で、MがAl、Sc、Y、及びLaの1つ以上から選択される3価カチオンを表す、前記NASICON型材料、
一般式Li
1+xAl
xGe
2-x(PO
4)
3(LAGP)を有するNASICON型材料、
Li
1+x+yAl
xTi
2-xSi
yP
3-yO
12の結晶相と、Li
2O-Al
2O
3-SiO
2-P
2O
5-TiO
2の組成とを有する材料、
Li
1+x+yAl
x(Ti,Ge)
2-xSi
yP
3-yO
12の主要結晶相と、Li
2O-Al
2O
3-SiO
2-P
2O
5-TiO
2-GeO
2の組成とを有する材料、
一般式Li
2+2xZn
1-xGeO
4を有するLISICON型材料であって、任意選択で、他の元素(通常は等原子価の元素)が、Li
2+2xZn
1-xGe
4O
16、Li
14ZnGe
4O
16、Li
(3+x)Ge
xV
(1-x)O
4、Li
(4-x)Si
(1-x)P
xO
4など、前記Li、Zn、及び/またはGeを置き換え得る、前記LISICON型材料、
Li
(4-x)Ge
(1-x)P
xS
4Li
10GeP
2S
12などのチオLISICON型材料、
Li
3xLa
(2/3)-xTiO
3(LLTO)及びLi
3xLa
1/3-xTaO
3などのペロブスカイト型酸化物材料、
Li
5La
3M
2O
12(上式で、MはNb及び/またはTaを表す)、Li
6ALa
2M
2O
12(上式で、AはCa、Sr、及び/またはBaを表し、MはNbまたはTaを表す)、またはLi
6.5La
2.5Ba
0.5ZrTaO
12などの一般式Li
7-3y-xLa
3Zr
2-xM1
yM2
xO
12(上式で、M1はAl及びGaなどの3価カチオンを表し、M2はNb及びTaなどの5価カチオンを表し、x≧0及びy≦2である)を有するガーネット型酸化物材料、
Li
2PO
2Nなど、一般式Li
xPO
yN
zを有するLIPON型材料、及び
AlLiO
6Si
2などのLAS型材料
から選択される、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項14】
前記金属がナトリウムであり、前記ナトリウムイオン含有導電性セラミック粒子材料が、導電性ガラスセラミック粒子材料、ベータ-アルミナ及びベータ’’-アルミナ相Na
2O.nAl
2O
3(上式で、5≦n≦11)、希土類ケイ酸ナトリウム、ならびにナトリウムイオン伝導性オキシハライドガラスなどのNASICON型材料から選択され、好ましくは、一般式Na
3Zr
2Si
2PO
12、NaTi
2(PO
4)
3、NaGe
2(PO
4)
3、またはNa
1+x[Sn
xGe
2-x(PO
4)
3]を有するNASICON構造の酸化物、一般式Na
5MSi
4O
12(上式で、MはY、Sc、Lu、及び/または任意の3価希土類カチオンである)を有する希土類ケイ酸ナトリウム、ならびにNaI-NaCl-Na
2O-B
2O
3などのナトリウムイオン伝導性オキシハライドガラスから選択される、請求項1~12のいずれかに記載の電極。
【請求項15】
前記金属イオン含有導電性セラミック粒子材料の前記量が、前記バインダー材料の全重量の約0.1重量%~約60重量%、好ましくは約5重量%~約50重量%、好ましくは約8重量%~約35重量%、好ましくは約10~約20重量%の範囲で前記バインダー材料に存在する、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項16】
前記追加の金属イオンが、
(i)芳香族カルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸またはイソフタル酸、
(ii)脂肪族ジカルボン酸、好ましくは酢酸、グリコール酸、またはコハク酸を含む脂肪族カルボン酸、
(iii)炭酸、
(iv)フェノール酸、好ましくはサリチル酸、
(v)過塩素酸またはリン酸などの鉱酸、特にリン酸、及び
(vi)ホウ酸、好ましくはビス(シュウ酸)ホウ酸
の塩から選択される金属塩の形をとる、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項17】
前記追加の金属イオンが、有機酸の金属塩の形をとり、好ましくは、前記コポリエステルが得られる前記芳香族ジカルボン酸の前記塩である、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項18】
前記追加の金属イオンが、前記酸、好ましくは前記カルボン酸、好ましくは前記ジカルボン酸、好ましくは前記芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸の前記アルコキシレートエステルから選択される金属塩の形をとり、前記アルコキシレートエステルが、好ましくは前記脂肪族ジオール、好ましくはC
2-10脂肪族ジオール、好ましくはC
2-6脂肪族ジオール、好ましくはC
2、C
3、またはC
4脂肪族ジオールから得られ、より好ましくはエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、及び1,4-ブタンジオールから得られ、より好ましくはエチレングリコールから得られる、請求項16または17に記載の電極。
【請求項19】
前記追加の金属イオンがリチウムイオンであり、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムヘキサフルオロリン酸(LiPF
6)、リチウムテトラフルオロホウ酸(LiBF
4)、リチウムチオシアネート(LiSCN)、リチウムヘキサフルオロヒ酸(LiAsF
6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF
3SO
3)、臭化リチウム(LiBr)、リチウムヨウ化物(LiI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(LiN(CF
3SO
2)
2)、リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド(LiC(CF
3SO
2)
3)、リチウムオルトケイ酸、リチウムトリフルオロ酢酸(LiCF
3CO
2)、リチウムビス(フルオロ亜硫酸)アミド(LiN(FO
2S)
2)、テレフタル酸二リチウム(DLTA)、イソフタル酸二リチウム、グリコール酸リチウム、安息香酸リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、過塩素酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、リン酸リチウム、サリチル酸リチウム、コハク酸リチウム、ビス(オキサラート)ホウ酸リチウム、及びテレフタル酸ビスヒドロキシエチル二リチウム(DL-BHET)から選択されるリチウム塩の形を取る、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項20】
前記追加の金属イオンがリチウムイオンであり、テレフタル酸二リチウム(DLTA)、イソフタル酸二リチウム、テレフタル酸ビスヒドロキシエチル二リチウム(DL-BHET)、及びLiCF
3SO
3から選択されるリチウム塩の形をとる、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項21】
前記追加の金属イオンが、ナトリウムイオンであり、硝酸ナトリウム(NaNO
3)、過塩素酸ナトリウム(NaClO
4)、テトラフルオロホウ酸ナトリウム(NaBF
4)、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF
6)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム(NaTFSI)、ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミドナトリウム(Na[N(CF
3SO
2)
2])、ヘキサフルオロヒ酸(V)ナトリウム(NaAsF
6)、ビス(オキサラトホウ酸)ナトリウム(「NaBOB」)、ハロゲン化ナトリウム(NaX)(上式でX=Cl、Br、またはI)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、ペンタシアノプロペニドナトリウム(NaPCPI)、テトラシアノピロレートナトリウム(NaTCP)及びトリシアノイミダゾレートナトリウム(NaTIM)から選択されるナトリウム塩の形をとる、請求項1~16のいずれかに記載の電極。
【請求項22】
前記追加の金属イオンが、前記金属カチオンと、前記コポリエステルの負に帯電した酸素原子、好ましくは少なくとも前記ポリアルキレンオキシド単位の前記酸素原子との間の前記相互作用によって、前記バインダー材料の前記ポリマーマトリクスに存在し、前記ポリマーマトリクス内に保持される、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項23】
前記追加の金属イオンが金属塩の形をとり、前記金属カチオンと、前記コポリエステルに共有結合していない前記金属塩の前記アニオンとの間の前記相互作用によって前記コポリエステルの前記ポリマーマトリクス内に保持される、請求項1~21に記載の電極。
【請求項24】
前記フィルム中の前記追加の金属イオンの前記量が、5:1~1:50、好ましくは約4:1~約1:50、好ましくは約3:1~約1:50、好ましくは約2:1~約1:50、好ましくは約1:1~約1:40、好ましくは約1:2~約1:30、好ましくは約1:4~約1:25の金属:Oモル比を提供するために有効であり、この比でのO原子の数が、前記ポリ(アルキレンオキシド)残基中のO原子の数として定義され、この比での金属原子の数が、前記追加の金属イオンによって提供される金属原子の数として定義される、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項25】
前記追加の金属イオンが、前記バインダー材料の全重量の0.1重量%~約40重量%、好ましくは約1重量%~約10重量%の量で前記バインダー材料中に存在する第2の金属イオン成分(好ましくは金属塩)の形を取る、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項26】
前記バインダー材料が、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、タルク及びシリカなどの半金属酸化物、焼成陶土、カルシウム及びバリウムの炭酸塩及び硫酸塩などのアルカリ金属塩、ならびに非導電性セラミック粒子材料から選択される無機粒子充填剤を含み、前記無機粒子充填剤が、前記第1及び第2の金属イオン含有成分とは異なる実体であり、前記第1または第2の金属イオン含有成分の前記金属イオンを含まず、好ましくは、前記無機粒子充填剤が、前記バインダー材料の全重量の約5重量%~約20重量%の量で存在する、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項27】
前記バインダー材料が、前記電極の全重量の約0.1~約25重量%、好ましくは約2~約5重量%の量で存在する、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項28】
前記電極がアノードであり、前記活性材料が、黒鉛及び/またはチタン酸リチウム(LTO)から選択される、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項29】
前記電極がカソードであり、前記活性材料が、リチウムまたはリチウムと他の金属(複数可)の混合酸化物、特にチタン酸リチウム(LTO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO
4、LFPとしても知られる)、及び/またはリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNiMnCoO
2、NMCとしても知られる)から選択される、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項30】
前記活性材料が、前記電極の全重量の約75~約99.1重量%、好ましくは約80~約95重量%の量で存在する、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項31】
フィルムである、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項32】
支持基部上に流延され、好ましくは前記支持基部が集電体または分離器である、任意の先行請求項に記載の電極。
【請求項33】
電極を形成するための組成物内でのバインダー材料の使用であって、前記バインダー材料が、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含み、前記バインダー材料が、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分をさらに含み得る、及び/または前記導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンをさらに含み得る、前記使用。
【請求項34】
前記バインダー材料が、請求項2~32のいずれかに記載される、請求項34に記載のバインダー材料の使用。
【請求項35】
請求項1~32のいずれかに記載の電極を製造するための方法であって、
(i)前記ジオールを前記ジカルボン酸またはそのエステル(好適には低級アルキル(C
1-4)エステル、好ましくは前記ジメチルエステル)と反応させて、前記ジカルボン酸のビス(ヒドロキシアルキル)エステルを形成するステップと、
(ii)ポリ(アルキレンオキシド)の存在下で前記ジカルボン酸の前記ビス(ヒドロキシアルキル)エステルを重縮合反応で重合させて、コポリエステルを形成するステップと、
(iii)ステップ(i)及び/または(ii)の前記コポリエステルの合成中に、及び/または後続の別個の前記コポリエステルと混ぜ合わせることもしくは混合することの間に、導電性セラミック粒子材料から選択される前記第1の金属イオン含有成分を任意選択で導入し、前記導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源から前記追加の金属イオンを任意選択で導入するステップと、
(iv)ステップ(ii)または(iii)からの前記コポリエステル生成物をバインダー材料として提供するステップと、
(vi)前記活性材料を前記バインダー材料と混合して組成物を形成するステップと、
(vii)好ましくは前記組成物を含む分散液または溶液を溶媒流延することによって、前記組成物から電極を形成するステップと
を含む、前記方法。
【請求項36】
前記電極組成物が、それ自体が固体電池の構成要素、好ましくは集電体である支持基部の上に配置される、請求項36に記載の方法。
【請求項37】
請求項35または請求項36に記載の方法によって得られた電極。
【請求項38】
集電体と、電極とを備えるアセンブリであって、前記電極が請求項1~32または37のいずれかに記載の電極である、前記アセンブリ。
【請求項39】
分離器と、電極とを備えるアセンブリであって、前記電極が請求項1~32または37のいずれかに記載の電極である、前記アセンブリ。
【請求項40】
請求項1~32または37のいずれか1項に記載の電極の、または請求項48または39に記載のアセンブリの、金属イオン電池、好ましくはリチウムイオン電池での使用。
【請求項41】
前記層の順序が、アノード集電体/アノード/分離器/カソード/カソード集電体となるように、アノードと、カソードと、分離器と、アノード集電体と、カソード集電体とを備え、前記アノード及び前記カソードの少なくとも1つが請求項1~32または37のいずれかに記載の電極である、金属イオン電池。
【請求項42】
前記金属イオン電池が固体電池である、請求項41に記載の金属イオン電池。
【請求項43】
前記金属イオン電池の前記金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウムから選択され、好ましくはリチウム、ナトリウム、マグネシウム及びアルミニウムから選択され、好ましくはリチウム及びナトリウムから選択され、好ましくはリチウムである、請求項41または42に記載の金属イオン電池。
【請求項44】
前記分離器が、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含むコポリエステルフィルムであり、前記コポリエステルフィルムが、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分をさらに含み、前記フィルムが、前記導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンをさらに含み得る、請求項41~43のいずれかに記載の金属イオン電池。
【請求項45】
前記アノード集電体及び/または前記カソード集電体が、2軸配向ポリエステル基材層と、前記ポリエステル基材層の側面上の第1の金属層とを含む集電体から単独で選択され、前記ポリエステル基材層が、前記横断方向(TD)及び機械方向(MD)のそれぞれで、200℃の空気中で正の熱膨張を示し、前記ポリエステル基材層が12μm以下の厚さを有し、前記第1の金属層が50~1000nmの厚さを有し、好ましくは、前記集電体が、50~1000nmの厚さを有する第2の金属層をさらに含み、前記第1の金属層及び前記第2の金属層が、前記ポリエステル基材層の反対側にあり、好ましくは、前記第1の金属層、及び存在する場合、前記第2の金属層がそれぞれ、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、銀、ニッケル-銅合金、またはアルミニウム-ジルコニウム合金の少なくとも1つを単独で含み、好ましくは、前記第1及び第2の金属層が同じ材料から選択され、好ましくは、前記第1及び第2の金属層がともにアルミニウムまたは銅のどちらかである、請求項41~44のいずれかに記載の金属イオン電池。
【請求項46】
請求項1~32、または37のいずれかに記載の電極を備える、請求項41~45のいずれかに記載の金属イオン電池を製造する方法であって、
(a)請求項1~32または37のいずれかに記載の電極を準備または取得するステップと、
(b)リチウムイオン充電式電池を組み立てるステップであって、前記電池が、アノードと、カソードと、分離器と、アノード集電体と、カソード集電体とを備え、前記アノード及び前記カソードの少なくとも1つがステップ(a)から得られた前記電極である、前記組み立てるステップと
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、バインダー材料、バインダー材料から作られる電極、及び電極の製造のための方法に関する。特に、本発明は、金属-イオン電池、特にリチウムイオン電池内の電極としての使用のために必要とされる特性を示すバインダー材料及び電極に関する。
【0002】
リチウムイオン電池は、部分的には家電製品及び再生可能エネルギーの貯蔵に対する需要の増加により、予測可能な将来にわたって継続的に成長が見込まれる充電式電池の分野で幅広く使用されている。電池の動作中(つまり、充電及び放電中)、リチウムイオンは電極間(つまり、アノードとカソードとの間)で移動する。通常、電極はそれぞれ単独で、電気化学的に活性な材料、任意選択の導電性添加剤(炭素など)、及びバインダー材料を含む、複数の構成要素から作られている。バインダー材料は、電極を通じてリチウムイオンの移動を可能にしなければならない。さらに、バインダー材料は、電極の機械的な安定性において重要な役割を果たす。バインダー材料は、その好ましいレオロジー特性及び電気化学安定性を考慮して、通常、フッ化物樹脂、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。通常、これらの複数の成分の組成物またはスラリーは、集電体上に薄膜としてコーティングされるか、またはそれ以外の場合、堆積され、乾燥時に固体電極を形成する。したがって、固体アノードはアノード集電体と接触し、固体カソードはカソード集電体と接触している。
【0003】
既知の電極の問題は、電極が容易にリサイクルできないことである。金属抽出中に使用される高温で、PVDFバインダーの分解から有毒ガスが生じる可能性がある。しかしながら、特にPVDFを環境に優しい方法で使用済み電極から回収できるように、PVDFを溶解できる溶剤がほとんどないという理由で、PVDFバインダーを分離及び回収することは困難である。PVDF自体を溶解できる典型的な溶剤には、環境上の懸念がある。したがって、例えばPVDFを溶解するために通常使用される溶媒を回避しながら、リサイクルできるバインダー材料及び電極を提供することによって、PVDFバインダーを含む既知の電極よりも容易にリサイクル可能であるバインダー材料及び電極を提供することが望ましいであろう。
【0004】
市販されているリチウムイオン電池は、通常、微小孔性の分離器及び液体またはゲルの電解質を含むウェットセル電池として提供される。微多孔性セパレータは、2つの固体電極の間に接触して配置される。一般に、リチウムイオン電池用の微小孔性の分離器は、約20μm~約25μmの厚さを有し、延伸ポリオレフィンフィルム(特にポリエチレン及びポリプロピレン)をベースにしている。分離器は、その細孔を通して液体またはゲルの電解質の移動を可能にし、それによってリチウムイオンの移動を可能にするが、電池内のアノードとカソードとの間の直接的な電気的な接触を防ぐ。しかしながら、発火するまたは爆発さえすることが知られているウェットセルリチウムイオン電池の安全性については懸念が残っている。細孔網は、アノードとカソードとの間のリチウムデンドライトの成長につながる可能性があり、その結果、電池の短絡、熱暴走、及び可燃性が生じる可能性がある。
【0005】
上記の安全性の懸念の一部を軽減するドライセル電池が開発されてきた。これらのドライセル電池は、代わりに2つの固体電極間に固体分離器を含んでおり、これにより電極間の接触を防ぎ、デンドライトの成長に対する物理的な障壁を提供する。ドライセル電池では、潜在的に可燃性の液体またはゲルの電解質は排除される。したがって、分離器は、分離器と電解質の両方として効果的に機能しなければならないため、リチウムイオン電池の場合、分離器は、その構造内でのリチウムイオンの移動を可能にしなければならない。
【0006】
特に、リチウムイオンの移動は、分離器-電極の界面にわたって可能にされなければならない。したがって、リチウムイオンの移動を容易にするために、固体電極と分離器それぞれの間の高い界面相溶性が所望される。しかしながら、濡れることで液体電解質が電極内に完全に浸透することが可能になるウェットセル電池で達成される界面相溶性に匹敵する界面相溶性をドライセル電池内の固体電極と固体分離器との間で達成することは困難である。したがって、ドライセル電池内の固体電極と固体分離器との間の界面相溶性を改善することが望ましいであろう。
【0007】
さらに、電池の動作中、アノード及びカソードの体積は変化する。加えて、電池は、長期間にわたって昇温状態にさらされる場合がある。したがって、分離器は、分離器と電極との間の接触を維持しながら、電池サイクリング中のこれらの体積の変動に対応する必要がある。したがって、電池の使用中にドライセル電池内の固体電極と固体分離器との間の界面接触の保持を改善し、したがって電池のサイクリング能力及び寿命を改善することが望ましいであろう。
【0008】
上述の問題の1つ以上に対処することが本発明の目的である。特に、金属イオン電池の電極に使用するために、好ましくはリチウムイオン電池に使用するために、改善されたバインダー材料を提供することが本発明の目的である。より容易にリサイクル可能であるバインダー材料及び電極を提供することが、本発明の特定の目的である。金属イオン電池、好ましくはリチウムイオン電池の製造中に、分離器との改善された界面相溶性を示す電極を提供することも、本開示の特定の目的である。また、分離器との改善された界面相溶性を示し、電池の最終使用中に界面接触を有利に持ち続け、したがって電池のサイクリング能力及び寿命を改善できる電極を提供することも、本発明の特定の目的である。電子伝導性が増した電極を提供することは、さらなる目的である。
【0009】
本発明は、特にリチウムイオン電池を対象にする。したがって、先行する段落で、及び以下の対応する文脈で使用される場合の用語「金属イオン」、「金属」、及び「金属イオン電池」は、好ましくはそれぞれ「リチウムイオン」、「リチウム」、及び「リチウムイオン電池」を指す。しかしながら、本発明はまた、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム、特にナトリウム、マグネシウム、及びアルミニウム、ならびに特にナトリウムを含む、他の充電式金属イオン電池にも適用可能である。
【0010】
第1の態様では、本発明は、活性材料及びバインダー材料によって構成される電極を提供し、バインダー材料は、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含み、バインダー材料は、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分をさらに含み得る、及び/または該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンをさらに含み得る。
【0011】
第1の態様で及び以下の対応する文脈で使用される場合の用語「によって構成される電極」は、活性材料とバインダー材料を含む電極を指すか、または活性材料及びバインダー材料を含む組成物から得られる電極を指すことを理解されたい。
【0012】
したがって、一実施形態では、電極は、活性材料と、バインダー材料とを含む。任意選択で、電極は、本質的に活性材料と、バインダー材料とから成る。言い換えれば、電極は、電極の電気化学的活性に寄与する任意のさらなる成分を含まない。任意選択で、電極は、活性材料と、バインダー材料とから成る。
【0013】
代替実施形態では、電極は、活性材料と、バインダー材料とを含む組成物から得られる。組成物は、液体溶媒をさらに含み得る。通常、液体溶媒は、電極が形成されると、組成物から除去される。
【0014】
好ましくは、バインダー材料は、導電性セラミック粒子材料から選択される該第1の金属イオン含有成分をさらに含む。
【0015】
金属イオン電池での実用性のために、該フィルムの該第1の金属イオン含有成分の金属は、好ましくは、(以下では第2の金属イオン含有成分とも呼ばれる)該追加の金属イオンの金属と同じであることを理解されたい。
【0016】
好ましくは、該第1の金属イオン含有成分は、第1のリチウムイオン含有成分であり、その例では、該追加の金属イオンは、好ましくは追加のリチウムイオンである。代わりに、該第1の金属イオン含有成分は、第1のナトリウムイオン含有成分であり、その例では、該追加の金属イオンは、好ましくは追加のナトリウムイオンである。
【0017】
したがって、好ましい実施形態では、本発明の第1の態様は、活性材料及びバインダー材料によって構成される電極を提供し、バインダー材料は、該コポリエステルと、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分とを含む。
【0018】
好ましくは、バインダー材料は該追加の金属イオンを含む。存在する場合、該追加の金属イオンは、好ましくは金属塩から選択される、好ましくはリチウム塩またはナトリウム塩から選択される、好ましくはリチウム塩から選択される第2の金属イオン含有成分の形で存在するのが好ましい。
【0019】
したがって、好ましい実施形態では、本発明の第1の態様は、活性材料及びバインダー材料によって構成される電極を提供し、バインダー材料は、該コポリエステルと、金属塩から選択される金属イオン含有成分とを含む。
【0020】
特に好ましい実施形態では、本発明の第1の態様は、活性材料及びバインダー材料によって構成された電極を提供し、バインダー材料は、該コポリエステルと、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分と、金属塩から選択される第2の金属イオン含有成分とを含む。該第1及び第2の金属イオン含有成分が互いに異なることを理解されたい。
【0021】
特に好ましい実施形態では、本発明の第1の態様は、活性材料と、バインダー材料とから構成される電極を提供し、バインダー材料は、該コポリエステルと、導電性セラミック粒子材料から選択される第1のリチウムイオン含有成分と、リチウム塩から選択される第2のリチウムイオン含有成分とを含む。該第1及び第2のリチウムイオン含有成分が互いに異なることを理解されたい。
【0022】
代替実施形態では、本発明の第1の態様は、活性材料及びバインダー材料によって構成される電極を提供し、バインダー材料は、該コポリエステルと、導電性セラミック粒子材料から選択される第1のナトリウムイオン含有成分と、ナトリウム塩から選択される第2のナトリウムイオン含有成分とを含む。該第1及び第2のナトリウムイオン含有成分が互いに異なることを理解されたい。
【0023】
本発明の電極は、カソードまたはアノードであってよい。本発明の電極は、PVDFバインダーを含む既知の電極よりも容易にリサイクル可能である。本発明者らは、驚くべきことに、本発明の電極が、後に配置される分離器、特にドライセル電池内の固体分離器と良好な界面相溶性を示すことを発見した。本発明者らは、驚くべきことに、本発明の電極は、電池の最終使用時にも良好な界面接触を持ち続けることを発見した。
【0024】
バインダー材料は、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含み、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分をさらに含み得る、及び/または該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンをさらに含み得るコポリエステルを含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「コポリエステル」は、エステル結合を含み、3種類以上のコモノマーから得られるポリマーを指す。本明細書に説明されるコポリエステルは熱可塑性である。
【0026】
コポリエステルに好適なジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及びナフタレンジカルボン酸(2,5-、2,6-、または2,7-ナフタレンジカルボン酸など)などの芳香族ジカルボン酸、及びコハク酸、セバシン酸、アジピン酸、及びアゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸を含む。脂環式ジカルボン酸も使用され得る。他の好適なジカルボン酸は、4,4’-ジフェニルジカルボン酸及びヘキサヒドロテレフタル酸を含む。好ましくは、本発明で使用されるジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸またはイソフタル酸、好ましくはテレフタル酸である。
【0027】
コポリエステルは、好ましくは少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸、またはナフタレンジカルボン酸、及び好ましくはテレフタル酸またはイソフタル酸、及び好ましくはテレフタル酸を含む。第1の最も好ましい実施形態では、ジカルボン酸成分は、1つの芳香族ジカルボン酸しか含まない。第2の実施形態では、ジカルボン酸成分は、第1の芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸またはイソフタル酸、好ましくは、テレフタル酸)と、第2のジカルボン酸とを含む。第2のジカルボン酸は、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、またはアゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸から選択され得、一実施形態では、第2のジカルボン酸はアゼライン酸である。
【0028】
コポリエステルに好適なジオールは、非環式、脂環式及び芳香族のジヒドロキシ化合物を含む。好ましいジオールは、2~15個の炭素原子を有し、エチレン、プロピレン、イソブチレン、テトラメチレン、1,4-ペンタメチレン、2,2-ジメチルトリメチレン、ヘキサメチレン、及びデカメチレングリコール、ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、及び1,5-ジヒドロキシナフタレンなどを含む。脂肪族ジオールが好ましく、特に2~8つの炭素原子を含む非環式脂肪族ジオールが好ましく、特に2~4つの炭素原子を含む脂肪族ジオールが好ましい。非分岐脂肪族ジオールが好ましい。好ましくは、ジオールはエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、及び1,4-ブタンジオールから選択され、より好ましくはエチレングリコール及び1,4-ブタンジオールから選択され、最も好ましくはエチレングリコールである。1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)などの脂環式(Cycloaliphatic)(脂環式(alicylic))グリコールも使用できる。該ジオールの代わりに、ジオールの同等のエステル形成誘導体も使用され得る。好ましくは、コポリエステルは、1種類のジオール残基しか含まない。一実施形態では、該ジオール画分の少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%、好ましくは少なくとも98モル%、及び好ましくは少なくとも99モル%は、1種類のジオールから成る。
【0029】
コポリエステルに好適なポリ(アルキレンオキシド)は、好ましくはC2~C15、好ましくはC2~C10、好ましくはC2~C6のアルキレン鎖から選択される。ポリ(アルキレンオキシド)は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(PTMO)、好ましくはポリエチレングリコールから選択され得る。エチレンオキシド末端ポリ(プロピレンオキシド)セグメントも使用され得る。一実施形態では、コポリエステルは、1種類のポリ(アルキレンオキシド)残基しか含まない。代替実施形態では、コポリエステルは、ポリエチレングリコール(PEG)とポリプロピレングリコール(PPG)の混合物など、2種類以上のポリ(アルキレンオキシド)残基を含む。
【0030】
ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量(MN)は、好ましくは約200g/モル~約20000g/モル、好ましくは約200g/モル~約6000g/モル、好ましくは約200g/モル~約5000g/モル、好ましくは約5000g/モル以下、好ましくは約4000g/モル以下、好ましくは約400g/モル~約3900g/モル、好ましくは少なくとも約500g/モル、好ましくは約500g/モル~約3800g/モル、最も好ましくは約500g/モル~約3700g/モル、好ましくは約800g/モル~約3600g/モル、好ましくは約1000g/モル~約3600g/モル、好ましくは約2000g/モル~約3500g/モル、及び好ましくは約3350~約3450g/モル、及び好ましくは約3350g/モルまたは約3450g/モルである。ポリ(アルキレンオキシド)の数平均分子量(MN)は、好ましくは少なくとも約200g/モル、好ましくは少なくとも約400g/モル、好ましくは少なくとも約500g/モル、及び好ましくは少なくとも約800g/モル、例えば少なくとも約1000g/モルである。ポリ(アルキレンオキシド)の数平均分子量(MN)は、好ましくは約20000g/モル以下、好ましくは約5000g/モル以下、好ましくは約4000g/モル以下、好ましくは約3800g/モル以下、例えば約3700g/モル以下である。
【0031】
ポリ(アルキレンオキシド)の分子量が高すぎると、ジカルボン酸及びジオールと共重合して、信頼性の高いフィルムを形成するために十分に高い溶解粘度を有するコポリエステルを形成することはより困難になることが判明している。さらに、ポリ(アルキレンオキシド)の分子量が高すぎると、導電性が低下する場合があることが判明している。
【0032】
文脈により別途示されない限り、本明細書で使用される場合の用語分子量は、本明細書に説明される方法によって測定される数平均分子量(MN)を指す。
【0033】
多分散性指数、PDI(または分散度、D)は、MW/MNとして定義されており、MWは重量平均分子量である。多分散性指数は、ポリマー(異なるサイズの高分子の混合物である)を含む異なる高分子のサイズの均一性(または不均質性)の測度である。多分散性指数が1の組成物(つまり、単分散である)は、それぞれが同じサイズを有する高分子(デンドリマーなど)から成る。高分子の単分散組成物は、通常、非重合プロセスによって作られ、通常、ポリマーと呼ばれない。
【0034】
コポリエステルのポリ(アルキレンオキシド)は、好ましくは1を超える、好ましくは少なくとも約1.01、好ましくは少なくとも約1.1、好ましくは少なくとも約1.2、及び好ましくは約2.0以下、好ましくは約1.8以下、好ましくは約1.6以下、及び好ましくは約1.01~約2.0、好ましくは約1.1~約1.8、及び好ましくは約1.2~約1.6の多分散指数を有する。
【0035】
コポリエステルは、エステル結合によって結合された交互になったランダム長の配列を含むブロック(セグメント化された)共重合体であってよい。このようなコポリエステルは、ジカルボン酸及びジオールから得られる半結晶性(または硬質の)セグメント、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる非晶質の(または軟質の)セグメントを示す。例えば、硬質セグメントは、[R1-O-C(=O)-A-C(=O)-O]の繰り返し単位から成り、R1は、脂肪族ジオールから得られ、Aは上記に定義された芳香族ジカルボン酸から得られる芳香族環(好ましくはフェニルまたはナフチル)である。軟質セグメントは、[R-O]の繰り返し単位から成り、Rはポリ(アルキレンオキシド)からのアルキレン鎖である。軟質セグメントは、エステル結合を介して該ジカルボン酸で末端キャップされてよい。
【0036】
さらなる実施形態では、コポリエステルは、ジカルボン酸、ジオール、及びポリ(アルキレンオキシド)の単位が、コポリエステル骨格内で無作為な配列で配列されたランダム共重合体である。
【0037】
ランダム共重合体とブロック共重合体の両極間には、本明細書で「ブロック状」共重合体と呼ばれるコポリエステルがある。ブロック状共重合体では、ポリ(アルキレンオキシド)単位は、ブロック共重合体においてよりも高い程度でジカルボン酸単位の間に散在しており、その結果、上記の結晶性(または硬質)セグメントは、平均で、ブロック共重合体においてよりもはるかに短い。共重合体鎖中のコモノマー単位の配列、つまりコポリエステルのランダム性の程度は、当該技術分野で既知の従来の技術を使用して、好ましくは本明細書に説明される13C NMR分光法によって決定され得る。コポリエステルは、ランダム性の程度Bを数値化することによって、ブロックコポリエステル、ブロック状コポリエステル、またはランダムコポリエステルとして特徴付けることができ、値0は純粋なブロック共重合体を表し、値1はベルヌーイモデルによって定義される統計的にランダムな共重合体を表す。
【0038】
好ましくは、Bは、約0.1~1.0、好ましくは約0.2~約0.95、好ましくは約0.3~約0.9、好ましくは約0.4~約0.8、例えば約0.5~約0.7の範囲にある。コポリエステルは、好ましくは、少なくとも約0.1、好ましくは少なくとも約0.2、好ましくは少なくとも約0.3、及び好ましくは少なくとも約0.4、例えば少なくとも約0.5のBの値を有する。コポリエステルは、好ましくは1.0以下、好ましくは約0.95以下、好ましくは約0.9以下、好ましくは約0.8以下、及び好ましくは約0.7以下のBの値を有する。
【0039】
好ましくは、本発明のコポリエステルは、「ブロック状」コポリエステルまたはランダムコポリエステルである。
【0040】
より好ましくは、本発明のコポリエステルは、本明細書に説明されるポリ(アルキレンオキシド)の分子量を選択することによって取得可能である「ブロック状」コポリエステルである。
【0041】
ポリ(アルキレンオキシド)の分子量がコポリエステル中のコモノマーの配列、及びブロック共重合体、ブロック状共重合体、またはランダム共重合体としての共重合体の特徴付けに多大な影響を与えることが判明している。したがって、より分子量の低いポリ(アルキレンオキシド)はランダム共重合体の形成に有利に働き、より分子量の高いポリ(アルキレンオキシド)はブロック共重合体の形成に有利に働く。ブロック共重合体は、通常、対応するランダム共重合体に比べてより強い結晶化の傾向、及びより高い溶融温度点を示す。本発明では、より高い溶融温度は、より高い処理温度を必要とし、劣化のリスクが高まるので、好ましくは回避される。さらに、本発明では、純粋なブロック共重合体の結晶化傾向が強まることを回避することが好ましい。これにより、共重合体の構造内での金属イオンの移動が妨げられる場合があり、その導電性が低下する場合があるためである。
【0042】
ポリ(アルキレンオキシド)は、コポリエステルの全重量の好ましくは約0.1~約80重量%、好ましくは約5~約78重量%、好ましくは約10~約75重量%、好ましくは約12~65重量%、好ましくは約15~約60重量%、好ましくは約16~約55重量%である。
【0043】
好ましくは、ポリ(アルキレンオキシド)は、コポリエステルの全重量の少なくとも約0.1重量%、好ましくは少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも約12重量%、好ましくは少なくとも約15重量%、好ましくは少なくとも約16重量%、好ましくは約80重量%以下、好ましくは約78重量%以下、好ましくは約75重量%以下、好ましくは約65重量%以下、好ましくは約60重量%以下、好ましくは約55重量%以下である。
【0044】
コポリエステルがジオール(好ましくはエチレングリコール)、テレフタル酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含む場合、ポリ(アルキレンオキシド)は、コポリエステルの全重量の約5~約30重量%、好ましくは約10~約25重量%、好ましくは約15~約20重量%の量で存在することが好ましい。
【0045】
コポリエステルがジオール(好ましくはエチレングリコール)、イソフタル酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含む場合、ポリ(アルキレンオキシド)は、コポリエステルの全重量の約35~約65重量%、好ましくは約40~約60重量%、好ましくは約45~約55重量%の量で存在することが好ましい。
【0046】
バインダー材料に存在するコポリエステルの量は、バインダー材料の全重量の約99.9重量%以下、好ましくは約95重量%以下、好ましくは約92重量%以下、好ましくは約90重量%以下であるのが好ましい。好ましくは、バインダー材料に存在するコポリエステルの量は、バインダー材料の全重量の少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約65重量%、好ましくは約80重量%である。したがって、存在するコポリエステルの量は、バインダー材料の全重量の好ましくは約40重量%~約99.9重量%、好ましくは約50重量%~約95重量%、好ましくは約65重量%~約92重量%、好ましくは約80~約90重量%である。
【0047】
該コポリエステルは、バインダー材料中に存在する唯一のポリステルであることが好ましい。
【0048】
上述のように、バインダー材料は、好ましくは、導電性セラミック粒子材料から選択される第1のリチウムイオン含有成分を含む。1つ以上の導電性セラミック粒子材料が存在する場合がある。
【0049】
当業者によって、セラミック材料が、高温で加熱することによって形成または高密度化される、金属元素及び非金属元素の両方を含む無機非金属固体であることが理解される。セラミック材料は、通常、硬質で、脆く、耐食性があり、低い化学反応性及び高い融点を有する。本明細書で参照されるセラミック材料は、結晶質またはガラス質であってよい。本発明で使用されるセラミック粒子材料は導電性である。本発明は、おもにリチウムイオン含有導電性セラミック粒子材料に関して以下に説明されるが、技術的な原理は、他の金属イオン含有導電性セラミック粒子材料に一般的に適用可能である。
【0050】
特に、NASICON型セラミック粒子材料(リチウムイオン含有導電性ガラスセラミック粒子材料など)、LISICON型セラミック粒子材料、ペロブスカイト型酸化物セラミック粒子材料、ガーネット型酸化物セラミック粒子材料、リチウムリンオキシナイトライド(LIPON)型セラミック粒子材料、及びリチウムアルミニウムケイ酸塩(LAS)セラミック粒子材料など、任意の好適なリチウムイオン含有導電性セラミック粒子材料を使用し得る。
【0051】
当該技術分野で既知であるように、NASICON(ナトリウム超イオン伝導体)材料は、0<x<3である化学式Na1+xZr2SixP3-xO12を有する固体ファミリー、及びNa、Zr、及び/またはSiが等原子価の元素に置き換えられた類似の化合物を指すため、本発明の最も好ましい態様の文脈では、ナトリウムはリチウムに置き換えられている。特に好適なリチウム含有NASICON型セラミック粒子材料は、一般式LiMy(PO4)3を有し、上式でMは多価金属イオンを表す。例えば、Mは、Al、Si、Ti、Zr、Ge、Sn、及びHfの1つ以上から選択され得る。他の好適なリチウム含有NASICON型セラミック粒子材料は、一般式Li1+xMxTi2-x(PO4)3(LATP)を有し、上式でMは、Al、Sc、Y、及びLaの1つ以上から選択される3価カチオンを表す。他の好適なリチウム含有NASICON型セラミック粒子材料は、例えばxが0.5である一般式Li1+xAlxGe2-x(PO4)3(LAGP)を有し得る。
【0052】
特に好適なのは、NASICON構造を有するリチウムイオン含有導電性ガラスセラミック粒子材料である。好ましい粒状材料は、Ohara Inc.から商品名「LICGC」で市販されているものである。好ましい粒子材料は、Ohara Inc.からLICGC(商標)PW-01粉末として市販されており、これは、Li1+x+yAlxTi2-xSiyP3-yO12の主要な結晶相と、Li2O-Al2O3-SiO2-P2O5-TiO2の組成を有すると理解されている。さらなる好ましい粒状材料は、Ohara Inc.からLICGC(商標)AG-01として市販されており、これは、Li1+x+yAlx(Ti,Ge)2-xSiyP3-yO12の主要な結晶相と、Li2O-Al2O3-SiO2-P2O5-TiO2-GeO2の組成を有すると理解されている。
【0053】
当該技術分野で既知であるように、LISICON(リチウム超イオン伝導体)材料は、化学式Li2+2xZn1-xGeO4を有する固体ファミリーを指す。NASICON型の材料と同様に、他の元素(通常は等原子価の元素)は、Li、Zn、及び/またはGeを置き換える場合がある。好適なLISICON型粒子材料は、Li2+2xZn1-xGe4O16、Li14ZnGe4O16、Li(3+x)GexV(1-x)O4、Li(4-x)Si(1-x)PxO4、及び式Li(4-x)Ge(1-x)PxS4Li10GeP2S12を有するものなどチオ-LISICONから選択され得、上式でxは0と1の間である。
【0054】
好適なペロブスカイト型酸化物粒子材料は、Li3xLa(2/3)-xTiO3(LLTO)及びLi3xLa1/3-xTaO3から選択され得る。
【0055】
好適なガーネット型酸化物粒子材料は、一般式Li7-3y-xLa3Zr2-xM1yM2xO12(上式でM1はAl及びGaなどの3価カチオンを表し、M2はNb及びTaなどの5価カチオンを表し、x≧0及びy≦2である)、Li5La3M2O12(上式でMはNb及び/またはTaを表す)、Li6ALa2M2O12(上式でAはCa、Sr、及び/またはBaを表し、MはNbまたはTaを表す)、またはLi6.5La2.5Ba0.5ZrTaO12を有し得る。
【0056】
好適なLIPON型セラミック粒子材料は、Li2PO2Nなどの一般式LixPOyNzを有し得る。
【0057】
好適なLASセラミック粒子材料は、AlLiO6Si2から選択され得る。
【0058】
ナトリウムイオン含有セラミック粒子材料に関しては、NASICON型セラミック粒子材料(ナトリウムイオン含有導電性ガラスセラミック粒子材料など)、ベータ-アルミナ及びベータ’’-アルミナ相Na2O.nAl2O3(上式で5≦n≦11である)、希土類ケイ酸ナトリウム、及びNaイオン伝導性オキシハライドガラスが特に好適である。好適なNASICON型セラミック粒子材料は、一般式Na3Zr2Si2PO12、NaTi2(PO4)3、NaGe2(PO4)3、またはNa1+x[SnxGe2-x(PO4)3]を有する場合があるNASICON構造の酸化物である。好適な希土類ケイ酸ナトリウムは、一般式Na5MSi4O12を有しており、MはY、Sc、Lu、及び/または任意の3価希土類カチオンである。好適なNaイオン伝導性オキシハライドガラスは、NaI-NaCl-Na2O-B2O3であってよい。
【0059】
好ましくは、導電性セラミック粒子材料の体積分布中央粒径(全粒子の体積の50%に相当する等価球径であり、粒径に体積%を関係付ける累積分布曲線で読み取る。多くの場合「Dv50」または「D50」値と呼ばれる)は、0.01~5μm、好ましくは0.05~3μm、好ましくは0.1~2μm、好ましくは0.2~1.5μm、好ましくは0.4~1.0μmの範囲にある。粒径はレーザー光回折(好ましくはフラウンホーファー回折)によって測定し得る。特に好ましい方法は、Malvernから入手可能なMastersizer(例えば3000)を利用する。中央粒径は、選ばれた粒径未満の粒子体積の割合を表す累積分布曲線を描き、50パーセンタイルを測定することによって決定し得る。
【0060】
存在する場合、バインダー材料中の該金属イオン含有導電性セラミック粒子材料の量は、バインダー材料の全重量の好ましくは約60重量%以下、好ましくは約50重量%以下、好ましくは約35重量%以下、好ましくは約20重量%以下、及び好ましくは少なくとも約0.1重量%、好ましくは少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約8重量%、好ましくは少なくとも約10重量%である。したがって、存在する導電性セラミック粒子材料の量は、バインダー材料の全重量の好ましくは約0.1重量%~約60重量%、好ましくは約5重量%~約50重量%、好ましくは約8重量%~約35重量%、好ましくは約10~約20重量%である。
【0061】
該金属イオン含有導電性セラミック粒子材料はバインダー材料のポリマーマトリクスの範囲内に保持される。
【0062】
上述のように、バインダー材料は、好ましくは、該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンを含む。導電性セラミック粒子材料がリチウムイオン含有導電性セラミック粒子材料である場合、組成物は好ましくは、該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源から追加のリチウムイオンを含む。導電性セラミック粒子材料がナトリウムイオン含有導電性セラミック粒子材料である場合、組成物は好ましくは、該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加のナトリウムイオンを含む。これらの追加の金属イオンは、本明細書では、例えば第2のリチウムイオン成分または第2のナトリウムイオン成分など、第2の金属イオン成分と呼ばれる。該第1の金属イオン含有成分及び該第2の金属イオン成分が互いに異なることを理解されたい。第2の金属イオン成分は、好ましくは金属塩から選択される金属イオン含有成分である。本発明は、おもにリチウム塩に関して以下に説明されているが、技術的な原理は、他の金属塩材料に一般的に適用可能である。
【0063】
任意の適切なリチウム塩を使用し得る。1つ以上の異なる種類のリチウム塩を使用し得る。好ましくは、リチウム塩は、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムヘキサフルオロリン酸(LiPF6)、リチウムテトラフルオロホウ酸(LiBF4)、リチウムチオシアネート(LiSCN)、リチウムヘキサフルオロヒ酸(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、臭化リチウム(LiBr)、リチウムヨウ化物(LiI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(LiN(CF3SO2)2)、リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド(LiC(CF3SO2)3)、リチウムオルトケイ酸、リチウムトリフルオロ酢酸(LiCF3CO2)、及びリチウムビス(フルオロ亜硫酸)アミド(LiN(FO2S)2)などのリチウムイオン電池での使用に適したリチウム塩から選択される。
【0064】
電極が溶媒流延技術を使用して形成されるとき、金属イオンが、溶液再流延ステップで使用される溶媒に高い溶解度を有する金属塩から得られることが好ましい。したがって、リチウムイオン電池の場合、特に好ましいリチウム塩は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)である。
【0065】
(好ましいリチウム塩を含む)金属塩は、以下から選択され得る。
(i)芳香族カルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸またはイソフタル酸、
(ii)脂肪族ジカルボン酸、好ましくは酢酸、グリコール酸、またはコハク酸を含む脂肪族カルボン酸、
(iii)炭酸、
(iv)フェノール酸、好ましくはサリチル酸、
(v)過塩素酸またはリン酸などの鉱酸、特にリン酸、及び
(vi)ホウ酸、好ましくはビス(シュウ酸)ホウ酸。
【0066】
任意選択で、金属塩は、上記(i)~(v)の金属塩から選択される。
【0067】
したがって、好適なリチウム塩は、テレフタル酸二リチウム(DLTA)、イソフタル酸二リチウム、グリコール酸リチウム、安息香酸リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、過塩素酸リチウム、オルトケイ酸リチウム、リン酸リチウム、サリチル酸リチウム、コハク酸リチウム、及びビス(オキサラート)ホウ酸リチウムを含む。
【0068】
好ましくは、金属塩は有機金属塩である。
【0069】
好ましい実施形態では、金属塩は、コポリエステルが得られる芳香族ジカルボン酸の塩である。したがって、テレフタル酸から得られる好ましいコポリエステルの場合、リチウム塩は、好ましくはテレフタル酸モノリチウムまたはテレフタル酸二リチウムから選択され、好ましくはテレフタル酸二リチウムである。本発明者らは、熱安定性及びコストの理由から、テレフタル酸二リチウムが特に好ましいことを発見した。イソフタル酸から得られる好ましいコポリエステルの場合、リチウム塩は、好ましくはイソフタル酸モノリチウムまたはイソフタル酸二リチウムから選択され、好ましくはイソフタル酸二リチウムである。
【0070】
他の好ましい金属塩は、上述の酸、特にカルボン酸、特にジカルボン酸、特に芳香族ジカルボン酸、特にテレフタル酸のアルコキシレート(alkoxylate)エステルから選択され得る。このようなアルコキシレートエステルは、好ましくは脂肪族ジオールから、好ましくはC2-10脂肪族ジオールから、好ましくはC2-6脂肪族ジオールから、好ましくはC2、C3、またはC4脂肪族ジオールから、より好ましくはエチレングリコール、1,3-プロパンジオール及び1,4-ブタンジオール、より好ましくはエチレングリコールから得られる。
【0071】
特に好適なリチウム塩は、以下の式(I)を有し、本明細書では、テレフタル酸ビスヒドロキシエチル二リチウム(DL-BHET)と呼ばれる。
【化1】
【0072】
好ましくは、リチウム塩は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、テレフタル酸二リチウムまたはテレフタル酸ビスヒドロキシエチル二リチウムから選択される。好ましくは、リチウム塩は、テレフタル酸二リチウムから選択される。
【0073】
本発明のナトリウム含有実施形態に関して、任意の好適なナトリウム塩を使用し得る。1つ以上の異なる種類のナトリウム塩を使用し得る。リチウム塩に関して説明された好ましい点及び要素が、リチウムイオンがナトリウムイオンに置き換えられることを除いて、ナトリウム塩にも等しく当てはまることを理解されたい。好ましくは、ナトリウム塩は、硝酸ナトリウム(NaNO3)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、テトラフルオロホウ酸ナトリウム(NaBF4)、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF6)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム(NaTFSI)、ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミドナトリウム(Na[N(CF3SO2)2])、ヘキサフルオロヒ酸(V)ナトリウム(NaAsF6)、ビス(オキサラトホウ酸)ナトリウム(「NaBOB」)、ハロゲン化ナトリウム(NaX)(上式でX=Cl、Br、またはI)、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、ペンタシアノプロペニドナトリウム(NaPCPI)、テトラシアノピロレートナトリウム(NaTCP)及びトリシアノイミダゾレートナトリウム(NaTIM)から選択される。
【0074】
一実施形態では、該第2の金属イオン成分の金属イオンは、金属カチオンと、コポリエステルの分極可能な電気陰性酸素原子、好ましくは少なくともポリアルキレンオキシド単位の電子陰性酸素原子との間の相互作用により、バインダー材料のポリマーマトリクスに存在し、ポリマーマトリクス内に保持される。
【0075】
好ましい実施形態では、該第2の金属イオン成分の金属イオンは、金属カチオンと、金属塩のアニオンとの間の相互作用によりバインダー材料のポリマーマトリクス内に保持される。したがって、本実施形態では、バインダー材料は金属塩を含む。該第2の金属イオン成分の好ましくは少なくとも一部、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、及び好ましくは実質的にすべてが金属塩の形をとる。金属塩は、上述の金属塩から選択され、上述の好ましい点がここで当てはまる。したがって、この好ましい実施形態では、金属塩は、ポリマーマトリクス内に保持される。本実施形態では、金属塩はポリマー骨格の一部ではなく、つまり金属塩はコポリエステルに重合化されていない。言い換えれば、この好ましい実施形態では、金属塩のアニオンはコポリエステルに共有結合していない。金属塩が、コポリエステルが得られる同じ芳香族ジカルボン酸の塩である上述の好ましい実施形態では、本明細書に説明される金属含有コポリエステルフィルムは、コポリエステルの形態が金属塩の形態と整合した結果から生じると考えられる優れた熱安定性を示す。
【0076】
組成物中の該第2の金属イオン成分の金属イオンの量は、好ましくは、約5:1~約1:50、好ましくは約4:1~約1:50、好ましくは約3:1~約1:50、好ましくは約2:1~約1:50、好ましくは約1:1~約1:40、好ましくは約1:2~約1:30、好ましくは約1:4~約1:25の金属:Oモル比を提供するために有効であり、この比でのO原子の数は、ポリ(アルキレンオキシド)残基中のO原子の数として定義され、この比での金属原子の数は、該追加の金属イオン(つまり、該第2の金属イオン成分であり、該第1の金属イオン含有成分を除く)によって提供される金属原子の数として定義される。
【0077】
存在する場合、第2の金属イオン成分(つまり、好ましくは該金属塩)の量は、バインダー材料の全重量の好ましくは約40重量%以下、好ましくは約10重量%以下、好ましくは少なくとも約0.1%、好ましくは少なくとも約1%、及び好ましくは約0.1重量%~約40重量%、好ましくは約1重量%~約10重量%である。
【0078】
バインダー材料が、該第1の金属イオン含有成分及び該第2の金属イオン成分を含む場合、第1の金属イオン含有成分及び第2の金属イオン成分の全重量は、好ましくはバインダー材料の全重量の約60重量%以下、好ましくは約50重量%以下、好ましくは約35重量%以下、好ましくは約20%以下、及び好ましくは少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約8重量%、好ましくは少なくとも約10重量%である。したがって、存在する第1の金属イオン含有成分及び第2の金属イオン成分材料の全量は、バインダー材料の全重量の好ましくは約0.1重量%~約60重量%、好ましくは約5重量%~約50重量%、好ましくは約8重量%~約35重量%、好ましくは約10~約20重量%である。
【0079】
本発明の電極は、ポリエステル組成物またはポリエステルフィルムの製造に従来用いられる任意の他の添加剤をさらに含み得る。したがって、抗酸化剤、熱安定剤、及び消泡剤などの薬剤は、必要に応じて組み込まれ得る。このような添加剤は、従来の方法で電極に導入され得る。例えば、添加剤(複数可)は、コポリエステルが得られる単量体反応物と混合することによって導入される場合もあれば、添加剤(複数可)は、タンブルもしくは乾式混合によってか、または押し出し機内で混ぜ合わせ、次に冷却し、通常顆粒もしくはチップに粉砕することによって組成物と混合される場合がある。マスターバッチング技術も用い得る。
【0080】
好ましい実施形態では、電極は酸化防止剤を含む。ラジカルを捕捉することによって、または過酸化物を分解することによって機能する酸化防止剤など、様々な酸化防止剤が使用され得る。好適なラジカル捕捉酸化防止剤は、ヒンダードフェノール、第二芳香族アミン、及びTinuvinTM770(Ciba-Geigy)などのヒンダードアミンを含む。好適な過酸化物分解酸化防止剤は、ホスホナイト、ホスファイト(例えば、トリフェニルホスフェート及びトリアルキルホスファイト)、ならびにチオシナジスト(例えば、ジラウリルチオジプロピオネートなどのチオジプロピオン酸のエステル)などの3価リン化合物を含む。ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。特に好ましいヒンダードフェノールは、IrganoxTM1010(Ciba-Geigy)として市販されているテトラキス-(メチレン3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニルプロピオネート)メタンである。他の好適な市販のヒンダードフェノールでは、IrganoxTM1035、1076、1098、及び1330(Ciba-Geigy)、SantanoxTM R(Monsanto)、CyanoxTM酸化防止剤(American Cyanamid)、及びGoodriteTM酸化防止剤(BF Goodrich)を含む。電極内に存在する酸化防止剤の濃度は、電極の重量に基づいて、好ましくは50ppm~5000ppmの範囲、より好ましくは300ppm~1500ppmの範囲、特に400ppm~1200ppmの範囲、とりわけ450ppm~600ppmの範囲にある。1つを超える酸化防止剤の混合物が使用され得、その場合、その総濃度は、好ましくは上記範囲内にある。酸化防止剤はコポリエステル内に組み込まれ得、この組み込みは、重縮合の前に、特に直接エステル化またはエステル交換反応の最後に、従来の技術により、及び好ましくはコポリエステルが得られる単量体反応物と混合することによって達成され得る。
【0081】
さらに好ましい実施形態では、バインダー材料は、好ましくは半金属酸化物(アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、タルク、及びシリカなど)、焼成陶土、アルカリ金属塩(カルシウム及びバリウムの炭酸塩及び硫酸塩など)、ならびに非導電性セラミック粒子材料から選択される無機粒子充填剤を含む。無機粒子充填剤は、最終的な電極厚さよりも小さい粒径を有する必要があり、好ましくは、粒径は、10μm以下、好ましくは約5μm以下、好ましくは約2μm以下、好ましくは約0.5μm~約2.0μmの範囲にある。該無機粒子充填剤(または実際には該従来の添加剤の任意の他の添加剤)の同一性が上述の第1または第2の金属イオン含有成分とは異なる実体であることを理解されたい。特に、該無機粒子充填剤(または該従来の添加剤の任意の他の添加剤)は、上述の第1または第2の金属イオン含有成分の金属イオンを含有しておらず、したがって、該無機粒子充填剤は、該金属イオンを直接的に輸送することができないため、該無機粒子充填剤は本明細書では「受動充填剤」と呼ばれる。それにも関らず、驚くべきことに、このような受動充填剤は、該第1または第2の金属イオン含有成分によって生成されるイオン伝導率を高めることが判明している。
【0082】
したがって、本発明の第1の態様の好ましい実施形態では、活性材料及びバインダー材料によって構成される電極が提供され、バインダー材料は、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含み、バインダー材料は受動充填剤をさらに含む。
【0083】
本発明の第1の態様のさらなる好ましい実施形態では、活性材料及びバインダー材料によって構成される電極が提供され、バインダー材料は、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含み、バインダー材料は、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分と、受動充填剤とをさらに含む。
【0084】
本発明の第1の態様のさらなる好ましい実施形態では、活性材料及びバインダー材料によって構成される電極が提供され、バインダー材料は、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含み、バインダー材料は、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分と、受動充填剤と、該導電性セラミック粒子材料以外、及び該受動充填剤以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンをさらに含む。
【0085】
無機粒子充填剤は、製造及び下流処理の間の取り扱い及び巻線性を改善するためにポリエステルフィルムに日常的に添加されており、このような目的のために、充填剤は、通常、比較的に少量で使用されるため、一般に、充填剤の全重量は、コポリエステルフィルムの全重量に基づいて約2.5重量%以下、好ましくは約2.0重量%以下、好ましくは約1.0重量%以下、より一般的には約0.6重量%以下、及び好ましくは約0.3重量%以下である。しかしながら、本発明では、受動充填剤は、好ましくはバインダー材料の全重量の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも約7重量%、好ましくは少なくとも約10重量%、及び好ましくは約5重量%~約20重量%、好ましくは約7重量%~約20重量%、好ましくは約7重量%~約15重量%の量で使用される。
【0086】
バインダー材料は、電極の全重量の好ましくは約0.1~約25重量%、好ましくは約0.2~約20重量%、好ましくは約0.4~約10重量%、好ましくは約0.5~約7重量%、好ましくは約1重量%~約6重量%、好ましくは約2~約5重量%の量で存在する。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「活性材料」は、金属イオン(好ましくは、リチウムイオン電池内のリチウムイオン)を貯蔵し、制御された方法で可逆的に金属イオンを放出することができる電気化学的に活性な材料を意味する。任意の好適な電気化学的に活性の材料を使用し得る。
【0088】
バインダー材料はある程度の電気化学的活性を有し得るが、活性材料は、本明細書に上述のバインダー材料とは異なる実体であることを理解されたい。活性材料はまた、上述のコポリエステル、第1の金属イオン含有成分、及び第2の金属イオン含有成分のそれぞれとは異なる実体である。
【0089】
電極がアノードである場合、活性材料は好ましくは黒鉛及び/またはチタン酸リチウム(LTO)から選択される。
【0090】
電極がカソードである場合、活性材料は、好ましくは、リチウムまたはリチウムと他の金属(複数可)の混合酸化物、特にチタン酸リチウム(LTO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4、LFPとしても知られる)、及び/またはリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNiMnCoO2、NMCとしても知られる)から選択される。
【0091】
活性材料は、好ましくは微粒子の形をとる。
【0092】
活性材料は、好ましくは、電極の全重量の約75~約99.1重量%、好ましくは約80~約95重量%の量で存在する。電極がアノードである場合、活性材料は、好ましくは、電極の全重量の約90~約95重量%、例えば電極の全重量の約93重量%の量で存在する。
【0093】
(コポリエステル及び存在する場合第1の金属イオン含有成分及び/または第2の金属イオン成分によって構成される)活性材料及びバインダー材料は、電極の主成分であり、好ましくは、電極の全重量の少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%、及び好ましくは少なくとも約98%を構成する。
【0094】
本発明の電極は、炭素材料などの導電性添加剤からさらに構成され得る。したがって、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)または黒鉛などの炭素材料を、必要に応じて組み込み得る。特に好ましいカーボンブラックは、Super-P(Timcal Co.,Ltd.)として市販されている。導電性添加剤は、電極の全重量の約0.5~約10重量%、好ましくは約1~約6重量%、好ましくは約2.5~約5重量%の量で存在し得る。
【0095】
上述のように、電極は、活性材料、バインダー材料、及び液体溶媒を含む組成物から得られてもよい。好適な液体溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、アセトニトリル(ACN)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメトキシエタン(DME)、ギ酸メチル(MF)、ニトロメタン(NM)、ジエチルカーボネート(DEC)、トルエン、水、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、メタノール、エチルアルコール、及びエチルアセテートを含む。
【0096】
電極はフィルムまたはコーティングであってよい。一実施形態では、電極はフィルムである。フィルムは配向フィルム、最も好ましくは二軸配向フィルムであってよい。フィルムは自立型フィルムである場合もあれば、支持基部上に流延される場合もある。好ましくは、フィルムは支持基部上に流延される。代替の好ましい実施形態では、電極は支持基部上にコーティングされる。支持基部はそれ自体が集電体または分離器など、固体電池の構成要素であってよい。電極が集電体の上にコーティングされる場合、電極は、集電体上に堆積されることによって集電体と電気的に接触する。電極が分離器上にコーティングされる場合、電極は、分離器上に堆積されることによって分離器と界面接触する。
【0097】
本発明の第2の態様によれば、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含むバインダー材料が提供され、バインダー材料は、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分をさらに含み得る、及び/または該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンをさらに含み得る。
【0098】
また、電極を形成するための組成物内でのバインダー材料の使用が提供され、バインダー材料は、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含み、バインダー材料は、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分をさらに含み得る、及び/または該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンをさらに含み得る。
【0099】
第1の態様に関して説明された好ましい点及び要素は、第2の態様にも等しく当てはまる。
【0100】
本発明の第3の態様によれば、本明細書の第1の態様に説明された電極を製造するための方法が提供され、該方法は、
(i)該ジオールを該ジカルボン酸またはそのエステル(好適には低級アルキル(C1-4)エステル、好ましくはジメチルエステル)と反応させて、該ジカルボン酸のビス(ヒドロキシアルキル)エステルを形成するステップと、
(ii)ポリ(アルキレンオキシド)の存在下で該ジカルボン酸の該ビス(ヒドロキシアルキル)エステルを重縮合反応で重合させて、コポリエステルを形成するステップと、
(iii)ステップ(i)及び/または(ii)のコポリエステルの合成中に、及び/または後続の別個の該コポリエステルとの混ぜ合わせステップもしくは混合ステップ中に、導電性セラミック粒子材料から選択される該第1の金属イオン含有成分を任意選択で組み込み、該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源から該追加の金属イオンを任意選択で組み込むステップと、
(iv)ステップ(ii)または(iii)からのコポリエステル生成物をバインダー材料として提供するステップと、
(v)該活性材料及び該バインダー材料を混合して組成物を形成するステップと、
(vi)好ましくは該組成物を含む分散液または溶液を溶媒流延することによって、該組成物から電極を形成するステップと
を含む。
【0101】
本明細書に説明されるコポリエステルは、ポリエステル材料の製造のための従来の技術に従って合成することができる。したがって、コポリエステルは、直接エステル化またはエステル交換の第1のステップ、それに続く重縮合の第2のステップによって作られ得る。直接エステル化の実施形態では、ジオール及びジカルボン酸は、通常は、高温(通常約150~260℃)及び高圧(通常約40psi)で、塩基(例えば水酸化ナトリウム)の存在下で直接的に反応し、直接エステル化反応の水副産物は蒸留除去されて、ビス(ヒドロキシアルキル)カルボキシレートを形成する。直接エステル化反応が完了すると、安定剤(例えば、リン酸)が塩基を中和させるために添加される。代替実施形態では、コポリエステルは、エステル変換経路によって準備され、これは、好ましくは、ジカルボン酸のエステル(好適には、低級アルキル(C1-4)エステル、好ましくはジメチルエステル)をモル過剰のジオールと、塩基性エステル化触媒(例えば、酢酸マンガン(II)四水和物、Mn(OAc)2・4H2O)の存在下で、高温で(通常約150~260℃の範囲で)加熱することを含み、エステル交換反応のメタノール副産物が蒸留排除されて、ビス(ヒドロキシアルキル)カルボキシレートを形成することを含む。重合は、適切な触媒、通常は三酸化アンチモンを使用して、高温(通常約290℃)で、通常は減圧下(例えば、約1mm Hg)で、副生成物(複数可)を連続的に蒸留して実施される重縮合ステップで達成される。ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルの出発物質は、通常、ポリ(アルキレンオキシド)ではなくジオールと選択的に反応するので、特にポリ(アルキレンオキシド)の分子量が増加すると、ポリ(アルキレンオキシド)が合成手順の開始時に存在する場合がある。しかしながら、好ましくは、ポリ(アルキレンオキシド)は、重縮合ステップの開始時に添加される。
【0102】
好ましくは、合成手順は、コポリエステルの分子量を増加させ、ポリ(アルキレンオキシド)のコポリエステルへの重合を増加させる、及び/または完了するために固相重合(SSP)ステップをさらに含む。
【0103】
したがって、重縮合反応(ステップ(ii))の生成物は、好ましくはSSPステップにかけられる。固相重合は、例えば窒素で流動化されるなど、流動床で、または回転式真空乾燥機を使用して真空流動床で実施され得る。好適な固相重合技術は、例えば、EP-A-0419400に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。したがって、SSPは、通常、ポリマーの結晶融点(TM)の10~50℃未満であるが、ガラス転移温度(Tg)よりも高い(または、コポリエステルが複数のガラス転移温度を示す場合、最高のガラス転移温度よりも高い)温度で実施される。劣化を防ぐために、乾燥窒素または真空の不活性雰囲気が使用される。好ましい実施形態では、固相重合は、真空下で220℃で16時間にわたって実施される。
【0104】
任意選択の第1の金属イオン含有成分及び任意選択の第2の金属イオン含有成分は、単独でまたはともにコポリエステル内に導入され得る。単独で導入されるとき、第1の金属イオン含有成分及び第2の金属イオン含有成分は、同時にまたは連続して導入され得る。第1の及び第2の金属イオン含有成分(複数可)のどちらかまたは両方とも複数の異なる化合物を含有する場合、該複数の化合物は、単独でまたはともにコポリエステル内に導入され得、単独で導入されるとき、該複数の化合物は、同時にまたは連続して導入され得る。
【0105】
本明細書で実施形態A1と呼ばれる一実施形態では、第1及び第2の金属イオン含有成分は、ステップ(i)及び/または(ii)でコポリエステルの合成中にコポリエステル内に導入される。好ましくは、第1及び第2の金属イオン含有成分は、合成手順の開始時に反応物(複数可)または反応混合物の1つ以上に添加される。代わりに、第1及び第2の金属イオン含有成分は、直接エステル化またはエステル交換のステップ(i)の反応生成物に、重縮合段階(ii)の前に添加される。
【0106】
本明細書で実施形態A2と呼ばれる第2の実施形態では、第1及び第2の金属イオン含有成分は、別個の混ぜ合わせステップまたは混合ステップ中にコポリエステル内に導入される。
【0107】
本明細書で実施形態A3と呼ばれる第3の実施形態では、第1及び第2の金属イオン含有成分は、異なるステップ中にコポリエステル内に導入される。例えば、第2の金属イオン含有成分は、ステップ(i)及び/または(ii)でコポリエステルの合成中に導入され(好ましくは、合成の開始時に、反応物(複数可)または反応混合物の1つ以上に添加され)、第1の金属イオン含有成分は、別個の混ぜ合わせステップまたは混合ステップ中に導入される。
【0108】
電極は、当該技術分野で周知の従来の溶媒流延技術によって形成され得る。一般的に言えば、プロセスは、該バインダー材料と、該活性材料と、液体溶媒とを含む分散液を形成することを含む。好適な液体溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、アセトニトリル(ACN)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメトキシエタン(DME)、ギ酸メチル(MF)、ニトロメタン(NM)、ジエチルカーボネート(DEC)、トルエン、水、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、メタノール、エチルアルコール、及びエチルアセテートを含む。
【0109】
混合容器の種類、分散ステップの持続時間、及び分散ステップの温度は、使用されるコポリエステル及び液体溶媒の種類に応じて変わる。通常、使用される温度は約22℃と約100℃の間である。通常、分散ステップの持続時間は、例えば、約6時間と48時間の間、約10時間と30時間の間、約12時間と24時間の間など数時間となる。
【0110】
任意選択の第1の金属イオン含有成分及び任意選択の第2の金属イオン含有成分は、該分散液を形成するために液体溶媒と接触しているコポリエステルにすでに存在している場合がある。代わりに、第1及び第2の金属イオン含有成分は、コポリエステル分散液と混合され得、本実施形態では、該第1及び第2の金属イオン含有成分は、該分散液に単独でまたはともに導入され得る。単独で導入されるとき、第1及び第2の金属イオン含有成分は、同時にまたは連続して導入され得る。第1の及び第2の金属イオン含有成分のどちらかまたは両方とも複数の異なる化合物を含有する場合、該複数の化合物は、単独でまたはともに導入され得、単独で導入されるとき、該複数の化合物は、同時にまたは連続して導入され得る。
【0111】
活性材料は、該分散液に単独でまたはバインダー材料の成分とともに導入され得る。活性材料が、複数の異なる化合物を含有する場合、該複数の化合物は、単独でまたはともに導入され得、単独で導入される場合、該複数の化合物は、同時にまたは連続して導入され得る。
【0112】
このようにして、活性材料及びバインダー材料を含む組成物が形成される。
【0113】
組成物は、次にフィルム内に流延されるか、または支持基部上にコーティングされる。流延フィルムまたはコーティングは、次に残留溶媒を除去するために適切に乾燥される。通常、流延フィルムまたはコーティングは、約50℃~約170℃、好ましくは約80℃~160℃の温度で乾燥される。乾燥ステップは、残留溶媒の量を減少させるために、異なる温度帯にわたる複数の(例えば、少なくとも2つの)乾燥ステップを含み得ることを理解されたい。いったん乾燥すると、後続の処理のために流延フィルムは支持基部から取り除かれ、電極として電池内に組み込まれてよい。
【0114】
特に好ましい製造方法では、組成物は、それ自体が電池の構成要素であり、特に集電体または分離器である支持基部上に流延またはコーティングされ、つまり、電極は電池製造中にその場で形成される。したがって、好ましい実施形態では、電池の電極は、電池製造中に電極組成物を集電体上に流延することによってその場で形成される。その場合、電極及び集電体の複合構造は、電池を製造するための後続の処理を受ける。代替実施形態では、電池の電極は、電池製造中に電極を分離器上に流延することによってその場で形成される。その場合、電極及び分離器の複合構造は、その後電池を製造するための後続の処理を受ける。
【0115】
本発明はさらに、第3の態様の方法によって製造された電極を提供する。
【0116】
第1から第2の態様に関して説明された好ましい点及び要素は、第3の態様にも等しく当てはまる。
【0117】
本発明の第4の態様によれば、集電体と、電極とを含むアセンブリが提供され、該電極は、第1の態様に説明される電極であるか、または第3の態様の方法から得られた電極である。
【0118】
例えば電極が集電体の表面上に直接的に得られる組成物を流延またはコーティングすることによって、電極を集電体の表面上に堆積され得ることを理解されたい。
【0119】
任意の好適な集電体(任意の好適なアノード集電体及び/またはカソード集電体など)を使用し得る。
【0120】
好適なアノード集電体及び/またはカソード集電体は、例えば、開示が参照により本明細書に組み込まれる英国出願番号2106834.1に開示されている。特に、該アノード集電体及び/または該カソード集電体は、2軸配向ポリマー基材層(好ましくは、ポリマー基材層はポリエステル、好ましくはPETまたはPENである)と、ポリマー基材層の側面上の第1の金属層とを含む集電体から単独で選択され得、ポリマー基材層は、横断方向(TD)及び機械方向(MD)のそれぞれで、200℃の空気中で正の熱膨張(好ましくは、0%を超え3.0%以下、好ましくは0.1%~2.0%、好ましくは0.2%~1.5%)を示し、ポリマー基材層は、12μm以下(好ましくは、1.0~12.0μm、好ましくは2.0~8.0μm、好ましくは4.0~8.0μm、好ましくは4.0~6.0μm)の厚さを有し、第1の金属層は、1000nm以下の厚さを有し、好ましくは、集電体は、第2の金属層をさらに含み、第1の金属層及び第2の金属層は、ポリマー基材層の反対側にあり、第2の金属層は、単独で1000nm以下の厚さを有する。好ましくは、第1の金属層、及び存在する場合第2の金属層の厚さは、それぞれ単独で50nm~1000nm、好ましくは100nm~1000nm、好ましくは100nm~800nm、好ましくは150nm~700nmである。第1の金属層、及び存在する場合は第2の金属層は、適切に、それぞれ単独で、200℃の空気中で、0%を超え1.0%以下、好ましくは0.25%~0.75%、好ましくは0.3%~0.5%の等方性熱膨張を示し、好ましくは第1の金属層及び第2の金属層は、200℃で互いに同じ熱膨張を示す。第1の金属層、及び存在する場合は第2の金属層は、それぞれ単独で、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、銀、ニッケル-銅合金、またはアルミニウム-ジルコニウム合金の少なくとも1つを含み、好ましくは、第1及び第2の金属層は同じ材料から選択され、好ましくは、第1及び第2の金属層はともにアルミニウムまたは銅のどちらかである。このような集電体は、好ましくは、以下の特性の1つ以上を示す。
(i)少なくとも600g/25mm、好ましくは少なくとも約700g/25mm、好ましくは少なくとも約800g/25mmの金属層とポリマー基材層との間の接着強度
(ii)0.01Ωsq-1~2.0Ωsq-1、好ましくは0.02Ωsq-1~2.5Ωsq-1、好ましくは0.02Ωsq-1~2.0Ωsq-1、好ましくは0.02Ωsq-1~1.5Ωsq-1、好ましくは0.05Ωsq-1~1.0Ωsq-1のシート抵抗
(iii)約30A以下の破壊電流、及び/または約300℃以下の破壊温度
【0121】
このような好ましい集電体は、(I)2軸配向ポリマー基材層を形成するステップと、(II)該基材層の一方の表面または両方の表面に金属を堆積させて、(好ましくは、熱蒸着、電子ビーム蒸着、または仮想カソード蒸着を使用して)金属層を形成するステップとを含む方法によって作られ得る。好ましくは、ステップ(I)は、順に以下の段階、
(1)溶融ポリマーの層を押し出し、ポリマーのガラス転移温度(複数可)を超える温度で押し出し物を2軸延伸にかけることであって、好ましくは該2軸延伸は同時2軸延伸であり、好ましくは延伸は、配向フィルムの寸法が、延伸の各方向でその元の寸法の2~5倍となるように達成される、かけることと、
(2)ポリマーのガラス転移温度(複数可)を超える温度であるが、その融点(TM)未満の温度で寸法支持を受けてアニールすることによって2軸延伸フィルムを寸法的に安定化させることであって、好ましくはアニール温度は、TM-80℃~TM-10℃の範囲内、及び好ましくは200~245℃の範囲内、好ましくは220~240℃の範囲内にある、安定化させることと、
(3)横断方向と機械方向の両方で、アニールされた2軸延伸フィルムを寸法緩和、好ましくは同時寸法緩和にかけることであって、緩和の程度は、横断方向及び機械方向のそれぞれで0.5~5.0%、好ましくは1.0~4.0%、好ましくは1.0~3.0%、好ましくは1.0~2.0%であり、好ましくは機械方向と横断方向とでの緩和の程度が同じであり、好ましくは緩和の程度が機械方向及び横断方向で同じであり、好ましくは、緩和ステップの温度は、先行するアニールステップの温度以下であり、好ましくは200℃~240℃、好ましくは210℃から230℃、好ましくは215℃~230℃である、かけることと、
(4)任意選択で、先行する緩和ステップよりも低い温度、好ましくは少なくとも5℃低い、及び好ましくは195℃~230℃、好ましくは195℃~220℃の範囲で実施される第2の緩和ステップと、
(5)任意選択で、ポリマー基材層の露出面を表面修正処理にかけることであって、該処理ステップが、ステップ(I)の後かつステップ(II)の前に行われ、好ましくは該処理が、ポリマー基材層の露出面をプラズマ処理、好ましくはコロナ放電にかけることを含む、かけることと
を含む。
【0122】
該好ましい集電体の金属層の用語「金属」が、本開示の残りの部分における電極及び電池の文脈で使用される用語「金属」の使用とは別個かつ独立した文脈で使用されていることを理解されたい。特に、集電体内での金属層の同一性は、電極中の金属イオンの同一性、及び金属イオン電池の同一性とは無関係である(つまり、金属イオン電池が、リチウムイオン電池であるのか、それともナトリウムイオン電池であるのかなど)。
【0123】
第1から第3の態様に関して説明された好ましい点及び要素は、第4の態様にも等しく当てはまる。
【0124】
本発明の第5の態様によれば、分離器と、電極とを含むアセンブリが提供され、該電極は、第1の態様に説明される電極か、または第3の態様の方法から得られた電極である。
【0125】
任意の好適な分離器を使用し得る。
【0126】
好ましい分離器は、例えば、WO-2019/186173-A1、WO-2021/064359-A1、及び英国出願第2110926.9に開示されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。特に、該分離器は、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含むコポリエステルフィルムであってよく、コポリエステルフィルムは、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分をさらに含み、フィルムは、該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンをさらに含み得る。
【0127】
このような好ましい分離器は、コポリエステルフィルムを製造することを含む方法によって作られ得、該方法は、
(i)該ジオールを該ジカルボン酸またはそのエステル(好適には低級アルキル(C1-4)エステル、好ましくはジメチルエステル)と反応させて、該ジカルボン酸のビス(ヒドロキシアルキル)エステルを形成するステップと、
(ii)ポリ(アルキレンオキシド)の存在下で該ジカルボン酸の該ビス(ヒドロキシアルキル)エステルを重縮合反応で重合させて、コポリエステルを形成するステップと、
(iii)コポリエステル組成物を形成するために、ステップ(i)及び/または(ii)のコポリエステルの合成中に、及び/または後続の別個の混ぜ合わせステップもしくは混合ステップ中に、導電性セラミック粒子材料から選択される該第1の金属イオン含有成分を導入し、該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源から該追加の金属イオンを任意選択で導入するステップと、
(iv)好ましくは、該組成物を溶融押し出しすることによって、または該コポリエステル組成物を含む分散液または溶液を溶媒流延することによって、該コポリエステル組成物からコポリエステルフィルムを形成するステップと
を含む。
【0128】
分離器は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる英国出願第2110926.9号に開示された技術に従って合成され得る。特に、フィルム形成コポリエステル組成物は、それ自体が電池の構成要素であり、特に、本明細書に説明される電極である支持基部上に流延され得、つまり流延フィルムは、電池製造中にその場で形成される。この製造の方法は、溶媒流延法で特に有用であるが、それに限定されず、フィルム形成の押し出し方法にも使用し得る。したがって、本実施形態では、電池の分離器は、電池製造中にコポリエステルフィルムを電極上に流延することによってその場で形成される。その場合、電極及び流延されたコポリエステルフィルムの複合構造は、その後電池を製造するための後続の処理を受ける。
【0129】
有利なことに、これが当てはまる場合、本発明の電極上の連続コーティングを達成することができ、使用中、最終的に、分離器と電極との間の効果的な界面相溶性及び接触につながることが判明している。分離器と電極との間の接触は、分離器が分離器に配置された直後に優れているだけではなく、使用後も優れたままであることも判明している。
【0130】
従来の電極が使用される場合、電極上でのコポリエステルフィルムの被覆に問題が発生し、不連続なコーティングが生じ、これは次に分離器と電極との間の不十分な界面相溶性及び不良接触につながることになる。
【0131】
第1から第4の態様に関して説明された好ましい点及び要素は、第5の態様にも等しく当てはまる。
【0132】
第6の態様によれば、層の順序が、アノード集電体/アノード/分離器/カソード/カソード集電体となるように、アノードと、カソードと、分離器と、アノード集電体と、カソード集電体とを含み、アノード及びカソードの少なくとも1つは、本明細書に説明される電極である金属イオン電池(特にリチウムイオン電池)が提供される。
【0133】
好ましくは、金属イオン電池は固体電池(本明細書では、ドライセル電池とも呼ばれる)である。代わりに、金属イオン電池は、通常、当該技術分野でウェットセル電池と呼ばれる液体またはゲル電解質をさらに含む。金属イオン電池が充電式電池であることが当業者によって理解される。
【0134】
当該技術分野で従来のような、及び本明細書に説明されるような任意の好適なアノード、アノード集電体、分離器、カソード、カソード集電体、及び電解質を使用し得る。
【0135】
金属イオン電池が固体電池である場合、好ましくはアノード及びカソードの少なくとも1つは、本明細書に説明される電極であり、バインダー材料は、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含み、バインダー材料は、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分をさらに含み、該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンをさらに含む。
【0136】
金属イオン電池がウェットセル電池である場合、一実施形態では、アノード及びカソードの少なくとも1つは、本明細書に説明される電極であり、バインダー材料は、ジオール、ジカルボン酸、及びポリ(アルキレンオキシド)から得られる繰り返し単位を含むコポリエステルを含み、バインダー材料は、導電性セラミック粒子材料から選択される第1の金属イオン含有成分、及び該導電性セラミック粒子材料以外の1つ以上の供給源からの追加の金属イオンを含まない。本実施形態では、電極が、ウェットセル電池の組み立て前に金属イオンを含まないことを理解されたい。ただし、ウェットセル電池の使用及び動作中、電解質中に存在する金属イオンは移動性であり、必要とされる伝導性を可能にする。したがって、ウェットセル電池の使用及び動作中、金属イオンは電極を飽和させる。言い換えれば、ウェットセル電池の使用及び動作中、電極はさらに金属イオンを含む。
【0137】
第1から第5の態様に関して説明された好ましい点及び要素は、第6の態様にも等しく当てはまる。
【0138】
第7の態様によれば、本明細書に説明される電極の、電池での、好ましくは金属イオン電池での、好ましくはリチウムイオン電池での電極としての使用が提供される。
【0139】
第1から第6の態様に関して説明された好ましい点及び要素は、第7の態様にも等しく当てはまる。
【0140】
本発明の第8の態様によれば、本明細書に説明される電極を含む金属イオン電池を製造するための方法が提供され、方法は、
(a)本明細書に説明される電極を提供するステップと、
(b)金属イオン電池を組み立てるステップであって、層の順序が、アノード集電体/アノード/分離器/カソード/カソード集電体となるように、電池がアノードと、カソードと、分離器と、アノード集電体と、カソード集電体とを含み、アノード及びカソードの少なくとも1つは、本明細書に説明される電極である、組み立てるステップと
を含む。
【0141】
第1から第7の態様に関して説明された好ましい点及び要素は、第8の態様にも等しく当てはまる。
【0142】
特性測定
以下の試験方法は、本明細書に説明されるコポリエステル、電極、及び電池の特性を特徴付けるために使用された。
【0143】
(i)ガラス転移温度(Tg)、結晶温度(Tc)、及び結晶融点(Tm)
これらの熱パラメータは、PerkinElmer HyperDSC8500を使用して示差走査熱量測定法(DSC)によって測定された。特に明記しない限り、測定は、以下の標準試験方法に従って、ASTM E1356-98に記載の方法に基づいて行なわれた。サンプルを乾燥窒素雰囲気下でスキャンの持続時間の間維持した。流量20ml min-1及びAlパンが使用された。サンプル(5mg)は、以前の熱履歴(1回目の加熱スキャン)を消去するために、最初に20℃ min-1で20℃から350℃まで加熱された。350°で2分間等温に保持した後、サンプルは20℃ min-1で20℃まで冷却された(1回目の冷却スキャン)。サンプルは、次に20℃ min-1で350℃まで再加熱された(2回目の加熱スキャン)。Tg及びTMの値は、2回目の加熱スキャンから取得された。周知のように、ポリマーのガラス転移温度は、ポリマーがガラス状の脆い状態から可塑性のゴム状の状態に変化する温度である。ASTM E1356-98に説明されているように、Tgの値は、DSCスキャンで観察されたガラス転移の外挿開始温度(温度(℃)に対する熱流量(W/g))として決定された。本発明のコポリエステルが、2つのTg値、つまり軟質セグメントの1つのTg値及び硬質セグメントの1つのTg値と関連付けられ得ることを理解されたい。Tc及びTmの値は、DSCスキャンから、転移のピーク発熱または吸熱として決定された。
【0144】
(ii)溶融粘度
本明細書で使用する場合、用語「溶融粘度」は、特定の溶融温度及び特定の振動数で測定されたポリマーの複素粘度を意味する。複素粘度は、以下の試験方法に従ってTA Instruments DHR-1を使用した回転レオロジー試験によって測定された。ポリマーサンプル(2.5g)は、動的真空下で140℃で16時間乾燥させた。サンプルは次に2×25mm直径の平行プレートの間に保持され、窒素雰囲気下で必要とされる温度まで加熱された。ポリマーの複素粘度の分析は温度ランプ法によって実行され、サンプルは一定のひずみ(5%)及び角振動数(10rad s-1)で4℃ min-1の速度で加熱された。
【0145】
(iii)好ましい分離器のバルク抵抗及び膜貫通イオン伝導率(ドライセルセットアップ(固体状態))
追加の電解質が存在しない、つまりドライセルセットアップ(固体状態)のフィルムサンプルの膜貫通イオン伝導率は、電気化学インピーダンス分光法(EIS)によって測定された。直径12mmのドライコインセルが構築された。1×1mmのスペーサーを備えた対称Al/Alドライコインセルは、アルゴングローブボックス内で露点<40℃で構築された。ACインピーダンススペクトルは、10mVの摂動電圧に続いて、電池の動作温度で(約25℃と約75℃の範囲内で、及び別段に指定されない限り周囲温度(25℃)で)100mHz~1MHzのAC周波数範囲の開回路電圧(OCV)下でAutoLabユニットを使用して取得された。ナイキストインピーダンスプロットが生成され、x軸切片が使用されて、コインセル構成要素の抵抗R
1及び分離器のバルク抵抗R
2の抵抗値(オーム単位)が計算された(分離器が、ナイキストプロットから生成された2つの値の比較的に高い方の抵抗値を有することを理解されたい)。フィルム分離器の膜貫通イオン伝導率(σ)は、以下の式を使用してバルク抵抗R
2から計算された。
【数1】
上式で、dはフィルムサンプル厚さ(cm単位)であり、Aは電極に接触するフィルムの面積(cm
2単位)である。フィルムの面積がフィルムの総面積、つまりAl電極に接触するフィルムの両面の総面積を指すことを理解されたい。イオン伝導率は、通常、対数(基数10)の形をとるジーメンス/cmで表される。
【0146】
(iv)分子量(MN)
GPC測定は、Agilent PL HFIPゲルガードカラムと2×30cmのPL HFIPゲルカラムを使用してMalvern/Viscotek TDA 301で実行された。溶出液として、25mM NaTFAcを含むHFIP溶液が使用され、公称流量は0.8mL min-1であった。すべての実験は屈折率検出器を使用して40℃で実施された。分子量はポリメチルメタクリレート検量体を基準としている。データの取り込み及び後のデータ分析は、Omnisecソフトウェアを使用して実施された。サンプルは、2mg mL-1の濃度で準備され、20mgのサンプルが10mLの溶出液に溶解された。これらの溶液は室温で24時間撹拌された後、ポリマーを完全に溶解するために40℃で30分間加熱された。各サンプルは注入前に0.45μmのポリテトラフルオロエチレン膜で濾過された。このような測定を使用して、MWも決定し得る。MW値及びMN値が分かると、PDIを決定し得る。
【0147】
(v)コポリエステル中のポリ(アルキレンオキシド)のレベル
残留溶媒(d2-TCE(1,1,2,2-テトラクロロエタン))共鳴を基準として、80℃でECS400分光計を使用してコポリエステル中のポリ(アルキレンオキシド)のレベルを決定するために1H NMR分光法が使用された。
【0148】
(vi)(好ましい集電体の)二軸配向ポリマー層の膨張
5mm×8mmの寸法を有する好ましい集電体の二軸配向ポリマー層のサンプルが、熱機械分析装置(TA Instruments Inc.によるTMA Q400)を使用して熱機械分析にかけられた。サンプルの長い方の寸法(つまり8mmの寸法)は、膨張が試験されていたサンプルの方向に対応する。サンプルは、装置に取り付けられ、機械方向(MD)または横断方向(TD)で1N/mm2の荷重、及び32℃から220℃までの温度上昇速度10℃/分にさらされた。200℃の温度での空気中の熱膨張が測定された。200℃での空気中での熱膨張は、所与の方向(つまりMDまたはTD)におけるフィルムの寸法の変化%として定義され、(L1-L0)/L0×100として計算され、上式で、L0は32℃での寸法であり、L1は200℃での寸法である。当業者が理解するように、負の熱膨張は熱収縮を示す。
【0149】
(vii)(好ましい集電体の)シート抵抗
好ましい集電体の導電層のシート抵抗は、ASTM F390-98(2003)に従って、線形4点プローブ(Jandelモデル RM2)を使用して測定された。
【0150】
(viii)(好ましい集電体の)破壊電流及び破壊時の温度
寸法50mm×10mmを有する集電体サンプルは、一対の導電性クランプの間で各端部を保持された。サンプルは、サンプルの各端部の10mm2がクランプ内に保持されるように締められた。破壊が観察されるまで、サンプルに2A/分のランプ速度で電流が流された。破壊時の温度を決定するために、試験を通して熱画像カメラを使用してサンプルの温度プロファイルが監視された。
【0151】
(ix)(好ましい集電体の)接着強度
(UCB Sidac DivisionからVistafix(TP)として市販されている)厚さ25μmのEAA(エチレンアクリル酸フィルム)に対する金属化されたポリマー基材の接着強度は、次のように評価された。集電体のサンプル及びEAAフィルムのサンプルは、金属化されたポリマー基材層の外面がEAAフィルムの表面と接触するようにともに位置決めされた。サンプルは、Sentinel Model 12(Packaging Industries Group Inc)マシンを使用して、次の条件、つまり105℃(上顎)及び25℃(下顎)、50psiの圧力下で10秒間で熱融着された。融着されたサンプルは25mm幅のストリップに切断され、接着強度がInstronモデル4464を使用して測定された。顎は50mm離してセットされた。上顎は融着されたサンプルのEAAの部分を保持し、300mm/分の速度で上昇し、下顎は融着されたサンプルの集電体部分を保持し、静止していた。平均剥離力が測定され、5つの結果の平均値として報告された。接着破壊面も観察された。金属層とポリマー基材層との間の接着強度が、金属層とEEAフィルムとの間の接着強度(約800g/25mm)よりも低い場合、試験サンプルは金属層及びポリマー基材層の界面に沿って剥離する。この場合、平均剥離力は金属層とポリマー基材層との間の接着強度を表す。金属層とポリマー基材層との間の接着強度が、金属層とEEAフィルムとの間の接着強度(800g/25mm)よりも高い場合、試験サンプルは金属層とEEAフィルムの界面に沿って剥離する。さらなる破壊面は、金属化された層自体の内部でのコヒーレント破壊であり、これは、金属層とポリマー基材層の間の接着強度がコヒーレント破壊を達成するために必要とされる力よりも大きいことも示す(したがって、通常、金属層とポリマー基材層の間の接着強度は約800g/25mmよりも大きい)。
【0152】
本発明は、以下の非限定的実施例を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【
図3】実験2において、比容量の関数として電極電位を示すグラフである。
【実施例】
【0154】
以下の説明では、「LICGC」は、OharaからLICGC(商標)PW-01という商標名で市販されているリチウムイオン伝導性ガラスセラミック粉末を指し、「PEG3350」は、3350の数平均分子量(MN)を有するポリエチレングリコールを指す。
【0155】
実験1
実施例では、層の順序が分離器/電極/集電体となるように、電極と、集電体と、分離器とを含んだアセンブリが準備された。
【0156】
具体的には、アルミニウム集電体箔が得られた。以下の具体的な実施例に詳述されるように、電極が準備され、集電体の表面に流延された。コポリエステル、LICGC、及びLiCF3SO3を含む分離器フィルムが次に準備され、以下の通りに電極の反対側の表面上に流延された。
【0157】
コポリエステルは、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソフタル酸(BHEI)及びポリエチレングリコール(PEG3350)を使用して製造された。PEG3350はコポリエステルの50重量%のレベルで存在していた。コポリエステルは、酸化防止剤(Irganox(登録商標)1010、2.95g)を添加するとともに、49.82gのBHEIと50.18kgのPEG3350を反応させることによって製造された。重縮合は三酸化アンチモン触媒(0.20g)を用いて約280~290℃で達成され、溶融物上の圧力は5mm Hg未満に低下した。重縮合反応が進むにつれてバッチの粘度が増加し、所定の粘度に達すると、容器内の圧力を大気圧に戻すことによって重縮合反応は停止された。コポリエステルは、次にレース状に押し出され、水浴に流延されて乾燥された。0.4gのコポリエステルを0.1gのLiCF3SO3と0.5gのLICGCを含む5mLのNMPに溶解することによって、溶媒流延されたコポリエステルフィルムが作られた。成分は、ビーカー内でNMP中に分散され、25℃で12時間十分に混合されてコポリエステル組成物を提供した。分離器フィルムは、コポリエステル組成物を電極の表面に溶媒流延することによって作られ、60℃で24時間加熱して乾燥され、次に60℃でさらに24時間真空乾燥されて、厚さ82μmの分離器フィルムを提供した。電極上の分離器フィルムの被覆の均一性が評価された。
【0158】
比較例1
電極は、活性材料としてのチタン酸リチウム(LTO)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、Li塩、及びLiCGCを混合することによって作られた組成物から得られた。
【0159】
組成物はアルミニウム集電体箔上に流延された。得られた生成物は、次に乾燥されて、それによって電極を形成した。
【0160】
分離器材料は、次に上述のように電極上で流延された。結果は
図1に示されており、分離器が電極表面上に連続したフィルム被覆を達成しなかったことを示している。代わりに、部分的な被覆のみが観察され、電極と分離器間の界面相溶性及び接触は不良であった。
【0161】
実施例1
電極は、チタン酸リチウム(LTO)と、分離器材料に関して上述されたコポリエステル組成物(つまり、NMP中に分散され、十分に混合されたコポリエステル、LiCF3SO3及びLICGCを含む組成物)を混合することによって作られた組成物から得られた。
【0162】
組成物はアルミ箔上に流延された。得られた生成物は、次に乾燥されて、それによって電極を取得した。
【0163】
分離器材料は、次に上述のように電極上で流延された。結果は
図2に示されており、分離器が電極表面全体に連続し、均一のフィルム被覆を達成したことを示している。電極と分離器との間の界面相溶性、及び接触は優れていた。
【0164】
実験2
固体セル電池は、実施例2の分離器、カソード、及びカソード集電体を使用して準備された。リチウム箔はアノードとして使用され、層の順序がリチウム箔アノード/分離器/カソード/アルミニウム箔カソード集電体となるように、分離器表面と接触した。
【0165】
電池特性が評価された。バルク抵抗は5.6kΩであった。
図3は比容量の関数として電極電位を提示する。
図3に示されるように、電池は効果的に充電及び放電することができた。
【国際調査報告】