(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】患者固有の関節形成デバイス並びに関連システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526644
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 US2022048729
(87)【国際公開番号】W WO2023081226
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521234397
【氏名又は名称】カールスメッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー ナイル パトリック
(72)【発明者】
【氏名】コルドニアー マイケル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】エイムズ クリストファー ケイ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC16
4C097CC18
4C097DD03
4C097DD07
4C097DD09
(57)【要約】
本発明の技術は、患者固有のインプラント等の患者固有の医療デバイス、及びこれを設計するためのシステム及び方法に向けられている。例えば、本発明の技術は、一般に関節機能を回復及び/又は改善するため、特に椎間関節の機能を回復及び/又は改善するために使用するための患者固有の関節形成デバイスを含む。本発明の技術はまた、患者固有の関節形成デバイス及びシステムを設計、製造、及び/又は提供するための方法を提供する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者固有の関節形成デバイスを設計するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の脊椎の1又は2以上の領域に関連する患者データを取得するステップと、
前記患者データに基づいて前記患者の脊椎の1又は2以上の領域の仮想モデルを生成するステップと、
前記患者データ及び/又は前記仮想モデルに基づいて、(1)患者の脊椎の前記1又は2以上の領域に対する標的術後解剖学的構成と、(2)運動の標的術後タイプ及び/又は運動の程度を含む、前記患者の脊椎の前記1又は2以上の領域に対する1又は2以上の標的術後運動学的パラメータと、(3)前記患者の脊椎の前記1又は2以上の領域に対する1又は2以上の標的術後回転中心と、を決定するステップと、
前記標的術後解剖学的構成、前記標的術後運動学的パラメータ、及び前記標的術後回転中心に基づいて、前記患者固有の関節形成デバイスを設計するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記患者固有の関節形成デバイスが、
第1の患者固有のトポグラフィーを有する第1のエンドプレートと、
第2の患者固有のトポグラフィーを有する第2のエンドプレートと、
前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間に配置された可動性要素であって、前記可動性要素は、前記患者固有の関節形成デバイスが前記患者の脊椎に移植されたときに、前記1又は2以上の標的術後運動学パラメータに適合し、前記標的術後回転中心を達成するように設計されている、可動性要素と、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可動性要素が、(1)前記第1のエンドプレート及び前記第2のエンドプレートの互いに対する回転、及び(2)前記第1のエンドプレート及び前記第2のエンドプレートの互いに対する並進を可能にするように設計されている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記可動性要素が、前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の6自由度の動きを可能にするように設計されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記患者データが、前記患者の脊椎の1又は2以上の領域の生来の解剖学的構成を示す画像データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記患者データが、前記患者の脊椎の1又は2以上の領域に関連する運動学的データを含み、前記運動学的データが、1又は2以上の運動学的パラメータに対する値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記標的術後回転中心の少なくとも1つが、前記患者の脊椎の1又は2以上の領域における隣接する椎体間の幾何学的中心点からオフセットしている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1又は2以上の標的術後回転中心が、対応する術前回転中心とは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1又は2以上の標的術後運動パラメータが、対応する術前運動パラメータとは異なる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記1又は2以上の目標術後運動学的パラメータが、標的回転度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
関節形成システムであって、
患者の脊椎に移植するための患者固有の関節形成デバイスを備え、
前記患者固有の関節形成デバイスが、
第1の患者固有のトポグラフィーを有する第1のエンドプレートと、
第2の患者固有のトポグラフィーを有する第2のエンドプレートと、
前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間に配置された可動性要素と、
を含み、
前記可動性要素が、前記第1のエンドプレート及び前記第2のエンドプレートの互いに対する並進移動及び回転移動を可能にするように構成され、
前記第1のエンドプレート及び前記第2のエンドプレートに対する前記可動性要素の位置は、前記患者固有の関節形成デバイスが前記患者の脊椎に移植されたときに標的回転中心を達成するように設計されており、
前記標的回転中心は、前記患者固有の関節形成デバイスが移植される前記患者の脊椎の領域に対する標的構成に少なくとも部分的に基づいている、
関節形成システム。
【請求項12】
前記可動性要素が、前記第1のエンドプレートに結合されたボールと、前記第2のエンドプレートに結合されたソケットとを含み、前記前記ボールが前記ソケットと嵌合するように構成されることにより、前記第2のエンドプレートに対する前記第1のエンドプレートの回転が可能になる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記可動要素が、前記第1のエンドプレート及び前記第2のエンドプレートの少なくとも一方の幾何学的中心からオフセットしている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記可動性要素が、前記第1のエンドプレート及び前記第2のエンドプレートの両方の幾何学的中心からオフセットしている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記可動性要素は、前記第1のエンドプレート及び/又は前記第2のエンドプレートの幾何学的中心から少なくとも0.1cmだけオフセットしている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記可動性要素が、前記第1のエンドプレートに結合されたヒンジと前記第2のエンドプレートに結合されたピンとを含み、前記ピンが前記ヒンジ内に配置されて、前記第2のエンドプレートに対する前記第1のエンドプレートの回転を可能にする、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記可動要素が、(1)前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の少なくとも2つの回転自由度、及び(2)前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の少なくとも2つの並進自由度を可能にするように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記可動性要素は、前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間の距離が適応可能であるように、少なくとも部分的に圧縮可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記可動性要素が、セラミック、ポリマー、金属、又は粘弾性材料を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1のエンドプレートと結合されて前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間に配置された1又は2以上のストッパーを更に備え、
前記1又は2以上のストッパーが、前記第1のエンドプレートの周辺部位に配置され、
前記1又は2以上のストッパーが、前記第1のエンドプレートの周辺部位と前記第2のエンドプレートとの間の距離が閾値距離未満であるときに、前記第2のエンドプレートに対する前記第1のエンドプレートの相対的な動きを減衰させるように構成される、
請求項11に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1のエンドプレートは、前記第1の患者固有のトポグラフィーを有する第1の表面を有し、前記第1の表面は、第1の椎骨と嵌合して、間に第1のほぼギャップのない界面を形成するように構成されており、前記第2のエンドプレートは、前記第2の患者固有のトポグラフィーを有する第2の表面を有し、前記第2の表面は、第2の椎骨と嵌合して、間に第2のほぼギャップのない界面を形成するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1のエンドプレート及び前記第2のエンドプレートが、キール、スパイク及びネジのうちの1又は2以上によりそれぞれの椎骨に結合されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項23】
前記患者固有の関節形成デバイスが第1の患者固有の関節形成デバイスであり、前記システムが、第2の患者固有の関節形成デバイスを更に備え、前記第2の患者固有の関節形成デバイスが、前記第1の患者固有の関節形成デバイスに対して別の椎間スペース内に移植されるように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1の患者固有の関節形成デバイスが、前記対応する椎間スペースにて第1の回転中心を達成するように構成され、前記第2の患者固有の関節形成デバイスが、前記対応する椎間スペースにて第2の回転中心を達成するように構成され、前記第1及び第2の回転中心が、長手方向にオフセットされている、請求項23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2021年11月3日に出願された米国特許出願第17/518,524号に対する優先権を主張するものであり、その開示内容は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、整形外科インプラントに関し、より詳細には患者固有の関節形成デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科インプラントは、全関節再建術(関節形成術)、脊椎外科手術、手の外科手術、肩及び肘の外科手術、頭蓋骨再建術、小児整形外科手術、足及び足首の外科手術、筋骨格腫瘍学、外科的スポーツ医学、及び整形外科的外傷を含む様々な状況において、多くの異なる疾患を矯正するために使用される。脊椎手術そのものは、頸椎、胸椎、腰椎、仙骨の1又は2以上の様々な処置や標的を包含し、脊椎の変形又は変性、及び/又は関連する腰痛、脚痛、もしくは他の体の痛みを治療するのに行うことができる。整形外科インプラントを用いて治療できる一般的な脊椎変形には、脊柱側弯症、脊椎前弯症、後弯症(過弯症又は低弯症)のような不規則な脊椎湾曲、及び不規則な脊椎変位(例えば、脊椎すべり症)が挙げられる。整形外科インプラントを用いて治療できる他の脊椎疾患には、関節炎、変形性関節症、腰椎変性椎間板疾患又は頚椎変性椎間板疾患、腰部脊柱管狭窄症、及び頚部脊柱管狭窄症が挙げられる。
【0004】
一部の事例では、関節形成インプラント(例えば、関節形成デバイス)が患者の脊椎に移植されて、脊椎の除圧、安定化、及び/又は動きの改善が行われる。関節形成術は、脊椎の頸椎、腰椎、又は胸椎領域に対して行うことができる。例えば、関節形成デバイスを使用して、椎骨の相対位置を改善又は回復すること、及び脊椎の椎体間の相対運動を提供することができる。
【0005】
添付図面は、本開示のシステム、方法、及び他の様々な態様の実施形態を示す。当業者であれば、図中の例示された要素の境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、又は他の形状)が境界の一例を表していることを理解するであろう。幾つかの例では、1つの要素が複数の要素として設計することができ、又は複数の要素が1つの要素として設計することができる。幾つかの例では、ある要素の内部構成要素として示された要素が、別の要素では外部構成要素として実装される場合があり、その逆も同様である。非限定的及び非網羅的な説明を、以下の図面を参照して説明する。図中の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、原理の説明に重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】椎体間に配置され、本発明の技術の選択された実施形態に従って構成された複数の患者固有の関節形成デバイスを示す、人体骨格の一部の側面図である。
【0007】
【
図1B】ヒト患者の頸椎コラムのセグメントの側面図であり、本発明の技術の選択された実施形態による椎体の回転中心(COR)位置を示している。
【0008】
【
図2A】第1の構成で椎体間に配置され且つ本発明の技術の選択された実施形態に従って構成された患者固有の関節形成デバイスの側面図である。
【
図2B】第1の構成で椎体間に配置され且つ本発明の技術の選択された実施形態に従って構成された患者固有の関節形成デバイスの前面図である。
【0009】
【
図2C】第2の構成における
図2Aの患者固有の関節形成デバイスの側面図である。
【0010】
【
図2D】第3の構成における
図2Aの患者固有の関節形成デバイスの側面図である。
【0011】
【
図3】椎体間に配置され且つ本発明の技術の選択された実施形態に従って構成された患者固有の関節形成デバイスの前面図である。
【0012】
【
図4A】本発明の技術の選択された実施形態に従って構成された、第1の構成の患者固有の関節形成デバイスの概略図である。
【0013】
【
図4B】第2の構成における
図4Aの患者固有の関節形成デバイスの概略図である。
【0014】
【
図5】本発明の技術の選択された実施形態に従って構成された患者固有の関節形成デバイスの概略図である。
【0015】
【
図6】本発明の技術の実施形態に従って患者固有のデバイスを提供するためのコンピュータシステムを示すネットワーク接続図である。
【0016】
【
図7】本発明の技術の選択された実施形態に従って、
図6のコンピュータシステムに接続して使用するのに適したコンピュータデバイスを示す図である。
【0017】
【
図8】本発明の技術の選択された実施形態に従って、患者固有の関節形成デバイス、或いは2又は3以上の患者固有の関節形成デバイスを含むシステムを設計するための方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
技術の概要
本発明の技術は、患者固有のインプラントのような患者固有の医療デバイス、及びこれを設計するためのシステム及び方法に向けられている。例えば、本発明の技術は、一般に関節機能を回復及び/又は改善するために、特に椎間関節の機能を回復及び/又は改善するために使用するための患者固有の関節形成デバイスを含む。本発明の技術はまた、患者固有の関節形成デバイス及びシステムを設計、製造、及び/又は提供するための方法を提供する。
【0019】
本明細書に記載の患者固有の関節形成デバイスは、患者固有の関節形成デバイスが患者に移植された後、1又は2以上の所望の患者の結果を達成するように特別に調整することができる。例えば、患者固有の関節形成デバイスは、患者の脊椎の動きを維持又は改善しつつ、患者の解剖学的構造に対する矯正を提供することができる。例えば、患者固有の関節形成デバイスは、患者の脊椎の回転運動及び/又は並進運動を回復及び/又は改善するように構成することができる。別の例として、患者固有の関節形成デバイスは、患者の脊椎の椎骨間の圧迫を提供するように構成することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の関節形成デバイスは、デバイスが移植されたときに、予め定められた患者固有の椎間回転中心(COR)を維持及び/又は達成するように設計される。本明細書で使用されるように、脊椎の特定領域の椎間CORは、脊椎領域が回転する点を中心に対応する。本発明の技術の関節形成デバイスは更に、患者の脊椎における矢状及び冠状バランスの改善及び/又は最適化を提供するように構成することができる。
【0020】
従って、幾つかの実施形態では、患者固有の関節形成デバイスは、隣接椎骨間の所望の可動域も許容しながら、隣接椎骨の相対位置を改善又は回復することができる。例えば、患者固有の関節形成デバイス及びシステムは、患者の脊椎の椎骨セグメントの1又は2以上の椎骨の間に移植されると、椎骨セグメントの並進及び/又は回転運動並びに椎骨セグメントの圧縮を可能にする可動性要素を含むように構成される。可動性要素及び可動性要素に関連する特徴は、関節形成デバイスに関連する椎体に対して予め決定された最適なCORに基づいて設計することができる。更に、患者固有の関節形成デバイスは、移動のリスクを低減し、及び患者の結果を更に改善するために、特定の患者の解剖学的構造と嵌合するように構成された設計特性(例えば、形状、トポグラフィーなど)を有することができる。幾つかの実施形態では、例えば、関節形成デバイスのエンドプレートは、患者の椎体エンドプレートと一致するように設計され、その間に実質的にギャップのない界面を形成する。
【0021】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の患者固有の関節形成デバイスは、デバイスの性能を高めるために患者データを使用して設計される。患者データは、画像データ(例えば、解剖学データ)、運動学データ(例えば、運動データ)、病歴、患者情報等を含むことができる。解剖学的データは、解剖学的特徴の幾何形状及び/又はトポグラフィー、隣接する解剖学的特徴間の間隔、特性(例えば、組織特性)等を含むことができる。運動学的データは、可動域データ(例えば、標的可動域データ、手術前可動域データ等)、特定の椎体における標的COR位置、及び他の運動学的特性を含むことができる。運動学的データは、運動研究の実施、ソフトウェアモジュールを使用した関節の動きのモデル化、又は他の技術により収集することができる。運動学データは被験者の関節又は運動セグメントに関連付けることができる。
【0022】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の患者固有の関節形成デバイスは、患者データに加えて又は患者データの代わりに、1又は2以上の設計基準を用いて設計される。設計基準には、標的可動域、標的COR、標的椎体間隔(例えば、最小椎体間隔)、椎体エンドプレートトポグラフィー、移植手順(例えば、アクセス経路又は手順)、期待耐用年数、患者固有のニーズ、規制要件等を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、患者固有の関節形成デバイスは、椎間スペース、椎体エンドプレートのトポグラフィー、対象関節の運動学、又はこれらの組み合わせに適合するように構成することができる。一部の処置では、患者固有の関節形成デバイスは、合併症のリスクを低減するために、脊椎の回転運動及び/又は並進運動を維持するように構成することができる。他の処置では、患者固有の関節形成デバイスは、脊椎の運動を増大させるように構成することができる。幾つかの実施形態では、本発明の技術は、予測解析、機械学習、ニューラルネットワーク、及び/又は人工知能(AI)を組み込んで、所望の有効性を達成するために、改善された又は最適な外科的介入及び/又はインプラント設計を定義する。例えば、患者データは、1又は2以上の関節特性(例えば、可動域、椎間板の高さ等)を提供するための患者固有の関節形成デバイス設計を生成するために使用することができる。
【0023】
幾つかの実施形態に従って、関節形成システムは、患者の脊椎に挿入するための患者固有の関節形成デバイスを含む。患者固有の関節形成デバイスは、第1の患者固有のトポグラフィーを有する第1のエンドプレートと、第2の患者固有のトポグラフィーを有する第2のエンドプレートとを含む。患者固有の関節形成デバイスはまた、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間に配置された可動性要素を含む。可動性要素は、第1のエンドプレート及び第2のエンドプレートの互いに対する相対的な移動を可能にするように構成されている。第1のエンドプレート及び第2のエンドプレートに対する可動性要素の位置は、患者固有の関節形成デバイスが患者の脊椎に移植されたときに、予め定められた患者固有の回転中心を維持及び/又は達成するように設計されている。予め定められた患者固有の回転中心は、患者固有の関節形成デバイスが挿入される患者の脊椎の領域に対する設計された標的構成及び/又は所望の標的運動学的パラメータに基づいている。
【0024】
幾つかの実施形態において、本発明の技術は、患者固有の関節形成デバイスを提供するための方法を提供する。特定の実施形態において、本方法は、1又は2以上の領域の生来の解剖学的構成を描写する患者の脊椎の1又は2以上の領域の画像データを取得することを含む。本方法は更に、患者の脊椎の1又は2以上の領域に関連する運動学的データを取得することを含む。運動学的データは、回転中心位置、可動域、屈曲角、回転角、変位、屈曲、伸展、屈曲/伸展弧、側屈、左右屈曲弧、及び/又は軸回転等の1又は2以上の運動学的パラメータの値を含むことができる。本方法は更に、生来の解剖学的構成とは異なる標的動作構成を決定することを含む。次いで、患者固有の関節形成デバイスが、標的動作構成及び運動学的パラメータ値に基づいて設計される。特に、患者固有の関節形成デバイスは、患者に移植されたときに、運動学的パラメータを維持又は改善しながら患者固有の関節形成デバイスが標的動作構成を提供するように設計される。例えば、設計された患者固有の関節形成デバイスは、予め決定された最適な回転中心位置に関して、脊椎のセグメントの回復された又は改善された回転運動を提供する。
【0025】
別の特定の実施形態では、本発明の技術に従ったコンピュータ実装方法は、患者の脊椎の1又は2以上の領域の画像データを受信し、その1又は2以上の領域の生来の解剖学的構成を描写することを含む。本方法は更に、1又は2以上の領域に関連する1又は2以上の運動学的パラメータを測定すること及び生来の解剖学的構成とは異なる標的動作構成を決定することを含む。次いで、患者固有のインプラントが、標的動作構成及び測定された運動学的パラメータに基づいて設計される。特に、患者固有のインプラントは、患者に移植されたときに、患者固有の関節形成デバイスが移植された領域について患者の脊椎の標的回転運動及び/又は並進運動を提供するように設計される。
【0026】
幾つかの実施形態では、患者固有のインプラントを設計するためのコンピュータ実装方法は、取得された患者データを使用する。患者データは、1又は2以上の画像データ、運動学データ、医師が入力したデータ等を含むことができる。画像は患者の生来の解剖学的特徴を示すことができる。運動学的データは1又は2以上の領域と関連付けることができ、及び様々な運動学的パラメータに対する1又は2以上の特定の値を含むことができる。運動学的パラメータは、可動域、屈曲角度、回転角度、屈曲/伸展弧、左右屈曲弧、側方屈曲、変位、及び屈曲、伸展、屈曲、軸回転等に関連する他のパラメータを含むことができ、及び様々な条件下(例えば、耐荷重、非耐荷重等)で含むことができる。運動学的パラメータの値は、異なる姿勢の患者の画像、体位/動きの測定、又はこれらに基づいて決定することができる。幾つかの実施形態では、運動学的パラメータの値を運動学的パラメータの標的値と比較することができる。目標値は、標的可動域、屈曲角度、回転角度、回転中心、変位、及び/又は屈曲、伸展、屈曲、軸回転等に関連する他のパラメータとすることができる。例えば、目標値は、目標回転運動、目標並進運動、及び/又は目標圧縮を含むことができる。患者の1又は2以上の領域の標的動作構成も決定することができる。目標動作構成は、椎体間の間隔、椎体の相対運動、椎体の向き、2又は2以上の椎体の整列、脊椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板の高さ、セグメントの柔軟性、回転変位等を含むがこれらに限定されない、ネイティブパラメータに対する1又は2以上の運動パラメータの調整を含むことができる。患者固有の関節形成デバイスの少なくとも一部は、標的動作構成及び運動学的パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて設計することができる。
【0027】
コンピュータ実装方法は、身体運動を損なう解剖学的特徴の特定を含むことができる。コンピュータ実装方法は、特定された特徴に基づいて運動学的アルゴリズムを生成することができ、運動学的アルゴリズムに基づいて患者固有の関節形成デバイスを設計して、閾値量の脊椎運動(例えば、頸椎の運動)を維持し、治療前の脊椎運動を維持し、及び/又は脊椎運動を改善することができる。幾つかの実施形態では、予測移動量は1又は2以上の予測モデルを使用して決定することができる。設計者は予測モデルを更新することができる。特定された解剖学的特徴(例えば、狭窄、ファセット関節の拡大、骨の過成長、軟骨の喪失等)に対して、脊椎の動きを更に強化又は影響するための2次処置を行うことができる。運動学的アルゴリズムは、制約条件及び境界条件を使用して、脊椎の1又は2以上のセグメントをリンクの運動学的チェーンとしてモデル化し、セグメントの構成、動き、可動域、自由度等をモデル化することができる。例えば、固定リンクはセグメントに沿った椎骨の癒合を表すことができる。異なる姿勢の患者の身体の画像データ及び他の患者データ(現在の患者及び/又は以前の患者を含む)を使用して、2次元又は3次元解析用の仮想モデルを自動的に生成することができる。
【0028】
幾つかの実施形態に従って、患者固有の関節形成デバイスを設計するためのコンピュータ実装方法は、患者データを取得するステップを含む。患者データは患者の脊椎の領域の画像データを含む。画像データは、1又は2以上の領域の生来の解剖学的構成を描いている。患者データはまた、患者の脊椎の1又は2以上の領域に関連する運動学的データを含む。運動学的データは1又は2以上の運動学的パラメータの値を含む。本方法は、得られた画像データ及び運動学データに基づいて、患者固有の人工関節装置が挿入される患者の脊椎の領域に対する標的構成を決定するステップを含む。目標構成は、患者の脊椎の標的移動及び予め決定された患者固有の回転中心を含む。本方法は、標的構成に基づいて患者固有の関節形成デバイスを設計するステップを更に含む。患者固有の関節形成デバイスは、第1の患者固有のトポグラフィーを有する第1のエンドプレートと、第2の患者固有のトポグラフィーを有する第2のエンドプレートと、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間に配置された可動性要素とを含む。第1のエンドプレート及び第2のエンドプレートに対する可動性要素の位置は、デバイスが患者の脊椎に移植されたときに、予め定められた患者固有の回転中心を維持及び/又は達成するように設計されている。
【0029】
本明細書で説明する患者固有の関節形成デバイスは、従来の関節形成デバイスと比較して多くの利点を提供することが期待される。例えば、本明細書に記載されている患者固有の関節形成デバイスは、個々の患者にとって理想的な脊椎前弯、除圧、運動、及び回転中心の必要性を達成するように個別化された移植プラントを提供することができる。インプラントは、個々の患者の解剖学的構造、病状、年齢、性別、活動レベルなどに基づいて、手術前に各個人用に設計され、脊椎の最適な個別化された動きを保証する。
【0030】
更に、本明細書に記載される患者固有の関節形成デバイスは、移植される処置中に必要な外科処置の数を減らすことができる。関節形成デバイスを含む従来の脊椎インプラントは、標準的な形状及びサイズ、並びに標準的な屈曲性で製造されている。インプラント処置の前に、インプラントのサイズ及び他の特性はほとんど考慮されない。その代わり、インプラント処置中、患者の脊椎が露出している状態で、外科医は様々なサイズや形状のインプラントを含む外科用キットから特定のインプラントを選択する。通常、外科医は「トレーリング」と呼ばれる手法でインプラントサイズを選択するが、この際、外科医は適切なインプラントサイズ及び形状を決定するために、一連の段階的なサイズのインプラントプロキシ又は部分構成要素を使用する。トレーリングは、タイムリーなプロセスであり、外科医は通常、インプラントの後方高さ及び矢状角のみに注目し、インプラントの側方高さ及び冠状角はほとんど無視される。本発明の技術を有すると、本明細書に記載された患者固有の関節形成デバイスは、既に患者に対して適切なサイズに設定されているため、トレーリングプロセスを排除することができる。
【0031】
患者固有の関節形成デバイスは、適切な配置を更に容易にし、インプラントの適合性、可動性、可撓性、及び/又は他の特性を最適化することにより、インプラントの故障の数を減少させるように設計することができる。脊椎インプラントの不適切な配置又はサイジングは、インプラントの故障を引き起こす可能性がある。例えば、関節形成デバイスが不適切に配置された場合、運動セグメントの他の関節に問題が生じる可能性がある。一例として、関節形成デバイスが適切な位置に配置されないか、又はサイズが適切でない場合、関連するファセット関節に過度なストレスがかかり、変性が起こる可能性がある。更に、椎骨とインプラントの間の接触及び荷重伝達が不十分であると、インプラントと解剖学的構造との間の固定が不十分になる可能性がある。不十分な固定は、インプラントが椎骨に対して相対的に動くことを可能にし、インプラントの不適切な配置につながる可能性がある。更に、椎体間インプラントと椎骨との間の接触面積又は固定が不十分であると、微小運動及び/又はマクロ運動が生じ、骨の成長とインプラントとの癒合が起こる機会が減少する可能性がある。従って、本明細書に記載の患者固有の関節形成デバイスは、応力を制限する(例えば、椎体、ファセット関節等の応力を制限する)、固定を強化する、比較的大きな接触面積を提供する、又は他の設計基準を提供するために、配置を容易にするように構成することができる。当業者であれば、本明細書の開示から理解できるように、関節形成デバイスは、そのような問題が本明細書に記載されているか否かにかかわらず、従来のインプラント及びインプラント手順を超える更なる利点を提供することができる。
【0032】
従って、本発明の技術は、従来のストックデバイスの前述の欠点の少なくとも幾つかを緩和することが期待される、患者固有の関節形成デバイスのような「患者固有の」又は「個人化された」医療デバイスを設計するためのシステム及び方法を提供する。特に、本発明の技術は、患者固有の特性(例えば、状態、解剖学的構造、病理学的構造、病歴、作動レベル、年齢、性別など)に最適化された患者固有の関節形成デバイスを設計するためのシステム及び方法を提供する。例えば、患者固有の関節形成デバイスは、既製のインプラントではなく、特定の患者のために特別に設計及び製造することができる。しかしながら、患者固有の又は個人化された医療用インプラントは、患者固有のものではない1又は2以上の構成要素を含むことができ、及び/又は患者固有のものではない器具又はツールと共に使用することができることを理解されたい。個別化インプラント設計は、医療インプラント、器具、及び/又は手術キットを含む患者固有の技術を製造又は選択するために使用することができる。例えば、パーソナライズされた手術キットは、1又は2以上の患者固有のインプラント、患者固有の器具、非患者固有の技術(例えば、標準的な器具、デバイスなど)、使用説明書、患者固有の治療計画情報、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0033】
本開示の実施形態について、複数の図を通して同様の数字が同様の要素を表し、例示的な実施形態が示されている添付図面を参照しながら、以下でより十分に説明する。しかしながら、特許請求の範囲の実施形態は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載された例は、非限定的な例であり、他の可能な実施例のうちの単なる実施例に過ぎない。
【0034】
「comprising」、「having」、「containing」、及び「including」、及びこれらの他の形態の語は、これらの語の何れか1つに続く1又は複数の項目が、このような1又は複数の項目を網羅的に列挙することを意味するものではなく、又は列挙された1又は複数の項目のみに限定されることを意味するものでもないという点で、意味が同等であり、オープンエンドであることが意図される。
【0035】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、関連上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の照応を含む。
【0036】
本明細書の開示は、主に整形外科手術の関連における治療計画のためのシステム及び方法について記載しているが、本発明の技術は、他の分野(例えば、他のタイプの外科診療)における医療及びデバイスにも同様に適用することができる。更に、本明細書における多くの実施形態は、移植デバイスに関するシステム及び方法を記載しているが、本発明の技術は、他のタイプの医療デバイス(例えば、非移植デバイス)にも同様に適用することができる。
【0037】
患者固有のインプラント
図1Aは、本発明の技術の選択された実施形態に従って患者の脊椎の椎体の間に配置された患者固有の関節形成デバイス102及び104(「デバイス」と称する)の概略図である。
図1Aでは、デバイス102は椎体106と108との間に移植され、デバイス104は椎体108と110との間に移植されている。デバイス102及び104は共同で関節形成システム100を形成する。
図1Aでは、関節形成システム100は2つの関節形成デバイス(例えば、デバイス102及び104)を含むが、関節形成システム100は患者の必要性に基づいて3、4、5又はそれ以上のデバイスを含むこともできることが理解される。幾つかの実施形態では、単一のデバイス(例えば、デバイス102又はデバイス104)のみが含まれる。幾つかの実施形態では、デバイス102及び104は、
図1Aに示すように、隣接する椎間板と置換するように配置された。デバイス102及び104はまた、インプラントで置換されない1又は2以上の椎間板がこれらの間に存在するように位置決めすることができる(例えば、デバイス102は椎体C3及びC4の間に位置決めされ、デバイス104は椎体C5及びC6の間に位置決めされ、椎体C4及びC5の間の生来の椎間板がそのまま残るようにする)。更に、
図1Aは、患者の脊椎の頸椎領域内に配置されたデバイス102、104を示しているが、幾つかの実施形態では、システム100の一部又は全部を、胸椎(例えば、椎体T1~T12間)及び/又は腰椎(例えば、椎体L1~L5間)領域を含む他の脊椎領域に配置することができる。幾つかの実施形態では、システム100は、第1の脊椎領域(例えば、頸椎)に少なくとも1つのデバイスを含み、及び第2の脊椎領域(例えば、胸椎)に第2のデバイスを含むことができる。
【0038】
図1Bは、人間の患者の脊椎118のセグメント119(例えば、頸部セグメント)の側面図であり、及び椎体120の椎間回転中心(COR)位置を示している。上記で説明したように、椎間CORは、隣接する2つの椎体がその周りで互いに相対的に回転及び/又は並進する1又は複数の点に対応する。幾つかの実施形態では、CORは、隣接する椎体間の幾何学的中心にあることができる。他の実施形態では、CORは、椎体間の幾何学的中心からオフセットすることができる。例えば、
図1Bにおいて、球体112は、各椎体の推定幾何学的中心を表し、三角形114は、屈曲-伸展運動(例えば、患者が首を前方及び後方に曲げる)中の各椎体のCORを表し、四角形116は、左右回転運動(例えば、患者が頭を左右の間で回転させる)中の各椎体間の予め決定されたCORを表す。図示のように、椎骨体の幾何学的中心に対するCORの位置は、脊椎に沿って変化する。同様に、脊椎の異なるタイプの動き(例えば、屈曲-伸展運動対左右回転運動)に対するCORは、脊椎に沿って変化する。各椎体120のCORは患者固有のものであり、例えば患者の解剖学的構造、年齢、サイズ、活動、患者の健康状態、及び/又は患者の脊椎に関連する他のパラメータに依存する。
【0039】
特に、一部の患者では、実際のCORが(例えば、解剖学的構造、椎間板の健康状態、骨の成長、炎症、神経の圧迫等に基づき)最適でない場合があり、疼痛、柔軟性の制限、又はその他の症状を引き起こす。従って、以下に詳述するように、本発明の技術は、特に、デバイスの外科的移植後に、患者のCORが患者の生来の(例えば、外科手術前の)CORに対して改善及び/又は最適化されるように、患者のCORを調整又は矯正することができる患者固有の関節形成デバイスを設計するためのシステム、デバイス、及び方法を含む。以下に詳述するように、本発明の技術は、患者の脊椎の画像データ、患者の脊椎の3次元モデル、運動学的試験等に基づき、特定の患者の生来の(例えば、手術前の)CORを決定することができ、同様に、手術後の症状の改善又は緩和を提供するために患者のCORに推奨される調整を決定することができる。その結果、本明細書に記載のシステムは、矯正されたCORを達成するための患者固有のデバイスを設計することができる。
【0040】
図2A及び
図2Bは、第1の構成で椎体208及び210の間に配置され、本発明の技術の選択された実施形態に従って構成された患者固有の関節形成デバイス200(「デバイス200」と称する)の概略図である。
図2Aは、側面(例えば、側方)から見たデバイス200及び椎体208及び210の断面図を示し、
図2Bは、正面(例えば、前方)から見たデバイス200及び椎体208及び210の断面図を示す。幾つかの実施形態では、デバイス200は、
図1Aに関して説明したデバイス102及び/又はデバイス104に対応する。デバイス200は、2つのエンドプレート:第1のエンドプレート202(例えば、上側エンドプレート)及び第2のエンドプレート204(例えば、下側エンドプレート)を含む。第1のエンドプレート202は、椎体210に係合するように構成された第1の(例えば、上側又は外側に面する)面202-1及び第2の(例えば、下側又は内側に面する)面202-2を有する。同様に、第2のエンドプレート204は、椎体208に係合するように構成された第1の(例えば、下側又は外側に向いた)表面204-1及び第2の(例えば、上側又は内側に向いた)表面204-2を有する。デバイス200はまた、第1のプレート202の第2の表面202-2と第2のプレート204の第2の表面204-2との間に配置された可動性要素206(例えば、コア)を含む。
【0041】
幾つかの実施形態では、第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204は、第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204をそれぞれ椎体210及び208に、及び/又は可動性要素206に結合するように構成された1又は2以上の結合要素209を含む。結合要素209は、キール、スパイク、スクリュー、又は当該技術分野で公知の別のタイプの結合要素から選択される1又は2以上のタイプの結合要素を含むことができる。結合要素209は、脊椎のそれぞれの椎体間に移植されたときに関節形成デバイス200の安定化を提供するように構成される。幾つかの実施形態では、第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204(及び結合要素209)は、第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204をそれぞれの椎体210及び208に直接係合させることができるように設計されている。幾つかの実施形態では、デバイス200は、脊椎の矢状矯正及び/又は冠状矯正を提供することができる。例えば、以下に詳細に説明するように、デバイス200は、矢状不均衡(即ち、脊椎の前後の不均衡)、冠状変形(即ち、冠状面における正中線からの偏位)、及び/又は脊椎の他の変形を矯正するように構成することができる。
【0042】
幾つかの実施形態では、第1のエンドプレート202の第1の表面202-1は、椎体210の対応する第1の(例えば、下側)表面210-1のトポグラフィーと嵌合するように設計されたトポグラフィーを有し、第2のエンドプレート204の第1の表面204-1は、椎体208の対応する第1の(例えば、上側)表面208-1のトポグラフィーと嵌合するように設計されたトポグラフィーを有する。本明細書で使用する場合、「嵌合」という用語は、その間の空間が減少及び/又は最小化された2つの表面の係合を指すことができる。例えば、第1のエンドプレート202の第1の表面202-1は、椎体210の下面210-1とギャップのない又はほぼギャップのない界面を形成することができる。第2のエンドプレート204の第1の表面204-1は、椎体208の上側表面208-1とギャップのない又はほぼギャップのない界面を形成することができる。従って、第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204の表面プロファイルは、これらが移植されると相互作用する椎体のトポグラフィー、形状及び特徴(例えば、環状骨端、皮質リムなど)に基づいて設計することができる。理論に束縛されることなく、これは、椎体210及び椎体208の応力を制限し、デバイス200の着座を容易にし、及び/又はデバイス200の移動を制限又は抑制するために、比較的大きな接触面積を提供することが期待される。従って、幾つかの実施形態では、第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204は、第1及び第2の椎体210、208の異なる幾何形状及び/又はトポグラフィーに対応するために、異なる幾何形状及び/又はトポグラフィーを有する。理論に束縛されることなく、エンドプレートと椎骨との間の適合を改善することにより、(例えば、デバイスの微小運動を低減及び/又は防止することによって)移植されるデバイスの動的故障の事例を防止及び/又は低減し、及び/又はデバイスの有効性を高めることが期待される。
【0043】
第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204の間に配置された可動性要素206は、第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204の互いに対する移動(例えば、回転移動、並進移動等)を許容する。
図2A及び
図2Bにおいて、可動性要素206は、2つの曲面によって定められた球形状を有する。可動性要素206は、第1のエンドプレート202の第2の表面202-2と第2のエンドプレート204の第2の表面204-2との間に延在し、少なくとも部分的に接触している。幾つかの実施形態において、移動度要素206は、セラミック材料、ポリマー材料、金属材料、又はこれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、可動性要素206は、可動性要素206の圧縮及び減圧を可能にする粘弾性材料を含む。
【0044】
上述したように、可動性要素206は、第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204の互いに対する移動(従って、椎体210、208の移動)を許容/可能にする。第1のエンドプレート202は一般に椎体210に対して相対的に移動せず、及び第2のエンドプレート204は一般に椎体208に対して相対的に移動しない。従って、第2のエンドプレート204に対する第1のエンドプレート202の相対的な動きは、一般に、椎体210及び椎体208の間の対応する動きを含む。
【0045】
幾つかの実施形態では、可動性要素206は、第1及び第2のエンドプレート202及び204の間の並進運動、回転運動、及び/又は並進運動及び回転運動の両方を許可及び/又は可能にする。従って、デバイス200は、椎体210と椎体208との間の並進運動、回転運動、及び/又は並進運動及び回転運動を許可及び/又は可能にすることができる。幾つかの実施形態では、可動性要素206は、第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204が、正面、矢状面、及び/又は横断面の1又は2以上に沿って互いに相対的に回転又は枢動すること、及び/又は、正面、矢状面、及び/又は横断面の1又は2以上に沿って互いに相対的に並進することを可能にする。幾つかの実施形態では、可動性要素206は、
図2Aのxyz座標によって図示のように、第1及び第2のエンドプレート202、204の間の最大6自由度を可能にし、それによって椎体208、210の間の最大6自由度を可能にすることができる。従って、幾つかの実施形態では、移動は、第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204間の距離が適応可能であるように、圧縮及び減圧(例えば、z方向の並進)を含む。例えば、可動性要素206は、椎体208、210間の距離D1が変化するように圧縮又は減圧することができる。
【0046】
幾つかの実施形態では、可動性要素206は非拘束可動性要素である。「非拘束型」可動性要素は、x、y、z軸周りの回転運動、及びx、y、z方向の並進運動を可能にする。例えば、非拘束可動性要素は、
図2Aのxyz座標に図示された全ての平面に沿った回転及び並進移動(例えば、x、y及びz方向に沿った及びz方向についての回転及び並進移動を含む)を可能にする。従って、非拘束可動性要素は、6自由度(例えば、3回転自由度及び3並進自由度)の移動を可能にする。
【0047】
幾つかの実施形態では、可動性要素206は、半拘束可動性要素である。「半拘束型」可動性要素は、ある程度の並進運動及び/又は回転運動を許容するが、6自由度未満を有する。例えば、「半拘束型」可動性要素は、x、y、及びz軸を中心とするエンドプレートの回転運動と、x、y、又はz方向への運動の1つ又は2つのような、規定された方向への並進運動とを許容することができる。別の例として、「半拘束型」可動性要素は、3自由度の回転運動を許容し、及び並進運動を阻止することができる。幾つかの実施形態では、関節形成システム(例えば、
図1Aに示すシステム100)は、非拘束可動性要素を有し、従って6自由度の動きを許容する第1のデバイス(例えば、デバイス102)と、半拘束可動性要素を有し、従って6自由度未満の動きを許容する第2のデバイス(例えば、デバイス104)とを含むことができる。
【0048】
図2Cは、椎体208、210間に移植され、及びデバイス200の並進運動を示す第2の構成におけるデバイス200の側面図であり、
図2Dは、デバイス200の回転運動を示す第3の構成における椎体208、210間のデバイス200の正面図である。まず
図2Cを参照すると、デバイス200は、矢印211で示すように、第1のエンドプレート202(椎体210と共に)が第2のエンドプレート204(及び椎体208)に対してX方向に並進可能な構成にある。
図2Dでは、デバイス200は、矢印212で示すように、第1のエンドプレート202(椎体210と共に)が第2のエンドプレート204(及び椎体208)に対してx軸回りに相対的に回転又は揺動した構成にある。
図2C及び
図2Dには1つの並進運動及び回転運動のみが図示されているが、可動性要素206は、先に説明したように、他の方向又は平面における並進運動及び/又は回転運動を許容することができる。可動性要素の追加の実施形態が
図3~5に図示されている。
【0049】
図3は、椎体326、328、及び330の間に配置され、本発明の技術の選択された実施形態に従って構成された別の患者固有の関節形成システム300(「システム300」と称する)の正面図である。幾つかの実施形態では、システム300は、
図1Aに関して説明したシステム100に対応する。システム300は、2つの患者固有の関節形成デバイス:第1の患者固有の関節形成デバイス302(「第1のデバイス302」と称する)及び第2の患者固有の関節形成デバイス304(「第2のデバイス304」と称する)を含む。幾つかの実施形態では、第1及び第2のデバイス302及び304は、デバイス302及び304がヒンジジョイント(例えば、
図3のヒンジジョイント305及び307)に対応する可動性要素を含むことを除いて、
図2A~2Dに関して説明したデバイス200に対応する。
【0050】
図示のように、第1のデバイス302は、第1の(例えば、上側又は上位)エンドプレート306及び第2の(例えば、下側又は下位)エンドプレート308を含む。同様に、第2のデバイス304は、第1の(例えば、上側又は上位)エンドプレート310及び第2の(例えば、下側又は下位)エンドプレート312を含む。第1のデバイス302の第1のエンドプレート306は、椎体326の下側の表面に係合するように構成されており、及び第1のデバイス302の第2のエンドプレート308は、椎体328の上側の表面に係合するように構成されている。第2のデバイス304の第1のエンドプレート310は、椎体328の下面に係合するように構成され、及び第2のエンドプレート312は、椎体330の上面に係合するように構成される。第1及び第2のデバイス302及び304は、隣接する椎間板と置き換わるように配置された。或いは、幾つかの実施形態では、第1及び第2のデバイス302及び304は、これらの間に関節形成デバイスで置換されない1又は2以上の椎間板が存在するように位置決めすることができる。エンドプレート306、308、310、及び312の一部又は全ては、
図2A~2Dに関して説明したように、患者固有のトポグラフィーを含むことができる。
【0051】
第1のデバイス302は、可動性要素に対応するヒンジ接合部305を含む。上述したように、関節形成デバイスの可動性要素は、エンドプレートの並進運動及び/又は回転運動、ひいては脊椎の並進運動及び/又は回転運動を可能にする。図示された実施形態では、ヒンジジョイント305は、第2のエンドプレート308に結合された/第2のエンドプレート308から延びるピン320を含む。ピン320は、第1のエンドプレート306に結合/第1のエンドプレート306から延びるヒンジ318内に配置されている。他の実施形態では、ピン320は、第1のエンドプレート306から延び/第1のエンドプレート306に結合され、及びヒンジ318は、第2のエンドプレート308から延び/第2のエンドプレート308に結合することができる。ヒンジジョイント305により、ヒンジ318は、矢印332で示すように、第1のエンドプレート306(及び椎体326)と共に、第2のエンドプレート308(及び椎体328)に対してx軸回りに相対的に揺動又は回転(例えば、左右回転)することができる。ヒンジジョイント305は更に、第2のエンドプレート308(及び椎体328)に対する第1のエンドプレート306(及び椎体326)の並進移動を可能にすることができる。例えば、ヒンジジョイント305は、Y方向に沿ったエンドプレート308に対するエンドプレート306の並進移動(例えば、横から横への並進)を可能にすることができる。幾つかの実施形態では、ヒンジジョイント305は、従って、上述したように、半拘束型モバイルデバイスに対応する。
【0052】
第2のデバイスは、デバイス302のヒンジジョイント305と同じ又は一般的に類似することができるヒンジジョイント307を含むことができる。例えば、ヒンジジョイント307は、第2のエンドプレート312に結合された/第2のエンドプレート312から延びるピン324を含む。ピン324は、第1のエンドプレート310に結合され/そこから延びるヒンジ322内に配置された。ヒンジジョイント305と同様に、ヒンジジョイント307は、ヒンジ322が(第1のエンドプレート310及び椎体328と共に)、矢印334で示すように、第2のエンドプレート312及び椎体330に対してX軸を中心に枢動又は回転(例えば、左右回転)することを可能にする。ヒンジジョイント307は更に、第2のエンドプレート312(及び椎体330)に対する第1のエンドプレート310(及び椎体328)の並進運動(例えば、y方向の運動)を可能にすることができる。従って、ヒンジジョイント307もまた、上述したように、半拘束型モバイルデバイスに対応することができる。
【0053】
図示のように、ヒンジジョイント305及び307は、椎体326、328、及び330をz方向に通過する基準線R1に対して異なる位置に配置された。幾つかの実施形態では、基準線R1は、椎体326、328、及び330によって形成される脊柱セグメントが静止位置にある(例えば、脊柱セグメントが回転又は並進可能な状態にない)ときの椎体326、328、及び330の幾何学的中心を通る線に対応する。図示のように、ヒンジジョイント305は
図3の基準線R1に沿って位置決めされる一方、ヒンジジョイント307は基準線R1から距離(例えば、距離D2)だけ離れて位置決めされる。幾つかの実施形態では、距離D2は、少なくとも0.1cm、少なくとも0.2cm、少なくとも0.3cm、少なくとも0.4cm、少なくとも0.5cm、又は少なくとも0.75cm)である。以下に詳述するように、可動性要素の位置(例えば、それぞれの関節形成デバイスの幾何学的中心に対する相対的な位置)は、患者固有の測定基準を使用して決定され、最適な術後結果を達成するように設計することができる。幾つかの実施形態では、ヒンジ関節305及び307の相対位置は、患者の解剖学的構造、病理学的構造、診断、年齢、性別、活動レベル、健康状態又はこれらに類するもの等の患者に関連するパラメータに基づいて予め決定される。本開示の関節形成デバイス及びシステムを設計する方法を、
図8に関して詳細に説明する。
【0054】
幾つかの実施形態では、本開示の患者固有の関節形成デバイスは、1又は2以上のストッパーを含む。例えば、第1及び第2のデバイス302、304は、それぞれ第1及び第2のストッパー314、316を有することができる。ストッパー314、316は、第1のデバイス302及び第2のデバイス304のそれぞれのエンドプレートの間に配置された。特に、ストッパー314は、第1のデバイス302の第1のエンドプレート306と第2のエンドプレート308との間に配置され、ストッパー316は、第2のデバイス304の第1のエンドプレート310と第2のエンドプレート312との間に配置された。
【0055】
ストッパー314、316は、エンドプレートの動き(例えば、回転及び/又は並進動き)を減衰及び/又は抑制するように構成されている。特に、ストッパー314、316は、エンドプレート310及び312間の距離(例えば、エンドプレートの周辺部位間の距離)がストッパー314、316の高さに対応する閾値距離未満であるときに、エンドプレートの互いに対する更なる移動を減衰又は抑制するように構成される。減衰又は抑制の量は、特定の患者について決定された操作標的運動に基づいて予め決定される。例えば、1又は2以上のストッパー314、316は、エンドプレートが互いに接触しないように、及び/又はエンドプレートが互いに閾値距離内に留まるように(例えば、
図2Aに図示された距離D1は予め決定された閾値距離未満ではない)位置決めされる。ストッパー314、316は、患者の脊椎の領域に対する標的動作構成に基づいて任意の位置に配置することができる。例えば、ストッパー314、316は、デバイスの幾何学的中心に対応する基準線R1から予め決められた距離に配置することができる。幾つかの実施形態では、ストッパー314、316は、関節形成デバイスの周辺部位に配置された。同様に、各ストッパーのサイズ、形状、及び/又は他の特性(例えば、ストッパーが作られる材料のタイプ又は特性)は、患者の脊椎の標的手術構成に基づいて決定される。
【0056】
幾つかの実施形態では、関節形成システムの第1のデバイス(例えば、システム300のデバイス302)は、第1のサイズ、形状及び/又は他の特性を有する1又は2以上のストッパーを含み、関節形成システムの第2のデバイス(例えば、システム300のデバイス304)は、第1のデバイスとは異なる第2のサイズ、形状及び/又は他の特性を有する1又は2以上のストッパーを含む。
図3に示すように、第2のデバイス304のストッパー316は、ストッパー316が第1のエンドプレート310及び第2のエンドプレート312の両方に接触するように、第1のエンドプレート310から第2のエンドプレート312まで延びている。対照的に、第1のデバイス302のストッパー314は、第1のエンドプレート306と第2のエンドプレート308の間に部分的にのみ延在しており、椎体326及び328が回動又は回転していない(例えば、脊椎が静止位置にある)とき、ストッパー314は第1のエンドプレート306と接触しているが、第2のエンドプレート308とは接触していない。幾つかの実施形態では、関節形成デバイスは、異なるサイズ、形状及び/又は他の特性を有する2又は3以上のストッパーを含むことができる。
【0057】
図4A及び
図4Bは、本発明の技術の選択された実施形態に従って構成された追加の患者固有の関節形成デバイスを示す。特に、
図4Aは、第1の患者固有の関節形成デバイス400a(「デバイス400a」)を図示し、及び
図4Bは、第2の患者固有の関節形成デバイス400b(「デバイス400b」)を図示する。幾つかの実施形態において、デバイス400a、bは、デバイス400a、bがボールアンドソケットジョイント402(例えば、第1のデバイス400aのボールアンドソケットジョイント402-1及びデバイス400bのボールアンドソケットジョイント402-2)に対応する可動性要素を含むことを除いて、
図2A~2Dに関して上述したデバイス200に対応する。デバイス400a、bはそれぞれ、例えば、
図2Aに関して説明した第1のエンドプレート202及び第2のエンドプレート204に対応する、第1のエンドプレート404及び第2のエンドプレート406を含む。ボールソケット接合部402は、第1のエンドプレート404及び第2のエンドプレート406の間に配置された。
図4Aに示されるように、第1のデバイス400aのボールアンドソケットジョイント402は第1の位置にあり(例えば、ボールアンドソケットジョイント402-1として示される)、及び
図4Bに示されるように、第2のデバイス400bのボールアンドソケットジョイント402は第2の位置にある(例えば、ボールアンドソケットジョイント402-2として示される)。
図3に関して上述したように、基準線(例えば、関節形成デバイスの幾何学的中心に対応する基準線)に対する可動性要素(ボールアンドソケットジョイント402など)の位置は、患者固有のニーズ及び要件に基づいて適合することができる、デバイス400の幾何学的中心に対応する基準線R2)に沿って位置決めされ、及び
図4Bに例示される実施形態では、ボールアンドソケットジョイント402-2は、基準線R2から距離D2だけ離れて位置決めされる。
【0058】
図4A及び
図4Bをまとめて参照すると、ボールアンドソケットジョイント402は、第2のエンドプレート406に結合されたボール408と、第1のエンドプレート404に結合され、ボール408と嵌合するように構成された丸形ソケット410とを含む。ボールアンドソケットジョイント402は、ソケット410がボール408に対して(例えば、3次元的に)回転すると、第2のエンドプレート406に対する第1のエンドプレート404の枢動及び/又は回転を可能にする。幾つかの実施形態では、ボールソケット関節402は、エンドプレートの表面に沿って(例えば、xyz座標に従ってxy平面に沿って)異なる位置間で並進可能なように更に構成される。例えば、幾つかの実施形態では、ボールソケット関節402は、
図4A及び
図4Bが、関節形成デバイスの異なる実施形態ではなく、同じデバイスの2つの別個の構成を図示するように、
図4Aに図示された位置と
図4Bに図示された位置との間で移行するように構成することができる。このような実施形態では、ソケット410及びボール408は、それぞれのエンドプレート404及び406と摺動可能に結合される。幾つかの実施形態では、ボールソケット関節402は更に、
図2Cに関して上述したように、第1のエンドプレート404及び第2のエンドプレート406が互いに対して並進可能な動きをすることを可能にする。このような実施形態では、ボールソケット関節402は、非拘束可動要素の一例である。上述したように、非拘束可動性要素は、エンドプレートの回転運動及び並進運動の組み合わせを可能にする。
【0059】
図5は、本発明の技術の選択された実施形態に従って構成された別の患者固有の関節形成デバイス500(「デバイス500」と称する)の概略図である。デバイス500は、第1及び第2のエンドプレート504及び506を含み、例えば、
図2Aに関して説明した第1及び第2のエンドプレート202及び206に対応する。デバイス500は、第2のエンドプレート506の内側に向いた表面から延びるドーム状要素502-1を有する可動性要素502を更に含む。幾つかの実施形態では、ドーム状要素502-1は、第1のエンドプレート504内の対応する陥凹部503内に部分的に埋め込まれる。可動性要素502は、矢印508によって示されるように、第2のエンドプレート506に対する第1のエンドプレート504のx軸を中心とした枢動又は回転を可能にする。
【0060】
当業者であれば本明細書の開示から理解できるように、
図2A~5の実施形態は、本開示の患者固有の関節形成デバイス及びシステムの単純な概略例として提供されている。本明細書に記載される患者固有の関節形成デバイスは、個々の患者の解剖学的構造に適合するように設計されるため、患者固有の関節形成デバイスのサイズ、形状及び幾何学的形状は、個々の患者の解剖学的構造に応じて変化する。従って、本発明の技術は、特定の人工デバイスの設計又は構成に限定されず、従って、本明細書に図示又は記載されたデバイス以外の他のデバイスを含むことができる。
【0061】
図8に関して以下でより詳細に説明するように、2つのエンドプレート及び可動性要素を有する患者固有の関節形成デバイス(例えば、
図2A~5に関して説明したデバイス200、302、304、400、及び500の何れか)は、椎体(例えば、椎体(例えば、
図2Aに示す椎体210)は、1又は2以上の標的運動学パラメータに従って別の椎体(例えば、
図2Aに示す椎体208)に対して相対的に動くことができるように設計することができる。可動性要素によって許容される運動の程度及びタイプは、可動性要素の構成、嵌合面間の界面、及び/又は可動性要素の幾何学的形状(例えば、タイプ、輪郭、形状、直径等)を含むがこれらに限定されない多くの要因に基づくことができる。可動性要素によって許容される運動の程度及びタイプは、更に、患者の年齢、性別、サイズ、健康状態、活動レベル及び/又は他の健康関連パラメータに基づくことができる。幾つかの実施形態では、可動性要素によって許容される運動の程度及びタイプは、可動性要素の材料の設計によって促進される。例えば、可動性要素は、エラストマーポリマー、剛性ポリマー、エラストマー特性及び剛性特性を有するハイブリッド材料、セラミック、金属、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の適切な材料で作ることができる。
【0062】
幾つかの実施形態では、患者固有の関節形成デバイスによって許容される運動の程度及びタイプは、可動性要素の設計によって提供される。例えば、
図2A~2Dに関して説明された可動性要素は、二重曲線形状のコア(例えば、可動性要素206)に対応し、
図3に関して説明された可動性要素は、ヒンジ(例えば、ヒンジジョイント305又は307)と結合された内側ピンに対応し、
図4A~4Bに関して説明された可動性要素は、ボールソケットタイプのジョイントに対応し、
図5に関して説明された可動性要素は、陥凹部内に収まるドーム形状の要素を有するコアに対応する。加えて、幾つかの実施形態では、可動性要素は、1又は2以上のバイアス部材、ばね、摺動部材/インターフェース、又は他の弾性特徴を含む。
【0063】
当業者であれば理解されるように、患者固有の関節形成システム(例えば、
図1Aに関して説明したシステム100)は、
図2A~
図5に関して説明した関節形成デバイスのうちの2又は3以上を含むことができる。幾つかの実施形態では、2又は3以上の関節形成デバイスは、同じタイプの関節形成デバイスを含む(例えば、それぞれヒンジジョイント305及び307を有するデバイス302及び304を含むシステム300に図示されているように)。幾つかの実施形態では、2又は3以上の関節形成デバイスは、異なるタイプの関節形成デバイスの組み合わせを含む(例えば、デバイス200の1又は2以上とデバイス302の1又は2以上との組み合わせ、デバイス400の1又は2以上とデバイス500の1又は2以上との組み合わせ、デバイス200の1又は2以上とデバイス400の1又は2以上との組み合わせ等)。
【0064】
当業者であれば理解されるように、幾つかの実施形態では、可動性要素を省略することができ、エンドプレートは、関節形成要素に運動を提供するように構成することができる。例えば、
図2A~
図2Dの第1のエンドプレート202は、インプラントに運動セグメントを少なくとも部分的に定める第2のエンドプレート204とのインターフェース(例えば、関節インターフェース)を形成することができる。このような実施形態では、第1のエンドプレート202と第2のエンドプレート204との間のインターフェースは、ボールソケットインターフェース、ドームカップインターフェース、摺動インターフェース、回転インターフェース等を含むがこれらに限定されない、2つの構成要素間の運動を可能にする任意の適切なインターフェースであってよい。幾つかの実施形態では、第1のエンドプレート202の第2の(例えば、内向きの)表面202-2は、第2のエンドプレート204の第2の表面204-2に直接係合して、運動セグメントを定めるインターフェースを形成する。
【0065】
患者固有の関節形成デバイスを設計及び製造するためのシステム
図6は、本発明の技術の実施形態に従って患者固有のデバイスを提供するためのコンピュータシステム600を示すネットワーク接続図である。システム600は、とりわけ、コンピュータデバイス602、通信ネットワーク604、サーバ606、ディスプレイ622、及び製造システム624を含むことができる。以下でより詳細に説明するように、システム600は、本明細書に記載される患者固有の関節形成デバイス(例えば、移植されるインプラント)などの患者固有の医療デバイスを設計するために使用することができ、このデバイスは、健康な又は「正常な」関節の運動学も再現及び/又は近似させながら、生来の患者の解剖学的構造及び/又は標的動作構成に適合する。従って、少なくとも幾つかの実施形態において、システム600は、関節置換の必要性をもたらす関節炎又は他のタイプの外傷による損傷に対処するための治療計画の一部として使用することができる。
【0066】
コンピュータデバイス602は、スマートフォン、モバイルデバイス、ラップトップ、デスクトップ、パーソナルコンピュータ、タブレット、ファブレット、又は当技術分野で公知の他のそのようなデバイス等のユーザデバイスとすることができる。本明細書で更に議論されるように、コンピュータデバイス602は、1又は2以上のプロセッサ、及び本明細書で説明される方法を実行するために1又は2以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリを含むことができる。コンピュータデバイス602は、患者を治療している医療提供者に関連付けることができる。
図6は、単一のコンピューティングデバイス602を示しているが、代替の実施形態では、コンピューティングデバイス602は、代わりに、複数のコンピューティングデバイスを包含するクライアントコンピューティングシステムとして実装することができ、コンピューティングデバイス602に関して本明細書で説明される動作がコンピューティングシステム及び/又は複数のコンピューティングデバイスによって実行できるようになる。
【0067】
コンピュータデバイス602は、治療される患者に関連付けられた患者データセット608を取得する(例えば、受信する、決定する等)ように構成される。患者データセット608は、患者の脊椎の画像データ及び/又は運動データを含むことができる。画像データは、例えば、磁気共鳴画像(MRI)画像、超音波画像、コンピュータ支援断層撮影(CAT)スキャン画像、陽電子放出断層撮影(PET)画像、X線画像(例えば、バイプレーンX線撮影)、カメラ画像等を含むことができる。画像データは、様々な解剖学的特徴の幾何学的形状、方向、及びトポグラフィー等の患者の解剖学的特徴を示すことができる。幾つかの実施形態では、例えば、画像データは、椎骨間隔、椎骨方向、椎骨並進、異常骨成長、異常関節成長、関節炎症、関節変性、組織変性、狭窄、瘢痕組織、腰椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板高さ、セグメント柔軟性、回転変位、及び他の脊椎組織特性を示す(及び/又は決定するために使用される)ことができる。運動学データは、例えば、3次元の可動域(例えば、屈曲、伸展、屈曲等を含む)、屈曲/伸展弧、左右屈曲弧、側屈、屈曲角、回転角、回転中心、変位等に対応する値又は他のデータ等の1又は2以上の運動学パラメータに対応する特定の値又は他のデータを含むことができる。運動学的データは、様々な条件下(例えば、耐荷重、非耐荷重など)で得ることができる。運動学的パラメータの値は、異なる姿勢の患者の画像、体位/運動の測定、又はこれらに基づいて決定することができる。例えば、骨運動学的関係の特性は、運動中に患者を撮像(例えば、X線、MRI、CATスキャンなど)し、画像に基づいて患者の形態を解析することによって決定することができる。幾つかの実施形態では、可動域は、ある椎骨が別の椎骨に対して球状に相対移動する球状可動域として定義することができる。他の実施形態では、可動域は、空間を通る3次元曲線によって定義される比較的複雑な可動域として定義することができる。幾つかの実施形態では、及び以下でより詳細に説明するように、システム600は、画像データに基づいて運動学的データを決定するように構成される。このような実施形態では、コンピュータデバイス602によって受信された患者データセット608は、必ずしも運動学的データを含まない。
【0068】
画像データ及び/又は運動学的データに加えて、患者データセット608は、病歴、外科的介入データ、治療結果データ、経過データ(例えば、医師のメモ)、患者フィードバック(例えば、QOLアンケート、アンケートを使用して取得されたフィードバック)、臨床データ、提供者情報(例えば、医師、病院、手術チーム)、患者情報(例えば、人口統計学、性別、年齢、身長、体重、病態のタイプ、職業、活動レベル、組織情報、健康評価、併存疾患、健康関連QOL(HRQL))、バイタルサイン、診断結果、投薬情報、アレルギー、診断機器情報(例えば、製造業者、モデル番号、仕様、ユーザが選択した設定/構成等)、又はこれらの何れかの組み合わせを含む、追加データを含むことができる。幾つかの実施形態では、患者データセット608は、患者の脊椎の識別番号(ID)、年齢、性別、肥満度指数(BMI)、腰椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板の高さ、セグメントの柔軟性、骨質、回転変位、及び/又は治療レベルの1又は2以上を表すデータを含む。幾つかの実施形態では、患者データセット608は、活動レベル、日常的な体の動きのレベルなどの患者のライフスタイルを表すデータを更に含む。
【0069】
コンピュータデバイス602は、ユーザ(例えば、臨床医、外科医、医療提供者、患者)に出力を提供するためのディスプレイ622を含むことができるか、又はディスプレイ622に動作可能に結合することができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ622は、患者データセット608に基づいて患者の解剖学の1又は2以上の領域の仮想モデル630を視覚的に描写するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含むことができる。仮想モデル630は、2Dモデル、3Dモデル、CADモデル、又は患者の解剖学の仮想表現を提供する他の適切なモデルとすることができる。1又は2以上の領域は、患者の脊椎の領域(例えば、頸椎、胸椎、腰椎、及び/又は仙骨)を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、一実施形態では、標的領域は、患者の脊椎のC6及びC3の間のセグメントとすることができる。このような実施形態では、仮想モデル630は、C6とC3との間の個々の椎骨及び椎骨間の椎間板等の他の関連解剖学的構造を含むことができる。他の実施形態では、仮想モデルは、特定のセグメントだけでなく、患者の脊椎全体(又は一般に脊椎全体)のモデルを含むことができる。幾つかの実施形態では、画像データから仮想モデル630を生成するステップは、ピクセルを含む2次元画像データを、患者の解剖学的構造を表すボクセルを含む3次元体積データに再構成するステップを含む。幾つかの実施形態では、画像データ及び/又は仮想モデルをセグメント化して、個々の解剖学的特徴をより見やすくすることができる。セグメント化可能な解剖学的特徴は、骨、椎間板、臓器、関節など、関心のある任意の解剖学的特徴とすることができる。幾つかの実施形態では、例えば、骨解剖学的特徴(例えば、椎骨)は、個々の骨構造(例えば、椎骨)の独立した表示を可能にするために、他の解剖学的特徴からセグメント化される。幾つかの実施形態では、ディスプレイ622は、ユーザが仮想モデル630を任意に操作することを可能にするタッチスクリーン又は他の入力モジュールを含むことができる。
【0070】
コンピュータデバイス602はまた、通信ネットワーク604を介してサーバ606に動作可能に接続することができ、従って、コンピュータデバイス602とサーバ606との間のデータ転送を可能にする。通信ネットワーク604は、有線及び/又は無線ネットワークとすることができる。通信ネットワーク604は、無線である場合、可視光通信(VLC)、マイクロ波アクセスのための世界的相互運用性(WiMAX)、ロングタームエボリューション(LTE)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、赤外線(IR)通信、公衆交換電話網(PSTN)、電波、及び/又は当該技術分野において公知の他の通信技術等の通信技術を使用して実装することができる。
【0071】
「治療支援ネットワーク」又は「処方的解析ネットワーク」とも呼ばれる場合がある、サーバ606は、1又は2以上のコンピュータデバイス及び/又はシステムを含むことができる。本明細書で更に議論されるように、サーバ606は、1又は2以上のプロセッサ、及び本明細書で説明される方法を実行するために1又は2以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリを含むことができる。幾つかの実施形態では、サーバ606は、ハードウェア及び/又は仮想コンピューティングリソースの任意の好適な組み合わせにわたる分散「クラウド」コンピュータシステム又は設備として実装される。
【0072】
コンピュータデバイス602及びサーバ606は、患者固有の医療ケアを提供するために、本明細書に記載の様々な方法を個々に又は集合的に実行することができる。例えば、本明細書で説明する方法のステップの一部又は全部は、コンピュータデバイス602単独、サーバ606単独、又はコンピュータデバイス602とサーバ606との組み合わせによって実行することができる。従って、本明細書では、特定のオペレーションをサーバ606に関して説明するが、これらのオペレーションは、コンピューティングデバイス602によっても実行可能であり、その逆もまた同様であることを理解されたい。
【0073】
サーバ606は、本明細書に記載の治療計画方法に有用な参照データを記憶するように構成された少なくとも1つのデータベース610を含む。参照データは、同一又は他の患者からの履歴データ及び/又は臨床データ、同一又は他の医療提供者による患者の以前の手術及び/又は他の治療から収集されたデータ、医療デバイス設計に関連するデータ、研究グループ又は研究グループから収集されたデータ、診療データベースからのデータ、学術機関からのデータ、インプラント製造業者又は他の医療デバイス製造業者からのデータ、画像研究からのデータ、シミュレーションからのデータ、臨床試験、人口統計データ、治療データ、結果データ、死亡率等を含むことができる。
【0074】
幾つかの実施形態では、データベース610は、複数の参照患者データセットを含み、各患者参照データセットは、対応する参照患者に関連付けられる。例えば、参照患者は、以前に治療を受けた患者又は現在治療を受けている患者とすることができる。各参照患者データセットは、対応する参照患者の状態、解剖学的構造、病理学的構造、運動学的構造、病歴、嗜好、及び/又は患者データセット608に関して本明細書で説明されるデータの何れか等の参照患者に関連する他の情報又はパラメータを表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、参照患者データセットは、術前データ、術中データ、及び/又は術後データを含む。例えば、参照患者データセットは、解剖学的データ、運動学的データ、運動データ、患者ID、年齢、性別、BMI、腰椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板の高さ、セグメントの柔軟性、骨質、回転変位、及び/又は患者の脊椎の治療レベルの1又は2以上を表すデータを含むことができる。
【0075】
幾つかの実施形態では、サーバ606は、複数の医療提供者コンピューティングシステムから参照患者データセットの少なくとも一部を受信する。各医療提供者コンピュータシステムは、対応する医療提供者によって治療された参照患者に関連する少なくとも1つの参照患者データセット(例えば、参照患者データセット)を含むことができる。参照患者データセットは、例えば、運動学的記録、電子医療記録、電子健康記録、生物医学データセットなどを含むことができる。
【0076】
本明細書で更に詳細に説明するように、サーバ606は、参照データに基づいて患者固有の治療計画データ(例えば、患者固有の治療手順、患者固有の移植プラント)を生成する1又は2以上のアルゴリズムで構成することができる。幾つかの実施形態では、患者固有のデータは、患者データセット608及び参照データ間の相関関係に基づいて生成される。任意選択的に、サーバ606は、回復時間、臨床エンドポイントに基づく有効性、成功の可能性、予測死亡率、予測関連フォローアップ手術、又はそのようなものを含む結果を予測することができる。幾つかの実施形態では、サーバ606は、患者データ(患者滞在中に得られた患者データを含む)を連続的又は定期的に解析して、ほぼリアルタイム又はリアルタイムのリスクスコア、死亡率予測等を決定することができる。
【0077】
幾つかの実施形態では、サーバ606は、本明細書に記載の患者固有の治療計画方法の1又は2以上のステップを実行するための1又は2以上のモジュールを含む。例えば、描かれている実施形態では、サーバ606は、データ解析モジュール616及び治療計画又はインプラント設計モジュール618を含む。代替の実施形態では、これらのモジュールの1又は2以上を互いに組み合わせることができ、又は省略することができる。従って、本明細書では特定の操作を特定のモジュール又はモジュールに関して説明するが、これは限定を意図するものではなく、代替の実施形態ではそのような操作を異なるモジュール又はモジュールによって実行することができる。
【0078】
データ解析モジュール616は、患者固有の治療計画を策定する際に有用である可能性が高いデータベース610からの参照データのサブセットを特定するための1又は2以上のアルゴリズムで構成される。例えば、データ解析モジュール616は、患者固有のデータ(例えば、コンピュータデバイス602から受信された患者データセット608)をデータベース610からの参照データ(例えば、参照患者データセット)と比較して、類似のデータ(例えば、参照患者データセット内の1又は2以上の類似の患者データセット)を特定することができる。比較は、年齢、性別、BMI、病理学、運動学、脊椎前弯、骨盤入射率、及び/又は治療レベル等の1又は2以上のパラメータに基づくことができる。パラメータは、各参照患者の類似性スコアを計算するために使用することができる。類似性スコアは、患者データセット608及び参照患者データセット間の統計的相関を表すことができる。従って、類似性スコアが、指定された閾値を上回るか、下回るか、又は指定された閾値にあるかどうかに基づいて、類似患者を特定することができる。例えば、以下でより詳細に説明するように、各パラメータに値を割り当て、対象患者及び各参照患者間の差の集計を決定することにより、比較を実行することができる。集計された差異が閾値以下である参照患者は、類似患者とみなすことができる。
【0079】
データ解析モジュール616は更に、例えば、患者データセット608及び/又は対応する参照患者の治療結果との類似性に基づいて、参照患者データセットのサブセットを選択する1又は2以上のアルゴリズムで構成することができる。例えば、データ解析モジュール616は、参照患者データセット内の1又は2以上の類似患者データセットを特定し、及び類似患者データセットが好ましい又は所望の治療結果を示すデータを含むかどうかに基づいて、類似患者データセットのサブセットを選択することができる。結果データは、矯正解剖学的測定基準、可動域、運動学的データ、HRQL、活動レベル、合併症、回復時間、有効性、死亡率、又は追跡手術等の1又は2以上の結果パラメータを表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、以下で更に詳細に説明するように、データ解析モジュール616は、各アウトカムパラメータに値を割り当てることによってアウトカムスコアを算出する。結果スコアが所定の閾値以上、以下又は閾値にある場合、患者は良好な結果を有すると考えられる。
【0080】
幾つかの実施形態では、データ解析モジュール616は、(例えば、臨床医、外科医、医師、医療提供者からの)ユーザ入力に少なくとも部分的に基づいて、参照患者データセットのサブセットを選択する。例えば、ユーザ入力は、類似患者データセットを特定する際に使用することができる。幾つかの実施形態では、類似性及び/又は結果パラメータの重み付けは、臨床医の入力に基づいて類似性及び/又は結果スコアを調整するために、医療提供者又は医師によって選択することができる。更なる実施形態では、医療提供者又は医師は、類似性及び/又は結果スコアを生成するために使用される類似性及び/又は結果パラメータのセットをそれぞれ選択する(又は新たな類似性及び/又は結果パラメータを定義する)ことができる。
【0081】
幾つかの実施形態では、データ解析モジュール616は、患者パラメータ以外の基準に基づいて参照患者データセットのセット又はサブセットを選択するために使用される1又は2以上のアルゴリズムを含む。例えば、1又は2以上のアルゴリズムは、医療提供者パラメータ(例えば、病院/医師の専門性、実施された処置の数、病院ランキング等の医療提供者ランキング/スコアに基づいて)及び/又は医療リソースパラメータ(例えば、診断機器、設備、外科ロボット等の外科機器)、又は現在の医療提供者に対する処置の結果及びリスクプロファイルを予測するために使用することができる他の非患者関連情報に基づいて、サブセットを選択するために使用することができる。例えば、類似の診断装置から取り込まれた画像を有する参照患者データセットを集約して、診断装置間のばらつきによる不規則性を低減又は制限することができる。更に、患者固有の治療計画は、類似の医療提供者(例えば、伝統的に類似の結果、医師の専門性、手術チームなどを有する医療提供者)からのデータを用いて、特定の医療提供者のために作成することができる。幾つかの実施形態では、参照医療提供者データセット、病院データセット、医師データセット、手術チームデータセット、治療後データセット及び他のデータセットを利用することができる。一例として、戦場手術を行うための患者固有の治療計画は、同様の戦場手術からの参照患者データ及び/又は戦場手術に関連するデータセットに基づくことができる。別の例では、患者固有の治療計画は、利用可能なロボット手術システムに基づいて生成することができる。参照患者データセットは、同様の条件下(例えば、手術チームの規模及び能力、病院資源等)で同等のロボット手術システムを用いて手術された患者に基づいて選択することができる。
【0082】
インプラント設計モジュール618は、例えば、データ解析モジュール616からの出力に基づいて、少なくとも1つの治療計画(例えば、術前計画、手術計画、術後計画等)及び/又はインプラント設計を生成する1又は2以上のアルゴリズムで構成される。幾つかの実施形態では、インプラント設計モジュール618は、「処方モデル」とも呼ばれる患者固有の治療計画を生成するための少なくとも1つの予測モデルを開発及び/又は実施するように構成される。予測モデルは、臨床知識、統計、機械学習、AI、ニューラルネットワーク又はこれらを使用して開発することができる。幾つかの実施形態では、データ解析モジュール616からの出力は、データセット、患者パラメータ、医療提供者パラメータ、医療リソースパラメータ、治療処置、医療デバイス設計、及び/又は治療結果間の相関関係を特定するために(例えば、統計学、機械学習、ニューラルネットワーク、AI等を用いて)解析される。これらの相関関係を用いて、治療計画が特定の患者にとって好ましい結果をもたらす可能性を予測する少なくとも1つの予測モデルを開発することができる。予測モデルは、例えば、データをモデルに入力し、モデルの出力を期待される出力と比較することにより、検証することができる。
【0083】
幾つかの実施形態では、インプラント設計モジュール618は、参照患者からの以前の治療データに基づいてインプラント設計を生成するように構成される。例えば、インプラント設計モジュール618は、参照患者データセット及び/又は類似患者データセットの選択されたサブセットをデータ解析モジュール616から受信し、選択されたサブセットから治療データを決定又は特定することができる。治療データは、例えば、可動域及び/又は他の運動学的データ、治療処置データ(例えば、外科処置又は介入データ)及び/又は対応する患者にとって好ましい又は所望の治療結果に移植される医療デバイス設計データ(例えば、インプラント設計データ)を含むことができる。インプラント設計モジュール618は、治療手順データ及び/又は医療デバイス設計データを解析して、治療される患者に対する最適な治療プロトコルを決定することができる。例えば、治療処置及び/又は医療デバイス設計に値を割り当て、集計して治療スコアを生成することができる。患者固有の治療計画は、スコア(例えば、より高い又は最も高いスコア;より低い又は最も低いスコア;指定された閾値を上回る、下回る、又は指定された閾値にあるスコア)に基づいて治療計画を選択することによって決定することができる。パーソナライズされた患者固有の治療計画は、患者固有の技術又は患者固有の選択された技術に少なくとも部分的に基づくことができる。
【0084】
代替的に又は組み合わせて、インプラント設計モジュール618は、データセット間の相関に基づいてインプラント設計を生成することができる。例えば、インプラント設計モジュール618は、(例えば、データ解析モジュール616によって移植されるような)良好な結果を有する類似の患者のインプラント設計からのインプラント設計及び医療デバイス設計データを相関させることができる。相関解析は、相関係数値を値又はスコアに変換することを含むことができる。値/スコアは、1又は2以上の統計的有意性を決定するために集計、フィルタ、又は他の方法で解析することができる。これらの相関は、治療される患者にとって最適である又は好ましい結果をもたらす可能性が高い治療処置及び/又は医療デバイス設計を決定するために使用することができる。
【0085】
代替的に又は組み合わせて、インプラント設計モジュール618は、1又は2以上のAI技術を用いて設計を生成することができる。AI技術は、人間の知能の態様、例えば、学習、推論、計画、問題解決、意思決定などをシミュレートすることができるコンピュータシステムを開発するために使用することができる。AI技術には、ケースベース推論、ルールベースシステム、人工ニューラルネットワーク、決定木、サポートベクターマシン、回帰解析、ベイジアンネットワーク(例えば、ナイーブベイズ分類器)、遺伝的アルゴリズム、セルオートマトン、ファジー論理システム、マルチエージェントシステム、群知能、データマイニング、機械学習(例えば、教師あり学習、教師なし学習、強化学習)、及びハイブリッドシステムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0086】
幾つかの実施形態では、インプラント設計モジュール618は、1又は2以上の訓練された機械学習モデルを使用して治療計画を生成する。様々なタイプの機械学習モデル、アルゴリズム、及び技術が、本発明の技術と共に使用するのに適している。幾つかの実施形態では、機械学習モデルは、モデルのパラメータ(例えば、人工ニューラルネットワークにおける「ニューロン」間の接続の重み)を適合させるために使用される例のデータセットである訓練データセットで最初に訓練される。例えば、訓練データセットは、複数の参照患者データセット又はその選択されたサブセット(例えば、複数の類似患者データセット)のような、データベース610に記憶された参照データの何れかを含むことができる。
【0087】
幾つかの実施形態では、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク又はナイーブベイズ分類器)は、教師あり学習法(例えば、勾配降下又は確率的勾配降下)を使用して、訓練データセット上で訓練することができる。トレーニングデータセットには、生成された「入力ベクトル」と、関連する対応する「回答ベクトル」(一般に標的と表記される)とのペアを含めることができる。現在のモデルは、訓練データセットと共に実行され、訓練データセットの各入力ベクトルについて、標的と比較される結果を生成する。比較の結果及び使用されている特定の学習アルゴリズムに基づいて、モデルのパラメータが調整される。モデルフィッティングは、変数選択及びパラメータ推定の両方を含むことができる。適合されたモデルは、検証データセットと呼ばれる第2のデータセット中のオブザベーションに対する応答を予測するために使用できる。検証データセットは、モデル・パラメータをチューニングしながら、トレーニングデータセットでのモデル・フィットの不偏評価を提供できる。検証データセットは、早期の停止、例えば、検証データセット上の誤差が増加したときにトレーニングを停止することによって、正則化に使用することができる。幾つかの実施形態では、検証データセットの誤差は訓練中に変動する可能性があり、オーバーフィッティングが本当に始まったときを決定するためにアドホックルールを使用することができる。最後に、テストデータセットを使用して、トレーニングデータセットに対する最終的なモデルの適合度を偏りなく評価することができる。
【0088】
治療計画を生成するために、患者データセット608を訓練された機械学習モデルに入力することができる。参照患者データセット及び/又は類似患者データセットの選択されたサブセット、及び/又は選択されたサブセットからの治療データ等の追加データも、訓練された機械学習モデルに入力することができる。次いで、訓練された機械学習モデルは、様々な候補治療処置及び/又は医療デバイス設計が、患者に好ましい結果をもたらす可能性が高いか否かを計算することができる。これらの計算に基づいて、訓練された機械学習モデルは、患者のための少なくとも1つの治療計画を選択することができる。複数の訓練された機械学習モデルが使用される実施形態では、モデルを順次又は同時に実行して結果を比較することができ、訓練データセットを使用して定期的に更新することができる。インプラント設計モジュール618は、モデルの予測精度スコアに基づいて機械学習モデルの1又は2以上を使用することができる。
【0089】
インプラント設計モジュール618によって生成された患者固有の治療計画は、少なくとも1つの患者固有の治療処置(例えば、外科処置又は介入)及び/又は少なくとも1つの患者固有の医療デバイス(例えば、インプラント又はインプラント送達器具)を含むことができる。患者固有の治療計画は、外科処置全体又はその一部を含むことができる。更に、1又は2以上の患者固有の医療デバイスは、対応する外科処置のために特別に選択又は設計することができ、従って、患者固有の技術の様々な構成要素を組み合わせて患者を治療するために使用することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスの設計は、整形外科インプラントの設計及び/又は整形外科インプラントを送達するための器具の設計を含む。このようなインプラントの例としては、スクリュー(例えば、骨スクリュー、脊椎スクリュー、ペディクル・スクリュー、ファセット・スクリュー)、椎体間デバイス(例えば、椎体間インプラント)ケージ、プレート、ロッド、椎間板、関節形成デバイス、融合デバイス、スペーサー、ロッド、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、足場、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、ファスナー、人工関節、股関節インプラント、が挙げられるが、これらに限定されない。器具の例としては、スクリューガイド、カニューレ、ポート、カテーテル、挿入器具等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
患者固有の医療デバイスの設計は、対応する医療デバイスの物理的特性(例えば、サイズ、形状、体積、材料、質量、重量、)、機械的特性(例えば、剛性、強度、弾性率、硬度、動きの自由度)、及び/又は生物学的特性(例えば、骨統合、細胞接着、抗細菌特性、抗ウイルス特性)の1又は2以上を表すデータを含むことができる。例えば、整形外科用関節形成デバイスの設計は、移植されるインプラントの形状、サイズ、材料、動きの自由度、回転中心等を含むことができる。幾つかの実施形態では、生成された患者固有の医療デバイス設計は、デバイス全体(例えば、関節形成デバイス)の設計である。或いは、生成された設計は、デバイス全体ではなく、デバイスの1又は2以上の構成要素(例えば、関節形成デバイスの可動性要素)のための設計とすることができる。
【0091】
幾つかの実施形態では、設計は、標準的な既製の構成要素と共に使用することができる1又は2以上の患者固有のデバイス構成要素のためのものである。例えば、脊椎手術では、ペディクル・スクリュー・キットは、標準的な構成要素及び患者固有のカスタマイズされた構成要素の両方を含むことができる。幾つかの実施形態では、生成された設計は、標準的な既製の送達器具と共に使用できる患者固有の医療デバイスのためのものである。例えば、インプラント(スクリュー、スクリューホルダー、ロッドなど)は患者用に設計及び製造することができ、インプラントを送達する器具は標準的な器具とすることができる。このアプローチにより、移植される構成要素を患者の解剖学的構造及び/又は外科医の好みに基づいて設計及び製造し、治療を強化することができる。本明細書に記載の患者固有のデバイスは、患者の体内への送達、治療部位への配置、及び/又は患者の解剖学的構造との相互作用を改善することが期待される。
【0092】
患者固有の治療計画が医療デバイスを移植する外科処置を含む実施形態では、インプラント設計モジュール618はまた、インプラントパラメータ(例えば、タイプ、寸法)、インプラントの利用可能性、術前計画の側面(例えば、初期インプラント構成、検出、及び患者の解剖学的構造の測定等)、インプラントのFDA要件(例えば、FDA規制に準拠するための特定のインプラントパラメータ及び/又は特性)、又はそのようなもののような様々なタイプのインプラント手術情報を格納することができる。幾つかの実施形態では、インプラント設計モジュール618は、インプラント手術情報を機械学習ベースのモデル及びアルゴリズムに使用可能な形式に変換することができる。例えば、インプラント手術情報は、数式用の特定の識別子でタグ付けすることができるか、又は訓練された機械学習モデルに供給するのに適した数値表現に変換することができる。インプラント設計モジュール618はまた、解剖学の2次元又は3次元画像又はモデル等の患者の解剖学的構造に関する情報、及び/又は解剖学的構造の生物学的、幾何学的、及び/又は機械的特性に関する情報を格納することができる。解剖学的情報は、インプラントの設計及び/又は配置を知らせるために使用することができる。
【0093】
インプラント設計モジュール618によって生成された治療計画は、ディスプレイ622を介してユーザ(例えば、臨床医、外科医、医療提供者、患者)に出力するために、通信ネットワーク604を介してコンピュータデバイス602に送信することができる。前述のように、ディスプレイ622は、治療計画の様々な側面を視覚的に描写するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含むことができる。例えば、ディスプレイ622は、外科的アプローチ、治療レベル、矯正操作、組織切除、及び/又は移植されるインプラントの配置など、患者に実施される外科処置の様々な態様を示すことができる。先に説明した仮想モデル630に加えて、ディスプレイ622は、インプラントの2次元又は3次元モデル等の患者固有のインプラントの設計又はレンダリング635を示すこともできる。ディスプレイ622はまた、外科処置が行われる場所及び/又はデバイスが移植される場所である患者の解剖学的構造の2次元又は3次元画像又はモデル等の患者情報を表示することもできる。コンピュータデバイス602は、ユーザが表示された治療計画を修正、選択、承認、及び/又は拒否することを可能にする1又は2以上のユーザ入力デバイス(図示せず)を更に含むことができる。
【0094】
幾つかの実施形態では、インプラント設計モジュール618によって生成された医療デバイス設計は、対応する医療デバイスを製造するために、コンピュータデバイス602及び/又はサーバ606から製造システム624に送信することができる。製造システム624は、現場又は現場外に配置することができる。現場での製造は、患者とのセッションの回数及び/又は手術を行うことができるようになるまでの時間を短縮することができ、一方、現場外での製造は、複雑なデバイスを製造するのに有用である。現場外製造施設は特殊な製造設備を有することができる。幾つかの実施形態では、より複雑なデバイス構成要素は現場外で製造することができ、より単純なデバイス構成要素は現場で製造することができる。
【0095】
様々なタイプの製造システムが、本明細書の実施形態に従って使用するのに適している。例えば、製造システム624は、3次元(3D)印刷、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理(DLP)、溶融堆積モデリング(FDM)、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)、選択的熱焼結(SHM)、電子ビーム溶解(EBM)、積層造形(LOM)、粉末床印刷(PP)、熱可塑性樹脂印刷、直接材料堆積(DMD)、インクジェット写真樹脂印刷、又はこれらに類似する技術、或いはこれらの組み合わせなどの付加製造用に構成することができる。代替的に又は組み合わせて、製造システム624は、CNC機械加工、放電加工(EDM)、研削加工、レーザ切断、ウォータージェット機械加工、手動機械加工(例えば、フライス加工、旋盤/旋削加工)、又は同様の技術、又はこれらの組み合わせのような、除去的(従来の)製造用に構成することができる。製造システム624は、製造命令又はデータ(例えば、CADデータ、3Dデータ、デジタル設計図、立体造形データ、又は本明細書に記載の様々な製造技術に適した他のデータ)に基づいて、1又は2以上の患者固有の医療デバイスを製造することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスは、製造を簡略化するために、設計間で共有される特徴、材料、及び設計を含むことができる。例えば、異なる患者用のインプラントは、同様の内部展開機構を有するが、異なる展開構成を有することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスの構成要素は、利用可能な前製造された構成要素のセットから選択され、選択された前製造された構成要素は、製造命令又はデータに基づいて変更することができる。
【0096】
本明細書に記載される治療計画は、外科医、手術ロボット、又はこれらの組み合わせによって実行することができ、従って、治療の柔軟性を可能にする。幾つかの実施形態では、外科処置は、全て外科医によって、全て外科ロボットによって、又はこれらの組み合わせによって実行することができる。例えば、外科処置の1つのステップを外科医が手動で行い、外科処置の別のステップを外科ロボットによって行うことができる。幾つかの実施形態では、インプラント設計モジュール618は、外科処置の一部又は全部を外科ロボット(例えば、ロボット手術システム、ナビゲーションシステム等)に行わせるように構成された制御命令を生成する。制御命令は、コンピュータデバイス602及び/又はサーバ606によってロボット装置に送信することができる。
【0097】
治療計画に従って患者の治療を行った後、データ解析モジュール616及び/又はインプラント設計モジュール618を更新するために、1又は2以上の期間にわたって治療経過を監視することができる。治療後データは、データベース610に記憶された基準データに追加することができる。治療後データは、患者固有の治療計画、患者固有の医療デバイス、又はこれらの組み合わせを開発するための機械学習モデルを訓練するために使用することができる。
【0098】
システム600の構成要素は、多くの異なる方法で構成できることが理解されよう。例えば、代替の実施形態では、データベース610、データ解析モジュール616及び/又はインプラント設計モジュール618は、サーバ606ではなく、コンピュータデバイス602の構成要素とすることができる。別の例として、データベース610、データ解析モジュール616、及び/又はインプラント設計モジュール618は、単一のサーバ606又はコンピュータデバイス602ではなく、複数の異なるサーバ、コンピュータシステム、又は他のタイプのクラウドコンピューティングリソースにわたって配置することができる。
【0099】
更に、幾つかの実施形態では、システム600は、多くの他のコンピュータシステム環境又は構成で動作可能である。本発明の技術と共に使用するのに適したコンピューティングシステム、環境、及び/又は構成の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドデバイス又はラップトップデバイス、携帯電話、ウェアラブル電子デバイス、タブレットデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、プログラマブル家電、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステム又はデバイスの何れかを含む分散コンピューティング環境等が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、システム600は、国際特許出願公開第WO2021/141849号又は米国特許出願第16/987,113号に記載されているもの等の追加的な特徴及び/又は機能を含むことができ、これらの開示内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0100】
図7は、本発明の技術の選択された実施形態に従って、
図6のシステム600に関連して使用するのに適したコンピュータデバイス700を示す。コンピューティングデバイス700は、コンピューティングデバイス602又はサーバ606のような、
図6のシステム600の様々な構成要素に組み込むことができる。コンピュータデバイス700は、1又は2以上のプロセッサ710(例えば、CPU、GPU、HPUなど)を含む。プロセッサ710は、デバイス内の単一の処理ユニット又は複数の処理ユニットとすることができ、又は複数のデバイスに分散させることができる。プロセッサ710は、例えば、PCIバス又はSCSIバス等のバスの使用により、他のハードウェアデバイスに結合することができる。プロセッサ710は、本明細書で説明する方法の何れかを実行するためのプログラム命令等の、1又は2以上のコンピュータ可読プログラム命令を実行するように構成することができる。
【0101】
コンピュータデバイス700は、プロセッサ710に入力を提供する1又は2以上の入力デバイス720を含むことができ、例えば、コンピュータデバイス700の1又は2以上の側面に対するユーザからのアクションを通知する。アクションは、入力デバイス720から受信された信号を解釈し、通信プロトコルを使用して情報をプロセッサ710に通信するハードウェアコントローラによって媒介することができる。入力デバイス720は、例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、赤外線センサ、タッチパッド、ウェアラブル入力デバイス、カメラ又は画像ベースの入力デバイス、マイク、及び他のユーザ入力デバイスを含むことができる。
【0102】
コンピュータデバイス700は、テキスト、モデル、仮想処置、手術計画、インプラント、グラフィック、及び/又は画像(例えば、ある位置における組織の密度を表す放射密度単位又はハウンスフィールド単位を示すボクセルを有する画像)などの様々なタイプの出力を表示するために使用されるディスプレイ730を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、ディスプレイ730は、患者の脊椎の2次元又は3次元仮想モデルを提供する。幾つかの実施形態では、ディスプレイ730は、グラフィカル及びテキストによる視覚的フィードバックをユーザに提供する。プロセッサ710は、デバイス用ハードウェアコントローラを介してディスプレイ730と通信することができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ730は、入力デバイス720がタッチスクリーンを含む場合又は視線方向監視システムを備える場合等、ディスプレイ730の一部として入力デバイス720を含む。代替の実施形態では、ディスプレイ730は入力デバイス720とは別個である。ディスプレイデバイスの例としては、LCDディスプレイスクリーン、LEDディスプレイスクリーン、突出部、ホログラフィックディスプレイ、又は拡張現実ディスプレイ(例えば、ヘッドアップディスプレイデバイス又はヘッドマウントデバイス)等が挙げられる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ730は、ディスプレイ222に関して先に説明したように、受信した患者のデータ(例えば、画像データ)に基づいて生成された患者の脊椎の仮想モデルを表示するように構成される。
【0103】
任意選択的に、ネットワークカード、ビデオカード、オーディオカード、USB、ファイヤワイヤ又は他の外部デバイス、カメラ、プリンタ、スピーカ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、ディスクドライブ、又はブルーレイデバイス等他のI/Oデバイス740もまた、プロセッサ710に結合することができる。他のI/Oデバイス740はまた、MRI装置、X線装置、CT装置などを含む画像診断装置などの直接接続された医療機器からの情報のための入力ポートを含むことができる。他のI/Oデバイス740は更に、ネットワークを介して、又は例えばデータベースに格納されている以前に取り込まれたデータ等の他のソースから、これらのタイプの機械からのデータを受信するための入力ポートを含むことができる。
【0104】
幾つかの実施形態では、コンピュータデバイス700はまた、ネットワークノードと無線又は有線ベースで通信可能な通信デバイス(図示せず)を含む。通信デバイスは、例えばTCP/IPプロトコルを使用して、ネットワークを介して他のデバイス又はサーバと通信することができる。コンピュータデバイス700は、通信デバイスを利用して、画像形成装置、製造装置などを含む複数のネットワークデバイスにわたってオペレーションを分配することができる。
【0105】
コンピュータデバイス700は、メモリ750を含むことができ、メモリ750は、単一のデバイス内にある又は複数のデバイスに分散されることができる。メモリ750は、揮発性及び不揮発性記憶用の様々なハードウェアデバイスの1又は2以上を含み、読み取り専用メモリ及び書き込み可能メモリの両方を含むことができる。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、様々なキャッシュ、CPUレジスタ、読み取り専用メモリ(ROM)、及びフラッシュメモリ、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD、DVD、磁気記憶デバイス、テープドライブ、デバイスバッファ等の書き込み可能な不揮発性メモリを備えることができる。メモリは、基礎となるハードウェアから切り離された伝播信号ではなく、従って、メモリは非一時的である。幾つかの実施形態では、メモリ750は、例えば、プログラム、ソフトウェア、データ又はこれらを記憶する非一時的のコンピュータ可読記憶媒体である。幾つかの実施形態では、メモリ750は、オペレーティングシステム762、1又は2以上のインプラント設計モジュール764、及び他のアプリケーションプログラム766等のプログラム及びソフトウェアを記憶するプログラムメモリ760を含むことができる。インプラント設計モジュール764は、本明細書に記載される様々な方法を実行するように構成された1又は2以上のモジュールを含むことができる。メモリ750は、例えば、プログラムメモリ760又はコンピュータデバイス700の他の要素に提供することができる参照データ、構成データ、設定、ユーザオプション又はプリファレンス等を含むことができるデータメモリ770も含むことができる。
【0106】
患者固有のデバイスを設計するための方法
図8は、本発明の技術の選択された実施形態に従って、患者固有の関節形成デバイス、或いは2又は3以上の患者固有の関節形成デバイスを含むシステムを設計する(例えば、
図2A~
図5に関して説明したシステム及びデバイスの何れかを設計する)ための方法800を示す流れ図である。
【0107】
方法800は、ステップ802において、患者データを取得するステップで開始することができる。患者データは、患者の脊椎の画像データ及び運動学的データを含むことができる。画像データは、例えば、磁気共鳴画像(MRI)画像、超音波画像、コンピュータ支援断層撮影(CAT)スキャン画像、陽電子放出断層撮影(PET)画像、X線画像(例えば、二平面X線撮影)、カメラ画像等を含むことができる。画像データは、様々な解剖学的特徴の幾何形状、方向及びトポグラフィーなど、患者の生来の解剖学的構成(例えば、動作前の解剖学的構成)を示すことができる。幾つかの実施形態では、例えば、画像データは、椎骨間隔、椎骨方向、椎骨並進、回転中心、異常骨成長、異常関節成長、関節炎症、関節変性、組織変性、狭窄、瘢痕組織、脊椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板高さ、セグメント柔軟性、回転変位、及び他の脊椎組織特性を示す(及び/又は決定するために使用される)ことができる。
【0108】
運動学データは、例えば、3次元の可動域(例えば、屈曲、伸展、屈曲等を含む)に対応する特定の値又は他のデータ、3次元の可動域に対応する回転中心(COR)、屈曲/伸展弧、左右屈曲弧、側方屈曲、屈曲角、回転角、変位、軸回転等に対応する値又は他のデータ等、1又は2以上の運動学パラメータに対応する値又は他のデータを含むことができる。運動学的データは、様々な条件下(例えば、耐荷重、非耐荷重など)で得ることができる。幾つかの実施形態では、可動域は、ある椎骨が別の椎骨に対して球状に相対移動する球状可動域として定義することができる。他の実施形態では、可動域は、空間を通る3次元曲線によって定義される比較的複雑な可動域として定義することができる。ステップ802では、任意に、画像データ及び運動学データに加えて他の患者データを取得することができる。追加的な患者データとしては、これらに限定されないが、病歴、外科的介入データ、治療結果データ、経過データ(例えば、医師のメモ)、患者フィードバック(例えば、QOLアンケート、調査を用いて取得したフィードバック)、臨床データ、提供者情報(例えば、医師、病院、手術チーム)、患者情報(例えば、人口統計学、性別、年齢、身長、体重、病態のタイプ、職業、活動レベル、組織情報、健康評価、併存疾患、健康関連QOL(HRQL))、バイタルサイン、診断結果、投薬情報、アレルギー、及び/又は上述の何れかの組み合わせを含むことができる。
【0109】
幾つかの実施形態では、ステップ802で運動学的データを取得するステップは、1又は2以上のソフトウェアモジュール(例えば、
図6のインプラント設計モジュール618及び/又は
図7のインプラント設計モジュール764)を使用して1又は2以上の運動学的パラメータの値を決定するステップを含む。ソフトウェアモジュールは、画像データ及び/又は他の患者データに基づいて患者の運動学的評価を行い、患者の様々な運動学的パラメータを推定することができる。例えば、ソフトウェアモジュールは、画像データ及び/又は仮想モデル内の1又は2以上の解剖学的特徴/測定を解析して、運動学的パラメータを定義し、運動学的関係を決定し、及び/又は様々な運動学的パラメータを推定することができる。好適な解剖学的特徴/測定値としては、解剖学的ランドマーク間の距離、フィデューシャル、椎骨間隔、椎骨方向、異常骨成長、異常関節成長、関節炎症、関節変性、組織変性、狭窄、瘢痕組織、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。運動学的パラメータを推定するためにソフトウェアモジュールが使用できる他の患者データには、病歴、性別、年齢、身長、体重等が含まれるが、これらに限定されない。非限定的な例として、1又は2以上のソフトウェアモジュールは、画像データに基づいて患者の脊椎の1又は2以上の回転中心を自動的に決定又は少なくとも推定することができる。幾つかの実施形態では、最適なCOR位置の決定は、異なる回転運動に対する平均CORを推定するステップによって行われる。上述したように、特定の椎体のCORは患者固有のものであり、例えば、患者の解剖学的構造、年齢、サイズ、活動、患者の健康状態、及び/又は患者の脊椎に関連する他のパラメータに依存する。
【0110】
幾つかの実施形態では、ソフトウェアモジュールは、画像データに基づいて様々な運動学的パラメータを決定するための1又は2以上の人工知能アーキテクチャを組み込むことができる。人工知能アーキテクチャは、本明細書で先に説明したものと同様とすることができ、例えば、2次元画像及び/又は3次元モデルを解析するための訓練されたニューラルネットワーク(例えば、訓練された畳み込みニューラルネットワーク等)を含むことができる。理論に束縛されることなく、1又は2以上のソフトウェアモジュールを使用して運動学的評価を行うことにより、インプラント手術前に患者の運動学的評価を手動で行う必要性を低減及び/又は排除することができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、運動学的データは1又は2以上の標準的な運動学的研究によって得ることができる。従って、少なくとも幾つかの実施形態では、ステップ802で運動学的データを取得することは、1又は2以上の運動学的パラメータの値を受信することを含む。例えば、1又は2以上の運動学的パラメータの値は、運動研究から得られ、方法800を実行するシステムに入力される(例えば、
図7に示される入力デバイス720を介してコンピュータデバイス700に入力される)又は関節形態学的研究を通じて得られる。
【0111】
方法800は更に、ステップ804において、ステップ802で得られた画像データに少なくとも部分的に基づいて、患者の解剖学的構造の1又は2以上の領域の仮想モデルを生成するステップを含む。仮想モデルは、2Dモデル、3Dモデル、CADモデル、又は患者の生来の解剖学的構造の仮想表現を提供する他の適切なモデルとすることができる。1又は2以上の領域は、患者の脊椎の領域(例えば、頸椎、胸椎、腰椎、及び/又は仙骨)を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、一実施形態では、標的領域は、患者の脊椎のC3及びC5の間のセグメントとすることができる。このような実施形態では、仮想表現は、C3とC5の間の個々の椎骨、及び椎骨間の椎間板等の他の関連解剖学的構造を含むことができる。幾つかの実施形態では、仮想モデルは、特定のセグメントだけでなく、患者の脊椎全体のモデルを含んでよい。幾つかの実施形態では、画像データから仮想モデルを生成することは、ピクセルを含む2次元画像データを、患者の解剖学的構造を表すボクセルを含む3次元体積データに再構成することを含む。幾つかの実施形態では、画像データ及び/又は仮想モデルをセグメント化して、個々の解剖学的特徴をより見やすくすることができる。セグメンテーション可能な解剖学的特徴は、骨、椎間板、臓器など、関心のある任意の解剖学的特徴とすることができる。幾つかの実施形態では、例えば、骨解剖学的特徴(例えば、椎骨)は、個々の骨構造(例えば、椎骨)の独立した観察を可能にするために、他の解剖学的特徴からセグメント化される。仮想モデルは、任意選択的に、
図6に示すディスプレイ622などを介して医師に表示すことができる。幾つかの実施形態では、ステップ804は省略され、方法800はステップ802からステップ806に直接進む。幾つかの実施形態では、仮想モデルは、表示された椎骨セグメントの決定された又は推定された回転中心を図示すことができる(例えば、
図1Bに示すように)。
【0112】
ステップ806において、ユーザ(例えば、外科医又は他の医師)及び/又はソフトウェアモジュール(例えば、インプラント設計モジュール618及び/又はインプラント設計モジュール764)は、患者の解剖学の1又は2以上の領域の標的動作構成を決定し、これは、標的術後解剖学的構成に対応する。標的動作構成は、画像データに示された生来の解剖学的構成とは異なることができる。標的解剖学的構成は、椎体間の間隔、椎体の向き、2又は3以上の椎体のアライメント、脊椎前弯、コブ角、骨盤入射角、椎間板の高さ、セグメントの柔軟性、回転変位等の調整を含むが、これらに限定されない、生来の解剖学的構成に対する1又は2以上の解剖学的特徴の調整を含むことができる。例えば、患者が2つの椎骨の間に椎間板変性を有する実施形態では、画像データは、生来の解剖学的構成が、第1の椎骨の下側の境界と第2の椎骨の上側の境界との間の距離が減少している又は最適でないことを示す場合がある。従って、標的動作構成は、「健康な」又は「正常な」解剖学的構成を反映する第1椎骨と第2椎骨との間の増加した距離を含むことができる。別の例では、画像データが、第1の椎骨が第2の椎骨と位置ずれしていることを示す場合がある。このような実施形態では、標的動作構成は、従って、第1の椎骨及び第2の椎骨を再整列させることを含むことができる。
【0113】
ユーザが標的動作構成を決定する実施形態では、ユーザは、仮想モデルを使用して、個々の椎骨間の1又は2以上の関係(距離、角度、拘束など)を操作して、標的動作構成を設定することができる。操作には、軸又は曲線に沿った並進、軸又は中心の周りの回転、及び/又は質量中心の周りの回転が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、操作は、仮想モデルが解剖学的構成を「所望の」解剖学的構成で示すまで行うことができる。その後、ユーザは、図示された所望の解剖学的構成を標的動作構成として設定する入力を行うことができる。
【0114】
ソフトウェアモジュールが目標動作構成を決定する実施形態では、ソフトウェアモジュールは、1又は2以上の設計基準及び/又は参照患者データセットに基づいて、推奨される目標動作構成を提供するように仮想モデルを自動的に操作することができる。適切な設計基準には、例えば、椎骨間隔(例えば、最小椎体間隔、最大椎体間隔等)、椎骨の向き、椎骨のアライメント、椎骨の並進、脊椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板の高さ、セグメントの柔軟性、回転変位、運動学等に関連する目標値等、様々な解剖学的特徴に関連する目標値を含めることができる。適切な参照患者データセットは、例えば、
図6を参照して前述したデータ解析モジュール616を使用して特定することができる。インプラント設計モジュールは更に、1又は2以上のシミュレーション、解析(例えば、応力解析、疲労解析等)等を実行して、フィードバック(例えば、特定された高応力領域)、設計推奨、治療推奨(例えば、移植部位を準備するステップ)等を提供することができる。仮想モデルを操作し、及び推奨される標的動作構成を提供するためにステップ806で使用されるソフトウェアモジュールは、運動学的評価を実施するためにステップ802で使用されるソフトウェアモジュールと同じ又は異なることができる。幾つかの実施形態では、標的動作構成を決定することは、ソフトウェアモジュールを使用して推奨標的動作構成を提供し、その後、医師が任意に標的動作構成を更に修正することを許可することを含む。
【0115】
方法800は、標的(例えば、手術後)運動学的パラメータを決定するステップ807に進む。これには、例えば、許容されるべき各椎骨セグメントの動きのタイプ(例えば、並進可能なもの、回転可能なもの等)及び程度(例えば、大きさ)を決定することが含まれ得る。幾つかの実施形態において、これは、患者の症状が、0度、1度、2度、3度、4度、5度、又は6度の動きの自由度を許容することによって最もよく緩和されるかどうかを決定することを含む。
【0116】
幾つかの実施形態では、術後運動学的パラメータが術前運動学的パラメータとは異なるべきかどうかを決定することは、特定の患者と同様の術前状態を有する患者の参照データセットを特定することを含む。次に、参照データセットに含まれる患者の様々な術後結果を(例えば、本明細書に記載のソフトウェアモジュール及び/又は人工知能アーキテクチャを使用して)解析して、手術結果が成功する確率が最も高いことに関連する標的又は最適な術後運動学パラメータを選択することができる。標的運動学パラメータを決定するための追加の詳細は、先に引用により本明細書に組み込まれた米国出願第16/987,113号に記載されている。
【0117】
方法800は、ステップ808において、例えば、生成された仮想モデル、ステップ806で決定された標的動作構成、及び/又はステップ807で決定された標的運動学パラメータに基づいて、患者の脊椎について標的(例えば、手術後)COR位置を決定するステップに進む。幾つかの実施形態において、標的COR位置を決定することは、脊椎の領域(例えば、脊椎の頸部セグメント)内の各椎体について最適なCORを決定することを含む。幾つかの実施形態では、標的COR位置を決定することは、異なる回転運動(例えば、
図1Bに関して説明したような屈曲-伸展運動及び左右回転運動)に対する標的CORを決定することを含む。
【0118】
幾つかの実施形態では、標的CORは、患者の生来の(例えば、手術前の)解剖学的構成に関連するCORとは異なることができる。例えば、仮想モデルの検討により、術後CORが患者の術前CORに対して相対的に調整された場合に、患者が術後疼痛及び/又は可動域の改善をより少なく経験することが決定することができる。このような実施形態では、方法は、術前CORからオフセット(例えば、少なくとも0.1cm、0.2cm、0.3cm、0.4cmなど)された標的CORを選択することを含むことができる。理論に束縛されることなく、患者の生来の解剖学的構成に基づくCORとは対照的に、最適化された患者の結果に基づいて標的CORを選択することは、関節形成術における患者の結果を改善することが期待される。
【0119】
幾つかの実施形態では、術後CORが術前CORとは異なるべきか否かを決定することは、特定の患者と同様の術前条件を有する患者の参照データセットを特定することを含む。その後、参照データセットに含まれる患者の様々な術後結果を解析し(例えば、本明細書に記載のソフトウェアモジュール及び/又は人工知能アーキテクチャを使用して)、手術成功の最も高い確率に関連する標的又は最適な術後CORを選択することができる。
【0120】
ステップ806、807、及び808においてそれぞれ標的動作構成、標的運動学パラメータ、及び標的COR位置が決定されると、方法800は、ステップ810において、標的動作構成、標的運動学パラメータ、及び標的CORを達成するように構成された患者固有の関節形成デバイスを設計するステップに進む。患者固有の関節形成デバイスは、ステップ802、806、807、及び/又は808において任意選択的に使用されるソフトウェアモジュールと同じである又は異なるソフトウェアモジュールを使用して設計することができる。標的動作構成を達成するために、ソフトウェアモジュールは、例えば、標的動作構成を表す仮想モデル上に表示されるように、標的動作構成の負の空間(例えば、「インプラントエンベロープ」)に適合するように患者固有の関節形成デバイスを設計することができる。負の空間は、患者固有の関節形成デバイスの様々な幾何学的パラメータを決定するために使用することができる。幾何学的パラメータには、寸法、高さ、表面、トポグラフィー、フットプリント等が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、実際の物理的デバイスが作製される前に、仮想患者固有の関節形成デバイスが作製され、患者解剖学的構造の仮想表現の負の空間内に示すことができる。
【0121】
ソフトウェアモジュールはまた、(1)ステップ807で決定された標的運動学パラメータを達成し、及び(2)ステップ808で決定された患者の脊椎の標的領域の標的術後CORを提供するように、患者固有の関節形成デバイスを設計する。例えば、ソフトウェアモジュールは、標的COR及び/又は所望の運動量又は運動タイプを達成するために、エンドプレート及び/又は可動性要素に関連する設計特徴等の関節形成デバイスの様々な特徴を設計することができる。エンドプレートに関連する設計上の特徴には、エンドプレートに使用される材料のタイプ、エンドプレートをそれぞれの椎体に固定するための取り付け機構、及び
図2A~
図5を参照して説明した他の特徴が含まれる。関節形成デバイスの可動性要素に関連する設計上の特徴には、可動性要素に使用される材料のタイプ、可動性要素の位置(例えば、関節形成デバイスの幾何学的中心に対する相対位置)、及び/又は可動性要素のタイプ(例えば、
図2A~
図5に関して説明した可動性要素)、及び
図2A~
図5を参照して説明した他の特徴が含まれる。例えば、移動度要素は、セラミック材料、ポリマー材料、金属材料、又はこれらの組み合わせで作ることができる。エンドプレートに対する移動度要素の位置は、標的CORに基づいて予め決定することもできる。
【0122】
幾つかの実施形態では、CORは、関節形成デバイスの幾何学的中心に対する位置に固定される。例えば、
図4A及び
図4Bに関して説明した関節形成デバイス400のボールソケット関節402は、基準線R2(例えば、R2はデバイス400の幾何学的中心に対応する)に対して固定された位置を有する。このような実施形態では、可動性要素は、エンドプレートの互いに対する回転運動は許容するが、エンドプレートの互いに対する並進運動は許容しないという点で拘束される。例えば、
図4A及び
図4Bにおいて、ボールソケット継手402は、エンドプレート404及び406に結合(固定)することができる。幾つかの実施形態では、CORは、無傷の椎間板の典型的な解剖学的動きを反映して可動である。そのような実施形態では、可動性要素がエンドプレート相互の並進可能な動きだけでなく回転も可能にするという点で、関節形成デバイスは拘束を受けない。例えば、
図2Dにおいて、可動性要素206は、第1のエンドプレート202が第2のエンドプレート204に対してピボット又は回転することを可能にし、
図2Dにおいて、可動性要素206は、第1のエンドプレート202が第2のエンドプレート204に対して(例えば、x方向及びy方向に)並進することを可能にする。CORは、関節形成デバイスの幾何学的中心に対して可動である。
【0123】
幾つかの実施形態では、ソフトウェアモジュールは、患者の脊椎の圧縮及び減圧を可能にするように患者固有の関節形成デバイスを設計する。標的術後圧縮及び減圧は、ステップ802~808の解析に基づいて予め決定することもできる(例えば、圧縮及び減圧はz方向の動きの大きさを表すので、ステップ807で実行される解析の一部として決定される)。ストッパー(例えば、
図3のストッパー314及び316)及び/又は可動性要素(例えば、
図2A~
図5に関して説明した任意の可動性要素)に関連する特徴のような関節形成デバイスの特徴は、関節形成デバイスのエンドプレート間の距離を適応させるように設計されている(例えば、
図2Aの距離D1)。ストッパーに関する特徴には、ストッパーの数、ストッパーの相対位置、ストッパーのサイズ、及び形状、並びにストッパーの材料(例えば、材料の弾性)が含まれるが、これらに限定されない。可動素子に関する特徴としては、可動素子のタイプ、大きさ、相対位置、及び可動素子の材質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0124】
様々なタイプの製造システムが、本明細書の実施形態に従って使用するのに適している。例えば、製造システムは、3次元(3D)印刷、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理(DLP)、溶融堆積モデリング(FDM)、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)などの付加製造用に構成することができる、選択的熱焼結(SHM)、電子ビーム溶解(EBM)、積層造形(LOM)、粉末床印刷(PP)、熱可塑性樹脂印刷、直接材料堆積(DMD)、インクジェット写真樹脂印刷、又はこれらに類似する技術、或いはこれらの組み合わせが挙げられる。代替的に又は組み合わせて、製造システムは、CNC機械加工、放電加工(EDM)、研削加工、レーザ切断、ウォータージェット機械加工、手動機械加工(例えば、フライス加工、旋盤/旋削加工)、又は同様の技術、又はこれらの組み合わせ等の減法(従来の)製造用に構成することができる。製造システムは、製造命令又はデータ(例えば、CADデータ、3Dデータ、デジタル設計図、立体造形データ、又は本明細書に記載の様々な製造技術に適した他のデータ)に基づいて、1又は2以上の患者固有の医療デバイスを製造することができる。幾つかの実施形態では、患者固有のデバイスは、製造を簡略化するために、設計間で共有される特徴、材料、及び設計を含むことができる。例えば、異なる患者のための展開可能な患者固有のデバイスは、同様の内部展開機構を有することができるが、異なる展開構成を有することができる。幾つかの実施形態では、患者固有のデバイスの構成要素は、利用可能な前製造された構成要素のセットから選択され、選択された前製造された構成要素は、製造命令又はデータに基づいて変更することができる。
【0125】
上記の方法の何れかと組み合わせて、本明細書に記載のシステム及び方法は、患者固有のデバイスを設計することに加えて、患者の治療計画を生成することもできる。医療治療計画は、医療デバイス設計に加えて、手術情報、手術計画、技術推奨(例えば、デバイス及び/又は器具推奨)を含むことができる。例えば、医療処置計画は、患者固有のデバイスを移植させるための少なくとも1つの治療処置(例えば、外科処置又は介入)を含むことができる。脊柱側弯症、脊柱前弯症、後弯症)、不規則な脊椎変位(脊椎すべり症、側方変位、軸方向変位など)、変形性関節症、腰椎変性椎間板症、頸椎変性椎間板症、腰椎脊柱管狭窄症、頸椎脊柱管狭窄症、又はこれらの組み合わせなどである。
【実施例】
【0126】
本発明の技術は、例えば、以下に記載される様々な態様に従って例示される。本発明の技術の態様の様々な実施例は、便宜上、番号付きの実施例(1、2、3等)として記載される。これらは例として提供されるものであり、本発明の技術を限定するものではない。従属の実施例の何れかは、何れかの適切な方法で組み合わせて、それぞれの独立の実施例にすることができることに留意されたい。他の実施例も同様の方法で提示すことができる。
1. 患者固有の関節形成デバイスを設計するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の脊椎の1又は2以上の領域に関連する患者データを取得するステップと、
上記患者データに基づいて上記患者の脊椎の1又は2以上の領域の仮想モデルを生成するステップと、
上記患者データ及び/又は上記仮想モデルに基づいて、(1)患者の脊椎の上記1又は2以上の領域に対する標的術後解剖学的構成と、(2)運動の標的術後タイプ及び/又は運動の程度を含む、上記患者の脊椎の上記1又は2以上の領域に対する1又は2以上の標的術後運動学的パラメータと、(3)上記患者の脊椎の上記1又は2以上の領域に対する1又は2以上の標的術後回転中心と、を決定するステップと、
上記標的術後解剖学的構成、上記標的術後運動学的パラメータ、及び上記標的術後回転中心に基づいて、上記患者固有の関節形成デバイスを設計するステップと、
を含む、方法。
2. 上記患者固有の関節形成デバイスが、
第1の患者固有のトポグラフィーを有する第1のエンドプレートと、
第2の患者固有のトポグラフィーを有する第2のエンドプレートと、
上記第1のエンドプレートと上記第2のエンドプレートとの間に配置された可動性要素であって、上記可動性要素は、上記患者固有の関節形成デバイスが上記患者の脊椎に移植されたときに、上記1又は2以上の標的術後運動学パラメータに適合し、上記標的術後回転中心を達成するように設計されている、可動性要素と、
を備える、実施例1に記載の方法。
3. 上記可動性要素が、(1)上記第1のエンドプレート及び上記第2のエンドプレートの互いに対する回転、及び(2)上記第1のエンドプレート及び上記第2のエンドプレートの互いに対する並進を可能にするように設計されている、実施例2に記載の方法。
4. 上記可動性要素が、上記第1のエンドプレートと上記第2のエンドプレートとの間の6自由度の動きを可能にするように設計されている、実施例3に記載の方法。
5. 上記患者データが、上記患者の脊椎の1又は2以上の領域の生来の解剖学的構成を示す画像データを含む、実施例1~4の何れかに記載の方法。
6. 上記患者データが、上記患者の脊椎の1又は2以上の領域に関連する運動学的データを含み、上記運動学的データが、1又は2以上の運動学的パラメータに対する値を含む、実施例1~5の何れかに記載の方法。
7. 上記標的術後回転中心の少なくとも1つが、上記患者の脊椎の1又は2以上の領域における隣接する椎体間の幾何学的中心点からオフセットしている、実施例1~6の何れかに記載の方法。
8. 上記1又は2以上の標的術後回転中心が、対応する術前回転中心とは異なる、実施例1~7の何れかに記載の方法。
9. 上記1又は2以上の標的術後運動パラメータが、対応する術前運動パラメータとは異なる、実施例1~8の何れかに記載の方法。
10. 上記1又は2以上の目標術後運動学的パラメータが、標的回転度を含む、実施例1~9の何れかに記載の方法。
11. 関節形成システムであって、
患者の脊椎に移植するための患者固有の関節形成デバイスを備え、
上記患者固有の関節形成デバイスが、
第1の患者固有のトポグラフィーを有する第1のエンドプレートと、
第2の患者固有のトポグラフィーを有する第2のエンドプレートと、
上記第1のエンドプレートと上記第2のエンドプレートとの間に配置された可動性要素と、
を含み、
上記可動性要素が、上記第1のエンドプレート及び上記第2のエンドプレートの互いに対する並進移動及び回転移動を可能にするように構成され、
上記第1のエンドプレート及び上記第2のエンドプレートに対する上記可動性要素の位置は、上記患者固有の関節形成デバイスが上記患者の脊椎に移植されたときに標的回転中心を達成するように設計されており、
上記標的回転中心は、上記患者固有の関節形成デバイスが移植される上記患者の脊椎の領域に対する標的構成に少なくとも部分的に基づいている、
関節形成システム。
12. 上記可動性要素が、上記第1のエンドプレートに結合されたボールと、上記第2のエンドプレートに結合されたソケットとを含み、上記ボールが上記ソケットと嵌合するように構成されることにより、上記第2のエンドプレートに対する上記第1のエンドプレートの回転が可能になる、実施例11に記載のシステム。
13. 上記可動要素が、上記第1のエンドプレート及び上記第2のエンドプレートの少なくとも一方の幾何学的中心からオフセットしている、実施例11又は12に記載のシステム。
14. 上記可動性要素が、上記第1のエンドプレート及び上記第2のエンドプレートの両方の幾何学的中心からオフセットしている、実施例13に記載のシステム。
15. 上記可動性要素は、上記第1のエンドプレート及び/又は上記第2のエンドプレートの幾何学的中心から少なくとも0.1cmだけオフセットしている、実施例13又は14に記載のシステム。
16. 上記可動性要素が、上記第1のエンドプレートに結合されたヒンジと上記第2のエンドプレートに結合されたピンとを含み、上記ピンが上記ヒンジ内に配置されて、上記第2のエンドプレートに対する上記第1のエンドプレートの回転を可能にする、実施例11~15の何れかに記載のシステム。
17. 上記可動要素が、(1)上記第1のエンドプレートと上記第2のエンドプレートとの間の少なくとも2つの回転自由度、及び(2)上記第1のエンドプレートと上記第2のエンドプレートとの間の少なくとも2つの並進自由度を可能にするように構成されている、実施例11~16の何れかに記載のシステム。
18. 上記可動性要素は、上記第1のエンドプレートと上記第2のエンドプレートとの間の距離が適応可能であるように、少なくとも部分的に圧縮可能である、実施例11~17の何れかに記載のシステム。
19. 上記可動性要素が、セラミック、ポリマー、金属、又は粘弾性材料を含む、実施例11~18の何れかに記載のシステム。
20. 上記第1のエンドプレートと結合されて上記第1のエンドプレートと上記第2のエンドプレートとの間に配置された1又は2以上のストッパーを更に備え、
上記1又は2以上のストッパーが、上記第1のエンドプレートの周辺部位に配置され、
上記1又は2以上のストッパーが、上記第1のエンドプレートの周辺部位と上記第2のエンドプレートとの間の距離が閾値距離未満であるときに、上記第2のエンドプレートに対する上記第1のエンドプレートの相対的な動きを減衰させるように構成される、
実施例11~19に記載のシステム。
21. 上記第1のエンドプレートは、上記第1の患者固有のトポグラフィーを有する第1の表面を有し、上記第1の表面は、第1の椎骨と嵌合して、間に第1のほぼギャップのない界面を形成するように構成されており、上記第2のエンドプレートは、上記第2の患者固有のトポグラフィーを有する第2の表面を有し、上記第2の表面は、第2の椎骨と嵌合して、間に第2のほぼギャップのない界面を形成するように構成されている、実施例11~20の何れかに記載のシステム。
22. 上記第1のエンドプレート及び上記第2のエンドプレートが、キール、スパイク及びネジのうちの1又は2以上によりそれぞれの椎骨に結合されている、実施例11~21の何れかに記載のシステム。
23. 上記患者固有の関節形成デバイスが第1の患者固有の関節形成デバイスであり、上記システムが、第2の患者固有の関節形成デバイスを更に備え、上記第2の患者固有の関節形成デバイスが、上記第1の患者固有の関節形成デバイスに対して別の椎間スペース内に移植されるように構成されている、実施例11~22に記載のシステム。
24. 上記第1の患者固有の関節形成デバイスが、上記対応する椎間スペースにて第1の回転中心を達成するように構成され、上記第2の患者固有の関節形成デバイスが、上記対応する椎間スペースにて第2の回転中心を達成するように構成され、上記第1及び第2の回転中心が、長手方向にオフセットされている、実施例23に記載のシステム。
【0127】
結論
上述の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例の使用を介して、デバイス及び/又はプロセスの様々な実施形態を記載している。このようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1又は2以上の機能及び/又は動作を含む限りにおいて、このようなブロック図、フローチャート、又は実施例内の各機能及び/又は動作は、広範なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの実質的に何れかの組み合わせによって、個々に及び/又は集合的に実装できることが当業者には理解されるであろう。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される主題の幾つかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の集積形式を介して実装することができる。しかしながら、当業者であれば、本明細書に開示される実施形態の幾つかの態様は、その全体又は一部が、集積回路において、1つ又は2又は3以上のコンピュータ上で実行される1つ又は2又は3以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ又は2又は3以上のコンピュータシステム上で実行される1つ又は2又は3以上のプログラムとして)、1つ又は2又は3以上のプロセッサ上で実行される1つ又は2又は3以上のプログラムとして(例えば、1又は2以上のマイクロプロセッサ上で実行される1又は2以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又は実質的にこれらの何れかの組み合わせとして、回路を設計すること及び/又はソフトウェア及び/又はファームウェアのコードを書くことは、本開示に照らして当業者の技術の範囲内であろう。更に、当業者であれば、本明細書で説明する主題の機構は、様々な形態のプログラム製品として配布可能であり、及び本明細書で説明する主題の例示的な実施形態は、配布を実際に実施するために使用される特定のタイプの信号伝達媒体に関係なく適用されることを理解するであろう。信号伝達媒体の例としては、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、CD、DVD、デジタルテープ、コンピュータメモリ等の記録型媒体、及びデジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク等)等の伝送型媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
当業者であれば、デバイス及び/又はプロセスを本明細書に記載する方法で記述し、その後、工学的手法を使用して、このような記述されたデバイス及び/又はプロセスをデータ処理システムに統合することが、当技術分野において一般的であることを認識するであろう。即ち、本明細書に記載されたデバイス及び/又はプロセスの少なくとも一部は、合理的な量の実験を介してデータ処理システムに統合することができる。当業者であれば、典型的なデータ処理システムは、一般に、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイデバイス、揮発性メモリ及び不揮発性メモリ等のメモリ、マイクロプロセッサ及びデジタルシグナルプロセッサ等のプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザ界接、及びアプリケーションプログラム等の計算エンティティ、タッチパッド又はスクリーン等の1又は2以上の相互作用デバイス、及び/又はフィードバックループ及び制御モータ(例えば、位置及び/又は速度を感知するためのフィードバック;構成要素及び/又は量を移動及び/又は調整するための制御モータ)を含む制御システムのうちの1又は2以上を含むことを認識するであろう。典型的なデータ処理システムは、データコンピューティング/通信及び/又はネットワークコンピューティング/通信システムに典型的に見られるような、何れかの適切な市販の構成要素を利用して実装することができる。
【0129】
本明細書で説明する主題は、場合によっては、異なる他の構成要素内に含まれる、又は異なる他の構成要素と接続される、異なる構成要素を示す。このような描かれたアーキテクチャは単なる例であり、実際には、同じ機能を実現する他の多くのアーキテクチャを実装できることを理解されたい。概念的な意味では、同じ機能を実現するための構成要素の配置は、所望の機能が実現されるように、実質的に「関連」している。従って、本明細書において、特定の機能を実現するために組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間構成要素に関係なく、所望の機能が実現されるように互いに「関連付けられる」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けされた任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するように互いに「作動可能に接続」又は「作動可能に結合」されていると見なすこともでき、及びそのように関連付けることが可能な任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するように互いに「作動可能に結合可能」であると見なすこともできる。動作可能に結合可能の具体例としては、物理的に嵌合可能及び/又は物理的に相互作用可能な構成要素、並びに/又は無線で相互作用可能及び/又は無線で相互作用可能な構成要素、並びに/又は論理的に相互作用可能及び/又は論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本明細書に記載される実施形態、実施例、特徴、システム、デバイス、材料、方法及び技術は、幾つかの実施形態において、以下に記載される実施形態、実施例、特徴、システム、デバイス、材料、方法及び技術の何れか1又は2以上と同様とすることができる。
2018年7月27日に出願された、「外科処置を支援及び拡張するためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/048,167号;
2019年1月8日に出願された、「脊椎手術中に外科医のスクリュー配置を支援するシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/242,877号;
2018年12月1日に出願された「多断面整形外科位置合わせのためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/207,116号;
2019年3月13日に出願された、「整形外科インプラント固定のためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/352,699号;
2019年4月12日に出願された、「整形外科インプラント固定のためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/383,215号;
2019年9月12日に出願された「整形外科インプラントのためのシステム及び方法」と題する、米国特許出願第16/569,494号;
2019年11月29日に出願された「整形外科インプラントのためのシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/699,447号;
2020年10月30日に出願された米国特許出願第17/085,564号、発明の名称「組織特性に基づく整形外科インプラントを設計するためのシステム及び方法」;
2020年1月6日に出願された米国特許出願第16/735,222号、発明の名称「患者固有の医療手術及びデバイス、並びに関連のシステム及び方法」;
2020年8月11日に出願された、「患者固有データとの患者固有医療デバイスのリンク付け、並びに関連のシステム及び方法」と題する米国特許出願第16/990,810号;
2020年11月20日に出願された、「位置決め特徴部を有する患者固有の椎骨インプラント」と題する米国特許出願第17/100,396号;
2021年6月8日に出願された、「患者固有の医療手術及びデバイス、並びに関連のシステム及び方法」と題する米国特許出願第17/342,439号;
2021年8月6日に出願された、「患者固有の人工器官、移植されるシステム及び方法」と題する国際出願番号PCT/US2021/044878。
【0131】
上記で特定された特許及び出願の全ては、引用によりその全体が組み込まれる。加えて、本明細書に記載される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、及び技術は、特定の実施形態において、実施形態、特徴、システム、デバイス、又は他の事項の何れか1又は2以上に適用され、又はこれらと関連して使用することができる。
【国際調査報告】