(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】エレクトロクロミックゲルおよびそれを含有するデバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1516 20190101AFI20241024BHJP
C09K 9/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G02F1/1516
C09K9/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526646
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 US2022079098
(87)【国際公開番号】W WO2023081667
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルディセーラ、ケビン マーク
(72)【発明者】
【氏名】デュアルテ、ニコラス ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス アレッラーノ、デビッド レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】サッカレ、ダーワル ラジェンドラ
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101DC06
2K101DC37
2K101DC43
2K101DC45
(57)【要約】
20~99重量%の極性溶媒、0.5~25重量%のレオロジー改質剤、および0.5~20重量%のエレクトロクロミック材料を含むエレクトロクロミックゲル。レオロジー改質剤は、極性溶媒に可溶性であり、溶解したときに周囲条件でゲルを形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロクロミックゲルであって、
20~99重量%の極性溶媒と、
0.5~25重量%のレオロジー改質剤と、
0.5~20重量%のエレクトロクロミック材料と、を含み、
前記極性溶媒中に溶解された前記レオロジー改質剤が、熱可逆性ゲルを形成し、
前記熱可逆性ゲルが、25℃でゲルであり、120℃で流体である、エレクトロクロミックゲル。
【請求項2】
前記極性溶媒が、C
1~C
6アルキルカーボネート、C
1~C
6アルキルホスフェート、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、および/またはジメチルスルホキシドを含む、請求項1に記載のエレクトロクロミックゲル。
【請求項3】
前記極性溶媒が、C
1~C
6アルコール、水、および/またはホルムアミドを含む、請求項1または2に記載のエレクトロクロミックゲル。
【請求項4】
前記レオロジー改質剤が、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、および/またはポリ(プロピレンカーボネート)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックゲル。
【請求項5】
前記エレクトロクロミック材料が、カソードエレクトロクロミック剤およびアノードエレクトロクロミック剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックゲル。
【請求項6】
前記カソードエレクトロクロミック剤が、ビオロゲンおよびその誘導体を含み、前記アノードエレクトロクロミック剤が、フェナジン、フェナジン誘導体、および/またはN,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックゲル。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックゲルを作製する方法であって、
周囲条件下で混合することによって前記エレクトロクロミック材料と前記極性溶媒の一部分とを組み合わせて、エレクトロクロミック材料溶液を形成するステップと、
30℃~120℃の温度で混合することによって前記レオロジー改質剤と前記極性溶媒の一部分とを組み合わせて、レオロジー改質剤溶液を形成するステップと、
前記エレクトロクロミック材料溶液と前記レオロジー改質剤溶液とを組み合わせ、前記組み合わせた溶液を周囲条件まで冷却させて、前記エレクトロクロミックゲルを形成するステップと、を含む、方法。
【請求項8】
エレクトロクロミックセルを作製する方法であって、
第1の伝導体を、第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、
第2の伝導体が前記第1の伝導体と直接接触しないように、前記第2の伝導体を、前記第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、
請求項1~7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層を、前記第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って、必要に応じて、第2の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップであって、前記コーティング層が、前記第1の伝導体および前記第2の伝導体と接触している、ステップと、を含む、方法。
【請求項9】
第2の光学基材を、前記第1の伝導体、前記第2の伝導体、およびエレクトロクロミックゲルを覆って塗布するステップを含む、請求項8に記載のエレクトロクロミックセルを作製する方法。
【請求項10】
エレクトロクロミックセルを作製する方法であって、
第1の伝導体を、第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、
請求項1~7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層を、前記第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って、かつ前記第1の伝導体と接触して塗布するステップと、
必要に応じて、請求項1~7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層を、第2の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、
第2の伝導体を、前記第2の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、
前記第2の伝導体が前記第1の伝導体と直接接触しないように、前記第2の光学基材を、前記第1の光学基材、第1の伝導体、およびエレクトロクロミックゲルを覆って塗布するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記第1および第2の光学基材が、光学的に透明な基材であり、前記第1の光学的に透明な基材および前記第2の光学的に透明な基材が、各々独立して、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(アリルジグリコールカーボネート)、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリチオ尿素、および/またはポリチオウレタンから選択されるガラス、可撓性ポリマー材料、ならびに硬質ポリマー材料を含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の伝導体および第2の伝導体の一方または両方が、独立して、透明性伝導体である、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の伝導体および第2の伝導体が、独立して、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、部分的にオクタデシルトリクロルシランで覆われた酸化インジウムスズ、金属メッシュ、銀ナノワイヤ、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、カーボンナノチューブ、グラフェン、および/または伝導性ポリマーを含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
エレクトロクロミックゲルを含む前記コーティング層が、ドローダウン、スクリーン印刷、スピンコーティング、スプレー塗布、カットアンドスティック、押し出し、キャスティング、インクジェット、グラビア、および/またはロールツーロールを含む方法を使用して塗布される、請求項7~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記コーティング層が、0.1~12mil、例えば、0.1~10mil、0.1~8mil、0.1~5mil、0.5~12mil、0.5~10mil、0.5~8mil、0.5~5mil、1~12mil、1~10mil、1~8mil、および1~5milの厚さを有する、請求項7~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記エレクトロクロミックゲルを含む前記コーティング層の前記厚さが、前記第1の基材と第2の基材との間の空間を制御する、請求項7~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
透明状態の前記エレクトロクロミックセルを通る可視光透過率が、380nm~780nmの可視スペクトル波長で、Hunter UltraScan PROを使用して測定された50%~99%である、請求項7~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
暗色状態の前記エレクトロクロミックセルを通る可視光透過率が、380nm~780nmの可視スペクトル波長で、ASTM E972に従って測定された0.0001~50%、0.001~50%、0.1%~50%、0.1%~35%、0.1%~25%、0.1%~10%、0.5%~4%、1%~3.5%、および0.1%~3%などの0.00001~50%である、請求項7~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記透明状態の前記エレクトロクロミックセルにおける濁度が、25℃で380nm~780nmの可視スペクトル波長で、分光光度計またはHunter UltraScan PROを使用して測定された0.05%~1%、0.5%~4%、1%~3.5%、および0.1%~3%などの0.05%~10%である、請求項7~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記エレクトロクロミックセルが、25℃で380nm~780nmの可視スペクトル波長で、分光光度計またはHunter UltraScan PROを使用して測定された1~30秒、5~30秒、10~25秒、15~25秒、1秒~1分、1秒~5分、1秒~10分、1秒~15分、および1秒~30分などの0.1~30秒で電圧を印加すると、完全に暗色化された状態に移行する、請求項7~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記エレクトロクロミックセルが、25℃で380nm~780nmの可視スペクトル波長で、分光光度計またはHunter UltraScan PROを使用して測定された0.1~30分、0.5~60秒、0.1~10秒、および0.1~1秒などの0.1秒~60分で電圧を低減および/または除去および/または反転させると、完全に透明な状態に移行する、請求項7~20のいずれか一項に記載の方法に従って作製されたセルを含むエレクトロクロミックデバイス。
【請求項22】
請求項11~24のいずれか一項に記載の方法に従って作製された、エレクトロクロミックデバイス。
【請求項23】
エレクトロクロミックデバイスであって、
第1の光学基材であって、
第1の伝導体と、
前記第1の伝導体と直接接触していない第2の伝導体と、
前記第1の伝導体および前記第2の伝導体を覆って、かつそれらと接触して配設される、請求項1~7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層と、
電力供給源と、を含む、第1の光学基材、を含む、エレクトロクロミックデバイス。
【請求項24】
第2の光学基材を含む、請求項23に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項25】
前記第1および/または第2の光学基材が、光学的に透明な基材である、請求項23または24に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項26】
前記第1の光学基材および前記第2の光学基材が、ガラス、可撓性ポリマー材料および硬質ポリマー材料、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(アリルジグリコールカーボネート)、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリチオ尿素、ならびに/またはポリチオエタンを含む、請求項23~25のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項27】
前記第1の伝導体および第2の伝導体の一方または両方が、透明性伝導体である、請求項23~26のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項28】
前記第1の伝導体および第2の伝導体が、酸化インジウムスズ、部分的にオクタデシルトリクロルシランで覆われた酸化インジウムスズ、金属メッシュ、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、および/または伝導性ポリマーを含む、請求項23~27のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項29】
エレクトロクロミックゲルを含む前記コーティング層が、ドローダウン、スロットダイ、スクリーン印刷、スピンコーティング、スプレー塗布、カットアンドスティック、押し出し、キャスティング、インクジェット、グラビア、および/またはロールツーロールを含む方法を使用して塗布される、請求項23~28のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項30】
請求項23~29のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックデバイスを含む、視聴デバイス。
【請求項31】
窓、ビデオディスプレイデバイス、仮想現実デバイス、スマート眼鏡、エレクトロクロミック眼鏡、鏡、バッテリ、拡張現実デバイス、拡大現実デバイス、複合現実デバイス、固定ディスプレイ、モバイル通信デバイス、プライバシースクリーン、カメラ、非表示ディスプレイ、ディスプレイのヘッド、および/または自動車サイドパネルを含む、請求項30に記載の視聴デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「エレクトロクロミックゲルおよびそれを含有するデバイス」と題された、米国特許法第119条の下で2021年11月5日に出願された米国仮出願第63/276,009号の優先権の利益を主張し、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、エレクトロクロミックゲル、それを含有する光学デバイス、およびそれを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的には、使用のためにセルに配置されたエレクトロクロミック材料は、自動車、航空宇宙、眼鏡、および建築産業のためのディスプレイ、透明性デバイス、ならびにスマートシステムにおける実用性を示している。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、20~99重量%の極性溶媒、0.5~25重量%のレオロジー改質剤、および0.5~20重量%のエレクトロクロミック材料を含むエレクトロクロミックゲルについて説明する。レオロジー改質剤は、極性溶媒に可溶性であり、溶解したときに周囲条件で熱可逆性ゲルを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示によるエレクトロクロミックセルの動作中の透過率対時間の非限定的な描写である。
【0006】
【
図2】縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。
【0007】
【
図3】縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。
【0008】
【
図4】縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。
【0009】
【
図5】縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。
【0010】
【
図6】縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。
【0011】
【
図7】縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。
【0012】
【
図8】縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。
【0013】
【
図9】本開示による粘度対剪断速度のグラフである。
【0014】
【
図10】本開示による複素粘度および温度対時間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
別途示されない限り、温度および圧力の条件は、周囲温度(22℃)、30%の相対湿度、および101.3kPa(1気圧)の標準圧力である。
【0016】
別途示されない限り、括弧を含む任意の用語は、代替的に、括弧が存在する場合の用語全体および括弧を含まない用語、ならびに各代替形態の組み合わせを指す。したがって、本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリレート」および同様の用語は、アクリレート、メタクリレート、およびそれらの混合物を含むことが意図される。
【0017】
本開示が、相反することが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的な変形およびステップシーケンスが想定され得ることが理解されるべきである。したがって、逆の意味が示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、得るべき所望の特性に依存して変動し得る近似値である。少なくとも、かつ、等価物の見解の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有意な桁の数に照らし合わせて、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0018】
本開示の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値ではあるが、特定の例で示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に得られる特定の誤差を本質的に含有する。
【0019】
また、本明細書に記載される任意の数値範囲は、その中に包含される全ての部分範囲を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、記載された最小値1と記載された最大値10との間の(およびそれらを含む)全ての部分的な範囲、すなわち、1に等しいまたは1を超える最小値と、10に等しいまたは10未満の最大値と、を有することが意図される。
【0020】
全ての範囲は、包括的であり、組み合わせ可能である。例えば、「0.06~0.25重量%、または0.06~0.08重量%の範囲」という用語は、0.06~0.25重量%、0.06~0.08重量%、および0.08~0.25重量%の各々を含むであろう。更に、範囲が与えられるとき、それらの範囲の任意の終点および/またはそれらの範囲内の記載された数値を、本発明の範囲と組み合わせることができる。
【0021】
本明細書で使用される場合、別途明示的に指定されない限り、値、範囲、量、またはパーセンテージを表すものなどの全ての数は、用語が明示的に現れなくても、「約」という語によって前置きされているかのように読み取られ得る。別途記述されない限り、複数形は、単数形を包含し、その逆も同様である。本明細書で使用される場合、「が挙げられる(including)」という用語および同様の用語は、「が挙げられるが、これらに限定されない(including but not limited to)」を意味する。同様に、本明細書で使用される場合、「上に(on)」、「上に/覆って(over)塗布される」、「上に/覆って形成される」、「上に/覆って堆積される」、「重なる(overlay)」、および「上に/覆って提供される」という用語は、表面上に形成されるか、重なるか、堆積されるか、または提供されるが、必ずしも表面と接触する必要はないことを意味する。例えば、基材「を覆って堆積される」コーティング層は、形成されたコーティング層と基材との間に位置する、同じまたは異なる組成物の1つまたは1つより多くの他のコーティング層の存在を排除しない。
【0022】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という移行句(および他の同等の用語、例えば、「含有する(containing)」および「含む(including)」)は、「非限定的」であり、不特定の事柄を包含するように限定されていない。「含む」という観点から説明されているが、「から本質的になる」および「からなる」という用語もまた、本開示の範囲内である。
【0023】
本明細書で使用される場合、冠詞「a」、「an」、および「the」は、明示的かつ明白に1つの参照物に限定されない限り、複数の参照物を含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アノード」という用語は、従来の電流が電気デバイスに入る電極を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「ブロックコポリマー」という用語は、反復単位が、同じタイプの長い配列またはブロックでのみ存在するコポリマーを指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「カソード」という用語は、従来の電流が電気デバイスを出る電極を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「コーティング層」という用語は、そのような1つまたは1つより多くのコーティング組成物の1つまたは1つより多くの用途において、1つまたは1つより多くのコーティング組成物を基材上に塗布する結果を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「化合物」という用語は、2つまたは2つより多くの要素、成分、配合成分、または一部の融合によって形成される物質を指し、限定されないが、2つまたは2つより多くの要素、成分、配合成分、または一部の融合によって形成される分子および高分子(例えば、ポリマーおよびオリゴマー)が挙げられる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「共役ポリマー」および「共役コポリマー」という用語は、交互の二重結合および単結合の骨格鎖を特徴とする有機高分子を指す。それらの重複するp軌道は、非局在化π電子の系を生み出し、これが、有用な光学特性および電子特性をもたらし得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「カットアンドスティック」という用語は、自立型コーティングフィルムを形成し、フィルムを基材に積層させることによって、コーティング材料を塗布する方法を指し、非限定的な例として、互いに一定距離離れている2つの電極間でゲルを押し出す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ドローダウン」という用語は、基材からの一定距離(コーティング層厚さ)でワイヤまたは計量ロッドを使用して、基材を横切ってコーティング材料を引き出すことによって、コーティングを基材に塗布するために使用される方法および関連する装置を指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「電位」という用語は、単位電荷を基準点から電場に対して特定の点まで移動させるのに必要な作業量を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「電極」という用語は、電気が物体または物質に入るかまたは出る伝導体を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「エレクトロクロミック材料」という用語は、電場に曝されたときに可逆的な様式で、放射線に対してそれらの色および/または透明度を変動させることが可能である材料を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「電磁放射線」という用語は、空間を通って伝播し、電磁放射線エネルギーを伝える電磁場の波を指す。非限定的な例としては、電波、マイクロ波、赤外線光、可視光、紫外線光、X線、およびガンマ線が挙げられる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「完全に透明化された状態」という用語は、印加電圧の不在下で、光学コントラストの85%で最も少なく最小透過率値を上回るパーセント透過率(%T)を有するエレクトロクロミックセルまたは系を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「完全に暗色化された状態」という用語は、所与の電圧で、光学コントラストの85%で最も少なく最大透過率値を下回るパーセント透過率(%T)を有するエレクトロクロミックセルまたは系を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ゲル」という用語は、流体によってその全体積にわたって拡張される非流体ポリマーネットワークを指す。そのようなポリマーネットワークとしては、共有結合的に架橋されたポリマー鎖、または水素結合、結晶化、螺旋形成、錯体化などによって引き起こされるポリマー鎖の物理的凝集を通して形成されるポリマーネットワークを挙げることができ、これは、ネットワーク接合点として作用する局所秩序の領域をもたらす。
【0039】
本明細書で使用される場合、「積層」という用語は、層状に積み上げられた2つまたは2つより多くの材料を使用することによって、複合系を生成することを指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「層」という用語は、別の材料の表面を覆って載せられているか、広げられているか、または塗布されている、ある厚さのいくつかの材料を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「金属メッシュ」という用語は、透明性伝導性電極として作用し、非限定的な例として、Au、Ag、Al、Fe、Co、Ni、および/またはCuで構築され得る微細な織りワイヤを指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「輝度」または「光透過率」という用語は、照明光源に関して正規化され、ヒトの眼の感度に重み付けされる可視領域(380nm~780nm)にわたる透過率を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「最大透過率」という用語は、少なくとも24時間任意の電圧の不存在下で、特定の波長または波長の範囲でデバイスによって示される透過率を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「最小透過率」という用語は、電圧の印加時に、特定の波長または波長の範囲でデバイスによって示される透過率を指し、これは、少なくとも24時間特定の波形を有する直接電圧または可変電圧のいずれかであり得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「光学的に透明な」という用語は、電磁スペクトル(380~720nm)の可視領域における30%以上の透過率を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「光学コントラスト」という用語は、特定の波長または波長の範囲におけるデバイスの最大透過率と最小透過率との間の差を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「光学基材」という用語は、光の吸収および散乱をほとんど示さない、少なくともいくつかのスペクトル範囲において良好な光透過率を有する材料で作製された基材を指す。非限定的な例としては、溶融シリカおよび石英ガラスなどのガラスが挙げられ、これらとしては、手持ち式電子デバイスのためのタッチスクリーンとして使用されるものなどのアルカリ-アルミノシリケートガラスが挙げられ得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「酸化-還元反応」および「酸化還元」という用語は、化学種間の電子の実際のまたは形式的な移動を特徴とする反応を指し、多くの場合、1つの種が酸化を受ける一方で、別の種が還元を受ける。
【0049】
本明細書で使用される場合、「フェナジンおよびその誘導体」という用語は、置換および非置換のジベンゾ環化ピラジン(C12H8N2-フェナジン)および(C12R2
10N2)を含み、式中、各R2は、独立して、H、OH、NR3
2(式中、各R3は、独立して、HおよびC1~C3アルキルを表す)、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、シロキサン、アミン、ケトン、カルボキシル、アミド、およびエーテル基の置換炭素数より最大1個少なく含有するC1~C12の直鎖または分岐鎖アルキル、6~18個の炭素原子、ならびに必要に応じて、O、N、およびSを含む1つまたは1つより多くのヘテロ原子を含有する芳香族基、ならびに必要に応じて、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン シロキサン、アミン、ケトン、カルボキシル、アミド、および/またはエーテル基の置換炭素数より最大1個少なく含有するC1~C12直鎖または分岐鎖アルキルを含む。フェナジン誘導体の非限定的な例としては、ジメチルフェナジンおよびジイソプロピルフェナジンが挙げられる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「極性溶媒」という用語は、電気陰性原子に付着し、かつレオロジー改質剤を溶解することができる1つまたは1つより多くの水素原子を含有する(プロトン性)か、または含有しない(非プロトン性)1.25を超える双極子モーメントを有する化学化合物を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、ホモポリマー(1つのモノマーから形成される)、ならびに2つまたは2つより多くの異なるモノマー反応物から形成されるか、または2つまたは2つより多くの別個の反復単位を含むコポリマーおよびブロックコポリマーを含む。更に、「ポリマー」という用語は、プレポリマーおよびオリゴマーを含む。
【0052】
本明細書で使用される場合、「電力供給源」という用語は、電位、電圧、または2つまたは2つより多くの電極に電気的に接続された他の電流提供源を指し、非限定的な例としては、バッテリ、従来のACまたはDC電流を許容可能なレベルに変換する変圧器、光起電媒体、キャパシタ、スーパーキャパシタ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「擬塑性」および「剪断減粘性」という用語は、増加する剪断応力下で粘度が低下するような非ニュートン挙動を取る溶液、懸濁液、または他の混合物を指す。
【0054】
別途明記されない限り、本明細書に報告される全てのレオロジーデータ(複素粘度、損失弾性率などが挙げられる非限定的な例)は、RheoCompassソフトウェアを装備した25mmの直径および1度のコーン角を有するコーンおよびプレート構成を有するAnton Paar MCR 302レオメータを使用して測定された。
【0055】
本明細書で使用される場合、「レオロジー改質剤」という用語は、溶解後の周囲条件で熱可逆性ゲルを形成する、極性溶媒に可溶性の組成物を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「スクリーン印刷」という用語は、基材を覆って薄いメッシュを延伸させることによって、コーティング材料を基材に塗布する方法を指し、コーティング材料をスクリーン上で転がして、基材にコーティング層を塗布する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「短絡」という用語は、電流の偶発的な分流をもたらす意図しない接続点を有する電気回路を指す。
【0058】
本開示の目的で、材料の最小で0.5重量%が特定の溶媒中に溶解することができる場合、材料は「可溶性」とみなされる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「スピンコーティング」という用語は、コーティング材料を基材上に配置することによって、コーティング材料を基材に塗布する方法を指し、これは、低速でスピンするか、または全くスピンしないかのいずれかであり、遠心力によって基材にわたってコーティング材料を広げるのに十分な速度で基材を回転させる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「スプレーコーティング」という用語は、液滴のスプレーを使用して、コーティング材料を基材上に堆積させるコーティングプロセスを指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「熱可逆性ゲル」という用語は、ポリマー鎖の物理的凝集を通して形成されたゲルを指し、局所的秩序の領域は、温度の変化に応答して変化し得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、「透明」という用語は、後方にある物体を明確に見ることができるように、光が材料を通過することを可能にすることを指す。非限定的な例として、「実質的に透明」という用語は、材料を通して見たときに、肉眼で少なくとも部分的に目視可能であるように表面が見えることを指し、「完全に透明」という用語は、材料を通して見たときに、肉眼で完全に目視可能であるように表面が見えることを指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「透過した放射線」という用語は、物体の少なくとも一部分を通過する放射線を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「ビオロゲンおよびその誘導体」という用語は、式(C5H4N)2(ビオロゲン)および(C5H4NR)2
n+を有する有機化合物を含み、式中、Rは、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、シロキサン、アミン、ケトン、カルボキシル、アミド、およびエーテル基の置換炭素数より最大1個少なく含有するC1~C12の直鎖または分岐鎖アルキル、6~18個の炭素原子、ならびに必要に応じて、O、N、およびSを含む1つまたは1つより多くのヘテロ原子を含有する芳香族基、ならびに必要に応じて、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン シロキサン、アミン、ケトン、カルボキシル、アミド、および/またはエーテル基の置換炭素数より最大1個少なく含有するC1~C12の直鎖または分岐鎖アルキルを表す。ビオロゲン誘導体の非限定的な例としては、N,N’-ジヘプチルビオロゲン(ヘプチルビオロゲン)およびN,N’-ジフェニルビオロゲンが挙げられ、対イオンテトラフルオロボレートおよび四フッ化リンの非限定的な例が挙げられる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「電圧」という用語は、2つの点の間の電位の差を指す。
【0066】
本開示は、極性溶媒、レオロジー改質剤、およびエレクトロクロミック材料を含むエレクトロクロミックゲルを対象とする。レオロジー改質剤は、極性溶媒に可溶性であり、溶解したときに周囲条件で熱可逆性ゲルを形成する。
【0067】
極性溶媒は、エレクトロクロミックゲルの総重量に基づいて、少なくとも20重量%、例えば、25重量%および30重量%のレベルでエレクトロクロミックゲル中に含まれてもよく、最大99重量%、例えば、95重量%、90重量%、85重量%、および80重量%であってもよい。エレクトロクロミックゲル中の極性溶媒の量は、20~99重量%、例えば、20~90重量%、20~80重量%、25~99重量%、25~90重量%、25~80重量%、30~99重量%、30~90重量%、および30~80重量%であってもよい。エレクトロクロミックゲルに含まれる極性溶媒の量は、任意の値または上に記載された値のうちのいずれかの間の範囲であり得る。
【0068】
極性溶媒は、プロトン性または非プロトン性の極性溶媒およびそれらの混合物を含み得る。
【0069】
エレクトロクロミックゲルで使用することができる非プロトン性溶媒の非限定的な例としては、C1~C6アルキルカーボネート、C1~C6アルキルホスフェート、C1~C12の直鎖または分岐鎖アルカンのケトン、アセトンおよびメチルイソブチルケトンを含む非限定的な例、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、およびジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0070】
エレクトロクロミックゲルに使用することができるプロトン性溶媒の非限定的な例としては、C1~C6アルコール、水、およびホルムアミドが挙げられる。
【0071】
レオロジー改質剤は、エレクトロクロミックゲルの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば、1重量%および2重量%のレベルでエレクトロクロミックゲル中に含まれてもよく、最大25重量%、例えば、20重量%、15重量%、および10重量%であってもよい。エレクトロクロミックゲル中のレオロジー改質剤の量は、0.5~25重量%、例えば、0.5~20重量%、0.5~10重量%、1~25重量%、1~20重量%、1~10重量%、2~25重量%、2~20重量%、および2~10重量%であってもよい。エレクトロクロミックゲル中に含まれるレオロジー改質剤の量は、任意の値または上に記載された値のうちのいずれかの間の範囲であり得る。レオロジー改質剤の量が少なすぎる場合、エレクトロクロミックゲルは、本明細書で説明されるコーティング層として塗布することができるゲルを形成しない場合がある。レオロジー改質剤の量が多すぎる場合、得られるエレクトロクロミックゲルは、本明細書で説明されるコーティング層としてエレクトロクロミックゲルを容易に塗布することを可能にしないレオロジー特性を有し得る。
【0072】
レオロジー改質剤は、極性溶媒と組み合わせたときに、本明細書で説明されるレオロジー特性(擬塑性挙動および熱可逆性ゲル特性が挙げられる非限定的な例)をエレクトロクロミックゲルに提供する任意の材料であり得る。エレクトロクロミックゲルで使用することができるレオロジー改質剤の非限定的な例としては、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンカーボネート)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
非限定的な例として、熱可逆性ゲルは、最大30℃、または最大35℃、または最大40℃などの、最大25℃でゲルであり得る。更なる非限定的な例として、熱可逆性ゲルは、100℃を超える、90℃を超える、または80℃を超えるなどの120℃で流体であり得る。
【0074】
エレクトロクロミック材料は、エレクトロクロミックゲルの総重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、例えば、1重量%および2重量%のレベルでエレクトロクロミックゲル中に含まれてもよく、最大20重量%、そのような15重量%、および10重量%であってもよい。エレクトロクロミックゲル中のレオロジー改質剤の量は、0.5~20重量%、例えば、0.5~15重量%、0.5~10重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、2~20重量%、2~15重量%、および2~10重量%であってもよい。エレクトロクロミックゲル中に含まれるエレクトロクロミック材料の量は、任意の値または上に記載された値のうちのいずれかの間の範囲であり得る。エレクトロクロミック材料の量が少なすぎる、または多すぎる場合、エレクトロクロミックゲルは、本明細書で説明されるエレクトロクロミック特性を提供しない場合がある。
【0075】
エレクトロクロミック材料は、酸化-還元対として作用するカソードエレクトロクロミック剤およびアノードエレクトロクロミック剤を含み得る。酸化-還元反応は、暗色になるか、または着色されたエレクトロクロミックゲルをもたらし得る。色は、使用されるエレクトロクロミック剤に依存し得る。非限定的な例として、カソードエレクトロクロミック剤は、ビオロゲンおよびその誘導体を含み得、アノードエレクトロクロミック剤は、フェナジンおよびその誘導体であり得る。
【0076】
カソードエレクトロクロミック材料の非限定的な例としては、ビオロゲンおよびその誘導体(ジアルキルビオロゲンおよびジアリールビオロゲンが挙げられる非限定的な例)が挙げられる。アノードエレクトロクロミック材料の非限定的な例としては、フェナジンおよびその誘導体(ジアルキルフェナジンおよびジアリールフェナジンが挙げられる非限定的な例)、N,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミン、10-メチルフェノチアジン、10-エチルフェノチアジン、およびテトラチアフルバレンが挙げられる。
【0077】
非限定的な例として、エレクトロクロミックゲルは、少なくとも10,000mPa-s、20,000mPa-s、および30,000mPa-sなどの、少なくとも5,000mPa-sの25℃での複素粘度を有し得、2,500,000mPa-s、2,000,000mPa-s、および1,500,000mPa-sなどの最大3,000,000mPa-sであり得る。エレクトロクロミックゲルの複素粘度は、5,000mPa-s~2,500,000mPa-s、5,000mPa-s~1,500,000mPa-s、10,000mPa-s~3,000,000mPa-s、10,000mPa-s~2,500,000mPa-s、10,000mPa-s~1,500,000mPa-s、20,000mPa-s~3,000,000mPa-s、20,000mPa-s~2,500,000mPa-s、および20,000mPa-s~1,500,000mPa-sなどの5,000mPa-s~3,000,000mPa-sであり得る。複素粘度は、RheoCompassソフトウェアを装備した25mmの直径および1度のコーン角を有するコーンおよびプレート構成を有するAnton Paar MCR 302レオメータを使用して測定され得る。
【0078】
非限定的な例として、エレクトロクロミックゲルは、少なくとも750mPa-sおよび1,000mPa-sなどの、少なくとも500mPa-sの90℃での複素粘度を有し得、90℃で2,500mPa-sおよび2,000mPa-sなどの最大3,000mPa-sであり得る。エレクトロクロミックゲルの複素粘度は、500mPa-s~2,500mPa-s、500mPa-s~2,000mPa-s、750mPa-s~3,000mPa-s、750mPa-s~2,500mPa-s、750mPa-s~2,000mPa-s、500mPa-s~3,000mPa-s、500mPa-s~2,500mPa-s、および500mPa-s~2,000mPa-sなどの500mPa-s~3,000mPa-sであり得る。複素粘度は、RheoCompassソフトウェアを装備した25mmの直径および1度のコーン角を有するコーンおよびプレート構成を有するAnton Paar MCR 302レオメータを使用して測定され得る。
【0079】
非限定的な例として、エレクトロクロミックゲルは、0.01~1s-1の剪断速度で、RheoCompassソフトウェアを装備した25mmの直径および1度のコーン角を有するコーンおよびプレート構成を有するAnton Paar MCR 302レオメータを使用して測定された、25℃で-1.5~-7mPa-s2および-2~-5mPa-s2などの-1~-10mPa-s2の粘度-剪断速度勾配を有し得る。
【0080】
非限定的な例として、エレクトロクロミックゲルは、1~100s-1の剪断速度で、RheoCompassソフトウェアを装備した25mmの直径および1度のコーン角を有するコーンおよびプレート構成を有するAnton Paar MCR 302レオメータを使用して測定された、90℃で-0.4~0.4mPa-s2および-0.3~0.3mPa-s2などの-0.5~0.5mPa-s2の粘度-剪断速度勾配を有し得る。
【0081】
非限定的な例として、エレクトロクロミックゲルは、1%の振動剪断ひずみおよび10rad/sの一定の周波数で、6分間にわたって90℃から25℃まで温度を低下させる、RheoCompassソフトウェアを装備した25mmの直径および1度のコーン角を有するコーンおよびプレート構成を有するAnton Paar MCR 302レオメータを使用して測定された50mPa-s/℃~200mPa-s/℃および60mPa-s/℃~150mPa-s/℃などの40mPa-s/℃~250mPa-s/℃の複素粘度-温度勾配を有し得る。
【0082】
非限定的な例として、エレクトロクロミックゲルは、1%の振動剪断ひずみおよび10rad/sの一定の周波数で、6分間にわたって25℃から90℃まで温度を上昇させる、RheoCompassソフトウェアを装備した25mmの直径および1度のコーン角を有するコーンおよびプレート構成を有するAnton Paar MCR 302レオメータを使用して測定された-50,000mPa-s/℃~-200,000mPa-s/℃および-60,000mPa-s/℃~-150,000mPa-s/℃などの-40,000mPa-s/℃~-250,000mPa-s/℃の複素粘度-温度勾配を有し得る。
【0083】
エレクトロクロミックゲルは、必要に応じて、電解質塩、酸化防止剤、紫外線(UV)安定剤、脱酸素剤、光ブロッキング添加剤、またはそれらの任意の2つまたは2つより多くの組み合わせなどの添加剤を含み得る。添加剤は、0.05重量%~20重量%の濃度で、またはエレクトロクロミックゲル中の添加剤の各々の溶解限度まで添加することができる。
【0084】
非限定的な例として、電解質塩は、カチオン性部(正電荷を帯びた)およびアニオン性部(負電荷を帯びた)の組み合わせを含有することができる。カチオン性部の例としては、リチウム、テトラアルキルアンモニウム(アルキルは、式CnH2n+1を有する任意の基であり、nは、整数である)、トリアキルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、N-アルキルピリジニウムおよびその誘導体、N,N’-ジアルキルイミダゾリウムおよびその誘導体、テトラアルキルホスホニウム、N,N-ジアルキルピロリジニウムおよびその誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性部の例としては、テトラフルオロボレート、トリフレート、トリフルアミド、ヘキサフルオロホスフェート、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、ジシアンアミド、カルボキシレート、ホスフィネート、ジアルキルホスフェート、トシレート、アルキルサルフェート、アセテート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホネート、硫酸水素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
酸化防止剤および脱酸素剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、4-tert-ブチルカテコール、ピロガロール、6-tert-ブチル-2,4-キシレノール、2-ブタノンオキシム、ヒドロキノン、アスコルビン酸、ジエチルヒドロキシルアミン、カテキン、エラグ酸、クルクミン、ビタミンE、アスコルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、立体障害フェノール酸化防止剤(それらの誘導体を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
UV安定剤は、一般的に、UV吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤(HALS)と称される材料の部類を含み得る。UV安定剤の例としては、オキシベンゾンおよびその誘導体、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、トリアジンおよびその誘導体、ベンゾフェノンおよびその誘導体、Ludwigshafen,GermanyのBASF SEによって商標登録および販売されているTINUVINシリーズのUV安定剤が挙げられるが、これらに限定されない。UV安定剤の非限定的な市販の例としては、TINUVIN P、TINUVIN 1130、TINUVIN 99-2、TINUVIN 384-2、TINUVIN 400、TINUVIN 479、TINUVIN 477、TINUVIN Carboprotect、TINUVIN 123、TINUVIN 144、TINUVIN 292、TINUVIN 151、TINUVIN 152、TINUVIN 213、TINUVIN 234、TINUVIN 326、TINUVIN 327、TINUVIN 328、TINUVIN 571、TINUVIN 622、TINUVIN 765、TINUVIN 770、IRGANOX化合物(例えば、IRGANOX 245、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1098、IRGANOX 1135、および/またはIRGANOX 5057、各々Ludwigshafen,GermanyのBASF SEから入手可能)、Unitex OB(Hong KongのAngene Chemicaから入手可能)、CHIMASSORB化合物(例えば、CHIMASSORB 81、CHIMASSORB 944 LD、および/またはCHIMASSORB 2020 FLD、各々Ludwigshafen,GermanyのBASF SEから入手可能)、BLS化合物(例えば、BLS 99-2、BLS 119、BLS 123、BLS 234、BLS 292、BLS 531、BLS 0113-3、BLS 1130、BLS 1326、BLS 1328、BLS 1710、BLS 2908、BLS 3035、BLS 3039、および/またはBLS 5411、各々Suwanee,Ga,USAのMayzo Inc.から入手可能)、および/またはCYASORB CYNERGY SOLUTIONS L143-50Xスタビライザ(Woodland Park,NJ,USAのCytec Industries,Inc.から入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
光ブロッキング添加剤(特定の波長の光をブロックする)の非限定的な例としては、無機ナノ粒子(例えば、金属酸化物および金属ナノ粒子)、有機ナノ粒子、有機金属ナノ粒子、ベンゾトリアゾール(それらの誘導体を含む)、トリアジン(それらの誘導体を含む)、トリアゾール(それらの誘導体を含む)、ヒンダードアミン光安定剤(HALS、それらの誘導体を含む)、ベンゾフェノン(それらの誘導体を含む)、アミン官能基を有するシラン(それらの誘導体を含む)、立体障害フェノール酸化防止剤(それらの誘導体を含む)、イソシアネート官能基を有するシラン(それらの誘導体を含む)、シアノアクリレート、テトラフェニルポルフィリン、テトラメシチルポルフィリン、ペリレン、オキサラニリド、フタロシアニン、クロロフィル(その誘導体を含む)、ビリルビン(その誘導体を含む)、一次酸化防止剤、顔料染料(例えば、有機金属染料)、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、化学化合物の部類が挙げられ得る。
【0088】
染料の非限定的な例としては、ビリルビン;クロロフィルa、ジエチルエーテル;クロロフィルa、メタノール;クロロフィルb;脱プロトン化テトラフェニルポルフィリン;ヘマチン;マグネシウムオクタエチルポルフィリン;マグネシウムオクタエチルポルフィリン(MgOEP);マグネシウムフタロシアニン(MgPc)、PrOH;マグネシウムフタロシアニン(MgPc)、ピリジン;マグネシウムテトラメシチルポルフィリン(MgTMP);マグネシウムテトラフェニルポルフィリン(MgTPP);オクタエチルポルフィリン;フタロシアニン(Pc);ポルフィン;テトラ-t-ブチルアザポルフィン;テトラ-t-ブチルナフタロシアニン;テトラキス(2,6-ジクロロフェニル)ポルフィニン;テトラキス(オアミノフェニル)ポルフィリン;テトラメシチルポルフィリン(TMP);テトラフェニルポルフィリン(TPP);ビタミンB12;亜鉛オクタエチルポルフィリン(ZnOEP);亜鉛フタロシアニン(ZnPc)、ピリジン;亜鉛テトラメシチルポルフィリン(ZnTMP);亜鉛テトラメシチルポルフィリンラジカルカチオン;亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP);ペリレン;オキサニリド;それらの誘導体;およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
非限定的な例として、無機ナノ粒子としては、酸化セリウム(例えば、CeO2)、酸化亜鉛(例えば、ZnO)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、二酸化チタン(TiO2)、酸化第二スズ/酸化スズ(SnO2)、五酸化アンチモン(Sb2O5)、酸化ケイ素(SiO2)などから選定されるが、これらに限定されない、金属酸化物が挙げられ得る。
【0090】
染料(例えば、有機金属染料)の非限定的な市販の例としては、Cu(II)Meso-テトラ(4-カルボキシフェニル)ポルフィン(例えば、Roanoke,Va.のHigh Performance Opticsから入手可能なHigh Performance Optics Dye Generation4D、またはGeneration 4A、4B、および/または4Cを含む任意の他の好適なHigh Performance Optics Dye)が挙げられる。
【0091】
光ブロッキング添加剤の非限定的な例としては、TINUVIN 477(赤方偏移トリス-レゾルシノール-トリアジン-クロモフォアを含む)、Roanoke,VaのHigh Performance Opticsから入手可能な化合物(例えば、Generation 4B染料および/またはGeneration 4D染料)、TINUVIN 292、および/またはTINUVIN 1130が挙げられ得る。
【0092】
エレクトロクロミックゲルは、周囲条件下で混合することによってエレクトロクロミック材料と極性溶媒の一部分とを組み合わせて、エレクトロクロミック材料溶液を形成するステップと、非限定的な例として、30℃~120℃の温度で混合することによってレオロジー改質剤と極性溶媒の一部分とを組み合わせて、レオロジー改質剤溶液を形成するステップと、エレクトロクロミック材料溶液とレオロジー改質剤溶液とを組み合わせ、組み合わせた溶液を周囲条件まで冷却させて、エレクトロクロミックゲルを形成するステップと、によって作製することができる。
【0093】
エレクトロクロミックゲルを使用して、本開示によるエレクトロクロミックセルを作製することができる。この方法は、第1の光学基材を提供するステップと、第1の伝導体を、第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って、必要に応じて、第2の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、第2の伝導体が第1の伝導体と直接接触しないように、第2の伝導体を、第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、上述のエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層を、第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って、必要に応じて、第2の光学基材の少なくとも一部分を覆って、かつ第1の伝導体および第2の伝導体と接触して塗布するステップと、必要に応じて、第2の光学基材を、第1の伝導体、第2の伝導体、およびエレクトロクロミックゲルを覆って塗布するステップと、第1の伝導体および第2の伝導体に接続された電力供給源を提供するステップと、を含む。
【0094】
エレクトロクロミックゲルを使用して、第1の光学基材をコーティングするとき、必要に応じて、レオロジー改質剤および必要に応じてエレクトロクロミック材料を含むゲルを、第2の光学基材に塗布することができる。必要に応じて、エレクトロクロミックゲルを使用して、第1の光学基材をコーティングするとき、界面活性剤、溶媒、プラズマ処理、および/または他の表面処理(非限定的な例として、シラン)を第2の光学基材に塗布して、表面エネルギーを変化させ、かつ/またはより良好な濡れを提供することができる。
【0095】
第1の伝導体および第2の伝導体のいずれかは、カソードとして作用することができ、他の電極は、アノードとして作用することができる(かつ、極性が反転するときに切り替えることができる)。
【0096】
第1および第2の光学基材は、光学的に透明な基材であり得る。光学的に透明な基材が使用されるとき、第1の光学的に透明な基材および第2の光学的に透明な基材は、独立して、ガラス、可撓性ポリマー材料、および硬質ポリマー材料を含み、非限定的な例としては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(アリルジグリコールカーボネート)、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリチオ尿素、および/またはポリチオウレタンが挙げられる。
【0097】
第1の伝導体および第2の伝導体は、透明性伝導体であり得る。
【0098】
第1の伝導体および第2の伝導体は、パターンが、必要なエレクトロクロミック活性を提供するのに十分な伝導性である限り、独立して、メッシュ、複数個のライン、または他のパターンの形態であり得る。
【0099】
第1の伝導体および第2の伝導体としては、酸化インジウムスズ、部分的にオクタデシルトリクロルシランで覆われた酸化インジウムスズ、金属メッシュ(非限定的な例として、金属化銀メッシュ)、ならびに銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、およびグラフェンを含む伝導性ナノ材料、フッ素ドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ならびに伝導性ポリマー、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホネートとのアイオノマー混合物、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン;ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、および/またはポリフェニレンスルフィドを含む非限定的な例が挙げられ得る。必要に応じて、必要なエレクトロクロミック活性を提供するのに十分な伝導性である限り、任意の透明性伝導体を使用することができる。
【0100】
エレクトロクロミックセルは、十分な電圧および電流の電力を提供することができる外部電力供給源を含み、かつ/またはそれによって電力供給することができる。非限定的な例として、コントローラは、電位または電圧が電極に印加される必要があるときに作動するように構成することができる。非限定的な例として、光学センサ、温度センサ、またはスイッチなどの1つまたは1つより多くの入力部は、コントローラと通信することができる。コントローラは、1つまたは1つより多くの入力部から入力情報を受信することができ、電位または電圧を提供するために使用される電力供給源が提供されるべきかどうかを決定するように構成され得る。非限定的な例として、電力供給源は、バッテリ、従来のACまたはDC電流を許容可能なレベルに変換する変圧器、光起電媒体、キャパシタ、スーパーキャパシタ、およびそれらの組み合わせであり得る。外部電力供給部は、コントローラおよび1つまたは1つより多くの入力部に電気的に結合することができ、電位または電圧を電極に提供するように構成され得る。2つ以上の供給部が、エレクトロクロミックセルに電力を供給するために実装されてもよい。電力供給源、コントローラ、センサ、スイッチ、および/または電極は、ワイヤ、または当該技術分野で既知の他の手段によって接続され得る。
【0101】
本明細書で説明されるエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層は、当該技術分野で既知の方法を使用して塗布することができる。エレクトロクロミックゲルを含むコーティング層を塗布するために使用することができる方法の非限定的な例としては、ドローダウン、スクリーン印刷、スピンコーティング、スプレー塗布、カットアンドスティック、押し出し、キャスティング、インクジェット、グラビア、およびロールツーロールが挙げられる。
【0102】
エレクトロクロミックゲルの組成に依存して、コーティング層は、より固体または流体のように挙動することができる。エレクトロクロミックゲル法を含むコーティング層は、少なくとも0.1mil、例えば、0.5milおよび1mil、ならびに最大12mil、例えば、10mil、8mil、および5milのフィルム厚さを有し得る。コーティング層は、0.1~12mil、例えば、0.1~10mil、0.1~8mil、0.1~5mil、0.5~12mil、0.5~10mil、0.5~8mil、0.5~5mil、1~12mil、1~10mil、1~8mil、および1~5milの厚さを有し得る。エレクトロクロミックゲルを含むコーティング層の厚さは、任意の厚さまたは上に記載された任意の厚さ間の範囲であり得る。
【0103】
本明細書で説明されるエレクトロクロミックセルは、第1の光学基材と第2の光学基材との間のセルの周囲を密封するためのシーラントを含み得る。シーラント材料の非限定的な例としては、エポキシ、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン、コポリマー、およびそれらの混合物などの)、シリコーン、ポリエステル、ポリアミド、および/またはポリウレタン樹脂に基づくものが挙げられ得る。
【0104】
透明状態(エレクトロクロミックの色がない)のエレクトロクロミックセルを通る可視光透過率は、55%~95%、60%~90%、および65%~90%などの50%~99%であり得る。
【0105】
エレクトロクロミックセル内の電力供給部を使用して、カソードとアノードとの間に電位または電圧を印加することができる。エレクトロクロミックセルに印加された電圧;直流、交流、または可変電圧は、0.1~50V、0.1~40V、0.1~30V、0.5~20V、および1~10Vなどの0.05~50Vであり得る。エレクトロクロミックセルに電位または電圧を印加すると、エレクトロクロミックゲル内で酸化還元反応が起こり、エレクトロクロミックセルがより暗色になり(暗色状態)、エレクトロクロミックセルを通る可視光透過率が低減する。
【0106】
暗色状態でのエレクトロクロミックセルを通る可視光透過率は、380nm~780nmの可視スペクトル波長で、ASTM E972に従って測定された0.0001~50%、0.001~50%、0.1%~50%、0.1%~35%、0.1%~25%、0.1%~10%、0.5%~4%、1%~3.5%、および0.1%~3%などの0.00001~50%であり得る。
【0107】
透明状態のエレクトロクロミックセルにおける濁度の量は、Hunter UltraScan PROを使用して測定された0.05%~1%、0.5%~4%、1%~3.5%、および0.1%~3%などの0.01%~10%であり得る。
【0108】
図1は、本開示によるエレクトロクロミックセルの動作中の透過率対時間の非限定的な代表的プロットである。
図1では、セルは、当初、その最大透過率(650で示される)状態にあり、指定された電圧を印加すると、最小透過率(620で示される)を達成することができる。最大透過率と最小透過率との間の差が、光学コントラスト(630によって示される)である。電圧が、特定の周波数および振幅を有する直接電圧またはパルス電圧のいずれかであり得る、最大透過率状態のAで印加されると、系の透過率は低下する。点Bとして示される、透過率が光学コントラストの85%まで低減する時間(最大透過率650から光学コントラスト630の85%を差し引く、610として示される)は、系が完全に暗色な状態に達したとみなされる時間を示す。その後、系は、その最小透過率620に落ち着く。また、極性の反転または電圧の振幅の減少を含み得る点Cにおける電圧の除去時に、系の透過率が増加する。点Dとして示される、透過率が光学コントラスト630の85%まで増加する時間(最小透過率620に光学コントラスト630の85%を加算する、640として示される)は、系が完全に透明な状態に達したとみなされる時間を示す。その後、系は、エレクトロクロミック切り替えサイクル中に系によって示される最大透過率650に落ち着く。
【0109】
電位または電圧がカソードとアノードとの間に印加されるとき、エレクトロクロミックセルは、1~30秒、5~30秒、10~25秒、および15~25秒などの0.1~30分で、暗色化された状態、例えば、最大透過率から完全に暗色化された状態に移行することができる。電位または電圧が低減、除去、また反転されるとき、エレクトロクロミックセルは、25℃で380nm~780nmの可視スペクトル波長で、分光光度計またはHunter UltraScan PROを使用して測定された0.1~30分、0.5~60秒、0.1~10秒、および0.1~1秒などの0.1秒~60分で、完全に透明な状態、例えば、最小透過率から完全に透明化された状態に移行することができる。所与の電圧で完全に透明な状態から完全に暗色化された状態に移行する時間は、エレクトロクロミックセルの構造、非限定的な例として、コーティングの厚さおよびエレクトロクロミックセルの横方向寸法に依存し得る。
【0110】
上述のようにエレクトロクロミックセルを構築することにより、エレクトロクロミックゲルを含むコーティング層のコーティング厚さが、第1の光学基材と第2の光学基材との間の間隙を制御することを可能にする。
【0111】
第1の光学基材のみが使用されるとき、櫛形電極は、開放間隙内の電極間に電圧を提供し、電圧をエレクトロクロミックゲルコーティング層に印加することができる。エレクトロクロミックゲルコーティング層を保護する必要がある場合、必要に応じて、第2の光学基材を使用することができる。
【0112】
上述のようなエレクトロクロミックセルの利点は、ピローイングを排除することである。ピローイングは、従来的に構築されたエレクトロクロミックセル内の静水圧が、直立した位置にセルが充填されている/配置されているときに、セルの中央部分を押し出すときに生じる。従来的に構築されたエレクトロクロミックセルは、典型的には、水平に充填されるか、またはピローイングを阻止するために固定が必要である。
【0113】
本明細書で説明されるエレクトロクロミックセルは、エレクトロクロミックデバイス内の成分を作製するために使用するか、またはそれとして使用することができる。上述のように、エレクトロクロミックデバイスは、第1の光学基材、第1の伝導体、第1の伝導体と直接接触していない第2の伝導体、第1の伝導体および第2の伝導体を覆って、かつそれらと接触して配設されたエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層、必要に応じて、第2の光学基材、ならびに第1の伝導体および第2の伝導体に接続された電力供給源を含む。第1の伝導体および第2の伝導体のうちの1つは、カソードとして作用し、別の電極は、アノードとして作用する。第1もしくは第2の光学基材のいずれかまたは両方は、光学的に透明な基材であり得る。
【0114】
エレクトロクロミックデバイスは、視聴デバイスの成分であり得る。本開示による視聴デバイスの非限定的な例としては、窓、ビデオディスプレイデバイス、仮想現実デバイス、スマート眼鏡、エレクトロクロミック眼鏡、鏡、バッテリ、拡張現実デバイス、拡大現実デバイス、複合現実デバイス、固定ディスプレイ、モバイル通信デバイス、プライバシースクリーン、カメラ、非表示ディスプレイ、ディスプレイのヘッド、および自動車サイドパネルが挙げられる。
【0115】
図2は、縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。エレクトロクロミックデバイス100は、上述のような第1の光学基材120、上述のような第1の伝導体150および第2の伝導体140、上述のようなエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層130、ならびに上述のような第2の光学基材110を含む。電力供給源160は、ワイヤ190によって第1の伝導体150および第2の伝導体140に接続される。
【0116】
図3は、縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。エレクトロクロミックデバイス100は、上述のような第1の光学基材120、上述のような第1の伝導体150および第2の伝導体140、上述のようなエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層130、ならびに上述のような第2の光学基材110を含む。シーラント170は、第1の光学基材120と第2の光学基材110との間のエレクトロクロミックデバイス100の縁部に配設される。電力供給源160は、ワイヤ190によって第1の伝導体150および第2の伝導体140に接続される。
【0117】
図4は、縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。エレクトロクロミックデバイス100は、上述のような第1の光学基材120、上述のような第1の伝導体150および第2の伝導体140、上述のようなエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層130、ならびに上述のような第2の光学基材110を含む。シーラント170は、第1の光学基材120から第2の光学基材110までの全ての層を包含するエレクトロクロミックデバイス100の縁部に配設される。電力供給源160は、ワイヤ190によって第1の伝導体150および第2の伝導体140に接続される。
【0118】
図5は、縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。エレクトロクロミックデバイス105は、上述のような第1の光学基材120、上述のような第1の伝導体150および第2の伝導体140、ならびに上述のようなエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層130を含む。電力供給源160は、ワイヤ190によって第1の伝導体150および第2の伝導体140に接続される。
【0119】
図6は、縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。エレクトロクロミックデバイス200は、上述のような第1の光学基材220、上述のような第1の伝導体270および第2の伝導体260、上述のようなエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層230、ならびに上述のような第2の光学基材210を含む。電力供給源285は、ワイヤ280によって第1の伝導体270および第2の伝導体260に接続される。
【0120】
図7は、縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。エレクトロクロミックデバイス205は、上述のような第1の光学基材220、上述のような第1の伝導体270および第2の伝導体260、上述のようなエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層230を含む。電力供給源285は、ワイヤ280によって第1の伝導体270および第2の伝導体260に接続される。
【0121】
図8は、縮尺どおりに描かれていない、本開示によるエレクトロクロミックデバイスの非限定的な例である。エレクトロクロミックデバイス300は、上述のような第1の光学基材320、上述のような第1の伝導体370および第2の伝導体360、上述のようなエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層330、ならびに上述のような第2の光学基材310を含む。電力供給源385は、ワイヤ380によって第1の伝導体370および第2の伝導体360に接続される。
【実施例】
【0122】
実施例1:エレクトロクロミック溶液の調製
比較実施例CE-1。架橋可能なエレクトロクロミック組成物。
表1の分量に従って、チャージ1の成分を合わせ、溶液が均質になるまで、周囲温度で5分間撹拌した。チャージ2のポリエステルポリオールを添加し、周囲温度で5分間撹拌し、このとき、濁った緑色溶液を達成した。これに、撹拌しながらチャージ3を添加し、溶液に蓋をし、使用前に周囲温度で一晩撹拌した。得られた溶液は液体であり、ニュートン挙動を示した。
【表1】
【0123】
実施例2および3
表2の量に従って、チャージ1の配合成分を合わせ、周囲条件で完全に溶解するまで5分間撹拌した。チャージ2の成分を別の容器内で合わせ、溶液が均質になるまで撹拌しながら90℃まで加熱した。
【0124】
チャージ1の溶液を、緑色の均質な溶液が形成されるまで、混合しながらチャージ2の熱い溶液に添加した。この溶液を周囲条件まで冷却して、熱可逆性エレクトロクロミックゲルを形成した。
【表2】
【0125】
パート2:実施例3の熱可逆性ゲルの特徴付け
周囲条件から開始して、実施例3のゲルを、RheoCompassソフトウェアを装備した25mmの直径および1度のコーン角を有するコーンおよびプレート構成を有するAnton Paar MCR 302レオメータを使用して特徴付けた。
【0126】
図9は、25℃(430として示される)および90℃(410および420として示される)でのエレクトロクロミックゲルの剪断減粘性挙動を示す粘度(mPa*s)対剪断速度(s
-1)のグラフである。25℃では、エレクトロクロミックゲルは、約0.002s
-1で、約5×10
7mPa*sの降伏点を示す。粘度は、約8s
-1で約100mPa*sの粘度まで低下する。約0.01s
-1から約1s
-1まで、曲線の勾配は、約3mPa*s
2である。90℃では、エレクトロクロミックゲルは、異なる挙動を示す。90℃では、ln粘度(mPa*s)対剪断速度(s
-1)曲線は、90℃で、約0.1s
-1~約1,000s
-1で、約0.2~0.4mPa*sの範囲、約-0.5~0.5mPa-s
2の範囲で比較的平坦である。
【0127】
図10は、25℃~90℃でのエレクトロクロミックゲルの温度依存性複素粘度挙動を示す、一方のy軸上のln複素粘度(mPa*s)(1%の剪断ひずみおよび10rad/sの周波数で測定される)および他方のy軸上の温度(℃)対時間(分)のグラフである。周囲エレクトロクロミックゲルを最初に評価するとき、25℃で約2×10
6mPa*sの粘度を示し、これは、約6分間かけて90℃で約1700mPa*sに減少する(複素粘度については510、時間については500として示される)。減少の勾配は、約60~約75℃で約-115,000mPa*s/℃である。エレクトロクロミックゲルは、温度が90℃で約1000mPa*sで始まり(これらの条件下で約2分間置いた後、520)、約6分間かけて(540として示される)25℃で約7,000mPa*s(550として示される)に増加すると、粘度を回復する(530として示される)。回復の勾配は、約80~約35℃で約1,000mPa*s/℃である。粘度は、経時的に、25℃で約35分後に(560として示される)100,000mPa*s(570として示される)まで回復し続ける。25℃での回復の勾配は、25℃に達した後の約15分間から25℃に達した後の約35分間まで、約2,500mPa*s/分である。
【0128】
パート3:エレクトロクロミックセルのアセンブリ
比較実施例CE-1A。
50×70×1.1mmの寸法および約3Ω/sqの表面抵抗率を有する2つの酸化インジウムスズ(ITO)コーティングされたガラス基材(Delta Technologies Limitedから得られた)を、コーティングされた側が互いに面した状態で組み立て、PTFEスペーサをガラス基材の間に挟入して、厚さを400μmに設定した。2液型エポキシシーラントを塗布し、120℃で1時間、一度に1つの縁部ずつ硬化させた。最後の縁部を密封する前に、PTFEスペーサをガラス間から取り出した。最後の縁部を密封するときに、約0.5インチの長さである充填ポートを残した。
【0129】
全てのエポキシ層を完全に硬化させた後、実施例CE-1の硬化性エレクトロクロミック溶液を、プラスチックピペットを介して充填ポートを通してセルに添加した。真空を適用することによって気泡を除去した。充填したセルアセンブリを85℃で2時間加熱して、架橋エレクトロクロミックゲルを形成した。次いで、セルを67.7kPa以上の真空下で5回脱気し、次いで16.9kPaで一晩維持した。翌日、充填ポートをウレタン接着剤(LORD(登録商標)7150A/B)で密封し、これを周囲条件で1時間硬化させた。電力供給部からのリード線をガラス基材のITOコーティングされた側に取り付けて、電気化学セルを作成した。
【0130】
実施例2Aおよび3A
実施例2Aおよび3Aの各々について、CE-1で説明されているような第1のITOガラス基材を、コーティングされた側を上にして、Henan Chuanghe Laboratory Equipment Co.Ltd.製のAFA-II自動ドローダウンテーブル上に配置した。各セルアセンブリについて、実施例2または3の配合物を、それぞれ、約100rpmの撹拌下で、50℃で10分間加熱し、次いで、第1のガラス基材のITO側にスロットダイコーティングして、指示された厚さを達成した。コーティングされた基材を周囲温度で1時間放置し、このとき、熱可逆性ゲルは再凝固していた。第2のガラス基材を、ITOコーティングされた側をコーティングに向けて熱可逆性ゲルコーティングを覆って配置した。電力供給部からのリード線をガラス基材のITOコーティングされた側に取り付けて、
図2に示されるものと同様の電気化学セルを作製した。
【0131】
パート3: エレクトロクロミックセルの性能評価
アセンブリ後、各エレクトロクロミックセルを、最大透過率範囲、完全に暗色(印加された電圧)から完全に透明(除去された電圧)への移行時間、および濁りについて評価した。これらの結果を表3に示す。これらの結果において、透過率は、試料を通過する555nmの周波数における可視光のパーセンテージを指す。CE-1Aについての測定を、X-Riteによって製造されたColor i7分光光度計を使用して25℃で行った。実施例2Aおよび3Aについての測定を、HunterLabによって製造されたUltraScan PRO分光光度計を使用して25℃で行った。
【表3】
【0132】
表3に示されるように、コーティングされたセルは、CE-1Aの対応する架橋エレクトロクロミック系よりも大きな光学コントラストにわたって速い切り替え速度を示した。加えて、実施例2および3のコーティングは、著しく薄い厚さでより高いコントラストおよびより高い透過率を示す。
【0133】
本開示の特定の実施形態が、例示の目的で上述されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本開示から逸脱することなく、本開示の詳細に多数の変更が行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロクロミックゲルであって、
20~99重量%の極性溶媒と、
0.5~25重量%のレオロジー改質剤と、
0.5~20重量%のエレクトロクロミック材料と、を含み、
前記極性溶媒中に溶解された前記レオロジー改質剤が、熱可逆性ゲルを形成し、
前記熱可逆性ゲルが、25℃でゲルであり、120℃で流体である、エレクトロクロミックゲル。
【請求項2】
前記極性溶媒が、C
1~C
6アルキルカーボネート、C
1~C
6アルキルホスフェート、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、
C
1
~C
6
アルコール、水、ホルムアミド、および/またはジメチルスルホキシドを含む、請求項1に記載のエレクトロクロミックゲル。
【請求項3】
前記レオロジー改質剤が、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、および/またはポリ(プロピレンカーボネート)を含む、請求項
1に記載のエレクトロクロミックゲル。
【請求項4】
前記エレクトロクロミック材料が、カソードエレクトロクロミック剤およびアノードエレクトロクロミック剤を含む、請求項
1に記載のエレクトロクロミックゲル。
【請求項5】
前記カソードエレクトロクロミック剤が、ビオロゲンおよびその誘導体を含み、前記アノードエレクトロクロミック剤が、フェナジン、フェナジン誘導体、および/またはN,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミンを含む、請求項
1に記載のエレクトロクロミックゲル。
【請求項6】
請求項
1に記載のエレクトロクロミックゲルを作製する方法であって、
周囲条件下で混合することによって前記エレクトロクロミック材料と前記極性溶媒の一部分とを組み合わせて、エレクトロクロミック材料溶液を形成するステップと、
30℃~120℃の温度で混合することによって前記レオロジー改質剤と前記極性溶媒の一部分とを組み合わせて、レオロジー改質剤溶液を形成するステップと、
前記エレクトロクロミック材料溶液と前記レオロジー改質剤溶液とを組み合わせ、前記組み合わせた溶液を周囲条件まで冷却させて、前記エレクトロクロミックゲルを形成するステップと、を含む、
または
第1の伝導体を、第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、
第2の伝導体が前記第1の伝導体と直接接触しないように、前記第2の伝導体を、前記第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、
請求項1に記載のエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層を、前記第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って、必要に応じて、第2の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップであって、前記コーティング層が、前記第1の伝導体および前記第2の伝導体と接触している、ステップと、を含む、または
第1の伝導体を、第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、
請求項1に記載のエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層を、前記第1の光学基材の少なくとも一部分を覆って、かつ前記第1の伝導体と接触して塗布するステップと、
必要に応じて、請求項1に記載のエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層を、第2の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、
第2の伝導体を、前記第2の光学基材の少なくとも一部分を覆って塗布するステップと、
前記第2の伝導体が前記第1の伝導体と直接接触しないように、前記第2の光学基材を、前記第1の光学基材、第1の伝導体、およびエレクトロクロミックゲルを覆って塗布するステップと、を含む、方法。
【請求項7】
第2の光学基材を、前記第1の伝導体、前記第2の伝導体、およびエレクトロクロミックゲルを覆って塗布するステップを含む、請求項
1に記載のエレクトロクロミックセルを作製する方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、
前記第1および第2の光学基材が、光学的に透明な基材であり、前記第1の光学的に透明な基材および前記第2の光学的に透明な基材が、各々独立して、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(アリルジグリコールカーボネート)、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリチオ尿素、および/またはポリチオウレタンから選択されるガラス、可撓性ポリマー材料、ならびに硬質ポリマー材料を含
み、および/または
前記第1の伝導体および第2の伝導体の一方または両方が、独立して、透明性伝導体であり、および/または
前記第1の伝導体および第2の伝導体が、独立して、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、部分的にオクタデシルトリクロルシランで覆われた酸化インジウムスズ、金属メッシュ、銀ナノワイヤ、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、カーボンナノチューブ、グラフェン、および/または伝導性ポリマーを含み、および/または
エレクトロクロミックゲルを含む前記コーティング層が、ドローダウン、スクリーン印刷、スピンコーティング、スプレー塗布、カットアンドスティック、押し出し、キャスティング、インクジェット、グラビア、および/またはロールツーロールを含む方法を使用して塗布される、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、
前記コーティング層が、0.1~12mi
lの厚さを有
し、および
前記エレクトロクロミックゲルを含む前記コーティング層の前記厚さが、前記第1の基材と第2の基材との間の空間を制御する、方法。
【請求項10】
透明状態の前記エレクトロクロミックセルを通る可視光透過率が、380nm~780nmの可視スペクトル波長で、Hunter UltraScan PROを使用して測定された50%~99%である、請求項
6に記載の方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法であって、
暗色状態の前記エレクトロクロミックセルを通る可視光透過率が、380nm~780nmの可視スペクトル波長で、ASTM E972に従って測定され
た0.00001~50%であ
り、および/または
前記透明状態の前記エレクトロクロミックセルにおける濁度が、25℃で380nm~780nmの可視スペクトル波長で、分光光度計またはHunter UltraScan PROを使用して測定された0.05%~10%である、方法。
【請求項12】
前記エレクトロクロミックセルが、25℃で380nm~780nmの可視スペクトル波長で、分光光度計またはHunter UltraScan PROを使用して測定された
0.1秒~30分で電圧を印加すると、完全に暗色化された状態に移行する、請求項
6に記載の方法。
【請求項13】
前記エレクトロクロミックセルが、25℃で380nm~780nmの可視スペクトル波長で、分光光度計またはHunter UltraScan PROを使用して測定され
た0.1秒~60分で電圧を低減および/または除去および/または反転させると、完全に透明な状態に移行する、請求項
6に記載の方法に従って作製されたセルを含むエレクトロクロミックデバイス。
【請求項14】
請求項13に記載のエレクトロクロミックデバイスであって、
第1の光学基材であって、
第1の伝導体と、
前記第1の伝導体と直接接触していない第2の伝導体と、
前記第1の伝導体および前記第2の伝導体を覆って、かつそれらと接触して配設される、請求項1~7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックゲルを含むコーティング層と、
電力供給源と、を含む、第1の光学基材
、
および任意選択で第2の光学基材を含み、
前記第1および/または第2の光学基材が、光学的に透明な基材である、エレクトロクロミックデバイス。
【請求項15】
請求項14に記載のエレクトロクロミックデバイスであって、
前記第1の光学基材および前記第2の光学基材が、ガラス、可撓性ポリマー材料および硬質ポリマー材料、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(アリルジグリコールカーボネート)、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリチオ尿素、ならびに/またはポリチオエタンを含
み、
前記第1の伝導体および第2の伝導体の一方または両方が、透明性伝導体である、エレクトロクロミックデバイス。
【請求項16】
前記第1の伝導体および第2の伝導体が、酸化インジウムスズ、部分的にオクタデシルトリクロルシランで覆われた酸化インジウムスズ、金属メッシュ、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、および/または伝導性ポリマーを含む、請求項
14に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項17】
エレクトロクロミックゲルを含む前記コーティング層が、ドローダウン、スロットダイ、スクリーン印刷、スピンコーティング、スプレー塗布、カットアンドスティック、押し出し、キャスティング、インクジェット、グラビア、および/またはロールツーロールを含む方法を使用して塗布される、請求項
14に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項18】
前記エレクトロクロミックデバイスが視聴デバイスである、請求項14に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項19】
請求項18に記載のエレクトロクロミックデバイスであって、視聴デバイスが、窓、ビデオディスプレイデバイス、仮想現実デバイス、スマート眼鏡、エレクトロクロミック眼鏡、鏡、バッテリ、拡張現実デバイス、拡大現実デバイス、複合現実デバイス、固定ディスプレイ、モバイル通信デバイス、プライバシースクリーン、カメラ、非表示ディスプレイ、ディスプレイのヘッド、および/または自動車サイドパネルを含む、エレクトロクロミックデバイス。
【国際調査報告】