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特表2024-540318CD38阻害剤としてのN-(4-アミノシクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】CD38阻害剤としてのN-(4-アミノシクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/04 20060101AFI20241024BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20241024BHJP
   C07D 417/04 20060101ALI20241024BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C07D403/04 CSP
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P9/10
A61P21/00
A61P25/24
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P29/00
A61P25/18
A61P27/06
A61P27/02
A61P27/16
A61P37/06
A61P9/00
A61P3/04
A61P3/00
A61K31/506
C07D417/04
C07D403/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526654
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 GB2022052833
(87)【国際公開番号】W WO2023084206
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】2116077.5
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523297701
【氏名又は名称】セレヴァンス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ブルリ,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ドイル,ケヴィン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC42
4C086BC82
4C086GA06
4C086GA10
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA12
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA33
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA70
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZC21
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、式(I):
【化1】
[式中、Het、X、X、L、R、RおよびRは、明細書中で定義の通りである]の化合物およびその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物およびプロドラッグ、それらの調製方法、それらを含む医薬組成物および、特に、CD38活性に関連する障害の治療に使用するための療法での、それらの使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
Hetは、NおよびSから独立に選択される2個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基であり、前記5員ヘテロアリール基は、C-Cアルキル、C-CフルオロアルキルおよびC-Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1個または2個の置換基で任意に置換されてもよく;
はCHまたはNであり、XはCHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個はNであり;
Lは、結合、CH、CHMe、CMeまたはCOであり;
は、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、ヒドロキシル、-O-(C-Cアルキル)、または-O-(C-Cシクロアルキル)であり、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよく;
は、水素、C-Cアルキル、C-Cフルオロアルキル、-CHO、-CO-(C-Cアルキル)または-CO-(C-Cフルオロアルキル)であり;
は、水素またはメチルであり;または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒にアゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イルまたはピペリジン-1-イル基を形成し、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
Lは結合、CHまたはCOである、請求項1に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項3】
前記化合物は、式(II):
【化2】
[式中、
Hetは、NおよびSから独立に選択される2個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基であり、前記5員ヘテロアリール基は、C-Cアルキル、C-CフルオロアルキルおよびC-Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1個または2個の置換基で任意に置換されてもよく;
はCHまたはNであり、XはCHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個はNであり;
は、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、ヒドロキシル、-O-(C-Cアルキル)、または-O-(C-Cシクロアルキル)であり、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよく;
は、C-CアルキルまたはC-Cフルオロアルキルであり;
は、水素またはメチルであり;または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒にアゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イルまたはピペリジン-1-イル基を形成し、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい]のものまたはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである、請求項1または2に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項4】
はNであり、XはNである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項5】
前記化合物は、式(III):
【化3】
[式中、
各W、X、YおよびZは独立に、CH、CMe、N、NH、NMeまたはSであり、W、X、YおよびZの2個は、CHまたはCMeであり、およびW、X、YおよびZの他の2個はN、NH、NMeまたはSであり;
は、C-CアルキルまたはC-Cシクロアルキルであり;
は、C-CアルキルまたはC-Cフルオロアルキルであり;
は、水素またはメチルであり;または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒にアゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イルまたはピペリジン-1-イル基を形成し、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい]のものまたはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグである、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項6】
Hetまたは基
【化4】
は、イミダゾール-1-イル、1-メチルイミダゾール-5-イル、ピラゾール-4-イル、またはチアゾール-5-イル基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項7】
はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルまたはシクロプロピルである、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項8】
はC-Cフルオロアルキルである、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項9】
およびRは、それらが結合している窒素と一緒にアゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イルまたはピペリジン-1-イル基を形成し、これらのそれぞれは、1、2、3または4個のフルオロ置換基で任意に置換されてもよい、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項10】
シクロヘキシル基上の2つの置換基は、相互にトランスである、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項11】
前記化合物は、下記から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ:
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
6-シクロプロピル-N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
6-メチル-2-(1-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
6-メチル-2-(チアゾール-5-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
6-エチル-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-(メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-6-メチル-2-(チアゾール-5-イル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-((2-フルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1s,4s)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1s,4r)-4-((S)-3-フルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
6-メチル-2-(1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-6-メチル-2-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
4-シクロプロピル-N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピコリンアミド;
N-((1r,4r)-4-(エチルアミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-ピリミジン-4-カルボキサミド;
4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピコリンアミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1S,4r)-4-(((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1R,4r)-4-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
6-メチル-2-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-(((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)メチル)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)カルバモイル)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル-1,1-d)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
または前述のいずれかの鏡像異性体;
または前述のいずれかの薬学的に許容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項12】
式(IV)の化合物を式(V)のアミン:
【化5】
[式中、Het、X、X、L、R、RおよびRは、請求項1~11のいずれか1項で定義の通りであり;Yは、-OH、-OR、-O-CO-Rまたは-Clであり;およびRはC-Cアルキルである]
と反応させるステップを含み、およびその後、必要に応じ、下記の手順:
-式(I)、(II)または(III)の化合物を別の式(I)、(II)または(III)の化合物に変換する手順;
-全ての保護基を除去する手順;
-薬学的に許容可能な塩を形成する手順の内の1種または複数を実施するステップ、を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグの調製方法。
【請求項13】
薬学的に許容可能な補助剤、希釈剤または担体、および必要に応じ、1種または複数の他の治療薬を一緒に、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグを含む医薬組成物。
【請求項14】
治療に使用するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項15】
CD38活性に関連する疾患、障害または状態の治療または予防に使用するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項16】
CNS疾患、前記CNSを介した治療を必要とする疾患、神経変性状態、神経疾患、加齢関連障害、または炎症性疾患の治療または予防に使用するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項17】
パーキンソン病;アルツハイマー病;前頭側頭型認知症;進行性核上麻痺;タウオパチー;別の非アルツハイマー型認知症;脳卒中;虚血発作;外傷性脳損傷;多発性硬化症;マックル・ウェルズ症候群などの関連神経損傷を有する自己免疫疾患;筋萎縮性側索硬化症などの運動ニューロン疾患;軸索神経障害または糖尿病性ニューロパチーなどの軸索変性;ウォーラー変性;毛細血管拡張性運動失調症;フリードライヒ失調症;脊髄小脳失調症7などの別の運動失調;加齢;老化;神経炎症;うつ病;統合失調症;不安症;ストレス;外傷後ストレス障害;緑内障;加齢黄斑変性;聴力損失;関節リウマチまたはループスなどの自己免疫疾患;肥満症;または代謝症候群の治療または予防に使用するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、N-(4-アミノシクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミドおよび関連化合物、それらの調製方法、それらを含む医薬組成物および特に、CD38活性に関連する障害の治療で使用するための療法における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
NAD恒常性、加齢および疾患
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)は、ほとんどの生細胞中に極めて豊富に存在する不可欠な細胞成分である。NADとその近い類似体であるNADPは細胞内で同様の酸化還元機能を果たすが、後者は生合成経路と酸化還元保護の役割に限定されることがより多い(Ying、2008、Antioxid Redox Signal 10:179)。NADおよびNADH(NAD(H))は、種々の電子交換依存性生化学反応、特に、酸化還元酵素媒介水素化物移動を伴う酸化還元反応に不可欠な酸化還元系である。従って、NAD(H)は、ミトコンドリア電子伝達系および細胞エネルギー代謝ならびに真核細胞中で異化作用および代謝エネルギーの獲得に関連する補酵素として、重要な役割を果たす。しかし、NADの役割は、NADとしての補酵素としてのその機能を超えて広がり、その代謝物はまた、サーチュインなどの広範囲の酵素のための分解基質としても機能する(Hall et al,2013,J Clin Invest 123:973),SARM1(Essuman et al,2017,Neuron 93:1334)and PARP enzymes(Murata et al,2019,Mol Biol Cell 30:2584)。NADが、細胞代謝をシグナル伝達および転写性イベントの変化に結び付け、従って、細胞恒常性およびシグナル伝達の調節における中心的な役割を果たすのも、これらの機能によるものである。
【0003】
NADレベルは、補酵素として使用される場合、大部分一定のまま残るが、非酸化還元反応では、そのレベルは、細胞プールから枯渇し、従って、継続的な再合成および補充が必要である(Nikiforov et al,2015,Crit Rev Biochem Mol Biol 50:284)。NADの合成には、2つの主要経路、不可欠なアミノ酸L-トリプトファンを利用して、キノリン酸(QA)を生成し、これをNADにさらに代謝するいわゆる新規経路(Nikiforov et al,2015,Crit Rev Biochem Mol Biol 50:284)、およびニコチンアミド(NAM)、ニコチン酸(NA)、およびニコチンアミドリボシド(NR)を利用するサルベージ経路(Imai & Yoshino,2013,Diabetes Obes Metab Suppl.3:26)がある。サルベージ経路は、ほとんどの細胞型における主要なNAD源である。NADレベルは、多くの生理学的過程中に変化する。細胞内のNADレベルは、栄養および環境刺激に大きく影響を受けることを示す証拠が増えている。NAD含量のこれらの変化は、NAD依存性酵素機能に反映し、これは、次には、細胞代謝、遺伝子発現、およびタンパク質機能につながる。従って、最適NAD濃度の維持は、長期組織恒常性の維持にとって不可欠であるように見える。
【0004】
細胞NADレベルが経年的加齢中に低下することは、明確に示されている(Chini et al,2017,Mol Cell Endocrinol 455:62)。この低下は、老化による代謝機能不全の発生において非常に重要な役割を果たすように見え、および重要なのは、細胞NADレベルの低下が、加齢関連状態の病因の潜在的な中心的存在として現れたことであり(Chini et al,2017,Mol Cell Endocrinol 455:62;Verdin,2015,Science 350:1208;Imai & Guarente,2014,Trends Cell Biol 24:464;Schultz & Sinclair,2016,Cell Metab 23:965);従って、NADレベルおよびそれに続く細胞恒常性の維持は、老化およびアルツハイマー病およびパーキンソン病などの加齢随伴病を減じる手段であり得る(Chini et al,2017,Mol Cell Endocrinol 455:62)。これを裏付けて、多くの研究は、複数モデル生物およびヒトにおける上昇したNADレベルは、健康の改善およびより長い寿命に関連することを実証した(Fang et al,2016,Cell Metab 24:566;Fang et al,2019,Nat Comms 10:5284;Lehmann et al,2017,Biol Open,6:141;Martens et al,2018,Nat Comms 9:1286;Mitchell et al,2018,Cell Metab 27:667;Covarrubias et al,2021,Nat Rev Mol Cell Biol 22:119;Perez et al,2021,Mech Ag & Dev 197:111499)。その結果、加齢随伴病におけるNAD代謝の役割の特徴付け、およびNADレベルを高める薬理学的または栄養補助食品による介入の開発に対する関心が増大した。これに関しては、ニコチンアミドリボシド(NR)およびニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)などのNAD前駆物質によるNADレベルの回復がかなりの関心を集め(概説は、Covarrubias et al,2021,Nat Rev Mol Cell Biol 22:119;Perez et al,2021,Mech Ag & Dev 197:111499を参照されたい)、また、例えば、CD38を抑制することによるNAD消費の抑制が加齢関連障害および神経疾患のための有用な治療手法として登場した。
【0005】
CD38
表面抗原分類(CD38)は、i)その加水分解酵素機能を介して細胞および組織NAD恒常性(Chini,2009,Curr Pharm Des 15:57)およびii)CD38sシクラーゼ酵素活性を介してセカンドメッセンジャーADPRおよびサイクリックADPR(cADPR)の生成に関与し、続けて、細胞内カルシウムシグナル伝達に関与する多機能タンパク質である(Lee & Aarhus,1991,Cell Regul 3:203;Malavasi et al,2008,Physiol Rev 88:841)。CD38は、II型膜配向を有し、触媒部位が細胞の外側を向いている(Chini,2009,Curr Pharm Des 15:57;Malavasi et al,2008,Physiol Rev 88:841)。NADヌクレオシダーゼ-CD38のためのほとんどの基質が細胞内にあると予測されることを考慮すれば、これは幾分逆説的であるが、しかし、現在では、NADのみでなく、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)およびニコチンアミドリボシド(NR)などの循環NAD前駆物質も、それらが細胞内のNAD生合成経路に組み込まれ得る前に、CD38により分解されることは明らかである(Yoshino et al,2018,Cell Metab 27:513)。さらに、CD38はまた、核膜、ミトコンドリア、および小胞体などの細胞内膜中でも観察され(Zhao et al,2012,Sci Signal 5:ra67;Shrimp et al,2014,J Am Chem Soc 136:5656)、ほんのわずかのCD38はまた、触媒的部位が細胞の内側を向いているIII型原形質膜タンパク質としても発現され(Lui et al,2017,Proc Natl Acad Sci USA.114:8283)、さらにCD38の細胞内および細胞外型も報告された(Chini,2009,Curr Pharm Des 15:57;Malavasi et al,2008,Physiol Rev 88:841)。NAD恒常性の調節、カルシウムシグナル伝達、およびそれに続く細胞機能におけるCD38の異なる細胞プールの相対的役割および寄与は、このように複雑で、未だに明確に理解されていない。CD38は、1つのcADPR分子を生成するために、ほぼ百個のNAD分子を加水分解するので、それは、極めて非効率的なセカンドメッセンジャー生成酵素であることは明らかであり(Beers et al,1995,J Clin Invest 95:2385;Kim et al,1993,Science 261:1330)、従って、NAD恒常性におけるその役割は、他のNAD利用酵素に比較して、その高基質親和性および代謝回転率により反映されるその主要機能であり得る。
【0006】
CD38は、脳内でマウス(Ceni et al,2003,Biochem J 370:175)、ラット(Yamada et al,1997,Brain Res 756:52;Braidy et al,2014,Biogerontology 15:177)およびヒト(Mizuguchi et al,1995,Brain Res 697:235)を含む種をまたいで発現される。ヒト脳では、CD38は、実質上全ての脳領域で発現され、最高の発現レベルは、尾状、淡蒼球、嗅球、被殻、視床、および前帯状回中にあることを指摘することは興味深い(Quintana et al,2019,Nat Comms 10:668)。文献の証拠は、CD38は、ニューロン中で(Yamada et al,1997,Brain Res 756:52;Mizuguchi et al,1995,Brain Res 697:235)、星状膠細胞中で(Yamada et al,1997,Brain Res 756:52;Kou et al,2009,J Neurosci Res 87:2326)およびミクログリア細胞中で(Ma et al,2012,Biochem Biophys Res Commun 418:714;Mayo et al,2008,J Immunol 181:92)発現されることを示唆する。しかし、出願者らの自社データは、CD38発現は、ヒト前脳構造の星状膠細胞中で優位を有する。
【0007】
CD38の機能は、マウスでは、免疫、代謝機能不全、および行動障害に対する効果と関連している(Barbosa et al,2007,FASEB J 21:3629;Lopatina et al,2012,Front Neurosci 6:182)。組織NADレベルは、CD38欠損マウスで有意により高いことが明らかになり、CD38は哺乳類組織における主要NAD代謝酵素(NADヌクレオシダーゼ)であることを示唆している。同時に、CD38の発現および活性は、加齢と共に増加し、CD38は、少なくとも一部は、加齢関連NAD低下と、それに続く、ミトコンドリアの機能不全の原因であることが実証された(Camacho-Pereira et al,2016,Cell Metab 23:1127)。さらに、低下したNADレベルは、アルツハイマー病(Sonntag et al,2017,Sci Rep 7:14038)、パーキンソン病(Wakade et al,2014,PLoS ONE 9:e109818)、筋萎縮性側索硬化症(Wang et al,2017,Cell Rep 20:2184)、ならびに多発性硬化症(Braidy et al,2013,Brain Res 1537:267)を含む神経変性疾患の間の共通の観察結果である。従って、CD38活性の低減、NADの細胞レベルの増大およびその後に続く多種のNAD関連経路の調節は、一連の脳および炎症性疾患に対する治療的に有望な手法であろう。
【0008】
CD38阻害剤の治療的有用性
CD38ノックアウト(KO)マウスを用いたいくつかの実験データは、神経変性(Blacher et al,2015,Ann Neurol 78:88;Long et al,2017,Neurochem Res 42:283;Takaso et al,2020,Sci Rep 10:17795)および神経炎症(Choe et al,2011,PLoS ONE 6:e19046;Raboon et al,2019,Front Cell Neurosci 13:258;for review see Guerreiro et al,2020,Cells 9:471)のモデルのCD38欠失の好ましい効果を示し、さらに、CD38阻害剤分子は、マウスにおける加齢関連NAD低下および生理学的加齢効果を逆転させた(Tarrago et al,2018,Cell Metab 27:1081)。CD38 KOマウスとアルツハイマー病マウスモデルのAPPswePS1DE9モデルとの交雑は、モリス水迷路行動課題の機能特性の改善と相関した効果である、アミロイドプラーク沈着および可溶性Aβレベルを低減した(Blacher et al,2015,Ann Neurol 78:88)。
【0009】
脳卒中モデルでは、CD38欠損マウスは、炎症促進性のサイトカインの局所発現の減少ならびに虚血傷害および神経障害の低減を示した(Choe et al,2011,PLoS ONE 6:e19046)が、一方では、Longらは(Long et al,2017,Neurochem Res 42:283)、CD38 KOマウスでの虚血発作後の組織学的および神経学的結果の改善を示した。多発性硬化症のモデルでは、CD38欠損は、マウスの実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の結果の重症度を低減し(Herrmann et al,2016,Dis Mods Mechs 9:1211)、脱髄のマウスモデルの神経炎症を抑制した(Raboon et al,2019,Front Cell Neurosci 13:258)。同様に、CD38の欠失またはNADの補充は、マウス顔面神経切断モデルの軸索変性を減少させる(Takaso et al,2020,Sci Rep 10:17795)。興味深いことに、トランスクリプトームワイド関連解析は、CD38をパーキンソン病に対する潜在的感受性遺伝子として特定した(Yao et al,2021,npj Parkinsons Dis 7:79)。加えて、CD38 KOマウスは、アルツハイマー病のリスク因子として認識されている肥満症および代謝症候群に対して保護される(Barbosa et al,2007,FASEB J 21:3629;Chiang et al,2015,PLoS ONE 10:e0134927)。神経炎症はこれらの疾患の多くに対する主要な寄与因子であることが示されたので(Ransohoff,2016,Science 353:777)、脳および末梢の免疫細胞に与えるCD38の調節性の影響はまた、CD38の種々の前臨床発作モデルに与える欠失または遮断の有益な影響に対する寄与因子である可能性が高い(概説は、Guerreiro et al,2020,Cells 9:471;Piedra-Quintero et al,2020,Front Immunol 11:597959を参照されたい)。
【0010】
まとめると、CD38の遮断を介したその分解を抑制することにより、細胞NADレベルを強化することの有用性を裏付ける有意な前臨床の証拠が存在する。アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、脳卒中および他の神経変性状態などのCNS疾患での治療的有用性は、CD38阻害剤のCNS浸透の達成に依存するであろう。しかし、CD38阻害剤はまた、自己免疫疾患、肥満症および代謝症候群などの他の状態に有用である可能性もある。
【0011】
小分子の脳浸透性
中枢神経系(CNS)は、血液脳関門(BBB)により望ましくない物質への露出から遮蔽されている。この制限は、毒素および他の潜在的に有害な分子との有害な相互作用からニューロンを保護する。BBBは、いくつかのユニークな属性および機能を有する脳毛細管内皮細胞からなる:それらは、細胞間隙経路を介する極端に低い浸透性をもたらす密着結合を有し、それらは低速度のエンドサイトーシスを有し、および、重要なのは、それらは、CNSから異種物質を認識し、折返し輸送する特異的機能を有する排出輸送タンパク質を高度に発現していることである(Gloor et al,2001,Brain Res Rev 36:258)。
【0012】
重要なのは、脳コンパートメント中の非結合薬物濃度は、神経学的および神経変性疾患のための潜在的治療薬としての分子の適合性を評価する場合に、必要と考えられる重要なパラメーターであることである:それは通常、薬理効果を発現するために、薬物の非結合部分が所望の標的を占拠するために利用可能である場合にのみ受け入れられる。
【0013】
CD38阻害剤である化合物による上記疾患および状態ならびに本明細書で記載の他の病状の治療が必要とされている。本発明は、脳浸透性CD38阻害剤を含むこのようなCD38阻害剤を提供する。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の態様は、式(I):
【化1】
[式中、
Hetは、NおよびSから独立に選択される2個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基であり、5員ヘテロアリール基は、C-Cアルキル、C-CフルオロアルキルおよびC-Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1個または2個の置換基で任意に置換されてもよく;
はCHまたはNであり、XはCHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個はNであり;
Lは、結合、CH、CHMe、CMeまたはCOであり;
はC-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、ヒドロキシル、-O-(C-Cアルキル)、または-O-(C-Cシクロアルキル)であり、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよく;
は水素、C-Cアルキル、C-Cフルオロアルキル、-CHO、-CO-(C-Cアルキル)または-CO-(C-Cフルオロアルキル)であり;
は、水素またはメチルであり;または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒にアゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イルまたはピペリジン-1-イル基を形成し、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを提供する。
【0015】
本発明の第1の態様はまた、式(I):
【化2】
[式中、
Hetは、NおよびSから独立に選択される2個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基であり、5員ヘテロアリール基は、C-Cアルキル、C-CフルオロアルキルおよびC-Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1個または2個の置換基で任意に置換されてもよく;
はCHまたはNであり、XはCHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個はNであり;
Lは、結合、CH、CHMe、CMeまたはCOであり;
はC-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、ヒドロキシル、-O-(C-Cアルキル)、または-O-(C-Cシクロアルキル)であり、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよく;
はC-Cアルキル、C-Cフルオロアルキル、-CHO、-CO-(C-Cアルキル)または-CO-(C-Cフルオロアルキル)であり;
は、水素またはメチルであり;または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒にアゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イルまたはピペリジン-1-イル基を形成し、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを提供する。
【0016】
式(I)の化合物の一実施形態では、Hetは、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリルまたはイソチアゾリル基であり、これらのそれぞれは、C-Cアルキル、C-CフルオロアルキルおよびC-Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1個または2個の置換基で任意に置換されてもよい。一実施形態では、Hetは、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリルまたはイソチアゾリル基であり、これらのそれぞれは、C-CアルキルおよびC-Cフルオロアルキルから独立に選択される1個の置換基で任意に置換されてもよい。一実施形態では、Hetは、イミダゾリル、ピラゾリルまたはチアゾリル基であり、これらのそれぞれは、メチルまたはエチルから独立に選択される1個の置換基で任意に置換されてもよい。一実施形態では、Hetは、イミダゾール-1-イル、1-メチルイミダゾール-5-イル、ピラゾール-4-イル、またはチアゾール-5-イル基である。好ましい実施形態では、Hetは、イミダゾール-1-イル、1-メチルイミダゾール-5-イルまたはチアゾール-5-イル基である。
【0017】
式(I)の化合物の一実施形態では、Xは、Nであり、XはCHである。別の実施形態では、XはCH、XはNである。好ましい実施形態では、XはNであり、XはNである。
式(I)の化合物の一実施形態では、Lは結合、CHまたはCOである。好ましい実施形態では、Lは結合である。
式(I)の化合物の一実施形態では、RはC-CアルキルまたはC-Cシクロアルキルであり、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい。一実施形態では、RはC-CアルキルまたはC-Cシクロアルキルであり、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい。一実施形態では、RはC-Cアルキルまたはシクロプロピルであり、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい。一実施形態では、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルまたはシクロプロピルである。好ましい実施形態では、Rは、メチル、エチルまたはシクロプロピルである。
式(I)の化合物の一実施形態では、RはC-CアルキルまたはC-Cフルオロアルキルである。一実施形態では、RはC-Cフルオロアルキルである。一実施形態では、RはC-Cフルオロアルキルである。好ましい実施形態では、Rは、-CHCF、-CHCHFまたは-CHCHFである。別の好ましい実施形態では、Rは、-CHCF、または-CHCHFである。
式(I)の化合物の一実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にアゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イルまたはピペリジン-1-イル基を形成し、これらのそれぞれは、1、2、3または4個のフルオロ置換基で任意に置換されてもよい。一実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にピロリジン-1-イル基を形成し、これは、1、2、3または4個のフルオロ置換基で任意に置換されてもよい。好ましい実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にピロリジン-1-イル基を形成し、これは、1、2、または3個のフルオロ置換基で置換される。別の好ましい実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にピロリジン-1-イル基を形成し、これは、2または3個のフルオロ置換基で置換される。
式(I)の化合物の好ましい実施形態では、シクロヘキシル基上の2つの置換基(-NH-および-L-)は、相互にトランスである。
【0018】
本発明の第1の態様は、式(II):
【化3】
[式中、
Hetは、NおよびSから独立に選択される2個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基であり、5員ヘテロアリール基は、C-Cアルキル、C-CフルオロアルキルおよびC-Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1個または2個の置換基で任意に置換されてもよく;
はCHまたはNであり、XはCHまたはNであり、XおよびXの少なくとも1個はNであり;
はC-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、ヒドロキシル、-O-(C-Cアルキル)、または-O-(C-Cシクロアルキル)であり、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよく;
は、C-CアルキルまたはC-Cフルオロアルキルであり;
は、水素またはメチルであり;または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒にアゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イルまたはピペリジン-1-イル基を形成し、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグをさらに提供する。
【0019】
式(II)の化合物の一実施形態では、Hetは、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリルまたはイソチアゾリル基であり、これらのそれぞれは、C-Cアルキル、C-CフルオロアルキルおよびC-Cヒドロキシアルキルから独立に選択される1個または2個の置換基で任意に置換されてもよい。一実施形態では、Hetは、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリルまたはイソチアゾリル基であり、これらのそれぞれは、C-CアルキルおよびC-Cフルオロアルキルから独立に選択される1個の置換基で任意に置換されてもよい。一実施形態では、Hetは、イミダゾリル、ピラゾリルまたはチアゾリル基であり、これらのそれぞれは、メチルまたはエチルから独立に選択される1個の置換基で任意に置換されてもよい。一実施形態では、Hetは、イミダゾール-1-イル、1-メチルイミダゾール-5-イル、ピラゾール-4-イル、またはチアゾール-5-イル基である。好ましい実施形態では、Hetは、イミダゾール-1-イル、1-メチルイミダゾール-5-イルまたはチアゾール-5-イル基である。
式(II)の化合物の一実施形態では、Xは、Nであり、XはCHである。別の実施形態では、XはCHであり、XはNである。好ましい実施形態では、XはNであり、XはNである。
式(II)の化合物の一実施形態では、RはC-CアルキルまたはC-Cシクロアルキルであり、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい。一実施形態では、RはC-CアルキルまたはC-Cシクロアルキルであり、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい。一実施形態では、RはC-Cアルキルまたはシクロプロピルであり、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい。一実施形態では、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルまたはシクロプロピルである。好ましい実施形態では、Rは、メチル、エチルまたはシクロプロピルである。
式(II)の化合物の一実施形態では、Rは、C-Cフルオロアルキルである。一実施形態では、RはC-Cフルオロアルキルである。好ましい実施形態では、Rは、-CHCF、-CHCHFまたは-CHCHFである。別の好ましい実施形態では、Rは、-CHCF、または-CHCHFである。
式(II)の化合物の一実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にアゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イルまたはピペリジン-1-イル基を形成し、これらのそれぞれは、1、2、3または4個のフルオロ置換基で任意に置換されてもよい。一実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にピロリジン-1-イル基を形成し、これは、1、2、3または4個のフルオロ置換基で任意に置換されてもよい。好ましい実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にピロリジン-1-イル基を形成し、これは、1、2、または3個のフルオロ置換基で置換される。別の好ましい実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にピロリジン-1-イル基を形成し、これは、2または3個のフルオロ置換基で置換される。
式(II)の化合物の好ましい実施形態では、シクロヘキシル基上の2つの置換基(-NH-および-NR)は、相互にトランスである。
【0020】
本発明の第1の態様は、式(III):
【化4】
[式中、
各W、X、YおよびZは独立に、CH、CMe、N、NH、NMeまたはSであり、W、X、YおよびZの2個は、CHまたはCMeであり、およびW、X、YおよびZの他の2個はN、NH、NMeまたはSであり;
はC-CアルキルまたはC-Cシクロアルキルであり;
は、C-CアルキルまたはC-Cフルオロアルキルであり;
は、水素またはメチルであり;または
およびRは、それらが結合している窒素と一緒にアゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イルまたはピペリジン-1-イル基を形成し、これらのそれぞれは、任意にフルオロ置換されてもよい]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグをさらに提供する。
【0021】
誤解を避けるために記すと、基
【化5】
は、NおよびSから独立に選択される2個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基であり、5員ヘテロアリール基は、1個または2個のメチル基で任意に置換されてもよいことに留意されたい。
【0022】
式(III)の化合物の一実施形態では、WはCH、NまたはNHであり;XはCH、NまたはNHであり;YはCH、N、NH、NMeまたはSであり;およびZはCまたはNである。一実施形態では、WはCHまたはNであり;XはCH、NまたはNHであり;YはCH、NMeまたはSであり;およびZはCまたはNである。一実施形態では、基
【化6】
は、イミダゾール-1-イル、1-メチルイミダゾール-5-イル、ピラゾール-4-イル、またはチアゾール-5-イル基である。好ましい実施形態では、基
【化7】
は、イミダゾール-1-イル、1-メチルイミダゾール-5-イル、またはチアゾール-5-イル基である。
式(III)の化合物の一実施形態では、RはC-Cアルキルまたはシクロプロピルである。一実施形態では、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルまたはシクロプロピルである。好ましい実施形態では、Rは、メチル、エチルまたはシクロプロピルである。
式(III)の化合物の一実施形態では、RはC-Cフルオロアルキルである。一実施形態では、RはC-Cフルオロアルキルである。好ましい実施形態では、Rは、-CHCF、-CHCHFまたは-CHCHFである。別の好ましい実施形態では、Rは、-CHCF、または-CHCHFである。
式(III)の化合物の一実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にアゼチジン-1-イル、ピロリジン-1-イルまたはピペリジン-1-イル基を形成し、これらのそれぞれは、1、2、3または4個のフルオロ置換基で任意に置換されてもよい。一実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にピロリジン-1-イル基を形成し、これは、1、2、3または4個のフルオロ置換基で任意に置換されてもよい。好ましい実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にピロリジン-1-イル基を形成し、これは、1、2、または3個のフルオロ置換基で置換される。別の好ましい実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にピロリジン-1-イル基を形成し、これは、2または3個のフルオロ置換基で置換される。
式(III)の化合物の好ましい実施形態では、シクロヘキシル基上の2つの置換基(-NH-および-NR)は、相互にトランスである。
【0023】
本発明の第2の態様は、下記から選択される化合物を提供する:
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
6-シクロプロピル-N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
6-メチル-2-(1-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
6-メチル-2-(チアゾール-5-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
6-エチル-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-(メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-6-メチル-2-(チアゾール-5-イル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-((2-フルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1s,4s)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1s,4r)-4-((S)-3-フルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド;
6-メチル-2-(1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-6-メチル-2-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
4-シクロプロピル-N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピコリンアミド;
N-((1r,4r)-4-(エチルアミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-ピリミジン-4-カルボキサミド;
4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピコリンアミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1S,4r)-4-(((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1R,4r)-4-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
6-メチル-2-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-(((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)メチル)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)カルバモイル)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
N-((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-ピリミジン-4-カルボキサミド;
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル-1,1-d)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド;
または前述のいずれかの鏡像異性体;
または前述のいずれかの薬学的に許容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【0024】
好ましくは、第1または第2の態様の化合物は、HPLCまたはUPLCで測定して、95%以上、好ましくは96%以上、好ましくは97%以上、好ましくは98%以上、好ましくは99%以上、好ましくは99.5%以上、好ましくは99.8%以上、好ましくは99.9%以上の化学純度を有する。
好ましくは、第1または第2の態様の化合物は、XRPDまたはSFCで測定して、95%以上、好ましくは96%以上、好ましくは97%以上、好ましくは98%以上、好ましくは99%以上、好ましくは99.5%以上、好ましくは99.8%以上、好ましくは99.9%以上の立体化学純度を有する。
【0025】
本発明の第3の態様は、本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグの調製方法を提供し、該方法は、式(IV)の化合物を式(V):
【化8】
[式中、Het、X、X、L、R、RおよびRは、本発明の第1または第2の態様で定義の通りであり;Yは、-OH、-OR、-O-CO-Rまたは-Clであり;およびRはC-Cアルキルである]のアミンと反応させるステップ、およびその後、必要に応じ、下記の手順の内の1種または複数を実施するステップを含む:
-式(I)、(II)または(III)の化合物を別の式(I)、(II)または(III)の化合物に変換する手順;
-全ての保護基を除去する手順;
-薬学的に許容可能な塩を形成する手順。
Yが-OHである場合、式(IV)の化合物は、カルボン酸(IVA)である。Yが-ORである場合、式(IV)の化合物は、エステル(IVB)である。Yが-CO-Rである場合、式(IV)の化合物は、無水物(IVC)である。Yが-Clである場合、式(IV)の化合物は、酸塩化物(IVD)である。
【0026】
カルボン酸(IVA)を式(V)のアミンと反応させるステップは、HATUまたはT3Pなどのカップリング剤、およびDIPEAまたはTEAなどの塩基の存在下で実施し得る。典型的には、DMF、NMPまたはDCMが溶媒として使用されるが、他の極性非プロトン性溶媒も使用できる。通常、反応は、約20~50℃(典型的には、約25℃)で実施され、0.5~5時間(典型的には、約1~2時間)を要する。
【0027】
エステル(IVB)を式(V)のアミンと反応させるステップは、トルエンなどの非極性溶媒中でトリメチルアルミニウムの存在下で実施し得る。通常、反応は、約70~100℃(典型的には、約90℃)で実施され、0.5~5時間(典型的には、約1~2時間)を要する。
【0028】
無水物(IVC)を式(V)のアミンと反応させるステップは、DIPEAまたはTEAなどの塩基の存在下で実施し得る。典型的には、DMF、NMPまたはDCMが溶媒として使用されるが、他の極性非プロトン性溶媒も使用できる。通常、反応は、約20~50℃(典型的には、約25℃)で実施され、0.5~5時間(典型的には、約1~2時間)を要する。
【0029】
式(IVA)のカルボン酸および式(IVB)のエステルは、スキーム1に示すように調製され得る。
【化9】
【0030】
ステップ(a)では、エステル(VI)(この場合、Zは塩素などの脱離基である)を、通常、DIPEAまたはTEAなどの塩基の存在下でイミダゾールなどのヘテロアリール化合物と反応させて、エステル(IVB)を得る。典型的には、DMFが溶媒として使用される。通常、反応は、約90~110℃(典型的には、約100℃)で実施され、2~24時間(典型的には、約4~12時間)を要する。反応は、窒素の雰囲気下で実施され得る。
ステップ(b)では、エステル(IVB)は、LiOHなどの塩基による処理により、カルボン酸(IVA)に変換される。典型的には、THFおよび水が溶媒として使用される。通常、反応は、約20~50℃(典型的には、約25℃)で実施され、0.5~5時間(典型的には、約1~2時間)を要する。
あるいは、カルボン酸(IVA)は、エステル(VI)から一段階過程で調製され得る。ステップ(c)では、エステル(VI)を、例えば、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル基、例えば、1-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イミダゾール、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)チアゾールまたは1-テトラヒドロピラン-2-イル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピラゾールで活性化したヘテロアリール化合物と反応させて、カルボン酸(IVA)を直接得る。エステル(VI)および活性化ヘテロアリール化合物は、CsCOおよびPd(dppf)Clの存在下で反応させ得る。典型的には、ジオキサンおよび水が溶媒として使用される。通常、反応は、約80~100℃(典型的には、約90℃)で実施され、0.5~5時間(典型的には、約1~2時間)を要する。通常、反応は、窒素の雰囲気下で実施される。
【0031】
はNでXはCHの場合、式(IVB’)のメチルエステルおよび式(IVA’)のカルボン酸は、スキーム2に示すように調製され得る。
【化10】
【0032】
ステップ(d)では、2,6-ジクロロ-4-ヨードピリジン(VIII)は、イミダゾールナトリウムなどのヘテロアリール塩と反応させて化合物(IX)を得る。典型的には、THFが溶媒として使用される。通常、反応は、約50~70℃(典型的には、約60℃)で実施され、約6~24時間(典型的には、約12時間)を要する。必要なヘテロアリール塩は、イミダゾールなどのヘテロアリール化合物を、NaHなどの塩基で処理することにより、調製され得る。典型的には、THFが溶媒として使用され;典型的には、反応は約0℃で実施され、約0.1~2時間(典型的には約0.5時間)を要する。ステップ(e)では、化合物(IX)を、通常、KPO、PCy・BFおよびPd(OAc)の存在下でボロン酸R-B(OH)と反応させて化合物(X)を得る。典型的には、水およびトルエンが溶媒として使用される。通常、反応は、約100~120℃(典型的には、約110℃)で実施され、約3~12時間(典型的には、約6時間)を要する。通常、反応は、窒素の雰囲気下で実施される。ステップ(f)では、化合物(X)は、典型的には、TEAおよびPd(dppf)Clの存在下で一酸化炭素およびメタノールで処理され得、メチルエステル(IVB’)を得る。通常、反応は、約70~90℃(典型的には、約80℃)で実施され、約12~24時間(典型的には、約16時間)を要する。ステップ(g)では、メチルエステル(IVB’)は、LiOHなどの塩基による処理により、カルボン酸(IVA’)に変換される。典型的には、THFおよび水が溶媒として使用される。通常、反応は、約20~30℃(典型的には、約25℃)で実施され、約0.5~5時間(典型的には、約1~2時間)を要する。
【0033】
式(I)、(II)または(III)の化合物を別の式(I)、(II)または(III)の化合物に変換する例は、実施例28で見つけることができる。-式(I)、(II)または(III)の化合物を別の式(I)、(II)または(III)の化合物に変換するステップは、アルキル化反応により実施し得、水素であるRは、別のR基により置換され、または水素であるRは、別のR基により置換される。通常、アルキル化反応では、RまたはRが水素である式(I)、(II)または(III)の化合物は、化合物LG-RまたはLG-R(式中、LGは脱離基で、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード-などのハロ、硫酸基(例えば、硫酸メチル)、またはスルホン酸基(例えば、メシレート、トリフレート、またはトシレート)であり、RおよびRは、本発明の第1または第2の態様で定義の通りである)と結合し得る。通常、反応は、KCOなどの塩基の存在下で、典型的には、KIおよび1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカンの更なる存在下で実施される。通常、反応は、DMFなどの溶媒中で、約80~100℃(典型的には、約90℃)で実施され、約1時間を要する。
【0034】
当業者には、本発明の方法では、試薬中のフェノール、ヒドロキシまたはアミノ基などの特定の官能基は、保護基により保護される必要があり得ることは理解されよう。従って、本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグの調製は、適切な段階で、1種または複数の保護基の導入および/または除去を含み得る。1種または複数の保護基の導入および/または除去の例は、実施例28で見つけることができる。
【0035】
官能基の保護および脱保護は、例えば、「Protective Groups in Organic Chemistry」,edited by J.W.F.McOmie,Plenum Press(1973);「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」,4th edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Wiley-Interscience(2007);および「Protecting Groups」,3rd edition,P.J.Kocienski,Thieme(2005)に記載されている。
【0036】
本発明の第1および第2の態様の化合物は、薬学的に許容可能なその塩、好ましくは酸付加塩、例えば、蟻酸塩、ヘミ蟻酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、サッカリン塩(例えば、モノサッカリン塩)、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、半フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、吉草酸塩、プロパン酸塩、ブタン酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩(キシナホ酸塩)、メタンスルホン酸塩またはp-トルエンスルホン酸塩に変換され得る。本発明の一実施形態では、第1および第2の態様の化合物は、塩酸塩、蟻酸塩またはフマル酸塩の形態である。本発明の第1および第2の態様の化合物の薬学的に許容可能な塩の例は、実施例9、19および27で見つけ得る。
本発明の第1または第2の態様の化合物の塩は、第1または第2の態様の化合物のプロトン酸性官能基および好適なカチオンとの間でも形成され得る。適切なカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態では、塩は、ナトリウムまたはカリウム塩である。
本発明の第1および第2の態様の化合物およびそれらの塩は、本発明の別の実施形態を構成する水和物または溶媒和物の形態であってもよい。このような溶媒和物は、限定されないが、アルコール溶媒、例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールを含む一般有機溶媒を用いて形成されてもよい。
本発明の一実施形態では、治療的に不活性のプロドラッグが提供される。プロドラッグは、ヒトなどの対象に投与されると、全体が、または一部が第1または第2の態様の化合物に変換される化合物である。一般に、プロドラッグは、インビボで活性薬物分子に変換されて治療効果を発揮し得る薬理学的に不活性な化学的誘導体である。本発明の第1および第2の態様のいずれの化合物も、プロドラッグとして投与されて、化合物の活性、生物学的利用度もしくは安定性を上昇させることができ、または他の方法で化合物の特性を変えることができる。プロドラッグの典型的な例としては、活性化合物の官能基部分にある生物学的に不安定な保護基を有する化合物が挙げられる。プロドラッグとしては、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、水酸化、脱水酸化、加水分解、脱加水分解、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化、および/または脱リン酸化されて、活性化合物を生成し得る化合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明はまた、上述のようなプロドラッグの塩および溶媒和物を包含する。
【0037】
本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグは、立体異性体の形態で存在できる場合、本発明は、全ての幾何学的および光学異性体(アトロプ異性体を含む)およびこれらの混合物の使用を包含することは理解されよう。互変異性体およびこれらの混合物の使用はまた、本発明の実施形態を形成する。本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグは、少なくとも1つのキラル中心を含有し得る。化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグは、少なくとも2種の異性体型で存在し得る。本発明は、本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグのラセミ混合物、ならびに鏡像異性体が濃縮された異性体および実質的に鏡像異性体として純粋な異性体を包含する。本発明においては、化合物の「鏡像異性体として実質的に純粋な」異性体は、5重量%未満の、より典型的には2%重量未満の、より典型的には1%重量未満の、最も典型的には0.5%重量未満の同じ化合物の他の異性体を含む。エナンチオマーとして純粋な異性体は特に望ましい。
【0038】
本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグは、限定されないが、12C、13C、H、H(D)、14N、15N、16O、17O、18O、19Fおよび127Iを含む任意の安定同位体、ならびに限定されないが、11C、14C、H(T)、13N、15O、18F、123I、124I、125Iおよび131Iを含む任意の放射性同位元素を含み得る。従って、用語「水素」は、例えば、H、H(D)およびH(T)を包含する。同様に、炭素原子は、11C、12C、13Cおよび14Cを含むと理解されるべきであり、窒素原子は、13N、14Nおよび15Nを含むと理解されるべきであり、酸素原子は、15O、16O、17Oおよび18Oを含むと理解されるべきであり、フッ素原子は18Fおよび19Fを含むと理解されるべきであり、およびヨウ素原子は、123I、124I、125I、127Iおよび131Iを含むと理解されるべきである。
【0039】
一実施形態では、本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグは、同位体標識され得る。本明細書で使用される場合、「同位体標識」化合物は、分子内の特定の原子位置に特定の核種の存在量が天然で発生するレベルを超えて増やされる化合物である。本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグのいずれか、例えば、実施例1~16または19~28のいずれかは、同位体標識され得る。
【0040】
一実施形態では、本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグは、1種または複数の放射標識を有し得る。このような放射標識は、化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグの合成中に放射標識含有試薬を用いることにより導入し得る、または化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグを放射性の金属原子に結合できるキレート化部分に結合することにより導入し得る。このような放射標識型の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグを、例えば、画像診断試験で使用し得る。
【0041】
一実施形態では、本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグは、トリチウム標識され得、即ち、それらは、1個または複数のH(T)原子を含む。本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグのいずれかは、例えば、実施例1~16または19~28のいずれかは、トリチウム標識できる。
【0042】
本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグは、非晶質、または多形型、またはこれらのいずれかの混合物であってよく、これらのそれぞれは、本発明の実施形態である。
【0043】
本発明の化合物、塩、溶媒和物およびプロドラッグは医薬品としての活性を有し、CD38活性に関連する疾患、障害または状態の治療または予防に使用し得る。CD38活性に関連する疾患、障害および状態には下記が挙げられる:
-次記を含むCNS疾患およびCNSを介した治療を必要とする疾患:パーキンソン病(Camacho-Pereira et al,2016,Cell Metab 23:1127;Perez et al,2021,Mech Ag & Dev 197:111499;Wakade et al,2014,PLoS ONE 9:e109818;Yao et al,2021,npj Parkinsons Dis 7:79));アルツハイマー病(Alzheimer’s disease(Blacher et al,2015,Ann Neurol 78:88;Sonntag et al,2017,Sci Rep 7:14038);前頭側頭型認知症;進行性核上麻痺(PSP);タウオパチー;他の非アルツハイマー痴呆;脳卒中および虚血発作(Choe et al,2011,PLoS ONE 6:e19046);外傷性脳損傷(TBI)(Long et al,2017,Neurochem Res 42:283;Takaso et al,2020,Sci Rep 10:17795);多発性硬化症(Herrmann et al,2016,Dis Mods Mechs 9:1211;Raboon et al,2019,Front Cell Neurosci 13:258);マックル・ウェルズ症候群などの関連神経損傷を有する自己免疫疾患;筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの運動ニューロン疾患(Wang et al,2017,Cell Rep 20:2184);軸索神経障害および糖尿病性ニューロパチーなどの軸索変性(Lin et al,2016,Cell Rep 17:69);ウォーラー変性(Essuman et al,2017,Neuron 93:1334;Takaso et al,2020,Sci Rep 10:17795;Krauss et al,2020,TiPS 41:281);毛細血管拡張性運動失調症、フリードライヒ失調症および脊髄小脳失調症7(SCA7)などの他の運動失調(Fang et al,2016,Cell Metab 24:566);
-加齢および老化(Chini et al,2017,Mol Cell Endocrinol 455:62;Verdin,2015,Science 350:1208;Imai & Guarente,2014,Trends Cell Biol 24:464;Schultz & Sinclair,2016,Cell Metab 23:965);
-神経炎症(Choe et al,2011,PLoS ONE 6:e19046;Raboon et al,2019,Front Cell Neurosci 13:258;Guerreiro et al,2020,Cells 9:471;Najjar et al,2013,J Neuroinflamm 10:43);
-うつ病、統合失調症、不安症、ストレスおよび外傷後ストレス障害(PTSD)(Tabak et al,2016,Clin Psychol Sci 4:17);
-緑内障および加齢黄斑変性(AMD)(Cimaglia et al,2020,Nutrients 12:2871;Jadeja et al,2020,Oxidative Medicine and Cellular Longevity article 2692794);
-聴力損失(Brown et al,2014,Cell Metab 20:1059;Nakanishi et al,2020,Frontiers in Neurology 11:article 141;Okur et al,2020,npj Aging and Mechanisms of Disease 6:1);
-自己免疫疾患、例えば、関節リウマチ(RA)およびループス(Cole et al,2018,Arthritis Research & Therapy 20:85;Garcia-Rodriguez et al,2018,Scientific Reports 8:3357);
-肥満症および代謝症候群(Barbosa et al,2007,FASEB J 21:3629;Chiang et al,2015,PLoS ONE 10:e0134927)。
【0044】
従って、本発明の第4の態様は、療法、特に、CD38活性に関連する疾患、障害または状態の治療または予防に使用するための本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0045】
本発明の第4の態様は、CNS疾患、CNSを介した治療を必要とする疾患、神経変性状態、神経疾患、加齢関連障害、または炎症性疾患の治療または予防に使用するための、本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
本発明の第4の態様はまた、パーキンソン病;アルツハイマー病;前頭側頭型認知症;進行性核上麻痺;タウオパチー;別の非アルツハイマー型認知症;脳卒中;虚血発作;外傷性脳損傷;多発性硬化症;マックル・ウェルズ症候群などの関連神経損傷を有する自己免疫疾患;筋萎縮性側索硬化症などの運動ニューロン疾患;軸索神経障害または糖尿病性ニューロパチーなどの軸索変性;ウォーラー変性;毛細血管拡張性運動失調症;フリードライヒ失調症;脊髄小脳失調症7などの別の運動失調;加齢;老化;神経炎症;うつ病;統合失調症;不安症;ストレス;外傷後ストレス障害;緑内障;加齢黄斑変性;聴力損失;関節リウマチまたはループスなどの自己免疫疾患;肥満症;または代謝症候群の治療または予防に使用するための、本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0046】
本発明の第5の態様は、CD38活性に関連する疾患、障害または状態の治療または予防用の薬物の製造ための本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグの使用を提供する。
本発明の第5の態様はまた、CNS疾患、CNSを介した治療を必要とする疾患、神経変性状態、神経疾患、加齢関連障害、または炎症性疾患の治療または予防用の薬物の製造のための、本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグの使用を提供する。
本発明の第5の態様はまた、パーキンソン病;アルツハイマー病;前頭側頭型認知症;進行性核上麻痺;タウオパチー;別の非アルツハイマー型認知症;脳卒中;虚血発作;外傷性脳損傷;多発性硬化症;マックル・ウェルズ症候群などの関連神経損傷を有する自己免疫疾患;筋萎縮性側索硬化症などの運動ニューロン疾患;軸索神経障害または糖尿病性ニューロパチーなどの軸索変性;ウォーラー変性;毛細血管拡張性運動失調症;フリードライヒ失調症;脊髄小脳失調症7などの別の運動失調;加齢;老化;神経炎症;うつ病;統合失調症;不安症;ストレス;外傷後ストレス障害;緑内障;加齢黄斑変性;聴力損失;関節リウマチまたはループスなどの自己免疫疾患;肥満症;または代謝症候群の治療または予防用の薬物の製造のための、本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグの使用を提供する。
【0047】
本発明の第6の態様は、CD38活性に関連する疾患、障害または状態の治療または予防方法を提供し、該方法は、治療または予防有効量の本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグをそれを必要としている患者へ投与することを含む。
本発明の第6の態様はまた、CNS疾患、CNSを介した治療を必要とする疾患、神経変性状態、神経疾患、加齢関連障害、または炎症性疾患の治療または予防の方法を提供し、該方法は、治療または予防有効量の本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグを、それを必要としている患者に投与することを含む。
本発明の第6の態様はまた、パーキンソン病;アルツハイマー病;前頭側頭型認知症;進行性核上麻痺;タウオパチー;別の非アルツハイマー型認知症;脳卒中;虚血発作;外傷性脳損傷;多発性硬化症;マックル・ウェルズ症候群などの関連神経損傷を有する自己免疫疾患;筋萎縮性側索硬化症などの運動ニューロン疾患;軸索神経障害または糖尿病性ニューロパチーなどの軸索変性;ウォーラー変性;毛細血管拡張性運動失調症;フリードライヒ失調症;脊髄小脳失調症7などの別の運動失調;加齢;老化;神経炎症;うつ病;統合失調症;不安症;ストレス;外傷後ストレス障害;緑内障;加齢黄斑変性;聴力損失;関節リウマチまたはループスなどの自己免疫疾患;肥満症;または代謝症候群の治療または予防方法を提供し、該方法は、治療または予防有効量の本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグを、それを必要としている患者に投与することを含む。
【0048】
特に断りのない限り、本発明の第4、第5または第6の態様のいずれかにおいて、対象または患者は、任意のヒトまたは他の動物であってよい。典型的には、対象または患者は、哺乳類、より典型的にはヒトまたは家畜化哺乳類、例えば雌ウシ、ブタ、子羊、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、マウスなどである。最も典型的には、対象は、ヒトである。
【0049】
本明細書の場合、特に反対の指示がない限り、用語「療法」はまた、「予防」も含む。用語「治療的(therapeutic)」および「治療的に(therapeutically)」は、それに応じて解釈されるべきである。
【0050】
予防は、当該障害または状態の以前の症状が発現している、または他の理由でそのリスクが増大していると考えられるヒトの治療に特に適切であることが予測される。特定の障害または状態を発症するリスクが高いヒトは、通常、該障害または状態の家族歴があるか、または、遺伝子試験またはスクリーニングにより該障害または状態の発症に特に感受性であることが特定されたヒトを含む。
【0051】
用語「治療する(treat)」、「治療(treatment)」および「治療すること(treating)」は、本明細書で記載の状態の改善を含む。用語「治療する(treat)」、「治療(treatment)」および「治療すること(treating)」は、必ずしも全ての症状の完全な消失または状態の治癒を示すものではないが、本明細書で記載の状態の状況または進行を遅延、中断、阻止、または停止させる全ての過程を含む。用語「治療する(treat)」、「治療(treatment)」および「治療すること(treating)」は、このような状態の治療ならびに予防処置を含むことを意図している。
【0052】
上記治療的使用の場合、投与量は、無論、用いる化合物、投与方法、所望の治療および適応される障害により変化する。例えば、経口または非経口的投与による本発明の化合物(即ち、式(I)、(II)または(III)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグ)の毎日投与量は、0.01(μg/kg体重)~500(mg/kg体重)の範囲であり得る。所望の投与量は、適切な間隔、例えば、1日おきに1回、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回などの適切な間隔で示してよい。
【0053】
化合物およびその許容可能な塩、溶媒和物およびプロドラッグは、それら単独で使用し得るが、通常、有効成分が薬学的に許容可能な補助剤、希釈剤または担体を一緒にして医薬組成物の形態で投与される。
【0054】
従って、本発明の第7の態様は、本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグを、薬学的に許容可能な補助剤、希釈剤または担体、および必要に応じ、1種または複数の他の治療薬を一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0055】
本発明は、本発明の第1または第2の態様による化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグを薬学的に許容可能な補助剤、希釈剤または担体と混合することを含む本発明の医薬組成物の調製方法をまたさらに提供する。
【0056】
適切な医薬製剤の選択および調製のための従来の手順は、例えば、“Pharmaceutics-The Science of Dosage Form Design”,M.E.Aulton,Churchill Livingstone,1988に記載されている。
【0057】
本発明の医薬的組成物中で用いられ得る薬学的に許容可能な補助剤、希釈剤または担体は、医薬製剤の分野で従来から用いられているものであり、糖、糖アルコール、デンプン、イオン交換物質、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリセリン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン・ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含むが、これらに限定されない。
【0058】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、吸入噴霧、直腸内、経鼻、頬側、経膣、経眼、局所により、または移植リザーバー経由で投与され得る。経口投与が好ましい。本発明の医薬組成物は、任意の従来の非毒性の薬学的に許容可能な補助剤、希釈剤または担体を含んでよい。本明細書で使用される場合、用語の非経口は、皮下、皮内、真皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、クモ膜下腔内、病巣内、頭蓋内、気管内、腹腔内、関節腔内、および硬膜外注入または点滴技術を含む。本明細書で使用される場合、用語の局所は、経皮、粘膜、舌下および局所眼投与を包含する。
【0059】
医薬組成物は、無菌の注射可能製剤、例えば、無菌注入可能な水性または油性の形態であってもよい。懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤(例えば、ツイーン80など)および懸濁化剤を使用して、当技術分野で既知の技術に従って処方し得る。無菌注射可能製剤はまた、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒、例えば、1、3-ブタンジオール中の無菌の注射可能溶液または懸濁液であってもよい。使用可能な許容される希釈剤および溶媒の中でも特に、マンニトール、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液を採用し得る。加えて、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒体として従来から採用されている。この目的では、合成モノグリセリドまたはジグリセリドなどの、任意の無刺激の不揮発性油を採用し得る。オレイン酸などの脂肪酸およびそのグリセリド誘導体は、オリーブ油またはヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化型などの薬学的に許容可能な天然の油と同様に、注射剤の調製に有用である。これらの油性溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有してもよい。
【0060】
本発明の医薬組成物は、限定されないが、カプセル、錠剤、カプレット、トローチ、ロゼンジ、粉末、顆粒、および水性懸濁液、溶液、および分散剤を含む任意の経口的に許容可能な剤形で経口投与されてもよい。これらの剤形は、医薬製剤の技術分野で公知の技術により調製される。経口使用のための錠剤の場合には、よく使われる担体には、ラクトース、炭酸ナトリウムおよびカルシウム、リン酸ナトリウムおよびカルシウム、およびコーンスターチが挙げられる。潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸または滑石も通常、添加される。必要に応じ、胃腸管中での吸収を遅延させるために、錠剤は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの材料で被覆され得る。錠剤はまた、発泡性であっても、および/または溶解錠であってもよい。カプセル形態での経口投与のために有用は希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口投与される場合、有効成分は、乳化および懸濁化剤と混合され得る。必要に応じ、特定の甘味料および/または香味料および/または着色料および/または防腐剤をいずれかの経口剤形に添加し得る。
【0061】
本発明の医薬組成物はまた、薬剤の直腸投与用として、坐剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、常温では固体であるが、直腸温度では液体となり、したがって直腸で溶けて有効成分を放出する適切な非刺激性賦形剤と有効成分を混合することにより調製できる。このような物質としては、限定されないが、ココアバター、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0062】
本発明の医薬組成物は、経鼻エアロゾルまたは吸入によって投与されてもよい。このような組成物は、医薬製剤の技術分野において周知の技術により調製され、ベンジルアルコールもしくは他の好適な防腐剤、生物学的利用能を高める吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または、当該技術分野において既知の他の可溶化または分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製できる。
【0063】
眼投与の場合、本発明の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグは一般に、局所投与に適した形態、例えば点眼薬として提供されるであろう。適切な形態としては、点眼液、ゲル形成溶液、再構成用の滅菌粉末、点眼用懸濁液、点眼用軟膏、点眼用エマルジョン、点眼用ゲルおよび眼球挿入物を挙げ得る。あるいは、本発明の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグは、他のタイプの眼投与に適した形態、例えば、眼内調製物(灌流液として、眼内、硝子体内もしくは強膜近傍注射製剤として、または硝子体内インプラントとして、など)として、パックもしくは角膜シールドとして、前房内、結膜下もしくは球後注射製剤として、またはイオン導入製剤として提供されてもよい。
【0064】
経皮および他の局所投与の場合、本発明の化合物、塩、溶媒和物またはプロドラッグは、一般に、軟膏、ハップ剤(湿布)、ペースト、粉末、包帯、クリーム、プラスターまたはパッチの形態で提供されるであろう。
【0065】
投与方法に応じて、医薬組成物は、全て、総組成物を基準にした重量%で、好ましくは0.05~99重量%、より好ましくは0.05~80重量%、さらにより好ましくは0.1~70重量%、およびまたさらにより好ましくは0.1~50重量%の有効成分を含む。
【0066】
本発明の化合物はまた、上記状態の治療のために使用される他の化合物と併せて投与してもよい。
本発明は従って、本発明の化合物または医薬組成物または本発明の化合物を含む製剤は、別の治療薬または以前に示した1種または複数の状態の治療のための薬剤と共に投与される、併用療法にさらに関する。本発明の化合物または医薬組成物または本発明の化合物を含む製剤は、1種または複数の他の治療薬と同時に、それらと別々に、またはそれらに対し順次に投与され得る。本発明の化合物および1種または複数の他の治療薬は、同じ医薬組成物または製剤中に含まれてもよく、または別々の医薬組成物または製剤中に、即ち、キットの形態で含まれてもよい。
【0067】
通常、選択された投与方法は、治療または予防される障害、疾患または状態に最も適するものである。1種または複数のさらなる活性薬剤が投与される場合、投与方法は、本発明の化合物または医薬組成物の投与方法と同じであっても、または異なっていてもよい。
このような組み合わせ製剤は、本明細書で記載の投与量範囲内の本発明の化合物、および承認投与範囲内の他の薬学的活性剤を用いる。
【発明を実施するための形態】
【0068】
定義
「アルキル」基は、線状(即ち、直鎖)または分岐状であってよい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、3-メチル-2-ブチル、および2,2-ジメチル-1-プロピル基が挙げられる。特に断りのない限り、用語「アルキル」は、「シクロアルキル」を包含しない。典型的にはアルキル基は、C-C12アルキル基である。より典型的にはアルキル基は、C-Cアルキル基である。「アルキレン」基は、同様に二価アルキル基と定義される。
【0069】
「アルケニル」基は、1個または複数の炭素-炭素二重結合を有する不飽和アルキル基である。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1-ペンテニル、1-ヘキセニル、1,3-ブタジエニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニルおよび1,4-ヘキサジエニル基が挙げられる。特に断りのない限り、用語「アルケニル」は、「シクロアルケニル」を包含しない。典型的には、アルケニル基は、C-C12アルケニル基である。より典型的には、アルケニル基は、C-Cアルケニル基である。「アルケニレン」基は、同様に二価アルケニル基と定義される。
【0070】
「アルキニル」基は、1個または複数の炭素-炭素三重結合を有する不飽和アルキル基である。アルキニル基の例としては、エチニル、プロパルギル、ブタ-1-イニルおよびブタ-2-イニル基が挙げられる。典型的にはアルキニル基は、C-C12アルキニル基である。より典型的にはアルキニル基は、C-Cアルキニル基である。「アルキニレン」基は、同様に二価アルキニル基と定義される。
【0071】
「シクロアルキル」基は、例えば3~7個の炭素原子を含有する飽和ヒドロカルビル環であり、その例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。特に断りのない限り、シクロアルキル基は、単環式、二環式(例えば、架橋、縮合またはスピロ)または多環式であってよい。
【0072】
「シクロアルケニル」基は、1個または複数の炭素-炭素二重結合を有し、例えば3~7個の炭素原子を含有する非芳香族不飽和ヒドロカルビル環であり、その例としては、シクロペンタ-1-エン-1-イル、シクロヘキサ-1-エン-1-イルおよびシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イルが挙げられる。特に断りのない限り、シクロアルケニル基は、単環式、二環式(例えば、架橋、縮合またはスピロ)または多環式であってよい。
【0073】
「アリール」基は、芳香族ヒドロカルビル環である。用語「アリール」には、単環式芳香族炭化水素(フェニルなど)および多環式縮合環芳香族炭化水素(ナフチル、アントラセニルおよびフェナントレニルなど)が含まれる。特に断りのない限り、用語「アリール」は、「ヘテロアリール」を包含しない。
【0074】
「ヘテロ環」基は、環構造内に1個または複数の炭素原子および1個または複数(例えば、1、2、3または4個)のヘテロ原子、例えばN、OまたはSを含む非芳香族環式基である。ヘテロ環基は、単環式、二環式(例えば、架橋、縮合またはスピロ)または多環式であってよい。典型的には、ヘテロ環基は、4~14員ヘテロ環基であり、これは、それが4~14個の環原子を含むことを意味する。より典型的には、ヘテロ環基は、4~10員ヘテロ環基であり、これは、それが4~10個の環原子を含むことを意味する。ヘテロ環基は、不飽和のヘテロ環基(アゼチニル、テトラヒドロピリジニル、および2-オキソ-1H-ピリジニル、など)および飽和ヘテロ環基を含む。飽和単環式ヘテロ環基の例としては、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ジオキソラニル、オキサチオラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアニル、ピペラジニル、ジオキサニル、モルホリニルおよびチオモルホリニル基が挙げられる。飽和二環式ヘテロ環基の例としては、キヌクリジニル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2-アザスピロ[3.3]ヘプタニル、6-アザスピロ[2.5]オクタニルおよびヘキサヒドロ-1H-ピロリジニル基が挙げられる。
【0075】
「ヘテロアリール基」は、環構造内に1個または複数の炭素原子および1個または複数(例えば、1、2、3または4個)のヘテロ原子、例えばN、OまたはSを含む芳香族環式基である。典型的には、ヘテロアリール基は、5~14員ヘテロアリール基であり、これは、それが5~14個の環原子を含むことを意味する。より典型的には、ヘテロアリール基は、5~10員ヘテロアリール基であり、これは、それが5~10個の環原子を含むことを意味する。用語「ヘテロアリール」としては、単環式芳香族ヘテロ環(ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルおよびテトラジニル、など)および多環式縮合環芳香族ヘテロ環(インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、1H-イミダゾ[4、5-b]ピリジニル、1H-イミダゾ[4、5-c]ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、フタラジニルおよびシンノリニル、など)が挙げられる。ヘテロアリール基の例としては、以下のものが挙げられる:
【化11】
式中、G=O、SまたはNHである。
従って、NおよびSから独立に選択される2個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリール基は、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリルまたはイソチアゾリル基であり得る。
【0076】
本明細書においては、部分の組み合わせが、1個の基、例えば、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリールまたはアルキニルアリールと称される場合、最後に挙げられた部分は、それによりその基が分子の残りに結合される原子を含有する。アリールアルキル基の例は、ベンジルである。
【0077】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを包含する。一実施形態では、ハロはフルオロである。
【0078】
特に断りのない限り、基が、ハロアルキルまたはハロメチル基など、用語「ハロ」を接頭辞として付けられている場合、該当する基が、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから独立に選択される1個または複数の(例えば、1、2、3、4または5個の)ハロ基で置換されていると理解されるべきである。典型的には、ハロ置換基の最大数は、ハロの接頭辞を含まない対応する基での置換に利用可能な水素原子の数のみに限定される。例えば、「ハロメチル」基は、1、2または3個のハロ置換基を含んでもよい。「ハロエチル」「ハロフェニル」基は、1、2、3、4または5個のハロ置換基を含んでもよい。同様に、特に断りのない限り、基が特定のハロ基を接頭辞として付けている場合、該当する基は、1個または複数(例えば、1、2、3、4または5個)の特定のハロ基で置換されると理解されるべきである。例えば、用語「フルオロメチル」は、1、2または3個のフルオロ基で置換されたメチル基、および用語「フルオロエチル」は、1、2、3、4または5個のフルオロ基で置換されたエチル基を意味する。
【0079】
同様に、特に断りのない限り、基が「ハロ置換」されていると言われる場合、該当する基はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから独立に選択される1個または複数(例えば、1、2、3、4または5個)のハロ基で置換されていると理解されるべきである。典型的には、ハロ置換基の最大数は、ハロ置換を含まない対応する基での置換に利用可能な水素原子の数のみにより限定される。例えば、「ハロ置換メチル」基は、1、2または3個のハロ置換基を含んでよい。「ハロ置換エチル」または「ハロ置換フェニル」基は、1、2、3、4または5個のハロ置換基を含んでよい。同様に、特に断りのない限り、基が「フルオロ置換」基などの特定のハロ基により置換されていると言われる場合、該当する基は、1個または複数(例えば、1、2、3、4または5個)の特定のハロ基で置換されると理解されるべきである。例えば、用語「フルオロ置換メチル」は、1、2または3個のフルオロ基で置換されたメチル基を意味し、および用語「フルオロ置換エチル」は、1、2、3、4または5個のフルオロ基で置換されたエチル基を意味する。
【0080】
「ヒドロキシアルキル」基は、1つまたは複数(例えば、1、2または3個)のヒドロキシル(-OH)基で置換されたアルキル基を意味する。典型的には、ヒドロキシアルキル基は、1個または2個のヒドロキシル置換基、より典型的には、ヒドロキシアルキルは、1個のヒドロキシル置換基を有する。
【0081】
特に断りのない限り、元素への任意の参照は、その元素の全ての同位体への参照を考慮しなければならない。従って、例えば、特に断りのない限り、水素への任意の参照は、H、H(D)およびH(T)を含む全ての水素同位体を包含すると見なされる。従って、誤解を避けるために記すと、例えば、用語「アルキル」および「メチル」は、例えば、トリジュウテリオメチルを含むことに留意されたい。
【0082】
特に断りのない限り、化合物または基への任意の参照は、その化合物または基の全ての互変異性体への参照を考慮しなければならない。
【0083】
任意の化学基または部分が置換されているとして記載される場合、置換基の数および性質は、立体的に望ましくない組み合わせを回避するように選択されることは理解されよう。
【0084】
実施例
本発明は、これから、次の例示的実施例への言及により更に説明され、この場合、使用される出発材料および試薬は、市販の業者から入手、または本出願で記載のものに類似の文献の手順により調製される。
略語
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
h 時間
HATU 1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシドヘキサフルオロホスフェート
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
NMP N-メチル-2-ピロリジン
PCy・BF トリシクロヘキシルホスフィンテトラフルオロボレート
Pd(dppf)Cl [1,1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
RT 室温
SFC 超臨界流体クロマトグラフィー
P プロピルホスホン酸無水物
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
UPLC 高速液体クロマトグラフィー
【0085】
基本手順
別に定める場合を除き、核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、記載のように、400MHz、298.2Kまたは294.1Kで記録され;化学シフト(δ)は、百万分の一で記録された。スペクトルは、Bruker TopSpin 4.0.9またはBruker TopSpin 4.1.1ソフトウェアにより制御される機器を有する5mmのiprobeまたはsmart probeを備えたBruker(登録商標)400 AVANCE測定器を用いて記録した。
反応は、下記の1種または複数を用いて監視された。6130四重極LCMS結合Agilent 1290 infinity II UPLC:移動相A:HO中0.037%TFA;移動相B:CHCN中0.018%TFA ;カラム: Xtimate(登録商標)C18 2.1x30mm、3μm;カラム温度:50℃;試料温度:RT;検出(nm):220nmおよび254nm;流速:1.0mL分;分析時間:4.0分;測定質量範囲:100~1500m/z。
純度は、次記を用いて評価した:50℃で操作されるAcquity UPLC BEH、HSSまたはHSS T3 C18カラム(2.1mm idx50mm長さ)を装着し、Lab Solutionソフトウェアにより制御されるShimadzu(登録商標)Nexera X2 UPLCを用いて、広範囲の波長、通常220~254nmにわたりUV(フォトダイオードアレイ)検出を備えたUPLC。特に断りのない限り、移動相は通常、0.037%のTFAまたは0.225%のHCOOHを含むHOと混合されたCHCNからなる。質量スペクトルは、DUISイオン化を用いて、Shimadzu単一質量分析計で記録した。
化合物は、BiotageまたはISCO(登録商標)装置を使って、順相シリカクロマトグラフィーを用いて、または分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。
分取HPLCは、Gilson GX-281システムを使って、Phenomenex C18 75x30mm、3μm;Xtimate C18 100x30mm、10μm;Xtimate C18 150x40mm、10μm;Xtimate C18 150x40mm、10μm;Phenomenex C18 75x30mm、3μmまたはGemini NX C18 10x150mm、5μmカラムを用いて、室温で実施した。特に断りのない限り、移動相は通常、0.225%のギ酸または0.05%のアンモニア+10nMのNHHCOを含むHOと混合されたCHCNからなる。
超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)キラル分析は、4mL/分の流速、RT~35℃の温度および1500psiの圧力を用いて、PDA Detectorを備えたWaters UPCCで実施した。移動相は通常、超臨界COおよびCHCN、MeOH、EtOHまたはイソプロパノールなどの極性溶媒からなる。カラムタイプおよび溶出液は、個別の実施例に対して詳述される。カラム:Chiralpak OD-3 50x4.6mm、3μm;Chiralpak AD-3 50x4.6mm、3μm;Chiral NS-3 100x4.6mm、3μm;Chiral MD-3 100x4.6mm、3μm;Chiralpak IG 50x4.6mm、3μm;(S、S)-Whelk-0-1.8 50x4.6mm、1.8μm;Chiralpak OJ-3 100x4.6mm、3μm.;検出:220nm;試料希釈剤:CHCN、MeOH;注入:9μl;無勾配比率:移動相の5%~40%。
本明細書で使用される場合、「室温」は、約18℃~約25℃の範囲の温度を意味する。
【0086】
中間体の合成
中間体1:(1r,4r)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン
【化12】
ステップ1:(1r,4r)-N1,N1-ジベンジルシクロヘキサン-1,4-ジアミン・塩酸塩(6.30g、18.7mmol)、2,2,2-トリフルオロエチルトリフルオロメタンスルホネート(5.21g、22.5mmol)およびNEt(9.47g、93.6mmol)のCHCN(60mL)中溶液を70℃で12時間撹拌し、EtOAc(80mLx3)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、濾過、減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);40g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、EtOAc/石油エーテル:0~20%、80mL/分)で精製して、(1r,4r)-N,N-ジベンジル-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(4.20g、10.9mmol、58.4%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):7.16-7.38(m,10H),3.56(s,4H),3.12-3.23(m,2H),2.28-2.43(m,2H),2.02-2.13(m,1H),1.90(d,J=11.8Hz,2H),1.80(d,J=11.5Hz,2H),1.29-1.45(m,2H),0.77-0.91(m,2H).MS ES:377.4.
ステップ2:(1r,4r)-N,N-ジベンジル-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(4.10g、10.9mmol)のEtOH(40mL)中の溶液を、Pd(OH)(956mg、1.36mmol、20%純度)で処理し、脱気し、Hで3回パージした。混合物をH雰囲気下(40psi)、25℃で12時間撹拌し、セライト(登録商標)を通して濾過した。濾液を濃縮して標記化合物(2.10g、89.1%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):3.09-3.25(m,2H),2.51(s,1H),2.33(s,1H),2.10(d,J=4.6Hz,1H),1.68-1.84(m,4H),0.89-1.03(m,4H).
【0087】
中間体2:(1r,4r)-N-(2,2-ジフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン
【化13】
(1r,4r)-N,N-ジベンジルシクロヘキサン-1,4-ジアミン・塩酸塩(米国特許出願公開第2011/0034470号で記載のように調製、7.00g、20.9mmol)および2,2-ジフルオロエチルトリフルオロメタンスルホネート(5.36g、25.1mmol)を用いて、中間体1で記載のように調製し、標記化合物(1.30g、35%)を白色固体としてとして得た。
【0088】
中間体3:(1r,4r)-N-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン
【化14】
ステップ1:(1r,4r)-N,N-ジベンジル-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(500mg、1.33mmol)のTHF(10mL)中溶液を、NaH(159mg、3.98mmol、油中の60%分散液)で処理し、続けて、CHI(226mg、1.59mmol)を滴加した。混合物を25℃で12時間撹拌し、EtOAc(15mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過して、減圧下で濃縮およびフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);12g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、EtOAc/石油エーテル:0~50%、35mL/分)で精製して、(1r,4r)-N,N-ジベンジル-N-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(250mg、48%)を灰色がかった白色固体として得た。
ステップ2:(1r,4r)-N,N-ジベンジル-N-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(250mg、0.640mmol)のMeOH(10mL)中の溶液を、10%パラジウム炭素(約55%のHOで湿潤)(100mg)で処理し、脱気し、Hで3回パージした。混合物をH雰囲気下(40psi)、50℃で12時間撹拌し、セライト(登録商標)を通して濾過した。濾液を濃縮して、標記化合物(70mg、52%)を灰色がかった白色の固体として得て、これをさらに精製することなく、次のステップで使用した。
【0089】
中間体4:4-(ジベンジルアミノ)シクロヘキサノン
【化15】
1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-オン(5.00g、32.0mmol)およびジベンジルアミン(6.32g、32.0mmol)を用いて、国際公開第WO2018/114700号に記載のように調製して、標記化合物(2.75g、21%)を黄色油としてとして得た。MS ES:294.1.
【0090】
中間体5:4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピコリン酸
【化16】
ステップ1:イミダゾール(1.24g、18.3mmol)のTHF(50mL)中溶液を、NaH(876mg、21.91mmol、油中の60%分散液)を用いて0℃で処理し、0.5時間撹拌し、2,6-ジクロロ-4-ヨードピリジン(5.00g、18.3mmol)で処理し、60℃で12時間撹拌し、室温に冷却した。混合物を飽和NHCl(水溶液、50mL)を用いて0℃でクエンチし、EtOAc(50mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過して、減圧下で濃縮およびフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);80g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、EtOAc/石油エーテル:0~50%、100mL/分)で精製して、2-クロロ-6-(1H-イミダゾール-1-イル)-4-ヨードピリジン(1.45g、26%)を黄色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.53(s,1H),8.33(d,J=0.8Hz,1H),7.96(d,J=0.8Hz,1H),7.95(t,J=1.4Hz,1H),7.13(s,1H).MS ES:305.9.
ステップ2:2-クロロ-6-(1H-イミダゾール-1-イル)-4-ヨードピリジン(1.15g、3.76mmol)、シクロプロピルボロン酸(647mg、7.53mmol)、KPO(4.79g、22.59mmol)、およびPCy・BF(277mg、0.753mmol)のHO(5mL)およびトルエン(20mL)中の混合物をPd(OAc)(169.02mg、0.753mmol)で処理し、脱気し、Nで3回パージし、110℃で6時間、N雰囲気下で撹拌し、室温まで冷却して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);20g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、EtOAc/石油エーテル:0~35%、80mL/分)で精製して、2-クロロ-4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピリジン(750mg、3.41mmol、90.7%)を黄色固体として得た。MS ES:220.0.
ステップ3:2-クロロ-4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピリジン(750mg、3.41mmol)およびNEt(1.04g、10.2mmol)のMeOH(10mL)中の混合物をPd(dppf)Cl(250mg、0.341mmol)で処理し、脱気し、一酸化炭素で3回パージし、一酸化炭素雰囲気下(50psi)、80℃で16時間撹拌し、室温まで冷却して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);20g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、EtOAc/石油エーテル:0~60%、80mL/分)で精製して、メチル 4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピコリネート(650mg、2.67mmol、78.3%)を褐色固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl):8.50(s,1H),7.72(s,1H),7.66(d,J=1.2Hz,1H),7.29(d,J=1.2Hz,1H),7.23(s,1H),4.00(s,3H),2.09-2.01(m,1H),1.28-1.22(m,2H),1.00-0.94(m,2H).MS ES:244.2.
ステップ4:メチル 4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピコリネート(650mg、2.67mmol)およびLiOH・HO(336mg、8.02mmol)のTHF(12mL)およびHO(4mL)中溶液を、25℃で1時間撹拌し、1MのHCl水溶液を用いてpH=3~4に酸性化し、減圧下で濃縮して標記化合物(1.00g、粗製物)を灰色固体として得て、これを更に精製することなく、次のステップで使用した。MS ES:230.2.
【0091】
中間体6:(1r,4r)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミンおよび中間体7:(1s,4s)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン
【化17】
ステップ1:4-(ジベンジルアミノ)シクロヘキサノン(中間体4)(0.50g、1.70mmol)、3,3-ジフルオロピロリジン・塩酸塩(269mg、1.87mmol)および酢酸(102mg、1.70mmol)のCHCl(25mL)中溶液を、25℃で1時間撹拌し、NaBHCN(214mg、3.41mmol)を用いて0℃で処理し、25℃に温めて、3時間撹拌した。混合物を1MのNaOH(水溶液、75mL)で処理し、CHCl(75mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(75mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過、濃縮し、分取HPLC(カラム:Xtimate C18 150x40mm 10μm、移動相A:HO(0.05%NH・HO+10mMのNHHCO)、移動相B:CHCN、55~95%、流速:60mL/分)により精製した。生成物を、CHCN(20mL)とHO(100mL)との間で分配した。水溶液を凍結乾燥乾固して、(1r,4r)-N,N-ジベンジル-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(480mg、36%)および(1s,4s)-N,N-ジベンジル-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(322mg、0.752mmol、22.1%)を、両方共白色固体として得た。
(1r,4r)-N,N-ジベンジル-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン:H NMR(400MHz;DMSO-d):7.42-7.14(m,10H),3.56(s,4H),2.88(t,J=13.6Hz,2H),2.69(t,J=6.6Hz,2H),2.37(t,J=10.9Hz,1H),2.23-2.10(m,2H),2.10-2.02(m,1H),1.90(d,J=11.5Hz,2H),1.82(d,J=11.5Hz,2H),1.38(q,J=11.5Hz,2H),1.04-0.89(m,2H).MS ES:385.1.
(1s,4s)-N,N-ジベンジル-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン:H NMR(400MHz;DMSO-d):7.53-7.10(m,10H),3.57(s,4H),2.85(t,J=13.8Hz,2H),2.65(t,J=6.8Hz,2H),2.46-2.40(m,1H),2.31-2.19(m,2H),2.16(s,1H),1.82(d,J=13.3Hz,2H),1.75-1.60(m,2H),1.52(d,J=10.1Hz,2H),1.26-1.14(m,2H).
ステップ2a:(1r,4r)-N,N-ジベンジル-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(300g、0.780mmol)のMeOH(10mL)中の溶液を、Pd(OH)(300mg、0.427mmol、20%純度)で処理し、脱気し、Hで3回パージした。混合物を40psiのH雰囲気下、50℃で12時間撹拌し、セライト(登録商標)を通して濾過し、減圧下で濃縮して、(1r,4r)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(中間体6)(158mg、0.619mmol、99.1%収率、80%純度)を黄色固体として得て、これを更に精製することなく、次のステップで使用した。H NMR(400MHz;DMSO-d):2.93-2.83(m,2H),2.69(t,J=7.0Hz,2H),2.48-2.40(m,1H),2.25-2.11(m,2H),2.04-1.94(m,1H),1.86-1.68(m,3H),1.66-1.26(m,1H),1.26-0.80(m,4H).
ステップ2b:(1s,4s)-N,N-ジベンジル-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(320g、0.832mmol)のMeOH(10mL)中の溶液を、Pd(OH)(200mg、0.285mmol、20%純度)で処理し、脱気し、Hで3回パージした。混合物を40psiのH雰囲気下、50℃で12時間撹拌し、セライト(登録商標)を通して濾過し、減圧下で濃縮して、(1s,4s)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(中間体7)(168mg、0.822mmol、98.8%)を白色ガムとして得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):3.16(s,1H),2.96-2.81(m,2H),2.73-2.62(m,3H),2.29-2.15(m,2H),2.14-2.06(m,1H),1.73-1.56(m,2H),1.50-1.32(m,5H).
【0092】
中間体8:(1r,4r)-N-エチルシクロヘキサン-1,4-ジアミン
【化18】
ステップ1:tert-ブチル((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)カルバメート(20g、93.3mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(250mL)中溶液に、KCO(19.6g、140mmol)およびブロモメチルベンゼン(35.1g、205mmol)を加えた。同時に、内部温度を25~30℃の範囲に維持した。混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物を水(600mL)中にゆっくり注ぎ込み、同時に、温度を25~35℃の範囲に保持した。白色沈殿物が生成し、濾過した。濾過ケーキを水(400mL)中に懸濁させ、20分間撹拌し、懸濁液を濾過し、この手順を3回繰り返した。その後、懸濁液を濾過し、濾過ケーキを水(150mL)およびn-ヘキサン(150mL)で洗浄した。濾過ケーキを集め、減圧下で乾燥して、tert-ブチル((1r,4r)-4-(ジベンジルアミノ)シクロヘキシル)カルバメート(30g、74.1mmol、79.4%収率、97.5%化学純度)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d)7.09-7.41(m,10H)6.58(br d,J=8.00Hz,1H)3.56(s,4H)3.16(br d,J=8.13Hz,1H)2.23-2.40(m,1H)1.78(br d,J=9.76Hz,4H)1.38-1.49(m,2H)1.35(s,9H)0.92-1.06(m,2H).
ステップ2:tert-ブチル((1r,4r)-4-(ジベンジルアミノ)シクロヘキシル)カルバメート(19g、48.16mmol)のジクロロメタン(50mL)中溶液に、ジオキサン中の4M塩酸(4M、240.78mL)を添加した。混合物を25℃で0.5時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して残留物を得た。粗生成物(1r,4r)-N,N-ジベンジルシクロヘキサン-1,4-ジアミン・塩酸塩(21g、47.6mmol、98.8%収率、75%化学純度)、白色固体、を更に精製することなく、次のステップで使用した。MS ES:295.2.
ステップ3:(1r,4r)-N,N-ジベンジルシクロヘキサン-1,4-ジアミン・塩酸塩(2g、6.79mmol)およびトリエチルアミン(2.06g、20.4mmol)のアセトニトリル(20mL)中溶液に、エチルトリフルオロメタンスルホネート(1.09g、6.11mmol)を加えた。混合物を75℃で12時間撹拌した。反応混合物をHO(20mL)で希釈した後、EtOAc(3x30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);20g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、酢酸エチル:メタノール=10:1の溶出液、流速45mL/分)で精製し、(1r,4r)-N,N-ジベンジル-N-エチルシクロヘキサン-1,4-ジアミン(2.1g、粗製物)を黄色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)7.2-7.4(m,10H),3.58(d,4H,J=4.9Hz),3.1-3.3(m,1H),3.06(br s,1H),2.93(q,1H,J=7.3Hz),2.3-2.5(m,1H),1.8-2.1(m,4H),1.2-1.6(m,4H),1.1-1.2(m,3H).
ステップ4:(1r,4r)-N,N-ジベンジル-N-エチルシクロヘキサン-1,4-ジアミン(2.1g、6.51mmol)のMeOH(23mL)中溶液に、Pd(OH)(571.58mg、0.814mmol、20%純度)を加えた。反応混合物を脱気し、H(13.15mg、6.51mmol)で3回パージした。混合物をH雰囲気下(50psi)、50℃で12時間撹拌した。反応混合物をセライトを通して濾過し、濾液を濃縮して、標記化合物(1.2g、粗製物)を白色固体として得て、これを更に精製することなく次のステップで使用した。H NMR(400MHz,DMSO-d)4.91(br s,2H),2.8-2.9(m,1H),2.66(q,1H,J=7.1Hz),2.45(q,2H,J=7.2Hz),1.7-1.9(m,4H),1.1-1.3(m,4H),0.93(t,3H,J=7.1Hz).
【0093】
中間体9:N-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン・塩酸塩
【化19】
ステップ1:tert-ブチル(4-オキソシクロヘキシル)カルバメート(500mg、2.34mmol)および1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-アミン・塩酸塩(460.17mg、2.81mmol)のジクロロメタン(5mL)中溶液に、チタン(IV)プロパン-2-オレエート(1.33g、4.69mmol)を加え、1時間撹拌後、ナトリウムシアノトリヒドロボレート(442mg、7.03mmol)を加えた。混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物をHO(50mL)で希釈し、EtOAc(3x30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥、濾過して、減圧下で濃縮し、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);4g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~100%酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶出液、流速50mL/分)で精製し、tert-ブチル(4-((1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)カルバメート(168mg、0.518mmol、22.1%収率)を無色固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)4.35(br d,J=7.0Hz,1H),3.43-3.26(m,1H),2.77-2.60(m,1H),2.00-1.92(m,2H),1.86(br d,J=12.2Hz,2H),1.69-1.58(m,4H),1.52(s,1H),1.44(s,15H).
ステップ2:tert-ブチル(4-((1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)カルバメート(160mg、0.493mmol)のジクロロメタン(2mL)中溶液に、ジオキサン中の4MのHCl(4M、1.97mL)を添加した。混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、標記化合物(120mg、0.460mmol、93.3%収率)を白色固体として得て、これを更に精製せずに使用した。H NMR(400MHz,DMSO-d)2.52(br s,1H),2.13(br d,J=12.2Hz,2H),2.02(br d,J=12.4Hz,2H),1.94-1.85(m,2H),1.81-1.71(m,3H),1.62(br s,6H),1.42(br s,1H).
【0094】
中間体10:(1r,4S)-N-((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン
【化20】
ステップ1:(S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-アミン・塩酸塩(500mg、3.34mmol)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、トリエチルアミン(846mg、8.36mmol)を加え、反応混合物を0.5時間撹拌後、4-(ジベンジルアミノ)シクロヘキサン-1-オン(818mg、2.79mmol)およびチタン(IV)プロパン-2-オレエート(1.58g、5.57mmol)を加えた。反応物を1時間撹拌後、ナトリウムシアノトリヒドロボレート(525mg、8.36mmol)を加えた。混合物を25℃で13.5時間撹拌した。混合物をEtOH(30mL)でクエンチした後、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をFCC(ISCO(登録商標);4g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~16%酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶出液、流速60mL/分)で精製し、(1S,4r)-N,N-ジベンジル-N-((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(300mg、0.768mmol、27.6%収率)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):7.37-7.25(m,8H),7.22-7.15(m,2H),3.55(s,4H),3.31-3.19(m,1H),2.45-2.31(m,2H),1.93(br d,J=12.4Hz,1H),1.87-1.73(m,3H),1.63(br s,1H),1.44-1.29(m,2H),1.10(d,J=6.8Hz,3H),0.92-0.76(m,2H).
ステップ2:(1S,4r)-N,N-ジベンジル-N-((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(300mg、0.768mmol)のEtOH(4mL)中溶液に、N雰囲気下で、Pd(OH)(107.89mg、0.154mmol、20%純度)を加えた。懸濁液を脱気し、Hで3回パージした。混合物をH雰囲気下(40psi)、25℃で12時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、標記化合物(115mg、0.547mmol、71.2%収率)を白色固体として得て、これを更に精製せずに使用した。H NMR(400MHz;DMSO-d):2.40(br s,3H),1.95-1.58(m,5H),1.56-1.26(m,1H),1.17-1.08(m,3H),1.07-0.76(m,4H).
【0095】
中間体11:(1r,4R)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン
【化21】
ステップ1:(R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-アミン・塩酸塩(500mg、3.34mmol)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、トリエチルアミン(846mg、8.36mmol)を加え、反応混合物を0.5時間撹拌後、4-(ジベンジルアミノ)シクロヘキサン-1-オン(818mg、2.79mmol)およびチタン(IV)プロパン-2-オレエート(1.58g、5.57mmol)を加えた。反応物を1時間撹拌後、ナトリウムシアノトリヒドロボレート(525mg、8.36mmol)を加えた。混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=1/0~5/1)により精製し、(1R,4r)-N,N-ジベンジル-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(425mg、1.09mmol、39.1%収率)を無色油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)7.27(s,10H),3.62(s,4H),3.21(td,J=7.0,14.0Hz,1H),2.63-2.44(m,2H),1.98-1.87(m,4H),1.44-1.37(m,2H),1.21(d,J=6.9Hz,3H),1.05-0.93(m,2H),0.79(br s,1H).
ステップ2:(1R,4r)-N,N-ジベンジル-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(425.00mg、1.09mmol)のEtOH(10mL)中溶液に、Pd(OH)(200mg、0.285mmol、20%純度)を加えた。反応混合物を脱気し、Hで3回パージした。混合物をH雰囲気下(40psi)、25℃で12時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、標記化合物(45mg、0.214mmol、19.7%収率)を無色固体として得て、これを更に精製せずに使用した。H NMR(400MHz,DMSO-d)3.26(br s,1H),2.48-2.35(m,2H),2.14-1.98(m,1H),1.87-1.61(m,6H),1.42(br dd,J=10.4,13.3Hz,1H),1.17-1.10(m,3H).
【0096】
中間体12:2,2,2-トリフルオロエチル-1,1-d-4-メチルベンゼンスルホネート
【化22】
2,2,2-トリフルオロエタン-1,1-d-1-オール-d(100mg、0.970mmol)のジクロロメタン(1mL)中溶液に、トリエチルアミン(353mg、3.49mmol)を加えた。次に、4-メチルベンゼンスルホニルクロリド(231mg、1.21mmol)を0℃で加えた。混合物を20℃で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物を分取TLC(石油エーテル:酢酸エチル=5:1、Rf=0.48)により精製し、標記化合物(190mg、0.742mmol、76.4%収率)を淡黄色液体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)7.88-7.78(m,2H),7.44-7.34(m,2H),2.51-2.45(m,3H).
【0097】
実施例の合成
実施例1:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化23】
ステップ1:メチル 2-クロロ-6-メチルピリミジン-4-カルボキシレート(2.00g、10.7mmol)、イミダゾール(875mg、12.8mmol)およびDIPEA(4.16g、32mmol)のDMF(20mL)中溶液を、100℃で4時間撹拌し、減圧下濃縮した。フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);40g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、石油エーテル/EtOAc:0~60%、100mL/分)により残留物を精製して、メチル 2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキシレート(1.35g、6.19mmol、58%)を淡黄色固体として得た。MS ES:219.0.
ステップ2:メチル 2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキシレート(1.35g、6.19mmol)のTHF(15mL)中溶液を、2M LiOH(水溶液、6.19mL)で処理し、25℃で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を1M HCl(水溶液)でpH=2~3に中和し、減圧下濃縮して、2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(2.75g、粗製物、50%純度)を灰色がかった白色の固体として得て、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。MS ES:205.0.
ステップ3:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(49.9mg、0.122mmol、50%純度)、(1r,4r)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体1)(20mg、0.102mmol)およびNEt(30.9mg、0.306mmol)のDMF(2mL)中溶液を、HATU(46.5mg、0.122mmol)で処理し、25℃で1時間撹拌し、室温に冷却して、EtOAc(3x10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、濾過して、減圧下で濃縮し、残留物を得て、これを分取HPLC(カラム:Gemini NX C18 10x150mm 5μm、移動相A:HO(0.225%HCOOH)、移動相B:CHCN、0~30%B、流速:25mL/分)で精製した。精製生成物をCHCN(2mL)とHO(10mL)との間で分配し、凍結乾燥して標記化合物(11.4mg.0.029mmol、28.8%)を灰色がかった白色の固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.95(d,J=1.3Hz,1H),8.79(d,J=8.6Hz,1H),8.21(s,1H),7.82(s,1H),7.18(s,1H),3.84-3.80(m,1H),3.26(d,J=10.3Hz,3H),2.63(s,3H),2.45(d,J=4.0Hz,1H),1.96(d,J=12.0Hz,2H),1.82(d,J=10.0Hz,2H),1.54(d,J=13.8Hz,2H),1.13(d,J=12.9Hz,2H).MS ES:383.0.UPLC純度:98.6%.SFCキラル純度:99.2%.
【0098】
実施例2:N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド
【化24】
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(55mg、0.135mmol、50%純度)、(1r,4r)-N-(2,2-ジフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体2)(20mg、0.112mmol)およびNEt(34mg、0.337mmol)のDMF(3mL)中溶液を、HATU(51.2mg、0.135mmol)で処理し、25℃で1時間撹拌し、EtOAc(3x10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、濾過および濃縮し、分取HPLC(カラム:Gemini NX C18 10x150mm 5μm、移動相A:HO(0.225% HCOOH)、移動相B:CHCN、0~30%B、流速:25mL/分)で精製した。生成物をCHCN(2mL)とHO(10mL)との間で分配し、凍結乾燥して標記化合物(15.9mg.0.044mmol、39%)を灰色がかった白色の固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.95(s,1H),8.80(d,J=8.6Hz,1H),8.20(s,1H),7.82(s,1H),7.17(s,1H),6.10-5.82(m,1H),3.87-3.76(m,1H),2.93(dt,J=4.3,15.9Hz,2H),2.63(s,3H),2.49-2.38(m,2H),1.96(d,J=10.9Hz,2H),1.82(d,J=10.3Hz,2H),1.60-1.48(m,2H),1.18-1.07(m,2H).MS ES:365.4.UPLC純度:99.4%.SFCキラル純度:99.3%.
【0099】
実施例3:6-シクロプロピル-N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化25】
ステップ1:メチル 2-クロロ-6-シクロプロピルピリミジン-4-カルボキシレート(3.60g、16.9mmol)のDMF(20mL)中溶液をDIPEA(6.56g、50.8mmol)およびイミダゾール(3.46g、50.79mmol)で処理し、100℃で12時間撹拌し、室温に冷却して、EtOAc(3x30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)および濾過した。濾液を蒸発させ、残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);40g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、石油エーテル中EtOAc:0~100%、35mL/分)で精製して、メチル 6-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾール-1-イル)ピリミジン-4-カルボキシレート(1.60g、6.55mmol、38%)を灰色がかった白色の固体として得た。
ステップ2:メチル 6-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-メチルピリミジン-4-カルボキシレート(1.60g、6.55mmol)のTHF(10mL)中溶液を、LiOH(157mg、6.55mmol)およびHO(118mg、6.55mmol)で処理し、25℃で2時間撹拌した。混合物を1MのHCl(水溶液)でpH<7に調節した。得られた白色沈殿物を濾過により集めて、6-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-ピリミジン-4-カルボン酸(1.40g、6.08mmol、93%)を灰色がかった白色の固体として得て、これをさらに精製することなく、次のステップで使用した。MS ES:230.9.
ステップ3:6-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-ピリミジン-4-カルボン酸(50mg、0.217mmol)および(1r,4r)-N-(2,2-ジフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体2)(38.7mg、0.217mmol)を用いて、実施例2に記載のように調製して、標記化合物(30.5mg、0.076mmol、35%)を灰色がかった白色の固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.90(s,1H),8.76(d,J=8.8Hz,1H),8.16(t,J=1.3Hz,1H),7.86(s,1H),7.14(s,1H),6.09(t,J=4.3Hz,0.25H),5.95(t,J=4.3Hz,0.5H),5.81(t,J=4.3Hz,0.25H),3.87-3.76(m,1H),3.34(s,1H),2.92(dt,J=4.3,15.9Hz,2H),2.43-2.34(m,2H),1.95(d,J=11.4Hz,2H),1.82(d,J=10.5Hz,2H),1.54(d,J=12.5Hz,2H),1.24-1.18(m,4H),1.12(d,J=13.4Hz,2H).MS ES:391.2.UPLC純度:98.0%.SFCキラル純度:100%.
【0100】
実施例4:6-メチル-2-(1-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化26】
ステップ1:1-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)イミダゾール(200mg、0.961mmol)、メチル 2-クロロ-6-メチルピリミジン-4-カルボキシレート(149mg、0.801mmol)およびCsCO(522mg、1.60mmol)のジオキサン(8mL)およびHO(2mL)中の混合物を、Pd(dppf)Cl・CHCl(65.4mg、0.080mmol)で処理して、N下、90℃で2時間撹拌し、室温まで冷却後、濾過した。濾液を濃縮乾固して、6-メチル-2-(1-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)-ピリミジン-4-カルボン酸(175mg、粗製物)を黒色固体として得て、これをさらに精製することなく、次のステップで使用した。
ステップ2:6-メチル-2-(1-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)-ピリミジン-4-カルボン酸(158mg、0.724mmol)および(1r,4r)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体1)(170.49mg、0.869mmol)のCHCl(6mL)中混合物を、DIPEA(281mg、2.17mmol)およびTP(921mg、1.45mmol、EtOAc中50%の純度)で処理し、25℃で0.5時間撹拌し、CHCl(3x30mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(NaSO)、濾過した。濾液を蒸発させ、残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);4g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、石油エーテル/EtOAc:0~100%、45mL/分)で精製して、標記化合物(59.7mg、0.150mmol、21%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.44(d,J=8.6Hz,1H),8.00(s,1H),7.85(s,1H),7.66(s,1H),4.05(s,3H),3.88-3.71(m,1H),3.29-3.21(m,2H),2.58(s,3H),2.47-2.36(m,1H),2.28-2.18(m,1H),1.99-1.88(m,2H),1.88-1.80(m,2H),1.57-1.43(m,2H),1.19-1.06(m,2H).MS ES:397.0.UPLC純度:99.3%.SFCキラル純度:100%.
【0101】
実施例5:6-メチル-2-(チアゾール-5-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化27】
ステップ1:メチル 2-クロロ-6-メチルピリミジン-4-カルボキシレート(300mg、1.61mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)チアゾール(408mg、1.93mmol)およびCsCO(1.05g、3.22mmol)のジオキサン(12mL)およびHO(3mL)中の混合物を、Pd(dppf)Cl・CHCl(131mg、0.161mmol)で処理し、N下、90℃で1時間撹拌し、室温まで冷却して濾過した。濾液を濃縮乾固して、6-メチル-2-(チアゾール-5-イル)-ピリミジン-4-カルボン酸(360mg、粗製物)を黒色固体として得て、これをさらに精製することなく、次のステップで使用した。
ステップ2:6-メチル-2-(チアゾール-5-イル)-ピリミジン-4-カルボン酸(140mg、0.633mmol)および(1r,4r)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体1)(149mg、0.759mmol)のCHCl(2mL)中混合物を、DIPEA(245mg、1.90mmol)およびTP(805mg、1.27mmol、EtOAc中50%の純度)で処理し、25℃で0.5時間撹拌し、CHCl(30mLx3)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(NaSO)、濾過した。濾液を蒸発させ、残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);4g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、EtOAc/石油エーテル:0~100%、45mL/分)で精製して、標記化合物(39.5mg、14.9%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):9.28(s,1H),9.06(s,1H),8.68(d,J=8.6Hz,1H),7.78(s,1H),3.86-3.76(m,1H),3.30-3.21(m,2H),2.60(s,3H),2.46-2.40(m,1H),2.30-2.19(m,1H),1.97-1.81(m,4H),1.61-1.48(m,2H),1.18-1.08(m,2H).MS ES:400.1.UPLC純度:95.7%.SFCキラル純度:100%.
【0102】
実施例6:6-エチル-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化28】
ステップ1:メチル 2-クロロ-6-ビニルピリミジン-4-カルボキシレート(1.02g、5.14mmol)およびPtO(116.62mg、0.514mmol)のEtOAc(20mL)中の混合物を脱気し、Hで3回パージし、25℃で1時間、H雰囲気下で撹拌した。混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、メチル 2-クロロ-6-エチルピリミジン-4-カルボキシレート(780mg、3.89mmol、76%)を褐色液体として得て、これをさらに精製することなく、次のステップで使用した。
ステップ2:メチル 2-クロロ-6-エチルピリミジン-4-カルボキシレート(780mg、3.89mmol)、イミダゾール(265mg、3.89mmol)およびDIPEA(1.51g、11.66mmol)のDMF(10mL)中混合物を、N下、100℃で12時間撹拌し、室温まで冷却し、減圧下濃縮した。得られた残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);20g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、EtOAc/石油エーテル:0~100%、80mL/分)で精製して、メチル 6-エチル-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-ピリミジン-4-カルボキシレート(340mg、1.46mmol、38%)を褐色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.58(s,1H),7.94(s,1H),7.87(s,1H),7.16(s,1H),3.95(s,3H),2.93(q,J=7.4Hz,2H),1.30(t,J=7.6Hz,3H).
ステップ3:メチル 6-エチル-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-ピリミジン-4-カルボキシレート(340mg、1.46mmol)のTHF(3mL)中溶液を、1M LiOH(水溶液、4.39mL)で処理し、25℃で1時間撹拌した。混合物のpHを1MのHCl(水溶液)でpH<7に調節した。混合物を減圧下で濃縮して、6-エチル-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-ピリミジン-4-カルボン酸(556mg、粗製物)を黄色固体として得て、これをさらに精製することなく、次のステップで使用した。
ステップ4:6-エチル-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-ピリミジン-4-カルボン酸(100mg、0.458mmol)および(1r,4r)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体1)(89.92mg、0.458mmol)のDMF(1mL)中溶液を、DIPEA(177.68mg、1.37mmol)で処理し、続けて、TP(437.44mg、0.687mmol、EtOAc中50%の純度)を滴加した。得られた混合物を25℃で1時間撹拌し、飽和NaHCO(水溶液、10mL)で希釈し、EtOAc(3x15mL)で抽出した。合わせた有機層を4%LiCl水溶液で洗浄し、乾燥(NaSO)、濾過および減圧下濃縮した。得られた残留物を分取HPLC(カラム:Xtimate C18 100x30 10μm、移動相A:HO(HCOOH)、移動相B:CHCN、0~30%B、流速:25mL/分)により精製した。生成物をCHCN(2mL)とHO(10mL)との間で分配し、凍結乾燥して標記化合物(40mg.0.099mmol、22%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.95(s,1H),8.79(d,J=8.76Hz,1H),8.21(s,1H),7.81(s,1H),7.16(s,1H),3.81(dd,J=7.88,4.13Hz,1H),3.26(dd,J=10.19,4.69Hz,2H),2.91(q,J=7.50Hz,2H),2.41-2.45(m,1H),2.16-2.29(m,1H),1.95(d,J=12.13Hz,2H),1.81(d,J=10.13Hz,2H),1.47-1.61(m,2H),1.29(t,J=7.57Hz,3H),1.07-1.18(m,2H).MS ES:397.4.UPLC純度:97.4%.SFCキラル純度:100%.
【0103】
実施例7:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-(メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化29】
ステップ1:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(81.6mg、0.400mmol)、(1r,4r)-N-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体3)(70mg、0.333mmol)およびNEt(101g、0.999mmol)のDMF(1mL)中溶液を、HATU(189mg、0.499mmol)で処理し、25℃で1時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮して残留物を得て、これを分取HPLC(カラム:Phenomenex C18 75x30mm 3μm、移動相A:HO(NH・HO+NHHCO)、移動相B:CHCN、7~37%B、流速:25mL/分)で精製した。生成物を、CHCN(2mL)とHO(10mL)との間で分配した。水溶液を凍結乾燥乾固して、標記化合物(10.09mg、0.025mmol、7.4%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;CDOD):8.92(s,1H),8.19(s,1H),7.86(s,1H),7.15(s,1H),3.82-3.96(m,1H),3.06-3.16(m,2H),2.68(s,3H),2.52-2.61(m,1H),2.47(s,3H),2.04(br.d,J=11.26Hz,2H),1.93(br.d,J=11.76Hz,2H),1.52-1.65(m,2H),1.39-1.51(m,2H).MS ES:397.2.UPLC純度:96.5%.SFCキラル純度:100%.
【0104】
実施例8:N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-6-メチル-2-(チアゾール-5-イル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化30】
6-メチル-2-(チアゾール-5-イル)-ピリミジン-4-カルボン酸(140mg、0.633mmol)および(1r,4r)-N-(2,2-ジフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体2)(135mg、0.759mmol)を用いて、実施例5に記載のように調製して、標記化合物(13.0mg、0.033mmol、5.2%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):9.27(s,1H),9.05(s,1H),8.71-8.62(m,1H),7.78(s,1H),6.12-5.79(m,1H),3.87-3.74(m,1H),3.01-2.85(m,2H),2.60(s,3H),2.47-2.38(m,1H),1.99-1.80(m,5H),1.62-1.47(m,2H),1.20-1.05(m,2H).MS ES:382.1.UPLC純度:96.7%.SFCキラル純度:100%.
【0105】
実施例9:N-((1r,4r)-4-((2-フルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド・蟻酸塩
【化31】
ステップ1:tert-ブチル((1r,4r)-4-(ジベンジルアミノ)シクロヘキシル)カルバメート(19g、48.2mmol)のCHCl(50mL)中溶液を、4M HCl(241mL)で処理し、25℃で0.5時間撹拌し、減圧下で濃縮して、(1r,4r)-N,N-ジベンジルシクロヘキサン-1,4-ジアミン・塩酸塩(21g、98.8%収率、75%純度)を白色固体として得た。MS ES:295.2.
ステップ2:(1r,4r)-N,N-ジベンジルシクロヘキサン-1,4-ジアミン・塩酸塩(1.50g、4.53mmol)のCHCN(15mL)中混合物を、KCO(1.25g、9.07mmol)および1-フルオロ-2-ヨードエタン(789mg、4.53mmol)で処理し、45℃で16時間撹拌し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して残留物を得て、これを、カラムクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);40g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、ジクロロメタン/MeOH:1/0~10/1)で精製して、(1r,4r)-N,N-ジベンジル-N-(2-フルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(1.3g、72.4%収率、86%純度)を黄色油として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):7.38-7.25(m,8H),7.22-7.16(m,2H),4.45(t,J=5.2Hz,1H),4.33(t,J=5.2Hz,1H),3.56(s,4H),2.79(t,J=5.2Hz,1H),2.72(t,J=5.2Hz,1H),2.43-2.24(m,2H),1.94-1.75(m,4H),1.47-1.31(m,2H),0.90-0.76(m,2H).MS ES:341.4.
ステップ3:(1r,4r)-N,N-ジベンジル-N-(2-フルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(1.30g、3,82mmol)のMeOH(15mL)中の混合物を、Pd(OH)(600mg、0.854mmol、20%純度)で処理し、脱気し、Hで3回パージして、H雰囲気下(40psi)、50℃で12時間撹拌し,濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、(1r,4r)-N-(2-フルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(550mg、90%)を黄色油として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):4.47(t,J=5.2Hz,1H),4.35(t,J=5.2Hz,1H),3.42-3.33(m,1H),2.81(t,J=5.3Hz,1H),2.74(t,J=5.3Hz,1H),2.54-2.51(m,1H),2.34-2.25(m,1H),1.81(d,J=10.3Hz,2H),1.72(d,J=10.4Hz,2H),1.08-0.92(m,4H).
ステップ4:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(212mg、0.624mmol、60%純度)および(1r,4r)-N-(2-フルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(100mg、0.624mmol)のCHCl(2.5mL)中混合物を、NEt(189mg、1.87mmol)で処理し、続けて、TP(476mg、0.749mmol、EtOAc中50%の純度)を滴加し、25℃で2時間撹拌して、CHCl(3mL)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(NaSO)、濾過、濃縮し、分取HPLC(カラム:Xtimate C18 100x30mm 10μm、移動相A:HO(0.225%HCOOH)、移動相B:CHCN、0~20%B、流速25mL/分)で精製した。生成物をCHCN(2mL)とHO(10mL)との間で分配し、凍結乾燥乾固して標記化合物(26.3mg、10.7%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.93(s,1H),8.80(d,J=8.6Hz,1H),8.24-8.17(m,2H),7.82(s,1H),7.16(s,1H),4.63-4.41(m,2H),3.81(ddd,J=4.1,7.9,11.7Hz,1H),3.00-2.88(m,2H),2.62(s,3H),2.53-2.52(m,1H),1.99(d,J=11.6Hz,2H),1.84(d,J=11.1Hz,2H),1.63-1.48(m,2H),1.27-1.12(m,2H).MS ES:347.4.UPLC純度:99.4%.SFCキラル純度:98.9%.
【0106】
実施例10:N-((1r,4r)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド
【化32】
(1r,4r)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(中間体6)(50.0mg、0.196mmol、80%純度)および2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(57.1mg、0.196mmol、70%純度)のCHCl(0.5mL)中溶液を、NEt(59.5mg、0.588mmol)で処理し、続けて、TP(149.5mg、EtOAc中50%の純度)を滴加し、25℃で2時間撹拌して、CHCl(30mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)、濾過および減圧下濃縮し、分取HPLC(カラム:Xtimate C18 100x30mm 10μm、移動相A:HO(0.225%HCOOH)、移動相B:CHCN、0~20%B、流速:25mL/分)で精製した。生成物をCHCN(20mL)とHO(100mL)との間で分配し、凍結乾燥乾固して標記化合物(37mg、21%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.94(s,1H),8.81(d,J=8.6Hz,1H),8.19(s,1H),7.82(s,1H),7.16(s,1H),3.87-3.76(m,1H),2.95(t,J=13.7Hz,2H),2.75(t,J=6.8Hz,2H),2.62(s,3H),2.28-2.15(m,2H),2.11(s,1H),1.97(d,J=12.3Hz,2H),1.83(d,J=10.8Hz,2H),1.61-1.48(m,2H),1.30-1.18(m,2H).MS ES:391.0.UPLC純度:98.4%.SFCキラル純度:100%.
【0107】
実施例11:N-((1s,4s)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド
【化33】
(1s,4s)-4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(中間体7)(120mg、0.529mmol)および2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(180mg、0.529mmol、60%純度)のCHCl(0.5mL)中混合物を、NEt(161mg、1.59mmol)で処理し、続けて、TP(404mg、0.634mmol、EtOAc中50%の純度)を滴加し、25℃で2時間撹拌して、CHCl(9mLx3)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、乾燥(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮して、分取HPLC(カラム:Xtimate C18 100x30mm 10μm、移動相A:HO(0.225%HCOOH)、移動相B:CHCN、0~20%B、流速:25mL/分)で精製した。生成物をCHCN(20mL)とHO(100mL)との間で分配し、凍結乾燥乾固して標記化合物(65.0mg、0.166mmol、31.5%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.99-8.86(m,2H),8.23-8.13(m,1H),7.81(s,1H),7.14(s,1H),3.94-3.85(m,1H),2.92(t,J=14.1Hz,2H),2.72(t,J=6.9Hz,2H),2.61(s,3H),2.34-2.19(m,3H),1.90-1.74(m,4H),1.58-1.43(m,4H).MS ES:391.4.UPLC純度:100%.SFCキラル純度:100%.
【0108】
実施例12:N-((1s,4r)-4-((S)-3-フルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド
【化34】
ステップ1:4-(ジベンジルアミノ)シクロヘキサノン(中間体4)(500mg、1.70mmol)、(3S)-3-フルオロピロリジン・塩酸塩(214mg、1.70mmol)および酢酸(471mg、1.70mmol)のCHCl(5mL)中溶液を、25℃で1時間撹拌し、NaBH(OAc)(1.08g、5.11mmol)で処理して、25℃で、4時間撹拌した。飽和NaHCO(水溶液)の添加により、pHを約8に調節し、混合物をEtOAc(30mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過して、減圧下で濃縮およびフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);12g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、EtOAc/石油エーテル:0~40%、40mL/分)で精製して、(1s,4r)-N,N-ジベンジル-4-((S)-3-フルオロピロリジン-1-イル)ー(シクロヘキサン-1-アミン(190mg、30%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):7.15-7.38(m,10H),5.01-5.23(m,1H),3.57(s,4H),2.69-2.85(m,2H),2.53-2.69(m,1H),2.26-2.44(m,2H),1.99-2.12(m,2H),1.88-1.95(m,2H),1.70-1.87(m,3H),1.31-1.47(m,2H),0.91-1.05(m,2H).
ステップ2:(1s,4r)-N,N-ジベンジル-4-((S)-3-フルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(190mg、0.518mmol)のEtOH(2mL)中の混合物を、Pd(OH)(190mg、0.271mmol、20%純度)で処理し、脱気し、Hで3回パージして、H雰囲気下(40psi)、50℃で12時間撹拌した。混合物を減圧下で濾過し、減圧下で濃縮して、(1s,4r)-4-((S)-3-フルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(105mg、粗製物)を白色固体として得て、これを精製することなく、次のステップで使用した。
ステップ3:(1s,4r)-4-((S)-3-フルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(100mg、0.537mmol)および2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(131mg、0.644mmol)のCHCl(2mL)中溶液を、DIPEA(208mg、1.61mmol)で処理し、続けて、TP(512mg、0.805mmol、EtOAc中50%の純度)を滴加し、25℃で1時間撹拌して、CHCl(5mLx3)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、乾燥(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮して、分取HPLC(カラム:Phenomenex C18 75x30mm 3μm、移動相A:HO(0.05% NH・HO+10mM NHHCO)、移動相B:CHCN、18~48%B、流速:25mL/分)で精製した。生成物をCHCN(2mL)とHO(10mL)との間で分配し、凍結乾燥乾固して標記化合物(28mg、14%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.94(s,1H),8.80(d,J=8.6Hz,1H),8.20(s,1H),7.83(s,1H),7.16(s,1H),5.07-5.31(m,1H),3.74-3.90(m,1H),2.78-2.94(m,2H),2.67-2.74(m,1H),2.62(s,3H),2.35-2.41(m,1H),1.95-2.15(m,4H),1.79-1.94(m,3H),1.47-1.65(m,2H),1.22-1.32(m,2H).MS ES:373.1.UPLC純度:99.6%.SFCキラル純度:100%.
【0109】
実施例13:N-((1r,4r)-4-((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド
【化35】
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(100mg、0.343mmol、70%純度)および(1r,4r)-4-((R)-3-フルオロピロリジン-1-イル)-シクロヘキサン-1-アミン(70.2mg、0.377mmol)を用いて、実施例12に記載のように調製して、標記化合物(55mg、43%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.94(s,1H),8.80(d,J=8.6Hz,1H),8.19(s,1H),7.82(s,1H),7.16(s,1H),5.34-5.01(m,1H),3.91-3.72(m,1H),2.93-2.78(m,2H),2.74-2.64(m,1H),2.62(s,3H),2.42-2.34(m,1H),2.15-1.94(m,4H),1.94-1.76(m,3H),1.62-1.47(m,2H),1.28-1.22(m,2H).MS ES:373.2.UPLC純度:99.2%. SFCキラル純度:99.8%.
【0110】
実施例14:6-メチル-2-(1H-ピラゾール-4-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化36】
ステップ1:メチル 2-クロロ-6-メチルピリミジン-4-カルボキシレート(500mg、2.68mmol)、1-テトラヒドロピラン-2-イル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピラゾール(894mg、3.22mmol)およびCsCO(1.75g、5.36mmol)のHO(2mL)およびジオキサン(8mL)中の混合物を、Pd(dppf)Cl・CHCl(219mg、0.268mmol)で処理し、N下、90℃で2時間撹拌し、室温まで冷却して濾過した。濾液を濃縮乾固して、6-メチル-2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-カルボン酸(810mg、粗製物)を黒色固体として得て、これをさらに精製することなく、次のステップで使用した。
ステップ2:6-メチル-2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-カルボン酸(365mg、1.27mmol)および(1r,4r)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体1)(299mg、1.52mmol)のCHCl(4mL)中混合物を、DIPEA(492mg、3.81mmol)で処理し、続けて、TP(1.62g、2.54mmol、EtOAc中50%の純度)を滴加し、25℃で0.5時間撹拌し、CHCl(40mLx3)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥させ(NaSO)、濾過した。濾液を蒸発乾固させて、6-メチル-2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N-(トランス-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボン酸(420mg、粗製物)を黒色油として得て、これをさらに精製することなく、次のステップで使用した。
ステップ3:6-メチル-2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N-(トランス-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド(420mg、0.90mmol、粗製物)のCHCl(5mL)中の混合物を、ジオキサン(5mL)中の4M HClで処理し、25℃で0.5時間撹拌し、濃縮して、分取HPLC(カラム:Xtimate C18 150x30mm 5μm、移動相A:HO(10mM NHHCO)、移動相B:CHCN、20~55%B、流速:25mL/分)で精製した。生成物をCHCN(2mL)とHO(10mL)との間で分配し、凍結乾燥乾固して標記化合物(111mg、32%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):13.47-13.17(m,1H),8.69(d,J=8.8Hz,1H),8.63-8.37(m,2H),7.71-7.64(m,1H),3.91-3.80(m,1H),3.32(dd,J=7.8,10.1Hz,2H),2.61(s,3H),2.52(dd,J=6.3,10.5Hz,1H),2.36-2.25(m,1H),2.01(d,J=11.3Hz,2H),1.89(d,J=10.1Hz,2H),1.65-1.54(m,2H),1.25-1.14(m,2H).MS ES:383.3.UPLC純度:99.2%.SFCキラル純度:100%.
【0111】
実施例15:N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-6-メチル-2-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化37】
6-メチル-2-(1-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-カルボン酸(80mg、0.277mmol)および(1r,4r)-N-(2,2-ジフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体2)(59mg、0.33mmol)を用いて、実施例14に記載のように調製して、標記化合物(25mg、24.2%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):13.26(s,1H),8.61(d,J=8.4Hz,2H),8.46-8.17(m,1H),7.62(s,1H),6.13-5.79(m,1H),3.86-3.73(m,1H),2.97-2.86(m,2H),2.55(s,3H),2.46-2.38(m,1H),2.03-1.76(m,5H),1.61-1.47(m,2H),1.20-1.06(m,2H).MS ES:365.1.UPLC純度:98.7%.SFCキラル純度:100%.
【0112】
実施例16:4-シクロプロピル-N-((1r,4r)-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピコリンアミド
【化38】
ステップ5:4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピコリンサン(中間体5)(150mg、0.654mmol)、(1r,4r)-N-(2,2-ジフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体2)(117mg、0.654mmol)およびNEt(199mg、1.96mmol)のCHCl(3mL)中溶液を、HATU(373mg、0.982mmol)で処理し、25℃で2時間撹拌し、CHCl(20mLx3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(40mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過して、減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);4g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、MeOH/CHCl:0~3%、40mL/分)で精製して、標記化合物(60.6mg、24%)を淡黄色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.91(s,1H),8.49(d,J=8.6Hz,1H),8.24(s,1H),7.64(d,J=20.0Hz,2H),7.13(s,1H),5.95(tt,J=4.4,56.6Hz,1H),3.87-3.71(m,1H),2.91(dt,J=4.4,15.8Hz,2H),2.40(t,J=10.8Hz,1H),2.18-2.10(m,1H),1.97-1.76(m,5H),1.59-1.47(m,2H),1.19-1.13(m,2H),1.13-1.05(m,2H),1.02-0.96(m,2H).MS ES:390.2.UPLC純度:97.1%.SFCキラル純度:100%.
【0113】
実施例17(比較例):N-((1r,4r)-4-(ジフルオロメトキシ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド
【化39】
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(100mg、0.245mmol、50%純度)、(1r,4r)-4-(ジフルオロメトキシ)シクロヘキサミン(40.5mg、0.245mmol)およびNEt(74.3mg、0.735mmol)のCHCl(2mL)中溶液を、TP(234mg、0.367mmol、EtOAc中50%純度)で処理し、25℃で5時間撹拌して、CHCl(20mLx3)で抽出し、ブライン(40mL)で洗浄後、乾燥(NaSO)、濾過、減圧下濃縮し、分取TLC(SiO、CHCl/MeOH=20:1)で精製して、標記化合物(10.7mg、11.6%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.93(s,1H),8.80(d,J=8.6Hz,1H),8.19(s,1H),7.83(s,1H),7.17(s,1H),6.95-6.56(m,1H),4.11-4.00(m,1H),3.88(dd,J=3.4,7.4Hz,1H),2.63(s,3H),2.04(d,J=11.0Hz,2H),1.92-1.84(m,2H),1.69-1.48(m,4H).MS ES:352.1.UPLC純度:93.3.SFCキラル純度:98.1%.
【0114】
実施例18(比較例):N-((1r,4r)-4-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド
【化40】
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(530mg、2.60mmol)、(1r,4r)-4-アミノ-1-メチルシクロヘキサノール(402mg、3.11mmol)およびDIPEA(1.01g、7.79mmol)のCHCl(5mL)中混合物を、HATU(1.48g、3.89mmol)で処理し、25℃で12時間撹拌して、EtOAc(20mLx3)で抽出し、ブラインで洗浄後、乾燥(NaSO)、濾過、減圧下濃縮し、分取HPLC(カラム:Xtimate C18 150x40mm 10μm、移動相A:HO(0.05%NH・HO)、移動相B:CHCN、15~45%B、流速:25mL/分)で精製した。生成物をCHCN(2mL)とHO(10mL)との間で分配し、凍結乾燥乾固して標記化合物(6.8mg、1%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz;DMSO-d):8.92(s,1H),8.73(d,J=8.4Hz,1H),8.18(s,1H),7.82(s,1H),7.16(s,1H),4.39(s,1H),3.90-3.77(m,1H),2.62(s,3H),1.77-1.70(m,2H),1.65-1.57(m,4H),1.49(dd,J=3.6,13.2Hz,2H),1.20(s,3H).MS ES:316.1.UPLC純度:95.3%.SFCキラル純度:100%.
【0115】
実施例19:N-((1r,4r)-4-(エチルアミノ)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド・蟻酸塩
【化41】
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(239.25mg、0.703mmol)および(1r,4r)-N-エチルシクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体8)(100mg、0.703mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中溶液に、トリエチルアミン(213.42mg、2.11mmol)を加え、続けて、TP(537mg、0.844mmol、50%の純度)を加えた。得られた混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物をHO(10mL)で希釈した後、EtOAc(3x10mL)で抽出した。合わせた有機層を4%LiCl(水溶液)(10mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、残留物を得た。粗生成物を分取HPLC(カラム:Xtimate C18 100*30mm*10μm、移動相A:水(HCOOH)、移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、0%~30%の勾配条件)により精製した: 純粋画分を集め、揮発物を減圧下で除去した。残留物をアセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。溶液を凍結乾燥乾固して、残留物を得た。残留物を分取HPLC(カラム:Xtimate C18 100*30mm*10μm、移動相A:水(HCOOH)、移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、0%~30%の勾配条件)により精製した。 純粋画分を集め、揮発物を減圧下で除去した。残留物をアセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。水溶液を凍結乾燥乾固して、標記化合物(3.36mg、0.009mmol、1.9%)を褐色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)10.30(s,1H),9.18(d,J=8.4Hz,1H),8.99(s,2H),8.62(s,1H),8.04(s,1H),7.81(s,1H),3.86(dd,J=3.6,7.8Hz,1H),2.98(d,J=6.8Hz,3H),2.69(s,3H),2.17(d,J=10.6Hz,2H),1.91(d,J=10.6Hz,2H),1.71-1.61(m,2H),1.53(q,J=11.4Hz,2H),1.24(t,J=7.2Hz,3H).MS ES:329.4.UPLC純度:97.4%.SFCキラル純度:100%.
【0116】
実施例20:4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピコリンアミド
【化42】
ステップ1:イミダゾール(1.24g、18.3mmol)のTHF(50mL)中溶液に、NaH(8763mg、21.9mmol、60%純度)を少しずつ分けて加えた。0.5時間撹拌後、2,6-ジクロロ-4-ヨードピリジン(5g、18.3mmol)を加え、混合物を60℃で12時間撹拌した。飽和NHCl水溶液50mLを0℃で加えることにより反応混合物をクエンチし、その後、HO(50mL)で希釈して、 EtOAc(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);80g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~50%酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶出液、流速100mL/分)で精製し、2-クロロ-6-(1H-イミダゾール-1-イル)-4-ヨードピリジン(1.45g、4.75mmol、26.0%収率)を黄色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)8.53(s,1H),8.33(d,J=0.8Hz,1H),7.96(d,J=0.8Hz,1H),7.95(t,J=1.4Hz,1H),7.13(s,1H).
ステップ2:2-クロロ-6-(1H-イミダゾール-1-イル)-4-ヨードピリジン(1.15g、3.76mmol)、シクロプロピルボロン酸(647mg、7.53mmol)、KPO(4.79g、22.6mmol)、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボレート(277mg、0.753mmol)およびPd(OAc)(169mg、0.753mmol)のHO(5mL)およびトルエン(20mL)中の混合物を脱気し、Nで3回パージした。混合物をN雰囲気下、110℃で6時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);20g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~35%酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶出液、流速80mL/分)で精製し、2-クロロ-4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピリジン(750mg、3.41mmol、90.7%収率)を黄色固体として得た。MS ES:220.0.
ステップ3:2-クロロ-4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピリジン(750mg、3.41mmol)、トリエチルアミン(1.04g、10.24mmol)およびPd(dppf)Cl(250mg、0.341mmol)のMeOH(10mL)中の混合物を脱気し、COで3回パージした後、混合物をCO雰囲気下(50psi)、80℃で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮して残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);20g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~60%酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶出液、流速80mL/分)で精製し、4-シクロプロピル-6-イミダゾール-1-イル-ピリジン-2-カルボキシレート(650mg、2.67mmol、78.3%収率)を褐色固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)8.50(s,1H),7.72(s,1H),7.66(d,J=1.2Hz,1H),7.29(d,J=1.2Hz,1H),7.23(s,1H),4.00(s,3H),2.09-2.01(m,1H),1.28-1.22(m,2H),1.00-0.94(m,2H).
ステップ4:メチル 4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピコリネート(650mg、2.67mmol)のTHF(12mL)中の溶液に、LiOH・HO(336.38mg、8.02mmol)のHO(4mL)中の溶液を加えた。混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物を1N HCl(水溶液)でpH=3~4に酸性化した後、減圧下で濃縮して残留物を得た。粗製物4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピコリン酸(1g、粗製物),灰色固体、をさらなる精製を行わないで次のステップに使用した。
ステップ5:4-シクロプロピル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)ピコリン酸(150mg、0.654mmol)および(1r,4r)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体1)(128mg、0.654mmol)のジクロロメタン(2mL)中溶液に、トリエチルアミン(199mg、1.96mmol)を加え、続けて、TP(625mg、0.981mmol、50%の純度)を加えた。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。反応混合物をHO(10mL)で希釈し、ジクロロメタン(3x10mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、残留物を得た。次に、生成物を分取HPLC(カラム:C18-6 100*30mm*5μm、移動相A:水(HCOOH)、移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、5%~35%勾配条件)で更に精製した。純粋画分を集め、揮発物を減圧下で除去した。残留物をアセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。溶液を凍結乾燥乾固して、標記化合物(73.46mg、0.180mmol、27.5%収率)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)8.91(s,1H),8.50(d,J=8.6Hz,1H),8.24(s,1H),7.66(s,1H),7.61(s,1H),7.12(s,1H),3.87-3.70(m,1H),3.25(d,J=10.2Hz,3H),2.45-2.37(m,1H),2.19-2.08(m,1H),1.99-1.88(m,2H),1.79(d,J=10.6Hz,2H),1.53(q,J=11.6Hz,2H),1.19-1.08(m,4H),0.99(d,J=2.6Hz,2H).MS ES:408.4.UPLC純度:99.8%.SFCキラル純度:100%.
【0117】
実施例21:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化43】
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(109mg、0.535mmol)およびN-(1,1,1-トリフルオロ-2-メチルプロパン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン・塩酸塩(中間体9)(120mg、0.535mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)中溶液に、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(207mg、1.61mmol)およびHATU(305mg、0.803mmol)を加えた。混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物をHO(50mL)で希釈し、ジクロロメタン(30mL)で抽出した。反応混合物をNaHCO(3x30mL)で洗浄した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して残留物を得た。残留物を分取HPLC(カラム:Phenomenex C18 75*30mm*3μm、移動相A:水(NH・HO+NHHCO)移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、33%~63%の勾配条件)で精製した。純粋画分を集め、揮発物を減圧下で除去した。残留物をアセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。溶液を凍結乾燥乾固して、標記化合物(52.16mg、0.122mmol、22.8%収率)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)8.93(t,J=1.0Hz,1H),8.74(d,J=8.8Hz,1H),8.19(t,J=1.4Hz,1H),7.82(s,1H),7.20-7.13(m,1H),3.87-3.69(m,1H),2.68-2.64(m,1H),2.63(s,3H),1.87-1.76(m,5H),1.65-1.52(m,2H),1.22(s,8H).MS ES:411.2.UPLC純度;95.9%.SFCキラル純度:100%.
【0118】
実施例22:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1S,4r)-4-(((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化44】
(1r,4S)-N-((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体10)(100mg、0.476mmol)および2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(80.93mg、0.396mmol)のジクロロメタン(3mL)中混合物に、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(154mg、1.19mmol)を加えた後、TP(504mg、0.793mmol、EtOAc中50%の純度)を25℃で加えた。混合物を25℃で0.5時間撹拌した。水(15mL)を加え、混合物をDCM(3x15mL)で抽出し、有機相を濃縮して粗生成物を得た。生成物を分取HPLC(カラム:Phenomenex C18 75*30mm*3μm、移動相A:水(NH・HO+NHHCO)、移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、25%~55%の勾配条件)により精製した。純粋画分を集め、揮発物を減圧下で除去した。残留物をアセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。溶液を凍結乾燥乾固して、標記化合物(20.83mg、0.517mmol、13.0%収率)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl):8.72(s,1H),7.96-7.84(m,2H),7.61(br d,J=8.2Hz,1H),7.24-7.16(m,1H),4.02-3.90(m,1H),3.28(spt,J=6.9Hz,1H),2.76-2.65(m,4H),2.18-2.11(m,2H),2.06-1.97(m,2H),1.89(s,1H),1.48-1.39(m,2H),1.39-1.30(m,2H),1.28-1.26(m,3H).MS ES:397.4.UPLC純度:98.3%.SFCキラル純度:100%.
【0119】
実施例23:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1R,4r)-4-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化45】
2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(43.7mg、0.214mmol)、(1r,4R)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体11)(45mg、0.214mmol)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(83.0mg、0.642mmol)のジクロロメタン(0.5mL)中混合物に、TP(272mg、0.428mmol、EtOAc中50%の純度)を加えた後、混合物を25℃で0.5時間撹拌した。反応混合物をHO(3mL)およびジクロロメタン(3x3mL)で希釈した。水相を濾過して、残留物を得た。残留物を分取HPLC(カラム:Phenomenex C18 75*30mm*3μm、移動相A:水(NH3・H2O+NH4HCO3)、移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、25%B~55%の勾配条件)により精製した。純粋画分を集め、揮発物を減圧下で除去した。残留物をアセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。溶液を凍結乾燥乾固して、標記化合物(6.59mg、0.166mmol、7.7%収率)を灰色がかった白色の粉末として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)8.93(s,1H),8.78(d,J=8.8Hz,1H),8.19(t,J=1.3Hz,1H),7.82(s,1H),7.15(s,1H),3.86-3.74(m,2H),2.62(s,3H),2.52(br d,J=2.0Hz,1H),2.02-1.78(m,6H),1.54(dq,J=3.1,12.6Hz,2H),1.16(d,J=6.8Hz,3H).MS ES:397.4.UPLC純度:99.7%.SFCキラル純度:97.61%.
【0120】
実施例24:6-メチル-2-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化46】
ステップ1:メチル 2-クロロ-6-メチルピリミジン-4-カルボキシレート(1g、5.36mmol)および5-メチル-1H-イミダゾール(440.01mg、5.36mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中溶液に、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(2.08g、16.1mmol)を25℃で加えた。混合物を100℃で12時間撹拌した。混合物をHO(10mL)中に注ぎ込み、EtOAc(3x20mL)で抽出し、合わせた有機層を濃縮して残留物を得た。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);20g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、0~50%酢酸エチル/石油エーテル勾配の溶出液、流速60mL/分)で精製し、メチル 6-メチル-2-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)ピリミジン-4-カルボキシレート(0.1g、0.415mmol、7.7%収率,96.3%化学純度)を黄色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)8.43(s,1H),7.84(s,1H),7.67-7.61(m,1H),3.95(s,3H),2.63(s,3H),2.50(br s,3H).
ステップ2:メチル 6-メチル-2-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)ピリミジン-4-カルボキシレート(40mg、0.172mmol)の1M LIOH(水溶液)(1M、0.861mL)のTHF(2mL)中の溶液を25℃で0.5時間撹拌した。混合物を濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物 6-メチル-2-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)ピリミジン-4-カルボン酸(36mg、粗製物)、黄色固体、をさらに精製することなく次のステップに使用した。MS ES:219.0.
ステップ3:6-メチル-2-(5-メチル-1H-イミダゾール-1-イル)ピリミジン-4-カルボン酸(28mg、0.128mmol)および(1r,4r)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(中間体1)(252mg、1.28mmol)のジクロロメタン(0.5mL)中の混合物に、トリエチルアミン(130mg、1.28mmol)およびTP(306mg、0.962mmol)を25℃で一度に加えた。混合物を25℃で0.5時間撹拌した。混合物をHO(5mL)中に注ぎ込み、ジクロロメタン(3x5mL)で抽出し、合わせた有機層を濃縮して粗生成物を得た。残留物を分取TLC(SiO、PE:EA=0:1、Rf=0.5)で精製して、粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(DAICEL CHIRALCEL OD(250*30mm)、10μm):移動相A:[0.1%NH・HO ETOH];移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、30%B~30%の勾配条件)で精製した。純粋画分を集め、揮発物を減圧下で除去した。残留物をアセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。溶液を凍結乾燥乾固して、標記化合物(12.8mg、0.031mmol、46.8%収率)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)8.86(d,J=1.1Hz,1H),8.63(d,J=8.5Hz,1H),7.82(s,1H),6.85(t,J=1.1Hz,1H),3.89-3.71(m,1H),3.26(br dd,J=7.9,10.3Hz,2H),2.62(s,3H),2.56(d,J=0.9Hz,3H),2.24(br d,J=6.4Hz,1H),1.94(br d,J=11.4Hz,2H),1.82(br d,J=10.4Hz,2H),1.61-1.41(m,2H),1.13(br d,J=13.8Hz,2H).MS ES:397.2.UPLC純度:95.4%.SFCキラル純度:100%.
【0121】
実施例25:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-(((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)メチル)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化47】
ステップ1:2-イミダゾール-1-イル-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(50mg、0.245mmol)、tert-ブチル (((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)メチル)カルバメート(55.91mg、0.245mmol)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(94.9mg、0.735mmol)およびジクロロメタン(1mL)の溶液に、TP(233.7mg、0.367mmol、EtOAc中50%の純度)を加えた。混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物をHO(20mL)で希釈し、EtOAc(3x20mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、残留物を得た。粗生成物 tert-ブチル(((1r,4r)-4-(2-1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド)シクロヘキシル)メチル)カルバメート(102mg、粗製物)、黄色固体、をさらに精製することなく次のステップに使用した。MS ES:415.2.
ステップ2:tert-ブチル(((1r,4r)-4-(2-1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド)シクロヘキシル)メチル)カルバメート(100mg、0.241mmol)のジクロロメタン(1mL)中溶液に、2,2,2-トリフルオロ酢酸(308mg、2.70mmol)を加えた。混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮して残留物を得た。粗生成物 N-((1r,4r)-4-(アミノメチル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド・トリフルオロ酢酸塩(105mg、粗製物)、黄色固体、をさらに精製することなく次のステップに使用した。MS ES:315.1.
ステップ3:N-((1r,4r)-4-(アミノメチル)シクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド・トリフルオロ酢酸塩(105mg、0.245mmol)、トリエチルアミン(124mg、1.23mmol)およびN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)の溶液に、2,2,2-トリフルオロエチルトリフルオロメタンスルホネート(56.9mg、0.245mmol)を加えた。混合物を70℃で12時間撹拌した。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮して残留物を得た。その後、生成物を分取HPLC(カラム:Welch Xtimate C18 150*30mm*5μm、移動相A:水(NHHCO)、移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、27%B~68%の勾配条件)で更に精製した。純粋画分を集め、揮発物を減圧下で除去した。残留物をアセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。溶液を凍結乾燥乾固して、標記化合物(3.77mg、0.009mmol、3.7%収率)を黄色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)8.94(s,1H),8.81(d,J=8.8Hz,1H),8.22-8.18(m,1H),7.82(s,1H),7.15(s,1H),3.86-3.76(m,1H),3.24-3.17(m,2H),2.62(s,3H),2.53-2.51(m,2H),2.32-2.23(m,1H),1.88-1.80(m,4H),1.54-1.45(m,2H),1.40-1.32(m,1H),1.03-0.94(m,2H).MS ES:397.2.UPLC純度:95.3%. SFCキラル純度:100%.
【0122】
実施例26:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)カルバモイル)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化48】
ステップ1:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(2g、5.58mmol)およびメチル(1r,4r)-4-アミノシクロヘキサン-1-カルボキシレート・塩酸塩(1.19g、6.14mmol)のジクロロメタン(20mL)中溶液に、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(2.16g、16.8mmol)およびTP(5.33g、8.37mmol、EtOAc中の50%純度)を加えた。混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物をHO(20mL)で希釈し、ジクロロメタン(3x20mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル:酢酸エチル=1/0~0/1)で精製し、メチル(1r,4r)-4-(2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(400mg、1.16mmol、20.9%収率)を黄色固体として得た。 MS ES:343.9.
ステップ2:メチル(1r,4r)-4-(2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(200mg、0.582mmol)のTHF(2mL)中の溶液に、1M LiOH(水溶液)(1M、1.75mL)を加えた。混合物を25℃で1時間撹拌した。1M HCl(水溶液)の添加により、混合物のpHを5~6に調節した。混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物(1r,4r)-4-(2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド)シクロヘキサン-1-カルボン酸(236mg、0.573mmol、98.4%収率)、灰色がかった白色の固体、をさらに精製することなく次のステップに使用した。MS ES:330.0.
ステップ3:(1r,4r)-4-(2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド)シクロヘキサン-1-カルボン酸(50mg、0.121mmol)、2,2,2-トリフルオロエタン-1-アミン(13.2mg、0.134mmol)のジクロロメタン(0.5mL)中溶液に、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(47.1mg、0.364mmol)およびTP(116mg、0.182mmol、EtOAc中50%の純度)を加えた。混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して残留物を得た。残留物を分取HPLC(カラム:Welch Xtimate C18 100*30mm*10μm、移動相A:水(HCOOH)、移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、5%~35%の勾配条件)により精製した。 純粋画分を集め、揮発物を減圧下で除去した。残留物をアセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。溶液を凍結乾燥乾固して、標記化合物(7.21mg、0.017mmol、14.3%収率)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)9.05(s,1H),8.84(d,J=8.6Hz,1H),8.49(t,J=6.3Hz,1H),8.24(s,1H),7.85(s,1H),7.22(s,1H),3.95-3.86(m,2H),3.85-3.80(m,1H),2.63(s,3H),2.27-2.18(m,1H),1.88-1.80(m,3H),1.57-1.46(m,4H),0.98-0.91(m,1H).MS ES:411.1.UPLC純度:98.8%.SFCキラル純度:98.34%.
【0123】
実施例27:N-((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-ピリミジン-4-カルボキサミド・蟻酸塩
【化49】
ステップ1:tert-ブチル((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)カルバメート(500mg、2.33mmol)、2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(476mg、2.33mmol)およびトリエチルアミン(708mg、7.00mmol)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、TP(2.23g、3.50mmol、EtOAc中50%の純度)を加えた。混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物をHO(20mL)で希釈した後、EtOAc(3x20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);20g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、石油エーテル:酢酸エチル=0:1の溶出液、流速35mL/分)で精製し、tert-ブチル((1r,4r)-4-(2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド)シクロヘキシル)カルバメート(570mg、1.19mmol、51.1%収率)を淡黄色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)8.94(s,1H),8.81(d,1H,J=8.6Hz),8.20(t,1H,J=1.2Hz),7.82(s,1H),7.1-7.2(m,1H),6.77(d,1H,J=7.8Hz),3.79(dd,1H,J=3.8,7.8Hz),3.2-3.3(m,1H),2.62(s,3H),1.83(t,4H,J=12.2Hz),1.5-1.6(m,2H),1.38(s,9H),1.2-1.3(m,2H).
ステップ2:tert-ブチル((1r,4r)-4-(2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド)シクロヘキシル)カルバメート(50mg、0.125mmol)の、ジオキサン(1mL)中の4M HCl、中の溶液に加えた。混合物を25℃で0.5時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して残留物を得た。残留物を分取HPLC(カラム:Xtimate C18 100*30mm*10μm、移動相A:水(HCOOH)、移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、0%~20%の勾配条件)により精製した。純粋画分を集め、揮発物を減圧下で除去した。残留物をアセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。溶液を凍結乾燥乾固して、標記化合物(18.09mg、0.520mmol、41.6%収率)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)8.92(s,1H),8.82(d,J=8.6Hz,1H),8.42(s,1H),8.18(s,1H),7.82(s,1H),7.16(s,1H),3.89-3.75(m,1H),3.30-3.22(m,2H),2.97-2.81(m,1H),2.62(s,3H),2.02-1.94(m,2H),1.90-1.82(m,2H),1.64-1.50(m,2H),1.45-1.33(m,2H).MS ES:301.4.UPLC純度:99.5%.SFCキラル純度:96.89%.
【0124】
実施例28:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチル-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル-1,1-d)アミノ)シクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化50】
ステップ1:2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボン酸(4.84g、23.7mmol)、tert-ブチル((トランス)-4-アミノシクロヘキシル)カルバメート(6.10g、28.44mmol)およびN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(9.19g、71.11mmol)のジクロロメタン(50mL)中溶液に、TP(22.63g、35.56mmol、EtOAc中の50%純度)を加えた。次に、混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物を50mLの飽和NaHCOで希釈し、ジクロロメタン(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮乾固した。フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);80g SepaFlash(登録商標)Silica Flash Column、溶出液:ジクロロメタン/メタノール=20/1、流速80mL/分)で精製し、tert-ブチル((1r,4r)-4-(2-(1H-イミダゾール-1-イル)メチルピリミジン-4-カルボキサミド)シクロヘキシル)カルバメート(5.89g、13.02mmol、54.9%収率)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)8.94(s,1H),8.82(d,J=8.8Hz,1H),8.20(s,1H),7.82(s,1H),7.16(s,1H),6.78(d,J=8.0Hz,1H),3.88-3.68(m,1H),3.26-3.20(m,1H),2.62(s,3H),1.83(t,J=11.9Hz,4H),1.62-1.51(m,2H),1.38(s,9H),1.32-1.22(m,2H).
ステップ2:tert-ブチル((1r,4r)-4-(2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド)シクロヘキシル)カルバメート(2g、4.99mmol)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、ジオキサン中の4M HCl(4M、20mL)を添加した。混合物を25℃で1時間撹拌した。反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮して、((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド・塩酸塩(0.89g、1.97mmol、39.4%収率)を白色固体として得て、これを更に精製せずに次にステップに使用した。H NMR(400MHz,DMSO-d)10.23(s,1H),9.13(d,J=8.5Hz,1H),8.60(s,1H),8.10(d,J=4.1Hz,3H),8.03(s,1H),7.79(s,1H),3.88-3.83(m,1H),2.99(d,J=5.1Hz,1H),2.69(s,3H),2.05(d,J=11.4Hz,2H),1.89(d,J=10.5Hz,2H),1.72-1.59(m,2H),1.56-1.42(m,2H).
ステップ3:N-((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)-2-(1H-イミダゾール-1-イル)-6-メチルピリミジン-4-カルボキサミド・塩酸塩(20mg、0.594mmol)および2,2,2-トリフルオロエチル-1,1-d-4-メチルベンゼンスルホネート(中間体12)(22.8mg、0.891mmol)のDMF(0.2mL)中溶液に、KI(9.86mg、0.594mmol)、KCO(24.6mg、0.178mmol)および1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカン(3.14mg、0.119mmol)を加えた。混合物を90℃で1時間撹拌した。合わせた反応混合物を飽和KHCO(水溶液)(10mL)中に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した(3x20mL)。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、濾過した。濾液を蒸発乾固させた。生成物を分取HPLC(カラム:Xtimate C18 150*40mm*10μm、移動相A:水(NH・HO+NHHCO)、移動相B:アセトニトリル、流速:25mL/分、14%~54%の勾配条件)で精製した。純粋画分を集め、揮発物を減圧下で除去した。残留物をアセトニトリル(2mL)と水(10mL)との間で分配した。溶液を凍結乾燥乾固して、標記化合物(5mg、3.5%収率)を黄色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)8.96-8.91(m,1H),8.82-8.76(m,1H),8.21-8.17(m,1H),7.84-7.80(m,1H),7.17-7.14(m,1H),3.88-3.76(m,1H),2.63-2.61(m,3H),2.45-2.41(m,1H),2.24-2.20(m,1H),1.99-1.92(m,2H),1.84-1.78(m,2H),1.58-1.48(m,2H),1.17-1.08(m,2H).MS ES:385.1.UPLC純度:97.5%.SFCキラル純度:100%.
【0125】
実施例29(比較例):2-(1H-イミダゾール-1-イル)-N-((1r,4r)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)シクロヘキシル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-カルボキサミド
【化51】
実施例29の化合物を、国際公開第WO2021/021986A1号中の実施例101に記載されているようにして調製した。
【0126】
生物活性
ヒトCD38加水分解酵素アッセイ
非生理学的NAD基質類似体1,N-エテノNAD(ε-NAD)を用いて、試験化合物のヒトCD38加水分解酵素活性を阻害する能力を蛍光ベースアッセイで測定した。0.005%のBSAを含むPBS(-Ca2+/Mg2+)(pH7.4)中の384ウェル黒色マイクロプレート中の組換えヒトCD38(0.8nM)を25℃で30分間プレインキュベーションした。CD38加水分解酵素活性を4μMのε-NADの添加(これにより、蛍光生成物、1,N-エテノADPリボースを発生させる)により開始した。蛍光産物の形成は、ClarioStar Plus(BMG)マイクロプレート読み取り装置を用いて、2つの時点(1つは、基質添加後(t=0)および1つは、10分後(t=10))での蛍光の読取り(励起 λ=300nm;放射 λ=410nm)により追跡した。
ベースライン蛍光の変動を補正するために、t=10で検出した値からt=0で検出した値を差し引いて、データを分析した。蛍光値を高シグナル(CD38およびε-NAD)および低シグナル(ツールCD38阻害剤の存在下でのCD38およびε-NAD)対照ウェルの平均を用いてパーセント阻害に変換した。IC50値は、4パラメーターロジスティック方程式による10点ハーフログ濃度反応曲線から決定した。
【0127】
マウスCD38加水分解酵素アッセイ
非生理学的NAD基質類似体1,N-エテノNAD(ε-NAD)を用いて、試験化合物のマウスCD38加水分解酵素活性を阻害する能力を蛍光ベースアッセイで測定した。0.005%のBSAを含むPBS(-Ca2+/Mg2+)(pH7.4)中の384ウェル黒色マイクロプレート中の組み替えマウスCD38(0.4nM)を25℃で30分間プレインキュベーションした。CD38加水分解酵素活性を12μMのε-NADの添加(これにより、蛍光生成物、1,N-エテノADPリボースを発生させる)により開始した。蛍光産物の形成は、ClarioStar Plus(BMG)マイクロプレート読み取り装置を用いて、2つの時点(1つは、基質添加後(t=0)および1つは、6分後(t=6))での蛍光の読取り(励起 λ=300nm;放射 λ=410nm)により追跡した。
【0128】
ベースライン蛍光の変動を補正するために、t=6で検出した値からt=0で検出した値を差し引いて、データを分析し、蛍光値を高シグナル(CD38およびε-NAD)および低シグナル(ツールCD38阻害剤の存在下でのCD38およびε-NAD)対照ウェルの平均を用いてパーセント阻害に変換した。IC50値は、4パラメーターロジスティック方程式による10点ハーフログ濃度反応曲線から決定した。
ヒトおよびマウスCD38活性に対するデータを表1にまとめている。


【表1】
【0129】
薬物動態学
組織結合アッセイ
緩衝液調製。塩基性溶液は、14.2g/LのNaHPOおよび8.77g/LのNaClを脱イオンHO中に溶解することにより調製された。酸性溶液は、15.6g/LのNaHPO・2HOおよび8.77g/LのNaClを脱イオンHO中に溶解することにより調製された。酸性溶液を用いて、塩基性溶液をpH7.4±0.1に滴定し、4℃で最大1か月間貯蔵した。停止液は、200ng/mLのトルブタミド、200ng/mLのラベタロール(labetalol)および50ng/mLのメトホルミンを含む100%CHCNであった。
【0130】
試験方法。透析膜ストリップを室温で約1時間にわたり超純水に浸漬した。2膜を含む各膜ストリップを分離し、20:80のEtOH/HO(体積/体積)中で約20分間浸漬し、その後、それらは、すぐに使える状態としたか、または溶液中で2~8℃で最大1か月間貯蔵された。実験の前に、超純水中で膜を濯ぎ、20分間浸漬させた。実験の日に、使用前に、脳ホモジネートを室温の水浴中で解凍し、37℃で10分間インキュベートした。試験および対照化合物をDMSOに溶解し、10mMのストック溶液を得た。ストック溶液の10μLを希釈することにより、DMSO作業溶液を400μMで調製した。回収測定のために使用される時間ゼロ(t=0)試料を調製するために、50μLの分割量の負荷マトリックスを試料収集プレートに3回繰り返して移した。試料をすぐに相対するブランク緩衝液と適合させて、各ウェル中で、1:1のマトリックス/透析緩衝液(体積/体積)による100μLの最終体積を得た。500μLの停止液をこれらのt=0試料に加えた。その後、それらを更なる処理を待つ間、他の透析後試料と共に、2~8℃で貯蔵した。透析装置をロードするために、150μLの分割量の負荷マトリックスを各透析ウェルのドナー側に3回繰り返して移し、150μLの透析緩衝液をウェルのアクセプター側に加えた。透析プレートを、ゆっくりと回転する(約100rpm)振盪プラットフォーム上の5%のCOを有する37℃の加湿インキュベーター中に4時間にわたり置いた。透析の終わりに、50μLの分割量の試料を透析装置の緩衝液側およびマトリックス側の両方から採取した。これらの試料を新しい96ウェルプレートに移した。各試料を等体積の相対するブランクマトリックス(緩衝液またはマトリックス)と、各ウェルで、1:1のマトリックス/透析緩衝液(体積/体積)により100μLの最終体積に達するように混合した。全ての試料を内部標準を含む500μLの停止液を加えることによりさらに処理した。混合物をボルテックスし、4000rpmで約20分間遠心分離した。その後、全ての試料の上清の100μLの分割量をLC-MS/MS分析のために取り出した。50μLのブランクマトリックスを96ウェルプレートに移し、50μLのブランクPBS緩衝液を各ウェルに加えることにより、単一のブランク試料を調製した。その後、透析試料と同じ処理方法に従って、500μLの内部標準を含む停止液を加えることにより、マトリックスマッチング試料をさらに処理した。
【0131】
データ分析%無希釈非結合、%無希釈結合および%回収を次の式を用いて計算した:
%無希釈非結合=100*1/D/((1/(F/T)-1)+1/D)
%無希釈結合=100-%無希釈非結合
%回収=100*(F+T)/T0
ここで、Fは、膜の緩衝液(アクセプター)側の分析物濃度または分析物/内部標準のピーク面積比である;Tは、膜のマトリックス(ドナー)側の分析物濃度分析物濃度または分析物/内部標準のピーク面積比である;T0は、時間ゼロでの負荷マトリックス中の分析物濃度または分析物/内部標準のピーク面積比である;およびDは、このアッセイで4として特定された希釈因子である。
【0132】
選択化合物に対する脳ホモジネートおよび血漿中の非結合割合を表2にまとめている。
【表2】
【0133】
PK脳浸透性
単回経口(po)経管栄養投与後に、化合物のインビボでの脳中への分布をC57BL/6マウスで測定した。
水中の0.5%のHPMC E4M、0.2%のツイーン80中で、試験化合物を1mg/mLで調合し、po投与に好適な溶液または均質懸濁液を得た。10mL/kgの体積の配合物を3匹の雄C57BL/6マウスに投与し、10mg/kgの投与レベルにした。投与の1および2時間後に血液試料を、抗凝固剤としてK2EDTAを含むチューブに採取し、血漿に処理し、-60℃以下でLC-MS/MS分析まで貯蔵した。脳を投与の2時間後に採取し、生理食塩水で濯ぎ、乾燥、秤量し、氷冷条件下でホモジナイズした。脳ホモジネートを-60℃以下でLC-MS/MS分析まで貯蔵した。
投与配合物濃度をLC-UVまたはLC-MS/MS法を用いて検証した。CRO SOPに従って、含有QC試料および許容基準を用いて較正曲線に対して個別のマトリックスで開発したLC-MS/MS法を用いて、血漿および脳ホモジネート中の試験化合物濃度を定量的に測定した。ホモジネートの調製に使用した希釈因子に対して脳ホモジネート中の濃度を補正して、全脳組織中の濃度を得た。
時間に対する血漿および脳濃度のデータをエクセルで報告し、プロットした。投与の2時間後の血漿に対する脳の比率を次の式を用いて、各動物に対し計算した:
脳:血漿=2時間での脳濃度(ng/g)/2時間での血漿中濃度(ng/mL)
標的に対する影響を作用させるために、非結合試験化合物のみを利用できるので、非結合血漿(Cp,u)および非結合脳(Cb,u)濃度を、下記式を使ってインビトロ血漿タンパク質または脳組織アッセイから決定した血漿(fu,p)または脳(fu,b)中の非結合比率に対する合計濃度を補正することにより計算した:
Cp,u=血漿中濃度*fu,p
Cb,u=脳中濃度*fu,b
次に、非結合分配係数(Kpu,u)をCp,に対するCb,の比率に基づいて、下記の式を用いて計算した:
Kpu,u=Cb,/Cp,
【0134】
薬物動態学試験による選択データは表3にまとめられている。これらの試験では、マウスは、10mg/kgの投与量を経口投与され、投与の2時間後にと殺され、組織試料(脳ホモジネートおよび血漿)は、その後、上述の用に解析された。
【表3】
【0135】
表3のデータは、実施例1~3、10および21などのN-(4-アミノシクロヘキシル)ピリミジン-4-カルボキサミドは、優秀な脳浸透性を示すが、比較実施例17~18などの類似のシクロヘキシルエーテル類またはアルコール、および比較実施例29(説明用に含まれる)などの類似のピロロピリミジンは、遙かに低い脳曝露およびKpu,u値を有することを示す。特に、実施例1~3および21における追加の水素結合ドナーは、比較実施例17~18に比べて、脳曝露を低減することが予測されるはずなので、これは意外な観察結果である。
【0136】
本発明は、例示の目的のみで上記されているに過ぎないことは、理解されよう。実施例は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。以下の特許請求の範囲のみにより定められる本発明の範囲および主旨を逸脱することなく、様々な変更形態および実施形態を実施することが可能である。
【国際調査報告】