(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】骨髄腫を処置する際に使用するための、B細胞成熟抗原に特異的なキメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20241024BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20241024BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20241024BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241024BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20241024BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
A61K35/17
A61K45/00
A61K38/06
A61K31/198
A61P35/00
A61K31/454
A61K31/675
A61K31/704
C07K19/00
C12N5/10
C12N5/0783
C07K14/705 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526671
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022079190
(87)【国際公開番号】W WO2023081735
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508027464
【氏名又は名称】セルジーン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【氏名又は名称】佐藤 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,エバートン デック
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ネイサン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,シャリ
(72)【発明者】
【氏名】ヒージ,クリステン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA10
4C084BA15
4C084BA23
4C084BA31
4C084NA05
4C084ZB072
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC22
4C086DA38
4C086EA10
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB07
4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA53
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZC75
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
ある特定の形質細胞悪性病変を含む疾患および状態を処置するための、遺伝子操作された細胞の投与を伴う養子細胞療法の方法が本明細書に提供される。細胞は一般に、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)等の組換え受容体を発現する。一部の実施形態では、方法は、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を選択および処置するためのものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、
(a)対象が、
(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないこと
を決定することと、
(b)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することと
を含む方法。
【請求項2】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を、
(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないこと
が事前に決定された対象に投与することを含む方法。
【請求項3】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、
(a)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置について、
(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないこと
が事前に決定された対象を選択することと、
(b)T細胞療法を対象に投与することと
を含む方法。
【請求項4】
遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置について、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を選択する方法であって、対象が、
(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないこと
を決定することを含み、
ここで、対象が(i)および/または(ii)を有する場合、対象が、ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による投与について選択される方法。
【請求項5】
ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置に対する、多発性骨髄腫(MM)を有する対象の応答を予測する方法であって、対象が、
(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないこと
を決定することを含み、
ここで、対象が(i)および/または(ii)を有する場合、対象が、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成すると予測され、
処置が、遺伝子操作されたT細胞の用量の対象への投与を含む、方法。
【請求項6】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、
(a)対象が、
(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することと、
(b)MMをデバルキングすることと、
(c)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することと
を含む方法。
【請求項7】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、
(a)対象が、
(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病の存在を有すること
が事前に決定され;
(b)(1)対象が(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMがデバルキングされた、方法。
【請求項8】
デバルキングについて、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を選択する方法であって、対象が、
(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有すること
を決定することを含み、
ここで、対象が(i)および/または(ii)を有すると決定される場合、対象が、ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法の対象への投与の前のMMのデバルキングについて選択される方法。
【請求項9】
ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置に対する、多発性骨髄腫(MM)を有する対象の応答を予測する方法であって、対象が、
(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有すること
を決定することを含み、
ここで、対象が(i)および/または(ii)を有する場合、対象が、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成しないことが予測され、
処置が、遺伝子操作されたT細胞の用量の対象への投与を含む、方法。
【請求項10】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、
(a)対象が、約600ng/mLより高い第1の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと;
(b)MMをデバルキングすることと;
(c)対象が、約600ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有することを決定することと;
(d)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することと
を含む方法。
【請求項11】
対象が、
(i)約600ng/mLより高いかもしくは低い血清sBCMAレベルもしくはデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すること;および/または
(ii)IgG HCDの存在を有するかまたは有さないこと
を決定することをさらに含む、請求項2、3、または7に記載の方法。
【請求項12】
対象が、約600ng/より高いかまたは低い血清sBCMAレベルまたはデバルキング後の血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
対象が、約590ng/ml、約580ng/ml、約570ng/mlL、約566ng/ml、約560ng/ml、約550ng/ml、約540ng/ml、約530ng/ml、約520ng/ml、約510ng/ml、もしくは約500ng/mlより高いかもしくは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含み;および/または
対象が、約590ng/ml、約580ng/ml、約570ng/mlL、約566ng/ml、約560ng/ml、約550ng/ml、約540ng/ml、約530ng/ml、約520ng/ml、約510ng/ml、もしくは約500ng/mlより高いかもしくは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
対象が、IgG HCDの存在を有するかまたは有さないことを決定することを含む、請求項1~9および11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
対象がIgG HCDの存在を有することを決定することが、対象の血清および/または尿中のIgGを検出することを含む、請求項1~9および11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
血清sBCMAレベルの決定が、(i)対象へのT細胞療法の投与の、または(ii)遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞が対象から得られる約3カ月前、約2カ月前、約1カ月前、約3週間前、約2週間前、または約1週間前に実行される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定が、(i)対象へのT細胞療法の投与、または(ii)遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞が対象から得られる前の約3カ月、約2カ月、約1カ月、約3週間、約2週間、または約1週間の間に実行される、請求項1~9および11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
遺伝子操作された細胞の用量を対象に投与することをさらに含む、請求項4、5、8、9および12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
(i)対象がCRまたはsCRを達成すると予測される場合、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することをさらに含む;または
(ii)対象がCRまたはsCRを達成しないと予測される場合、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量の対象への投与の前に、MMのデバルキングについて対象を選択することをさらに含む、請求項5、9および12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の後に、対象が完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の後に、対象がCRを達成する、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の後に、対象がsCRを達成する、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
デバルキングが、対象に化学療法、放射線、および/または免疫調節剤を投与することを含む、請求項6~8、10および12~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
化学療法が、メルファラン、ドキソルビシン、またはシクロホスファミド化学療法を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
免疫調節剤が、サリドマイド、レナリドマイド、またはポマリドマイドである、請求項23または請求項24に記載の方法。
【請求項26】
免疫調節剤が、チェックポイント阻害剤である、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
デバルキングが、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月以内、約2カ月以内、約1カ月以内、約3週間以内、約2週間以内、または約1週間以内に実行される、請求項6~8、10および12~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の前に、対象が、フルダラビンを、対象の体表面積1m
2当たり20~40mgもしくは約20~40mgで、適宜30mg/m
2もしくは約30mg/m
2で毎日2~4日間投与すること、および/またはシクロホスファミドを、対象の体表面積1m
2当たり200~400mgもしくは約200~400mgで、適宜300mg/m
2もしくは約300mg/m
2で毎日2~4日間投与することを含むリンパ球枯渇療法を受けている、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の前に、対象が、フルダラビンを、対象の体表面積1m
2当たり30mgもしくは約30mgで毎日、シクロホスファミドを、対象の体表面積1m
2当たり300mgもしくは約300mgで毎日、3日間投与することを含むリンパ球枯渇療法を受けている、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
デバルキングがリンパ球枯渇療法前に実行される、請求項28または請求項29に記載の方法。
【請求項31】
デバルキングがリンパ球枯渇療法後に実行される、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
MMが高リスクMMならびに/または再発したおよび/もしくは不応性の(r/r)MMである、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
MMが高リスクMMである、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
MMが再発したおよび/または不応性の(r/r)MMである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
対象が18歳以上である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
対象が、MMに対して3以上の事前治療ラインを以前に受けたことがある、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
3以上の事前治療ラインのそれぞれが、進行性疾患(PD;最終用量後60日以内の進行)がその治療ラインに対する最良の応答でない限り、2回の連続サイクルを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
3以上の事前治療ラインが、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、および抗CD38抗体を含む、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
対象が、3以上の事前治療ラインのうちの最後に対して不応性である、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
対象が、0または1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
対象が、遺伝子操作されたT細胞の用量の投与時に測定可能な疾患を有する、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
測定可能な疾患が、
(i)血清Mタンパク質 1.0g/dL以上;
(ii)尿Mタンパク質 200mg/24時間以上;および/または
(iii)血清遊離軽鎖(FLC)比が異常である場合、罹病血清FLCレベル 10mg/dL以上
を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
対象が、
(i)中枢神経系(CNS)病変;および/または
(ii)臨床的に関連するCNS病態の病歴もしくは存在
を有さない、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
対象が、活動性の形質細胞白血病(PCL)またはPCLの病歴を有さない、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
CARが、BCMAに結合する細胞外抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達領域を含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
細胞外抗原結合性ドメインが、可変重鎖(V
H)領域、および適宜、可変軽鎖(V
L)領域を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
V
H領域が、配列番号189、190および191にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み;V
L領域が、配列番号192、193および194にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含み;または
V
H領域が、配列番号173、174および175にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み;V
L領域が、配列番号183、184および185にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
V
H領域が、配列番号18に記載されるアミノ酸配列を含み、V
L領域が、配列番号19に記載されるアミノ酸配列を含み;
またはV
H領域が、配列番号24に記載されるアミノ酸配列を含み、V
L領域が、配列番号25に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項46または請求項47に記載の方法。
【請求項49】
細胞外抗原結合性ドメインが、単鎖可変断片(scFv)である、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
scFvが、配列番号213または配列番号188に記載のアミノ酸配列を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
細胞内シグナル伝達領域が、共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項45~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
共刺激シグナル伝達ドメインが、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
共刺激シグナル伝達ドメインが、膜貫通ドメインと、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞質シグナル伝達ドメインとの間にある、請求項51または請求項52に記載の方法。
【請求項54】
膜貫通ドメインが、CD28またはCD8、適宜ヒトCD28またはCD8由来の膜貫通ドメインであるか、またはそれを含む、請求項45~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
CARが、抗原結合性ドメインと膜貫通ドメインとの間に細胞外スペーサーをさらに含む、請求項45~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
スペーサーがCD8由来であり、適宜スペーサーがCD8αヒンジである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
膜貫通ドメインおよびスペーサーがCD8由来である、請求項55または請求項56に記載の方法。
【請求項58】
CARが、配列番号116または配列番号124に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項45~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
CARが、配列番号214に記載されるポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項45~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
CARがABECMA
(著作権)である、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、イデカブタゲン・ビクルユーセル細胞;bb21217細胞;オルバカブタゲン・オートルユーセル細胞;CT103A細胞;シルタカブタゲン・オートルユーセル細胞;KITE585細胞;CT053細胞;BCMA-CS1 cCAR(BC1cCAR)細胞;P-BCMA-101細胞;P-BCMA-ALLO1細胞;C-CAR088細胞;Descartes-08細胞;PBCAR269A細胞;ALLO-715細胞;PHE885細胞;AUTO8細胞;CTX120細胞;CB-011細胞;ALLO-605(TuboCAR/MM)細胞;pCDCAR1(TriCAR-Z136)細胞、またはGC012F細胞を含む、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、イデカブタゲン・ビクルユーセル細胞を含む、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、CD3
+ CAR発現T細胞を含む、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、CD4
+ T細胞およびCD8
+ T細胞の組合せならびに/またはCD4
+ CAR発現T細胞およびCD8
+ CAR発現T細胞の組合せを含む、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
CD4
+ CAR発現T細胞対CD8
+ CAR発現T細胞および/またはCD4
+ T細胞対CD8
+ T細胞の比が、1:1もしくはおよそ1:1であるかまたは1:3もしくはおよそ1:3~3:1もしくはおよそ3:1の間である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
ナイーブ様T細胞および/もしくはセントラルメモリーT細胞のパーセンテージが、用量中の合計の遺伝子操作されたT細胞の60%を超えるかもしくはその概数を超え、適宜65%、70%、80%、90%、もしくは95%を超えるかもしくはその概数を超え;
ナイーブ様T細胞および/もしくはセントラルメモリーT細胞のパーセンテージが、用量中の合計のCD4+の遺伝子操作されたT細胞の40%を超えるかもしくはその概数を超え、適宜50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%を超えるかもしくはその概数を超え;または
ナイーブ様T細胞および/もしくはセントラルメモリーT細胞のパーセンテージが、用量中の合計のCD8+の遺伝子操作されたT細胞の40%を超えるかもしくはその概数を超え、適宜50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%を超えるかもしくはその概数を超える、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
ナイーブ様T細胞が、CCR7+CD45RA+、CD27+CCR7+、またはCD62L-CCR7+である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、約0.5×10
6~約600×10
6個のCAR陽性T細胞を含む、請求項1~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、約100×10
6~約600×10
6個のCAR陽性T細胞を含む、請求項1~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、約150×10
6~約450×10
6個のCAR陽性T細胞を含む、請求項1~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、約150×10
6、300×10
6、または約450×10
6個のCAR陽性T細胞を含む、請求項1~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、約0.5×10
6~約10×10
6個のCAR陽性T細胞を含む、実施形態1~68のいずれか1つに記載の方法。
【請求項73】
遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞が対象から得られた、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、対象にとって自家である、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
遺伝子操作されたT細胞の用量が、対象にとって同種異系である、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、「B細胞成熟抗原に特異的なキメラ抗原受容体を使用する処置のための方法(METHODS FOR TREATMENT USING CHIMERIC ANTIGEN RECEPTORS SPECIFIC FOR B-CELL MATURATION ANTIGEN)」と題する2021年11月3日に出願された米国仮出願第63/275,414号および「B細胞成熟抗原に特異的なキメラ抗原受容体を使用する処置のための方法(METHODS FOR TREATMENT USING CHIMERIC ANTIGEN RECEPTORS SPECIFIC FOR B-CELL MATURATION ANTIGEN )」と題する2021年12月9日に出願された米国仮出願第63/287,904号からの優先権を主張する。その内容は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
配列表の参照による組み込み
本出願は、電子形式の配列表と共に提出される。配列表は、2022年11月2日に作成された683772001440SeqList.XMLと題するファイルとして提供され、そのサイズは349,655バイトである。配列表の電子形式の情報は、その全体が参照により組み込まれる。
【0003】
本開示は、一部の態様では、多発性骨髄腫(MM)を処置するための、遺伝子操作された細胞の投与を伴う養子細胞療法に関する。細胞は一般に、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)等の組換え受容体を発現する。一部の実施形態では、本開示は、CAR発現細胞による処置についてMMを有する対象を選択し、それによる処置に対する対象の応答を予測するための方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
B細胞成熟抗原(BCMA)は成熟Bリンパ球で発現する膜貫通タイプIIIのタンパク質である。BCMAがそのリガンドであるTNFファミリーのB細胞(BAFF)または増殖誘導リガンド(APRIL)と結合した後、細胞生存を促進するシグナルがB細胞に送達され、これが形質細胞の生存に必要であることが判明している。BCMAの発現は、がん、自己免疫傷害および感染性疾患を含むいくつかの疾患と関連している。がんを含む様々な疾患および状態におけるBCMAの役割により、BCMAは治療標的となっている。様々なBCMA結合キメラ抗原受容体(CAR)、およびそのようなCARを発現する細胞が利用可能である。しかしながら、BCMA結合CARおよび操作されたBCMA-CAR発現標的細胞、例えば養子細胞療法における使用のために、対象を選択する方法、およびそれを用いて患者を処置する方法を改善するニーズが依然として存在する。本明細書に提供されるのは、そのようなニーズを満たす実施形態である。
【発明の概要】
【0005】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、(a)対象が、(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことを決定することと、(b)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含有するT細胞療法を対象に投与することとを含む方法が本明細書に提供される。
【0006】
多発性骨髄腫(MM)を有するかまたは有することが疑われる対象を処置する方法であって、ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含有するT細胞療法を、(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことが事前に決定された対象に投与することを含む方法も本明細書に提供される。
【0007】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、(a)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含有するT細胞療法による処置について、(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことが事前に決定された対象を選択することと、(b)T細胞療法を対象に投与することとを含む方法も本明細書に提供される。
【0008】
遺伝子操作されたT細胞の用量を含有するT細胞療法による処置について、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を選択する方法であって、対象が、(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことを決定することを含み、ここで、対象が(i)および/または(ii)を有することが決定される場合、対象が、ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含有するT細胞療法による投与について選択される方法も本明細書に提供される。
【0009】
ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含有するT細胞療法による処置に対する、多発性骨髄腫(MM)を有する対象の応答を予測する方法であって、対象が、(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことを決定することを含み、対象が(i)および/または(ii)を有する場合、対象は完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成すると予測され、処置が、対象へのその用量の遺伝子操作されたT細胞の投与を含む、方法も本明細書に提供される。
【0010】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、対象が、(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)が存在することを決定することと、(b)MMをデバルキングすることと、(c)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含有するT細胞療法を対象に投与することとを含む方法も本明細書に提供される。
【0011】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含有するT細胞療法を対象に投与することを含み、(a)対象が、(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有することが事前に決定され、(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMがデバルキングされた、方法も本明細書に提供される。
【0012】
デバルキングについて、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を選択する方法であって、対象が、(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することを含み、ここで、対象が(i)および/または(ii)を有することが決定される場合、対象が、ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含有するT細胞療法の対象への投与の前に、MMのデバルキングについて選択される方法も本明細書に提供される。
【0013】
ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含有するT細胞療法による処置に対する多発性骨髄腫(MM)を有する対象の応答を予測する方法であって、対象が、(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することを含み、対象が(i)および/または(ii)を有する場合、対象は完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成しないと予測され、処置が、対象へのその用量の遺伝子操作されたT細胞の投与を含む方法も本明細書に提供される。
【0014】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、(a)対象が、約600ng/mLより高い第1の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと、(b)MMをデバルキングすることと、(c)対象が、約600ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有することを決定することと、(d)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含有するT細胞療法を対象に投与することとを含む方法が本明細書に提供される。
【0015】
一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0016】
一部の実施形態では、方法は、対象が、(i)約600ng/mLより高いかもしくは低い血清sBCMAレベルもしくはデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すること;および/または(ii)IgG HCDの存在を有するかまたは有さないことを決定することをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより高いかまたは低い血清sBCMAレベルまたはデバルキング後の血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。
【0017】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、およびIgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことを決定することを含む。
【0018】
一部の実施形態では、対象は、約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないと決定される。一部の実施形態では、対象は、約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有し、かつIgG重鎖病(HCD)の存在を有さないと決定される。
【0019】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約590ng/mL、約580ng/mL、約570ng/mL、約560ng/mL、約550ng/mL、約540ng/mL、約530ng/mL、約520ng/mL、約510ng/mL、または約500ng/mLより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、対象は、約590ng/mL、約580ng/mL、約570ng/mL、約560ng/mL、約550ng/mL、約540ng/mL、約530ng/mL、約520ng/mL、約510ng/mL、または約500ng/mLより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。
【0020】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約566ng/mLより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、対象は、約566ng/mLより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有することを決定することは、対象の血清中のIgGを検出することを含む。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有することを決定することは、対象の尿中のIgGを検出することを含む。
【0021】
一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、(i)対象へのT細胞療法の投与の、または(ii)遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞が対象から得られる約3カ月前、約2カ月前、約1カ月前、約3週間前、約2週間前、または約1週間前に実行される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、対象へのT細胞療法の投与の約3カ月前、約2カ月前、約1カ月前、約3週間前、約2週間前、または約1週間前に実行される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞が対象から得られる約3カ月前、約2カ月前、約1カ月前、約3週間前、約2週間前、または約1週間前に実行される。
【0022】
一部の実施形態では、方法は、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことを決定することを含む。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有することを決定することは、対象の血清および/または尿中のIgGを検出することを含む。
【0023】
一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定は、(i)対象へのT細胞療法の投与、または(ii)遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞が対象から得られる前の約3カ月、約2カ月、約1カ月、約3週間、約2週間、または約1週間の間に実行される。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定は、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月、約2カ月、約1カ月、約3週間、約2週間、または約1週間の間に実行される。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定は、遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞が対象から得られる前の約3カ月、約2カ月、約1カ月、約3週間、約2週間、または約1週間の間に実行される。
【0024】
一部の実施形態では、方法は、遺伝子操作された細胞の用量を対象に投与することを含む。
【0025】
一部の実施形態では、対象がCRまたはsCRを達成すると予測される場合、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することをさらに含む。
【0026】
一部の実施形態では、対象がCRまたはsCRを達成しないと予測される場合、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量の対象への投与の前に、MMのデバルキングについて対象を選択することをさらに含む。
【0027】
一部の実施形態では、対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の後に、対象は完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成する。一部の実施形態では、対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の後に、対象はCRを達成する。一部の実施形態では、対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の後に、対象はsCRを達成する。
【0028】
一部の実施形態では、デバルキングは、対象に化学療法、放射線、および/または免疫調節剤を投与することを含む。一部の実施形態では、デバルキングは、対象に化学療法を投与することを含む。一部の実施形態では、デバルキングは、対象に放射線を投与することを含む。一部の実施形態では、デバルキングは、対象に免疫調節剤を投与することを含む。一部の実施形態では、デバルキングは、対象に化学療法および放射線を投与することを含む。一部の実施形態では、デバルキングは、対象に化学療法および免疫調節剤を投与することを含む。一部の実施形態では、デバルキングは、対象に放射線および免疫調節剤を投与することを含む。一部の実施形態では、デバルキングは、対象に化学療法、放射線、および免疫調節剤を投与することを含む。
【0029】
一部の実施形態では、化学療法は、メルファラン、ドキソルビシン、またはシクロホスファミド化学療法であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、化学療法は、メルファランであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、化学療法は、ドキソルビシンであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、化学療法は、シクロホスファミド化学療法であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、免疫調節剤は、サリドマイド、レナリドマイド、またはポマリドマイドである。一部の実施形態では、免疫調節剤はサリドマイドである。一部の実施形態では、免疫調節剤はレナリドミドである。一部の実施形態では、免疫調節剤はポマリドマイドである。一部の実施形態では、免疫調節剤はチェックポイント阻害剤である。
【0030】
一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月以内、約2カ月以内、約1カ月以内、約3週間以内、約2週間以内、または約1週間以内に実行される。
【0031】
一部の実施形態では、対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の前に、対象は、フルダラビンを、対象の体表面積1m2当たり20~40mgもしくは約20~40mgで、適宜30mg/m2もしくは約30mg/m2で毎日2~4日間投与すること、および/またはシクロホスファミドを、対象の体表面積1m2当たり200~400mgもしくは約200~400mgで、適宜300mg/m2もしくは約300mg/m2で毎日2~4日間投与することを含むリンパ球枯渇療法を受けている。一部の実施形態では、対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の前に、対象は、フルダラビンを、対象の体表面積1m2当たり30mgもしくは約30mg/m2で毎日、シクロホスファミドを、対象の体表面積1m2当たり300mgもしくは約300mg/m2で毎日、3日間投与することを含むリンパ球枯渇療法を受けている。
【0032】
一部の実施形態では、デバルキングはリンパ球枯渇療法前に実行される。一部の実施形態では、デバルキングはリンパ球枯渇療法後に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、リンパ球枯渇療法前およびリンパ球枯渇療法後に実行される。一部の実施形態では、対象は、遺伝子操作されたT細胞の用量の対象への投与の前に、ガンマセクレターゼ阻害剤で処置される。
【0033】
一部の実施形態では、MMは、高リスクMM、または再発したおよび/もしくは不応性の(r/r)MMである。一部の実施形態では、MMは、高リスクMM、または再発したおよび不応性の(r/r)MMである。一部の実施形態では、MMは高リスクMMである。一部の実施形態では、MMは再発したおよび不応性の(r/r)MMである。一部の実施形態では、MMは再発したまたは不応性の(r/r)MMである。一部の実施形態では、MMは高リスクMMならびに再発したおよび不応性の(r/r)MMである。
【0034】
一部の実施形態では、対象は18歳以上である。一部の実施形態では、対象は、MMに対して3以上の事前治療ラインを以前に受けたことがある。一部の実施形態では、3以上の事前治療ラインの各々は、進行性疾患がその治療ラインに対して最良の応答を示さない限り、2回の連続サイクルを含んだ。一部の実施形態では、進行性疾患とは、治療ラインの最終投与後60日以内の進行である。一部の実施形態では、3以上の事前治療ラインは、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、および抗CD38抗体を含む。一部の実施形態では、対象は、3以上の事前治療ラインのうちの最後に対して不応性である。一部の実施形態では、対象は、0または1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する。一部の実施形態では、対象は0の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する。一部の実施形態では、対象は1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する。
【0035】
一部の実施形態では、対象は、遺伝子操作されたT細胞の用量の投与時に測定可能な疾患を有する。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、(i)血清Mタンパク質 1.0g/dL以上;(ii)尿Mタンパク質 200mg以上/24時間;および/または(iii)血清遊離軽鎖(FLC)比が異常である場合、罹病血清FLCレベル 10mg/dL以上を含む。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、血清Mタンパク質 1.0g/dL以上を含む。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、尿Mタンパク質 200mg以上/24時間を含む。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、血清遊離軽鎖(FLC)比が異常である場合、罹病血清FLCレベル 10mg/dL以上を含む。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、(i)血清Mタンパク質 1.0g/dL以上;および(ii)尿Mタンパク質 200mg以上/24時間を含む。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、(i)血清Mタンパク質 1.0g以上;および(ii)血清遊離軽鎖FLC比が異常である場合、罹病血清(FLC)レベル 10mg/dL以上を含む。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、(i)尿Mタンパク質 200mg以上/24時間;および(ii)血清遊離軽鎖(FLC)比が異常である場合、罹病血清FLCレベル 10mg/dL以上を含む。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、(i)血清Mタンパク質 1.0g以上;(ii)尿Mタンパク質 200mg以上/24時間;および(iii)血清遊離軽鎖(FLC)比が異常である場合、罹病血清FLCレベル 10mg/dL以上を含む。
【0036】
一部の実施形態では、対象は、(i)中枢神経系(CNS)病変;および/または
(ii)臨床的に関連するCNS病態の病歴もしくは存在
を有さない。一部の実施形態では、対象は、中枢神経系(CNS)病変を有さない。一部の実施形態では、対象は、臨床的に関連するCNS病態の病歴または存在を有さない。一部の実施形態では、対象は、(i)中枢神経系(CNS)病変;または
(ii)臨床的に関連するCNS病態の病歴もしくは存在
を有さない。一部の実施形態では、対象は、活動性の形質細胞白血病(PCL)またはその病歴を有さない。
【0037】
一部の実施形態では、CARは、BCMAに結合する細胞外抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達領域を含有する。
【0038】
一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは可変重鎖(VH)領域を含有する。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、単一ドメイン抗体(sdAb)を含有するか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、sdAbは可変重鎖(VH)領域である。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、2つのsdAbを含有するか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、2つのsdAbの各々は可変重鎖(VH)領域である。一部の実施形態では、2つのsdAbsの各々は、BCMAの異なるエピトープに結合する。一部の実施形態では、2つのsdAbsの各々は、BCMAの同じエピトープに結合する。
【0039】
一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含む。一部の実施形態では、VH領域は、配列番号189、190および191にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含有するCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含有し;ならびにVL領域は、配列番号192、193および194にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含有するCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含有するか:またはVH領域は、配列番号173、174および175にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含有するCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含有し;ならびにVL領域は、配列番号183、184および185にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含有するCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含有する。一部の実施形態では、VH領域は、配列番号189、190および191にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含有するCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含有し;ならびにVL領域は、配列番号192、193および194にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含有するCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含有する。一部の実施形態では、VH領域は、配列番号173、174および175にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含有するCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含有し;ならびにVL領域は、配列番号183、184および185にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含有するCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含有する。一部の実施形態では、VH領域は、配列番号18に記載されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、配列番号19に記載されるアミノ酸配列を含むか;またはVH領域は、配列番号24に記載されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、配列番号25に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH領域は、配列番号18に記載されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、配列番号19に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、VH領域は、配列番号24に記載されるアミノ酸配列を含み、VL領域は、配列番号25に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0040】
一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、単鎖可変断片(scFv)である。一部の実施形態では、scFvは、配列番号213または配列番号188に記載のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号213に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号188に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号216~247のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む。
【0041】
一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞質シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む。一部の実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む。一部の実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BBの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む。一部の実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、ICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む。
【0042】
一部の実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメインと、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞質シグナル伝達ドメインとの間にある。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28またはCD8由来の膜貫通ドメインであるか、またはそれを含有する。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28由来の膜貫通ドメインであるか、またはそれを含有する。一部の実施形態では、CD28はヒトCD28である。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8由来の膜貫通ドメインであるか、またはそれを含有する。一部の実施形態では、CD8はヒトCD8である。
【0043】
一部の実施形態では、CARは、細胞外抗原結合性ドメインと膜貫通ドメインとの間に細胞外スペーサーをさらに含有する。一部の実施形態では、スペーサーはCD8由来である。一部の実施形態では、スペーサーはCD8αヒンジである。
【0044】
一部の実施形態では、CARは、配列番号90~141のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号116または配列番号124に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号116に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号124に記載されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CARは、配列番号214に記載されるポリペプチド配列によってコードされる。
【0045】
一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は:イデカブタゲン・ビクルユーセル細胞(例えば、ABECMA(登録商標)細胞等);bb21217細胞;オルバカブタゲン・オートルユーセル(orvacabtagene autoleucel)細胞;CT103A細胞;シルタカブタゲン・オートルユーセル細胞;KITE585細胞;CT053細胞;BCMA-CS1 cCAR(BC1cCAR)細胞;P-BCMA-101細胞;P-BCMA-ALLO1細胞;C-CAR088細胞;Descartes-08細胞;PBCAR269A細胞;ALLO-715細胞;PHE885細胞;AUTO8細胞;CTX120細胞;CB-011細胞;ALLO-605(TuboCAR/MM)細胞;pCDCAR1(TriCAR-Z136)細胞、またはGC012F細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、イデカブタゲン・ビクルユーセル細胞(例えば、ABECMA(登録商標)細胞等)を含有する。
【0046】
一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、CD3+ CAR発現T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞の組合せを含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の組合せを含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、CD4+ CAR発現T細胞またはCD8+ CAR発現T細胞の組合せを含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、CD4+ CAR発現T細胞およびCD8+CAR発現T細胞の組合せを含有する。一部の実施形態では、CD4+ CAR発現T細胞対CD8+ CAR発現T細胞の比は、1:1またはおよそ1:1である。一部の実施形態では、CD4+ CAR発現T細胞対CD8+ CAR発現T細胞の比は、1:3またはおよそ1:3~3:1またはおよそ3:1の間である。一部の実施形態では、CD4+ T細胞対CD8+ T細胞の比は、1:1またはおよそ1:1である。一部の実施形態では、CD4+ T細胞対CD8+ T細胞の比は、1:3またはおよそ1:3~3:1またはおよそ3:1の間である。
【0047】
一部の実施形態では、ナイーブ様T細胞のパーセンテージは、用量中の合計の遺伝子操作されたT細胞の60%を超えるかまたはその概数を超え、適宜65%、70%、80%、90%、または95%を超えるかまたはその概数を超える。一部の実施形態では、ナイーブ様T細胞のパーセンテージは、用量中の合計のCD4+の遺伝子操作されたT細胞の40%を超えるかまたはその概数を超え、適宜50%、60%、70%、80%、90%、または95%を超えるかまたはその概数を超える。一部の実施形態では、ナイーブ様T細胞のパーセンテージは、用量中の合計のCD8+の遺伝子操作されたT細胞の40%を超えるかまたはその概数を超え、適宜50%、60%、70%、80%、90%、または95%を超えるかまたはその概数を超える。一部の実施形態では、ナイーブ様T細胞は、CCR7+CD45RA+、CD27+CCR7+、またはCD62L-CCR7+である。一部の実施形態では、ナイーブ様T細胞は、CCR7+CD45RA+である。一部の実施形態では、ナイーブ様T細胞は、CD27+CCR7+である。一部の実施形態では、ナイーブ様T細胞は、CD62L-CCR7+である。
【0048】
一部の実施形態では、セントラルメモリーT細胞のパーセンテージは、用量中の合計の遺伝子操作されたT細胞の60%を超えるかまたはその概数を超え、適宜65%、70%、80%、90%、または95%を超えるかまたはその概数を超える。一部の実施形態では、セントラルメモリーT細胞のパーセンテージは、用量中の合計のCD4+の遺伝子操作されたT細胞の40%を超えるかまたはその概数を超え、適宜50%、60%、70%、80%、90%、または95%を超えるかまたはその概数を超える。一部の実施形態では、セントラルメモリーT細胞のパーセンテージは、用量中の合計のCD8+の遺伝子操作されたT細胞の40%を超えるかまたはその概数を超え、適宜50%、60%、70%、80%、90%、または95%を超えるかまたはその概数を超える。
【0049】
一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約0.5×106~約600×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約0.5×106~約100×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約0.5×106~約10×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約1×106~約10×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約0.5×106~約1×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約0.5×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約0.75×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約1.0×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約2.5×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約5.0×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約7.5×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約10.0×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約50×106~約1000×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約100×106~約600×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約150×106~約450×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約150×106、300×106、または約450×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約150×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約300×106個のCAR陽性T細胞を含有する。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、約450×106個のCAR陽性T細胞を含有する。
【0050】
一部の実施形態では、遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞は、対象から得られた。一部の実施形態では、遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞は、例えば遺伝子操作のために、対象から得られる。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、対象にとって自家である。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、対象にとって同種異系である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】ベースラインの特徴とCR/sCRの可能性の増大(右側)または非CR/sCRの可能性の増大(左側)との相関を、重要度別にランク付けして示す(各ドットは個々の患者を表す;濃い灰色:高レベルまたは存在レベル;薄い灰色:低レベルまたは非存在レベル;CR:完全奏効;sCR:厳格な完全奏効)。
a患者の実験室測定値より。
【
図2A】
図2Aは、可溶性BCMA(sBCMA)のベースライン値と臨床応答(CR:完全奏効;sCR:厳格な完全奏効;VGPR:最良部分奏効;PR:部分奏効)との関連を示す。箱は、Q1、Q3、および中央値を表す。ひげは、Q1-1.5
*IQRより大きい最小値とQ3+1.5
*IQRより小さい最大値を表す。
【
図2B】
図2Bは、β-2ミクログロブリンのベースラインレベルと臨床応答(CR:完全奏効;sCR:厳格な完全奏効;VGPR:最良部分奏効;PR:部分奏効)との関連を示す。箱は、Q1、Q3、および中央値を表す。ひげは、Q1-1.5
*IQRより大きい最小値とQ3+1.5
*IQRより小さい最大値を表す。
【
図2C】
図2Cは、CR/sCRまたは非CR/sCR(CR:完全奏効;sCR:厳格な完全奏効)を示したIgG重鎖病を有する患者と有さない患者の数を示す。
【
図2D】
図2Dは、D-二量体、フェリチン、およびナトリウムのベースラインレベルと臨床応答(CR:完全奏効;sCR:厳格な完全奏効;VGPR:最良部分奏効;PR:部分奏効)との関連を示す。箱は、Q1、Q3、および中央値を表す。ひげは、Q1-1.5
*IQRより大きい最小値とQ3+1.5
*IQRより小さい最大値を表す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象をT細胞療法、例えば、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含む等、BCMAを標的とするT細胞療法で処置する方法であって、対象が、約600ng/mlより低い血清可溶性BCMA(sBCMA)レベルを有する、および/またはIgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことを決定される方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、対象は、T細胞療法の投与について選択される。
【0053】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象をT細胞療法、例えば、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含む等、BCMAを標的とするT細胞療法で処置する方法であって、対象が、約600ng/mlより高い血清可溶性BCMA(sBCMA)レベルを有する、および/またはIgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定される方法も本明細書に提供される。一部の実施形態では、対象は、MMのデバルキングおよびT細胞療法の投与について選択される。一部の実施形態では、対象は、MMのデバルキングについて選択される。一部の実施形態では、MMは、T細胞療法の投与前にデバルキングされる。
【0054】
一部の実施形態では、T細胞療法の投与のために患者を選択する方法は、対象が、約600ng/mLより低い等の特定の閾値より低いsBCMAの血清レベルを有する、および/またはIgG重鎖病の存在を有さないことを決定することに基づく。一部の実施形態では、MMのデバルキングのために患者を選択する方法は、対象が、約600ng/mLより高い等の特定の閾値より高いsBCMAの血清レベルを有する、および/またはIgG重鎖病の存在を有することを決定することに基づく。
【0055】
対象が、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置に応答する可能性を予測する方法も本明細書に提供される。一部の実施形態では、応答は、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)である。一部の実施形態では、対象がT細胞療法による処置に対してCRまたはsCRを示す可能性は、対象が、約600ng/mLより低い等の特定の閾値より低い可溶性BCMAの血清レベルを有する、および/またはIgG重鎖病の存在を有さないことを決定することに基づく。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより低い等の特定の閾値より低い可溶性BCMAの血清レベルを有する、および/またはIgG重鎖病の存在を有さないことを決定することに基づいて、対象は、T細胞療法による治療に応答してCRまたはsCRを達成すると予測される。一部の実施形態では、対象が、特定の閾値より高い、例えば約600ng/mLより高い可溶性BCMAの血清レベルを有する、および/またはIgG重鎖病の存在を有することを決定することに基づいて、対象は、T細胞療法による処置に応答してCRまたはsCRを達成しないと予測される。
【0056】
提供される実施形態の中でも、BCMAおよびBCMA発現細胞(即ち、多発性骨髄腫)を標的化または指向するものを含む方法、組成物、製造品、方法および使用が特に挙げられる。BCMAが、例えば、あらゆる再発したまたは新たに診断された骨髄腫患者等に由来する悪性形質細胞において発現され、正常組織における発現がほとんどないことが観察される。提供される実施形態の中でも、多発性骨髄腫を有する対象の処置に有用なアプローチ、およびBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞を含むT細胞療法による処置についての多発性骨髄腫を有する対象の選択、ならびにそれらを含む組成物および製造品が特に挙げられる。BCMA CAR T細胞は、一般に、BCMAに特異的な抗体(重鎖可変(VH)領域、単一ドメイン抗体断片および単鎖断片(scFv)を含む)等の抗原結合性抗体断片を含む細胞外抗原結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、scFvを含む抗原結合性抗体断片は、VHおよび軽鎖可変(VL)領域を含む。そのような抗BCMA CARを発現する、および/またはそのような抗BCMA CARをコードする核酸を含有する、操作された細胞または組換え細胞等の細胞、ならびにそのような細胞を含有する組成物および製造品および治療用量も提供される。
【0057】
BCMA CAR T細胞を含むT細胞療法の投与の前に、多発性骨髄腫を有する対象を、MMのデバルキングについて選択する方法も提供される。一部の事例では、対象が、特定の閾値を上回る、例えば約600ng/mLを上回る血清可溶性BCMA(sBCMA)レベルを有する、および/またはIgG重鎖病(HCD)の存在を有すると決定される場合に、対象は、デバルキングについて選択される。
【0058】
多発性骨髄腫を有する対象へのBCMA CAR T細胞を含むT細胞療法の投与の後に、対象が、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成するかどうかを予測する方法も提供される。一部の事例では、予測する方法は、T細胞療法の投与の前に患者から得られた試料中等の、血清可溶性BCMA(sBCMA)レベル、および/またはIgG重鎖病(HCD)の存在の有無に基づく。
【0059】
養子細胞療法(多発性骨髄腫の処置のためのBCMA CAR T細胞の投与を含むもの、ならびにその他の養子免疫細胞療法および養子T細胞療法)は、がんならびに他の疾患および障害の処置に有効であり得る。しかし、ある特定の状況では、養子細胞療法に利用できるアプローチは、必ずしも完全に満足のいくものとなるとは限らない場合がある。
【0060】
一部の態様では、多発性骨髄腫(例えば、再発したおよび不応性のMM)の処置に対する利用可能なアプローチは複雑であり、必ずしも完全に満足のいくものとなるとは限らない場合がある。再発したまたは不応性のMMを有する患者の転帰は、現在利用可能な治療法では不良である。再発したおよび不応性のMMは、さらなる処置に応答しないことが多く、通常2~4カ月以内に進行する。(Chari et al., N Engl J Med (2019) 381:727-38およびLonial et al., Lancet Oncol (2020) 21:207-21)。一部の態様では、処置レジメンの選択は、薬物の利用可能性、前治療に対する応答、再発の病原力、自家幹細胞移植(ASCT)に対する適格性、および再発が治療中または治療外で発生したかどうかを含む多数の要因に依存し得る。一部の態様では、MMは再発と寛解を繰り返すため、既存のレジメンでは、一部の事例では、再発および/または処置による毒性が生じる可能性がある。一部の事例では、様々な治療後に疾患が持続または再発した対象、高い腫瘍負荷等の高い疾患負荷を有する対象、および/または高リスク疾患(即ち、高リスク細胞遺伝学)を有する対象等の、特に高悪性の疾患を有する対象は、処置するのが特に困難である可能性があり、これらの対象におけるある特定の処置に対する奏効は不良であるか、または持続期間が短い可能性がある。場合によっては、前処置の多い対象、例えば、数回の異なる前治療ラインの後に再発した対象は、低い奏効率および/または高い有害事象の発生率を示す可能性がある。
【0061】
特に、免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤(PI)、および抗CD38抗体に以前に曝露したことのある再発したおよび/または不応性の多発性骨髄腫(R/R MM)を有する患者の転帰は不良である。(Chari et al., N Engl J Med (2019) 381:727-38;Lonial et al., Poster presentation at the European Hematology Association (EHA) Virtual Meeting 2021: Abstract EP970;およびRichardson et al., J Clin Oncol (2021) 39:757-67)。さらに、どの患者がCAR T細胞処置に対して深い応答を達成するかを予測することは、現在のところ困難である。一部の態様では、提供される実施形態は、提供される実施形態に従った対象の治療または処置に対する対象の選択が、事前治療ライン(例えば、免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤(PI)、および抗CD38抗体)に曝露されたことのある対象を含めて、高い奏効率(即ち、CRまたはsCR)をもたらすという観察に基づく。特に、提供される実施形態は、対象が特定の閾値未満(例えば、500、566、または600ng/mL未満)の血清sBCMAレベルを有する場合、および/または対象がIgG重鎖病(HCD)の存在を有さない場合、対象がBCMA CAR T細胞による処置に応答してCRまたはsCRを達成する可能性がより高いか、または達成することが予測されるという観察に基づく。逆に、対象が特定の閾値を上回る(例えば、500、566、または600ng/mLを上回る)血清sBCMAレベルを有する場合、および/または対象がIgG重鎖病(HCD)の存在を有する場合、対象がBCMA CAR T細胞による処置に応答してCRまたはsCRを達成する可能性が低いか、または達成しないと予測されることが、本明細書において観察される。これらの観察に基づき、特定の閾値を上回る(例えば、500、566、または600ng/mLを上回る)の血清sBCMAレベルを有する、および/またはIgG重鎖病(HCD)の存在を有する対象は、T細胞療法の投与の前に、MMのデバルキングについて選択され得る、および/またはデバルキングに供され得ることが意図される。一部の事例では、T細胞療法の投与の前のMMのデバルキングにより、対象の血清sBCMAレベルが特定の閾値より低くなる(例えば、500、566、または600ng/mLより低い)。一部の事例では、デバルキング後に、対象はT細胞療法を投与される。
【0062】
提供される実施形態は、一部の状況では、本明細書に記載のもの等のBCMA CAR T細胞の投与が、3以上の事前治療ラインを受けた再発したおよび不応性の対象を含む、血清sBCMAレベルがより低い、および/またはIgG HCDの存在を有さない対象において、より高いCR率またはsCR率をもたらすという、臨床研究からの観察に基づく。一部の態様では、提供される方法、使用、および細胞は、高いCR率またはsCR率をもたらす。一部の態様では、そのような高い奏効は、特定の閾値未満(例えば、500、566、または600ng/mL未満)の血清sBCMAレベルを有する、および/またはIgG重鎖病(HCD)の存在を有さないと決定された対象をT細胞療法の投与について選択することから達成され得る。さらに、そのような高い奏効は、特定の閾値を上回る(例えば、500、566、または600ng/mLを上回る)の血清sBCMAレベル、および/またはIgG重鎖病(HCD)の存在を有すると決定された対象を、T細胞療法の投与の前にMMのデバルキングについて選択することから達成され得る。一部の態様では、提供される実施形態に従った、高リスクおよび/または再発したおよび不応性のMMを有する対象(例えば、前処置の多い対象、腫瘍負荷の高い対象、および/または細胞遺伝学的に高リスクの対象)の処置は、CRまたはsCRをもたらすような、有効かつ持続的な処置を提供することが観察された。
【0063】
様々な態様では、提供される方法は、高リスクおよび/またはR/R MMを有する対象の選択および/または処置を可能にし、そのような対象において、細胞療法に対する至適奏効を低下させ得るある特定の制限を克服または打ち消すことができる。一部の状況では、提供される方法および操作された細胞または操作された細胞を含む組成物の使用は、対象を処置する際に、試験された様々な異なる用量レベルで高いCR率またはsCR率をもたらす利点を提供することが観察されている。さらに、提供される方法および操作された細胞または操作された細胞を含む組成物の使用は、疾患のための多数の異なる事前処置に対して再発し不応性である対象を含む、特に高リスクおよび/またはR/R疾患を有する対象を処置する際に利点をもたらすことが観察されている。
【0064】
本出願で参照されている特許文書、科学論文およびデータベースを含むあらゆる刊行物は、あたかも個々の刊行物のそれぞれが個々に参照により本明細書に組み込まれるのと同じ程度まで、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に示される定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開された出願および他の刊行物に示される定義に反するかさもなければ不一致である場合、本明細書に示される定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義よりも優先する。
【0065】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、単に体系化を目的とするものであり、記載されている主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0066】
I.バイオマーカーを評価し、T細胞療法による処置について対象を選択し、それに対する応答を予測する方法
提供される方法および使用の中には、T細胞療法による処置について対象を選択する方法があり、これは、対象からの試料等において、T細胞療法による処置に対する応答転帰(例えば、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR))に関連するバイオマーカーまたはパラメーターを評価または検出することを含み得る。また、提供される方法および使用の中には、デバルキング処置について対象を選択する方法、およびT細胞療法による処置に対する対象の応答を予測する方法があり、これらは、対象からの試料等において、T細胞療法による処置に対する応答転帰(例えば、完全応答(CR)または厳格な完全応答(sCR))に関連するバイオマーカーまたはパラメーターを評価または検出することを含み得る。提供される方法および使用の中には、対象がT細胞療法による処置に対して応答転帰を示すかどうかを予測する方法があり、これは、対象からの試料等において、T細胞療法による処置に対する応答転帰(例えば、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR))に関連するバイオマーカーまたはパラメーターを評価または検出することを含み得る。
【0067】
完全奏効(CR)および厳格な完全奏効(sCR)は、以下の表1に示されている国際骨髄腫作業部会(International Myeloma Working Group)(IMWG)標準応答基準(Kumar et al., Lancet Oncol (2016) 17(8):e328-46)によって定義されている。
【0068】
【表1】
**血清FLCレベルまたはFLC比に関する臨床使用に関する全ての推奨は、検証済みのFreelite試験(Binding Site、Birmingham、UK)で得られた結果に基づいている。
††免疫組織化学検査におけるクローン性細胞の存在/非存在は、κ/λ/L比に基づいている。免疫組織化学によるκ/λ比の異常は、分析に最低100個の形質細胞を必要とする。異常クローンの存在を反映する異常比率はκ/λが4:1を超えるかまたは1:2未満である。
【0069】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象から得られた試料等において、血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)のレベルを評価することを含む。一部の実施形態では、試料は血清試料である。いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象が約600ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象が、約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象が約566ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象が、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象が約500ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象が、約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料からの血清sBCMAのレベル、量または濃度を閾値レベルと個別に比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。一部の態様では、閾値レベルは、T細胞療法を受ける前の対象のグループから得られた生体試料における、血清sBCMAのレベル、量または濃度の平均値または中央値、および平均値または中央値の範囲または標準偏差内の値に基づいて決定され、グループの対象の各々は、CRまたはsCRを示すようになるか、またはCRまたはsCRを示すようにならなかった。
【0070】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、患者がIgG重鎖病(HCD)の存在を有するかどうかを、対象から得られた試料等において評価することを含む。一部の実施形態では、試料は、血清試料または尿試料である。いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象がIgG HCDの存在を有するかどうかを決定することを含む。いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象がIgG HCDの存在を有さないかどうかを決定することを含む。
【0071】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、操作された細胞の用量中のベクターのコピー数を評価することを含む。一部の実施形態では、ベクターは、キメラ抗原受容体(CAR)を含むかまたはそれをコードする。一部の実施形態では、方法は、操作された細胞の用量中のベクターのコピー数を閾値レベルと比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。
【0072】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象から得られた試料等において、β-2ミクログロブリンレベルを評価することを含む。一部の実施形態では、試料は血液試料である。一部の実施形態では、試料は尿試料である。一部の実施形態では、試料は脳脊髄液(CSF)試料である。一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料からのβ-2ミクログロブリンのレベル、量または濃度を閾値レベルと個別に比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。
【0073】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象から得られた試料等において、D-二量体レベルを評価することを含む。一部の実施形態では、試料は血液試料である。一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料からのD-二量体のレベル、量または濃度を閾値レベルと個別に比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。
【0074】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象から得られた試料等において、フェリチンレベルを評価することを含む。一部の実施形態では、試料は血液試料である。一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料からのフェリチンのレベル、量または濃度を閾値レベルと個別に比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。
【0075】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象から得られた試料等において、ナトリウムレベルを評価することを含む。一部の実施形態では、試料は血液試料である。一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料からのナトリウムのレベル、量または濃度を閾値レベルと個別に比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。
【0076】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象から得られた試料等において、プロトロンビン時間-国際標準化比(PT-INR)を評価することを含む。一部の実施形態では、試料は血液試料である。一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料からのPT-INRを閾値PT-INRと比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。
【0077】
一部の実施形態では、T細胞療法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する操作された細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含む。一部の実施形態では、血清sBCMAのレベル、および/またはIgG HCDの存在の有無は、再発したおよび不応性の(RR)多発性骨髄腫等の多発性骨髄腫を有する対象から、または対象から得られた試料において評価される。一部の実施形態では、対象は、T細胞療法による処置の候補であり、および/またはT細胞療法による処置を受けたことがある。一部の実施形態では、提供される方法は、T細胞療法に応答する可能性が高い対象を同定または選択するため;および/または、デバルキング等のT細胞療法の投与の前に、特定の処置について対象を選択するために使用することができる。
【0078】
一部の態様では、方法は、提供される実施形態に従って決定される応答の可能性に基づき、例えば、血清sBCMAおよび/またはIgG HCDの評価によって、応答の可能性について対象をさらにモニタリングすることを含む。
【0079】
一部の実施形態では、方法は、IgG HCDの存在の有無、および/または血清sBCMAの濃度、量、もしくはレベルを評価または検出することを含む。一部の事例では、方法は、血清sBCMAの濃度、量、またはレベルを、閾値レベル等の特定の基準値、例えば、CRおよび/またはsCR等の特定の応答と関連する基準値と比較することを含み得る。一部の実施形態では、方法は、IgG HCDの存在の有無の評価、および/または血清sBCMAの、血清sBCMAの基準値もしくは閾値レベルとの比較に基づいて、T細胞療法による処置について対象を選択することも含む。
【0080】
一部の態様では、生体試料、例えば対象からの血清または尿試料は、IgG HCDの存在の有無を検出するために得ることができる。一部の態様では、血清sBCMAの濃度、量、またはレベルを検出するために、生体試料、例えば、対象からの血液または血清試料を得ることができる。
【0081】
一部の実施形態では、IgG HCDおよび/または血清sBCMAレベルは、客観的に測定可能な特性、または細胞を含む生体試料によって、またはその中で発現される分子であり、治療転帰または疾患状態等の特定の状態または現象を示すことができるか、またはそれに関連し得る。一部の態様では、IgG HCDおよび/または血清sBCMAを測定または検出することができる。例えば、IgG HCDの存在の有無を検出することができる。一部の態様では、血清sBCMAの濃度、量、またはレベル等のパラメーターを測定または検出することができる。一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無、および/または血清sBCMAの濃度、量、もしくはレベルは、対象の特定の治療転帰または状態等の特定の状態に関連付けること、それと相関すること、それを示すこと、および/またはそれを予測することができる。一部の態様では、IgG HCDの存在の有無、および/または血清sBCMAの濃度、量、もしくはレベルは、応答転帰を含む特定の治療転帰等の特定の転帰または状態の可能性を評価するために使用することができる。一部の実施形態では、応答転帰は、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)である。一部の実施形態では、応答転帰はCRである。一部の実施形態では、応答転帰はsCRである。よって、一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無、および/または血清sBCMAの濃度、量、もしくはレベルは、対象がT細胞療法の投与の後にCRまたはsCRを示す可能性を評価するために使用することができる。
【0082】
一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無は、血清sBCMAの濃度、量、またはレベルと単独で、または組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、血清sBCMAの濃度、量、またはレベルは、単独で、またはIgG HCDの存在の有無と組み合わせて使用することができる。
【0083】
一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無および/または血清sBCMAのレベルは、生体試料から決定される。一部の態様では、生体試料は、体液または組織である。一部のそのような実施形態では、生体試料、例えば、体液は、全血、血清または血漿であるか、またはそれを含有する。一部のそのような実施形態では、生体試料、例えば、体液は、血清であるかまたはそれを含有する。一部のそのような実施形態では、生体試料、例えば、体液は、尿であるかまたはそれを含有する。
【0084】
一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無および/または血清sBCMAのレベルは、T細胞療法の投与の前(例えば、注入前)に決定され、例えば、T細胞療法の投与開始の1日前まで、2日前まで、7日前まで、14日前まで、21日前まで、28日前まで、35日前まで、40日前まで、2カ月前まで、または3カ月前までに得られる。
【0085】
一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無は、T細胞療法の投与の前(例えば、注入前)に決定され、例えば、T細胞療法の投与開始の1日前まで、2日前まで、7日前まで、14日前まで、21日前まで、28日前まで、35日前まで、40日前まで、2カ月前まで、または3カ月前までに得られる。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定は、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月、約2カ月、約1カ月、約3週間、約2週間、または約1週間の間に実行される。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定は、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月の間に実行される。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定は、対象へのT細胞療法の投与の前の約2カ月の間に実行される。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定は、対象へのT細胞療法の投与の前の約3週間の間に実行される。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定は、対象へのT細胞療法の投与の前の約2週間の間に実行される。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定は、対象へのT細胞療法の投与の前の約1週間の間に実行される。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定は、白血球アフェレーシスの前に実行される。一部の実施形態では、対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定は、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の前に実行される。
【0086】
一部の実施形態では、血清sBCMAのレベルは、T細胞療法の投与の前(例えば、注入前)に決定され、例えば、T細胞療法の投与開始の1日前まで、2日前まで、7日前まで、14日前まで、21日前まで、28日前まで、35日前まで、40日前まで、2カ月前まで、または3カ月前までに得られる。一部の実施形態では、血清sBCMAの第1のレベルは、T細胞療法の投与の前(例えば、注入前)に決定され、例えば、T細胞療法の投与開始の1日前まで、2日前まで、7日前まで、14日前まで、21日前まで、28日前まで、35日前まで、40日前まで、2カ月前まで、または3カ月前までに得られる。一部の実施形態では、血清sBCMAのデバルキング後のレベルは、T細胞療法の投与の前(例えば、注入前)に決定され、例えば、T細胞療法の投与開始の1日前まで、2日前まで、7日前まで、14日前まで、21日前まで、28日前まで、35日前まで、40日前まで、2カ月前まで、または3カ月前までに得られる。
【0087】
一部の実施形態では、対象へのT細胞療法の投与の約3カ月前、約2カ月前、約1カ月前、約3週間前、約2週間前、または約1週間前に実行される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、対象へのT細胞療法の投与の約3カ月前に実行される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、対象へのT細胞療法の投与の約2カ月前に実行される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、対象へのT細胞療法の投与の約1カ月前に実行される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、対象へのT細胞療法の投与の約3週間前に実行される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、対象へのT細胞療法の投与の約2週間前に実行される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、対象へのT細胞療法の投与の約1週間前に実行される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、白血球アフェレーシスの前に実行される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の前に実行される。
【0088】
一部の実施形態では、生体試料は、細胞療法の投与の前(例えば、注入前)に対象から得られ、例えば、T細胞療法の投与開始の1日前まで、2日前まで、7日前まで、14日前まで、21日前まで、28日前まで、35日前まで、40日前まで、2カ月前まで、または3カ月前までに得られる。一部の実施形態では、生体試料は、白血球アフェレーシスの前に対象から得られる。一部の実施形態では、生体試料は、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の前に対象から得られる。
【0089】
一部の実施形態では、血清sBCMAのレベルは、生体試料において決定される。一部の実施形態では、生体試料は、血液、血清または血漿試料である。一部の実施形態では、生体試料は血液試料である。一部の実施形態では、生体試料はアフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料である。一部の実施形態では、生体試料は血清試料である。一部の実施形態では、血清sBCMAのレベルは、対象からの血清試料において決定される。
【0090】
一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無は、生体試料において決定される。一部の実施形態では、生体試料は、血液試料、血清試料、血漿試料または尿試料である。一部の実施形態では、生体試料は血液試料である。一部の実施形態では、生体試料はアフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料である。一部の実施形態では、生体試料は血清試料である。一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無は、対象からの血清試料において決定される。一部の実施形態では、生体試料は尿試料である。一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無は、対象からの尿試料において決定される。
【0091】
一部の実施形態では、試薬は、診断目的、対象を同定するためおよび/または処置の転帰の評価のために、T細胞療法の投与の前またはT細胞療法の投与の後に使用することができる。
【0092】
一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無および/または血清sBCMAのレベルの決定は、インビトロ(in vitro)アッセイを実施することを含む。一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無の決定は、インビトロアッセイを実施することを含む。一部の実施形態では、血清sBCMAのレベルの決定は、インビトロアッセイを実施することを含む。一部の態様では、インビトロアッセイは、イムノアッセイ、アプタマーベースのアッセイ、組織学的もしくは細胞学的アッセイ、またはmRNA発現レベルアッセイである。一部の実施形態では、決定することは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫ブロッティング、免疫沈降、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫染色、フローサイトメトリーアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、ケミルミネッセンスアッセイ、ラテラルフローイムノアッセイ、阻害アッセイまたはアビディティーアッセイによって測定することを含む。一部の事例では、決定することは、IgGに特異的に結合する結合試薬を使用することを含む。一部の態様では、決定することは、BCMA、例えばsBCMAに特異的に結合する結合試薬を使用することを含む。一部の態様では、結合試薬は、抗体またはその抗原結合性断片、アプタマーまたは核酸プローブである。
【0093】
一部の実施形態では、腫瘍関連BCMA発現は、骨髄生検から評価される。一部の実施形態では、腫瘍関連BCMA発現は、細胞内BCMAエピトープに対して指向するモノクローナル抗体等の抗体を使用して免疫組織化学的に評価される。一部の実施形態では、腫瘍細胞表面BCMA発現は、Quantibrite(商標)ビーズを使用する等のフローサイトメトリーにより、新鮮な骨髄吸引液で定量される。一部の実施形態では、可溶性BCMAは、Luminex(登録商標)イムノアッセイを使用する等して、血清中で評価される。一部の実施形態では、可溶性BCMAは、血清中で縦断的に(例えば、連続した日、または一定の間隔で)評価される。血清BCMAを含む可溶性BCMAを測定するための方法は、当技術分野で公知であり、Munshi et al., N Engl J Med (2021) 384:705-16に記載される任意の方法を含むことができる。sBCMAレベルは、ONCOtrackerアッセイ(oncotracker.com/sbcma-biomarker/)により決定されてもよい。
【0094】
一部の実施形態では、IgG重鎖病は、血清または尿免疫固定法を含む、当技術分野で公知の任意の方法によって決定される。
【0095】
A.血清可溶性BCMA
i.処置および/またはデバルキングについての選択
一部の実施形態では、方法は、MMを有する対象から得られた試料における血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを決定することを含む。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルに基づいて、対象は、T細胞療法の投与および/またはMMのデバルキングについて選択される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルに基づいて、対象は、T細胞療法の投与について選択される。一部の実施形態では、対象は、血清sBCMAレベルに基づいて、MMのデバルキングについて選択される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルに基づいて、対象は、T細胞療法の投与およびMMのデバルキングについて選択される。
【0096】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより低い、例えば約566ng/mLまたは500ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより低い、例えば、約566ng/mLまたは500ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法を投与される。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより低い、例えば、約566ng/mLまたは500ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法の投与について選択される。
【0097】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより高い、例えば約500ng/mLまたは566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い、例えば、約500ng/mLまたは566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法を投与される。
【0098】
よって、一部の実施形態では、方法は、(a)対象が約600ng/mlより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと;(b)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、B細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、対象は、血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルが約600ng/mlより低いと事前に決定された。一部の実施形態では、方法は、遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置について多発性骨髄腫(MM)を有する対象を選択することを含み、対象が約600ng/mlより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すると決定することを含み、対象が約600ng/mlより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象はT細胞療法による投与について選択される。
【0099】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより高い、例えば約500ng/mLまたは566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い、例えば、約500ng/mLまたは566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、多発性骨髄腫は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法の投与の前にデバルキングされる。一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより高い、例えば約500ng/mLまたは566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い、例えば、約500ng/mLまたは566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法の投与の前に、多発性骨髄腫のデバルキングについて選択される。
【0100】
よって、一部の実施形態では、方法は、(a)対象が約600ng/mlより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、約600ng/mlより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの間に、MMは以前にデバルキングされた。一部の実施形態では、方法は、対象が約600ng/mlより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含み、対象が約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法の対象への投与の前に、MMのデバルキングについて選択される。一部の実施形態では、方法は、(a)対象が、約600ng/mLより高い第1の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)対象が、約600ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有することを決定することと;(d)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。
【0101】
一部の実施形態では、デバルキングは、セクションII.Bに記載されているように実行される。
【0102】
一部の実施形態では、デバルキングは、対象への化学療法、放射線、または免疫調節剤の投与を含む。一部の実施形態では、デバルキングは、対象への化学療法の投与を含む。一部の実施形態では、化学療法は、メルファラン、ドキソルビシン、またはシクロホスファミド化学療法を含む。一部の実施形態では、対象への放射線の投与を含む。一部の実施形態では、免疫調節剤は、サリドマイド、レナリドマイド、またはポマリドマイドである。一部の実施形態では、対象への免疫調節剤の投与を含む。一部の実施形態では、免疫調節剤はチェックポイント阻害剤である。
【0103】
一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月以内、約2カ月以内、約1カ月以内、約3週間以内、約2週間以内、または約1週間以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約2カ月以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約1カ月以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約3週間以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約2週間以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約1週間以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の前に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の後に実行される。一部の実施形態では、対象は、対象へのT細胞療法の投与の前に、ガンマセクレターゼ阻害剤で処置される。
【0104】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約590ng/ml、約580ng/ml、約570ng/ml、約560ng/ml、約550ng/ml、約540ng/ml、約530ng/ml、約520ng/ml、約510ng/ml、または約500ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約590ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約580ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約570ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約566ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約560ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約550ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約540ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約530ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約520ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約510ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約500ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。
【0105】
一部の実施形態では、対象は、約590ng/ml、約580ng/ml、約570ng/ml、約560ng/ml、約550ng/ml、約540ng/ml、約530ng/ml、約520ng/ml、約510ng/ml、または約500ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約590ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約580ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約570ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約566ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約560ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約550ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約540ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約530ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約520ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約510ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約500ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。
【0106】
ii.応答
一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより高いかまたは低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有するかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料における血清sBCMAのレベルを決定することを含む。一部の実施形態では、血清sBCMAのレベルが、特定の閾値、例えば566または600ng/mLより低いことに基づいて、対象は、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成すると予測される。
【0107】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより低い、例えば約566ng/mLまたは500ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより低い、例えば、約566ng/mLまたは500ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法の投与後にCRまたはsCRを示すと予測される。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、血清sBCMAレベルが約600ng/mLより高く、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成する可能性が約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または約10倍高い。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、血清sBCMAレベルが約600ng/mLより高く、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成する可能性が約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%高い。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、血清sBCMAレベルが約566ng/mLより高く、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成する可能性が約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または約10倍高い。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、血清sBCMAレベルが約566ng/mLより高く、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成する可能性が約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%高い。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、血清sBCMAレベルが約500ng/mLより高く、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成する可能性が約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または約10倍高い。
【0108】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより高い、例えば約500ng/mLまたは566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有するかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い、例えば、約500ng/mLまたは566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法の投与後にCRまたはsCRを示さないことが予測される。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、血清sBCMAレベルが約600ng/mLより低く、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成しない可能性が約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または約10倍高い。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、血清sBCMAレベルが約600ng/mLより低く、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成しない可能性が約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%高い。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、血清sBCMAレベルが約566ng/mLより低く、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成しない可能性が約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または約10倍高い。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、血清sBCMAレベルが約566ng/mLより低く、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成しない可能性が約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%高い。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、血清sBCMAレベルが約500ng/mLより低く、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成しない可能性が約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または約10倍高い。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、血清sBCMAレベルが約500ng/mLより低く、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与後にCRまたはsCRを達成しない可能性が約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%高い。
【0109】
よって、一部の実施形態では、方法は、多発性骨髄腫(MM)を有する対象の、遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置に対する応答を予測することを含み、対象が、約600ng/mlより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含み、対象が約600ng/mlより低い血清sBCMAレベルを有する場合、対象は、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成することが予測される。
【0110】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約590ng/ml、約580ng/ml、約570ng/ml、約560ng/ml、約550ng/ml、約540ng/ml、約530ng/ml、約520ng/ml、約510ng/ml、または約500ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約590ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約580ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約570ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約566ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約560ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約550ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約540ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約530ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約520ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約510ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約500ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。
【0111】
一部の実施形態では、対象は、約590ng/ml、約580ng/ml、約570ng/ml、約560ng/ml、約550ng/ml、約540ng/ml、約530ng/ml、約520ng/ml、約510ng/ml、または約500ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約590ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約580ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約570ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約566ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約560ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約550ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約540ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約530ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約520ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約510ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、対象は、約500ng/mlより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される。
【0112】
B.重鎖病
i.処置および/またはデバルキングについての選択
一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料中のIgG重鎖病(HCD)の存在の有無を決定することを含む。一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無に基づいて、対象は、T細胞療法の投与および/またはMMのデバルキングについて選択される。一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無に基づいて、対象は、T細胞療法の投与について選択される。一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無に基づいて、対象は、MMのデバルキングについて選択される。一部の実施形態では、IgG HCDの存在の有無に基づいて、対象は、T細胞療法の投与およびMMのデバルキングについて選択される。
【0113】
一部の実施形態では、方法は、対象がIgG HCDの存在を有さないかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、対象が、重鎖病を有さないと決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法を投与される。一部の実施形態では、対象が、重鎖病を有さないと決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法の投与について選択される。
【0114】
一部の実施形態では、方法は、対象がIgG HCDの存在を有するかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有すると決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法を投与されない。
【0115】
よって、一部の実施形態では、方法は、(a)対象がIgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことを決定することと;(b)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、B細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、対象は、IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないと事前に決定された。一部の実施形態では、方法は、遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置について多発性骨髄腫(MM)を有する対象を選択することを含み、対象が、IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことを決定することを含み、対象がIgG HCDの存在を有さないと決定される場合、対象はT細胞療法による投与について選択される。
【0116】
一部の実施形態では、方法は、対象がIgG HCDの存在を有するかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有すると決定される場合、多発性骨髄腫は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法の投与の前にデバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有すると決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法の投与の前に多発性骨髄腫のデバルキングについて選択される。一部の実施形態では、デバルキングは、上記のセクションまたはセクションII.Bに記載されているように実行される。
【0117】
一部の実施形態では、デバルキングは、対象への化学療法、放射線、または免疫調節剤の投与を含む。一部の実施形態では、デバルキングは、対象への化学療法の投与を含む。一部の実施形態では、化学療法は、メルファラン、ドキソルビシン、またはシクロホスファミド化学療法を含む。一部の実施形態では、対象への放射線の投与を含む。一部の実施形態では、免疫調節剤は、サリドマイド、レナリドマイド、またはポマリドマイドである。一部の実施形態では、対象への免疫調節剤の投与を含む。一部の実施形態では、免疫調節剤はチェックポイント阻害剤である。
【0118】
一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月以内、約2カ月以内、約1カ月以内、約3週間以内、約2週間以内、または約1週間以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約2カ月以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約1カ月以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約3週間以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約2週間以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前の約1週間以内に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の前に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の後に実行される。一部の実施形態では、対象は、対象へのT細胞療法の投与の前に、ガンマセクレターゼ阻害剤で処置される。
【0119】
ii.応答
一部の実施形態では、方法は、対象が、IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料中のIgG重鎖病(HCD)の存在の有無を決定することを含む。一部の実施形態では、IgG HCDの非存在に基づいて、対象は、T細胞療法の投与の後にCRまたはsCRを達成することが予測される。逆に、一部の実施形態では、IgG HCDの存在に基づいて、対象は、T細胞療法の投与の後にCRまたはsCRを達成しないことが予測される。
【0120】
一部の実施形態では、方法は、対象がIgG HCDの存在を有さないかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有さないと決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法の投与の後にCRまたはsCRを示すことが予測される。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有さないと決定される場合、対象は、IgG HCDの存在を有し、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与の後にCRまたはsCRを達成する可能性が約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または約10倍高い。
【0121】
一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有さないと決定される場合、対象は、IgG HCDの存在を有し、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与の後にCRまたはsCRを達成する可能性が約8倍、9倍、10倍、11倍、または12倍高い。一部の実施形態では、方法は、対象がIgG HCDの存在を有するかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有すると決定される場合、対象は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞(即ち、BCMA CAR T細胞)の用量を含むT細胞療法の投与の後にCRまたはsCRを示さないことが予測される。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有すると決定される場合、対象は、IgG HCDの存在を有さず、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与の後にCRまたはsCRを達成しない可能性が約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または約10倍高い。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有すると決定される場合、対象は、IgG HCDの存在を有さず、かつT細胞療法を投与された対象と比較して、T細胞療法の投与の後にCRまたはsCRを達成しない可能性が約8倍、9倍、10倍、11倍、または12倍高い。
【0122】
よって、一部の実施形態では、方法は、多発性骨髄腫(MM)を有する対象の、遺伝子操作された細胞の用量を含むT細胞療法による処置に対する応答を予測することを含み、対象が、IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないことを決定することを含み、対象が、IgG HCDの存在を有さない場合、対象は、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成することが予測される。一部の実施形態では、方法は、多発性骨髄腫(MM)を有する対象の、遺伝子操作された細胞の用量を含むT細胞療法による処置に対する応答を予測することを含み、対象が、IgG 重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することを含み、対象が、IgG HCDの存在を有する場合、対象は、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成しないことが予測される。
【0123】
C.他のバイオマーカー
いずれかの実施形態の一部では、方法は、操作された細胞の用量中のベクターのコピー数を評価することを含む。一部の実施形態では、操作された細胞の用量中のベクターのコピー数に基づいて、対象は、T細胞療法の投与の後にCRもしくはsCRを達成すると予測されるか、またはT細胞療法の投与の後にCRもしくはsCRを達成しないと予測される。
【0124】
一部の実施形態では、方法は、操作された細胞の用量中のベクターのコピー数を閾値レベルと比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。一部の態様では、閾値レベルは、対象のグループに提供された操作された細胞の用量中のベクターのコピー数の平均値または中央値、および平均値または中央値の範囲または標準偏差内の値に基づいて決定され、ここで、グループの対象の各々は、操作された細胞の用量を受けた後にCRまたはsCRを示すようになるか、またはCRまたはsCRを示すようにならなかった。一部の実施形態では、対象に提供される操作された細胞の用量中のベクターのコピー数が閾値レベルよりも低い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示さないと予測される。一部の実施形態では、対象に提供される操作された細胞の用量中のベクターのコピー数が閾値レベルよりも高い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示すと予測される。
【0125】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象から得られた試料等において、β-2ミクログロブリンレベルを評価することを含む。一部の実施形態では、対象から得られた試料中のβ-2ミクログロブリンレベルに基づいて、対象は、T細胞療法の投与の後にCRもしくはsCRを達成すると予測されるか、またはT細胞療法の投与の後にCRもしくはsCRを達成しないと予測される。
【0126】
一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料からのβ-2ミクログロブリンのレベル、量または濃度を閾値レベルと個別に比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。一部の態様では、閾値レベルは、T細胞療法を受ける前の対象のグループから得られた生体試料における、β-2ミクログロブリンのレベル、量または濃度の平均値または中央値、および平均値または中央値の範囲または標準偏差内の値に基づいて決定され、グループの対象の各々は、CRまたはsCRを示すようになるか、またはCRまたはsCRを示すようにならなかった。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のβ-2ミクログロブリンのレベル、量または濃度が閾値レベルよりも高い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示さないと予測される。一部の実施形態では、閾値レベルは、約5.5mg/mLである。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のβ-2ミクログロブリンのレベル、量または濃度が約5.5mg/mLよりも高い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示さないと予測される。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のβ-2ミクログロブリンのレベル、量または濃度が閾値レベルよりも低い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示すと予測される。一部の実施形態では、閾値レベルは、約3.5mg/mLである。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のβ-2ミクログロブリンのレベル、量または濃度が約3.5mg/mLよりも低い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示すと予測される。
【0127】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象から得られた試料等において、D-二量体レベルを評価することを含む。一部の実施形態では、試料は血液試料である。一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料からのD-二量体のレベル、量または濃度を閾値レベルと個別に比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。一部の態様では、閾値レベルは、T細胞療法を受ける前の対象のグループから得られた生体試料における、D-二量体のレベル、量または濃度の平均値または中央値、および平均値または中央値の範囲または標準偏差内の値に基づいて決定され、グループの対象の各々は、CRまたはsCRを示すようになるか、またはCRまたはsCRを示すようにならなかった。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のD-二量体のレベル、量または濃度が閾値レベルよりも高い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示さないと予測される。一部の実施形態では、閾値レベルは、約0.8mg/L、約0.9mg/L、約1.0mg/L、約1.1mg/L、約1.2mg/L、または約1.3mg/Lである。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のD-二量体のレベル、量または濃度が、約0.8mg/L、約0.9mg/L、約1.0mg/L、約1.1mg/L、約1.2mg/L、または約1.3mg/Lよりも高い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示さないと予測される。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のD-二量体のレベル、量または濃度が閾値レベルよりも低い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示すと予測される。一部の実施形態では、閾値レベルは、約0.8mg/L、約0.7mg/L、約0.6mg/L、約0.5mg/L、約0.4mg/L、または約0.3mg/Lである。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のD-二量体のレベル、量または濃度が、約0.8mg/L、約0.7mg/L、約0.6mg/L、約0.5mg/L、約0.4mg/L、または約0.3mg/Lよりも低い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示すと予測される。
【0128】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象から得られた試料等において、フェリチンレベルを評価することを含む。一部の実施形態では、対象から得られた試料中のフェリチンレベルに基づいて、対象は、T細胞療法の投与の後にCRもしくはsCRを達成すると予測されるか、またはT細胞療法の投与の後にCRもしくはsCRを達成しないと予測される。
【0129】
一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料からのフェリチンのレベル、量または濃度を閾値レベルと個別に比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。一部の態様では、閾値レベルは、T細胞療法を受ける前の対象のグループから得られた生体試料における、フェリチンのレベル、量または濃度の平均値または中央値、および平均値または中央値の範囲または標準偏差内の値に基づいて決定され、グループの対象の各々は、CRまたはsCRを示すようになるか、またはCRまたはsCRを示すようにならなかった。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のフェリチンのレベル、量または濃度が閾値レベルよりも高い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示さないと予測される。一部の実施形態では、閾値レベルは、約350μg/L、約400μg/L、約450μg/L、約500μg/L、約550μg/L、または約600μg/Lである。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のフェリチンのレベル、量または濃度が、約350μg/L、約400μg/L、約450μg/L、約500μg/L、約550μg/L、または約600μg/Lよりも高い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示さないと予測される。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のフェリチンのレベル、量または濃度が閾値レベルよりも低い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示すと予測される。一部の実施形態では、閾値レベルは、約300μg/L、約250μg/L、約200μg/L、約150μg/L、約100μg/L、または約50μg/Lである。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のフェリチンのレベル、量または濃度が、約300μg/L、約250μg/L、約200μg/L、約150μg/L、約100μg/L、または約50μg/Lよりも低い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示すと予測される。
【0130】
いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象から得られた試料等において、ナトリウムレベルを評価することを含む。一部の実施形態では、対象からの試料中のナトリウムレベルに基づいて、対象は、T細胞療法の投与の後にCRもしくはsCRを達成すると予測されるか、またはT細胞療法の投与の後にCRもしくはsCRを達成しないと予測される。
【0131】
一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料からのナトリウムのレベル、量または濃度を閾値レベルと個別に比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。一部の態様では、閾値レベルは、T細胞療法を受ける前の対象のグループから得られた生体試料における、ナトリウムのレベル、量または濃度の平均値または中央値、および平均値または中央値の範囲または標準偏差内の値に基づいて決定され、グループの対象の各々は、CRまたはsCRを示すようになるか、またはCRまたはsCRを示すようにならなかった。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のナトリウムのレベル、量または濃度が閾値レベルよりも低い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示さないと予測される。一部の実施形態では、閾値レベルは、約140mmol/L、約139mmol/L、約138mmol/L、約137mmol/L、約136mmol/L、または約135mmol/Lである。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のナトリウムのレベル、量または濃度が、約140mmol/L、約139mmol/L、約138mmol/L、約137mmol/L、約136mmol/L、または約135mmol/Lよりも低い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示さないと予測される。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のナトリウムのレベル、量または濃度が閾値レベルよりも高い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示すと予測される。一部の実施形態では、閾値レベルは、約140mmol/L、約141mmol/L、約142mmol/L、約143mmol/L、約144mmol/L、または約145mmol/Lである。一部の実施形態では、対象から得られた試料由来のナトリウムのレベル、量または濃度が、約140mmol/L、約141mmol/L、約142mmol/L、約143mmol/L、約144mmol/L、または約145mmol/Lよりも高い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示すと予測される。いずれかの実施形態の一部では、方法は、対象から得られた試料等において、プロトロンビン時間-国際標準化比(PT-INR)を評価することを含む。一部の実施形態では、試料は血液試料である。一部の実施形態では、方法は、対象から得られた試料からのPT-INRを閾値PT-INRと比較し、それにより、対象がT細胞療法に対してCRまたはsCRを達成する可能性を決定することを含む。一部の態様では、閾値PT-INRは、T細胞療法を受ける前の対象のグループから得られた生体試料における、PT-INRの平均値または中央値、および平均値または中央値の範囲または標準偏差内の値に基づいて決定され、グループの対象の各々は、CRまたはsCRを示すようになるか、またはCRまたはsCRを示すようにならなかった。一部の実施形態では、対象から得られた試料のPT-INRが閾値PT-INRよりも高い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示さないと予測される。一部の実施形態では、対象から得られた試料のPT-INRが閾値PT-INRよりも高い場合、対象は、試料が閾値PT-INRのPT-INRを有するかまたは閾値PT-INRよりも低いPT-INRを有する対象と比較して、T細胞療法に対してCRまたはsCRを示す可能性が約100分の1倍、150分の1倍、200分の1倍、250分の1倍、または300分の1倍低い。一部の実施形態では、対象から得られた試料のPT-INRが閾値PT-INRよりも低い場合、対象はT細胞療法に対してCRまたはsCRを示すと予測される。一部の実施形態では、対象から得られた試料のPT-INRが閾値PT-INRよりも低い場合、対象は、試料が閾値PT-INRのPT-INRを有するかまたは閾値PT-INRよりも高いPT-INRを有する対象と比較して、T細胞療法に対してCRまたはsCRを示す可能性が約100倍、150倍、200倍、250倍、または300倍高い。
【0132】
II.処置および使用の方法
多発性骨髄腫の処置、および/または検出、選択、診断、および予後予測方法等における、BCMA結合分子、組換え受容体、操作された細胞、ならびにそれらの医薬組成物および製剤を使用する方法およびその使用も本明細書に提供される。そのような方法、例えば処置および使用の方法の中には、提供された抗BCMA組換え受容体を発現する、操作された細胞、例えば複数の操作された細胞(例えば、BCMA CAR T細胞)を対象に投与することを含むものがある。
【0133】
A.対象および使用方法
抗BCMA組換え受容体(例えば、CAR)、組換え受容体(例えば、CAR)を発現する操作された細胞、受容体を発現する複数の操作された細胞、および/またはこれらを含む組成物を投与する方法およびその使用、例えば療法の使用も提供される。そのような方法および使用は、療法の方法および使用を含み、例えば、分子(例えば、組換え受容体)、細胞(例えば、操作された細胞)、またはそれを含有する組成物の、多発性骨髄腫(MM)を有する対象への投与を含む。一部の実施形態では、分子、細胞、および/または組成物は、MMの処置をもたらす有効量で投与される。そのような方法および処置における組換え受容体(例えば、CAR)、および細胞(例えば、操作された細胞)の使用、ならびにそのような療法の方法を実行するための医薬の調製における使用が本明細書に提供される。一部の実施形態では、方法は、結合分子もしくは細胞、またはこれを含む組成物を、MMを有する対象に投与することによって実行される。一部の実施形態では、方法は、それによって対象におけるMMを処置する。処置レジメンにおける使用等、多発性骨髄腫(MM)の処置のための、本明細書において提供される医薬組成物等の組成物のいずれかの使用も本明細書に提供される。
【0134】
本明細書で使用される場合、「処置」(および「処置する」または「処置すること」等のそれらの文法的変形)は、疾患もしくは状態もしくは障害、またはそれらと関連付けられる症状、有害効果もしくは転帰、もしくは表現型の完全または部分的な緩解あるいは低減を指す。処置の望ましい効果として、疾患の再発の防止、症状の軽減、任意の直接的もしくは間接的な病理学的帰結の減少、転移の防止、疾患進行の割合の減少、疾患状態の緩解または緩和、および軽減または予後の改善が挙げられるが、これらに限定されない。この用語は、疾患の完全な治癒、または任意の症状の完全な排除、または全ての症状もしくは転帰に対する効果(複数可)を意味しない。
【0135】
本明細書で使用される場合、「疾患の発症の遅延」は、疾患(例えば、がん)の発症を先送り、妨害し、減速し、遅延し、安定化し、抑制し、および/または先延ばしすることを意味する。この遅延は、処置される疾患および/または対象の病歴に応じて、様々な長さの時間であり得る。十分なまたはかなりの遅延は、対象が疾患を発症しないという点で、事実上、防止を包含し得る。例えば、後期のがん、例えば転移の発症は遅延され得る。
【0136】
「防止すること」は、本明細書で使用される場合、疾患にかかりやすい素因があり得るが、いまだ疾患とは診断されていない対象における疾患の発生または再発に関して予防を提供することを含む。一部の実施形態では、提供される分子および組成物は、疾患の発症を遅延させるか、または疾患の進行を遅らせるのに使用される。
【0137】
本明細書で使用される場合、機能または活性を「抑制する」は、目的の条件もしくはパラメーターを除いて他の状況では同じ条件と比較した場合に、あるいは、別の条件と比較した場合に、機能または活性を低減することである。例えば、腫瘍成長を抑制する抗体または組成物または細胞は、抗体または組成物または細胞の非存在下の腫瘍の成長速度と比較して、腫瘍の成長速度を低減させる。
【0138】
薬剤、例えば医薬製剤、結合分子、抗体、細胞、または組成物の「有効量」は、投与の状況では、所望の結果、例えば治療的または予防的結果を達成するのに必要な投薬量/量で、また必要な期間で有効な量を指す。
【0139】
薬剤、例えば医薬製剤、結合分子、抗体、細胞、または組成物の「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するのに、例えば疾患、状態もしくは障害の処置、および/または処置の薬物動態的もしくは薬力学的効果のために、必要な投薬量でかつ必要な期間で有効な量を指す。治療有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびに投与される細胞の集団等の因子に従って多様であり得る。一部の実施形態では、提供される方法は、分子、抗体、細胞、および/または組成物を有効量で、例えば治療有効量で投与することを伴う。
【0140】
「予防有効量」は、所望の予防的結果を達成するのに必要な投薬量でかつ必要な期間で有効な量を指す。予防的用量は、疾患のより初期段階の前に、またはより初期段階で対象において使用されるため、通常、予防有効量は、治療有効量未満であるが、必ずしもそうとは限らない。
【0141】
本明細書で使用される場合、「対象」または「個体」は、ヒトである。
【0142】
養子細胞療法のための細胞の投与のための方法は公知であり、提供される方法および組成物と併せて使用され得る。例えば、養子T細胞療法の方法は、例えば、Gruenberg et alの米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergの米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933;Tsukahara et al. (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9;Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照されたい。
【0143】
処置される疾患の中で、BCMA発現に関連するのは多発性骨髄腫(MM)である。BCMAの総説については、Coquery et al., Crit Rev Immunol., 2012, 32(4):287-305を参照されたい。BCMAは、腫瘍細胞生存の媒介に関係付けられてきたため、がん療法のための潜在的な標的である。マウス抗ヒトBCMA抗体を含有するキメラ抗原受容体、およびそのようなキメラ受容体を発現する細胞は、以前に記載された。Carpenter et al., Clin Cancer Res., 2013, 19(8):2048-2060を参照されたい。
【0144】
一部の実施形態では、多発性骨髄腫(MM)は、高リスクMM、または再発したおよび/もしくは不応性の多発性骨髄腫である。一部の実施形態では、多発性骨髄腫(MM)は高リスクMMである。一部の実施形態では、高リスクMMは、IMWG高リスク細胞遺伝学を含む。いずれかの実施形態の一部では、細胞療法の投与の時点で、対象はIMWG高リスク細胞遺伝学を有する。一部の実施形態では、高リスク細胞遺伝学は、del(17p)、t(4:14)およびt(14;16)を含む。一部の実施形態では、多発性骨髄腫(MM)は、再発したおよび/もしくは不応性の多発性骨髄腫である。一部の実施形態では、多発性骨髄腫(MM)は、再発したおよび不応性の多発性骨髄腫(r/r MM)である。いずれかの実施形態の一部では、投与の時点で、対象はR/R MMを有する。一部の実施形態では、方法は、多発性骨髄腫を有するか、それを有することが疑われるか、またはそれを発症するリスクがある対象を同定することができる。したがって、多発性骨髄腫を有する対象を同定し、本明細書に記載のBCMA結合組換え受容体(例えば、CAR)、またはこれを発現する操作された細胞のいずれかでの処置について対象を選択するおよび/またはそれらのいずれかを対象に投与するための方法が本明細書に提供される。
【0145】
一部の実施形態では、対象は、約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有する。一部の実施形態では、方法は、対象が約600ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、対象は、約566ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有する。一部の実施形態では、方法は、対象が約566ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、対象は、約500ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有する。一部の実施形態では、方法は、対象が約500ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルは、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の前に、白血球アフェレーシスの前に、および/または対象へのT細胞療法の投与の前に決定される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルは、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の前に決定される。一部の実施形態では、血清sBCMAレベルの決定は、白血球アフェレーシスの前に実行される。一部の実施形態では、血清sBCMAは、対象へのT細胞療法の投与の前に決定される。一部の実施形態では、T細胞療法による処置について対象を選択するための方法が提供される。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は処置について選択される。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は処置について選択されない。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は処置について選択される。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は処置について選択されない。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は処置について選択される。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は処置について選択されない。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、対象へのT細胞療法の投与の前に、多発性骨髄腫のデバルキングについて選択される。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、対象へのT細胞療法の投与の前に、多発性骨髄腫のデバルキングについて選択される。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、対象へのT細胞療法の投与の前に、多発性骨髄腫のデバルキングについて選択される。
【0146】
一部の実施形態では、対象は、IgG重鎖病(HCD)の存在を有さない。一部の実施形態では、方法は、対象がIgG HCDの存在を有さないことを決定することを含む。一部の実施形態では、IgG HCDの非存在は、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の前に、白血球アフェレーシスの前に、および/または対象へのT細胞療法の投与の前に決定される。一部の実施形態では、IgG HCDの非存在は、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の前に決定される。一部の実施形態では、IgG HCDの非存在は、白血球アフェレーシスの前に決定される。一部の実施形態では、IgG HCDの非存在は、対象へのT細胞療法の投与の前に決定される。一部の実施形態では、T細胞療法による処置について対象を選択するための方法が提供される。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有さないと決定される場合、対象は処置について選択される。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有すると決定される場合、対象は処置について選択されない。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有すると決定される場合、対象は、対象へのT細胞療法の投与の前に、多発性骨髄腫のデバルキングについて選択される。
【0147】
一部の実施形態では、対象は、事前治療ラインによる処置に続いて、持続性のまたは再発した疾患を有する。一部の実施形態では、T細胞療法の投与の前に、対象は、1種または複数の前の療法を受けている。一部の実施形態では、対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20種以上の前の療法を受けている。一部の実施形態では、対象は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10種以上の前の療法を受けている。一部の実施形態では、対象は、3種以上の前の療法を受けている。
【0148】
一部の実施形態では、3以上の事前治療ラインの各々は、2回の連続したサイクルを含んだ。一部の実施形態では、3以上の事前治療ラインの各々は、進行性疾患がその治療ラインに対する最良の応答でない限り、2回の連続サイクルを含んだ。一部の実施形態では、進行性疾患とは、治療ラインの最終投与後60日以内の進行である。一部の実施形態では、対象は、3以上の事前治療ラインのうちの最後に対して不応性である。一部の実施形態では、3以上の事前治療ラインは、プロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節剤、および抗CD38抗体を含む。
【0149】
いずれかの実施形態の一部では、免疫調節剤は、サリドマイド、レナリドマイド、またはポマリドマイドの中から選択される。いずれかの実施形態の一部では、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブおよびイキサゾミブの中から選択される。いずれかの実施形態の一部では、抗CD38抗体は、ダラツムマブであるか、またはそれを含む。
【0150】
一部の実施形態では、多発性骨髄腫のための測定可能な疾患の判断基準は、(1)血清Mタンパク質 1g/dL以上;(2)尿Mタンパク質 200mg以上/24時間;(3)罹病血清遊離軽鎖(sFLC)レベル 10mg/dL以上と異常κ対λ比を含むことができる。一部の事例では、軽鎖疾患は、血清または尿中に測定可能な疾患を伴わない対象のみに許容される。一部の実施形態では、対象は、T細胞療法の投与時に測定可能な疾患を有する。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、(i)血清Mタンパク質 1.0g/dL以上;(ii)尿Mタンパク質 200mg以上/24時間;および/または(iii)血清遊離軽鎖(FLC)比が異常である場合、罹病血清FLCレベル 10mg/dL以上を含む。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、血清Mタンパク質 1.0g/dL以上を含む。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、尿Mタンパク質 200mg以上/24時間を含む。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、血清遊離軽鎖(FLC)比が異常である場合、罹病血清FLCレベル 10mg/dL以上を含む。一部の実施形態では、測定可能な疾患は、(i)血清Mタンパク質 1.0g以上;(ii)尿Mタンパク質 200mg以上/24時間;および(iii)血清遊離軽鎖(FLC)比が異常である場合、罹病血清FLCレベル 10mg/dL以上を含む。Kumar et al., Lancet Oncol (2016) 17(8):e328-46を参照されたい。
【0151】
一部の実施形態では、対象は適切な臓器機能を有する。
【0152】
一部の実施形態では、対象は18歳以上である。
【0153】
一部の実施形態では、方法は、特定の判断基準、診断または指標に基づき、T細胞療法による処置について特定の対象を算入または除外することを伴うことができる。一部の実施形態では、T細胞療法または処置前のリンパ球枯渇化学療法の投与の時点で、対象は中枢神経系(CNS)の骨髄腫との関与を知らなかった。一部の実施形態では、T細胞療法または処置前のリンパ球枯渇化学療法の投与の時点で、対象は臨床的に関連するCNS病理の病歴または存在を有さない。一部の実施形態では、T細胞療法または処置前のリンパ球枯渇化学療法の投与の時点で、対象は、血漿細胞白血病(PCL)の活動性または病歴を有さなかった。一部の実施形態では、T細胞療法または処置前のリンパ球枯渇化学療法の投与の時点で、対象は、測定可能な疾患の他の証拠を伴わない孤立性形質細胞腫または非分泌性骨髄腫を有していない。一部の実施形態では、T細胞療法または処置前のリンパ球枯渇化学療法の投与の時点で、対象は同種造血幹細胞移植の病歴がない。一部の実施形態では、T細胞療法または処置前のリンパ球枯渇化学療法の投与の時点で、対象は、がんに対する遺伝子療法に基づく治療薬による処置歴がない。一部の実施形態では、T細胞療法または処置前のリンパ球枯渇化学療法の投与の時点で、対象は、がんに対する治験細胞療法による処置歴がない。一部の実施形態では、T細胞療法または処置前のリンパ球枯渇化学療法の投与の時点で、対象はBCMA標的療法による処置歴がない。
【0154】
一部の実施形態では、判断基準、診断または指標の評価は、提供される方法に従った処置の適格性または適合性について対象をスクリーニングする時点で、処置レジメンの様々な工程において、リンパ球枯渇療法を受ける時点で、および/または操作された細胞もしくはその組成物の投与の開始の時点でもしくはその直前に、行うことができる。
【0155】
よって、提供される方法および使用は、養子細胞療法のための方法および使用を含む。一部の実施形態では、方法は、対象、組織、または細胞、例えば、多発性骨髄腫を有するか、そのリスクを有するか、またはそれを有することが疑われるものを含有する細胞または組成物の投与を含む。一部の実施形態では、細胞、集団、および組成物は、例えば養子細胞療法、例えば養子T細胞療法により、多発性骨髄腫を有する対象に投与される。一部の実施形態では、細胞または組成物は、対象、例えば多発性骨髄腫を有するか、またはそのリスクを有する対象に投与される。一部の態様では、方法はそれによって、腫瘍負担を低下させること等により、多発性骨髄腫の1種または複数の症状を処置、例えば緩解する。
【0156】
養子細胞療法のための細胞の投与のための方法は公知であり、提供される方法および組成物と併せて使用され得る。例えば、養子T細胞療法の方法は、例えば、Gruenberg et alの米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergの米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933;Tsukahara et al. (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9;Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照されたい。
【0157】
一部の実施形態では、T細胞療法、例えば養子細胞療法、例えば養子T細胞療法は、自家移入によって実行され、それによると、細胞は、T細胞療法を受けることになっている対象から、またはそのような対象に由来する試料から単離されるおよび/または他の仕方で調製される。よって、一部の態様では、細胞は、処置を必要とする対象、例えば、患者に由来し、細胞は、単離および加工処理の後に、同じ対象に投与される。
【0158】
一部の実施形態では、T細胞療法、例えば養子細胞療法、例えば養子T細胞療法は、同種異系移入によって実行され、それによると、細胞は、細胞療法を受けることになっているまたは最終的に受ける対象以外の対象、例えば、第1の対象から単離されるおよび/または他の仕方で調製される。そのような実施形態では、細胞は次いで、同じ種の異なる対象、例えば、第2の対象に投与される。一部の実施形態では、第1および第2の対象は、遺伝的に同一である。一部の実施形態では、第1および第2の対象は、遺伝的に同様である。一部の実施形態では、第2の対象は、第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプ(supertype)を発現する。
【0159】
対象は、男性または女性であり得、乳児、若年期、青年期、成体および老齢期の対象を含むいずれかの適した年齢であり得る。一部の実施形態では、対象は成人(18歳以上で)ある。
【0160】
一部の実施形態では、用量および/または投与頻度は、有効性および/または応答に基づいて決定される。一部の実施形態では、有効性は、疾患状態を評価することによって決定される。疾患状態を評価するための例示的な方法は、電気泳動および免疫固定法による血液および/または尿等の生体液中のMタンパク質の測定;血液中のsFLC(κおよびλ)の定量化;骨格検査;ならびに髄外性疾患を有する対象における陽電子放射断層撮影(PET)/コンピュータ断層撮影(CT)によるイメージングを含む。一部の実施形態では、疾患状態は、骨髄試験によって評価することができる。一部の例では、用量および/または投与頻度は、血液および/または骨髄中の組換え受容体または細胞の増大化および持続性によって決定される。一部の実施形態では、用量および/または投与頻度は、組換え受容体または操作された細胞の抗腫瘍活性に基づき決定される。一部の実施形態では、抗腫瘍活性は、全奏効率(ORR)および/または国際骨髄腫作業部会(International Myeloma Working Group)(IMWG)統一応答基準(Kumar et al. (2016) Lancet Oncol 17(8):e328-346を参照)によって決定される。一部の実施形態では、応答は、微小残存疾患(MRD)評価を使用して評価される。一部の実施形態では、MRDは、フローサイトメトリーおよびハイスループット配列決定、例えば、ディープ配列決定等の方法によって評価することができる。一部の実施形態では、応答は、組換え受容体または細胞の投与に続く応答の持続時間に基づき評価される。一部の例では、用量および/または投与頻度は、毒性に基づく可能性がある。一部の実施形態では、用量および/または頻度は、組換え受容体および/または細胞が投与される対象の健康関連QOL(HRQoL)に基づいて決定することができる。一部の実施形態では、用量および/または投与頻度は、上記の判断基準のいずれかに基づいて変更、即ち、増加または減少させることができる。
【0161】
一部の実施形態では、米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス指標を使用して、処置について対象、例えば、前の療法から不十分な成績を有した対象を評価または選択することができる(例えば、Oken et al. (1982) Am J Clin Oncol. 5:649-655参照されたい)。パフォーマンスステータスのECOGスケールは、その自己管理能力、日々の活動および身体能力(例えば、歩行、作業等)の観点から機能の患者のレベルについて記載する。一部の実施形態では、0のECOGパフォーマンスステータスは、対象が、正常な活動を行うことができることを指し示す。一部の態様では、1のECOGパフォーマンスステータスを有する対象は、身体活動にある程度の制限を示すが、対象は完全に歩行可能である。一部の態様では、2のECOGパフォーマンスステータスを有する患者は、50%を超えて歩行可能である。一部の事例では、2のECOGパフォーマンスステータスを有する対象は、セルフケアが可能となることもできる;例えば、Sorensen et al., (1993) Br J Cancer 67(4) 773-775を参照されたい。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法または処置レジメンに従って投与されるべき対象は、0または1のECOGパフォーマンスステータスを有する対象を含む。一部の実施形態では、対象は、0または1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータスを有する。一部の実施形態では、対象は0の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータスを有する。一部の実施形態では、対象は1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータスを有する。
【0162】
一部の実施形態では、対象が別の療法に対して抵抗性になっているにもかかわらず、投与は、対象を処置することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態に従って対象に投与された場合、用量または組成物は、投与された対象の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、または70%において厳格な完全奏効(sCR)または完全奏効(CR)を達成することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態に従って対象に投与された場合、用量または組成物は、投与された対象の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、または70%において厳格な完全奏効(sCR)を達成することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態に従って対象に投与された場合、用量または組成物は、投与された対象の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、または70%において完全奏効(CR)を達成することができる。一部の態様では、例えば、本明細書に提供される方法に従った処置に対する特定の応答は、国際骨髄腫作業部会(IMWG)統一応答基準(Kumar et al. (2016) Lancet Oncol 17(8):e328-346を参照されたい)に基づき評価することができる。
【0163】
一部の実施形態では、処置の毒性および/または副作用をモニターし、組換え受容体、例えばCAR、細胞、および/または組成物の用量および/または投与頻度を調整するために使用することができる。例えば、有害事象および臨床検査値異常をモニターし、用量および/または投与頻度の調整に使用することができる。有害事象には、注入反応、サイトカイン放出症候群(CRS)、神経毒性、マクロファージ活性化症候群、および腫瘍溶解症候群(TLS)が含まれる。そのような事象のいずれかが用量制限毒性を確立し、用量の減少および/または処置の中止を正当化する可能性がある。用量および/または投与頻度を確立するためのガイドラインとして使用することができる他の副作用または有害事象には、非血液学的有害事象が含まれ、これには、疲労、発熱または発熱性好中球減少症、一定期間(例えば、2週間以下または7日以下)のトランスアミナーゼの増加、頭痛、骨痛、低血圧、低酸素症、悪寒、下痢、吐き気/嘔吐、神経毒性(例えば、錯乱、失語症、痙攣、嗜眠、および/または異常な精神状態)、播種性血管内凝固、電解質異常等の他の無症候性非血液学的臨床検査値異常が含まれる。用量および/または投与頻度を確立するためのガイドラインとして使用することができる他の副作用または有害事象には、血液学的有害事象が含まれ、これには好中球減少症、白血球減少症、血小板減少症、動物、および/またはB細胞形成不全および低ガンマグロビン血症が含まれるが、これらに限定されない。
【0164】
一部の実施形態では、提供される方法に従う処置は、例えば他の療法の投与と比較して、より低い毒性の割合および/またはより低い毒性の程度、毒性の転帰または症状、毒性促進プロファイル、因子、または特性、例えばサイトカイン放出症候群(CRS)または神経毒性、例えば重篤なCRSまたは重篤な神経毒性と関連するか、またはそれを示す症状または転帰をもたらし得る。
【0165】
一部の実施形態では、対象は、白血球除去療法後、およびリンパ球枯渇化学療法の前に、橋渡し療法を受けることができる。治療医は、提供された組成物または細胞の製造中に、例えば疾患制御のために橋渡し療法が必要かどうかを決定することができる。一部の実施形態では、橋渡し療法は、リンパ球枯渇の開始前に中止される。一部の実施形態では、橋渡し療法は、リンパ球枯渇の1日前、2日前、3日前、4日前、5日前、7日前、10日前、14日前、21日前、28日前、45日前、または60日前に中止される。
【0166】
細胞が哺乳動物(例えば、ヒト)に投与されると、一部の態様では、操作された細胞集団および/または抗体の生物活性が、多数の公知の方法のいずれかによって測定される。評価するためのパラメーターとして、インビボで、例えばイメージングによる、またはエクスビボで、例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによる、操作されたか、もしくは天然のT細胞または他の免疫細胞の、抗原への特異的結合が挙げられる。ある特定の実施形態では、標的細胞を破壊する操作された細胞の能力は、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009)、およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004)に記載されている細胞傷害性アッセイ等の、当技術分野で公知のいずれかの適した方法を使用して測定することができる。ある特定の実施形態では、細胞の生物活性は、CD107a、IFNγ、IL-2およびTNF等のある特定のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることによって測定される。一部の態様では、生物活性は、腫瘍負荷または負荷量の低減等の臨床の転帰を評価することによって測定される。
【0167】
ある特定の実施形態では、操作された細胞は、その治療的または予防的有効性が増加するように、いくつもの方法で改変される。例えば、一部の実施形態では、細胞によって発現される操作されたCARは、リンカーを介して直接的または間接的に標的部分にコンジュゲートされる。化合物、例えばCARを標的部分にコンジュゲートするという実線は、当技術分野で公知である。例えば、Wadwa et al., J. Drug Targeting, 3(2):111 (1995)、および米国特許第5,087,616号を参照されたい。
【0168】
B.腫瘍デバルキング
本明細書に提供される方法の一部の実施形態では、方法は、対象へのT細胞療法の投与の前に、多発性骨髄腫(MM)をデバルキングすることを含む。本明細書に提供される方法の一部の実施形態では、方法は、対象へのT細胞療法の投与の前に、MMをデバルキングするための対象を選択することを含む。
【0169】
一部の実施形態では、方法は、対象が、IgG重鎖病(HCD)の存在を有すること、および/または約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、IgG重鎖病(HCD)の存在を有すること、および/または約566ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、IgG重鎖病(HCD)の存在を有すること、および/または約500ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、対象は、IgG HCDの存在を有する、および/または約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象は、IgG HCDの存在を有する、および/または約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象は、IgG HCDの存在を有する、および/または約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定されている。
【0170】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約590ng/mL、約580ng/mL、約570ng/mL、約560ng/mL、約550ng/mL、約540ng/mL、約530ng/mL、約520ng/mL、約510ng/mL、または約500ng/mLより高いかまたは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、対象は、約590ng/mL、約580ng/mL、約570ng/mL、約560ng/mL、約550ng/mL、約540ng/mL、約530ng/mL、約520ng/mL、約510ng/mL、または約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される。一部の実施形態では、方法は、対象が、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、対象は、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される。
【0171】
一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および/または約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および/または約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および/または約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および/または約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMはデバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および/または約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMは、デバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および/または約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMは、デバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および/または約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および/または約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および/または約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。
【0172】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、対象は、約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象は、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象は、約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMは、デバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMは、デバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMは、デバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。
【0173】
一部の実施形態では、方法は、対象がIgG HCDの存在を有することを決定することを含む。一部の実施形態では、対象は、IgG HCDの存在を有すると決定されている。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有すると決定される場合、MMは、デバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。
【0174】
一部の実施形態では、方法は、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、対象は、IgG HCDの存在を有する、および約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象は、IgG HCDの存在を有する、および約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象は、IgG HCDの存在を有する、および約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMはデバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMは、デバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMは、デバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約600ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約566ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。一部の実施形態では、対象が、IgG HCDの存在を有する、および約500ng/mLより高い血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。
【0175】
一部の実施形態では、方法は、(a)対象が、(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、(a)対象が約600ng/mlより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、(a)対象がIgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、(a)対象が、(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。
【0176】
一部の実施形態では、方法は、(a)対象が、(i)約566ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、(a)対象が約566ng/mlより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、(a)対象がIgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、(a)対象が、(i)約566ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。
【0177】
一部の実施形態では、方法は、(a)対象が、(i)約500ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、(a)対象が約500ng/mlより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、(a)対象がIgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、方法は、(a)対象が、(i)約500ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること、および(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。
【0178】
一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有する;および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、約600ng/mlより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、IgG重鎖病(HCD)の存在を有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有する;および(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。
【0179】
一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、(i)約566ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有する;および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、約566ng/mlより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、IgG重鎖病(HCD)の存在を有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、(i)約566ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有する;および(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。
【0180】
一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、(i)約500ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有する;および/または(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、約500ng/mlより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すると事前に決定され;および(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、IgG重鎖病(HCD)の存在を有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。一部の実施形態では、方法は、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、ここで、(a)対象は、(i)約500ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有する;および(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有すると事前に決定され;(b)(1)対象が、(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMはデバルキングされた。
【0181】
一部の実施形態では、方法は、対象が、約600ng/mLより高い第1の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約566ng/mLより高い第1の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象が、約500ng/mLより高い第1の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、対象は、約600ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象は、約566ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象は、約500ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、MMをデバルキングすることを含む。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMは、デバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMは、デバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、MMは、デバルキングされる。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより高い第1の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、対象は、デバルキングについて選択される。
【0182】
一部の実施形態では、デバルキングの後に、方法は、対象が、約600ng/mLより低いデバルキング後の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、デバルキングの後に、方法は、対象が、約566ng/mLより低いデバルキング後の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、デバルキングの後に、方法は、対象が、約500ng/mLより低いデバルキング後の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することを含む。一部の実施形態では、デバルキングの後に、対象は、約600ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、デバルキングの後に、対象は、約566ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、デバルキングの後に、対象は、約500ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定されている。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、T細胞療法を対象に投与することを含む。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、T細胞療法を対象に投与することを含む。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、方法は、T細胞療法を対象に投与することを含む。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、T細胞療法は対象に投与される。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、T細胞療法は対象に投与される。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、T細胞療法は対象に投与される。
【0183】
一部の実施形態では、方法は、(a)対象が、約600ng/mLより高い第1の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)対象が、約600ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有することを決定することと;(d)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより高いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、T細胞療法は対象に投与されない。
【0184】
一部の実施形態では、方法は、(a)対象が、約566ng/mLより高い第1の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)対象が、約566ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有することを決定することと;(d)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより高いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、T細胞療法は対象に投与されない。
【0185】
一部の実施形態では、方法は、(a)対象が、約500ng/mLより高い第1の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと;(b)MMをデバルキングすることと;(c)対象が、約500ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有することを決定することと;(d)BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む。一部の実施形態では、対象が、約500ng/mLより高いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すると決定される場合、T細胞療法は対象に投与されない。
【0186】
一部の実施形態では、対象が、(i)約590ng/mL、約580ng/mL、約570ng/mL、約560ng/mL、約550ng/mL、約540ng/mL、約530ng/mL、約520ng/mL、約510ng/mL、または約500ng/mLより低い血清sBCMAを有する;および/または(ii)IgG HCDの存在を有さない場合、MMは、デバルキングされない。一部の実施形態では、対象が、約590ng/mL、約580ng/mL、約570ng/mL、約560ng/mL、約550ng/mL、約540ng/mL、約530ng/mL、約520ng/mL、約510ng/mL、または約500ng/mLより低い血清sBCMAを有する場合、MMは、デバルキングされない。一部の実施形態では、対象が、(i)約590ng/mL、約580ng/mL、約570ng/mL、約560ng/mL、約550ng/mL、約540ng/mL、約530ng/mL、約520ng/mL、約510ng/mL、または約500ng/mLより低い血清sBCMAを有する;および/または(ii)IgG HCDの存在を有さない場合、対象は、デバルキングについて選択されない。一部の実施形態では、対象が、約590ng/mL、約580ng/mL、約570ng/mL、約560ng/mL、約550ng/mL、約540ng/mL、約530ng/mL、約520ng/mL、約510ng/mL、または約500ng/mLより低い血清sBCMAを有する場合、対象は、デバルキングについて選択されない。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有する場合、MMは、対象へのT細胞療法の投与の前に、デバルキングされない。一部の実施形態では、対象が、約600ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有する場合、対象は、対象へのT細胞療法の投与の前に、デバルキングについて選択されない。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有する場合、MMは、対象へのT細胞療法の投与の前に、デバルキングされない。一部の実施形態では、対象が、約566ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有する場合、対象は、対象へのT細胞療法の投与の前に、デバルキングについて選択されない。
【0187】
一部の実施形態では、デバルキングは、対象への化学療法、放射線、または免疫調節剤の投与を含む。一部の実施形態では、デバルキングは、対象への化学療法の投与を含む。一部の実施形態では、化学療法は、メルファラン、ドキソルビシン、またはシクロホスファミド化学療法を含む。一部の実施形態では、対象への放射線の投与を含む。一部の実施形態では、免疫調節剤は、サリドマイド、レナリドマイド、またはポマリドマイドである。一部の実施形態では、対象への免疫調節剤の投与を含む。一部の実施形態では、免疫調節剤はチェックポイント阻害剤である。
【0188】
提供される実施形態のいずれかの一部では、デバルキングは、対象へのT細胞療法の投与の前に実行される。
【0189】
一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月以内、約2カ月以内、約1カ月以内、約3週間以内、約2週間以内、または約1週間以内に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月以内に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の前の約2カ月以内に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の前の約1カ月以内に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の前の約3週間以内に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の前の約2週間以内に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の前の約1週間以内に実行される。
【0190】
一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の約3カ月前、約2カ月前、約1カ月前、約3週間前、約2週間前、または約1週間前に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の約3カ月前に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の約2カ月前に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の約1カ月前に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の約3週間前に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の約2週間前に実行される。一部の実施形態では、MMをデバルキングすることは、対象へのT細胞療法の投与の約1週間前に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の前に実行される。一部の実施形態では、デバルキングは、対象へのリンパ球枯渇療法の投与の後に実行される。一部の実施形態では、対象は、対象へのT細胞療法の投与の前に、ガンマセクレターゼ阻害剤で処置される。
【0191】
C.T細胞療法の投薬量および投与
本明細書に提供される方法、組成物、組合せ、キットおよび使用の一部の実施形態では、処置は、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)を対象に投与することを含む。例えば、T細胞療法は、抗BCMA CAR T細胞療法である。
【0192】
一部の実施形態では、提供される方法における使用のためのまたはそれに関係して投与される細胞は、操作された受容体、例えば、操作された抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含有するかまたはそれを含有するように操作される。組成物の中でも、養子細胞療法のため等、投与のための医薬組成物および製剤が特に挙げられる。提供される方法に合わせておよび/または提供される製造品もしくは組成物を用いて、対象、例えば、患者に細胞および組成物を投与するための療法の方法も提供される。
【0193】
一部の実施形態では、細胞に基づく療法は、腫瘍またはがん等の病変の表面に発現される分子を標的化する、細胞、例えば、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞の投与であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、細胞は、抗原に特異的に結合する細胞外リガンド結合性ドメインを含有する組換え受容体、例えば、CARを発現する。一部の実施形態では、組換え受容体は、BCMAに特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインを含有するCARである。一部の実施形態では、免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)等の組換え受容体を発現する。一部の実施形態では、T細胞療法は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されたT細胞を投与することを含む。特定の実施形態では、細胞療法、例えば、抗BCMA CAR T細胞療法は、多発性骨髄腫、例えば、再発した、および不応性の(R/R多発性骨髄腫)を処置するためのものである。一部の実施形態では、細胞は、対象にとって自家である。一部の実施形態では、細胞は、対象にとって同種異系である。提供される方法において細胞療法として投与するための例示的な操作された細胞は、セクションIVに記載されている。
【0194】
養子細胞療法のための細胞の投与のための方法は、知られており、提供される方法、組成物および製造品およびキットに関連して使用することができる。例えば、養子T細胞療法の方法は、例えば、Gruenberg et alの米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergの米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85)に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933;Tsukahara et al. (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9;Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照されたい。
【0195】
一部の実施形態では、細胞療法、例えば、養子T細胞療法は、自家移入によって実行され、それによると、細胞は、細胞療法を受けることになっている対象からまたはそのような対象に由来する試料から単離されるおよび/または他の仕方で調製される。よって、一部の態様では、細胞は、処置を必要とする対象、例えば、患者に由来し、細胞は、単離および加工処理の後に、同じ対象に投与される。
【0196】
一部の実施形態では、細胞療法、例えば、養子T細胞療法は、同種異系移入によって実行され、それによると、細胞は、細胞療法を受けることになっているまたは最終的に受ける対象以外の対象、例えば、第1の対象から単離されるおよび/または他の仕方で調製される。そのような実施形態では、細胞は次いで、同じ種の異なる対象、例えば、第2の対象に投与される。一部の実施形態では、第1および第2の対象は、遺伝的に同一である。一部の実施形態では、第1および第2の対象は、遺伝的に同様である。一部の実施形態では、第2の対象は、第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプ(supertype)を発現する。
【0197】
T細胞療法の細胞は、投与のために製剤化された組成物において、またはその代わりに、別々の投与のために製剤化された2種以上の組成物(例えば、2種の組成物)において投与することができる。細胞の用量(複数可)は、特定の数もしくは相対数の細胞もしくは操作された細胞、および/またはCD4+ vs CD8+ T細胞等の組成物内の定義された比もしくは組成の2種以上のサブタイプを含むことができる。
【0198】
細胞は、いずれか適した手段によって、例えば、ボーラス注入によって、注射、例えば、静脈内もしくは皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン嚢下(sub-Tenon)注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または強膜近傍後側(posterior juxtascleral)デリバリーによって投与することができる。一部の実施形態では、細胞は、非経口、肺内および鼻腔内、また、局所的処置に望まれる場合は、病巣内投与によって投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与を含む。一部の実施形態では、所与の用量は、細胞の単一ボーラス投与によって投与される。一部の実施形態では、所与の用量は、例えば3日間以下の期間にわたる細胞の複数ボーラス投与によって、または細胞の継続注入投与によって投与される。一部の実施形態では、細胞用量またはいずれか追加の療法、例えば、リンパ球枯渇療法、介入療法および/または併用療法の投与は、外来デリバリーにより実行される。
【0199】
疾患の処置のため、適切な投薬量は、処置されるべき疾患の型、細胞または組換え受容体の型、疾患の重症度および経過、以前の療法、対象の臨床歴および細胞に対する応答、ならびに担当医の裁量に依存し得る。組成物および細胞は、一部の実施形態では、一度にまたは一連の処置にわたり、対象に適切に投与される。
【0200】
ある特定の実施形態では、細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、約100万~約1000億個の細胞の範囲で、および/または体重1キログラム当たりの当該量の細胞で、例えば、100万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のうちいずれか2つによって定義される範囲)、例えば、約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前述の値のうちいずれか2つによって定義される範囲)、また、一部の事例では、約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)、またはこれらの範囲の間のいずれかの値、および/または体重1キログラム当たりのいずれかの値で対象に投与される。投薬量は、疾患または障害および/または患者および/または他の処置に特有の特質に応じて変動し得る。
【0201】
一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約1×108個未満の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)例えば、約1×106~1×108個のそのような細胞の範囲で、例えば、2×106、5×106、1×107、5×107もしくは1×108個のそのような総細胞、または前述の値のうちいずれか2つの間の範囲を含む。一部の実施形態では、用量は、約5×108個未満の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、約1×108~5×108個のそのような細胞の範囲で、例えば、1.5×108、3×108、もしくは4.5×108個のそのような総細胞、または前述の値のうちいずれか2つの間の範囲を含む。
【0202】
細胞は、いずれか適した手段によって投与することができる。細胞は、腫瘍負荷の低減等の治療効果を達成するための投薬レジメンにおいて投与される。投薬および投与は、T細胞療法の投与の開始の前に実行される、デバルキングの投与のスケジュールに部分的に依存し得る。T細胞療法の様々な投薬スケジュールは、単一または様々な時点にわたる複数投与、ボーラス投与、およびパルス注入を含むがこれらに限定されない。
【0203】
免疫枯渇(例えば、リンパ球枯渇)療法による対象のプレコンディショニングは、一部の態様では、養子細胞療法(ACT)の効果を改善することができる。
【0204】
よって、一部の実施形態では、方法は、シクロホスファミド、フルダラビンまたはこれらの組合せ等のリンパ球枯渇または化学療法剤等のプレコンディショニング剤を、細胞療法の開始の前に対象に投与することを含む。例えば、対象は、細胞療法の開始の少なくとも2日前に、例えば、少なくとも3、4、5、6または7日前に、プレコンディショニング剤を投与することができる。一部の実施形態では、対象は、細胞療法の開始の7日以下前に、例えば、6、5、4、3または2日以下前にプレコンディショニング剤を投与される。
【0205】
一部の実施形態では、対象は、セクションII.Dに記載されているように、プレコンディショニング剤(リンパ球枯渇処置)を投与される。
【0206】
細胞の投与後に、操作された細胞集団の生物活性は、一部の実施形態では、例えば、多数の公知方法のいずれかによって測定される。評価するためのパラメーターは、インビボにおける、例えば、イメージングによる、またはエクスビボにおける、例えば、ELISAもしくはフローサイトメトリーによる、抗原への操作されたまたは天然のT細胞または他の免疫細胞の特異的結合を含む。ある特定の実施形態では、標的細胞を破壊する操作された細胞の能力は、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009)およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004)に記載されている細胞傷害性アッセイ等、いずれか適した公知方法を使用して測定することができる。ある特定の実施形態では、細胞の生物活性は、CD107a、IFNγ、IL-2およびTNF等の1種または複数のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることにより測定される。一部の態様では、生物活性は、腫瘍負荷または負荷量の低減等の臨床の転帰を評価することにより測定される。
【0207】
一部の実施形態では、細胞の用量は、提供されるT細胞療法の方法に合わせて対象に投与される。一部の実施形態では、用量のサイズまたはタイミングは、対象における特定の疾患または状態の関数として決定される。提供される説明を考慮して、特定の疾患のための用量のサイズまたはタイミングを経験的に決定することができる。
【0208】
一部の実施形態では、細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、約10万~約1000億個の細胞の範囲で、および/または対象の体重1キログラム当たりの当該量の細胞で、例えば、10万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のうちいずれか2つによって定義される範囲)、例えば、1000万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のうちいずれか2つによって定義される範囲)、例えば、約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前述の値のうちいずれか2つによって定義される範囲)、および一部の事例では、約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約1億5000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)またはこれらの範囲の間のいずれかの値、および/または体重1キログラム当たりのいずれかの値で対象に投与される。投薬量は、疾患または障害および/または患者および/または他の処置に特定の特質に応じて変動し得る。一部の実施形態では、そのような値は、組換え受容体発現細胞の数を指し;他の実施形態では、これは、投与されたT細胞またはPBMCまたは総細胞の数を指す。
【0209】
一部の実施形態では、細胞療法は、少なくとももしくは少なくとも約0.1×106細胞/kg(対象の体重)、0.2×1106細胞/kg、0.3×106細胞/kg、0.4×106細胞/kg、0.5×106細胞/kg、1×106細胞/kg、2.0×106細胞/kg、3×106細胞/kgもしくは5×106細胞/kgであるかまたはその値もしくはその概数である細胞の数を含む用量の投与を含む。
【0210】
一部の実施形態では、細胞療法は、一部の実施形態では、細胞療法は、0.1×106細胞/kg(対象の体重)~1.0×107細胞/kgの間もしくはその概数の間、0.5×106細胞/kg~5×106細胞/kgの間もしくはその概数の間、0.5×106細胞/kg~3×106細胞/kgの間もしくはその概数の間、0.5×106細胞/kg~2×106細胞/kgの間もしくはその概数の間、0.5×106細胞/kg~1×106細胞/kgの間もしくはその概数の間、1.0×106細胞/kg(対象の体重)~5×106細胞/kgの間もしくはその概数の間、1.0×106細胞/kg~3×106細胞/kgの間もしくはその概数の間、1.0×106細胞/kg~2×106細胞/kgの間もしくはその概数の間、2.0×106細胞/kg(対象の体重)~5×106細胞/kgの間もしくはその概数の間、2.0×106細胞/kg~3×106細胞/kgの間もしくはその概数の間、または3.0×106細胞/kg(対象の体重)~5×106細胞/kgの間もしくはその概数の間(それぞれ両端を含む)の細胞の数を含む用量の投与を含む。
【0211】
一部の実施形態では、細胞の用量は、2×105個またはその概数の細胞/kg~2×106個またはその概数の細胞/kgの間、例えば、4×105個もしくはその概数の細胞/kg~1×106個もしくはその概数の細胞/kgの間または6×105個もしくはその概数の細胞/kg~8×105個もしくはその概数の細胞/kgの間を含む。一部の実施形態では、細胞の用量は、対象体重1キログラム当たり2×105個以下の細胞(例えば、抗原発現、例えば、CAR発現細胞)(細胞/kg)、例えば、3×105細胞/kgもしくはその概数以下、4×105細胞/kgもしくはその概数以下、5×105細胞/kgもしくはその概数以下、6×105細胞/kgもしくはその概数以下、7×105細胞/kgもしくはその概数以下、8×105細胞/kgもしくはその概数以下、9×105細胞/kgもしくはその概数以下、1×106細胞/kgもしくはその概数以下、または2×106細胞/kgもしくはその概数以下を含む。一部の実施形態では、細胞の用量は、対象体重1キログラム当たり少なくとももしくは少なくとも約2×105個またはその値もしくはその概数の細胞(例えば、抗原発現、例えば、CAR発現細胞)(細胞/kg)、例えば、少なくとももしくは少なくとも約3×105細胞/kgまたはその値もしくはその概数、少なくとももしくは少なくとも約4×105細胞/kgまたはその値もしくはその概数、少なくとももしくは少なくとも約5×105細胞/kgまたはその値もしくはその概数、少なくとももしくは少なくとも約6×105細胞/kgまたはその値もしくはその概数、少なくとももしくは少なくとも約7×105細胞/kgまたはその値もしくはその概数、少なくとももしくは少なくとも約8×105細胞/kgまたはその値もしくはその概数、少なくとももしくは少なくとも約9×105細胞/kgまたはその値もしくはその概数、少なくとももしくは少なくとも約1×106細胞/kgまたはその値もしくはその概数、あるいは少なくとももしくは少なくとも約2×106細胞/kgまたはその値もしくはその概数を含む。
【0212】
一部の実施形態では、細胞の用量は、細胞の用量が対象の体表面積または体重に関係しないかまたはそれに基づかないように、細胞の平坦用量または細胞の固定用量である。
【0213】
一部の実施形態では、細胞療法は、1×105~2×109個もしくはその概数の総組換え受容体発現細胞、総T細胞もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、5×105~1×109個もしくはその概数の総組換え受容体発現細胞、総T細胞もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、または1×106~1×109個もしくはその概数の総組換え受容体発現細胞、総T細胞もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)(それぞれ両端を含む)の細胞の数を含む用量の投与を含む。一部の実施形態では、細胞療法は、少なくともまたは約少なくとも1×105個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞または総末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、少なくともまたは約少なくとも1×106、少なくともまたは約少なくとも1×107、少なくともまたは約少なくとも1×108、少なくともまたは約少なくとも1×109個のそのような細胞の、細胞の数を含む細胞の用量の投与を含む。
【0214】
一部の実施形態では、遺伝子操作された細胞の用量は、少なくとももしくは少なくとも約1×105個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約2.5×105個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約5×105個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約1×1066個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約2.5×106個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約5×106個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約1×107個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約2.5×107個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約5×107個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約1×108個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約2.5×108個のCAR発現細胞、または少なくとももしくは少なくとも約5×108個のCAR発現細胞を含む。
【0215】
一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、1×106個またはその概数を超える総組換え受容体(例えば、CAR)発現(CAR+)細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)かつ2×109個またはその概数よりも少ない総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、1.0×107個またはその概数~1.2×109個またはその概数のそのような細胞の範囲で、例えば、1.0×107、1.5×107、2.0×107、2.5×107、5×107、1.5×108、3×108、4.5×108、6×108、8×108もしくは1.2×109個またはその概数のそのような総細胞、あるいは前述の値のうちいずれか2つの間の範囲を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、1×106個またはその概数を超える総組換え受容体(例えば、CAR)発現(CAR+)細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)かつ2×109個またはその概数よりも少ない総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、2.5×107個またはその概数~1.2×109個またはその概数のそのような細胞の範囲で、例えば、2.5×107、5×107、1.5×108、3×108、4.5×108、6×108、8×108もしくは1.2×109個またはその概数のそのような総細胞、あるいは前述の値のうちいずれか2つの間の範囲を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、1.0×107個またはその概数の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、1.5×107個またはその概数の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、2.0×107個またはその概数の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、2.5×107個またはその概数の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、5×107個またはその概数の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、1.5×108個またはその概数の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、3×108個またはその概数の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、4.5×108個のまたはその概数の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、6×108個またはその概数の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、8×108個またはその概数の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量は、1.2×109個またはその概数の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。
【0216】
一部の実施形態では、遺伝子操作された細胞の用量は、1×105個もしくはその概数~2×109個もしくはその概数の総CAR発現(CAR+)T細胞、1×105個もしくはその概数~5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×105個もしくはその概数~2.5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×105個もしくはその概数~1×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×105個もしくはその概数~5×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×105個もしくはその概数~2.5×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×105個もしくはその概数~1×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×105個もしくはその概数~5×106個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×105個もしくはその概数~2.5×106個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×105個もしくはその概数~1×106個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×106個もしくはその概数~5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×106個もしくはその概数~2.5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×106個もしくはその概数~1×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×106個もしくはその概数~5×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×106個もしくはその概数~2.5×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×106個もしくはその概数~1×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×106個もしくはその概数~5×106個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×106個もしくはその概数~2.5×106個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、2.5×106個もしくはその概数~5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、2.5×106個もしくはその概数~2.5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、2.5×106個もしくはその概数~1×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、2.5×106個もしくはその概数~5×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、2.5×106個もしくはその概数~2.5×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、2.5×106個もしくはその概数~1×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、2.5×106個もしくはその概数~5×106個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、5×106個もしくはその概数~5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、5×106個もしくはその概数~2.5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、5×106個もしくはその概数~1×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、5×106個もしくはその概数~5×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、5×106個もしくはその概数~2.5×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、5×106個もしくはその概数~1×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×107個もしくはその概数~5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×107個もしくはその概数~2.5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×107個もしくはその概数~1×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×107個もしくはその概数~5×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×107個もしくはその概数~2.5×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、2.5×107個もしくはその概数~5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、2.5×107個もしくはその概数~2.5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、2.5×107個もしくはその概数~1×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、2.5×107個もしくはその概数~5×107個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、5×107個もしくはその概数~5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、5×107個もしくはその概数~2.5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、5×107個もしくはその概数~1×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×108個もしくはその概数~5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、1×108個もしくはその概数~2.5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞、または2.5×108個もしくはその概数~5×108個もしくはその概数の総CAR発現T細胞を含む。一部の実施形態では、遺伝子操作された細胞の用量は、1.0×107個もしくはその概数~8×108個もしくはその概数の総CAR発現(CAR+)T細胞、1.0×107個もしくはその概数~6.5×108個もしくはその概数の総CAR+T細胞、1.5×107個もしくはその概数~6.5×108個もしくはその概数の総CAR+T細胞、1.5×107個もしくはその概数~6.0×108個もしくはその概数の総CAR+T細胞、2.5×107個もしくはその概数~6.0×108個もしくはその概数の総CAR+T細胞、または5.0×107個もしくはその概数~6.0×108個もしくはその概数の総CAR+T細胞を含む。
【0217】
一部の実施形態では、遺伝子操作された細胞の用量は、2.5×107個またはその概数のCAR発現(CAR+)T細胞、総T細胞もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)~1.2×109個またはその概数のCAR発現T細胞、総T細胞もしくは総PBMCの間、5.0×107個またはその概数のCAR発現T細胞、総T細胞もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)~6.0×108個またはその概数のCAR発現T細胞、総T細胞もしくは総PBMCの間、5.0×107個またはその概数のCAR発現T細胞~4.5×108個またはその概数のCAR発現T細胞、総T細胞もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)の間、1.5×108個またはその概数のCAR発現T細胞~3.0×108個またはその概数のCAR発現T細胞、総T細胞もしくは総PBMCの間(それぞれ両端を含む)を含む。一部の実施形態では、数は、CD3+またはCD8+、一部の事例では、同様に、CAR発現(例えば、CAR+)細胞の総数を参照する。一部の実施形態では、用量は、2.5×107個またはその概数~1.2×109個またはその概数のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+CAR発現細胞、5.0×107個またはその概数~6.0×108個またはその概数のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+CAR発現細胞、5.0×107個またはその概数~4.5×108個またはその概数のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+CAR発現細胞、あるいは1.5×108個またはその概数~3.0×108個またはその概数のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+CAR発現細胞(それぞれ両端を含む)の細胞の数を含む。
【0218】
一部の実施形態では、用量は、1.0×107個のCD3+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、1.5×107個のCD3+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、2.0×107個のCD3+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、2.5×107個のCD3+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、5×107個のCD3+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、1.5×108個のCD3+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、3×108個のCD3+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、4.5×108個のCD3+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、6×108個のCD3+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、8×108個のCD3+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、1.2×109個のCD3+CAR発現細胞である。
【0219】
一部の実施形態では、遺伝子操作された細胞の用量は、CD3+CAR発現(CAR+)またはCD4+/CD8+CAR発現(CAR+)細胞の総数を参照する。一部の実施形態では、用量は、1.0×107個またはその概数~1.2×109個またはその概数のCD3+もしくはCD4+/CD8+総T細胞またはCD3+CAR発現もしくはCD4+/CD8+CAR発現細胞、1.5×107個またはその概数~1.2×109個またはその概数のCD3+もしくはCD4+/CD8+総T細胞またはCD3+CAR発現もしくはCD4+/CD8+CAR発現細胞、2.0×107個またはその概数~1.2×109個またはその概数のCD3+もしくはCD4+/CD8+総T細胞またはCD3+CAR発現もしくはCD4+/CD8+CAR発現細胞、2.5×107個またはその概数~1.2×109個またはその概数のCD3+もしくはCD4+/CD8+総T細胞またはCD3+CAR発現もしくはCD4+/CD8+CAR発現細胞、5.0×107個またはその概数~6.0×108個またはその概数のCD3+もしくはCD4+/CD8+総T細胞またはCD3+CAR発現もしくはCD4+/CD8+CAR発現細胞、5.0×107個またはその概数~4.5×108個またはその概数のCD3+もしくはCD4+/CD8+総T細胞またはCD3+CAR発現もしくはCD4+/CD8+CAR発現細胞、あるいは1.5×108個またはその概数~3.0×108個またはその概数のCD3+もしくはCD4+/CD8+総T細胞またはCD3+CAR発現もしくはCD4+/CD8+CAR発現細胞(それぞれ両端を含む)の遺伝子操作された細胞の数を含む。一部の実施形態では、用量は、1.0×107、1.5×107、2.0×107、2.5×107、5×107、1.5×108、3×108、4.5×108、6×108、8×108もしくは1.2×109個またはその概数のCD3+もしくはCD4+/CD8+総T細胞またはCD3+CAR発現もしくはCD4+/CD8+CAR発現細胞を含む。一部の実施形態では、用量は、2.5×107、5×107、1.5×108、3×108、4.5×108、6×108、8×108もしくは1.2×109個またはその概数のCD3+CAR発現細胞を含む。一部の実施形態では、用量は、1.0×107、1.5×107、2.0×107、2.5×107、5×107、1.5×108、3×108、4.5×108、6×108、8×108もしくは1.2×109個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞を含む。
【0220】
一部の実施形態では、用量は、1.0×107個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、1.5×107個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、2.0×107個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、2.5×107個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、5×107個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、1.5×108個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、3×108個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、4.5×108個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、6×108個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、8×108個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、1.2×109個またはその概数のCD4+/CD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、2.5×107個またはその概数のCD4+またはCD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、5×107個またはその概数のCD4+またはCD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、1.5×108個またはその概数のCD4+またはCD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、3×108個またはその概数のCD4+またはCD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、4.5×108個またはその概数のCD4+またはCD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、6×108個またはその概数のCD4+またはCD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、6.5×108個またはその概数のCD4+またはCD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、8×108個またはその概数のCD4+またはCD8+CAR発現細胞である。一部の実施形態では、用量は、1.2×109個またはその概数のCD4+またはCD8+CAR発現細胞である。
【0221】
一部の実施形態では、用量のT細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはCD4+およびCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、用量のT細胞は、CD4+T細胞を含む。一部の実施形態では、用量のT細胞は、CD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、用量のT細胞は、CD4+T細胞またはCD8+T細胞を含む。一部の実施形態では、用量のT細胞は、CD4+およびCD8+T細胞を含む。
【0222】
一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、用量のCD4+T細胞およびCD8+T細胞の総計は、1×106個またはその概数~2×109個またはその概数の間の総CAR発現CD4+細胞およびCAR発現CD8+細胞、例えば、2.5×107個またはその概数~1.2×109個またはその概数のそのような細胞の範囲で、例えば、5×107個またはその概数~4.5×108個またはその概数のそのような細胞の範囲で;例えば、1.0×107個もしくはその概数、2.5×107個もしくはその概数、2.0×107個もしくはその概数、2.5×107個もしくはその概数、5×107個もしくはその概数、1.5×108個もしくはその概数、3×108個もしくはその概数、4.5×108個もしくはその概数、6×108個もしくはその概数、6.5×108個もしくはその概数、8×108個もしくはその概数または1.2×109個もしくはその概数のそのような総細胞、あるいは前述の値のうちいずれか2つの間の範囲を含む。一部の実施形態では、例えば、対象がヒトである場合、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含む用量中を含む用量のCD8+T細胞は、1×106個またはその概数~2×109個またはその概数の間の総組換え受容体(例えば、CAR)発現CD8+細胞、例えば、2.5×107個またはその概数~1.2×109個またはその概数のそのような細胞の範囲で、例えば、5×107個またはその概数~4.5×108個またはその概数のそのような細胞の範囲で;例えば、2.5×107個もしくはその概数、5×107個もしくはその概数、1.5×108個もしくはその概数、3×108個もしくはその概数、4.5×108個もしくはその概数、6×108個もしくはその概数、8×108個もしくはその概数または1.2×109個もしくはその概数のそのような総細胞、あるいは前述の値のうちいずれか2つの間の範囲を含む。
【0223】
一部の実施形態では、細胞、例えば、組換え受容体発現T細胞の用量は、単一用量として対象に投与されるか、または2週間、1カ月間、3カ月間、6カ月間、1年間以上の期間内に1回のみ投与される。一部の実施形態では、患者は、複数用量を投与され、用量のそれぞれまたは総用量は、前述の値のいずれかの内であり得る。一部の実施形態では、投与のための操作された細胞または投与のための操作された細胞の組成物は、細胞の健康を指し示すかまたはそれと一貫した特性を示す。一部の実施形態では、そのような用量の70、75、80、85もしくは90%またはその概数または少なくともその値もしくはその概数のCAR+細胞は、アポトーシスマーカーの発現の非存在等、細胞の健康または生物学的に活性があるCAR細胞を指し示す1種または複数の特性または表現型を示す。
【0224】
特定の実施形態では、表現型は、アポトーシスの非存在および/または細胞がアポトーシス過程を起こしていることの指標の非存在であるかまたはそれを含む。アポトーシスは、小疱形成、細胞収縮、核断片化、クロマチン凝縮、染色体DNA断片化および全般的なmRNA崩壊を含む、特徴的な細胞の変化および死亡を生じる、一連のステレオタイプの形態学的および生化学的事象を含むプログラム細胞死の過程である。一部の態様では、アポトーシスの初期ステージは、ある特定のカスパーゼ、例えば、2、8、9および10の活性化によって指し示され得る。一部の態様では、アポトーシスの中期~後期ステージは、膜統合性のさらなる喪失、クロマチン凝縮およびDNA断片化によって特徴付けされ、カスパーゼ3、6および7の活性化等の生化学的事象を含む。
【0225】
特定の実施形態では、表現型は、プログラム細胞死に関連する1種または複数の因子、例えば、アポトーシスを開始することが知られているアポトーシス促進性因子、例えば、デスレセプター経路のメンバー、ミトコンドリア(内在的)経路の活性化メンバー、例えば、Bcl-2ファミリーメンバー、例えば、Bax、BadおよびBid、ならびにカスパーゼの陰性発現である。ある特定の実施形態では、表現型は、指標、例えば、アネキシンV分子の非存在であるか、または細胞組成物とインキュベートもしくは接触されたときにアポトーシスを起こしている細胞に優先的に結合するであろうTUNEL染色による。一部の実施形態では、表現型は、細胞におけるアポトーシス状態を指し示す1種または複数のマーカーの発現であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、表現型は、カスパーゼ、例えば、カスパーゼ3の発現および/または活性化の欠如である。一部の態様では、カスパーゼ-3の活性化は、アポトーシスの増加または復活を指し示す。ある特定の実施形態では、カスパーゼ活性化は、知られている方法によって検出することができる。一部の実施形態では、活性化されたカスパーゼに特異的に結合する(即ち、切断されたポリペプチドに特異的に結合する)抗体を使用して、カスパーゼ活性化を検出することができる。特定の実施形態では、表現型は、活性カスパーゼ3であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、アポトーシスのマーカーは、アポトーシスに関連する細胞における特色を検出する試薬である。ある特定の実施形態では、試薬は、アネキシンV分子である。
【0226】
一部の実施形態では、投与のための操作された細胞を含有する組成物は、細胞の健康を指し示すかまたはそれと一貫した表現型を示す、ある特定の数または量の細胞を含有する。いずれかの実施形態の一部では、操作されたT細胞の用量におけるCAR発現T細胞の約25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%未満が、アポトーシスのマーカー、適宜、アネキシンVまたは活性カスパーゼ3を発現する。いずれかの実施形態の一部では、操作されたT細胞の用量におけるCAR発現T細胞の5%、4%、3%、2%または1%未満が、アネキシンVまたは活性カスパーゼ3を発現する。
【0227】
養子細胞療法の状況において、細胞の所与の「用量」の投与は、単一の組成物および/または単一の中断されない投与としての、例えば、単一の注射または継続注入としての所与の量または数の細胞の投与を包含し、また、3日間以下である指定の期間にわたる複数の個々の組成物または注入において提供される分割用量としての所与の量または数の細胞の投与も包含する。よって、一部の状況では、用量は、単一の時点で与えられるまたは開始される指定の数の細胞の単一のまたは継続的な投与である。しかし、一部の状況では、用量は、1日1回を3日間もしくは2日間、または1日間の期間にわたる複数の注入による等、3日間以下の期間にわたる複数の注射もしくは注入において投与される。
【0228】
よって、一部の態様では、用量の細胞は、単一の医薬組成物において投与される。一部の実施形態では、用量の細胞は、用量の細胞を合計して含有する複数の組成物において投与される。
【0229】
用語「分割用量」は、1日間を超えて投与されるように分割された用量を指す。この型の投薬は、本方法によって包含され、単一の用量であると考慮される。一部の実施形態では、分割用量の細胞は、3日間以下の期間にわたり、用量の細胞を合計して含む複数の組成物において投与される。
【0230】
よって、細胞の用量は、分割用量として投与することができる。例えば、一部の実施形態では、用量は、2日間または3日間にわたり対象に投与することができる。分割投薬のための例示的な方法は、1日目に用量の25%を投与し、2日目に用量の残っている75%を投与する工程を含む。他の実施形態では、用量の33%を1日目に投与し、残っている67%を2日目に投与することができる。一部の態様では、用量の10%は1日目に投与され、用量の30%は2日目に投与され、用量の60%は3日目に投与される。一部の実施形態では、分割用量は、3日間を超えて広がらない。
【0231】
一部の実施形態では、細胞の用量は一般に、疾患負荷の低減において有効となるために十分なほど大きい。
【0232】
一部の実施形態では、細胞は、一部の態様では、細胞もしくは細胞型(複数可)の所望の用量もしくは数および/または細胞型の所望の比を含む、所望の投薬量で投与される。よって、細胞の投薬量は、一部の実施形態では、細胞の総数(または体重1kg当たりの数)および個々の集団またはサブタイプの所望の比、例えば、CD4+対CD8+の比に基づく。一部の実施形態では、細胞の投薬量は、個々の集団における細胞のまたは個々の細胞型の所望の総数(または体重1kg当たりの数)に基づく。一部の実施形態では、投薬量は、総細胞の所望の数、所望の比、および個々の集団における細胞の所望の総数等、そのような特色の組合せに基づく。
【0233】
一部の実施形態では、CD8+およびCD4+T細胞等、細胞の集団またはサブタイプは、T細胞の所望の用量等の総細胞の所望の用量でまたはその許容される差の内で投与される。一部の態様では、所望の用量は、細胞の所望の数、または細胞が投与される対象の体重の単位当たりの細胞の所望の数、例えば、細胞/kgである。一部の態様では、所望の用量は、細胞の最小数または体重の単位当たりの細胞の最小数であるかまたはそれを上回る。一部の態様では、所望の用量で投与される総細胞の中で、個々の集団またはサブタイプは、所望の出力比(CD4+対CD8+の比等)でまたはその付近で、例えば、そのような比のある特定の許容される差または誤差の内で存在する。
【0234】
一部の実施形態では、細胞は、CD4+細胞の所望の用量および/またはCD8+細胞の所望の用量等、細胞の個々の集団またはサブタイプのうち1種または複数の所望の用量でまたはその許容される差の内で投与される。一部の態様では、所望の用量は、サブタイプもしくは集団の細胞の所望の数、または細胞が投与される対象の体重の単位当たりのそのような細胞の所望の数、例えば、細胞/kgである。一部の態様では、所望の用量は、集団もしくはサブタイプの細胞の最小数、または体重の単位当たりの集団もしくはサブタイプの細胞の最小数であるかまたはそれを上回る。
【0235】
よって、一部の実施形態では、投薬量は、総細胞の所望の固定用量および所望の比に基づく、ならびに/または個々のサブタイプもしくは亜集団の1種または複数の、例えば、それぞれの所望の固定用量に基づく。よって、一部の実施形態では、投薬量は、T細胞の所望の固定もしくは最小用量およびCD4+対CD8+細胞の所望の比に基づく、ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+細胞の所望の固定もしくは最小用量に基づく。
【0236】
一部の実施形態では、細胞は、CD4+およびCD8+細胞またはサブタイプ等、複数の細胞集団またはサブタイプの所望の出力比でまたはその許容される範囲内で投与される。一部の態様では、所望の比は、具体的な比であり得るか、または比の範囲であり得る。例えば、一部の実施形態では、所望の比(例えば、CD4+対CD8+細胞の比)は、5:1もしくはその概数~5:1もしくはその概数(または約1:5超~約5:1未満)の間、または1:3もしくはその概数~3:1もしくはその概数(または約1:3超~約3:1未満)の間、例えば、2:1もしくはその概数~1:5もしくはその概数(または約1:5超~約2:1未満)の間、例えば、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5もしくは1:5またはその概数である。一部の態様では、許容される差は、所望の比の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%以内であり、これらの範囲の間にあるいずれかの値を含む。
【0237】
一部の実施形態では、細胞の用量または組成物は、およそ1:1であるかまたはおよそ1:3~およそ3:1の間である、例えば、およそ1:1である、組換え受容体を発現するCD4+細胞対組換え受容体を発現するCD8+細胞のおよび/またはCD4+細胞対CD8+細胞の、定義されたまたは標的の比を含む。一部の実施形態では、細胞の用量または組成物は、およそ1:1である、組換え受容体を発現するCD4+細胞対組換え受容体を発現するCD8+細胞のおよび/またはCD4+細胞対CD8+細胞の、定義されたまたは標的の比を含む。一部の実施形態では、細胞の用量または組成物は、およそ1:3~およそ3:1の間である、組換え受容体を発現するCD4+細胞対組換え受容体を発現するCD8+細胞のおよび/またはCD4+細胞対CD8+細胞の、定義されたまたは標的の比を含む。
【0238】
特定の実施形態では、細胞の数および/または濃度は、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞の数を指す。他の実施形態では、細胞の数および/または濃度は、投与された全細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)の数または濃度を指す。
【0239】
一部の態様では、用量のサイズは、前の処置、例えば、化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷、例えば、腫瘍負荷量、容積、サイズもしくは程度、転移の度合いもしくは型、ステージ、ならびに/または対象が、投与されている細胞および/もしくは組換え受容体に対して毒性の転帰、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性および/もしくは宿主免疫応答を発症する見込みもしくは発生率等の1種または複数の判断基準に基づき決定される。
【0240】
一部の実施形態では、例えば、用量は、5.0×106~2.25×107、5.0×106~2.0×107、5.0×106~1.5×107、5.0×106~1.0×107、5.0×106~7.5×106、7.5×106~2.25×107、7.5×106~2.0×107、7.5×106~1.5×107、7.5×106~1.0×107、1.0×107~2.25×107、1.0×107~2.0×107、1.0×107~1.5×107、1.5×107~2.25×107、1.5×107~2.0×107、2.0×107~2.25×107個の間またはそれらの概数の間の組換え受容体発現細胞を含有する。一部の実施形態では、細胞の用量は、約1.5×108個の組換え受容体発現細胞、約3.0×108個の組換え受容体発現細胞、または約4.5×108個の組換え受容体発現細胞、例えばCD3+である組換え受容体発現細胞である細胞の数を含有する。一部の実施形態では、細胞の用量は、少なくともまたは少なくとも約5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、10×106~約15×106個の組換え受容体発現細胞、例えば、CD8+である組換え受容体発現細胞の間である細胞の数を含有する。一部の実施形態では、そのような用量、例えば、そのような標的数の細胞は、投与される組成物における総組換え受容体発現細胞を指す。
【0241】
一部の実施形態では、例えば、より低い用量は、対象体重1キログラム当たり約5×106個未満の細胞、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞および/またはPBMC、例えば、対象体重1キログラム当たり約4.5×106、4×106、3.5×106、3×106、2.5×106、2×106、1.5×106、1×106、5×105、2.5×105または1×105個未満のそのような細胞を含有する。一部の実施形態では、より低い用量は、対象体重1キログラム当たり約1×105、2×105、5×105または1×106個未満のそのような細胞、または前述の値のうちいずれか2つの間の範囲内の値を含有する。一部の実施形態では、そのような値は、組換え受容体発現細胞の数を指し;他の実施形態では、投与されたT細胞またはPBMCまたは総細胞の数を指す。
【0242】
一部の実施形態では、対象は、細胞の複数の用量、例えば、2以上の用量または複数の連続用量を受ける。一部の実施形態では、2用量が対象に投与される。一部の実施形態では、対象は、連続用量を受け、例えば、第2の用量は、第1の用量のおよそ4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21日後に投与される。一部の実施形態では、連続用量の投与に続いて追加の用量(単数または複数)が投与されるように、第1の用量に続いて複数の連続用量が投与される。一部の態様では、追加の用量において対象に投与される細胞の数は、第1の用量および/または連続用量と同じまたは同様である。一部の実施形態では、追加の用量(単数または複数)は、前の用量よりも大きい。一部の実施形態では、細胞の1または複数の後続用量を対象に投与することができる。一部の実施形態では、細胞の後続用量は、細胞の第1の用量の投与の開始から約7日、14日、21日、28日もしくは35日後を超えてまたはその概数を超えて投与される。細胞の後続用量は、第1の用量を超える、それとほぼ同じまたはそれ未満であり得る。一部の実施形態では、細胞の第1および/または第2の用量の投与等、T細胞療法の投与は反復されてよい。
【0243】
D.リンパ球枯渇処置
一部の態様では、提供される方法は、T細胞療法の投与の開始の前等に、1種または複数のリンパ球枯渇療法を投与することをさらに含むことができる。一部の実施形態では、リンパ球枯渇療法は、シクロホスファミド等のホスファミドの投与を含む。一部の実施形態では、リンパ球枯渇療法は、フルダラビンの投与を含むことができる。
【0244】
一部の態様では、免疫枯渇(例えば、リンパ球枯渇)療法による対象のプレコンディショニングは、養子細胞療法(ACT)の効果を改善することができる。シクロスポリンおよびフルダラビンの組合せを含むリンパ球枯渇剤によるプレコンディショニングは、移入された細胞の応答および/または持続を改善することを含む、細胞療法における移入された腫瘍浸潤リンパ球(TIL)細胞の有効性の改善において有効であった。例えば、Dudley et al., Science, 298, 850-54 (2002);Rosenberg et al., Clin Cancer Res, 17(13):4550-4557 (2011)を参照されたい。同様に、CAR+T細胞の文脈において、いくつかの研究は、リンパ球枯渇剤、最も一般的には、シクロホスファミド、フルダラビン、ベンダムスチンまたはこれらの組合せを、時として低線量照射を伴って、取り込んだ。Han et al. Journal of Hematology & Oncology, 6:47 (2013);Kochenderfer et al., Blood, 119: 2709-2720 (2012);Kalos et al., Sci Transl Med, 3(95):95ra73 (2011);Clinical Trial Study Record Nos.: NCT02315612; NCT01822652を参照されたい。
【0245】
そのようなプレコンディショニングは、療法の有効性を減衰し得る様々な転帰のうち1種または複数のリスクを低減させるという目標をもって実行することができる。そのようなものとして、T細胞、B細胞、NK細胞が、IL-2、IL-7および/またはIL-15等の恒常性および活性化サイトカインについてTILと競合する、「サイトカインシンク」として知られている現象;調節性T細胞、NK細胞または免疫系の他の細胞によるTILの抑制;腫瘍微小環境における負の制御因子の影響が挙げられる。Muranski et al., Nat Clin Pract Oncol. December; 3(12): 668-681 (2006)。
【0246】
よって、一部の実施形態では、提供される方法は、対象にリンパ球枯渇療法を投与することがさらに関与する。一部の実施形態では、方法は、細胞の用量の投与の前に、対象にリンパ球枯渇療法を投与する工程を伴う。一部の実施形態では、リンパ球枯渇療法は、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミド等の化学療法剤を含有する。一部の実施形態では、細胞および/またはリンパ球枯渇療法の投与は、外来デリバリーにより実行される。
【0247】
一部の実施形態では、方法は、細胞の用量の投与の前に、シクロホスファミド、フルダラビンまたはこれらの組合せ等のリンパ球枯渇または化学療法剤等のプレコンディショニング剤を対象に投与することを含む。例えば、対象は、第1のまたは後続の用量の少なくとも2日前、例えば、少なくとも3、4、5、6または7日前に、プレコンディショニング剤を投与することができる。一部の実施形態では、対象は、細胞の用量の投与の7日以下前に、例えば、6、5、4、3または2日以下前に、プレコンディショニング剤を投与される。
【0248】
一部の実施形態では、対象は、20mg/kg~100mg/kgの間またはそれらの概数の間、例えば、40mg/kg~80mg/kgの間またはそれらの概数の間の用量のシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。一部の態様では、対象は、60mg/kgまたは約60mg/kgのシクロホスファミドによりプレコンディショニングされる。一部の実施形態では、フルダラビンは、単一用量で投与することができるか、または複数の用量で投与することができる、例えば、毎日、1日置きにまたは3日毎に与えることができる。一部の実施形態では、シクロホスファミドは、1または2日間にわたり1日1回投与される。
【0249】
一部の実施形態では、リンパ球枯渇剤が、フルダラビンを含む場合、対象は、1mg/m2~100mg/m2の間またはそれらの概数の間、例えば10mg/m2~75mg/m2、15mg/m2~50mg/m220mg/m2~30mg/m2の、もしくは24mg/m2~26mg/m2の間またはそれらの概数の間の用量のフルダラビンを投与される。一部の実例では、対象は、25mg/m2のフルダラビンを投与される。一部の実施形態では、フルダラビンは、単一の用量において投与することができる、または毎日、1日置きにもしくは3日毎に与える等、複数の用量において投与することができる。一部の実施形態では、フルダラビンは、1~5日間、例えば、3~5日間等にわたり、毎日投与される。
【0250】
一部の実施形態では、リンパ球枯渇剤は、シクロホスファミドおよびフルダラビンの組合せ等、薬剤の組合せを含む。よって、薬剤の組合せは、上に記載されているもの等のいずれかの用量または投与スケジュールのシクロホスファミド、および上に記載されているもの等のいずれかの用量または投与スケジュールのフルダラビンを含むことができる。例えば、一部の態様では、対象は、60mg/kg(ほぼ2g/m2)のシクロホスファミドおよび3~5用量の25mg/m2フルダラビンを、細胞の用量の前に投与される。
【0251】
一部の実施形態では、細胞の用量の注入の前であるプレコンディショニング剤の投与は、処置の転帰を改善する。例えば、一部の態様では、プレコンディショニングは、用量による処置の有効性を改善するか、または対象における組換え受容体発現細胞(例えば、CAR発現T細胞等、CAR発現細胞)の持続を増加させる。一部の実施形態では、プレコンディショニング処置は、細胞の用量に続く所与の期間の後に生きており、微小残存または分子的に検出可能な疾患を示さない対象のパーセント等、無病生存を増加させる。一部の実施形態では、無病生存中央値までの時間は、増加される。
【0252】
細胞が対象(例えば、ヒト)に投与されると、操作された細胞集団の生物活性は、一部の態様では、多数の公知方法のいずれかによって測定される。評価するためのパラメーターは、インビボにおける、例えば、イメージングによる、またはエクスビボにおける、例えば、ELISAもしくはフローサイトメトリーによる、抗原への操作されたまたは天然のT細胞または他の免疫細胞の特異的結合を含む。ある特定の実施形態では、標的細胞を破壊する操作された細胞の能力は、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009)およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004)に記載されている細胞傷害性アッセイ等、当技術分野で知られているいずれか適した方法を使用して測定することができる。ある特定の実施形態では、細胞の生物活性は、CD107a、IFNγ、IL-2およびTNF等のある特定のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることにより測定することもできる。一部の態様では、生物活性は、腫瘍負荷または負荷量の低減等の臨床の転帰を評価することにより測定される。一部の態様では、毒性の転帰、細胞の持続および/もしくは増大、ならびに/または宿主免疫応答の存在もしくは非存在が評価される。
【0253】
一部の実施形態では、細胞の用量の注入の前にプレコンディショニング剤の投与は、用量による処置の有効性を改善すること等により、処置の転帰を改善するか、または対象における組換え受容体発現細胞(例えば、CAR発現T細胞等のCAR発現細胞)の持続性を増加させる。
【0254】
III.例示的な処置の転帰およびそれを評価するための方法
本明細書に提供される方法、使用、キットおよび製造品の一部の実施形態では、提供されるT細胞療法は、1種または複数の処置の転帰、例えば、以下で記載するような、療法または処置と関連付けられるパラメーターのいずれか1種または複数と関連付けられる特徴をもたらす。一部の実施形態では、当該方法は、がん細胞に対するT細胞、例えば、T細胞に基づく療法のために投与されるT細胞の細胞傷害性の評価を含む。一部の実施形態では、当該方法は、T細胞、例えばT細胞に基づく療法のために投与されたT細胞の曝露、持続および増殖の評価を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法における細胞、例えば免疫療法、例えばT細胞療法のために投与される細胞の、細胞の曝露、もしくは長期の増大および/もしくは持続、ならびに/または細胞表現型の変化もしくは細胞の機能的活性は、インビボまたはエクスビボでT細胞の特性を評価することによって測定することができる。一部の実施形態では、そのようなアッセイを使用して、本明細書に提供されるT細胞療法を投与する前、投与中、または投与した後にT細胞、例えばT細胞療法の機能を決定または確認することができる。
【0255】
一部の実施形態では、T細胞療法は、T細胞療法を用いた処置について対象を同定するための、および/もしくはT細胞療法を継続する1種もしくは複数のスクリーニング工程、ならびに/または処置の転帰の評価のための、および/もしくは処置の転帰をモニタリングする工程をさらに含み得る。一部の実施形態では、処置の評価のための工程は、処置を評価するための、および/またはモニタリングするための、および/または療法のさらなるもしくは残りの工程の投与に関しておよび/または反復療法に関して対象を同定するための工程を含み得る。一部の実施形態では、処置の転帰のスクリーニング工程および/または評価を使用して、本明細書に提供されるT細胞療法の用量、頻度、持続時間、タイミングおよび/または順序を決定することができる。
【0256】
一部の実施形態では、本明細書に記載の処置の転帰のスクリーニング工程および/または評価のいずれかは、提供されるT細胞療法(例えば、抗BCMA CAR T細胞)の1種または複数の工程の投与の前に、その間に、その過程中に、またはそれに続いて使用することができる。一部の実施形態では、評価は、本明細書に提供される方法のいずれかの実施の前に、その間に、その過程中に、またはその後に行われる。一部の実施形態では、評価は、本明細書に提供される方法の実施の前に行われる。一部の実施形態では、評価は、本明細書に提供される方法の1種または複数の工程の実施後に行われる。一部の実施形態では、評価は、例えばT細胞療法を受けるのに適しており、および/またはT細胞療法を受けやすい患者をスクリーニングおよび同定するために、提供されるT細胞療法の1種または複数の工程の投与の前に実施される。一部の実施形態では、評価は、例えば、中間のもしくは最終的な処置の転帰を評価するため、例えば処置の有効性を決定するため、および/または処置を継続もしくは反復するかどうかを決定するため、および/またはT細胞療法の残りの工程を投与するかどうかを決定するために、提供されるT細胞療法の1種または複数の工程の投与の間に、その過程中に、またはそれに続いて実施される。
【0257】
一部の実施形態では、処置の転帰は、免疫機能、例えば細胞に基づく療法のために投与されたT細胞の、および/または身体における内因性T細胞の免疫機能の改善を含む。一部の実施形態では、例示的な処置の転帰として、T細胞増殖の増強、T細胞機能的活性の増強、免疫細胞表現型マーカー発現の変化が挙げられるが、これらに限定されず、例えば、そのような特徴は、対象に投与された操作されたT細胞、例えばCAR-T細胞と関連付けられる。一部の実施形態では、例示的な処置の転帰として、疾患負荷、例えば腫瘍負荷の減少、臨床転帰の改善および/または療法の有効性の増強が挙げられる。
【0258】
一部の実施形態では、処置の転帰のスクリーニング工程および/または評価は、細胞に基づく療法のために投与されたT細胞の生存および/または機能を評価することを含む。一部の実施形態では、スクリーニング工程および/または転帰の処置の評価は、サイトカインまたは増殖因子のレベルを評価することを含む。一部の実施形態では、スクリーニング工程および/または処置の転帰の評価は、疾患負荷および/または改善を評価すること、例えば、腫瘍負荷および/または臨床転帰を評価することを含む。一部の実施形態では、処置の転帰のスクリーニング工程および/または評価のいずれかは、本明細書に記載され、および/または当技術分野で公知の評価方法および/またはアッセイのいずれかを含んでもよく、1回または複数回、例えば、T細胞療法の1種または複数の工程の投与の前に、その間に、その過程中に、またはそれに続いて実施され得る。本明細書に提供される方法の一部の実施形態で評価することができる処置の転帰と関連付けられる例示的なパラメーターセットとして、末梢血免疫細胞集団プロファイルおよび/または腫瘍負荷が挙げられる。
【0259】
一部の実施形態では、方法は、対象における細胞療法の有効性に影響を与える。一部の実施形態では、デバルキングを有する方法における細胞の用量の投与後の細胞における組換え受容体発現、例えばCAR発現細胞の細胞傷害性は、デバルキングを有さない方法により達成されるものと比較して高い。一部の実施形態では、約600ng/mLより低い血清sBCMAレベルを有する、および/またはIgG重鎖病(HCD)の存在を有さないとして対象が処置について選択される方法における細胞の用量の投与後の組換え受容体発現、例えばCAR発現細胞の細胞傷害性は、対象を選択しない方法により達成されたものと比較して高い。一部の実施形態では、T細胞療法、例えばCAR発現T細胞を投与された対象における細胞傷害性は、T細胞療法が処置について選択されていない対象に投与された方法と比較して評価される。一部の実施形態では、この方法により、T細胞療法が処置について選択されていない対象に投与された方法と比較して、投与されたT細胞が対象における細胞傷害性の増加または延長を示す結果をもたらす。
【0260】
一部の実施形態では、T細胞療法による処置前の腫瘍のデバルキングは、腫瘍が処置前にデバルキングされていない方法と比較して、対象における疾患負荷、例えば腫瘍負荷を減少する。一部の実施形態では、処置について対象を選択することは、対象が処置について選択されていない方法と比較して、対象における疾患負荷、例えば腫瘍負荷を減少する。一部の実施形態では、T細胞療法による処置の前の腫瘍のデバルキングは、腫瘍が処置の前にデバルキングされていない方法と比較して、臨床転帰、例えば客観的奏効率(ORR)、無進行生存(PFS)および全生存期間(OS)の改善をもたらす。一部の実施形態では、T細胞療法による処置について対象を選択することは、対象が処置について選択されていない方法と比較して、臨床転帰、例えば客観的奏効率(ORR)、無進行生存(PFS)および全生存期間(OS)の改善をもたらす。
【0261】
一部の実施形態では、対象は、T細胞療法の1種または複数の工程の投与の前にスクリーニングされ得る。例えば、対象は、T細胞療法の投与に対する適合性、応答性および/または感受性を決定するために、T細胞療法の投与の前に、疾患および/または疾患負荷、例えば腫瘍負荷の特性に関してスクリーニングすることができる。例えば、T細胞療法の投与に対する適合性、応答性および/または感受性を決定するために、T細胞療法の投与の前に、疾患の特性に関してスクリーニングすることができる。一部の実施形態では、処置の転帰のスクリーニング工程および/または評価を使用して、本明細書に提供されるT細胞療法の用量、頻度、持続時間、タイミングおよび/または順序を決定することができる。
【0262】
一部の実施形態では、対象は、T細胞療法の残りの工程を受けるために対象を決定および同定するため、ならびに/または療法の有効性をモニターするために、T細胞療法の工程の1つの投与後にスクリーニングすることができる。一部の実施形態では、投与されたT細胞の数、レベルもしくは量ならびに/または投与されたT細胞の増殖および/もしくは活性は、操作されたT細胞の投与後に評価される。
【0263】
一部の実施形態では、評価の異なる時点、異なる条件、参照時点および/または異なる対象における同じパラメーターもしくは転帰のレベル、値または測定値と比較した、パラメーターもしくは転帰のレベル、値または測定値における変化および/または変更、例えば増加、上昇、減少または低減が、決定または評価される。一部の実施形態では、2種以上のパラメーターのレベル、値または測定値が決定され、相対レベルが比較される。一部の実施形態では、パラメーターの決定されたレベル、値または測定値は、対照試料または未処置の試料由来のレベル、値または測定値と比較される。一部の実施形態では、パラメーターの決定されたレベル、値または測定値は、同じ対象由来であるが、異なる時点の試料のレベルと比較される。個々のパラメーターの定量化で得られた値は、例えばマルチパラメトリック解析を使用することによってパラメーターのレベル、値または測定値に関して算術または論理演算を成すことによって、疾患評価の目的で組み合わせることができる。一部の実施形態では、2種以上の特定パラメーターの比が算出され得る。
【0264】
T細胞の健康、機能、活性、および/または転帰、例えば応答、有効性および/または毒性の転帰に関連するパラメーターの評価および決定は、様々な時点で評価され得る。一部の態様では、評価は、複数回、例えば、細胞の製造前、製造中、および/または製造後に、T細胞療法の投与開始前、投与中、および/または投与開始後に実施することができる。
【0265】
一部の実施形態では、投与された細胞および/または細胞組成物の機能的属性には、薬物動態学(PK)および薬力学パラメーター、細胞の増大および持続性、細胞機能アッセイ(例えば、細胞毒性アッセイ、サイトカイン分泌アッセイおよびインビボアッセイ等、本明細書に記載される任意のもの)、高次元T細胞シグナル伝達評価、ならびにT細胞の消耗表現型および/またはシグネチャーの評価が含まれる。
【0266】
一部の実施形態では、処置の転帰のスクリーニング工程および/もしくは評価のため、ならびに/または処置の転帰をモニタリングするために評価され得るパラメーターを含む、療法または処置の転帰と関連付けられるパラメーターとして、腫瘍または疾患負荷が挙げられる。T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)等の免疫療法の投与は、対象における疾患または状態の増大または負荷を低減または防止することができる。例えば、疾患または状態が腫瘍である場合、当該方法は概して、腫瘍サイズ、バルク、転移、骨髄における芽球のパーセンテージまたは分子的に検出可能ながんを低減し、および/または腫瘍負荷と関連付けられる予後もしくは生存もしくは他の症状を改善する。
【0267】
一部の実施形態では、提供される方法は、T細胞療法(例えば、抗BCMA CAR T細胞)が処置の前の腫瘍のデバルキングなしで与えられる代替方法と比較して、処置された対象において腫瘍負荷の減少をもたらす。一部の実施形態では、提供される方法は、T細胞療法(例えば、抗BCMA CAR T細胞)が処置についての対象の選択なしで与えられる代替方法と比較して、処置された対象において腫瘍負荷の減少をもたらす。
【0268】
腫瘍負荷は実際には、T細胞療法を受ける対象全てを低減させる必要はなく、例えば臨床データに基づいて、処置された対象において平均して低減される必要はなく、ここで、腫瘍負荷は、そのようなT細胞療法で処置された対象の大部分が腫瘍負荷の低減を示し、例えばT細胞療法で処置された対象の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%以上の対象が腫瘍負荷の低減を示す。
【0269】
疾患負荷は、対象における、または対象の臓器、組織もしくは体液、例えば、腫瘍もしくは例えば転移を示す別の位置の臓器もしくは組織における疾患の総細胞数を包含し得る。例えば、腫瘍細胞は、ある特定の血液学的悪性病変の状況で、血液、リンパもしくは骨髄において検出および/または定量化され得る。疾患負荷は、一部の実施形態では、腫瘍量、転移の数もしくは程度および/または骨髄中に存在する芽球のパーセンテージを含み得る。
【0270】
MMの場合、疾患負荷の程度を評価するための例示的なパラメーターとして、クローン形質細胞の数(例えば、骨髄生検査で10%を超える、または他の組織由来の生検で任意の量で;形質細胞腫)、血清または尿のいずれかにおけるモノクローナルタンパク質(パラプロテイン)の存在、形質細胞障害に関連すると感じられる末端臓器損傷のエビデンス(例えば、高カルシウム血症(2.75mmol/lを超える補正カルシウム);骨髄腫に起因する腎不全;貧血(10g/dl未満のヘモグロビン);および/または骨病変(圧迫骨折を伴う溶解性病変または骨粗鬆症))等のパラメーターを含む。
【0271】
疾患状態または疾患負荷を評価するための例示的な方法は、電気泳動および免疫固定法による血液および/または尿等の生体液中のMタンパク質の測定;血液中のsFLC(κおよびλ)の定量化;骨格検査;ならびに髄外性疾患を有する対象における陽電子放射断層撮影(PET)/コンピュータ断層撮影(CT)によるイメージングを含む。一部の実施形態では、疾患状態は、骨髄試験によって評価することができる。一部の例では、対象へのその投与に続くT細胞療法の有効性は、血液および/または骨髄中のT細胞(例えば、BCMACART細胞)の増大化および持続性によって決定される。一部の実施形態では、T細胞療法の有効性は、投与された細胞(例えば、BCMA CAR T細胞)の抗腫瘍活性に基づき決定される。一部の実施形態では、抗腫瘍活性は、全奏効率(ORR)および/または国際骨髄腫作業部会(International Myeloma Working Group)(IMWG)統一応答基準(Kumar et al. (2016) Lancet Oncol 17(8):e328-346を参照されたい)によって決定される。一部の実施形態では、応答は、微小残存疾患(MRD)評価を使用して評価される。一部の実施形態では、MRDは、フローサイトメトリーおよびハイスループット配列決定、例えば、ディープ配列決定等の方法によって評価することができる。一部の態様では、MRD陰性疾患を有する対象は、フローサイトメトリー(次世代フローサイトメトリー;NGF)またはハイスループット配列決定、例えば、ディープ配列決定もしくは次世代配列決定(NGS)等、105個以上の有核細胞における1個の最小感度(即ち、10-5感度)を有するアッセイによって除外される、骨髄吸引液における異常クローナル形質細胞の非存在を示す対象を含む。
【0272】
一部の態様では、持続性MRD陰性は、最小で1年間置いて確認された、骨髄における(NGFもしくはNGSまたはその両方)かつ下に定義されるイメージングによるMRD陰性を示す対象を含む。後続の評価を使用して、陰性の持続時間をさらに指定することができる(例えば、5年目のMRD陰性)。一部の態様では、フローMRD陰性は、105個以上の有核細胞における1個の最小感度を有する多発性骨髄腫におけるMRD検出のためのEuroFlow標準操作手順(または検証された等価方法)を使用した、骨髄吸引液におけるNGFによる表現型的に異常なクローナル形質細胞の非存在を示す対象を含む。一部の態様では、配列決定MRD陰性は、骨髄吸引液におけるNGSによるクローナル形質細胞の非存在を示す対象を含み、この場合、クローンの存在は、105個以上の有核細胞における1個の最小感度を有するLymphoSIGHTプラットフォーム(または検証された等価方法)を使用した、骨髄吸引液のDNA配列決定後に得られる2個未満の同一配列決定リードとして定義される。一部の態様では、イメージングプラスMRD陰性は、NGFまたはNGS、プラス、ベースラインもしくは先行するPET/CTで見出された増加したトレーサー取込みの全区域の消失またはより少ない縦隔(mediastinal)血液プールSUVへの減少または周囲の正常組織未満への減少によって評価されるMRD陰性を示す対象を含む(Kumar et al. (2016) Lancet Oncol 17(8):e328-346を参照)。
【0273】
一部の態様では、対象の生存、ある特定の期間内の生存、生存の度合い、無事象もしくは無症状生存または無再発生存の存在または持続時間が評価される。一部の実施形態では、疾患または状態のいずれかの症状が評価される。一部の実施形態では、腫瘍負荷の尺度が指定される。一部の実施形態では、決定のための例示的なパラメーターは、腫瘍における緩解または改善を指し示す特定の臨床転帰を含む。そのようなパラメーターは、客観的奏効(OR)、完全奏効(CR)、厳格な完全奏効(sCR)、最良部分奏効(VGPR)、部分奏効(PR)、最小の応答(MR)、安定疾患(SD)、進行性疾患(PD)または再発(例えば、国際骨髄腫作業部会(IMWG)統一応答基準を参照;Kumar et al. (2016) Lancet Oncol 17(8):e328-346を参照)を含む疾患制御の持続時間、客観的奏効率(ORR)、無進行生存(PFS)および全生存(OS)を含む。一部の実施形態では、応答は、微小残存疾患(MRD)評価を使用して評価される。一部の実施形態では、応答は、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)評価を使用して評価される。一部の実施形態では、応答は、完全奏効(CR)評価を使用して評価される。一部の実施形態では、応答は、厳格なCR評価を使用して評価される。パラメーターのための具体的な閾値を設定して、本明細書に提供される方法の有効性を決定することができる。一部の実施形態では、処置されるべき疾患または障害は、多発性骨髄腫である。一部の実施形態では、多発性骨髄腫のための測定可能な疾患の判断基準は、(1)血清Mタンパク質 1g/dL以上;(2)尿Mタンパク質 200mg以上/24時間;(3)罹病血清遊離軽鎖(sFLC)レベル 10mg/dL以上と異常κ対λ比を含むことができる。一部の事例では、軽鎖疾患は、血清または尿中に測定可能な疾患を伴わない対象のみに許容される。
【0274】
一部の実施形態では、応答は、T細胞療法、例えば、BCMA CAR T細胞の投与に続く応答の持続時間に基づき評価される。一部の態様では、例えば、提供される実施形態に従った療法に対する応答は、T細胞療法の投与の開始後の指定の時点に測定することができる。一部の実施形態では、指定の時点は、投与の開始の1、2、3、6、9、12、18、24、30もしくは36カ月後またはその概数、あるいは前述のいずれかによって定義される範囲内である。一部の実施形態では、指定の時点は、投与の開始の4、8、12、16、20、24、28、32、36、48もしくは52週間後または数カ月後、あるいは前述のいずれかによって定義される範囲内である。一部の実施形態では、指定の時点は、投与の開始の1カ月後またはその概数である。一部の実施形態では、指定の時点は、投与の開始の3カ月後またはその概数である。一部の実施形態では、指定の時点は、投与の開始の6カ月後またはその概数である。一部の実施形態では、指定の時点は、投与の開始の9カ月後またはその概数である。一部の実施形態では、指定の時点は、投与の開始の12カ月後またはその概数である。一部の実施形態では、応答はCRまたはsCRである。一部の実施形態では、応答はCRである。一部の実施形態では、応答はsCRである。
【0275】
一部の実施形態では、指定の時点の3、6、9または12カ月後またはその概数に決定される応答または転帰は、初期の指定の時点に決定される応答または転帰に等しいまたはそれと比較して改善される。例えば、一部の態様では、初期の指定の時点に決定される応答または転帰が、安定疾患(SD)、進行性疾患(PD)または再発である場合、提供される実施形態に従って処置された対象は、初期の指定の時点の応答または転帰に等しいか、または客観的奏効(OR)、完全奏効(CR)、厳格な完全奏効(sCR)、最良部分奏効(VGPR)もしくは部分奏効(PR)である応答もしくは転帰である、初期の指定の時点の3、6、9または12カ月後またはその概数に、後続の時点における等しいまたは改善された応答または転帰を示すことができる(例えば、国際骨髄腫作業部会(IMWG)統一応答基準に従ったより良い応答転帰を示す;Kumar et al. (2016) Lancet Oncol 17(8):e328-346を参照されたい)。一部の実施形態では、応答はCRまたはsCRである。一部の実施形態では、応答はCRである。一部の実施形態では、応答はsCRである。一部の態様では、提供される実施形態に従って処置された対象は、2つの決定時点の間で改善された応答または転帰を示すことができる。一部の態様では、対象は、評価のための初期の指定の時点において、例えば、投与の開始の4週間後にPRまたはVGPRを示し、次いで、より後の時点において、例えば、投与の開始の12週間後にCRまたはsCR等の改善された応答を示すことができる。一部の態様では、無進行生存(PFS)は、対象が疾患を伴って生存するが、悪化しないがん等の疾患の処置中および処置後の期間として記載される。一部の態様では、客観的奏効(OR)は、測定可能な奏効として記載される。一部の態様では、客観的奏効率(ORR;一部の事例では、全奏効率としても知られている)は、CRまたはPRを達成した患者の割合として記載されている。一部の態様では、全生存(OS)は、疾患と診断された対象が依然として生きている、がん等の疾患の診断日または処置の開始日からの時間の長さとして記載されている。一部の態様では、無イベント生存(EFS)は、対象が、処置が防止または遅延させると意図されたある特定の合併症またはイベントないままである、がんに対する処置が終了した後の期間として記載されている。これらのイベントは、がんの再発またはある特定の症状の開始、例えば、骨に伝播したがん由来の骨痛、あるいは死亡を含み得る。
【0276】
一部の実施形態では、奏効の持続時間(DOR)の測定は、疾患進行に対する腫瘍奏効の文書化からの時間を含む。一部の実施形態では、奏効を評価するためのパラメーターは、持続的な奏効、例えば、療法の開始からのある期間後に持続する奏効を含み得る。一部の実施形態では、持続的な奏効は、療法の開始のおよそ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18または24カ月後の奏効率によって示される。一部の実施形態では、応答または転帰は、3、6、9または12カ月間またはその概数を超えて耐久性がある。
【0277】
一部の実施形態では、米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス指標を使用して、処置について対象、例えば、前の療法から不十分な成績を有した対象を評価または選択することができる(例えば、Oken et al. (1982) Am J Clin Oncol. 5:649-655を参照)。パフォーマンスステータスのECOGスケールは、その自己管理能力、日々の活動および身体能力(例えば、歩行、作業等)の観点から機能の患者のレベルについて記載する。一部の実施形態では、0のECOGパフォーマンスステータスは、対象が、正常な活動を行うことができることを指し示す。一部の態様では、1のECOGパフォーマンスステータスを有する対象は、身体活動にある程度の制限を示すが、対象は完全に歩行可能である。一部の態様では、2のECOGパフォーマンスステータスを有する患者は、50%を超えて歩行可能である。一部の事例では、2のECOGパフォーマンスステータスを有する対象は、セルフケアが可能となることもできる;例えば、Sorensen et al., (1993) Br J Cancer 67(4) 773-775を参照されたい。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法または処置レジメンに従って投与されるべき対象は、0または1のECOGパフォーマンスステータスを有する対象を含む。
【0278】
一部の実施形態では、T細胞療法(例えば、BCMA CAR T細胞)の方法および/または投与は、T細胞療法の投与の直前の時点の疾患負荷と比較して、疾患負荷を減少させる。
【0279】
一部の態様では、T細胞療法の投与は、疾患負荷の増加を防止する可能性があり、これは、疾患負荷の変化がないことによって明らかであり得る。
【0280】
一部の実施形態では、当該方法は、代替的療法、例えば、対象が、処置の前の腫瘍のデバルキングの非存在下で、および/または対象が処置の前に選択されなかった際にT細胞療法を受けるものを使用した匹敵する方法で観察されるであろう低減と比較した場合に、より大きな度合いでおよび/またはより長い期間、疾患または症状の負荷、例えば、腫瘍細胞の数、腫瘍のサイズ、患者の生存または無イベント生存の持続時間を低減させる。一部の実施形態では、疾患負荷は、処置の前の腫瘍のデバルキングなしで、および/または処置についての患者の選択なしでもたらされる低減と比較して、T細胞療法の投与に続いて、より大きな程度で、またはより長い持続時間、低減される。
【0281】
一部の実施形態では、対象における疾患または状態の負荷は、検出、評価または測定される。疾患負荷は、一部の態様では、対象における、または対象の臓器、組織、もしくは体液、例えば血液または血清における疾患または疾患関連細胞、例えば腫瘍細胞の総数を検出することによって検出され得る。一部の実施形態では、疾患負荷、例えば、腫瘍負荷は、固形腫瘍の質量および/または転移の数もしくは度合いを測定することにより評価される。一部の態様では、対象の生存、ある特定の期間内の生存、生存の度合い、無事象もしくは無症状生存または無再発生存の存在または持続時間が評価される。一部の実施形態では、疾患または状態のいずれかの症状が評価される。一部の実施形態では、疾患または状態の負荷の尺度が指定される。一部の実施形態では、決定のための例示的なパラメーターとして、疾患もしくは状態、例えば腫瘍の緩解または改善を示す特定の臨床転帰が挙げられる。そのようなパラメーターとして、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)または安定疾患(SD)(例えば、Response Evaluation Criteria In Solid Tumors(RECIST)ガイドラインを参照)、客観的奏効率(ORR)、無進行生存(PFS)および全生存(OS)を含む疾患制御の持続時間が挙げられる。一部の実施形態では、パラメーターはCRまたはsCRである。一部の実施形態では、パラメーターはCRである。一部の実施形態では、パラメーターはsCRである。パラメーターに関する具体的な閾値は、本明細書に提供されるT細胞療法の方法の有効性を決定するよう設定され得る。
【0282】
一部の実施形態では、方法に従って処置された対象は、より耐久性のある応答を達成する。一部の事例では、応答の持続時間(DOR)の尺度は、腫瘍応答の文書化から疾患進行までの時間を含む。一部の実施形態では、応答を評価するためのパラメーターは、耐久性のある応答、例えば、療法の開始からの期間後に持続する応答を含むことができる。一部の実施形態では、耐久性のある応答は、療法の開始のおよそ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18または24カ月後の奏効率によって指し示される。一部の実施形態では、応答は、3カ月間を超えて、6カ月間を超えてまたは12カ月間を超えて耐久性がある。一部の特定の実施形態では、方法に従って処置された対象は、対象が遺伝子操作された細胞の投与に応答した寛解に続いて以前に再発した後に、より耐久性のある応答を達成する。
【0283】
一部の態様では、デバルキングの投与の前に、T細胞療法の投与の前に、および/またはデバルキングの後であるがT細胞療法の投与の前に、疾患負荷は、測定または検出される。T細胞療法の1種または複数の工程の多重投与の状況で、疾患負荷は、一部の実施形態では、投与の工程、用量および/もしくはサイクルのいずれかの投与の前に、もしくは投与に続いて、または投与の工程、用量および/もしくはサイクルのいずれかの投与間の時点で測定され得る。
【0284】
一部の実施形態では、負荷は、T細胞療法の投与の直前と比較して、提供される方法によって、10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100パーセント分、またはその概数分、あるいは少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100パーセント分、または少なくともその概数分減少される。一部の実施形態では、疾患負荷、腫瘍サイズ、腫瘍体積、腫瘍質量、および/または腫瘍量もしくはバルクは、T細胞療法の投与および/またはデバルキングの直前のものと比較して、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90%分以上、または少なくともその概数分、T細胞療法の投与およびデバルキングに続いて低減される。
【0285】
一部の実施形態では、当該方法による疾患負荷の低減は、例えば、T細胞療法の投与、例えばその開始後1カ月、2カ月、3カ月、または3カ月以上で評価した場合に形態学的完全寛解の誘導を含む。
【0286】
一部の態様では、最小残留疾患に関するアッセイは、例えばマルチパラメトリックフローサイトメトリーによって測定される場合に陰性であるか、または最小残留疾患のレベルは、約0.3%未満、約0.2%未満、約0.1%未満、または0.05%未満である。
【0287】
一部の実施形態では、対象の無イベント生存率または全生存率は、他の方法と比較した場合に、当該方法によって改善される。例えば、一部の実施形態では、本明細書に提供されるT細胞療法の当該方法に続いて6カ月で当該方法によって処置された対象に関する無イベント生存率または蓋然性は、約40%より高いか、約50%より高いか、約60%より高いか、約70%より高いか、約80%より高いか、約90%より高いか、または約95%より高い。一部の態様では、全生存率は、約40%より高いか、約50%より高いか、約60%より高いか、約70%より高いか、約80%より高いか、約90%より高いか、または約95%より高い。一部の実施形態では、当該方法で処置された対象は、少なくとも6カ月、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年に至る無イベント生存、無再発生存、または生存を示す。一部の実施形態では、進行までの時間、例えば6カ月もしくは、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年より長い、あるいはその概数より長い進行までの時間が改善される。
【0288】
一部の実施形態では、当該方法による処置に続いて、再発の蓋然性は、他の方法と比較した場合に低減される。例えば、一部の実施形態では、T細胞療法の当該方法の6カ月後の再発の蓋然性は、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満である。
【0289】
一部の実施形態では、対象が別の療法に対して抵抗性になっているにもかかわらず、投与は、対象を処置することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態に従って対象に投与された場合、用量または組成物は、投与された対象の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%において完全奏効(CR)または厳格なCR(sCR)を達成することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態に従って対象に投与された場合、用量または組成物は、投与された対象の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%において完全奏効(CR)を達成することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態に従って対象に投与された場合、用量または組成物は、投与された対象の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%において厳格な完全奏効(sCR)を達成することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている実施形態に従って対象に投与された場合、用量または組成物は、投与された対象の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%において客観的奏効(OR)を達成することができる。一部の実施形態では、ORは、厳格な完全奏効(sCR)、完全奏効(CR)、最良部分奏効(VGPR)、部分奏効(PR)および最小の応答(MR)を達成する対象を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されている実施形態に従って対象に投与された場合、用量または組成物は、投与された対象の少なくとも50%、60%、70%、80%または85%において厳格な完全奏効(sCR)、完全奏効(CR)、最良部分奏効(VGPR)または部分奏効(PR)を達成することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている実施形態に従って対象に投与された場合、用量または組成物は、投与された対象の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%または70%において厳格な完全奏効(sCR)または完全奏効(CR)を達成することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態に従って対象に投与された場合、用量または組成物は、投与された対象の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、または70%において厳格な完全奏効(sCR)を達成することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の実施形態に従って対象に投与された場合、用量または組成物は、投与された対象の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、または70%において完全奏効(CR)を達成することができる。一部の実施形態では、例示的な用量は、約1.0×107、1.5×107、2.0×107、2.5×107、5.0×107、1.5×108、3.0×108、4.5×108、6.0×108、または8×108個のCAR発現(CAR+)T細胞を含む。一部の態様では、例えば、本明細書に提供される方法に従った処置に対する特定の応答は、国際骨髄腫作業部会(IMWG)統一応答基準(Kumar et al. (2016) Lancet Oncol 17(8):e328-346を参照)に基づき評価することができる。
【0290】
IV.BCMA標的療法および操作された細胞
BCMA標的療法も本明細書に提供される。一部の実施形態では、BCMA標的療法は、多発性骨髄腫を有する対象に提供される。一部の実施形態では、BCMA標的療法は、抗体、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、またはT細胞エンゲージャーである。一部の実施形態では、BCMA標的療法は抗体である。一部の実施形態では、BCMA標的療法は、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である。一部の実施形態では、BCMA標的療法はT細胞エンゲージャー(TCE)である。一部の実施形態では、BCMA標的療法は、T細胞の活性を刺激することができるT細胞エンゲージャーである。一部の実施形態では、BCM標的療法は、二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)療法である。一部の実施形態では、BCMA標的化は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法、内因性T細胞療法、自然殺(NK)細胞療法、トランスジェニックTCR療法、および組換え受容体発現細胞療法の中から選択される細胞療法であり、キメラ抗原受容体(CAR)発現細胞療法であってもよい。一部の実施形態では、細胞療法は、組換え受容体発現細胞療法である。一部の実施形態では、細胞療法は、キメラ抗原受容体(CAR)発現細胞療法である。本明細書に提供される実施形態のいずれかでは、BCMA標的療法は、多発性骨髄腫を有する対象に投与される。
【0291】
本明細書に記載されている抗体または断片等の抗BCMA結合部分を含む細胞外ドメインを含有するもの等の組換え受容体(例えば、キメラ抗原受容体)を含有する操作された細胞等の細胞も本明細書に提供される。BCMA結合分子を発現する細胞が、組成物中の全細胞またはPBMC、T細胞もしくはCD3+、CD8+、もしくはCD4+細胞等のある特定の型の細胞の少なくとも50、60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、またはそれを超えるパーセント分を構成するそのような細胞の集団、そのような細胞を含有する組成物、および/またはそのような細胞を濃縮した組成物も提供される。
【0292】
組成物の中でも、養子細胞療法のため等、投与のための医薬組成物および製剤が特に挙げられる。対象、例えば、患者に細胞および組成物を投与するための療法の方法も提供される。
【0293】
よって、抗体を含有する組換え受容体を発現する遺伝子操作された細胞、例えば、CARを含有する細胞も提供される。細胞は概して、哺乳動物細胞等の真核細胞であり、通常、ヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、血液、骨髄、リンパ、またはリンパ器官に由来し、リンパ球、通常はT細胞および/またはNK細胞を含む、自然免疫もしくは適応免疫の細胞、例えば骨髄系またはリンパ系細胞等の免疫系の細胞である。他の例示的な細胞として、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多分化能性および多能性幹細胞等の幹細胞が挙げられる。細胞は通常、対象から直接単離され、および/または対象から単離されて凍結されたもの等の初代細胞である。一部の実施形態では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1種または複数のサブセット、例えば全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびそれらの亜集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化能、増大、再循環、局在化、および/または持続能、抗原特異性、抗原受容体の型、特定の臓器もしくはコンパートメントにおける存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、および/または分化度によって規定されるものを含む。処置されるべき対象に関して、細胞は、同種異系および/または自家であり得る。方法の中には、市販の方法が含まれる。一部の態様では、例えば市販の技術に関して、細胞は、多能性および/または多分化能性の、例えば幹細胞、例えば人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の実施形態では、方法は、細胞を対象から単離すること、それらを調製すること、加工処理すること、培養すること、および/または操作すること、ならびに凍結保存前もしくは後にそれらを同じ患者に再度導入することを含む。
【0294】
T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+T細胞のサブタイプおよび亜集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそれらのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または高分化型エフェクターメモリーT細胞、細胞浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然に存在する適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、およびデルタ/ガンマT細胞が存在する。
【0295】
一部の実施形態では、細胞は、ナチュナルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、細胞は、単球または顆粒細胞、例えば骨髄性細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0296】
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作により導入された1種または複数のポリヌクレオチドを含み、それによりそのようなポリヌクレオチドの組換えまたは遺伝子操作された産物を発現する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、異種、即ち、通常、細胞または細胞から得られた試料中に存在しないものであり、例えば、操作される細胞および/またはこのような細胞が由来する生物中に通常見られない、別の生物または細胞から得られたもの等である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、複数の異なる細胞型由来の様々なドメインをコードするポリヌクレオチドのキメラ組合せを含むものを含む、天然に存在しない、例えば自然界に見られないポリヌクレオチドである。一部の実施形態では、細胞(例えば、操作された細胞)は、本明細書に記載されているベクター(例えば、ウイルスベクター、発現ベクター等)、例えば、本明細書に記載の組換え受容体をコードする核酸を含むベクターを含む。
【0297】
一部の実施形態では、提供される方法に合わせて使用するためのT細胞療法は、多発性骨髄腫、例えば再発したおよび不応性の(R/R)多発性骨髄腫(MM)に関連する分子(例えば、BCMA)を認識し、および/またはこれに特異的に結合するように設計された組換え受容体を発現する操作されたT細胞を投与することを含む。一部の実施形態では、抗原への結合は、そのような分子への結合後に、そのような分子に対する免疫応答等の応答をもたらす。一部の実施形態では、細胞は、操作された受容体、例えば、操作された抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を含有するかまたはそれを含有するように操作される。CAR等の組換え受容体は一般に、一部の態様ではリンカーおよび/または膜貫通ドメイン(複数可)を介して1個または複数の細胞内シグナル伝達構成成分に連結された、BCMAを指向する細胞外抗原(またはリガンド)結合性ドメインを含む。一部の態様では、操作された細胞は、養子細胞療法等のための、対象への投与に適した医薬組成物および製剤として提供される。対象、例えば、患者に細胞および組成物を投与するための療法の方法も提供される。
【0298】
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作により導入された1種または複数の核酸を含み、これにより、そのような核酸の組換えまたは遺伝子操作された産物を発現する。一部の実施形態では、遺伝子移入は、まず、細胞を刺激することにより、例えば、これを、例えば、サイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定される、増殖、生存および/または活性化等の応答を誘導する刺激と組み合わせ、続いて、活性化された細胞を形質導入し、培養において、臨床適用に十分な数まで増大させることにより達成される。
【0299】
A.組換え受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)
細胞は概して、機能的な非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)等の他の抗原結合性受容体を含む抗原受容体等の組換え受容体を発現する。また、受容体の中には他のキメラ受容体も存在する。
【0300】
提供される方法および使用の一部の実施形態では、T細胞等の操作された細胞は、所望の抗原(例えば、腫瘍抗原)に対する特異性を提供するリガンド結合性ドメイン(例えば、抗体または抗体断片)を、細胞内シグナル伝達ドメインと組み合わせる1個または複数のドメインを含有する、キメラ抗原受容体(CAR)等のキメラ受容体を発現する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次活性化シグナルを提供する、T細胞活性化ドメイン等の活性化細胞内ドメイン部分である。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能を容易にするための共刺激シグナル伝達ドメインを含有するかまたはその上含有する。分子、例えば、抗原への特異的結合後に、受容体は一般に、ITAM伝達シグナル等の免疫刺激シグナルを細胞に送達し、これにより、疾患または状態に標的化された免疫応答を促進する。一部の実施形態では、キメラ受容体は、免疫細胞へと遺伝子操作された場合、T細胞活性をモジュレートすることができ、一部の事例では、T細胞分化または恒常性をモジュレートし、これにより、養子細胞療法の方法における使用等のための、インビボにおける改善された長寿命、生存および/または持続性を有する遺伝子操作された細胞をもたらすことができる。
【0301】
一部の実施形態では、CARは、養子療法によって標的化されるべき特定の細胞型において発現される抗原等の特定の抗原(またはマーカーもしくはリガンド)、例えば、がんマーカー、および/または正常もしくは非罹患細胞型において発現される抗原等、減衰性応答を誘導することが意図される抗原に対する特異性をもって構築される。よって、CARは典型的に、その細胞外部分に、1個または複数の抗原結合性分子、例えば、1個もしくは複数の抗原結合性断片、ドメインもしくは部分、または1個もしくは複数の抗体可変ドメインおよび/もしくは抗体分子を含む。
【0302】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用されており、抗原結合性断片(Fab)断片、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、抗原に特異的に結合することができる重鎖可変(VH)領域、単鎖可変断片(scFv)を含む単鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ、VHH)断片を含む、無傷抗体および機能的(抗原結合性)抗体断片を含むポリクローナルおよびモノクローナル抗体を含む。この用語は、遺伝子操作されたおよび/または他の仕方で改変された形態の免疫グロブリン、例えば、イントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全にヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多特異性、例えば、二特異性または三特異性(trispecific)抗体、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)およびテトラボディ(tetrabody)、タンデムジ-scFv、タンデムトリ-scFvを包含する。他に記述がなければ、「抗体」という用語は、本明細書で「抗原結合性断片」とも称される、その機能的抗体断片を包含するものと理解されたい。この用語は、IgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、ならびにIgDを含む、いずれかのクラスまたはサブクラスの抗体を含む、無傷または全長抗体も包含する。
【0303】
「高頻度可変領域」または「HVR」と同義の「相補性決定領域」および「CDR」という用語は、抗原特異性および/または結合親和性を付与する、抗体可変領域内のアミノ酸の連続していない配列を指すことが当技術分野で知られている。一般に、各重鎖可変領域における3個のCDR(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)および各軽鎖可変領域における3個のCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)が存在する。「フレームワーク領域」および「FR」は、重鎖および軽鎖の可変領域の非CDR部分を指すことが当技術分野で知られている。一般に、各全長重鎖可変領域における4個のFR(FR-H1、FR-H2、FR-H3およびFR-H4)および各全長軽鎖可変領域における4個のFR(FR-L1、FR-L2、FR-L3およびFR-L4)が存在する。
【0304】
所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al. (1991), "Sequences of Proteins of Immunological Interest," 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」ナンバリングスキーム);Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム);MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996), "Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography," J. Mol. Biol. 262, 732-745."(「接触」ナンバリングスキーム);Lefranc MP et al., "IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains," Dev Comp Immunol, 2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム);Honegger A and Plueckthun A, "Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool," J Mol Biol, 2001 Jun 8;309(3):657-70(「Aho」ナンバリングスキーム);およびMartin et al., "Modeling antibody hypervariable loops: a combined algorithm," PNAS, 1989, 86(23):9268-9272(「AbM」ナンバリングスキーム)によって記載されている境界を含む、多くのよく知られているスキームのいずれかを使用して容易に決定することができる。
【0305】
所与のCDRまたはFRの境界は、同定に使用されるスキームに応じて変動し得る。例えば、Kabatスキームは、構造アラインメントに基づき、一方、Chothiaスキームは、構造情報に基づく。KabatおよびChothiaスキームの両方のためのナンバリングは、最も一般的な抗体領域配列の長さに基づき、挿入は、挿入文字、例えば、「30a」によって調整され、欠失は、一部の抗体に出現する。この2種のスキームは、ある特定の挿入および欠失(「インデル」)を異なる位置に置き、差次的ナンバリングをもたらす。接触スキームは、複合体結晶構造の解析に基づき、多くの点で、Chothiaナンバリングスキームと同様である。AbMスキームは、Oxford MolecularのAbM抗体モデル化ソフトウェアによって使用されるものに基づく、KabatおよびChothia定義の間の妥協である。
【0306】
下の表2は、それぞれKabat、Chothia、AbMおよび接触スキームによって同定される、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3およびCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3の例示的な位置境界を収載する。CDR-H1について、残基ナンバリングは、KabatおよびChothiaナンバリングスキームの両方を使用して収載されている。FRは、CDR間に配置されており、例えば、FR-L1は、CDR-L1の前に配置され、FR-L2は、CDR-L1およびCDR-L2の間に配置され、FR-L3は、CDR-L2およびCDR-L3の間に配置される、等々。示されているKabatナンバリングスキームは、H35AおよびH35Bに挿入を置くため、Chothia CDR-H1ループの終わりは、示されているKabatナンバリング慣例を使用してナンバリングされた場合、ループの長さに応じてH32およびH34の間で変動することに留意されたい。
【0307】
【0308】
よって、他に指定がなければ、所与の抗体またはその領域、例えば、その可変領域の「CDR」または「相補性(complementary)決定領域」または個々の指定のCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、上述のスキームのいずれかまたは他の知られているスキームによって定義される通りに、ある(または特異的な)相補性(complementary)決定領域を包含することを理解されたい。例えば、特定のCDR(例えば、CDR-H3)が、所与のVHまたはVL領域アミノ酸配列における対応するCDRのアミノ酸配列を含有することが記述される場合、そのようなCDRが、上述のスキームのいずれかまたは他の知られているスキームによって定義される通りに、可変領域内の対応するCDR(例えば、CDR-H3)の配列を有することが理解される。一部の実施形態では、特異的なCDR配列は指定されている。提供される抗体の例示的なCDR配列は、様々なナンバリングスキームを使用して記載されるが、提供される抗体が、他の上述のナンバリングスキームのいずれかまたは当業者に知られている他のナンバリングスキームに従って記載されるCDRを含むことができることが理解される。
【0309】
同様に、他に指定がなければ、所与の抗体またはその領域、例えば、その可変領域のFRまたは個々の指定のFR(複数可)(例えば、FR-H1、FR-H2、FR-H3、FR-H4)は、知られているスキームのいずれかによって定義される通りに、ある(または特異的な)フレームワーク領域を包含することを理解されたい。一部の実例では、Kabat、Chothia、AbM、IMGTもしくは接触方法または他の知られているスキームによって定義されるCDR等、特定のCDR、FRまたは複数のFRまたは複数のCDRの同定のためのスキームが指定されている。他の事例では、CDRまたはFRの特定のアミノ酸配列が与えられる。
【0310】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗原に抗体を結合させることに関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。ネイティブ抗体の重鎖および軽鎖の可変領域(それぞれVHおよびVL)は一般に、4個の保存されたフレームワーク領域(FR)および3個のCDRを含む各ドメインを有する同様の構造を有する(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照)。単一のVHまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分となり得る。さらに、それぞれ相補的なVLまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングするために、抗原に結合する抗体由来のVHまたはVLドメインを使用して、特定の抗原に結合する抗体を単離することができる。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993);Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0311】
CARに含まれる抗原結合性ドメインの中でも、抗体断片が特に挙げられる。「抗体断片」または「抗原結合性断片」は、無傷抗体が結合する抗原に結合する無傷抗体の部分を含む、無傷抗体以外の分子を指す。抗体断片の例は、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線形抗体;重鎖可変(VH)領域、単鎖抗体分子、例えば、scFv、およびVH領域のみを含む単一ドメイン抗体;ならびに抗体断片から形成された多特異性抗体を含むがこれらに限定されない。特定の実施形態では、抗体は、scFv等、重鎖可変(VH)領域および/または軽鎖可変(VL)領域を含む単鎖抗体断片である。
【0312】
単一ドメイン抗体(sdAb)は、抗体の重鎖可変領域の全てもしくは部分または軽鎖可変領域の全てもしくは部分を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である。一部の実施形態では、CARは、BCMAに特異的に結合する抗体重鎖ドメインを含む。
【0313】
抗体断片は、無傷抗体のタンパク質分解による消化や、組換え宿主細胞による産生を含むがこれらに限定されない、様々な技法によって作製することができる。一部の実施形態では、抗体は、合成リンカー、例えば、ペプチドリンカーによって連接された2個以上の抗体領域もしくは鎖を有する断片および/または天然に存在する無傷抗体の酵素消化によって産生され得ない断片等、天然には存在しない配置を含む断片等、組換えにより産生された断片である。一部の態様では、抗体断片は、scFvである。
【0314】
一部の実施形態では、CARは、sdFv、ナノボディ、VHHおよびVNAR等、モノクローナル抗体(mAb)または単一ドメイン抗体(sdAb)の可変重(VH)および可変軽(VL)鎖に由来する単鎖抗体断片(scFv)等、抗体分子の抗原結合性部分(単数または複数)を含む。一部の実施形態では、抗原結合性断片は、可動性リンカーによって連接された抗体可変領域を含む。
【0315】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、単鎖可変断片(scFv)またはダイアボディまたは単一ドメイン抗体(sdAb)等の単鎖抗体断片である。一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、VH領域のみを含む単一ドメイン抗体である。一部の実施形態では、CARは、sdAbを含む。一部の実施形態では、CARは、2個のsdAbを含む。一部の実施形態では、2つのsdAbの各々はVHドメインである。一部の実施形態では、2つのsdAbの各々は、BCMAの異なるエピトープに結合する。一部の実施形態では、2つのsdAbの各々は、BCMAの同じエピトープに結合する。一部の実施形態では、抗体または抗原結合性ドメインは、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含むscFvである。
【0316】
「ヒト化」抗体は、全てのまたは実質的に全てのCDRアミノ酸残基が非ヒトCDRに由来し、全てのまたは実質的に全てのFRアミノ酸残基がヒトFRに由来する、抗体である。ヒト化抗体は、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでいてもよい。非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、典型的に、親非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しつつ、ヒトに対する免疫原性を低減させるために、ヒト化を経た非ヒト抗体の変異体を指す。一部の実施形態では、ヒト化抗体におけるいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が派生される抗体)由来の対応する残基に置換されている。
【0317】
提供されるCARに含まれる抗BCMA抗体の中でも、マウス抗体が特に挙げられる。「マウス抗体」は、マウスもしくはマウス細胞、またはマウス抗体ライブラリーを含むマウス抗体レパートリーもしくは他のマウス抗体コード配列を利用する非マウス供給源によって産生される抗体の配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。
【0318】
提供されるCARに含まれる抗BCMA抗体の中でも、ヒト抗体が特に挙げられる。「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞、またはヒト抗体ライブラリーを含むヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト供給源によって産生される抗体の配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。この用語は、全てのまたは実質的に全てのCDRが非ヒトであるもの等、非ヒト抗原結合性領域を含む非ヒト抗体のヒト化形態を除外する。この用語は、ヒト抗体の抗原結合性断片を含む。
【0319】
ヒト抗体は、抗原の曝露に応答してヒト可変領域を有する無傷ヒト抗体または無傷抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することにより調製することができる。そのような動物は典型的に、内因性免疫グロブリン遺伝子座に置き換わるかまたは染色体外に存在するかまたは動物の染色体にランダムに組み込まれる、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは部分を含有する。そのようなトランスジェニック動物において、内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般に、不活性化されている。ヒト抗体は、ヒトレパートリーに由来する抗体コード配列を含有する、ファージディスプレイおよび無細胞ライブラリーを含むヒト抗体ライブラリーに由来することもできる。
【0320】
提供されるCARに含まれる抗体の中でも、モノクローナル抗体断片を含むモノクローナル抗体である抗体が特に挙げられる。「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集団から得られるまたはその内にある抗体を指し、即ち、集団を構成する個々の抗体は、天然に存在する突然変異を含有するかまたはモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる、可能な変異体を除いて同一であり、そのような変異体は一般に、微量で存在する。異なるエピトープを指向する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原における単一のエピトープを指向する。この用語は、いずれか特定の方法による抗体の産生を要求するものとして解釈されるべきではない。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマからの生成、組換えDNA方法、ファージディスプレイおよび他の抗体ディスプレイ方法を含むがこれらに限定されない、種々の技法によって作製することができる。
【0321】
よって、一部の実施形態では、TCR様CARを含むキメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含む細胞外部分を含む。一部の実施形態では、抗体または断片は、scFvを含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、単鎖抗体断片、例えば、単鎖可変断片(scFv)またはダイアボディまたは単一ドメイン抗体(sdAb)である。一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、VH領域のみを含む単一ドメイン抗体である。一部の実施形態では、抗体または抗原結合性ドメインは、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含むscFvである。
【0322】
一部の実施形態では、抗体は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域等の2つの抗体ドメインまたは領域を連接する1種または複数のリンカーを含む、scFv等の抗原結合性断片である。リンカーは典型的に、ペプチドリンカー、例えば、可動性および/または可溶性ペプチドリンカーである。リンカーの中でも、グリシンおよびセリンならびに/または一部の事例では、スレオニンがリッチなリンカーが特に挙げられる。一部の実施形態では、リンカーは、溶解性を改善することができるリシンおよび/またはグルタミン酸等の荷電残基をさらに含む。一部の実施形態では、リンカーは、1個または複数のプロリンをさらに含む。一部の態様では、グリシンおよびセリン(および/またはスレオニン)がリッチなリンカーは、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%のそのようなアミノ酸(複数可)を含む。一部の実施形態では、これは、少なくともまたは約50%、55%、60%、70%もしくは75%のグリシン、セリンおよび/またはスレオニンを含む。一部の実施形態では、リンカーは、グリシン、セリンおよび/またはスレオニンで実質的に全体的に構成される。リンカーは一般に、約5~約50の間のアミノ酸の長さ、典型的に、10または約10から30または約30までの間、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30、および一部の例では、10~25の間のアミノ酸の長さである。例示的なリンカーは、配列GGGGS(4GS;配列番号26)またはGGGS(3GS;配列番号27)の様々な数のリピート、例えば、そのような配列の2、3、4~5個の間のリピートを有するリンカーを含む。例示的なリンカーは、配列番号28(GGGGSGGGGSGGGGS)、配列番号29(GSTSGSGKPGSGEGSTKG)、配列番号30(SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA)、または配列番号38(ASGGGGSGGRASGGGGS)に記載される配列を有するかまたはそれからなるリンカーを含む。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号29に記載される配列であるかまたはそれを含む。
【0323】
一部の実施形態では、CARは、抗体の重鎖可変(VH)領域および/または軽鎖可変(VL)領域、例えば、scFv抗体断片等、抗体分子のBCMA結合部分(単数または複数)を含む。CAR等のキメラ受容体は一般に、抗体分子の部分、一般に、抗体の可変重(VH)鎖領域および/または可変軽(VL)鎖領域、例えば、scFv抗体断片等の細胞外抗原結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、提供されるBCMA結合CARは、提供されるCARのBCMA結合特性を付与する、抗BCMA抗体またはその抗原結合性断片等の抗体を含有する。一部の実施形態では、抗体または抗原結合性ドメインは、記載されているいずれかの抗BCMA抗体であり得るか、または記載されているいずれかの抗BCMA抗体に由来し得る。例えば、Carpenter et al., Clin. Cancer Res., 2013, 19(8):2048-2060;Feng et al., Scand. J. Immunol. (2020) 92:e12910;米国特許第9,034,324号、米国特許第9,765,342号;米国特許公開番号US2016/0046724、US20170183418;および国際公開PCT出願番号WO2016090320、WO2016090327、WO2016094304、WO2016014565、WO106014789、WO2010104949、WO2017/025038またはWO2017173256、WO2018085690またはWO2021091978を参照されたい。そのような抗BCMA抗体または抗原結合性断片のいずれかを、提供されるCARにおいて使用することができる。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、1種または複数の単一ドメイン抗BCMA抗体を含有する。一部の実施形態では、1種または複数の単一ドメイン抗BCMA抗体は、WO2017025038またはWO2018028647に記載の抗体に由来する。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、2種の単一ドメイン抗BCMA抗体を含有する。一部の実施形態では、2種の単一ドメイン抗BCMA抗体は、WO2017025038またはWO2018028647に記載の1種または複数の抗体(シグナルペプチドを含むかまたは含まない)に由来する。一部の実施形態では、BCMA結合ドメインは、WO2017025038またはWO2018028647に記載の、および例えば、WO2017025038またはWO2018028647の配列番号300、301および302に提供されるA37353-G4S-A37917(G4Sは、2つの結合ドメイン間のリンカーである)を含むかまたはそれからなる。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、可変重(VH)領域および/または可変軽(VL)領域を含有するscFvである抗原結合性ドメインを含有する。一部の実施形態では、可変重(VH)領域および/または可変軽(VL)領域を含有するscFvは、WO2016090320またはWO2016090327に記載の抗体に由来する。一部の実施形態では、可変重(VH)領域および/または可変軽(VL)領域を含有するscFvは、WO2019/090003に記載の抗体に由来する。一部の実施形態では、可変重(VH)領域および/または可変軽(VL)領域を含有するscFvは、WO2016094304またはWO2021091978に記載の抗体に由来する。一部の実施形態では、可変重(VH)領域および/または可変軽(VL)領域を含有するscFvは、WO2018133877に記載の抗体に由来する。一部の実施形態では、可変重(VH)領域および/または可変軽(VL)領域を含有するscFvは、WO2019149269に記載の抗体に由来する。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、WO2019173636またはWO2020051374Aに記載されているいずれかである。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、WO2018102752に記載されているいずれかである。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、WO2020112796またはWO2021173630に記載されているいずれかである。
【0324】
一部の実施形態では、抗体、例えば、抗BCMA抗体または抗原結合性断片は、記載されている通りの重および/もしくは軽鎖可変(VHまたはVL)領域配列、またはその十分な抗原結合性部分を含有する。一部の実施形態では、抗BCMA抗体、例えば、抗原結合性断片は、記載されている通りのCDR-H1、CDR-H2および/またはCDR-H3を含有する、VH領域配列またはその十分な抗原結合性部分を含有する。一部の実施形態では、抗BCMA抗体、例えば、抗原結合性断片は、記載されている通りのCDR-L1、CDR-L2および/またはCDR-L3を含有する、VL領域配列または十分な抗原結合性部分を含有する。一部の実施形態では、抗BCMA抗体、例えば、抗原結合性断片は、記載されている通りのCDR-H1、CDR-H2および/またはCDR-H3を含有するVH領域配列を含有し、記載されている通りのCDR-L1、CDR-L2および/またはCDR-L3を含有するVL領域配列を含有する。抗体の中でも、そのような配列と少なくともまたは約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一な配列を有する抗体も特に挙げられる。
【0325】
一部の実施形態では、抗体は、上に記載されているVH配列(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3および/またはCDR-H4)のいずれか等のVH領域配列またはその十分な抗原結合性部分のみを含む単一ドメイン抗体(sdAb)である。
【0326】
一部の実施形態では、VH領域を含む本明細書に提供される抗体(例えば、抗BCMA抗体)またはその抗原結合性断片は、軽鎖またはその十分な抗原結合性部分をさらに含む。例えば、一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、VH領域およびVL領域、またはVHおよびVL領域の十分な抗原結合性部分を含有する。そのような実施形態では、VH領域配列は、上に記載されているVH配列のいずれかであり得る。一部のそのような実施形態では、抗体は、FabまたはscFv等の抗原結合性断片である。一部のそのような実施形態では、抗体は、定常領域も含有する全長抗体である。
【0327】
一部の実施形態では、CARは、BCMA、例えば、ヒトBCMAに特異的な抗BCMA CARである。マウス抗ヒトBCMA抗体およびヒト抗ヒトBCMA抗体を含む抗BCMA抗体を含有するキメラ抗原受容体、ならびにそのようなキメラ受容体を発現する細胞は、以前に記載されている。Carpenter et al., Clin Cancer Res., 2013, 19(8):2048-2060、US9,765,342、WO2016/090320、WO2016090327、WO2010104949A2、WO2016/0046724、WO2016/014789、WO2016/094304、WO2017/025038およびWO2017173256を参照されたい。
【0328】
一部の実施形態では、抗BCMA CARは、WO2016094304またはWO2021091978に記載の抗体に由来する可変重(VH)領域および/または可変軽(VL)領域を含有するscFv等の抗原結合性ドメインを含有する。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含有する抗体断片である。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、WO2016/090320またはWO2016090327に記載の抗体に由来する可変重(VH)領域および/または可変軽(VL)領域を含有するscFv等の抗原結合性ドメインを含有する。
【0329】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含有する抗体断片である。一部の態様では、VH領域は、配列番号18、20、22、24、32、34、36、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、145、147、149および151のいずれかに記載されるVH領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%配列同一性を有するアミノ酸配列であるもしくはこれを含む;ならびに/またはVL領域は、配列番号19、21、23、25、33、35、37、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、146、148、150および152のいずれかに記載されるVL領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%配列同一性を有するアミノ酸配列であるもしくはこれを含む。
【0330】
一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号18に記載されるVHおよび配列番号19に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号20に記載されるVHおよび配列番号21に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号22に記載されるVHおよび配列番号23に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号24に記載されるVHおよび配列番号25に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号32に記載されるVHおよび配列番号33に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号34に記載されるVHおよび配列番号35に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号36に記載されるVHおよび配列番号37に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号41に記載されるVHおよび配列番号42に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号43に記載されるVHおよび配列番号44に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号45に記載されるVHおよび配列番号46に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号47に記載されるVHおよび配列番号48に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号49に記載されるVHおよび配列番号50に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号51に記載されるVHおよび配列番号52に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号53に記載されるVHおよび配列番号54に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号55に記載されるVHおよび配列番号56に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号57に記載されるVHおよび配列番号58に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号59に記載されるVHおよび配列番号60に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号61に記載されるVHおよび配列番号62に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号63に記載されるVHおよび配列番号64に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号65に記載されるVHおよび配列番号66に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号67に記載されるVHおよび配列番号68に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号69に記載されるVHおよび配列番号70に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号71に記載されるVHおよび配列番号72に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号73に記載されるVHおよび配列番号74に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号75に記載されるVHおよび配列番号76に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号145に記載されるVHおよび配列番号146に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号147に記載されるVHおよび配列番号148に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号149に記載されるVHおよび配列番号150に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、scFv等、抗原結合性ドメインは、配列番号151に記載されるVHおよび配列番号152に記載されるVLを含有する。一部の実施形態では、VHまたはVLは、前述のVHまたはVL配列のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を有し、BCMAへの結合を保持する。一部の実施形態では、VH領域は、VL領域に対してアミノ末端である。一部の実施形態では、VH領域は、VL領域に対してカルボキシ末端である。一部の実施形態では、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって接続される。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号28、29、30、または38に記載される。
【0331】
提供される抗BCMA CARの中でも、抗体または抗原結合性断片が、配列番号18に記載される配列、または配列番号18に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含有し、および配列番号19に記載される配列、または配列番号19に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含有するCARが特に挙げられる。一部の実施形態では、提供されるCARの抗体または抗原結合性断片は、それぞれ配列番号189、190、および191のアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有するVH領域、ならびにそれぞれ配列番号192、193、および194のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有するVL領域を含有する一部の実施形態では、提供されるCARの抗体または抗原結合性断片は、それぞれ配列番号195、196、および197のアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有するVH領域、ならびにそれぞれ配列番号198、199、および200のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有するVL領域を含有する一部の実施形態では、提供されるCARの抗体または抗原結合性断片は、それぞれ配列番号201、202、および203のアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有するVH領域、ならびにそれぞれ配列番号204、205、および206のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有するVL領域を含有する一部の実施形態では、提供されるCARの抗体または抗原結合性断片は、それぞれ配列番号207、208、および209のアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有するVH領域、ならびにそれぞれ配列番号210、211、および212のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有するVL領域を含有する一部の実施形態では、VH領域は、配列番号18に記載される配列を含み、VL領域は、配列番号19に記載される配列を含む。一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、scFv等の単鎖抗体断片である。一部の実施形態では、scFvは、配列番号213に記載されるアミノ酸の配列または配列番号213に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のアミノ酸の配列を含む。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、配列番号116に記載されるアミノ酸の配列または配列番号116に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のアミノ酸の配列を含む。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、配列番号214に記載されるポリヌクレオチド配列または配列番号214に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のポリヌクレオチド配列によってコードされる。
【0332】
提供される抗BCMA CARの中でも、抗体または抗原結合性断片が、配列番号24に記載される配列、または配列番号24に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含有し、および配列番号25に記載される配列、または配列番号25に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含有するCARが特に挙げられる。一部の実施形態では、提供されるCARの抗体または抗原結合性断片は、それぞれ配列番号173、174、および175のアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有するVH領域、ならびにそれぞれ配列番号183、184、および185のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有するVL領域を含有する。一部の実施形態では、提供されるCARの抗体または抗原結合性断片は、それぞれ配列番号176、177、および175のアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有するVH領域、ならびにそれぞれ配列番号183、184、および185のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有するVL領域を含有する。一部の実施形態では、提供されるCARの抗体または抗原結合性断片は、それぞれ配列番号178、179、および175のアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有するVH領域、ならびにそれぞれ配列番号183、184、および185のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有するVL領域を含有する。一部の実施形態では、提供されるCARの抗体または抗原結合性断片は、それぞれ配列番号180、181、および182のアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有するVH領域、ならびにそれぞれ配列番号186、187、および185のアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有するVL領域を含有する。一部の実施形態では、VH領域は、配列番号24に記載される配列を含み、VL領域は、配列番号25に記載される配列を含む。一部の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、scFv等の単鎖抗体断片である。一部の実施形態では、scFvは、配列番号188に記載されるアミノ酸の配列または配列番号188に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のアミノ酸の配列を含む。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、配列番号124に記載されるアミノ酸の配列または配列番号124に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のアミノ酸の配列を含む。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、配列番号125に記載されるアミノ酸の配列または配列番号125に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のアミノ酸の配列を含む。
【0333】
一部の実施形態では、scFvは、配列番号216~247のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列または配列番号216~247のいずれか1つに記載される配列に対して少なくとも90、95、96、97、98、99または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0334】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、sdAbを含む。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、配列番号77に記載される配列を含有する。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、配列番号77に記載される配列に対して少なくともまたは約50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99または100%同一な配列を含む。
【0335】
一部の実施形態では、CARは、配列番号90~141のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列、または配列番号190~141のいずれか1つに記載される配列に対して少なくとも、95、96、97、98、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0336】
一部の実施形態では、提供されるCARにおけるそのような抗体または抗原結合性ドメインの中でも、多数の公知の方法のいずれかによって測定されるように、ヒトBCMAタンパク質等のBCMAタンパク質と少なくともある特定の親和性で結合することができる抗体が特に挙げられる。一部の実施形態では、親和性は平衡解離定数(KD)で表され;一部の実施形態では、親和性はEC50で表される。
【0337】
結合親和性を評価する、および/または結合分子(例えば、抗体またはその断片)が特定のリガンド(例えば、BCMAタンパク質等の抗原)に特異的に結合するかどうかを決定するための様々なアッセイが知られている。抗原、例えばBCMAに対する結合分子、例えば抗体の結合親和性を決定することは、当業者のレベルの範囲内である。例えば、一部の実施形態では、BIAcore(登録商標)機器を使用して、表面プラズモン共鳴(SPR)解析(例えば、Scatchard et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660, 1949;Wilson, Science 295:2103, 2002;Wolff et al., Cancer Res. 53:2560, 1993;および米国特許第5,283,173号、同第5,468,614号、またはこれらに相当するものを参照のこと)を使用して、2つのタンパク質(例えば、抗体またはその断片、および抗原、例えば、BCMA細胞表面タンパク質、可溶性BCMAタンパク質)間の複合体の結合動態および定数を決定することができる。
【0338】
SPRは、分子がセンサー表面に結合するか、または表面から解離する際の、センサー表面における分子濃度の変化を測定する。SPRシグナルの変化は、表面近傍の質量濃度変化に正比例するため、2分子間の結合動態の測定を可能にする。複合体の解離定数は、緩衝液がチップ上を通過する際の時間に対する屈折率の変化をモニターすることによって決定することができる。あるタンパク質と別のタンパク質との結合を測定するための他の適切なアッセイには、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射免疫アッセイ(RIA)等の免疫アッセイ、または蛍光、UV吸収、円二色性、または核磁気共鳴(NMR)を通してタンパク質の分光学的または光学的特性の変化をモニターすることによる結合の決定が含まれる。他の例示的なアッセイには、ウェスタンブロット、ELISA、解析的超遠心分離、分光法、フローサイトメトリー、配列決定、および発現ポリヌクレオチドの検出またはタンパク質の結合のための他の方法が含まれるが、これらに限定されない。
【0339】
一部の実施形態では、結合分子、例えば、CARの抗体もしくはその断片または抗原結合性ドメインは、105M-1以上である親和性またはKA(即ち、1/Mの単位を有する特定の結合相互作用の平衡解離定数;二分子相互作用を仮定した場合、この会合反応の結合速度[konまたはka]対解離速度[koffまたはkd]の比に等しい)で、抗原、例えば、細胞表面BCMAタンパク質もしくは可溶性BCMAタンパク質またはその中のエピトープと結合、例えば特異的に結合する。一部の実施形態では、CARの抗体もしくはその断片または抗原結合性ドメインは、10-5M以下のKD(即ち、Mの単位を有する特定の結合相互作用の平衡解離定数;二分子相互作用を仮定した場合、この会合反応の解離速度[koffまたはkd]対結合速度[konまたはka]の比に等しい)でのペプチドエピトープに対する結合親和性を示す。例えば、平衡解離定数KDは、10-5M~10-13M、例えば10-7M~10-11M、10-8Mから10-10M、または10-9Mから10-10Mの範囲である。結合速度(会合速度定数;kon、またはka;単位は1/Ms)および解離速度(解離速度定数;koff、またはkd;単位は1/s)は、当該技術分野で公知のアッセイ法のいずれか、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して決定することができる。
【0340】
一部の実施形態では、ヒトBCMAタンパク質等のBCMAタンパク質に対するCARの抗体(例えば抗原結合性断片)または抗原結合性ドメインの結合親和性(EC50)および/または解離定数は、0.01nMもしくはその概数~約500nM、0.01nMもしくはその概数~約400nM、0.01nMもしくはその概数~約100nM、0.01nMもしくはその概数~約50nM、0.01nMもしくはその概数~約10nM、0.01nMもしくはその概数~約1nM、0.01nMもしくはその概数~約0.1nMであり、0.1nMもしくはその概数~約500nM、0.1nMもしくはその概数~約400nM、0.1nMもしくはその概数~約100nM、0.1nMもしくはその概数~約50nM、0.1nMもしくはその概数~約10nM、0.1nMもしくはその概数~約1nM、0.5nMもしくはその概数~約200nM、1nMもしくはその概数~約500nM、1nMもしくはその概数~約100nM、1nMもしくはその概数~約50nM、1nMもしくはその概数~約10nM、2nMもしくはその概数~約50nM、10nMもしくはその概数~約500nM、10nMもしくはその概数~約100nM、10nMもしくはその概数~約50nM、50nMもしくはその概数~約500nM、50nMもしくはその概数~約100nMまたは100nMもしくはその概数~約500nMである。ある特定の実施形態では、ヒトBCMAタンパク質等のBCMAタンパク質に対する抗体の結合親和性(EC50)および/または平衡解離定数KDは、400nMもしくはそれ未満もしくはその概数、300nMもしくはそれ未満もしくはその概数、200nMもしくはそれ未満もしくはその概数、100nMもしくはそれ未満もしくはその概数、50nMもしくはそれ未満もしくはその概数、40nMもしくはそれ未満もしくはその概数、30nMもしくはそれ未満もしくはその概数、25nMもしくはそれ未満もしくはその概数、20nMもしくはそれ未満もしくはその概数、19nMもしくはそれ未満もしくはその概数、18nMもしくはそれ未満もしくはその概数、17nMもしくはそれ未満もしくはその概数、16nMもしくはそれ未満もしくはその概数、15nMもしくはそれ未満もしくはその概数、14nMもしくはそれ未満もしくはその概数、13nMもしくはそれ未満もしくはその概数、12nMもしくはそれ未満もしくはその概数、11nMもしくはそれ未満もしくはその概数、10nMもしくはそれ未満もしくはその概数、9nMもしくはそれ未満もしくはその概数、8nMもしくはそれ未満もしくはその概数、7nMもしくはそれ未満もしくはその概数、6nMもしくはそれ未満もしくはその概数、5nMもしくはそれ未満もしくはその概数、4nMもしくはそれ未満もしくはその概数、3nMもしくはそれ未満もしくはその概数、2nMもしくはそれ未満もしくはその概数、または1nM以下である。一部の実施形態では、抗体は、ナノモル以下の結合親和性、例えば約1nM未満、例えば約0.9nM未満、約0.8nM未満、約0.7nM未満、約0.6nM未満、約0.5nM未満、約0.4nM未満、約0.3nM未満、約0.2nM未満または約0.1nM以下の結合親和性で、ヒトBCMAタンパク質等のBCMAタンパク質に結合する。
【0341】
一部の実施形態では、結合親和性は、高親和性または低親和性に分類され得る。一部の事例では、低~中程度の親和性結合を示すCARの結合分子(例えば、抗体またはその断片)または抗原結合性ドメインは、最大107M-1、最大106M-1、最大105M-1のKAを示す。一部の事例では、特定のエピトープに対して高親和性結合を示す結合分子(例えば、抗体またはその断片)は、そのようなエピトープと少なくとも107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも109M-1、少なくとも1010M-1、少なくとも1011M-1、少なくとも1012M-1、または少なくとも1013M-1のKAで相互作用する。一部の実施形態では、結合分子、例えばCARの抗BCMA抗体もしくはその断片もしくは抗原結合性ドメインのBCMAタンパク質に対する結合親和性(EC50)および/または平衡解離定数KDは、0.01nMもしくはその概数~約1μM、0.1nM~1μM、1nM~1μM、1nM~500nM、1nM~100nM、1nM~50nM、1nM~10nM、10nM~500nM、10nM~100nM、10nM~50nM、50nM~500nM、50nM~100nMまたは100nM~500nMである。ある特定の実施形態では、結合分子、例えばCARの抗BCMA抗体またはその断片または抗原結合性ドメインのBCMAタンパク質に対する結合親和性(EC50)および/または平衡解離定数の解離定数KDは、1μMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、500nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、100nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、50nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、40nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、30nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、25nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、20nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、19nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、18nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、17nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、16nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、15nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、14nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、13nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、12nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、11nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、10nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、9nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、8nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、7nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、6nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、5nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、4nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、3nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、2nMもしくはその概数もしくはそれ未満もしくはその概数未満、または1nM以下である。特定の抗体の親和性の程度は、参照抗体(例えば、抗BCMA参照抗体)等の公知の抗体の親和性と比較することができる。
【0342】
一部の実施形態では、特定の形態またはトポロジー型に対する優先的結合または相対的親和性を決定するために、異なる形態またはトポロジー型の抗原、例えば、膜結合BCMAに対する結合親和性と比較した可溶性または脱落性BCMAタンパク質に対するCARの抗BCMA抗体または抗原結合性ドメインの結合親和性。例えば、一部の態様では、CARの抗BCMA抗体または抗原結合性ドメインは、可溶性または脱落性BCMAと比較して、膜結合BCMAに対する優先的結合を示すことができ、および/または可溶性または脱落性BCMAと比較して、膜結合BCMAに対するより大きな結合親和性を示すことができる。一部の実施形態では、異なる形態またはトポロジー型のBCMAタンパク質に対する平衡解離定数KDは、優先的結合または相対的結合の親和性を決定するために比較され得る。一部の実施形態では、可溶性または脱落性のBCMAと比較して、膜結合BCMAへの優先的結合または相対的親和性は、高くなり得る。例えば、一部の事例では、可溶性または脱落性のBCMAに対するKDと膜結合BCMAに対するKDの比は、10を超えるか、15を超えるか、20を超えるか、25を超えるか、30を超えるか、40を超えるか、50を超えるか、60を超えるか、70を超えるか、80を超えるか、90を超えるか、100を超えるか、200を超えるか、500を超えるか、1000を超えるか、2000以上であり、抗体または抗原結合性ドメインは、膜結合BCMAに対して優先的に結合するか、またはより高い結合親和性を有する。一部の事例では、膜結合BCMAに対するKAと可溶性または脱落性のBCMAに対するKAの比は、10を超えるか、15を超えるか、20を超えるか、25を超えるか、30を超えるか、40を超えるか、50を超えるか、60を超えるか、70を超えるか、80を超えるか、90を超えるか、100を超えるか、200を超えるか、500を超えるか、1000を超えるか、2000以上であり、抗体または抗原結合性ドメインは、膜結合BCMAに対して優先的に結合するか、またはより高い結合親和性を有する。一部の事例では、CARの抗体または抗原結合性ドメインは、可溶性または脱落性のBCMAと膜結合BCMAとに同程度に結合し、例えば、可溶性BCMAに対するKDと膜結合BCMAに対するKDとの比は1であるか、または約1である。一部の事例では、CARの抗体または抗原結合性ドメインは、可溶性または脱落性のBCMAと膜結合BCMAとに同程度に結合し、例えば、可溶性BCMAに対するKAと膜結合BCMAに対するKAとの比は1であるか、または約1である。膜結合BCMAまたは可溶性もしくは脱落性のBCMAに対する優先的結合または相対的親和性の程度は、参照抗体(例えば、参照抗BCMA CAR)等の既知の抗体のものと比較することができる。一部の実施形態では、参照抗体(例えば、参照抗BCMA CAR)は、膜結合型および可溶性または脱落性のBCMAタンパク質に結合する。
【0343】
一部の態様では、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるか、またはそれを含む。
【0344】
一部の実施形態では、組換え受容体、例えば、CARの抗体部分は、ヒンジ領域、例えば、IgG4ヒンジ領域、IgG1ヒンジ領域、CH1/CLおよび/またはFc領域等、免疫グロブリン定常領域またはその変異体もしくは修飾バージョンの少なくとも部分であり得るかまたはそれを含むことができる、スペーサーをさらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む。一部の実施形態では、定常領域または部分は、ヒトIgG、例えば、IgG4またはIgG1の定常領域または部分である。一部の態様では、定常領域の部分は、抗原認識構成成分、例えば、scFvおよび膜貫通ドメインの間のスペーサー領域として機能する。
【0345】
一部の態様では、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるか、またはそれを含む。
【0346】
一部の実施形態では、組換え受容体、例えば、CARの抗体部分は、ヒンジ領域、例えば、IgG4ヒンジ領域、IgG1ヒンジ領域、CH1/CLおよび/またはFc領域等、免疫グロブリン定常領域またはその変異体もしくは修飾バージョンの少なくとも部分であり得るかまたはそれを含むことができる、スペーサーをさらに含む。一部の実施形態では、組換え受容体は、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む。一部の実施形態では、定常領域または部分は、ヒトIgG、例えば、IgG4またはIgG1の定常領域または部分である。一部の態様では、定常領域の部分は、抗原認識構成成分、例えば、scFvおよび膜貫通ドメインの間のスペーサー領域として機能する。
【0347】
スペーサーは、スペーサーの非存在下と比較して、抗原結合後の細胞の応答性増加をもたらす長さのものであり得る。例示的なスペーサー、例えば、ヒンジ領域は、国際特許出願公開番号WO2014031687に記載されているものを含む。一部の例では、スペーサーは、12アミノ酸の長さであるまたは約12アミノ酸の長さであるまたは12以下のアミノ酸の長さである。例示的なスペーサーは、少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸または約10~15アミノ酸を有し、収載されている範囲のいずれかの終点の間のいずれかの整数を含むスペーサーを含む。一部の実施形態では、スペーサー領域は、約12アミノ酸以下、約119アミノ酸以下または約229アミノ酸以下を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、少なくとも110、125、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240または250アミノ酸の長さ等、少なくとも100アミノ酸である長さを有する等、少なくとも特定の長さを有するスペーサーである。例示的なスペーサーは、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジを含む。例示的なスペーサーは、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジを含む。例示的なスペーサーは、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジを含む。例示的なスペーサーは、Hudecek et al., Clin. Cancer Res., 19:3153 (2013)、Hudecek et al. (2015) Cancer Immunol Res. 3(2): 125-135、国際特許出願公開番号WO2014031687、米国特許第8,822,647号または公開出願番号US2014/0271635に記載されているものを含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、スペーサーは、免疫グロブリンヒンジ領域、CH2およびCH3領域の配列を含む。一部の実施形態では、ヒンジ、CH2およびCH3のうち1種または複数(one of more)は、全てまたは部分的に、IgG4またはIgG2に由来する。一部の事例では、ヒンジ、CH2およびCH3は、IgG4に由来する。一部の態様では、ヒンジ、CH2およびCH3のうち1種または複数は、キメラであり、IgG4およびIgG2に由来する配列を含有する。一部の例では、スペーサーは、IgG4/2キメラヒンジ、IgG2/4 CH2およびIgG4 CH3領域を含有する。
【0348】
一部の実施形態では、スペーサーは、IgG4および/またはIgG2に全てまたは部分的に由来し得、1個または複数のドメインに1個または複数の単一アミノ酸突然変異等の突然変異を含有することができる。一部の例では、アミノ酸改変は、IgG4のヒンジ領域におけるセリン(S)に代わるプロリン(P)への置換である。一部の実施形態では、アミノ酸修飾は、全長IgG4 Fc配列のCH2領域における177位におけるN177Q突然変異または全長IgG4 Fc配列のCH2領域における176位におけるN176Q等、グリコシル化不均一性を低減させるための、アスパラギン(N)に代えたグルタミン(Q)の置換である。
【0349】
一部の実施形態では、スペーサーは、配列ESKYGPPCPPCP(配列番号1に記載される)を有し、配列番号2に記載される配列によってコードされる。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号3に記載される配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号4に記載される配列を有する。一部の実施形態では、コードされたスペーサーは、配列番号31に記載される配列であるかまたはそれを含有する。一部の実施形態では、定常領域または部分は、IgDの定常領域または部分である。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号5に記載される配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号89に記載される配列を有する。
【0350】
他の例示的なスペーサー領域は、CD8a、CD28、CTLA4、PD-1またはFcγRIIIaに由来するヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、スペーサーは、CD8a、CD28、CTLA4、PD-1またはFcγRIIIaの切断された細胞外ドメインまたはヒンジ領域を含有する。一部の実施形態では、スペーサーは、切断型CD28ヒンジ領域である。一部の実施形態では、短いオリゴまたはポリペプチドリンカー、例えば、2~10アミノ酸の間の長さのリンカー、例えば、アラニンまたはアラニンおよびアルギニン、例えば、アラニントリプレット(AAA)またはRAAA(配列番号144)を含有するリンカーが存在し、CARのscFvおよびスペーサー領域の間に連結を形成する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号78に記載される配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号80に記載される配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号81~83のいずれかに記載される配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号84に記載される配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号86に記載される配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号88に記載される配列を有する。
【0351】
一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号1、3、4、5、31、78、80、81、82、83、84、86、88、または89のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する。
【0352】
一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号157~165に記載される配列を有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号157~165のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する。
【0353】
この抗原認識ドメインは一般に、CARの場合は、TCR複合体等の抗原受容体複合体を介した刺激および/もしくは活性化、ならびに/または別の細胞表面受容体経由のシグナルを模倣するシグナル伝達構成成分等の1個または複数の細胞内シグナル伝達構成成分に連結される。よって、一部の実施形態では、抗原結合性構成成分(例えば、抗体)は、1個または複数の膜貫通および細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、膜貫通ドメインは、細胞外ドメイン(例えば、scFv)と細胞内シグナル伝達ドメインの間に連結または融合される等、細胞外ドメインに融合されている。一実施形態では、受容体、例えば、CARにおけるドメインの1種と天然で会合する膜貫通ドメインが使用される。一部の実例では、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するために、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避するように選択されるか、またはそうなるようにアミノ酸置換によって修飾される。
【0354】
膜貫通ドメインは、一部の実施形態では、天然または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、ドメインは、一部の態様では、いずれかの膜結合または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域は、T細胞受容体、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD8a、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137(4-1BB)、CD154、CTLA-4またはPD-1のアルファ、ベータまたはゼータ鎖に由来する膜貫通領域を含む(即ち、その少なくとも膜貫通領域(複数可)を含む)。あるいは、膜貫通ドメインは、一部の実施形態では、合成である。一部の態様では、合成膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリン等の疎水性残基を優勢に含む。一部の態様では、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットは、合成膜貫通ドメインの各末端に見い出されるであろう。一部の実施形態では、連結は、リンカー、スペーサーおよび/または膜貫通ドメイン(複数可)による。一部の態様では、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通ドメインを含有する。膜貫通ドメインの例示的な配列は、配列番号8、79、85、87、142、または143に記載される配列であるかまたはそれを含む。細胞内シグナル伝達ドメインの中でも、天然の抗原受容体を介したシグナル、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を介したシグナルおよび/または共刺激受容体単独を介したシグナルを模倣するまたはそれに近似する細胞内シグナル伝達ドメインが特に挙げられる。一部の実施形態では、短いオリゴまたはポリペプチドリンカー、例えば、2~10の間のアミノ酸の長さのリンカー、例えば、グリシンおよびセリン、例えば、グリシン-セリンダブレットを含有するリンカーが存在し、CARの膜貫通ドメインおよび細胞質シグナル伝達ドメインの間に連結を形成する。
【0355】
受容体、例えば、CARは一般に、少なくとも1個の細胞内シグナル伝達構成成分(単数または複数)を含む。一部の態様では、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体活性化チロシンモチーフまたはITAMとして知られているシグナル伝達モチーフを含有することができる。一次細胞質シグナル伝達配列を含有するITAMの例は、T細胞刺激および/または活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えば、CD3ゼータ鎖、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、FcRガンマ、FcRベータ、CDS、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dに由来するITAMを含む。一次細胞質シグナル伝達配列を含有するITAMの一部の例は、CD3ゼータ鎖、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタおよびCD3イプシロンに由来するものを含む。一部の実施形態では、CARにおける細胞質シグナル伝達分子は、細胞質シグナル伝達ドメイン、その部分、またはCD3ゼータに由来する配列を含有する。
【0356】
一部の実施形態では、受容体は、T細胞刺激および/または活性化ならびに細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えば、CD3ゼータ鎖等、TCR複合体の細胞内構成成分を含む。よって、一部の態様では、抗原結合性部分は、1個または複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。一部の実施形態では、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または他のCD膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、受容体、例えば、CARは、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25またはCD16等の1種または複数の追加の分子の部分をさらに含む。例えば、一部の態様では、CARまたは他のキメラ受容体は、CD3-ゼータ(CD3-ζ)またはFc受容体γと、CD8、CD4、CD25またはCD16との間のキメラ分子を含む。
【0357】
一部の実施形態では、CARまたは他のキメラ受容体のライゲーションの際に、受容体の細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインは、CARを発現するように操作された免疫細胞、例えば、T細胞の正常なエフェクター機能または応答の少なくとも1種を刺激および/または活性化する。例えば、一部の状況では、CARは、サイトカインまたは他の因子の分泌等、細胞溶解活性またはT-ヘルパー活性等、T細胞の機能を誘導する。一部の実施形態では、例えば、エフェクター機能シグナルを伝達するのであれば、抗原受容体構成成分または共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインの切断された部分が、無傷免疫刺激鎖の代わりに使用される。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメイン(単数または複数)は、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列、一部の態様では、また、天然の状況において、そのような受容体と協調して作用して、抗原受容体係合後にシグナル伝達を開始する共受容体の細胞質配列、および/またはそのような分子のいずれかの誘導体もしくは変異体、および/または同じ機能的能力を有するいずれかの合成配列を含む。
【0358】
天然のTCRの状況において、完全活性化は一般に、TCRを介したシグナル伝達のみならず、共刺激シグナルも要求する。よって、一部の実施形態では、完全活性化を促進するために、二次または共刺激シグナルを生成するための構成成分もまた、CARに含まれる。他の実施形態では、CARは、共刺激シグナルを生成するための構成成分を含まない。一部の態様では、追加のCARが同じ細胞において発現され、二次または共刺激シグナルを生成するための構成成分を提供する。
【0359】
T細胞刺激および/または活性化は、一部の態様では、2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列によって媒介されるものとして記載されている:TCRを介して抗原依存性一次刺激および/または活性化を開始するクラス(一次細胞質シグナル伝達領域、ドメインまたは配列)、ならびに抗原非依存性様式で作用して、二次または共刺激シグナルを提供するクラス(二次細胞質シグナル伝達領域、ドメインまたは配列)。一部の態様では、CARは、そのようなシグナル伝達構成成分の一方または両方を含む。
【0360】
一部の実施形態では、CARは、CD28、4-1BB、OX40(CD134)、CD27、DAP10、DAP12、ICOSおよび/または他の共刺激受容体等の共刺激受容体のシグナル伝達領域および/または膜貫通部分を含む。一部の態様では、同じCARが、一次細胞質シグナル伝達領域および共刺激シグナル伝達構成成分の両方を含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインの間等に、T細胞共刺激分子またはその機能性変異体に由来する細胞内ドメインを含有する。一部の態様では、T細胞共刺激分子は、CD28または4-1BBである。
【0361】
一部の実施形態では、1種または複数の異なる組換え受容体は、1種または複数の異なる細胞内シグナル伝達領域(複数可)またはドメイン(複数可)を含有することができる。一部の実施形態では、一次細胞質シグナル伝達領域は、ある1つのCAR内に含まれ、一方、共刺激構成成分は、別の抗原を認識する別の受容体、例えば、別のCARによって提供される。一部の実施形態では、CARは、活性化または刺激CARと、共刺激CARとを含み、両者は同じ細胞の表面に発現される(WO2014/055668を参照)。
【0362】
一部の態様では、細胞は、1種または複数の刺激もしくは活性化CARおよび/または共刺激CARを含む。一部の実施形態では、細胞は、阻害CAR(iCAR、Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (2013)を参照)、例えば、疾患または状態に関連するおよび/またはそれに特異的である抗原以外の抗原を認識するCARをさらに含み、それによって、疾患標的化CARを介して送達される活性化シグナルは、そのリガンドへの阻害CARの結合によって減少または阻害され、例えば、オフターゲット効果を低減させる。
【0363】
一部の実施形態では、2つの受容体はそれぞれ、活性化および阻害性シグナルを細胞に誘導し、受容体の一方をその抗原にライゲーションすると細胞が活性化されるか、または応答が誘導されるが、第2の阻害性受容体をその抗原にライゲーションすると、その応答を抑制または減衰させるシグナルが誘導される。活性化CARと阻害性CAR(iCAR)の組合せが例である。そのような戦略は、例えば、活性化CARが疾患または状態において発現し、正常細胞にも発現している抗原に結合し、阻害性受容体が正常細胞には発現しているが疾患または状態の細胞には発現していない別々の抗原に結合するような状況で、オフターゲット効果の可能性を低減するために使用することができる。
【0364】
一部の態様では、キメラ受容体は阻害性CAR(例えば、iCAR)であるか、またはそれを含み、細胞内のITAMおよび/または共刺激因子によって促進される応答等の免疫応答を減衰または抑制する細胞内成分を含む。そのような細胞内シグナル伝達成分の例としては、PD-1、CTLA4、LAG3、BTLA、OX2R、TIM-3、TIGIT、LAIR-1、PGE2受容体、A2ARを含むEP2/4アデノシン受容体を含む免疫チェックポイント分子に見られるものがある。一部の態様では、操作された細胞は、例えば、活性化および/または共刺激CARによって誘導される細胞の応答を減衰させる役割を果たすような、そのような阻害分子のシグナル伝達ドメインを含むか、そのような阻害分子由来の阻害性CARを含む。
【0365】
ある特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3(例えば、CD3-ゼータ)細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ細胞内ドメインに連結されたキメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインを含む。
【0366】
一部の実施形態では、CARは、細胞質部分において1個または複数、例えば、2個以上の共刺激ドメインおよび一次細胞質シグナル伝達領域を包含する。例示的なCARは、CD3-ゼータ、CD28、CD137(4-1BB)、OX40(CD134)、CD27、DAP10、DAP12、NKG2Dおよび/またはICOSの細胞内シグナル伝達領域(複数可)またはドメイン(複数可)等の細胞内構成成分を含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、例えば、CD28、CD137(4-1BB)、OX40(CD134)、CD27、DAP10、DAP12、NKG2Dおよび/またはICOSに由来するT細胞共刺激分子の細胞内シグナル伝達領域またはドメインを、一部の事例では、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達領域またはドメインの間に含有する。一部の態様では、T細胞共刺激分子は、CD28、CD137(4-1BB)、OX40(CD134)、CD27、DAP10、DAP12、NKG2Dおよび/またはICOSのうち1種または複数である。
【0367】
一部の事例では、CARは、第一、第二および/または第三世代CARと称される。一部の態様では、第一世代CARは、抗原結合時にCD3鎖誘導性シグナルを単に提供するCARである;一部の態様では、第二世代CARは、そのようなシグナルおよび共刺激シグナルを提供するCAR、例えば、CD28またはCD137等の共刺激受容体由来の細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARである;一部の態様では、第三世代CARは、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むCARである。
【0368】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含有する細胞外部分を含む。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、抗体または断片は、scFvを含み、細胞内ドメインは、ITAMを含有する。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含有する。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含有する。細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは、直接的にまたは間接的に連結され得る。一部の実施形態では、細胞外ドメインおよび膜貫通は、本明細書に記載されているいずれか等のスペーサーによって連結される。一部の実施形態では、受容体は、CD28細胞外部分等、膜貫通ドメインが由来する分子の細胞外部分を含有する。一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインの間等に、T細胞共刺激分子またはその機能性変異体に由来する細胞内ドメインを含有する。一部の態様では、T細胞共刺激分子は、CD28または4-1BBである。
【0369】
一部の実施形態では、CARは、抗体、例えば、抗体断片と、CD28の膜貫通部分またはその機能性変異体であるかまたはそれを含有する膜貫通ドメインと、CD28のシグナル伝達部分またはその機能性変異体およびCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能性変異体を含有する細胞内シグナル伝達ドメインとを含有する。一部の実施形態では、CARは、抗体、例えば、抗体断片と、CD28の膜貫通部分またはその機能性変異体であるかまたはそれを含有する膜貫通ドメインと、4-1BBのシグナル伝達部分またはその機能性変異体およびCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能性変異体を含有する細胞内シグナル伝達ドメインとを含有する。一部のそのような実施形態では、受容体は、ヒンジのみのスペーサー等、Igヒンジ、例えば、IgG4ヒンジ等、ヒトIg分子等のIg分子の部分を含有するスペーサーをさらに含む。
【0370】
一部の実施形態では、組換え受容体、例えば、CARの膜貫通ドメインは、ヒトCD28(例えば、受託番号P10747.1)もしくはCD8a(受託番号P01732.1)の膜貫通ドメインまたはそれらの変異体、例えば、配列番号8、79、142もしくは143に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号8、79、142もしくは143に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む膜貫通ドメインであるかまたはこれを含む。一部の実施形態では、組換え受容体の部分を含有する膜貫通ドメインは、配列番号9に記載されるアミノ酸の配列、またはそれに対して少なくともまたは約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
【0371】
一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8α由来の膜貫通ドメインである。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、Milone et al., Mol. Ther. (2009) 12(9):1453-64に記載されているいずれかである。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号143に記載される配列であるかまたはそれを含む。
【0372】
一部の実施形態では、組換え受容体、例えば、CARの細胞内シグナル伝達構成成分(複数可)は、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能性変異体もしくは部分、例えば、天然CD28タンパク質の186~187位にLLからGGへの置換を有するドメインを含有する。例えば、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10もしくは11に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号10もしくは11に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含むことができる。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、配列番号12に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号12に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列等、4-1BB(例えば、受託番号Q07011.1)またはその機能的変異体もしくは部分の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインを含む。
【0373】
一部の実施形態では、細胞内ドメインは、4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメインを含み、一部の実施形態では、4-1BB共刺激分子は、Milone et al., Mol. Ther. (2009) 12(9):1453-64に記載されているいずれかである。一部の実施形態では、共刺激分子は、配列番号12に記載される配列を有する。
【0374】
一部の実施形態では、組換え受容体、例えば、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ゼータ刺激シグナル伝達ドメインもしくはその機能性変異体、例えば、ヒトCD3ζのアイソフォーム3の112 AA細胞質ドメイン(受託番号P20963.2)、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載されているCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。例えば、一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号13、14もしくは15に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号13、14もしくは15に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。一部の実施形態では、CD3-ゼータドメインは、Milone et al., Mol. Ther. (2009) 12(9):1453-64に記載されているいずれかである。一部の実施形態では、CD3-ゼータは、配列番号13に記載される配列であるかまたはそれを含む。
【0375】
一部の態様では、スペーサーは、IgGのヒンジ領域のみ、例えば、IgG4またはIgG1のヒンジのみ、例えば、配列番号1または配列番号89に記載されるヒンジのみのスペーサーを含有する。他の実施形態では、スペーサーは、CH2および/またはCH3ドメインに連結されてもよい、Igヒンジ、例えば、IgG4由来ヒンジであるかまたはそれを含有する。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号4に記載される等、CH2およびCH3ドメインに連結された、Igヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号3に記載される等、CH3ドメインのみに連結された、Igヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の実施形態では、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または他の可動性リンカー、例えば、公知可動性リンカーであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、スペーサーは、配列番号81~83のいずれかに記載される等、CD8aヒンジ、配列番号88に記載される等、FcγRIIIaヒンジ、配列番号84に記載される等、CTLA4ヒンジ、または配列番号86に記載される等、PD-1ヒンジである。一部の実施形態ではスペーサーはCD8に由来する。一部の実施形態では、スペーサーはCDヒンジである。一部の実施形態では、ヒンジ配列は、Milone et al., Mol. Ther. (2009) 12(9):1453-64に記載されているいずれかである。一部の実施形態では、ヒンジは、配列番号82に記載される配列であるかまたはそれを含む。
【0376】
例えば、一部の実施形態では、CARは、scFvを含む、抗体断片等の抗体と、Igヒンジ含有スペーサー等、重鎖分子のヒンジ領域および/または1個もしくは複数の定常領域等、免疫グロブリン分子の部分を含有するスペーサー等のスペーサーと、CD28由来膜貫通ドメインの全てまたは部分を含有する膜貫通ドメインと、CD28由来細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態では、CARは、scFv等の抗体または断片と、Igヒンジ含有スペーサーのいずれか等のスペーサーと、CD28由来膜貫通ドメインと、4-1BB由来細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ゼータ由来シグナル伝達ドメインとを含む。一部の実施形態では、CARは、抗体または断片、例えば、scFvと、スペーサー、例えば、Igヒンジ含有スペーサーいずれか、CD8由来膜貫通ドメインと、4-1BB由来細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ゼータシグナル伝達ドメインとを含む。
【0377】
一部の実施形態では、抗原受容体はマーカーをさらに含み、および/または、CARまたは他の抗原受容体を発現する細胞は、細胞表面マーカー等のサロゲートマーカーをさらに含み、このマーカーは、受容体を発現する細胞の形質導入または操作を確認するために使用され得る。一部の実施形態では、マーカーは、T細胞上に天然には見出されない分子、例えば細胞表面タンパク質、またはT細胞の表面上に天然には見出されない分子、またはその一部である。一部の実施形態では、分子は非自己分子、例えば、非自己タンパク質、即ち、細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」として認識されないものである。一部の実施形態では、マーカーは治療的機能を果たさず、かつ/または遺伝子工学のためのマーカーとして使用されること、例えば、操作成功した細胞を選択すること以外の効果をもたらさない。他の実施形態では、マーカーは治療用分子、またはインビボで遭遇する細胞に対するリガンド、例えば養子移入およびリガンドとの遭遇時に細胞の応答を増強および/または減衰させるための共刺激または免疫チェックポイント分子等、何らかの所望の効果を発揮する分子であってもよい。一部の態様では、マーカーは、CD34、NGFR、または上皮増殖因子受容体、例えばそのような細胞表面受容体の切断型(例えば、tEGFR)の全てまたは一部(例えば、切断型)を含む。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸は、切断可能なリンカー配列、例えばT2A等のリンカー配列をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結される。例えば、マーカー、および適宜リンカー配列は、公開された特許出願WO2014031687に開示されているいずれかであり得る。例えば、マーカーは切断型EGFR(tEGFR)であり、T2A切断型リンカー配列等のリンカー配列に連結されていてもよい。一部の実施形態では、そのようなCARコンストラクトは、例えば、CARの下流に、T2Aリボソームスキップエレメントおよび/またはtEGFR配列をさらに含む。
【0378】
切断型EGFR(例えば、tEGFR)に関する例示的なポリペプチドは、配列番号7もしくは166に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号7もしくは166に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。例示的なT2Aリンカー配列は、配列番号6もしくは167に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号6もしくは167に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0379】
一部の実施形態では、そのようなCAR構築物をコードする核酸分子は、例えばCARをコードする配列の下流に、T2Aリボソームスキップエレメントをコードする配列および/またはtEGFR配列をさらに含む。一部の実施形態では、配列は、配列番号6もしくは167に記載されるT2Aリボソームスキップエレメント、または配列番号6もしくは167に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列をコードする。一部の実施形態では、抗原受容体(例えば、CAR)を発現するT細胞はまた、続いてそのような細胞を検出するためにマーカーとして使用され得る非免疫原性選択エピトープとしての切断型EGFR(EGFRt)を発現するように(例えば、同じ構築物由来の2つのタンパク質を発現するようにT2Aリボソームスイッチによって分離されるCARおよびEGFRtをコードする構築物の導入によって)生成され得る(例えば、米国特許第8,802,374号を参照されたい)。一部の実施形態では、配列は、配列番号7もしくは166に記載されるtEGFR配列、または配列番号7もしくは166に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列をコードする。
【0380】
一部の実施形態では、コードされたCAR配列は、CARが発現されている細胞の表面にCARを方向付けるまたは送達するシグナル配列またはシグナルペプチドをさらに含むことができる。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、膜貫通タンパク質に由来する。一部の例では、シグナルペプチドは、CD8a、CD33またはIgGに由来する。例示的なシグナルペプチドは、配列番号39、40および153に記載される配列を含む。一部の例では、シグナルペプチドはCD8αに由来する。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、受託番号NM_001768に記載される配列である。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号39に記載される配列を含む。
【0381】
一部の実施形態では、CARは、本明細書に記載のsdAbおよびscFvを含む抗ヒトBCMA抗体のいずれか等の抗BCMA抗体または断片、本明細書に記載のIgヒンジ含有スペーサーまたは他のスペーサーのいずれか等のスペーサー、CD28膜貫通ドメイン、CD28細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、本明細書に記載のsdAbおよびscFvを含む抗ヒトBCMA抗体のいずれか等の抗BCMA抗体または断片、本明細書に記載のIgヒンジ含有スペーサーまたは他のスペーサーのいずれか等のスペーサー、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、このようなCAR構築物は、T2Aリボソームスキップエレメントおよび/またはtEGFR配列を、例えば、CARの下流にさらに含む。
【0382】
対象に投与される細胞によって発現されるCAR等の組換え受容体は一般に、処置されている疾患もしくは状態またはその細胞において発現される、それに関連するおよび/またはそれに特異的な分子を認識するか、またはそれに特異的に結合する。分子、例えば、抗原への特異的結合時に、受容体は一般に、ITAM伝達シグナル等の免疫刺激シグナルを細胞内に送達し、これにより、疾患または状態に標的化された免疫応答を促進する。例えば、一部の実施形態では、細胞は、疾患もしくは状態のまたは疾患もしくは状態に関連する細胞または組織によって発現された抗原に特異的に結合するCARを発現する。一部の実施形態では、CARは、ヒトBCMA等のBCMAに特異的に結合し、記載されているような抗ヒトBCMA抗体または断片を含む。抗BCMA CAR配列を含む非限定的な例示的なCAR配列は、配列番号90~141に記載される。一部の実施形態では、抗BCMA CARは、配列番号90~141のいずれかに記載されるアミノ酸配列、または配列番号90~141のいずれか1つに対して少なくともまたは約90%、少なくともまたは約91%、少なくともまたは約92%、少なくともまたは約93%、少なくともまたは約94%、少なくともまたは約95%、少なくともまたは約96%、少なくともまたは約97%、少なくともまたは約98%、少なくともまたは約99%の配列同一性を示すアミノ酸配列を含み、CARは、BCMA、例えば、ヒトBCMAに特異的に結合。
【0383】
一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、イデカブタゲン・ビクルユーセル細胞(例えば、ABECMA(著作権)細胞等);bb21217細胞;オルバカブタゲン・オートルユーセル細胞;CT103A細胞;シルタカブタゲン・オートルユーセル細胞;KITE585細胞;CT053細胞;BCMA-CS1 cCAR(BC1cCAR)細胞;P-BCMA-101細胞;P-BCMA-ALLO1細胞;C-CAR088細胞;Descartes-08細胞;PBCAR269A細胞;ALLO-715細胞;PHE885細胞;AUTO8細胞;CTX120細胞;CB-011細胞;ALLO-605(TuboCAR/MM)細胞;pCDCAR1(TriCAR-Z136)細胞、またはGC012F細胞を含む。一部の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の用量は、イデカブタゲン・ビクルユーセル細胞(例えば、ABECMA(著作権)細胞等)を含む。
【0384】
B.遺伝子操作のための細胞および細胞の調製
受容体を発現し、提供される方法によって投与される細胞の中には、操作された細胞がある。遺伝子操作は概して、例えばレトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換による細胞を含有する組成物への、組換えまたは操作された構成成分をコードする核酸の導入を伴う。
【0385】
一部の実施形態では、核酸は、異種であり、即ち、例えば、操作されている細胞では通常見い出されない別の生物または細胞、および/またはそのような細胞が由来されない生物から得られたもの等の細胞または細胞から得られた試料中には通常存在しない。一部の実施形態では、核酸は、天然に存在せず、例えば、多種多様な細胞型由来の各種ドメインをコードする核酸のキメラ組合せを含むものを含む、天然に存在しない核酸である。
【0386】
細胞は概して、哺乳動物細胞等の真核細胞であり、通常、ヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、血液、骨髄、リンパ、またはリンパ器官に由来し、リンパ球、通常はT細胞および/またはNK細胞を含む、自然免疫もしくは適応免疫の細胞、例えば骨髄系またはリンパ系細胞等の免疫系の細胞である。他の例示的な細胞として、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多分化能性および多能性幹細胞等の幹細胞が挙げられる。細胞は通常、対象から直接単離され、および/対象から単離されて凍結されたもの等の初代細胞である。一部の実施形態では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1種または複数のサブセット、例えば全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびそれらの亜集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化能、増大、再循環、局在化、および/または持続能、抗原特異性、抗原受容体の型、特定の臓器もしくはコンパートメントにおける存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、および/または分化度によって規定されるものを含む。処置されるべき対象に関して、細胞は、同種異系および/または自家であり得る。方法の中には、市販の方法が含まれる。一部の態様では、例えば市販の技術に関して、細胞は、多能性および/または多分化能性の、例えば幹細胞、例えば人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の実施形態では、方法は、細胞を対象から単離すること、それらを調製すること、加工処理すること、培養すること、および/または操作すること、ならびに凍結保存前もしくは後にそれらを同じ対象に再度導入することを含む。
【0387】
T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+T細胞のサブタイプおよび亜集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそれらのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または高分化型エフェクターメモリーT細胞、細胞浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然に存在する適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、およびデルタ/ガンマT細胞が存在する。
【0388】
一部の実施形態では、細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、細胞は、単球または顆粒細胞、例えば骨髄性細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0389】
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作を介して導入された1種または複数の核酸を含み、それにより、そのような核酸の組換えまたは遺伝子操作された産物を発現する。一部の実施形態では、核酸は、異種であり、即ち、例えば、操作されている細胞では通常見い出されない別の生物または細胞、および/またはそのような細胞が由来されない生物から得られたもの等の細胞または細胞から得られた試料中には通常存在しない。一部の実施形態では、核酸は、天然に存在せず、例えば、多種多様な細胞型由来の各種ドメインをコードする核酸のキメラ組合せを含むものを含む、天然に存在しない核酸である。
【0390】
一部の実施形態では、操作された細胞の調製は、1種または複数の培養および/または調製工程を含む。CAR等のトランスジェニック受容体をコードする核酸の導入用の細胞は、試料、例えば生体試料、例えば対象から得られたか、または対象に由来するものから単離され得る。一部の実施形態では、細胞が単離される対象は、疾患もしくは状態を有するもの、または細胞療法を必要とするもの、または細胞療法が投与されるであろうものである。対象は、一部の実施形態では、細胞が単離、加工処理、および/または操作される養子細胞療法等の特定の治療介入を必要とするヒトである。
【0391】
したがって、細胞は、一部の実施形態では、初代細胞、例えば初代ヒト細胞である。試料として、組織、液体、および対象から直接採取した他の試料、ならびに分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターを用いた形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーション等の1種または複数の加工処理工程から生じる試料が挙げられる。生体試料は、生物学的供給源から直接得られた試料または加工処理された試料であり得る。生体試料として、体液、例えば血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織および臓器試料(それらに由来する加工処理された試料を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0392】
一部の態様では、細胞が由来するか、または単離される試料は、血液または血液由来試料であるか、あるいはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれに由来する。例示的な試料として、全血、末梢血単球(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織バイオプシー、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ系組織、粘膜関連リンパ系組織、脾臓、他のリンパ系組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、胸部、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺、もしくは他の臓器、および/またはそれらに由来する細胞が挙げられる。試料は、細胞療法、例えば養子細胞療法の状況では、自家および同種供給源由来の試料を含む。
【0393】
一部の実施形態では、細胞は、細胞株、例えばT細胞株に由来される。細胞は、一部の実施形態では、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、およびブタから得られる。
【0394】
一部の実施形態では、細胞の単離は、1種または複数の調製および/または非親和性ベースの細胞分離工程を含む。一部の例では、細胞は、洗浄され、遠心分離され、および/または1種または複数の試薬の存在下でインキュベートされ、例えば、望ましくない構成成分を除去し、所望の構成成分を富化して、特定の試薬に対して感度が高い細胞を溶解または除去する。一部の例では、細胞は、1種または複数の特性、例えば、密度、接着特性、サイズ、特定の構成成分に対する感度および/または耐性に基づいて単離される。
【0395】
一部の例では、対象の循環血液由来の細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、一部の態様では、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒細胞、B細胞、他の有核白血球細胞、赤血球細胞、および/または血小板を含有し、一部の態様では、赤血球細胞および血小板以外の細胞を含有する。
【0396】
一部の実施形態では、対象から収集された血液細胞は洗浄されて、例えば血漿分画を除去し、続く加工処理工程用に適切なバッファーまたは培地中に細胞を配置する。一部の実施形態では、細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。一部の実施形態では、洗浄溶液は、カルシウムおよび/またはマグネシウムおよび/または多くのもしくは全ての二価カチオンを欠如している。一部の態様では、洗浄工程は、製造業者の使用説明書に従って半自動「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサー、Baxter)で遂行される。一部の態様では、洗浄工程は、製造業者の使用説明書に従ってタンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって遂行される。一部の態様では、細胞は、例えばCa++/Mg++を含まないPBS等の洗浄後の様々な生物適合性バッファー中に再懸濁される。ある特定の実施形態では、血液細胞試料の構成成分が除去され、細胞は、培養培地中に直接的に再懸濁される。
【0397】
一部の実施形態では、方法は、赤血球細胞を溶解することと、PercollまたはFicoll勾配による遠心分離とによる、末梢血からの白血球細胞の調製等の密度ベースの細胞分離方法を含む。
【0398】
一部の実施形態では、単離方法は、1種または複数の特異的分子、例えば表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカー、もしくは核酸の細胞における発現または存在に基づく異なる細胞型の分離を含む。一部の実施形態では、そのようなマーカーに基づく分離に関する任意の公知の方法が使用され得る。一部の実施形態では、分離は、親和性または免疫親和性ベースの分離である。例えば、単離は、一部の態様では、例えばそのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、続く一般的に洗浄工程および抗体または結合パートナーが結合された細胞の分離による、1種または複数のマーカー、通常は細胞表面マーカーの細胞の発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の、抗体または結合パートナーに結合されていない細胞との分離を含む。
【0399】
そのような分離工程は、試薬が結合された細胞がさらなる使用のために保持されるポジティブ選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合されていない細胞が保持されるネガティブ選択に基づき得る。一部の例では、両方の分画がさらなる使用のために保持される。一部の態様では、ネガティブ選択は、分離が所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて最良に実行されるように、異種集団において細胞型を特異的に同定する抗体が利用可能でない場合に特に有用である。
【0400】
分離は、特定の細胞集団もしくは特定のマーカーを発現する細胞の100%富化または除去をもたらす必要はない。例えば、特定の型の細胞、例えばマーカーを発現するものに関するもののポジティブ選択またはそれらに関する富化は、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加することを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在をもたらす必要はない。同様に、特定の型の細胞、例えばマーカーを発現するもののネガティブ選択、除去または欠失は、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少することを指すが、全てのそのような細胞の完全な除去をもたらす必要はない。
【0401】
一部の例では、多重の一連の分離工程が実行され、ここで、1つの工程由来のポジティブまたはネガティブ選択された分画は、続くポジティブまたはネガティブ選択等の別の分離工程に付される。一部の例では、単一の分離工程が、例えば、細胞を、それぞれがネガティブ選択に関して標的化されるマーカーに特異的である複数の抗体または結合パートナーとともにインキュベートすることによって、多重マーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、多重細胞型は、細胞を、各種細胞型上で発現される複数の抗体または結合パートナーとともにインキュベートすることによって同時にポジティブ選択され得る。
【0402】
例えば、一部の態様では、T細胞、1種または複数の表面マーカーにポジティブであるか、または高レベルのそれらを発現する細胞等のT細胞の特異的亜集団、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+T細胞は、ポジティブまたはネガティブ選択技法によって単離される。
【0403】
例えば、CD3+、CD28+Tは、抗CD3/抗CD28コンジュゲート磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用してポジティブ選択され得る。
【0404】
一部の実施形態では、単離は、ポジティブ選択による特定の細胞集団に関する富化、またはネガティブ選択による特定の細胞集団の枯渇によって実行される。一部の実施形態では、ポジティブまたはネガティブ選択は、細胞を、それぞれ、ポジティブもしくはネガティブ選択された細胞上で発現される(マーカー+)か、または比較的高レベルで発現される(マーカー高)1種または複数の表面マーカーに特異的に結合する1種または複数の抗体または他の結合剤とともにインキュベートすることによって遂行される。
【0405】
一部の実施形態では、T細胞は、非T細胞、例えばB細胞、単球、または他の白血球細胞上で発現されるマーカー、例えばCD14のネガティブ選択によってPBMC試料から分離される。一部の態様では、CD4+またはCD8+選択工程は、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するのに使用される。そのようなCD4+およびCD8+集団は、1種または複数のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞亜集団上で発現されるか、もしくは比較的高度に発現されるマーカーに関するポジティブまたはネガティブ選択によって、亜集団にさらに選別され得る。
【0406】
一部の実施形態では、CD8+細胞は、例えば各々の亜集団と関連付けられる表面抗原に基づくポジティブまたはネガティブ選択によって、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞に関してさらに富化または枯渇される。一部の実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞に関する富化は、有効性を高めるために、例えば投与に続いて長期生存、増大、および/または生着を改善するために実行され、それは、一部の態様では、そのような亜集団において特に頑強である。Terakura et al., Blood.1:72-82(2012);Wang et al., J Immunother. 35(9):689-701(2012)を参照されたい。一部の実施形態では、TCMが富化されたCD8+T細胞およびCD4+T細胞を組み合わせることで、有効性をさらに増強させる。
【0407】
ある実施形態では、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+およびCD62-サブセットの両方に存在する。PBMCは、例えば抗CD8および抗CD62L抗体を使用して、CD62L-CD8+および/またはCD62L+CD8+分画に関して富化され得るか、または枯渇され得る。
【0408】
一部の実施形態では、セントラルメモリー(TCM)細胞に関する富化は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127のポジティブまたは高表面発現に基づき、一部の態様では、セントラルメモリー(TCM)細胞に関する富化は、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するか、または高度に発現する細胞に関するネガティブ選択に基づく。一部の態様では、TCM細胞に関して富化されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞に関するポジティブ選択または富化によって実行される。一態様では、セントラルメモリー(TCM)細胞に関する富化は、CD4発現に基づいて選択される細胞のネガティブ分画に始まって実行され、これは、CD14およびCD45RAの発現に基づくネガティブ選択、およびCD62Lに基づくポジティブ選択に付される。そのような選択は、一部の態様では、同時に実行され、他の態様では、いずれかの順序で順次実行される。一部の態様では、CD4ベースの分離からのポジティブおよびネガティブ分画の両方が保持され、当該方法の続く工程、適宜続く1種または複数のさらなるポジティブまたはネガティブ選択工程で使用されるように、CD8+細胞集団または亜集団を調製する際に使用される同じCD4発現ベースの選択工程が、同様にCD4+細胞集団または亜集団を生成するのにも使用される。
【0409】
特定の例では、PBMCの試料または他の白血球細胞試料は、CD4+細胞の選択に付され、そこで、ネガティブおよびポジティブ分画が保持される。次に、ネガティブ分画は、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づくネガティブ選択、およびセントラルメモリーT細胞の特徴的なマーカー、例えばCD62LまたはCCR7に基づくポジティブ選択に付され、ここで、ポジティブおよびネガティブ選択は、いずれかの順序で実行される。
【0410】
CD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、ナイーブ、セントラルメモリー、およびエフェクター細胞に分類される。CD4+リンパ球は、標準的な方法によって得ることができる。一部の実施形態では、ナイーブCD4+Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+T細胞である。一部の実施形態では、セントラルメモリーCD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。一部の実施形態では、エフェクターCD4+細胞は、CD62L-およびCD45RO-である。
【0411】
一例では、ネガティブ選択によってCD4+細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは通常、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。一部の実施形態では、抗体または結合パートナーは、固体支持体またはマトリックス、例えば磁気ビーズまたは常磁性ビーズに結合されて、ポジティブおよび/またはネガティブ選択に関する細胞の分離を可能にする。例えば、一部の実施形態では、細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気)分離技法を使用して分離または単離される(S. A. Brooks and U. Schumacher(著作権)Humana Press Inc.、トトワ、ニュージャージー州に編集されたMethods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In vitro and In vulivulo, p 17-25に概説されている)。
【0412】
一部の態様では、分離されるべき細胞の試料または組成物は、小さな磁化可能な、または磁気的応答性の材料、例えば磁気的応答性の粒子または微粒子、例えば常磁性ビーズ(例えば、DynalbeadsまたはMACSビーズ等)とともにインキュベートされる。磁気的応答性の材料、例えば、粒子は概して、分離するのが所望の、例えばネガティブもしくはポジティブ選択するのが所望の細胞(単数)、細胞(複数)、または細胞の集団上に存在する分子、例えば表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に直接的にまたは間接的に結合される。
【0413】
一部の実施形態では、磁気粒子またはビーズは、特異的な結合パートナー、例えば抗体または他の結合パートナーに結合された磁気的応答性の材料を含む。磁気的分離方法で使用される周知の磁気的応答性の材料が多く存在している。適切な磁気粒子として、Moldayの米国特許第4,452,773号、および欧州特許明細書EP 452342 B号に記載されているものが挙げられ、それらは、これにより参照により本明細書に組み込まれる。例えばOwenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されるもの等のコロイドサイズの粒子は他の例である。
【0414】
インキュベーションは概して、磁気粒子もしくはビーズに結合されている、抗体もしくは結合パートナー、またはそのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば二次抗体または他の試薬が、試料内の細胞上に存在する場合に、細胞表面分子特異的に結合する条件下で実行される。
【0415】
一部の態様では、試料は、磁場に置かれ、結合された磁気的応答性の、または磁化可能な粒子を有する細胞は、磁石に結合され、非標識細胞と分離される。ポジティブ選択に関して、磁石に結合されている細胞が保持され、ネガティブ選択に関して、結合されていない細胞(非標識細胞)が保持される。一部の態様では、ポジティブおよびネガティブ選択の組合せは、同じ選択工程中に実施され、ここで、ポジティブおよびネガティブ分画は、保持されて、さらに加工処理されて、さらなる分離工程に付される。
【0416】
ある特定の実施形態では、磁気的応答性の粒子は、一次抗体または他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンでコーティングされる。ある特定の実施形態では、磁気粒子は、1種または複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に結合される。ある特定の実施形態では、ビーズではなく細胞が、一次抗体または結合パートナーで標識され、次に、細胞型特異的な二次抗体または他の結合パートナー(例えば、ストレプトアビジン)でコーティングされた磁気粒子が付加される。ある特定の実施形態では、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気粒子は、ビオチン化された一次または二次抗体と併せて使用される。
【0417】
一部の実施形態では、磁気的応答性の粒子は、続いてインキュベートされ、培養され、および/または操作されるべき細胞に結合されたまままであり、一部の態様では、粒子は、患者への投与用の細胞に結合されまままである。一部の実施形態では、磁化可能な、または磁気的応答性粒子は、細胞から除去される。磁化可能な粒子を細胞から除去する方法は公知であり、例えば、非標識抗体、および切断可能なリンカーにコンジュケートされた磁化可能な粒子または抗体の競合の使用を含む。一部の実施形態では、磁化可能な粒子は、生分解性である。
【0418】
一部の実施形態では、親和性ベースの選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotec、オーバーン、カリフォルニア州)を介する。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化可能な粒子が結合された細胞の高純度選択が可能である。ある特定の実施形態では、MACSは、非標的および標的種が順次、外部磁場の印加後に溶出される様式で作動する。即ち、磁化された粒子に結合された細胞は、所定の位置に維持される一方で、結合されていない種は溶出される。次に、この第1の溶出工程が完了した後、磁場に捕捉され、溶出するのを防止された種は、それらが溶出されて、回収され得るように一部の様式で遊離される。ある特定の実施形態では、非標的細胞は、標識されて、細胞の異種集団から枯渇される。
【0419】
一部の実施形態では、単離または分離は、当該方法の単離、細胞調製、分離、加工処理、インキュベーション、培養、および/または製剤化工程の1種または複数を実行するシステム、デバイス、または装置を使用して実行される。一部の態様では、システムは、閉鎖または滅菌環境でこれらの工程それぞれを実行するのに、例えば、誤差、使用者の取扱いおよび/または混入を最小限に抑えるのに使用される。一例では、システムは、PCT国際公開WO2009/072003号、またはUS 20110003380 A1号に記載されるシステムである。
【0420】
一部の実施形態では、システムまたは装置は、統合型もしくは自己完結型のシステムにおいて、および/または自動もしくはブログラム可能様式で、1種または複数、例えば全ての単離、加工処理、操作、および製剤化工程を実行する。一部の態様では、システムまたは装置は、システムまたは装置と通信したコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを含み、これにより使用者は、加工処理、単離、操作、および製剤化工程の転帰をプログラミングし、制御し、評価し、および/またはそれらの各種態様を調整することが可能になる。
【0421】
一部の実施形態では、分離および/または他の工程は、例えば閉鎖および滅菌系における臨床スケールレベルでの細胞の自動分離のためにCliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を使用して実行される。構成成分は、統合マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および各種ピンチ弁を含み得る。統合コンピュータは、一部の態様では、機器の全ての構成成分を制御し、システムが、標準化された順序において反復手順を実施するよう誘導する。磁気分離ユニットは、一部の態様では、選択カラム用の可動永続マグネットおよびホルダーを含む。蠕動ポンプは、チューブセット全体にわたって流速を制御し、ピンチ弁とともに、システムから流れるバッファーの制御された流れおよび細胞の断続的な懸濁を保証する。
【0422】
CliniMACSシステムは、一部の態様では、滅菌性の非発熱性溶液中に供給される抗体とカップリングされた磁化可能な粒子を使用する。一部の実施形態では、磁気粒子による細胞の標識後に、細胞は洗浄されて、過剰な粒子を除去する。次に、細胞調製バッグは、チューブセットに接続され、それは続いて、バッファーを含有するバッグおよび細胞収集バッグに接続される。チューブセットは、プレカラムおよび分離カラムを含むアセンブル済みの滅菌チューブからなり、単回の使用のみ用である。分離プログラムの開始後に、システムは自動で細胞試料を分離カラム上に適用する。標識された細胞は、カラム内に保持される一方で、非標識細胞は、一連の洗浄工程によって除去される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法を用いた使用のための細胞集団は、非標識であり、カラム中に保持されない。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法を用いた使用のための細胞集団は、標識されており、カラム中に保持される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法を用いた使用のための細胞集団は、磁場の除去後にカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0423】
ある特定の実施形態では、分離および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使用して実行される。CliniMACS Prodigyシステムは、一部の態様では、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞加工処理ユニティが装備されている。CliniMACS Prodigyシステムはまた、供給源細胞産物の巨視的な層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する内蔵カメラおよび画像認識ソフトウェアを含み得る。例えば、末梢血は、赤血球、白血球細胞および血漿層に自動的に分離される。CliniMACS Prodigyシステムはまた、例えば細胞分化および増大、抗原負荷、および長期細胞培養等の細胞培養プロトコールを遂行する統合細胞培養チャンバーを含み得る。入力ポートは、培地の滅菌除去および補充を可能にすることができ、細胞は、統合顕微鏡を使用してモニタリングすることができる。例えば、Klebanoff et al., J Immunother. 35(9): 651-660(2012)、Terakura et al., Blood.1:72-82(2012)、およびWang et al., J Immunother. 35(9):689-701(2012)を参照されたい。
【0424】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている細胞集団は、フローサイトメトリーを介して収集および富化(または枯渇)され、そこで、多重細胞表面マーカーに関して染色された細胞が流動ストリームで運搬される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている細胞集団は、分取スケール(FACS)選別を介して収集および富化(または枯渇)される。ある特定の実施形態では、本明細書中記載される細胞集団は、FACSベースの検出システムと組み合わせて微小電気機械システム(MEMS)チップを用いて収集および富化(または枯渇)される(例えば、WO2010/033140号、Cho et al., Lab Chip 10, 1567-1573(2010);およびGodin et al., J Biophoton. 1(5):355-376(2008)を参照)。両方の場合で、細胞は、多重マーカーで標識することができ、高純度での明確に定められたT細胞サブセットの単離を可能にする。
【0425】
一部の実施形態では、抗体または結合パートナーは、ポジティブおよび/またはネガティブ選択に関して分離を促進するために、1種または複数の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は、蛍光標識された抗体への結合に基づき得る。一部の例では、1種または複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えば、フローサイトメトリー検出システムと組み合わせて、例えば、分取スケール(FACS)および/または微小電気機械システム(MEMS)チップを含む蛍光活性化細胞選別(FACS)によって流動ストリーム中で運搬される。そのような方法は、同時に多重マーカーに基づくポジティブおよびネガティブ選択を可能にする。
【0426】
一部の実施形態では、調製方法は、単離、インキュベーション、および/または操作前または後のいずれかに、細胞を凍結すること、例えば凍結保存することに関する工程を含む。一部の実施形態では、凍結、続く解凍工程は、細胞集団における顆粒細胞、およびある程度は単球を除去する。一部の実施形態では、細胞は、例えば、血漿および血小板を除去するための洗浄工程に続いて、凍結溶液中に懸濁される。様々な公知の凍結溶液およびパラメーターのいずれかは、一部の態様では使用され得る。一例は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適切な細胞凍結培地を伴う。次に、これは培地で1:1に希釈され、その結果、DMSOおよびHSAの最終濃度は、それぞれ10%および4%である。次に、細胞は一般的に、1分当たり1℃の速度で-80℃に凍結され、液体窒素保管タンクの気相中に保管される。
【0427】
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作の前に、もしくは遺伝子操作と関連してインキュベートされ、および/または培養される。インキュベーション工程は、培養、栽培、刺激、活性化、および/または伝播を含み得る。インキュベーションおよび/または操作は、ユニット、チャンバー、ウェル、カラム、管、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞を培養もしくは栽培するための他の容器等の培養容器中で実行され得る。一部の実施形態では、組成物または細胞は、刺激条件または刺激剤の存在下でインキュベートされる。そのような条件は、集団において細胞の増殖、増大、活性化、および/または生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、および/または遺伝子操作のために、例えば組換え抗原受容体の導入のために細胞をプライミングするように設計されたものを含む。
【0428】
条件は、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、薬剤、例えば栄養分、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するよう設計された任意の他の薬剤の1種または複数を含み得る。
【0429】
一部の実施形態では、刺激条件または薬剤は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することが可能な、1種または複数の薬剤、例えば、リガンドを含む。一部の態様では、薬剤は、T細胞においてTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動させるか、またはそれを開始させる。そのような薬剤は、抗体、例えばTCRに特異的なもの、例えば抗CD3を含み得る。一部の実施形態では、刺激条件は、共刺激受容体を刺激することが可能な1種または複数の薬剤、例えばリガンド、例えば抗CD28を含む。一部の実施形態では、そのような薬剤および/またはリガンドは、ビーズ等の固体支持体、および/または1種または複数のサイトカインに結合されてもよい。適宜、増大方法は、抗CD3および/または抗CD28抗体を培養培地に添加する(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)工程をさらに含み得る。一部の実施形態では、刺激剤として、IL-2、IL-15および/またはIL-7が挙げられる。一部の態様では、IL-2濃度は、少なくとも約10ユニット/mLである。
【0430】
一部の態様では、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al., J Immunother. 35(9): 651-660(2012)、Terakura et al., Blood.1:72-82(2012)、および/またはWang et al., J Immunother. 35(9):689-701(2012)に記載されるもの等の技法に従って実行される。
【0431】
一部の実施形態では、T細胞は、培養開始組成物にフィーダー細胞、例えば非分裂性末梢血単核細胞(PBMC)を添加すること(例えば、得られた細胞集団が、増大されるべき初期集団における各Tリンパ球に関して少なくとも約5、10、20、もしくは40個以上のPBMCフィーダー細胞を含有するように)と;培養物をインキュベートすること(例えば、T細胞の数を増大するのに十分な時間)とによって増大される。一部の態様では、非分裂性フィーダー細胞は、ガンマ線を照射したPBMCフィーダー細胞を含み得る。一部の実施形態では、PBMCは、細胞分裂を防止するように約3000~3600radの範囲のガンマ線で照射される。一部の態様では、フィーダー細胞は、T細胞の集団の添加の前に培養培地に添加される。
【0432】
一部の実施形態では、刺激条件は、ヒトTリンパ球の成長に適した温度、例えば少なくとも約セ氏25度、一般的には少なくとも約セ氏30度、および一般的にはセ氏37度または約セ氏37度を含む。適宜、インキュベーションは、フィーダー細胞として非分裂性EBVで形質転換したリンパ芽球様細胞(LCL)を添加することをさらに含み得る。LCLは、約6000~10,000radの範囲のガンマ線で照射され得る。LCLフィーダー細胞は、一部の態様では、任意の適切な量で、例えば、LCLフィーダー細胞対初期Tリンパ球の比が少なくとも約10:1で提供される。
【0433】
ある実施形態では、抗原特異的なT細胞、例えば抗原特異的なCD4+および/またはCD8+T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的なTリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、抗原特異的なT細胞株またはクローンは、T細胞を感染対象から単離することと、細胞をインビトロで同じ抗原で刺激することとによってサイトメガロウイルス抗原に対して生成され得る。
【0434】
C.核酸、ベクターおよび遺伝子操作に関する方法
ある実施形態では、細胞、例えば、T細胞は、組換え受容体を発現するように遺伝子操作されている。一部の実施形態では、操作は、組換え受容体をコードする核酸分子を導入することによって実行される。また、組換え受容体をコードする核酸分子、およびそのような核酸および/または核酸分子を含有するベクターまたは構築物が提供される。
【0435】
一部の事例では、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含有する。一部の態様では、シグナル配列は、天然ポリペプチドに由来するシグナルペプチドをコードし得る。他の態様では、シグナル配列は、異種または非天然シグナルペプチドをコードし得る。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、膜貫通タンパク質に由来する。一部の例では、シグナルペプチドは、CD8a、CD33、またはIgGに由来する。シグナルペプチドの非限定的な例示的な例として、例えば、配列番号153に記載されるCD33シグナルペプチド、配列番号154に記載されるCD8aシグナルペプチド、もしくは配列番号39に記載されるシグナルペプチドまたはそれらの改変変異体が挙げられる。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、受託番号NM_001768に記載されるCD8aシグナルペプチドである。
【0436】
一部の実施形態では、組換え受容体をコードする核酸分子は、組換え受容体の発現を制御するように作動可能に連結した少なくとも1つのプロモーターを含有する。一部の例では、核酸分子は、組換え受容体の発現を制御するように作動可能に連結した2種、3種、以上のプロモーターを含有する。一部の実施形態では、核酸分子は、必要に応じて核酸分子が導入されるべき宿主(例えば、細菌、真菌、植物、または動物)の型に特異的であり、核酸分子がDNAまたはRNAベースであるかどうかを考慮して調節性配列、例えば転写および翻訳の開始および終止コドンを含有することができる。一部の実施形態では、核酸分子は、調節性/制御エレメント、例えば、プロモーター、エンハンサー、イントロン、ポリアデニル化シグナル、コザックコンセンサス配列、およびスプライスアクセプターまたはドナーを含有し得る。一部の実施形態では、核酸分子は、組換え受容体および/または1種または複数のさらなるポリペプチド(複数可)をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した非天然プロモーターを含有し得る。一部の実施形態では、プロモーターは、RNA pol I、pol IIまたはpol IIIプロモーターの中から選択される。一部の実施形態では、プロモーターは、RNAポリメラーゼII(例えば、CMV、SV40初期領域またはアデノウイルス主要後期プロモーター)によって認識される。別の実施形態では、プロモーターは、RNAポリメラーゼIII(例えば、U6またはH1プロモーター)によって認識される。一部の実施形態では、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えばサイトメガロ(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長い末端配列に見い出されるプロモーターであり得る。他の公知のプロモーターもまた意図される。
【0437】
一部の実施形態では、プロモーターは、構成的プロモーターであるか、またはそれを含む。例示的な構成的プロモーターとして、例えば、サルウイルス40初期プロモーター(SV40)、サイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)、ヒトユビキチンCプロモーター(UBC)、ヒト伸長因子1αプロモーター(EF1α)、マウスホスホグリセリン酸キナーゼIプロモーター(PGK)、およびCMV初期エンハンサーとカップリングしたニワトリβ-アクチンプロモーター(CAGG)が挙げられる。一部の実施形態では、構成的プロモーターは、合成または改変プロモーターである。一部の実施形態では、プロモーターは、MNDプロモーター、骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーとともに改変MoMuLV LTRのU3領域を含有する合成プロモーターであるか、またはそれを含む(Challita et al.(1995) J. Virol. 69(2):748-755を参照)。一部の実施形態では、プロモーターは、組織特異的プロモーターである。別の実施形態では、プロモーターは、ウイルスプロモーターである。別の実施形態では、プロモーターは、非ウイルスプロモーターである。
【0438】
別の実施形態では、プロモーターは、調節プロモーター(例えば、誘導性プロモーター)である。一部の実施形態では、プロモーターは、誘導性プロモーターまたは抑制プロモーターである。一部の実施形態では、プロモーターは、Lacオペレーター配列、テトラサイクリンオペレーター配列、ガラクトースオペレーター配列またはドキシサイクリンオペレーター配列を含むか、あるいはそれらのアナログであるか、あるいはLacリプレッサーもしくはテトラサイクリンリプレッサー、またはそれらのアナログによって結合されるか、またはそれによって認識されることが可能である。一部の実施形態では、核酸分子は、調節性エレメント、例えばプロモーターを含まない。
【0439】
一部の実施形態では、組換え受容体、例えばCARまたは他の抗原受容体をコードする核酸分子は、マーカーをコードする核酸配列をさらに含み、および/またはCARもしくは他の抗原受容体を発現する細胞は、マーカー、例えば、サロゲートマーカー、例えば受容体、例えば細胞表面受容体の切断形態、例えば切断型EGFR(tEGFR)を発現するための細胞の形質導入または操作を確認するのに使用され得るサロゲートマーカー、例えば細胞表面マーカーを含む。一部の実施形態では、1種または複数のマーカー(複数可)は、形質導入マーカー、サロゲートマーカーおよび/または選択マーカーである。
【0440】
一部の実施形態では、マーカーは、形質導入マーカーまたはサロゲートマーカーである。形質導入マーカーまたはサロゲートマーカーは、核酸分子、例えば組換え受容体をコードする核酸分子が導入された細胞を検出するのに使用され得る。一部の実施形態では、形質導入マーカーは、細胞の改変を示し得るか、またはそれを確認し得る。一部の実施形態では、サロゲートマーカーは、組換え受容体、例えばCARとともに細胞表面上で共発現されるよう作製されたタンパク質である。特定の実施形態では、そのようなサロゲートマーカーは、ほとんどまたは全く活性を持たないよう改変された表面タンパク質である。ある特定の実施形態では、サロゲートマーカーは、組換え受容体をコードする同じ核酸分子上でコードされる。一部の実施形態では、組換え受容体をコードする核酸配列は、内部リボソーム進入部位(IRES)、または自己切断性ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチド、例えばT2A、P2A、E2AまたはF2A等の2A配列をコードする核酸によって分離されてもよい、マーカーをコードする核酸配列に作動可能に連結されている。外因性マーカー遺伝子は、一部の事例では、細胞の検出または選択を可能にするよう、また一部の事例では細胞自殺を促進するよう操作された細胞と関連して利用され得る。
【0441】
例示的なサロゲートマーカーとして、細胞表面ポリペプチドの切断形態、例えば非機能的であり、細胞表面ポリペプチドの、シグナルもしくはその完全長形態によって通常形質導入されるシグナルを形質導入しないか、または形質導入することが不可能であり、および/または内部移行しないか、もしくは内部移行することが不可能である切断形態が挙げられ得る。例示的な切断型細胞表面ポリペプチドとして、増殖因子または他の受容体の切断形態、例えば、切断型ヒト上皮増殖因子受容体2(tHER2)、切断型上皮増殖因子受容体(tEGFR、配列番号7または166に記載される例示的なtEGFR配列)もしくは前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはそれらの改変形態が挙げられる。tEGFRは、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗EGFR抗体または結合性分子によって認識されるエピトープを含有してもよく、それらはtEGFR構築物で操作された細胞およびコードされた外因性タンパク質を同定または選択するのに、および/またはコードされた外因性タンパク質を発現する細胞を排除もしくは分離するのに使用され得る。米国特許第8,802,374号およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April; 34(4): 430-434を参照されたい。一部の態様では、マーカー、例えばサロゲートマーカーは、CD34、NGFR、CD19または切断型CD19の全てまたは一部(例えば、切断形態)、例えば、切断型非ヒトCD19、または上皮増殖因子受容体(例えば、tEGFR)を含む。一部の実施形態では、マーカーは、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えばスーパーフォールドGFP(sfGFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えばtdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRedまたはDsRed2、シアン蛍光タンパク質(CFP)、青緑色蛍光タンパク質(BFP)、高感度青色蛍光タンパク質(EBFP)、および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびに蛍光タンパク質の種変異体、単量体変異体、およびコドン最適化および/または増強変異体を含む、それらの変異体であるか、またはそれらを含む。一部の実施形態では、マーカーは、ルシフェラーゼ、大腸菌(E. coli)由来のlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌された胚アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)等の酵素であるか、またはそれらを含む。例示的な発光受容体遺伝子として、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)またはそれらの変異体が挙げられる。
【0442】
一部の実施形態では、マーカーは、選択マーカーである。一部の実施形態では、選択マーカーは、外因性薬剤もしくは薬物に対して耐性を付与するポリペプチドであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、選択マーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。一部の実施形態では、選択マーカーは、哺乳動物細胞に抗生物質耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子である。一部の実施形態では、選択マーカーは、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジェネティシン耐性遺伝子もしくはゼオシン耐性遺伝子またはそれらの改変形態であるか、またはそれらを含む。
【0443】
一部の態様では、マーカー、例えばサロゲートマーカーは、CD34、NGFR、または上皮増殖因子受容体(例えば、tFGFR)の全てまたは一部(例えば、切断形態)を含む。一部の実施形態では、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えば切断可能なリンカー配列、例えばT2Aをコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されている。例えば、マーカー、および適宜リンカー配列は、PCT国際公開WO2014031687号において開示されるいずれかであり得る。例えば、マーカーは、リンカー配列、例えばT2A切断可能リンカー配列に連結されてもよい切断型EGFR(tEGFR)であり得る。切断型EGFR(例えば、tEGFR)に関する例示的なポリペプチドは、配列番号7もしくは166に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号7もしくは166に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。例示的なT2Aリンカー配列は、配列番号6もしくは167に記載されるアミノ酸の配列、または配列番号6もしくは167に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0444】
一部の実施形態では、このようなCAR構築物をコードする核酸分子は、T2Aリボソームスキップエレメントおよび/またはtEGFR配列を、例えば、CARをコードする配列の下流にコードする配列をさらに含む。一部の実施形態では、配列は、配列番号6もしくは167に記載されるT2Aリボソームスキップエレメント、または配列番号6もしくは167に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列をコードする。一部の実施形態では、抗原受容体(例えば、CAR)を発現するT細胞はまた、続いてそのような細胞を検出するためにマーカーとして使用され得る非免疫原性選択エピトープとしての切断型EGFR(EGFRt)を発現するように(例えば、同じ構築物由来の2つのタンパク質を発現するようにT2Aリボソームスイッチによって分離されるCARおよびEGFRtをコードする構築物の導入によって)生成され得る(例えば、米国特許第8,802,374号を参照されたい)。一部の実施形態では、配列は、配列番号7もしくは166に記載されるtEGFR配列、または配列番号7もしくは166に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列をコードする。
【0445】
一部の実施形態では、単一プロモーターは、単一オープンリーディングフレーム(ORF)において、自己切断ペプチド(例えば、2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えば、フューリン)をコードする配列によって互いに分離される2つまたは3つの遺伝子(例えば、代謝経路をモジュレートするのに関与する分子をコードし、また組換え受容体をコードする)を含有するRNAの発現を誘導し得る。したがって、ORFは、翻訳中(2Aの場合)または翻訳後のいずれかで、個々のタンパク質にプロセシングされる単一ポリペプチドをコードする。一部の事例では、T2A等のペプチドは、リボソームに、2AエレメントのC末端でのペプチド結合の合成をスキップさせることができ(リボソームスキッピング)、2A配列の末端と、下流にある次のペプチドとの間の分離を引き起こす(例えば、de Felipe. Genetic Vaccines and Ther. 2:13(2004) and deFelipe et al. Traffic 5:616-626(2004)を参照)。多くの2Aエレメントが当技術分野で公知である。本明細書に開示される方法および核酸において使用することができる2A配列の例として、限定されずに、米国特許出願公開第20070116690号に記載されるような口蹄疫ウイルス由来の2A配列(F2A、例えば、配列番号172)、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A、例えば配列番号170)、ゾセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A、例えば配列番号6または167)、およびブタテッショウウイルス-1(P2A、例えば配列番号168または169)が挙げられる。
【0446】
一部の実施形態では、マーカーは、T細胞上では天然で見い出されないか、もしくはT細胞の表面上では天然で見い出されない分子、例えば細胞表面タンパク質、またはその一部である。一部の実施形態では、分子は、非自己分子、非自己タンパク質、即ち、細胞が養子移入されるであろう宿主の免疫系によって「自己」と認識されないものである。
【0447】
一部の態様では、マーカーは、治療的機能を果たさず、および/または例えば首尾よく操作された細胞を選択するために、遺伝子操作用のマーカーとして使用される以外の効果を生じない。他の実施形態では、マーカーは、治療的分子または他の場合ではいくつかの所望の効果を発揮する分子、例えば、インビボで細胞が遭遇されるリガンド、例えば養子移入およびリガンドとの遭遇時に細胞の応答を増強し、および/または弱める共刺激性または免疫チェックポイント分子であってもよい。
【0448】
細胞における組換え受容体をコードする核酸分子の導入は、多数の公知のベクターのいずれかを使用して実行され得る。そのようなベクターとして、レンチウイルスおよびガンマレトロウイルス系、ならびにPiggyBacまたはSleeping Beautyベースの遺伝子移入系等のトランスポゾンベースの系を含むウイルス系および非ウイルス系が挙げられる。例示的な方法として、ウイルス、例えばレトロウイルスまたはレンチウイルス形質導入、トランスポゾン、および電気穿孔を含む、受容体をコードする核酸の移入方法が挙げられる。
【0449】
一部の実施形態では、遺伝子移入は、まず細胞を、例えばそれを、サイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定される場合の増殖、生存、および/または活性化等の応答を誘導する刺激と組み合わせることによって刺激すること、続く活性化された細胞の形質導入、および臨床用途に十分な数への培養での増大によって遂行される。
【0450】
一部の状況では、刺激性因子(例えば、リンホカインまたはサイトカイン)の過剰発現は、対象にとって毒性であり得る。したがって、一部の状況では、操作された細胞は、例えば養子免疫療法を投与した際に、細胞がインビボでのネガティブ選択を受けやすくさせる遺伝子セグメントを含む。例えば、一部の態様では、細胞は、それらが投与される患者のインビボでの状態の変化の結果としてそれらが排除され得るように操作される。ネガティブ選択可能な表現型は、投与される薬剤、例えば化合物に対して感度を付与する遺伝子の挿入に起因し得る。ネガティブ選択可能な遺伝子として、ガンシクロビル感度を付与する単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ(HSV-I TK)遺伝子(Wigler et al., Cell 2:223, 1977);細胞ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子、細胞アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子、細菌シトシンデアミナーゼ(Mullen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:33(1992))が挙げられる。
【0451】
一部の実施形態では、組換え核酸は、例えばサルウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクター等の組換え感染性ウイルス粒子を使用して、細胞へ移入される。一部の実施形態では、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマレトロウイルスベクターを使用してT細胞へ移入される(例えば、Koste et al.(2014) Gene Therapy 2014 Apr 3. doi: 10.1038/gt.2014.25;Carlens et al.(2000) Exp Hematol 28(10): 1137-46;Alonso-Camino et al.(2013) Mol Ther Nucl Acids 2, e93;Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11): 550-557を参照)。
【0452】
一部の実施形態では、レトロウイルスベクターは、長い反復配列(LTR)、例えばモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するレトロウイルスベクターを有する。ほとんどのレトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスベクターに由来する。一部の実施形態では、レトロウイルスは、任意の鳥類または哺乳動物細胞供給源に由来するものを含む。レトロウイルスベクターは通常、アンホトロピックであり、それらがヒトを含む数種の宿主細胞を感染することが可能であることを意味する。一実施形態では、発現されるべき遺伝子は、レトロウイルスgag、polおよび/またはenv配列を置き換える。多数の説明的なレトロウイルス系が記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;同第6,207,453号;同第5,219,740号;Miller and Rosman (1989) BioTechniques 7:980-990;Miller, A.D.(1990) Human Gene Therapy 1:5-14;Scarpa et al.(1991) Virology 180:849-852;Burns et al.(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037;およびBoris-Lawrie and Temin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109)。
【0453】
レンチウイルス形質導入の方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Wang et al.(2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;Cooper et al.(2003) Blood. 101:1637-1644;Verhoeyen et al.(2009) Methods Mol Biol. 506: 97-114;およびCavalieri et al. (2003) Blood. 102(2): 497-505に記載されている。
【0454】
一部の態様では、組換え核酸は、電気穿孔を介してT細胞に移入される(例えば、Chicaybam et al,(2013) PLoS ONE 8(3): e60298およびVan Tedeloo et al.(2000) Gene Therapy 7(16): 1431-1437を参照)。一部の実施形態では、組換え核酸は、転位を介してT細胞に移入される(例えば、Manuri et al.(2010) Hum Gene Ther 21(4): 427-437;Sharma et al.(2013) Molec Ther Nucl Acids 2, e74;およびHuang et al.(2009) Methods Mol Biol 506: 115-126を参照)。免疫細胞において遺伝子材料を導入および発現する他の方法として、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York. N.Y.に記載されている)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介性トランスフェクション;タングステン粒子促進微粒子衝撃(Johnston, Nature, 346: 776-777 (1990));およびリン酸ストロンチウムDNA共沈殿(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034 (1987))が挙げられる。
【0455】
組換え産物をコードする核酸の移入のための他のアプローチおよびベクターは、例えば、国際特許出願公開WO2014055668号、および米国特許第7,446,190号に記載されるものである。
【0456】
一部の実施形態では、細胞、例えばT細胞は、増大中または後のいずれかに、例えばT細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)でトランスフェクトされ得る。所望の受容体の遺伝子の導入のためのこのトランスフェクションは、例えば、任意の適切なレトロウイルスベクターを用いて実行され得る。次に、遺伝子改変された細胞集団は、初期刺激(例えば、CD3/CD28刺激)から解放され、続いて例えばデノボで導入された受容体を介して第2の型の刺激で刺激され得る。この第2の型の刺激は、ペプチド/MHC分子、遺伝子導入された受容体の同族(架橋)リガンド(例えば、CARの天然リガンド)または新たな受容体のフレームワーク内で直接結合する(例えば、受容体内の定常領域を認識することによって)任意のリガンド(例えば、抗体)の形態の抗原刺激を含み得る。例えば、Cheadle et al, "Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy" Methods Mol Biol. 2012; 907:645-66またはBarrett et al., Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol. 65: 333-347 (2014)を参照されたい。
【0457】
一部の事例では、細胞、例えばT細胞が活性化されることを求めないベクターが使用され得る。一部のそのような場合では、細胞は、活性化の前に選択および/または形質導入され得る。したがって、細胞は、細胞の培養の前に、またはそれに続いて、一部の事例では、培養と同時に、または培養の少なくとも一部中に操作され得る。
【0458】
一部の態様では、細胞はさらに、サイトカインまたは他の因子の発現を促進するように操作される。さらなる核酸、例えば、導入用の遺伝子の中には、例えば移入された細胞の生存度および/または機能を促進することによって、療法の有効性を改善するもの;例えばインビボでの生存または局在化を評価するための細胞の選択および/または評価用の遺伝子マーカーを提供する遺伝子;例えば、Lupton S. D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6(1991);およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338(1992)によって記載されるように細胞をネガティブ選択を受けやすくさせることによって安全性を改善する遺伝子がある;同様に、ドミナントポジティブ選択可能マーカーとネガティブ選択可能マーカーとの融合に由来する二官能性選択可能融合遺伝子の使用について記載するLuptonらによるPCT/US91/08442号およびPCT/US94/05601号の刊行物も参照されたい。例えば、Riddellら、米国特許第6,040,177号の欄14~17を参照されたい。
【0459】
V.組成物および製剤
医薬組成物および製剤を含む、BCMA組換え受容体、および操作された細胞を含む組成物も提供される。このような組成物の中には、提供される抗BCMA組換え受容体(例えばCAR)を発現する複数の操作された細胞等の操作された細胞を含むものがある。一部の態様では、提供される方法および使用、例えば治療方法および使用において使用するための組成物、例えば細胞組成物も提供される。一部の実施形態では、提供される組成物は、疾患または障害、例えば、多発性骨髄腫を有する対象に投与された場合に、ある特定の治療の転帰、例えば、応答または安全性の結果を達成することが可能である。
【0460】
BCMA結合組換えキメラ抗原受容体または前記受容体を発現する操作された細胞、前記受容体を発現する複数の操作された細胞、および/または併用処置または療法のための追加の薬剤を含む医薬製剤が提供される。医薬組成物および製剤は、一般に、1種または複数の任意の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。一部の実施形態では、組成物は少なくとも1種の追加の治療剤を含む。
【0461】
「医薬製剤」という用語は、中に含有される有効成分の生物活性が有効になるのを可能にするような形態で存在し、また製剤が投与される対象にとって許容されないほど毒性であるさらなる構成成分を含有しない調製物を指す。
【0462】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒性である有効成分以外の医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体として、バッファー、賦形剤、安定剤、または防腐剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0463】
一部の態様では、担体の選択は、一部には、特定の細胞、結合分子、および/もしくは抗体によっておよび/または投与の方法によって決定される。したがって、種々の適した製剤が存在する。例えば、医薬組成物は、保存料を含有することができる。適した保存料は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを含むことができる。一部の態様では、2種以上の保存料の混合物が使用される。保存料またはその混合物は典型的に、総組成物の重量で約0.0001%~約2%の量で存在する。担体は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)によって記載されている。薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投薬量および濃度ではレシピエントにとって無毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む単糖、二糖および他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性物質を含むがこれらに限定されない。
【0464】
緩衝剤が、一部の態様では、組成物中に含まれる。適した緩衝剤は、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩を含む。一部の態様では、2種以上の緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は典型的に、総組成物の重量で約0.001%~約4%の量で存在する。投与可能な(administrable)医薬組成物を調製するための方法が知られている。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)に、より詳細に記載されている。
【0465】
本明細書に記載の抗体の製剤には、凍結乾燥製剤および水溶液が含まれ得る。
【0466】
製剤または組成物は、結合分子または細胞により処置されている特定の適応症、疾患または状態に有用な2種以上の有効成分、好ましくは結合分子または細胞に対して相補的な活性を有するものを含有することもでき、この場合、それぞれの活性は、互いに有害に影響しない。そのような活性成分は、組合せにおいて、意図される目的に有効な量で適切に存在する。よって、一部の実施形態では、医薬組成物は、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキセート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン等、他の薬学的に活性な薬剤または薬物をさらに含む。一部の実施形態では、細胞または抗体は、塩、例えば薬学的に許容される塩の形態で投与される。適した薬学的に許容される酸付加塩は、鉱酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸、ならびに有機酸、例えば、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸およびアリールスルホン酸、例えば、p-トルエンスルホン酸に由来する酸付加塩を含む。
【0467】
活性成分は、マイクロカプセル中、コロイド薬物デリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)中またはマクロエマルション中に捕捉することができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、シクロデキストリン封入複合体等の封入複合体として、またはリポソームとして製剤化される。リポソームは、特定の組織に宿主細胞(例えば、T-細胞またはNK細胞)を標的化するために機能することができる。例えば、Szoka et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9: 467 (1980)ならびに米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号および同第5,019,369号に記載されている方法等、リポソームを調製するために多くの方法が利用できる。
【0468】
医薬組成物は、一部の態様では、処置されるべき部位の感作の前にかつそれを引き起こすのに十分な時間で組成物のデリバリーが起こるように、時限放出(time-released)、遅延放出および持続放出デリバリーシステムを用いることができる。多くの型の放出デリバリーシステムが利用でき、知られている。そのようなシステムは、組成物の反復投与を回避し、これにより、対象および医師にとっての利便性を増加させることができる。
【0469】
医薬組成物は、一部の実施形態では、治療有効または予防有効量等、疾患または状態を処置または防止するのに有効な量で結合分子および/または細胞を含有する。治療または予防有効性は、一部の実施形態では、処置された対象の定期的評価によってモニターされる。数日間またはそれよりも長い期間にわたる反復投与のために、状態に応じて、疾患症状の所望の抑制が起こるまで、処置は反復される。しかし、他の投薬量レジメンが有用となる場合があり、これを決定することができる。所望の投薬量は、組成物の単一ボーラス投与によって、組成物の複数ボーラス投与によってまたは組成物の継続注入投与によって送達することができる。
【0470】
ある特定の実施形態では、結合分子、例えば、CARを含有する遺伝子操作された細胞の文脈において、対象は、100万個またはその概数~約1000億個またはその概数の範囲で、例えば、100万個またはその概数~約500億個またはその概数等(例えば、500万個もしくはその概数、2,500万個もしくはその概数、5,000万個もしくはその概数、5億個もしくはその概数、10億個もしくはその概数、50億個もしくはその概数、200億個もしくはその概数、300億個もしくはその概数、400億個もしくはその概数、または前述の値のうちいずれか2つによって定義される範囲)、例えば、1,000万個またはその概数~約1,000億個またはその概数(例えば、2,000万個もしくはその概数、3,000万個もしくはその概数、4,000万個もしくはその概数、6,000万個もしくはその概数、7,000個もしくはその概数、8,000万個もしくはその概数、9,000万個もしくはその概数、100億個もしくはその概数、250億個もしくはその概数、500億個もしくはその概数、750億個もしくはその概数、900億個もしくはその概数、または前述の値のうちいずれか2つによって定義される範囲)、および一部の事例では、1億個またはその概数~500億個またはその概数(例えば、1億個またはその概数、1億2千万個またはその概数、1億5千万個またはその概数、2億5千万個またはその概数、3億個またはその概数、3億5千万個またはその概数、4億5千万個またはその概数、6億5千万個またはその概数、8億個またはその概数、9億個またはその概数、12億個またはその概数、30億個またはその概数、300億個またはその概数、450億個またはその概数)、またはこれらの範囲の間のいずれかの値、および/または対象の体重1kg当たりのそのような細胞数である。一部の態様では、結合分子、例えばCARを発現する遺伝子操作された細胞の文脈において、組成物は、細胞療法の用量に対する投与のための細胞数を少なくとも含有することができ、例えば、本明細書に記載の投与のための細胞数の概数または少なくともその数(例えば、セクションII.C.における)を含有することができる。
【0471】
細胞は、標準投与技法、製剤および/またはデバイスを使用して投与することができる。組成物の貯蔵および投与のために、シリンジおよびバイアル等の製剤およびデバイスが提供される。細胞の投与は、自家または異種であってもよい。例えば、免疫応答性細胞または前駆体は、ある対象から得ることができ、同じ対象または異なる適合性対象に投与される。末梢血由来免疫応答性細胞またはその後代(例えば、インビボ、エクスビボまたはインビトロ由来)は、カテーテル投与を含む局在化注射、全身性注射、局在化注射、静脈内注射または非経口投与により投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子改変された免疫応答性細胞を含有する医薬組成物)を投与する場合、これは一般に、単位投薬量注射可能形態(溶液、懸濁液、エマルション)で製剤化されるであろう。
【0472】
製剤は、経口、静脈内、腹腔内、皮下、肺、経皮、筋肉内、鼻腔内、頬側、舌下または坐薬投与のための製剤を含む。一部の実施形態では、細胞集団は、非経口投与される。用語「非経口」は、本明細書で使用される場合、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、腟、頭蓋内、胸腔内、および腹腔内投与を含む。一部の実施形態では、細胞集団は、静脈内、腹腔内または皮下注射による末梢全身性デリバリーを使用して対象に投与される。
【0473】
組成物は、一部の実施形態では、一部の態様では、選択されたpHに緩衝され得る、滅菌液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、エマルション、分散または粘稠性組成物として提供される。液体調製物は通常、ゲル、他の粘稠性組成物および固体組成物よりも調製が容易である。その上、液体組成物は若干、特に注射による投与がより簡便である。粘稠性組成物は、他方では、適切な粘性範囲内で製剤化して、特異的な組織とのより長い接触期間を提供することができる。液体または粘稠性組成物は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびこれらの適した混合物を含有する溶媒または分散媒となり得る担体を含むことができる。
【0474】
滅菌注射可能溶液は、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースその他等の適した担体、希釈剤または賦形剤との混合物等の溶媒中に結合分子を取り込むことにより調製することができる。組成物は、凍結乾燥されていてもよい。組成物は、所望の投与経路および調製物に応じて、湿潤、分散または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化または粘性増強添加物、保存料、調味剤、着色その他等の補助的物質を含有することができる。標準テキストを、一部の態様では、適した調製物を調製するために参考にすることができる。
【0475】
抗菌保存料、抗酸化剤、キレート剤およびバッファーを含む、組成物の安定性および滅菌性を増強する様々な添加物を添加することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗細菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸その他によって確実となり得る。注射可能医薬品形態の吸収延長は、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0476】
持続放出調製物を調製することができる。持続放出調製物の適した例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを含み、このマトリックスは、造形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。
【0477】
インビボ投与のために使用されるべき製剤は一般に、滅菌されている。滅菌性は、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成することができる。
【0478】
VI.製造品およびキット
提供される組換え受容体(例えば、CAR)、遺伝子組換え細胞、および/またはそれらを含む組成物を含む製造品またはキットも提供される。製造品は、容器および容器上もしくは容器と関連付けられるラベルまたは添付文書を含み得る。適切な容器として、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、試験管、IV溶液バッグ等が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチック等の様々な材料から形成され得る。一部の実施形態では、容器は、滅菌アクセスポートを有する。例示的な容器として、静脈内溶液バッグ、バイアル(注射用の針によって突き刺すことが可能な栓を含むバイアルを含む)が挙げられる。製造品またはキットは、組成物が本明細書に記載の状態(例えば、多発性骨髄腫)等の特定の状態を処置するために使用され得ることを示す添付文書をさらに含み得る。代替的に、または追加的に、製造品またはキットは、薬学的に許容される緩衝剤を含む別の容器または同じ容器をさらに含み得る。製造品は、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、および/またはシリンジ等の他の材料をさらに含み得る。
【0479】
ラベルまたは添付文書は、組成物が、個体におけるBCMA発現またはBCMA関連疾患、障害または状態を処置するのに使用されることを示し得る。ラベルまたは添付文書は、組成物が再発したおよび不応性の多発性骨髄腫等の多発性骨髄腫を処置するために使用されることを示し得る。容器上または容器と関連付けられるラベルまたは添付文書は、製剤の再構成および/または使用に関する指示を示し得る。ラベルまたは添付文書は、製剤が、個体における再発したおよび不応性の多発性骨髄腫等の多発性骨髄腫を処置または防止するための皮下投与、静脈内投与、または他の投与様式に有用であるか、またはそれが意図されていることをさらに示し得る。ラベルまたは添付文書は、製剤が、再発したおよび不応性の多発性骨髄腫を含む多発性骨髄腫を処置または防止するための皮下投与、静脈内投与、または他の投与様式に有用であるか、またはそれが意図されていることをさらに示し得る。
【0480】
容器は、一部の実施形態では、それ単独で存在するか、あるいは多発性骨髄腫を処置、防止および/または診断するのに有効な別の組成物と組み合わせられる組成物を保持する。製造品またはキットは、(a)その中に組成物が含有された第1の容器(即ち、第1の医薬)であって、組成物が、抗体(例えば、抗BCMA抗体)またはその抗原結合性断片または組換え受容体(例えば、CAR)を含む、第1の容器;および(b)その中に組成物が含有された第2の容器(即ち、第2の医薬)であって、組成物が、さらなる薬剤、例えば、細胞傷害性またはその他の治療剤を含む、第2の容器を含み、対象を有効量の第2の医薬で処置するためのラベルまたは添付文書をさらに含む。
【0481】
対象において得られた試料中の血清sBCMAのレベルおよび/またはIgGの存在を決定するための1種または複数の試薬を含有する製造品またはキットも提供される。一部の実施形態では、キットは、試料中の血清sBCMAのレベルおよび/またはIgGの存在を決定するために1種または複数の試薬を使用するための説明書をさらに含む。
【0482】
VII.定義
本明細書で使用される場合、抗体の「対応する形態」への言及は、2つの抗体の特性または活性を比較する場合、抗体の同じ形態を使用して特性を比較することを意味する。例えば、ある抗体が第1の抗体の対応する形態の活性と比較してより高い活性を有すると記載されている場合、その抗体のscFvのような特定の形態が第1の抗体のscFv形態と比較してより高い活性を有することを意味する。
【0483】
「ヒトBCMA」とは、ヒト対象において見出され、例えば配列番号215を有するBCMAを指す。
【0484】
本明細書において「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、ネイティブ配列Fc領域および変異体Fc領域を含む。一実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで伸長する。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在してもしなくてもよい。本明細書において特に指定しない限り、Fc領域または定数領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されているEUインデックスとも呼ばれるEUナンバリングシステムに従う。
【0485】
「全長抗体」、「インタクト抗体」、および「全抗体」という用語は、ネイティブ抗体構造と実質的に類似した構造を有する抗体、または本明細書で定義するFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すために本明細書で互換的に使用される。
【0486】
「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から分離された抗体である。一部の実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点集束(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって決定されるように、95%または99%を超える純度まで精製される。抗体の純度を評価するための方法については、例えば、Flatman et al., J. Chromatogr. B 848:79-87 (2007)を参照されたい。
【0487】
「単離された」核酸とは、その自然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸には、通常は核酸分子を含有する細胞内に含有される核酸分子が含まれるが、核酸分子は染色体外に、または本来の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0488】
「抗BCMA抗体をコードする単離された核酸」とは、抗体の重鎖および軽鎖(またはその断片)をコードする1種または複数の核酸分子を指し、単一ベクターまたは別々のベクター中にそのような核酸分子を含み、そのような核酸分子は宿主細胞中の1つまたは複数の位置に存在する。
【0489】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」および「宿主細胞培養物」という用語は、言い換え可能に使用され、そのような細胞の子孫を含む外因性核酸が導入された細胞を指す。宿主細胞は、「形質転換体」および「形質転換細胞」を含み、それらは、継代数に関係なく、初代形質転換細胞およびそれに由来する子孫を含む。子孫は、親細胞に対して、核酸内容が完全に一致していなくてもよく、突然変異を含有してもよい。元の形質転換細胞に関してスクリーニングもしくは選択される場合に同じ機能または生物活性を有する突然変異子孫は、本発明に含まれる。
【0490】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために互換的に使用され、最小の長さに限定されない。抗体および抗体鎖ならびに他のペプチド、例えばリンカーおよびBCMA結合ペプチドを含むポリペプチドは、天然および/または非天然アミノ酸残基を含むアミノ酸残基を含み得る。用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、リン酸化等も含む。一部の態様では、ポリペプチドは、タンパク質が所望の活性を維持する限り、ネイティブまたは天然配列に関して修飾を含有してもよい。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発によるような意図的なものであってもよく、タンパク質を産生する宿主の突然変異またはPCR増幅によるエラーのような偶発的なものであってもよい。
【0491】
本明細書で使用される場合、アミノ酸配列(参照ポリペプチド配列)に関して使用される場合の「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」および「パーセント同一性」および「配列同一性」は、配列をアラインし、必要に応じてギャップを導入して最大パーセント配列同一性を達成し、保存的置換を配列同一性の一部として考慮しない後の、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列(例えば、対象抗体または断片)中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の技術の範囲内にある様々な方法で達成され得る。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要なアルゴリズムを含む、配列をアラインするための適切なパラメーターを決定することができる。
【0492】
アミノ酸置換は、ポリペプチド中の1つのアミノ酸を、別のアミノ酸で置き換えることを含み得る。アミノ酸置換は、目的の結合性分子、例えば抗体に導入されてもよく、産物は、所望の活性、例えば抗原結合の保持/改善、または免疫原性の減少に関してスクリーニングされ得る。
【0493】
アミノ酸は一般に、次の共通側鎖特性に従ってグループ化することができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0494】
非保存的アミノ酸置換は、これらの種類の1つの成員を、別の種類で交換することを伴い得る。
【0495】
「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、ベクターが連結される別の核酸を伝播することが可能な核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクターならびにベクターが導入された宿主細胞のゲノムに取り込まれるベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結した核酸の発現を誘導することが可能である。そのようなベクターは、「発現ベクター」として本明細書で言及される。
【0496】
「添付文書」という用語は、市販の治療用製品のパッケージに慣例的に添付されている説明書で、そのような治療用製品の使用に関する適応症、用法、用量、投与、T細胞療法、禁忌および/または警告に関する情報が記載されているものを指す。
【0497】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他の状況を指示しない限り、複数形を含む。例えば、「a」または「an」は、「少なくとも1つ」または「1種または複数」を意味する。本明細書中に記載される態様、実施形態および変形は、態様、実施形態および変形「からなる」および/または「から本質的になる」ことを含むと理解されよう。
【0498】
本開示全体にわたって、特許請求される主題の各種態様は、範囲形式で提示される。範囲形式での説明は、単に利便性および簡潔さのためであると理解されるべきであり、特許請求される主題の範囲に対する融通の利かない限定と解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、考え得る部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値全てを具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間に介在する値それぞれ、およびその記載範囲における任意の他の記載値または介在値が特許請求される主題内に包含されることが理解されよう。これらのより小さな範囲の上限および下限は独立して、より小さな範囲に含まれてもよく、また記載範囲において任意の具体的に排除される限界を受けて、特許請求される主題内に包含される。記載範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を排除する範囲もまた、特許請求される主題に含まれる。このことは、範囲の幅にかかわらず適用される。
【0499】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、この技術分野で当業者に容易に知られている各々値に関する通常の誤差範囲を指す。本明細書中の「約」の値またはパラメーターについての言及は、それ自体がその値またはパラメーターを対象とする実施形態を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する説明は、「X」の説明を含む。
【0500】
本明細書で使用される場合、「組成物」は、2つ以上の、細胞を含む産物、物質、または化合物の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0501】
本明細書で使用される場合、細胞または細胞の集団が、特定のマーカーに関して「陽性である」という記載は、特定のマーカー、通常は表面マーカーの細胞上または細胞中での検出可能な存在を指す。表面マーカーに言及する場合、当該用語は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体を染色することと、前記抗体を検出することとによって検出される場合の表面発現マーカーの存在を指し、ここで、染色は、他の状況では同一条件下でアイソタイプ適合制御を用いて同じ手順を実行する、検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはマーカーに関して陽性であることが公知の細胞に関するレベルと実質的に同様のレベルで、および/またはマーカーに関して陰性であることが公知の細胞に関するレベルより実質的に高いレベルで、フローサイトメトリーによって検出可能である。
【0502】
本明細書で使用される場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーに関して「陰性である」という記載は、特定のマーカー、通常は表面マーカーの細胞上または細胞中での実質的に検出可能な存在の非存在を指す。表面マーカーに言及する場合、当該用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色することと、前記抗体を検出することとによって、検出される場合の表面発現の非存在を指し、ここで、染色は、他の状況では同一条件下でアイソタイプ適合性制御を用いて同じ手順を実行する、検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはマーカーに関して陽性であることが公知の細胞に関するレベルより実質的に低いレベルで、および/またはマーカーに関して陰性であることが公知の細胞に関するレベルと比較した場合に実質的に同様のレベルで、フローサイトメトリーによって、検出されない。
【0503】
別記されない限り、本明細書で使用される技術分野の用語、表記法ならびに他の技術および化学用語または用語法は全て、特許請求される主題が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有すると意図される。一部の事例では、一般に理解される意味を有する用語は、明瞭のために、および/またはすぐに参照するために本明細書で定義されており、本明細書中にそのような定義を包含することは、当技術分野で一般に理解されるものと実質的な差を表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0504】
VIII.例示的な実施形態
提供される実施形態の中でも、次のものを特に挙げる:
【0505】
1.多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、
(a)対象が、
(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないこと
を決定することと、
(b)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することと
を含む方法。
【0506】
2.多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を、
(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないこと
が事前に決定された対象に投与することを含む、方法。
【0507】
3.多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、
(a)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置について、
(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないこと
が事前に決定された対象を選択することと、
(b)T細胞療法を対象に投与することと
を含む方法。
【0508】
4.遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置について、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を選択する方法であって、対象が、
(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないこと
を決定することを含み、
ここで、対象が(i)および/または(ii)を有することが決定される場合、対象が、ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による投与について選択される方法。
【0509】
5.ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置に対する、多発性骨髄腫(MM)を有する対象の方法を予測する方法であって、対象が、
(i)約600ng/mLより低い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有さないこと
を決定することを含み、
ここで、対象が(i)および/または(ii)を有する場合、対象が、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成すると予測され、
処置が、遺伝子操作されたT細胞の用量の対象への投与を含む、方法。
【0510】
6.多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、
(a)対象が、
(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有することを決定することと、
(b)MMをデバルキングすることと、
(c)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することと
を含む方法。
【0511】
7.多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することを含み、
(a)対象が、
(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病の存在を有すること
が事前に決定され;
(b)(1)対象が(i)および/または(ii)を有すると決定されてから(2)対象がT細胞療法を投与されるまでの時点で、MMがデバルキングされた、方法。
【0512】
8.デバルキングについて、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を選択する方法であって、対象が、
(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有すること
を決定することを含み、
ここで、対象が(i)および/または(ii)を有すると決定される場合、対象が、ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法の対象への投与の前のMMのデバルキングについて選択される方法。
【0513】
9.ヒトB細胞成熟抗原(BCMA)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法による処置に対する、多発性骨髄腫(MM)を有する対象の応答を予測する方法であって、対象が、
(i)約600ng/mLより高い血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有すること;および/または
(ii)IgG重鎖病(HCD)の存在を有すること
を決定することを含み、
ここで、対象が(i)および/または(ii)を有する場合、対象が、完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成しないことが予測され、
処置が、遺伝子操作されたT細胞の用量の対象への投与を含む、方法。
【0514】
10.多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、
(a)対象が、約600ng/mLより高い第1の血清可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)レベルを有することを決定することと;
(b)MMをデバルキングすることと;
(c)対象が、約600ng/mLより低いデバルキング後の血清sBCMAレベルを有することを決定することと;
(d)ヒトBCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することとを含む方法。
【0515】
11.対象が、
(i)約600ng/mLより高いかもしくは低い血清sBCMAレベルもしくはデバルキング後の血清sBCMAレベルを有すること;および/または
(ii)IgG HCDの存在を有するかまたは有さないことを決定することをさらに含む、実施形態2、3、または7に記載の方法。
【0516】
12.対象が、約600ng/より高いかまたは低い血清sBCMAレベルまたはデバルキング後の血清sBCMAレベルを有することを決定することを含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0517】
13.対象が、約590ng/ml、約580ng/ml、約570ng/mlL、約566ng/ml、約560ng/ml、約550ng/ml、約540ng/ml、約530ng/ml、約520ng/ml、約510ng/ml、もしくは約500ng/mlより高いかもしくは低い血清sBCMAレベルを有することを決定することを含み;および/または
対象が、約590ng/ml、約580ng/ml、約570ng/mlL、約566ng/ml、約560ng/ml、約550ng/ml、約540ng/ml、約530ng/ml、約520ng/ml、約510ng/ml、もしくは約500ng/mlより高いかもしくは低い血清sBCMAレベルを有すると決定される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0518】
14.対象が、IgG HCDの存在を有するかまたは有さないことを決定することを含む、実施形態1~9および11~13のいずれか1つに記載の方法。
【0519】
15.対象がIgG HCDの存在を有することを決定することが、対象の血清および/または尿中のIgGを検出することを含む、実施形態1~9および11~14のいずれか1つに記載の方法。
【0520】
16.血清sBCMAレベルの決定が、(i)対象へのT細胞療法の投与の、または(ii)遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞が対象から得られる約3カ月前、約2カ月前、約1カ月前、約3週間前、約2週間前、または約1週間前に実行される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0521】
17.対象がIgG HCDの存在を有するかまたは有さないことの決定が、(i)対象へのT細胞療法の投与、または(ii)遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞が対象から得られる前の約3カ月、約2カ月、約1カ月、約3週間、約2週間、または約1週間の間に実行される、実施形態1~9および11~16のいずれか1つに記載の方法。
【0522】
18.遺伝子操作された細胞の用量を対象に投与することをさらに含む、実施形態4、5、8、9および12~17のいずれか1つに記載の方法。
【0523】
19.(i)対象がCRまたはsCRを達成すると予測される場合、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量を含むT細胞療法を対象に投与することをさらに含む;または
(ii)対象がCRまたはsCRを達成しないと予測される場合、BCMAに結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子操作されたT細胞の用量の対象への投与の前に、MMのデバルキングについて対象を選択することをさらに含む、実施形態5、9および12~18のいずれか1つに記載の方法。
【0524】
20.対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の後に、対象が完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成する、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0525】
21.対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の後に、対象がCRを達成する、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0526】
22.対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の後に、対象がsCRを達成する、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0527】
23.デバルキングが、対象に化学療法、放射線、および/または免疫調節剤を投与することを含む、実施形態6~8、10および12~22のいずれか1つに記載の方法。
【0528】
24.化学療法が、メルファラン、ドキソルビシン、またはシクロホスファミド化学療法を含む、実施形態23に記載の方法。
【0529】
25.免疫調節剤が、サリドマイド、レナリドマイド、またはポマリドマイドである、実施形態23または実施形態24に記載の方法。
【0530】
26.免疫調節剤がチェックポイント阻害剤である、実施形態23~25のいずれか1つに記載の方法。
【0531】
27.デバルキングが、対象へのT細胞療法の投与の前の約3カ月以内、約2カ月以内、約1カ月以内、約3週間以内、約2週間以内、または約1週間以内に実行される、実施形態6~8、10および12~26のいずれか1つに記載の方法。
【0532】
28.対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の前に、対象が、フルダラビンを、対象の体表面積1m2当たり20~40mgもしくは約20~40mgで、適宜30mg/m2もしくは約30mg/m2で毎日2~4日間投与すること、および/またはシクロホスファミドを、対象の体表面積1m2当たり200~400mgもしくは約200~400mgで、適宜300mg/m2もしくは300mg/m2で毎日2~4日間投与することを含むリンパ球枯渇療法を受けている、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0533】
29.対象への遺伝子操作されたT細胞の用量の投与の前に、対象が、フルダラビンを、対象の体表面積1m2当たり30mgもしくは約30mg/m2で毎日、シクロホスファミドを、対象の体表面積1m2当たり300mgもしくは約300mg/m2で毎日、3日間投与することを含むリンパ球枯渇療法を受けている、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0534】
30.デバルキングがリンパ球枯渇療法前に実行される、実施形態28または実施形態29に記載の方法。
【0535】
31.デバルキングがリンパ球枯渇療法後に実行される、実施形態28~30のいずれか1つに記載の方法。
【0536】
32.MMが高リスクMMならびに/または再発したおよび/もしくは不応性の(r/r)MMである、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0537】
33.MMが高リスクMMである、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0538】
34.MMが再発したおよび/もしくは不応性の(r/r)MMである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0539】
35.対象が18歳以上である、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。
【0540】
36.対象が、MMに対して3以上の事前治療ラインを以前に受けたことがある、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0541】
37.3以上の事前治療ラインの各々が、進行性疾患(PD;最終用量後60日以内の進行)がその治療ラインに対する最良の応答でない限り、2回の連続サイクルを含む、実施形態36に記載の方法。
【0542】
38.3以上の事前治療ラインが、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、および抗CD38抗体を含む、実施形態36または実施形態37に記載の方法。
【0543】
39.対象が、3以上の事前治療ラインのうちの最後に対して不応性である、実施形態36~38のいずれか1つに記載の方法。
【0544】
40.対象が、0または1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する、実施形態1~39のいずれか1つに記載の方法。
【0545】
41.対象が、遺伝子操作されたT細胞の用量の投与時に測定可能な疾患を有する、実施形態1~40のいずれか1つに記載の方法。
【0546】
42.測定可能な疾患が、
(i)血清Mタンパク質 1.0gg/dL以上;
(ii)尿Mタンパク質 200mg/24時間以上;および/または
(iii)血清遊離軽鎖(FLC)比が異常である場合、罹病血清FLCレベル 10mg/dL以上
を含む、実施形態41に記載の方法。
【0547】
43.対象が、
(i)中枢神経系(CNS)病変;および/または
(ii)臨床的に関連するCNS病態の病歴もしくは存在
を有さない、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0548】
44.対象が、活動性の形質細胞白血病(PCL)またはその病歴を有さない、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
【0549】
45.CARが、BCMAに結合する細胞外抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達領域を含む、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
【0550】
46.細胞外抗原結合性ドメインが、可変重鎖(VH)領域、および適宜可変軽鎖(VL)領域を含む、実施形態45に記載の方法。
【0551】
47.VH領域が、配列番号189、190および191にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み;VL領域が、配列番号192、193および194にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含み;または
VH領域が、配列番号173、174および175にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含むCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含み;VL領域が、配列番号183、184および185にそれぞれ記載されるアミノ酸配列を含むCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3を含む、実施形態46に記載の方法。
【0552】
48.VH領域が、配列番号18に記載されるアミノ酸配列を含み、VL領域が、配列番号19に記載されるアミノ酸配列を含み;
またはVH領域が、配列番号24に記載されるアミノ酸配列を含み、VL領域が、配列番号25に記載されるアミノ酸配列を含む、実施形態46または実施形態47に記載の方法。
【0553】
49.細胞外抗原結合性ドメインが、単鎖可変断片(scFv)である、実施形態45~48のいずれか1つに記載の方法。
【0554】
50.scFvが、配列番号213または配列番号188に記載のアミノ酸配列を含む、実施形態49に記載の方法。
【0555】
51.細胞内シグナル伝達領域が、共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む、実施形態45~50のいずれか1つに記載の方法。
【0556】
52.共刺激シグナル伝達ドメインが、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分を含む、実施形態51に記載の方法。
【0557】
53.共刺激シグナル伝達ドメインが、膜貫通ドメインと、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞質シグナル伝達ドメインとの間にある、実施形態51または実施形態52に記載の方法。
【0558】
54.膜貫通ドメインが、CD28またはCD8、適宜ヒトCD28またはCD8由来の膜貫通ドメインであるか、またはそれを含む、実施形態45~53のいずれか1つに記載の方法。
【0559】
55.CARが、抗原結合性ドメインと膜貫通ドメインとの間に細胞外スペーサーをさらに含む、実施形態45~54のいずれか1つに記載の方法。
【0560】
56.スペーサーがCD8由来であり、適宜スペーサーがCD8αヒンジである、実施形態55に記載の方法。
【0561】
57.膜貫通ドメインおよびスペーサーがCD8由来である、実施形態55または実施形態56に記載の方法。
【0562】
58.CARが、配列番号116または配列番号124に記載されるアミノ酸配列を含む、実施形態45~57のいずれか1つに記載の方法。
【0563】
59.CARが、配列番号214に記載されるポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態45~58のいずれか1つに記載の方法。
【0564】
60.CARがABECMA(著作権)である、実施形態1~59のいずれか1つに記載の方法。
【0565】
61.遺伝子操作されたT細胞の用量が、イデカブタゲン・ビクルユーセル細胞;bb21217細胞;オルバカブタゲン・オートルユーセル細胞;CT103A細胞;シルタカブタゲン・オートルユーセル細胞;KITE585細胞;CT053細胞;BCMA-CS1 cCAR(BC1cCAR)細胞;P-BCMA-101細胞;P-BCMA-ALLO1細胞;C-CAR088細胞;Descartes-08細胞;PBCAR269A細胞;ALLO-715細胞;PHE885細胞;AUTO8細胞;CTX120細胞;CB-011細胞;ALLO-605(TuboCAR/MM)細胞;pCDCAR1(TriCAR-Z136)細胞、またはGC012F細胞を含む、実施形態1~60のいずれか1つに記載の方法。
【0566】
62.遺伝子操作されたT細胞の用量が、イデカブタゲン・ビクルユーセル細胞を含む、実施形態1~61のいずれか1つに記載の方法。
【0567】
63.遺伝子操作されたT細胞の用量が、CD3+ CAR発現T細胞を含む、実施形態1~62のいずれか1つに記載の方法。
【0568】
64.遺伝子操作されたT細胞の用量が、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の組合せならびに/またはCD4+ CAR発現T細胞およびCD8+ CAR発現T細胞の組合せを含む、実施形態1~63のいずれか1つに記載の方法。
【0569】
65.CD4+ CAR発現T細胞対CD8+ CAR発現T細胞および/またはCD4+ T細胞対CD8+ T細胞の比が、1:1もしくはおよそ1:1であるかまたは1:3もしくはおよそ1:3~3:1もしくはおよそ3:1の間である、実施形態64に記載の方法。
【0570】
66.ナイーブ様T細胞および/もしくはセントラルメモリーT細胞のパーセンテージが、用量中の合計の遺伝子操作されたT細胞の60%を超えるかもしくはその概数を超え、適宜65%、70%、80%、90%、または95%を超えるかもしくはその概数を超え;
ナイーブ様T細胞および/もしくはセントラルメモリーT細胞のパーセンテージが、用量中の合計のCD4+の遺伝子操作されたT細胞の40%を超えるかもしくはその概数を超え、適宜50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%を超えるかもしくはその概数を超え;または
ナイーブ様T細胞および/もしくはセントラルメモリーT細胞のパーセンテージが、用量中の合計のCD8+の遺伝子操作されたT細胞の40%を超えるかもしくはその概数を超え、適宜50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%を超えるかもしくはその概数を超える、実施形態1~65のいずれか1つに記載の方法。
【0571】
67.ナイーブ様T細胞が、CCR7+CD45RA+、CD27+CCR7+、またはCD62L-CCR7+である、実施形態66に記載の方法。
【0572】
68.遺伝子操作されたT細胞の用量が、約0.5×106~約600×106個のCAR陽性T細胞を含む、実施形態1~67のいずれか1つに記載の方法。
【0573】
69.遺伝子操作されたT細胞の用量が、約100×106~約600×106個のCAR陽性T細胞を含む、実施形態1~68のいずれか1つに記載の方法。
【0574】
70.遺伝子操作されたT細胞の用量が、約150×106~約450×106個のCAR陽性T細胞を含む、実施形態1~69のいずれか1つに記載の方法。
【0575】
71.遺伝子操作されたT細胞の用量が、約150×106、300×106、または約450×106個のCAR陽性T細胞を含む、実施形態1~70のいずれか1つに記載の方法。
【0576】
72.遺伝子操作されたT細胞の用量が、約0.5×106~約10×106個のCAR陽性T細胞を含む、実施形態1~68のいずれか1つに記載の方法。
【0577】
73.遺伝子操作されたCAR T細胞の用量の細胞が対象から得られた、実施形態1~72のいずれか1つに記載の方法。
【0578】
74.遺伝子操作されたT細胞の用量が、対象にとって自家である、実施形態1~73のいずれか1つに記載の方法。
【0579】
75.遺伝子操作されたT細胞の用量が、対象にとって同種異系である、実施形態1~72のいずれか1つに記載の方法。
【実施例】
【0580】
IX.実施例
下記実施例は、単に例示的な目的で含まれており、本発明の範囲を限定するものと意図されない。
[実施例1]
【0581】
再発したおよび不応性の多発性骨髄腫を有する患者におけるBCMA指向性CAR療法に対する応答
B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的なCARを発現する自家T細胞を含有するキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞組成物を、再発したおよび不応性の(R/R)多発性骨髄腫(MM)のヒト対象に投与した。
【0582】
A.対象および処置
例示的な抗BCMA CARを発現するように操作された自家T細胞を含有する組成物を、国際骨髄腫作業部会(IMWG)の基準に従って、3種類以上の事前治療ライン(免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤(PI)、抗CD38抗体を含む3種類以上の事前治療ライン)を受け、事前治療ラインに対して不応性のR/R MMを有する成人ヒト対象に投与した。
【0583】
投与されたT細胞組成物は、MMを有する個々の対象からの白血球採取試料から末梢血単核細胞(PBMC)を取得し、抗CD3抗体および抗CD28抗体でPBMCを刺激し、例示的な抗BCMA CARを含有するレンチウイルスベクターを細胞に形質導入し、凍結保存の前に10日間細胞を増大させることによって生成した。例示的なCARは、抗BCMA scFv、CD8αからのヒンジおよび膜貫通ドメイン、ならびにCD137(4-1BB)共刺激ドメインとそれに続く、CD3ζ鎖の細胞内シグナル伝達ドメインを含有した。例示的なBCMA CARのポリヌクレオチド配列は配列番号214に記載されており、例示的なBCMA CARのポリペプチド配列は配列番号116に記載されている。
【0584】
対象はフルダラビン(flu、30mg/m2/日)とシクロホスファミド(cy、300mg/m2/日)によるリンパ球枯渇化学療法(LDC)を3日間連続で受け、LDCはCAR T細胞注入の2日前に終了した。CAR T細胞製造中は橋渡し療法が許可されたが、LDCの少なくとも14日前には中止した。凍結保存された細胞組成物は静脈内投与前にベッドサイドで解凍され、対象には150~450×106(例えば、150、300、450×106)個の総CAR発現T細胞の用量が投与された。
【0585】
B.帰結および解析
要評価項目は全奏効率(ORR)であり、完全奏効/厳格な完全奏効(CR/sCR)率は重要な副次評価項目であった。完全奏効は、血液および尿中の骨髄腫タンパクが消失し、骨髄中の骨髄腫細胞が5%未満と定義された。その他の副次評価項目には、安全性、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、薬物動態(PK)、最小残存病変(MRD;次世代シークエンシングにより評価)、生活の質(QOL)、医療経済学的アウトカム研究(HEOR)が含まれた。ベースライン特性はリンパ球枯渇前に収集され、一部のバイオマーカーについては1日目に収集された。単変量および多変量ロジスティック回帰モデルを使用して、CR/sCR達成の可能性と相関するベースライン特性を同定した。
【0586】
この例に描かれた結果が得られた時点で、140名の患者中128名がCAR T細胞の注入を受けていた。42名の患者がCR/sCRを達成し、86名が非CR/sCR(最良部分奏効[VGPR]、部分奏効[PR]、または応答なし)を示した。CR/sCRを有した対象のうち、32名(76%)が最小残存病変(MRD)陰性(感度レベル<10~5個の有核細胞)であり、これらの患者のうち19名は12カ月の追跡調査でもMRD陰性が維持された(表E1)。
【0587】
【表3】
注入後のMRD陰性値を考慮する。CR達成前3カ月以内または進行/死亡時(排他的)までのMRD陰性値のみを考慮する。CR/sCRを有する患者の数が分母として使用され、これにはMRD値が陽性、不確定、または欠測の患者が含まれる。MRDについて評価された患者の数は時間の経過とともに減少した。
a MRD陰性は<10
-5個の有核細胞と定義される。
【0588】
ベースラインの人口統計学的特性および疾患特性は、CR/sCR患者と非CR/sCR患者で概ね均衡がとれていた。注目すべき例外は、改訂国際病期分類(ISS)のステージIIIの疾患、免疫グロブリンG(IgG)重鎖型疾患の存在、CD138+形質細胞のパーセンテージ、およびβ-2-ミクログロブリン値であった(表E2)。
【0589】
【表4】
adel (17p)、t(4:14)、およびt(14;16)を含む;
b研究への参加に必要な腫瘍BCMA発現の下限はない。
【0590】
ベースライン特性によるCR/sCRの単変量解析では、IgG重鎖対その他の重鎖タイプ(オッズ比[OR]:0.162、P<0.0001)、高可溶性BCMA(sBCMA)(OR:0.646、P=0.0007)、β-2-ミクログロブリン(≧5.5対<3.5mg/L、OR:0.201、P=0.0072)、髄外疾患の存在(OR:0.428、P=0.0394)はCR/sCRと負の相関を示したが、薬物製品中のベクターコピー数が多いことはCR/sCRと正の相関を示した(OR:1.290、P=0.0287)(表E3)。CR/sCRの多変量解析では、IgG重鎖対他の重鎖タイプ(OR:0.100、P<0.0001)、高sBCMA(OR:0.637、P=0.0110)、プロトロンビン時間-国際標準化比(PT-INR)検査の上昇(OR:0.005,P=0.0365)がCR/sCRの負の相関因子として、薬物製品剤中のベクターコピー数が多いこと(OR:1.486、P=0.0168)がCR/sCRの正の相関因子として認められた(表E3)。記述的解析により、CR/sCR患者と非CR/sCR患者ではベースラインのsBCMAが低いことが示された。
【0591】
【表5】
a連続変数の場合、CR/sCRの正の相関は、値が大きいほどCR/sCRの確率が高くなることを示し;負の相関は、値が大きいほどCR/sCRの確率が低くなることを示す。
bsBCMA値は整数として報告した。
cPT-INRは0.1刻みで報告した。
【0592】
両グループとも、sBCMAレベルはスクリーニングからベースラインまでの間に上昇した(表E4)。表E2のベースラインの数値を選択グループに分けた表E5に示されているように、CR/sCRを示した対象のうち、ベースラインのsBCMA値が556ng/mLを超えたのはわずか5%であったのに対し、CR/sCRを示さなかった対象のうち、ベースラインのsBCMA値が556ng/mLを超えたのは31.33%であった。
【0593】
【0594】
【0595】
CR/sCRのさらなる相関を同定するため、多変量XGBoostモデリングとSHAP解析を実施した。128名の患者から、98名の患者レベル変数および検査変数、ならびにバイオマーカーおよび薬物製品の特性からなる統合データセットが収集された。このデータセットをさらに前処理し、変換し、相関性の高い特徴を除去してから、60変数の最終データで多変量XGBoostモデルを学習させた。クロスバリデーションとハイパーパラメーターチューニングを使用して、最適なモデルを選択し、最適なパラメーターでフルモデルを学習させた。最も予測された特徴量とCR/sCR予測への寄与が、Shapley加法説明(SHAP)解析を使用して同定され、次に個々に従属変数との整合性と関連性を評価した。CR/sCRグループと非CR/sCRグループの間で中央値に一変量差のない特徴量は、分布の違いや他の特徴量との相互作用に基づいてモデル内で同定することができた。
【0596】
図1は、ベースラインの特徴を重要度別にランク付けしたもので、濃い灰色は高いまたは存在するレベルを示し、薄い灰色は低いまたは存在しないレベルを示す。CR/sCRの可能性の増加と相関する特徴をグラフの右側に示し、非CR/sCRの可能性の増加と相関する特徴をグラフの左側に示す。より狭い多変量回帰モデルと一致して、IgG重鎖病の存在とsBCMAのより高値はCR/sCRと負の相関を示し、ベクターコピー数のより高値はCR/sCRと正の相関を示すことが判明した。XGBoostモデルで同定されたCR/sCRと負の相関を示した追加の特徴には、D-二量体のより高値、フェリチンのより高値、ナトリウムのより低値が含まれた。
【0597】
XGBoostモデルの結果に基づいて、CR/sCR、VGPR/PR、または応答なしと相関するベースライン因子を同定するために、さらに選択的な単変量解析を実施した。ベースラインのsBCMAレベルが低いほど、より深い臨床的奏効と関連し(
図2A)、β-2-ミクログロブリンレベルが高いほど、奏効の欠如との相関が示唆された(
図2B)。ベースラインのsBCMAレベルが300ng/mL以下であれば、CR/sCRを有するほとんどの患者とその他の奏効を有する患者とが区別された。
【0598】
ベースライン時にIgG重鎖病変を有さないことも、CR/sCRと相関することが観察され(
図2C);IgG重鎖病変を有する患者の18%のみがCR/sCRを示したのに対し、別の鎖型の重鎖病変を有する患者または重鎖病変が検出されなかった患者では57%であった。PFS中央値は、IgG重鎖病を有する患者において8.1カ月(95%信頼区間、4.9-11.0)であったのに対し、別の重鎖病を有する患者または重鎖病が検出されなかった患者では11.9カ月(95%信頼区間、4.9~16.2)であった。このCR/sCRの差は、非IgG重鎖または軽鎖に対してIgG抗体で報告された半減期が長く、CR/sCRに到達するまでの期間がより長いことが影響している可能性がある。
【0599】
炎症の指標を含む臨床ベースラインの検査値を測定したところ、D-二量体とフェリチンのレベルはCR/sCRを有さない患者に対してCR/sCRを有する患者で有意に低かったが、ナトリウムレベルはCR/sCRを有する患者に対してCR/sCRを有さない患者で有意に低かった(
図2D)。
【0600】
奏効の相関としての血清sBCMAレベルをさらに評価するため、CR/sCRを有する患者対CR/sCRを有さない患者において、橋渡し治療によるスクリーニング時およびベースライン時のsBCMAレベルを評価した。橋渡し治療を受けた112名の患者のうち、37名がCR/sCRを示し、75名がCR/sCRを示さなかった。ベースラインのsBCMAレベルは、CR/sCRを有する患者ではCR/sCRを有さない患者よりも、橋渡し治療を受けたか否かにかかわらず低かった(表E6)。さらに、CR/sCRに至らなかった患者では、スクリーニングからCAR T細胞注入直前までの間に、血清BCMAレベルのより大きな上昇が観察された。
【0601】
【0602】
まとめると、その結果により、IgG、sBCMA、およびPT-INR検査がCR/sCRの負の相関因子であり、薬物製品中のベクターコピー数がCR/sCRの正の相関因子であることが特定された。sBCMAは腫瘍負担の指標であり、BCMAを標的とする治療に影響を及ぼす可能性があるため、CR/sCRを達成するためには、腫瘍負担の少ない患者を選択し、製造中または橋渡し治療中に腫瘍負担を制御することが重要であり得る。
[実施例2]
【0603】
フロントライン自家幹細胞移植に対する適切な応答による臨床的高リスク多発性骨髄腫を有する患者における抗BCMA CAR-T細胞による処置
B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的なCARを発現する自家T細胞を含有するキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞組成物を、自家幹細胞移植(ASCT)によるフロントライン治療後に応答不十分となった多発性骨髄腫(MM)を有するヒト対象に投与した。
【0604】
投与されたT細胞組成物は、処置される個々の対象からの白血球採取試料から末梢血単核細胞(PBMC)を取得し、抗CD3抗体および抗CD28抗体でPBMCを刺激し、例示的な抗BCMA CARを含有するレンチウイルスベクターを細胞に形質導入し、凍結保存の前に10日間細胞を増大させることによって生成した。例示的なCARは、抗BCMA scFv、CD8αからのヒンジおよび膜貫通ドメイン、ならびにCD137(4-1BB)共刺激ドメインとそれに続く、CD3ζ鎖の細胞内シグナル伝達ドメインを含有した。例示的なBCMA CARを超えるポリヌクレオチド配列は配列番号214に記載されており、例示的なBCMA CARのポリペプチド配列は配列番号116に記載されている。
【0605】
A.適格な対象および処置
適格な対象は、3サイクル以上の誘導療法(プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、およびデキサメタゾンを含む)、およびASCT(単回またはタンデム)を受けたMMを有する成人患者であったが、最後のASCTの70~110日後の時点で最良部分奏効(VGPR)未満と定義されるASCTに対する不十分な奏効を示し、地固めまたは維持療法を使用しなかった患者であった。患者は、米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス(PS)が1以下であった。
【0606】
適格な対象は、フルダラビン(flu、30mg/m2/日)とシクロホスファミド(cy、300mg/m2/日)によるリンパ球枯渇化学療法(LDC)を3日間連続で受けた。患者は150~450×106個のCAR+ T細胞の用量範囲で抗BCMA CAR-T細胞の単回注入を受けた。ある特定の患者は抗BCMA CAR-T細胞注入後、レナリドミドによる維持療法を受けた。
【0607】
有効性の主要評価項目は国際骨髄腫作業部会(IMWG)統一奏効基準に基づく完全奏効率(CRR;CRおよび厳格なCR)であった。副次評価項目は、全奏効率(ORR;部分奏効以上)、最良部分奏効率(VGPRR)、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性、薬物動態(PK)を含んだ。探索的評価項目は、次世代シークエンシングによる可溶性BCMA(sBCMA)レベルと最小残存病変陰性(MRD-)の評価、およびデータポイントの欠落/不確定を減らすための補間によるEuroFlow(10-5個未満の有核細胞)データを含んだ。有効性と安全性は、CAR-T細胞を受けた全ての対象で解析された。PK、sBCMA、MRDは、評価可能な対象において解析した。
【0608】
抗BCMA CAR-T細胞が製造され、31/32名の対象に注入された。対象の年齢中央値は64歳であった。対象の67.7%はECOG PSが0であった。研究参加時に適格であった対象のうち、41.9%の対象が改訂国際病期分類(R-ISS)のステージ1を有し、16.1%の対象がR-ISSステージIIを有し、R-ISSステージIIIを有する対象はなく、3.2%が骨髄生検により決定された高腫瘍負荷を有し(骨髄CD138+形質細胞が50%以上);6.5%が髄外病変を有した。さらに、対象は抗BCMA CAR-T細胞注入時のベースライン腫瘍負荷が低い。
【0609】
解析時の追跡期間中央値は27.5カ月(範囲22~31)であった。CRRは74.2%(95%CI 55.4~88.1)、ORRは87.1%(95%CI 70.2~96.4)であった(表E7)。TTR中央値は1カ月(範囲0.9~2.8)であった。
【0610】
タイムトゥーイベント評価項目の結果を表E7に示す。BCMAに特異的なCARを発現する自家T細胞を含有するCAR発現T細胞組成物の注入時または注入後に、グレード3~4の有害事象(AE)が29名の対象(93.5%)で報告され、最も多かったのは好中球減少症の25名(80.6%)の対象、白血球減少症の9名(29.0%)、および貧血の7名(22.6%)であった。グレード5のAEは報告されなかった。
【0611】
グレード1のサイトカイン放出症候群(CRS)は14名の対象(45.2%)に発生し、4名の対象(12.9%)がグレード2の事象を有し、0名の対象がグレード3事象を有した。さらに、治験責任医師が特定した神経毒性(NT)は2名の対象(6.5%)に発現した。1名はグレード1のNTを有したが、もう1名はグレード3のNTを有した。
【0612】
【表9】
CI,信頼区間;CR,完全奏効;CRR,完全奏効率;CRS,サイトカイン放出症候群;DOR,奏効の持続期間;ORR,全奏効率;OS,全生存;PFS,無進行生存;PR,部分奏効;SE,標準誤差;VGPR,最良部分奏効;VGPRR,最良部分奏効率。
1Clopper-Pearson信頼区間。
【0613】
sBCMAレベル(注入時の範囲6.5~154.0ng/mL、n=30)で評価すると、腫瘍負荷が低いにもかかわらず、31名の評価可能な対象(表E8に示す)で頑強な細胞増大が観察された。細胞の増大は、抗BCMA CAR-T注入によりCR以上となった対象とCR未満となった対象でより高かった(表E8)。
【0614】
【表10】
AUC
0~28日,投与時から注入の28日後までの導入遺伝子レベルの曲線下面積;C
max,ピーク血清濃度;CV,変動計数;T
max,ピーク濃度までの時間。
12022年1月15日がカットオフ日。
2データは幾何平均として表す。
【0615】
抗BCMA CAR-T細胞注入後2カ月以内にsBCMAが消失したのは、評価可能な対象の24/31名(77.4%)であり、うち22名はCR以上であった。sBCMAが低いことは、抗BCMA CAR-T細胞処置でCRを達成する完全奏効を達成するのに有利である。CR以上であった23名のうち、16名(69.6%;95%CI、49.1~84.4)は抗BCMA CAR-T細胞注入後6カ月でMRD-であった。12カ月後のMRD-は、CRの状態にかかわらず、評価可能な17/27名の対象(62.9%;95%CI 44.2~78.5)で認められ、CR以上であった評価可能な16/23名の対象(69.6%;95%CI 49.1~84.4)で認められた。注目すべきは、16名人の対象のうち、11名が24カ月目にMRD-を維持し、2人は24カ月目のデータが得られず、3名はデータが不確定であったことである。
【0616】
抗BCMA CAR-T細胞による処置は、ASCTによるフロントライン治療後に適切な応答を経験した対象において、頻繁に深い持続的な奏効を示した。抗BCMA CAR-T細胞処置後、CR以上の対象において腫瘍の早期深部クリアランスが観察され、2年後の時点でも持続していた。これらの対象では、抗BCMA CAR-T細胞処置を受けた対象と比較して、CRSおよびNTの発生率が低かった。総合すると、NDMM対象における抗BCMA CAR-T細胞処置の良好な臨床的リスクベネフィットプロファイルが支持される。
[実施例3]
【0617】
フロントライン自家幹細胞移植後の早期再発による臨床的高リスク多発性骨髄腫を有する患者における抗BCMA CAR-T細胞による処置
B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的なCARを発現する自家T細胞を含有するキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞組成物を、自家幹細胞移植(ASCT)によるフロントライン治療後に早期再発または応答不十分となった多発性骨髄腫(MM)を有するヒト対象に投与した。
【0618】
投与されたT細胞組成物は、処置される個々の対象からの白血球採取試料から末梢血単核細胞(PBMC)を取得し、抗CD3抗体および抗CD28抗体でPBMCを刺激し、例示的な抗BCMA CARを含有するレンチウイルスベクターを細胞に形質導入し、凍結保存の前に10日間細胞を増大させることによって生成した。例示的なCARは、抗BCMA scFv、CD8αからのヒンジおよび膜貫通ドメイン、ならびにCD137(4-1BB)共刺激ドメインとそれに続く、CD3ζ鎖の細胞内シグナル伝達ドメインを含有した。例示的なBCMA CARを超えるポリヌクレオチド配列は配列番号214に記載されており、例示的なBCMA CARのポリペプチド配列は配列番号116に記載されている。
【0619】
A.適格な対象および処置
適格な対象は、導入療法(プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、およびデキサメタゾンを含む導入療法を3サイクル以上)、ASCT(単回またはタンデム)、レナリドミドを含有する維持を含むフロントライン処置を受けたが、フロントライン治療開始から18カ月を経過した時点で進行性疾患(PD)と定義される早期再発を示した成人ヒト対象である。
【0620】
適格な対象は、フルダラビン(flu、30mg/m2/日)とシクロホスファミド(cy、300mg/m2/日)によるリンパ球枯渇化学療法(LDC)を3日間連続で受けた。患者は150~450×106個のCAR+ T細胞の用量範囲で抗BCMA CAR-T細胞の単回注入を受けた。一部の患者は、CAR-T細胞注入の前に橋渡し治療(コルチコステロイド、アルキル化剤、免疫調節剤、プロテアソーム阻害剤[PI]、および/または抗CD38抗体)も受けた。
【0621】
有効性の主要評価項目は国際骨髄腫作業部会(IMWG)統一奏効基準に基づく完全奏効率(CRR;CRおよび厳格なCR)であった。副次評価項目は、全奏効率(ORR;部分奏効以上)、最良部分奏効率(VGPRR)、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性、薬物動態(PK)を含んだ。探索的評価項目は、次世代シークエンシングによる可溶性BCMA(sBCMA)レベルと最小残存病変陰性(MRD-)の評価、およびデータポイントの欠落/不確定を減らすための補間によるEuroFlow(10-5個未満の有核細胞)データを含んだ。有効性と安全性は、CAR-T細胞を受けた全ての対象で解析された。PK、sBCMA、MRDは、評価可能な対象において解析した。
【0622】
抗BCMA CAR-T細胞が製造され、37/39名の対象に注入された。対象の年齢の中央値は57歳、診断からの期間の中央値は1.6年であった。対象の62.2%が米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)PS 0であり、対象の70.3%がMMに対する橋渡し治療を受けていた。試験参加時に適格であった対象のうち、13.5%が改訂国際病期分類(R-ISS)ステージI、51.4%がR-ISSステージII、5.4%がR-ISSステージIII、32.4%が高リスク細胞遺伝学、18.9%が骨髄生検で高腫瘍負荷(50%以上の骨髄CD138+形質細胞が)、8.1%が髄外病変であった。ほとんどの患者は免疫調節剤(86.5%)またはプロテアソーム阻害剤(PI;89.2%)に対して不応性の疾患を有し、86.5%は二重不応性疾患を示した。
【0623】
解析時の追跡期間中央値は21.5カ月(範囲2~31)であった。CRRは45.9%(95%CI 29.5~63.1)、ORRは83.8%(95%CI 68.0~93.8)であった(表E9)。抗BCMA CAR-T細胞注入後6カ月では、11/13例(85%;95%CI 57.8~95.7)の対象においてMRD-が観察された。抗BCMA CAR-T細胞注入後12カ月では、7/10例(70%;95%CI 39.7~89.2)の対象においてMRD-が観察された。7名の対象のうち、1名は20.8カ月でPDを示し、5名は18カ月以上でMRD-を持続し、1名は12カ月を超えるとデータが得られなかった。TTR中央値は1カ月(範囲0.9~2.9)であった。DOR中央値は15.7カ月(95%CI 7.62~19.81)であった。PFS中央値は11.4カ月(95%CI 5.55~19.58)であり、OSの中央値には達しなかった。DOR、PFS、およびOSのまでのタイムトゥーイベント評価項目を表E9に示す。
【0624】
抗BCMA CAR-T細胞注入時または注入後のグレード(Gr)3~4の有害事象(AE)は全対象者に発現し、最も多かったのは好中球減少症35例(94.6%)、貧血17例(45.9%)、血小板減少症14例(37.8%)であった。肺炎と偽性敗血症により2名が死亡した。グレード1/2のサイトカイン放出症候群(CRS)は30名の対象(81.1%)に発生し、1名の対象(2.7%)にグレード3の事象が発生した(表E1)。グレード1および2の治験責任医師が特定した神経毒性(NT)は8例(21.6%)に発現した。グレード3以上のNTを示した対象はいなかった。
【0625】
【表11】
CI,信頼区間;CR,完全奏効;CRR,完全奏効率;CRS,サイトカイン放出症候群;DOR,奏効の持続期間;ORR,全奏効率;OS,全生存;PFS,無進行生存;PR,部分奏効;SE,標準誤差;VGPR,最良部分奏効;VGPRR,最良部分奏効率。
1Clopper-Pearson信頼区間。
【0626】
36名の評価可能な対象において、頑強な細胞増大が認められた(表E4)。抗BCMA CAR-T細胞の細胞増大レベルは、抗BCMA CAR-T細胞注入によりCR未満となった対象とCR以上となった対象で高かった(表E10)。sBCMA(注入時の範囲15.0~737.0ng/mL、n=36)は、CR以上となった全ての対象を含む25/37名(67.6%)の対象において、抗BCMA CAR-T細胞注入後2カ月以内に消失した。
【0627】
【表12】
AUC
0~28日,投与時から注入の28日後までの導入遺伝子レベルの曲線下面積;C
max,ピーク血清濃度;CV,変動計数;T
max,ピーク濃度までの時間。
12022年1月15日がカットオフ日。
2データは幾何平均として表す。
【0628】
抗BCMA CAR-T細胞による処置は、ASCTによるフロントライン治療後に早期再発を経験した対象において、頻繁に深い奏効を示した。MRD-は18カ月より長く対象のサブセットにおいて持続した。理論に拘束されることを望まないが、ASCT後のレナリドミドによる維持療法は、抗BCMA CAR-T細胞の応答における持続性を増強する可能性がある。CRSとNTの発生率は、これらの対象と後の治療ラインで抗BCMA CAR-T細胞により処置された対象とでは同程度であった。これらの結果を総合すると、抗BCMA CAR-T細胞療法の良好な臨床的ベネフィット・リスクプロファイルと、早期処置ラインでの使用の可能性が支持される。
【0629】
本発明は、例えば本発明の各種態様を説明するために提供される特定の開示される実施形態に範囲が限定されると意図されない。記載される組成物および方法に対する各種変更は、本明細書中の説明および教示から明らかとなる。そのような変形は、本開示の真の範囲および主旨を逸脱することなく実施されてよく、本開示の範囲内に収まると意図される。
【0630】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【表33】
【表34】
【表35】
【配列表】
【国際調査報告】