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特表2024-540321IL33タンパク質及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】IL33タンパク質及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/20 20060101AFI20241024BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20241024BHJP
   C07K 14/54 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
A61K38/20
A61P1/04
A61P29/00
A61P37/06
A61P35/00
A61P17/00
A61P15/00
A61P1/18
C07K14/54 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526673
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 US2022079278
(87)【国際公開番号】W WO2023081802
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/275,835
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】バラチャンドラン,ビノド
(72)【発明者】
【氏名】メルゴウブ,タハ
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA44
4C084CA18
4C084CA53
4C084DA12
4C084NA14
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB261
4C084ZB262
4H045AA10
4H045AA30
4H045DA02
4H045EA28
(57)【要約】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象において新規三次リンパ構造の形成を誘導するための方法及び組成物を提供する。いくつかの実施形態では、そのような方法は、対象にIL33タンパク質を投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、がんを有する。いくつかの実施形態では、対象は、慢性炎症状態を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、がんを治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、慢性炎症状態を治療するための方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において新規三次リンパ構造の形成を誘導する方法であって、前記対象に有効量のIL33タンパク質を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記IL33タンパク質が、ヒトIL33である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記IL33タンパク質が、成熟ヒトIL33である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記IL33タンパク質が、配列番号1の配列を有する成熟ヒトIL33タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が、ヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記対象が、がんを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記対象が、膵臓がん、乳がん、又は黒色腫を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、膵管腺がん(PDAC)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記対象が、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤治療に耐性のあるがんを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
対象が、慢性炎症状態を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、慢性炎症性胃腸状態を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、大腸炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、又はクローン病を有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月4日に出願された米国仮特許出願第63/275,835号の優先権の利益を主張し、この内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、XML形式で電子的に提出されている配列表を含有し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2022年11月4日に作成された当該XMLコピーは、ST26_MSKCC.055.WO1-Nov 4,2022という名称で、2065バイトのサイズである。
【0003】
参照による組み込み
本開示で引用される全ての参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる(本特許開示の文章の後に続く括弧内又は上付きの番号は、本特許明細書の「参考文献リスト」セクションに提供される番号付きの参考文献を指す)。加えて、本明細書で引用又は言及される任意の製品の任意の製造業者の説明書又はカタログは、参照により組み込まれる。本文章に参照により組み込まれる文書、又はそれらの中の任意の教示は、本発明の実施で使用され得る。
【背景技術】
【0004】
三次リンパ構造(TLS)は、がんなどの炎症を起こした組織内に異所的に形成される免疫細胞凝集体である。TLSは、炎症によって誘導された組織損傷が、TLS誘導細胞を刺激して、標準リンパ新生(lymphoneogenic)タンパク質であるリンホトキシンを発現させて、樹状細胞及びB細胞を動員して、炎症部位で抗原特異的T細胞をプライミングするときに生じる。誘導されるTLSは、慢性炎症及びがんにおける免疫を調節する。例えば、炎症性腸疾患では、TLSは、病原性腸内微生物を制限する。また、がんでは、TLSは、抗腫瘍免疫を高め、予後の改善と相関し、免疫チェックポイント阻害剤に対するより高い応答を予測する。TLSは、がん及び炎症における免疫応答を決定的に調節するが、本発明以前は、TLS形成を誘導する分子及び細胞は、未定義のままであった。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、部分的に、本特許明細書の実施例セクションにより詳細に記載されている一連の重要な発見に基づいている。具体的には、インターロイキン-33(IL33)は、2型自然リンパ細胞(ILC2)を刺激して、腫瘍において新規三次リンパ構造(TLS)の形成を誘導することができ、腫瘍成長の阻害につながり、慢性炎症性大腸炎においては生存率の増加につながることが現在発見されている。
【0006】
これらの発見に基づいて、本発明は、治療用途に有用な様々な新しくかつ改善された方法を提供する。
【0007】
具体的には、いくつかの実施形態では、本発明は、対象において新規三次リンパ構造の形成を誘導する方法を提供し、そのような方法は、それを必要とする対象に、有効量のIL33タンパク質又はIL33タンパク質を含む薬学的組成物を投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、対象は、がんを有する。いくつかのそのような実施形態では、対象は、慢性炎症状態を有する。いくつかの実施形態では、方法は、対象においてがんを治療するために使用される。いくつかの実施形態では、方法は、対象において慢性炎症状態を治療するために使用される。
【0008】
本発明のこれら及び他の実施形態は、本特許開示の発明を実施するための形態、実施例、特許請求の範囲、図面、及び図面の簡単な説明のセクションに更に詳細に記載されており、これらのセクションの各々は、本特許開示の他の全てのセクションと併せて、かつそれらの文脈において読まれることが意図される。更に、当業者は、本明細書に記載される本発明の様々な実施形態が、様々な方法で組み合わされ得ること、及びそのような組み合わせが、本発明の範囲内にあることを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】IL33は、膵臓がんにおいてTLSを誘導する。ヒト膵管腺がん(PDAC)における、三次リンパ構造(TLS)転写シグネチャ(Cabrita5、Coppola9、Gu-Trantien10)に対する腫瘍mRNA遺伝子発現の不偏相関(上部)。ヒトPDACにおけるTLS転写シグネチャ、及びリンホトキシンベータ(LTB)(a、下部)、乳がん(b、上部)、及び黒色腫(図1B、下部)との腫瘍IL33 mRNAの発現の相関。n=腫瘍の数。全てThe Cancer Genome Atlas(TCGA)から。腫瘍移植の2~3週間後(細胞株6694、52)、及び3~5週間後(細胞株6419、50、6499)にデータを収集し、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。n=別々に分析した個々のマウスからの個々の腫瘍。水平棒=中央値。両側ピアソン相関(図1A、上部)、線形回帰(図1A、下部)、及び両側マン-ホイットニー検定(図1C)によるP値。
図1B】IL33は、膵臓がんにおいてTLSを誘導する。ヒトPDACにおけるTLS転写シグネチャ、及びリンホトキシンベータ(LTB)(a、下部)、乳がん(b、上部)、及び黒色腫(図1B、下部)との腫瘍IL33 mRNAの発現の相関。n=腫瘍の数。全てThe Cancer Genome Atlas(TCGA)から。腫瘍移植の2~3週間後(細胞株6694、52)、及び3~5週間後(細胞株6419、50、6499)にデータを収集し、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。n=別々に分析した個々のマウスからの個々の腫瘍。水平棒=中央値。両側ピアソン相関(図1A、上部)、線形回帰(図1A、下部;図1B)、及び両側マン-ホイットニー検定(図1C)によるP値。
図1C】IL33は、膵臓がんにおいてTLSを誘導する。ヒトPDACのTLSにおけるIL33+細胞の代表的な免疫組織化学及び定量化(15倍の倍率。差し込み図、50倍の倍率)。腫瘍移植の2~3週間後(細胞株6694、52)、及び3~5週間後(細胞株6419、50、6499)にデータを収集し、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。n=別々に分析した個々のマウスからの個々の腫瘍。水平棒=中央値。両側ピアソン相関(図1A、上部)、線形回帰(図1A、下部;図1B)、及び両側マン-ホイットニー検定(図1C)によるP値。
図1D】IL33は、膵臓がんにおいてTLSを誘導する。より少ない(T細胞低)又はより多い(T細胞中程度)腫瘍内T細胞を有するPDACマウスモデルにおける腫瘍内TLSの代表的なヘマトキシリン及びエオシン(H&E)、免疫蛍光(20倍の倍率)(上部)、及び定量化(下部)。腫瘍移植の2~3週間後(細胞株6694、52)、及び3~5週間後(細胞株6419、50、6499)にデータを収集し、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。n=別々に分析した個々のマウスからの個々の腫瘍。水平棒=中央値。両側ピアソン相関(図1A、上部)、線形回帰(図1A、下部;図1B)、及び両側マン-ホイットニー検定(図1C)によるP値。
図2A】IL33は、炎症性ILC2を活性化して、リンホトキシンを発現する。rIL33処置の10日後のPDACマウスからの1,668個の精製された腫瘍及び流入領域リンパ節(DLN)ILC2の単一細胞分析。UMAPプロット(2つの上部グラフ)は、クラスター(0、1、2、左上)及び組織(DLN、腫瘍、左下)によってグループ化された上位15個の主成分の非線形表現における単一細胞(ドット)を示す。iILC2で発現される選択遺伝子のクラスター特異的発現のバイオリンプロット(8個の下部グラフ)。ヒストグラム=腫瘍ILC2。線=試料内の対応のあるデータ。n=カテゴリ毎の試料数。腫瘍移植の10日後にデータを収集し、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。MFI=平均蛍光強度。水平棒=中央値。ホルム検定を用いた二元配置ANOVAによるP値。
図2B】IL33は、炎症性ILC2を活性化して、リンホトキシンを発現する。rIL33-PDACマウスのKLRG1+及びKLRG1-ILC2におけるゲーティング、頻度、及びリンホトキシン(LT)発現。ヒストグラム=腫瘍ILC2。線=試料内の対応のあるデータ。n=カテゴリ毎の試料数。腫瘍移植の5週間後にデータを収集し、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。MFI=平均蛍光強度。水平棒=中央値。テューキーの多重比較検定を用いた二元配置ANOVAによるP値。
図2C】IL33は、炎症性ILC2を活性化して、リンホトキシンを発現する。rIL33処置WT又はILC2欠損PDACマウスからの腫瘍及びDLNにおけるKLRG1+ILC2のゲーティング、頻度、及び数。ヒストグラム=腫瘍ILC2。線=試料内の対応のあるデータ。n=カテゴリ毎の試料数。腫瘍移植の5週間後にデータを収集し、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。MFI=平均蛍光強度。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図2D】IL33は、炎症性ILC2を活性化して、リンホトキシンを発現する。rIL33-PDACマウスのKLRG1+及びKLRG1-ILC2におけるゲーティング及び頻度発現。ヒストグラム=腫瘍ILC2。線=試料内の対応のあるデータ。n=カテゴリ毎の試料数。腫瘍移植の15週間後にデータを収集し、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。MFI=平均蛍光強度。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図2E】IL33は、炎症性ILC2を活性化して、リンホトキシンを発現する。rIL33-PDACマウスのKLRG1+及びKLRG1-ILC2における頻度及びST2発現。ヒストグラム=腫瘍ILC2。線=試料内の対応のあるデータ。n=カテゴリ毎の試料数。腫瘍移植の4~5週間後にデータを収集し、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。MFI=平均蛍光強度。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図2F】IL33は、炎症性ILC2を活性化して、リンホトキシンを発現する。がん患者における血液及び腫瘍KLRG1+及びKLRG1-ILC2上のLT平均蛍光強度(MFI)。ヒストグラム=腫瘍ILC2。線=試料内の対応のあるデータ。n=カテゴリ毎の試料数。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。MFI=平均蛍光強度。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図3A】炎症性ILC2は、原発性及び遠位腫瘍を制御するために移動する。CD45.2ドナー及びCD45.1レシピエント並体結合マウスのレシピエント膵臓にPDACを移植した。ドナーを、ビヒクル、rIL33で処置した。レシピエント膵臓のPDACにおけるドナー由来ILC2のゲーティング及び頻度。腫瘍移植の2週間後にデータを収集し、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図3B】炎症性ILC2は、原発性及び遠位腫瘍を制御するために移動する。CD45.2ドナー及びCD45.1レシピエント並体結合マウスのドナー膵臓及びレシピエント皮下(SQ)組織にPDACを移植した。ドナーを、ビヒクル、rIL33、又はrIL25で処置した。SQのPDACにおけるドナー由来ILC2のゲーティング及び頻度。腫瘍移植の2週間後にデータを収集し、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。クラスカル-ウォリス多重比較検定(頻度、数)を用いた二元配置ANOVAによるP値。
図3C】炎症性ILC2は、原発性及び遠位腫瘍を制御するために移動する。ドナーを、ビヒクル、rIL33、又はrIL25で処置した。SQのPDACにおけるドナー由来ILC2のゲーティング及び頻度。腫瘍移植の2週間後にデータを収集し、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。クラスカル-ウォリス多重比較検定(頻度、数)を用いた二元配置ANOVAによるP値。
図3D】炎症性ILC2は、原発性及び遠位腫瘍を制御するために移動する。SQ PDAC単独、又はSQ及び膵臓PDACを有するWTマウスにおけるSQ PDAC成長、KLRG1+ILC2頻度、及び数。腫瘍移植の5週間後にデータを収集し、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。クラスカル-ウォリス多重比較検定(頻度、数)又はシダックの多重比較検定(腫瘍重量)を用いた二元配置ANOVA、及び両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図3E】炎症性ILC2は、原発性及び遠位腫瘍を制御するために移動する。SQ PDAC単独、又はSQ及び膵臓PDACを有するIl1rl1-/-(ST2欠損)マウスにおけるSQ PDAC成長、KLRG1+ILC2頻度、及び数。腫瘍移植の3週間後にデータを収集し、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。シダックの多重比較検定(腫瘍重量)を用いた二元配置ANOVA、及び両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図3F】炎症性ILC2は、原発性及び遠位腫瘍を制御するために移動する。SQ PDAC単独、又はSQ及び膵臓PDACを有するILC2欠損マウスにおけるSQ PDAC成長、KLRG1+ILC2頻度、及び数。腫瘍移植の5週間後にデータを収集し、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。シダックの多重比較検定(腫瘍重量)を用いた二元配置ANOVA、及び両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図4A】炎症性ILC2は、リンホトキシンを利用してTLSを誘導し、がん免疫療法のために利用され得る。rIL33処置野生型(WT)及びILC2欠損膵臓PDACマウスの腫瘍における代表的なH&E及びTLS数。データを、移植の4週間後に収集し、1群当たり≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定及びクラスカルウォリス多重比較検定を用いた一元配置ANOVAによるP値。
図4B】炎症性ILC2は、リンホトキシンを利用してTLSを誘導し、がん免疫療法のために利用され得る。rIL33処置WT並びにLtbr-/-膵臓及びSQ PDACマウスにおける代表的なH&E、及びTLS数(膵臓PDACにおける)、腫瘍成長、及びKLRG1+ILC2頻度。データを、移植の4週間後に収集し、1群当たり≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。シダックの多重比較を用いた二元配置ANOVA(腫瘍体積)、及びクラスカルウォリス多重比較検定を用いた一元配置ANOVAによるP値。
図4C】炎症性ILC2は、リンホトキシンを利用してTLSを誘導し、がん免疫療法のために利用され得る。腫瘍KLRG1+ILC2を、rIL33処置WT又はLtb-/-膵臓PDACマウスから選別精製し、ILC2欠損膵臓PDACレシピエントに移した。レシピエントPDACにおけるKLRG1+ILC2頻度及び数、TLS数、並びに腫瘍成長。データを、細胞移入の2週間後に収集し、1群当たり≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。クラスカルウォリス多重比較検定を用いた一元配置ANOVAによるP値。
図4D】炎症性ILC2は、リンホトキシンを利用してTLSを誘導し、がん免疫療法のために利用され得る。rIL33処置膵臓PDACマウスにおける腫瘍内LTbR+IL33+細胞のゲーティング及びLTbR発現。データを、移植の4週間後に収集し、1群当たり≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定及びクラスカルウォリス多重比較検定を用いた一元配置ANOVAによるP値。
図4E】炎症性ILC2は、リンホトキシンを利用してTLSを誘導し、がん免疫療法のために利用され得る。rIL33処置膵臓PDACマウスにおける腫瘍内LTbR+IL33+細胞のゲーティング及び表現型。データを、移植の4週間後に収集し、1群当たり≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定及びクラスカルウォリス多重比較検定を用いた一元配置ANOVAによるP値。
図4F】炎症性ILC2は、リンホトキシンを利用してTLSを誘導し、がん免疫療法のために利用され得る。腫瘍内LTbR+細胞を、rIL33処置WT又はIl33-/-膵臓PDACマウスの腫瘍から選別精製し、Il33-/-レシピエントの膵臓に腫瘍と共移植した(上部)。腫瘍内KLRG1+ILC2LT発現、TLS数、及び腫瘍重量(下部)。データを、細胞移入の2週間後に収集し、1群当たり≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定及びクラスカルウォリス多重比較検定を用いた一元配置ANOVAによるP値。
図4G】炎症性ILC2は、リンホトキシンを利用してTLSを誘導し、がん免疫療法のために利用され得る。rIL33処置WT及びLtbr-/-膵臓PDACマウスにおける腫瘍内IL33+CXCL13+細胞頻度。データを、移植の4週間後に収集し、1群当たり≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定及びクラスカルウォリス多重比較検定を用いた一元配置ANOVAによるP値。
図4H】炎症性ILC2は、リンホトキシンを利用してTLSを誘導し、がん免疫療法のために利用され得る。腫瘍KLRG1+ILC2を、rIL33処置WT又はLtb-/-膵臓PDACマウスから選別精製し、ILC2欠損膵臓PDACレシピエントに移した。レシピエント膵臓PDACのIL33+LTbR+細胞におけるゲーティング、CXCL13+細胞頻度、及び平均蛍光強度(MFI)(図4Cの実験スキーマ)。データを、細胞移入の2週間後(に収集し、1群当たり≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定及びクラスカルウォリス多重比較検定を用いた一元配置ANOVAによるP値。
図4I】炎症性ILC2は、リンホトキシンを利用してTLSを誘導し、がん免疫療法のために利用され得る。インビトロで、アゴニストLTbR-Igで処置した精製されたWT若しくはLtbr-/-骨髄細胞(左)、又はWT骨髄細胞におけるIL33発現。データを、刺激の24時間後に収集し、1群当たり≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定及びクラスカルウォリス多重比較検定を用いた一元配置ANOVAによるP値。
図5A】IL33発現は、TLSシグネチャと相関し、IL33発現細胞は、ヒトPDACに存在する。前向き研究で収集されたヒトPDACコホート(MSK、上部)及び以前に公開されたヒトPDACコホート(ICGC、下部)における、3つのTLS転写シグネチャ(Cabrita5、Coppola9、Gu-Trantien10)、及びLTB mRNA発現との腫瘍内IL33 mRNA発現の相関。
図5B】IL33発現は、TLSシグネチャと相関し、IL33発現細胞は、ヒトPDACに存在する。(図4B)TLSを有するヒトPDACにおけるIL33免疫組織化学。n=腫瘍の数。線形回帰によるP値。
図6】腫瘍内T細胞浸潤は、PDACマウスモデルにおいて異なる。T細胞低及びT細胞中程度の膵臓PDACマウスモデルにおけるCD4+及びCD8+T細胞の頻度。n=個々のマウスからの腫瘍の数。腫瘍移植の2~3週間後(6694、52)、3~4週間後(6419)、及び4~6週間後(6499、50、4662)に収集し、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールしたデータ。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図7A】IL33は、マウスの血液及びPDACにおけるiILC2を拡大する。マウスにおけるKLRG1+ILC2を特定するためのゲーティング戦略。データを、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。
図7B】IL33は、マウスの血液及びPDACにおけるiILC2を拡大する。ILC2上のリンホトキシン(LT)発現を検出するためのゲーティング戦略。腫瘍移植の4週間後に野生型(WT)及びLtb-/-マウスから精製されたKLRG1+ILC2上のLT発現。FMO(蛍光-1)=陰性対照。MFI=平均蛍光強度。データを、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図7C】IL33は、マウスの血液及びPDACにおけるiILC2を拡大する。ILC転写因子を示す、10日間のrIL33処置後の膵臓PDACマウスからの1,668個の精製された腫瘍及び流入領域リンパ節(DLN)ILC2の単一細胞分析。データを、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。
図7D】IL33は、マウスの血液及びPDACにおけるiILC2を拡大する。表面マーカー及びサイトカインを示す、10日間のrIL33処置後の膵臓PDACマウスからの1,668個の精製された腫瘍及び流入領域リンパ節(DLN)ILC2の単一細胞分析。データを、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。
図7E】IL33は、マウスの血液及びPDACにおけるiILC2を拡大する。腫瘍移植の5日後(血液)又は32日後(DLN)に採取したT細胞中程度の膵臓PDACマウスモデル(細胞株4662)における血液及びDLN KLRG1+ILC2頻度。データを、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図7F】IL33は、マウスの血液及びPDACにおけるiILC2を拡大する。ビヒクル又はrIL33で処置し、図6に記載される時点で収集したT細胞低(左)及びT細胞中程度(右)の膵臓PDACマウスモデルにおける腫瘍内KLRG1+ILC2頻度。データを、1群当たりn≧2匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図8】iILC2は、ヒト腫瘍に浸潤する。ヒトにおける炎症性ILC2(KLRG1+ILC2として定義されるiILC2)を特定するためのゲーティング戦略。ヒト原発性PDAC腫瘍におけるiILC2が示される。ヒト腫瘍におけるiILC2の定量化が、図2Fに示される。
図9A】IL33は、非ILC2が並体結合PDACマウスにおいて移動するのを誘導しない。実験スキーマ。腫瘍移植の7日後(血液)又は14日後(腫瘍)にデータを収集した。データを、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。
図9B】IL33は、非ILC2が並体結合PDACマウスにおいて移動するのを誘導しない。レシピエント血液中のドナー(CD45.2)及びレシピエント(CD45.1)白血球のゲーティング及び定量化。腫瘍移植の7日後(血液)又は14日後(腫瘍)にデータを収集した。データを、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図9C】IL33は、非ILC2が並体結合PDACマウスにおいて移動するのを誘導しない。レシピエント血液中のドナー由来KLRG1+及びKLRG1-ILC2のゲーティング及び定量化。腫瘍移植の7日後(血液)又は14日後(腫瘍)にデータを収集した。データを、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。
図9D】IL33は、非ILC2が並体結合PDACマウスにおいて移動するのを誘導しない。レシピエント血液及び膵臓PDACにおけるドナー由来の非ILCのゲーティング及び定量化。腫瘍移植の7日後(血液)又は14日後(腫瘍)にデータを収集した。データを、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。両側マン-ホイットニー検定によるP値。
図9E】IL33は、非ILC2が並体結合PDACマウスにおいて移動するのを誘導しない。レシピエントPDACにおけるドナー由来KLRG1+及びKLRG1-ILC2を特定するためのゲーティング戦略。腫瘍移植の7日後(血液)又は14日後(腫瘍)にデータを収集した。データを、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。
図10A】IL25は、ILC2が並体結合PDACマウスにおいて腫瘍に移動するのを誘導しない。実験スキーマ。
図10B】IL25は、ILC2が並体結合PDACマウスにおいて腫瘍に移動するのを誘導しない。ドナー膵臓PDACにおけるドナー(CD45.2)ILC2のゲーティング及び定量化。腫瘍移植の14日後にデータを収集し、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。シダックの多重比較検定を用いた二元配置ANOVAによるP値。個々のマウス。水平棒=中央値。シダックの多重比較検定を用いた二元配置ANOVAによるP値。
図10C】IL25は、ILC2が並体結合PDACマウスにおいて腫瘍に移動するのを誘導しない。レシピエント血液及びにおけるドナー由来KLRG1+ILC2の定量化。腫瘍移植の5~9日後にデータを収集し、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。シダックの多重比較検定を用いた二元配置ANOVAによるP値。個々のマウス。水平棒=中央値。シダックの多重比較検定を用いた二元配置ANOVAによるP値。
図10D】IL25は、ILC2が並体結合PDACマウスにおいて腫瘍に移動するのを誘導しない。レシピエント血液及びSQ PDACにおけるドナー由来KLRG1+ILC2及び非ILCの定量化。腫瘍移植の7日後にデータを収集し、1群当たりn≧3匹のマウスを用いた2つ以上の独立した実験からプールした。各点は、別々に分析した1匹のマウスを示す。n=個々のマウスからの腫瘍の数。水平棒=中央値。シダックの多重比較検定を用いた二元配置ANOVAによるP値。個々のマウス。水平棒=中央値。シダックの多重比較検定を用いた二元配置ANOVAによるP値。
図11A】iILC2及びLTbR+骨髄細胞は、マウスPDACから精製され得る。マウスPDACからのKLRG1+ILC2の代表的な選別前及び選別後の純度。
図11B】iILC2及びLTbR+骨髄細胞は、マウスPDACから精製され得る。マウスPDACからのLTbR+骨髄細胞の代表的な選別前及び選別後の純度。
図12】左:炎症によって誘導された大腸三次リンパ構造(TLS)のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)大腸炎モデルの概略図。野生型(WT)又はIL33-/-マウスを、飲料水中3%DSSで7日間処置し、14日間回復させた(DSS曝露なし)。大腸におけるTLSを定量化した。右:マウスPDACモデルにおけるαLTβRアゴニスト抗体療法の概略図。WT又はIL33-/-同所性PDACマウスを、3日毎にαLTβRアゴニスト抗体で処置した。PDAC腫瘍におけるTLSを移植の14日後に分析した。データを、1群当たりn=5匹のマウスを用いた2つの独立した実験からプールした。n=別々に分析した個々のマウスからの個々の腫瘍。水平棒=中央値。テューキーの多重比較検定を用いた二元配置ANOVAによるP値。
図13】実験概略図(上部)。野生型(WT)マウスを、飲料水中3%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)及びrIL33(500ng)で毎日7日間処置し、その後、7日間回復させ(DSS曝露なし。rIL33を3回/週)、生存を評価した(下部)。n=個々のマウス。二元配置ログランク検定によるP値。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態のうちのいくつかは、本特許開示の「発明の概要」、「実施例」、「図面の簡単な説明」、及び「図面」のセクションに記載されている。この「発明を実施するための形態」セクションは、本明細書の他の箇所に記載されている実施形態に関連する特定の追加の実施形態並びに特定の追加の説明及び詳細を提供し、本特許開示の他の全てのセクションと併せて読まれることが意図される。
【0011】
本発明の実施は、別段の指示がない限り、当該技術分野内にある、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の従来の技法を用いるであろう。そのような技法は、文献で十分に説明されている。例えば、Ausubel et al.eds.(2015)Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons)、Greenfield,ed.(2013)Antibodies:A Laboratory Manual(2nd ed.,Cold Spring Harbor Press)、Green and Sambrook,eds.(2012),Molecular Cloning:A Laboratory Manual(4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Krebs et al.,eds.(2012)Lewin’s Genes XI(11th ed.,Jones&Bartlett Learning)、Freshney(2010)Culture Of Animal Cells(6th ed.,Wiley)、Weir and Blackwell,eds.,(1996)Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I-IV(5th ed.,Wiley-Blackwell)、Borrebaeck,ed.(1995)Antibody Engineering(2nd ed.,Oxford Univ.Press)、Glover and Hames,eds.,(1995)DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes I and II(2nd ed.,IRL Press)、Rees et al.,eds.(1993)Protein Engineering:A Practical Approach(1st ed.,IRL Press)、Mayer and Walker,eds.(1987)Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Academic Press,London)、Nisonoff(1984)Introduction to Molecular Immunology(2nd ed.,Sinauer Associates,Inc.)、及びSteward(1984)Antibodies:Their Structure and Function(1st ed.,Springer Netherlands)を参照されたい。
【0012】
本発明がより容易に理解され得るために、特定の用語が本明細書に定義される。追加の定義は、本開示全体を通して記載されている。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。例えば、The Dictionary of Cell and Molecular Biology(5th ed.J.M.Lackie ed.,2013)、the Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(2d ed.R.Cammack et al.eds.,2008)、及びThe Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology(2d ed.P-S.Juo,2002)は、本明細書で使用されるいくつかの用語の一般的な定義を当業者に提供することができる。
【0013】
定義及び略語
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかにそうではない限り、複数の指示対象を含む。「a」(又は「an」)という用語、並びに「1つ以上」及び「少なくとも1つ」という用語は、互換的に使用され得る。
【0014】
更に、「及び/又は」は、他方を伴うか又は伴わない2つの特定の特徴又は構成要素の各々の具体的な開示として理解されるべきである。したがって、「A及び/又はB」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、A及びB、A又はB、A(単独)、並びにB(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、A、B、及びC;A、B、又はC;A又はB;A又はC;B又はC;A及びB;A及びC;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)を含むことが意図される。
【0015】
単位、接頭辞、記号は、国際単位系(SI)で認められている形式で表記する。本明細書に提供される数値範囲は、範囲を定義する数値を含む。
【0016】
数値の用語に「約」又は「およそ」が先行する場合、その用語は、記載された数及び記載された数の値±10%を含む。
【0017】
本特許開示の文章の後に続く括弧内又は上付きの番号は、本特許開示の「参考文献リスト」セクションに提供される番号付けされた参考文献を指す。
【0018】
実施形態が「含む(comprising)」という言語で説明される場合、「~からなる(consisting of)」及び/又は「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で説明される別様の類似の実施形態が含まれる。
【0019】
アミノ酸は、それらの一般的に知られている3文字の記号によって、又はIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字の記号によって、本明細書で言及される。ヌクレオチドは、同様に、それらの一般的に受け入れられている1文字コードによって言及される。
【0020】
本明細書で使用される場合、「IL33」という略語は、インターロイキン33を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ILC2」という略語は、2型自然リンパ細胞を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「IP」又は「i.p.」という略語は、腹腔内を指す。IP経路を介してマウスに薬剤を投与することが一般的であり、これは、IV経路によってヒト対象に薬剤を投与することに類似すると考えられる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「IT」という略語は、腫瘍内を指す。例えば、腫瘍に直接注射された薬物は、腫瘍内送達される。
【0024】
本明細書で使用される場合、「IV」という略語は、静脈内を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「PDAC」という略語は、膵管腺がんを指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「TILC2」という略語は、腫瘍ILC2を指す。ILC2に言及する本明細書に記載される実施形態の全てが、TILC2も包含することが意図されること、及びILC2を伴うと本明細書に記載される方法の全てについて、具体的にTILCを対象とする代替案も本発明によって企図されることに留意されたい。
【0027】
本明細書で使用される場合、「TLS」という略語は、三次リンパ構造を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「PD-1」という略語は、プログラム死タンパク質1又はプログラム細胞死タンパク質1としても知られる、プログラム死1を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、PD-L1という略語は、PD-1のリガンドであるプログラム細胞死リガンド1を指す。
【0030】
2つ以上のアミノ酸配列との関連における「同一の」又は「同一性パーセント」という用語は、配列同一性の一部としていかなる保存的アミノ酸置換も考慮せずに、最大一致性のために比較及びアラインされた場合(必要に応じてギャップを導入する)、同じ(同一)であるか、又は同じである特定のパーセンテージのアミノ酸残基(同一性パーセント)を有する、2つ以上のアミノ酸配列又は部分配列を指す。同一性パーセントは、配列比較ソフトウェア若しくはアルゴリズムを使用して、又は目視検査によって測定され得る。アミノ酸又はヌクレオチド配列のアライメントを得るために使用され得る様々なアルゴリズム及びソフトウェアが、当該技術分野で知られている。
【0031】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、本発明の組成物又は方法を使用した治療が企図され得る個体を指す。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト、家庭用ペット、農業又は食糧生産で使用される動物、スポーツ動物、動物園動物などの哺乳動物対象である。いくつかの実施形態では、対象は、非ヒト霊長類である。いくつかの実施形態では、対象は、げっ歯類である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、宿主細胞に核酸分子を送達するための構築物を指す。ベクターの例としては、ウイルス、ウイルス由来ベクター、裸のDNA又はRNAベクター、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクターなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ベクターは、宿主細胞に核酸分子を送達することができ、かつ宿主細胞における核酸分子の発現に必要な要素も含有する「発現ベクター」であり得る。
【0033】
他の用語は、本特許開示の他の箇所で定義されているか、又は当該技術分野におけるそれらの通常の意味に従って使用される。
【0034】
活性剤
本発明の方法及び組成物は、IL33タンパク質である活性剤を含む。
【0035】
いくつかの自然発生的な、非自然発生的な、及び/又は組換えのIL33タンパク質を含む、いくつかのIL33タンパク質が当該技術分野で知られている。当該技術分野で既知であるIL33タンパク質の例としては、組換えマウスIL33(担体含有形態又は担体を含まない形態で、R&D Systemsから市販されている)、UniProtKB/Swiss-Prot:Q8BVZ5.1に記載されるアミノ酸配列を有するマウスIL33、組換えヒトIL33(担体含有形態又は担体を含まない形態で、R&D Systemsから市販されている)、及びUniProtKB/Swiss-Prot:O95760.1に記載されるアミノ酸配列を有するヒトIL33が挙げられるが、これらに限定されない。当該技術分野で既知の任意のIL33タンパク質は、そのようなIL33タンパク質が以下の特性のうちの少なくとも1つを有することを条件として、本発明の方法又は組成物で使用され得る:(a)IL33受容体ST2に結合する能力、(b)IL33受容体ST2を活性化する能力、又は(c)TLSの形成を誘導する能力。
【0036】
ヒトIL33の完全長野生型バージョンは、270アミノ酸長(aa1~270)である。野生型ヒトIL33タンパク質の成熟バージョンは、完全長タンパク質のタンパク質分解切断によって生成され、完全長タンパク質の最後/C末端159アミノ酸、すなわち、aa112~270からなる成熟バージョンを含む。本明細書で使用される場合、「rIL33」は、完全長ヒトIL33のアミノ酸残基112~270からなる野生型ヒトIL33の成熟バージョンを指す。rIL33のアミノ酸配列は、当該技術分野で既知であり、便宜上、配列番号1としても本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本発明の方法又は組成物で使用されるIL33タンパク質は、rIL33である。
【表1】
【0037】
本明細書に提供されるIL33タンパク質(例えば、rIL33)の具体例に加えて、それらのIL33タンパク質と比較して修飾されたか、又はそれらのIL33タンパク質と比較して異なるアミノ酸配列を有するIL33タンパク質も、IL33タンパク質が以下の特性のうちの少なくとも1つを有することを条件として、本発明の方法及び組成物で使用され得る:(a)IL33受容体ST2に結合する能力、(b)IL33受容体ST2を活性化する能力、又は(c)TLSの形成を誘導する能力。
【0038】
いくつかの実施形態では、使用されるIL33タンパク質は、IL33配列及び1つ以上の追加の部分を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、そのような追加の部分は、タンパク質/ペプチド部分である。いくつかの実施形態では、そのような追加の部分は、非タンパク質化学部分である。いくつかの実施形態では、そのような追加の部分は、IL33配列に対してN末端にある。いくつかの実施形態では、そのような追加の部分は、IL33配列に対してC末端にある。いくつかの実施形態では、そのような追加の部分は、IL33配列のN末端及びC末端の両方にある。
【0040】
いくつかの実施形態では、そのような追加の部分は、IL33配列の産生、精製、安定性半減期、バイオアベイラビリティ、製剤化、ST2結合親和性、又は任意の他の治療上望ましい特性を促進及び/又は改善する。
【0041】
例えば、いくつかの実施形態では、そのような追加の部分は、検出及び/又は精製に有用なタグである。例示的なタグとしては、Strepタグ、Strep IIタグ、FLAGタグ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)タグ、緑色蛍光タンパク質(GFP)タグ、ヘマグルチニンA(HA)タグ、ヒスチジン(His)タグ、ルシフェラーゼタグ、マルトース結合タンパク質(MBP)タグ、c-Mycタグ、プロテインAタグ、プロテインGタグなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
いくつかの実施形態では、そのような追加の部分は、リーダー配列、前駆体ポリペプチド配列、分泌シグナル、及び/又は局在化シグナルである。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明による修飾IL33タンパク質は、1つ以上のPEG分子を含み得、すなわち、それらは、ペグ化され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明による修飾IL33タンパク質は、免疫グロブリンFcドメインを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明による修飾IL33タンパク質は、アルブミン結合ドメインを含み得る。
【0046】
修飾IL33タンパク質(すなわち、追加の部分を有する)が以下の特性のうちの少なくとも1つを有することを条件として、当該技術分野で既知の任意の追加の部分が使用され得る:(a)IL33受容体ST2に結合する能力、(b)IL33受容体ST2を活性化する能力、又は(c)TLSの形成を誘導する能力。
【0047】
いくつかの実施形態では、そのような追加の部分は、IL33アミノ酸配列に直接(共有結合的又は非共有結合的に)付着されている。いくつかの実施形態では、追加の部分は、ペプチドリンカーなどのリンカーを介してIL33アミノ酸配列に間接的に付着している。いずれの場合も、追加の部分は、化学的コンジュゲーションによって、又はアミノ酸若しくはペプチド若しくはタンパク質部分の場合には、融合タンパク質としての発現によって、を含む、当該技術分野で既知の任意の好適な手段を使用して(直接的又は間接的にかかわらず)ペプチドに結合され得る。
【0048】
本明細書に記載されるIL33タンパク質は、当該技術分野で既知の任意の好適な手段を使用して調製され得る。例えば、IL33タンパク質は、組換えDNA法を使用して調製され得る。例えば、IL33タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、好適な発現ベクターにクローニングされ得る。発現ベクターを用いた宿主細胞のトランスフェクションは、宿主細胞による操作されたIL33タンパク質の生成をもたらす。いくつかの実施形態では、IL33は、合成的に産生される。
【0049】
本発明の方法で使用されるIL33タンパク質は、組成物、例えば、IL33タンパク質を含む薬学的組成物中で提供され得る。本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」という用語は、活性剤(例えば、IL33タンパク質)の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態にあり、かつ組成物が投与され得る対象に対して許容できないほど毒性を有する追加の成分を含有しない調製物を指す。そのような組成物は、滅菌であり得る。典型的には、そのような組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む。薬学的に許容される賦形剤の例としては、水、生理食塩水、塩、緩衝液(例えば、酢酸、リン酸、又はクエン酸緩衝液)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、安定剤(例えば、ヒトアルブミン)、可溶化剤、分散剤、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
方法
いくつかの実施形態では、本発明は、対象において新規三次リンパ構造の形成を誘導する方法を提供する。そのような方法は、対象に有効量のIL33タンパク質(又はIL33タンパク質を含む薬学的組成物などの組成物)を投与することを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明は、様々な治療方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、対象に有効量のIL33タンパク質を投与することを含む治療方法を提供する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、及び「治療」という用語は、所与の疾患、症候群、若しくは状態に関連する1つ以上の臨床指標若しくは症状の検出可能な改善を達成すること、並びに/又は達成する方法を実施すること包含する(「疾患」、「症候群」、及び「状態」という用語は、本明細書で互換的に使用され得る)。例えば、疾患又は状態ががんである場合、そのような用語には、腫瘍(又は腫瘍細胞)の成長速度を低減すること、腫瘍(又は腫瘍細胞)の成長を停止すること、腫瘍(又は腫瘍細胞)の退縮の引き起こすこと、腫瘍のサイズ(例えば、腫瘍体積又は腫瘍量の観点から測定される)を低減すること、腫瘍の悪性度を低減すること、腫瘍(又は腫瘍細胞)を除去すること、腫瘍の再発(リバウンド)の予防、遅延、又は減速すること、腫瘍に関連する症状を改善すること、腫瘍からの生存を改善すること、腫瘍の広がり(例えば、転移)を阻害又は低減することなどが含まれるが、これらに限定されない。治療方法に言及する本明細書に記載される実施形態の各々において、上記に列挙される特定のパラメータのうちのいずれか1つ以上を達成する方法も企図される。例えば、腫瘍を治療する方法に言及する本明細書に記載される実施形態の各々について、以下の方法も企図及び意図され、本発明の範囲内にある:(a)腫瘍の成長速度を低減する方法、(b)腫瘍の成長を停止する方法、(c)腫瘍の退縮を引き起こす方法、(d)腫瘍のサイズを低減する方法、(e)腫瘍の悪性度を低減する方法、(f)腫瘍を除去する方法、(g)腫瘍の再発(リバウンド)を予防、遅延、又は減速する方法、(h)腫瘍の症状を改善する方法、(i)腫瘍からの生存を改善する方法、及び(j)腫瘍の広がり(例えば、転移)を阻害又は低減する方法。同様に、疾患又は状態が慢性炎症性疾患である場合、そのような治療という用語には、疾患の重症度を低減すること、疾患の期間を低減すること、疾患からの生存を改善すること、疾患の1つ以上の症状を改善することなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、げっ歯類(ラット、マウス、及びモルモットなど)、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマなどを含むがこれらに限定されない、全ての哺乳動物種を包含し、畜産業で使用される全ての哺乳動物種、並びにペットとして及び動物園で飼育される動物などを含む。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0054】
いくつかの実施形態では、対象は、がんを有する。いくつかの実施形態では、対象は、膵臓がんを有する。いくつかの実施形態では、対象は、膵管腺がん(PDAC)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、乳がんを有する。いくつかの実施形態では、対象は、黒色腫を有する。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、腫瘍又はがんの治療を必要とする対象においてそれを行うために使用され得る。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、膵臓腫瘍の治療を必要とする対象(すなわち、膵臓がんを有する対象)においてそれを行うために使用され得る。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、膵管腺がん(PDAC)の治療を必要とする対象(すなわち、PDACを有する対象)においてそれを行うために使用され得る。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、乳がんの治療を必要とする対象(すなわち、乳がんを有する対象)においてそれを行うために使用され得る。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、黒色腫の治療を必要とする対象(すなわち、黒色腫を有する対象)においてそれを行うために使用され得る。いくつかの実施形態では、対象は、他の方法論及び/又は組成物を使用した治療に耐性である腫瘍を有する。本明細書で使用される場合、「耐性の」及び「耐性」という用語は、当該技術分野におけるそれらの通常の使用と一致して、かつがんを治療する医師(例えば、腫瘍医)によるそれらの用語の理解と一致して使用される。例えば、当該技術分野におけるその通常の意味と一致して、腫瘍又は対象は、特定の薬剤(又は薬剤の組み合わせ)を用いた特定の治療方法又は治療に対して、その方法を使用するか又はその薬剤(若しくは薬剤の組み合わせ)を投与しているにもかかわらず、対象の腫瘍(又は腫瘍細胞)が成長、及び/又は進行、及び/又は拡大、及び/又は転移、及び/又は再発する場合、「耐性」とみなされ得る。場合によっては、腫瘍は、当初、特定の方法又は薬剤(又は薬剤の組み合わせ)を用いた治療に感受性であり得るが、後にそのような治療に耐性になった。
【0055】
いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、PD-1/PD-L1阻害剤耐性腫瘍/がんの治療を必要とする対象(すなわち、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤耐性腫瘍/がんを有する対象)においてそれを行うために使用され得る。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、PD-1/PD-L1阻害剤耐性PDACの治療を必要とする対象(すなわち、PD-1及び/又はPD-L1阻害剤耐性PDACを有する対象)においてそれを行うために使用され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、対象は、化学療法、放射線療法、若しくは外科的切除、又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、他の組成物又は方法を用いた以前の治療の後に再発した腫瘍/がんを有する。いくつかの実施形態では、対象は、以前に治療されていない膵臓腫瘍を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、対象は、慢性炎症状態を有する。いくつかの実施形態では、対象は、慢性胃腸炎症状態を有する。いくつかの実施形態では、対象は、大腸炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、及びクローン病から選択される慢性胃腸炎症状態を有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、対象において慢性炎症状態を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、慢性胃腸炎症状態を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本方法及び組成物は、大腸炎、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、及びクローン病から選択される慢性胃腸炎症状態を治療するために使用され得る。
【0059】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、対象において三次リンパ構造の形成を誘導するのに十分である、本明細書に記載される活性剤(すなわち、IL33タンパク質)又は薬学的組成物の量を指す。任意の個々の症例における適切な「有効」量は、用量漸増研究などの当該技術分野で既知の標準的な技法を使用して決定され得、所望の投与経路(例えば、全身対腫瘍内)、所望の投与頻度などの要因を考慮して決定され得る。更に、「有効量」は、使用される任意の同時投与方法との関連で決定され得る。当業者は、そのような投与研究を(単剤又は薬剤の組み合わせを使用するかどうかにかかわらず)容易に実施して、例えば、本特許出願の実施例セクションに記載されるものなどのアッセイを使用して、使用する適切な用量を決定することができ、これは、本明細書に記載される薬剤を対象(投与研究を実施するために薬学で日常的に使用される動物対象など)に投与することを伴う。
【0060】
例えば、いくつかの実施形態では、本発明の活性剤の用量は、活性剤の有効性及び/又は有効量を決定するために行われるヒト又は他の哺乳動物における研究に基づいて計算されてもよい。用量は、当該技術分野で既知の方法によって決定され得、活性剤の薬学的形態、投与経路、1つの活性剤のみが使用されるか、又は複数の活性剤が使用されるかどうか(例えば、必要とされる第1の活性剤の用量は、そのような薬剤が第2の活性剤と組み合わせて使用される場合により低くなり得る)、及び年齢、体重、又は薬物代謝に影響を与える任意の医学的状態の存在を含む患者特徴などの要因に依存し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される様々な活性剤の好適な用量は、用量漸増研究などの当該技術分野で標準的である投与研究を実施することによって、例えば、本特許出願の実施例セクションでマウスにおいて有効であることが示される投与量を出発点として使用することによって、決定され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、活性剤のうちの1つ以上は、例えば、第I相臨床試験及び/又は用量漸増研究で決定されるように、その最大耐用量で使用される。いくつかの実施形態では、1つ以上の活性剤は、その最大耐用量の約90%で使用される。いくつかの実施形態では、1つ以上の活性剤は、その最大耐用量の約80%で使用される。いくつかの実施形態では、1つ以上の活性剤は、その最大耐用量の約70%で使用される。いくつかの実施形態では、1つ以上の活性剤は、その最大耐用量の約60%で使用される。いくつかの実施形態では、1つ以上の活性剤は、その最大耐用量の約50%で使用される。いくつかの実施形態では、1つ以上の活性剤は、その最大耐用量の約50%で使用される。いくつかの実施形態では、1つ以上の活性剤は、その最大耐用量の約40%で使用される。いくつかの実施形態では、1つ以上の活性剤は、その最大耐用量の約30%で使用される。
【0063】
本明細書に記載される方法を行う際に、任意の好適な投与の方法又は経路が、活性剤(すなわち、IL33タンパク質)又は薬学的組成物を対象に投与するために使用され得る。いくつかの実施形態では、全身投与、例えば、経口若しくは静脈内(IV)投与、又は当該技術分野で既知の任意の他の好適な全身投与の方法若しくは経路が、用いられ得る。いくつかの実施形態では、腫瘍内(IT)送達が、用いられ得る。いくつかの実施形態では、腹腔内(IP)送達が、用いられ得る。例えば、本明細書に記載される活性剤は、注射によって、カテーテルを通した注入によって、埋め込み可能な薬物送達デバイスを使用して、又は当該技術分野で既知の任意の他の手段によって、全身的又は局所的のいずれかで投与され得る。
【0064】
特定の実施形態では、本明細書に提供される薬学的組成物及び方法は、外科的方法(例えば、腫瘍切除のための)、放射線療法の方法、化学療法剤を用いた治療、抗血管新生剤を用いた治療、チロシンキナーゼ阻害剤を用いた治療、又は免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療を含むがこれらに限定されない、がん治療に有用であることが知られている他の薬学的組成物及び方法とともに用いられ得る。同様に、特定の実施形態では、本明細書に提供される方法は、生検方法及び診断方法(例えば、MRI方法若しくは他の撮像方法)などの、疾患状態/進行を監視するために使用される手順とともに用いられ得る。
【0065】
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、腫瘍の外科的切除を実施する前に、例えば、外科的切除の前の腫瘍を縮小するために実施され得る。他の実施形態では、本明細書に記載される方法は、腫瘍の外科的切除を実施する前及び後の両方で実施され得る。
【0066】
特定の実施形態では、本明細書に提供される薬学的組成物及び方法は、慢性炎症状態の治療に有用であることが知られている他の薬学的組成物及び方法とともに用いられ得る。
【0067】
本発明は、以下の非限定的な実施例、並びにその中で参照される図面によって更に説明され、かつそれらを参照して理解される。
【実施例
【0068】
IL33活性化移動性ILC2は、膵臓がんにおいて三次リンパ構造を誘導する
本明細書の文章の終わり又は以下の様々な文の括弧内の番号は、本特許出願の参考文献リストセクションの番号付けされた参考文献を指す。
【0069】
三次リンパ構造(TLS)は、慢性炎症及びがんにおける免疫を調節するために、損傷組織において異所的に生じる特定の新規リンパ器官である(1)。それにもかかわらず、TLSは、慢性組織損傷における宿主防御を決定的に強化する普遍的な構造であるが、TLSを開始する分子及び細胞は、依然として捕捉しがたいままである。ここで、我々は、損傷組織によって放出されるアラーミン(2)であるインターロイキン-33(IL33)が、2型自然リンパ細胞(ILC2)を刺激して、がんにおいてTLSを誘導することを発見する。我々は、IL33を、ヒト膵管腺がん(PDAC)、乳がん、及び黒色腫においてTLS転写シグネチャと最も高度に相関した遺伝子のうちの1つとして特定する。更に、ヒトがんにおいて、TLS内の希少なIL33発現細胞、及びTLS誘導サイトカインであるリンホトキシン(LT)を発現するIL33応答性炎症性ILC2(iILC2)を発見する(3)。マウスにおいて、IL33は予想外に、iILC2がPDAC中に移動して、新規TLSを生成するように誘導する。機構的に、IL33は、iILC2を刺激して、新規LTb受容体(LTbR)+骨髄細胞を活性化して、腫瘍において標準リンパケモカインCXCL13を産生するLTを発現させる。iILC2はまた、LTを利用して、LTbR+骨髄細胞がIL33を産生するように誘導し、これが、iILC2がフィードバックループにおいてLTを発現するように相互に誘導する。我々はまた、ヒト組換えIL33(H-rIL33)が、iILC2及びTLSを拡大して、マウスにおいてPDACを制御し、ヒトにおいてLT+ILC2を拡大することを示す。したがって、要約すると、IL33によって開始され、ILC2によって誘導され、骨髄細胞によって組織化された、これまで知られていなかったリンパ新生経路を発見する。更に、我々は、がん免疫療法のためにこの経路を利用し、TLSを調節してがん及び他の慢性組織病理を治療することができる新しい標的として、IL33及びILC2を特定する。我々はまた、ILC2が組織における異所性リンパ新生を開始するための、これまで認識されていなかった機能を特定する。
【0070】
二次リンパ器官(SLO)は、出生前に決定された戦略的な解剖学的部位で免疫細胞を組織化する、哺乳動物における重要な構造(4)である。SLOは、特定の組織から抗原を排出し、これらの抗原をサンプリングする細胞を、その後に続く免疫応答を実行する細胞と共局在化させ、それによって効率的に組織を巡回し、脅威を取り除く。しかしながら、慢性感染又は腫瘍のように脅威が持続する場合、宿主は、免疫応答の強度及び近接性の両方を高めるために、組織内で異所的に直接的にリンパ器官を発達させなければならない。三次リンパ構造(TLS)と呼ばれるこれらの異所性リンパ器官は、感染、炎症、及び新生物を含む、慢性組織病理における遍在的な特徴であり(1)、免疫を調節する役割を果たす。がんにおいて、宿主は表面的には、組織で生じるいかなる腫瘍においてもTLSを発達させ(1)、これらのTLSは、ヒト及びマウスにおいて内因性の抗腫瘍免疫(1)及び治療的な抗腫瘍免疫(5~7)の両方を高める。したがって、ほとんどのヒト腫瘍は、効果的にそれらを現在の免疫療法に耐性の状態にするベースライン免疫細胞(「冷たい」腫瘍)をほとんど有しないため、抗腫瘍免疫を増強するための手段としてTLSを誘導するための新しいがん免疫療法を開発することは、魅力的な目標である。
【0071】
IL33は、膵臓がんにおいて三次リンパ構造を誘導する
腫瘍においてTLSを誘導する候補シグナルを特定するために、我々は、The Cancer Genome Atlas(TCGA)(8)において、より高い腫瘍内TLS密度が免疫を高め(1)1、より長い生存と相関する(12)、古典的な冷たい腫瘍である膵管腺がん(PDAC)においてTLS転写シグネチャ(5、9、10)と発現が正に相関した遺伝子を検索した。TLSは、それらの独自の誘導ケモカイン(標準CXCL1313を含む)、並びに集合細胞(活性化T細胞、B細胞、樹状細胞、及び骨髄細胞(1))によって特定され得るため、我々は、そのようなケモカイン(9)、細胞(10)、及び他の免疫療法促進因子(5)に基づいてTLSを特定する、3つの大部分は重複していない転写シグネチャを選択した。興味深いことに、我々は、損傷組織によって細胞外に急速に放出されるアラーミンをコードするインターロイキン-33(IL33)(2)が、3つ全てのTLSシグネチャの発現、及び標準リンパ組織(14)及びTLS誘導サイトカイン(3)LTbをコードするリンホトキシンベータ(LTB)と最も高度に相関した遺伝子のうちの1つであったことを見出した(図1A)。これを確認するために、我々は、IL33が、PDAC患者の第2の前向きに収集されたコホート(図5A、上部)、及び第3の独立して公開された(15)コホート(図5A、下部)において、TLS転写シグネチャ及びLTBと相関したかを試験した。両方のコホートにおいて、我々は、IL33発現が、3つ全てのTLS転写シグネチャの発現及びLTBと強く相関したことを見出した(図5A)。この発見が他のヒト腫瘍にまで及んだかどうかを理解するために、我々は、別の免疫学的に冷たい腫瘍(乳房)、並びに免疫学的に「厚い」(より多くのベースライン免疫細胞)腫瘍(黒色腫)においてIL33、TLS転写シグネチャ、及びLTB発現を調べた(図1B)。PDACと同様に、我々は、腫瘍におけるIL33発現が、両方の腫瘍型においてTLS転写シグネチャ及びLTB発現と強く相関したことを見出した(図1B)。我々は次に、ヒトPDACのTLS内のIL33+細胞を検索して、IL33が実際にTLSにおいて発現されたかを調べた。一貫して、我々は、TLS内の全ての免疫細胞の約2%を占める(図1C)、全ての観察されたTLSにおけるIL33+細胞を見出した(図1C図5B)。これらの結果は、IL33を、ヒト腫瘍においてTLSを誘導する新規の候補シグナルとして特定した。
【0072】
腫瘍におけるIL33とTLSとの間の相関が原因となったかを調査するために、我々は、IL33がTLSを誘導した場合、これが、受容体ST2に結合することによってそのアラーミン機能を調整するために、細胞外に放出されるIL33のドメインによって媒介される可能性が高いと仮定した(16)。これを試験するために、我々は、IL33のアラーミンドメイン(すなわち、本明細書で組換えIL33又は「rIL33」と称されるIL33のアミノ酸112~270)を、様々な腫瘍内T細胞頻度を有するKras及びp53駆動の同所性PDACマウスモデル(PDACマウス)に投与して(図6)(17)、ヒトPDACにおいて観察される可変T細胞密度をモデル化した(18)。一貫して、我々は、rIL33が、試験した5つ全てのPDACマウスモデルにおいて新規TLSを誘導したことを見出した(図1D)。したがって、これらのデータは、IL33が、がんにおいてTLSを誘導する新規のアラーミンであることを示唆した。
【0073】
IL33は、腫瘍において炎症性ILC2を活性化して、リンホトキシンを発現する
我々は次に、TLSを誘導するためにrIL33によって活性化された細胞を特定しようとした。我々は、PDACにおけるrIL33の優位な細胞標的としてST2+ILC2を以前に検出したため(19)、我々は、前述(19)のように、rIL33処置PDACマウス(図2A)からの腫瘍及び腫瘍流入領域リンパ節(DLN)から精製されたST2+ILC2の単一細胞トランスクリプトームを調べた。我々は、リンパ球活性化マーカーKLRG1、並びにリンパ器官形成1(4、20、21)及び新生(3、22)に不可欠な遺伝子-Ltb及びIl7r(図2Aのクラスター0。拡張データ図3a)を高度に共発現した腫瘍及びDLNにおける優勢なILC2集団を検出した。KLRG1+ILC2(図7B)は、リンパ組織がSLOを誘導する標準リンパ組織誘導因子ILC(LTi細胞)に機能的に類似するように誘導するヘテロ三量体サイトカインである、LTa1b2(リンホトキシン[LT])(図2B)の発現及び誘導的な上方調節の両方を顕著に行った(23)。しかしながら、転写因子RORgt24を発生的に必要とするLTi細胞及びLTi様ILC3とは異なり、これらの推定リンパ組織を誘導するKLRG1+ILC2は、ILC2系統に明らかに由来し、それらは、標準ILC2マーカーを発現し(図7C及びD)、ILC2転写因子Rora25(ILC2欠損)の系統特異的欠失を伴う腫瘍及びDLNにおいて枯渇していた(図2C)。腫瘍及びDLNにおけるKLRG1+ILC2はまた、興味深いことに、急性感染組織に血行性に移動する炎症性ILC2(iILC2)(26,27)に特徴的な遺伝子(図2A、右-Klrg1、Nmur1、Pdcd1、Arg1、Gata3)を過剰発現した2(6~29)。潜在的な移動能力と一致して、rIL33は、血液及びDLNの両方において(図3E)、並びに6つのマウスモデルからのPDACのパネルにおいて(図2D図3F)、KLRG1+ILC2を拡大し、更に、KLRG1+ILC2がST226を上方制御するように誘導した(図2E)。重要なことに、我々はまた、マウスにおけるKLRG1+ILC2のように、LTを過剰発現した複数のヒト腫瘍に浸潤する希少なKLRG1+ILC2も検出した(図2F図8)。要約すると、rIL33が、LTを発現する推定移動能力を有するILC2を活性化したため、我々は、IL33が、ILC2が腫瘍に移動するように誘導し、LT経路を利用してTLSを誘導し得ると仮定した。
【0074】
炎症性ILC2は、腫瘍を制御するために移動する。
この仮説を試験するために、我々は、並体結合マウスを使用して、現在の推定(19)に反して、KLRG1+ILC2が実際に、局所的な組織源から生じるのではなく腫瘍に血行性に移動したかを調査した。我々は、コンジェニックCD45.2ドナーマウスをCD45.1 PDACレシピエントに外科的に接続し、ドナーにrIL33を投与し、レシピエントの血液及び腫瘍においてドナー由来ILC2を検索した(図3A)。我々は、レシピエント血液中でドナー及びレシピエント由来のCD45+免疫細胞を約1:1の比で見出した(図9A及びB)。しかしながら、rIL33は、レシピエント血液(図9C及びD)及び腫瘍(図3A図9D及びE)において、KLRG1-ILC2又は非ILC免疫細胞ではなく、ドナー由来KLRG1+を選択的に拡大した。したがって、現在推定されているのとは異なり、腫瘍におけるKLRG1+ILC2は、血行性の源に由来する真正な移動性iILC2を含有する。
【0075】
最近の証拠は、急性局所組織損傷が、局所損傷の変動レベルに対する全身組織保護の対合及び切り替えの両方への適応として、iILC2を全身的に遠隔組織に押し出すことを示す(30)。我々は、iILC2が、慢性的に炎症を起こした「遠隔腫瘍」における免疫を高めるために同様の移動能力を利用する可能性が高い、すなわち、局所腫瘍が、遠隔腫瘍へのiILC2の移動を増幅すると仮定した。この仮説を試験するために、我々は、並体結合マウスを確立し、PDACをドナーマウスの膵臓に移植して局所腫瘍をモデル化し、レシピエントマウスの皮膚(皮下[SQ])に移植して遠隔腫瘍をモデル化した。我々は次に、ドナーPDACマウスをrIL33で処置し、レシピエント血液(図10)及びSQ PDAC(図3B)におけるドナー由来iILC2を測定した。ドナーiILC2は、レシピエント膵臓PDAC(図3A)だけでなく、レシピエントSQ PDAC(図3B)にも移動して、iILC2が多様な組織における腫瘍に移動することができたことを示した。興味深いことに、ドナーにおける膵臓PDACの存在は、レシピエントSQ PDACへのrIL33によって誘導されたiILC2移動を増加させた(図3B)。遠隔腫瘍へのこのiILC2移動挙動は、rIL3331及びrIL2526、27の両方が、ドナーPDACにおいてiILC2を拡大したが(図10A及びB)rIL2523ではなくrIL33のみが、ドナーからレシピエント血液(図10C)及びSQ PDAC(図3C)にiILC2を播種したため、急性感染に関与するものとは異なるサイトカインを必要とした。rIL33もrIL25も、非ILC免疫細胞をドナーからレシピエントに移動するように誘導せず(図10D)、腫瘍へのiILC2の移動が、他の免疫細胞の移動の結果として生じなかったことを示した。したがって、局所腫瘍は、iILC2を刺激して遠隔腫瘍に移動させる。これらの結果は、iILC2が、急性的に炎症を起こした組織だけでなく慢性的に炎症を起こした組織にも移動し、したがって、組織損傷部位に移動するための保存機能を有することを実証した。
【0076】
我々は次に、iILC2が免疫を高めるために遠隔腫瘍に移動したかを調査した。我々は、膵臓(局所)及び/又はSQ(遠隔)PDACをマウスに移植し、これらのマウスをrIL33で処置し、SQ PDAC成長を調べた(図3D)。SQ PDACマウスにおいて、rIL33は、腫瘍内iILC2密度を最小限に拡大し、以前の結果と一致して、SQ PDAC成長を有意に制限することに失敗した(図3D、左)(19)。しかしながら、二重PDACマウスにおいて、並体結合マウスにおけるILC2拡大と同様に(図3B)、rIL33は、腫瘍内iILC2を拡大し、SQ PDAC成長を制限した(図3D、右)。特に、rIL33は、Il1rl1-/-(図3E)又はILC2欠損(図3F)の二重PDACマウスのいずれにおいても、SQ PDAC成長を制御せず、rIL33が、遠隔腫瘍を制御するために、その受容体Il1rl1(ST2)及びILC2を通したインタクトなシグナル伝達を必要としたことを示した。したがって、これらのデータは、iILC2が、遠隔腫瘍に移動して腫瘍成長を制限することを示した。
【0077】
炎症性ILC2は、リンホトキシンを利用して腫瘍における三次リンパ構造を誘導する
rIL33が、iILC2が腫瘍において拡大し(図3A、B)、LTを上方制御するように誘導したため(図2B)、我々は、iILC2が、TLSを開始し、腫瘍を抑制するための誘導細胞としての役割を果たし得ると推論した。これを試験するために、我々は、ILC2、又はリンパ組織発達を媒介するLT経路の必須受容体であるLTbRのいずれかが欠損した二重PDACマウスに、rIL33を投与した。(32)rIL33は、ILC2欠損(図4A)及びLtbr-/-二重PDACマウス(図4B、左)の両方で、膵臓PDACにおいてTLSを誘導することに失敗し、また、これらのマウスにおいて原発腫瘍又は遠隔腫瘍のいずれも制限しなかった(図3F図4B中央)。したがって、rIL33は、TLSを誘導し、腫瘍を制御するために、ILC2及び機能的LT経路を必要とした。
【0078】
iILC2が、LTを利用してTLSを直接誘導したかを調べるために、我々は、rIL33処置Ltbr-/-腫瘍におけるiILC2頻度を調べて、機能的LTシグナル伝達がなかったときにiILC2頻度が変化したかを評価した。興味深いことに、iILC2は、Ltbr-/-マウスの腫瘍において有意に低減されて(図4B、右)、iILC2が、LT-LTbR経路を利用して腫瘍内に蓄積して、TLSを誘導する可能性があることを示唆した。これを試験するために、我々は、野生型(WT)又はLtb-/-マウスにおけるPDACから単離したiILC2を、ILC2欠損PDACレシピエントに移した(図4C図11A)。一貫して、Ltb欠損は、腫瘍内に蓄積し、TLSを誘導し、腫瘍成長を制御するiILC2能力を損なった(図4C)。まとめると、これらの結果は、iILC2がLTを利用して、腫瘍内に蓄積し、TLSを誘導し、成長を制限することを実証した。
【0079】
SLO及びTLSにおいて、誘導細胞上のLTは、間質オーガナイザー細胞上のLTbRに結合して、LTを誘導するリガンド発現を刺激して、それによって、フィードフォワードループを通したリンパ新生を調整する。(33)iILC2は一見したところ、新規のTLS経路において誘導細胞として機能したため、我々は、パートナーのLTbR+オーガナイザー細胞を検索した。我々は、PDACにおいて、IL33+免疫細胞が、LTbRを最も高度に発現することを興味深いことに見出した(図4D)。これらのLTbR+IL33+細胞は、骨髄由来骨髄細胞のマーカーを発現し34(図4E)、重要なことに、標準リンパ組織組織化サイトカインであるCXCL13及びCCL21も発現した35(図4E)。したがって、我々は、PDAC患者のTLS内で同様のIL33+免疫細胞も検出したため(図1C)、我々は、これらのIL33+LTbR+骨髄細胞が、腫瘍におけるiILC2及びTLSを増幅するために局所的なIL33産生を機能的に高める候補TLSオーガナイザー細胞であると仮定した。
【0080】
LTbR+骨髄細胞が、TLSオーガナイザー細胞として機能したかを試験するために、我々は最初に、骨髄細胞由来IL33が、腫瘍におけるLT又はTLSを誘導するiILC2の能力を調節したかを調査した。Il33-/-PDACマウスの腫瘍に、IL33の欠損がないか、又はIL33が欠損しているかのいずれかのLTbR+骨髄細胞を移植し、iILC2及びTLSを調べた(図4F図11B)。興味深いことに、LTbR+骨髄細胞由来IL33は、腫瘍におけるiILC2がLTを上方制御し、TLSを誘導し、PDACを制御するように誘導するのに十分であり(図4F)、LTbR+IL33+細胞が、腫瘍におけるTLSオーガナイザー細胞として機能し得ることを示した。実際、iILC2のように、我々が、Ltbr-/-PDACにおいてより少ないIL33+CXCL13+を検出したとおり、LTbR+IL33+細胞は、LT-LTbR経路を利用して腫瘍にとどまり(図4G)、したがって、iILC2(図4B)と同様に、腫瘍に蓄積するために機能的なLTシグナル伝達が必要であった。iILC2由来のLTが、腫瘍においてIL33+細胞上のLTbRに結合してCXCL13を産生したかを試験するために、我々は、WT又はLtb-/-iILC2をILC2欠損PDACレシピエントに移した。iILC2細胞固有LTは、腫瘍において、PDACにおけるIL33+LTbR+細胞を刺激して、CXCL13の1細胞当たりの産生を有意に増加させ、かつそれより低い程度まで、CXCL13+細胞頻度を増加させるのに十分であった(図4H)。LTbRシグナル伝達が、骨髄細胞においてIL33発現を誘導したかを調べるために、我々は、WT及びLtbr-/-骨髄細胞におけるIL33発現を調べて、LTbR欠損が、IL33発現を減少させたことを見出した(図4I、左)。一貫して、インビトロでアゴニストLTbR-Igを用いて骨髄細胞上のLTbRを刺激することにより、骨髄細胞がIL33を用量依存的に上方制御するように誘導した(図4I、右)。まとめると、これらのデータは、iILC2及び骨髄細胞が、LT-LTbR経路を利用して、腫瘍においてそれらの細胞頻度を相互に維持し、CXCL13を産生し、TLSを誘導することを示した。したがって、我々は、腫瘍における新規のTLS誘導細胞及びオーガナイザー細胞として、iILC2及び骨髄細胞を特定する。
【0081】
IL33-TLS経路は、がん免疫療法のために操作され得る
我々は、IL33がST2+iILC2を活性化して(図2D)、TLSを誘導し(図4A、C)、ST2依存的に腫瘍を制御する(図3E)ことを見出したため、我々は、IL33-ST2経路が、がん免疫療法のために操作され得ると推論した。我々は、マウスrIL33のヒト等価量(H-rIL33)を合成した、
【0082】
慢性炎症状態における効果
我々は、IL33が、慢性炎症及びがんの両方のマウスモデルにおいてTLSを生成するかを判断するための実験を実施した。
【0083】
大腸TLSを誘導するデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性の炎症性大腸炎のマウスモデルでは、IL33-/-マウスは、DSS処置WTマウス(P=0.0001)と比較して、有意により少ない大腸TLSを有し(P=0.009)、生存が悪化した。図12は、炎症によって誘導された大腸三次リンパ構造(TLS)のDSS大腸炎モデルの概略図を提供する。簡潔に述べると、野生型(WT)又はIL33-/-マウスを、飲料水中3%DSSで7日間処置し、14日間回復させた(DSS曝露なし)。大腸におけるTLSを定量化した。このモデルにおけるrIL33を用いたマウスの処置は、生存の改善につながる。図13は、野生型(WT)マウスを、飲料水中3%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)及びrIL33(500ng)で毎日7日間処置し、その後、7日間回復させ(DSS曝露なし。rIL33を3回/週)、生存を評価した(下部)研究からの結果を提供する。
【0084】
したがって、IL33は、慢性炎症状態及びがんの両方においてTLS形成を誘導し、転帰の改善につながる。
【0085】
考察
我々の結果は、危険シグナルが組織における移動性細胞のリンパ性応答を活性化する新しい経路を明らかにする。新規のTLS経路の特定は、がん免疫療法及び慢性炎症性疾患の両方に影響がある。IL33-ST2経路がTLSを誘導するこれまで知られていなかったこの機能にもかかわらず、我々はまた、ILC2及び骨髄細胞を、TLSを生成する新規の誘導細胞及びオーガナイザー細胞として特定し、それによって、ILC2が腫瘍を制御する、認識されていない作用機構を明らかにする。要約すると、我々は、慢性的に炎症を起こした組織においてリンパ新生を誘導する新しい分子及び細胞を発見する。
【0086】
方法
C57BL/6(野生型、WT、CD45.2)及びC57BL/6 CD45.1マウスを、Jackson Laboratoryから購入した。全ての実験について、6~12週齢のマウスを年齢及び性別によって対応させ、特定の処置群に無作為に割り当て、全体を通して少なくとも2つの独立した実験を実施した。実験のための試料サイズを、正式な出力計算なしで決定した。動物を、特定の病原体のない動物施設で繁殖させ、維持し、全ての実験を、Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)のInstitutional Animal Care and Use Committee(IACUC)承認プロトコルに従って、かつ全ての関連する倫理規制を順守して行った。
【0087】
細胞株及び動物の処置
全ての腫瘍細胞株は、KPC(Pdx1-Cre、LSL-KrasG12D/+、LSL-Trp53R172H/+)又はKPCY(Pdx1-Cre、LSL-KrasG12D/+、LSL-Trp53R172H/+、Rosa26YFP/YFP)に由来した。全ての細胞株は、専任の膵臓がん病理学者による組織病理学的検証に基づいて、真正なPDAC細胞株として認証された。HEK-Blue-IL33細胞株(Invivogen)を、DMEM(Gibco)、10%FBS(Gibco)、ペニシリン(100IU/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、及び100μg/mlのノルモシン(Invivogen)中で、37℃、5%CO2において培養した。全ての他の細胞株を、10%FBS及びグルタミン(2mM)を含むDMEM中で、37℃、5%CO2において培養した。全ての細胞株を、MycoAlert Mycoplasma Detection Kit(Lonza)を使用して定期的に試験した。
【0088】
腫瘍を、前述(19)のように同所的(膵臓、「PDAC」マウス)又は皮下(SQ)に確立した。簡潔に述べると、同所移植のために、ケタミン/キシラジンカクテルを使用してマウスを麻酔し、小さな(7mm)左脇腹切開を行った。腫瘍細胞(KPC-4662については10個の細胞。他の全てについては10個の細胞)を、マトリゲル(Becton Dickinson)中に懸濁し、50mlの総体積の冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて1:1で希釈し、26ゲージの針を使用して膵臓の尾部に注射した。注射の成功を、腹腔内漏出のない流体泡の出現によって検証した。腹壁を吸収性Vicryl RAPIDE縫合糸(Ethicon)で閉じ、皮膚を創傷クリップ(Roboz)で閉じた。SQ移植について、腫瘍細胞(KPC-4662については5×10個の細胞、他の全てについては5×10個の細胞)を、滅菌PBS中に再懸濁し、皮下移植した。全ての腫瘍を、特に明記しない限り、KPC-4662を用いて確立した。同所性腫瘍について、前述(25)のように、連続超音波(Vevo 2100 Linear Array Imaging及びVivo LAB Version3.1.1、Fuji Film Visual Sonics)を使用して、腫瘍体積を測定した。腫瘍を指示された時点で採取した。異なる細胞株に由来するPDACにおけるT細胞浸潤を評価するために(図6)、腫瘍を、それらが等価体積であった時点で採取した。SQ腫瘍について、腫瘍の長さ及び幅を2~3日毎にキャリパーで測定し、腫瘍体積を体積=1/2長さ×幅2として計算した。マウスを指示された時点で屠殺し、組織学又はフローサイトメトリーのために処理した。生存分析のために、生存を、施設のIACUCガイドラインによって定義されるように、500mmの腫瘍体積又は安楽死を必要とするマウスの健康によって決定した。どのマウス腫瘍も、IACUCによって定義された2cmの最大腫瘍体積を超えなかった。処置群の知識が必要とされたため、実験マウス介入では盲検化を実施しなかった。
【0089】
並体結合
前述(27)のように、6週齢の雌のコンジェニックCD45.1及びCD45.2マウスを外科的に接続した。簡潔に述べると、同様の体重のマウスを、手術の2週間前に共同収容し、手術の前日に始まって予防的抗生物質(Sulaftrim diet、WF Fisher and Son,Inc.)で処置した。各マウスの肘から膝に対応する側方皮膚切開を行い、前肢及び後肢を縫合し、皮膚切開を閉じた。手術後、マウスを、予防的スルファメトキサゾールを補充した食事で2週間、続いて通常の食事で維持した。並体結合手術の4週間後に血液キメラを確認した後、上記のように膵臓及び/又はSQ PDACを移植した。腫瘍移植の5、7、及び9日後に、Golden rodアニマルランセット(Medipoint,Inc.)を使用して、レシピエントマウスの顎下静脈から末梢血を採取した。腫瘍移植の14日後に、並体結合体を安楽死させ、器官を採取した。
【0090】
組換えH-rIL33
H-rIL33タンパク質を、GenScript Biotech(Piscataway,NJ)で生成した。簡潔に述べると、ヒトIL2シグナルペプチド配列に続いて、標的DNA配列をコドン最適化し、合成し、サイトメガロウイルスプロモーター駆動型発現ベクターにサブクローニングした。タンパク質をHD CHO細胞において一過性トランスフェクトによって発現し、親和性クロマトグラフィー、続いてサイズ排除クロマトグラフィーによって精製して、所望の純度を得た。精製されたタンパク質をSDS-PAGE、ウェスタンブロット、及びHPLC分析によって分析して、分子量及び純度を決定した
【0091】
組換えIL33、IL25、及びH-rIL33処置
腫瘍移植後、マウスを、500ngの担体を含まない組換えマウスIL3319、IL25(R&D Systems)、又は組換えヒトIL33(H-rIL33、Proteos,Inc.)の腹腔内(i.p.)注射で、7日間毎日、次いでその後2日毎に処置した。
【0092】
ヒト試料
MSKCC治験審査委員会による研究プロトコルの承認後に、全ての組織をMSKCCで採取した。全ての患者について、インフォームドコンセントを得た。全ての施設の倫理規制を厳密に順守して、研究を実施した。全ての腫瘍試料は、外科的に切除された一次PDAC(腫瘍トランスクリプトームプロファイリング用)、又は外科的に切除された一次ヒトPDAC若しくは大腸直腸肝転移(フローサイトメトリー用)であった。使用したヒトPDAC組織マイクロアレイは、以前に記載されている(19)。
【0093】
腫瘍トランスクリプトームプロファイリング:外科的に切除されたPDAC患者からの一次PDACを、前述(19)のように、トランスクリプトームプロファイリングを受けるように無作為に選択した。簡潔に述べると、新鮮な凍結OCT包埋腫瘍からの総RNAを、TRIzol RNA Isolation Reagents(15596-026、Life Technologies)を使用して抽出し、Agilent BioAnalyzerで適格とし、蛍光光度法(Ribogreen)によって定量化し、WT Pico Reagent Kit(Affymetrix)を使用して全トランスクリプトーム発現分析のために調製した。次いで、低サイクルPCRを使用してRNAを増幅し、続いてT7インビトロ転写技術を使用して線形増幅した。次いで、cRNAをビオチン化センス鎖DNAハイブリダイゼーション標的に変換し、GeneChip Human Transcriptome Array2.0(Affymetrix)にハイブリダイズし、GeneChip Scanner3000を使用してスキャンした。データを、R(バージョン4.0.3)を使用して分析した。
【0094】
細胞単離
マウス及びヒトPDACを機械的に解離し、コラゲナーゼ(マウス腫瘍についてはコラゲナーゼII、ヒト腫瘍についてはコラゲナーゼIV、両方とも5mg/ml。Worthington Biochemical Corp.、Fisher Scientific)、DNAse I(0.5mg/ml。Roche Diagnostics)、及びハンクス平衡塩液(Gibco、Fisher Scientific)中で、30分間、37℃においてインキュベートした。次いで、消化をウシ胎児血清(FBS、Life Technologies)でクエンチした。次いで、消化された腫瘍及びDLNを機械的に解離し、5%FBS(Life Technologies)及び2mMのEDTA(pH8.0、Invitrogen)を含むPBSを使用して、100mm及び40mmのナイロンセルストレーナー(Falcon、Fisher Scientific)を通して濾過した。脾臓を機械的に解離し、5%FBS及び2mMのEDTAを含むPBS、続いてRBC溶解(RBC溶解緩衝液、Invitrogen Scientific)を使用して、70mm及び40mmのナイロンセルストレーナー(Falcon、Fisher Scientific)を通して濾過した。末梢血をRBC溶解で処理し、40mmのナイロンセルストレーナーを通して濾過した。マウスFc受容体を、FceRIII/II特異的抗体(1×10個の細胞当たり1μg。クローン2.4G2、Bio XCell)で遮断した。
【0095】
ILC2及び骨髄細胞養子移入
CD45.1 C57Bl/6、Ltb-/-、又はIl33-/-同所性PDACマウスを、滅菌PBS中の500ngの担体を含まない組換えマウスIL33(R&D Systems)で10日間毎日処置した。ILC2移入について、腫瘍からの生、CD45+、系統-、CD90+、KLRG1+ILC2を、Aria Cell Sorter(BD Biosciences)を使用して、移植後10日目に98%の純度に選別精製した(図11A)。腫瘍移植の3日後に、i.p.注射を介して、5×10個のILC2を直ちに同所性PDAC腫瘍保有Il7rCre/+Rorafl/fl CD45.2マウスに移した。骨髄細胞移入のために、Aria Cell Sorterを使用して、生、CD45+、NK1.1-、CD11b+、LTbR+細胞を、90%の純度に選別精製した(拡張データ図7b)。養子移入のために、5×105個のCD11b+、LTbR+細胞を腫瘍細胞懸濁液と混合し、26ゲージの針を使用して膵臓の尾部に注射した。rIL33処置(上記のようにマウス当たり500ng)を、ILC2又は骨髄細胞移入の日にレシピエントマウスにおいて開始し、組織採取の日まで行った。組織を指示された時点で採取した。
【0096】
フローサイトメトリー
全ての試料をFACS LSR Fortessa(BD Biosciences)で分析した。マウスILC2を、生、CD45+、系統-(CD3、CD5、NK1.1、CD11b、CD11c、CD19、FceR1)、CD90+として定義した。全ての生、CD45+、系統-、CD90+細胞は、GATA3+であった(拡張データ図3a)。マウスiILC2を、生、CD45+、系統-(CD3、CD5、NK1.1、CD11b、CD11c、CD19、FceR1)、CD90+、KLRG1+として定義した。ヒトILC2を、生、CD45+、系統-(CD3、CD5、CD56、CD11b、CD11c、CD14、CD16、CD19、TCRa/b、FceR1)、CD127+、CRTH2+として定義した。ヒトKLRG1+ILC2を、生、CD45+、系統-(CD3、CD5、CD56、CD11b、CD11c、CD14、CD16、CD19、TCRa/b、FceR1)、CD127+、CRTH2+、KLRG1+として定義した。マウス細胞を、以下の抗体で染色した:Biolegend製のCD3(クローン145-2C11、BV711)、CD4(クローンRM4-5、BV711及びBV786)、CD45(クローン30-F11、Pacific Blue)、CD45.1(クローンA20、BV711及びAPC-Cy7)、CD45.2(クローン104、Pacific Blue)、CD8(クローン53-6.7、BV510)、KLRG1(クローン2F1/KLRG1、BV510)、LTBR(クローン5G11、PE-Cy7)、並びにZombie Red Fixable Viability色素(カタログ番号423110)、BD Biosciences製のCD11b(クローンM1/70、Alexa Fluor700、APC、及びAPC-Cy7)、CD5(クローン53-7.3、APC)、CD11c(クローンHL3、APC)、CD90.2(クローン53-2.1、BV786)、Gata3(クローンL50-823、BV711及びPE)、Gr-1(クローンRB6-8C5、BV605)、NK1.1(クローンPK136、BV650及びAPC)、DRAQ7(カタログ番号51-9011172)、Invitrogen Scientific製のCD19(クローンeBio1D3、Alexa Fluor700)、CD3(クローン17A2、Alexa Fluor700)、CD8(クローン53-6.7、Alexa Fluor700)、CXCL13(クローンDS8CX13、APC)、F4/80(クローンBM8、PE-Cy5)、FceR1(クローンMAR-1、APC)、IL33(クローン396118、PE)、及びTCRVb(クローンMR-9-4、Alexa Fluor700)。
【0097】
マウスLT発現を検出するために、単一細胞懸濁液を、5%ウシ胎児血清(FBS)及び4mMのEDTAを含むPBS中で、4℃の暗所において30分間、組換えマウスLTbR-Fcキメラタンパク質(1μg/ml、R&D systems)とインキュベートし、次いでその後に4℃の暗所で30分間、二次抗体(ヤギ抗マウスIgG2aコンジュゲート、Invitrogen)とインキュベートした。CCL21検出のために、固定及び透過処理された単一細胞懸濁液を、Brilliant Stain Buffer(BD Bioscience)中で、4℃の暗所において30分間、抗CCL21抗体(カタログ番号PA5-47016、Invitrogen)とインキュベートし、続いて4℃の暗所で30分間、二次抗体(ウサギ抗ヤギIgG、Invitrogen)とインキュベートした。
【0098】
ヒト細胞を、以下の抗体で染色した:BD Biosciences製のGATA3(クローンL50-823、PE)、Biolegend製のCD11b(クローンICRF44、APC)、CD45(クローンHI30、Pacific Blue)、CD56(クローンHCD56、BV605)、CRTH2(クローンBM16、PerCP/Cy5.5及びPE)、FceR1(クローンAER-37、APC)、KLRG1(クローン2F1/KLRG1、BV510)、TBET(クローン4B10、BV711)、並びにTCRa/b(クローンIP26、APC)、Invitrogen Scientific製のCD14(クローン61D3、APC)、CD16(クローンCB16、APC)、CD11c(クローン3.9、APC)、CD127(クローンRDR5、FITC)、CD3(クローンOKT3、Alexa Fluor700)、CD5(クローンL17F12、APC)、及びCD19(クローンHIB19、AF700)。
【0099】
ヒトLT発現を検出するために、単一細胞懸濁液を、1%FBS及び0.5mMのEDTA(pH8.0、Invitrogen)を含むPBS中で、4℃の暗所において30分間、組換えヒトLTbR-Fcキメラタンパク質(2μg/ml、R&D systems、629-LR)とインキュベートし、続いて4℃の暗所で30分間、二次抗体(マウス抗ヒトIgG、Invitrogen)とインキュベートした。フローサイトメトリー用の全ての試料は、前向きに採取された、選択されていない患者からのものであった。
【0100】
ヘマトキシリン及びエオシン染色
膵臓腫瘍を2mm厚のスライスに切断し、4%パラホルムアルデヒド溶液(Electron Microscopy Sciences,Inc.)で固定し、パラフィンに包埋し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色し、20倍/0.8NAの対物レンズを用いてPanoramic Scanner(3DHistech、Budapest,Hungary)でスキャンした。TLSの数を、QuPath(ver.0.2.3。https://qupath.github.io/)を使用して少なくとも3つの切片で決定した。5,000μm2を超えるリンパ球のコンパクトな凝集体をTLSとみなした47。
【0101】
免疫組織化学
前述のヒトPDAC組織マイクロアレイに対して免疫組織化学を実施した(19)。簡潔に述べると、パラフィン包埋組織切片を、EZPrep緩衝液(Ventana Medical Systems)で脱パラフィン化した。抗原回収を、CC1緩衝液(Ventana Medical Systems)を用いて、続いてBackground Buster溶液(Innovex)を用いて実施した。次いで、アビジン-ビオチン遮断溶液(Ventana Medical Systems)を使用して、30分間組織切片を遮断した。切片を抗ヒトIL33抗体(AF3625、R&D System)で4時間、続いて1:200希釈のビオチン化ウサギ抗ヤギIgG(Vector labs)で60分間インキュベートした。IL33陽性を、DAB検出キット(Ventana Medical Systems)を用いて検出した。細胞質又は核IL33陽性を示す任意の細胞は、陽性染色を有するように指定された。TLSにおける有核細胞を測定し、ImageJ(ver.2.3.0、NHI、USA)のAnalyze Particles関数を使用してカウントした。TLSにおけるIL33+細胞を手動でカウントした。
【0102】
免疫蛍光
パラフィン包埋組織を7μmの切片にスライスした。マルチプレックス免疫蛍光染色を、記載されるように29、Discovery XTプロセッサ(Ventana Medical Systems)を使用して実施した。
【0103】
B220:最初に、切片を抗B220(クローンRA3-6B2、BD Biosciences)と6時間インキュベートし、続いて1:200希釈のビオチン化ウマ抗ヤギIgG(Vector Laboratories)と60分間インキュベートした。検出を、ストレプトアビジン-HRP D(Ventana Medical Systems)を用いて実施し、続いて、所定の希釈で製造業者の指示に従って調製したTyramide Alexa Fluor594(Invitrogen)とインキュベートした。
【0104】
CD3:次に、切片を抗CD3(カタログ番号A0452、DAKO)と6時間インキュベートし、続いて1:200希釈のビオチン化ヤギ抗ウサギIgG(Vector Laboratories)と60分間インキュベートした。検出を、ストレプトアビジン-HRP D(Ventana Medical Systems)を用いて実施し、続いて、所定の希釈で製造業者の指示に従って調製したTyramide Alexa488(Invitrogen)とインキュベートした。
【0105】
Lyve-1:最後に、切片を抗Lyvie-1(カタログ番号AF2125、R&D systems)と6時間インキュベートし、続いて1:200希釈のビオチン化ヤギ抗ウサギIgG(Vector Laboratories)と60分間インキュベートした。検出を、ストレプトアビジン-HRP D(Ventana Medical Systems)を用いて実施し、続いて、所定の希釈で製造業者の指示に従って調製したTyramide Alexa647(Invitrogen)とインキュベートした。染色後、スライドをDAPI(Sigma Aldrich)で10分間対比染色し、Mowiolでカバースリップした。
【0106】
単一細胞RNA配列決定
単一細胞免疫プロファイリングのためのライブラリ調製、配列決定、及び後処理は、以前に報告されている19。簡潔に述べると、ST2+ILC2細胞を、rIL33で10日間処置したマウスからの膵臓KPC腫瘍及びDLNから精製した。scRNA-seqライブラリを、製造業者の推奨(Chromium Single Cell V(D)J User Guide PN-1000006、10X Genomics)に基づいて調製した。90~200個の細胞/μlの濃度の細胞懸濁液(85~90%生存可能)を10X Genomics Chromiumプラットフォームに充填して、Gel Beads-inEmulsion(GEM)を生成し、1試料当たり約2,000個の単一細胞を標的とした。GEM生成後、試料を、96-Deep Well Reaction Module(BioRad)を備えたC1000 Touchサーマルサイクラー中で、53℃において45分間インキュベートして、細胞バーコード及び固有の分子識別子(UMI)に連結されたテンプレートスイッチオリゴ(TSO)を付加することによって、5’末端でバーコード化されたpolyA cDNAを生成した。GEMを破壊した後、一本鎖cDNAをDynaBeads MyOne Silane Beads(Thermo Fisher Scientific)で洗浄した。次いで、cDNAを16サイクル(98℃で45秒間;98℃で20秒間、67℃で30秒間、72℃で1時間)増幅し、その後、Agilent Bioanalyzer2100を使用してcDNA品質を評価し、約1,200bpの生成物を得た。cDNA(50ng)を酵素的に断片化し、末端修復し、Aテール化され、SPRI選択ビーズ(Beckman Coulter)を用いた両側サイズ選択に供し、キットで提供されるアダプターにライゲーションした。各ライブラリ内に、キットで提供されるインデックスを使用して、PCR増幅の14サイクルを通して独自の試料キットを導入した(98℃で45秒間;98℃で20秒間、54℃で30秒間、72℃で20秒間×14サイクル;72℃で1分間;4℃で保持)。次いで、第2の両側選択をインデックス付きライブラリ上で実施し、その後、ライブラリを、Qubit蛍光定量化(Thermo Fisher Scientific)を使用して定量化した。Agilent Bioanalyzer2100を使用して品質(平均ライブラリサイズ450bp)を評価し、その後、cDNAを18サイクルで増幅し、試料インデックスを16サイクルで増幅した。次いで、希釈したライブラリを、ペアエンドリードフローセル上のNovaSeq600を使用してクラスター化し、R1(10Xバーコード及びUMI)上で28サイクル、続いて17インデックス(試料インデックス)の8サイクルにわたって、及びR2転写産物上の89塩基にわたって配列決定し、1試料当たり約1億個のクラスターを得た。配列決定画像の一次処理を、IlluminaのReal Time Analysisソフトウェア(RTA)を使用して行った。10X Genomics Cell Ranger Single Cell Softwareスイートv3.0.2(https://support.10xgenomics.com/single-cell-gene-expression/software/pipelines/latest/what-is-cellranger)を使用して、試料を逆多重化し、マウスゲノム参照mm10にアラインし、フィルタリングし、UMI、単一細胞5’末端遺伝子をカウントし、製造業者のパラメータに従って品質を管理した。次いで、処理されたデータをR(バージョン4.0.3)で分析した。
【0107】
TLS転写シグネチャ分析
RNA-seqデータセットを、https://gdc.cancer.gov/及びhttps://dcc.icgc.org/repositories/から、TCGA-PAAD48、TCGA-BRCA49、TCTA-SKCM50、及びPACA-AU15の識別子で得た。TCGA-PAADデータセットについて、PDACと組織学的に診断された150名の患者を含んだ。データをlog-2変換し、既知のTLS遺伝子シグネチャ5、9、10を各データセットから抽出した。簡潔に述べると、これらのシグネチャは、Cabrita et al.5のCD79B、EIF1AY、PTGDS、CCR6、SKAP1、CETP、CD1D、Coppola et al.9のCCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL8、CCL18、CCL19、CCL21、CXCL9、CXCL10、CXCL11、及びCXCL13、並びにGu-Trantien et al.10のCXCL13、CD200、FBLN7、ICOS、SGPP2、SH2D1A、TIGIT、及びPDCD1の遺伝子を含んだ。シグネチャスコアを、記載されているように3、平均遺伝子発現として計算した。R(バージョン4.0.3)のHmiscパッケージ(バージョン4.5)の「rcorr」関数を使用して、ピアソンの相関検定を実施した。
【0108】
インビトロアッセイ
Il33Cit/+マウスの脾臓を、上記のように単一細胞懸濁液に処理した。生、CD45+、NK1.1-、CD11b+細胞を、SH800 Sonyソーター(Sony Biotechnology)を使用して90%の純度に選別精製した。5×105個の骨髄細胞を、RPMI、10%FBS、ペニシリン、ストレプトマイシン、及びGM-CSF(20ng/ml)中で、37℃において72時間、超低付着96ウェルプレート上で培養した。細胞を様々な濃度のアゴニストLTbR-Ig(Invitrogen)で処置し、IL33発現を72時間後にフローサイトメトリーによって検出した。
【0109】
WT及びLtbr-/-マウスの脾臓からの骨髄細胞を上記のように得た。5×105個の骨髄細胞を、RPMI、10%FBS、ペニシリン、ストレプトマイシン、及びGM-CSF(20ng/ml)中で、37℃において24時間、超低付着96ウェルプレート上で培養した。細胞を0.25μg/mlのアゴニストLTbR-Ig(Invitrogen)で処置し、IL33発現を24時間後にフローサイトメトリーによって検出した。
【0110】
ST2レポーター細胞株活性化アッセイ:5×104個のHEK-Blue IL33細胞(Invivogen)を、DMEM、10%FBS、ペニシリン(100IU/ml)、及びストレプトマイシン(100μg/ml)を有する96ウェルプレート上に播種した。細胞を、指定された濃度のH-rIL33(Proteos,Inc.)、H-e-rIL33、又はH-e-rIL33-Fcとともに、5%CO2中37℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後、平底96ウェルプレート中1ウェル当たり、180μlのQUANTI-Blue溶液(Invivogen)に20μlの上清を添加した。プレートを、5%CO2中37℃で2時間インキュベートし、続いて、Cytation3リーダー(BioTek)で630nmの波長吸光度検出を行った。
【0111】
ヒトILC2培養:生、CD45+、系統(CD5、CD14、CD11a、CD11b、CD16、FceRIa、CD3、CD19、TCRa/b、CD56)-、CRTH2+として定義したヒトILC2を、消化されたヒト腫瘍、リンパ節、及びPBMCから選別精製した。1000個のILC2を、U底96ウェルプレートにおけるRPMI、10%FBS、ペニシリン、ストレプトマイシン、ヒトIL2(100IU/ml)、ヒトIL7(10μg/ml)、及びヒトIL15(10μg/ml)中、37℃で72時間培養した。細胞を様々な濃度のH-e-rIL33-Fcタンパク質で処置した。LT発現を検出するために、H-e-rIL33-FcのFc部分を抗ヒトIgG抗体(BD Biosciences。カタログ番号555787)で遮断し、上記の染色プロトコルに従ってヒトLTを検出した。
【0112】
統計
2群間の比較は、複数の時点の比較(両側)のために、ベンジャミニ、クリーガー、イェクティエリ偽発見アプローチを用いた対応のないマン-ホイットニー検定を使用して実施した。複数の群間の比較を、一元配置ANOVA検定、続いてクラスカルウォリス多重比較事後検定を使用して実施した。複数の時点にわたる複数の群間の比較を、二元配置ANOVA検定、続いてシダックの多重比較事後検定を使用して実施した。EC50曲線を、余分平方和F検定を使用して比較した。2つの変数間の相関を、線形回帰を使用して計算した。全てのアルファレベルは、0.05であり、0.05未満のPを有意差とみなした。統計分析を、R(バージョン4.0.3、単一細胞RNA配列決定)及びPrism9.2.0(GraphPad Software、他の全て)を使用して実施した。
【0113】
参考文献
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図12
図13
【配列表】
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【国際調査報告】