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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】円形フィルタ要素及びフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/52 20060101AFI20241024BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20241024BHJP
   H01M 8/0662 20160101ALI20241024BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241024BHJP
【FI】
B01D46/52 A
B01D53/04 110
B01D46/52 C
B01D46/52 B
H01M8/0662
H01M8/04 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526720
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2022077881
(87)【国際公開番号】W WO2023078632
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】102021128717.0
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505229863
【氏名又は名称】マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘットカンプ、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ハルバウアー、エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】チョワニエッツ、フォルクマール
(72)【発明者】
【氏名】リーガー、マリオ
【テーマコード(参考)】
4D012
4D058
5H127
【Fターム(参考)】
4D012BA03
4D012CA15
4D012CA16
4D012CA20
4D012CB03
4D012CB07
4D012CG01
4D012CG03
4D058JA09
4D058JB39
4D058KA01
4D058KA25
4D058KC33
4D058KC63
4D058LA01
4D058SA20
4D058TA03
5H127EE11
(57)【要約】
気体流体を濾過するための円形フィルタ要素は、中空体として設計された粒子濾材本体と、中空体として設計された別個の有害ガス濾材本体とを備え、濾材本体は互いに対して同心円状に配置され、内部のフローチャンバを囲む。2つの濾材本体の端面は、共通の端部ディスクによって流体密に覆われている。少なくとも一方の端部ディスクには、濾材本体の壁面に設けられた支持要素、特に支持グリッドが固定的に接続される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体流体を濾過するための円形フィルタ要素であって、
気体流体の粒子濾過用の中空体として構成された粒子濾材本体(2)と、前記粒子濾材本体(2)と同心円状に配置された、有害ガス濾過用の中空体として構成された別個の有害ガス濾材本体(3)と、を備え、
前記2つの濾材本体(2、3)は、内側に配置されたフローチャンバ(5)を取り囲んでおり、前記粒子濾材本体(2)の端面及び前記有害ガス濾材本体(3)の端面は、第1の共通の端部ディスク(7)によって流体密に覆われ、前記粒子濾材本体(2)及び前記有害ガス濾材本体(3)の反対側の端面も、第2の共通の端部ディスク(8)によって流体密に覆われ、
一方の濾材本体(2、3)の壁面にガス透過性の支持要素(4)が配置され、前記支持要素(4)は、少なくとも一方の端部ディスク(7、8)の材料内に突出し、該端部ディスク(7、8)に固定的に接続される円形フィルタ要素。
【請求項2】
前記支持要素(4)は、両方の端部ディスク(7、8)の材料内に突出し、該両方の端部ディスク(7、8)に固定的に接続される請求項1に記載の円形フィルタ要素。
【請求項3】
前記端部ディスク(7、8)は、鋳造部品として設計され、前記支持要素(4)の一部は、前記端部ディスクの材料によって囲まれている請求項1又は2に記載の円形フィルタ要素。
【請求項4】
一方の端部ディスク(7、8)に、横方向に突出する支持脚(9)が配置される請求項1~3のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素。
【請求項5】
前記粒子濾材本体(2)は、前記内側に配置されたフローチャンバ(5)に直接隣接して内側に配置され、前記有害ガス濾材本体(3)は、外側に配置され、内側に配置された前記粒子濾材本体(2)を取り囲む請求項1~4のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素。
【請求項6】
少なくとも一方の濾材本体(2、3)、好ましくは両方の濾材本体(2、3)は、フィルタベローズとして構成される請求項1~5のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素。
【請求項7】
一方の濾材本体(2、3)の壁面に少なくとも1つのガス透過性の媒体層(10、11)が配置される請求項1~6のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素。
【請求項8】
前記媒体層(10)は、前記2つの濾材本体(2、3)の間に配置される請求項7に記載の円形フィルタ要素。
【請求項9】
前記媒体層(11)は、前記有害ガス濾材本体(3)の清浄側に配置される請求項7又は8に記載の円形フィルタ要素。
【請求項10】
支持グリッド(4)がシールキャリア(4a)に接続され、特に一体に構成される請求項1~9のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素。
【請求項11】
前記濾材本体(2、3)の少なくとも一方は、それぞれの軸方向端面で互いに接続される少なくとも2つの部分体(3a、3b)から構成される請求項1~10のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素。
【請求項12】
複数部品から構成される前記フィルタ媒体本体(3)は外側に配置され、前記2つの部分体(3a、3b)の間に、前記部分体(3a、3b)より径方向外側に突出し、シール要素(41)を担持するシールキャリア(4a)が設けられる請求項11に記載の円形フィルタ要素。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の円形フィルタ要素(1)と、
前記円形フィルタ要素(1)を収容するための開閉可能なフィルタハウジングと、を備えるフィルタ装置。
【請求項14】
燃料電池に使用される請求項13に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による、粒子濾過用の中空体として構成された粒子濾材本体と、有害ガス濾過用の中空体として構成された別個の有害ガス濾材本体とを備えた、気体流体を濾過するための円形フィルタ要素に関する。さらに本発明は、特に燃料電池用途の、フィルタハウジングと、このような円形フィルタ要素とを備えたフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102018215603号明細書には、燃料電池用途のモジュール式フィルタ要素が記載されている。このフィルタ要素は、ハウジング内に2つの中空円筒形状のフィルタモジュールを備え、フィルタモジュールはそれぞれ、折り畳まれた濾材から構成され、互いに対して同心円状に配置される。フィルタ要素は径方向外側から内側に流通され、浄化されたガスは軸方向に排出される。第1のフィルタモジュールのフィルタ体は粒子濾過に使用され、第2のフィルタモジュールのフィルタ体は望ましくないガスを濾過するための活性炭媒体を含む。2つのフィルタ体は互いに着脱可能に接続される。
【0003】
また、米国特許出願公開第2003/0096152号明細書には、同心円状に配置された2つの中空円筒形状のフィルタ体を備えた、径方向外側から内側に流れる円形フィルタ要素が開示されている。この円形フィルタ要素は、燃料電池用のフィルタ装置に使用することができる。外側に配置されたフィルタ体は粒子フィルタを形成し、内側に配置されたフィルタ体は押出多孔質ブロックの形態のカーボンフィルタとして設計される。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、簡単な構成で長時間の使用にわたって高い濾過効率が確保されるように、粒子濾材本体及び有害ガス濾材本体を備えた、気体流体を濾過するための円形フィルタ要素を設計することを目的とする。
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する本発明により解決される。従属請求項は、有利な更なる実施形態を提供する。
【0006】
本発明による円形フィルタ要素は、気体流体の濾過、特に空気の濾過に使用される。円形フィルタ要素は、環状の閉じた濾材を有するフィルタ要素として理解される。換言すると、濾材は径方向内側に位置する中空室を取り囲んでいる。円形フィルタ要素は、開閉可能なフィルタハウジングと、フィルタハウジング内に交換可能に収容される円形フィルタ要素とを備えるフィルタ装置の一部であり得る。フィルタ装置は、例えば、燃料電池に供給される周囲空気の供給領域において、周囲空気を濾過するために、燃料電池内又は燃料電池で使用することができる。このようなフィルタ装置は、カソードエアフィルタとも呼ばれる。
【0007】
互いに同心円状に配置された粒子濾材本体と有害ガス濾材本体は、内側に配置されたフローチャンバを取り囲んでいる。両濾材本体は、円形又は細長い断面形状、例えば楕円形や、半円形の短辺と直線状又は凸状又は凹状の長辺とを有する断面形状を持つことができる。軸方向(円形フィルタ要素の長手軸方向)において、円形フィルタ要素は、一定の断面積を有してもよく(すなわち中空円筒形であってもよく)、あるいは、変化する断面積、特に円錐形要素の場合には連続的に変化する断面積を有してもよい。さらに、2つの濾材本体は、軸方向に異なる長さを有し得る。
【0008】
円形フィルタ要素を通る流れは、径方向内側から外側に実現されるか、又は逆に、径方向外側から内側に実現される。「径方向(radial)」という用語は、円形フィルタ要素の長手方向軸に関する。径方向内側から外側への流れの場合、浄化されていない未処理流体はまず、内側に配置されたフローチャンバに導入され、そこから濾材本体を通る内側から外側への径方向流れが生じる。径方向外側から内側への流れの場合、浄化された流体が内側に配置されたフローチャンバに集められ、そこから軸方向に排出される。
【0009】
粒子濾材本体は未処理流体の流入側に位置し、有害ガス濾材本体は粒子濾材本体の下流側に位置する。したがって、粒子濾材本体の流入側は未処理流体側であり、有害ガス濾材本体の流出側は清浄側である。
【0010】
有害ガス濾材本体は、例えば活性炭を含有し、気体流体から有害ガス、例えば二酸化硫黄、窒素酸化物又はアンモニアを分離することができる。有利には、有害ガス濾材本体は、活性炭粒子の濾材外への排出を回避するため、端面縁部が接着された、折り畳まれた活性炭含有濾材から構成される。
【0011】
少なくとも一方の濾材本体、好ましくは両方の濾材本体は、ジグザグ状に折り畳まれた濾材のフィルタベローズとして構成されることが好ましい。また、一方又は両方の濾材本体をブロック状の部材から、あるいは複数の濾材層が互いに巻き付けられた巻回体として製造することも可能である。
【0012】
両濾材本体は、軸方向に対向配置された両端面において、それぞれ共通の端部ディスクによって流体密に覆われている。共通の端部ディスクは、両濾材本体の端面を流体密に覆っている。共通の端部ディスクにより、円形フィルタ要素の製造を単純化することができる。例えば、好ましくは軟弾性材料の鋳造部品として、単一の作業工程で両濾材本体の各端面に端部ディスクを製造すればよい。端部ディスクの材料としては、例えばポリウレタン、特にPURフォーム、又はプラスチック材料が考えられる。
【0013】
円形フィルタ要素は、濾材本体の壁面に配置されたガス透過性の支持要素を備える。折り畳まれた濾材からなる濾材本体の場合、流入側又は流出側の折り先端部がそれぞれ壁面を形成する。支持要素は、直接隣接する濾材本体が支持要素で径方向に支持されることで、支持及び安定化機能を提供する。これにより、支持要素に直接隣接していない第2の濾材本体も、第1の濾材本体を介して間接的に径方向に支持される。ガス透過性の支持要素は、好ましくはプラスチック材料で構成され、気体流体が流通可能な複数の開口部を有する。ガス透過性の支持要素は、好ましくはプラスチック材料からなる支持グリッドである。しかしながら、金属製の支持要素、例えばパンチングメタルシートも考えられる。
【0014】
本発明による円形フィルタ要素では、支持要素は、少なくとも一方の端部ディスクの材料内に突出し、端部ディスクに固定的に接続される。本実施形態は、濾材本体と支持要素との間の固定接続が端部ディスクによって提供されるという利点を有する。これにより、支持要素と隣接する濾材本体との相対位置が固定される。濾材本体と支持要素は、端部ディスクと共に構造ユニットを形成する。
【0015】
有利な実施形態によれば、支持要素は両方の端部ディスクの材料内に突出し、両端部ディスクに固定的に接続される。これは、例えば、端部ディスクが鋳造部品として設計され、支持要素の突出部が端部ディスクの材料に包含されることで実現される。本実施形態は、支持要素との固定接続が端部ディスクの製造時に達成されるという利点を有する。
【0016】
有利な実施形態では、周方向シールキャリアが支持要素と一体に形成される。これは、シール要素のための、好ましくは軸方向に開口した収容溝を有し得る。シールキャリアは、濾材本体の端面近傍に配置することができ、端部ディスク材料に埋め込むことができる。
【0017】
更に別の有利な実施形態によれば、一方の端部ディスクに、横方向に突出する支持脚が設けられる。支持脚は、特に端部ディスクと一体に形成され、端部ディスクにおいて横方向に一体形成される。支持脚により、特に長手方向軸に対して横方向又は径方向に、また必要に応じて軸方向にも、支持作用が得られる。軸方向長さにわたって直径が変化する円錐形の円形フィルタ要素の場合、支持脚は好ましくは円形フィルタ要素の縮径側に配置される。例えば、周方向に分布した4本の支持脚が端部ディスクに設けられる。
【0018】
更に別の有利な実施形態によれば、ガス透過性の媒体層が、濾材本体の少なくとも一方の壁面に配置される。この媒体層は、通常、薄い構造であり、濾材本体よりも厚みが小さく、摩擦が低減するように作用することで、支持要素と一方の濾材本体との間、又は2つの濾材本体の間が直接接触する場合と比べて、対応する摩擦を低減することができる。摩擦の低減により、直接接触の場合に濾材本体に作用し得る軸方向及び周方向の力を低減することができる。更なる利点は、ガス透過性の媒体層が側面に配置されることで、濾材本体の粒子が媒体層によって保持されることである。例えば、活性炭含有濾材を含有する濾材本体から活性炭粒子が流出するのを防止することができる。ガス透過性の媒体層は、好ましくは不織布層である。
【0019】
媒体層は、特に有害ガス濾材本体の壁面に配置される。支持要素が配置される有害ガス濾材本体の流出側に媒体層が配置されることも考えられ、この場合、媒体層は支持要素と有害ガス濾材本体の流出側との間に配置される。媒体層を支持要素上に成形し、これにより位置を固定してもよい。これに代わって又はこれに加えて、2つの濾材本体の間にガス透過性の媒体層、特に不織布層を配置することも可能である。この場合、流れ方向上流側に位置する粒子濾材本体からの粒子が保持され、有害ガス濾材本体への粒子の供給が防止される。また、濾材本体間の摩擦を低減することができる。
【0020】
特に有利なのは、折り畳みベローズとして設計された2つの濾材本体の間に少なくとも1つのガス透過性の媒体層を配置することである。この媒体層は、一方の折り畳みベローズのひだが他方の折り畳みベローズのひだの中間空間に突出するのを防止する。これにより、折り畳みベローズとして設計された粒子濾材本体及び有害ガス濾材本体が高度に分離されるため、特に効率的なフィルタ要素を製造することができる。媒体層は、気体流体、特に空気に対して高い透過性を有することが好ましく、したがって大きな流動抵抗を示さない。有利には、分離媒体層は不織布層として構成される。
【0021】
有利な実施形態では、少なくとも第1のガス透過性の媒体層が2つの濾材本体の間に設けられ、少なくとも第2のガス透過性の媒体層が有害ガス濾材本体の流出側に設けられる。この場合、第2の媒体層は、好ましくは第1の媒体層よりも高い分離度を有する。
【0022】
媒体層は、好ましくは、隣接する濾材本体の壁面全体にわたって延びる。更に有利な実施形態によれば、媒体層は、一方又は両方の端部ディスクに接続される。あるいは、特に端部ディスクが濾材本体上に発泡成形されている場合は、媒体層が濾材本体より短いことが好ましく、これにより、端面周りの領域が端部ディスク材料によって完全に包囲されることが保証される。
【0023】
更に有利な実施形態によれば、濾材本体の少なくとも一方、特に有害ガス濾材本体は、それぞれの軸方向端面で互いに接続される少なくとも2つの部分体から構成される。特に長尺のフィルタ要素の場合、一体構造の濾材本体の代わりに、複数の短い部分体を製造し、それらを軸方向に互いに重ねて配置・接続して、長尺の濾材本体を形成することが製造技術に関して有利になり得る。接続は、例えば接着剤によって実現することができる。部分体は、有利には折り畳みフィルタベローズとして設計される。
【0024】
複数部品から構成される濾材本体が外側に配置される更なる実施形態では、部分体から径方向外側に突出し、シール要素を支持するシールキャリアを、2つの部分体の間に設けてもよい。シールキャリアは、シール要素が一体に形成されたプラスチック部品、特に射出成形部品とすることができる。あるいは、シール要素を別個の要素とし、例えばシールキャリアの溝に挿入してもよい。シール構成は、ハウジングに対してシールする役割を果たし、すなわち、シール要素は、装着状態においてフィルタハウジングのシール面に当接する。シールキャリアは、特に径方向に拡張されたカラーとして、支持要素と一体に設計することができる。
【0025】
本発明はさらに、フィルタハウジングと、フィルタハウジング内に収容された前述の円形フィルタ要素とを備えたフィルタ装置に関する。フィルタ装置は、特にカソード空気を濾過するために、燃料電池内又は燃料電池で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
更なる利点及び有利な実施形態は、追加の特許請求の範囲、図面の説明、及び図面に見出すことができる。
【0027】
図1】気体流体を濾過する円形フィルタ要素の斜視図である。
図2】円形フィルタ要素を部分的に断面で示した側面図である。
図3図2のA-A線による断面図である。
図4】円形フィルタ要素の底面図である。
図5】ハウジング内の円形フィルタ要素の斜視図である。
図6】円形フィルタ要素とハウジングの間のシール作用の詳細図である。
図7】更なる実施形態における円形フィルタ要素の斜視図である。
図8図7の実施形態の断面図である。
図9図7及び図8の実施形態におけるシール作用の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図中、同一の構成要素は同一の参照記号で示される。
【0029】
図1図4には、例えば空気などの気体流体を濾過するための円形フィルタ要素1が示されている。円形フィルタ要素1は、円形フィルタ要素1が挿入されるフィルタハウジングを備えた、図5に図示されるフィルタ装置の構成要素とすることができる。フィルタ装置は、例えば燃料電池に供給される新鮮空気の濾過に使用される。
【0030】
円形フィルタ要素1は、互いに同心円状に配置された中空体として構成された2つの濾材本体2、3を備える。内側に配置された第1の濾材本体2は粒子濾材本体として機能し、外側に配置された第2の濾材本体3は有害ガス濾材本体として機能する。濾材本体2は、中空円筒に類似した構成であるが、円形ではなく、半円形の短辺と直線状又は同様に凹状に湾曲した長辺を有する細長い断面形状を有する。両濾材本体2、3は、内側に配置されたフローチャンバ5を取り囲み、フローチャンバ5には浄化されていない未処理流体が流入する。浄化されていない未処理流体は、フローチャンバ5から径方向に、まず、内側に配置された粒子濾材本体2を通って流れ、そのすぐ後に、外側に配置された外周側の有害ガス濾材本体3を通って流れる。粒子濾材本体2の内壁面は、未処理流体側又は流入側を形成し、有害ガス濾材本体3の外壁面は、清浄側又は流出側を形成する。
【0031】
円形フィルタ要素1は、軸方向に(長手方向軸6(図2図3)に対して)、変化する断面積を有する。図1図3による図示では、断面積は下から上に向かって連続的に大きくなっており、これに対応して、最小の断面積は下端面に位置し、最大の断面積は上端面に位置する。
【0032】
2つの濾材本体2、3は、それぞれ、各濾材本体2、3の周方向に延びる複数の濾過ひだを有するベローズフィルタとして設計されている。
【0033】
2つの濾材本体2、3は、径方向内側から外側に流通される。内側に配置された粒子濾材本体2は、供給される流体中の粒子を分離する役割を果たす。粒子濾材本体2の下流側に配置された外側の有害ガス濾材本体3は、例えば二酸化硫黄、窒素酸化物、アンモニアなどの有害ガスを分離する役割を果たし、濾過剤として活性炭を含むことができる。
【0034】
有害ガス濾材本体3の外壁面によって形成される円形フィルタ要素の外周側には、外壁面全体にわたって周方向及び軸方向に延在する支持グリッド4として構成されるガス透過性の支持要素が設けられている。支持グリッド4は、軸方向及び周方向に延びる支柱部と、その間に配置された、浄化された流体が流出可能な開口部とを有する。支持グリッド4は、有利にはプラスチック材料で構成され、外側に配置された有害ガス濾材本体3を径方向に支持し、内側に配置された粒子濾材本体2も間接的に支持する役割を果たす。
【0035】
径方向に拡張されたカラー4aは、支持グリッド4と一体に形成され、収容フィルタハウジング内で横方向の支持及びシール作用をなす。径方向に拡張されたカラー4aは、円形フィルタ要素1の上端面側に配置されている。
【0036】
濾材本体2及び3の軸方向に対向配置された両端面は、それぞれの端部ディスク7及び8によって流体密に覆われている。下側端部ディスク7は連続的で開口がない一方、上側端部ディスク8は中央部に細長い開口を有し、そこから未処理流体が内側に配置されたフローチャンバに軸方向に流入できるようになっている。
【0037】
下側端部ディスク7及び上側端部ディスク8は、鋳造部品として形成することができる。各端部ディスク7、8は、粒子濾材本体2の端面及び有害ガス濾材本体3の端面を流体密に覆う。これにより、それぞれ1枚の端部ディスク7、8のみで、各端面を流体密に覆うことができる。これは同時に、2つの濾材本体2、3の相対位置が互いに固定されるという利点を有する。支持グリッド4の一部も端部ディスク7、8に受容されているため、支持グリッド4も端部ディスク7、8によって保持され、外側に配置された有害ガス濾材本体3に対する位置が固定される。
【0038】
横方向に突出する支持脚9は、下側端部ディスク7に設けられ、下側端部ディスクと一体に形成される。支持脚9は、各長辺と半円形の短辺との間の移行部に配置され、特に、収容フィルタハウジングにおける横方向の支持を可能にし、また必要に応じて、軸方向の支持を可能にする。全体として、このような4つの支持脚9が下側端部ディスク7に形成されている。
【0039】
内側に配置された粒子濾材本体2と、外側に配置された外周側の有害ガス濾材本体3との間には、狭い隙間がある。この隙間にガス透過性媒体層である内側不織布層10が設けられ、摩擦を低減するように作用することで、その摩擦低減特性により、フィルタ材料を損傷することなく、濾材本体2及び3の間の小さな相対的な動きが可能になる。不織布層10は、濾材本体2、3のひだが互いに引っ掛かるのを防止する。また、不織布層10は、内側に配置された粒子濾材本体2を通過した粒子が有害ガス濾材本体3に誤って到達するのを防止する。
【0040】
更なるガス透過性媒体層である外側不織布層11は、有害ガス濾材本体3の外壁面に配置される。不織布層11は、支持グリッド4に隣接し、したがって有害ガス濾材本体3と支持グリッド4との間に位置する。また、不織布層11は、摩擦を低減するように作用することで、有害ガス濾材層3と支持グリッド4との間の望ましくない摩擦接触を防止することができる。
【0041】
図5では、円形フィルタ要素1が収容された開閉可能なフィルタハウジング20が示されている。フィルタハウジング20は、第1のハウジング部21と第2のハウジング部23を含む。第1のハウジング部21には、ソケット22が設けられており、図示された例では清浄流体の出口を形成している。第2のハウジング部23は、周方向に延びるカラーを有する中央開口部24を有し、この開口部を通して浄化される未処理流体をフィルタハウジング20内に導入することができる。浄化されるガスは、開口部24を通ってフィルタハウジング20に入り、フィルタ要素1の2つの濾材本体2、3を通って径方向内側から外側に流れ、ソケット22を通って浄化されたガスとしてフィルタハウジング20から排出される。フィルタハウジング20を通る逆の流れも考えられ、その場合、フィルタ要素1は、外側から内側への流れに対応して構成される。
【0042】
図6には、円形フィルタ要素1が取り付けられたフィルタハウジング20の詳細が示されている。円形フィルタ要素1の支持グリッド4は、軸方向下向きの溝を形成する拡張カラー4aを含む。この溝には、シール要素41、例えばOリングが挿入される。シールは、例えば、拡張カラー4a上に発泡成形させるなど、異なる設計にすることも可能である。第1のハウジング部21は、シール要素41に対する周方向に延びる接触面を有する。フィルタハウジング20が閉じられると、シール要素はこの接触面に軸方向に押し付けられ、これにより清浄側が未処理側に対してシールされる。
【0043】
図7図9には、2部品構造の有害ガス濾材本体3を備える円形フィルタ要素の有利な更なる実施形態が示されている。径方向内側に位置する粒子濾材本体2は一体構造である。有害ガス濾材本体3は、ここでは2つの部分体3a、3bから構成されている。軸方向において、これらは同じ長さを有するが、異なる長さを有していてもよい。両部分体3a、3bは、折り畳みベローズとして設計されている。互いに背を向けた2つのベローズ3a、3bの端面は端部ディスク7、8に埋め込まれているが、互いに向かい合った2つの端面は接着剤によってシールされている。2つの部分体3a、3bの径方向内側に位置する側面には支持グリッド4が配置され、支持グリッド4は、2つの部分体3a、3bの径方向外側に延びて部分体3a、3bより突出する拡張カラー4aを含んでいる。拡張カラー4aは、環状シール要素41が挿入される円周溝を有する。部分体3a、3bの端面は、拡張カラー4aに接着されることが好ましく、この場合、開放端面をシールするための追加の接着剤は必要ない。
【0044】
図示されていない別の実施形態では、部分体3a、3bは互いに直接接着される。その後、ハウジングに対するシールは、例えば、図1に示される実施形態のように、径方向外側の支持グリッドに配置されたシール構成によって実現することができる。あるいは、別個のシールキャリアが上側端部ディスク7の領域に配置されてもよく、特に埋め込まれてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-9】
【国際調査報告】