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▶ ナノテック エナジー,インク.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】極薄グラフェンを含む導電性分散体
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/037 20140101AFI20241024BHJP
   C09D 11/033 20140101ALI20241024BHJP
   H01B 1/24 20060101ALI20241024BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20241024BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C09D11/037
C09D11/033
H01B1/24 A
H01B1/00 L
H01B13/00 503D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526771
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 US2022048788
(87)【国際公開番号】W WO2023081265
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/275,804
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518294029
【氏名又は名称】ナノテック エナジー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エル-カディ,マヘル エフ.
(72)【発明者】
【氏名】プライス,シャノン
(72)【発明者】
【氏名】タルシャン,ゴーラヴ
【テーマコード(参考)】
4J039
5G301
5G323
【Fターム(参考)】
4J039AD20
4J039AE07
4J039BA02
4J039BC07
4J039BC10
4J039BC12
4J039EA24
4J039GA03
4J039GA09
4J039GA10
5G301DA19
5G301DA20
5G301DA23
5G301DA42
5G301DD02
5G301DE01
5G323CA03
5G323CA05
(57)【要約】
本明細書には、その電気特性および機械特性(例えば、粘度および表面張力)によって広範な印刷技法への使用が可能となる、導電性インクおよびその配合方法が提供される。本発明中のインク内のグラフェンの顕著な導電性、熱安定性、化学安定性、および柔軟性によって、電気化学特性が調整可能である低コストの電子機器の生産が可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)グラフェンシートであって、
(i)前記グラフェンシートの少なくとも約90%が単層からなり、
(ii)前記グラフェンシートの酸素含有量が最大で約6%であり、または
(iii)その両方である、グラフェンシートと、
(b)結合剤と、
(c)安定剤と、
(d)溶媒と
を含む、導電性インク。
【請求項2】
グラフェンが、還元酸化グラフェンまたは活性化還元酸化グラフェンを含む、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項3】
前記結合剤が高分子結合剤である、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項4】
前記高分子結合剤が熱可塑性共重合体である、請求項3に記載の導電性インク。
【請求項5】
前記結合剤が、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、またはそれらのあらゆる組合せを含む、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項6】
前記安定剤が、ポリテトラヒドロフラン、フッ素化トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ワックス、エチルセルロース、ジエチレングリコール、またはそれらのあらゆる組合せを含む、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項7】
前記安定剤が、ポリテトラヒドロフランおよびジエチレングリコールを含み、前記ポリテトラヒドロフランと前記ジエチレングリコールとの比が、約8:1~約11:1である、請求項6に記載の導電性インク。
【請求項8】
前記溶媒が、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、2-エチル-1-ヘキサノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ヘキサミン、シクロヘプチルアミン、イソアミルアミン、3-メトキシプロピルアミン、パラクロロベンゾトリフルオリド、エチレングリコール、イソプロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、n-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、およびジクロロベンゼン、またはそれらのあらゆる組合せを含む、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項9】
重量百分率濃度が約0.1%~約10%である前記グラフェンを有する、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項10】
重量百分率濃度が約5%~約60%である前記結合剤を有する、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項11】
重量百分率濃度が約1%~約80%である前記安定剤を有する、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項12】
重量百分率濃度が約20%~約90%である前記溶媒を有する、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項13】
固形物含有量が約5%~約80%である、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項14】
粘度が約25cP~約4,000cPである、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項15】
剪断速度が約100s-1~約400s-1である、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項16】
基板に分散された前記導電性インクの湿潤厚と前記基板上で乾燥させた前記導電性インクの乾燥厚との比が、約2:1~約6:1である、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項17】
乾燥時の抵抗が約300ohm/sq~約80,000ohm/sqである、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項18】
乾燥時の抵抗が約300ohm/sq以下である、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項19】
粒径が約1um~約40umである、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項20】
導電性添加剤をさらに含む、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項21】
前記導電性添加剤がナノカーボンを含む、請求項20に記載の導電性インク。
【請求項22】
前記ナノカーボンが、カーボンナノ粒子、カーボンナノドット、カーボンナノチューブ、グラフェンナノリボン、カーボンナノファイバ、ナノグラファイト、カーボンオニオン、カーボンナノコーン、またはそれらのあらゆる組合せを含む、請求項21に記載の導電性インク。
【請求項23】
重量百分率濃度が約1%~約40%である前記導電性添加剤を有する、請求項20に記載の導電性インク。
【請求項24】
黒鉛をさらに含む、請求項1に記載の導電性インク。
【請求項25】
重量百分率濃度が約5%~約80%である前記黒鉛を有する、請求項24に記載の導電性インク。
【請求項26】
導電性インクを印刷する方法であって、
(a)最大で2層の請求項1に記載のインクを基板に堆積させる工程と、
(b)前記基板上の前記インクを乾燥させる工程と
を含む方法。
【請求項27】
前記堆積させる工程が、スクリーン印刷、フレキソ印刷、スロットダイ印刷、ナイフ・オーバーエッジ・コーティング(knife-over edge coating)、スクリーン印刷、グラビア印刷、噴霧、浸漬、またはそれらのあらゆる組合せによって行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記インクが約100℃~約180℃の温度で乾燥される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記インクが約10分~約60分の期間にわたり乾燥される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記インクが、約150um~約3,000umの線幅で前記基板に堆積される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記基板が、雲母、ガラス、シリコン、ガラス、金属、プラスチック、織布、黒鉛シート、金、またはそれらのあらゆる組合せを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
乾燥された前記インクの平均粗度が、約1um~約2umである、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
乾燥された前記インクのテクスチャアスペクト比が、約0.25°~約1.5°である、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
印刷された前記導電性インクの抵抗が、約1,000~約40,000ohm/sqである、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記基板上のインクを焼成する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
導電性インクを形成する方法であって、
(a)グラフェンシートであって、
(i)前記グラフェンシートの少なくとも約90%が単層からなり、
(ii)前記グラフェンシートの酸素含有量が最大で約6%であり、または
(iii)その両方である、グラフェンシートと、
(b)結合剤と、
(c)安定剤と、
(d)溶媒と
を含む溶液を混合する工程を含む方法。
【請求項37】
グラフェンが、還元酸化グラフェンまたは活性化還元酸化グラフェンを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記結合剤が高分子結合剤である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記高分子結合剤が熱可塑性共重合体である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記結合剤が、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、またはそれらのあらゆる組合せを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記安定剤が、ポリテトラヒドロフラン、フッ素化トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ワックス、エチルセルロース、ジエチレングリコール、またはそれらのあらゆる組合せを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記溶媒が、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、2-エチル-1-ヘキサノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ヘキサミン、シクロヘプチルアミン、イソアミルアミン、3-メトキシプロピルアミン、パラクロロベンゾトリフルオリド、エチレングリコール、イソプロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、n-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、およびジクロロベンゼン、またはそれらのあらゆる組合せを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記溶液が、重量百分率濃度が約0.1%~約10%のグラフェンを有する、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記溶液が、重量百分率濃度が約5%~約60%の前記結合剤を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
前記溶液が、重量百分率濃度が約1%~約80%の前記安定剤を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
前記溶液が、重量百分率濃度が約20%~約90%の前記溶媒を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項47】
前記溶液の固形物含有量が約5%~約80%である、請求項36に記載の方法。
【請求項48】
前記溶液が、約1時間~約4時間の期間にわたり混合される、請求項36に記載の方法。
【請求項49】
前記導電性インクの粘度が約25cP~約4,000cPである、請求項36に記載の方法。
【請求項50】
前記導電性インクの剪断速度が約100s-1~約400s-1である、請求項36に記載の方法。
【請求項51】
基板に分散された前記導電性インクの湿潤厚と前記基板上で乾燥させた前記導電性インクの乾燥厚との比が、約2:1~約6:1である、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
前記導電性インクの乾燥時の抵抗が約300ohm/sq~約80,000ohm/sqである、請求項36に記載の方法。
【請求項53】
前記導電性インクの粒径が約3um~約40umである、請求項36に記載の方法。
【請求項54】
前記溶液が導電性添加剤をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項55】
前記導電性添加剤がナノカーボンを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ナノカーボンが、カーボンナノ粒子、カーボンナノドット、カーボンナノチューブ、グラフェンナノリボン、カーボンナノファイバ、ナノグラファイト、カーボンアニオン、カーボンナノコーン、またはそれらのあらゆる組合せを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記溶液が、重量百分率濃度が約1%~約40%の前記導電性添加剤を有する、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記溶液がグラフェンをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項59】
前記溶液が、重量百分率濃度が約5%~約80%の前記グラフェンを有する、請求項58に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年11月4日出願の米国仮特許出願第63/275,804号に基づく利益を主張し、当該仮特許出願は、その全体を参照することによって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル基板に導電性パターンを印刷することにより、マイクロスケールで低コストのフレキシブルエレクトロニクスの製造が可能になる。印刷インクの改善には、そのようなデバイスに対する需要の増加に歩調を合わせることが必要とされる。印刷エレクトロニクスは、タッチスクリーン、太陽電池、センサ、フレキシブルディスプレイ、折畳み式ディスプレイ、電子ペーパ、センサ、無線周波数識別(RFID)タグ、バッテリ、およびスーパーキャパシタなどのデバイスに使用される。
【発明の概要】
【0003】
導電性インクは、スクリーン印刷(screen)、フレキソ印刷(flexographic)、スロットダイ印刷(slot-die)、ナイフ・オーバーエッジ・コーティング(knife-over-edge coating)、スクリーン印刷、グラビア印刷、噴霧、浸漬、またはそれらのあらゆる組合せなどの用途に特に好適な高粘度インクであり得る。別の導電性インクは、グラビアコーティング、噴霧コーティング、および浸漬コーティングなどの用途に特に好適な低粘度インクであり得る。
【0004】
本明細書中の一態様では、少なくとも約90%が単層からなるか、酸素含有量が最大約6%であるか、またはその両方であるグラフェンシートと、結合剤と、安定剤と、溶媒とを含む、導電性インクが提供される。
【0005】
一部の実施形態では、グラフェンは、還元酸化グラフェンまたは活性化還元酸化グラフェンを含む。一部の実施形態では、結合剤は高分子結合剤である。一部の実施形態では、高分子結合剤は熱可塑性共重合体である。一部の実施形態では、結合剤は、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、安定剤は、ポリテトラヒドロフラン、フッ素化トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ワックス、エチルセルロース、ジエチレングリコール、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、安定剤は、ポリテトラヒドロフランおよびジエチレングリコールを含み、ポリテトラヒドロフランとジエチレングリコールとの比は、約8:1~約11:1である。一部の実施形態では、溶媒は、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、2-エチル-1-ヘキサノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ヘキサミン、シクロヘプチルアミン、イソアミルアミン、3-メトキシプロピルアミン、パラクロロベンゾトリフルオリド、エチレングリコール、イソプロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、n-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、およびジクロロベンゼン、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、導電性インクは、約0.1%~約10%の重量百分率濃度のグラフェンを有する。一部の実施形態では、導電性インクは、約5%~約60%の重量百分率濃度の結合剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、約1%~約80%の重量百分率濃度の安定剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、約20%~約90%の重量百分率濃度の溶媒を有する。一部の実施形態では、導電性インクの固形物含有量は、約5%~約80%である。一部の実施形態では、導電性インクの粘度は、約25cP~約4,000cPである。一部の実施形態では、導電性インクの剪断速度は、約100s-1~約400s-1である。一部の実施形態では、基板に分散された導電性インクの湿潤厚と基板上で乾燥させた導電性インクの乾燥厚との比は、約2:1~約6:1である。一部の実施形態では、導電性インクの乾燥時の抵抗は、約300ohm/sq~約80,000ohm/sqである。一部の実施形態では、導電性インクの乾燥時の抵抗は、約300ohm/sq以下である。一部の実施形態では、導電性インクの粒径は、約1um~約40umである。一部の実施形態では、導電性インクは、導電性添加剤をさらに含む。一部の実施形態では、導電性添加剤は、ナノカーボンを含む。一部の実施形態では、ナノカーボンは、カーボンナノ粒子、カーボンナノドット、カーボンナノチューブ、グラフェンナノリボン、カーボンナノファイバ、ナノグラファイト、カーボンオニオン、カーボンナノコーン、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、導電性インクは、約1%~約40%の重量百分率濃度の導電性添加剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、黒鉛をさらに含む。一部の実施形態では、導電性インクは、約5%~約80%の重量百分率濃度の黒鉛を有する。
【0006】
本明細書中の別の態様は、導電性インクを印刷する方法であって、最大で2層の請求項1に記載のインクを基板に堆積させる工程と、基板上のインクを乾燥させる工程とを含む方法が提供される。一部の実施形態では、堆積させる工程は、スクリーン印刷、フレキソ印刷、スロットダイ印刷、ナイフ・オーバーエッジ・コーティング、スクリーン印刷、グラビア印刷、噴霧、浸漬、またはそれらのあらゆる組合せによって行われる。一部の実施形態では、インクは、約100℃~約180℃の温度で乾燥される。一部の実施形態では、インクは、約10分~約60分の期間にわたり乾燥される。一部の実施形態では、インクは、約150um~約3,000umの線幅で基板に堆積される。一部の実施形態では、基板は、雲母、ガラス、シリコン、ガラス、金属、プラスチック、織布、黒鉛シート、金、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、乾燥されたインクの平均粗度は、約1um~約2umである。一部の実施形態では、乾燥されたインクのテクスチャアスペクト比は、約0.25°~約1.5°である。一部の実施形態では、印刷された導電性インクの抵抗は、約1,000~約40,000ohm/sqである。一部の実施形態では、本方法は、基板上のインクを焼成する工程をさらに含む。
【0007】
導電性インクを形成する方法であって、少なくとも約90%が単層からなるか、酸素含有量が最大約6%であるか、またはその両方であるグラフェンシートと、結合剤と、安定剤と、溶媒とを含む溶液を混合する工程を含む、方法。
【0008】
一部の実施形態では、グラフェンは、還元酸化グラフェンまたは活性化還元酸化グラフェンを含む。一部の実施形態では、結合剤は高分子結合剤である。高分子結合剤が熱可塑性共重合体である、請求項38に記載の方法。一部の実施形態では、結合剤は、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、安定剤は、ポリテトラヒドロフラン、フッ素化トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ワックス、エチルセルロース、ジエチレングリコール、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、溶媒は、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、2-エチル-1-ヘキサノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ヘキサミン、シクロヘプチルアミン、イソアミルアミン、3-メトキシプロピルアミン、パラクロロベンゾトリフルオリド、エチレングリコール、イソプロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、n-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、およびジクロロベンゼン、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、溶液は、約0.1%~約10%の重量百分率濃度のグラフェンを有する。一部の実施形態では、溶液は、約5%~約60%の重量百分率濃度の結合剤を有する。一部の実施形態では、溶液は、約1%~約80%の重量百分率濃度の安定剤を有する。一部の実施形態では、溶液は、約20%~約90%の重量百分率濃度の溶媒を有する。一部の実施形態では、溶液の固形物含有量は、約5%~約80%である。一部の実施形態では、溶液は、約1時間~約4時間の期間にわたり混合される。一部の実施形態では、導電性インクの粘度は、約25cP~約4,000cPである。一部の実施形態では、導電性インクの剪断速度は、約100s-1~約400s-1である。一部の実施形態では、基板に分散された導電性インクの湿潤厚と基板上で乾燥させた導電性インクの乾燥厚との比は、約2:1~約6:1である。一部の実施形態では、導電性インクの乾燥時の抵抗は、約300ohm/sq~約80,000ohm/sqである。一部の実施形態では、導電性インクの粒径は、約3um~約40umである。一部の実施形態では、溶液は、導電性添加剤をさらに含む。一部の実施形態では、導電性添加剤は、ナノカーボンを含む。一部の実施形態では、ナノカーボンは、カーボンナノ粒子、カーボンナノドット、カーボンナノチューブ、グラフェンナノリボン、カーボンナノファイバ、ナノグラファイト、カーボンアニオン(carbon anions)、カーボンナノコーン、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、溶液は、約1%~約40%の重量百分率濃度の導電性添加剤を有する。一部の実施形態では、溶液は、グラフェンをさらに含む。一部の実施形態では、溶液は、約5%~約80%の重量百分率濃度のグラフェンを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に明記される。本開示の特徴および利点は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を明記する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって、より良く理解されるであろう。
【0010】
図1】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、導電性インクの図である。
図2A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第1の導電性インクの第1の光学顕微鏡画像である。
図2B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第1の導電性インクの第2の光学顕微鏡画像である。
図3A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第1の導電性インクの粒径分布の図である。
図3B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、Hegmanゲージ上の例示的な第1の導電性インクの画像である。
図4A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第1の導電性インクのX線回折グラフである。
図4B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第1の導電性インクのラマン分光法グラフである。
図5】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第1の導電性インクの剪断速度対粘度のグラフである。
図6A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第1の導電性インクに対する熱分析の例示的な第1のグラフである。
図6B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第1の導電性インクに対する熱分析の例示的な第2のグラフである。
図7】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第1の導電性インクに対する熱分析の例示的な第3のグラフである。
図8A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第2の導電性インクの第1のSEM画像である。
図8B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第2の導電性インクの第2のSEM画像である。
図9A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第2の導電性インクの粒径分布の図である。
図9B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、Hegmanゲージ上の例示的な第2の導電性インクの画像である。
図10】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第2の導電性インクのラマン分光法グラフである。
図11A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第2の導電性インクの剪断速度対粘度のグラフである。
図11B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第1および第2の導電性インクのX線回折グラフである。
図12A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第2の導電性インクに対する熱分析の例示的な第1のグラフである。
図12B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第2の導電性インクに対する熱分析の例示的な第2のグラフである。
図13】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第2の導電性インクに対する熱分析の例示的な第3のグラフである。
図14A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、シリコンウエハに印刷された例示的な導電性インクスクリーンの写真である。
図14B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、シリコンウエハに印刷された様々な幅の例示的な導電性インクスクリーンのトレースの写真、およびトレースの高倍率写真を示す図である。
図15A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、図14Aのトレースの光学プロフィロメトリー画像である。
図15B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、図15Aの光学プロフィロメトリー画像の三次元レンダリングである。
図16A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、図15Aのトレースの第1の軸に沿った光学プロフィロメトリー画像の高さのグラフである。
図16B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、図15Aのトレースの第2の軸に沿った光学プロフィロメトリー画像の高さのグラフである。
図17】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な導電性インクで形成されたトレースの導電率対幅のグラフである。
図18A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な導電性インクで形成されたトレースの乾燥厚対シート抵抗のグラフである。
図18B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な導電性インクで形成されたトレースの湿潤厚対乾燥厚のグラフである。
図19A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な導電性インクで形成された例示的なトレースの波長透過率のグラフである。
図19B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な導電性インクの波長透過率のグラフである。
図20A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な還元酸化グラフェンシートの第1の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図20B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な還元酸化グラフェンシートの第2のSEM画像である。
図21A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な還元酸化グラフェンシートの第1の原子間力顕微鏡(AFM)画像である。
図21B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な還元酸化グラフェンシートの第2のAFM画像である。
図22A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第3の導電性インクの剪断速度対粘度のグラフである。
図22B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第3の導電性インクのトルク対速度のグラフである。
図23A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第3の導電性インクの時間対熱流のグラフである。
図23B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第3の導電性インクの時間対重量のグラフである。
図24A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第3の導電性インクを被覆した基板のXRDパターンである。
図24B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第3の導電性インクを被覆した基板のラマンスペクトルである。
図25A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第3の導電性インクを被覆した基板の乾燥膜厚対シート抵抗のグラフである。
図25B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第3の導電性インクを被覆した基板の湿潤膜厚対乾燥膜厚のグラフである。
図26A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第3の導電性インクの粒子分布のグラフである。
図26B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第3の導電性インクを被覆した基板におけるトレース幅対抵抗を示す図である。
図27A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第4の導電性インクの剪断速度対粘度のグラフである。
図27B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第4の導電性インクのトルク対速度のグラフである。
図28A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第4の導電性インクの時間対熱流のグラフである。
図28B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第4の導電性インクの時間対重量のグラフである。
図29A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第4の導電性インクのXRDグラフである。
図29B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第4の導電性インクのラマンスペクトルである。
図30A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第4の導電性インクを被覆した基板の乾燥膜厚対シート抵抗のグラフである。
図30B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第4の導電性インクを被覆した基板の湿潤膜厚対乾燥膜厚のグラフである。
図31】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第4の導電性インクの粒子分布のグラフである。
図32A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクの剪断速度対粘度のグラフである。
図32B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクのトルク対速度のグラフである。
図33A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクの時間対熱流のグラフである。
図33B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクの時間対重量のグラフである。
図34A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクのXRDグラフである。
図34B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクのラマンスペクトルである。
図35A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクの粒子分布のグラフである。
図35B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクを被覆した基板におけるトレース幅対抵抗を示す図である。
図36A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクを被覆した基板の第1の光学プロフィロメトリー画像を示す図である。
図36B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、図36A中の試料の長さに沿った乾燥済みの例示的な第5の導電性インクの厚さのグラフを示す図である。
図36C】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、図36A中の試料の幅に沿った乾燥済みの例示的な第5の導電性インクの厚さのグラフを示す図である。
図37A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクを被覆した基板の第2の光学プロフィロメトリー画像を示す図である。
図37B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクを被覆した基板の第3の光学プロフィロメトリー画像を示す図である。
図38A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクを被覆した基板の乾燥膜厚対シート抵抗のグラフである。
図38B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクを被覆した基板の湿潤膜厚対乾燥膜厚のグラフである。
図39A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクを被覆した基板の低倍率SEM画像である。
図39B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第5の導電性インクを被覆した基板の高倍率SEM画像である。
図40A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第6の導電性インクの剪断速度対粘度のグラフである。
図40B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第6の導電性インクのトルク対速度のグラフである。
図41A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第6の導電性インクの時間対熱流のグラフである。
図41B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第6の導電性インクの時間対重量のグラフである。
図42A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第6の導電性インクを被覆した基板のXRDパターンである。
図42B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第6の導電性インクを被覆した基板のラマンスペクトルである。
図43A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第6の導電性インクの粒子分布のグラフである。
図43B】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第6の導電性インクを被覆した基板の乾燥膜厚対シート抵抗のグラフである。
図44A】本明細書中の1つまたは複数の実施形態による、例示的な第6の導電性インクで形成されたトレースの湿潤厚対乾燥厚のグラフである。
図44B】例示的な第6の導電性インクを被覆した基板におけるトレース幅対抵抗を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
現在、使用される導電性インクが限られているため、印刷エレクトロニクスを製造するのに利用可能な方法は限られている。現行の銀および銅をベースとするインクは、多くの場合、大規模なデバイス生産では高価すぎる。さらに、そのようなインクは、印刷中に凝集して不均一で不整合な成分を生じさせ、特定の印刷方法に合わせることができない粘度および表面張力を有するため、基板への接着性が乏しく、柔軟性が低いという欠点がある。そのため、そのようなインクを用いて耐久性があり高導電性の印刷部品を経済的に製造することは、困難であるか、または効果的でないことが多い。
【0012】
そのような印刷エレクトロニクスの性能を改善し、そのようなエレクトロニクスのより広範な製造を可能にするには、インクの改善が必要とされる。そのため本明細書には、その電気特性および機械特性(例えば、粘度および表面張力)によって広範な印刷技法への使用が可能となる、導電性インクおよびその配合方法が提供される。本発明中のインク内のグラフェンの顕著な導電性、熱安定性、化学安定性、および柔軟性によって、電気化学特性が調整可能である低コストのエレクトロニクスの生産が可能となる。最終的に、現行の多くの導電性インクは適切な接着性および伝導性のために複数の層を必要とするが、本明細書中のインクは、たとえ単回の印刷であっても、層の数を減らして充分な厚さを有する電子回路を形成することができる。
【0013】
導電性インク
図1は、導電性インク(1000)の図である。一部の実施形態では、導電性インク(1000)は、グラフェン(110)、結合剤(120)、安定剤(130)、および溶媒(140)を含む。一部の実施形態では、導電性インク(1000)は、グラフェン(110)、結合剤(120)、安定剤(130)、および溶媒(140)からなる。一部の実施形態では、導電性インク(1000)は、グラフェン(110)、結合剤(120)、安定剤(130)、および溶媒(140)から本質的になる。一部の実施形態では、導電性インク(1000)は、界面活性剤を含まない。一部の実施形態では、導電性インク(1000)は、消泡剤を含まない。
【0014】
本明細書中の導電性インク(1000)の特定の成分によって、その弾性、接着性、熱安定性、被覆の均一性、化学安定性、および調整可能な粘度を予想外に改善することが可能になる。本インクは、優れた安定性を呈し、穴を残すことなく均一に被覆し、滑らかな表面を呈する。
【0015】
一部の実施形態では、グラフェン(110)は、還元酸化グラフェンを含む。一部の実施形態では、グラフェン(110)は、活性化還元酸化グラフェンを含む。一部の実施形態では、グラフェン(110)シートの少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、またはそれより多くは、グラフェンの単層(111)からなる。一部の実施形態では、導電性インク(1000)内の単層グラフェンシート(111)が高含有量であるため、乾燥時の導電性インク(1000)の導電性が改善される。一部の実施形態では、単層からなる還元酸化グラフェンの百分率は、原子間力顕微鏡法(AFM)によって決定される。一部の実施形態では、グラフェンシート(110)の酸素含有量は、その中の増分を含め最大約2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%である。一部の実施形態では、導電性インク(1000)内のグラフェンシート(110)が低酸素含有量であるため、乾燥時の導電性インク(1000)の導電性が改善される。
【0016】
一部の実施形態では、結合剤(120)は高分子結合剤(120)である。一部の実施形態では、高分子結合剤(120)は熱可塑性共重合体である。一部の実施形態では、結合剤(120)は、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、またはそれらのあらゆる組合せを含む。本明細書中の特定の結合剤(120)は、本明細書中の導電性インク(1000)およびそこから形成されるエレクトロニクスの弾性、接着性、熱安定性、化学安定性、および調整可能な粘度の予想外の改善を可能にする。
【0017】
一部の実施形態では、安定剤(130)は高分子を含む。一部の実施形態では、安定剤(130)は、室温では固体である。一部の実施形態では、安定剤(130)は、ポリテトラヒドロフラン、フッ素化トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルロース、ジエチレングリコール、またはそれらのあらゆる組合せを含む。本明細書中の特定の安定剤(130)は、本明細書中のインク(1000)に対し、基板の被覆を均一にし、ゆっくり乾燥して亀裂および島形成を防止し、インク(1000)内のグラフェン(110)を安定させ、凝集を防止し、損傷を伴うことなく弾性的に湾曲する能力の予想外の改善をもたらす。一部の実施形態では、安定剤(130)はポリテトラヒドロフランを含み、これは、導電性インク(1000)の粘度、柔軟性、および弾性を増加させ、導電性インク(1000)内のグラフェン(110)を安定させ、かつ室温での乾燥プロセスを遅くして亀裂および島形成を防止する。一部の実施形態では、安定剤(130)はジエチレングリコールを含み、これは乾燥した導電性インク(1000)の柔軟性と強度を改善する。
【0018】
一部の実施形態では、溶媒(140)は、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、2-エチル-1-ヘキサノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ヘキサミン、シクロヘプチルアミン、イソアミルアミン、3-メトキシプロピルアミン、パラクロロベンゾトリフルオリド、エチレングリコール、イソプロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、n-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、およびジクロロベンゼン、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、ワックスは、動物ワックス、植物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックス、またはそれらのあらゆる組合せである。一部の実施形態では、溶媒(140)は、本明細書中のインク(1000)内のグラフェン(110)の安定性を増加させる。一部の実施形態では、溶媒(140)は揮発性である。一部の実施形態では、溶媒(140)の蒸気圧は、20℃で約20Pa~約250Paである。一部の実施形態では、溶媒(140)の沸点は、約110℃~約200℃である。一部の実施形態では、溶媒の蒸気圧および沸点は、本明細書中のインク(1000)がゆっくりと乾燥するのを可能とするため、亀裂を防止する。一部の実施形態では、高沸点の溶媒は、導電性インクの乾燥時間を増加させ、導電性インクで基板を被覆するための時間を増加させ、基板に塗布されたインクの表面全体にわたり導電性インクの均一な乾燥を可能にし得る。一部の実施形態では、基板に塗布されたインクの表面全体にわたるインクの均一な乾燥は、導電性インクの大部分より前に縁部が乾燥するのを防止し、基板に塗布されたときに懸濁した還元酸化グラフェン粒子が導電性インクの大部分から導電性インクの縁部に外向きの毛細管流動を行うのを防止し、かつ、基板に塗布された導電性インク全体にわたる酸化グラフェン粒子の分散が均一または略均一である基板上の導電性インクの均一な被覆を可能にし得る。一部の実施形態では、基板に塗布されたインクの表面全体にわたるインクのゆっくりとした均一な乾燥は、基板に塗布された導電性インクの高度に均一な被覆を可能にして、基板に塗布された導電性インクを用いて生産された最終製品の導電性を改善し得る。
【0019】
一部の実施形態では、導電性インクの粒径は、約3um~約20umである。一部の実施形態では、導電性インクの粒径は、その中の増分を含めて約3um~約4um、約3um~約6um、約3um~約8um、約3um~約10um、約3um~約12um、約3um~約14um、約3um~約16um、約3um~約18um、約3um~約20um、約4um~約6um、約4um~約8um、約4um~約10um、約4um~約12um、約4um~約14um、約4um~約16um、約4um~約18um、約4um~約20um、約6um~約8um、約6um~約10um、約6um~約12um、約6um~約14um、約6um~約16um、約6um~約18um、約6um~約20um、約8um~約10um、約8um~約12um、約8um~約14um、約8um~約16um、約8um~約18um、約8um~約20um、約10um~約12um、約10um~約14um、約10um~約16um、約10um~約18um、約10um~約20um、約12um~約14um、約12um~約16um、約12um~約18um、約12um~約20um、約14um~約16um、約14um~約18um、約14um~約20um、約16um~約18um、約16um~約20um、または約18um~約20umである。一部の実施形態では、導電性インクの粒径は、約3um、約4um、約6um、約8um、約10um、約12um、約14um、約16um、約18um、または約20umである。一部の実施形態では、導電性インクの粒径は、最低で約3um、約4um、約6um、約8um、約10um、約12um、約14um、約16um、または約18umである。一部の実施形態では、導電性インクの粒径は、最大で約4um、約6um、約8um、約10um、約12um、約14um、約16um、約18um、または約20umである。一部の実施形態では、本明細書中のインクの特定の粒径は、多種多様な電子部品を生産するための様々な方法および機械による印刷を可能にする、調整可能な粘度および表面張力をもたらす。一部の実施形態では、上述の粒径は、平均(mean or average)粒径を指す。一部の実施形態では、上述の粒径は、列挙された粒径を有するインクの少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を指す。
【0020】
導電性インクの粘度は、剪断混合時間を調節することによって調整することができ、このとき、剪断時間が長いほど粘度は低下する。一部実施形態では、導電性インクの粘度は、約25cP~約3,000cPである。一部の実施形態では、導電性インクの粘度は、その中の増分を含めて約25cP~約50cP、約25cP~約100cP、約25cP~約250cP、約25cP~約500cP、約25cP~約750cP、約25cP~約1,000cP、約25cP~約2,000cP、約25cP~約3,000cP、約25cP~約400cP、約50cP~約100cP、約50cP~約250cP、約50cP~約500cP、約50cP~約750cP、約50cP~約1,000cP、約50cP~約2,000cP、約50cP~約3,000cP、約50cP~約400cP、約100cP~約250cP、約100cP~約500cP、約100cP~約750cP、約100cP~約1,000cP、約100cP~約2,000cP、約100cP~約3,000cP、約100cP~約400cP、約250cP~約500cP、約250cP~約750cP、約250cP~約1,000cP、約250cP~約2,000cP、約250cP~約3,000cP、約250cP~約400cP、約500cP~約750cP、約500cP~約1,000cP、約500cP~約2,000cP、約500cP~約3,000cP、約500cP~約400cP、約750cP~約1,000cP、約750cP~約2,000cP、約750cP~約3,000cP、約750cP~約400cP、約1,000cP~約2,000cP、約1,000cP~約3,000cP、約1,000cP~約400cP、約2,000cP~約3,000cP、約2,000cP~約400cP、または約3,000cP~約400cPである。一部の実施形態では、導電性インクの粘度は、約25cP、約50cP、約100cP、約250cP、約500cP、約750cP、約1,000cP、約2,000cP、約3,000cP、または約400cPである。一部の実施形態では、導電性インクの粘度は、最低で約25cP、約50cP、約100cP、約250cP、約500cP、約750cP、約1,000cP、約2,000cP、または約3,000cPである。一部の実施形態では、導電性インクの粘度は、最大で約50cP、約100cP、約250cP、約500cP、約750cP、約1,000cP、約2,000cP、約3,000cP、または約400cPである。一部の実施形態では、本明細書中のインクの粘度は、多種多様な電子部品を生産するための様々な方法および機械による印刷を可能にする。
【0021】
一部の実施形態では、導電性インクの剪断速度は、約100s-1~約400s-1である。一部の実施形態では、導電性インクの剪断速度は、その中の増分を含めて約100s-1~約150s-1、約100s-1~約200s-1、約100s-1~約250s-1、約100s-1~約300s-1、約100s-1~約350s-1、約100s-1~約400s-1、約150s-1~約200s-1、約150s-1~約250s-1、約150s-1~約300s-1、約150s-1~約350s-1、約150s-1~約400s-1、約200s-1~約250s-1、約200s-1~約300s-1、約200s-1~約350s-1、約200s-1~約400s-1、約250s-1~約300s-1、約250s-1~約350s-1、約250s-1~約400s-1、約300s-1~約350s-1、約300s-1~約400s-1、または約350s-1~約400s-1である。一部の実施形態では、導電性インクの剪断速度は、約100s-1、約150s-1、約200s-1、約250s-1、約300s-1、約350s-1、または約400s-1である。一部の実施形態では、導電性インクの剪断速度は、最低で約100s-1、約150s-1、約200s-1、約250s-1、約300s-1、または約350s-1である。一部の実施形態では、導電性インクの剪断速度は、最大で約150s-1、約200s-1、約250s-1、約300s-1、約350s-1、または約400s-1である。一部の実施形態では、本明細書中のインクの剪断速度は、多種多様な電子部品を生産するための様々な方法および機械による印刷を可能にする。
【0022】
一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、約0.1%~約10%の重量百分率濃度のグラフェンを有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、その中の増分を含めて約0.1%~約0.5%、約0.1%~約1%、約0。1%~約2%、約0.1%~約3%、約0.1%~約4%、約0.1%~約5%、約0.1%~約6%、約0.1%~約7%、約0.1%~約8%、約0.1%~約9%、約0.1%~約10%、約0.5%~約1%、約0.5%~約2%、約0.5%~約3%、約0.5%~約4%、約0.5%~約5%、約0.5%~約6%、約0.5%~約7%、約0.5%~約8%、約0.5%~約9%、約0.5%~約10%、約1%~約2%、約1%~約3%、約1%~約4%、約1%~約5%、約1%~約6%、約1%~約7%、約1%~約8%、約1%~約9%、約1%~約10%、約2%~約3%、約2%~約4%、約2%~約5%、約2%~約6%、約2%~約7%、約2%~約8%、約2%~約9%、約2%~約10%、約3%~約4%、約3%~約5%、約3%~約6%、約3%~約7%、約3%~約8%、約3%~約9%、約3%~約10%、約4%~約5%、約4%~約6%、約4%~約7%、約4%~約8%、約4%~約9%、約4%~約10%、約5%~約6%、約5%~約7%、約5%~約8%、約5%~約9%、約5%~約10%、約6%~約7%、約6%~約8%、約6%~約9%、約6%~約10%、約7%~約8%、約7%~約9%、約7%~約10%、約8%~約9%、約8%~約10%、または約9%~約10%の重量百分率濃度のグラフェンを有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の重量百分率濃度のグラフェンを有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時、最低で約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、または約9%の重量百分率濃度のグラフェンを有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時、最大で約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の重量百分率濃度のグラフェンを有する。一部の実施形態では、本明細書中の低濃度の酸化グラフェンは、導電性インクの追加要素に加えて、本明細書中の導電性インクのコストを削減すると同時に、高い導電性および低い抵抗を維持する。
【0023】
一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、約10%~約60%の重量百分率濃度の結合剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、その中の増分を含めて約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約10%~約45%、約10%~約50%、約10%~約55%、約10%~約60%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約15%~約40%、約15%~約45%、約15%~約50%。約15%~約55%、約15%~約60%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約20%~約45%、約20%~約50%、約20%~約55%、約20%~約60%。約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約25%~約45%、約25%~約50%、約25%~約55%、約25%~約60%、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約30%~約55%、約30%~約60%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約35%~約55%、約35%~約60%、約40%~約45%、約40%~約50%、約40%~約55%、約40%~約60%、約45%~約50%、約45%~約55%、約45%~約60%、約50%~約55%、約50%~約60%、または約55%~約60%の重量百分率濃度の結合剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、または約60%の重量百分率濃度の結合剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、最低で約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、または約55%の重量百分率濃度の結合剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、最大で約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、または約60%の重量百分率濃度の結合剤を有する。本明細書中の特定の重量百分率濃度の結合剤は、本明細書中のインクの弾性、接着性、熱安定性、および化学安定性を改善すると同時に、調整可能な粘度および表面張力を維持する。
【0024】
一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、約1%~約80%の重量百分率濃度の安定剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、その中の増分を含めて約1%~約5%、約1%~約10%、約1%~約15%、約1%~約20%、約1%~約25%、約1%~約30%、約1%~約40%、約1%~約50%、約1%~約60%、約1%~約70%、約1%~約80%、約5%~約10%、約5%~約15%、約5%~約20%、約5%~約25%、約5%~約30%、約5%~約40%、約5%~約50%、約5%~約60%、約5%~約70%、約5%~約80%、約10%~約15%、約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約40%、約10%~約50%、約10%~約60%、約10%~約70%、約10%~約80%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約40%、約15%~約50%、約15%~約60%、約15%~約70%、約15%~約80%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約20%~約60%、約20%~約70%、約20%~約80%、約25%~約30%、約25%~約40%、約25%~約50%、約25%~約60%、約25%~約70%、約25%~約80%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約60%、約30%~約70%、約30%~約80%、約40%~約50%、約40%~約60%、約40%~約70%、約40%~約80%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約60%~約70%、約60%~約80%、または約70%~約80%の重量百分率濃度の安定剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%の重量百分率濃度の安定剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、最低で約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、または約70%の重量百分率濃度の安定剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、最大で約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%の重量百分率濃度の安定剤を有する。本明細書に開示される種々の重量百分率濃度の安定剤は、インクが基板を均一に被覆する能力を改善すると同時に亀裂および島形成を防止することができ、かつ、インク内のグラフェンを安定させて凝集を防止すると同時に、調整可能な粘度および表面張力を維持する。一部の実施形態では、本明細書中の重量百分率濃度の安定剤は、導電性インクの乾燥時間を増加させ、導電性インクで基板を被覆するための時間を増加させ、基板に塗布されたインクの表面全体にわたり導電性インクの均一な乾燥を可能にし得る。一部の実施形態では、基板に塗布されたインクの表面全体にわたるインクの均一な乾燥は、導電性インクの大部分より前に縁部が乾燥するのを防止し、基板に塗布されたときに懸濁した還元酸化グラフェン粒子が導電性インクの大部分から導電性インクの縁部に外向きの毛細管流動を行うのを防止し、かつ、基板に塗布された導電性インク全体にわたる酸化グラフェン粒子の分散が均一または略均一である基板上の導電性インクの均一な被覆を可能にし得る。一部の実施形態では、基板に塗布されたインクの表面全体にわたるインクのゆっくりとした均一な乾燥は、基板に塗布された導電性インクの高度に均一な被覆を可能にして、基板に塗布された導電性インクを用いて生産された最終製品の導電性を改善し得る。
【0025】
一部の実施形態では、ポリテトラヒドロフランとジエチレングリコールとの比は、約8:1~約11:1である。一部の実施形態では、ポリテトラヒドロフランとジエチレングリコールとの比は、その中の増分を含めて約8:1~約8.5:1、約8:1~約9:1、約8:1~約9.5:1、約8:1~約10:1、約8:1~約10.5:1、約8:1~約11:1、約8.5:1~約9:1、約8.5:1~約9.5:1、約8.5:1~約10:1、約8.5:1~約10.5:1、約8.5:1~約11:1、約9:1~約9.5:1、約9:1~約10:1、約9:1~約10.5:1、約9:1~約11:1、約9.5:1~約10:1、約9.5:1~約10.5:1、約9.5:1~約11:1、約10:1~約10.5:1、約10:1~約11:1、または約10.5:1~約11:1である。一部の実施形態では、ポリテトラヒドロフランとジエチレングリコールとの比は、約8:1、約8.5:1、約9:1、約9.5:1、約10:1、約10.5:1、または約11:1である。一部の実施形態では、ポリテトラヒドロフランとジエチレングリコールとの比は、最低で約8:1、約8.5:1、約9:1、約9.5:1、約10:1、または約10.5:1である。一部の実施形態では、ポリテトラヒドロフランとジエチレングリコールとの比は、最大で約8.5:1、約9:1、約9.5:1、約10:1、約10.5:1、または約11:1である。
【0026】
一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、約20%~約90%の重量百分率濃度の溶媒を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、その中の増分を含めて約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約20%~約60%、約20%~約70%、約20%~約80%、約20%~約90%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約60%、約30%~約70%、約30%~約80%、約30%~約90%、約40%~約50%、約40%~約60%、約40%~約70%、約40%~約80%、約40%~約90%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約50%~約90%、約60%~約70%、約60%~約80%、約60%~約90%、約70%~約80%、約70%~約90%、または約80%~約90%の重量百分率濃度の溶媒を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%の重量百分率濃度の溶媒を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、最低で約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%の重量百分率濃度の溶媒を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、最大で約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%の重量百分率濃度の溶媒を有する。本明細書中の特定の重量百分率濃度の溶媒は、インク内のグラフェンの安定性を予想外に改善すると同時に、調整可能な粘度および表面張力を維持する。
【0027】
一部の実施形態では、導電性インク(1000)は、導電性添加剤(150)をさらに含む。一部の実施形態では、導電性添加剤(150)は、ナノカーボンを含む。一部の実施形態では、ナノカーボンは、カーボンナノ粒子、カーボンナノドット、カーボンナノチューブ、グラフェンナノリボン、カーボンナノファイバ、ナノグラファイト、カーボンオニオン、カーボンナノコーン、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、本明細書中の導電性添加剤(150)は、本明細書中のインク(2000)の導電性を改善すると同時にそのレオロジー特性を維持することで、様々な手段による印刷によって広範な電子部品の形成を可能にする。一部の実施形態では、本明細書中の導電性添加剤(150)は、インクの導電性を改善し、全体的な粘度を低下させることで、マイクログラビア印刷の要件に一致する。一部の実施形態では、カーボンナノ粒子は、カーボンブラックを含む。
【0028】
一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、約1%~約40%の重量百分率濃度の導電性添加剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、その中の増分を含めて約1%~約5%、約1%~約10%、約1%~約15%、約1%~約20%、約1%~約25%、約1%~約30%、約1%~約35%、約1%~約40%、約5%~約10%、約5%~約15%、約5%~約20%、約5%~約25%、約5%~約30%、約5%~約35%、約5%~約40%、約10%~約15%。約10%~約20%、約10%~約25%、約10%~約30%、約10%~約35%、約10%~約40%、約15%~約20%、約15%~約25%、約15%~約30%、約15%~約35%、約15%~約40%、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約30%~約35%、約30%~約40%、または約35%~約40%の重量百分率濃度の導電性添加剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、または約40%の重量百分率濃度の導電性添加剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、最低で約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約35%の重量百分率濃度の導電性添加剤を有する。一部の実施形態では、導電性インクは、湿潤時に、最大で約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、または約40%の重量百分率濃度の導電性添加剤を有する。
【0029】
導電性インクの特徴解析
本明細書中の導電性インクは、レベル5Bの接着性(理想的な接着性)を呈し、例えばポリイミド、ガラス、アルミニウム、およびポリエチレンテレフタレートなどの広範な基板で使用されることを可能にする。さらに、現行の多くの導電性インク中の成分は分離して非分散性の凝集塊を生じさせるが、本明細書中の導電性インクは1年を超える貯蔵寿命を呈し、本インクの成分は溶液中にとどまる。さらに、現行の多くの導電性インクとは異なり、本明細書中の導電性インクは、大量に生産かつ供給することができる。くわえて、本明細書中の導電性インクは、あらゆる温度において、かつ110℃未満の温度で10分以下の短い硬化時間で硬化することができるため、印刷された導電性材料を形成する効率と速度を改善する。最終的に、本明細書中の導電性インクは水溶性であり、乾燥すると一貫した連続コーティングを生産する。
【0030】
一部の実施形態では、導電性インクの固形物含有量は、約5%~約80%である。一部の実施形態では、導電性インクの固形物含有量は、その中の増分を含めて約5%~約10%、約5%~約20%、約5%~約30%、約5%~約40%、約5%~約50%、約5%~約60%、約5%~約70%、約5%~約80%、約10%~約20%、約10%~約30%、約10%~約40%、約10%~約50%、約10%~約60%、約10%~約70%、約10%~約80%、約20%~約30%、約20%~約40%、約20%~約50%、約20%~約60%、約20%~約70%、約20%~約80%、約30%~約40%、約30%~約50%、約30%~約60%、約30%~約70%、約30%~約80%、約40%~約50%、約40%~約60%、約40%~約70%、約40%~約80%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約60%~約70%、約60%~約80%、または約70%~約80%である。一部の実施形態では、導電性インクの固形物含有量は、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%である。一部の実施形態では、導電性インクの固形物含有量は、最低で約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、または約70%である。一部の実施形態では、導電性インクの固形物含有量は、最大で約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、または約80%である。
【0031】
一部の実施形態では、基板に分散された導電性インクの湿潤厚と基板上で乾燥させた導電性インクの乾燥厚との比は、約2:1~約6:1である。一部の実施形態では、基板に分散された導電性インクの湿潤厚と基板上で乾燥させた導電性インクの乾燥厚との比は、その中の増分を含めて約2:1~約2.5:1、約2:1~約3:1、約2:1~約3.5:1、約2:1~約4:1、約2:1~約4.5:1、約2:1~約5:1、約2:1~約5.5:1、約2:1~約6:1、約2.5:1~約3:1、約2.5:1~約3.5:1、約2.5:1~約4:1、約2.5:1~約4.5:1、約2.5:1~約5:1、約2.5:1~約5.5:1、約2.5:1~約6:1、約3:1~約3.5:1、約3:1~約4:1、約3:1~約4.5:1、約3:1~約5:1、約3:1~約5.5:1、約3:1~約6:1、約3.5:1~約4:1、約3.5:1~約4.5:1、約3.5:1~約5:1、約3.5:1~約5.5:1、約3.5:1~約6:1、約4:1~約4.5:1、約4:1~約5:1、約4:1~約5.5:1、約4:1~約6:1、約4.5:1~約5:1、約4.5:1~約5.5:1、約4.5:1~約6:1、約5:1~約5.5:1、約5:1~約6:1、または約5.5:1~約6:1である。一部の実施形態では、基板に分散された導電性インクの湿潤厚と基板上で乾燥させた導電性インクの乾燥厚との比は、約2:1、約2.5:1、約3:1、約3.5:1、約4:1、約4.5:1、約5:1、約5.5:1、または約6:1である。一部の実施形態では、基板に分散された導電性インクの湿潤厚と基板上で乾燥させた導電性インクの乾燥厚との比は、最低で約2:1、約2.5:1、約3:1、約3.5:1、約4:1、約4.5:1、約5:1、または約5.5:1である。一部の実施形態では、基板に分散された導電性インクの湿潤厚と基板上で乾燥させた導電性インクの乾燥厚との比は、最大で約2.5:1、約3:1、約3.5:1、約4:1、約4.5:1、約5:1、約5.5:1、または約6:1である。
【0032】
一部の実施形態では、導電性インクの乾燥時の抵抗は、約300ohm/sq~約80,000ohm/sqである。一部の実施形態では、導電性インクの乾燥時の抵抗は、その中の増分を含めて約300ohm/sq~約500ohm/sq、約300ohm/sq~約750ohm/sq、約300ohm/sq~約1,000ohm/sq、約300ohm/sq~約2,500ohm/sq、約300ohm/sq~約5,000ohm/sq、約300ohm/sq~約7,500ohm/sq、約300ohm/sq~約10,000ohm/sq、約300ohm/sq~約25,000ohm/sq、約300ohm/sq~約50,000ohm/sq、約300ohm/sq~約80,000ohm/sq、約500ohm/sq~約750ohm/sq、約500ohm/sq~約1,000ohm/sq、約500ohm/sq~約2,500ohm/sq、約500ohm/sq~約5,000ohm/sq、約500ohm/sq~約7,500ohm/sq、約500ohm/sq~約10,000ohm/sq、約500ohm/sq~約25,000ohm/sq、約500ohm/sq~約50,000ohm/sq、約500ohm/sq~約80,000ohm/sq、約750ohm/sq~約1,000ohm/sq、約750ohm/sq~約2,500ohm/sq、約750ohm/sq~約5,000ohm/sq、約750ohm/sq~約7,500ohm/sq、約750ohm/sq~約10,000ohm/sq、約750ohm/sq~約25,000ohm/sq、約750ohm/sq~約50,000ohm/sq、約750ohm/sq~約80,000ohm/sq、約1,000ohm/sq~約2,500ohm/sq、約1,000ohm/sq~約5,000ohm/sq、約1,000ohm/sq~約7,500ohm/sq、約1,000ohm/sq~約10,000ohm/sq、約1,000ohm/sq~約25,000ohm/sq、約1,000ohm/sq~約50,000ohm/sq、約1,000ohm/sq~約80,000ohm/sq、約2,500ohm/sq~約5,000ohm/sq、約2,500ohm/sq~約7,500ohm/sq、約2,500ohm/sq~約10,000ohm/sq、約2,500ohm/sq~約25,000ohm/sq、約2,500ohm/sq~約50,000ohm/sq、約2,500ohm/sq~約80,000ohm/sq、約5,000ohm/sq~約7,500ohm/sq、約5,000ohm/sq~約10,000ohm/sq、約5,000ohm/sq~約25,000ohm/sq、約5,000ohm/sq~約50,000ohm/sq、約5,000ohm/sq~約80,000ohm/sq、約7,500ohm/sq~約10,000ohm/sq、約7,500ohm/sq~約25,000ohm/sq、約7,500ohm/sq~約50,000ohm/sq、約7,500ohm/sq~約80,000ohm/sq、約10,000ohm/sq~約25,000ohm/sq、約10,000ohm/sq~約50,000ohm/sq、約10,000ohm/sq~約80,000ohm/sq、約25,000ohm/sq~約50,000ohm/sq、約25,000ohm/sq~約80,000ohm/sq、または約50,000ohm/sq~約80,000ohm/sqである。一部の実施形態では、導電性インクの乾燥時の抵抗は、約300ohm/sq、約500ohm/sq、約750ohm/sq、約1,000ohm/sq、約2,500ohm/sq、約5,000ohm/sq、約7,500ohm/sq、約10,000ohm/sq、約25,000ohm/sq、約50,000ohm/sq、または約80,000ohm/sqである。一部の実施形態では、導電性インクの乾燥時の抵抗は、最低で約300ohm/sq、約500ohm/sq、約750ohm/sq、約1,000ohm/sq、約2,500ohm/sq、約5,000ohm/sq、約7,500ohm/sq、約10,000ohm/sq、約25,000ohm/sq、または約50,000ohm/sqである。一部の実施形態では、導電性インクの乾燥時の抵抗は、最大で約500ohm/sq、約750ohm/sq、約1,000ohm/sq、約2,500ohm/sq、約5,000ohm/sq、約7,500ohm/sq、約10,000ohm/sq、約25,000ohm/sq、約50,000ohm/sq、または約80,000ohm/sqである。
【0033】
一部の実施形態では、基板に印刷された導電性インクは、約400℃まで熱的に安定する。一部の実施形態では、導電性インクは、乾燥されて基板に塗布されたとき、柔軟性である。一部の実施形態では、導電性インクの柔軟性は、湾曲後に基板に塗布されたときの導電性インクのシート抵抗を測定することによって測定される。一部の実施形態では、導電性インクのシート抵抗は、基板を湾曲させる、基板を折り畳む、または基板に折り目を付けた後、低下しない。一部の実施形態では、導電性インクのシート抵抗は、基板を湾曲させる、基板を折り畳む、または基板に折り目を付けた後、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%以下しか低下しない。
【0034】
一部の実施形態では、導電性インクは接着性であり、亀裂に対する抵抗を持つ。導電性インクの亀裂は、導電性インクの表面のコーティングに切れ込みを入れ、導電性インクの切れ込みを入れた表面に接着性表面を適用することによって測定することができる。一部の実施形態では、導電性インクは亀裂に対する抵抗を持ち、本導電性インクはいずれも、導電性インクの切れ込みを入れた表面に接着性表面を適用した後、切れ込みを入れた表面から除去されない。一部の実施形態では、導電性インクは亀裂に対する抵抗を持ち、導電性インクの切れ込みを入れた表面に接着性表面を適用した後、導電性インクの10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%未満しか、切れ込みを入れた表面から除去されない。
【0035】
導電性インクの形成方法
導電性インクを形成する方法であって、グラフェン、結合剤、安定剤、および溶媒を含む溶液を混合する工程と、溶液を第1の温度に加熱する工程と、溶液の第1の温度を保持時間にわたり維持する工程と、溶液を第2の温度に加熱する工程とを含む方法。
【0036】
一部の実施形態では、グラフェンは、還元酸化グラフェンまたは活性化還元酸化グラフェンを含む。一部の実施形態では、結合剤は高分子結合剤である。一部の実施形態では、高分子結合剤は熱可塑性共重合体である。一部の実施形態では、結合剤は、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、安定剤は、ポリテトラヒドロフラン、フッ素化トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ワックス、エチルセルロース、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、安定剤は、ポリテトラヒドロフランおよびジエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、安定剤中のポリテトラヒドロフランとジエチレングリコールとの比は、約8:1~約11:1である。
【0037】
一部の実施形態では、溶媒は、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、2-エチル-1-ヘキサノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ヘキサミン、シクロヘプチルアミン、イソアミルアミン、3-メトキシプロピルアミン、パラクロロベンゾトリフルオリド、エチレングリコール、イソプロパノール、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、n-メチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、およびジクロロベンゼン、またはそれらのあらゆる組合せを含む。
【0038】
一部の実施形態では、溶液は、約0.1%~約10%の重量百分率濃度のグラフェンを有する。一部の実施形態では、溶液は、約5%~約60%の重量百分率濃度の結合剤を有する。一部の実施形態では、溶液は、約1%~約80%の重量百分率濃度の安定剤を有する。一部の実施形態では、溶液は、約20%~約90%の重量百分率濃度の溶媒を有する。一部の実施形態では、溶液の固形物含有量は、約5%~約80%である。一部の実施形態では、溶液は、約1時間~約4時間の期間にわたり混合される。一部の実施形態では、第1の温度は、約100℃~約200℃である。一部の実施形態では、溶液は、約1℃/分~約10℃/分の速度で第1の温度に加熱される。一部の実施形態では、保持時間は、約2時間~約5時間である。一部の実施形態では、第2の温度は、約800℃~1,000℃である。一部の実施形態では、溶液は、約1℃/分~約10℃/分の速度で第2の温度に加熱される。一部の実施形態では、導電性インクの粘度は、約25cP~約4,000cPである。一部の実施形態では、導電性インクの剪断速度は、約100s-1~約400s-1である。一部の実施形態では、基板に分散された導電性インクの湿潤厚と基板上で乾燥させた導電性インクの乾燥厚との比は、約21~約61である。一部の実施形態では、導電性インクの乾燥時の抵抗は、約300ohm/sq~約80,000ohm/sqである。一部の実施形態では、導電性インクの粒径は、約3um~約40umである。
【0039】
一部の実施形態では、溶液は、導電性添加剤をさらに含む。一部の実施形態では、導電性添加剤は、ナノカーボンを含む。一部の実施形態では、ナノカーボンは、カーボンナノ粒子、カーボンナノドット、カーボンナノチューブ、グラフェンナノリボン、カーボンナノファイバ、ナノグラファイト、カーボンオニオン、カーボンナノコーン、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、溶液は、約1%~約40%の重量百分率濃度の導電性添加剤を有する。一部の実施形態では、溶液は、グラフェンをさらに含む。一部の実施形態では、溶液は、約5%~約80%の重量百分率濃度のグラフェンを有する。
【0040】
導電性インクの印刷方法
本明細書には、本明細書中の導電性インクを印刷する方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、最大で2層の本明細書中の導電性インクを基板に堆積させる工程と、基板上のインクを乾燥させる工程とを含む。一部の実施形態では、本方法は、基板上のインクを焼成する工程をさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10層の本明細書中の導電性インクを基板に堆積させる工程を含む。
【0041】
一部の実施形態では、堆積させる工程は、スクリーン印刷、フレキソ印刷、スロットダイ印刷、ナイフ・オーバーエッジ・コーティング、ロール・ツー・ロール・コーティング、スクリーン印刷、グラビア印刷、噴霧、浸漬、またはそれらのあらゆる組合せによって行われる。本明細書中のインクの粘度および表面張力は、広範囲の電子部品を生産するために種々のそのような方法によるインクの堆積を可能にする。さらに、本明細書中のインクの成分およびレオロジー特性は、本明細書に記載される方法のうちいずれか1つまたは複数を使用して、耐久性があり、熱的に安定し、かつ化学的に安定する電子部品を形成することを可能にする。
【0042】
一部の実施形態では、導電性インクは、Meyerロッドによって基板に印刷される。Meyerロッドは、制御され一貫した厚さのインクを表面に塗布するのに使用される、ワイヤで覆われた金属棒である。以下、Meyerロッドのサイズによって湿潤厚が決定される。
【0043】
【表1】
【0044】
一部の実施形態では、本明細書中の導電性インクは、湿潤厚を有する基板上に印刷され、湿潤厚は、基板に塗布されるインクの最大、最小、または平均の厚さである。一部の実施形態では、基板は、雲母、ガラス、シリコン、ガラス、金属、プラスチック、織布、黒鉛シート、金、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、プラスチックは、PET、HDPE、LDPE、PTFE、Kapton、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、金属は、銅、アルミニウム、鋼、白金、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、印刷された導電性インクの抵抗は、約300ohm/sq~約80,000ohm/sqである。一部の実施形態では、インクは、約150um~約3,000umの線幅で基板に堆積される。
【0045】
一部の実施形態では、インクは、約100℃~約180℃の温度で乾燥される。一部の実施形態では、インクは、その中の増分を含めて約100℃~約110℃、約100℃~約120℃、約100℃~約130℃、約100℃~約140℃、約100℃~約150℃、約100℃~約160℃、約100℃~約170℃、約100℃~約180℃、約110℃~約120℃、約110℃~約130℃、約110℃~約140℃、約110℃~約150℃、約110℃~約160℃、約110℃~約170℃、約110℃~約180℃、約120℃~約130℃、約120℃~約140℃、約120℃~約150℃、約120℃~約160℃、約120℃~約170℃、約120℃~約180℃、約130℃~約140℃、約130℃~約150℃、約130℃~約160℃、約130℃~約170℃、約130℃~約180℃、約140℃~約150℃、約140℃~約160℃、約140℃~約170℃、約140℃~約180℃、約150℃~約160℃、約150℃~約170℃、約150℃~約180℃、約160℃~約170℃、約160℃~約180℃、または約170℃~約180℃の温度で乾燥される。一部の実施形態では、インクは、約100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、約170℃、または約180℃の温度で乾燥される。一部の実施形態では、インクは、最低で約100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、または約170℃の温度で乾燥される。一部の実施形態では、インクは、最大で約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、約170℃、または約180℃の温度で乾燥される。
【0046】
一部の実施形態では、インクは、約10分~約60分の期間にわたり乾燥される。一部の実施形態では、インクは、その中の増分を含めて約10分~約15分、約10分~約20分、約10分~約25分、約10分~約30分、約10分~約35分、約10分~約40分、約10分~約45分、約10分~約50分、約10分~約55分、約10分~約60分、約15分~約20分、約15分~約25分、約15分~約30分、約15分~約35分、約15分~約40分、約15分~約45分、約15分~約50分、約15分~約55分、約15分~約60分、約20分~約25分、約20分~約30分、約20分~約35分、約20分~約40分、約20分~約45分、約20分~約50分、約20分~約55分、約20分~約60分、約25分~約30分、約25分~約35分、約25分~約40分、約25分~約45分、約25分~約50分、約25分~約55分、約25分~約60分、約30分~約35分、約30分~約40分、約30分~約45分、約30分~約50分、約30分~約55分、約30分~約60分、約35分~約40分、約35分~約45分、約35分~約50分、約35分~約55分、約35分~約60分、約40分~約45分、約40分~約50分、約40分~約55分、約40分~約60分、約45分~約50分、約45分~約55分、約45分~約60分、約50分~約55分、約50分~約60分、または約55分~約60分の期間にわたり乾燥される。一部の実施形態では、インクは、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、または約60分の期間にわたり乾燥される。一部の実施形態では、インクは、最低で約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、または約55分の期間にわたり乾燥される。一部の実施形態では、インクは、最大で約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、または約60分の期間にわたり乾燥される。
【0047】
一部の実施形態では、本明細書に記載の導電性インクは、シングルパスのみを使用して印刷され、導電性インクを被覆した基板の表面上に還元酸化グラフェンの単層を生成する。一部の実施形態では、シングルパス印刷は、導電性インクを被覆した基板を生成し、シングルパス印刷プロセスから得られる導電性表面は、少なくとも約90%のグラフェンシートが単層からなること、グラフェンの重量百分率濃度が約0.25%~約5%であること、グラフェンシートの酸素含有量が最大で約6%であること、乾燥時の抵抗が約1,000ohm/sq~約5,000ohm/sqであることを特徴とする、導電性表面を生成する。一部の実施形態では、シングルパス印刷は、導電性インクを被覆した基板を生成し、シングルパス印刷プロセスから得られる導電性表面は、グラフェンシートが単層からなること、グラフェンの重量百分率濃度が約0.25%~約5%であること、グラフェンシートの酸素含有量が最大で約6%であること、乾燥時の抵抗が約1,000ohm/sq~約5,000ohm/sqであることを特徴とする、導電性表面を生成する。
【0048】
一部の実施形態では、導電性インクが印刷される基板として、シリコンウエハ、ガラス、カプトンテープ、ポリアミド、PET、雲母、シリコンウエハ、ITOガラス、ポリエチレンシート、テフロン(登録商標)、アクリル、ポリマー、プラスチック、黒鉛シート、金被覆カプトン、アルミニウム、銅、金属、集電体、金属集電体、非金属集電体、紙が挙げられるが、本開示はこれらの材料に限定されず、他のあらゆる好適な材料を含んでもよい。
【0049】
還元酸化グラフェン
本明細書中の導電性インクを形成するのに使用される還元酸化グラフェン(rGO)は、広範囲の溶媒から容易に分散および加工することができ、広範な用途において調整可能な電子特性および機械特性を有する導電性インクを可能にする。
【0050】
図20Aは、例示的なrGOシートの第1の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。図20Bは、例示的なrGOシートの第2のSEM画像である。図21Aは、例示的なrGOシートの第1の原子間力顕微鏡(AFM)画像である。図21Bは、例示的なrGOシートの第2のAFM画像である。
【0051】
一部の実施形態では、rGOシートは、大きな周囲長を有する樹状形状を呈する。一部の実施形態では、rGOは、ナノプレート、ナノシート、ナノ粒子、ナノフレーク、ナノプレートレット、またはそれらのあらゆる組合せを含む形状を呈する。
【0052】
一部の実施形態では、rGOは、単層のrGOである。一部の実施形態では、rGOシートは、しわの付いた単層を有するフレークである。一部の実施形態では、グラフェンナノシートの基底平面における大きなしわおよび隆起により、ファンデルワールス相互作用によるグラフェンシートの崩壊および再積層が防止される。
【0053】
一部の実施形態では、rGOは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くの層を含む。一部の実施形態では、rGOは、間に層間細孔を形成する複数の層を含む。一部の実施形態では、層間細孔は、連続ネットワークを形成する。一部の実施形態では、層間細孔の1つまたは複数は、閉鎖している。一部の実施形態では、層間細孔の1つまたは複数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くの層によって画定される。一部の実施形態では、層は相互接続される。一部の実施形態では、層のうちの1つまたは複数は、波形である。一部の実施形態では、層のうちの1つまたは複数は、しわを有する。一部の実施形態では、層のうちの1つまたは複数は、折り目を有する。一部の実施形態では、複数の層は、蛇腹状構造を形成する。一部の実施形態では、複数の層は、泡状構造を形成する。一部の実施形態では、rGO内の複数の層は、全体的に平行である。一部の実施形態では、層は積層されない。本明細書に示される大きなサイズの層間空間は、乾燥インク内に高表面積およびイオン拡散速度を作り出すことを可能にする。
【0054】
一部の実施形態では、rGOシートは、約1μm~約5μmの範囲のサイズを有する。一部の実施形態では、rGOシートは、約0.1μm~約1μmの範囲のサイズを有し、中央値は約0.5μmである。一部の実施形態では、rGOシートは、その中の増分を含めて最低で約0.1μm、0.25μm、0.5μm、0.75μm、1μm、1.25μm、1.5μm、2μm、2.5μm、または約3μmのサイズを有する。一部の実施形態では、rGOシートは、その中の増分を含めて最大で約0.25μm、0.5μm、0.75μm、1μm、1.25μm、1.5μm、2μm、2.5μm、約3μm、または3.5pmのサイズを有する。一部の実施形態では、rGOシートのサイズは、平均粒径または中央粒径として測定される。一部の実施形態では、rGOシートのサイズは、長さ、幅、または対角線長さとして測定される。一部の実施形態では、サイズ(例えば、長さ、幅、または対角線長さ)は、平均として測定される。例えば、複数の測定値を取得し、平均化して平均サイズを求めてもよい。
【0055】
一部の実施形態では、rGOシートは、約0.5nm~約20nmの最大、最小、または平均の厚さを有する。一部の実施形態では、rGOシートは、その中の増分を含めて約0.5nm~約0.75nm、約0.5nm~約1nm、約0.5nm~約1.25nm、約0.5nm~約1.5nm、約0.5nm~約1.75nm、約0.5nm~約2nm、約0.5nm~約3nm、約0.5nm~約4nm、約0.5nm~約5nm、約0.5nm~約10nm、約0.5nm~約20nm、約0.75nm~約1nm、約0.75nm~約1.25nm、約0.75nm~約1.5nm、約0.75nm~約1.75nm、約0.75nm~約2nm、約0.75nm~約3nm、約0.75nm~約4nm、約0.75nm~約5nm、約0.75nm~約10nm、約0.75nm~約20nm、約1nm~約1.25nm、約1nm~約1.5nm、約1nm~約1.75nm、約1nm~約2nm、約1nm~約3nm、約1nm~約4nm、約1nm~約5nm、約1nm~約10nm、約1nm~約20nm、約1.25nm~約1.5nm、約1.25nm~約1.75nm、約1.25nm~約2nm、約1.25nm~約3nm、約1.25nm~約4nm、約1.25nm~約5nm、約1.25nm~約10nm、約1.25nm~約20nm、約1.5nm~約1.75nm、約1.5nm~約2nm、約1.5nm~約3nm、約1.5nm~約4nm、約1.5nm~約5nm、約1.5nm~約10nm、約1.5nm~約20nm、約1.75nm~約2nm、約1.75nm~約3nm、約1.75nm~約4nm、約1.75nm~約5nm、約1.75nm~約10nm、約1.75nm~約20nm、約2nm~約3nm、約2nm~約4nm、約2nm~約5nm、約2nm~約10nm、約2nm~約20nm、約3nm~約4nm、約3nm~約5nm、約3nm~約10nm、約3nm~約20nm、約4nm~約5nm、約4nm~約10nm、約4nm~約20nm、約5nm~約10nm、約5nm~約20nm、または約10nm~約20nmの最大、最小、または平均の厚さを有する。一部の実施形態では、rGOシートは、約0.5nm、約0.75nm、約1nm、約1.25nm、約1.5nm、約1.75nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約10nm、または約20nmの最大、最小、または平均の厚さを有する。一部の実施形態では、rGOシートは、最大で約0.75nm、約1nm、約1.25nm、約1.5nm、約1.75nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約10nm、または約20nmの最大、最小、または平均の厚さを有する。
【0056】
一部の実施形態では、rGOシートの高さが低いと、その表面積は大幅に増加し、再積層が最小限とされる。一部の実施形態では、本明細書中のrGOシートの酸素含有官能性は、極性溶媒を用いたインクの形成を可能にする。
【0057】
還元酸化グラフェンの形成方法
一部の実施形態では、グラフェンは、還元酸化グラフェン(rGO)または活性化還元酸化グラフェン(ArGO)を含む。一部の実施形態では、rGO、ArGO、またはその両方が、熱還元される。一部の実施形態では、rGO、ArGO、またはその両方は、化学的に還元されない。一部の実施形態では、熱還元は、rGO、ArGO、またはその両方の酸素含有量を低下させる。
【0058】
一部の実施形態では、酸化グラフェンは、(a)エッチング液および酸化グラフェン溶液を含む第1の溶液を加熱する工程と、(b)第1の溶液を降温する工程と、(c)第1の溶液を濾過して洗浄する工程と、(d)第1の溶液を噴霧乾燥する工程とを含む方法によって活性化されて、活性化酸化グラフェン(AGO)を形成する。酸化グラフェンの活性化は、個々の酸化グラフェンシート内に面内欠陥を生じさせるために使用することができる。シート中のこれらの欠陥の数および/またはサイズは、例えば、エッチング液の反応温度および/または重量百分率濃度を調節することによって、この活性化工程全体において調節することができる。酸化グラフェンシートを得るべく第1の溶液を乾燥させるために、噴霧乾燥に代わる機構、例えば、空気乾燥、加熱、凍結乾燥、および真空乾燥を使用することができる。
【0059】
一部の実施形態では、第1の溶液は、約1mg/ml~約20mg/mlの重量百分率濃度の酸化グラフェンを有する。一部の実施形態では、第1の溶液は、その中の増分を含めて最低で約1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、6mg/ml、8mg/ml、10mg/ml、12mg/ml、14mg/ml、16mg/ml、18mg/ml、またはそれより多くの重量百分率濃度の酸化グラフェンを有する。一部の実施形態では、第1の溶液は、その中の増分を含めて最大で2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、6mg/ml、8mg/ml、10mg/ml、12mg/ml、14mg/ml、16mg/ml、18mg/ml、20mg/ml、またはそれより多くの重量百分率濃度の酸化グラフェンを有する。一部の実施形態では、第1の溶液は、体積ベースで約60%~約98%の重量百分率濃度のエッチング液を有する。一部の実施形態では、第1の溶液は、その中の増分を含めて体積ベースで最低で約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれより多くの重量百分率濃度のエッチング液を有する。一部の実施形態では、第1の溶液は、その中の増分を含めて体積ベースで最大で約65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、またはそれより多くの重量百分率濃度のエッチング液を有する。一部の実施形態では、第1の溶液中のエッチング液の体積ベースの重量百分率濃度により、グラフェンシート中の欠陥のサイズおよび/または密度が決定される。一部の実施形態では、酸化グラフェン、エッチング液、またはその両方の重量百分率濃度は、AGOの酸素含有量に影響を及ぼす。
【0060】
一部の実施形態では、第1の溶液は、約60℃~約120℃の温度に加熱される。一部の実施形態では、第1の溶液は、その中の増分を含めて最低で約60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、またはそれより上の温度に加熱される。一部の実施形態では、第1の溶液は、その中の増分を含めて最大で約70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、またはそれより上の温度に加熱される。一部の実施形態では、第1の溶液は、加熱工程の後に降温される。一部の実施形態では、第1の溶液は、約70℃~約90℃の温度に降温される。一部の実施形態では、第1の溶液は、その中の増分を含めて最低で約70℃、75℃、80℃、85℃、またはそれより上の温度に降温される。一部の実施形態では、第1の溶液は、その中の増分を含めて最大で約75℃、80℃、85℃、90℃、またはそれより上の温度に降温される。一部の実施形態では、加熱および/または降温の温度は、AGOの含水量、したがって酸素含有量に影響を及ぼす。
【0061】
一部の実施形態では、第1の溶液の濾過は、メッシュサイズが約0.5μm~約3μmのフィルタを用いて行われる。一部の実施形態では、第1の溶液の濾過は、メッシュサイズがその中の増分を含めて最低で約0.5μm、1μm、1.5μm、2μm、2.5μm、またはそれより上のフィルタを用いて行われる。一部の実施形態では、第1の溶液の濾過は、メッシュサイズがその中の増分を含めて最大で約1μm、1.5μm、2μm、2.5μm、3μm、またはそれより上のフィルタを用いて行われる。一部の実施形態では、フィルタは、2つ以上の濾過層を備える。一部の実施形態では、フィルタは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のフィルタ層を備える。一部の実施形態では、少なくとも1つのメッシュフィルタ層は、金属である。一部の実施形態では、フィルタは真空フィルタを備える。一部の実施形態では、真空フィルタは、第1の溶液および洗浄液のうちの少なくとも1つをフィルタ上に分注するように配置された少なくとも1つのスプレーバーアセンブリを備える。一部の実施形態では、真空フィルタは、負圧をフィルタに適用して濾過を向上させるように構成された真空源を備える。一部の実施形態では、真空フィルタは、第1の溶液のpHを測定するためのpHセンサを備える。一部の実施形態では、濾過され洗浄された第1の溶液は、pHが約1~約5である。一部の実施形態では、濾過され洗浄された第1の溶液は、pHがその中の増分を含めて最低で約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、またはそれより上である。一部の実施形態では、濾過され洗浄された第1の溶液は、pHがその中の増分を含めて最大で約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、またはそれより上である。一部の実施形態では、第1の溶液のpH、濾過方法、またはその両方により、グラフェンシートにおける欠陥のサイズおよび/または密度が決定される
【0062】
一部の実施形態では、噴霧乾燥は、第1の溶液を噴霧乾燥ノズルに通すことによって行われる。一部の実施形態では、噴霧乾燥ノズルは超音波ノズルであり、第1の溶液は、第1の溶液中の音速よりも早い速度でノズルを通過する。一部の実施形態では、噴霧乾燥ノズルは亜音速ノズルであり、第1の溶液は、第1の溶液中の音速未満の速度でノズルを通過する。一部の実施形態では、噴霧乾燥ノズルは、第1の溶液を噴霧化するプレーンオリフィスノズル(plain-orifice nozzle)である。一部の実施形態では、噴霧乾燥ノズルは、第1の溶液の粒径を縮小するための圧力旋回スプレーを有する。一部の実施形態では、噴霧乾燥ノズルはシングルエフェクトノズル(single-effect nozzle)である。一部の実施形態では、噴霧乾燥ノズルはマルチエフェクトノズル(multiple-effect nozzle)である。一部の実施形態では、噴霧乾燥ノズルは噴霧器を備える。
【0063】
一部の実施形態では、噴霧乾燥は、約1ml/hr~約6,000ml/hrの流速で行われる。一部の実施形態では、噴霧乾燥は、その中の増分を含めて最低で約1ml/hr、5ml/hr、10ml/hr、50ml/hr、100ml/hr、500ml/hr、1,000ml/hr、2,000ml/hr、4,000ml/hr、またはそれより上の流速で行われる。一部の実施形態では、噴霧乾燥は、その中の増分を含めて最大で約5ml/hr、10ml/hr、50ml/hr、100ml/hr、500ml/hr、1,000ml/hr、2,000ml/hr、4,000ml/hr、6,000ml/hr、またはそれより上の流速で行われる。一部の実施形態では、噴霧乾燥は、約10psi~約50psiの圧力で行われる。一部の実施形態では、噴霧乾燥は、その中の増分を含めて最低で約10psi、15psi、20psi、25psi、30psi、35psi、40psi、45psi、またはそれより上の圧力で行われる。一部の実施形態では、噴霧乾燥は、その中の増分を含めて最大で約15psi、20psi、25psi、30psi、35psi、40psi、45psi、50psi、またはそれより上の圧力で行われる。一部の実施形態では、噴霧乾燥は、約120℃~約200℃の入口温度で行われる。一部の実施形態では、噴霧乾燥は、その中の増分を含めて最低で約120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、またはそれより上の入口温度で行われる。一部の実施形態では、噴霧乾燥は、その中の増分を含めて最大で約130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、またはそれより上の入口温度で行われる。一部の実施形態では、噴霧乾燥の出口温度は、約30℃~約80℃である。一部の実施形態では、噴霧乾燥の出口温度は、その中の増分を含めて最低で約30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、またはそれより上である。一部の実施形態では、噴霧乾燥の出口温度は、その中の増分を含めて最大で約40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、またはそれより上である。
【0064】
一部の実施形態では、第1の溶液を加熱することは、第1の溶液を撹拌することを含む。一部の実施形態では、焼成は、大気、窒素、アルゴン、またはそれらのあらゆる組合せの中で行われる。一部の実施形態では、第1の溶液は、第1の溶液に氷を添加することによって降温される。一部の実施形態では、エッチング液は、過酸化水素、臭素、ヨウ素、過マンガン酸カリウム、塩素酸カリウム、二クロム酸カリウム、酸化マンガン、塩化鉄(iii)、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、次亜塩素酸、またはそれらのあらゆる組合せを含む。
【0065】
グラフェンは溶媒培地中での分散が困難であり得るが、本明細書中のAGOの酸素含有官能基は、極性溶媒中での分散を可能にする。一部の実施形態では、本明細書中のAGOは、界面活性剤を添加し、例えば、剪断混合、超音波撹拌、ボールミル粉砕、またはそれらのあらゆる組合せにより機械力を加えることによって、有機または水性溶媒(例えば、n-メチル-2 -ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、およびジクロロベンゼン)中に分散される。
【0066】
一部の実施形態では、酸化グラフェンは、還元されるとrGOを生じさせる。一部の実施形態では、活性化酸化グラフェンは、還元されるとArGOを生じさせる。例えば、活性化工程から生じた活性化酸化グラフェンは、化学的還元工程に供することでArGOをもたらすことができる。
【0067】
一部の実施形態では、rGOを形成するための化学的還元は、AGO、強塩基、および還元剤を含む第2の溶液を第2の溶液に加熱し、任意選択で還元剤および第2の溶液を濾過して洗浄することを含む。一部の実施形態では、強塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、尿素、メラミン、炭酸ナトリウム、またはそれらのあらゆる組合せを含む。一部の実施形態では、還元剤は、アスコルビン酸、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、ピロガロール、水素化アルミニウムリチウム、アンモニアボラン、二酸化チオ尿素、ヨウ化水素酸、臭化水素、エタンチオール-アルミニウムクロリド、ローソン試薬、亜硫酸水素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、アルミニウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、またはそれらのあらゆる組合せを含む。
【0068】
一部の実施形態では、AGOを還元することは、噴霧乾燥された第1の溶液を焼成することを含む。一部の実施形態では、焼成は、フレイムトーチ、加熱ストリップ、加熱コイル、またはそれらのあらゆる組合せによって行われる。一部の実施形態では、焼成は、大気、窒素、アルゴン、またはそれらのあらゆる組合せの中で行われる。一部の実施形態では、焼成は、その中の増分を含めて約3,0000℃、2,500℃、2,000℃未満の温度で行われる。一部の実施形態では、AGOを還元することは、噴霧乾燥された第1の溶液を焼成することを含まない。一部の実施形態では、焼成は、約100℃~約1,500℃の温度で行われる。一部の実施形態では、焼成は、その中の増分を含めて最低で約100℃、110℃、150℃、250℃、500℃、750℃、1,000℃、または1,250℃の温度で行われる。一部の実施形態では、焼成は、その中の増分を含めて最大で250℃、500℃、750℃、1,000℃、1,250℃、または1,500℃の温度で行われる。一部の実施形態では、焼成は、約1分~約1,500分の期間にわたり行われる。一部の実施形態では、焼成の温度、手段、時間、またはそれらのあらゆる組合せは、AGOの点火、爆発、および膨張、したがって形態に影響を及ぼす。一部の実施形態では、AGOを還元することは、初期熱での膨張、それに続く焼成を含む。焼成工程は、表面積および導電性などAGOの特性を改善することができる。一部の実施形態では、活性化酸化グラフェンを焼成することにより、その中の酸素官能基が除去される。一部の実施形態では、活性化酸化グラフェンの焼成により、その中の酸素官能基が約25%~約75%除去される。一部の実施形態では、活性化酸化グラフェンから酸素官能基を除去することにより、その導電性が増加する。一部の実施形態では、活性化酸化グラフェンから酸素官能基を除去することにより、その導電性が約75%~約125%増加する。一部の実施形態では、活性化酸化グラフェンを焼成することにより、その表面積が増加する。一部の実施形態では、活性化酸化グラフェンを焼成することにより、その表面積が約75%~約125%増加する。一例では、活性化酸化グラフェンを焼成することにより、表面積が約350m/gから700m/gに増加し、酸素含有量が約30%から約16%に低下し、導電性が約50S/mから約100S/mに増加する。
【0069】
一部の実施形態では、乾燥は、約3分~約60分の期間にわたり行われる。一部の実施形態では、乾燥は、その中の増分を含めて最低で約3分、5分、10分、20分、30分、40分、50分、またはそれより多くの期間にわたり行われる。一部の実施形態では、乾燥は、その中の増分を含めて最大で約5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、またはそれより多くの期間にわたり行われる。一部の実施形態では、第2の溶液は、約60℃~約120℃の温度に加熱される。一部の実施形態では、第2の溶液は、その中の増分を含めて最低で約60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、またはそれより上の温度に加熱される。一部の実施形態では、第2の溶液は、その中の増分を含めて最大で約70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、またはそれより上の温度に加熱される。一部の実施形態では、第2の溶液の濾過および洗浄は、第2の溶液に還元剤を添加して約0.5時間~10時間後の期間内に行われる。一部の実施形態では、第2の溶液の濾過および洗浄は、第2の溶液のpHが約8~約11であるときに行われる。
【0070】
一部の実施形態では、AGOを還元することは、第1のARGOを生じさせるための上述のような熱還元の方法、および第2のARGOを生じさせるための第1のARGOにマイクロウェーブを照射することを含む。一部の実施形態では、第2のARGOは、第1のARGOと比較して酸素含有量が低下している。一部の実施形態では、マイクロウェーブ照射は、約10秒~約60秒の期間にわたり行われる。一部の実施形態では、マイクロウェーブ照射は、約500W~約2,000Wの出力で行われる。一部の実施形態では、マイクロウェーブ照射は、その中の増分を含めて最低で約500W、750W、1,000W、1,250W、1,500W、1,750W、またはそれより上の出力で行われる。一部の実施形態では、マイクロウェーブ照射の時間、ワット数、またはその両方は、AGOの点火、爆発、および膨張、したがって形態に影響を及ぼす。
【0071】
印刷された導電性インクの特徴解析
図14Aおよび図14Bは、Meyerロッドを用いてシリコンウエハに印刷された例示的な導電性インクスクリーンの写真を示す。一部の実施形態では、示されるように、150um、300um、500um、1,000um、2,000um、および3,000umの厚さを有するインクトレースは、ギャップも分離も伴うことなくシングルパスで印刷することができる。示されるように、インクトレースは、長さ約4cmである。現行の導電性インクは分散性が低いため、プリンタを詰まらせ一貫性なく乾燥する凝集物を生じさせるが、本明細書中の導電性インクは、小規模であっても導電性トレースおよび他の形状の一貫した印刷を可能にする。
【0072】
図15Aは、図14Bのトレースの光学プロフィロメトリー画像である。図15Bは、図15Aの光学プロフィロメトリー画像の三次元レンダリングである。図に示されるように、例示的な導電性インクで印刷されたトレースは、非常に均一な断面プロファイルを呈する直線状できれいな縁部を有する。図16Aおよび図16Bは、それぞれ図15Aのトレースの第1の軸および図15Bのトレースの第2の軸に沿った光学プロフィロメトリー画像の高さのグラフである。図15A図16Bのデータから、以下の粗度測定値を算出できる。
【0073】
【表2】
【0074】
図16Aは、粗度平均(Sa)(1601)、最大高さ(Sp)(1602)、最大谷深さ(Sv)(1603)、および最大ピーク高さ(Sz)(1604)の例示的な測定値を示す。基板上に設定長さ(1)にわたって厚さT(x)で印刷された導電性インクの場合、粗度の変数は、
【0075】
【数1】
として算出される。
【0076】
一部の実施形態では、印刷された例示的な導電性インクは、尖度が約3.5~約5である。尖度は、粗度プロファイルの鋭度についての尺度であり、3の尖度は、正規分布曲線と等価な粗度プロファイルを表し、大きな尖度値は、より大きな鋭度と相関する。一部の実施形態では、堆積は、コートスクリーン印刷によって行われ、乾燥インクの粗度は、約0.02~約0.15である。一部の実施形態では、堆積は、コートスクリーン印刷によって行われ、乾燥インクの尖度は、約2~約8である。一部の実施形態では、堆積は、コートスクリーン印刷によって行われ、乾燥インクのテクスチャアスペクト比は、約0.25°~約1.5°である。
【0077】
テクスチャアスペクト比は、主な表面パターンまたはレイの等方性または均一性の尺度である。テクスチャアスペクト比はまた、その他に均一なテクスチャの方向性を表す。高度にパターン化されたテクスチャを有する表面は、テクスチャアスペクト比が0であり、高度に等方性の表面は、テクスチャアスペクト比が1である。
【0078】
自己相関長さ(Sal)は、主な表面パターンまたはレイの波長に相当する。例えば、高い自己相関長さ(Sal)を有する表面は、低い周波数および長い波長を有する主な表面パターンまたはレイを有し、低い自己相関長さ(Sal)を有する表面は、高い周波数および短い波長を有する主な表面パターンまたはレイを有する。
【0079】
図17は、例示的な導電性インクで形成されたトレースの導電率対幅のグラフである。示されるように、幅が300um~3,000umのトレースは、約2,000Sの高い導電率を呈し、少なくとも150μmのトレース幅を首尾よく印刷することができる。
【0080】
図18Aは、例示的な導電性インクで形成されたトレースの乾燥厚対シート抵抗のグラフである。図18Bは、例示的な導電性インクで形成されたトレースの湿潤厚対乾燥厚のグラフである。
【0081】
図19Aは、例示的な導電性インクで形成された例示的なトレースの波長透過率のグラフである。図19Bは、例示的な導電性インクの波長透過率のグラフである。図で確認されるように、液体インクおよび印刷されたトレースを通る透過率は、ほぼ0であり、このときの最大透過率は、液体インクおよび印刷されたトレースを通る場合にそれぞれ0.0092%および0.0177%である。一部の実施形態では、本明細書中の導電性インクは、最大透過率が約0.004%~約0.015%である。一部の実施形態では、本明細書中の導電性インクは、最大透過率が少なくとも約0.004%である。一部の実施形態では、本明細書中の導電性インクは、印刷時および乾燥時に、最大透過率が約0.01%~約0.03%である。一部の実施形態では、本明細書中の導電性インクは、印刷時および乾燥時に、最大透過率が少なくとも約0.01%である。
【0082】
用語と定義
別段の定めのない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0083】
本明細書で使用される場合、「単層グラフェン」という用語は、多層グラフェンに凝集していないグラフェンの単一シートからなる、グラフェンまたは還元酸化グラフェンを指す。グラフェンの単一シートは、二次元構造とされたシートが多層または黒鉛状構造に積層されないが、依然として部分的な物理的接触(例えば、三次元ネットワークを形成する相互接続されたシート)を呈し得るように、互いに分離される。例えば、単層グラフェンは、本明細書に開示される方法によるグラファイトからの高効率剥離によって形成され得る。
【0084】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形を含む。本明細書中の「または(or)」に対する言及はすべて、別段の定めのない限り、「および/または(and/or)」を包含することが意図される。
【0085】
本明細書で使用される場合、「約(about)」という用語は、場合により、おおよその明記された量である量を指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、その中の増分を含めて明示された量に10%、5%、または1%近い量を指すことができる。別段の具体的な定めのない限り、「約」という用語は、明示された百分率が10%を超えるかそれ未満である量を指す。
【0087】
本明細書で使用される場合、百分率に関する「約」という用語は、その中の増分を含めて明示された百分率より10%、5%、または1%高いか低い量を指すことができる。別段の具体的な定めのない限り、百分率に関する「約」という用語は、明示された百分率が10%を超えるかそれ未満である量を指す。
【0088】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ(at least one)」、「1つまたは複数(one or more)」、および「および/または(and/or)」という句は、動作において接続的かつ離接的であるオープンエンド表現である。例えば、「A、B、およびCのうち少なくとも1つ」、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうち1つまたは複数」、「A、B、またはCのうちの1つまたは複数」、ならびに「A、B、および/またはC」という表現のそれぞれは、A単独、B単独、C単独、AとB、AとC、BとC、またはAとBとCを意味する。
【0089】
本明細書で使用される場合、「固形物含有量」という用語は、乾燥後に残留する分散液またはインクの百分率を指し、このときに揮発性溶媒が蒸発する。
【実施例
【0090】
以下の例示的な実施例は、本明細書に記載される組成物および方法の実施形態を表すものであり、決して限定を意図したものではない。以下、6つの例示的なインクを本明細書で提供する。
【0091】
【表3】
【0092】
実施例1-第1の導電性インク
図2Aおよび図2Bは、例示的な第1の導電性インクの光学顕微鏡画像を示す。図に示されるように、第1の導電性インクは非常に安定しており、基板を均一に被覆して、穴も収縮もない滑らかな表面を形成する。さらに示されるように、2Dグラフェンシートとゼロ次元カーボンナノ粒子との相互作用により、電子導電性に優れ抵抗が少ないシームレスなカーボンネットワークが生成される。
【0093】
図3Aは、例示的な第1の導電性インクの粒径分布である。図3Bは、Hegmanゲージ上の例示的な第1の導電性インクの画像である。示されるように、例示的な第1の導電性インクは、平均が約9μmで最大が約26μmである単峰性(mono-modal)の粒径分布を有し、粒子の90%のサイズが約13.5um未満である。
【0094】
図4Aは、基板に被覆される第1の導電性インクのX線回折グラフである。図中、それぞれ7.5および4.5°オングストロームのd値に相当する12.3°および19.4°の2θでの2つの広域特性ピークが、結合剤のXRDチャートと一致する。図4Bは、基板に印刷された例示的な第1の導電性インクのラマン分光グラフであり、1346cm-1のDバンドおよび1603cm-1のGバンドが、rGOに特徴的である。
【0095】
図5は、例示的な第1の導電性インクの剪断速度対粘度のグラフである。示されるように、第1の導電性インクの粘度は、剪断混合時間を調節することによって調整することができ、このとき、剪断時間が長いほど粘度は低下する。
【0096】
図6Aおよび図6Bは、例示的な第1の導電性インクに対する熱分析のグラフである。熱分析において、液体形態にある本明細書中の第1の導電性インクを、約3℃/分の速度で約140℃に加熱し、約140℃で約3時間維持し、約3℃/分の速度で約900℃に加熱した。図6Aおよび図6Bによれば、一部の実施形態では第1の導電性インクは、約129℃の吸熱ピーク(601)を有し、蒸気圧が高い溶媒の蒸発による急速な質量損失を示す。さらに示されるように、一部の実施形態では、第1の導電性インクは、それぞれ約415.75℃、449.98℃、485.78℃、および552.40℃の発熱ピーク(611)(612)(613)(614)を有する。図6Bによれば、約900℃でのインクの質量はほぼ0であるため、第1の導電性インクのすべてまたは略すべてが、その温度での酸素との反応中に消費される。
【0097】
図7は、基板上で乾燥させた例示的な第1の導電性インクの熱分析のグラフである。示されるように、一部の実施形態では、第1の導電性インクは、それぞれ約391.73℃、469.69℃、および582.37℃の発熱ピーク(701)(702)(703)を有する。第1の発熱ピーク(701)および第2の発熱ピーク(702)は、結合剤、軟化剤、またはその両方の蒸発に対応し得、第3の発熱ピーク(703)は、グラフェンに対応し得る。示されるように、約550℃の温度では、印刷された第1の導電性インクの質量は、約93.5%減少している。約800℃の温度では、第1の導電性インクの略すべてが酸素との反応中に消費される。この熱分析により、基板に印刷された第1の導電性インクが、約400℃まで熱的に安定することが証明される。
【0098】
実施例2-第2の導電性インク
図8Aおよび図8Bは、例示的な第2の導電性インクの光学顕微鏡画像を示す。図に示されるように、第2の導電性インクは非常に安定しており、基板を均一に被覆して、穴も収縮もない滑らかな表面を形成する。さらに示されるように、2Dグラフェンシートとゼロ次元カーボンナノ粒子との相互作用により、電子導電性に優れたシームレスなカーボンネットワークが生成される。グラフェンおよびカーボンナノ粒子は、中で密接にシームレスに接触しており、それによって、被覆されたフィルムの全体的な抵抗が低下する。
【0099】
図9Aは、例示的な第2の導電性インクの粒径分布である。図9Bは、Hegmanゲージ上の例示的な第1の導電性インクの画像であり、約10umの粒径の縞模様(streak)を伴う。示されるように、例示的な第2の導電性インクは、平均が約9μmで最大が約26μmである単峰性の粒径分布を有し、粒子の90%のサイズが約13.5um未満である。
【0100】
図10は、約1,368cm-1のDピークおよび約1,624cm-1のGピークを示す、例示的な第2の導電性インクのラマン分光法グラフである。
【0101】
図11Aは、例示的な第2の導電性インクの剪断速度と粘度との線形関係を示す。示されるように、例示的な第2の導電性インクは、約100s-1の剪断速度で粘度が約210cPであり、約750s-1の剪断速度で粘度が約185cPである。示されるように、第2の導電性インクの粘度は、剪断混合時間を調節することによって調整することができ、このとき、剪断時間が長いほど粘度は低下する。
【0102】
図11Bは、例示的な第2および第2の導電性インクのX線回折グラフであり、ともに約26°のピークを示す。
【0103】
図12Aおよび図12Bは、例示的な第2の導電性インクに対する熱分析のグラフである。熱分析において、液体形態にある本明細書中の第2の導電性インクを、約3℃/分の速度で約140℃に加熱し、約140℃で約3時間維持し、約3℃/分の速度で約900℃に加熱した。図12Aおよび図12Bによれば、一部の実施形態では第2の導電性インクは、約29℃の吸熱ピーク(1201)を有し、蒸気圧が高い溶媒の蒸発による急速な質量損失を示す。さらに示されるように、一部の実施形態では第2の導電性インクは、それぞれ約329℃、422.04℃、448.37℃、および654.98℃の発熱ピーク(1211)(1212)(1213)(1214)を有する。図12Bによれば、約900℃でのインクの質量はほぼ0であるため、第2の導電性インクのすべてまたは略すべてが、その温度での酸素との反応中に消費される。
【0104】
図13は、基板上で乾燥させた例示的な第2の導電性インクの熱分析のグラフである。示されるように、一部の実施形態では第2の導電性インクは、それぞれ約320.22℃、413.79℃、456.48℃、および663.3℃の発熱ピーク(1301)(1302)(1303)(1304)を有する。第2の発熱ピーク(1301)は、結合剤、軟化剤、またはその両方の蒸発に対応し得、第2の発熱ピーク(1302)および第3の発熱ピーク(1303)は、グラフェンに対応し得る。示されるように、約680℃の温度では、印刷された第2の導電性インクの質量は、約95%減少している。約800℃の温度では、第2の導電性インクの略すべてが酸素との反応中に消費される。この熱分析により、基板に印刷された第2の導電性インクは約400℃まで熱的に安定し、本明細書中の第2の導電性インクの使用事例の増加が可能となることが証明される。
【0105】
実施例3-第3の導電性インク
図22Aは、例示的な第3の導電性インクの剪断速度対粘度のグラフである。流動曲線は線形またはニュートン(Newtonian)のように見えるが、例示的な第3の導電性インクは、わずかな曲率、剪断減粘性、および/または擬塑性配向を示す。インクは、スクリーン印刷、スロットダイまたはリバースコンマブレードによるロールコーティング、さらにはフレキソ印刷に好適である。図22Bは、例示的な第3の導電性インクのトルク対速度のグラフである。
【0106】
1つの実験において、図23Aおよび図23Bによれば、例示的な第3の導電性インクを、10℃/分の速度で110℃に加熱し、110℃で2時間保持し、10℃/分の速度で800℃に加熱した。示されるように、吸熱ピークは110℃で検出され、これは高蒸気圧溶媒の蒸発によるインクの急速な重量損失に対応する。一部の実施形態では、例示的な第3の導電性インクを、基板に印刷した後に約110℃の温度で焼成することによって、最適な導電性、理想的な接着性、および柔軟性が達成される。さらに示されるように、いくつかの発熱ピークを350℃、411℃、537℃、および637℃で見い出し、これらは、結合剤、分散剤、および/またはグラフェンの分解に対応し得る。637℃で残留物はほぼ0であるため、すべてのインク成分は、その温度で空気流からの酸素と反応することによって消費される。
【0107】
図24Aでは、例示的な第3の導電性インクで被覆された基板のXRDパターンは、それぞれ7.5および4.5°オングストロームのd値に対応する12.9°および20.8°の2θの2つの広範な特性ピークを示し、これらは高分子結合剤で報告された値と一致する。
【0108】
図24Bでは、基板に印刷された例示的な第3の導電性インクのラマンスペクトルは、rGOに特徴的な約1400cm-1のDバンドおよび1600cm-1のGバンドを示す。
【0109】
図25A図25Bでは、厚さ1μmのポリイミド基板を、Mayerロッドによって様々な厚さの例示的な第3の導電性インクで被覆し、被覆された基板を乾燥するまで110℃で硬化させた。予想どおり、乾燥厚の減少に付随してシート抵抗が増加するという結果が示され、平均導電率は約7.6S/mであり、標準偏差は約1.8S/mである。
【0110】
図26Aでは、例示的な第3の導電性インクは、中央粒径が約8.8μm、平均粒径が約7.9μm、および最大径が約19μmであり、粒子の90%のサイズが約11.5μm未満であった。
【0111】
図26Bは、例示的な第3の導電性インクで被覆した基板のトレース幅対抵抗を示し、例示的な第3の導電性インクは、線幅が150~3000マイクロメートルのトレースに首尾よくスクリーン印刷することができる。
【0112】
ポリイミド基板を湿潤膜厚50μmの例示的な第3の導電性インクで被覆し、その後、コーティングを110℃で10分間、および300℃で30分間硬化させ、次いで水を噴霧した。コーティングに損傷の徴候は認められなかった。
【0113】
液浸試験の結果を以下に示す。
【0114】
【表4】
【0115】
実施例4-第4の導電性インク
図27Aは、例示的な第4の導電性インクの剪断速度対粘度のグラフである。図27Bは、例示的な第4の導電性インクのトルク対速度のグラフである。示されるように、流動曲線は線形またはニュートン(Newtonian)のように見え、例示的な第4の導電性インクのグラフは、剪断減粘性および/または擬塑性配向においてわずかな曲率を示す。
【0116】
図28A図28Bでの熱分析では、例示的な第4の導電性インクの液体を、10℃/分の速度で110℃に加熱し、110℃で2時間維持し、10℃/分の速度で800℃に加熱した。示されるように、吸熱ピークは110℃で検出され、これは高蒸気圧溶媒の蒸発に付随するインクの速やかな重量損失に対応する。さらに示されるように、例示的な第3の導電性インクを、基板に印刷した後に約110℃の温度で焼成することによって、最適な導電性、理想的な接着性、および柔軟性が達成される。いくつかの発熱ピークを358℃、466℃、515.79℃、および726.24℃で見い出し、これらは、結合剤、分散剤、炭素、およびグラフェンの分解に対応する。797.48℃で残留物はほぼ0であり、このことは、すべてのインク成分が空気流からの酸素と反応することによって消費されることを意味する。
【0117】
図29Aにおける、例示的な第4の導電性インクで被覆された基板のXRDパターンは、それぞれ7.5および4.5°オングストロームのd値に対応する12.4°および21.1°の2θの2つの広範な特性ピークを示し、これらは高分子結合剤で報告された値と一致する。
【0118】
図29Bでは、例示的な第4の導電性インクで被覆された基板のラマンスペクトルは、rGOに特徴的な約1400cm-1のDバンドおよび1600cm-1のGバンドを示す。
【0119】
図30A図30Bでは、厚さ1μmのポリイミド基板を、Mayerロッドによって様々な厚さの例示的な第4の導電性インクで被覆し、被覆された基板を乾燥するまで110℃で硬化させた。予想どおり、乾燥厚の減少に付随してシート抵抗が増加するという結果が示され、平均導電率は約12.7S/mであり、標準偏差は約3.7S/mである。
【0120】
図31は、例示的な第4の導電性インクで被覆した基板のトレース幅対抵抗を示し、例示的な第3の導電性インクは、線幅が150~3000マイクロメートルのトレースに首尾よくスクリーン印刷することができる。
【0121】
実施例5-第5の導電性インク
図32Aは、例示的な第5の導電性インクの剪断速度対粘度のグラフである。図32Bは、例示的な第5の導電性インクのトルク対速度のグラフである。示されるように、流動曲線は線形またはニュートン(Newtonian)のように見え、例示的な第5の導電性インクのグラフは、剪断減粘性および/または擬塑性配向においてわずかな曲率を示す。
【0122】
図33A図33Bでの熱分析では、例示的な第4の導電性インクの液体を、10℃/分の速度で110℃に加熱し、110℃で2時間維持し、10℃/分の速度で800℃に加熱した。示されるように、吸熱ピークは110℃で検出され、これは高蒸気圧溶媒の蒸発に付随するインクの速やかな重量損失に対応する。さらに示されるように、例示的な第3の導電性インクを、基板に印刷した後に約110℃の温度で焼成することによって、最適な導電性、理想的な接着性、および柔軟性が達成される。いくつかの発熱ピークを367℃、474℃、714℃、および805℃で見い出し、これらは、結合剤、分散剤、炭素、およびグラフェンの分解に対応する。805℃で残留物はほぼ0であり、このことは、すべてのインク成分が空気流からの酸素と反応することによって消費されることを意味する。
【0123】
図34Aにおける、例示的な第5の導電性インクで被覆された基板のXRDパターンは、黒鉛において2θ=26°で鋭い強度特性ピークを示し、2Θ=55°でピークはより小さくなる。2θ=45°付近での他のピークは、rGOと相関する。
【0124】
図34Bでは、例示的な第5の導電性インクで被覆された基板のラマンスペクトルは、rGOに特徴的な約1400cm-1のDバンドおよび1600cm-1のGバンドを示す。約2700cm-1で見い出されたピークは、約1600のピークの鋭度も説明する黒鉛の特徴である。
【0125】
図35Aでは、例示的な第5の導電性インクは、中央粒径が約11.8μm、および平均粒径が約11.2μmであり、粒子の90%のサイズが約15.7μm未満であった。
【0126】
図35Bは、例示的な第5の導電性インクで被覆した基板のトレース幅対抵抗を示し、例示的な第5の導電性インクは、線幅が150~3000マイクロメートルのトレースに首尾よくスクリーン印刷することができる。
【0127】
図36A図36Cおよび図37A図37Bでは、印刷線の光学プロフィロメトリーは、縁部が直線できれいであることを示す。非常に均一な断面プロファイルにより、インク製剤の調製に成功したという証拠が得られる。
【0128】
図38A図38Bでは、厚さ1μmのポリイミド基板を、Mayerロッドによって様々な厚さの例示的な第5の導電性インクで被覆し、被覆された基板を乾燥するまで110℃で硬化させた。予想どおり、乾燥厚の減少に付随してシート抵抗が増加するという結果が示され、平均導電率は約41.9S/mであり、標準偏差は約15.8S/mである。
【0129】
図39A図39Bは、例示的な第5の導電性インクで被覆された基板の低倍率および高倍率のSEM画像を示す。
【0130】
実施例6-第6の導電性インク
図40Aは、例示的な第3の導電性インクの剪断速度対粘度のグラフである。流動曲線は線形またはニュートン(Newtonian)のように見えるが、例示的な第3の導電性インクは、わずかな曲率、剪断減粘性、および/または擬塑性配向を示す。インクは、スクリーン印刷、スロットダイまたはリバースコンマブレードによるロールコーティング、さらにはフレキソ印刷に好適である。図40Bは、例示的な第3の導電性インクのトルク対速度のグラフである。
【0131】
1つの実験において、図41Aおよび図41Bによれば、例示的な第6の導電性インクを、10℃/分の速度で110℃に加熱し、110℃で2時間保持し、10℃/分の速度で800℃に加熱した。示されるように、吸熱ピークは110℃で検出され、これは高蒸気圧溶媒の蒸発によるインクの急速な重量損失に対応する。一部の実施形態では、例示的な第6の導電性インクを、基板に印刷した後に約110℃の温度で焼成することによって、最適な導電性、理想的な接着性、および柔軟性が達成される。さらに示されるように、いくつかの発熱ピークを351℃、462℃、484℃、および669℃で見い出し、これらは、結合剤、分散剤、および/またはグラフェンの分解に対応し得る。669℃で残留物はほぼ0であるため、すべてのインク成分は、その温度で空気流からの酸素と反応することによって消費される。
【0132】
図42Aでは、例示的な第3の導電性インクで被覆された基板のXRDパターンは、12.3°および19.4°の2θの2つの広範な特性ピークを示し、これらは高分子結合剤で報告された値と一致する。
【0133】
図42Bでは、基板に印刷された例示的な第6の導電性インクのラマンスペクトルは、rGOに特徴的な約1400cm-1のDバンドおよび1600cm-1のGバンドを示す。
【0134】
図43Aでは、例示的な第6の導電性インクは、中央粒径が約12.5μm、および平均粒径が約11.6μmであり、粒子の90%のサイズが約19.6μm未満であった。
【0135】
図43Bでは、厚さ1μmのポリイミド基板を、Mayerロッドによって様々な厚さの例示的な第6の導電性インクで被覆し、被覆された基板を乾燥するまで110℃で硬化させた。予想どおり、乾燥厚の減少に付随してシート抵抗が増加するという結果が示され、平均導電率は約28.4S/mであり、標準偏差は約14.3S/mである。
【0136】
図44Aは、例示的な第6の導電性インクで形成されたトレースの湿潤厚対乾燥厚のグラフである。図44Bは、例示的な第6の導電性インクで被覆した基板のトレース幅対抵抗を示し、例示的な第6の導電性インクは、線幅が150~3000マイクロメートルのトレースに首尾よくスクリーン印刷することができる。
【0137】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、そのような実施形態は単なる例として提供されることが、当業者に明白であろう。本開示から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換が当業者に想到されるであろう。本明細書に記載される本開示の実施形態に対する様々な代替物が本開示を実施する際に採用されてもよいことを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図28A
図28B
図29A
図29B
図30A
図30B
図31
図32A
図32B
図33A
図33B
図34A
図34B
図35A
図35B
図36A
図36B
図36C
図37A
図37B
図38A
図38B
図39A
図39B
図40A
図40B
図41A
図41B
図42A
図42B
図43A
図43B
図44A
図44B
【国際調査報告】