(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】近接検出および距離検出
(51)【国際特許分類】
G01S 7/524 20060101AFI20241024BHJP
G01S 15/42 20060101ALI20241024BHJP
G01S 15/50 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01S7/524 R
G01S15/42
G01S15/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526775
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2022080684
(87)【国際公開番号】W WO2023079005
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520089657
【氏名又は名称】エリプティック ラボラトリーズ エーエスエー
【氏名又は名称原語表記】ELLIPTIC LABORATORIES ASA
【住所又は居所原語表記】Hausmanns gate 21, 0182 Oslo, Norway
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロヴニング,エスペン
(72)【発明者】
【氏名】リディッキー,ラドヴィク
(72)【発明者】
【氏名】カヴリ,トム エイスティン
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB12
5J083AB14
5J083AC40
5J083AD04
5J083AD08
5J083AD15
5J083AE08
5J083AF01
5J083BA01
5J083BB02
5J083BB04
5J083BB12
5J083BE54
5J083DA01
(57)【要約】
本発明は、電子装置、ならびに関連する方法およびシステムに関する。該電子装置は、既知の範囲で音響信号を送受信するように適合された少なくとも1つの音響トランスデューサを含む。該装置は、少なくとも1つの所定の特性を有する音響信号を発生するために少なくとも1つのトランスデューサに接続された送信ユニットと、物体から反射された音響信号を受信するための受信デバイスと、を含み、受信デバイスは、反射された物体までの距離または反射された物体の移動、および送信された信号の所定の特性を計算するように適合された分析ユニットに接続されている。分析ユニットは、測定された距離または移動に基づいて、発生された音響信号の特性を調整するように適合されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数範囲で音響信号である信号を送受信するように適合された少なくとも1つの音響トランスデューサを含む電子装置であって、
少なくとも1つの所定の特性を有する信号を発生するために、前記少なくとも1つのトランスデューサに接続された送信ユニットと、物体から反射された前記信号を受信するための受信装置と、を含み、
反射した前記物体までの距離または反射した前記物体の移動、および送信された前記信号の前記所定の特性を計算するように適合された分析ユニットに接続され、
前記分析ユニットは、測定された前記距離または前記移動に基づいて、発生された前記音響信号の特性を調整するように適合される、
電子装置。
【請求項2】
前記分析ユニットは、前記距離が少なくとも1つの閾値を上回るか下回るかを検出するように適合され、前記特性は、前記距離が距離値を上回る距離領域または下回る距離領域にあることに応じて、少なくとも2つの異なる特性のリストから選択される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記特性は、発信された前記信号の電力を含む、請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記特性は、前記距離領域の少なくとも1つの範囲内で動的であり、前記特性を前記ユーザの活動に合わせて調整する、請求項2に記載の電子装置。
【請求項5】
キーボード、タッチパッド、またはタッチスクリーンの使用など、積極的な使用が前記電子装置によって登録されたときに、前記トランスデューサの消費電力が低減される、請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記所定の特性は、信号帯域幅、振幅、パルス繰り返し率、およびパルス長のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記分析ユニットは、いつでも送信された前記信号のタイミングに基づいて計算を行うように、前記送信ユニットと同期している、請求項1に記載の電子装置。
【請求項8】
前記送信ユニットは、超音波範囲と音声範囲の両方の信号を送信するように構成され、送信された超音波信号は、音声のレベルが所定の限界値を下回る場合に送信される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項9】
選択された調整された前記特性は、送信された前記信号および受信した前記信号に関連する既知の消費電力に基づいており、前記物体までの距離または前記物体の移動に応じて前記消費電力が最小限に抑えられる、請求項1に記載の電子装置。
【請求項10】
超音波範囲の音響信号である信号を送受信するように適合された少なくとも1つの音響トランスデューサを含むシステムであって、
少なくとも1つの所定の特性を有する信号を発生するために、前記少なくとも1つの音響トランスデューサに接続された送信ユニットと、物体から反射された信号を受信するための受信装置と、を含み、
反射した前記物体までの距離または反射した前記物体の移動、および送信された前記信号の前記所定の特性を計算するように適合された分析ユニットに接続され、
前記分析ユニットは、測定された前記距離または前記移動に基づいて、発生された前記音響信号の特性を調整するように適合され、
前記送信ユニットおよび前記受信装置は、別個の装置に配置される、
システム。
【請求項11】
前記分析ユニットは、送信された前記信号と受信した前記信号の比較に基づいて分析を行うように、送信機と受信機と通信するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記分析ユニットは、検出された前記移動または前記距離の変化の間に、例えば転倒検出のために人の向きを測定するように構成されたウェアラブルユニットなど、環境内の他の装置から信号を受信するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
超音波範囲で信号を送受信するように構成された送信機および受信機を含む装置へのユーザの近接を監視するための方法であって、物体の検出時に、前記物体までの距離または前記物体の移動に応じて、送信された前記信号の特性を調整し、前記移動および前記距離に応じて消費電力を低減するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の近接または距離を測定するための音響トランスデューサを使用する電子装置に関し、より詳細には、超音波測定を使用して装置のユーザの近接または距離を測定するための音響トランスデューサに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、少なくとも1つの物体への近接または距離、少なくとも1つの物体の軌跡、角度または速度を測定するための音響トランスデューサを使用する電子装置、音響測定を使用して人のジェスチャ、および手や指の動きを検出する電子装置に関する。ほとんどの場合、装置のユーザが対象の物体であるが、他の物体であってもよい。
【背景技術】
【0003】
信号処理が可能な少なくとも1つの処理要素と、入出力装置(マイクロフォン、スピーカー、トランスデューサなど)を使用して超音波を送信および受信することができる音声システムを有する電子装置は、ユーザの近接、ジェスチャ、手や指の動き、存在、転倒などを検出するような一連の異なる使用用途、例えば自動スリープモードまたは条件付き活動のために使用され得る。
【0004】
存在検出機能は、多くの電子装置において、また、様々な業種や使用用途において普及しつつある。従来、存在検出装置は、赤外線または超音波センサに基づく単一目的の存在検出装置に実装されており、その処理は限定的であった。より最近の解決策では、国際公開第2017/137755号または国際公開第2021/045628号に記載されているように、ユーザの近接を検出するために、超音波範囲の既存の音響トランスデューサを使用することが可能なユニットが採用されていた。ノルウェー王国特許出願第20191252号には、スピーカーの応答に基づいて信号振幅を制限することによってスピーカーを保護するための解決策を含む、装置上のカバーの近接を検出するための解決策が記載されている。
【0005】
最近のノート型パーソナルコンピュータの中には、例えば米国特許出願第8681585号に記載されているような少なくとも1つの飛行時間(ToF)センサ、または少なくとも1つのレーダーセンサに基づく人体存在検知(HPD)機能を含むものがある。HPD機能は、超音波存在検出センサを含む他のセンサを使用して実装され得る。欧州特許出願第EP2271134号と米国特許出願第2016025836号には、受信した音響信号を分析するための方法が記載されている。超音波ベースの存在検出センサの利点は、他の代替案と比較して、ノルウェー王国特許出願第20210304号に記載されているような高価なToFセンサまたはレーダーセンサを追加する代わりに、ノート型パーソナルコンピュータのマイクロフォンおよびスピーカーなどの既存のハードウェアを再利用することである。また、小さなスクリーンベゼルの出現により、ハードウェアセンサを設置する空間の確保が難しくなっている。
【0006】
超音波測定は、電子装置の技術分野で知られている。例えば、米国特許出願第10523870号(Elliptic)では、電子装置上の画面の内容を制御するために移動と距離が使用されている。別の例として、米国特許出願第10061010B2号では、物体までの距離を検出するために飛行時間測定が使用されている。米国特許出願第10006996B2号では、物体までの距離と周囲の距離を検出するためにエコーロケーションが使用されている。韓国特許出願第101665786B1号には、周囲からのノイズを処理する方法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した解決策を改善することに加えて、本発明の目的は、超音波トランスデューサおよび関連部品の消費電力を低減しながら、人の近接および存在監視を提供する解決策を提供することである。また、本発明の目的は、信頼性の高い動作と存在検出を用いて、電子装置に近づいたりそこから離れたりするユーザにシームレスなユーザ体験を提供することである。これらの目的は、添付の特許請求の範囲に記載されるように達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、信号の距離または移動に基づいて送信信号の特性を調整することにより、消費電力を低減することができる解決策が提供される。
【0009】
超音波信号には、狭帯域信号(正弦波、周波数ステップの正弦波など)、広帯域信号(チャープ、任意変調など)、またはその両方の組み合わせがある。これらの信号タイプは、典型的には、その特定の特性に基づいて異なる使用用途で使用される。装置、特に携帯電話などに関連する既知の問題は、装置の消費電力である。比較的効率的ではあるが、超音波の使用は、特定の消費電力に関係する。これは、所定の状況下でのみ解決策を使用することによって対処することができるが、そのような状況下でも消費電力が高すぎる場合がある。そのため、本発明は、状況に応じて最も効率的な超音波信号を使用する手段を提供する。サンプリングレートは、異なる使用用途におけるもうひとつの重要な要素である。ジェスチャおよび存在検出は、48KHzのサンプリングレートと1kHz~3kHzの信号帯域幅で可能であるが、複数のユーザ、手や指の動き、身体部位、ユーザの姿勢、呼吸パターン、および歩行などを検出するには、より高い解像度が必要であり、そのためには、より高いサンプリングレート(すなわち96KHz以上)と、通常は10KHz超の帯域幅をもつ広帯域超音波信号が必要になる。信号処理はジェスチャや存在検出と同様であるが、上述したようなより高い周波数の広帯域信号を使用した検出能力に基づく使用用途では、受信処理中に異なるエコーを識別するために、より多くの超音波トランスデューサと処理サイクルが必要になる。このような使用用途では、受信処理から抽出された特性に基づくより大きなニューラルネットワークを使用することで、移動しているかどうかにかかわらず、異なる物体を識別することができる。
【0010】
実際には、最も関連性の高い信号の種類は以下の通りである:
1.正弦波、
2.狭帯域チャープなど、距離は長いが距離推定の解像度が低いもの、
3.広帯域チャープなど、距離に関する解像度は高いが、同じSNRを得るにはより高い電力が必要なもの、および
4.パルス状の信号(狭帯域または広帯域)で、省電力だが時間に関する解像度が低いもの。
【0011】
装置の近傍に人が存在しない場合、パルス状の正弦波信号を使用することで、可能な限り低い消費電力を実現することができる。
【0012】
正弦波信号から存在が検出されると、装置は、低いパルスレートで狭帯域チャープを開始し、おおよその距離を決定することができる。人がより近い領域に移動するにつれて、より正確に距離を推定し、移動を追跡するために、パルスレートとパルス帯域幅を増やすことができる。最も内側の領域では、ジェスチャなどの腕や体の動きを検出するために、パルスレートと帯域幅を最も高くすることができる。超音波周波数を含む高周波信号を使用する一方で、場合によっては空気の乱れを検出することも可能である。これは、存在検出装置(ノート型パーソナルコンピュータなど)の近くで呼吸している人の表示である可能性があり、受信した信号の特性によって、パッシブな物体からユーザを区別することができる。
【0013】
また、狭帯域信号は、典型的には、ドップラーシフトなどを使用して移動を検出するのに適している一方、広帯域信号は動いているユーザや動いていない物体までの距離を測定するのに使用され得る。
【0014】
これに関連して、本明細書において、ユーザが、装置までの距離または装置によって検出可能な選択可能な領域などの所定の領域内に存在するという意味で存在検出を定義しているが、存在検出は、信号強度、プロファイル、および送信信号と比較した受信信号の長さに基づいて受信信号を分析することによって人の姿勢を測定する可能性、受信信号のシーケンスがジェスチャとして解釈される可能性などを含むことにも留意されたい。音声認識は、検出された他の人や物体を無視することを可能にする正しいユーザの確認として使用することができる。
【0015】
携帯電話や同様の装置では、両方の信号タイプを同時に使用したり、異なるタイプの信号を切り替えたりすることで、多くの理由から明らかに有利になる使用用途がある。狭帯域信号のエコーは、ノイズを除去し、SNRを改善するために非常に狭帯域のフィルタリングを使用することができるので、ノイズの多い環境でも高い感度で検出され得る。狭帯域信号は、通常、1つまたは複数の出力装置(スピーカー、超音波トランスデューサなど)が、消費電力が問題となる装置から電力を供給されている場合、さらに広がる。広帯域信号は、同程度の消費電力ではそれほど広がらない。
【0016】
選択される信号タイプは、他の考慮事項にも左右される場合がある。例えば、広帯域信号から狭帯域信号に変更することは、広帯域信号の一部または全周波数範囲において、近接する他の送信装置による干渉がある場合に有益である。
【0017】
そのため、本発明は、これらの異なる信号タイプを利用することに基づいている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、本発明を例示的に示す添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【
図1】2つの距離領域によって囲まれている装置を示す図である。
【
図2】3つの距離領域によって囲まれている装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に記載の概念は、2つ以上の検出領域に基づいている。存在検出装置9は、異なる領域における存在と移動を検出するために異なる信号を使用する。一般的に、存在検出領域は、N=1、2、3、...nのN個の一連の領域から構成される。存在検出装置は、送信信号の所定の特性を利用して、検出対象の物体がどこに位置するかに合わせて信号出力を調整する。存在検出領域には複数の物体が存在してもよく、存在検出装置は狭帯域信号と広帯域信号の組み合わせを使用してもよい。狭帯域または広帯域のいずれかの信号の振幅は、存在検出装置によって識別された物体の現在の状態に基づいて動的に調整され、対応する信号が対象の領域に到達し、必要な検出が行われるようにすることができる。
【0020】
最も単純なケースでは、存在検出装置が、物体が領域2(Z2)から領域1(Z1)へ移動する際、およびその逆に移動する際に、長距離の狭帯域信号の送信から、到達距離の短い広帯域信号の送信に切り替えることができる2つの領域を有するだけである。必要な消費電力によっては、存在検出装置は、物体が領域2から領域1に移動しているときにも、狭帯域信号を送信し続けてもよい。これにより存在検出は、存在検出領域の外から領域2に入ってくる追加の移動物体を監視することができる。
【0021】
図に示すように、領域1は、ユーザが装置を積極的に使用する可能性のある空間として定義されてもよく、例えば、キーボード、マウス、または装置の何らかの動作を必要とする他の設備を使用するのに十分に近い位置にある。
図1の単純な例として示す領域2は、ユーザがその範囲内に移動した場合に装置が検出する、装置の積極的な使用の範囲外として定義されてもよい。
図2に示すような一部の実施形態において、領域2は、ジェスチャや遠隔制御による積極的な使用を可能にし、その結果、装置の活動は維持されるが、場合によっては、マウスやキーボードを無視するが、音響的または光学的な監視手段を使用してジェスチャ認識を使用するなどの代替使用モードに充電することができる。
図3に示すように、3つの領域Z1、Z2、Z3を使用してもよく、装置から3つの閾値距離を定義することで、装置9の異なる活動と動作モードを定義することができる。
【0022】
本明細書に記載の概念は、存在検出装置内の処理要素で信号処理を実行できる存在検出装置(すなわち、超音波アラーム、ノート型パーソナルコンピュータ、スマートスピーカー、テレビなど)に適用可能であり、これにはニューラルネットワーク処理が含まれる場合がある。存在検出装置の出力信号は、存在検出装置の検出領域内に人がいないときの狭帯域超音波信号である。移動している少なくとも1つの物体(人、動物など)が領域2の外周に入ると、存在検出装置は、エコー分析に基づいて、物体が領域1にいつ到達するかを推定する。その後、存在検出装置の超音波出力信号は、狭帯域信号から広帯域信号に変わり、存在検出装置から移動している物体までの距離を推定する。物体が領域1を離れると推定されると、存在検出装置は、広帯域信号から領域2の移動している物体を検出できる狭帯域信号に切り替わる。
【0023】
上述した方式は、存在検出装置が狭帯域信号と広帯域信号の両方を同時に送信するハイブリッド信号、または測定または想定される距離の関数としてパルスレートを変化させるような他のタイプの信号でも同様に処理され得る。ハイブリッドな解決策の欠点は、両方の信号を同時に送信し、超音波入力装置(マイクロフォン、トランスデューサなど)を介して受信したときにそれらの音響エコーを処理するための消費電力と処理サイクルの増加である。狭帯域信号および/または広帯域信号の振幅は、消費電力を削減するために、物体が存在検出装置に近づくにつれて動的に減少させることができる。さらに、出力装置のオーバーフローを回避するために、存在検出装置で音声を再生する同時使用用途のヘッドルームを減少させる可能性がある。
【0024】
消費電力は、例えば、内蔵された交換可能なバッテリによってのみ長時間動作することが期待されるバッテリ駆動の存在検出装置にとって、重要な要素である。そのため、本明細書に記載の領域ベースの解決策のように、消費電力が少ない方式が好ましい。
【0025】
そのため、本発明は、例えばノート型パーソナルコンピュータなど、人の存在が検出される1つの領域と、人の存在が検出されず、システムの第1の領域の範囲外である可能性が高い1つの領域の使用を含むことができる。
【0026】
次に、人体存在検出(HPD)は、以下のように定義される接近モードと離席モードと呼ばれる2つの異なる段階に分けられる。
【0027】
接近モード:人体存在検出装置がロックされ、接近するユーザを待つ段階。装置によって異なるが、所定の検出領域内で少なくとも1人のユーザが検出されると、存在検出装置は、低電力状態から離席し、ユーザがキーボード、顔認証、2段階認証、またはその他の生体認証ソリューションなど、利用可能なログイン機構を使用してログインできる別の状態になる。
【0028】
単純な場合、第2の領域は、存在検出によって定義された到達範囲の外側として定義されてもよい。その場合、装置は、ユーザの接近を検出するように操作される。
【0029】
離席モード:人体検知装置がロックされず、ユーザを追跡し、ユーザが装置検出領域1から離れたことを検知して、システムが装置をロックできるようにする段階。
【0030】
ユーザが第1の領域に存在するノート型パーソナルコンピュータとやりとりをしている間、存在検出センサは、最後のユーザが装置の周りの所定の検出領域からいつ出るかを検出できるように、バックグラウンドで実行し続けていてもよい。ユーザがキーボードやマウスを使用するなどの他の活動をしている限り、存在検出は、ユーザがまだ存在しているか、例えば装置で映画を見ているか、または装置から離れるかどうかを見つけるために、特定の非アクティブ期間の後、最小限の時間で実行される。
【0031】
このユーザが検出領域1から離れると、装置は低電力状態になり、画面が消灯し、ユーザが再度ログインすることを要求するセキュリティ上の理由から装置がロックされる可能性がある。この存在監視は、例えば、先に出願されたノルウェー王国特許出願第20210781号(P6360)に従って実行されてもよい。
【0032】
上述したように、装置は、好ましくは超音波信号を送出する。これらの信号は、使用用途および装置の能力または制限に応じて、連続的またはパルス状に送信されてもよい。これらの信号タイプは、典型的には、その特定の特性に基づいて異なる使用用途で使用される。そのため、送信信号の所定の特性は、状況に依存してもよく、周波数、電力、パルス繰り返し率、長さおよびシーケンス、ならびに所定の周波数および/または振幅変調を含んでもよい。好ましくは、信号帯域幅、振幅、パルス繰り返し率、およびパルス長のうちの少なくとも1つを含む。調整された特性は、送信エネルギーを最適化し、全体的な消費電力を低減するように、受信信号の品質、物体までの距離、または物体の移動に依存する場合がある。
【0033】
上述したように、狭帯域信号は、典型的には、ドップラーシフトなどを使用して移動を検出するのに適している一方、広帯域信号は動いている、あるいは動いていないユーザや物体までの距離を測定するのに使用することができる。狭帯域信号は、要求される活動に応じて、連続的であったり周期的であったりしてもよい。狭帯域信号を使用する場合、信号振幅は、接近モードでは小さく、離席モードでは大きくなる。また、一度に1つの狭帯域トーンだけを流す周波数ステップ方式を使用することも可能である。これにより、狭帯域フィルタを使用してSNRをブーストし、信号振幅を下げることができる。
【0034】
連続信号により、存在検出装置は、その検出領域に存在するユーザを常に追跡することができるが、そのような解決策の消費電力は許容されない可能性がある。妥協案として、存在検出装置は、出力装置の消費電力を低減するためにパルス状の信号に変更する必要がある可能性がある。パルス状の広帯域信号を使用する場合、存在検出装置は、固定または可変のパルスレートで、特定の、潜在的に可変の長さの音響信号を送出する。固定パルスレートが最も一般的なアプローチであるが、可変パルスレートが有益な状況もある。一例として、存在検出装置と同じ周波数帯域で、異なる信号で干渉超音波を送信する電子装置が挙げられる。この場合、存在検出装置は、その空間内の少なくとも1つの他の送信装置からの干渉を避けるために、パルスレートをわずかに変える可能性がある。
【0035】
代替案として、超音波信号と同じ出力装置上で同時に再生される音声へのアクセス(超音波モジュールへの送信音声のループバックなど)があれば、存在検出装置は、音声出力を分析し、相互変調または飽和の可能性を低減するために、潜在的にその出力信号のインスタンスを一時的に遅延させ、それによってパルスレートを可変にすることができる。受信処理モジュールは、好ましくは、少なくとも1つのスピーカーで変調される直前の音声データ(例えば、エコー基準信号)のループバックに基づいて出力信号のシフト(すなわち、サンプル、時間シフト)を推測することができるか、または出力信号が送信されたときにシフトと場合によっては信号スケーリングについて明示的に通知されて、受信処理によって使用されるタイミングと予想される出力信号を調整しやすくすることができる必要がある。
【0036】
再生された音響信号と受信信号との比較に基づいて、超音波出力信号の代わりに、音楽やビデオなどを再生するような音声再生信号を存在検出に使用することも可能である。再生信号は、存在検出装置自体で再生されることが好ましいが、存在検出ソリューションの音源として、近くにある別の再生装置、例えばスマートスピーカーを使用することも可能である。再生装置がどこから再生されているかを分析し、その情報を使用してユーザからの音響エコーを分析し、ユーザが実際に存在するかどうかを判断する必要がある。これにより、存在検出装置は、音声再生中に超音波信号をオフにすることができる。再生が終了するか、音声出力音量が小さすぎて存在検知に確実に使用できなくなると、存在検出装置は再び超音波の送信を開始する。再生が再開されると、超音波信号の送信が再び停止され得る。
【0037】
接近モードでは、装置が接近するユーザを探し続ける場合、パルスレートは対象の使用用途に適合させる必要がある。使用用途によっては、例えば、パーソナルコンピュータのログイン準備、アラームの鳴動、他の対話型電子装置のオンなど、ほぼ即座にアクションを実行できるように、システムは接近するユーザを可能な限り早く検出する反応性が必要である。そのため、第1の領域1の大きさは、これらの選択によって定義されてもよい。
【0038】
パーソナルコンピュータでは、ユーザにとって顕著な遅延なくユーザログインが行える程度に存在検出センサのパルスレートが高い必要がある。つまり、パルスレートは、接近するユーザを検出する距離に基づいて設定され得る。ユーザが接近中に最初に検出される距離が遠ければ遠いほどパルスレートは低くなるが、それでも存在検出装置はユーザを時間内に検出することができる。他の存在検出システムでは、離席モードでは検出の遅延はそれほど重要ではなく、それに応じてパルスレートを下げることができる。それでも、パルスレートは、離席するユーザがどの程度離れて検出されるかに合わせて適合され得る。理想的には、パルスレートは、離席するユーザが検出領域1から離れる間に検出されるのに十分な高さであるべきである。装置の近傍で活動がない場合は、パルスレートを低くすることができる。何らかの活動が検出されると、パルスレートを即座に増加させる必要がある。その一方で、コンピュータの使用など他の方法で存在が検出された場合は、パルスレートを下げることができる。
【0039】
接近中の可変パルスレートの値の別の例として、接近するユーザが検出領域の外側またはすぐ内側で検出される場合がある。ユーザが存在検出センサによって行われる超音波処理によって推定される存在検出装置に接近するにつれて、パルスレートは、装置の電力消費要件と一致する上限まで、または信号が実質的に連続的になるまで、徐々に増加させることができる。これにより、存在検出センサは、場合によってはニューラルネットワークに基づく機械学習を使用して行われる超音波処理のために、より多くの情報を得ることができる。これにより、センサは、ユーザをより良好に追跡することができる。ユーザが接近を止め、再び検出領域から離れ始めたときに、パルスレートは、近くにユーザがいない接近モードの標準パルスレートに下げられてもよい。
【0040】
また、存在検出のために可変信号振幅を使用することもできる。超音波処理では、小さくて静止している物体よりも、動き回る大きな物体の方が検出しやすい。同様に、ユーザは、超音波信号をよく吸収する衣服(毛糸のジャンパーなど)を使用している場合もあれば、使用していない場合もある。このような両方の状況において、存在検出センサは、存在検出装置の消費電力要件と、場合によっては同じ音声出力装置で同時に再生される音声とが一致する限り、超音波信号の振幅を動的に変更することができてもよい。
【0041】
上述した方式は、存在検出装置が狭帯域信号と広帯域信号の両方を同時に送信するハイブリッド信号でも同様に扱うことができる。この解決策の欠点は、両方の信号を同時に送信し、超音波入力装置(マイクロフォン、トランスデューサなど)で受信したときにそれらの音響エコーを処理するために、消費電力と処理サイクルが増加することである。
【0042】
また、存在検出センサは、エコー分析に基づいて、静止している物体と、それが現在活動している空間の全体的な広さの両方を検出することができる。存在検出分析に含めることができるその情報に基づいて、存在検出装置は、より環境に適した出力信号(例えば、より低い振幅、より高い振幅、異なる信号、異なるパルスレートなど)に変更することができる。接近するユーザのパターン認識に基づいて接近プロファイル(例えば、接近経路、経過した接近時間、接近タイムスタンプなど)を作成することは、存在検知ソリューションが使用できる情報の断片を存在検出センサが提供することができる別の方法である。接近プロファイルは、移動パターンのコレクションを使用するか、装置上のML訓練によって漸進的に開発することができる。GPS座標やネットワーク情報は、存在検出装置がモバイルであり、容易に移動できる場合に利用可能である。同様に、存在検出装置の検出領域から離席するユーザのパターン認識に基づいて離席プロファイル(離席経路、離席経過時間、離席タイムスタンプなど)を作成することができる。この情報は、適切な処理要素におけるニューラルネットワーク処理を含む可能性のある現在の分析に追加される可能性と、節電のためにパルスレートを適合させるために使用される可能性の両方がある。接近プロファイルを積極的に使用することは、同じ場所に常に設置されている存在検出装置(天井に設置された装置など)に適している可能性があるが、他のセンサ(慣性計測ユニット(IMU)、モーションセンサ、カメラなど)やエージング方式によって装置自体が移動したことが検出されると、接近プロファイルが無効化または更新される限り、同じ空間で長期間使用される装置にも使用できる。
【0043】
上述したように、エコープロファイルは、ユーザのステータスを検出するために使用されてもよく、例えば、ユーザがコンピュータのそばに立っているか、座っているか、コンピュータの方に寄りかかっているか、離れているかをエコーから認識することができる。この違いは、機械学習アルゴリズムによって学習されてもよい。
【0044】
図3は、コーデック4を介して制御されるスピーカー3とマイクロフォン2を含む、ホストシステム6に接続された本発明によるシステムの3つの異なる実施形態を示している。音声システムは、通常、主要なシステムオンチップ(SoC)設計内の音声DSP4で実行されるか、コーデック4またはスマートPA1内の別個の音声DSPで実行される。システムがマイクロフォン入力とスピーカー出力の両方を有するコーデックDSPまたはスマートPA内で実行される場合、コーデックとそのDSPの電源が入っている限り、超音波モジュール5を有効にすることができる。この場合、システムは、コーデックに電力を供給でき、コーデックで利用可能な外部インタフェース(Soundwire、SPI、HD-Audio、Slimbus、I2Sなど)をサポートする任意のシステム6に接続され得る自己完結型ユニットとすることができる。これらの消費電力は異なっていてもよい。また、システムは、送信ユニット8からスピーカー3に直接送信された信号と、受信ユニット2を介してマイクロフォンが受信した信号とを比較するように構成されてもよい。例えば、送信された信号と受信した信号とを比較し、距離や移動を検出し、これに基づいて信号の特性を調整することにより、消費電力を削減するために受信した信号を分析できるように、ループバックが提供される。
【0045】
スピーカー2および/またはマイクロフォン3の各々は、少なくとも1つのトランスデューサから構成される。また、既知の方法で、物体または人までの距離、移動方向、移動角度、および検出された物体または人の速度を登録するように構成されてもよい。
【0046】
パルスレートが低い(例えば2Hz以下)場合、音声システム1およびそのコンポーネントの一部は、次の処理サイクルが開始されるまで、電源を切るか、または低電力状態に移行することができる可能性がある。これは、コンポーネントのオン/オフの電力コストが消費電力を支配しない場合にのみ実行可能である。入力経路は、出力経路が有効になっているときに有効にする必要があり、より具体的には、超音波入力を処理し、送信された出力信号のエコーを分析できるようにするために、出力信号によって引き起こされた音響エコーが入力装置に到着する限り有効にする必要がある。しかしながら、入力経路は、超音波処理モジュールが近くにある他の送信装置を追跡して、これらの装置との干渉を避けるために変更を加える必要がある場合に備えて、常に有効であってもよい。
【0047】
好ましくは、完全なハードウェアシステムは、超音波の使用用途が実行されている間、節電の理由から、音声システム全体あるいはその一部とそのコンポーネントがオン/オフされる方式を中心に設計され得る。システムを再びオンにするコストが高いため、音声システムをオン/オフできない場合、システムは、言うまでもなく、可能な限りオフにされた状態になるか、消費電力が低いアイドル状態に移行することができる。
【0048】
残響の影響を軽減するために、可変だが決定論的なパルスレートを使用することもできる。送信中、超音波信号発生器は、パルス自体の前後にゼロサンプルを挿入し、パルスレートを可変にすることができる。超音波処理モジュールがパルスレートの変化を認識している限り、受信処理は、これを考慮してパルスレートの変化を処理することができる。このようなアプローチにより、残響によるエコーを検出し、中央値フィルタや同様の技術を用いて除去することができる。この方式は、パルスを毎回変えることでさらに改良できる。例えば、上下のチャープを交互に使用したり、各パルスで異なる周波数帯域を使用したりすることが考えられる。これにより、残響による回り込みエコーの識別と除去が容易になる。また、パルス長とパルスレートを、最も近い未同定エコーの距離に合わせて連続的に変化させることで、そのエコーが回り込みエコーかどうかを調べる方法もある。
【0049】
ランダム化された可変パルスレートは、同じ方式を使用する他の送信装置からの干渉を処理するためにも使用され得る。可変パルスレートは、送信装置が同時にパルスを送信するのをランダムに防ぐことで、干渉の問題を軽減することができる。
【0050】
消費電力は、例えば、内蔵された交換可能なバッテリによってのみ長時間動作することが予想されるバッテリ駆動の存在検出装置にとって重要な要素である。そのため、本明細書に記載の解決策のように、消費電力が少ない方式が好ましい。
【0051】
両方のタイプの信号を同時に使用したり、異なるタイプの信号を切り替えたりすることで、多くの理由から明らかに有利になる使用用途がある。狭帯域信号のエコーは、ノイズを除去しSNRを改善するために非常に狭帯域のフィルタリングを使用することができるので、ノイズの多い環境でもより高い感度で検出することができる。通常、1つまたは複数の出力装置(スピーカー、超音波トランスデューサなど)が、消費電力が問題となる装置から電力を供給されている場合、狭帯域信号はさらに広がる。広帯域信号は、同程度の消費電力ではそれほど広がらない。同様に、広帯域信号から狭帯域信号に変更することは、近接する他の送信機器によって広帯域信号の一部または全周波数帯域に干渉がある場合に有益な場合がある。
【0052】
本発明の別の態様は、周波数範囲の選択に関する。超音波に基づく測定は、可聴周波数を使用した場合よりも精度と解像度を向上させることができることはよく知られている。そのため、一連の超音波トランスデューサを利用した超音波に基づく検出システムは、装置の近くに存在する複数の物体を検出するために使用され得る。少なくとも1つの超音波出力トランスデューサを有する電子装置が広帯域超音波信号(例えば、チャープ、ランダム変調、周波数ステップの正弦波など)を送出する場合、これは、少なくとも1つの超音波入力トランスデューサで超音波信号を受信し、ターゲット検出領域内の複数の物体を識別することができる。この処理を行うための様々な技術の詳細は、先行技術である国際公開第2017/137755号、国際公開第2009/122193号、国際公開第2009/115799号、および国際公開第2021/045628号に詳細に記載されている。
【0053】
識別されたエコーの解像度は、信号の帯域幅および周波数範囲に依存する。すでに一部の家電製品でサポートされている高いサンプリングレート(例えば、96kHz、192kHz、384kHzなど)により、可聴周波数範囲を上回る周波数範囲で信号帯域幅が増大する(例えば、10kHz超)。信号の周波数範囲および帯域幅を増大させることで、複数のユーザ(物体など)を識別し、それぞれのユーザについて、指、手、腕、頭、胴、足などの異なる身体部位を別個にすることができる。
【0054】
本発明の一実施形態において、ノート型パーソナルコンピュータは、高周波の広帯域信号を送出してユーザの存在を検出することができる。また、ユーザがノート型パーソナルコンピュータの前に在席している間、ユーザがノート型パーソナルコンピュータでやりとりをしているかどうかにかかわらず、ユーザの姿勢および呼吸パターンを検出することもできる。エコー情報とセンサデータ(例えば、ヒンジ角度センサ、IMUセンサ、光センサ、圧力センサ、周囲光センサなど)とを結合させて、検出に関するより正確な情報を提供することができる。ノート型パーソナルコンピュータの主要ユーザの肩越しに覗いているユーザを識別することも、本明細書に記載の解像度の向上により可能となる。
【0055】
別の実施形態において、存在検出装置は、高周波の広帯域信号を送出してユーザの存在を検出することができる。エコーの解像度が著しく高く、より多くの詳細を抽出することができるので、存在検出装置は、ユーザの動きを監視し、データを漸進的な装置上のMLの訓練プロセスに供給して、ユーザの動きや歩行の異常を検出するために使用することができるディープニューラルネットワーク(DNN)などの継続的に更新されるシステムを作製することができる。
【0056】
本発明の主な目的は、存在検知の実行中の消費電力を低減することである。パルスレートが高いということは、存在検出がより反応的になることを意味する。これは、接近段階において重要である。同時に、ユーザは、装置に向かって移動し、信号振幅が低くても検出可能であり得る。ユーザがノート型パーソナルコンピュータにログインすると、システムは、それ以上反応する必要がなくなり、パルスレートを低減することができる。これは、例えばノート型パーソナルコンピュータのユーザがどの程度じっと座っているかによって異なる。ユーザがたくさん動いている場合、パルスレートを低減することができる。しかしながら、ユーザが非常にじっとしている場合は、微妙な動きをより頻繁に探すためにパルスレートを増大させる必要がある場合がある。ほとんどの場合、ノート型パーソナルコンピュータのユーザはそれほど動かないので、SNRを改善するために信号振幅を大きくする必要がある。別のアプローチとしては、接近状態とロック状態で使用する信号のタイプを変えることである。接近モードでは、ユーザが装置に近づいたことを検出するように信号を最適化する必要がある。離席モードでは、ノート型パーソナルコンピュータの前に在席しているユーザを検出するように信号を最適化する必要がある。
【0057】
一部の使用用途(例えば、存在だけでなくジェスチャも測定する)では、交換可能な信号を使用して同様の使用用途を提供する各送信装置は、超音波信号自体を送信する必要はない。少なくとも1つの他の装置(すなわち、マスター送信装置)が超音波信号を送信している限り、任意の数の他の装置が超音波信号を処理し、予想される結果を提供することができる。このような状況では、送信装置は、必要な信号を送信する他の装置がある場合、超音波信号の送信を停止するプロトコルを含む必要がある。プロトコルは、前のマスターが何らかの理由で出力信号の送信を停止したときに、マスター送信装置が直ちに超音波信号の送信を再開するための機構を含む必要がある。
【0058】
要約すると、本発明は、既知の範囲で音響信号を送受信するように適合された少なくとも1つの音響トランスデューサを含む電子装置に関する。該装置は、少なくとも1つの所定の特性を有する音響信号を発生するために、少なくとも1つの送信トランスデューサ3に接続された送信ユニット8と、物体から反射された音響信号を受信するために受信トランスデューサ2に接続された受信装置7と、を含む。また、送信された信号の特性に基づいて反射した物体までの距離および/または反射した物体の移動を計算するように適合された分析ユニット1に接続される。分析ユニット1は、測定された距離および/または移動に基づいて、発生された音響信号の特性を調整するように構成される。トランスデューサの数や能力などのトランスデューサの構成に応じて、移動は、トランスデューサに向かう方向、または例えば2つ以上の受信トランスデューサを使用して、装置に対する移動の方向、角度、および速度が登録されてもよい。
【0059】
好ましくは、分析ユニットは、距離が少なくとも1つの閾値を上回るか下回るかを検出するように適合される。ここで、特性は、距離が距離値を上回るか下回るかによって少なくとも2つの異なる特性のリストから選択される。
【0060】
特性は、典型的には、発信された信号の電力を含んでもよく、距離が所定の閾値を下回る場合に電力が低減されてもよい。選択された調整された特性は、送受信信号に関連する既知の消費電力に基づいており、物体までの距離または物体の移動に応じて消費電力を最小限に抑える。
【0061】
特性は、領域の少なくとも1つ内で動的であり、ユーザの測定または検出された活動に応じて特性を調整する。
【0062】
また、キーボードやタッチパッドの使用などの積極的な使用が登録されている場合には、装置は、例えば信号特性を調整することにより、トランスデューサの消費電力が低減されてもよい。
【0063】
信号特性は、信号帯域幅、振幅、パルス繰り返し率、およびパルス長のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0064】
好ましくは、分析ユニットは、いつでも送信された信号のタイミングに基づいて計算を行うように、送信ユニットと同期している。送信された信号は、可聴範囲内であってもよいし、超音波近傍範囲内であってもよい。分析ユニットは、送信された信号と受信した信号との間の位相差および/または送受信間の時間差に基づいて検出を行ってもよい。送信された特性信号が超音波および音声範囲内にある場合、超音波信号は、音声のレベルが所定の限界値を下回る場合に送信される。装置が既知の音楽を再生するストリーミングサービスなど、既知の音響源から音を送信する場合、または機械学習技術を介して認識された以前に登録された音に基づいて、スピーカー保護アルゴリズムをトリガしたり信号を歪ませたりすることなく、一度でも自身の信号を送信する機会を最大化するために、音声音のレベルを予測する。また、リアルタイム測定や、最近送信された音声信号のパターンに基づく短時間の予測に基づくことも可能である。
【0065】
代替的な実施形態によれば、本発明は、超音波範囲の音響信号を送受信するように適合された少なくとも1つの音響トランスデューサを含むシステムに関する。該システムは、少なくとも1つの所定の特性を有する音響信号を発生するために、少なくとも1つのトランスデューサに接続された送信ユニットと、物体から反射された音響信号を受信するための受信装置と、を含む。また、反射した物体までの距離または反射した物体の移動、および送信された信号の所定の特性を計算するように適合された分析ユニットに接続される。分析ユニットは、測定された距離または移動に基づいて、発生された音響信号の特性を調整する。送信ユニットおよび受信ユニットは、別個の装置に配置されてもよい。例えば、送信機は、既知の音楽または信号などの既知の信号を送信するスピーカーであってもよい。室内の人または物体の存在は、人の位置の変化が、受信した信号の変化によって検出される可能性があるため、信号は、例えばデータベースを使用して、分析ユニットで認識され、2つ以上の受信トランスデューサを使用して、受信した信号の差を分析することによって発見される可能性がある。
【0066】
システム内の分析ユニットは、送信された信号と受信した信号の比較に基づいて分析を行うように、送受信機と通信するように構成されてもよい。
【0067】
分析ユニットは、検出された移動や距離の変化の間に、例えば転倒検出のために人の向きを測定するように構成されたウェアラブルユニットなど、環境内の他の装置から信号を受信するように構成される。
【0068】
また、本発明は、超音波範囲で信号を送受信するように構成された送信機および受信機を含む装置へのユーザ近接を監視するための方法に関する。該方法は、物体の検出時に、物体までの距離または物体の移動に応じて送信された信号の特性を調整し、移動および距離に応じて消費電力を低減するステップを含む。
【国際調査報告】