(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】懸濁液濃縮分散剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/04 20060101AFI20241024BHJP
A01N 43/824 20060101ALI20241024BHJP
A01N 43/653 20060101ALI20241024BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20241024BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20241024BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A01N25/04 102
A01N43/824 B
A01N43/653 Q
A01P3/00
A01P13/00
A01P7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526780
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022081103
(87)【国際公開番号】W WO2023083797
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506352278
【氏名又は名称】クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】キャスリン ナイト
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ フラベル
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011AB01
4H011AC01
4H011BA01
4H011BB09
4H011BB10
4H011BC17
4H011BC19
4H011DA15
4H011DG16
4H011DH02
(57)【要約】
アクリル酸、疎水性モノマー、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレート、C10~C30のアルコキシル化リン酸モノ及び/又はジエステル、及び場合により(メタ)アクリル酸の強酸誘導体のコポリマーを含むコポリマー分散剤;アクリル酸エステルとオキシアルキレンとの非イオン性グラフトコポリマーから選択された補助剤を含み;そして水媒体中に分散された疎水性固体農薬活性物質を有する新規な懸濁型の水媒体農薬製剤が提供される。製剤を形成するのに適した濃縮物も提供される。 コポリマーの組み合わせは、結晶成長を大幅に減少させながら、懸濁液濃縮物の水媒体中で有効な疎水性固体農薬の分散性を提供する。 また、農薬製剤中で活性な疎水性固体農薬用の分散剤としての前記コポリマーの使用、及び製剤又は製剤の希釈濃縮形態を植生又は周囲の環境に適用することによって、害虫を防除するために植生を処理する方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁型水媒体農薬製剤であって、以下:
i)アクリル酸、疎水性モノマー、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレート、及び場合により(メタ)アクリル酸の強酸誘導体のコポリマーを含むコポリマー分散剤;
ii)C10~C30アルコキシル化リン酸モノ及び/又はジエステル;
iii)場合により、アクリル酸エステルとオキシアルキレンとの非イオン性グラフトコポリマー;及び
iv)前記水媒体中に分散された少なくとも1つの疎水性固体農薬活性物質、
を含んでなる懸濁型水媒体農薬製剤。
【請求項2】
前記アクリル酸モノマーが、(メタ)アクリル酸又はその塩、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、C1-6-アルキル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート又はヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル (メタ)アクリレート、置換 C1-6-アルキル (メタ)アクリレート、ジ(C1-4-アルキルアミノ)C1-6-アルキル (メタ)アクリレート、C1-6-アルキルアミンから形成されるアミド、置換 C1-6-アルキル-アミンから選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記アクリル酸モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、又はそれらの混合物である、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
前記疎水性モノマーが、疎水性アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニル化合物、及びビニル芳香族モノマーから選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項5】
前記疎水性モノマーが、スチレン又はアルキル置換スチレンから選択されるビニル芳香族モノマーである、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
前記モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレートが、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(MPEGMA)である、請求項1~5のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
前記(メタ)アクリル酸の強酸誘導体が、アクリルアミドメチルプロピルスルホネート(AMPS)又は(メタ)アクリル酸イセチオン酸から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記C10~C30のアルコキシル化リン酸モノ及び/又はジエステルが、
式 R
1-(AO)
n-O-P(=O)(OH)
2のリン酸モノエステル;及び/又は
式:R
2-(AO)
n-O-P(=O)-O-(AO)
n-R
3)(OH)のリン酸ジエステルであり、
式中、R1、R2、及びR3は独立して飽和直鎖状10~30のアルキル基であり、そしてAOはオキシエチレン、オキシプロピレン、又はオキシブチレンから選ばれるオキシアルキレン基を表す、請求項1~7のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
前記リン酸エステルが、リン酸セチル(10EO、5PO)モノエステル、 リン酸セチル(10EO,5PO)ジエステル、 ステアリル(10EO、5PO)リン酸モノエステル、 リン酸ステアリル(10EO,5PO)ジエステル、 リン酸トリデシル(6EO)モノエステル、 リン酸トリデシル(6EO)ジエステル、 ヒマシ油 (12EO) モノホスフェート、及び ヒマシ油 (12EO) ジホスフェートから選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項10】
前記アクリル酸エステルとオキシアルキレンの非イオン性グラフトコポリマーの分子量が、5,000~40,000である、請求項1~9のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
前記アクリル酸エステルとオキシアルキレンの非イオン性グラフトコポリマーが、非イオン性ポリメチルメタクリレート-ポリエチレンオキシドグラフトコポリマーである、請求項1~10のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項12】
前記疎水性固体農薬活性物質が、除草剤フルフェナセット又はメトリブジン; アゾール系殺菌剤 ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、プロチオコナゾール;又は殺虫剤ブプロフェジン又はアゾキシストロビンから選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項13】
以下:
i)アクリル酸、疎水性モノマー、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレート、及び場合により(メタ)アクリル酸の強酸誘導体のコポリマーを含むコポリマー分散剤;
ii)C10~C30アルコキシル化リン酸モノ及び/又はジエステル;
iii)場合により、アクリル酸エステルとオキシアルキレンとの非イオン性グラフトコポリマー;及び
iv)前記水媒体中に分散された少なくとも1つの疎水性固体農薬活性物質、
を含んでなる、第1の側面の農薬製剤を製造するのに適した濃縮製剤。
【請求項14】
アクリル酸、疎水性モノマー、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレート、及び場合により(メタ)アクリル酸の強酸誘導体のコポリマー;
C10~C30アルコキシル化リン酸モノ及び/又はジエステル; 及び
場合によっては、アクリル酸エステルとオキシアルキレンとの非イオン性グラフトコポリマーの組合せの、疎水性固体農薬活性物質を含む農薬製剤中の分散剤として使用。
【請求項15】
害虫を防除するために植物を処理する方法であって、第1の側面の製剤及び/又は第2の側面の希釈濃縮製剤を、前記植生又は前記植生の直近の環境のいずれかに適用することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性固体農薬活性物質を含む懸濁型農薬製剤用のポリマー分散剤、及び前記農薬製剤中に結晶成長阻害を含む分散性を与える方法に関する。 本発明はまた、そのような製剤を用いて作物を処理する方法も含む。
【背景技術】
【0002】
農薬製剤には通常、活性剤や添加剤などの溶解又は分散した成分が含まれており、これらの成分の分散を助けるために製剤に分散剤が添加されることがよくある。
【0003】
規制により、水ベースのシステムが増える傾向にあり、水溶性があまり高くない(疎水性で難溶性)活性物質の問題が生じている。 さらに、多くの場合、より多くの活性物質が製剤に含まれると、好ましくない結晶成長が生じる可能性がある。
【0004】
水ベースの農薬の製剤及び/又は希釈物には、特定の状況では欠陥があるが、多くの場合、改善できることがよくある。 疎水性固体が分散されるとき、分散の物理的作用により、粒子状の結晶又は粒子の凝集体(以下、単に「結晶」と呼ぶ)がある程度まで破壊され、その後、分散助剤及び/又は追加の界面活性剤によって安定化されることも知られている。ただし、保管又は放置すると、粒子が再結晶して大きな凝集粒子になる可能性がある。結晶の成長や凝集は、ファンデルワールス力による微粒子の継続的な相互衝突によって引き起こされると考えられている。 微粒子が凝集して粘土のように沈降する場合がある。 この段階になると、凝集物を分散させることが困難になる。 より良い適用及び有効性を与えるためには、より小さい結晶/粒子が望ましい。
【0005】
農薬製剤に特有の問題は、活性物質の分散がますます困難になっていることであり、これは、より少ない、又は難溶性の活性物質を使用する傾向により特に問題となっている。 これらの活性物質は、オストワルド熟成及び/又は結晶成長の可能性を高めることができる。
【0006】
既知の物理法則により、高い表面エネルギーを持つ小さな結晶粒子は溶解するが、すでに存在する大きな粒子は成長を続け、最終的なサイズは溶解条件によって異なる。
【0007】
農薬が可溶な懸濁型農薬製剤を調製する際に、安定剤として溶媒を使用すると、有効な製剤が得られない場合がある。 これらのタイプの溶媒は、農薬活性物質の結晶成長を促進する可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、疎水性難溶性活性物質による懸濁液タイプの形成を可能にし、結晶成長及び製剤の不安定性を全体的又は実質的に低減する分散剤を見つける必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、農薬製剤中の分散剤として使用するのに適した化合物を提供することを目的とし、前記分散剤は上記の問題を克服することができる。 さらに、本発明は、懸濁型製剤中の疎水性固体活性物質の分散性などの所望の特性を有する分散剤を提供することを目的とする。本発明はまた、前記分散剤を含む農薬濃縮物及び希釈製剤の使用を提供することも目的とする。 本発明はまた、製剤に効果的な立体安定性及び静電気安定性を提供することも追求する。
【0010】
本発明は、疎水性固体農薬の微粒子を水性媒体中に分散させることによって調製され、凝集及び凝集の低減及び/又は防止に役立つ懸濁型農薬製剤を提供する。
【0011】
本発明の第1の側面によれば、以下:
i)アクリル酸、疎水性モノマー、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレート、及び場合により(メタ)アクリル酸の強酸誘導体のコポリマーを含むコポリマー分散剤;
ii)C10~C30アルコキシル化リン酸モノおよび/またはジエステル;
iii)場合により、アクリル酸エステルとオキシアルキレンとの非イオン性グラフトコポリマー;及び
iv)前記水媒体中に分散された少なくとも1つの疎水性固体農薬活性物質、
を含んでなる懸濁型水媒体農薬製剤が提供される。
【0012】
本発明の第2の側面によれば、以下:
i)アクリル酸、疎水性モノマー、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレート、及び場合により(メタ)アクリル酸の強酸誘導体のコポリマーを含むコポリマー分散剤;
ii)C10~C30アルコキシル化リン酸モノおよび/またはジエステル;
iii)場合により、アクリル酸エステルとオキシアルキレンとの非イオン性グラフトコポリマー;及び
iv)前記水媒体中に分散された少なくとも1つの疎水性固体農薬活性物質、
を含んでなる、第1の側面の農薬製剤を製造するのに適した濃縮製剤が提供される。
【0013】
本発明の第3の側面によれば、
アクリル酸、疎水性モノマー、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレート、及び場合により(メタ)アクリル酸の強酸誘導体のコポリマー;
C10~C30アルコキシル化リン酸モノ及び/又はジエステル; 及び
場合によっては、アクリル酸エステルとオキシアルキレンとの非イオン性グラフトコポリマーの組合せの、疎水性固体農薬活性物質を含む農薬製剤中の分散剤として使用が提供される。
【0014】
本発明の第4の側面によれば、第1の側面の製剤及び/又は第2の側面の希釈濃縮製剤を、前記植生又は前記植生の直近の環境のいずれかに適用することを含む、害虫を防除するために植物を処理する方法が提供される。
【0015】
アクリル酸、疎水性モノマー、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレート、場合によっては(メタ)アクリル酸の強酸誘導体から形成されるポリマー、C10~C30のアルコキシル化リン酸モノ及び/又はジエステル、及び任意にアクリル酸エステルとオキシアルキレンの非イオン性グラフトコポリマーの組み合わせが、疎水性の固体農薬活性物質を有する懸濁液タイプの農薬製剤に使用した場合、結晶成長が大幅に減少し、所望の分散特性を提供することが見いだされた。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される場合、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「など(such as)」、又は「含む(including)」という用語は、より一般的な主題をさらに明確にする例を紹介することを意味する。 特に明記しない限り、これらの例は、本開示で説明される用途を理解するための補助としてのみ提供されており、いかなる形でも限定することを意図するものではない。
【0017】
置換基(例えば、「C1~C6アルキル」)内の炭素原子の数を記載する場合、その数は、任意の分岐基に存在する炭素原子を含む、置換基に存在する炭素原子の総数を指すことが理解されるであろう。 さらに、脂肪酸などの炭素原子の数を説明する場合、これはカルボン酸の炭素原子と分岐基に存在する炭素原子を含む炭素原子の総数を指す。
【0018】
コポリマー分散剤は、アクリル酸、疎水性モノマー、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレート、及び場合により(メタ)アクリル酸の強酸誘導体のコポリマーを含む。
【0019】
コポリマーを形成するために使用されるアクリル酸モノマーは、以下から選択することができる:(メタ)アクリル酸又はその塩、 (メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、 C1-6-アルキル(メタ)アクリレート、例えばエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート又はヘキシル(メタ)アクリレート、 (メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、 置換C1-6-アルキル(メタ)アクリレート、例えばグリシジルメタクリレート及びアセトアセトキシエチルメタクリレート、 ジ(C1-4-アルキルアミノ)C1-6-アルキル(メタ)アクリレート、例えばジメチルアミノエチルアクリレート又はジエチルアミノエチルアクリレート、 C1-6-アルキルアミンから形成されるアミド、 置換C1-6-アルキルアミン、例えば2-アミノ-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、アンモニウム塩、又はジ(C1-4-アルキルアミノ)C1-6-アルキルアミン及び(メタ)アクリル酸 及びそれらのC1-4-ハロゲン化アルキル付加物。
【0020】
好ましくは、アクリル酸モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、又はそれらの混合物であり得る。 より好ましくは、モノマーはアクリル酸である。
【0021】
疎水性モノマーは、水不溶性の任意のモノマーから選択することができる。 特に、疎水性モノマーは、疎水性アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニル化合物、及びビニル芳香族モノマーから選択することができる。
【0022】
特にビニル芳香族モノマーが好ましい場合がある。
【0023】
ビニル芳香族モノマーは、スチレンそのもの、又は置換スチレン、特にヒドロカルビル、望ましくはアルキル、置換スチレンであってもよく、又はそうであることが望ましく、ここで、置換基はビニル基上又は、スチレン、例えば、α-メチルスチレン及びビニルトルエンの芳香環上に存在する。
【0024】
適切なビニル芳香族モノマーは、好ましくは8~20個の炭素原子、最も好ましくは8~14個の炭素原子を含み得る。 置換基が存在する場合には、C1~C6アルキル基であるスチレン及び置換スチレンが好ましい。
【0025】
ビニル芳香族モノマーの例は、置換スチレンを含むスチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、3-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、t-ブチルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、α-メチルスチレン、及びハロゲン化スチレンである。
【0026】
スチレンモノマーは、強酸性、特にスルホン酸の置換基を含むスチレンモノマーであることができ、又はそれを含むこともできる。 このような強酸変性モノマーが存在する場合、通常、コポリマー中のスチレンモノマーの1~30モル%、より一般的には2~20モル%、望ましくは5~15モル%を形成する。
【0027】
好ましくは、疎水性モノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、又はそれらの組み合わせであり得る。 より好ましくは、疎水性モノマーはスチレンであり得る。
【0028】
モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレートは、非イオン性親水性モノマーであることが好ましい。
【0029】
アルキルアクリレート基又はモノアルキル基の一部としてのアルキル基は、C1~C6アルキル、特にC1~C3アルキルから独立して選択され得る。 アルキル基は、好ましくはメチル、エチル、n-ブチル、又はt-ブチルから選択され得る。 好ましくは、アルキル基はメチルである。
【0030】
モノアルキルポリエチレングリコール(すなわち、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレート全体ではなく、PEG鎖のみ)の数平均分子量は、少なくとも300ダルトン、好ましくは350~900ダルトンの範囲、より好ましくは400から600ダルトンの範囲である。
【0031】
本発明において初期材料として使用されるモノアルキルポリエチレングリコールのいくつかは市販されている。 従って、総分子量500及び550のメチルエーテルは、それぞれメトキシポリエチレングリコール550及びメトキシポリエチレングリコール750として市販されており、市場で入手可能である。
【0032】
好ましくは、モノアルキルポリエチレングリコールのアルキルアクリレートは、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(MPEGMA)、より具体的には、メトキシポリエチレングリコール500メタクリレートである。
【0033】
(メタ)アクリル酸の強酸誘導体には、硫酸基又はスルホン酸基(又はそれらの塩)を含む強酸が含まれ得る。 このようなモノマーの例としては、アクリルアミドメチルプロピルスルホネート(AMPS)及び(メタ)アクリル酸イセチオン酸が挙げられる。
【0034】
このような強酸変性モノマーが存在する場合、通常、コポリマー中のアクリル酸モノマーの1~30モル%、より通常は2~20モル%、望ましくは5~15モル%を形成する。
【0035】
ポリマーは疎水性モノマーから形成されてもよく、水溶性ポリマーであってもよく、前記溶解度はポリマーの中和の結果として生じる。
【0036】
本明細書で使用される「コポリマー」という用語には、ターポリマー及びテトラポリマーだけでなく、2つの成分を有するポリマー、及び一般に2つ以上の成分を有する任意のポリマーが含まれることが理解されよう。 コポリマーは、場合により(メタ)アクリル酸モノマーの強酸誘導体を含むランダムターポリマー又はテトラポリマーであることが好ましい。
【0037】
コポリマーは、任意の適切な方法によって形成することができ、これには、フリーラジカル溶液重合又は制御されたリビング重合が含まれ得る。 モノマーは、適切な開始剤とともに、一定期間にわたって制御された方法で同時に添加することができる。
【0038】
ポリマー中に存在するアクリル酸モノマーの量は、10重量%~90重量%の範囲であってよい。 好ましくは、15重量%~60重量%である。 より好ましくは、20重量%~50重量%である。 最も好ましくは、30重量%から40重量%である。
【0039】
ポリマー中に存在するビニル芳香族モノマーの量は、10重量%~90重量%の範囲であってよい。 好ましくは、15重量%~60重量%である。 より好ましくは、15重量%~40重量%である。 最も好ましくは、20重量%から30重量%である。
【0040】
ポリマー中に存在するポリエチレングリコールモノマーのアルキルアクリレートの量は、10重量%~90重量%の範囲であってよい。 好ましくは、15重量%~60重量%である。 より好ましくは、20重量%~50重量%である。 最も好ましくは、30重量%から40重量%である。
【0041】
このような強酸変性モノマーが存在する場合、通常、コポリマー中のアクリル酸モノマーの1~30モル%、より通常は2~20モル%、望ましくは5~15モル%を形成する。
【0042】
他のモノマー、例えばイタコン酸、マレイン酸、又は無水物などの酸性モノマー; 強酸性モノマー、例えばメタリルスルホン酸(又は塩);又は非酸性アクリルモノマー、例えばアクリル酸エステル、特にC1~C6アルキルエステル、例えばメタクリル酸メチル、ブチルメタクリレートもしくはアクリル酸ブチルであり得るアルキルエステル、又はヒドロキシアルキルエステル、特にC1~C6ヒドロキシアルキルエステル、例えばヒドロキシエチルメタクリレート、又はヒドロキシプロピルメタクリレート; 又はビニルモノマー、例えば酢酸ビニルを含めることもできる。典型的には、そのような他のモノマーの割合は、使用される全モノマーの約10モル%以下、通常約7モル%以下、より通常には約5モル%以下であろう。
【0043】
ポリマー分散剤に強酸性の置換基を有するモノマーを含めることにより、硬水、特に500ppm以上、例えば1,000ppmまで、2,000ppmまで又はあるいは最大5,000ppmまでの硬度を有する水中に分散させる場合に、農薬製剤の固体粒状形態の分散を改善することができる。
【0044】
ポリマーは、500,000ダルトン未満の分子量を有し得る。 好ましくは、 100,000 ダルトン未満である。 より好ましくは、75,000ダルトン未満である。 分子量は、5,000~75,000ダルトンの範囲であってよい。 より好ましくは、10,000~60,000ダルトンの範囲である。 さらに好ましくは、15,000~50,000ダルトンの範囲である。 最も好ましくは、20,000~40,000ダルトンの範囲である。
【0045】
ポリマーは遊離酸または塩として使用できる。 実際には、製剤中に存在する形態は、製剤の酸性度によって決まる。 望ましくは、製剤は中性に近く、従って、ほとんどの酸基が塩として存在することになる。 任意のそのような塩中のカチオンは、アルカリ金属、特にナトリウムおよび/またはカリウム、アンモニウム、またはエタノールアミン、特にトリエタノールアミンなどのアルカノールアミンを含むアミンであり得る。 特に、安定化ポリマーのナトリウム塩またはカリウム塩の形態が好ましい。
【0046】
少なくとも70%、好ましくは75%~85%の中和。 ナトリウムによる中和が好ましい。
【0047】
ポリマーのpHは4.0~11.0の範囲であってよい。 より好ましくは5.0~10.0の範囲である。 さらに好ましくは5.5~9.0の範囲である。 最も好ましくは、6.0から8.0の範囲である。
【0048】
懸濁型の水媒体農薬製剤はまた、C10~C30のアルコキシル化ステルリン酸モノ及び/又はジエステルを含む。
【0049】
リン酸モノエステルは、-式R1 -(AO)n -O-P(=O)(OH)2 の化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれらからなるのが適切である。
【0050】
リン酸ジエステルは、式R2-(AO)n-O-P(=O)-O-(AO)n-R3)(OH)の化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれらからなるのが適切である。
【0051】
R1、R2、及びR3は、独立して、適切にはC10~C30ヒドロカルビル基、好ましくはアルキル基である。 R1、R2、及びR3は独立して、好ましくはC12~C24、より好ましくはC14~C20、特にC16~C18、特にC16ヒドロカルビル基、特にアルキル基である。
【0052】
R1、R2、及びR3はは独立して、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖であってよいが、好ましくは飽和である。 ヒドロカルビル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、直鎖状であることが好ましい。 最も好ましくは、ヒドロカルビル基は飽和かつ直鎖状である。
【0053】
リン酸エステルがジエステルである場合、R2及びR3基は同じであっても異なっていてもよく、従って、リン酸ジエステルは対称又は非対称に置換されていてもよい。
【0054】
オキシアルキレン基(AO)は、式-(CyH2yO)-の基から選択することができ、式中、yは2、3、又は4から選択される整数である。好ましくは、yは2又は3である。 オキシアルキレン基AOは、オキシエチレン、オキシプロピレン、又はオキシブチレンから選択され得る。 好ましくは、オキシアルキレン基は、オキシエチレン(EO)又はオキシプロピレン(PO)から選択される。
【0055】
オキシアルキレン鎖がホモポリマーである場合、オキシエチレン又はオキシプロピレンのホモポリマーが好ましい。
【0056】
2つ以上のオキシアルキレン基が存在し(すなわち、nが2以上の場合)、少なくとも2つが同じオキシアルキレン鎖の一部である場合、オキシアルキレン基は前記オキシアルキレン鎖に沿って異なっていてもよい。 この実施形態によれば、オキシアルキレン鎖は、異なるオキシアルキレン基のブロック又はランダムコポリマ-であってもよい。
【0057】
好ましくは、オキシアルキレン鎖は、2つの異なるオキシアルキレン基、好ましくはオキシエチレンとオキシプロピレンの混合物を含む。 より好ましくは、この実施形態におけるオキシアルキレン鎖は、2つの異なるオキシアルキレン基のブロックコポリマーである。
【0058】
通常、エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位のコポリマー鎖が使用される場合、使用されるエチレンオキシド単位のモル比率は少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%であろう。
【0059】
(ポリ)アルキレンオキシド鎖中のアルキレンオキシド残基の数、すなわち各パラメータnの値は、好ましくは2~30、より好ましくは5~22、特に7~18、最も好ましくは10~15の範囲にあるであろう。
【0060】
リン酸エステルがジエステルである場合、各エステル置換鎖上のオキシアルキレン鎖は、オキシアルキレン基及びnの値に関して独立して選択される。 従って、ジエステルの場合、各オキシアルキレン鎖は同一であっても異なっていてもよい。
【0061】
本発明で使用されるC10~C30リン酸モノエステルおよび/またはリン酸ジエステルは均一であってもよいし、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルの混合物を含んでもよい。 リン酸モノエステルとリン酸ジエステルの混合物が好ましい場合がある。
【0062】
本発明による組成物中に存在するリン酸モノエステル対リン酸ジエステルのモル比は、0~100%:0~100%の範囲であり得るが、好ましくは40~95%:5~60%、より好ましくは50%~85%:15~50%、特に60~75%:25~40%、特に65~70%:30~35%である。
【0063】
本発明で使用されるリン酸エステルは、当該技術分野で知られているように、例えば式R1/R2/R3-OH(式中、R1/R2/R3は上で定義した通りである)の脂肪族アルコールと、 リン酸化剤、例えばポリリン酸、五酸化リン、オキシ塩化物又は三塩化物とを反応することにより適切には形成され得る。1つの実施形態によれば、五酸化リンが好ましい。 この反応は、モノエステル生成物とジエステル生成物の統計的混合物を生成することができ、その割合は、例えば出発物質の割合を変えることによって、所望のエステル比、例えばモノエステル:ジエステル比を生成するように制御できる。
【0064】
適切な直鎖脂肪族アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ココイルアルコール、テトラデカノール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール及びリグノセリルアルコールが挙げられる。 適切な分枝脂肪アルコールとしては、以下が挙げられる:イソステアリルアルコール、イソテトラデカノール、イソセチルアルコール、イソアラキジルアルコール、イソベヘニルアルコール及びイソリグノセリルアルコール;ネオアルコール、例えばネオカプリン酸アルコール; 及び/又はアンチイソアルコール。 直鎖脂肪族アルコール、特にセチルアルコールお予備/叉はステアリルアルコール、とりわけセチルアルコールが好ましい。
【0065】
好ましい1つの実施形態によれば、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立して、直鎖C16およびC18アルキル基の混合物であり、すなわち、脂肪族アルコールは、セチルアルコールおよびステアリルアルコール(セトステアリルアルコール)であり、 好ましくは、ステアリルアルコール:セチルアルコールの重量比が0.3~10:1、より好ましくは1~5:1、特に1.5~3.5:1、特に2~2.8:1の範囲で存在する。
【0066】
1つの実施形態によれば、リン酸エステル成分と脂肪族アルコール成分は、有機媒体と混合する前に予め混合されて、本発明による組成物を形成する。
【0067】
特に好ましいリン酸エステルは、以下から選択することができる:リン酸セチル(10EO、5PO)モノエステル、 リン酸セチル(10EO,5PO)ジエステル、 ステアリル(10EO、5PO)リン酸モノエステル、 リン酸ステアリル(10EO,5PO)ジエステル、 リン酸トリデシル(6EO)モノエステル、 リン酸トリデシル(6EO)ジエステル、 ヒマシ油 (12EO)モノホスフェート、 ヒマシ油 (12EO) ジホスフェート。
【0068】
この製剤は、場合により、アクリル酸エステルとオキシアルキレンとの非イオン性グラフトコポリマーを含んでもよい。
【0069】
アクリル酸エステルは、非酸性アクリルモノマー、例えばアルキルエステル、特にC1~C6アルキルエステルから選択され得るアクリル酸エステルであり得る。 好ましくは、前記アルキルエステルは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル又はアクリル酸ブチルから選択され得る。 最も好ましくは、メタクリル酸メチルである。
【0070】
(ポリ)アクリル酸エステル鎖中のアクリル酸エステルモノマー残基の数は、好ましくは2~50、より好ましくは5~40、特に10~30の範囲であろう。
【0071】
オキシアルキレン基は、式-(CyH2yO)-の基から選択することができ、式中、yは2、3、又は4から選択される整数である。好ましくは、yは2又は3である。
【0072】
オキシアルキレン基は、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、又はオキシテトラメチレンから選択され得る。 好ましくは、オキシアルキレン基は、オキシエチレン(EO)及び/又はオキシプロピレン(PO)から選択される。
【0073】
オキシアルキレン鎖がホモポリマーである場合、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドのホモポリマーが好ましい。 より好ましくは、エチレンオキシドのホモポリマーが特に好ましい。
【0074】
2つ以上のオキシアルキレン基が存在し(すなわち、nが2以上である場合)、少なくとも2つが同じオキシアルキレン鎖の一部である場合、オキシアルキレン基は同じであってもよいし、前記オキシアルキレン鎖に沿って異なっていてもよい。 この実施形態によれば、オキシアルキレン鎖は、異なるオキシアルキレン基のブロック又はランダムコポリマ-であってもよい。
【0075】
通常、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位のコポリマー鎖が使用される場合、使用されるオキシエチレン単位のモル比率は少なくとも50%、より通常は少なくとも70%であろう。
【0076】
(ポリ)アルキレンオキシド鎖中のアルキレンオキシド残基の総数は、好ましくは2~50、より好ましくは5~40、特に10~25の範囲であろう。
【0077】
アクリル酸エステルとオキシアルキレンとの非イオン性グラフトコポリマーの分子量は、典型的には5,000~40,000、特に7,000~30,000、さらに詳しくは8,000~25,000、特に約9,000~18,000である。
【0078】
アクリル酸エステルとオキシアルキレンとの任意の非イオン性グラフトコポリマーを使用することができる。 好ましくは、コポリマーは、非イオン性ポリメチルメタクリレート-ポリエチレンオキシドグラフトコポリマーであり得る。
【0079】
本発明による製剤に使用するための農薬活性物質は、疎水性固体農薬活性物質である。 これらは、室温で固体である農薬活性化合物である。
【0080】
農業化学では、オクタノールと水の 2 つの溶媒における非イオン化溶質の濃度比の対数が農薬の親油性の指標として使用され、オクタノール/水係数 logP として知られている。 農薬活性物質は、2.5を超えるlogP値を有し得る。 より好ましくは、2.5~4.5の範囲である。
【0081】
農薬活性物質とは、本発明の文脈において植物保護剤である殺生剤を指し、より具体的には、医学、農業、林業、及び蚊の防除などの分野で使用される、さまざまな形態の生物を殺すことができる化学物質を指す。 いわゆる植物成長調節剤も殺生物剤のグループに含まれる。
【0082】
本発明の農薬製剤に使用する殺生物剤は、典型的には以下の2つのサブグループに分けられる:
●殺菌剤(fungicides)、除草剤、殺虫剤(insecticides)、殺藻剤、殺虫剤(moluscicides)、殺ダニ剤、殺鼠剤を含む殺虫剤(pesticides)、及び
● 殺菌剤(germicides)、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤、抗寄生虫剤を含む抗菌剤(antimicrobials)。
【0083】
特に、殺虫剤、殺菌剤、又は除草剤から選択される殺生物剤が特に好ましい場合がある。
【0084】
本発明において、疎水性固体農薬とは、水に極わずかに溶解するか、又はほとんど溶解しないものを意味する。
【0085】
本発明で使用するための典型的な農薬には以下が含まれる:
除草剤、例えば、フルフェナセット、オクタン酸ブロモキシニル、トリフルラリン、ベンフルラリン、イソウロン、メトリブジン、ダイムロン、アメトリン、ジクロバニル、アラクロール、リニュロン、ジウロン;
殺菌剤、例えばイソプロチオラン、クロロタロニル; ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、プロチオコナゾール、エポキシコナゾール、テブコナゾール、プロクロラズ、ペンコナゾール、フルシラゾール、メトコナゾール、トリアジメノール、ヘキサコナゾール、フルトリアゾール、トリフルミゾールから選択されるアゾール系殺菌剤; フェンブコナゾール、ブロムコナゾール、フルキンコナゾール、アザコナゾール、トリチコナゾール、トリアジメフォン、及びイミベンコナゾール; クレソキシムメチルやピラクロストルビンなどのストロビルリン類似体;マネブ、マンコゼブ、ジラム、ティラム;
殺虫剤、例えば、ジメチルエチルスルフィニルイソプロピルチオホスフェート、メトルカルブ、ホサロン、ブプロフェジン、アゾキシストロビン、メチルイソチオシアネート;
及びそれらの混合物。
【0086】
最も好ましくは、本発明の農薬製剤中に存在する活性物質は、以下から選択される:フルフェナセット又はメトリブジンなどの除草剤;ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、プロチオコナゾール、アゾキシストロビンなどのアゾール系殺菌剤; 又はブプロフェジン又はアゾキシストロビンなどの殺虫剤。
【0087】
特に、アゾキシストロビンなどの活性物質とシプロコナゾール及び/又はジフェノコナゾールとの組み合わせが好ましい場合がある。
【0088】
殺虫剤や殺菌剤などの農薬活性化合物は、活性化合物が植物や標的生物に取り込まれることを可能にする製剤を必要とする。
【0089】
本明細書で使用される「農薬製剤(agrochemical formulation)」という用語は、活性農薬を含む組成物を指し、濃縮物及びスプレー製剤を含むあらゆる形態の組成物を含むことが意図される。 特に明記しない限り、本発明の農薬製剤は、濃縮液、希釈濃縮液、又は噴霧可能な製剤の形態であってもよい。
【0090】
本発明の分散剤は、少なくとも1つの農薬活性物質を含む農薬製剤を形成するために他の成分と組み合わせることができる。
【0091】
本発明の製剤は、水性懸濁型製剤である。 濃縮形態では、これらは一般的に水不溶性活性成分を分散するために使用され、分散液は水相に直接存在するか、固体支持体に吸収又は吸着されるか、マイクロカプセル化された液体又は活性物質の溶液として存在する。 これらは一般的に懸濁濃縮物(SC)として知られており、活性化合物が固体として存在する。
【0092】
これらの水性農薬濃縮物は、水(又は水ベースの液体)で希釈して対応する噴霧製剤を形成するように設計された農薬組成物である。
【0093】
スプレー製剤は、植物又はその環境に適用することが望ましい全ての成分を含む水性農薬製剤である。 スプレー製剤は、目的の成分 (水以外) を含む濃縮物を単純に希釈するだけで作成できる。
【0094】
従って、分散剤は、農薬活性化合物の製剤(缶内/内蔵製剤)に組み込むことができる。
【0095】
顧客のニーズに応じて、このようにして形成された濃縮物は、典型的には、濃縮物の総重量に基づいて最大95重量%の農薬活性物質を含むことができる。 好ましくは、濃縮物は20~80重量%の活性物質を含み得る。 より好ましくは、30重量%~60重量%の活性物質である。 最も好ましくは、40重量%~50重量%の活性物質である。
【0096】
前記濃縮物は、使用のために希釈して、約0.5重量%~約1重量%の農薬活性濃度を有する希釈組成物を得ることができる。 前記希釈組成物(例えば、噴霧散布量が10~500リットル/ヘクタールであり得る噴霧製剤)において、農薬活性濃度は、噴霧される総製剤の約0.001重量%~約1重量%の範囲であり得る。
【0097】
本発明のコポリマー分散剤は、典型的には、製剤中の活性農薬の量に比例する量で使用される。 農薬製剤濃縮物では、分散剤の割合は液体担体中の成分の溶解度に依存する。 典型的には、そのような濃縮物中のコポリマー分散剤の濃度は1重量%~20重量%であろう。 好ましくは、1.5重量%~10重量%である。 より好ましくは、濃縮物の総重量に基づいて2重量%~5重量%である。
【0098】
本発明による組成物中に存在するリン酸エステルの濃度は、濃縮物の総重量に基づいて、好ましくは0.5~20%、より好ましくは0.6~10%、特に1.8~5%、とりわけ1~3%の範囲である。
【0099】
濃縮物配製剤中に存在する場合、そのような濃縮物中のグラフトコポリマーの濃度は、0.2重量%~10重量%であろう。 好ましくは、0.4重量%~6重量%である。 より好ましくは、濃縮物の総重量に基づいて0.5重量%~2重量%である。
【0100】
濃縮物中の分散剤とリン酸エステルの重量比は、好ましくは約4:1~約1:1である。 より好ましくは、それぞれ約3.5:1~約1.2:1である。 特に、分散剤とグラフトコポリマーとの重量比は3:1~1.5:1であってよい。 最も好ましくは、2.5:1~1.8:1である。
【0101】
濃縮物中に分散剤が存在する場合の非イオン性グラフトコポリマーに対する分散剤の重量比は、好ましくは約5:1~約1.5:1である。 より好ましくは、それぞれ約4:1~約1.8:1である。 特に、分散剤対グラフトコポリマーの重量比は、3.5:1~2.5:1であってよい。
【0102】
分散剤、リン酸エステル、及び存在する場合にはグラフトコポリマーの合計と、濃縮物及び希釈濃縮農薬製剤中の活性農薬との重量比は、好ましくは約0.05:1~約0.2:1である。 より好ましくは、約0.7:1~約0.15:1である。 この比率範囲は、一般的に、製剤の濃縮形態(例えば、アジュバントが分散性液体濃縮物又は分散性固体顆粒製剤に含まれる場合)及びスプレー製剤において維持される。
【0103】
濃縮物(固体又は液体)が活性農薬及び/叉は分散剤及びグラフトコポリマーの供給源として使用される場合、典型的には濃縮物を希釈してスプレー製剤を形成する。 希釈は、スプレー製剤を形成するための水の濃縮物の総重量の1~10,000倍、特に10~1,000倍であってもよい。
【0104】
農薬活性物質が水性最終用途製剤中に固体粒子として存在する場合、最も一般的には、それは主に活性農薬の粒子として存在するであろう。 しかし、必要に応じて、活性農薬を固体担体、例えばシリカ又は珪藻土上に担持することができ、これは上述の固体担体、充填剤又は希釈剤であり得る。
【0105】
スプレー製剤は、典型的には、中程度の酸性(例えば、約3)から中程度のアルカリ性(例えば、約10)の範囲内のpH、特に中性付近(例えば、約5~8)のpHを有する。 より濃縮された製剤は、同様の程度の酸性/アルカリ性を有するが、それらは主に非水性である可能性があるため、pH は必ずしもこれの適切な尺度ではない。
【0106】
特に問題となるのは、比較的短期間の保存中に有効成分が「オストワルド熟成(Ostwald ripening)」することによる結晶成長の障害である。 「オストワルド熟成」による結晶成長は一般的に、小さな結晶(大きな結晶よりも表面積が大きい)が水相に溶解し、材料が連続相を通って大きな結晶の核生成サイトに輸送されるときに発生する。その結果、有効成分の結晶が凝集して沈殿し、製剤が不均一になることがあり; 散布中にスプレー装置のフィルターやノズルが詰まり、生物学的有効性が低下する可能性がある。 水性懸濁濃縮物において、分散剤の目的は、結晶サイズの過剰な増大を防ぐことである。
【0107】
驚くべきことには、本発明の分散剤の組み合わせは、「オストワルド熟成」による結晶成長の傾向を有する活性成分の結晶成長を遅らせる及び/又は停止させる効果があることも判明した。
【0108】
特に、分散剤の組み合わせは、特定の親油性の活性物質、すなわち、疎水性で分散性の悪い活性物質の結晶成長阻害に有用である。 農薬化学では、オクタノールと水の 2つの溶媒における非イオン化溶質の濃度比の対数が農薬の親油性の指標として使用され、オクタノール/水係数、Ko/w 又は logP として知られている。 本発明のポリマーは、50~1100g/Lの少なくとも1種のlogPが-1.5~+6である農薬を含有する水性農薬製剤の調製に使用される。
【0109】
パラメータ Ko/w 又は log P の評価により、結晶化のリスクを予測できる。 このリスクは、具体的には、EC 叉は EW 5 ml を水 95 ml で希釈し、冷蔵庫(1℃)に保管し、7日後にこのエマルションを 5μm のフィルターに通した場合に何が起こるかを指す。 これらの実験パラメータは、主に、オクタノール/水分配係数Ko/w又はlogPとして知られる、水又はオクタノールにおける可溶化の優先傾向を指す。本発明が有効であるlogPの値の範囲は、2.5~4.5の間のlogPを有する農薬をカバーする。
【0110】
製剤はまた、顔料、染料、微量栄養素、農薬活性剤、増量剤、及びそれらの組み合わせから選択される追加の成分を含んでもよい。
【0111】
農薬製剤は、モノプロピレングリコールなどの溶媒(水以外)、スプレー油(非界面活性剤アジュバントとしてスプレー製剤に含まれる油)などの植物油又は鉱油であり得る油を、第1及び共アジュバントと組み合わせて含んでもよい。 使用される場合、そのような溶媒は、典型的には、分散剤の重量の5重量%~500重量%、望ましくは10重量%~100重量%の量で含まれるであろう。 このような組み合わせには、特にゲル阻害助剤として、塩化アンモニウム及び/又は安息香酸ナトリウム、及び/又は尿素などの塩も含まれ得る。
【0112】
農薬製剤はまた、所望に応じて他の成分を含んでもよい。 これらの他の成分は、次のものから選択できる:
・結合剤、特にポリビニルピロリドンなどの、高結合剤濃度で低粘度の溶液を与えるために容易に水に溶ける結合剤;ポリビニルアルコール; カルボキシメチルセルロース; アラビアゴム;砂糖、例えばスクロース又はソルビトール;スターチ; エチレン酢酸ビニルコポリマー、スクロース及びアルギネート;
・カーボンブラックなどの希釈剤、吸収剤、又は担体;タルク; 珪藻土; カオリン; ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウム; トリポリリン酸ナトリウム; 四ホウ酸ナトリウム;硫酸ナトリウム; ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム及び混合ケイ酸ナトリウム-アルミニウム; 及び安息香酸ナトリウム;
・界面活性剤などの崩壊剤、水中で膨潤する物質、例えばカルボキシメチルセルロース、コロジオン、ポリビニルピロリドン、微結晶セルロース膨潤剤;酢酸ナトリウム又は酢酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸塩又はセスキ炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウム及びリン酸水素二カリウムなどの塩;
・湿潤剤、例えばアルコール エトキシレート及びアルコール エトキシレート/プロポキシレート湿潤剤;
・分散剤、例えばスルホン化ナフタレンホルムアルデヒド縮合物及びアクリルコポリマー、例えばポリアクリル主鎖上にキャップされたポリエチレングリコール側鎖を有する櫛型コポリマー;
・乳化剤、例えばアルコールエトキシレート、ABA ブロックコポリマー、又はヒマシ油エトキシレート;
・消泡剤、例えば、典型的には製剤の0.005重量%~10重量%の量でのポリシロキサン消泡剤;
・市販の水溶性又は混和性ガムなどの粘度調整剤、例えばキサンタンガム、及び/又はセルロース誘導体、例えば カルボキシ-メチル、エチル又はプロピルセルロース; 及び/又は
・防腐剤及び/又は抗菌剤、例えば有機酸、又はそれらのエステル又は塩、例えばアスコルビン酸、例えばパルミチン酸アスコルビル、
ソルビン酸、例えばソルビン酸カリウム、安息香酸、例えば安息香酸カリウム、及び4-ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピル、プロピオン酸、例えばプロピオン酸ナトリウム、フェノール、例えば2-フェニルフェニルナトリウム; 1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン; 又はホルムアルデヒドそのもの又はパラホルムアルデヒド; 又は、無機材料、例えば亜硫酸及びその塩、典型的には製剤の0.01重量%~1重量%の量で含む。
【0113】
本発明による農薬製剤はまた、成分を含んでもよい。 前記界面活性剤には、界面活性剤分散剤が含まれていてもよい。
【0114】
界面活性剤アジュバントなどの他のアジュバントを、本発明の組成物及び製剤に含めて、本発明で使用することができる。 例には、以下が含まれる:アルキル多糖類 (より適切にはアルキルオリゴ糖と呼ばれる) ;脂肪族アミンエトキシレート、例えばココナッツアルキルアミン2EO; 及びアルキル(アルケニル)無水コハク酸の誘導体、特にPCT出願WO94/00508及びWO96/16930に記載されているもの。
【0115】
製剤は少なくとも1つの栄養素を含んでもよい。 栄養素とは、植物の成長を促進又は改善するために望ましい又は必要な化学元素及び化合物を指す。 栄養素は一般的に多量栄養素又は微量栄養素として説明される。 本発明による濃縮物に使用するのに適した栄養素は、微量栄養素化合物、好ましくは室温で固体であるか、又は部分的に可溶性であるものである。
【0116】
微量栄養素は通常、微量金属又は微量元素を指し、低用量で適用されることがよくある。 適切な微量栄養素には、亜鉛、ホウ素、塩素、銅、鉄、モリブデン、及びマンガンから選択される微量元素が含まれる。 本発明の分散剤は、あらゆる種類の微量栄養素に広範囲に適用可能であることが想定される。
【0117】
微量栄養素は、可溶性の形態であっても、不溶性の固体として含まれていてもよく、塩又はキレートの形態であってもよい。 微量栄養素は炭酸塩又は酸化物の形態であることが好ましい。
【0118】
好ましくは、微量栄養素は、亜鉛、カルシウム、モリブデンもしくはマンガン、又はマグネシウムから選択され得る。 本発明で使用するのに特に好ましい微量栄養素は、酸化亜鉛、炭酸マンガン、酸化マンガン、又は炭酸カルシウムから選択することができる。
【0119】
濃縮物中の微量栄養素の量は、濃縮物全体に基づいて、典型的には5重量%~40重量%、より一般的には10重量%~35重量%、特に15重量%~30重量%である。
【0120】
通常、製造時に製剤に混合される固体農薬の平均粒径は 50μm ~ 100μm であるが、製剤は通常、混合後に湿式粉砕して平均粒径を 1μm ~ 10μm、 より好ましくは 1μm~5μmに小さくする。
【0121】
本発明の製剤はまた、少なくとも1つの主要栄養素を含んでもよい。 多量栄養素は通常、窒素、リン、及びカリウムを含むものを指し、硫酸アンモニウムなどの肥料や水質調整剤が含まれる。 適切な多量栄養素には、肥料、その他の窒素、リン、又は硫黄含有化合物、及び水質調整剤が含まれる。
【0122】
適切な肥料には、窒素、リン、カリウム、又は硫黄などの栄養素を提供する無機肥料が含まれる。 このような肥料の例は次のとおりである:
栄養素としての窒素の場合:硝酸塩及び/又は硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩(例えばウラン型材料として尿素と組み合わせたものを含む)、硝酸カルシウムアンモニウム、硝酸硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、特にリン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム及び ポリリン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、及びあまり一般的ではないが、硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、及び塩化アンモニウム;
栄養素としてのリンの場合:リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などの酸性形態のリンであるが、より一般的にはリン酸アンモニウム、特にリン酸モノアンモニウム、リン酸二アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸カリウム、特にリン酸二水素カリウム及びポリリン酸カリウムなどの塩の形態;
栄養素としての硫黄の場合: 硫酸アンモニウム及び硫酸カリウム、例えばマグネシウムと混合硫酸塩。
【0123】
生体刺激物質は、呼吸、光合成、核酸の取り込み、イオンの取り込み、栄養素の送達、又はそれらの組み合わせなどの代謝又は生理学的プロセスを強化する可能性がありる。 生体刺激物質の非限定的な例としては、海藻抽出物(例えば、アスコフィラム・ノドサム)、フミン酸(例えば、フミン酸カリウム)、フルボ酸、ミオイノシトール、グリシン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0124】
本発明はさらに、第1の側面の製剤を使用して植物を処理する方法を含む。
【0125】
従って、本発明はさらに、以下を含む使用方法を含む:
・少なくとも1つの分散相農薬及び第1の側面のアジュバントを含むスプレー製剤を、植生又は植生の直接の環境、例えば植生の周囲の土壌に適用することによって、植生を枯らす又は抑制する方法; 及び/又は
・1つ以上の殺虫剤、例えば殺虫剤、例えば殺昆虫剤、殺真菌剤又は殺ダニ剤、及び第1の側面のアジュバントである少なくとも1つの分散相農薬を含むスプレー製剤を植物又は植物の周囲の土壌などに適用することによって、植物の害虫を殺すか阻害する方法。
【0126】
本明細書で使用される「分散剤」又は「分散性」という用語は、農薬製剤に添加されると、農薬の所望の効果を向上させる化合物を指す。 分散剤は、活性物質の性能を向上させることにより、希釈剤、混合物、活性物質、又は標的に影響を与える可能性がある。
【0127】
好ましくは、本発明の分散剤は、農薬濃縮物に直接配合される場合、唯一の成分又は主要な分散機能剤として使用することができる。
【0128】
本発明の材料は、農業用濃縮物中でより容易に希釈され、濃縮物中で、又は噴霧前に水に希釈する際に、水系においてより低い流体粘度を進行する。 この動作により、製造時と、特に冷水域でのそれらを含む製品の希釈時との両方での使いやすさが向上する。 泡安定性の低下も観察され、泡制御剤の必要性が減少する。 本発明の分散剤は、望ましくない増粘や不安定化を生じることなく農薬製剤に添加することができる。
【0129】
分散液は水溶解度の低い固体の粒子を含むため、粒径及び分布は分散液の安定性を反映する因子であることが理解されるであろう。 長期にわたって分散液の安定性を確保するには、粒子が均一に分布していることが重要である。 さらに、効果的な分散剤により、粒子が集まって相分離を引き起こすことがなくなる。 従って、粒子サイズが小さく、粒子分布が均一で、時間の経過による粒子サイズの成長が制限された分散液は、より安定した分散液である可能性がある。
【0130】
粒子サイズの分布の形では、粒子は体積粒子直径の中央値を有する。 体積粒径中央値は、集団を正確に2等分する分布上の点に対応する等価球直径を指すことが理解されるであろう。 これは、体積パーセントを粒子の直径に関連付ける累積分布曲線上で読み取られる、すべての粒子の体積の 50% に対応する点である。つまり、分布の 50% がこの値を上回り、50% がこの値を下回る。 この値は「D(v,0.5)」値と呼ばれ、本明細書に記載されているように決定される。
【0131】
さらに、「D(v,0.9)」値も参照でき、これらの値は、体積パーセントと粒子の直径を関係付ける累積分布曲線から読み取られる、全粒子の体積の 90% に相当する等価球直径になり、つまり、分布の10% がこの値を上回り、90% がこの値を下回る点である。
【0132】
D(v、0.5)及びD(v、0.9)値を決定するために使用される粒子サイズ値は、本明細書でさらに詳細に説明される技術及び方法によって測定される。 以下に定義される粒子サイズの値は、実施例に示されるように、合計4.82重量%の分散剤及びグラフトコポリマーに基づいていることが理解されるであろう。
【0133】
所望の特性を有する分散液を得るには、1~10μmの粒径が好ましいことが一般に知られている。
【0134】
本発明の分散剤中に存在する粒子は、0日で0.1μm~8.0μmの範囲の初期D(v,0.5)値を有し得る。 好ましくは、0.1μm~7.0μmの範囲である。 より好ましくは、1μm~6.0μmの範囲である。 最も好ましくは、1μm~6.0μmの範囲である。
【0135】
本発明の分散剤中に存在する粒子は、0日で1.0μm~14.0μmの範囲のD(v,0.9)値を有し得る。 好ましくは2.0μm~10.0μmの範囲である。 より好ましくは、3.0μm~8.0μmの範囲である。
【0136】
本発明の分散剤中に存在する粒子は、54℃、7日間で1.0μm~20.0μmの範囲のD(v,0.5)値を有し得る。 好ましくは、2.0μm~18.0μmの範囲である。 より好ましくは、3.0μm~15.0μmの範囲である。 最も好ましくは、3.5μm~13.0μmの範囲である。
【0137】
本発明の分散剤中に存在する粒子は、54℃、7日間で3.0μm~20.0μmの範囲のD(v,0.9)値を有し得る。 好ましくは4.0μm~15.0μmの範囲である。 より好ましくは、5.0μm~8.0μmの範囲である。 最も好ましくは、5.0μm~7.0μmの範囲である。
【0138】
本発明の分散剤中に存在する粒子は、54℃で保存した場合、0日~7日の間のD(v,0.5)及びD(v,0.9)のいずれか又は両方の変化が300%以下、好ましくは200%以下、最も好ましくは150%以下である。
【0139】
従って、本発明の分散剤は、エマルジョン濃縮物にとって望ましい範囲内の良好な粒径及び粒径分布を提供する。 さらに、本発明のエマルジョンは、長期保存下でも所望の粒子サイズ及び粒子サイズ分布を維持する。
【0140】
本明細書で説明されるすべての特徴は、任意の組み合わせで、上記の側面のいずれかと組み合わせることができる。
【0141】
本発明をより容易に理解できるように、例として以下の説明を参照する。
【0142】
本明細書に別段の記載がない限り、又は参照される試験方法及び手順に別段の記載がない限り、列挙された全ての試験及び物理的特性は、大気圧及び室温(すなわち、25℃)で測定されたものであることが理解されよう。
【0143】
以下の試験方法を使用して、アジュバント組成物の性能を決定した。
【実施例】
【0144】
製剤は、室温 (RT) で 24 時間保存した後、及び 54 °C で 7 日間及び 14 日間保存した後に試験され、以下について評価された:
- 分離のための視覚的評価
-pH (純度)
-粘度 (ニート、ブルックフィールド粘度計、10rpm 及び 100rpm)
-粒度分布 (PSD、Malvern Mastersizer、ウォーターセル SM2000)
-懸濁性(CIPAC MT 180 による)
- 顕微鏡検査 (10% 希釈、オリンパス BX51 顕微鏡、20x 偏光)
【0145】
蓄熱後に分離したサンプルは、試験を完了する前に約15分間回転させた (60 rpm、ベンチトップ ローラー)。 さらに、1 日目と14 日目のサンプルのレオロジー性能 (TA Discovery DHR-3 レオメーター、DIN 同心シリンダー、振動、クリープ、流れ) についても評価した。
【0146】
結晶成長を促進するように設計された条件下での結晶成長の可能性についてもサンプルを評価した。 全てのサンプルは、CIPAC D 硬水 (342ppm Ca+ 及び Mg+) で 0.1% に希釈された。 サンプルを0℃及び54℃で保存し、保存後1日及び7日後に粒子サイズを評価した(Malvern Mastersizer 3000、ウォーターセルSM2000)。
【0147】
例では次の材料が使用された:
分散剤:
D1-コポリマー分散剤 - MPEG-MA、AMPS、アクリル酸、スチレンのコポリマー
D2-非イオン性グラフトコポリマー - メタクリル酸とメトキシポリオキシエチレンメタクリレートを含むメチルメタクリレートポリマー
リン酸エステル湿潤剤:
W1 - PEG-10 PPG-5 リン酸セチル
W2 - PEG-6 トリデシルモノ/ジホスフェート
W3 - PEG-12 リン酸ヒマシ油
W4 - PEG-10 PPG-5 セチルリン酸ナトリウム塩
その他の材料:
フルフェナセット-アクティブ (Glentham Life Science)
プロチオコナゾール-アクティブ (Glentham Life Science)
Silcolapse 5020 - 消泡剤
プライスリン 9091- 不凍液
プロクセルGXL- 殺生物剤
Kelzan RD - レオロジー調整剤
【0148】
形成される製剤:
活性物質に対して合計10%の界面活性剤負荷(フルフェナセットについては15%)を、3:1の比(分散剤:湿潤剤)で使用した。 分散剤、湿潤剤、及び水を合わせて、完全に溶解するまで混合した(低剪断混合、500rpm)。 他の全ての成分を加え、へらで手で混合して流動させた。
【0149】
製剤を高剪断で2分間混合した(Ultra Turrax、13,500rpm)。 所望の粒径d 0.9 <10μmが達成されるまで、製剤を粉砕した(Eiger Mini Mill、3,000rpm)。 これは、製剤を約10分間粉砕することによって達成された。
【0150】
キサンタンガムは、10%の水相とプリセリンを使用して別のバイアルで生成され、粉砕後に混合物に均質化された。
【0151】
以下の製剤を製造した。ここで、F1~F5及びP1~P5は本発明の製剤である。
【0152】
【0153】
【0154】
結果:
表 1 及び 2 の濃縮製剤に関して次の結果が得られた。
【0155】
【0156】
表3は、本発明のコア成分だけで粒径/結晶成長が制御下に留まり、任意の成分を組み込むと分散性能と遅い結晶成長(PSDの増加が小さい)の点でさらなる相乗効果が改善されることを示している。 製剤は室温で 14 日間、高温で 14 日間の両方で保存された。 この製剤は、さまざまなリン酸エステル成分を使用しているにもかかわらず、粘度の変化がほとんどなく、懸濁性の低下はほとんどなく、粒子サイズの制御が良好であった。
【0157】
【0158】
表 4 は、室温で14日間、及び高温で14日間の両方で、製剤における分散性能と遅い結晶成長 (PSD の増加が小さい) に関して相乗的な改善を示している。 本発明の基本部分を含む製剤P2は、製剤の結晶成長に対する商業的に許容可能な制御を示す。 他の製剤は、懸濁性の低下があったとしてもほとんどなく、任意の成分を含めた場合の粘度の変化もほとんどなく、より良好な粒子サイズを示した。
【0159】
結晶成長の結果:
次に、表1及び2の濃縮物を希釈し、粒径分散を低温及び高温で7日間にわたって再度測定した。 粒子サイズ分散の結果を表 5及び6に示す (D(v,0.5) 及び D(v,0.9)値はμmである)。
【0160】
【0161】
表5は、農薬活性フルフェナセットを用いて試験した全ての製剤についての結晶成長の結果を示す。 結果は、本発明の製剤が7日間にわたって許容可能な粒径分散を有し、従って良好な結晶成長抑制を有することを明確に示している。 このことから、濃縮液を5%に希釈しても結晶成長抑制効果が見られることがわかる。 オプションの成分を組み込むと、さらなる改善が見られる。
【0162】
【0163】
表6は、農薬活性プロチオコナゾールを用いて試験した全ての製剤の結晶成長の結果を示す。 結果は、本発明の製剤が7日間にわたって良好な粒径分散を有し、従って良好な結晶成長抑制を有することを明確に示している。 このことから、濃縮液を5%に希釈しても結晶成長抑制効果が見られることがわかる。 オプションの成分を組み込むと、さらなる改善が見られる。
【0164】
本発明は、例としてのみ説明された上記の実施形態の詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。 多くのバリエーションが可能である。
【国際調査報告】