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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】フレキシブルスコープ装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20241024BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61B1/04 511
A61B1/00 711
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526783
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 SG2022050784
(87)【国際公開番号】W WO2023075705
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10202111999X
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521419880
【氏名又は名称】ビボ・サージカル・プライベート・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VIVO SURGICAL PRIVATE LIMITED
【住所又は居所原語表記】67 Ayer Rajah Crescent #01-01/02 Singapore 139950 Singapore
(71)【出願人】
【識別番号】507189666
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】524163993
【氏名又は名称】ヒァン・クーン・タン
【氏名又は名称原語表記】TAN,Hiang Khoon
【住所又は居所原語表記】5,Hacienda Grove,#04-02,Singapore 457911 Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヒァン・クーン・タン
(72)【発明者】
【氏名】ロンシェン・ケビン・コー
(72)【発明者】
【氏名】シャン-ロン・リチャード・リュー
(72)【発明者】
【氏名】ジャナニ・ベンカテサン
(72)【発明者】
【氏名】ワルター・ツォン・リー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161DD03
4C161FF11
4C161HH32
4C161NN05
4C161VV02
4C161VV03
4C161VV06
(57)【要約】
携帯型医療用内視鏡が提供され、これは、近位端と遠位端を有する可撓部であって、前記遠位端で湾曲部及び先端を含み、前記先端が撮像装置を含む、可撓部と、前記可撓部の前記近位端に配置された制御部と、前記制御部と取り外し可能に係合するように構成された、着脱式モニタとを含み;前記制御部は、(i)前記湾曲部及び前記先端に結合された角度形成機構であって、前記先端の動きを制御する角度形成機構、及び(ii)ピストルグリップ構成のハンドルを含み、前記可撓部及び前記制御部が一体的に形成され、防水性を有し、高レベルの消毒条件に耐えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型医療用内視鏡であって、
近位端と遠位端を有する可撓部であって、前記遠位端で湾曲部及び先端を含み、前記先端が撮像装置を含む、可撓部と、
前記可撓部の前記近位端に配置された制御部と、
前記制御部と取り外し可能に係合するように構成された、着脱式モニタと
を含み;
前記制御部は、
(i)前記湾曲部及び前記先端に結合された角度形成機構であって、前記先端の動きを制御する角度形成機構、及び
(ii)ピストルグリップ構成のハンドル
を含み、
前記可撓部及び前記制御部が、高レベルの消毒条件に耐えることができる、携帯型医療用内視鏡。
【請求項2】
前記湾曲部は複数の椎骨からなることを特徴とする請求項1に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項3】
前記複数の椎骨がヒンジによって互いに結合されている、請求項2に記載の携帯型医療用内視鏡装置。
【請求項4】
前記先端は、ステンレス鋼製であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項5】
前記ステンレス鋼は、SUS304であることを特徴とする、請求項4に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項6】
前記撮像装置は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項7】
前記湾曲部は、析出硬化型ステンレス鋼からなることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項8】
前記析出硬化型ステンレス鋼は、SUS631であることを特徴とする、請求項7に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項9】
前記湾曲部は、湾曲ゴムで覆われていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項10】
前記湾曲ゴムは、高性能フッ素エラストマーからなることを特徴とする、請求項9に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項11】
前記高性能フッ素エラストマーがバイトン(商標)であることを特徴とする、請求項10に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項12】
前記制御部は、内部の圧力を測定するための圧力弁をさらに含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項13】
前記着脱式モニタは、LCDモニタであることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項14】
前記着脱式モニタは、充電式バッテリを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項15】
前記角度形成機構は、
前記先端の角度を制御するように構成されたレバーと、
前記レバー及び一対の角度形成ワイヤと結合されたクランクシャフトと
を含み、
前記一対の角度形成ワイヤは前記制御部から前記先端まで延び、
前記レバーの変位により前記クランクシャフトが作動し、前記一対の角度形成ワイヤが移動し、それによって前記先端が角度形成される、請求項1~14のいずれか1項に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項16】
前記角度形成機構により、前記先端を単一平面上で2方向に最大150度まで角度形成することができ、合計300度の角度形成をすることができる、請求項1~15のいずれか1項に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項17】
前記可撓部と前記制御部は一体的に形成され、高レベルの消毒条件に耐えることができる単一の物品を形成する、請求項1~16のいずれか1項に記載の携帯型医療用内視鏡。
【請求項18】
さらに、前記撮像装置の機能を起動するために前記制御部に配置された1つ以上のボタンを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の携帯型医療用内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月28日に出願されたシンガポール出願第10202111999X号の優先権の利益を主張し、その内容はあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、フレキシブルスコープに関する。特に、本発明は、低コストで持ち運び可能で再利用可能な可撓性内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0003】
発展途上国では、ほとんどの患者は、地方及び地方の診療所/病院で頭頸部癌(HNC)の完全な検査を受けることができない。その理由は、これらの一次治療施設に適切な設備がないためである。患者は基本的な検査のために国立病院や中央病院に紹介されるが、これらの三次レベルの施設では過密と過重な負担が生じることがよくある。これらの三次医療センターでは、ほとんどが地元の施設で治療又は対処できたはずの問題を抱えていることが判明している。さらに、三次レベルの治療を必要とするHNC患者の治療は、国立と中央施設の過負荷による移動時間、費用、待ち時間により遅れる可能性がある。
【0004】
現在、三次医療センターにおける再利用可能な可撓性内視鏡システムの価格は約5万ドル以上であり、大きくて重いため、その使用は単一の部屋に限定されている。このようなシステムは先進国ではがんの臨床検査の標準治療として使用されているが、低中所得国(LMIC)では可撓性内視鏡システムのコストが高いため、状況が異なる。
【0005】
高価でかさばる再利用可能な可撓性内視鏡システムに対する典型的な代替解決策は、ビデオパッドに接続された使い捨ての可撓性内視鏡の使用である。使い捨て可撓性内視鏡は、再利用可能な同等の内視鏡よりも手頃な初期設備投資で提供される。しかし、これらの使い捨て内視鏡は使い捨ての使い捨て部分を備えているため、これらのシステムは長期的には再利用可能な可撓性内視鏡と比較して高価になり、環境的に持続可能ではないため、これらの使い捨て内視鏡はLMICには適していない。
【0006】
通常、LMICでは、臨床医は、可撓性内視鏡システムよりも若干手頃な硬性内視鏡システムを使用する。ただし、スコープの硬性の性質により、柔軟なスコープと比較すると、快適さ、多用途性、使いやすさに欠ける。硬性鏡は通常、検査中に中咽頭と喉頭を観察しやすいように、鏡の端に角度の付いたレンズを備えた金属シャフトで構成されている。硬性鏡は、患者が舌を突き出し、医療提供者が舌を押さえながら口から挿入される。硬性内視鏡による検査には、患者と検査する医師の両方にとって次のような重大な欠点がある:1)大多数の患者における咽頭反射の刺激、2)スコープの固定角度レンズによる上部気道消化管の視野の制限、3)医療提供者による舌の引っ込めによる喉頭機能の検査の制限、及び4)鼻腔及び鼻咽頭の腫瘍の検査の高度な難しさ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、必要とされているのは、低コストで、携帯可能で、再利用可能な可撓性内視鏡システムである。さらに、他の望ましい特徴及び特性は、添付の図面及び本開示の背景と併せて、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、携帯型医療用内視鏡を提供し、これは、近位端と遠位端を有する可撓部であって、前記遠位端で湾曲部及び先端を含み、前記先端が撮像装置を含む、可撓部と、前記可撓部の前記近位端に配置された制御部と、前記制御部と取り外し可能に係合するように構成された、着脱式モニタとを含み;前記制御部は、(i)前記湾曲部及び前記先端に結合された角度形成機構であって、前記先端の動きを制御する角度形成機構、及び(ii)ピストルグリップ構成のハンドルを含み、前記可撓部及び前記制御部は一体的に形成されて単一の物品を形成し、その単一の物品は防水性であり、高レベルの消毒条件に耐えることができる。
【0009】
一実施形態では、前記湾曲部は複数の椎骨を含む。
【0010】
一実施形態では、前記複数の椎骨はヒンジによって互いに結合される。
【0011】
一実施形態では、前記先端はステンレス鋼で作られている。
【0012】
一実施形態では、前記ステンレス鋼はSUS304である。
【0013】
一実施形態では、前記撮像装置は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサを含む。
【0014】
一実施形態では、前記湾曲部は、析出硬化型ステンレス鋼からなる。
【0015】
一実施形態では、前記析出硬化型ステンレス鋼はSUS631である。
【0016】
一実施形態では、前記湾曲部は、湾曲ゴムによって覆われている。
【0017】
一実施形態では、前記湾曲ゴムは、高性能フッ素エラストマーからなる。
【0018】
一実施形態では、前記高性能フッ素エラストマーはバイトン(商標)である。
【0019】
一実施形態では、前記制御部は、前記制御部の内部圧力を測定するための圧力バルブをさらに含む。
【0020】
一実施形態では、前記着脱式モニタはLCDモニタである。
【0021】
一実施形態では、前記着脱式モニタは充電式バッテリを含む。
【0022】
一実施形態では、前記角度形成機構は、前記先端の角度を制御するように構成されたレバーと、前記レバー及び一対の角度形成ワイヤと結合されたクランクシャフトとを含み、前記一対の角度形成ワイヤは前記制御部から前記先端まで延び、前記レバーの変位により前記クランクシャフトが作動し、前記一対の角度形成ワイヤが移動し、それによって前記先端が角度形成される。
【0023】
一実施形態では、前記角度形成機構により、前記先端を単一平面上で2方向に最大150度まで角度形成することができ、合計300度の角度形成をすることができる。
【0024】
一実施形態では、本明細書に記載の携帯型医療用内視鏡は、前記撮像装置の機能を起動するために前記制御部に配置された1つ又は複数のボタンをさらに含む。
【発明の効果】
【0025】
有利なことに、医療グレードの材料で作られ、サイズ及び寸法の点で耳鼻咽喉科での使用に適合することに加えて、本発明は、携帯可能であり(内視鏡スタックを必要としない)、コンパクトであり(着脱式LCDモニタを含む)、安価であり(臨床現場で通常必要とされる部品や精密機器が少なくて済む)、耐久性があり(以下に説明する角度形成機構とこの装置用に選択された材料の使用により、多数の曲げサイクルに耐えることができる)、耐薬品性があり(例えば、高レベルの消毒液に耐える能力)、使いやすい(部分的にはピストルグリップハンドルの構成による)ものである。
【0026】
本発明は、非限定的な実施例及び添付の図面と併せて考慮すると、詳細な説明を参照してよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本実施形態による携帯型医療用内視鏡の側面平面図を示す。
図2図2は、図1の携帯型医療用内視鏡の正面平面図を示す。
図3図3は、図1の携帯型医療用内視鏡の可撓部及び制御部の側面平面図を示す。
図4図4は、図3の携帯型医療用内視鏡の制御部の正面平面図を示す。
図5図5は、図3の携帯型医療用内視鏡の制御部及び可撓部の底面平面図を示す。
図6図6は、図3の携帯型医療用内視鏡の制御部及び可撓部の側面平面図を示す。
図7図7は、図3の携帯型医療用内視鏡の制御部の上面斜視図を示す。
図8図8は、図3の携帯型医療用内視鏡の制御部の側面断面図を示す。
図9図9は、図3の携帯型医療用内視鏡のコントローラハンドル内の角度形成機構の側面断面図を示す。
図10図10は、本実施形態に係る携帯型医療用内視鏡の可撓性部の遠位端の背面側斜視図を示し、遠位先端ブッシュ及び湾曲ゴムは図示されていない。
図11図11は、本実施形態による携帯型医療用内視鏡の遠位端の分解背面斜視図を示し、遠位先端ブッシュ及び湾曲ゴムは図示されていない。
図12図12は、本実施形態による携帯型医療用内視鏡の可撓部の側面図を示し、可撓部のシース(すなわち、外側カバー)が示されていない。
図13図13は、本実施形態による携帯型医療用内視鏡の可撓部の遠位端の背面側斜視図を示し、遠位先端ブッシュ、湾曲ゴム及びシースは示されていない。
図14図14は、本実施形態による携帯型医療用内視鏡の着脱式モニタの正面平面図を示す。
図15図15は、本実施形態による着脱式モニタの背面斜視図を示す。
図16図16は、本実施形態による着脱式モニタの正面側の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の詳細な説明は、本質的に単に例示的なものであり、本発明、又は本発明の応用及び使用を限定することを意図するものではない。さらに、本発明の前述の背景又は以下の詳細な説明で提示された理論に拘束される意図はない。本実施形態の目的は、低コストで再利用可能な携帯型医療用内視鏡を提供することである。
【0029】
本開示は、携帯型医療用内視鏡を提供し、これは、近位端と遠位端を有する可撓部であって、前記遠位端で湾曲部及び先端を含み、前記先端が撮像装置を含む、可撓部と、前記可撓部の前記近位端に配置された制御部と、前記制御部と取り外し可能に係合するように構成された、着脱式モニタとを含み;前記制御部は、(i)前記湾曲部及び前記先端に結合された角度形成機構であって、前記先端の動きを制御する角度形成機構、及び(ii)ピストルグリップ構成のハンドルを含み、前記可撓部及び前記制御部は一体的に形成され、防水性があり、高レベルの消毒条件に耐えることができる。
【0030】
本開示の装置又は内視鏡は、鼻咽頭内視鏡検査、気管支鏡検査、食道内視鏡検査、胃内視鏡検査、又は喉頭鏡検査を含むがこれらに限定されない様々な内視鏡処置に使用することができる。あるいは、身体の開口部の内部を観察するために使用することもできる。がん関連の用途とは別に、適用可能な手順には以下が含まれるが、これらに限定されない:術前及び術後の気道内視鏡検査(PEAE)、言語病理学のための嚥下光ファイバー内視鏡評価(FEES)、睡眠時無呼吸症に対する薬物誘発睡眠内視鏡検査(DIS)、口蓋帆咽頭機能不全(VPD)のチェック、及び内視鏡副鼻腔手術(ESS)後の術後検査。
【0031】
図1は、本実施形態による携帯型医療用内視鏡100(「内視鏡」又は「装置」としても知られる。)の側面図を示す。可撓部102は、「可撓性スコープ」又は「可撓性スコープ部分」としても知られる。制御部104は、「コントローラハンドル」としても知られる。一実施形態では、着脱式モニタ106はLCDモニタである。
【0032】
図2は、着脱式モニタ106が取り付けられた携帯型医療用内視鏡100の正面図を示す。
【0033】
着脱式モニタ106が無い携帯型医療用内視鏡100の実施形態が、図3(左側面図)、図4(正面図)、図5(底面図)及び図6(右側面図)に示されている。
【0034】
従来技術におけるほとんどの再利用可能な内視鏡は、動作させるために内視鏡スタックに接続する必要があり、このような従来技術の内視鏡の携帯性が制限されている。有利なことに、本開示の医療用内視鏡は、内視鏡スタックに接続する必要がなく、スタンドアロンの装置として使用される。制御部104に着脱可能な着脱可能モニタ106を有しており、医療用内視鏡を携帯可能にする。ユーザは、データをコンピュータに抽出することなく、着脱式モニタで写真やビデオを直接確認できる。
【0035】
可撓部
可撓部102は、「可撓性スコープ」としても知られている。本明細書で使用される場合、用語「スコープ」は、「プローブ」、「チューブ」又は「挿入チューブ」と交換可能に使用され得る。このようなスコープは、オリフィスの内部を観察するのに役立つ。一実施形態では、可撓部102は、4mm未満の小さな直径を有するように設計され、患者への容易かつ快適な挿入を可能にする。可撓部の直径は、1mmから15mmの範囲であってもよい。特に、様々な実施形態において、可撓部の先端は、約3.5mmの外径を有し得る。様々な実施形態において、可撓部102の挿入チューブの長さは約350mmであり得る。
【0036】
可撓部102は、制御部104と水密に係合するように適合されているか、又は制御部104と一体的に形成される(すなわち、単一の物品として形成される)。好ましい実施形態では、可撓部102は制御部104と一体的に形成される。有利なことに、着脱式モニタ106を取り外すと、可撓部102及び制御部104を流体中に完全に浸して高レベルの消毒を行うことができ、携帯型医療用内視鏡100を再使用可能にすることができる。
【0037】
図10に示すように、可撓部102は、遠位端で湾曲部1004に接続された先端1002(「スコープ先端」又は「可撓性先端」としても知られる)を含む。先端1002は、遠位先端ブッシュ1006によって覆われている。先端1002は可撓性であり、約3.5mmの外径を有し、単一平面上で2方向に最大150度(合計300度)の角度を付けることができ、これにより、エンドユーザはレトロフレックス方式で対象の体腔領域を包括的に観察できるようになる。この角度形成は、図11に示すように、2つの角度形成ストッパ1104(可撓性先端部1002の遠位先端ブッシュ1006に固定されている)に接続された2つの角度形成ワイヤ810を有する、制御部104内の角度形成機構によって可能になる。図12に示されるように、2つの角度形成ワイヤ810は、制御部104から可撓性先端部1002までワイヤを案内するために使用される2つのワイヤコイル1204の内側に収容される。有利なことに、角度形成機構により、先端1002の方向をユーザが制御できるようになる。
【0038】
本実施形態では、可撓部104の遠位端の湾曲部1004は、連続6ヶ月間で1日あたり最大100回の湾曲、合計18,000回以上の湾曲を可能にするように設計される。湾曲部1004の湾曲により、先端1002の角度形成が可能となる。湾曲部1004は、内視鏡の「椎骨」としても知られる。いくつかの金属バンドが、椎骨-空隙-椎骨を交互に配置する方法でヒンジで結合されている。この構成により、椎骨が垂直方向及び水平方向に動くことが可能になる。湾曲部1004の設計により、意図した平面内で移動するときは低摩擦が可能であるが、ねじり運動で力が加えられるときは高い抵抗が得られ、したがって、従来のリベット形式の湾曲部と比較して、湾曲部1004の寿命が延びる。有利なことに、湾曲部1004の設計により、湾曲サイクルの増加、耐久性、及び製造コストの低減が可能になる。
【0039】
図12に示すように、湾曲部1004は、可撓部の外側にある湾曲ゴム1202で覆われていてもよい。湾曲部1004の高耐久性には、湾曲部1004の設計に加えて、湾曲部1004及び湾曲ゴム1202の製造に使用される材料も寄与する。一実施形態では、湾曲部は、析出硬化型ステンレス鋼であるSUS631から構成されてもよい。このタイプの鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼などの他のタイプと比較して、著しく高い引張強度と降伏強度を提供することが知られている。一実施形態では、曲げゴム1202は、高い引張強度及び引裂抵抗を有する高性能フッ素エラストマーポリマーであるバイトン(商標)から構成される。
【0040】
有利なことに、高性能フッ素エラストマーを使用して湾曲ゴム1202を形成することにより、耐久性の向上(許容される曲げサイクル数の増加)、高レベルの消毒液に対する耐薬品性、及び湾曲ゴム1202の柔軟性の増大が可能になる。高性能フッ素エラストマーは、幅広い化学物質に対して高い耐性を備えた材料であり、再処理段階でのより多くの消毒サイクルに耐えることができる。これは、湾曲ゴム1202、ひいては携帯型医療用内視鏡100全体の耐久性の向上に寄与する。
【0041】
「フッ素エラストマー」とは、高温での連続使用に適した高度にフッ素化されたポリマーを含むことを意味する。フッ素エラストマーは、優れた耐熱性と難燃性を備え、老化、オゾン、酸化剤、油、及び多くの化学薬品に対する優れた耐性を備えている。また、ガス透過性が低く、圧縮永久歪も低い。
【0042】
先端部はSUS304等のステンレス鋼製であってもよい。「SUS304」とは、主な非鉄成分としてクロム(約18%~20%)とニッケル(約8%~10.5%)を含む「鋼用ステンレス」材料を含むことを意味する。高温及び低温の環境下でも良好な強度と耐熱性を維持でき、温和な雰囲気下では良好な耐食性、溶接性、冷間加工性、機械的特性も備えている。
【0043】
可撓性スコープ部分102のシースは、装置を人間に使用できるように生体適合性材料で作られており、傷害や不快感を引き起こすことなく患者の体腔内に挿入できるように設計されている。生体適合性材料は、人間に対して毒性や免疫反応を引き起こさない。スコープ部分102のシースを作製するために使用できる生体適合性材料の例には、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPC)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)及びポリ塩化ビニル(PVC)が含まれる。スコープのシースは、TPCとTPUの混合物、又はTPUと軟質PVCを含むTPCの混合物で構成されていてもよい。
【0044】
先端1002は、照明源(図13に示す1つ又は複数のLEDモジュール1304など)を含む撮像装置、画像センサ(図13に示すCMOSセンサ1302など)、及び検査中のオリフィス又はキャビティの照明された内部の画像又はビデオの捕捉を可能にする対物レンズ1102を含む。例えば、高解像度CMOSセンサ1302は、先端1002のレンズ1102の後ろに収容されてもよく、これにより、鮮明な視野が確保され、スクリーニング中に異常な組織特徴を容易に識別できるようになる。様々な実施形態において、CMOSの周囲は、高出力、高演色評価数(CRI)及び高R9値のLEDモジュール1304があり、これらにより、スコープの先端が可撓部102の先端1002で十分な光出力を放射し、エンドユーザが患者の組織を観察し、組織が良好な品質の光で確実に観察されるようにすることができる。これにより、ユーザはより適切に組織を特定し、より迅速かつ正確な診断を行うことができる。適切かつ十分なヒートシンク又は熱伝達システムを使用して、例えば、熱エネルギーをコントローラハンドルに伝達するためのヒートピップを使用して、熱エネルギーを先端1002から伝達することができる。有利なことに、本発明の装置は、可撓部102を介して内視鏡スタックから別個のライトガイド又は光源を必要としない。ライトガイドはより壊れやすいことが知られており、再処理及び/又は滅菌中に劣化する。一方、先端1002のLEDモジュール1304は、カメラが焦点を当てている組織をより良く強調するために、高出力、高演色評価数(CRI)、及び高いR9値という特徴を有するように選択されている。
【0045】
可撓部102は、使用のたびに患者間の相互汚染を防止するために、防水性があり、長期間の過酷な化学的高レベルの消毒期間に耐えることができるように設計され、材料が選択される。高レベルの消毒に使用できる化学物質には、グルタルアルデヒド、過酸化水素、過酢酸、オルトフタルアルデヒドなどがあるが、これらに限定されない。本発明の装置で使用できる一般的に使用される高レベルの消毒剤の商品名の例には、Cidex PLUS(グルタルアルデヒド)、Cidex OPA(フタルアルデヒド)、Aldahol(グルタルアルデヒド)、Rapicide(過酢酸)、Resert XL(過酸化水素)、及びAcecide(過酢酸及び過酸化水素)がある。
【0046】
可撓部102は、近位端で制御部104に接続される。
【0047】
制御部
制御部104は、「コントローラハンドル」としても知られる。図7図9に示すように、制御部104は、ピストルグリップ302(「ピストルグリップ構成」としても知られる)、角度形成機構、圧力弁406、着脱式モニタ106を傾斜させるための傾斜機構404、着脱式モニタ106に接続するための防水コネクタ402、写真撮影及び/又はビデオ撮影機能を実行するための2つのボタン306、並びにカメラドライバモジュール820及びバックアップバッテリ822などの電子コンポーネントを含む。
【0048】
制御部104は、エンドユーザが内視鏡の先端1002を制御して、単一平面上の2方向に最大150度(合計300度)の角度形成を達成することを可能にする。これにより、エンドユーザは、内視鏡の導入中に内視鏡先端1002を所望の方向にうまく操縦することができ、対象となる体腔内の包括的な観察も可能になる。
【0049】
制御部104も設計され、防水性があり、使用するたびに患者間の相互汚染を防ぐため、長期間の過酷な化学的高レベルの消毒期間に耐えることができるような方法で材料が選択される。「高レベルの消毒」とは、最も生存可能な微生物を抑制する医療機器や器具のあらゆる処理を指すことを意味する。高レベルの消毒に使用できる化学物質には、グルタルアルデヒド、過酸化水素、過酢酸、オルトフタルアルデヒドなどがあるが、これらに限定されない。本発明の装置で使用できる一般的に使用される高レベルの消毒剤の商品名の例は、Cidex PLUS(グルタルアルデヒド)、Cidex OPA(フタルアルデヒド)、Aldahol(グルタルアルデヒド)、Rapicide(過酢酸)、Resert XL(過酸化水素)、及びAcecide(過酢酸及び過酸化水素)がある。
【0050】
装置自体は、現場(診療所環境の外)での作業に耐えられるように頑丈に設計及び構築されている。
【0051】
大多数の内視鏡では、制御部104のハンドルは従来のパワーグリップの形態である。本発明では、ハンドルはピストルグリップ構成302を含む。ピストルグリップ302の人間工学に基づいた設計により、制御性と使いやすさが向上する。さらに、ピストルグリップ302は、新規ユーザにとってより快適で直観的であるため、装置の導入を促進する可能性がある。ハンドルの底部及び上部の滑り止めテクスチャーは、エンドユーザが内視鏡100を握るときのグリップ力を向上させる。制御部104はまた、内視鏡を使用するとき、及び着脱式モニタ106が制御部104に差し込まれているときの快適性を向上させるために、制御部104の重心がエンドユーザの手のひらにうまく収まるように設計されている。さらに、制御部104は、快適性と使いやすさを向上させるために、ハンドルグリップ角度が45~90度になるように設計されている。ハンドルグリップ角度は、ピストルグリップ構成302が水平軸に対して曲がる度合いである。換言すれば、それは、水平面とピストルグリップ構成302の中心軸との間に形成される角度である。これらの特徴の組み合わせにより、特に長期間にわたる装置の使用中に、ユーザが経験する人間工学的ストレスが最小限に抑えられる。
【0052】
制御部104は、ピストルグリップ302の上面に、直感的に使用でき、エンドユーザの指による押し引き機構を介してスコープ先端1002の角度を制御するために使いやすいレバー304を含む。図8及び図9に示すように、レバー304はクランクシャフト802に接続され、クランクシャフト802は2つのコネクタロッド804に取り付けられる。各コネクタロッド804はスライドロッド806に固定される。各スライドロッドの内部には、ワイヤストッパ808及びワイヤはんだ付けロッド902が組み込まれている。角度形成ワイヤ810は、各ワイヤストッパ808及びワイヤはんだ付けロッド902に取り付けられる。その結果、レバー304を引くか又は押すと、角度形成ワイヤ810が動き、それによって、可撓性先端部1002が曲がることが可能になる。
【0053】
例えば、レバー304を引くとクランクシャフト802が作動し、これによりコネクタロッド804、スライドロッド806、ワイヤストッパ808、及び角度形成ワイヤ810が(記載の順序で)移動する。角度形成ワイヤ810が遠位先端ブッシュ1006に接続されると、レバー304を引くか押すことで、湾曲部1004が曲がり、それによって先端1002が角度形成される。レバーの動きの程度は、先端1002の偏向角に比例し、レバー304のより大きな動きは、先端1002のより大きな角度に対応する。各スライドロッド806の動きは、角度形成ベース812及び角度ストッパ814によって制御される。角度形成ベース812及び角度ストッパ814は、スライドロッド806がその間で移動するための制限された空間を有し、したがってレバー304が角度形成ワイヤ810を上下に押したり引いたりできるように所定の位置にある。一実施形態では、角度形成機構により、先端1002を2方向に最大150度(合計300度)角度形成することができる。
【0054】
有利なことに、本明細書に記載のクランクシャフト802を備える角度形成機構は、先端1002の角度形成中に角度形成ワイヤ810の動きがより安定することを可能にし、したがって、従来のプーリシステムを含む既存の角度形成機構よりも優れている。
【0055】
一実施形態では、装置は、画像取り込み装置の機能を起動するために、制御部104上に配置されたボタン306も組み込んでいる。「機能をアクティブ化する」とは、写真撮影及び/又はビデオ撮影機能をアクティブ化することを含むことを意味する。ボタン306は、再生モードでアクセスしたときに画像又はビデオ間をスクロールするために使用することもできる。これらのボタン206は、写真やビデオの撮影を簡単に起動するために使用することができる。再生モード中の他のすべての機能は、モニタ106のタッチスクリーン機能を介して実行され得る。また、パソコンにデータを取り出さずに、液晶モニタから直接再生することもできるが、取り出すこともできる。例えば、ボタン306は、エンドユーザが写真撮影及び/又はビデオ撮影機能を実行したいときに使いやすいように、ピストルグリップ302の底面に配置されてもよい。ボタン306には、ユーザが触覚的に写真撮影ボタンとビデオ撮影ボタンを区別できるように、3次元の「X」及び「O」記号がエンボス加工されている。ボタン306が制御部104の他の場所に配置され得ることは、当業者には一般に理解される。
【0056】
制御部104は、制御部104に差し込まれたときに、着脱式モニタ106を前から後ろに傾けて視野角を最適化できるようにする傾斜機構404を含む。この傾斜機構404により、エンドユーザは、着脱式モニタ106の視野角を最も快適で理想的な角度に容易に変更することができる。傾斜機構404は、ヒンジ保持器818に取り付けられたコネクタヒンジ816によって制御される。ヒンジ保持器818は、制御部104に対する着脱式モニタの最小及び最大のチルト角度を決定する。
【0057】
コントローラハンドルには、エンドユーザが使用前に制御部104内の内部圧力をチェックできるようにする圧力弁406が装備されている。内部圧力をチェックするために、ユーザは、制御部104に圧力ポンプを接続し、一定の内圧に達するまで空気を制御部104に送り込み、2~3分間放置する。一実施形態では、ポンピング後の内圧は140mmHgから200mmHgの範囲である。その後、圧力が急激に低下することなく圧力が安定することは、制御部104に漏れがないことを示す。圧力の低下は、制御部104内の1つ又は複数の漏れを示す。
【0058】
制御部104は、カメラドライバモジュール820などの電子コンポーネントの一部を収容する。
【0059】
コントローラハンドルには、「メスコネクタ」としても知られる防水コネクタ402も装備されており、これにより、着脱可能なモニタ106と制御部104との間の接続が可能になる。このコネクタ機能は防水になるように設計されている。特に、メスコネクタ402はコントローラハンドルに密閉されており、メスコネクタ402のキャッピングにより防水性が与えられる。さらに、メスコネクタ402と制御部104との間の緊密な嵌合及び防水機能を確保するために、Oリングなどの部品が使用される。これにより、エンドユーザは、高レベルの消毒を目的として、制御部104を強力な化学薬品に浸すことができる。
【0060】
着脱式モニタ
着脱式モニタ106は、LCDモニタであってもよい。図14に示される実施形態では、着脱式モニタ106は、LCDモニタ電子機器ハウジング1402、「オン/オフ」ボタン1406、及びタッチスクリーン1404を含む。図15に示す着脱式モニタ106の背面斜視図では、防水コネクタ1502が示されている。
【0061】
着脱式モニタ106は、システムに慣れるだけでなく、エンドユーザに使いやすさを提供するタッチスクリーン機能を組み込むように構築される。エンドユーザは、指で軽くタッチするか、手袋を着用しながら画面をタップして、新しいスコープセッションの開始の選択など、さまざまな機能を有効にすることができ、過去に記録されたメディアを確認したり、装置のコード名を選択したりすることで、ユーザはこの特定の装置を他の装置と区別できるようになる。着脱式モニタ106はまた、「オスコネクタ」(図15に示す)としても知られるコネクタ1502を含み、これは、制御部104上のメスコネクタ402と係合するように適合されており、着脱式モニタ106と制御部104との間の接続を可能にする。
【0062】
有利なことに、着脱式モニタ106は、ケーブルを必要とせずに制御部104に直接接続することができる。
【0063】
カメラモジュールドライバ820からの信号は、制御部104のカメラモジュールドライバ820から着脱式モニタ106に内蔵されるメインボードに送信され、続いてモニタの画面1404に送信され、画面に画像が表示される。タッチスクリーン1404を特徴とするにもかかわらず、着脱式モニタ106はまた、各使用後の患者間の相互汚染を防ぐために、アルコール溶液による拭き取りに耐えるように構築されている。
【0064】
予定されているコンパクトな4インチ(又は3.5インチなどの適切なサイズのモニタ)内蔵高解像度LCDモニタ(「ライブモード」)でライブカメラ画像を即座に表示することとは別に、この装置は、メディア(写真とビデオ)の記録及び再生機能(「レビューモード」)を組み込むように設計されている。鮮明に視覚化するには、モニタの解像度が少なくとも400×400である必要がある。これにより、臨床医は撮影した画像/ビデオを後で再評価又はレビューしたり、処置後に重要な所見を共有したりすることができる。ユーザは「ライブ」モードと「レビュー」モードを簡単に切り替えることもできる。装置によって記録されたメディアは、図16に示すUSBポート1602などのUSBを介してコンピュータに転送して、後で見ることもできる。USBポート1602は、充電及びデータ転送/エクスポート用のUSB-Cポートであってもよい。
【0065】
スコーピングセッション中、エンドユーザが患者の組織を効果的に観察するには、ホワイトバランスが重要である。本発明では、ホワイトバランス機能は自動化される。
【0066】
全体として、装置は、着脱式モニタ106と制御部104との間の意図的なプラグアンドプレイ設計メカニズムのおかげで、最大5000回まで簡単に取り外し及び組み立てることができるモジュール部品を含むように構築される。「プラグアンドプレイ」という用語は、ユーザによる再構成や調整を必要とせず、最初に接続するとすぐに使用できる装置の機能を指す。このようなモジュール性により、将来の世代が利用可能になったときに、さまざまなユースケースや画面のさまざまなモデルに合わせて、さまざまなスコープ(例えば、柔軟なスコープと部分、及びハンドル)を切り替える際の柔軟性もユーザに提供される。着脱式モニタ106は、異なるバージョンの制御部104とともに使用することができ、これは異なる長さ、先端1002の直径などを有する可撓部102に取り付けられ、又は接続され得、これにより、本発明に使用され得る頭頸部癌以外の異なる外科専門分野に対応する可能性を提供する。また、有利なことに、本発明はいかなる補助装置(吸引ポンプや生検鉗子など)も持たない。換言すれば、従来の内視鏡とは異なり、本発明の装置は、補助装置を収容するための「作業チャネル」又は内腔を持たないため、使用及び保守が容易になり、持ち運びが容易になる。ここでは、従来の内視鏡の内腔の内部を洗浄及び消毒するための再処理装置は必要でない。
【0067】
着脱式モニタ106は充電式バッテリを含み、内視鏡100を最大4時間連続して使用することができ、これは従来技術の同様の手持ち式内視鏡装置の典型的な使用時間である30分よりも長い。有益なことに、1回の充電当たりの使用期間が長くなることで、本内視鏡100の現場での適合性も高まる。内視鏡100は、着脱式モニタ106上のUSBポート1602を介して充電することができる。装置のバッテリ寿命は、装置の使用を効率的に計画するためにモニタ106上に表示され得る。
【0068】
結論
したがって、本開示は、携帯可能で、低コストで、再利用可能な可撓性医療用内視鏡を提供することが分かる。
【0069】
有利なことに、本開示の携帯型、低コスト、及び再利用可能な内視鏡100は、地方及び地方病院のプライマリケア環境における医師による患者の検査を容易にする。そのため、経済的に発展していない国でもがんの早期診断が可能になる。さらに、国立専門病院における患者ケアの負担は大幅に軽減され、真に三次医療を必要とする状態(つまり進行がん)に再び注目が集まるようになる。
【0070】
さらに、本開示の内視鏡のピストルグリップ302は、現在市販されている内視鏡の大部分に存在する従来のパワーグリップと比較して、ユーザにとってより人間工学的である。さらに、ピストルグリップ302により、装置の制御及び使いやすさが向上する。特に、ピストルグリップ302は、新規ユーザにとってより快適で直感的である。ピストルグリップ302は、本開示の内視鏡の場合のように、伸ばされた前腕及び手首と同じ方向に力が加えられる場合に適している。パワーグリップに対するピストルグリップ302の人間工学的利点は、ピストルグリップの回外に必要な人間工学的応力が低いこと、ハンドルのグリップ角度は45~90度で、内視鏡を保持するのに必要な力が少なく、コントロールレバーを操作するのに必要な力も軽減されることに起因し得る。パワーグリップと比較して、ピストルグリップ302を使用すると、検査中に可撓性医療用内視鏡100の曲がりが少なく、より直線的になることができる。これにより、内視鏡100と鼻咽頭粘膜との間の摩擦が潜在的に減少し、内視鏡100のより効率的な操作が可能になる。
【0071】
別の重要な利点は、可撓部102の遠位端の湾曲部1004が、湾曲部1004に損傷を与えることなく頻繁な曲げに耐えるように設計されていることである。湾曲部1004の耐久性が高いというこの利点は、部分的には、湾曲部1004及び湾曲ゴム1202の製造に使用される材料によってもたらされる。したがって、本開示の医療用内視鏡100は、湾曲ゴム1202の交換が必要になる前に複数回再利用することができる。また、湾曲部1004の穴や裂け目による流体の侵入の危険性も最小限に抑えられる。
【0072】
本開示の内視鏡の別の利点は、使用される材料と、可撓部102及び制御部104の外側部分の設計が防水性であり、水密方式で接続され、これにより再処理手順中に装置を高レベルの消毒浸漬にかけることができることである。したがって、モニタ106を制御部104から取り外すことにより、可撓部102及び制御部104全体を流体中に浸漬して高レベルの消毒を行うことができる。一部の部品が高レベルの消毒プロセスに耐えられないために一部の部品を使い捨てにする必要がある使い捨て内視鏡とは対照的に、本開示の内視鏡100は、防水性の完全性を維持することができ、使用のたびに完全に再処理することができる。
【0073】
本発明の実施形態を、特定の実施形態を参照して特に図示し説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細にさまざまな変更を加えることができることを当業者は理解すべきである。添付の特許請求の範囲によって定義される。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、したがって、特許請求の範囲の均等の意味及び範囲内に入るすべての変更が包含されることが意図される。
図1
図2
図3
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【国際調査報告】