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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】C5結合タンパク質の投与
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/00 20060101AFI20241024BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241024BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20241024BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20241024BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K38/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K47/22
A61K47/18
A61K47/14
A61K47/04
A61P43/00 111
C07K14/00 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526812
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 US2022079010
(87)【国際公開番号】W WO2023077139
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/274,480
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524165447
【氏名又は名称】アイピーシー・リサーチ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ヤコブ・ワスキー
(72)【発明者】
【氏名】ズービン・ミノー・バグワガー
(72)【発明者】
【氏名】ハレン・アシュワニクマール・バサバダ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ウーデン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076BB16
4C076CC29
4C076DD21
4C076DD60
4C076EE23
4C076FF36
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA44
4C084DC50
4C084MA02
4C084MA65
4C084NA05
4C084NA12
4C084NA14
4C084ZC411
4C084ZC751
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
C5結合タンパク質を対象に投与するための方法が記載される。この方法は、C5結合タンパク質を含む医薬組成物をある特定の量で対象に皮下投与する工程、ならびに/または対象における遊離C5の量を減少させるためおよび/もしくは対象における終末補体活性を阻害するためにある特定の投薬スケジュールを使用する工程を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象にC5結合タンパク質を投与する方法であって、C5結合タンパク質と少なくとも1種の追加の薬学的に許容される成分とを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含み、
i.C5結合タンパク質は、配列番号1を含み、
ii.医薬組成物は、対象に皮下投与される、方法。
【請求項2】
対象における遊離C5の量を減少させる方法であって、C5結合タンパク質と少なくとも1種の追加の薬学的に許容される成分とを含む医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含み、
i.C5結合タンパク質は、配列番号1を含み、
ii.医薬組成物は、対象に皮下投与される、方法。
【請求項3】
血清遊離C5濃度は、約0.5マイクログラム/mL以下に減少する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
血清遊離C5濃度は、約0.1マイクログラム/mL以下に減少する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
対象における終末補体経路の活性化を阻害する方法であって、
C5結合タンパク質と少なくとも1種の追加の薬学的に許容される成分とを含む医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含み、
i.C5結合タンパク質は、配列番号1を含み、
ii.医薬組成物は、対象に皮下投与される、方法。
【請求項6】
対象にC5結合タンパク質を皮下投与する際の使用のための医薬組成物であって、
i.配列番号1を含むC5結合タンパク質、および
ii.少なくとも1種の追加の薬学的に許容される成分
を含む医薬組成物。
【請求項7】
対象における遊離C5の量を減少させるために対象にC5結合タンパク質の有効量を皮下投与する際の使用のための医薬組成物であって、
i.配列番号1を含むC5結合タンパク質、および
ii.少なくとも1種の追加の薬学的に許容される成分
を含む医薬組成物。
【請求項8】
血清遊離C5濃度は、約0.5マイクログラム/mL以下に減少する、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
血清遊離C5濃度は、約0.1マイクログラム/mL以下に減少する、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
終末補体経路の活性化を阻害するために対象にC5結合タンパク質の有効量を皮下投与する際の使用のための医薬組成物であって、
i.配列番号1を含むC5結合タンパク質、および
ii.少なくとも1種の追加の薬学的に許容される成分
を含む医薬組成物。
【請求項11】
投与工程は、対象への医薬組成物の単回用量の投与を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項12】
投与工程は、対象への医薬組成物の一連の2回またはそれ以上の用量の投与を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項13】
2回またはそれ以上の用量は、およそ週1回の間隔(QW)で対象に投与される、請求項12に記載の方法または医薬組成物。
【請求項14】
投与工程は、(a)医薬組成物の1回またはそれ以上の導入用量、および(b)医薬組成物の1回またはそれ以上の維持用量を対象に投与する工程を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項15】
医薬組成物の1回またはそれ以上の維持用量は、週1回の間隔(QW)で投与される、請求項14に記載の方法または医薬組成物。
【請求項16】
投与工程は、(a)1日目に投与された医薬組成物の1回の導入用量、および(b)医薬組成物の4回またはそれ以上の維持用量であって、第1の維持用量は、導入用量の約1週間後に投与され、第2および後続の維持用量は、その後におよそ週1回の間隔(QW)で投与される、維持用量を対象に投与する工程を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項17】
投与工程は、(a)医薬組成物の第1および第2の導入用量であって、第1の導入用量は、1日目に投与される、導入用量、および(b)医薬組成物の4回またはそれ以上の維持用量であって、第1の維持用量は、第1の導入用量の約1週間後に投与され、第2および後続の維持用量は、その後におよそ週1回の間隔(QW)で投与される、維持用量を対象に投与する工程を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項18】
第2の導入用量は、約4日目に投与される、請求項17に記載の方法または医薬組成物。
【請求項19】
投与工程は、(a)第1、第2、および第3の導入用量であって、第1の導入用量は、1日目に投与される、導入用量、および(b)医薬組成物の4回またはそれ以上の維持用量であって、第1の維持用量は、第1の導入用量の約1週間後に投与され、第2および後続の維持用量は、その後におよそ週1回の間隔(QW)で投与される、維持用量を対象に投与する工程を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項20】
第2の導入用量は、約3日目に投与され、第3の導入用量は、約5日目に投与される、請求項19に記載の方法または医薬組成物。
【請求項21】
投与される各用量は、約2mgから約500mgのC5結合タンパク質を含む、請求項11~20のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項22】
投与される各用量は、約50mgから約450mgのC5結合タンパク質を含む、請求項11~21のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項23】
投与される各用量は、約100mgから約450mgのC5結合タンパク質を含む、請求項11~22のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項24】
投与される各用量は、約100mgから約350mgのC5結合タンパク質を含む、請求項11~23のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項25】
各導入用量は、約100mgから約350mgのC5結合タンパク質を含む、請求項14~24のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項26】
各導入用量は、約100mg、または約150mg、または約300mgのC5結合タンパク質を含む、請求項14~25のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項27】
各維持用量は、約100mg、または約150mg、または約300mgのC5結合タンパク質を含む、請求項14~26のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項28】
C5結合タンパク質は、対象における遊離C5の量を減少させるのに有効な用量および/または頻度で対象に投与される、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項29】
C5結合タンパク質は、血清遊離C5濃度を約0.5マイクログラム/mL以下に減少させるのに有効な用量および/または頻度で対象に投与される、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項30】
C5結合タンパク質は、血清遊離C5濃度を約0.1マイクログラム/mL以下に減少させるのに有効な用量および/または頻度で対象に投与される、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項31】
C5結合タンパク質は、対象における終末補体経路の活性化を阻害するのに有効な用量および/または頻度で対象に投与される、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項32】
C5結合タンパク質は、約0.5から約5.0マイクロモルのC5結合タンパク質の血清濃度を達成するのに有効な用量および/または頻度で対象に投与される、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項33】
C5結合タンパク質は、約0.1から約10.0マイクロモルのC5結合タンパク質のCmaxを達成するのに有効な用量および/または頻度で対象に投与される、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項34】
C5結合タンパク質は、約0.1から約10マイクロモルのC5結合タンパク質のCトラフを達成するのに有効な用量および/または頻度で対象に投与される、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項35】
医薬組成物は、ヒスチジン、アルギニン、ポリソルベート20、および水からなる群から選択される1種またはそれ以上の追加の成分を含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項36】
医薬組成物は、ヒスチジン、アルギニン、ポリソルベート20、および水を含む、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項37】
医薬組成物は、約20mMのヒスチジン、約150mMのアルギニン、約0.05%のポリソルベート20、および水を含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項38】
医薬組成物は、約100mg/mlのC5結合タンパク質を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項39】
医薬組成物のpHは、約7.0である、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項40】
医薬組成物は、約2℃から約8℃で貯蔵される場合に安定である、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項41】
医薬組成物は、約2℃から約8℃で貯蔵される場合に、6ヵ月超の間安定である、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項42】
医薬組成物は、約2℃から約8℃で貯蔵される場合に、12ヵ月超の間安定である、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項43】
医薬組成物は、約2℃から約8℃で貯蔵される場合に、18ヵ月超の間安定である、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項44】
医薬組成物は、約15℃から約25℃で貯蔵される場合に、最長約36時間の間安定である、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【請求項45】
医薬組成物は、約15℃から約25℃で貯蔵される場合に、約36時間超の間安定である、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年11月1日に出願された米国特許仮出願第63/274,480号の優先権の恩典を主張するものであり、当該仮出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表
本願は、XMLファイルフォーマットにおいて電子的に提出された配列表を含んでおり、当該配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。2022年10月31日に作成された当該XMLファイルは、ST26-IPC.003.W01-Oct31.xmlと命名され、1983バイトのサイズである。
【0003】
参照による組み入れ
参照による組み入れを許容するそれらの管轄権のみの目的のために、本開示において引用される全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。さらに、本明細書において引用されるかまたは言及される任意の製品または活性剤のための任意の製造元の取扱説明書またはカタログも、参照により組み入れられる。この本文に参照により組み入れられた文書、またはそれにおける任意の教示は、本発明の実践において使用することができる。
【背景技術】
【0004】
補体系は、前曝露なく微生物に対する即座の防衛線を提供する先天的免疫系における有益な部分である。補体カスケードは、外因性表面および危険関連分子パターンおよび病原体関連分子パターンならびに補体成分C3のレベルにおいて収束する3つの別々のルートである古典的経路、レクチン経路、および代替経路による抗体/免疫複合体によって活性化される。C3aおよびC3bへのC3の切断は、コンバーターゼの形成を引き起こし、それは続いて、補体成分C5をC5aおよびC5bへと切断する。アナフィラトキシンC5aおよびC3aは、炎症を活性化し、その一方で、C5bは、補体成分C6、C7、C8、およびC9(C5b-9)をアセンブリすることにより膜攻撃複合体(MAC)を形成し、それは、細胞壁/膜を通る孔を形成することによって細胞を溶解させる。MAC形成は、被包性細菌、例えば、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)などに対する防御において特に重要である。さらに、活性化に関して、補体断片(主にC3およびC4に由来する)は、食細胞および赤血球上の補体受容体によるその後の認識のために表面をオプソニン化し、それにより、オプソニン化された微生物、免疫複合体、およびデブリの効率的なクリアランスを可能にする(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。補体系は、異なる疾患分野におけるいくつかの障害の病理に関与する。重要な補体関与を伴う疾患は、自己免疫疾患を含む。さらに、補体タンパク質における突然変異または補体の機能不全の調節は、いくつかのまれな(または極めてまれな)状態の原因であり、その場合、溶血は、病理の構成要素である。補体成分C5は、補体活性化の全ての経路において共通であり、C5の妨害は、刺激にかかわらず、終末補体カスケードの進行(C5の下流)を阻害する。それによるC5の阻害は、近位補体カスケードの基本的機能、すなわち、微生物類のオプソニン化および免疫複合体のクリアランスを無傷のままにしつつ、終末補体活性化の有害特性を予防する可能性を有する。
【0005】
補体媒介性疾患を治療するために補体経路の活性化を調節する多大な努力がなされてきた。例えば、様々な補体関連疾患の治療のために、C5に対するいくつかの抗体が開発された。しかしながら、そのような抗体ベースの治療法は、高用量の投与を必要とし、静脈内(IV)注入によって送達しなければならない(例えば、非特許文献4を参照されたい)。臨床開発には抗C5ペプチド治療法も存在する。しかしながら、皮下投与される場合、これらのペプチド治療法は、毎日の投与を必要とする(例えば、非特許文献5;および非特許文献6を参照されたい)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chenら、「The complement system in systemic autoimmune disease」、J.Autoimmun.2010;34(3):J276~J286
【非特許文献2】Walport、「Complement.First of two parts.」N.Engl.J.Med.2001;344(14):1058 1066
【非特許文献3】Walport、「Complement.Second of two parts.」N.Engl.J.Med.2001;344(15):1140 1144
【非特許文献4】Leeら、「Ravulizumab (ALXN1210) vs eculizumab in adult patients with PNH naive to complement inhibitors:the 301 study;」Blood.2019 Feb 7;133(6):530~539
【非特許文献5】Sadikら、「Evaluation of Nomacopan for Treatment of Bullous Pemphigoid A Phase 2a Nonrandomized Controlled Trial;」JAMA Dermatol.2022;158(6):641~649
【非特許文献6】Howardら、「Clinical Effects of the Self-administered Subcutaneous Complement Inhibitor Zilucoplan in Patients with Moderate to Severe Generalized Myasthenia Gravis:Results of a Phase 2 Randomized,Double-Blind, Placebo-Controlled,Multicenter Clinical Trial.」JAMA Neurol.2020;77(5):582~592
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、より低い用量を必要とし、より簡便な経路、例えば、小容積の皮下注射などによって送達することができるもの、ならびに毎日の投与を必要としないものなど、新規の改良されたC5阻害剤治療法が、当技術分野において必要とされている。本発明は、この必要性に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主な態様のいくつかは、下記に要約される。追加の態様は、本開示における下記の発明の詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲のセクションにおいて記載される。本開示の各セクションにおける記載は、他のセクションと併せて読まれることが意図される。さらに、本開示の各セクションで記載される様々な実施形態は、いかなる見出しまたは小見出しにかかわらず、様々な方式において組み合わせることができ、全てのそのような組合せは、本発明の範囲内であることが意図される。
【0009】
本発明は、ブドウ球菌プロンテインAの免疫グロブリン結合領域におけるBドメインに由来する、一般的にアフィボディと呼ばれる、操作されたタンパク質のクラスからのC5結合タンパク質を伴う(Lofblom J、Feldwisch J、Tolmachev Vら「Affibody molecules:engineered proteins for therapeutic,diagnostic and biotechnological applications;」FEBS Lett.2010;584(12):2670~2680を参照されたい)。抗体と同様に、これらのタンパク質は、例えば、ファージディスプレイベースのライブラリスクリーニングなどを使用して、目的の所定のタンパク質に対する親和性を有するように操作および/または選択することができる。本発明は、C5結合活性を有するそのような操作されたアフィボディタンパク質を伴う。特に、本発明は、このC5結合タンパク質をヒト対象に投与するための様々な方法を提供する。重要なことに、本開示の実施例のセクションにおいてさらに記載されるように、これまで得られた臨床試験データは、ヒト対象に皮下投与される場合、このC5結合タンパク質を含む組成物が、いかなる重篤な有害事象の発生なしに、血清中の遊離C5レベルの臨床的に重要な減少を引き起こすことを示している。このことは、異なるC5結合アフィボディ分子を含む製品が患者に投与された前臨床試験は、標的の薬理活性または有効性の証拠が報告されることなく、有害事象の結果として終了したことを考えれば、特に重要である(U.S.clinical trial identifier no.NCT02083666を参照されたく、Berglund&Stromberg;2016;「The clinical potential of Affibody-based inhibitors of C5 for therapeutic complement disruption;」Expert Review of Proteomics、13:3、241~243も参照されたい)。さらに、これまで得られた臨床試験データは、本明細書において記載されるC5結合タンパク質は、抗C5抗体治療法のために必要な量よりはるかに少なく、臨床的に有効な用量を少量の皮下注射において投与することを可能にするような用量で、望ましい薬物動態学的および薬力学的性質を示すことを示している。さらに、本明細書において提示される結果は、C5結合タンパク質の血清濃度が投与後の少なくとも3日間において比較的安定であり、300時間を超える血清終末半減期を有することを示している。これらの臨床的特徴の組合せは、静脈内投与を必要とする抗C5-抗体治療法および毎日の投与を必要とする抗C5-ペプチド治療法の両方に勝る、本発明のC5結合タンパク質の多数の利点を提供する。
【0010】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、C5結合タンパク質を対象に投与する方法であって、配列番号1のアミノ酸配列を有するC5結合タンパク質を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含み、医薬組成物は、対象に皮下投与される、方法を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、対象への医薬組成物の単回用量の投与を伴う。他の実施形態において、本発明の方法は、対象への医薬組成物の一連の複数回(2回またはそれ以上)用量の投与を伴う。
【0012】
医薬組成物の一連の2回またはそれ以上の用量が対象に投与されるこれらの実施形態のいくつかにおいて、用量は、およそ週1回の間隔(QW)で対象に投与される。
【0013】
医薬組成物の一連の2回またはそれ以上の用量が対象に投与されるこれらの実施形態のいくつかにおいて、この方法は、医薬組成物の1回またはそれ以上の導入用量ならびに医薬組成物の1回またはそれ以上の維持用量を投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、1回またはそれ以上の維持用量が、週1回の間隔(QW)で投与される。いくつかの実施形態において、4回またはそれ以上の維持用量が、それぞれ週1回の間隔(QW)で、対象に投与される。いくつかの実施形態において、医薬組成物の1回の導入用量が投与され、この場合、導入用量が投与される日は、本明細書において1日目と呼ばれる。いくつかの実施形態において、医薬組成物の2回の導入用量が投与され、その場合、例えば、第1の導入用量は、1日目に投与され、第2の導入用量は、4日目に投与される。いくつかの実施形態において、医薬組成物の3回の導入用量が投与され、その場合、例えば、第1の導入用量は、1日目に投与され、第2の導入用量は、3日目に投与され、第3の導入用量は、5日目に投与される。
【0014】
いくつかの実施形態において、対象に投与される用量は(その用量が単独で投与される用量か、一連の用量または複数回の用量のうちの1回の用量か、導入用量か、または維持用量かにかかわらず)、2mgから約500mgのC5結合タンパク質からなる。いくつかの実施形態において、投与される用量は、約50mgから約450mgのC5結合タンパク質からなる。いくつかの実施形態において、投与される用量は、約100mgから約450mgのC5結合タンパク質からなる。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約30mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約40mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約50mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約60mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約70mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約75mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約80mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約90mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約100mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約125mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約150mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約200mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約250mgである。いくつかの実施形態において、投与されるC5結合タンパク質の用量は、約300mgである。
【0015】
いくつかの実施形態において、C5結合タンパク質は、対象における遊離C5の量を減少させるのに有効な量および/または頻度で対象に投与される。いくつのそのような実施形態において、C5結合タンパク質は、対象における血清遊離C5濃度を約0.5マイクログラム/mL以下に減少させるのに有効な量および/または頻度で対象に投与される。いくつかの実施形態において、C5結合タンパク質は、対象における血清遊離C5濃度をC5結合タンパク質の投与前の対象のベースライン血清遊離C5濃度と比較して約99%以上減少させるのに有効な量および/または頻度で対象に投与される。
【0016】
いくつかの実施形態において、C5結合タンパク質は、対象における終末補体経路の活性化を阻害するのに有効な量および/または頻度で対象に投与される。
【0017】
いくつかの実施形態において、C5結合タンパク質は、約0.5マイクロモル以上、または約1.0マイクロモル以上、または約1.5マイクロモル以上、または約2.0マイクロモル以上のC5結合タンパク質のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で対象に投与される。
【0018】
いくつかの実施形態において、C5結合タンパク質は、本開示の実施例のセクションにおいて記載される量および/または頻度で対象に投与される。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を有するC5結合タンパク質を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、配列番号1のアミノ酸配列を有するC5結合タンパク質と少なくとも1種の追加の薬学的に許容される成分とを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ヒスチジン、アルギニン、ポリソルベート20、および水からなる群から選択される1種またはそれ以上の追加の成分を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ヒスチジン、アルギニン、ポリソルベート20、および水のそれぞれを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約20mMのヒスチジン、約150mMのアルギニン、約0.05%のポリソルベート20、および水を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約100mg/mlのC5結合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約7.0のpHを有する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約2℃から約8℃で貯蔵される場合に安定である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約2℃から約8℃で貯蔵される場合に、最長18ヵ月間またはそれ以上の間安定である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約15℃から約25℃で貯蔵される場合に安定である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約15℃から約25℃で貯蔵される場合に、最長約36時間またはそれ以上の間安定である。
【0020】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書において記載される医薬組成物を含む自動注入装置を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象へのC5結合タンパク質の単回用量の投与にとって十分な量の本明細書において記載される医薬組成物を含む自動注入装置を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象へのC5結合タンパク質の複数回用量の投与にとって十分な量の本明細書において記載される医薬組成物を含む自動注入装置を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、約100mg/mLの濃度においてC5結合タンパク質を含む医薬組成物を含む自動注入装置を提供する。
【0021】
本発明のさらなる態様、特徴、および利点は、本開示の下記の発明の詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲のセクションを読むことによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本明細書において記載されるC5結合タンパク質に対するエクスビボ溶血阻害データを示すグラフである。C5結合タンパク質(0.0625、0.125、0.25、0.5、1、および2μMにおいて)を、ヒト血清を用いてエクスビボにおいてインキュベートし、標準的アッセイを使用して溶血の%を特定した。0.5μM(およびそれ以上)のC5結合タンパク質の濃度において、完全な溶血阻害が達成された。溶血活性のパーセンテージが垂直軸に示され、C5結合タンパク質の濃度が水平軸に示される。
図2】実施例2および3において記載される臨床試験からの健康な参加者コホート1~4の薬物動態(PK)データを示すグラフである。垂直軸は、マイクロモル(μM)単位で表された血清中におけるC5結合タンパク質の濃度を示しており、水平軸は、時間単位で表された投与/治療後の時間(「TPT」)を示す。
図3】実施例2および3において記載される臨床試験からの健康な参加者コホート4の薬物動態(PK)データを示すグラフである。垂直軸は、マイクロモル(μM)単位で表された血清中におけるC5結合タンパク質の濃度を示しており、と水平軸は、時間単位で表された投与/治療後の時間(「TPT」)を示す。
図4図4A-Bは、実施例2および3において記載される臨床試験からのコホート2~4における健康な参加者の薬力学的(PD)データを示す図である。図4Aおよび図4Bは、垂直軸におけるng/mLで表された血清中における遊離C5の測定濃度が、水平軸におけるマイクロモル(μM)単位で表された血清中におけるC5結合タンパク質の測定濃度に対してプロットされたグラフを示す。図4Aは、18人の対象からのデータを含む。図4Aにおけるプロットされた各データ点(白丸で表される)は、6人の対象からの平均した(平均)データであり、各データ点は、投与されたC5結合タンパク質の特定の用量(10mg、30mg、または100mgのいずれか)の投与後ならびに投与後の特定の時点(投与の0、2、4、12、24、または72時間後のいずれか)において得られた平均データを表す。図4Bにおいて、プロットされた各データ点(白丸で表される)は、投与後の特定の時点(投与の0、2、4、12、24、または72時間後のいずれか)において、100mg用量のC5結合タンパク質の投与後に得られた6人の対象からの平均した(平均)データである。これらのデータは、血清中のC5結合タンパク質の濃度が増加するのに伴って、血清遊離C5濃度が減少することを示している。
図5-1】図5A-Eは、時間の単位で表された、100mg(図5A~D)または150mg(図5E)のC5結合タンパク質の複数回投与のタイミング(水平軸)に対してプロットされたマイクロモル(μM)単位の血清中のC5結合タンパク質の濃度(垂直軸)のグラフである。このグラフは、インプットとして単回用量の臨床試験データを使用して得られたモデリングデータを示している。モデリングされた投与スケジュールは、上記の各グラフにおいて示される。それぞれのグラフにプロットされた水平線は、血清中のC5結合タンパク質の2μM濃度を示す。各グラフにおいて、上側の点線は、C5結合タンパク質の濃度の97.5パーセンタイルを表し、中央の点線は、C5結合タンパク質の濃度の50パーセンタイルを表し、下側の点線は、C5結合タンパク質の濃度の2.5パーセンタイルを表す。
図5-2】図5-1の続き。
図5-3】図5-2の続き。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、下記の本開示の発明の詳細な説明のセクション、ならびに本開示の発明の概要、実施例、および特許請求の範囲のセクションにおいてさらに記載されるように、C5結合タンパク質、C5結合タンパク質を含む医薬組成物、ならびに対象へのC5結合タンパク質(またはC5結合タンパク質を含む医薬組成物)の投与を伴う様々な方法に関する。この発明の詳細な説明において記載される様々な実施形態は、本発明のいかなる見出しまたは小見出しにかかわらず、様々な方式において組み合わせることができる。
【0024】
本発明の実践は、特に明記されない限り、当業者の技能の範囲内である、製薬学、製剤化科学、免疫学、血液学、細胞生物学、分子生物学、臨床薬学、および臨床診療の従来技術を採用するであろう。
【0025】
本開示において引用される全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。さらに、本明細書において引用または言及される、任意の製品のための製造元による全ての取扱説明書またはカタログは、参照により本明細書に組み入れられる。参照によりこの文章に組み入れられる文書、またはその中の任意の教示は、本発明の実践において使用することができる。本明細書において参考文献または他の文書の識別、またはそれらのいずれかの参照による組み入れは、そのような参考文献または文書のいずれかの従来技術状況を承認するものではない。
【0026】
本発明をさらに容易に理解できるために、下記においてある特定の用語を定義する。追加の定義は、本開示を通して示される。本明細書において特に明記されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0027】
定義
本開示における語句および専門用語は、説明目的のものであり、制限目的ではなく、したがって、本明細書の専門用語および語句は、当該教示およびガイダンスに鑑みて当業者によって解釈されるべきである。
【0028】
本明細書においてまたは添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈において特に明記されない限り、複数形を包含する。用語「a」(または「an」)、ならびに用語「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」は、相互互換的に使用することができる。
【0029】
さらに、「および/または」は、他方を伴うかまたは伴わない2つの指定された特徴または構成要素のそれぞれの特定の開示として理解される。したがって、用語「および/または」は、「Aおよび/またはB」のような語句において使用される場合、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(のみ)、および「B」(のみ)を含むことが意図される。同様に、用語「および/または」は、「A、B、および/またはC」などの語句において使用される場合、A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはB;AまたはC;BまたはC;AおよびB;AおよびC;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)を包含することが意図される。
【0030】
実施形態が語句「を含む(comprising)」または「を有する(having)」を伴って記述される場合、「からなる(consisting of)」および/または「から実質的になる(consisting essentially of)」の用語において記述される別の類似の実施形態も包含される。
【0031】
単位、接頭語、および記号は、それらの国際単位系(SI)の受け入れられた形態において指示される。
【0032】
数値範囲は、その範囲を定義する数値を含み、本明細書において提供される任意の個々の値は、本明細書において提供される他の個々の値を含む範囲に対する終点としての役割を果たすことができる。例えば、1、2、3、8、9、および10などの値のセットは、1~10、1~8、3~9などによる数値の範囲の開示でもある。同様に、開示される範囲は、範囲によって包含されるそれぞれの個々の値の開示でもある。例えば、5~10において言及された範囲は、5、6、7、8、9、および10の開示でもある。
【0033】
数値用語が修飾語「約(about)」によって先行される場合、その用語は、言及された数値および値±言及された数値の10%を含む。例えば、約1mg/mLの濃度は、0.9mg/mLから1.1mg/mLを包含する。さらに、数値用語が修飾語「約(about)」によって先行される場合、「約」の修飾語を伴わない精密な言及された数値を有する実施形態も想到され、それも本発明の範囲内である。逆に、本発明の実施形態が特定の数値用語について言及する場合、「約」の修飾語を伴う他の類似の実施形態も想到され、それも本発明の範囲内である。明記されない限り、一連の要素または要素のリストに先行する用語「約」は、その一連またはリストにおける全ての要素を意味すると理解されるべきである。同様に、明記されない限り、一連の要素または要素のリストに先行する用語「少なくとも(at least)」および「最大でも(up to)」は、その一連における全ての要素を意味すると理解されるべきである。
【0034】
薬物(本明細書において使用される場合、生物学的薬剤を含む)の安全性および薬物の投与方法は、有害事象、バイタルサイン、臨床検査値、および心電図(ECG)の所見などのパラメータの評価に基づいて決定される。用語「有害事象」および「重篤な有害事象」は、当技術分野におけるそれらの一般に認められた意味、ならびに米食品医薬品局によるそれらの使用に一致して、本明細書において使用される。したがって、本明細書に使用される場合、用語「有害事象」(「AE」)は、薬物に関連していると考えられるか否かに関係なく、任意の好ましくなく故意でない徴候(例えば、異常な臨床検査所見)または薬物の使用に時間的に関連する症状を意味する。「軽症」の有害事象は、わずかな不快感を引き起こすが日々の活動は妨げないような、容易に許容される症状として認識されるAEである。「中等症」の有害事象は、日々の活動を妨げるほどの不全感があるAEである。「重症」の有害事象は、軽症または中等症の有害事象より医学的に重要であるが、「重篤な」有害事象のレベルには上がらない。「重篤な有害事象」(「SAE」)は、患者の入院または既存の入院の延長を必要とする;永続的な障害/無能をもたらす;または先天障害/先天性欠損である、致命的であるかまたは直ちに生命に危険を及ぼす事象、あるいは対象を危険に晒し得るかまたはこの定義に一覧される他の転帰のうちの1つを予防するために医学的もしくは外科的介入を必要とし得る別の医学的に重要な重篤な事象を意味する。
【0035】
用語「親和性」および「結合親和性」は、概して、分子の単一の結合部位とその結合相手の間(例えば、本発明の活性剤とヒト補体タンパク質C5との間)の非共有相互作用の総和の強度を意味する。相手Yに対する分子Xの親和性は、概して、解離定数(KD)で表すことができる。親和性は、当技術分野において既知の一般的な方法、例えば、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または動態解析(例えば、KINEXA(登録商標)、BIACORE(商標)またはOCTET(登録商標)解析)などによって測定することができる。直接結合アッセイならびに競合的結合アッセイ形式は、容易に採用することができる。測定された特定の結合対相互作用の親和性は、異なる条件下(例えば、塩濃度、pH、温度)において測定された場合に変わり得る。したがって、親和性および他の結合パラメータ(例えば、KDまたはKd、Kon、Koff)の測定は、典型的には、当技術分野において既知の、結合相手の標準液および標準緩衝液を用いてなされる。
【0036】
「結合(Binding)」は、概して、分子の単一の結合部位とその結合相手との間(例えば、本発明の活性剤(C5結合タンパク質である)とヒト補体タンパク質C5との間)の非共有相互作用を意味する。
【0037】
用語「C5」、「C5タンパク質」、「補体C5」、ならびに「補体タンパク質C5」および「補体C5タンパク質」は、本明細書において相互互換的に使用される。C5タンパク質ならびにその構造および生物学的機能は、当技術分野において周知である。C5タンパク質は、補体系の構成要素であり、補体活性化の全ての経路に共通である。C5の妨害(例えば、C5阻害剤を使用する)は、近位補体カスケードの基本的機能(例えば、微生物のオプソニン化および免疫複合体のクリアランスなど)を無傷のままにしつつ、終末補体活性化を阻害する。例えば、C5阻害剤は、C5aおよびC5bへのC5の切断を阻害することができ、それにより、強力な炎症促進性アナフィラトキシンC5aの生成を阻害し、新生C5b、C6、C7、C8、およびC9分子を膜攻撃複合体へとアセンブリするのを阻害することができる。
【0038】
「有効量」(例えば、活性剤または医薬組成物の)は、明確に述べられた目的、または対象における生物学的もしくは医薬の転帰もしくは反応を達成するのに十分な量である。
【0039】
用語「導入用量」、「導入期」、「維持用量」、および「維持期」は、薬物動態学において標準的な用語であり、当技術分野におけるそれらの一般に認められた意味に一致して本明細書において使用される。典型的には、導入用量は、治療の複数回投与の過程の初期段階(導入期)の間に与えられる用量であり、後続の維持期の間に投与される用量より多い用量の活性剤の投与、または後続の維持期の間より多い頻度での活性剤の投与のどちらかを構成する。典型的には、導入用量は、活性剤の有効濃度が達成されるように速度を増加させるため、例えば、本発明の場合であれば、血清遊離C5レベルを臨床的に重要な程度まで減少させるのに有効なC5結合タンパク質の濃度が達成されるように速度を増加させるために使用される。典型的には、維持期の間、活性剤の濃度(例えば、血清中の)は、ピーク(Cmax)濃度とトラフ(Cトラフ)濃度との間のいくらかの循環変動を伴って、時間経過において比較的一貫したままである(すなわち、維持される)。
【0040】
用語「阻害する(inhibit)」、「妨害する(block)」、「減少させる(reduce)」、および「抑制する(suppress)」は、相互互換的に使用され、言及された発生または活性における任意の統計的に有意な減少を意味し、それは、発生または活性の完全な妨害を含む。例えば、「阻害」は、言及された活性もしくは発生の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、または100%の減少を意味し得る。言及された発生もしくは活性において統計的に有意な減少が存在するか否かの特定、または言及された発生もしくは活性における任意の減少の程度の特定は、任意の好適なコンパレータまたはコントロールに関連して、例えば、減少が発生する前の、および/または減少を発生させる原因の薬剤の不在下での状況に関連して、評価され得る。
【0041】
用語「阻害剤」は、言及された発生もしくは活性を阻害する活性剤を意味する。本発明の活性剤は、C5に結合し(したがって、C5結合タンパク質と呼ぶことができる)、C5の下流の終末補体カスケードの活性化を阻害する(したがって、補体阻害剤またはC5阻害剤と呼ぶことができる)。
【0042】
用語「医薬組成物」は、そこに含まれる活性剤の生物活性を有効にすることができるような形態であり、組成物が投与される対象にとって容認できない毒性である追加の成分を含まない、調剤を意味する。そのような組成物は、無菌であり得、薬学的に許容される担体、例えば、水(例えば、注射用水)または生理食塩水などを含み得る。好適な医薬組成物は、1種またはそれ以上の緩衝剤(例えば、酢酸、リン酸、またはクエン酸緩衝剤)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、安定化剤(例えば、ポリオールまたはアミノ酸)、防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウム)、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を含み得る。
【0043】
「薬力学」または「PD」は、対象の身体における活性剤の分子的、生化学的、生理学的、および他の生物学的効果の研究を意味する。C5阻害剤の場合、薬力学は、例えば、結合したC5(すなわち、活性剤によって結合されたC5)の量、遊離C5(すなわち、活性剤によって結合されていないC5)の量、総C5(結合したC5+遊離C5)の量、遊離C5である総C5の割合、C5コンバーターゼによるC5の切断、C5aの生成、C5bの生成、補体経路におけるC5の下流の他の補体成分の生成、終末補体経路活性などに対する、投与された薬剤の効果に関連する測定基準を使用して評価することができる。PDパラメータの特定の数値が本明細書において提供され、特に明記されない場合、提供される値は、血清に対する値である(典型的には、対象から得られた血液試料から調製した血清試料において測定される場合)。しかしながら、対象から得た血漿、血液、または血液由来試料からのそのようなPDパラメータの測定値を得ることは可能であり得る。したがって、特定の血清PDの数値が提供される場合、そのような血漿、血液、または他の血液由来試料から得られる、同等または匹敵するPD数値も、記載の範囲内である。本発明の実施形態のいくつかは、血清遊離C5のPDパラメータを伴う。血清遊離C5を測定する方法は、当技術分野において既知である。いくつかの実施形態において、例えば、0.5マイクログラム/mL以下の血清遊離C5濃度など、特定の血清遊離C5濃度が指定される。いくつかの実施形態において、血清中の遊離C5の特定の濃度を意味する代わりに、血清中の遊離C5の量は、相対的な用語、典型的には、例えば、C5結合タンパク質の投与前の血清中の遊離C5のベースライン濃度と比較したときの99%以上の減少を表す血清中の遊離C5の量など、C5結合タンパク質の投与前の血清中に存在する遊離C5のベースライン濃度の%として言及される。いくつかの実施形態において、血清中の遊離C5の量(濃度としてまたはベースライン濃度の%として記述されるかにかかわらず)は、C5結合タンパク質の投与後のある特定の時点、例えば、C5結合タンパク質の投与の12時間後、または24時間後、または36時間後、または48時間後、または72時間後などにおける量である。C5結合タンパク質の一連の複数回用量が対象に投与される実施形態において、血清中の遊離C5の量(濃度としてまたはベースライン濃度の%として記述されるかにかかわらず)は、典型的には、投与プロトコルの維持期の間に達成される量を意味する。好ましい実施形態において、血清中の遊離C5の特定の量(濃度としてまたはベースライン濃度の%として記述されるかにかかわらず)は、CmaxとCトラフとの間における血清中のC5結合タンパク質の濃度のいくらかの変動にもかかわらず、維持期を通して達成される閾値量(例えば、0.5マイクログラム/mL以下、または99%以上の減少)を意味する。
【0044】
「薬物動態」または「PK」は、投与された活性剤が対象の身体によってどのように処理されるかに関する研究を意味する。PKの特定は、薬剤がどのように血液循環に入るか(吸収)、身体の体液および組織全体に分散されるかまたは広がるか(分配)、身体によって認識および形質転換されるか(代謝)、および/または体から除去されるか(排泄)を含む。薬物動態は、様々な周知の測定基準を使用して評価することができ、その多くは、活性剤の投与後の様々な時点での身体における(または身体から得られたまたは処理された生物試料における)活性剤の量に基づいて計算される。例えば、「AUC」または「曲線下面積」(または濃度-時間曲線下面積)は、時間の関数として、典型的には血清または血漿中の、活性剤の濃度の変動を記載する薬物動態学的測定基準である。AUCは、例えば、時間ゼロから指定された時間tまで(AUCまたはAUC0-t)、時間ゼロから無限まで(AUCまたはAUC0-∞)など、異なる期間に対して計算される。「Cmax」は、投与後の、典型的には血清または血漿中での、活性剤のピーク濃度である。「Cトラフ」は、
投与後の、典型的には血清または血漿中での、活性剤の最低濃度である(典型的には、投薬間隔の終了時における濃度、すなわち、一連の用量の所定の用量が投与された後かつ一連の用量における次の用量の投与の直前の濃度)。投与後の時間は、活性剤が投与された時間であるTから測定される。「Tmax」は、活性剤の投与(Tにおいて行われる)後に最大濃度(Cmax)に達するまでの時間を意味する。「T1/2」は、活性剤の半減期、すなわち、活性剤の濃度が元の値の半分に達するまでに必要な時間を意味する。「CL」は、薬剤の全身クリアランスである。「V」は、薬剤の分配量である。PKパラメータに対する特定の数値が本明細書において提供され、特に明記されない場合、提供される値は、血清に対する値である(典型的には、対象から得られた血液試料から調製した血清試料において測定される場合)。ただし、対象の血漿、血液、または血液由来の試料からそのようなPKパラメータの測定値を得ることも可能であり得る。したがって、特定の血清PK数値が提供される場合、そのような血漿、血液、または他の血液由来試料から得られる、同等または匹敵するPK数値も、記載の範囲内である。
【0045】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸の高分子およびそれらの塩を意味するために相互互換的に使用される。当技術分野において使用される標準的な3文字または1文字のアミノ酸略号のどちらかが、アミノ酸残基を表すために、本明細書において使用される。アミノ酸略号の文字列は、それらのアミノ酸配列によってペプチドを表すために使用される。明記されない限り、タンパク質は、左側をN末端として示されており、配列は、N末端からC末端へと記述される。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、本明細書において使用される場合、アミノ酸の高分子の単量体および多量体(例えば、二量体)形態を含む。
【0046】
「対象」または「患者」は、予防または治療(例えば、本明細書において記載される活性剤、医薬組成物、または方法を使用する)が望ましいか、必要であるか、または実施される、個体、特に哺乳動物個体である。「それを必要とする」対象は、例えば、医療専門家によって決定される、本明細書において記載される活性剤、医薬組成物、または方法を使用した予防または治療から恩恵を受けることを合理的に予想することができる対象である。本発明のいくつかの実施形態において、対象は、任意の哺乳動物対象、例えば、ヒト、家畜、農場動物、スポーツ用動物、および実験室動物、例えば、ヒト、非人間霊長動物、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマ、齧歯動物、例えば、ラットおよびマウス、ウサギなどである。好ましい実施形態において、対象はヒトである。
【0047】
活性剤
本発明は、C5結合タンパク質である活性剤を伴う。それは、リンカー配列によって接続されたアフィボディZ-ドメインとアルブミン結合ドメインを含む組換えタンパク質である。C5結合タンパク質は、約11.9kDaの理論上の分子量および4.42の理論上の等電点(pl)を有する。C5結合タンパク質のアミノ酸配列は、以下の通りである:
【0048】
【表1】
【0049】
C5結合タンパク質は、高い親和性においてヒト補体タンパク質C5に結合し、補体経路機能および終末補体活性化を阻害する。
【0050】
C5結合タンパク質は、組換えタンパク質の生産のために当技術分野において既知の標準的な方法を使用して生成することができる。いくつかの実施形態において、C5結合タンパク質は、例えば、固相合成によって、合成的に生成することができる。いくつかの実施形態において、C5結合タンパク質は、任意の好適な宿主細胞において配列番号1をコードする組換え核酸分子から発現され得る。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、植物細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、昆虫細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、酵母細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、細菌細胞である。いくつかの実施形態において、C5結合タンパク質は、大腸菌細胞における発現によって産生される。いくつかの実施形態において、配列番号1をコードするヌクレオチド配列は、選択された宿主細胞タイプでの発現のために最適化されたコドンである。例えば、いくつかの実施形態において、配列番号1をコードするヌクレオチド配列は、細菌発現のために最適化されたコドンである。発現された後、活性剤は、当技術分野において既知の任意の好適な方法、例えば、これらに限定されるわけではないが、クロマトグラフィベースの方法などを使用して精製することができる。
【0051】
活性剤の作製のさらなる詳細は、国際公開第2015/028558号および米国特許第9,994,626号において提供されており、これらの特許の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0052】
医薬組成物
本発明の活性剤は、活性剤と1種またはそれ以上の追加の薬学的に許容される成分とを含む医薬組成物において製剤化される。
【0053】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、1種またはそれ以上の担体、希釈剤、賦形剤、または他の添加剤を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、医薬組成物は、1種またはそれ以上の安定剤、1種またはそれ以上の緩衝剤、1種またはそれ以上のpH調整剤、1種またはそれ以上の界面活性剤、および/または1種またはそれ以上の希釈剤(例えば、水、生理食塩水)を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、防腐剤を含まない。
【0054】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ヒスチジンを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、アルギニンを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ヒスチジン、アルギニン、ポリソルベート20、および水(注射用水)を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、水(例えば、注射用水)中における、活性剤、約20mMのヒスチジン、約150mMのアルギニン、および約0.05%のポリソルベート20(v/v)を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、組成物のpHは、約5.0から約9.0の間である。いくつかの実施形態において、組成物のpHは、約6.0から約8.0の間である。いくつかの実施形態において、組成物のpHは、約6.5から約7.5の間である。いくつかの実施形態において、組成物のpHは、約7.0である。
【0056】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、水中における、活性剤、約20mMのヒスチジン、約150mMのアルギニン、および約0.05%のポリソルベート20(v/v)を含み、約7.0のpHを有する。
【0057】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約50mg/mLから150mg/mLの濃度において活性剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約60mg/mLから140mg/mLの濃度において活性剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約70mg/mLから130mg/mLの濃度において活性剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約80mg/mLから120mg/mLの濃度において活性剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約90mg/mLから110mg/mLの濃度において活性剤を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約100mg/mLの濃度において活性剤を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、水中における、約100mg/mLの濃度の活性剤、約20mMのヒスチジン、約150mMのアルギニン、および約0.05%のポリソルベート20(v/v)を含み、約7.0のpHを有する。
【0059】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約2℃から約8℃で貯蔵される場合に安定である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約2℃から約8℃で貯蔵される場合に、約1週間、または約2週間、または約1ヵ月間、または約2ヵ月間、または約3ヵ月間、または約6ヵ月間、または約9ヵ月間、または約12ヵ月間、または約18ヵ月間、または約24ヵ月間、または約30ヵ月間、または約36ヵ月間、またはそれ以上の期間の間安定である。
【0060】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約15℃から約25℃で貯蔵される場合に安定である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約15℃から約25℃で貯蔵される場合に、約12時間、または約24時間、または約36時間、または約48時間、または約3日間、または約4日間、または約5日間、または約6日間、または約1週間、または1週間超の期間の間安定である。
【0061】
投与方法
本発明は、対象への本明細書において記載される活性剤(C5結合タンパク質)の投与を伴う様々な方法を提供する。そのような方法において、活性剤は、医薬組成物において対象に投与される(その詳細も本明細書において記載される)。したがって、活性剤について言及する記載が本明細書において提供される場合はいつも(例えば、投与の方法、投与される量、投薬量/投与スケジュール、投与経路などとの関連において)、そのような記載は、活性剤を含む医薬組成物についても言及するものと理解されるべきである。
【0062】
いくつかの実施形態において、活性剤が投与される対象は、哺乳動物対象である。いくつかの実施形態において、活性剤が投与される対象は、ヒト対象である。
【0063】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される方法は、対象においてある特定の生物学的効果を達成するために実施される。いくつかの実施形態において、そのような方法は、活性剤のある特定の量の投与を伴う。いくつかの実施形態において、そのような方法は、活性剤のある特定の回数の用量の投与を伴う。いくつかの実施形態において、そのような方法は、ある投薬スケジュールに従った活性剤の投与を伴う。いくつかの実施形態において、そのような方法は、ある特定の送達経路を使用した活性剤の投与を伴う。
【0064】
いくつかの実施形態において、本発明は、ある特定の生物学的効果を達成する方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態において、本発明は、対象におけるC5活性を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象におけるC5aおよびC5bへのC5の切断を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象における終末補体経路の活性化を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象における終末補体経路の1つまたはそれ以上の成分の量を減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象におけるC5a、C5b、C6、C7、C8、およびC9から選択される終末補体経路成分の量を減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象におけるC5aの量を減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象におけるC5bの量を減少させる方法を提供する。
【0065】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象における遊離C5の量を減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約1.0マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.9マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.8マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.7マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.6マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.5マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.4マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.3マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.2マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.1マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.05マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.01マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.005マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、血清遊離C5濃度を約0.01マイクログラム/mL以下に減少させる方法を提供する。
【0066】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象への本発明の活性剤のある特定の量の投与を伴う方法を提供する。活性剤のこれらの量は、医薬組成物において対象に投与される。
【0067】
いくつかの実施形態において、そのような量は、一度だけ対象に投与され、すなわち、活性剤のある特定の量の1回の用量が、対象に投与される。他の実施形態において、そのような量は、以下でさらに記載されるように、2回以上において対象に投与され、すなわち、一連の複数回(2回またはそれ以上)の用量が対象に投与される。
【0068】
一連の複数回用量が対象に投与されるそれらの実施形態において、用量は、ある特定の投薬スケジュールに基づいて、例えば、一連の用量における個々の用量の間におけるある特定の時間間隔において、投与される。いくつかの実施形態において、一連の用量内の各用量で対象に投与される量は、同じである(すなわち、一連の用量内の各用量は、同じ量の活性剤を含む)。他の実施形態において、一連の用量内の各用量で対象に投与される量は、同じではない(すなわち、一連の用量内の個別の量は、異なる量の活性剤を含んでもよい)。
【0069】
いくつかの実施形態において、対象に投与される活性剤の量は、約2mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約10mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約20mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約30mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約40mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約50mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約60mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約70mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約80mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約90mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約100mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約110mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約120mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約130mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約140mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約150mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約160mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約170mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約180mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約190mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約200mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約210mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約220mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約230mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約240mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約250mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約260mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約270mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約280mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約290mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約300mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約325mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約350mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約375mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約400mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約425mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約450mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約475mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約500mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約600mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約700mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約800mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約900mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約1000mgである。いくつかの実施形態において、投与される量は、最大で約2000mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、最大で約3000mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、最大で「有害事象が観察されないレベル」(NOAEL)までである。これらの量は、任意の組合せにおいて、投与される量の範囲のための終点としても機能することができる。例えば、約2mgから約1000mg、または約100mgから約500mgなどの量である。
【0070】
いくつかの実施形態において、投与される量は、約2mgから約500mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約10mgから約500mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約30mgから約500mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約50mgから約500mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約100mgから約500mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約100mgから約400mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約100mgから約300mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約100mgから約200mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約150mgから約500mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約150mgから約400mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約150mgから約300mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約150mgから約200mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約30mgから約300mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約30mgから約200mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約30mgから約150mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約30mgから約100mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約50mgから約300mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約50mgから約200mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約50mgから約150mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約50mgから約100mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約75mgから約300mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約75mgから約200mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約75mgから約150mgまでである。いくつかの実施形態において、投与される量は、約75mgから約100mgまでである。上記の量は、約70kgの平均的成人対象に投与される量に基づいて、ミリグラムの単位で表される絶対量として記載される。mgの単位で表されるこれらの絶対量は、上記で提供される量に約0.015の倍率を掛けることによってmg/kg体重で表現される量に変換される(すなわち、上記の1mgの量は、0.015mg/kg体重の量に相当する)。
【0071】
例えば、いくつかの実施形態において、投与される量は、約0.03mg/kg体重であり得る。いくつかの実施形態において、投与される量は、約0.14mg/kg体重であり得る。いくつかの実施形態において、投与される量は、約0.43mg/kg体重であり得、いくつかの実施形態において、投与される量は、約1.4mg/kg体重であり得る。いくつかの実施形態において、投与される量は、約2.2mg/kg体重であり得る。いくつかの実施形態において、投与される量は、約2.7mg/kg体重であり得る。いくつかの実施形態において、投与される量は、約4.3mg/kg体重であり得る。いくつかの実施形態において、投与される量は、約5.4mg/kg体重であり得る。いくつかの実施形態において、投与される量は、約6.75mg/kg体重であり得る。これらの量は、任意の組合せにおいて、投与される量の範囲のための終点としても機能することができる。例えば、約0.03mg/kgから約6.75mg/kgの量、または約1.4mg/kgから約6.75mg/kgの量、または約1.4mg/kgから約4.3mg/kgの量などである。
【0072】
いくつかの実施形態において、活性剤の上記の量は、一度に(単回用量として)対象に投与される。しかしながら、より典型的には、活性剤の上記の量は、2回以上、すなわち、一連の複数回(2回またはそれ以上)用量で、対象に投与される。そのような一連の複数回用量内でのそれぞれの個別の用量における活性剤の量は、上記で記載された量のいずれかであり得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、一連の2回またはそれ以上の用量が、対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の3回またはそれ以上の用量が、対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の4回またはそれ以上の用量が、対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の5回またはそれ以上の用量が、対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の6回またはそれ以上の用量が、対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の7回またはそれ以上の用量が、対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の8回またはそれ以上の用量が、対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の9回またはそれ以上の用量が、対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の10回またはそれ以上の用量が、対象に投与される。
【0074】
いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約2日間毎(Q2D)の時間間隔で投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約3日間毎(Q3D)の間隔で投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約4日間毎(Q4D)の間隔で投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約5日間毎(Q5D)の間隔で投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約6日間毎(Q6D)の間隔で投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約7日間毎(Q7D/QW)の間隔で投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約8日間毎(Q8D)の間隔で対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約9日間毎(Q9D)の間隔で対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約10日間毎(Q10D)の間隔で対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約11日間毎(Q11D)の間隔で対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約12日間毎(Q12D)の間隔で対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約13日間毎(Q13D)の間隔で対象に投与される。いくつかの実施形態において、一連の複数回用量における個々の用量は、約14日間毎(Q14D/Q2W)の間隔で対象に投与される。
【0075】
一連の複数回用量が対象に投与されるそれらの実施形態のいくつかにおいて、用量は、2つのフェーズ:初期「導入」期(また「負荷」期と呼ばれる場合もある)とその後の「維持」期において投与される。導入期の間に投与される用量は、導入用量と呼ばれる。同様に、維持期の間に投与される用量は、維持量と呼ばれる。
【0076】
いくつかの実施形態において、個々の用量が対象に投与される頻度は、維持期と比較して、導入期の間においてより多い。別の方式の場合、個々の用量の投与の間の時間間隔は、維持期と比較して、導入期の間においてより短い。例えば、一実施形態において、個々の用量は、導入期の間は約2日間毎(Q2D)に、次いで、維持期の間は約1週毎(QW/Q7D)に、対象に投与される。同様に、一実施形態において、個々の用量は、導入期の間は約3日間毎(Q3D)に、次いで、維持期の間は約1週毎(QW/Q7D)に、対象に投与される。他の実施形態において、個々の用量は、用量の間の時間間隔が維持期より導入期においてより短い場合、導入期の間の上記で記載された間隔/頻度のいずれかで、維持期の間の上記で記載された間隔/頻度のいずれかで、対象に投与される。
【0077】
いくつかの実施形態において、導入期の間に個々の用量で投与される活性剤の量は、維持期の間に個々の用量で投与される量より多い。例えば、いくつかの実施形態において、導入期の間に投与される個々の用量は、維持期の間に個々の用量で投与される活性剤の約1.5倍、または約2倍、または約3倍、または約4倍、または約5倍の量を含む。いくつかのそのような実施形態において、個々の用量が対象に投与される頻度は、維持期と比較して、導入期の間において同じであり、すなわち、個々の用量で投与される量は、維持期の間より導入期の間において多いが、投薬の頻度は同じである。
【0078】
いくつかの実施形態において、個々の用量で投与される量および個々の用量が投与される頻度の両方は、維持期と比較して、導入期の間においてより多い。
【0079】
以下の表は、活性剤の投与のための導入期および維持期の両方を含む、本発明による方法の非限定的な実施例を含む。導入期および維持期の両方を含む、本発明による方法の多くの他の実施例は、本発明の明細書の実施例のセクションなど、本明細書の他の場所において提供される。
【0080】
【表2】
【0081】
いくつかの実施形態において、導入期の総継続時間は、約1週間である。いくつかの実施形態において、導入期の総継続時間は、約2週間である。いくつかの実施形態において、導入期の総継続時間は、約3週間である。
【0082】
維持期の総継続時間は、所望される長さであってもよく、例えば、対象が投与方法からの恩恵を感じている限りの長さ、例えば、無期限などであってもよい。いくつかの実施形態において、維持期の総継続時間は、約4週間である。いくつかの実施形態において、維持期の総継続時間は、約2ヵ月間である。いくつかの実施形態において、維持期の総継続時間は、約3ヵ月間である。いくつかの実施形態において、維持期の総継続時間は、約6ヵ月間である。いくつかの実施形態において、維持期の総継続時間は、約9ヵ月間である。いくつかの実施形態において、維持期の総継続時間は、約1年間、またはそれ以上である。
【0083】
いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、約0.5マイクログラム/mL以下に減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、約0.1マイクログラム/mL以下に減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、約0.05マイクログラム/mL以下に減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、約0.01マイクログラム/mL以下に減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、約0.005マイクログラム/mL以下に減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、約0.001マイクログラム/mL以下に減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。
【0084】
いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、活性剤の投与前のベースライン血清遊離C5濃度と比較して、約90%、または少なくとも90%減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、活性剤の投与前のベースライン血清遊離C5濃度と比較して、約95%、または少なくとも95%減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、活性剤の投与前のベースライン血清遊離C5濃度と比較して、約96%、または少なくとも96%減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、活性剤の投与前のベースライン血清遊離C5濃度と比較して、約97%、または少なくとも97%減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、活性剤の投与前のベースライン血清遊離C5濃度と比較して、約98%、または少なくとも98%減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、活性剤の投与前のベースライン血清遊離C5濃度と比較して、約99%、または少なくとも99%減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、活性剤の投与前のベースライン血清遊離C5濃度と比較して、約99.5%、または少なくとも99.5%減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、血清遊離C5濃度を、活性剤の投与前のベースライン血清遊離C5濃度と比較して、約99.9%、または少なくとも99.9%減少させるのに有効な量および/または頻度で投与される。
【0085】
いくつかの実施形態において、活性剤は、約0.1から約10.0マイクロモルの活性剤のCmaxを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。例えば、いくつかの実施形態において、活性剤は、約1.0から約5.0マイクロモルの活性剤のCmaxを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、約1.0マイクロモル、または約2.0マイクロモル、または約3.0マイクロモル、または約4.0マイクロモル、または約5.0マイクロモル、または約6.0マイクロモル、または約7.0マイクロモル、または約8.0マイクロモル、または約9.0マイクロモル、または約10.0マイクロモルの活性剤のCmaxを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。
【0086】
いくつかの実施形態において、活性剤は、約0.1から約10マイクロモルの活性剤のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、約0.5から約5.0マイクロモルの活性剤のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、0.5マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、0.6マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、0.7マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、0.8マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、0.9マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、1.0マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、1.1マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、1.2マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、1.3マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、1.4ミクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、1.5マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、1.6マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、1.7マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、1.8マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、1.9マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、2.0マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、1.0マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、2.5マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、3.0マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、3.5マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、4.0マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、4.5マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、5.0マイクロモル以上のCトラフを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。
【0087】
いくつかの実施形態において、活性剤は、約24~72時間の活性剤のTmaxを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。例えば、いくつかの実施形態において、活性剤は、約24時間の活性剤のTmaxを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、約48時間の活性剤のTmaxを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。いくつかの実施形態において、活性剤は、約72時間の活性剤のTmaxを達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。
【0088】
いくつかの実施形態において、活性剤は、約300~400時間の活性剤のT1/2を達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。例えば、いくつかの実施形態において、活性剤は、約350時間の活性剤のT1/2を達成するのに有効な量および/または頻度で投与される。
【0089】
いくつかの実施形態において、活性剤は、本開示の実施例のセクションにおいて記載される量のいずれかでおよび/または投薬スケジュールのいずれかに従って対象に投与される。
【0090】
いくつかの実施形態において、本発明の活性剤は、非経口において対象に投与される。非経口的投与経路は、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、および皮下投与を含む。好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、皮下投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は低容量皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は2.5mL以下の容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、2.25mL以下の容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、2.0mL以下の容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、1.75mL以下の容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、1.5mL以下の容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、1mL以下の容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、0.75mL以下の容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、0.5mL以下の容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、約2.5mLの容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、約2.25mLの容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、約2.0mLの容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、約1.75mLの容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、約1.5mLの容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、約1mLの容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、約0.75mLの容量を有する皮下注射として投与される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、約0.5mLの容量を有する皮下注射として投与される。
【0091】
いくつかの実施形態において、本発明の活性剤は、医療サービス提供者によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、本発明の活性剤は、医療サービス提供者でない誰か、例えば、対象自身、家族、介護人などによって対象に投与される。いくつかの実施形態において、本発明の活性剤は、自己投与される。いくつかの実施形態において、本発明の活性剤は、自動注入装置を使用して投与される。
【0092】
いくつかの実施形態において、本発明の活性剤は、自動注入装置において提供される。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明による医薬組成物を含む自動注入装置を提供する。そのような実施形態のいくつかにおいて、自動注入装置中の医薬組成物または活性剤の量は、本明細書において記載される量のいずれか、例えば、単回用量としての投与にとって好適な量(例えば、一連の複数回用量における1回用量など)または2回以上の用量の投与にとって好適な量であり得る。いくつかの実施形態において、本発明は、約100mg/mLの濃度においてC5結合タンパク質を含む医薬組成物を含む自動注入装置を提供する。
【0093】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の活性剤を含む医薬組成物およびその使用のための取扱説明書を含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、自動注入装置中における本発明の活性剤を含む医薬組成物およびその使用のための取扱説明書を含むキットを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の活性剤を含む医薬組成物、自動注入装置、およびその使用のための取扱説明書を含むキットを提供する。
【0094】
いくつかの実施形態において、本明細書において提供される活性剤および医薬組成物は、重症の有害事象(AE)を引き起こすことなく、または重篤な有害事象(SAE)を引き起こすことなく、対象に投与される。
【0095】
本開示の実施形態は、下記の非限定的な実施例を参照することによってより詳細に定義することができる。材料および方法の両方に対する多くの変更が、本開示の範囲から逸脱することなく実践することができることは、当業者に明らかであろう。
【実施例1】
【0096】
非臨床薬理学
本発明のC5結合タンパク質を、配列番号1をコードする組換え核酸から大腸菌(Escherichia coli)において発現させ、精製し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)において製剤化した。
【0097】
インビトロでのヒトC5に対するC5結合タンパク質(PBS中における73.46mg/mL)の結合の特異性および親和性を、ヒトC3、C4、およびヒトIgGに対する結合と比較した場合の、ヒトC5に対する結合の動態を、表面プラズモン共鳴法を使用して測定することによって特定した。C3およびC4は、C5に最も密接に関連する2つのタンパク質であり、ヒトC5に対しておよそ30%の全タンパク質配列同一性を共有し(Wetselら、1988、「Molecular Analysis of Human Complement Component C5:Localization of the Structural Gene to Chromosome 9:」Biochemistry;Vol.27(5):pp.1474~1482)、ならびにIgGは、それからC5結合タンパク質のアフィボディタンパク質が操作された、アフィボディスカフォールドの元のリガンドである。C5結合タンパク質は、約0.38nM(K)の親和性においてヒトC5タンパク質に結合することが観察され、その一方で、ヒトC3、C4、またはIgGにおいては、生理学的に関連する結合は観察されなかった。結果は、C3、C4、およびIgGと比べて、ヒトC5に対して少なくとも4000倍のC5結合タンパク質の選択性を示している。
【0098】
補体C5活性化の妨害におけるC5結合タンパク質の活性を評価する目的において、抗体で感作されたヒツジ赤血球による補体古典経路の溶血アッセイを実施した。C5結合タンパク質(0.0625、0.125、0.25、0.5、1、および2μM)を、ヒト血清(複数の健康なドナーからの血清プール)によってエクスビボにおいてインキュベートし、溶血の%を特定した。溶血活性は、C5結合タンパク質の0.5μMの濃度において>95%阻害に達し、これは、この濃度が、ヒト血清での補体妨害にとって十分であり得ることを示していた。溶血阻害データは、図1に示される。
【実施例2】
【0099】
フェーズ1 健康な参加者のC5結合タンパク質の安全性、耐薬性、薬物動態、および薬力学を評価するための単回用量漸増および複数回用量漸増研究
これは、健康なヒト対象(本明細書において研究参加者と呼ばれる)における本発明のC5結合タンパク質を含む医薬組成物(本明細書において「治験薬」と呼ばれることがある)の単回および複数回皮下(SC)用量漸増の安全性、耐薬性、薬物動態(PK)、および薬力学(PD)の一重盲検式プラセボ制御フェーズ1研究である。
【0100】
【表3】
【0101】
総合的な設計
この研究は、健康な参加者におけるC5結合タンパク質の単回(パートA)および複数回(パートB)用量の安全性、耐薬性、PK、およびPDを評価するための一重盲検式プラセボ制御漸増用量の多施設研究である。
【0102】
研究の両方のパートにおいて、参加者は、同意説明文書にサインした後に、70日間のスクリーニング期間に入る。適任の参加者は登録され、治療期間に入る(研究のパートにより1日から4週間まで変わる)。最後の用量を受けた後、研究参加者は、10週間の経過観察期間に入る。
【0103】
パートA
最大6つの漸増用量コホートは、研究のパートAにおいて連続して投薬される。8人の参加者は、各用量コホートにおいて治験薬の単回用量で治療される(用量レベル毎に6人の参加者がC5結合タンパク質を受け、2人の参加者は釣り合う用量のプラセボ(matching placebo)を受ける)。各用量コホートに対して、2人の参加者(C5結合タンパク質の1人およびプラセボの1人)からなるセンチネルグループは、彼らに割り当てられた治療を受け、投薬後最長24時間までに、予定された評価を完了し、安全性レビューを受けた後、用量コホートでの登録の継続を行うことができる。4人以下の参加者が、1日目に投薬される。
【0104】
次のより高い用量レベルへの段階的拡大は、安全審査委員会による臨床安全性データのレビューの完了後においてのみ行われる。
【0105】
パートB
最大5つまでの漸増複数回用量コホートが、研究のパートBにおいて連続して登録される。複数回用量フェーズは、安全審査委員会が単回用量フェーズの5番目のコホートからの安全性データをレビューし、研究を進行させることに関して合意に達した後に開始される。
【0106】
パートBにおける各用量コホートにおいて、12人の参加者が、4週間にわたって治験薬によって治療される(コホートあたり10人の参加者がC5結合タンパク質を受け、コホートあたり2人の参加者は釣り合う用量のプラセボを受ける)。次のより高い用量レベルへの段階的拡大は、安全審査委員会による臨床安全性データおよび利用可能なPKデータのレビューの完了後においてのみ行われる。
【0107】
参加者の数
約48人の健康な男性および女性の参加者(6つの用量コホートのそれぞれに8人の参加者)が、パートAに含まれ、約60人の健康な男性および女性の参加者(5つの用量コホートのそれぞれに12人)が、パートBに含まれる。
【0108】
適格性基準
研究の選択除外基準は以下の通りである:
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
【0111】
研究介入
C5結合タンパク質(配列番号1をコードする組換え核酸から大腸菌における発現の後に精製された)は、ヒスチジン、アルギニン、ポリソルベート20、および注射用水を含む製剤においてpH7.0を目標に緩衝された100mg/mLのC5結合タンパク質を含む無菌で保存料不含の透明かわずかに乳白色の液体製剤において提供され、シングルドーズのホウケイ酸塩ガラスバイアル瓶において提供される。プラセボは、0.9%の生理食塩水(塩化ナトリウム)である。C5結合タンパク質は、2~8℃で貯蔵され、使用および投与の前に希釈のために室温に戻される。
【0112】
【表6】
【0113】
パートAにおいて、最大48人までの健康な参加者が、最大6つの連続漸増用量コホート(8人の参加者/コホート)に登録される。参加者は、皮下に(SC)、C5結合タンパク質(2、10、30、100、150、および300mg)またはプラセボの単回用量を受ける。
【0114】
パートBにおいて、最大60人までの健康な参加者が、最大5つのコホート(12人の参加者/コホート)に登録され、以下のように、SCにおいてC5結合タンパク質(漸増用量)またはプラセボを受ける:
【0115】
コホート1、2、および3:週1回において(QW)(1日目、8日目、15日目、22日目、29日目)、それぞれ、100mg、150mg、または300mg。
【0116】
コホート4:1日目および4日目(最初の週)およびその後はQW(8日目、15日目、22日目、29日目)において100mgまたは150mg。
【0117】
コホート5:1日目、3日目、および5日目(最初の週)、ならびにその後はQW(8日目、15日目、22日目、29日目)において100mgまたは150mg。
【0118】
2、10、30、100、150および300mgの投与された用量は、70kgのヒトに基づいて、0.03、0.14、0.43、1.4、2.15、4.3mg/kg体重のおよその用量に対応する。
【0119】
これらの研究介入の詳細も、下記の表に示される。
【0120】
【表7】
【0121】
用量の変更
投薬スケジュールは、所定の用量レベルでの安全性、耐薬性、PK、および/またはPDの所見をさらに評価するために、または48mg/kgのNOAEL曝露(濃度時間曲線下面積[AUC]または最大血漿濃度[Cmax])を超えることなく、最大の実現可能な用量までの追加の用量を評価するためにコホートを除去するかもしくはコホートを加えるために、投薬コホートを拡大するように調整され得る。これらの追加の参加者/コホートに対する研究手順は、他の研究参加者/コホートについて記載されるものと同じであろう。
【0122】
例えば、パートBのコホート3は、週1回(QW)において(1日目、8日目、15日目、22日目、29日目)、50mg、または75mg、または80mg、または90mg、または125mg、または150mg、または200mgを投与するように変更してもよい。
【0123】
同様に、パートBのコホート4は、1日目および4日目(最初の週)およびその後はQW(8日目、15日目、22日目、29日目)において、50mg、または75mg、または80mg、または90mg、または100mg、または125mg、または150mg、または200mgを投与するように変更してもよい。
【0124】
同様に、パートBのコホート5は、1日目、3日目、および5日目(最初の週)およびその後はQW(8日目、15日目、22日目、29日目)において、50mg、または75mg、または80mg、または90mg、または100mg、または125mg、または150mg、または200mgを投与するように変更してもよい。
【0125】
安全審査委員会
研究の継続時間を通して、安全審査委員会は、継続的に全てのデータを評価し、定例会議において研究参加者の全体的な安全性を監視するであろう。
【実施例3】
【0126】
臨床試験の結果
実施例2において記載されたフェーズ1臨床試験は、進行中である。研究のパートAにおける投薬は、コホート5を除去するようになされたプロトコルの変更を伴って完了している。治験薬の漸増単回用量の投与を含む研究のパートAの残ったコホートにおける参加者は、すでに投薬されており、最初の4コホートは、10週間の経過観察期間を完了している。薬物動態(PK)および薬力学(PD)分析を、パートAのコホート1~4に対して実施した(すなわち、2、10、30、および100mgの単回用量)。パートAにおいて、PKおよびPDデータのコホート6(300mgの単回用量)分析は、進行中である。パートAのコホート5(150mgの単回用量)は、研究から省略した(コホート5ではいずれの対象も投薬されなかった)。
【0127】
安全審査委員会(SRC)は、投薬された全てのコホートからのデータを評価した。後続の高用量コホートを開始する前に、コホート1~4のそれぞれに対して安全性を評価した。各場合において、安全審査委員会は、いくつかの軽症または中等症の有害事象が観察されたが、安全性および耐薬性は、後続の高用量コホートに進むのにおいて許容範囲内であることを決定した。全ての投薬されたコホートにおいて、薬物に関連する重篤な有害事象は報告されなかった。
これまでにコホート1~4から得られたPKデータを、下記の表8にまとめる。追加のPKデータも、図2(コホート1~4)および図3(コホート4)に示す。
【0128】
【表8】
【0129】
表8において、提示されるデータは、示された試料の数(N)から得られた平均データであり、「Rsq」は、相関関係R平方の統計的尺度を意味し、T1/2は、時間で表現された、血清中の治験薬の半減期(すなわち、血清中の治験薬の濃度が50%減少するまでの時間)を意味し、Tmaxは、時間で表現された、治験薬が投与後に血清中のその最大濃度(Cmax)に達するまでの時間を意味し、Cmaxは、マイクロモル(μM)単位で表現された、血清中の治験薬の最大濃度を意味し、Tlastは、時間で表現された、血清中の治験薬の濃度を最後に測定した時間を意味し、AUCINF_obsは、無限へと外挿された濃度-時間曲線下面積を意味し、Vは、リットル(L)で表現された見かけ上の分布量を意味し、CLは、時間あたりのリットル(L/時間)で表現されたクリアランスを意味する。
【0130】
治験薬による対象の治療は、測定された血清遊離C5を濃度依存的な様式で減少させた(図4Aおよび図4Bを参照されたい)。表9は、コホート4(100mg、1mLの皮下注射において投与される)に対する遊離C5データを提供し、それは、ベースライン(投与前)遊離C5レベルおよび6人の対象における投与後24時間での遊離C5濃度を示す。平均遊離C5濃度は、567ng/ml(すなわち、0.567マイクログラム/ml)まで減少し、それは、治療前ベースラインと比較して、99.4%の遊離C5濃度の減少平均を表している。
【0131】
【表9】
【0132】
パートAのコホート1~4から得られたPKデータを、一般に認められたPKモデリング方法を使用して実施された、マルチドーズ薬物動態学モデリングのための入力データとして使用した。様々な投薬レジメンを使用して投与された、100mgおよび150mg用量に対するこれらのモデリング研究の結果は、図5A~Eにおいて提供される。これらの結果は、各場合において、C5結合タンパク質は、2μM超の血清濃度に即座に達し、血清濃度は、トラフ(Cトラフ)においてさえ2μM超の濃度レベルが維持されることを示している。2μM濃度レベルは、図5A~Eのグラフにおいて示される。このことは、この実施例において記載される単回用量データが、1.3μMのC5結合タンパク質の平均血清濃度においてさえ、血清遊離C5濃度は、99%を超えて減少することを示し、実施例1において記載される溶血阻害データは、溶血現象の完全阻害が、0.5μM以上のC5結合タンパク質の濃度において達成されることを示すという理由から重要である。したがって、単回用量研究からのデータ(時間経過において持続するC5結合タンパク質の濃度および良好なC5コントロールを示した)およびマルチドーズモデリングデータの両方は、週1回、または週1回未満でさえ、投与により、結果として、時間経過における有効な遊離C5減少を生じる、C5結合タンパク質に対する好ましいPKおよびPDプロファイルを示している。
【0133】
結論として、これまで得られたこのフェーズ1臨床試験の結果は、低容量皮下注射において投与することができる用量での、本明細書において提供されるC5結合タンパク質の皮下投与は、承認された抗C5治療によって達成されるのと同様の遊離C5減少を提供し(遊離C5濃度における減少によって特定される場合)、頻繁な(例えば、毎日の)投与の必要としないで時間経過において持続するC5コントロールの提供に一致する薬物動態学特性を有することを実証している。
【0134】
本発明は、以下の特許請求の範囲によりさらに記載される。
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図5-3】
【配列表】
2024540351000001.xml
【国際調査報告】