(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】圧電モータ要素のための取り付け装置
(51)【国際特許分類】
H02N 2/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H02N2/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526817
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2022080469
(87)【国際公開番号】W WO2023073250
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524165610
【氏名又は名称】ゼリオン・ベスローテン・フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】XERYON BV
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォーマンス,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ピアス,ヤン
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA19
5H681BB01
5H681EE10
5H681FF03
5H681FF04
5H681FF08
(57)【要約】
圧電アクチュエータについて説明する。これは、頂面および底面を有する圧電モータ要素を備える。また、これは圧電モータ要素の曲げモードのノード位置に位置する異なる固定位置で圧電モータ要素に接触するための屈曲ヒンジを有するアームを備える接続要素を備える。屈曲ヒンジは、圧電モータ要素が法線方向に移動することを可能にし、屈曲ヒンジが接線方向に剛性であるようなものであり、それによって、屈曲アームは、固定手段によって圧電モータ要素に固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電アクチュエータであって、
頂面および底面を有する圧電モータ要素と、
前記圧電モータ要素の1つまたは複数の曲げモードのノード位置に位置する異なる固定位置で前記圧電モータ要素に接触するための屈曲ヒンジを有するアームを備える接続要素であって、
屈曲ヒンジを有する前記アームの長手方向は、固定点において、前記圧電モータ要素が中心位置に対して半径方向にのみ移動することができるように、それぞれの固定点において膨張モードの移動に対して垂直に配置され、
それにより、前記屈曲アームは、固定手段によって前記圧電モータ要素に固定されている、接続要素と、
を備える、圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記屈曲ヒンジは接線方向において剛性である、請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記接続要素は屈曲ヒンジを有する4つのアームを備える、先行する請求項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記屈曲アームは、接着剤を使用して前記圧電モータ要素に固定される、先行する請求項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
前記接続要素は2つの箔要素を備え、1つの頂部接続箔要素は、前記圧電モータ要素の頂部側に配置され、1つの底部接続箔要素は、前記圧電モータ要素の底部側に配置され、前記頂部接続箔要素および前記底部接続箔要素は、前記圧電モータ要素に接触するための屈曲ヒンジを有する前記アームを有し、それぞれ前記圧電モータ要素の前記頂面および前記圧電モータ要素の前記底面において前記圧電モータ要素に接触するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【請求項6】
前記圧電モータ要素は、前記圧電モータ要素を貫通して前記頂面から前記底面まで延びる穴を有し、前記接続要素は、前記圧電モータ要素の前記穴を貫通して配置された接続部をさらに備え、前記接続部は、前記頂部接続箔要素と前記底部接続箔要素とを機械的に接続する、請求項5に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項7】
前記異なる固定位置は、前記穴の位置において前記接続要素と前記圧電モータ要素とが互いに接触しないように、前記穴から離れて配置される、請求項6に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項8】
前記接続部は、前記頂部接続箔要素と前記底部接続箔要素とを離間させるためのスペーサリングを備える、請求項7に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項9】
前記スペーサリングの外径は、前記圧電モータ要素の前記穴の内径よりも実質的に小さい、請求項8に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項10】
前記接続部は、前記頂部接続箔要素と前記底部接続箔要素との間の機械的接続を提供し、前記箔要素を前記圧電モータ要素から離間させるのを助ける2つのシム要素、例えばシムリングを備える、先行する請求項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【請求項11】
前記接続部の寸法は、前記シム要素と前記圧電モータ要素の前記頂面および前記底面との間に2μm~20μm程度の遊びが存在するようなものである、請求項10に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項12】
前記圧電モータ要素と前記接続箔との間に、前記圧電モータ要素内の電極への電気的接続のためのフレキシブル回路が設けられている、請求項5に従属する限りにおいて先行する請求項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【請求項13】
前記圧電アクチュエータは、前記駆動方向の望ましくない動きを防止しながら前記圧電モータ要素が前記駆動方向に垂直な方向に自由に動くことができるように、前記圧電モータ要素を懸架するための懸架要素をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【請求項14】
前記懸架要素は2つの懸架箔を備え、1つの懸架箔は、前記圧電モータ要素の頂部側に配置され、1つの懸架箔は、前記圧電モータ要素の底部側に配置される、請求項13に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項15】
前記懸架箔は、前記懸架箔が前記圧電モータ要素から外方を向く前記接続箔の側面に配置され、前記懸架箔および前記接続箔がシム要素によって互いに離間されるように配置される、請求項5に従属する限りにおいて請求項14に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項16】
前記懸架箔、前記シム要素、および前記接続箔は、互いに機械的に接続されている、請求項15に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項17】
前記懸架箔、前記シム要素、および前記接続箔は、前記圧電モータ要素の前記中心穴を通って延びる接続部を使用して互いに機械的に接続されている、請求項16に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項18】
前記圧電モータ要素はプレート状である、先行する請求項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、圧電モータ、例えば超音波圧電モータ、および圧電モータの要素を取り付ける方法に関する。より詳細には、本発明は、圧電モータ要素、例えば超音波圧電モータ要素を位置決め装置のステータ構成要素に接続または取り付けるための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
圧電アクチュエータは、高度な小型化を必要とする多数の用途で使用されることが多い。しかしながら、典型的な圧電ポジショナの最大の制限は、変位が非常に小さいことである。この影響に対抗するために、無制限の移動範囲を有する圧電モータのいくつかの原理が提示されている。
【0003】
3つの主要なタイプの圧電モータ、すなわち、(1)ステッピングモータ、(2)スティックスリップ/イナーシャ駆動モータ、および(3)共振モータが、無限ストロークで設計されている。ステッピングモータは高い保持力を有するが、多くの用途では遅すぎることが多い。スティックスリップモータは、10mm/s程度の速度を達成するが、過度の振動を引き起こすことが多い。高い動作周波数のために「超音波」と呼ばれることが多い共振モータは、反対に、100mm/s以上程度の最高速度を達成する。これは、共振モータの圧電素子が、モータの2つの固有周波数に近い周波数の駆動信号で励起されるためである。典型的な圧電モータは、例えば、周波数がほぼ一致する縦方向および横方向の移動固有モードを有する。
【0004】
小型の超音波圧電モータは、同じサイズの電気モータと比較して高い電力効率を特徴とする。それらのコンパクトさおよび効率のために、それらはしばしば手持ち式装置に使用される。超音波圧電モータは、高周波動作のため、静音モータである。これらのモータの別の利点は、ギアまたはベルトのような伝達システムがないことである。したがって、作動機構はそれほど複雑ではなく、機械的バックラッシュがない。これは、これらのモータがより良好な位置決め精度を達成できることを意味する。シャットダウンしても、これらのモータは依然として保持力を発揮するため、移動される試料の位置は固定される。いくつかの用途はまた、作動が逆駆動可能であることを必要とする。これは、試料を依然として手動で移動させることができ、例えばハードターゲットに衝突したときのハード衝突の影響を制限できることを意味する。他の圧電モータと同様に、超音波圧電モータは、高真空または超高真空、磁場を回避する場合、極低温環境などの特定の環境で使用されることが多い。しかし、これらのモータは、大気中の用途、典型的には小型化と高速化の両方が必要な場合にも使用される。
【0005】
共振振動モードによって動作するいくつかの超音波モータが過去数年にわたって設計されてきたが、それらは依然としていくつかの欠点を有する。
【0006】
特開平7-107758号公報には、2組の電気機械エネルギー変換器に異なる位相の高周波電圧を印加する超音波アクチュエータが開示されている。共振器に定在波振動を発生させ、この定在波振動のノード部を弾性ヒンジ構造を用いた保持手段で固定する。
【0007】
欧州特許出願公開第0978886号明細書は、圧電素子によって生成された駆動力の漏れを低減し、駆動力を移動部材に効率的に伝達することを意図した超音波モータを開示している。超音波モータは、入力された駆動信号により振動して駆動力を発生する圧電素子と、圧電素子を基板に支持する支持部材とを備える。支持部材は、圧電素子に駆動信号を供給する信号供給機能を有する。これにより、信号伝達手段を別途設ける必要がないため、圧電素子に起因する振動が従来の構成よりも漏れにくくなる。これにより、超音波モータは、駆動力を移動部材に効率よく伝達する。また、支持部材は、くびれを設けることで弾性を持たせているため、圧電素子を移動部材に圧接させる圧接機能も有している。この場合、振動漏れがより低減される。
【0008】
それにもかかわらず、小型の超音波圧電モータおよび設置が容易な圧電モータが依然として求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概要
本発明の目的は、超音波圧電モータの要素を取り付けるための良好な取り付けシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態の利点は、圧電モータ要素の適切な自由度を取り除くことによってモータ要素が定位置に保持されることである。本発明の実施形態の利点は、1つを除くすべての圧電モータ要素の自由度が取り除かれることである。本発明の実施形態の利点は、モータの駆動接点と位置決め装置の牽引面との間に予圧力を発生させるために、モータが摺動方向に垂直な方向に移動することができることである。
【0011】
本発明の実施形態の利点は、予圧力を機械的ばね構成要素によって加えることができることであり、本発明はこれに限定されない。
【0012】
本発明の実施形態の利点は、取り付けが、圧電モータをその共振周波数で励起するときに発生する超音波駆動振動を妨げないことである。本発明の実施形態の利点は、共振時に圧電モータの固有モードとの相互作用がないか、または最小になるように固定点が選択されることである。後者は、位置決め装置の良好な力および移動速度をもたらす。
【0013】
固定点は、圧電素子が他の要素に固定される位置である。駆動接点を除いて、これらは、圧電素子が周囲の要素と接触する唯一の位置である。
【0014】
本発明の実施形態の利点は、方法およびシステムがモータの駆動方向に遊びまたはバックラッシュが全くない、または最小限に抑えることである。
【0015】
本発明の実施形態の利点は、取り付けられたモータ要素が非常にコンパクトな方法で実現され、したがってコンパクトなシステムをもたらすことである。
【0016】
本発明の実施形態の利点は、モータ要素の取り付けが、例えば打ち抜き、レーザ切断などの安価な製造プロセスによって実現され、低い製造コストを有することを可能にすることである。本発明の実施形態の利点は、組み立て時間が短いことである。
【0017】
本発明の実施形態の利点は、対称性を提供し、モータ共振モードへの影響を低減する方法およびシステムが提供されることである。本発明の実施形態の利点は、結果として得られる位置決めシステムの良好な熱安定性が得られることである。本発明の実施形態の利点は、装置の大きな対称性が得られ、安定性が改善されることである。
【0018】
本目的および任意選択的に1つまたは複数の利点は、本発明の独立請求項による取り付け方法および結果として得られるシステムによって満たされる。従属請求項は、好ましい実施形態に関する。
【0019】
本発明は、圧電アクチュエータ、例えば超音波圧電アクチュエータに関し、圧電アクチュエータは、頂面および底面を有する圧電モータ要素と、
圧電モータ要素の1つまたは複数の曲げモードのノード位置に位置する異なる固定位置に圧電モータ要素を固定するための屈曲ヒンジを有するアームを備える接続要素であって、
屈曲ヒンジは、圧電モータ要素が法線方向に移動することを可能にするようなものであり、屈曲ヒンジは、接線方向に剛性であり、それにより、屈曲アームは、固定手段によって圧電モータ要素に固定される、接続要素と、を備える。
【0020】
いくつかの実施形態では、接続要素は、圧電モータ要素の頂部側に配置された1つの頂部接続箔要素および圧電モータ要素の底部側に配置された1つの底部接続箔要素である2つの箔要素を備えることができる。いくつかの実施形態では、頂部接続箔要素および底部接続箔要素の両方は、屈曲ヒンジを有するアームを有してもよい。
【0021】
圧電モータ要素に接触するための屈曲ヒンジは、それぞれ圧電モータ要素の頂面および圧電モータ要素の底面において圧電モータ要素に接触するように構成されてもよい。
【0022】
あるいは、円周面で圧電モータ要素に接触する屈曲ヒンジを備えるアームを有する単一の接続要素を設けることができる。
【0023】
本発明の実施形態において箔に言及する場合、これはフィルム状の構造または薄層を指すことができるが、例えば薄いプレートなどのより厚い層も包含することができる。いくつかの実施形態では、そのようなプレートは、例えば、曲げることができる。
【0024】
本発明の実施形態において、圧電モータ要素が法線方向に移動することが可能であり、屈曲ヒンジが接線方向に剛性であることが言及される場合、屈曲ヒンジが固定点の位置で拡張モードの移動に対して垂直であるという事実が言及される。法線方向はまた、中心位置に対して半径方向であると定義されてもよい。
【0025】
屈曲アームは、接着剤を使用して圧電モータ要素に固定されてもよい。
接着剤は、エポキシ接着剤またはアクリレートもしくはポリウレタンであってもよい。
【0026】
圧電モータ要素は、圧電モータ要素を貫通して頂面から底面まで延びる穴を有することができ、接続要素は、圧電モータ要素の穴を貫通して配置された接続部をさらに備えることができ、接続部は、頂部接続箔要素と底部接続箔要素とを機械的に接続し、それによって異なる固定位置が穴から離れて配置され、穴の位置において、接続要素と圧電モータ要素とは互いに接触しない。
【0027】
接続部は、頂部接続箔要素と底部接続箔要素とを離間させるためのスペーサリングを備えてもよい。
【0028】
スペーサリングの外径は、圧電モータ要素の穴の内径よりも実質的に小さくてもよい。いくつかの実施形態では、スペーサリングの外径は、穴の内径よりも50μm小さくてもよい。いくつかの実施形態では、内径よりも実質的に小さいというのは、穴の内径の90%未満、例えば80%未満、例えば70%未満であってもよい。
【0029】
接続部は、頂部接続箔要素と底部接続箔要素との間の機械的接続を提供し、箔要素を圧電モータ要素から離間させるのを助ける2つのシム要素、例えばシムリングを備えることができる。
【0030】
接続部の寸法は、シム要素と圧電モータ要素の頂面および底面との間に2μm~50μm、例えば2μm~20μm、例えば約10μmの範囲の遊びが存在するようなものであってもよい。
【0031】
本発明の実施形態では、動作中、垂直軸方向に力は発生せず、したがって、この方向の遊びは、駆動方向に望ましくない遊びまたはバックラッシュを引き起こさない。
【0032】
圧電モータ要素と接続箔との間には、圧電モータ要素の電極に電気的に接続するためのフレキシブル回路が設けられてもよい。
【0033】
圧電モータ要素を接続するためのフレキシブル回路は、圧電モータ要素内の電極を電気的に接続するための迅速かつ正確な方法を提供するが、圧電モータ要素内のそのような電極は電気配線によっても接続することができる。
【0034】
圧電アクチュエータは、駆動方向の望ましくない動きを防止しながら圧電モータ要素が駆動方向に垂直な方向に自由に動くことができるように、圧電モータ要素を懸架するための懸架要素をさらに備えることができる。
【0035】
懸架要素は2つの懸架箔を備えてもよく、1つの懸架箔は、圧電モータ要素の頂部側に配置され、1つの懸架箔は、圧電モータ要素の底部側に配置される。
【0036】
懸架箔は、懸架箔が圧電モータ要素から外方を向く接続箔の側面に配置され、懸架箔および接続箔がシム要素によって互いに離間されるように配置されてもよい。
【0037】
懸架箔、シム要素、および接続箔は、互いに機械的に接続されてもよい。
懸架箔、シム要素、および接続箔は、圧電モータ要素の中心穴を通って延びる接続部を使用して互いに機械的に接続されてもよい。
【0038】
圧電モータ要素は、プレート状であってもよい。
電極は、電気的に接続され、電極の駆動が面内モードを誘発するように構成されてもよい。
【0039】
圧電モータ要素の極性を考慮して、電極の駆動が面内曲げモードおよび/または面内膨張モードを誘発するように、電極を電気的に接続および構成することができる。
【0040】
圧電材料の極性を考慮して、電極の駆動が面内曲げモードと面内膨張モードとを交互に誘発するように、電極を電気的に接続および構成することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、面内モードが使用されるように電極を構成することができる。
【0042】
面内曲げモードは、隣接する角が反対の方向に移動する振動モードであってもよく、面内膨張モードは、頂面の異なる角が同期して外側または内側にある同じ方向に移動する振動モードであってもよい。
【0043】
別の態様において、本発明は圧電アクチュエータに関し、圧電アクチュエータは、
頂面および底面を有する圧電モータ要素と、
2つの箔要素を備える接続要素であって、1つの頂部接続箔要素が圧電モータ要素の頂部側に配置され、1つの底部接続箔要素が圧電モータ要素の底部側に配置され、頂部接続箔要素および底部接続箔要素が異なる固定位置で圧電モータ要素に接触し、したがって、接続要素が、共振時に圧電モータ要素の固有モードを妨げることなく圧電モータ要素を定位置に保持する、接続要素と、を備え、
圧電モータ要素は、圧電モータ要素を貫通して頂面から底面まで延びる穴を有し、
接続要素は、圧電モータ要素の穴を通って配置された接続部分をさらに備え、接続部分は、頂部接続箔要素と底部接続箔要素とを機械的に接続し、それにより異なる固定位置が穴から離れて配置され、それにより、穴の位置において接続要素と圧電モータ要素とは互いに接触しない。
【0044】
固定位置は、圧電素子の頂面および/または底面にあってもよい。あるいは、固定位置は、圧電モータ要素の側面にあってもよい。
【0045】
本発明の実施形態の利点は、小型の圧電モータが得られることである。
接続部は、頂部接続箔要素と底部接続箔要素とを離間させるためのスペーサリングを備えてもよい。
【0046】
スペーサリングの外径は、圧電モータ要素の穴の内径よりも実質的に小さくてもよい。いくつかの実施形態では、スペーサリングの外径は、穴の内径よりも50μm小さくてもよい。いくつかの実施形態では、内径よりも実質的に小さいというのは、穴の内径の90%未満、例えば80%未満、例えば70%未満であってもよい。
【0047】
接続部は、頂部接続箔要素と底部接続箔要素との間の機械的接続を提供し、箔要素を圧電モータ要素から離間させるのを助ける2つのシム要素、例えばシムリングを備えることができる。
【0048】
接続部の寸法は、シム要素と圧電モータ要素の頂面および底面との間に2μm~50μm、例えば2μm~20μm、例えば約10μmの範囲の遊びが存在するようなものであってもよい。
【0049】
本発明の実施形態の利点は、動作中、垂直軸方向に力は発生せず、したがってこの方向の遊びが駆動方向に望ましくない遊びまたはバックラッシュを引き起こさないことである。
【0050】
圧電モータ要素と接続箔との間には、圧電モータ要素の電極に電気的に接続するためのフレキシブル回路が設けられてもよい。
【0051】
圧電モータ要素を接続するためのフレキシブル回路は、圧電モータ要素内の電極を電気的に接続するための迅速かつ正確な方法を提供するが、圧電モータ要素内のそのような電極は電気配線によっても接続することができる。
【0052】
圧電アクチュエータは、駆動方向の望ましくない動きを防止しながら圧電モータ要素が駆動方向に垂直な方向に自由に動くことができるように、圧電モータ要素を懸架するための懸架要素をさらに備えることができる。
【0053】
懸架要素は2つの懸架箔を備えてもよく、1つの懸架箔は、圧電モータ要素の頂部側に配置され、1つの懸架箔は、圧電モータ要素の底部側に配置される。
【0054】
懸架箔は、懸架箔が圧電モータ要素から外方を向く接続箔の側面に配置され、懸架箔および接続箔がシム要素によって互いに離間されるように配置されてもよい。
【0055】
懸架箔、シム要素、および接続箔は、互いに機械的に接続されてもよい。
懸架箔、シム要素、および接続箔は、圧電モータ要素の中心穴を通って延びる接続部を使用して互いに機械的に接続されてもよい。
【0056】
圧電モータ要素は、プレート状であってもよい。
圧電モータ要素の極性を考慮して、電極の駆動が面内曲げモードおよび/または面内膨張モードを誘発するように、電極を電気的に接続および構成することができる。
【0057】
圧電材料の極性を考慮して、電極の駆動が面内曲げモードと面内膨張モードとを交互に誘発するように、電極を電気的に接続および構成することができる。
【0058】
面内曲げモードは、隣接する角が反対の方向に移動する振動モードであってもよく、面内膨張モードは、頂面の異なる角が同期して外側または内側にある同じ方向に移動する振動モードであってもよい。
【0059】
本発明の特定の好ましい態様は、添付の独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項からの特徴は、独立請求項の特徴および他の従属請求項の特徴と適宜組み合わせることができ、単に特許請求の範囲に明示的に記載されている通りでなくてもよい。
【0060】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。本発明のさらなる特徴は、実施例および図面から明らかになるであろう。
【0061】
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】本発明の実施形態による取り付け機構を有する超音波圧電モータのモータ要素を概略的に示す。
【
図2】
図1に示すモータ要素のA-A線断面図を示す。
【
図3】本発明の実施形態による取り付け機能を有する超音波圧電モータのモータ要素の概要を示す。
【
図4】本発明の実施形態による取り付け機能を有する超音波圧電モータのモータ要素の断面図を示す。
【
図5】本発明の実施形態による取り付け機能を有する超音波圧電モータのモータ要素の断面の一部の詳細図を示す。
【
図6】本発明の実施形態による取り付け機構を有する超音波圧電モータの異なる構成要素(層)を示し、圧電モータを示す。
【
図7】本発明の実施形態による取り付け機構を有する超音波圧電モータの異なる構成要素(層)を示し、フレックスプリントを示す。
【
図8】本発明の実施形態による取り付け機構を有する超音波圧電モータの異なる構成要素(層)を示し、接続箔を示す。
【
図9】本発明の実施形態による取り付け機構を有する超音波圧電モータの異なる構成要素(層)を示し、本発明の実施形態で使用することができる懸架箔を示す。
【
図10】本発明の一実施形態による圧電モータの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図面は概略的なものに過ぎず、非限定的である。図面では、いくつかの要素のサイズは誇張されており、例示を目的として縮尺通りに描かれていない場合がある。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。異なる図面において、同じ参照符号は、同じまたは類似の要素を指す。
【0064】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、特定の実施形態に関して、および特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれらに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明される図面は概略的なものに過ぎず、非限定的である。図面では、いくつかの要素のサイズは誇張されており、例示を目的として縮尺通りに描かれていない場合がある。「含む(comprising)」という用語が本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、他の要素または工程を排除するものではない。単数名詞を指すときに不定冠詞または定冠詞、例えば「a」または「an」、「the」が使用される場合、他に特に記載がない限り、これはその名詞の複数を含む。特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という用語は、その後に列挙される手段に限定されると解釈されるべきではなく、これは他の要素または工程を排除するものではない。したがって、「手段AおよびBを備える装置」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなる装置に限定されるべきではない。これは、本発明に関して、装置の関連する構成要素がAおよびBのみであることを意味する。さらに、明細書および特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、同様の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的または時系列的な順序を説明するためのものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される発明の実施形態は、本明細書に記載または図示されている以外の順序で動作することができることを理解されたい。さらに、本明細書および特許請求の範囲における頂部、底部、上方、下方などの用語は、説明目的のために使用され、必ずしも相対位置を説明するためのものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される発明の実施形態は、本明細書に記載または図示されている以外の向きで動作することができることを理解されたい。
【0065】
図面において、同様の参照番号は同様の特徴を示し、2つ以上の図に現れる参照番号は、同じ要素を指す。図面および以下の詳細な説明は、アクチュエータ、より具体的には圧電アクチュエータの特定の実施形態を示す。
【0066】
本発明の実施形態において、圧電材料に言及する場合、印加された機械的応力に応答して電荷が蓄積する効果を示す材料に言及する。逆に、圧電材料に電場を印加することによって、材料は変形を受けて変位をもたらす。
【0067】
本発明の実施形態においてアクチュエータに言及する場合、例えば圧電材料および電極を含む、好ましくは圧電セラミックブロックまたは異なる圧電セラミック層のスタックの形態の活性要素に言及する。本発明の実施形態で使用されるアクチュエータは、圧電アクチュエータ、磁歪アクチュエータ、電歪アクチュエータのいずれかのタイプとすることができる。
【0068】
本発明の実施形態において、モータ、例えば圧電モータに言及する場合、アクチュエータ、例えば圧電セラミックアクチュエータを備えるモータに言及する。
【0069】
本発明の実施形態において、懸架または懸架箔に言及する場合、モータを支持し、予圧をもたらす力でそれを負荷に押し付ける構成要素または機構に言及する。
【0070】
本発明の実施形態において、接触に言及する場合、例えば、本発明の実施形態によるモータの先端が被駆動物体の表面に接触する位置に言及する。
【0071】
本発明の実施形態において、固定位置に言及する場合、可撓性ヒンジが圧電モータに固定される位置/場所に言及する。
【0072】
本発明の実施形態において、予圧に言及する場合、負荷の移動方向に対して実質的に垂直に作用する、本発明の実施形態によるアクチュエータまたはモータに作用する静的な力に言及する。
【0073】
本発明の実施形態において、負荷またはステージに言及する場合、本発明の実施形態によるモータによって駆動される(べき)構成要素または構造に言及する。
【0074】
圧電モータ要素の外形は、本発明の実施形態を限定するものではないことに留意されたい。例示として、本発明の実施形態はこれに限定されず、特定の実施形態は、本出願人名義の欧州特許出願公開第3535842号明細書に記載されているのと同じ外形を有する圧電モータ要素を参照して説明され、そのような圧電モータ要素は、例えば同じモードを使用して、欧州特許出願公開第3535842号明細書に記載されているのと同じ方法で駆動されてもよい。欧州特許出願公開第3535842号明細書は、圧電材料の極性を考慮して、電極の駆動が面内曲げモードおよび/または面内膨張モードを誘発するように、電極を電気的に接続および構成することができることを開示している。欧州特許出願公開第3535842号明細書の好ましい実施形態では、共振モードは、2つのAC電圧間の位相差および/または電圧振幅を変化させながら、2つのAC電圧によって2つの電極対を励起または通電することによって達成される。これらの電圧は、アクチュエータの水平固有モード、例えば面内曲げモード、および垂直固有モード、例えば面内膨張モードを励起し、接触領域の楕円運動をもたらす。接触領域(先端)が表面に押し付けられると、この表面は、選択された軌道に応じた速度および方向でアクチュエータに対して駆動される。
【0075】
それにもかかわらず、本発明の実施形態は、圧電モータ要素の外形または圧電モータ要素を駆動するために使用されるモードによって限定されず、独立請求項に定義される特徴によって限定される。
【0076】
本発明の実施形態の例では、特定の励起モードに言及することができるが、実施形態はそれに限定されず、異なる励起モードを使用して駆動される圧電モータも包含する。
【0077】
第1の態様において、本発明は、圧電材料で作られた圧電モータ要素を備える圧電アクチュエータに関する。圧電材料は圧電プレートであってもよいが、実施形態はこれに限定されない。圧電モータ要素は、頂面および底面を有する。圧電アクチュエータはまた、作動される負荷に接触するための少なくとも1つの接触点を備える。少なくとも1つの接触点は、セラミック圧電材料の第3の円周面上に配置されている。本発明の実施形態では、取り付けおよび接触は、圧電材料上の2つの別個の位置で行われる。
【0078】
圧電アクチュエータはまた、接続要素を備える。いくつかの実施形態では、接続要素は、2つの箔要素を備える、すなわち、1つの頂部接続箔要素が圧電モータ要素の頂部側に配置され、1つの底部接続箔要素が圧電モータ要素の底部側に配置されている。いくつかの実施形態では、単一の接続箔またはプレートが提供される。本発明の実施形態によれば、接続要素は、圧電モータ要素の1つまたは複数の曲げモードのノード位置に配置された異なる固定位置に圧電モータ要素を固定するための屈曲ヒンジを備えたアームを有する。
【0079】
あるいは、円周面で圧電モータ要素に接触する屈曲ヒンジを備えるアームを有する単一の接続要素を設けることができる。
【0080】
屈曲ヒンジは、圧電モータ要素が法線方向に移動することを可能にし、屈曲ヒンジが接線方向に剛性であるようなものであり、それによって、屈曲アームは、固定手段によって圧電モータ要素に固定される。
【0081】
本発明の実施形態はさらに、典型的には、圧電材料の頂面に配置された少なくとも1組の電極と、セラミック圧電材料の底面に配置された少なくとも1つの電極とを備えることができる。セラミック圧電材料の極性を考慮して、電極の駆動が面内曲げモードおよび/または面内膨張モードを誘発するように、電極を電気的に接続および構成することができる。図示されるように、これはフレキシブル回路を使用して提供することができるが、実施形態はこれに限定されない。さらなる標準的および任意選択の特徴を、例示的な実施形態を参照して以下に説明する。
【0082】
第2の態様では、本発明は、第1の態様に記載の圧電アクチュエータを備えるモータに関する。本発明の実施形態において、モータに言及する場合、懸架および適用される予圧と組み合わせた、少なくとも上述のアクチュエータの組み合わせに言及する。
【0083】
例示として、本発明はこれに限定されず、本発明の例示的な実施形態の標準的な構成要素および任意選択の構成要素を示す図面を参照して、圧電アクチュエータをさらに説明する。モータに言及するが、圧電アクチュエータの要素が記載されている場合、アクチュエータ自体にも同様に言及することに留意されたい。
【0084】
本発明の実施形態では、接続部は、モータ要素の頂部側および底部側に配置された2つの箔要素を備える。特定の実施形態では、各箔は4箇所でモータに接触するが、実施形態はこれに限定されない。これらの固定点の位置では、モータは法線方向(曲げモードのノード)にのみ移動/振動する。箔要素は、この基準振動を可能にする屈曲ヒンジを有する4つのアームを有する。しかしながら、接線方向において、ヒンジは完全に剛性である。使用することができる材料のいくつかの例は、鉄系材料、非鉄系材料、エンジニアリングプラスチックなどである。好ましい実施形態では、モータ要素と屈曲アームとの間の接触は、エポキシ接着剤によって実現される。あるいは、例えばアクリレートまたはポリウレタンなどの他の種類の接着剤も使用することができる。それにもかかわらず、代替的に、別のタイプの接着剤またはさらにははんだ付けまたはろう付けなどの別のタイプの固定も使用することができる。いくつかの実施形態では、アーム端部の形状は、未硬化接着剤に作用する毛細管力が、硬化中に接着剤を定位置に保持するメニスカス形状を形成するように設計される。
【0085】
頂部接続箔と底部接続箔との組み合わせは、2つの横方向自由度およびすべての回転自由度を取り除くことによってモータ要素を定位置に保持する。これは、モータの意図された固有モードを妨げることなく、駆動方向に非常に剛性でバックラッシュのない接続で行われる。
【0086】
いくつかの特定の実施形態では、接続箔は、スペーサリングおよびシムリングによって分離される。この積み重ねられた要素の層は、中央穴を通るボルト接続によって互いに押し付けられる。モータとモータの中央取り付け穴の周りの接続要素との間に機械的接触はない。スペーサリングの外径は、圧電モータの中心穴の内径よりも著しく小さい。いくつかの実施形態では、スペーサリングの外径は、穴の内径よりも50μm小さくてもよい。いくつかの実施形態では、内径よりも実質的に小さいというのは、穴の内径の90%未満、例えば80%未満、例えば70%未満であってもよい。垂直/軸方向において、シムリングとモータの頂面/底面との間に最小量の遊びがある。そのような遊びの量は、2マイクロメートル~20マイクロメートルの範囲、例えば約10マイクロメートルであってもよい。動作中、垂直/軸方向に力は発生しない。この方向のいかなる遊びも、駆動方向に望ましくない遊びまたはバックラッシュを引き起こさない。
【0087】
中央または非中央取り付け穴の代わりに、接続箔は、圧電モータ要素の外側に配置された接続部によって一緒に保持されてもよい。
【0088】
上述したように、モータと接続箔との間には、いくつかの実施形態では、モータ要素の異なる電極への電気的接続を行うフレックスプリント回路が設けられる。このための別の解決策は、単純なワイヤであり得る。
【0089】
図1および
図2は、圧電モータ要素および接続箔の第1の図および断面図、ならびにこの例では、圧電モータ要素を通る穴を介した接続箔間の機械的接続を示す。
【0090】
本発明の実施形態では、圧電アクチュエータはまた、懸架要素を備えてもよい。いくつかの実施形態では、懸架要素は2つの懸架層であってもよい。一実施形態では、懸架要素は、モータの頂部側および底部側の両方に別の箔を追加する。いくつかの実施形態では、懸架構造、例えば厚い懸架要素に取り付けられた2つの接続箔を有する圧電が提供される。システムは、十分な傾斜剛性を提供することができる。これらの箔の機能は、駆動方向の望ましくない動きを防止しながら、モータ要素が駆動方向に垂直な方向に自由に動くことを可能にすることである。これらの懸架箔にも、所定の距離にわたって自由に動くことができる屈曲ヒンジが設けられている。そのような距離は、0.1mm~1mm、例えば約0.5mmであってもよい。ヒンジは、駆動方向およびねじり方向において剛性である。懸架箔は、この例では、モータ要素の両側にその接続箔と共に取り付けられている。両層間にはシムリングが設置されている。垂直/軸方向および2つの傾斜方向にある程度の柔軟性が存在する。しかし、この方向に力が発生しないため、この柔軟性は問題ではない。
図3から
図5は、懸架層と、これらが接続層および圧電モータ要素に対してどのように構成されているかを示す。
【0091】
図6は本発明の実施形態で使用することができる圧電モータを示し、
図7は本発明の実施形態で使用することができるフレキシブルプリントを示し、
図8は本発明の実施形態で使用することができる接続箔を示し、
図9は本発明の実施形態で使用することができる懸架箔を示す。
【0092】
小さなガイドウェイなど、この懸架機能のための他の方法を使用することが可能であろう。しかしながら、他の方法は、それほどコンパクトではなく、駆動方向に機械的遊びを導入する。
【0093】
本実施例では、懸架箔、シムリング、および接続箔のスタックは、モータの中心穴を通るボルトおよび雌ねじ付きピンによって一緒に保持される。締め付けトルクは、モータの駆動力およびトルクに耐えるために十分である必要がある。中央ピンはまた、すべての構成要素の位置合わせを担当する。
【0094】
モータ要素と接続層および懸架層との組み合わせは、位置決め装置のステータに容易に設置されるモータユニットを形成する。最後の要素は、モータの駆動接点を装置の牽引面に押し付けるばねである。ばねは、モータユニットの頂部および両側で等しい予圧を与える単純なU字形ばねであってもよい。やはり、他の解決策も可能であるが、このU字形ばねは、非常にコンパクトな実現をもたらす。
【0095】
特定の一実施形態では、接続層および懸架層を単一の層に組み合わせることができる。別の特定の実施形態では、例えばフレキシブル回路を介した電気的接続と機械的接続とを単一の層に組み合わせることができる。
【0096】
上記の例示的な実施形態では、接続要素または接続要素および懸架要素の異なる部分は、ボルトおよびねじ接続を使用して一緒に保持されるが、これらの部分を一緒に保持するための代替手段、例えば圧入接続、焼き嵌め接続、接着剤などを使用することができる。
【0097】
特定の一実施形態では、正方形の圧電素子が使用され、それによって、接続箔は、圧電素子の各側に1つずつ、固定点を介して圧電素子に接続され、接続箔は、屈曲アームおよびヒンジを介して圧電素子に固定される。そのような実施形態の一例を
図10に示す。
【0098】
さらに例示として、本発明の実施形態による圧電モータを
図10に示す。システムに適用可能な異なる方向が図に示されている。ヒンジを圧電素子に固定するための固定点は、曲げモードのノードに位置することが分かる。固定点は、曲げモードのノード上に配置される。アームの長さ方向(長手方向)は、他方のモードの局所的な移動方向に対して垂直である。そのようなモードは、曲げモードまたは膨張モードであってもよい。長さ方向は、ヒンジと固定点とを結ぶ線によって規定される。
【0099】
上述した本発明の実施形態では、曲げモードおよび膨張モードが使用されているが、本発明の実施形態は他の曲げモードも使用することができ、それによって固定点が曲げモードのノードに配置されることに留意されたい。可撓性ヒンジは、他のモードの局所的な動きに対して垂直に配置される。
【0100】
別の態様では、本発明は圧電アクチュエータに関し、圧電アクチュエータは、頂面および底面を有する圧電モータ要素と、2つの箔要素を備える接続要素とを備え、2つの箔要素は、圧電モータ要素の頂部側に配置された1つの頂部接続箔要素および圧電モータ要素の底部側に配置された1つの底部接続箔要素であって、頂部接続箔要素および底部接続箔要素は、それぞれ圧電素子の頂面および圧電モータ要素の底面の異なる固定位置で圧電モータ要素に接触し、したがって接続要素は、共振時に圧電モータ要素の固有モードを妨げることなく、圧電モータ要素を定位置に保持する。
【0101】
本発明の実施形態によれば、圧電モータ要素は、圧電モータ要素を貫通して頂面から底面まで延びる穴を有する。この穴は、中央に配置されてもよく、または任意の他の適切な位置に配置されてもよい。本発明の実施形態によれば、接続要素は、圧電モータ要素の穴を貫通して配置された接続部をさらに備え、接続部は、頂部接続箔要素と底部接続箔要素とを機械的に接続し、それによって異なる固定位置が穴から離れて配置され、穴の位置において、接続要素と圧電モータ要素とは互いに接触しない。圧電モータ要素は、第1の態様で説明したとおりであってもよい。接続要素は、第1の態様で説明したとおりであってもよい。圧電アクチュエータはまた、懸架要素を備えてもよく、懸架要素は、一例では、第1の態様で説明したとおりであってもよい。
【0102】
本発明の実施形態によれば、接続部は、例えば、要素を一緒に保持するボルトおよびねじを備えることができる。それにもかかわらず、圧入接続、焼き嵌め接続、接着剤などの代替物も使用することができる。
【0103】
さらなる特徴は、第1の態様で説明したとおりであってもよい。
圧電アクチュエータまたはモータの要素はさらに、欧州特許出願公開第3535842号明細書に記載されている通りであってもよいが、実施形態はそれに限定されない。
【0104】
条項
本発明の特定の実施形態は、以下の番号が付けられた条項によって説明される。
【0105】
1.圧電アクチュエータであって、
頂面および底面を有する圧電モータ要素と、
圧電モータ要素の1つまたは複数の曲げモードのノード位置に位置する異なる固定位置で圧電モータ要素に接触するための屈曲ヒンジを有するアームを有する接続要素と、
圧電モータ要素が法線方向に移動することを可能にし、接線方向に剛性であり、それによって、屈曲アームが固定手段によって圧電モータ要素に固定される屈曲ヒンジと、
を備える、圧電アクチュエータ。
【0106】
2.屈曲アームは、接着剤を使用して圧電モータ要素に固定される、条項1に記載の圧電アクチュエータ。
【0107】
3.接続要素は2つの箔要素を備え、1つの頂部接続箔要素は、圧電モータ要素の頂部側に配置され、1つの底部接続箔要素は、圧電モータ要素の底部側に配置され、頂部接続箔要素および底部接続箔要素は、圧電モータ要素に接触するための屈曲ヒンジを有するアームを有し、それぞれ圧電モータ要素の頂面および圧電モータ要素の底面において圧電モータ要素に接触するように構成されている、先行する条項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【0108】
4.圧電モータ要素は、圧電モータ要素を貫通して頂面から底面まで延びる穴を有し、接続要素は、圧電モータ要素の穴を貫通して配置された接続部をさらに備え、接続部は、頂部接続箔要素と底部接続箔要素とを機械的に接続し、それによって異なる固定位置が穴から離れて配置され、穴の位置において、接続要素と圧電モータ要素とは互いに接触しない、条項3に記載の圧電アクチュエータ。
【0109】
5.接続部は、頂部接続箔要素と底部接続箔要素とを離間させるためのスペーサリングを備える、条項4に記載の圧電アクチュエータ。
【0110】
6.スペーサリングの外径は、圧電モータ要素の穴の内径よりも実質的に小さい、条項5に記載の圧電アクチュエータ。
【0111】
7.接続部は、頂部接続箔要素と底部接続箔要素との間の機械的接続を提供し、箔要素を圧電モータ要素から離間させるのを助ける2つのシム要素、例えばシムリングを備える、先行する条項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【0112】
8.接続部の寸法は、シム要素と圧電モータ要素の頂面および底面との間に2μm~20μm程度の遊びが存在するようなものである、条項7に記載の圧電アクチュエータ。
【0113】
9.圧電モータ要素と接続箔との間に、圧電モータ要素内の電極への電気的接続のためのフレキシブル回路が設けられている、条項3に従属する限りにおいて先行する条項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【0114】
10.圧電アクチュエータは、駆動方向の望ましくない動きを防止しながら圧電モータ要素が駆動方向に垂直な方向に自由に動くことができるように、圧電モータ要素を懸架するための懸架要素をさらに備える、先行する条項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【0115】
11.懸架要素は2つの懸架箔を備え、1つの懸架箔は、圧電モータ要素の頂部側に配置され、1つの懸架箔は、圧電モータ要素の底部側に配置される、条項10に記載の圧電アクチュエータ。
【0116】
12.懸架箔は、懸架箔が圧電モータ要素から外方を向く接続箔の側面に配置され、懸架箔および接続箔がシム要素によって互いに離間されるように配置される、条項3に従属する限りにおいて条項11に記載の圧電アクチュエータ。
【0117】
13.懸架箔、シム要素、および接続箔は、互いに機械的に接続されている、条項12に記載の圧電アクチュエータ。
【0118】
14.懸架箔、シム要素、および接続箔は、圧電モータ要素の中心穴を通って延びる接続部を使用して互いに機械的に接続されている、条項13に記載の圧電アクチュエータ。
【0119】
15.圧電モータ要素はプレート状である、先行する条項のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
【国際調査報告】